財政委員会速記録第十三号

平成十五年九月二十九日(月曜日)
第二委員会室
   午後一時十一分開議
 出席委員 十三名
委員長川井しげお君
副委員長鈴木貫太郎君
副委員長矢部  一君
理事真木  茂君
理事松村 友昭君
秋田 一郎君
北城 貞治君
鳩山 太郎君
馬場 裕子君
桜井良之助君
藤田 愛子君
藤川 隆則君
宮崎  章君

 欠席委員 一名

 出席説明員
財務局局長櫻井  巖君
経理部長佐藤  広君
契約調整担当部長小山 利夫君
主計部長熊野 順祥君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長江連 成雄君
参事三津山喜久雄君
建築保全部長福島 七郎君
コスト・調整担当部長松村 光庸君
参事齊間 孝一君

本日の会議に付した事件
 請願の取り下げについて
 財務局関係
  付託議案の審査(説明・質疑)
  ・第百九十四号議案 都立目黒地区中等教育学校(仮称)(十五)増築及び改修工事請負契約
  ・第百九十五号議案 東部療育センター(仮称)建設工事請負契約
  ・第百九十六号議案 警視庁西が丘庁舎改築工事請負契約
  ・第百九十七号議案 警視庁三鷹警察署庁舎改築工事請負契約
  ・第百九十八号議案 日暮里・舎人線下部工事(その二十四)請負契約
  ・第百九十九号議案 日暮里・舎人線下部工事(その二十五)請負契約
  ・第二百号議案  日暮里・舎人線下部工事(その二十六)請負契約
  ・第二百一号議案 日暮里・舎人線隅田川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事請負契約
  ・第二百五号議案 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入
  報告事項(質疑)
  ・「第二次財政再建推進プラン中間のまとめ」について

○川井委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに請願の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の請願一四第五五号について、平成十五年九月二十五日付で取り下げを許可した旨議長から通知がございましたので、ご了承願います。

○川井委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、財務局関係の付託議案の審査及び報告事項の質疑を行います。
 なお、付託議案のうち、契約議案につきましては、議長から所管の常任委員会に調査依頼を行ってあるとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百九十四号議案から第二百一号議案まで及び第二百五号議案、平成十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入を一括して議題といたします。
 初めに、追加提出されました第二百五号議案、平成十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、予算総則、歳入について理事者の説明を求めます。

○櫻井財務局長 ご説明申し上げます。
 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第二号)につきましては、銀行業等に対する外形標準課税の税率改正に伴い、既に納付されました税の一部等を還付するために編成したものでございます。
 お手元にお配りしてございます資料第1号の七ページ、予算総則をごらんいただきたいと存じます。
 補正予算の規模といたしましては、一般会計で歳入歳出予算の総額にそれぞれ約一千六百九十五億円の増額補正を行っております。このことに伴いまして、一般会計の歳入歳出の総額は約五兆八千九百九十億円となります。
 以上で提出議案の予算総則の説明を終わらせていただきますが、引き続きまして、財務局所管分につきまして経理部長から説明いたさせますので、よろしくお願い申し上げます。

○佐藤経理部長 それでは、私から財務局所管分の歳入につきまして、資料第2号に基づきましてご説明申し上げます。
 資料第2号の三ページをお開き願います。一般会計の議会局及び財務局の予算総括表でございます。今回の補正は財務局分でございまして、表中下段になりますが、特定財源として繰入金を千六百九十四億九千六万七千円増額するものでございます。既定予算額と合わせますと、歳出予算額は変わらず八千四百三十八億三千五百万円、特定財源は、計欄にありますとおり、五千二百十三億六千二百七十一万八千円となります。
 なお、この繰入金につきましては、次の四ページの右側欄にございますが、計上説明に記載のとおり、財政調整基金から繰り入れるものでございます。
 以上、平成十五年度補正予算案の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○川井委員長 説明は終わりました。
 その他の議案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際、資料要求はございませんでしたので、直ちに本案に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○秋田委員 私からは、都財政の現状を踏まえながら、銀行税の和解に対応して編成された補正予算について取り上げたいと思います。
 まず、都財政の現状ですが、これまで幾度も語られてまいりましたように、極めて厳しい状況にあるということは、皆様も、私ももちろん実感しておりますが、まず、どれほどのものなのかということを家計に例えて計算してみました。
 そうしますと、都税収入が約三兆九千億円、それから都債残高が約七兆円、財政調整基金の残高が平成十四年度末で約二千億円ということなので、都民サラリーマン家庭の平均給料六百四十一万円に置きかえて計算してみます。すると、都債残高が約七兆円なので、ローン残高は年収の約二倍の一千百五十万円、普通預金に当たる財政調整基金の残高が十四年度末で二千億円なので、預金はわずか三十二万円ぐらいしかないということになります。もう一回繰り返しますと、都民サラリーマン家庭の平均給料を六百四十一万円にしますと、ローン残高は年収の約二倍の一千百五十万円、いわゆる普通預金はわずか三十二万円ぐらいしかないということで、家計に例えてみますと、ローンの返済が重く、貯金はほとんどない。必死になってやりくりしても、まさに火の車だという状態だと思います。
 このような中、今回の銀行税について銀行側と和解することになったわけでございます。何せ二千三百億円からの返還ですから、都財政に与える影響は非常に大きい。一度徴収した税金の返還ということは、財政当局としては本当に苦渋の選択だったと思いますが、還付加算金がふえていくことを考えると早急な決断が必要だったわけで、一定の評価はしたいと思います。しかし、いずれにせよ返還に当たっては幾つかただしておかなければいけないことがございますので、これからお尋ねさせていただきたいと思います。
 まず、最初に金額の確認をさせていただきたいと思います。返還額は二千三百億円余りということでございましたが、今回の補正予算においては約一千七百億円になっております。この差額はなぜ生じるのか、まずお聞かせください。

○熊野主計部長 まず、今回の和解によります返還額の合計が二千三百四十四億円でございますが、その内訳を申し上げますと、過年度分の銀行税に係る返還金が一千五百七十二億、それから十五年度分の返還金が六百四十九億、それから、これらの還付金に伴う還付加算金が百二十三億となっております。このうち、十五年度分の返還金六百四十九億円につきましては、今年度の歳入でございましてまだ決算に至っておりませんので、既に納付されたものをそのまま銀行側にお返しするという、いわゆる歳入還付により返還することといたしております。
 一方、十三年度及び十四年度の税収及び還付加算金、これらの合計の千六百九十五億円につきましては、返還のために過誤納還付金として歳出予算措置が必要となりますので、これらを今回補正予算に計上したところでございます。このため、返還額と補正予算額の間に差が生じているところでございます。

○秋田委員 それでは、まず最初に今年度分歳入還付を行った六百四十九億円分についてお聞きしたいと思うんですが、率直にいえば穴があくおそれがあるということだと思うんですが、この分については当初予算で歳出が組まれているわけで、その分を歳出を削減するか、あるいは他の財源を見つけるか、どちらか行わなければならないと思うんですが、十五年度の財政運営についてはどう考えていらっしゃるでしょうか。

○熊野主計部長 ご指摘のとおり、このまま手をこまねいておれば、歳入還付分の六百四十九億円が今年度においては歳入欠陥になるということでございます。このような事態になりまして、まず既存の事業について改めて内容を見直し、さらなる縮減、節減ができないかどうか精査していくということとともに、あらゆる歳入確保に努めていく必要がございます。そのため、予算執行をより効率的、効果的なものにするということと同時に、歳入の確保に努めるということについて、各局に全力を挙げるよう強く求めていく考えでございます。
 いずれにせよ、やりくりを徹底することによって、財政運営に行き詰まることのないよう万全を尽くしてまいりたいと思っております。

○秋田委員 本当に、まさに全庁的に取り組んでいただきたいなと思います。
 次に、先ほど第一番目の質問のときにありました過年度分についてお尋ねしたいと思います。
 過年度分だけでも千七百億円もの金をどのように調達するのか、お伺いしたいと思います。今回の返還の財源には財政調整基金、いわゆる家計でいうところの普通預金、これが充てられることになっていますが、この返還によって基金の残高は幾ら残るんでしょうか。

○熊野主計部長 財政調整基金が十四年度末で二千六十億の残高でございましたが、今回取り崩すことによりまして、本年度末の残高見込みは三百六十七億円になる予定でございます。

○秋田委員 これは本当に大変な事態だと思います。基金残高が三百六十七億円になる見込みということは、先ほど来申し上げています家計に例えると、預金残高がわずか六万円しかない、こういうことになるわけで、ローンの返済額がいっぱいある、けれども、預金は六万円しか家計に残っていないということで、すごく危機感を感じずにはいられないというのが率直な感想でございます。
 それでは、都の歳入の根幹である税収の動向はこの間どうなってきたのか、お伺いいたします。

○熊野主計部長 税収につきましては、戦後一貫して右肩上がりを続けてまいりました。しかしながら、バブル経済崩壊後、我が国の社会経済構造の変化に伴いまして、都税収入にもはやこれまでのような右肩上がりを期待できないのは明白であろうかと思っております。
 また、十二年度から十三年度にかけましては、一時、ITバブルの影響で都税収入の増加がございましたけれども、結局は一時的な影響にとどまりまして、十三年度夏以降の景気低迷を背景に都税収入は大幅に落ち込んでおります。具体的な数字を申し上げれば、十三年度から十四年度にかけまして、都税収入は四兆三千七百九十三億から三兆九千六百三十六億円と、四千百五十七億円、率にしまして九・五%減少したところでございます。

○秋田委員 今部長からお話がありましたように、都税収入というのは本当に景気の動向に左右されて大きく変動する。その上、他の団体のように交付金といった恩恵もない。そういった中で、いざというときのとらの子のまさに普通預金に当たる財政調整基金が、税収の一%にも満たないというのは大変な疑問を感じずにはいられません。
 そこで、五番目の質問として、財政調整基金以外に、こういった税の変動に対する備えは、蓄えは都にはあるのでしょうか。

○熊野主計部長 税の変動に対する備えはということでございますが、財政調整基金は、まずその重要な役割を持っているところでございまして、銀行税返還後の残高、今後の財政運営にとっては、まさに三百六十七億、とらの子でございます。
 それから、財政調整基金以外のものについて強いて挙げれば、活用可能な基金という意味で貯金の一種でございますが、社会資本等整備基金が挙げられるところでございます。その残高を申し上げますと、十五年度末見込みで五百二十七億円でございますが、ただ、この基金につきましては、使途が社会資本整備などに限定されているところでございます。
 いずれにいたしましても、両基金を合計して九百億円足らずということでございまして、都税収入の二%程度にすぎません。今回の返還によりまして、今後の財政の対応能力が大きく制約されることについては間違いないと認識しております。

○秋田委員 今お話があった社会資本等整備基金は、使途が限定されているというお話を伺いますと、なおさら財政調整基金は充実させていかなくちゃいかぬなという思いを強くしたわけでございますが、第二次財政再建推進プランの検討に当たっては、この財政調整基金を充実させるための方策の検討をぜひ深めるべきだと思っているんですが、どういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

○熊野主計部長 ご案内のとおり、法人二税が大きな割合を占めております現在の税収構造を前提とする限りは、税収が年度間で一定程度変動することは不可避な状況でございます。このために、安定的な財政運営を行うためには、起債の適切な活用とあわせまして、税収動向を見据えながら財政調整基金を活用して、年度間の変動を緩和する方法を構築していくことが必要であると考えております。
 これまでも都税収入の伸びが低水準で推移する中にあっても、確実に積み立てを実施するために財政調整の機能が発揮されるよう、平成九年三月に積み立て基準を強化する条例改正をお願いして実施してきたところでございます。今後も都税収入の大幅な伸びが期待できない中にありましては、この財調基金の役割が一層重要になってくると考えておりまして、その機能充実に向けた検討を行っていく必要があると思っております。

○秋田委員 家計であれば、やりくり上手な奥様か何かがたんす預金か何かをされて、いざというときには出してくれたりするのかもしれないのですが、東京都の場合はたんす預金のようなものはないでしょうから、まさに財政調整基金が最後のとりでという部分もあると思いますので、ぜひ真剣にしっかり検討していただきたいと思います。
 そこで、さらに厳しい状況として、第二次財政再建推進プランの中間のまとめの収支見通しでは、銀行税を見込んでいるというお話でございました。考えてみると、毎年度の銀行税収入は、その年度の行政サービスの財源として既に使ってしまっていると。しかし、実際には一千億円の銀行税のうち、今回返還することになった七百億円は、いわばげたを履いていたに等しいわけです。このことからも、財政収支というのはしっかり精査していただくことが大切だと思います。
 そこで、七番目の質問に移らせていただきたいと思うんですが、中間のまとめのフレームの税収の中で、銀行税は幾ら見込んでいて、今回の税率引き下げにより三千五百億円程度と見込まれていた財源不足額は幾らになってしまうのかを教えてください。

○熊野主計部長 中間のまとめにおきます収支見通しの銀行税につきましては、十六年度約一千億程度を見込んでおりました。今回の和解案では三%を〇・九%に下げるということでございますので、約七百億円の減収となる見込みでございます。このため、三千五百億円程度の財源不足というふうにお示しをいたしましたけれども、現在精査中でございますけれども、単純に試算すれば、合計で四千二百億円程度の財源不足に拡大するということになろうかと思います。

○秋田委員 これまでの三千五百億円に加えて、今回の件で七百億円足して四千二百億円というところまで財源不足が広がっている。さらに、財政調整基金も底をついている。その上、十五年度の執行でも約六百億円を超える財源不足が生じる。本当に東京都の財政は正念場を迎えているということがよくわかったところでございますが、そこで質問なんですが、現在当局では第二次財政再建推進プランを十月を目途に作成していることだと思いますが、一層厳しい対応を求めるプランにならざるを得ない。当然のこと、僕はならざるを得ないと思うんですが、それはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

○熊野主計部長 これまで四年間、第一次財政再建推進プランを通じまして必死の努力を行ってきました。ただ、都財政を取り巻く環境は一段と厳しさを増しておりまして、依然として都税収入と歳出の間に大きなギャップが存在してございます。また、前回パンフレットでお示ししましたように、大幅な伸びが見込めない都税収入であるとか、あるいは高どまりする経常経費、あるいは構造的に増加する歳出要因がたくさんあるというふうな課題を抱えているところでございます。こうした状況にありながら、先生からご指摘いただきましたように、基金などの財政対応能力が底をついて、まさに後がない状況であると認識してございます。
 こうした中で、一方では、社会経済情勢の変化に伴いまして、新たな都民ニーズにこたえる先進的な取り組みを進める必要もございまして、そうしたための財源を生み出さなければいけない状況にございます。そのために、まず隗より始めよということでございまして、さらなる内部努力を徹底するということが大切であろうかと思います。
 また、一方では、すべての既存の施策につきまして、時代変化への適合等の観点から、事業の廃止、休止を含めた聖域のない見直しを不断に行う必要があろうかと思っております。
 第二次プランにおきましては、中長期的な視点を踏まえた構造的な取り組み、さらには新たな発想による取り組みが重要でございまして、これまでにも増して厳しく踏み込んだ取り組みにならざるを得ないと考えております。

○秋田委員 前回でしたか前々回でしたか、ちょっと忘れましたが、私は財政再建についてトヨタのカイゼン方式といいますか、「カイゼン」について多少述べさせていただいて、ぜひとも取り組んでいただきたいということを申し上げましたが、本当にきょうの流れからすると、都財政は十年後、二十年後だけじゃなくて、あした、あさってが本当に厳しいということがよくわかりましたので、ぜひとも全庁的に頑張っていただきたいなと思うんです。
 最後に、一連の補正予算を踏まえて財務局長にお伺いしたいと思うんですが、財政運営の責任者として、この四千億円超、四千二百億円もの財源不足が生じる中で、今度十六年度の予算編成を行っていかなければならない。非常に難しい選択、また、非常に厳しい状況に局長自身はおられると思うんですが、財政再建の目的を踏まえて十六年度予算編成に取り組む局長の意気込みを最後にお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○櫻井財務局長 今お答え申し上げましたように、財政再建はいまだ「途半ば」で、厳しい財政状況にあるわけでございますけれども、都民のために東京の再生あるいは各種の行政サービスの充実、こういうものを図っていくという努力をすること、これが私ども都政の使命であろうというふうに強く認識しております。
 そこで、十六年度予算編成に当たりましては、全庁挙げまして都政の守備範囲、あるいは施策の体系、仕事の進め方、こういうものなどについて新たな目でもう一度見直しまして、さらなる内部努力とともに、新たな発想で事務事業を根本的に見直していこうと。それで、聖域のない施策見直しを徹底しまして、都民ニーズに対して的確にこたえ、東京の活力を呼び戻す施策展開、こういうものができるように施策の再構築を進めていきたいというふうに思っております。
 また、私ども財務局としましても、みずから建築、土木コストの縮減、あるいは財産の局の壁を超えたさらなる利活用、あるいはPFI事業などの民間活力の活用などの面で、各局の先頭に立って積極的に働きかけを行っていきたいというふうに考えております。
 これらの取り組みによりまして、財政再建に向けた新たな一歩を踏み出しつつ、これまで進めてきました先進的な施策をさらに充実させていきたい、このように考えております。

○真木委員 今、秋田議員の方から来年度に向けた真剣なご質問がございました。私、当選から二年間連続して財政委員会に所属をさせていただきましたが、今回財務局に質問させていただくのがひとまず最後となります。四年目はまた戻ってきたいと思っておりますけれども、ひとまず最後となります。
 この間、銀行税訴訟につきまして、基本的には主税局でございますけれども、財務局の皆さんとも、主計部長、また経理課長を初め、財務局とも随分と議論を重ねさせていただきました。
 私は、この銀行税訴訟につきましては三つの観点があるというぐあいに思って取り組んできました。一つは、何よりも課税自主権を確保する。私たち民主党、そして私も、地方主権の社会をつくっていくんだ、そのためには課税自主権がなければならないということで、今度の銀行税訴訟は負けるわけにはいかないと思っておりました。
 しかし、一方で訴訟ということに関しますと、二つ違う観点で見ていかなければならない。勝つためには何でもいいんだということにはならないんだろうというぐあいに思っていました。それは、一審、二審、負けていく中で、還付加算金が四%や四・一%、四・五%、このような大変な高率の、今のこの社会の中では高率の還付加算金が課せられていく中で、都民の税金が、銀行からお預かりした以上の莫大なプレゼントをつけて銀行に返さなければいけない蓋然性が、一審で負けて、さらに二審で負けて、その蓋然性が極めて高くなっている。この税金が、都民の税金が垂れ流されている状況についてどのように考えるのかというのが一つあろうかと。この件につきましては、あした主税局にお伺いさせていただきます。
 そしてもう一つの観点は、やはり東京都の財政上に与える影響について、これは危機管理という観点から真剣に考えていかなければならない。万が一に備えるのが危機管理でありますので、万が一、あってはならないことですけれども、銀行税訴訟で東京都が負けた場合どうするのかというのを考えるのは財務局の仕事である。この観点で、財務局の皆さんと真剣な議論を重ねさせていただいたところでございます。
 実は、正式な記録の中に、昨年の九月二十六日に私は初めての本会議質問をさせていただきました。その中で、当時熊野部長が知事本部にいらっしゃったときに、そんな都県境の問題とかを質問させていただくその最後に、東京都財政の危機管理についてという項目も、項目だけありました。財務局の皆さんといろんな折衝をしていく中で、その問題はあえて聞くのを差し控えたところでございます。
 ことし二月に一般質問をさせていただいたときにも、その項目を入れさせていただいておりました。本会議場で東京都の都財政の危機管理について、真剣に全議員の前で議論をさせていただきたいと思っておったところでございますが、諸般の事情で差し控える中で、昨年の十一月の事務事業質疑の中で、私は財政調整基金と銀行税訴訟という言葉を具体的に出しながら、財政調整基金がこの銀行税訴訟の危機管理の中で有効に使われるべきだという主張をさせていただいたところでございます。
 前置きが長くなりましたが、その前提として、もし仮に、きょうでもいつでも結構でございますが、銀行税訴訟、最高裁で門前払いをされるという可能性がないわけじゃありません。今はもう和解の動きが進んでいますので、最高裁がそのような判断を下すことはないわけでありますけれども、こうした動きがなければ、突然最高裁が門前払いを下したというようなこともあり得るわけであります。もし今現在で東京都が敗訴した場合、幾らのお金を返さなければならないことになるのか。そしてまた同時に、東京都の財政再建団体の基準額、これは幾らなのか、お聞かせいただきたいと思います。

○熊野主計部長 仮に敗訴した場合のお答えでございますけれども、税率三%のもとでの収入が、今年度までで三千百七十三億円でございます。これに還付加算金が加わるということになろうかと思います。
 もう一点、財政再建団体に転落する赤字限度額でございますけれども、約二千七百億円、あるいは二千八百億円、この間であろうかと思っております。

○真木委員 たしか昨年は財政調整基金が一千三百億円程度でありました。そうした中で、今のまま、私ども民主党は本会議質問の中でも徴収停止とかも考えるべきではないかという質問もさせていただきましたが、しかしながら、このまま集めると、今のように三千億円目もこの五月に集める。さらに還付加算金、例えばこの六、七月の段階でちょうど百二十億円程度になるはずであります。さらに今現在も日々ふえておるわけでありまして、一日につき三千五百万円の還付加算金が日に日にふえているのが今の状況であります。
 そうした中で、もし今いわれていましたように、三千億円を超える銀行から集めた額、それに百二十億円を超える還付加算金を返さなければならないということになったときには、東京都は一遍に財政再建団体に陥ってしまう。そのことを非常に危惧したわけでありました。
 そうした中で、具体的に財政調整基金の性格を--昨年十一月の事務事業質疑の中で、財政調整基金というものは、そもそもは入りの増減に備える基金であるけれども、例えば今、銀行税訴訟もある、また大気汚染でも訴訟が負けた、さらには疫病とかがはやって東京都の責任が認定されて、ウン千億円というような賠償を求められるようなこともあり得る、そうしたときに対応する基金はどこなんだということを確認し、時の主計部長から財政調整基金がそれに当たるということを確認をし、その上で私は財政調整基金を、それならば今、十五年度予算編成の中ではふやすべきだということを要求いたしました。具体的に十四年度と十五年度の財政調整基金の増減につきまして確認をいたします。

○熊野主計部長 財政調整基金の残高についてでございますが、平成十四年度予算編成時に見込んだ十四年度末の残高は一千二百九十四億円でございましたが、実際の十四年度末の残高は二千六十億円となってございます。

○真木委員 その差額約七百億円、大変な額を積み上げたわけであります。東京都の財政規模でいきますと、先ほど秋田委員もご質問がありましたように、なかなか七百億ってどれぐらいの規模か、全く見当がつかないわけでありますけれども、職員の皆さんが、本当に奥さんが苦労されているんだと思いますが、四%カットがございました。現在は二%カットがございます。現在の二%カットでは、十五年度予算における財源対策としては、百八十五億円程度しか二%カットからは浮かび上がってきません。本当にボーナスとかで大きな影響を受けたと思われます四%カットにおいては、三百五十億円しか年間手当てされなかったわけですから、その四%カットの倍、その額を積み増したということは極めて異例な措置。本当ならば、そんな貯金をふやすときがあれば四%カットなんかやめろというのが本来の筋だと思うんですが、その七百億円もの大変な額をふやしました背景につきまして確認をいたします。

○熊野主計部長 財政調整基金につきましては、昨年、当委員会におきまして真木理事の方からも、緊急の支出に備え積み増しをしなければならないのではないか、また、残高確保について万全を尽くすべきであるというふうなご指摘をいただいたところでございます。
 私どもといたしましても、都財政の将来負担などさまざまな状況を勘案いたしまして、十五年度予算におきまして、将来の財政運営への配慮という観点から、十四年度当初予算で予定していた財政調整基金の取り崩し額を抑制するというふうなことなどで、財政調整基金の残高を可能な限り確保したところでございます。こうした結果、先ほど申し上げましたように、二千六十億円の残高を確保することができたということでございます。

○真木委員 今、部長から具体的に私の名前も出していただきました。ひそかに東京都を救ったなんて勝手に思い込んでいるわけでありますけれども、七百億もの大変な額を積み上げていただきました。私は、この東京都の財政調整基金を何としてもふやさなければ、東京都は一遍に財政再建団体に陥ってしまう、それは絶対にあってはならないことであって、何としても危機管理という観点から、銀行税訴訟は勝たなければならないけれども、負けたときの備えもしなければならない。負けたときの備えをすることが、弱みを見せたということには決してならないはずだということで、重ねて主張してまいりました。
 だれとは申しませんが、その後、私といろんな真剣な議論をさせていただきました財務局の方から、僕の顔を見るたびに、議員の指摘、やっていますということを予算編成過程の中で何度となくいっていただきました。そうした中で、十五年度予算編成の中で財政調整基金が積み増しされました。
 ところが、一方で男女共同参画基金が廃止されて、馬場議員と民主党の女性議員が大変あってはならないことだということで議論を重ねた中で、私は民主党の中の議論で、これは実は財政調整基金を積み上げてもらうために苦慮したものだということの一方で、私の方が説明をさせていただいたというような経過もあります。
 私も、まさか男女共同参画基金がつぶされるなんていうことは夢にも思っていなかったんですけれども、そうした苦渋の努力の中でこうした財政調整基金の積み上げがあって、今回一千六百九十五億円。去年の年度末、一千二百九十四億円であれば、とてもじゃないけれどもこの銀行税訴訟、和解もできなかったということを重ねて確認をさせていただきまして、そして引き続き、やはり都財政上の危機管理というものにつきましては、幾ら厳しい--今秋田議員から話がありましたように、来年度は本当に正念場を迎えるわけでありますけれども、かといって何かハプニングがあったら東京都が財政再建団体に陥るなんていうことがあってはならないわけでありますので、どうぞ一%を切った財政調整基金でありますが、十分な危機管理を都財政上行っていただくことを要請いたしまして、私の二年間の質問の締めくくりとさせていただきます。ありがとうございました。

○川井委員長 他に発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○川井委員長 次に、報告事項、「第二次財政再建推進プラン中間のまとめ」についての質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際資料要求がございましたが、理事者との調整の結果なくなりましたので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○馬場委員 先日発表されました第二次財政再建推進プラン中間のまとめの中で、今後財政構造改革を進めていくに当たっての視点として、三つの視点が示されました。そのうち、私は視点3、最後に掲げられました、国の仕組みを変えるということについて幾つか確認をさせていただきたいというふうに思います。
 今回、六月から七月、一カ月の間で、この視点3の表現が、国の仕組みを変えるということに大きく踏み込んだ表現といったらいいでしょうか、そういう形で変わってきています。このことは、今まで私どもが行政の皆さんの中で国への要望というふうに聞いていたものが、大きく変わってくるのではないかなという印象を受けました。この点について何点か質問させていただきます。
 まず、この視点3なんですが、二つに大きく分かれております。一つは、今までと同様、税源移譲などの地方税財政制度改革について、これを強く進めていくということでございます。もう一つが、今申し上げました国に対して規制改革を提案していく、このことが新しい大きな提案だというふうに思っています。表現としては、「国の規制や既存の制度が都の施策展開にとって障害となっている場合には、国に対して制度改正や規制改革を主張し、国の枠組みそのものの改善を求めていく。」というふうな文章になっているわけですが、最初の税源移譲などの地方税財政制度改革についてまず確認をさせていただくところから入りたいと思います。
 この地方税財政制度改革につきましては、前回のプラン、第一次の財政再建推進プランでも掲げられておりますが、この四年間の成果、取り組み状況や国の動きなどについて、まずご説明をいただきたいと思います。

○熊野主計部長 まず、第一次の財政再建推進プランの策定段階では、平成十二年四月の地方分権一括法の施行予定という時期をとらえまして、真の地方自治権の確立のために税源の移譲などを掲げて、国に対して強く働きかけていくということにいたしました。このため、例えば国への提案要求の中で最重点事項というカテゴリーを設けまして、その中に税源の移譲等を加えて強く働きかけてきたところでございます。また、いわゆる都税調を立ち上げまして、税源移譲のシミュレーションなどを都みずから提案をしてきたところでございます。また、こうした動きと連動しまして、都議会の先生方からも意見書を出していただくなど、いろいろご尽力をいただいた経緯がございます。
 しかしながら、このような取り組みを行ったにもかかわらず、結局この四年間では、国からの目に見える形での税源移譲はなされることはなかったということでございます。
 そうした中で、地方税財政制度の改革がようやく動き出したのが、平成十三年六月の国の地方分権推進委員会の最終報告からでございまして、十四年六月の骨太の方針二〇〇二におきまして、いわゆる三位一体の改革が示されたところでございます。引き続いて本年六月に骨太の方針二〇〇三が閣議決定されましたけれども、ただ、その中では国庫補助負担金の廃止、縮減、さらには地方交付税のあり方について抽象的な表現にとどまっておりまして、また、基幹税を中心とした税源の移譲が明示されたのですけれども、具体的な移譲の規模であるとか、あるいは内容は示されず、依然として不透明な状況が続いているのが現在でございます。

○馬場委員 本当にこの四年間で目に見える税源移譲がなされなかった、具体的なものも出てきていないという現状の中で、大変残念な思いがしております。東京都でも税制調査会を立ち上げて、いろいろシミュレーションをなさったということですが、今回の銀行税を初め、さまざまな自主財源の確保等も図ったわけですが、これも難しいという結果を今迎えております。
 そんな中で、この税源移譲については、私ども民主党ももちろん非常に関心を持っております。待っているだけでは実現されないということで、今回の第二次のプランでも、この税源移譲が実現されなかったということが宿題として結果的には残ったということになるというふうに思うんですが、そのことも踏まえてになると思いますが、この視点3で、結果的に、これからは、であれば国の仕組みを変えるしかないというふうに思われたのかなというふうに思うんですが。それでは、これから都として何らかの戦略を持って具体的なアクションを起こしていく必要があると思いますが、この戦略、また具体的なアクション等についておありになるか、お伺いいたします。

○熊野主計部長 税源の移譲につきましては、現在の国の動きを見る限り、総務省、財務省、あるいは関係省庁の三すくみの権益争いになっておりまして、このままではいつまでたってもらちが明かないという感をぬぐい切れません。ただ、この間の地方の動きは以前とは異なってきておりまして、例えば全国知事会などの動きを見ましても、当初税源移譲はよこせと。ただ、国庫補助金は削減するな、地方交付税も削減するなというふうなことで、全く相矛盾する、いわば身勝手な主張を行っておりまして、都の考え方とは相入れない部分がございました。
 ただ、最近は、税源移譲がなされるならば、国庫補助金が削減されてもしようがないという主張が見られるようになりまして、徐々にではあるけれども、考え方が変わりつつあるというふうに受け取っております。また、これ以外にも岩手等六県の知事が、新しい日本をつくる国民会議というのを設置いたしまして、現在の政府の案の四兆円という規模だけじゃなくて、補助金削減を九兆一千億やっていいと。そのかわり、税源移譲は八兆二千億だというふうな主張もなされておりまして、こういった動きにも見られますように、少しずつ活発になってきているという状況にございます。
 したがいまして、都としても今まで以上に積極的に国に働きかけていく必要があると考えておりますけれども、全国知事会、あるいは八都県市、あるいは大都市間の連携ということで、大阪とかそういったところとの連携とか、あらゆるチャンネルを通じて、機会をとらえて国に対して強く働きかける必要があると思っております。

○馬場委員 先ほどの質問でもそうでしたが、今回も、いつまでたってもらちが明かないというようなお言葉や、今後機をとらえて国に対して要求をしていくという決意的なお言葉もいただきましたが、東京が--東京だけではありませんが、地方主権を確立するというためには、自主、自立の財政運営が不可欠であるという、このことは、今お話がありましたように、地方でもかなり主体的に考えてこられている状況にあると。今回の中間のまとめでも、身の丈というふうにおっしゃっていますが、この自主、自立の財源をきちんとするということがなければ、結局、身の丈も決まってこないというように私は思っています。
 私ども民主党では、マニフェストの中で国から地方への税源移譲ということを強く主張しております。都も今回ももちろんですが、国の仕組みを変える大きな一点として、速やかな三位一体の地方税財政制度の改革というのを求めていらっしゃるということで、引き続き積極的に、具体的にお願いをしたいというふうに思っています。
 もう一点、先ほどご指摘をさせていただきました、今回初めて出てきた第二点目の、視点3のもう一つの柱という形になっておりますが、規制改革ということについて確認をさせていただきたいというふうに思います。
 前回の第一次プランに税源移譲は入っておりましたが、この規制改革は今回新たに出てきました。この規制改革というものを特に今回この中に含められた、そのことについてどういうお考えからでしょうか、まず伺います。

○熊野主計部長 第二次財政再建推進プランでは、これまでの取り組みをステップアップいたしまして、さらなる財政構造改革に取り組んでいく必要があろうかと思っておりますが、そのためには、これまでの取り組みに加えまして、新たな発想で都政を変えていかなければいけないと思っております。
 今後、大胆に発想を転換していく中で、例えば国の規制、あるいは既存の制度が都の施策展開にとって障害となるようなことがもしあれば、そうした国の規制を前提と申しますか、所与のものとするのではなくて、国に対して制度改正あるいは規制緩和を働きかけて、真に都民ニーズに適合した施策を実現していく必要があろう。そうした中で、経費の削減を図っていくことが必要であろうというふうに考えております。

○馬場委員 今ご答弁をいただきました。もしあればという表現であったと思いますが、私も前回のときにいただいたペーパーの、例えば、東京に活力をよみがえらせる先進的な施策展開、項目がディーゼル車規制、認証保育所、痴呆性高齢者グループホーム等たくさん出てきますが、こうしたものもいわゆる国基準でない、都が上乗せとか横出しとかしている、また、単独でしている認証保育もそうですが、こうしたものは、ある意味では規制の枠があってできないというようなものが多いのではないかなというふうに思っています。
 今例を出しました認証保育制度、これは前回の「途半ば」の中の二五ページに特に、国主導から脱却し、新たな事業手法を考案した例として認証保育所のことが出ております。今回、別の記事では、国は認可保育所等の補助についても検討するというような記事も読んだような気がいたします。こうした規制と、それから補助金の関係の中で、都は、ここに挙げられている認証保育所等に関して問題点というものをどんなふうに今回の規制緩和の中で考えていらっしゃるのか、この認可保育所について構造的な問題等があると考えていらっしゃるのかどうか伺います。

○熊野主計部長 国は、地方全体を見なければいけないということからかもしれませんけれども、認可保育所につきましては地域の実情の違いなどをほとんど考慮しない、国が全国一律に定めた制度に基づくものになっておりまして、設置基準あるいはゼロ歳児保育などの面で、都民の保育ニーズには必ずしもこたえられないという問題がございます。
 さらに、全国一律のサービスに対しまして、全国一律の補助金が交付されるということでございますので、地域の創意工夫で効率的、効果的な事業展開を行う、そういったインセンティブも働きにくくなっているというふうな面もございます。
 今後、都が真の都民ニーズに的確にこたえていくためには、国が定める一律の基準に従った事業を行うだけでは不十分でございまして、認可保育所の例にございますように、国に対して制度の弾力的な運用について要求するとか、あるいは認証保育所という新しい都の制度を創設して、地域の実情に合った事業手法を導入して、的確なサービスの提供に努めていく、こういったことが必要であると考えております。

○馬場委員 ほかの事業もそうですが、今は認証保育所を例にとりましたが、都市型のいろいろなさまざまな事業を含めて、都がこれまで、私も都の一員として都の状況に合わせたということは、結果的に先進的であり、先駆的な取り組みであり、またそれを財政を伴ってみずからやってきたという状況にあると思いますが、それができなくなってきている。そういう中で、都は内部努力等をするのももちろんだけれども、国の仕組みを変えなければならないということになっていったんだと思いますが、そういう意味では、まず一義的には都と国の関係で、都が国に対して積極的に変えるように働きかけていくという一つのパターンがあります。
 しかし、都が一義的に国に働きかけていくという形のほかに、地方全体を巻き込んで、地方全体として変わっていく取り組み、そうした取り組みが都だけではないんだよということも含めて、大きく国を変えていく方法になるのではないかなということも思っております。つまり、地域が一体となって国へ規制緩和を初めとするさまざまな事業を変えていく、そういうことになるのではないかというふうに思っていますが、その点についていかがでしょうか。

○熊野主計部長 お話しのとおり、国の仕組みを変えていくということは、まず都みずからの施策を再構築して、真に都民ニーズに合ったものにしていく。そういった過程の中で、国に強く働きかけていくものでございまして、言葉をかえていえば、事業を所管している各局とともに、すべての施策について新しい発想で聖域のない見直しを行っていく中で、国に対して規制緩和あるいは制度改正を要求していくことだと思っています。
 ただ、ご指摘いただいたように国の反応が鈍いこともございまして、都だけの取り組みではなかなか国を変えていくことは容易ではございません。したがいまして、都の新しい取り組みをモデルといたしまして、他の自治体にも発信していくことが重要でございます。同時に、先ほど税源移譲のところで申し上げましたけれども、知事会とか関東知事会とか、あるいは八都県市とか、大都市間の連携とか、そういったあらゆるチャンネルを通じてお互いに連携を図りながら、国に対して粘り強く要求していくことが重要かと思っております。

○馬場委員 今まで都は国へ要望していたものから、国に対する提案要求という、表現も含めてかなり強いものになってきていると思っています。そのことが今回この国の仕組みを変えるという大きな強い表現になってきたというふうに思っています。この国の仕組みを変えていく取り組みは、中間のまとめで示されているように、まず歳入面では、税源移譲を初めとした地方税財政制度の改革を実現すること、そして歳出面では、国が示す全国一律の施策を絶対視せずに、都がみずからの判断と責任において都民サービスを向上していくための施策を行っていくという、この両面の取り組みが必要であるというふうに私も思っております。
 ただ、この国の仕組みを変える、ここの表現もそうですが、いうことはやすし、行うはかたしということになると思うんですが、私からすると、今この中間のまとめで今回出てきた国の仕組みを変えるということは、知事を初めとする国を変えるというスローガンに終わらないために、具体的な取り組みをきちんとするということを今回の答申に入れて、中間のまとめからもっと具体的なものを盛り込んだ上で答申という形にぜひお願いしたいというふうに思っています。
 その意味で、局長にこの取り組みへの決意についてお伺いをいたします。

○櫻井財務局長 お話しのように、国の仕組みを変えるということは、国主導から脱却しまして、地方、東京都がみずからの判断と責任に基づきまして、例えば税財政の運営やら、あるいは各種行政サービスの再構築、提供をしていくという取り組みを進めていくことでございます。そのためには、都の現状をよくよく踏まえまして、効果的、効率的な事業手法をみずから考案しまして、これまで行ってまいりました、例えば認証保育所やらディーゼル規制のように国に積極的に提案していく、こういう取り組みが必要だろうと思います。そういう意味で、国の全国一律的な、あるいは硬直的な仕組みを変えていく、そういう取り組みになるわけでございます。
 また、三位一体の改革のお話が出ましたけれども、この地方税財政制度の改革が行われまして、国のひもつきの補助金を減らし、各地方地方、東京都は東京都なりに、みずからの判断で自由に財源を確保し施策展開をしていく、こういうことがこれまでにも増して都民ニーズに機動的、柔軟に対応する上でも重要だろうということで、今後とも都議会の御支援をいただきながら、そういう働きかけと同時に、私ども財務局も各局の力をかりながら具体的な提案をしていきたい、このように考えております。

○馬場委員 局長から決意をお聞きいたしました。東京が先んじて動くことで国を動かしたいという思いが私どももあるわけですが、今回の銀行税等も結果的には自主財源化を阻まれてしまった、外形標準課税、国の制度で取り上げられてしまったというような意見も聞いております。
 都が先んじて動くということは、これだけやはり国に対して大きく影響を及ぼすことだというふうに思います。そういう意味では、慎重にも慎重に、都全体が地域の影響も含め考えて、そして東京みずからが--身の丈というのはあいまいな表現で、余りよくわからない表現だというふうに私は思っていますので、答申までには身の丈という表現も本当は変えていただきたいな、つまり、もう少しわかりやすい表現でお願いしたいというふうに思っているんです。なぜかというと、じゃ、東京の身の丈って何だか、だれもによくわからないという、そんなふうに私は受け取っているんです。済みません、余計なことをいいましたが。
 そういう意味で、東京がやはり影響を与えるということを十分に踏まえた上で、今後のこの国の仕組みを変えることについても、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○松村委員 財政再建の二次プラン、中間のまとめに入る前に、先ほど議案となっております銀行税関係の過誤納還付金、これはもちろん、例えば〇・九%に税率、条例を変えるとか、和解が成立したことが前提ですから、それがまだはっきりしない。あすの主税局で論議させていただきますけれども。ですから、当然質疑はきょうの時点ではできないわけなので、そういうこともあらかじめいっておきたいと思って私は質問しませんでしたけれども。
 ただ、先ほどの答弁の中で、ことしの二〇〇三年、十五年度予算の中で七百億円ぐらいの不足が出ると。これをどうするかという点では、徹底的な歳出削減というような答弁がありました。確かにむだや浪費を省いて、もし万が一その和解でことし見込んでいた七百億円が不足するという点での、そういうむだや浪費を省く中での確保ということは私たちも当然賛成ですけれども、ましてやそれが福祉だとかその他、都民の本当に切実な施策を切り捨てるというか、削減したり、またその予算の執行を不用額で保留させるようなやり方は絶対とってはならない。過去にもそういうふうに、福祉の改革だといって、当初予算では一方においては削減しながら組みながら、もう莫大な不用額を残していたということも決算で私ども指摘した過去の事実もありますから、先ほどの答弁が非常に気になりましたので、その点はまず冒頭申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、この二次プランの中間のまとめですけれども、私、そもそもといいますか、基本的なことになるんですけれども、財政再建というのは何かということをまずお聞きしてから質問に入りたいと思います。

○熊野主計部長 財政再建とは何かという非常に難しいご質問でございますが、私どもは都民のためのサービスを提供するという責務を負っております。そのための財源を都民から徴収して、そのサービスを行っているという仕組みになっております。
 しかしながら、本来であれば、受益と負担の関係が明確であれば、都民がサービス料と、それから自分たちの負担の量を直接判断できるという仕組みでございますけれども、残念ながら現在は地方に財政主権がございませんで、限られた財源の中でそれをやっていかなければいけないという仕組みになっております。したがいまして、都民サービスと財政収入の均衡を図る必要がございまして、そのために、財源不足が生じた場合には歳入をどうやってふやすか、あるいは歳出をどうやって削減するかというと聞こえは悪いですけれども、重点的に配分していくかということを検討しなければならない、それが財政再建だと思っております。

○松村委員 私が端的に理解するのは、例えば八兆円あった時代、それから七兆とか、現在六兆を割る。それは毎年度、単年度収支ですから、予算が入り、そしてどう都民のために使うかという歳出があるわけですね。その規模で決まってくるというふうに思うんですけれども、今お答えにありましたけれども、確かに現在の税収不足というのはあります。その中で歳入歳出を組むわけですよね。それがあえて財政再建という名でやらなければならないのはどういう現状認識があるのか。
 後でも論議しますけれども、毎年三千億円か四千億円、三千五百億円財源不足と。一体それは何によって生まれているのかということをもう少し都民の前に明らかにしなければ、やっぱり入る予算、それが七兆円でも五兆円でも、それに対してそれにふさわしい都民ニーズにこたえて支出を組めば、私はあえて、財政再建とか大騒ぎというのは失礼な言葉ですけれども、そういうことはないというふうに思うんですけれども、違うんでしょうかね。

○熊野主計部長 先ほども申しましたように、財政の原則は、まず行政体が何をやるべきかというのが先にある、それに見合う税源を住民からいただく、これが基本なんです。しかしながら、現在の財政はそうなっておりませんで、それがもしそういう形になっていれば、住民がサービスの量と自分たちの負担を比較考量して判断していけばいいという仕組みになるんですけれども、現在は限られた財源しか入ってこない仕組みになっておりますので、本来の財政とは逆転した形になりますけれども、入るをはかって出るを制すということしか現実的な選択はないわけです。したがって、現在歳入が限られている中では、もちろん歳入努力はしますけれども、一方で歳出に関しては財源を重点的に配分しなければいけない。そうした施策の選択なり再構築なりが財政再建の中身だと思っております。

○松村委員 私、今の答弁で根本的に違うと思うのは、行政がまず何をやるべきかを決めて、どのぐらいの財源が必要かということで、それに見合う歳入を都民というか、払ってもらうというのは、それは違うんじゃないでしょうかね。だって、一生懸命働いて都民は税金を納めていて、そして、だからそういう税金を、都民、国民からいただいた税金を、その範囲内で、しかもそういう住民の要望、切実な要求をその中でもどう実現していくかということを考えるのが私は行政だと思うんですね。
 先に何か行政が、おれたちがこれをやるんだという--失礼な言葉ですけれども、それがあって、そしてそれに合わせて税金を国民に払ってもらうなんて、根本的に違うと思う。私は区議会議員時代にイギリスに行ったんですが、そこでどういう予算かといったら、(「同じことをいっている」と呼ぶ者あり)やっぱりそれは--いいです。そういう点では……。

○熊野主計部長 行政が行政サービスの範囲を決めるんじゃなくて、住民がその行政サービスの範囲を決めるわけです。しかしその際に、例えばアメリカの自治体なんかではよくこういう選挙が行われるんですけれども、こういう施策をやりたいために、固定資産税の税率を上げたいという問いかけをやるわけです。それで、住民が負担が嫌だからこういうサービスはもういいよ、このサービスはぜひ必要だから、固定資産税が上がってもしようがないという、そういう受益と負担の関係が明確になっていれば、本来のそういう財政システムが成立するのですけれども、現在の地方税財政制度は必ずしもそうはなっていないために、今財政再建というのが必要になっている、そういうことでございます。

○松村委員 ですから、その一方の考え方において、今の歳入というか、当然見合うものがあるわけですよね。だから、それにふさわしい、どういう使い方をするのかということが一方において問われていることも事実なわけでしょう。そうですよね。
 そうしないと、じゃ、例えば住民が望むといっても、後でも触れますけれども、一つの物すごい大型開発事業とか公共事業、そういうものをやるんだから、それに見合って住民が賛成したらともかく、そうじゃないものに対してそれに伴って税負担をしてもらうんだという、極端にいったらそういうことにはならないでしょう。だから、やはりその時代時代の国民が払える能力というか、そういう中で国民が必要とする事業や仕事や施策も聞いていくということは当然なわけですよね。そのことを私は指摘しているんですけれども。
 それじゃ、第一次プランで既に福祉の八百六十億円にも上る削減をするなど、本当に都民の命や暮らしにかかわる切実な施策に大なたを入れるなどして、施策の見直しを一〇〇%以上達成したとしておりますよね。にもかかわらず、基金は既にもう使い果たす。それから借金、これも積み増す。どうしてこれで財政再建なのですか。財政危機の根本をどうとらえるのか、メスを入れるところを私は間違えているというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○熊野主計部長 前段のお話に関連いたしまして、もちろん福祉施策を必要とする住民もいらっしゃいますし、それから大型開発というか、道路建設とか橋梁とか、そういった社会資本整備を必要とする住民もいらっしゃる。そういう中で、税の配分を住民のコンセンサスを得られるような形で私どもは編成し、議会のご承認をいただいて住民サービスを提供しているということをご理解いただきたいと思います。
 それから、この間の財政再建についてでございますが、達成率は確かに税財政制度の改善を除きまして一〇〇%達成いたしました。しかしながら、引き続きやはり「途半ば」と申し上げているのは、当初予定していた税収がかなり大幅に長期の景気低迷によって落ち込んだという点、さらには、強いて申し上げれば、削減だけではなくて、やはりこの間新しい都民ニーズに、あるいは先進的な取り組みに取り組んできた、そういうための財政需要が生じた。そこら辺がトータルにまだ「途半ば」という点にあらわれているというふうに理解しております。

○松村委員 この間、私たち繰り返して聞きましたけれども、第一次プラン、これに比べて税収が大幅にふえましたよね。それから一方においては、だから今いったように基金も使い果たし、それから借金も依然として多くふえていますよね。やはりそこには根本的なメスを入れる方向が間違っているんじゃないかということを指摘しなきゃならないというふうに思うんです。
 よく、例えば「途半ばにある財政再建」のプランにおいても、皆さん方はピーク時の投資的経費と経常経費を比較して、投資的経費はピーク時に比べて三分の二も減っている。この資料ですよね、このグラフ。それにかかわらず、経常経費というのは高どまりしているということを使いますけれども、大体投資的経費、これが当時の三分の二減っているといっても、当時というのは本当に基金もありましたし、一定のそういう税収もあったわけですよね。そういうときと、今と比べてそれが落ちているということは、その時点では単純に比較できないというふうに私は思うんですよね。
 逆に、今のように十五年度予算においても投資的経費は六千二百六十五億円で、こういう数字です。それがそのまま続いたら、やはり今の借金の七兆円という規模は三十年後においても変わらないのではないですか。

○熊野主計部長 投資的経費、経常経費のお話に入る前に、委員から税の増収がこの間あったではないかというお話がございました。これは確かに十二年度、十三年度、プランに比較して六千七百六十七億の税の増収がございましたが、この六千七百億円のうちの五千六百億は、プランに基づく収入確保の結果でございますので、要は銀行税、あるいは徴税努力の結果として財源確保した分が五千六百億でございますので、実質上の増収は千百億しかない。しかも、これらにつきましては、当然のことながら税連動経費として区市町村に交付した金もございますし、それから将来に備えた基金の積み立て等で消費したということになっております。
 それからもう一つ、起債の残高が増加しているということはご指摘がございましたが、これは明らかに誤りでございまして、確かに形上、起債の残高はふえておりますけれども、これは平成三年三月に縁故債、平成四年四月に公募債、これを満期一括償還という形にいたしました。それ以前は、十年債でございますと、三年据え置きの四年目から六%ずつ償還でございましたが、これが非常に投資家に人気がなかったために満期一括償還にしまして、定時償還分の六%は減債基金に積み立てるという制度にいたしまして、その結果、平成三年、四年以降の発行分は、十年目が来ないと残高が減らないという仕組みになってございます。したがいまして、当然のことながら残高は減っていない。
 しかしながら、発行額を見ていただくと、新規債八千億、九千億、あるいは七千億で推移していた十一年度と比較しまして、十二年度以降は三千億、あるいは四千億台に適正な活用に努めてございますので、これは明らかに残高がふえていることをもって投資的経費をいっぱいやっているというご指摘は間違いだろうと思いますし、現に普通会計決算では、減債基金の積立額を起債残高から控除して、当然のことながら残高を出す仕組みになっておりますが、それではここ二年間残高は減少してございます。
 それから投資的経費、経常経費の話でございますが、これは私どもは投資的経費、経常経費、聖域なく見直すということなので、投資的経費についてもこれから予算編成の中で個々具体的に、根本にさかのぼって見直していきたいと思っておりますが、ただ、傾向として、財政危機の原因として税収が減った、その中で、減ったことに伴って歳出抑制がなかなかできなかったことが一つの要因ですけれども、投資的経費はあくまでも臨時的な経費であって、経常経費は文字どおりなかなか減らせない構造にある。これはもう経費の持つ性質上当然のことでございまして、結果としてやはり投資的経費は減ったけれども、経常経費は高どまりしている、こういう状況にあると理解しております。

○松村委員 一つは、今の借金というか、それは制度が変わって満期一括で十年返済だから当然ふえるんだということを今までもたびたび繰り返していますけれども、石原都政は借金財政ノーということを、私、つきましたね。そして、だから石原都政になってから五千億も六千億もふえているじゃないかと。それに対する答弁が、今部長がいったような、制度の仕組みが変わったんだからふえるのは当然だというふうにおっしゃるんですけれども、しかし、そういうことはわかっているというか、その結果、公債費は五千億円なんですよ。だから、当然それは石原都政になる時代の、あのバブル期の本当に異常な感覚でやった、豪華な箱物を建ててきたとか、やってきた結果かもしれませんけれども、それがわかっているわけですから、そのことをいかに減らすのか。そして、借金財政ノーに近づけていくのかというのが、私は都民から見る公約に対する見方だというふうに思うんですよね。
 ですから、それが当然だというのは私は違うと思いますし、現に、じゃ、ピーク時よりも三分の一ぐらい減らしているんだといっても、三千七百億円を借金していったらどうなるのか。現に財政再建推進プランはことしの三千七百億円の起債発行をベースとして考えているから、恐らくそれを続けていくというふうに見ると、返さなければならない公債費は五千億円近い。今は金利が安いから、それがさほど大きなものに映らないかもしれませんけれども、これが金利が一%、二%変わるだけでも、現在七兆円近い借金があるわけですから、大変な額でしょう。年間一%、二%変わってみて、十年一括といっても、私が計算しただけでもわかるぐらい大変な金額になる。
 ですから、当然だというのじゃなくて、やはり今の構造、逆に経常経費が硬直化しているといいますけれども、そういう毎年三千億円、四千億円の起債をやって、投資的経費、大型開発をやるような、そういうやり方をとっている限り、真の財政再建というか、そういうことにはならないし、逆に都民の、やはり自治体として一番やらなければならない福祉とか暮らしを守る予算がどうしても削減されなければならないということにならざるを得ないのではないでしょうか。

○熊野主計部長 社会資本等整備は、東京にとって最も重要な事業の一つであるというふうに認識してございますので、必要な事業はやらなければいけないということがまず前提にございます。
 それからもう一つ、これはもう釈迦に説法になると思いますけれども、起債の機能というのは大きく二つございまして、一つは、その年度に財源が足りないので起債で賄うという財源調整機能が一つございます。それから、忘れてならないのは、借金ということではなくて、社会資本等整備基金なんかは、起債を活用することによって、それを利用する将来の住民の税をもってそれを償還するという、年度間の負担の公平、将来の住民との負担の公平という機能もございますので、借金しなければいいということではございませんので、そういう機能をも考慮して、起債については適切に活用する必要があるというふうに考えております。

○松村委員 一般会計の一・何倍に上るような借金というか起債があって、どうして正常だというふうにいえるんですか。それは、特別会計というか公営企業会計を含めて十二兆円ですよ。しかも、その金利を調べたら、六%、七%の金利なんかまだあるわけですよね。全く硬直化していて、今、都民の毎年必死になって払う税金のうち、多額な財源がそういう銀行などの利払いに消えているということは、本当に異常な姿だというふうに思いますし、やはり一刻も早くこういう構造を取り除くことこそが、長や財務当局の皆さん方の努力にあると思うんですよ。
 私は、何も今熊野部長がいうように、借金しちゃいけない、起債を起こしちゃいけない、そんなことは何もいっていません。それは、今の払う税金と後年度の税負担してもらう、そういうのもありますし、社会資本整備ということだって、私は十分、今必要なものといわれましたけれども、必要なものは大いに認めたいというふうに思うんですよね。だから、やはり論点をすりかえないで、現状の、今七兆円規模の都債がある、その利子もかかる。にもかかわらず、その構造を改めることなく、何か財政再建といえばより都民施策の方に切り込むことは正しくない。これは順次私は後で質問していきたいというふうに思うんですけれども。
 では、社会資本整備費というのは、今も身の丈というのがありました。今度、第二次プランで身の丈ということを盛んに強調しているわけですけれども、じゃ、今日の社会資本整備費というのは、身の丈に合っているんでしょうか。

○熊野主計部長 お答えする前に、前段の七兆円ある起債残高が多過ぎるじゃないかというご指摘については、すんなりそうですねというふうに納得するわけにはいかなくて、例えば、住民のマンション購入の価格が年収の五倍ぐらいまではいいんじゃないかみたいな、そういう議論もございますし、それは財政の体力との相関でございまして、必ずしも二倍あるからどうのこうのという議論にはならないと思いますし、それから、やはり気をつけなければいけないのは、国のように赤字債を出すということは極力避けなければいけないと思いますけれども、先ほど申しましたように、将来の住民との負担の公平を図る観点から適切な活用を図ることは、ぜひとも必要であろうと思っております。
 それから、投資的経費の身の丈に合っているかどうかというご質問ですけれども、身の丈論というのは、私ども適切な水準の財政規模がどれぐらいにあるのかということを考える際に用いている言葉でございまして、投資的経費あるいは経常的経費というふうに、経費の性質ごとに考えるものではないと思っております。
 再三お答えするようになりますけれども、今後、強固で弾力的な財政体質を確立するためには、経常、投資を問わず、すべての施策について見直しを続けていきたいと考えております。

○松村委員 今の起債がどのぐらい適切かといって、今の規模の都債の残高は当然だと、または東京都の年収の五倍ぐらいまではという、そういう考え方は絶対に間違っているということを厳しく指摘したいと思いますし、それから、まともに社会資本整備費、投資的経費が身の丈に合っているかということについては答えておりませんけれども、中でもやっぱりそれは重点化などといって、街路とか市街地だとか国直轄に対する負担とか首都高だとか、そういうところには重点化しながら、同じ四年間の一次プランの中で、よく削減したといっても、中身を見ると、街路は三割削減ですけれども、公園整備費は七割、道路補修費などは六割の削減なんですね。圧倒的にその中身を見ても、本当に都民の施策にこたえて聖域なく見直しといっても、やはり逆立ちしているということがいえるというふうに思います。
 それと、同時に指摘しなければならないのは、第一次プランでも問われたのは、当初見込みより税収がふえたときの使い方の問題ですよね。この間、例えば最終補正予算で五千二百九十五億円あった年がありました。ところが、その使い方は、道路、街路、区画整理や国直轄や首都高への無利子貸し付けなどに、五千二百九十五億円のうち三千八百四十八億円も使っている、そういう支出があったわけです。盛んに景気対策だというふうにいいました。国庫補助がついたからと。しかし、こんなやり方をしていたら、私は都財政は泥沼状態になるのは必至だというふうに思います。国は、どちらかというとガソリン税などの特定道路財源を使ったり、または首都高などはNTT債が入っておりますけれども、この補正のときにも、文字どおり都は一般財源を使って、国の二分の一ですか、裏負担というか、つけざるを得ない制度というか、仕組みがあるわけですよね。
 私は、財政再建をいうならば、まずこういうやり方こそ改めるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
   〔委員長退席、矢部副委員長着席〕

○熊野主計部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、税収のすべてがプランに比較しての増収ではないということをお踏まえいただいて、確かに平成十二年度、五千二百九十五億の補正予算を組みましたが、この中にはご指摘の都市基盤整備なども含まれておりますが、主には減債基金での積み立ての復元であるとか、あるいは財政調整基金の積み立てであるとか、それと同時に中小企業対策等々、もろもろの施策を行ったわけでございまして、都市基盤整備だけに重点的に財源を配分したものではございません。

○松村委員 質問に答えていませんよ。私は具体的に、そのときにも補正予算で質疑したからぜひ見ていただきたいんですけれども、補正予算五千二百九十五億円のうち三千八百四十八億円ですよ。それ以外にいろいろありましたけれども、それはほとんどは現金で、一般財源を使ったそういう国の景気対策に並んだ、今いった公共事業なんですよ。大型開発なんですよ。しかも、そのことを続けていったならば、やっぱり都財政の再建なんかできないんじゃないかというふうにいっている。その点についてはどうなんですか。
 いつまでもそういう国庫補助が--これからも国のそういう特定道路財源などが東京にどんどん国庫補助でついてくる。いつもそれは年度内にやれないような再調整をやって、繰越金ですよ、繰り越し明許で、もう大体その能力を超えるような土木開発予算になっているんじゃありませんか。そういうのを財務当局としてはどうなんですか、そういうところこそ厳しく査定するというか、示さなければならないんじゃないでしょうか。

○熊野主計部長 補正予算といえども、そのときそのときの状況で一つ一つ事業を洗い出しておりまして、特にこの時期は多分、景気対策がぜひとも必要だと判断したのでございましょうし、それから必要な事業について国庫がつくので、この際やろうというふうな判断があったのかもしれませんし、いずれにしろ我々は、最終補正で国庫がついたからとかなんとか、そういう単純な理由で補正予算を組むことはないということでございます。
 それからもう一つ、十二年度は確かにこういうふうに補正予算を組みましたけれども、今後の財政再建について結びつけて考えるというのは、いささか私どもは疑問でございまして、今後の財政再建を考える際には、この間の増収とか、あるいは十三、十四は減収したんですけれども、そういったことはともかくとして、それらは一時的なものであって、今後の経済状況あるいは税収を考えれば、現在の三兆九千というのを出発点に財政再建を考えなければいけないというふうに思っております。

○松村委員 今、私はまず財政再建とは何かという点で、基本的には二つの点を指摘したわけですよね。一つは、やはり同じ身の丈に合ったといっても投資的経費、しかもその中身が、生活密着型を切り捨てながら、重点化といいながら大型開発事業で、しかもそれが今いったみたいに三千七百とか四千億円の都債、借金を行い、公債費も毎年五千億円いっている。そういう中でのこういう硬直化した公共事業、投資的経費中心の財政構造こそ改めることだと。
 もう一つは、やはり今の国のそういう国庫補助絡みのいろんな景気対策などといって、ちっとも景気などよくなっていない。そういう土木開発に東京都が一般財源を多額に使うやり方を改めるべきだというふうにいいましたけれども、明確な答弁は聞かれなかったというふうに私は受けとめます。
 そこで、この財政再建プランでやろうとしている基本的な視点が出されておりますので、これについてお聞きしたいというふうに思うんです。この基本的視点の1と2で、それぞれ黒ポチで記述が書かれておりますよね。これはどういう施策や事業を想定しているのか、そのポイントについて説明していただきたいと思います。

○熊野主計部長 中間のまとめにお示ししたものは、第二次財政再建推進プランの方向性をご議論いただくために取りまとめたものでございまして、各局所管の具体的な事業あるいは施策について示唆しているものではございません。

○松村委員 示唆したものではありませんというけれども、実際、第二次財政再建プランをいつ発表するんですか。

○熊野主計部長 十月中旬ないし下旬を考えております。

○松村委員 そうすると、もう一カ月を切っているわけですよね。それで、この財政再建推進プランの一〇ページの「おわりに」というところには、一番下ですけれども、「第二次財政再建推進プランの策定に当たっては、この『中間のまとめ』に寄せられた都民の意見や、議会での議論を十分に踏まえながら検討を進めていく。」ということが書かれておりますね。そのとおりですよね。
 そうすると、私が聞きたいのは、どういう視点で施策の見直しを行っていくのか、そういう具体的な事例や方向性がはっきりしなければ、これはきょうこのプランが出されて初めて議論するわけですけれども、議論の出しようがないのではないでしょうか。
   〔矢部副委員長退席、委員長着席〕

○熊野主計部長 ここに掲げた施策の見直しの方向性がすべてでございまして、それ以上のものでもなければ、それ以下のものでもないと。これを踏まえて、各局が今事業を調整している。今後、予算編成過程の中でそれらを実現していく、こういう手はずになっております。

○松村委員 じゃ、一つずつ聞くんですけれども、この視点1の最初の一、「新たな課題にも戦略的・機動的に対応するため組織を抜本的に見直すとともに、内部管理部門の統廃合や部門全体のアウトソーシングなど、事業全般にわたる執行体制の簡素効率化により職員定数の削減を図る。」これはどういうことを想定しているんですか。部門全体のアウトソーシングというのは、どういう事業部門で考えられるんでしょうか。考えられる事項があるんでしょうか。例示でもいいですから挙げてください。

○熊野主計部長 ここに内部管理部門の統廃合あるいは部門全体のアウトソーシングというふうに私どもが方向性をお示しして、現在どういう部門がそれに該当するのか、そういうことが可能なのか、事業局の方で検討しているということでございます。

○松村委員 どことどことどこの局が検討されているんですか。全部じゃないと思うんですよね。全部じゃないというか、それにこういうふうにアウトソーシングができるところとできないところといろいろあると思いますけれども、いかがですか。

○熊野主計部長 すべての局でございます。

○松村委員 とりわけどこが俎上にのっているんですか、現在。

○熊野主計部長 私どもは、各局の検討状況については把握しておりません。

○松村委員 そうすると、もう十月半ばにはプランを出すわけですよね。プランにはそういうのは出てこないんですか。どういうことになるんでしょうかね。それは、だから予算で突然、例えばこれは外部委託するとかいうことで出てくるんですか。

○熊野主計部長 それも含めて今検討中でございます。

○松村委員 例えば財務局で、後でも今後の収支見通しを伺いますけれども、目標があるわけですよね。すべてといっても、そんな雲をつかむようでは出てこないんじゃないですか。プランというものにならないんじゃないですか。

○熊野主計部長 これら方向性をお示しした中で、プランの中で具体的にお示しできるものもございますし、また、予算編成の中で詰めていく必要があるものもございますので、一概に現在申し上げることはできません。

○松村委員 じゃ、二番目のところに人事給与制度改革を通じて云々というのがありますよね。これは具体的にはどういうような方向の検討なんでしょうか。例えば、今までもここはよりわかりやすいですよね。職員定数を減らしていく、または退職手当の削減なども検討しているんですか。

○熊野主計部長 現在、多分人事部が中心になって検討されていることと承知しております。

○松村委員 じゃ、次の、住民間の負担の公平を図り、サービスを安定的、継続的に云々とあります。そして減免措置についてその存廃を検討するというわけですけれども、いろいろ減免があると思うんですけれども、どういうのがその存廃も含めた検討の対象なんでしょうか。

○熊野主計部長 各局で所管している減免措置について、各局が検討中だと考えております。

○松村委員 私、ちょっと答弁を促したいと思うんですけれども、各局がやっていると。それはもちろん財務局も、今は例えば予算、もう既に依命通達も出されていますよね、こういう中間まとめを出されて、それに基づいてその方向性でやれと。当然、だから財務局も入って、部長査定なり検討されていますよね。そういうのは、なぜもう少し都民に、議会に対しても親切にこういうことの検討だとか俎上だとか、またはそういうことを率直にこの場でもお出しにならないんでしょうか。

○熊野主計部長 まだ検討中の段階でございますし、それぞれ各局相互の調整も必要であろうかと思います。
 一言申し上げれば、今後推進プランの中で表現できるものについては表現していきますけれども、それ以外のもの、大多数は多分各局で検討した上で予算要求をし、その中でそれから始まる財務局との予算調整の中で案がまとまっていく、そういう形になるものが多いのではないかと思っております。

○松村委員 そうすると、プランが十月半ばに出されますけれども、予算がそれぞれ示されるのは十二月だとか、もっと後ですよね。そのときを見なければわからないというんですか。これだけ財源が足りなくて、すべての施策を聖域なく見直すと。つまり、これだけ三千億か四千億円の財源、先ほどの銀行課税などで穴があく。これから新銀行だとかいう点でも、もう年度内に予算を一千億円ですか、そういうのも見込まれていないというふうに思うんですけれども、そういう中で、そうしたら財政再建を示すことは全く絵そらごとというか、予算だったら何もそういうプランなどをつくる必要はないんじゃないかというか、その関係がわからないんですね。
 だって、十月半ばにこの財政再建の第二次プランをつくると。第一次だって、もう既に具体的にそこまでやってきたわけでしょう。それを引き継いで第二次プラン。そうなってくると、各局がやっているから、それは予算が各局から出されるのを見て、議会に、我々議員に判断しろというのは、それは余りにも無責任というか、そんなことはないんじゃないですか。

○熊野主計部長 推進プランの中でお示しできるものはお示しして議論いただきますし、通常のものにつきましては予算の議会の中で検討していただくというふうに考えておりまして、それはその第一次財政再建推進プランのときも同様でございます。あのときに、これはこうします、あれはこうしますということをお示ししたものではない、あくまでもプランだというふうに理解しております。

○松村委員 私は第一次再建プランも、非常に都民の立場から見れば全くわからないというか、ひどいものだと。しかし、それでも一般財源五億円を例示しながら、こういう問題点があるということをプランの中に書きましたね。書いてありましたよね。ですから、そういうことで、この「途半ばにある」の冊子の中でも、皆さんそれぞれ具体的な個別事業名が書いてあるじゃありませんか。シルバーパスなどがもう三度も四度も出てきておりますし、それから補助金ですよね。数々の具体的施設、「途半ばにある」では例示して挙げているじゃないですか。
 それから第一次プランにおいても、具体的に一般財源、それは五億円でしたけれども、それはほぼそういうところを含めて、あと、それからシーリングなどをかけながらやるというふうになってきているんではないでしょうか。だから、今財務局が出せるものは出すと。各局が出すものはそういう方向、これを踏まえて予算の中でやっていくんだと、各局の検討だというご答弁ですけれども、それじゃ、財務局がかかわって出そうと思っても、出せるものはもう一カ月も切っているこの時点で、今まで「途半ば」が出されて、中間まとめが出されて、この間、もう半年とか十カ月たっている。きょうのこの質疑の委員会の中でも出されて当然じゃないでしょうか。

○熊野主計部長 最終的に第二次財政再建推進プランではどのような形でお示しするかということも現在検討中でございますし、個々の事業については調整中のものが多うございますので、現段階ではお示しすることはできません。

○松村委員 現段階で示せないと。だって、結局もうこの機会がなければ、あと十月半ばといったら委員会はどういう形で、じゃ、もう一回出した時点で質疑して、その意見を踏まえて第二次プランをつくるんですか。だって、この冊子には--これは東京都ですよ。財務局長でも熊野部長ではなく、東京都が意見をいただいてつくるんだと。だから、意見が出されるそういう中身を出していただきたいというのに、なぜそれほどこだわるのか。
 そして、今、私もるるくどいようにいいましたけれども、都民の立場から見ての思いからいっているんです。今、例えば政策意思決定過程から公開する、計画段階から検討過程を広く公開するというのは、どこでもというか、時代の流れでしょう。そうじゃないんですか。しかも、これだけ重要な中身を持っている。それも第一次プランでも都民は経験済みだと思うんですよ。
 先ほども基本的に財政再建とは何かというふうに、だから私は冒頭でお聞きしたわけですけれども、やはりそれは納税者というか、主権者というか、都民、そういう都民が何を選択していいかと。例えば、社会資本整備が大事なんだ、必要なんだと行政や石原知事は考えるかもしれないけれども、都民はそれに対してノーというかもしれない。ノーという声を私も大分聞いていますけれどもね。一方において、福祉や障害者医療や難病患者だとか、本当に命綱といわれるようなもの、例えば少額補助、後でもうちょっと聞きたいんですけれども、少額補助だとかいうのでも、わずか一千万円以下といっても、本当に各団体にとっては命がかかった大事なあれなんですよね。それをどうするのか、これが東京都の仕事として補助としていいのかどうかということを広く明らかにして、意見を求めて、議会でももっとオープンに論議しながら、やっぱりそういう計画をつくっていくというのが、今全国でもというか、大きな時代の流れになっているんじゃないでしょうか。
 私、そういう立場から今繰り返し、もう少し--私は何もいっていないですよ、これはだめだとかいっていない。どういう検討材料か。この前も大分、「途半ばにある財政再建」の中で、東京都の補助金が、区市町村に対しても強調されておりましたよね。それで各局にいってもわからない。私たちは求めていて、ようやく補助金七百三十三事業ですね。私たちも、出されてみて初めて、ああ、こういう補助金もあったのかと。大事だなと。または、これを見た都民や区市町村からも、こんな補助金は要らないんじゃないか、こんな補助金があったのという、そういう意見も、共産党はどう考えるのという率直な意見もいただいて、大いにそういう論議、そういうのを反映させて議会でも質疑しなければいけないなというふうに私自身思ったわけです。
 だから、この「途半ばにある」も、各団体にこういう考え方を今東京都財務局が出しているけれども、これを見てどういう意見を持ちますかと。そうしたら異口同音に、何を具体的にどうするのかと。出されてからじゃなくて、もっと今、事前に計画を決めていく段階で示してほしいということが圧倒的な声ですよ。現に各自治体も東京都のそういう動きを知って、今一斉に開かれている議会の中でも、例えば私が知っているだけでも多摩の方で三市一町ですか、東村山、八王子市、それから狛江市、もう一つ奥多摩町でしたか、三市一町からも全会一致だというふうに聞いていた議会もありますけれども、意見書が上がってきておりますけれども、それじゃ、この意見書はどういう意見書かご存じですか。

○熊野主計部長 東村山の意見書については拝読いたしました。

○松村委員 東村山の意見書はどういうふうにいっていますか。

○熊野主計部長 概して申し上げれば、市町村への影響を懸念いたしまして、結論としてプランの策定を中止するよう強く求めるものであると結んでございます。

○松村委員 私は、何もそこの日本共産党の会派だけじゃなくて、すべての自民党を含めた会派ですけれども、一致して市町村財政に対しては大変だと。その策定の中止を求めるという意見書の重みというのは相当強いと思うんですよ。そのために、いや、そうじゃないとか、もう少し具体的にやろうとしている中身が、市町村交付金はどうなのか、またはそういう補助金がどうなのかということを、もっとやはり示さなければならないし、事実、区長会や市長会からも意見が上がっておりませんか。どういうふうに聞いておりますか。

○熊野主計部長 意見が上がっていることは承知しておりますが、区市町村についていえば、当然のことながら区市町村と協議しながら、再三知事も答弁してございますように、区市町村の理解を得ながら、区市町村と協議を重ねて結論を出していくということになってございます。

○川井委員長 この際、議事の都合により十分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時十三分開議

○川井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○松村委員 今、区市町村補助の関係の質問ですけれども、それでは具体的にこれはどういうふうにプランとの関係で--プランに区市町村補助、こういう事業を制度の存廃も含めて見直すのか。東京都としてはこう考えるとか、それに対して区市町村側はどういう意見かというやりとりですね、そういう協議というのはいつ始めるんですか。

○熊野主計部長 まず区市町村の関係で申し上げますと、いろいろ意見書をいただいておりますが、プランを中止しろといわれるのは私どもとしては心外であるというのがまず前提としてございます。
 今後の進め方につきましては、先ほど申し上げたように、各局において現在私どもが示した方向性、補助金等の見直しの各視点に基づいて見直しをやっておりまして、それを市町村協議会等々の俎上にのっけて議論をして、お互い合意ができたものについて改善していくという方向になろうかと思います。
 それで申し上げなければいけないのは、一つは、私どもは削減を目的としてそういう協議を行うのではなくて、あくまでも地方分権の観点から、市町村の自主・自立性を高める方向性でこれらの補助金について一つ一つ見直していきましょうということを申し上げているということが一点。
 それからもう一つ、ぜひご理解いただきたいのは、区市町村合わせて押しなべてやっぱり厳しい財政状況にあるというふうに理解しております。それならば、区市町村においても当然東京都と共同して、じゃ、そういう既存の施策をこのまま続けていいのかとか、あるいはこれをどういうふうに再構築すれば都民のためになるのかということをなぜ共同して話し合おうというスタンスに立てないのか、我々としては理解できないところでございます。

○松村委員 東京都の財務局の主計部長が、今のように、区市町村はなぜ共通して話し合いに立とうとしないかと決めつけていいんですか。今あなたは決めつけたようないい方をしたけれども、じゃ、それほど強いんですか、区長会も市長会も区市町村議会も。私、こんな出し方をすれば、主従関係じゃない、もう地方分権なのに、何か目下の関係みたく見てやっているという、そういう怒りは最も持つんですけれども、まだ協議も始めていないんだけれども、今部長がいうように、なぜ立たないのかなんていうことをいい切っていいんですか。
 じゃ、もう既に話し合いは始めて、区市町村側は全然協力しないとか、そういうことなんでしょうか。私はうなずけないことはないけれども、今この場でそういうふうに部長がおっしゃるというのは、最初から問題じゃないでしょうか。

○熊野主計部長 言葉がちょっと選択が違ったかもしれませんが、私の申し上げたいことは、ぜひ一緒に土俵に乗って、都民のためにお互い限られた財源の中でどういうふうにすればいいかという知恵を出し合っていただきたい、そういうことを申し上げたつもりでございます。

○松村委員 それならば、なぜもっとオープンというか、明らかにして、東京都は財政が厳しいんだと。厳しいんだ厳しいんだといって、第一次のときもそうでしたよ。区市町村に係る多くのかかわりのあるものも一方的にというか、協議を尽くさないで、また今幾つか保健所の統廃合や都立病院の統廃合やその他の課題を抱えて、東京都が考えているようには当然いっていないというふうに思いますけれども、なぜもっと計画段階から、政策の意思決定過程からオープンにしないのか。ましてや同じ対等、平等の区市町村関係だというふうに思いますよ。
 そのことは指摘して、しかし、それにしても十月の初めから協議を開始する。じゃ、それは大分詰まっているんですね。区市町村補助金関係においては各局が何を俎上に上せようかということでもう検討して、十月初めといったらもうすぐですよね。じゃ、何と何か。少なくとも何事業ぐらいか。実際、区市町村に係る七百三十三事業の中に、先ほど補助金関係の相手先は区市町村に対する補助が四千十七億円、最も大きいというふうにこの「途半ばにある」の冊子にも書いてありますけれども、じゃ、どのぐらいの検討項目を今区市町村に対して示して、検討を始めようと考えているんでしょうか。
 このぐらいは答えられますよね。だって、もう十月半ばで、これから区市町村に示して検討を開始しようというんだから。そうじゃなくて、改めてこの七百三十三事業を示して、これに含まれている区市町村全部が対象だ、さあ、いいのか悪いのかと、そんな乱暴な示し方をすることはないと思うんですよね。それをちょっとお示しいただきたいと思います。

○熊野主計部長 俎上にのっかる補助金につきましては、再三申し上げますが、私どもは方向性というか見直しの視点をお示しして、各局が主体的に取り組むべきことでございます。現段階では各局が最終調整の段階だと思っております。

○松村委員 幾ら聞いてもその答弁しか繰り返しませんので、先に進みますけれども。
 例えば、じゃ、その中での考え方をいえというから、考え方を一つだけいいたいんですけれども、都市計画交付金、これは交付金だから補助金ではないですね。どういうふうに見られているんですか。また、区長会側からどういう意見が出されているかというふうに受けとめていらっしゃいますか。

○熊野主計部長 都区間で現在継続して検討中であるというふうに理解しております。

○松村委員 ですから、これは補助金ではないですよね。私が聞きたいのは、この「途半ばにある」や中間プランではあたかも都市計画交付金を補助金扱いにして、それを対象としようとしていることは、過去の沿革からいっても間違いだというか、これは許されないという、その一点では立場、つまり保守とか革新とかそういうことを問わず、一致しているんですね、私たちも区長さんとのあれで聞いた場合。
 なぜかというと、確かにこれは財調というか、都市計画交付金というのは、東京都が都税として取って、当初は広域事業として都市計画事業は主に東京都がやっていたけれども、その後、区側でも都市計画を具体的に区の事業としてやるようになって、その役割において、それを踏まえての話し合いでの配分というふうになっている。そういう沿革がありながら、今のこの段階になって、あたかも何か東京都が任意で出している補助金のように扱われるのは、これは自治権の侵害というか、過去の経緯からもとんでもない誤りではないかというふうに私自身もいわれました。そういうふうに東京都にも伝わっていると思いますけれども、この点についての考え方はどうでしょうか。

○熊野主計部長 確かに都市計画税は市町村税でございますが、本来特別区が担う市町村事務については財調の中で全額措置されているということでございます。したがいまして、都市計画交付金につきましても、性格からすれば補助金的な性格を持っているという意見もございまして、ここら辺も含めて議論がなされるものと理解しております。

○松村委員 それは先ほど区側がというか、区市町村側が理解してもらえないとか協力してもらえないというのは、そういう補助金という見方もあるというような、その見方をあたかも既成事実としてこういう計画の中で東京都が押しつけようとしている、そういうところにもあるんじゃないか。やはりそういう態度は正さなければ、私は区市町村との話し合いというものは本当に進まないと思いますし、ましてや区市町村側の同意というか協力、ましてやそのもとにある多くの区民、市民、住民の合意のもとで、あくまでも一方的にこの区市町村補助の見直しというものもやるべきではないということを強く要望したいと思います。
 もう一点、私はこの記述の中で少額補助、これもこのプランではなく、「途半ばにある」の冊子の中で少額補助について記述がありますよね。これは一千万円で全体の予算が四億でしたか、七億でしたか--七億。失礼しました。一千万円以下が七億あるけれども、事務がふくそうして、要するに手間暇がかかり過ぎて、これが東京都の補助であっていいのかというようなことからの見直しというような記述に受けとめたけれども、これは私、受けている切実な団体、既に本会議でもオストメイトを例に挙げてただしましたけれども、各区市町村では対象人数が限られているし、実際にそれが区市町村事業になったらやっぱり成り立たない、やっていけない。だから、広域自治体だからそういうことができるんだということの性格というか、この施策の事業の持っている性格をなぜとらえないのか。
 事務がふくそうするとか、余りにも補助額の割合にはかえって手間暇というか経費を多く要するというような財務局の分析、指摘は私は間違っているというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○熊野主計部長 少額の補助金については、少額であるからという事実をもって私どもは廃止しろとか統合しろとかいっていることではございませんで、理事ご指摘のように、少額の補助金については、いかんせん人員とか事務量とか相当なコストがかかっている。そういったことも踏まえて、費用対効果の面でもう一度検証していただきたい。その上で必要なものがあればもちろん存続するし、そういった観点から廃止したり休止した方がいいようなものがあれば、そうやってほしい。その上で、利用者の利便をも考えて、メニュー化であるとか統合化を図っていただければどうでしょうかという方向性を申し上げているところでございます。

○松村委員 一言、今の答弁にありましたけれども、事務手続がふくそうして極めて煩雑だとか、その効率ですね、補助額に対する効率の問題をいいましたけれども、実際私、現場でどういうふうになっているのかを意見も聞きましたけれども、事務だとかは煩雑や複雑さとか全然ないんだそうですよ。だって、それは数値を出せば、それに対して申請してくるわけですから、言葉を短くいえば、いとも簡単なんですよ。まさに現場を知らないというか、そういう方々が考える考え方だ。ここで一見、このとおり見ると、何かもっともなことをいわれているみたいですけれども、実際その仕事をやる現場にとっては何らふくそうや煩雑や効率性が悪いということはないそうです。
 それは全部の事業、全部が全部だというふうに私はいい切れませんけれども、そういうことをこれはぜひ指摘して、だからこそ私はそういう仕事を持っている現場も含めて、全庁的な論議や、またはそういう補助を受けている多くの団体や都民にも明らかにして、こういう事業というのはどうなのか。本当に補助の割合には効率が悪いのかとかいうことをよく確かめてから、こういう記述というか、財務局の方向性やそういうものを示唆すべきなんじゃないでしょうか。そのことは強く私は指摘しておきたいというふうに思います。
 時間が、一人だけの委員会じゃないということがちょっとありまして、必要なことだけをいうので、以上の点を指摘して次に移りたいというふうに思うんです。
 具体的に施策の例示や考えていることを明らかにしていただければ、もう少しこれが都民に対してどういう影響を与えるのかということをいうことができたんですけれども、先ほど来、財政再建とは何かということで、投資的経費、公共事業や、それとも経常経費、自治体として本来やるべき都民の福祉だとかそういう施策についての問題を冒頭に聞いたわけですけれども、この質問の項の最後に、聖域なくすべての施策を見直すといいながら、公共事業、とりわけ大型開発事業を抑制する方向や視点が、私は読んでみたし、今聞いた限りでは受けとめられない。これもそれぞれの所管局が聖域なく見直すんだということになるんでしょうか。それともはっきりした考え方を持っておられるのでしょうか。

○熊野主計部長 ちょっとご答弁の前に、先ほどの少額の補助金については、先生がいみじくもおっしゃられたように、すべてがもちろん事務がふくそうしているということは申し上げてございませんで、そういうものがあればという趣旨でございますので、ぜひご理解いただきたいと思います。
 それから、大規模開発等を抑制する視点があるのかというご質問でございますが、再三申し上げているように、都市の根幹となる施設を整備することにつきましては、産業の活性化、あるいは生活基盤の質を高めること、あるいは将来にわたって東京の活力を維持するために不可欠の事業であるというふうに認識してございますので、福祉施策などとともに今後の都民生活を安定的に支える重要な事業でございます。
 今後とも投資的経費につきましては一層の重点化、効率化を図る。経常経費についても聖域のない見直しを図る。いずれも見直しの対象でございます。

○松村委員 少なくとも第一次プランでは、施策の見直し二千四百億円に対して経常経費幾ら、投資的経費幾らという目標額を持ったわけですよね。我が党としては必ずしもそれはそれでよしとはするものでは全くありませんし、しかも、その投資的経費を目標達成したといっても、その中身が、重点化などといいながら、生活にかかわる密着型、公園とか住宅だとか道路補修費だとか、そういう点の削減があって、大型開発やそういう幹線道路、街路などを中心にふやされているという点もありますけれども、しかし、少なくともそういう目標額はあったわけですけれども、この第二次においてはすべての聖域のない見直しといいながら、では具体的にどのぐらいの各目標とか、大型開発とか公共事業はどのぐらい減らすんだということになるんですか。それもやっぱり各局任せなんですか。

○熊野主計部長 第一次再建推進プランでは削減の目標額というのを設定いたしました。今回も十八年度に財源不足を解消するということが当然の目標になろうかと思いますので、内部努力、それから施策の見直し、あるいは税財政制度の改善でそれぞれ目標となる目安みたいなものはお示ししていきたい。ただ、内訳はまだ検討中でございます。

○松村委員 それでは、この収支フレームについても若干伺いたいというふうに思うんです。
 来年度から毎年三千五百億円の財源不足になるとしています。これは銀行課税の過誤納還付金がどうなるか、まだ今定例会で決まっていませんから、もし万が一そういうふうになれば、さらに多額の財源不足ということなんでしょうけれども、それはきょうはさておくとして、この収支フレームについてご説明いただきたいというふうに思います。

○熊野主計部長 「途半ばにある財政再建」あるいは中間のまとめの収支見通しでお示しした三千五百億の財源不足につきましては、十五年度の予算をベースといたしまして、一つは税の伸びをゼロと想定いたしまして、国の税制改正等の影響を織り込んで見込んだものでございます。それから二つ目には、経常経費は借入金の返済などの将来の負担の要素を織り込んでございます。それから三つ目、投資的経費は十五年度と同程度の水準と見込んでございます。それから四番目といたしまして、公債費あるいは税連動経費については所要額を見込んでございます。
 というふうな条件で機械的に試算した結果、三千五百億の財源不足ということになってございます。

○松村委員 一つは、この「途半ばにある」も、盛んに国の減税が影響しているという記述があちらこちらにあります。恒久減税、それから平成十五年度の景気対策減税ですか、そういうことでしょうけれども、実際にはこの国の減税は、恒久減税は地方特例交付金が入りますし、それ以外には減税補てん債で補てんされておりますし、それから十五年度にも五百五十五億円の影響があった景気対策減税、これも財源補てん債で手当てされるものであって、「途半ばにある」は盛んに国のそのあれが二千二百億円も減った、それもあるんだというようなことを書いておりますけれども、実際には歳入には影響ないということを一つ指摘しなければならないというふうに思うんですよね。
 それからあと銀行課税の分、これはまだ今の和解を前提としたものでありませんけれども、しかし、国の一般外形が導入されて、十七年度ですか、十六年度で終わって、十七年度から一千億円ずつ十八年度と減るという、こういうフレームになっていると思うんですけれども、しかし、その一般外形課税が十七年度から税収として入りますよね。これはなぜ収支フレームに入れていないのか。私も主税からいろいろ聞き取りしたりして、私なりに判断して、少なくとも三百億円は下らない、二百億円から三百億円以下ということはあり得ないということをお聞きしておりますし、そういう三百億円オーダーの税収が入ることを見込んでいない。
 それから、他会計の借入金、これも見込んでおりますけれども、それは今の同じ会計間のやりくりの中で、今それを、この財政再建が厳しい、都民にも相当な施策の切り捨てとか切り込みを求めているときに、それまで含めるというのはいかがなものですか。余りにも税財源不足を強調する余りのことではないかというふうに思います。
 それからあと公債費。この中間まとめも、このフレームの中で非常に親切じゃないんですね。丸めてただ三千五百億円という財源不足が生じるといって、今聞いても、部長さんの答弁だけで、本当かいなというか、そういう気がするんですね。実際、公債費もどのぐらいこの収支フレームの中で見込んでいるかというと、やはり案の定といいますか、返済の利子を三%近く見込んでいるんですね。直近の例えば〇・八というのが私たちは具体的な設定じゃないかと思って、どのぐらい今の見込みよりもその〇・八--十五年二月債では〇・八というふうに聞きましたから、それで試算しますと、いずれも平成ですけれども、十五年度のこのフレームよりも七十五億、十六年度では二百八十四億、十七年度は四百五十億、十八年度は五百五十億円、当初のフレームの見込みより公債費は減る。これだけでも総額一千三百五十九億、このフレームよりもかかる財源は低いというふうに我々は見るんですけれども、今のそれぞれ私がいった点についてはいかがでしょうか。

○熊野主計部長 まず十二年度の恒久減税並びに十五年度の先行減税、これの絡みでございますが、これは減税相当を税収として織り込んでおりまして、理事ご指摘のように、それらについては地方特例交付金並びに減税補てん債等で補てんされておりますので、それらの所要額をそれぞれ起債並びに特例交付金の中で織り込んでおります。
 もう一点申し上げなければいけないのは、ただし、国の方では、十五年度の先行減税については十七年度から複数年かけて復元するということで、まだ減税補てん債の取り扱いが明確に示されておりませんので、それらにつきましては現在精査を行っているというところでございます。
 それから、税収の中で十七年度から全国の外形標準課税が導入されるではないかというご指摘がございましたが、これにつきましては、国の方では税収中立だ、要は外形標準課税を導入するけれども、現在の税収と中立である、そういう税率でやるんだということを申し上げておりますので、主税の方では精査中だろうと思いますけれども、現在は税収中立ということで税収を見込んでいるところでございます。
 それから、他会計からの借り入れでございますけれども、これはいかに先生からいわれようと、他会計からの借り入れは会計間の賃借契約で契約しているものでございますので、約定に従って返済することは当然でございますし、もしいずれかの時点で返さなければならない、それを怠ると、各借りている先の事業に影響が出るということになります。これは収支を見込む際には当然見込まなければいけないというふうに我々は考えております。
 それから、減債基金の積み立てが過剰でないかということでございますが、先生は利子の現状三%で見込んでいるのは〇・八でいいじゃないかというふうにご指摘がありましたが、減債基金はあくまでも元金の返済に充てるものでございますので、利子の高い低いというのは関係ございません。あえて利子の議論をさせていただきますれば、確かに先生がおっしゃるように、十五年の二月には、十年債、〇・八%というクーポンで発行できました。しかしながら、現在何%かというと、九月債で一・六%まで金利上昇してございます。
 こういったことを考えれば、少なくとも我々は利子の予算を組む場合は安全サイドを見込まなければいけないという点が一点と、それから、あくまでも直近の金利というのは新規債のみでございまして、起債全体からすればごくわずかな量でございますので、利子を予算計上する場合には、七兆に上る既存の債券の利子の平均をとって、今三%程度でございますが、その利子を計上しないと利子が払えないという形になりますので、ご理解いただきたいと思います。

○松村委員 一つには、この「途半ばにある」は、今の国の減税の影響がある、あると、あたかもそのことが今のこの財源不足というような書き方にしていることに対して、それは確かに都税としてはマイナスになるけれども、歳入においては特例交付金や減税補てん債で賄われている。今の十五年度の減税は中立だから、まだわからないから、この収支にはその分のマイナスになっている面を入れているんだ、まだ減税補てん債の財源手当てをしていないということを今部長はいみじくもいいましたけれども、しかし、それは今までの国の約束であって、そういうことをやってきているし、税制中立だったら今後十八年で均衡するという--プランは十八年までだから減税の影響で見ているけれども、十八年以降、逆に都税は入るんですよね。だから、そういう少しの長期プランで見れば今いったようなことはならないし、当然それは国に対しても減税補てん債をもちろん求めているでしょうし、やらなければならない問題だというふうに私はいえるというふうに思います。
 それから、今の一般外形も税制中立だから一切見込まないということは、これは議論が分かれるところです。実際そうなるかどうかは見てみなければいけませんけれども、主税からいろいろやりとりする中で、少なくとも二百億から三百億は下回らないということが試算されるという点は、私は税の歳入をやる主税局の意見をとりましたけれども、それはわかりませんが、いずれにしてもそういう問題は見ていないということだけは今の財政収支フレームの中で明らかになりました。
 それから、今の減債基金はそうだという制度論をいってすりかえちゃだめですよ。だから、実際には公債費の中でのその分がこの収支の見積もりよりも実際〇・八でやった場合の--これは公債課の方から、一応試算ですよということですけれども、出してもらった数字では、さっきいいましたように十五年度からを含めて千三百六十億、この収支フレームは多いんですよ。それは安全を見たというふうにいっているかもしれませんけれども、それは都民に厳しい税制を求めている立場からしては、そういう財源が不足するんだ、厳しい、そういうことだけが強調されている面じゃないか。
 それからもう一つは、今の十五年度をベースに都税の伸びをゼロとしているわけですね。しかし、今まで私も、これもいろいろな都税の経緯をこの間見ました。確かに法人二税などは景気というか、相当影響しますけれども、しかし、都税全体でも、見ていただければわかるとおり、多くなったり高くなったりというずうっと波があるんですよね。厳しい、厳しいという、皆さん方がちょうど落ちたという昨年ですか、一昨年出した都財政の現状の中では、そういう中でも都税収入の伸びというものを見ているんですよね。第一次プランにおいても十二年ですか、十一年から始まって十二年には〇・五、その次は一%、そしてその次は二%ですか、そういう伸びがある。それが確かに伸びて、ITだというようなふうに落ちつきましたけれども、それは臨時的だというか、確かにあって、六千幾らもプランよりもふえたということは、事実、都税収入というのはそういうふうに伸びているんですよね。だから、そのときですら、そういう伸びを見ていた。そして去年の見直しの中でも、一番落ち込んでこれから大変厳しくなるというふうな中でも、やっぱり都税収入の伸びというのは皆さん方のあれによっても見ているんですよ。
 ところが、今度の第二次の中間まとめでは、伸びをゼロにするということがあくまで前提ですよね。確かにそういうふうに見れば安全かもしれませんけれども、しかし、景気動向というのは非常に変わります。この九月期の法人決算においても、来年度はふえるんじゃないかということは大体いえますよね。どのぐらい伸びるかは私もわかりません。大体一千億円ぐらい税収が伸びるんじゃないか。だから、今までこのプランで税収の伸び率がゼロというふうに見ていますけれども、一%変わっただけでも、大体都税総額というのは四兆円だから四百億円でしょう。二%変わっただけで八百億円でしょう。それだけ今フレームというのは変わる要素があるというふうに思いますよ。
 今後、プランまでは引き続き精査するというふうにいわれておりますし、また、確かに財政が厳しいということですが、私もそれは認めます。認めますけれども、しかし、それにしても銀行税の新たな万が一のそういう決着があるとしても、ここに掲げた収支フレームの見込みよりも、私どもがざっと計算したら、その銀行税を入れないで、この三年間、例えば二〇〇四年度は不足額が七百三十億。先ほどの他会計の借入金だとかそういうことを今やらなくていい。公債費、それからあといった一般外形、そういうものを入れたら二〇〇四年度には七百三十億、二〇〇五年には二千百六十四億、二〇〇六年度、平成十八年度には二千二百六十四億というふうに私は試算として計算してみましたけれども、これに新たに恐らく銀行税が入ってくるでしょうけれども、それは財政調整基金でとりあえずは、過去の分はもし万が一そうなった場合にも精算するとか、あと七百億円の手当てをどうするかということは残りますけれども、いずれにしてもこの財政再建の中間のまとめでの三千五百億円もの財源不足というのは、私は財源不足を過大に見ているということを指摘せざるを得ないというふうに指摘したいと思います。
 それでもう時間が過ぎたので、最後になります。先ほどもいいましたように、銀行税もそういう形での決着になると、財政に大変な影響があらわれますし、ましてや新銀行、この一千億円を一体どうするのかということ。
 それからさらに、羽田国際空港の再拡張、これも大体総事業費九千億円で、ほぼ四回、五回ですか、協議を積み重ねておりますけれども、東京都がそれだけ要望するんだったらということで、都の負担ということで一千億円ぐらいの都の負担が起きるんじゃないか。
 それからあと外郭環状自動車道路、これも国事業ということですけれども、上部に道路などを走らせたら、やはり数百億円の東京都の財源がかかるとか、首都高速道路の貸付金等においても、今国は盛んに負担割合の三五%ですか、そういうことが出されて、ほぼ東京都はこういう方向にのむんじゃないかというふうに懸念されますけれども、等々を考えると、莫大なそういう財源で、幾らといいますか、一方においては都民の本当に命や暮らし、健康がかかった施策を切り捨てても、こういう都市再生というような形での莫大な一千億、二千億出るようなことを次から次へ知事が進めて、どうして財政再建というふうになるんでしょうか。私はそういう方向では絶対あってはならないというふうに思います。

○熊野主計部長 まず収支について幾つかご指摘がございましたが、減税補てん債は当然のことながら赤字債でございまして、交付団体であれば交付税で措置されるんですが、私どもは当然自前で払わなければいけない。これはまさに将来の住民にツケを回すだけの話でございますので、極力抑制したいんですけれども、ただ、こういう厳しい状況下でございますので、国が減税補てん債を許可する方針が出されれば当然活用していきたいし、十六年度については当然それを見込んだ収支をつくっております。
 それから利子については、公債費関係で〇・八%ということで組めばいいじゃないかということをおっしゃいましたが、これについては先ほどご答弁申し上げたように、残債の平均が三%でございますので、〇・八%で公債費を組めば当然予算が不足するという事態になります。
 それから、都税はもっと伸びを見込んでいいんじゃないかということをおっしゃいましたが、これも私どもとしては過去の教訓として、そういった右肩上がりを期待して財政運営を行ってきた結果がこういう結果になったわけでございますので、現時点でそういう右肩上がりを期待した財政運営はできないというふうに考えております。
 しかも、これらの財源不足を減債基金の積み立ての先送りとか他会計からの借り入れの返済の先送りとか、そういうことを加味すればもっと減るじゃないか、これはおっしゃるとおりでございますが、これらは当然のことながら減債基金の積み立てを先送りすれば、今の四分の一の先送りを続けていけば、十七年度から公債費の償還が自転車操業になってしまいますし、他会計からの借り入れにつきましても、先ほど申し上げたように各事業会計の事業に支障が生じる場合も考えられますので、我々としてはこういった財源対策をいつまでも続けることはできないというふうに申し上げております。したがいまして、これらを前提とした収支を考えることはできないというふうに考えております。
 それからもう一点つけ加えさせていただきますと、これらの財源不足の財源確保を図ることは最低限でございますので、新たな先進的な取り組みであるとか、新たな都民ニーズにこたえる施策を行っていくためには、これ以上の財源を確保しないといけないということをぜひご理解いただきたいと思います。
 それから最後に、新銀行、羽田、外環、首都高のお金はどうするんだというふうなご質問がございました。私どもとしては、新銀行、羽田、外環についてはまだ全容がわかっておりませんので、今の時点では判断できない。また、首都高については出資比率の引き上げで概算要求が出ているようでございますが、それらについては首都高に対してそれらの根拠、あるいは状況について問い合わせをやっているところでございまして、いずれにしろ、これらの事業についても必要な事業は必要な財源を充てて取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。

○松村委員 今部長からるる答弁がありましたけれども、都財政の規模の中で、先ほど身の丈という話もありましたし、財務局長も私どもの代表質問の答弁の中で、社会資本整備、それも必要だと。同時に福祉や医療の各種施策の取り組みも重要であり、両者どちらも必要だというような答弁をなさっておりましたけれども、まさに今の限られた財源の中でどういう運営をしていくか。
 一方において、必要な事業といっても、そんな身の丈も合わない一千億円、二千億円ということが果たして今日の都財政の状況で耐えられ得るものなのかどうかということも、根本的に見なければいけない問題じゃないかというふうに私は思います。あたかも対立させないというふうにいっております。だから、私たちも社会資本整備費というのは必要ないとかいうことはいいません。しかし、現在の、現況の財政状況がそういうふうになったならば、いみじくも投資的経費は臨時経費だということもいわれました。私もまさにそう思います。
 自治体の本当の根幹の使命は、その住民の福祉の増進にあるというか、そこがやっぱり根幹ですよ。東京都政だってやっぱり自治体ですから、都民の今日の苦しいというか、現況の中で、いかに元気を出して都民を励まし、活力というのだったら、私はそこにあるというふうに思います。そうすれば、また税収は多く入るでしょう。ところが、今は消費不況といわれるように、まさにデフレスパイラルというぐらい悪循環を繰り返して、どんどん庶民の消費マインドが停滞して行き詰まってきているということは、この東京都においてもいえるというふうに思うんですね。
 そういうときに、身の丈の合わないような莫大な外環だ、三環状だ、羽田の国際化だ。または挙げれば切りがありませんけれども、果たしてそれで局長がいうような社会資本整備も大事だし、同時に福祉も大事だ--私も本当に全く賛成だと思うんですよ。しかし、今この現況で何をやるべきかと見たら、答えは私は当然はっきりしてくると思います。
 また、それを決めるのが、先ほどの冒頭で都民だというふうに部長はおっしゃいましたが、まさにそうだと思いますよ。だったら、その都民、その代表である議会に、どの施策が今進めるべきか、どれをやめるべきかということを本当にオープンにして問わなければならない時期じゃないでしょうか。それできょう私も、多くの皆さん方は本当に辛抱して我慢して聞いていただきましたけれども、時間をとったのに、その考え方が出てこないじゃないですか。こんな議会に対する失礼というか、それでプランをつくって、予算が出たということであっては絶対ならないというふうに思います。今こそ本来の自治体の原点というか立場に東京都がしっかり立つように、そのための財政再建ということにしていただきたいことを強く要望して、終わります。

○藤田委員 大変お疲れと思いますけれども、私の財務局の最後に質問になりますので、何点か議論をさせていただきたいと思います。
 私たちは、代表質問の中でも、財政再建推進プランがあって、そして都庁改革アクションプランがあって、重要施策というようなことがあるならば、まず知事は再選されて初めてでありますから、そこに選挙公約だけではなくて、きちっとビジョンを示す。もちろん二〇〇〇年のビジョンであるならば、それはそれでもよしでございますけれども、そこを示して、そしてその中で重要施策を出し、それから財政再建推進プランの中では、どうしても内部努力である都庁改革アクションプランを出し、そして最終的にそれが予算、すなわち--その前に重要施策がありましたね、予算、すなわち財政再建推進プランが出るという、そういう流れでないとだめなんじゃないかというふうに申し上げたのですけれども、なかなかすとんと落ちるような答弁がなかったといいますか、現状ではビジョンを示すような時期ではないというような答弁でございました。
 そして、こういう変動のときには、そのときそのときに合ったものを投げかけていくんだというふうにおっしゃられたわけでありますけれども、やはり私たちは、基本は、ある意味では長期的な計画は難しいですけれども、きちっとしたビジョンがあって、計画があって、だからそれについてこういう予算でやっていく、そしてそれに対して施策の評価があって、見直しをしながら、財政をどういうふうに運営していくのかというところが軸がないと、それはいつもいつもアドバルーン的で、場当たり的な施策になってしまうのではないかということを申し上げたわけですけれども、改めて財務局としてはどんなふうに考えていらっしゃるかを伺わせていただきたいと思います。

○熊野主計部長 都政の構造改革を進めるために、知事も所信表明で申し上げましたとおり、都庁全体で改革の目標と危機意識を共有して、財政再建、それから行政改革、都独自の政策展開を一体のものとして進めていく必要がある、私どももそう考えております。
 現在、この方針に基づいて第二次財政再建推進プラン、それから十六年度の重点事業、それから新たな都庁改革アクションプランの策定事業について、それぞれ緊密に連携を図りながら進めているところでございまして、先生ご指摘のとおり、財政再建推進プランは先行して策定することになりますけれども、これは既に始まっている十六年度の予算編成の作業に先立ちまして財政再建に取り組む基本的な方針を示す必要があるという、こういう観点からやっておるところでございまして、都政改革のビジョンのもとに、全体として統一のとれたものにしていくという姿勢に変わりはございません。

○藤田委員 それでは、先ほどちょっとお答えがあったんですけれども、第二次再建推進プランの中で、例えば内部努力がどのくらい、施策の見直しで金額的に幾らというような、達成に向けた項目別の目標額をきちっと出していかれる予定でしょうか。

○熊野主計部長 項目の目標値は、取り組みの目安といたしまして設定する方向で考えてございます。ただ、財政再建の目的は、あくまでも新たな都民ニーズにこたえて東京に活力を呼び戻す先進的な取り組みを進めるために、財源不足を解消すると同時に、強固で弾力的な財政体質を確立することにございます。したがいまして、単に一時的に収支均衡を達成するのではなくて、財政構造改革を行いながら、中期的にも安定的に行政サービスを提供できる健全な財政体質をつくらなければならないということでございますので、あくまでも削減の目標額は、いわば最低目標と申しますか、それを達成すればよしというものではないというふうに考えております。

○藤田委員 そうしますと、先ほどお話の中では、都庁改革アクションプランも財政再建推進プランも一体的にやっていくというふうになっているんですが、実は都庁改革アクションプランは十二月の予定というふうに聞いておりますけれども、いわゆる内部努力的なものでどれだけのものが出せるのかというようなことは、数字的に目標を掲げるというのは、そうすると主計が全部主体的にやって、各局はそこに合わせてやっていくしかない、あるいはそういうものだというふうに、知事本やらあるいは総務局に聞きますと、そういうふうなお答えもあるんですけれども、やっぱり主計主導なんでしょうか。

○熊野主計部長 決して主計部が独断と偏見で数字目標を考えるということはございませんで、例えば先生がおっしゃった定数削減については、現在、人事部の調査課と調整中でございます。ただ、あくまでもプランでございますので、目標ということでございますので、全部が全部詰められるわけではございませんが、関係局とはすべて調整の上、公表していくつもりでございます。

○藤田委員 アクションプランの中間のまとめの中には、財政再建推進プランによるとか、財政再建推進プランがこうなのでという、すべてそちらにお任せのような状況の書き方しかしていませんで、私は、これは本当に改革をやって、第二次の財政再建推進プランに沿うような内部努力をどういうふうに考えていくかということをやるならば、やはりここはそれこそもっとスピードアップをして、それがともに出せるような状況にしていかない限りは、ことしの分は目標額はこのくらいだけれども、それが第二次といいますか、大体三年、知事の任期期間四年の中でということになろうと思いますけれども、やはりその辺はあいまいだな、あるいは本当に主計がいうからしようがないから、このくらいで何とかやっておこうかというような、そんな感覚をどうしても持ってしまいますので、そのところの連携というものをもっときっちりと出していただきたいわけですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

○熊野主計部長 繰り返しになりますけれども、あくまでも私ども独断と偏見でいろいろ数字を各局に押しつけているつもりはございませんで、ただ、それぞれアクションプランはアクションプラン、それから私どもの財政再建推進プランはプランということで持ち分というのはある程度ございまして、例えば外郭団体の見直し等についてはやっぱりアクションプランの方に比重がかかるし、それから施策の見直し等についてはどうしても私どものプランの方に比重がかかるということはございますが、いずれにしましても十分調整した上で、合意のもとで進めていくということでございます。

○藤田委員 目標額というものを決めるということでありますので、ぜひお互いがしっかりと精査をする中でというふうにしていただきたいと思っています。
 それから、財政再建推進プランの中間のまとめの中に、最後の「おわりに」というところで、このプランの策定に当たっては、中間のまとめに寄せられた都民の意見や、議会での議論を十分に踏まえながらというふうにありますけれども、今ホームページにも出されていますけれども、これで都民からはどのような意見が寄せられて、何件ぐらい--財政については厳しくあるべきでと、たくさんの声が寄せられているかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○熊野主計部長 「途半ば」及び中間のまとめの発表以後、電話等によりまして幾つかご意見が寄せられております。例えば例を挙げますと、民間の厳しさを認識してさらにリストラを進めるべきだ。あるいは、財政再建も必要だが、サービスが低下しないように工夫するべきだ。あるいは、大都市では工事をするにしても割高なので重点的に予算が配分されるべきだ。あるいは、すべての情報を公開して都民の協力を得るべきだ等々の意見が寄せられておりまして、寂しい感じはしますが、財政というのはなかなか関心が余り高くないようで、件数としてはそんなに多くはございません。

○藤田委員 ぱっと画面に出てこない、もう一つ、もう一つとクリックしていかないといけないというところもなかなか難しいのかと思いますけれども、いろいろな点で広報をしていただきながらというのは、そして先ほどありましたように、すべての情報を公開をしてというようなのが一番大きな主眼になるかと思います。
 それから、案件の方にもかかわってくるわけですけれども、先ほどいわゆる銀行税の和解によって都税収入が七百億円の減少というふうになって、そして財源不足額が四千二百億円程度まで拡大するというふうになっておりますが、実際にはこの財政調整基金の残りが三百六十七億円でしたでしょうか、こういうふうになりますと、この基金の本来の役割は年度間の財源調整ということでありますし、それから景気の変動に影響されやすい税構造をどういうふうにこの中で調整をしていくかということだと思いますけれども、この残高、三百六十七億円のままにしておくことはなかなか難しいですし、私たちも今回、二百億円の復活財源の中で多分百億は項目を全部つくりましたけれども、あと百億は積み増ししろというような提案をして知事との話し合いをいたしましたけれども、今考えるに、この都財政の規模から見て、財政調整基金はどのくらいの残高があるのが望ましいというふうに考えておられますでしょうか。

○熊野主計部長 財調基金の適正な規模ということですが、これはお答えするのはなかなか難しゅうございます。一説には、例えば標準財政規模の市町村にあっては二〇%、都道府県にあっては五%、いわゆる赤字限度額ですね、これまで積んだ方がいいんじゃないかというご意見もございますけれども、これとて特段根拠があるわけではございません。いずれにしろ各団体、財調基金をどれだけ積めばいいかということは、それぞれの団体の財政構造にもよりますし、それから、これまでのような右肩上がりの時代に財調基金が幾らあるかという議論、それから今後厳しい時代を迎えるに当たっての財調基金の残高、これはいろいろ分かれるところだろうと思います。
 強いて申し上げれば、東京都にありましては法人二税の割合が高くて、非常に景気の影響を受けやすいということから、可能な限り残高を確保していくということが必要であろうかと思っております。

○藤田委員 それから、今回の中間のまとめの中の一番大きなところだったわけですけれども、補助金の改革についてのことでちょっとお尋ねをしたいと思っています。
 これについては前回の「途半ば」のときにもそれぞれ補助金については由来があるというようなことで、個別の内容を精査していくということをお願いしているわけなんですけれども、局内で、あるいは複数の局にまたがって、同じような内容の一つの事柄にいろいろ局から補助金を出しているというようなのがあるかと思います。ですから、この補助金に関する結果の一覧というものが出されていますけれども、これらはまず一件一件を精査していくことが必要だと思いますけれども、個別に見ていくだけではなくて、まず同種の補助金をまとめて包括化していくというようなことも十分に考えなければいけないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○熊野主計部長 今回の中間のまとめで幾つか補助金の視点を掲げさせていただきました。それに基づいて各局でいろいろ見直しをお願いしているところでございますが、ご指摘のように同種の包括化ということは、事務の効率化だけではなくて、要は事業主体の自主性、あるいは住民にとっての使い勝手、そういったことも含めて大変有意義であろうかと思っております。また、各局またがるという補助金もそのとおりなんですが、同一の行政分野におきましても多数、少額の補助金が設定されているというふうな場合もございまして、これらについてあわせて包括化、あるいはメニュー化等々の見直しを行っていくことは大変有益だと思っております。

○藤田委員 よく国の道路の例で示されるもので、農水省からの道路と、それから国交省の道路といわれるように、本当にどちらが必要なのか、あるいは一本でもいいのに、それが両方から出て、別々なものができて、どちらも使われないというような状況になっていることも、東京の場合にはそういう意味では少ないかもしれませんけれども、考えられることだと思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 それから、先ほど補助金に関しては地方分権の観点から地域とともに考えていきたいんだ、区市町村と一緒に考えていきたいんだというふうにおっしゃられたんですが、では、都からの財源移譲というのはどんなふうな考え方をしていらっしゃいますでしょうか。

○熊野主計部長 基本的には財源移譲というのは、地方財政制度の中で都道府県レベルと市町村レベルというのは明確に区分されておりますので、当面の税源移譲というのはあり得ないと思っております。したがいまして、今回の見直しに当たっては、あくまでも事業の整理、統廃合、あるいは再構築、そういった観点での議論になろうかと思います。

○藤田委員 もちろん地方税法上では無理なのはよくわかっているんですけれども、ある意味では都市計画などについては、権限が移譲されると、それが、お金は来ないけれども、でも、その権限が移譲されることによって、例えば市民がどれだけ参加ができるかというようなことにつながってくる例もたくさんあるわけです。ですから、もちろん補助金というような考え方からすると、今現在はそれはなかなか難しいと思いますけれども、やはりそこもあわせて議論ができるような体制をとっていただきたいというふうに思っているわけです。行政の中だけでの分権ということじゃなくて、最終的に市民にとってみてこの権限がおりてくるということの意味はどうなんだということを、ぜひあわせて考えていただきたいというふうに思っています。
 それから、銀行税を決める際といいますか、参考人として、銀行協会の方と、それからお亡くなりになった糸瀬さんと、それから神野さんが参考人として呼ばれて、その中で神野さんが、財政というのは協力であるというようなお話をなさったのをまた改めて読んでみましたけれども、協力の内容にはいろいろあるかと思いますけれども、財政運営に当たっては、まず住民との協力というものが第一だというふうに思っています。このためには財務情報を住民にわかりやすく説明して、これが、すなわち施策選択の判断材料を提供することが重要だというふうにまず考えるわけですけれども、これはもちろん中間のまとめの中にもありました。何のためにこういうことをやるのだという--これは公会計制度の改革の中にこのことが入っていたんですけれども、なぜこの公会計制度を改革するのかといったときには、施策の選択の判断材料として財務情報を住民に提供する必要があるということがいわれているわけです。
 今都が取り組んでいる公会計制度改革、まさにこうした視点に立っての取り組みである必要があると思うんですが、将来的には事業ごとの財務諸表--ここでいう事業というのは、一つ一つ全部というと七千事業ぐらいになってしまうということで、これは今すぐということは非常に難しいかと思いますけれども、民間でいえば事業部制度というような形のものですけれども、財務会計システムから自動的に作成されるようにしなければいけないというふうに思っているんですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

○熊野主計部長 先生ご指摘のとおり、財務諸表を住民にわかりやすく説明する、施策の選択の判断材料を提供していく、こういうことは公会計制度の重要な目的の一つでございます。したがいまして、今後の検討に当たりましては、東京都全体の財務諸表だけではなくて、お話にもございましたような民間の事業部に当たるようなものとしまして、局別の財務諸表、さらには大くくりの主要な事業についての財務諸表、こういったものも作成できるように、所管の出納長室とも調整しながら検討を行ってまいりたいと思っております。

○藤田委員 そして事業別の財務諸表をつくっただけというか、それで完結してしまっては困るわけで、これをどういうふうに使っていくかということだと思いますけれども、そこに示されています数値やデータを正しく理解して、経営改善に活用していかなければ何もならないわけですけれども、財務諸表を活用したマネジメントというのはいつ、どこでといいますか、どういうタイミングで、だれが実施をしていくのかということは、どんなふうにこの公会計改革の中で考えておられますでしょうか。

○熊野主計部長 財務諸表は、お話しのとおり経営改革のための道具というかツールでございますので、作成しただけでは全然意味がないということで、さまざまなレベルで活用されていくことが必要でございます。そのために、まず各事業の執行部門、それぞれの執行部門で正確なコスト情報をもとに費用対効果を分析する、そういったこと、あるいは事務事業の不断の改善であるとか見直し、そういったものに活用していくことがまず基本であろうと思っております。
 また、各局において事業の抜本的な見直しや再構築についての検討をしていく場合に、今回でもこういうシステムができていれば、ぜひ活用いただきたいんですけれども、そういった将来性、あるいは問題点を明らかにして、今後の事業のあり方を考えていく上で活用していただきたいというふうに考えております。私どもとしましても、予算編成の過程でこういったものを活用して、財政分野全体についての財務諸表等の活用も考えていきたいと思っております。

○藤田委員 引き続き主計部長にお願いしたいのですけれども、今回の中間のまとめで初めて右肩上がりは終わったというふうに出されたわけです。私たちはこれまでももう大分前から右肩上がりの時代は終わっているだろうというふうにいってきたんですけれども、なかなかそういうふうには認識を持っていただけなかったのが、ようやくそういうことになってきたなというふうに感じています。
 実際には日本社会は閉塞状況にあるということは、もういわなくても、だれでもそういうふうにいっちゃうんですけれども、ただ、これにはやはり前提というものがあって、いずれも経済成長を前提とした拡大志向の中で閉塞状況だ、あるいは非常にみんな苦しんでいるというようないい方になってきてしまっていると思うんですね。私はやはり右肩上がりの成長は望めないという、これからは定常型だというようなことの時代認識を示したというのは、ようやくだなというところと、あるいはこれからまさにそういう中で社会をどういうふうにつくっていくか。経済成長ということを絶対的な目標としなくても、十分に豊かさが実現できるというような社会をつくっていく必要があるかというふうに思っているわけです。
 そうしますと、前提が崩れるわけですから、じゃ、停滞しちゃう社会かというと、いや、やはりそれは質を問うような社会に変わってくるんだと思いますし、それから定常型ということであれば、そこはある意味では持続可能なというふうになりますし、成長期には全部中央集権的な社会で何か物事をやっていけばよかったわけですけれども、持続可能なといえば、環境保全的な社会、福祉国家をつくっていくということになりますし、おのずから分権社会というふうになってくるんだと思うんです。こういう右肩上がりの経済成長を望めないというような定常型の社会というものが今後の都政にどういうような影響を与え、特に財政的な見通しについてどんなふうになるというように考えておいでか、質問したいと思います。

○熊野主計部長 確かに先生おっしゃるように、これまでは分かち合うパイがどんどん拡大してきた時代でございました。しかしながら、今後は少数の人間が--少子高齢化もございますし、少数の人間が多数の人間を支える社会というふうな形になってくると思います。そのときに財政はどうあるべきかということを考えますと、やはり一つには、小さな政府を実現していく方向というのが選択肢としてはあるだろうということが一つ。
 それから、そういった場合に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、住民がちゃんと自分の負担とそれから受益を選択できるシステム、こういったものをつくっていく必要があろうかと思います。その中で豊かな社会を実現するために必要な施策を住民がみずから選択し、それに見合う税金を納める、そういったことが判断でき、それが反映されるような財政制度のシステム、これの確立に向けて進んでいかなければいけない。
 そういった意味では、今回の三位一体の改革というのは非常に表面的で、私どもにとっては地方の財政自主権という議論が吹っ飛んでしまっていますので、そういった点は非常に残念に思っております。

○藤田委員 それでは、最後になりますが、局長にちょっとお尋ねいたしたいと思いますけれども、十一月にも地方制度調査会の第二次の答申が出るというというふうにいわれていますが、実際には市町村合併の問題の提言が出てくる、あるいは道州制の議論が出てくるというようなことは聞いておりますけれども、なかなかそれの域を出ませんし、それから分権推進委員会の中でも今おっしゃったような三位一体の話がなかなか難しいといいますか、実際にどうなるかというのが難しい状況だと思います。
 じゃ、第一次の中でも出された国への税源移譲のことを黙って見ているのかというと、何かそれしか方法がないような状況ですけれども、私はある意味では都議会の中のいわゆる国の与党といわれている人たちがこぞって、地方に税源移譲しないともうだめなんだよということをしっかりといっていただくような連携の中で、国の制度を変えていくということをもっと前面に打ち出していかない限りは、なかなかこの税源移譲というのは難しいと思いますし、(発言する者あり)済みません、本当は政権交代をいいたかったのですけれども、現状の中ではとにかく地域からしっかりと物をいっていくという、これを連携しながら行政もそれから議会の中も一時一生懸命いってきましたけれども、何かここのところでとんざしているようでございますので、ぜひそういうところをやっていきたいと思いますし、一緒にやっていきたいと思っています。
 それで、今お話しされたような状況にこれからの社会はなっていくんだと思いますけれども、物が豊かになった社会では今後特に重要になってくるのが、ある意味では教育とそれから社会保障だというふうに私は思っているわけなんですね。しかし、医療を含む社会保障、年金の破綻--私は破綻というふうにいってしまってもいいと思いますが、そういうものが社会不安を増大させているわけで、これまでは一貫して成長期の中で日本のいわゆるインフォーマルな社会保障、会社と家族がこれをすべて担ってきたというふうに思いますし、それから公共事業による失業対策というものがこの失業問題をカバーしてきたというふうに思っているわけですけれども、この日本型のインフォーマルな社会保障の仕組みも、終身雇用が崩れていますし、それから女性の社会進出が進む中では、これまでのような機能はもちろん果たせなくなってきているわけでありますから、必然的に公的な社会保障水準の底上げが必要になってくると思っています。
 実際に社会保障を金額的に見ますと、アメリカと日本が同じレベルで、世界的に見れば公的な部分はかなり少ないです。そして欧州型は日本やアメリカの倍以上の社会保障の予算が出されているような状況になっているわけですので、これからますます逆ピラミッドの中でこの社会保障費というものは大きくなってくる、ならざるを得ないというような状況になるかと思います。
 こうした現状はまさに都財政に大きな影響を与えると思いますけれども、この財政再建推進プラン、第二次の中でどういうふうにこの社会の状況を--いわゆる右肩上がりの成長は終わったということをおっしゃったからには、それだけのことを議論なさる中でこういうことを出されてきたんだと思いますので、どういう検討がなされて、また局長はどんな認識をお持ちなのか最後に伺いまして、終わりとさせていただきます。

○櫻井財務局長 難しいご質問というか、今後の日本の行財政制度の根幹にかかわるようなお話をいただきましたけれども、既にご存じのとおり、現行のさまざまな社会制度、今のお話だと医療保険、年金等もそうでございますけれども、これは戦後一定の高度成長、あるいは相当の高度成長、いずれにしてもそういうものを前提に社会の仕組みができているだろう、こういうふうに考えております。そういう中で少子高齢化、あるいは低成長経済というか、安定成長経済のもとで、さまざまな部門で制度疲労が出てきているということで、既存の形、これはわかりやすくいえば中央集権なり、あるいは護送船団方式--きょう補助金も大分お話をいろいろいただいていますけれども、それも一つの形であろうと思っておりますけれども、そういうものを維持することがなかなか困難になってきている、こういうふうに考えております。
 そういう意味で、都民の方々、国全体が、皆さんが安心して生活していけるような新しいコンセンサスづくりというんでしょうか、社会づくりというんでしょうか、そういうものに、陣痛を伴いますけれども、動き出さなくちゃいけない、こういう時期に来ているというように思っております。そういう際に大事なのは、これまでも知事が機会あるごとに申し上げておりますけれども、自助、共助、公助、こういう中でそれぞれの社会での住民の方々の責任と、それの負担をどうするかということ、そういうものをバックにした中で公的な社会保障制度、こういうものをどういうようなものにしていくかという新しい仕組みを、しっかり受益と負担というところで整理しないと、またまた根っこがおかしくなるんじゃないか、こういうふうに考えてございます。
 そういう意味で、これから私ども財務当局としましても、そういう基本的な目線の中で、今回のプランの中にも都の施策を時代の変化に適合したものにしようとか、あるいは真の地方の自立につながる改革、いわゆる分権を目指して国に働きかけをしていこうというような問題提起をしておるわけでございます。
 今後、財務局長としましても、東京のそういう都民の方々のこれから先の安定的あるいは継続的な行政サービスを、機動的、柔軟に限られた財政運営の中でやっていかなくちゃいけないという使命がございますので、そういうような財源をより多く確保して、こういうさまざまな都民サービスを、これから先、都民ニーズの変化に対応して的確に行政運営をする、そういうものを目指しまして、今後都議会の先生方のご支援もいただきながら、税財政制度の改革を含めて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○真木委員 いよいよ私の質問も最後になりました。そして、この期の財政委員会、財務局との質疑もいよいよ最後だと思います。有終の美を飾りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 さて、今議題となっております第二次財政再建推進プラン中間のまとめでございますが、その中では、第二次財政再建推進プランでは、次のような視点に立った取り組みを徹底、強化して、財政構造改革を進めていくとあり、その中の視点に、時代変化に即して都の施策の範囲及び水準を見直すとあります。その中では、すべての既存施策について、その継続を当然視せず、時代変化への適合を図る観点から、事業の廃止、休止を含め、聖域のない見直しを不断に行う、また、都が果たすべき役割の根本を見直し、民間または国及び区市町村との役割分担の明確化を図るということが明確にうたわれております。その中に、現行の補助率が適正かなどの観点から、個々の事業ごとに十分精査、検証し、徹底的に見直すことにより整理合理化を行い、適正化を図るということで、補助金に随分と踏み込んだ記述がございます。
 じゃ、一体その現行の補助率が適正かというのはどういうことをいうのかということは、この前段であります「途半ばにある財政再建」の冊子の中で、一五ページ、高率補助・高い補助水準として、事業費の二分の一を超えて都が補助する高率の補助が五千七百四十億円と、金額ベースで全体の五六%を占めているということで具体的に書かれておりまして、この財政委員会でも資料請求、二分の一を超えているもののリスト一覧が出てまいりまして、具体的に教えていただきました。
 このように高率補助・高い補助水準にあるものがターゲットにされておりまして、当事者にはいろんな誤解、混乱を招いております。財政委員会では財政の真木のつもりでございましたが、一方、本来、福祉の真木であります。福祉の関係者からは、この事業費の二分の一を超えて都が補助する高率の補助、これについて随分と議論が行われておりまして、おれのところが切られるんじゃないかというようなことでいわれております。
 そこで改めて確認をいたします。混乱の原因であります高率補助金の高率とはどのようなことをいっているのかが、広く共通の理解となっておりません。高率ということの補助の分母と分子を明らかにしていただきたいと思います。

○熊野主計部長 冊子の中でお示ししておる高率の補助金とは、都が単独で行っている補助金、あるいは国基準を超えて行っている都加算、あるいは横出し、そういったものの補助金、これが事業費に対して二分の一を超えている補助、これを高率の補助と申し上げております。

○真木委員 今のお話で都加算、都単独というお話がございましたが、そこだけで見るのかを確認をしたいと思います。
 多くはまず国の基準額がございます。例えばで申し上げて恐縮でございますが、例えば一〇〇が国基準と決まっている。そのうちの二分の一--多くは二分の一、国が見るケースが多いわけでありますが、二分の一の五〇は国が見る。四分の一の二五を都が見なさいと。それに、国基準一〇〇に対して都加算がついていることが多いです。これを仮に二〇としましょう。一〇〇の国基準に二〇の都加算を加えて、その二〇については全部都が見ている。二〇分の二〇、一〇〇%都が見ている。だから、補助の全体の高さは国基準の一〇〇に都加算が二〇ついて一二〇。
 さあ、こういった補助の場合に、ですから国が全体の中で五〇見ていて、そして国基準の中で東京都は二五見ていて、そしてさらに都加算二〇。都は合わせて一二〇のうち四五補助しているような事例の場合、この二分の一を超えるというのは、一二〇のうちの六〇を超えて東京都が出しているから高率だというのか。それとも、一二〇のうちまず国基準の一〇〇を見て、このうちの二分の一の五〇、国の部分は除きましょう。国の部分を除いた七〇の部分について都が半分を超えているから高率だというのか。それとも国基準が一〇〇あって、足している二〇、この二〇のうち東京都が二分の一を超えているから高率だというのか、そこら辺について整理をお願いします。

○熊野主計部長 お話しの例で申し上げれば、事業費が一〇〇である国基準に基づく補助金、それから継ぎ足しの事業費二〇の都加算の部分、この二つの補助金があるというふうに私どもはとらえておりまして、都加算の補助金の補助率が一〇分の一〇ということでございますので、この部分、事業費二〇の部分が高率であるというふうに整理してございます。

○真木委員 一〇〇の国基準があって、それに東京都が二〇足して一二〇である。この都加算二〇について東京都が二分の一を超えているから高率の補助だというのは、随分と誤解を招くし、理屈として無理があるんじゃないかなという気がいたします。
 都加算はそもそも都が誇るべき制度でありまして、私も二月の本会議質問の中で、本会議場の中で私は東京都の福祉を誇りに感じていると胸を張って演説をさせていただきました。まさに私の都政に立候補した原点の一つは、この福祉の都加算を守っていきたい。四十七都道府県の中で一番のこの都加算を守っていきたいというのは、私の都政を志す原点の一つでありますし、これは私だけでなく、東京都政にかかわるすべての者が誇りに思っていいものだと思うんですね。
 それは、そもそも一〇〇の中で自己負担というものがあるわけですから、都加算の部分だけで見るということは、果たして--都加算の部分が今の例でいえば二〇、この二〇が二〇分の二〇、都の補助率一〇〇%だからといって、ターゲットになるというのはちょっと無理があるなという気がいたします。
 そこで改めてお尋ねしますが、この都加算の部分が二分の一を超えることにどういった問題があるんでしょうか。

○熊野主計部長 私どもは、二〇の部分も、それから根っこの一〇〇の部分も、国庫がつくからということで聖域のない見直しの対象ではあると思っておりますが、ちょっと余談になりましたが、いずれにしろ、都加算の補助金につきましては都が任意に行う場合が多くて、さらに、そのほとんどのすべてが事業費の全額を都が補助しているという実態がございます。こうした区市町村事業の全額を都が負担する事業におきましては、一つには、事業主体である区市町村がその事業の効率性を高めるインセンティブが働かない。コスト意識を弱めてしまう、こういった懸念がございます。
 それからもう一つ、区市町村におきまして、区市町村が単独で行う事業に比べまして財政負担が低いということから、その事業の必要性、あるいは効果の検証が十分に行われずに、結果的に区市町村の自主性、自立性を阻害する、こういった懸念もございます。こういった問題があるというふうに考えております。

○真木委員 東京都は国基準で十分だと考えているわけではないと思うわけですね。国基準で足りないから都加算をしている。ですから、そこは都が上乗せした部分については国が出すわけじゃありませんし、高率になるのは当然であるんだと思います。
 そして、今理由の中で出されました事業主体が市の場合は、確かにそういった面が当てはまるのかもしれませんが、今保育園にしても、昔は確かに保育園は区がほとんどつくってまいりました。二十三区では区立保育園が非常に多い。だけども、市の方においては公設民営、ほとんどが民間の保育園であります。これからの時代の流れでいけば、事業主体が区、市ということよりも、民間がやっていることの方が多くなっていく。ますますこれから多くなっていくと思われます。私の地元の町田市においても、保育園にしろ福祉施設にしろ、ほとんどというか、大半中の大半は民間が行っているものであります。そうしたときには本当に都の負担がどうなるのか、また自己負担が計算で変わってくる。法人化しようというときに、ちょっとした計算の考え方一つで一千万円ぐらい違ってきちゃって、家を売るか売らないかなどといって本当に四苦八苦しながら、障害者のお母さん方が始めた法人、福祉施設などが四苦八苦されています。そうした中で、区市町村が事業主体であるものというものを前提に考えること自体にまず無理があるというぐあいに思います。
 先ほど申し上げましたように、国基準の中には自己負担があることが多いわけであります。東京都において、福祉局も例えばサービス推進費の見直しを行っていて、今までは勤続年数が高ければ、保育園の保母さんもその勤続年数に合わせた補助を東京都がしてくれていたわけでありますが、それを見直そうということで大胆な見直しを今、当事者にしてみれば大変なご苦労をされているわけであります。
 そういったときに、この補助を見直すというのは当然でありますけれども、都加算の部分の補助率が高いということが見直すことの例示に挙がっていることは、私はちょっと適切ではないというぐあいに思います。時代の変化に照らして補助を見直していくということがあくまで主眼であって、都加算の部分の補助率が高いというのを例示であれ示していることは、これはうちのところが削られるということで、福祉団体は本当に今どうしようか、来年か次かということで、びびりまくっています。そういったことで誤解を招きやすいので、また、この考え方は適切でないというぐあいに私は主張させていただきたいと思います。
 そうした中で確認をしたいと思いますが、この高率補助金を一律に見直すということではないですよね。

○熊野主計部長 高率の補助金は、先ほど申しましたように、さまざまな問題を内包している蓋然性が高いということでございまして、高率であることをもって一律に削減するということは考えておりませんし、すべての施策について見直しを行っていただきたいという観点で、都と区市町村、あるいは民間との役割分担、さらには区市町村の自主性、自立性を尊重する観点から、事業主体の政策判断を阻害していないかどうか、あるいは新たな視点で個々の補助金の意義、目的、内容を精査、検証した上で、ぜひともすべての施策について見直していただきたいということを申し上げております。

○真木委員 一律でないということで理解をしたいと思いますけれども、先ほど来申し上げていますように、一カ所の福祉団体とかいうのではなくて、福祉団体の連合体の東京都レベルのトップクラスですらも、物すごく制度に精通した方々であっても、この高率補助というものは一体何なのかというのを全く理解をしておりません。全くというか、誤った分母、分子で考えておりました。そして自分たちは切られるということで、それは高率補助の対象であることには理解は同じなんですけれども、びびりまくっています。
 それでもって、じゃ、福祉局に財務局からこのような指示が出たのかということで問い合わせをしてみたら、うちの補助は全部高率補助だから、高率補助を削れといったら全部を削られることになりますなんていって、全然危機感がない。当事者は物すごい危機感を持っていたんですけれども、福祉局の方は必ずしもぴんときていなかったというようなギャップがあって、非常に驚いたところです。
 現場を知っているのは、まだ財務局よりかは、福祉局や健康局を初めとする現場の方が当然知っていることだと思います。まず各局に対して高率補助だから見直せというような指示を出すことはないということの確認をとりたいと思いますし、また、補助の見直しについては主管局と十分によく話し合っていただくことを要請するものでありますが、確認をしたいと思います。

○熊野主計部長 繰り返しになりますが、高率であることをもっての削減ということは考えておりません。あくまでも事業局が主体的に見直しについては取り組むべきものでございます。ただ、私どもとしては、こういった財政状況のもと、あるいは時代変化のもとで、補助金もまた聖域ではないということを申し上げたいと思います。

○真木委員 確認がとれたかと思います。いずれにしましても大変な財政状況の中で、聖域なき見直しということについては理解をするものでありますし、何が何でも財政再建団体に陥ってはならないということを思っております。補助を見直したいのであれば、一回財政再建団体に陥っちゃえばいいんですよね。そうすれば全部ナショナルミニマムに統一しなければならないわけでありまして、財務局としては一番簡単な手法であるわけなのかもしれません、非常に逆説的でありますけれども。でも、それは絶対にあってはならないわけでありまして、東京都の誇るべきこの都加算というものをどうにかして、見直しは当然としながら、都加算の精神を守っていくということのために、財務局におかれましては、大変なご苦労かと存じますが、都庁でのペンをなめなめ、えいやっが、当事者にしてみれば、とりわけお困りの方々の当事者にしてみれば死活問題になるということに思いをいたしていただきますことをお願いを申し上げ、だからこそ、さらなる知恵を絞っていただきまして財政運営をしていただくことをお願い申し上げ、財務局の質疑を終わりたいと思います。
 本当にありがとうございました。

○川井委員長 他に発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る