財政委員会速記録第五号

平成十五年二月二十五日(火曜日)
第二委員会室
   午後一時六分開議
 出席委員 十三名
委員長川井しげお君
副委員長鈴木貫太郎君
副委員長矢部  一君
理事真木  茂君
理事松村 友昭君
理事桜井  武君
秋田 一郎君
北城 貞治君
馬場 裕子君
桜井良之助君
藤田 愛子君
藤川 隆則君
宮崎  章君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長田原 和道君
経理部長佐藤 兼信君
契約調整担当部長松村 光庸君
主計部長松澤 敏夫君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長矢口 幸一君
庁舎管理部長中村 忠夫君
営繕部長福島 七郎君
参事齊間 孝一君
収用委員会事務局局長平井 健一君
審理担当部長市原  博君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 収用委員会事務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出 収用委員会事務局所管分
 財務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出 議会局・財務局所管分、都債
  ・第十五号議案 平成十五年度東京都用地会計予算
  ・第十六号議案 平成十五年度東京都公債費会計予算
  ・第百四十一号議案 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入 財務局所管分、都債
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百二十九号議案 全国自治宝くじ事務協議会へのさいたま市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について

○川井委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員からお手元配布のとおり、意見書四件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件の取り扱いにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○川井委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成十五年度予算は、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十五年二月二十四日
東京都議会議長 三田 敏哉
財政委員長 川井しげお殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、二月二十四日付で予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 二月二十八日(金)午後五時

(別紙1)
財政委員会
 第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中
        予算総則
        歳入
        歳出
        都債
           財政委員会所管分
 第三号議案 平成十五年度東京都地方消費税清算会計予算
 第十五号議案 平成十五年度東京都用地会計予算
 第十六号議案 平成十五年度東京都公債費会計予算
 第百四十一号議案 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)

(別紙2省略)

○川井委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、収用委員会事務局関係の予算調査並びに財務局関係の予算調査及び付託議案の審査を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行いますので、ご了承願います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 予算調査を行います。
 第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いします。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○川井委員長 これより財務局関係に入ります。
 予算調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出、議会局・財務局所管分、都債、第十五号議案、第十六号議案、第百四十一号議案、平成十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、財務局所管分、都債及び第百二十九号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○北城委員 まず、財務当局の財政再建に対するご努力に対しましては、高く評価をさせてもらいたいなと、こんなふうに思っております。
 実は、私は、今までは財政再建第一主義者でありました。しかしながら、さきの補正予算で鈴木副委員長の方から東京都債の活用につきましての質疑がありましたが、私も同じスタンスであります。と申しますのは、中長期的な視点に立った場合に、東京都の抱える課題を解決していく政策を実現させるためには、政策の財源の確保策としまして都債の活用は私は避けて通れない道だろうと、こんなふうに思っております。そんなスタンスの中で若干質問させてもらいたいなと思っております。
 ご承知のように、昨年、東京再生都債や、それに続きまして国の個人向けの国債が発行されまして人気が集まってきたわけであります。ある意味では、金融機関や機関投資家だけでなく、個人に依存する資金の調達手段が多様化することは、東京都の財政運営上からも望むべき視点だろうと、こんなふうに私は思っております。
 しかしながら、その背景をよくよく考えてみますると、個人の資産が千四百兆円あるといわれるような状況の中で、このような不況の長期化によりまして株価が低迷し、さらに銀行のゼロ金利が続行しているわけであります。
 そう考えますると、行き場を失った資金が、少しでも安全で、少しでも有利な商品という、都民、国民のささやかな願いが集まった結果だろうと私はいわざるを得ないわけであります。今、東京都政に必要なことは、個人が下を向く施策ではなくて、上を向く都市再生の大胆な施策展開が求められてくるであろうと、私は強く痛感しているところであります。そんなことを考え合わせますると、十五年度予算では、重点課題としまして、都市再生にも力を入れ、全体として緊縮予算でありますが、投資的経費はプラスとなり、厳しい台所事情の中で重点的に財源を配分していると思います。
 しかし、これまでの財政運営は、財政再建第一優先で歳出削減ばかりに目が行きがちで、東京の活力を高め、収入をいかにふやしていくかという視点が若干私は欠落しているような気がしております。そんなことを考え合わせますると、東京の経済の活力を高めるために都市再生は不可欠であり、その貴重な財源として都債を有効に活用していくことが重要との視点に立ちまして、何点か質問させてもらいたいと思っているところであります。
 まず最初にお伺いをしますのは、東京都の起債依存度と都債残高はどうなっているのか、財政再建推進プラン前の平成十一年度からの推移を確認しておきたいと思います。

○松澤主計部長 まず、起債依存度の方についてでございますが、十三年度までが決算、十四、十五年度は予算ベースで申し上げますと、財政再建推進プラン前の十一年度は一一・三%でございました。また、プラン以降では、十二年度が六・〇%、十三年度が四・九%、十四年度七・三%、十五年度七・六%でございまして、プラン前の十一年度一一・三%と比較しますと、相当低い状況で推移してございます。
 それから次に、都債残高の状況について見ますと、プラン前の十一年度が六兆三千七百六十八億円でございましたが、プラン以降、十二年度が六兆五千七百六十一億円、十三年度六兆七千八百十億円、十四年度六兆九千八百六十七億円、十五年度六兆九千三百三十五億円となっております。都債残高は、プラン前は急激にふえておりましたが、プラン策定後はその増加傾向が緩やかなものとなっておりまして、また、十五年度予算では、これまでの都債発行の抑制効果があらわれまして、十三年ぶりに残高が減少に転じる、このような見込みでございます。

○北城委員 本当に財政再建に対しますご努力に対しまして高く評価をしていきたいなと思っております。
 そこでお聞きしたいんですけれども、起債依存度と都債残高の比率は、国や地方と比べてどのような状況なのか確認をしておきたい、こんなふうに思っております。

○松澤主計部長 ただいま申し上げました、十五年度予算における東京都の起債依存度七・六%でございますが、これに対しまして、国は四四・六%、それから地方財政計画が一七・五%ということで、比べましても相当低い水準に東京都はございます。
 それからまた、四十七都道府県の中でも、十五年度予算では、起債依存度が都が一番低い数値でございます。十五年度予算ばかりでなく、十四年度予算、十三年度決算においても、全国で都が起債依存度が今一番低いと、こういうような状況でございます。
 それから次に、都債残高の状況でございますが、これは、家計における年間収入に対するローンの割合と同じように、歳入総額に占める公債残高、いわゆる都債残高の比率で申し上げますと、十五年度予算では、東京都は一二一%、つまり一・二倍ぐらいでございます。これに対しまして、国は五五〇%、地方財政計画は一六一%となっております。このように、公債残高におきましても、東京都は国や地方財政計画と比べまして低い状況ということでございます。

○北城委員 東京都の十五年度予算の起債依存度は七・六%で、国や地方と比較すると極めて低い数字になるということが確認できたわけであります。
 しかしながら、よくよく考えますると、将来、このような都債の抑制基調を継続した場合、もちろん財政再建に対するご努力はさらにしてもらいたいという気持ちはあるんですけれども、ただ、このような都債の抑制基調を継続した場合、将来的に事業の進捗に影響が出てこないのかということが当然心配される事項なのかなと、こんなふうに思いますので、この点につきましてもご見解をお聞かせ願いたいと思います。

○松澤主計部長 都債は、公共施設の整備を図るための重要な財源でございまして、将来の財政負担を考慮しながら、やはり適切な活用を図ることが重要であると、このように考えております。
 ご案内のとおり、都は財政構造改革を進めるため、平成十二年度以降、起債を全体額としては抑制してきておりますが、ただ、こうした中にありましても、都市再生など東京の活力を高めるための社会資本整備や、それからまた、都民生活に密接に関連する分野については着実な取り組みを行うため、重点的に都債を配分して活用しております。
 したがいまして、重点的に取り組むべき投資的な事業につきましては、めり張りをつけて都債を充当しておりまして、将来にかかる事業の進捗についても十分に留意しているつもりでございます。

○北城委員 心配ないというご答弁でございました。
 ただ、私が心配しておりますものは、例えば国の動向によりまして、減税補てん債が伸びるとか、また同時に、退職者が当然ふえてきますよね、状況の中で。そうすると、退職手当債もやはり増加せざるを得ないというような片方の状況があるわけであります。
 そしてもう一つは、このような社会経済状況下では、都税収入というのは、やはりマイナスとして推移をするということが常識的な考え方なのかなと、こんなふうに思わざるを得ないわけであります。
 このような状況を考えますると、将来の財政負担が懸念される余り、心配をする余り、新しい事業には手をつけないというような基調が東京都政のどこかの片隅で存在をしたならば、私は真の東京都政はあり得ないのじゃないかなと、こんなふうに心配をしておりますので、今回、都債の区分と、都債を具体的にどのような事業に重点的に配分されてきたのか、この際、明らかにしてもらいたいと思います。

○松澤主計部長 十五年度予算で計上している都債でございますが、全体で四千三百五十億円でございますが、このうち公共施設に用いる通常の都債が二千七百八億円、それから、今先生のお話にございました国の税制改正に伴う減税補てん債が千三百四十二億円、退職手当債が三百億円と、こういった区分になっております。
 この公共施設整備のための都債の計上に当たりましては、都市再生や都民の安心、安全を確保するための必要な事業に対しまして、国庫支出金の確保などを図った上で重点的に充当したところでございます。主な事業の充当額、具体的に申し上げますと、道路街路の整備で六百九億円、それから鉄道の連続立体交差の推進で百十四億円、日暮里・舎人線など公共交通網の整備で三百八十八億円、首都高速道路の整備で二百四十七億円、都立学校の整備で百四十四億円、それから三宅島の災害復旧等に四十九億円といったような形になっております。

○北城委員 そうしますると、東京再生を担うべき通常債でありますか、これは平成十四年と比較をしますと、わずか一億円しかふえていない状況なんですよね。そんなことを考え合わせますると、二つだけお話をしておきたいことがあるのかなと、こんなふうに思います。
 その一つは、さきの補正予算の中でも議論されていたところでありますけれども、都債の充てん先としまして、道路改良事業ばかりではなくて、公共交通三百八十八億円、首都高の整備二百四十七億円でありますか、国の関係機関である首都高や地下鉄にお金を出すのはけしからぬという議論は、私は的外れの議論なのかなと思わざるを得ないわけであります。
 例えば、このような都債の充当によりまして、東京の交通アクセスを改善したり、渋滞を解消したり、環境問題の解決に資するために必要な財源であると思っておりますので、今後とも、ぜひこのような事業に対しましては財源を充当してもらいたいなと強く要望しておきます。
 もう一つ気になることがあります。もちろん都債は、将来の財政負担を十分考慮する必要があるということはいうまでもないわけであります。しかしながら、前年度同期と比較しまして、わずか通常債が一億円しかふえていない状況を考えますると、東京独自の政策を実現させるためには、さらに都債の活用というものが、許せる範囲の中で必要なのかなと、こんなふうに思います。
 そこでお聞きをさせてもらいたいんですけれども、今後、都債の実償還額はどれくらい見込まれて、また減債基金が幾らぐらいあって、それを活用した後の公債費負担はどうなるか、実態を明らかにしてもらいたいなと思います。

○松澤主計部長 まず、都債の実償還額の今後の見込みでございますが、バブル期以降に大量に発行しました起債の大量償還を迎えることから、平成十五年度の六千七百九十七億円をピークにしまして、十六年度が六千二百億円、十七年度六千四百億円、十八年度五千百億円と、しばらくの間高い水準で推移することが見込まれます。
 次に、減債基金につきましては、今申し上げました、この大量償還の財源として取り崩しを行うことになるため、基金残高は十四年度末では六千八百六十九億円でございますが、十五年度末には四千八百八十億円に減少する見込みでございます。また、それ以降も当分の間、残高は低減していくと、このように見込んでいるところでございます。
 それから、減債基金の取り崩しや借換債などを除きました十五年度以降の実質的な元金や利子などの公債費との負担でございますが、十五年度が四千八百二億円、十六年度は五千四百億円と増加しまして、その後、数年間は五千億円を下回る程度で推移するというふうに見込んでおります。

○北城委員 今、ご答弁にもありましたように、実償還額は十五年度をピークにして今後も高い水準が見込まれるわけでありますけれども、減債基金にも対応には限界があるというようなご答弁であったわけでありますけれども、もちろんそのような状況を考えますると、当分の間は都債を抑制していかなければいけないのかなという財務当局の考え方も一定理解できるところであります。
 しかしながら、起債を取り巻く状況というのは、公債費負担のピークも見え始めて、特に十八年度からの起債許可制度の見直しも目前に迫って、東京再生都債など資金調達の多様化も可能になるほど大きな変革の時期を迎えたのかなと、私はこんなふうに思うわけであります。
 そんなことを勘案しますると、東京が国際競争力を失い、活力が低下している今だからこそ、私は中長期的な財政運営上の重要なツールとしまして都債を持つ意義を改めて検証しながら、同時に、中長期的な都債発行による影響を十分に検証しながら、必要な事業には積極的に都債を活用すべきであると考えますが、この際ご所見をお伺いしておきたいと思います。

○松澤主計部長 都債につきましては、財政運営上、投資的経費の財源として、世代間の負担の公平を確保し、また、財政負担の平準化を図るという極めて重要な役割がございます。その意味で、今、先生おっしゃったとおりでございまして、都債は使わなければ使わないほどよいというものではなくて、今後とも低成長が続くと見込まれる中で、やはり東京の再生、発展に向けた事業展開のためには、中期長期的に見ても財源確保の有力な手段として一層重要性が高まるものと、このように考えております。
 一方で、将来の財政負担も考慮して、常に都債残高や毎年の都債償還額を見据えていくことが必要であり、現在のような厳しい財政状況下では極力発行の抑制を図ることも必要と、こういうようなことでございます。
 こうしたことを踏まえまして、お話しのとおり、起債は許可制から協議制への移行など、起債の自由化の時代をもう間近に迎えておりまして、都民ニーズに即応した事業や、東京の再生に向けた事業などの財源として、今後も都債につきましては、その役割、影響などを十分検証しながら、必要な事業には積極的に活用していく必要があると、このように考えております。

○北城委員 確かにそうなんですよね。財政再建第一主義ではやはりだめだと思うんですね。財政再建と同時に、先送りされた施策に対しましては、都債を十分活用して財源策を図っていく、やはり同時進行があって初めて東京が財政再建をされて、また収入が上がりながら東京の活力がよみがえってくるのかなと、こんなふうに思いますので、ぜひ前向きな財政運営をお願いしておきたいなと思います。
 そこで、せっかくの機会でございますので、もう一つお聞きをしておきたいことがあります。
 市場公募債の引き受けについてなんですけれども、昨年の九月、東京再生都債の国内公募債として競争性を導入した初の入札方式が採用されて、発行コストの低減に努めたわけでありますけれども、高く評価をしておきたいなと思っております。今後、都債の引き受けは安定的な償還のみを目的として、大銀行に依存するだけではなくて、私は中小金融機関も含めることも重要な視点に立つのかなと、こんなふうに思いますので、この点につきましてご見解をお伺いしておきたいと思います。

○松澤主計部長 都債の発行につきましては、その九割が市場公募債でございまして、ウエートが高いわけでございますが、民間の引き受けにつきましては、法令に基づきまして銀行や証券会社等が取り扱うことになっているわけでございます。引き受け会社の選定に当たりましては、安定的な償還はもとより、販売力や経営状況などを総合的に勘案して決定しているところでございます。
 今、先生からお話しの中小の金融機関につきましては、法律的には引き受けが可能でございますが、再建の販売実績やノウハウなどで多くの解決すべき課題もございまして、現時点では、直ちに都債の引き受けを行っていただくことは困難であるように考えております。
 しかしながら、今後、都債の市場からの評価を高め、これを育成発展させていくためには、お話しのとおり、多くの金融機関が参加することは大変意義があることと考えておりますので、貴重なご提案と受けとめさせていただきたいと思っております。

○北城委員 最後にさせてもらいますけれども、東京都政に課せられた最大の課題というのは、やはり中小企業の育成だと思うんですよね。中小企業の育成というのは、金融機関の協力なしでは果たすことはできないわけでございますので、いかに中小企業に対して協力をしていくか否かということも、やはり判断基準の中に今後入れるべきであろうと思いますので、ぜひ前向きなご検討をお願いしながら質疑を終了させてもらいたいと思います。

○鈴木委員 今、北城委員から都債の活用の分野においての質疑が交わされました。私も補正予算のときにさせていただきまして、きょうは攻守所を変えて、これからの制度改革の分野に踏み込んで質問をしておいてもいいのかなと、こんなふうに考えております。
 既に、十五年第一回定例会で代表質問、それから予特の総括、一般質問をずっと追って分析してみますと、この分野はちょっと質問がないやに思っていたものですから、私の方からかいつまんでさせていただきたいと思う次第であります。
 この制度改革について、これまでは護送船団方式、お国のいうとおりに東京都もおやりになってきたわけでありますけれども、どうやら、ここに違った意味での大きな動きが出ております。それは時代の潮流の中での大きなステップだと思っております。
 昨年四月から、都債とその他の地方債の発行条件を別々にしていくというツーテーブル方式、これを導入されたということは、過日、我が党の桜井先輩委員の質疑の中でも若干やりとりがありましたものですから、私も鮮明に頭の中にあります。
 そういうものを踏まえてやりとりを若干させていただきたいテーマがあります。それは、はしょっていいますと、まず一問目なんですけれども、このツーテーブル方式が市場からの評価が高いとか云々、こういわれております。東京都債とその他の団体の地方債が同じ条件になることでどうなんだと。でも、一部売れ残りがあるんじゃないかとか、そういうことも巷間伝えられておりますし、これの発行条件は、地方財政法第五条の七項に基づくきちっとした法体系に基づいて共同発行しておることはよくわかりますけれども、北海道から福岡までの道府県、それから、政令市がすべて入って二十七というふうになっていますけれども、聞きたいのは、この中に東京がなぜか入っておりませんね。見方によっては、これは仲間外れになっているのかな、いや、そうじゃないんだ、東京は別個なんだと、こういう意見もあるというのも私はよくわかっておりますけれども、なぜ今回共同発行に東京都だけ参加をなさっていないのか、それから、地方債の共同発行を、では東京都はどのように評価しているのか、こういう基本的なことをまずお伺いをさせていただきたいと思います。

○松澤主計部長 今先生からお話しございましたように、現在、市場公募債につきましては二十八団体が発行しておりますが、年間発行額は、十年債で見ますと、東京都が五千億円とずば抜けて大きく、他の団体は大体二百億円から千五百億円といった状況がございます。
 そういうことで、これをそれぞれの自治体が個別にマーケットで発行することになりますと、利率や価格などに大きな格差が生じ、地方債市場が混乱するというような理由から、これまで国は、都を含め全団体の発行条件が横並びとなるよう規制といいますか、コントロールしてきたわけでございます。
 東京都の立場から見ますと、こうした規制は発行の自由を制約し、また、本来ならよい条件がとれるのに、発行コスト増につながることなどから、国に対してその緩和を強く求めてまいりました。
 今先生のお話にございましたように、ようやく昨年四月から東京都と他の二十七団体とが条件面で分けられた、いわゆるツーテーブル方式に移行したわけでございます。これに対しまして、今回二十七団体が一つにまとまり共同発行することになり、東京都並みに発行規模を大きくすることが可能となったわけでございます。これは地方債市場の安定化や国の規制緩和の促進などが図られることにつながるものでございまして、地方債の商品としての向上の面からも、都としては一定の評価をする立場にあると考えております。
 しかしながら、一方で、ただいま申し上げましたように、東京都は既に十分な発行ロットを確保していることや、また、参加して共同発行の連帯債務を負うおそれがあるなどの課題が生じることから、都は今回の共同発行には参加しないということにしたものでございます。

○鈴木委員 よくわかりました。メリットもあるし、デメリットもあるという、そういう相にらみの中で東京都はその中に入らなかったと、こういうふうに私自身、理解をいたしました。
 さはいえども、このツーテーブル方式、それから個人向けの、今、北城委員からもご発言がありました、東京再生都債の発行による主幹事制の導入なども、やはりこれまでにはない大きな動きであることは事実であり、これは評価をいたします。これは全体がそのような動きの中でありますから、評価をさせていただきたいと思います。
 それから、先ほど主計部長のご答弁の中に、十八年度から、今までの許可制から協議制に移るというご答弁もありました。そのとおりだと私は思っておりますし、今回の共同発行自体も、くどいようでありますけれども、地方分権という一つの流れの潮流の中の、一つの大きな動きであることも間違いない事実だと思っています。
 こうした中で、一つ、私は思うんですが、都としてもそろそろ国の規制、知事がよくいう国に対してぶつかっていくんだ、もぎ取るんだと、我々もそのとおりだと思います。完全に国から独立をしていく、言葉を使っちゃしんどいと思いますけれども、それぐらいの意気込みで我々はやるべきだ。その際、そのための具体的な行動をとったとしても、私はおかしくはないと思う一人であります。
 そこで伺いたいんですけれども、国の規制による枠組みから脱却して、東京都が独自に都債の発行条件も決定するような動きをした場合、そういう提案をした場合に、どんなメリットがあるのか。こういう聞き方を私は初めてするんですけれども、都独自がそうした場合に、どんなメリットがあるのか、都としての具体的な見解をお示しいただくこともやぶさかではないと思います。

○松澤主計部長 国の規制から脱却して、都が独自に都債の条件を決定する方式に移行するというのは、これは我々にとっても非常に今後の重要な課題でございまして、移行した場合には、都債が市場から正当に評価され、市場原理に即した発行が可能となることから、現在市場での評価が高い都債につきましては、利率や発行価格、販売手数料など、発行条件面で今以上にコスト縮減が、また、ひいては財政負担の軽減が期待できる、こういうメリットがあるわけでございます。
 また、金融再編あるいは債券市場の自由化の流れの中で、主幹事方式など従来の方法にとらわれない競争原理を取り入れた新たな発行方法の導入が可能となるなど、都の実情に合わせ、みずからの責任と判断で起債を行うことができることが挙げられるわけでございます。
 さらに、これらのことを通じまして、都債や都の財政状況などの面におきまして、市場からの評価がよりシビアで的確なものとなりますので、都みずからも健全な財政運営につながっていくものと考えております。

○鈴木委員 今、主計部長のご答弁にあった三番目の後段の部分なんかは、私は極めて重要な発言だと思います。そういう立場に立って、東京都としても自分で当たり前のことをやっていく、こういう制度改革に私はどんどん打っていくべきではないのかという論に立ちたいと思います。当然だと思いますよね。自前の財源でやるべきですから、それは当然のことだと私は思います。
 そこでもう一つ、この際伺っておきたいんですけれども、御局財務局として、この機関投資家向けの公募債の制度改革について検討するために、たしか昨年の十二月だったと思いますけれども、有識者などを交えた都債の制度改革についての検討組織を設置したと私は仄聞しています。この検討組織の目的とか概要を、この際、改めて明らかにしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 十八年度の起債許可制度の廃止を間近に控えまして、債券市場の自由化の流れの中で、ツーテーブル方式の導入、共同発行と地方債制度は大きな転換期を迎えているわけでございます。都におきましても、今お話しございましたように、東京再生都債の発行など新たな取り組みも始めておりますが、今後、さらに一層、マーケットや都民から高い評価が得られるよう、都債を魅力的な買いやすい商品に育てていくことが必要でございます。
 そこで、お話しのとおり、今後の都債発行のあり方等を検討するため、昨年の十二月に財務局長の私的諮問機関としまして、都債発行に関する制度改革検討委員会を設置して現在検討を始めたところでございます。この検討委員会は、学識者や債券アナリストなどの専門家を中心に構成しておりまして、具体的には、今後、都が独自に発行条件等を決定していくに当たりまして、コスト削減あるいは透明性確保などの観点から、東京都にふさわしい新しい発行方法や都債引き受けシンジケート団のあり方などを検討し、これを明らかにするものでございます。

○鈴木委員 ぜひ頑張っていただきたいと、私からもお願いをしたいと思います。
 それで、今後のスケジュール等々について重ねて伺っておきたいんですけれども、制度改革に向けて、東京都は国との交渉をどんなスケジュールで進めていこうとしているのか。平成十七年までは現行の起債許可制度が残っているわけですよね。そういうはざまの中で、どんどん東京都としても動くわけですけれども、タイムラグもあるでしょうし、その辺について具体的にお答えをいただきたいと思います。

○松澤主計部長 ただいま申し上げました検討委員会では、今年度末を目途に答申をいただくことになっております。また、この答申を踏まえながら、都としての方針を決めた後、国との調整に入る予定でございます。
 先生お話しのとおり、まだ起債許可制度が残っている段階での都独自の条件決定方式の導入ということで、この点については、国でかなり高いハードルがあるとは思いますが、十五年度中、可能な限り早い時期の実施を目指しまして積極的に取り組んでいきたいと、このように考えております。

○鈴木委員 この項の最後、結論に入りたいと思うんですけれども、今るるやりとりをしてまいりました。ぜひ頑張って、我々も応援団の一人になっているわけでありますから、都債の制度改革実現、これも大きな流れの一つだと私は思いますので、局長自身の決意を伺って次のテーマに移りたいと思います。

○田原財務局長 これまで地方自治体は地方債許可制度のもとで、許可制度が自治に反するとはいいながらも、いわば国の方に依存しながら資金調達をしてきた、こういう状況であります。
 しかしながら、地方分権の流れの中で、今後は自治体みずからが自己責任に基づいて、みずからの信用力で資金を調達するという仕組みをつくり上げることが求められていると思っております。
 東京都といたしましては、こうした変化の流れをいち早く受けとめまして、一つは、本年度から個人向けの東京再生都債を発行いたしました。また、公募地方債では初の入札方式を導入して発行コストの削減を図りまして、他の自治体に先駆けて投資家向けの広報活動、いわゆるIRと申しましょうか、これを充実させるなどいろいろな取り組みを行ってきました。
 お話しの、東京都が国の規制から脱却しまして独自に条件交渉を行っていくべきという点については、まさしく長年東京都が求めてきた自立調達への道を開くものであろうと思っておりますので、いろいろ障害はあろうかと思いますけれども、全力を挙げてまいりたいと思います。今後とも、都議会のご支援をいただきながら、制度改革に向けて取り組んでまいります。

○鈴木委員 次のテーマでありますけれども、代表質問のときに、我が党として、知事に対して、ことしが財政再建推進プラン最終年度、では、このプランの後の新プランの策定はいかにあるべきやという質問をして、知事も検討をしていきたいと、こういう答弁がありました。ねらいはまた別の方にあったわけでありますけれども、そういう見事な答弁をいただいているわけですが、これを前提にして若干伺っておきたいと思います。
 ちょっと角度を変えるんですけれども、この財政再建推進プランの期間、十一年度は違うんですけれども、平成十一年度から十五年度までの予算編成に当たって、東京都として独自の財源対策を行ってきたと私は思います。それぞれきちっとやってまいりました。だんだん数字的には低くなっておりますけれども、それぞれ年度ごとの数字をお示しいただきたいと思います。

○松澤主計部長 十一年度予算から十五年度予算までの、今先生からお話がございました財源対策でございますが、財政再建推進プラン前の十一年度が四千二百十六億円でございました。また、プラン策定後では、十二年度が三千二百四十二億円、十三年度一千四百三十八億円、十四年度二千五百七十七億円、今年度十五年度が二千四百九十七億円となっております。

○鈴木委員 今の数字、十一年度が四千億超、十二年度三千億超、だんだん減ってきて、一生懸命皆さんがかかわって、具体的に財源対策を減らしているという事実というものは、これは数字で出ているわけですから、私はこれは評価をしたいと思います。立派に皆さんおやりになっているわけであります。これは評価をいたします。
 さはいえども、二千五百億円もの財源不足が出ているのも、これまた事実でありますから、この理由については、もう何度も何度もやりとりをしておりますから、そう具体的には踏み込むことはいたしませんけれども、ただ、十五年度予算では、税収はマイナス三・一%、これは予期せざる、確かにそうなるという見込みは、我々だってそうは思っていなかった。しかし、現実の経済状況、社会状況を踏まえると、そういう数字をはじかざるを得なかったということを踏まえて、内部努力とかいろいろな施策の見直し、こういうものをやったとしても、やはりゴールが遠のいてしまったことも私は事実ではないのかなと思います。
 その根底に、どうしてもこの財政再建推進プランが、どちらかというと右肩上がりの理論構築を、やはり若干でも、我々もそう思いましたけれども、やってきた事実も避けられないと思います。それは我々も反省をしておりますし、我々というよりも、私自身も反省いたしております。そういう社会状況の中の一つの感性だと私は思っています。
 そういう中で、一つ伺いたいんですけれども、知事が財政再建推進プランの新策定を認めておりますけれども、これから都は法人二税などの変動が大きい、現在で見込んだよりも慎重に、策定をする場合、見込むべきではないのかなと。私自身、右肩上がりではないだろうと。その辺をどう皆さん方はとらえていくのか、この辺の見識をひとつ伺いたいと思います。

○松澤主計部長 都税収入は、これからの財政収支見通しの前提、基本となるものでございまして、先生ご指摘のとおり、仮に新たなプランを策定する場合には、これをどの程度見込むかは極めて重要なポイントであると考えております。
 現在の財政再建推進プランでは、今お話がございましたが、後半の十四、十五年度の都税収入について、十一年度のプラン策定時の際には、国の経済見通しなどを踏まえ、年二%の伸びを見込んでおりました。
 しかしながら、ご案内のとおり、我が国経済は十三年の夏以降、急速に悪化しまして、都財政を取り巻く環境はこの間大きく変化したわけでございます。こうした影響などを受けまして、十五年度予算の都税収入は、十四年度に引き続き減少しまして、十三年度決算と比較しますと、全体で四千七百億円、特にこの中で法人二税が、やはり先生いわれたとおり二千六百億円も減少している、これが大きな影響になって出ているわけでございます。
 したがいまして、お話のとおり、今後も景気の先行きが非常に不透明で、将来を見通すことは極めて難しくなってきておりますが、都税収入の今後の見込みに当たりましては、これまでの国の経済見通しなどを踏まえた従来のマクロ的な視点に加えまして、やはり法人二税を初め、都税の税目別の動向など、ミクロの視点も目を配りながら的確にこれから見込んでいくことが不可欠である、このように考えております。

○鈴木委員 それでも、今まで税収の一つの指標として租税弾性値なんていうのがあったんですが、こんなものは役に立たないわけですよね、もう既に立たない。非常に難しい社会経済状況の中に入っていることも、私も事実だと思います。財務当局として、余計、その辺は苦労なさることもよくわかりますので、この項目の最後に、また局長に見解を伺っておきたいと思うんですけれども、今、主計部長がおっしゃったとおり、外部環境というのは、これは非常に厳しいことはだれしもわかっている。そうした中で、中長期的な財政運営のあり方に対して、私たちは将来をしっかりと見据えること、ことしが現プランの最終年度に当たっていますけれども、こういう視点に立っていくことは私は重要ではないのかなと思っておりますが、都財政のかじ取り役の財務局長の中長期的な財政運営の基本的なスタンス、考え方について、見解をお披瀝を願いたいと思います。

○田原財務局長 今まで、るるお話がございました。まさに低成長が続く中で、都財政を支える都税収入は今後もその伸びを期待することはできません。
 その一方、そうした厳しい状況にありましても、東京の活力の再生を目指して、都市再生あるいは都民の安心、安全の確保をめぐる課題には、これまた的確に対応していかなきゃいけない。将来にわたりまして健全な都財政を維持していくためには、ご指摘をいただきましたように、歳入の根幹である都税収入の動向を的確に踏まえて、これをベースにしながら、一方で歳出面からも、都が行う行政サービスの範囲とか質とか量、その検討を進めまして、あるべき水準を見出していく、こういうことによって、景気の動向に左右されない身の丈に合ったといいましょうか、そういう財政運営を行っていくことが必要だと考えております。
 こうした考えのもとに、今後とも内部努力や施策の見直しをさらに強化する、こういう財政構造改革を進めまして、都民のために必要な事業は積極的に行える財政体質をつくってまいりたいと思っております。

○鈴木委員 最後に、要望などをちょっとお話しさせていただきたいのですが、今、局長、それから主計部長がご答弁なされた中に、根っこの部分がすべて押さえられていると私は思いますし、ぜひ東京都政は、これは永遠の流れの中にあるわけでありまして、日本の首都として、世界の顔の一つの都市として、これはきちっと我々はつくっていかなければなりません。
 そういう中にあって、私は今、走馬灯のように思い出すのは、我が盟友であった今は亡き曽雌久義議員が、同じ財政委員会の中でいったこんな言葉を鮮明に思い出すんですね。議事録を持ってきたので、ちょっと読ませてもらいますけれども、非常にこれは好きな言葉で、彼もよくこういうことを財政委員会の中で発言をしてくれたなと。今は亡き彼に送る言葉に私は使いたいと実は思うのであります。
 余談になりますけれども、都議会の本会議場の中央にオニックスという石がはめ込まれていることは皆さんご存じだと思いますが、このオニックスの石は、光が当たっている昼間、私たちが本会議場で見るオニックスは黄色に輝いています。光が当たらなくなりますとモスグリーンに変わっていくわけでありますが、このオニックスの言葉は永久にという言葉が込められているそうでありまして、なぜあそこにオニックスがはめ込まれたかというと、東京都が永遠であるように、永久に発展をするように、こういう思いを込めてつけられた、このように私は理解しておりますと曽雌先生がおっしゃっていました。
 非常に感銘の深い発言が--当時何を曽雌さんはいっているのかなと、私も後で議事録を読み起こしながら、彼も東京都の財政委員会の一委員として籍を置いたときに、東京都の財政はきちっとこれからも構築をし、財政再建をなし遂げながら東京都政が永遠にこれからも構築されるように、そういう思いを込めてこういう発言を実はなさったのではないかと、今私も思いを込めて感慨にふけりながら読ませていただきました。私は大変すばらしい発言だなと、今もって思い起こしております。
 こういう中で、平成十五年度の予算を策定して、これがずっと次から次へと世代の中につながっていく予算の原点になればなと思っております。ぜひ御局としても頑張っていただきたい、そのことを私の方から申し上げながら、そしてまた、都債の問題などについても新しい時代の感覚を取り入れた、このスタンスで取り組んでいただくことをお願いしながら財政運営に当たっていただきたいことを要望して、質問を終わりたいと思います。

○真木委員 民主党の真木茂でございます。
 引き続きというか、この間、入札のことにつきましてお尋ねをさせていただきましたが、きょうも入札の問題をお尋ねさせていただきたいと思います。
 いつも契約調整の皆さんとは、私も勉強が好きなものですから、皆さんにはいろいろなことを教えていただき、また議論をさせていただいておりますことを、まず感謝を申し上げたいと思います。
 しつこく入札の問題を取り上げさせていただきますのは、景気が非常に悪い状況の中で、昨年の四月からの予定価格の公表等に伴いまして、堅実な経営をしている中小零細企業が、今のままでいったら、経営の厳しいところに、あすの金、きょうの金が欲しいがために安値入札をして、そこに仕事を持っていかれてしまう。そのことによって、悪貨が良貨を駆逐するということになってしまうのではないか。さらには、本日意見書を民主党として提出させていただきましたが、建設労働者の皆さんが適正な労賃をもらえない、そういったことがあるんじゃないのかということで、公共工事における建設労働者の適正な労働条件の確保に関する意見書ということで本日提出をさせていただいておりますが、そういった気持ちで、堅実な仕事をやっている健全な地元の建設業者さんにぜひ残っていただきたいなと。それが災害対策にもなっていくんだろう、地元の都民のためになっていくんだろう、そんな思いで質問させていただいておりますことをまずご理解いただきたいと思います。
 そして、その質問の一環といたしまして、昨年の十一月十四日、激しく入札の問題につきまして質問させていただきました。委員長から、一時間が過ぎましたのでもうそろそろというメモをいただきまして、やばいといって、慌てて質問をやめたわけでありますけれども、その際に、都の方から二つのことを東京都として初めて打ち出していただきました。
 一つは、今までの仕事というのは、マイナス点さえとらなければ、マイナスというか落第点ですね、六十点以下の落第点さえとらなければいいんだろうという、実際にそういうシステムになっていましたので、そういう気持ちで仕事をする遠くの業者と、地元に自分の会社の看板を掲げて胸を張れる仕事をしたいと思って仕事をしている地元の業者とでは、でき上がりが違うんじゃないのか、できばえが違うんじゃないのかということで、丁寧ないい工事をするところには、それなりの優遇措置を設けてもらいたいということを要求し、やりますと答えていただきました。
 もう一点は、手抜き工事、単なる工事不良とかいうレベルを超えて手抜き工事に関するものも罰則が甘い。談合よりも罰則が甘かったものですから、談合では人は死なないけれども、手抜きでは人が死ぬんだということで、手抜き工事はもっと罰則を強化しろということでお願いをし、やりますと答えていただきました。
 その二つの一つは優良業者への優遇措置、二つ目は、不良企業に対するペナルティー強化ということですが、そのことに関する検討状況はどうなっていますでしょうか。

○松村契約調整担当部長 ご指摘の二点につきましては、新年度からの施行に向けて準備を進めているところでございます。

○真木委員 新年度からということですので、もうそろそろ固まっているんじゃないかなと。まだ発表されておりませんが、いえるところまでぜひその方向性--方向性はもう決まっているわけですから、どんなところまで考えていくのかを開陳いただけたらと思うんですが、まず優遇策についてはどうなっていますでしょうか。

○松村契約調整担当部長 工事成績が優良な企業に対する優遇策でございますが、まず第一に、これまで以上に優先的な指名を行う。また、特に工事成績が優秀な企業は、意向を確認の上、より高い等級順に格付を引き上げたいと考えております。

○真木委員 今、これからその方向で改革をしていただくというご答弁でございましたが、まず、今までどうなっていたかということにつきまして確認をしたいと思います。
 今までも、規定上は、工事成績優良者には優先的に指名するという規定がありましたけれども、その規定の状況はどうなっていますでしょうか。

○松村契約調整担当部長 指名基準におきましては、工事の施工場所付近に営業所を有する者、発注工事を専業とする者などとともに、工事成績が優秀な者を優先指名できることとなっております。財務局におきましては、同一地区で行われる一連の工事のうち、選考部分の施工者で基準以上の成績を上げたものにつきましては優先指名を行っております。

○真木委員 今お話しのありました前段の部分は、規定上はそうなっているということだと思います。
 しかし、実態においては、今、後者の方にありました、同一地区で行われる一連の関連工事、これは関連というようないい方をされるようでございますが、関連工事のみ、この隣の部分を前やったところが成績がよければ、次の指名にも入れてあげるよと。十者選定の中の十者の中に入れてあげるよというだけでありまして、それ以外は、実態としてはどんないい成績をとっても十者選定の中に反映されていなかった。それは当然だと思います。成績が悪かった六十点以下の場合のみ報告が上がっていたわけでありますが、どんなにいい成績をとっても、都の方にはというか、都が採点をするんですが、問題の入札を担当する財務局の方には、その成績が上がっていなかったわけですから、どんなに規定上に優秀な者は優先することができるという規定があっても、それは実態には全くワークしていなかったということだと思います。
 問題の工事成績評定の集約につきまして、現在どういう状況になっておりますでしょうか。

○松村契約調整担当部長 工事成績評定の集約でございますが、これまでは、成績不良となった者につきましては、公営企業も含めた全庁の案件について集約してきておりましたが、今後は、優良となった工事成績評定につきましても集約した上、各局に周知をいたしまして、指名選定に活用してまいりたいと考えております。

○真木委員 十一月の質問の中では、このことも約束をしていただいた部分でございます。優秀な成績の者については、早急に成績の集約に努める。さらには、すべての工事成績についても集約に努めていく。大きなことは先ほどの二つのお約束でございましたが、このことも約束をいただいておりますので、ぜひ引き続き、全成績の集約に向けて努力をお願いしたいと思います。
 というのも、すべての工事成績が集約されていれば、十一月にもご提案をさせていただきました、工事成績評定を含めた総合評価制度の応用なども考える余地が出てまいりますし、仮に、今度お考えの優秀な者を優先するといったときも、その基準点が八十点になるのか八十五点になるのか、まだ明らかになっておりませんけれども、仮に八十点だとしたときに、八十点以上の成績は少ないけれども、平均点は見事に七十五点いっているというようなところは、これはもう立派な優良な会社だと思うんですね。そういったところへの優遇策というのも考えられるでしょうし、たまたま何かの不幸が重なって成績不良になってしまって、六十点以下をとったといっても、それ以外の成績はいつも七十五点以上だというようなこともあるでしょう。そういったいろいろなデータに活用できると思いますので、早急に全成績の集約をお願いしたいと存じます。
 その上で、具体的にこれからどうするのかということをお尋ねしたいと思いますが、一定成績以上の企業を十者選定の中に優先的に指名するということをこれからやっていただけると。今まではなかったものを、これからやっていただけるということでよろしいでしょうか。

○松村契約調整担当部長 工事成績の優良な者を、入札参加希望者の中からこれまで以上に優先的に指名するということでございます。もちろん具体的な指名は、施工能力の有無とか地域的要件などを総合的に判断して行っておりますので、いかなるときも他の希望者に優先されるとは限りませんが、優先的な取り扱いを強化してまいりたいと思っております。

○真木委員 ちょっとそこの部分について確認をしたいと思いますが、今までは、やはり機会均等というものが第一にあったと。A企業が幾ら優秀な企業であっても、A企業を立て続けに指名の中に入れる、十者選定の中に入れるということはできなかった。だから、それではじいていた。あなたは、もうことしに入って三回目ですから、もう結構です、ご遠慮願いますといっていたものを、成績がずっとよければ、はじく回数を少なくしていくというような、そういう理解でよろしいでしょうか。

○松村契約調整担当部長 いろいろなことを総合的に勘案いたしますけれども、これまで以上に工事成績というものを重視して選定を行っていくということでございます。

○真木委員 ありがとうございました。
 さらに、もう一点の優遇策として格付を上げるということでございますが、格付を機械的に上げると、ちょっと待ってくれというところもあるんじゃないのかなというぐあいに思います。メリット、デメリット、どういったことが考えられますでしょうか。

○松村契約調整担当部長 格付が上がるメリットといたしましては、これまで参加できなかった大型工事への受注機会が得られ、ひいては業績の向上も期待できます。
 次に、デメリットとまではいいませんが、あるとすれば、特定の地域で営業を展開している企業にとりましては、格付が上がることにより、今まで受注していた工事規模の入札に参加できる機会が減少することにつながるということも考えられます。
 いずれにいたしましても、優良点を取得した企業にとりましては、格付が上がることにより、社会的な評価が高まるなどの効果があるものと考えております。

○真木委員 先ほどの基本的なご答弁の中で、特に好成績や優秀な企業は、意向を確認の上、より高い等級順位に格付を引き上げると。意向を確認の上というのがございました。企業にとって、営業なり技術なりの得意分野での活動の希望を聞くというようなことでよろしいんでしょうか。

○松村契約調整担当部長 ご指摘のとおりでございまして、格付が上がることを希望しない企業もあるというふうに考えられますので、見直しに当たりましては、事前に意向を確認ということをいたしたいと思っております。

○真木委員 ありがとうございました。大きな前進というか、まじめにやっている企業にとってインセンティブが働く、まじめに仕事をしよう、いい仕事をしようというインセンティブが働いていくんじゃないのかなと思いますので、大きな前進だというぐあいに理解をしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 では、もう一点、不良業者に対する措置はどんな感じになるのでしょうか。

○松村契約調整担当部長 まず、工事成績不良な者に対しましては、指名停止措置をこれまでより強化してまいります。
 次に、工事成績不良を繰り返した場合は、指名停止措置の加算を行ってまいります。
 三点目として、特に工事成績が不良な企業に対しては、指名停止措置に加えて格付を下げることとしたいと思っております。
 四点目は、工事完了後、手抜き工事などが判明した場合、新たに指名停止措置を行うなど、より厳しく対応してまいりたいと考えております。

○真木委員 今四点ほど挙げていただきました。指名停止の措置をこれまでより強化していくという一点目、これはわかります。三点目は格付を下げる、これもよくわかります。四点目の手抜き工事が判明した場合、新たに指名停止の措置を行う、これもよくわかります。
 二点目の工事成績不良を繰り返した場合、指名停止措置の加算を行う。これは具体的にはどういうことになりますでしょうか。

○松村契約調整担当部長 例えば、工事成績不良によって指名停止となった企業が、指名停止期間が明けて受注した工事で再び不良点をとった場合、通常より長期の指名停止を行い、厳しく対応するということでございます。

○真木委員 一回指名停止、何か五十九点か五十点だかで三カ月の指名停止をもらったと。また参加したら、また五十点をとっちゃって、同じ三カ月の指名停止なんだけれども、二回目だったら三カ月じゃ済まさないよと、そういう理解ですね。いろいろな工夫をされているんだなということで、敬意を表したいと思います。
 私は、特に、最後に手抜き工事ということで、単なる工事成績不良というだけじゃなくて、それはいろいろな事情があったりして同情の余地もあったりするのかもしれませんが、何よりも手抜き工事というのは、これはもう犯罪行為であるということで、これが、同じ犯罪行為の談合、これも絶対に許されない話でありますが、ただ、談合よりも軽いというのは、これはおかしいだろうということで私は要求いたしました。手抜き工事の観点、四点目の理解でよろしいでしょうか。

○松村契約調整担当部長 先ほどもお答えいたしましたが、工事完了後、手抜き工事などが明らかになった場合、新たに指名停止措置を行うなど、これまで以上に厳しく対処してまいります。

○真木委員 ありがとうございました。こちらも、やはり手を抜いちゃいけないだとか、成績が悪かったら痛い目に遭うということで、まじめにいい仕事をしていこうということの別のインセンティブにつながっていくんだと思います。大きな前進だと思います。ありがとうございました。
 続きまして、営繕の方に移らせていただきたいと思いますが、設計の関係であります。私は、設計というものは価格競争にはなじまないんじゃないのかなと。設計は、単なる物品の購入から建物を建てるとかいうものではなくて、頭脳労働でございますので、安く済ませるためには簡単な図面をかけばいいわけであります。しかし、環境に優しい建物をつくっていこう、また、工事が安くできる建築を考えていこうといったときには、設計の方が高くなるということだと思います。
 ですから、設計は、今、価格でやっているんだと思っておったのですが、形式はどうも随意契約だということでございます。営繕の方にご答弁が移る前に、契約調整の方から、今の設計に関する状況につきましてご説明いただきたいと思います。

○松村契約調整担当部長 設計委託業務の多くにつきましては、随意契約の一形態ではございますが、価格による競争見積もり合わせという方式により行っております。

○真木委員 価格による見積もり合わせ、要は入札なんですよね。入札と全く同じ制度が行われているんだけれども、形だけ随意契約という形をとっているということで、実態は価格一辺倒で札を入れてもらってやっているという、初めて入札という表現ではないということ知りましたが、実態は完全な入札であります。
 ですから、私は、やはり設計がすべてなじまないかどうかといろいろあるんでしょうけれども、今は、すべてがすべて設計も入札で行われているといっていい状況でありますので、もうちょっと工夫があるんじゃないかなと思っておるところなんですが、十月に事務事業説明をいただきました。その説明は口頭で三十分程度だったと存じますが、百二十数ページある冊子の一番最後の一二四ページ目にございました。偶然見つけました。東京都設計候補者選定委員会というものがあると。説明いただかなかったんですが、私はぺらぺら勉強していて、おもしろいものがあるなということで、これは何ということで勉強させていただいたところでございます。これはどういったものなのか、まずご説明をいただきたいと思います。

○福島営繕部長 設計候補者選定委員会は、知事が委嘱します学識経験者十名以内と財務局長ほか都の職員で構成する委員会でございまして、都が建設する施設のうち、良好な景観の形成や地域のシンボルとしての役割を果たすのにふさわしいもの、例えて申し上げますと、文化性、芸術性あるいは高度な専門知識や技術を必要とする創造性を要求される施設などにつきまして、最適な設計候補者を選定することを目的に設置しているものでございます。

○真木委員 すばらしい制度だなというぐあいに思うんですけれども、今までどれぐらいこの制度の活用の実績がございますでしょうか。

○福島営繕部長 この制度は、昭和五十七年度から施行されておりまして、これまで江戸東京博物館や国際展示場を初め、庁舎、交番など、さまざまな用途や機能の建物を手がけてきております。現在七十六件の実績がございますが、この三年間の実施件数は一件となってございます。

○真木委員 問題は、やはり近年にないということなんですね。十二、十三年なんかゼロ、ゼロ、十四年度、今年度で一件行っただけということで、極端に減ってきております。まずはその理由をお尋ねいたします。

○福島営繕部長 近年の財政状況の悪化に伴いまして、平成九年度の予算見積もりから、庁舎の新築、改築など新規の施設建設は原則として停止となってございます。設計候補者選定委員会の対象となるような案件が少なくなったことによるものと認識しております。

○真木委員 本当にそうなのかというか、その辺はまだこれから私も勉強しなきゃいけないんですが、まずその前に、この制度をもっともっとこれから使っていただきたいなというぐあいに思います。
 ただ、そのときに、全体のコストが急激に上がるというようなことであれば、今も主計部の方がぎょろっと私の方をにらみましたけれども、コストが高くなってしまっては東京都の財政再建に逆立ちするものになってしまいますが、必ずしもそういうことにはならないんじゃないのかなと。建物には、あらゆる建物、東京都の基準値、平米当たりの基準値が大体ございます。ですから、設計の方は競争によらない分少し高くなるかもしれませんが、何よりも高い工事費、こちらはこの枠内で建てられる建物を設計してくださいということで、そんなに高くなるものではないんじゃないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

○福島営繕部長 設計候補者選定委員会の対象となる施設は、一般の施設と比べまして、シンボル性、文化性などを考慮いたしますと、特別な仕様やデザインを求められる場合もございまして、こういった面で費用もかかることもございますが、全体として、標準建設費の中でおさまるよう工夫をいたしているところでございます。

○真木委員 今、最後にございましたように、標準建設費の中でおさまるように工夫しているということで、決して高くなっているわけではないと思います。ぜひこういった制度、今までの東京都の建物というと、極めて機械的な、そして、どこでも同じような金太郎あめの建物ができていると。建物を見れば、ああ、東京都の建物だというような、お役所の建物だというのがわかる。そういったものじゃなくて、だんだんこれからは、先ほどあったように、建物の数自体も減ってきている、都立高校もこれからは少なくなっていく、そういった時代の中で、東京都も今、都市計画局でしょうか、美しいまちづくりというような言葉をやっといい始めたところでございます。今、東京都がまさに進めようとしている美しいまちづくりを推進するためにも、東京都の建物をこういった制度でふやしていくと。まちづくりにマッチした、または、まちのシンボルとなるような建物を東京都の方でつくって、東京の美しいまちをつくっていくということに積極的に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○福島営繕部長 さきにも触れましたけれども、新規の施設建設を原則停止としておりますことから、対象となる案件そのものが少なくなっているわけでございますが、設計候補者選定委員会の制度は、価格競争のみによらない手法の一つとして意義のあるものと考えてございまして、今後とも、制度の趣旨や、今お話しの新たな条例案などの内容等も踏まえまして、可能なものにつきましては、所管局と調整の上で実施に努めてまいりたいと考えております。

○真木委員 前向きなご答弁をいただいたと理解しております。ゼロ、ゼロ、一から飛躍的に伸びると確信をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 これから申し上げることは、今までの議論と全く別次元としてお考えいただきたいと思うんですが、この候補者選定委員会にある、高度な文化性とか芸術性とか創造性を要求される施設について最適な設計候補者を選定する、そういったことをぜひ引き続きお願いしたいと思いますのとともに、これは違う議論として、こういった高度なものだけじゃなくて、巧妙な建築士の方だけでなくて、例えばこれから地域の都立高校とかをつくっていくときに、その地域の思いが反映されるような設計、地域への思いを持っているような方への設計依頼というのもあっていいんじゃないのかなというぐあいに思います。
 先ほど来のとこれをごっちゃにされちゃいますと、レベルが違うので、議論を分けてお考えいただきたいというぐあいに思うんですが、例えば、まだ正式に発表されておりませんが、この十五年度予算の中で、都立町田高校の一つの建物の改築が予算化されていると聞いております。これは、本会議質問の中で、国が全額出してくれる工事費をなぜ出さないんだという厚木基地の騒音の問題と絡めて私は質問をし、一つ完全に建物が建てかわるということを決定していただいております。
 そのときに、例えば町田高校というのは私の出身校でございますが、校歌には、甍ぞ輝く町田高校というようなところがさびの部分であります。ところが、今の町田高校には甍は全くございません。また、町田高校ができてことしで七十四年目でしょうか、伝統のある学校であります。そういった地域への思いのある多くの地域の方がいるわけですので、そういったものも反映できるようなシステムというものも、先ほどの議論とは別次元の議論でありますが、ぜひご検討いただきたいことをご要望申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○松村委員 私の方からも、まず入札契約制度の改善について伺いたいと思います。
 二〇〇三年、十五年度予算でも多くの契約が予定されていると思います。品質の高い、しかもむだを省く、そしてまた、中小企業の育成やそこで働く多くの都民労働者の仕事、生活を確保する上でも、非常に入札契約は大事な都政の課題だというふうに思うんです。
 昨年の第四回定例会で、私も物品や役務について、国の法改正によって最低制限価格制度の導入への道が開けたことに伴い改善を求めましたけれども、引き続きその点の検討を要望したいと思います。
 この一定の定例会では、工事案件の入札契約に関して二つの点で質問したいと思うんです。
 一つは、適切な交付金支出を妨げる、そういう点では都民に大きな被害がある談合問題です。まず、談合情報が寄せられた場合の対応について伺いたいと思います。

○松村契約調整担当部長 談合情報を受けましたときは、談合情報検討委員会、これは各契約担当セクションごとに設けておりまして、これに付議をいたしまして入札執行の是非を審議することとしております。財務局におきまして申しますと、財務局談合情報検討委員会に付議された案件につきましてではありますが、そのほとんどが落札者を特定する内容となっておりまして、そして、情報で具体性が乏しいものを除きまして公正取引委員会へ連絡することとしております。

○松村委員 過去三年間に寄せられた談合情報の件数はどうなっているのでしょうか。

○松村契約調整担当部長 平成十二年度につきましては十四件、十三年度が十五件、十四年度が、十二月末まででございますが十二件となっております。

○松村委員 寄せられた情報件数で、今いった談合情報検討委員会ですか、どういう開催状況で、どういう取り扱いをしたのか。

○松村契約調整担当部長 委員会に付議しました案件のうち、二件につきましては情報内容の信憑性が極めて高かったため入札を延期し、入札参加者をすべて入れかえて実施したということでございます。それ以外の案件につきましては、談合の事実が確認できなかったため入札を実施いたしました。

○松村委員 先ほど公取への通報という各年度別の件数ですね、公取に通報した結果、どういうふうになったのか。今は、入札の延期をしたのが一件ですか、それでやり直したというんですけれども、逆に、もう既に入札--まあ、いいや、その点はいいです。今の前半のでいいです。

○松村契約調整担当部長 公正取引委員会に通報した件数は、十二年度が七件、十三年度が八件、十四年度が十一件でございまして、これは、いわゆる様式がございまして送っておりますが、その後、具体的に動いたというふうなことは聞いてございません。

○松村委員 公取まで通報してというか、談合情報検討委員会を設置して、十四件、十五件、十二件と。そのうち、開催された年度別件数も事前に聞きましたけれども、十三回、十五回、十二回、それで、公取まで送る件数がそれぞれ年度別に七件、八件、十一件と。この数字は多いというか、どういう数字か。その結果、本当に今度談合がなくなるような、そういう監視的役割が果たせているのかどうか。
 よく最近注目されるのは、長野県での浅川ダムの談合認定が行われたということで、長野県では県公共工事入札等適正化委員会という第三者機関を設けて検討して、取り調べ機関でもないわけですけれども、いろいろな情報をもとに分析した結果、談合があったというふうに認定したということで、今後、こういう県の第三者機関を知事独自が設置して、やって、これからの効果といいますか、発揮されるんじゃないかと私は思うんですけれども、今のような取り組み、これまでにも多数情報が寄せられたり、あったやに見受けられるから公取に通報するということをやっていると思うんですけれども、果たしてそれだけで本当に今日の都民のというか、適切な契約とか税金のむだ遣いを改める、そういう都民の要望にこたえられるような取り組みなのかと。今後の改善というか、いろいろな長野のそういう状況などもつかんでいると思いますけれども、いかがなんでしょうか。

○松村契約調整担当部長 長野県と東京都というのは、入札制度も大きく異なっておりまして、私どもが聞いておるところでは、長野県は一定部分以上につきましては、例えば公募型とかそういうふうな、例えば東京都でいいますと、希望制指名競争入札をやっておりますが、大半は、今までは発注者側の任意指名が圧倒的だったということも聞いておりますし、そういう意味では、東京都は二十数年前から大多数の工事を、公表して希望をとってというふうな制度をやっておりますし、いろいろないわゆる入札経過等も国等に先駆けてやったと。そういった入札等の制度が全く違うというのがまず第一点でございます。
 それで、長野県のような形で、第三者機関に談合情報に関する調査とか認定を行ってはどうかというご提案でございますが、私ども、まず第三者機関というのは、公正取引委員会と違いまして捜査の権限を持っていないということで、私どもの調査以上のものを期待できるのかと、このように考えております。
 また、第三者機関に調査を依頼した場合、相当な期間を要することも予想されますので、工事の進捗などにも影響を与えると、このように考えております。
 それから、先ほど先生、入札経過調書等を分析して確認するんだというふうなことをいっておられましたけれども、基本的に、私どもは、入札経過調書の記載内容の分析だけでそういったことができるかなと思っております。
 と申しますのは、企業というのは、入札参加に当たりましては、当該工事に必要な経費を見積もるほか、総合的な経営戦略に基づいて入札価格を決定しております。こうした入札価格の決定の事情というのは、工事の規模とか業種によっても異なりますし、一つの案件でも参加企業ごとに戦略はさまざまだと。したがいまして、さまざまな要素が絡み合った結果である入札経過調書を分析するのみで、そうしたことは不可能じゃないかなというふうに思っております。
 私ども、談合等はあってはいけないということで、法令等にも基づきまして、そうした情報、いわゆる公取に送る情報もかなり信憑性がないような情報も含めて情報提供しておりますが、ご提案のように、第三者機関が談合情報に関する調査、認定を審議するということは適当とは考えておりません。

○松村委員 ただ、先ほどの談合情報が寄せられても、談合情報検討委員会というのは内部機関ですよね。それで、そういう専門家というか技術的なことはともかく、長野の場合には五人のうち四人が弁護士、あとは、技術的にも強い民間からの方が来て取り組んだと。非常に困難があるけれども取り組んだということを伺っておりますけれども、そういう意味では、内部の検討機関で委員会を開催して関係者から事情を聞いて、いや、そういうことはやっていませんといえばそれっきり、または公取というだけで果たして防げるかというような気がするんです。
 それで、例えば長野の場合も、私も詳しくありませんけれども、調査に行ってお聞きした範囲では、例えば浅川ダムの落札率と、それにかかわる一連のものをやってみて、そういう積み上げによって、かなりクロというか認定できたということで、そういう分析、落札率だとか、今までもにもいろいろいわれていたし、指摘されたと思うんですね。そういうものをやはり一度専門家といいますか、過去のものも含めて今までの、そういう談合情報が寄せられたり、そういう場合における分析や研究、検討、そういう目でもってきちっと見ていますよというふうになることが、そういう本当はあってはならないことにも、私は心理的な効果というか、やはりきくというふうに思いますし、これは他山のほかのことだ、制度だとか、そういうあれが全然違うということだけに済まさないで、ぜひ研究、検討すべきじゃないかと思います。
 これに関して、今、東京都の第三者機関がありますよね。ここにはなぜそういう例えば検討が--東京都の第三者機関というのは、入札監視委員会というのを法律の改正後つくりましたよね。入札監視委員会というものができましたけれども、これは、文字どおり第三者機関、恐らく弁護士さんも入っているんですか、外部の人を委嘱しているというので。やはり同じように入札監視委員会というのを設置しているからには、こういうところの役割や機能を活用すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○松村契約調整担当部長 入札監視委員会は、入札契約適正化法の指針等も踏まえまして、その指針の中には、第三者機関で入札及び契約手続の運用状況等について報告を受けるとか、また、その発注機関が中止した工事について審議するとか、そういうふうなことをやる機関として設けるべきだという指針を踏まえまして東京都は設置したものでございまして、いわゆる談合情報につきましては、先ほども私がご答弁申し上げたとおり、第三者機関がそうした談合情報について、捜査権限も持っていないので確認ができるのかどうか、あるいは、そうしたもので、例えば一たんストップをかけておくらせて、工事の進捗状況に大きな影響を与えるということも考えられますので、私どもとしては、こうした談合情報等について、入札検討委員会の審議事項とするということについては適当でないと、こう考えております。

○松村委員 この入札監視委員会の設置要綱を見ますと、東京都が行う入札及び契約手続の公正性、透明性を確保するためと。まさにそういう中に該当する問題なので、そこではふさわしくないということではないし、盛んに、何かそれでストップをかけると公共工事がおくれてしまうとか、そういう問題ではなくて、いわゆる都民の信頼といいますか、形からも、こういういろいろな談合情報が寄せられているとか、それが後を絶たないというもとにおいては、もう少し効き目のある、一回本気になってそれをやって、過去に上っても分析して、そういう情報というか傾向をしっかりつかめば、私はそれなりの相当の効果があると。長野の場合には、まさに、これからどういう決着がつくか難しい。警察機関でもないもののデータからあったと。クロだというふうに認定したということの意味は非常に大きいということで、ぜひ研究というか検討を行うべきではないかということを申し述べて、二つ目は、ダンピング防止や都内中小企業の育成と下請業者、労働者を守る対策という点において、談合の排除以外にも適正化法以来の改善策がとられていると思いますけれども、どのような内容でしょうか。

○松村契約調整担当部長 制度改正につきましては、先ほど申し上げた改革以外のものといたしまして、第一に、従来、予定価格二十五億円以上の契約で実施していました一般競争入札の実施範囲を九億円以上までに拡大いたしました。
 第二点として、七億円以上の契約で実施していました予定価格事前公表を契約の全入札案件に実施することといたしました。
 また、第三に、入札に当たっての積算内訳の確認とか、共同企業体案件での自主結成方式の試行などの制度改善を実施しているところでございます。
 また、民間技術力を適切に活用するために、一定の技術的な要件を満たす企業に入札参加の機会を提供する技術要件発注方式とか性能要件発注方式といった新たな発注方式を創設してございます。

○松村委員 確かに、この一年間、特に国においての適正化法案というものが出されて以来の取り組みは進んできている、そういう仕組みづくりも大分できているというふうにも私も思いますけれども、重要なことは、そういう仕組みができても、先ほども論議がありましたけれども、この現場というか、実際のところでその成果を上げているかどうかということだと思うんです。
 私も、そういう中で幾つか注目されている自治体などの取り組みを見る中で、東京都の場合を見て若干具体的にも質問したいんですけれども、例えば幾つか相談された事例で、ある入札経過調書を見ますと、一回目の入札金額で、この金額は百万単位の金額としても、四千ぐらいで号札が十者のうち三者並ぶ。ほかにもあるんですけれども、極めてぴったりとその数字が並ぶというケースが、私が今見ている中でも三枚ぐらいあって、そういう傾向が非常にふえているというんですね。
 一番低いところにというか、とりたいからというんだけれども、最後の数字までぴたりと合うあれが千単位でということで、どういうことかというと、かなり予定価格が事前公表されているから、何回か入札に参加していると、どの数字が落札数字になるかということを当てはめられるというので、こういう計算式といわれて、私たちも一生懸命はじいてやってみたら、この金額で予定価格がこうで、どうだといって掛けてみたら、やはりぴたり当たる。そうなると、本当に積算などをしないで、素人でも当てられるというようなことが--だから、予定価格など出さないでほしいとか、冗談にも、ちまたではそういう声があって、それは違うんじゃないかというようにも感じるんですよね。
 そういうのを防ぐ意味からも、例えば一つには、さっきあった十者の指名希望者指定じゃなくて、横須賀においては、もうインターネットですべて受け付けるということで、その数を限ることなく条件つき一般競争入札を採用したと。そして、入札参加を希望するので、入札条件を満たしていれば入札に参加できる入札方法をとるということで、かなりそういう意味では参加者がふえているということなんですけれども、東京都はまだ十者指名ですよね。今、例えば横須賀などでのこうした条件つき一般競争入札という点における困難性というか、何かそういうのはあるんですか。

○松村契約調整担当部長 一般競争というのは、やはり指名競争入札と違いまして、いわゆる条件設定が非常に限られているということもございますので、例えば一企業の過大受注の防止とか、あるいは指名機会の均てん化とか、そうしたことを排除できない、あるいは一般的に、不良不適格業者を排除するのが難しいと、こういうふうにいわれておりまして、東京都も段階的に一般競争入札については拡大してきておりまして、昨年の四月に九億円に引き下げたところでございますので、私どもとしては、現時点では、この運用状況を注視しながら適切な運営に努めていきたいと、こう思っております。

○松村委員 希望のうち十者指名というのは、採用したという経過は、やはり事務手数料というか、発注側の大変なものであったけれども、今では現場調査だとか説明会とかをなくして、もうインターネット上で広くやれば、かなりそういう点が解決できるというので踏み切ったという経過も聞いておりますので、今いうような、例えば不良の業者が入っちゃうとか出るとかいっても、やはりその検査体制をやって、何回もやっていけば、優良なところは大いに評価して、それはさらに横須賀でも優先的にしているというような制度も組み合わせておりますから、決して、今部長が答弁になるようなことがネックでできないということではないと私は思いますので、検討を要望したい。
 それからもう一つ、先ほどのような最後にくじ引きとなる点で、例えばこれも横須賀の例ですけれども、横須賀では、積算価格というものを先に出して、そして実際応募があったときに予定価格を決めるのはどこのラインに決めるかというので、当日、立会人のもとで、抽せんで立会人を決めて、くじでやって、予定価格を決めてやるということで、そうすると、さっきみたく事前に何か予定価格を知って、ここを当てれば落ちるというようなことができなくて、当日にならなければわからないということで、かなりそういう意味では入札の透明性が確保されているという市自身の評価があるわけですね、そのくじの採用でやったことによって。しかも、落札率も落ちているということなんですけれども、これについても、これは一例で、いい面も悪い面もいろいろあると思うんですよ。
 だから、先ほどいったような東京で現に起きている、または業者からもそういう声があるというものを改善するために、やはり今のでいいとは必ずしも思っていないというか、それはもっとよくなれば、改善していきたいというのは思っていらっしゃると思うんですけれども、こういう横須賀なんかの事例も、私は研究してみる必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松村契約調整担当部長 その横須賀方式のように、適正な積算に基づきます設計金額の一部を、これは二%の範囲ぐらいでしょうけれども、発注者がそこから控除して予定価格を作成するというのは一応歩切りというふうな概念に当たりまして、公共工事の品質確保等の上からは現に慎むべきだと、こういうふうにされておりますので、私どもは設計された金額を予定価格にしております。
 また、横須賀市に問い合わせまして、新方式を採用してから以降の状況を聞いてみたんですけれども、一割近くは依然としてくじ引きだと。また、最低制限価格付近への集中傾向が続いているという状況でございますので、くじ引きで対応するというのは、これはいろいろな経済状況等の中で、そういう意味では通常ではないというふうなことはありますが、私どもとしては、横須賀方式等を採用するというのは非常に難しいのかなと、こう考えております。

○松村委員 一つは、それは全国でもいろいろ注目されていたり、長野もいろいろ検討する中で、横須賀というやり方もいろいろ研究しながらやっているということで、今後もそういう現場からの意見や声をもとに、よりよい改善の検討はしていくべきだと思います。
 それからもう一つ、今、私たちのところに寄せられる多い相談は、元請の倒産や不公正な、さらに下の下請業者の工事代金不払いが増加している、こういう相談なんです。この点でも、同じく横須賀市のを見ると、下請届も二次三次など全下請について契約書の写しの提出を求めることとしておりますけれども、都においては、この点においてはどうでしょうか。

○松村契約調整担当部長 東京都におきましても全く同じでございまして、請負者が工事現場に備えつけます下請負者に関する事項等を記載した施工体制台帳というものをチェックしております。その中には、二次下請以下も含めた下請契約書の写しを添付したものを都の監督員が確認をしておりまして、元請、下請関係の適正化というところに努めております。

○松村委員 財務局の契約では適正化法以来、いろいろ改善されているからそういうシステムを今とり始めているということだけれども、なかなか徹底していないとか、いろいろな面が、そういう声があるところにあるんだというふうに思いますよ。ですから、先ほどもいったみたく、やはりそういう仕組みをつくるのは大事だけれども、それが実際に効果を上げているのかどうか。
 だから、先ほども民主党の方からも公契約の法を求めるということについては、私たちも大いに国に求めたいし、できたら東京都がみずから公契約条例みたいなものをつくって、今いった下請の未払いだとか、さらには、単価に合わないような、手間賃にも合わないような、本当に悲惨なというか大変な実態がある。これは、だから契約だけではなくて、別の面できちっと対策をとらなければいけないから、国に公契約法とか、できたら東京都もそういうものをつくるとか、さらに、転貸債などもこれまで私たちも取り上げてまいりましたけれども、実際、やっている、やっているといいながら、本当に受けとめ方というものも不十分で、やはり現場というか、多くの方が泣いて不備を訴えているという点など、やはりそういう仕組みをつくると同時に、徹底することが大事だと思うんですけれども、今おっしゃいました、下請届も二次三次など、全下請についての契約書の写しの提出を義務づけているということですよね。それに基づいて施工されているのか。そういう施工体制の把握にも万全を期す状況にあるのかどうかも確認しておきたいと思います。

○松村契約調整担当部長 基本的に、いわゆる工事監督員というのは、元請を通じてやりますということで、台帳を出してもらって契約書を添付しておりますが、例えば、三次四次の下請にあって出てこなかったとかというふうな場合については、なかなかチェックのしようがないというところもありますが、基本的には、全部出してもらってやるような形で指示をしている。ただ、なかなかすべてについてそこら辺が把握できるかというふうな限界もありますが、できる限り努めているというところでございます。

○松村委員 ぜひ徹底して、実効あるものにしていただきたいと思います。
 この契約の最後に、中小企業の受注機会の確保について伺うんですけれども、可能な限りの分離分割発注はやっていただきたい。あわせて、東京都の運用する共同企業体において、工事の難易度の高くない工事案件については、中小同士のJV、建築関係ですね、それから異業種のJV、建築と土木とか、そういうのは認められないのかどうか。

○松村契約調整担当部長 東京都の共同企業体方式、建築工事を例にとりましていえば、現在も九億円未満の工事、五億から九億につきましては中小企業同士のJV、土木だと四億から六億までは中小企業のJVだということで、東京都は中小企業の受注機会の確保ということで、JVにつきましても中小企業同士のJVをかなり認めているのではないかと思っております。

○松村委員 認めているんじゃないかということなので、さらに引き続き、その積極的な拡充といいますか、業界からの要望にもこたえていただきたいというふうに思います。
 それでは次に、予算の総則といいますか、予算全体について幾つかお伺いしたいと思うんです。
 第一は、十五年度末で都債の残高が五千五百六十七億円もふえているわけですけれども、この委員会でも、事務事業のときに私は質問しましたけれども、石原知事の公約、借金財政ノーは守られていないのではないかというふうに伺いまして、いろいろ答弁もいただきましたけれども、改めて見解を伺いたいと思います。

○松澤主計部長 都債につきましては、先ほども申し上げましたが、バブル経済崩壊後の景気対策などに伴う大量発行の影響で残高が累増しまして、十四年度以降、その償還が急激に増加することから、この四年間、将来の財政負担を十分に考えながら都債の発行を極力抑制してきているところでございます。
 具体的な数字で申し上げますと、都債の発行額は平成四年度から十一年度までは年平均七千六百億円に上っておりました。しかしながら、財政再建推進プラン後の平成十二年度以降の実績は、平均で三千七百億円程度の水準にとどめてきておりまして、十五年度予算における起債依存度も七・六%と、都道府県の中でも最も低い水準になっているわけでございます。こうした努力が着実に実りまして、十五年度予算では、都債残高が実に十三年ぶりに減少する見込みとなったところでございます。
 今後とも、これまでのような適切な取り組みを続けていけば、償還額も平準化され、健全な財政運営につながると確信しておりますし、また、今先生からお話しございました、十一年度と比べて五千五百六十七億円残高がふえたというお話でございますが、ふえたことは、確かに数字ですから事実でございますけれども、その理由としましては、五千五百六十七億円の増に対しまして借換債が九千億ぐらいこの間ふえておりますので、実質的な新規の起債と償還した分との相殺でいきますと、逆に新起債はかなり抑制していると、こういう状況でございます。

○松村委員 今、主計部長さんがおっしゃったように、四年間で五千五百六十七億円ふえたことは事実でありまして、借換債といっても、やはり必要なそういう財源手当てでやっているわけですから、ここのところに来てそれを引けば減っているなどというのは、それはそういう点でのいい分というのは通用しない。どうして公約が守られなかったのかを認めるべきじゃないかと思います。
 しかも、今盛んに強調されるのが平成十一年度ですね、九九年以前の七千億円台の数字と比較して半分になっているというわけですけれども、この時期は文字どおり、この豪華庁舎や国際フォーラムだとかいろいろなのをつくってきて、しかもバブルがはじけて都税収入が大幅に減り始めているにもかかわらず、ばんばんというか、こういう都債を発行してやった、いわば異常な事態の時期で、そのときの合計額を平均して、今は半分以下だといっても、それは都民を納得させるものではないと思います。
 大体、それ以前、これで見ますと、四年が既に決算で七千八百十億と。しかし、その前の九一年、平成三年度は、決算を見ますと二千二百六十六億でしょう。その前の九〇年度、平成二年度は一千七十億、その前が九百三十六、七百五、七百九十六ということを比べて、今は三千億、四千億台というのは、そういう比較をしてみれば、やはり抑制されているなどということは到底いえないと思います。
 それでは、先ほども話が出ましたけれども、もう一度、平成十五年度、二〇〇三年度、この当初予算では三千八百億円ですから、この数字で聞きたいと思うんですけれども、三千八百億円で今後も都債を発行し続けたら一体どうなりますか。例えば三十年後の数字では。

○松澤主計部長 今、平成四年度以降の都債が非常に少ないというお話がございましたが、これは何回かお話ししてございますけれども、バブル経済がはじけて四年以降、税収が大幅に落ちた中で、景気対策とかいろいろな都民のための整備をするために都債を活用したということでございまして、経済環境ががらっと、四年とそれ以前は大分違うということをまず一つご理解いただきたいと思います。
 それから、借換債のさっきの問題もそうでございまして、借換債は十年後に出ますので、平成五年以前に発行した起債がちょうど借換債として出てきた分がかなりふえてきて、その分が十一年から十五年の間に九千億以上ふえているということでございますので、石原都政になってからの起債ということでは、ある意味では厳密にいえばないということもございます。
 今、お尋ねのありました三千七百億円程度で発行した場合、どれぐらいになるかということでございますが、都債は、その時々の財政状況、経済状況、将来の財政負担などを総合的に判断して、適時適切に発行していくものでございまして、単純に発行額を固定的に決めて、長期にわたって都債残高を機械的に試算することは、財政的に見ると余り適当ではないんではないかなというふうに考えております。
 ただ、今先生いわれましたので、あえてこの都債を三千七百億円程度で発行し続けたとして機械的に試算いたしますと、三十年後には残高は七兆九百億円程度となる見込みでございます。これは今、十五年度末の残高が六兆九千三百三十五億円でございますので、これよりもややふえるということにはなるわけでございますが、三十年後の数字ということもありまして、そのときの経済状況あるいは財政規模も想定できないわけでございますから、何らこれは意味を持ち得ないと、このように考えています。

○松村委員 先ほど、バブルが崩壊して以降、税収入が落ち込んだと。しかし、都民施策に必要な分をやったといって、都合のいい方をいいましたけれども、事実、例えば今いった、大変な庁舎や、幾つ建てましたか、国際フォーラムだとか、箱物といわれるぐらい。知事だって就任してこんなばかげたとか、いろいろなことをいわざるを得ないし、そもそも臨海副都心開発だってこのときから始めたんですよね。あのときだって、きょうは臨海のことまでいいませんけれども、全然回収見込みがないし、一般会計は一円も迷惑をかけないといいながら大変な事態となっている。そういうことに使われたことも事実であります。そういうトータルを見ないでいうのは、都民に間違った認識を与えるというふうに思います。
 それから、石原知事になって、たまたまその前のバブル期以降の今いった大きな開発に、年間一兆円の都債を発行したというツケが来て、しかし、それの発行が終わったら山が終わって平準化するといいつつも、この間、石原都政になっての発行額は三千七百とか三千八百とか、十五年度には四千億と。これだって最終になってみたらどのぐらいなるかわからないと。しかも、それが、いや、そういうペースだから当時の七千億円ぐらいのときに比べたら少ないといっても、山を越えたら今度は高値で--その前は、さっきいった数字の二千億とかそういうペースなんですから、二千億とかもっとそれ以下なんですよ、九百三十億とか一千七十億とか七百五億とか、そういう水準で来て、それがばかっと今こういうふうにふえてきている。
 しかし、今後三千七百とか四千億円でいったら、今いった形の、たとえ二回借換債をやった場合でも、また今のような低い利率を仮定したとしても、七兆円を超える。私たちが例えば十五年度並みの三千七百九十五億円、これは当初予算です、これを都債でやった場合にも七兆二千七百二十七億円というのが減らないどころか、そういう形で高値でずっと移りながら、返すものもふえながら全然借金が減らないと、そういうことなんですよ、いいたいことは。
 そんな状況じゃないし、今後はわからないにしても、では、今大幅にそういうほかの新たな、また長野ですけれども、(笑声)ほかの動き、長野だけではないですよ、高知だって徳島だって、ほかの全国の新しい動きは、もうこれからの低成長の時代は、そういう社会資本整備だとか、かつては地方にばらまいていたけれども、今度は大都市だといったって、同じ社会資本整備といっても、結局これは大企業の景気対策以外の何物でもないということの批判から、もうそういうのはやめようという動きなんですよ。
 では、石原都政はどうかといったら、もう都市再生、都市再生といって、地方から東京に集中して、全部これは国でやってくれればいいですよ、国のお金でね。先ほどいろいろな高速道路だとかそういう道路は必要で、東京都が積極的に財源負担も含めてやるのは当然だという話がありましたけれども、あの当時、今と同じような十五年ですか、十八年前の都税収入のときに、一体幾ら国直轄事業や、それからこういう首都高だとか負担金を出していたかといったら、もちろん法律の義務規定がないんですから、予算の範囲内という中で、きょうはその額を聞きませんけれども、ほんのわずかなんですよ。
 それが、もうバブル期で都財政が、あの美濃部の末期から鈴木都政になって、あの人は運がよかったというか、急激にまた盛り返して収入が入ったのを積み立てて、それで大きな箱物に使うようになったというのが、私はその流れだと思いますけれども、そのときなんですよ。国とつき合ってというかいわれて、都税収入もあるし、そういうのも基盤整備だというようなことで、そのときは身の丈に合ったか知りませんけれども、その傾向が、こういうふうに税収が減っても全然減らないというか、後でもちょっと聞きますけれども、国直轄事業だとか首都高に対する貸付金などの状況というものは、大変な事態になっているということを私は指摘しなければならないと思います。
 そこでもう一つ、都債発行を半分に抑制したといいましたけれども、その中身も実は問題なんですね。石原都政四年間とその前の四年間の街路整備、公園整備、それから道路補修費がどうなっているのか。

○松澤主計部長 その前に、先生、事実だけちょっとお話をしておきたいと思います。
 先ほど、都庁舎を都債を湯水のように使ってつくったというお話がございましたけれども、この都庁舎は都債は使っておりません。これは、鈴木知事が絶対借金をしてやるんじゃないんだということで使っておりませんので、その点はまず一つご了解をいただきたいと思います。
 それからあと、臨海の方もいろいろお話がございましたけれども、確かに転貸債は発行して基盤整備をやっておりますが、一般財源というレベルで一般会計から見たときには、これは財政負担という面では、先生もご案内のとおり、かなり額が低いという状況でございますので、これもまた一般会計との関係では、今いったようなことをご理解いただきたいと思います。
 それからもう一つ、起債依存度が非常に低いときのことを先生今すごくいわれましたが、都債というのは、別に出さなければいいというものではなくて、そのときの財政状況、経済環境によってやるものでございますので、鈴木時代の、例えばさっきいいましたバブルのときは、おっしゃるとおり一%とかかなり起債依存度は低いわけでございます。だけれども、例えば六十二年度でいいますと、税収が二〇%ぐらい前年に対して伸びて、五兆二千億の財政規模に対して一年で七千億も税収が伸びている、そういうような時代だったわけでございまして、そういうときに、都債を使うということよりも、これは一般財源を使っていくという選択もあるわけですから、やはりそのときそのときの経済状況、財政状況の中で、都債というのは適時適切に活用した方がいいのではないかというのが我々財政当局の考え方でございます。
 そういう中で、今、七%という起債依存度は、額でいうと、先生、三千何百億が大きいように見えますが、起債依存度でいうと結局七%レベルでございますから、これは再三いっているようにかなり低いということでございますので、このことも含めてやはり財政運営というのは考えることが必要ではないかと私ども思っております。
 本論に入りまして、今お話しのありました道路街路整備の額でございますが、これにつきましては、十一年度から十五年度の比較で先生おっしゃいましたが、道路整備は十一年度と十五年度を比較しまして三五%減でございます。それから、街路整備が三八%の減、公園整備が二五・四%の減でございまして、道路補修費は五六・二%の減でございますが、全体的に十一年度から十五年度の四年間で、都債の発行額そのものが通常債については五〇%減になっておりますので、そういう中での相対的な比較ということではないかと思っております。

○松村委員 いろいろ主計部長はおっしゃいますけれども、私たちも、借金がだめだ、都債ですね、借金がすべからくだめだなんていっているわけではないんですよ。問題は、今日のように都財政が厳しい状況に置かれ、しかも、今後もやはり低成長時代を迎えるといわれているときに、将来負担も考えずに借金を積み増ししてよいのかということが一つの大事な議論だと。やはりそういうことについては、真摯に耳を傾けるべきではないですか。あれやこれや、それはトップが知事ですからあれですけれども、やはり財政当局としては、きちっとそういう事実を認めながらやるべきだということをいっておきたいと思います。
 今、街路整備、公園整備、道路補修費というのを聞いたのは、実は、これも都債発行額の額面ベースでの推移の資料を出していただいて、私は手持ちの資料としてあるわけですけれども、今さっき十一年と十五年度と、そういう比較でいいましたけれども、石原知事の四年間とその前の四年間を比べて、例えば街路整備費が減った、減ったといいますけれども、減っている割合は三割なんですね。
 ところが、公園整備費では七割、それから道路補修費では六割、四年間のトータルで見ても、一体どこが減っているというか、きのうも公園がいかに大事かということの議論が、予特の委員会でも各会派からやはりそういう声が挙がっております。こういうふうに、この間の都財政運営がどういう形であったのかというのは、今はこの三つだけ挙げましたけれども、同じ都債を使う形における公共事業というのにおいても、そういう傾向がはっきりあらわれているんじゃないかと思います。
 では、それに比べて都民生活のかかわり合いで、私も財政再建推進プランの最終年の平成十五年度、二〇〇三年度の予算状況を一言、これも傾向的にどういう形になっているかということでお聞きしたいわけですけれども、この財政再建推進プランの予算化状況、首都高出資貸付金、国直轄事業負担金、街路道路事業、一方では、老人医療費等老人福祉手当についてお伺いいたします。

○松澤主計部長 まず、十五年度予算における首都高速道路の無利子貸付金の歳出額でございますが、百八十七億円でございます。それから、国直轄事業負担金の歳出額は百七十八億円でございます。それから、もう一つの道路街路整備事業の歳出額は千六百四億円でございます。
 それからもう一つ、ソフトの方で先生今お尋ねありました、老人医療費の都制度分の歳出額でございますが、二百八億円でございまして、また、老人福祉手当の歳出額は三億円でございます。
 なお、老人福祉手当の廃止や、都が単独事業として実施している、今申し上げました老人医療費助成の見直しにつきましては、これは利用者本位の福祉の実現を目指す福祉改革の一環として、都民や議会の理解を得ながら実施してきたものでございますので、どんどん減っていって、老人福祉手当は十五年度で最終年度と、こういうことでございます。

○松村委員 この財政再建推進プランの予算化状況、今は平成十五年度の数字をそれぞれお出しいただきましたけれども、いずれにしても、首都高の出資貸付金、それから直轄事業負担金なども補正予算と合わせると、やはり減っていないどころかふえているというか、大きな額なんですね。
 それから、例えば財政再建推進の予算化状況を十四年度と比べても、ずっと軒並み減って、今の老人福祉費や老人福祉手当も、この中での一般財源も含めて相当切り込んでいるというか、減らしている一方、やはりふえているのは道路街路整備費、これは前年に比べて五十四億、一般財源も四十八億円もふやしているとか、それから土地区画整理、これは汐留と秋葉原ですけれども三十八億円、一般財源は土地の売り払いがあるから、そこで充てているということなんでしょうけれども、そういうところが逆に財政再建推進プランで二割削減だ、三割削減だといいながら、十四年度対比でも、これだけ厳しいといって、みんな減らすんだといって、老人手当や老人福祉費の廃止も含めて財源を減らすという中で、一方今ふえているのが、そういうところの事業なんですよ、事業費予算だと。ここにもやはりことしの予算の特徴がはっきりあらわれていると思います。
 長野県に調査に行ってきましたけれども、東京よりも深刻な財政状況にありました。あそこは、大体一般会計は一兆円で、東京は大体六兆円とすると六分の一ですけれども、返済というか、要は借金が一・六倍の一兆六千億円という中で、やはり大変な財政状況にあるんです。そして、すべての事務事業の見直しを行ったそうでありますけれども、あくまでもその見直しの視点は、県民にとって必要なものかどうかを評価の基準としたわけであります。
 だから、福祉や医療や教育施策などの多くの事業が継続されているばかりか、脱ダム宣言によって大型公共事業の見直しを思い切り進めようということで、当時、吉村県政のときには大体一兆円規模の中の四千億円ぐらいが公共事業であったのを、同じような財政再建プランを立てて一千七百億円まで、そんなに減らせるものかと私もびっくりしたぐらい徹底的にやろうと。すべての市町村にその見直しについて明らかにして、意見ももらいながら進めている。
 同時に、そういう財源を減らしながら、福祉、医療、教育、環境、産業などは、長野モデル創出事業といって、そういう分野は独自財源を確保している。三百億円といっていましたから、六倍すれば東京では一千八百億円規模を、皆さん方は福祉や医療をどんどん福祉改革だ、そんな時代じゃないんだといって切っているんですけれども、実際、長野では逆に、東京における規模でいくと一千八百億円ぐらい独自財源を確保して、何に使うかということをあらゆる形で問いながら充実させていこうという、ここに私は、今、違いを本当にはっきり見る思いでした。
 最後に伺いますけれども、平成十五年度予算は、相変わらずの都市再生を重点化する予算で福祉切り捨てだと。厳しい都民生活を解決する予算になっていないと思いますけれども、いかがですか。

○松澤主計部長 財務局長が答える前に、長野のお話だけ私もさせていただきたいと思います。
 非常に長野がいい取り組みをしているというお話もございましたが、長野県の取り組みというのは、もちろん知事がみずからの状況を踏まえてご判断されたものというふうに考えておりまして、東京のような巨大都市と長野で、地域事情また財政事情も異なっておりますので、比較することは意味がないんじゃないかなというふうに考えております。
 ちなみに、今先生から都と長野県の予算の規模のお話もございましたけれども、長野県の投資的経費の構成比は、都が一〇・九に対して、十五年度予算で長野は二二・一%と、東京の倍ぐらい、かなり投資が高いんですね。
 それからもう一つ、起債依存度、いろいろ先生からご議論がありましたけれども、都が七・六であるのに対し、長野はまだ一二・七%でございますので、また、今お話にありましたように、かなり交付税とかそういうものに依存した格好の財政構造になっていますので、冒頭申し上げましたように、やはりいい悪いは別にして、比較することが余り適当でないのではないか、このように考えております。

○松村委員 主計部長は全然わかっていないというか、数字で比較して、どっちの借金が多いかとか、中身がこうだとか、福祉予算がふえたか減ったかと今やっているんじゃないんですよ。長野はもう右肩上がりの状況ではないという中で、予算の使い方をどう転換するかという形での姿勢、やはり県政というのは県民のためにあると。県民の要求や方向で意見を聞きながら、今のように、国民、都民が苦しんでいるというか大変な思いの中で、大型道路とか都市再生だとか、基盤が必ず将来よくなるんだというようなことをやっていていいのかどうかということを、みずから田中知事は問いながら、決してそういう時代ではないと。だから、そういう今までの公共事業を国の補助事業に頼ってきた、県単独や補助事業に頼ってきた長野の業者も苦しいでしょうけれども、しかし、新たなものをつくって、新たな雇用をつくり出すために頑張ろうじゃないかとやっている今の時代認識の中からどうやっていこうかという姿勢は、少しは学ぶべきものもあるんじゃないかということで、先ほど来の一番最初に質問した予算の逆立ち財政を正すべきじゃないかという点についての局長の見解の伺いたいと思います。

○田原財務局長 十五年度予算でありますけれども、ご承知のとおり、この前何度も申し上げたように、徹底した歳出抑制をしなければならない、こういう状況の中で、中小企業それから雇用対策、ディーゼル車対策、こういう緊急課題には何としても対応しなければならない、こういう対応をしてまいりました。それと、都民の安心、安全を確保するための施策、これをやはり重点事業を中心といたしまして、積極的に取り組む予算としたつもりでございます。
 ご指摘の福祉の関係でありますけれども、これも認証保育所事業でありますとか、障害者地域生活支援緊急三カ年プロジェクトに取り組んでいますけれども、こういうものの充実を図っております。障害者、それから高齢者が地域において安心して暮らせるような施策、緊急にやらなければならない施策を盛り込んでおるつもりでありますので、ぜひ内容の吟味をお願いしたいと思っています。
 また、都市再生についてでありますけれども、これは都市開発だけでなくて、産業の活性化ですとか、それから環境の問題の対応ですとか、こういうものもあります。それらが都民生活の質を高めるものでありまして、東京の活力をよみがえらすために不可欠なものであると考えております。都民生活の質を高めるということにおいては、福祉と都市再生を、殊さら対立するというとらえ方では我々はいけないのではないかと思っております。

○松村委員 今局長から答弁がありましたけれども、先ほどの福祉改革といっても、認証保育に見られるように、本当に都民が求めている方向の改革かといったら、決してそうではない。これ以上いいませんけれども、そういう点では、我が党は組み替え動議を出しますけれども、一般会計予算のわずか三%ちょっとですよ。使い方を組みかえれば、福祉の十事業を初め、そういう福祉や医療や多くの分野の切り捨てどころか、元に戻しながら、この大変な今日の経済不況の中で、都民の雇用や中小企業の育成とか、さまざまな分野のきめ細かな施策が実現できるんだということを具体的に私たちも示して、都民に審判を仰ぎたいというふうに思っております。
 以上で終わります。

○川井委員長 この際、議事の都合により、十分間休憩いたします。
   午後三時十九分休憩

   午後三時三十一分開議

○矢部副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤田委員 それでは、私も予算議会ですので、少しじっくりと質疑をさせていただきたいと思っています。
 今、私たちが地域を回りますと、何といっても、やはり不況の問題、そして失業の問題、そしてなおかつ税金のむだ遣いをまずやめてくれと、こういうような話がたくさん聞かれます。現在は、五・五%と戦後最大の失業率を記録しているわけですけれども、製造業というのはもちろん重要な問題なんですけれども、いわゆる雇用ということから考えますと、一九九〇年の製造業の雇用というのが一千五百万人、そして、二〇〇一年の雇用は一千二百八十万、要するに二百二十万人の雇用減になっているわけなんですね。ヨーロッパやアメリカは、いろいろ試行錯誤の上、ITを含むサービス産業の雇用増で補ってきているわけなんです。
 ところが、日本の場合には、この雇用減を何にかえていったかというと、相も変わらず建設業従事者というところで吸収してきた、従来型の方法で乗り切ってきているというふうになっているんだと思うんです。
 地方経済での雇用確保は非常に重要な問題でありますけれども、公共事業では、事業費に対する人件費比率というのは約五%というふうにいわれています。福祉関連になりますと約六〇%でありますので、同じ税金を投じたときの雇用創出効果が、いわゆるヒューマンサービスが非常に大きいということはもう十分わかっているわけなんです。まさに、経済産業の構造改革をしなくちゃいけないということは、皆さん方ももちろんわかっていることだと思っています。
 そして、一つの指標に、公共事業の関連予算と、それから教育、特に高等教育ですけれども、これは国の話でありますけれども、研究開発予算の比率ですが、日本の場合には、この比率がいまだに六から七対一、教育予算が一で公共事業が六から七です。アメリカやフランスは一対一、イギリスやドイツでは〇・七から〇・八対一というような割合になっているわけです。まさに、この産業社会の構造変化、第一次産業から第二次産業へ移って、そして、今は情報社会への構造転換をしなくちゃいけないというときだと思いますけれども、まさに過渡期で、なかなかここが難しい。こうした予算の使い方を抜本的に変えていかなければいけない時期だというふうに私は思っています。
 ところが、私が今回の補正も含めて見る限りでございますけれども、局長にお尋ねしたいんですけれども、都も国の縦割り行政の中で予算編成をせざるを得ないように見えるというように思うんですが、本年の予算編成では、これらの不況、失業、それから消費の低迷、少子高齢社会に向けての特にこういう雇用の問題や構造をどうやって変えていこうかとしているときに、何にどんなふうに重点化をしたのかをまずお伺いしたいと思います。
   〔矢部副委員長退席、委員長着席〕

○田原財務局長 何に重点化をしたかということでありますけれども、基本的には、まずは経済の立て直しといいましょうか、雇用も含めて再生であろうと思っています。
 国の方も経済の立て直しということで、公共事業中心でありますけれども、補正を組み、さらに十五年度の予算編成の方針を出したと。それだけではなくて、従来型の公共事業でありますと、全国一律パーというような感じがありましたけれども、やはり重点を置きまして、効果の上がるところへ、つまり、都市へ重点的に投資をするような形、それから高齢社会等々への対応のための施策の重視と、そういうようなところが基本にあったと思っております。

○藤田委員 本来は、補正のところ、私ももちろん賛成をしてきたわけですけれども、雇用の対策や景気の対策というようなことであれば、本来は本予算の中に入れてあって、そして補正予算の目的は、景気刺激じゃなくて、社会保障的な景気対策というような、そんなふうにしていくのが本来の筋かなと思うんですけれども、なかなかここが変わってこないのではないかと思っています。
 それで、地域の皆さんにお聞きすると、とにかく税金のむだ遣いはやめてほしいというんですけれども、ここが悪い、ここが悪いといっても、仕組みの中で話をしているわけでありますので、私たちは、まさに第三セクターの問題から始まって、連結決算をしなさいというような話から、そして、将来に対しての維持更新まで考えたらどうしたらいいかということで、バランスシートの話もずっとしてきたつもりであります。こういうふうに、やはり仕組みを変えていくことによって、情報公開や説明責任ということが生じてくるわけですので、いわゆる会計改革が、すなわちその施策の改革にもつながってくるんだというふうに思っているわけです。
 バランスシートのことについて、そして発生主義のことについて、少し詳しくお尋ねをしたいと思いますけれども、十八年度を目途に、会計処理に複式簿記・発生主義を導入することというふうになりました。私たちも、実際に事業のコストや税金の投入額、それから、先ほどお話ししたような外郭団体を含めた包括的な財務状況を明らかにしていきたいということで、今回の会計改革については大変評価をいたしております。これから、まさに精力的にいろいろなものが進められていくんだと思います。
 実は、事務事業の中で、昨年の十一月に私、質問しているんですけれども、予算に対してもこれを活用してほしいと申し上げたんですが、まだ、ああだこうだというので、予算についてはなかなか実際には活用が時期的な問題も含めてできないんだというようなお答えだったんですけれども、まさに、今回の改革の中では、目途も決めてきちっとやっていこうというところになっておりますので、評価をさせていただいているわけです。
 行政機関は、明治以来、単式簿記・現金主義決済によって会計処理が行われてきたんですけれども、この間、百年以上ですけれども、こういうことが実際には長く使われてきてよかったというふうに思ってやってきたはずなんですね。もちろん、それに今の状況がいろいろ批判が出てきているわけなんですけれども、この現金主義、そして、現金主義の会計制度で、この特徴と限界についてまずお答えをいただきたいと思います。

○松澤主計部長 今先生からお話しございましたように、現行の官庁会計は、現金の移動を把握することを主眼としたいわゆる現金主義でございます。これは、やはり単年度の現金の収入及び支出について、出入りも含めまして全体的にわかりやすく把握することができるという形になっております。また、議決予算に従って厳格に統制するという面から、そういう趣旨から有効であるということで、今まで特徴的なものも含めてやってきたということでございます。
 しかしながら、一方で、減価償却費など現金の移動を伴わない費用を含んだ正確なコスト情報、あるいは資産や負債といったストック情報については、官庁会計では把握できない仕組みになっていることが限界として挙げられるわけでございます。

○藤田委員 既に十一年度から現行の官庁会計による決算の数値を組みかえて、機能するバランスシートということで取り組みを進めてきましたけれども、では、わかりやすいという現在の現金主義から、今回、複式簿記を導入するというふうになっておりますけれども、その意義と効果をお伺いいたしたいと思います。

○松澤主計部長 十一年度から取り組んでまいりました機能するバランスシート、それなりに効果は上がってきているわけでございますが、ただ、毎年八月ごろに作成される普通会計決算を組みかえて作成をしているものですから、完成までにかなり時間を要するという課題がございます。
 それから、資産の除却など把握できないデータがありまして、その意味でスピードや正確度などの面から一層の改善が課題となっておりました。このため、十八年度を目途に、日々の会計処理の段階から複式簿記・発生主義会計を導入して、より正確なバランスシートをスピーディーに作成するよう、今回、公会計制度に取り組むこととしたものでございます。
 この改革による効果としましては、都庁の各部署で事業別バランスシートが容易に作成できることになりまして、正確な事業コストや資産、負債の状況をみずから把握し、主体的な事務事業の見直しや行政評価に活用できること、あるいはまた、こうした結果を予算編成に的確に反映することが可能となることなどが、その効果として挙げられるわけでございます。

○藤田委員 しかし、自治体といわゆる営利企業というのは、その目的、運営の原則、それから経営の視点などがもちろん著しく異なるわけです。営利を目的とするかしないか、それから利益や余剰の分配を行うかどうか、また、サービスや財の生産を行うかどうか、続けるか中止するか、そういうことを決める指標が利潤率なのかどうかというようなことで、非常に営利企業と自治体とは対照的になってくるわけです。
 もちろん、自治法の中で、公共が行うことは事業として規定をされているわけでありますけれども、そのまま公共の福祉の増進を目的とする、行政に持ち込むというのは、なかなか難しいところもあるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 先生ご指摘のとおりでございまして、やはり公共の福祉の増進を目的とする行政部門は、住民が負担する税金を、住民の代表である議会の議決に従って的確かつ効率的に活用することが重要でございまして、やはり営利を目的とする民間企業の行動原理とはおのずから異なるわけでございます。
 しかしながら、行政においても、一層効率的な行財政運営や保有資産の有効活用などが強く求められる中で、やはり企業会計の考え方、ノウハウを導入して得られる正確なコスト情報やストック情報は非常に有益でありますので、これを活用していくことが必要となっているわけでございます。
 したがいまして、行政と民間企業との違いを念頭に置いた上で、今回の企業会計方式の導入に際しましては、行政活動にとって的確かつ有益な財務情報が得られるものとなるよう、企業とちょっと違う面については必要な修正を、例えば道路なんか確かに価値を云々ではございませんので、そういうインフラについては、また、民間企業と違った利益を生まないものについてはどういう形でやるかとか、いろいろ課題がございますが、そういう必要な修正を加えて、工夫をしながら行っていく考えでございます。

○藤田委員 多摩ニュータウン事業などにも、この機能するバランスシートを使ったわけでありますけれども、資産を形成するとか維持するというようなものについては、まさにこれは非常に効果が大きい手法だと思いますけれども、教育とか福祉というような分野では、資産の形成に結びつくかどうかといえば、これはなかなか難しい。
 三重県でも、行政評価を行うときに、なるべくいろいろなことを全部数値化しろという中でやってきたわけなんですけれども、効果はどういうふうに上がったかというのを数値化するというのは、やはり非常に難しいということで、行政評価の部分でもなかなか難しいところがあったんですけれども、コストということになりますと、なお一層、福祉や教育ということについては難しい面もあるかと思います。
 そこで、お伺いいたしますけれども、例えば、十三年度の決算表の中で行政コスト計算書が出されておりますけれども、今お話ししたような教育や福祉に係る支出のうち、どの程度がコストとして考えられているでしょうか。

○松澤主計部長 行政コスト計算書では、普通建設事業費や基金積立金、貸付金などの資産形成にかかわる支出につきましては、その金銭的価値が資産にかわるだけという考え方をとっておりますので、その全額を一度にコスト計上するのではなくて、施設などの完成後に資産から生じる毎年度の減価償却費として、耐用年数に応じて分割して計上する、こういう形になっております。
 お尋ねの教育と福祉にかかわる支出につきましては、両者とも、先生ご指摘のとおり投資的経費が非常に少ないため、ほとんど全額が支出の年にコストとして整理されることになるわけでございます。十三年度の普通会計決算の教育費について見ますと、この歳出合計は九千四百七億円でございますが、そのうち、行政コスト計算書に現金支出を伴うものとして計上されている額は九千百四十億円でございまして、歳出合計の約九七・二%となっております。
 それからまた、同じく民生費の方では、歳出合計が五千七百七十六億円に対しまして、行政コスト計算書上は五千四百七十七億円でございますので、約九四・八%が、これもコストとして計上されると、こういう状況でございます。

○藤田委員 それでは、いわゆる土木事業の道路とか公園ということについては、どんなふうになっておりますでしょうか。

○松澤主計部長 土木にかかわる支出につきましては、今申し上げました教育や福祉の場合と異なりまして投資的経費が多いため、行政コスト計算書上では支出の年に資産に計上される額が多く、コストとして整理される額は少なくなるわけでございます。
 したがいまして、十三年度普通会計決算の土木費では、歳出合計では九千五百二十九億円になっておりますが、行政コスト計算書に現金支出を伴うものとして計上されている額は、約四五%に当たる四千二百九十九億円でございます。

○藤田委員 今、数字でも示されたわけですけれども、教育で九七・二%、そして民生費で九四・八%、土木では四五%ということでありますので、このバランスシートは、まさに使い方、どういうふうにしてこれを使っていくかということが、それこそが大事なんだというふうに私は思います。
 今回、せっかく全庁的にバランスシートを導入するということでありますから、都民にとって本当に必要な事業は何なのかということを選択をしていくのに、ここで正しく使われないと、コストがかかるからこれはだめよという話ではないはずでありますので、ここの使い方というのが大変重要になるかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 都が今回作成いたしますバランスシートは、東京都の財政を客観的な数字により分析し、都政を改革していく道具といいますかツールでございますので、これにつきましては、ただいま申し上げました、単年度のコストをあらわす行政コスト計算書、それから資産や負債の状況を示す貸借対照表、それから現金の移動をあらわしますキャッシュフロー計算書の三つの表が、互いに補完し重なり合って財政状況の全体像をあらわすと、こういうような形で行うものでございます。
 したがいまして、先生ご指摘のとおり、バランスシートの活用に当たりましては、ソフト事業やハード事業といった事業の特性を十分踏まえまして、一つの部分だけではなくて、これらの三つの表を総合的に分析していくことが大切でございまして、そのことがまた費用対効果の面から、都民にとって真に必要な事業を選択することにつながるものと、このように考えております。

○藤田委員 まさに今おっしゃったとおりで、どうやって選択をしていくかということが重要になると思います。コスト計算書の活用に当たっては、ソフト系の事業を適切に評価する仕組みづくりが不可欠だと思いますので、これからも検討を深めていただくようにお願いをいたしたいと思います。
 機能するバランスシートの中間報告では、その時々の資産のあり高を示して、過去の反省と未来の方向を指向するというふうに書いてあります。私たちもバランスシートから実態を客観的にとらえて、過去の反省の上にそれを未来、つまり将来の財政運営に生かしていくことが重要だというふうに思っているわけです。
 地方自治体のバランスシートの作成の目的の中には、行政経営を数値で考えて改革の道具としていく、それから、連結財務諸表によって行政全体の活動を説明する、まさに、これはアカウンタビリティーということになろうかと思います。それから、事業別の会計によって経営責任の明確化を図る。財政規律の指標として活用する。税金を有効に使って資産形成しているかを説明するツールとする。それから、税金が効率的に行政サービスに使われているかを説明する。職員のコストに対する意識改革に役立てる。それから、中期財政計画の作成に役立てる。また、私が代表質問の中でも申し上げましたけれども、負債の水準と世代間の負担のあり方ということで、まさに世代間の公平の確保ということがこのバランスシートの中には重要な項目になってこようかと思います。
 それで、その中長期の財政計画の作成に役立てるというところでございますけれども、国の経済財政諮問会議の中で、借金漬けの国の財政再建のために、複数年度にわたって歳出上限額や主要の経費別に歳出枠を設定する複数年度予算も検討の課題に上がっているというふうに聞いています。
 先日の本会議の中でもこの質問がありまして、局長から、複数年度の予算、これは今後の重要な課題として受けとめている、実現するには幾つかの課題があるけれども、検討していきたいというふうな答弁があったわけであります。この複数年度の予算というもののつくり方なんですけれども、これが万が一、トップダウンで将来にわたる歳出枠を勝手に決めてしまうということであれば、この間の補正の質疑を聞いていても、これについては私たちで決めましたという何か答えがあったと思うので、えっ、ちょっと待ってよねという感覚があったんですよね。やはり細かく質疑をしてこそ、そして、その枠は決まっているけれども、中身は全部私たちで決めちゃっていいんですということでもないと思うんです。
 ちょっと違った観点から見ますと、この複数年度予算を実施している国は、ニュージーランドやオーストラリア、いわゆる行政改革が進んでいるところなんですけれども、こういうところはどういうふうになっているかというと、議会の権能がえらく落ちているということなんですね。極端にいってしまえば、例えば四年間知事が就任をした、そして、知事選後に予算をつくって枠組みを決めてしまえば、後は予算委員会も開かないで済むというようなこともできるかなというふうに片方では思うわけです。
 でも、これでは、議会の力は本当に何のためにあるのかわからなくなってしまいますから、私は、一つは実施計画を議会決定、今はそういうふうになっておりませんので、実施計画を議会決定として予算を縛るということもできるんじゃないかと思っているわけです。
 また、施策と予算は車の両輪ですから、財務局だけではなくて、オール都庁で考えていく問題ですけれども、実施計画委員会のようなものを議会につくることも考えられるんじゃないかというふうに思っています。これは、まさに分権社会での議会のあり方というふうになるわけであります。私は、やはり予算審議における議会との関係や将来の見通しの確実性などを考慮すれば、まずは各年度の予算執行、決算をしっかり踏まえた上で、その次の予算を編成するというサイクルを確立していかなきゃいけないんじゃないかなというのが、現段階のある意味では結論なわけです。バランスシートから見てとれる将来の都財政の見通しを踏まえた上で、きょうもこういうふうにやっているわけでありますけれども、各年度の予算編成、予算審議をきちっとしていくことが基本ではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○田原財務局長 バランスシートには、過去から蓄積されてきました資産の状況、それから将来の負担となる負債の状況が同時に示されます。単年度のみならず、将来にわたる財政の持続可能性ですとか、世代間の負担の公平が担保されるかなどというのを読み取ることができます。そのためには、ただいまいろいろ議論がありましたように、課題を克服しなければならないということがありますので、これについては努力をしてまいりたいと思います。
 これらのバランスシートから得られるデータにつきましては、将来にわたる財政の見通しを把握する上でも効果があります。また、行政評価などに活用することで、お話のありました予算執行、それから検証、評価、さらには次の予算へと、こういうマネジメントサイクルを確立することもできると思っております。
 こういう中長期的な視点に立った財政運営がますます重要になる中で、単年度予算のお話ですけれども、これの限界があることもまた確かでありまして、複数年度予算は、議会との関係等々ご指摘の点も踏まえながら、今後十分検討すべき課題であると思っております。
 まずは、ただいま申し上げたようなバランスシートの機能を活用したさまざまな取り組みを進めまして、その成果を各年度の予算編成に的確に反映すること、これが重要であると考えております。

○藤田委員 二〇〇〇年三月に自治省が総合的財政分析の名前で、自治省版バランスシート作成の手法を公表したわけですね。しかし、これには連結の手法も、それから複式簿記に対する展望も示されていませんでした。
 二〇〇一年四月には、今度は総務省から行政コスト計算書というのが、作成手法を公表しているわけです。単式簿記・現金主義にいろいろ欠陥がありながら、なぜ複式簿記・発生主義が採用されなかったのかということを考えましたときには、技術や時代の進歩の制約で採用せざるを得なかったのかどうかということを考えると、そうじゃないんじゃないか。先ほど、明治当初から現金主義が行われていたというふうにいったんですけれども、府県制や市町村の成立のころまでは、実は複式簿記を採用していたということなんです。国家モデルをイギリスからロシア、ドイツにかえていくときに会計制度が変更されたというふうに聞いています。まさに選び取った結果なわけなんですね。
 このとき同時に、機関委任事務も全部決定されているんです。二〇〇二年四月には、まさにこの機関委任事務が全廃となったわけで、私は、やはり会計制度はまだ明治政府からの呪縛から自由になれていないんじゃないかと思うわけなんです。これは、自治体財政にとっては、分権の課題であるというふうに私は思うわけです。
 先ほどお話ししましたように、雇用の創出、それから都民の安心のための公共事業のために、これまでのいわゆる土木型の公共事業から福祉型の公共事業、また、人づくりの教育にシフトするために、分権の立場に立った都独自の予算や施策を進めることが重要であるというふうに思うわけですけれども、ごめんなさい、最後になりましたが、局長にちょっとお伺いいたしまして、終わりにしたいと思います。

○田原財務局長 財政運営にとりまして、中長期的な視点を持つことは非常に重要であります。ご指摘のいろいろな議論がございました。バランスシートをどういうふうに有効に使っていくか、さらには、予算執行検証評価、こういう次の予算へというマネジメントサイクルを確立するためにも、いろいろな手法を考えてまいりまして、できるものは取り入れていきたいと思っております。

○矢部委員 質問をさせていただくわけですが、それぞれのお話をお聞かせいただいたことも踏まえて、少しお尋ねをしたいと思います。
 基本的なことで、まず確認しておきたいと思うんですが、今さら平成二年とかという財政に戻ろうなんということ、あるいは戻れるなんというようなことは、財政を運営する立場の皆様は考えていないんだろうと思うんですが、その点をまずお聞かせいただきたいと思うんです。
 今、東京都の財政というのはどういう状況にあって、これからプラスに転じていくのか、かつていった右肩上がりというような線に戻っていくのか、それとも、今の状況のままなのか、今が普通というか、これからの向こう何十年という時代をこのままの状況で過ごしていかなくちゃならないのかどうか、なかなかこれは予想をするわけでもないんでしょうが、基本的な感覚として、どういうことを前提に今、それぞれお話しのように単年度という中ではありますけれども、将来予測もしておかなければ組めないわけでしょうが、考えていらっしゃるのでしょうか。

○松澤主計部長 今、先生お話しございましたように、これからの経済見通しも含めて、大変不透明で難しい面はございますが、私ども財政運営をやっていく者としては、平成二年のときのような、いわゆるバブルのときのような状況を踏まえて財政運営をするということはもう不可能ですし、また、そういうことはあり得ないというふうに、まず基本的に思っております。
 現実的な今の財政状況を見ましても、十五年度予算では税収が三兆九千億ということでございますので、もう昭和六十二年、六十三年以前のレベルまで落ちてきているということでございますし、それから歳出の方も、石原知事になってから財政再建推進プランでかなり削減も、重要なところにはもちろん重点的施策、充実しながらでございますけれども、総量としては落としておりますので、今五兆七千億台になっておりますが、ただ、税収等の年度的ギャップでいうと、まだ歳出の方がかなり六、七千億高いと、こういうふうな状況がございます。
 そういうことで、これからの財政運営という中で考えれば、やはり繰り返しになりますが、身の丈に合った財政運営、身の丈に合った歳出水準ということになりますので、身の丈というものは、これからの税収見通しも含めてどのぐらいになるかということが一つの大きなファクターになると思います。
 その意味で、先生のお尋ねのありましたこれからの成長の見通しでございますが、もう右肩上がりが終わったことは事実でございますので、低成長がどのぐらいの低成長でいくかということになると思います。その意味で、ここ数年はずっとマイナス成長なりプラスでもちょっとというような形になっておりますが、我々の期待値としましては、これから小泉内閣の構造改革も進んで、ある程度そういうものが効果が出れば、政府もこの前、経済財政諮問会議で成長の見通しを少し伸ばす修正をいたしましたが、少なくとも一、二%ぐらいの経済成長は見込みたいし、また、出てくるんじゃないかと。また、そういうことを前提にして、我々も税収の見通しあるいは財政運営ということを中期的には考えていかざるを得ないと、こういうふうに認識しております。

○矢部委員 もう一つ、基本的なことをお聞きしたいんですけれども、今はデフレといわれていますけれども、実際デフレなんでしょうか。

○松澤主計部長 私も実は、それほど経済のことは余り詳しくわかりませんので、一概に私の方からなかなかいいづらいところもございますが、一般的に、新聞も含めて社会的なエコノミストも含めて見ているのは、やはりデフレ基調が続いているということでございまして、やはり物価が下がっていって、それで、その中でデフレスパイラルが、不況が長引く一つの大きな要因になっていると、このように理解しております。

○矢部委員 いろいろな要素があると思うんですが、一番は、バブルのときに土地の価格が異常に高騰したわけです。それに、余り行き過ぎたものですから、いろいろな税制をつくって、それを下げる方向にしましたが、下げるどころかとまらなくなってしまっているということだと思うんですね。そういう中で、そのほかのものの物価というのは、どちらかというと横ばいだったものが、ここへ来て下がってきているというのが現実ではないかと思うんです。
 もう一つは、今は経済の状況というのは、ほとんどレベルの状態だという中で、人事院勧告の人件費はどんどん上がっていくわけですから、ここだけ右肩上がり、この矛盾がもう一面あるんだろうと思うんですね。そういう中で、今四%削減されましたが、これをやっている限りは、都の財政はまだまだ膨らんでいかざるを得ないんです。これは、パーキンソンの法則でしたか、そういうことになるのかもしれませんが、そういう考えも捨てなきゃいけないときに来ているんじゃないですか。

○松澤主計部長 人件費の問題でございますが、石原知事になってから、財政再建推進プランの中でも内部努力ということで、大きな四本柱に掲げて職員定数の削減あるいは給与費の削減をやってきたわけでございますし、十五年度予算でも、昨年の人事委員会勧告で初めてマイナスということも出ましたので、そういう削減の効果も出てきているという状況はございます。
 ただ、やはり財政再建、まだ道半ばでございますので、これからも財政再建を進めていく上では、内部努力、特に今先生がいわれた人件費の問題は、やはり大きな課題として取り組んで、それをなお一層対処しないと、財政再建の道のりのためにはなかなか厳しいものになると、こういうふうに思っております。

○矢部委員 またちょっと見方を変えて、余り日本ではいわれないんですが、購買力平価、よく例に挙げられるのは、マクドナルドのハンバーガーでしたけれども、これが最近当てにならなくなりましたが、それはともかくといたしまして、コーヒー一杯の値段というのがいいのかもしれませんが、ニューヨークでは一ドル、高級コーヒーは二ドル、そういう世界からすると、片や日本においてはいまだに八百円、ちょっとおいしいのを飲もうとすると千円を超えると。こういうことからすると、そうじゃないところが入ってきて、今普及をしているというけれども、すごくブームになっているけれども、どちらかというと、そちらが世界標準なのかもしれないですね。
 だから、日本の今までの常識というものがどうなのか、世界的な波の中に全部同じになることがいいのかどうか、食生活も違うわけですから、あるんでしょうけれども、そういう意味では、あえて申し上げたかったのは、必ずしもデフレというのではなくて、ある面では正常化をしようとした、少し行き過ぎのところもあるとは思うんですけれども、そういう動きなのではないかなという気もするんです。
 これは、皆様にお答えをいただくことではなくて、経済企画庁長官に答えていただかなくちゃいけない話なんでしょうけれども、現実はそういうことではないかと。だから、東京の中のことについて、これは財務局じゃなくて、都庁でいえば産業労働局かどこかが物価動向調査か何かをしているんでしょうが、生文ですか、そういうところとの情報の交換だとか物差しの修正だとかというような作業は、どんなふうにされているんでしょうか。

○松澤主計部長 物価については、基本的に政府が消費者物価指数とかいろいろな品目を決めて定型的にやっている部分と、それを踏まえて東京都の生活文化局が独自に価格調査をやっていると私ども聞いておりますが、いずれにしても、全国ベースと、今先生がおっしゃったように、東京都区部なり、そこら辺は価格差とかいろいろな事情がございますから、それはやはり東京都の実態というものを十分踏まえて、いろいろな数値というものも把握しながら、またいろいろな形で反映させていかなきゃいけないと思っております。
 今、物価が下がっているというお話もございましたが、そういう面で、実質的な所得が上がっている部分ももちろんあると思いますが、先ほど議論にありましたように、価格競争の中で企業サイドに立てば、どんどん物価を下げていく、価格を下げていく競争をすると、当然その分の付加価値が落ちていきますから、やはり付加価値が落ちるということになると、労働力とか、今度は経費の方を切り詰めていくということに当然なっていきますので、そうすると、また雇用が今度失業になっていくとか、そういう形になっていきますし、また、価格競争は余りどんどん下げていくと、今度は利益が出てこなくて企業活動が収縮すると、そういう状況にもなります。そういうようなこととか、中国とかそういうところから安い品物が来たり、そういうこともございますので、全体的に東京都の物価というものをトータルにとらえて、やはり我々も考えていかなきゃならない、このように思っております。

○矢部委員 そういう認識のとおりだと思うんですね。総体としては成長率は下がっているのに、全体の感覚では物価も下がっているから、給料も下がっているのに下がっている感覚がないというような変な現象が起きている。これがこのままいったんじゃたまらないことだと思っていますが、いずれにしても、もう限界に近いところまで下がっているんだろうと思うんです。
 もう一点は、土地についてのところが、これはどこが基準になるべきかわかりませんが、それは下がれば、マンション等の取得経費が下がってくるわけでいいんでしょうけれども、先ほどの昭和六十二年当時に財政が戻ったという表現なんですが、その当時の水準になってきたと。私は、戻ってきたというふうな表現の方が適切なのかと。当時の自然増というか、四%成長ぐらいの時代のカーブに乗っているんですが、土地の価格はそのときよりもさらに下がって、まだとまらないと。ここが一番の原因で、これも六十二年当時の価格でとまってくれば、一応帳じりとしては全体が合って安定をしていくんでしょうけれども、ここが私は最大の原因ではないかと思っております。地価をやはりきちっとした形で統制をするわけにはいきませんけれども、いろいろな税制等々を含めて少し緩和するようなことを働きかけをしない限り、これも変わっていかないだろうと思っております。
 結局のところは、アメリカの連邦議会にのっている標語らしいので、余りいいたくはないけれども、鉛筆一本、紙一枚、すべて税金、という標語がどこでも役所の中にあるんだそうですが、その感覚がもう絶対必要だと私は今思っております。それは、都財政、大変巨額ですけれども、その原資はほとんどが税金ですから、納める側からすれば、ちょっとでも滞納すれば、それは延滞利息がつくし、もっといけば脱税になってつかまってしまうというような性格、性質を持っているにもかかわらず、集まったものが都財政として使われるときは、いいかげんな使われ方をしても、その人が罰せられることはあっても、青森の住宅供給公社でしたか、十何億もいつの間にかどっかに行っちゃって、これが後、何ともならぬ、こういう状況ではだれも信用しなくなってしまうということではないかと私は思っております。
 今度は契約の方へ行きたいんですが、先ほど来いろいろお話がありますが、今のように、結局物の価格、入ってくる物の価格が、どうやっても詰めることができないぐらいの水準に落ちているんですね。だから、入ってくる材料費はこれ以上下がらない。そういう中で、建築工事なりいろいろな工事を請け負ったとして、組み立てをしていく、どこで詰められるんだといったら、あとは人件費しか詰めようがないというようなところまで今詰まっているようですね。
 そういう中で、先ほどもお話にありましたが、事前公開という制度の中で、結局のところ、東京都の全契約工事という観点で見ると、金額的に大きなものが占める件数割合は十何%なんですが、総体から占める、そういう大きな工事の占める割合というのは、今度は八〇%ぐらいになってしまって、残りの二〇%ぐらいが、今度は業者の数は八〇%ぐらいを恐らく占めている。これは極めてアバウトな数字ですから、正しいかどうかというところはありますけれども、大体そういう感覚ではないかと思っているんです。
 そこの二〇%のところが、現実として、先ほどのように事前公開をされるという中で、結果として宝くじよりよほど確率のいいくじだと。くじ運の強いやつが行って、何でもかんでも八掛けにして入れて、抽せんで勝ってこいと、こういうようなことになってしまっている傾向があるようです。元がもう限界なのに、それから二〇%落としちゃう。それで、お互いにこれで回っていけばいいんですけれども、無理が重なって、なおかつ下がるものだから、また下がっていく。こういう悪循環になって、ここは、それこそデフレスパイラルになっちゃっているんじゃないかなという気がするんですが、いかがでしょうか。

○松村契約調整担当部長 確かに先生のおっしゃるように、いろいろな面で、これは建設業だけでなくて、例えば東京都の契約を見ますと、委託関係につきましても、やはり落札率が低下しているということで、全体的に非常に受給のバランスが崩れているというふうなことで、競争が激化しているのかなと、こう思っておりまして、私ども、くじ引きが多発すること自体が、これはやはり通常の状況ではないというふうな認識はしてございます。ただ、やはり履行状況、そういう意味では、私ども東京都の立場でいうと、やはりできるだけ経済性を発揮して、しかし、ちゃんと履行もしっかりしてくれなきゃいけないと、こう両面を満たさなきゃいけないものでございますので、履行結果については十分チェックをしていきたいと思っております。
 ちなみに、これは財務局の大型案件でございますので、いわゆる先生がおっしゃられた、もっとずっと下の各局契約についての状況はちょっとわかりませんが、その件数でいいますと百数十件、正直申しましてくじ引きがございました。それで、二十件ほど、これは履行が終わって確認ができたものがございまして、その結果だけ見ると、成績自体は、正直申しましてまだ不良点がなくて、平均七十点を超えていましたということでございます。
 ただ、私ども、これでいいと思っているわけではございませんので、やはりこうした低価格の物件につきましては十分状況をチェックして、無理がないかとか、そういうふうなことについては今後とも監督等で確認をしていきたいと思っております。

○矢部委員 それぞれ携わっている人たちは、結局、ある面で東京都の仕事をしているというか、かかわっている自負心の中で、意地でもしちゃうこともあるようです。現実、それがしわ寄せになっていたり、ただ、やらないよりはやった方が赤字が少ないということもあるのかもしれません。それぞれの事情があるでしょうけれども、でも、そういう無理を重ねていたのでは、これは将来いいことはないと私は思っておりますし、どこでどう見るのがいいかわかりませんけれども、やはりおのずと限界があるんだろうというふうに思うんです。それがもう何年も何年も重なっていますから、続いている中でどんどんどんどん下がっているわけで、限界を超えているくらいのところまで来ているかなと。
 それぞれあるでしょうけれども、ぜひ何らかの形で調査をしていただいて、それからまた、事前公開という仕組みがいいのかどうかですね。これは、本当によくないという声の方が圧倒的に多いと私は思っておりますが、そうしたことも含めて、将来、これから電子入札というような方向に進んでいるわけですから、検討というか、大いに取り組みをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○松村契約調整担当部長 予定価格の事前公表につきましては、これは正直申しまして、入札契約適正化法の指針で、基本的に自治体なんかについてはできる限り公開せよというふうなことで、都道府県につきましては、今、基本的にすべてが事前公表しているという状況の中では、東京都が事前公表を廃止するというのはなかなか難しいのかなと思っております。
 ただ、先ほど先生がおっしゃられました、そういった低価格のものについて、履行状況をしっかり調査すると。こういうことにつきましては、私どももそういう意味では下請等にしわ寄せがいっていないかとか、そういうのを含めましてしっかり調査をしてやっていきたいと、こう思っております。

○矢部委員 建設省、今の国土交通省はほとんどやっていないそうじゃないですか。だから、東京都にはやれといいながら、その指示する自分の方はやらないという極めて不可解なことが起きているようですから、国がどういうやり方でやっているのかわかりませんけれども、いろいろそういうところも研究していただいて、ただ公表すればいいというものではないだろうと。その結果がどういうふうになっているかというのは先ほど申し上げたようなことですし、本来、やはり積算をするというのは大変な能力を使うんですね。なおかつ、それは物すごいノウハウを持って、その積み重ねがなきゃできないことなんです。それをしないで済めば、一人その担当の人がいなくても済むぐらいな話で、楽ちんではあるのかもしれないけれども、中身は何もないという話ですから、そういう形になってしまうというのはよくないということも重ねて申し上げておきたいと思います。
 次に、先ほど設計のお話がありましたが、それは、コンペというようなことだろうと思うんです。しかし、そのときに出てきた名前というか作品というのか、江戸東京博物館にしても国際フォーラムにしても、どうしようもない建物ばかりの名前が出てきまして--いい仕組みでやったわけで、私もコンペ方式はぜひやれと、つくる前はさんざん主張した方ですが、でき上がって、その仕組みの上でできた建物がどこも問題が多くて、これはたまらないなと思っております。はっきり申し上げますと、江戸東京博物館なんかは早く壊してほしい建物だと思っておりまして、あんな恥ずかしい建物を建築家の一人として認めていること自体が、私はこの世の中に存在することも恥ずかしいくらいに思っておりますが、それは、何でそういうものができたということについての反省点がないから、もっといけないと思うんですね。まずは、どういう建物であれ、まず、発注する段階でのスペックがきちっとしていないことだと思うんです。
 なおかつ設計、いろいろなものが出てきたものについて選考する選ぶ側の目、これがどうなっているかということだと思うんです。でき上がったものがどうなっているかなんですね。建築の場合は、最初、建設費、イニシアルコストがどのぐらいかかるように設計をするという、この条件は一つあるでしょう。でき上がったものは、今度はランニングするランニングコスト、維持管理経費をどのぐらいにするというようなスペックもあるのかもしれません。ただ、一般的にはそういう注文なしにつくると、江戸東京博物館のようなものができてしまう。建設費は幾らかけてもいいですよ、あと、できたものに幾ら運営費がかかっても構いませんよ、そういうのは知りませんよと。格好さえよければいいんですよというようなことで募集をすれば、ああいうものができちゃうんだろうと私は思っておりまして、発注者がこの辺のしっかりした目と考えを持って臨まない限り、幾ら税金を投入しても、たまらない建物しかできない。入場料を総額、全部運営費に回しても足りないというような建物が存在していいのかというのが極めて疑問でありまして、ここのところ大型建物がないというんですけれども、それはそれとして、東京都が今まで臨んできた、そうした発注のときの条件のつくり方、あるいはランニングコストについての考え方についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○福島営繕部長 これまでの発注スペックというご指摘でありましたけれども、基本的には、求めている機能につきまして、従前のものを出すということをお願いいたしまして、私どもも設計条件を明示いたしましてつくってきているわけであります。
 ただ、その中で、今ご指摘がありました機能と、そこから上がる例えば収益--そういう維持管理を含めた施設をどうやって運営していくのか、こういうところに、確かにこれまでそこを主体的に見てきたかといわれますと、若干反省をしなくてはいけないところがあろうかと思います。
 私ども、そういうことも含めまして、建物の機能もそうでありますが、ライフサイクルコストというところも今着目をしまして、こうした観点から設計の仕様にも入れて取り組んでいるところでございます。

○矢部委員 ライフサイクルコスト、だから、それはイニシアルコストについていえば、そういうことでいいんだろうと思うんですね。ただ、ランニングコストになると、そうはいかない。省エネ型にするとかいうこともあるでしょうし、私はいろいろな中で、一つの例というか晴海高校でしたか、大変多くの手抜きがあったと、こういうふうな新聞報道でした。
 しかし、よくよく調べていくとそうではなくて、新しい技術を使っているんです。これは研究者が入ってやったようで、そのために建設コストは下がったんですか、工期も縮んだと。そういう意味では、大変理想的なものだけれども、施工レベルの問題なのか、施工者に問題があったのか、この辺の流れに極めてまず問題があった。なおかつ、管理をする東京都にも問題があった。だれも責任をとっていないところにもっと問題があると思っていますし、中身はもっと事件性のあるようなこともちらっと私は聞いておりますが、こういうことが起きたとしても、だれも責任をとらない。これは、どういうことなのかと私は思っているんですね。管理責任もないのか。また、施工側にすべて管理責任があるわけじゃなくて、営繕部として当然管理しているんだろうと思うんですが、それは執行委任かもしれませんが、そういうことについてもきちっとされていないというその体質、要は、そのもとの原資が税金だという感覚が欠けていると私は思うんですが、いかがですか。

○福島営繕部長 今、事例にお出しをいただきました晴海高校に代表されますけれども、確かに、工事をする前の段階の建物の性能、仕様、先ほどスペックというお話がありましたが、やはりその学校の内容ではありますが、短大と高校を一緒にする、あるいは短大の機能を変える、こういうような使う側、機能を期待する側の方の発注条件が、なかなか工期というところから決まってこなかった。また、私ども現場を預かる者としての、工期を非常に短くして完成するという厳しい条件でやった工事でもございました。
 そういうこともありまして、先ほど新しい技術ということでありましたが、比較的そういったことを工事全体として可能にする工法にも着目をして選定をしたわけでありまして、その結果といたしまして、私どもはいろいろな目線で工事の管理者であり、それから工事の請負者を監督していたわけでありますけれども、結果的には施工不良というような形で出現をしたと。
 こういうことでありまして、私どもも、当然管理をするという意味での反省をいたしておりますけれども、責任という形におきましては、今回の場合には、より請負の方に施工不良があるということにおきまして、一定の責任をとっていただいたわけでありますが、それで我々の果たすべきものが終わったということではありませんで、責任をどういう形でとっていくのか。これは、一つには、より品質の確保を図るということで、今、そういう取り組みを一生懸命やっておるわけでありますけれども、今後も、そういう品質確保におきましては徹底した取り組みをするということで責任をよりとってまいりたいと、このように考えております。

○矢部委員 その責任をとるということをやはり明確にしない限り、私は一向に改善しないと思っていますし、だれがミスをしたか、ミスをした人間がそれなりの責任がきちっとされないというところが、余計不満が残るところだろうと思っております。
 それから、同じようなというか、全然レベルが違うんですが、ある高校なんでしょうね、やはり雨水利用ということでつくった建物があって、雨水を貯留するタンクがあって、その水を全部トイレとかに使うことになっているのに、その雨水を外へ流しちゃっていて、実際に水道水をタンクにためて使っているわけですね。水道料が節約されるようにつくった建物なのに、使っている側がそう使っていない、こういうようなこともあるんですね。だから、考えが正しくても、実際それがどうかという後の評価というか成果というか、それがきちっと一致をしなければ、絵にかいたもちもいいところだと思うんですが、そういうことに対しては、もうつくったらつくりっ放しということなのか。営繕として、後、そのフォローは全然しないんですか。

○福島営繕部長 もともとその発注をする前に、私どもは建物を利用する側とかなり入念な打ち合わせをいたしまして、そのことを設計図書に十分体現して工事に入るわけであります。
 ただ、ご指摘ありましたように、設計の意図が最終的に使用する側で、そのところを従前にその機能を発揮し得ない、そういうようなことも全くないわけではございません。私ども、そういうところの中では、いわゆるフォローという観点からは、保全というような業務を私どもこれから主にしてまいろうというふうにも思っておりますので、そうしたところで十分そういった意図があらわれていない、その上によって瑕疵も出る、こういうことを保全の業務の中で十分に監視をし、相談も受け、指導してまいりたいと考えております。

○矢部委員 ですから、どっち側にしましても、いろいろなのがばらばらにあるんじゃなくて、東京都として、これからつくる建物については、雨水は利用できるところは利用できるようにするとか、基本的な考え方ですね、省エネ型にするとか、あるいは壊した廃材はリサイクルに使えるものはどの程度使うか、これは法律で決まってそうならなくちゃいけなくなってきましたよね。そうしたことも含めての基本の東京都の考え方をつくって、当たり前にみんなこれにかかっていって、全部そういうことを念頭に置いて設計もしなきゃならないし、そして、利用もされていかなくちゃいけないということで、トータルのランニングコストを落としていく努力をしなければ、イニシアルコストだけ下げて、建設費は低かったよ、しかし、ずっと毎年毎年の経費はたまんないよというのでは、これは結果はよくないと私は思っています。
 だから、イニシアルコストも下げる、なおかつランニングコストも下げるという基本方針をつくって、なおかつ、その上に省エネがあり、また、自然環境との調和をするようなものというような基本方針を私はつくるべきだと思うんですが、いかがですか。

○福島営繕部長 建物の設計企画段階から、維持管理をして保全をしていく、そのトータルでのコスト管理というようなことに着目をいたしまして、私ども、本年四月からそういった保全にウエートを置いた組織をつくりますと同時に、また、コストの方の観点からもいろいろな調整をしていくという部分での組織改正を考えてございまして、来年度より取り組んでまいりたいと考えております。

○矢部委員 この都庁舎が全部さっきのお話にもありました千三百六十五億、一切追加工事は認めないでつくりましたね。時の設計費が二十四億、一般的な総工費の五%ということからすれば、まだずっと安い価格で設計ができているんですね、いい悪いはともかくとして。しかし、ランニングコストは極めてかかる建物だろうなというふうに僕は思います。
 もう一つは、国際フォーラム、あそこは建設費が幾らかかっているのか、私は定かではありませんけれども、設計費は八十億、八十億だけがいやにばか高いものですから印象に残って、これはコンペでやった最大の悪だったと私は思っていますけれども、ラファエル・ビニオリという設計者が設計しましたが、これは、国際コンペに初めて挑んで、日本の性格とアメリカの設計の仕方との違いで、デザイナーから何からみんなカーテンを設計する人はカーテンだけ設計するとかというような話ですから、これは大変なことなんでしょう。いろいろありますが、できた建物がいいものであればいいんですが、見た目はおもしろそうですし、撮影の場所にはされていますが、五千人ホールなんかは、中に入った人、観客が大概転ぶ施設ですね。何か目の錯覚が起きて、どうも構造上というかデザイン上といった方がいいのか、欠陥があるのではないかなというふうに思えたりいたしております。そういうものをいいもの悪いもの、はっきり表に出して、はっきり評価もして、ここがいい、ここが悪い、オープンに私はするべきだと思っているんです。
 なおかつ、これからは税金はなるべく少なく使って、そして、見た目がよくて、ランニングコストも低いというものをつくるようにと、今、機構改革しているようですけれども、局長、そういうこれからの東京都の財産を末永く使いながら、よりいいものをつくっていくという意味の中では努力が必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○田原財務局長 矢部先生、ご指摘のとおりでありまして、国際フォーラム、江戸東京博物館は、いろいろ議論があろうかと思いますけれども、やはりランニングコスト等々への配慮というのは、あの時代の特徴といいましょうか、時代背景であろうかと思いますけれども、やはり配慮が足りなかったと思っております。
 これからはという話ですと、見ばえはもちろんですけれども、やはり本当に都民のために役に立つ機能を持って、しかも、省エネに配慮してランニングコストが抑えられて、そういうのをあらゆる角度から追求していかなければならないと思いますし、そのためには、今の営繕部の組織も頑張りますが、各局全部が認識を一つにしてやっていかなきゃいけないものだと思っております。

○矢部委員 よろしくお願いいたします。
 最後に、やはり留置場のことをお尋ねしないと、何のために私はここにいるのかということになってしまいますから、お許しをいただいて、ちょっとだけ聞かせていただきたいと思います。
 予算委員会でもお聞きしました。ただ、知事にはとんでもないことをいわれて、私は知事の与党でもなければ協力者でもありませんから、全然協力をするつもりなんかありませんけれども、十五年度予算に七千万ついているんだそうですが、何に使うのでしょうか。

○矢口調整担当部長 先生ご案内のように、これまで基本構想の策定、日本社会事業大学跡地の利用計画の第一弾でございますけれども、基本的な今後の方向づけをまとめた基本構想の策定に向けて、地元の方々と話し合いを進めているところでございます。
 十五年度予算につきましては、基本構想の策定後に、あの土地は民間事業者を積極的に活用して開発をしていくという観点から、民活導入の可能性の検討、あるいはその後の実施方針の策定という、PFI法でいうところのいわゆるアドバイザリー契約というのがございますけれども、その契約を実施する予定としておりまして、それに必要な委託調査経費としての七千万を計上したところでございます。
 アドバイザリー契約におきましては、先ほど申し上げました民活導入の可能性の調査、それが効果的であると判断された場合に、事業の仕組みや契約条項、民間事業者の募集選定に関すること等に関しまして、外部の専門家あるいは有識者等のアドバイスをいただきながら検討を行っていく予定としております。

○矢部委員 今年度、一億五千万の予算がついていましたけれども、それはどうしちゃったんですか。

○矢口調整担当部長 十四年度の予算におきましては、先ほど申し上げました基本的方向等をまとめる基本構想の策定を受けまして、事業を具体化していくために必要な経費としての調査委託経費が一億円、それから、あの敷地内の開発道路等の設置等の工事関係諸費として五千万円の計一億五千万円を計上しているところでございます。
 基本構想の策定に当たりましては、地元等に大規模留置場への反対ということがございまして、昨年の六月に、知事と地元の代表の方々との会談で、今後十分話し合っていこうということで合意いたしました。それを受けまして、これまで東京都が行いました基礎調査の説明、あるいは先生も加わっていただいてございますけれども、地元代表者との意見交換会、これまでに六回行っております。それから、反対する区民の会が開催されました公開討論会、そのような場で、都といたしましては、今後の基本的な考え方とか、都内の治安の情勢あるいは留置場整備の必要性、今後、事業計画を具体化する上での進め方等の説明を行わせていただきまして、地元の方々からは、いろいろと意見等をいただいてきているところでございます。
 しかしながら、現在に至るも、構想策定に至る話し合いとして終了しておらず、なお話し合いを続ける必要があるというふうに認識してございます。このため、これまで予算に計上しております調査経費等は執行してございませんけれども、残された期間におきましても、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

○矢部委員 東京都が取得をした土地の中に、東京都が物をつくる。それに一年かかってもつくれないんですか。

○矢口調整担当部長 ご指摘のとおり、あそこは平成八年に国から東京都が取得した土地でございます。都有地の活用といたしましては、都民ニーズに対応した最も有効な活用方策という形で、これまで財産利活用総合計画、平成十二年十一月に策定した結果でございますけれども、それらの中でも、民活手法の導入等も含めて有効な方策等についての検討を進めてきたわけでございます。
 ただ、ご案内のように、あの土地を平成八年に取得する経緯でございますけれども、日本社会事業大学が国の方針として郊外に移転するということがございました。昭和六十年ごろに明らかになった方針でございますけれども、それを受けまして、地元渋谷区あるいは地域住民の方々等が区が取得してほしいというようなことで、国に何回か要望を出されてきたという経緯がございます。平成八年に国の依頼を受けて、東京都が取得するに至る際にも、それまでの経緯を踏まえまして、地元の区あるいは商店会とか町会の方々とはお話し合いを持たせていただきまして、その際、あの土地の利用計画を策定するに当たっては地元の方と十分協議して、その意見要望については可能な限り取り入れていきたいというようなお約束をしたことがございます。
 それらを踏まえまして、地元の方々、留置場の設置に対して強い反対をなさっているわけですけれども、私どもの方とすれば、今後の東京の治安とか都民の安全の確保という観点から、それなりのものが必要であるということでお話はさせていただいておりますけれども、まだ十分のご理解をいただいていないという形で時間がかかっているところでございます。

○矢部委員 東京の治安が悪いのは、留置場が少ないからでもなければ、留置場をつくれば治安がよくなるというものでもない。このことはご理解いただけますか。

○矢口調整担当部長 前にも当委員会でお話しさせていただいたかと思うんですけれども、先生がおっしゃるとおり、留置場を整備すれば治安が直ちによくなるとか、あるいはそういうようなことだけではないと思います。
 先般の第一定例会の本会議で警視総監が東京の治安状況の概況について報告いたしましたけれども、いろいろな方策、都民の方々みずからも含めて取り組んでいただくというような部分がございます。
 ただ、しばしば知事等が発言してございますけれども、現在、留置場につきましては、いわば満杯状態。具体的に申し上げますと、昨年末の段階で定員が二千九百人弱でございまして、十四年度の平均の収容人員が二千七百人強ということで、平均しても九五%の収容率であって、定員をオーバーしたのが百四十日あると。これは警視総監の報告でございますけれども、そういうような状況でございますので、これは、明らかな現象ではないんですけれども、留置場が満杯であるがゆえに取り調べ等が十分に行えないような、もしそういうような事態になるとすれば、やはり治安上問題ではないかというふうに理解してございます。

○矢部委員 いろいろ述べたい気持ちはわかりますけれども、なるべく簡潔にお願いします。
 あえてそういうふうなお話ですから、これだけいっておきますけれども、これも再三申し上げていることですが、平成四年当時、不法滞在外国人の数が東京都のピークでした。その当時の留置場は半分あいていました。なおかつ、平成四年当時の平均留置日数と今の平均留置日数はおおむね倍です。今の方が倍以上も期間が伸びています。これは、期間が倍になれば容量が倍になるというのはどうですか。理解できますか--そういうことなんですよ。だから、ただ単に足りないといって、それはそういうことで通る話ではない。留置日数を縮める努力をすること、それから、犯罪が起こらないようにすること、水際作戦、いろいろなことを含めてやっているわけですから、そういうことでいけば、そんなに大規模な留置場をつくる必要もないということですし、ましてや、今四百五十とかいっているようですが、それだけのものをつくったときに、警察官をどういうふうに配備するか。今、警察官を増員するという計画も何もない中で、それは、それこそ絵にかいたもちになっちゃう話ですし、いろいろと無理があって、ただ、実に知事の気持ちだけが先行して、知事の変な意地でつくろうとしているものですからできないんですね。これは、幾らやったって私はできないと思っておりますが、話し合いをこれから進めていって、合意をしなくても工事をしちゃうんですか。

○矢口調整担当部長 今、先生は四百五十人というお話でございます。昨年の暮れに、留置場の規模を話し合いの一つの過程の中で示させていただいたわけですけれども、それ以降、地元の方からは到底受け入れられないということで、残念ながら話し合いはストップしている状況でございます。
 都といたしましては、今回提案させていただいた理由なり趣旨等について説明させていただきたいという旨を渋谷区等に再三要請をしてございまして、四者協議会の方からも到底受け入れることはできないということではございますけれども、真摯な話し合いは持つというような意向はいただいているところでございます。まだまだ東京都と地元との話し合いを進める必要があろうかと思いますけれども、この間の話し合いを進めていく中で、若干甘いかもわからないですけれども、一定の冷静な話し合いの中で、共通認識等の部分も出てきたかというふうに考えてございます。
 都といたしましては、今後とも誠意を持って地元への対応をしていく考えでございます。ぜひ地元の関係者にも問題解決に向けてご協力いただきたいと思っているところでございます。

○矢部委員 最終的な権限というか決定権はすべて知事にあるようですから、その決定権を持っている人が出てきて話し合いをしない限り、話し合いは進まないだろうと私は思っております。それと同時に、こういう状況が続いているというのは極めて不幸だというふうに、もう一面思っておりますが、先ほど申し上げましたように、数字の根拠というのも極めて不明朗ですし、そういう中では、今のような形でやっている限り、あるいは先日の予算委員会の知事のお考えのようなことでこれからも終始している限り、これ以上の進展はあり得ないということだけを申し述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

○桜井(良)委員 私も、やはり最後は、どうしても地方税財政制度の改革について申し上げたいと思います。
 皆さん方の質疑をずっと聞いておりまして、本当にそれぞれの立場で貴重な、また参考になるご意見だと思いますが、やはりこれからの新しい都政を考えると、今の財政制度という範囲の中では、技術的にどうするか、あるいはどちらの予算をどうするかということをやることも非常に大事なことだと思いますが、もっと基本的に、やはり最大の課題である税源の確保にもっとしっかり取り組んでいただきたいなという気持ちが、また年が明けてさらに強くなったものですから、きょうは交付税という立場から質問させていただきたいと思います。
 財政再建推進プラン、四つの柱を立てて、内部努力なり、あるいは事務事業の施策の見直し等それぞれ取り組んできておりますが、一歩も進まなかったというのが税源の移譲の問題じゃないかと思います。新しい財源をつくるために新税構想をいろいろ打ち出していますが、決して国との関係で進んだ部分は私はないと思う、こういうふうに認識をしているわけでございまして、やはりそういう意味では、この税財政制度の改革をまさしく速やかに進めるということは非常に大事な課題だと思っております。
 私どもも、何回も片山総務大臣にお会いして東京都の立場を説明したり、副大臣室で総務省の地方財政担当の課長クラスの人と懇談をしたりしてやったんですが、いろいろと移譲の問題で今問題になっていることは説明するんですが、決して総務省もこの交付税の問題については触れようとしないというか、何かその辺が非常にあいまいなんですが、私は、やはり地方交付税制度の見直しというのは、地方全体の財政を直していくときに非常に大きな問題だ、これが一番の課題じゃないかと思っております。
 これについては、必ずしも都と地方の足並みがそろわないという問題があるわけなんですが、しかし、一方では、この交付税の問題を放棄しておきますと、地方財政そのものが破綻しちゃうんじゃないかという現状にあるわけでありまして、都は不交付団体だからといって決して看過できない。やがて、この地方交付税の財政が破綻すると、また都に新たな負担を国が一方的に強いてくるという場面も十分に想定されるわけでありまして、やはりこの地方交付税の現状を認識しながら税財政制度の改革にしっかり取り組んでいく必要があるんじゃないかなと、こう思っております。
 そこで、十五年度の交付税の総額と、それから地方歳入のうちどのぐらいを占めるのか、まず示していただきたいと思います。

○松澤主計部長 十五年度の地方交付税総額は、十八兆六百九十三億円でございまして、これは地方財政計画における歳入総額八十六兆二千百七億円の二一%に当たります。また、地方税の三七%に次ぐ歳入項目となっております。

○桜井(良)委員 地方交付税の地方の歳入に占める割合は二割を超えていると、こういうことですが、地方税が四割を切っているということから考えますと、交付税は地方の主要な財源になっているわけですよね。この地方交付税の総額に対しまして、交付税の原資である、いわゆる国税五税の法定割合分だけでは、到底今いった総額に対しては足りないと思うんですけれども、その辺はどうなっていますか。

○松澤主計部長 今先生からお話しございましたように、地方交付税の原資でございます所得税、酒税、法人税など国税五税の法定割合分は合計で十一兆二千七百億円でございますが、ただいま申し上げました交付税総額、いわゆる出口ベース十八兆円のおよそ三分の二にも満たない状況となっております。
 必要な交付税総額に対して交付税の原資である国税五税の一定割合分が大幅に不足する状態は、平成六年度以来、十年にわたって続いておりまして、これを穴埋めするため、これまで交付税特別会計の借り入れなどによって行われてきたところでございます。

○桜井(良)委員 約十八兆七千億円に対しまして原資が約十一兆三千億円にすぎないと。こうした状況は、これまでもずっと続いてきているわけですよね。このギャップを埋めるために、これまでは交付税特別会計が借り入れを行ってきたと、こういうふうになっているわけですが、この借入残額がどのくらい上っているのか、また、そのうち地方が負担するのはどのくらいなのか、示していただきたいと思います。

○松澤主計部長 交付税特会の借入金の残高は、十五年度末見込みで四十八兆五千億円にまで上っております。そのうち地方が負担しなければならない分につきましては、このうち三十一兆八千億となっております。

○桜井(良)委員 非常に大きな借金なんですね、交付税全体が。これは、十五年度の十八兆七千億円と比べても、二年半分にも上る額を今交付税そのものが借金しているということなんですね。これは大変な問題でありまして、この危機的な状況を、都は不交付団体なんですが、いわゆる地方の人たちがどこまでどういうふうに理解しているかということは大問題だと思うんです。私は、これはもう限界だなと。四十八兆五千億円も借金があって、これからどんどん伸びていくというのでは、これが限界だというふうに思うんですね。国の方も、こうした状況に対して、借入金がこれ以上になっては大変だというので、抑える措置をとっているというふうに聞いておりますが、具体的にどういうことをとっているのでしょうか。

○松澤主計部長 今、先生からお話しございましたように、国は、交付税特別会計からの借入金の累計額が四十二兆円を超える膨大な額になってきたことや、もうその資金調達に制約が生じてきていることなどから、交付税の通常収支の不足分に対しましては、交付税特別会計からの借入金を廃止するという措置を十五年度から講じております。
 しかしながら、こうした措置によって交付税総額を圧縮したわけではございませんで、この国税五税の一定割合という本来の原資とのギャップにつきましては、結局国と地方が折半することとしておりまして、国は一般会計からの加算によることにより、それからまた地方負担分については、各自治体が臨時財政対策債を発行して振りかえることとしております。
 この十五年度の臨時財政対策債の発行予定額は、総額で五兆八千六百九十六億円に上りまして、その元利償還金の相当額は翌年度から交付税の基準財政需要額に全額算入されると、こういうふうな形になっているわけでございます。

○桜井(良)委員 国は一般会計から繰り出すと。地方は対策債を出して振りかえるということなんですが、この額が五兆八千六百億、しかし、その元利は、将来の交付税で見ていくよと、こういうことですから、単にこれは特別会計の借入金を地方自治体の借り入れに振りかえるだけであって、何ら解決にはなっていないと思うんですが、財務局としてはどんなふうに見ていますか。

○松澤主計部長 全く先生おっしゃるとおりだと思います。今お話しされましたように、国のこうした措置は、従来の地方全体の借金を個々の自治体の借金に振りかえただけでございまして、交付税総額を見直したわけでなく、借金体質につきましては、何ら今回改善されているとはいいがたい状況でございます。
 また、ただいま申し上げました臨時財政対策債の元利償還金についても、その全額は後年度の各自治体の基準財政需要額に算入されることから、これは将来の交付税原資を、いうならば先食いするような形になっているわけでございます。
 こうしたことが続けば、やはり財政の悪循環に陥って、深刻な状況にあります国家財政、地方財政をさらに悪化させていくことになるだけと、このように考えております。

○桜井(良)委員 結果は、現在の交付税を確保するために将来の交付税を先食いしてしまうと、こういうことだと思うんですが、これだけ大変な状況にありながら、結局、国は交付税制度を自分の都合でうまく使っていると。地方の側からも、これに対して抗議する声はほとんど出てきていないわけですね。交付税という、いわば地方にとってはセーフティーネットみたいなものなんですが、それに安住しちゃって、そこから将来の交付税が先食いされていると。これは、やはり東京都は不交付団体だからといって何も発言することがなくて、それは地方では大変なことなんだよという認識をしっかり持たせていく必要があるんじゃないかなと私は思うんですよね。このままでいきますと、やはり何でも交付税でもらえるんだということが破綻しちゃったら、地方は何の事業もできないわけですよね。
 昨年の夏ですが、日経新聞で、この交付税制度の見直しについて、全国の知事にアンケートをとったんですね。この知事の意見はどんなふうになっているのでしょうか。

○松澤主計部長 今、先生からお話がございましたように、小泉内閣が発表しました、いわゆる三位一体の改革について、昨年六月に日本経済新聞社が行った、全国の四十七都道府県知事のアンケート結果によりますと、この交付税の制度改革につきましては、大都市圏の自治体が改革を求める一方で、地方圏の自治体は、やはり慎重な姿勢を示すなど意見が割れている状況でございます。
 大都市圏の自治体の意見としましては、東京都が交付税総額の縮減や、あるいは大都市財政需要の適正な反映など抜本的な制度改革を求めているほか、交付団体にほとんどの自治体がなっているというのは制度上おかしいんじゃないかと、こういうふうな指摘が大都市圏の自治体の方から出ているわけでございます。
 ところが一方、改革に慎重な意見が大半を占めておりまして、交付税総額の縮減に反対する者が非常に多いわけでございます。また逆に、交付税の原資をふやすための税目拡大や税率引き合いを主張する意見がございまして、この交付税総額の縮減につきましては十六の自治体で必要ないと、こういうふうに報道されております。

○桜井(良)委員 改革に前向きな意見も大都市圏を中心にあったようでありますが、大方は現状維持、交付税堅持なんですね。これは地方の人には申しわけないですが、こういう意識では将来の地方財政はどうなっちゃうんだろうなと考えざるを得ないんです。別に私は東京都の立場だからいっているんじゃないんですよね。
 ちなみに、松村さんはよく引き合いに出しますが、長野県の知事は、三位一体の改革に賛成であると、こういうアンケートの答えでありまして、やはりある意味では、現状維持か政府に任せるという態度ではなかったなというふうに聞いておりますが、こういう地方自治体の慎重な状況を東京都はどういうふうに見ておりますか。

○松澤主計部長 この地方交付税は、近年、景気対策とか減税など、国の政策の実施に当たって地方を誘導する手段として用いられてきた部分が多くありまして、それから、交付税の役割に補助金的なものが加わりまして、本来の機能がかなり変質してきているわけでございます。
 一方、地方交付税の原資の不足につきましては、国はこれまで主に、先ほど申し上げましたように交付税特別会計借入金で賄ってきましたため、個々の自治体には、これは財政負担の意識が全くないと、それから、危機感をそういうことで持つに至らなかった、こういう状況がございます。
 このため、地方自治体自身が、次第にやはりモラルハザードに陥って交付税の依存を強めておりまして、このことが交付税改革に慎重な姿勢をとらせているのではないかと、このように考えております。

○桜井(良)委員 現行の制度の中で、地方が交付税に依存するというのはやむを得ないと思うんですが、しかし、それらの実態は将来の財政を考えたときは、このままではいけないんじゃないかなと私は思うわけなんです。
 都は、改革に対して大胆な意見を出したわけでありますが、しかし、地方からは、東京は地方のことを考えていないと、こういう意見もありまして、これはかなり強い意見でありますよね。私は、やはり大都市と地方との財政事情の違いは厳然とありますし、ある意味では、財政構造の実態が大都市圏とそれ以外のところと分かれてきていると思います。それを一律の制度でやっていくというところに非常に大きな問題があって、意識の違いも出てくると、こういうふうに思うんですよね。
 ですから、先ほどの質問の中で比較が云々という話がありましたけれども、大都市圏は大都市圏同士の比較ということを考えなきゃならない。しかし、大都市圏がほかの地方のことを意識しなければいいかということも、それは違うと思うんですよ。
 そういう意味で、地方から東京に対して、地方のことを考えていないという意見が非常に大半を占めていることについて、これは一体何が原因だと思いますか。

○松澤主計部長 大きく二つ挙げられるんじゃないかと思っております。
 一つには、東京が地方の実情を知らないという見方を地方圏の自治体が持っていることでございます。先ほども申し上げましたように、地方自治体の多くが交付税の依存を強めている現状の中で、改革により交付税がもし減少すれば財政運営そのものが困難になってしまうという危惧を持っておりまして、そうした実情を不交付団体である都が十分認識していないという思いがあるのではないかということが一つ考えられます。
 それから、二つ目には、逆に、地方が東京都の実情を知らないということがあると思っております。都は、これまでご案内のとおり、一貫して地方交付税の不交付団体であるとともに、歳入に占める税収のウエートが高いことなどから、地方の方から見れば、かなり豊かで財政力のある団体と見られる面がございまして、東京都のような大都市自治体が膨大な大都市需要を抱えながら厳しい財政状況に現在直面していることも含めまして、地方から十分理解されていないことがございます。
 こうした中で、交付税改革が行われれば、税収がより集中して、東京都のような大都市が地方圏に比べ、相対的にますます豊かになっていくとの見方があるんではないかということが考えられます。

○桜井(良)委員 これまでもいわれていたことなんですが、この都の見方、それから地方の見方、それぞれ違うんですが、この見方を調整して、お互いに地方として自主財源をどういうふうに確保していくかという、自主財源の確保という同じ土俵にどうして上がるかというには、どこかの県がリーダーシップを発揮して上がらなきゃならないと思うんですね。私は、それをずっと都に期待しているわけなんですが、それは言葉だけは出てくるんですが、そういう行動が実際はなかなか出てこないということは非常に残念なんですよね。
 ですから、これからは、交付税の基礎となる税収が、先ほどから話が出ているように大幅にふえていくという見込みはないわけですよね。そうした中で、このまま、いわゆる先食いをしたり、地方交付税制度をこのまま継続していくと、やがて行き詰まりが来ちゃうと。行き詰まりが来たときに、地方財政はどうなっちゃうのかなということをやはり心配するわけですよ。単に都の財政だけではなくて、地方全体の財政がどうなっちゃうのかなと、こういうふうに心配するわけですよね。そのことを都がリーダーシップを持ってしっかり調整をしていくべきだということを、ずっと叫んできているわけなんですが、交付税の改革について方向性、これについて都としてどういうふうに考えているのか、考えがあればお聞かせいただきたいと思うんです。

○松澤主計部長 この地方交付税制度につきましては、ナショナルミニマムを確保するという、その財源保障機能と、それから地方団体間の財政力格差の均衡を図る財政調整の仕組みとしての役割を本来ずっと果たしてきたわけでございますが、近年では、借金も交付税特会からふえてくるということも含めまして、制度疲労というべきひずみが拡大してきているわけでございます。現在では、交付税制度の本来の目的とはほど遠いといわざるを得ない状況に直面していると、こういうことだと思います。
 現在、国の方におきまして、三位一体の改革の議論が始まっておりますが、この地方交付税制度の改革の動きを見ますと、先生おっしゃったとおり、地方主体でなく、国主導で進められている嫌いがありますし、また、省庁間でもかなり、思いというかばらつきがあって、総務省は交付税については手放したくないと、そういうようなこともありますし、それから、見直しについては、自治体間の足並みが必ずしもそろっていないというような状況もございます。
 こういう中での、これからのことでございますが、やはり都としましては、地方交付税の改革につきましては、国から地方への税源移譲により、地方の自主財源の拡大強化を図ることと一体として、地方交付税が本来果たすべき役割や真に必要な水準までの総額の縮減などについて、やはり抜本的な見直しを行うべきであると、このように基本的に考えております。
 そうしたことから、今後とも、先ほどご議論ありましたように、地方圏と大都市圏とのいろいろな交付税改革に対する認識の違いがありますが、税源移譲をしていくという各自治体が、こうしたベーシックな共通認識をもとにして、やはり地方財政制度の抜本的な改革に取り組むよう、強く東京都としても訴えていくということと、それから、やはり地方団体同士でそこら辺の連携を図っていくということをやらなきゃいけないと思っています。
 それからまた、大都市圏としてのいろいろな立場もございますので、やはり膨大な財政需要を抱える大都市の現状が地方圏にも理解されるよう努めていくことが、交付税改革について大変重要なことだと、このように思っております。

○桜井(良)委員 聞きたいことはいっぱいあるんですけれども、要するに、考えているだけではなくて、実際、東京都は、やはりリーダーシップを発揮して行動に移ってもらいたいというのが私のお願いなんですね。先ほどから何回もいっているように、交付税特別会計が行き詰まれば、これに依存している地方自治体の事業はほとんどストップしちゃうといっても過言ではないと思うんですね。そこまで来ているわけですよ、借金の実態を見ますと。ですから、見直しは、地方全体の問題として不可欠だと思うんですね。
 ただし、それに対して国は三位一体の改革といっていますが、先ほど話があったように国主導なんですね。あくまでも縦の話で来て、縦の議論の中で地方が右往左往しながらお互いの立場をいっていて、それぞれ調整がとれないということなので、何回もいっているんですが、三重県知事と話したり、いろいろな人と話したりしながら横の議論を東京都が具体的に話をして、地方の意見を集約して国にぶつけていくという行動をとれるのは、私は東京都だけじゃないかと思うんですよ。
 そういう意味で、ほかにも質問があったんですが、最後に私の意見を聞いて、局長の決意を伺って質問にかえます。

○田原財務局長 現行の地方税財政制度は、国が国税として税収を吸い上げまして、地方交付税を国庫支出金で地方へ配分する、まさに中央集権的な仕組みであります。それが今日では地方の自主的、自立的な財政運営を阻害をするものとしているものだと考えております。
 のみならず、今ご議論がありましたように、制度の根幹をなしています地方交付税制度、これがまさに破綻寸前であります。このため、こうした制度を抜本的に改めまして、国から地方への税源移譲を速やかに行う、これが何としても必要だと思っております。
 東京都としましては、まず、地方への税源移譲を進める、この点では全国の自治体の共有できる目標であろうと思っておりますので、そういう共通の土俵に立ちまして、改革の早期実現を求めるとともに、東京を初めとします大都市が抱える膨大な財政需要に的確に対応する税財源の充実の必要性につきまして、七都県市、さらに先ほど新聞のアンケートのお話がありましたけれども、大都市圏を中心として改革が必要だという声もありますので、他の大阪を初めとして大都市と連携を強化しながら、国に対してさらに強く働きかけていきたいと思っております。都議会のご協力も改めてお願い申し上げます。

○川井委員長 他に発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十九分散会

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