財政委員会速記録第十四号

平成十五年九月三十日(火曜日)
第二委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長川井しげお君
副委員長鈴木貫太郎君
副委員長矢部  一君
理事真木  茂君
理事松村 友昭君
秋田 一郎君
北城 貞治君
鳩山 太郎君
馬場 裕子君
桜井良之助君
藤田 愛子君
藤川 隆則君
宮崎  章君

 欠席委員 一名

 出席説明員
主税局局長川崎 裕康君
総務部長菅原 秀夫君
税制部長三橋  昇君
参事関口 修一君
参事後関 治久君
課税部長吉田 勝武君
資産税部長山本 武志君
徴収部長小林 宣光君
特別滞納整理担当部長尾芦 健二君

本日の会議に付した事件
 主税局関係
  付託議案の審査(説明・質疑)
  ・第百八十号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
  ・第二百五号議案 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出
  ・第二百六号議案 東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百七号議案 東京都外形標準課税条例無効確認等請求上告及び上告受理申立事件に関する和解について

○川井委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、主税局関係の付託議案の審査を行います。ご了承願います。
 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十号議案、第二百五号議案、平成十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、第二百六号議案及び第二百七号議案を一括して議題といたします。
 初めに、追加提出されました第二百五号議案、平成十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、第二百六号議案及び第二百七号議案について、理事者の説明を求めます。

○川崎主税局長 第三回定例会に追加提出をいたしました主税局関係の案件は、条例案一件、事件案一件、予算案一件の合わせて三件でございます。
 まず、条例案でございますが、金融機関の体力の低下、控訴審判決の趣旨、最高裁判所における基本了解の成立等を勘案し、税率を改めるものでございます。
 次に、事件案でございますが、最高裁判所において、双方の弁護団の間で和解に向けた基本了解に達しましたので、地方自治法第九十六条第一項第十二号の規定に基づき、都議会の議決をお願いするものでございます。
 最後に、予算案でございますが、銀行等に対する税の還付金を支出するための補正予算でございます。
 以上で概要の説明を終わらせていただきます。
 詳細につきましては総務部長からご説明申し上げますので、よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○菅原総務部長 引き続きまして、提出案件の具体的な内容につきまして、お手元の資料に従いましてご説明申し上げます。
 初めに、条例案でございます。
 恐れ入りますが、資料第1号、東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例の概要をごらんいただきたいと存じます。
 改正の第一点目は、平成十二年四月にさかのぼり、税率を三%から〇・九%に、特別法人につきましては、二%から〇・六%に改めるものでございます。
 二点目は、地方税法の改正により国の外形標準課税が導入されたことに伴い、都の銀行外形の課税期間を現行の五年から四年に改めるものでございます。
 続きまして、事件案でございます。
 資料第3号、東京都外形標準課税条例無効確認等請求上告及び上告受理申立事件に関する和解方針の骨子をごらんいただきたいと存じます。
 第一に、都は、税率を条例施行当初にさかのぼり〇・九%とする改正条例が成立・施行された後直ちに、既に納付された税額との差額に、法令の定めるところにより、還付加算金を加えて返還する。
 第二に、改正条例が成立・施行されたときは、最高裁判所におきまして、原告は速やかに本件訴えを取り下げ、都及び都知事は取り下げに同意すること、訴訟費用は各自の負担とすることを骨子とする訴訟上の和解をするというものでございます。
 最後に、予算案でございます。
 資料第5号、平成十五年度一般会計補正予算(第二号)説明書をごらんいただきたいと存じます。
 今回、補正をお願いいたしますのは、歳出予算の過誤納還付金でございます。下段の表、諸支出金内訳の二行目にございますとおり、千六百九十四億九千万余円を増額補正するものでございます。これは、銀行業等に対する外形標準課税の税率改正に伴う還付金二千三百四十三億三千四百万余円のうち、今年度の収入額から還付する額を除いた額でございます。
 なお、お手元には関係資料をお配りしてございますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、ご説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○川井委員長 説明は終わりました。
 その他の議案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○菅原総務部長 先般の委員会におきまして要求のございました主税局関係の資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 一ページの要求資料第1号、外形標準課税の対象法人数についてご説明申し上げます。
 この表は、外形標準課税の対象法人数を利益法人、欠損法人に区分し、資本金別にお示ししたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料に関する説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○川井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○北城委員 外形標準の条例改正についてでありますけれども、話し合いによって決着をつけていくんだ、こんな道を選択されたわけであります。現実的な判断だと私は思っております。まず、この条例改正案につきましては賛成をさせてもらいたいなと、こんなふうに思います。ただ、質疑に入りまする前に、二点だけ指摘をさせてもらいたい、こんなふうに思います。
 最初の一点でありますけれども、この銀行外形というのは、都議会で議論を尽くされまして、なおかつ東京都が課税自主権の行使をもって導入をされたわけであります。その間、多くの都民の方々に支持をされてきた経過があるわけであります。またなおかつ、強い決意を持って最高裁に上告をされたわけであります。しかしながら、話し合いによって解決をするんだというようなことを私たちが知り得たのは、たしか八月中旬の日経新聞の報道であったのかなと、こんなふうに記憶をしております。まさに驚きでありました。こんな経過を考えますると、東京都はなぜ和解の道を選択されたのか、話し合いによって決着をされる道を選択されたのか、これを東京都民に詳しく説明する責任があろうと私は思っております。
 あと、二点目でありますけれども、税率の問題であります。税率というのは、当事者同士が納得をすればいいという問題ではないと私は思っております。やはりそこには合理的あるいは客観的な水準が必要であるということは、論をまたないわけであります。もちろん今回の〇・九%という税率は、折り合いをつけるためのつかみの数字でないということも十二分には承知をしておりますけれども、新聞報道で見る限り、合意成立のために東京都が譲歩した〇・九%であるというような印象を持っている東京都民も多くいることも事実であろうと私は思っております。
 そんな点に立脚をいたしまして、まず最初にお聞きをさせてもらいたいことは、東京都は、本年二月に、高裁判決は到底容認ができない、上告審の判断を仰ぐとして上告をされたわけでありますが、その後どのような経過で話し合いによる決着を目指すようになったのか、改めて説明をしてもらいたい、こんなふうに思います。

○三橋税制部長 ご案内のとおり、控訴審判決では、条例の基本部分を初めといたしまして都の主張をほとんど認めつつ、ただ一点、税負担が不均衡であるとされたわけでございますけれども、この控訴審判決は、条例の適法性を前提に、ある意味では和解を促す内容でもあり、双方の弁護団において話し合いを進めることは、知事が本会議でご答弁申し上げましたとおり、自然の流れでもあったわけでございます。
 また、本年三月には、都の条例を契機として国の法改正が行われ、外形標準課税が導入されましたこと、それから、金融機関の財務内容がさらに悪化をいたしておりまして、本年六月には、りそな銀行に二兆円もの公的資金が再注入されたこと、ただいま申し上げました控訴審判決の趣旨等を勘案いたしまして、知事の判断により、話し合いによる決着を目指すこととしたものでございます。

○北城委員 確かに高裁におきましては、税負担の均衡以外は東京都の主張が全面的に認められたわけであります。承知をしております。また、さまざまな社会経済状況の変化もありました。しかしながら、冒頭申し上げましたように、税率というのは、より客観的、より合理的でなくてはならないことは論をまたないわけであります。
 そこで、お伺いをさせてもらいますけれども、話し合いの中で、当初伝えられていた一%という税率、これは東京都側から提示したものなのでしょうか。そうだとしたならば、一%はどのような考え方に基づき提示をされたのか、また、いつごろから話し合いを始められたのか、あわせてお伺いをしたい。

○三橋税制部長 税率一%でございますけれども、双方の弁護団の話し合いの中で都側から提示したものでございます。これは、今回導入されました国の外形標準課税の税率が過去十年間の平均税収をもとに設定されていること等を参考にいたしまして、平成五年三月期から平成十四年三月期までの十年間の平均税収をもとに算出したものでございます。
 本格的な話し合いを始めましたのは七月下旬でございまして、その時点での最新データでございます平成十四年三月期までの実績をもとに算定したものでございます。

○北城委員 今ご答弁にもありましたように、税率一%は東京都が提示をされたものでありますよね。ただ、最終的には〇・九%で合意の成立が見られたわけであります。ですから、この〇・一%の差というのは、冒頭申し上げましたように、折り合いをつけるために東京都が譲歩した数字であるということを多くの都民の方々が持っているんじゃないかなと、こんなふうに私は思っております。
 そこで、お伺いをさせてもらいたいんですけれども、この間の経緯、そしてまた、当初提示をしました一%が合理的な水準であるとするならば、〇・九%という数字はどういう数字なのか、あわせてお伺いをしたい。

○三橋税制部長 〇・九%の税率でございますけれども、双方の弁護団の間で九月十二日に基本合意されたものでございます。これは、その後明らかになりました平成十五年三月期をも反映をさせまして、平成六年三月期から平成十五年三月期までの直近十年間の平均税収をもとに算定したものでございます。この直近十年間の平均税収は約三百十億円でございまして、この税収が得られるような税率が〇・九%に相当するものでございます。
 なお、控訴審判決におきましては、条例制定後の二、三年の状況を勘案すべきであるというふうにされておるわけでございますけれども、その趣旨とも結果として合致するものでございます。
 また、先ほどご答弁申し上げましたように、十年間の平均税収という考え方は、国の考え方とも軌を一にするものでございます。したがいまして、〇・九%という税率は根拠のある合理的な水準であるというふうに考えております。

○北城委員 七月の話し合いの時点、そして二カ月後の九月の話し合いの時点、それによって最新のデータを平成十四年の三月期、そして平成十五年の三月期に変更された、それによって、向こう十年間の税収の基準の計算によって一%から〇・九%になった、こんな説明であります。嫌みではありませんけれども、双方の弁護団、本当に優秀な弁護士がおられたのかなと、こんな印象を持たざるを得ないわけであります。これは嫌みではなくて、やはり双方の弁護団は和解の成立を本当に真剣になって考えられていたのかなと、こんなふうに私は個人的に思っております。
 ただ、この銀行税を契機としまして、各自治体で独自課税の議論が高まったわけであります。そしてまた、課税自主権を行使する動きも広まったわけであります。だからこそ、税率を決めるに当たっては、地方自治体の責任においてあらゆる角度から検証をし、より客観的、より合理的に決定をしなければいけない事項であるということを私は再度指摘をしておきたい、こんなふうに思っております。
 そこで、視点を変えてお伺いをさせてもらいますけれども、今回の改正によりまして、東京都は、差額二千二百二十一億円のほか、還付加算金百二十三億円を返還しなければいけないということがいわれておりますが、この銀行外形の究極の目的は、やはり財政状況が厳しい中で課税自主権を行使して都税収入を確保するというところにあると私は思っております。
 そこで、お伺いをしますけれども、今回の決着によりまして、税収面を含め、東京都や都民が得られるメリットはどういうものなのか、お聞かせを願いたい。

○三橋税制部長 今回の決着によります、都や都民の得られるメリットでございますけれども、大きく二つ挙げることができるかと思います。一つは、銀行外形は都が課税自主権を行使して導入したものであり、その適法性が認知されたことでございます。もう一つは、税収面におきましても、四年間で千二百六十億円もの税収が確保でき、財政状況が極めて厳しい中で大きな役割を果たすことができるということでございます。

○北城委員 結論が出たわけであります。この銀行外形は、その有効、無効が争われていたわけでありまして、今回の決着によってその適法性が認知をされたわけであります。大変大きな意義があることなのかなと思っております。具体的に申し述べさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 まず一つは、厳しい財政状況の中で、改正後も、今ご答弁がありましたように、四年間で千二百六十億円を超える税収が確保できることであります。そして二つ目が、課税自主権の確立、さらには地方税財政制度の確立の議論が各自治体で高まったことであります。そして、何十年間も議論をされて結論が出得なかった国の外形標準課税が、来年導入されることになった。これはある意味では、東京都の銀行税にかかわった方々が実質的な国の外形標準課税の導入者であったといっても過言ではないと私は思っております。これは恐らく、長く地方税の歴史に名を残すんじゃないかなと私は思うところであります。
 そしてさらに大切なことは、銀行税の導入によりまして、厳しい社会の目が銀行に向けられたことであります。私は、それによって、銀行が銀行という名のもとにあぐらをかいてきたことが、銀行の経営改善の努力を加速させたといっても過言ではないと思っております。
 そこで、最後にお伺いをしますけれども、この一連の経過の中で、銀行外形につきまして局長はどのような所感をお持ちなのか、お聞かせ願いまして、私の質疑を終了させてもらいたい、こんなふうに思います。

○川崎主税局長 銀行業等に対する外形標準課税は、東京都が課税自主権を行使して導入したものでございます。納税者の理解が得られず、訴訟になりましたが、今回、双方の話し合いにより合意に至りました。都議会で議決をいただき、和解が成立した暁には、有効な条例として認知されるものであり、地方の課税自主権を確立する上で大変意義あることと考えております。
 税率が三%から〇・九%に改正された後におきましても、ただいま委員からお話がありましたように、四年間で一千二百億円を超える税収が確保できるなど、銀行外形は、都財政が大変厳しい中で重要な役割を果たしてきたものと考えております。
 また、都の条例を契機として全国自治体でも独自の課税の動きが広まるとともに、平成十五年度の税制改正で国の外形標準課税が導入されるなど、国政に大きなインパクトを与えたものと考えております。
 今後とも都議会のご協力をいただき、税源移譲を基本とした三位一体の改革の実現を国に強く働きかけるなど、地方主権の確立に向け、歳入局主税局の立場から全力を尽くしてまいります。

○桜井(良)委員 私も、銀行業に対する外形課税と課税自主権の問題について、別といいますか、何となく、最初の所信というんですかね、所信と結論がちょっと違うんじゃないかなと、こんなふうに思っていまして、そういう立場から若干疑問に思っているところをお聞きしたいなと思います。
 まず、高裁の判決が出たころ、私たちも、最高裁へ行くと法的な判断でなかなか厳しいから、法的に都のいうことは通るかなということを心配したものですから、和解になるんじゃないかなというふうに思っていました。しかし、和解の話をそれぞれ個別に申し上げても、そんなことはない、最後まで闘うんだと。議場でも委員会の席でも、控訴して断固闘うと、こういうお話であったわけでありますが、そうであるならば、いろんな情報がもしあるならば、経過の中で変化があるならば、議会側とよく情報を交換しながら取り組んでくださいよということが、委員会の皆さん方の考えでもあったわけです。突然新聞に出て、皆さんびっくりしたわけでありますが、絶対やるといっていたころは知事選の前だったですよね。聞いてみても、五月ごろから大体話が始まっていたという話でありまして、知事選の前は絶対やると。終わったら何か和解で、何とか水面下で動き出して、議会に情報もないまま新聞に出ちゃったというのが、正直いって皆さんはそういうふうに受けとめていると思います。しかし、そのことを子どもみたいにぎゃあぎゃあ騒いでもしようがないんですが、その間、主税局がどれだけ関与してきたかなということが若干私も疑問に思うわけなんですね。
 それで、これは答えだけでいいんですが、この和解をめぐって、前回、松村先生の方の党の代表質問で、所管局は蚊帳の外だ、こういうふうにご指摘があったと記憶しているんですが、実際はどうだったのか、まずここからお聞きしたいと思うんですが。

○三橋税制部長 話し合いは双方の弁護団において行われたわけでございますけれども、最終的には知事が判断をしたものでございます。その中で主税局の役割でございますけれども、所管局として、今日の銀行経営の状況の分析でありますとか、新たな税率水準の考え方等を整理するなど、この案件に深くかかわってきたところでございます。ご指摘のような発言は当たらないというふうに考えております。

○桜井(良)委員 当たらないということで、これは双方でよくやり合っていただきたいと思うんですが。
 蚊帳の外ではなかったということなんですが、そうであるならば、なおさら議会に対しての対応はどうだったのかなと考えざるを得ないんですけれども、途中で局長もかわりましたし、いろいろ忙しい時期もあったと思いますので、このことを取り上げて、そうじゃないか、ああじゃないかといってもあれですから。
 ただ、この問題は、銀行税が導入されたときのことを振り返りますと、都民の大半の人は拍手喝采したわけですね。これはやっぱり、大手銀行の貸し渋り、貸しはがしなどに苦しんでいた人たちが都民の大半でありましたし、私たちもそのことを痛感しておりました。特に中小企業の人たちは、そうだ、そうだというふうな声が聞こえてくるぐらい、皆さんもろ手を挙げて評価したわけであります。そういう貸しはがし、貸し渋りをした大手銀行が、最低金利で利益を上げながらも、不良債権の処理ということに経費をつぎ込んだために都税の負担は本当に極少である、そういうことがあったわけであります。
 しかし、もう一方からすると、そういう銀行に対する感情論だけではなくて、あのとき、都議会の人たちは党派を超えて、自治体の課税自主権をどのように確立していくんだと、こういう観点から知事を支持し、ある意味ではともに闘うという姿勢を議会側の決定ということでとったわけであります。
 いうまでもなく地方税というのは、その自治体を構成する住民がその必要経費を分かち合う性格のものでありますから、住民の当然の義務として課税を強いられるわけでありますが、しかし、そういう性格であればこそ、自治体がどういう税を課して住民がどのように負担をするかということについては、知事とか市長、あるいは議会とか住民で決めていくことだと思うんですね。しかし、現行の地方税法はそうなっていない。地方税というのは名ばかりで、全部国が決めるようになっているのが実態である。地方分権の時代といっても、税について自治体が判断できるものはない。
 こういう中から、銀行税というのは、その内容や、あるいは税収の規模から見て、こういう問題を持つ現行の地方税法と地方税財政制度へのある意味ではチャレンジ、挑戦であった。そして、そういう意味では自治体として画期的な挑戦をしたなと、こういうことで、都議会は課税自主権のあり方を現行法体系の中で問うべきときだと考えて、知事のそういう提案にも賛成して、控訴や上告にも同意をしてきたというのが私たちの本音なんですね、都議会側としての。それは地方自治の未来を開くために、ある意味では知事の判断とその闘いに我々もかけたというふうにいえるとも考えるわけなんですね。
 しかし、今回、和解となりますと、その挑戦というか、チャレンジの結論を見ないままに終わっちゃうんじゃないかなと。最初の課税自主権のあり方というこの課題に対して、最終的な判断がないままに終わっているわけですね。地方税の課税権を自治体がどこまで行使できるのかということについて、最終的な法の判断がないまま終わってしまう。地裁ではことごとく主張は退けられましたが、高裁の控訴判決では、銀行税導入自体は自治体の裁量だと。そして、課税自主権も認めるところまで来て、税の返還は命じられたけれども、内容は評価できるものであった。それだけに、最高裁の最終判断はどうなるかということを上告して闘いたいというその知事の姿勢に、私たちもやはりこれは地方の側からして、結論はどうなるかわからないけれども、その最終結論までやろうじゃないかというのが都議会の判断だったと私は思うんですよ。一部の新聞に、都議会は余り税制問題に関心がないなんていうのが最近載っかっていましたけれども、そんなことはありません。皆さんの意識はそこにあったというわけです。
 だから、和解という幕切れを迎えると、何か課税自主権のあり方という重要課題に対する挑戦が中途半端な結論であったとしか私としては印象に残らないんですけれども、細かい問題は別にして、課税自主権のあり方というのは都の積年の課題でありますから、それを裁判にかけたという結論が中途半端で終わっちゃうんじゃないかなと思うんですが、その辺、主税局長は、蚊帳の外でない立場からどのようにごらんになっていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

○川崎主税局長 ご案内のとおり、現行の国と地方の税源配分は、その役割分担に見合ったものになっておらず、極めて不均衡なものになっております。また、先生ご指摘のとおり、現在の地方税制は、国が決める法律により細部まで定められており、地方自治体の裁量の余地は極めて限られております。銀行外形は、そうした中で都が税収を確保するとともに、現行の地方税財政の問題に一石を投じる観点から、地方税法の規定を活用し、導入したものでございます。
 その意味で、この裁判は、委員ご指摘のとおり、地方の課税自主権を確立するための闘いであり、都は、裁判において都の主張が認められるよう、都議会のご協力をいただきながら全力で取り組んでまいりました。その中で控訴審判決は、条例の適法性を前提として、ある意味では、知事も答弁しておりましたけれども、和解を促すような内容でもあり、双方の弁護団において話し合いを進めることが自然の流れであったともいえる判決になっております。そうした中で今回、知事の判断により和解を選択することになったものでございます。
 委員のお話のように、最高裁の判断を得るよう選択する道も考えられるわけでございますが、改正条例が成立・施行した場合には、銀行外形は、和解という形ではございますが、最高裁判所において、納税者の納得のもと、適法、そして有効な条例として認知されることになるわけであります。もともと条例の有効、無効が争われた裁判ではありますが、一方において、都の条例を契機とした国の法改正の実現、銀行の著しい体力低下、控訴審判決の趣旨等を考慮して、知事が判断をしたものでございます。

○桜井(良)委員 客観的情勢の判断は、高裁の判決が出た時点と、今でもそう客観的な情勢は変わらない判断ができたと思うわけなんですね。情報があったとかないとかということをいいますと、これまた枝葉のような議論になってしまいますが。
 ちょっと細かいことを聞きますが、そこで、最高裁が税率〇・九%で基本的に了解が成立したというふうにされているわけですが、基本了解というのはどういうものなのか。またあわせて、今後和解までの手続があれば、簡単にこれを説明していただきたい。

○三橋税制部長 基本了解は、双方の弁護団の間で和解に向けて交わされた合意でございまして、その内容は二つございます。一つは、改正条例が成立・施行された後、都は直ちに税額との差額と還付加算金を返還するというものでございます。もう一つは、改正条例が成立・施行されたときは、最高裁において、銀行は速やかに訴えを取り下げること等を骨子とする訴訟上の和解を行うというものでございます。
 申し上げることもないことでございますけれども、税率改正、これは条例改正が必要でございまして、都議会においてご審議、ご判断をいただくものでございます。そういう意味で基本了解は、都議会の賛同を得られるよう最善を尽くす、そういう前提の上に交わされたものでございます。
 なお、都議会で議決をいただき、改正条例が成立・施行された場合には、十月八日に最高裁において和解調書を作成し、訴訟上の和解を行う予定となってございます。

○桜井(良)委員 基本了解とは、あくまで都の税率〇・九%に改正する条例を都議会に提案して賛同を得られるよう最善を尽くすということでありますが、それが和解の前提条件だということですね。
 じゃ、どのような理由で、同じ質問になるかもしれませんけれども、和解により裁判を終結するという道を選んだのか、もう一回改めてお答えいただきたいと思います。

○三橋税制部長 双方の弁護団におきまして話し合いを進めることは、先ほど局長から申し上げましたように、いわば自然の流れということでもございました。そうした中で本年三月には、都の条例を契機として国の法改正が行われ、外形標準課税が導入されましたこと、それから、金融機関の財務内容がさらに悪化をいたしまして、本年六月には、りそな銀行に二兆円もの公的資金が再注入されたこと、さらに、ただ一点、税負担の均衡を欠いているとしておりました控訴審判決の趣旨、これらを勘案いたしまして、話し合いにより裁判を終結させる道を選択したものでございます。

○桜井(良)委員 そうなりますと、高裁の判決で、都の税負担は高過ぎる、こういう指摘がありましたよね。その判決を認めたということですね。

○三橋税制部長 今回の税率改正をお願いしているわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、都の条例を契機といたしまして国の法改正が行われたこと、あるいは金融機関の体力が著しく低下していることなどの状況変化を踏まえまして提案申し上げているものでございまして、控訴審判決を全面的に認めたものというふうには考えておりません。
 改正後の税率は、平成十五年三月期までの直近十年間の平均税収をもとに算出しておりまして、結果として、条例制定後の状況を考慮すべきといたしました控訴審判決の趣旨が反映されているものでございまして、そういう意味で今回の改正は、税負担が不均衡だとする控訴審判決の趣旨を踏まえたものでございます。

○桜井(良)委員 もう少し聞きたいんですが、たくさん質問もあるのであれなんですが、都財政は厳しい、こういう指摘はだれもが認めるところなんですよね。ところが、和解に向けて進みますと、十五年度分として六百四十九億円といういわゆる還付金の支出が発生するわけですよね。一方で都財政は厳しいと、こうなっているわけですが、その六百四十九億円の影響も含めまして、本年度の税収動向から見て、大丈夫なんでしょうね。

○三橋税制部長 平成十五年度の都税収入の見通しについてでございますけれども、税収に大きなウエートを占めます三月期決算法人の十一月に行われます予定申告あるいは中間申告の状況などを見きわめる必要がございまして、現時点で確たることを申し上げる状況にはございません。しかしながら、今年度の税収は、企業収益が改善したことなどから、法人二税を中心に、これまでのところ、前年度を上回り、好調を維持しております。また現在、日本経済は景気の持ち直しに向けた動きもございまして、今後の税収につきましても引き続き堅調に推移するものと思われます。これらを勘案いたしますと、今回の還付金の発生には十分対応できるものと考えております。

○桜井(良)委員 あと、また前に戻って局長にお答えしていただきたいんですが、いろいろ聞きましたけれども、今回の和解というのは、いわば東京都対銀行の闘いの決着にすぎないと思うわけですね。先ほどから私がいっている、現行の税制度対地方の政策判断と自主課税のあり方という問題は、結論が見えないままに終わってしまうという感じを私はどうしてもぬぐい去れないんですね。
 仮にこのまま和解などしないで最高裁で徹底的に争ったとしたらどうなるのか。控訴審判決の内容からして勝負はわかりませんけれども、地方の立場からすると、地方自治体の最大のリーダーシップを発揮しなければならない東京都からすると、このままだとやはり課税自主権のあり方についての課題とか現行税制の限界というものが、最後までやることによってさらに浮き彫りにされて、新しい課題と、次の挑戦するものは何かということがはっきりしてくると思うんですね。そこまでやってほしかったなという気持ちがあるわけなんですけれども、そこまで至らなかった。何となくそこが中途半端だなという感じをどうしてもぬぐい去れないんですよね。
 地方分権の時代だというのは一つの流れでありますし、国においても三位一体の改革ということで議論が行われておりますよね。しかし、この議論そのものは、中身は補助金という、いわば国のひもつきのお金を減らそうというと同時に、それ以上のものはまだ議論が進んでないと思います。地方税制が抱える根本的な問題とか、あるいは地方税でありながら国がすべてを決めてしまうというこの不合理性を指摘して、議論して正していかなければ、私は真の地方自治、地方分権は達成されないと思うんですね。このことについては、やはり三位一体の議論の中でも議論されていないと私は思うわけなんです。銀行税に関する訴訟というのは、その絶好の機会だったんじゃないかなと私は思うわけです。
 そういうことで、最高裁の判決を仰ぐことで、繰り返しますが、次の真の地方自治の確立、分権に向けての新たな目標、課題がもっと明確に見えてきて、それに挑戦することが地方分権の道をさらに前進させたのではないかなと。それを東京都が示していくことも大事だったなというふうに、私たちは、この裁判を起こして、高裁を終わって最高裁も闘うなというときは、皆さん議員の人たちは同じような意識でこの問題をとらえたと思います。ただ銀行はけしからぬというだけの話ではないわけでありまして、今、日本の国の、いわゆる国と地方の間に横たわる最も根源的な問題に対して挑戦する意識というものを全議員が持って知事の判断に賛成したということであって、決して議員全体が税制について関心がない、議論がないということではないと私は思うわけでございます。
 厳しい財政状況や都の財政運営の総合的な上からもぎりぎりの選択をしたということは、その問題だけとらえればよく理解できるんですが、より高い立場で地方自治の全体のことを考えると、やはり何となくしっくりしない、残念だったなという気持ちをぬぐい去れません。
 そこで、主税局としても、当初はそういうにしきの御旗も一方に立てながら銀行税を導入したんじゃないかと私は思うんです、東京都は。それが訴訟になり、長い闘いを強いられるということも当然そのとき予想されたでしょうし、主税局としては、その担当局としての決意を持ってこれに取り組んできたと思うんですね。そこで、当初に銀行税を導入したときの地方としての決意というものが今なくなっちゃっているかどうか、それをお答えしていただきたいと思います。

○川崎主税局長 この裁判は、地方の課税自主権が確立できるかどうかの闘いであり、都の主張が理解されるよう都議会のご協力をいただき、全力で取り組んでまいりました。今回、知事の決断により、話し合いによる決着の道を選択することになりました。
 今回の和解は、司法が介在して決着するものであり、改正条例が成立・施行した場合には、銀行外形は有効、適法な条例、そして正当な課税自主権の行使として広く認知されることになると考えております。
 議会のご決定をいただいた場合には、銀行外形の闘いは一応終息に向かうことになりますが、なお引き続きご支援をいただきながら、課税自主権の確立に向けた決意を持って新たな闘いに挑戦してまいります。

○桜井(良)委員 堂々めぐりになっちゃうんですが、もう一回いいますけれども、裁判としての終結は見ましたけれども、銀行税が提起した課税自主権のあり方という問題については全く終息してない、こういうふうに思います。
 そこで、今、銀行税だけのことしか主税局長はいいませんで、銀行税に対して、銀行税はこういう結果をもたらしたということしかいっていませんけれども、大きな問題は全体の税財政制度の改革でありますから、これが一番おくれているわけですね。財政再建プランの中でもいろんなことをやってきましたけれども、この税財政改革だけは全然進んでいない。これは二十年、三十年の都の課題であるわけですよね。それに対して議会側も一致して挑戦して、何とか風穴をあけて、地方の立場に立った税財政制度を確立しなければならない。それは税全般にわたっていじらなきゃならない大事業だと私は思うわけでございまして、そういう意味で、税調を担当する局でもありますし、こういう結末になったということをまた一つの起点にして、これで一件落着じゃなくて、やはりもっと国に対して地方税財政制度のあり方についての主張や、国に対して意見をいっていく、そして改革をなし遂げていくという決意は、この裁判を契機にして、前にも増して数段の強さでもって臨んでいただきたいなと、こういうふうに強く思っている次第でありまして、最後に局長の決意を聞いて、質問を終わります。

○川崎主税局長 都の銀行外形は、法定外税など、他の自治体における課税自主権行使の機運を高めるとともに、国の外形標準課税導入の契機となるなど、国や地方に大きなインパクトを与えました。また、地方税制度の問題に都民、国民の関心を向け、今日における三位一体の改革論議の端緒を開いたものと考えております。
 しかし、三位一体の改革の方向は示されたものの、税源移譲はいまだ実現しておりません。また、委員ご指摘のとおり、本来、住民の意思に従い、自治体がその責任と判断で決めるべき地方税について、国が法律でほとんどすべて決めてしまうという仕組みは全く変わっておりません。
 東京都はこれまでも、東京都税制調査会を創設し、地方主権の時代にふさわしい地方税財政制度のあり方について提言いただくなどの取り組みを行ってきましたが、今後とも都議会のご協力をいただき、都税調を活用しながら、地方主権を支える地方税制のあり方について検討を行い、国に働きかけるとともに、八都県市など大都市自治体とも連携を深め、三位一体の改革の実現を初め、あるべき地方税財政制度の確立に向けて全力を尽くしてまいります。

○真木委員 初当選以来二年間連続で財政委員会に所属をさせていただきました。当選して数カ月後にこの銀行税訴訟の一審判決が出て、それ以来、大変なことだなということで高い関心を持ってこの問題に当たってきたつもりであります。
 私が銀行税訴訟に当たって見てきた観点は、昨日も申し上げましたが、三つございます。
 一つは、何といっても課税自主権をかち取るためにこの訴訟を勝ち抜かなければならないというその問題とともに、もう一つは、一方で一審で負けた、そうした中では還付加算金もついている。取ったものを全部返すだけじゃなくて、さらには四%を超える還付加算金をつけて返せと。これをもしずっと五年間以上--最高裁まで普通争えば、どんな形であれ最高裁まで行くんだろうから、それじゃ五年どころじゃ済まない。そのときには一遍に財政再建団体になってしまうんじゃないのかということで、財政再建団体に陥らないために、都財政の危機管理という観点から一つ。そしてもう一つは、都民の税金を一円たりともむだにしてはならない。この三つの観点から私は物事を見てまいりました。
 そして、昨日明らかにさせていただきましたが、財務局との間では、東京都財政の危機管理ということで財政調整基金を上積みするということを繰り返し求め、一千三百億から二千億にふえ、今回、和解ということになっても返すだけの原資があるという状態になりました。もう一つは、主税局とのことでありますが、税金を一円たりともむだにしてはならない、都民の税金をむだにしてはならないということで取り組んできたつもりであります。
 そうした中では、一審、二審負けた今の状況の中で今回の結論というものは、最善な形で、ハッピエストという形でいってもいいんじゃないかと思えるぐらいな形で落ちついたというぐあいに私は思っております。〇・九%でよくまとまったな、銀行がよくもここまで弱気になったなというのが率直な感じでございまして、普通、借り手と貸し手においては、貸し手が強くて借り手が弱いわけでありますが、借金の額が大きくなると立場が逆転するという話を聞いたことがあります。今回の訴訟においても、銀行が余りにも、三千億円預けて、万々が一返ってこなくなったら大変だというようなことで、借り手と貸し手の立場が逆転したのかなというか、銀行の方が弱気に出たなという感じがしております。
 そうした中で今回の結論は、まず結論からして、私は了承したいというぐあいに思うわけでありますが、しかしながら、その結論を説明する理屈についてはやはり大きな疑問を抱かざるを得ません。結論が先にあって、理屈は貨車でついてくるというのは著名な政治家が発言した言葉でありますけれども、しかしながら、政治の世界ではそうしたことが許されたとしても、行政は余り政治的な発言はしない方がいいんじゃないのかなというぐあいに思います。
 東京都のいっているこの理屈につきまして、結論は了とするものの、理屈についてまずただしていきたいというぐあいに思います。東京都も、わかりましたということにはならないと思いますので、同じ答弁を何回もされるんじゃないかと思いますが、聞いている方々にご判断をいただき、ご審判をいただくということでいきたいと思います。
 まず最初に、議会と行政との関係についてお尋ねをいたします。
 知事、また都は、断固闘い抜くという方針を示し、そして議会もそれを了承し、議決を行いました。しかしながら、今回は、行政側は議会への何の情報提供もないままに大きくカーブを切りました。議会と行政との関係の中で、行政が提案し、議会が了承したその方針を、行政は議会が決めた方針を実行していくのが行政の仕事であって、行政に果たしてそれを大きくカーブを切る権限があるのかということについてまず確認をしたいと思います。

○三橋税制部長 今回の和解が成立するためには、その前提として条例の改正が必要でございます。また、訴訟上の和解にも議会の議決が必要である、そういうふうに考えております。

○真木委員 手続はそういうことかと思いますけれども、そもそもの筋があるわけでありますね。そういった筋をつくることができるのかということを私は問いたいわけでありますけれども、ここで、今結論が出た中でこうしたことを繰り返してもあれでございますので、しかしながら、議会と行政の関係からして決して好ましいことではないということを私は申し上げておきたいと思います。
 そういう意味で改めてお尋ねをいたしますが、今回の和解について、いつ、だれが交渉開始をしたのか、その案をまとめるに当たった経過を明確に、だれがということにつきまして明確にしていただきたいと思います。

○三橋税制部長 双方の弁護団が本格的な話し合いを始めましたのは、七月下旬であるわけでございます。これは知事の判断に基づくものでございます。その後、九月に入りまして最高裁において協議が行われ、去る九月十七日に基本了解に達したというものでございます。

○真木委員 今、知事というお話がございました。この間、銀行税訴訟につきまして、私はもう何度となく主税局といろんな意見交換をさせていただきました。しかしながら、その意見交換の中では、主税局--先ほどの蚊帳の外かどうかという議論は別といたしまして、蚊帳の外とは申し上げません。しかしながら、訴訟の当事者というような感触は得がたかったと思います。今回の和解という高度な政治判断は、やはり高度なレベルで行われたというぐあいに理解してよろしいでしょうか。

○三橋税制部長 話し合いは、双方の弁護団において行われたわけでございます。最終的には知事が判断をしたということでございます。
 主税局のことも若干ありましたので、先ほどの答弁と繰り返しになりますけれども、所管局として相応のかかわりを持ってきたというところでございます。

○真木委員 主管局ではありますが、相応のというか、事務という形でかかわってきたのかなという気がしてなりませんというか、それが実態であったんだろうというぐあいに思います。高度な政治判断はやはり高度なレベルで、主税局を超えたところで行われたなということを、私なりには確認をしたいというぐあいに思います。
 続きまして、和解の考え方についてお尋ねをいたします。
 ここにいらっしゃる先生方は釈迦に説法かと思いますが、しかしながら、多くの都民の間におきましては、和解が行われたので、税率が下がってお金を返すというぐあいにいわれております。和解が行われたから、率を下げてお金を返すのか、その点につきまして確認をしたいと思います。

○三橋税制部長 和解の結果、返還するというものではありませんで、あくまでも条例改正に基づいて還付をするというものでございます。

○真木委員 あくまで形式は議会が下げた、議会の判断で下げた、その結果として和解ができるというような形式はとっておりますけれども、実態は全部行政側が決めてきて、議会が追認させられているという状況であり、また同時に、議会を初めとして、東京都が屈服をして頭を下げたら初めて和解ができるというのが実態なのかなというぐあいに思います。そういう理解でいいのか。あくまで和解の前提条件としてお返しをする、これがなければ和解ができないということなんですよね。

○三橋税制部長 お話のとおり、都議会の議決をいただくことが和解の前提条件であるということでございます。

○真木委員 一審、二審負けているわけですから、その中で私もよく〇・九%でまとまったなという感想を持っている中でありますけれども、ただ、和解ができてからという説明の仕方がちょっと、和解ができたというんじゃなくて、東京都が頭を下げて、そして初めて和解ができるんだということは改めて確認をしておきたいというぐあいに思います。
 その上で今回、行政事件、行政訴訟ということで、和解はないものだというぐあいに理解をしておりました。しかしながら、最終的に最高裁を通じての和解という言葉を正式に使える形で終わるかのように聞いております。行政訴訟における和解ということの考え方についてお尋ねをいたしますとともに、この和解の中で最高裁判所はどういう役割を果たすのでしょうか。

○三橋税制部長 租税法は強行法規でございまして、税率等の課税要件は、租税法律主義あるいは租税条例主義に服するものでございます。そういう意味で条例の手当てが必要でございます。したがいまして、当事者間で取り決めを行いましても直ちに法的効果は生じないものでございます。
 基本了解は、双方の弁護団の間の和解に向けての合意でございまして、条例改正は、繰り返しになりますが、都議会においてご審議、ご判断をいただくものでございます。そういう意味で、基本了解は、都議会の賛同を得られるよう最善を尽くすという、そういう前提の上に交わされたものでございます。
 また、最高裁の役割でございますけれども、双方の弁護団から意見を聴取するとともに、協議の場を提供したものでございます。今後、条例案が成立した場合には、十月八日に和解調書を作成し、訴訟上の和解を行うこと、そういう予定になってございます。

○真木委員 複雑な手続というか、ロジックが複雑に絡みながらやられていて、税率は和解の中の条件ではないということであります。うまいことやっているなという感想とともに、ちょっと腑に落ちないところもありますが、今回の和解の効果というものはどのようになりますでしょうか。

○三橋税制部長 十月八日に最高裁において行われます予定の和解は訴訟上の和解でございまして、確定判決と同様の効果が生じます。そういう意味で、当事者間を拘束するというものでございます。

○真木委員 そういたしますと、判決として東京高裁の判決が確定をするということにはならないんですよね。

○三橋税制部長 今回の合意の内容では、銀行側は訴えを取り下げることとしております。そういう場合は、訴訟は初めから係属しなかったものとみなされることとなっておりまして、これまでの地裁判決、高裁判決も含めまして、訴訟が初めからなかったものとして取り扱われるものでございます。

○真木委員 先ほど来主税局は、東京都の条例が認知された、適法性が認知されたということを繰り返し表現されておりますが、正確には、訴訟自体がなかった、高裁判決もなかったということになるわけですから、違法性が認知されなかった、否定されなかったというのが正確なところなんじゃないかなというぐあいに思うわけであります。そういった意味では、先ほど桜井議員の方から話がありましたように、最後まで闘って適法性を確認したいという気持ちは議会としてあることは十分当然な話だというぐあいに思います。その辺の表現につきましては、やはり正確を期した方がいいんじゃないかなというぐあいに思うわけであります。
 また、報道によれば、最高裁判所における訴訟上の和解を行うことによって、銀行側や都が、銀行にとっては株主代表訴訟、東京都にとっては住民訴訟を受けるリスクが避けられるというぐあいに報道されておりますけれども、最高裁判所を介しての和解ということで、東京都が住民訴訟を受けるというリスクはなくなるという理解でよろしいでしょうか。

○三橋税制部長 銀行外形条例は、議会の議決を得て、適法、適正に制定されたものでございます。また、今回の改正につきましても、適法、適正な手続に従ってご審議をいただいているものでございます。したがいまして、最高裁いかんにかかわらず、そもそも住民訴訟の対象とはならないものと考えております。

○真木委員 銀行側は、確かに株主代表訴訟のリスクというものは大きく軽減されるのかなというぐあいに思います。東京都が、いささかたりとも主税局等がそうしたリスクを負うことのないように、私としても祈念申し上げるところでございます。さらにまた万全を尽くしていただきたいというぐあいに思うわけでありますけれども、引き続き議論を深めていくために、まず客観的な数字を確認したいと思います。
 現在、東京都は、最高裁に上告受理申し立て中であります。まだ上告が受理されたわけじゃない。最高裁が引き取ったわけではないわけであります。そうしますと、今既に最高裁が入って和解の話が進んでいますので、現実にはあり得ないわけですけれども、この和解の話がなければ、いつ最高裁が上告を棄却するかわからない状況にあったわけですよね。ですから、今和解の話が進んでいるわけでありますが、仮に和解が成立するであろう十月七日の日に上告が棄却されて東京都の敗訴が確定したとしたらば、その場合の返還額は幾らになるというぐあいに計算されるのか。また続きまして、返還がおくれるにつれて還付加算金は日増しにふえています。今も、きょう一日、一日一日と莫大な税金、還付加算金が銀行に上乗せされているわけでありますが、これを一日当たりに直すと幾らになるのか。そして、今回の和解と税率引き下げの結果、銀行外形課税の結果としての収入、差し引き、ネットで幾らになるのかを確認いたします。

○三橋税制部長 あくまでも仮にというお話でございますけれども、仮にお話のような前提を置きまして試算をいたしますと、本税の還付金は約三千億円となります。それに伴う還付加算金は約百六十億円というふうになります。一日当たりですと、三千二百万円というふうになります。
 また、都の銀行外形の成果でございますけれども、四年間の税収から還付加算金等、訴訟費用等々を差し引きますと、ネットで八百十億円という形になります。

○真木委員 本当に私はこの銀行税訴訟において最高裁で上告棄却などという可能性が、一審、二審負けている中では極めてあり得るというぐあいに考えておりました。そうした中で、私は財務局と、何としても財政調整基金をふやすべきだということで、本会議質疑の質問通告までをして、最終的にはできませんでしたが、都財政のリスクヘッジということを強く求めてまいりました。その結果、一千三百億円から今年度七百億円上積みして、現在二千億円あるという結果になっております。もし仮に一千三百億円しかない中で、今いわれましたように三千百六十億返せということになってしまったら、まだ財政再建団体には若干の余裕はありますけれども、大きくマイナスになるという大変な事態になっていたわけであります。
 また、今、一日一日三千二百万円、これは事業税分を差し引いてですね、事業税分を差し引いて一日三千二百万円の利子がついている。銀行から預かったお金ではなくて、都民の税金から銀行にプレゼントする分が、今差し引いても三千二百万、純粋に計算すれば三千六百万という数字が出ています。
 そうした中で、一刻も早く私は何らかの手を打つ必要がある、そうしたことでこの財政委員会の場でも唯一和解という言葉を使って、すべきではないのかということを質問させていただいたということがありました。今この場にはいらっしゃいませんが、主税局のしかるべき人が、質問が終わった後、私のところに来ていただきまして、真木委員のきょうの質問は後で大きく残るものではないかと私も思いますよということをいっていただきました。そうした観点からすれば、この和解は私にいわせれば遅きに失したというぐあいにすら思われます。
 もうこれを聞くのは余りにもしのびないので、私の方からいいますけれども、現在、東京都が十月七日で和解が成立したとして返す還付加算金が百二十三億円、東京都の人口は十二年の国勢調査現在では千二百六万人であります。百二十三億円を千二百六万人で割れば、生まれたばかりの赤ちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまで全員が千円、厳格にいうと千二十円になります。銀行にプレゼントしている、税金からプレゼントしているということになります。個人都民税の納税者数でいきますと、その半分の六百十九万人おりますので、一人当たりに直しますと千九百八十七円。所得割納税者数でいきますと、一人当たり二千七十一円。一人当たり銀行にプレゼントした金が二千七十一円です、赤ちゃんからおじいちゃんまで。共働きの家庭であれば、四千円以上のお金をもう既にこの段階で銀行に、集めたお金ではなくて、税金から銀行にプレゼントしたわけでありますので、この和解というものは一刻も早くしなければならなかったというぐあいに思っているところであります。
 そうした中でこの結論を了とするわけでありますが、引き続きやはり理屈についてお尋ねをしたいと思います。
 結論がよければすべていいということではないと思いますので、確認をいたしますが、訴訟を継続せずに、いうなればソフトランディングを選択されました。その第一の理由として挙げられているのは、銀行の著しい体力の低下、知事も記者会見等で、銀行があんな状況で考え直したんだというような発言をされています。そういたしますと、この和解は銀行のためなのか、それとも本音は訴訟を勝ち抜く自信がないからなのか、その辺をはっきりとさせていただきたいと思います。

○三橋税制部長 今回の税率改正、条例改正でございますけれども、条例制定時の予測を超えて体力の低下した金融機関の状況ですとか、控訴審判決の趣旨、都の条例を契機として国の法改正が行われたこと等をしんしゃくしてお願いをしているものでございます。

○真木委員 裁判で、最高裁で勝てるという自信、重ねてずっといわれておりましたけれども、その自信は今でも変わりませんでしょうか。

○三橋税制部長 現時点におきましても、都の主張は受け入れられるものというふうに考えております。

○真木委員 改めてお尋ねいたしますが、そうすると、上告を議会に提案をいたしました。そして、必ず勝てるといっていた状況から何が変化をして、そして今和解というソフトランディングに大きくカーブを切ったのか、その何が変わったのかを明らかにしてください。

○三橋税制部長 上告の時点から何が変わったかということでございますけれども、繰り返しになりますけれども、本年三月には地方税法が改正されまして、全国的に外形課税が導入されたことでございます。これはちょっとあれですけれども、なかなか地方団体の悲願でございまして、国会で成立するかどうかは、本当に成立してみないとわからない、そういう政治的状況の中で導入されたわけでございます。非常に重みのある改正が行われたということが一つでございます。
 それから、本年六月には、りそな銀行に対しまして公的資金が再度投入されるということで、銀行の財務内容が全体として一層悪化をしてきたこと等の状況の変化、環境の変化がございました。

○真木委員 税率を下げる、銀行がかわいそうだから和解をするというのが第一の理由だとするならば、そうすると、銀行がかわいそうだから税率を下げる、そのことを今いわれるということは、むしろ制定当時、銀行ねらい撃ちじゃないか、銀行がもうけているからやるんだということを逆説的に認めることになるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○三橋税制部長 高裁判決におきましては、外形標準課税自体、それ自体は適法なものと認められておりまして、そもそもねらい撃ち批判は当たらないものというふうに考えております。
 また、今回の改正は、銀行の体力の低下のみを理由にしてお願いをしているわけではございませんで、控訴審判決の趣旨等々も踏まえて提案しているものでございます。

○真木委員 東京都は、銀行の状況、業況をあらわすのに一番ふさわしいものが業務粗利益だという主張を重ねてされておりました。当時から不良債権を抱え、銀行は苦しい状況でありました。にもかかわらず、東京都は業況をあらわすのは業務粗利益なんだということをいってきたわけであります。業務粗利益の推移をお願いいたします。

○三橋税制部長 この三年間の実績でございますけれども、おおむね三兆五千億円程度で推移をしてございます。

○真木委員 東京都の課税対象である銀行におきましては、おおむね三兆五千億円程度で推移ということですけれども、三兆五千億円程度でほとんど変わらない。私の手元には全国の銀行の業務粗利益がありますが、銀行の数は減っているにもかかわらず、業務粗利益はむしろふえております。十一兆七千、十一年度ですね。十二年度が十一兆九千、十三年度は十二兆四千という形で、業務粗利益はふえているわけです。東京都の主張によれば、銀行の業況はいいというのが今までの東京都の主張に沿った業況判断になるんじゃないかなというぐあいに思います。
 銀行の業況をあらわすのに業務粗利益がいいんだとする主張は変わらないでしょうか。

○三橋税制部長 銀行業におきます事業税の課税標準、これは事業活動の規模ですとか活動量を的確にあらわすのに何がいいかということでございますけれども、東京都としましては、業務粗利益が最も最適なものであるというふうに考えております。

○真木委員 ますますわからなくなるわけですね。一方で、今度の〇・九%に下げる根拠として、今回の銀行税条例ですね、法人事業税は応益課税であるんだと東京都はいいました。それで銀行外形を実施しました。にもかかわらず、税率を引き下げるときには、銀行の体力、今まで東京都が否定をしてきた、事業税における所得を持ち出して過去の平均をいい出す、これは論理矛盾じゃないかなと思うんですね。むしろ応能課税の考え方を持ってきた。それがおかしいから応益課税にしたんだというにもかかわらず、突然今度はいきなり〇・九%は妥当です、過去の平均ですというのは全く論理矛盾だと思うんですが、いかがでしょうか。

○三橋税制部長 改正の前後に当たりましても、課税標準は業務粗利益でございまして、また、税負担水準につきましては、直近の十年間の平均税収を採用しているものでございます。そういった税率を下げるということは、先ほど来申し上げておりますように、状況の変化、環境の変化というものを踏まえたものでございまして、今回の改正はあくまでも応益課税の考え方に基づいて行うものでございます。

○真木委員 あくまでも応益課税だということですれ違いをしていくんでしょうけれども、ここで何も屈服させようという思いは持っておりませんけれども、しかしながら、業況をあらわすのは業務粗利益なんだといってきた。業務粗利益はふえている。ふえているにもかかわらず、銀行の体力は落ちてきているといっている。銀行の体力が落ちてきたからやっているんだということは、やはりねらい撃ちを裏づけることになってしまうんだなというぐあいに思いますし、所得平均、東京都が否定したはずの所得をここで持ち出してくるのは相当無理があるというぐあいにいわざるを得ません。無理があるというよりも、矛盾であるというぐあいに考えます。
 もう一ついわせていただくならば、応益課税として業務粗利益の三%が適切なんだという判断を東京都はしたわけですよね。今回三分の一以下の〇・九%にします。そうすると、銀行が東京都から受ける益が三分の一以下になった、ならば下げるのはわかるんですけれども、銀行が東京都から受ける益は変わらないんじゃないんですかね。その点についてはどう考えるんでしょうか。

○三橋税制部長 今回の税率改正でございますけれども、再三再四の繰り返しで恐縮でございますが、条例制定時の予測を超えました金融機関の体力の低下、これだけではなくて、控訴審判決の趣旨でありますとか、都の条例を契機といたしまして国の法改正が行われたこと等々を考慮しまして、条例改正をお願いしているものでございます。
 税率〇・九%は直近十年間の平均税収を算定したものでございます。これは、これも先ほど来申し上げておりますけれども、いろいろとこの間状況の変化、環境の変化があったわけでございまして、そういったことを踏まえて提案しているものでございます。
 また、行政サービス水準自体が三分の一になったから税率を改正する、そういう趣旨ではございません。

○真木委員 応益課税だといっておきながら、応益は変わらない。銀行が東京都から受ける益は変わらない。そして体力だと。所得が減ったから税率を下げるんだというのであれば、その応益課税だという根拠は全く崩れてしまうんじゃないかなと思うんですね。さらにいうと、〇・九%が合理的だというのであるならば、三%は非合理的だといわざるを得ないわけですよね。もう訴訟が継続しないからいいですけれども、万が一、東京都は税率を下げた、でも銀行が約束を破って訴訟を続けたといったときには、東京都の主張は見事に完全に狂いますね。〇・九%が合理的だといっているんだったら、三%は合理的なわけないんですから、裁判は闘えませんよね。
 ですから、これはもう裁判は行われないからいいんですけれども、三%も合理的だといっていたのに、同じ理屈で〇・九%も合理的だといわれたら、これは何なのかということになるわけですから、負けるから、もう〇・九%という税率は合理的ではないけれども、私たちは三%が合理的だと考えるけれども、〇・九%にするんですといってくれれば、私は何もこんな質問しません。そこをいつまでも両方とも合理的だといい張るから、どっちが正しいんですか、おかしいんじゃありませんかということをいわざるを得ないわけですね。
 一、二審敗訴したという現実を受けとめ、その客観的な情勢、さらには東京都財政のリスクヘッジという観点から、不満だけれども、三%が合理的であり、〇・九%は非合理的だと思うけれども和解したんだ、こういった方がいいんじゃないんでしょうか。

○三橋税制部長 三%の税率の水準でございますけれども、これはもう何度もお話しして恐縮でございますが、昭和五十九年から平成十年までの十五年間、バブルを挟みまして、バブルの前後十五年間の平均税収をもとにして算定したものでございます。その後、再三繰り返しになりますけれども、状況の変化、環境の変化もこれありで、両方の弁護団が落ちつくところに落ちつけた数字が〇・九%、これは、これも何度もご説明申し上げておりますけれども、直近十年間の平均税収に見合うものでございまして、そういった意味で〇・九%という数字自体も根拠のある合理的なものであるというふうに考えております。

○真木委員 では、三%と〇・九%とどっちがいい分としてふさわしいんだということになってしまって、これで突っ込んでいきますと委員会がとまっちゃうので、これ以上は突っ込みませんけれども、ちょっと格好つけ過ぎると、理屈としてますます厳しくなるんじゃないかなという気がしてなりません。
 続いて、この観点につきましてはここまでにいたしまして、課税自主権という観点からお伺いをいたします。
 課税自主権が前進したから東京都は手を引っ込めるんだということをいわれているわけであります。地方税法の改正によりまして外形標準課税は導入されました。しかしながら、外形標準課税の対象法人については、課税標準が制限されて、独自の課税は一切できなくなりました。課税自主権が制限されてしまったという見方は強くあるわけであります。東京都が求めているのは、外形標準課税を導入することではなくて、課税自主権の拡大を求めていたはずだと思うんですね。外形標準課税というのは一つの手段であって、目的は課税自主権であったはずでありまして、課税自主権の拡大という観点から、今度の地方税法の改正というものは評価されるのでありましょうか。

○三橋税制部長 法改正によりまして、都の銀行外形の課税期間が一年短縮されるというようなこともありましたけれども、国の外形標準課税は都の銀行外形を契機として導入されたものであります。全国自治体の長年の悲願が実現したものでありまして、都の銀行外形が国の銀行外形に形を変えたものというふうに理解できるのではないかと思います。そういった意味で、基本的には一定の前進であると評価していいのではないかと思います。

○真木委員 一歩進んで何歩か下がったんじゃないかなという気がしてなりません。あくまで私たちが求めているのは課税自主権であって、外形標準だけではありません。
 そうした中で、課税標準についてお尋ねをいたしますが、今度の地方税法に基づく外形標準課税の課税標準と、都の銀行外形における課税標準、ここの違いと評価をお尋ねいたします。

○三橋税制部長 地方税法によります外形標準課税は、所得基準の割合を四分の三、外形基準の割合を四分の一としているのに対しまして、都の銀行外形はすべてが外形基準でございます。地方税法の外形基準部分の割合が四分の一であることは、地方団体の総意を満たしていないと考えられます。また、銀行業の課税標準といたしましては、事業活動量をより適切に反映する業務粗利益、すなわち都の基準の方がより適切であるというふうに考えております。

○真木委員 今の説明はとてもよくわかるんです。これは東京都の正式見解だと思うんですね。であるならば、やはり所得を四分の三入れているのはおかしいというぐあいに今いっているわけですから、先ほど来、今度所得で計算して税率を下げたというのは、所得が下がったから税率を下げるんだ、三%から〇・九%にするんだと、やはりここも無理があるんじゃないかなといわざるを得ません。一度、うそというのはよくないですけれども、筋の通らないことをいい出すと、全部いわなきゃいけなくなってきますので、やはり東京都は余り格好つけ過ぎていうのもいかがかなと。今度の税率を下げるのに、格好つけ過ぎているから、こういったところでいろいろな無理が出てくるんじゃないかなというぐあいに思う次第であります。
 さらに、還付加算金についてお尋ねいたします。
 今回の条例改正に基づく還付加算金百二十三億円、これの起算日はいつでしょうか。

○三橋税制部長 今回の還付加算金でございますけれども、地方税法十七条の四第一項第四号及び同法施行令第六条の十五第二号の規定を適用したものでございまして、具体的には納付の日から一月を経過した日が起算日となるものでございます。

○真木委員 銀行側はこの還付加算金の起算日をいつとして請求しましたでしょうか。判決はどうなっていますでしょうか。

○三橋税制部長 銀行側は納期限の一月後であります確定申告期限から一月を経過した日を起算日として請求をしておりまして、東京地裁、東京高裁ともに銀行側の考え方と同じでございます。

○真木委員 今のやりとりだけではわからないかと思いますが、多くの会社は三月三十一日締めでありますと、そうすると、納期限は三カ月後の六月三十日になるわけですよね。銀行側はこの六月三十日から一カ月後、七月三十一日、その過ぎたところということで八月一日からの請求をしました。ところが、実際はこれは銀行が間違いであって、実際は納めた日。納めた日は五月三十一日までに納めているわけですね。これは延滞金がついてしまうから、期限は六月三十日までだけれども、五月三十一日までに納めないとばからしいということで、五月三十一日までに納めたわけであります。東京都はその一カ月後ということで、七月一日から今回この百二十三億円というのを計算して上げている。銀行側が要求してきたのは八月一日からの利子、裁判所も八月一日からの利子でいいといっているにもかかわらず、東京都が合意したものは七月一日からの利子なわけですね。これで約十億円程度違うはずであります。請求されていないものまで払う必要があるのか。さらに、和解という手続なのに、四%という高率の加算金を払う必要があるのか。そもそも加算金自体が要らないんじゃないかと私は考えるんですが、いかがでしょうか。

○三橋税制部長 少なくとも還付加算金につきましては、地方税法の規定があるわけでございますので、その地方税法に定める規定どおりに計算して、還付するのが筋でございます。

○真木委員 筋としてはおかしいなと思うわけでありますが、しかしながら、そこまでしなければ、請求されていないものまで払わなければ和解ができなかったと、〇・九%という数字でおさめられなかったということだというぐあいに私は理解しておりますし、何よりも私自身は和解に賛成をしてきたというか、和解を提唱してきた人間でありますので、そういった事情は是と、そういったことも交渉の中ではあるかなというぐあいにして是とするものであります。
 ですから、何としても和解をしてもらわなければ東京都は大変なことになる。だから、いろいろな形で譲歩をして和解をした。結果として八百十億円残る、訴訟費用も引いて、還付加算金も引いても八百十億円残る、このことを評価してほしいということをいっていただければ私はもう一切質問しないで済んだのでありますけれども、余りにも、結論があった後に理屈は貨車で後でついてくるわけでありますけれども、行政が余りそういった政治的なことをやられることについてはやはり好ましいことではないし、将来にわたって禍根を残すんじゃないかなというぐあいに思います。国の政治であれば与党がそういうことをいうことは構いませんけれども、行政がこういう理屈を大分無理することに将来禍根を残すんじゃないのかなという懸念を表明いたしまして、しかしながら、八百十億円残る。これがもし和解が成立しなければ、財政再建団体に陥るぐらいの、というか、今、先ほどの計算では十月七日にもし最高裁が棄却してくれたら、十月七日に済むわけでありますけれども、仮にこれ二年、三年、最高裁でまともにやって、三年後、四年後の判決になったら大変なことになるわけですね。それが回避できた。しかも、ネットで残ったということは、結果として結果オーライだけれども、今与えられた状況の中ではハッピエストであるという認識を申し上げ、この和解については了としたいと思います。
 以上であります。

○川井委員長 この際、議事の都合により十分間休憩したいと思います。
   午後二時三十五分休憩

   午後二時四十六分開議

○川井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○松村委員 まず初めに、議案第百八十号の東京都税条例の一部を改正する条例について質疑を行わせていただきますが、これは国の一般外形標準課税の導入に伴って都条例を改正しようというのがメーンであります。もちろん我が党は、法人事業税の超過課税、これを延長することには賛成というのも含まれます。しかし、今度はそれが国の一般外形課税を導入するということとセットでありますけれども、この点における資料もいただきました。そこで国の一般外形標準課税は資本金を一億円以上というふうにしておりますけれども、中小企業法によると、三億円以下ということにも中小企業の分野ではなります。だから、当然これは中小企業も含まれる。ましてや今ちょっと話題の金融機関というか銀行などは、恐らく金融機関で資本金一億円以下というところはないというふうに思うんですよね。そうすると、すべての銀行業などが今度は国の一般外形にはもちろん対象になりますし、それからこの表、いただいた資料を見ても、利益法人、欠損法人、都内だけでも欠損法人が、一億円から五億円以下というところのランクを見ても五千九百社あると。確かに中小企業といえば一億円以下が大多数ですけれども、この資料を見ても、そういう赤字のいわば中小企業にも一部、この国の一般外形は対象として税を取るというふうになるのではないでしょうか。その点をまず伺います。

○三橋税制部長 銀行外形のお話もございましたけれども、銀行外形は、地方独自に、東京都独自に課税自主権を行使して金融業を対象として実施したものでございます。これに対しまして、ご案内のとおり、国の外形標準課税は、全業種を、すべての業種を対象として全国ベースで実施をするものでございます。
 中小企業の範囲につきましてはお話のような点もございますけれども、税の世界、法人税法を中心としました税の世界では、従来から資本金一億円が一つの区切りというふうにされておるわけでございます。また、都内約五十万社のうち、資本金一億円を超える企業は約二万社でございまして、全体の約四%ということでございます。

○松村委員 今、ついでに銀行税の問題も話がありましたけれども、知事は、中小の金融機関、銀行業には考慮するというか、配慮する、そして後でも触れますけれども、大銀行に限ってというふうにいいました。それから、ましてやこういう銀行課税が一般中小企業というか、さらに一般の中小企業に進める考えはない、それについては反対だと。都内の中小企業の関係団体もこぞってそういう一般外形化は反対の声を上げているわけであります。
 今冒頭お聞きしましたけれども、やはり資本金一億円以上というふうに限っておりましても、赤字の、しかもその中には、中小分野も若干でありますけれども含まれるということであります。そしてましてや、例えばそういう赤字企業からも、こういう一般外形ということで税負担を求める一方、今応分の利益を上げて、それに見合って法人税を払っている大企業、我が党がちょっと試算してみたんですけれども、トヨタ自動車は百六十二億円、NTTは六十八億円だとか、そういう逆に減税になるという、この国の一般外形課税は性格というか、ものを持っているものだということを指摘し、それに伴う東京都税条例の改正ということで、我が党はこれに対しては賛成できない、反対であるということをまず冒頭申し述べておきたいというふうに思います。
 それでは、銀行課税について伺います。
 我が党の銀行課税に対する基本的な態度は、そもそも莫大な利益を上げながら、不良債権処理を行うことで課税を逃れている大銀行に対して適正な税負担を求めるもの。知事が提案した銀行税も、不良債権処理に影響されない課税方式として導入されたものであり、我が党も積極的に賛成しました。ことし一月に出された東京高裁の判決は、おおむね東京都の課税方式を是としたもので、私たちの主張の正しさを裏づけるものと確信しております。我が党は、都知事が行政の責任者として和解に応じることを否定するものではありません。同時に、和解の内容は都民の納得と合意が得られるものでなければならない、こういう立場をとります。以上の点からただしていきたい、質疑を行わせていただきたいと思います。
 まず、和解案が妥当なものであるかという点です。そこで、税率〇・九%は合理的な水準といえますか。

○三橋税制部長 税率〇・九%でございますけれども、これも繰り返しになって恐縮でございますが、国の外形標準課税の税率設定の考え方等を勘案いたしまして、平成六年三月期から平成十五年三月期までの直近十年間の平均税収をもとに算出したものでございまして、合理的なものであるというふうに考えております。

○松村委員 国の外形標準課税の税率設定の考え方を勘案したといいましたけれども、そもそも銀行税は都の独自の判断で導入したものですね。なぜそれが国の判断に合わせなければならないのか、また、合わせることが合理的である、合理性があるというふうにいえるのでしょうか。
 そもそも銀行税というのは、知事も、銀行に対してなぜ外形標準課税を行うかと本会議で答弁しております。これはこういうふうにいっていますね。銀行業は十分な収益を得、既に二千億円を超える配当も行っているにもかかわらず、不良債権処理の結果、都道府県の行政サービスの対価としての事業税をほとんど負担しておらず、また、そうした状況が今後急に好転することは見込まれない、銀行業の税収はバブル期には二千二百億円、現在百億円程度と、そういう不安定なものでありますと、応益課税としての事業税の機能を喪失していることなど、銀行特有の事業の状況を踏まえ、地方税法の規定に基づいて行うものでありますと、明確にしていますよね、東京の銀行税のこの趣旨といいますか、立法をなぜやるのかと。
 ところが、今いいました合理的な水準というので、私も資料をいろいろ出していただきましたけれども、これはちょっと皆さんのお手元に配っていない表ですけれども、これは銀行の業務粗利益、先ほども答弁がありました。ずっと三兆円台というか、下がっていないどころか、業務粗利益が上がっております。先ほどいいました十五年三月期は若干減っておりますけれども、それにしても相当の体力があって、一方、今いう不良債権処理額というのが、この出していただいた資料では、平成でいきますと、平成五年度からずっと不良債権処理が始まっておりますよね。一方、それを差し引いた所得課税、純利益ですか、こういう三つを組み合わせた表であります。今までは過去の、銀行が東京都に納めていた法人税、その額を算出して、過去十五年間の平均を業務粗利益の三%としたということで、その期間を一九八四年、昭和五十九年から九八年、平成十年度までの十五年間というふうにとりましたよね。
 ところが、今度は直近の十五年三月の十年間というのを私よく見ました。今まではこういうふうに十五年間を平均して、それが業務粗利益の三%だと。今度は、ここももう納めた税金があるにもかかわらず、差し引いた所得基準税額というのを出して、それが業務粗利益の〇・九%というんですけれども、実はこの表をよく重ね合わせてみますと、ちょうど今いった不良債権処理が始まったときから十五年三月まで、まるまる不良債権処理、この期間に入るんですよ。
 そうすると、私がまず第一に指摘しなければならないことは、合理的だとかいろいろいいますけれども、そもそも東京都、石原知事は、先ほども合理的かどうかという質問がありましたけれども、そういう不良債権処理などによって、本来払うべきサービスの対価としての税を払っていない、だからそういう不当といいますか、私たちも税金逃れというか、それを取り除いてやるのが新たな東京都のこの銀行課税だというふうにしておりましたけれども、まるまる、この国の法改正の趣旨を勘案してという、しかもその期間設定の十年間ということでは、そもそも東京の銀行課税を行うという、課税の意味もなくすのではないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

○三橋税制部長 課税の本質が変わるというようなお話があったかと存じますけれども、その改正の前後によりましても、課税標準は業務粗利益を使うわけでございます。また、税負担水準は異なるわけでございますけれども、一定期間の税収額に基づき税率を設定をするということでございますので、今回の条例改正はあくまでも従前どおり応益課税の考え方に沿って行うものでございます。
 また、高裁判決におきましては、条例制定後の二、三年後の状況も勘案すべきだというふうにしておるわけでございますけれども、今回の十年間というのは実績二、三年間も含んでおりますので、そういった意味で控訴審判決の趣旨とも結果としては合致するものでございます。

○松村委員 今、ちょっと繰り返しになって恐縮ですけれども、知事も、不良債権処理の結果、行政サービスの対価としての事業税がほとんど払えなくなるということを取り除くというか、それが東京都の銀行税の立法の趣旨だといったら、いろいろいいましたけれども、現実的には全く不良債権処理をまるまる前提としたこの期間となって、しかも--そういうことになる。これでは課税の意味がなくなるというふうに、先ほどもそういう趣旨で真木理事も指摘したとおり、これは大体都民が見てもそのように、結果としてそういうふうになるということが一つ指摘できますし、それから、過去のもう既に払っている、納めていただいたこの税額、二年度、平成十四年、それから一年度、十三年、ここまで今度の税収見込みで見直さなければならない理由はあるのですか。
 いや、過去に既にもうそういう形で銀行税が成立して、それで二年度、一年度、平成十三、十四と納税してもらっているわけですね。それを、いや、これから、そういう裁判の結果を受けたから、ことし、二〇〇三年度、平成十五年、まだ五年間の期間がありますから、四年、五年というふうにしましょう、変えましょうということもあり得ると思うんですよ。ところが、なぜ、だからそれからまたさかのぼって、もう既に納められた税も含めた二年間の見直しというような税制改正になるんでしょうか。

○三橋税制部長 今回の条例改正でございますけれども、銀行の体力の低下でありますとか、税負担が均衡を欠いているとしております控訴審判決の趣旨等を勘案して行うものでございまして、当初にさかのぼって実施することで初めてその目的を達成することができるというふうに判断したものでございますけれども、また、この間、この銀行外形に関連しまして、内閣法制局でも一定の見解を出しておりまして、その考え方によりますと、課税期間、実際に課税をしている期間を通じて、所得課税による税負担と外形標準課税による税負担とが均衡が図られるべきである、そういった考え方も示されております。そういう意味では、結果ではありますけれども、そういった考え方とも合致するものでございます。

○松村委員 それは今の判決に基づいてと。後でも触れたいと思いますけれども、それは導入時にさかのぼってだとか、直近とかそういう言葉がありますし、税の均衡要件というのも後で触れたいと思いますけれども、そういうところで今最高裁に上告して闘っているということだったならば、私は今の、例えばこれからの三年度、ことし、次という形で考えるのが当然じゃないかというふうに思いますけれども。
 例えば、では控訴審判決については百歩譲ってそれを勘案したということで、今年度以降の税率が〇・九%で妥当としたとしても、過去の二年度、一年度が、〇・九%でなくてはならない合理的根拠は私はないと思います。このことによって大きな都民の不利益になるわけですから、なぜ先ほど見直したみたいに〇・九%、それをさかのぼって見直さなければならないのかということについてもう一度お答えいただきたいと思います。

○三橋税制部長 〇・九%はなぜ遡及しなければいけないかという再度のご質問でございますけれども、また繰り返しになって恐縮でございますけれども、遡及することによって所期の目的を達成することができるのではないかというふうに先ほど申し上げました。
 それから、これも繰り返しになりますけれども、内閣法制局の見解では、実際に外形標準課税を限定的に実施する場合には、その限定して実施する期間の中で外形標準課税による税負担と所得課税による税負担とが均衡がとれている必要があるんだ、こういうような見解も示されておりますので、そういった意味で、過去のそういった実績も含めることは、そういった内閣法制局の見解とも結果としては一致するものでございます。

○松村委員 全く、内閣法制局まで持ち出すと、国のいいなりといいますか……。
 私は今二つのことを述べた。よく聞いていただきたいのは、一つは、三%が裁判の、高裁判決の結果で、税の均衡要件を欠くとかいろいろな指摘があったということで、そこら辺を考えて、都としてもいろいろ検討したということで、では三%を、これを変えるかということにしたとしても、それがなぜさかのぼらなければいけないのか。条例として制定しているのに、これからの二〇〇三年、二〇〇四年とあと残された期間の税率検討ということを考えないのかということを第一点に聞きました。
 第二点目は、例えそれが〇・九%としても、その適用はこれからです。これまた、今おっしゃったように遡及して〇・九%で、払っていただいた税金を返すなんということは、幾ら何でも合理的な水準などといえないということを私は強く指摘したいというふうに思うんです。
 それで、税率が一・一%、そういうふうに私たち資料を主税局からいただきました。それが一%という、銀行側にそれが提案されていて、それが九月時点で、それから今は最終的に〇・九%というふうになったというふうに--そうですよね、一・一%、一%、〇・九%。我々が聞いたところでは、知事は交渉がまとまらない場合にということで、〇・九%、そういうことも用意していたといいますか、カードを持っていたといいますか、そういう話で、一連の経過は、税率は銀行側との、先ほどもありましたように政治交渉の結果ではないか、合理的水準というのは後からつけた理由ではないかということが広く今新聞報道で伝えられておりますし、この点についてはどうなんでしょうか。

○三橋税制部長 一・一%、一%、〇・九%というお話がありましたけれども、最初、一・一%という数字が数字として出ておるわけでございますけれども、これは平成五年三月期から平成十四年三月期までの十年間の平均税収を機械的にといいますか、机上で算定しますと、一・一%という数字になるわけでございますけれども、この数字はいってみれば、最終的な税率をどう設定するかという意味では、政策決定をする上での参考資料というような位置づけというふうに考えることができますし、その後の十五年三月期というのがまだ数字が出ていない状況のもとにおきましては、全体として、銀行業全体を通じまして財務内容の悪化というそういった大きなトレンドもあるわけでございまして、その他もろもろの要素を勘案をいたしまして、一・〇%という数字が出てきたものでございます。
 〇・九%という数字は、先ほど来繰り返して恐縮でございますけれども、平成六年三月期から、最新のデータであります平成十五年三月期までの十年間の平均税収をもとに算定した平均税収でございまして、それに見合う数値が〇・九%ということでございます。

○松村委員 税率が一・一%、主税局はそれが合理的な水準というか一・一%と出したのが一%、最終的には〇・九と。でも、税率が一・一%から〇・九%では、二百七十七億円の減収なんですね。それから一%から〇・九%、こういうふうに引き下げられただけでも百三十七億円減収というか、違ってくるんですよ。ですから、税率が〇・一%違っても、都民にとっては大変な財源となる、こういうことがいえますよね。
 それを、何か今いったみたいに、一・一%だ、それが安全を見て一%だとか、それで出してみたとか、〇・九というのは、本当にある識者によると、バナナのたたき売りみたいだ、そういうふうにいっていた識者もいますけれども、私は、こんないいかげんなやり方といいますか、これがあくまでも合理的な水準だというふうに都民に果たして出せるのかということを感じるわけですけれども、繰り返しですけれども、いかがですか。

○三橋税制部長 私どもとしましては決してバナナのたたき売りというふうには全く認識しておりませんで、〇・九%という数字は、これも繰り返しになって恐縮でございますけれども、直近の最も新しい、最新のデータをもとにした十年間の平均税収、これをもとにして算定したものでございます。これは高裁判決におきましても、制度導入後二、三年の所得課税と外形標準課税の比較を基本としながら税負担の均衡を検討すべきであるというような高裁判決の趣旨でありますとか、先ほど来申し上げておりますように、内閣法制局も、制度実施の間、その実績を見て--条例をつくる際には将来の予測になるわけでございますけれども、その課税期間全体を通じて所得課税による税負担と外形標準課税の税負担、これが均衡をとれなければいけないということをいっておるわけでございまして、そういった意味で、〇・九%という数字は決してつかみの数字、バナナのたたき売りの結果出てきた数字ではなくて、合理的な、客観的な根拠のある数字であるというふうに認識をいたしております。

○松村委員 あくまで合理的、客観的、そういう繰り返ししか答弁がありません。
 次に、今回の条例改正は、条例制定時の予測をはるかに超える金融機関の体力低下云々としています。それでは、導入時に比べてどのように体力が低下しているのか明確に説明してください。

○三橋税制部長 銀行業全体の体力の低下の状況でございますけれども、主要行は、ここ二年連続当期利益が四兆円を超えます大幅な赤字を計上いたしております。また、十五年三月期で申し上げますと、条例制定時に比べまして、外部環境でございますけれども、日経平均株価が二万円台というものから、十五年三月期には七千円台までに下落をしておりまして、条例制定当時でありますと、六兆円を上回る評価益あるいは三兆円を上回る売却益を計上していたわけでございますけれども、この二年間は一兆円から三兆円にまで上ります多額の評価損、売却損を計上いたしております。また、自己資本もこの間、四十兆円台から二十兆円台に減少するなど、全体として収益の悪化は続いておるわけでございます。また、さらに本年六月にはりそな銀行に二兆円もの公的資金が再注入されたわけでございます。
 このように、銀行の体力は条例制定時の予想をはるかに超えて著しく低下をしているという状況にあると認識しております。

○松村委員 銀行の体力、先ほども話がありましたけれども、やはり一番の指標は業務純益、業務粗利益から営業経費などを引いた業務純益というのは一貫してふえているんですよね、一貫してというか、主なメガバンクを見ても、東京三菱などは平成十一年から一貫して上がっております。みずほも上がり下がりがありますけれども、一定の水準を保っておりますし、東京三菱に至っては配当もしっかり行っていますよね。それから、みずほも、ことしは悪くなったといっても、十三年までみんな大きい銀行は配当も行っている。
 今ちょっと答弁がありませんでしたけれども、内部留保。例えば、後でも触れますけれども、きょうの新聞報道でもいろいろな引当金を大幅に積んでいるというような報道もあって、体力が回復しているという報道があるんですけれども、内部留保は、それでは主要行、どういう状態ですか。

○三橋税制部長 内部留保につきましては、現在数字を直ちに持ち合わせておりませんで、回答できませんけれども、全体として、配当状況のお話もございましたけれども、東京三菱銀行さんは配当があるというお話もございましたけれども、メガバンク全体を通じまして、この二年間、ほとんどの銀行が配当していない、無配ということで、配当ができない状況に追い込まれているということでございますので、銀行業全体として体力はかなり低下をしているというふうに考えていいのではないかというふうに思います。

○松村委員 そういう判断をする矢先からというか、きょう皆さん方いろいろ新聞報道を見たというふうに思うんですよ。既にこの九月、二〇〇三年九月の中間決算は業績予想を大幅に上方修正すると。確かに銀行税が戻るということで、みずほが六百億円とか三菱東京は四百億円を当てにして助かるという話もありましたけれども、そんな銀行税が返るというだけじゃなくて、相当の増収を見込む純益が上がっているんだということですよね。だから、一概にそういうことのしんしゃくと、もうこれはしようがないんだというようなことを今いろいろ聞きましたけれども、私は到底そういう判断に立てるものではないというふうに思いますし、それから、今りそなの話がありましたけれども、知事もりそな銀行の破綻をこの間挙げました。
 しかし、私聞きたいのは、そもそも銀行課税、東京が銀行税を導入するときの税率の根拠となった十五年間ですよね。先ほどいいましたみたいに一九八四年から一九九八年、この間にも私は破綻した銀行、あったと思いますよ、北海道拓殖銀行を含めて。それからまた、この間、公的資金が投入された銀行もたくさんありましたよね、既にこの期間ですから。だから先ほどりそなが自己資本比率が四%以下になって大変だというので再度公的資金を投入した、だから銀行は当初考えていた以上に大変なんだというふうに挙げていますけれども、そもそも銀行税を導入するときだってそういういろいろな銀行の状況があって、しかも公的資金が投入されていたという事態がある中で、しかし、それでも大銀行は体力もある、業務粗利益も上げている、その事実は何一つ変わっていないんですよ。にもかかわらず、ここに来て急に、それがおかしかったんだということは、まさに税率を定める根拠そのものが失われるんじゃないんでしょうか。今いろいろしんしゃくしなければならないということを挙げられましたけれども、私は当時の課税の導入の根拠、それは今でも変わっていないというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

○三橋税制部長 銀行税導入当初、お話がありましたように、公的資金が注入されたわけでございまして、今回のりそな銀行への注入と状況は変わらないのではないかというお話だったかと存じますけれども、当時、公的資金が導入された後は銀行は徐々に、当時の銀行自身の経営改善計画の中で、業績は回復をするということをいっておりましたし、そういう計画を出しておったわけでございますけれども、その計画どおりにはまいりませんで、先ほど申し上げましたけれども、ここ二年連続当期赤字が数十兆円を超えるというような赤字を計上するなど、とてもそういう計画どおりの経営改善はなされなかったわけであります。そういった中で、さらにりそな銀行に二度目の公的資金が注入されたわけでございますので、銀行業界を取り巻く状況というものは、当時と比べて相当悪化をしているというような認識かと存じます。
 それから、先ほど新聞報道等でおっしゃられたことにつきましても、これを一時的な現象と見るか、あるいは今後の為替相場でありますとか株式相場でありますとか、そういったところを見ませんと、一概に銀行が直ちに回復したというふうにもいい切れないと思いますし、そういった意味では、少なくとも都としてこういった話し合いによる決着の道を模索していた時期というのは、銀行の体力というものは著しく低下をしていたというふうにいっていいのではないかというふうに思います。

○松村委員 そんなこといったら、銀行一行がおかしくなった、破綻したと。りそな銀行の破綻をしんしゃくしてといって、税率が〇・九%、それが合理的だなんといったら、多額の収益を上げている銀行はまさに銀行課税そのものが目的とした適正な課税を逃れる結果に、今のご答弁だと私はなってしまう、ならざるを得ないというふうに思います。
 それから、東京都は、上告のときに、勝訴できるといって議会に同意を求めましたよね。上告時と和解の過程の間に大きな変化があったんでしょうか。今りそなの公的資金投入ということを盛んに強調しておりますけれども、それは今私がいったとおり、そんなことはそもそもの状況と変わっていないわけですよ。ですから、今になって、やはり上告はしたけれども、勝てそうにないという判断をしているのか、上告したのが判断を誤っていたのか、それとも上告を和解の手段にしたのか、私はそのどっちかしか考えられないんですけれども、どうなんでしょうか。

○三橋税制部長 上告をした当時でございますけれども、当然、今でも基本的には変わらないわけでございますけれども、高裁判決には均衡要件の解釈に大きな問題、矛盾があったわけでございますので、上告をして、最高裁の判断を仰ぐ必要があるというふうに考えたわけでございます。
 また、若干技術的な面にわたりますけれども、上告期限は控訴審判決が出た翌日から起算して二週間以内に上告をいたしませんと、その原審が確定をしてしまうということで、東京都敗訴が確定してしまうということもございますので、そういったこともあわせまして上告をお願いしたということでございまして、決して和解の手段というようなことは考えてはおりません。

○松村委員 盛んに税負担を不均衡とする控訴審判決の話がありますけれども、私もこの控訴審判決を何度も読み返してみましたけれども、この控訴審判決では、税負担の不均衡自体を問題にしていないというふうに私は読み取りました。税負担の均衡要件を満たす検討がなされていないということなんですよ。そうじゃありませんか、私は何度も読んでみましたけれども。しかも、均衡要件を満たすと認めるに足る客観的指標に基づく検討ができていないというもので、明白に均衡要件に違反するものではないという。
 私たちもこれは本当に完全勝訴に近いものであると思ったのは、受けとめましたけれども、この裁判は、ただ一点敗訴の理由というのは、均衡要件、つまりそれまでの払っていた税と、それから新たに東京都が課税する税が、その課税前と課税後では--一般ですよ、地方税法の外形に対する附則で自治体が課していいという、それはだから課税前と課税後の均衡をやはりとらなければいけないという。それは私は法律としてはそういう附則のただし書きがあるのがわかるような気がするんですよ。一般というか、多くの法人に比べれば。ただ、銀行というのは、不良債権で、それまで二千億円払っていた時期もある、大体一千億円ベースだというものが、ほとんど払わなくなってしまった。ゼロ近くなったということ。だからこそそれはおかしいというので課税をしたんじゃありませんか。それは東京都もそういう認識をなされていましたよね。
 しかし、そのことをあらかじめ税導入時にいわゆる検討をしていたのか。また、検討していたのだったら、その証拠を出して立証しなさいという、それが出されていないという--私は何度読み返しても、私は上告のときにも支持する意見で当委員会でもいいました、やはり何度読んでもそこなんだからね。なぜそれをもう少し立件することをやらなかったんだと、ちゃんと検討したんでしょうと、十分検討しましたと、出すべきだと。
 これが私はこの控訴審判決の一つの大きな中身だし、だから今後とも、今まで不良債権などを業務純益から差し引いたら、対価として受けているサービス、これに対する税を一円も払わなくなるから、それはだからおかしいんだという提起で、それを検討してどのぐらいかということを丁寧にやって最高裁で争って勝つべきだ、私はそういう個人的な見解を含めて委員会でもやったわけですけれども、今の点ですよね、すなわち税率三%自体が問題にされているのではなく、均衡要件を満たす検討をどう行っていくかということです。
 そこで伺いますけれども、税負担の不均衡の点で敗訴した、勝てる見込みがないというのであれば、なぜもっと高裁判決の段階で、先ほどもありましたけれども、和解ということなどの検討は所管局も含めて行ったのか、行われなかったのか、どうなんでしょうか。

○三橋税制部長 先ほどご答弁申し上げましたように、上告の時点といいますのは控訴審判決を受けてから二週間以内に上告をしなければならないということでございますので、そういう短期間の間でそういったことを検討するのはすこぶる現実的でないということもありますし、控訴審判決自体に、先ほどご説明がありましたけれども、私どもとしては、いわれるところの地方税法第七十二条の二十二第九項、この均衡要件について、証明も含めて主張していたつもりでございますけれども、控訴審判決では残念ながら説明不足、そういったような評価を受けたわけでございます。そういった意味で、また、いろいろと控訴審判決には矛盾点、問題点もございますので、そこをついていけば、そういう整理をしていけば必ずや勝訴できるであろう、そういった認識のもとで上告の議決を都議会に上程し、お願いをしたということでございます。
 和解の検討につきましては、当然それはトップマネジメントの世界の話でございますので、具体的な検討というものはそういった審議の中で行われるべきものというふうに考えております。

○松村委員 それから、都条例を契機として国の法改正が行われるということを勘案したということについても、大きなこの改正、和解の事項にしておりますけれども、私もこれも筋違いだと指摘しなければならないというふうに思うんです。第一、先ほど来いっているみたいに、国は国であって、それで東京都は東京都という立場になぜ立っていないのかということが大きな点なのと、それから、確かに法が施行されれば、これはもう法規制を受けて、その附則が今度要件をなさないわけですから、終わりということになる。
 そういう法規制を受けることはわかりますけれども、法施行前の課税についても、国の外形一般標準課税に何か勘案したとか、合わせたとか、こういうことですけど、私は、国に合わせる必要などどこにある。どこにあるのかといういい方はおかしいのですけれども、大体一つ問題にしたいのは、国は何年ですか。一つは国は十年間とした、東京都もだから十年間が合理的だというのですけれども、国は何年ですか。平成の十二年からさかのぼっていって、平成三年から十二年。そうですね、十年間ですから。ところが、なぜ東京都は十五年の三月なのか。
 私は、裁判の結果も勘案し、国の状況も勘案するというのだったならば、少なくとも、例えばいろいろな考え方が--先ほどもいいました、なぜ〇・九%がさかのぼらなければならないのか、また、返すお金が遡及しなければならないのかといいましたけれども、国の法改正というけれども、国は、だって、今いったように平成三年から平成十二年だ。東京都も同じ考えでいったら、これはどういう税になりますか。
 つまり、同じ十年間でも、今までは十五年間だ。それが国の期間と違うというので、十年間にする。しかしそれも、この導入時から十年間、これが国のそういう法改正の導入を勘案したというのだったら、私は一つの筋の話としては、都民というか、合理的だといえるのは、その時点、導入時の時点から十年間にする。十五年間は国とも違うというのだったら、十年間にしたらどのぐらいの税額になりますか。

○三橋税制部長 今、数字を特段持っておるわけではありませんけれども、国が平成三年から十二年の平均税収を参考にしましたのは、当時の国会での議論でありますとか、その前段の与党の税制調査会の議論でありますとか、そういった事実上の政策決定過程の中で用いることのできる最新のデータを使って、そういった税率が定められたというふうに伺っております。
 そういった意味で、最新のデータということになれば、今この時点で税率の設定をどうすべきかということをご議論いただいておるわけでございますけれども、やはり今この時点で使うことのできる最新のデータをもとに算出することが、最も合理的ではないかというふうに考えているところでございます。

○松村委員 最新のデータを使うことが最も合理的という、合理的の水準の意味がお話ありましたけれども、実は、委員の皆さん方もこういうペーパーをもらっているかもしれませんけれども、今いったみたいに期間を、導入時から十五年じゃなくて十年にしたらどうなるのかというので、この表を見れば一目瞭然なんですよね。逆に今よりも、税率三%よりも多くふえるんですよ。今、数字お出しいたしませんけれども、恐らくこれは、四%から五%に業務粗利益の数字がなるんじゃないでしょうか。
 なぜだったら、十五年というのはこのときの数字ですよね、ずっと下回っていたときもあるんですよ。バブルで上がったときもありますよね。だから、これを少しずらせば、昭和五十三年から逆に十五年間じゃなくて五年間とったら、一番高いところからも含めてあれするから、同じにはならない。私は、これは推計ですけれども、もしかふえるんじゃないかというような気がしています。
 だから、国に合わせてといって十年間とれば、私、なぜこの直近の、わざわざ直近のデータがなかったというので、もう十五年三月が出るから十五年三月を取り入れるというのは、いかにそれを当初の業務粗利益の影響を受けないような形で応分の負担をしてもらうのかという、それを投げ捨てたような形で、ひたすら下げるというとおかしいけれども、そういうようなことになりやしないかというふうに、私はそういう点を指摘しなければならないというふうに思います。
 そこで、最後に都民不在、密室の決定過程の問題についても伺っておきたいというふうに思うのです。
 一つは、私、石原知事が今度の本会議の答弁、これはたしか民主党の質問に対してですけれども、成立前の立案の過程で、秘密主義ではなかったかという指摘もあったということで、知事の答弁があるのです。
 本当にびっくりするのは、知事の就任当時、極めて情報管理が悪くて、大事なことが非常に漏れていました、それで云々して、だから少数で、限られた職員だけで立案して、でき上がったところを議会に諮った。しかも、議会の情報管理も、私はそう当てにしているわけじゃない。だから、ああいう形で持ち出してよかったんだと。ここまで知事が、都民や、先ほど来いろいろ会派からも意見がある、この成立時からも、非常にそういう秘密主義というか、不明朗だということに対してこういう答弁を行っているということは、私は本当に許しがたいと思うのですけれども、これに対して、所管としてはどう思っていますか。

○三橋税制部長 私ども、知事の執行機関の一部局の職員という、そういう立場で答弁をさせていただきたいと思いますけれども、いろんな場面、場面、政策の形成過程にいろいろあろうかと存じますけれども、基本的にはやはり都民、都議会の皆様にもわかりやすくいろいろな形でお示しをし、オープンな議論をするのが本来の姿であろうというふうに存じます。
 ただ、今回の和解におきましては、先ほど来ご答弁申し上げておりますように、双方の弁護団におきまして話し合いを進めるということが、いわば自然の流れがあった。そういった中で知事が決断したものでございますけれども、きょうのご議論も含めまして、最終的には都民の代表でございます都議会の皆様のところで、都議会で十分ご審議、ご議論をお願いし、議決をいただきたいというふうに考えているところでございます。

○松村委員 先ほど主税局は蚊帳の外ではないかという私どもの方からの指摘に対して答弁しましたけれども、我々も新聞報道で知って、それで一体どういうことなのかということで、私自身も主税局に問い合わせました。どなたかとか、どの幹部だといいませんけれども、私たちも新聞報道で知る以外わかりませんというのがその答えでした。本当に冗談じゃなくて。
 皆さんそういう思いをしていると思いますし、私は、理事会も含めて直ちに報告してほしいということをいっても、最高裁に何月何日呼ばれていますから一切わかりませんということで、当委員会にだって報告しようがなかったというか、できなかったではありませんか。
 そういうことを指して、失礼ながら私は大体蚊帳の外というか、やはりそういう状態が実際あったんじゃないかというふうに--先ほど来、私たちも所管局としての仕事をしていたというか、そういう答弁もありましたけれども、やはり今、政策意思決定だとか、それから計画段階からオープンにするとか、そういうのはもう常識というか、時代の大きな流れになっていると思いますよ。
 ところが、先ほどの、情報が漏れて新しいことをするには何もできないとか、議会だって同じだとか、それから、今こういう本当に都民の、先ほど一%税率が変わるといっても大変な事態の中で、どう考えるのかということを都民にも議会にもオープンにして、しっかりとやる。
 ましてや、石原知事みずからだって、これは都民や、そういう応援がなければできない。都民世論の支持があって初めて、ああいうバブルをつくって不当な税金逃れを行っている銀行に対するそういう批判があればこそ、東京都がやるそういう施策も賛成されたし、私は進んでいくんだというふうに思うんですよ。
 それが導入時においてもそういう指摘がされて、その教訓があったはずです。しかも、そういうことを受けて、その後、都税調もつくられて、しっかりこういう税制問題については専門家の意見も入れて、議会も入って論議してやろうというふうになっていたのではないでしょうか。
 果たしてこの間、都税調、ここでの意見を集約して、和解案が妥当なものかどうか、都税調の場でも審議が尽くされたのでしょうか。

○三橋税制部長 都税調でございますけれども、都税調に小委員会というのがございまして、学識経験者の先生方を中心に構成されている委員会でございますが、その場で、今回の途中段階ではございましたけれども、今回の話し合いによる一定の方向性が出た段階で、いろんな立場から、その小委員会の場で、さまざまな観点からご議論をいただいたところでございます。

○松村委員 今、都税調の小委員会という話がありましたけれども、議会からも当然参加していますよね。議員というか、都議会側からは当然含められた、そういう場だったんでしょうか。私は決して違うと思いますし、そういう都税調の小委員会が開かれているということも、私どもも一切聞いていませんし、恐らく関係者も知らなかったんじゃないかと思いますし、ましてや、そこで税率三%がやはり違うということで、これを一・一%にするとか、一%だとか、最終的には〇・九%とか、そういうふうに下がってもやむを得ないとか、そういうご意見、議論があったんでしょうか。
 私はないというふうに思いますし、なぜならば、都税調の神野会長は、地方税の税率はあくまで都民が都議会を通じて決めるのが筋だ、行政に全能の権限はない、こういう手厳しい発言をその後していることからいっても、全くそういう手だてを尽くされてやってきたということはいえないんじゃないでしょうか。
 所管局としては、今のこの会長の発言を含めて、どう受けとめられていますか。

○三橋税制部長 神野先生がどういうふうにおっしゃったか、新聞報道等でしか知ることができないわけでございますけれども、神野先生のおっしゃったことそれ自体は、ごくごく常識的なこと、真っ当なことをいっているということで、我々の認識と全く変わるところはございません。
 これも先ほどご答弁申し上げましたけれども、租税法は強行法規でございまして、税率を初めとしまして、何に課税をするか、税率をどうするか、こういった基本的な課税要件につきましては、租税法律主義、租税条例主義に服するものでございまして、すべて条例の手当てが必要なわけでございます。したがいまして、今まさにそういうことで都議会の皆様方にその条例改正の内容の合理性でありますとか、税率の合理性ですとか、そういったところをご審議いただいているということでございます。

○松村委員 最後に、都民の納得と合意が得られるものにしていかなければならないということを重ねて改めて強く指摘して、私の質問を終わります。

○藤田委員 私がお聞きしようと思っていたことはほぼ出尽くしたのでありますが、その中でいろいろさらに疑問がわいてまいりましたので、そこを聞かせていただければというふうに思っています。
 私たちも、代表質問の中で和解を了としながらも、導入も終わり方も秘密裏で行われたことを考えると、説明責任が重要であるということを述べさせていただきました。
 先ほどの話の中でも、最高裁の判決までしっかりと最後まで闘うのだというようなことを片方で表明されていながら、和解になったということを考えましたときに、この間の変更について、いつ、どういうような状況でなされたのかというのが、やはり一番説明をしてもらわなくては困るところなわけであります。
 いろいろお話がありましたけれども、この中で三点、国に外形標準課税が導入されたことと、六月にりそな銀行に二兆円の公的資金が導入されたこと、それから、控訴審の判決の趣旨をもって和解になったのだというふうになっているわけです。
 先ほど答弁の中にありましたけれども、この控訴審判決は、条例の適法性を前提に、ある意味では和解を促す内容でもありというのですが、実は、きょうの資料の中にも、資料第4号の中に、東京都の議会への条例提出から判決に至るまでの経緯というのがあるのですが、ちょっと私の読み方も非常になかなか浅いので難しいかと思うのですが、この中で、ある意味では和解を促す内容だというふうにどうやってとることができるのでしょうか。まず伺いたいと思います。

○三橋税制部長 控訴審判決におきましては、繰り返しになりますけれども、税負担が不均衡でされたこと以外のところは、すべて基本的に東京都側の主張を全面的に認めていただいたわけでございます。ですから、外形標準課税を行うことは正しい、課税標準も正しいんだといったことでございまして、ただただ唯一、税負担の水準が果たしてこれでいいのかどうかということで、著しく均衡を失している可能性が大きいんだ。結果的に、したがって、その根拠条文であります地方税法第七十二条の二十二第九項の規定に違反するので、条例全体として違法だ、こういうふうな控訴審判決だったわけでございますけれども、そういたしますと、税負担水準いかんによっては、最高裁においても勝訴判決が出る可能性があったというようなことで受けとめられるということでございます。

○藤田委員 それだったら和解を意味していませんよね。税率さえよければ勝訴できるという可能性があるということを控訴審ではいったんじゃないですか。だとするならば、この税率を一・一%、あるいは一%にする、直近の十年ぐらいにすれば、そこで十分よしというふうになっているわけですから、そうすれば一%なり、あるいはそこは少し、一番直近まで考えれば十五年の三月まで考えて、〇・九%とした上で闘うことはできなかったのですか。

○三橋税制部長 確かにお話のとおり、条例改正を先行させて、そういう話し合いというものをしないで、条例改正をして都議会にご提案申し上げ、ご審議いただき、それが可決成立するということで、新たな税率設定で最高裁に臨むということは、我々事務レベルのいろいろな選択肢の中には当然あったわけでございます。
 そういった意味で、そういう方法も当然あり得るわけでございますけれども、今回は納税者の理解をいただいた上で、こういった形で提案をさせていただいているということでございます。

○藤田委員 だとするならば、事務方でそういう考え方もあったということで、では、それを和解へ指示をしたのはいつで、だれでしょうか。

○三橋税制部長 双方の弁護団の間で本格的な話し合いを始めたのは七月下旬ということでございまして、これは当然知事の指示に基づくものでございます。

○藤田委員 ところが知事は、記者会見などでは、いかにも僕は何もしなくて、弁護団が、お互いが自然の流れで何とかするんでしょう、私たちはやるわけではないけれども、弁護団の中でこういうことが、流れができていったんじゃないんですかというのが最初の発言だったと思いますけれども、やはりそれでは納得がいかないわけで、今は知事というふうにおっしゃいましたけれども、説明の仕方が非常にあいまいだというふうにいわざるを得ないんですね。
 もう一つは、例えばこの税率を〇・九%にしましたというような和解案をその中で出していったんだと思うんですが、和解案の中身というのが、実は先ほど来議論の中にもありましたように、平成十二年度の導入時にさかのぼるというところが、ここに改正内容にはあるわけなんですが、我々といいますか、普通に読むと、三%から〇・九%に改正しましたというだけで、平成十二年四月にさかのぼり適用するというのは、なかなかちょっと見落としちゃうところもあるんですけれども、これも含めてでなければ、和解にはならなかったのですか。

○三橋税制部長 条例を遡及適用するということでございますけれども、これも先ほど理事の方にお答え申し上げたものと繰り返しになる点もありますけれども、内閣法制局等の見解によれば、課税期間を通じて、所得課税による税負担と外形標準課税による税負担とが均衡がとれている必要があるんだ、そういったような基本的な考え方を示しております。
 したがいまして、今回は当然、課税期間を通じてということになりますと、もう既に三年間課税をしておるわけでございますので、その三年間、それから、プラスして来年一年間、この四年間がターゲットになるわけでございますけれども、少なくとも将来の予測は不可能だとすれば、実績値である三年間も含んだ基礎数値で税率の算定もし、税負担の均衡も、あるべき税負担の水準も、その課税期間も含めた期間、すなわち、遡及適用するという考え方によるものでございます。

○藤田委員 闘っている相手は内閣法制局ですか。

○三橋税制部長 今回は、基本的に裁判、闘いということで始まって、基本的に闘いであるわけでございますけれども、相互の弁護団の間で、知事も答弁をしておりますように、和解の話が出てくるのは自然の流れだというような説明をさせていただいておりますけれども、そういった中で議論、話し合いがされておるわけでございますので、もちろん当然、その話し合いの相手は相互の銀行側と都の話し合いということになりますけれども、あくまでも先ほど来申し上げております内閣法制局の見解、あるいは高裁判決の趣旨というのも、それは考え方を参考にさせていただいているというものでございます。

○藤田委員 実際にはそういうことも含めて和解ということになったんだと思うんですが、やはり今回のような大きな問題を提案していく上に当たっては、もっと都民に寄り添ったといいますか、わかりやすいものにしていかなければ、これだけの金額を返しますというふうにいわれても、じゃ、それが、何だ、初めからそういうことになってしまったのかということになれば、随分大騒ぎをした割には、残ったものは何だったのかなというような感じを否めないわけですよね。
 もちろん外形標準課税というものが国に導入されるという大きな点はありますけれども、しかし、これについても、私はあれ以降、非常に自治体の課税自主権というものに対しての動きを何かとめてしまったような感じさえするような状況にあるわけですけれども、この課税自主権が今回の和解というようなことになったときに、自治体の動きをとめるというような危惧はないのでしょうか。

○三橋税制部長 先ほど来話が出て何度も恐縮でございますけれども、都の条例を契機といたしまして、全国自治体でも独自課税が広がるというような状況もあります。また、平成十五年度、今年度の税制改正で国の外形標準課税が導入されるということで、国政にも大きなインパクトを与えた、そういったような役割、意義もあったかと存じます。
 今回の改正でございますけれども、我々としましては、条例の適法性を前提に改正をお願いしているものでございまして、課税自主権を行使して実施した銀行外形というものは、名実ともに、課税自主権という名とともに、千二百六十億もの税収を確保できるという意味では実ということで、名実ともに適法、有効なものとして認知されたというふうに考えているところでございます。
 そういう意味では、ぜひそういったことでご理解いただいてほしいというふうに思うわけでございますけれども、そういった観点に立てば、地方主権を確立する動きを一層高めていけるのではないかというふうに考えているところでございます。

○藤田委員 外形標準課税については、私たちも自分たちの政策の中に入れておりましたし、法人二税の変動が非常に大きい中では、やはりこれが重要であろうというようなことでは評価をいたすわけでありますけれども、今回の外形標準課税、十七年度からですけれども、導入で、一番直近の例として、都税収入はどんなような状況になるのかを試算していると思いますけれども、いかがでしょうか。

○三橋税制部長 法人事業税の税収でございますけれども、四分の三所得が入っているということもありまして、その時々の景気の状況によって変動するということもあります。したがいまして、一概に申し上げることはできないわけでございますけれども、外形標準課税の税率が、全国におきます直近十年度間の平均税収をベースとして、税収が中立になるように設定されているものでございまして、一定期間を通してみますと、増減収ゼロというふうに説明がされているところでございます。

○藤田委員 今回の状況の中では、最初に参考人の方々にもおいでいただき、この銀行税に対する外形標準課税というようなものを、よいのか悪いのかというようなことでも参考人にお話をいただいたわけなんですけれども、今回の導入時に、もちろん問題になったわけですけれども、十七年度からかかる外形標準が導入されますと、銀行に対しては何を付加価値というふうに考えたらよろしいんでしょうか。

○三橋税制部長 国の法改正によりまして導入される外形標準課税では、全業種すべて同じ課税標準となるわけでございまして、基本的に付加価値を課税標準として課税することになるわけでございます。銀行業も同様に付加価値、そのほか資本金もございますけれども、基本的に付加価値ということになるわけでございます。

○藤田委員 私は、銀行の課税標準としては、やはりある意味では純支払い利子というのがマイナスになるというようなことを考えますと、業務粗利益というところにかけていくのがといいますか、そういうようなことも実際には予算特別委員会参考人招致等でいわれてきたことでありますけれども、これについてはどんなふうに考えていらっしゃるでしょうか。

○三橋税制部長 先生ご指摘のとおり、銀行業におきましては、付加価値を計算する上で、純支払い利子は結果的にマイナスになってしまうという非常に不適切な課税標準というふうに我々も考えておりまして、そういう意味では、銀行業の課税標準としては、事業活動量をより適切に反映をいたします業務粗利益がよりすぐれているというふうに考えているところでございます。

○藤田委員 ということになりますと、まだこれは初めてのことですので、外形標準課税、十七年度からのものについては、課税をされて、そして、それを評価していくということになろうかと思いますけれども、そこについては、今のようなことについては、国に対してどんなふうに提言をしていくということを考えていらっしゃるでしょうか。

○三橋税制部長 今のような銀行業の課税標準が必ずしも適切ではないということ、業務粗利益の方がすぐれているんではないかというようなことにつきまして、またそのほか、外形基準の割合が今の現行法ですと四分の一にとどまっておりますので、それをもう少し高める必要があるのではないかというようなことも含めまして、あらゆる機会を通じまして、公式、非公式に国の方に要求、要望してまいりたいというふうに考えております。

○藤田委員 財政の原理は協力の原理ですというようなお話がありました。すなわち、政策決定のプロセスというものも結果に入るわけで、そして、この協力ということはどういうことかというと、やはりきちっとそれを都民、国民に提示し、そして今回の場合ですと、銀行の方々に提示をしながら、ともに、はい、これで納得だねというところでやっていかなければいけない。税については特にそういうことになろうかというふうに思うわけです。
 国税は国民に負担させる税ということですけれども、地方税は、やはり地域の人々がお互いにどういう形で協力し合いながらそれを負担し合うかということを納得していただかなければいけないということがまず第一だというふうに私は思うわけです。
 そういうことから考えますと、先ほど来のご指摘もありましたけれども、導入時にも随分問題になりました密室の政治というものが改めておかしいというふうに思いますし、それから、今回の和解に対しても、実は毎日毎日それこそ税負担が、還付しなければいけない負担がかかるというのはわかりますけれども、やはりこれは例えば今回の定例会できちっと提案をし、そして、みんなの意見を聞いて、十二月の定例会といいますか、そういうようにやっていかなければ、本来の行政の提案したものをみんなが納得していくということにはなかなかならないことだというふうに思います。
 私は、局が違うといえば違いますけれども、新銀行構想に対しても、こういう同じ轍を踏むなあというように思います。学習していないなあというふうにも思います。そういうことから考えますと、やはり政策の決定プロセス、特に税ということを皆さんにご負担をお願いしながらといいますか、本来、地方税制が自分たちの中で、このことに税が要るんだから一緒に考えていこうというふうにできればいいですけれども、今は全部国からということですから、なかなかそこはできないのはわかっておりますけれども、やはりこれをもう少し明快にわかりやすく、そして、ご負担いただくことを理解していただきながらやっていくということが重要であろうかというふうに思います。
 最後に、ちょっとこの辺について局長にお伺いをして、終わりにさせていただきたいと思います。

○川崎主税局長 都議会と執行機関は、いうまでもなく都政を支える車の両輪であり、東京をよくするために力を合わせていくことが必要であります。また、執行機関は、都議会を初め、広く都民に必要な行政情報を提供するとともに、説明責任を果たしていくことが大変重要であると考えております。
 今回の和解は、先ほど来申し上げているように、双方の弁護団において話し合いを進めることが自然の流れの中にあった中で知事が決断したものでありますが、最終的に和解を締結するためには、都民の代表であります都議会の議決が必要であるわけでございます。改正理由、税率の根拠等、この議会で十分審議されることが大切であると考えます。
 東京都は、これまでも課税自主権の行使としての銀行外形の意義やその内容、判決の概要、訴訟の争点などを、さまざまな媒体を通じて都民にお知らせをしてきました。今後とも都民に対して説明責任を十分果たしていくつもりでございます。

○藤川委員 最後にこんなことをいうと、皆さんに対して大変失礼かと思いますけれども、私の忌憚のない意見を皆さんに対してぶつけて、それから、これから行政マンとして東京都のために仕事をしていかれる皆さんにとって、ああ、ああいうことを考える変わったやつもいるんだなというふうに理解してもらいたいと思うわけです。
 川崎主税局長とか三橋税制部長が答弁に立たれているときに、諸先輩からいろいろな質問をされたときに、こういう答えをするだろうなというふうに僕は想像したわけですが、皆さんそのとおり答えておられるわけです。ああ、そうか、そうすると、東京都議会というのは皆さんにとってはばかにされているのかなというふうな気持ちがしたわけですよね。 結局、我々が一生懸命へ理屈をいったって、皆さんにとっては、そのへ理屈に対していろいろ準備をして、ああでもない、こうでもないといい繕うことによって逃げられてしまうから、結局、我々が一生懸命勉強しても何もならないかなという気持ちを正直にいって自分自身持っているわけです。
 こんなことをいうと、皆さんに大変失礼かもしれないけれども、僕は今質問に立っていて、こんなに意義のないことをやっている自分自身を歯がゆく思うわけです。ということはどういうことかというと、自分が質問することに対して答えることのできない人に対して質問をしているんじゃないか。
 もう一つは、自分が質問することに対して、僕はボーンヘッドですから、皆さんのような明晰な頭脳を持っている方がいろいろないい繕いをすることによって、僕は、ああ、しようがないなということでもって安易に同意して、結局逃してしまう。そうすると、東京都議会議員としてちゃんとなすべき義務を果たしていないんじゃないかなとも思うわけです。
 だから、そういう面で、自分がこんな質問をするということは、この場で大切な時間を割いて、皆さんこれで百十人ぐらいいるんですかね、それだけの人の時間を縛ってやるということは、それでなくたって、東京都は三千五百億とか四千億、毎年足らないという状況の中でこんなことをやっていていいのかなというふうに思うわけです。
 一つだけ、自分なりに一生懸命調べたわけです。調べたときに、とんでもないことに行き着いたわけです。それはどういうことかというと、僕は、東京都のやっていることはすばらしいことだと思っていたわけです。だけど、本当にすばらしいのかなということについて疑問に思う問題点に一つ逢着したわけです。それはどういうことかというと、石原さんが外形標準課税といったときに、我々は青天のへきれきのようにびっくりして、ああ、そういうやり方があるんだと思ったわけです。
 ところが、東京都はその数年前、十年ぐらいだというんですが、前に、国に対して外形標準課税そのものか、似たようなことをいったことがある、国のしかるべき機関にそのことをぶつけたことがあるという経過があるとかないとかいうんですが、そのことについて何かお答えをいただければと思います。十年ぐらい前です。だから、我々の前に石原さんが外形標準課税といったその十年前に、もう既に東京都は国のしかるべき機関にぶつけているというんですね。

○三橋税制部長 私も長いこと主税局におるんでございますけれども、そういったことは承知しておりません。
 ただ、外形標準課税というのはかなり古い話でございまして、直近でも昭和五十二年ころ、全国知事会が全都道府県一緒に条例をつくって、オイルショック後の景気が非常に悪くなって税収が落ちたころでございますけれども、そのころ全国知事会が音頭をとりまして、全都道府県が一緒に外形標準課税をやりましょうと、やれる寸前まで行ったということはございました。

○藤川委員 川崎主税局長も三橋税制部長も全然知らない時期に、こんなことを責任持って答弁する状態でないときに、もう既に東京都は国に対してそのことを大きな問題として挙げていたというわけですよ。
 そうすると、川崎さんも三橋さんも一生懸命答えているけれども、答える十年前に、皆さんがこのポジションに着く十年前に、もう既にその問題が国にとって俎上に上っているということは、もうその時点で勝負があったわけですよ、勝つか負けるかね。今いっているように、一審も負けた。二審も負けた。それで、最高裁に上告したときに勝つか負けるかもうわかるわけですよ、十年前にそういうことをやっているとすれば。
 だから、そういうことをしたことが事実だとすれば、そうすると、やはりばかにされているのは東京都議会であるし、東京都議会がこんなところに百十人近くの人が集まって水光熱費から何から使ってやることは非常にもったいな。そうすると、我々がこんなところに存在すること自体が問題があるんじゃないかなというふうに思うわけです。
 だから、それが問題のない状態でもって、要するに議会制民主主義、東京都の、国の民主主義制度が一番すばらしいものであるとすれば、すばらしい状態にしなくちゃいけないわけですよ。
 だから、私自身としては、がたがた申し述べませんけれども、そういうつもりでもって東京都議会議員として報酬をいただいているし、皆さんと相まみえているわけですから、これから行政マンとして東京都のために一生懸命仕事をしていただくときに、ただボーンヘッドの都議会議員をいいくるめればいいんだとか、どうのという皮相なことだけじゃなくて、本当に根幹から東京都民のために、日本国のために考えていただきたい。それだけを意見みたいな、何かわからないけれども、そういうふうな状態で最後の自分の考え方を皆さんの前に披瀝させていただきたいと思います。

○川井委員長 他に発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十一分散会

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