財政委員会速記録第十九号

平成十五年十一月十三日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十二名
委員長近藤やよい君
副委員長森田 安孝君
副委員長小美濃安弘君
理事松村 友昭君
理事川井しげお君
理事中村 明彦君
秋田 一郎君
鳩山 太郎君
執印真智子君
桜井良之助君
桜井  武君
藤川 隆則君

 欠席委員 一名

 出席説明員
主税局局長川崎 裕康君
総務部長菅原 秀夫君
税制部長三橋  昇君
参事関口 修一君
参事後関 治久君
課税部長吉田 勝武君
資産税部長山本 武志君
徴収部長小林 宣光君
特別滞納整理担当部長尾芦 健二君
収用委員会事務局局長山内 隆夫君
参事三枝 秀雄君

本日の会議に付した事件
 収用委員会事務局関係
  事務事業について(質疑)
 主税局関係
  事務事業について(質疑)

○近藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、委員の退職について申し上げます。
 去る十月二十八日付をもって矢部一委員が公職選挙法第九十条の規定により退職した旨、議長から通知がありました。
 なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○近藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局及び主税局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小美濃委員 それでは、収用裁決手続の現状と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 いわゆるトラスト運動といわれている事件を中心にお伺いしたいと思うんですけれども、質問に入る前に、本来トラスト運動というものは、自然環境や景観、文化財などを守る意識が芽生えて、草の根的に市民運動などによって管理団体が所有者となって管理をしたり、そういったことを働きかけるという、そういった運動を指すと一般的にはいわれているわけでありますけれども、これまで都の収用委員会が取り扱った事件のうち、今いったような本来のトラスト運動とは性質を異とする、いわゆる大規模なトラスト運動といわれているものが展開をされてきたということの一つとして、二ツ塚廃棄物処分場の件ですとか、また、この間、報道でもありました圏央道の件ですとか、こういったものが挙げられるのではないかと思っているんですね。
 これらの事業にかかわる収用裁決手続において幾つかお伺いしたいと思うんですけれども、まず前段に述べました二ツ塚廃棄物処分場の件であります。この事業は、多摩地域における一般廃棄物最終処分場として多摩地域二十六市一町で構成する三多摩地域廃棄物広域処分組合によって計画をされていたものであります。
 しかしながら、事業の実施に当たって、事業反対を目的とした多数当事者による、いわゆる土地トラスト運動が展開をされてまいったわけであります。このため、広域処分組合は、これらの権利者に対し土地収用法に基づく収用手続を開始することになりまして、事業の早期完成を図ろうとしたところであります。
 そこで、二ツ塚廃棄物処分場における収用事件の概要、そして主な手続の経過についてまずお伺いをしたいと思います。

○三枝参事 二ツ塚廃棄物処分場における事件の概要でございますが、収用裁決の事件数は四件でございます。本件申請により収用した土地の面積は四百六十一・二七平方メートル、当該区域における土地及び立木の所有者は二千八百二十九名で、トラスト運動として土地や立木を所有した権利者でございます。
 次に、主な経過でございますが、本件収用裁決につきましては、平成八年十二月十三日、起業者である三多摩地域廃棄物広域処分組合より申請を受け、その後、延べ十一回の審理を経て、平成十一年十月四日に裁決がなされたところでございます。

○小美濃委員 ただいまご答弁をいただきました。約二千九百名、正確にいうと二千八百二十九名が四百六十一・二七平方メートルを所有していた。これは一人の平均に直しますと〇・一六平米であります。四十センチ真っ角ですから、こんなものですよね。こんなものを一人で持っていたと。そういう運動が展開されて、その結果、延べ十一回の審理を余儀なくされ、裁決申請から起算すると裁決までに三年近い期間を要した、こういったことがあったわけであります。このような反対運動によって、その解決に莫大な時間と労力を費やしたばかりではなく、事業の目的達成が大幅におくれることとなったことは、都民の利益を大きく損なうこととなり、まことに遺憾といわざるを得ないわけであります。
 また、この二ツ塚につきましては、私、当時市議会議員でございましたけれども、武蔵野市も二ツ塚処分場を使わせていただいた該当市でございましたので議論をよくいたしました。その背景には、反対派の運動家が市民を扇動して、やいのやいのとやっていたということも見受けられたわけでありますが、いいかえれば、これはトラスト運動というよりも政治運動に近い形を私は感じていたわけであります。全く遺憾といわざるを得ないわけであります。こうしたことがないように、やはりしっかりとこれからも住民の意見は、地権者の意見は聞かなきゃいけないですけれども、政治運動とは画した行動をしていかなければならないなと思っているわけであります。
 また、直近の課題として圏央道の問題があるわけであります。ご承知のとおり、圏央道は、東京構想二〇〇〇や都市づくりビジョンなどの諸計画において、その重要性が位置づけられているところであります。圏央道は、首都圏における環状方向の道路ネットワークを形成し、都内の交通渋滞緩和や環境改善に資するとともに、産業の活性化などに寄与するための重要路線であります。
 既に日の出インターチェンジまでは開通をしておりまして、今後関越自動車道と中央自動車道八王子ジャンクションとを結ぶことは、より一層地域の活性化に貢献することから、早期開通が強く望まれているところであります。国は、日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの区間は平成十五年度中の供用開始を、また、あきる野インターチェンジから八王子ジャンクションまでの区間については平成十六年度中の供用開始を目指し、現在、鋭意工事を進めていると伺っているわけであります。
 しかし、この事業においても、二ツ塚廃棄物処分場同様、いずれの区間においても、いわゆるトラスト運動が展開されておりまして、事業への協力を得ることのできない権利者が存在することから、これらの権利者に対し、国及び日本道路公団は、やむを得ず土地収用法に基づく法的手段を講じてきたと伺っているわけであります。
 あきる野インターチェンジ付近においては、昨年九月、都収用委員会による収用の裁決があり、なお明け渡しを拒んでいる者に対して代執行の手続が進められてまいりました。それが先般、東京地裁において代執行の手続が停止をされたと聞いているわけであります。私、個人的には大変残念に思っておりますが、あきる野インターチェンジ付近における事件の概要、主な手続の経過及び審理における権利者からの主な主張について、どんなことがあったのか、お伺いをしたいと思います。

○三枝参事 あきる野インターチェンジ付近における事件の概要でございますが、収用裁決の事件数は二十二件でございます。本件申請により収用した土地の面積は八千四百三十一・一六平方メートル、当該区域における権利者は百三十四名で、このうち約百二十一名がトラスト運動として土地を賃借した権利者でございます。
 次に、主な経過でございますが、本件収用裁決につきましては、平成十二年十月三十一日並びに平成十二年十一月三十日、起業者である国及び日本道路公団より申請を受け、その後、延べ十回の審理を経て平成十四年九月三十日に裁決がなされたところでございます。
 なお、権利者の主張で最も時間が費やされたのは、事業の公益性など事業認定にかかわるものでございました。

○小美濃委員 ただいまのご答弁にありましたように、二ツ塚廃棄物処分場も圏央道についても、審理の回数が本当に多いということが理解できたわけであります。また、そのために収用裁決の手続期間が長くなっているということも理解ができました。しかも、主張や発言の内容が事業の認定に関するものが多くて、土地の区域や損失補償など、本来収用委員会として審理すべき事項とは異なる事項で長期間を要しているというのが実情であります。もっとも二ツ塚などは、先ほども申し上げましたけれども、一人平均〇・一六平米ですから、これは損失補償を目的としていないということは明らかですよね。
 このようなトラスト運動によって審理が長引くケースは全国的にも見受けられるわけでありまして、本来、裁決手続の審理とは関係のない事業認定にかかわる問題を取り上げることによって、いたずらに審理を引き延ばす事例が後を絶たない現状にあるわけであります。
 このような状況の中、平成十四年七月に改正土地収用法が施行されましたが、今回の改正は昭和四十二年以来三十四年ぶりの大改正と伺っているわけであります。今回の改正で、収用委員会にかかわる部分ではどのような改正が行われたのか、お伺いをいたします。

○三枝参事 収用委員会にかかわる土地収用法の主な改正点は、主張内容を制限する規定が明文化されたこと、多数の権利者がいる場合に代表当事者を選定、勧告できる制度が創設されたこと、補償基準が政令で規定されたことの三点でございます。この改正の中で最も重要な主張内容の制限とは、事業認定に対する不服に関することなど、収用委員会の審理と関係がない事項について意見書に記載すること、または口頭で意見を述べることができなくなったということでございます。

○小美濃委員 ただいまのご答弁のとおり、今回の大改正によって収用委員会の審理において事業認定に関する意見を述べることができない、こういったことが明文化をされたわけであります。このことは、審理を真に必要な事項に集中し、効率的な手続の推進を図るためのものであると考えるところでありまして、大変評価をするところであります。
 二ツ塚廃棄物処分場や圏央道はもちろん、地域にとって必要な事業を円滑に推進することは多摩地域の発展に欠くことのできないものであります。そのためには、一部の政治運動家たちがみずからの政治勢力拡大のために反対のための反対運動を行い、必要な公共事業がそれによって阻害される、こういったことは許されるべきものではありません。そのためにも、収用委員会は、法改正の趣旨を踏まえて審理を迅速かつ効率的に進め、裁決が遅延することのないよう強く要望するとともに、最後に局長にご決意のほどをお伺いしたいと存じます。

○山内収用委員会事務局長 今回の土地収用法の改正によりまして、事業の公益性の認定を行う事業認定庁と、補償金額の確定を行う当収用委員会との役割分担が従来より一層明らかになったわけでございます。収用委員会は、補償問題を中心に審理を行うことがはっきりしたということでございます。
 法改正前からの土地収用法の規定によりまして、収用委員会は審理の促進を図る。それから、裁決が遅延することのないように努めるということが決められているわけでございますけれども、ただいま副委員長のお話にありましたように、今回の法改正を踏まえまして、収用委員会が支障なくその職務を果たせるよう、事務局として適切にその補佐をしてまいりたいというふうに考えております。

○小美濃委員 強いご決意をいただきまして、ありがとうございます。しかし、圏央道については、私は、この間ニュースを知って、地権者についてまだよく把握をしていないんですけれども、少なくとも二ツ塚処分場におきましては、その持っていた地権者の多くが、先ほども申しましたとおり、本当に一平米以下の方々が大変多いわけでありまして、実際、地権者の方々も、その土地に住んでいる方、町の人ではないんですね。ほとんどが土地以外の人たちがその該当者でありました。
 ですから、収用決定後、本当にわずかの、下手をすればはがき一枚の土地の代金を支払うのに莫大な費用負担があったわけですよね。時には飛行機を使ったなんていう話も聞いているわけでありまして、これもすべて、でも、実は裏返すと税金が投入をされていたと。いいかえれば、一部の政治運動の拡大、政治運動のために、都民や国民の税金が使われていたという、こういったことはやはりこれから絶対に行ってはいけないと心から思うわけであります。
 しかし、今回の法改正によって、こういったことも解消されてきたということは大変有意義なことだと思っているわけであります。収用委員会におかれましては、今後とも都民の福祉を第一に考え、適正な審理をしていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○近藤委員長 これより主税局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○菅原総務部長 先般の委員会におきましてご要求のございました主税局関係の資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 まず初めに、目次の次にございます一ページの要求資料第1号、法人二税に係る税制改正の影響額についてご説明を申し上げます。
 この表は、平成六年度から平成十五年度までの十年間につきまして、法人二税に係る税制改正の影響額を初年度と平年度に分けてお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、都民税利子割収入の推移についてご説明を申し上げます。
 この表は、平成十年度から平成十五年度までの六年間につきまして、都民税利子割収入の推移をお示ししたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料に関する説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○近藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井(武)委員 私は、不正軽油の撲滅作戦について二、三点質問させていただきます。
 これは前の委員会でも一回伺ったことがあるものでございますので、まず初めに、昨年度の不正軽油撲滅作戦の取り組みの成果、また、その中で特に重点を置いた点は何か、それについてまず質問します。

○吉田課税部長 脱税行為であり、大気汚染の元凶となっております不正軽油を撲滅するために、主税局が中心となりまして全庁を挙げて不正軽油撲滅作戦を展開しているところでございます。この作戦は、不正軽油をつくらせない、買わせない、使わせない、このことに加えまして、不正軽油撲滅のPR活動を実施いたしまして、首都圏から不正軽油を一掃しようというものでございます。こうした取り組みの結果、昨年度の抜き取り調査における不正軽油の検出率は一%となりました。作戦開始当初の一四%に比べますと激減でございます。取り組みの成果であると考えております。
 昨年度特に重点を置きました点は、他自治体との連携、協力体制の充実強化でございます。近年、不正軽油の流通は複雑かつ広域化しております。一自治体の枠を超えた課題となっているところでございます。撲滅を図るためには、自治体間の連携協力がぜひとも必要でございます。そのため、昨年十一月、都が近隣自治体に呼びかけまして、十四都県で構成する実務担当者レベルの不正軽油撲滅連絡会議を設置いたしまして、頻繁に情報交換を行うなど、自治体間の連携協力を積極的に進めてまいったところでございます。

○桜井(武)委員 それでは次に、今年度の不正軽油撲滅作戦の新たな取り組みというんですか、何かそういった点がありましたらばお願いします。

○吉田課税部長 不正軽油は、主に軽油に重油などを不正にまぜて製造されております。そのため、不正軽油の製造を防止する目的で重油や灯油には識別剤が添加されております。もし軽油に重油や灯油をまぜられますと、この識別剤が検出されます。そこで不正軽油を発見することができます。本都におきましては、路上や工事現場等においてディーゼル車、建設重機などから軽油を抜き取って分析を行い、不正軽油を取り締まってまいりました。
 しかしながら、識別剤を意図的に除去した不正軽油については、これまでの検査方法では発見が困難でございました。そこで、今年度から新たな手法として、全国に先駆けて硫黄分析を導入いたしました。この分析によって、識別剤が除去された不正軽油であっても、容易に発見できるようになった次第でございます。

○桜井(武)委員 今の答弁の中で、硫黄分析を導入したということでございまして、ますます巧妙化する不正軽油の製造に対して相当有効な方法なのか、その点について伺います。

○吉田課税部長 硫黄分析は、軽油に含まれている硫黄分に着目いたしまして、不正軽油を発見する方法でございます。従来は、軽油の硫黄分と、重油をまぜたいわゆる不正軽油の硫黄分にはほとんど差がございませんでした。昨年十月から逐次全国的に供給され始めました低硫黄軽油、これが全国的に供給され始めたことによりまして、不正軽油の判別が可能となった次第でございます。
 硫黄分を分析するに当たりまして、昨年十月から本年三月までに採取した軽油約千九百本の硫黄分析をしたところ、今までの手法では発見できなかった識別剤を除去された不正軽油、これが六本検出されました。このことによって分析の有効性を確認いたしました。主税局は、発見された不正軽油の徹底的な取り締まりを行うとともに、他の県にも硫黄分析の導入と取り締まりの強化を働きかけているところでございます。

○桜井(武)委員 では最後ですけれども、主税局は本来は歳入局でありますけれども、そういう仕事の枠組みを超えて環境改善のためにも知恵を絞り、体を張って取り組んでいるということであります。そういった点を踏まえまして、不正軽油の撲滅に向けた局長の決意を伺って、質問を終わります。

○川崎主税局長 不正軽油を首都圏から一掃するため、平成十二年から主税局が中心となって全庁を挙げて不正軽油撲滅作戦に取り組んできております。その結果、不正軽油の混和検出率が激減するなど、成果は着実にあらわれていると考えております。しかし、激変したとはいえ、不正軽油はいまだ流通をしており、その内容は、ご指摘のとおり、より複雑かつ広域化してきております。
 このような状況の中で取り締まりが少しでも緩むことがあれば、不正軽油が作戦前のような状況に戻ってしまうおそれがあると我々は考えております。今後とも脱税防止はもとより、都民の健康を守るためにも、手を緩めることなく厳しく取り締まりを続け、不正軽油撲滅に努めてまいります。

○桜井(良)委員 私の方は三点だけ、ちょっと確認も含めまして基本的に。
 先月、都の第二次財政再建プランが発表されたわけでありますが、その中で東京都が独自に実施している小規模住宅用地に対する都市計画税の減税措置等について、これは、財政再建の基本的な視点から見て構造的な課題が内蔵している事業、制度であるというものの一つとして、この都市計画税の減税、軽減措置を取り上げております。小規模非住宅用地に対する固定資産税、都市計画税の減免措置についても、機動的かつ時限的に行っていくべきと、そういうふうにされているわけでありますが、そこで、この税の軽減措置についての主税局としての基本的な認識をお伺いしたいと思うんです。

○三橋税制部長 小規模住宅用地に対します都市計画税の軽減措置でございますけれども、昭和六十三年度に地価高騰に伴う税負担を緩和いたし、都民の定住を確保するため創設されたものでございます。また、非住宅用地に対します固定資産税等の減免措置は、平成十四年度に過重となっております商業地等の税負担を緩和するとともに、現下の厳しい経済状況下におきます中小企業の支援策として創設したものでございまして、それぞれその目的に照らし相応の政策効果を上げているというふうに考えております。しかしながら、そのあり方につきましては、社会経済状況の変化等を踏まえた検討が必要であるというふうに考えております。

○桜井(良)委員 お役所の発言というのは非常に重いものがありまして、検討とか、そういう話になるとみんなすぐ不安になっちゃうんですよね。なくなっちゃうんじゃないかとかなんとかということなんですよ。そういうこともありまして、来年度の予算編成の前ですけれども、ちょっとお聞きしたわけであります。
 一方、経済状況を見ますと、上場企業の経常益が増加して、政府の月例経済報告においても景気は持ち直しの方向に動きが見られるといわれているわけですが、大体私たちも含めてその実感は余りないわけですよね。そういう意味で、中小企業の人たちも、また一般都民の人たちも、ある意味では大変な思いをしながら毎日生活をしているわけでありますが、そうした中でやはり都が行っている軽減措置というのは、ある意味では経済的、心理的にも大変大きな支えになっているんじゃないかなと私は思うわけです。
 そして、ぜひ十六年度も継続してほしいという声が、私だけじゃなくて、また我が党だけじゃなくて、それぞれの皆さん方のところにも多数寄せられていると思うんですね。そういう都民の切実な希望に対しまして、どのように今考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

○三橋税制部長 厳しい経済状況のもとにおきまして、都独自の税の軽減措置を継続してほしいという都民の方々の強い要望につきましては承知をいたしているところでございます。平成十六年度の軽減措置の取り扱いにつきましては、都民の意向や社会経済状況の変化を踏まえつつ、景気状況、都の税収状況、国の税制改正の動向等を勘案いたしまして今後検討してまいります。

○桜井(良)委員 まだ決まっていない、検討段階と。検討にもいろいろあると思うんですね。白紙に戻して検討というのもあるし、後ろ向きな検討もあるし、前向きな検討もあると思うんですが、聞くところによりますと、税収も、若干ではありますが、よくなるのではないか、こういわれております。
 したがって、ぜひこの固定資産税、都市計画税については、都は、この小規模の住宅用地、あるいは非住宅用地のほかにも、新築の住宅を対象にした減免措置も実施していらっしゃるわけでありまして、それによると、合わせて減税による減収額は七百億ぐらいじゃないかなと思うんですね。これは、ぐらいなんていうと失礼で、大変に大きな金額だと思いますが、しかし、都民の切実な希望がありますので、ぜひこれは来年度も継続して実施していただきたいということをこの際強くお願いしておきます。よろしくお願いいたします。
 三問しか聞かないといったので最後になりますが、財政再建というのは常に長い問題でありまして、内部努力、施策の見直しはもちろんでありますが、いろいろ検討しますと、施策の見直しとか内部努力をしながら財政再建をしようというのが一定の効果を上げているんですが、相変わらずにしきの御旗である税財源の見直しは一向に進んでいないわけなんですね。進んでいないけれども、財政再建の中では一番大きな不可欠な要素だと思うわけなんです。国から地方への税源移譲ということが、今回の選挙でも、いろいろと地方分権の話が焦点になった部分もありますけれども、十八年までに三位一体の改革を行うということが、政府の構造改革に伴う基本方針二〇〇三でも示されているわけであります。
 しかし、一方で負担金の軽減一つ取り上げても、相変わらず各省庁の抵抗は強く、なかなか実現ということは容易ではない状況をいつも抱えておるわけなんですよね。そういう状況の中で、一方で総務省によりますと、大都市に対する税収の集中を調整するために、法人事業税の分割基準を見直すとか、そういうような話も聞いているわけなんですよ。
 ですから、まさしく総選挙でも争点になった分権の時代の地方財政のあり方というのは非常に大事でありまして、十年一日のごとくいっているだけではなかなか前へ進まないし、都の運動面も含めて、これはやっぱり新たな決意で取り組んでいかなきゃならない、こういうふうに思っているわけなんですが、分権の時代、この特定財源の改革について、今私のいったようなことを踏まえまして、同じ運動ではできない、また同じ主張でもなかなか突き破れない、いろんな意味で新しい要素を入れながら、突き破っていかなきゃならないと思うわけなんですが、局長のご見解を聞いて質問を終わりたいと思います。

○川崎主税局長 地方主権を確立するためには、先生ご指摘のとおり、国に依存した現行の地方税制度を抜本的に見直し、安定的な税財政基盤を築くことが絶対的に不可欠な条件でございます。国は本年六月にようやく基本方針二〇〇三で三位一体改革に踏み出す姿勢を示しましたが、国庫補助負担金の削減の内容、移譲する税目等は明らかにされておらず、具体化は毎年の予算編成にゆだねられるといったように大変不十分な内容になっております。しかも、今、先生ご指摘がありましたけれども、財務省は税源移譲に消極的である。また、各省庁は自分らの権限である補助金の削減に抵抗しているというような状況で、まだ改革の実現には不透明な点が多々ございます。
 また、税源移譲に伴う大都市への税収の集中を調整するためとして、これは税源移譲をどうするかによっていろいろ変わってくるので、こういう前提で議論すること自体おかしいんですけれども、法人事業税の分割基準を見直そうという動きさえある状況にございます。
 このような状況の中で、東京都としては都税調を活用するとともに、都議会のご協力をいただき、八都県市などとも連携を図りながら、税源移譲を基本とした三位一体の改革の早期実現を引き続き国に強く働きかけていきたいと思っています。
 また、最近になりまして、地方六団体の方もやっと補助金の削減、みずからいただいている補助金の削減についても触れて、やはり基本は税源移譲だというようなことを提言し出しているというような状況の中で、やはり地方全体で協力して本当の地方分権にふさわしい税財政制度にしていくべく、国に対しては要望していきたいと思っております。
 また、税源の移譲に当たりましては、首都圏の再生や環境対策など、膨大な財政需要に的確に配慮するため、東京を初め大都市への税源配分に十分配慮するよう求めてまいりたいと思っています。

○松村委員 まず、法人都民税、法人事業税の申告書の収受事務について伺います。
 法人税の収受受け付け事務を税務署、都税事務所と二カ所でやるのではなく、税務署一カ所で両方の受け付けをやって、納税者の便宜を図ってほしいとの関係団体の要望を私どもも受けて、以来この改善を一貫して求めてきました。主税局の努力によって、ようやく税務署四十八署に対して、お聞きしますと二十六署と、半数を超えました。引き続き、税理士会など関係団体から納税者に対する行政サービスの一層の向上を図るため、さらに実施箇所をふやすべきだ、ふやしてほしいとの要望が毎年出されていますけれども、見解を伺います。

○吉田課税部長 ただいま先生ご指摘のとおり、都内税務署は四十八カ所ございます。現在、そのうちの二十六カ所において月末の共同受け付けをしております。この共同受け付けを開始するに当たりましては、基準といたしまして、おおむね十五分以上離れていること、それから受け入れ側の税務署にそれを受け入れるだけのスペースがあること等を勘案いたしまして、鋭意今まで進めてきたところでございます。
 この基準に照らしまして、今、一署だけまだ残っております。今先生のご指摘の今後の対応につきましては、この一署を完了した上で、今までの効果、あるいはこれからの費用対効果等々も勘案いたしまして検討してまいりたいと思っております。

○松村委員 目標といいますか、二十七カ所の実施を設定して、あと一署だということですけれども、この一署はいつ実施されるのかということと、それからまだ、税務署が四十八署ありますよね。今の基準というか、月末の忙しいときに十五分離れた税務署にまた同じような形で、今度は都税の方の、同じ法人税の都民税、事業税を出すということは--例えばこれが同一敷地内とか隣接しているというときに、そこの隣まで行って受け付けサービスを共同してやってサービスを向上させたらいいとは、それは思いませんけれども、少なくとも例えば五分以上離れているとか、今は十五分ですけれども、もう少し縮めた場合、どのぐらい対象になり得るのか。もちろん、スペースというお話が今ありましたから、やはり税務署側の収容能力というものを考えなければ、これは実現できませんけれども、その点ではどうなんでしょう。
 例えば同一敷地内とか隣接とかそうじゃなくて、五分とか十分ぐらい離れているところで、あとどのぐらい、今後の検討だという話ですけれども、今現在考えられている考え方があったらお聞かせいただきたいと思います。

○吉田課税部長 ただいまのご質問は二点あったかと思います。まず一点目は、今残っている一署はいつごろかというご質問でございましたが、この一署につきましては、この十五分以上という基準に該当しております。したがいまして、私どもは一日でも早く実現したいと思っておりますが、受け入れ側の税務署が狭隘ということで、今のところまだ協議が調っておりません。今、鋭意実現すべく努力しているところでございます。
 それから、二点目でございますが、この十五分という基準を決めたときに、恐らくこの次に近いところはどこかということになりますと、おおむね十分以内でございます。したがって、その差があったので、この辺に基準を引いたのかなと思っております。もちろん、十分だからいいじゃないかということにはなりませんが、今、世の中の流れとしてワンストップサービスも叫ばれていることでございますので、この辺も含めて今後検討してまいります。

○松村委員 次は十分かどうか、とにかく可能な限りそのサービスを広げて納税者の便宜を図って、より納税がスムーズにいくようにしていただきたいということを要望しておきます。
 次に、固定資産税、都市計画税の減免について伺います。都民からは、地価が大幅に下落している中、依然として固定資産税評価額は高い水準にあり、これに伴う都心区における固定資産税の過重な負担は生活や営業に深刻な影響を及ぼしているとの声が上がっています。
 都は、これまでも固定資産税、都市計画税の三つの減免策を行って都民の負担軽減に努めておりますけれども、固定資産税、都市計画税の都民負担の現状といいますか、やはり重いとか、もっと軽減措置を求める声、また今は、これは都内ですけれども、市町村というか、これは課税権者が市町村で、都とは違いますけれども、同じ都民という視点で考えると、市町村が実施できるように都の支援をしてもらいたいとか、そういう声が強いわけですけれども、都民の今の都市計画税、固定資産税の税負担の現状をどのように所管局としてはとらえているでしょうか。

○三橋税制部長 地価及び一平方メートル当たりの固定資産税、都市計画税の負担額につきまして、バブル前の昭和五十八年の水準を一〇〇といたしまして、平成十五年の水準を指数で申し上げますと、住宅用地におきましては地価が一一一・八、税額が一二一・九となっております。また、商業地等におきましては、地価が六八・二、税額が二四二・四というふうになっております。

○松村委員 ちょっとその数字もお聞きしようと思ったんですけれども、その前に都民の税負担、重いのか軽いのかといういい方はおかしいんですけれども、まだまだそういう今の固定資産税、都市計画税の税負担が重いという声、しかも今、地価が相当下がっているのに、それに伴って一向に税が思ったよりも軽くならないと。そういう不安や重税感といってはおかしいんですけれども、そういうのをどのようにとらえているんですか。
 確かに今の数字で、昭和五十八年を一〇〇として見た場合、商業地における税額がまだ二倍以上ですよね。昭和五十八年が一〇〇とすれば二四二・四というんですから二倍以上だと。それから、確かに住宅用地は一二一で大分近づいているといっても、依然従来の税負担よりも数字的にもまだまだやはり重いという現状にあると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○三橋税制部長 今、数字で若干申し上げましたけれども、特に商業地におきましては、先ほど申し上げましたように、昭和五十八年の水準を一〇〇としまして二四二・四ということですので、相当の負担水準といいますか、負担の高さをあらわしているかなというふうに認識をしておりますけれども、一般論で申し上げますと、固定資産税、土地を所有しているということに担税力を見出しまして、その資産価値に応じて税負担をいただいているという税ということでございますので、そういった意味で固定資産税そのものの税負担を論ずるということとあわせて、やはり消費税ですとか所得課税ですとか、そういった全体の税負担の中でも議論をされるべき問題だというふうに理解をいたしております。

○松村委員 なぜ地価が下がっても高い--バブル期は本当に異常だったわけですけれども、やはりそういう税額になるのかという点では、平成六年度に土地の評価額が地価公示価格の、それまでその制度としては二割程度から一気に七割に引き上げられたことが原因ではないかという声が強いですよね。
 私ども、税理士会とか、それからあと青色申告会とか、毎年、後でまた触れたいと思いますけれども、今の東京都がやっている減免策を継続してほしいという先ほどの桜井委員の方からありました、この要望の中にも、絶えず、なぜ今みたいに高い都市計画税、固定資産税の税負担になるかと。それまでの制度が、平成六年に公示価格の二割程度だった評価額が七割まで引き上げられて、それが税にはね返ってきているという声が非常に強くて、みんな異口同音にというか、いろいろな立場はあっても、その点を指摘していますし、我々も、だったらもとに戻すことを国に求めるべきだということをこの間も要望してまいりましたけれども、この点についてはどのようにとらえていますか。

○三橋税制部長 七割評価でございますけれども、従来、その当時から指摘をされておりました全国的な評価の不均衡を是正するという観点から、それを是正する上では一定の意義があったというふうに認識をいたしております。
 また、七割という評価水準でございますけれども、税負担につきましてはさまざまな緩和措置が講じられておるわけでございまして、その評価額がそのまま税負担につながるものではないというふうに考えております。

○松村委員 確かに七割評価による矛盾というか、相当な税額になるということで、国としても緩和措置をとっていることは承知していますけれども、それがより複雑で、制度上も入り組んで非常にわかりにくい。もう少しすっきりしてほしいということは、都としても要望は強くしているだろうと思うんですよね。
 私、本来、今いったみたいに、平成六年以前の、先ほど、昭和五十八年ぐらいには一〇〇としても、そういう形で上がってきて、いろんな緩和措置をとって若干低めているといっても、まだまだ乖離があるんだというもとですけれども、私はもう景気、経済状況がよければ、都市計画税なり固定資産税というのは当然払えるというか、負担はないと思うんですけれども、やはりこういうふうに景気が悪くなってというか、その土地の価値というか、それがあるから税が払えるんだというんじゃなくて、それは土地を売買したりとか、その評価がうんと高いところの土地で営業をやって収益を上げて利益を生み出しているんだったら、それも払えると思うんですけれども、ずっとそこで居住しているというか、住む人たち、何ら地価をいじることなくずっといる人たちが、周りのいろんな状況で評価がどんどん変わっていって、それに伴って税負担というのは--という矛盾が私は今来ているんじゃないか、矛盾というか……。
 もともと私たち、税の経済民主主義といいますか、税というのは、やはり所得や収入を多く上げるところから多く、所得や収入が少なければそれだけ税負担が低いというか、少ない。ましてやこういう居住とか、私は欧米諸国なんかもそうだと聞いていますけれども、住むところとか、それによって収益を上げるものじゃない、または小規模で所得や収入がそれほどないところには、やはり税が余りかからないというか負担にならないというのが、私は税の経済民主主義というか、そういう考え方を持っているわけなんです。
 ですから、そういう点で、じゃ、今の経済状況を見てどうなのかと。都民生活の実態を幾つか事例を出したいんですけれども、商業地は依然、昭和五十八年を一〇〇とした場合にも、まだ二四二・四という指標。その中でも、例えば港区などからも強い要望が出されているのですね。私も幾つか実態をお聞きしてみたんですけれども、区内の事務所ビルの空き室率は、一九九九年の六・一七%から二〇〇三年の四月には一〇・一%へと急増している。二十三区の空き室率から港区の場合は約二ポイントも高く、区内ビルオーナーの深刻さが数字でもあらわれているという声を聞きました。そういうもとで、例えば青山通り沿いの約六十坪で非住宅用地の二割減免が、年間百四十万。テナントの空き室と家賃の減額分をこれで補い銀行へ返済している。商業地域の中小零細ビルオーナー、商店主は、不況と二〇〇三年問題によって、どこでも東京都がやっているこの二割減免と都市計画税の二分の一減免で何とか生活している。これがなくなったら大変とか、先ほどもありましたけれども、本当にそういう状況なんですね。空き室があるから、やはりテナント料の賃下げを求められている。ですから、ある場合には三割下げざるを得なかったとか、来年さらに下げてくれとか、本当に深刻な実態が生まれているということを私も直接聞きました。
 そこで、先ほどの質問と重なるんですけれども、第二次財政再建推進プランで、名指しで存廃を含めた見直し対象にしていますけれども、都が行っている固定資産税、都市計画税に対する軽減措置は、都内の中小企業者や居住者にとって暮らしや営業を継続していく上での大きな支えとなっております。継続すべきでないかということを私からも求めたいと思いますけれども、どうでしょう。

○三橋税制部長 来年度、平成十六年度の軽減措置の取り扱いについてでございますが、先ほどもご答弁申し上げたとおり、社会経済状況の変化等を踏まえつつ、景気状況、都の税収状況、国の税制改正の動向等を勘案いたしまして、今後検討してまいります。

○松村委員 私、特にその点で強く求めておきたいのは、消費税もそうなんですけれども、心理的な要因というか、やはり今の大不況というのは、三%から五%に上げるとか、または医療費だとか、そういう負担がかぶさったときに消費が物すごく落ち込んで、経済が、物が回転しないというか、そこに大きな要因があるということは大体共通して今認められているんですね、この消費不況といわれるゆえんで。
 ですから、今、先ほどいったような実態があって、都心への人口は戻ってきたとかいわれますけれども、まだまだ本当に厳しい。それから商店でも、青色申告会あたりからこういう要望が切実に出されてきているのも、もう本当に売り上げがなくなって、それでもまだ頑張っている。やっぱり商店というのは本当に地域のコミュニティだとか、そういう支えでもありますし、その地域全体の大きな核になっているわけですね。そこは頑張って少しでも売り上げを上げたりとか回復するという、そのことが、ひいてはいろいろな税収にもはね返ってくるという、そういう視点からも見なければ、都財政のただ現状とか、今幾つか第二次財政再建推進プランで指摘されているような、人口がふえているとか、それから地価が下落をしておるといっても、相変わらず税との関係では乖離している部分があると。他の自治体がみんなやめたから東京だけやっているあれじゃないというのも、やっぱり東京というのは大きな商業地であり、人口を抱えているわけですから、今までの一極集中の反省もあるわけですから、そういうもろもろの評価というか、総合的にしっかり所管局としても立って大きな役割を果たしてきたということの話は、この三つの軽減策についての評価はされていると思うんですけれども、しっかりとした視点に立ってとらえて、主張すべきものは主張して、この制度の維持のために所管局としても頑張っていただいたし、私もそういう意味では大いに応援して、もっとほかのむだだとか浪費の部分はあるわけですから、都民がこれだけ切実に求められて、多くの都民から喜ばれている施策はぜひ継続していくということを強く求めたいと思います。
 最後に、もう一点だけ伺わせていただきますけれども、この第二次財政再建推進プランにかかわることですけれども、今、この中でもアウトソーシングということが強く打ち出されていますよね。その点で、私、すごく気になったのは、この中でも、民間の人材派遣の活用により、常勤職員を中心とした事業執行体制を見直す必要があると。私たちは、そういう点では絶えず見直すことは全面的に否定するものではないんですけれども、例えば、この主税局に関していえば、既に固定資産税登記済み通知処理業務というのが民間委託を行っております。この状態といいますか、この実態について、まずどういう状況にあるのか、固定資産税登記済み通知処理業務、これについて伺います。

○山本資産税部長 固定資産税の登記済み通知書の入力業務の委託の件でございますが、主税局が実施しております登記済み通知書の処理業務委託でございますが、毎年度発生しております約七十六万件、これの登記済み通知書を一定の基準に基づきまして入力する大量提携業務でございます。この業務の委託によりまして委託した登記済み通知書の処理は、現在のところ円滑に実施されております。

○松村委員 例えば、委託しているといっても、どういう業者、どういう契約なのかとか、もう少し詳しくお答えいただきたい。

○山本資産税部長 委託している業者は二業者でございまして、十一年度からやっておりますけれども、毎年度の決算といいましょうか、一〇〇%の処理でございます。

○松村委員 いや、もう少し、それまでいわゆる各都税事務所での--登記所に登記されたものが都税事務所に通知が来るわけですよね。その件数がどのぐらいあるわけですか。それで、それが今までどのぐらいの人数で処理していたものが、平成十一年から平成十三年度、三分の一ずつ委託して、毎年競争入札をやっていて、大体それが一億五千万ずつ二つに分かれてやっていて、それによってどのぐらいの人員削減になっているとか、今の状況というか、皆さんにもわかるように、私は事前にいろいろ聞いていたので頭にあるんですけれども、もう少しちょっと……。

○菅原総務部長 まず登記済み通知書の件数でございますけれども、資産税部長がご答弁申し上げましたように、年間約七十万件でございます。
 それから、委託前の職員の数でございますけれども、具体的には各都税事務所の課税係の職員が処理していたわけでございますけれども、課税当時、約三百二十名ぐらいで、この登記済み通知書入力業務につきましては、大体半分ぐらいということで百五十ぐらい、それを十一年度から三カ年でその作業をしたということでございます。

○松村委員 そこで、その導入時にも、この財政委員会で我が党委員からあれしたときには、固定資産税--登記所に登記されて、だれそれがこういう土地を買った、家屋を買った、そういう登記されたものが税務署に来て、それを入力すると。それが大体今いった七十万件、もっと分ければ百二十万件ぐらいの処理件数になるらしいんですけれども、それを今まで都税事務所の職員がやっていたのが、民間に、競争入札でやって処理するようになった。人件費がそれによって浮く。そういう改革を平成十一年度からやったと。
 私はこれは今、この財政再建推進プランでいうアウトソーシングというか、そういう民間委託の先駆けというか、だから、その結果どういうふうになったのか、それが果たして本当に都民のためにとってよかったかどうなのかということをひとつ検証してみたいという意味からの質問というか、問題提起なわけですけれども、一つ導入時に私たちがすごく心配して問題にしたのは、やはり納税というか、納税者のプライバシーや権利にかかわる重大なもの--ほかの民間への委託業務と違って、それが民間業者に委託された場合、そういうデータが漏れないのかとか、そういう点がどう担保されてきたのかというか、現状あるのかという点をまずはっきり確かめたいわけです。それから業務の確実性とか、やはり納税という非常に大事な権限が発生しますから、その安定性、こういうものが実施されてから五年間たちますけれども、この状況はどうなんでしょうか。

○山本資産税部長 業務の委託に当たりましては、プライバシーの保護、これを最重点にしてございますけれども、このプライバシー保護のために、まず契約書におきまして、データの目的外使用、あるいは複写の禁止、それから再委託の禁止、こういったことを契約書の中に明記して義務づけをしております。
 次に、業務に利用する端末でございますが、これにつきましてはシステム上のブロックをかけておりまして、ほかの税目や、それからプライバシーに関するデータへのアクセスはできない、こういった措置をとってございます。そういったことで、十一年度の委託業務開始以来、一切事故は起きておりません。
 次に、業務の安定性についてでございますけれども、契約が手続上の規制から単年度ということになっておりまして、業務委託の安定性は非常に重要な問題であると認識しております。そこで、主税局では契約書において業務内容を詳細に明記するとともに、委託業者にマニュアルを整備いたしまして貸与いたしております。委託業者が行う教育訓練、こういったことをそのマニュアルでもって支援し、安定化を図っておるところでございます。

○松村委員 一つは、今データのいろいろな事故が、流出とかいろいろありますよね。主税じゃなくて、ほかでもね。それが例えば公務員というか都税職員だったら守秘義務があるし、いろいろな罰則だとか、やはりかなりのモラルやそういう点でのあれをしているけれども、民間委託の一番怖い点は、そこら辺がやはり端末処理までやるわけですから、それが防げると。いろいろ今いった契約時に取り交わしているといっても、そこが今後とも完全にそうならないと。今まではなかったという点で安心していますけれども、やはりそこが引き続き非常に問題だということ。
 それから、私、いろいろ職場の声なども聞いたりしている中で、例えば、だんだん入力業務に携わる職員がいなくなって、委託されているけれども、実際それが台帳と記載が正しいかどうかの判断をやる、そういう精通者が職員の中にいなくなって、チェックできないような危惧が非常にあるとか、またはその委託業者と綿密な連絡をしないと、思わぬ形で入力されて、それが正当分となって復旧が困難になる状態になるケースがあったとか、それから契約が単年度契約ということで、四月から翌年三月になっているため、毎年一月から二月に発生するその処理分及び入力結果の未照合分について、だから三月末で契約が終わって返されても、縦覧がある四月から新しい業者が入れかわって、その分、職員が対応せざるを得なくなっていろいろな業務がふくそうしたり、今のところ事故はないというんですけれども、そういう業務の安定性という点においても非常に不安を感じるとか、いろんな声が起きているやに聞きます。
 また、そういう業者が、例えば不動産登記関係に強いような業者を選定した場合などは、その複写コピーの枚数をよくチェックするようにとかいうような指示もなされているとか、そういうやにも声があるということを聞くと、今までの答えで事故は一つもなかったということも含めて、やはりかなり、実施されてからこの間、確かに正規職員がやるよりも民間委託した場合の方がコストは安くなる。ただ、この納税者の権利やプライバシーだとか、より確実、的確、それの信頼性が、私は税務行政ということについて一番の根底にあるというふうに思うんですよね。
 そういう点では、私は幾つかそういう聞いた声を出しましたけれども、そういうことが、職員の意見を十分反映してまいりますと、これまでも--これまでもというか、主税局長が前に答弁しているんですよね。今私、一、二そういう実際現場の声があることを紹介しましたけれども、当然そういう意見を吸い上げながら改善とかいろいろな対応をしていると思いますけれども、その点はどうなんでしょうか。

○菅原総務部長 松村理事おっしゃるように、職員の声は非常に大事であるというふうに思っております。したがいまして、かねてから局としましては各都税事務所の管理職に対して、職員の中に入り、そして職員一人一人の考え方、意見をよく聞くようにという指示も出しておりますし、また、正規の組織ではございませんけれども、その補完組織と申しますか、事務運営協議会というのがございまして、そこでも職員の意見を、考え方を聞けるような場がございますので、今後も引き続きそういうものも取り入れながら、委託の推進、より一層の円滑な推進を図っていきたい、このように思います。

○松村委員 では、最後に意見だけいいますけれども、やはり納税者にとっての本当に信頼感というか、正確に行われているんだと、それでプライバシーも守られているんだと。そういう点での信頼性をよりやるために、ただ徴税コストを安く、なるだけ削減すればいいというものじゃないし、例えば電算処理といっても、やはりいろいろなミスやあれがありますよね。だれがチェックして判断するのか。なかなかその処理だけ、来た通知を全部打ち込めばいいということじゃないと思うんですね。それはやっぱりチェックして確認して、的確に行っているといえば、より職員の体制も要るだろうし、そういう点ではなかなか、そういう職員がだんだんそういう業務から手が離れちゃって別になると、本当にその不安があるというような声が--声というか、やっぱり現場をきちっと把握しながら、都民の立場に立って事を進めるべきだと。
 しかし、私は結論からいえば、そういう徴税の一番大事な基礎的なデータの部分、そういう点においては、やっぱり民間に委託するというのはなじまない。少々手間暇かかっても、都民の信頼感を得るためには、そういう部門と、また民間委託できる部門ときちっと峻別しながら、やるべき課題がまだあるなということを感じます。そういう意味では、今後ともこれを精査しながら、この第二次財政再建推進プランにそういうような基準なく、とにかくもうアウトソーシングできるものは全部出すというようなやり方の方向については、これからも大いに私たちはただしていきたいということを述べて、終わりたいと思います。

○執印委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 まず、NPOの優遇税制に関連して伺います。
 私どもでは、ずっとNPOの優遇税制についての質疑をさせていただいてまいりましたが、まず、昨年の十一月末にNPO法人が千九百二十八で、認定のNPO法人が六というふうに伺っておりますが、現在の東京都のNPO法人と認定NPO法人の数をまず伺いたいと思います。

○三橋税制部長 東京都におきますNPO法人でございますけれども、平成十五年九月末日現在で都が認証した団体は二千七百三十七団体でございます。このほか、活動が二つ以上の都道府県にまたがりますため、内閣府が認証した団体が全国で千二百六ございます。また、東京都を主たる事務所の所在地といたします認定NPO法人の数でございますが、平成十五年十月末現在で八団体でございます。

○執印委員 大体十カ月の間にNPO法人が約八百増加をし、認定のNPO法人が二つ増加をしたということだと思いますが、この認定のNPO法人に対しては、社会福祉法人など特定の公益増進法人に対する寄附金と同様に、一定額を限度として、個人については所得税の寄附金控除の対象とされて、法人については法人税において損金に算入できるというふうになっておりまして、いわゆるそれ以外のたくさんあるNPOとは違う取り扱いがなされているわけですが、東京都としてのそれ以外のNPOの支援税制というものを改めて伺いたいと思います。

○三橋税制部長 都におきましては、収益事業を行わないNPO法人につきまして、法人都民税の均等割を減免する措置を講じているところでございます。

○執印委員 わかりました。
 それで、今NPOへの自動車税の減免を行っているところも出てきているようですが、都及び他府県の状況というのはどのようになっているでしょうか。

○三橋税制部長 自動車税につきましては、岩手県など七つの県で、主として介護サービス、デイサービスなどの福祉目的に用います自動車に対しまして減免制度が設けられているところでございます。

○執印委員 東京都としてはまだこれからのことというふうに思いますし、主たる局が決めなければいけないことだというふうに思いますが、そういったさまざまなことも含めて、今、このNPOなどを取り巻く状況が変わるかなというような状況もあるわけですが、この六月に公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針案というものを与党三党が了承して、六月二十七日には閣議決定したということが新聞等の報道でされておりましたが、この内容はどのようなものなのか、また、この中でNPO法人の扱いはどのようになっているのか、伺います。

○三橋税制部長 閣議決定の概要をかいつまんで申し上げますと、現行の公益法人にはさまざまな問題があるということから、法人格と税制等の優遇措置とを分離いたしまして、公益性の有無にかかわらない新たな非営利法人制度を創設することといたしております。この制度の設計に当たりましては、現行のNPO法人制度等との法制上の関係を整理するといたしているところでございます。

○執印委員 こういった動きに対して、NPO、それからワーカーズコレクティブという、そういう働き方がありますが、これは生産者労働組合というふうに訳されておりますけれども、NPO法ができるときに、資金調達をするのに出資という形をとっているのがワーカーズコレクティブですが、この出資という形態は排除されたということで、国にワーカーズコレクティブ法をつくっていこうというような動きもあるわけですが、こういったNPOやワーカーズコレクティブというところが、この今の国の動きを受けて、公益法人とか、それから中間法人を一本化して、原則課税の非営利法人法というのをつくって、後からNPOを押し込めるのではないかという心配をしているわけです。
 先ほどご説明にもありましたように、官庁の許可制による公益法人制度にかえて新しい非営利法人を設立できるようにするというのが今回の基本方針で、法人格と優遇措置を切り離して、公益性と関係なく設立できるということだというご説明だと思いますが、NPO法人は特に公益性を有するものだというふうに思います。
 東京都ではこれまで生活文化局でNPOとの協働の指針というのをつくっておりますし、NPOというのはさまざまな場で、公園の整備ですとか、教育委員会でもNPOとの協働というのは随分出てくるようになったわけですが、今回のこの国の動きに注目しながら、変わりないNPO支援の視点が東京都としても必要だというふうに思います。基本的には担当局がどう判断して取り組むかということが主であることは確かだと思いますが、生活文化局、また、それぞれの局の方針が決まりましたらば、主税局としてはどのように取り組まれる所存か、伺います。

○三橋税制部長 税制は基本的には公平かつ簡素であることが求められております。したがいまして、一定の政策目的を実現するために税制を活用する場合にも、その役割は補完的なものというふうに考えております。NPO法人に対します税制上の支援策につきましても、あくまでも都の総合的な施策全体の中で、課税の公平性ですとか効果ですとか、そういったことを踏まえながら検討されるべきものだというふうに考えております。

○執印委員 この公平性ということは非常に大事だというふうに思いますが、今例に出しましたNPOとかワーカーズコレクティブというのは、新たな働き方への取り組みであったり、それから新たな雇用の創出につながるというふうに考えておりますし、また、そういった中で、これまで女性の労働の壁となっておりました百三万円とか百三十万円の壁を、どうこれを変えていくか。それから、少し広い話になってしまいますけれども、女性の第三号被保険者の保険料をきちんと納入しながら、ともに社会の中で生きていこうというような、そういった提案をしながらやってきておりまして、こういったところを育てることによって新たな労働の形態をつくり、新たな税収をつくっていくということにもなるというふうに考えております。
 それで、宮城県では独自でNPOの優遇税制支援条例というのを、ちょっと名前はまだ正確じゃなくて恐縮なんですけれども、そういったものをつくろうとした経過もあるということですし、それから平成十四年度の税制調査会の答申でも、都民との協働という中で、公益増進に寄与することを目的として市民が主体的に取り組む活動を支援するため、公益性の高いNPO法人に対する寄附について、特定公益増進法人と同様に寄附金控除限度額を引き上げるなど税制上の優遇措置を拡大していくべきであるという、そういった記述もあるようですし、こういったNPOに対しての対応を十分にしていっていただきたい。認定NPOだけではなくて、幅広いNPOへの支援をしていただくことによって、市民生活を豊かにしていただきたいということを、主税としても取り組まれることをお願いしておきます。
 次に、環境に関する税について、少し大枠な質問になりますが、質問させていただきます。
 新聞によりますと、きょう八都県市の首脳会議が開かれているようでございまして、その中でも環境や治安対策ということが大きな議題となっているようです。これまで東京都では税制調査会の答申を受け、幾つかの法定外税を検討されてきました。ホテル税については宿泊税として実施されておりまして、税収や利用状況については先日の決算委員会で会派としても質問をさせていただいております。その他の税について、環境に関するものとして、大型ディーゼル車高速道路利用税、また産業廃棄物税なども出されていたようですが、どのような検討が今なされているのか、伺います。

○関口参事 大型ディーゼル車高速道路利用税及び産業廃棄物税につきましては、平成十二年度に東京都税制調査会で提言をいただきました後、平成十三年の七都県市首脳会議におきまして、東京都から七都県市での共同実施を提案したところでありますが、各県市の環境施策の方向や実態の違い等もございまして、そうした点を含めまして、現在事務レベルで検討しているところでございます。

○執印委員 首都圏のそれぞれの自治体としても立場が微妙に違うということはいつも聞いているわけですが、そういった状況の中で検討されているということはわかりました。総務省で法定外税について指導を強めるという通知を出したというふうに聞いておりますが、その内容はどのようなものでしょうか。

○関口参事 総務省の通知についてでございますけれども、今回の法定外税にかかわります通知におきましては、新たに既存の法定外税に係る税率の引き下げや廃止などについては総務大臣の協議、同意を要しないこと、また、法定外税の検討に際して納税者への事前説明が必要であり、特に特定かつ少数の納税者に対して課税を行う場合には、納税者の理解を得るよう努める必要があることなどとしてございます。

○執印委員 これは通知であるということですし、今までも同様のものが来ていたけれども、少し新たなものをつくるときには相談を強めるようにという、そういうようなものなのかと思いますが、法的な拘束力はないにしても、現実の運用では行政指導がかかるというようなことになれば、気分的には自治体としてはそちらに引っ張られてしまうというか、そういう力関係がまだ残っているのかなというような気もいたしますので、分権の時代でもありますし、自治体というのは独自課税を追求すべきであるというふうに考えております。この国の通知というのは通知ですから、ただの通知というふうに思いますが、地方分権に逆行しているというふうに考えますが、都としてはどのようにお考えでしょうか。

○関口参事 法定外税の実施など課税自主権の行使に当たりましては、各地方自治体が自己の責任に基づきまして主体的に判断することが望ましいところでございます。そうした観点からは、国の関与は必要最小限のものにとどめるべきであると考えてございます。

○執印委員 ぜひ、いろいろ今出ております税についても、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、法定税としては国でも温暖化対策税の具体的検討を始めたようですけれども、この温暖化対策税については広くかかる、広く影響がある課税にもなるので、今、国か、または地方税かという大きな論点、それから駆け引きがあるというふうに考えますが、これまでの財政委員会でも温暖化対策税については引き続き税制調査会での取り組みの必要性なども、議事録で読ませていただきますと指摘をされており、また続けられているようでもありますが、現状の取り組みを伺います。

○関口参事 温暖化対策税についてでございますけれども、都では、平成十三年度に、東京都税制調査会におきまして温暖化対策税の具体的な検討を行っております。都税調の答申におきましては、温暖化対策税を導入する場合には、環境施策の大部分を担うのが地方自治体でありますことから、全国ベースの地方税として構築すべきであること、また、地方自治体の自主的な取り組みを可能とする制度とすべきことなどを提言しているところでございます。

○執印委員 一番最初にお話ししましたように、きょう十三日、今回、八都県市の首脳会議で首都圏連合の構想が打ち上げられるというようなことが載せられておりまして、一緒に道州制の意向も視野に入れているということで、この道州制がいいかどうかは別としましても、大きくこの環境や治安対策が課題とされているようです。これに対して都知事がどう対応されるかもわかりませんけれども、とにかくこの時代、施策と税制というのをリンクさせながら環境対策を進めなければならないことが今後の大きな課題であるということは確かだというふうに思います。十分に検討を進めていただきたいことをお願いして、質問を終わります。

○森田委員 では、少し質問させてもらいます。
 この第二次財政再建推進プランによりますと、財源不足が非常に深刻であるということが最初に書かれております。例えば、平成十八年には三千七百億円足らなくなるというようなことが出ております。これは当然、これを回避するためには、支出を抑えることは当然ですが、歳入部分も努力しなくちゃいけない。この歳入部分を担っているのが主税局ではないかなというふうに思うんです。そういう意味では、この再建プランには、徴税努力として目標額三百億円というのが出ています。これは大変大きな額だと思います。その中で、これによりますと、第一次プランの目標は九五%を上回って達成し、目標額四百億円に対し六百八十億円を確保した。大変に頑張ったのではないかなというふうに思うんです。
 ところが、この中で徴税率を上げる。ここに一覧表が出ているんですが、表を見ると、都税でいうと九五・五%徴税しているんですが、その中で個人都民税というのが八九・四%、九〇%を割っている。これは著しく低いんですが、この個人都民税について少しお伺いしたいと思うんです。ここのところを上げることが非常に大事だと思うんですが、まず基本的な話として、この個人都民税の徴税方法はどのようになっているのか、ここをまずお伺いします。

○小林徴収部長 個人都民税の課税徴収につきましては、納税者の利便性、あるいは徴収コストの観点から、地方税法第四十一条によりまして、各区市町村がそれぞれの区市町村民税とあわせて行うこととなっております。しかしながら、徴収に関しましては、特例規定であります地方税法第四十八条におきまして、各区市町村長の同意を得て、都に滞納事案を引き継ぐことができることになっております。そこで、整理困難な滞納事案につきまして都が引き継ぎを受け、納税交渉や滞納処分を行い、区市町村民税と個人都民税の双方を徴収することといたしております。

○森田委員 本来は区市町村が徴収する。滞納が出た場合には、そこのところは四十八条で都が徴収できるということですね。本来それは市町村がやるべきものを都が直接やるようになったわけですが、これは、現在やっている状況はどんなふうになっていますでしょう。

○小林徴収部長 現在の状況とこれまでの経緯をあわせてご説明させていただきます。
 個人都民税を除く都税、いわゆる一般分といっておりますけれども、この徴収率は、平成七年度には過去最低の九〇・四%にまで落ち込んでおりました。このため、同年十月、組織、事務運営等を抜本的に改革するとともに、徴収率の向上に向けて休日、夜間の納税催告など取り組みを強化いたしました。その結果、平成十四年度決算見込みでは九六・二%という過去最高の徴収率を達成いたしております。一方、個人都民税の徴収率は、先ほど先生もおっしゃったように、平成七年度以降、今日まで依然として九割を割り込むなど、なお低迷を続けております。
 そこで、これまでも都としては個人都民税の徴収率向上のため、事案相談会、あるいは区市町村研修生の受け入れ、その他さまざまな間接的支援を実施してまいりましたが、さらに、昨年度から区市町村の同意を得まして、直接徴収という、先ほどご説明しましたこのトライアルも実施をいたしているところでございます。

○森田委員 区市町村にしても、自分のところの区民税、市民税を徴収するわけですから、この徴税率が上がれば自分の収入もふえるわけですね。それと同時に都税の方も上がる。だから、区市も一生懸命やっているはずなんですが、都がかかわれば徴税率は上がるという理由は何なんですか。

○小林徴収部長 区市町村の徴収率が低いのはなぜかというご質問だと思いますけれども、区市町村の徴収率が低い理由は、一つとしては、人事異動が激しくて、滞納整理事務の専門性の継承がなかなか難しい。二つには、対住民と区市町村との関係が緊密で、滞納処分をちゅうちょする傾向があることなどが一般に考えられております。

○森田委員 よくわかります。
 昨年から東京都はこの専従班をつくって、十五年度からは特に個人都民税の専従班を設置してやっているということを聞いていますけれども、具体的にどんな組織で、どのような取り組みをしているのか、お伺いをしたいと思います。

○小林徴収部長 昨年のトライアルを踏まえまして、平成十五年四月に主税局徴収部内に専担組織として個人都民税対策班を設置いたしました。職員構成は、滞納整理担当専門副参事を含む職員五人と、区市町村派遣研修職員四人による九人体制になっております。また、取り組み内容といたしましては、一つには、都のノウハウを修得していただくという観点から、職員と研修生がペアとなって引き継ぎ事案を処理する、二つには、各区市町村の未経験職員を対象とする実務研修の実施、三つには、個別事案相談会の開催、四つには、都区合同捜索の実施、五つには、不動産の都、区市合同公売を実施することといたしております。

○森田委員 都の職員五人と派遣職員で、すべてで九人。何とも少ないのではないかなという感じはします。ぜひこれは頑張って、今後ますます--徴税というのは、やはり納税の公平性、本来払うべき人が払わないわけですから、これはしっかりやらなくちゃいけないなというふうに思うので、その点はしっかり取り組んでいただきたいんですが、今までそうやって専従班をつくって、十四年、十五年、取り組んできたようですが、その辺の成果はどうなっているか、ちょっと教えてください。

○小林徴収部長 平成十四年度のトライアルの取り組み実績でございますが、九区一市から十二件、七億七千九百万円を引き継ぎ、そのうち特殊要因の一件を除きまして、残り十一件すべてを処理いたしました。平成十五年度、今年度でございますが、十月末現在で四十六区市町村から百八十三件、二十九億一千二百万円を都が引き継ぎを受けまして、このうち五十六件、五億六千万円が既に処理済みとなっております。

○森田委員 本来、この仕事は区市町村の仕事なので、そこに都が入っていくということは、区市の方の取り入れ方ですね、反発が出る可能性もあるだろうと思うんですが、区市の方の反応はどんな状況になっておりますか。

○小林徴収部長 区市町村の受けとめ方でございますが、税収の確保やノウハウの修得が得られること、また、都と区市町村合同捜索、あるいは合同公売などを実施することで整理の促進が図られることから、いずれの区市町村からも好意的に受けとめられていると考えております。

○森田委員 それでは、ぜひ今後もこの徴税努力をしていただいて、ぜひこの目標を達成するようにしていただきたいなというふうに思います。この第二次財政再建推進プランを見ますと、本当に東京都の財政というのは大変な状況ですし、この中で、最初に申し上げましたように、税収を上げるという主税局の役割というのは非常に大切な役割だと思いますので、この取り組みについてぜひしっかり頑張っていただきたいと思います。
 最後に局長の決意を聞いて、質問を終わりたいと思います。

○川崎主税局長 副委員長のお話にありましたとおり、今回の第二次財政再建推進プランにおきまして、個人都民税を含む都税の徴収率を〇・七五%引き上げ、そして税収を三百億円確保することが、財政再建の取り組み方策の一つとして位置づけられました。この目標を達成するためには、早期課税、早期滞納整理着手など、課税徴収部門の一体的取り組みや目標管理の徹底などにつきまして、これまで以上の取り組みが不可欠であると考えております。特にご指摘の個人都民税につきましては徴収率が全国平均を下回っており、先ほど来お話ししておりますとおり、直接徴収を含む各市町村との連携をより一層強化して、税収のさらなる確保を図ってまいります。

○近藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十五分散会

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