財政委員会速記録第三号

平成十四年三月四日(月曜日)
第二委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長大西 英男君
副委員長近藤やよい君
副委員長鈴木貫太郎君
理事酒井 大史君
理事倉林 辰雄君
理事渡辺 康信君
矢島 千秋君
長橋 桂一君
真木  茂君
北城 貞治君
桜井良之助君
林  知二君
桜井  武君
藤田 愛子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長安樂  進君
技監畑野 喜邦君
経理部長佐藤 兼信君
契約調整担当部長中村 忠夫君
主計部長松澤 敏夫君
財産運用部長小野田 有君
参事矢口 幸一君
庁舎管理部長岡本 宏之君
営繕部長野本 孝三君
参事岸野  勇君
主税局局長安間 謙臣君
総務部長佐藤 昭久君
税制部長鮎澤 光治君
税制調査担当部長川村 栄一君
参事三橋  昇君
参事尾芦 健二君
課税部長吉田 勝武君
資産税部長齋藤  熙君
徴収部長菅原 秀夫君
特別滞納整理担当部長谷口 広見君
出納長室出納長大塚 俊郎君
副出納長小泉 克君
副出納長宮原 恒男君
会計制度担当部長中路 有一君

本日の会議に付した事件
 出納長室関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百四十六号議案 平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 出納長室所管分
 主税局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百四十六号議案 平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳入、歳出 主税局所管分
  ・第百四十八号議案 平成十三年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
 財務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百四十六号議案 平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、歳出 財務局所管分、都債
  ・第百三十六号議案 都立立川養護学校(十三)改築工事請負契約
  ・第百三十七号議案 都営住宅十三H-一〇三東(新宿六丁目)工事請負契約
  ・第百三十八号議案 都営住宅十三H-一〇四東(千住桜木一丁目)工事請負契約
  ・第百三十九号議案 平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事請負契約
  ・第百四十号議案  東雲二号橋(仮称)鋼けた及び鋼支柱製作・架設工事請負契約

○大西委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、出納長室、主税局及び財務局関係の付託議案の審査を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行いますので、ご了承願います。
 また、付託議案のうち契約議案につきましては、議長から所管の常任委員会にそれぞれ調査依頼を行っているとのことでございます。ご了承願います。
 これより出納長室関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、出納長室所管分を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○大西委員長 これより主税局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳入、歳出、主税局所管分及び第百四十八号議案、平成十三年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○大西委員長 これより財務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百四十六号議案、平成十三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、歳出、財務局所管分、都債及び第百三十六号議案から第百四十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○倉林委員 補正予算について若干お伺いいたします。
 今回の補正予算は、雇用対策、そして景気対策、それから三宅島への支援対策、あわせて都税収入の減に伴う対策、これらの四つの柱で編成されているのかなと、こう思うわけでありますけれども、このうちの雇用と景気対策について、重点的に絞ってお伺いをしたいと思います。
 我が国の経済の状況は、いまだに大変厳しい状況にあるわけでありますけれども、先般、政府が発表いたしました二月の月例報告を見ますと、個人消費の伸び悩み、そしてまた雇用情勢の厳しさ、設備投資の減少という、明るい兆しがとても感じられないような言葉が並んでおります。
 率直なところ、これが実態なのかなと私もこう思うわけであります。こうした経済状況は、私の地元でもあります北多摩地域を初め、この東京でも大変厳しく如実にあらわれておりますけれども、東京の地域経済や雇用を支える中小零細企業の経営はまさに苦境のさなかにありまして、もはや景気の足踏みは一刻も許されない、こういう状況下にあるわけでございます。
 そういう中で、政府は、十三年度には二度にわたりまして補正予算を組んでおります。そういう中で、雇用創出や景気回復のための国としての対策を講じているわけでありますけれども、都としても同じように国との歩調を合わせて、こうした都民の方々の生活の不安を解消する施策を進めることが、我が国経済の先行きに明るい展望を得るということにもつながっていくわけであります。
 都財政が大変厳しい状況にあるということは私も十分承知をいたしておりますが、こうした中でも、現下の緊急課題であります景気対策あるいは雇用対策というのは、まさに優先して取り組んでいくべきであろうと、こう思っております。
 そこでお伺いをいたしますけれども、現在の雇用・経済環境について、どのような状況なのか、また、厳しさの実態というものをどのように把握されているのか、最初にお聞かせいただきたいと思います。

○松澤主計部長 今、先生からお話がございましたように、日本経済は昨年の夏以降急速に悪化を続けておりまして、政府の経済見通しでは、十三年度の当初、GDPが実質一・七%増であったわけですが、これが昨年暮れマイナス一・〇%に下方修正されるとともに、十四年度のGDPにつきましても実質で〇・〇%、また、名目ではマイナス〇・九%と見込まれる深刻な状況にございます。
 これに伴いまして、雇用情勢も一段と厳しさを増しておりまして、この一月の完全失業率は五・三%と、依然としてこれまでにない高い水準で推移し、完全失業者は三百四十四万人に上っております。中でも、家計の担い手でございます世帯主の失業者が九十八万人に達しまして、雇用や産業面でも景気悪化の影響が顕著にあらわれてきております。
 また、消費者物価指数の方でございますが、二年連続で過去最大の下げ幅を記録するなど、ご案内のとおり、日本経済はデフレスパイラルに突入しておりまして、先行きにつきましても、残念ながら明るさが見えない極めて厳しい経済環境であると、このように認識してございます。

○倉林委員 ただいま、GDPの実質成長率あるいは完全失業率、消費者物価の指数等も含めて国の厳しい実態をご報告いただいたわけでありますけれども、こういう厳しい状況に対応するためにも、いわゆる国の補正予算が編成されたわけでありますけれども、そうしますと、では、国の補正予算の主な内容についても具体的に説明してください。

○松澤主計部長 国の十三年度補正予算についてでございますが、今回、一次、二次と、二回にわたって編成されたわけでございます。昨年十一月に成立しました第一次の補正予算では、改革先行プログラムの関係としまして一兆円が計上され、緊急地域雇用創出特別交付金三千五百億円などを含めまして、雇用対策や中小企業対策などが主な内容となっております。
 それからまた、この二月に成立しました第二次の補正予算では、昨年十二月に決定されました緊急対応プログラムを実施するため、NTTの株の売却収入を活用しまして、いわゆる重点七分野のもとでの構造改革のための社会資本整備としまして、都市機能の一層の高度化、国際化や少子高齢化への対応などによりまして景気対策などを推進するものと、このようになってございます。

○倉林委員 よくわかりました。これを受けて都の方では、十三年度の補正予算は国の補正予算に対応して雇用対策あるいは景気対策を講じた、こういうことであろうと思いますけれども、まず、今回の景気対策の補正規模についてお伺いをいたしておきたいと思いますし、また、近年の最終補正予算における景気対策の規模、これについても確認させてください。

○松澤主計部長 今回の最終補正予算は、一般会計千二百九十九億円の中で、景気対策の規模は七百八十八億円となっております。また、過去三カ年の最終補正予算における景気対策の規模でございますが、十年度が千六百七十五億円、十一年度が千六百五十九億円、昨年度、十二年度が千五百八十九億円となっております。

○倉林委員 今回の補正予算は、一千二百九十九億円のうち七百八十八億円がいわゆる景気対策に向けられていると、今こういうご説明であります。
 ただいまの説明からいたしますと、十年、十一年、十二年のご報告をいただきましたけれども、平成十年度以降の最終補正予算に、毎年度、約一千五百億円を超える景気対策が追加されてきたと。それから比較をいたしますと、今回の景気対策は、規模的には約半分の金額ぐらいにしか到達していないのだろうと、こう思うわけです。
 それでは、今回の景気対策について、内容的には、これまでの景気対策と比べて規模は小さいけれども、こういう特色があるんですよというようなことがあるとすれば、それも教えていただきたいと思います。

○松澤主計部長 今回の最終補正における景気対策の規模は、今、先生からご指摘のとおり、過去三カ年と比較いたしますと半分程度でございますが、今回、幹線道路や架空線の地中化など首都圏の再生に資する事業に重点化するとともに、保育所整備など都民生活により密着した社会資本整備にこれまで以上に積極的に取り組むこととしております。
 このように今回の景気対策は、現在の厳しい経済状況のもとで、民間投資の創出や就業機会の増大につながり、また、事業の早期執行が可能で経済の即効性が高い事業を厳選して緊急に実施する内容となっておりまして、そのことが今回の景気対策の特色といえるのではないかと考えております。

○倉林委員 ただいまの答弁の中で、今回の補正規模は小さいけれども、中身を見ると、都市再生を軸として大変充実しているのだと、こういうことがわかったわけでありますけれども、それでは次に、雇用対策についてお尋ねをしていきたいと思います。
 先ほどご説明をいただきましたけれども、失業率は大変厳しい、高い水準になっているわけであります。しかも、世帯主の失業者が百万人近くに達するという、こういう数字が今示されたわけであります。失業の原因としては、雇用のミスマッチなど、いろいろ議論をされておりますけれども、ここまで状況が厳しくなれば、まず、雇用の創出ということが大変重要な課題であると、こう思うわけであります。雇用対策の補正規模として、たしか三百六十二億円が計上されておりますけれども、この内容についても聞かせていただけますか。

○松澤主計部長 今回の補正予算における雇用対策としましては、まず、国からの交付金を受け入れまして、緊急地域雇用創出特別基金を新たに二百三十八億円の規模で造成しまして、今後、十六年度まで継続して雇用を創出することとしております。初年度の十三年度では、屋外広告物の実態調査やワールドカップサッカー大会の観戦客受け入れ対策などを含め、雇用創出効果の高い事業を実施することとしております。
 それからまた、十三年度で設置期間が終了します、これまでの緊急地域雇用特別基金の残高十八億円を全額今回取り崩しまして、三宅島げんき農場の運営や公園の樹木の剪定作業などを実施することとしております。さらに、離職者支援資金貸付事業を創設しまして、百億円の貸付原資をもとに失業者の生活の安定と就職の促進を図ることとするなど、今回の補正予算では、厳しい雇用情勢に適切に対処する内容となっております。

○倉林委員 厳しい雇用情勢に対応するために、国の施策との緊密な連携のもとに、適切な、また、ある意味では積極的に雇用対策に取り組まれたと、こういう内容であります。よくわかりました。ただ、私の地元の多摩地区などでは、広大な森林の管理には幾ら人手があっても足りないという状況の実態もありますし、私は、こういうことも今回の基金事業にぜひ役立てていただけたらいいのではないかなと、こう思っております。そういうことが大変重要であろう、こう思っております。
 また、こうした景気対策や雇用対策については、単に十三年度の単年度の取り組みだけで終わってよいものではないと、当然でありますけれども、こう思っております。そういう中で、十四年度予算に織り込まれた都市基盤の整備や雇用確保の取り組みなどと一体にとらえていくという、この視点が極めて大切だと、こう思っております。
 そこでお伺いいたしますけれども、今回の最終補正における、いわゆる景気対策、雇用対策の取り組みは十四年度予算とどのように連携が図られているのか、そこのところも教えていただけますか。

○松澤主計部長 長期化しております現下の厳しい経済状況におきまして、景気対策や雇用対策を最大限効果的に発揮していくためには、ただいま先生ご指摘のとおり、今回の最終補正予算と十四年度の当初予算における取り組みとが一体となりまして、連続して景気浮揚効果や雇用創出効果が生まれるようにすることが重要でございます。
 こうした観点から、今回の補正における景気対策では、ただいま答弁いたしましたように、都市再生のための事業に重点化を図るなど十四年度予算と連動して投資効果を高めるとともに、雇用対策につきましても、緊急地域雇用創出特別基金事業を創設しまして、十三年度から連続して計画的に実施していくこととしております。
 また、事業量確保の観点から、債務負担行為の一種でございますゼロ都債、ゼロ国債の活用を図りまして、比較的公共事業の発注量の少ない年度当初の工事量の確保にも努めているところでございます。

○倉林委員 確かに、単年度だけの雇用あるいは景気対策だけでは意味が薄いのだろうと、こう思います。そういう意味では、年度当初の事業量の確保にも配慮して、十四年度予算とあわせて現下の緊急課題にきちんと取り組む内容になっているということで、ほっとしたわけでありますけれども、私は、景気対策は、やはり基本的には国の役割だと、当然のことでありますけれども、そう考えております。
 しかしながら、先ほどからのご説明にもありましたように、現下の大変厳しい経済情勢を見れば、やはり私は、国だけに任せておくわけにもいかないであろうと、都も一体となって景気浮揚や雇用創出に取り組むということが大変重要である、大切であると、こう思っております。都としても、景気対策や雇用対策についてしっかりと取り組む、このことによって都民の方々の生活の不安を解消することにもつながっていくのだと、こう考えております。
 都税の減税補正すら行わなければならないという大変厳しい都政の財政状況にあるわけでありますけれども、国庫支出金の財源の確保などにも努めていただいたり、緊急の課題であります雇用・景気対策を講じた今回の補正について、それなりに私は高く評価をさせていただきますけれども、そこで、最後にお伺いをしておきます。
 都には、ただいま申し上げましたように、雇用あるいは景気対策や、都市再生のための取り組みなど課題が当然山積しているわけでありますけれども、そういう中で、先ほども申し上げましたけれども財政は大変厳しい、いわば二律背反ともいえる厳しい状況に相なっているわけであります。こうした中で、都財政をあずかります財務局長さん、どのように財政運営のかじ取りを責任を持って進めていくのか、この辺のところを最後にお聞かせいただければと思います。

○安樂財務局長 先ほどお話にもありましたけれども、十三年度の税収はここのところ急激に落ち込んでおりまして、今回の補正予算では、当初の見込みを百億円以上下回るような、そういう減額補正を組んでおります。
 しかし、こうした厳しい財政状況ではありますけれども、こういう中にあっても、景気対策、雇用対策は目下の緊急課題であります。何としても財源手当てを講ずる必要があったということから、今回、国庫支出金の確保や、あるいは都債の適正な活用、あるいは繰越金など、あらゆる財源を総動員いたしまして、この予算を組んだわけでございます。今後は、この予算を全力で執行することによりまして、都民生活の向上を目指したいというふうに思います。
 また、財政状況は依然として厳しいものがありますが、財政再建の総合的なプログラムは、既に、平成十一年の財政再建推進プランによってでき上がっております。あとは、これをいかに実行するかということにかかっております。この財政再建推進プランに基づきまして、歳入歳出両面の徹底した努力を行いまして財政改革をさらに進めまして、山積する課題に対応できるような、そういう財政体質を一日も早く回復したいというふうに思っております。
 それと同時に、その回復以前におきましても、都政の重要課題に対しては、さまざまなその工夫とか努力によりまして重点的な財源投入を図って、時期を逸することなく適切な対応ができるように、そういう財政運営を心がけたいというふうに思っております。

○鈴木委員 今、倉林理事の方から、景気・雇用対策の観点からの補正の論議がありました。私も、よくやってくれたなと、こういう思いでもおります。問題は、このバックグラウンドにある、どういう財源措置を講じたのかということを、十三年度を締めくくる補正でありますから、それをきちんと検証をしながら論を進めていかなければいけないのかなと、こんなふうに思い、若干ではありますけれども、基礎的なことを踏まえて、十四年度にかく結びつくのだという、そういうきめ細かな政策のかじ取りをしてほしいという思いを込めて、させていただきたいと思います。
 今年度の税収は、確かに、いわゆる銀行課税、これが大宗を占めたマイナスイメージというものが大変強うございます。これは我々もうっかりしておりまして、行け行けどんどんでこの外形課税を導入した、その裏の裏まで我々も見据えなかった、その落ち度というのは、我々も持たざるを得ませんし、銀行は逆手にとって払わなかったという、そういう仕組みも我々はきちっと勉強をさせていただきました。
 その責任というものは我々は等しく負わなければならないことは、いうまでもありません。それをとやかくいうことはできないと思います。銀行課税等々を含めて五百億円近い税収減がその中にはあるわけであります。これは主税局の論議の中で私もさせていただきました。それはこちらに置いといて、そういう厳しい財政難、この財源不足の中で、まず、十二年度の補正と異なって都税が財源として全く使えない今日のこういう状況の中で、どういうふうにして具体的に財源を確保したのか、いま一度きちっと説明をしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 ただいまお話がございましたように、昨年度の最終補正では都税収入が三千六百億円ほど大幅に伸びたわけでございますが、十三年度は法人二税が当初予算に対しまして六百三十二億円の落ち込みとなり、その他の税の増加を加味しましても、今回、百二十七億円の税収の減額補正となったところでございます。
 このため、今回の最終補正予算では、こうした厳しい状況の中で、国の補正予算に合わせまして、先ほど申し上げましたように、各種の雇用対策、あるいは公共投資の追加による景気対策を積極的に実施するため、主に国庫支出金の受け入れなどとあわせまして、都債の適切な活用により財源確保を図ったところでございます。

○鈴木委員 こういうときに適宜適切に必要な事業を行うためには、やはり都債の積極的活用というのは、これはもう当然、ついて回ってくる問題ですね。中には、都債の増発イコール悪玉論というのが常について回るのですけれども、しかし、必要な事業に対して必要な都債を充当する。それにはおのずとまた--もちろんそれは制約はあるでしょうし、後年度負担の問題等々をひっくるめて、やはりそこは応分の充当ということが大切ではないのかなと、こう私どもも当然思っております。決して、万古不易論に立つ立場ではありません。
 そういうことで、今回の都債、この表を見ますと、都債として七百七十四億円という増額でありまして、これがどういう意味を持っているのか。やはり私は、具体的に財務当局として、こういうふうな裏打ちがあったのだという適切なお答えをいただければ、ありがたいのでありますが。

○松澤主計部長 今回の最終補正予算における都債計上額七百七十四億円の内訳についてでございますが、このうちの三百十六億円は、国のNTT株売却益を活用した無利子の貸付金でございます。また、道路整備などの景気対策や災害対策に充てられます通常の起債として四百六億円、このほか、国の恒久的な減税に対応する減税補てん債の追加分として五十二億円を計上してございます。

○鈴木委員 今、主計部長から、NTT債、久しぶりに出てきた言葉ですね。たしかあれは昭和六十二年のころ、ずっとそれから数年間続いてきた制度であったと思います。今まで、それが終わって冷凍庫にいたのが突然解凍してまた出てきたのかなという、そういうところへ目配り、気配りをしながら使っていく、そういう姿勢というものは私はいいのではないかなと思いますけれども、そのNTT債、この仕組みですね。ともかく、どういう事業にこれを充てていこうとしているのか、これを教えてください。

○松澤主計部長 今お話がございましたNTT債、すなわちNTT無利子貸付金につきましては、これは政府が保有するNTT株式の売却収入益を活用しまして、地方公共団体や公共的施設を整備する民間事業者等に無利子で貸し付けを行うものでございまして、地方公共団体の財源としましては地方債に位置づけられているわけでございます。
 このNTT無利子貸付制度は、昭和六十二年度に創設されたものでございますが、今回、国の十三年度第二次補正予算において、これまでの売却益の残余分二兆五千億円を財源として、有効活用するため再開されたものでございます。今回の貸付金も無利子となっておりまして、また、償還時に国から償還費相当分を負担金または補助金として全額交付され、都の財政負担は生じないものとなっております。
 また、この貸付金の対象事業でございますが、緊急経済対策の一環としまして、民間投資の創出、就業機会の増大に資する事業とされていることから、今回、補正予算では、このような趣旨にのっとりまして、介護予防拠点や保育所の整備助成費、あるいは公営住宅の改修、道路の整備などの事業に財源として充ててございます。

○鈴木委員 非常にいいですよね、三百十六億円は返さなくてもいい財源だというのだから。こういう制度を適宜適切に使って、しかも生活密着型の地域--この後、桜井委員からも具体的にこのやりとりが恐らくあると思います、地域密着型社会資本整備に充当をするという、こういう手法というものを、やはり財務当局の根っこの部分に、コアの部分に置いていくことが私は大変よかったのではないかなと、こう思います。ご努力を多としたいと私は思います。それから、減収補てん債じゃなくて減税補てん債ですね、減税の問題、あれも国がきちっとそれをずうっとやってきている、それをきちっとやるという。
 それはともかく、私は、残りの純然の都債四百六億円、これについて聞いておきたいのですけれども、社会資本整備をするために、この都債というものは、先ほど主計部長がおっしゃったとおり大変重要な財源であると。一義的には、世代間の負担の公平を図る意味が一つと、それから年度間の財源の調整を行う機能が一つと、二つの機能が私は都債にはあると思います。
 そういう論に立つと、これは都債イコール借金、イコール悪と、こういうことには決して結びつかないと私は思います。そういう論には私は決して立ちません。そのことはきちんと申し上げておかなければいけないと思います。
 また、先ほど私が申し上げたNTT債、これは別な意味では国庫補助金のようなものであり、大変時宜を得た、全国で二兆五千億ですか、それを東京都として、ある応分の負担を国からしてもらったわけでありますから、それはそれとして私はよかったのかなあと、こう思います。
 そして都債の--しかし、さはいえども、将来の財政負担としてはね返ってくるという、この一抹の不安はもちろんあるんですよ。もちろんありますけれども、そういうことに十分留意をするということは、当然、財務当局として、わかりきったこととしておると思います。当初予算の起債、あれはたしか三千五百億円だったかな、都債ですね、補正後でいいますと、これが加わって、そろばんをはじいてみますと大体四千億円を超えるのではないかなと、こう思いますけれども、これがずうっと加算して、どうなのかなと、こういう一抹の危惧をせざるを得ないという観点を申し述べておかなければいけないと思います。
 そこで伺うのですけれども、今回の最終補正後の都債の発行水準は過去と比較をしてどうなのか、そして、発行額と起債依存度を最近のデータでお示ししていただければ、ありがたいと思います。

○松澤主計部長 都債発行額と起債依存度の最近の推移についてのお尋ねでございますが、都債発行額につきましては、平成四年度以降急増しまして、ピークであった五年度には一兆五百八十五億円を発行し、その後、六年度は八千四十億円、七年度は九千百十六億円、八年度から十一年度までは平均しまして約六千四百億円と、かなり高い水準で発行してきたわけでございます。
 しかし、平成十二年度より、財政再建推進プランに基づきまして都債の抑制に努めた結果、十二年度の発行額は三千八百五十二億円となり、また、今回の最終補正後におきましても、先ほど申し上げました財政負担を伴わないNTTの無利子貸付金を除いた実質的な都債計上額では四千三十五億円と、比較的低い水準にとどまっております。
 この結果、都債発行額の歳入総額に占める割合でございます起債依存度では、ピーク時の平成五年度に一五・一%、以降、一〇%前後で推移していたものが、十二年度は六%、十三年度当初予算では五・八%、今回の最終補正後でも六・四%と、大幅に低下をしてきております。

○鈴木委員 努力をしていますよね、局として全体的に努力をしていると思います。くどいようですが、平成五年度をピークにして、ずうっと下がってきている。これは私たちも、その辺の後年度の負担をどうこうということで、抑制をすべきだ、それになりかわる各種の財源をどう見つけるかが御局としての役割ではないのかなと、そういう主張を私たちはしてまいりましたし、大変、時宜にかなったデータではないのかなと思い、評価をしたいと思います。平成十三年度、六・四%依存、これを他の道府県、地方財政全体と比べて、東京都のこの位置づけというのはどう見ますか。

○松澤主計部長 他の地方団体の最終補正後の起債依存度がまだ公表されてございませんので、恐縮でございますが、十三年度当初予算ベースでの起債依存度で比較して申し上げますと、東京都以外の道府県平均の起債依存度は一一・七%でございまして、また、十三年度の地方財政計画における起債依存度は一三・三%でございます。こうした状況と比較した場合、都の起債依存度は、ただいま申し上げたとおり、当初予算で五・八%、最終補正後でも六・四%ということで、これは四十七都道府県では一番低い率となっておりまして、総体的に見ればかなり低い水準にとどまっているものといえるのではないかと思われます。

○鈴木委員 よくわかりました。くどいようですけれども、本当によく踏ん張ってやってきたなという、その評価なんですよね。よくやってくれたという、厳しい財政環境の中で全国最低水準を維持しているという、そういうことを私は評価をしてさしあげたいと、こう思います。
 そのことを私は申し上げながら、そうはいっても、まだまだ財政需要というものはこれからどんどんどんどん出てくると思いますけれども、最後、一点だけ聞いておきます、今後の都債活用のあり方。今まで、若干のいろはで質問をしてまいりましたけれども、今後の景気の、この先行きが不透明な中に、税収減だとかいろんなことに私たちは直面をするであろうということは、これは間違いない事実だと私は思いますし、そういう中にあって、今後の都債活用のあり方についての原理原則論、これについて端的にお答えをいただきたいと思います。

○松澤主計部長 先ほど申し上げましたように、平成四年度以降、都債を大量に発行したため、その償還時期が到来する平成十四年度から都債の償還額が急激に増加し、その後も当分高い水準が続くものと見込まれる状況となっております。
 このため、財政構造改革の一環として、平成十二年度以降、新たな都債の発行を極力抑制しまして、将来の財政負担を軽減してきているところでございます。また、こうした中で、都債は投資的経費の財源として、都市基盤の整備や都民生活に密接に関連する事業について優先度を厳しく峻別して事業の重点化を図った上で、真に必要な事業については今回の補正のように都債を適切に活用することが必要でございます。
 ご指摘のように、今後も厳しい財政状況が見込まれ、税収減により財源が不足することも予想される中でございますが、都債の活用に当たりましては、将来の公債費の負担を十分に配慮しながら、これまでと同様の考え方で適切に活用を図っていくことにより、そのことが将来にわたって財政の健全化につながっていくものと、このように考えてございます。

○鈴木委員 最後、要望にとどめておきます。財務局長におかれましては、最後、桜井質問の後に、まとめて私の分までお答えをいただければありがたいと思いますけれども、今、主計部長と淡々としたやりとりをしてまいりました。やはり適宜適切に都債の活用をすべきときはきちっとする、ただし、後年度の負担もそれは勘案をしつつ、都の財政健全化のために寄与すべきではないのかなと、こう私は思います。
 どうかこれからも、十四年度、踏ん張って、この不透明な社会経済状況の中でありますけれども、十四年度の本予算の質問のときにまたいたしますけれども、御局の努力を多としながら、この補正予算の組み立て、大変、私は見事な組み立てをしてもらったのだなと、こう評価をして、質問を終わりたいと思います。

○渡辺委員 私も何点か質問をさせていただきます。
 今回の補正予算を見ると、今議論のありました雇用対策、これは国の第一次補正に対応するとして、国からの交付金の受け入れで、緊急地域雇用創出特別基金、こういうものの積み立て、これは十四年度から十六年度までの三カ年計画ということになりますけれども、積み立てられると。
 また、国の制度としてつくられた離職者支援資金貸付事業、こういうものだとか、あるいは三宅島の災害対策のほか、保育園の整備や公営住宅の改修なども入っております。そういう意味では、都民生活への配慮という点では、一定の内容として歓迎できるものというふうに思います。
 しかし一方で、道路、街路の整備、これを大幅に追加するなど、これは財界からもいろいろと問題点として出されているわけですけれども、国の二次補正、いわゆる従来の公共事業の上積みと、こういうことになっているわけですが、相変わらず、やはり投資的経費を大幅に積み増ししているということに特徴がある。そういう点では、これまで取り組んできた内容と余り大きく変わっているということにはならないというふうに私は思います。
 私は、この補正予算は、十四年度予算案と一体的に見ることが欠かせないものだというふうに思っています。
 例えば、十四年度予算では、投資的経費を見直しをするというか削減をさせた、あるいはまた、都債についても退職手当債というものを除けば三千五百億ということで抑えているというふうにおっしゃっているわけですが、しかし、この補正予算というのは、今申し上げた十四年度の予算と同じく事業執行ということになるものであって、十四年度予算を補正予算と同一的にとらえるということがやはり必要だというふうに私は思っておるわけです。
 そこで伺いますが、今回の補正予算では投資的経費というのは幾ら追加されているのでしょうか。

○松澤主計部長 今回の最終補正予算では、一般会計千二百九十九億円のうち投資的経費は八百四十五億円を計上しております。

○渡辺委員 この投資的経費ということで、先ほどもいいましたけれども、いろいろな問題があると。今定例会に提案されている十四年度の当初予算、これと合わせてみると全体として幾らになるのか。十三年度当初予算と、住宅会計移行分、これを除いて比較すると、ふえているのか減っているのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

○松澤主計部長 ただいま申し上げました十三年度の最終補正予算の投資的経費八百四十五億円に十四年度当初予算の投資的経費の額六千二百三十六億円を加えますと七千八十一億円となります。
 一方、今お話のございました十三年度の当初予算の投資的経費は七千百四十七億円でございますが、十四年度予算から都営住宅の建設管理が特別会計に移行したため、仮に、十三年度予算に含まれていた都営住宅分六百三十九億円を除きますと、十三年度は当初予算ベースで六千五百八億円となります。
 これをご指摘に従って両差を単純に比較しますと、十三年度の補正予算と十四年度の当初予算の合計額は、十三年度の当初予算に対しまして五百七十三億円ほど多くなる計算になるわけでございます。
 しかしながら、このように十四年度の当初予算と十三年度の補正を一緒にして比較するということは、景気対策としての連動性としての意味はございますが、財政の実務上では余り試みない比較ではございます。

○渡辺委員 まあ、そうはいっても、会計上ではそうなるというものではあるかもしれないけれども、しかし、十四年度は減ったよ、減ったよという、こういうことでいえば、その十三年度最終補正予算で、投資的経費というか、これがやっぱり上積みされるという点からいえば、しかも執行時期というのは十四年度ということになるわけですから、私たちはそういうふうに見ざるを得ない、こういうことを申し上げたわけです。
 そこで私は、投資的経費といっても、決してこれだけではないのだということを申し上げたいわけです。これは前からも私たちはいってきましたけれども、例えば、これは当局も一〇〇%承知しているということだと思いますが、経常経費の中のいわゆる投資型経費というものがあるわけですよね。これは、例えば首都高に対する経費、あるいは都市開発経費、あるいは区画整理の事業経費、いろいろあるわけですが、全部は挙げませんけれども、そういうものが経常経費の中の投資的経費ということになるわけです。
 したがって、私たちは、今お話がありましたけれども、十三年度の補正と来年度の当初予算の投資的経費を合わせれば七千八十一億円だというお話がありましたけれども、経常経費の中の投資型経費、こういうものを合算すると、やはり一兆円を超えるということにならざるを得ないわけですよね。これはもう当局は認めているところだと思いますが。
 そういう意味で、私は、この投資的経費というのは、もう少しやはり見直しをすべき対象のものだというふうにいわざるを得ないわけです。
 そこで、さらにお聞きしますが、投資的経費の中身も今いったように問題があるのですが、今回計上された中身、いわゆる投資的経費の中の道路橋梁費、これは十三年度当初から比較すると二〇%ぐらいふえていると思うんです、細かいパーセントまでは計算していませんけれども。それから、街路整備ということになったら、三〇%前後はやっぱりふえるということになるわけなんです。
 そういう点で、このふえた額、これはどれくらいなのか。それから、道路、街路の投資的経費に占めるウエート、これは道路橋梁費や街路整備、この追加というのはどれくらい占めているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

○松澤主計部長 その前に、投資的経費のとらえ方、先生と前もお話をしたあれがございますが、おっしゃるとおり、いろいろなとらえ方はございますが、逆に、投資的経費に入らないものでも、特別養護老人ホームの設置促進特別助成とか障害者の施設の整備助成とか補助金的な投資もあるわけでございまして、そこら辺は、いろんな投資のとらえ方はあるのではないかと、究極的には都民のための投資だと、このように考えてございます。
 そういう中で、今回、最終補正予算に計上しております、道路、街路の整備に要する経費は五百八十一億円となっております。また、今回の投資的経費八百四十五億円に占める割合では六八・八%でございまして、基本的には、先ほど申し上げましたように、国からの補助事業でございまして、さきの代表質問でもございましたように、公共事業は国の補助でということで、この点については十分かなった形になっているわけでございます。

○渡辺委員 いろいろ見方はあるという話ですけれども、こうした投資的な経費に偏った補正予算だというふうに私は思います。
 都債については抑制基調だといいながらも、この道路橋梁費や街路整備、こういうことの財源という中身、これはほとんどといっていいくらい都債そのものですよね。先ほど発言がありました、都債は悪と、悪玉論だというふうにいわれましたけれども、私たちは、この都債について、すべて悪などということは一言もいっていないですよ、申し上げておきますけれども。
 私たちは、公債費が五千億円を超えるという状況のもとで、これ以上の都債というものを発行する、これ以上借金をふやすということになったら、一般会計というか、この東京都財政の運営ということに大きな支障を来すと。だから、東京都はこの都債というものに対してはできるだけ抑えなさいよと、抑制しなさいよと。私たちは、皆さんも知っているかもしれませんけれども、三千五百億という点でも、まだまだ見るようなその借金は減るということにはなりませんよと、三千億ということになったら見るようなその都債の減額ということにはなるのですよと、その立場から私たちはいっているのです。
 ですから、すべて都債はだめと、悪玉だということはいっていないのです。むしろ保育園をつくる、都営住宅をつくる、こういう問題については私たちも反対しませんよ。ですから、先ほどいわれた、どこの政党とはいわないけれども、しかし実際問題として、都債の悪玉論という、この都債問題について、もっと削減をしなさいといっているのは我が党しかいないからね、これまでの中では。(「いや、そんなことはないですよ」と呼ぶ者あり)そういう状況の中でそういうことをいえば、わかるわけだから。決して、そういう立場でいっているのではないということを明確にここでは申し述べておきたいというふうに思うのです。
 さらに、そういう中で、補正で都債は幾ら追加計上をしているか、そのうち投資的経費に振り向けているのは幾らかということを次にお尋ねしたいというふうに思います。

○松澤主計部長 今回の補正予算で計上した都債は、先ほど申し上げましたように七百七十四億円でございますが、このうち投資的経費に財源充当している都債は七百二十二億円でございまして、その内訳としましては、NTTの無利子貸付金が三百十六億円、通常の都債が四百六億円となっております。

○渡辺委員 そういうNTT債なども入っておりますから、これをけしからぬというわけではありませんけれども、片方では四百何ぼの都債を、これは純然たる都債として組んでいるわけです。
 私も、こういう都債の問題について、例えば生活密着型、そういうところに今まではメスを入れてきたり、まだ入ってきているわけだけれども、あるいは福祉、あるいは医療の施策、こういうものをばっさり打ち切るということをやっていて、一方で先ほどいったように大型公共事業を優先させ、その裏づけとなる財源というのは都債だと、こういうやり方は違うのだよということをいっているんです、私たちは。だから、そういうことも、ここの委員さんにもぜひひとつ理解をしておいていただきたいというふうに思います。
 それから国の直轄事業、これは私は、国のいいなりになる必要はないということを前から申し上げているわけですけれども、知事の発言を見てもはっきりしているでしょう、羽田空港の拡張問題。あれだって国に対して、直轄事業として、東京都の負担は求めるなと。東京都が発案したから、あるいは東京都がやろうといっていることに対して国が乗ってきた、東京都が発案してきたのだから東京都が金を出すのは当たり前じゃないかみたいなことを国はいっていますけれども、それに対して知事は怒っていますよね。ああいう立場で、いわゆる国の直轄事業ということについては、やはり私は払う必要はないと、それはもう粘り強く交渉して、これは国に払わせるべきだと。この直轄事業費は幾らぐらいになっていますか。

○松澤主計部長 今回の最終補正における直轄事業負担金は、道路等では九十七億円、それから河川等では四十億円、合わせまして百三十八億円を今回計上してございます。

○渡辺委員 最後になりますけれども、いずれにしても、この補正予算ということについていえば、先ほどからも申し上げたとおり、投資的経費については当初予算に加えて補正予算でも道路あるいは街路、こういうところに中心を置いている、そして公共事業を一層推進しようとしている、しかも、その財源として相変わらず都債、そういうものに頼っていると。
 こういう点からしてみれば、やはり借金そのものを減らすということにはなかなかならないので、私たちは、その辺は、都財政の本当に再検討ということであれば、いかにしてこの多額な借金、ここから脱却するのかということですよね。そのためには、大型公共事業の見直し、そして借金というものを極力減らす、目に見えて減るような形にしていくということが一つ。
 そしてもう一つは、財政再建ということでいえば、何だかんだいったって、大型公共事業の見直しとあわせて、今度は、やはり生活密着型の公共事業ということに切りかえていく。そして、福祉とか医療とか、そういうものにこたえていくということになれば、私は本当に、都債でも三千億以下に抑えて進めることもできると。そうすれば財政再建も、あるいは都民の要求にも、両方にこたえていかれるという、こういう私たちは内容を提示しておるわけですけれども、そういうことで、一層のそういう立場に立った予算編成というものを私は求めていきたいと。以上で終わります。

○松澤主計部長 先ほど倉林議員のところでもご答弁しましたように、今、我が国経済は非常に大変な事態でございまして、やはり雇用機会の確保であるとか中小企業の受注機会の確保を行って景気対策を講ずることが急務になっているわけでございます。
 そういうことで、十三年度最終補正予算では、国の補正予算に対応しまして、公共交通網の整備を含めました都市基盤の整備、あるいは公営住宅のエレベーター設置など、地域に密着した事業をきめ細かく盛り込んだところでございます。
 この財源につきましては、繰り返しになりますが、都の実質的な負担がないNTTの無利子貸付金を導入するとともに、将来の公債費負担にも十分考慮しながら都債を適切に活用したところでございます。
 これまでも財政構造改革の一環として、十二年度以降、都債抑制に努めているところでございまして、こうした抑制基調を継続していけば、将来に向かって財政の健全性につながっていくものと、このように考えてございます。

○渡辺委員 今の経済情勢ということについていえば、それは認識は大体一致していると思う。だけれども、どこでどうやっていくかという、その手だての問題としては全然違う。
 これは例えば、今の小泉内閣のことになりますけれども、今本当に都民が求めているのは、倒産だ、あるいは雇用だ、それから中小企業対策、あるいは福祉・医療、いろんな問題があるでしょう、都民や国民の本当に求めているものが。
 だけれども、本当にそれにこたえているかというと、答えになっていないと思いますよ。第一番目にデフレ対策だと、何をやるのか。銀行の不良債権処理でしょう。銀行の不良債権処理ということになれば、これはもう本当に大企業だって含めて倒産に追い込まれざるを得ないのですよ。それの関連でもって倒産ということで、中小企業はどれだけ倒産させられるか。独自の中小企業対策、何をやっているのだと、そういう国民の世論というのはだんだん強くなってきているということはいえるでしょう。
 そういう中で、第二次補正ではないですけれども、第二次補正が組まれた、この組まれた中身というのは、先ほどもいいましたけれども、これは財界だっていろんなところでも問題になっている、批判されているものですよ。これまでの従来パターンの、いわゆる公共事業の積み増しではだめなのですよと、それでは国の今の景気対策にはならないのだと。これはもう、すべての皆さん、共通した認識じゃないですか。
 だから、そういう点で私たちは、投資的経費というものについてはできるだけ見直しをしなさい、本当に生活密着型という、そういうところに切りかえなさい、こういう主張を繰り返しやっているわけです。
 ところが、やはり依然として投資的経費が重点になっている。福祉・医療というのはもうないがしろ。これでは、今の消費そのものを本当に温めようと思ったって、なかなか温まらない、景気はいつになったって回復しないというのは、これはだれしもの一致した認識だと私は思いますよ。
 だから、そういう立場からしてみれば、今度の十三年度の投資的経費、十四年度の予算の投資的経費、これを合算して、要するに政府は十五カ月の予算だというふうにいってきたわけだから、その対応策だから、いずれにしたって、補正予算だって来年度、十四年度執行なのですから。
 そういうことから考えたら、やはり投資的経費、いろいろ中身の問題は厳密にしなければなりませんけれども、そういう点で、投資的経費全体を見直しをすると私たちはいっている、バブル以前のその水準まで戻しなさいと。もう税収はバブル以前よりももっと落ち込んでいるのだから、そういうふうにするということが本来は大事なことでしょう。
 それを、税収が落ち込んでも、一向に相変わらず投資的--大型開発を中心にした、それは都市再生という名前をつけてだけれども、大型公共事業をどんどんどんどん進めるということになれば、これはもう本当にどうしようもなくなりますよ。だから、公債費だけはどんどん膨れる。この公債費でもって四苦八苦しているのが今の都財政運営じゃないですか。
 だから、そういう点からいったら、投資的経費というものをもう少し大胆に見直しをする、そして、国民や都民に将来不安がないように、社会保障的な医療制度、こういうものをしっかりと守って将来を守るべきだ。そうすれば、多少の投資的経費というのは落ち込んでも、それは消費そのものが本当にとまってしまうなどということはないんですよ。そういうところを十分考えていただいて、ひとつ取り組んでいただきたいというのが私たちの率直な気持ちです。以上です。

○安樂財務局長 先ほど部長の方からもお話ししたのは、現在、都債については抑制基調に転じているわけです。これはなぜかといいますと、委員、ただいま申されたように、平成四年ぐらいには一兆円も起債をのせて公共事業をやっていたわけです。これは、バブルあるいはその時期、その後のいろんな対応があってこういう形になっておりましたけれども、やはり、これは国の方においても公共事業を厳選しようという、そういう考え方があるわけで、東京都においても公共事業を厳選する中で、もう一兆円あったようなものを五千億以下に、現在では、平成十二年ぐらいから落としてきているわけですね。
 そういう点では、今いわれたことはもう既に私たちも、問題を先取りするというのは変ですけれども、そういう考え方でやっているわけです。
 しかし、その中にあっても、やはり必要なもの、必要な事業については、これは特に投資的な経費に起債というのは充てられます。投資的経費ということは、その受益が、例えば道路をとっても、何十年にもわたって受益があるということで、負担の公平という観点からも、起債は、そういう場合には適切に活用するということで組んでいるわけで、決して先ほどいわれたようなことでは、何ら我々、おかしなところはないというふうに思っております。
 それと、我々、国のいいなりにしているわけではないのです。先ほどいわれた直轄事業の負担金というのも、これは道路とか港湾についての負担金でありまして、その受益の程度に応じて現在負担しているわけです。
 ところが、知事がいわれた羽田の問題というのは、基本的には国が行うような事業について、国が負担すべきものを東京都に負担云々をいっているので反論しているわけでありまして、ちょっと性格が違うというふうに思っております。

○大西委員長 はい、次……。

○渡辺委員 委員長、委員長、何やっているんだよ。論議……

○大西委員長 論議の重複は避けましょう。

○渡辺委員 重複じゃないです。

○大西委員長 あなたも考えを述べた、理事者は理事者として考えを述べた。

○渡辺委員 違うよ、局長の答弁に対する質疑です。

○大西委員長 ここは討論の場ではないのだから。あなたが一方的にいっているから、理事者もいうべきことをいったのだから。

○渡辺委員 審議を否定する、それこそ……

○大西委員長 あなたは、ほかにいうべきことがあるのですか。

○渡辺委員 何いっているのですか、委員長。

○大西委員長 あなたは、ほかにいうべきことがあるのか。

○渡辺委員 そんなこと認めないよ、認めない。

○大西委員長 じゃあ休憩して、理事会で討議しようじゃないか。
   〔「休憩」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 暫時休憩します。
   午後二時四分休憩

   午後二時六分開議

○大西委員長 それでは、委員会を再開いたします。
 他にご意見があれば後ほど理事会を開きますが、それでは、委員会を続行いたします。

○藤田委員 私も何点か質問をさせていただきますが、都財政の収支の見通しやら、それから今回の補正、いずれも予算案と深く結びついておりまして、私も予算案は最終補正をもって考えるというようなところをしていきたいと思いますので、今回は、これを中途議決するわけですけれども、基本のところは賛成をいたしますけれども、予算の議会の中で少しこれもあわせてさせていただくことにしまして、一点だけ聞かせていただきたいと思っています。
 今回の補正の中で、緊急地域雇用創出特別基金の繰入金というところの話をさせていただきたいと思います。
 今回、十三年度までの、十一、十二、十三の基金を活用しまして雇用対策の補正を行っているわけですけれども、事業局では先行して、雇用創出のためにもう既に事業を行っているというようなことで、そして今回、最終で予算を措置したというような説明があったわけですけれども、これについて詳しく説明をしていただきたいというふうに思います。

○松澤主計部長 今回の補正にかかわります旧の地域雇用特別基金の関係でございますが、この旧基金を使った事業につきましては、平成十一年度から十三年度の三カ年で、都として、百八十億を国から交付をしてもらって、それで事業をやってきたわけでございまして、ちょうど十三年度までが期限となっているわけでございます。
 こういう中で、この旧の部分につきましては、現下の厳しい雇用情勢から、これについても新だけではなくて、効果的な事業を時期を失することなく実施するよう強く求められているわけでございます。このため、東京都としましては、旧基金を活用した十三年度事業の追加としまして、この補正予算で十八億四千万円を計上させていただいた、こういうことでございます。
 今、先生からお話がございましたように、この事業の実施に当たりましては、こういう厳しい雇用情勢ですから、機動的に、できるだけ早くやらなければいけないということで、補正予算が成立してからが一番正常な姿なのですが、それだけでも待っていられない分もございまして、各事業局では、特に緊急性の高い雇用事業については、まず既定の予算の枠内で他の事業に優先して実施をしているという状況がございます。
 今回の最終補正予算で先行して行った事業を含めた雇用対策全般について、ご審議といいますか、ご了解をいただければ、その財源として基金を充てるということにより、既にやっていることに対する既定事業の部分についても、まあ振りかえた部分はございますが、それについても支障を生じることなく執行していきたいと、こういうふうに考えてございます。

○藤田委員 今お話がありましたように、先行して行ったものもあるということなわけですけれども、実際には大体どのくらいのお金が残るようになるだろう、あるいは、国へ返すことなく、やった方がいいのじゃないかというようなことは、いつごろからそういう判断をなさって、この緊急雇用対策の事業をやっていらっしゃったわけでしょうか。

○松澤主計部長 今申し上げました旧の雇用対策の事業の財源は、さっき三カ年と申し上げましたけれども、十二年度の実績で残った分がございました。それを基金の方に繰り戻しといいますか留保しておきまして、一方で、十三年度の基金の旧の部分については当初予算で組んでございましたので、これをずっと執行していると、こういう状況でずっと十三年度中は来たわけでございます。
 十三年度の雇用対策事業が、だんだん執行状況も見えてきた中で、去年の暮れぐらいから、ここら辺の事業について追加をしたり、新たに、そこになお効果の高いものを入れたらいいかというようなことで、今回、それを含めまして、厳しい状況ですから事業を先行させたと、こういうようなことでございます。

○藤田委員 実際には、これはおおよそ区市町村分と都分とで半々ぐらいであったかと思いますけれども、区市町村分については、どのような考えで、どのような区市町村に話を持っていらしたのでしょうか。それとも都分だけですか。

○松澤主計部長 先生、今お話があったとおり、この事業については区市町村と都直接施行と二つあるわけでございますが、区市町村については既にお話をして、各区市町村の予算を組んでやっていたわけでございますが、今回の部分については基本的にはそういうことで、区市町村はもう既に先行してかなりやっておりますので、主には、やはり都の方の事業が中心ということになると思います。

○藤田委員 労経の方からは、十三年度の追加分も一応、どのくらいかという額だけはいただいていますけれども、その中で、例えば、細かくほかの局もいろいろ出ているのですが、一番細かく出してもらった教育庁の分があるのですけれども、いわゆる契約年月日は、一番早いものでは十三年度の十月四日、一番近々のものでは十四年の一月というふうになっているわけです。
 そうしたときに、今回、補正でお願いをしたいというふうになっているときに、もう既に契約も終わってしまって、業者も全部出ていて、金額も出ている、こういうものについて、ある意味では議決するという意味でしょうか。実際には、議決は款、項、それ以下は庁内執行というのはもちろんわかっておりますけれども、細かく出した方がいいに決まっているのですが、そういうことで、実際にその年月と今回の補正でというところに、何かちょっと、もう全部執行しちゃったものをよろしくお願いしますというふうに出されるのは何とも--例えば予算であったら、こういうことで、このくらいの予算でお願いしたいというのがあるわけですよね。でも、もう全部でき上がっちゃったものをお願いしますという、この感覚がちょっとわからないのですけれども、その辺はどういうふうにとらえていらっしゃるのでしょうか。

○松澤主計部長 若干繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、旧基金事業として今回追加計上している事業は、昨年来からの厳しい雇用情勢に迅速かつ的確に対応するため、まず既定予算の中で対応を図っていくと、こういうことにしたものでございます。
 したがいまして、今回の補正で、確かに事業が先行して、財源という格好になりますが、基本的には、新たに雇用対策事業の財源を予算措置するものでございますので、他の施策にその振りかえた分がございますが、これについては財源でちゃんと影響を及ぼさないようにするということで、全体的な中で、この事業について、この雇用対策に効果的に対応したという趣旨で行ったものでございますので、ご理解を賜りたいと思います。

○藤田委員 財政の中では、本当にやりくりの中で、国から全額が出ているものについてそれを使ってしまおうという、この考え方はまさにそうだと思いますし、その方がやりくりとしていいに決まっているのですけれども、ただ、各局に対してもう少し、だったらば予算局の方で統一して、こういう意味合いで今回のこの補正を出すのだというようなことをきちんと説明してくださらないと、事業執行したものについて、後からこれを認証してよというのは、なかなか--そのお金をどうやって使っているのかというのが非常に不安になるわけですよ、逆さまに。勝手に使っているのという、後追いで全部認めてくださいといっているのというようなことで、全体とすればそんなことはないと思いますけれども、そういうふうになってしまいますので、そういう意味では、もう一方で、この既定以外で予定していた財源、一般会計の部分は、その執行額がある意味ではなくなるわけですから、そのお金はどんなふうに最終的になるのでしょうか。

○松澤主計部長 今お話のありました、その振りかえたといいますか、他の事業の部分の財源ですが、これは、そのものの事業を支障を来してやったということではなくて、例えば、三月ぐらいに実施する分はまだその時点では使わないですから、その分を先に振りかえて雇用対策の方に使ったということでございますので、議会の方で今回の補正予算をご理解賜れば、これは即その分に行きますので、全体的な事業には、財源的には支障を来さないと、こういう形になっているわけでございます。

○藤田委員 会計の部分のやりくりの話ということに大きくはなろうかと思いますから、もうちょっと各局においても、どういう形でやるかというのをすぱっと説明ができるように、ぜひそこはよろしくお願いをしたいのです。
 もう一点は、この事業を細かく見ていきますと、雇用対策の中で非常に調査活動が多いですよね。これは産労の中で問題にしていくことなのかもしれないですけれども、やはり本当の意味で、十四年度からの新規の分については人件費が八割以上でなければいけないというようなことがあるようでございますので、かなり、調査というだけではなくて、実質のところがなってくるのではないかと思うのです。
 非常に細かいことで恐縮ですけれども、皆さん方はどんなふうにして通勤をしていらっしゃるのかわからないのですが、新宿駅の、あそこは全部建設局のあれだと思いますけれども、駅のいわゆるコンコースといいますか、物すごい汚いですよね。
 ああいうことが、私は、これからホテル税を取ろう、観光のことで東京都を盛り上げていこうというようなときには、何であんなに汚くしておくのか。もう掃除の人でも何でもたくさん雇えるのじゃないかというふうに思うのですけれども、やはり町中の町並みをどうやっていくかというような、今回、全体的に考えたときには、もっともっと雇用創出というのは、東京都だけではなくて、区市町村もそうですけれども、使えるところはたくさんあるかと思いますので、ぜひ工夫をしていただきたいというふうに思います。
 今回のところは、補正ですので、これにとどめさせていただきます。ありがとうございました。

○桜井(良)委員 私どもも起債については、こういう経済状況の中ではできるだけ借金をふやさないということは大前提だと思うのですが、一方やはり、こういう時代になりますと都民要望も大変ふえてきますよね。ですから起債の扱いというのは、理論だけではなかなか判断できない、いわゆる現実という、都民要望との、このバランスでどう判断していくかという問題もあると思います。そういう立場で、これは予算の細かいところまでしっかりと見た上で判断することも大事だと思います。
 それから、公共事業につきましては、私たちも大型公共事業は、これは見直しをするのは当然だと思います。そして、できるだけ生活還元、地域還元の公共事業にかえていくということは大前提だと思いますが、しかし、東京の将来ということもありますので、大型公共事業については、国際性、国際的な部分も視野に入れて、将来の東京都ということから考えていかなければならない部分もありますが、しかし、こういう状況の中では、やはり大型、むだな公共事業は見直すというのは当然のことだと思います。
 そういう観点に立って、先ほど鈴木委員の質疑の答弁の中で、NTTの無利子貸付金に充当する事業を幾つか挙げていただきましたけれども、その内容についてもう少し掘り下げて質問をしたいと思います。
 都の資料によりますと、これは景気対策ということでくくられていますが、道路、街路の整備とか、それから河川、公園、伊豆諸島、信号機、介護拠点、保育所、公営住宅とありますが、全部聞くのはあれですから、道路の整備、介護拠点の整備、保育所の整備、公営住宅の改修に関しまして、財務局が把握している範囲で結構ですから、それぞれの事業の内容について、まず改めて説明していただきたいと思います。

○松澤主計部長 今回の最終補正予算での景気対策として、ただいま先生からご提示のあった事業の内容についてでございますが、まず一点目の道路整備は、交通渋滞の解消などを図るため、都市の骨格を形成する幹線道路や生活道路の整備、あるいは鉄道の連続立体交差の推進、さらには架空線の地中化などを行うものでございます。
 それから、二点目の介護予防拠点の整備につきましては、区市町村が地域の実情に応じて高齢者の介護予防や健康増進活動を行う場を提供するための拠点として、今回、公民館や空き教室を整備する事業を支援するものでございます。
 それから、三点目の保育所の整備は、待機児解消を図るため、公立保育所や民間保育所が行う施設整備や延長保育の実施など、保育内容の充実に伴う大規模修繕などに対しまして支援を行うものとなっております。
 また、最後の四点目の公営住宅の改修でございますが、これにつきましては、都営住宅の営繕、あるいはエレベーターの設置、既設エレベーターの福祉対応への改造などを行うものでございます。

○桜井(良)委員 それらの事業については、いろいろなところからいろいろな事業をしなければならないと思いますが、財務局は、どのような考え、判断をもとに予算計上をしたのか、お答えをしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 今回の最終補正予算では、都財政は厳しい状況にはございますが、国の第二次補正予算に合わせまして、公共投資の追加による景気対策に積極的に取り組んだところでございます。
 具体的には、ただいま先生からご提示のありました四つの事業を含めまして、今回の補正では、公共交通網の整備、交通渋滞の解消、河川の整備など都市再生及び広域的に効果の及ぶ都市基盤整備を推進するとともに、公営住宅へのエレベーター設置や保育所整備、生活道路など、地域に密着した事業をきめ細かく盛り込んでいるところでございます。
 このように景気対策に取り組むための個別の事業の選定に当たりましては、投資波及効果が高く、かつ都民サービスの向上に直接寄与するものなどを厳選したところでございます。

○桜井(良)委員 財政委員会というのは、なかなか難しいというか、簡単にいうと余りおもしろくないというか、今みたいな理屈だけいわれると、その理屈に対してまた議論をしなければならないわけなのですね。いっていることは確かなのですが、それに起債を充てるということでありますから、これは中身をしっかり調べてみないとだめだなということで、原局に、どんなところに予算配分をするのか聞いてみたのです。
 ちょっと長くなりますが、道路の整備については、結構、地域生活に密着したあれもあるんですよね。道路については、全部で五十路線、六十一カ所です。その中には結構いろいろなものがありまして、例えば補助一三六号線、亀有のところですが、これは目白第三病院と亀有病院と二つありまして、この一三六号線は一方通行。したがって、病院へのアクセスをよくしてくれということで、それを解消してくれというのが地元の要望から出てきているわけです。
 それにこたえるために今回出てきたというのが一つありますし、また、補助二七号線は、大田の東邦医大の前の病院で、途中まで広くなっていますが、まだ結構狭くて、バスも通る、車も通る、そういうところを何とか整備してくれと、こういうことで、これにこたえるようなことに充てられたり、そういう意味では、生活密着にしなければいけないという声がありましたが、結構、生活密着型の予算を計上しているのではないかなと、地元の要望にこたえているのではないかなと、こういうふうに思いました。
 介護の予防拠点も、これもなかなか細かくて、それぞれの施設も、転んで骨折するのを予防しなければいけないとか、そういう部分も含めて区市町村から出てきている要望にこたえようということでありますし、保育所の整備は、公立で五カ所、私立で九カ所、それぞれその施設、中には新しくつくるやつもあるわけですよね。調べましたが、産休明けの予約をするための施設をつくらなければならないとか、そういうことを含めて民間で九カ所、それから市町村で、公立で五カ所、こういうものに充てていこうという、結構、地域の福祉を優先した予算の配分になっているのではないか。
 公営住宅も、古い団地の外壁の改修とかエレベーターとか、もう大体計画はありまして、町田とか江戸川とか足立などの団地の外壁改修やエレベーターを設置したり、あるいは既設の福祉対応、手すりをつけたり段差を解消するということが予算の内容になっているなというふうに私は思ったわけでございます。
 そこで、これは非常に厳しい財政状況の中で予算を計上したわけですが、私の認識は、確かに起債というものを、これをいわゆる理論上、政策上議論しますと非常に難しい点があるのですが、そのところを乗り越えて、厳しい状況の中ではあるけれども、やはり、こうしたさまざまな要望にこたえようということをぎりぎりの判断で計上したのではないかなと、私はこういうふうに認識したのですが、財務当局はその辺はどこまで認識をして取り組んだのか、お答えをしていただきたいと思います。

○安樂財務局長 東京都は今、財政再建を非常に懸命に進めておりますが、財政再建は、東京の再生と都民生活の向上を実現するための一つの前提となる基盤づくりだというふうに考えております。
 都債を計上いたしますと、これがいつの日か後年度の負担になるということは否定できないことなのですが、それを恐れる余り、都債の適切な活用まで否定してしまって、現在目の前にある緊急の、例えば景気の浮揚でありますとか雇用の創出といった、そういう緊急かつ切実な課題に対応することをちゅうちょするとなると、やはり、それはそれで問題ではないかというふうに思います。
 今回の補正によりまして、国と東京都が共同して景気対策や雇用対策に取り組むことで東京の再生と都民生活の向上を目指すことができる、その基盤ができたというふうに思います。
 このことは将来の都財政にとっても非常に寄与するところは大きいと思いますが、委員ご指摘のように、今回の補正予算は、大変厳しい財政状況のもとで、現時点で確保できる財源の見込み、あるいは後年度に対する財政負担の程度、かつまた計上すべき事業の重要性、こういうものをぎりぎりのところで判断し、予算を編成したものであります。
 今後も、都債発行の抑制基調は当然堅持いたしますが、事業を厳選して、真に必要な事業に対しては都債を適切に活用すると、このような方針で臨みたいというふうに思っております。

○桜井(良)委員 何となく答えが理屈っぽくて、難しいのですね。私は簡単に話をしているわけでして。確かに、都債というものは非常に大事な問題でありますし、渡辺理事がおっしゃったような観点も、十分に考えていかなければならないことはたくさんあると思います。
 ただ、やはりこの中身を見なければならない。これは先ほどいったように、都民要望と起債をどうするという、この大上段に構えた議論とのバランスの中で考えていかなければならないのですよね。鈴木副委員長や長橋さんともよく考えたのですが、この内容を見て、下手して、これは借金をふやすし投資的経費が多いからということで反対しちゃうと、補助一三六号線の病院アクセスを直すということに反対することに通じるのじゃないか、団地のエレベーターをつけてくれということに反対することに通じるのではないか。やはり、この私たちの論理よりも、そういう要望をしている都民の論理で判断するということが大事ではないかなと私は思ったわけでございまして、そういう意味で、この補正の判断をすることは大事だなというふうに申し上げたいと思います。
 そして、当然、こういう経済状況でございますから、都政というのは生き物でありますし、都政は結果ですからね。反対か賛成かによって、住民要望に賛成したか反対したかということが問われるわけですから、これは私たちはそれなりに判断をしなければならないのですが、しかし、都政は生き物ですから、それだけではありません。やはり将来性も考え、現下の大きな状況も考えて、この財政難にどう取り組むか、特に国に対して、本当に姿勢を変えてこの税財政制度の改革にしっかり取り組んでいかないと、十年一日というか、戦後五十年の課題である地方財政は一向に壁を破れないという、この現実に強い認識を持って、健全な財政運営と同時に、この国の壁をいかに打ち破るかということに今までにない精力を出して立ち向かっていただきたい。私たちもそれを一緒になって戦うということを申し上げて、私の発言を終わります。

○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十分散会

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