財政委員会速記録第十八号

平成十五年十月二十三日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十二名
委員長近藤やよい君
副委員長森田 安孝君
副委員長小美濃安弘君
理事松村 友昭君
理事川井しげお君
理事中村 明彦君
秋田 一郎君
鳩山 太郎君
執印真智子君
桜井  武君
藤川 隆則君
青木 英二君

 欠席委員 二名

 出席説明員
財務局局長櫻井  巖君
経理部長佐藤  広君
契約調整担当部長小山 利夫君
主計部長熊野 順祥君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長江連 成雄君
参事三津山喜久雄君
建築保全部長福島 七郎君
コスト・調整担当部長松村 光庸君
参事齊間 孝一君
出納長室出納長大塚 俊郎君
理事津島 隆一君
副出納長中路 有一君
副出納長宇藤 雅隆君
参事岳野 尚代君
参事関  敏樹君

本日の会議に付した事件
 出納長室関係
  事務事業について(質疑)
 財務局関係
  報告事項(説明)
  ・第二次財政再建推進プランについて

○近藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、陳情の付託替えについて申し上げます。
 お手元配布のとおり、陳情一三第八五号につきましては、議長から財政委員会に付託した旨通知がありましたので、ご了承を願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、出納長室関係の事務事業に対する質疑並びに財務局関係の報告事項の説明聴取を行います。
 これより出納長室関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。

○小美濃委員 それでは、質問をさせていただきます。
 初めての財政委員会でございますので、トップバッターとして少し緊張しておりますが、今、東京都が取り組んでおります会計制度改革について何点か質問をさせていただきたいと存じます。
 東京都は、この七月に「都政の構造改革の視点と方向」を打ち出し、都政の各分野で政策と内部改革の両面から構造改革を推進することを宣言いたしました。その考えに基づいて、九月には新たな都庁改革アクションプラン中間のまとめを発表し、業務改革の一層の推進や、政策実現を支える執行体制の整備、行政サービスのあり方の見直しに取り組むことを明らかにしたわけであります。
 また、先週には第二次財政再建推進プランを発表いたしまして、さらなる内部努力の目標数値を掲げ、より簡素で、より効率的な都庁組織を目指すという方向性を示したところであります。
 こうした動きを見るにつけ、財政再建に取り組む中でも、社会経済状況の変化におくれることなく、都民が真に必要とする行政サービスを提供できるよう、都庁の抜本的な改革を実現し、新たな行政スタイルを構築することが期待されているわけであります。
 一般会計と特別会計を合わせて約十兆円という、ややもすると一国の予算規模にも相当するような会計をつかさどる出納長室でありますが、一方、役所の会計処理というと、どうしても手続が重視されて、また、手作業の部分もまだまだ多く、民間企業と比べ事務処理にはかなり時間がかかっているという印象を受けるのも確かであります。
 しかしながら、都の会計事務についても、さきに述べましたように、社会経済状況の変化を正面から見据え、効率的で迅速な、いわば新たな行政スタイルを目指さなければならないのは、これはいうまでもないわけであります。出納長室におきましては、会計事務の効率化、迅速化などについて、これまでどのように取り組んできたのか、その状況や今後の改革の方向などについて数点お伺いいたします。
 まず最初に、出納長室として、会計事務の効率化について、これまでどのように取り組まれてきたのか、まず基本的なことからお伺いしたいと思います。

○岳野参事 現行の会計制度につきましては、文書主義、現金主義、窓口主義が基本となっておりまして、確かにスピードや効率性の観点からはこれまで課題があったことは事実でございます。
 しかしながら、副委員長ご指摘のとおり、社会経済状況の変化も急激でございまして、また、ペーパーレス化、キャッシュレス化などを可能にするIT技術の進展もございます。会計制度を取り巻く状況がこのように大きく変わってきているということを考えております。
 出納長室では、こうした現状認識を踏まえまして、会計事務を基本的な仕組みから合理的で効率的なものに転換していくため、平成十三年度に会計制度・機構改革の基本方針なるものを策定いたしまして、会計事務を抜本的に変革するべく、さまざまな取り組みを行ってきております。

○小美濃委員 ただいまのご答弁で、会計制度・機構改革の基本方針を策定し、会計事務を抜本的に変革するという、こういったご答弁があったわけでありますが、もう少し突っ込んでお伺いをいたしたいと思います。
 その基本方針に基づいて、それでは具体的に一体どのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。

○岳野参事 この基本方針に基づきまして、小切手払いや現金払いなど種々の公金の支払い方法を口座振替払いに集約する取り組みを進めたり、また、都の各部署が支払います電気、水道、電話料金といった各種の公共料金を一括して処理するシステムに改めるなど、会計事務処理の効率化を行ってまいりました。さらには、事務用消耗品や様式類等、用品を購入するシステムも大幅に改善するなど、IT技術も活用いたしまして、内部事務の効率化を図ってきたところであります。
 加えて、こうした動きと並行いたしまして、昨年の十二月から、審査案件の大部分を占めております百万円未満の支出負担行為に関する収支命令の審査を各局事業所に委任いたしまして、一層の簡素効率化を推進した結果、本年三月には、これまで九カ所ありました出納事務所を全廃いたしまして、二年間で百人近い定数削減も実現したところでございます。

○小美濃委員 公金の支払い方法を口座振替などに集約というお話もありましたけれども、民間ではどんどんこういったことはやっているわけでありまして、本当に、そういう意味では、出納長室は内部管理部門であるので、ある意味では仕方のないところではあるかもしれませんけれども、今お聞きした種々の改革にいたしましても、どうもやはり内部管理事務の改革に重点が置かれ、都民サービスについてはどうなのかなということがいまいちよくわからないわけであります。
 この改革におきまして、都民サービスの向上に結びつくような取り組みは行っているんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

○岳野参事 副委員長ご指摘のような、都民サービスに結びつくものでございますけれども、例えば、この改革の一環といたしまして、マルチペイメントネットワークの活用による公金収納方法の多様化というのがございます。ちょっと耳なれないマルチペイメントネットワークというのは、公共料金や税金などを、納付者である都民の方が、ご自身のパソコンや携帯電話、金融機関のATM等を活用いたしまして、二十四時間、いつでもどこでも支払えるような環境を提供できるというネットワークシステムでございます。このシステムを利用することで、公金の納付を行う都民の方が、直接、金融機関の窓口に足を運ぶ必要がなくなるなど、時間や場所に制約されない収納サービスの拡大という面で、都民の方の利便性の向上になるというふうに考えております。このネットワークシステムにつきましては、来年一月下旬から導入することができるよう、現在、準備をしているところでございます。

○小美濃委員 マルチペイメントネットワーク、耳なれない言葉でありますが、しかし、公共料金や税金などを、納付者が自宅のパソコンや携帯電話などで金融機関に振り込めるという、こういったことは新しい試みとして一定の評価をするものであります。
 しかし、パソコンや携帯電話というのはまだまだ使用する人の年齢の差というんでしょうか、そういったことも考慮しなくてはいけないと思っておりますし、若い人たちにとっては大変いいことかもしれませんけれども、引き続き高齢者世代にも反映できるような、そういうシステムもまた構築していただきたいなと、そんなふうに思っております。
 今まで伺ってまいりましたけれども、これは先ほどもご報告がありましたけれども、平成十三年度に策定された既定方針に基づいて実施されてきた成果であると思っております。こういった改革は絶え間なく行っていかなくてはならないものでありますし、そういった意味での出納長室の今後の取り組みとしては一体どんなものがあるのか、お伺いをいたしたいと思います。

○岳野参事 先生のご指摘のようなものでございますと、都の重要施策に位置づけられております公会計制度改革というのを、現在、財務局と協力して推進しております。この改革につきましては、ことしの五月に「東京都の会計制度改革の基本的考え方と今後の方向」に取りまとめてございまして、それを発表したところでございます。
 この中で述べておりますとおり、都の会計処理に新たに複式簿記・発生主義を導入するものといたしまして、この新しい会計制度に対応するため、出納長室が所管しております財務会計システムを再構築することとなりました。現在、平成十八年度の新システムの本格稼働を目指して、新たな会計制度の構築とシステム開発に取り組んでいるところでございます。

○小美濃委員 ただいま、東京都の会計に複式簿記を導入するというご答弁をちょうだいいたしました。これは知事の発言にもたびたび登場するわけでありまして、知事の発案である、こういうふうに認識しているわけであります。
 このため、財務会計システムをこのたび再構築をし、新たな会計制度を導入すると、ただいまご答弁があったわけでありますが、この基本的な目的はどのようなことにあるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

○岳野参事 この目的でございますけれども、官庁会計に複式簿記会計の手法を導入するのは我が国で初めてのことでございます。民間企業に準じた会計手法に基づいた財務状況の把握、自治体経営の強化、マネジメントの強化、住民への説明責任でございますアカウンタビリティーの充実、職員の意識改革などを図ることを目的としております。
 これまで、東京都版の財務諸表でございます、機能するバランスシートを作成しておりましたが、これは決算後の数値により作成しておりましたので、かなり時間を要し、次年度の予算編成に財務諸表の形で決算情報を示すことが困難でございました。今後、システム化を図ることによりまして、日常の会計処理の段階から複式のデータを入力することにより、今後は速やかな財務諸表の作成が可能となる、このように考えております。

○小美濃委員 ただいまのご答弁によりますと、新たな会計制度の特色といたしまして、民間企業に準じた会計手法に基づいた財務状況の把握を図る、こういったことが挙げられておりました。大変重要なことでありますが、現行の会計方式と、それでは一体どこが変わるのか、もう少し具体的にお願いいたします。

○岳野参事 現行の会計処理との差でございますけれども、現行の官庁会計の処理におきましては、現金以外の資産や負債の情報が蓄積されていかないというような限界がございました。新たな会計制度の導入に当たりましては、会計処理と資産管理とが分離している現状を改めまして、財産管理を一層適正化する考えでございます。
 具体的には、財務諸表上の有形固定資産として、道路、橋梁等のいわゆるインフラ資産を含めた、都の保有するすべての資産を計上すること、現金収支を伴わない減価償却費等、いわゆる非現金収支を計上すること、都債などの負債情報を計上することなどによりまして、より的確な財務状況を把握できるよう、財務会計システムの再構築を行ってまいりたいというふうに思っております。

○小美濃委員 有形固定資産として道路や橋梁などのインフラ資産を含めるということは大変結構なことかなと思います。
 また、先ほどもご答弁にありましたけれども、システム化により速やかに財務諸表を作成できる、こういったこともあったわけでありますけれども、しかし、我々議会といたしましては、やはり単年度ごとの決算審議、審査、これも大変必要でありまして、現行の官庁会計方式もやはり必要なわけですよね。これもつくりながら、従来と同じ事務もちゃんとやりながら新しい会計手法も取り入れていく、こうなると、会計の処理が二重作業になってしまって、ややもすると非効率な部分が出てくるんではなかろうかと、こういうふうな危惧もあるわけですけれども、その点の心配はどうなんでしょうか、お伺いいたします。

○岳野参事 副委員長ご指摘のとおり、現行の法制度下では、地方自治法などに基づきます単式の決算と、複式簿記・発生主義会計による決算とを並行して行う必要が出てまいります。システムの再構築後におきましては、極力職員の二重作業を避け、効率的な会計処理を行うことができるように対応を図っていくこととしたいと思います。
 すなわち、新しい財務会計システムでは、できる限り現行の単式の会計に近い入力処理を行うことによって、複式のデータもシステムを活用して最大限自動的に整理をして、効率的な財務諸表を作成できることを目指したい、このように思っております。

○小美濃委員 なるほど。インフラ資産まで含めて、都の保有する全資産の整理を図りながら、官庁会計方式の会計処理と並行して複式簿記・発生主義会計を導入する。こういったシステムを活用して、このように効率的な財務諸表の作成を目指すということは、これは全国的に見てもなかなかすばらしいことであり、初めての取り組みではないかとも思っているわけであります。
 財務会計システムの再構築に当たりましては、他の自治体との比較が容易にできるなど、住民にとって政策選択のために有用な財務会計情報を適切に提供できるよう、財務諸表の作成などをシステム化して、都が全国に向けてその考え方やモデルを打ち出していくべきだと思っておりますが、当局の所見をお伺いいたします。

○岳野参事 副委員長ご指摘のとおり、都民にとってわかりやすい、活用しやすい、アカウンタビリティーを十分果たせるような財務諸表を作成することは大変重要であると思っております。
 東京都といたしましては、全国に先駆けて複式簿記・発生主義による会計処理システムから財務諸表を作成することにより、新しい公会計のモデルを発信できるよう、財務局とともに努力してまいりたいというふうに思っております。

○小美濃委員 大変心強いご答弁でございます。会計の制度や機構は、行政運営の基礎ともいえる大変重要な役割を担っていると認識しております。
 会計事務の効率化についてさまざま質問をさせていただきましたけれども、出納長室といたしましては、会計処理の全庁的な基幹システムである財務会計システムの運用を所管し、また、指定金融機関と連携する接点でもあります。都民との間に発生する公金の収納や支払いの事務は、都民サービスに本当に直結することでありますので、その事務運営に当たって、都民の利便性の向上の視点が不可欠であることは、他の事業部門と何ら変わりがないわけであります。
 特に、先ほど来ご質問させていただきましたバランスシートなどは、各自治体、今、本当にさまざまつくり始めました。ほとんどのところが今つくっているんじゃないですかね。しかし、私も二、三見させていただきましたけれども、その自治体によって、何を計上して何を計上しないとかという、そういう指針がばらばらでありまして、いわば自治体のひとりよがりの状態が、今、バランスシートの実態ではないかと実は思っております。これでは、住民が、他の自治体と、隣の自治体と自分の自治体がどういう形ですぐれているのか、また、劣っているのかという点がなかなか把握ができないということにもなってまいりまして、そういう意味では、やはり東京都がしっかりとした指針をつくって、それを全国に先駆けてモデル化をしていくということは、これは大きなことではないか、また、重要なことではないかと思っております。
 また、バランスシートをつくることによって、やはり単年度ではわからない負債やまた財産、こういったものを将来的に、大きくいえば二十二世紀に、二十三世紀にどのように都政にまたつなげていくのかという、やはり政策をこれからつくっていく一つの指針としていかなくてはならないと思っております。
 そういう意味からも、これからつくられるバランスシートは大変私も期待しておりますし、ぜひとも全国のモデルになるようなバランスシートを東京都から発信していただきたい、このように要望しておきます。
 そういったことで、今後とも、都政の構造改革の動きの中で、都民に対するアカウンタビリティーの充実や都民サービスの向上についても十二分にご留意をしていただきまして、会計事務の簡素効率化並びに公正な処理の確保に最大限努力をしていくことを都民の代表としてご要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

○執印委員 あこがれの財政委員会に所属させていただきまして、初めての事務事業質疑でございます。新銀行につきましてと思いましたが、第四定例会の前にスキームが出されるということですので、それはその時期を待たせていただきたいと思っております。本日は一点のみ質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 その一点は、なぜ出納長室で新銀行構想が検討されているかということです。地方自治法では、百七十条で出納長及び収入役等の職務権限が規定されております。二項に幾つか例示をされているわけですが、ここで読み上げることまではしませんが、出納長または収入役というのは、いわば支出についてチェックする側とされる側という関係だというふうに思いますので、本来、出納長及び収入役の職務というのは、ある程度の制限がされるべきではないかと考えております。なぜ、どのような経過でこの新銀行構想が出納長室で検討されることになったのか、また、出納長室の権限として法に抵触しないのか、この点を伺います。

○中路副出納長 出納長室の職務でございますが、大きく分けまして二つございます。一つは、知事から独立して行う会計事務でございまして、もう一つは、知事の補助組織として行う事務でございます。
 前者の方の事務は、会計事務の公正を図るために、現金、有価証券の出納、保管であるとか、支出負担行為に関する確認などを行う事務でございまして、地方自治法に規定されているものでございます。
 もう一つの、後者の方は、他の部局で行うよりも効率的であるというような理由で出納長室が所管しているものでございまして、従来から、基金に属する現金等の運用管理でありますとか、財務会計システムの管理運用、それから用品事務、こういったようなものを行ってきているわけでございます。これらにつきましては、地方自治法上は特段の規定はございません。
 おっしゃいましたような、銀行設立の準備に関する事務でございますが、都庁内では、職務におきまして銀行との関係が深く、それから銀行に関する知識、情報が多いということで、相対的に出納長室が最も適当という判断から所管されたものでございます。出納長室の職務の中では、先ほど申しました、知事の補助組織として行う事務、こちらの方に属するものでございまして、東京都組織規程に明確に規定されているものでございます。これらのことから、地方自治法に何ら抵触するものではございません。

○執印委員 今お答えをいただきましたが、同趣旨の質問が以前に出ていたことは把握しております。宮崎委員が七月にこの財政委員会で質問されているわけですが、それに対して大塚出納長は、「本当にわからないんですね。それは率直な世界で。出納長室の仕事とはちょっと違うだろうというふうに私は思っているわけでありますけれども、経緯がこれありで特命でしょったということで、ただ、しょったからには、覚悟を決めてきちっとやり遂げたいというふうに思っております」ということで、覚悟のほどはこれで理解できるわけですけれども、このご答弁を見ても、所管決めというのが冷静かつ組織的に判断されて新銀行の検討が船出したのかなということをまず疑問に思うわけでございます。
 それから、先ほど都の組織規程で規定をしてあるということでございますけれども、これは六月というふうに聞いておりますので、質問はしませんが、この間の説明で、六月に規定されたということですから、これが決まった後で規程の中に入れられたというふうに思っております。
 今、同様に、法に抵触しないというご判断ということですから、それはそのように受けとめさせていただきます。しかし、私もまだ二年の都議会活動でございますので、恐縮な物言いかとは思いますが、この新銀行の構想にしても、それから、これまで文教委員会に所属しておりましたので、その関係で例を出させていただきますが、新大学の構想ですとか、その他教育委員会のもろもろの決定の仕方や物事の進め方を見ておりましても、法に抵触しないとはいえ、この時代、いかにも非民主的な手順だというふうに感じることが間々ございました。私どもももとより、中小企業対策の強化に異論はございませんけれども、毎年三千五百億円から四千百億円の財源不足が見込まれるという中の一千億円出資ということが、もう当然のことのように、前段として話されている新銀行構想だというふうに感じております。
 こういった、今お話をさせていただきましたような経過も含めて、今後とも、まず新銀行ありきですべてが強引に進むことがないようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

○大塚出納長 別に新大学の話も引き合いに出されていろいろお話ありましたけれども、副出納長からご説明したのは、その仕組みの中の根拠を含めて、それはきちっと整理されているということをご説明申し上げました。
 物事を決める過程で、それは別に密室の中でやったとかそういうことじゃなくて、頭出しをする前段階の世界というのは、これはいろいろあるわけでありまして、若干の経緯があるわけでありますけれども、出納長室が所管をしたということについては、私は正しい判断だったというふうに思っておりますし、恐らく今の全庁の組織の中で、これが準備段階からやれるのは出納長室しかないというふうに思っておりますので、知事の判断は正しかったというふうに思っております。

○執印委員 済みません、質問したわけではないのですけれども、お答えいただきましたので。
 それも含めて出納長さんがみずからお答えいただくということで、さすがあこがれの財政委員会だなというふうに改めて思ったわけですが、私の質問の趣旨というのは、最後に申し上げましたように、まず新銀行ありきですべてが強引に進むことがないようにということでございますので、十分にその点を受けとめていただきまして、今後の対応をお願いいたします。
 終わります。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○近藤委員長 これより財務局関係に入ります。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○熊野主計部長 それでは、資料第1号によりまして、第二次財政再建推進プランについてご説明をさせていただきます。
 おめくりいただいて、三ページをごらんいただきたいと思います。これからの財政再建の取り組みのベースとなります今後の収支見通しでございます。
 三ページの上の表の一番下、差引過不足額の欄をごらんいただきたいと思いますが、十六年度四千百億、十七年度三千五百億、十八年度三千七百億の財源不足が見込まれております。
 なお、この収支の見通しに際しましては、試算の条件の1にございますように、その主要な要素でございます税収につきましては、十五年度予算の税収をベースにいたしまして、伸びをゼロといたしまして、銀行業等に対する外形標準課税の税率改正あるいは国の税制改正に伴う影響額を見込んで試算をしてございます。
 おめくりいただきまして、四ページをごらんいただきたいと思います。
 まず、財政再建の目的でございますが、一つ目の丸の二行目にございますように、財源不足を解消し、強固で弾力的な財政体質を確立することを目的としております。
 基本的な視点のところで、二つ目の丸をごらんいただきたいと思いますが、これまで以上に踏み込んだ取り組みが求められることから、本プランの計画期間中にとどまることなく、「都政の構造改革の視点と方向」に基づいて、中長期的にも、各施策・事業に内在する構造的な問題点を明らかにして問題意識を共有し、各部署において自主的に見直すことが重要であるということを述べさせていただいております。
 (3)、計画期間でございますが、十八年度までの三カ年といたしております。
 十八年度の目標でございますが、五ページの一番上でございます。二つ目標を掲げさせていただきました。一つ目は、十八年度までに先ほどの三千七百億の財源不足を解消すること。二つ目に、質的な要素でございます弾力性を回復するという観点から、経常収支比率を九〇%以下の水準に引き下げること。この二点を目標とさせていただきました。
 具体的な取り組み、(5)でございますが、内部努力、それから施策の見直し、歳入確保、地方税財政制度の改善、この四本柱に沿って具体的な取り組みを行うことといたしました。
 なお、(6)にございますように、十六年度、十七年度については引き続き財源不足が生じる見込みでございますので、これらに対応するために、臨時的、時限的な財源対策を講じる必要があることを述べさせていただいております。
 お開きいただきまして、六ページから、具体的方策でございます。
 まず、一つ目の柱、内部努力で一千億の目標額を掲げております。
 そのうちの一つ、給与関係費の削減につきましては、七ページの上にございますように、まず定数削減で、内部管理部門の統廃合あるいは人材派遣の活用、部門全体のアウトソーシングなどによりまして、その下にございますように、東京都全体で四千人、知事部局等で三千人程度の職員定数の削減を図ることとしております。これらによりまして、約三百億円の財源確保を図る予定でございます。
 また、それ以外につきましても、人事給与制度改革の二つ目の丸にございますように、退職手当につきまして、支給水準のあり方、さらには、能力・業績主義を推進していく観点から、いわゆる名誉昇給も含めて退職手当のあり方を検討すること、さらに、通勤手当などの諸手当の見直し、これらを含めまして二百億円程度の財源を確保する予定でございます。
 お開きいただきまして、八ページでございます。
 内部努力の二つ目、コスト管理の徹底でございますが、一つ目の丸にございますように、全庁的な公共施設等コスト管理委員会を設置いたしまして、計画、建設、維持管理の各段階におけるコスト縮減を徹底的に取り組んでいく予定でございます。
 それから、九ページ、監理団体でございますけれども、引き続き監理団体に対する見直しを行ってまいりますが、特に今回は、四つ目の丸にございますように、指定管理者制度が創設されたことに伴いまして、民営化も視野に入れつつ、積極的な経営改革によって、自主・独立した経営を確立するよう監理団体に求めていく予定でございます。
 以上が内部努力でございます。
 一〇ページをお開きいただきたいと思います。施策の見直しでございます。
 一〇ページの一番下にございますように、施策の見直しの進め方につきましては、すべての事業について、経常経費、投資的経費を問わず、以下のような観点から、聖域なく厳しく見直すということで、その四角に囲った観点から見直しを進めてまいります。
 また、一一ページの真ん中にございます財源確保目標の意味というところで、二つ目の丸の最後、「すなわち」からでございますが、施策の見直しによる財源確保目標額千二百億は、これにとどまらず、さらなる取り組みを行わなければ、新たな施策、新たな都民ニーズにこたえるような施策について実施をできないということを記述させていただいております。
 そういった観点から、今後、その下にございますように中長期的な取り組み、本プラン期間中のみではなくて、中長期的な取り組みが必要であることを述べさせていただいております。
 一二ページをお開きいただきたいと思います。
 三本目の柱、歳入確保でございますが、これにつきましては四百億円の財源確保を目標といたしました。
 まず、徴税努力でございますが、下のグラフにございますように、この間、徴税努力を行ってまいりまして、徴収率九五・五まで引き上げてまいりましたが、今後三年間で、二つ目の丸にございますように、さらに〇・七五%の徴収率のアップを図る予定でございます。
 それから、一三ページ、引き続き受益者負担の適正化に努めてまいります。
 一四ページをお開きいただきたいと思います。
 歳入の確保の観点の三つ目でございますが、未利用財産の有効活用ということで、なかなか売れない土地等につきまして暫定的に貸し付けることが一つ目の丸でございます。
 それから、活用可能な財産を積極的に生み出していくこと。
 それから、三つ目の丸でございますが、これまで余り着目されなかった、例えば知的財産権というようなものについての利活用を推進すること。
 こういった視点を踏まえまして、最後の丸にございますように、新たな財産の利活用計画を策定して、さらに活用を推進していく予定でございます。
 それから、一五ページでございます。
 四つ目の柱、地方税財政制度の改善で一千百億を見込んでおります。
 まず、税源の移譲につきましては、二つ目の丸にございますように、税源の移譲について、基幹税の移譲を国に強く働きかけていくことが中心になってこようかと思います。
 一六ページをごらんいただきたいと思います。
 財源調整措置等の廃止ということで、特に、交付税の不交付団体に加えて、不交付であることを理由とした財源調整措置については、三位一体の改革を待つことなく直ちに廃止するよう国に強く求めていきたいと考えております。
 以上申し上げた四本の柱で三千七百億を確保していきたいと考えておりますが、それをまとめたものが一七ページでございます。
 おめくりいただきまして、一八ページでございます。
 こういった財源確保の取り組みにあわせまして、財政運営についても改善を図っていきたいと思います。
 その一つ目が予算編成手法の改善ということで、三つ目の丸にございますように、十七年度予算から、現場の発想を生かし、限られた財源のより重点的、効率的な配分によって直面する政策課題に対応するために、財源重点配分枠を新設する予定でございまして、現在、細部を詰めております。
 それから、一九ページにございますように、引き続き公会計制度の改革、さらには、財調基金を中心とした財源の年度間調整機能の充実等を図ってまいる予定でございます。
 以上で本編が終わりまして、今回、二一ページ以降、付表ということで、二一ページの最初の丸に掲げてございますように、先ほども申し上げましたけれども、本プランの期間中の取り組みだけでは不十分であって、中長期的な視点から都財政の構造改革に努めなければいけないという観点で、今後の議論の、あるいは検討の素材として、下の丸に掲げております視点1、2、3に沿った、中長期的な課題も含めた三十事業についての、いわゆる見直しの視点等を個表でお示ししてございます。
 なお、視点1、2、3につきましては、中間のまとめでご報告申し上げた視点でございます。
 これらを議論の素材として、今後、すべての施策について議論を重ね、財政構造改革に取り組んでいきたいと考えております。
 以上、雑駁でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○近藤委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○松村委員 二点お願いします。
 一つは、現行一次プランで既に見直されたものの資料。
 二つ目は、施策の見直しの目標額一千二百億円の内訳。
 以上二点お願いいたします。

○近藤委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 ただいま松村理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、提出願います。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十二分散会

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