財政委員会速記録第九号

平成十五年七月三日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時十五分開議
 出席委員 十四名
委員長川井しげお君
副委員長鈴木貫太郎君
副委員長矢部  一君
理事真木  茂君
理事松村 友昭君
理事桜井  武君
秋田 一郎君
北城 貞治君
鳩山 太郎君
馬場 裕子君
桜井良之助君
藤田 愛子君
藤川 隆則君
宮崎  章君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長櫻井  巖君
経理部長佐藤  広君
契約調整担当部長小山 利夫君
主計部長熊野 順祥君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長江連 成雄君
参事三津山喜久雄君
建築保全部長福島 七郎君
コスト・調整担当部長松村 光庸君
参事齊間 孝一君
主税局局長川崎 裕康君
総務部長菅原 秀夫君
税制部長三橋  昇君
参事関口 修一君
参事後関 治久君
課税部長吉田 勝武君
資産税部長山本 武志君
徴収部長小林 宣光君
特別滞納整理担当部長尾芦 健二君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 主税局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
 財務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十六号議案 都立葛飾ろう学校(十五)改築工事請負契約
  ・第百六十七号議案 都立大塚ろう学校(十五)改築工事請負契約
  ・第百六十八号議案 都営港南四丁目第三団地(第二期)建設工事請負契約
  ・第百六十九号議案 南田中トンネル(仮称)築造工事その四(十五-環八)請負契約
  ・第百七十号議案  北町・若木トンネル(仮称)築造工事及び擁壁工事(十五-環八)請負契約
  ・第百七十一号議案 旧江戸川(東葛西)防潮堤耐震補強工事(その十)請負契約
  ・第百七十二号議案 北町陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十五-環八)請負契約
  ・第百七十三号議案 日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その三)請負契約
  ・第百七十四号議案 多摩地域ユース・プラザ(仮称)整備等事業契約の締結について
  報告事項(質疑)
  ・「途半ばにある財政再建」について
  ・「東京都の会計制度改革の基本的考え方と今後の方向」について

○川井委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件の取り扱いにつきましては理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○川井委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、主税局関係の付託議案の審査並びに財務局関係の付託議案の審査及び報告事項の質疑を行います。
 なお、付託議案のうち、契約議案とPFI法に基づく議案につきましては、議長から所管の常任委員会に調査依頼を行ってあるとのことでございます。ご了承願います。
 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○川井委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百六十六号議案から第百七十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤経理部長 お手元配布の要求資料の一ページの要求資料第1号につきましてご説明させていただきます。
 今定例会に付議されております契約案件の工事種別一覧で、改築工事以下五つの工事種別につきまして、工事種別をつけた理由、根拠となる法律等、担当局を記載しております。
 資料の説明は以上でございます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○川井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。
   〔発言する者あり〕

○川井委員長 資料を今一つしか説明しなかったんだけど、案件ごとに、ずっと資料を全部説明してから入っていったんだけれども、今これしか説明しなかったんだけど……。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○川井委員長 速記を再開します。

○熊野主計部長 それでは、私の方から、要求資料第2号及び第3号についてご説明させていただきます。
 まず、二ページをお開きいただきたいと思います。要求資料第2号ですが、この表は、財政再建推進プラン別紙2に掲げる事業の一覧でございます。
 すなわち、十一年度予算におきまして一般財源充当額が五億円以上の事業百三十八事業につきまして、十一年度予算額と十五年度予算額を比較したものとなっております。二ページの一番上、テレビによる都政広報が一番左にございます事業名でございまして、その後、右側に移りまして、十五年度予算、十一年度予算、増減額となっております。
 以下百三十八事業につきまして七ページまで掲げてございます。七ページの合計額のところまででございます。
 引き続きまして、資料第3号、八ページをごらんいただきたいと思います。これは、東京都が行っております補助事業のうち、補助率が二分の一を超える補助金の一覧でございます。
 全部で千五百三十一事項のうち、二分の一を超えるものが六百二十九事項ですが、ここの表では、次のページまで、十億円を上回るものをめどに掲げてございます。
 以上で、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。
 よろしくお願い申し上げます。

○川井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○矢部委員 資料をお願いいたしました関係から、何点か質問をさせていただきたいと思うんです。
 唐突に契約議案の中で工事の種別について問われて、大変驚かれたり、戸惑われたかなという感じがしております。しかし、私も建設業を営んでおりましたので、自分でこの工事の種別を見たときに、民間の工事の種別と都庁の種別とはちょっと違うのではないかなという感じを改めて持ったところであります。そういう観点と同時に、また、これをずっと調べていきますと、各局ごとにも違う。その時代の流れというか、この中ではこういう表現をした方がいいというものもあるんでしょうけれども、そういう違いを感じるところでございます。
 何がかといいますと、建築について申し上げますと、改築工事というのが一番先にここに出ていますけれども、民間で建設しようとして確認申請をしようとするときには、一度あった建物を全部除却してそこに新たに建てるというときは新築工事、こういうわけですし、確認申請上もすべて新築工事というふうに届け出るわけです。しかし、東京都の中では、条例を定めて、その中に、どこどこに何々を設置するというような設置条例があるという中で、あったものを建てかえるんだから改築、こういうふうにとらえているわけで、件名だとか工事の種別という中には、そういう表現になっているわけです。
 しかし、都民の皆様から陳情があった中に、たまたま渋谷の消防署が今改築工事をしているんですね。しかし、確認申請上は--確認じゃなくて、東京都の建物だから、計画通知のようですが、計画通知上は新築工事として届け出るわけです。なのに、仮囲いに書かれている看板は、渋谷消防署改築工事と書かれている。全部壊して全部建てかえるのに、何で民間は新築で東京都の建物は改築なんですかという問い合わせがあって、改めて考えてみると、なるほど変だなということなんでございます。
 なかなか、どちらが正しいということもあるでしょうけれども、今、だんだんに役所の言葉も、都民の皆様と同じ観点から見て同じに理解できるようにしていこうというような全体の傾向がある中で、こういう表現がされているものですから、これらについて、全体、統一をされる方がいいんだろうし、こういう議案になるときの言葉と、町中に表示するときの言葉とは、一般的な世の中で使われている言葉で表現をした方が誤解が生まれないのではないか、こういうふうに思うんです。そういう観点でお尋ねさせていただくんですが、いかがでございましょうか。

○福島建築保全部長 ご指摘のように、各局でそれぞれ工事件名を決定しているところでございまして、局によっては工事件名の表示方法を独自に定めているところもございます。今後、都民の皆さんが工事内容を理解しやすい表現とする必要があると私ども考えておりまして、発注が複数局にまたがりますので、今後連携をとりまして、工事件名の設定に関する取り決めといいますか、要領的なものの制定を検討しているところでございます。

○矢部委員 すぐに取り上げていただいて検討していただくというのはありがたいことですが、今までやっていたことが何なんだろうということもあるでしょうし、この時代の流れの中で、わかりやすくということの中ではぜひそういうふうにお願いしたいと思うんですけれども、各局にもわたる部分もありますから、そう簡単にもいかないでしょうし、建築だけについて申し上げればそういうことですが、土木のものもあれば、そのほかのものもあるわけですから、全体の使われ方をこの際ちょっと整理というか調査をしていただいて、調整がつくものならば前向きにご検討いただきたいと思うんですが、そういう解釈でいいんでしょうか。

○福島建築保全部長 確かにご指摘のとおり、工事にはいろんな態様がございますので、建築物に限らず、さまざまな工事につきまして、統一的な名前にするという目標がありましても、なお、よりそれぞれの工事が具体的にわかりやすく伝わるという観点から、どの程度まで統一的なものがとれるかということにつきまして、今鋭意調査をしているところでございますので、追って、そのような内容につきましても、私どもの考え方を示して、各局と連携をとってまいりたいと思います。

○矢部委員 次に、工事の契約議案としてここに出されているものですが、例えば、一番目の都立葛飾ろう学校改築工事、これについて申し上げますと、落札率九八・〇六、これは大変すばらしい数字の出方でございますし、建設工事の場合は、特に積算事務所というのがあって、そこが全部積算をすればそんなに違った数字にはならぬ。あるいは大手のゼネコンであれば、それなりのノウハウを持って積み上げていくわけですから、これもそんなに違った数字にならぬ。これはわかるんです。
 しかし、そういう中でも、片や、今は事前に予定価格を公表するという中で、契約議案にならない案件については、予定価格から何でも二〇%を引いた数字を入れればいいんだ、こういう感覚で実際に作業が行われている部分が物すごく多いというふうにお聞きいたしております。現実、事前公表をされるわけですから、もうそれに掛ける八〇%で、何の理屈もなしに数字が出る。それで、それこそ宝くじより高い確率で当たる。ましてや抽せんになっても、十五者ぐらいで、十五分の一ぐらいの確率で当たってしまうというような作業が行われている例が物すごく多いと聞いております。こういうことで本当にいいんだろうかと。
 建築にしても土木にしても、積算というものはそれぞれ持っていて、また、施工の技術を持っていて、そういう中で積み上げられたノウハウがあって、その積み上げた数字の差が出てきて、そういう中で一番低いところが落札をするというのはわかるんですけれども、そうではない、単純な算数、ゲームで結果が決まってしまうというようなことは極めて遺憾だと私は思うんです。ましてや、そういうことが物すごくあるというふうに聞いていることはゆゆしき問題だと思うんですが、いかがでございますか。

○小山契約調整担当部長 ただいまの予定価格に八〇%を掛けて入札額を算定し、入札に応じるというような現象につきましては、近年だんだんにふえていることは、先生お話しのとおりでございます。私どもといたしましては、そのようなものもきちんと算定をされて出てくるというふうに信じたいところでございますけれども、中には、ただ八〇%を掛けて出てくるといったようなものも、否定するところまではいい切れないだろうというふうに思っております。
 私どもといたしましては、そういったようなものから出てくることによる履行の確保の問題、これをやはり重大視していく必要があるだろうというふうに思っておりまして、そのようなことによって履行が確保できないという状況を防ぐといったような意味から、工事の管理監督の強化に努めてまいりたいというふうに思っております。

○矢部委員 そうあってほしいと思っておりますが、結果どうするかというと、その中で下請をさせるというような作業の中で、無理やりおさめてしまう。だから、表に出た結果は、ちゃんと技術力のあるところが下請をして仕事をするから、今のお話のようなことにならずに、きちっとしたものになってしまうということが繰り返されているんですね。何の元手もない、ペーパーカンパニーで事務所と電話だけというようなところが、経費も全部かかりませんから、物すごく横行しているという現実です。
 このペーパーカンパニーを排除するというのもなかなか難しいでしょうが、今お話しのような形だけでいきますと、つかめない。だから、実際にその事務所が実体があるのかないのかという調査をするというようなこともあるでしょうし、また、最近は、この四月以降の入札契約制度の改善というようなことでの取り組みをされているわけですから、こういうマニュアルに沿っていけば、だんだんに改善はされていくんだろうと思うんですけれども、なかなかそんなことをいっているよりも、それこそ背に腹はかえられない、工事をして幾らかでも利益を上げた方がいいんだということがどんどん進んでいってしまうと、これはもう悪循環でしかないというふうに思うんです。
 何かそういう意味での、きちっと、財産というか機械を持って会社を構えて、東京都にきちっと税金を納めて、それで、雪が降れば、それこそ重機を出して除雪をしているというような地道にしている人たちが、結果として泣いているようなことというのは物すごくおかしいと私は思っておりまして、それを理解がされないで、ただ、これからはまたさらに電子入札なんというような方向へ進んでいきますと、もっと見えなくなっていってしまうというようなことでは、大変危険を感じるんですね。
 だから、ある程度抜き打ちでも、何か調査をするというような仕組みをつくっていただかないとならぬというふうに思っておりますが、どうなんでございましょうか。

○小山契約調整担当部長 先生方ご案内のとおり、私ども、十三年度から十四年度、そして十五年度と、契約制度につきましては種々の改善を図ってきております。その中で、不良・不適格企業の排除というところには相当の重点を置いて検討をしてきております。また、実施をしてきているところでございます。ことし四月から行ったものを見ましても、不良・不適格企業の排除という観点から、不良企業につきましては非常に厳しい罰則、指名停止期間の加重だとか、そういったようなことをやってきております。
 それから、逆に、いいところにつきましては、指名の優先、その企業の確認をした上で格を上げていく、こういったようなことも取り組んでおるわけでございまして、そういった中で、先生ご指摘のような不良・不適格企業が排除されるように努力をしていきたいというふうに思っておりますし、工事に取りかかった際には、私どもの方の建設保全の部隊の中に工事の監督に務める部署もございまして、そういったようなところが抜き打ちで工事体制、工事施工体系台帳等の視察、聴取を行いまして、不良の工事現場につきましては厳重な注意を与える、こういうようなことに取り組んでいるところでございます。

○矢部委員 これで終わりにしますけれども、そういうのが事前に相手に伝わってしまえば、もう何にもない話でございますから、それこそきちっとその結果を情報開示するなり、悪徳についてはそれこそ厳罰に処すような覚悟で臨んでいただきたいと思っております。
 それから、経営事項審査だとか、実際の業法関係のところの取り締まりというのか、抵触するかどうかというようなことは、都市計画局がするという部分と、実際の契約の事務は財務局が行ったり、それぞれの局が行うというようなところのずれが出てきますけれども、現実、私たち、業としている者は業法に触れるという部分がありますが、契約上はそういうところは余り表現はされずに済んでしまう。しかし、結果として業法違反になるということも起こり得るんですね。
 財務局はきちっとやっているようですけれども、東京都の中のほかの局では、必ずしもそれが徹底していないところもあるようでして、同じ東京都というくくりの中でとらえられてしまいますから、業法については、例えば、特定建設業なんというようなことについても、せっかく取った資格がきちっと履行されるように、また、結果として都民が不利益をこうむらないように、確固たる指導をお願いいたしたいと思います。

○小山契約調整担当部長 ただいま、先生、一例ということだろうと思いますが、特定建設業というお言葉を出されました。特定建設業につきましては、下請に出す場合の金額が合計三千万以上になる場合には、特定建設業の許可がなければ下請に出せないというようなことでございまして、これにつきましても、やはり管理監督部門で厳重に監督をしているところでございますが、契約上におきましても、今後、そういったような特定建設業の許可が必要な契約等につきましては、特定建設業でなければ応札ができないといったようなことを考えていくというふうにしてございます。
 具体的な要件につきましてはただいま詰めておりますので、そういったようなことで特定建設業をきちんと位置づけた上での契約をやっていく、こんなような対処を考えております。

○真木委員 財政委員会に所属をさせていただきまして、二年が間もなく終わろうとしております。そんなにまじめに契約案件を見たことは余りないんですけれども、今回、ぺらぺらと見ておりますと、普通、入札といいますと、数が少ない方が、値段の低い方がとるわけでありますが、今回、数が多い方がとっている案件がございました。なるほど、これが総合評価かということで、初めて見たような気がいたしまして、二年間おりますけれども、議会案件となる九億円超においては、総合評価、初めて登場したんじゃないかなというぐあいに思います。
 これまで総合評価が導入されて、どれぐらいの規模の工事がどの程度行われてきたのかを、まず確認したいと思います。

○小山契約調整担当部長 公共工事での総合評価競争入札でございますけれども、平成十三年度から導入をしてきておりまして、改修や補修等の比較的小規模な工事を今までやってきております。十四年度までに、そういったような工事を六件実施してきてまいりました。今回の付議案件につきましては、それに比して比較的大規模、比較的というより相当大規模というようなことでございます。このような大規模工事につきましては、総合評価制度適用は初めてでございます。

○真木委員 九億円超では初めての工事、今までも六件しか行われていないということでありますが、今のこの安値入札が続いている中で、総合評価方式というのは私は高く評価していいんじゃないかなというぐあいに思っております。安くつくればいい、つくるときだけ安ければいいということじゃなくて、維持費はどうなのか、そういった観点で見ていく必要もありますでしょうし、現代的な意味としては、省資源、環境対策ということも求められてまいります。そういったことまで含めて評価することができる総合評価入札というものを、もうちょっとふやしていくべきじゃないかなというぐあいに思っているわけでありますが、東京都は、今のところ、三年たった現在、三年の途中だと思いますが、この総合評価入札をどのように評価しておりますでしょうか。

○小山契約調整担当部長 建設工事費だけではなくて、ライフサイクルコストですとか、環境・省資源対策といった要素が重視される工事におきましては、価格競争だけで落札者を決める従来の入札制度よりも、技術的な要素と価格面の要素を総合的に評価するこの総合評価制度方式の方が適しているというふうに私どもも考えております。今後とも、本方式を採用することが有効と思われる案件につきましては、積極的に活用を図ってまいりたい、そんなふうに検討してまいりたいと思っております。

○真木委員 過去六件のこの総合評価入札において、具体的にどういった点においてすぐれた点があったのか、幾つか挙げられる事例があったら挙げてください。

○小山契約調整担当部長 幾つかの点がございますが、一つは、エネルギー使用量等を評価することによりまして、ランニングコスト等の削減に効果があったといったようなことで、都立足立東高等学校及び東京都荒川都税事務所の昇降機設備改修工事、これは十三年度に実施したものでございます。さらに、都立豊島地区商業高等学校改修増築冷暖房設備工事、これは十四年度に実施したものでございます。
 また、施工日数の短縮を評価することによりまして、交通規制等による社会的影響を減少する効果があったものとして、蔵前橋耐震補強及び補修工事、これは十四年度でございます。東京都八重洲駐車場床面改修工事、これも十四年度でございます。このような例がございます。
 なお、今回ご審議をお願いしております都営住宅港南四丁目第三団地(第二期)建設工事につきましては、工期、ライフサイクルコスト等について評価することにより、コストの削減を期待できるものと考えております。

○真木委員 今ご説明をいただきましたように、具体的な成果を上げているわけであります。しかしながら、三年近くたとうとしているのに、過去において六件、今回で七件しかまだない。そして、今までは小規模のものでしかなかった。まず、これの数が少なかった理由というものは、どういったことが考えられますでしょうか。

○小山契約調整担当部長 総合評価方式を実施するに当たりましては、地方自治法施行令の規定に従いまして、外部の学識経験者を含む技術審査委員会を設置して、この方式を採用するか否かの決定、それから、審査基準の決定、技術提案の評価を行う等の手続を踏む必要がございます。このために、通常の方式に比べまして、契約の締結までに、外部委員の委嘱とか、実施要領の作成とか、技術審査委員会の運営とかといったようなことで調整に大分時間を要しているところでございます。このことによりまして、案件の性格や、契約までに許された期間、こういったようなことから、この方式が採用できない、採用が困難だといったようなことになる場合もございます。

○真木委員 具体的な成果を上げている。東京都としても、これからもふやすべきじゃないかと考えている。考えていながらも、今まで少なかった理由としては、地方自治法施行令、国の規定によって縛られていて、時間が足りなくなってしまっている、そういった現状があるんだと思います。まだ多くの自治体で採用されているものではないと思いますが、東京都が先陣を切ってやられているこの制度の中で、国にこういったところを改善してもらえば、もっともっとふやせるよというところがあるんだと思いますね。国への要望事項、そしてまた、東京都としてどのような工夫があるべきか、そういった改善点、今挙がっている、整理できているところがありましたら、お教え願います。

○小山契約調整担当部長 総合評価方式での実施に当たりまして、現行の法制度では、かなり複雑な手続を必要としております。そのために、今後とも私どもといたしましては、実績を積み上げる中で、手続の簡略化、手続期間の短縮化を初めといたしまして、より効率的、効果的な活用が図れるように、都として改善すべき事項の検討を進めまして、国に対しても要望すべき事項を取りまとめてまいりたいというふうに思っております。積み上げる中で、具体的な検討を今後進めてまいります。

○真木委員 議会としても、意見書等で協力できることは幾らでもしていきたいというぐあいに考えておりますので、ぜひ早急に問題点を整理していただきたいと思います。
 実は、総合評価方式、全く問題がないわけでもないと思います。技術点をどのように評価するのかという問題もあろうかと思いますが、議会の方に配られました契約議案の概要について、この資料を見ますと、価格が書いてあって、総合点は書いてありますが、技術点は記入されていない。住宅局から取り寄せた資料を見れば、この案件につきましては、技術点も詳細に、全入札参加者の技術点まで書かれております。過酷なものかなという感じもいたしますが、過去の六件につきましても、技術点は公表されているんでありましょうか。そこを確認いたします。

○小山契約調整担当部長 過去、現在含めまして、まず、この総合評価制度の技術点関係の公表関係につきましては、入札公告、また要件ごとに定めます実施要領において技術評価の審査基準を示しておりまして、これを公表しております。これが前段でございます。
 そして、落札者の決定後におきましては、技術点、価格点及び総合評価結果を公表しております。入札経過調書等に公表してございます。

○真木委員 技術点を発表して、結果としてだれがとったかということが明白である、そのことは当然でありまして、今そのことをお約束いただきました。
 ただ、その技術点を今度評価する考え方、公正に技術点を評価するということがポイントになってまいります。どうしても技術点というのは主観的な要素が入ってしまうがために、より客観性を求めていくということが、この総合評価方式を普及させていく重要なポイントになるんだと思いますが、そうかといって、実際には各局ごとに総合評価方式を導入して入札しているという実態がありますので、大もとであります財務局が、その客観性の確保のために適切な指導をしていく必要があると思いますが、財務局としての指導、どのような配慮をされておりますでしょうか。

○小山契約調整担当部長 総合評価方式におきましては客観性が求められるということは、先生お話しのとおりでございます。総合評価方式の技術評価につきましては、より公正、公平な評価が図れるよう、あらかじめ二人以上の学識経験を有する外部委員の参画を得まして、この方式の採用の是非及び落札者の決定基準を定めるとともに、標準的な評価項目の決定と各局への周知及び評価基準の事前公表を実施しているところでございます。
 また、これらにつきましては、要領等、通知文等で指導しておりますし、また、個別の案件の中で財務局に相談のあったものについて、こういったような打ち合わせの中で指導しております。

○真木委員 ぜひ、総合評価方式が云々と後ろ指を指されないように、客観性の確保に向けてさらなる努力をお願いしたいと存じます。
 さて、過去六件、今回の七件目、すべて工事でございます。こうした総合評価方式、技術を十分検討していくというのが、設計の分野においてもっともっと活用されていいんじゃないかというぐあいに思うわけでありますが、設計の分野における総合評価方式を多用していくという考え方はございませんでしょうか。

○小山契約調整担当部長 先ほどのご答弁とちょっと重なりますけれども、総合評価方式につきましては、ライフサイクルコストの低減効果、それから、環境への配慮等を目的としてこれを採用するというようなことがございます。この方式をより有効に活用するためには、工事だけではなくて、設計案件においてもこの手法を取り入れることが望ましいというふうに考えております。
 しかしながら、工事案件とは異なりまして、設計については、評価資料としてどのようなものを提出させるのか、こういったようなところで、その評価方法についてはさらに研究、検討を加えていかなければならない面もございます。そのために、今後、設計業務につきましても、これらの課題の整理を進めつつ、総合評価方式の採用が有効と認められる案件につきましては、積極的に活用を検討してまいりたいというふうに思っております。

○真木委員 昨今のデフレスパイラル、不況の中で、やっぱり安かろう悪かろうの入札が続いているんじゃないかという懸念がございます。十五年度改革の中で、工事成績評定を重視するという改革をしていただきました。そして今度は技術をさらに重視していくというこのような総合評価方式がより普及していくことが、安かろう悪かろうと思われるような安値入札に一矢を報いることになるんじゃないかという希望を持っておりますので、どうぞ引き続き総合評価入札制度の積極的な活用とさらなる研究をお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○藤田委員 提出予定案件の工事請負契約議案についての中で、三番目の都営港南四丁目第三団地の建設工事についてお伺いいたしたいと思います。
 実際にこの契約案件を見てまいりますと、葛飾ろう学校の一番目のところは落札率が九八・〇六、二番目も九八・一八、四番目の南田中のところは九八・九〇というように、先ほど来お話があるように、非常に高どまりの状況になっています。
 私は、この三番目にあります都営港南四丁目団地のところでございますが、落札率が七四・五%という、これだけが非常に低い状況にあるということでお伺いさせていただきたいわけですけれども、私たちもこれまでも落札率が高どまりするというのは、ある意味では、もちろんそればかりではありませんけれども、きょうも、平成八年でしたでしょうか、水道関連の談合の話が出ておりましたし、それから、二〇〇二年には議員立法によって官製談合防止法というようなのができるなど、まだまだこういう状況が決してないとはいえないというところで、一つの方法として、落札率を公表することによって工事の契約金額を下げることが可能だということを再三申し上げてまいったわけでございます。
 今回のこの契約について、まず、どのような経緯で金額が下がったのかということをお伺いいたしたいと思います。

○小山契約調整担当部長 今回の契約付議案件の入札結果につきましては、私どもといたしましては、いずれも入札参加者間での公正な競争の結果と認識をしております。ご指摘の都営住宅港南四丁目第三団地(第二期)建設工事は、設計施工一括発注方式と技術提案型総合評価方式とをあわせて採用したものでございまして、このことによりまして、民間の低コストですぐれた技術提案を求めた結果、落札企業だけではなく他の企業においても応札金額が低く、設計を含めた全体にわたりましてコストダウンの成果が得られたものというふうに考えております。

○藤田委員 実際に七四・五〇%の大林・協和・三建が契約をしたわけでありますけれども、総合点の中の技術点の中で非常に差が出たかなというような状況の中、七三・三%、あるいは八三・一%、八六%というような、そんな落札率ということで、非常にここの部分ではある意味では価格がダウンしているわけですけれども、今回の契約と、これまでの都の契約、あるいは、今回もありますけれども、他の状況との違いは何だったのかをお示しいただきたいと思います。

○小山契約調整担当部長 今回の工事案件につきましては、同一地区内に整備される防災広場の早期完成を求める地元要望への配慮がございまして、工期の短縮が求められたということがございます。このことによって設計施工一括発注の形態となったものでございます。また、さまざまな高層マンションの建設を手がけてきております民間企業、こちらの方でコスト低減のノウハウを保有をしております。このノウハウの活用が可能となる高層住宅が今回の対象工事であったといったようなことから、技術提案型総合評価方式を採用したものでございます。しかしながら、通常の工事契約の案件につきましては、中小建設業受注機会の確保を図るため、分離分割発注を原則としているところでございます。

○藤田委員 もちろん中小企業の受注確保を図るために、従来から分離分割発注に取り組んで配慮してきたことは十分わかるわけでありますけれども、じゃ、ある意味で、今までだって、結局工期の短縮というのはいつだって求められるはずでありますし、そして、価格を引き下げることは必要なわけでありますけれども、なぜそれが、中小企業が入って分離分割発注に踏み切った場合には、こういう価格を下げることができないというような状況になるんでしょうか。

○小山契約調整担当部長 通常の工事におきましては、我々の方で適正な単価をもとにいたしまして見積もりをしたものが基準となるということでございます。今回の工事案件につきましては、総合評価競争といったようなところで、そのようなものにつきましての工夫が民間企業に求められた。そういったようなところからこのようなコストダウンが図れてきているということでございまして、分離分割発注、それから中小企業が入ったからコストが高くなるとか、コスト低減が図れないのかといったようなことではないというふうに考えております。

○藤田委員 いや、そうじゃないんじゃないですか。ここでは今までとどういうふうに違ったのですかというふうにお尋ねをいたしましたら、工期短縮が求められて、設計施工一括発注の形態になったから安くなった、それから、総合方式も採用したから安くなったというようなお話があって、これは設計施工が一括発注だった、中小企業は入っていないから安かったというふうにお答えになったわけですよね。ですから、そこのところで、じゃ、中小企業が入ったらなぜ高くなっちゃうのか、それで、工期はなぜ短縮できないのかということをお尋ねしたんです。

○小山契約調整担当部長 今回の工事案件につきましても、中小企業が入っていないわけではございません。JVの中に中小企業が入っております。異業種特定JVといったような形で中小企業が入っております。まず一つ、この点はお断りをしておきたいというふうに思います。
 通常の中小企業が入る案件につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、通常の見積もりによりまして、通常の工期をこちらの方から提示する、その前提でもって契約が結ばれるわけでございます。その中で、もちろん工期の短縮を図っていただくことはありがたいことでございますが、これを競争の要件というふうにしているわけではございません。

○藤田委員 それでは、これからもぜひこういうような落札率を引き下げること、それから、あえて工事の期間をどのくらいでやれるかというのを、今回の工夫をぜひ重視して、工夫をいろいろやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○小山契約調整担当部長 落札率を引き下げる工夫というふうにご質問を理解させていただきましたが、入札に当たりまして、公平性、透明性の確保とともに、競争性を高める観点から、都はこれまでに予定価格の事前公表、一般競争入札範囲の拡大、入札契約情報の公表といったような入札契約制度の改革に取り組んできたところでございます。工事案件の契約につきましても、当然のこととして、可能な限り経済合理性を求めるということがございます。一方では、高い品質の施工確保も求められている。そのために、最低制限価格や調査基準価格を設ける中で、適正な競争が確保されることが望ましいというふうに考えております。このような観点から、適正な競争性の確保を図ることができるよう、今後とも引き続き入札契約制度の改革に取り組み、着実に運用してまいりたいというふうに思います。

○藤田委員 最後に要望だけしておきますけれども、とかく公共事業は期間が長い、それから、今回の代表質問の中でもさせていただきましたけれども、シックスクールの問題だとかなんとかで、なかなかマニュアルがあっても、それがきちっと使われないというような状況が、今回の大きな問題にもなったかと思いますので、入札を、さらに電子入札などこれからの新しい形の中で、談合といわれるようなことがないように、そして、なお一層の都としてのマニュアルづくりなどの中で、トップの工事をしっかりやっていただきたいということをお願いいたしまして、終わりにいたします。

○川井委員長 他に発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○川井委員長 次に、報告事項、「途半ばにある財政再建」についての質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について、もう一度理事者の説明を求めます。

○熊野主計部長 まず、資料の二ページをお開きいただきたいと思います。
 要求資料の第2号でございますが、財政再建推進プラン別紙2に掲げる事業の一覧でございまして、別紙2では、十一年度予算におきまして一般財源充当額が五億円以上の事業百三十八について記してございます。
 その各事業につきまして、本資料では、左側から事業名、十五年度予算額、十一年度予算額、これらを比較しました増減額という形でお示ししてございます。
 以下七ページまで、百三十八事業の一覧でございます。
 続きまして、要求資料第3号についてご説明申し上げます。
 八ページをお開きいただきたいと思います。補助金のうち補助率が二分の一を超えるものの一覧でございます。
 左側から、局、事業名、補助率、十五年度予算額をお示ししてございます。
 なお、全部で千五百三十一項のうち、二分の一を超えるものが六百二十九と多うございますので、今回は十億円以上のものを目途にお拾いしてございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○川井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○秋田委員 この冊子、「途半ばにある財政再建-第二次財政再建推進プランの策定に向けて-」というのは、都の財政運営と財政構造の変化を忌憚なく書いてあるのかなというふうに、読んだ限りではすごく思います。その中で、総論的な部分を六つほど質問させていただければと思います。
 この冊子の特徴を一番あらわしているのが、この目次でもいいんですが、このサブタイトルかなというふうに私は感じております。例えば、「今も続く『財政再建団体転落』の危機」ですとか、「収支のギャップが埋まらない」、「右肩上がりは終わった」、「都財政の『可処分所得』が減っている」、こういったサブタイトルが、実に今、都の財政が置かれている現況を示しているものなのかなと思っております。
 そこで、まず第一点の質問に移らせていただきたいと思うんですが、この第一章のところのサブタイトルにある「今も続く『財政再建団体転落』の危機」という部分についてなんですが、第一次財政再建推進プランの成果については、平成十五年度予算の発表の際、都が独力で対応可能な部分については一〇〇%以上達成したと財務局がいったのがついこの間のことだと思いますし、また、五千九百億円の財源を確保したともおっしゃっております。にもかかわらず、財政再建が「途半ば」というのでは、一体この前の第一次再建プランというのは--うまくいったというのに、まだ「途半ば」というのはどういうことだろうということで、すごく戸惑われるのではないかなと思っております。
 そこで、第一次プランに取り組みながらも、いまだ財政は危機的な状況が続いているのかという部分で、「今も続く『財政再建団体転落』の危機」の意味をわかりやすく説明してください。

○熊野主計部長 都は、これまで、推進プランの取り組みを進めることによりまして、辛うじて財政再建団体への転落を回避してまいりました。しかしながら、十五年度予算では、景気の低迷が長期化いたしまして、プランで見込んだ都税収入額を大きく下回る、あるいは税源移譲がまだ実現していない、そうしたことによりまして二千五百億円もの財源不足が生じて、臨時的な財源対策を講じて辛うじて予算が編成できたという状況にございます。
 現在、財政再建団体に転落する都の赤字限度額は、約二千七百ないし二千八百億と推計されますけれども、この臨時的な財源対策二千五百億円がなかりせば、財政再建団体への転落も十分あり得るのが現状でございます。
 今後、毎年度、赤字限度額を超えます三千億から四千億という巨額な財源不足が見込まれておりますけれども、これまで行ってきたような財源対策をいつまでも続けることは不可能でございますので、今こそ思い切った歳出削減を実施して、身の丈に合った歳出規模を速やかに実現しなければ、財政再建団体への転落というのが現実のものとなってしまうわけでございます。こうしたことから、今もなお財政再建団体転落の危機が続いていると申し上げております。

○秋田委員 今の主計部長のお話を聞くと、財政再建団体転落の危機は、第一次プランで五千九百億円もの財源を確保した後でさえ継続されているということだと思うんですが、この二〇ページに書かれているように、さらに将来に目を転じてみると、三千から四千億円程度の財源不足がさらに見込まれているとあります。ということは、四千億円と五千九百億円をプラスして、九千九百億円の努力が今後必要ということで、九千九百億円、もっとわかりやすい数字でいえば一兆円ですよね。それだけの努力が必要になるということは、これは生半可な取り組み方では今後立ち行かなくなるということだと思います。
 そこで、イメージ的なもので構わないんで、主計部長は、この二次のプランにどういった目標を掲げているのかを教えてください。

○熊野主計部長 私の頭の中でもまだ固まったものがあるわけじゃございませんので、大変難しいご質問になるんですが、まず、私としては、財政というのは都民サービスを安定的、継続的に供給する手段でございますので、決して財政至上主義に陥ってはならないと考えております。つまり、財政再建の本当の目的は、時代に即した新たな都民ニーズに対応し得る強固で弾力的な財政体質を確立することにあると考えております。
 したがいまして、こういうことを基本に踏まえまして、財政再建に当たって目標とすべきは二つあるのではないかと思っております。
 一つは、都税収入の実勢を踏まえて、財政規模を身の丈に合ったものにするという量的な側面でございまして、一言でいえば、入るをはかって出るを制すということだと思っております。
 もう一つの側面は、時代は刻々と変化してございますので、その中で新たな都民ニーズも次々と生まれてきているわけで、そういったものに対応していける質的な側面でございまして、財政の弾力性の回復を図って財政体質の改善に努めることが、もう一つの目標だと思っております。
 より具体的に申し上げれば、量的な側面では、財政不足を解消すること。つまり、背伸びをせずに、確実に見込むことのできる歳入の水準まで歳出を削減する。と同時に、これまでのように薄く広く経費を節減するということではなくて、思い切った発想の転換を図って質的な改善を図っていくということが目標だと思います。
 二つ申し上げましたけれども、これらは当然のことながら表裏一体の関係にあるのではないかと考えております。

○秋田委員 施策の見直しというのは、単年度限りの、どちらかというと節約型になりがちだと思うんですが、小泉さんじゃないですが、構造的な取り組みが必要だということだと思います。
 それと相反するわけじゃないんですが、私が思うのは、例えばトヨタ自動車なんというのは、現場の意見を吸い上げて、「カイゼン」していくというような取り組みにずっと昔から取り組んでこられたわけです。「カイゼン」というのは、かんばん方式とともにトヨタの中ではすごく有名な経営手法の一つとして、アメリカの大企業のトップマネジメントの人は皆様よくご存じですし、ビジネススクールの授業の中でも、今申し上げたかんばん方式とともに、日本の企業の成功例の一つの経営手法としてよく取り上げられているというぐらい有名な方式なわけです。
 ここで重要なのは、これはある種、私のお願いでもあるんですが、都の職員というのは膨大な数いらっしゃるわけですね。膨大な数の分だけ、私は知恵があるんだろう。その数分だけの知恵があるんだろうというふうに私は良心的に解釈したい部分がございます。特に、若い方なんかは、ここをこうしたらいいんじゃないか、ああしたらいいんじゃないかということを結構考えているんじゃないかと思うんですね。ですから、私が申し上げたいのは、トヨタのカイゼン方式というのは、結局、ボトムアップじゃないですが、それぞれの現場の意見を吸い上げるということだと思いますので、特に、疑問をまだまだ抱き続けている若い職員の方の意見を、課長さんぐらいのクラスの方が積極的に取り入れていただいて、そこから内部努力がうまく積み重なって始まっていくのかなというふうに私自身は思っております。
 そういった現場主義が都庁組織のDNAとして根づいていって、都の職員がみずからの仕事を常に新たな目線で見直すということが、先ほど申し上げた構造的な取り組みに最終的にはつながるんじゃないかなというふうに思っております。
 ちなみに、トヨタのカイゼン方式については、「東洋経済」という雑誌の二〇〇三年ですかの二月二十二日号で特集されておりますので、ぜひともご一読いただければいいと思いますし、また、「カイゼン」については本がかなり出ていますので、お暇なときにお読みいただければと思います。
 そこで、質問に移らせていただきたいと思うんですが、私は、この二四ページにあるように、「新しい発想で都政を変える」といった部分に大いに期待しているわけなんですが、この「新しい発想で都政を変える」というのは一体どういうことなのか、具体的にご説明いただければと思います。

○熊野主計部長 都財政は、これまでも何度か財政危機に見舞われてまいりました。ただ、現在と全く状況が異なるのは、過去の財政危機のときには、トレンドとしてやはり経済が右肩上がり、都税収入を中心とする歳入もまた伸びておりました。こうしたことから、これまでの取り組みというのは、いわば節約型の削減というふうな色彩が濃くて、それとて、もちろん危機の回避のためには必要なものなんですけれども、ともすれば既存の施策体系あるいは実施方法が温存されてきたという側面も否定できないと思っております。今回は、やはり右肩上がりはもう望めない、都税収入に依存して財政規模を拡大させることは解決にならないといった状況の中で財政再建を進めなければなりません。したがいまして、今後は、節約型の取り組みだけで財政再建を果たしていくことは困難であると考えています。
 こうしたことから、施策の見直しに当たりましても、根本にさかのぼって、都政の守備範囲、どこまで仕事をやるべきなのか、あるいは仕事の進め方などについて、構造的な問題につきまして、新しい発想で見直すことが必要であろうと思います。
 具体的には、先生今おっしゃったように、現場からの発想というのは大変重要でございますので、現場を持つ各局、あるいは職員の一人一人に考えてもらうことが大変重要だと思っておりますけれども、私の頭の中の一例を申し上げれば、例えば、もう民間にゆだねられるものは民間にゆだねていく、あるいは、これまでスクラップ・アンド・ビルドを徹底するというふうに申し上げていましたけれども、もう相対的に必要が薄れたものについては、経費削減ではなくて、思い切ってやめて、新たな必要な事業に上乗せしていく、そういったことを優先順位をつけてやっていくというふうなことも必要だろうと思います。
 それから、例えば内部努力で申し上げましても、定数削減に懸命に取り組んで、目標を上回る定数削減をやりましたけれども、今後同じような方法では、これ以上なかなか難しいだろう。そこで、窓口業務であるとか、あるいは管理部門の機械的な業務ですとか、そういったものは思い切って人材派遣で解決するとか、あるいはアウトソーシングしちゃう、そういった思い切った手法も必要だろうと思います。
 それからもう一つ、仕事のやり方としまして、例えば認証保育所のように、国基準という枠を超えて、都民の要望に対して低コストでこたえられるような仕組み、そういったものを工夫していく、そういったことが考えられるのではないかと思っております。

○秋田委員 厳しい財政状況の中、施策の見直しをせざるを得なくなるということであれば、まず隗より始めよという言葉どおり、都みずからもまた血を流す努力をしないと、都民の皆様からはやはりご理解をいただけないのだろうというふうに思うわけで、その意味で、今、主計部長おっしゃったようなアウトソーシングなんかは、一般企業では当たり前のように今や行われていることですので、ぜひとも、先ほどおっしゃったような大胆な発想で頑張っていただきたいと思っております。
 そうした聖域のない施策の見直しの大前提である内部努力の徹底について、もう一度この場をかりて声を大にして要望しておきたいと思います。
 次に、第二次プランの具体的な検討については、先日の知事の所信表明にもありましたけれども、鋭意進められているということでございますが、この取り組みも、のんびりと悠長に構えていくわけにはいかないのは皆様よくご存じのとおりだと思うんですが、具体的な計画期間というのはどの程度を見込んでいるんでしょうか。

○熊野主計部長 先ほどご答弁申し上げました、「新しい発想で都政を変える」というふうな構造的な取り組みは、やはり一朝一夕に実現し得るものではないと思っております。やはり、中には十年スパンの課題もあろうかと思います。しかしながら、財政再建団体への転落の危機がなお続いている状況を考えますと、先生ご指摘のとおり、できるだけ早期に財源不足を解消して、悠長なことはいっておられない、財政再建を着実に進めていかなければならないと考えています。
 したがいまして、構造改革的な取り組みが可能なものからできるだけ着手しつつ、財源不足の解消に取り組んでいくつもりではございますが、この財源不足が三千億から四千億という非常に大きな額でございますので、期間的には三年ないし四年は必要ではないかと考えております。

○秋田委員 今は期間についてお尋ねしましたが、今度、進め方について、お願いも含めて申し上げたいのは、やっぱりこれは当局なり知事なりがトップダウンでがっというんじゃなくて、よくいわれように、議会は両輪だとおっしゃるとおり、議会の意見を積極的に取り入れてぜひとも進めていただきたいと思っております。
 そこで、五番目の質問として、プランの最終的な策定までの間、どのような進め方を考えているのかを教えてください。

○熊野主計部長 今回発表しました小冊子では、第二次の財政再建推進プランの策定に向けて、引き続き厳しい状況が続く都財政の現状と課題をお示しして、現在ご議論をいただいているところでございます。今後は、本定例会でのご議論を踏まえながら、中間のまとめとして、第二次財政再建推進プランで取り組む具体的な方策の考え方あるいは方向性などをお示しして、第三回定例会で再度ご議論いただいた上、財政再建に向けた新たな道筋を明らかにいたします具体的な方策も盛り込んだものを、十月を目途に策定していくつもりでございます。

○秋田委員 私もこれまで一年間財政委員会に所属してきたわけですが、残念ながら、余りいい話は聞かなかった。ただ、それも時代の趨勢としてしようがないのかなというふうには思っていますが、だからこそ、今後十年後、二十年後、あるいは三十年後を心配するわけでございます。
 財務局長は、本当に難しい時期に、本当に難しい役職におつきになったんだろうなとすごく思うんですが、まさに背水の陣で臨まなければならないと思うんですが、最後に局長のご決意を聞いて、私の質問を終わらせていただきます。

○櫻井財務局長 ありがとうございます。励ましのお言葉をいただいたのかなと思っていますけれども、都財政につきましては、ただいま主計部長から答弁いたしましたように、都税収入が大幅に落ち込む中、今までのようなやりくりの財源対策を続けることは大変困難になっております。さらに、今後も巨額の財源不足が見込まれるなど、まさに後がない、こういう状況にあると認識しております。
 都税収入の大幅な伸びが期待できない時代にありましては、まずは身の丈に合った歳出規模を実現するしかないだろうということで、それで財源不足を解消するとともに、新たな都民ニーズに的確にこたえ得る強固で弾力的な財政体質も確立することが重要だろうというように思っております。
 そのためには、今後、内部努力をより一層徹底するとともに、高どまりを続けております経常経費につきましても聖域のない見直しを行うなど、今までにも増しまして厳しく、かつ踏み込んだ取り組みを行う必要があるというふうに考えております。
 私は、都財政が直面する危機的な状況を打開し、先進的な施策展開を引き続き推進していくためにも、都議会の皆様のご理解とご支援をいただきながら、財政再建に全力を尽くしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○桜井(良)委員 私は、小冊子「途半ばにある財政再建」に関連して、ちょっと国との関係を質問したいと思いますが、例の三位一体が中途半端に終わっちゃったんで、この「途半ばにある財政再建」の中でも、基幹税の税源移譲などを強く主張してるわけですが、ああいう結論になりますと、「途半ば」どころか中途半端になってしまうんじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。
 それで、そこへ入る前に、今、身の丈論が出たんですが、これは非常に大事だと思うんですね。身の丈論というのは、財政に合わせて身の丈を小さくするのか、もともとある身の丈に十分な財政を補てんしていくかによって、かなり身の丈論の中身が違ってくると思うんですね。私は、今は、着ている服が財源だとすると、東京都の財政需要という身の丈に対して小さい服しかなくて、あちこち足りない。これをどうやってちゃんとした服にしていくかという、この努力をしないと、やはり、先ほど熊野さんがいった都民サービスの向上という点がどういうふうになっていくのかということでは、この身の丈論は非常に大事な部分だと思います。これについては、また後ほど一回議論をしてみたいと思っているんです。
 きょうは、この三位一体でありますが、ああいう結論になって、知事が所信表明でいったとおりだと思いますけれども、結論が出るまでは、テレビや新聞でも、三位一体、三位一体という言葉や声を随分聞いたわけでありますが、結論としては、非常に残念な形になっていると思いますね。
 それで、最初に局長に聞きたいんですが、同じサクライですけれども、難しい字の櫻井を書いておりますが、これまでの発表と経過を見ながら、局長はどんなことを感じられたかなと、その感想をまずお聞きしたいんです。

○櫻井財務局長 地域、地域の住民のニーズに応じた行政サービスを実現するためには、地域の特性を踏まえた自主的、自立的な行政を実現するという地方分権、こういう大きな流れの中で、今回、三位一体の改革に強い関心を持ったわけでございます。
 そういう中で、もう既に先生ご存じのとおり、地方交付税制度がいろんなところでひずみが大きくなってきているということで、制度疲労が出ているとか、あるいは国庫支出金につきましても、国の一律の基準で地方を規制する、こういう側面があるということでもって、地方の自由な発想、施策の組み立てを妨げている、こういう側面があるというように感じております。
 その意味で、地方の自主的、自立的な財政運営を可能にする税源移譲は、地方主権の確立のためにも極めて重要でありまして、今回の三位一体の改革、これは緊急の課題であるというようにして、私どもとしても大いに期待をしていたところでございます。
 しかしながら、今先生のお話のように、この間の議論を見てみますと、まず、地方分権改革推進会議は全く財務的主導で議論が進んでおりまして、いわば地方の視点が欠落している、こういう側面があるのかなというふうに考えておりますし、中身的には、まさに国から地方への負担を転嫁するだけだ、こういうことでありまして、まことに残念だというふうに考えております。
 結果として、経済財政諮問会議で一定の方向修正はなされましたけれども、いまだ具体的内容が明らかでないなど不透明感があるということで、私ども都財政を預かる立場からも、三位一体の実現になお取り組んでいただきたいというふうに考えております。

○桜井(良)委員 骨太の二〇〇三年というんですが、骨抜き、場合によっては骨なしというような結論になっていると思うんですが、結局、三位一体で改革するよという方向性は決まったんですが、地方分権のために何をどういうふうに改革していくのかという中身の議論がないまま、また、その工程も、いつまでにどうするんだということも不透明なままに終わってしまったと思うんですね。非常に残念だと思いますね。
 大山鳴動してネズミ一匹も出てこなかったという感じの結論だと思いますが、今後、これがどんなふうに議論が進められていくのか、都はどういうふうにそれを予測していますか。

○熊野主計部長 お話がございましたように、三位一体という枠組みが維持された点につきましては評価できるということなんですが、中身が一向にわからない。で、今後どうなるかということなんですけれども、例えば、国庫負担金につきましては、四兆円という数字が出ておりますので、金額的には義務教の国庫負担金が中心になるだろうということは推測されるんですけれども、あとは各省庁の調整がある。大変な大きな作業が残っておりまして、調整できなくなるおそれも十分に出てくるのではないかと思っております。
 それから、税源移譲につきましても、経済財政諮問会議では、基幹税を移譲するというふうなことは示されておりますけれども、片や、最近の報道を見ますと、政府税調の石会長から、たばこ税あるいは酒税という発言も聞こえてきておりますし、全く不透明でございます。
 さらに心配なのは、総務省が、税源移譲をした際に当然地域格差が出てまいりますけれども、それについて財源調整を強化するというふうな情報もありますので、私としましては、全く予断を許さない状況だと認識しております。

○桜井(良)委員 本来、この三位一体の議論で期待されたことは、いわゆる新しい時代になって、日本の国という形を論じている中で、いかにして地方の自主性、自立性を確保するかといったいわばグランドデザインの議論があってしかるべきだ、こう思っていたんですが、全くそういうものがなかったし、中身も、今おっしゃったとおり、何もなかったと思うんですね。したがって、全体としては極めて抽象的であり、概念的なものであったと思うんですね。
 しかも、三位一体の中で一番大事だといわれた地方交付税については、全く議論がないままですよね。それで、四兆円やって八割は面倒見てあげるよという話だけでありますが、あとの二割はどうするのかな、また交付税みたいなのが残っちゃうのかなというような思いもあるわけですが、なぜこの交付税についての議論がなかったかと思うと、やはり交付税というものが、今の制度は、過度といっては語弊があるかもしれませんけど、財源保障をしているわけですね、各地方に対しましてね。東京都は不交付団体なんですが。ですから、各地方が交付税に依存する行政運営を行っているため、積極的に交付税の改革を議論するよりは、むしろその維持を望んでいるという傾向もあったんじゃないかなと思っています。そうしますと、やはり地方としての地方分権の主体性を発揮できないということだったのではないかと思うんですね。
 三位一体というのは、先ほどいったように、真の地方分権を確立するものでありますから、ある意味では、国も思い切った判断をすると同時に、地方も、痛みを超えて、やはり将来に向かっての改革を推し進めていく必要があると思うんですね。
 そういう意味では、地方交付税は特に一番大事な部分だと私は思うんですが、今の地方交付税は多額の原資不足に陥っていて、国がこの不足を解消するために、交付税率引き上げはしないで、交付税特別会計の借り入れを補てんして賄ってきた。その借入金も今は極めて巨額になっておりまして、今度は地方に赤字債を発行させている、こういう状況なんで、私は、こういう状況を見ますと、国自体に地方の財源を保障する能力が既に限界に達しているんじゃないかな、こんなふうに思うんですが、この辺はどういうふうに考えますか。

○熊野主計部長 交付税の原資の不足分につきましては、お話のとおり、交付税特会が国から借り入れて賄ってまいりました。しかし、このような借り入れを繰り返してきたことから、交付税特会の借入残高が平成十五年末で約四十九兆円に上っております。そのうち地方負担分が約三十二兆円となってございます。この特別会計の借り入れは、この間累増いたしまして、交付税総額の二年分にも上るということから、将来の償還を考えますと、非常に重い額になっているのではないかと思っております。
 お話の赤字債、臨時財政対策債は、交付税特会の借り入れのかわりに地方自治体の側で借り入れを行って、その元利償還を交付税算入するという手法でございまして、これは前にも、バブル崩壊後、景気対策のために地方が大量に発行した財源対策債等でも用いられた手法でございますけれども、将来の交付税を先食いしているにも等しいものでございまして、やはり地方の財源を保障するだけの能力は既に限界に達しているような気がしております。

○桜井(良)委員 地方交付税の二年分以上の借金がたまっている。このままいっちゃいますと、これは必ずパンクしますよ。交付税会計がパンクしてしまえば、地方財政は立ち行かなくなるのはもう見えているわけですね。交付税の議論を全然しないわけですから、そういうパンクするおそれがありながら、それには目をつぶって三位一体の改革を議論していると。これは、国の方が、地方分権の担い手である地方自治体の現実と将来を全く視野に入れていない、その中で議論している、こういわざるを得ないんですが、どう考えますか。

○熊野主計部長 国は、みずからの責任で財源を保障しなければならない分野でも、地方交付税特会の借り入れで、将来の地方負担分として重い負担を負わせている。さらには、地方交付税の先食いとでもいうべき臨時財政対策債への振替を行っている。このように、借り入れにより将来の負担をふやすばかりではなくて、制度の根本にさかのぼった見直しがますます先送りされているように感じております。
 国において交付税の本来の機能である財源保障を行うことが困難になり、また、こうした手法が地方の財政面でのモラルハザードを招くといった批判がございますように、地方分権の担い手である地方自治体もまた、みずからの歳出を見直す契機を失うことにつながるというふうな気がしております。

○桜井(良)委員 今、国の側の議論についていったんですけれども、こうした事態において、地方の側はどうなんだ、こういうふうに見てみますと、いわゆる改革派といわれる知事も含めて、地方からの動きも非常に鈍い、こういうふうにいわざるを得ないと思うんですね。ですから、この問題を審議した国の会議体のメンバーを見ても、経済財政諮問会議には、総務大臣はおりますけれども、地方の代表は入っていない、こういうことがありますよね。総務大臣が地方の代表といえるかどうかということは甚だ疑問なんで、また、地方分権推進会議には入ってはおりますけれども、こういうことを申し上げると申しわけないんですが、石川県と鹿児島の首長が入っているだけで、いわゆる知事がおっしゃっているような大都市の声を反映する人は入っていない、こういう状況だと思いますね。
 ですから、何か地方を相変わらず一くくりにしている。一方では、地方圏などの地域性ということが非常に議論されているわけなんですが、この辺も国の会議は無視して、いわば顔のない地方としてしか地方を見ていない。顔のないということは、地域性ということが完全に無視されているという意味ですよね。
 そういう中で、やはり地方全体のことについて改革の必要性を強く訴えることはできないのかなと思うわけですね。これは、私は、知事の姿勢を信ずるならば、東京都しかないと思うんですが、会議体の構成も含めて、ご見解を聞かせていただきたいと思います。

○熊野主計部長 実際、経済財政諮問会議での議論の場では、国は公式に地方団体の意見を聴取する手続は踏んでおりません。また、地方分権改革推進会議の会議体でも、お話のように、交付団体の首長が参加している、あるいは大都市の首長が参加していないという側面がございまして、首都機能移転問題特別委員会は偏った委員で構成されておりますけれども、それと全く同様に、大きな問題だと考えております。
 しかしながら、三位一体の改革につきましては、大規模な改革であるだけに、将来を見据えながら、大都市も地方も、ともに多様な地域性を持った自治体の意見が反映されるべきであると考えております。
 都は、地方交付税に依存していないという唯一の都道府県レベルの団体でございますので、国に対しても強く発言できる立場にございます。こういった立場を最大限活用いたしまして、また、他の自治体に働きかけて、都が地方税財政制度の改革の必要性を訴えていく必要があると考えております。

○桜井(良)委員 地方の立場を踏まえた議論が、実際、国の会議においてはできなくなっているというふうに私は思うんですよね。そうした中で、都税調の会長である東大の神野教授を初め一部の、私たちからいえば良識ある人たちは孤軍奮闘して頑張っていることは十分に認識しているんですが、地方の立場を踏まえた議論はなくなっている。今までのとおり一律、一括、これじゃだめでありまして、やはりそれぞれの地方圏の抱える、地方の実態も違いますし、そういうことから、やはりこの際、今、都の強い立場を熊野さんはおっしゃったんですけれども、東京都の立場としては大変難しい側面もあると思いますが、地方主権確立のために、いわゆる大都市圏とか地方圏といった部分、今までのいわば対立軸を乗り越えて、三位一体を真に推進するリーダーシップを発揮していくべきだと。
 むしろ、例えば、浅野さんとか長野の田中さんも一緒にテーブルに入ってもらって、さあ地方をどうするかという議論をしていくことが非常に必要な時代に入ってきているんじゃないかと思うんですよね。
 そこで、そういう状況と、国の方は期待できない部分がたくさん多いわけですが、地方の置かれた立場は大変ですよね。先ほども秋田先生から話があった財政再建をいかにするかというのは、みんなどこも抱えているわけですから、そういう中で、地方全体の立場に立って都は何をなすべきかということは非常に大事だと思うんですね。この辺の認識と決意を局長にお伺いしたいと思います。

○櫻井財務局長 三位一体の改革につきます地方自治体との横の連携ということは、これまでも八都県市や大阪府と共同で国に対して都の考え方を主張してきたところでございます。しかしながら、骨太の方針二〇〇三は、具体的な地方税財政制度の議論がないまま、地方への国庫補助負担金の廃止、縮小の規模のみを決めまして、税源移譲の具体的な方法も明記しない。国と地方の役割分担も議論されることがないままでありまして、なお不十分と考えております。
 そういう意味で、全国の地方自治体の多くは、地方交付税や国庫補助金に大きく依存しているということでありまして、都を初めとする大都市と足並みのそろっていない側面もありますけれども、今後、地域の特性に応じた自主的、自立的な行政の実現という地方主権の真の確立に向けまして、自主財源強化という共通の土俵に立って、石原知事のもと、都議会のご協力も得ながら、国に対してこの三位一体の改革を強く迫ってまいりたいと思っております。

○桜井(良)委員 この東京都の財政問題というのは、財政委員会、皆さん一生懸命やっているし、財務局も一生懸命取り組んでいるのは私わかるんですが、実際は、どうするかということは国が実権を握っているわけです。これは、残念ながら国会の東京都選出の議員さんにいっても、あんまりよく財政の仕組みがわかっていなくて、残念ながら、中には、不交付団体だからいいんじゃないのなんということをいうような東京都選出の人もいるぐらいなものですから、やはり私は、そういう意味では、首都機能移転のときに結集したようなエネルギーを持って、この三位一体の改革を国に迫るアクションが大事だと思います。
 そういう意味で、ぜひまた知事中心に、私たちも積極的にまた一緒に闘う心は十分にありますので、やっぱり具体的なアクションを起こして国に迫っていくことが必要だと思いますので、財務局がその先頭に立っていただきたいことを要望して、質問を終わります。

○松村委員 まず、第一次の財政再建プランをどうとらえるのか、先ほど自民党の秋田委員からもありましたけれども、都民の目線に立てば、目標を一〇〇%達成したというふうにしながら、また赤字団体転落、財政再建だと。何なんだと。後でも触れますけれども、出していただいたこの財政再建推進プランの一般財源五億円以上の百三十八事業に鋭い切り込みがあって、特に福祉などが、この一覧表を見ても、主な福祉だけを私ども拾ってみても、八百億円以上の切り捨てというか都民負担増になっているわけですね。どういうふうに第一次財政再建を財務局として総括して、この第二の再建プランを出そうとしているのか、まずお聞きいたします。

○熊野主計部長 都はこれまで、ディーゼル車規制あるいは福祉改革といった先進的な取り組みを進める一方で、財政再建推進プランに基づきまして、内部努力、あるいは時代の変化を踏まえた施策の見直しに取り組みまして、財源の着実な確保など成果を上げてまいりました。ただ、長期にわたる景気の低迷から都税収入が減少を続け、また、国からの税源移譲も一向に進んでいないという状況にございます。このため、十五年度予算では、二千五百億円近い財源対策を余儀なくされたところでございます。さらに、今後も毎年度巨額の財源不足が見込まれますので、これまでのような臨時的な財源対策を続けることはもはや不可能になっている中で、財政再建への取り組みを引き続き行っていく必要があると考えております。こういったことから、「途まだ半ば」だというふうな認識を持っております。

○松村委員 今も桜井委員からも議論があった税源移譲、この税財政制度の改善という点においては達成率が六一・一%、確かにこういう事実があると思うんですね。しかし、同じ二ページ、「財源を着実に確保し、成果を挙げてきたが、その一方で歳入の根幹をなす都税収入はプランの見込額を大きく下回り」、こういう表現がありますけれども、この間、この第一次の財政再建推進プランの期間で、都財政の減収ということを強調しているんですけれども、トータルとして見て、このプランでは、実際税収は伸びているんじゃないですか。どのぐらいありましたか。

○熊野主計部長 プランの開始年度でございます十二年度から十五年度までの四年間で、プランで見込みました税額に比べまして、税収は六千七百六十七億円の増収となっております。年度別に見ますと、十二年度が約四千億、十三年度が約四千七百億、十四年度に転じまして約三百億のマイナス、それから十五年度では一千六百億のマイナスというふうな感じになっています。
 しかしながら、この六千七百六十七億円の増収のうち、約五千六百億円は、新たな銀行への課税、さらには徴収率のアップ等の徴税努力で生み出した、いわば推進プランの時点では方策として見込んでいたものでございます。それを差し引きますと千百六十七億円の増ということで、この中にも税連動経費なんかが含まれておりますので、単純に申し上げれば一千二百億弱の増になっております。
 しかしながら、ここでちょっと申し上げておきたいのは、あくまでもこの増収はスポット的な増収でございますので、構造的な増収ではないということでございまして、例えば、歳出面で申し上げましても、職員の給与の臨時的なカットをしておりますけれども、これはカットをやめて人事委員会勧告どおりの給与の実施をやりますれば、歳出構造としてはもとに戻るわけでございまして、それと同じように、やはりこの増収はあくまでも臨時的な増収であるというふうに認識しております。

○松村委員 いずれにしても、この当時、計画を立てて、これだけ税収不足になるということで、そのために確保財源六千三百億円、これを明らかに上回る、今おっしゃった六千七百六十七億円もの税収があったことは確かであり、プランの見込額を大きく下回ったということは、これはいえない。私は都民にもそういう説明はできないんだということをはっきりいわなければいけませんし、事実、今、主計部長から話があった、出していただいた資料を見ても、二〇〇〇年度には三千九百九十億円、二〇〇一年には四千六百九十三億円、プランより上回って、二〇〇二年、平成十四年度には五千二百九十五億円もの補正予算も組んでいるわけですね。
 だから、こういうふえた、今、あくまでも臨時的だ、一時的だ、構造的な増収じゃないといっても、これを一体何に使ってきたのか、そのことも都民から鋭く問われなければいけないというふうに思うんです。都民には大変厳しくて、税収不足で財政赤字団体に転落するんだ、だから国で切られるよりもみずから切るんだというので、福祉の事業だけでも八百億円、九百億円切り込んで、痛みをさせながら、一方、そういう、いや一時的だ、臨時的だといいながらも、プランの見込みよりもふえていることは、今いったように事実です。都民にとっては、これは巨額ですよね。
 例えば、この間、当初予算はそうでもございませんけれども、いつも最後には補正予算等で大変な財源が入ってくる。私はこの使い方が、同時に都民に説明されなければいけないし、問われなければならないというふうに思うんです。この間、このふえた財源を一体何にというか、主なものでどういうふうに使ったのかをご説明いただきたい。

○熊野主計部長 税の増収の中で、税連動経費もございますので、全額が手元に残るわけではございませんけれども、手元に残った分につきましては、十二年度、十三年度、確かに増収がございましたので、それらについては、将来に備えた基金の積み立て二千二百六十一億円、それから隠れ借金の削減、例えば他会計からの借り入れの返還ですとか、そういったものに千五百六十六億円、合わせまして約三千八百億円使っております。
 これは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、六千七百六十七億円の増収のうち、五千六百億円はプランの取り組みによって生まれたものですから、実質的な増収以上のものを、こういった将来の積み立てであるとか、あるいは隠れ借金の削減に使ったということでございます。

○松村委員 今、補正予算の話もありましたけれども、例えば、昨年の二〇〇二年、平成十四年度の最終補正予算ではどうだったかといえば、五千二百九十五億円の補正予算を組んだわけですけれども、このうち、国直轄事業や首都高速道路への無利子貸し付けとか、道路・街路、区画整理、市街地開発等、何と五千二百九十五億円のうち、現金で三千八百四十八億円、中には、埋立会計に、まだ返さなくていい、会計間の、当然都庁の中のやりくりの会計を前倒しして返して、それがどうなったかといったら、臨海会計に統合されて結局大赤字となっている臨海副都心開発にそういう貴重な現金の財源がのみ込まれていってしまっている、こういうようなことがいえるというふうに思うんです。
 私は、特に我が党がこの間問題にしてきた、国直轄事業負担金や首都高速道路公団への無利子貸し付けや出資金の推移の額について伺っておきたいと思います。

○熊野主計部長 まず、首都高速道路公団に対する出資及び貸し付けの推移でございますが、十一年度決算額二百十二億円、十二年度決算額三百十六億円、十三年度決算額三百六十九億円、十四年度補正後予算額三百二十二億円、十五年度予算額二百七十五億円となっております。
 そのほか、国直轄事業負担金ですが、十一年度四百七十二億円、十二年度五百五億円、十三年度五百四十七億円、十四年度百九十七億円、十五年度百七十八億円となっております。

○松村委員 例えば、この第一次の中で五億円以上の一般財源が含まれているということで百三十八事業の一覧表を出して、それが十一年度予算に対してどのぐらいになってきているかという一覧表を資料としても出していただきましたけれども、福祉関係などでも見たら、相当切り込まれているわけですね。例えば、今話があった国直轄事業負担金というのはこの百八番目に出てくるわけですけれども、ここでは、十一年度予算額で百八十四億が、十五年度予算額で百六十六億で、十八億の減になっているという数字がありますけれども、実際、これは予算ですから、今、主計部長がおっしゃった、十五年度も、まだこれは最終補正が来ません。しかし、十四年度で見ると四百五十億ですね。これは予算委員会に出された資料ですけれども。平成十三年度が五百三十五億、十二年度が四百九十二億。ここに書かれている平成十一年度は四百五十九億というふうに、当初の予算で計上したものが、結局、さっきいいましたような財源が入る。国からの景気対策とかいろいろな絡みで、この予算が減るどころか、本当にふえ続けているということなんですね。こういうところにはメスが入っていない。
 それから、今数字を挙げられた首都高速道路公団への貸付金や出資金、これもこの百三十八事業には入っていないんですね。なぜかといったら、結局、そのときの、十一年度対象事業にしたときには、一般財源が五億円以下だった。つまり、都債で充てている。これも私たち批判しているのは、無利子で貸し付ける。その貸し付けるお金を有利子というか、それで借りてきて、首都高に無利子だ。大体この間でも、百億円ぐらいのそういう利子という状況もあるということを、この間も指摘しましたけれども、この間の第一次の中にも対象になっていないし、逆に、今、主計部長がいいました、この間の経緯はどんどんどんどんふえているんですよね。
 ちなみに、身の丈という話がありましたけれども、よくいわれるのは、昭和六十二年度の収入規模になったということですけれども、当時、この首都高速道路への出資金や貸付金は、ちょっと数字をいただいたんですけれども、六十二年度の決算で百二十四億円だったですね。もちろん当時と状況は違うんですけれども、大体こういう首都高への貸付金とか国直轄事業負担金、できる規定というか、そのときの財政規模に合わせて応じるというか、それがどんどんどんどん膨れ上がってきて、とめどもない。
 国直轄事業負担金なども、全国知事会からも、こういうようなのはもうやめるべきだ、地方自治も侵すし、非常に不明瞭だということで、全国知事会からも、この見直しというか廃止を求めるそういう意見が出されていることは承知だというふうに思うんです。
 しかし、今いいましたように、第一次財政再建推進プランの中で、都民施策、特に福祉などはどんどん切り捨てながらも、一方、大規模公共事業につながる、一つは国直轄等、そういうことを私挙げましたけれども、こういうところには一向にメスが入らない。私は、財政危機の原因というならば、ここにやはり問題がある、財政運営の問題点があると指摘せざるを得ないというふうに思います。
 そこで、この「途半ば」の中で、引き続きこの二〇〇三年、平成十五年度の予算編成の中で二千五百億円もの財源不足ということを挙げているわけですけれども、経常経費の中に占める投資的な経費は、二〇〇三年、十五年度予算で幾らになっていますか。

○熊野主計部長 経常経費の中の投資的経費という区分は、行っておりません。

○松村委員 そういう区分はないかもしれませんけれども、例えば、今いいました出資金や貸付金、これは首都高速道路だけではありませんし、常磐新線とかいろいろあると思うんですね。いわゆるそういうところはインフラ整備へのお金ですから、都の財政の仕切りは投資的経費ということじゃないかもしれませんけれども、明らかにそれは経常経費の中に含まれている投資的な要素になる部分だ、そういうことでお答えいただきたいと思います。

○熊野主計部長 主なものを申し上げますと、十五年度予算におきまして首都高速道路公団出資金等が二百七十五億円、地下高速鉄道建設助成が二百二十一億円、常磐新線整備事業出資二百九十億円となっております。

○松村委員 ご答弁いただきました平成十五年度、二〇〇三年度予算の経常的な経費の中で、いわゆる投資的な性格に当たる財政支出が三千二百億円余りに上るんですね。街路とか開発事業とか、全部トータルしてみました。投資的経費、いわゆる純然たる大規模開発事業といいますか、公共事業の投資的経費を合わせると、一兆円近く、ことしの十五年度予算に占めるわけです。ですから、実質的には、この大規模公共事業の巨額の経費が財政危機の原因となって、結果的に都民の暮らしを直撃しているということは、私は明らかだというふうに思うんです。
 この「途半ば」の冊子は、今後の三年間の収支の見通しについて、毎年三千億から四千億の財源不足というふうにいっていますけれども、こうした投資的経費、大型の公共事業等にはそのままに高どまりで維持しながら、それを前提としているんですね。石原知事となって、その前の異常なバブル時期の一兆円にも上るような、その当時の七千億以上の都債の発行から、たしか今は三千七百億ぐらい、半分ぐらいに落としているんだ、借金財政に頼っていないんだ、そういうこともこの委員会では議論してきました。
 しかし、いずれにしても過去のそういう莫大な、都税収入が減っているにもかかわらず、それこそそのときに身の丈に合わせなければいけなかったにもかかわらず、今、現知事ですらが、いろいろな箱物というか、そういう都財政運営のやり方については批判的にならざるを得ないものをやったツケが、今膨大な公債費の負担増となって、歳出要因になっているということも、これまた明らかだというふうに思うんです。
 そういうことも含めた減債基金の過大見積もりとか、本来財政再建をいうなら、ここにこそ私はメスを入れるべきではないかというふうに思うんです。
 本当に今財政再建、財政構造を正さなければいけないというんだったら、そこの根っこといいますか、そういう構造を直さなければ、ちょっと後で触れますけれども、またまた経常経費だ、今度は補助金だといって、今度は一千万以下のそういう経費まで対象に挙げて、本当に詰めていく。結局これでは解決できないということを私はいいたいと思うんです。
 そこで、ちょっと伺いたいのは、少なくとも第一次財政再建推進プランには、施策の見直しの中には投資的経費の削減、これも、目標額を決めて、すべて対象だよと。確かに、さっきいいましたように、このときに、たまたまといいますか、一般財源五億円以上じゃなかったものを抜いてというか、当時問題にしましたけれども、挙げた百三十八事業ということですけれども、この中にも確かに投資的経費の部分、削減があって、目標額を投資的経費の部分でも達成しているということですけれども、今度のこの「途半ば」の方向では、そういう投資的な経費に対する見直しの記述は見当たらないわけですが、これはどのように財務局としては考えているんですか。
 聖域なき見直しというふうに知事もいっておりますから、そういう公共事業、大型開発も含めて見直すんですか。

○熊野主計部長 都市の基盤となります社会資本の整備は、都民生活の質を高める上でも極めて重要であると考えております。都の施策のうちの、例えば都市再生と福祉など、殊さら対比させて論じるのは余り適切ではないと思っておりまして、いずれも将来の都民生活を安定的に支えるという観点から施策を構築していくべきであろうと思っております。
 したがって、こうした考えのもとで、都はこれまでも、都市基盤の着実な整備、合わせて福祉改革の推進あるいは中小企業対策、そういったソフト面の施策についても積極的な展開を図ってきたところでございます。
 今後とも、厳しい財政状況を踏まえながら、財政構造改革を推進する中で、これまで以上に内部努力は徹底いたしますけれども、経常経費、投資的経費を問わず、すべての施策について見直し、再構築を進める、将来の都民生活を安定的に支える観点から、必要な事業については限りある財源を重点的に振り向ける、それが聖域なき見直しということだと思っております。

○松村委員 確かに、補助金の資料一覧表には、公営企業会計へのさまざまな部分もありますけれども、今すべてだというんでしたら、そういう施策も対象にした資料をぜひ出して、こういう事業が本当に必要なのかどうかと。私たちは今、投資的経費とか公共事業を否定したりするものでは決してありません。必要なもの、今までやってきたもの、適切な財政規模の中で都民の要望にこたえてやっていくというのは、論をまたないというふうに思うんですね。
 しかし、本当にむだや浪費とか、そういうものについては、議会の論議もそうですけれども、もっと都民にオープンにして、何が今都政にとって必要なのかということで進めていかなければならぬというふうに思うんです。
 そういう点では、都市再生というふうにいわれて、知事も盛んにインフラ整備とか都市基盤、将来必要なんだというので、臨海副都心開発も、進むも地獄、退くも地獄といいながら、私も本当に今の時点で見直して、勇気を持って立ちどまってみるということをやらないこと、非常に残念ですけれども、都市再生も、じゃ、一体どのくらい東京都のこれからの財政が必要となるかということを、一向に資料を出してきません。
 私、そういう中で一つびっくりして、きょうは所管局じゃないから議論しませんけれども、多摩のアクションプログラムというのが出されていて、これ総務委員会で議論されるそうですけれども、これを見ましたら、知事は盛んに横田基地の官民共用という、そういうことの将来計画から見込んだいろいろなインフラ整備を考えているんでしょうけれども、これを見たら、例えば多摩新宿線の検討などということもありますが、今までは、余りにも放射の、東京に一極集中するような形じゃなくて、核都市づくりで、もっと分散して都心に入り、交通量を減らすんだということがいわれていたんですけれども、こういう中には、広域交通ネットワークということで、大型幹線道路も含めた、本当にメジロ押しなんですね。
 確かに国にやってもらおうという部分の圏央道とか、外環は国と書いてあります。しかし、今いった多摩新宿線の検討とか、新滝山街道、これも整備が始まっていますね。これを進めていったら一体どれぐらいの事業費がかかるかという本当にそら恐ろしい数字で、そういうものもしっかりつかんで、トータルでどっちをやるのかということを、やはり都民の目線に立って私たち議会も論議しなければならない点だというふうに本当に実感しているというか、声を大にしてその点をいいたいというふうに思うんです。
 そこで、最後に、この第二次財政再建の取り組みの方針で、それをやっていく幾つかの方向性が強く示唆されているというふうに思うんですけれども、ちょっとその中で一点だけ、発想の転換とかスクラップ・アンド・ビルドというのはそれなりにわかるんですけれども、この二一ページの、対象の増が見込まれる施策で総額の抑制ということ、これは初めてというか新たな指針というか、目指す取り組みの方向性を出しているんですけれども、これについてどういう考え方なのか、説明いただきたいと思います。

○熊野主計部長 身の丈論にはいろいろご議論があろうかと思いますが、現実的な面で考えますと、もはや右肩上がりの成長が望めない中で、財政規模は拡大できないという、拡大することが困難であるというふうな状況がまず前提にございます。そうした状況のもとで、新たな財政需要をこれまでのように既存施策に上乗せしたり、あるいは対象の増加に伴う経費を、我々当然増と呼んでおりますけれども、当然増としてとらえて対応することは難しくなるケースが生じるのではないかと考えております。
 そういった場合にも、ただ一つの事業のみに着目して判断するわけではありませんけれども、例えば仮に、対象の増加によって経費の増加が避けられないものとするようなケースであれば、対象の増加による経費の増加が避けられないという場合には、必然的にほかの事業の経費を削減する場合が生じますし、また、そこの冊子で申し上げているのは、これまで当然とされてきた対象の増加による経費といえども、場合によっては、他の施策と同様に、実施するか否か、そういった選択の対象とならざるを得ないということを申し上げているところでございます。

○松村委員 補助率が二分の一を超える補助金の一覧表を出していただきましたけれども、ちょっとその前に、資料を見て、九ページ、全体の補助対象事業が千五百幾つある中で、六百二十一事業が二分の一以上だということですけれども、実際これは金額にして九三%ですか、その他の四百七億円についても、今後資料を出していただきたいというふうに思うんです。五千七百四十億円のうち、その他をのもの出していただきたいというふうに思いますし、後日委員会をやったときに資料要求もしたいと思います。
 例えば、その前のシルバーパスの交付も、十分の十で現在百三十三億円、これ、やはりもっと対象者が広がってきたら、結局総額を抑えるというふうになってきたら、明らかに今の補助額を引き下げるとか、さまざまなことを、事業は廃止しないとしても、そういう形のやり方を新たに適用しようとしているんじゃないか。そうすると、都民負担が、本当に今後この考え方をやったら大変になってくるということを--例えばシルバーパスなどこの考え方を想定してみた場合どういう都民への影響があらわれるかということは、本当に一目瞭然というか、そういうことを指摘せざるを得ないというふうに思うんです。
 それからまた、今回の中には、少額補助金についても、手間暇かかるということで、一千万円以下がその対象となるような書き方で、すべて見直すというのにはこういうことも入っているんでしょうけれども、例えば、私、盲聾者の方と懇談したときに、本当に目も見えない、耳も聞こえない、そういう中で大学の先生もやるぐらい頑張っておられる方が、その方が初代会長のときに対話したときにも、本当にどうやって会話が成り立つんだろうと思うくらい、私がいったら、通訳の方がいて、厚生委員長の松村さんですね、お会いできてうれしいですということで、本当にびっくりしたんですね。
 後で本当に失礼ながらそういう生きる希望というのはどうしたんですかといったら、コミュニケーションが私たち本当に唯一ですと。そういう通訳者ができて、指点字とかいろいろやる中で、国や東京都の援助の中で本当に社会的に参加できたという、そのコミュニケーションの大切さを考えたわけですけれども、そのときに、東京都のそういう盲聾者に対するその事業の必要性、重要性、それは各会派も予算要求で取り上げましたけれども、年々その予算が減ったりとか、通訳者の養成の都の補助金が変えられたりとか、期待に反した、増額というか予算になっていないという話も聞いたわけです。
 私は、逆に今いいたかったのは、そういう少額の事業で、本当にその方々にとっては生きる希望のある予算に対しても対象にするというのは、本当に慎重にしなければならないというふうに思いますし、いつも財務のこういう方針を出す場合、財政委員会でもやるんですけれども、決してそんなことはいっていない、各局がそれぞれ、財務が出した指針に基づいて判断するんだと。シーリングにおいても、事業を一律一〇%、二〇%とか切るのではないというふうにいわれますけれども、実際現場は、どう判断していいかわからないとかいろんなことで、財務の指示がやっぱり一律になってきちゃっているんですね。
 そういう中で、もうきょうは時間がないから余りいいませんけれども、例えば都立公園の、何万人でしたか、住宅・建設委員会でやっているから繰り返しませんけれども、サイクリングロード、本当に今みたいなこういう都会で子どもに自転車を習わせるのが大変危険だ、困難だ、路地裏もなかなかないという中で、都立公園に行って、お父さん、お母さんが、自分の子どもが自転車に初めて乗れるようになったとか、そういうのがなくなるということです。これ、関係者というか、何でこれだけ利用が多くて、大切な事業が切られるのか。
 結局そういう所管局は、全体のシーリングがかけられている中でもう切るものがないと。本音ですよ。こういうところまでやっぱりやらざるを得ないということを、公式の場でいったかどうかわかりませんけれども、直接そういうシーリングだとか財務局の方針というのが、所管局や現場に行ったらそういう都民へのしわ寄せになっているという例が、これまで第一次財政再建プランの中で本当にさまざまな声で聞いております。
 ですから、今後この第二次に向けても徹底的に議会でも論議しなければいけないというふうに思いますし、ぜひもっとわかる資料を出していただきたいんです。十月に第二次の財政再建推進プランをつくるというんですけれども、よもやこういう議論だけで既に第二次だということだけはないように、また、都民の意見も十分聞くというわけですから、さまざまなきめ細かな懇談会や説明会を持って、ただホームページに掲載しているから、都民はそれを見て意見をいってくればいいということではなく、直接の対話を含めたそういうこともやる必要がありますし、また区市町村への補助金というものも、まだ高どまりしているということで挙げております。私学助成もあります。関係団体がたくさんあるわけですから、徹底的にそういう意見を聞き、本当に減らしたり削減したりすべき予算なのか、財源なのか、都の役割はもうないのかどうかということをやっていただきたい。
 繰り返しになりますけれども、そういう財政が、今後巨額になるといっても、肝心な今までの大型開発といいますか、そういう公共投資的な部分のところに思い切って構造転換しなければ、財政再建は成らない。
 事実、全国の新しい、私、よく例に出しますけれども、長野と高知とか徳島とか、それ以外道がないということで、県民にも呼びかけて、思い切って見直しているんですよ。そういう転換を図るべき、真の都民が求める都政再建のプランを出していただきたいということを要望いたしまして、終わります。

○川井委員長 この際、議事の都合により、十分間休憩いたします。
   午後三時二十四分休憩

   午後三時三十二分開議

○川井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○藤田委員 私も「途半ばにある財政再建」の冊子から質問をさせていただきたいと思います。
 これについては代表質問でもさせていただきまして、四年間にわたる財政再建の取り組みを続けてきたのに、まだ何で、いつまでたっても「途半ば」なの、結局、読みが甘かったんじゃないのといったら、そんな批判は、いうだけは簡単にできるけれども、あなたたち具体的な提案しろみたいな、そういうようないい方だったかと知事の発言は思います。
 ただ、実際には、今になってようやく、また中途半端になりましたけれども、三位一体の改革などが出されたわけですけれども、これをつくったときに、税財政制度の改善というところの一千七百五十億というのは、実はほとんど見込みがなかったという中で、しかし、銀行税のことがあって確保がようやくできたというような状況だったと思いますので、私たちはここのところを読みが甘かったというふうにいわざるを得ないというふうにしたわけでございます。
 そして、今回、流れについて先ほどありましたけれども、行政改革、財政再建、人事制度改革を今まで以上に一本化して総合的に取り組んでいくというような知事の所信表明があったわけであります。あるいはまた財政再建推進プラン等の取り組みと並行して都庁改革アクションプランを策定するというような発言があったわけですけれども、この構造改革における各局、知事本部、総務局、財務局が連携することが必要だというそれぞれの役割分担についてお話を伺いたいというふうに思います。
 どこが本当にリードをするのかなという、ちょっとあいまいさも残るような状況でありますので、その点も明らかにしていただきたいと思います。
 もう一点は、二年続けてまいりましたけれども、重要施策の位置づけと重要施策を、ある意味ではここはシーリングをかけないというような中で行ってきたわけですけれども、こういう状況の中で本格的な財政改革ができるのかということについてお伺いをしたいと思います。

○熊野主計部長 お話がございましたように、今定例会の所信表明で、知事から、行政改革、財政再建、人事制度改革、さらには分野ごとの施策展開を今まで以上に一本化して総合的に取り組んでいくという発言がございました。私どもは、この発言の趣旨を、一つには、財政再建は都にとって最優先の重要課題ではあるけれども、といって、それ自体が目的ではない。これまで知事が進めてきた先進的な取り組みを初めとする新しい都民ニーズに今後とも的確にこたえていくための前提条件であるということ、二つ目には、財政再建を進めるに当たっては、職員定数の削減であるとか、監理団体の見直しであるとか、あるいは行政改革によるそういった内部努力が大きな柱となっている。さらにいえば、今後の施策の見直しについても、新たな発想により取り組まなければ、これまで以上の大きな成果は期待できない。こういったことを勘案して、それぞれ連携を一層強化して総合的に取り組んでいくことが重要であるというふうなことをいったものというふうに理解しております。
 さらに、本会議で知事が、早急に改革の基本的な視点と長期的な取り組みの方向を明らかにすると答弁しておりまして、多分七月中に出ると思いますけれども、その方向性に基づいて私どもの推進プランあるいはアクションプランが策定されることになると思います。
 したがいまして、第二次財政再建推進プランも、基本的にはこの大きな枠組みの中に位置づけられるものになると理解しております。
 関係局が連携を強化して協力して大きな枠の都政改革を推進することになりますけれども、財政再建の取り組みにつきましては、これまでどおり財務局が中心となって指導的な役割を果たしていくことに変わりはございませんので、責任の所在があいまいになるというようなことはないと思っております。
 今後は、先ほど申し上げましたが、今定例会での議論を踏まえまして、具体的な方策の基本的な考え方をお示しして、再度第三回定例会でご議論をいただいた上で、十月ごろを目途に策定することとしております。
 また、お尋ねのありました重要施策、聖域化されているのではないかというふうなご質問でございますが、まさに先進的な取り組みを初めとする新たな都民ニーズに的確にこたえるための施策、これらの代表例が、つまり、現時点での優先度が高い施策を厳しく選択して絞り込んだもの、これが重要施策として知事がお示しするものというふうに受け取っておりますので、これに重点的に財源を配分したとしても、財政再建の妨げにはならないと理解しております。

○藤田委員 ちょっと局長に伺いたいのですけれども、知事も聖域なき改革、そして局長も聖域なき改革をということをおっしゃったわけですけれども、実際にはどんなところ、どこを意識していわれたのかをお尋ねいたしたいと思います。

○櫻井財務局長 聖域のない見直しということでございますけれども、時代時代の都民ニーズに応じまして行政サービスを組み立てていくというのが都の行政の責任でございますけれども、今後、先ほどから申し上げておりますように、都税収入の大幅な伸びが期待できないという中で、新たな施策も、あるいは先ほど私が申し上げました先進的な施策を実施していくためにも、時代状況が変化する中で、やはり一つ一つの施策、事業を総点検していく必要があるだろうと。
 例えば、その役割を終えた事業、あるいは創設時の必要性が薄れている事業がないかどうか、あるいは規模が現時点でどうかな、そういう総点検の中でスクラップ・アンド・ビルドをやって厳しい施策の選択をしていく、こういうことがこれまで以上に重要だろう。
 そういう中で、聖域のない見直しとは、このような基本的認識のもとに都が実施しているすべての事業につきまして、その執行体制とともに総点検をしていく、こういうことを念頭に置いております。

○藤田委員 もう一度お尋ねしたいんですけれども、銀行税、新銀行の創設、昨今では競輪のことなど、知事が花火のごとく打ち上げる施策は、ある意味では聖域とされているのではありませんでしょうか。

○櫻井財務局長 今申し上げましたように、聖域のない見直しというのは、都が実施しているすべての事業を点検しよう、こういうことでございますので、先ほど主計部長から申し上げたこれまでの重点事業につきましても、今日時点において新たな目で点検する、こういうようなことになるわけでございます。
 そういう意味で、現下の厳しい状況の中で、都政の緊急課題、こういうものの施策の優先順位を改めて点検しまして、都民の目線で優先順位の高いものから順次財源を重点的あるいは効果的に配分していこう、そういう面で、今例示を幾つかいただきましたけれども、これも含めて私どもは財政の側面からきちんと点検をしていきたい、このように考えております。

○藤田委員 それでは、重点施策でありますけれども、ある意味では、おととしは、だっと、百二十五事業でしたか、広がりました。それから昨年は非常に絞り込まれました。こういう状況の中で、どんなふうにこれを今後進めていくのかをまずお尋ねしておきたいと思います。

○熊野主計部長 十六年度に向けての重点事業の策定につきましては、知事本部が中心となって方針を固める手はずになっておりまして、現段階で財務局としてご答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

○藤田委員 それでは、それについても、主計の方できちっと、それは財政的にもどうなのかという発言をするチャンスはないわけですか。

○熊野主計部長 昨年、一昨年の重点事業につきましては、当然のことながら、主計部から、財政的な視点からいろいろと意見は申し上げております。

○藤田委員 ことしの予定といいますか、ことしはどんなふうになるかはお答えできますか。

○熊野主計部長 まだ方針並びに策定時期等、手続を含めて全く決まっておりませんので。しかしながら、当然のことながら、我々の立場から意見は申し上げたいと思っております。

○藤田委員 それでは、冊子で「期待できない税収の大幅な伸び」という、その辺からちょっとお話を伺いたいと思います。
 都の実質的な税収がこれだけ落ち込んでいる、右肩上がりは終わったという大きな理由というのは、どんなふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

○熊野主計部長 実質的な都税収入が落ち込んだ理由は二つございます。一つは、都税収入の柱であります法人二税が、長期の景気低迷を受けまして我が国経済の企業収益が伸び悩んでいること、そういったことと、あと一つは、十一年度恒久的な減税がございまして、その税制改正等で大きな税収減となっております。ちなみに、法人二税の税収は、元年度二兆六千八百億円程度でございましたが、十五年度予算では一兆五千百億円程度ということで、四四%も落ち込んでおります。
 二点目の実質的な税収入の減の理由は、税収入の中に、税収の一定割合を区市町村に交付する、私ども税連動経費と呼んでおりますけれども、これが含まれており、これが増加したこと、この二点が挙げられると思っております。

○藤田委員 四四%の減というような状況でありますので、これからすると、本当に景気に左右されるというのはよくわかるんですが、この税連動経費、これについての増加の理由というのはどんなふうになっていますでしょうか。

○熊野主計部長 特別区財政調整交付金を初めといたします税連動経費につきましては、まず利子割交付金が昭和六十三年度、それから地方消費税交付金が平成九年度にそれぞれ創設されたこと、さらには平成十二年度に実施されました都区制度改革に伴う調整税の配分割合の変更によりまして特別区財政調整交付金が増額されたこと、これらなどから大幅な増となっております。

○藤田委員 実際には、今お話があったように、景気低迷の影響を受ける都の税収に対して、区市町村の実質的な収入の動向が大きく違っているということをいわれたいんだと思いますけれども、その理由としてはどんなことが挙げられますでしょうか。

○熊野主計部長 先ほど申し上げましたとおり、都と区市町村の税収構造を比較いたしますと、都税が法人二税を主体とした景気変動に左右されやすいということ、それと比較しまして、市町村税につきましては、住民税あるいは固定資産税を中心として比較的安定的であること、こういったことが大きく異なる理由だと思っております。

○藤田委員 そういうことからすると、この冊子では何がいいたいかということですけれども、都は非常に不安定で、三年先もなかなか読み切れない。でも区市町村は安定的である、あるいは実質的な税収入が都よりもいいからというようなので、うがった見方をすれば、補助金も含めて削減ができるんじゃないかというようなことをいっていると考えてよろしいんでしょうか。

○熊野主計部長 一般的に地方公共団体の歳出と申しますのは、住民生活に密着した行政需要に対応する経常的なものが多い、税収が年度ごとに急激に増減しないことが望ましいというふうにされています。そういった点から申し上げて、税収構造が都と比較してはるかに安定的である区市町村は、富裕であるか、あるいは財政的に厳しいかということは別にしまして、より堅実的な財政運営を展開できる条件を、区市町村の方が都よりも備えているということがいえると思います。
 冊子で申し上げたことは、あくまでもそういった実質的な税収入を手がかりとして、都と区市町村の財政運営における条件の違いといったものをお示ししたものでございます。

○藤田委員 じゃ、区市町村に対する補助金の削減は行わないというふうに考えていいんですか。

○熊野主計部長 この冊子は、繰り返し申し上げておりますが、都財政が直面いたします現状と課題を明らかにしたものであって、補助金についても、その一環として全体像をお示ししたものでございます。
 したがいまして、今回はあくまでも補助金の現状を示したということでご理解いただきたいと思いますが、区市町村への補助金を特に名指しで削減することを示唆したものではございません。
 しかしながら、一方で、都税収入の大幅な増が期待できない中、都としては厳しい施策の選択を迫られておるわけでございまして、今後とも、一層の内部努力とともに、聖域のない施策の見直し、あるいは再構築をさらに徹底させる必要があると思っております。
 そうした観点からすれば、一般歳出の四分の一を占める補助金についても見直しの例外ではなく、個々の目的、内容を十分精査、検証して、時代状況の変化に適合したものとなるよう適切な見直しを図ることは避けられないと思っております。

○藤田委員 だんだん判じ物みたいになってきますのであれなんですが、そもそも補助金というのは、どういう規定があるといいますか、補助金とは何ぞやというような規定がありますでしょうか。

○熊野主計部長 一般的に、補助金は、公益を目的として支出するものでございます。種別としては、財政補完的な補助金もあれば、あるいはある事業を各補助金先でやっていただきたいという奨励的な意味を込めて支出する場合、そういったものが大きな補助金の内容となっております。

○藤田委員 聞くところによると、きちっとした定義といいますか、自治法上や何かがあるというようなのはないようでございまして、おのずと国からの補助金というので、ある意味では非常にひもつきな部分といいますか、それから採択基準というのが多分あると思いますけれとも、今も区市町村に対して都が補助金を出すときには、実際にはどうなんだろうか、ひもつきのようなことがあるんだろうか、あるいは分権の視点から見れば、やはりこれは補助じゃなくて、きちっと包括的に出して、そしてそれぞれの市区町村がやるべき事業なんじゃないか。まだまだこれから、ある意味では大きく区市町村に対しても、補助という考え方を、どういうふうに考えるかという根本をやっぱり考え直さなければいけないような状況にもあるんだというふうに思っています。
 今の全体のお話からすれば、もちろん代表質問の中でもいいましたけれども、補助金といえども見直しの対象とせざるを得ないという点は、数字の上からは理解できるわけであります。しかしながら、この点は特に重要と考えていますので、あえてもう一回重ねて申し上げますけれども、それぞれが、一つ一つが本当に歴史もあり、そして先ほどのお話のように、それが主要な財源となるような状況の補助金というのがたくさんあるわけであります。
 実は、第一次プランの期間中に廃止をした、あるいは新設をした補助金の例として、ちょっと私も調べてみたんですけれども、一つは、低硫黄の軽油の導入促進補助というのが廃止になっているんですね。それからまた、新たなものとしては、もちろんDPF装置の装着補助というようなのがあるんですが、実際には先導的な役割を終えてもう廃止ができるというようなものもありますし、それからDPFも、ある意味ではここ何年間かで十分終わりにすることができるというような補助金なわけなんですけれども、実際にはそこのところが非常にうまくいっていないというのが、これまでの補助金に対する取り扱いだったというふうに思うんです。
 具体的には、もう何年も前になりますけれども、どこの委員会だったかちょっと忘れましたけれども、三重県に行政評価システムと補助金の問題で視察に行ったことがあって、北川さんに会ってきました。そのときに実はびっくりしたのは、三重県では、それと同時に、補助金についても、基幹産業といいますか、観光の中の、あるいは基幹産業の大きな目玉であった新事業者に対しても、補助金をすっぱり切っている。それから、目立ったのは、医師会に対しての補助金がばさっと切られているというように、とにかく総論賛成、各論反対の部分をなるべく少なくしてやっていこうというようなのがありました。
 それから、我孫子市だったと思います。これは市のあれですから、小さいところではありますけれども、我孫子市は、実は全部一度補助金をやめようというような、そんな取り組みをしたんです。すべての市単独の補助金を廃止する、白紙に戻すということですね。それで、第三者機関による審査と公募制の導入を決めた。そして、補助金の交付は最長でも三年間。それでもう一回それは一から見直して、また申請をしてもらうというようなことになっているわけです。
 そういうふうに、補助金に対しては、じゃ、それをどういうふうにするか。それから、今補助金を出しているものをまず全部、ずらっと並びましたけれども、その中でも精査をしてグループに分ける。例えば、地域福祉振興財団の中で補助金がありましたけれども、本来は三年間の立ち上げというところになっていたんですが、それが、いえいえ、どうぞどうぞ変えてくださいというような都側の応援もあったりして、そうすると、それが経常経費の中に含まれてしまうというような、そんな状況が見られたために、今もって始まって以来ずっとそこが、三年間なんていうものではなくて、先駆的なものでもなくなってしまっているというようなものもあります。もちろん、これは重要な補助金と私は思っていますけれども、でも、そのやり方は違っていいんだろう、そういう補助金もあるというふうに思うんです。
 そうしたときに、今回の補助金の見直しも、聖域ではないよというふうになっているわけですけれども、どういうような手順で、どういうことを中心に実施していこうとしているのか、その考え方を伺いたいと思っています。

○熊野主計部長 推進プランの中で廃止された補助金が非常に少ないということからもわかるように、なかなか難しいことでございますが、今後補助金の見直しに当たりましては、先生お話しのように、数多くの補助金がさまざまな経緯で設けられておりまして、すべての補助金を一律、機械的に削減するということは私ども考えておりませんし、適切でないと思っております。
 現在、確たることは申し上げられませんが、視点といたしましては、時代状況の変化から制度創設時の必要性が薄れていないかとか、あるいは区市町村や民間との役割分担をもっと明確にすべきではないかとか、あるいは事業効果が上がっているのか、さらには現行の補助率が適正かどうかなどの点から、いま一度各局において具体的に検証を進めるべきものも多いというふうに思っております。
 したがいまして、補助金については、再三申し上げているように、見直し、再構築の例外ではございませんけども、今後の具体的な取り組みについては、個別の補助金について所管局と私どもでよく検証を行っていきたいと考えております。委員からお話がありましたように、見直しにつきましては、他の団体でもさまざまな取り組みが行われているというふうに聞いておりますので、またそういったことも参考にしながら取り組んでまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、補助金の個々の目的、内容等を十分に精査しながら、時代変化に適合したものになるよう、見直し、再構築を進めることを基本姿勢としていきたいと思っております。

○藤田委員 実は、アクションプランのことし実施したものということで、今、総務委員会の方で質疑ができるようなことを聞いておりますけれども、実際に、これまでこれこれができましたというふうには書いてあるんですが、それと、どれだけお金が減ったのかとかふえたのかとかということは一切書いてないんですね。実は補助金についてもそうだと思うんですけれども、これこれを減らしました、あるいは補助金をしたらどういう効果が上がりましたというようなことがやっぱり見えてこないと、そこをどうやって切るかということはなかなかできない。
 今もお答えの中にもありましたけれども、そういう点をしっかりと、施策と財政のことが必ず連動してくるような、そういう見せ方をしないと、施策を変えるというのは本当に難しいし、ある意味では、これもなかなか難しいですけれども、数値化をする中で明らかにしていきながらやっていくということをしなければ、どれも今お話があったような経緯があるわけですから、そこのところをもう少し具体的に都民に見せられるような、そんな状況にしていただきたいというふうに思います。
 それから、今までいろいろなことをやってきたから、最終的にこの補助金もやらなくちゃいけないということかもしれないんですけれども、ただ、やはり補助金の問題、いわゆる投資的経費の問題、それから人件費の問題、法人改革もしてきたわけですけれども、それらもすべて見せていくということをしない限りは、補助金だけとか、投資的経費も、私たちも公債費も含めて投資的経費だというふうに思っていますから、その部分も、どういう見せ方をさせるのかということは、これから新たに、それぞれに財政がこういう状況であるというときに、補助金だけ出したのでは、やはりそれは納得いかないところだというふうに思いますので、ぜひそういう意味で、もう少し見せ方というところでは、全体像を見せられるような状況にしていただきたいというふうに思います。
 最後に、局長の決意などを聞きたいのですが、公営企業会計の中にも大きな補助金があるのだということで、病院経営本部の局長としていらしたわけですけれども、具体的に自分のところでやっていらっしゃるときは、それはそれでやらなくちゃいけないことはしっかりとおやりになっていたんですけれども、全体的に見ると、こういう見え方といいますか、下水道の雨水の問題と病院のことというのは非常に大きくなってくるわけですが、これに関する感想も含めて決意をお聞きして、終わりにしたいと思います。

○櫻井財務局長 財政再建に向けての取り組み、先般の本会議、きょう先生方のご質問にお答えしていますように、大変道険しいことになろうかと思いますけれども、私ども歳入の確保のさまざまな方策と同時に、歳出の面においても、先ほどから申し上げていますように、内部努力を一層徹底するとともに、今先生お話のあった補助金だけじゃなくて、いろんな事務事業の関係、あるいは諸経費の関係を含めて幅広く総点検をしていかなくちゃいけない、こういうふうに考えております。
 そういう中での公営企業会計支出金のご心配をいただいたわけですけれども、この経費につきましても、例外ではなくて、下水道については、今お話ありましたように、雨水処理の負担、あるいはそのための設備投資のために出している部分、あるいは病院会計につきましては、行政的医療を担う側面について負担、補助している部分がございます。これも含めて、やはり私ども広い目線からもう一度総点検をしていかなくちゃいけない、このように考えております。

○矢部委員 大分今までの議論で出てきておりますから、なるべく重複を避けながら、少しお聞かせいただきたいと思うんです。
 右肩上がりの成長が終焉した今といっていますけれども、いつ気がついたんですか。

○熊野主計部長 やはりバブルが崩壊して直後は、社会的にはまた右肩上がりを期待していた部分は否めないと思います。しかしながら、やはり数年たって、社会的な構造、産業構造も含めて、そういった構造自体がもはや右肩上がりでないというふうに全般的なコンセンサスができ上がってきたのは、やはりバブル崩壊後数年後というふうに理解しております。

○矢部委員 この資料の七ページ、都税収入の推移というグラフがあります。このグラフの中で、今のお話のことは、この数字、年度と見て、このグラフの変化と見比べながら、どこでどういうふうに理解したらいいんですか。

○熊野主計部長 一般的にいわれておりますのは、バブルの崩壊は平成四年ないし五年というふうにいわれております。その後私どもも税収が大幅に落ち込みまして、国の方と一体となって景気対策をやって、何とかまた景気の回復をということでかなり財政出動も行ってきたわけですが、結局、なかなかそういったことも効果がないと気がつき、またこれからは財政運営のおいても方向転換をしなければいけないというふうなことを正確に認識したのは、やはり平成七年ないし八年ごろではないかと思っております。

○矢部委員 先ほどこの六ページの税収の推移のところで、平成元年と比較して十五年というお話がありましたけれども、そのことは、また元年のレベルまで戻るという念頭の感があるんですか。

○熊野主計部長 税につきましては、たまたま六十二年度の税収と現在の税収がほぼ同じ額であるということをもって、私ども六十二年等々と比較しております。しかしながら、それをもって当時の財政規模であるとか、あるいは財政構造にまで戻そうという趣旨は全くございません。

○矢部委員 そういうことではなくて、都税収入、平成元年が二兆七千億でしたか、現在が一兆円を割っているということですか、というお話が先ほどありませんでしたか。そこの認識の問題なんですが。

○熊野主計部長 税収全体が六十二年度とほぼ同額であるということと、法人税が元年度とほぼ同額であるということでお示ししただけでありまして、今後の税収について増収があるという見込みは持っておりません。

○矢部委員 何がいいたいかというと、この一ページ目にあります、右肩上がりの成長は終焉したといっていますけれども、世の中はもうとっくに、十年も前からそう思っているわけで、十年前が平成五年、バブルが崩壊したのが、崩壊というよりピークといった方がいいかな、平成元年。税収は一年ずれるものですから、そういう錯覚の中で、一つはそこの見方が違っているということ。
 もう一つは、その間に、税の方の話ですけれども、一物三価だ、一物四価だというような議論がされて、固定資産税の評価がいろんな形で変わっていって、結果としていまだに固定資産税が上がり続けている。先ほど来、都道府県税は固定資産税はないといいましたけれども、東京都税は二十三区分も固定資産税が都税収入として入っているわけですから、そこで錯覚が起きていると私は思うんです。
 そのことについて、その錯覚がそのまま、今は悪いけれども、もしかすると戻るのではないかという感覚がどこかに東京都の中に絶えず残っているのではないかというふうに思えてならないんです。それが、よくよく解釈すれば、やっと今気がついたという表現なんですか。

○熊野主計部長 今後大幅な税収が期待できないということにつきましては、第一次財政再建推進プランをつくった時点でも私どもは十分認識していたつもりでございます。

○矢部委員 ほかの皆様と違って事前に通告もしていませんから、質問と答弁が文書になっていないものですからやりにくいかもしれませんが、委員会の質疑というのは本来こうあるべきでございますから、お許しをいただきたいと思うのですが、私は専門的にやっているわけじゃありませんし、皆様はそれを専門の仕事としているわけですから、そういう中でお尋ねをさせていただいているわけです。
 この中での、要するに認識の仕方がまだ結局のところ甘いのかなと私は思っているんです。先ほど藤田先生のお話の中でも、高どまりの経常経費、その中で聖域なき改革をといっていましたけれども、その聖域ということは私もぜひ聞きたいなと思っておりました。
 一一ページ、歳出削減の状況(性質別)というのがあります。もう一面、見方を変えたときに、身の丈--身の丈というのはどういうことですか。

○熊野主計部長 身の丈とは、現在確実に見込める収入のレベルというふうに考えております。

○矢部委員 先ほどのご答弁の中で、六十二年と一緒にするのではないというお話がありましたが、今のお話のように、税収という観点からすれば、六十二年と同じになった。そのときに、歳出削減の性質別のこのチャート、これは十一年と十五年と比べていますけれども、六十二年と十五年とで、六十二年を一〇〇にしてこのチャートをつくり直すと、給与費が一二〇になるんですね。補助費は一八九、出資・貸付金は八一、これは今とおおむね同じぐらいです。物件費・維持補修費は一二七、投資的経費はまるきり同じ六九、扶助費は二〇七、公営企業会計支出金は一一九ということになって、全然見え方が変わっちゃうんですね。
 だから、あえてそこにくぎを刺すように、先に六十二年と歳出構造を一緒にするものではないというお話がありましたが、身の丈に合った財政というのは、六十二年と同じ構造にすれば、もう一遍に解決しちゃう話ですよね。そういうことではないんですか。

○熊野主計部長 身の丈に合ったと申しますのは、先ほど申しましたように、今確実に見込める収入をベースにということでございますが、ここで、現在の十五年度と十一年度をなぜ比較したかということを先に申し上げますと、十一年度は第一次の財政再建推進プランのスタートの年次であったということで、そのスタート時と現在の状況を比較して私どもの課題を見つけようというふうにしたものでございます。
 六十二年につきましては、先ほど申しましたように、税のレベルが同じということで、基準年としていろんなところで使っておりますが、ただ、当時とは、税が同じであったとしても、その他の歳入、例えば国庫支出金であるとか、起債の活用の方針であるとか、そういったことも違っておりますので、そういったこともトータルに身の丈というのは判断していくべきであろうと思っております。

○矢部委員 それじゃ、要はこのチャートのとおりでいいということになってしまって、何も改善しないんじゃないんですか。

○熊野主計部長 六十二年度と比較してみるということも一つの方策であろうかと思います。

○矢部委員 そういうふうにいいたいんじゃなくて、これ、数字のマジックのようなところがあるんですね。見やすさというようなこともあるかもしれないけれども、どこを物差しにするのか、決めたら全部統一してつくってみるべきだと私は思うんです。だから、十一年が基準という、スタートがこれだというのはわかるけれども、そういう中ではちょっと違うのではないか。やはり六十二年の税収というのを基準として見るのが、先ほどの七ページの税収のグラフ、これからしても、おおむね四兆円のところで水平になりつつあるわけですね。だから、この税収で考えるというのが私は一番正しいと思うんです。
 そのときの税収は六十二年の当時と一緒だとするならば、そのときと同じような構造にするべきで、ただ、そこで違うのは、職員数も減っていたり、また教職員、少子化の中でどんどん人数も減っているわけですから、そういう経済面の変化だけじゃない部分の変化もあるということだと私は思うんです。
 もう一つ、この中に全然入っていないのは、人口は今のところ横ばいだけれども、これから先はどんどん減っていくわけです。少子化になると、右肩上がりどころではなくて、これからは右肩下がりに間違いなくなっちゃうわけですから、それを維持するとすれば、賃金がどんどん上がっていかなくちゃいけないけれども、ただいま現在でも世界一高い賃金の日本国ですから、そうもいかないんだろうというふうに思うんです。
 その根本的な見方を変えない限り、毎回同じことをずっと繰り返していかなくちゃいけないということではないですか。

○熊野主計部長 聖域のない施策の見直しということを再三申し上げてきましたけれども、その見直しに当たりましては、副委員長がおっしゃった今後の少子化を迎える変化であるとか、その他もろもろのことを考えつつ、今後の施策を再構築していく必要があろうと思います。したがって、そういう中で財政再建に取り組んでいくということでございます。

○矢部委員 だから、財政を再建しなければいけないということは私もそう思っているわけで、それは財務局の皆さんもそう思っているわけだろうと思うんですよ。だから、同じ目的ならば、どっちも同じでなければ本来はおかしいんだろうと思います。そういうことをお尋ねしているんですが、先ほどちょっと気になったところがあるんです。
 それはアウトソーシング、言葉としてはいいんですが、窓口業務等々をアウトソーシングしたいといっていますけれども、私はこれは逆ではないかと。一番都民の声を聞ける部分をほかに回したら、余計東京都というのは都民との距離が離れちゃうんじゃないかという心配をするんですね。窓口でやっぱり怒られることもあり、いろんなことがあってそれこそ痛みがわかっていくという部分で、物すごく大事な部分じゃないかなと思うんですが、基本方針はそういうことなんですか。

○熊野主計部長 先ほど申し上げましたのは、ただ方針が決まったということではなくて、そういったこともあり得るということで申し上げたつもりでございます。したがいまして窓口といっても、いろんな種類の窓口があろうかと思いますので、そういったことを含めて細かい検討をさせていただきたいと思っております。

○矢部委員 全体というか、IT化というような話の中では、そうじゃない窓口というのもあるかもしれませんね。それはそっくりなくてもいいのかもしれません。だから、総体として今本当に必要なのかどうかという議論という観点に立てば、まだ見直しをするべきところというのはあるのではないか。小手先でやっていたのでは何も解決をしないんだろうというふうに思うんです。
 知事本部のことも藤田先生がご質問でしたが、私も再三これはいっているところでございますけれども、全体としては知事本部が重要施策として決めたものをまず考えて、総枠の中でそれを除いた部分で予算を組むということですか。

○熊野主計部長 これまでの、昨年、一昨年の重要施策につきましては、知事本部が重点事業等を決めて、その過程で財務局あるいは総務局の意見を聞きつつ、各局から吸い上げた事業を決めていくということで、当然ながらそれは予算の編成の前に決まりますので、そこら辺は、私どもは予算編成の中で尊重していくという仕組みになっております。

○矢部委員 それは、総額がまず決まって、積み上げていくんだろうけれども、対前年度比というようなことからすれば、総額が決まって、その中で大体シェアが決まって、その中で重要施策でとれば、その枠は減るという感覚でいいんですか。

○熊野主計部長 端的に申し上げますと、予算編成では、いわゆる政策的な経費ということで、シーリングの枠外で別枠扱いにはなっております。

○矢部委員 それならば、先ほどのお話のように、そこは聖域ということではないですか。

○熊野主計部長 聖域ということではなくて、先ほど申しましたように、新しく重点事業として選ぶ際には、我々としても財政の立場から物を申しているわけで、一昨年、昨年の重点事業については、今度十六年度の予算に向けては、当然見直しの対象になると考えています。

○矢部委員 一年スタートすれば、二年目以降は外れるという今のニュアンスですか。要するに、一般の事業の中の二年度目という解釈をしますよということですか。

○熊野主計部長 当然のことながら、昨年の重点事業については、今回検証の対象になるということでございます。

○矢部委員 聖域というのは、本当のところ何ですか。

○熊野主計部長 聖域というのは本来あるべきではないと思っております。

○矢部委員 あってはいけないものが、どうして言葉にたびたび出るんですか。

○熊野主計部長 本来であれば検証の対象となるべきものが、時間的な問題であるとか人的な問題であるとかでなおざりにされてきたという傾向は否めないと思います。

○矢部委員 それこそアカウンタビリティーという言葉は、この予算編成のためにあるような言葉だと私は思っているんですね。だから、そういう意味では、だれもが納得できる形に表現をするのが一番いいんでしょうし、その後の会計制度のこともありますけれども、今の仕組みの中で極めて膨大な予算ですから、それを総枠の中でとらえようとしても大変難しいというふうに思います。確かにそれぞれの事業という観点からすれば、見え方というのはいろいろあるでしょうし、もう一面は、やっぱり説明責任もあるかもしれないけれども、結果責任もきちっと見ながら、費用対効果ということを考えていくという感覚を持たない限り、結局は詰まっていかないだろう。
 同じ事業を都が直接やるのがいいのか、そういう意味ではまるっきり民間にゆだねた方がいいものもあるのではないかという、そういうアウトソーシングなら私はすごくいいんだろうと思うんですが、今までのお話の中ではそうした考えは余り聞こえないような気がしましたけれども、いかがですか。

○熊野主計部長 当然のことながら、今後発想を変えて見直していく場合には、先ほど少し申し上げましたけれども、行政の守備範囲、そういったものから根本的に考えていかなきゃいけない。その場合に、やはり民間にゆだねられるものは民間にやっていただく、こういうことも今後の大きな見直しの視点になろうかと思います。

○矢部委員 そういう意味で、都の仕事で、都でなきゃできない仕事というのは、比率でどのくらいあるんですか。

○熊野主計部長 大変難しいんですが、比率ということでは若干お答えし切れないと思います。申しわけございません。

○矢部委員 守秘義務といいながら、その辺が、今までは一つの壁というかバリアというふうになっていたと思うんですが、結構中身が民間に委託されてそれが崩れているというような部分も、いろんなところでお聞きいたしておりますし、そういう見方をすれば、私は、都の仕事もほとんど、九〇%ぐらい民間に任せても問題ないのかなというふうには思うんですね。すごい極論ですが。でも、そういう観点に立てば、全然悩むこともなく、思い切ってやればいいんじゃないかと思うんです。
 ただ、公務員法がありますから、公務員法という壁がある中ではなかなかすぐにはできませんが、少子化ということをにらむ中で、長期構想を立てて徹底した人員の見直しをしていくというようなことをしない限り、もう一面、今の単年度という予算の仕組みと考え合わせると毎回悩み続けなくちゃいけないし、そういっているうちに景気が回復してきて何とか救われるんじゃないかという神頼みみたいなことで進めていても、これも結論が出ないだろうと思うんです。
 それから、もう一面、一九ページに、高齢者人口の増加と、このことを一つの項を立てて書いてありますけれども、高齢者というのは、きのうきょう高齢者になったわけじゃなくて、八十歳の人が八十歳になるのに八十年かかっているわけですから、ずっと前から予測はされていることでなければおかしいわけですよ。反面、生まれ出るお子さんは、それこそはかることができないかもしれません。だから、こちら側についてのことも単年度の予算という中では考えにくいけれども、東京都の将来ということではしっかりと位置づけをして、全体として東京都の人口は何人がいいのか、それがきちっとキープできるのか、そのときに東京都の職員は総体で何人が妥当なのか、そういう物差しがある中で作業が進んでいかない限り、結局国のやっていることと同じで、毎年毎年増税をしていかなきゃならぬ。いつまでするんだと、それは一向にわかりません、こんなこといっていたんでは、やっぱり国もおかしくなっちゃうし、同じように東京都もおかしくなっちゃうと私は思うのでございます。
 大変大風呂敷を広げて申し上げましたが、局長のお考えをお聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。

○櫻井財務局長 大変難しいお話をいただいております。東京都のあるいはそれぞれの自治体のサービス総量を将来どういうふうに見ていくのかというのは、非常に難しい宿題でございます。
 ただ、先生お話しのように、単年度細切れで考えるんじゃなくて、もう少しスパンで物をとらえて見通しをしていく、そういうようなことは大変重要だと思っておりますので、今回の財政再建推進プランの中でも、そういう目線で少しでも財政の予測、あるいはそのスパンの中で予定されるあるいは見通せる行政サービスについて、できる限り関係部門とも調整しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○鈴木委員 私の方からも、この種の問題は重複してしまいますので、二つの観点から、まず財政再建推進プランの問題と、あとは都債のこれからのあるべき姿論について、端的に二つの分野からお伺いしておきたいと思います。
 まず最初の「途半ば」の方は、今るるさまざまな形でそれぞれの委員の方からアプローチがありました。私のスタンスとしては、代表質問で我が党の大木田さんが訴えた主張、つまり、第一回定例会で知事に対して率直に新しいプランをつくるべきではないのかというスタンスから私たちは出発をして、今日十月を目途に新しいものをつくっていく--ロードマップ的な言葉も使わせていただきました。大変いいご答弁が出たと私たちは思っていますが、それはそれとしてはしょりながら質問をいたします。
 その前に、主計部長、「都財政の収支見通し 平成十五~十八年度」、十四年一月版には、これはちょっとまだいっていなかったんですが、いわゆる予算のキャップ制という言葉がずばんとここに入っていたんです、この小冊子は。しかし、それはもう完全に今度は削除されています。しかも、そのときには、詳しく申し上げますと、私たち、これについて、何なんだろう、この場所でこのようなことをずっと羽交い締めしちゃっていいのかどうかという、その疑問はあったんですけれども、その当時あえて質問はしませんでした。予算の複数年度の導入の問題等々も私たちは構えていたものですから。
 率直に伺いたいんですけれども、今回こういうものがなくなって、普通の、いわゆる「途半ば」の姿論しか私にはこれには見えてこないんですけれども、切り込んではいないなという、そういうスタンスの問題についてまずお伺いしておきたいと思いますが、どうでしょう。

○熊野主計部長 キャップ制の導入を初め、予算編成手法の改善というのは、私どもにとりましては大変大きな課題であると思っております。さはさりながら、現行、非常に財源が限られた中で何ができるかということの問題もございまして、現在引き続き検討中ではございますが、少しずつ改善策は図りたいと思っておりますが、もう少し予算編成手法の改善につきましてはお時間をいただければと思っております。

○鈴木委員 そうですね。私も質問して、これは自分なりの首を締めたくもありませんし、流動的に聞いているわけでございまして……。その根拠として、二一ページの一番下段、「対象が増加するとはいっても、財源に限りがある以上、総額は一定の水準に抑制」という言葉が、そのことを何か裏づけているような文章として残っているのかなと、ちょっと私自身考えざるを得なかったものですから、冒頭あえてお聞きをしたんでございますが、それとこれは別問題ですね。--はい、わかりました。うなずいていただきましたから、結構でございます。
 それでは、本題の方に入ってまいります。まず私の方から概論的に伺いたいんですが、都政といえども、都の職員の定年、年齢構成を見ると、都政の二〇一〇年問題が、都政は都政なりに起きてくると私は思います。そういうものも非常に深刻に受けとめながらこれから進んでいかなければいけないのかなと私自身思っております。
 そういうことを踏まえながら、まず第一点目、今までずっと皆さん聞いておりますけれども、私自身が聞きたいコアの部分は、都政の、皆さんの財務御当局としてまず何をやらなければならないのか、その辺の大枠、これをまずきちっと具体的にお示ししていただかないと私の論が進まないんでありまして、それについてお答えをいただきたいと思います。

○熊野主計部長 まず何をやらなければいかないかというご質問でございますが、財政分野の見直しに当たりまして、まず、右肩上がりが終わって、もはや税収の増加、あるいは財政規模の拡大が望めない時代になったということ、そして、今までやってきたやりくり、いわゆる財源対策ですけれども、これがもう限界に達しているということ、これをまず私どもは強く認識する必要がある、これが出発点であろうと思っております。
 その上で、今後の取り組みといたしまして、財政再建の量的な側面の取り組み、身の丈に合わせて財源不足を解消すること、それから質的な側面、弾力的な財政構造を確立すること、これが必要でございます。
 そのために、今までの延長線上の取り組みではなくて、新しい発想で施策の体系あるいは実施方法まで踏み込んで思い切って再構築する、あるいはスクラップ・アンド・ビルドをする。それを徹底させて新たな財源を生み出して、これを新たな都民ニーズにこたえていくための財源としていく、そういったこれまで以上に踏み込んだ取り組みが必要になるというふうに思っております。

○鈴木委員 言葉ではよくわかるんでございますが、一歩私たちが都民の皆様に説明をするときに、こういうことをいわざるを得ない。まず公の部分、小さな政府、小さな自治体をつくってくれと、当たり前のことですね。膨大過ぎると、都にしても国にしても。それぞれの区はわかりませんけれども、職員、公の部分が多過ぎるじゃないかという率直な質問は、我々は常に問いかけられているはずですね。まず身をそぐこと、行政改革を徹底的にやっていかなければ、都民の方々から私たちは理解を得ることはできないと思います。
 第一次再建プランでは、内部努力は五千人を上回る見事な削減をしましたけれども、美濃部都政の二十二万人から十七万人余になりました。それでもやはりどうなのかというこの都民の怨嗟の声というものは私はあると思います。それをどうするかをまず語らなければ、スクラップ・アンド・ビルド、新しい発想、発想といったところで、まず身をそぐこと、これがまず第一段階ではないのかなと。これを定量的にどうこうする、どうあるべきかというのは、恐らく次の課題として出てくるのかなと私たちは見守っております。
 この行政改革について、きちっと、いわれている意味、またそれをいわない方もおいでのご様子でありますけれども、徹底した行政改革、そして私は、その中にあって、矢部先生も今おっしゃっておりましたけれども、アウトソーシングにしても、戦略的なアウトソーシングをしなさいと。一つの局をすぱんと動かすなりのそういう決断がなければ、物事は進まないだろう、こう思っています。
 そういう角度でご努力をしていかなければ、一千二百万都民の理解と、都政よくやっているというこの激励の言葉というものは出てこないのではないかなと私自身思っております。
 いろんな人と話して、皆その結論はそうなんです。減らしなさい、減らすべきだ。公の部分が多過ぎるという、これにどうこたえるかが、十月発表になるその場面の一つのメルクマールだと私は思っておりますから、その辺のご努力をきちっとしていただきたいな、こう思います。
 補助金についてるる聞きたかったんですが、藤田委員の方から、補助金のそもそもの規定は何なのかという基本的な問題が既にもうご答弁出されていますので、私はあえて重複を避けさせていただきます。
 テーマが移りますけれども、私が聞きたいのは、例示的に挙げられているこの補助金の問題、この補助金をあえて取り上げた理由。今までのそれぞれの小冊子を見ますと、私学の問題とか、それぞれ積み木方式で恐らく来ていると思うんです。補助金は今回という、見事に体系づけて皆さんおやりになっているなというのはその中から読み取れるわけでありますから、問題は、この補助金をあえて取り上げた理由、そしてこの冊子には幾つかの事例が述べられておりますけれども、それをもう一度私の立場で承りたいんでありますが、名前の挙がった補助金は、この既定方針どおりやり玉に上げるというおつもりでおやりになっているのかという、既定方針としてあなた方が腹をくくっているのかどうか、それをきちっとまたお答えいただきたいと思うのであります。

○熊野主計部長 一般歳出の四分の一を補助金が占めてございまして、私どもは、聖域とすることなく適切な見直しを行うことがこれまで以上に重要になってきているという認識は持っております。しかしながら、この冊子では現状と課題を明らかにしたものでございまして、その一環として補助金の全体像をお示ししたものでございます。
 したがいまして、特定の補助金を名指しして削減することはねらったものではございませんが、厳しい財政状況の中で、やはり各局でもう一度原点にさかのぼって検証していただきたいというふうには思っております。

○鈴木委員 その答弁は変わらない内容だったと思います。しかし、答弁の持つ意味は重いと私は思います。
 それで、すべて補助金が、先ほど二つのメルクマールがあると藤田委員のご答弁にありました。いわゆる奨励的な補助金、それから財政補完的な、この二つの分野があるといわれておりました。確かにそのとおりだと思います。ただし、これから万に一つ--この補助金を一律的機械的に削減することは、私はあり得ないだろうと思います。それは、創設をされた時代背景、バックグラウンドがあるだろうし、そしてまた事業評価としてこれからもどんどんどんどん伸びていただかなければならない事業がたくさんこの中にちりばめられている場合もあるでございましょうし、いろんなことがありますから、そういう時代の流れをよく見きわめながらいかなければいけないなと思います。
 ですから、的確に都民のニーズ、そしてまた時代背景、そういうものに合致できるような、そういうものをどうこれからクリエートしていくのか、これをきっちりと私たちも見定めていかなければいけないのではないかと思います。
 そんなことを考えながら、御局としてこれから補助金の持ついろんな意味を定めていく場合に、私が今申し上げた、一つ一つ丁寧に見定めていただきたいなと私自身は思うんでありますが、その辺はどうでしょうか。

○熊野主計部長 お話がございましたように、補助金の見直しに当たりましては、それぞれの補助金が持っております目的であるとか内容であるとか経緯であるとか、そういったことをつぶさに精査しつつ、必要性、緊急性などの観点から見直しを行っていくことが必要であろうと思います。
 しかも、これはあくまでも補助金を削減するという観点からやるのではなくて、必要な補助金についてはさらに充実させていかなければいけませんし、それから、補助金を切る切らないという話だけではなくて、補助金のあり方、要は、統廃合して補助を受ける人が使いやすくするような補助金にするとか、あるいは局をまたがって似たような補助金があるかないかとか、そういったことも含めて補助金全体を見ていきたいと考えております。

○鈴木委員 当然これからの論議を待たなければならないテーマだと思います。そこで、一つお願いがあるんでございますが、ここに出ている例示的な補助金だけじゃなくて、相当な項目数があるわけですよね。ですから、奨励的、財政補完をするというすごい数があるわけでありますけれども、そうしたものをすべてずっと羅列したものがお示しいただけるのかどうか。我々は、そういう労作、そういうものがなければ何にもいえないと思っています。例示的なものだけでは判断がつかない。そういうものをぜひデータとして整理をしてお示ししていただきたいと私は願望するものでありますけれども、どうでございますか、そういうものは出せますか。

○熊野主計部長 今回行いました補助金の調査は、財務局が設けました東京都補助金関係事務適正化委員会の報告に基づきまして行ったものでございます。この報告におきましては、補助金の透明性を確保するとともに、その整理合理化を進め、行政の簡素効率化を目指すために、補助金総覧を作成するようにというふうに求めております。補助金について今回初めて全件調査でございましたので、冊子にも記載してございますけれども、これまで既定のものがなかった分類の仕方などにつきましては、財務局において一定の基準を設けて切り分けているところでございます。
 したがいまして、補助金総覧としてお示しするためは、今後時間をいただいてさらに精査していく必要がございますけれども、その前段のデータといたしまして今回の結果調査を公表することについては、検討させていただきたいと思います。

○鈴木委員 ぜひお取り計らいをお願いしたいと願うばかりであります。
 それで、この項については、既に私も先ほどから繰り返し述べておりましたものですから、局長に一点だけお伺いさせていただきたいのでありますが、私がるる申し上げてきた基底部の問題を含めて、局長として、将来二十一世紀をさらに磐石足らしめる都政発展のために、都民のサービス向上、都民生活を向上させるために私たちはしっかりとした財政再建に取り組んでいかなければいけないし、また御局として取り組んでもらいたいというその思いが、この質問の中に、端的な二、三の質問でありましたけれども、込められているということの真意を踏まえて、局長としてのご見解を、この項の終わりにお願いしたいと思います。

○櫻井財務局長 今回の財政再建の取り組みは、今先生もお話しされましたように、二十一世紀に生きる都民のために、今後も東京に活力を呼び戻す先進的な施策を進めるために、強固で弾力的な財政体質というものを確立しようということで、こういうものを目的に取り組もうというものでございます。
 そのために、まず身の丈に合った歳出規模、こういうものを実現しまして財源不足を解消するとともに、それを継続できる財政運営を実現したいというふうに考えてございます。
 この財政再建をなし遂げていくためには、きょうお話をしていますように、一層徹底した内部努力、それと、高どまりを続けております経常経費、きょうお話も幾つかいただきました補助金を含めたものでございますけれども、こういうものの聖域のない見直しをするとともに、さらには新たな発想による大胆な取り口、あるいは切り口で事務事業を点検していくというようなことで、これまでもに増して厳しく踏み込んだ取り組みを行う必要があるな、こういうふうに考えてございます。
 こういうようなことで、社会経済状況、景気動向も大変厳しいという中で、あるいは都民の皆様の都政に対する期待も大きいという中で、都政運営大変厳しいわけでございますけれども、都議会のご支援、それと都民の皆様のご理解をいただきながら、財務局の総力を結集しまして財政再建に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

○鈴木委員 ここのところの最後、要望なんでございますが、政府が発表した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三」、この中で、大変いい指摘もあるんです。三位一体論はともかく、とんでもないあれですけれども、予算編成プロセス改革という方で、やはり複数予算制度だとか、そういうものを、事後評価とかをぴしっとやろうじゃないか、やるんだ、こういう一つの指標を出しています。ぜひこういうものを我々も参考にしていきたいなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次のテーマでありますが、端的に質問をしたいと思います。都債の制度改革についてであります。これは、本年第一回定例会、私は、たしか二月の末だったと思いますが、これについてるる当時の松澤主計部長にご質問をさせていただきました。そのときにご答弁いただいたのは、昨年の暮れに東京都として局内に検討委員会か何か設置をして、東京都のあるべき姿を提言させる委員会を設けたから、その中からぜひ新しい項目を打ち出したい、そういう答弁をいただいております。
 それも大変重い答弁でありましたし、今度も、きょうも株が九千七百円台、午前九千八百円、今どうなっているか、午後の場は終わっておりますけれども、わかりませんが、非常に流動的に、いいことなんですけれども、それに対して債券の相場はどうなのか、非常に流動的でありまして、私たちも非常に敏感に反応せざるを得ない状況の中で、この問題がどう進んでいくのか、大変気になるところであります。
 そこで伺いたいのでありますけれども、先ほど、冒頭述べました都独自の都債の制度改革について、その後、冒頭申し上げた昨年末の学識経験者などによる検討委員会において検討を行う、行った、こうご答弁いただいておりますけれども、たしか五月にはその提言が出されていたと仄聞いたしてございます。そのポイントをわかりやすくお示しいただきたいと思います。

○熊野主計部長 お話のように、昨年十二月に学識経験者及び市場関係者などを委員といたします都債発行に関する制度改革検討委員会を設置いたしました。財務局の諮問を受けた形で委員会で検討をいただきまして、本年五月に「東京都における今後の都債発行のあり方について」という報告を受けたところでございます。
 報告のポイントは、国に依存しない自治体独自の個別交渉方式への移行、あるいは現在の固定的なナショナル・シンジケート団方式を抜本的に見直して主幹事方式を導入すること、さらには市場ニーズに沿った商品開発、あるいは広報活動の充実についてご提言をいただいたところでございます。

○鈴木委員 このテーマをなぜこの場所でいうかというと、歳入の面で大変大事な問題でありますから、ちょうど「途半ば」の財政論議とフィットするテーマでもあるから私あえて触れているわけであります。またこれから都債の大量償還期を迎える時代にも入りますから、そういう形で実は聞いているわけであります。
 そこで、今ご答弁いただいた国に依存しない自治体独自の個別交渉方式への移行なんて、これはすごいことだと思いますね。今まで国の関与でがんじ絡めになってきたものが、独立をして東京都がやっていきたいという、まさに地方分権の流れに沿うものだとこれは評価をしておきたいと思います。
 しかし、そうはいっても、これをより具体的に実行していけるのかどうか、これが問題だと思うのであります。課題だと思います。対応の難しいところではないのかな、こう思います。
 そこで、この提言を具体的に実現に向けて東京都としてどう取り組んでいかれるのか、その辺をちょっとお答えいただきたいと思います。

○熊野主計部長 今回の提言を受けまして、まず個別条件決定方式によりまして、二十年債あるいは三十年債といった超長期債の発行を実施したいと考えております。その際、今回の提言にも盛り込まれていた綿密な需要予測に基づいて発行価格を決定いたしますスプレッドプライシング方式などを採用したいと考えております。そして、この成果を踏まえ、何回か、言葉は悪いですけれども、練習をさせていただいて、今後十年債、五年債といった起債につきましても、国と鋭意交渉して、個別交渉方式の実現に努めてまいりたいと思っております。
 このほかにも、提言を受けました投資家向けのホームページを活用するなど、投資家向けのIRのさらなる充実について、早期に図ってまいりたいと思っております。

○鈴木委員 今の答弁の中で、二十年債、三十年債、超長期ですよね。これはすごいと思います。ぜひ実現をしていただきたいなと思っております。そうはいえども、先ほどいったとおり大分ブレていますので、発行するにはタイミングの問題も恐らくあると思います。そういう問題もあり、債券市場が大きく今動いています。その動向を十分に勘案しなければいけないのではないのかなと個人的には思っています。
 また、当局としても、それに対して神経をぴりぴり研ぎ澄まされた感覚で受け取っていることも、私は確かだと思っていますので、今のこういう時期、また一方的にいえば大きなチャンスではないのかなと私自身思っていますので、このようなことを可能な限り早目に取り組まれていくべきではないのか。そしてまた、今後の予定についてずばり伺っておきたいと思うのであります。

○熊野主計部長 提言を受けまして、国の制約に縛られずに超長期債を出すということが実現すれば、新たな投資家層の開拓にもつながりますし、また安定的な資金調達にもつながるものと考えております。
 また、現在、ご案内のとおり、非常に超低金利時代でございますので、そういったことに機動的に対応するということで、都にとって非常に有利な発行条件を確保することも可能だと考えております。
 したがいまして、先生のご指摘もございましたので、早速準備にかかりたいと思います。ただ、先生もおっしゃったように、市場が非常に揺れ動いておりまして、株価が上がるにつれ、マーケットは弱含みで動いておりまして、そういったことを注視しながら、可能ならば今月中にも二十年債あるいは三十年債を発行していきたいと考えております。

○鈴木委員 最後にいたします。今月中ですか。すごい手っ取り早いですね。ぜひうまく市場の動向を見定めながらやっていただきたいなと思っております。もちろん、新しい投資家の開拓とか、戦野は開かれてくると私は思います。そのことを、いいタイミングの中で、もう一度申し上げますけれども、ぜひ見定めてやっていただきたいと思います。
 超長期債、これはすばらしいことだと思います。特筆すべきことではないのかなと。東京都がやるというんですから。そのことをやっていけば、一部分の、財政再建の、ささやかとはいいませんけれども、一分野を担うことも可能ではないのかなと私は考えておりますがゆえに、このことを指摘させていただいた次第であります。
 そのことを、グッドタイミングを見て、早期の発行をするということでありますから、ぜひそのことを期待申し上げて、私のこの項の質問を終わらせていただきます。
 以上であります。

○川井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○川井委員長 次に、報告事項「東京都の会計制度改革の基本的考え方と今後の方向について」の質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いします。

○馬場委員 私からは、東京都の会計制度改革の基本的考え方と今後の方向について、四点にわたり質問させていただきます。
 数年前から公会計の制度を複式簿記・発生主義に変えていくべきだということを強く申し述べてまいりました。行財政の効率化とか世代間の公平の確保ということに加えて、今長時間にわたって質疑がありましたように、財政危機ということが大きく、今回、都だけでなく、国も含めての問題ということになってきております。その中でこの会計制度を変えていくということが大変大きな意味を持つと私は思っておりますので、きょうはあえて、もう時間がないんですが、この公会計制度の改革について、応援をするという意味から質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 今長くありましたように、前段の報告事項一のように、今回第二次財政再建推進プランの策定に向けて「途半ばにある財政再建」が発表されました。その中では、右肩上がりの時代が終わり、税収の自然増が望めない中にあっては、持続可能な財政運営の実現が不可欠であり、そのためには財源不足の解消という量的改善とともに、財政の弾力性を回復させる質的改善が必要であるということを述べられましたし、委員の皆様からも多数出ました。
 この身の丈というのがどういうものかということは、この財政再建の中にありますが、いつから気がついたかというような質疑もありましたが、ある意味では個人はもっと早く気がつき、自分の身の丈で自分の日常生活を変えてきている。しかし、都の財政の中では、もう少し財政、頑張れば--景気回復に大きく影響するのではないかというような意見が今までもあり、なかなかこの身の丈というところが出されてくるという状況にはなかったのではないかなと私も思っていますし、今でも国はまだそのことをでき得ていないというふうに思っています。
 しかし、じゃ、身の丈というのがどのくらいなのかというのは、出された資料の中でも、景気に左右されるということで予測がし切れていない部分があります。その予測されない身の丈に支出の方も合わせていこうというわけですから、これはやはり大変な作業になるというふうに思っています。
 こうした課題、これを中長期的な視野から抜本的に解決し、真の財政構造改革を実現していくためには、現在の会計制度を見直し、行政コストや資産、負債の状況を明らかにすることができる複式簿記・発生主義に基づく企業会計方式を導入し、受益と負担の関係等、都民と情報を共有し、ともに考えていく、そういうことが重要であるというふうに思っております。
 いろいろ質疑が出ました。この会計制度に合わせながら質疑を聞いておりました。ある一定の固定経費に近いような割合がどういうふうにあるのか、それを構造改革していくということがどういうことなのか、どうしていけばいいのかというようなことを具体的にこれから考えなければならない。そういう中で、この会計制度というのは大変重要な資料になるというふうに思っています。
 こうした観点からの取り組みとして、今回、この会計制度改革の基本的考え方と今後の方向ということで出されましたが、現段階でこの報告書をまとめた趣旨というのは何であったのか、改めてお伺いいたします。

○熊野主計部長 東京都におきましては、単式簿記・現金主義を基本とする現行の公会計の欠陥を補うために、平成十八年度から会計処理に複式簿記・発生主義を本格導入することとしております。この報告書は、今後具体的な取り組みを進めるために、会計制度改革の基本的な考え方をまとめたものでございます。今後、これを指針といたしまして、取り組みを進めていくつもりでございます。

○馬場委員 今の現状を、早い話、数字にしてあらわしていくということなのだというふうに思います。数字にすることで状況が見えてくる。つまり、さらにいえば身の丈が見えてくる、そしてそれを改革する方向も見えてくるというふうに思います。
 この会計制度は、都のすべての会計に導入をするというふうに書かれております。こうした大きな会計制度の改革は、あらゆる施策、事業について行政コストが明らかになるとと思います。しかし、この数字が単に総コストを明示することだけになるのではなく、そのことが施策効果をあらわす、そういうことでなければならないというふうに思うんですが、先ほどお話がありました補助金の取り扱いについても、いろんな意味がその数字の中から見えてこなければならない。どういう補助金がどういう形であればいいのかというのを、数字とともに、アカウンタビリティーでしょうか、説得力ある改革にするためには、その数字も一緒につけるということが大切だというふうに思っております。
 このことについて今後どんなふうに取り組んでいらっしゃるか、伺います。

○熊野主計部長 行政部門で企業会計方式を導入する場合におきましては、単に施策のコストを認識するということだけでは不十分でございまして、施策の効果等を把握して、それらを比較検証した上で、経営改善あるいは説明責任の課題に対応していくということが重要であり、むしろそれが本当の目的だと思っております。
 しかしながら、施策の効果を把握する手法というのは、個別の事業あるいは施策の性質等々さまざまでございますので、企業会計方式とは違って、統一的な基準を設けて測定していくということは、大変困難かなというふうに思っております。
 したがいまして、今後は、企業会計方式を導入して、そこで明らかになった行政コストを行政評価とどう結びつけていくかとか、あるいは直接事業を所管している各局と連携しながら、どうそれを役立てていくかということを検討することが大切だと思います。
 今後検討を進める中で、施策の効果なども踏まえた適切な財務諸表の活用がなされるように工夫をしてまいりたいと思っております。

○馬場委員 ありがとうございます。今述べられたように、数字というのは大変怖い部分があります。ひとり歩き。数字をどう使って施策を見せるかという、その見せ方も、数字の使い方で幾らでもできる。どちら側に向いてどう出していくかということも含めて、これは大変大きな問題であるというふうに思いますので、今後さらに一般の企業会計と違う部分をいかにつくっていくか、いかに説得力ある表示なり組織にしていくかということも含めて検討いただきたいというふうに思います。
 先ほどの質問にもありましたように、本当に都がやらなければいけないこと、アウトソーシングも含めて民間委託やさまざまなことが考えられると思いますが、そのときに、実情なり、そのことがどういうことかというのがきちんと相手にわかる、相手というか、どういうところにそれを任せればいいのかということもわかる資料ということになってくると思いますので、そういうことも含めて、早急に会計のシステムをつくるということが、構造改革にとって大変大きな意味を持つというふうに、何度も申し上げますが、思いますので、お願いいたします。
 ただ、今、東京では十八年ということで計画が出ておりますが、東京だけでこの会計制度をやるということは、さっきお話ししましたように、地方分権や、さまざまな点でこの企業会計は大変大きく意味をなすものだというふうに思っています。他の府県等の比較や、自立をしていく、自分の自治体がどういう状況にあるのかというのを把握するためには大変必要な状況でもありますし、それをもって、国に対して、分権、補助金、先ほど出ましたように、補助金等も含めてどういう形で国と連携をしていくのか、そういう材料にもなり得るものだというふうに思っています。
 その意味では、東京だけのものにするのではなく、導入に向けて、ほかの自治体との連携ということを考えなければならないというふうに思いますが、国や他の自治体の検討状況、今どんなふうになっているのか、また、ほかの自治体の取り組み状況がわかれば教えてください。

○熊野主計部長 国におきましては、財政制度等審議会におきまして、本年一月から公会計制度について検討を進めてございます。六月末に公会計に関する基本的考え方を取りまとめたところでございます。この報告書では、企業会計方式による省庁別財務書類を作成すべきとしてございます。また、経済財政諮問会議でも議論してございまして、骨太の方針二〇〇三におきましても、民間企業会計手法の導入など、公会計制度の改革を進めると記述しているところでございます。しかしながら、これらの報告書等は、公会計制度改革について一定の必要性は認めているところでございますが、抜本的な官庁会計制度の改革まで踏み込んではおりません。
 また、他の自治体につきましては、普通会計決算からバランスシート等を作成している自治体は多いんですけれども、会計処理に複式簿記あるいは発生主義の導入を検討している自治体については聞いてございません。今後、東京からの発信の一つにできればいいと考えております。

○馬場委員 今までお話しいただきましたように、大変難しいシステムだというふうに思います。それをどこかが考えて、モデルのようなものでしていくことによって、他の自治体もそれを利用することができる。そういう意味では、都がこの財政規模でこうした会計制度を複式簿記等でやっていくことができるんだということは、他の自治体にとっての大変大きなモデルになるというふうに思っておりますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思っております。
 この中で、ただ一つ残念だというふうに私が思いましたのは、予算等への反映ということなんですが、これはこれからの課題ということで述べられているんですが、公会計で何が大切かといったら、私どもが一年間で予算の審議、予算をどうするかという、そのことが大変大きな、あえていえば、決算よりも予算重視というのが、税金を預かる私たちに、何に使うか、どう使うことを約束するかというような予算の重視ということがあるというふうに思います。それが一般の会計と少し違うところかなというふうに思っているんですが、その肝心な予算というところでこれが使われてこない、つまり、このシステムを使うようにならないということ、これは大変残念だというふうに思いました。
 先ほどの質疑の中で、これからの人口予測やさまざまなシミュレーション、例えば、税収が、さっき身の丈がありましたが、身の丈が伸びるか、また縮むのか、そういうたくさんの予想の予算編成というものが、これから、このシステムさえできれば幾らでもできるのではないか。こういう場合、それから、来年から、先ほど都債の話もありましたが、二十年先、三十年先にどういうふうに償還できるのかということも含めてきちんと明示されなければ、二十年先、三十年先の都債をだれが意識して買い、責任を持ってそれを売ることができるのかということになるというふうに私は思っています。
 そういう意味では、予算、つまり、これからの東京の計画、財政も含めて、福祉、サービスをどうするか、どういう予算をどう使えばどういうサービスができるのかということ、それから、これをやった場合はこうなる、これをやめた場合はこうなるというようなことのさまざまなシミュレーションが、この予算編成という形で幾らでもできるのではないかというふうに私は思っています。
 そういう意味で、都民にきちんとした予算の審議を、私ども議会が審議をするためにも、予算の部分にきちんとした、決算を反映しての会計システムをつくっていくということが、これからは構造改革や財政難の解消にとって一番大事なことだというふうに思います。
 そういう意味で、真の財政構造改革のモデルを東京からつくる、発信していく、このことを最後に局長のご決意としてお伺いして、終わりたいと思います。

○櫻井財務局長 複式簿記・発生主義を導入することを主眼とします会計制度改革を実施するということは、明治以来百年以上にわたりまして続けられてきました我が国の官庁会計の仕組み、あるいは事業運営の仕方、あるいは私ども公務員の感覚、いわば大げさにいえば、文化そのものを抜本的に改革する、こういうことになりまして、いわば新たな行政風土をつくっていく、こういうようなことになろうかと思います。
 そういう意味で大変大きなテーマですし、困難な課題でもございます。我が国で初めての取り組みということをもちまして、コスト意識を醸成し、行政の体質を変革するという、今我々都職員に求められている姿勢、こういうものを実現していくよすがにもなるかなということで、そういう大きな意味もございますことから、今後全庁一丸となってこの会計制度改革を推進しまして、東京から新たな公会計のモデルを全国に発信してまいりたいと考えております。

○川井委員長 他に発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十五分散会