財政委員会速記録第十五号

平成十五年十月二日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長川井しげお君
副委員長鈴木貫太郎君
副委員長矢部  一君
理事真木  茂君
理事松村 友昭君
秋田 一郎君
北城 貞治君
鳩山 太郎君
馬場 裕子君
桜井良之助君
藤田 愛子君
藤川 隆則君
宮崎  章君

 欠席委員 一名

 出席説明員
財務局局長櫻井  巖君
経理部長佐藤  広君
契約調整担当部長小山 利夫君
主計部長熊野 順祥君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長江連 成雄君
参事三津山喜久雄君
建築保全部長福島 七郎君
コスト・調整担当部長松村 光庸君
参事齊間 孝一君
主税局局長川崎 裕康君
総務部長菅原 秀夫君
出納長室出納長大塚 俊郎君
理事津島 隆一君
副出納長中路 有一君
副出納長宇藤 雅隆君
参事岳野 尚代君
参事関  敏樹君
収用委員会事務局局長山内 隆夫君
参事三枝 秀雄君

本日の会議に付した事件
 財務局関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・議案の撤回について
 出納長室関係
  報告事項(質疑)
  ・新銀行設立準備の現状について
  ・平成十五年度資金管理計画等について
  ・みずほフィナンシャルグループへの業務改善命令等について
  付託議案の審査(決定)
  ・第百八十号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
  ・第百九十五号議案 東部療育センター(仮称)建設工事請負契約
  ・第百九十六号議案 警視庁西が丘庁舎改築工事請負契約
  ・第百九十七号議案 警視庁三鷹警察署庁舎改築工事請負契約
  ・第百九十八号議案 日暮里・舎人線下部工事(その二十四)請負契約
  ・第百九十九号議案 日暮里・舎人線下部工事(その二十五)請負契約
  ・第二百号議案  日暮里・舎人線下部工事(その二十六)請負契約
  ・第二百一号議案 日暮里・舎人線隅田川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事請負契約
  ・第二百五号議案 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)
  ・第二百六号議案 東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百七号議案 東京都外形標準課税条例無効確認等請求上告及び上告受理申立事件に関する和解について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○川井委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、財務局関係の報告事項の説明及び質疑、出納長室関係の報告事項の質疑を行った後、付託議案の審査並びに閉会中における請願陳情及び特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより財務局関係に入ります。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○櫻井財務局長 ご説明申し上げます。
 第三回定例会に提出いたしました契約議案八件のうち、第百九十四号議案の都立目黒地区中等教育学校(仮称)(十五)増築及び改修工事請負契約につきましては、平成十五年十月一日付で、仮契約の相手方である日本国土・森本建設共同企業体より、契約を辞退したい旨の申し出がございました。
 精査いたしました結果、仮契約を解除し、本議案を撤回させていただくことといたしました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 なお、撤回いたしました工事につきましては、再度必要な契約手続を行い、次回の平成十五年第四回定例会に提案させていただく予定でおります。よろしくお願い申し上げます。

○川井委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対しまして質問等がございましたら、発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○川井委員長 これより出納長室関係に入ります。
 報告事項に対する質疑を行います。
 報告事項、新銀行設立準備の現状について、平成十五年度資金管理計画等について及びみずほフィナンシャルグループへの業務改善命令等については、関連がありますので、一括して質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求がありました資料について、理事者の説明を求めます。

○中路副出納長 先般の委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料をごらんいただきたいと存じます。表紙に続きまして、目次をごらんください。要求のありました資料は、要求資料第1号から第3号までの三件でございます。
 要求資料第1号、預金者等意向調査についてご説明申し上げます。
 調査結果につきまして、各質問項目ごとの回答内容をお示ししてございます。
 二ページから六ページにかけましては、金融機関の利用状況についてでございます。利用者がどんな目的で、どのような商品を、どの程度利用しているかについて調査したものでございます。
 四ページ上段の表をごらんください。貯蓄・資産形成のために利用している金融機関については、都市銀行が七六%、郵便局が六八%となっております。
 次に、七ページは、利用する金融機関と貯蓄残高の多い金融機関の一致度や、今後の金融機関との取引の考え方に関する調査でございます。
 八ページは、新銀行の利用意向等に関する調査でございます。
 上段の表をごらんください。都が平成十六年度中に新しい銀行を創設することについての認知率は、七八%と高くなっております。
 続きまして、中段の表をごらんください。新銀行の魅力については、安全を挙げた回答者が七三%と最も高くなっております。
 下段の表をごらんください。新銀行の利用意向があると回答した方は六四%となっております。
 九ページ以降は、銀行店舗、カード、ATM、インターネットバンキング、電子マネー等、利用形態についての意向に関する調査結果でございます。
 別紙1として、参考に回答者に配布した調査票を添付してございます。
 なお、別紙2にございますように、新銀行のビジネス戦略上、これらの項目については非公開とさせていただきたいと存じます。
 続きまして、要求資料第2号をごらんください。「新銀行についての中小企業の事業者との意見交換会」での主な意見交換内容についてご説明申し上げます。
 意見交換の内容を、銀行設立、設立の時期、融資対象、融資条件、融資手続などの事項ごとに分類し、お示ししております。
 一ページ中ほどの設立の時期においては、早く新銀行のモデルを明らかにし、早期に設立してほしいとの意見が、また二ページの中段の融資手続におきましては、簡略な手続でできる融資商品を提供してほしいとの意見が出されております。
 続きまして、要求資料第3号、中小企業資金需要調査についてご説明申し上げます。
 一ページの1、新銀行への関心についてでございます。下段の表をごらんください。(1)、新銀行の設立構想については、九〇%以上の中小企業が認知しております。また、二ページの上段の表にありますように、新銀行による中小企業向け融資に対する関心は、八〇%以上の企業が関心を持っております。
 二ページから四ページにかけましては、2、既存銀行との融資取引の状況についてでございます。四ページの上段の表の融資に対する金融機関の姿勢でございますが、四〇%近い企業が、融資を受ける際に金融機関から厳しい対応を迫られております。
 五ページ上段は、3、ビジネスローンについてでございます。
 次に、五ページの下段から八ページにかけましては、4、資金需要についてでございます。
 六ページの上段の表では、約四六%の企業が新たな事業展開の検討を行っておりまして、下段の表では、約二六%の企業が設備投資の検討を行っております。
 さらに、八ページの上段の表では、運転資金の今後の見込みについて、約二五%の企業が需要増と答えております。
 次に、八ページから一〇ページにおきましては、5、新銀行との取引についてでございます。
 新銀行が融資依頼先の候補になるかについては、ビジネスローン、その他の融資ともに、半数近い企業が候補になると回答しており、新銀行との取引に関心を持っております。
 次に、一一ページから一四ページまでは、危機管理の現状についての調査結果でございます。
 なお、別紙1として、参考に回答者に配布いたしました調査票を添付してございます。なお、別紙2にございますように、新銀行のビジネス戦略上、これらの項目につきましては非公開とさせていただきたいと存じます。
 その他の項目につきましては、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 以上、簡単でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○川井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして質疑を行います。
 発言をお願いします。

○秋田委員 私は、新銀行の目的は中小企業の支援だということで、この点からは高く評価したいと思います。今や大企業といわれている企業も、かつては中小企業だったわけですし、また現在、中小企業の中でも、家族経営みたいに本当に小さく、頑張っていらっしゃるところの中でも、知事のお話じゃないですけれども、技術的には世界一というようなところもございますし、何よりも中小企業が日本の雇用を支えてきたという事実は間違いないと思います。ですから、中小企業を支援するという点では高く評価をするわけでございますが、その一方で、私は若いものですから、十年後、二十年後あるいは三十年後といった長期で見た場合、やはり心配もあるわけでございます。
 よく、出納長を初め皆様方は、現在は不良債権がないから、他の現存の金融機関とは違うんだよというお話をされます。けれども、十年後、二十年後、三十年後に本当に不良債権がないのかといった心配もしているわけでございます。
 そういった点も含めまして、今回の質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、生文さんが行った都政モニターアンケートの結果からちょっとお尋ねさせていただきたいと思うんですが、新銀行創設への賛否という質問がございました。新銀行の創設についてあなたはどのように思いますかといった質問に対して、賛成であるといった方が七八・一%という支持がございました。これはどう評価されるんでしょうか。

○関参事 七八%という支持につきましては、都民が新銀行に寄せる期待が非常に高いと理解しております。
 支持の理由については、中小企業が活性するためとの回答が四割以上を占めており、このことは、不況の中で苦しむ中小企業を、技術力や将来性という観点から積極的に支援する新銀行の姿勢が評価されたものと認識しております。
 一方、国や民間金融機関がその役割を果たしていないためという回答が三割近くあり、国の金融政策や既存金融機関の姿勢に対する不信や不満があらわれていると思われます。
 こうした結果から、新銀行創設に当たっては、中小企業が持てる力を十分に発揮できる環境を整えることを常に念頭に置いて進めていくことが大事であるというふうに痛感しております。

○秋田委員 同じところで、9の5番として、新銀行創設による影響というのがございまして、その中で、よい影響を与えるとお答えになった方が七〇・六%。それをさらに細かく見ますと、よい影響を与えると答えた方へ、どのような影響があると思いますかといった質問をしたところ、まず一番目として、既存金融機関の中小企業への融資のあり方を見直すきっかけとなるとおっしゃった方が三六・七%、二番目として、金融機関相互の切磋琢磨により顧客サービスの向上が期待できるとお答えになった方が三〇・九%、三番目として、健全な競争により効率化が進み、既存金融機関の経営改善につながる、こうお答えになった方が二六・一%というような結果が出ております。
 このアンケートの結果だけを見ますと、新銀行の参入による競争を都民の皆様方は大いに期待しているということが読み取れると思うのです。
 そこで、私は、既存の金融機関、特に地域金融機関との連携は確かに重要だと思うんですが、先ほども申し上げましたとおり、今度の銀行の目的は、何よりも中小企業の支援ということでございますので、他の既存の金融機関とも大いに競争しながら頑張っていただきたいなと思っているんですが、そのためには、何よりも新しい金融モデルを構築していかなければならないことは間違いないと思います。
 そこで、例えば新銀行が融資を行うに当たって、地域の実情に詳しい商工会議所あるいは商工会を大いに活用していくことが重要と思うんですが、いかがなものでしょうか。

○津島理事 お話の商工会議所や商工会でございますけれども、中小企業や地域経済の活性化を目指して、経営者や経営状況などの地域情報に非常によく通じている、また中小企業に対する経営支援事業を多面的に実施している団体でございます。したがって、新銀行が支援を行うに際しては、こうした貴重な情報や能力を十分活用して支援することが重要であるというふうに考えております。
 ご指摘のとおり、新銀行の融資において、例えば融資先の紹介あるいは融資後の経営指導、こういったさまざまな内容について商工会議所や商工会と連携する方法について、幅広く検討、協議を進めてまいります。

○秋田委員 次に、きょういただいた中小企業資金需要調査、こちらの結果から幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、四ページにございます融資に対する金融機関の姿勢、依頼先がメーンバンクの場合、保証人・担保提供、金利引き上げなど厳しい方向へ条件変更となったとお答えになった企業が約九%、融資を断られた企業が約五%、次の(5)の方で、依頼先がメーンバンク以外の場合の融資に対する金融機関の姿勢のところを拝見しますと、保証人・担保提供、金利引き上げなど厳しい方向へ条件変更となった企業が約四%、融資を断られた企業が約一七%、こうなっておるわけですが、こうした姿勢がまさにいわゆる世間でいうところの貸し渋りにつながっているのかなというふうに思っております。
 逆に申し上げると、新銀行が対象とするのはまさにこういった部分だと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○関参事 ご指摘のように、金融機関の姿勢が中小企業を苦しめているという実態が、この調査にもあらわれているものと認識しております。そういう企業を支援することは、この銀行の重要な使命であると考えております。
 支援に当たりましては、個別の中小企業の実情を十分に把握しながら、事業計画や経営者の資質など企業の将来性に重点を置いた審査を行い、積極的に支援してまいりたいと思っております。

○秋田委員 ぜひそうしていただきたいと思うんですが。
 私、思うんですが、昔の人は本当にいい言葉を残すなと思いまして。よく「失敗は成功の母である」という格言がございますが、まさにそのとおりだと私は思っておりまして、今、大企業と呼ばれているところも、その途中において、あるいは現在やっているビジネスの前には、別のビジネスで大きな失敗をされている企業も大いにあるわけで、またその一方で、歴史的人物なんかを見ましても、途中で大きな失敗をされていたり、徳川家康でも、きのうたまたまちょっとテレビを見ていましたら、黒田官兵衛なんかをやっていたわけで、黒田官兵衛さんなんかを見ても、大体、大きくなる人あるいは会社というのは途中で大いに失敗しているわけです。そこで私は、敗者復活というのが一番重要なのかなと思っております。
 我が党の大西幹事長が代表質問で述べられたとおり、アメリカのように、敗者復活が可能となる仕組みを新銀行が検討すべきであると思っております。アメリカでは、事業に破綻した人の四七%が再起をしているが、日本で再起をしている人は一三%のみということでございます。
 出納長の答弁では、日本で敗者復活を妨げる原因の一つに、厳格過ぎる個人保証のあり方の問題があり、こうした実態の見直しが必要である、こうおっしゃっているわけですが、個人保証のどのあたりが問題だとお思いになりますでしょうか。

○関参事 企業が融資を受ける際に、土地などの担保以外に、経営者本人やその家族、第三者を返済の保証人とするのが個人保証でございます。そのうち、特に問題なのは、保証の期間や被保証債務の範囲を定めない包括根保証という仕組みでございます。これは銀行取引約定書に規定されておりますもので、この仕組みによりますと、保証人は、その銀行との取引上すべての借金に責任を負うため、継続的な取引の関係のすべてについて借金を負います。結果として、当初からは予想もできない膨大な借金を負ってしまうということでございます。
 そして、包括根保証でないと融資をしないという金融機関の姿勢や、そもそも借り手と貸し手の力の差を背景とした弱者に過酷な仕組みと運用が存在しているというあたりが、非常に問題だと思っております。

○秋田委員 ちなみに、破産経験者の中で、もう一度起業したいと意思表示する人は、アメリカ、日本でそれぞれ何%ぐらいいるんでしょう。

○関参事 これにつきましては、日米それぞれの中小企業庁の調査がございまして、破産経験者のうち、できればもう一度起業したい、再起業の意思のある方は、アメリカでは七二・三%でございます。日本では、実際には再起業可能な方は一三%でございますけれども、意思のある方は三七%いらっしゃるということでございます。

○秋田委員 ということは、今、アメリカでは七二・三%、日本では三七%ということですから、大体日本で再チャレンジしたいという人はアメリカの約半分というような感じでとらえていいのかなと思います。
 その原因については、いろいろ国民性とかそういった問題もあるとは思うんですが、先ほどご答弁いただいた、包括根保証を初めとする現行の金融機関の融資のあり方にこそ問題があるのかなと、私はそう感じるわけでございます。
 この十年も、失われた十年なんていわれているわけですが、私のような若輩でも、大分悲惨な話を友人等で聞くわけですね。現行の融資制度、包括根保証を初めとする融資制度では、それこそ家族だけじゃなくて、下手したら一族郎党まで巻き込まれて、精も根も尽き果てて、新しく会社なんかやってられないよ、そうお思いになるのも、ある意味、現行の融資制度は仕方がないのかな、そういった思いがあるわけでございます。
 現実的には、現行の融資制度じゃなかったら、日本人でも再チャレンジしたいと思っている人は今の調査よりも多いんじゃないかなと、私は個人的にはそう思っているわけですが、ところで、日本の場合、二度目の開業をした人は、みずからその経験をどう評価しているのか、教えてください。

○関参事 二〇〇一年八月に国民生活金融公庫総合研究所が調査をしておりまして、二度目の開業をなさった方の約八割が、過去の経験を、非常に有益である、現在の経験に生かしているというふうにお答えになっております。
 さらに、実際に二度目の開業をなさった方と新規開業をなさった方を比較した場合でございますけれども、新たに起業を始めまして経営が黒字基調になるまでの期間が三カ月以内ということで、非常に早い時点で黒字になるのは、新規開業の方では三四%でございます。一方、二度目の方の方は五四%が三カ月以内に黒字になるということで、ここにも二度目の開業の有益さがあらわれているというふうに思われます。

○秋田委員 私は先ほど、「失敗は成功の母である」という格言はまさにそのとおりだというようなお話をさせていただきましたが、今のお話を聞いて、またその気持ちを新たにしたわけでございます。
 二度目の開業には一度目の失敗が大いに生かされているというふうに考えていいのかなと思いますが、それでは、現実に再チャレンジ、二度目の開業をするに当たって、それを阻害している要因というのは何なんでしょうか。データ等があれば教えてください。

○関参事 これは二〇〇二年に日本の中小企業庁が調査したところでございますけれども、多くの項目で質問しているところです。一度目の開業と二度目の開業の場合、どんな点が問題かということでございます。販売先、仕入れ先の開拓とか、人材の確保、開業手続などなど、ほとんど多くの面で、新規開業よりも二度目の開業の方が困難度が低いというふうに感じているというデータがございます。
 ただ、資金調達面に限りましては、二度目の開業の方が困難度が高いというふうな形になっております。

○秋田委員 今のお答えからすると、日本では、個人保証の点でも資金調達の点でもやはり問題がある。やっぱりお金なのかといった思いを強くするわけでございますが、出納長の答弁によれば、金融姿勢がその原因といった答弁もあったと思うんですが、私も調べて見ますと、破産すると、大体七年程度は融資をしてもらえないというようでございますが、この辺の事情についての説明と見解を伺いたいと思います。

○関参事 破産宣告が出されますと、官報に公告され、債権者にもその旨が通知されます。そして、多々あります信用情報機関にも事故情報として登録され、いわゆるブラックリストに載るといった状況になるということでございます。ブラックリストに載りますと、法律的に定まった期間があるわけではございませんけれども、各金融機関ごとの判断により、ご指摘のように、破産宣告からかなり長期間融資を行わないというのが金融界の通例のようでございます。
 破産にも、放漫経営によるものから、例えば不幸にして不渡り等を受けて関連企業の倒産のあおりを受けたものまで、さまざまな事情があるわけですが、一律に破産者に融資しないという姿勢については問題があるというふうに考えております。

○秋田委員 今おっしゃったとおりだと思うんですね。放漫経営といいますか、社長でもどなたでもいいんですが、自分の、個人の利益を図って、やりたい放題やって倒産するのは、だれが見ても当たり前、むしろ倒産して当然という一方で、関連企業が今おっしゃったとおり倒れて、共倒れ、連鎖的に倒れたりとか、あるいは最近、私も地元の人にちょっと相談されましたが、黒字なのに今や倒産しそうだというような方もいらっしゃるわけですね。本当にいろいろな方がいらっしゃるわけで、それを一律に、一回ブラックリストに載ったからもうだめだよというんじゃ、先ほど来申し上げている再チャレンジというのはなかなか可能じゃないなと思う次第でございます。
 最後に、新銀行では、そういった人にも融資をしていこうというのが非常に重要だと思うんですが、その内容についてお答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○津島理事 まず、新銀行では、仮に根保証を求める場合でありましても、できる限り期間や金額を限定する限定根保証を採用するなど、適切な保証を求めるように努力したいと思っております。
 また、一度破産した中小企業事業者であっても、先ほど述べましたように、破産に至った過去の経緯を調べますとともに、新たな事業計画の内容が堅実であることとか、経営者の資質、信頼性など将来の可能性に重点を置いた融資条件や審査方法などを検討していきたいと考えております。

○藤川委員 私は三つばかり質問をさせていただきます。
 私の姿勢というのは、知事とか東京都の方が新銀行をつくるんだといったことについて、これはすばらしいことだという肯定的なことから--どうも僕の性質上、否定から入ることはできなくて、肯定から入るというところがありますので、自分の姿勢としては、この件に関しては肯定的なんだと。ただ、僕に負けず劣らず、こういうことをいってきている行政の皆さんは、僕以上にお人よしで、ごまかされやすいことがあるかもしれないから、注意をしてくださいということで質問するわけですから、そのことをよく頭に入れて考えていただきたいと思います。
 そして、これは私自身がいっていることじゃなくて、私自身の周りの人や、それからテレビとか新聞とか雑誌とか、いろんなところでいっていることの総括なので、さっき秋田さんがある程度自分の思っていることの質問をしてくださったので、大体、その答えというのは、ああ、そういうことかというふうに見ております。
 そして、私自身が出す三つの質問というのは、皆さんに注意してくださいということで質問するわけですが、面倒くさいから一遍にやります。
 まず第一に、二年間ということが長過ぎるんじゃないかという意見が物すごく多いわけですね。私自身の周りでも、二年間と聞いたときに、私、やめたという人が随分いるわけです。
 二年間という答えを前の委員会でいただいたわけですけれども、二年かけてこのことについて皆さんがやろうとしていることはよくわかるわけですけれども、二年かけたときには、世の中、今、SOSを発しているいろいろな中小企業があるわけですけれども、それがSOSを発しなくなってしまうんじゃないかということをいっている人がいるわけですね。それが一つです。
 もう一つは、新銀行に対する融資対象です。これは三つ目の私の質問と同じことなんですが、最近の新聞で私、読んだのですが、要するに、融資の対象として考える地銀なり、信金なり、信組とか、地域の金融機関があるとしても、相当のノウハウとか、相当のすばらしい中小企業だといわれるところには、そういうところに対して、ああやりたい、こうやりたいということに対してお金を出してしまっているんだと。そうすると、ろくでもない、こんなことをいうと物すごく冷たく聞こえるかもしれませんけれども、大して融資の対象として東京都が考えてはならないようなところも、自分で努力することをしないでもってSOSを発するから、要するに、東京都は、一千億円集めて、それでもってそのお金を使わなくちゃいけないということになると、この一千億円というお金は、やっぱり、東京都民が一生懸命額に汗して稼いだお金の結晶なわけですから、いいかげんに使ってもらっちゃ困るわけですね。
 私の質問というのは、基幹的にはそういうことがあるわけです。要するに、皆さんサイドは、さあ、納めなさいと、前にもいいましたけれども、税金を払いなさいとペーパーを出せばいいかもしれないけれども、それに基づいて払う方の人たちは、一生懸命営業活動をした結果として払う状態ができているわけですから、一千億円といえども、いいかげんな気持ちでもって貸してもらっては困るということですね。
 だから、僕の学校時代に習ったことで、シュンペーターという経済学者が、どっちがどっちだかわからないですけれども、もし間違ったら直してもらいたいと思うんですが、創造的な破壊だといっているわけです。要するに、今、我々が生きているこの世の中というのは、本当に冷たいいい方だけれども、おかしなところはつぶれてもらった方がいいというわけですよ。だけど、生き残るところは、要するに、クリエーティブな状態であるというわけで、創造的に破壊することを繰り返さなければ、要するに世の中は進歩しないというわけです。
 そういうことであるとするならば、大して価値のないところに、都民の皆さんが一生懸命稼いだ一千億円というお金をそこに向けて、どぶに捨てるような形で使ってしまったら、本当に納めてくれた人に対して済まないなという気持ちが強いわけです。
 以上三つが私のきょうの質問なんですが、その質問に対してお答えいただきたいと思います。

○関参事 藤川委員の三点のご質問にお答えいたします。
 まず第一点、もっと早く開業できないかということだと思われます。今日の非常に厳しい経済状況で、中小企業は多数の自殺者が出るとか、倒産件数が高水準で推移するなど、中小企業にとっては非常に厳しい状況でございますので、早期の新銀行の設立が求められているということは十分認識しております。
 現在、準備組織においては、預金、融資等の種類や規模、リスク管理の仕組み、執行体制などについて、これまでの銀行にはないさまざまな工夫を加えながら、鋭意検討を行っているところでございます。また、協議、調整すべき多数の提携企業や関係団体などと話し合いを精力的に進めております。さらには、チャネル情報系を含めて、ITを活用した先進的なシステムを開発するため、一定の時間がやはり必要でございます。
 将来にわたって安定的で存在感のある銀行とするためには、以上のことを総合的に調整しながら作業を進めており、十六年度中の開業は、検討に要する必要最低限の期間を勘案して定めた時期であるということで、ご理解をいただきたいと思っております。
 それから、融資の場合のいわゆるリスクの問題、ちゃんとした企業に貸せるのか、または危ない企業に貸すようなことはないのかということだろうと思われますけれども、確かに、既存金融機関の融資は、担保主義に固執したり、また無担保であっても貸出期間が短いなど、現在の中小企業のニーズにこたえたものとはなっていないというふうに認識しております。このため現在の厳しい経済環境では、中小企業の資金供給は、高リスクの企業に限らず、全体として質量ともに不十分と思っております。その意味で、新銀行の役割は非常に多くの中小企業に期待されているわけです。
 融資対象といたしましては、技術力や将来性にすぐれた中小企業へ積極的に融資するとともに、真摯に事業を営んでいる中小企業についても、あわせて対象として考えております。
 問題の、融資する際の判断基準についてでございますけれども、最先端の情報技術を駆使した、統計モデルとしてのリスク管理を内蔵した独自のスコアリングモデルにより定量評価をするとともに、定性的なチェック、経営者の資質等の定性チェックも行い、判断していくほか、先生ご指摘のように地域金融機関との連携、専門家による技術力の審査など、複合的にリスクのない形で行っていきたいというふうに思っております。
 最後に、都民の一千億の税金をお預かりするわけですから、その辺の、大丈夫かということだと理解しておりますけれども、新銀行は経営悪化を決して起こすことのないようなスキームを構築してまいります。
 具体的には、人員や店舗を極限まで絞り込んだ低コスト体質を確立させていただきます。二番目に、グローバルな運用力を誇る外資系を含めた金融機関を最大限に活用することなどにより、銀行全体として十分な余剰を生み出してまいります。また、執行体制、融資、資金運用のあり方を初めとするさまざまな面にわたって、リスク管理を万全にやらせていただきたいと思っております。
 こうしたことを複合的に行うことによって、さまざまな環境変化がございますけれども、そうしたものに十分対応できるよう、健全で安定的な経営を担保する仕組みを構築していくこととしております。

○藤川委員 意見だけ申し上げておきたいと思うんですが、要するに、都民の一千億円のお金を使うに当たって、いいかげんな使い方をしてもらったら困るといういい方を私はしたわけです。皆さんのサイドとしても、いいかげんに使うことはできないから、どうしても二年かかってしまうということ、それもわかるわけですね。だけど、お金を必要とする企業というのは、今必要なわけですよね。二年後じゃないわけですから。ですから、そこのところをどうするかということがあるので、そこのところをしっかりと、皆さんの理念に基づいて、ある程度リスクがあってもしようがないんだという形でもってやるかやらないかということになってしまうと思うんですね。
 だから、私自身としては、都民から預かっている税金をもとにして、東京都がすばらしいことをやってくれるんだけど、そのやつがちゃんと保証されるのかということが大きいわけです。そうすると、だれがそのことを検討するかというと、要するに、すばらしいそういう人たちの頭脳が検討するわけですけど、その頭脳がたくさんあり余るほどあればいいけれども、新聞やテレビや、そういうもので私が知る限りにおいては、どうも大した頭脳でないような人たちが集まって一つのことをやろうとするとなると、決定的に判断しなくちゃいけないときに、大切な判断を見誤ってしまうようなことも考えられるわけです。ですから、そのことについては十分注意してもらいたいということですね。
 それともう一つ、皆さんに強く訴えたいことは、結局、私もそうですけれども、皆さんにしても、自分でもって稼いだお金を使うということになっていないわけです。要するに、どこか税金という形で、抽象的な形でもって金を集めてきて、それを使うことになれちゃっているわけですから、要するに自分で額に汗して稼いだお金でもってそれを使うということに、皆さんの体質がそういう体質になっていないわけですね。だから、そういうところでもって、いいかげんなお金に対するコンタクトの仕方だとか、そういう形が先に行ってしまうとまずいのかなというふうに思いますので、その辺のところは十分注意していただきたい、そういうふうに思います。以上です。

○桜井(良)委員 私も、新銀行につきまして、極めて素朴な質問になるかもしれませんけれども、私たちも、この新銀行設立については、金融機関の意見がどうなのかなということで、かなり多くの信用金庫の人たちといろいろとお話し合いをしてきたり、意見を聞いてきたりしてまいりました。
 そういうところでの意見もまた、もっともだと思うところもたくさんありますので、そういうことを中心にして質問をさせていただきたいと思いますが、一つ確認なんですが、技術力や将来性にすぐれた中小企業に生きた資金を供給する、そのために新銀行を設立する、こういうことであります。確認は、そういう目的のために既存の金融機関を活用することによって、その目的は達成されないのかな、こういう思いもいたすわけなんですが、その点いかがでしょうか。

○関参事 先生のお尋ねは、例えば既存金融機関に出資するなどの形で活用するようなことはできないかということだろうと思うんですけれども、既存金融機関は既に、長年にわたって自立した経営を行っております。また、不良債権や顧客との過去の経緯など、さまざまな負の遺産を背負っております。その体力が非常に疲弊している現状においては、リスク負担に限界がございまして、新銀行が意図するような融資を行うことは困難であるというふうに考えております。したがって、既存金融機関の活用ではなく、新たな銀行が今最も適切であると判断したところでございます。

○桜井(良)委員 そこが極めて素朴な質問になるわけですが、体力が疲弊している、またリスク負担に限度がある、こういう今の信金と実は協力をし合わなければ銀行設立に至らない、こういうことなわけですよね。
 それでは、この新銀行の設立につきまして、今、信金がどの程度参加しているんでしょうか。

○関参事 現在、私どもの組織に、信金中金、個別信金を含め、複数の信金関係職員が具体的な検討に参加しております。さらに、近日中には追加の要員派遣が予定されているところでございます。

○桜井(良)委員 信金とお話し合いをしますと、東京都からのご要請でもありますしと、前段が必ずございまして、本音の部分を聞きますと、信金によってかなり意見は違いますが、いろんな意見を申し上げているわけでありまして、すべてがすべて納得しているという感じではないなと、こんな思いを持っているわけなんですが、では、その信金側と具体的にどのような内容を検討しているのか、示していただきたいと思います。

○津島理事 信金との具体的な協議の内容でございますけれども、中小企業融資の現状や問題点につきまして協力して把握、分析するとともに、新銀行の融資に当たっての利率設定の考え方、新たな融資対象の可能性の検討、それから経営者の資質や地域の信用情報の収集、審査面におけるノウハウなど、多くの貴重な意見やデータをいただきながら、将来の提携も含め、協議を進めてきております。
 確かに、先生おっしゃるように、構想発表以来一定の経過がありまして、一定の時間を要したのは事実でございますけれども、ここに来て信用金庫との具体的な提携の見通しがついてまいりました。

○桜井(良)委員 今の表現をとらえて申しわけないんですが、信用金庫等との連携の見通しがついたとなりますと、信用金庫全部という感じで受けとめるわけなんですが、個別に当たりますと、必ずしもそういう実態ではないんじゃないかなと思っているわけなんですね。だから、信金がすべて納得していると、こういうふうに認識しているかどうか、お答えをしていただきたいと思います。

○津島理事 私どもは、信用金庫の一つの協会という窓口を通しまして、総体としての協力体制を要請してまいりまして、今後、内容については個別の信金と、どういう商品について、どういう形での提携をしていくか、具体的に詰めていくわけでございまして、その際にはそれぞれの濃淡があるのではないかなというふうに思っております。
 私ども、信用金庫につきましては、新銀行にとって重要なパートナーであるというふうに考えておりますが、パートナーのすべてではないというふうに思っておりますので、その連携の成否によって新銀行構想自体が左右されるものではないというふうに考えております。

○桜井(良)委員 津島さんは私とは大学が一緒なんですが、非常に文章力と表現がお上手でございまして、今のお答えから、すべてがパートナーじゃないということなんで、裏を返すと、ほかのパートナーも探しているのかな、こんな思いもするわけなんですが、そういう状況の中で、一部の信金の方々の話の中には、新しい銀行に対しては、むしろ信金の融資に対する、都としての、本来行政としての仕事として、新しい保証業務といいますか、新しい制度としての保証制度をつくっていただいて、それで後押ししていただければというようなことをいうところも多いわけでありますが、こういう意見についてはどうお考えでしょうか。

○関参事 中小企業への円滑な資金供給を行うためには、新銀行の新たな融資基準に基づいて、将来性や技術力についての判断を含め、的確に審査を行って融資をしていく必要があると思っております。
 先生のお話のような、例えば新銀行が、信金が行う融資に単純に保証をつけるということになりますと、場合によっては信金側にモラルハザードが発生する場合もあるなどのことから、保証をつけるということについては想定しておりません。

○桜井(良)委員 はっきりお断りされたわけですが、しかし、この種の要望はかなり信金の人たちの中にたくさんあると思うんですね。それは、先ほど一番最初の質問で、信金のリスク負担の限度の話が出ましたけれども、そういう声が多いということは、信金側としては、リスク負担に対して新しい制度で何とかしていただきたい、こういう思いがあるのではないかな、こういうふうに私個人としては理解しているわけなんです。
 それでは、これから信金が融資する上で、リスクの高い分だけ新銀行で上乗せをするような融資制度、こういうことを考えていくつもりはあるのかどうか。そこまで検討しているかどうか、まだわかりませんけれども、もしお答えができれば答えていただきたいと思います。

○津島理事 融資を行う信金が、どこまで信金としてリスクを負担できるかということは、財務内容あるいは経営姿勢によって、信金ごとに異なる状況にあるというふうに認識しております。したがって、新銀行のみが一方的にリスクを負うようなスキームは、残念ながら実現困難ではございますけれども、ただし、案件によっては、一定程度取引先の信用リスクを負担するなど、リスクを適切に分担することはあり得るというふうに考えております。

○桜井(良)委員 最近、メガバンクがシンジケートローンというものを実施しているわけですが、規模の大きい融資案件に対しまして、幾つかの金融機関が連合して融資をする形態だと理解しているわけですが、新銀行の方も、先ほど信金ごとにというお答えでしたが、信金側の参加が可能となるようなシンジケートローン、そういうものを商品の一つとして検討されているかどうか、お答えをしていただきたいと思います。

○関参事 ご提案のシンジケートローンは、規模の大きい融資案件につきまして、幾つかの複数の金融機関が連合して融資する形態であるというふうに理解しております。新銀行においては、地域金融機関である信金と協力して行える非常に有益なビジネスモデルの一つであると認識しておりまして、現在、協議、検討しているところでございます。

○桜井(良)委員 だんだん全く私たちの見えないところの検討内容がちょこっと見えてきて、どういう銀行にしようかなという感じが見えてきたわけでありますが、確かにいわれるように、信金、信組は大変な状況ですよね。合併の時期を抱えているところもあります。しかし、体力の弱い地域の金融機関をこのまま放置すれば、これは大きなメガバンクに吸収されちゃう、のみ込まれちゃうということははっきりしているわけなんですね。
 また、ペイオフの導入についても、大変信金は心配しているわけでありまして、ペイオフが解禁になったら預金は全部新銀行に行っちゃうんじゃないかということを大変真剣に心配しているところもありますし、金融機関全体を取り巻く厳しい状況等を考えますと、不安にまた不安が重なっているというような感じを受けるわけでありまして、シンジケートローンとか、もっと詳しくお聞きしたいんですけれども、今のお答えで精いっぱいじゃないかなと思うんですが、その不安を取り除くためにどういうことをしてあげられるかな、ただ設立だけじゃなくて、この人たちの不安をどうしてあげられるかなと考えながら協力をお願いしていくということが大事ではないかなと思うわけでありまして、最後に、この点は大塚出納長にお答えをしていただきたいなと思います。

○大塚出納長 ご指摘のとおり、メガバンクにおきましては、ご存じだと思うんですけれども、例えば三菱の融活力、三井住友のビジネスセレクトローンといった、中小企業向け無担保の融資を始めておりまして、そうではなくても体力の弱い地域金融機関が、さらに不利な状況に追い込まれることも十分に予想されるわけであります。
 新しい中小企業支援金融を創造していくためには、東京という同じ地域に根差す新銀行と信金などの地域金融機関とが、それぞれの有する特性を生かしながら、密接な協力関係を築く必要があるというふうに思っております。
 現在、双方にとって有益で、中小企業への新たな融資につながるビジネスモデルの協議を精力的に進めております。先ほどお答えを申し上げましたシンジケートローンにとどまらず、いろいろなスキームを考えておりまして、必ずその連携を実現してまいります。

○桜井(良)委員 そのスキームを早く知りたいんですよね。いつごろまでなんでしょうか。

○大塚出納長 私も、本当はこの場で、こうこうこうでございますということをオープンにさせていただいて、例えば記者の--この公開の財政委員会じゃなくて、そんなふうな特別な仕組みでもあればというふうには思うわけですけれども、事は、連携のほかの提携企業、信金等の地域金融機関に限らず、ノウハウなり、あるいは知恵を出してと、前にも申し上げましたけれども、守秘義務契約を結んで整理をしておりまして、できる限り早く、そこの条件が担保され次第、ご報告をし、ご審議をいただきたいというふうに思っております。

○松村委員 既に各委員からも指摘があったところでもありますけれども、こうして委員会で一日、新銀行について質疑をする場を設けたわけですけれども、実際には、今報告があった幾つかの中小企業などの報告しか出されず、前回の七月四日、既に質疑をやりましたけれども、何ら私たちがそれを受けて質疑できる材料がないということは、非常に残念だと思います。
 また、今、出納長は、そういう場というか、しかるべきそういう仕組みや場があれば今でも出したいというようなことをいったわけですけれども、一つには、もっとそれはオープンにして進めるべきだということを、くどいように私たちはいってきましたし、また、そういう場といいますけれども、どうして議会が信用できないかというか、場合によっては非公開も、もしそういうことで、本当にそれで中小企業のための支援の銀行がつぶれるというか、できないというんだったら、そういういろいろなあれで……。しかし、議会や都民に対しては、私は、もっとオープンにして進めなければ成功もできないという立場なんですよね。
 ちょっと皮肉じゃありませんけれども、今議会でも、冒頭、石原知事は、都議会の情報管理も大したものじゃないから、今までも全部漏れてしまってあれだったと。あれだったというか、そういう議会を本当に侮辱するようなひどい発言も、私はぜひ取り消していただきたいというふうに思うんですけれども、このことはくどくいいません。
 ですから、私も、さほどきょうの委員会では、七月四日以上の質疑を展開しようとは思いませんけれども、ただ何点かだけは、せっかくの場ですから伺っておきたいと思うのです。
 一つは、新銀行設立に都が負担する費用は一体幾らなんですか。現在の時点における腹づもりというか、見積もりでもいいですから、示していただきたいと思います。

○津島理事 今、私どもは、東京都の出資としては、東京都分としては、トータルとして一千億程度の金額を要するというふうに考えております。

○松村委員 出資としては一千億円ということは伺っていますけれども、それ以外にも商品を開発するとか、また既に委託していますよね、税務協会に。それから、さまざまな点を考えて、予備費を流用というか、今現在は出納長室で流用しているんですか。予備費をお願いしたいという発言もありましたけれども、それはもう手続をとられているのでしょうか。
 じゃ、そういう予備費はどのぐらいの範囲の金額なのか。五億円というような話も前にありました。それからまた、商品開発にかかわるさまざまな経費といっても、それじゃ、この五億円の予備費の中でできるんでしょうか。それも今度の第四回定例会あたりには出すとかいう話も、公式ではなく、いろいろ聞いておりますけれども、それらを合わせてちょっとお答えいただきたいと思うのです。

○津島理事 東京都が出資する資本の額というのは、この新銀行の基本的なフレーム、業務内容等を全部総括したフレームが明らかになる段階で大枠が決まってまいりますので、その時点で予算としてお示しするということになると思います。

○松村委員 それは納得できないですよ。私が今いった予備費のことも含めて、既に現在経費をかけてやっていらっしゃるんでしょう。そうすると、次の四定前に今いったフレーム、スキームを出すということで、では、第四回定例会で出てくるんですか。それとも予算なんでしょうか。それとも前の論議の中では二段階でお願いしたいというような答弁もありました。以前の答弁よりますます何かはっきりさせないというのは、それはおかしいですよ。おかしいというか、どういう手順で、開業までに一体都民が負担する費用というか、予算はどうなのかということをもっとはっきりさせてください。

○津島理事 現在執行している約五億円の経費というのは、予備費の話が出てまいりましたけれども、これは既に執行している予算の中での執行でございますので、これは決算でご審議いただくわけでございまして、私どもがいっている出資というのは、これから新たに新銀行の経費として立ち上がる部分についての審議でございまして、それとこれとは別でございます。

○松村委員 決算で議会がその可否を判断していただきたいみたいな発言にとったんですけれども、そうじゃなくて、現に予算を使って進行しているんでしょう。予算があって、それでさまざまな都の施策、かかわりのある施策というのが進めることができるんですけれども、私たち議会も、予算を認めたというか承認したという事実、まだないんじゃないでしょうか。知事が銀行設立というのを打ち上げて、それから突如として銀行協会に委託があったとか、出納長室があれだとか。
 その予備費が正式に手続をとられて、それが銀行のためのものだというんだったら、はっきりわかるわけですけれども、予備費というのは、本来、そういう性格のものじゃないというふうに私は思いますし、やはり都民の予算ですから、はっきりさせていただきたいと思います。
 それからもう一つ、何度も立ったりするのはあれですけれども、出資の一千億というのは前からもお話がありました。だから、それは二段階でお願いしたいという話もありました。それからあと、商品の開発に伴うものがいろいろ出てくると思うんですよね。そういう話も聞いております。それは今度の第四回定例会で、この出資の一千億円以外に出てくるやにも聞いておりますけれども、それらをどういうふうに今考えておられるのかということをお伺いします。

○大塚出納長 ご質問にお答えする前に、冒頭、松村理事がいわれたお話をちょっとだけさせていただきます。
 もちろん、都議会、都民の意思を背景にした都議会の考え方、意思が、私ども仕事をする上にとって何よりも大事だということは重々承知であります。ただ、この新銀行設立に限らず、政策形成の、その形成過程をできるだけ透明にというご意向があるのは重々承知でありますけれども、政策形成とはいいながら、政策形成過程の本当の揺籃期といいますか、あるいはスキームが固まる前の政策形成過程の議論を議会にお諮りしないとそれすらもできないというのは、私は、議会の権能と、それから執行機関との権能と、両方並び立つ世界ということで考えれば、そこはそれなりの整理というのがあっていいんじゃないかというふうに思っています。
 それから、さらに加えて、今やっている新銀行設立というのは、ほかの仕事と違って、いわゆる都の執行機関内部だけで仕事をしているわけじゃありませんで、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、それぞれの参加企業のノウハウ、それはいってみれば門外不出のノウハウ、その門外不出のノウハウを使わせていただいて、守秘義務契約をさせていただいて使わせていただいて、それでいろいろと議論をしている、そういう材料でありまして、二重三重の意味でそれなりの仕事の特性というものがあるということをご理解いただきたいというふうに思います。先ほど桜井委員にご答弁申し上げましたけれども、できる限り早く、条件が整い次第お示しをしたいというふうに考えています。
 それから、ご質問についてですけれども、長い経験をお持ちの松村理事に私が今さらお答えするまでもないわけでありますけれども、予算の中で予備費の認定というのは、一定の枠の中で既に予算としてご承認をいただいているわけであります。問題は、その予備費の使い道が残る。確かにおっしゃるとおり、この新銀行について予備費を使っていいよというふうなご判断というのはいただいておりません。でも、予備費を使ってそれを執行することが、現行の仕組みの上で許されていないということはないというふうに思っておりまして、そこは決算審議の中で予備費については十分なご議論をいただきたいというふうに思っております。
 予算、決算を通して総じていえば、いずれにしても、この新銀行にかかった金は、全体を通して整理をして、それで例えば一千億、これも仮置きでありますけれども、一千億という出資、これが大前提ですから、新銀行の固有の利益といいますか、いい方はいろいろあると思うんですけれども、そこのところに属するものについては、先行してかかったものでも精算はあり得るというふうに思っています。

○松村委員 予備費の点についてただされましたけれども、私も、今出納長が答えることの予備費が正確だというふうに思います。
 ただ、私がいわんとしたことは、予備費ですから、それは認めました、議会も。ただ、大きな災害とか地震とか、そういう緊急突発のことも含めたりして、いろいろ対応するためのものだというふうに私は考えております。
 ですから、あらかじめ、そういう大きな施策を立ち上げようといって動き出しているからには、そこが早く、都民の税金ですから、見える形にしなければならない。予備費を使うんだったら、では予備費の使う手続をおやりになっているんですかと。もしほかのところで、その予備費がほかに先に充当されたら、またそのための何か新たな補正を組まなければならないとか、当然なると思いますよね。予備費というのはいつまでも銀行のためにずっと置かれているという性格で私たちは決めた思いもございませんし、そういうものでもないと思う、ということが私の一つの質問というか、発言した趣旨だということを出納長も受けとめていただきたいというふうに思うんです。
 いずれにしても、私は、その額は、ですから今いった一千億を上回るというか下らないものになれば、今ここは財政委員会ですから、物すごい苦労して財源不足があるとかいう財務局の問題も受けとめて、どうこれを都民に責任を持ってきちっと財政運営をやるのかということで、真剣な議論を本当に毎日毎日積み重ねているところでありますし、一千億円というのは私は大変な額だというふうに思うんですよ。今、一体この都政、都財政の中で、予算をぎりぎり組み立てて、どこにその余裕があるのかというふうに思うんですよ。
 既に出納長は、前回の七月四日の私の質問に対しても、部長さんが出資の原資については一定の見通しを持っておりますといったら、重ねて大塚出納長から、「部長はわからないと思うんです。私はわかっていまして、いろいろな選択肢がある。」というふうに答えられているんですよね。
 だから、私は、今同時に財政論議をして、一体どうするのか、都民の施策を。今度は銀行税の、もしこれが通ったら、過誤納還付金まで返さなければならない、それすらどうするのかというときに、一千億円、既に大塚出納長はわかっているんですから、その選択肢もあわせて率直に出していただければ、私たちはそれも含めて都の財政を論議できる、そういう真摯な立場から今質問しているんですけれども、重ねてですけれども、明らかにできないんでしょうか。

○大塚出納長 きょうこの場ということではないんですけれども、松村理事がおっしゃるような形できちっとご提示を申し上げられると思います。

○松村委員 一千億円といえば、繰り返しになりますけれども、今大変な都民の血税というか額になるというふうに思います。そこで、そういう都民の税金を使う以上は、この銀行が本当に都民のために役に立つものでなければならないということは当然だというふうに思うんです。
 それで、石原知事の、お魚屋さん、八百屋さんに貸さないような発言が大変都民にも衝撃を呼んでおります。あってはならない発言だと思いまして、繰り返し我が党は、もし誤解というか、それを招いたというんだったら、きっぱりとこれは撤回すべきだということを繰り返し求めてきましたけれども、いまだかつて--誤解を与えた、申しわけない、その発言は取り消します、新銀行はこういうふうに都民の期待にこたえますということをいった方が、この新銀行は成功するんじゃないんでしょうか。どうなんでしょうか。

○大塚出納長 知事のご答弁については、それはこういうことなんだということで、前の財政委員会でお答えをいたしました。それをああいう形で表現をした。その後、たしか本会議でも何か同じような--その前ですか、あるいは後でしたか、いずれにしても、何回かたび重なる共産党さんのご指摘については、その真意について私の方からも説明し、それから、知事も本会議でその中身を説明したつもりであります。
 ですから、またここへ来て、会期を変えてまたさらに同じようなご質問なりご指摘が出てくるというのは全く考えておりませんでして、私からの答弁は、既に前会期を含めてご答弁をしたとおりであります。

○松村委員 質問の真意が伝わってないというふうに思うんですけれども、魚屋さんや八百屋さんに貸さないよと、引き続き、救世軍やサンタクロースじゃないという言葉がありまして、補助金じゃ確かにないですよね。融資ですよ。それはきちっと、融資ですから、利子もつけて返してもらう、これは補助金とは全然違うわけですよね。
 ところが、七月四日の委員会でも、今出納長は、当たり前のことを知事は当たり前にいったということの釈明というか、しましたけれども、その発言をよく見ても、何々をやっていくわけでありますけれども、リスクカウントはせざるを得ないとか、この前の撤回を求めた本会議での知事発言も、技術力にすぐれた将来性があるならばと限定しているんですよ。
 だから、私たちがいったのは、そういう商店の魚屋さんや八百屋さん、そういうのに貸さないよということと、サンタクロースや救世軍じゃないよ、共産党勘違いしているんじゃないのというのとは、物すごい格差があるんですよね、違いがね。そんなことを聞いているんじゃないんですよ。だから、そういう貸し渋りや貸しはがしで困っている魚屋さんや八百屋さん、それにだから東京都は貸すのですかということですけれども、貸しますとはいわないで、技術力や将来性があるならばとか、大塚出納長も、当然リスクカウントはせざるを得ないということで、これはだからやはり選別というか、限定していっている。そのところのすごい違いがあるんですよね。
 ですから、前も、この当委員会でも、たしか自民党の方の桜井委員でしたか、では先着順に受け付けて貸したらどうなのと。私はそれも一つの手だというふうに思いますよ。先着順ならば、選別でも、何か限定して貸すという意味じゃありませんから。私は、少なくとも、東京都が都民の一千億円の税金も使ってやるならば、そういうものでなければならないというふうに私は思います。
 ところが、いや、それは株式会社や企業でやるんだから、当然そういうことになってしまうよといったら、それはではどこで線を引くのかといったら、いまだかつてその融資モデルが出されていないから何ともいえませんけれども、しかし、それによっては当然民間金融機関と同じようにやっていることになってしまう。それでは、東京都があえてつくる、しかもこの財政危機の中で、一千億円という都民の税金を使ってやる意味が果たしてどこにあるのか。いや、あるというならば、都民の支持を受けたいのだったらば、今以上そういう知事の不要な発言は取り消して、私は、そういう選別融資ではない、本当に今不況に陥っている都民を救うべきだと。
 本会議でも、私たちは、だから例えばそういう今の公共事業の受注を今も受けられる、ところが、銀行がそのわずかなつなぎ融資も許してくれないために、それを受けられなくて倒産した企業とか、また、整理回収機構に送られても、まだ頑張れるんじゃないかといって信用保証協会に回されたケースなど、たくさんの相談を受けています。また、本体は健全で頑張っているのに、あのバブル期の銀行の追い貸しなどによって、不良債権、不良債権というかそういうふうに認定されたものがあったために、途端に本体の事業も資金繰りに苦しんでいるとか、等々たくさんの相談を受けています。
 そういう中小企業に貸すのか貸さないのか。それであくまでも答弁は、まだ融資モデルが出されていないからでしょうけれども、限定つきなんですよね、将来性や技術力があるならばと。では、どう判断して、限りなくゼロにというか、すべての都民の方々に貸すようなものにならないのかということを再度私は(大塚出納長「質問ですか」と呼ぶ)質問です。明らかにしていただきたい。まずは知事の発言を取り消させるようにしたらどうですか。

○大塚出納長 ずっと長いご質問を聞いていまして、長いご質問をお聞きしていまして、私、一つだけわかったことがありました。松村理事が考えている新銀行のコンセプトは、私どもが考えている新銀行のコンセプトとかなり違うということがはっきりわかりました。それだけはっきりわかりました。
 知事がいっている、言葉はどういったかはともかく、魚屋さん、八百屋さんと、救世軍じゃないんだというのは、それはだからつながっているんです。同じことをいっているんです。それが同じことをいっていないというふうに何回もおっしゃる松村理事の考え方、それはよく私わかりました。

○松村委員 大塚出納長が知事ともどもつくろうとしている銀行も何となく私も見えてまいりました。それが、今のこの時期になぜ都民の一千億円もの税金を使ってやる必要があるのかということを本当に、今の時点でですよ、今の時点の感想は、そういう認識を改めて持ちました。
 それで、私どもは、本当に今都民の不況の中でやるべきことは、もう繰り返しませんけれども、先ほど来出されている制度融資、例えば無担保無保証人融資制度というのがあるわけですよ、もっとそれを、限度額を中小企業などが使えるように引き上げるとか、またはその返済期間を長くするとか、または今いった借りかえだとか、それから、貸し渋りや貸しはがしに遭っている、そういう中小企業を対象とした特別融資枠を設けるなど、やるべきことはたくさんあるんですよ。その方が最も今都政がやるべき中小企業支援だというふうに、私はこの点は主張いたしまして、改めてまた質疑させていただきます。

○藤田委員 初めにご説明を受けて質問ができると思うわけですけれども、なかなか、委員会の報告、そして即質問ということになりますと、的確なものができるかどうか不明でありますけれども、しかし、この間またいろいろなところでいろいろな報道がされている中、また、いろいろなところにお聞きをした中で疑問も出てまいりましたので、何点かお聞きをしたいというふうに思っています。
 まず、第一は今後のスケジュールでありますけれども、十六年中の発足となっているわけですけれども、今後どういうふうなスケジュールになるのか。
 一つは、例えばSuicaとの共同のような新しい試みをどうしていくのかというようなこともいわれておりますけれども、こんなことがどんなふうになっているのか。いわゆる統一ICカードによる利便性の向上というような状況は、企業との提携等の進捗状況はどういうふうになっているのか。
 それから、十六年中の発足というふうでございますけれども、新銀行の許可というものでございましょうか、実は私たちも地域の中で、これは女性たちが、新ビジネスというよりも、地域の中で例えば小さなスモールビジネスをやるときに、本当に市中の銀行は全く貸してくれませんし、信用金庫、信用組合でもなかなか難しいというところで、みずから銀行をつくろうというところで、神奈川で一つ、それから、この十月の終わりぐらいに東京でもつくることになりましたけれども、貸金業だけにしかできないというのは、今の規制があります三年後の黒字がどうなるかというのが非常にネックになっておりまして、なかなか銀行業まで進まないということがありますので、こういうことも考え合わせまして、新銀行の許可などの手はずというものは、今後のスケジュールがどんなふうになっているかをまずお伺いしたいと思います。

○関参事 藤田委員の三点のお尋ねに対してお答えいたします。
 まずは今後のスケジュールでございますけれども、現在、新銀行の設立に向けましてその具体的なビジネスモデルについて実務的な検討を重ねております。こうしたモデルを踏まえまして、今年中には新銀行の基本スキームを明らかにしていきたいと思っております。
 それから、Suica等の新しいICカードに関する進捗状況ということでございますけれども、こうした今ビジネスモデルの具体的な検討の中で、JR東日本や信金中金、その他信金等の地域金融機関を初めとする多くの提携先とともに、事業内容をかなり精査させていただくとともに、実際ビジネスでございますので、その辺の協議を精力的に進めさせていただいておるということでございます。
 それから、金融庁への免許取得の手続ということだと思いますけれども、銀行設立手続については、まず、私どもで今年度中に準備会社を設立いたします。平成十六年度中には開業に向けて銀行免許を取得する予定でございまして、現段階では予備審査申請ということでございますので、金融庁に対して具体的な準備を精力的に進めているという段階でございます。

○藤田委員 ちょっとお尋ねしますが、その準備会社を設立して予備審査の申請に向けてというふうになっていますが、実際にはどのくらいで許可というものがおりるものなんでしょうか。

○関参事 許可につきましてはさまざまでございますけれども、おおむね一年から二年程度ということでございますけれども、免許取得ができますと、ソニー銀行等の例を見ますと、数カ月で開業という形になっております。

○藤田委員 済みません、もう一度聞きますが、申請を出して一年から二年、そして--ということですか。

○関参事 申請という段階の前に予備審査申請というのがございまして、このトータルで一年程度ということでございますので、予備審査申請を通りますと、かなり短い期間、数カ月でということになります。

○藤田委員 リスク管理というのが非常に大きな問題点だというふうに思っています。前にもこれは質問したことなんですけれども、日本の中小企業は財務諸表などをまず作成していない、それから、作成をいたしていても、なかなかこれが開示をしていないということになって、これはそれぞれの、中小企業も非常に問題があるわけですけれども、新銀行にとって非常なリスクとなることは避けられないわけです。
 この解決策として、先ほどもご質問がありましたけれども、信用金庫をある意味では手足といいますか、そこのノウハウを聞きながら、あるいはそこが相手になって、どういう状況であるかということを聞きながら、それを融資モデルの評価にしていって、それでリスクを少なくしていくのだというふうにいわれていたわけですけれども、実際に信用金庫に対しての協力の状況がどんなふうになっているかを伺いたいというふうに思って用意をしていたのですが、先ほど質問がありまして、現在、信金中金やそれから個別信金を含めて、複数の信金関係者が具体的な検討に参加しているというお答えがあったわけなんです。
 その後のお答えの中で、実は信金中央金庫と具体的に話をしているというふうになったんですが、これは、今連携をしているのは個別なんですか、それとも信金中央金庫なんでしょうか。

○津島理事 現在、地域の金融機関の代表ということで検討に参加しておりますのは、信金中金も個別信金も含めてでございます。

○藤田委員 私は、普通に考えれば、ある意味では競合先ですよね、信用金庫というのは。お互いに銀行なわけですから。その人たちがどうして、さっきお話があったんですが、中小企業との話し合いの具体的な内容はというふうに伺った中で--ごめんなさい、では、もう一回それを聞きますね、先に。中小企業との話し合いの内容、具体的な内容をもう一度ご説明ください。

○津島理事 地域金融機関との協力の内容でございますけれども、まず、中小企業が抱える現在の現状や問題点について協力して分析、把握するということでございます。それから、新銀行の融資に当たっての利率設定の考え方、それから新たな融資対象の可能性、経営者の資質や地域の信用情報の収集、それから審査面におけるノウハウ、そういった部分について多くの貴重な意見やデータをいただきながら、将来の提携を含めて協議を進めているということでございまして、共通のビジネスチャンスの部分ももちろんございますし、それから、例えばポートフォリオ型融資というような、今まで信金がやっていなかったようなものもございます。こういうことを協調してやる中で、総体としてビジネスチャンスがふえるということで進めております。

○藤田委員 最後にお答えがあったわけなんですけれども、私は、現状での問題点を洗い出すとか、そういうことについていえば、まさにお互いにいろいろなことを高め合うことに十分役立つんだと思うんですが、ただ、そこは、利率の問題ですとか、それから三番目におっしゃったようなことはなかなか、ある意味では競合先と考えられる新銀行にそのノウハウを教えるかしらというのが非常に疑問なんですけれども、そういう意味で、先ほどの質問にもあったように、実際には個別信金も含めて協議をしている、話し合いをしているというふうにありましたけれども、なかなかそこの、ある意味では協力が本当に得られているのかしらというふうな思いがといいますか、あるんですけれども、その辺については、もう一度どんなふうになっているかを教えていただきたいと思います。

○津島理事 先ほど出納長の方からも少しご答弁があったわけでございますけれども、融資というジャンルにおけるビジネスチャンスばかりじゃなくて、これから全体のスキームをお示しする段階で具体的に提示できると思うのでございますけれども、ほかのいろいろなビジネスチャンスも含めて現在検討しているということでございます。

○藤田委員 なかなかその辺が難しいところといいますか、情報公開がなされないものですからなかなか難しいわけなんですけれども。
 それで、もう一つ、人件費を圧縮するためにネットバンキングなどの構想が練られているというのは、この要求資料の中にも調査をかけていますのでわかるわけなんですが、いわゆるアメリカ型で、シティーバンクが代表かと思いますけれども、電話でも私ももう何回も失敗して、もういいわといって、実質営業所へ足を運んで、それでもあそこは非常に対応が悪いところですので、何も結局解決ができないまま帰ってくることが多いんですけれども、結局シティーバンクも支店をふやさなきゃいけないような今現状にあるというふうに聞いています。
 新銀行はもちろん決済だけの銀行を目指しているわけではありませんし、と思いますから、そういう意味では、どういうふうな形で融資をしていくかということを目指す銀行としては、そこにおいては、中小企業に対して既に多くの銀行が、例えば三井住友なんかは最近非常に大きく売り出していますけれども、無担保融資を含めて、中小企業に対しての大きな支援をしていくんだというようなところがたくさん出てきているわけなんですね。そうすると、その資金調達において安全、有利な金融商品を用意するとすれば、どうしてもコストがかさむわけですから高い金利になるというようなことになると思うんですけれども、こういう状況の中で、支店は少ないわ、それから、中ぐらいの銀行になりましょうか、二千億というふうになると、しかし、そういう意味では、メガバンクがこういう中小企業に対しての非常に勢いを増して新しい商品を売り出しているというような、そういう状況になってきている中で、他行との競争という意味で、これが本当にできるのかどうかというところでありますけれども、その辺についてはどんなふうになっていますでしょうか。

○関参事 まず、新銀行でございますけれども、新銀行は決済だけの銀行ということではございません。幅広く融資や預金業務を行っていきたいと思っております。
 また、中小企業支援はその事業の中心でございますけれども、社会的インフラの一つとして発展性のある銀行になっていく必要があると考えておりまして、そのため、店舗やATM、インターネットなどあらゆるチャネルを活用してサービス向上に努めていきたいと思っております。
 不良債権等を持たないということで有利なわけでございますけれども、確かに最近、無担保融資も出ておりますけれども、融資の金利水準というものは個別の案件により異なっておりまして、低い金利から、リスクに応じてある程度高い金利まで、これはさまざまでございます。当然リスクに応じるということでございます。
 ご指摘の他行との競争力についてでございますけれども、こうした個別の金利の比較だけの問題ではなくて、むしろ新銀行の高い信用力、アンケートにもあったような高い信用力に基づいて、資金調達力、それから資金の運用力、それから低コスト体質などを生かしまして、銀行経営としての健全性を維持できることが、融資をするための体力、競争力を保ち続けるということで、十分競争ができるというふうに考えております。

○藤田委員 今のお答えの中に、店舗や、それからATM、インターネット、あらゆるチャンネルを活用していくというふうにありましたけれども、これをまず極力抑えて低コスト体質というふうにおっしゃったと思うんですけれども、もう一度伺いますけれども、店舗、それからATMはどのような形にしてやっていく内容になっておりますでしょうか。

○関参事 まず店舗でございますけれども、既に十店舗ということで仮置きでお示ししているところでございますけれども、店舗は極力少ない形で、サービスの中身で勝負という形を考えております。
 それから、ATMにつきましても、これは効率性等も踏まえつつ、少ない数で大きなサービスができるような形を現在検討しているところでございます。

○藤田委員 十店舗がどれだけの、この広い東京の中でどういう意味を持つかというのはなかなか厳しいなというふうには思いますけれども。
 それでは、この調査の方について何点か伺いたいと思います。
 まず、アンケートというものをやるときに、私たちもいろいろな部分でアンケートというのをやります。それでは、ある程度は自分たちがもらいたい答えを予測してアンケートというものはつくるわけです。本来ですと、一般的に聞いたようにあれですけれども、恣意的であるというふうに私は思っているわけです。自分たちが望む答えとなるような質問をつくるのが普通だと思います。
 今回の資金需要の調査と、それから預金等の意向調査は、まずどの部署がつくったのか、そして、調査で求めたかった事柄はどんなことだったのか、伺いたいと思います。

○関参事 ご質問の調査の担当部署でございますけれども、実質的に出納長室の新銀行設立準備担当部門が行ったものでございます。
 目的でございますけれども、新銀行設立のための戦略上の見地から、目的別に作成し実施した一連の調査ということでございまして、結果について何らかの意図を持って聞いたということはございません。作為的なものではございません。
 それぞれの調査の目的ということになりますけれども、eモニターアンケート、都政モニターアンケートにつきましては、都の施策である新銀行構想の基本的事項に対しまして、広く都民の意向や感想を幅広く調査したものでございます。
 それから、中小企業資金需要調査、預金者等意向調査は、具体的に新銀行のビジネスモデルを作成する上での必要な企業や個人のニーズを把握するために行った調査でございます。

○藤田委員 それとあと、この中で私が見たいなと思ったところは、実はやはり非公開なんですね。ビジネス戦略上、非公開とするというところが何カ所かありました。
 それで、実は私の知り合いにこの調査を、中小企業の方ですので、アンケートを受けましたかといったら、たまたま受けていないということでございましたので、アンケートをしてもらいました。そしたら、五番のところなんですけれども、いわゆる融資は長期か短期かというのと、金融機関から提示された金利はどのくらいだったかというところなんですけれども、長期で二%未満というようにお答えになっていらっしゃるわけなんです。これがどんな状況だったかはわかりませんけれども、ある意味では他行の、今現実にビジネスモデルの中にあるものは大体二%から三%ぐらいでしょうかね、そういうのが並んでいるかと思います。もちろん、非常に大きなパーセントをかけた、一〇%ぐらいの分もありますけれども。そういうことでありますと、なかなか、ああ、これは大変だなというのが実際にあるわけなんです。
 もう一つ聞いたところで、融資以外の業務というのがありましたので、そこを聞いてみると、新銀行に期待するものはどんなことでしょうかというところで、ファームバンキングサービスというのがあったんですが、どういうことかというと、海外展開をしているというようなことでしたので、そうすると、中国と韓国かな、そうすると、円とドルとウォンと元とを全部操作しながら、為替差益を見ながら、そこの製造と日本の製造と各企業との間を全部やるということになりますと、なかなかこういうことが、そこまで期待されているのだとしたら、非常にかなりの人数といいますか、店舗が十店舗で--どういうときに銀行に行くかというと、普通は、決済だけだったらインターネットでも何でもいいんですけれども、どうしたらいいかというのをある意味では相談しながら、そして、そのためにはお金をどうやって融資してもらうかということを決定するには、やはり銀行に出向くか、あるいは来てくださるか、どっちかだと思うんですけれども、そういう意味では、先ほどお話をされたような十店舗、そしてATM、インターネットというような状況だと、今の中小企業でもピンからキリまでありますから、資本金は一億円ぐらいというふうに聞いていますけれども、事業高で、ここに書いてもらったのが五十から百億ぐらいだというような企業だと、そのくらいやらざるを得ないとなると、どこまでが新銀行に期待されているというか、やらなくちゃいけないことなのかというのは非常に複雑になってくるかと思うんですけれども、この辺のことはどんなふうに考えられますでしょうか。

○大塚出納長 藤田委員が、ある意味では本当はありがたい、お手伝いをしていただいているようなお話でありがたいんですけれども、ただ、お聞きしていて、恐らく藤田委員がアンケートのスタイルでお聞きになったその企業というのは、相当レベルの高い、規模じゃなくて、規模がどれぐらいかわかりませんけれども、相当レベルの高い、このご時世の中ではうまくいっている、そういう企業だというふうに受けとめました。
 というのは、一つは、二%未満で、しかも長期で、恐らく担保はあるんだと思うんですけれども、担保無担保、ましてや無担保で二%未満で長期で借りられるような、そういう企業ということになると、これはかなりの企業だと。それからさらに、決済で海外取引をやって、そういう高度なビジネスの中できちっとして存在し続けられる企業だということだと思うんですね。そういうことで、いわゆる一般的な、私どもが考えている一般的な企業の概念とは必ずしもマッチしないというふうに感じたのが一つ。
 それから、それはそれとして、藤田委員がおっしゃるように、こういう厳しいビジネス環境の中で、しかも多様なニーズの中で、いろいろなニーズがあって、それで後発組の新しい銀行が本当にどうなんだというご心配だということなんですが、結局銀行というのはいろいろなビジネスをやる。これは銀行によっていろいろありますけれども、国内取引、海外取引を含めて、それは融資もある、融資以外のいろいろな商品の販売もある、そういうことを含めてどれぐらいの業務粗利益を確保できるかというのが、まず一つその銀行の体力の一番大もとの根っこになります。この業務粗利益をどれぐらい稼いでいるかということになると、メガバンク、地銀でかなり差がある、利益率が。それが一つ。
 もう一つは、業務粗利益、一定の業務粗利益を前提に、その次に来るのは経費率であります。経費率も、これまたメガバンク、地銀含めて物すごく差がある。例えばメガバンクだけで申し上げますと、住友は三〇%ぐらいです。それで、メガバンクの中でも何とか圧縮しようということで努力しておりますけれども、五〇%を超えるような、そういう経費、コストをかけて転がしている。地銀なんかだと大体五〇%以上だと思います。
 戻りますけれども、先ほど申し上げた海外運用、それから国内運用を含めて、利益率の差というのは、総じていうとコンマ五以上、場合によっては一%ぐらいの差があるかもしれません。その粗利益からコストを引いた残りがいわゆる純益になるわけであります。
 この銀行というのは、先ほど来いろいろ理事あるいは担当参事がご説明しておりますように、仮置きとしての最後の粗利益から、その経費率がありますね、それをずっと引いた出てくる利益、その利益をできるだけ大きくしたい。その手法としては、低コスト体質でということで、その経費のところを何%にするかということでできるだけ抑えていきたい。それから、粗利益は、これはビジネスモデルと関係あるわけでありますけれども、営業範囲と関係あるわけでありますけれども、それはこの銀行の特性を踏まえた個性的なモデルをつくって、そこで、その粗利益の中で、コストをかけないでも済むような、そういうスキーム、商品、そういうものを展開したいということであります。
 一言で申し上げますと、この銀行の理念というのは選択と集中であります。ですから、先生おっしゃいましたように、幅広い、物すごい膨大な人的資源、物的資源、そういうものがないとできないような、いわゆるファンダメンタルの大展開というのは実は考えていません。それで、核として銀行の店舗数十店舗というふうに申し上げました。それからATMも、自前のATMというのは、コストとの関係もあって、それは最も効率的な配置を考えます。
 プラスアルファで外との連携をハードの整備の上でもやっていきたい。ATM、それから自前の店舗は持たないけれども、その連携をすることによって、必要なハードを自前で持つよりは、結局は、どれぐらいのハードを持つかということは、ビジネスモデルと非常に密接に連動してくるわけでありますけれども、その最適水準、それぞれの物差しの最適水準のところでそれを組み合わせることによって、先ほど申し上げました、できるだけ大きな業務粗利益を稼ぎ、できるだけ小さなコストで、それでこの銀行の体力を、その必要な政策目的を達成するために必要な銀行の体力を何としても確保していきたいということであります。

○藤田委員 今のお話でありますと、選択と集中ということでありますから、そこにぴったりの預金者と、それから融資を受ける人たちというのがいるわけで、すべての人が何かバラ色のようなというか、すべての中小企業にバラ色というような状況でないということはよくわかりました。
 それで、今回のように銀行に出資ができるということは、行政の事務の中でできるのだということがありました。最初のお答えの中であったと思います。
 普通に考えますと、世の中の人々のニーズに税金が使われるというふうに私は思っています。派生的なニーズ、いわゆるウォンツ、要するに欲求ですね、こういうことに関しては財源は何かといえば、私的、いわゆる市場に任せるべきだというふうな考え方が普通だというふうに思っています。
 今回の銀行は、目的が中小企業の支援、最初にありましたけれども、中小企業への資金供給、優秀な中小企業が持てる力を十分に発揮できる環境を整えることが重要なんだということが今回の銀行の目的だったというふうに思います。これは、実は東京の産業をどういうふうにしていこうかという大きな目的の中で、私はやはりニーズだというふうに思っています。
 ところが、このニーズをきちっと実行するために、ではこれを銀行でという形で行おうとすると、実はこれはもう市場の世界だというふうに思うわけです。ですから、結局これはウォンツということになってしまって、行政でやることなのかな。私はここは行政でやることじゃないんじゃないかというふうにどうしても思えるわけなんです。
 ですから、この財政委員会の中でも、そこまでいくと全部ストップしちゃうわけなので、というのは、行政でやることだったら全部出てくるわけです。私たちに情報公開として明らかになるわけです。それが形を変えてどういう形でやる、資金を今のような融資モデル、融資をしていこう、産労局がやっているようなことであれば、全部これはニーズとして中小企業に対しての状況になるわけですから、これは全部明らかになります。どのくらいの利子を応援していこうということになりますけれども、銀行というところが入るいわゆるウォンツと、そしてこれは市場の中でやっていくべきことだということになるから、これがなかなか情報公開にもならない。そして、この新銀行に関しては何回も委員会をやっているわけですけれども、全然明らかにならないので、みんなもうフラストレーションですね、ある意味ではね。
 だから、そういうことになって、本来これを行政が実施すべきなのかどうかというのは、私は非常に疑問に思っているところなんですが、お答えをいただきたいと思います。

○大塚出納長 ご答弁させていただく前に一点だけ整理をしたいんですけれども、例えば行政の領域であっても、政策形成過程の本当に端緒の部分については、これは執行機関の役割としてきちっと整理をさせていただいて、ある程度のものができてから議会の審議をいただくというのは、これは別に行政のエリアであろうと、それは同じだと思うんです。
 ただ、藤田委員おっしゃるように、これにプラスして、例えば守秘義務みたいな世界が出てきますから、そういう意味では、プラスしてある種の制約条件みたいなものがそれに乗ってきているという、そういうふうな受けとめ方をさせていただきたいというふうに思いますが、その上で、端的に申し上げますと、もし仮に今届いていない中小企業の金融の世界がある。一方、金融情勢といいますか、先ほど来ずっといろいろやりとりをしてきておりますそういう状況で、現実に届いていない、何とかしなくちゃならないという意識は、これは国もあるし、それからいろいろあるわけでありますけれども、しかし、実際にマーケットの論理だけで、厳しい経営環境の中でそれぞれの銀行が、あるいは銀行以外も含めてですけれども、金融機関が自己防衛といいますか、企業体としての存続を前提に、要するにリスクの高いところに手が出せないような現実の問題があるわけです。これは事実としてある、残念ながら。
 一方、では、そこの足りない部分、その部分というのは、だれかやれるやつ、やれる、本当に、だから私どもで考えているようなことをやってくれる、民で、やってくれる人、セクションなり、あるいは金の出し手があるんだったら、端的に申し上げますけれども、東京都がこの新銀行構想を発表するということはなかったと思います。
 ですから、それはどういうことかといいますと、仕事の質といいますか性質といいますか、それは、藤田委員おっしゃるとおり、ある意味では行政のエリアを一歩踏み込んだ話だと思っています。ですから、仮に一千億、これは仮置きでありますけれども、行政のエリアを一歩踏み込んでも、そこをやることによって、今の金融環境の中で足りない部分を、いわばやむにやまれず補って、それによって東京都の中小企業を中心に必要なそこの手当てをしたい、そういう思いで知事の構想というのは出てきているわけでありまして、行政のエリアじゃないというふうに割り切って、そこに届かないことを承知でいながら、それを補完するような機能というのが短期的に出てこない、マーケットに完全に依存したら。それを承知しながら、これは行政のエリアではないということで何もしないということは、これはだから選択としては当然あり得るわけであります。
 だから、歴史の整理でありますけれども、この一千億という金を民間が、どこのだれかわかりませんけれども、それをもって今の東京の産業再生のためにそこでやるんだというところが今出てきてくれれば、それはもう喜んで東京都は手を引くということであります。
 なお、先行きは、これはあれなんですけれども、東京都の出資した一千億というのは、もともと、そういう性質の出資をするかもしれない、あるいはするであろう一千億というのは、もともとそういう性質のものでありますから、いろいろな条件が成熟した段階では、その一千億の精算もまたあり得るというふうに思っております。

○藤田委員 これまで何問か質問させていただきましたけれども、十六年中には開業に向けての免許取得をすることで、予備審査に向けて具体的な準備を進めているところです、あるいは、信金などとも具体的な話し合いの中でうまくいっているんだというようなお話があったわけでありますけれども、実はこの間、いろいろな新聞や雑誌の中でもこの新銀行について解説がなされていますけれども、これらは、今までのご答弁があったような強気のバラ色の銀行には書いていないのが私は現状だというふうに思います。今お話がありましたように、こういうことをきちっとやってくれるところがあれば、行政のエリアの問題ではなく、ぜひどこかがやってくださいということもあろうかと思います。
 私は、今のこの経済の状況、変動の激しいとき、代表質問の中でも、まずビジョンを掲げて、そして庁内、内部の改革の問題である都庁アクションプラン、それから本年度の重要施策、それから財政再建推進プランをつくって、そしてやるべきなんじゃないかということを申し上げたんですけれども、ビジョンは要らないと。千客万来のが生きているのかどうかわかりませんけれども、知事が新しくこの四月に当選したにもかかわらず、実際には選挙公約だけで事足りるというふうにいっていらっしゃる。
 それは、実際にはこういう非常に変化の激しいときだから、自分が思いついたことをやればいいというような、そんなお話だったわけなんですけれども、そういうようなことになりますと、その知事のことが正しいとすれば、私は余り正しいとは思っていませんけれども、本当に経済の状況は半年でぐるぐる変わってしまいますし、今回のように株価が上がってというのも、選挙にお金がかかるから、そこまではとにかく上げておこう、その後はまた下がるぞみたいなことも平気でいわれるような、そういうような時代でありますから、私は、この二年で、計画を発表してから、許可を得て、実質この銀行が発足されるまでの二年の間、どれだけ経済状況が変わるかというのを非常に心配をいたしております。
 そして、このことは、経済状況だけではなくて、都政においてのいろいろな事業についてもそうでありましたけれども、臨海副都心なんかはまさに行くも地獄、戻るも地獄というような状況で、毎年毎年二百七十億をつぎ込んでいるというような状況でありますから、こういうことを考えると、私は、今のこの新銀行を、ある意味では--竹中さんがこういうことに手を挙げてくれる人がいることを大いに歓迎するというふうにいって、これは参ったなというところがメガバンクにもあったんだと思います。そして、中小企業に対しても本当に真剣になっていかなくちゃいけないというところまで私は今動き始めているというふうに思いますから、そういう意味では、東京都がこういう大きな構想を出したことについても非常に有意義なことだったと思いますので、ある意味では戻ることも私は考えておくべきだというふうに思っているわけです。
 もちろん、発表されたことを鋭意努力することは十分必要でありますし、それがもしかして、いや、ここのところでやはり難しかったということを提案してくださって発表してくださることは何ら問題はないと思っております。それが一千億ということだけではなくて、予定している出資が一千億ということだけではなくて、こういう経済状況の中で、そしてお互いに切磋琢磨する市場の中の銀行だからこそ、ここは本来行政のやるべきことかどうなのかということをもう一度考えたならば、私は撤退ということも、余儀なくされるんじゃなくて、選択をしてしっかりと提案をしていくということがあってしかるべきだと思っていますので、退路をきちっとつくっておくということも、ある意味では重大な決意をしなければいけないというふうに、そういうときもあるんだろうというふうに思っていますけれども、これは何も、今も申し上げたように、ただの敗者の弁ではなくてというふうに思っておりますが、このことについてお答えをいただきたいと思います。

○大塚出納長 いろいろなプレスあるいは雑誌等を含めて、マイナーなある種の報道がされているというのは重々承知しております。
 結局これは、私どもが今やっている、情報を遮断しておりますので、極めて限られた情報の中で、しかも取材先というのは、ちょっとずれたような世界の中でその取材をされて、結果として、ほんの一部のものをもとにああいうふうな感じになっているわけでありまして、今私どもがチームの中で現実にやっていて、今の段階で到達している内容を仮にお示しできるとすれば、そういうふうなことは払拭できる、そういう内容であります。
 藤田委員のご心配は重々わかっているわけでありますが、先ほど来ご説明してきておりますように、例えばいろいろな調査結果あるいはアンケート結果を含めて、現時点で、中小企業の支援を一つの大きな柱とする新銀行設立の必要性というのは全く変わっていないというのが私の認識であります。
 メガバンクを中心にして、中小企業融資のところにそれは入ってきておりますけれども、これはビジネスとして、極めて短い返済期間を設定し、金利もそれなりの金利を設定し、そこが一番利益が上がる、そういうエリアだということで、ご案内のような限られたモデルで入ってきておるわけでありまして、これを幾らやっても、先ほどご説明申し上げました、本当の中小企業あるいは都民のニーズにはこたえることにはならないというふうに思っています。
 それから、包括根保証のご説明もさせていただきましたけれども、あれはいってみれば基本的なスキームといいますか、の世界でありまして、ああいうものが、仮に経済環境が一部よくなかったからといって、ああいう基本的なスタンスというのが変わることはないわけでありまして、そう簡単には変わらない。それはビジネスだからです。だから、そう簡単には変わらない。そういう仕組み、制度、体質、姿勢、そういうことを含めて、そのグラウンドを考えたときに、二年後の経済環境がどうなっているかというのは確かにありますけれども、たとえどうなっても、ぐるぐるめぐるわけでありまして、新銀行設立をすることによって、ああ、あってよかったという新銀行を設立することによって、都民、中小企業にその成果なりを届けることは十分に可能だというふうに思っております。撤退をする意思は全くありません。

○藤田委員 撤退をしろなんていっていませんから。今一生懸命やってくださっている職員の方々も本当に大変な思いでやっていらっしゃると思いますから、もちろんそれは重々承知をいたしておりますし、ただ、今おっしゃったように、銀行となりますと、行政ではありませんから、利益追求にならざるを得ないと思います。それらをなしで長期でお借りくださいというのでは余りにもリスクが大き過ぎますから、そういうふうには決してならないと思いますので、それもこれも含めまして、ある意味で、そういう退路を全部閉ざしてやらなくちゃいけないという野中さんのような意気込みではなくて、そこも含めて--別に私がいったからといっていることはないかと思いますけれども、こういう意見もあるということをご承知おきいただきたいというふうに思っています。
 以上です。

○川井委員長 この際、議事の都合により、十分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時二十八分開議

○川井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○北城委員 七月末の日銀のまとめでありますけれども、銀行の貸出金が預金を百兆円を下回る、こんな発表がされたわけです。
 私は、この主たる事由といたしまして、不良債権問題に直面している銀行が焦げつきを恐れて新規の貸し出しに慎重になった、これが一つある。
 そして二つ目は、やはり自己資本比率低下を防ぐために、資産となる貸出金を圧縮しているという状況がある。これが私は主たる理由なのかなと思わざるを得ないわけであります。
 そしてさらに、二〇〇三年版の中小企業白書でありますか、借入金の金利引き上げを要求された中小企業は、調査対象八千社のうちに二四・二%もあるということも報告をされております。そして、その内訳でありますけれども、メーンバンクの大手銀行が三二・八%、そして地方銀行が二一・一%、そして信用金庫、信用組合が一五・二%あります。まさに銀行の体質を物語っている数字であると私は断じていいのかな、こんなふうに思うわけであります。
 そして、特に既存の借り入れの返済の要求が強まっております。事実、強まっております。そうしますると、中小企業の多くは安定的な資金調達が困難になってしまい、経営の安定に大きな支障を及ぼしていく、これがいまだにある中小企業の状況なのかな、こんなふうに思うわけであります。
 そんなことを考え合わせますると、私は、新銀行の持つ意味は二つあるのかなと、こんなふうにも感じます。
 その一つとしては、やはりそのような中小企業を支えていく、もちろんこれが一つであります。そして、もう一つは、この新銀行の設立によりまして、日本の疲弊し切った金融システムの改善につながっていく、これが二つ目の大きな意義になるかなと、こんなふうに思うわけであります。だからこそ、新銀行は、中小企業応援団銀行としての性格を持ってもらいたいなということをまず指摘をさせてもらいたい、こんなふうに思うわけであります。
 そこで、お伺いするわけでありますけれども、どう考えたって現在の銀行の審査基準というものが中小企業融資に適したものでないということは明らかであります。そう考えますると、この審査基準を中小企業向け融資に変えることによって、私は金融システムの改善にもつながっていく、こんなふうに思うわけであります。
 そのようなことを前提としましてお聞きします。新銀行は、無担保無保証融資について新たな審査基準をつくっていくというようなことでありますけれども、既存金融機関で行われているような審査の考え方をどのように変えていくのか。そしてまた、さらには、その結果としまして、融資対象はどのように変わっていくのかをご答弁をお願いしたい、こんなふうに思います。

○関参事 新銀行におきましては、融資商品の一つとして、さまざまなリスクを持った企業を固まりとしてとらえ、リスク管理していくポートフォリオ型融資を実施していく予定でございます。これは無担保、第三者保証不要の融資商品でございますので、審査方法は、従来の担保主義のもと既存金融機関で行われている審査とは異なるということになります。具体的には、スコアリングモデルにより企業の財務状況等を定量的に評価し、それに加えて定性チェックも行うというものでございます。
 この結果、債務超過ゆえ、または不動産担保の不足等により、既存金融機関から融資を断られていた中小企業に対しても、キャッシュフローに着目して融資することが可能となる場合が出てくるため、中小企業の期待にこたえることができるものと考えております。

○北城委員 もう一つお聞かせ願いたいのでありますけれども、従来の債務者区分があるわけであります。ある意味ではこの債務者区分というものを、中小企業に合わせた債務者区分を東京都が構築することも、やはり一つの大きな意味があるのかなと、こんなふうに思うわけでありますけれども、この債務者区分の構築につきましてご見解をお聞かせ願いたい。

○関参事 債務者区分の変更につきましては、既にこれは金融庁のマニュアルで示されているものでございますので、要注意先、破綻懸念先等が示されているわけでございますけれども、私どもの新たな審査を行う場合において、従来要注意先であったものが融資可能となるというようなこともあるというふうに考えております。

○北城委員 そうしますると、中小企業向け融資に合った債務者区分の構築も視野に入れていいと、私はこんな判断をしておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げるところであります。
 そこで大切なことは、やはりこのような審査基準というものが成功し、この新銀行が成功することによりまして、そのような審査基準というものが普遍化していく、一般化していく、私はこれによって日本の金融システムが改善されてくるんじゃないかな、こんなふうに思っておりますので、ご期待を申し上げたいと思うところであります。
 そして、この新銀行の構想が発表になりました。再三再四、各委員からもご指摘がありましたように、この新銀行というのは、技術力を持った、そしてまた成長性のある中小企業に対して生きた資金を提供していくんだ、こんなことが一貫していわれてきたところであります。
 私の住んでいる区は、鈴木副委員長と同じ荒川区であります。中小企業というよりも、むしろ小規模零細企業が集中している区であります。こんなことを聞かれます。私の事業所は差し当たって優秀な技術はないですよ。ただ、経営者みずから、また従業員も含めて、まじめに仕事をしているんですよ。このようなところにも融資をしてくれるんですかねと、こんな質問が来ます。
 もう一つは、私の事業所は大変規模が小さく、いわば小規模零細事業者である。このようなところにも貸し出しをしてくれるんですか、こんな質問が来ます。どのように私は答えていいでしょうか、お答えを願いたい。

○大塚出納長 当然、新銀行の融資の対象として、今北城委員おっしゃられたような方々は考えているということであります。

○北城委員 大変ありがたいご答弁であります。ぜひ広く零細企業に融資が実行できるような仕組みづくりを考えてもらいたいなと、こんなふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げるところであります。
 そして、一方、やはり無担保融資には当然ながらリスクが伴うわけであります。また、ポートフォリオ方式というものが新銀行の経営を圧迫するおそれが全くないといえるほど、すぐれたものであるというような確証もないわけであります。
 そこで、改めてお聞きをしますけれども、どのように確実なリスク管理をしていくつもりなのか、ご見解をお聞かせ願いたい。

○津島理事 新銀行の融資の種類、方法、いろいろございますけれども、今ご質問のポートフォリオ型の融資に限って申し上げますと、新銀行におきましては、あらかじめ信頼性のある、また実績のあるさまざまなデータベースを活用いたしまして、最先端の金融工学を駆使した、統計モデルとしてのリスク管理を内蔵した独自のスコアリングモデルをまず作成いたします。
 このスコアリングモデルに基づいて融資をするわけでございますけれども、具体的な融資に当たっては、このスコアリングモデルによる迅速な審査を行う。また、必要に応じて個々の融資対象の属性を定性的に、これは経営者の資質だとかいろんな実績を含めましてでございますけれども、これをチェックを行いながら、全体としてリスク管理を行います。
 また、一度作成したスコアリングモデルについて、貸し倒れのリスクを迅速に反映することによりまして、随時見直して継続的なリスク管理を行っていくというものでございます。

○北城委員 随時の見直し、日々の努力なのかなと、こんなふうに思うわけであります。やはりそのような日々の見直しがあって初めて確実なリスクの管理ができると思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたい、こんなふうに思っております。
 そこで、もう一つお聞かせ願いたいことは、このポートフォリオ型融資であるからといっても、やはり企業の実態を把握して融資の判断をする、いわゆる目ききの能力がなければ、中小企業融資を進めていくことはできないと私は思っている一人であります。そこで、新銀行では何をもって目ききを確保するのか、お伺いしたい。

○関参事 まず、ポートフォリオ型融資における新銀行の新たな融資基準では、スコアリングモデルによって財務状況の定量的な評価だけでなく、定性的評価も行うものであり、これまで地域金融機関等において個々の経験豊富な職員によって担保されてまいりました企業を見る確かな目を標準化していくものでございます。
 また、技術力を重視した融資にあっては、この基準のみに頼ることなく、地域の金融機関など、中小企業の情報を十分に把握している組織や専門家等の意見も参考にしてまいります。

○北城委員 こんな例があるんですよね。このような会社なんですけれども、建築の廃材をチップ化して乾留させて、木質ガスと木酢液に分ける。その液というものは、殺菌、そしてまた消臭に大変すぐれているものである。ですから、汚染された土壌も、今の価格の一割で土壌の改善ができるようになる。そして、そのガスというものは大変高熱なガスでありますから、電気を供給することもできる。そして、それが今、実現されました。しかしながら、その会社は当初そのような説明をしても、なかなか金融機関が乗ってこなかった。まさに自分の努力で開発をされた。そして、開発をされて初めて、いろんな資金の提供者が出てきた。これが実態なんですよ。いかに目ききというものが難しく、また重要であるか、端的に物語っている例なのかな、こんなふうに思います。
 だから、今の時代というのは、特許に精通した、そういう専門家も目ききとして私は必要なのかな、こんなふうに思います。ですから、あらゆる専門家を目きき役として導入することが、私はこの銀行の一つのテーマなのかなと思いますので、参考にしてもらえればありがたい、こんなふうに思っております。
 そして、今回の我が党の代表質問で大西幹事長がこのような質問をされておりました。今後、景気が本格的な回復局面に入るなどの経済動向が変化した場合に、新銀行の必要性をどのように考えるのか所見を伺うと、こんな質問でありまして、石原知事の答弁といたしましては、また、決して今度の新銀行の業務の目的は中小企業融資だけではなく、ここではまだ発表できないが、参加する企業の特殊的な機能を活用して、他の銀行が今後もできない新しい金融商品を提供したいと思う、いずれにしろ、これが成功すると、東京から大阪という世界にまれなる産業の東海道軸というゾーンそのものを、極めて安定した新しい金融に関するライフラインをつなぐこともできるし、国を待ってはできないことを、地方の自治体が協力することにより、新しい金融の革命というものも可能ではないかと期待をしていると、こんな答弁がありました。
 この答弁の意味することは、新銀行は中小企業応援団銀行よりさらに一歩踏み出した構想を考えている答弁なのかどうか、明らかにしてもらいたい。

○津島理事 先生おっしゃるように、この知事のご答弁の中には、新銀行の業務の目的は中小企業融資だけではなくとか、東京から大阪に至る産業のゾーンに新しい金融に関するライフラインとか、そういう発言をされておりました。
 知事はいろんな思いを込めてお話ししたというふうに私は感じておりますけれども、例えば東京から大阪に至る産業のゾーンということでございますと、ここは日本の産業の集積した最も重要な地域で、とりわけ東京の中小企業、そこに位置する東京の中小企業の再生なくしては日本経済の再生はないという決意を込めて、そういう趣旨でおっしゃったんだろうと理解しております。
 また、新銀行の業務の目的は中小企業の融資だけではなくということで広がりを持たせた表現をしたのは、中小企業支援ということを中心に据えて、新銀行の基本理念というものについてはきちんと述べた上で、それなりのステップを踏んで、社会的インフラの一つとして発展性のある銀行になっていくために幅広い融資対象を想定しているというふうに理解しております。
 こうした観点に立って、私どもも業務を実施し、銀行の体力を蓄えることが、結果として中小企業融資に厚みを増すものというふうに、つながるものというふうに考えております。

○北城委員 先ほど大塚出納長のご答弁をお聞かせいただきました。片方で新銀行のいろんな金融商品を使いながら体力を蓄えていく。その体力をもって中小企業の融資の実効を幅広くしていくんだ。私は基本的理念、それでいいのかなと、こんなふうに思っております。
 冒頭申し上げましたように、この新銀行の持つ意味というのは、日本の疲弊し切った金融システムを改善していくんだ。私はある意味ではこの一点に絞ってもいいのかとさえ、こんなふうに思っております。
 最後にお聞かせ願いたいのでありますけれども、大塚出納長は主税局長時代に銀行税のデザイン者でもあったわけであります。
 私は銀行税というのは、この結果によりまして、社会の厳しい目が銀行に向けられて、その結果として、まだ歯がゆい面もありますけれども、銀行の体質を改善する努力を加速させた面もあると思っております。
 そんなことを考えますると、今回の新銀行というのは、再三再四申し上げましたように、日本の疲弊し切った金融システムを改善していく、こんな思いがありますので、一連の関係に関しまして大塚出納長の所見をお伺いいたし、私の質疑を終了させてもらいたい、こんなふうに思います。

○大塚出納長 恐らくこれから皆さんのご賛同、ご協力をいただいてつくり上げる新銀行は、いろいろなステップがあるというふうに思います。それで、いわゆる第一段階のこの銀行のイメージ、それから、それを踏まえて、もちろん環境もにらんでということになりますけれども、それから環境だけではなくて、金融状況、金融界のそれがどうなっているのか、ありますけれども、結構これまでいろいろお答えしてきておりますように、根深いものがある。そう簡単には、ちょっとぐらい景気がよくなったぐらいで、その根深い部分というのはそんな簡単には解決できない。
 そうすると、そういうものを見せながら、第一段階、第二段階、それで第三段階とあるのかどうかということですが、そういうことを含めた、ステップを踏んだ、その銀行の経営モデルがあり得るんだろうというふうに思いますし、私どもは、例えばその第一段階で選択と集中というふうに申し上げましたけれども、最初の入り方としては、その選択と集中でいきますけれども、金融システムの全体の改善につながるような根っこの部分というのは、ある意味では最初からインフラとして手当てをしておいて、そのうち、アーリー段階、第一段階に応じた発動をして、それを積み重ねることによって、北城委員おっしゃるような、知事がおっしゃいましたような金融改革といいますか、それからひいては東京再生、日本再生につながるような、そういうふうなものを目指して努力をしていきたいというふうに考えております。

○馬場委員 今回の新銀行につきまして、前回の委員会から今回ということになったんですが、具体的なご説明というのは、内容についての説明は出てこないという中で、唯一いただきましたアンケート調査等について触れながら、また、ただいまありました各委員からの質問も含めて、ちょっと確認をしながらご質問させていただきたいというふうに思っております。
 まず、大塚出納長さんにお尋ねしたいんですが、今までの質疑を聞いていて、私、目隠しをして象にさわっているような状態かなというふうに思って聞いておりました。つまり、さわりながら少しずつ形をつくっていって、全体の形はまだまだ見えない。象使いと申し上げていいのかどうかわかりませんが、大塚出納長さんにはきちんと見えているのかもしれないのですが、私どもにはまだ隠されている中で、確認や質疑をしながら探っているという状況ですので、その点お許しをいただいて、もう一度原点に戻ってお尋ねしたいんですが、まずこのアンケート等、預金者向け、中小企業向け、またeモニター向けと大きく三つあるんですが、それの説明が少しずつ微妙に違うなというふうに読ませていただきました。
 中小企業向けのアンケートの最初の項目には、都が主体となった新銀行の創設を検討していますというふうに書かれています。預金者向けのもののクエスチョン9の前段には、東京都の新銀行構想についてお聞きしますとなって、あなたは、東京都が平成十六年度中に新しい銀行を創設することについてご存知でしたかという質問になっています。それからeモニター向けのものは、これはその中間でしょうか、銀行を創設することとし、その銀行がどうあるべきかとか、参考にしたいというふうな質疑なんですが、先ほどの藤田委員さんのご質問、手順のところにもかかわってくるかもしれませんが、まず私どもがこの新銀行が設立されるのだ、もう決まっているのだというふうに--預金者等はこの表現だと受け取られるというふうに思うんですが、この辺、この手続といいますか、まず銀行が決まっているのか、構想なのか、銀行はもうつくるということに決まっているのか、決まっていてその中を検討しているのか、その点についてお答えください。

○大塚出納長 当然のことながら、都議会でご同意をいただいて、必要な手続を踏まえた上で新銀行を設立するということがオーソライズされることになりました。これはもう私がお答えするまでもなく、そういうことであります。
 ただ、執行機関としては、その一つずつのアンケートに都議会の同意はまだですがということはうたっておりませんけれども、執行機関の意思としてはこの銀行をつくりたいということは、これはもう紛れもない、そういうことでありまして、それを前提にアンケートをさせていただいたということであります。

○馬場委員 今のお答えですと、つくりたいという段階であると。議会の同意というのは、具体的には出資をするという予算なり提案なりを認めるということなんでしょうか。中身がどういうものであるかということまで、私どもは検討できるのでしょうか。

○大塚出納長 都議会に対しては、仕組みの上では予算案なり、あるいは条例案なり、そういうものをご提案をさせていただいて、それをもとにご判断をいただき、ご承認をいただくということになるわけでありますけれども、今ここでいろいろご議論いただいておりますけれども、私どもで、知事の記者会見でこういうふうな構想があるということを発表したわけでありまして、それを前提に、提案前に予備的な審査といいますか、そういうことを含めていろいろご議論をいただいているんだというふうに思っています。
 当然、出資をするということは、ご提案を申し上げる案の中身はそういうことであっても、もちろんそれにとどまらず、この新銀行、先ほど来お話がありますような、つくる必要性があるのかどうかという、その根源までさかのぼったご議論を当然いただくことになると思います。その上で、この出資をご承認いただく、そういうふうになるだろうと思っています。

○馬場委員 大変難しい状況で、これからどういう展開になるのかなという思いもあるのですが、この辺を、先ほどの委員さんも質疑がありましたように、このアンケートを読んで、特に預金者の、今の銀行を創設することにという質問で、賛成多数ですが、それは当然だと思うんですね。その次の新銀行の特徴というところは、すばらしい条件が書いてあるわけですね。安全で有利なという、つまり外資系を含めて資金運用力にすぐれた金融機関であり、安全であり、有利な金融商品。それをさらに、どれを選びますかというようなすばらしいものなんですが、もちろん皆さんが選ばれたのは、安全というところでございました。
 これはひっくり返せば、東京都が銀行をつくるという暗示ですね。これ以外の安全ということの保証は今現在ないわけですから、東京都の銀行ということで、この安全というのが特徴になっているというか、保証されているようなものではないのかなというふうに読み取りました。
 このことを、これから都がここに書かれているように保証できるのかどうかということが問題なんだというふうに思いますが、今の手順と、それから東京が今までの質疑の中でどういう銀行であればいいのかとここでいろいろ尋ねているわけです。この尋ねられていること、都民や中小企業者からの要望をどこまで酌み取られてどういうことになるのかということは、まだ出てきていないわけです。
 そこで、どういうふうに今後していくかということの問題があると思うんですが、続けて出資の話も出ておりましたので、まず今何度もおっしゃられている、一千億円を東京都が出資するという方向、それから先ほどのお答えにありました、将来戻すかもしれないというようなこと、それからこれから共同で出資するメンバーがどんなメンバーなのかというようなこと、そういうことも含めて現在出納長さんの方で発表できることをもう一度確認したいんですが、どこまでをきちんと現在の段階でこれは基本として押さえているというところを、もう一度確認のためにお知らせください。

○津島理事 この銀行の構想を五月二十三日に知事が発表いたしました。それから、二定でこの銀行の基本的な青写真について、いろいろご質疑をいただきました。そして、その中でいろいろご要望があったわけでございますけれども、都議会、都民の意向というものを十分反映してものをつくれという強いご指示がございまして、そういった意向を受けまして、都政モニターなり預金者あるいは中小企業の状況調査、こういうものをやってきた。
 この三つの調査は少し目的が違っておりまして、都政モニターというのは、この東京都の青写真、これの基本的な部分について、都民の感想、意向を、ざっくりとしたものを伺っておくということでございます。一方、中小企業、預金者の意向調査、これは私どもが本当にこの銀行を経営的に成り立つようなモデルをつくるための、本当に資料として使うものでございまして、このそれぞれの、例えば預金者であれば資産別、それから年齢別、男女別、職業別、こういったもののすべて属性を書いていただいて意向調査しておりますので、これからの具体的なモデルの貴重な資料になるということで、そういう意味では目的は随分違っております。
 こういったものを現在フルに活用いたしまして、東京都は関係するさまざまな専門的な機関、あるいは地域の金融機関、そういったそれぞれの得意とする分野の方々とともに、現在基本的なスキームをつくり上げております。そして、このスキームを年内に都議会にお示しして、十分その内容をご理解いただいて、その上で出資をお願いする。したがって、今ちょうどその基本的なスキームをお示しできる最後の内容を検討している、こういう状況でございます。

○馬場委員 一千億の出資ということは、単純に子どもを除いて大人で考えて一人一万円ですね。家族で五万円。こうしたものも含めてアンケート等の構想の中では、つまり、こういうすばらしいものができるというアンケートの項目はたくさんあっても、その負担、都にとって、都民にとっての一方で負担するものという情報の提供がないのではないか、少ないのではないのかなというふうに受け取りました。
 先ほどの質疑にもありましたように、都がこういう財政難のときにこれだけの出資をして銀行をつくるということがどういうことなのか、それぞれの都民や企業にとってどういう負担があるのか、また将来にわたってそれが--東京がつくるといっていらっしゃいますが、知事の説明、出納長の説明等は、つまり株式会社ですので、全部費用も東京都持ちでつくって差し上げて、できたものは株式会社なので、というような前回の委員会でのご答弁もありました。
 そういうことのきちんと開示がないまま、いい銀行ができる、みんな便利になりますよ、預金は安心ですからどんどんしてください、利便性も含めてどんどんいってください、利息は安くやってくださいというのがある。そういう中をどうまとめて、要するにいいところだけではないはずなんですが、そこのところの開示というのをいつごろ、どういう形でなさるのか。
 それから、今後の、でき上がってからの銀行の将来構想のようなもの、そういうものも、東京の銀行というふうに都民の皆さんは受け取っていらっしゃいますので、その辺のきちんとした、一般の株式会社であるということ、それからもしそうでないのであれば、永久に都が関与する、つまり増資をしても、一般公開、株の公開があるのかどうかわかりませんが、そういう形で今後運営されて経営されていく中で、東京都の関与をいつまで東京都の銀行としてしていく覚悟なのかというようなことも含めて、将来にわたって責任を持つという意味でこれを受け取っていますが、それでいいのかどうかということも含めてお答えください。

○津島理事 現在、その基本的なスキームについて、精力的にチームで検討しているというふうにお話しさせていただきましたけれども、先生お話のように、まさにこれからそのスキームの中身を具体的にお示しして、それとセットでその出資の是非をご審議いただく。これはアンケートで済むという話でございませんで、まさに都議会の先生方にご提示してご審議していただくというのがまず第一であるというふうに考えております。

○馬場委員 ありがとうございます。その点も含めて今後の課題ということになると思いますが、ぜひいいことだけではない部分も含めて、きちんとお願いをしたい。なぜならば、私どもも含めて将来にわたって皆さんが責任をとるという立場にはないわけですから、今だれも責任をとるという人がいないままでこのお話をしているという状況だと私は思っております。責任をとれる状況にないということも懸念をしておりますので、お願いをいたします。
 最後に一点なんですが、やはり先ほども出ました信金、信組さん、業界の方ともお話をしておりますと、十店舗二百人、この形等も含めて、どういうふうに理解をしたらいいのかというのがわからないというようなお話が出てまいりました。
 経費を少なく、つまり利益を上げるために規模を考えているという考え方と、それからこういう規模でやるんだという、構想の結果としてこの規模なんだということでは、意味が違ってくるというふうに思うんですが、こういうところで、先ほどは十店舗二百人体制というのは変わらないというようなお話でしたが、今後そういう意味では銀行の商品やサービスを考えていく中で、この形ももう決まったものとして考えてよろしいでしょうか。

○大塚出納長 何か先生、粗利益と、それから選択と集中という話をしたお話と、それからこの話とが、こういうふうに次元の違う話なんですけれども、セットになってのご質問だというふうに思いますが、当初の二百人というのは、あのときに本当に基本的なスキームの中で、大骨をベースに積算をした十店舗二百人体制という数字をとりあえず出しました。これは仮置きであります。いろんなスキーム、今最終的に整理をしております。
 それで、これを設立する設立目的があるわけでありますけれども、その目的を達成するための条件として、いろんな組織の要素、それからモデルの要素、あるわけでありますけれども、それぞれについての最適解、個々のパーツの最適解、それを積み上げていくことになると思います。それで、第一段階での最適解、恐らくそれが発展していけば、今度はその段階での最適解というのがあるというふうに申し上げておきます。
 カウントの仕方というのは、ネットでカウントするか、それからグロスでカウントするか、いろいろあるわけでありますけれども、基本的なスキームを出す際にきちっとお示しをしてご審議をいただきたいというふうに思っています。

○真木委員 本日の最後になります。そして、私も二年間、財政委員会に所属をさせていただきましたが、財政委員会最後の質問になります。この間、財政委員会、とりわけ出納長室とは、随分と私自身勉強させていただきました。出納長にはとりわけお鍛えいただいたなという気持ちでいっぱいでございます。同じ学校の先輩であります大塚出納長には、随分と大きな愛情を持ってお育ていただいたという気持ちで、本当に感謝をしているところでございます。
 二年間の締めくくりの中で、最後でございますので、しつこいですけれども、やはりこの二年間の中では大きなウエートを占めておりましたみずほ銀行の問題から簡単に入らせていただきたいというぐあいに思います。
 四月の段階で、指定金融機関としての適格性を判断するというご答弁を昔いただいておりました。その四月を終えた上での第二回定例議会で、いかがでしょうかということをお尋ねをいたしました。そうしましたところ、まだ判定をする、指定金融機関としての適格性を判断する時期にはないと。私は、追試ですかと申し上げたところ、試験期間の変更、延期であるというご答弁をいただきました。
 それからまた三カ月たったわけでありますが、その間に採点項目も、中小企業貸し出し、これも必ずしもよくないねという結果が出てまいりました。また、業務改善命令も、収益目標と実績との乖離が相当程度にとどまらず大幅なものでありというようなことで、業務改善命令が出されました。
 そうした経過を踏まえながら、今判定を下せる状況にはまだないのかなという気持ちでおりますけれども、この間、試験を行ったのかどうか。追試か試験期間の変更かわかりませんけれども、試験を行ったのかどうか、状況を聞かせていただきます。

○中路副出納長 みずほ銀行の現状ということでございますが、財務状況とシステム障害に際して求めた措置要求のその後の対応につきましては、基本的には前回の財政委員会でお答えしたとおりでございます。
 中小企業向け貸し出しにつきましては、先日ご説明いたしましたとおり、平成十四年度のみずほの年間実績では、遺憾ながら計画対比で約五兆六千億円のマイナスになったわけでございます。
 都としては、都議会の付帯決議の趣旨を踏まえまして、引き続きみずほ銀行が中小企業の経営支援に積極的に貢献しているかにつきまして、注視していく所存でございます。

○真木委員 前回の六月、第二回定例会の中で、東京都が今試験をしていいのか、それが適切なのかとまで厳しい、私もびっくりするようなご答弁をいただきました。そうした中で、まだ試験ができる状況にはないんだろうなというぐあいに理解をしておりますが、しかしながら、やはり東京都みずからが判定基準というものをつくられたわけです。みずほ銀行が相当行き詰まっている中で、平気なの、こんな高い基準を設けてというような基準をみずからつくったわけでありますので、やはりそれはないがしろにしていただきたくない。
 全国に先駆けて東京都が誇るべき基準をつくったわけですので、その基準がないがしろにならないように、試験責任者、大塚出納長だと思いますが、試験責任者から、試験に向けた決意を、私の遺言として財政委員会に、出納長室にお願いをしたいと思いますので、決意を聞かせていただきたいと思います。

○大塚出納長 先ほど高い基準だというふうにおっしゃいましたけれども、東京都が設定をした三つの基準というのは決して高い基準ではなくて、いわば当然の基準だというふうに考えております。
 みずほ銀行を指定金融機関に指定する議決をご審議をいただきました十四年の第一回定例会でありまして、それ以来、財政委員会におきましては、みずほ銀行の指定金融機関の適格性について、さまざまな視点から、とりわけ真木理事には熱心な変わらぬご質疑、ご意見をいただきました。
 現状については、今、副出納長からお答えしたとおりでありまして、みずほ銀行は経営の健全化あるいは円滑なシステム統合に向けて、総力を挙げて取り組んでいます。
 試験、確かに必ず試験をするわけでありますけれども、試験といっても中間試験もあれば期末試験もある。学校じゃありませんけれども、評価については平常点というのもあるわけでありまして、頼むよという真木理事の遺言につきましては、きちっと受けとめて、しっかり仕事をしていきます。

○真木委員 きょう、みずほさんについて聞かせていただいたのは、私だけで八回目になります。どうぞ真木の遺言として--試験を行うといわれたんですから、先ほど副出納長からのご答弁は、授業態度の判定だと。内申書みたいな話だと思うんですけれども、ぜひ一定の段階で期末試験を、期末試験か卒業試験かわかりませんけれども、退学させられないという中で、大変厳しいご判断を、苦しい判断をされているんだと思いますけれども、そのことが後になって、東京都が判断をしなかったのが痛かったなんてことにならないように、どうぞ一円たりとも都民の税金をむだにされないように、心より祈念を申し上げます。
 続きまして、先ほど来議論になっております新銀行につきましてお尋ねをさせていただきます。
 随分と新銀行を初め議論をさせていただきました。最後の質問であります。最後まで誠心誠意、この間、随分と激しいやりとりもあったかもしれませんが、私は、出納長室には随分誠心誠意対応させていただいたつもりでございます。最後までそのつもりでいますので、よろしくお願い申し上げます。
 しかし一方、紙はこの第三回定例会に出てまいりましたけれども、情報は与えられておりません。本当に紙、資料はあっても情報はないというのはこういうことなんだなというぐあいに思ったわけでありますけれども、そうした中で、用意した質問も大分先輩方に先を越されてしまいました。その間、順不同になりますけれども、一つ一つお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、雑談的にお尋ねをいたしますが、例えばの例で恐縮でございますが、製造業をしていた方が、製造業自体の経営は堅調である、しかし新しく流通業を始めたい。その資金として、新銀行に融資を申し入れた。その方自体は、製造業の業績は十分だし、その方の製造業としてのノウハウも持っている。しかし、流通業はわからないといった場合、新しく流通業を始めるための審査を新銀行がする場合に、新銀行は製造業としての、人を見ていくわけだと思いますけれども、人を見ていくのか。それとも流通業として未経験であるというのを見ていくのか。その点につきまして、お尋ねいたします。

○関参事 二つあると思います。一つは、製造業の段階での経営の実績、それから人物等でございます。それからもう一つは、今度新たな流通業でございますか、そちらをなさる場合の事業計画、これをかなりきちっと見させていただいた上で判断ということになると思います。

○真木委員 私も、ここからが質問でございますけれども、まさにどういった人たちがどのようなノウハウを持ってやろうとしているのかというのがやっぱり大切なんだろうなというぐあいに思います。事業計画がすばらしければ、新銀行は貸すんでありましょうか。
 私は、東京都が今やろうとしている新銀行の事業計画はすばらしいと思っております。そして、今の銀行システムに対する問題認識は、石原知事また大塚出納長といささかも変わらないんじゃないかなと、私自身、思っております。
 しかしながら、だから東京都が新銀行をつくるのだというのは別の話として、構想がよければいいということには決してならない。構想自体は大賛成であります。だけど、本当にできるのかな、その点についてお尋ねをしたいと思うわけであります。
 今、最初に雑談的に始めさせていただきましたが、今度、担当部長も担当課長も新しくかわられました。適材適所で優秀な人材を引っ張ってきたんだということで、新聞報道にはございました。そうした役人としてすばらしく優秀な方が、だけど、じゃ新銀行をつくれるのか、銀行をつくれるのかというのは全く別次元でありまして、今、お役人さんといういい方は失礼かもしれませんが、都の職員だけでやっているわけじゃありません。新準備組織、税務協会にはどういった方々が、どういった会社から参加されているのか、何人規模なのか、その点をつまびらかにしていただきたいと思います。

○関参事 現在、準備組織につきましては、企業等からの参加は六十四名となっております。業種といたしましては、金融関係、それから監査法人、交通、流通、通信等各種業界から、多数の企業からおいでいただいています。また、融資、金融商品、ICカード等に関するそれらの専門家のご参加を得ているところでございます。

○真木委員 企業からの派遣だけが六十四人ということでしょうか。そして、都の職員、元都の職員、派遣されている職員は何人でしょうか。

○関参事 都の職員は二十六名ということになります。

○真木委員 六十四足す二十六、難しい計算でございますが、総勢九十名でやっている、こういうことでよろしいですね。

○関参事 そのとおりでございます。

○真木委員 プラス津島理事、関参事、福田課長、合計九十三名、よろしいでしょうか。

○関参事 算定でございますけれども、九十の中、つまり都の二十六の中に私ども三名が入っているということになります。

○真木委員 そうしますと、税務協会から賃金をもらっている方が八十七名ということ、東京都から賃金をもらっている方が三人で、税務協会を経由して賃金をもらっている人が八十七名という理解でよろしいんでしょうか。

○関参事 民間からの派遣につきましては、それぞれ向こうの給与といいますか、そうした形で私どもの方へ来ているケースがほとんどでございます。

○真木委員 そうしますと、民間からの人は、東京都の四億八千万を原資とする税務協会からもらっている方と、民間出向元からもらっている方と、ばらばらであるということでよろしいんでしょうか。

○関参事 そのとおりでございます。

○真木委員 税務協会から賃金をもらっている方の出向元、もともとの企業名等は明らかにできないのでしょうか。

○関参事 具体的な会社名については、公表できる会社とできない会社がございます。公表できる会社については、既に発表したとおりでございます。

○真木委員 できない理由は何でしょうか。

○関参事 守秘義務ということになります。

○真木委員 守秘義務というのは、東京都が何やっているかを先方が答えちゃいけない、明らかにしちゃいけないというだけじゃなくて、先方が何をやっているかも東京都が明らかにしてはならない、双務であるということでよろしいんでしょうか。

○関参事 そのとおりでございます。

○真木委員 税務協会がどこにお金を払っているかという、これも税務協会からは明らかにされないんでしょうかね。また、どこからかというのは、秋口になればいろいろと構想、四定前には構想が明らかになるということですけれども、だれが来ているかということも、これも永遠に明らかにされないんでしょうか。

○津島理事 先ほど参事がお答えいたしましたけれども、東京都の情報開示条例、この根拠のもとになるのは、先ほど出納長がお話ししました企業との間の守秘義務契約でございます。この守秘義務契約の内容次第によっては、公表していいということであればその後公表することになると思いますし、企業自身が嫌だといえば公表しないということになると思います。

○真木委員 何でこだわっているかといいますと、先ほど雑談的に話をさせていただきましたけれども、やっぱり新銀行であれ、新銀行が新しい事業者に、融資申し入れに対して融資をするかしないかの判断、人を見て判断する要素が大きいわけですよね。
 今、東京都が始めようとしている銀行に一千億円というお金を出資するかしないか、これは、都民が目ききをして税金を支出することを許すのかどうか、その判断基準の多くは、やっぱりどんな人がやっているのかということだと思うんですね。それが明らかにされないで、役人さんが中心になって銀行つくっていますといって、これ、成功すると。東京都も、多くの第三セクターで失敗をしてきました。お役人さんが民業に乗り出すことに対して、多くの都民は、一般論でいえば懸念を感じています。
 そうした中で、例えばJCがやろうとしている日本振興銀行も、しかるべきビッグネームがトップについている。経験者が社長になる。そうした中では、ほう、なるほどと見えるわけですけれども、東京都がやろうとしているものは、だれが責任者になるかもわからない。それに一千億円を投資をしろといわれても、これはできないんじゃないか。
 私たちは、都民にかわってそれを目ききすることが求められているんです。いつの段階で明らかにされるのか。またそれは、例えば四定の前からいきなり名前を借りてきて、どこかの元何とかの社長をこれから社長になってもらいますとかいう問題じゃ、本来は違うんじゃないのかな。今の段階からこの人がこういったビジョンに基づいて構想をやっているというのが明らかになって、初めて一千億円ものお金を投資することができるんじゃないかと思うんですが、その辺は明らかにされないんでしょうか。

○大塚出納長 真木理事のおっしゃり方というのは、ある意味で誇張しているようなところがありまして、だから、その全部についてお答えを--まあ挑発しているようなところがありまして、全部についてきちっとお答えするわけにもいかないんですけれども、要は、またおっしゃっているようなことは、そういうこともあるというふうに思っています。
 それで、オープンのときに、企業名はある程度ロゴマーク入りでずっと出しました。あのメンバーが来ているんです、要は。あれよりもふえているということですね。それが一つ、今の段階で申し上げられること。
 それから、本当に一流のメンバーが来ておりまして、これは私が実際にいろいろやりとりをしたアドバイスの中でもあったんですけれども、この東京都の銀行、こういうコンセプトとスキームと、それからこういう環境の中で入っていくこの銀行にとって必要な人材は、要するに超一流の人材だ。その超一流の人材というのはそんなにいなくてもいい。単なる一流は要らない。超一流と二流でこの銀行をやろう。それが一番いいというふうなお話で、そういう視点で、だから本当にえりすぐって入っていただいておりまして、必ずや基本的なスキームと合わせて、主要体制というのも、守秘義務契約を解除して、それで可能な限りお示ししたい。それで真木理事の、もう財政委員会にいらっしゃらないかもしれませんけれども、外から、ああ、こういうことだったんだというふうにご理解いただけるようなオープンの仕方をしていきたいと思っています。

○真木委員 何も、挑発しているつもりは毛頭ございません。人格者であられます大塚出納長が、若輩者の私ごときを相手にするわけがないというぐあいに思っておりますが、しかしながら、マークが出ていたということでございますけれども、こんなマスコミ情報をこういう場でいうのもいかがなものかとは思いますけれども、きょう十月号の「選択」の中で、イトーヨーカ堂首脳が事実上提携を断ったというぐあいの記事まで載っております。その真偽は求めませんけれども、先ほどの出納長のお言葉をかりれば、そういったマイナーな情報が流れている中で、一方の日本振興銀行は木村さんというビッグネームがやっている。そうすると、ほう、あの人がやろうとしているのか、ちょっと過激というか急進派だろうけれども、ああ、そういった手法でやれるのかなというイメージがわいてまいります。
 ところが、東京都の新銀行においては、何か名前だけが新し銀行なのかどうかとかいう記事が出ているだけで、だれがどのようにやろうとしているのか見えてきません。東京都の方とお話ししても、いや、私も全然わかりませんというような話ばかり、わかりませんというか、今まで何々やっていましたからというようなことばかりいわれて、途端に担当もかわっちゃったりされたりして、非常に心もとない。信用性ということでは、責任者がかわったというのは、やっぱり信用は落ちますよね。
 今、出納長の方から、木村さん的な立場の方も含めて、四定前、十一月、オープンにしていただけるということでいっていただけたんだろうと思います。
 一流の方が来ているといわれても、じゃイトーヨーカ堂からアイワイバンクの経験者のこういった実務をやってきた方が、固有名詞まで出てきて、あ、なるほどなと思うわけですけれども、二十歳の入社三年目の人なのか、何年目なのか、そんなのもわからなければ、NTTだ、イトーヨーカ堂だといわれたって全然わからないわけですから、そこはやはりヒューマンファクターが大きいわけであります。十一月の時点には明らかにできるように、しっかりとお願いを申し上げたいと思います。
 一方で、今話の出ました日本振興銀行、この日本振興銀行のイメージと新銀行のイメージ、それぞれ相違を比較しながら、新銀行のイメージをいっていただきたいと思います。

○関参事 業務の規模や内容がかなり異なっておりますので、比較といってもかなり難しいところでございますけれども、仮にJC銀行のビジネスモデルに即して新銀行の一部だけと比較させていただくとしますと、資本金についてはJC銀行が二十から三十億円程度ということに対して、都は二百億円程度ということでございます。--失礼しました、二千億円程度。総資産については、JC銀行が五百五十億円程度であるのに対して、都はステップを踏んで五兆円を目指しております。
 また、融資商品については、JC銀行は商工ローンと銀行の既存融資との間隙をターゲットとした無担保融資を標榜しているのに対しまして、都の銀行はポートフォリオ融資を含む多様な商品を想定しているところでございます。
 また、預金については、JC銀行は定期預金のみに限定しているのに対して、都の新銀行は普通預金、定期預金を初め、さまざまな金融商品の提供を想定しております。
 また、都の新銀行はICカードを初めとするさまざまな顧客サービスの充実を第一としておりまして、そうしたサービスを展開しようとしていることなどが異なっていると考えます。

○真木委員 都の責任者が自分の始めようとしている銀行の資本金のけたを間違えるということ自体が、本当に不思議に思うわけでありますけれども、JCの方はわかるわけですね。ミドルリスクをやっていくんだということで、イメージがわくんです。
 今、たくさんのことをやろうとしているんだということでいわれましたけれども、たくさんのことをやろうとしているからこそ、ますますイメージがわかないわけでありますが、先ほど出納長が、やむにやまれず東京都行政がやるんだ、新規銀行業に手を出さざるを得ないんだというお話でありました。そして、もし民間でそういうのをやってくれるならば、東京都は喜んで手を引くというぐあいにいわれました。
 僕は、この日本振興銀行のやろうとしていることも東京都のやろうとしていることと近いんだと思っていたんですけれども、大きく異なるんでしょうか。

○大塚出納長 確かに、東京都の銀行についての情報というのは、ご期待をいただいているような情報の提供というのはされておりませんけれども、少なくとも私どもが出してあるものをきちっと、斜めで受けとめないできっちり受けとめていただければ、JC銀行と新銀行との違い、JC銀行を幾らつくっても、それは方向はある一部似通っているところはあるわけでありますけれども、しかしJC銀行を幾らつくっても、私どもが考えているような新銀行の領域には達することができないというのはご理解いただけるんだろうというふうに思っています。

○真木委員 済みません、私、斜めに見ているんでしょうか。斜めにも、何か透明なものですからよく見えないというか、情報が、形が提示されていないものですから、どこから見れば正面なのかがよくわからないんですけれども。
 私は、JCのやろうとしているミドルリスクのゾーン、これは結構東京都のやろうとしていることと近いんじゃないかな。新聞報道でもそのような報道がされておりますし、東京都の担当も、新聞で歓迎するみたいな、我々の問題意識を受けとめてくれたんだろうなんていうインタビューを答えておられました。
 JCのやろうとしていることと、JCが幾つできても東京都を満たさない、その心は何か。
 それとあと、よく例示で、住友さんの例示、ポートフォリオ型融資だとか、新聞報道では都民銀行が始めた無担保ポートフォリオ型融資等が報じられております。こうしたメガバンクがやっている新しい融資、これは幾らメガバンクが、ほかの銀行もやっても、東京都のやろうとしていることは満たさないんでしょうか。

○大塚出納長 余りくどくどご説明しても仕方ありませんので、端的に申し上げますけれども、JCは上限金利は一五%です。いってみれば、商工ローンの一歩前まで行くという世界です。新銀行は、そういうふうな金利設定というのはできないというふうに思っています。それは、幾ら選択と集中でもできない。まだやるべきじゃないというふうに思っております。
 それからもう一つ、これはJCも、それから住友もそうですけれども、極めて返済期間が短い。今、地銀も含めて民間の銀行がやっている返済期間というのは短くて六カ月、長くても三年であります。三年で、多額の借り入れをし、しかもきちっと返済ができる企業というのは、これはもう極めて限られている。そこに特化をしたビジネスローンを幾らつくっても、本当に今東京に必要な金融のニーズには対応できないというのが私どもの考えであります。

○真木委員 都民銀行等は年利九%でやっているというぐあいに新聞で報じられておりますけれども、それなども返済期間が違うということで(大塚出納長「返済期間は六カ月です」と呼ぶ)それが違う、それじゃだめだということなんですね。そこは初めてわかりました。東京都の方は、長期の借り入れでやっていただけると。
 しかしながら、JCの方は一店舗だけでやる。よくわかるんですね、そこに四、五十人の人員でやる。ああ、できるだろうなという感じがいたします。東京都の方は十店舗二百人。今、先ほど明らかになりましたが、九十名体制で準備をしている。三十五階だけでやっているのに九十名。これが十店舗になって二百名でできるのかというのが、本当に、だからわからないんですね。先ほどちょっと聞かれておりましたけれども、十店舗二百人、仮置きだということですけれども、これで始めるんでしょうか。

○関参事 新銀行の業務体制については、おおむね十店舗ほどを想定し、業務量を積算して二百人という数字を仮置きしたものでございます。
 今後、新銀行のスキームに応じて、グロス化、ネット化、いろいろ考えられているわけでございますけれども、年内には全貌をお示ししたいというふうに考えております。

○真木委員 そのイメージがよくわかないのと、十六年度中にやる。大きな業務三つ、先ほど参事がいわれましたように、カードもやるんだ、商品も開発するんだ。これはやっぱり十六年度中に同時スタートでやるんでしょうか。

○関参事 新銀行の融資、それから安全有利な商品、そしてICカードの三点セットは、同時に当然行わせていただきます。

○真木委員 なおさら見えないんですね。最初は中小企業融資でまず始めるんだ、これが十六年度中だといわれたら、頑張れよという感じがわかってくるんですけれども、JRカードの統一が十九年度ですよね、たしか。それなのに、都営交通とJRに乗れる新銀行のカードが十六年度からできあがるのかなというのが、本当にわかりません。その辺はぜひ四定前には明らかにしていただきたいというぐあいに思います。
 先ほどの議論に少し戻りますけれども、私は、先ほど大塚出納長が、条件が整えば喜んで手を引くといわれたのにどきっとしました。その、やむにやまれぬ状態は何で、どうなったらやむにやまれなくて喜んで手を引けるのか。
 先ほど、幾らJC銀行ができてもだめだという話でありましたが、それは期間だという話がありました。住友だとか、都民銀行とかが今の九%利率で返済期間の長いものをつくってくれれば、東京都はやむにやまれずつくる必要はないんでしょうか。

○大塚出納長 仮定のお話が中心で、そのお話についてストレートに答えるのはなかなか難しいんですけれども、要は、例えば今都民銀行が先ほど申し上げましたような条件で貸している。それから、住友のビジネスローンはこういう条件で、その利率はこうで、返済期限はこうだとか、そういうことで、少しづつ中小企業融資の枠というのは広がってきているわけでありますけれども、しかし全体を足し上げても、それは微々たる数字でしかまだないというのが一つ。
 結局、なぜそういうふうな形になったかというと、やはりバブルの生成と崩壊、それからその後の失われた十年といいますか、そういう過程の中で金融機関の余剰、体力。体力と一般的にいっていますけれども、余剰。例えば内部留保も含めて、非常に苦しい世界になっているわけです。それは、貸出資産の中身、それから将来不良債権になる可能性のあるものをまだまだ抱えているというふうなこともこれありで、非常に苦しい状況になっている。
 もし仮にバブル前のように、それこそさかのぼってウン十年という世界になりますけれども、あの当時の金融機関の体力に回復をするという前提がもし仮にできれば、東京都が手を引く条件というのは、一つは満たされるというふうになるわけでありまして、いつになったらとかという話は、これは環境とそれから実態、それからそれを含めた両者のいろんな関係の中で環境が成熟してくるわけでありまして、そういう意味ではお答えすることができません。

○真木委員 いつになったらということは特に求めておりません。今、喜んで手を引く条件が示されました。十六年度中ということは、まだ一年半ございます。その間の状況の推移をぜひ冷静に見きわめていただきたいなというぐあいに思う次第であります。(大塚出納長「委員長、一つだけ」と呼ぶ)発言中です。
 続きまして、今、東京都は疲弊した金融システムを変えていきたいんだということだと思います。その中に、金融システムといった、東京都が変えるべき金融システムの中に、信金も当然含まれるんですよね。

○大塚出納長 当然含まれます。しかし、信金もまたいろんな環境の中で非常に苦しい状況にあるということです。
 二年後ということになると、真木委員は頭の中にないかもしれませんけれども、ペイオフの解禁が来ます。そのペイオフ解禁が、本当に全面解禁になったときの状況というのは、少しずつはよくなってはきていますけれども、融資を含め、金融の融資を受ける各企業の状況を含め、これは予断を許さないような状況にあるわけです。ですから、何をいっても、それは偉い都議会議員の方ですから構いませんけれども、二年ぐらいのオーダーで、私の申し上げたような条件が整うかもしれないというふうにもし仮に真木理事がお考えになっているとしたら、そこはいま一つ勉強していただきたい。

○真木委員 随分とお褒めをいただきましてありがとうございます。
 二年でできるといっているわけじゃありません。その状況を見きわめていただきたい、もしできたならばということであります。何も手を引けといっているわけじゃありません。誤解のないようにお願いをしたいと思います。
 また、頭の中にないかもしれないといわれましたけれども、ペイオフの解禁、頭にあります。ありがとうございます、ご忠告いただきまして。
 だからこそ問題だと思うんですね。この預金者等意向調査、資料1、八ページにございます。新銀行の魅力の第一に、安全、七三%がございます。やっぱり都民は知っていて、そして東京都がバックにあるということですごい安心をしている。その中にペイオフが来る、完全にペイオフになる。預金の集中は物すごい考えられる。預金が集中して、でも十店舗しかない、二百人しかいない、営業はいない。借りてくれなかったら、上げた業績は全部、幾らこんな低金利の時代でも預金者の利子に行ってしまって、とても業績を上げる貸し出しができるなんていう状況じゃなくなるんじゃないかということを懸念するものであります。
 むしろ、東京都としては預金者の制限みたいなことも考えていかなければならないと思うわけでありますが、その辺の預金の集中についていかがお考えでしょうか。

○大塚出納長 私どもで提供している情報が少ないということで、これは本当にお許しをいただきたいというふうに思うんですけれども、十店舗二百人というのは仮置きであります。ですから、この銀行の体力が、グロスも含めて二百人であるなんということは一回もいったことがない、それが一つ。
 あと、それから営業部隊がないなんという話も、私どもの方でお答えした経験はありません。

○真木委員 斜めに見るなといわれましたけれども、正面からお答えいただけたらなというぐあいに思いますが、何も営業部隊がないといっているわけじゃないんですが、二百人の中じゃ営業は少ないだろうなということでございます。この辺は、ぜひ四定の前に明らかにしていただきたいというぐあいに思います。
 一方、信金がパートナーであるということでございますが、信金の協力なくしてこの計画は事実上は進まないだろうというぐあいに私は思っております。しかしながら、一方で、信金ならば万全なのかというか、信金をパートナーとして問題はないのかという問題も一つあろうかと思います。
 平成九年ごろ、横浜銀行が具体的に暴露されてしまいましたが、当時の、時の通産省が貸し渋り対策として信用保証特別融資を始めました。その中で、安定化資金と後にいわれるものですね、それをどんどん貸せと。それで旧債のつけかえということを銀行がどんどんやりました。具体的に内部文書がばれてしまったのが横浜銀行でありました。当時、大変な社会問題になりましたが、こうしたつけかえの問題対策というのは、問題意識としてないんでしょうか。

○津島理事 まず、信金がなければこの銀行が成り立たないというお話でございましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、信金は、私どもにとって重要なパートナーではありますけれども、そのすべてではない。この連携の成否によって新銀行構想自体が左右されることはないという思いでございます。

○真木委員 それはいいんですが、信金さんが危ない融資は大丈夫ですよといって東京都の新銀行から借りさせて、そしてその借りてきたお金はうちの融資を返せ、うちの焦げつきを返せというようなことをやるのがつけかえであります。実際に、多くの銀行が信用保証制度を悪用して、特別融資を悪用して行いました。その内部文書までが、指示文書までが明らかになったのが横浜銀行でありました。
 同じことが今度の新銀行でも起こり得る。信金さんが目ききをするわけですから、大丈夫ですよ、五百万、ポートフォリオで借りましょう。五百万借りたうち三百万、うちの融資を返せ。これは多分にあり得る話ですが、こういった対策は考えていらっしゃるでしょうか。

○大塚出納長 もう何時間もやっているわけですけれども、ポートフォリオの融資というのは、基本的にリスク管理を仕組みの中に内蔵したものでありまして、そういう意味では、本当に例外的なポートフォリオ融資、例えば金額が大きかったり、あるいはグレーゾーンを超えるような、そういう世界については、それは一定の目ききが必要かもしれませんけれども、基本的には目ききは仕組みの中に内蔵されている、そういうスキームであります。それが一つ。
 それから、つけかえの話ですけれども、そういうことのないようにやっていきます。シンジケートローンのときにお答えを申し上げましたけれども、その辺はきちっと踏まえて、モラルハザードのないように、結果として新銀行が余計なものをしょわないような、そういうスキーム、それからモデルをやっていくことになる。これは絶対条件だと思っております。

○真木委員 今、出納長から力強くご答弁をいただきました。ぜひ、信金さんならば大丈夫だということは全くないわけでありまして、過去にそういったことをやってきた形跡もあるように当時いわれました。そうした対策も万全を期していただきたい。だけれども、今のスキームだとそういったことは起こりうるな、目ききを信金さんにお任せするというのであれば、そういうことは確実に起こるだろうなというぐあいに思う次第であります。
 ですからこそ、もう二万人の銀行というか横浜銀行と同じ規模ですよね。横浜銀行と同じだけの人員をそろえるんだというんだったらわかるんですけれども、二百人だといわれるから、そこがよくわからなくなるわけであります。ぜひ四定前にそういった対策も含めて明らかにしていただきたいというぐあいに思います。
 さて、民業圧迫について、やっぱり最後まで不安になるわけであります。
 その民業圧迫について、前回の二定の中で金利等で市場を混乱させることはないといわれました。預金について、ほかの銀行よりも高くすることはないということなんだと思いますが、一方で、金融商品の世界において安定で有利なという、ちょっと金融の世界では考えられない、安全で有利なという、ローリスクのハイリターンですか、常識じゃ考えられないことを提唱されておりますが、金融商品の世界では、そういった他の商品、いうなれば市場を混乱という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、他の世界とは違うものをつくろうとしているんでしょうか。

○関参事 現在、お約束どおり、安全、有利な商品の開発を進めているところでございます。
 なお、金融商品ということで、金利の設定等でマーケットを意図的に大きく混乱させるようなことをするつもりはないというふうに考えております。

○真木委員 預金の世界で市場を混乱させることはないというのはよくわかるというか、利率を設定すればいい。一方、約束としては安全で有利な商品を、有利ということは利率が高いということだと僕は思うんですけれども、つくる。これは、市場を混乱させることにならないでしょうか。もう一度お願いいたします。

○大塚出納長 前回の、たしか財政委員会でも、リスクとリターンの関係についてはご質問にお答えしたつもりなんですけれども、要は安全で有利というのは相対的な概念でありまして、より有利、より安全という、そういう二つの概念の組み合わせの中で預金も金融商品もまた設定をし、ご理解をいただくことになる。
 意図的に混乱させるつもりはないというのは、例えば公的資金の注入を受けたある大きな銀行が、マーケットを全く無視して殴り込んで、有利な商品を提供することによってシェアを拡大するというふうな動きが一部にあるということで報道されておりますけれども、そういうことをするつもりはないということであります。

○真木委員 時間が、自民党さん、公明党さんがあるようでございます、だんだん迫ってまいりましたので、最後にICカードの方に移らせていただきたいと思いますが、何よりもICカード、不安であります。(発言する者あり)まだまだありますよ。いいですか、じゃ。ありがとうございます。
 ICカードについてお尋ねをしたいと思うんですけれども、これは一種、新銀行をつくるというのは国策というような、都策ですよね。今、都を挙げてやっている政策であります。これに協調させるために、例えば病院経営本部に負担をかけさせるというようなことがあってはならないと思うんですが、その辺のルールづくり、八月から順次行っているようですけれども、いかがな状況でしょうか。

○関参事 庁内連絡会につきましては、八月から全体の集まりを開催し、その後も継続して、各局と個別に打ち合わせを進めております。
 負担のルールにつきましては、最終的には各事業と新銀行のそれぞれのメリット、デメリットなどを総合的に勘案して、適切に判断させていただきたいというふうに考えております。

○真木委員 ICカードのことを議論していくときに、どれだけの方がこのICカードを持つのかという前提が極めて重要になってくるわけですけれども、大体一千二百万都民の中で何万人ぐらいの方がこのICカードを持つんでしょうか。

○関参事 ICカードはキャッシュカードでございますので、新銀行の口座数に連動する形になります。口座数の見込みについては、年内に全貌を明らかにさせていただきたいと思っております。

○真木委員 ぜひ他局に、とりわけ独立採算をさせている他局に負担がかかることのないよう、一千二百万都民のうちの二十万人のために負担するなんということがないように、ぜひお願いをさせていただきたいと思います。また、二十万人の預金といったら大変な話になるのかなという気がしますけれども。
 今JRも改革をしようとしている中で、ICカードを、銀行として、極めて先進的な取り組みを他の銀行に先駆けてされようとしています。先発のメリットもあるのかもしれませんが、それ以上に先発のデメリットというものが大きいんじゃないのか。そして、他の銀行に後発のメリットを与えることになりはしないかと懸念をするものでありますが、いかがでしょうか。

○関参事 JRや、それ以外の事業者にICカードが普及すれば、新銀行にとって口座の開設や預金獲得といった面で、先生おっしゃられましたように先発の利益がございます。
 また、他の民間銀行も後乗りは可能でございますけれども、ICカードは一種の入力チャネルという面もありますので、ICカードの使用をJRなどに合わせるための整備や、各銀行の既存のシステムを大幅に直すなど、さまざまな課題がございますので、現実には困難ではないかと考えております。

○真木委員 ただ、先発をしていくということは物すごいコストがかかるわけであります。その先発のメリットが先発のリスクよりもあるんだということを、この四定前の発表のときに、ぜひ具体的にお示しをいただけますようにお願いを申し上げます。
 さて、一方、一千億円を出資するという大変な額であります。その中で、先行している新しい銀行形態、新規参入銀行が黒字化しておりません。アイワイバンクにしても、イーバンク等、まだ黒字になっておりません。このことをどのように分析し、それをどのように克服していくつもりでございましょうか。

○関参事 これにつきましては、私ども、後発の利益でございます先行事例を十分分析させていただいて、新銀行として新たなビジネスモデルをしっかり構築するとともに、参考にしながら手がたい経営を行っていきたいというふうに考えております。

○真木委員 ぜひ具体的にご検討いただきたいというぐあいに思います。
 さて、一千億円というのは大変なお金であります。ましてや、財政調整基金をもう取り崩している。今年度は七百億円の歳入欠陥がある。そうした中で、十六年度に一千億円というのは、物すごい大変な状況の中での船出というか、タイミングとしては最も厳しいタイミングになっちゃったなというぐあいに思います。二年前だったり、また二年後とかであったら、状況は、随分都財政は違っているんでしょうけれども、十六年度は最も一千億円の価値が東京都にとって重たい年になります。
 その中で一千億円の支出を求めるわけでありますので、具体的に、この一千億円が都民にとってどのように助かるのかということを、この四定前の具体的なスキーム発表のときにご説明できなければ、少なくとも来年の一定、予算提出の中で、どの程度のどういう人が、何万人の都民がこの一千億円の新銀行で救済されるのかというものが見えてこなければ、私たちもこの一千億円がどういう価値があるのか。東京都にとっての一千億円が最も重たくなっている十六年度の中で、出せるのかという問題が出てくると思います。ぜひ具体的に明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大塚出納長 できるだけご理解いただけるような、そういうふうなご提示の仕方をしたいというふうに思っています。
 なお、一千億円の重みについての東京都の財政環境のお話がありましたけれども、手法も含めて、ご心配のないようにやらせていただくつもりでおります。

○真木委員 二定のときもそうでした。別にまだ具体的な発表がされていませんので、今回も、私自身は大塚出納長同様、問題意識は共有するものでございますので、ぜひこれがうまくいってほしいなということは二定のときも申し上げました。
 今は、まだ企業秘密等もあるのでしょう。いささかの議論はありますけれども、でも、まだ具体的にならない中で、私は問題意識の提起、提案で、きょうはこれ以上の各論については突っ込みませんけれども、ぜひ四定前といわれるこのときを楽しみにしておりますので、具体的にお示ししていただくことをお願い申し上げたいと思います。
 最後にもう二つほど、一千億円についてのお金の関係、都民の税金について確認をいたします。
 二定の中で馬場議員が質問して、五億円というか四億八千万でしたか、委託料について、これは新銀行にかかった経費として新銀行の中で負担をさせるべきじゃないかという質問をされました。それに対して、時の野口銀行設立準備担当部長は、この経費につきましては、会社が負担すべき経費でないと認識しております、都が負担する方針のもと、税務協会が調査研究業務を行っているものでございますとご答弁をされました。
 先ほどご答弁の中で、先行してかかったものは精算もあり得るというご答弁をいただきました。大きく踏み込んだ、私の立場からすれば前進だなというぐあいに思っているわけですけれども、これは、きょうの答弁が正しいということでよろしいでしょうか。

○大塚出納長 前回の財政委員会で野口部長の方からお答えしたのは、形式的にはそういうことで出しているわけでありますけれども、それを含めて、実質でかかった金のうち、これは新銀行が負担すべきものだ、これは東京都が負担すべきものだというきちっとした整理をした上で、実質的に精算をするという考えであります。

○真木委員 まだまだ続けたいところでございますけれども、最後の質問とさせていただきます。
 一千億円の出資を仮にされたといたします。例えば、私たち政治家が大塚という方から一億円をいただいた。仮にこれをぽんともらうわけです。それを、もらったら収支報告書に、政治資金規正法に基づいて報告をしなければなりません。だけれども、よく政治家がわいろをもらったときに、預かったお金だといういい方をいたします。仮に預かったお金であるならば、そのときの利子を政治資金規正報告書に記載しなければ、その利子分が寄附だというぐあいにいわれるわけであります。
 この一千億円、当然、仮に一%だとしても年間十億円あります。この一%で、あるときないときあるんでしょうけれども、やっぱりこの配当金について、全く求めない性格なのか、それともしっかりと都に戻してもらうものなのか、そこの性格につきましてお尋ねをいたします。

○津島理事 新銀行への出資は、配当を目的として行うものではございません。しかし、結果として、新銀行の経営から生み出された余剰は、程度にもよりますけれども、株主として配当を受け、それが都民へ還元されるということもあり得ると思います。
 なお、いかに配当するかということについては、政策目的を担った銀行であることを踏まえて、新銀行の経営として判断することになると思います。

○真木委員 最後の発言になりますが、先ほど来、今検討しているものをオープンにできれば、都民が抱いている不安は払拭できるというご答弁がございました。そして、四定前には明らかにしていただけるということを何度となくお約束をしていただいております。
 ぜひ、十一月末になるのかなと思いますけれども、そのときには、喝采して、もろ手を挙げてとはいかなくても、二月の議会の中で質疑を繰り返し、ぜひ賛成して、力を合わせて新銀行ができる、そういう体制をつくっていただけるように祈念をいたす次第であります。
 最後になりましたが、この二年間、出納長を初め、出納長室の皆様には大変お世話になりましたこと、そして最後にも、いい議論ができたというぐあいに私は思っております。心より感謝を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○川井委員長 他に発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○川井委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百八十号議案、第百九十五号議案から第二百一号議案まで及び第二百五号議案から第二百七号議案までを一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に質疑を終了しております。
 なお、第百九十五号議案から第二百一号議案までの契約議案につきましては、それぞれ所管の常任委員会から、お手元配布のとおり調査報告がありました。
 朗読は省略いたします。ご了承願います。

平成十五年九月三十日
           厚生委員長 森田 安孝
財政委員長 川井 しげお殿
   契約議案の調査について(報告)
 九月二十六日付けをもって議長から依頼のあったこのことについて、左記のとおり報告します。
     記
1 調査議案
第百九十五号議案 東部療育センター(仮称)建設工事請負契約
2 調査結果
(1) 自民党、公明党、民主党、日本共産党、ネット、無(1/2の会)は、全議案に対し異議はありません。

平成十五年九月三十日
           建設・住宅委員長 高島なおき
財政委員長 川井 しげお殿
   契約議案の調査について(報告)
 九月二十六日付けをもって議長から依頼のあったこのことについて、左記のとおり報告します。
     記
1 調査議案
第百九十八号議案 日暮里・舎人線下部工事(その二十四)請負契約
第百九十九号議案 日暮里・舎人線下部工事(その二十五)請負契約
第二百号議案   日暮里・舎人線下部工事(その二十六)請負契約
第二百一号議案  日暮里・舎人線隅田川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事請負契約
2 調査結果
(1) 自民党、公明党、民主党、日本共産党、ネットは、全議案に対し異議はありません。
(2) 無(市民の党)は第百九十八号議案から第二百一号議案まで全議案に対し、次の意見がありました。
 (意見)
 平成十五年六月、都発表の「機能するバランスシート」による日暮里・舎人線事業についての事業評価は、インフラ部を含めて試算すると平成二十九年度末には約二百九十五億円の累積赤字が見込まれている。現在、財政状況の悪化している中で、公共事業を行う際は、採算性がきわめて重要となっている。
 このような視点から日暮里・舎人線の事業には反対である。

平成十五年九月三十日
           警察・消防委員長 吉野 利明
財政委員長 川井 しげお殿
   契約議案の調査について(報告)
 九月二十六日付けをもって議長から依頼のあったこのことについて、左記のとおり報告します。
     記
1 調査議案
第百九十六号議案 警視庁西が丘庁舎改築工事請負契約
第百九十七号議案 警視庁三鷹警察庁舎改築工事請負契約
2 調査結果
 異議はありません。

○川井委員長 この際、松村理事から発言を求められておりますので、これを許します。

○松村委員 付託されています議案について、日本共産党の意見を述べます。
 まず、銀行課税の三議案について意見を述べます。
 そもそも銀行課税は、莫大な利益を上げながら、不良債権処理を行うことで課税を逃れている大銀行に対して、不良債権に影響されない課税方式、業務粗利益を課税対象とする応益税として導入されたものです。銀行側はこれを違法とし、銀行課税条例の無効確認などを求める訴訟を起こしましたが、東京高等裁判所は、都条例を基本的に適法なものと認めました。ただ一点、地方税法の著しく均衡を失するものでないことに対する都の検討がなされた証拠がないとの理由で敗訴としました。
 我が党は、都知事が行政の責任者として和解に応じることを否定するものではない。しかし、和解の内容は都民の納得と合意が得られるものでなければならないとの基本的立場から、本会議及び当委員会でただしました。
 まず、税率〇・九%についてです。
 なぜ〇・九%が合理的水準なのかの説明で、銀行の体力低下を考慮、国の法改正を勘案、控訴審判決の趣旨を挙げました。
 しかし、大銀行の体力が、導入時や上告時、さらに和解の時期で考慮しなければならない著しい低下どころか、大銀行の業務粗利益は三兆五千億円もの高水準を維持し、さらにはこの九月期決算でも軒並み大幅黒字となっていて、しんしゃくする余地など全くないことが明らかになりました。
 また、銀行の状況を勘案して、直近十年間の平均税収をもとに算出したとしますが、それでは丸々不良債権処理期間を取り込んでしまい、不良債権処理による大銀行の課税逃れを正すという銀行課税の本来の意味を失わせてしまう結果となってしまうことです。これでは、〇・九%が合理的水準などといえないことは明らかです。
 また、百歩譲って、たとえ〇・九%としたとしても、なぜさかのぼって適用しなければならないのか。最新の決算値が合理的としても、二〇〇一年度、二〇〇二年度の税率が〇・九%でなければならない理由は見当たりません。
 国の法改正を勘案についていえば、もともと課税自主権に基づく都独自の課税であり、国に合わせることなどありません。国が同様の制度を導入したといっても、国は企業一般に適用する制度ですが、都の制度は大銀行に限るもので、課税の目的自体が違い、この点から国と合わせなければならない理由は見当たりません。
 高裁判決については、均衡していないことが問題になったのではなく、検討されていないことが指摘されたのであります。しかも、今回の銀行税が知事や一部の幹部のみで進められ、所管局すら蚊帳の外という密室でのやり方が、高裁判決で検討された証拠がないと敗訴の要因になっていたということを肝に銘じることがあっても、このことをなし崩し的な和解の理由にしてはならないことは自明ではないでしょうか。
 また、導入時も和解に至る過程も秘密裏にやるやり方は、政策意思決定過程から公開してやるという地方自治の流れにも反するもので、こういう政治手法は改めるべきです。
 我が党以外の会派からも、なぜ和解に至ったのか都民に説明責任がある。所信と結論が極端、合理的というより政治的決着ではないのか。今回提案し、四定で決めるということをやらなければならないと、今回の和解の内容について多くの疑問と批判が出されたのは当然です。
 以上のように、提案されている和解の内容は、都民の納得と合意は到底得られるものではありません。よって、今回の和解の提案を撤回し、都民の納得と合意の得られる合理的な和解案を策定して、改めて銀行側と交渉することを提案するものです。この案で採決するならば、反対であることを申し上げます。
 次に、第百八十号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例についてです。
 条例改正の主要な点は、国の一般外形標準課税の導入に伴うものです。今回導入される一般外形標準課税は、課税対象を資本金一億円以上としていますが、都の銀行課税では、考慮しなければならないといって対象から外した中小金融機関もすべて対象とされます。
 また、銀行以外の中小企業も含まれ、赤字の中小企業にも課税されることとなります。その一方で、トヨタ自動車やNTTなど、大企業には大幅減税となります。さらには、一般外形課税の制度の導入によって、今後中小企業への拡大も当然心配されるもので、我が党は国会でも反対しました。
 さらに、都条例改正案には株取引に伴う改正がありますが、これは金持ち減税として賛成できません。また、法人税の超過課税延長という賛成できる内容もありますが、一般外形標準課税導入に伴う都条例改正案と一体のものなので、条例案全体として反対を表明いたします。
 他の契約案件七件については賛成です。
 以上で意見開陳を終わります。

○川井委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第百八十号議案及び第二百五号議案から第二百七号議案までを一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○川井委員長 起立多数と認めます。よって、本案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百九十五号議案から第二百一号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認めます。よって、本案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○川井委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、委員の派遣が必要な場合につきましては、その取り扱いを委員長に一任いただきたいと思います。ご了承願います。

○川井委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、大塚出納長から発言を求められておりますので、これを許します。

○大塚出納長 所管四局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 ただいまは、当委員会に付託されました各議案につきまして、それぞれご審議の上ご決定をいただき、まことにありがとうございました。
 昨年の十月以来一年にわたって、川井委員長を初め委員の皆様には、所管の事務事業につきまして熱心なご審議をいただきました。外形標準課税の取り扱い、財政再建に対する取り組み、公金管理や新銀行創設など、極めて盛りだくさんの内容でありました。
 この間いただきました数々の貴重なご指摘、ご意見につきましては、今後の行政運営、事務執行に反映をさせ、万全を期してまいります。
 今後ともよろしくご指導のほどをお願い申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○川井委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言お礼のあいさつを申し上げます。
 一年間大変お世話になりました。未熟な私を支えていただいて、本当に感謝申し上げます。
 課税自主権あるいは国の外形標準課税、これに大きな影響を与えた銀行業に対する外形標準課税の問題、そして中小企業を支え、日本の金融界に風穴をあけるべく新銀行の設立、そして「途半ば」でありますが、石原都政の第二次の財政再建プランと、まさに都政を支えるべく、担うべく委員会だったな、こういう思いでおります。
 この重要な委員会を大過なく務めさせていただいたのも、副委員長さんたちを初め理事、そして委員、そして行政側の理事者の方々のご協力のたまものと心から感謝申し上げております。
 一年間、本当にお世話になりました。ありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十一分散会

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