財政委員会速記録第十五号

平成十四年十月二日(水曜日)
第二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長大西 英男君
副委員長近藤やよい君
副委員長鈴木貫太郎君
理事酒井 大史君
理事倉林 辰雄君
理事渡辺 康信君
矢島 千秋君
長橋 桂一君
真木  茂君
桜井良之助君
林  知二君
桜井  武君
藤田 愛子君

 欠席委員 一名

 出席説明員
財務局局長田原 和道君
経理部長佐藤 兼信君
契約調整担当部長松村 光庸君
主計部長松澤 敏夫君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長矢口 幸一君
庁舎管理部長中村 忠夫君
営繕部長福島 七郎君
参事齊間 孝一君
出納長室出納長大塚 俊郎君
副出納長中路 有一君
副出納長宮原 恒男君
参事岳野 尚代君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 出納長室関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百九十五号議案 東京都基金管理条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・東京都におけるポートフォリオ及び平成十四年度資金管理計画等について
 財務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百十二号議案 警視庁北沢警察署庁舎改築工事請負契約
  ・第二百十三号議案 東雲一号橋(仮称)下部工事(その二)請負契約
  ・第二百十四号議案 日暮里・舎人線下部工事(その二十)請負契約
  ・第二百十五号議案 地盤改良工事及び擁壁工事(十四・四-六)(環八若木)請負契約
  ・第二百十六号議案 日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
  ・第二百十七号議案 多摩川原橋(Ⅲ期線)鋼けた製作・架設工事請負契約
  ・第二百十八号議案 晴豊一号橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
  ・第二百十九号議案 晴豊一号橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(その二)請負契約
  報告事項(質疑)
  ・東京再生都債の発行について
  ・財政再建の取り組み状況と平成十五年度予算編成について

○大西委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員会から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件の取り扱いにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○大西委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、出納長室及び財務局関係の付託議案の審査及び報告事項の質疑を行います。
 なお、付託議案のうち契約議案につきましては、議長から、所管の常任委員会に調査依頼を行ってあるとのことでございます。ご了承願います。
 これより出納長室関係に入ります。
 付託議案の審査及び報告事項の質疑を行います。
 第百九十五号議案、東京都基金管理条例の一部を改正する条例並びに報告事項、東京都におけるポートフォリオ及び平成十四年度資金管理計画等はいずれも関連がありますので、一括して議題といたします。
 本案及び本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○倉林委員 時間がかかるようでありますので、簡潔に質問させていただきます。
 東京都におけますポートフォリオについてちょっとお伺いをいたします。
 八月に公表されましたこのポートフォリオについては、マスコミにも大変大きく報道されまして、全国的にもこれだけまとまったものは余り例がないと、こういう思いがするわけですけれども、策定の経過と考え方について、改めてここでお聞かせをいただきたいと思います。

○中路副出納長 ペイオフ解禁後の都の公金の保管、運用の基本的な考え方は、安全性の確保を最重要視し、流動性を確保しつつ、効率性を追求していくことでございます。
 今回のポートフォリオは、本格的に資金運用を開始するに当たりまして、リスクを最小限としながら効率的な運用を目指すことを基本として、経済・金融環境や都財政の収支見通しなど、中期的な資金見通しをもとに、歳計現金、基金のそれぞれについて都として初めて具体的な資金配分基準を策定したものでございます。

○倉林委員 基本的なことはよくわかりました。そこで具体的な部分についてお聞かせをいただきたいと思います。
 ここに、東京都におけるポートフォリオ及び資金管理計画等についてという資料をいただいていますけれども、この中で、基金については、財政の状況が厳しいことから運用期間の上限は原則として二年とする、こういうことが記されておりますが、よりよく利回りの運用をしていくには、やっぱり可能な限り期間は長い方がいいだろう、長い期間設定すべきではないか、こう私は思うんでありますけれども、この点についてどのようなお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

○中路副出納長 基金は、歳計現金と異なりまして、各基金の性格や取り崩しの見通し等により、一年を超える運用も可能でありますが、都財政の状況が厳しく、これまで以上に取り崩しが見込まれるため、現時点におきまして、財政状況を見通すことが比較的容易と考えられる二年を上限とすることとしたものでございます。
 しかしながら、実際の運用の中では基金所管局と協議を行いまして、二年以上運用可能な見通しが得られた場合には、効率性を重視する観点から二年を超えて運用していくこともあると考えております。

○倉林委員 二年以上運用可能な見通しが得られた場合においては、効率性を重視する観点から二年を超えて運用していくと、こういう考え方もあるということです。
 それで次に、この表によります預金と債券の配分割合の目標は五対五とする、こう記されておりますけれども、今までたしか預金が八、債券が二ぐらいの割合だったのかなというふうに思うんですが、なぜ今回、五対五という配分割合にしたのか。また、考え方によっては、その時々の商品の金利によって判断をしていくことの方がよりベターではないか、こう思うんでありますけれども、その五対五としたところの意味合いを教えてください。

○中路副出納長 現在の金融情勢は、デフレ圧力が続く中、株安を背景に債券金利が低下を続ける一方、金融機関の不良債権問題やペイオフ見直し論議が迷走するなど、不安定かつ不透明でございます。このような状況を踏まえまして、預金と債券の配分につきましては、これまで預金が八割以上を占めておりましたが、運用に伴うリスクを回避するため、商品の分散を図ることといたしまして、ペイオフの影響を受けない債券運用にシフトして、五対五の割合とすることが妥当と判断したものでございます。
 今年度以降の基金の運用に当たりましては、この配分基準を基本として、その枠組みの中で、その時々の商品の金利も判断要素の一つとしていく考えでございます。

○倉林委員 東京都におけるポートフォリオ、平成十四年度資金管理計画の最終ページで資金管理実績を見させていただきますと、この報告書によりますと、いわゆる昨年度の実績で見ますと、基金の平均残高が一兆四百四十六億円ありますね。そして、運用によりますところの額が三十一億五千八百万有余、利回りで〇・三〇二%ということのようですけれども、低金利の状況の中で運用収益が多く期待できないわけでありますけれども、都として、この管理実績表で見る限りについてどのような--結果についてですが、お考えになっているのか、お聞かせいただきます。

○中路副出納長 都の公金管理におきましては、これまでも、安全性に最大の優先順位を置いた上で流動性を確保し効率性を追求するよう運用を行っておりまして、安全性を確保するという最大の目標は達成していると考えております。
 昨今の金利動向は、ご案内のとおり、日銀の金融緩和政策が継続されておりまして、期間一年の大口定期預金の金利が〇・〇三五%、二年物国債の利回りが〇・〇四九%という低い水準でございます。このように、同等の運用期間の大口定期預金や国債の利回りに比べ、高い収益を達成していると考えております。

○倉林委員 それでは具体的な配分基準に基づいて運用を開始するに当たって、改めてペイオフ解禁後の公金の運用について、どのような考え方で取り組んでいくのか、伺っておきたいと思います。

○中路副出納長 都におきましては、これまでも公金管理に当たって、安全性を第一に、流動性、効率性を確保することを基本原則として運用を行ってきましたが、預金が保護されていることを前提に、どちらかというと、投資の機会ごとに、個々の判断により安全で効率的な商品を選択してまいりました。
 いまだペイオフ解禁の見直し論議が続き、金融システムが不安定な中、策定した資金配分基準に従って運用を開始するに当たりまして、公金を預かる立場として、公金を絶対に毀損させないという前提に立って、できるだけ効率的な運用を行い、都民の負託にこたえてまいる所存でございます。そのために、みずから情報を収集して的確な判断を行い行動できるよう、組織的なノウハウ蓄積に一層努めてまいります。

○倉林委員 ペイオフ解禁の見直しに関連して伺っておきたいと思いますけれども、不良債権問題や株安によります銀行経営などの影響など、金融システムに対する懸念が解消しない中で、議論も当然まとまっていないわけであります。決済性貯金は当面は保護される方向にあるようですけれども、都は公金の収納金を保全するために、今後具体的な対応策を講じなければならぬだろうと、こう思うわけでありますけれども、この点について伺っておきたいと思います。

○中路副出納長 この九月の金融審議会では、金融機関破綻時にも全額保護される決済用の預金を制度として用意すべきことなどを内容とする答申が出されております。
 収納金の保護につきましては、これまでも国に対して都が要望するとともに、都議会におかれましても意見書を取りまとめてご提出いただきましたが、この答申内容が実現すれば、金利のつかない決済用の預金が保護扱いとなり、税等の公金の収納金については、金融機関破綻時にも保護されることとなります。
 一方、ペイオフ解禁の見直しにつきましては、いまだ全面延期論なども含めてさまざまな議論がございます。決済性預金はいずれにしても保護される方向にあるものの、都としては見直し内容の最終的な結論も見きわめながら、収納金の安全を確保するため、構ずべき必要な方策を整理してまいりたいと考えております。

○酒井委員 それでは私の方から、確認するという意味合いなんですけれども、何点かご質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、今回の東京都基金管理条例の一部を改正する条例といったものが可決をした折には、東京都の預金先が拡大され、そして今回資料で提出されております東京都におけるポートフォリオ及び平成十四年度資金管理計画によると、地方銀行や外国銀行、信用金庫とも取引を行うというような計画のようですけれども、この条例案等が可決した折には、どのくらいの金額、またパーセンテージで新規金融機関への資金移動が行われるのか、初めにお伺いをしたいと思います。

○中路副出納長 ポートフォリオ公表後、今年度の資金管理計画に基づき、都市銀行のほか、地方銀行、外国銀行に預金の配分を行っておりますが、信用金庫の預金につきましては、今回、条例改正の議決をいただいた上で、金利等の条件を考慮して今後決定していくことになります。
 ポートフォリオに基づく預金の配分をどのように行ったかにつきましては、都市銀行、信託銀行といった金融機関の大くくりな種別ごとの預金量を年内に公表できるよう準備を進めてまいります。
 なお、具体的にどのようなくくりで公表するかにつきましては、実際の運用実態を見まして、今後整理してまいります。

○酒井委員 今ご答弁をいただいたわけですけれども、実際に資金移動を行う際におけるその方法についてお伺いをしたいと思います。
 具体的な資金移動の計画といったものや、また、預金の期限、満期前の預けがえ等を行うことがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○中路副出納長 今回のポートフォリオ策定を機に、経営状況を勘案して預金を控える金融機関がある一方、健全で安全な新しい取引先となる金融機関を加えておりまして、その際、具体的な計画に基づいて資金移動を行っております。
 なお、今後、資金移動についてでありますが、都の資金運用に当たっては、安全確保のために解約が必要である場合等を除きまして、満期まで持ち切ることを原則としておりますので、基本的には、預金の満期到来の機会に必要に応じて金融機関を切りかえて行うということになります。

○酒井委員 それでは、先ほどの一問目の質問と若干内容がダブってしまうかもしれませんけれども、今回の計画といったものが実施された場合に、それぞれの金融機関への預金額といったものは幾らぐらいになって、現状とどのように変わってくるのか、もしお答えがいただければいただきたいと思います。

○中路副出納長 個別の預金先等も含めた銀行名及び各銀行への預金額につきましては、金融情勢が不安定な現下の情勢の中では公表を控えさせていただきたいと存じます。

○酒井委員 今、金融情勢等も大変不安定な中で公表を控えさせていただきたいということはわかるわけですが、これは要望でございますけれども、一問目のご答弁にあったように、都市銀行別、信託銀行別といった金融機関の大くくりな種別ごとの預金量は年内に公表できるようにということですので、例えば都市銀行であれば都市銀行、地方銀行、また、今回新たに加えていく外国系銀行であるとか、あと信託銀行、信用金庫といった、個別の銀行の名前を挙げることは不可能であっても、もう少し各金融機関の種類ごとに公表していただけるように、ぜひとも準備を進めていただきたいということを要望させていただきます。
 最後に質問ですが、都のポートフォリオ、預金先の検討といったものは、緊急時は除いて、大体一年の間にどの程度のスパンで見直し、預け先の検討が行われるのか、お伺いをしたいと思います。

○中路副出納長 基本的には金融機関の三月の本決算、九月の中間決算が発表された後に、各金融機関の財務状況を子細に分析いたしまして、都の預金について具体的な対応を講ずる必要があるか検討を行います。
 また、本年度から始まった四半期ごとの経営情報の開示につきましても、財務分析に活用しております。さらに、預金先金融機関の格付の変更、株価の急落といった事態などが起きた場合には、決算等の時期にかかわらず、随時に預金制限を強化する必要性などについて検討することになると考えております。

○長橋委員 私の方からも、ポートフォリオの件で何点か確認をさせていただきたいと思います。
 今、何点か出ましたけれども、ペイオフの解禁を受けて、東京都は資金管理方針、これを策定して検討を進めてきて、その結果、今回ポートフォリオで預金先金融機関の選定に当たっては、自己資本については公的資金、税効果会計相当分及び不良債権を分析し、最新の評価である株価水準を判断基準に加えると、こういうことでございます。
 そこで、今回提案された条例改正である取引先金融機関の拡大についてお伺いをしたいと思います。
 現在、金融緩和策による低金利が続き、大幅な金利の上昇が望めない。また、不良債権問題や、そしてまたペイオフの全面解禁の見直しといった不安定な金融情勢の中で、日銀の銀行保有株の買い取り、こういうのが話題になっております。全国で初めて金融機関を、預けている公金の配分の見直しをすると、こういうことでございますけれども、現在、預金先については、都市銀行や信託銀行など十五行を取引先にしているということであります。新たに外国銀行や信用金庫なども含めて預金をしていくと。
 そこで伺いますが、今なぜ、そしてどのような範囲で取引先金融機関を拡大するのか、初めにお伺いをいたします。

○中路副出納長 公金の保管、運用において最重要視すべきことは、安全性の確保でございます。そのためには従来の預金先金融機関の枠組みにとらわれることなく、現下の金融情勢において、都として健全性、安全性が確認できる金融機関については取引先に加えるべきと考えまして、対象を拡大することとしたものでございます。拡大する対象としては、外国銀行や地方銀行、信用金庫でございます。

○長橋委員 知事も、この間の記者会見で、護送船団方式から外れた存在であるけれども、甘ったれずに努力することで実績を上げ、日本政府が決めている超低金利の十倍以上の利回りを保証する銀行だってあると、こういうふうにいっておられます。外国銀行も指していっておられましたし、既に交渉も入っていると。具体的には、シティバンクなどの外国銀行の名前も挙がっているようですけれども、その経営監視については、本国の金融情勢や経営実態など把握は難しいのではないか。外国銀行を取扱銀行にする場合の基準は日本の銀行と同じようにするのかどうか、お伺いをいたします。

○中路副出納長 安全性、健全性が確保される金融機関であれば、外国銀行であっても預金取引は行っていく考えでございます。
 格付では、外国銀行の最上位は邦銀の最上位のおおむね二ランク以上上位にありまして、自己資本についても厳しく算定をされておりますので、取引先とするに足る健全性を有する銀行はあると考えております。
 経営監視に当たりましては、邦銀同様、ディスクロージャーやヒアリングなどによって行っていきますが、株価や不良債権など、邦銀と単純な比較が難しい指標もあり、また海外の金融情勢の詳細な把握にも限界があることから、相当高い格付を有することが望ましいと考えております。

○長橋委員 次に、外国銀行への預金の種類についてお伺いをいたします。
 相当高い格付の銀行にするということでありますが、外貨預金にした場合には、表向き非常に利率は高いわけですけれども、その分、為替リスクも高い、あるということで、安全性という点では非常に大きな危険をはらむのではないかと思います。外貨預金も、対象とする金融商品に入っておりますけれども、預金の種類は何を考えているのか、お伺いをいたします。

○中路副出納長 為替相場の変動によりまして、元金自体が減るおそれのある外貨預金につきましては、安全性を最重要視する公金の運用対象として適当でないため、外国銀行であっても、円通貨による定期性預金に預け入れることとしております。

○長橋委員 外貨預金でも円通貨であるということは確認しました。
 次に、基金管理条例の改正で、信用金庫との取引が可能になると。既にこれも新聞に出ておりましたけれども、城南信用金庫に数十億円預けるというようなことも報道されております。都内には現在三十二の信用金庫があると聞いておりますけれども、選択肢がかなりふえてくるわけであります。その考え方はどのようなものか、まずお伺いをしたいと思います。そして、銀行の評価の基準では、格付が監視する指標の一つとなっていたわけでありますけれども、格付を取得していない信用金庫の評価はどのように行うのか、お伺いをいたします。

○中路副出納長 都として健全性や安全性が確認できる場合には、大手都市銀行などに限定することなく、地域金融機関である信用金庫も預金取引の対象としていきたいと考えております。
 なお、格付のない信用金庫の場合には、格付を取得していただくのにこしたことはありませんが、他行との比較の中で評価を行いまして、健全性を確認することは可能であるというふうに考えております。

○長橋委員 信用金庫についても、安全性が高いと判断できれば取引先として考えるということでありますけれども、都と取引をする、いわゆる都と取引経験のない信用金庫が取引するということは、都から、健全かつ安全であると、こういうお墨つきをもらうわけで、相当なメリットがあるのではないかと思います。発表後、信用金庫からはどのような要望を受けているのか、また、三十二ある信用金庫をどのように判断していくのか、お伺いをいたします。

○中路副出納長 ポートフォリオの公表後、複数の信用金庫から預金を引き受けたいという打診は受けております。今回の取引先金融機関の拡大は、閉鎖的な枠組みを改め、都として安全性、健全性が確認できれば、信用金庫も新たに対象に加えていくものであります。
 実際に取引を開始するに当たりましては、まず公金の安全性を最重要視する観点から、健全性や安全性を確認できることが必須でありますので、この点について厳格に評価、判断してまいります。その上で、金利水準など効率性の点で条件が折り合えば、預金を引き受けていただきたいというふうに考えております。

○長橋委員 また信用金庫以外に地域金融機関ということでいえば、信用金庫のほかに信用組合があるわけでありますけれども、ペイオフ前に都内の信用組合もかなり再編が進んできて、現在、二十余りあるということでございます。その中で健全性や安全性の面で向上しているところもあるわけであります。規模は非常に小さいわけですけれども、預金先に信用組合を加える考えはございますでしょうか。

○中路副出納長 確かに健全性を備えた信用組合もあるかもしれませんが、現実の取引先としては、一定規模のある、都の預金額を受け入れるキャパシティーがあるかどうかという観点から見ますと、現時点では難しいと考えております。

○長橋委員 都民の立場から、都が預金を行っている銀行は安全であると考えることができるわけでありますので、都の取引先はどこになるかという情報は、都民にとっても大変大きな意味があると思います。知事も、中には退場を願うところもあるといわれたりしておりまして、都が新たに取引を開始する金融機関、また取引を停止する金融機関はどのように検討されているのか、お伺いをいたします。

○中路副出納長 新たに取引を開始する金融機関は、地方銀行や外国銀行、信用金庫など幾つかあり、一方で、現時点では預金ができないと判断せざるを得ない銀行も存在いたします。
 都の対応による社会的影響は極めて大きいわけでございまして、都がどの金融機関と取引をしているか、取引を停止するかについて明らかにいたしますと、個別の金融機関の経営に対する影響や風評を誘発いたしまして、金融情勢に多大な影響を与える可能性がございます。したがいまして、新たに取引を開始する金融機関を含めて具体的な金融機関名を公表することは差し控えさせていただきたいと存じます。

○長橋委員 確かにいろんな影響がありますので、金融機関を発表するというのは難しいというのはよくわかります。
 それでは、預金先の決定に際して、都への貢献度を今まで重視してきたわけですけれども、新たに取引を行う外国銀行や地方銀行は、都への貢献度という点ではあんまり高くないのではないのかと思います。今後、預金に当たって、都への貢献度という観点はどのように考えていくのかお伺いをしまして、質問を終わります。

○中路副出納長 預金の安全が保証されないペイオフの解禁後におきましては、公金の管理、運用で最重視されるべきことは安全性の確保でありまして、その上で効率性を追求する必要がございます。
 したがって、従来は公金の収納実績や都債の引き受け実績なども総合的に勘案して預金を配分してきたわけでございますが、今後はこのような枠組みにとらわれず、金融機関の安全性や健全性の観点から選定を行いまして、その上で効率性を追求する面から条件が合えば取引先としていきたいというふうに考えております。

○渡辺委員 私は、重複しないようなところから、二、三、お聞きしたいと思います。
 一昨日、内閣改造が行われましたけれども、ここでは金融政策が大きな焦点となったと思います。公的資金のさらなる投入問題とか、あるいは銀行の不良債権の買い取り問題など、今後大きな問題になりそうだと思います。
 また、この内閣改造の中で、竹中大臣は、税の効果的な会計制度のあり方、あるいはまた、公的資金を考慮した銀行の自己資本の質にまで言及しておるわけですが、その見直しを迫ったと報道されているんです。金融機関の評価を行う上で、東京都は、これまで自己資本比率ということについては、一〇%を一つの基準としてきたというふうにも思うんですが、いわゆる自己資本比率一〇%、この問題について、今日的にどのような判断をされているのか、どのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

○中路副出納長 都はこれまで策定した金融機関の選択基準におきまして、自己資本には公的資金や税効果会計相当分が含まれているため、規制基準を上回る基準により経営状況の健全性を判断していくこととしておりまして、国際行では一〇%以上あることが望ましいとして評価を行ってまいりました。

○渡辺委員 一時、一〇%を超して、一二%、一三%というところまで自己資本比率が膨れたわけですが、またここへ来て後退しているという状況がありますよね。そういう状況で、今度のポートフォリオの中で、自己資本について、安全性ということを考えたら、この自己資本比率についてさらに細かく判断するというようなことがいわれているわけですが、これは具体的にどのような内容になっているのか、その辺についてもちょっとお答えいただきたいんです。

○中路副出納長 メガバンクの自己資本の質を見た場合に、形式的にはBIS基準を確保しているわけでございますが、実質的には資本性が弱い公的資金や税効果会計相当分もすべて控除いたしますと、自己資本は半分弱となる銀行もございます。
 金融情勢が依然として不透明な中で、公金の安全性確保を図る上で、金融機関の経営状況分析をより的確に行うためには、形式的な数値を今までの対応基準に機械的に当てはめるのみでは不十分でございまして、これまで以上に踏み込んで各金融機関の安全性や健全性を反映する指標を判断要素に加える必要があると考えまして、基準に追加したものでございます。
 竹中金融相が就任の記者会見で、自己資本の質の見直しを迫ったとのことでございますが、都の取り組みはこれと軌を一にし、いわば先取りをするものでございます。

○渡辺委員 この自己資本比率というのは、一つの目安になると思うんですが、いずれにしても不良債権処理という、これを最優先しろということで、改めてまた今度の内閣改造の中では強調されているわけですが、しかし、どこの銀行でも不良債権というものは相当数抱えていると。したがって、これを本当に控除するということになったら、やはり銀行の自己資本比率というのは一〇%割ると思うんですよ。そういう点からすると、安全性という点では非常にシビアに、厳しく見ていかなきゃならぬというふうに私は思うんですね。
 まあ、そういっても、金融機関というのはそこを除いたらなくなるという問題もあるわけですから、一概にそういうことはいえるわけじゃないんですけれども、東京都として公金を預かる、また、それを預けて運用するということについていえば、その辺は十二分に踏まえて対応していくということが求められているのではないかと思うんですね。
 そこで、先ほどもこれはあったんですが、この点もちょっと確認しておきたいと思うんです。今度のポートフォリオ問題では、取引先金融機関を外銀まで広げましたよね。それで、これは一つの問題ですが、自治体で外国銀行へ預金しているというところがあるのかどうかということが一つですね。
 私は、自治体としては外銀に預金するとか、そこで活用するとかというのは、自治体としてなじむのかなという感じはしないわけじゃないんです。まあ、日本の金融機関というものは、先ほどもいいましたけれども、何ていうか、安全性という点から見ると非常に、そういう点では危険な一面も持っているわけですから、一概にだめということはいえませんが、しかし実際問題として、日本のすべての銀行がだめだっていうんだったらやむを得ないという問題もあるのですけれども、その辺の問題についてはどのようにお考えなんでしょうか。

○中路副出納長 公金運用に当たりましては、まず安全性の確保でございまして、その上で効率性を追求することが基本でございます。そのためには、従来の預金先銀行の枠組みにとらわれることなく、都としては、健全性、安全性を確認できれば、取引先に加えていきたいというふうに考えております。
 他の自治体で外国銀行に預金をしている例は具体的には聞いたことがございませんが、外国銀行の上位行は格付では邦銀の最上位よりも高く、自己資本についても問題となっている税効果会計など、日本における基準よりも厳格でございまして、都として健全性を有すると判断できる銀行はあると考えております。

○渡辺委員 確かに格付という点から見て、あるいは現時点で安全性ということを考えれば、そういう外銀の中にもあるということは理解できるんです。外銀との関係を、これからそういう点で考えると、強めていくという方向が、何かこれからの問題として強化されていくという感じを受けるんです。
 先ほどもちょっと出ましたけれども、外国銀行といっても、対応するのは日本支店ですよね。ところが、やはり本国の本店の実情というのはなかなかつかみにくいという一面があると思うんです。外国の場合には、日本の銀行の政府の対応よりももっとシビアで厳格ですよね。ですから、本国での銀行がどうなっているかという問題をやはりリアルにつかむということなしに、私は格付が高いからというだけでは、危険性というものは日本と同じだというふうに思うんです。
 そういう意味では、情報をつかむということについて、どういうような形でつかめるのかということが一つ出てくると思うんです。それと同時に、外国では銀行に対してもシビアに対応するということから考えて、リスクそのものも当然のこととしてこれは考えているのかどうなのか。考えた上でのこういう枠組みの拡大ということにしたのかどうなのかということをお聞きしたいと思います。

○大塚出納長 確かにおっしゃるとおり、外国銀行というのは海を越えて、離れたところで、しかも、それぞれの国の金融政策、それからシビアなマーケットメニューをベースにした、アメリカなんかは特にそうだと思うんですけれども、厳しいスタンスがあるわけでありまして、そういう情報をどういうふうに使うかということはもちろん一番大事なことだと思っています。
 実は、私どもで委嘱をしている公金管理委員会のメンバーの中には、いわば外資系の情報に強い専門家等もお入りいただいておりますし、もちろん組織としてのその情報をつかむための新たな手立てというのも、今現実にいろいろと講じておりますけれども、そういうふうな努力は当然必要だと考えております。
 それから二番目に、リスクの話なんですけれども、ご案内のとおり、定期性預金については本年の四月から、個人それから公共団体、あらゆる主体を問わず一千万という、そういうふうなことになったわけでありまして、その一千万を超えた世界は、これは、まさに自分でやるしかないといいますか、自分で考えて自分で守るしかないというそういう世界になりまして、その世界をベースに邦銀と外銀とを比較した場合には、リスクについては、外国銀行だからリスクが高い、それだけでリスクが高いということは決してない。一千万から先は皆同じだという世界になります。
 そういうことで、一番考えなければいけないのは、冒頭申し上げた情報の的確な把握、それからその手立ても含めて、新しい世界になりますので、それをきっちりとやっていかなければならないというその一点でありまして、その一点に努力を傾注することによって、外国銀行もまた東京都の安全な金融機関として取引をすることが可能だというふうに考えております。

○藤田委員 何点かお伺いいたしますが、重なった部分もありますので、少し横出しの部分で質問させていただくようなこともありますので、よろしくお願いいたします。
 まず、このポートフォリオをつくる前に、これからのペイオフの状況を見てこういう基準をつくったというわけでありますけれども、実際には今までの基準といいますか、どんな形で管理をしていたのかをお伺いいたします。

○中路副出納長 歳計現金につきましては、収支予定をもとに、資金に余裕のある場合は会計年度の期間内で定期性預金により運用してきました。基金につきましては、おのおのの設置目的や性格、積み立て、取り崩しの予定を見込みながら、二年程度までの期間内で定期性預金を中心に運用してまいりましたが、ペイオフ解禁に備え、十二年度からは試験的に国債等債券による運用に取り組みまして、以降、十三年度もその運用額を拡大してきております。
 これまでも安全性、流動性、効率性を基本原則として、資金の収支見込みや支出予定に基づき運用を行ってまいりましたが、ペイオフ解禁後の預金が保護されていた状況下におきましては、どちらかというと、投資の機会ごとに、個々の判断によりまして安全で効率的な商品を選択してまいりました。中期的な資金見通しのもとに、預金と債券の具体的配分基準を定めた上で、年間の資金管理計画を策定するのは今回が初めてでございます。

○藤田委員 先ほどの質問の中で、預金と債券が五対五にシフトするというふうにお尋ねがありましたけれども、この配分割合はどんなところで決まってきたのでしょうか。

○中路副出納長 預金と債券の配分割合を決めるに当たりまして、不透明な金融情勢を踏まえ、分散投資を図ることといたしまして、その時々の利回りを絶対的な判断基準として選択することにより、一方に偏らせることのないよう、五対五とすることが妥当であるというふうに判断いたしました。また、この配分割合は、公金管理委員会の議を経まして判断したものでございます。

○藤田委員 ある意味では、素人的に考えますと、債券の方が預金よりも安全性が高いというように、あるいは安全性が預金の場合の方が低くなってきたんじゃないかというようなことに解釈できるのかなと思うんですけれども、そういうふうになった理由といいますか、そこら辺をちょっとお尋ねしたいと思います。

○中路副出納長 従来は確かに預金の方が、銀行はつぶれない、またはペイオフもないという時代におきましては、全く安全だというような状況があったわけでございますが、ペイオフ、それからまた金融情勢の不安定な状況のもとで、全くそういった状況が変わってまいりまして、預金も不安定である、また、それに比べて国債等、保証のある債券は極めて安全性が高い、そういうことで債券の安全性、相対的な安全性が高まっているというふうに考えております。

○藤田委員 それでは、債券はどんなものを予定しているのかをお尋ねしたいと思います。

○中路副出納長 債券は一年以上運用できるものといたしまして、運用商品といたしましては、国債、政府保証債、それから割引金融債等の、債券の中で安全かつ効率的なものを選択するという考えでございます。

○藤田委員 先般、初めてであったけれども、国債が売れ残ったというような事態がありましたけれども、このことについては、今回の判断基準としては何か影響がありましょうか。

○大塚出納長 先生ご案内のとおり、あれは例の日銀の銀行保有株の買い取りという、従来考えていなかったような突然の施策が出てまいりまして、それを受けた一時的な状況だと。株の資金に対する将来の、債券と株というふうに分けますと、債券をちょっと控えた方が株が上がる可能性があるという、そういう環境の見通しのもとに起きた一時的な状況だと考えておりますけれども、トレンドとして、これからどういうふうな形になるのかについては、まだもう少し状況を見ないとわからないと思っているところです。

○藤田委員 先ほど来、外国銀行との取引というような話がありましたけれども、なぜ今までやらなかったのか、お尋ねをしたいと思います。

○大塚出納長 先ほど副出の方から、債券と預金の安全性を含めてちょっとご説明しましたけれども、預金が、もうとにかく預金のことだけ考えていればよかったみたいな世界がありました。少し過去にさかのぼれば、利回りもまた今のようなゼロ金利ではなくて、安全で、しかもきちっと一定の利回りが保証されている世界がずっと続きました。それが全く変わって、それこそ自分の頭で考えろという世界に、公金についてもなったわけでありまして、そのときにどれぐらい足を踏み出すかということになると思うんですけれども、東京都の出納長室は、環境の変化を根っこからとらえて、選択する具体的な施策に制約を加えずに根っこからとらえてやるとすればどうなるんだろうということで種々検討してきた結果、自然に外国銀行が出てきたということでありまして、地方公共団体を問わず、国もまた本当に一定の、準備金みたいなものは別にして、外国銀行との取引というのはその数は少ないだろうというふうに思っております。

○藤田委員 風聞などで、邦銀が問題ありというような状況が起きないようにというお話もありましたけれども、ある意味では、外国銀行も使うといった途端に、片方ではそういう状況も起こるような感じもあると思うんですが……。
 それから、もう一点は、先ほど公金管理委員会が情報をどうやってとるかというお話があったんですけれども、公金管理委員会の中で専門家というお話がありましたが、出納長室の体制といたしまして、十分大丈夫だというふうになっていらっしゃいますでしょうか。

○中路副出納長 出納長室といたしましては、ことしの四月から公金管理課という課を発足させまして、そこでまず公金管理体制の全体を総括するというような体制をとっておりまして、それにあわせて、先ほどおっしゃいましたような公金管理委員会、そういった専門家の集団の、専門家のご意見を聞きながら体制をつくって、それで万全な体制を組んでいると、そういうことでございます。

○藤田委員 要望でありますけれども、どちらかというと都の職員の方々は二年、三年でかわっていくというような状況の中で、ある意味では本当に専門集団だと思いますので、ぜひそういうところは、今までのそういう蓄積を持った方々がうまく体制の中に入っていかれることを望みたいというふうに思います。
 以上です。

○矢島委員 新しいポートフォリオで東京都の資金関係の安全を図っていくと。その中でも、やはり安全の中で効率を図っていかなければいけないということがありますので、話としては、効率の話をすれば、安全に戻っちゃって効率の話にならない、安全の話をすれば効率がどっかへ行っちゃうという、こういうような議論にならないように、やはり安全性を前提にした上での効率をどうするかという、明確に分けた取り組みがどうしても私は必要だと思います。さっきから安全がキーワードになっているようですけれども、効率という面をどういうふうに生かしていくかということに、ぜひ努力をしていただきたいと思います。
 十三年度のデータ、資料によりますと、実績が歳計現金、基金合わせまして、預金に八六%、債券に八・九%、その他が四・七で一〇〇%。十四年度第一・四半期で、ともに合わせて預金が七一・七、二三・三が債券になります。債券は国債、政府保証債中心に運用するということになりますが、こうなると四七%、五三%の割合になるわけですから、その運用の結果につきまして、従来の、金利の動向もありますけれども、年間ベースで考えていきますと、この八月以降については違う結果が出てくることが十分考えられると思います。この数字につきましては、当然、決算の方で運用の果実として数字として挙がってくるわけでありますし、あるいは予算の方では想定で出てくるわけでありますから、ある意味では公開数字だろうと思います。
 そういう意味で、この後の新しいポートフォリオの取り組みの成果はどのように考えておられるか、これをお聞きいたします。

○中路副出納長 従来から、安全性、流動性、効率性を基本原則としまして、資金の収支見込みや支払い予定に基づきまして運用を行ってまいりましたが、ペイオフ解禁前で、預金が安全という状況のもとで、どちらかというと投資の機会ごとに個々の判断によりまして、安全で効率的な商品を選択してまいりました。
 今回まとめた資金配分基準は、中長期的資金見通しのもと、金利変動などのリスクを最小限としつつ、効率的な運用を目指すものでございます。低金利の状況にありましては、多くは見込めないものの、これまでのやり方による運用以上の収益は上げられるものと考えておりまして、収益につきましても、一定の見通しを持ちながら運用を行っていく所存でございます。

○矢島委員 数字の見通しを聞いたんですが、お答えになっておりませんので、それなりにご事情があるんでしょうから、あえてこれ以上お聞きいたしません。
 ただ、一つの運用の事業だろうと私は思います。事業である限りは計画があって、そして実行があって、結果が出てくる。結果に対する評価があって、また次の計画に生きてくるということになってまいると思いますから、今回の当初の想定とそのプロセスの対応、それから結果を受けた上での新年度予算、もう新年度予算の編成に入っておるでしょうから、データとしてはちょっと少な過ぎるとしても、何らかの形でしっかり生かしていくようにしていただいて、それがほかの自治体のいわば一番先を走るような、常に安全性を考えながらも取り組みをしているということを、そのプロセスをぜひ大事にしていただきたいと思います。
 それから、次にお聞きしますが、東京都は財団法人やら外郭団体が多数あります。ここも監理法人の公金を当然運用しているということになろうかと思います。この中には独自の基準で、ある意味で安全、有利に東京都の先を行くような運用をしているところがあるかもしれませんけれども、出納長室の公金運用を今やろうとしているのに比べ、十分でないところもあるかもしれないと思っております。出納長室として、これらの団体関係の取り組みをどうされているか、これをお伺いいたします。

○中路副出納長 都の監理団体における資金運用につきましては、これまでもペイオフ解禁に先立ちまして、都として各団体所管局に対しまして、この一月に出納長室がまとめました公金管理に関する検討委員会報告を提供いたしまして、適正かつ効率的な運用を指導してまいりました。
 このほか、外郭団体の資金運用についての基準づくりや体制整備のあり方等につきまして、個別の相談に対して可能な範囲で助言を行っているところでございます。

○矢島委員 やはり政策の選択についても、都政のこれからの重要政策も含めても、行政の縦割りが一番大きな壁になっているように私は思えてなりません。ですから、例えば今のお話も、所管の縦割りの中でのお話をされていて、現実はそういう流れでしょうけれども、しかし東京都全体を見て、公金という面を見ていけば、関係監理団体も、もとをただせば税金ですから、そういう意味からいけば、積極的に取り組む必要が私はあると思います。
 ですから、各団体が、例えば定期性が安全なときには、先ほどお話がありましたように定期性預金をみんなやる。定期性がペイオフの対象で危なくなれば、とりあえず普通預金に入れておく。そして普通預金も危なくなれば、やはり、先ほどお話あったように、私もそう思いますが、政府保証債、あるいは国が保証しているような形の地方債、あるいは国債の方に向かっていってしまう。これは非常に考えやすい結果なんです。
 でも、出納長室は、それだけで終わらないようなもっと広い視点、広い視点というか先を見て、広く安全、有利な運用というのを常に考えながら取り組んでいる姿勢を持たれていると私は思っております。やはり所管が違ったとしても、それは団体に積極的にそのノウハウを移植する必要がある。来たら相談に乗ってやるんではなくて、積極的に打って出て、そして全体として考えていかなきゃいけないという視点を持って取り組む必要があると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○中路副出納長 都の外郭団体は、都の事業と密接な関連を有し、予算や人事において都の関与のもとにあったといたしましても、それぞれ独立した財団、企業等でございますので、その資金運用についても、第一義的には当該団体の判断に基づき行われるものでございます。
 いうまでもなく、外郭団体からノウハウ提供等の要請があった場合には、積極的に出納長室のノウハウを提供していきたいと考えます。

○真木委員 真木でございます。質問を七問予定しておりました。一、二問になるんじゃないかと思っておったんですが、何とか残ってしまいましたので、七問、予定どおり質問させていただきます。二十五分予告をしておりましたが、なるべく早く終わるように、二十分までには終わるように頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本会議の代表質問の日、民主党、我が党の土屋たかゆき議員が政府の経済政策をお尋ねしました。そうしましたところ、土屋たかゆき議員の代表質問に対し、知事が、銀行という言葉は一言も出ていないんですけれども、あえて、みずほ銀行さんに触れられて、みずほ銀行の調査の結果を聞いたけれども、内容を聞いてこちらが唖然とせざるを得ないというようなご発言がございました。どういった内容のご報告をされたのか、そしてまた、議会に対して出された報告と知事に対する報告が違うのか、そこの辺につきまして教えてください。

○大塚出納長 みずほ銀行のシステム検査の結果につきましては、本年七月十二日、都議会財政委員会で既定の統合計画の合理性に疑問があったこと、それからシステム障害の再発の可能性が否定できないことなど、金融庁の検査結果では触れていない根源的な点も含めてご報告を申し上げましたが、知事報告もその基調については変わりありません。
 検査結果を公表した後、ある新聞のコラムでありますけれども、都が発表したみずほ銀行への臨時検査の結果は、システム障害問題の核心に迫っており、金融庁検査はお茶を濁したが、問題の根はもっと深いと、そういうふうなコラムもございました。
 知事の代表質問での答弁は、経済政策を聞かれたわけですけれども、それと密接な関連のある金融政策を含めて、今申し上げました、それにとどまらず、みずほを例にとりながら、これまでの政府の金融政策全般に対する知事自身の問題意識、あるいは考え方を示したものだと私は思っています。
 ご案内のとおり、九月三十日の内閣改造以降、金融政策も転換に向けてかじが切られようとしております。竹中大臣は、金融システムの現状について、非常に厳しい病にあると認識すべきだと述べられまして、不良債権処理と関連をいたしまして、厳格な資産査定、それから自己資本の質の見直し、それから、知事がいつもいっておられます銀行の統治能力の発揮、その三点が必要というふうにされています。これはいわば、この問題に関する知事の認識と全くイコールではありませんけれども、相通ずるものがあると考えています。
 一般に情報についての、一般にでございますけれども、情報についての受けとめ方はいろいろあろうと思いますけれども、出納長室以外の関連情報を含めたその広がりと、それから問題意識によってさまざまであろうというふうに思っています。

○真木委員 基本的に議会報告と変わりがないということでございますけれども、むしろ公式な報告としては、いえるところまで、確実なことまでしかいえないわけですから、東京都の公金の管理の最高責任者である知事には、公式な固め切った情報だけじゃなくて、もっともっと踏み込んだ、こういう感触まで含めてご報告があってしかるべきであろうと思いますので、当然、議会への報告と知事への報告は異質なものであってもいいじゃないかというぐあいに、私はむしろ思います。
 ただ、そうはいいながらも、本会議場という場であることですとか、やはり指定金融機関とのおつき合い、指定金融機関といっても東京都だけのものじゃないわけであります。広く日本国民全体、世界のみずほ銀行でありますので、やはり取り扱いについては細心の注意を払わなければならないと思います。
 東京都と指定金融機関の関係というのは、この間、何度も私も質問させていただきましたが、深い愛情できつい言葉をかけるのではなくて、ビジネスライクに粛々と一定の宿題というか課題を課して、条件を課して、それを満たしてくれなかったら、粛々と恨みっこなしで別れるというのが指定金融機関とのおつき合いのあり方なんじゃないかなと。幾ら愛しているから--何を愛してるのかわかりませんが、深い関係があるかないかわかりませんけれども、あるからといって、きつい言葉をかけることが、やはり都民全体のみならず、その銀行に与える影響は非常に大きいと思います。いやしくも東京都発みずほ銀行破綻、金融恐慌勃発なんていうことはあってはならないわけでありまして、東京都において、東京都発金融恐慌をできるのは二人だけであります。知事と出納長だけだと思いますので、出納長からの、東京都発みずほ銀行沈没などということを起こさない、その決意を伺いたいと思います。

○大塚出納長 初めにお断りをしておかなければならないことがありまして、これはもういうまでもないことでありますけれども、その一つは、知事は私の直属上司であります。そしてもう一つは、知事の世界と、それから私の世界は、先ほど申し上げましたけれども、まさにその広がりと深さの両面においてイコールではないということであります。
 ここで、みずほを含めて金融問題についてのこれまでの知事発言をなぞるつもりはありませんけれども、その中で出納長室の守備範囲に関してはっきりいえることは、一つは、変転する外部環境、迷走する国の金融政策に振り回されることなく、都民から預かっている大事な税金である公金を傷つけない、守り抜く、そしてそのためのいわば、苦しくても自立した都の公金管理の王道を全うする、これが一つであります。そしてもう一つ、同時に、東京発の金融恐慌の引き金を引くわけにはいかないというこの二点は、本会議を含め、繰り返し知事が発言されておりますし、私も知事から直接そういう指示を受けております。
 東京都の出納長として、知事と全く同じスタンスで、その職分を今後ともしっかりと果たしてまいります。

○真木委員 どうぞ親と子の関係のように、勘当だといいながら深い愛情で見るとかいうようなんじゃなくて、極めてビジネスライクにおつき合いをいただきたいというぐあいに思います。
 次に、ポートフォリオについてお尋ねいたしますが、ラダー型の債券運用をしていくということでございます。二年物債券をやっていくということなので、素人的に考えて、私は、完成するまで三カ月ごとにやっていくということですから、最後のラダーが完成するまでには二年かかるんですねということでお尋ねしましたところ、必ずしもそうじゃないということでございます。期間を分けてやっていくということで、もう既にこの時点でラダー型が完成するという理解でよろしいんでしょうか。

○中路副出納長 今回のポートフォリオで行うラダー型運用は、期間は最長二年を基本といたしまして、三カ月ごとに満期が到来するよう設定いたします。その方法は、運用を開始する時点で、三カ月ごとに満期が到来するよう預金と債券で構成いたしまして、それぞれ満期到来時に二年国債へ再投資を繰り返すというようなものでございます。今月中には国債の購入を実施いたしまして、残存期間が均等に構成されるラダー型運用を完成させていくこととしております。したがいまして、入り口でラダー型の基本形ができ上がるということでございます。

○真木委員 確認をいたします。三カ月、六カ月、九カ月、十二カ月、十五カ月、十八カ月、二十一カ月、二十四カ月のものを今買っていって、最初の三カ月、六カ月みたいな期間の短いものは預金もあり得るが、その三カ月、六カ月が過ぎたときには債券を買うと、そういうことでよろしいんですね。

○中路副出納長 おっしゃるとおりでございます。

○真木委員 この間、東京都の公金管理のあり方、これは私もつぶさに勉強しているわけじゃありませんが、聞くところによれば、他の都道府県、市町村の公金管理のあり方とは群を抜いて東京都が先進的な取り組みをしているんだと存じます。これは、他の県、他の市との比較でいう相対評価でいえば、偏差値はもう七〇を超え、八〇に近い、そういう状況ではないのかなと思います。
 しかしながら、やっぱり絶対評価でいえば、これはもう一九九六年の預金保険法の改正時点で、このペイオフ解禁は、実は二〇〇一年に解禁されるはずだったわけですよね。それが一年延びて二〇〇二年になったということでございまして、一年延びたわけですから、二〇〇二年の三月三十一日にはもう、そういったポートフォリオも含めて、資金管理が完成してなければいけないんじゃないかなというぐあいに個人的には思うわけでありますが、いずれにいたしましても、今回のポートフォリオで一連のペイオフ対策は終わったと理解してよろしいでしょうか。

○中路副出納長 ポートフォリオの策定に当たりましては、本年四月の定期性預金のペイオフ解禁直後の金融情勢が非常に不透明でありまして、少なくとも三カ月は状況を見きわめる必要があると考えまして、本年夏を目指して策定したものでございます。いまだペイオフ対策を模索し、普通預金に預けている自治体が多いとも聞く中、効率性を追求することも目標として、具体的に資金配分を行う都の対応は決して遅いものではないというふうに考えております。
 出納長が管理する資金である歳計現金と基金につきましては、ポートフォリオを策定して、ペイオフ対策は一定のめどがついたと考えております。しかし、税金等の収納金の保護につきましてはまだ未解決でございます。

○真木委員 ポートフォリオの対策、決して遅くはないということでございましたが、私は相対評価、偏差値でいえばもう八〇だろうと。しかしながら絶対評価でいえば、六十点が合格点だとすれば、六十点なのかなというのは疑問であります。というのは、先ほども申し上げているように、一九九六年にはペイオフが解禁されることがもう既にわかって方針が出たわけでありますから、法律が通ったのは一九九六年でありますので、それまでに対策は終わってなければならない。つまりは、この三月三十一日までにリスクヘッジが終わっていなければならなかったと私は思います。
 にもかかわらず、この委員会室で何回も確認をさせていただきましたが、四月一日以降も基金の四割、現金の七割がみずほにあったわけであります。四月一日に大きなトラブルを起こしたみずほさんに、全体でいえば五割以上だと思われますけれども、東京都のお金があったということは、公金管理からいって絶対評価が六十点上げられるのかなというのは、生意気ながら思ってしまうところでございます。
 それはそれとしながら、いずれにいたしましても今回のポートフォリオの完成で、私から生意気にいわせていただければ、おくればせながらも、資金の分散、公金の分散、リスクヘッジは終わるという理解でよろしいでしょうか。

○中路副出納長 今回策定したポートフォリオによる資金分散は、基金管理条例の可決をいただいた上で、信用金庫に預金いたしまして、最終的に終了することになります。

○真木委員 信用金庫にお預けをして終わるという理解でよろしいわけですね。事実上終わるということで。
 この間の知事等の発言をお伺いしていますと、この分散が終わった先で完全に資金管理がきれいにいったときに、みずほに基金があるとするならば、何か問題なんじゃないかなという気がしないでもないんですけれども、その辺はみずほに基金が残っているのかどうかは、別にきょうここで聞くつもりはございません。
 残りの問題としまして、収納金の問題があるということでございます。収納金の問題につきましては、先ほど倉林理事からもお話がございました。基本的には国の対応を待たなければならないと思うんでありますが、国の対応を待っているだけじゃ、やはりいかがなものかと思います。
 東京都としてできることというのは、一体どういったことがあるのか。考えられることとしては、収納代理金融機関を、ここの経営は危ないと思ったら収納代理金融機関の指定を停止してしまうというようなことぐらいしかないのかなと思うわけでありますが、そういったことを含めて、東京都として独自に行うのか行わないのか、国の対策を待つだけなのか、そこについてお尋ねしたいと思います。

○中路副出納長 収納金の保護につきましては、これまでも国に対して都議会におかれましても、意見書を取りまとめてご提出いただいております。
 ペイオフ解禁の見直しにつきましては、延期論などさまざまな論議が出ておりますが、都としては、見直し内容の最終的な結論も見きわめながら、収納金の安全を確保するために構ずべき必要な方策を整理してまいりたいと考えております。

○真木委員 都独自としても、できる限りのことをされるように--四日間で十億円を超えることがあるんだそうでございます。というのを内々に聞きましたけれども、一金融機関が破綻したらば、十億円を超える場合もあり得るということでありますから、案外ばかにならないんだなということを本当に勉強させられるところでございます。
 そこで、通告してなかったんですが、最後に、今までの先生方の質疑を聞きまして気になったことをちょっと確認をさせていただきたいと思います。
 今後、東京都が預金を分散するという中で、東京都がお金を預けるということは大変なお墨つきを得たということで、先ほど長橋委員からもお話がありました。東京都はどこに預けているかということはいわないわけでありますけれども、預けられた側が、うちは東京都から預かったよということは、物すごい宣伝効果があるわけであります。基本的には、預金者の保護というか、預金者の秘匿で、そういうことは銀行はやってはならないことなんじゃないかなと思うんですが、そういったことをやる銀行があらわれやしないかなというのが気になります。銀行側がそういったことをやることについて、確認をしたいと思います。

○中路副出納長 そういったことはあり得ないというふうに考えております。

○真木委員 してはならないというぐあいに理解をしたいと思います。
 そしてまたもう一つ、長橋委員の質問の中でインスパイアされたんですけれども、前回までは、従前は都への貢献度が参考としてあったということだと思いますが、答弁の中にそれはあるとはいいませんでしたけれども、確認をしたいと思います。都への貢献度などは一切考慮されないですよね。今、公金管理基準、公金管理指針やこのポートフォリオには、そういった都への貢献度などという言葉は一切出ておりませんが、ないということで確認したいと思います。

○中路副出納長 基準どおりの運用をしてまいりますので、そういったことは考慮することにはなっておりません。

○真木委員 済みません、これは通告していないんですけれども、今までは預金だけであったと。預金だけであって、そして今回からは債券中心になるということで、これは今のペイオフ解禁後ではもう当然のことだと思います。しかしながら、そのことが都財政に与える影響ということについてお尋ねしたいんですが、元本保証の債券しか買わないわけですよね。そうしますと、元本保証であれば当然利率が悪く、いいわけはないわけでありまして、そうしますと、今まで同じ一千億円の基金があった場合と同じような経済情勢、今は経済情勢というのは利率がめちゃくちゃ悪いわけですけれども、同じような経済情勢の中においても、今までよりかは利回りが期待できないということになるのかなと聞いていて思ったんですが、同じお金を持っていながらも、今でいえば、財政調整基金一千三百二億円がたしかあったと思います。それを、同じお金についても利回りが悪くなって、都財政には残念ながら影響せざるを得ないということになるんだと思いますが、そこについて確認をしたいと思います。

○中路副出納長 今後、元本保証のあるものを当然購入していくわけでございますが、従来も、その点につきましては、元本保証のあるもの以外には購入しておりません。

○真木委員 聞いているところと違うんですけれども、予告していなかったので済みません。
 今、ペイオフ対策ということで、しようがない、当然のことなんですけれども、都の財産運用に関しては、今回の新しい考え方は、今までよりかは利回りの点で不利にならざるを得ないのかなということを感じたところであります。
 最後にお伺いします。今まで、みずほ問題、公金管理のあり方につきまして、これでもう五回目ぐらいになるんでしょうか、この間、委員会で各委員から熱心な議論がされたところだと存じます。私も、例えば五月九日のみずほ銀行の参考人質疑の中では、こういった大きな問題を起こした以上、引き続きみずほ銀行とつき合うのであるならば、都民に対する説明が必要である、けじめが必要だということを申し上げました。五月九日に申し上げましたところ、五月十七日に緊急検査を実施するという発表がありました。ああ、そういった議会での発言というものが少し反映されたのかなというぐあいに、勝手にうれしく思ったりもしました。
 一方、またこの間、預け入れ先の拡大を、ずっと私は、みずほ偏重はおかしいということで、拡大すべきであるということをいっておりました。私の頭の中には外銀はなかったわけでありますけれども、薄く広く預けるべきだといっていったところ、そして内々のお話の中では、都市銀中心であろうというような話もいただいた中で、信用金庫にも拡大がされました。こうした議会での発言が、各委員からのこの議会での質問、討議が、都の方針にどういうふうに反映されているのかということについて確認をしたいと思うんです。
 この間の都の発表というのは、すべて公金管理委員会の発表に基づいてやりましたということなので、その公金管理委員会の議論、出納長室の判断の上でこの委員会討論がどのように生かされているのかを確認したいと思います。

○中路副出納長 都民の意思を決定する場でございます都議会でのご審議の内容は、都政運営に当たっても最も尊重すべきことは言をまたないと認識しております。公金管理に当たりましても、財政委員会において各委員からいただきましたご意見を真摯に承りまして、対応を決定しているところでございます。今後ともますますよろしくお願いしたいと思います。

○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○大西委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百十二号議案、警視庁北沢警察署庁舎改築工事請負契約から第二百十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○酒井委員 それでは私の方から、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、これは以前にも同じような質問をいたしたわけですけれども、今回提出されている工事請負契約議案の八件のうち、実に七件までもがその落札率が約九七%以上になっております。今回の入札、落札の結果について、どのように考えているのかをお伺いしたいと思います。

○松村契約調整担当部長 酒井委員の質問にお答えいたします。
 付議案件の八件につきましては、適正な履行の確保が図れるよう、案件ごとに必要な参加条件を設定して、一般競争入札により行ったところでございます。落札につきましては、入札参加者間の公正な価格競争の結果と認識してございます。

○酒井委員 というご答弁があったわけですけれども、今回、先ほど七件までは九七%以上になっているというお話もしたわけですが、今回一件と日暮里・舎人線横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その二)については、この落札率が五九・九七%と、入札差金が約九億円、平たくいえば九億円の経費が浮いたということになるわけです。この件についての落札結果を都はどのように見ているのか、お伺いをしたいと思います。

○松村契約調整担当部長 当該工事の入札につきましては、調査基準価格を下回ったため、落札者の決定を一時保留し、低入札価格調査制度を適用いたしまして、当該契約の内容に適合した履行がなされないおそれがあるかどうかにつきまして調査をいたしました。
 調査の結果、低入札の主な理由としては、採算性よりも工場の操業の確保による雇用の維持という社内事情から、企業努力によって低入札に臨んだことなどにより、通常の見積もり額より相当に低価格とすることができたとのことでございました。
 また、契約の適正な履行に必要な技術力、経営内容、意欲を十分に備えていると認められましたので、低入札価格審査委員会で審査をし、総合的に判断をして落札者といたしました。

○酒井委員 結果として、落札金額が低くなったということは、都にとっても、納税者である都民にとっても、これは喜ばしいことであると思います。しかし、同時に都としては、今後の履行の確保をしていかなければならないわけでして、本件については、低入札価格審査委員会で審査をし、総合的に判断して落札者としたという答弁があったわけですけれども、一般的に将来の入札へのペナルティーを考えれば、落札業者がいい加減な仕事をすることは考えられないわけですけれども、都として、この履行の確保といったものをどのように行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

○松村契約調整担当部長 低入札価格で落札した場合には、施工管理に当たりましても、あらかじめ提出された施工体制台帳及び施工計画書の記載内容に沿った施工が実施されているかどうかなどの詳細な確認を行うなど、重点的に監督や検査を実施し、適正な履行の確保を図っているところでございます。

○酒井委員 このような入札結果となった事業においても、ただいまご答弁があったように、履行の確保が図っていけるということであるならば、今回の事案、この契約案件等については、もともとの予定価格--見積もりですよね--が高かったのではないかという素朴な疑問が生じるわけですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

○松村契約調整担当部長 予定価格についてでございますが、工事の積算に当たりましては、都の積算基準に基づいて行ったものであり、積算単価につきましても、市況状況を踏まえ随時見直しを行っており、適正なものと考えております。

○酒井委員 今、適正なものであったと考えているというご答弁であったわけですけれども、これは意見ですが、今回のこの入札状況の一覧を見てみますと、落札した業者が五九・九七%、二位の方が六四・九六%、三位の方が八〇・〇二%、四位以降の方は九七%以上になっているわけで、これは一社だけが今回特別に仕事が欲しいということで落札をしたということだけでは尽きないと思うんですよね。
 これらの点について、私自身は、これは本件だけではなくて、全体的に都の入札の予定価格といったものが高い印象を持っているわけでして、ぜひともこの点については、今後考えていただきたいわけですけれども、今回のような低価格による入札の事例といったもの、これを今後の東京都としての入札や契約制度の改善にどのように生かして、そして東京都の経費の節減につなげていく考えをお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。

○松村契約調整担当部長 公共工事の入札、契約では、低廉な調達コストで良質な履行を確保することが肝要でございます。低入札価格調査制度は、最低制限価格制度と異なり、あらかじめ調査基準価格を設定し、それを下回る金額で入札した場合であっても、適正な履行が確保されると認められる場合は落札者とするもので、入札者の企業努力を促し、発注コストの縮減に資する点でメリットがございます。こうした観点から、平成七年度の制度導入以来、順次、実施範囲を拡大してきたところでございます。その実績は、過去八年間で十六件あり、このうち十件は現在施工中でございます。
 これらの案件につきましては、何よりも良質な履行の確保が重要であるとの観点から、履行成績等の分析を十分に行い、制度の運営に反映していく必要があると考えております。こうした検証結果も踏まえながら、今後ともより競争性が高く、かつ良質な施工が確保される入札契約制度の確立を目指してまいります。

○酒井委員 今のご答弁の中で、今後とも、より競争性が高く、かつ良質な施工が確保される入札契約制度の確立を目指していきたいというご答弁がありましたので、今回の質問は以上といたしますけれども、ぜひとも競争性を高め、公共調達や公共工事のコスト縮減に努めていただきたいということと、いずれ、今行っている入札制度の改善についても、これは事業評価、どのような制度の改善によって効果があらわれたのかといった、その評価も行わなければいけないわけですので、先ほどの積算単価もその変動、市況を見ながらということで推移をしているということもありましたけれども、これらのことも含めて、公共工事であるとか調達のコスト資金がどの程度実現できたのかといった、その達成状況といったものをぜひとも把握をしていただいて、今後しっかりとした形で公表ができるように、その準備を進めていただきたいと思います。また別の機会に質問させていただきたいと思います。

○渡辺委員 私も同じ二百十六号議案、日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その二)についてちょっとお伺いします。
 今度の入札工事価格が、今もお話がありましたけれども、公表されている中で、五九%、約六割という低い価格で落札がされている。九億円も違うということですよね。この日暮里・舎人新線ということになりますと、一昨年でしたか、やはり全体の見直しという状況の中で、全事業が千六百億かかるという状況の中で、三百五十億円の見直しということで削減された経過があるわけです。その上に立って今回のは落札六割、しかも九億ということになっているわけで、一般的には、どうなっているんだと、こういう見方というか、常識的な見方がやはりあるわけですよ。
 私たちからいわせると、私も足立選出ですから、日暮里・舎人新線というのはやはり重要なかかわりがあるわけで、例えば、さっきいいましたけれども、三百五十億も減らされる、今回は九億円も減らして、しかも荒川の鉄橋ですよ。こういうところに関係する公共事業。何かこれだけ減らされると、手抜き工事がされるんじゃないかというような、そういう心配が一番最初にくるんです。まあ、そういう手抜きがあってはならないということはいうまでもありませんが。
 それからもう一つは、先ほども話ありましたけれども、こんなに減らされてやるということは、やはりコストそのものが最初から大幅に高過ぎたんじゃないかという、そういう話も出てくるわけですよね。
 私は、一般的な疑問が出てくるのは当然だというふうに思うんです。この低入札価格制度というものがあって、そこでいろいろ審査して、やれるという判断をしたというんですけれども、本当に大丈夫なのかどうか、どういう審査をしたのかということについてお聞かせをいただきたいと思うんです。

○松村契約調整担当部長 渡辺委員の質問にお答えいたします。
 低入札価格調査制度に係ります基準価格を下回る入札につきましては、当該契約内容に適合した履行がなされるか否かにつきまして慎重に調査を行い、履行の確保がなされると認められるものについて低入札価格審査委員会で審査し、落札者としているものでございます。
 本案件につきましては、低入札価格により入札した理由、積算内容、施工体制、品質確保等についてのヒアリングを行うとともに、経営状況調査を実施いたしました。その結果、契約の適正な履行に必要な技術力、経営内容、積極的な取り組み姿勢等を十分に備えていると認められたので、総合的に判断して落札者としたものでございます。

○渡辺委員 今さらとやかくいうものじゃありませんが、安いことにこしたことはないですけれども、余りにもひど過ぎるという感じで、今、関係で申し上げたところなんです。
 ただ、資材ですね、どういう素材を使いなさいということをいっているわけですから、その素材に本当に沿っているのかどうか、そのほかのいろんな条件があるわけですから、そこのところはしっかりと点検をして、抜かりのないようにしていただきたいなというふうに思います。
 このようないわゆる低入札価格というものが容認されていくということになれば、これは全国的に手広くやっている大企業、そういうところでは仕事を確保できるということになるわけですが、例えば単体とか、あるいは地元同士のJVですね、こういうことからいうと、これはもう太刀打ちできない。単体とか地元同士のJVなどというのは、そんな低入札価格、こういうことでは、この札というんですか、入札をするという状況にはとても立てないということですから、そういう点では本当に私は大企業だけのものになっていくのではないかというふうに思うんです。
 そこで、中堅の建設業あるいは中小の建設業、私は、この前新聞をちょっと見ましたけれども、都中建でも今危機を感じていまして、緊急アピールというものを出しました。そういうことを考えますと、このような低入札価格というものがふえていくことについて非常に心配されているということなんですね。これが広まっていくと、先ほどいったように本当に太刀打ちできないというようなことになりますので、その辺については東京都はどのようにお考えになっているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○松村契約担当調整部長 平成八年以降、低入札価格調査制度について段階的に試行を拡大したところでございます。これまでのところ、低入札価格調査実施工事につきまして、施工体制、履行結果などに不適切な点は認められておりません。こうした試行結果を踏まえ、本年四月以降、建築工事五億円以上、土木工事四億円以上、設備工事一億二千万以上、いわゆるジョイントベンチャー対象案件につきまして本格実施に移したところでございます。本格実施に伴い、施工管理体制に万全を期し、今後とも適当な履行の確保を図ってまいります。

○渡辺委員 もう一つの点は、低入札価格による落札が下請いじめということに結びつくのではないかという心配なんです。
 例えば、元請と一次下請、ここでは契約が結ばれるということがあるんですけれども、その一次下請から今度は二次、三次とこう行くわけですけれども、その時点では契約書などというのはほとんど取り交わされていないというのが実態です。これは、契約書を結ばなきゃならないということははっきりしているんです。それは義務づけられているんですけれども、しかしなかなかそうはいっても、現実の問題としてはそういう契約が結ばれていないというのが実態なんですね。
 そこで、二次、三次のいわゆる労務費、あるいは、いろんな単価、そういうものについて、大幅に削減をしていかなければならなくなるのではないかというふうに私は思うんですね。そういう点で下請いじめになるんじゃないかと思うんですけれども、下請いじめに結びつかないような指導というのはどのようにされるのかということで、ちょっとこの点についてもお聞かせをいただきたいと思うんです。

○松村契約調整担当部長 低入札価格調査におきまして、施工体制については配置予定技術者、資材の購入先、労働者の確保及び下請人を含む施工体制台帳などについて調査を行い、適正な履行が確保できると判断したものについて落札者としているところでございます。建設業法や公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律では、下請契約等の適正化を図るため、施工体制台帳に下請負契約書の写しを添付することとなっており、ご指摘の点につきましては、施工管理に当たってその確認を行うなど、適正な履行の確保を図っているところでございます。

○渡辺委員 今、答弁にもありましたけれども、やはり下請との関係では、契約書の提出、それと労務単価などをしっかり点検するということで、これは東京都としてぜひひとつ確認をして進めさせていただきたいというふうに、これは求めておきたいと思います。
 最後になりますけれども、もう一つは、このような低入札価格、こういうことをどんどん取り入れられるということになりますと、ややもすれば、トラブルの原因にもなりかねないというふうに私は思うんです。そういう意味で、このような事態を生じさせないためにも、公平さと、中小建設業者が安心して受注機会に参加できるように、そしてまた、コストの削減、これがずっと進められているわけですけれども、置かれている中小建設業者はもう本当に悲鳴を上げているというような状況も考え合わせてみますと、最低制限価格制度というものをやっぱり明確にしてほしいと。それ以下のいわゆる入札ということについては失格という形で、改めてこれをもとにしっかりと戻して確立をさせてほしいと、こういう要望があるわけです。
 その点で、私はあえてこれを東京都に申し上げたいと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○松村契約調整担当部長 低入札価格調査制度は、入札者の企業努力を促し、発注コストの縮減に資する点でメリットがございます。今後とも施工管理に万全を図り、低入札価格調査制度の適切な運用に努めてまいります。

○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、議事の都合により、十分間程度休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時開議

○近藤副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 報告事項、東京再生都債の発行についての質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○矢島委員 最初に、都債という観点からいきますと、財政再建とか、それに若干絡んできますので、ご容赦願いたいと思います。
 東京再生都債の発行は、東京だけの取り組みでなく、先行する自治体もあるわけですけれども、東京で個人投資家を対象にした発行により、都政を大変身近にしたというシンボル的な意味で、大変評価できることだろうと思います。
 しかし、現在の機関投資家を中心にした発行額との比較では、今回わずか五%程度。しかし、市場に紹介をしたという意味は大変大きいと思いますので、今後どのような位置を占めるか、まずこれをお伺いいたします。

○松澤主計部長 今回発行しました東京再生都債は、今、先生からもお話ございましたように、都民の都政に対する参加意欲が高まるのはもちろんのこと、資金調達の多様化あるいは発行コストの削減といったさまざまな効果が得られたことから、極めて意義あるものと考えております。また同時に、地方債のマーケットにも二百億円規模ということで、初めての個人向け都債というものが出たということで、かなりインパクトを与えたものと考えております。
 一方、機関投資家向けの公募債による都債につきましては、ご案内のとおり、発行の中で大きなウエートを占めておりまして、地方債市場での都債の信用力を支えているものであることから、常にロットを確保して安定的に発行を行うことが必要でございます。
 そういう意味で、都は他の地方自治体と違いまして、民間からの資金調達が全体の九割ぐらいを占めるということで極めて高くなっていることから、今後とも、今申し上げました機関投資家向けを中心としながらも、今回発行しましたような個人向け都債を発行することによりまして、あわせて都債の商品としての多様化を図りながら、全体として地方債マーケットでの都債の評価を高めていきたいと、このように考えてございます。

○矢島委員 今のお話にありましたけれども、基本的に現在と同じように機関投資家を中心にして発行をこれからも続けられていくと。わずかな人数であるけれども、個人の投資家もそのロットの大きい方にいらっしゃるということはよく承知しております。
 結果的に、地方債が基本的に国の許可制という信用力で、一律条件の中で発行されているわけですが、東京都の発行ボリュームと財政状況が比較的ほかよりはいいと。果たして東京都自身からいいかといったら別問題でありますけれども、いいという状況の中で、いわゆる第二テーブルと比べて発行条件が大変よい、別格扱いとなっている事実があろうと思います。
 しかし、平成十八年、二〇〇六年に予定されております起債の事前協議制移行後は何が変わってくるのか、そして何が変わらないのか、これをお伺いいたします。

○松澤主計部長 ただいまご指摘のように、平成十八年度以降は国の起債許可制度が廃止されまして、国の同意が得られなくても地方債を発行することが可能な、いわゆる事前協議制に移行することになったところでございます。
 事前協議ということで、国のある程度の関与は残るとは思いますが、地方団体の資金調達の面では、国のコントロールのもとではなく、市場から各団体が独自に行う方向に向かうことから、例えば発行条件の決定に対する国の関与もますます弱まっていくことが予想されるところでございます。

○矢島委員 先ほどの審議にもありました出納長室が、これまで公金管理の取り組みを進めてきたわけでございますが、この公金管理については、東京都の責任で金融機関を評価し、受け入れ先を選択したわけです。今の関与が少なくなるということになると、機関投資家の東京都に対する見る目という大変大きな問題が出て、そこにさらされるということになろうかと思います。将来的に都債を引き受ける市場が東京都を評価し、そしてこれによって発行条件が決められてくる。有利になる、不利になる、決まってくるということになろうと思います。この場合に、その評価はどのような基準となるとお考えか伺います。

○松澤主計部長 これまで地方団体の起債に対する信用力につきましては、地方財政調整制度などを通じまして、国の庇護のもとに全団体同じという考え方で進んできたわけでございますが、ご指摘のとおり、地方分権の流れの中で、地方債のマーケットは、これから各自治体ごとに評価する方向になってくるわけでございます。そうしますと、もう現実に、現在、地方債の流通市場の方では、各地方団体の債券の中で都債の評価が、先ほどもお話ございましたが、最も高いということで、その基準としましては、既に地域の経済力であるとか、団体ごとの財政状態あるいは債務の水準など、さまざまな視点から地方債を評価しているわけでございます。
 都はこれまで、財政の健全化を着実に進めてくるとともに、将来の財政負担に考慮して起債の発行額も抑制してきた努力などが評価されまして、本年四月のR&Iの財務ランク格付では、地方自治体では唯一東京都だけがAランクの格付をもう既に受けております。
 そういうことで、都は今後とも手を休めることなく、財政構造改革を積極的に進めまして、都債が市場からの高い評価を受け、結果として資金調達コストの削減につなげるように取り組んでいく決意でございますので、そういう意味からも、その基準というものは、財政状態、債務の水準というのがかなり重要なポイントかというふうに考えております。

○矢島委員 地域の経済力というお話ございましたけれども、やはり東京が東京である理由に、都市再生の必要性というのは、その意味でも非常に大きなポイントになろうかと思います。
 今のお話を伺いますと、地域の経済力に合わせて現在的な資金繰り、要するに財政上のフロー、それから将来的返済能力が機関投資家にとって一つのポイントになろうと思います。返せないところに貸すことはないわけです。ですから、東京都がそういうような状況で、内容であるかということが大きな観点ということになりますが、ということは、将来の償還能力が都債発行額の限度額をある意味では決定することになろうかと思います。
 現在の都債発行額も、当然ながらフローを見定めながら決定をしているように思いますが、もうそろそろ都債の長期的観点から全体像を示す時期に、先ほど申し上げた意味でも来ているんじゃないかと、このように思いますが、お考えをお伺いいたします。

○松澤主計部長 都債につきましては、財政再建推進プランに基づきまして、十二年度以降、発行を抑制してきておりまして、三千五百程度にとどめてきているところでございます。
 一方、公債費の償還が、バブル崩壊後の景気対策のため都債を大量に発行したことから、これから十五から大体十八年度にピークになるわけでございます。これを何とか乗り越えれば将来にわたり償還額は平準化していく見込みでございます。このため、現在財政再建を進めていく中、当面はやはり三千億から四千億程度発行にとどめることによりまして、都債の残高は将来的にもふえることなく、また後年度においても安定的な財政運営が図れるものと、このように考えております。

○矢島委員 現在取り組んでおります財政再建プランは、十五年度で終わることになります。いわば資金繰りフローの観点からの取り組みだったように思いますし、再建の観点からいきますと、道半ばであるのは見るまでもなく明らかなことだろうと思います。
 新しい改革プランが当然、今後必要となるということだろうと思いますが、このときには、当面の、先ほど申し上げたフローの観点だけの計画策定に終わることなく、誤解を恐れずにいえば、長期的に都債発行可能額が政策資金となるという意味で、政策のボリュームというのを考えていかなきゃいけないと、私はこのように思います。ここがいわば、先ほど申し上げたように、市場の見きわめようとしている部分でありますし、この意味で、この中長期的な観点が議論の前提とならなければならないと考えます。
 ですから、先ほど数字としては三千億から四千億という数字が出てきましたので、そこを見ていけば、ある程度先の形が見えるようにも思いますけれども、やはりそこには長い目で見てきたときに、都債を幾ら出すんじゃなくて、いわば税収、一般会計があって、経常費があって、それを差し引いたところに今度は公債費の償還がある、それから債務負担行為がある。そういうものを、将来の政策を規定していくわけですから、政策の新たにできるものの内容、ですから、公債費のレベル、あり方、それから債務負担行為を含めて、非常に大きなポイントを占めているように思います。そういう意味も含めての長期的な観点から取り組みをしていただきたいと思いますが、お考えを伺います。

○松澤主計部長 ただいま申し上げたとおり、財政再建推進プランに基づきまして、平成十二年度以降の起債を抑制しているわけでございまして、このことが、裏返せば、今先生からお話ありましたように、公債費の平準化という将来の方にもつながっていくわけでございますので、将来にわたる、ある意味では起債発行のことも含めまして、対応能力を高めていくということになるわけでございます。
 中長期的視点から見ても、こうした財政力に見合った都債が安定的な償還が確保されることになるならば、そのことが都債に対する市場からの評価を高めることにつながっていくと、このように認識しております。
 したがいまして、今後の財政運営に当たりましては、こうした観点に立って、都債の適切な活用を図りながら財政の健全化に努めていきたいと、このように考えてございます。

○矢島委員 公債、都債担当の部署が、いわば技術的なものを担当するということではなくて、非常に都政運営のこれから重要な部分を担ってくる、コストにかかわって担ってくるように私は思います。ですから、そちらの観点にぜひ目を広げながら積極的に対応していただきたいと、このように思っています。
 最後にお聞きいたしますが、結果的に都債とか債務負担行為に長期的に拘束されるわけでありますけれども、こういう中で財政再建を進めていかなければならないわけですが、新局長の決意をお伺いさせていただいて、質問を終わります。

○田原財務局長 都民の負託にこたえまして、必要な施策を将来にわたり実施していくためには、中長期的視点に立った財政運営は、これはぜひ必要であります。お話しの公債費、それから債務負担行為など、長期にわたる後年度負担にも十分留意をしていかなければならないと思っております。
 こうした観点から、都債につきましては、将来の公債費負担を軽減させるため、近年、極力発行を抑制するということをやってまいりました。こうした努力の結果が、継続が、都債残高の縮減という形であらわれてきたものだと考えております。
 各年度の予算編成におきまして、内部努力、それから施策の見直しなどによって歳出の抑制をさらに図るとともに、長期的な債務の抑制など都財政の体質の改善をさらに進める、そういう見地に立ちまして、今後とも財政構造改革を進めていきたいと思っております。

○真木委員 九月四日のこの東京再生都債発売初日、一時間二十分で二百億円を完売したということでございます。大変な人気であったわけでありますけれども、この東京再生都債の人気の原因を東京都としてどのように分析されているでしょうか。

○松澤主計部長 今回人気が高かった理由としましては、三点、主にあると思います。
 一つ目は、株価の低迷を含めまして経済の先行きが不透明なことや、ペイオフの問題などもございまして、都民の方々が、より安全性を重視した資金運用先を今回の都債に求めたこと。二つ目には、現在進められている、東京都による東京再生への積極的な取り組みが都民から理解と共感を得られたこと。それから三つ目には、今回の都債の償還期限が三年ということで、手ごろで買いやすかったことなどが考えられるところでございます。

○真木委員 大変な人気でございまして、私など普段、都債の利率などには、買う意思も能力もないものですから、全く関心はございませんでした。具体的な数字は知らない人間からすると、今度の、こんなに人気あるんだから、よっぽど利率が高いんだろうというぐあいに思いました。しかしながら、聞いてみますと、〇・一二%。じゃあ普段の五年債はどうなのかと思いますと、五年債は〇・三六一、十年債は一・三〇三ということでございまして、コンマがつくと何かわからなくなりますが、〇・一二と〇・三六といったら三倍もあれですね。だから、今度の再生債は三分の一の利率であるということで、すごいなと。
 うがった見方をすると、そんなに安い資金調達コストなわけはないと。実は、これは一億円程度であれば機関投資家は一人でぽんと買う、用紙は一枚でいいと。ところが、今度の再生債は五百万が限度ですから、二十人の方に買ってもらわなきゃいけないということになって、じゃあ手数料が相当高いんだろうというぐあいにうがって思っておったんですが、実はそうでもないらしいということがわかりました。一億円を売った場合、手数料はどういう状況になるんでしょうか。

○松澤主計部長 三年物というのはなかなかないものですから、五年債と比較してということになりますが、九月に発行しました五年物の都債は、応募者利回りで年利〇・三六%でございまして、今回の東京再生都債は三年物ということで〇・一二%となっておりまして、その利率差は〇・二四%でございます。
 今お話のございました、これを一億円売った場合の手数料差についてでございますが、通常の五年債の手数料は百円当たり三十四銭でありまして、証券会社等に支払う手数料は、消費税を含めまして三十六万円となります。一方、今回の東京再生都債では、百円当たり十五銭ということでございますので、手数料は一億円当たり約十六万円となりまして、両者を比較しますと、年限は異なりますが、東京再生都債の方が一億円当たり二十万円程度安くなる計算になるわけでございます。

○真木委員 機関投資家は一億円程度なんかじゃないですね。もっと大きな単位でぼんと買っていくわけでありまして、一億円なんていうのは小口だということでございます。一人の人間が買っていく一枚の書類を書くだけの手数料が三十六万円で、二十人の人間に一々、個人の素人に相手をして説明して、そして二十枚の書類を書くのに証券会社がもらうのは十六万円だけと、証券会社にしてみると非常に割が合わない仕事じゃないかなと思うんですが、なぜこんな安い手数料が可能になったんでしょうか。

○松澤主計部長 今回の東京再生都債の手数料が低くなった理由でございますが、証券会社に対しましては、国内公募地方債では初の入札方式である主幹事方式を導入したことによりまして、競争性が発揮されたことが主な要因である、このように考えております。
 また、ミニ公募債としては、国内最大の二百億円という販売ロットの大きさや、都債は人気が高く売れ残りのリスクが極めて低いことに加えまして、新規の顧客が証券会社も確保できるというメリットがあることなどから、このような手数料設定が可能となったもの、このように考えてございます。

○真木委員 機関投資家に対する五年物の利率が〇・三六%--手数料の話はもう終わりまして、利率が〇・三六%、それに比べれば、この再生都債の〇・一二というのは格段に低いわけでありますけれども、今、銀行にしろ郵便貯金にしろ、三年物の定期を預けても〇・〇七%でしかないということからすれば、本当にミクロの世界であれですけれども、〇・〇七と〇・一二、大した差がないようでもありますが、でも、見方によっては倍近いということでございまして、〇・〇七に比べたら相当高いわけであります。
 この〇・一二の設定の根拠についてお尋ねしたいのと、私、個人的には、この〇・一二なんていう、人気があるわけですから、ここまで高くする必要はないんじゃないかなと思うんですが、その辺についてお答えください。

○松澤主計部長 債券の利率設定につきましては、当たり前のことでございますけれども、高い場合には、当然購入者の方が喜ばれるということで、逆に、発行体にとっては調達コストの増大を招く、こういうことになるわけでありまして、意図的に利率というのを行うのではなく、あくまでも市場の実勢といいますか、そのときのマーケットの状況を基本として定める必要があるというふうに考えております。また、市場実勢に合った利率を設定することは、地方債市場における都債の信用力を高めることにつながるわけでございます。
 こうしたことから、今回の東京再生都債の利率についても、国債や、あるいは金利の動向などの市場実勢を十分見ながら検討した結果、年利が三年債ということで〇・一二%、このようになったものでございます。

○真木委員 私は、もっと引き下げてもいいんじゃないかなという観点から改めてお尋ねしますが、こんなにも売れた、人気であった理由を簡潔に--やはり人気の理由としては利率が高かった、郵便貯金よりかは高かったということ、もしくは東京都だから安全であるということ、そして、今回、先ほどもありましたが、三年というのが手ごろであったという指摘がありましたけれども、この三要素、利率と安全と期間という三要素の中で、一番、人気の理由は何だったというぐあいに考えられますでしょうか。利率、安全、期間。

○松澤主計部長 購入者サイドの高かった理由ということでございますけれども、まだ正確にアンケート等でとっておりませんので、はっきり三つの中でどれというのはなかなかいいにくい部分がございますが、私、個人的には、今回という経済状況あるいは金融状況、いろいろなことも含めましての中で考えますと、やはり東京都の信用度あるいは都債の信用度ということと、先ほど申し上げましたように、ペイオフとの関連も含めまして、安全ということが、都民の方にあれだけ人気を持って買っていただけた大きな理由ではないかと思います。
 もちろん、それ以外にも、お話ありました三年物というのが期間として手ごろであるとか、そういうこともありましたし、利率も、いろいろな面で購入者の動機づけにはなっている、このように考えております。

○真木委員 私も部長の意見に同感でございまして、〇・一二で五百万が限度である。五百万目いっぱい買って〇・一二というのは、六千円の世界ですよね。年間五百万円預けて六千円にしかならない。ましてや税金が取られるわけですから、マル優の高齢者の方でもない限りは四千八百円にしかならない。五百万預けて四千八百円になるか、たんすに入れておくか。これでわざわざ証券会社の窓口まで飛んでいって買いにいっている人はいないんだと思います。
 やはり何といっても安全性を第一に考え、売れたんじゃないかなというぐあいに考えるわけでありまして、であるならば--とはいうものの、二百億円にとっての〇・一二とか〇・〇幾つかのパーセントというのは非常に大きいわけでございまして、ましてや、これからもっとロットを広げるかもしれないという中では、やはり〇・〇一%に対してまでも東京都はこだわって、下げていいんじゃないかなというぐあいに思う中で、一人五百万円というこの限度額を引き上げて、そして利率を下げて、そのためには、もっともっと二百億円に限らず、もうちょっと発行ロットを大きくするというようなことで、東京都の資金の調達コストを下げるということも考えられるんじゃないかと思うんですが、いかがでありましょうか。

○松澤主計部長 今回の二百億円という発行ロットにつきましては、調達コストの削減や円滑な都民への販売が可能となるよう、民間会社が一般的に発行する社債の規模などを参考にしまして設定したものでございます。
 また、購入限度額五百万円については、今回の東京再生都債によって、先ほど申し上げましたように、都債を都民に身近なものにするという観点、これが非常に重要でございますので、こういった観点に立ちまして、広く都民の方に購入していただくこと、それから、発行コストの面などから総合的に勘案した上で設定したものとなっております。
 ちなみに、二百億円の発行で、一人平均五百万円購入したとしますと、単純にいきますと四千人レベルの購入ということになりますので、都の人口とか、購入している希望者の方のことを考えれば、やはり、ある程度すそ野を広げていかなければいけないということもありますし、そういう面で五百万円ということにもなっているわけでございます。
 それから、金利を下げた方がいいというお話もございましたが、これについては、債券市場のマーケットというものの面もありますので、先ほど申し上げましたように、意図的にやるものでなく、あくまで、やはりその時々の金利とか債券市場の実勢という、国債の金利も含めまして、にらみながらやっていくということにしておりますので、その結果が、繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたような〇・一二と、こういう金利になったところでございます。

○真木委員 今お話にもありましたように、都債を通じて都政に親しみを感じてもらうという、今回そうした目的もあるわけであります。人気の理由、先ほど私、三点挙げましたけれども、それとは別に、国債は、買っても何に使われるかわからないという中で、今回の都債は、現場説明会、見学会があるというようなことも一つの動機にはなっているんだろうなというぐあいに思います。
 そこでお尋ねしますが、現場見学会はどのような内容になるんでありましょうか。

○松澤主計部長 今回、都債を購入していただいた方に対しましては、自治体では初の試みでございますけれども、抽せんで現場見学会にご招待しまして、主な都債の充当先について、事業の必要性や現場の状況などを肌で感じていただきながら、一層の理解を深め、都政への参加意欲を高めていただきたいと考えております。
 現場見学会の具体的な実施方法につきましては、現在、所管局と最終的な詰めを行っているところでございますが、例えば、東京再生に役立つ新交通「ゆりかもめ」の延伸事業や、あるいは環状八号線の街路整備事業などの現場にご案内することを検討しております。実施時期につきましては、十一月中を目途に考えておりますが、協議が調い次第、早期の実施を目指してまいります。

○真木委員 今、初めて具体的に使途、見学会の先が明らかになったんだと思いますけれども、ぜひこういった見学会、都民の方がこれを目的として買った方もいらっしゃるかもしれませんので、内容の充実したものにしていただきたいというぐあいに思います。
 二回目の発行がうわさされております。二回目の発行についてスケジュールをお尋ねいたします。そしてまた、今度の都債の充当先なんですけれども、一回目は道路、公共交通網の整備ということでありました。そしてその先は、今具体的にありましたように、「ゆりかもめ」や環状八号線ということでございますけれども、二回目の充当先はどうなるんでしょうか、教えてください。

○松澤主計部長 東京再生都債は、おかげさまで大変好評のうちに即日完売したわけでございますが、一方で、希望したにもかかわらず、購入できなかった都民の方が多数おられる状況でございます。
 このため、十一月末には第二回目の募集を行う方向で現在鋭意準備を進めているところでございます。第二回目については、一回目と同じく、二百億円規模程度で発行する予定でございますが、起債はあくまでも公共事業の財源であることから、起債対象事業の執行状況、あるいは他の資金区分の都債の発行区分との関連などについて踏まえる必要があるわけでございます。
 そうした面から見ますと、今年度第二回目についても、第一回目と同様、道路や公共交通網の整備事業に充当をしていきたい、このように考えております。

○真木委員 今、一回目と同様に道路や公共交通ということがありましたけれども、都民の関心ということでいえば、それだけじゃなくて、例えば緑地を保全していく、里山を保全していくというようなこともあろうかと思います。都債の充当先として、ぜひそうした里山保全都債、緑地保全都債などというものも今後検討していただけたらなというぐあいに思う次第であります。
 そして、いろいろ今まで聞いてまいりましたけれども、利率は低い、さらに手数料も低い、さらには都民の都政への参加意識も高まる、よいことずくめのこの再生都債であるならば、今年度十四年度におきましては、都債の予算は三千七百十五億円ということでございますが、そうしますと、そのうち、一回目二百億円、今度二百億円やるということで四百億円、三千七百十五分の四百ということになりますと、一〇・八%でしかありません。この比率をもうちょっと高めて--全体をふやせというんじゃないですよ。三千七百十五、これはもうある程度抑えていかなければならないわけでありますけれども、都債の発行額はこの程度としながらも、再生都債と申しましょうか、個人向け都債の比率を高めていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 十四年度の予算における一般会計の起債計上額三千七百十五億円のうち、現時点の見込みとしまして、このうち二百億円は退職手当債に計上しております。また、二千五百億円は民間公募債ということで、通常の機関投資家向けに既に計画をしまして、地方債のマーケットにも示しているところでございます。
 この機関投資家向けの公募債を減らせばいいじゃないかという議論もあるかと思いますが、これにつきましては、都債が市場からの信頼と有利な発行条件を確保する観点からやはり重要でございまして、毎月安定的な発行を行い、一定の流通量を確保することが不可欠なものでございますし、個人向けを発行するにしても、前提は市場の都債に対する信用力ということがバックグラウンドにあるということでございます。
 そういうことで、東京再生都債については、今回と第二回合わせまして四百億円を発行しますので、今年度の起債枠から見て、まだ六百億円程度可能なように見えるわけでございますが、国庫補助の内示に伴う起債の減少分や資金の使途から見て、今年度はこれ以上の追加はかなり困難な状況でございます。

○真木委員 現状の比率が適当であるということであるかと思いますが、現状の比率が適当であるとするならば、また逆に、来年度以降もこの現状の比率は確保していただけるというぐあいに理解していいのかどうか。十五年度も個人向け都債を発行する、少なくとも今程度発行すると考えていいのかどうか、ご所見を伺います。

○松澤主計部長 これから十五年度の本格的な予算編成が始まるところでございまして、現時点で来年度の都債の発行額あるいは資金区分もまだ未定であることから、明確なことは申し上げられませんが、個人向け都債である東京再生都債につきましては、今年度の好評な結果を踏まえまして、引き続き来年度も発行したい、このように考えております。
 十五年度予算において、仮に起債額が十四年度と同水準の三千七百億円程度であれば、先ほど申し上げましたように、大幅な増額は困難ではございますが、十四年度並みの規模の確保に努めていきたい、このように思っております。

○真木委員 機関投資家へ安定的な購入をしてもらうことが必要であるというようなことで、なかなか個人向け都債をふやすということは難しいという今のところの当局のお考えだとは思いますけれども、しかしながら、これだけ利率において差があるというか、機関投資家向けと比べれば、あの程度の物すごい低い利率で都民は喜んでくれるわけでありまして、都民にとっても買いたいという安心感があるわけでありますので、ぜひ来年度以降も、この個人向け都債を発行していただきたいというぐあいに思います。民主党におきましても、個人向けボンド債などを提唱して、市民ボンド型の都債を提唱してきたという経過もあります。
 こうした取り組みをぜひ続けていただきたいということとともに、東京都から見れば、安い調達コストで資金を調達するということは、これは非常にいいことでありますから、安心を売るということで、利率はもっと下げてもいいんじゃないかということもご提案したいと思います。
 また、充当先につきましても、例えば環境、緑地保全、里山保全ということでありましたら、例えば、一千万円東京都に預けてください、利子はゼロですといっても、喜んで買う人がたくさんいるんじゃないかと思うんですね。東京都の緑地保全のために十万円寄附してくださいといったら、だれも十万円寄附--だれもということはないですけれども、十万円寄附してくれる人は非常に少ないです。だけど、一千万円を五年間預けてください、利子は全然つきませんと。でも、これは事実上、十万円程度の寄附をしてもらうことになりますよね。だけど、一千万円を預けてください、利子はつけませんけれども、五年後には確実に返しますといったら、あなたは緑地保全に貢献していますというような立派な表彰状をつくれば、債券を喜んで買ってくれる人はたくさんいるんじゃないかなと思うんですね。
 そういった形で目的をはっきりさせつつ、安い資金で調達をし、そして都民にも都政への参加意識を高めてもらう、そういった工夫をぜひ今後お願いを申し上げ、来年度もぜひこうしたいいことを続けていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

○松澤主計部長 今、先生の方から、起債の金利を低くして充当先も拡大したらいいんじゃないかというお話がございましたが、基本的にはおっしゃるとおりだと思いますが、もうこれは先生には釈迦に説法でございますが、三年物という短いものですと、当然金利は低くなりますし、十年物のように長いものは、金利が当然高くなるということでございます。
 そういうことで、住宅ローンと同じように、要するに、変動金利みたいに短いものにしておけば、そのときは助かるんですが、三年後に、またその分を発行しなければいけないことがございますので、今という金融情勢の中で、十年でやった方が、三年よりはもちろん高いですけれども、最終的にどうかなということも一つございます。三年にすると、これはやはり公共事業の財源ですから、三十年ということになりますと、借りかえを何回もやっていかなければいけない。そのときの金利状況によって変わってきますので、かえって高くなることもありますので、そういうことも十分にらみながら、どういうレンジの起債を発行していくか、こういうことをやはり考えていくことが一つ大事なことだと思います。
 それから、起債の充当先も、おっしゃるとおり、拡大するということが大事だと思いますが、ご案内のとおり、三千七百十五億円ということで、これは公共事業の財源でございますので、当然、充当先がはっきり決まってございます。その充当先にないものを起債するというのは、なかなか困難でございますので、起債はある意味では借金でございますから、やはりそこら辺のことも十分踏まえながら、充当先というものもにらんでやっていきたいということを十分心にしながら、おっしゃる意味も含めまして取り組んでいきたいと思います。
   〔近藤副委員長退席、委員長着席〕

○桜井(良)委員 私も再生都債についてお伺いしますけれども、大人気で、あっという間に売れちゃったという、この販売面の成功が話題を集めているわけなんですが、私も長く財政委員会に所属して、地方財政制度のあり方について、ちょうちょうはっし皆さん方と議論してきた立場から考えますと、これは、平成十二年度の地方分権一括法の成立から地方債の制度改革、こういう流れの中でこの問題を考えていくべきだと思います。東京都がなぜ再生債を発行できたかということを考えますと、この流れの中でこれをとらえていくことが大事ではないかな、こういうふうに思うわけであります。
 先ほどから議論が出ていますが、平成十八年度には許可制度がなくなりまして協議制になる、こういうことでありますが、国のコントロールのもとに置かれていた地方債の発行が、地方みずからの力で資金を調達していく、そういう方向に向けている、こういう中からとらえていきますと、先ほど矢島委員の話にも出ましたが、本年四月からツーテーブル方式を取り入れて、東京都と他の団体という中で条件を設定していくということも、一つの大きな流れを象徴するものだ、こういうふうに思います。したがって、このツーテーブル方式という公募債の改革が、一つは今回の再生債の発行につながったのではないかな、こういうふうに考えるわけなんです。
 そこで、このツーテーブル方式がどういういきさつで導入されてきたのか、ちょっとご説明をしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 これまで、地方債の利率などの発行条件につきましては、国、総務省でございますが、ここが統一して銀行や証券会社の代表と毎月交渉しまして、東京都を含め公募二十八団体の発行条件をすべて一律の条件とする、いわゆる統一条件交渉方式により決められていたところでございます。
 統一条件交渉方式は、今申し上げましたように、発行条件が二十八団体横並びのため、団体ごとの市場の実勢と乖離が生じるとともに、その決定が国に一任され不透明なこともありまして、今後の地方債市場の健全な発展の面からかなり無理が生じてきておりました。特に都にとりましては、都債が、市場での評価は最も高く、よい条件がとれるにもかかわらず、発行市場では正当に評価されないなどの問題がございました。
 こうしたことから、都は国に対しまして、これまで制度改善に向けた強い働きかけを行ってまいりましたが、ようやくその成果が実りまして、今先生お話しのとおり、十四年四月から、東京都と他の二十七団体との二つのグループに分けて、発行条件をそれぞれ別個に決めるツーテーブル方式に移行することとなったものでございます。

○桜井(良)委員 民間の市場から資金調達をしている自治体は、三千三百の自治体の中で東京都を含め二十八団体しかない。その二十八団体が今までは一つの条件の中で発行してきたわけですよね。ですから、人気の高いといいますか、評価の高い東京都の地方債も、悪い地方債に引きずられた条件の中でそれを発行しなければならないという、極めて不合理といいますか、これも一つは東京都にとってのマイナス、今までのいわゆる地方財政制度の中のマイナス要因の一つだと思うんですが、それが切り離されたということですよね。
 市場の流通価格が違う商品を全部同じ値段で売るというようなことは到底あり得ないことなので、そういう中でツーテーブル方式が導入されたということは非常にいいことだと思うんです。しかし、まあ答えが先ほどちょっと出ていましたけれども、導入された結果、その改善策なり都にとってのメリットが生じたと思うんですが、ご説明をしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 ツーテーブル方式が導入されたことによりまして、地方債の発行条件に、今お話ございましたように、市場実勢をより的確に反映させることになりまして、都債としても、他の発行団体の金利などに引きずられることなく、有利な発行条件の設定が可能となったところでございます。
 また、手数料の面でも改善が図られまして、具体的な数字で申し上げますと、銀行や証券会社に支払う引き受け手数料は、例えば、これまで都債の十年債で百円につき七十五銭だったものが四十八銭に、また、五年債は四十三銭から三十四銭に、それぞれ大幅な引き下げが実現されたところでございます。こうしたことによる経費の節減効果は、十四年度予算ベースで約十五億円が見込まれるところでございます。

○桜井(良)委員 ツーテーブル方式の導入によって十五億円、経費が削減可能となったということなんですね。きのうからホテル税が実施されましたけれども、それに相当する節減ができるということですから、これは非常に大きな価値あるものとして評価したいと思うわけなんですね。
 このことから考えますと、大きな地方財政制度の改革ということに取り組んでいくんですが、細かいこういう制度の改革も要求して、それを積み上げていくということが非常に大事だと。やはり制度改革がいかに必要か、いろいろな制度があります、都が不合理をこうむっている制度は。それを一つ一つ改善していくことがいかに大事なことかということを物語る一つの例だなと、私はこういうふうに思うわけなんですね。
 しかし、これからの起債は、これで許可制度がなくなって協議制度に移る、こういうことなんですが、国はまだまだ、全国一律、一括、いわゆる護送船団方式がお得意なんですね。ですから、協議制に移って、先ほど主計部長、他の委員の質疑のときに、これから非常に楽になるような話をしていましたけれども、私は、やはり国の関与は残るし、協議制でも形骸化されるおそれもあるな、こういうくらいまでしっかり考えて国の動向を見守っていかなければならない、こういうふうに思うわけなんですね。
 そういう流れの中で、今回、この再生債というものが発行できたと思うわけなんですが、さらに都は、この起債の発行については、自治体のトップとして、いろいろな新しい方式を考えていかなければなりませんし、より効果的なものにしていかなければならない。そういう中で、再生債として、新たな試みとして、先ほどからいっている主幹事方式というものを導入したわけなんですが、これは、よく考えたな、すばらしいやり方だなというふうに評価するものなんですが、なぜこの主幹事方式を選定したのか、改めてご説明をしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 一般の十年債の都債は、シンジケート団を通じて条件決定をしたものについて販売をしているところでございますが、今回、今先生からお話ありましたように、個人向けの初めての都債ということで、やはり証券会社を選定しまして、コンペといいますか、それぞれ条件を出させて競争性を発揮させることによって、都にとっても有利な条件がとれるんじゃないか、こういうことを含めて、こうした主幹事方式を導入したものでございます。
 主幹事方式は、民間会社の社債発行では一般的に使われている方法でございますが、どういうやり方でやるかと申し上げますと、あらかじめ指定した複数の証券会社から、引き受け手数料の条件等を提示させまして、最も条件のいいところを主幹事に選定しまして、その主幹事が販売団を編成の上、販売する、こういう方法でございます。

○桜井(良)委員 今回は、十一社で編成する販売団を編成して都債の販売を行ったわけですが、証券会社だけでなくて、銀行を入れてもいいんじゃないかという声も一部にあるわけなんですが、証券会社だけにしたという理由は何だったんでしょうか。

○松澤主計部長 個人向けの地方債の発行がまだ極めて少ない状況の中で、電力債とかそういった民間の個人向け社債につきましては、現在、すべて証券会社が取り扱っているところでございます。こうした状況も踏まえまして、この種の債券の取扱実績が多くありまして、経験豊かな証券会社に今回取り扱わせることとしたものでございます。
 なお、主幹事会社が編成しました十一社の証券会社による店舗網は、合計で二百十九店舗ございまして、都内全域をカバーしておりまして、銀行が入らなくても都債の販売上は問題がなかった、このように考えております。

○桜井(良)委員 他県の例では、銀行と証券会社が一緒に混在しているために、購入者がどこで買った方がいいのかというようなことで混乱をしているという話も聞くわけでありますが、都の場合は、今回、証券会社だけで販売団をつくったということでありますが、今後とも、都民の利便性を第一にしてシンジケート団を編成すべきだ、こういうふうに思います。
 そして、この主幹事方式によって、販売手数料を削減したという話が先ほどありましたが、現時点で、二百億売った時点で、全体としてどのくらい削減されたのか、また、ほかの個人向け債券と比較してどうなのか、具体的にご説明していただきたいと思います。

○松澤主計部長 今回の引き受け手数料は、主幹事方式の導入によりまして、百円につき十五銭となっております。これは、最近発行しました同じ民間の個人向け三年債と比較して申し上げますと、電力会社が発行した社債の三十九銭、あるいは上場の民間企業が発行した社債の三十五銭に比べまして、半分以下の水準となっているわけでございます。
 ちなみに、今回発行しました東京再生都債の手数料と、今申し上げました直近の電力会社の社債の手数料とを比較した場合では、試算としまして、二百億円の発行額ベースで約五千万円のコスト削減が図られることになるところでございます。

○桜井(良)委員 コストの削減効果ということは非常に大事なことでありますし、都債の引き受けにつきましては、今おっしゃった競争性と、もう一つ、やはり安定的な評価というものの調和が大事だ、こういうふうに思います。
 そういう意味でも、主幹事方式をとったメリットは非常に大きいものがあるな、こう評価したいと考えますが、競争性の導入によってコストが削減されたというわけですが、しかし一方では、先月二十日、国債の入札で応募債が入札枠に満たないで千六百億円売れ残りが出た、こういうことがあったわけです。いわゆる未達、これが生じたわけですが、競争性を追求すると、都債の安定的な販売に支障が生ずることもあるのではないか、こう心配するわけなんですけれども、今回の主幹事方式で、国債の入札時のようないわゆる未達が生ずるという危険はないんでしょうか。

○松澤主計部長 国債は、ご案内のとおり、市場に大量発行しているわけでございますが、この国債の入札方式は、売れ残っても、証券会社がすべてを買い取るといった引き受け責任、これを伴わない入札方式となっております。
 ところが、これに対しまして、今回の東京再生都債は、主幹事を選定するときの条件としまして、証券会社に引き受け責任を持たせる方式を採用しておりまして、手数料の中には引き受け責任料が含まれております。都債の人気が非常に高いため、現状では、売れ残ることはまず考えられませんが、こうした引き受け責任によりまして、万一売れ残った場合でも、国債におけるような未達のような問題が発生することはないと考えております。

○桜井(良)委員 十一月に二回目をやるというお話が先ほどありました。これも主幹事方式でやるわけですよね。都債の発行をめぐる制度改革の取り組みは、これでおしまいというわけではないと思うんですね。これからもさらにいろいろなことを考えていかなければなりませんし、本来であるならば、都が完全に国から独立して、自分の責任と工夫で発行条件を決定するようにしなければならないと私たちは思っております。これまでも私たちは、起債発行については、国からの独立、地方自治体みずからの責任と工夫の中でやるべきだということを何回も何回も主張してきたわけであります。
 そういう中で、国も、個人向けの新たな国債の発行を計画しているというふうに聞いております。そして、国債の購入者は利子に対する課税を免除する、こういう方向で検討しているようでありますが、地方債への適用については全然触れていない、こういうことなんですね。万が一、国債の利子が非課税になって、地方債は課税だというようなことになれば、これはとんでもない不公平な税制になると思うわけなので、都としても、個人向け国債と同じように、東京再生都債の非課税扱いについても、国に対して今のうちから強く働きかけていくことが大事だと思うんですが、所感を伺いたいと思います。

○松澤主計部長 ただいまお話のあったとおり、最近、国の方は、これは新聞報道等でもございますが、来年春ごろに発行を計画している個人向け国債につきましては、三千億程度というような新聞報道が出ておりますが、これについては、現行二〇%課税されている利子にかかる所得税を新たに非課税にするとの動きがあるやに聞いております。
 個人向けの公共的な債券ということでは、都債も国債も異なるものではないわけでございまして、現実に、既にマル優や特別マル優においては、都債と国債では同様の非課税取り扱いがなされているところでございます。
 こうしたことから、仮に国債のみが優遇税制を適用することになりますと、それは全く不合理な措置でございまして、今後、国の動向を十分見きわめながら、国に対してこうした非課税措置についても働きかけを行っていきたい、このように考えております。

○桜井(良)委員 これで最後にしたいと思うんですけれども、再生債の話が先ほどから議論が出ていますが、これはもう限度があるということなんですね。ですから、再生債に限度があるんですが、起債の発行はやはり必要だと思うんですね。したがって、本来の公募債の改革、このことにやはりもっと取り組んでいくことが必要だと思うんですよ。そして、都債全体が自立的で効率的な資金調達の一つの方途になるということをしっかりと目指して、起債制度のさらなる改革に取り組んでいく必要があると思います。
 先ほどいったように、今回の再生債の発行は、一つの地方分権の流れの中で、その過程でツーテーブル方式の導入や、いろいろなことの中で今回できたわけですけれども、本来、地方債の公募債の改革という目標に向かって、一つの過程の中だと思うんですね。そういう意味においては、やはり起債制度の改革に向けてさらに取り組んでいくことが必要だと思いますので、その所見を伺って質問を終わります。

○松澤主計部長 今、先生のお話にありましたように、これからの地方債の制度改革の問題についてでございますが、機関投資家向けの通常の公募債につきましては、発行の中でも大きなウエートを占めまして、地方債市場の信用力を支え、その根幹をなすものであることから、今後、やはりツーテーブル方式の改善をさらに進め、発行条件などを都で独自に決定していく方向に進むことが、今後重要な課題であると認識しております。
 また、個人向け都債も含めまして、先ほど申し上げましたように、国の動向もにらみながら、利子の非課税問題、これについても十分これからの取り組みとして行いながら、都民に親しまれる魅力ある商品にして、なお一層の改善を図っていくことが必要と考えてございます。
 こういうことから、将来に向けまして、東京都が国の関与から脱却して自立的かつ効率的な資金調達ができるよう、国に対しまして、税制面も含め、一層の地方債制度の改革に向けた取り組みを今後行っていく決意でございます。

○藤田委員 一点だけお尋ねしたいんですが、私も何点か用意をしましたが、重なるところもありますので、ちょっと別の観点から。
 この再生都債が人気の理由はというところで、信用面ですとか安全というようなことが大きかったと思うんですね。普通から考えれば、都市づくり、都市再生に対する理解と参加意欲を高めることというのは、なかなか難しいといいますか、何か箱物をつくったときには、埼玉の方でしたでしょうか、この箱物をつくるので、ぜひ債券を買ってほしいというようなことで、目に見えるものですと、本当に参加の意欲がわくということがあるわけです。資金の使途のところで、道路交通網の整備事業に充てるということで、先ほど、「ゆりかもめ」の延伸や環八側道の整備というようなお話があったんですが、この資金使途については、計画といいますか、環八の側道というようなことについては、今まで私も余り聞いたことがなかったので、これからの計画というのは、ある意味では、十五年度にどういうふうにしていこうかというところからこの資金使途が出てくるのでしょうか。あるいは、今までのものについて、この二百億を充てるのだぞというようなことでは、どちらのことを考えていらっしゃるのでしょうか。

○松澤主計部長 資金使途の充当先に対する、現場を見ていただく問題でございますけれども、まず、基本的な資金使途は、ことしの三千七百十五億円の発行の中の充当の使途でございますので、この再生都債の充当は、これからやる今年度の充当先の問題でございます。
 どこを現場を見てもらうかということにつきましては、やはり都民の方が充当先を肌で感じていただくということになりますので、やはり基本的には、過去のものでなく、現在あるいはこれからのものということでございます。

○藤田委員 これからのものというのは、十五年度以降ということですか。それとも、ことしはもう一応三千七百億の都債を発行しているという状況に今あるわけですけれども、その中の発行額を、十五年度の予算に対してこれを使いたいということでご提案があったのでしょうか。

○松澤主計部長 これは、ただいま申し上げましたように、今年度の充当事業でございますので、今年度のものに対してでございます。

○藤田委員 私はこれまで、都債の制限枠というようなことで、三千億程度でない限りは、なかなかこれから債券も難しいんじゃないかというようなお話をしてきたんですけれども、実際にこういう債券の枠が、都債の枠の中でこのことに充てるんだということは、何か私、ある意味で、すりかえといういい方が、大変恐縮ですけれども、そういうふうに思うというのは、実際に、都市再生ということで、皆さんの目をある意味ではそらすような感じになるんじゃないかと思っているんですね。
 というのは、なぜ、じゃ都市再生だけに焦点を当てたかという、この都債の発行の目的のところにかかわるわけなんですけれども、どういうふうにそれを考えるかという、都市再生に充てようと思った意図といいますか、そこのところをちょっとお尋ねをしたいんです。

○松澤主計部長 繰り返しになりますが、三千七百十五億円と、こうした規模の中で、都債の充当というものをいろいろな形でことしも予算を組んでいるわけでございます。連続立体交差事業であるとか、先ほど申し上げました新交通の整備だとか、いろいろあるわけでございまして、その内容を見ますと、基本的にはやはり都市再生というところに一番、そういう投資的経費としての、また財源充当ということも含めまして、あるわけでございますので、そういう面から、今、東京が活性化するということで一番ビビッドに動いている現場、それが都市再生の現場ということで、そういう形で充当先を考えている、こういうことでございます。

○藤田委員 都市再生については、根本的に、ちょっと私の意見と違うので、なかなか--これはもう本当は知事本部の方でやらなくちゃいけないような状況の中の話になってしまうと思いますので、それは譲るとしましても、今までだって、ある意味では、起債はそういうところに使ってきたわけですよね。それに対して、ここに目を向けるというのに対して、ある意味では、そこを誘導していく、こういうことにお金を使うんだから、これを見てくれというのは、もちろん必要なお金の使い方だということになるんだと思うんですが、私は、そういうことであれば、都市再生、今の状況の中でいえば、木密のところ、こういうところが災害が起きたときにどうなるんだというようなことで、そこに充てるというように--本当にこれは政策的な判断になってしまいますので、難しいわけなんですけれども、再生都債というふうにあえて銘を打つのに、何かそこにちょっと違和感を感じるということがあります。これはまた、事務事業などで起債のところの話とあわせて次のときにやらせていただきますけれども、ある意味では、ちょっとここに違和感を感じる。まさに人気の理由は、私は、都債の信用度なり、それから安全度だというふうに思っていますので、次の機会にもう少しきちっとした形でやらせていただきたいと思います。

○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○大西委員長 次に、報告事項、財政再建の取り組み状況と平成十五年度予算編成についての質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際資料の要求がありましたが、理事者と調整の結果、なくなりましたので、ご了承願います。
 直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○倉林委員 それでは、財政再建の取り組みと十五年度予算編成絡みについて質問をさせていただきます。
 都財政の再建については、これまでも、財務局の努力や頑張りで財政再建推進プランに基づいて着実に進められてきている、私はこう思っているわけでありますけれども、ご承知のように、厳しい経済動向の影響を受けまして、都税収入の見込みは低迷が避けられなくなっているなど、申し上げるまでもないわけですけれども、都財政を取り巻く状況というのは大変厳しい。
 そういう中で、先般、我が党の代表質問に対する答弁でも、景気の先行きと税収に対する懸念が示されたところであります。そこで、この財政再建の取り組み状況と平成十五年度予算編成という資料があるわけですけれども、この冊子の中で、このままでは財源不足は約三千六百億円にも達する、特に、このまま手をこまねいていれば、平成十五年度予算ではこういう財源不足が生じる、また、財源不足額は十三年度の赤字限度額二千八百二億円を大きく上回るものであり、このまま放置しておくと赤字再建団体にも転落する、こういうことが記されているわけであります。
 そこでお伺いをしたいと思いますけれども、財政再建を着実に進めてきているにもかかわらず、なぜ三千六百億円という、いわゆる巨額の財源不足が生じてくるのか、そこのところをちょっとご説明いただけますか。

○松澤主計部長 都は、これまで財政再建推進プランに基づく取り組みを進めてきた結果、十四年度予算までに財源確保目標額の八割を達成しまして、残りは千二百二十五億円となるなど、着実に成果を上げてきております。
 しかしながら、その一方で、今お話もございましたように、昨年夏以降の景気の悪化や先行きに予断を許さない状況から、都税収入が、十五年度予算では、財源確保分を除きますと、二千八百八十億円とプランの見込みを大幅に下回る見通しとなってきております。十五年度予算においては、こうした都税収入の落ち込みに加えまして、退職手当などの給与関係費や、他会計からの借入金返済などを含む経常経費が増加すると見込まれることから、このままでは、財源不足は三千六百億円に拡大する見込みとなるものでございます。

○倉林委員 十五年度予算においては、都税収入の落ち込み、退職手当、あるいは経常経費が増加するというようなことで今お話があったわけでありますけれども、こういう厳しい状況下で、財政再建推進プランの関係では、今年度がまさに最終年度になっていると思うわけですね。そういう中で予算を編成するわけでありますけれども、この十五年度の予算編成では、じゃ、どうやってこの深刻な状況を打開していくのか、この点についてお聞かせいただけますでしょうか。

○松澤主計部長 十五年度予算編成に当たりましては、収入の増加には多くを期待できないことから、何よりもまず、全体としまして歳出総額を厳しく抑制して、収入と支出の乖離を縮めていく取り組みが不可欠でございます。
 したがいまして、内部努力にさらに徹底して取り組むとともに、引き続き経常経費、投資的経費を問わず、聖域のない施策の見直しを行うなど、財政構造改革をさらに積極的に進めていかなければならないと考えております。
 具体的には、十五年度の予算見積もり方針でもお示ししたとおり、既定事業については、改めて過去の決算状況を徹底的に分析し、実績を踏まえたものにするなどによりまして見直しを進めていくこととしているところでございます。

○倉林委員 既定事業については、改めて過去の決算状況を徹底的に分析して、実績を踏まえて見直しを進めていく、こういうことでありますけれども、確かに収入の増加に期待ができない以上、歳出の抑制をする、そのことに取り組むということは、当然といいましょうか、大変重要なことだ、こう思うわけであります。それに全力を尽くしていただきたいということは当然のことでありますけれども、それにしても、三千六百億円という大変膨大な財源不足というのは、余りにも大き過ぎるのではないか、こう思うわけであります。そこで、目前に迫っております予算編成においては、当然のことでしょうけれども、ありとあらゆる智恵を出して、財源確保の道を模索していくこともあわせて考えていかなければならないだろう、こう思うわけであります。
 そこで、私、具体的に質問をいたしたいと思います。果実活用型基金の見直しということでありますけれども、これについては、先般の予算特別委員会においても、我が党のたしか比留間委員だったと思いましたが、質問をさせていただいていると思いますが、果実活用型基金の設置の趣旨についてお伺いをしたいのと、現在、どのようなものがあって、残高はどうなっているのか、この点について先にお聞かせください。

○松澤主計部長 果実活用型基金は、特定の目的のため一定額の資金をあらかじめ基金に積み立てまして、その運用から生じる利子によって所要の事業を進めようとするものでございます。現在、地域福祉振興基金、中小企業振興基金、国際平和文化交流基金、環境保全基金、それから男女平等推進基金の五つの基金がございます。
 これら五つの基金は、昭和六十二年度から平成三年度までのいわゆるバブル期にそれぞれ設置されたものでございますが、十三年度末での残高合計は千三百九十六億円となっております。

○倉林委員 基金の運用から生じてきます利子を事業に活用するということでありますけれども、現在は超低金利の時代でありますよね。そこで、十四年度予算における利子の見込みはどの程度なのか、また、比較するという意味で、これらの基金の十年前となりますと、たしか平成四年ということになると思うんですが、この辺の利子の額等についても参考に教えてください。

○松澤主計部長 十四年度予算における果実活用型基金の利子は、お話しのとおり、低金利のため、五基金の合計で九億円となっております。一方、十年前に当たる平成四年度の利子の実績では、運用利率が年六%以上だったため、百七億円でございます。十年前と比較しまして、これら五基金の元本はほぼ同じでございますが、現在、利子はおよそ十分の一にまで減少している状況でございます。

○倉林委員 お聞きしますと、五つの基金の合計で利子は九億円、一方、十年前では百七億円というお話でありますけれども、まさに十分の一まで低下している、こういうことであります。
 そうしますと、設置したときとは大変異なっておりまして、果実活用型というのはまさに名ばかりではないか、こんな感じすらするわけですね。元金の運用によって生じた果実を活用して事業を行うという仕組みそのこと自体も、もはや現実に即しているのかな、こんな思いすらするわけであります。
 一方、この冊子の六ページを拝見させていただきますと、財政調整基金など財源として活用可能な基金の額は、都税収入の一%にも満たない約二千億円程度にとどまるという状況にあるようであります。これはイメージをつかむためにも申し上げますが、一般家庭の貯金に例えると、年収約六百万円の家庭で、まさかのときの生活費に使える貯金が三十万円ぐらいにしかすぎないだろう、こう思うわけです。その一方で、果実活用型基金には巨額の元金をいわば死蔵しているに等しい、こう思うわけでありますけれども、こんな利息の状況で、もしこのまま存続しておくならば、果実活用型基金なんてネーミングは変えた方がいいんじゃないか。むしろ収益率の悪い野菜、実りの少ない野菜型活用基金とかそんな名前、存続するならば、そんな形にでもせざるを得ないのかな、こんなことを思うわけであります。
 それはそれとしまして、ぜひ活用基金については--お聞きしますと、過去には一部、一般会計に繰り入れて運用したというような経過もあるように聞いておりますけれども、これについてお尋ねをさせてください。

○松澤主計部長 果実活用型基金につきましては、元本には手をつけずにおくという性格の基金であるわけでございますので、今お話しのとおり、元本の一部を運用金として、これまで一般会計に繰り入れをしている状況がございます。これは平成四年度予算で、一般会計の財源不足に対処するため、五つの果実活用型基金を合わせまして八百億円を繰り入れといいますか、いいかえますと借り入れのようなものでございますが、借り入れをしたものでございます。
 したがいまして、この運用金を差し引いた果実活用型基金の実質的な元本は、十四年度末で五百九十六億円、このようになっております。

○倉林委員 そうすると、八百億円が既に運用されて、一千四百億円といわれる元本が実質的には五百九十六億円になっている、こういう現状のようでありますけれども、都財政が、先ほどから申し上げているように極めて厳しいわけであります。実質的な意義が薄くなっているというこの基金をそのままにしておくというのは本当にどうなんだろう、こう率直に思うわけであります。今必要なのは、財源の確保にあらゆる工夫を凝らすこと、したがって、果実活用型基金についても、財源としてよりも、効果的に活用することの方が大変必要なんじゃないだろうか、重要なことなんではないか、こう思うわけであります。
 果実活用型基金について、率直に申し上げて、そのあり方も、もう見直す時期に来ているだろう、私はこう思うのでありますけれども、そこのところをちょっとお聞かせいただけますか。

○松澤主計部長 十五年度予算につきましては、ご案内のとおり、財政再建推進プランの最終年度となる予算でございますが、先ほど申し上げましたように、このままでは巨額の財源不足が見込まれるなど、厳しい状況での編成となるものと考えております。
 こうした中、徹底した歳出の削減などに取り組むことはもちろんでございますが、ご指摘のとおり、あらゆる智恵を絞って財源の確保にも努めていかなければならない状況でございます。
 その意味から、お話しの果実活用型基金につきましては、低金利時代が続くなど社会経済状況の変化の中で、多額の元本が現在有効に使われているとはいいがたい状況にあることから、十五年度予算に向けて、財政調整基金への統合などを含め、そのあり方を今後十分検討していく必要がある、このように考えております。

○倉林委員 今の答弁でいきますと、財政調整基金への統合などを含めて検討していく、こういう具体的な答弁になったわけでありますけれども、ただ、ここで私申し上げておきたいのは、この際には、これまで果実活用型基金の利子によって行ってきた事業への配慮ということも、これまた大事だと思うわけであります。
 例えば、先ほど五つの基金がありましたけれども、厳しい経済状況下にあって、まさに中小企業を支えるためのこの事業は大変重要であります。そういう意味では、中小企業振興基金の見直しが、即、事業の見直しということになってはならないだろう、こう当然思うわけでありますが、必要な事業を実施していくことと、元本が有効に活用されていない基金を見直すということは、きちんと区分して議論してほしいなということを、私は申し上げておきたいと思います。
 そこで、果実活用型基金の見直しについて問題を提起させていただきましたけれども、こうした論議を通じて私が申し上げたいのは、財政の持てる力を今こそ総合的に結集して、財政再建推進プラン最終年度の予算編成に臨むべきではないだろうか、こう思うわけであります。財政再建を達成する道のりには幾つものハードルが存在しているわけでありますけれども、あらゆる工夫を凝らして、十五年度の予算編成に取り組む必要があるのではないかと考えます。
 私も、本委員会最後の発言になるかと思いますので、新しく誕生しました財務局長さん、ひとつご答弁などをいただければありがたいと思います。

○田原財務局長 これまで主計部長がるる申し上げてまいりましたように、都財政を取り巻く状況は非常に厳しくなっております。また、今お話がありましたけれども、財政再建推進プランの最終年度となります十五年度におきまして、都税収入がプランの見込みを大きく下回っていること、それから、国からの税源移譲が全く進んでいないこと、高どまりする経常経費が存在するなど、冊子、パンフレットに記載をさせていただきましたように、ハードルがたくさんございます。財政再建の達成には、引き続き困難な状況が続くものと覚悟をしております。
 このため、内部努力、それから施策の見直しなどの取り組みをさらに徹底いたしますとともに、ただいまご議論いただきましたことも踏まえまして、あらゆる工夫を凝らして、金がないなら智恵を出せ、汗を出せということで、予算編成に全力を挙げて取り組んでまいります。

○酒井委員 それでは、私の方からも質問させていただきたいと思います。
 今、議題になっております財政再建の取り組み状況と平成十五年度の予算編成という資料を見させていただいておりますと、倉林委員の方からもありましたように、歳入が減って歳出がふえてしまう、来年度においては三千六百億円の不足が見込まれるということで、これを読んでいると、大変だということはよくわかるんですよね。大変だ、大変だと書いてある。
 しかし、一方、六ページのところに、歳出総額の抑制にさらに取り組むことが不可欠であるという文言があるわけですけれども、具体的な内容については、今後別の計画をつくって、その計画で述べられると思うんですけれども、これを見ていると、どうするんだろうということが書かれていない中で、一点だけ、ちょっと各論になってしまうんですけれども、お伺いをしたいと思います。
 それは、先ほど契約案件等のところで質問をさせていただいた入札の問題ですけれども、この入札、先ほどの案件等でも一件、入札差金で約九億円生まれるということで、これは今年度のものですから、来年度に対して繰越金という形で、これは、財源不足の中で、東京都の次年度以降に回せる予算といったものが一つ生まれたということにもなるのかと思うんですが、以前私が質問をして、落札率が仮に一%下がったら幾らの財源が生まれるんですかという質問の中で、約六十億円の節減につながるというようなお話もあったわけです。
 歳出総額を抑制をしていくためには、この入札制度の改革といったものも大変大きな位置を占めるのではないかと私自身思っているわけですけれども、コスト縮減、歳出総額の抑制という観点から、この入札契約制度の改革といったものがどのように位置づけられ、どう平成十五年度の予算に向けて取り組んでいかれるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

○松村契約調整担当部長 入札契約制度の改革についてでございますが、都では本年四月から、一般競争入札の実施範囲の拡大、競争入札対象案件の予定価格の事前公表など、競争性、透明性のより一層の向上に努めてきたところでございます。
 さらに、六月から、一定の要件を設定いたしまして、その要件を満たすものにつきましては、格付にかかわらず入札に参加できる性能要件発注方式などの新発注方式を導入し、競争性の向上を図ってきたところでございます。今後とも、ご指摘の趣旨も踏まえ、より透明性、競争性の高い入札契約制度を目指して取り組んでまいります。

○酒井委員 今、入札制度全般のことについてお伺いをしたんですけれども、東京都においては、平成十五年度の予算編成を今後行っていくんでしょうけれども、来年度より電子調達システムといったものが導入をされる予定になっていると思います。
 この新たな入札のシステムといったものを導入することによって、歳出削減の効果といったものはどの程度見込まれているのか。この電子入札の導入といったものは、競争性を確保するということで、入札、落札金額の低減化といったものと同時に、業者にとっても、行政側にとっても、入札にかかわる人的コスト、また手続上のコストといったものを削減することにつながることが期待をされて導入されるものであると思いますので、その点について、来年度予算の編成をしていく過程で、どの程度その効果といったものを見込まれているのか、お伺いをしたいと思います。

○松村契約調整担当部長 お尋ねの電子調達システムを導入した場合の歳出削減効果を具体的に算定することは非常に困難でございますが、電子調達システムを導入することにより、事業者にとりましては、入札参加資格申請を初め、入札参加希望票の提出、入札票の投函などがインターネットを利用して行えるため、来庁する移動時間が削減され、それに伴う人件費、交通費の削減効果が期待できます。また、都にとりましても、さまざまな契約事務処理に要する時間が削減され、事務の効率化を一層推進することができるものでございます。
 契約金額につきましては、競争性がより一層向上することで、仮に落札率が一%低下するといたしますと、都全体では約六十億円の縮減が可能になると試算してございます。

○酒井委員 今の問題については、導入初年度については、逆に導入経費等もかかって、なかなか効果があらわれにくいものであると思うわけですけれども、先ほど、契約案件等のところでもお話ししたように、この点についても、いずれ事業評価といったものを行わなければならないということもあり、それを受けて、今後改善も行っていかなければならないということを前提に、どの程度のコスト縮減の効果があらわれたのか、数字的にも公表していただけるような準備をしていただきたいと思います。
 それと同時に、来年度から始めようとしている電子調達に関して、このコストを縮減をしていく、そして、東京都の財政状況といったものを少しでも改善していくことに寄与させるためには、やはり競争性といったものをより高めないといけないと思います。
 そのために、より多くの事業者が参加できるシステムをつくる必要があるわけですけれども、ちょうど昨日、一日から、平成十五、十六、十七年度の物品買い入れ等の競争入札の参加資格審査にかかわる定期受け付けのオンライン申請といったものが始まっていると思います。十二月には、工事関係のオンライン受け付けも始まると思いますけれども、昨日から始まった物品の購入等については、従来紙ベースで行っていたものを、オンラインの受け付けしか認めないという方針でやられているということで、中小企業にとっては大変負担が重いと思うわけですね。
 そういった面も含めて、中小企業対策を含めて取り組んでいただきたいと思うわけですけれども、総論として、より多くの業者が参加できるシステムづくり、そして競争性を高めていくためのシステムづくりといったものの必要性について、どのようにお考えになっているのかお聞きをして、質問を終わりにいたしたいと思います。

○松村契約調整担当部長 現在、入札参加に必要な情報をだれもがどこでも入手でき、しかも、一元的に提供する入札情報サービスシステムや資格審査システムが稼働しているところでございます。
 ただ、こういった資格審査システム等につきましても、中小企業等の方々も来られるように、例えば本庁にいわゆるヘルプデスク等を設けまして、そうしたパソコンがないような方でも入力できるようなことを配慮してございます。
 また、今後の入札システムや契約システムの開発に当たりましても、より多くの事業者が入札に容易に参加することができることを基本的な考え方といたしまして、システムの開発を進めてまいります。

○酒井委員 最後に、ちょっと意見だけ述べさせていただきたいと思うんですけれども、電子入札を導入するメリットは、自分の会社の中から入札手続ができるから入札コストの削減につながるのであって、わざわざ都庁まで来ていただくんだったら、紙で出していただいても同じだと思いますので、そういう点も含めて、本当の意味での--下にパソコンを置いて対応するんだと、またそこに都の職員を張りつけなくちゃいけないということで、なかなか都の側にとってもコスト縮減につながらないと思いますので、そのあたりのシステムについてはしっかりと、来年度の導入までに準備を進めていただきたいと思います。要望です。

○渡辺委員 私も何点か質問をいたします。
 財政再建の取り組み状況と平成十五年度予算編成と題されましたパンフレットですが、石原都政の姿勢をここには象徴的に示すものとなっていると思うんです。その内容は、これまでの大規模公共事業の結果として財政状況が厳しくなったにもかかわらず、そのツケを都民に回そうとするものであって、福祉、教育切り捨ての財政再建推進プラン路線を本当に端的にあらわしているというふうにいわざるを得ないと思っております。
 確かに税収が財務局がいうように伸びない、こういう状況の中で、税金の使い道、これがどうかと、これからその問題がより問われるのが財政運営の基本だと私は思います。税の使い道、つまり財政運営のあり方、こういうものを正すという上で、何点か質問をしていきたいと思っております。
 まず、財務局は、このプランの見込みを下回る都税収入といっております。確かに十四年度予算は大幅な減少となりました。また、逆に平成十二年度は、財政再建推進プランよりも税収が四千億円も伸びた年でもありました。この大幅に伸びた財源を基本に、臨海開発を初めとした幹線道路などの公共事業に重点的にこれが使われてきたというのも、ご案内のとおりです。
 このとき我が党は、補正予算で、この増収となった財源を公共事業にばらまくのはやめた方がいい、こういうふうに主張してまいりましたけれども、そのようにばらまきをやめていれば、来年度予測される、税収不足とされる二千八百八十億円、こういうものは賄えたのではないか、こういうふうに私たちは思っておるわけです。
 そこでお聞きしますが、税収が伸びれば直ちに投資的経費につぎ込むというのは、余りにも単純過ぎるのではないか。都民の切実な要求にこたえつつ、税収の変動も考慮に入れて、しかも、先を見越した財政運営に努めるべきではなかったのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 ただいまお話のありました十二年度の税収を例に申し上げますと、年度途中における都税の増収につきましては、およそその半分に当たる約二千億円を財政調整基金の積み立てや、あるいは減債基金積み立ての一部復元などに用いまして、財政体質の健全化を図ったところでございまして、こうした措置が、先ほどございましたけれども、都税が大幅に減少した十四年度予算におきまして、都民のための施策の財源として有効に活用された、このように考えております。
 それからまた、増収のうち約一千億円は、景気対策あるいは三宅島の災害対策など、都民のための緊急に対応しなければならない課題に充てることとしたところでございます。
 ということで、都は、景気の低迷が続く中、税収の伸びに多くを期待できない状況や、また、法人二税を中心とした景気に左右されやすい税収構造を抱えることを踏まえまして、これまで中長期的視点に立った堅実な財政運営に心がけてきたところでございます。
 今後とも、財政構造改革の取り組みを着実に進めることによりまして、税収の変動に対応し得る財政体質の改善を図りまして、都市基盤の着実な整備や都民サービスの安定的な実施に努めてまいる所存でございます。

○渡辺委員 今、答弁がありましたけれども、確かに一定の財調を初めとした基金ということでは取り組まれたわけだけれども、基本的には、やはり大型公共事業というようなところに思い切ってつぎ込んできたということで、私たちは厳しく批判をしてきたところなんですね。
 これからもそういうことがあると思うんです。しかも、私どもは、先ほどもいいましたけれども、これからの財政運営という問題については、やはり抜本的に見直しをする必要があるという立場です。仮に歳出の抑制、こういうものが今日の時点で避けられないとしても、まず抑制すべきものというのは、やはり臨時的経費といわれる投資的経費なんだと。これは、私たちはずっと一貫して変わっておりません、そのスタンスは。
 投資的経費については、一般財源を余り必要としないからといって、来年度もそういうふうな考え方だろうと思いますけれども、今年度、都債を三千七百億円発行する、こういうことはやはり私は好ましくないと。一般財源がないからといって、都債ということで、しかも、この都債というのは大体が大型公共事業だということからいって、やはり好ましくない。
 さらに、経常的な経費、ここに含まれている投資型の経費、これもまた、私は大変な支出ということになっていると思うんです。財務局は、経常経費という中に、今申し上げた投資的経費、首都高速道路公団への出資とか貸し付けとかいろいろありますけれども、こういうものを依然としてこの中に入れている。そういう点で、ここの経常経費の中にもぐっておる投資型経費も、先ほどいったものと合わせますと、やはり依然として一兆円近い、あるいはまた一兆円を超す、そういうような状況になっているわけですよね。
 ですから、私は、これからの財政運営ということで、この投資的経費といいますか、これをやはり抜本的に見直しをするということが、今、特段と求められているのではないかということで、改善すべきだということをお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 投資的経費につきましては、財政再建推進プランに基づきまして、これまで着実に抑制を図ってきたところでございます。
 それから、今ございました経常的経費に含まれる投資的経費というお話、これは何回か先生の方から伺っておりますが、私どもとしては、経常経費について投資的なものという区分は特に行っていないわけでございます。
 それからまた、都債についてでございますが、世代間の負担の公平を図るという観点から、投資的経費の財源として適切に活用することを基本としながら、十二年度以降、抑制基調を保っているところでございます。
 ご指摘の十四年度予算における都債発行額が三千七百十五億円ということですが、これは、起債依存度で見ますと六・三%でございまして、都道府県平均の一一・五%、あるいは地方財政計画の一四・四%と比較しましても、現在、かなり低い水準となっているところでございます。
 今後とも、首都東京の再生や都民生活の向上のために必要な都市基盤の整備につきましては、限りある財源を重点的、効率的に配分しまして、着実に進めていく考えでございます。

○渡辺委員 今答弁がありました都債そのものについて、三千七百億、私は、いわゆる予算そのものの構成比がどうだこうだという、そういうものはさほど問題にしていない。三千七百億円というのは、退職債も入っているという形で先ほども答弁ありましたけれども、いわゆる三千五百億ということでいえば、このままでこれを進めていった場合、ずっと三千五百億を基本にということでいったら、今のいわゆる借金、一般財源でも七兆円近いこの借金というものが減らないですよと、これは毎回いっていることですよ。
 ですから、私は、三千七百億円じゃなくて、これをもっと大胆に減らすべきだと。そういう点では、先ほど私申しましたように、投資的経費というのは、やはり都財政そのものを圧迫しているんですから、特に都債、こういうものは、来年度で考えれば五千億超しているわけですよね、今年度もそうですけれども。そういう返済額ということで都財政を大きく圧迫している。こういうことから見たって、投資的経費というのは、やはり私は抜本的に改めるべきじゃないか、もっともっと減らすべきじゃないか、特にこの大型公共事業というものを考えた場合、減らすべきだと。
 ですから、先ほどもいっているように、いわゆる臨時的な経費、臨時的というと皆さん何か変な顔をするかもしれないけれども、本当ですよ。余裕があったら、そういう開発のところに取り組むということはわかりますよ。ですから、そういう意味で私は申し上げておるわけなんです。
 それからもう一つ、経常経費の中の投資型経費、これを改めてほしいということで前からいっているわけですよ。これは本当にごまかしだと。そういう区分がないからということで済まされるものじゃないんじゃないかという感じはするんです。
 ですから、経常経費の中の投資型事業というものも、そこから持ち出して投資的経費の中に入れるべきだと、これは強く私は要求をしておきたい。繰り返し繰り返し私はいっているわけだから、答弁は要りませんから。そういうことだと思うんです。
 それから、このプランの中の問題に戻りますが、歳出面のハードルとして大きく二点挙げられておりますが、その中に、高どまりを続ける経常的な経費というのがあるんです。これまで、経常経費ということについていえば、マイナス二〇%を求めてきたんだと思うんですね。財政再建推進プランの施策の見直しという点で、この経常経費について、十四年度予算までにその目標に対してどこまで進んできているのか、そういうことでひとつ答弁をいただきたいと思います。

○松澤主計部長 財政再建推進プランにおきましては、施策の見直しとしまして、経常経費につきましては、今先生からお話ありましたように、十一年度予算額に対しまして、総体として一般財源ベースで二〇%削減することを目指しておりまして、経費の圧縮に取り組んできているところでございます。
 十四年度予算までに、この経常経費の財源確保目標額千八百億円に対しまして、千五百五十八億円を確保しておりまして、達成率では八六・六%となっております。

○渡辺委員 その投資的経費の見直し額というのは、経常経費の見直し額よりもはるかに私は少ないと思うんですね。今、答弁ありましたけれども、経常経費の見直しという点では、千八百億に対して八六%だ。ところが、投資的経費というのはその三分の一でしょう。それすらも達成していないという状況にあるわけですよね。経常経費のいわゆる見直し、それで八六%に到達している。それがために、福祉の切り捨てというものを初め、都民生活には深刻な影響がやはり出ているんだというふうに思っているんです。
 にもかかわらず、またまた、高どまりをする経常的な経費ということで、今度は、私学助成あるいはまた区市町村の補助、あえてこういうものを、例示ですけれども取り上げている。なぜこの経費を例示として取り上げてきているのか。恣意的なねらい撃ちをするのかといわざるを得ないような状況なんです。そこで、なぜそうなのかということでお伺いをしたい。

○松澤主計部長 経常経費につきましては、高齢化の進展などによりまして、例えば医療費助成など、サービス対象者の増加に伴い拡大を続けると見込まれる経費がある一方で、なかなか削減が進まない、今お話ありましたような、高どまりを続ける経費が存在しておりまして、全体として削減するためには、やはり今後とも不断の見直しが必要なわけでございます。
 そういう趣旨から、今回このパンフレットの中でも、区市町村に対する補助金であるとか私学助成を例示としてお示しした、こういうことでございます。

○渡辺委員 ちょっと具体的に聞きますけれども、区市町村の補助、これは七%伸びている、こういうふうにおっしゃっているわけですが、厳しい市町村財政のもとで、これがターゲットにされて、来年度から歳出抑制ということで補助金がカットされるということになったら大変だと。これは、いわずと知れて市町村はそう思っているわけです。いつも対象に挙げられて、削られながらまた復活するという、これをこれまで繰り返しをしているわけです。
 ですから、これが具体的に挙げられるというのは、やはりそういうふうにしか受けとめられないということがあるわけなんですけれども、その点でもう一度ちょっとお願いをしたいんです。

○松澤主計部長 区市町村に対する補助金でございますけれども、都財政も厳しい、市町村財政も厳しい、区市町村財政も厳しい、これは十分認識しておりますが、十四年度予算で見ますと、区市町村に対する補助金、一件五億円以上のものだけでも拾いますと、全体で千五百億円を超えておりまして、全体の額が大きいこと、また、十一年度に比べて七%の増加になっていることから、今回、例示として総体的にお示ししたものでございます。

○渡辺委員 次に、もう一つだけ、例示物であるから。この私学助成なんですけれども、十四年度、ことしは千二百二十八億円になっているわけです。十一年度に比べても一割も減っている、こういう経費に対して、さらにこれは削減をしていくのかということをお聞きしたいんです。先ほどの区市町村の補助金とあわせて例示として並んでいますから、この問題についても、削るのか削らないのかということについてお聞かせをいただきたい。

○松澤主計部長 私立学校に対する補助も、平成十四年度予算で約千二百億円と大きなものとなっているということで、経常経費全体に占めるウエートが高いことから、今回、今後の見直しのための課題ということも含めまして例示したものでございます。
 この私学助成というのは、性質別でいいますと、補助費等に入るわけですけれども、この補助費等という経費が、十四年度予算で七千六百億円ほどありまして、かなりウエートが大きいし、また、そこら辺が、これから削減する上でもなかなか重要な課題になっているわけでございまして、そういう意味でも、象徴的なものが私学助成、こういうことで例示したものでございます。
 来年度、予算で削減するかどうかということでございますが、これはこれからの予算編成の中で十分検討していきたい、このように考えております。

○渡辺委員 いいたいことはたくさんあるわけだけれども、私は、こうした経常経費のねらい撃ちだというふうに思うんです。来年、ずばり削るということは、今、答弁はありませんでしたけれども、いずれにしても、見直しを求めていくという一つの例示として出されたということだと思うんですけれども、そういう経常経費のねらい撃ちということで出された。
 そういうことによって、今後、福祉や教育など都民の暮らしへの影響、区市町村への影響というのはやはり避けられない。長引く景気低迷のもとで苦しむ都民や、やりくり算段の財政にあえぐ区市町村へ都の財源不足をしわ寄せしていくということについては、許されるものではないということをはっきり申し上げておきたい。
 お聞きしますけれども、財政が厳しいとき、また、今やるべきこと、これは大型開発、公共事業の見直しだと思うんです。ところが、投資的経費については、このパンフレットでは触れていないんです。それどころか、収支見込みでは、十四年度と同水準に据え置かれている。これは、もう十分投資的経費というのは削減したから、今後は削減じゃなくて温存だ、こういうふうに理解してよろしいですか。

○松澤主計部長 今回のパンフレットにおける収支見込みにつきましては、基本的には、十四年度予算をベースにして作成したものでございまして、投資的経費については、今お話ございましたが、十四年度と同水準の額を計上しているところでございます。財政再建推進プランに基づきまして、これまで投資的経費についても厳しく抑制してきておりまして、平成四年度に二兆円近くあったものが、現在はその三分の一の六千二百億円程度まで低下してきているわけでございます。
 そういう中で、これだけの東京都というか都市ですから、やはりちゃんとした投資というものも、一定のものはやっていかなければならない状況もございますし、厳しい中にも、やはり財源を重点的、効率的に配分して、都市再生などの重点分野での施策の充実を図りながら、財政再建の達成に向けて見直しを進めていく、こういう考えでございます。

○渡辺委員 都市基盤の整備のために重点的に財源を配分する、いわゆる都市再生ですよね。そういうことをやっていくということでは、見直しということに私はつながらないというふうに思うんです。むしろ、そういう意味での都市再生ということでの大型開発そのものへの積極的な財源投入ということに、つながっていってしまうのではないかというふうに思っておるところです。
 それとの絡みでいいますけれども、都市高速鉄道建設助成だとか、あるいは首都高速道路公団の出資金、貸付金、先ほどもちょっといいましたけれども、経常経費の中の投資型経費ですね、これが、十四年度の予算額は、国などのいいなりということになっていて、ほとんど削減されていない。このことは、私からいうまでもなく、繰り返し繰り返し私たちは、予特でも、あるいは代表質問でも一般質問でも述べてきたところです。
 そこでちょっとお聞きしますが、意図的に税収の低迷を持ち出して、財源不足をあおり、そして来年度の予算編成に向けても、経常的経費を削減し、投資的経費については温存する流れというのは、変わりはないというふうに私たちは思っています。パンフレットでは、都政が直面する課題に対して、限りある財源を重点的、効率的に配分するとしておりますが、この課題とは、石原都政のもとでは、ハード中心の都市再生や高速道路であって、三環状を初め、既に、採算性を問わず限りなく財源を投入する姿勢、これを繰り返しているんだ、先ほども述べたとおりですけれども、こういうことだと思うんですよ。このような逆立ちした財政運営では、都民の安心あるいは安全などは確保されるはずがない、こういうふうに私たちは思います。
 先ほどもちょっとお答えありましたけれども、現実に高速道路については、国でも見直しという議論が行われている。これがどういう結果になるというのはまだわかりませんが、都知事は、国がやらないんだったら、国が凍結するんだったら、みずからでもやるなんていう威勢のいい話をしていますけれども、それは別として、どうなるかわかりませんけれども……。高速道路公団に対する都の負担、これを軽減するということを、予特の場で石原知事はそういう認識を示したわけです。
 これは新局長にちょっとお伺いするんですけれども、石原知事の認識を示したこのことに対して、新局長はどういうふうに受けとめられておるのか。そして、首都高速道路公団への出資や貸し付けなどを初めとした都市再生にしても、このまま突き進んでいけば、都財政の破綻をもたらすということになることも考えられる。今こそ、都財政のかじ取りを、大型開発重視から福祉や教育、中小企業など、都民生活中心の都財政運営に切りかえていくべきだというふうに思うんですけれども、新局長の見解をお示しいただきたい。

○田原財務局長 最初のお話の方の首都高速道路の件でありますけれども、十四年度予算では、首都高速道路の整備が、交通渋滞を解消するなど、東京における社会資本の整備を進める上で緊急かつ必要性の高い事業である、こういう判断で、国と折半というルールに従って所要額を計上しております。
 今お話しの今後の国の動きがございますけれども、これにつきましても、このルールに従ってやっていくように、強力にこれからも国に働きかけてまいります。
 それと、全体的なお話でありますが、これまでも都市基盤の着実な整備とあわせまして、福祉改革の推進、それから中小企業対策などソフト面の施策についてもいろいろやってまいりました。高速道路のお話につきましては、交通渋滞の解消など首都高速道路の整備は、今申し上げましたが、緊急かつ必要性が高い、また、都民生活の質を高める上でも重要であるということから、進めていくべきものと考えております。都市再生についても同様であります。
 投資と福祉という対立関係というふうにとらえるのではなくて、いずれも将来を見据えまして、都民生活の安定ということを基本にして施策を構築していくべきものと考えております。
 今後も、財政状況、厳しい状況にありますけれども、必要な事業につきましては、経常的経費、それから投資的経費を問わず、財源を重点的に振り向けて着実に推進をしてまいりたいと思っております。

○渡辺委員 今答弁がありましたけれども、福祉とか医療、教育、それから中小企業、そういうものと都市再生というものとは矛盾するものではない、こういうお話がありました。だけど、実際問題として、これまで取り組んできた東京都の姿勢というのは、福祉の問題について、あるいは医療の問題についていえば、本当にこれを--全国的に誇れるそういう福祉事業、こういうものはすべからく切り捨てられている。そして、中小企業対策というものも、効果的な対策ということにはなり得ていない。教育もそうだ。もうすべからく、都民との身近な施策の関係では本当に切り捨てられているんですよ。だけど、都市再生ということで、今、大型公共事業を初めとして、あの七地域を指定したことに見られるように、アセスそのものまで大幅に後退をさせる、こういう状況の中で、積極的に三環状を初めとした地域の再開発、こういうものを進めようとしておるわけでしょう。しかも、都市再生というところにかかる財源というのは半端な額じゃないですよ。
 そういうようなことで、今、財源的に不足して赤字団体に転落するなどというんだったらば、むしろ、この投資的経費を中心にした大胆な見直し、こういうことをやらない限りは、今日のこの景気の状況の中では、いつになったって財源不足というものは解消しない。本当にやるんだったら、本当に財源不足でどうしようもないというんだったら、都民に犠牲を押しつけるんじゃなくて、今いった大型公共事業、開発、こういうものこそ改めるべきだということを私は申し上げて、終わりたいと思います。

○藤田委員 何点か質問させていただきます。
 財政再建を進めるためには、まさにいろいろなハードルを越えなければいけないわけでありますけれども、この資料の中には、課題と現状というところで、ではどうするのという部分がないのが少々不安に思っております。そして、財政再建推進プランや、本年度の収支見通しの中で、この二ページにも書いてありますけれども、伸び率は、本当にわずかですけれども、まだまだ右肩上がりで増加するということが見込まれているような書き方をされているというのは、私はもう、ある意味では時代錯誤といいますか、ちょっとおかしいんじゃないかというふうにいわざるを得ないと思っています。こうした考え方に立って何点か、お尋ねをしたいと思っています。
 国から地方への税源移譲ということでは議論が活発になってきて、私たちの代表質問の中でも、いわゆる三位一体による改革が行われるというようなことで、ある意味では歓迎をするところですけれども、では実際に税源が拡大するかというと、なかなかそうはいかないというときに、やはり歳出のスリム化を図る必要がある、これはまさにこの冊子の中にも書いてあるわけであります。
 私も、これは全国の自治労の委員長がおっしゃっていたのを直接聞いたわけですけれども、ご自分たちがいろいろな意味で研究をしているという中でお話があったわけなんですが、上下水道も民営化するような国があるんだというようなことも、その中でおっしゃっていました。もちろん、よしあしについてはいろいろ議論もありましょうし、すべてがそういうことがいいということではありませんけれども、一つに、そういうアウトソーシングをあらゆるところに検討してみるということももちろん必要ですし、それから、本来都道府県がやるべき事業がどういうものであるかという精査も必要だと思います。もちろんこれについては、二十三区というこの分権、十二年度になった分権で、ある意味では多少分権はされましたけれども、もう一つの垂直の分権をもっとやるべきではないかと私は思っているわけですけれども、そこも、もう一歩進まないといけないというふうに思うわけです。
 こういうことを考えていったときに、今、機能するバランスシートや行政評価ということは、どこでもやっといろいろ出てきたなというふうになっているわけですけれども、とにかくお金がないから何か切ろうよということではなくて、やはりここにきちっとした基準がないといけないということで、この行政評価、それからバランスシート、要するにコスト計算をどうやっていくかということについて、徹底してどの事業についても行うべきであると思っているわけですが、これについてはどんなふうに考えられますでしょうか。

○松澤主計部長 今先生からお話ありましたように、都税収入のレベルが、昭和六十二年度の水準まで低下しているということで、今後も多くを期待できない。そういう状況の中では、やはり財政構造改革を進めていく上では、何よりもまず歳出総額を抑制して、身の丈に合ったといいますか、収入に見合った支出水準にすることが不可欠でございます。
 そのためには、内部努力をさらに徹底するとともに、施策見直しとして、ご指摘のとおり、それぞれの事業について、官民の分担のあり方、あるいは国と区市町村の役割分担にもさかのぼって、根本的に検討を加えることが必要となっております。
 こうしたことから、今後の見直しに当たりましては、お話しの行政評価手法やバランスシートを積極的に活用しまして、施策の目的やその効果などを具体的に評価する一方で、また民間活力の導入を積極的に図るなど、効果的、効率的な取り組みをしていかなければならないと考えております。

○藤田委員 今おっしゃったように、歳入の方は六十二年度当時と同じようになっているというふうにいわれています。六ページに書かれておりますけれども、歳出総額が八千八百四十一億円も増加しているわけなんですけれども、どういう経費が増加しているのか、公債費についてもどんなふうになっているかをお答えいただきたいと思います。

○松澤主計部長 お話しのとおり、一般会計の歳出総額につきましては、六十二年度決算が五兆二百三十七億円でありまして、十四年度予算五兆九千七十八億円と比べますと、この間に八千八百四十一億円増加してきております。
 この増加した経費について、性質別に主なもので申し上げますと、まず公債費が、平成四年度以降の都債の大量発行ということもございまして、約二千億円ほど増加しております。それからまた、一般歳出の方では、投資的経費が二千八百億円減少をしているものの、経常経費の方が増加しておりまして、その主なものとしまして、給与関係費が三千三百億円、それから、区市町村補助や私学助成などを初めとする補助費が三千六百億円、各種福祉関係の手当などを初めとする扶助費が千百億円、それぞれ増加しております。

○藤田委員 今の中で、給与関係費三千三百億円というふうにされているわけですけれども、六十二年度からこれまで、かなりの間、かなりの数で定数削減などが行われてきたわけであります。これは、削減としてはどんなふうで、これだけ削減--今でも約五千人の目標があって、それのかなりの部分まで達成されているわけですけれども、この給与関係費の増加というのはどんなふうになっているんでしょうか。

○松澤主計部長 これまで積極的な行政改革に取り組みまして、都の職員定数は、ご指摘のとおり、昭和六十二年度には十八万七千人だったわけですが、平成十四年度の十五万九千人まで一貫して減少してきておりまして、条例定数で見ますと、六十二年度から十四年度までに約二万八千人、率にしまして一五%の減少となっているところでございます。
 それにもかかわらず、今お話がございましたように、給与関係費が、この間、三千三百億円増加している理由でございますけれども、一つには、毎年、人事委員会の勧告もございますけれども、この間の給与改定に加えまして、職員の平均年齢が高くなっていることから、一人当たりの平均給与額が、この間に年額大体五百五十万円から七百八十万円に上昇しております。それから、退職者の増などによりまして、退職手当が三百億円増加している、こういうことが原因と考えられます。

○藤田委員 もちろん、日本の人口構成からすれは、団塊の世代という大変大きな問題がありますから、これはもうずっとつきまとってくる問題ですので、非常に難しい問題であるとは思います。
 それから、三ページに、プラン策定当時には想定していなかった経費というのがあるんですけれども、実は、この十一年度には、既に介護保険が導入されることを見通して、片方では、ちょうど青島都政だったと思いますけれども、寝たきり手当を切ろうというようなことを初めとして、いわゆる個人給付をやめて基盤整備に変えていくんだということで、かなりの大きな改革の提案がなされているはずだと私は思います。もちろん十一年度は、一度全面的に否定をされてしまいましたけれども、十二年度からは、これはもう十分わかっていた額だと思いますけれども、この中で、いかにも想定していなかったというのでは、余りにもお粗末だと思うんですが、どんなふうになっていますでしょうか。

○松澤主計部長 財政再建推進プランは、十一年の七月に作成されたわけでございますが、当時、介護保険制度の導入につきましては、介護保険法も制定されているということで、制度の政策目的、あるいは都道府県による負担金の負担義務が生じることは承知していたわけでございます。
 しかしながら、その段階では、介護保険給付負担金の算定の基本となります市区町村の介護保険事業計画、これは全く策定されておりませんで、国から、介護報酬の仮単価あるいは被保険者の規模の考え方など、負担金の精算に必要な具体的な事項は、ようやく八月の下旬ごろに示された状況にございました。
 平成十一年の秋あたりに、区市町村における今申し上げた計画策定を受けまして、都において負担金の見積もりが完了したのは、年が明けた十二年の二月ということで、何とか十二年度予算に計上した経緯がございます。
 そういうことで、プランを策定した時点では、都の負担額を適切に想定することは困難であったため、この財政再建推進プランでは見込み得なかったということでございます。

○藤田委員 これからも、実際には介護保険の利用者が増加の一途をたどるという状況にあるかと思います。実際にサービスを使っている方々は、今、まだ四〇%にいくかいかないかというところですから、これからもっと--ある意味では非常に認知をされてきつつありますので、今までの措置というところから、実際には権利という状況になってくれば、私も使いたい、私も使ってみたい、あるいは、今のこれでは、ある意味では施しのような感じがまだありますので、使わない方もたくさんいらっしゃいますけれども、それこそ我々の年代が、いざ介護保険の適用になるような年齢になったら、もっと増加をするということは十分考えられるわけです。
 そうした状況になってきますと、やはりここは対処療法じゃなくて、本来の事前の介護予防というようなところで、そちらの事業の方がもちろん重要になってくるわけです。こういう介護予防などの事業は、今は国庫補助事業として、去年も五十九億円でしょうか、出ているわけですけれども、これまでのように、区市町村が国の基準どおりに淡々と事業をやるという状況では、何ら変わりがないというか発展的になりません。私は、これからはこういう事業は、多くの区市町村で実際に行われているNPOなんかが担っていくというように変わってくると思いますので、実質は、今度は第三者評価ですとか、それから質の向上、いわゆるサービス機関がどういうふうにして質を向上していくかという、そういうところに東京都の役割というのはあるんじゃないかと思うんです。
 そうすると、どういうふうにしていけばいいかといえば、これからまさに、今までのような積み上げ方式でやるということではなくて、包括補助というような形、そしてそれぞれが地域の中で使いやすい方法を選んでいただくというのが、これからの大きな流れになってくるんじゃないかと思います。
 一方で、今は福祉のことをお話ししましたけれども、例えば、まちづくりでは、私も以前に提案しましたけれども、SRB、これはイギリスでは国ですけれども、まちづくりにおいても、包括的にその地域にお金を上げることによって、雇用も含めて、どういう状況でその地域の中のNPOと一緒になってまちづくりができるかということに変えていくということも十分できるはずであります。NPOとの協働の指針というようなものが生文からも出ているわけでありますので、大きく転換していくためには、補助事業だったりすることではなくて、包括的にどんとお金を出していくということ、もちろん、NPOだからといって、お金を使わないで済むような、ニッチ産業じゃないような状況でやらなければいけないわけですけれども、そういうようなことに変えていくべきであるというふうに思っていますけれども、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 区市町村に対する都の補助金につきましては、現在、ご案内のとおり、市町村調整交付金などの包括的な補助金と、それから、例えば乳幼児医療費助成などの個別補助金、こういうものを通じまして一定の役割を果たしているところでございますが、今先生からお話ございましたように、常に時代の変化を踏まえながら、区市町村が主役ということですから、やはり都と区市町村の役割分担の明確化を十分図って、事業の必要性などを不断に見直すことがまず重要ではないか、このように考えております。
 財政再建を進めていく中で、区市町村に対する都の補助金が、先ほどもお話ししましたように、依然として高どまりを続けていることから、今後、総体としては縮減することを目指すとともに、一方で、地方分権の観点から、区市町村が補助金が主体的に活用できるように、補助方式の見直し、あるいは交付手続の簡素化などを進めていくことが必要というふうに考えております。
 今後、補助金の見直しに当たりましては、こうした観点から、それぞれの補助金の内容や性格を十分精査しまして、お話のありました包括化につきましても十分検討していきたいと考えております。

○藤田委員 最後に、最初に申し上げたんですけれども、課題と現状と、そして、このままだととても難しいよということになっているわけですけれども、最後は、都財政はイバラの道が続いています、全庁挙げて取り組んでいかなければいけませんというふうになっているわけですが、乗り越えるために、私も今ご提案も申し上げましたけれども、最後に局長のご決意を、どのように考えていらっしゃるかを伺って、終わります。

○田原財務局長 財政再建の真の目的ということでございますけれども、財政収支の均衡にとどまるものではなくて、東京の活力の再生を目指し、それから、新たな施策展開を行い得る強固で弾力的な財政体質を確立することであると考えております。財政再建推進プランの取り組みにつきましては、その第一段階の道筋を示すものであろうと思っています。
 今回のパンフレットは、景気の先行きが予断を許しません。それから、都税収入が引き続き低い水準にとどまると見込まれるなど、都財政を取り巻く環境が非常に厳しい中で、財政再建推進プランの最終年度といたしまして、まだ大きな課題が残されている状況を、平成十五年度予算編成に当たりまして明らかにしたものだと考えています。
 率直にいいまして、これらの課題の中には、東京都が主体的に解決ができるというもののほかに、例えばでありますが、国からの税源移譲のように、都だけでなかなかクリアできないところもあります。非常に厳しい状況でありますけれども、現段階では、抽象的になりますが、歳入確保努力、それから内部努力、施策の見直しなど、推進プランの取り組みを、歳入と歳出の両面にわたって徹底して行いまして、全庁の協力を得て財政構造改革に取り組んでまいります。

○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして財政委員会を閉会いたします。
   午後五時十八分散会

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