財政委員会速記録第二十号

平成十四年十一月十四日(木曜日)
第二委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長川井しげお君
副委員長鈴木貫太郎君
副委員長矢部  一君
理事真木  茂君
理事松村 友昭君
理事桜井  武君
谷村 孝彦君
秋田 一郎君
北城 貞治君
馬場 裕子君
藤田 愛子君
藤川 隆則君
宮崎  章君

 欠席委員 一名

 出席説明員
財務局局長田原 和道君
経理部長佐藤 兼信君
契約調整担当部長松村 光庸君
主計部長松澤 敏夫君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長矢口 幸一君
庁舎管理部長中村 忠夫君
営繕部長福島 七郎君
参事齊間 孝一君
出納長室出納長大塚 俊郎君
副出納長中路 有一君
副出納長宮原 恒男君
参事岳野 尚代君

本日の会議に付した事件
 出納長室関係
  事務事業について(質疑)
 財務局関係
  事務事業について(質疑)

○川井委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、出納長室及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより出納長室関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤川委員 簡単に質問させていただきます。
 生まれついてから貧乏人なので、お金は一銭たりともむだにしちゃいけないという気持ちが強いので、このような場は新聞やテレビでいわれていることをあえて質問させていただきます。
 我々は、東京都民の血の出るような苦労のもとに、いろいろと経済行動に基づいて集めたお金を使っているわけですね。だから、その使い方には粗相があっちゃいけないと私は思っているわけです。そういうときに、集めたお金を一時預かって、そしてそれを出納長室はいろいろと支払いに充てているわけですが、そのときに一番怖いのは、私の持っている情報では、預けている先がしっかりしたところであればいいけれども、現状では完全にしっかりしているところが少ないんじゃないか、ないんじゃないかというような、そういうことをいっている人がいるわけです。
 そうすると、出納長室では、皆さんの方では、今までの既成概念にとらわれることなく、相当新しい考え方でもって、都民から預かったお金を間違いなく使っていくという姿勢が必要だと思うんですが、その点について、今までと違ったところがあるのかどうか、違った方法があるとすればどういう形で取り組んでいくのか、そのことだけ質問させていただきたいと思います。

○中路副出納長 東京都におきましては、ペイオフの解禁により自治体の公金が金融市場の荒波にさらされるというような激変する環境を前提といたしまして、公金を管理する上でのさまざまなリスクにどう対応するかということについて、検討を重ねてまいりました。本年一月に、安全性と流動性を確保した上で効率的な資金管理を行っていくという都の公金管理に当たっての基本的方針と具体的な対応策を取りまとめまして、三月には学識経験者や金融分野の専門家で構成いたします東京都公金管理委員会を設置いたしました。さらに、出納長室の組織におきましても、四月に公金管理課を設置いたしまして、公金管理体制の充実強化を行いました。
 このように金融機関の健全性を評価する手法や情報収集などにつきまして、組織としての力を蓄えながら、また、ペイオフ解禁後の金融情勢を見きわめながら、八月には中期的な資金見通しのもとに、具体的な資金配分基準を東京都におけるポートフォリオとしてまとめまして、それに基づいて資金配分を行ってまいりました。
 出納長室といたしましては、今後も公金の安全性を最も重要視いたしまして、これまでつくってきました仕組みや基準を基盤といたしまして、また、専門家の助言もおかりしながら的確な判断をいたしまして、大変厳しい環境でございますが、一円たりとも公金を毀損しないように、職責を全うしてまいる所存でございます。

○藤川委員 じゃ、意見だけ申しておきます。
 私、短い間ですが、こういう立場でいろいろと仕事をさせていただいているわけですが、そのときに、政治とか経済というのは生きている、そういうところがありまして、きのうまではそれが当たり前だったことが、きょうだともう当たり前でないということが、たまたまあるわけです。ですから、都民の大切な税金を預かって、そのお金を使うという面では、こうすることが一番大切なことであるというふうに皆さんが思われたら、既成事実や既成概念にとらわれることなく、果断にそれに取り組んでもらいたいと、そういうことだけお願いしておきたいと思うんです。よろしくお願いします。
 終わります。

○川井委員長 ほかに発言はありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○川井委員長 これより財務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求しました資料については、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤経理部長 先日の委員会におきまして要求をいただきました資料についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の財政委員会要求資料をごらんください。
 一枚お開きいただきまして、目次でございます。今回要求いただきました資料は三件でございます。このうち私からは、要求資料第1号及び第2号についてご説明を申し上げます。
 一枚おめくりをいただきまして、要求資料第1号、過去十年間の中小企業受注実績についてご説明申し上げます。これは、工事と物品の中小企業受注実績を平成四年度から平成十三年度までの十年間分集計をしたものでございます。平成十三年度で見ますと、工事関係においては、件数で八五・六%、金額で四九・一%が中小企業分となってございます。また、物品関係においても、件数で八六・一%、金額で六一・四%が中小企業分となってございます。
 次に、要求資料第2号は、局別の平成十三年度中小企業受注実績でございます。表にございますように、知事部局、公営企業、行政委員会等各局別に、工事関係と物品関係につきまして、それぞれの発注件数と金額をお示ししてございます。区分といたしましては、全企業と中小企業に分けまして、その実績をお示ししたものでございます。
 私からは以上でございます。

○松澤主計部長 それでは私の方からは、引き続きまして三ぺージの要求資料第3号、果実活用型基金の利子積立額の推移についてをご説明させていただきます。
 現在、果実活用型基金といたしましては、地域福祉振興基金、中小企業振興基金を初め五つの基金を設置しておりますが、資料の内容としまして、このそれぞれの基金の毎年度の利子積立額を、決算ベースで平成四年度から平成十三年度までの十年間でお示ししたものでございます。この間の推移でございますが、低金利の影響によりまして、近年、利子積立額は減少傾向にありまして、計の欄をごらんいただきますと、平成四年度と十三年度を比較いたしますと、利子の合計は十分の一以下まで低下している状況でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○川井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○秋田委員 二年越しの希望が通って、ようやく財政委員会に所属させていただきました。財政委員会は東京のお金を扱う最も重要な委員会だと思っておりますし、財務局はその中でも基幹部局だと思っております。折しも東京都は財政再建プランを進めているところですので、私からは、基本的なことについて質問させていただければと思います。
 東京都の財政を考えるに当たって、他の道府県との比較で最も特徴的なのは、自主財源の割合の高さだと思います。東京都は歳入のうち、税の占める割合が六割から七割に及び、全国的に見ても非常に高いということで、やはり都の財政、歳入の基幹は都税であり、都財政は税の動向を抜きに語ることはできないと思います。
 そこで、まず最初に、先日発表されました財政再建の取り組み状況と平成十五年度予算編成の六ぺージに、都税収入と歳出総額との差というような図がございます。ここでは平成十四年度予算の都税は四兆三百四十二億円で、過去をさかのぼってみますと、都税が同水準だったのは昭和六十二年度決算でありますが、都税が同水準であるにもかかわらず、歳出水準は、この図によりますと、その差は約八千億円以上にも達しているということが明らかにされております。
 そこで、まず第一番目の質問として、昭和六十二年度とこの平成十四年度を比べて、歳出では具体的に何がふえたんでしょうか。

○松澤主計部長 ただいまお話がありましたように、一般会計の歳出総額は、六十二年度決算の五兆二百三十七億円に対しまして、十四年度予算では五兆九千七十八億円となっておりまして、この間に八千八百四十一億円が増加してきております。
 その内容について主なものを申し上げますと、まず一般歳出では、投資的経費が二千八百億円減少している一方で経常経費が増加しておりまして、主なものとしましては、給与関係費が三千三百億円、それから各種福祉関係の手当や区市町村補助などを初めとする扶助費及び補助費が四千七百億円それぞれ増加となっております。そのほかには公債費が二千億円増加してきている状況でございます。

○秋田委員 家計においても、一たんいい生活を始めちゃうと、なかなかもとの生活に戻すのは難しいというのはよくわかるんですが、先ほど示した財政再建の取り組み状況と平成十五年度予算編成というところの七ぺージにも書いてありますが、「都財政を家計にたとえると、財政再建を進めつつも、いまだ月々の決まったサラリーでは生活費すらまかなえないような事態が続いています。」と。本当に厳しい状況なのがよくわかります。
 そこで、今おっしゃった話の原因は何なんでしょうか。

○松澤主計部長 ただいまお答えしました増加した経費について主な原因を申し上げますと、まず給与関係費の増加の要因としましては、この間の給与改定に加え、職員の平均年齢が大幅に高くなっていることから、一人当たりの平均給与費が上昇していること、それから、退職者数が増加したことによりまして、退職手当が増加していることなどが挙げられます。
 それからまた、扶助費や補助費につきましては、各種の医療費助成や十二年度に導入されました介護保険の給付負担金などが、高齢化の進展も寄与して増加しておりまして、これらいわゆる社会福祉関係のものが三千億円ほど増加をした状況となっております。
 それから、公債費の増加につきましては、平成四年度以降、都税収入が急速に落ちてきたという中で、都民サービスの水準を維持し、また国の景気対策に連動した公共投資などを行ったために、都債発行額を大幅に増加させたことなどによるものでございます。

○秋田委員 投資的経費が減少する一方で、経常的経費が増加しているということがよくわかりました。経常的経費が高どまりするということが財政の硬直化が進んでいるということなんだと思いますが、そのことを財政指標の面からも、まず確認させていただきたいと思います。
 昭和六十二年度決算と平成十三年度決算での経常収支比率はどういうふうになっているでしょうか。

○松澤主計部長 今先生からお話ございました経常収支比率は、ご案内のとおり、財政の弾力性、あるいは健全性を示す総合的な手法として、人件費、あるいは扶助費などの経常的な支出の、都税などの経常的な収入に対する割合であらわされるものでございますが、お尋ねの昭和六十二年度の経常収支比率は七一・八%であるのに対しまして、平成十三年度は九二・四%と、このようになってございます。

○秋田委員 その変化をどういうふうに財務局としてはとらえているんでしょうか。

○松澤主計部長 都の経常収支比率は、昭和六十二年度以降、全体的な傾向では上昇を続けまして、平成十一年度には、一〇四・一%といった極めて悪化した状況になったわけでございますが、それ以降、財政再建推進プランに基づく財政構造改革の取り組みを積極的に進めてきたことによりまして、十二、十三年度は改善の方向に進んできております。しかしながら、現在の経常収支比率の状況は、昭和六十二年度と比べてみますと、ただいまお答えしたとおり、九二・四%とまだまだ高い水準にございます。
 この経常収支比率は、適正水準は、大体七〇から八〇%ぐらいがあるべき水準といわれていますけれども、そういう意味でいきますと、現在の状況といいますのは、先生、さっき家計のこともお話しになりましたけれども、経常的に支出される経費に経常的な財源の九割以上が費やされるということになりまして、新たな住民ニーズに対応した新規施策に振り向ける財源が極めて厳しいことを示すものとなっております。
 財務局としましては、この財政の弾力性を回復するため、さらにこの経常収支比率を低下させるべく、歳出の抑制などに取り組んでいかなければならないと、このように考えております。

○秋田委員 今のお話を伺うと、損益計算書というか、フローの部分ではすごく硬直化していることがよくわかりましたので、今度、貸借対照表的な部分、ストックの部分でお伺いしたいと思います。
 ストックの部分でいいますと、やはり何といっても基金と都債がそれに当たると思うんですが、都が持っている基金残高と都債残高を、先ほど聞いたのと同じように、昭和六十二年度と平成十四年度の比較をしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 まず、基金の残高の方についてでございますが、使途に制約のない財政調整基金と、それから投資的経費の財源として広く活用が可能な社会資本等整備基金という二つの基金の残高の合計で申し上げますと、昭和六十二年度が五千四百五十七億円に対しまして、平成十四年度末の見込みでは約二千三十一億円ということで、当時の半分以下の状況となっております。
 それから一方、都債の残高でございますが、一般会計ベースで、昭和六十二年度が一兆八千二百六十九億円に対しまして、平成十四年度末見込みでは六兆九千二百五十二億円ということで、この間で五兆九百八十三億円の大幅な増加となっているところでございます。

○秋田委員 今のお話を伺うと、バブル崩壊に伴って税収が減ったにもかかわらず、歳出規模を同水準に維持したと。そのために、じゃ、何をしたかというと、都債の発行と基金の取り崩しという手法をとられたんだということがよくわかりました。
 しかしながら、基金残高の激減はすごく大きな問題だと思います。ちょうど先日行われました各会計決算で、我が党の中西委員がこの点について質問したところだと思うんですが、財政調整基金の十四年度残高を約千三百億円と見込まれて、都税の予算額に対してわずか三・二%にしかすぎない水準まで落ち込んでいるということですね。家計でいえば普通預金がもうどんどんなくなっちゃっているのと一緒ですから、非常に怖いというような状態だと思います。
 そこで質問させていただくんですが、税収の低迷が一時的なものでないとすれば、財政調整基金の残高を可能な限り確保していく取り組みが必要だと思うんですが、その辺についての見解をお伺いさせていただければと思います。

○松澤主計部長 都の財政構造は景気の変動を受けやすい法人二税を中心とした都税収入に大きく依存しているわけでございますし、また、一貫して地方交付税の不交付団体ということでございますので、税収の落ち込みなどに対しまして財源を安定的に確保することが難しいという難題を常に抱えているわけでございます。今先生からお話ございましたように、景気の先行きに予断を許さない中で、税収の動向は今後とも厳しい状況が続くものと見込まれておりまして、この年度間の財源調整の役割を果たす財政調整基金は、一層重要なものになってきているところでございます。
 したがいまして、この財政調整基金につきましては、例えば果実活用型基金の統合などを視野に入れながら、今後とも可能な限り残高を確保していくことが、これからの都財政の運営にとりましても不可欠であると、このように考えております。

○秋田委員 事態が非常に、本当に厳しいんだなということがよくわかりました。しかも、過日の報道によれば、上半期の都税収入が、約一割ですか、落ち込んだという報道がございましたので、十五年度も税収に関しては非常に厳しいということがよくわかりました。先ほどから家計の話をさせていただきますが、家計でもやっぱり身の丈に合った生活をするのが重要なように、東京都もやっぱり都税収入に見合った財政運営をしていくのが必要なんだなということを極めて感じているところであります。
 また、これから、以前発行した都債の償還期限がどんどん参ります。資料によりますと、約三千六百億円の財源不足が見込まれるということでございますので、本当に厳しい状況であることはよくわかりますが、一方で都民の暮らしや中小企業の経営等も非常に厳しいという状況がございます。産労さんも非常に頑張っていただいているようですが、そういった中で、これから財務局としてどうしていくのか。
 最後に、財政再建の取り組みを進める一方で、都民の期待にもどういうふうにこたえていくのかというこの二点を、一見相反するような二点をにらみながら、平成十五年度予算をどのように編成していくつもりなのか、局長のご答弁をいただければと思います。

○田原財務局長 ただいまご質疑をいただきました、バブル経済の崩壊後、都税収入は、十五年前でありますけれども、昭和六十二年度と同程度の低い水準ということになっておりまして、この傾向は続くということで、平成十五年度も収入増には期待ができない状況にございます。
 十五年度予算では、発表をさせていただきましたけれども、各局からの予算要求段階ですけれども、先ほど委員からもお話ありました三千六百億円を超える巨額の財源不足、こういう見込みが出ております。
 そういう状況ですので、何よりもまず全体として歳出総額を厳しく抑制をしていかなきゃならない、景気のいい話じゃなくて恐縮でございますが、抑制をしていかなきゃならないと思っています。また、十五年度は財政再建推進プランの最終年度でもありますので、さらに内部努力や施策の見直しなどを行いまして、これまで以上に強化をして財政再建を進めていきたいと思っております。
 また、お話しのように、その一方で東京の再生、それから中小企業の経営等々が厳しいこともあります。都民の生活の安心、安全を確保するために課題がたくさんございます。積極的にその課題に取り組むことが必要だと思っております。限りある財源を的確に配分することに全力を尽くしてまいりたいと思っております。

○藤川委員 私の質問は、秋田さんの質問と全く同じなんです。違うところはどこかというと、年齢の相違かと思うんですが、秋田さんの質問は、要するに学術用語をたくさん使って、非常に理論的に皆さんの回答を求めているんですが、私の質問は非常に感情的なんです。
 どういうふうに感情的かといいますと、子どもを見て、それからその子どもが産んだ孫娘が私の周りにうろちょろしていますと、命を彼女たちに与えてしまったということについて、父親として、おじいちゃんとして、悪いことをしちゃったなという気持ちがするわけです。それはどういうことかというと、今松澤さんが秋田さんの質問について答えていますし、田原財務局長も答えておりましたが、結局、東京都の財政、国もそうなんで、きょうの新聞にも出ていましたけれども、要するにダウントレンドだと。そう簡単には経済を盛り返すことはできないと。だから、今まで需要と供給とのアンバランスを、都債を初め、そういうような積立金を取り崩すことによって補てんしたけれども、それもままならない状態になってくるという状態ですよね。ということになると、ますます子どもや孫に、あっ、悪いことしちゃったな、おまえたちに命を与えたということは、父親として、おじいちゃんとして、何とも悪いことをしたというふうに思っているわけです。
 非常に感情的なんですが、こういう状態でもって、子どもたちや孫たちが、東京の都政、日本の国政も、いつか担っていくことになると思うんですが、そういう状態のときに、東京都が非常に大きな基金を取り崩すとか借金をしてしまうと、もう次の世代に何もできないんじゃないかという懸念を、持ち過ぎるかもしれないけれども、私としては持つ傾向にあるわけですね。何もできないと。もうその日暮らしで、借金を返すのが精いっぱいだというか、こういう状態の中で、今までの需要に対してお金の供給という面で物すごくアンバランスを来している状態があるわけですが、これから皆さんとしてはどうするのかということを、非常に感情的な面から皆さんに質問したいと思うんです。

○松澤主計部長 今先生の方から、国の方も地方も東京都も、大変な厳しい状況で、将来的な展望があるのか、一体これからどうするんだと、こういうふうなお話がございましたが、若干また専門的といいますか、数字の話になりますけれども、やはり都財政の場合は、財政を立て直すためには入るをはかって出るを制するですから、入ってくるお金を確保するのを多くするか、また出る方を抑えるのか、家計と同じようにこの二つしかございません。今先生からお話ございましたように、都税収入がこれからも伸びればいいんですが、これは余り期待できないということになりますので、やはり全体として歳出を厳しく抑制する。こういうことをしていかないと、将来にわたる財政の健全性であるとか財政の体力を確保することは、非常に難しくなるというようなことでございます。
 そういうことで、財政再建推進プランをつくってから、ちょうど十五年度予算で最終年度に入るわけでございますが、このときに、経常経費についてはマイナス二〇%、投資的経費はマイナス三〇%という目標を掲げながら、一方でシーリングを設定するなどによりまして歳出削減を進めてきたところでございます。今回新たに、また過去の各種施策の決算状況を踏まえて、不用になったものがあらかじめわかるならば、そういうお金はもう落としていこうと。こういうふうなことも含めまして、実績主義を徹底して歳出の見直しに取り組んでいるところでございます。
 これからもそういうことも含めまして、先ほど身の丈に合ったというお話もございましたが、お父さんのサラリーが相当落ちてきていますので、やっぱり家計費を抑えなきゃいけないということで、ただ、その中でも何でもかんでも抑えるというんじゃなくて、やっぱりその中で必要なものにはめり張りをつけて、重点的、効率的に配分する。しかし、全体としては抑制していって、そしてやはり体力をつけると。特に、起債については投資的経費の財源ということでもございますから、投資を伸ばすには起債も大幅に伸ばさなきゃいけないんですが、この財政再建推進プランの期間におきましては、やはり投資的経費も全体的には抑制して、都債の将来負担を軽減していく。今こういうふうな方向でやって、まさに耐え忍んで、春のために頑張っている、こういうことでございます。

○藤川委員 そのようなお答えを松澤さんからいただけるんだろうと私は思っていたんですが、一つ非常に心配なのは、これだけ足りないからこれだけ減らせばいいんだという量的な問題ではなくて、今のお答えの中には、やっぱり質も考えていくということが十分にうかがえるわけですが、めり張りという面でもって、これだけ足りないからこれだけ減らすんだということであると、そのときに生きる者にとってはたまらないわけですよね。
 だから、もう一度確認するという意味で、量的な大きな問題に今我々は逢着しているわけですが、そこをいろいろな形で、質でもって、ある程度カバーするところはカバーするという考えを財務局としては持っているかどうか、その点について確認したいと思います。

○松澤主計部長 今先生からお話ございましたように、財政再建の目的というのは、歳出を落として単なる単年度の収支の均衡を図るということでなくて、そういうことも一つの手段の中で考えていきながら、中長期的には、新たな施策展開を行える強固で弾力的な財政体質、そういうものを確立することが究極といいますか、目的でございます。そういう意味で、今やっている財政再建のプランは第一段階の道筋ということで、十二年度から十五年度の四年間にわたって巨額の財源不足を解消する、こういう取り組みをやっているわけでございます。
 したがいまして、その歳出の削減に当たりましては、先生おっしゃるとおりに、単に歳出額を量的に削減するということだけでなくて、将来にわたって、例えば、施策とかサービス提供の方法が時代の変化に適応しているのかとか、それから民間とか国、市町村との役割分担というものが明確になっているのか、あるいは事業の効果と財政負担は均衡しているのかと。そういった視点に立って、都が行うすべての施策、あるいは実施体制について見直しを行っているということでございますので、財政再建を進めていく中で、いわゆる想定外の歳出増要因、あるいは高どまりが続いている経費等もございまして、なかなか厳しい局面が生じてきておりますが、今申し上げたような視点に立ちまして、歳出の見直しを徹底し、財政構造の転換を図るよう、今後とも、より一層積極的に取り組んでいきたいと、このように考えております。

○鈴木委員 きょうは事務事業の日でありますので、私の方から、かいつまんで二つご質問をさせていただきたいと思います。
 第一番目は、きょうの新聞を見て大変びっくりいたしました。産経新聞と読売新聞ですか、公会計の中で複式簿記、それから発生主義会計を東京都も導入するんだなんて、こういうでかでかとした記事を見てびっくりしたんです。なぜかといいますと、ことしの予算特別委員会で、我が党の公認会計士でいらっしゃる東村都議会議員から、随分微に入り細に入り質問が、知事、当時の安樂財務局長と実はやりとりがあったんですよね。そのときの答弁なんかを私、ずうっと分析をしていると、安樂局長は、複式簿記と発生主義会計を導入するにはいまだ至っていないんだと、そんなような状況といいつつも、事業によっては、バランスシートを活用して事業ごとのコストを把握するなどの取り組み、大変有効な手段になるというふうに考えていると、何か思わせぶりな答弁もこの中に実はあったものですから、それがきょうの取材記事の裏打ちになって、その間、東京都としてもずうっとこの問題を詰めながら、きょうの複式簿記の導入という結論になってきたのかというふうに勘ぐりたくもなるのでありますけれども、この記事は、その間の分析をしながら、事実なのか。もし事実とするならば、どのような局内での検討が続いているのか、これをちょっとお示しをしていただきたいのでありますが、どうでしょう。

○松澤主計部長 今先生からお話ありました複式簿記会計の導入についてでございますけれども、おっしゃるとおり、一定のときに財務局長からの答弁もそういうのがございました。それ以降、ことしの五月三十一日の知事の定例記者会見でございましたが、知事の方から、都の財務会計制度の複式簿記方式の導入に向けて本格的な検討を行うというような発言もございまして、事務ベースでも検討を始めたというふうなことでございます。
 これまでのところ、会計処理の基本的考え方や現行法制度の関係、さらには導入時期などの課題につきまして、会計事務を担当する出納長室と、それから私ども財務局と一緒に検討を始め、進めてきているというふうな状況でございます。
 そういうことでございまして、その検討の中では、先生、今お話ございましたが、新聞記事に挙げられた項目についても議題として上がっているというようなことでございます。

○鈴木委員 そういう検討状況を加味するとすると、もう少し具体的に伺いたいのでありますけれども、この記事の内容を分析すると、十六年度試行、そして十八年度実施という、より具体的なスケジュールがすっぱ抜かれているんですね。というと、このスケジュールに沿って検討をより具体化するということになるのでしょうか。

○松澤主計部長 今回の複式簿記の導入時期でございますが、今先生からお話ありましたように、十八年度を一つの目標として現在検討を進めているということでございます。試行につきましては、会計システムの大規模な変革になるわけでございますし、本格実施の前に行う必要があると考えております。そういう意味で、実施時期については、事務的な作業スケジュールを十分に詰めた上でこれから決定していきたいと、このように考えております。

○鈴木委員 確認いたします、主計部長。再度質問ですが、十八年度実施という、そのご答弁に変わりはないわけですね。よろしいんですね、もう一度。

○松澤主計部長 十八年度を一つの目標というか、そういう形で目指してやっていきたいと、こういうことでございます。

○鈴木委員 わかりました。いずれにしても、目指すのであれば実施なら実施と。もちろんこれは、国の法改正とかいろんなものがバックグラウンドにあることもよく存じ上げております。それに沿ってスケジュールを進めていただければなと思います。
 これはなぜかというと、財政再建をなし遂げるには、やはりこういう面からのアプローチがなければ無理だと私は思いますね。単年度会計主義の限度がもう既にあるわけですから、ぜひそのあたりを私たちも、これは東京都政にとっても大変メリットのあることでありますから、また、我が党の公認会計士の東村都議会議員も、これはもうその道のプロでもあるわけでありますので、彼もがっちりとこの辺で協力をするからと、中地さんも先輩としてよく存じ上げている方でもいらっしゃるようですので、ぜひ進めていただきたいなと、こう存じています。
 それで、唐突的なきょうの新聞でありますので、もう一点だけ再度確認をさせていただきたいんですけれども、今、私もちらっとは申し上げたんですが、この複式簿記を導入するということは、画期的なことはわかるんですけれども、東京都政を推進する上でどういうメリットが具体的にあるのか、わかりやすく事例を挙げてお答えをいただければ、我々も論を進めていくことにやぶさかでありません。お願いします。

○松澤主計部長 現行の官庁会計制度のもとでは、いわゆる現金主義をとっておりますので、資産と負債の関係とか、それから減価償却費の観念といいますか、減価償却費とか、それから金利といったコストについての情報が非常に欠落しておりまして、そういう面から見ますと、民間企業であれば当然行われているような評価とか検証も、事務事業について、また東京都の財政についても検証がなかなかできていなかった、こういう状況がございます。
 今回、複式簿記等も、発生主義会計の導入をすることになりますと、今申し上げたような問題を解決ができる一つの形になるわけでございますし、マネジメントを強化するための有効な手段でありまして、その意味では都政改革の大きな道具といいますか、ツールとして期待できるというようなことではないかと思っております。

○鈴木委員 今のご答弁、そのとおりだと私は思いますし、ぜひ都政発展のためにご努力をお願いしたいと、こう思っております。私も、一年間監査委員をさせていただいた経験の中から、やはり限度があるんだなと思ったことも何度かありました。そういうことで、この辺、両面からとらえていけば、私は明らかに大きな進展が見られるのではないかなと、こう思っておりますし、知事もいろんなことで述べられている、その知事のいっていることも評価できますし、ぜひご努力をお願いさせていただきたいと思っております。
 この項については以上であります。
 次に、ライフサイクルコスト、いわゆる都市の維持更新という立場から、何点か質問させていただきたいんです。
 社会資本の整備、それからまた投資的経費が、どういう姿勢で東京都としてこれまでやってきたのか、そういうものをマクロ的にこの際何点かお聞きをして、理解の度合いを深めていきたいなと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 先ほども、お二方の委員のご答弁の中に、主計部長からも、財政再建推進プラン、十二、十三、十四、来年度、十五年度で幕を閉じるわけでありますけれども、その中にあってどれだけの財源を目標にし、それで何割達成したのか、恐らく平均で八〇%とした、これはもう事実だと思いますけれども、しかし、残りの十何%かは、やはり根雪の雪かきのようなもので、これは難しい。根雪の雪かきをするのは、これはもう困難な事態だと私は思っていますし、しかし、それでも一生懸命やっていただいていることは評価をさせていただきたいと思います。評価いたします。
 それで、なおかつ来年度予算の概算要求の中で、三千六百七十一億円、これが不足をするという。こういう現状の中で、経常経費、それから投資的経費の区別なく、すべての分野にわたってこれまでも見直しが行われてきましたし、来年もそういういろんな面で必要な分野、これは当然お金を注がなきゃなりませんけれども、見直しは行うべきものはする、しかし、必要なところには注いでいくという大変なかじ取りが求められていると、局長、私は思いますね。大変な努力が必要だと思います。
 そういう中にあって、先ほども出ておりました経常経費が高どまりをするという、皆さんの好きな官庁用語がありますけれども、しかし、投資的経費は、なおかつその中でも、もっともっと、がたがた毎年毎年減っております。最盛期の一兆何がしかのときに比べると、今年度は六千何ぼにしかなっていませんよね。本当に減っています。
 そこで、このままで推移すると私は思っていませんけれども、将来のこの東京を考えたときに、東京の社会資本の整備、これまでつくってきた維持更新は果たして大丈夫なんだろうか、これが私は一番気になります。
 そのような観点から、第一番目の質問でありますけれども、この投資的経費の計上について、都側の方の説明は、こういう言葉を使ってきたと思います。限りある財源を投資効果の高い事業に重点的、効率的に配分をしているんだと、こういう言葉を毎回説明の言葉としてお使いになってきたと私は思っております。じゃ、この言葉のバックグラウンド、具体的にどういう意味を持っているのか、そしてまたどういう取り組みを行ってきたのか、お示しをしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 ただいま先生からお話がございましたように、都は近年、厳しい財政状況のもとで、投資的経費を全体的にはかなり抑制してまいりました。ただ、その中にありましても、東京の活力を復元する都市再生の取り組みなど、今お話ありました投資効果の高い分野には、限られた財源を重点的、効率的に振り向けてきたというところでございます。
 こうした分野の事業といたしましては、幹線道路や公共交通網の整備、交通渋滞の解消、あるいは災害に強いまちづくり、福祉施設の整備などが挙げられるわけでございますが、十四年度では、例えばでございますが、あとわずかの区間で開通する道路やバスベイのない道路など、交通の支障となっている箇所を集中的に整備することで渋滞解消を図る、いわゆる効果満点道路事業、あるいは鉄道の連続立体交差事業、それから障害者の福祉施設の整備など、こうしたところに投資を重点的に充てて対応を図ったところでございます。

○鈴木委員 第二番目ですけれども、今主計部長がご答弁なさった各論の整備事業、田原局長が知事本部長のときの重点事業だったんですね。そうですよね、これは。それがだんだん出てくる。来年はまた違った形で進むのではないかなと思いますけれども、今説明のあった社会資本の整備、これはもう我々の財産でもあります。ただ、ここでいうのは、整備をすればそれで事足りるということではないと私は思います。これをどういうように効率的に使っていくか、そして知恵をどう絞っていくか、最少の経費で最大の効果を発揮するかというところに視点を置きかえてこれからいきたい、また、いくべきだと思います。
 よく重点化、効率化という言葉をお使いになっているわけでありますけれども、いってみれば、重点化だとか効率化というのは、予算執行上の配分の仕方、やり方でもあるわけですよね、言葉として。これは生きると思います、効率的、重点的に配分するんだ、効率的にやるんだというのはね。そういうことはわかりますけれども、投資的経費の財源の配分の仕方の中で、皆さんよく、私もよく思うんですけれども、一般財源に対する負担を軽くするんだと。こういうふうに考えたときに、しからば都債の適切な活用の仕方、それからまた国庫補助金の確保、これなんかも予算を組み立てていく上において大変重要なセクションの問題だと思います。とれるだけとる。また、都債だって有効に活用をしていく。起債をするのに、都債悪玉論なんていうことを私は一切いいませんから、我々の身近な社会資本の整備にも使われるわけでありますからね。そういう面で、やはり重要な一つのポイントだと思います。
 したがって、聞きたいのは、このような財源確保に当たって都はどのような努力をしているのか、また、していこうとしているのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。

○松澤主計部長 都市の根幹となる社会資本の整備につきましては、これからも重要な役割を果たすとともに、特に次の世代に引き継ぐ公共の財産を構築する面もございますことから、財源として、一般財源を投入するだけでなく、やはり今お話ございましたように、都債、あるいは国庫支出金を適切に活用して、効果的な整備を行うということが非常に重要なことではないかと、このように思っております。
 こうした観点から、都はこれまで、例えば緊急課題である首都圏再生への取り組みに当たりまして、国との連携を強化して、国庫支出金の確保を今回十四年度予算でも図ってまいりました。全体的には厳しいマイナス予算だったわけでございますが、投資的経費の国庫補助事業は三・五%の伸びを確保し、特に主力部隊である建設局分では、国庫補助事業は一八・〇%と大幅な伸びとなったところでございます。
 また、都債については、将来の財政負担を考慮しまして、発行額全体としては抑制基調を保ちつつも、各事業について起債充当率をフルに活用するなどの工夫を行いまして、その有効活用を図ってきております。今後とも、国に対しまして地方債制度の一層弾力的な活用などの改善を働きかけながら、この都債についても、より適切な活用に努めていく考えでございます。

○鈴木委員 今の主計部長のお答えの中で、随分苦労しているなということ、それはよくわかります。頑張っていただきたいと思います。都債についても、起債充当率をそれぞれの事業に当てはめて、限度額までやっている、工夫を行っているということも、私は時宜にかなったやり方ではないのかなと思っていますし、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 さはいえども、これからはやはり右肩上がりの社会情勢ではありません。それは、もうおのずと限度がありますし、先ほど主計部長もいい言葉を使った。冬来たりなば春遠からじ、私はその言葉に置きかえたいんですけれども、冬は必ず春となるというようなこともあるんですけれども、果たして春は来るんだろうかというような、そういう来てほしいという思いの中で、ぜひ、この冬来たりなば春遠からじという、そういう時代を私たちも迎えるために、これからも努力をしていきたいと、こう思っております。
 そこで、若干古い資料になるんでありますけれども、この知事本部の前身であった、たしか政策報道室というのがありましたね、柿沼さんだったかな。社会資本の維持更新需要の将来推計をまとめた資料があったことを私も記憶はしております。あの当時、随分話題になりました。こんなに社会資本の維持にお金がかかるのか。私もあのときの資料をすべてマクロ的に見ると、向こう三十年間でひっくるめて約四十四兆円。東京都の社会資本の維持をするのにこんなに膨大な、ちょうど二〇〇一年度から二〇三〇年度まで、びっくりするようなデータが示されたことを今記憶に描いています。
 そこで伺うんでありますけれども、今までやってこられた努力の上に、なおかつこういう懸念があるということでちょっとお話をしておきたいんですけれども、過去に政策報道室がまとめた将来推計の資料では、道路、橋の維持更新経費は、その中でもなおかつ相当な金額になっていたと私は思いますけれども、このことで具体的に数字をお示しいただければ、各委員の皆さん方もよくおわかりになると思いますので、どのくらいの規模になると推計をされていたのか、お答えをしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 先生ご指摘のとおり、平成十年の七月に当時の政策報道室が取りまとめた資料がございます。この資料は、東京都が管理している道路、あるいは橋梁、住宅などの社会資本につきまして、その維持更新需要額の将来推計を行っているものでございます。この中で、お話しの道路、橋梁に関する維持更新需要額の将来推計としまして、今お話ございましたが、二〇〇一年度から二〇三〇年度までの三十年間で、合計約三兆五千億円近くに上るものと試算しております。

○鈴木委員 今、主計部長からお答えをいただきました。道路と橋にかかわる維持更新需要額の将来推計だけで、二〇〇一年から二〇三〇年度までで、三十年間で約三兆五千億。これを年平均で割りますと一千百六十七億円、毎年整備をする、維持更新をする。
 それで、一つ具体的なデータを示すと、平成十四年度の投資的経費は六千二百三十六億円でありますよね。十三年度は七千百四十七億円、今年度、十四年度で六千二百三十六億円。単純にこういいますと、一千百六十七億円も維持更新費なんて、そんな金は出ないんですよね。長寿命化というところ、大変な問題だと私は思います。
 すべて、道路、橋梁、上水道、下水道、都営地下鉄、都営住宅を合わせると二十一兆五千八百六十億円。今挙げた項目だけでも、こんなけたたましいお金がかかってくる。二十一兆何がしかをこの単年度で割ると、七千二百億円も毎年毎年維持更新のためにお金を使えというのは、これは不可能ですよね。どうするんだと、そういうことを考えてみると、本当に身の毛がよだつような感じがしてなりませんし、さはいえども、アメリカのニューヨークで起きたあの一連の出来事というものは、私たちにとって大きな参考になると私は思います。
 荒廃するアメリカと呼ばれた時期がありまして、あのときにアメリカでは、特にニューヨークのみならず全国土的に、道路とか橋の維持更新をするのにもうお金が届かないと。荒廃するアメリカといい続けられてきた。だから、そういうものを踏まえて、ライフサイクルコストの思想が普及をしたというふうに私は理解をしているんであります。当然東京構想二〇〇〇の中でも、このことはがっちりととらえられています。そのことを私は指摘をしておかなければいけないと思っておりますので、そういうことで、ぜひこれからもこの辺を財務局として、社会資本の更新の重要性について今後どうとらえていくのか、また現段階でどう認識をなさっているのか、これを詳しくお示しをしていただきたいなと思います。

○松澤主計部長 都市の機能は、当たり前のことでございますけれども、道路、橋梁、あるいは上下水道、学校、公営住宅、福祉施設など、さまざまな社会資本のストックがきちんと整備されまして、その役割を果たすことによって支えられているわけでございます。東京におきましては、経済、産業が大きく集積する巨大都市として、また一千二百万都民が暮らす生活都市として、都市を構成するストックが長期間にわたって蓄積をされてきておりまして、この適切な維持管理を怠れば、その老朽化によりまして都市の活力や魅力が失われ、さらには都市の機能が麻痺してしまう、こういうおそれもあるわけでございます。
 したがいまして、都民の安全を確保し、東京の活力を維持増進させるためには、何よりもまず、都の抱える社会資本をやはり適切に管理しまして、将来の財政需要に的確に対応していくことが大変重要であると、このように認識してございます。

○鈴木委員 そうすると、主計部長、そういう認識に立っていただきながら、私、お願いをしたいんでありますけれども、投資的経費について削減をどしどし進めてきたことは、片方の分野ではそれはよく理解できます。理解はするんですけれども、ただただ一方的な削減をするばかりであっては、先ほど私が指摘をした面からの、この大変な社会資本の維持更新をする、これが都民のためにどうなっていくかということは、おのずといわなくてもわかっていくことと私は思います。
 したがって、社会資本の整備が都民サービスの向上に重要な役割を果たすということを踏まえていくならば、この際、このあり方を真剣に財務当局として考えていくべきときだと思います。財源が少ないからといって、この分野をおろそかにしたのでは大変な事態を招来しかねないと、私はこう思っておりますがゆえに、この質問をあえてするわけでありますが、どうでございましょう。

○松澤主計部長 ただいま先生おっしゃったとおりでございまして、これから東京の活性化、あるいは将来のためには、都市基盤施設の更新需要をちゃんとやっていかなきゃいけない、あるいはまた、新しい社会資本についても整備していかなきゃいけない、こういうようなことで、着実にこういうものを進めていくことが重要であるというふうに考えております。
 一方で、都財政の状況は現在大変厳しいことでございますので、そこの中でどうやっていくかということが非常に難しい課題ではございますが、こうした需要に的確に対応していくためには、やはり投資効果の高い事業の方により一層重点化を図っていく、あるいは維持更新というようなものを重点的にやっていく。そういうことも含めまして、維持更新の手法については、例えば民間活力を活用してPFIなどの工夫を重ねるとか、そういうことも含めまして、これからやっていかなきゃいけないと考えてございます。
 いずれにしましても、財政の対応能力を踏まえた適切な投資水準というものを確保しながら、新規更新のバランスにも十分配慮して、より効率的な事業執行に努め、東京における都市基盤施設を着実に整備保全していくことが重要でございますので、こういうことを進めると同時に、そのあり方も将来にわたって真剣に考えながらやっていかなきゃいけないと、このように認識しております。

○鈴木委員 この項の最後の問題にしたいと思いますけれども、財務局長に伺います。
 今、るる主計部長がご答弁なさいました。大変大事な視点だと私も思っていますし、絶対にこの分野、おろそかにできない視点だとも思っております。しかし、限られた財政運営の中で困難な課題だとは思いますけれども、今私がるる指摘をした社会資本の整備、そして充足及びこの維持更新、この問題は都政の避けて通ることのできない、いわばこれは第二のアメリカにならないような、第二のニューヨークにならないような、こういう手だてを今から講じておかなければいけないのではないのかなと、こう思います。
 そこで、十五年度予算編成に当たって、この財政運営の最高責任者である財務局長のお答えをいただきたいと思います。

○田原財務局長 ただいま副委員長には、東京における社会資本の充足、それから維持更新に関しまして幅広いご議論をいただきました。基本的考え方につきましては、主計部長がお答えしたとおりでありますけれども、ただいまお話がありましたように、財政需要が非常に大きなものが見込まれております維持更新につきましては、高度成長を前提にしましたような新しいものをどんどん建てていく、そういうことはもうできませんので、現在あるストックをいかに効果的に維持更新をしていくか、もたせていくか、これが非常に重要なものだと思っております。それにつきましては、中長期的な視点に立った対応が今後非常に重要だと私も思っております。
 十五年度予算につきましては、もう既にお話しのとおりでありますけれども、厳しい状況ではございますけれども、ただいまのような社会資本の充足、それから維持更新、これにも十分留意をしながら、的確な対応をとっていきたいと思っております。

○鈴木委員 このやりとりというのは余りなされてこなかったと思いますし、また、財務当局にもお願いをしたいのでありますけれども、こういう社会資本の維持更新の問題をきちっととらえていくのはどの局で、どの担当部署なのかというのが、私も今よくわからない。前は政策報道室のあるセクションでやっていたんですね。今、それはないと思います。それがないんですよ。だから、これをきちっと財務でやるのか、それとも知事本部でやるのか、それはわかりません。それは皆さんの局同士の打ち合わせをしていただきたいと思います。大変大事な項目でありますから、財政運営上、これは避けて通ることのできない問題だと思います。
 フローからストックの時代、それから長寿命化ですか、この問題もバックグラウンドにあるわけでありますので、ぜひ真摯に受けとめて、私の質問の背景が那辺にあるのか、おわかりをいただけたのではないかなと思っております。ぜひその辺をお酌み取りいただいて、都政運営のかじ取りの一つにしていただければと願い、質問を終わります。
 以上であります。

○松村委員 初めに、障害児学校の給食調理業務委託について伺います。
 直接的には、所管局の教育庁にただすことが本来だと思いますけれども、財務局も都立障害児学校の給食調理業務民間委託契約をやっております。そのことと、それから全体の委託を拡大する路線は、財政再建推進プランなどにより、予算編成を通じて財務局がこれを強行に推し進めている。そういう立場からも、障害児学校の給食調理民間委託が、都民サービスの上でどういう弊害になっているかについて伺いたいと思います。
 学校給食は、安全でおいしく、安心して食べられるということが大前提となると思います。加えて障害児の学校では、食べる力を高めることや味覚の発達を促す役割など、子どもたちの命と生きる力をはぐくむ教育の一環となっております。都立盲・聾・養護学校の給食調理業務民間委託が始まって六年たちます。その六年間の総括を、都立学校支部や障害児学校職員組合などが参加してやっております東京都盲・聾・養護学校の給食をよくする会連絡会、私もこの総括文書を見せていただいたり、また、そういう関係団体との懇談を行いましたけれども、もう本当にびっくりするような事態を聞きました。調理済み食品への異物混入や、給食時間が間に合わない、一時間とか一時間半、こういうおくれがざらにある。そういった調理技術の未熟とか衛生面の不安など、大変な実態が明らかにされています。
 直営のときにはこういう事態は全くなかったと。ところが、こういう基本的なミスがなぜ起こるのか。それは、私も改めていろんな角度から勉強させていただきましたけれども、結局、民間に調理委託をするわけですけれども、契約を結ぶと当然新規委託ですよね。新たな調理員だとかそういう業者が来ます。それからまた、当初は単年度だったそうですけれども、今は三年で更新ということで、更新となって業者がかわれば、全員調理員がかわるわけですよね。せっかくなれて障害児の顔を見たりとか、いろんな希望を聞いたりとか、そこでは成果というか、そういう蓄積が全部なくなってしまう。
 それから、直営から民間に移したというのは、給与の関係が安くできるということが第一だというふうに思いますけれども、そういう中で、やはり民間業者の調理員もなかなか定着しないということで、これは調理員がやめたり交代した場合には、所管局の教育庁に変更の届け出というのが出されるそうですけれども、この間でも三百九十六人の変更届が出されている。
 それからもう一つ、これは派遣法ですから、そういう委託契約業務ですから、その業者がやる。学校は、栄養士などがつくった指示書というんですか、そういうのに基づいてつくるわけですけれども、そこに例えば業者のあれでチーフがいたりとかいなかったりとか、いることが義務づけられているんですけれども、肝心なところのそういう指示する人がいなければ、いろいろ現場で気がついても、直接その調理員とか職員にいっちゃいけないそうですね。いっちゃいけないというか、派遣法という法律、これは労働基準法ですか。
 そういうことで、今まで直営の場合だと、給食委員会とか懇談会とかを持って、栄養士さんや調理の方だとか学校の関係者も入って、いろいろ献立についての意見とか要望とか、また苦情があったらそういうのを聞いて、改めることは改めた、まさにやっていたと。しかも、それが障害児という、本当にもう食べることそのものが教育というか、大変な中で、それが断絶されて委託業者がやって、そこに対するいろんな問題が発見されたりとかいうのも、指示書だとかそういうのを通じてやらなきゃいけない、責任者がいなければそれも通用しないという中で、きょうは多くはいいませんけれども、私、その総括文書を見させていただきましたけれども、さまざまな問題点があるように感じました。まさに民間委託の構造的な欠陥があらわれているんじゃないかと、私はこの分野では思いました。
 もちろん、民間委託がすべてだめだとか、反対だという態度を我が党はとるものではありませんけれども、学校給食は清掃委託とは違って、やはりやり直しがきかないというふうに思います。財務局においても、財政削減の効果のみならず、都民サービスの向上という、特にそういう障害を持つ子どもたちとか、そういう方々の立場に立った面からも、これまでの委託事業を総括し、障害児学校の給食調理業務については抜本的に見直しを求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 今先生からお話ありました個別の事例の前に、民間委託の考え方についてまず申し上げたいと思います。
 社会経済状況が大きく変化する中で、都の歳出を見直すに当たりましては、これまで行政が直接行ってきたサービスについても、より効率的な実施に努めるという観点から不断に見直しを行いまして、これは都民の税金でございますので、常に最少のコストで最大の効果を発揮するような体制にしていかなければならないのはいうまでもないことでございます。
 したがいまして、民間活力を導入することによって、従来のサービスをより効率的、あるいは効果的に提供できると見込まれるものについては、これは積極的に委託化を進めることは、時代の流れの中で見ても、いわば当然のことではないかと考えてございます。
 この委託によって、サービスも充実しながらコストの削減も図れれば、そこから生み出された財源を、都民のための他の事業に振り向けることが可能となるわけでございまして、そういう意味では、都民サービスの向上を図るためには、今後ともこうした委託を進め、財源を有効に活用する努力をやはり積み重ねていかなきゃならないと、このように考えております。
 今、先生からお話のございました障害児学校の給食調理の委託の問題につきましては、基本的には所管局にお尋ねをいただきたいんでございますが、障害児学校の給食調理の委託、この問題については、教育庁から、きめ細かなサービスの確保と事業の効率化という観点から実施しているという方向で打ち出されておりまして、十五年度においても、こうした考え方に基づき、さらに対象校を拡大していくとの予算要求を私ども受けているところでございます。

○松村委員 確かに所管局が、そういう現場から、やった結果の問題点があればそれをきちっと受けとめて、改善すべきものは改善する、それが委託になじまないんだったら、やっぱり思い切ってそれを変えるなりして、財務当局にも財政要求というか、それをやるべきだと私も思います。
 しかし、やはりそういう事態も、例えば財務局などが示す予算編成主義や財政の考え方、シーリングをかけると。ですから、所管局の受けとめ方も、そういう点での減った中で、どこか業者を見つけなければならないという、そういういろんなやりくり、それは所管局だけじゃなくて、財務局がやる契約事務の中にもあるかもしれません。全体がそういう枠がかかっているんだから、自分たちもそういうことでやらなきゃいけないという、そういう苦労や苦渋もあると思いますけれども、同時に、やはり都民サービスというか、ただ財政効率ではいかない面もとらえながら、何が都民の負託にこたえた予算というか、税金の使い方なのかということをよく踏まえた上で私はやっていただきたいということ。
 これ以上申しませんけれども、そういう点からも、この間の民間委託はぜひ総括しながら、都民サービスに遺漏のないように、特に私は、養護学校の給食調理を今取り上げましたけれども、この問題についてもとらえていただきたいということを要望したいと思います。
 次に、都有財産の活用についてです。
 財産利活用計画に基づき、財務局が都有地の売却を進めていますが、この計画に基づいて財務局が売却した土地の面積、売却額は幾らか。そのうち、区や市などに売却したものはどのぐらいでしょうか。

○小野田財産運用部長 都有地の売却について申し上げます。
 平成十二年度と十三年度の売却実績について申し上げますと、面積と金額ベースで、平成十二年度につきましては、件数で申し上げますと二百三十四件、約十万七千平方メートル、約三百十一億円、平成十三年度の実績で申し上げますと三百五十四件、約二十一万二千平方メートル、約八百七十二億円。
 それから、そのうちの区市町村への内訳でございますが、売却件数、面積、金額につきまして、平成十二年度は十四件、約二万平米、約二十億円、平成十三年度は十七件、約三万七千平米、金額にして約三十五億円となっております。

○松村委員 率にするとこれはどのぐらいでしょうか。それぞれ売却はどのぐらいの割合ですか。

○小野田財産運用部長 ちょっと今ここですぐに--暗算的になりますけれども、面積で申し上げますれば、十二年度については約五分の一弱になりましょうか。平成十三年度につきましては約三分の一、このようになってございます。

○松村委員 両方では二割強というところでしょうか。それにしても、ほとんどの都有地が民間やディベロッパーに売却されている、こういう実態にあるというふうに思います。財務局の方から都有地等のさらに幅広い利活用のあり方が出されていますので、これはまた改めて質疑したいと思うんですけれども、きょうここでちょっと一点、具体的な問題なんですけれども、今いいました都有地の活用といっても、区市町村に売却されるのは割合少ないと。しかし、やはりそれはいろいろな財政状況の中で利用したいし、区民、住民からの要望がありながら、なかなかそうはいえないと。そういう中でのさまざまな声も聞いております。もう少し無償提供、無償というか、またはいろいろ形を変えた区市町村利用ができないものかという点も今後ただしておきたいと思うんですけれども、具体的に一つこういうことがありました。
 清瀬市ですけれども、これは市道〇二六二、〇二六三号線、緑陰通りと呼ばれているそうですけれども、この道路計画を現在進めております。特に道路の屈折が急な箇所等、車いすの利用など歩道の構造上狭く利用しづらいこの路線を、少なくとも歩道幅員二・五メートルを確保しながら、道路幅員十一メートルとしての拡幅と改良を早急に行おうとしている計画だそうです。
 地元要望も大変強いものですが、特にこの都立清瀬療護園がある箇所などは、昔ながらの自然の樹林が保存されているので、これらを保存するためにも、拡幅整備計画は二・五メートル以上の歩道とする必要があるということで、清瀬療護園、また、その所管局の福祉局に協力をお願いし、大変結構なことだということでの、そういう承諾を得ているようですが、財務局が財産活用の点で同意しないということが今ネックになっているんだという話も、地元の議員、都議が聞いて、私たちとも相談したわけですけれども、こういう点でなぜそれが進まないのか、協力すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○小野田財産運用部長 この清瀬市の清瀬療護園の土地を市道にというお話についてでございますが、これまでの経過を申し上げますと、平成十三年、昨年六月に福祉局の方から、清瀬市からそのような道路の拡幅のお話がありますよという、私どもに一回相談がございました。
 それで、これを受けまして、私の方から福祉局に対して、これを優先的な取り扱いということは、今後福祉局と正式にご相談を申し上げまして考えていくこととしていきますけれども、しかしながら、これを無償でお譲りするということについてはできないと、およそそのようなお話を伝えておるわけでございます。ただ、まだ正式に清瀬市の方からご相談を受けておらない、こういうような段階でございます。

○松村委員 私は、都民、市民、住民というのは、どこが都政で、どこが区政だとか、必ずしもそういうのは明確じゃなくて、そういう道路整備で歩道をつけて、そこの清瀬療護園の子どもたちや関係者が、今車いすでここを毎日通る、しかし、そこは歩道がなくて通れなくて、わざわざ車道を通るというのを見ていて、それを地元の自治体が、そういう歩道で緑も残してきちっとしていこうと。
 これは、そこだけをやるというんじゃないですね。ほかにいろんな社会福祉施設や民間もあるけれども、みんな協力してもらったりとか、いい返事をいただく中で、今の東京都の財務局が反対したからそれはできないんだというふうなことは、私は東京都にとっても名誉な話でもないし、今、確かに福祉局と今後話し合っていくというご答弁をいただきましたけれども、無償かどうかというのは、それはいろいろあると思います。しかし、底地を譲らないで協力するやり方も幾らでも考えられると思うんですね。それから、何か療護園に重大な支障があるといったら、また別の考え方でしょうけれども、それは地元の療護園にとってもこんないい話はないというので、やってほしいということに対しては、少なくとも私は、柔軟なというか、前向きな方向で、これ以上申しませんけれども、この解決を図っていただきたい。
 そういうことで、私、具体的な事例を聞いた中で、やっぱり都の財産、都民の目から見たら、まだまだ本当に貴重な財産がいっぱいありますよ。もっと地元のために有効活用してほしいという声がたくさんある中で、なかなかこれがそうなっていないと。私、この問題では、前期ですか前々期、当財政委員会のときにも、当時いろいろ利活用が出されて論議しました。そのときに自民党の大西さんなんかも、ほかは違うけれども、松村と自民党は全く一致しているんだという、そういう声も上げられた中で、またこういうような事例を見た場合には、ぜひ都議会も応援しながら、きちっとした取り組みを進めていけるように、私は改めて--きょうはこの程度でとどめますけれども、今後新たな都有地の有効活用の一つの方針も出されましたので、このことについては私たちも大いに問題点があると思いますので、論議をしたいというふうに伝えます。
 次に、都の財政運営について伺います。
 石原知事の選挙公約のトップ、これに何を挙げていたか、皆さんご存じですか。私も改めて都知事選挙公報を見ましたけれども、借金漬けの財政にノーというのがこのトップに掲げられているんですよね。石原知事の三年八カ月、都財政はどうなったんでしょうか。

○松澤主計部長 今、借金漬けの都財政というお話がございましたけれども、都債については、将来の財政負担を十分に配慮しながら、その時々の社会経済情勢や都財政の状況に応じて有効に活用していく必要がございます。都は財政再建推進プランに基づきまして、平成十二年度以降、財政構造改革の一環として新たな都債の発行を極力抑制をしているところでございまして、都債発行額も、石原知事が就任した直後の十一年度は七千二百四十九億円だったわけでございますけれども、どんどん抑制してきておりまして、十四年度予算では三千七百十五億円というところまで低下してきております。
 この三千七百十五億円というのは、歳入総額で割り返しますと、起債依存度が大体六・三%ということになるわけでございますけれども、現在、地方財政計画全体ですと一四・四%、それから道府県の平均も一一・五%ということですから、もう半分以下に都債を抑制してきているというような状況でございます。したがいまして、こうした取り組みによって、都債残高についても増加が鈍ってきておりまして、最近ではほぼ横ばいということで、これはもう借金漬けというような状態では全くございませんというふうに認識しております。

○松村委員 知事のもとでの財政運営をつかさどる財務局ですけれども、今、主計部長さん、そういうふうにいい切っていいのかなと。石原知事は、はっきり都民に、借金漬けの財政にノーなんですよね。ところが、今いいましたけれども、都債ですね、借金の残高の推移が、皆さん方が出しましたそのパンフレットにも載っていますけれども、これは私、どう見ても見間違いじゃないと思うんですよね。十一、十二、十三、十四と、ずうっと借金残高はふえているのが実態じゃないでしょうか。
 いや、そうはいっても、確かにその前に、借金をする都債の発行は、ジグザグはありながらも、確かにピーク時よりも落ちてきているんでしょうけれども、またこの十三、十四を見ると、今おっしゃったような、十三年度、三千五百七十七億円、十四年度が三千七百十五億円と上がっているんですよね。
 それで、このまま三千五百億円台も都債を発行し続けていったらどうなるのか。私は、それはただ単に、いや、今後はもっとずうっと半分にするんですよというふうにならないと思うんですよ。なぜならば、先ほど来もあったように、都市再生だ、都市再生だといって、新たな大型公共投資といいますか、ふやす方向ですし、このままでいきますと、やはりその半分ぐらいは都債の発行になるんだろうと。
 そうすると、私どもいろいろ心配して、私たちも財政再建を果たさなきゃならないという真剣な立場から臨んでいるわけですけれども、これは毎年、二〇〇二年度から三千五百億円の都債発行をこの規模で続けたらどうなるのか。それはずうっと抑えて、ことしはそうじゃなくても三千七百十五億円ですけれども、これをずうっとやって三十年間後、二〇三一年どうなるかというと、粗目で、しかもいろんなのを抜いちゃって粗っぽくいっても、六兆七千七十四億円というのが私たちの出した数字で、だからこのままでいったら、都債の借金漬け、今の七兆円がなくなるどころか、ずうっと続いて、しかもその借金を返すために、いよいよピークになりますよね。借金を返してもこのようなペースを今皆さん方がやろうというのが、石原知事の下命を受けた財務当局の立場というか、あり方だと私は思うんですけれども、借金漬けをノーなんていうのは、全然いっていることとやっていることが違うんじゃないかと。
 今も主計部長さん、頑張ってそうじゃないんだというのは、いろいろ財政用語を散りばめて、いろんなほかの面の、都合のいいといっては失礼ですけれども、いい数字は確かに事実でしょう、並べ立てましたけれども、しかし、都民の目から見た立場は、はっきり石原知事は公約を守っていないというか、守らないんだということもいわなきゃいけないと思うんです。
 そこで、それはそれで今後とも我が党は追及する中で、さらにどうなるかという点で、財政再建推進プランに基づく施策の見直しの成果を誇っておりますけれども、どういう状況でしょうか。経常経費、投資的経費別の財源確保の目標額、確保額、それから達成率をお答えいただきたいと思います。

○松澤主計部長 先生から借金、借金というお話がございましたけれども、都債というのはいわゆる赤字を補てんするものではございませんで、そういう意味で借金という言葉はいろいろ解釈がございますけれども、やはり都民等に長期間供することができる、いわゆる公共施設を整備するための財源として発行するものでございますから、当然これは--じゃ、都債はゼロがいいのか、そんなことはないと思います。やはりこれは適切に発行しながら、そのときの財政状況、あるいは経済状況、いろんなことを勘案して活用していくことが基本じゃないかというふうに考えております。
 これから何か、三千五百とか七百発行すれば残高が全然減らないじゃないかというふうなお話もございましたけれども、今はかなりこういうことで抑制してきておりまして、十四年度以降の償還額の急増の大きな山を乗り越えれば、これは償還額は平準化するわけでございますし、発行額だけの問題でなくて、要は住宅ローンと同じで、ローンの返還能力があるかどうかというところが一番公債費負担の問題でございますので、一概に発行残高がこれだけあるからという三十年後の数字を比較して、そのときの日本経済、あるいは財政規模もどれだけ大きくなっているかももちろんわからないわけでございますので、この点については、そういうようなことも含めましてご理解いただければと思います。
 それから、本体の方のご質問でございますが、財政再建推進プランに基づく施策の見直しを、経常経費、投資的経費別に平成十四年度予算までの実績で申し上げますと、全体では八〇・六%でございますが、経常経費は、財源確保目標額千八百億円に対しまして確保額は千五百五十八億円ということで、達成率は八六・六%でございます。
 それから、投資的経費につきましては、目標額六百億円に対しまして確保額は四百四十一億円でございまして、達成率は七三・五%となっております。

○松村委員 これはどう見ても、石原知事の借金漬け財政にノーというのと、今のこの都政の実態、大体、一般会計総額に匹敵する、現在は上回る七兆円もの借金というか都債残高があるということは、これは異常ですよ。それから公営企業会計、これも五兆円近い。しかも、私はことしの十三年度決算をやりましたけれども、下がっていないというか、合わせたら十二兆円と。
 私はさっきいろいろな指標を出しましたけれども、こういう自治体というのはないというふうに思いますし、なぜこんなふうな事態に至ったのかという点においては全く反省がないというか、きょうは余り指摘しませんけれども、バブルに乗って、臨海副都心開発、あれも都民の税金は一円も使わないというようなことでやり始めて、使わないどころか、今もう大変な火の車で、都民の財産がつぎ込まれているとか、やはりそういうことの反省をきちっとして、借金漬け財政にノーというならば、それなりの方向へ進まなければならない。これは後で私たちの考え方もはっきりさせながら、ただしていきたいというふうに思うんです。
 そこで、今、財政再建推進プランの状況の幾つかの指標、数字のお答えがありました。私は今の答弁を聞いても、経常経費の達成率が八六・六%、しかし投資的経費は七三・五%で、投資的経費の削減率に比べ経常経費が、これは一三%以上も高い数字になっていますよね。ここに示されているように、どこにこのしわ寄せをさせているのかが、この数字からもはっきりいえるんじゃないか。
 しかも、投資的経費も、大規模開発事業などは、先ほど来も話があった重点化とか効率化ということで、いわば続けております。しかし一方、住民生活や福祉のための公共事業--公共事業といってもそういう分野も含まれますから、だから、私たちは何でもかんでも公共投資、公共事業反対というんじゃ当然ないわけであります。そういう生活密着型の公共事業、しかも、これは地域経済の支えでもあるわけですけれども、こういう公共事業が大きく削減されているのではないでしょうか。
 今いった、いや、公共投資も減っているんだよと、達成が七三・五%だというんですけれども、その中身をもう少しわかりやすく、どういうふうに分析されているのかをお答えいただきたい。

○松澤主計部長 財政再建推進プラン、何回かお話ししていますけれども、平成十二年度から十五年度の四年間で達成するということを目標にしてやっているわけでございまして、ちょうど十四年度予算というのは三年目でございますから、単純に割れば、七五%いけば、それで一応の形がクリアされている。そういう意味で、投資的経費はそこに近いところまでいっているわけでございまして、特にそれを意図的に落としているとか、そういうことではございません。もう一つ、経常経費はそれ以上に進んでいるという状況でございまして、最終的な目標は両方とも一〇〇%を目指していく、こういうことでございます。
 そういう中で投資的経費については、今申し上げましたように、財政再建推進プランで抑制はしてきておりますが、これまでも生活福祉関連事業などを含めまして、事業の緊急性、あるいは必要性に応じて、さまざまな都市基盤整備を着実に進めてきているところでございます。
 特に今、大型開発というお話もございましたが、東京における空港、鉄道、道路などの都市の根幹となる施設の整備は次世代に引き継ぐ財産となるものでございますし、また、産業の活性化とか国際競争力の向上ということだけでなく、やはり都民の生活基盤を支える、その質を高めるという上でも極めて重要なものでございます。したがいまして、今後とも、限りある財源を投資効果の高い事業に重点的、効率的に配分して、その着実な整備を進めていくことが必要と、このように考えております。

○松村委員 投資効果が高いというのは一つの考え方、見方であるんでしょうけれども、だからといって、本当にそれが緊急にというか、今こういう財政危機の中で、後からいいますけれども、ほかの命にかかわる、また都民生活を助けてくれといっている、そういうところの予算まで切ってやるべき課題というか、事業じゃないということも率直に申し上げながら、私、いただきましたというか、調べたんですけれども、投資的経費の主要項目別内訳というのを今見ております。
 これで、例えば福祉関係は、十二年度は七百二十二億円が十四年度は六百三十億円と、それほど下がっている率は--これは下がっていますけれども、切り込みが、ほかの分野、例えば住宅は、十二年度には住宅関係は一千百八億円あったのが、十四年度は八十一億円なんですよね。それから教育関係、二百八十二億円が十四年度は二百二十一億円。それに対して土木関係は、三千九百九十四億円から十四年度は四千百六十三億円なんですよ。これが、この財政再建推進プランが始まっての公共投資の中身。明らかに今、そういう教育とか住宅とか福祉だとか、私たちがいう生活密着型の公共投資は厳しくなってきているんだと。
 それからもう一つ、土木関係費は、確かに当初のひところのピークよりも落ちている、落とさざるを得ないというか、落ちているのは当然だと思います。しかし、土木関係の投資的経費の中にも、本当はこれ、ちゃんとパネルをつくってくればよかったんですけれども、都立公園用地取得費の状況というのです。これを皆さん見てください。これを一目見たら、どれほどこの取得状況が減っているかと。
 今、こういう公園、必死になって屋上緑化だとか、高いお金をかけてやっておりますけれども、もっと今の環境問題、ヒートアイランド現象というものを抑えるためには、そういう規模の大きな都立公園がどれほど必要なのかということからいっても、同じ土木関係費は抑えているんだよ、下がったといっても、その中身は、一つの端的な事例としてこの公園、こういう分野が非常に厳しく切り込まれていると。また、小さいようですけれども、例えば道路の舗装、これもどんどん耐用年数を先延ばしにしていくと、傷んだり、修復がなかなか大変だという。しかも、そういうのは、やっぱり町場の中小業者がそういう仕事ができる。そういう分野まで予算を少なくしているというのが、抑えているといっても、この土木関係費の中身だということも私は指摘しなければならないと思います。
 ところでもう一つ、施策の見直しは、経常経費、それはより達成率が高いんだというふうにいっておりますけれども、財政再建の取り組み状況と平成十五年度予算編成の中で、わざわざといいますか、高どまりを続ける経常的な経費として、今後の歳出削減の課題などと指摘したのはなぜでしょうか。

○松澤主計部長 その前に、投資的経費のことは私も余りいいませんが、ただ、さっき先生から住宅がかなり、すごい落ちたような数字がございましたが、これは十四年度から都営住宅を特別会計に移管しましたので、八百億以上その分はそっちに行っている。あるいは高齢者の複合施設が十四年度で大体終わりますから、十五年度はそれが終わるとか、施設のものはかなりでこぼこがございますので、単純にいろんな形で比較しても、そこはそのときそのときの状況もございますので、まず、その点についてはご理解を賜りたいと思います。
 今お話しのありました経常経費の方でございますが、これについては財政再建推進プランに基づく内部努力と施策の見直しの柱に沿って、新たな都民ニーズに的確に対応できることなどを含めてこれまで見直しを行いまして、その削減を進めてきたわけでございます。しかしながら、こうした取り組みを進める一方で、今お話がございましたが、高どまりをしている経常経費がなお多く存在しておりまして、これが財政再建に当たっての課題として残されてきているわけでございます。さきに発表しましたこのパンフレットの中では、こうしたことを明らかにするとともに、こうした経費のうち、特に金額が大きい区市町村に対する補助金や、私立学校経常費補助を例示として取り上げたものでございます。

○松村委員 住宅関係の話がありましたけれども、それをとらえて、皆さんにいただいた資料の中に出ていたから私もそれは知っておりますけれども、しかし、住宅関係は新規住宅を一戸も建設していないと。じゃ、平成十年度には千六百二十六億円あったものが、十四年度は違うとしても、事実、十三年度は九百六十四億円で、大変な切り込み方、落ち込み方じゃないですか。それはそうなんですよ。都営住宅の新規建設はこの間ないわけですから、その分どんどん落ちている。それでもって、いや、それは違うんだ、住宅は重視している、予算をつけているんだと、主計部長、それはいえないでしょう。
 確かに今の金額をいった点においては、そういう要素も含まれているということは理解しますよ。でも、全体的には住宅とか教育とか福祉関係にしわ寄せがいって、逆に土木関係が落ちていないし、効率化、重点化で、そのしわ寄せが今いった公園とか生活密着型になっているんだということは、私はこれは否定できない事実だということをあえて申し上げたい。
 それで、今の高どまりの私立学校経常費補助と区市町村補助ですけれども、まだここに書いてある九・八%減で、一〇%シーリングも達成しないということをここでいいたいんでしょう。高どまりだということでしょうけれども、私はこの数字の拾い方も非常に不自然だと思ったのは、例えばここには、障害児ですね、都立の盲・聾だとか、私も予算書を一生懸命拾ってみましたけれども、入っていないんですね。私学関係の補助金の中には盲・聾とかそういうのを入れているんですよね。しかし、皆さん方のこの数字、どう打ったり、または問い合わせてもそういうのが入っていないというふうなことで、ちょっとそれは気がついた点が一点。
 それから、確かに十一年度が千三百六十二億、そして十四年度が千二百二十八億円で、一〇%に達していない、九・八%といっておりますけれども、実はこの私学の補助の削減は、青島知事当時の財政健全化計画ということで、私たちも大分論議しました。このときにこの補助が減らされているというか、実際減らしたんですよ、独自の考え方。
 さらに、それが今度は財政再建推進プランの一律一〇%シーリングというふうなことになってきたわけですけれども、この当時、ですからこの財政健全化計画のときの数字を、これは九七年、平成九年度ですけれども、この数字を出してみましたら、千四百二十七億円あったんですよ。それに比較して、皆さん方が、千二百二十八億円でまだ一〇%も削っていない、高どまりだといっているんですけれども、この千四百二十七億円とこの千二百二十八億円を比較しますとマイナス一四%なんですよ。
 そういうことが前段あって、そしてその私学助成というのは、今の私学が置かれている、または果たしている役割から見て、もう切実な、父母や私たち議会からも一致した要望があるわけですよ。それをあえて、何かここだけが高どまりで問題なんだという挙げ方というのは、私はこれは問題があるというか、よろしくないと。
 私、なぜそういう認識を持ったかというと、都立病院、この補助も五百億円が高いというので、都立病院側はまじめに受けて、一〇%だというから毎年一〇%カットしているんですよ。これは行政医療とか不採算医療をやっていて、当然法に基づいて出されているものを、それを一〇%シーリングだというのでやっていったら、都立病院で都民が願う医療ができないじゃないかと私は厳しく決算でも追及して、決して財務局は何でもかんでも一律に一〇%切れといっているんじゃないということもいったんですよ、財務局にかわって。そうしたら、はあ、そうですかという、そういう率直な声だったんです。
 そのときに私、中身を調べてみたんです。というのは、皆さん方が、都立病院の補助は高いと。それは他府県に比べて一ベッド当たり、いかに東京都が補助金が高いかという数字を挙げていたから、私は改めて調べたら、実は東京都の都立病院への補助というのは、建設改良とか、そういうのを一体となって補助しているんですよ。ほかの府県を調べてみましたら、それが別途手当てされているんですよ。ですから、私はつい直近の決算の数字も調べましたけれども、既に四百億円を割っていますか、四百億円の中の半分近くが建設改良なんですよ。そのための利払いだとかになっているんです。
 だから、そういう純然たる意味での医療費を一般財源から出しているという数字は、実際にはほかの府県に比べて決して高いということじゃないということを私は本当に確信を持って感じていたので、またまたこういう数字が挙げられたときに、一体どうなのかというふうに、そういう目で見たところ、やっぱりそういう流れもあるということをここで指摘しなければなりませんし、もう一つ、区市町村に対する補助金もありますので、これはこのままだと七%も伸びていると。これまたそのように素直に受けとめることができなかったんです。
 きょうは時間がないので余りいいませんけれども、皆さん方は、この財政再建推進プランの中で、五億円以上の経費を対象とした考え方だというんですけれども、この数字も実にわからないんですよ。十四年度の一兆七千六百五十六億円ですか、五億円以上で、この冊子から見ると、例えば、どことどこの数字をこれは拾ったんですか。それがわからないというか、ここで例えば市町村調整交付金、市町村振興交付金、特別区都市計画交付金、市町村いきいきまちづくり事業交付金とか、それから市町村土木費補助ですか、こういうものを見てみたら、ここに出ているのはこの間の推移ですけれども、六十二年度ぐらいから十年、十一年度ぐらいまでわかるんですけれども、私、率直に見て、いずれも減っているんですよね。ところが、皆さん方の中には七%増と。これは、この表題が区市町村に対する補助金ですから、何かぼやっとしているから、何を含めて七%増だといっているのか、ちょっと見当がつかなかったんです。事前にその数字を教えてくださいというふうに総務局の方にお願いをしておきましたけれども、財務局からお答えがいくでしょうというので、いまだこの質問時間まで来なかったもので、ちょっといきなりですけれども、この場で聞くわけですけれども、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 まず、私学助成とか市町村関係のお金をどうして高どまりで例示を出したかというお話ですけれども、これはすぐ削減するために出したというものじゃなくて、一つの分析といいますか、これから都財政をまた立て直していくための一つの課題として、こういうことがあるということを一つの例示としてまずお示ししたものでございます。
 なぜそういうことをお示ししたかといいますと、先ほど秋田先生からもご質問ございましたけれども、六十二年度と十四年度予算を比較しますと、税収は同じでありながら、歳出の方は八千億近く高くなっている。その一つの例として、先ほど補助費等というものがかなりふえてきているというお話をさせていただきましたけれども、この補助費等というものが、六十二年度のときと十四年度を比べると、いわゆる倍増しているわけでございます。その中に、この補助費等というのは、どっちかというと補助金とか助成金のたぐいでございますので、その一つの大きなロットといいますか、一千億を超えるようなものとして見れば、市町村の関係のお金であるとか私学助成、私学も千二百以上あるわけですから、そういうものをこれからもやはり一つの視点の中に入れて考えていかなきゃいけないということでご提示したと、こういうことでございます。
 そういう中で、今先生からお話のありました区市町村に対する補助金につきましては、七%何で伸びたんだ、おかしいじゃないかというお話がございましたけれども、これは、いろいろとらえ方ももちろんございますが、単純に市町村に直接交付する調整交付金とか振興交付金とかいったものだけではなく、もちろん、いろんな福祉関係の事業補助とか、そんなものも含めて全部を入れて集計しておりますし、また十一年度予算の段階から十四年度予算の段階で、例えば特別区については移管がございまして、車庫整備などはもう十一年度レベルのときからなくなりましたので、そういうお金は落として計算すると、今申し上げたような、十一年度と比べて全体で七%ぐらいふえてきている、こういうようなことでございます。

○松村委員 それはひどい話じゃありませんか。この市町村交付金とか市町村振興基金だとかが下げられている。それは、今の市町村なんか大変なんだからと、地元の区だって、もっといろいろな基盤整備だとかがあるんだという声がある中でも下げられてきたと。ところが、今いったみたいに、逆に東京都の施策で切っておいて、区市町村やりなさい、東京都は少し補助やりますよといってやらせたものまで全部含めて、この区市町村に対する補助金がふえているんだ、高どまりだ、けしからぬなんていう話は、それは乱暴過ぎますよ。そのことが一つね。
 絶対、それはそうですよ、だって、今聞いたら、福祉だとかそういうことの補助金までといったって、それは今度東京都にかわって身近な自治体の仕事の役割分担だから、東京都は一定の補助を出すからということの約束で引き受けたものまで切る対象にするんですか。今は切る対象とはいわないけれども、しかし、今までここに挙げたものは大体、例外なくとはいいませんけれども、全部切り捨て対象になってきたからこそ、こういうところに財務局が例示されるということの持つ重要性をいったんですよ。たかだか例示的に挙げたというんじゃなくて、今までみんなそういうことで事実切り込まれてやってきたじゃないかというのが、これは私の意見です。認識です。
 それから、当初よりも予算全体が減っているんだということをいいましたよね。私、そういうんじゃないかと思って、あらかじめ一つだけ調べたんですよね。それは、この私立学校の経常経費ですけれども、今いったみたく既に切り込まれましたという財政健全化のときの、九七年のときの予算は幾らかというと、六兆六千五百五十億円でした。今予算は減って、この二〇〇二年、平成十四年度は、当初予算五兆九千七十八億円ですよね。これは比率にしたらどのぐらい落ち込んでいたか。一一%なんですよ。今いったみたく、そのときの予算対比で見ると、この私学助成の切り込み方は一四%なんですよ。だから、その予算の規模が減るんだから当然少なくなるというか、それ以上のことをやっているということを、私はあわせてこれは指摘しておきます。答弁はいいです。もう時間がないから先に行きます。
 それで、やはり減らすべきは、私たちが指摘したいのは、こうした区市町村に対する補助金や私立学校経常経費などを削減するのではなく、経常経費の中で真っ先に削減すべきは、首都高速道路公団への無利子貸付や国直轄事業負担金など、国のいいなりに大規模公共事業を進める、こういう投資的な経常経費ではありませんかと。先ほど経常経費云々という話がありましたけれども、こういうところは全く手つかずで、これは経常経費が高いといっても、経常経費の中に含まれているんですね。実におかしいということで、我が党は従来から指摘しているんです。
 それで、これもこの間、首都高速関連と国直轄事業負担金の額、起債充当額を表にしてみました。これを見てください。全然減らされていないじゃありませんか。ほかは一〇%シーリングだ何だかんだって、福祉だとか教育だとか厳しい切り込みをやりながら、依然として二つの事業だけを上げただけで、しかもこの中での起債充当額も多額です。
 そしてもう一つの特徴は、この二〇〇〇年と二〇〇一年、この部分は現金なんですよ、現金。それはご存じのとおり、この間、前年度と前々年度ですか、ふえましたよね。最終補正で当初見込んでいた税収がふえたんです。どのぐらいでしたっけ。このときは五千二百九十五億円も最終補正を組んだんですよ。そのうち三千八百四十八億円も、これは現金で、今いったこの現金部分です、国直轄事業負担金や首都高速道路の方に気前よくといいますか、それ以外にも、例えば他会計から借りていた、まだ返さなくてもいい貸付金を前倒しで返還するとか、三千八百四十八億円も使ったんですね。
 先ほど来、三千六百億円の財源不足になるという。過去の話じゃないですよ。こんなむちゃくちゃなことをやっていなければ、そういうのをきちっと積んでおけば、今日三千六百億円の財源不足だといって、赤字団体にまた転落だとかいって、厳しいんだ厳しいんだとかいって、そういう都民生活にかかわる歳出抑制などやらなくても済んだんではないかというのが我が党の考えであります。この点についても伺っておきます。

○松澤主計部長 財政再建推進プランに基づきまして財政再建を進めていくに当たりましては、経常的経費、投資的経費、両方とも聖域なく見直しを徹底するという考え方でずっとやってきているわけでございますし、またその中で、大規模公共事業の例として、高速道路のお話も今ございましたけれども、これにつきましてはもうご案内のとおり、現在、東京は交通渋滞、あるいはそういう中の解消、そういうことで首都高の整備はやっぱり緊急かつ必要性が高いわけでございまして、このような都市の根幹となる施設の整備については、今までそういう形で着実にやってきたわけでございます。
 無利子貸付の投資的な経常経費というお話もございましたが、これは再三にわたりお答えしてきているとおり、こういう経常経費については投資的なものというふうな分け方は特にしてございませんので、何かそういう形でいわれても、なかなかそこら辺は、やはり我々、投資的経費はちゃんとやるんだと、こういう考え方に立っているわけでございます。
 それから、そういう中で経常経費、先ほどの話で市町村の関係でございましたけれども、調整交付金とか特別区のお金を落としたんじゃないかというお話もございましたけれども、例えば調整交付金については、十一年度百三十億だったものが、十四年度予算は百六十億でございますし、それから特別区の都市計画交付金も百億だったものが、今百四十億でございますので、何も全体的に全部が、何か下げて福祉とかいうお話もございましたけれども、いわゆるそういうことも含めて経費が伸びているものは伸びているし、減っているものは減っている中で、全体を合わせてさっきいったような数字になっているということをお答えしたと、こういうふうにご理解をいただきたいと思います。

○松村委員 答弁で一々いうから、あらかじめ予定していた時間が少し延びてしまって、ご協力いただいていることに感謝しますけれども、もう終わりです。
 それで、いずれにしても、先ほども効果が上がるといっても、私はこれからいろいろ検証したいと思うんですけれども、例えばよく石原知事がいう環八の井荻トンネル、私も練馬区なのでここは通っているところですけれども、確かに日によってはスムーズに通れるときもあれば、やはり相変わらず大渋滞をしていると。タクシー運転手さんも、何曜日の何は、もう絶対あそこは入らないとか、お客さんを断っているとか、大変な事態もあるんですよ。私は、そういうふうに今道路をつくればつくるほど車を呼び込んで、やはり大変な事態になるということも一方においてはあると。必ずしも一つの事例、たまたまそういうことをとらえて、それが投資効果だ、経済効果だったということは決していえないということも、今の話がありましたが、ここは都市計画じゃないので、厳しく指摘したいと思います。
 今のトータルでは、大型開発はやめない、一方、福祉は切り捨てる。しかも、これから都市再生までやろうというのでは、まさに都政は新たな開発会社となり、これでは本当に自治体が自治体でなくなってしまうというふうに思うんです。そういう意味では、新たな都市再生などという大型開発はやめるとともに、臨海副都心開発を初め大型公共事業を徹底的に見直し、公共事業の中身も生活密着型に切りかえ、都債の発行も三千億円の範囲に抑えていくならば、都民生活を守る予算の確保も、財政再建の道も切り開けるというふうに我が党は考えております。予算の使い方の逆立ちを今こそ切りかえていくように強く求めて、質問を終わります。

○藤田委員 昨年に引き続きですので、いろいろな観点からということで、しつこいようですが、また何点かさせていただきます。
 財政再建の取り組み状況と平成十五年度予算編成の中で、起債というのは、いわゆる投資的なものについて起債をするわけですから、実際には建設その他の一般会計でするところと、それからあとの公債費というのは、それを返していくわけですので、どうしてもそこの都債と建設などの投資的経費と、それから公債費というのは、そこは全部投資的経費になっていくというような観点からすると、やはりこの財政再建の期間中だけでも、少しこの額を落としていかなければ、なかなか先へ進まないだろうと。
 日本だけでなくて世界的に見ると、起債をしてはならないと決めている会計もあるようで、必要なものがあればお金をためて、そしてその公共事業をやっていくというようなところも一部にはあると聞いていますけれども、もちろん先ほどから松澤さんおっしゃるように、将来に対しての財産ということでありますけれども、ある意味では、私たちの世代でそのお金を使い切ってしまっていいのかどうかということもあろうかと思います。後に続く人たちが決めていくだけのお金を残していくということも、やはり重要な観点かというふうに思っています。
 財政再建推進プランの前と後で起債の状況がどんなふうだったか、平成十年度から十三年度までの決算でお答えをいただきたいと思います。

○松澤主計部長 財政再建推進プランの計画期間、平成十二年度から十五年度の四年間でございますが、お尋ねの都債の決算額の推移を申し上げますと、プラン策定前の平成十年度は七千四十二億円、平成十一年度は七千二百四十九億円となっております。これに対しまして、このプランの初年度でございます平成十二年度は三千八百四十三億円、また十三年度は三千百三十三億円となっております。このようにプランに基づく財政再建の取り組みによりまして、大幅に都債の発行を抑制してきているところでございます。

○藤田委員 それと、十三年度の都債計上額が、最終補正予算と決算とでは、実質、今お話がありましたように三千百三十三億ということですので、九百億円の減少ができたわけでありますけれども、これについてはどんなふうになっていますでしょうか。

○松澤主計部長 先生今お話しのとおり、十三年度における最終補正後の都債の予算計上額と決算額とを比較いたしますと、NTT債の無利子貸付金を除きまして、実質的に九百億円ほどの大きな差が生じているわけでございます。これは主には、当初予算では見込むことのできなかった都有地の売却などによりまして、約五百億円の臨時的な財産収入が生じたために、この増収分を活用しまして都債の発行を抑制したと、こういうようなことでございます。
 それから、また加えまして、当初見込んでおりました用地買収が一部未執行となったことなどにより、その見合いとなります都債の発行を見送ったことや、あるいは翌年度への繰り越しを行ったことによりまして発行予定額が減少したものでございます。

○藤田委員 推進プランの前と後で起債額を大幅に抑制していることは、ある意味では評価をさせていただきたいところなんですが、単年度の単式簿記といいますか、これまでの会計制度によりますと、結局、都債というのは何かというと、要するに収入なわけですよね。一部聞くところによると、石原知事は、都の負の遺産は何かというふうに聞かれたんだけれども、そこにすぱっと答えられなかったというようなことがあって、会計制度における赤字がどれだけかということがなかなか出てこない。それも固定資産ということから考えても、なかなかそこが出てこないというようなことがあって、その後の会計制度というようなことにつながっていくんだと思うんです。
 それで、今まではいわゆる財政というような考え方しかなかったのを、これからは財務という考え方に切りかえていくといいますか、地方分権推進の中でやはりそこが重要になろうかと思うんですね。この自治体財務という考え方からすると、そこはディスクロージャー、要するに情報公開をどれだけして、そしてアカウンタビリティーをどういうふうにしていくか。普通に説明責任というんですけれども、一番もともとの考え方からいうと、アカウンタビリティーというのは、会計をどういうふうに明らかにするかということだと聞いていますので、そこが一番重要な点だというふうに思うわけです。
 それで実際には、きょうの質問は、「機能するバランスシート」の辺をずっとお伺いするつもりだったんです。ところが、先ほどご質問にありましたように、けさの新聞で会計制度の話が出てまいりまして、私たちも、ある意味ではここへ到達するために、その間にどういうやり方をやっていくのかということでずっと質問もいたしてきたつもりですし、バランスシートをつくり、コスト計算をすることによって、そして実際に事務事業評価をやって、どうやって本当に必要なお金を、ことしはここにかけよう、ことしはここにかけよう、優先順位というふうに先ほどおっしゃいましたけれども、優先順位もその事務事業の中で評価することによって、そして会計制度を変えることによってこれが明らかになってくるというふうに考えていましたので、その質問をするつもりだったんです。
 ところが、いきなり会計制度が公会計に変わるよという話になってしまって、これは実は今までもいわれていたことで、「機能するバランスシート」、それから事業別バランスシートの作成マニュアルというのを実際に統一して財務局はつくって発表をしたわけです。七月二十四日でしたでしょうか。それをずうっと突き詰めていけば、公会計制度を改革するということにつながっていくんだと思いますし、それからこの間発表になっています、柔軟で活力ある財務局を目指してという財務局の将来像の中にも、公会計制度改革の推進ということで、先ほどお話がありましたように、九月には出納長室と共同で検討委員会を設置して、外部の専門家の意見を得て作業を進めているというふうになっているわけです。
 実際には私の質問を七問ほど考えたんですが、実は、この中で財務局で答えられるのは二つだけですといわれちゃったんですね。あとは、実際にはあっちの局とこっちの局ですので、ご主張で述べてくださいという話でありまして、ということは、事務事業の行政評価というところは知事本部でやっているわけですし、それから事業別のバランスシートづくりはそれぞれがやるんだと思うんですね。そういうことでありますので、この財務と出納で検討を進めてきたといって、きょう発表になってしまったものを、各局含めて今後どういうふうな手順で進めていこうとしているのかということをまずお尋ねをしたいと思います。

○松澤主計部長 先ほど申し上げましたように、まず財務局と出納長室の間で、これから基本的なあり方とか、いろんなことを検討を始めている状況でございますので、その結果を踏まえて、これから各局の問題になりますので、現時点では、そこら辺まで具体的に明らかにするといいますか、そういうことを検討した中でこれから明らかにしていくことでございますので、特にまだ明確にしてございません。

○藤田委員 そうすると、この二〇〇四年度試行というのは、日にちを区切ったということではないのですか。

○松澤主計部長 本格実施をする前には、やはり試行しないと当然やっていけないものですから、進んでいく段階としては、試行ということをとる必要があると考えておりまして、ただ、それを各局の問題も含めてどういう形でやるのかは、まだこれからの問題だということでございます。

○藤田委員 まず、事務事業の評価をしっかりやってくださいという話を私はしました。その後、バランスシートづくりということでは、単年度で、昨年からですから、なかなか難しいですけれども、少なくとも重要施策についてはそれをやってみたらいかがでしょうかとか、あるいは事務事業評価をやった事業についてはバランスシートをまずやってみてくださいと。それこそ都の施策を全部数えれば二万件ぐらいあるというようなことでしたので、全部の事業が対象になるかどうかはなかなか難しいというふうに思っているわけですけれども。
 それと、昨年質問したときに、予算編成のとき、予算にどういうふうにこれを反映させますかとお話をしましたら、会計の時期なんかが合っていないので、なかなかそれを予算編成に反映させるのは難しいというようなこともあったんですけれども、この辺は課題としては、何かその間にお考えになったことがありますでしょうか。

○松澤主計部長 今先生からお話ございましたように、複式簿記、発生主義会計を導入する前提として、今までのやり方ですと、決算から財務諸表の作成までにタイムラグが生じて、それから把握できないデータがある等の問題があったわけでございまして、こういうことを解決しないとなかなか複式簿記の段階に進めていけないという課題がございます。
 そういう意味で、これから検討をもっと具体的に進めていくわけでございますが、やはり公会計に企業会計を導入する際の基本的な考え方を整理するとか、それから自治法、会計法の現行法規の関係の問題とか、それから標準的な会計処理の基準とか、いろいろそういう課題もございますので、繰り返しになりますが、まず出納長室と一緒に、財務局との間でそういうことを具体的にこれから検討していきたいと、そういうことで今進めております。

○藤田委員 もう一つ、事務事業評価というのはもちろんやらなきゃいけないことだと思いますけれども、私はバランスシートをつくったらどうかといってはいたんですが、実はそのバランスシートも、いわゆる営利企業と自治体とは目的が違うわけでありますし、それから利益の剰余の分配をどうするかとか、あるいはサービスや財の生産をどうするかとか、それから続けるか中止するかという指標が、普通は企業ですと利潤率といいますか、そういうものになるわけですけれども、その辺は営利企業は明確なわけですけれども、自治体のバランスシートが必要だという結論を仮に出しますと、そういう利潤率でやっていくわけではないですので、バランスシートをつくる、そういうことを度外視しても、でも、やっぱりバランスシートをつくらなくちゃいけないというようなことをきちっと明確にして、それを都民に説明していくというか、そこの部分がないと、なかなかこれは単純に企業会計がいいのだというところにはたどり着かないと思うんですけれども、その辺については特に何か今ありますでしょうか。

○松澤主計部長 先生おっしゃるとおり、公会計に企業会計を導入するという形ですから、必ずしも企業会計と全く同じというわけにいかないわけでございます。そういう面で、その際の基本的な公会計導入としての考え方をちゃんと整理して実施しなきゃいけないこともございますので、まさにそういうことを今検討しているところでございます。それから、予算面でも事前議決とか、いろんなそういう法的な部分もありますし、そういうこともクリアしなきゃいけませんですし、一方で、それぞれの事業をこれから評価するに当たっても、そういった前提をつくらなきゃいけないものですから、まさに時間の制約の中ではありますけれども、汗をかいてこれから一生懸命頑張りたい、このように思っております。

○藤田委員 実際には総務省の方は、そこへまだ全然進んでいないのが現状だと思います。ここにも、いわゆる義務づけられている単式簿記の帳簿はやっぱり並行して出していかなければいけないという二度手間になる--二度手間というか、今までのをやって、それのほかにつくれば、そこのところは大丈夫だというようなお話があろうかと思いますけれども、国に対してどんなふうにこれを進めていくといいますか、会計を変えていこうと。これは国際基準の話もありますし、既にそういうのは一般的にはやろうというふうにはしている状況、国際基準の大きな大会なんかも日本で行われておりましたけれども、その辺についてはどんなふうな手順といいますか、やらなければいけないことなどについてどんなふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

○松澤主計部長 国の方は、やはりこういうバランスシートなどは、現行の単式簿記とか現行会計を今のところは前提としながらも、それが不十分であるからそういうものを補足するといいますか、それをもっとよくするために使ってくださいと、そういう形で今進んでおりますので、基本的な部分を変えるということになりますと、先ほど申し上げましたように、法律の問題とか、いろんなそういう問題もございますので、そこを国の方に理解していただくためには、こちらの方もそれに沿った、いろんなあり方も含めてちゃんとしておかないと、なかなか国にも提案できないということでございますので、まさにそういうことを今これからやって、それでしかるべき時期に国の方に要望していきたいと、このように考えております。

○藤田委員 殊さら自治体財務ということの確立を主張していかなくちゃいけないというのは、今の財政の状況が、これまではとりあえず右肩上がりで何とかお金を工面ができるという状況だったと思いますけれども、今後、とてもなかなかそうはいかない。
 それから、少子高齢化ということを考えたときに、前回のときに私は質問しましたけれども、予算編成の中に、いわゆる想定外の歳出増の要因というところで介護保険のことが書いてありましたけれども、実はこれは非常にこれから大きな問題で、団塊の世代が六十五歳以上になったときには、まさにここの問題がより一層明確になって、支える人、要するに税金を支払う人が少なくなってしまうというような状況では、ますます今の状況がなお一層続いてしまうというような状況。もちろんそれがデフレ基調での財政危機だというところが、非常に大きな観点かというふうに思います。
 そういうことを考えますと、やはりもう少しこの財政ということが都民にわかりやすい出し方ですね、財政当局の会計も含めてですけれども、わかりやすいものをつくっていただきたいなというのがもう長年のあれなんですけれども、連結をしなければいけない部分もありますし、それから公営企業の下水の部分では、雨水、半分は一般会計からというようなことになりますと、それについてもどういうふうにしていこうかということもなかなか見えにくいところがありますので、公会計を変えていこうというこの機会に、なお一層わかりやすい、都民に本当に会計の上でのアカウンタビリティーが示せるような方法をぜひ工夫をしていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。

○川井委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩をいたします。
   午後三時二十六分休憩

   午後三時三十四分開議

○川井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○北城委員 未利用地の活用方法でございますが、先般も質疑があったわけでありますけれども、私の方からは、今までの財務当局の対応策を評価しつつ、これから、ある面では創意工夫によりましての地域の活性化にも資することができながら、また財産収入を上げることができる、そういうためには何が必要なのかということを視点に置きまして質疑をさせてもらいたいなと、こんなふうに思っているところでございます。
 一つは、公有財産を取り巻く環境でありますけれども、この十年間、かなり変化をしたんじゃないかなと、こんなふうに思っております。一つは、基準値の下落でありますよね。住宅地に関しましては四〇%、商業地に関しましては二〇%下落をして、恐らく長期的な下落傾向を維持するのではないかなということが予測されるわけであります。またもう一つは、行政改革等々によりまして事業所の統廃が進められるというようなことがあります。もう一つは、各分野におきまして統廃が進められて、恐らく未利用地の大幅な増加が予測されるというような環境の変化があるんじゃないかなと、こんなふうに思わざるを得ないわけであります。そして、さらにもう一つは、東京都の極めて困難な財政状況ですよね。先般から質疑がありましたように、来年度の関係におきましては、約三千六百億円程度の財源不足が予測されるというような、一つの東京都の財政状況の変化があるわけであります。
 このような公有財産を取り巻く環境の変化に対しまして、財務当局としてはどのような認識を持っているかということが、大変重要な視点になってくるのかなと思わざるを得ませんので、この認識につきましてご見解をお聞かせ願いたいと思います。

○小野田財産運用部長 現在、未利用の都有地は、財務局所管の普通財産のうち、都として利用予定があって保有する財産、または、利用予定がなくてこれから地元の自治体や民間などへ売り払い対象のものとしている財産を合わせて五百件、二百一ヘクタール程度あるわけでございます。また、土地の価格水準につきまして、都全域の平均で申し上げましても、お話しのとおり大変下がっておりまして、住宅地、商業地ともに平成三年から実に十二年連続の下落となっております。一方、都立高校の再編整備、あるいは都営住宅の建てかえ、こうしたものが進んでおりまして、今後、財務局に引き継がれます未利用地も増加することと考えられます。
 私どもといたしましては、こうした状況に応じました公有財産の管理運用あるいは売却が求められていると認識しております。

○北城委員 今ご答弁もありましたように、このような状況を踏まえて財政当局としましては、平成十二年でございますか、財産利活用総合計画の策定をして取り組んでおられるわけでありますけれども、先ほどの他の委員の質疑の中で、十二年、十三年の売却の実績はわかりました。ただ、資産の有効活用に対します基本的な考え方につきまして改めてお聞かせを願いたいなと、こんなふうに思います。

○小野田財産運用部長 資産の有効活用に対する基本的な私どもの考え方でございますが、先ほどお話しの財産利活用総合計画を策定いたしまして、財産につきまして、これまで適正な管理あるいは保有に重点を置く考え方から、これを行政資源の一つと考えまして、積極的に活用を図る方向に重点を移したわけでございます。
 この計画におきましては、各局の行政財産の利用実態を調査いたしまして、全庁的な視点から有効活用を図るとともに、各局の所管の未利用地を財務局へ引き継ぎまして、積極的に売却を図るなどのこととしております。

○北城委員 一たん財務局が引き取って積極的に売却をしていく、これは私、非常に理解できるところなんです。というのは、東京都の財政状況というのは、一つは財政再建推進プランが八〇%達成をしたとはいえ、来年度の財源不足が三千六百億円、かつ、来年度から都債の償還がピークを迎えて、恐らく高い数字を維持するでありましょう。にもかかわらず、減債基金の積み立てがもとのペースに戻っていかないというような一つの現状があるわけであります。
 私自身は、都債の積極活用に対しましては異論を持たないところでありますけれども、やはり減債基金の積み立てがもとのペースに戻って初めて財政再建の光が見えたと思っているものでありますので、このような状況を考えたときの東京都の財政状況、もう一つは、やはり遅々として進まない財源移譲の問題もあるわけでございます。そんなことを考え合わせたときに、売却をして歳入の確保を図っていくというようなことに関しましては一定の評価をしますし、また、そのような認識も持つものであります。
 しかしながら、東京都の特性でありますが、狭いスペースの中で政治とか、文化とか、あらゆるものが集約をされているわけであります。また、当然のごとく、大規模スペースの確保というものがなかなか難しい時期でありますので、これからは財政至上主義のみならず、東京都政の課題に対しまして、それらを解決するためにどんな活用方法があるかということをあわせて考えながら、そういう視点に軸足を置いた活用方法を図るべきであろうと私は思うわけでありますけれども、この点につきましてのご見解をお聞かせ願いたいと思います。

○小野田財産運用部長 先ほど申し上げました計画に沿いまして、都はこれまでも、売却だけではなくて土地の一時貸し付けによる暫定利用、これらに加えまして産業振興やまちづくり、こうした分野での各局の事業や区市町村事業を支援する立場から資産の運用を図ってきたところでございます。今後、これらを拡充するとともに、幅広い視点から未利用地を活用することを検討してまいりたいと考えております。

○北城委員 確かに、未利用地の事業所への貸し付けでありますか、先般報道されておりました。また、南青山一丁目団地に見られますようなプロジェクトの支援等々も理解できるところであります。ただ、もっと創意工夫をすれば、もっと有効活用を図ることができると私は思っております。
 例えば、NPOとか民間に対しまして貸し付けて福祉の拠点にするとか、さらには、まちづくりの一つの種地としまして優良な民間に対しまして貸し付けをするとか、例えば我々荒川区におきましては、統廃合によって生まれました駅前の中学校を施工事業者に貸し付けまして、地域の活性化に資することができながら、なおかつ財産収入を上げていったというような事例もたくさんあるわけでございます。
 こんなことを考え合わせたときに、これから創意工夫によりまして未利用地を活用する方向に軸足を置いて検討すべきであると私は思いますけれども、この点につきまして改めてご見解をお聞かせ願いたいと思います。

○小野田財産運用部長 未利用地の活用につきましては、単に売却するにとどまらず、例えば民間の活力も導入いたしまして、さまざまな工夫を行っていく必要があると考えております。先ほど申し上げましたように、土地などの資産を人や金と同じ行政経営の資源とみなしまして、都政各部門が行う事業や施策に積極的に役立てていくよう努めておるところでございます。
 こうした視点に立ちまして、先ほどもお話がございましたように、すぐれたアイデア、技術を持つベンチャー企業などに対しまして、民間事業者の支援制度として、都有地を活用した貸し付けを行う新たな施策をこのたび開始したところでございます。今後とも、いろいろな創意工夫を図りながら未利用地の活用に積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。

○北城委員 当然そのようにしてもらいたいなと、こんなふうに思っております。
 冒頭、答弁にありましたように、都立学校の統廃によりまして、恐らくオープンスペースが大幅に増加するでありましょう。また、都営住宅の改築によりましてもオープンスペースが大幅に増加するでありましょう。これが一つ片方でいえるわけであります。しかしながら、有効活用をするためには、私は一つの仕組みづくりが必要じゃないかなと、こんなふうに思わざるを得ないわけであります。
 例えば、財務局だけでそのような未利用地を検討するのではなくて、また、所管局だけでそのような未利用地の利用を検討するのではなくて、また、さらには財務局とある局との関係において検討するのではなくて、やはり全庁的に、この未利用地というものを行政財産の視点に基づきまして、どのような利用が最もふさわしいのかということを構築していく仕組みづくりが必要じゃないかなと思いますので、この点につきましてぜひご見解をお聞かせ願いたいと思います。

○小野田財産運用部長 事業の見直しなどによりまして、これから大量に発生してくると考えられる未利用地は、もちろん都民の貴重な財産といたしまして、都政のさまざまな課題に対応するため、有効かつ適切に活用する必要があるわけでございます。このため、こうした土地の有効活用につきまして、各局から情報をいろいろ幅広く収集するとともに、財務局の各部門が連携を図りまして、全庁的な立場に立った活用方法や仕組みづくりについて今後とも検討してまいります。

○北城委員 予定の十分が経過をしましたので、要望にとどめさせてもらいたいと思いますけれども、平成十五年で財産の利活用総合計画の最終年度を迎えるわけでありますよね。恐らく改定の準備を今進めているのでありましょう。やはり改定に当たりましては、未利用地をいかに活用していくかということを全庁的に検討ができるような仕組みづくりを、ぜひ改定に合わせましてご検討を賜りますことを強く要望しまして、私の質疑を終了させてもらいたい、こんなふうに思います。

○真木委員 民主党の真木でございます。
 本日は、二つのことについてお尋ねをしたいと思います。まず第一点は、都財政における危機管理という問題、そしてもう一点は、入札の制度の改革に伴いまして、その派生している問題点につきましてご指摘をさせていただきたいと思います。
 二点目の入札についてたくさん時間を割くことになると思いますので、まず簡単に都財政につきましてお尋ねをしたいと思います。
 先ほど秋田委員からも財政調整基金のお話がございました。秋田委員からは、財政調整基金、都としての余裕というような解釈を私なりにさせていただきますと、持ち合わせを必ず持っていなきゃいけないんじゃないかというようなご指摘だったと思いますけれども、同じような視点になるかと思いますが、緊急の出に備えた対応ということでお尋ねをしたいと思うんですが、まずその前提として、財政調整基金のその性格をお尋ねしたいと思います。

○松澤主計部長 財政調整基金は、長期的な視点に立った健全な財政を行うため、年度間の財源の調整を図ることを目的としまして設置される基金でございます。この基金は、税収の増加分や決算剰余金の一定割合をあらかじめ基金に積み立てる一方で、逆に税収の落ち込みなどによりまして財源が不足する場合には基金を取り崩す、こういった仕組みになっているわけでございます。
 こうしたことから、この財調基金は、他の元本取り崩し型基金や果実活用型基金のような特定目的基金と異なりまして、使途は限定されるものではございませんし、また、財源としても速やかな活用が可能となるものとなっております。

○真木委員 その目的、性格につきまして、まず年度間の財源の調整というお言葉をいただきました。つまり、入りの増減に対する備えということが基本にあるんだと思いますけれども、私はこれから東京都の--まだまだ東京都は永遠に続くわけであります。永遠といっていいのかな、道州制が組まれるかもしれませんが、その中で、いろんな緊急の出費というか、巨額の出費がこれからもたくさんあるだろうと、いろんな危険性が高まることがあるのではないかなと思います。
 現状におきましても、銀行税訴訟が行われております。一審においては東京都が敗訴をしたわけであります。負けて一千億円返せというのが出ました。また、さきに大気汚染公害訴訟もございました。もし東京都は満額払えということであればどうだったのかというような問題もあります。さらには、何らかの疫病がはやったりして東京都の責任が問われる、そんなことも多分にこれからあり得るでしょう。そうした具体的、何に対してということじゃありませんけれども、東京都がこれから、いつもいつも備えろというわけじゃありません。しかしながら、そうした巨額の緊急の支出が出る蓋然性が高くなったときに、それに備える財布というものは用意しなくていいのでしょうか。

○松澤主計部長 ご指摘のような臨時的とか突発的といいますか、そうした財政需要の変動に対して財源不足が生じた場合の問題でございますが、ただいまお答えしましたように、まずその場合には、積み立てている財政調整基金の取り崩しなどの活用を図ることが、財政運営上の基本的な対応になるものと考えております。ただ、その前提としまして、当然のことながら予算編成あるいは財政運営を進める中で、財政再建に取り組み、歳入の確保に努める一方で、徹底した歳出の削減を図ることによりまして、この財源不足を極力圧縮することによって体力を保持するといいますか、そういうようなことが前提として重要ということでございます。

○真木委員 財政調整基金も対応し得るということになるのではないかと思うんですが、であるならば、財政調整基金、先ほど来話がありましたように、十四年度末では一千二百九十四億円に減ってしまいます。社会資本整備基金七百三十七億円を踏まえても、東京都の方で臨時に使い得る貯金というものは、十四年度末では二千三十一億円になってしまうということでございます。
 私は、もう詳しくはるる申し上げませんが、現下の状況下、やはり緊急の支出に備える必要性というものはあるんじゃないかなと思っております。そのお財布が財政調整基金であるということであるならば、なおさらこの三千六百億円の財源不足がいわれている中であっても、財政調整基金は崩せない。いや、むしろ積み増しをしなければならない状況にあるんじゃないのかというぐあいに思っておるわけでありますけれども、来年度予算編成、財政調整基金の扱いにつきましてお尋ねいたします。

○松澤主計部長 今先生ご指摘のとおり、景気の先行きに予断を許さない中で、来年度の税収の動向は今後とも大変厳しい状況が続くものと見込まれておりまして、この税の落ち込みを補って財源を安定的に確保するためには、やはり財政調整基金の役割といいますか、これがますます重要なものになってくると考えております。
 したがいまして、財政調整基金については、今後とも必要に応じてその有効な活用を図る一方で、将来の財政運営に十分配慮して、一円でも多くといいますか、可能な限り残高を確保していくことが必要であると考えております。
 ただ、これから予算編成、まさに正念場に入ってきますが、三千六百億円の財源不足に対して、歳出抑制もやりながら最終的にどういう形になっていくのか、そこら辺も含めて、この財政調整基金の役割もまたそれなりに必要なものになっていく、このように認識をしております。

○真木委員 ここではるる申し上げませんけれども、どうぞ真意をお酌み取りいただきまして、緊急の支出に対する都財政の運営について万全を期していただきたいということを、あえてここでやめさせていただきますが、お願いをさせていただきたいと思います。
 続きまして、入札についてであります。
 これから、この問題をちょっと本格的にお尋ねをさせていただきたいと思うわけであります。この間の東京都の取り組み、国の入札制度、常にいろんな欠陥がいわれている中で、東京都は国に先駆けて希望制一般競争入札というような制度を始めたり、さまざまな工夫をなされてまいりました。今、庁舎管理部長をされております中村契約調整担当部長のもとでは、談合が発覚した場合、ペナルティー一〇%を科すというような改革もなされたところでございます。
 東京都のさまざまな改革、そして今回の予定価格の公表に始まります改革につきましても、基本的な方向性については、私は心より敬意を表するものであります。入札の落札率が一%下落したら、東京都財政は六十億円助かるということでございます。基本的には都民のタックスペイヤーという立場で、公共工事を初めといたします、物品を初めといたします購入費、支払いは、少しでも安くしたいというのは当然の話であります。
 しかしながら、一方、東京都として健全企業の健全な成長を助長していくという役割もあるわけであります。現下のこの不況期の中で、基本的にはこの入札制度改革、間違った方向ではないと思っているわけでありますが、しかしながら、改革には時期を選ぶべきであるという問題認識から、以下、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、四月以降の入札・契約制度改革の目的についてお尋ねをいたします。

○松村契約調整担当部長 本年四月以降の入札・契約制度改正の目的でございますが、一点目として公正性、透明性、競争性の向上、二点目として履行確保の厳格化、三点目として受注者責任の強化でございます。

○真木委員 まず、一番最初に挙げていただきました公正性、透明性、競争性の確保のために何をなされたか、お尋ねをいたします。

○松村契約調整担当部長 具体的には、公正性を確保し、透明性、競争性の向上を図るため、すべての競争入札につきまして予定価格を事前公表し、一般競争入札の実施範囲の拡大などを実施いたしました。

○真木委員 すべての公共入札でいいのかな--そこはいいとしまして、私はこの第一点目の目的であります公正性、透明性、競争性の向上という目的達成のためには、最もあってはならないものは、やはり談合であるというぐあいに思います。しかしながら、この談合の防止のために、予定価格の公表というものが役に立つのでありましょうか。

○松村契約調整担当部長 予定価格の事前公表実施範囲の拡大は、透明性の向上、不正行為の防止という観点から実施したものでございます。この実施にあわせまして、入札参加者の入札前公表の廃止、指名通知方法の変更、現場説明会の廃止など、入札参加者が一堂に会する機会をつくらないような措置を講じたところでございます。

○真木委員 わかっています。だから、そういうご答弁だと、もう一回聞かざるを得ません。
 予定価格の公表が談合の防止に役立ったのかどうか。一堂に集めない、もう別々に対応されて、業者選定十者指名する。今までは一度に現場説明会を行ってきたものを、別々に呼んでやっているという大変なご苦労をされているわけであります。私は評価という言葉は嫌いでありますが、本当にそういったご苦労に心より敬意を表するわけであります。しかしながら、その予定価格の公表が一体談合の防止につながったのかどうか、予定価格の公表は何に役立っているのか、お尋ねいたします。

○松村契約調整担当部長 繰り返しになりますけれども、予定価格の事前公表範囲の拡大の目的と申しますのは、基本的に透明性を向上させよう、あるいはいろんな不正行為の防止をさせようということでございますので、そういう意味では、ご指摘のように、談合防止にどのように役立っているのかという点につきましては、こうした総合的な観点から実施したというふうなことで答弁させていただきたいと思います。

○真木委員 私に何をいわれるのか、いわれるのが嫌だから避けている言葉があるわけでありますけれども、要は、予定価格の公表をしても談合の防止には役立たない。一方、この間、入札制度改革の必要性として、都職員、さらには都議会議員をも含めた贈収賄がございました。その贈収賄を防ぐためには、予定価格の公表というのは物すごい役に立つわけでありますね。
 つまり、予定価格を公表したら、都の職員、また、さらには議員、そうした政・官の人間が手がお縄になる危険性は極めて低くなる。一方で、業者側にとっては、政・官のみずから手がお縄になることを防ぐために行われた改革によって、業者がどういったものになっているのか。私は、そのみずからのアリバイづくりというか、ちゃんと公務を適切にこなしていればそういったことをしなくて済むものを、しかしながらお縄が続いている中で、その防止のために行った行為によって、地元の業者の皆さん、地域、地域の業者の皆さんが大変な思いをされているんじゃないかなという問題認識に立って質問をさせていただいている次第でございます。
 私は業者の代弁を行っているわけじゃありません。やはり防災対策、危機管理という観点からも、地域、地域に健全な企業が残っていくということが必ず必要なことであるというぐあいに思っております。今は業者の数が多過ぎるという指摘はあります。それはそのとおりだと思います。しかしながら、今のままいったら健全な業者までが倒されてしまう。悪貨が良貨を駆逐してしまうことがあるんじゃないかというのが、私の問題認識であります。
 そこでお尋ねをいたしますが、私は十一月十一日に東京都のホームページで調べさせてもらいました。十一月七日に、この都庁におきまして入札が行われました。全二十六件行われたわけでありますが、そのうち予定価格を公表されているものが何件で、そのうち何件がくじになって、そして、そのうち、この予定価格の公表に伴い最低価格の一番高い価格であります八〇%で幾つが落とされているか、お教え願います。

○松村契約調整担当部長 十一月七日に実施されました財務局契約第一課の入札件数でございますが、二十六件のうち、予定価格を公表した案件は二十四件でございまして、そのうち、くじ引きの件数は十一件でございます。また、さらにそのうち八〇%でございますが、それは十一件でございます。

○真木委員 今お答えをいただきましたように、二十六件の入札のうち、予定価格を公表したのが二十四件、残りの二件は測量でございますので、測量の予定価格は行われておりません。先ほど全入札に関して公表とありましたが、そこはちょっと違うのかなと思うわけでありますが、二十四件の予定価格が公表されたうち、十一件でくじが行われた。これはどういうことかといいますと、予定価格を公表したものですから、全部が八〇%でぽんと数字が出てくるわけですね。その数字で入れたら、全部くじでやられたということでございます。
 都営住宅千住桜木一丁目の電気工事の入札などは、十者のうち八者が八〇%以下で入れた。八〇%で入れたのが七者。つまり、八〇%を超えるので入れたのは二者だけであります。七者が八〇%で、七者によってくじが行われ、八〇%以下を入れた一者は無効ということになっておるわけであります。さらに、やはり同じように六者によるくじ引き、一者が無効、予定価格を下回った、つまり八〇%を下回ったというようなものもございます。さらに、私の地元の南多摩東部建設事務所、南東建といいますが、こちらの方では十者中七番手、七番札が落としたというような実態があるわけです。
 こういった今の入札の状況は極めて異常であるという認識のもとで、以下質問をさせていただきますが、まず、東京都におきましては予定価格の制度について自信があるんだと思いますが、その自信のほどをお聞かせください。

○福島営繕部長 予定価格の算出の基礎となります直接工事費の積算は、数量と単価により求められることになっておりまして、このうち数量につきましては、算出方法の統一性や積算事務の効率性などを確保する目的で定めております積算基準に基づき実施しているところでございます。また、単価につきましては、実態調査に基づく労務費や建設市場における価格変動等を反映しました材料単価を使用するなどして、適正な単価設定に努めているところでございます。こうしたことから、工事費につきましては適正なものと考えているところでございます。

○真木委員 実際に業者の皆さんのお話を伺いましても、東京都の予定価格、設計価格というぐあいに営繕さんの方でいうそうでございますが、予定価格が極めてシビアだと。昔は結構大ざっぱだった。しかし、最近の予定価格は本当に合っているという声を聞きます。そうした中で、八〇%を切っても、もしくは六六・七%、三分の二であってもいいんだというのは、これはどう考えても、厳格であればなおさらのこと--自信があるというぐあいにお答えいただいたわけでありますが、自信があればなおさら、この設定はおかしいんじゃないかなと思うわけであります。最低制限価格を三分の二、六六・七%から十分の八、八〇%の範囲に設定している根拠についてお尋ねをいたします。

○松村契約調整担当部長 都におきます最低制限価格は、例えば土工事やコンリート工事などの工種ごとに積み上げた予定価格に基づきまして、契約の内容に適合した履行がなされる上で不可欠な直接工事費等を勘案して設定してございます。

○真木委員 よくわからないわけでありますけれども、いうならばその十分の八から十分の九の間では、なぜいけないのかなということがよく見えてこないわけであります。国においては、百分の八十五が最低価格の上限ということになっているわけであります。三分の二から十分の八の合理性について全く納得をしかねるわけでありますけれども、さらに工事ごとの最低制限価格の決定方法について、工事ごとに六六・七から八〇の間で動くわけでありますね。そこが最低制限価格になるわけですが、その根拠がわかりません。そこについてお尋ねをいたします。

○松村契約調整担当部長 都におきます最低制限価格の算出は、原則として、工事ごとに予定価格算出の基礎となりました直接工事費の額と、共通仮設費の額及び現場管理費に五分の一を乗じて得た額の合算額を最低制限価格といたしております。ただし、その額が予定価格の十分の八を超える場合は十分の八とし、三分の二に満たない場合は三分の二としております。

○真木委員 今、最後にありましたように、十分の八を超えていても十分の八に切っちゃうわけですね。そして、十分の八で、八〇%で次から次に落札されているというのが現状であります。もう何も考えずに、予定価格が公表されているわけですから、八〇%を計算してぽんと入札に持っていけば、それでいいというのが今の業者の実態だというぐあいに聞いております。そして、さらに、都の方で十分の八を超えていても切っちゃうわけでありますから、その三分の二から十分の八の幅が広い方が、適切な加減設定ができる。国が、また、お隣神奈川県が八五であるのに、なぜ東京都が八〇でなければならないのかということは、私には理解をしかねるわけであります。
 その中で、今、そのように八〇%でぽんと持ってくるわけでありますけれども、八〇%で計算して、掛け算をして、そして入札現場にやってくるわけでありますけれども、東京都は入札の現場には見積書を持ってこいということを義務づけておりますね。落札者には、見積書、積算内訳書というものを見せてもらっているということでございますが、労務費なんかはこの八〇%では出るわけがないというぐあいに聞いておりますが、その労務費が積算されていなくても、八〇%であれば認めるのでしょうか。

○松村契約調整担当部長 公共工事の契約は総価契約が原則とされております。したがいまして、入札参加者の積算内訳書の内容によりまして落札者としないということは制度上困難でございます。

○真木委員 私どもが追及をしますと、業者等には必ず見積書を見せてもらっています、業者には見積もりを出させますということでいわれるわけであります。また、最初から最低価格を公表するとどうかということに関しましても、見積もり努力を失わせるということなんですけれども、しかしながら、業者が持ってくる積算内訳書にはどんな意味があるんでしょうか。

○松村契約調整担当部長 入札会場へ積算内訳書を持参してもらう意味でございますが、予定価格の事前公表範囲の拡大に伴いまして、入札参加者がみずから積算を行った上で入札に参加しているかどうかを確認するためでございます。

○真木委員 各社努力で積算をした、そうしましたところ予定価格を超えてしまった、しかしながら、予定価格を超えて入札をすることはあり得ないわけでありますから、えいやっといって適当な数字を入れて入札をするわけであります。ですから、多くの会社が入札現場で雰囲気を見て、さらに値引きをするというようなことであるそうでありますし、それをまた東京都として認めているわけですね。見積書が予定価格を超えていても八〇%で入れた、でも、見積書があればいいわけであって、そして、企業秘密であるから見積書を預からないということでございます。それならば、何のための見積書なのか。僕でも見積書を書けますね。
 そういった見積もりがあるからというのは、東京都の一応形式的な仕事ぶりでしかないというぐあいに思うわけでありますが、現場の声を聞きますと、予定価格の八五%を切ると労務費が出ない、とてもじゃないけれども人件費は払えないという声を聞きます。この声についてどのようにお考えでしょうか。

○松村契約調整担当部長 工事の予定価格は、材料費、運搬費等の直接工事費、準備費、安全費等の共通仮設費その他の諸経費を積算して設定されるものでございます。一方、実際の工事の施工に要する経費は、資材の保有状況、使用機材の調達コストなど、受注者の個別的な事情によりまして、予定価格と比較して個々の工事ごとにおのずから差が生じることとなりますので、ご指摘の点については一概に申し上げることはできないものでございます。

○真木委員 それは確かに一概に、一〇〇%そうだということにはならないんでしょう。しかしながら、一概にはいえなくても、概しては必ずいえるはずであります。もし今のこの八〇%、大半が八〇%--いや、大半が八〇%じゃありませんですかね。私の方で南東建の、四月一日の予定価格を公表して以降の今年度の落札価格を調べました。南多摩東部建設事務所におきましては三十一件の入札があり、うち八件が測量で、予定価格を公表されたのは二十三件であります。その二十三件の予定価格が公表されたうち、落札価格が八〇%以下のもの、二十三分の十七で八〇%以下で落札しているわけであります。
 もしこれを仮に一社がやり続けたら、そういう都の今の過当競争の中、絶対につぶれますよね。というのも、これは都の制度が悪いというよりも、時期が悪いというぐあいに私は思っているわけであります。今、公共事業の魅力があり過ぎる。民間の仕事が全くない、そして銀行の非常に厳しい取り立て、そうした中で本当に経営が危ない建設会社が多い。そうした中で、公共事業は確実にあしたのお金がもらえる。公共事業のあしたのお金、自転車操業のあすのお金をもらうために、採算を度外視して飛びついている。その中で、堅実な仕事をやっていた地域の業者が、業績の悪い会社に、そうした採算を度外視した入札で、本来なら、黙っていれば、もうあすにも倒れなきゃいけない会社が、そうした度外視をした入札で生き延びて、そして健全であった企業が、建設会社が仕事からあぶれていくというのが現状じゃないのかなと思うわけであります。
 そうした問題意識、健全な地域の企業がこうした中で、自然淘汰というんじゃなくて、自然淘汰ならいいんです、あしき形で淘汰されやしないかということにつきまして、ご見解をお持ちじゃないでしょうか。

○松村契約調整担当部長 入札価格は、入札参加者それぞれが企業戦略も含めて決定するものであり、必ずしもご指摘の状況に結びつくとは限らないと考えております。

○真木委員 入札においても政策誘導というのがあるんだと思うんですね。というのは、例えば東京都が胸を張っていっております分離分割発注、効率を求めるのであれば一括して発注した方が、ゼネコンにぼんと頼んだ方がよっぽど安いわけですね。だけれども、東京都は、中小企業の健全育成という観点から分離分割、これは公正取引委員会からも懸念が出されている、そういったものをあえてやっているわけであります。
 そうした努力をされている中で、今回、急に安ければいいだろうということになってまいりました。安かろう、悪かろうという業者は淘汰されるんだということでございますが、市場原理が働いて淘汰されるのであればいいのでありますが、入札というのは、最初に業者選定十者に入ってしまえば、その後は価格だけで行われるわけでありますから、民民であれば、あそこの会社に任せれば危ないから絶対やらすのはやめよう、業績が危ないから手を抜くだろう、もしくは完成までもたないんじゃないかという会社には絶対にだれも契約しないわけでありますが、入札制度の中では、価格さえ低く出せばその業者がとっていくという形で、自然淘汰の機能、市場原理が働きません。
 そうした意味からも一定の政策誘導、それは最低価格の幅をもうちょっと引き上げてあげて、東京都の政策誘導の幅を持つ。景気がよくなったらもっと下げていいんです。八〇以下に下げてもいいんです。そうした中で、地域の悪貨が良貨を駆逐しないような政策誘導というものを図るべきじゃないかなというぐあいに思うわけでありますけれども、その上で、予定価格の事前公表は、そうした意味からすれば基本的には否定するものじゃありません。
 しかし、今の不況下で公共事業がこんなにも魅力を持ち過ぎてしまっている状況、何が何でも八〇で落としていこう、あしたの金のために公共事業をとろうという状況では、大阪がやっておりますように、最低価格の公表、この方が妥当ではないのか。むしろ、極めて異例のことでありますが、イレギュラーの形として、最低価格の公表の方が現下の不況下では的を射ているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○松村契約調整担当部長 東京都は、競争入札の実施に当たりまして、参加希望のあった事業者を優先的に指名しており、現在でも受注意欲のある事業者によって競争が行われております。また、最低制限価格を事前に公表いたしますと、入札の適正な実施に不可欠な参加者の積算見積もりに対する意欲を失わせるおそれがあり、最低制限価格を事前に公表することは適当ではないと考えております。

○真木委員 現下の東京都が積算努力を行わせる制度のもとにおいて、かくも八〇%でくじが行われているという状況で、果たして積算努力が行われているといえるのでありましょうか。さらには、先ほど南東建の事象でございました、十者のうち六者が予定価格を下回って、そして七番札が落札をしているという状況があります。これでは、まさに運が二つ。腕のいい営業が会社の命運を分けるのじゃなくて、運の強い営業が会社の命運を分ける、運が二つあるわけですね。何かというと、まず予定価格を下回らない、七八かな、いや、七七じゃないか、まさに運でしかありません。
 建設会社においては、入札の前日は社内でみんなでごろ合わせをするんだそうです。そんな話を聞きました。このごろでいこうやみたいなこともいったりして、もう本当に運次第になっている。そして、予定価格を下回らないというくじ運の上で、さらにくじに勝つという運、二つの運が重なって、それに勝ち抜ける会社だけが東京都の仕事がもらえるという状況になっています。
 であるならば、最初からダンピング競争をやらせて、そして八五なら八五で、最初からくじで決めるということの方がいいんじゃないのか。これは決して正常な姿じゃないですよ、しかし、むしろ今の状況からすればいいんじゃないのかということを思ってしまうわけであります。
 私は関係者とちょっと話をしました。今、この仕事をやるつもりはないと。だけれども、私がホームページで見られたように、全都民というか、全国民が東京都の入札結果を見られるわけであります。九〇ぐらいで入札したら、あそこの会社は危ないんじゃないか、やる気がないんじゃないかと思われちゃうといけないから、七五でもちょっと入れてみるか、どうせ予定価格を下回って無効だよと思って入れたら、何と偶然とってしまった、こんなことがあるんじゃないですかという話をしたら、まさにある、これからこういうことが起こり得る、そういう話をいただきました。
 今のこういった運、不運、さらには最悪のこととして、やる気のない企業が仕事がとれてしまう、とってしまうような制度ではなくて、であるならば、むしろ最低価格を公表した方がよいというぐらいに、今のままの制度を続けるのであれば改善の必要があるというぐあいに思う次第であります。ぜひご一考をいただきたいと思う次第であります。
 予定価格につきましては以上で終わらせていただきますが、その上で公共工事、建設工事において作品のできばえというか、建設の仕事には作品性というものはないのかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。東京都において、その建設工事の工事全体--工事全体といいますのは、工事の施工中も評価の対象になり得ると思いますので、工事の施工中、さらには完成品の評定をしているのかどうか、お尋ねをいたします。

○福島営繕部長 都の発注する二百五十万円を超える請負工事におきましては、請負者の適正な選定及び指導育成などを目的にいたしまして、工事成績の評定を実施いたしております。評定は、お話にありましたように、工事の施工中に行うものと完成後に行うものがありまして、全体では百数十項目にわたっております。このうち、工事の施工中に行うものといたしましては、現場の安全管理面や品質管理面、さらには施工能力などの項目について評定しているところでございまして、また、工事の完成後につきましては、建物の仕上がり状態や設備の性能などの項目について評定をいたしております。
 これらの評定に当たりましては、より客観性を確保する観点から、複数の監督員と検査員によって実施をいたしているところでございます。

○真木委員 私もその制度の概要、評価項目等を見させていただきました。極めて厳格に、また多項目、さらには地域への貢献なども含めて、近隣トラブルがなかったか、そういったことも含めてチェックをしているということでございまして、東京都は非常によく頑張っていらっしゃるな、しかも、複数の係員が見てチェックをしていくということでございまして、非常にいい制度を始めたじゃないかというぐあいに思うわけであります。
 しかし、それが仕事の方に反映をされていかなければなりません。指名基準、最初の希望制競争入札十者を選考する中の指名基準においては、既発注工事の施工成績が優秀な者--モノをシャと読むそうですが、優秀な者を優先指名することができるということになっておりますが、これが全然反映されていないという地域、現場の声がございます。東京都は、いつもそういった制度をつくっているんですよというけれども、全然実態があらわれないんじゃないかというのがちまたの声でございますが、これにつきましてご見解をお願いいたします。

○松村契約調整担当部長 財務局におきましては、これまでも既発注工事の成績内容を配慮した上で指名選定を行っております。今後は、工事成績評定で優良点をとった者に対するインセンティブを高め、良質な工事施工を確保し、工事成績優良業者の一層の受注機会増大を図っていくために、さらに工夫してまいります。また、工事成績評定で不良点をとった者へのペナルティーを強化し、不良、不適格業者の排除にも努めてまいります。

○真木委員 これまでも既発注工事の成績内容に配慮した上でということでございますが、実態は余り行われていないと聞いておりますけれども、しかし今、重要なご発言がございました。今後は、工事成績評定で優良点をとった者に対するインセンティブを高め、工事成績優良業者の一層の受注機会増大を図っていくために、工夫をしてまいるということでございました。今後は、必ずそうした制度を導入していくということでよろしいでしょうか、確認いたします。

○松村契約調整担当部長 そういう方向で図ってまいります。

○真木委員 図ってまいるとお約束をいただきました。成績のいい者については優先的な業者選定ということだと思います。しかしながら、そういった優良企業ができるということになったけれども、今まではなかなかなされていないということでございます。そもそも、その工事成績評定の結果を財務局として集約をしているんでしょうか。

○松村契約調整担当部長 工事成績評定の結果につきましては、契約発注局ごとに集約しております。また、工事成績評定で不良点をとった者につきましては、各局から財務局に報告することとなっております。

○真木委員 要は、不良点をとったところのみ、ペナルティーを科すためだけに報告がなされているということであります。これでは建設の仕事は減点法だけですね。赤点をとらなきゃいいということになってしまいます。最初から、地域の仕事をとにかく減点をとらなきゃいいんだ、六十点以下をとらなきゃいいんだと思って来る遠くの業者と、地元に看板を掲げて地域の皆さんに--建設会社のおやじさんも、地域では地域のおやじさんであります。その会社の看板を掲げてまちの仕事をする、百点の仕事をやろう、いい仕事をしよう、まちに貢献をしようという思いで仕事をする地元の業者とでは、やはり仕事の仕方がおのずと違ってくるんだと思います。
 まずお尋ねをいたしますが、今、全庁的に全工事、IT化、来年からは電子入札を始めるわけであります。簡単なことなんだと思うんですが、その工事成績評定、集約をすべきじゃありませんでしょうか。

○松村契約調整担当部長 工事成績評定が優良な者の集約につきましては、早急に実施することといたしております。すべての工事成績評定結果の集約につきましても、今後検討してまいります。

○真木委員 確認をいたします。今までは悪い者しか集約をしていなかった、これからはいい者について早急に集約をする、さらに、すべてについてもその方向で考える、そういうことでよろしいですね。

○松村契約調整担当部長 そのとおり、先ほど申し述べたとおりでございます。

○真木委員 私、先日、しょっちゅうやっているわけでありますが、朝の街頭のご訴えをしておりました。町田の駅前、町田のまちに来たことのある方、今、来ていただきますと、まちが大きく変わっております。まちのど真ん中にぼんと大きな道路が通って、今まで交通渋滞していたものが大きく解消する、まちのど真ん中に大きな道路が通ったわけであります。十一月八日にオープンをしました。
 その十一月八日の前々日であります六日に、私がその建設現場の近くで朝のご訴えをしておりましたところ、朝の七時十分、その時間帯はサラリーマンばかりなんですけれども、高齢の方がきょろきょろしながらいらっしゃったんです。別に気にとめたわけじゃないんですが、マイクを握りながら、よく見てみますと、建設会社の社長さんでありました。よく考えてみますと、そこの現場の工事を担当した方なんですね。
 後で伺いましたら、まさに毎朝、家から近いということもあるわけでありますけれども、その工事現場に足を運んで、その施工状況を見ている。我が子のことのように気になさっているということなんですね。それがやはり地元の仕事に対するプライドなんだなというぐあいに改めて思ったわけでありますけれども、最初から赤点をとらなきゃいいと思っている業者と、地元のためにやろうとしている業者、そこはやはり違うということをぜひご理解いただきたいと思います。
 そして、さらに、神奈川県におきましては、災害応急工事に関する協定を結んでいる業者に対しまして、指名優遇の検討を行っているというぐあいに聞きますけれども、東京都として神奈川の動きをどのように評価しているのでしょうか。

○松村契約調整担当部長 神奈川県庁に問い合わせましたところ、協定を結んでいる者への措置について現在検討中とのことでございます。都におきましては、さまざまな業界と防災協定を締結しておりまして、災害応急工事の協定締結者のみに優遇措置を行うことにつきましては、公平性の観点からも慎重な対応が必要と考えております。

○真木委員 なかなか厳しいのかもしれませんが、工事成績優良業者、もしくは防災協定を締結している者について、優先的に契約について検討するというような余地はありませんでしょうか。

○松村契約調整担当部長 地方公共団体の入札では、競争入札が原則であることが地方自治法で定められておりまして、ご指摘のように工事成績優良業者や防災協定の締結者に対して随意契約を行うことは困難でございます。

○真木委員 なかなか実態としては難しいのかなとは思うわけでありますが、しかし、ご一考いただきたいのは、東京都も地方自治法の改正に伴いまして、平成十三年度に総合評価競争入札、新しい制度をやっております。これは今までわずか四件しかなかったということでございますが、しかしながら、新しい技術を検討したいときに、業者からその新しい技術、工夫を提案させて、その提案を点数化して提示をした価格と掛け合わせるというか、総合的に判断をして、落札業者を決めるという新しい総合評価方式を導入しています。
 こういったことが、地方自治法の本則にある価格の一番低い者を決めるというだけじゃない制度ができるのであるならば、例えば、これから東京都が厳格にやっております工事成績評定、これを点数化し、六十点で合格点でありますけれども、例えばでありますが、六十点を超える六十一点であれば、それをパーセントにして一・〇一というような係数にかえて、そして入札で提示した価格をその一・〇一で割ってやる、七十点であれば一・一〇で割ってやる。この係数の是非は別といたしまして、そういったような新しい入札価格と工事成績で総合的に判断をするということもできるんじゃありませんでしょうか。

○松村契約調整担当部長 現在の総合評価方式は、価格以外に技術的な提案を求めることが適する工事を対象としておりまして、評価項目、評価基準は個々の工事案件ごとに異なるものでございます。過去の工事成績優良業者が、当該工事において要求される技術的な要件を満たすということにはならないので、評価項目とすることにはなじまないと考えております。
 新しい形の総合評価方式についてのご提案でございますが、工事成績優良業者に対する配慮につきましては、さきに述べましたとおり、新たな優遇措置の検討の中で考えてまいります。

○真木委員 落札決定者においてはなかなか難しいけれども、先ほど来の確認をいたしますが、十者の業者選定の中でそういった成績優良業者に配慮していく、そこの時点ではやるということでよろしいですね。

○松村契約調整担当部長 そのとおりでございます。

○真木委員 最後の問題点を指摘させていただきたいと思いますが、もう一つの問題点としまして、指名停止期間がございます。これは六十点を切った者などに対するペナルティーとして、また、談合を行った者に対してペナルティー、指名停止期間というものがあります。
 東京都晴海総合学校で、二千数カ所の手抜き工事があったというぐあいに大きく報道をされました。そして、その後、東京都が指名停止期間を発表いたしました。そのときに、某T建設会社、ゼネコンでございますが、そこの指名停止期間が、茨城での業際研事件、他県での談合で指名停止期間が六カ月、そして東京都がみずから施行している、東京都の工事に対する手抜き工事といわれるものに対する指名停止期間が三カ月、合わせて九カ月の指名停止を行ったということであります。
 なぜ他県での談合が六カ月で、東京都が発注した工事の手抜きといわれるものが三カ月なのか。私は確認をしましたところ、そもそもの東京都の指名停止期間の要綱が、談合では最大十二カ月、そして他県だから今回六カ月にした。一方、手抜きは最大六カ月、そして、今回いろいろと情状酌量の余地があるから三カ月としたということなんです。だから、もともとの、刑法じゃありませんけれども、要綱の最大期間が、談合では十二カ月で、手抜きでは六カ月であると。
 談合では人は死なないけれども、手抜きでは人が死ぬと私は思ったわけであります。談合は絶対あってはなりません。しかしながら、手抜きは、もっともっとあってはならない。もっともっとというか、絶対にあっちゃいけないですね。地震が起きて初めて、建物が崩れて初めてわかるわけでありますから、この罰則も強化すべきである。
 手抜きには、いろいろと情状酌量の余地があるやにございます。しかしながら、意図的な手抜きというのもある。ましてや、ここまで落札価格が落ちている中では、そうせざるを得ない、これは建設じゃない業界の方でありましたが、ここまで下がってくるとビルが倒れるんじゃないですかねと社長さんがいっていました。そんなことも含めて手抜きに対する指名停止期間、これは強化すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○松村契約調整担当部長 談合行為は入札制度を根幹から脅かす重大な違法行為であり、手抜き工事とは、その性質が異なるものでございまして、指名停止期間が違うからといって、必ずしもバランスを欠いているとは考えておりません。しかし、公共工事の施工におきまして手抜き工事はあってはならないものでございまして、ペナルティーの強化についても検討してまいります。

○真木委員 ただいまペナルティーの強化についても検討してまいりたいと。東京都の検討という言葉は非常に重たいというぐあいに聞いております。重く受けとめさせていただきたいと思います。
 もう一点ご指摘をさせていただきますと、ペナルティーにも、同じ手抜きであっても、死傷者が出るとペナルティーが重くなるんですね。これは私にいわせていただくと、昼間、人がいるときにビルが崩れたら、人が死んでペナルティーが重くなって、夜だったらラッキーと。夜でだれも死ななかったら、同じ手抜きをしていてもいい、そういう問題じゃないんじゃないかなという思いもいたします。その点につきましてもぜひ指摘をさせていただきたいと思うわけでありますが、いずれにいたしましても、現下の不況下の中で東京都が行った今回の改革が、私は、基本的に一般論として考えれば、決して間違ってはいないと思っております。しかし、現下の不況下の中で今行われている実態はゆゆしき事態である。
 南東建の件でいわせていただきますと、二十三件中十件で無効が出ています。先ほど申し上げましたように、八〇%以下は二十三分の十七、また、十一月七日の一件で見れば、二十四件中十二件がくじで決まっている。これは改革の目指したものとは姿が違うんじゃないかなということを強く懸念いたします。
 私は業界の代弁をしているわけじゃ全くありません。今、例えば地元に雪が降ったら、建設協定を結んでいる建設会社が大雪の中、ブルドーザーを出していますよね。また、地震のときには、そういった建設会社が地元からなくなってしまえば、そのまちの復旧は大変なことになってしまいます。健全な業者が残る必要がある。
 東京都として、そのための政策誘導が今は必要なんじゃないかということを強く申し上げ、東京都が分離分割発注も全くやめるんだ、もうひたすらタックスペイヤーのために安ければいいんだという視点に立つならば、分離分割もやめた方がいい。しかしながら、私はタックスペイヤーのために、地域にも健全な業者が残るために--今は、健全な業者が死んで悪貨が良貨を駆逐する、そういう状況になっているということを強く申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○谷村委員 それでは、電子調達システムについてお伺いをしたいと思います。
 国では、電子政府構築に向けた取り組みの中で、最近、各省庁において電子申請、また電子届け出や、また国土交通省、それから総務省などでは電子入札システムなどが既に稼働したと、このように伺っております。
 都におきましては、平成十三年に電子都庁推進計画を策定し、都庁の電子化を促進し、業務の効率化と迅速化、都民サービスの向上に資するIT化の実現に向けて取り組みをされております。さらに積極的に推進をしていただきたいと考えているところでありますけれども、この計画の中で重要な役割を果たす電子調達システムは、平成十五年度からの電子入札に向けて開発が進められておりますが、そこでまず、電子調達システムの目的は何か、また、そのシステムの概要はどのようになっているのか、確認をさせていただきたいと思います。

○松村契約調整担当部長 電子調達システムは、さまざまな入札・契約情報をインターネットで提供するとともに、入札に係る一連の手続がインターネットを利用して行えることにより、来庁に要する負担が軽減されるなど、都民や事業者にとって利便性や透明性の向上を図ることを主な目的としております。また、都にとりましても、さまざまな契約事務処理に要する時間が削減され、事務の効率化を推進することができるものでございます。
 この目的を達成するために開発している電子調達システムは、都の発注予定情報や入札経過等をインターネットで一元的に提供する入札情報サービスシステム、都の競争入札に参加するための資格申請をインターネットで行う資格審査システム、入札参加希望票の提出から入札・開札までをインターネットで行う電子入札システム、及び契約案件の登録から契約締結にわたる業務管理を行い、他のシステムを統括する契約事務システムの四つのシステムから成る総合的なシステムでございます。

○谷村委員 一つには、企業や都民の負担軽減、調達業務の効率化、簡素化、入札のプロセスの透明性の向上、競争性の向上、いずれも時代の要請、ニーズの大変高いものでありますけれども、電子調達システムのこれまでの取り組みと今後の予定はどのようになっているんでしょうか。

○松村契約調整担当部長 本年四月より、発注予定情報や入札経過等をインターネットで一元的に提供する入札情報サービスシステムを稼働させました。十月からは、物品関係の入札参加資格申請をインターネットで行う資格審査システムを稼働させており、十二月からは工事関係の資格審査申請をインターネットで行います。
 電子入札システムにつきましては、平成十五年度の早い時期に財務局発注の大規模工事案件で稼働させる予定でございまして、平成十六年度以降、財務局での稼働状況を検証し、順次拡大する予定でございます。
 契約事務システムにつきましては、平成十五年度から財務局で稼働させ、平成十六年度以降、各局に展開する予定でございます。電子入札及び契約事務システムの各局展開に伴い、総合システムである電子調達システムが本稼働いたします。

○谷村委員 十月から稼働した資格審査システムですけれども、多くの事業者に大変大きな影響を与えると考えられますけれども、資格審査システムの導入によりまして、これまでとどのように変わったのでしょうか。また、申請状況がわかれば教えていただきたいと思います。

○松村契約調整担当部長 今回の資格審査は、従前は来庁していただきまして対面による審査を行っていたものでございますが、インターネットにより、会社または個人のパソコンから必要事項を入力するだけのものとなっております。また、継続して申請する場合は、パソコンの入力項目は既に登録されている会社名、所在地などのデータを利用するため、これらの基本項目の入力は必要ございません。提出書類につきましても見直しを行い、従前十種類程度提出されていた書類を最大二種類とし、郵送により提出してもらうことといたしました。
 次に、申請状況についてでございますが、十一月十三日現在、いわゆる昨日現在、申請プログラムを入手した者は約九千名、申請手続を終了した者は約四千三百名となっております。

○谷村委員 これまでは平均三十分の対面審査が行われて、午前に来いか午後に来いしかなかったみたいでして、早く来ても順番が遅ければ、一時間、二時間も待たされていた。ずるずるずるずる、もう半日仕事になっていた。そういったものが、都庁にわざわざ来なくてよくなった。提出書類も十種類から二種類と大幅な削減、事業改善が行われているわけですけれども、今の申請状況をお伺いいたしますと、申請プログラムを入手したのは約九千百者、大体前回が一万二千者というふうに伺っておりますので、これは今の申請状況でいくと、ほぼ大半の業者が新しい制度で申し込みがされる。申請手続が終了したのが四千三百者というふうに今お答えいただきましたけれども、実際、既に七千者以上が受け付けをされていて、今その審査中である、こういうことだと思います。
 中には、パソコンやインターネットにふなれな事業者がいるとも考えられる。これまでにもこのような問題提起が繰り返しなされてきたわけですけれども、実際にそうした事業者に対してはどういう対応をされたのでしょうか、また、されているのでしょうか。

○松村契約調整担当部長 資格審査として初めてインターネットを利用した申請となりますことから、パソコンを持っていない方やパソコン操作にふなれな方々のために、都庁にパソコンを用意し、入力をお手伝いする体制を整えております。十一月十三日現在、約二百名の方が会場申請を利用しております。このほか、申請にかかわるパソコン操作につきまして、電話で問い合わせができるヘルプデスクを設置して、申請がスムーズに行えるようにしております。

○谷村委員 今のご答弁にもありましたし、先ほどお伺いしましたら、実際にこのヘルプデスクには、延べ件数らしいですけれども、約四千件のお問い合わせがあったというふうに伺っております。こうしたヘルプデスクサービス等も含めてご配慮いただいて、事業者間のデジタルデバイドのないように進めていただいている、こういうふうに認識をさせていただきますが、東京都では中小企業の占める割合が大変に高いわけですけれども、低迷する経済状況や公共工事の減少などにより、中小企業の方々は今大変に苦しい状況に追い込まれているわけでございます。こうした点も踏まえまして、来年度稼働する電子入札におきましても、中小企業の方々に対しては一定の配慮をするべきだと思います。
 この中小企業の方々に対し、どのような取り組みをしていただいているのか、確認をさせていただきたいと思います。

○松村契約調整担当部長 現在、都内の中小企業が大変苦しい状況に置かれていることは十分認識しておりまして、都の入札・契約制度におきましても、中小企業に対する受注機会確保のための方策といたしまして、分離分割発注の推進、共同企業体方式の採用などを行っております。来年度から稼働する電子入札におきましても、こうした視点も踏まえて開発に当たっております。
 例えば、安全性の確認の証明を行う外部認証局の指定に当たりましては、利用しやすい価格設定について配慮し、認証局の決定を行うこととしております。また、都内の区市町村においても電子入札の導入が予想されますが、参加資格申請や外部認証の取得に当たりまして、事業者、とりわけ中小企業の負担をできるだけ軽減することが必要と考えております。このような見地から、区市町村との連携について協議してまいります。
 今後とも、電子調達システムの開発、運用に当たりましては、中小企業に配慮して進めてまいります。

○谷村委員 中小企業に対する受注機会の確保を引き続き進めていただいていると同時に、価格設定についても配慮していただいている。電子入札の際の認証システムの導入に、国のシステムでは設定費用などを含めまして十万円ぐらいかかっているというふうに伺いました。都では、利用しやすい価格設定になるように配慮をしていただける。さらには、都内区市町村が電子入札を進めていく際に、認証システムについては都と区市町村のシステムのあり方を、連携をしっかり進めていただけると。ちょっとしたことかもわかりませんけれども、中小企業の方々の出費を少しでも抑制するためには大変にありがたいことだと思いますので、ぜひとも推進をよろしくお願いしたいと思います。
 さきにも少し触れましたけれども、景気が低迷する中で、民間工事はもちろんのこと、公共工事も激変をしており、建設工事に携わる事業者、特に中小企業の方々は、コスト削減を初め血のにじむような努力をさまざまにされて頑張っております。しかし、ことしの夏に新聞報道などに見られますように、少なくなった公共工事を丸投げするなどの不正な手法で公共工事を食い物にしている業者がおります。中抜きで数千万円の利ざやが出たというような報道等もされておりましたけれども、これは摘発された一つの事例であり、氷山の一角であるとの指摘もあります。まだまだこのような事例が実は多くあるのではとの声が寄せられております。このようなことが放置されたままですと、まじめな事業者が圧迫されてしまう。つぶされてしまうだけではなく、貴重な税金で建てられた施設も、例えば手抜き工事などによって問題が生じないのか、大変に心配であるという声もあるわけでございます。
 そこで、こうした丸投げなどによる不正工事は建築物の品質や安全性にも影響すると思いますが、いかがでしょうか。

○福島営繕部長 ご質問の一括下請、いわゆる丸投げとは、元請人が請け負った建設工事を一括して別の建設会社に下請に出すことでございまして、建設業法では厳しく禁止をしているところでございます。こうした不正な工事が行われますと、不当な利得の発生や工事責任の所在の不明確化、また労働条件の悪化に加え、手抜き工事や劣悪な材料の使用などによる建築物の品質の低下、さらには不良業者の新たな出現などを招くおそれがあると考えております。

○谷村委員 昨年の四月に施行されました公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律では、丸投げ等の不正行為の排除徹底のため、各発注者に工事現場での施工体制の把握が求められておりますけれども、財務局ではどのように取り組まれているのでしょうか。

○福島営繕部長 財務局では、昨年八月に工事適正化推進要領を定めまして、都職員である工事の監督員が施工体制の把握を行っているところでございます。具体的には、請負者が配置した管理技術者が当該工事現場だけを担当する、いわゆる専任でその工事現場に当たるということを否かどうかということでございます。工事現場に常駐をし、主体的に施工管理を行っているか否か、また、施工体制が施工体系図や施工体制台帳の記載内容と合致しているかなどの確認を行っております。確認の結果、丸投げなどの疑いがありました場合は、建設業法を所管しております都市計画局へ通知をすることといたしております。

○谷村委員 現在は工事の監督員が行っているとのことですけれども、監督員というのは工事の施工全体を監督する監督員ということのようですけれども、その監督員だけで果たして丸投げのような不正の実態把握が可能なのでしょうか。実際に進められてみて、状況はいかがでしょうか。

○福島営繕部長 監督員は、複数の現場を抱え、工事の進捗過程に応じまして、請負者に対する指示、協議、承諾などの判断業務や設計図書との照合に加えまして、翌年度以降の工事の設計あるいは各局との協議を行う中で、施工体制の把握につきましては、チェックリストを使用いたしまして随時確認を行っているところでございます。しかしながら、不正行為は近年とみに巧妙、複雑化してきておりまして、丸投げの実態を見抜くことや、証拠の収集等につきましては極めて難しい状況にございます。

○谷村委員 不良業者を排除し、適正な品質の施設を確保することがまじめな事業者を守ることにもつながり、結果的には都民の利益にもつながるわけですけれども、今ご答弁いただきました、丸投げの実態を見抜く、また証拠の収集等は極めて困難と。監督員だけでは徹底した調査が難しいということでしたら、専門の調査組織、例えば丸投げGメンとか適正施工Gメンなどの創設が必要ではないかと思いますが、国では警察OBの人材も生かしていくように協力を求めていくという動きがあるようですけれども、ご見解を伺いたいと思います。

○福島営繕部長 財務局といたしましては、先ほどもご答弁申し上げました、品質管理などを徹底する観点から、不良不適格業者を排除するために厳正な対応は欠かせないものと認識いたしておりまして、お話にもありました徹底した情報の収集や調査などを行う体制を整備していくことは、不正を見抜く能力や資質の向上につながるとともに、こういった監視部門を置くこと自体が不正工事などの防止効果も生むものと考えてございます。
 また、事前の調査などによりまして、お話ございました職員の身の安全確保が必要と思われるような場合につきましても適切な対応を講じるなど、建設業法を所管しております都市計画局とも連携をいたしまして、監督員とは別な体制づくりが必要と考えているところでございます。

○谷村委員 監督員とは別に、専門の調査組織が必要とのご認識ですので、ぜひとも来年度からしっかり設置できるようにしていただいて、都としての不正は絶対に許さないという明確な姿勢を打ち出していただきたいと思います。また、先ほどのご答弁のとおり、専門組織を設けることによって不正を見抜く能力が向上する、さらには監視部署が都に設置をされるということだけで、かなりの防止効果、抑止効果にも大きくつながっていく、全くそのとおりだと思います。
 多くのまじめな事業者の努力が、一握りの不良業者の不正のためにつぶされないためにも、また、都の建築物の品質や安全性の確保のためにも、不良業者の徹底した排除を財務局が先頭に立って実施をしていただいて、全庁的な取り組みで行っていただけるようお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

○矢部委員 大分時間も遅くなっておりますが、明快な答弁があれば早く終わるでしょうし、そうでなければ多少かかるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 何を申し上げたいかといいますと、昨年の十月十日に某新聞報道があり、それ以来一年一カ月を超えておりますが、私の選挙区であります渋谷区におきましては大変な騒ぎでありまして、ましてや、そこから選出をいただいております都議会議員の立場たるや、もう袋だたきの状態であります。皆さんもご苦労はされていると思うんですけれども、そういうことではとても済まない状況でありまして、何点かお尋ねをさせていただきたいと思っております。
 このいただきました事業概要を見ていきますと、そのほかもいろいろあちこち聞きたいところがありますが、まずはここへ絞っていって、その状況であちらこちらへとちょっと聞きたいと思っておりますが、事業概要の八八ページでございます。片仮名のオというところに、神宮前未利用地の活用についてと表現されておりますが、いつ、だれがこれを決めたのでしょう。

○矢口調整担当部長 神宮前の未利用地、旧日本社会事業大学の跡地でございます。この土地につきましては、平成八年三月に東京都が国から取得をいたしました。当初、利用計画がございましたけれども、東京都の財政が急速に悪化した等の事情によりまして、当初、事業に着手しないまま今日に至ってきたわけでございます。この間、平成十一年七月の財政再建推進プラン、あるいは翌十二年七月の財産利活用総合計画等におきまして、当該地の民間活力を導入した利用についての検討を進めるという方針が出されてきたわけでございます。
 その中で、国の方と用途指定の解除等の手続もとってきたわけでございますけれども、その後、近年の都内における犯罪の急増に伴いまして、都内留置場の不足が深刻化してまいりました。それらを踏まえまして、本件地の利用計画につきまして、民間活力の積極的な活用及び都内の留置場不足を解消するため、周辺環境に配慮しつつ留置場の整備を図るということを昨年十一月、東京都の平成十四年度重要施策において決定したところでございます。

○矢部委員 それは都のご都合だけのことでありますね。今、二つ問題点があるかなと思っております。どちらからお尋ねしてもいいんですが、局長が昨年の十一月に決めた、知事本部長であったわけですから、局長が一番おわかりになるのかもしれませんが、この土地の取得については渋谷区がいち早く手を挙げて国と折衝をしていたわけですね。そういう中で、そのことについて国と東京都の関係もいろいろあったでしょうけれども、いろんな経過の中で、東京都が取得をするに当たり、渋谷区の理解もいただいて、なおかつ渋谷区との間で土地の活用についての目的を定めて、そういうことで使うならばということで、区が区議会全員協議会を開いて全体の理解を得て都へ譲ったという経緯があるわけで、それは公文書といえば公文書ですし、当時の西念財務局長と渋谷の小倉区長との間で文書が交わされているわけですから、そうしたことがあったことを一切関係なしに、今、都で、ある面で方向転換を勝手にしているわけですね。ここのところが今一番の問題になっているわけだと私は思っております。
 それと一緒に、今のお話の中で、留置場が不足しているというけれども、そんな話は私はどこでも聞いたことないですよ。留置場が不足しているという話は、どこか、例えば東京都議会の警察・消防委員会の中でそうしたやりとりがあるんですか。そうしたやりとりがあるならば、その記録をぜひお知らせいただきたいと思います。

○矢口調整担当部長 まず、先生の今のご質問で、初めの方の部分でございます。
 お話しのように、当初この跡地につきましては、昭和六十年だったと思います、日本社会事業大学が郊外、清瀬市--結果的に清瀬市なんですけれども、移転することが決定いたしました時点から、地元渋谷区が、公園あるいは災害時の一時避難所等に使用したいということで、国への取得要望を出されておりました。ただ、財政状況等から結果的には区の取得には至りませんでしたけれども、その後、平成七年の夏ごろから、国の方から東京都に対しまして取得の要請があったわけでございます。
 ただ、今先生お話しのように、かねてから渋谷区が強く取得を望んでいたという経緯がございましたことから、東京都が国の要請を受けて、取得するに当たりましては、地元渋谷区あるいは地元の住民団体、町会とか商店会でございますけれども、そちらの方との協議、話し合いを持ったところでございます。その結果、今先生お話しのように、東京都がその跡を利用するに当たりましては、本件土地については今後利用計画の策定に当たり、渋谷区及び区が集約した地元住民等の意見、要望について取り入れるよう関係局に伝えるとともに、誠意を持って対応していくという財務局長名の文書を交わしたところでございます。
 その後、先ほど答弁させていただきましたように、都の財政状況等の悪化により、事業の具体化、着手に至らないまま今日を迎えたわけですけれども、その後の社会状況の変化に伴いまして、その利用計画の見直し等を内部的に行ってきたところでございます。その過程におきまして、冒頭、先生からお話があったような一部新聞報道が先行いたしまして、結果的に地元の方々に大変な心配をかけたということでございまして、それにつきましては、東京都といたしましても遺憾であるということをお伝えしているところでございます。
 二番目の留置場の不足につきましては、特に平成十一年あたりから、都内における留置場の留置定員、総定員等が急増してまいりました。背景には外国人犯罪等の増加等がございますけれども、それらにつきましては、今手元に資料がないので正確な答弁はできないかと思うんですけれども、都議会におきまして、警務消防委員会等におきましては、この一年間ぐらいの中で状況報告等をされているというふうに聞いているところでございます。

○矢部委員 後の方から先にしましょうかね。警務消防委員会じゃなくて警察・消防委員会になってからは、このプランが出てからの報告はあったようですけれども、この出る前、要するに、なぜこういうふうに変化しなくちゃいけなかったかという段階でのそうした議論はされていないんだね。極めて閉鎖的なところだろうと思うんですね。だから、捜査をしなきゃいけない、いろんな秘密性はあるんでしょうけれども、警察がそうしたことを明かさない、いろんな怠慢が先にあると私は思っております。
 それと同時に、今お話しですけれども、区と約束をして文書まで交わしていたことについて、方向が変わるなら変わる時点で、お互い役所同士なんだから、当然どこかで協議をするなり、話し合いをするなり、何らかのことがあってしかるべきだと思うんだけれども、そうしたことは一切ないと聞いていますけれども、そういうことなんですか。

○矢口調整担当部長 お話しのように、昨年、内部的な検討を行っている段階で新聞報道がなされました。東京都といたしましては、内部検討をある程度進めまして、一定の方向とかたたき台ができた段階で、地元区等に、平成八年段階で協議した方々と協議するというつもりでございましたけれども、その間に報道が先行したという形で大変な心配をかけたというのは、事実そのとおりでございます。
 その後、私どもの方針、あるいは今後の進め方等について話し合いを行うということで、地元の方々との接触といいますか、交渉をしてまいりました。本年の一月になりまして、この間、東京都として地元にご迷惑をかけたことについて遺憾である、あるいはそれを真摯に受けて、今後誠意を持って対応していくという財務局長名の文書を、担当副知事も含めて、地元の渋谷区及び地元関係者のところに行って再度協力要請等をしたわけでございます。
 その後、少し時間はかかりましたけれども、ことしの五月になりまして、渋谷区長と都知事との会談、約一カ月後の六月二十六日だったと思いますけれども、渋谷区、それから渋谷区議会の代表者、それから町会とか商店会の代表者と都知事との会談を改めて持たせていただきまして、その中で、今後話し合っていくということで双方一応合意したという経緯がございます。

○矢部委員 話し合いをするということの合意をしただけで、まだその後、話し合いはこの間一回されただけですよね。一回されただけですから、まだほとんど何もされていない。それは結局、仕方なしというか、都がそこまでいうし、石原知事も小倉区長とも大変懇意なようですけれども、あの人柄を知っている中ではとても逆らえぬだろうという中での交渉をしているようですけれども、やはり私はどう考えても合点がいかないのは、別のことが、一遍にここに一緒になっているわけですね。
 時の新聞報道、新聞記事を書いた記者に、どうしてああいう記事を書いたのかというふうに、私はちょっと問いただしたことがあるんです。そうしたらば、六月に記者会見をしたんだそうですね。私たちの都議会議員選挙の直後、そのときに犯罪がふえているというような知事のコメントがあって、それに対しての対応策を考えているというような話があったようです。そのことが何だろうと、そのことについて質問をしたのは、その新聞記者だけというか、その同じ社の人だけだったようですけれども、そこからずうっと追っていた。そうしたら、どうもとても想像だにつかないような構想が動いている。これは東京都民としても許しがたい事実だということで、記事にせざるを得なかったというようなお話をしていました。しかし、その記者は左遷をされて九州へ送られてしまったようでして、すごい強大な力が動いているのかなというふうに思いますけれども、私もその部分については同感なんです。
 結局、数合わせ、あるいはたまたまそこが順番だったからというようなことでこの構想が動いているとしか私は見えない。この中に有効活用を図るためと書いてあるんですけれども、八八ページですよ、これは神宮前にありました旧日本社会事業大学跡地の活用についてということで東京都がプランをまとめて、そして三つの施設というのは、原宿警察署と災害病院宿舎と、それから新宿にあります第十機動隊(特科車両隊)を災害救助隊というふうに組織改編をして、ここに移転をするという三つのものをつくるということだけであったわけで、それをお金がないからといい、民間活力を活用した形でつくるということも全然話になければ、いまだかつてそういうことでの相談は区へなかったようですね。
 だから、三つのものがつくられるという中で、区はその話し合いに乗りましょう、しかし、それ以外のことは、どこでつくられたか知りませんけれども、全然そうした考えは今までになかったことであり、なおかつ大規模留置場といいながら、六百人規模なんてとんでもないことをいっているわけでありまして、警視庁はそうした考えを本来持っていなかったと私は思っております。
 警視庁が本当にそんな留置場を必要とするならば、桜田門にある警視庁本庁舎を建てるときにそれなりの規模のものをつくるべきなのに、あの中にも百人しか収容できず、その後に、一番犯罪の多いという歌舞伎町を抱える新宿警察署の改築のときに百一人という一番大きな留置場をつくったわけで、それは本庁との立場というのかわかりませんけれども、本庁よりもそんなに大きなものをつくる必要はない。そこが最大規模であり、それに、ましてや犯罪の多いところだとしても、百一人で十分だというのが警視庁の考えだったわけでしょう。それがなぜ突然、そんな六百人というふうな発想になっていくんですか。これはだれかがひとり言でいったとしか思えないんですが、だれがこういっているんですか。警視総監ですか。

○矢口調整担当部長 まず、先生のご質問の中で、かつての経緯でございます。平成八年に国から取得したときの東京都の利用計画といたしましては、ただいま先生がおっしゃっていただきました、原宿警察署の建てかえも含めて三つの施設を予定していたところでございます。繰り返しで申しわけないですけれども、その後、都財政の悪化の関係から事業着手に至らないということ、それから、国から買い取るときの条件といたしまして、平成十四年三月いっぱいまでに工事を完了して供用開始するというようなもろもろの条件がございましたけれども、その履行が不可能になったという見通しが立った段階で、一方で、あそこは都心の一等地であるというふうな形のポテンシャルも高いというようなことで、先ほどいっておりました財政再建推進プラン、あるいは財産利活用総合計画等の検討の中で、民間活力を導入した開発の方がより好ましいだろうという方向が出ておりました。
 それで、国に対しましては平成十三年の六月に、手続的には解除申請を出して、翌七月にその承認を得たところでございますけれども、その前、平成十二年の十月あたりから、渋谷区及び隣接しております東郷神社というのがございますけれども、そちらの方には、当初の利用計画がなかなか進みそうにない、ついては、国との協議をこういう形で行いたいというようなお話は一応させていただいたと私どもとしては承知しているところでございます。
 それから、急に大きな数字が出てきたということでございますけれども、平成十三年とその十年前の平成三年を比べますと、留置人員が十年間で二・六倍ぐらいにふえてございます。特に平成十一年以降、留置場がいわゆるオーバーフローするといいますか、定員を超えるような状況になってきておりまして、この数年間でにわかに留置人員がふえたという傾向がございます。
 それで、警視庁の方の見通しでは、この趨勢が今後とも推移した場合には、これは将来のことであくまでも推計でございますけれども、現在法務省が管轄しております東京拘置所は増設工事をしておりまして、来年度から少しキャパシティーがふえるわけですけれども、それらを配慮いたしましても、平成二十年あたりには千名程度の留置収容人員の不足状況が生じるというようなことは、警視庁の方から一応話はあったかというふうに聞いているところでございます。
 ただし、その六百云々というのが、どういう経緯で新聞記事の方にまでつながったかどうかというのは、いろいろなシミュレーションを内部的にやっている一つではあったかと思いますけれども、決して確定しているというものではございません。

○矢部委員 聞けば聞くほど納得できなくなっちゃうんですが、まず最初に三つの計画があった。それが着手に至らなかった。それを財政的な理由をいっていますけれども、遺跡調査をしていたんじゃないんですか。遺跡調査をして、それもだらだらだらだらやっていて、結論を出さないで、やるのかやらないのかもさっぱりわからない。いつ着手するのかなと思っていたら、突然にこういう話ですから、全然そうした説明があったとか何かではないんですね。
 それよりも何よりも、なぜあそこに警察署と災害救助隊を置くんだという議論の中に、当時の財務局の説明だったと思うんですけれども、都知事公館が渋谷の松濤にあって、東京都庁舎がこの場所、西新宿にあって、そのちょうど中間に位置する場所に、この日本社会事業大学、これはかつては海軍省のあった建物で、海軍館の建っていたところですけれども、やっぱりいろんな意味で治安の押さえを置くのがいいんだと、こういうプランだったわけです。だから、もう絶対にここは動かせない、ここが必要なんだ。なおかつ代々木公園もあり、明治神宮も守らなきゃいけないということからして、すべてのかなめだから、ここにこういう災害救助隊を置き、原宿警察署を置くんだと。共産党本部の横からわざわざこっちへ動かしてくるわけですから、何とも不思議だなと私は思っているんですけれども、そのくらいにして決めた土地なんですよ。その一番大もとの根拠までなぜ変えちゃうんですか。

○矢口調整担当部長 ご指摘のように、平成八年の国から取得した段階におきましては、先ほど先生からおっしゃっていただきました三つの主要な施設でございました。その経緯でございますけれども、平成七年の一月に阪神・淡路大震災が発生してございます。都市型の大地震でございまして、膨大な被害が発生したわけでございます。東京におきましても、防災対策の強化というような形で、新都庁舎に比較的近い場所等に、いわゆる初動時の災害対策要員の一応確保できるような施設ということが一つございました。
 それから、原宿警察署につきましては、現在、もう少し北の方にございますけれども、この警察署は昭和三十九年に建てられまして、現在ある都内の百一の警察署の中でも、最も古いうちの一つになっているかというふうに思っております。かねてから建てかえの必要性が出ておりまして、現在の署の敷地面積が千二百平方メートル程度で、床面積が二千平方メートルでございます。警察機能の充実のためには、新たな土地を探す必要があったというようなことが背景としてございました。
 それから、都市災害救助隊、先ほどおっしゃっていただきました特科車両隊の部分でございますけれども、それにつきましても、新宿清掃工場の建設計画等の関係がございまして、もろもろの事業を推進していく中で、その適地というのを探している途中で国の方からオファーがあったというか、強い要請があって、それが今申し上げましたような、かねてからの課題を解決するというような形で、適地であるということで議会にお諮りをして取得したという経緯であるのは、そのとおりでございます。
 その後、事業着手等の関係でございますけれども、東京都の全庁的な方針で投資的経費の抑制、財政再建というような中で、事業の凍結のような形になって今日に至っているわけでございまして、その間、あそこの跡地をどのように使うかについて、先ほど来申し上げておりましたような検討を重ねてきたということでございます。

○矢部委員 それだけではないんだろうと私は思うんですけれども、知事が石原知事になって、都知事公館、大変立派な免震構造の建物が渋谷に建ったんですが、どうも渋谷が嫌いらしくて、そこへ住んでいないんですね。だから、片やこっちに守るべきところが必要なくなったんじゃないですか。今、あれはどう使われているんですか。レストランに使っているというふうには聞いているんですが、どうも結婚式をやったり、何かいろんなことをやっているというふうに聞いていますし、何かああいう使われ方をしていていいんだろうかというような声が随分ありますけれども、どういうふうに使われていますか。

○小野田財産運用部長 かつて知事公館に使われておりました旧知事公館でございますけれども、渋谷の松濤にございます。これにつきましては、平成十二年から、知事が住まわれないということを前提といたしまして、民間に公募をいたしまして、これの貸し付けを行いました。現在はイタリアンレストラン協会というところにお貸しをしております。
 そこで、ただいま先生がご指摘になりましたようないろいろな問題点と申しますか、結婚式場として営業で使われているではないかということにつきましては、先般五月に週刊誌報道がございまして、これにつきまして私どもが調査したところ、事実そのとおりでございましたので、これ以来是正を命じて、現在、その改善を図っておる、これに傾注しているところでございます。

○矢部委員 あの知事公館も、あそこの用途地域は一種住専なんですね。一種住専の低層というやつですから、渋谷区の建築審査会が開かれて、特例許可を与えて、ようやく都知事公館が建っているんです。だから、今それをレストランで使っているというのは建築基準法違反なんですよね。そのことはご存じですか。

○小野田財産運用部長 レストランとして営業に使うことが建築基準法違反となることは、私ども承知をしております。

○矢部委員 要は、知事のわがままでしょう。知事は、二子玉川ですか、田園調布にいらっしゃるようですが、本来、知事公館にすべての防災の機能を持たせて、それで都庁と両側でどちらに知事がいても指示ができる体制をつくったのに、それを撤去して、そして自分の自宅の方に移したようですけれども、そのために幾ら経費がかかったんですか。

○小野田財産運用部長 私の記憶の範囲でお答え申し上げますと、知事公館を知事の使用から外していただくために特段かけた経費というものは承知をいたしておりません。私の認識では、現状でお貸しをした、このような認識でございます。

○矢部委員 東京都庁舎と知事公館の間に光ファイバーケーブルを専用に引いたんですね。それで、すべての機能が同時にできるようにしてあるんです。もしかすると、その部屋はそのまま密封してあるのかもしれませんけれども、でも、その機能は今の田園調布の方に持たせなければ意味がないんでしょう。あそこはヘリコプターもおりられるようにと思ったら屋上がおりられないので、地元の渋谷区立の中学校に非常時はヘリコプターをおろしてもらう特例の許可ももらって、あそこに知事公館ができたんですね。それらのことはすべてほっぽり投げて、これはもう知事のエゴ、わがままとしか私はいいようがないと思うんですが、どういうふうにお考えですか。

○小野田財産運用部長 いずれにいたしましても、知事がお住まいにならないということを前提といたしまして、知事公館をできるだけ財産運用上有効活用して、その活用を図っていくということで意思決定がおりたというふうに考えております。

○矢部委員 私も資料を何もなしでいっているんですから、皆さんも資料がなくて、なかなか答えにくいといえば答えにくいんでしょうけれども、これが本来の委員会のあるべき姿ですから、ぜひご理解をいただきたいと思うんですが、これ以上それをいいませんけれども、田園調布の方でヘリコプターをどうするんだといったらば、多摩川の河川敷におりられますと、こういう話ですけれども、極めていい状況ではないと思うんです。
 知事は東京に地震が来ないと思っているんでしょうから、それならそれでいいとするとしましても、ちょっとわがままにも限界があるのではないかなというふうに思いますし、警備上のことも、SPが全員警視庁に一度出て、それから田園調布まで行って、また仕事が終わったらば田園調布から警視庁へ戻って、けん銃と手帳を返して帰るというような勤務をするわけですから、SPの皆様の負担だってもう大変なものだろうと私は思っておりますが、そういうことまでしてわがままを通しているわけですから、今回のこの原宿のことについても、さらにわがままを通しているとしか私は思えないんです。
 さっき留置場が足りないという話がありましたけれども、これは警視庁のデータをすべてうのみにしている話ですね。うのみにしている話ですよ。というのは、留置場というのは法的に何時間、あるいは何日入れられるべきものなんですか。

○矢口調整担当部長 留置場の収容期間でございますけれども、刑事訴訟法によりますと、犯罪を犯した可能性のある人物を逮捕いたしまして、取り調べる必要があるわけですけれども、留置すべきと思料される場合におきましては、まず留置場に入れるわけです。それで、四十八時間、二日以内に検察官の方に司法警察当局の方から送致をいたしまして、検察官の方でさらに拘留が必要だという形になれば、送致を受けた時点から二十四時間、一日の間に裁判官の方に拘留請求手続を行います。裁判官の方が取り調べのために留置する必要があると思料した場合は、十日間の拘留期間が認められます。ただ、その間に取り調べ等が終了しない場合は延長という形がありまして、特異な犯罪を除きまして、さらに十日以内の延長という形になりますので、先生がおっしゃったようなご趣旨でお答えいたしますと、最初の二日、それから検察官の手続の一日、それから延長も含めて拘留期間の二十日、計二十三日という形になります。
   〔委員長退席、鈴木副委員長着席〕

○矢部委員 それには、酔っぱらって夜捕まって、次の日帰されるという人もいるでしょうし、一日で帰っちゃうわけですね。そういう人もいるけれども、今ご確認いただいたとおり、最長で二十三日ですね。私が警視庁からいただいた資料、あるいは予算委員会等々でご質疑をさせていただいている限りにおいては、留置日数は平均どのくらいですかとお尋ねしますと、日本人で三十日、外国人で六十日というお答えであります。これは平均日数ですよ。だから、一日で帰る人もおり、またそうじゃない人もいる中で、こんなに長いんでしょう。これを二十三日にしたらば、六十日の人は三回回るわけだから、十分余裕ができちゃいますね。
 ですから、いろんなことがあるんでしょうけれども、留置日数がどんどん長くなっちゃっているのも現実なんですよ。それを短くする努力はされているのか、されていないのか。私は、それをされていないんだろうと。手が足りないといえば手が足りないのかもしれないけれども、この辺は違う事情じゃないんでしょうかね。だから、これによってふさがっているといっているけれども、無理やりふさいでいるんじゃないかと私はいわざるを得ないんですが、まあ、そういうこともあるんです。
 だから、ただそれはいいなりに聞いていたら、どんどんどんどん伸びていきますよ。平均が、今度は日本人が五十日、外国人が百日なんていうふうにどんどん伸びちゃう。そういうものではないんじゃないですか。どんどん早く処理をしていくべきものなのに、本来は拘置所に今度は送ればいいわけですけれども、それは向こうの拘置所もいっぱいになっていて、拘置所で聞けば、二〇%ぐらいの人は本来拘置所へ移すべき人ですけれども、こっちもいっぱいなので、申しわけないんですが留置場に置かせてもらっていますと、こういっていますし、また、これは法曹界に尋ねれば、法曹界の人たちは、もっと多いんじゃないでしょうかと。向こうへ、要するに拘置所へ移るべき人というのは五〇%以上、七〇%近くいるんじゃないですかと、こういうふうにいっています。これはとらえ方、とらえ方でみんな違っちゃうわけですから、よっぽど調査しないと数は出てこないと私は思っているんです。ですから、うのみにその数字を聞くということは絶対に間違いだと思いますが、いかがですか。

○矢口調整担当部長 今先生お話しのように、法で起訴するまでが二十三日という形でございまして、その二十三日を超えた平均留置日数が生じているというのが現実でございます。警視庁の話によりますと、一つは、取り調べ等が終わって拘置監、法でいうところの拘置監、拘置所でございますけれども、そちらの方に移管請求をしても、拘置所があいていないがゆえに留置場にとどめておかれるのは、それは今先生がおっしゃったように、昨年では、警視庁の話では二〇%強がそれに該当するというような話でございます。
 そのほかに、警視庁の方からいたしますと、近年は犯罪が凶悪化している、あるいは組織犯罪化しているというようなことで、取り調べの場合に、共犯者がいる、あるいは余罪の可能性があるというような形で、それらについても取り調べる必要があるというようなことで、長期化しているという傾向の背景も聞いているところでございます。
 拘置所が満杯であるがゆえに留置場にとどめ置かれているということは、少なくとも好ましいことではないと我々としても思っておりますし、警視庁も同じ意見だというふうに思っております。そのため、警視庁では法務省に対しまして拘置所の増設の要請等を行ってきておりますし、東京都といたしましても、本年の六月でございますけれども、国への要望の中で、重点項目といたしまして拘置所の増設について強く要望しているところでございます。
 ただ、国におきます対応といいますか反応というのが明確ではございません。それで、犯罪がふえている中で、留置場に収容し切れないというような部分が仮にも生じるような形になりますと、都民生活の安全等に著しく影響を与えるというようなことがございますので、国に要請するとともに、国の対応をただ待つだけではなしに、東京都として対応できる方策を講ずる必要があるというふうに思っているところでございます。

○矢部委員 東京拘置所を視察してきました。なかなか立派な施設ができまして、要塞ですね。こんなものがつくられたらたまらないという建物でございます。今、建てかえをしている間どうするのかと思ったら、プレハブの仮の刑務所--刑務所じゃないな、あそこは昔、刑務所だったんですけれども、拘置所ができているんですね。プレハブは私はあり得ないのかと思ったら、プレハブもオーケーだそうです。今の建てかえが終わると、このプレハブは要らなくなっちゃうんですというんですね。あれをもらってきて、仮に建てたらいいじゃないですか。

○矢口調整担当部長 財務局といたしましては、専門でないので正確な答弁をさせていただくことができないかと思うんですけれども、留置場の構造につきましては、警視庁あるいは警察省の方で一定の規格というのがあるというふうに聞いているところでございます。

○矢部委員 都庁舎もいろいろ整理をして、第一庁舎もワンフロアぐらいあいたようですから、あの中につくることは可能だろうと私は思っているんですが、そういう検討はしないんですか。当然するべきだと思いますし、そこに置いておけば一番安全じゃないですか。

○矢口調整担当部長 組織再編等が今行われているところでございますけれども、お話しのように、都庁舎の空きスペースが生じつつある、あるいは生じていることはそのとおりでございます。ただ、これにつきましては、現在民間ビル等を賃借り中の事業所なり事務所を優先的に移転することによって、都としてのコスト縮減を図る観点から、空きスペースの有効利用を図りたいという基本方針でございます。
 留置場につきましては、一般的に警察署に付設する施設でございますし、先ほど申し上げましたような構造上等の問題、あるいは管理面等のもろもろの規則あるいは制約等がございます。留置場にした場合には、避難動線や防災対策の複雑化、あるいは管理運営の分離などセキュリティー対策、あるいは構造上の物理的、技術的に相当困難でございまして、極めて高コストとなることが予想されておりまして、申しわけないですけれども、現実的な方策ではないかというふうに考えております。

○矢部委員 いみじくも今いわれたように、どこに建っても高コストなんですよ。どこに建てても高コスト。新たにつくったって、えらい高コストですよ。坪当たりで、私が想像して二百五十万でできるかなと、こういうような感じの建物ですから、二重三重にみんなしていくんですから、大変な建物ですよ。それは一点ご理解をいただきたいと思うんです。
 結局、原宿につくらなければいけないという必然性は何もないんですね。留置場が一つ少ないというならば、少ないものをどうするかですよ。基本的なマスタープランをまずつくるべきなんですが、まず、そのもとのパイになる留置場が幾つ少ないのかというのがまだ極めて不明確じゃないですか。
 先ほど申し上げましたように、拘置日数を際限なく延ばしていくということについていけば、そのままにしておけば、今の倍になれば、まださらに倍必要になっちゃうし、半分にすれば半分でよくなっちゃうし、これは何とも先が見えない。特に外国人犯罪がふえている。その比率もふえている。それもわからないではないけれども、よくよく調べていけば、ピッキング犯罪もそうだし、この間も本会議でも申し上げましたが、カム開錠というんですか。カムを押すだけであいちゃうんですから、ドライバーをちょっと改造したものでも一個あれば、それであいちゃうかぎが東京じゅうにはんらんしているんですね。日本全国で九十万個あるというんですが、そこはもうドライバー一本で、すっと三秒であいちゃう。かぎがかかっていても、ないのと同じという状況ですし、ペイオフを一向にやらない国がいけないんですけれども、二年延びちゃったから、二年はみんなたんす預金だと。どこのうちに押し入っても金はある、こういう前提に二年間たたれちゃうということになれば、これからまた二年間は犯罪が減らない。犯罪を減らす努力というのをどこもしていない。
 そういう状況では、それこそつくらなくちゃならないかもしれないけれども、ここで根本的に皆様の議論がわからないのは、犯罪を減らすのに、留置場をつくれば減るというふうに考えているのか、留置場が足りないから犯罪が減らないのか、これはどっちなんですか。どっちもおかしいと思うんだけれども、どういうふうに考えているんですか。

○矢口調整担当部長 犯罪を減らすために留置場をつくるという形だけが効果があるというふうには考えません。もちろん、かつてと比べまして、我が国あるいは東京というまちが国際化しておりますし、地域の防犯対応能力というんですか、いろいろとご意見等あるんですけれども、犯罪を予防する、あるいは減らすためには、もちろん国レベルでいえば水際における作戦とか、パトロールの強化とか、あるいは、お互いに日常的なコミュニケーション等の地域的なそういうことが醸成されているとかという形が多々あろうかと思います。
 ただ、現に留置場が満杯状態でございまして、昨年は三百六十五日のうち定員オーバーしたのが九十四日あったと。ことし聞いた話では、さらにふえているというような状況がございまして、必ずしも因果関係は明確ではございませんけれども、一つの仮定でございますけれども、留置場が満杯であるがゆえに微罪の段階で留置されないような場合に、その人たちが累犯的に重ねるということも、一つの可能性としてはあるかなというふうにも考えています。
 それから、留置場が足りないから犯罪がふえるかというような部分についても、その裏返しでございますけれども、総括的に申し上げまして、留置場の整備だけが犯罪の減少あるいは抑止の要素ではないかとは思いますけれども、留置場を整備することは、今後の長期的な防犯体制の強化とか、あるいは犯罪の抑止のための一つの要素にはなるものであるというふうに考えてございます。

○矢部委員 私もそのとおりだと思うんです。だから、抑止には全然つながらないでしょう。今でこそ抑止になっているんじゃないですか。日本の留置場というのは代用監獄と。代用監獄という言葉が世界じゅうどこでも通じるらしいけれども、とてもじゃないけれども劣悪な環境で、あんなところへ入れられたらたまらないといわれているんだから、今の方が私は抑止効果がよっぽどあると思う。それをそんな環境のいいものをつくっちゃったら、あそこへ入りたいなんていうふうに思われたんじゃ、ましてや原宿じゃ入ってみたいなんて思われたんじゃ、たまらない話ですよ。
 そういうことになっちゃうんじゃ困っちゃうわけですから、今の方がよっぽど抑止力がありますよ。これはもう外国人に代用監獄で言葉が通っちゃうんだから。そのくらいに徹底しているんですから、それは考え方を変えていただきたいと思うんです。
 局長もしゃべりたいでしょう、知事本部長をされていて、昨年の十一月にこれを決めたわけですから。それで今度はまた財務局へ来られて局長でございますから、よっぽどこれをするために来られたのか、それとも、私とちょうちょうはっしをしたいというお気持ちなのか、ありますけれども、冗談じゃなくて。
 結局、今の話の全体の流れが、私は--知事がどこかで、警視総監とお話をされたんでしょう、向こう何年かすると千人ぐらい足りなくなりますよという話はあった。ただ、その数字が、まず一つはひとり歩きしている。どうもこれは仄聞していくと、その中身の分析はなしに、当初は原宿に千人規模の留置場をつくれと知事が下命したようですから、それでいろいろちょうちょうはっし、議論が始まった。そんなに大きいのは必要ありませんと、こういう話になったようですから、どうもトップの気持ち、思い込み、思い入れが先に進んでこのプランができたんじゃないか。
 だから、現実は違うところにあって、もう意地でやらなきゃいけないみたいな財務局の立場に置かれているんじゃないかとしか思えないんですが、なかなか答えにくいでしょうけれども、存分にお答えをいただきたいと思います。

○田原財務局長 最初に、いろいろ前半で議論がございましたけれども、平成八年以来の経緯があって、その後の計画をつくる際には、こういうようにやっていこうと、そういういろいろ約束事といいましょうか、ございました。これにつきましては、やはり東京都側の方が途中からああいう記事が出て、それから混乱をしたという不幸なことがありましたけれども、少なくともそういう平成八年以来の経緯を考えますれば、もう少し地元区と、地元の方々と意見を調整しながら話を進めるべきであったと思っております。この点につきましては、何度も住民の集会ですとか代表の方との会とかで申し上げていますけれども、大変申しわけなかったと思っております。
 ただ、留置場の数、これからどうなるかというのはいろんな見方があると思いますし、千なのか、二千なのか、あるいは五百なのか、これは非常に検証も難しいことであるけれども、もう少し詰めなきゃいけないと思っております。それはそれとしまして、少なくとも今の状況で、留置場についてもいろいろ議論はございますけれども、留置場が不足をしているということは現実、事実であると我々は思っております。
 その不足の仕方、それから将来の予測につきましては、これからいろいろ議論をしていこうと思っておりますけれども、少なくとも今の治安状況を考えますと、これからつくる警察署--改築するといった方がいいでしょうか、改築する警察署、それからその他の警察の施設につきましても、できる限りの工夫をして、留置場についてはつくっていかなければならないと思っております。それは計画をつくってから、もちろんそういう考え方もございますけれども、とりあえず今、改築の話が緊急を要して実現をしなければならないところにつきましては、この原宿に限らず、ある程度の留置場を確保させていただきたいと思っております。
 そういう状況でございますので、我々としては、知事の指示かどうかということよりも、現在の東京の治安状況を少しでも改善をしていく、そのいろんな努力の仕方がございますけれども、その一つとして留置場についても問題になっておりますので、その改善をしていくために、原宿につきましても、その後に計画を予定しております警察署についても、留置場をつくらせていただきたい。
 六百という数につきましては、知事も申しておりますけれども、六百ありきでこだわるわけじゃないよと。よく住民の方と相談をしながらというふうにしておりますので、何回かもう既に相談の会等々、私も出させていただいておりますけれども、今後も相談をしながら、それから地域のまちづくり、活性化にもつながるようなものを何とかご相談をしながらつくっていきたいと思っております。どうぞよろしくご支援をお願いします。

○矢部委員 なかなかこれは難しいところでございますけれども、阪神・淡路大震災があって、あの地震に対応するという想定をしたときに、消防庁の職員を二倍にしなくちゃいけないという議論が一つありました。だから、ピークに合わせるのか、平常時かといえば、今の人数の平常時の体制で十分だというのが結論だと私は思うんです。
 ですから、留置人員にしたって、外国人が多いからといいつつも、この間のお話で、外国人のピークはたしか平成四年でしたよね。そのときは逆に、犯罪はめっきり少ない、留置場は半分ぐらいしかふさがっていなくて、あいていたわけですから、その外国人の出身する国が違うのか、何が違うのか知りませんけれども、違うんですね。外国人が多いから犯罪がふえるという理屈も成り立たないということなんですよ。
 ですから、今がどうなのか、これからがどうなのか。ピークをにらんだときに千人不足するかもしれないけれども、それは平成四年に戻せば、もう三倍ぐらい留置場がある勘定になっちゃうわけで、外国人がもっと多かった時代は、もっと犯罪が少なかったときもあるわけですから、これは極めて難しい。ピークをにらんでつくるべき施設ではないと私は思っているんです。
 それと同時に、拘置所の増員をしなければなりませんし、知事は拘置所が大好きで、留置場の話の中でも拘置所の写真が出てくるわけですから、拘置所をふやしてもらった方がいい。それをどこへつくるかというのはあるでしょう。
 それから、先ほどこれは警察署と一体のものだというお話があったけれども、これも違うんですね。菊屋橋は警視庁直轄で離れたところにあるわけですし、立川もそうですよね。警察署とは離れてあるわけですから、分室という形でつくればどこにでもできるわけですから、この理屈も成り立たない。そうしていきますと、原宿にこんな大規模なものをつくる必要はない。
 その平成八年のときの数字でいえば、原宿署の改築される警察署の延べ床面積は一万平米となっていました。今、十二月から三月までかけて調査をされた資料を見ますと、そこに予定されている原宿署は三万平米、三倍の大きさになっているわけですから、これはとてつもない話だし、全体計画からしましても、民間活力を活用しながらといいながら、延べ床面積五万平米の建物をつくる。そのうちの三万平米は警察署が占めるというような、どういう手法を使ったって成り立たない。民間活力を活用するといいながら、それは言葉だけであって、現実はそんな成り立たない計画を無理やりつくろうとしている。これはそうとしか私は思えない。
 ましてや今、原宿の地価といいますか、極めて高くなっていまして、それはどういう形で東京都に貢献しているかといえば、固定資産税を大変多額に納めてくれている。そんなばかでかい留置場ができちゃった原宿になったときに、みんな離れちゃう。今、金の卵を産んでいる鳥を、首根っこを絞めちゃう形に結果としてなっちゃうことになるかもしれないんですよ。だから、全体のバランスを考えながら、必要最小限のものをつくるというのが一番いいことだろうし、それは区なり地域住民とのコンセンサスも十分に得る努力をしていただきたいと私は思いますが、なかなか遅々として進んでおりませんで、これはもう十回でも二十回でも話し合いをしなきゃ、結論が出てこないというふうに思っておる次第でございます。
 これは、なかなかこれ以上先へ詰めても話が出てこない。ちょっと観点を変えて、何かPFIでやると突然変わってしまったようですが、PFIでつくるということのイメージ、これも決まっているような決まっていないようなですが、警視庁の予算説明のときにお尋ねをすれば、方式がPFI方式になったので警視庁の予算からは一切外れました、こういうお答えでありましたから、PFIでやられるようです。そうだとするならば、これも財務局が所管をするわけですから、どんなものを描いているのか、お答えいただけますか。

○矢口調整担当部長 日本社会事業大学の跡地につきまして、厳しい財政状況の中で、あそこをどのように開発していくかということでございますけれども、先ほど来答弁させていただいておりますように、民間活力を導入してあそこの開発をしようということは、財政再建推進プランとか、財産利活用総合計画の中で検討してきたわけでございます。
 今、先生の方からイメージということでございますけれども、一つは、先ほどおっしゃられました基礎調査の部分については、あれはあくまでも幾つかのシミュレーションのマックスというのか、最大の部分でございます。現在想定しておりますのは、PFIは当然公共施設の整備を民間が行うということでございまして、本件地におきましては、警察施設がそれに該当するわけでございます。その警察施設と、それからあそこには容積率的にもまだまだ余剰がございますので、地域活性化等につながるような民間ビルを一体的に整備する。一体的に整備するというのは、必ずしも合築、同一の建物ということではなしに、できれば同一の事業者が総合開発を行うということでございます。
 ただ、PFI法に基づいたPFIにするのか、あるいはその他の民活手法にするのか、それにつきましては今後いわゆるVFMといいますか、これまでの公共工事に比べてどの程度のコスト削減とかリスク等の分配が可能なのかというようなことで、詳細に検証した上で具体的手法については決定していきたいというふうに考えてございます。

○矢部委員 全体計画がどうなるかという基本計画が固まってこなければ、その中身については議論しにくい部分はあるでしょうけれども、その過程の中で、その手法というものも問われるわけですし、だけれども、この財政委員会にいずれにしてもかかるということですから、これからもじっくりとお尋ねをしながら進めてまいりたいと思っております。
 ともかく原宿という土地をご理解いただき、また進めていくに当たりましては、やはり住民との話し合いというのは、これは民法上も当然必要なことですし、区との約束事もあるわけですから、そうしたことを踏まえながら、もう一面、何度も申し上げておりますが、本来必要であるべき留置定員が何人ぐらいなのかというようなこと、なかなかこれはいいにくい部分もあるんでしょうけれども、やはり東京の治安が世界に誇れるくらい本来よかったわけですから、そういう東京に戻すということが、結果として一番の近道かもしれないわけですよね、そういう東京になってしまえば留置場は必要なくなっちゃうわけですから。それが今までの東京だったわけですよ。
 だから、一般の警察署は十四人ぐらい、あるいはもっと数人のところもあるわけで、そういう警察署の姿が日本の本来あるべき姿なんですから、そんなにめちゃくちゃに治安の悪い東京にするというようなイメージづくりのためのような、大規模留置場をつくるような計画というのを私は見過ごすわけにはいきませんので、これからも機会あるごとにお尋ねをしてまいりますが、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○鈴木副委員長 矢部副委員長の質問は無事終わりました。
 お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木副委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたします。
 財務局関係を終わります。
 これをもって本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十九分散会