財政委員会速記録第十一号

平成十四年六月二十一日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長大西 英男君
副委員長近藤やよい君
副委員長鈴木貫太郎君
理事酒井 大史君
理事倉林 辰雄君
理事渡辺 康信君
矢島 千秋君
長橋 桂一君
真木  茂君
北城 貞治君
桜井良之助君
林  知二君
桜井  武君
藤田 愛子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
主税局局長安間 謙臣君
総務部長佐藤 昭久君
税制部長鮎澤 光治君
税制調査担当部長三橋  昇君
参事尾芦 健二君
課税部長吉田 勝武君
資産税部長齋藤  熙君
徴収部長菅原 秀夫君
特別滞納整理担当部長谷口 広見君

本日の会議に付した事件
 主税局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十七号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
  ・第百六十八号議案 東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
  ・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

○大西委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、主税局関係の付託議案の審査を行います。
 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百六十七号議案、第百六十八号議案及び地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認についてを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井(武)委員 宿泊税のようなものを実施する場合の課税自主権の行使に当たっては、現在ある滞納を極力解消していくということが非常に重要であることは申すまでもありませんが、この間、六月七日の知事の記者会見でもいわれておりましたし、また、「都政新報」等の新聞報道でも出されておりましたが、都税の滞納繰越額が大幅に圧縮されたと。徴収率が著しく向上したということでございますけれども、これは単に財源の確保ということだけではなくて、都民のほとんどが納税義務を履行し、都政を支える、つまり地域住民が負担を分担し、地方自治を実りあるものにするという面からも、大変重要な意味のことであると考えています。
 このような観点から、私は、主税局の職員の徴収努力を高く評価しなければならない、このように思います。そのことを申し上げました上で、何点か質問させていただきます。
 第一は、今までは徴収率が低迷して、最も低いときには、宮城県の税収規模、あるいはまた、京都府の税収規模に匹敵するような二千五百億円近い繰越滞納が累積したことがあったわけでございますが、まず、この点について説明を願いたいと思います。

○菅原徴収部長 かつては仕事の進め方が、ともいたしますと、前例踏襲主義ということになってございまして、効率性あるいは成果を必ずしも重視しないという傾向がございました。そしてまた、職員の危機意識あるいは緊張感、そういうものにつきましても、必ずしも十分ではなかったというのが率直なところでございます。
 その結果といたしまして、毎年度滞納が増加することとなった上に、さらにバブル経済の崩壊、これが追い打ちをかけまして、平成元年度には約千五百億円台、平成四年度には約二千億円台、そしてピーク時の平成六年度には二千五百億円近い滞納が累積するという、極めて危機的な状況になったわけでございます。

○桜井(武)委員 滞納というのは、毎年毎年、新たに相当な額が新規に発生すると思われるわけでありますけれども、どのくらいの規模に新規の滞納が発生し、また、それを含め、それまで累積してきた滞納を整理するため、徴収部門としてはどのような対策をとられたのでしょうか。その点について質問いたします。

○菅原徴収部長 平成七年度から、唯一の歳入所管局といたしまして、その使命を着実に果たすことができる局へと生まれ変わるため、構造改革に着手をいたしました。
 組織改革といたしましては、まず本庁につきまして、高額そして困難な滞納を整理するため、滞納整理につきましての専門家でございます専門副参事を、集中的に本庁に配置いたしました。さらに、都税事務所に対する指導を強化するという観点から、徴収指導室を設置いたしました。
 そして、都税事務所につきましては、新規滞納を担当する係、繰越滞納を担当する係、そして困難な滞納を担当する係へと組織を改編いたしまして、効果的かつ効率的に仕事を進められるようにいたしました。
 次に、仕事の進め方についてでございますけれども、各個人の判断にお任せするのではなく、文書催告から電話催告、電話催告から臨戸、臨戸から差し押さえ、最終的には公売ということで、統一的なスタンスでもって取り組むよう、組織としての処理基準を定めました。
 さらに、民間に倣いまして、一人一人の職員がやらなければならない目標の設定、そして、その達成に向けまして、的確な進行管理という、いわゆる目標管理方式を導入するなど、業務運営を抜本的に改革もいたしました。
 このような策を講じることによりまして、都におきましては毎年度一千億円近い滞納が発生しているわけでございますけれども、この滞納発生額以上の滞納整理に積極的に取り組んでまいりました結果、滞納繰越額が平成七年度から減少傾向に転じまして、平成八年度には約千八百億円台、平成十年度には約千四百億円台、そして、今年度末には一千億円以下という見込みになることができました。

○桜井(武)委員 今の説明ですと、職員の意識改革を行い、仕事の進め方においても積極的に民間のよい点も学び取り、今年度末には滞納繰越額を一千億円以下に圧縮するということになったということであります。本当に職員にはご苦労さまでございましたと思います。
 そんな効果的な取り組みについての具体的な例を、二十も三十もあるんでしょうけれども、一つ二つ挙げていただきたいと思います。

○菅原徴収部長 二つの事例を挙げさせていただきたいと存じます。
 まず最初は、輸入軽油に係る軽油引取税に対します取り組みの事例でございます。
 全国自治体をリードする形で、輸入軽油に係る滞納発生を水際で食いとめるため、税関などから早期に情報をキャッチいたしまして、職員を九州あるいは大阪を初め全国各地に派遣いたしまして、必要な場合には現地で輸入軽油そのものを差し押さえするなど、積極果敢に都税債権の確保に努めてまいりました。その結果、不十分ながらも、蔵出し課税にされました昨年六月からは、脱税軽油は一滴たりとも国内に流通しておりません。
 また、次の事例でございますけれども、納税に非協力的で、なおかつ財産の発見が困難でございました悪質な風俗営業者に対する取り組みの事例でございます。
 この極めて悪質なケースにつきましては、女性をリーダーとする特別のチームを編成いたしまして、営業時間帯である深夜に、極めて治安の悪い危険地帯にある当該店舗を強制捜索することによりまして、差し押さえをすることができる財産を発見することができまして、高い成果を上げることができました。
 今、二つの事例を申し上げたわけでございますけれども、同様のスタンスで、ほかの案件にも積極果敢に取り組みまして、さらなる滞納圧縮に向けまして、全員一丸となって努力を傾けているところでございます。

○桜井(武)委員 伺いますところによりますと、国税ばかりでなくて、都税にもマル査の女性がいらっしゃるようでありまして、大変奮闘されているようであります。
 もちろんいうまでもなく、納税の義務は、勤労の義務、教育の義務とともに国民の三大義務の一つでありますが、昨今、ともしますと、いたずらに権利意識だけを振りかざし、国民の最も基本的な義務をなおざりにすることは、健全な社会を築くことができないわけであります。国民としての義務は当然果たさなければならないと私は考えます。
 このような意味で、納税意識の啓発、また極めて重要な課題と考えますけれども、この点について主税局はどう取り組んでいきますか、お答え願います。

○佐藤総務部長 ご指摘のとおり、納税意識の啓発は、国家社会にとってももとより、都政にとりましても、健全な社会を構築する基盤をなすところの最重要かつ根源的な課題であると認識いたしております。主税局といたしましては、これまでもいろいろな場をとらえ、さまざまな広報媒体を駆使して、納税意識の啓発、高揚に努めているところであります。
 しかし、何よりも重要であるという認識のもと、近年特に力を入れておりますのが、子どもや若者に対する啓発でございます。
 一例を申し上げますと、関係機関等の相互協力のもと、将来の日本を担う子どもたちに対しまして、租税教育用の副読本を作成いたしまして、これを都内の各学校に配布の上、社会科や公民の授業で活用してもらう、あるいはまた、税に関する作文コンクールを実施するなどによりまして、未来の健全納税者の育成に努めております。
 また、若者に対しましては、恐らく意識して初めて納税するであろう自動車税に着目をいたしまして、関係機関の協力を得つつ、駅頭や店頭、あるいは大学や専門学校などで納期内納税を呼びかけるなど、あらゆる方策を用いて意識啓発に努めているところでございます。
 いずれにいたしましても、多くの納税者のお一人一人が厳しい環境の中で納税していただいていることに思いをはせまして、私ども税務職員も、額に汗して納税秩序の維持を図るべく、より一層納税意識の啓発に努めてまいる所存でございます。

○桜井(武)委員 最後に質問します。
 これは局長にお願いしますが、主税局の職員が、滞納をなくすために、今話がありましたように、さまざまな努力を行っていることはよくわかりましたが、しかしなお、滞納繰越額は減ったとはいえ、依然として九百億円台を保っております。これは平成十二年度の墨田区、台東区の歳入総額を上回る高額なものでありまして、引き続き徴税努力が求められるといわざるを得ません。
 この点につきまして、今後どのような姿勢で滞納圧縮に臨むか、局長のご決意を伺いまして、質問を終わります。

○安間主税局長 お答えする前に、一言御礼を申し上げたいと思うんですが、とかく労が多くて、日の当たることのない徴税の職員に対しまして、本日は桜井委員から、また、かつては自動車税の関係で、副委員長からもねぎらいの言葉をいただきまして、第一線の職員にかわって、御礼申し上げたいと思います。
 先生ご指摘のように、納税義務は国民の義務の重要な要素の一つでございますし、また、それによって都のあらゆる行政サービスが行われているという意味でも、非常に重要なものだと考えております。
 これは、納税者の目から見てみますと、二つの側面があるかなと思っておりまして、一つは、納期内納税をされている人も含めまして、きちっと納税していただいている大部分の納税者の皆さん方、この方々のことを我々は常に思わなければいけないんだろうなと思っております。
 私も現場に時々行きまして、土曜日なんか、職員が出てきて土曜臨戸というのをやるんですが、そういうときに職場へ行きまして、出発前の職員にあいさつをするんですが、必ずいうんですね、皆さんの背中には、納税してくださっている数百万の納税者の方がいるんだ、その方々に押されて、皆さん、仕事をしているんだよということを。プライドを持ってやってください、こういうことを必ずいうようにしているんですが、それをまず指摘したいと思います。
 それからもう一点は、委員もご指摘がございましたように、今、都は大変苦しい財政状況ですから、さまざまな形でコストの削減あるいは歳入の確保ということで、各局が努力をして、我々もその一環として努力をしているわけでございます。
 同時に、ご指摘がありましたように、主税局は新しい税を創設して、今年の十月には課税をする、こういう状況もございます。当然、納税者の方々にきちんと我々の仕事を理解していただく、これも大事だろうと思っていますので、そういう点からも、引き続き現在の努力を続けていく必要があるだろうと思っております。
 私、十年ほど前に、先ほど徴収部長が答弁させていただきました、バブル期の二千五百億の累積滞納のころに都税事務所長をやっておりまして、非常につらい思いをしておりました。それを知っておりますので、現在の状況を非常に特別な感慨で見ております。
 幸い、この十年間に、主税局は構造改革を経て強力なシステムをつくりましたし、そして、非常に高い職員のモラールもございましたので、こうしたものを武器にして、大きな成果を上げたときほど、おごることなく、また油断することなく、さらに徴収の努力、そして、歳入を少しでも上げていくという主税局に課された役割をきちっと果たしていきたい、そういうふうに考えております。

○真木委員 私からは、まず、東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例につきまして、お尋ねをさせていただきたいと存じます。
 今回の都税事務所設置条例の一部改正は、ホテル税がテーマだということでございます。ホテル税、いろんな議論ございましたが、十月一日から施行がされるということで伺っております。
 そのホテル税を、今度、千代田都税事務所一カ所でのみ取り扱うことにしたということでございますが、その一カ所に絞った、多摩の方には置かないとか、そういうことも含めて--含めてということはないですけれども、一カ所にした理由につきまして、教えてください。

○吉田課税部長 宿泊税の所管事務所を千代田都税事務所一所にいたしましたのは、集中により、効率的な賦課徴収事務の処理を行うためでございます。
 また、公共交通機関の利便性が高いことや、課税の対象となるホテル、旅館が集積していることなども考慮いたしました。

○真木委員 今、集中による効率化という言葉がございました。そして、課税対象となるホテルが千代田に集中しているということでもございました。当然千代田、港、そうしたホテルが集中しているわけでありますが、多摩の方に行きますと、ホテルはあっても、課税対象になる部屋がそんなにないホテルがたくさんございます。
 一万円を超えないと、これは対象とならないわけでありますので、部屋は四十、五十、百あっても、一万円を超える部屋は十ぐらいしかない。それも、稼働率がそんなにいいわけじゃないとすると、一万円を超える部屋が一月十回転、二十回転しかしなかったというと、千円、二千円が毎月の納入額ということになるかと思うんですが、その方々が、毎月やっぱり行かなければいけないのかどうかということを含めて、今度の課税対象となるホテルの施設数や申告方法について、確認したいと思います。

○吉田課税部長 課税対象となる施設数につきましては、都内の主なホテル、旅館の数や、先般実施いたしました宿泊税事務説明会への出席状況等から判断いたしますと、おおむね三百程度ではないかと考えております。こうした宿泊税の特別徴収義務者となるホテル等の経営者は、前月分を取りまとめて、毎月、都税事務所に申告することとなります。
 ただし、宿泊税条例におきましては、年間の納入税額が百二十万円以下で、一定の要件に適合する場合につきましては、四半期ごとに申告納入することができる申告期限の特例を定めております。

○真木委員 この前、東京都の小笠原へ行ってまいりましたけれども、父島にも一万円を超えるホテルがございました。申告をするのに、わざわざ千代田に行かなければいけないということはないということで、よろしいんですね。

○吉田課税部長 ただいま真木委員ご指摘のとおりでございます。特別徴収義務者の利便性を配慮いたしまして、千代田都税事務所だけではなく、ホテル、旅館の所在地を所管します都税事務所及び支庁においても受け付けを行う予定でおります。

○真木委員 この一カ所に絞った理由といたしまして、最初に、集中化による効率化というお言葉がございました。ほかにも、都税に関しましては、自動車税も池袋一カ所で課税をしている。徴税は今特別な体制をしいているようでございますが、軽油引取税や、区部におきましては事業所税なども集中化を図っているということでございます。
 流れとして、どうも集中化を図っていくような、そういった流れになっているようでございますが、東京都として、今、この都税事務所の集中化により、どのように効率が上がっているのか、そうしたメリット、デメリットをどのように整理しているかを確認したいと思います。

○佐藤総務部長 ご指摘のように、既に複数の税目で業務のブロック化あるいは集中化を実施しております。
 そのメリットでございますけれども、限られた人員の集中的な配置によりまして、税務の実践的な専門知識やノウハウの円滑な継承が図られますとともに、効率的な業務の遂行ができることでございます。また、組織を簡素化、大ぐくり化することで、より少ない経費でより大きな効果を上げることができるかと思います。
 なお、これらを進めるに当たりましては、納税者の利便を損なうことのないよう、また、適正、公平な課税が確保できるよう努めております。

○真木委員 納税者の利便が損なわれることのないようにということでございましたが、流れとしてどんどん集中化が図られている。都庁改革アクションプランでも、三多摩の都税事務所の改革が提唱されております。漏れ聞くところでは、今、六カ所、三多摩に都税事務所ございますが、それの集約化を近々に図っていきたいというご意向も、お持ちのようでございます。
 この辺の、三多摩地域を初めとする都税事務所の効率化の予定、めどにつきまして、教えてください。

○佐藤総務部長 主税局は、これまでもスリムで効率的な税務システムの実現を目指して、さまざまな組織整備を行ってまいりました。ただいま委員からご指摘がありましたとおり、平成十二年十二月に発表されました都庁改革アクションプランでは、区部の都税事務所につきまして、業務のブロック化、集中化、これを引き続き推進すると同時に、委員が指摘されました多摩地域の都税事務所につきましても、支所の設置など納税者サービスを維持するとともに、税務の専門性に配慮しつつ、組織の簡素化を行うということにしております。
 そういった視点で、ただいま多摩地区都税事務所の組織改正につきまして、鋭意検討をしているところでございます。早ければ三定にご審議を願う予定でございます。

○真木委員 三定にもというような予告をいただきましたけれども、今後の都税事務所の集約化、効率化、これは効率化ということに反対するつもりは全くございません、大いにやはりコストの削減を図っていただくことは必要であるというぐあいに考えます。
 しかしながら、都民へのサービスが低下してはならないし、そしてさらには、この税金という問題を考えていくときに、徴税コストでばかり物事を考えていくと、果たして社会の公正が保たれるのかなという懸念を持ちます。今、桜井議員からも指摘がありましたけれども、やはり税というのは国民の義務の最も基本的なものでございますし、また公正な社会をつくる、その社会的機能も果たしているわけであります。
 徴税コストだけ考えれば、ペーパーを送りつけて、かえって何もしないというのが、一番コストパフォーマンスもいいのかもしれません。正直者だけがばかを見る。ペーパーを送りつけて帰ってくるだけで、徴税もしないということが一番いいのかもしれませんが、それではやはり社会的な公平が保たれない。
 それと、この前、自動車税の議論のときにもお尋ねさせていただきましたが、百人の体制を昨年度までしいていて、今、六十人の体制をしいてやっている。百人をつけて本当にコストパフォーマンスがあるのかということで、私はお尋ねをさせていただきましたが、見事に一人当たりウン千万の収益--収益といっちゃいけませんけれども、徴税をプラスアルファしているということで、徴税コストが合っているわけであります。
 徴税コストの飽和点までやはり必要だと思いますし、また、コストパフォーマンス、費用対効果が飽和するところまで人は減らすべきでないと思いますし、また、社会的公正といったときには、少々コストパフォーマンスが、費用の方でかかっていても、しっかりと不正を認めないということが、やはり社会正義、都に求められていることではないのかなというぐあいに思います。
 単にコストだけじゃなく、またコストパフォーマンスだけでもなくて、社会的公正--警察国家をつくられては、それは望ましいものではないのですが、徴税コストというだけじゃなくて、ぜひ費用対効果、そして費用対効果も、場合によっては、これでしっかりと社会的公正を図っていくという観点でお考えいただきたいというぐあいに思います。
 三多摩、三多摩といいますと、どうも次に都税事務所までかということで、私も今、まちで演説をしていますと、みんなびっくりしています。やっかみでいうわけじゃありませんが、私の町田市では、保健所も町田市が独自に引き取れということで東京都から来ております。そして今度は都税事務所までかということで、大変都民の皆さん、市民の皆さんが心配しております。労政事務所もあったものが、三月三十一日で撤退しました。そして、立川にありました市民センター、図書館、消費者センター、こういったものがどんどん縮小されているというようなこともありますので、都全体の話でありますけれども、新たな三多摩格差をつくるというようなことにならないように、主税局におきましては、ぜひお考えをいただきたいというぐあいに要望しておきます。
 以上が都税事務所条例についてでございますが、引き続きまして、東京都都税条例及び東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例ということで、表題の中に銀行税という言葉が出ておりますので、それに少しかこつけさせていただきまして、銀行税の訴訟の問題、そして銀行税のことにつきまして、二、三、お尋ねさせていただきたいと存じます。
 先ほど、三月に東京地方裁判所におきまして、東京都は銀行税において敗訴をいたしました。七百二十五億円を返せというぐあいに判決が出たわけであります。そしてさらに、損害賠償として十八億三千万円を出すということでありますが、もし判決が今の時点で確定した場合、東京都が出さなければいけないのは、十八億三千万プラス七百二十五億だけではないと存じますが、その辺につきまして正確な数字をお願いします。

○鮎澤税制部長 七百二十五億円は、訴訟に参加しております十七行の平成十三年度の外形基準による税額八百三十二億円から、所得基準による税額百七億円を差し引いた差額に相当する額でございます。これに、訴訟に参加しておりません十行の差額相当分を加えた約九百億円が、還付すべき本税となるというふうに試算できます。
 また、これに、年四・一%、平成十三年におきましては四・五%の割合で計算いたしました還付加算金が加わることとなります。

○真木委員 大変なお金だというぐあいに僕は感じます。この訴訟は、高裁が始まったというぐあいに聞いておりますけれども、第二審、控訴審が始まったということでございますが、控訴審でどのような判決が出るにしろ、必ずや最高裁まで争われる問題になるだろうというぐあいに思います。
 日本の最高裁、一体何年で終わるのか、全くだれもわからないわけでありますが、この銀行税条例、五年限りのサンセットでございます。五年後に判決が確定し、返せとなった場合幾らになるのか、そこを確認したいと思います。

○鮎澤税制部長 毎年の外形基準と所得基準との差額が約九百億円というふうに仮定いたしまして、仮に十三年度分から十七年度分までの五年間で四千五百億円というふうになります。平成十七年度末でこれをまとめて還付するというふうにいたしますと、還付加算金が約五百億円加わりまして、返還額が約五千億円というふうに試算されます。

○真木委員 正確には九百億円のようですが、簡単にいいまして一千億円だとしますと、四%で四十億円、一年目は、この加算金は四十億円だけで済むわけでありますが、二年目は二千億円に対する加算金ということで八十億円、それが五年後になったときに、五千億円に対する四%ということで二百億円になるということだと思います。それを足していくと五百億円になるということでございますが、これはもし五年で判決が確定しないと、六年目は、四千五百億円、おおよそ五千億円に対する四%ということで、この五千億円にさらに二百億円が加算されることになるわけでありまして、六年目では五千二百億円、七年目であれば五千四百億円というような、莫大な数字にどんどん膨れ上がっていくということになるかと存じます。
 そして、今回の銀行税の訴訟におきましては、ほとんどの銀行が外形標準課税の方が高い税金を払っていることになると思いますが、新聞報道等によれば、幾つかの銀行が、外形標準の方が安い納税額で済むというぐあいに報道されております。こうした銀行が今現在で何行あるのか。
 そして、もし、本当に残念なことですが、裁判に東京都が敗訴した場合、一審の判決においては、今までの税制と外形標準の税制との差額を支払えということでございますが、理論上は、そうしますと、外形標準になって少なくなった納税から、もとの税制の高い税金を払えということがいえるのかなというぐあいに思うのですが、そうしたむごいことをするかしないかを含めて、ちょっと教えていただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 平成十三年度において、ご指摘のようなケースの銀行、金融機関が三行ございますが、現在、勝訴を目指しまして訴訟中でございます。申しわけございませんが、そうしたケースについての対応につきましては、現在のところは考えていないという状況でございます。

○真木委員 質問としては最後にしたいと思いますが、還付加算金についていろいろいわれております。先ほど、五年間だとすると五百億円の還付加算金ということになるようでございます。これは法律で定められた四%の利子をつけなければいけないということで、今、長期プライムレートも〇・〇四だとか、そんな数字で動いている中で、四%の利子をつけるというのは大変なことで、これは一部の議員仲間等でいわれていたりすることでありますが、これはまけてもらえるのじゃないかというようなこともいわれたりしています。まけてもらえるのだったら、集めた分返すだけだから気が楽だなと思ったりもするのですが、法律で定められているこの還付加算金四%、公定歩合にこれを足すわけですね、だから、ことしだったら四・一になるわけですか、公定歩合プラス四%という、大変な負担の重い還付加算金、まけてもらうということが可能なのかどうか、教えてください。

○鮎澤税制部長 還付加算金につきましては、強行法規として法定されているものでございますので、お話のような、これは相手の問題ですけれども、なかなかそのような余地というのは考えられないのではないかというふうに考えております。

○真木委員 もう答弁は結構でございますが、やはりこの銀行税訴訟、私はぜひ勝っていただきたいと思っております。本当に一千億円だって、今返すのは大変な話であります。もう使っちゃったお金であります。既に十四年度が始まっていますから、さらにこれから一千億円集め、使うことが決まっているわけでありますから、今確定しても二千億円、東京都の財政は穴があくということになります。これは絶対勝ってもらわなければ、東京都としては大変なことになろうなというぐあいに思うわけであります。
 と申しますのも、この十四年度予算においても、基金、貯金を一千三百五十四億円も取り崩して、そして今の十四年度予算が成り立っている。東京都の基金は、今、貯金として使えるものは、財政調整基金の一千三百二億円、そして社会資本整備基金六百九十八億円、足してちょうど二千億円しか東京都の貯金はない。もし五年後に負けて、五千億円返せと。来年度以降、一月に財務局が出しました今後の見通しでは、毎年三千億から四千億、歳入欠陥になるかもしれないというぐあいに予想されている中で、もし仮に今の二千億円の貯金を五年後までキープできたとしても、五千億円返せということになりますと、マイナス三千億円、マイナス三千億円ということになりますと、平成十三年度レベルで、東京都は財政調整基金への限度額が二千八百二億円ということでございます。三千億円の借金を背負ってしまったら、その時点で財政再建団体、東京都はあらゆる補助金から施策をストップしなければいけないという大変な事態になることだと思います。
 都政に責任を有するはずであります私ども議員も、この問題については深刻に考えていかなければならない。訴訟というよりも、万が一に備えて危機管理をしていく、まさにこれこそ危機管理じゃないのかなというぐあいに思います。この危機管理の問題に、危機感という観点から、あってはならないことでありますが、万が一にも負けたときの対応ということを、高裁の様子を見てというぐあいによくいうわけでありますが、高裁がどうなろうと、最高裁がどうなるか全くわからないわけでありますから、高裁とかにかかわらず、最高裁に備えてやっていかなければならないというぐあいに思う次第であります。
 財政運営につきましては財務局ですから結構でありますが、主税局的にいいますと、還付加算金、年四%かかる、これは二年目の今年度の分までは不可避なものとして二千億円、こっちも一千億円集め、一千億円使ってしまう、それまでは不可避かもしれませんが、来年に出る三年目、四年目、五年目と集めたことについて、還付加算金がどんどん膨らんでいく、ここの部分については、住民訴訟の対象に十分なり得てしまうのだろうなというぐあいに思います。
 そのことによって、新たに二百億円から五百億円に原資が膨らんで、それに対して莫大な四%の課徴金がつく、加算金がつくということになりますと、判決がいつまとまるかわからない中で、主税局としての責任も問われるかと存じますので、その辺のことも含めまして、ぜひ今後の議論、きょう、関連というような形で聞かせていただきましたが、財政委員会としても、この問題は集中審議を要するような議題じゃないのかなというぐあいに思いますので、ぜひその辺につきまして、主税局ともども、私どもも議論させていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○藤田委員 それでは、提案されております付託議案の中から、都税条例の改正について、何点かお聞きさせていただきます。
 低燃費車や平成十五年排ガス規制適用車に対する自動車取得税の優遇措置が、今回盛り込まれているわけでありますけれども、もう一度、大変恐縮でございますけれども、この優遇措置の対象となる低燃費車というものはどういうものか、改めてお尋ねいたします。

○三橋税制調査担当部長 自動車取得税の特例措置の対象となります低燃費車でございますけれども、現行規制値と比較をいたしまして、燃費につきましては二二・八%以上すぐれたもの、排出ガス制度につきましては二五%以上すぐれたものといたしまして、国土交通大臣の認定を受けた自動車でございます。
 なお、平成十四年三月末現在、この認定を受けた型式は百八十七というふうになっております。

○藤田委員 最近では、非常に小型車で、なかなかおしゃれなといいますか、低燃費車であろうと思われるような車が大分出回っているわけでありますけれども、市場に出回っている自動車のうち、どのくらい低燃費車というのは割合を占めているのでしょうか。また、十三年度において、優遇措置の適用を受けた車は何台だったのかをお尋ねいたします。

○吉田課税部長 ご質問の、市場に出回っている自動車の台数の把握は困難でございますので、自動車取得税の平成十三年度における都の課税実績でお答え申し上げます。
 平成十三年度の自動車取得税の課税台数は、約四十四万台となっております。このうち、一定の低燃費自動車に係る課税標準の特例措置適用台数は、約十万五千台となっておりまして、課税台数の約四分の一を占めております。

○藤田委員 今お話があったように、四分の一というのはかなりの台数かと思いますけれども、最近では、多少高くても、ある意味では低公害車を持つことのステータスといいますか、若者の間で結構そういうような形がとられているというのを聞いております。
 その中で、今回この優遇措置が設けられた趣旨といいますか、もう一度一年間延長するという、この根拠を改めて伺いたいというふうに思います。

○三橋税制調査担当部長 低燃費車に対しますこの特例措置につきましては、地球温暖化防止京都会議の趣旨を踏まえまして、低燃費車の取得にインセンティブを与えるという目的で、平成十一年度の税制改正におきまして創設されたものでございます。
 また、PM、NOx対策など、大気環境の改善に向けました取り組みも強く求められるようになってまいりましたため、平成十三年度の税制改正の際に、従来の低燃費基準に加えまして、排出ガス基準をも満たした低公害車が、その対象とされたものでございます。
 今回の国の税制改正におきまして、地球温暖化対策及び地域の大気環境対策の観点から、低燃費車の取得状況等を勘案いたしまして、この特例措置がさらに一年延長されたところでございます。これに伴いまして、都においても、都税条例を改正いたしたものでございます。

○藤田委員 そして、もう一つの提案は、平成十五年度排出ガス適合車に対する優遇措置が新たに創設されているわけですけれども、この措置の対象車はどういうものかということと、優遇措置については、取得の時期に応じて、税率からの控除率が一%から〇・一%というふうに変わっているわけですけれども、その考え方を伺いたいと思います。

○三橋税制調査担当部長 十五年排出ガス規制の対象となる自動車でございますけれども、一・七トン超十二トン以下のディーゼルのトラックとバスでございます。
 ちなみに、平成十五年排出ガスの規制値というものは、粒子状物質、窒素酸化物につきましては、現行規制値よりも約三割、一酸化炭素、炭化水素につきましては、現行規制値よりも約七割厳しい基準となってございます。
 それから二つ目の、取得の時期に応じまして税率の控除率が違っているというところでございますけれども、平成十五年の排出ガス規制によりまして、規制開始後の平成十五年十月一日以降につきましては、規制に適合しない車種の型式の指定がとれなくなります。また、完全実施後の平成十七年九月一日以降につきましては、当該車種の新規の登録ができなくなるということにされております。
 今回の特例措置につきましては、このような規制に先立ちまして、規制に適合した自動車の早期取得を促進するというような観点から、取得の時期に応じまして、税負担の軽減を図るというものでございます。

○藤田委員 この税の特例ということは、基本的には国の状況を見て、それを都条例に改正したものなわけですけれども、今の状況を見てみますと、地球温暖化の問題に関して、やはり六%減にしていこうという京都議定書のことも、非常に厳しいという状況になっているわけです。
 そして、さらに今、東京都の中でも、ディーゼル車の問題をことしからまた、この十月から厳しくするわけですけれども、なかなかこれが達成できないというような状況にあるわけです。これはあくまでも税制調査会の答申の中にもありますように、ユーザー課税なわけですね。ユーザーが取得したときに、税制で優遇をしていくということなわけです。やはりこれでは限りがあるだろう。もう少しこれを根本からやるためには、どうしてもメーカー課税というようなことをきちっとやっていかない限りは、川下、川上の論がありますけれども、それがなかなかできないのじゃないかというふうに思うわけです。
 私は、そういう意味からも、昨年の十二月に答申された環境税について、やはり具体的な検討を進めるべきだと思うわけですけれども、昨年の十二月に出されたこの答申について、これまでの間にどんなふうな検討が行われて、これからさらに環境を目的とするための具体策をどんなふうにとっていくのか、最後にお伺いをして、質問を終了いたします。
 よろしければ局長、よろしくお願いいたします。

○安間主税局長 ご指摘のように、昨年十二月、都税調から地方環境税ということで提言をいただきました。この提言は、知事が受け取りました後、関係の省庁、あるいは地方公共団体等にも広く頒布いたしまして、都税調の考え方をご説明し、そして、国においてもさまざまな省庁で、今議論が行われておりますので、そういう場で使っていただくようにということで、お願いをしてございます。
 直接それの影響ということでは必ずしもないかもしれませんが、環境省の中央環境審議会でも、最近考え方がまとめられ、あるいは新聞報道によりますと、日本経済団体連合会の会長も、メーカーの立場でも、やはりそういうものを考えていかなければいけないのじゃないかというようなご発言をされたというふうに聞いておりまして、当然、これからの政府税調の議論の中でも、一つの重要な課題として議論がされていくだろうと思っています。
 改めまして、私どもとしましても、昨年の答申も含めて、東京都の立場でどういうことをすべきかということを十分議論を深めていきたいというふうに考えております。

○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして財政委員会を閉会いたします。
   午後一時五十二分散会

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