委員長 | 大西 英男君 |
副委員長 | 近藤やよい君 |
副委員長 | 鈴木貫太郎君 |
理事 | 酒井 大史君 |
理事 | 倉林 辰雄君 |
理事 | 渡辺 康信君 |
矢島 千秋君 | |
長橋 桂一君 | |
真木 茂君 | |
北城 貞治君 | |
桜井良之助君 | |
林 知二君 | |
桜井 武君 | |
藤田 愛子君 |
欠席委員 なし
出席説明員財務局 | 局長 | 安樂 進君 |
技監 | 畑野 喜邦君 | |
経理部長 | 佐藤 兼信君 | |
契約調整担当部長 | 中村 忠夫君 | |
主計部長 | 松澤 敏夫君 | |
財産運用部長 | 小野田 有君 | |
参事 | 矢口 幸一君 | |
庁舎管理部長 | 岡本 宏之君 | |
営繕部長 | 野本 孝三君 | |
参事 | 岸野 勇君 | |
主税局 | 局長 | 安間 謙臣君 |
総務部長 | 佐藤 昭久君 | |
税制部長 | 鮎澤 光治君 | |
税制調査担当部長 | 川村 栄一君 | |
参事 | 三橋 昇君 | |
参事 | 尾芦 健二君 | |
課税部長 | 吉田 勝武君 | |
資産税部長 | 齋藤 熙君 | |
徴収部長 | 菅原 秀夫君 | |
特別滞納整理担当部長 | 谷口 広見君 |
本日の会議に付した事件
決議について
財務局関係
報告事項(説明・質疑)
・議案の撤回について
付託議案の審査(質疑)
・第百九十号議案 平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その二)請負契約
・第百九十一号議案 当せん金付証票の発売について
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十二号議案 東京都宿泊税条例
・諮問第一号 地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
○大西委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、決議一件を提出したい旨の申し出がありました。
本件の取り扱いにつきましては理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。
○大西委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、財務局関係の報告事項の聴取及び付託議案の審査並びに主税局関係の付託議案の審査を行います。
なお、付託議案のうち、契約議案につきましては、議長から所管の常任委員会に調査依頼を行ってあるとのことでございます。ご了承願います。
これより財務局関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取します。
○安樂財務局長 議案の撤回についてご報告を申し上げます。
第四回定例会に提出いたしました契約議案二件のうち、第百八十九号議案の新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その一)請負契約につきましては、平成十三年十二月六日付で仮契約の相手方である大成・青木・前田建設共同企業体より契約を辞退したい旨の申し出がありました。
検討いたしました結果、当相手方との仮契約を解除し、議会に提出しておりました本議案を撤回させていただくことといたしました。
なお、今回、Gブロック西側護岸建設工事につきましては、(その一)、(その二)と二件の工事に係る議案を提出しておりましたが、(その二)に係る第百九十号議案につきましては、本定例会で引き続きご審議を賜りたいと存じます。
また、撤回いたしました工事につきましては、再度必要な契約手続を行い、次回の平成十四年第一回定例会に提案する予定でおりますので、よろしくお願い申し上げます。
○大西委員長 報告は終わりました。
ただいまの報告に対し、何かご質問等がありましたら発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○大西委員長 次に、付託議案の審査を行います。
初めに、第百九十号議案、平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その二)請負契約及び第百九十一号議案、当せん金付証票の発売についてを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○桜井(武)委員 今回は来年度の宝くじの発売限度額を決める議案が提出されておりますけれども、宝くじは、都民の生活環境の向上に大いに役立つ、公園整備等に充当されるものでありますが、未曾有の財政危機に陥っている現下の東京都の財政にとりましては、いうまでもなく貴重な財源であります。
そこで質問しますけれども、まず、近年の宝くじ収入の実績はどうなっているかを伺います。
○松澤主計部長 都の宝くじ収入の近年の実績でございますが、過去三年の状況で申し上げますと、十年度が六百三十一億円、十一年度七百十六億円、十二年度六百七十五億円で、ほぼ七百億円前後の収入で推移しております。
○桜井(武)委員 七百億円というお金は、財政規模の大きい東京都にとっても決しておろそかにできない金額であると思いますけれども、七百億円を都税の税目、あるいは他県の歳入、そういったものと比較するとどのようなものになるのか、できるだけわかりやすい例で説明していただきたいと思います。
○松澤主計部長 宝くじ収益金約七百億円の収入規模を都税収入の税目で申し上げますと、十二年度決算ベースでは、例えば軽油引取税の税収が五百九十億円と、近い規模となっております。また、他県の歳入の状況と比較いたしますと、例えば、鳥取県の十二年度の税収が全体で六百六十二億円でございます。そういうことで、都の宝くじ収入の七百億円は、こういった金額を上回るような財源状況、このようになってございます。
○桜井(武)委員 今の説明のとおり、現下の都財政にとりましては貴重な財源であることを改めて感じますが、来年度もその確保に努めていただきたいとお願い申し上げます。
ところで、今、東京都がこうした財源確保に努めながら、その一方で、宝くじ収入のほぼ半分にも当たる巨額の人件費を支出するという、私には到底理解できない行動に出ようとしております。一般職員に対する給与四%カットの復元でありますが、これに要する費用はおよそ三百四十億円にも上ると聞いております。
我が党は、今この時期に給与削減を終了することは、厳しい社会経済状況に苦しむ都民の理解を得られないと考えております。この際、給与の復元と都財政について何点か伺います。
財務局は、本年七月に作成した「『財政再建推進プラン』今後の取組の方向」の中で、財政再建はいまだ道半ばにあるとはっきり述べています。さらに、現在では、来年度の都税収入が大幅に落ち込む見通しであることがはっきりしました。このように、現在の都財政の状況は、給与削減を決めた二年前よりもさらに深刻であるといえます。
そこでまず、財務局は十四年度の都財政の状況をどのように見ているのか、その基本的な考え方を伺います。
○松澤主計部長 ご案内のとおり、国内の景気は悪化を続けておりまして、今委員の方からお話ございましたように、法人二税を中心とした来年度の都税収入は、今年度の予算が約四兆三千九百億円でございますので、これに比べまして、三千億円から四千億円の大幅な減収になるものと想定されるところでございます。それからまた、公債費や高齢化の進行に伴う福祉、医療関係費など、義務的な経費の大幅な増加が見込まれております。
こうしたことから、十四年度の予算編成に当たりましては、これまで以上に厳しく歳出額の抑制を図るなど、より一層の財政構造改革に取り組まなければ、都財政は破綻を免れ得ないという非常に厳しい状況にある、このように認識してございます。
○桜井(武)委員 十四年度は非常に厳しいという見通しは全く同感であります。さらに、この状況は、一年だけ我慢すればあとは劇的に好転するというような時期でもないわけであります。
そうした中で、今なぜ四%を前に戻すのか、給与の復元のためにここで三百四十億円を使えば、必然的に、当然ながらその分は他で歳出を削減しなければ予算が組めない、こういうことになるわけであります。
そこで、この厳しい財政状況の中で給与を復元すれば、当然、平成十四年度の予算の編成に支障が出ると思いますけれども、いかがでしょうか。
○松澤主計部長 十四年度予算編成におきましては、先月の一日に各局からの予算要求段階においてお示ししました一般会計の収支見込みの試算では、このままでは五千億円もの巨額の財源不足が見込まれる、容易ならざる事態となっております。
そうした中にありまして、今回の給与の削減措置の復元、これは三百四十億円の所要額になるわけでございますが、これを行えば、今委員のご指摘のように、財源確保の面から、十四年度予算編成上はさらに厳しい状況になる、このように受けとめております。
○桜井(武)委員 財務局みずから今そのように答弁をされているわけでありますし、都政はこれから環境、医療、福祉、産業振興等、メジロ押しの重要施策があります。また中小企業対策や雇用の確保など、緊急かつ強力に実行しなきゃならない課題も山積しております。
こういった課題にこたえつつ財政再建を達成するためには、いうまでもありませんけれども、まず、都みずから徹底した内部努力を行い、それを踏まえて、やむを得ず都民に痛みをお願いするというのが本来のあり方であると思います。
今、答弁にあったとおり、給与の復元が十四年度予算における財源確保策のマイナス要因となることは明らかであります。歳出額の約三割を占める給与関係費を削減し、財源対策に充てることは当然ではないかと、このように思うわけであります。
そこで、次に質問しますけれども、今後の都財政の状況いかんによって、給与削減措置を再度提案することを条件にして労使が合意したということでありますけれども、再提案するための都財政の状況というのは一体どういう状況を指すのか、説明を願います。
○松澤主計部長 平成十二年度からの二年間のこれまでの給与削減措置につきましては、十二年度から十五年度にかけまして、毎年度六千億から七千億円の財源不足が見込まれ、場合によっては財政再建団体の転落の瀬戸際に陥るんじゃないか、こういうことがありまして、財政再建推進プランに基づきまして、内部努力を初めとする各種の取り組みを行う中で導入されたものでございます。
この給与削減措置につきましては、臨時の財源対策措置ということで、都財政の状況が給与削減を必要とするほどの厳しい状況にあることが労使協議に当たっての条件となったものと、このように理解してございます。
したがいまして、今回仕切り直しをし再提案するための都財政の状況とは、例えば景気の悪化などにより都税収入の大幅な落ち込みが確実に見込まれるとともに、経済状況の好転が期待できない場合など、都財政が著しく悪化し、財政再建推進プラン以上にかなりの取り組みを行わなければならない必要性が明らかになったときなどの状況が考えられるところでございます。
○桜井(武)委員 それならば、現在の都財政の状況は、まさに給与削減の再提案を行うべき状況にある、このようにいえると思います。職員の勤務条件は、基本的には労使合意が前提になるとはいえ、今はいうならば非常時であります。都民のために何を優先すべきかを厳しく問われて当然であります。
また、職員の給与が地方公務員法により条例で定めることとされている以上、都民の負託を受けた議会の同意がなければ決定できないのであります。そして、議会が同意するためには、当然、現下の厳しい経済状況のもとで苦労している都民の理解が第一の前提となり、あわせて多額の財源を要するものであることから、財政状況についての吟味が必要になります。
以上のように考えますと、我が党は、今この時期に給与削減を終了することは、厳しい社会経済状況に苦しむ都民の理解を得られないと考えております。こうした状況をかんがみるならば、給与四%削減の復元は行うべきではないということを指摘しまして、私の質問を終わらせていただきます。
○大西委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
○大西委員長 これより主税局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百七十二号議案、東京都宿泊税条例及び諮問第一号、地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問についてを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○佐藤総務部長 先般の財政委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
目次を一枚めくっていただきまして、一ページの要求資料第1号、宿泊税の税収使途の例をごらんください。
この表は、宿泊税の税収の使途について、さきに公表された東京都観光産業振興プランに基づき、産業労働局が平成十四年度予算要求の対象とした事業のうち、その主なものをお示ししたものでございます。
次に、二ページの要求資料第2号、海外諸都市における宿泊税に類する税の例についてでございます。
海外の諸都市において宿泊の際に課される税について、都市ごとに名称、課税標準及び税率をそれぞれお示ししたものでございます。
次に、三ページの要求資料第3号、宿泊税についての関係団体等に対する説明等の状況についてでございます。
この表は、ホテル、旅館に関係する業界団体ごとに、説明等を行った回数をお示ししたものでございます。
次に、四ページの要求資料第4号、主な観光先進国、観光都市における観光振興策についてご説明申し上げます。
この表はシンガポール、フランス、ニューヨーク市において実施された具体的な振興策についてお示ししたものでございます。
次に、五ページの要求資料第5号、主要国政府観光局の組織と予算についてでございます。
これは、主要国における政府観光局等の名称、職員数及び年間予算額をお示ししたものでございます。
次に、六ページの要求資料第6号、海外来都者の増加による生産・雇用誘発効果の推計についてご説明申し上げます。
この資料は、海外から東京を訪れる旅行者が二百五十万人から六百万人に増加すると仮定した場合の生産及び雇用の誘発効果について、推計結果をお示ししたものでございます。
次に、七ページの要求資料第7号、国内の主な観光地の観光関連予算及び総予算に占める割合についてでございます。
この表は、五つの道府県と五つの市について、年間総予算額、観光関連予算額及びその割合をお示ししたものでございます。
次に、八ページの要求資料第8号、宿泊税についてインターネットで寄せられた主な意見についてご説明申し上げます。
十一月二日から十二月七日までに計四百八十四件のご意見が寄せられました。賛成、反対、その他の三つに区分して、その主なご意見をお示ししてございます。
以上をもちまして要求のございました資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○大西委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○倉林委員 私は、宿泊税の施行日の問題と、それに関連いたします税収の使途として、それに対する対応の二点について簡単に質問をしたいと思います。若干前置きをさせていただいて恐縮でありますけれども、お許しいただきたいと思います。
この宿泊税につきましては、都独自の税の制度として、宿泊税条例案が今回提案されたわけであります。石原都政においては、外形標準課税に続いて第二弾の新税の制度の提案がなされた、こういうことでありますけれども、私は、新しい税制を投入する場合には、当然のことでありますけれども、議会において十分審議を尽くす必要がある、こう考えております。
歴史をひもとけば、そもそも議会制度というものは、英国において国王の恣意的な課税を制限しなければならない、こういうことから発足した制度でありまして、代表なくして課税なしという近代国家における根本原則がこのときに確立した、こう私は認識をしているわけでありますけれども、これを租税法律主義というのだろうと思います。
したがって、税の基本的な事項は、国民の代表であります議会が決定をしなければならないわけであります。地方では、当然住民の代表であります地方議会が決定していく。そして、すなわち租税条例主義ということになるわけでありますから、今議会に上程をされております宿泊税条例案についても、先ほど申し上げましたが、その基本的事項については、漏れなく議会において十分審議を尽くす必要が当然ある、こう思っております。
これまでそういう意味合いから、代表質問あるいは一般質問においても、宿泊税の目的、影響、効果、あるいは税の使い道などの点について、基本的な課題についていろいろと審議がされてきたわけでありますけれども、いつからこの新税が課税をされていくのかということについては、全く明らかにされていないんですね。これは当然のことですけれども、納税者として事前に知っておかなければならない最も当たり前の基本的な事項ではないだろうか、こう思います。
そこで私は、基本的な事項であるにもかかわらず、これまで議論をされてこなかった施行日の問題について伺いたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、施行日は、本来は条例で具体的な日時を明らかにしなければならないだろう、こう思っております。
宿泊税条例を見ますと、施行日は規則で定める日とされておりますけれども、先ほど申し上げましたように、具体的な日時が明確でない、明示されていない、そういうことでありますので、なぜ施行日を規則に委任し、あるいはまた具体的に日時を明示しておかなかったのか、まずそこからちょっと説明してください。
○鮎澤税制部長 法定外目的税の新設に当たりましては、あらかじめ総務大臣の同意を必要とすることになっております。したがいまして、宿泊税条例の提案時点では、施行日は不確定な状態にございます。条例の施行日は通常、当該条例の中で規定することになっておりますが、このような場合につきましては、規則に委任する方法もとられているということで、今回の条例では規則に委任しておるわけでございます。
○倉林委員 税制部長の説明で、そういう形の中で規則に委任しているんだと、こういうことでありますけれども、宿泊税は、今さら申し上げるまでもなく法定外の目的税であります。条例の公布後、先ほどもお話がありましたけれども、総務大臣と協議をして同意を得る必要がある、こういうことですね。
現時点で施行日を明示できないということはそれでわかりましたけれども、それでは、宿泊税の運命は総務大臣に握られちゃっているのではないのかと、こんな感じすらするわけですね。また、同意をするか否かは総務大臣の胸先三寸だと、こういうことではないかと思うわけでありますけれども、現時点で見通しが全く立っていないということなのか、あるいは同意に関する基準といったようなものが全くないのか、そこのところをちょっと説明してください。
○鮎澤税制部長 総務大臣は、地方税法に定める不同意の事由に該当する場合を除き、同意しなければならないというふうになっております。その不同意要件は、国税、他の地方税と課税標準を同じくし、かつ住民の負担が著しく過重となること、地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること、その他、国の経済施策に照らして適当でないこととなっておりまして、私どもの方では、これらの条件に該当することはないというふうに考えております。
○倉林委員 今説明のありました三つの条件を満たせば、同意しなければならないということではないということでありますけれども、それでは、総務大臣の同意に期間として何カ月ぐらいかかるのか、そこのところをちょっと教えてください。
○鮎澤税制部長 法定外税の新設または変更に対する同意に係る標準処理期間というふうに総務省の方では申しておりますが、標準処理期間はおおむね三カ月程度とされております。従来の例では、これより早いというものもございます。
〔発言する者あり〕
○倉林委員 三カ月もかかるということですが、何でそんなにかかるのという今お話もありました。もろもろの手続が当然あるんだろうと思いますけれども、例えば、総務大臣の同意が得られたとしても、直ちに課税をするということには当然ならないんだろう、こう思うわけであります。
納税者には新税の内容を知らしめ、特別徴収義務者であるホテル側の人たちにも徴収のための準備を行わせる十分な周知期間が、徹底する期間が当然必要であると思うわけであります。主税局としては、周知期間についてはどの程度の時間、期間が必要だと考えているのか、お聞かせください。
○鮎澤税制部長 税制改正におきます税法や法定外税の創設に伴う条例の公布から施行までの期間につきましては、これまでおおむね三カ月から半年程度となっております。
例えば、平成元年の消費税の創設の場合においては約三カ月でございます。河口湖町外二村の遊漁税の創設の場合においても同じく三カ月、また、三重県の産業廃棄物税の場合におきましては約六カ月の周知期間が設定されております。宿泊税の周知期間の検討に当たりましては、これらを参考にしてまいりたいと思っております。
○倉林委員 総務大臣の同意に三カ月程度はかかる、周知期間においても少なくとも三カ月はかかる、こういうことですから、条例を公布された後、施行までの間には、どう考えても最低六カ月は要する、当然こういうことになるだろうと思います。
また、我が党としては宿泊税に対する態度は現時点ではまだ未定でありますが、仮に今議会で条例案を可決、公布するということになりますと、施行日は六月に行われるワールドカップの後という、先ほどの説明から判断してもそうなっていくんだろう、こう思うのでありますが、その辺についてはいかがでしょうか。
○鮎澤税制部長 条例の施行時期については、景気の動向が観光業界に与える影響、ホテル等の準備期間、関係業界への周知、納税者へのPRに要する期間、それらを考慮いたしまして、慎重に検討したいというふうに考えております。
○倉林委員 期間については慎重に検討したいという税制部長のお考えですが、正しいのか正しくないのか明確にしてもらいたいんですが、石原知事は記者会見の中で、事務方は宿泊税をワールドカップ後に課税したいといっているが、私はワールドカップ前に課税したらいいと思う、こう知事は記者会見でいっているんですね。違ったら違ったといってください。そういった趣旨の発言をしておりましたけれども、知事は、現時点では、ワールドカップ前に施行することをきちんと考えていらっしゃるのかどうか、そこのところを明らかにしてくれませんか。
○鮎澤税制部長 知事の記者会見の発言につきましては、お話のとおりでございます。
現在、実施時期につきまして、知事の方から特段の指示を受けているという状況ではございません。
○倉林委員 先ほどからの説明では、周知期間には少なくとも三カ月は必要だ、そしてまた、準備期間にも三カ月は必要だということですね。そうしますと、現在では、ほとんどのホテルはコンピューター等で会計処理も行っているわけですが、例えば新税を課税するということになれば、こうしたシステムも当然変更をしていかなければならないだろうと思いますし、三カ月でシステムを変更させようというのは、ホテルに対しても大変過剰な負担を強いるんだろう、こう思うわけですけれども、これについてはどうお考えですか。
○鮎澤税制部長 宿泊税の実施に伴いますホテル、旅館における準備につきましては、会計システムの変更や旅行代理店との契約内容の調整などを含めまして、一定の期間が必要であるというふうに考えておりまして、その期間につきましては、当然確保する必要があると考えております。
○倉林委員 宿泊税は、特別徴収の義務者でもありますホテル側の理解と協力というものが当然必要ではあるわけであります。その意味で、十分な準備期間を設けておかないと、やはり都側が真摯な姿勢を見せなければ、宿泊税への理解は得られないんだろう、こう私は思うんです。
今後、ホテルなどの民間事業者と協働して観光産業を振興していこう、そのための安定的な継続的な財源としての宿泊税の徴収をお願いするということであるならば、当然のことですけれども、余計にホテル側の事情を十分しんしゃくしていかなければならないだろうと思います。
ただ単に少しでも多くの税収を確保していくんだ、より早く確保していくんだということばかりでなくて、ホテル側の事情も考えずに、何が何でもワールドカップの前に施行日を設定するのだということであれば、この条例案については、先ほどの質疑、答弁の流れも踏まえてですけれども、我が党の態度も、ううんといわざるを得ない。否定的な部分も出てこやしないだろうか、こう思うわけであります。そんな思いもちょっとつけ加えておきます。
また、施行日は、本来議会が決定すべき事項である、私はこう実は考えております。法定外税については総務大臣の同意を要することから、具体的日時を明示することができずに、そのためにやむを得ず規則に委任せざるを得ないという事情はわかりましたけれども、そのことは知事にむしろフリーハンドを与えることになるのではないか。施行日を具体的に設定する前には、議会の意向を十分に踏まえる必要がある、こう私は強く思います。
以上について、主税局長、基本的なお考えを明確にしてください。
○安間主税局長 ご質問にお答えする前に、冒頭ちょっと一言加えたいと思いますが、委員から冒頭ご指摘のあった点につきまして、特に租税条例主義、あるいは議会での審議という点については、私ども税務行政に携わる者として基本的な原則だと考えておりまして、改めてかみしめて仕事をしていきたいというふうに思っております。
宿泊税の施行時期の決定につきまして、先ほど来税制部長から答弁申し上げましたが、ホテル業界等の準備期間、それから関係する旅行業を初めとする業界の方々への周知期間、さらには納税者へのPRの期間等、こういう点を考慮していく必要があるというふうに考えております。これは業界との話の中でもそういう要望が出されております。
また、条例の施行日が本来は議決事項であることを考えますと、何よりも都議会の意向を踏まえる必要があるというふうに考えております。したがいまして、宿泊税の施行時期につきましては、関係業界への影響等を勘案しつつ、都議会のご意向も十分に踏まえながら慎重に検討してまいります。
○倉林委員 済みません、あと簡単に終わりますので。
今の質問の件では、都議会の意向を十分踏まえて判断していく、こういうことでありますので、重ねてそのように対応するようお願いしておきたいと思います。
続いて、宿泊税条例がもし通過いたした場合を考えましたときに、その使い道と業界との関係ということで、ちょっとお聞きしておきたいと思いますけれども、先ほど、宿泊税の税収については平年度で十五億円ぐらいを見込んでいる、こういうお話でありましたけれども、観光振興のために具体的にどのような使い道を考えているのか。要求資料には明確に文書として出ておりますけれども、そこのところを明らかにしていただけますか。確認のために聞いておきます。
○鮎澤税制部長 具体的な使途につきましては、十一月末に発表されました観光産業振興プランで早急に取り組む課題といたしまして、具体的な取り組みの方向が示されたところでございます。
このプランに関連する事業については、十四年度予算ベースで約二十四億円が計上されております。内訳といたしましては、海外でのシティーセールスキャンペーンやコンベンション誘致活動の展開といった、東京の魅力を世界に発信する取り組みに対して約十億円、産業を基軸とした観光ルートの開発といった観光資源の開発に対して約四億円、また、旅行者にわかりやすい標識の整備や観光案内所の充実といった受け入れ体制の整備に対して約十億円というふうになっております。
○倉林委員 先日の新聞によりますと、京都府の知事さんだったと思いますが、二、三億円の税収では京都府はやる気はしない、こんな発言をしておりますけれども、東京都では十五億円税収が上がってくると。東京都の予算からいけば決して大きな金額ではないだろうと思うわけですけれども、このわずかな財源を活用して大きな成果を上げるためには、使い道のあり方、使途のあり方を含めて、宿泊税の実施について、行政側とホテル側、旅館関係者などと綿密な、いわゆる協力体制といいましょうか、機関といいましょうか、そういうものをしっかりと構築しておかなければいかぬのだろう、こう思うわけであります。それが不可欠だと思っております。これら関係業界と今後どのように対応していくのか、局長、もし見解があったら明確にしていただいて、私の質問を終わります。
○安間主税局長 法定外目的税としての宿泊税につきましては、その目的に沿って使われ、そして大きな効果を上げるということが、ある意味では使命だというふうに思っております。限られた財源で観光振興の実を上げるためには、委員ご指摘のように、行政と民間事業者が連携をしまして協力体制を構築するということが重要であると認識しております。そのことは、宿泊税の導入についてご理解をいただくために、産業労働局長とともに関係業界の代表等と話し合う中で、身にしみて感じているところでございます。
このため、都は、観光産業振興プランの実現のために、交通業界、旅行業界やホテル、旅館業界等との観光情報連絡会を設置し、意見交換を行ったところでございます。今後は、さらに課題ごとの部会を立ち上げるなど、連携を深め、関連業界の意見を伺いながら施策を積極的に推進していくこととしておりまして、当局としても宿泊税の円滑な実施に向けまして、産業労働局とも連携して、関係者の意見の反映に努める所存でございます。
○酒井委員 それでは、宿泊税条例について何点かお伺いをしたいと思いますが、今、倉林委員の方からも質問が出ておりましたので、重複するところはまとめながら質問させていただきたいと思います。
まず初めに、今の倉林委員の中でも税収が約十五億円ということがいわれていたわけですけれども、確認のために、平年度ベースで十五億円ということで理解をしていいのかということが一点と、税収にかかわる徴税経費といったものが幾らぐらいかかると見込まれているのか。これについては、当然、都庁の主税局の中での経費ということと、あと、徴税義務者の事務経費の負担とか初期投資に対する負担、これは負担するかどうかということも、その判断も含めて、この二つに分けてお答えをいただきたいと思います。
○鮎澤税制部長 宿泊税につきましては、ここ数年の宿泊客あるいは料金の動向、そういったものを勘案いたしまして、一定の前提を置いた上の推計でございますが、平年度で一年間に約十五億円というふうに試算をしております。
また、いわゆる東京都の方の徴税費でございますが、税の仕組み、規模等からいたしますと、初年度の広報経費等、これが一番大きいかと思いますが、初年度におきます広報経費等を中心といたしまして、人件費、あるいは印刷費等を含めて、その経費は平年度の税収の五%以下ぐらいというふうに考えております。
また、特別徴収義務者に係る経費負担につきましては、初期投資を含めて事務負担経費の一部を補てんする趣旨から、他の特別徴収に係る税で実施しております特別徴収交付金の形で、納入金額の一定割合を交付するということを検討しているところでございます。
○酒井委員 今のご答弁ですと、まず、庁内の経費ということでは約五%以下ということで、この経費から換算すると、実際に観光振興に使える税収というのは、平年度で十四億円ぐらいということですけれども、先ほど倉林委員の方からの質問の中でも、その観光振興プランの内容等、また二十四億円という、そういった額が来年度の観光振興予算の形で示されたわけですけれども、ちょっと質問の観点を変えると、逆にこの初期投資の部分というのは、今後、これは導入までに検討されるんでしょうけれども、この二十四億円という観光振興費については、徴税義務者に対する初期費用等を仮に負担をするということになっても、この計画自体は変わらないのでしょうか。
あともう一点、この税率に関してなんですけれども、十五億円という税収を試算をする--税率で百円と二百円という二段階に分けたわけですけれども、その根拠についてもあわせてお示しをいただきたいと思います。
○鮎澤税制部長 観光振興のために支出を、予算要求されております二十四億円は、いわゆるあくまでも歳出予算としてその計上を要求されているところでございまして、徴税費として要求といいますか、必要となります徴税費とは切り離されております。したがいまして、二十四億円の金額が徴税費によって影響されるということはございません。
それから税率につきましては、百円、二百円というふうになっているわけでございますが、宿泊額につきまして、まず過度の負担とならないように配慮したということ、それから、諸外国で実施されております宿泊税に類する税の税率が、大体百円から二百円程度ということが多いものでございます。そういった点を考慮したということ、それから、観光産業振興の施策を実施するために、一定の税収額を確保する必要があるということ、それからまた、納税者の、より高い料金のところに泊まられる方の担税力等も考慮いたしまして、百円、二百円とする二段階の税率というふうに決めたものでございます。
○酒井委員 今のご答弁の中で、来年度の観光振興予算の二十四億円ということは、徴税経費云々というところでかかわりなく維持されるということだったんですけれども、念のために、確認のためにお聞かせいただきたいんですけれども、今年度、平成十三年度までの過去三年間の観光振興予算について、おわかりでしたらお答えをいただきたいと思います。
○鮎澤税制部長 観光関連の予算の総額でございますが、平成十一年度は約九億五千万円、十二年度が七億一千万円、十三年度は当初予算で約九億二千万円でありまして、そのうち、純然たる観光振興に関連する額が約四億円ということでございます。
○酒井委員 今、過去三年間の観光振興予算についてお答えをいただいて、平成十三年度ベースで見ると総額で大体九億円程度ということで、来年度二十四億円を予定しているということですと、ちょうど数字上では、予定をしている十五億円に九億円を足すと二十四億円になるというような計算になると思うんですけれども、これは来年度以降、今まで、宿泊税条例というものが導入される前までは、平成十三年度においては九億二千万円というお金は一般会計から支出されていたわけですけれども、この予算というのは、とりあえず来年度しか計画は立てていないからわからないんでしょうけれども、これは来年度以降も、一般会計から出る予算というのは、この九億円ぐらいのお金が維持されるのでしょうか。
もしこれが減額されるというような場合が発生する場合、今回のこの宿泊税条例というのは法定外目的税ということで導入をされて、その税金自体は、目的税という形で観光振興のために使われるんでしょうけれども、逆に、一般会計の予算が次年度以降減額をされていくようなことがあれば、これは一般的に見れば、一般財源をほかの財源に回すために、この宿泊税といったものを導入したということがいわれかねないことですので、その点を踏まえて、今後の観光振興予算と財源の確保について、基本的なお考えをお聞かせいただければと思います。
○鮎澤税制部長 宿泊税の税収につきましては、その全額を観光振興という特定の施策に充てることとされておりまして、いわば観光振興のための安定的財源といえます。さらに、一般財源も加えて観光振興予算を確保することになるため、都財政が厳しい状況でございますが、目的税としての宿泊税を基礎にいたしまして、一定の規模の財源を確保して、積極的に観光振興を図っていくべきものであるというふうに考えております。
○酒井委員 今ご答弁をいただいたように、維持をしていくというような形でのお話がありましたが、こういう目的税を導入した、その目的というのをしっかりと、今後もそこら辺が希薄にならないように、東京都の観光振興ということに関して、ある程度の、一般会計の中からも、ぜひともその部分については維持をしてほしいと思います。
ちょっと質問の観点を変えまして、今回提出された要求資料の中にもあるわけですけれども、主な国や都市における税収の規模とか使い道という、観光振興という観点からの効果がどのように上がっているのか、わかっていればお教えをいただきたいと思います。
○鮎澤税制部長 パリ市におきましては、四十八億円の税収のうち、およそ一割が観光事務所運営経費など、直接の観光振興経費に充てられております。その他は公園、博物館等の整備などの投資的な経費に使われているというものでございます。また、ウィーン市につきましては、観光目的税として約九億円の税収がございますが、観光振興経費は十三億円程度が支出されております。
観光振興経費の投入の効果でございますが、私どもで調査した限りでは、そういった統計等が残念ながらございませんでした。
なお、ちなみに、シンガポールにおきましては観光予算が百五十二億円投入されておりまして、観光収入が六千九百四十六億円というふうになっております。
○酒井委員 今、先進国というか、先にこういった同様の税金を導入した国や都市の状況について、大まかなところをお答えいただいた中で、その投入効果といったものについては、なかなかはっきりとした数値上で出されていないわけですけれども、東京都が今回、この条例案が仮に通ったとしたときに、その効果というものは、一年や二年ではなかなかあらわれないんでしょうけれども、五年とか十年後といったときに、この宿泊税導入の効果と問題点、実際に税金を負担している利用者の満足度といったものがどの程度になっているのかとか、また、この税率等の関係で、本当に百円、二百円で、全体で十五億円の税収という、これで利用者が満足できる効果があらわれるのかといったような、いわゆるその問題点の評価と、あと利用者の満足度といったこと、それと税率の問題、また、これは余り効果が上がらないんだったら、何年後かにやっぱりやめた方がいいという判断になる場合もありますし、税率を上げた方がいい、今のままでもいいと、いろんな判断が出ると思うわけですけれども、そのあたりについて、再検討をどのくらいの期間で行っていく予定なのか、お聞かせいただきたいと思います。
○鮎澤税制部長 宿泊税条例には、いわゆる見直し規定というのが設けられておりまして、五年ごとに目的税としての宿泊税の役割、税収の状況、あるいは社会経済情勢の推移等を勘案いたしまして、必要な措置、適切な措置を講ずることというふうになっております。
○酒井委員 それでは引き続きまして、その導入の効果といったところについては、五年ごとに目的税としての役割等について検討されるということですから、これは要望ですけれども、庁内の中での検討だけではなくて、税金を負担している方々に対しても満足度といったものの調査を、もし導入をされたときにはぜひともしていただきたいと思います。
最後の質問になりますけれども、宿泊税について資料要求をさせていただいた、パブリックコメント的な意見の募集と。この的なという言葉、的をつけさせていただいているのは、意見の求め方で、今回のこの税制に対して導入するか否かという意見ではなくて、今後の税制のために役立たせていただくと、この一文がありまして、あと、今後の観光振興に役立たせていただくという断り書きが入っていて、その意見を募集しておりますので、あえて的なという言葉を使わせていただきますけれども、その資料を提出していただいた中で、四百八十四件意見が寄せられて、賛成が二百三十八件で、反対が百九十五件ということで、ほぼ拮抗している。
どちらかというと賛成意見の方が多いということなんですけれども、いろいろと意見が書いてあるわけですが、この意見をどのように評価をされているのかということと、また、今後これらの意見といったものをどのように活用していく考えなのか、お伺いをしたいと思います。
○鮎澤税制部長 都民の方はもとより、海外を含めまして、多くの方からご意見をいただき、関心の高さを実感しております。新税の創設に関しまして、一応五割の方の賛成を得たということにつきましては、税制というものでございますので、一定のご支持をいただいたものというふうに受けとめております。
ちょうだいしたご意見につきましては、反対意見についてはその理由を、また、賛成意見につきましてもいろいろな附帯意見がついておる場合につきましては、その内容を十分検討していただき、例えば今後のPRの方法、あるいは税が実施された場合の運用方法、都民の方を初め納税者、関係業界の理解を深めるために行う今後の説明等の中で、これらの貴重なご意見を活用させていただきたいというふうに考えております。
○酒井委員 最後に、要望的なことになってしまうんですけれども、今のパブリックコメントの件に関して、先ほどもパブリックコメント的なということをあえていわせていただいたわけですけれども、先日のパチンコ税等の審議の際にも、我が党の真木委員の方から、事前にそういった都民の声を聴取していただきたいというような話があったわけですけれども、今後の税制等を検討する中では、このパブリックコメントというものを導入していただきたいですし、ちょっと戻ってしまいますけれども、宿泊税自体の今後の評価をしていく中でも、ぜひこういった制度を積極的に取り入れていっていただきたいことを要望して、私の質問を終わりにします。
○桜井(良)委員 私は、宿泊税の中身、内容等については同僚の議員の質問にゆだねたいと思いますが、この税の審議に至るまでの手続や手順につきまして、若干やはり、これまでのいわゆるルールが何かすっきりしない部分がありますので、その部分につきまして二、三問質問いたしまして、内容については同僚議員の質疑にゆだねたいと思います。
宿泊税につきましては、いわゆるホテル税ということで、税調の出した税目では次はこれじゃないかなというふうなことを私たちも考えておりまして、それなりにいろんな検討をしてきたり、勉強もさせていただきました。その間、主税当局に導入についてはどうなるんだ、いつごろの時期になるんだ、内容はどうだというふうなことも聞いたんですが、検討中ということで、具体的な時期等は一切、私たちの方には何の明示もなかったわけでありますが、十一月の二日に導入案が発表されたわけであります。
その後の手順や手続についてもいろいろと問題があると思うんですが、私たちは導入から提案までの期間が短いとか、そういうことをいっているんじゃありませんで、もう少しこの手順、手続というのは、お互いに車の両輪という関係からすると、綿密なものがあってもいいんじゃないかなという思いは、恐らくほとんどの人が持っているんじゃないかと思いますので伺っているわけでありますが、十一月の二日に導入案が発表された時点で、主税当局は条例案を今定例会に提案するつもりでいたのかどうか、まずそこをお伺いしたいと思います。
○安間主税局長 宿泊税につきましては、昨年十一月末の東京都税制調査会の答申を踏まえまして、課税の仕組み、大衆課税とならない配慮、実現可能性等について検討してきたところでございます。
その結果、十一月二日の発表となった次第でございますが、その時点におきましては、いまだ第四回定例会に提出することは決まってはおりませんでした。発表案に基づき、特別徴収義務者となるホテル業界を初め、広くご意見を伺う中で、条例提案の時期を見きわめることといたしておりました。
しかし、二十一世紀に飛躍的な成長が見込まれる重要な観光産業の振興策を早期に講じていくことが必要であること等から、その財源とするため、知事の判断により、今定例会に条例提案をさせていただくこととなったものでございます。
宿泊税の導入案の発表から条例案の都議会提出まで一カ月足らずという状況にございまして、性急に事が進んでいるとの先生のご指摘につきましては、こうした背景もあったことについてご理解を賜りたいというふうに思います。
○桜井(良)委員 私は性急に事が進んでいるとは申し上げておりません。一カ月でも、しっかり準備すれば幾らでも準備できますし、災害等の緊急な場合、物事を決めるときは、もうばばっとやらなきゃならないことはたくさんありますから。ただ、この税という大事な問題についての手続、手順については、若干問題があったんじゃないかと思うんですね。
例えば、毎年、地方税の税制改正というのがありまして、これについては政府の税調や与党の答申が大体年末に出て、翌年の一月にその改正要綱が出て、国会で審議して、それから都の条例改正等につながる場合は、少なくとも私どもは一週間か二週間、審議の前にご説明を受けて、いろいろ意見交換をしながら、この税の問題をどうしようかということを毎年対処してきたというふうに思います。
ですから、条例改正についても、やはり主税局において、この条例提案に際して、もう少しそうした手順が踏めるんじゃなかったのかなと。
ところが、急に条例提出が決まってから、夜中に電話がかかってきたり、朝早く電話がかかってきて、ばたばたばたっという感じを受けました。先ほどの知事の判断によりというのは大変重要なご答弁じゃなかったかなと思うんですが、私たちは性急であったということをいっているわけじゃないんですね。
都議会というのは、単に条例案を議決するだけの立法機能だけではないわけですよ。行政側が適切に執行しているかどうかチェックする機能も当然持っているわけでありまして、それはもう必ず、それが都議会の役割だといわれているわけですね。
そして、執行機関と都議会というのは車の両輪といわれるように、双方がチェック・アンド・バランスの機能を適切に果たすことによって都政はうまくいくんじゃないかなと私は思っているわけで、そういう点で、今回のこの条例の審議は、その辺の手順がなかったんじゃないかと思います。それで、その提案をするというふうになっても、具体的に主税局からきちんとした説明が会派にあったわけでもありませんし、いきなり本会議に入ってきた。
これは私も、別に長く都議会議員をやっていることをどうこうというわけではありません。また、都議会のそれまでのやり方がすべていいというわけではありませんけれども、お互いにチェック・アンド・バランスの機能を果たしていくという、このルールだけは、時代がどう変わろうとも、やはり変わらないものではないかなと思うんですね。
その辺がどうも最近崩れているなという感じがするわけでありまして、必ずしも、いつもお互いに意思の疎通を図りながらやることがいいともいっているわけではありません。
ただ、このままでは、この車の両輪が、もしこのままの形を何回も繰り返すようになって、対立というような関係になったとすると、それはある意味では時として必要な場合もあるかもしれませんけれども、これが常態化していくことは、決して都民にとってもいいことではないなと思うわけであります。
そういうことを考えますと、二問といいましたので、主税局長に伺うんですが、都政における都議会の役割、それと執行機関としての都議会に対する説明責任をどのように考えているのか、石原都政下の局長としての基本認識を改めてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○安間主税局長 大変重いご指摘をいただいたと思っております。都民に開かれた公正で健全な都政運営を推し進めていくためには、都民の代表でございます都議会を初めとして、広く行政情報を公開し、議論を積み重ねていくことが重要であるというふうに基本的には考えております。
特に、都の主要な政策課題につきましては、単なる議論の積み重ねや意見調整ではなく、課題の重要性にかんがみ、真摯かつ真剣な議論を行う必要があり、そのための期間も必要であるということは、先生ご指摘のとおりでございます。
また、ご指摘ございましたように、都知事の執行機関と都議会とは、チェック・アンド・バランスの機能を適切に果たすことが求められているというふうに考えております。今回の経験を糧としまして、今後、執行機関の一翼を担う主税局といたしましては、ご指摘の趣旨も真摯に受けとめながら、都議会との一層の信頼関係の上に立って、今後の税務行政の円滑な運営に努めてまいりたいというふうに考えています。
○桜井(良)委員 質問じゃありません。
先ほど倉林議員の方からも、執行日について議会側の意見を聞くようにという話もありましたが、このご意見の背景も、今回の経緯の中からの意識が十分にあるんじゃないかなと私は思います。
ですから、今お答えになったことを、この宿泊税の審議を通じまして、主税局からぜひ、都庁全体にまたそういうことでやっていこうという意識を啓蒙していただきたい、このことを強く要望して、私は質問を終わります。
○長橋委員 では、桜井委員の質疑に関連して、私は宿泊税の使途について、これも今、倉林理事、酒井理事からもあったので、かなりダブっておるところもありますけれども、関連して質問をさせていただきたいと思います。
我が党は代表質問で、この宿泊税の使途について、具体的な戦略、戦術を都民の前に公表すべきである、このように質問を申し上げました。確かに東京の観光が、観光先進国といわれるようなパリ、フランス、ニューヨークや香港などに比べておくれている、これは間違いないわけでございます。
そういう中で、都は千客万来の世界都市を目指すということで、この宿泊税というのが提案されたというふうに思いますけれども、都はどういう役割を持ってこれを扱っていくのか、行使していくのか。基本的なコンセプトを提示しなければ、納税者も都民の方も、またご業界も納得をしないのではないかと思います。
この条例案の第一条に、東京の魅力を高めるとあります。まず、今の都の観光施策の現状から、それから、どのようにこの東京の魅力を高めていくのか、局長のご答弁をお伺いします。
○安間主税局長 東京の魅力についての現状と基本的な考え方ということで、私がお答えするのが適当かどうかはございますが、思うままにお話ししたいと思います。
東京の魅力ということにつきましては、産業振興プランでも書かれておりますが、外国人が考える東京の魅力としましては、伝統文化、江戸時代、あるいはさらに古くからの伝統文化、古い町並みなどの異国情緒、それから、ハイテク産業など多岐にわたっているといわれております。
また、多摩、島しょ等の山、海などの自然、それから東京ならではの二十四時間、非日常性等を楽しめるエンターテインメントの場の創出、こういったことも、今後、東京の魅力の一つになっていくのではないかなと。私自身も東京に生まれて、長い間東京で生活してきた者の一人として、このプランの指摘については共感できるところでございます。
しかしながら、これまでは残念ながら、東京の持つこれらの魅力を世界に発信して、また、魅力を高めるための取り組みが十分に行われてこなかった。これはプランが申すまでもなく、事実だと思います。これは海外旅行者の四分の一しか、国内に来る外国人の数がないという、こういう現状から見てももう明らかだと思います。
こうした反省に立って、今回、都におきましては、今後の観光を産業ととらえまして、東京の魅力を世界に発信する、観光資源の開発、それから受け入れ体制の整備という、三つのコンセプトに沿って具体的な観光産業施策を行うこととしているものでございまして、これらの施策が成果を上げることによって、東京の魅力を一層高めることができるのではないかというふうに考えております。
○長橋委員 観光政策に当たっては、都の役割というのがどういうものなのかということをきちっと明確にしていかないと--都がリードするわけではないと思います。本当に厳しい経済情勢の中で、また新たな税がというのが、納税者のまずは一番初めに感ずる認識ではないかと思います。
酒井理事からもありましたけれども、インターネットを使って、ご意見、ご提言ですか、これを取り上げたわけですけれども、わずか四百八十四件ですね。これだけしかというのはあれなんですけれども、賛成、反対--賛成の方が若干多いわけですけれども、これについて、一千三百万都民ということにあって、わずか四百八十四件。もっともっと広くご意見を聞いていくという手だてが必要ではないかと思いますし、また、これに対して、特に反対意見に対してはどのように受けとめているか、お伺いをしたいと思います。
○鮎澤税制部長 意見の集め方、あるいはその収集の方法等につきましては、私どもでさらに検討していきたいというふうに考えております。また、インターネットを通じまして都民の皆様から寄せられた意見につきましては、先ほどもお話し申し上げましたが、反対意見につきましても、税の運用の方法、あるいはPRの方法等につきまして、十分に活用してまいりたいと思っております。
○長橋委員 反対意見、いろんな方がおりますから、いろんな反対があると思いますけれども、これは十分にこたえられるような、そういう説明、具体的なイメージ、戦略というものを示していくことが大事ではないかと思いますので、ここを外してはならないと思います。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
次に、この十一月二日に発表して、今定例会で条例案を出すという、非常に期間の短い中にあって、特別徴収者である観光ホテル業界からは、この使途についてどのような要望があったのか、お伺いをいたします。
○鮎澤税制部長 宿泊税の使途につきまして、関係業界からは、国際会議の誘致や海外旅行者の誘致に実効を上げる事業を初め、ホテル事業の発展に資するものに充ててほしい、具体的な施策の決定に当たっては十分に業界の意見を反映させ、効果的な施策の実現に向け努力することなどの要望が寄せられております。
○長橋委員 関係業界から意見を反映する場を設けてほしい、また、税金の使途を広く開示してほしい、こういうことでありましたけれども、実際に徴収することになった場合、宿泊税を取るとなった場合には、ホテルなり旅館が、お客様にどのように理解をしてもらうのか、こういうことになるわけですけれども、実際に料金を払うときにトラブルが起きやしないか、こういう心配があるわけでございます。
都が下支えするに当たって、ぜひそういうことも考えて、その説明のための資料といいますか、いわゆるリーフレットみたいなものをつくるようなこともお考えでしょうか、お願いいたします。
○鮎澤税制部長 宿泊税の実施に当たりましては、事前のPRが何よりも重要であると考えておりまして、先生ご指摘のようなパンフレット等をつくりまして、交通業界あるいは旅行業界等とタイアップいたしまして、国内はもとより、国外の旅行者の方などに十分PRが行き届くように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○長橋委員 都民の皆様、納税者ですね、それから関連業界、それから区市町村に対して、区市町村は独自の観光振興を行っておるわけでございますし、いろんなことを実施していると思いますけれども、どのように連携をとり、支援していくのか、お願いいたします。
○鮎澤税制部長 東京都の観光振興を図るためには、都と区市町村が連携して、それぞれの役割を踏まえた施策を行っていくことが重要であると考えております。そうした視点から、観光産業振興プランにおいては、都は区市町村の観光産業関連事業に対する協力や支援を行うこととしております。
また、産業労働局は、平成十四年度の区市町村への補助事業として、産業観光ルート支援、観光スポットの開発支援、多摩・島しょ地域観光施設整備等補助事業などの事業について予算要求しているところでございます。
○長橋委員 今までの話だと税収が十五億と見積もられているわけですけれども、具体的にそういった、今さまざまなご意見、ご要望を聞いて、また意見の場を設けながら、どのようにその事業を実施していくのか、具体的に目に見えるような形で、また、イメージができるような形で進めていただきたいと思いますけれども、もう一度繰り返しになりますが、具体的な事業としてはどのような事業に還元していくのか、お願いいたします。
○鮎澤税制部長 宿泊税の税収でございますが、産業労働局におきましては、東京の魅力を世界に発信といたしまして、マーケティングの調査など情報の収集及び発信、シティーセールスの積極的な展開などで約十億円、観光資源の開発として、産業を基盤とした観光ルートの開発などで約四億円、受け入れ体制の整備として、旅行者にわかりやすい標識の整備などで約十億円、合わせて二十四億円の予算要求をしておりまして、これら施策に充てられることになっております。予算が決まり次第、産業労働局と主税局が連携いたしまして、情報を広く伝えるように努力をしていきたいというふうに考えております。
○長橋委員 二十四億ということでございます。そのうちの十五億を使っていくという--宿泊税が通ったらですね。
私がある外国人から聞いた日本の感想なんですけれども、一つは、ホテルの料金が非常に高い。インターネットにもありますけれども。それから、東京は交通機関が非常に発達しているけれども、乗りかえが多くて不便である、交通が渋滞して目的地に着くまでにストレスがたまるとか、案内標示が少ない、それから、観光案内所をもっと充実してもらいたい。
プランの中で観光ボランティアの育成、組織化とありますけれども、そういった意味では、通訳のできる有能なガイド、また、観光に精通したガイドの育成が非常に大事になってくると思いますし、そういったところに行政が力を入れていくべきだと思います。
これは意見にとどめておきますけれども、最後に、実施時期については先ほどから再三話がありまして、本当に総務省、総務大臣の協議で三カ月、周知に最低三カ月かかるということですけれども、拙速にやると、いろんな意味で、もし締結した場合には実施後にいろんな問題が起きると思いますので、もっと十分に審議をして、周知期間については三カ月にこだわらずやっていただきたいと思います。
意見がダブりますけれども、実施時期について、再度、特に周知期間についてどのように考えていくのかお伺いをして、質問を終わります。
○鮎澤税制部長 条例の実施に当たります周知期間につきましては、先生お話しのとおり、都内といいますか、国外あるいは県外の方を対象とするPR等が必要でございます。また、関係業界の協力も必要でございます。そういった点を十分踏まえまして、適切に対処したいというふうに考えております。
○渡辺委員 私は、ホテル税の基本的な考え方についてお聞きしたいと思います。
まず第一番目は、法定外目的税とはどういうものかということで、ご説明いただきたいと思います。
○鮎澤税制部長 法定外目的税とは、課税自主権を行使して自治体の政策支援に資するために設けられた制度でございまして、各種の行政サービスの提供に関連する受益に着目して、特定の経費に充てる目的で課税するものでございます。
宿泊税につきましては、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てる法定外目的税として提案されているものでございます。
○渡辺委員 今の答弁というのは、法定外目的税の場合は、課税の目的、あるいは課税による政策的目的が明確になっているということが必要とされている立場の答弁だというふうに思うんですね。また、一般的に租税法規の定めでも、できる限り目的が明確で、かつ一義的である必要があるということをうたっているわけですね。
今度の宿泊税の目的ということから見ると、その点が不確定な概念、あるいは自由な解釈の余地を残しているというふうにいわざるを得ない。そういう意味で、使途が不明確といわざるを得ないこの条例に対して、各委員からもこの使途の問題がいろいろ出ていますけれども、それについてはどのように理解されているんでしょうか。
○鮎澤税制部長 観光振興プランには、情報の収集、発信、観光資源の開発、受け入れ体制の整備など、施策が盛り込まれており、宿泊税はこれらの施策に充てられるものであります。
なお、産業労働局においては、観光振興に関する予算として、平成十四年度は約二十四億円を予算要求しているところでございます。
○渡辺委員 一応もっともらしい答弁だと思うんですけれども、しかし、余りにもこの目的という幅が広過ぎるというふうに私は思います。どこにどのように使うのかということを、もう少しやはり具体的に明らかにすることが必要なのではないかと思います。そういう意味では、目的をあいまいにしたままでは税の趣旨に反するということで、私は納得できるものではない、こういうふうに思います。
知事は、千客万来というキャッチフレーズを持って、東京の再生の切り札の一つとして観光振興を強調しておるわけですね。観光振興は、私は本当に結構な話だと。積極的に推進していくことが必要だというふうに思います。
しかし、それを実現させるための財源を、都内のホテルや、あるいは旅館の宿泊者に求めていく。千客万来といって東京への来訪を呼びかけながら、その一方では観光キャンペーンのための費用の負担を来訪者に求める、こういう点では観光振興に逆行するのではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○鮎澤税制部長 宿泊税の導入は、その財源を活用いたしまして、内外からの訪問客の増加につなげることが最大の眼目であり、世界の主要都市においても同様の税が導入されているところでございます。
また、負担額には十分配慮したものでございまして、委員ご指摘の振興プランの目的に逆行するものというご指摘につきましては、当たらないのではないかというふうに考えております。
○渡辺委員 では、私、これからちょっといわせていただきますから、よく聞いておいていただきたいと思うんです。
地方団体において、各種の行政サービスの提供に関連する受益者または原因者に対する負担について、法定税目以外の税源に着目して課税することが適当であると考えられる場合には、法定税目のほかに税目を起こして特定の財政需要を支弁する税である目的税を課すことができると、こういうふうになっておるわけですね。すなわち、目的税としては、一つは受益者負担、それから二つ目は原因者負担、この二つが考えられると思うんです。私は、このホテル税はそのどちらにも当たらないと思うんです。
石原知事は、第四回の定例会の所信表明で、外国人向け観光案内や、あるいは国際会議の誘致、海外でのキャンペーンなどを挙げました。
そこで聞きますけれども、海外からの来訪者が外国人向けの観光案内や国際会議の誘致活動、海外でのキャンペーンの費用を負担しなければならない理由というのはどこにあるんでしょうか。
○鮎澤税制部長 宿泊税は観光振興の財源に充てるものでありますが、観光振興の中には伝統文化、ハイテク産業など、東京の魅力を生かした観光ルートの開発、交通アクセスの整備、観光案内所の充実、観光者にとりましてわかりやすい標識など、受け入れ体制の整備などが含まれておりまして、その効果は宿泊者にも享受するというふうになるものと考えております。
○渡辺委員 外国人向けの観光案内とか、あるいは国際会議の誘致活動、それから海外でのキャンペーンなど、こういうものをやって受益を受けるのは観光業界であって、海外からの来訪者ではないというふうに私は思うんです。ですから、先ほどのような質問をしたわけなんです。
外国語による案内板とか、そういうものは観光振興以前に整備されていてしかるべきものだ、それはもうイロハだ、そういうふうに私は思うんです。そういう意味で、先ほどいいましたように、外国の来訪者、あるいは都外の来訪者にとっては受益者には当たらない、そういうことをいっているわけなんです。
そういう点で、もう一度その辺、この目的財源に当たらないという、その点についてご答弁をいただきたいと思うんです。
○鮎澤税制部長 観光産業振興プランに盛り込まれた標識整備等につきましては、来訪者、観光客が利用しやすいものとして整備するものでございまして、一般的な標識整備を指しているものではございません。観光目的の財源として宿泊税を活用するというものでございます。
○渡辺委員 ですから、そのことは先ほどもちょっといいましたけれども、もっと明確な目標があって、それに対してどうしても必要だということで協力をお願いするというんだったらいざ知らず、今いった観光案内板なんていうのは、これはどこへ行ったって、観光目的税、こういうものを取ってやるべきというものではないでしょう。そういうことを私はいっているんです、余りにも幅が広過ぎるということで。
もう一つ聞きますけれども、原因者負担ということについてですけれども、東京の社会資本というのは、私はかなり整っているというふうに思うんです。したがって、海外や都外の来訪者、この方によって新たな社会的コストというものが発生するとは思わない。よしんば原因者費用が発生したとしても、それは負担すべきは、その恩恵を受けるところの企業が負担すべきものであるというふうに考えるんです。個々の観光客に求めるのは筋違いだ、こういうふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。
○鮎澤税制部長 確かに交通アクセス等の整備など都市基盤整備につきましては、関係局が一般財源をもって行うものでございます。バリアフリー化やわかりやすい標識の整備等の事業は、観光振興に直接関係する部分について、そうした部分について、宿泊税の税収を活用して実施するものでございます。
宿泊税は観光振興の財源に充てるものでありますが、観光案内所の充実、観光ルートの開発などの事業のほか、来訪者の受け入れ体制の整備などのために行われる事業は、宿泊者がその効果を受けるという効果が十分あるというふうに考えております。
○渡辺委員 私はそれに当たらないと。この東京都の観光事業にかける一般財源ということ、先ほどちょっとご答弁がありましたけれども、非常に少ないですよ。本当に微々たるものでしょう。そういうものが、これからもそういう点では、先ほど出されたバリアフリーの問題、あるいは案内板とか、そういうたぐいのものというのは、一般財源でやって当然のことだと私は思うんですよ。ですから、今の答弁というのは当たらないというふうに私も申し上げておきたいと思います。
それでは、もう一つ先に進みますが、国際会議の誘致活動、あるいは海外でのキャンペーンを積極的に進める、こういうことを知事は述べましたけれども、これはだれが、どのようにしてやっていくんでしょうか。
○鮎澤税制部長 観光振興を行っていくためには、行政と民間の連携が必要でございます。産業労働局において、既に観光情報連絡会を設置し、プランの作成等について検討を進めているところでございます。
○渡辺委員 官民一体ということで取り組むということだろうと思いますが、これは基本的な問題ということじゃなくて、ちょっと質問いたしますけれども、国際会議を誘致するとか、さまざまなイベントを誘致するとか、あるいはキャンペーンを外国で展開する。国内でもそうですけれども、展開する。そのためのルートづくりだとかコネクションを持つんだとかということでいっているわけですけれども、単純にそういうものができるかというと、なかなかできるものではないというふうに私は思うんです。
そこで、こういう国際会議を誘致する、あるいはいろんなイベントを誘致するということで、海外に出かけていって交渉してくるということになれば、それはそれなりに、やっぱりお土産を持っていったり、あるいは接待をしなきゃならないとか、そういうものにどんどん広がっていくという、そういう点でいうと、そういうところにも、この目的税である宿泊税というのを充てるんでしょうか。これは、どこまでそれが許されるかというのも、これまたいろいろと問題が出てくるんだというふうに思うんですけれども、その点は何か考えているんでしょうか。
○鮎澤税制部長 誘致活動等をどのように実施するかにつきましては、産業労働局にご趣旨等を伝えまして、適切に対処したいと思っています。
○渡辺委員 基本的なことだけきょうはお聞きするということで、簡単にしますけれども、もう一つは、観光振興の財源がないからといって、税金の目的をあいまいにしたまま、いわゆる宿泊者に課税する、新たな税金で観光振興というのは余りにも安易な方法ではないかと思うんです。こういう手法が認められるということになれば、もう次から次へと税金、すなわち、この目的税というものが広がっていくということになるんじゃないでしょうか。
今度、環境税ということがいろいろ問題になって、それを税調の中で具体化する方向だということを聞き及んでおりますけれども、そういうふうにどんどん広がっていくということになりやしないかということで心配するんですけれども、その辺はどうでしょうか。
○鮎澤税制部長 地方の自主性、主体性を尊重する観点から、課税自主権を行使するための一つの手段といたしまして法定外税を検討していく、これが地方主権の時代に必要であるということは議論はないところであろうかと思います。
法定外目的税を導入するかにつきましては、その内容を十分検討するとともに、住民の代表でございます議会の議決をいただくことが絶対要件というふうになっておりますので、安易に広がっていくことは考えられないのではないかと思っております。
○渡辺委員 それは確かに議会のチェックでいくというわけではないわけですから、議会で当然のこととしてそれは議論をしていくということは大前提ですけれども、しかし、提案するということになったら、それはまたいろんな形で広がっていくわけですよ。それは先ほどいったように、歯どめがかからないというところまでいく可能性だってないわけじゃないですから、私はそういう点で申し上げたわけです。
今度のホテル税というのは、取りやすいところから取るという印象が非常に強い、そういうふうにいわざるを得ません。例えば、都税調では四つの新税、目的税というものを発表しましたけれども、この四つの税の中で具体的に条例ということで議会に提案されたというのが、このホテル税、宿泊税、これが初めてですよね。
それで、パチンコ税というのは業界の強い反対、こういうことで、知事も記者会見で記者に聞かれて、それでもってそんな税があったのかと、こういうようなとぼけた発言が出ましたけれども、この問題は何か今や議会に上ってくるような気配はないというふうにお聞きいたしております。
それからもう一つは、高速道路の利用税。これは大型ディーゼル車にかける税ですね。この税については第三回定例会に提案しようかというところまで準備が進んだということがありましたけれども、業界の強い反対ということで、これまた議会に提案するというのは断念される。
それから産廃税ですね。この処理税も反対が強いということで、この二つとも、今度はいろいろの税制上の困難もあるということも含めて、七都県市にこれを提案して、七都県市でまとまればやろうと、こういうところまでいった。
だから、本当にそれを直接東京都議会にかけてくるということについていえば、反対が強く、しかもなかなか難しいというのは、今いったような状況の中で、取りやすいというか、本当に取れるようなものについては議会に提案するということで、今度の宿泊税というのは出されたんじゃないかというふうに思うんです。
ホテル税というのは、今申し上げたように、他の税が企業に負担を求めたものと違って、ホテル業者にも求めず、直接利用者だけに求めたということ、しかも、担税者は海外もしくは都外在住者であるということから、都民からの直接抵抗というのも非常に弱いということですね。これが特徴ですよ。
ですから、そういう点では鳥取県知事の発言というようなことであらわれるんです。ホテル税は取りやすいところからということで提案したという、私からしてみればそういう気持ちが強いんですけれども、その点についてちょっとご所見を伺いたいと思います。
○鮎澤税制部長 宿泊税は観光振興に必要な財源を確保するために、課税自主権を行使いたしまして、法定外目的税としてその財源を活用し、内外からの訪問客の増加につなげるということを最大の目的として導入されているものでございまして、結果的に税収の効果が旅行者に還元されるということも考慮に入れているものでございます。
なお、第三回定例会に高速道路利用税を提案するところまでいったというようなお話がございましたが、そういった事実はございません。
○渡辺委員 それは結構ですが。いろいろと議論しても、なかなかすれ違いというところが大きいんですけれども、知事は、パリ、ニューヨーク、ロンドンなどでは年間観光客というのは一千万人だ、東京は二百七十万人だ、こういうことをいいます。この原因ということをよく考えたことはあるんでしょうか。
私は、先ほどもちょっと答弁がありましたけれども、単なる東京からの発信ということだけでいいのかといったら、そうじゃないと思うんです。例えば、一般的には東京は物価が高い。それから、先ほどもご意見がありましたけれどもホテル料も高い、こういうのが定説になっているんですね。
主税局から、私は、内閣府の国民生活局十三年六月調査という資料をいただきました。それを見ましたら、他都市と比較をして東京のホテル料というのは高くないというふうになっているんですが、しかし、もらった資料は平均になっているんですね。平均ホテル料ということで。ですから、その平均というのはどこのレベルをとって平均なのか、どこからどこまでの全体をとって平均なのかということはよくわかりません。
ですから、ホテル料だけをとってみると、確かに世界的に見ても同じレベル、あるいは若干安いというような、そういう資料もございますけれども、それはわからない。しかし、このいわゆる内閣府の国民生活局の調査資料によりますと、調査品目が三十六品目あります。この三十六品目の中で東京の物価はやはり世界一高い、これは否定できない。
例えばですけれども、東京とニューヨークを比較しますと、ニューヨークの方が高いというものは三十六品目中十二品目、パリでは十品目、ロンドンは十一品目、シンガポール四品目。ですから、圧倒的にこの調査の結果というのは東京が高いということなんです。これは内閣府の調査です。
物価が高い、ホテル料が高いという定説がある中で、世界の他都市ではホテル税をかけているからといって、この東京でも新たに宿泊税ということになれば、東京の物価高の印象をさらに一層強く植えつける、こういうことになりやしないか。そういう点で、安易な宿泊税などは課税すべきじゃないというふうに私は思うんですけれども、どんなものでしょうか。
○鮎澤税制部長 宿泊税は、観光振興を行いまして、東京の観光客をふやしていくということを最大の眼目といたしまして、そういった効果が出るような施策にその税収を投入しようというものでございますので、確かに物価の件につきましては、私、十分に承知しておりませんが、ホテル等につきましては、先ほど来、委員ご指摘の表等もございますけれども、必ずしも東京が高いというふうには考えておりません。
○渡辺委員 ホテル料の問題については、今度の宿泊税の資料の中に出ておりますけれども、この税の対象になるホテルというのは非常に少ないといわれていますよね。宿泊税がかかるような、いわゆる対象になるホテルということで数が少なくなる。そういうところだけとったら、その平均というのはどれぐらいになるかというのは、まだやっていませんからわかりませんが、それは、今部長が答えられたその内容と比較したら、それよりもはるかに高い、そういう数字になりはしないか。それは一般的にだれでもいえるんじゃないでしょうか。そういうふうに私は思っています。
いずれにしても、リストラ、倒産で失業者が五・四%だと。東京では五・六%を超したというふうにいわれているような最悪の事態ですよね。そういう中で新たな税負担ということになれば、だれだって心理的に今なぜと、こういうふうに疑問を投げかけるのは当たり前じゃないかと私は思うんです。
財源がないからといって安易に都民へ負担を求めるということはすべきでないといいましたけれども、東京都の予算の六兆円という中の十五億円なら、新たな税負担ということでなくても、財源は何とか捻出できるんじゃないでしょうか。その点ではいかがでしょうか。
○安間主税局長 税を創設しないで一般財源でやったらどうかということだと思いますけれども、改めて法定外目的税としての宿泊税の意義について、ちょっと言及をさせていただきたいと思うんですが、私は三点あると思うんですね。
一つは、先ほど来、若干議論ございましたけれども、受益と負担との関係という点で、税負担を通じて税を納めていただく方に税の使途を考えていただく、そういうまさに地方主権の時代にふさわしい税であるということが一つ。それから二点目は、こうした税制を通じて都の目指している政策の方向、あるいは姿勢というのが明確に示されるということ、これは大事な点だと思います。それから三点目としては、以上と関連すると思いますが、法定外目的税の導入によりまして、安定した財源が確保される。したがって、今後の財政状況等に左右されることなく、東京都が現在最重要課題の一つとして掲げております観光振興策が推進できる、こういう三つの意義があるのではないかというふうに考えております。
したがいまして、宿泊税につきましては、都財政が厳しく一般財源からの捻出が難しい状況にある中で、特に観光振興策に充てるための法定外目的税としてこれを創設することは、政策税制としても意義あること、また、大きな効果を期待できる税制であるというふうに考えております。
○渡辺委員 今の局長の答弁ですけれども、地方主権にふさわしい税だというふうなお話がありました。確かに地方税そのものについて、自主課税という問題について考えるならば、そういう立場に立って考えるならば、そういう意味では理解はできるんですけれども、しかし、実際問題として、先ほども私がいったように、外国から来られる来訪者、あるいは都外の来訪者、そういう方々に対して今なぜそういうものをかけなきゃならないのかという、その今なぜというのが理解できない。幾ら地方の自主課税だからといって、それをやっぱり安易に受け入れるというわけにはいかない。
それから、都の姿勢ということで、非常に大事だということでいいましたけれども、やはり都民から、あるいは全国から、世界から、本当にみんなから喜ばれて初めてそういう点で大胆な提起をしてくれたという点だったら、それはもう評価しますけれども、そういうふうなことじゃなくて、逆行するんだということを申し上げているんだから、局長との答弁の関係では相入れないものだということで、私はそれに対しては承服できません。
そして、最後になりますけれども、いずれにしても、観光振興はホテル税によらなくても、先ほどもいいましたように、十分可能だと。十五億円、そういう額ですけれども、予算に占める割合ということからいうと、ちょっとさっきはじきましたけれども、〇・〇二五%。その十五億円は、私は、例えばこれは主税局にやってくださいということはいいませんけれども、主税局が、知事を初めとした都の首脳部に提起をしてもらうということは必要だと思うし、あるいは産業労働局とのこれからの協議ということも大事だと思いますけれども、例えば国の直轄事業、この負担金の本当にごく一部を充てれば済むことだ。さらに、無利子の貸付金、二千億以上あるけれども、これのほんの一部を充てればどうにでもなる。あるいは同和事業というのは来年三月に終了する。これを一般施策に潜らせて復活させるというという、そういうことじゃなくて、本当にやめさせるということになれば、これで十分お釣りが来る。こういうことをなぜやろうとしないのかということなんです。
今日の都財政の原因というのは大型開発に偏った行財政運営にあるということを、私たちは前から指摘してきたんです。税財源制度についていえば三割自治ともいわれる仕組み、こういうものの改善は欠かせない。
例えば、国からの税源の移譲や富裕団体を口実にした財源調整の改善、あるいは国庫補助の改善、こういうものを税財政制度の抜本的見直しということで、大企業や大金持ち優遇税制の是正とあわせてやる必要があるというふうに私は思っています。
そういう意味で、今、必要なことというのは、税財源制度の改革こそ必要なんです。安易に都民や滞在者に新たな課税を求めるということは間違いだということをいわせていただいて、質問を終わりたいと思います。
以上です。
○大西委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時休憩
午後三時十二分開議
○近藤副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○藤田委員 私も何点か質問させていただきます。
私は、地方分権推進の中で、法定外税は地方団体が課税自主権を行使することで自主財源を確保するということで、意義のあるものというふうにまず考えております。
地方分権の推進の観点からは、もっと根本的に国から地方への税移譲ということがどうしても必要なことでありますけれども、ことしの初め、二月六日だったと思いますけれども、政府税調、その中で地方への税源移譲、それから外形標準課税の導入について、あるいはまた法定外税についてというようなことが議論されたというふうに聞いております。それから、地方分権一括法施行後の考え方について地方分権推進委員会が、六月でしたでしょうか、最終報告を行ったというように伺っておりますけれども、まず、その内容をお示しいただきたいというふうに思います。
○鮎澤税制部長 政府税制調査会の中期答申におきましては、現在のような危機的な財政状況の中では、国と地方の税源配分のあり方について見直すことは現実的でないというふうな考え方を述べております。
また、本年六月の地方分権推進委員会最終報告では、国から地方への税源移譲により地方税源の充実を図っていく必要があり、その際には、税源移譲額に相当する国庫補助負担金や地方交付税の額を減額するなどにより、歳入中立を原則とすべきであるとしております。
いずれも、税源移譲の必要性は認めつつも、具体的な税源移譲の時期を示さず、抽象的な表現にとどまっております。
○藤田委員 大変大きな機関委任事務という事務の移譲があったわけでありますけれども、それに伴って税だけは一向に具体案を出さないという、地方から見れば、自主権を非常に阻害するようなことを平気でやっているわけなんですけれども、こうした動きに対して東京都はどういう対応を、これまで国に行ってきたのか、働きかけをしてきたのかを伺います。
○鮎澤税制部長 都は税源移譲につきましては、国への提案要求の最重点事項の一つと位置づけまして、知事を先頭に都議会のご協力をいただきながら、その実現を国に強く求めているところでございます。
また、全国の自治体との連携を深め、税源移譲の必要性について、都民、国民のご理解をいただくことが不可欠であるという観点から、本年十一月にも、東京都の提案要求活動の期間をとらえまして、東京都税制調査会から地方税財政改革に関する緊急の提言をいただきまして、この提言をもちまして国、関係機関に送付するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。
○藤田委員 こういう中ですから、地方が課税自主権を行使するということに、いい方はちょっとあれですけれども飛びつくといいますか、そういうことはもっともなことでありますし、自分たちに本当に必要な税を、東京都でありましたら都民に訴えて、そして、それによって本当にその税がどういうふうに使われるのかという自治ということをきちっとわかってもらう、こういうためには、本当に地域が課税をして、それをどうやって使っていこうか、この議論が必要なわけで、このことについては先ほどもお話ししましたけれども、法定外税については理解をするところでございます。
しかし、租税原則との関連でお伺いするわけですけれども、地方税といいますか、大体どの税でもそうでありますけれども、課税原則の中に安定性、普遍性、また応益性の原則があるというふうに私は思うんですね。
今回の宿泊税の観点からいうならば、宿泊税を負担した納税者に行政サービスとして還元されるべきでありますけれども、宿泊税を支払った人に、目に見えるような形でどんなふうに還元がされるのかをまず伺います。
○鮎澤税制部長 宿泊税につきましては、シティーセールスキャンペーンの展開や各種観光ルートの開発などのソフト事業に充てるとともに、東京を訪れた内外の旅行者が快適に過ごせるようなハード事業にも充てるということになっております。
具体的に申し上げますと、観光情報や施設割引の案内等を記載いたしましたウエルカムカードの配布、宿泊施設のバリアフリー化事業などに充てることになっております。宿泊税はこうした観光施策に充てることによりまして、納税者にも還元されるものと考えております。
○藤田委員 ただ、お支払いになった方が、目に見えた応益といいますか、今すぐ何かが具体的にあるというようにはなかなか考えられないかと思いますけれども、その辺はどんなふうに考えられますでしょうか。
○鮎澤税制部長 旅行者等の納税義務者の方につきましては、その滞在中に観光施策による行政サービスに加えまして、公衆衛生でありますとか、消防、安全、災害対策など、あるいは清掃、公共施設の利用など、自治体が提供いたします一定の行政サービスによる受益を受けているというふうに考えております。
○藤田委員 先ほど、宿泊施設のバリアフリー化の事業などに充てる、いわゆる目的とするところでございますけれども、そのことをおっしゃられました。そして、この資料にも出ておりますけれども、このバリアフリーというのは、例えば具体的にいうとどういうところだというふうなことが、主税でございますけれども、わかりますか。
○鮎澤税制部長 宿泊施設等のそういった施設をバリアフリー化していくということが主なことでございます。
○藤田委員 福祉のまちづくり条例、この中で、実は一千平米以上の宿泊施設は、もう既にバリアフリー化というのはやらなければいけないところになっています。私は、宿泊税を取るような一万円以上の宿泊施設というのは大体ここに当てはまってしまうと思うんですけれども、実際にバリアフリーを行う宿泊施設というのは、どういうところを想定していらっしゃるのでしょうか。
○鮎澤税制部長 福祉局におきましては、旅館等につきましては、バリアフリーの補助対象とはしていないところでございます。今回のこの制度につきましては、観光目的のそういった施設につきまして、バリアフリー化をしていこうというものでございます。
○藤田委員 今おっしゃったのは、これは事業者がやらなくちゃいけないわけですよね。そうしたときに、宿泊施設というのは、ちょっと事業概要の中からとってきたんですけれども、ホテル、旅館などはもうすべてやらなければいけない中に入っているんですが、この宿泊施設というのが、実際に、例えば小さい旅館とかあって、そういうところまで全部当てはめるようなことをここでは考えていらっしゃるんでしょうか。
○鮎澤税制部長 バリアフリー化の具体的な中身につきましては、大変申しわけございませんが、当局で現在ちょっと承知しておりませんので、産労局の方と打ち合わせをさせていただきたいというふうに思っています。
○藤田委員 これは、私も実は合同審査をお願いしたいとか、あるいは知事に出てきていただきたいというような話をしたんですが、この使途の例の中で宿泊施設のバリアフリー化というふうになっていることを考えれば、やはりここはもう少し明確に対象のことがわからないと、先ほどから、どの委員もお聞きしているように、使途が不明であるというようなことがまさしくこれにあらわれてしまっているのではないかと思うんです。もう一度、きちっとここの部分についてはお答えをいただけますでしょうか。
○鮎澤税制部長 都内におきます宿泊施設は、必ずしも高齢者や障害者の方が利用しやすい構造となっておりません。こういった中で、観光誘致の対象には当然これらの方も含まれている、誘致される対象に含まれていることでございますので、これらの方々が自由に行動できるような宿泊施設のバリアフリー化を推進していくというものでございまして、具体的には、宿泊施設内での通路の段差の解消、階段、廊下等の手すりの改修や設置などの経費を補助するというものでございます。
○藤田委員 それは何回もおっしゃられているのでわかるんですが、例えば、今、応益性の話をしていますので--一万円なり一万五千円なりの方から百円、二百円を取るわけですけれども、そうすると、それ以下のところに、このバリアフリー化のために、観光の振興のために出すのかなというようなところが、そこがちょっとわからないわけです。
結局は、一千平米以上だったら確実にやらなくてはいけないということは条例の中で決まっているわけなので、そこのところをどんなふうに考えているのかをもう一度お示しください。
○鮎澤税制部長 全体的に観光振興のために、主に海外でございますけれども、そういったところから人に来ていただくような施策を幅広くやっていくということでございますので、完全に、納付される方とその施策の内容がぴたっと一致しなければならないというのが目的税ということではございませんので、そこはそういった観光振興のためになる施策を実施するということを、そういったものに対して支出するというものでございます。
○藤田委員 今おっしゃったことはわかります。ただ、ホテル業界の方々に一応お願いをして、そして、そこにも振興のために使いますよといってお願いをしているわけですよね。そうしたときに、例えばバリアフリー化とやったときに、それはもっと小さいところの旅館やらホテルばかりで、自分のところには何にも還元されないのかなという部分もあるわけですよね。
だから、もうちょっとこの目的がわからないと--どこの何にお金を使うのか、ちょっと私は納得がいかないですね。これはまた、この処理は後にいたしましょう。
それで、産業振興プランでは、五年間で外国人旅行客を二倍にするというふうになっているんですね。この振興プランの中には、二百七十七万人を六百万人というふうになっているわけなんです。そうすれば、少なくとも税収も、どのくらいになるかわかりませんけれども、相当程度ふえるだろう。そのときに、ふえたそのお金は、今、大体二十四億を使いたいのだと。どのくらいふえて、そして、どういう施策を進めるというようなことが、この五年間の中で具体的になっているんでしょうか。
○鮎澤税制部長 宿泊税につきましては、観光振興を図る施策に充てる目的税でございますので、観光客がふえまして税収がふえるということであれば、より一層観光施設の充実等を図ることができ、政策の効果を拡大することが期待できるというふうに考えております。
なお、宿泊税につきましては、五年ごとにその役割や税収の状況、あるいは社会経済情勢の推移等を踏まえまして、都議会のご審議をいただいて必要な見直しを行うということになっております。
○藤田委員 見直すのはもちろんわかっているんですが、この五年間の中でどういう推移になっていくのかなということなんです。要するに、今早急にやらなければいけないということが今年度の予算の中で二十四億、そしてこの税として十五億というふうになっているんだと思うんですが、振興プランの中には、実は観光資源の開発などいろいろ出ています。役割分担というところで、国、都、市区町村、民間というふうになっていて、情報の発信、観光資源の開発、受け入れ体制の整備とあるんですが、実は他局のものがほとんどなんです。括弧して建設局、括弧して都市計画局、括弧して教育庁、生活文化局というように、要するに産業労働局のまさに目的とするものが、この中で、一ページの使途の例のところに書いてあるものをやったら終わりになっちゃうような、そういう状況ではないかと思うんですよ。
代表質問の中で私たちがした中でも、知事は、まさにおっしゃるとおり、観光ルートづくりなどは民間のやることであろうと。だから、その手始めのところをちょっと押してあげるということによって、役割分担として民間が観光を進めていくところにあるんだと思うというふうにお答えになったところを考えると、この税収の使途がどこまで広がっていくのかというのが、ちょっとこの中では見えないんですけれども、その辺についてはどんなふうに考えられますでしょうか。
○安間主税局長 税の使途についてさまざまなご指摘をいただきましたけれども、産業労働局長と事業者のところへ参りましていろいろご説明した中で、産業労働局長が必ず役割分担のところをあけて、皆さん方と一緒にやるんだということ、それからもう一つは、各局の中でそれぞれ役割分担があって、産業労働局がすべてやるわけではないこと、そして、このプランの中では具体的に他局がやるものについては特に局の名前を挙げて施策を例示するというようなことを申しまして、それ以外については産業労働局が皆さんと一緒になって中心になってやっていくんですと、こういう説明を繰り返しして、ご理解いただいているところでございます。
先ほど、バリアフリーについてのご指摘がありましたけれども、条例で義務づけられているものについて何らかの支援をするのが是か非かということは、当然これからの各局の予算の中で調整をしながら、今回の税収の使途としてどういうものが適切なのかというのを判断されなければいけないと思います。
それから、先ほど長橋委員その他にお話しいたしましたように、産業労働局では、交通業界、旅行業界、さらにはホテル、旅館業界等と観光情報連絡会というのをもう立ち上げておりまして、この中で、振興プランの具体的な施策についてもさらに業界の意見を聞きながら詰めていく、こういうふうになっておりますので、そういう民間の人の意見も取り入れながら、予算の中で最終的にはきちっと税収の使途が明らかにされていくだろう。
今の段階では、予算要求を産業労働局がしている、あるいはプランが示されたという、その内容でお話をしておりますが、最終的には、具体的にはそういう形で固まっていく、調整されていくというふうに考えております。
○藤田委員 そうしますと、今のお話の中だと、役割分担というところに書いてある、例えば、一番最初に書いてあるんですけれども、景観の整備、JR東京駅舎の復元と駅前広場の整備等(都市計画局、建設局)、こういうことも実際にこの使途の中に入るというふうに考えるわけですか。
○鮎澤税制部長 そういったものは入っておりません。
○藤田委員 そうですか。そうすると、ここのものを観光振興として考えていこうといった場合に、振興プランの中に出ているものを考えていったときに、この使途の例ですけれども、先ほどお話ししたように、ふえていったときに何に使うかというのは、もう一度お答えください。
○鮎澤税制部長 現在の二十四億円というのが、それですべて完全に観光振興として十分かどうかという問題もございます。そうした意味で、観光振興を充実していくということで、今後さらに、もしそういう税収の拡大ということがございましたらば、それも踏まえて、また、一般財源も踏まえまして、産業労働局として、主税局も当然そこに参画することになりますけれども、検討していくということになろうかと思います。
○藤田委員 目的税とするならば、少なくとも五年間の使途が明らかになっていないと納得がいかないんじゃないでしょうか。とりあえずことしの、これはもちろん主税ですからあれですが、私は産業労働局の中で何に幾ら使うのかというのをしつこく聞きましたけれども、出せない、出ない、予算前だからだめだ、こういう話だったんです。その中で、目的税ですといって、何に使うかわからなければ、これは審議はできないんじゃないでしょうかね。
○鮎澤税制部長 先ほどもご答弁申し上げましたように、産業労働局として、現在、十四年度の予算要求の中で要求しております、東京の魅力を世界に発信する、また、観光資源の開発、受け入れ体制の整備ということを今後五年間にわたりまして実施していく、そこに宿泊税の財源を投入するというものでございます。
○藤田委員 それでは、ちょっとまた変えまして--先ほど、平成十一年が九億五千万、十二年が七億一千万、十三年が九億二千万というふうにおっしゃいました。今までこれはどんなことに使ってきたのか、おわかりになりましたら教えてください。
○鮎澤税制部長 十三年度でございますけれども、観光振興策としては四億円ということでございまして、あとはユースホステルの管理運営、その他の経費、あるいは新世紀東京国際アニメフェアの調査費等で、十三年度につきましてはそういった目的で使っているということでございます。
○藤田委員 私は、観光振興策は非常にいいと思っているんです。ただ、今まで生活文化局であったものを産業に位置づけようということで、今回生活文化局から移動してきたんですけれども、例えば、コンベンションビューローの話って、その後どうなっちゃったのかなとか、結構いろいろやってきた観光振興策を、ぐずぐずっとわけがわからないで、そして評価をせずに次へ進む、それを目的税とするというのがちょっと納得がいかないんですよ、その辺がね。
東京の魅力をといったときに、私も資料をいただいたんですが、例えば、何にもなくても人が来る京都の中で、割合は〇・〇四%ですよね。先ほどお話がありましたように、この税で十五億というので、〇・〇二五%、〇・〇三%ぐらいですけれども、これで本当に観光の振興に役立つのかと反対に、逆さまに思いたいというような、例えば、課税自主権ができたからそれっというので目的税を取るような、そんな雰囲気があるんじゃないかと思うんですよ。
それが一番よくあらわれているのが、インターネットで寄せられた主な意見の中に、免許証の提示で都民から税金を徴収しなくても済むようにしてくださいと。これは東京都が取る目的税としては、いかがなものかなというような感じがするわけです。
私は地元は杉並ですから、今回、レジ袋税でけんけんがくがくやりましたけれども、あれはまさに区民が問題になるし、それから区の商店街が問題になるから、みんなも本当にけんけんがくがくやるわけですよね。
その辺が、インターネットでぱっとやったけれども、実際に都民の懐はほとんど痛まない中でこういうことが行われるとしたら、ちょっと目的税ありきで、どういうふうにこれを使っていこうとしているのかが少し見えにくいといわざるを得ないと思うわけです。ですから、そういう意味では、もう少し観光振興に対して明快な使途がわかるようなことをしていただかないと、なかなか難しいなというふうに思います。
もう少し細かいことになりますけれども、一万円以上の宿泊施設を課税対象としたのはなぜかということをちょっと伺っておきます。
○鮎澤税制部長 一万円以下の免税点を設けましたのは、担税力を考慮いたしまして、低廉な宿泊施設の宿泊客は課税対象としないということ、それから、出張等で宿泊するビジネス客が専ら利用するような施設の宿泊客には課税にならないようにというような観点から、一万円以下の免税点を設けたものでございます。
○藤田委員 結構これも難しいことでして、ビジネスマンというのは、きょう行きなさいといわれると、きょう行かないといけないんですよね。観光客は割合に余裕を持って来ますからいろいろなところを探すこともできますけれども、よく学会なんかがあると、もうほとんどそこが埋まってしまって、高いところに泊まらざるを得ないようなこともたくさんあるんですよね。
今のお答えだと、ビジネス客が専ら利用するところというふうにはちょっとならないかなと思います。もちろん、先ほどからのお話がありますように、東京のホテルというのが総じて高いということもありますから。
それから、消費税のようにパーセンテージで課税するのではなくて、一定額で課税するのはどうしてでしょうか。
○鮎澤税制部長 地方税法では、国税または他の地方税と課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となる場合には、法定外税について国の同意が得られない、同じ課税標準を用いることは適当でないということになっております。
宿泊税につきましては、消費税と同様に料金を課税標準として比例税率で課税する場合には、この同意要件に抵触するのではないかということでございます。
○藤田委員 それでは、なかなか使途について難しい状況があるなという感想がありますが、先ほどから、産業労働局とは、局長も一緒にいろいろなところを回られて、あるいは連携をしながら、この税の目的を考えてきたというふうにいっていらっしゃいました。実際には、まさに観光そのものではないんですが、それが及ぼすというようなことで振興プランにも出ているわけですけれども、他の、例えば環境局とか、建設局とか、そういうようなところとはどういうふうに調整を図ってきたんでしょうか。
実際には、先ほどからお話しになっているような、伝統のたくみのわざを見せたい、それから、古い江戸の町並みを見せたい、こういうふうにおっしゃいました。しかし、片方では東京のまちをどんどん壊しているんですよね、そういう意味では。それについて片方でこうやりたいというのは、だから、何か思いつきのような気がしてしようがないんです。
まちづくりというのは、もっと本当に東京の魅力を示してもらいたいというふうに思えるのは、やはり一連の長きにわたってのまちづくりの中で醸成されてくるものだと私は思うんですけれども、こういう他の局との調整についてはどんなふうに考えてきたのでしょうか。
○鮎澤税制部長 宿泊税の導入に当たりましては、税収の使途だとか、あるいは関係業界との理解を求める対応等につきまして、産業労働局と連携をとって、いろいろな機会で検討し合い、実施してきたところでございます。
観光振興事業と直接、間接に関連いたします他の事業局との調整につきましては、産業労働局の方で実施してきたところでございまして、主税局としては、その意向を受けまして、産業労働局との連携の中でこの宿泊税の検討を進めてきたということでございます。
○藤田委員 本当に全く新たな税ということで、それも地方主権ということに関して地方の自治というものを考えるに当たっては、私はいいことだと思っていますけれども、今回のものについては、なかなかこれが都民を巻き込んでの議論にならないというところに非常にもどかしさを感じます。
昨年の都税調の中で、産業廃棄物のことなどで環境税の問題がありますけれども、今後こういう法定外税を、あるいはまた、許可になりましたら外形標準というようなことが生まれてくるんだと思いますけれども、この辺について最後に局長に、税についての議論をどんなふうに都民とやっていくのかというところでのお話を伺って、質問を終わりにします。
○安間主税局長 委員には今、税の使途を中心にしてさまざまなご意見をいただきました。これは議会でのご議論も、私ども踏まえてこれから対応したいと思いますし、業界からも同じような趣旨のことをいわれておりますので、関係局と連携しながら、その辺をきちっと対応していきたいと思っております。
それから、新しい税の導入につきましては、先ほど来お話ししましたように、非常に政策課題としても大きな重いものだと思っておりますので、当然条例という形で議会の議も経なければいけない。そして、税であれば、税を負担する納税者というのは必ずいるということで、十分時間をとって納税者のご理解もいただきながら議論した上で条例をつくっていく、そういう基本的な姿勢で今後ともやっていきたいというふうに思っております。
○桜井(武)委員 質問に先立ちまして--質問といったって一点しかしませんから。税に関することでございますので、非常に重要なことだと思いますので冒頭に申し上げますが、全職員の給与カット、これは全職員が一丸となって、都財政の再建のために惜しみない苦労を分かち合おうというメッセージでありましたし、東京が全国に範を垂れる、そういう意味において極めて画期的なものであった、このように思っておるわけであります。
その職員給与の削減をやめるということと新税を導入するということは、東京都民にとりまして、こういうところでもって議論している者はある程度わかるかもしれませんが、一般の東京都民にとりましては非常にわかりにくい。片方で三百四十億円という人件費をまたもとへ戻そうというふうにやっておいて、片方において、名前は宿泊税という名称でございますが、新税として十五億円の負担を求める、こういったことは東京都民として非常に納得がいかないというふうに考えざるを得ないわけでございます。
特に、現下の東京都政は三千億とか四千億とかという財源不足に悩んでいるということを盛んに強調して、多くの都民の方たちにさまざまな負担をお願いしている真っ最中でもあるわけでございますので、そういった意味におきまして、私は、先ほど倉林委員がいわれたように、新税の宿泊税の施行日などについては十分に勘案するべきだ、このように思うわけでございます。
宿泊税そのものについてはある一定の理解を持つものでございますけれども、片方で職員給与の削減をやめて十五億円の税収を新しくもらう、こういうことは東京都民にとりましては非常にわかりにくいのではないかということをどうしても申し上げざるを得ないと思うわけであります。
主税局は本来ならばこの点については管轄外の部分もあるかもしれませんけれども、主税局長は、東京都政の中でいえば、いわば会社でいえば重役でありまして、担当する仕事は確かに税であるかもしれませんけれども、税制度というものは、都政全般に深く当然ながらかかわっているわけでございますので、都政全般に主税局長は責任を持つ、そういう立場にあるべきである、このように思うものでございますので、この一点だけ質問させていただきまして、局長の答弁をお願いします。
○安間主税局長 先ほどもお話ししましたように、新税の導入は都民に対する新たな負担、痛みを求めるものでございまして、非常に重い課題であるというふうに認識しております。都民に新たな負担を求める場合には、都政トータルとして施策の優先順位、その財源のあり方等について厳しい吟味を行った上で政策判断していくべきものであるというふうに考えております。
その意味で、委員ご指摘の点は極めて重要な内容を有しておりまして、主税局としては、これまでも納税者に直接向かい合って税をいただいているという役割がございますので、こういう立場で、さまざまな業務全般について効率化のための努力をしてきたわけでございますけれども、ご指摘いただいた点を重大な課題として受けとめまして、そうしたことを十分に踏まえながら今後とも努力を続け、都政全体の中における歳入所管局としての責務を果たし、また、期待される役割にこたえていきたいというふうに考えております。
○鈴木委員 私の方から、宿泊税の問題と、最後に一点だけ聞いておきたいんですが、銀行課税の動向についても若干触れておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、先ほど我が党の桜井委員、それから長橋委員その他関係の委員の方々から税収の実施、仮に実現を見たときの実施時期、使い道、特に論議を聞いていて税収の使途についてが、どうも私たちも、私自身も納得いかないと申し上げなければならないのは大変残念だと思います。
やはり確固たる根っこの部分、コアの部分の、観光政策に対する取ってつけたつけ焼き刃的な発想ではなくて、根っこの部分のがっちりとした戦術論、戦略論というものをつくっていくべきではないのかなと。それが車の両輪だと思います。
そして都民が、仮にこれができ上がったときに目的税として十五億円が中心になって、初年度二十四億ですか、これがどういう付加価値をつけてでき上がっていくのかということにつながれば、これは納得するのでありますけれども、どうも今論議をしているとすれ違っているやに私も思わざるを得ません。(「知事のご判断だ」と呼ぶ者あり)知事のご判断と同時に、聡明なる主税局のメンバーの方々もおるわけでありますから、いろいろな形で、知事におんぶにだっこではなくて、皆様方一人一人が主体者であるという感じで進むべきではないのかなという--全国が注目しているわけですものね。
この問題について、全国の都道府県の首長の皆さん方も、賛成なのか、バツなのか、それともどっちつかずなのかという、この論議を聞いているわけでありますから、そういうことを踏まえて、私の方から、まず最初にこの論議で聞きたいことは、関連業界、特にホテル旅館業界に対する説明責任がどういうふうな経緯で行われてきたのかという論議が今まで出てこなかったものですから、その辺についてお伺いをしなければならないと思います。
昨年ですか、都版税調答申の中で、ホテル税という項目でこれが答申を見た。ことし、先月の十一月二十七日に条例提案をなされた。この中で聞きたいことは、ホテル税が都版税調の中で答申を見たときに、恐らく水面下で、どういうことが東京都の皆さん方と話し合いをなされてきたのか、それからまた、十一月二十七日に至るまで、どういう業界とどういう形で真摯に面と向き合っていろんなことをやってきたのか、その辺もちょっと具体的にお答えをいただきたいと思います。
○鮎澤税制部長 ホテル税につきましては、ホテル業界等から都税調答申に対して意見書等をいただいております。そうした団体に対しまして、答申の趣旨等につきまして、従前から説明あるいは意見交換等を行ってきております。
十一月二日の知事の構想発表後は、数回にわたりましてきめ細かく説明をさせていただいてきているところでございます。さらに、条例案公表後の十一月二十七日以降、条例案の概要について説明を行い、ご協力の要請をさせていただいております。
その結果、宿泊税の税収の大宗を占めますホテル協会等のご了解はいただき、その他の団体におきましても、おおむねご理解いただいているものというふうに考えております。
○鈴木委員 では、きょうの要求資料の第3号の中で、宿泊税についての関係団体等に対する説明等の状況の対象と回数が一覧表になって出ておりますね。日本ホテル協会、九回、以下ずっと出ておりますけれども、これは今のご説明によると、十一月二日を基軸にして、その後行われた回数なのか、十一月二十七日提案があった後の回数なのか、それとも都版税調答申が行われて、その後の累計のデータなんでしょうか。どういうふうにこのデータを見ればよろしいですか。
○鮎澤税制部長 要求資料の第3号に載っております回数につきましては、都税調の答申が出ました以降の回数でございます。
○鈴木委員 たしか代表質問の前の十二月十日も慌ただしく、この国際観光連盟だとか日本観光旅館連盟の方々と皆さん方と一日お話し合いも行われたと私も仄聞はいたしてございます。我々の議会での論議が行われる前までも一生懸命やってきた、その努力は多とするものでありますけれども、それにしても、宿泊税についての説明先の日本ホテル協会が三十五カ所、全日本シティホテル連盟が加盟六十五、あと日本観光旅館連盟が百十八あるわけですね。国際観光旅館連盟が五つ、そのほか九百六十四というのはホテル旅館生活--環衛の方の旅館ですね。それから団体未加盟のいわゆる外国資本系のホテル等ありますね。そういうものが四十カ所程度。
これを比較してみますと、国際観光連盟に対していろんなテーブルをつくったのが五回で、国際観光連盟の旅館数は五つでありますから、それぞれ一旅館当たり丁寧に落としたというふうな数字の割り当てとして理解してよろしいんでしょうか、どうなんですか。
○鮎澤税制部長 これらの日観連、国際観光連盟、日本ホテル協会等のそういった加盟の組織を通じまして、また、そちらの方を窓口といたしまして説明等を実施してきているものでございます。また、場合によりましては、そういったすべての会員さんの集まる場でもお話をさせていただいたこともございます。また、個別とございますが、個々のホテルに伺いまして説明をさせていただいているというものもございます。基本的には、組合、連盟等の組織を窓口として行っているものでございます。
○鈴木委員 大体それぞれ組合がありますから、そこへ連絡をして、それぞれ集まっていただく。もちろん漏れるところもあるでしょうから。それにしても、九百六十四加盟団体のある東京都ホテル旅館生活衛生同業組合、これの説明は回数的に八回となっているわけですけれども、国際観光旅館連盟に対して比較すると九百六十四分の八というふうな、どうも短絡的に見ても、丁寧にこの辺は落としていただけたのかどうかというのが大変危惧されるわけです。
もちろん大半が対象ではないということかもしれませんけれども、やはりいろんなところで波及効果がもたらされるはずでありますので、その辺の状況をちょっとお知らせをいただければと思います。
○鮎澤税制部長 ホテル旅館生活衛生同業組合につきましては、再三この組合の方に伺って説明等を行っております。この組合につきましては、我々の方を--組合でございますけれども、そちらの方を窓口にしてやっていってほしいというご要請もございましたので、そちらの方を窓口にして資料等の配布、あるいは説明等を実施させていただいてきているわけでございます。
○鈴木委員 それで、ホテル協会とかホテル連盟はよろしいんですけれども、日本観光旅館連盟だとか国際観光旅館連盟からも議長さんあてに厳しい要望事項がなされましたよね。我々も知っております。そういう中にあって、その辺の話し合いは十分に行われたとは思うんですけれども、まだまだくすぶっていると私は思います。
また、代表質問でも、きょうの最初の答弁でも、おおむね理解が得られたと、こういう答弁をいただいているんですけれども、おおむねということで一くくり括弧でくくるのではなくて、やはり一つ一つ真摯に要望事項については聞いてさしあげてほしいなと私は思います。
その要望事項は先ほども出ておりましたので、屋上屋を重ねることはいたしませんけれども、これからまだまだ長いスパン、どういうふうにして進んでいくかまだわかりませんけれども、やはり理解を得る、コンセンサスの醸成を得るべきだという私たちの、我が党の主張は実はそこにあるんです。ここに力点を置かないと、何のためにというそれが外れてしまいかねませんので、それを私はがっちりと要望させていただきたいと思います。
そのことで、今、具体的に数字を挙げて、それぞれの団体に対していま一度きちっと--ホテル協会からも四項目か何項目か出ておりましたね。それに対してもがっちりと回答が出ておりますが、まだまだすべてゴーサインが出ているわけでもないと私は感じるわけでもありますので、その辺は要望にとどめておきたい。がっちりやっていただきたいと思います。
それと同時に、その中の気になるのは、先ほども出ておりましたけれども、業界の中でいろんなソフトが変わっていくわけでございますので、私たちは、実施はできればお盆明けぐらいがいいのかな、お盆明け以降一カ月後のしかるべきいい季節から始まってほしいな、秋の観光シーズンの幕あけのときあたりから実施をしていくべきなのかな、もしこれが実施となるならば、そういうことも考えないではないんですけれども、まだまだこれは白紙の状態でありますから、お答えいかんでありますので、わからない。
そういう中で、事務経費の負担。一番気になっているのは、この特別徴収に当たって、かつて知事も答弁の中で、今廃止になってしまいましたけれども、特別地方消費税のことを例に挙げられてやっておりましたね。あれは、一人一泊の料金が一万五千円以下で云々とありましたけれども、そういう中にあって、あのときの特別徴収交付金の、大体何%ぐらい分けてあげたのかということは出ますか、どうですか。
○鮎澤税制部長 地方特別消費税の特別徴収交付金につきましては、千分の二十七というのを上限といたしまして交付しております。
○鈴木委員 業界からも、こういう事例--どういう形で来るかわかりませんけれども、今回も、先ほども考えてはいるというご答弁をいただきました。東京都として、どういうふうにこの辺のすり合わせは、これは腹づもりはあるんですか。
○鮎澤税制部長 今回の宿泊税につきましては、課税免除の判定等を行った上で宿泊者から税金を預かりまして、それを取りまとめて都に申告納入する必要があること、ホテル、旅館の経営者の方々にはやはり一定の経費、手間がかかるということが見込まれております。
このため、その事務経費等について、導入に係る経費を含めまして配慮する必要があるというふうに考えております。それで、特別徴収交付金という形でこれを配慮しようということで検討しているところでございます。
○鈴木委員 ここまでご答弁いただければ、あとはまた実務的な問題等々でありますから、これ以上深追いはいたしません。(発言する者あり)どうですか、わかりませんけれども、一億円そのものがこの中に入っていると思いますけれども、できれば千分の二十二から千分の二十七の間ぐらいなのかなと私は思っておりましたけれども、それにどの程度上乗せになるかならないか、それはわかりません。
これはまたこれからの話し合いになっていくのかどうか、それでもまだ足りないというのか、それでどうこうということは、また真摯な話し合いによるのかな。これは通った場合ですからね。私はまだそこまでわかりません。このことをいっておきたい、こう思っております。そのことが気になるものですから、一応お話を承っておいたという段階の質問だということをご理解いただきたい、こう思っております。
以上が宿泊税の問題であります。いずれにせよ、冒頭申し上げたとおり、手続の問題、使い道、それからまた、協力をしていく業界に対する要望等、仮にこれが実現をする暁に、やはりその辺を酌み取っていかなければ合意と納得は得られないのかなという、そういう思いでこの問題について伺ったわけであります。
以上で、この宿泊税については終わりたいと思います。
項を変えて次の二番目は、外形標準課税の一例である銀行税の問題で、実は代表質問で私も気になったものですから、こういう社会経済環境の低迷している中にあって、多くの銀行が赤字決算を中間申告でしているということが--今回東京都が導入をした銀行課税、これは初年度は幾ら計上しましたっけ。
○鮎澤税制部長 約千四百億円でございます。
○鈴木委員 これまで納入をした総額はどのぐらいでございますか。
○鮎澤税制部長 約九百億円でございます。
○鈴木委員 そうすると、千四百引く九百、残りの五百億。この銀行課税というものは粗利益にかけるやつですから、これは赤字だとか黒字だとかという前の段階にかかってくるものだと私たちは理解をしているんですけれども、しかし、これはよく調べてみると、どうも違うんじゃないかというように、私は勉強した結果感じ取った一人なんですが、残り五百というのは入るんですか。
○鮎澤税制部長 法人二税の十一月のいわゆる中間申告の申告状況につきましては、銀行業を含めまして現在集計中でありまして、詳細な確定ができないところでございますが、銀行業は、先生がおっしゃったとおり、十三年三月期に続きまして、さらに九月の中間決算も不良債権処理の拡大とか、あるいは株価の大幅下落などによりまして赤字決算というふうになっております。
これによりまして、銀行業に対する外形標準課税の中間申告分、五百億の部分でございますけれども、かなり影響が出るというふうに考えております。
○鈴木委員 我が党に公認会計士もいるものですから、よく計算してもらったんです。そうしたらば、どうも丸々入ってこない、こういう試算を組み立てることができたと私は報告を聞きました。確かに、黒字決算行というのは七行しかありませんから。東京三菱、第一勧銀等々七行、それから若干。これは率直にいってください。これは三けたの位が入るのかしら。それとも、どういう規模で、これから若干入るのか、お答えできますか。
〔近藤副委員長退席、委員長着席〕
○鮎澤税制部長 先ほど申し上げましたように、現在、十一月の申告状況については集計中でございますので、確たるところがなかなか申し上げられないわけでございますが、感じといたしましては、今回、十一月で入る分が二けたなのか三けたなのかということでございますれば、三けたぐらいは入るだろう、三けたの単位では入るのではないかというふうに思っております。
○鈴木委員 これは大事な答弁なんですよ。三けたも、これは千に近い三けたではなくて、限りなく百に近い三けただと私は専門家から聞いているんですよね。ですから、残り四百が、あらあらあら、これはもしかしたらば入らないんじゃないかという、こういう歳入欠陥のおそれが出てくるのではないかなと私は推察をするんです。専門家から聞いておりますから、それに対するお答えはどうでしょう。
○鮎澤税制部長 今後の都税収入全体の話でございますけれども、十月末現在で、前年度に対しまして千七百四十五億円、七・一%、予算を上回っている状況でございます。
現在のところ、そういったわけで予算に対しましては堅調に推移しております。しかしながら、最近の極めて厳しい経済環境を勘案し、また、お話のございます外形標準課税の減収ということも考え合わせますと、今後、税収の伸び率の低下は避けられず、当初予算額の確保は予断を許さない状況にあるというふうに考えております。
○鈴木委員 ですから、こういうことなんじゃないかな。残り四百億近いのが今年度税収として入らないと仮定すると、部長、これは来年度に入る見込みはあるんでしょうか、どうなんですか。
○鮎澤税制部長 十一月の中間決算につきましては一種の予納という形をとっておりますので、十四年度につきましてはその分が回ってお支払いをいただけるということでございます。
○鈴木委員 その根拠について、ちょっと税法上、教えていただけるかしら。
○鮎澤税制部長 中間申告をして、年の途中で納めておくということでございますので、外形標準課税の一年分の税額というのは変わらないわけでございますので、その分は十四年の三月期のところで、来年度の税収になるわけでございますけれども、それが納付されるということでございます。
○鈴木委員 そうすると、今年度の四百億が来年度にシフトすると、来年は、今のところ銀行課税は一千億といわれていますから、一千四百億円を計上するという理論構成が成り立つんですが、これはそうなるんですか。
○鮎澤税制部長 ずうっとめぐっていきますので、最終的なところで、五年後でございますけれども、整理がつくということでございます。
○鈴木委員 要するに、五年の時限立法だから、最終的にぐるぐるっというわけに私は理解をいたしましたが、しかし今、訴訟が行われている。判決が下されるのは来年の三月二十六日と聞いています。一審、微妙な判決が出るのか出ないか、それはわかりませんけれども、この見通しについては、局長、今のところどう考えているのかしら。この辺はどうですか、率直に。
○安間主税局長 現在、訴訟においては、事業税の性格、あるいは業務粗利益を課税標準としたことの是非等について争点にしまして審理が進められておりまして、これまでに六回、弁論が行われております。来年一月に結審する予定でございまして、三月二十六日に判決がいい渡される予定となっております。
これまでこの条例につきましては正当性を一貫して口頭弁論の場でも主張してまいりまして、それが認められるものと考えておりますが、現在の段階では、裁判所の判断でございますので、それ以上は申し上げられないという状況でございます。
○鈴木委員 それはそうですよね。とにかく我々としては勝ってもらわないことには、我々も協力をしてやってきたわけでありますから。しかし、万に一つ負けた場合は、完璧につけて返さなきゃならないという論理構成もできるわけですよね。(「上級審があるよ」と呼ぶ者あり)控訴、上告して、それが終わってどうなるか、まだわからないわけでありまして、かたずをのんで実は見守っているわけでありまして(「変わっているんだ、あの裁判はね」と呼ぶ者あり)そうなんだけれどもね、小田急の判決をした裁判だから。三十一行のうち二十一行がやっているわけですよね。そういうこともあれやこれや考えると、本当に私自身も第一審の判決をかたずをのんで見守っているという状況下であるということをお伝えしておきたい、こう思っております。
いずれにせよ、単年度に見積もった税収が単年度に入らないということ、これがやはり私たちも大変気になることであったがゆえにこの質問を実はしたわけでございまして、こういうことが今後ともいろんな面で、御局は歳入を所管する局でありますから、この辺の見通しというものをやはりがっちりと捕捉をしながら進んでいただきたいというふうに思うがゆえの、そういう思いでの私の質問であります。重箱の隅をつっつくとか、そういう観点での質問ではありません。
四百億円の歳入欠陥といえば大変な問題でありますから、入るべき予算を組み立てたのが、経済社会状況の影響があったかもしれませんけれども、現にそれが入らなくなってしまったという、この大きな動きというものは大変な問題だと私は指摘をして、この項の質問を終わりたいと思います。また後日、これは指摘をしなければならないときが来るかもしれません。きょうは以上でとめ置きたいと思います。
○北城委員 新税でありますけれども、新税というのは、どのような新税であっても、このような社会経済状況下におきましては、納税者に新しい負担を求めるものでありますから、納税者、また関連業界の方々には、やはり十二分なる説明をする責任が行政にはあろうと、私はこんなふうに思っておる一人であります。
また同時に、法定外目的税として提案をされたわけであります。申し上げるまでもなく、政策課題を実現していく上で、税制面で支援をしていくわけでありますから、今回の質疑は、法定外目的税というような原点に立ち返って若干の質疑をさせてもらいたい、こんなふうに思っているわけであります。
当初、都税調で答申をされた段階におきましては、ホテル税としまして法定外普通税として提案をされてきた、こんなふうに思うわけでありますけれども、今日は目的税として提案をされてきた。その間、事業主体でありまする産業労働局とどのような議論をなされ、また調整をなされ今日に至ったのかご報告を願いたい、こんなふうに思います。
○鮎澤税制部長 都税調答申のホテル税につきましては、東京を訪れる旅行者等が、都が提供しているさまざまな行政サービスを受けている面や、あるいは国際都市としての魅力を高めるための施策が広範に存在することなどから、税収使途を特定しない法定外普通税として提言されております。
その後、主税局において都税調答申で提言されましたホテル税を土台といたしまして、産業労働局とも連携、協議を重ね、観光産業振興施策の検討状況を見きわめながら検討を重ねてきたところでございます。
これらの検討の結果、宿泊税につきましては、観光振興に使途を限定した法定外目的税としたこと、また、観光振興の効果が十分上がる財源を確保するために一定の税収規模を維持するということのため、二段階の税率を設定いたしまして、今回の条例案をご提案申し上げているところでございます。
○北城委員 法定外普通税から法定外目的税、そこに大変重要な意味があるのかな、こんなふうに思っております。と申しますのは、法定外目的税として提案をするということに関しましては、行政側が観光振興を責任を持って推進し、実現していくという新たな責任が発生するであろうと私は思いますけれども、この点につきましてのご見解をお伺いしたい。
○鮎澤税制部長 宿泊税ということで新たな負担を求め、その税源を投入いたしまして観光振興を行っていくということでございますから、行政としては観光振興につきまして大きな責任を負っているということを強く痛感するところでございます。
○北城委員 そうしますると、目標が外国人旅行者を五年で倍増、二百七十七万から六百万に、これが最終目標ですよね、そううたってあるんですから。そして、さまざまな委員からさまざまな議論がなされたわけでありますけれども、観光予算の対比ということで、平成十三年度におきましては観光関連予算が約九億二千万、そのうちユースホステル管理運営費が五億二千万、実質的に四億、観光関連の予算で使用される。
そしてまた、平成十四年度の要求ベースにおきましては約二十五億六千万、そして、そのうちユースホステルの管理運営費が二億、そして宿泊税収が平年度ベースで十五億円。すなわち、東京都の観光振興に対する財政支出は八億六千万であります。
もちろん、財源の大小によってその効果が発揮でき得るかどうかという議論はしたくありません。しかし、このような予算の中で、本当に観光振興の所期の目的が達成でき得ると主税局の立場としては思っておられるのかどうか、ご見解をお伺いしたい。
○鮎澤税制部長 平成十四年度の観光振興プランに関連いたします財源につきましては、要求ベースでございますけれども、二十四億円ということで要求されておりまして、現在の四億円ということをベースといたしますと、六倍の財源を新たに投入して観光振興をやっていこうということでございます。こういった形で観光振興の実が十四年度以降上がっていくというふうに考えております。
○北城委員 これ以上この点につきましての議論は避けますけれども、宿泊税収が十五億円、平年的ベースがあるんですよね。ですから、実質的には、今指摘をしたような数字しか東京都の財政支出はないということも明らかなわけであります。この点はこの辺で終了させてもらいたいと思います。
たまたま私は、この間、私の知っておりまする観光関連の業者と個人的にお話をさせてもらいました。こんなお話をお伺いいたしました。それは、本当に東京都が観光振興を本腰でしてくださるならば、積極的なというような表現ではなくても、それなりの賛成をする方向で考えているよ、こんな話でございました。
しかしながら、ある一方では、本当に東京都は観光振興を本腰を入れてやってくれるのかどうか、やはり心配です、こんな話もあるわけでございます。私もそのとおりなのかなと思わざるを得ないわけであります。
平成十四年度の重要施策が発表されました。六つの政策課題、そして二十二の重要施策、それを実現していくために百二十五の事業が選定されたわけであります。
観光振興という文字をこの中から探しました。重要施策の六番目、東京産業の育成云々、四行あります。そして、観光産業の振興ということで出てくるのは、事業の中で上から三行目の七文字であります。
もし法定外目的税として創設をし、行政の責任を果たす役割があるとしたならば、当然の結果、このような重要施策の中にも、二十四プラス一ぐらいの重要施策の項目の中に入ってしかるべき課題なのかなと、私はこんなふうに思わざるを得ないわけでございます。この点につきまして、主税局としましてのご見解をお伺いしたい、こんなふうに思います。
○鮎澤税制部長 重要施策の中にこういった形で入っているということにつきましては、私は所管局でございませんので、ちょっとつまびらかにできないところでございますが、私どもが日ごろから連携をとっております産業労働局におきましては、この観光施策の拡充を十四年度はぜひとも実現したいということで取り組んでいるということを、私もひしひしと感じているところでございます。
○北城委員 最後にさせてもらいますけれども、法定外目的税の創設を契機にいたしまして、私はある意味では主税局に新たな責任が発生をしたのかなと、こんなふうに思っております。
と申しますのは、新税を創設し、また、徴税するというような役割だけではなくて、その政策が本当に進ちょくをしているのか、また、実現をしているのか、やはり主税局として責任を持って検証する責任が発生したのかなと、こんなふうに思わざるを得ないわけであります。
そのような視点に立ち返りまして、今後事業を推進しまする産業労働局と十二分なる連携をとって、そのような検証をすることが主税局の責任であろうと思いますけれども、この点につきまして局長のご見解をお伺いし、私の質疑を終了させてもらいたいと思います。
○安間主税局長 北城委員から今、目的税ということを前提にした歳入所管局としての主税局の役割についてご指摘がございました。これは、まさにそのとおりだと思います。業界の方々とお話をしていましても、どうも産業労働局と主税局は縦割りで、連携がないんじゃないかという厳しいご指摘もいただいております。
まさに、これから、仮にこの条例が通りましたら、具体的に施策の内容、あるいは税収の使途その他につきまして、関係業界のご理解をいただきながら進めなければできない事業だというふうに思っておりますので、今後ますます産業労働局との連携を深め、そして、我々はこの税をせっかくつくるわけですから、その税の目的がきちっと果たされる、そして効果が上がるということをきちっと見届けたいというふうに願っておりますので、産業労働局との連携を、局の垣根を越えて十分に進めていきたいと思っております。
○矢島委員 知事が、にぎわいのある東京を創生して、そこにたくさんの方に来ていただいて喜んでいただきたい、そういう取り組みをするときに、その受け皿となる組織の位置づけを見直すことは必要ですし、また、厳しい財政状況の中で財源をどうするかということを考えていくと、法定外目的税というのも重要な選択肢の一つ。そうやって見ていきますと、必然的な流れで現在の状況は来たかなと思います。
そこで、重要になるのは、条例の具体化のプロセスということになろうかと思います。今、北城委員が質問されまして、私も同じ疑問を持っておりますので、大概のところは答えていただいておるんですけれども、法定外目的税一般論として、いわば主税局の位置づけが、今までの賦課課税を中心にしたところから政策に踏み込んでいくという、一つの大きな変わり目の接点になったのかなというふうに思います。
ですから、この間どういうふうに取り組んできたかというのが、主税局と今後のあり方を、主税局だけではなくて東京都の事業運営のあり方の基礎の一番大切なところの性格を決めていくんじゃないか、このように思っております。
ですから、先ほどの北城委員と同じなんですけれども、この大きな変わり目がどういうふうに変わって、主税局の役割が変わっていこうとしているのか、法定外目的税の宿泊税ということではなくて、一般論としてどういうふうにお考えか、まずそこをお伺いいたします。
○佐藤総務部長 主税局でございますけれども、第一の使命は、歳入の大宗を占めます都税を所管する局といたしまして、公平、適正な課税徴収により都税収入を確保するということがまずもって重要な使命でございます。
しかしながら、地方の自主性、主体性を尊重する観点から、税源移譲や法定外税など課税自主権を行使するための地方税制のあり方を検討し、実現を図っていくということも、地方主権の時代にふさわしい歳入所管局としての重要な役割であるというふうに認識しております。
○矢島委員 税調の審議も重要な政策過程でありますけれども、いわば条例化をするのも、主税局として政策を取り込んでいかなきゃいけないという意味で、これも重要な政策過程の一つと、こういうことになろうかと思います。
先ほどからの議論を聞いておりまして、宿泊税条例化のプロセスが、目的税として税額のボリュームからそれが決まってきたのか、免税点と税額から十五億となったのか、これはよく考えれば両方の相互作用の中で議論がされて出てきたんだろうと思いますが、ただ、政策当局としてどういう仕組みで取り組んできたかということが大変重要なことだと思います。
個人的にいって、必要なときが生まれたから協議会を設けたのか、それとも、そのポイント、ポイントごとに何人かで協議して進めていったのか、その辺のところはいかがでしょうか。
○佐藤総務部長 今回の宿泊税条例の検討に当たりましては、観光振興を所管する産業労働局と特に協議機関を設けて検討してまいったというわけではありませんが、随時会議などを行っております。
また、諸外国の観光施設の状況、国内他都市の観光施設の実態、都内の宿泊施設の実態などにつきまして情報交換を行っているほか、東京の観光振興のための施策や必要な財源のあり方等についても頻繁に協議を行うなど、常に緊密な連携をとって検討しているところでございます。
○矢島委員 主税の大変な経験は、賦課をし、それを徴収して、都民の方から納めていただく、この中に大変な経験と努力と苦労があろうかと思います。
そこで、一方で法定外目的税というものを導入するわけですから、納税者にとっていかに理解ができるかという努力が大変重要になると思います。ということになりますと、例えば、納税しやすい環境をつくっていく、政策の前倒し、こういうことが重要になってくると思いますが、この点についてはどのようにお考えですか。
○佐藤総務部長 本来、施策の内容とそれを遂行するための財源確保のあり方とは車の両輪ともいうべきものでございまして、常に双方に目配りをしながら検討されるべきものと考えております。
確かに、ご指摘のとおり、施策を前倒しして進めますのも一つの考え方ではございますが、現在の都財政を取り巻く状況、東京の観光振興を図ることの重要性と優先度を勘案いたしまして、今回は新税の導入と施策の実施を同時に進めることが適当であるということでございます。
○矢島委員 全国一律の税金であればどこも一緒ですから、そういう意味からいえば、決まっていますよということで徴収は可能だと思います。しかし、法定外目的税ということになれば、一番心配なのはクレームとか不満、納税者あるいはそれに期待している人たちにとってのそういうことになろうと思います。
その環境というのは、地ならしは、さっきもありましたように、仕事としてしっかり取り組んで、そして有効な施策を打ち出してやっているんだということになるとすれば、お金が入ってきてから一緒にやるのではなくて、それを先に示していくというのは、この性格からいっても当然なことだろうと思います。今の答弁では不十分だと思いますが、私は今意見だけ申し上げておきます。
それから、これから自治体にとって独自の法定外税の導入をさらに高めていくことは、基本的には財政自主権の観点から非常に重要なことだと思いますが、先ほどお話がありましたように、しっかりした協議機関を設けないで進んできたというところに、今までの議論の縦割りと答弁の中の不満もたくさんあろうかと思います。
ですから、主税局として、新しい法定外目的税、あるいはそれ以外のこともおありでしょうけれども、所管のことにつきましては政策部局としっかりした協議機関を設け、お互いの深い理解と、そして先を見通した中で努めていくことが必要だと思います。そういう方式をとるべきだと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
○佐藤総務部長 ご指摘のとおりかと思います。各局横断的な施策を検討する際には、主税局も含めまして関係局が連携をし、協議の場を設けて検討していくことが重要であろうと考えております。
○矢島委員 主税局の今後の努力を大変期待するものでありますけれども、ちょうど私も選挙が終わって任期が始まったばかりですので、これからしっかり見ていますから、いったらやってください。
終わり。
○大西委員長 この際、お諮りいたします。
初めに、諮問第一号に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
次に、第百七十二号議案につきましては、本日はこの程度にとどめたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
これをもちまして財政委員会を閉会いたします。
午後四時四十二分散会
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