財政委員会速記録第十四号

平成十三年十月十一日(木曜日)
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長大西 英男君
副委員長近藤やよい君
副委員長鈴木貫太郎君
理事酒井 大史君
理事倉林 辰雄君
理事渡辺 康信君
矢島 千秋君
長橋 桂一君
真木  茂君
北城 貞治君
桜井良之助君
林  知二君
桜井  武君
藤田 愛子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長安樂  進君
技監畑野 喜邦君
経理部長佐藤 兼信君
契約調整担当部長中村 忠夫君
主計部長松澤 敏夫君
財産運用部長小野田 有君
参事矢口 幸一君
庁舎管理部長岡本 宏之君
営繕部長野本 孝三君
参事岸野  勇君
出納長室出納長大塚 俊郎君
副出納長小泉 克君
副出納長宮原 恒男君
会計制度担当部長中路 有一君

本日の会議に付した事件
 出納長室関係
  事務事業について(質疑)
 財務局関係
  事務事業について(質疑)

○大西委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、請願陳情について申し上げます。
 当委員会に付託されております請願陳情は、お手元配布の件名表のとおりであります。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、出納長室関係及び財務局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより出納長室関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○大西委員長 これより財務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求しました資料については、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤経理部長 それでは、私からは、資料第1号についてご説明いたします。
 最初に、一ページをお開き願います。
 資料第1号の中小企業受注実績でございます。これは、工事と物品の中小企業受注実績の過去五年間分を集計したものでございます。
 平成十二年度で見ますと、工事関係におきましては、件数八三・五%、金額で四八・一%が中小企業分となってございます。また、物品関係におきましては、件数八五・三%、金額で六三・四%が中小企業分となってございます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松澤主計部長 それでは引き続きまして、私の方からは、要求資料第2号から第4号までについてご説明を申し上げます。
 まず、二ページをお開きいただきたいと思いますが、資料第2号、平成十四年度予算の見積方針についてでございます。
 平成十四年度予算の見積方針につきましては、去る七月二十七日、三副知事名で依命通達として出したところでございますが、その中で、十四年度予算編成に当たっての基本的な考え方として、二つの大きな柱をお示ししたところでございます。
 この資料の一番目の基本的考え方にございますように、一つには、十四年度予算は、第一に、手を休めることなく、引き続き財政構造改革を全庁一丸となって推進することにより、財政再建の取り組みを確実に進める予算としなければならない、二つ目には、同時に、今日の都政は、首都東京を再生し、都民生活の不安を解消するために真に必要な施策を立案し、果敢に実行することが強く求められている、こうした新たな施策を着実に展開していくためには、財源を重点的、効率的に配分していくとともに、スクラップ・アンド・ビルドをこれまで以上に徹底し、その財源を生み出していくことが不可欠であるとしてございます。
 また、二番目の具体的な見積もりの原則としまして、ここに六つ掲げてございますが、六つ目のシーリングの実施につきましては、重要施策として立案するものや義務的経費はシーリングの対象外、また、経常的経費、投資的経費などその他の経費については、平成十三年度予算額に対しまして、それぞれ一〇%のマイナスシーリングとしているところでございます。
 次に、三ページの資料第3号、都債発行額、公債費、都債残高の推移、一般会計についてでございます。
 十年前の平成三年度から十三年度までの推移をお示ししてございますが、このうち、左の都債発行額では、平成四年度から急激に増加しまして、平成五年度には一兆五百八十五億円発行しましたが、現在、財政再建を進める中、十三年度予算では三千五百七十七億円の発行に抑制しております。
 また、公債費、年度末都債残高は、四年度以降の大量発行などによりまして、近年、いずれも増加してきておりまして、十三年度末の都債残高は、三年度末の約四・五倍の七兆六千八百八十六億円となっております。
 次に、四ページの資料第4号、普通建設事業の補助事業費と単独事業費の推移についてでございます。
 普通会計決算ベースで、三年度から十二年度までの過去十カ年の推移でお示ししてございますが、左から二番目の欄、普通建設事業費の総額では、五年度で二兆四百十九億円だったものが、十二年度では八千五百八十五億円にまで低下しております。
 また、その右の補助事業費、単独事業費では、過去ずっと単独事業費の割合が極めて高かったわけでございますが、十二年度ベースでは、補助事業費が二千八百八十二億円、単独事業費五千百六十九億円ということで、ほぼ補助が三分の一、単独が三分の二、このような割合になってございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○小野田財産運用部長 私からは、資料第5号から資料第7号について説明させていただきます。
 五ページの資料第5号をごらんいただきたいと存じます。
 これは、本年九月十三日現在の一般会計所管の未利用地の状況をお示ししたものでございます。都有財産のうち、未利用となっております土地につきまして、財務局所管分及び各局所管分に分けて、件数と面積を記載してございます。
 財務局所管分は二百二十五件、百八十六・九ヘクタール、各局所管分は三百四十八件、百十八・三ヘクタール、合計で五百七十三件、三百五・二ヘクタールでございます。
 続きまして、資料第6号に移ります。
 資料第6号は、財務局所管都有地の過去十年間の売り払い実績でございまして、平成三年度から平成十二年度に財務局が行いました土地の売り払いにつきまして、各年度ごとに件数、面積、金額をお示ししたものでございます。
 平成十二年度の実績は二百三十四件、十万六千余平方メートル、金額にいたしまして約三百十一億三千万円でございます。
 続きまして、恐縮でございます、資料第7号でございます。
 資料第7号は、土地信託配当金収入の計画と実績をお示ししたものでございます。
 財務局が所管しております新宿モノリス、両国シティコア及びコスモス青山の土地信託につきまして、所在地、事業開始年度及び信託配当金の計画額と実績額の累計を記載してございます。新宿モノリスは平成二年度から、両国シティコアは平成四年度から、コスモス青山は平成七年度からそれぞれ事業を開始しておりまして、平成十二年度までの配当金の合計額は、最下欄に記載のとおりでございます。
 資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大西委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、質疑を行います。
 発言を願います。

○倉林委員 局の事務事業として十四年度の予算編成、そして知事本部から出ております重要施策とも絡みまして、何点かお伺いをしていきたいと思います。
 ご案内のように、十四年度の予算編成は、景気も悪化していく中、税収の減収も見込まれておりまして、まさにそういう中で財政再建は正念場である、こういう大変重要な予算編成になっていくんだろうと思うわけでありますけれども、一方では、今年度は、新たに重要施策を予算編成の前に選定をするという方式が今回投入されているわけでありますけれども、私どもも一昨日、知事本部から重要施策の立案状況等について説明を受けました。この重要施策が十四年度の予算編成の過程の中でどういう形で組み込まれていくのか、また、都民にとって、予算面からどのような影響が出てくるのか、財政再建との絡みも含めて、私は大変重要なポイントだろうと思っております。
 そこで、お伺いいたしたいと思いますけれども、従来の予算編成方式で行ってきた財務局としては、こうした知事本部からの重要施策の立案をまとめたり選定したりして、一方では、それと並行して財務局で予算編成をするという、いわゆる二本立てといいましょうか、二頭立てといいましょうか、そういうやり方で進んでいくわけですけれども、実質的な面で編成を進める立場から、そういう意味では大変な苦労もあるんだろうと思うわけであります。
 そういうことも含めて、今回の重要施策の方式をどのように受けとめ、あるいはまた評価をしているのか、まず、その点についてお伺いしておきたいと思います。

○松澤主計部長 十四年度予算編成における重要施策との関連についてでございますが、ただいま先生からお話ありましたように、今回の方式は、予算査定に先立ちまして、重点的に実施すべき施策をあらかじめ重要施策ということで選定しまして、限りある予算や人員を優先的に措置しようというものでございます。
 従来から行ってきました、各局からの予算要求を財務局で調整して予算を編成するというような、いわゆる積み上げ方式を基本に置きながらも、今回、新たにトップマネジメントによる方式を加えたことによりまして、今後適切に進めていけば、これまで以上に効果の高い予算編成手法の一つになるのではないかと考えてございます。
 財務局としましては、重要施策の実現性を確保しつつ、財政構造改革の推進との両立を図りながら十四年度予算を編成していくことが、我々に与えられた任務であり、何よりも重要である、このように認識してございます。

○倉林委員 知事のリーダーシップのもとで新しい予算編成方式で進めていく、こういうことであります。当然そういうお答えになってくるんだろうと思っておりますけれども、小泉内閣も、そういう意味では経済財政諮問会議を活用して国の予算編成をしていく、そういうことのようでありますから、時代的にもそういうことなのかなと思うわけでありますけれども、そうした中で私が申し上げたいのは、重要施策の重要性とともに、十四年度予算編成で財務局が踏まえなければならないことは、現在の都財政は大変深刻な状況に直面をしているわけであります。
 先般、財務局が発表した収支見込みによりますと、今の財源不足の額は、このまま財政再建の手を休めれば、毎年度二千億から三千億にも上ると明らかにされているわけでありまして、安易に新規やレベルアップの施策をプラス要素として乗せていきますと、財源不足はさらに拡大をして、財政再建の道のりはますます厳しくなっていくんだろうと思うわけであります。
 知事本部の発表された今回の重要施策にかかわる経費の総額は、歳出ベースで、具体的には百八十八事業、五千四百四十四億円、新規事業で七十八事業、五百七十億円にも上るといわれております。これは、財政再建推進プランの目標としております財源確保の額にも匹敵する数字でありまして、立案された重要施策の選定をしっかりやり、また、それに見合う財源を、別途確実に措置をしていかなければなりませんし、その点では非常に危惧をするわけであります。
 そこで、こうした重要施策の財源は、十四年度の予算編成においてどのように確保していくのか、そこのところをお聞かせください。

○松澤主計部長 知事本部の方が本年六月に各局に通知しました重要施策の立案に当たっての基本方針では、重要施策の立案とともに、あわせましてスクラップ・アンド・ビルドの徹底が方針として掲げられているわけでございます。この中で、目的が達成された事業や時代に合わなくなった事業などについては、廃止や再構築を含め徹底した見直しを行うこと、このようにされております。
 こうしたことから、今回導入しました重要施策の方式では、その財源を原則としまして各局からのスクラップによって賄うものと受けとめておりますが、財務局としましても、これから十四年度予算の編成過程におきまして、財政再建の取り組みを確実に進める中、施策の見直し、再構築をこれまで以上に徹底することとあわせて、重要施策への必要な財源も確保していかなければならないと考えてございます。

○倉林委員 首都東京の再生や都民の福祉の向上のための重要施策を行っていくということは、もちろん私も大賛成でありますけれども、知事がさきに定例会で答弁されたとおり、重要施策については、さほどお金をかけずにできて、しかも効果の多いというような形でやることが基本だと考えております。
 また、部長さんが今答弁されたように、スクラップ・アンド・ビルドによって財源を生み出すということも、これまた当然大切なことだというふうに思っております。しかしながら、知事本部は、スクラップについては現時点では何ら示されておらないですよね。現時点では示されておりません。
 そして、もう一つ私が憂えておりますことは、重要施策が選定されていく中で、都財政が大変厳しい折に、重要施策の措置のために現存の必要な施策がスクラップされたり切り込まれやしないだろうか。率直にいって、私はこういう不安を抱いております。私も、そもそも重要施策という言葉自体が、言葉として合わないのじゃないのかなという気がいたしております。ということは、あたかも既存の政策は余り重要な意味を持っていませんよというふうにとられやしないだろうか、誤解を招きはしないだろうかという思いもするわけです。
 それはそれとして、いわゆる重要施策が施策の中で一番優先され、必要な施策はその次だと思われがちでありますけれども、私の見解の方が間違いであるとすれば、またご指摘いただければと思うんですが、そういう意味で松澤部長さんも、前任の中では、行政部長として具体的に多くの事業に取り組んでいただいていたわけでありますけれども、私など多摩地域では、南北道路あるいはモノレールの交通整備の問題とか、商店街の活性化の問題とか、多くの地域にとって大変重要な施策がたくさんあるわけであります。
 したがって、念を押しますけれども、重要施策を選定し予算化するために、それ以外の施策を一方的に削減するようなことはないでしょうか。もちろん、財政再建のために施策の見直し、再構築はそれぞれ必要だと思っておりますけれども、特にこの点についてお伺いをしておきたいと思います。

○松澤主計部長 財政再建の取り組みを確実なものとしていくためには、これまで進めてきましたように、都の行うすべての施策及びその実施体制につきまして、事業の存廃を含めた根本的な見直しを行うことが重要でございまして、民間または国や区市町村との役割分担の明確化、あるいは事業効果と財政負担の均衡の確保などの視点に立ちまして、あらゆる角度から精査、点検を行っていく考えでおります。
 しかし、一方で都財政が厳しい中におきましても、重要施策に限らず、ただいま先生からご指摘ありましたように、都民のために必要かつ不可欠な各種施策は低下させることなく引き続き予算措置することも、あわせて大切なことだというふうに思っております。
 したがいまして、ご指摘のあった今回の重要施策以外の施策を、重要施策の財源を生み出すことなどの理由のために、一方的、機械的に削減するという考えは、財務局として特には持っておりません。

○倉林委員 重要施策以外の施策を、重要施策の財源を生み出すなどのために、一方的に、機械的に削減することはない、そういう考えだということでありますけれども、この重要施策という新たな、いわゆる増要素が入ってきたことによって、財政再建推進プランとの関係ですけれども、プランの施策の見直しでは約二千四百億円の目標額を掲げているわけでありますが、十三年度予算ベースでは、この二年間で約七割の達成となっているわけであります。
 重要施策によって歳出規模が増加をし、あるいはまた財政再建の推進にブレーキがかかることはないのだろうか、その点、ちょっと危惧するわけですけれども、お聞かせいただきたいと思います。

○松澤主計部長 今回の重要施策に伴う経費は、先ほどお話がございましたように、各局からの立案段階で百八十八事業、五千四百四十四億円が出されておりまして、十四年度予算編成における新たな歳出の増加要素にはなってきております。
 ただ、この中には、十三年度からの既存事業や三カ年の推進プラン事業も含まれておりまして、また、これからの選定の中でどれだけ重要施策として絞り込むかによって、実質的な財政負担がどのくらい増加するかということになるわけでございます。
 いずれにしましても、現在都が取り組んでいる財政再建は、既存の施策を不断に見直し、必要な再構築を図ることによりまして歳出の抑制を図るとともに、時代状況が大きく変化する中にあって、今回の重要施策も含め、新たな都民ニーズにも的確に対応していくためのものでございます。
 したがいまして、不要不急な支出は思い切って削減するなど、めり張りのある予算を組むことによりまして、十四年度予算が正念場でもある財政再建がおくれることのないよう、積極的に取り組んでいきたいと考えております。

○倉林委員 今の都政には、首都東京に活力を取り戻し、また、都民が安心して暮らせるまちをつくり上げるために、真に必要な施策を実施していくということが強く求められているわけでありますけれども、十四年度予算では、既存の施策と重要施策とが相まって、東京に明るく輝かしい未来を開く予算とすべきだと思うわけであります。
 今、松澤部長からは、財政再建の推進にブレーキをかけないで積極的に進めていく、こういうお話もありましたが、最後に伺っておきたいと思いますけれども、十四年度予算編成においては、財政再建の取り組みと重要施策の実現が大きな課題となっているわけです。
 そこで、今回の重要施策方式の生みの親ともいうべき安樂財務局長に、今後の十四年度の予算に向けての決意といいましょうか抱負といいましょうか、お聞かせいただきたいと思います。

○安樂財務局長 重要施策の選定という新しい予算方式も含めてお話がございましたが、本来、予算要求というのは、局の総意に基づきまして自由に要求するというのが一般的な姿でありました。しかし、財政が厳しくなる中で、要求そのものを、前年度の一〇%減とかあるいは二〇%減の範囲内とするというような、いわゆるマイナスシーリングがとられるようになってきております。これは、財源を確実に捻出するという点で非常に効果的な手法であります。
 ただ、問題点もございます。といいますのは、局が何かすぐれた施策というものを立案して、例えば五億円の予算要求をしようといたしますと、現在シーリングがかけられておりますと、その五億円分を、局は自分の既定の事業の中から削って捻出するという、こういう非常に厳しい一面がございます。自分の身を食うということになってしまって、新しいすぐれた施策を出すということについて、若干、場合によっては消極的になってしまうというようなことも指摘されてきているんです。
 そこで今回、重要施策については、予算要求の段階でのシーリングを外そうと。すぐれた施策の立案を促すインセンティブというんですか、こういうものを与える方式を採用しようということになったわけであります。
 先ほどご指摘ありましたけれども、少ない経費で大きな効果を上げられる、こういう事業がある意味で本当にすぐれた施策であるというふうに思います。その点では、今回の方式では、事業局の政策立案能力といいますか、こういうのが非常に厳しく問われることになるというふうに思います。
 また、その財源が当然限られておりますので、出てきた重要施策が本当に重要施策であるのかどうか、こういう厳しい査定が今度は行われるわけですが、そういう査定に当たりましては、財務当局あるいは都の政策首脳というものの力量といいますか、そこでの査定能力というものも、やはり一面で問われるんだというふうに思います。
 また、先ほど委員からご指摘のありました既定事業のスクラップといっても、非常に重要なものが結構ありまして、簡単にそこを削減することによって財源を捻出するというのは、必ずしも口でいうほど易しくはございません。という意味では、議会ひいては都民の理解を得る、こういう努力が非常に必要になるというふうに思います。
 こういった非常に難しい問題が山積しております。委員のご指摘をいただいたとおりなんですが、ただ、これを乗り越えていかなければ財政再建ということはできない、予算も満足に編成ができないというような状況になります。これらのことを我々はきちっと肝に銘じながら、限られた財源を重点的、効率的に配分して、何よりもめり張りのある効果的な予算をつくるということで、現在努力しているところであります。これからも、都民の期待にこたえるような予算づくりに努力していきたいというふうに思っております。

○倉林委員 ただいま局長の財政再建に向けてのお話を聞きました。めり張りのある効果的予算編成をする決意を今お聞きしたわけですけれども、予算編成に当たっては、議会における議論にも十分に耳を傾けていただきたいと思います。特に、先ほど申し上げましたが、既存の重要な施策が切り捨てられたり、財政再建への影響を来さないように、重ねて議会の意向を十分踏まえていただきますことをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

○林委員 私は、財務局の経理部で行っております入札業務について、特に電子都庁といいますか、今一生懸命取り組んでいるんだろうと思いますが、そのシステム調達に関してお伺いをしたいと思います。
 たしか七、八年前に、パソコンを一円入札、中国地方の方の、広島だったんじゃないかなと思うんですが、一円入札ということで大変新聞にも取り上げられ、大きな話題になったことがあったと思います。また、その後も時に触れて、そうした超安値というか超低価格の落札があったというような記事を何回か目にしたんですけれども、たまたま九月二十日の新聞に、後で細かいことは申し上げますけれども、日立が七百五十円で落札したというような記事が出ておりました。
 こういう記事を見て、一般の都民の人たちが、都の入札業務とか都の行政に対して、どういう感じで受けとめているか、財務局としてはその点についてどういうふうに考えているか、まずお伺いしたいというのと、また、安値で落札した後、どういう経過をたどって、例えば企業はちゃんと採算がとれるように、その後は随意契約で仕事を取っていますよとか、そういう点でわかることがあれば、教えていただきたいんです。

○中村契約調整担当部長 一円入札--最近、財務局の契約でも、文書管理システムについて、七百五十円という安値の価格がございました。都民の声においても、電子メール等において、いわゆる不当な安い価格の入札について、いかがなものかというふうな苦情も寄せられております。ただ、いずれにいたしましても、現行の法体系においては、現在、委託業務においては最低制限価格というものを設けるような制度になっておりません。
 したがいまして、一定の要件を満たす範囲においては、価格競争で最低札をもって落札する、そういう制度になっているという状況でございますので、結果としては、低い価格で落札するということは余り好ましいことではありませんが、いずれにいたしましても、企業そのものの営業戦略とか、いろいろな角度からそういう札が入れられているのであろうということで、我々の方としては考えております。いずれにしても、現行制度上はやむを得ないというふうに考えております。

○林委員 ほかの自治体が安値で落札したとき、その後どうなっているかというのはお答えいただけなかったんですけれども、それはそれとして、今お話にあったように、二十日の新聞に、東京都の文書総合管理システムの開発委託を、日立が七百五十円で落札したと。そのちょうど一週間前に、日本電気が電子調達システムの開発委託を一千万円で落札しているわけですよね。
 これはちょっと初歩的なことではないかなと思うんですが、これが一週間ずれているわけですけれども、NECが落札した方は、総合評価の一般競争入札で行ったと。そしてまた、その一週間後に、総務局の文書総合管理システムの方は、一般的な、要するに一番安値で落札できるという指名競争入札でやった。この違いというか、その方式の選定を、どういうことに基づいて別々のやり方をしたか、その点と、それぞれ落札した業者に誓約書をとらせているわけですけれども、それはどういう意味合いを持つのか、教えていただきたいと思います。

○中村契約調整担当部長 電子調達システムの開発委託につきましては、都としては、システム開発としては初めて総合評価方式という方式をとりました。ちなみに、これは平成十一年に自治法の改正がありまして、価格競争以外の技術力をもって競争するという新しい制度ができましたので、できる案件があればやっていこうということで、今回、総合評価方式というものを採用いたしました。
 具体的な内容につきましては、国の方と東京都の方と今回方式が違いまして、国の方は、一般的には入札価格を技術点で割るという割り算方式でやっているんですが、それでいきますと、どうしても価格競争の部分が強くなりますので、今回、東京都の方式としては、よりもっと技術力を高く評価しようということで、価格評価点と技術評価点を五〇%の比率で分けまして、価格競争部分を半分に見たという総合評価方式をとりました。
 文書管理システムについて、なぜその方式をとらなかったかということでございますが、文書管理システムにつきましては、入札の条件として、既に文書管理システムのパッケージソフト、あるいはそういうノウハウがあるという業者について競争入札の参加を認めるという、厳しい入札条件がございますので、したがいまして、技術的な部分につきましては既に立証済みだという判断から、従来の価格競争方式をとっている、こういう違いでございます。
 それから、両方の業者につきまして誓約書をとったということでございますが、いずれにいたしましても、その価格でもってできるという状況は聞いております。それから、入札の札を開示するときに、まず、その価格で間違いがないのかどうか、それでもって確実な履行ができるかどうかという確認はしておりますが、それを確実に担保するという意味で、本来はとる必要はないかもしれませんが、今回につきましては誓約書を徴取いたしまして、確実な履行もそこで担保したということでございます。

○林委員 確かに、本来はとる必要はないわけですよね。今ある制度では、決して不正にやったとかそういうことは全然ないわけですから。
 それと、今の財務局の電子調達システムの方は、落札したのがNECで、これは一千万円、二番目が日立で百二万円、三番目が富士通で十万円。価格では、この富士通が一番安いわけですよね。ですから、総合評価でやらなければ、一般的にいえば九百九十万円、一千万で落とすよりは十万で落とした方が、税金は使わないで済むということになるわけです。
 同じように第八番目のIBMは、全く同じ都からの要求に対して、一億一千二百七十六万三千円で応札しているわけですよ。札を出しているわけですよね、価格を。また、総務局の文書総合管理システムの方は、この新聞に大きく出たように、日立が落札したわけですけれども、それは七百五十円。七百五十円というと、私は光が丘ですけれども、都庁を往復半ぐらいですよ、金額としては。富士通が二番目で八十二万円、IBMが百五十五万円、一番高かったのが東芝で、一億三千二百万円。
 これだけ差があると、そして、こうやって新聞に出ると、一般の都民の人たちは、七百五十円で落としても、どこかで必ず、民間企業ですから採算をとるんだろうと。あるいは、いい方は失礼かもしれませんけれども、東京都と何かの形で癒着して、どこかでツーペイにしちゃうんだろうという、記事を見て、受け方をするだろうと思うんです。それが、ある意味では行政不信につながっていくというふうに思います。
 そういう意味では、何らかの形で手だてをしてほしいなという気持ちなんですが、たまたま中央省庁の方も、ずっとこの電子調達システムの入札を繰り返しやってきて、昨年の八月からことしの八月までの間に、今お話しした、本当にこれは安値過ぎるというような件数が九件あるんですね。そうした流れの中で、ことしの一月三十一日には公正取引委員会が、こういう行動を続けていくと不当廉売に当たるのじゃないか、抵触するのじゃないかという注意をしているくらいなんです。
 その辺もぜひ考えていただきたいなと思いますし、また、NTTデータと日立、富士通、NEC、その四社で、中央省庁の方は、新規の契約はほとんど、六割から七割押さえているというふうに聞いています、業界の人から。そしてまた、継続の契約だとかあるいは保守運用の契約を含めますと、九割近くにも上るというふうに聞いているんです、ソフトウエアの業界の人からですね。
 そういうことを耳にすると、やはりどこかでつじつまというかツーペイにしてしまうのじゃないかなという危惧がありますし、また、一つのソフトを入れると、次、また整合性を持たせるためにはやはり同じ会社の方がいいというのもわかりますけれども、普通の感覚で考えて不自然だなということがあれば、誓約書をとったのも恐らくそういう部分からだと思いますので、何らかの形で手直しをしていただきたいなというふうに思います。
 今申し上げました、公正取引委員会の一月三十一日に出された勧告というか警鐘を鳴らした文言と、今回の日立の七百五十円で落とした、そしてまた、一週間前の入札では百二万円でやっていましたよね、それも含めて、どんな見解をお持ちでしょうか。

○中村契約調整担当部長 公正取引委員会から一月三十一日に、官公庁等の情報システム調達における安値受注についてということで意見が出ております。それによりますと、今後の対応としては、関係官庁における情報システムの調達方式の検討等により、官公庁等の情報システム調達における極端な安値受注の問題の改善が図られること、それについて期待していると。それから、公正取引委員会としては、今後とも官公庁等の情報システム市場における競争の状況を注視し、独占禁止法違反行為に対し厳正に対処する、そういうふうな意見が寄せられております。
 それから、今回の文書の七百五十円の調達とか、いわゆる低入札の関係についてでございますが、先ほどいいましたように、現行制度上は最低制限価格制度を設けることができませんので、結果としてはやむを得ないと思いますが、電子調達システムで総合評価方式を採用いたしましたが、今後は、いわゆる技術力を、あるいは中小企業に対しても、優良な中小企業も参加できるような、いずれにしても技術力をいかに高く評価するか、そういう点を踏まえた総合評価方式等も含めて、これから検討していきたいと思います。

○林委員 今回の総務局の文書総合管理システムにしても、ことしの入札の第一段階で、三月二十九日までに納めて稼働させるということだと聞いておりますし、また、来年度も四月までにということで、もう一回発注がなされるわけですよね。それがまた随契でやっていくなんていうことになると、やはり都民の不信を買うようなやり方じゃないかなというふうに思いますし、今部長がおっしゃったように、国は単純に割り算で総合評価していましたけれども、東京都は、それをもう少し公正にといいますか公平になるように、技術点も加味して、加算方式みたいなのでやっているわけですね。
 そしてまた、通産省なんかも最近、CMMとかという、アメリカのどこかの大学で開発した総合評価の方式を採用しているようでありますし、いろいろな評価の方式があるようですから、ぜひ研究していただいて、より公開されるような、公開というか中身がわかるような、七百五十円でだれだってできるとは思わないですよ。ですから、その部分も含めて、ぜひ入札の仕組みを研究していただきたいなというふうに思います。すぐにどうのということではないですけれども、これからこうした機会が多くなるだろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 終わります。

○長橋委員 私の方からは、委員会の資料要求として都債の状況、いわゆる発行額、公債費、都債残高の推移について要求をいたしましたので、調べました。というのは、本当に現在、国、日本全体、地方を問わず、国債や地方債の累計による長期債務の増大が一番大きな問題になっているわけでございます。都債という名前でございますけれども、中身はもとより借金でございます。借金を積み重ねれば、だんだんとみずからの首を締めていくということは、だれでもわかることでございます。これは都民でも、みずからの家計のやりくりの中で肌身に感じていることではないかと思います。
 こうした基本的なことからお伺いしますが、庶民感覚に立って、都債の場合はどうなっているのかということを明らかにするために、何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、本当に基本的なことでございますけれども、都債の目的や機能、そして発行の仕組みについて、改めて説明をお願いしたいと思います。

○松澤主計部長 都債についてでございますが、都債は、投資的経費などの財源を確保することを目的とするものでございまして、その機能といたしまして、二つございます。世代間の負担の公平を図ること、それから、財源の年度間調整を行う、大きく分けてこの二つがございます。
 まず、一つ目の世代間の負担の公平を図る機能についてでございますが、例えば道路を建設する場合、その道路を利用するのは、現在の住民だけではなく、将来の住民も、次世代の方も利用することになるわけでございますから、財源として都債を活用して、ローンみたいな形で償還していくということになりますが、そういう形にして、その償還費を将来の各世代にも負担していただくことにより世代間の公平を図ろうという機能でございます。
 もう一つ、次に、年度間の財源の調整を図る機能としましては、税収の急激な落ち込みなどに伴う財源の不足を補うことによりまして、必要な住民サービスの水準を維持するなど、計画的な財政運営を確保するための機能でございます。
 それから、都債の発行の仕組みについてでございますが、これは地方財政法などに基づきまして、発行に当たりまして、現在、国の許可が必要となっておりまして、平成十八年度から事前協議制ということになりますが、現在は国の許可が必要となっております。
 また、事業ごとの充当率が、例えば清掃施設だと何%とか、そういうような充当率が具体的に定められているなど、現状では、国による制約のもとで発行が認められるというような仕組みになっているところでございます。

○長橋委員 わかりました。
 ところで、要求した資料を見ますと、ここ十年間で、明らかに公債費、都債残高、ともに大変な増加をしていることがわかるわけでございます。十年前、三年度と十三年度を比べますと、公債費が二千三百十九億、それが十三年度は五千二百九十七億、約二・三倍に増加しているわけでございます。ちなみに、その前の十二年度、昨年は六千三十億と、六千億を突破しているわけでございます。また、都債残高を見ますと一兆六千九百四十一億円、これが七兆六千八百八十六億円と、さっき説明がありましたけれども、実に四・五倍に膨れ上がっているわけでございます。これは、平成四年度以降バブルがはじけて、その翌年、平成四年は三年の三倍以上になっておりますけれども、都債を大量に発行したことが、公債費、都債残高を大きくふやした原因、これは明らかでございます。
 資料では、三年度は二千二百六十六億円であった都債発行額が、ピークの二年後の五年度には一兆五百八十五億、一兆円を突破するという、急激に増加をしたわけでございます。その後も、十一年度までは高い水準を維持しているわけでございます。
 そこで、四年度以降、なぜ都債の大量発行を続けたのか、お伺いをいたします。

○松澤主計部長 平成四年度以降の都財政の状況は、いわゆるバブルの崩壊後の景気後退を受けまして、法人二税を中心に都税収入が大きく落ち込むなど、極めて厳しい状況に直面したわけでございます。例えば平成三年度に約四兆八千五百億円あった都税収入は、次の年、四年度には四兆三千八百億円、また、その次の年の五年度には四兆六百億円ということで、わずか二年間で約八千億円も減少したところでございます。
 このような状況の中、財政運営としまして、投資的経費の財源として都債を積極的に活用することにより、国と歩調を合わせまして景気対策に取り組むとともに、投資的経費に充当しておりました一般財源を経常経費の財源に振り向けるなどによりまして、都民サービスの水準を、また歳出水準を維持することにした、こういうことによるものでございます。

○長橋委員 今ご説明ありました、確かにその時々の社会情勢、都税の大幅な減収に応じて、税収が落ち込んでも投資的経費を賄わなきゃならない、歳出水準を維持していくための財政運営は必要だったということは認めます。四年度以降の都債の発行額の増加は、主に景気対策という国の要請に応じたことが大きなことであったと思います。これは理解できますけれども、都債の機能を考えて発行したということはわかりますけれども、これは、将来にわたって大変大きな都民の負担になることは明らかでございます。
 こうした都債の発行について、一つ留意しなければならないことがあると思います。東京都もそうであったわけですけれども、地方全体、日本全体が、地方財政全体として、地方債残高が大きく増加したわけでございます。地方全体が借金財政に陥っているといっても過言ではありません。
 しかしながら、聞くところによりますと、国は、こうした地方債の増加について一定の財政措置を講じているようですけれども、その内容はどんなものでございましょうか、お伺いします。

○松澤主計部長 ただいまお話ありましたように、国の景気対策やあるいは減税対策などのために発行した地方債につきましては、次年度以降、元利償還費が地方交付税の基準財政需要額に算入されるなど、これまで交付税措置が行われてきております。とりわけ景気対策のための補正予算における地方債の多くにつきましては、元利償還費が一〇〇%、全額が交付税に算入されるなど、通常の地方団体にとりましては手厚い財政措置が講じられているところでございます。
 しかし都は、ご案内のとおり、算定上、一貫して地方交付税の不交付団体でありまして、このような地方交付税措置を、実質的には一切受けることができない状況となっているわけでございます。

○長橋委員 確かに今の答弁を聞きますと、地方債を発行しても交付税でカバーできるということになるわけでございますけれども、地方にいわゆる財政出動させて景気対策を実施する、交付税制度を道具にして地方債の発行を促した国の意図というのを感じざるを得ません。
 しかしながら、地方交付税の不交付団体である東京都の場合は、このような交付税措置を受けることができないわけでございます。都債償還に伴う財政負担は、すべて都の負担になるわけであります。このような負担の増加は、大問題であるといわざるを得ません。
 十二年度から、都は、財政再建プランに基づく取り組みの中で都債を抑制してきております。十二年度は三千八百五十二億、そして十三年度予算では三千五百七十七億円まで減額をしたわけでございます。都債の抑制はやや遅きに失したとはいえ、正しい方向であったということは評価できると思います。
 しかし最大の問題は、景気対策の効果が本当にここに来て乏しく、景気の本格的な回復が見られない、今後もなかなか難しいということで、多額の都債だけが残ってしまうということになってしまいます。そして、都債のほとんどが十年満期一括償還ですから、来年度は、四年度以降大量発行した都債が、まさにこれから返済期を迎えるわけでございます。
 そこで、今後の都債償還額はどのように推移するのか、お伺いをいたします。

○松澤主計部長 ただいま先生ご指摘のとおり、平成四年度から民間債はすべて満期一括償還ということで、都債を発行しましてから十年目に満期を迎えるわけでございます。償還額から借りかえ額を除いた、その年度の実質的な財政負担額である実償還額について今後の推移を申し上げますと、平成十三年度予算では三千二百五十一億円である実償還額は、来年度、十四年度には五千五百十二億円に急増いたしまして、さらに十五年度には七千九百億円に達し、十六年度以降も六千億から七千億円程度という高い水準で推移するものと見込まれます。

○長橋委員 まさに大変な償還があるわけですけれども、こうした状況にありながら、一方で、緊急十兆円プロジェクトなどの大きな投資事業が打ち出されているわけでございます。今までも起債は、多くはハードの部分に使われてきて、都債の償還費が増大する中で、新たな借金は、ぎりぎり本当に必要なものに抑えなければいけなくなってきているわけでございます。本当に、さらにふえるのではないか、また、都民から見れば、これだけ借金があるのに大丈夫なのかという思いもあると思います。緊急でやらなければならない事業、施策があることは認めますけれども、だからこそ財政運営が大事になってくるわけでございまして、財務局の立場がますます重要になってくる、こういうふうに思います。
 知事も、こうした大プロジェクトは国費を投入させて、都財政の負担を重くすることなく対応したいといっているわけでございます。また一方、知事本部が取りまとめている重要施策の立案状況でも、やはり建設局の事業費が四割以上、大きなウエートを占めるなど、投資事業の要求が目立つようです。安易な都債での対応は問題と考えますけれども、見解を伺います。

○松澤主計部長 ただいまご答弁しましたように、今後、都債の償還費は高い水準で続いていくと見込まれるため、ご指摘のように、都債の発行を極力抑制しまして将来の財政負担を軽減することが、財政構造改革の重要な課題の一つとなっているわけでございます。
 今回、重要施策が各局から立案され、この中に投資的な経費としての施策も多く含まれているようでございますが、こうした財源として都債が活用できるとしましても、将来の償還費は、最終的には税によって賄わざるを得ないわけでございますから、先生ご指摘のとおり、安易な対応は避けなければならないと思っております。
 このため、選定された重要施策の財源につきましては、原則として各局からのスクラップによって賄うものと受けとめておりまして、また財務局としましても、これからの十四年度予算編成の過程におきまして、施策の見直し、再構築をこれまで以上に徹底する中で、必要な確保を図っていきたい、このように考えております。

○長橋委員 同時に、都債の発行を抑えるということで、事業の必要性を吟味しないで、やらないことはやらないなんていうことはないと思いますけれども、そこで、二十一世紀にふさわしい新しい財政運営の手法について、取り組みも進めていかなければならない。このままでのやり方では、重要施策の選定ということもありますけれども、大変なことになるわけでございます。
 例えば公共施設の整備を都債という借金で行うのではなくて、民間の知恵、または人材も活用して低廉良質なサービスを提供するという、いわゆるPFIの手法、新たな事業実施の手法も、これからは積極的に導入すべきではないかと私は思っております。
 さきの定例会でも知事が表明しましたように、来年度以降は都税収入が減る、こういうことも覚悟しなければならないほど、ますます財政は、経済環境は厳しくなっているわけでございます。このような状況の中で、借金体質から脱却して、財政の弾力性を取り戻して今後の都民ニーズに的確にこたえていくためには、都債の発行抑制に努めるとともに、本当にさまざまな創意工夫を凝らしていくことが大事であると思います。財政運営に当たって、安樂局長の見解をお伺いいたします。

○安樂財務局長 ただいま主計部長からもご答弁いたしましたけれども、余り遠くない平成十五年には、八千億というような都債の償還が起こります。その後も、その水準がしばらくは続くような感じになっております。将来の公債費負担の軽減を図るために、今から都債発行の抑制に取り組む必要があるというふうに思っております。
 また、最近の国の内外の経済状況は急速に悪化しておりまして、都税収入の伸びが期待できないという中で、今後とも歳出構造面、これはもう当然のことですが、内部努力の徹底であるとか、あるいは施策の見直しをこれまで以上に強力に進めたいとは思いますが、このほかに、ご指摘のように、例えば国費の確保というようなことも、昨年の十二月から、例えば道路整備のための無利子貸し付けというようなことを国にも要望しております。
 それから、道路財源の都の配分も非常に低いということで、都内のガソリンの売り上げが八%ぐらいあるにもかかわらず、半分ぐらいしか都に配分されていないというような問題もあります。こういうことにつきましても、これから取り組みを強めていきたいというふうに思っております。
 こうした取り組みのメニューにつきましては、平成十一年に策定いたしました財政再建計画の中で総合的に定めております。あとは、これを我々が断固として実施していくということだと思っております。これがこれからの成否にかかっていると思いますので、今後も全庁的な英知を集めまして、さまざまな工夫をしながら、全力で財政再建のために適切な財政運営に努めていきたいというふうに思っております。

○長橋委員 今、安樂局長がおっしゃったとおり、財政運営というのは本当にさまざまな工夫を凝らしていく、抜本的に見直していく、そういうことでございまして、改めてPFIの手法というのは、私は大事になってくるのではないかなと、今後進められていく財政運営の抜本改革の一つの大きな柱になるのではないかと思いますし、抜本改革ということが、本当に景気対策につながりますし、財政構造改革につながっていく。
 そういうことで、財務局としても制度的な環境整備、今も国に対して働きかけていると思いますけれども、今までもやってきたと思いますけれども、さらに強力に制度改革を国に対しても進めていただきたいと思いますし、また、このPFIの手法を、投資的事業だけではなくて各種の事業に積極的に導入するよう取り組んでいただきたいことを要望して、私の発言を終わります。ありがとうございました。

○藤田委員 私も、何点か質問させていただきます。
 日本人は、約一千三百兆の預金を持っているというふうにいわれているわけです。そして、景気の約六〇%は消費動向によるというふうにいわれているわけです。しかし、現在の状況では、みんなが将来に対して不安があるということで、これを使わないというような状況になっているわけですけれども、社会的なセーフティーネットが地域社会の生活に対して対応して張りかえられれば、そこは解消されるのではないかというふうに思うわけです。
 地方財政の破綻は、ある意味では日本社会が破滅するというようなことになりはしないかというふうに思うわけですので、地方財政を倒産の危機から救済し再建することが、ひいては社会的セーフティーネットを充実させることになるというように思いますので、この視点から何点か質問をしたいと思います。
 九八年度の決算で一千億円を超える赤字を出したわけでありますけれども、都のほかにも、バブル経済崩壊後、財政危機に陥っている自治体が数多くあるわけです。その原因の一つに、依然として右肩上がりの経済に期待した財政運営を行ってきたことがありますし、特に景気対策と称する国の公共事業に、地方が、お金がないからといって安易に乗ってしまったというようなことが挙げられると思っています。
 しかし、現在の状況を見ますと、例えば財政構造の弾力性を示す指標といわれる経常収支比率で見ると、都を初めとして大阪、愛知、神奈川など、いわゆる財政力が高いといっている、強いといわれているような団体がそろって成績が悪くて、逆に収入の過半を交付税に頼っているような団体はそれがよいというような、非常に矛盾した状況になっているわけです。
 今までのような状況にありますと、財政再建団体というのは、大体福岡の赤池町のような状況の中で、炭鉱のまちであるとか、貧困という中で財政再建団体に陥っているわけですけれども、なかなか今の状況はそういう状況ではないというようなことが、一つ大きな違いがあるのではないかというふうに思うわけです。
 こういうふうに、現在の地方財政の危機は、多分に古い制度、脆弱な財政構造によるものであるというふうにもいえますし、財政を再建して地方分権を進めるためには、当然税源移譲など地方税財政の抜本的な改革が必要になるわけであります。税源移譲は国や他の自治体とも関係する課題で、これがまずきちっとなされなければいけないわけです。前回の財政再建推進プランの中にも、国からの移譲分は一千七百億というふうに書いてありましたけれども、ただ、これは待っていてもしようがないので、そういう意味では、都独自できちっと早急に取り組むという、こういう課題がたくさんあるというふうに思います。
 一つは都債の抑制、一つは第三セクターとバランスシートづくり、もう一つは行政評価制度を活用した予算編成、これらを住民にもっとわかりやすく公表する方法というのが、情報公開という観点からも重要になってくると思っているわけです。
 都債の抑制については、私も代表質問の中で、起債制限条例の制定を積極的に検討すべきであるというふうに質問をしたところですけれども、都は、バブルの崩壊後、多額の都債を発行し続けて、その償還が今後の財政を大きく圧迫するということは、まさにそのとおりなわけです。
 ちなみに、バブルがはじけようとする九一年度決算の投資的経費の総額は一兆七千七百五億円、その財源として、一般財源は一兆二千百八億円、都債は九百七十四億円。すなわち六八%程度が一般財源だったわけです。ところが、一九九五年の一般財源の比重は二二%に減少している。私は、いろいろな意味があるかと思いますけれども、この年は非常にターニングポイントではなかったのかなというふうに思うんですね。その後、十八年ぶりに赤字を計上した九八年度決算では、投資的経費の総額が一兆二千三百五十八億に減少したけれども、充当できた一般財源は二千三百八十二億円にとどまっていて、その分、都債が六千二百十八億円と、九一年のバブルがはじけようとするときからすると六倍以上にふえている。こういう状況になって、この年に決算上の赤字を、ついに計上せざるを得なくなったわけですよね。
 また、これまで自治省が行ってきた起債の許可制度、これが二〇〇六年から協議制に変わりますよね。そうなると、国の規制がなくなるという点では非常に評価ができるんですけれども、また、ある意味では都債の発行に歯どめがかけられるのかどうか、この辺もちょっと問題になってくると思いますし、それから自治体の財務状況をもとに、私は、これから地方債のいわゆる格付ということが非常に大きな問題になってくるかと思いますので、そうなりますと、本当に必要があるときに起債ができなくなる、こういうような状況にもなってくるんだと思うんです。そこで、代表質問のときにいいましたように、やはり起債制限の状況にしておかなくては、きちっと決まりをつくっておかないといけないのじゃないかなというふうに思ったわけです。
 もう一つは第三セクターについてですけれども、施策の見直しの中で、監理団体に対する見直しももちろん行ってきたわけです。しかし、この結果として、見直しはまだまだ不十分であったというふうにいわざるを得ないと思います。
 三月に公表されました「機能するバランスシート」によって、それまでは黒字運営で来ていると思っていた国際フォーラムも、実は年間八十九億の赤字が出ていたと、損失解消の見込みのない事業であったということで、非常に問題があるというふうに思うわけです。
 また、先ごろの多摩ニュータウン事業で、民事再生をしなければならないというような状況を生み出しているわけです。バランスシートづくりは私たちも提案をしてまいりましたけれども、国際フォーラムでわかったように、こういうふうにきちっと適切に活用されなければ意味がないと。利潤を追求する企業におけるようなバランスシートは必要ないわけですので、私は、今後は重要な事業ごとにバランスシートを作成したり、監理団体については、都との連結財務諸表をつくるという取り組みを積極的に進めるべきというふうに考えています。
 連結決算についても、二年ぐらい前になるかと思いますが、一般質問の中でご提案申し上げているんですけれども、この辺について、どんなような状況になっているのか、お答えいただきたいと思います。

○松澤主計部長 今お話がございましたように、本年の三月に、中地東京都参与を中心とします専門チームによりまして、現行会計制度に民間企業の経営手法を取り入れ、貸借対照表、行政コスト計算書などの財務諸表を作成し活用することについて、貴重な提言があったところでございます。
 この報告書においては、今お話ありました東京国際フォーラムなどの文化施設についての事業別バランスシートの作成や、監理団体とも連結した貸借対照表が明らかにされております。
 そういうこともありまして、今後、「機能するバランスシート」と題されましたこの提言を十分踏まえまして、都がみずから作成するためのマニュアルを整備しまして、今お話がありましたように、主要な事業の実態を明らかにしていくとともに、行政評価制度とも連携して、財政運営についても積極的に活用していきたいと考えております。
 また、監理団体も含めた連結貸借対照表の作成についても引き続き行いまして、都全体の資産総額や負債総額を明らかにしてまいりたいと思っております。

○藤田委員 バランスシートは、今お話があったように、決算を通じて都の事業の実態を明らかにするという点では、大きな効果があったわけです。しかし、年度開始前に議会の審議に付される予算でございますけれども、予算の関係書類ということで、ちょっとお話を伺いたいと思います。
 現在の予算関係の書類は、法令に従って分類、整理をされて公表されていますので、まず一つ、このスタイルは実際には変えることができないわけなんですけれども、今この予算書を見ますと、私が素人であるということを除いても、例えば一つの事業の項目を見たときに、この予算について、例えば後年度にどのくらいの財政負担を伴うものかとか、施設が新設の場合には、完成後にどのくらいのランニングコストがかかるのかとか、人件費なども、そこにどれだけの人がついてくるのかというような、いわゆるトータルでその事業が見られるというような状況にはなかなかなっていないわけなんですね。
 ですから、いつもいつもこの予算書を見たときには、本当に会計士であるとか専門家だったらよくわかるし、この中でも、その職についていらっしゃる方は、一遍でそれを見たらわかるんだと思うんですが、公債費をいわゆる収入の部に入れてしまうような感覚ですと、借金も収入よというのは、やっぱり普通の家計の感覚といいますか、それとは違うわけですよね。そういう感覚はやはり一般都民の方々にも、自分たちが得ている税による施策はどのくらいのものであるか--よくいわれるんですけれども、もっと、例えば保育に関してはどれだけお金がかかっているんだよ、ゼロ歳児保育はこんなにかかっているんだよ、幼稚園はこんなだよと、そういうのをわかるようにしてくださいといっても、そこが全然見えてこないわけで、一つの形で数字がぼんと出るという、それだけではなかなか予算として見えにくいというふうに思うわけです。
 決算ではバランスシートを作成し始めているわけですけれども、予算は古いスタイルのままというと、どうもなかなかそこがうまく--ちぐはぐだなというふうに思うわけです。今後、主要な事業について、こういう現行のスタイルの欠点を改善して、法定様式に加えて、私は備考欄でもいいんだと思うんですけれども、都民にわかりやすい公表の仕方を検討すべきであるというふうに思うわけです。
 ただ、端から端までどれだけできるか。数え方によって違うようですけれども、千九百から五千ぐらい事業があるというふうにいわれたら、全部やるのといったら、なかなかそれは難しいと思いますから、ある意味では、九日に発表された重要施策だけでも実行に移すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 議会に提出する公式の予算説明書につきましては、ご案内のとおり自治法等で決まっておりますので、その基準が定められておりますので、おっしゃるとおり、かなり専門的といいますか難しい部分もありますが、これに沿って都も作成をしているところでございます。
 そういうことで、こういうものとはまた別途に、都民の方あるいはいろいろな方にわかりやすく予算をご理解いただくということで、予算の公表に当たりましては、よりわかりやすい内容とすることを目指して、これまでも予算案の概要とか、その中で、今お話のありました行政サービスとコストの関係とか、そういうのをいろいろな事業ごととか、保育園にどれだけ税と自己負担がかかっているかとか、一人当たりとか、わかりやすく、そういうような形でやってきておりますし、また、「広報東京都」の予算特集号におきましても、主要事業を個別説明という形で、例えば中小企業対策の商店街ではどういうふうになっているかとか、そういうような形で充実させるなど、工夫は凝らしてきたところでございます。
 ただ、これだけで当然十分ということではございませんので、今後ともこうした取り組みを継続しまして、今お話のありました今回の重要施策を、例えばモデルケースにすることも含めまして、各事業のコストや効果など事業の全体像が一層明確になるよう、都民の目線に立った形で、財政広報というものを充実して取り組んでまいりたいと考えています。

○藤田委員 単年度のやり方ですので、なかなか後年度負担というのがすぐ見えてこないという状況があるわけですけれども、ぜひそこはいい工夫をして、わかりやすい予算書をつくっていただきたいというふうに思います。
 一点だけちょっと確認をしたいんですが、先ほどもお話ありましたけれども、重要施策についてです。その中で、実は知事部局でヒアリングをしたときに、予算の枠は決めていないというふうにいわれたんですけれども、その確認でよろしゅうございますか。

○松澤主計部長 重要施策につきましては、先ほども答弁いたしましたように、まず各局が立案する際においては、シーリングの対象外という形で、自由に立案するというような形になっております。この前立案されたものを、出されたものを、これから政策会議等も含めまして、また議会の方からもいろいろなご意見をいただいて、選んでいくといいますか選定していくわけでございますが、それにつきましては、基本的には、現段階では国のような何とか枠で上限が幾らとか、そういうような形で限度額とか予算の枠を別途設定するようなことはしておりません。

○藤田委員 そういうことになりますと、本当に重要施策なのかなというような感じがちょっとしたんですよね。そうすると、目玉的なものを何にしようかというような思いばかりで、本当に行政施策は何なのかという議論をしたのかなというのが、私にはちょっとその中で、なかなか見えにくいといいますか--病院改革のときには、実は、本来的にいって行政医療とはどういうことかということが随分根本から語られたというふうになっていて、不採算も含めて、どういうことを提供していくのが行政医療かということを、あの中では、検討委員会の中で検討したというふうに書いてあるんですけれども、重要施策といったときに、本来の行政施策は何なのかということ、すごく青臭いですけれども、もう一回議論をしていただいて、その中で、本来やるべきことは何なのかということをもう一回やらないと、さっきお話ししたような目玉的なもので、ボーンとぶち上げてしまう打ち上げ花火みたいになってしまうんだったら、本当に重要施策なのかなというのを、大変この点は気になりましたので、ぜひまた今後の議会も含めた検討の中で、もう一度、きちっと予算のことも含めて十分議論をしていきたいと思いますし、していただきたいというふうに思います。
 それから、財政再建を確実に達成させるために、都政運営において、私は、ISO的にいえばPDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクションでしょうか、このサイクルを確立する必要があるというふうに思っているわけです。行政の分野では、これまで予算が重視されて、決算は相対的に軽んじてきた感がありますけれども、一方では、民間企業ではやはり結果が求められて、常に実績が重視されている。行政における予算は、新しい一年、施策を通じて、どういうふうに都民にサービスをしていくかという約束をしているわけなんですね。
 この約束がきちんと果たされたのかというようなこと、それから、果たされたとしても、実施に当たって効率性が担保されているのかということ、いわゆる事前事後の施策評価の取り組み、そしてその取り組みと、事前事後の評価と予算がどういうふうに連動していくかという、このことが非常に重要な課題になってくると思うわけです。
 幸い、今年度から行政評価制度や自己検証システムの本格実施が開始されたというふうに聞いています。この制度には、まだ改良すべき点も多いというふうにいわれていまして、例えば、さっきもお話しいたしましたように、千九百から五千ぐらいの施策があるという中で、どれに行政評価をかけるかという、そうすると、それに対する事務量と、年間どのくらいの事務事業の評価ができるのかということや、行政評価の対象とする事業をどんな基準で選定していくのかとか、事務事業について実際には評価をしたんだけれども、何か場当たり的だったなというような、そんな問題点があるんだというふうに思うわけです。
 もちろん我々からすれば、端から端まで全部やってもらいたいことは確かなんですね。だけれども、その中でも、どうしてもここはやらなければならないというようなことは、これからの大きな課題であるわけです。
 今は、行政評価制度というのは実質的には知事本部が所管をしているということですけれども、これはやはり財務局も積極的に活用して、予算の編成との組み合わせ、どういうふうに連携をしていくのか、ここが非常にこれから大きな課題になってくるかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○松澤主計部長 財政再建を進める取り組みの中、また、効率的で効果的な財政運営を行うという面から、予算財政制度の見直しをあわせて行うことが必要になるわけでございますが、特にコスト管理、効率的な面も含めて徹底させるためには、今後、都民サービスのためのさまざまな事業を実施する、まず各局とか各部署が、予算要求や事業実施の過程を通じまして、みずからの責任と努力によって、都民が真に必要とするサービスを最も効果的に提供できるよう、施策事業の不断の見直しを行っていくことが必要でございます。
 今お話ありましたように、今年度から本格実施となった行政評価制度、それから、それぞれの各局が、それぞれみずからやる自己検証システム、そうした取り組みを制度的にサポートするものでございますので、財務局としましてもその評価結果を適切に活用して、また活用するということは、目標を設定して成果を重視するということにもなりますので、これを今後予算編成に反映していくことが重要である、こういうふうに考えております。

○藤田委員 実は例として出させていただくんですが、心の東京革命の施策をやろうというふうに生文が説明にいらしたときに、あいさつをさせようとか、いろいろありますよね。その中で、これを一年後どういうふうに評価するんですかとお尋ねしたんです。あいさつができている子が何人いますかってカウントするのかとか、そんないろいろなことを伺ったんですけれども、そういう意味では、結局できないわけですよね、行政評価が。実は今回の重要施策の中にも、心の東京革命をさらに七都県市に広げて、何かイベントを行っていくというようなことが入っているわけです。じゃあこれまでの一年間なり二年間なりやってきたことをきちっと評価をして、これがよかったからぜひ広げていこうよというふうにしたんですかといったら、何も答えができないわけなんですよね。
 ある意味では、行政評価をできないのであれば、もしかすると東京都に余る事業をやっているのじゃないかと、私は片っ方では思うんですね。やはり自分たちがやっていることを、きちっと事前事後やらないとだめなわけですよ。もしかしたら、それはもっと分権化して、地域に実際におろしていく事業なのかなというふうに思うわけです。
 これまで、財政が何でこんなふうになったのか、こういう状況になったのかというと、必ず収入が不安定だということで、法人二税に頼っているからだというお話があるんですけれども、法人二税に頼っているからというのはずっと昔からなんですよね。実際には、美濃部時代にこの経験はしているわけですよね。だから、ある意味ではとっても反省が足りないなというか、どういうふうにして--安定的にしていくのを、ためていくのか何するのか、そこのところはいろいろ工夫があるだろうと思うんですけれども、そういう不安定な要素をいつも、いやいや、ちょっと景気がよくなれば、少し今みたいなデフレスパイラルというようなことじゃなくて、ちょっとインフレに傾けばすぐ取り戻せるんだよというような、そういうことじゃないんじゃないかと思うんですよね。
 だから、その辺をいつもいつもシビアな目で見ていかないと、一番根幹になるところですので、そういう意味では、今お話しさせていただいたような分権時代にあって、分権推進委員会の中でもきちっと出ている税源移譲をやらなくちゃいけないわけですけれども、ただ、これを国に求めますよということだけじゃなくて、やはり今できることをきちっとやっていくということも重要だと思いますので、ぜひその辺、局長に感想をお聞かせいただいて、終わりにさせていただきます。

○安樂財務局長 先ほどの、委員会の中でもそのお話をちょっと申し上げたんですが、結局景気の変動というのがどうしても大きくある中で、法人二税のせいにするわけではないんですが、例えば税収がずうっと上がってきたときに、それでは歳出を使わないで、こんなにお金があるのに歳出を抑制するということが、実際に都民との関係、あるいは議会も含めてですけれども、可能かという問題があるんですね。結局、歳出というのは、歳入に合わせて伸び切っていくという傾向がどうしてもある中で、実際には、これは何年も続かないんだと、歳入も落ちてくるときがあるというふうには、みんな危惧はしているわけですね。
 しかし、なかなかそれを、我々も勇気が足りないんだと思いますけれども、抑制して、これは米百俵じゃないですけれども、将来のために備えるんだということが、予算がどうしても単年度主義ということもありまして、結構難しい課題だと思うんですね。
 そのシステムとしては、やはり起債のような年度間の調整とか、あるいは基金のような積み立てをしていくというようなことで、今まで何とか賄ってきたのじゃないかというふうに私は思うんです。そういう意味では、いろいろ苦労しながらも何とか財政運営をしてきたんだと思いますけれども、やはり一面では非常に綱渡りがあって、それをどういうふうに制度化するのかということは、恐らく国も成功していないと思いますし、地方制度の中でも、それだけの権限を与えられていないという問題があるのじゃないかと思います。研究対象としてよく考えてみたいと思います。

○藤田委員 局長のお言葉があったので、もう一言だけ--歳入と歳出の自治がないというのは、非常によくわかるんですね。ただそこで、どうしてもたくさんになったときに、税収が上がったときにためておく勇気というのは、やはり要るんですよね。議会やら何やらで、これだけお金があるのに、使いなさいといったから使いましたというのは、専門家としてはまずいわけですよね。
 ですから、そこは本当に勇気を持って、歳入と歳出の自治がないといわずに、自分たちでつくっていくという覚悟をぜひお持ちいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

○桜井(武)委員 私は、東京都の固有財産の中で未利用地の活用について伺います。
 要求した資料の五ページ、六ページにも関連しておりますが、昨年、財務局は財産利活用総合計画というものを策定しまして、未利用地の都有地に関する有効活用策を示したところでありますけれども、これに従って質問します。
 財務局が所管している未利用地の処分、活用を促進していく必要があるわけでありますが、財務局所管の未利用地の面積は、去年、部長がいいました財産利活用総合計画を策定した時点から見て、現在までにどのように変わってきているか、まず、この点を最初に質問します。

○小野田財産運用部長 財務局所管の未利用地の面積でございますが、昨年、財産利活用総合計画を策定いたしました時点におきましては、約百九十八ヘクタールでございました。その後、各局から財務局の方へ未利用地を引き継いだことによりまして、約二ヘクタールが増加をいたしました。
 一方、地元の区市町村や民間等に対して、約十三ヘクタールの売却処分を図ったところでございます。これらの結果、現在の面積は約百八十七ヘクタールとなっております。

○桜井(武)委員 ちなみに、伺いますと、この百八十七ヘクタールというのは日比谷公園の十二倍だそうでありますけれども、非常に広大な面積だと思います。
 次に、財務局所管の未利用地と各局が所管している未利用地を合わせ、都有地全体の未利用状態を早急に解消していく必要が、財産運用を図る上で大きな課題ですけれども、具体的にどのようにして解消を図っていこうとしたのか、これを質問します。

○小野田財産運用部長 財務局以外の各局が所管しております未利用地は、過去に一定の事業目的をもって取得したものでございますが、財政状況の悪化などによりまして、未利用状態のまま保有されているに至ったものでございます。
 これらにつきましては、昨年策定いたしました先ほどの財産利活用総合計画におきまして、当初の事業実施の見込みが薄れたものなどにつきまして、見直すことにいたしております。現在、この方針にのっとりまして、未利用地を財務局に引き継ぐように各局と協議を行っているところでございます。各局から財務局に引き継がれました未利用地につきましては、まず、都の他の事業に用いるなど、全庁的な利用方策を検討しているところでございます。
 しかしながら、現在の大変厳しい財政状況から、将来的に利用の可能性のないものにつきましては売却を行うこととしておりまして、この場合には、地元の区市町村に対しまして利用計画の有無を照会した後に、利用予定のないものについて売却を図るほか、直ちに売却できないものにつきましても、売却までの間、駐車場用地などとして一時貸しを行うなど、有効活用を図っているところでございます。

○桜井(武)委員 他局が持っている未利用地を財務局に引き継ぐように各局と協議を行っているということですけれども、これは非常に、他局と財務局との厳しい綱引きになると思うんですけれども、全力を挙げてやっていただきたいと思います。
 次に質問しますけれども、現在ある未利用地について、さらなる活用を要望しますけれども、昨年の十二月に都庁改革アクションプランというのが策定されまして、各局で行政改革による事業廃止、組織統合、そういったものが行われた結果、必然的に新しい未利用地が発生してくるということも当然予想されるわけでありますが、財務局はこうした情報をなるべく早く把握し、事業廃止後、用途が決まらずに長期間未利用状態になるということがなく、事業の廃止決定の段階から直ちに--直ちにといっても、そう直ちにはいかないでしょうけれども、なるべく早く、他の事業への転用などの有効活用策をスピーディーに立案していく必要があると思うのでありますが、この点について質問いたします。

○小野田財産運用部長 財務局におきましては、これまでも、各局に対しまして未利用地の保有状況に関する調査を毎年実施するなど行ってきておりまして、土地の取得とか事業の廃止等に関する情報について、これまでも把握に努めてまいりました。平成十三年度には、未利用地調査の調査対象範囲を拡大いたしました。今後は、さらに将来的な事業動向も踏まえた上で、中長期的な未利用地の発生の把握に努めていきたいと思っております。
 ご質問の、行政改革による事業廃止あるいは組織統合などのために新たな未利用地が見込まれる場合には、財務局が全庁的な視点から事業所管局等と調整を図って、土地の有効活用を図っていきたいと考えております。

○桜井(武)委員 財務局というのは、私はしばらく入らなかったんですが、考えてみますと--考えるまでもないのかもしれませんが、財務局というのは、全局に目を配るというか、そういう極めて重要な役割を持っているところであると思っております。
 ちょっと質問から外れましたが、次の質問に移ります。
 未利用地の早期売却を目指していくというお答えが今ありましたけれども、今年度の都有地売却実績はどのくらいか。それから、計画では十二年から十四年まで一千億円以上を目標に掲げておりますけれども、これは先ほどの計画に書いてありますが、これを達成する見込みがあるのかどうか、質問いたします。

○小野田財産運用部長 平成十二年度におきます売却は、約三百十一億円でございました。平成十三年度の都有地の売却実績は、八月末の時点でございますが、約五百八十七億円となっておりまして、この結果、計画期間の約半分の時点において、約八百九十八億円の実績を上げてございます。今後とも売却の促進に努めますとともに、計画の一千億円を超える売却額を達成できる見込みと考えております。

○桜井(武)委員 今のご答弁ですと、非常にスムーズに売却が進むというような答えでありますけれども、昨今のように景気低迷が非常に長引いておりますし、また、土地に対する需要が低下し続けているということを考えますと、今後の土地の売却というのはかなり厳しくなってくるのじゃないかなと、このように、これはだれでもみんな考えることでありますが、でありますので、一つ二つ質問するんですが、売却に効果がある公告を行うこと。恐らく今までも行っているのかもしれませんが、そういうことや、あるいはまた現在の売却方式に加えて、民間に委託して売却を進める方式といったようなものを新しく導入すべきかどうか。そういったことはいかがですか、質問します。

○小野田財産運用部長 現在、土地の売却に関します情報提供は、インターネットや「広報東京都」などで行っております。ご指摘のとおり、今後は、より効果的な公告の実施が必要になると考えております。このため、平成十四年度から不動産情報誌などにも都有地の売却公告を掲載することを検討しています。
 また、現在、都有地の売却の民間委託につきまして、公募売却で契約に至らなかった物件がございます。これを対象といたしまして、宅地建物取引業者の仲介による売買を行っていますけれども、来年度の平成十四年度には民間委託の対象範囲を拡大いたしまして、入札の結果落札できなかった物件についても、同様の方法を導入することを検討しております。

○桜井(武)委員 それでは以上のことを踏まえて、最後に局長に、決意というほどのこともないと思うけれども--抱負を伺います。

○安樂財務局長 先ほどお話ありましたけれども、昨年十一月に財産利活用総合計画というのをつくっておりまして、現在、この計画に基づきまして、各局が所管しているものでありましても、土地や建物が十分に活用されていないと財務局が判断したものにつきましては、改善を強く指導するようになってきております。とりわけ、一定の年限を経過しても事業に着手していない土地につきましては、事業計画を見直すことによりまして、財務局に引き継ぐことを求めております。これは、先ほど委員ご指摘のように、大変な厳しい綱引きになるんですけれども、現在までに相当部分が財務局に引き継がれる方向になってきております。
 また、財務局に引き継がれた未利用地につきましては、なるべく迅速に全庁的な利用を図るとともに、今後の事業利用の見込みのないものについては迅速に売却するということで、さっき部長からもご答弁いたしました。また、直ちに売却できないものについては、放置しないで、何かの暫定的な活用をするということで、民間からの提案を積極的に取り入れたいというふうに思っております。
 よく民間からいろいろ提案があるんですが、公平性といったようなことから、そのアイデアをすぐ実現するというよりは、公募で決めるから待ってくれというような感じに若干なっていた面もあるというふうに思います。せっかくいいアイデアを出したのに、それが余り活用されないということになっておりますので、もちろん機会というものは公平に与えなくてはいけないと思いますけれども、よいアイデアが出た場合には、これを生かせるような選定方式を、現在、担当部局に検討させております。都有地、都有施設は都民全体の貴重な財産でありますので、これらの積極的な活用につきましては、今後も全力を傾けていきたいと思います。

○大西委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

   午後二時五十七分開議

○鈴木副委員長 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○桜井(良)委員 私は、税財政制度について質問します。
 これは古くて長い問題なんですが、今休憩時間中、松澤部長が、いや、古くて新しい問題ですといったので、張り切って質問させていただきたいと思いますが、地方の時代、地方分権といわれてから長い期間がたっております。その間、昨年の四月に地方分権一括法が施行されまして、一つの時代を画したものだという評価はありますが、私個人は、そんなものじゃないと。これは方向性が見えたものであって、まだまだこれからが問題であると。
 なぜならば、この法律そのものに大きな欠陥がありますね。これは権限と財政というものが極めて不整合した法律であって、財源については先送りされております。権限のないところに自治体の責任はないんですけれども、それ以前に、財源の伴わない権限というのも本来あり得ないのではないかと思うわけでありまして、そうした点からまいれば、やはり税財政問題というのは、法律ができたから云々じゃなくて、これからが勝負であると。
 地方自治体は、みんな同じ認識をしてそのことをいっているんですが、いま一歩、税財政の改革に対する声といいますか、足並みがそろわない、こういう状況があると思います。
 そうした状況の中で、先ほど来、工夫をしながらとか、いろいろ知恵を出しながらとかという話が、いろいろと財政運営上の表現として出ていたんですけれども、私が財務局にお願いしたいことは、もっとファイトをむき出しにして、東京都という立場でもっと強い主張をしてもらいたいなと。こういうことを念願しつつ、まず最初に、小泉政権下に入って若干いろいろな動きが出てきておりますので、その内容をまず伺いたいと思います。

○松澤主計部長 ただいま先生からお話ありましたように、昨年施行されましたいわゆる地方分権一括法におきましては、地方分権改革の大きな柱である肝心の税源の移譲につきましては、ご指摘のとおり全く実施されず、中長期的課題として先送りされたところでございます。
 一方、今回の一連の小泉改革の中で、本年六月の経済財政諮問会議の答申、いわゆる骨太方針におきましては、国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税のあり方の見直しとともに、税源移譲を含め、国と地方の税源配分について根本から見直し、そのあり方を検討することが盛り込まれたところでございます。
 この方針では、税源移譲の具体的な策は示されなかったわけでございますが、その後、総務省の方から、いわゆる片山プランというふうにいわれておりますが、この中での政策プランでは、個人住民税や地方消費税など国からの税源移譲によりまして、国税と地方税の比率を現在の六対四から五対五にすることを目指すことが具体的に明記されたところでございます。

○桜井(良)委員 一応一つの改革案が明記されたというふうに受けとめていいのかどうか、ちょっとその辺はまだ私自身も定かにはならないんですが、そうした国の動きについて、都としての受けとめ方、評価、または感想をお述べいただきたいと思います。

○松澤主計部長 今回、遅きに失したとはいえ、また、ただいま申し上げましたように、今回の提案では国税と地方税の比率はまだ半々ということなので、あるべき姿からは若干かけ離れていることもあるとは思いますが、地方税財政制度の改革が具体的に国から提起されまして動き出したことは、大変意義あることであると受けとめてございます。
 また同時に、今回の改革案は、純粋に地方分権の視点からということかどうかも含めまして考えますと、国、地方を通じた財政構造改革が急務であるとの認識から出されたこともありまして、地方税源の移譲だけが論じられるのではなく、地方交付税の縮小あるいは国庫支出金の整理合理化や地方財政計画における歳出水準の抑制など、国の、今財政再建で大変厳しいわけですから、財政再建の取り組みの一環とした流れの中にあることも、あわせて考える必要があると思っております。
 都としましては、税財政制度の改革の動きが地方主権の強化と地方自治体の財政基盤の充実強化につながるよう、今後、議論を前向きに、発展的に展開させることが重要であると考えております。

○桜井(良)委員 これは、都が積極的に議論しましょう、しましょうといっていくことが大事だと思います。国の成り行きを見ているようでは、このままスローガンだけに終わってしまう嫌いがありますし、過去の経緯も全部、それで抜本改革が延び延びになってきたと思うわけですね。
 地方交付税の縮小が打ち出されたときは、その時点では地方自治体の方から、特に交付税を交付されている自治体、県からいろいろな反論、議論が噴出したわけでありますが、今になりますと、何か動きがいま一つ盛り上がっていない。打ち出されたときは騒いだけれども、運動として盛り上がっていないなと、このような感じがするわけであります。
 都の方は昨年、東京都版の税制調査会、都税調の結論をもって、いろいろと議会と知事側がタイアップしながら運動を繰り返してきておりますが、私は、もうそろそろ余り、全国の自治体に歩調を合わせていくべきかどうかということに、そうじゃなくて、もっと都の独自性を主張する時期に来ているんじゃないかなと、こういうふうに思います。
 この選挙の前の委員会でも財政委員会に所属して質疑をしたんですが、やはり都のいい分と地方自治体のいい分は絶対にかみ合わない。特に交付税をめぐってはかみ合わないわけですね。そういう状況の中なので、もっと都は独自性を持って主張していった方がいいという、こういう考えを持っているわけなんですが、例えば、全国知事会などでこの税財政改革についてはどのような議論をされているのか、教えていただきたいと思います。

○松澤主計部長 全国知事会の方では、夏の時期に、次年度に向けました提案要望を行っておるわけでございますが、その中で、当然のことながら、地方税財政制度の改革について繰り返し要望はしてきております。
 直近の今年度は、昨年度に引き続きまして、地方税財源の充実確保を緊急要望として位置づけまして、税源の移譲等を行い、地方税源の充実強化を図ることを強く求めておりますが、一方では、税源の移譲等による地方税の拡充をしても、これに伴いまして税源の偏在による財政力の格差が拡大する可能性があることとしまして、引き続き地方交付税を堅持することもその中にあわせて要望を行っているということで、かなり地方交付税の存続にこだわっているといいますか、それをかなり要望している、こういう状況が全国知事会ではございます。

○桜井(良)委員 先ほどいったように、なかなか地方の税財政制度、特に東京都が抱えている立場からの税財政制度の改革が進まないというのは、地方と全体としてとらえて問題を議論していくために、東京都の特殊性がそこに沈んじゃっているというふうに思うんですね。
 長い間、地方交付税や国庫支出金の話がありますけれども、私は率直にいって、都を除く他の自治体においては、交付税や国庫支出金、いわゆる国からの移転財源に頼ったといっていいかどうか、それをやはり重要視した財政運営というのが長い間行われてきたと思うんですね。これを何とかしなきゃならないと思いますし、一方で、やはり地方交付税というものが地方財政を改革していく上において、徴税努力も含めまして、課題に対する取り組みをスポイルしているんだ、こういう指摘も一方であるわけなんですが、私はこれはあながち間違ってはいない、こういうふうに思うんですね。
 一つの例ですが、去年から銀行税がいろいろと議論されまして、東京都は実施しましたが、これは皆さん方から聞いた話なんですが、大阪でもこれを実施しました。大阪では、外形課税による増収が三百七十四億見込まれたんですが、大阪は交付税の交付団体になっているものですから、その増収額に相当する交付税が減額されまして、実質的には七十四億円の増収、三百七十億増収したけれども、交付税が差し引かれちゃったものですから、実質収入が非常に少なくなったという話をお聞きしたわけであります。
 それでも、大阪府はこの外形課税に踏み切ったから、その取り組みは評価できるわけでありますけれども、多くの自治体は今、この現行の制度の中では、増収を図るための苦労と、交付税が実質的に引かれていくという、この実質の部分の減収というんですかね、そういうものを勘案しながら、独自の取り組みに二の足を踏んでいるんじゃないかなと、こういうふうに思われるわけで、やはり交付税そのものをどういうふうにしていくかということは非常に今後大事な議論じゃないかと思うんです。
 そこで、都以外の道府県で、交付税の額が地方税の収入を上回っているところ、相当あると思うんですが、最近の状況を示していただきたいと思います。

○松澤主計部長 一番新しいデータでございます十一年度決算で見ますと、四十七都道府県のうち、今お話がありました約六割の団体では、歳入の中で、地方税よりも地方交付税に依存する割合の方が高くなっております。このうち、例えば地方交付税の割合が一番高い鳥取県で申し上げますと、交付税の歳入に占める割合が三四・九%に対しまして、地方税は一三・三%にとどまっております。
 このように地方財政の実態としまして、総じて地方交付税や国庫支出金に依存して、各地方自治体の実質財源が著しく低い状況となっております。

○桜井(良)委員 今の状況は、東京都の立場でいわせていただくと、他の府県は、いわゆる交付税等に、こういっていいかどうか、過度に依存しているために、東京を初めとして大都市圏における税金が地方に流れていっているんだという一つの実態例だと私は思うわけでありまして、負担と受益のアンバランス、東京都の立場では、これはやはりしっかりと議論していく必要があると思う。
 そこを余り気にしていると、いつまでたっても都の、いわゆる財政難を克服するためにはいろいろな手だてをやっていますが、新税を導入したりやっていますが、それだけではとてもじゃないけれども抜本改革にならないわけで、この税収の負担と受益のアンバランスを解決するためには、東京都はもっと強い立場で主張していくべきだというのは一つの根拠にもなっているわけなんですね。
 そこで、これは何回も聞いているんですが、都における国税、地方税含めた還元率がどんなふうになっているのか、都民一人当たりに換算しても結構ですから、お示しをいただきたいと思います。

○松澤主計部長 これも平成十一年度の決算ベースでございますが、今先生からお話がありましたように、国税、地方税を合わせた租税負担額に対する還元の状況を見ますと、東京都地域では、都民一人当たりの租税負担額は百八十六万九千円でございます。そのうち、国庫支出金等を通じて、東京都なり都内の自治体に還元される総額は、一人当たりで五十七万八千円となっておりまして、東京都の還元率は三〇・九%、三割ということで、全国で最も低い状況でございます。

○桜井(良)委員 そういう状況を見ますと、還元率が総じて東京を中心に大都市圏においては低くなっておって、一方では、地方交付税や国庫支出金の配分の多い自治体が還元率が高くなっている、こういう実態があると思うんですね。
 今のは地方税が入った還元なんですが、国税だけで含めると、東京の地域で年間に集まる国税は約十七兆円といわれているわけなんですが、そのうち、本当にいわゆる既定のベースで国から戻ってくる金は一兆円で、十七分の一なんですね。ですから、国税については還元率は二%にも満たないということでありまして、こういうことをしっかりいっていかなきゃならないと思うんですね。
 そのほかにも、国庫支出金の配分だけ見ても、東京は薄く、地方には厚いという実態がありますし、そういうことを考えると、やはり全国知事会のペースの中で東京都が税財政制度の改革を求めていくというのは、ちょっとどうかなという感じもするわけでありまして、もっと独自性を出した方がいいなと思うわけなんですね。ですから、税財政制度の改革を一方でうたいながら、知事会は、一方で交付税を堅持しようというのは、何かどっちつかずのようなものになっていると思われるわけなんですね。
 そして、小泉内閣が交付税の縮小を打ち出したら、全国からはみんな反対の声が起きてきて、お隣の山梨県で市町村にアンケートとったら、八〇%が反対だと。長野県の田中知事のところですら、八九%の市町村が反対したという、こういう実態があるわけでありまして、私はこういう感覚と一緒に歩調を合わせていると、都の税財政制度の改革という大きな命題が、逆に足が引っ張られてしまうんじゃないか、これじゃ改革できないなと思うんですね。もっと東京都の立場を強く訴えて、みんなと違うんだという特色性を出していく必要があるんではないかなと思います。
 自治体の人たちはそういう考えなんですが、経済界や、あるいは財界人たちの意見の中には、やはり交付税については堅持しようというのはどうかなという意見がありますね。
 先日、毎日新聞だったと思うんですが、ユニクロの柳井社長のインタビューが出ておりました。財政制度の構造改革等に絡めてのインタビューがありましたが、その中で、地方の税金の使い方、税収のあり方はまずい、地方の自治体の人たちは税金は払うというより、もらうものだという感覚が強いので、これを直さないと本当の財政改革はできないというような意見をいっておりましたけれども、私は現在の地方交付税のあり方を鋭く突いたものだなというふうに受けとめたわけでありまして、そういう意味で、交付税制度の最大の問題点というのは、先ほどいったように、地方交付税があるからということで一つのやる気をそいでいる。と同時に、そのものを温存したままでは改革ができない、こういうふうに結論づけられるのではないかなと私は思うわけであります。
 そういう中で、都はこうした動きの中で、どういうことを主張しているのか、これをお示ししていただきたいと思います。

○松澤主計部長 地方税財政改革に向けた取り組みにつきましては、ただいま先生の方からご指摘もございましたが、都と他の団体との間にはかなり、目的が同じでも温度差がありますが、これは多くの地方団体が、今お話ありましたように、もう創設以来四十五年が経過しておりますが、この地方交付税制度、さまざまな弊害が顕在化しているにもかかわらず、やはり国依存といいますか、国に頼る体質、そういう中で、自分たちで受益と、それから自分たちが負担するということが希薄になって、モラルハザードみたいな形が出てきているというようなこともあって、そういう中で、地方の方は、言葉悪くいえば、依存して、痛みを伴う改革にちゅうちょする姿勢があるのではないか、このように思っているわけでございます。
 そういう中で、今先生から、東京都はもう地方と考えをまた別にして、独自にもっと積極的に税財政の改革を進めていったらいいじゃないかというようなお話がございましたが、そういう中で、認識ということの中で考えますと、そうはいいましても、まず地方への税源移譲を進めるという基本的姿勢に立ちまして、地方税の充実強化を図ること、これが一番大きな眼目でございます。
 特にその中でも、今お話ありましたように、東京都などの大都市を中心とした都市地域の財政需要に応じた財源の拡充というものをもっと働きかけていかなければいけないんじゃないか、こういうふうに考えております。
 それからまた、どうしてもこれまで交付税中心主義といいますか、そういう形になっていたわけでございますので、地方税中心という形にやはり置きかえて、地方交付税制度の抜本的な見直しを行うべき、このように思っております。
 こうしたことを国に対してこれから強く訴えていかなければならないと考えております。

○桜井(良)委員 都は地方交付税の抜本的な見直しというふうにはっきりおっしゃったわけですが、全国知事会は、地方交付税は堅持しよう、こういうふうになっているわけで、それは温度差という話なんですが、私はやはり東京都のことを考えますと、その温度差の、向こう側の温度の中にぬるまっちゃっていたらいけないな、こちら側でしっかりと主張すべきことは主張していくべきだ、それが都政の改革につながると思うんですね。
 いろいろなあつれきはあると思いますが、そのぐらいの勇気でやらないと、世紀も変わったんだし、引き続き二十世紀にあった財政制度の弊害を引きずっていくようでは、都政はできないと思いますね。十兆円のプロジェクトとかいろいろなことを打ち出しているわけですから、本当に抜本的な改革で何かをしっかりとかち取っていかないと、小手先のいわゆる財政改革だけでは将来の都政は見えてこない、こういうふうに思うわけなんですね。そういう意味で、非常に歯がゆさというか物足りなさ、この辺を感ずるわけで、向こうと歩調を合わせていって、それでいいのかなと思うんですね。
 確かに議論は、交付税改革したりすると、東京が一人勝ちするんだ、こういうふうにいわれています。確かに、ことしの八月、大阪府が地方税財政制度改革案というのを出したわけなんですが、その中にも、大幅な財源移譲をすると、東京に財源が集中するということを大阪府は問題点としてきちんといっているわけなんですね。しかし、それを気にしたのではできないし、一人勝ちじゃないんじゃないかなと。首都ですから、首都がだめになったら、本当に日本はだめになるわけでありまして、交付税はもらっていないというほかに、さまざまな税源調整を都は受けているわけですから、一人勝ちしているどころか、今は一人負けの状態なわけですよね。ですから、そういうことをやはり乗り越えていくだけの強さというものを東京都全体で持っていただきたいと思うわけでありまして、その辺、ちょっと物足らないのじゃないかなと思います。
 そういう意味で、先ほど聞いて、今の内閣の中で、要するに六対四から五対五にするんだという一つの目標が明示されたということでは、ある意味では都にとってチャンスなんですね。こういうチャンスを生かして、もっともっと国に強い働きかけをしていただきたい。工夫とか知恵を働かしてという時代というふうにはいかないと思う、動き、ファイトのある行動、運動、こういうものを示していかなきゃならないと思うんですね。その辺の決意をお伺いしたいと思います。

○松澤主計部長 今先生の方からお話がありましたように、一連の小泉内閣によって、ようやく地方税財政制度の改革の問題も具体的な議論の俎上にのって動くようになったところでございます。
 また一方で、現在、国においては、小泉内閣の構造改革の一環としまして、重点的に推進すべき分野として都市の再生に取り組むこともまた打ち出されたところでございます。そういうことで、こうした地方から都市重視の流れというものもあるわけでございますので、こういうことを見逃すことなく、都としては、東京が抱える膨大な大都市特有の行政需要の実態、それからそうした行政需要を支える大都市自治体における税財政制度の改善策、これを具体的なものも含めて明らかにして、東京一人勝ちという地方の見方があるというお話もございましたけれども、やはり今申し上げましたように、東京都なり首都、また大都市というのはそれなりの行政需要がいろいろな形で、交通渋滞対策とか環境対策、いろいろあるわけでございますが、こういうこともちゃんとはっきり打ち出しながら、それに伴う税源、財源が必要なんだということを明らかにして、広く世論も喚起して、先生おっしゃるとおり、行動していくことが今まさに大事な時期だというふうに考えております。
 したがいまして、都としましては、今後、地方主権に基づく税財政改革の基本的方向は踏まえながらも、東京都の税制調査会における提言等も十分活用しまして、また、東京都だけでやるのもなかなか難しい部分もございますので、特に共通の土俵を持った首都圏の七都県市との一層の連携などを図ることによりまして、今、都の方でも新しい道州制とか自治制度の問題もこれから検討がされていくわけでございますが、いろいろな制度論も含めまして、当然それと税財源、セットになるわけでございますし、そんなことも含めまして、国へ具体的な働きかけを今まで以上に強めていきたい、このように考えております。

○桜井(良)委員 これは大事なことでありまして、いろいろなプロジェクトを出して、国から金を出させればいいんだという、そういうことじゃなくて、東京百年の上に立って、この税財政制度というのはしっかりと改革をしていかなきゃならないと思うわけなんですね。私たち議会側も、特にこの財政委員会は一緒になって頑張りたいと思っていますので、ぜひ積極的な姿勢をお願いしたいと思います。
 そういいながら、がらり変わりまして、実は小石川の後楽園の問題についてお伺いしたいと思うんです。
 これは最近ちょっといろいろな陳情を受けている中の一つなんですけれども、実は、小石川に特別史跡、特別名所に指定している小石川後楽園というのがございますが、この小石川後楽園を保存しようということで、地元の議会の方々あるいは各種団体の人たちが一生懸命努力して、公園の整備や文化財の保護のために運動しているんですけれども、これについて承知していますか。

○小野田財産運用部長 お話の小石川後楽園庭園保存会という団体がございまして、都民の立場でこの庭園の保存を積極的に進めている団体であるというふうに承っております。

○桜井(良)委員 なぜこの問題を取り上げたかといいますと、千客万来の世界都市東京をつくろうという話があるわけなんですが、観光政策等も一生懸命取り組んでいるわけなんですが、では観光の目玉は何かなと聞いたときに、余りぱっと浮かんでくるものがないわけですね。特に江戸の文化、そういうものとして皆さんに見てもらうものは余りない。こういう意味で、そういう時代から背景をしっかりと踏まえた上で、皆さん方はこの運動を展開しているわけなんですね。
 この小石川後楽園というのは、ご承知だと思いますが、水戸藩の屋敷だったところを利用して公園として保存しているわけなんですが、私はやはりこういう施設を、将来千客万来の東京の観光の施設としてしっかり活用していくことも大事じゃないかなと思うわけなんですね。これは都の財産ではありませんが、建設局が管理している公園だそうでありますが、そういう考え方はどうでしょうか。

○小野田財産運用部長 お話の小石川後楽園でございますが、私も二度ほど訪れさせていただいております。お話のとおり、水戸徳川家の始祖でございます頼房公が、江戸時代、十七世紀でございますか、造営された庭園であるというふうにお聞きしておりますが、当時の状態が比較的良好に保存された庭園でございまして、文化的、歴史的にも大変貴重な庭園で、世界に誇れる都民の財産でございます。東京都心にもあることから、東京の観光資源としても大変貴重でございまして、内外の多くの人たちにごらんいただきたいと思います。

○桜井(良)委員 陳情に来たのは、この南側に国有地があるんですね、国有財産が。これが一般に処分されちゃうと、全く後楽園が入り口もなくなっちゃうので、この国有地を何とかしてほしいというのが皆さん方の陳情の趣旨であります。それで、この国有地について私も聞いてみました。そうしましたら、むしろ関東財務局や財務省の方は、東京都が利用するならばということで、いろいろな条件をつくって待っているわけなんですよ。そういう国の考え方を掌握していらっしゃいますか。

○小野田財産運用部長 この土地でございますけれども、現在、都から、無償で借り受けて活用したいと打診をしておる段階でございますが、国は本国有地を処分予定財産、つまり売る対象の財産と位置づけておりますこと、このため新規の貸し付けはしない方針である、このようなお話を現在聞いておるところでございます。

○桜井(良)委員 直接的に、都財政は厳しいときですから、すぐ買えというふうにはなかなかいいにくいわけなんですけれども、しかし、今いったように、売り払う、処分予定財産だといいながら、この前関東財務局が売り払う予定地を公表した中には入ってないんですよ。だから東京都が、何か提示があれば応対しますよということなので、これこそ知恵を働かせて、工夫をして、都に都有財産もあるわけでありますから、ぜひそういうことで、そこには下水道局が国有地の下を使いたいという考えもあるようですし、文化財保護といえば教育庁も絡んでくるわけですから、ぜひ関連各局と連携をして、東京の一つの大きな文化としてこれが保存されるような立場で対応していただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

○小野田財産運用部長 大変、ご承知のとおり厳しい財政の中に都はあるわけでございますが、小石川後楽園の外周部の改修というものがこれまで長年にわたって進められておりまして、この名園にふさわしい築地塀などが整備されております。財務局は、国有財産に関する国との窓口でございます。したがって、このことから、例えばでございますが、国有地を借り受け、すばらしいこの庭園の観賞と築地塀周辺の散策が楽しめるような工夫に向けまして、公園を管理しております建設局の今後の事業計画などを踏まえて、国の理解が得られますよう、関係局と連携して国に必要な要望をしてまいります。

○桜井(良)委員 どうしてこの問題を取り上げたかといいますと、皆さん方が熱心な運動をやっているということも一つは大きな理由なんですが、やはりこれからの、先ほどいった、一方で税財政制度の改革に積極的に取り組むと同時に、少しでも多く、いろいろな意味で収入をふやしていく必要があると思うんですね。ですから、東京の魅力を高めながら、なおかつ収入の増加につながるという施策の展開も一面では必要じゃないかなと思います。
 今いったように、東京はこれから観光産業もリーディング産業の一つととらえて積極的にしていくと同時に、千客万来の東京をつくるといっているわけですから、現存する都の文化財、そういうものを活用したり、あるいは東京都美術館や江戸東京博物館等もありますし、やはりそういうものをしっかりとして、観光資源としてとらえながらやっていく。それは一つは、施設利用料の増収にもつながりますけれども、それだけじゃなくて、観光産業の育成や、ひいてはやはり税収増へつながる道でもないかなと思うので、そういう視点もこれからは必要になってくるんじゃないかなと思います。
 そこで、ぜひ多面的に、また中期的な立場から、こういう施策の展開についてどのようにお考えになっているのか、また、先ほど私が主張した税財政制度の改革に対する取り組みも含めまして、ぜひ安樂局長にお願いしたいと思います。決して樂という言葉は楽天主義ではないと理解しておりますので、ぜひ取り組みのご決意のほどを……。

○安樂財務局長 東京都の財政力というところは、つまるところは東京の経済力を反映するものだというふうに思います。ご指摘のように、将来にわたって、東京の多様で活発な都市活動、これを発展させていくような取り組みといいますか、そういうものがひいては都の財政力を涵養することにつながるというふうに思います。したがいまして、ご提案ありましたけれども、首都東京の魅力を高めて、都税収入の増加につながるような施策を展開していきたいというふうに思います。
 現在、東京の再生につながるような効果的な事業を今回重要施策として積極的に立案するように知事の方針として出されているわけでありますが、これによって、委員ご指摘のような、将来の都財政に寄与するようなすぐれた事業、そういうものが各局から出てくることを当然期待しておりますし、また、そういうものを財務局としても予算的にもバックアップしたいというふうに思います。
 それから、先ほどご提案のあった、お話のありました、これからの財政の改革というのはどういうふうに進めるかという話なんですが、これまでは、私も長い間財務局にいて非常に経験があるんですが、国にはいろいろな形の地方財政制度の改革ということを毎年のように要求もし、また、いろいろな形の行動も行ってきましたけれども、なかなか遅々として改革が進まないという、ちょっとあきらめみたいなものもありまして、そういう中で、やはり共通課題でいろいろなことをやっていく、全国知事会であるとか、そういうような行動にどうしても埋没していたのではないかというふうに思うんですね。
 先ほどご指摘もありましたけれども、そういうことでは大都市の特有な財政需要とか、そこから派生する問題については対応できないんだということ、まさにそのとおりだというふうに思います。
 そういう点では、今回国の方も都市再生ということで新しい視点を打ち出しておりますので、先ほど主計部長もお答えいたしましたけれども、非常に好機である、絶好のチャンスだというふうに思いますので、そういう中で、先ほどアイデアとか知恵とか、そういう問題じゃないといわれましたけれども……

○桜井(良)委員 それも大事なんです。

○安樂財務局長 ええ、それも大事だと思うんですね。どうやったら国を攻略できるのか、そういうことも大事だと思いますので、それも考えた上で、その後はしかるべく行動することだというふうに思いますので、そういうことで頑張っていきたいと思います。

○矢島委員 私は、二点についてご質問申し上げます。
 まず、東京都の入札についてですけれども、東京都の計画は、一定額以下の契約あるいは緊急の契約を除いて、現在、一元的に財務局で処理されております。所管ベースで建築関係で昨年度千二百五十三件、二千二百十八億円、物品の購入等で千四百三十三件、五百六十六億円、大変大きな予算を扱うだけに、その透明性、公明性、コストの縮減のための一般公募入札の拡大、バリューエンジニアリングの導入、あるいは中小企業者の受注機会の確保から大変な努力をされていることは認識をしております。
 先ほど林委員からの質疑をお聞きしておりまして、電子入札もその延長上にあるように私は思いますけれども、電子入札の時期が少し早まるんじゃないかなと、そんな感じも受注業者の関係で少ししたわけでございますが、その開発状況と導入時期について確認をさせていただきます。

○中村契約調整担当部長 電子調達につきましては、企業や都民の負担の軽減あるいは入札プロセスの透明性の向上、このような視点に立ちまして、現在、入札に参加できる資格の条件の緩和など、現在の契約制度を抜本的に見直しをして開発を進めております。
 導入の時期についてでございますが、現在、三つの行程に分けて順次導入していく予定であります。まず、案件の公表あるいは入札経過を示す入札情報システム、これにつきましては、平成十三年度中に財務局案件を初めとして順次公表していく予定です。
 次に、電子申請で競争入札に参加するための登録のシステムですが、入札参加資格申請受付システムでございますが、これにつきましては、平成十四年度に稼働させる予定で現在開発を進めております。
 さらに、電子入札システムにつきましては、平成十五年度にシステムを完成させまして、まず、大型工事を扱う財務局案件につきまして導入いたしまして、順次運用を開始していく予定でございます。

○矢島委員 当初の予定どおりの経過で入札ということになると思いますけれども、今の事情が許せば少しでも早く入札をし、所期の目的が達成できるようにぜひ努力をしていただきたいと思います。
 となりますと、そのシステムが運用開始となるまでの間は現行のままということになろうかと思います。入札情報については現在インターネットで情報提供をしている。その結果につきましては、一部、最終的な結果だけ、だれが契約したかだけがインターネットに載せられるという状況になっておりますが、先ほどからお話し申し上げております公明性、公平性の観点からいきますと、今何ができるかということが非常にポイントになろうと思います。わずかなことでもその姿勢が都民の皆さんへ訴える力になる。
 そういうことになりますと、せめて今、議会に報告する程度の入札経過あるいは結果についてインターネットに載せることが、わずかな努力でも必要ではないかなと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○中村契約調整担当部長 先生お話しのとおり、現在、入札情報等の公表につきましては、工事については予定価格七億円以上の工事発注予定表、これについて公表しております。それから物品につきましては、一般競争入札等の発注予定、それから仕様書などにつきまして、インターネットでホームページに掲載しております。
 議会提出案件についてでございますが、これは九億円以上の工事についてでございますが、提出案件がいずれも大型工事であり、しかも社会的にも一層公正性、透明性が求められている案件だ、そういうふうな認識をしておりますので、落札後の入札経過調書、これにつきましても、現在ホームページに掲載している事項に加えまして、なるべく早くホームページに掲載する方向で検討を進めてまいります。

○矢島委員 財政再建と一緒で、一つ一つの地道な努力が結果を生み出す。そのときに長期的な展望と目的意識をしっかり持って努力していただきたいと思いますので、ぜひ、いずれということではなくて、一日も早く対応していただければと思います。
 次に、都の財政再建についてお伺いをいたします。
 非常に簡単な質問なんですが、現実に財政再建は収支の均衡を図らなければいけない。いわば身の丈に合った地道な一歩一歩の努力の積み重ねということになりますが、現在の取り組みは単なる縮小均衡だけではなくて、その中に意思を私は感じます。
 ですから、重要事項の施策の選択というのも、その延長上で見ていったときに、必然として、出るべくして出たなと、そのような観点を見ます。分けて考えてはいけない問題だろうなと、このように思っています。
 しかし、この収支の均衡について申し上げますと、右肩上がりの時代の予算主義ではなく、先ほど藤田委員の方からもお話ございましたが、やはり本来的なところに戻らなきゃいけない。本来的なところというのは、やはりその成果についての評価を明確にする決算主義、これは長くいわれてきたことでありますけれども、決算主義をもう一度見直していただいて、そのところから予算編成に戻っていかなければ、何も成っていかないというのは私も同意見でございます。
 ですから、今やろうとしておられます、一部やっておるといっております行政評価制度、それから「機能するバランスシート」など多様な方策がありますけれども、決算機能の強化という観点から取り組んで、ぜひ活用していただきたい。先ほどの質疑を聞いておりましたので、この点については意見だけ申し上げます。
 ただ、問題なのは、八月ぐらいに依命通達があって、九月、まあ六月から予算編成の準備が始まるんでしょうけれども、そうなってきますと、一年前の行政評価という問題になって、非常に気の抜けたビールみたいな話になってきても困りますので、その辺の工夫をぜひ担当部局と協議をされ、それこそ機能するようなものに持っていっていただけるとありがたいなと思います。
 しかし、また一方で、財政再建の大きな課題では、一般会計上の欠損金等の問題があることになろうと思います。都で財政再建プランの中で、市街地再開発事業欠損金などで千六百億円の額を公表しているのは、中長期的な観点からいいましても、大変勇気ある、当たり前といえば当たり前ですけれども、今までのことからいえば、積極的で、これにも意志を感じるもので、私はそういうふうに思っております。しかし、問題なのは、ほかにもあるかもしれないという心配が、特別会計、第三セクターにあるとした場合にどうするかということになろうかと思います。
 この不良となる可能性のある債務の処理は、負担時のボリュームが大変大きいということになりますので、都財政に大変大きな影響を及ぼすことは明らかでありますし、時宜を得た判断と積極的な処理の実行というのは何よりも必要になろうと思います。先送りをしない取り組みでやっていくと、いつもお話をしておられますので、問題を先送りしないという、財政当局としてどのような見通しを持って、そしていかなる取り組みをするのかお伺いをいたします。

○松澤主計部長 今お話ございましたように、亀戸・大島・小松川地区等のいわゆる都施行の市街地再開発事業あるいは多摩ニュータウン事業につきましては、近年の地価の大幅な下落や土地売却の低迷などの影響を受けまして、多額の欠損金が生じることが明らかになったわけでございまして、最終的には、これは一般会計で負担せざるを得ない見込みとなったところでございます。このため、事業の抜本的な見直し、再構築を行うとともに、見込まれる欠損金、いわゆる隠れ借金の一つとして、ご指摘のとおり、十三年度予算において明らかにした次第でございます。
 今後のことでございますが、今後とも、社会経済状況の変化を受けて当初の見込みと大幅に相違を来した事業が発生した場合には、今お話がございましたように、問題を先送りすることなく、事業別バランスシートや行政評価制度などを活用しまして速やかに現状を分析するとともに、適切な対策を講じていく必要がある、このように考えてございます。

○矢島委員 現在公表しているところがある中で、ほかはどうだというお話を申し上げて、それでそれについて、こういうところがこうですよというのはなかなかいいにくいお話であるし、あるかどうかも私も何ともいえない。物の見方ですから、状況ですけれども、すべての出来事というのは序曲がありますし、伏流があります。そしてそれが現実のものとなってきます。また、同じ色のレンズで見ると、どんな物を見ましてもみんな同じ色に見えちゃいますから、ですから、これも危機管理と同様であろうと思います。万が一ある可能性があるなら、そのシミュレーション、いろいろな可能性の中でシミュレーションし、対応していく。行政組織というのはなかなか決められた前提以外、組み立てるのは難しいことはよくわかります。
 しかし、そういうような取り組みもやはり危機管理の重要な部分だろうと思いますから、みんなでこの問題があるからこれを解決しようということをまつことなく、財政当局としてそれなりの内実を持ちながら検討を加えていっていただければありがたい、そうすべきだと思いますので、意見を申し上げて発言を終わります。

○北城委員 先ほど桜井委員の方から、未利用地の活用につきまして質疑があったわけでございますけれども、やはりこの問題につきましては先々かなり大きな課題になってくる問題であろう、こんなふうに思っておりますので、私の方からも質疑をさせてもらいますことをご了承願いたい、こんなふうに思うわけでございます。
 と申しますのは、先ほどは利用見込みがないという表現を使われておりましたけれども、現実的な問題としまして、東京都の財政状況を考えた場合に、事業計画があっても、それを遂行できない、中止になってしまった、そういう表現の方が正しいのかなと私は思っております。そんなことを考え合わせますると、今後未利用地、またその候補地が増加していくということは、答弁の中にもありましたように、これは自明の理であります。だからこそ、今後私は大きな課題になってくる問題であろう、こんなふうに思うわけでございます。
 もちろん、これらの活用方法につきましては、公募抽選または一般競争入札によりまする売却、歳入確保につきましてのご努力は高く評価をするものでありますけれども、もう一方、片方で、やはり当該の区市町村と十二分に連携をとりながら、そしてまた民間活力の導入を図りながら、これらの活用をしていく方向も今後考えられる大きな大切な手法であると思いますけれども、もう一度ご答弁を願いたい、こんなふうに思うわけでございます。

○小野田財産運用部長 いろいろ計画の見直しとか、そうしたことから、各局におきまして未利用地が発生しているという状況下でございます。私どもといたしまして、利用計画が見込まれない用地につきましては、まず、都としてどのような計画があるか、それでもないという場合につきましては、地元の区市町村に対して利用の計画があるか否か、この意向を問いまして、特段の計画がない場合には、財政上の観点から積極的な売却を進めてきておるところでございます。
 しかしながら、お話のとおり、都の未利用地につきましては、やはりできる限り公的な観点から活用を図っていくということが基本でございまして、財務局におきましては、各局の事業計画あるいは地元区市町村と連携を図った土地の有効活用に努めているところでもございます。
 また、民間のということでございますが、今日では定期借地権制度などを初めといたしました、民間の力による有効活用策の事例も行政において増加しております。こうした方法も含めまして、今後、民間の知恵をかりた有効活用に努めていきたいと考えております。

○北城委員 と申しますのは、地域の方々というのは、それぞれの跡地の活用方法につきまして、大きな期待をしているんです。やはり期待にこたえるということも今後の都政の一つの大きなあり方なのかなと、こんなふうに思いますので、ぜひ格段のご努力をお願いしたいと、こんなふうに思っております。
 そして、モデルケースになってもらえればいいのかなと思いまして、ある一例を挙げましてお尋ねをしたい、こんなふうに思っております。
 これは鈴木副委員長のご地元でもある件なんですけれども、平成六年に都立の荒川産院が休止をいたしました。その後、平成七年に衛生局が設置をしました旧荒川産院あり方検討会におきまして、高齢者医療の実施の方向性が出され、そして十年には新荒川病院建設基本構想が策定をされたわけでございますけれども、しかしながら、平成十一年の財政再建推進プランにおきましては、新たな施設の新築は原則として休止をするということが明示をされているわけでございます。
 そんなことを考え合わせたときに、やはり今後の公有跡地に関しましては、なかなか具体的な方向が示されてこない、これが現実の問題なのかなと、こんなふうに思いますけれども、この点に関しまして、経緯のほどをお聞かせを願いたいと思います。

○小野田財産運用部長 荒川区にございます旧荒川産院の跡地利用方法につきましては、これまで衛生局におきまして種々の検討がなされたと私ども聞いております。しかしながら、現在の危機的な財政状況を踏まえまして、お話のとおり、新しい施設の建設というものが原則的にストップされたところでございまして、旧荒川産院の跡地利用についてもこの方針にのっとって、現在、具体的な計画を都段階で策定するには至っていない状況でございます。

○北城委員 冒頭申し上げましたように、東京都の財政状況にかんがみますると、この種の問題が各地域で起きてくる、これは自明の理であります。そしてまた、答弁の中で、各区市町村の意向も十二分に反映をさせながら解決をしていきたいという方向性も、また片方では示されました。
 この問題につきまして、荒川区ではどのような考え方を持っているのか、もし把握をしておりましたならばお聞かせを願いたい、こんなふうに思います。

○小野田財産運用部長 未利用地をできるだけ有効に活用するという考え方のもとに、まず、先ほど申し上げましたとおり、都庁の中の各局の事業計画を調査をいたします。それでも事業計画がないという場合につきましては、地元の区市町村にお話を伺いまして、計画を承る、このような形で未利用地の有効活用を図っておるところでございまして、今後ともこうした方向で、財務局といたしましては積極的な未利用地の活用を図っていきたいというふうに認識しております。

○北城委員 屋上屋を重ねることはないと思うんですけれども、冒頭申し上げましたように、この種の問題が必ず起きてくるんですよ。あいまいにしておきますると、最初の計画の中で、合意の中で交わされたことが、二十年近くも放置をされてきたというような事例もあるんです。その理由というのは、絶えず東京都の財政状況によってこういう問題が起きているんですよ。だからこそ、もう一度お尋ねしますけれども、もし把握をしていましたならば、もう少し具体的なご答弁をお願いしたい。

○小野田財産運用部長 モデルケースというお話で、荒川区にございます旧荒川産院の跡地の話で申し上げたいと思いますけれども、この用地につきましては、たしか私の伺うところでは、荒川産院は昭和十一年、そのころに設置されたというふうに記憶いたしますけれども、この時期、あるいは戦後、産めよふやせよといいますか、そうしたいわば大量のお子さんたちが生まれてくる時代、そういうような時代背景のもとに、地域の周産期医療を担う事業として展開されてきたわけでございますけれども、現在では全体の高齢化の中で、どういうふうな有効活用をするかということが衛生局の中で検討されておったわけでございます。
 しかし、衛生局におきまして、その地域との役割分担等からいろいろな方向が検討されたというふうに承知しておりますけれども、いずれにしましても、現在、この土地につきましては、地元の区の方から衛生局の方にいろいろお話が来ているというふうに聞いております。そのことについて財務局としても側面援助をしていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。

○北城委員 最後にさせてもらいますけれども、やはり区市町村の意向を十二分に反映をする、そして財務局がそれを側面的にバックアップをしていく、本当に高く評価をする答弁であろう、こんなふうに思いますので、ぜひこの件に関しましては、ほんの一例でございますけれども、普遍的な問題としてとらえていただきまして、一つのモデルケースになるように格段のご努力をお願いを申し上げながら質疑を終了させてもらいたい、こんなふうに思います。

○近藤委員 何点かお尋ねします。
 「『財政再建推進プラン』今後の取組の方向」の数字の中から具体的に何点か伺いますけれども、最後の一八ページ、一九ページの別表に見られますように、平成十二年度から十三年度の財源確保額ということで、四千四百七十四億円、七一%という数字が上がっているわけです。そしてまた、一〇ページ、今後の収支見込みというところを読ましていただきますと、財政再建半ばである現状のまま推移すれば云々ということですけれども、現状のまま推移すれば、今後毎年二千億から三千億円程度の財源不足が見込まれる、こういうふうに書いてあるわけです。
 そうしますと、いろいろ不確定要素があるんだと思います。単に数字の足し引きではないと思いますけれども、現在の達成率が七一%、残りが二九%、一千八百二十六億円、これを満額達成したとしても、毎年、今後現状のまま推移すれば、二千億から三千億円程度の財源不足が見込まれるというふうに書いてあるこの数字というのは、結局、このプランが満額達成しても、まださらに赤字という体制から脱却できないのか、その程度のプランなのかというところをちょっとお尋ねしたいと思います。

○松澤主計部長 ただいまお話のありました今後の取り組みの方向における試算の問題でございますが、これにつきましては、十一年の財政再建推進プランをつくって二年後ということで、十二、十三年度における財政再建の取り組みや現在の都税収入の動向などを踏まえまして、十三年度予算までの到達点をベースに、十八年度までの見通しをお示ししたものでございます。
 そういうことで、この試算では、財政再建推進プランの目標年次である十五年度において、今お話ございましたが、プランの残りの目標額千八百二十六億円を超える二千七百億円の財源不足が見込まれておりまして、今後の税収動向によってはなお一層厳しさを増すことが予想されるわけでございます。
 しかしながら、これについては、今後とも歳入歳出の両面にわたる徹底した見直しを継続しまして、とりわけ内部努力の徹底や施策の見直しをこれまで以上に強力に進めることによりまして、財源不足の解消に努めていくことが重要と、このように考えております。

○近藤委員 そうすると、推進プランの達成状況の内訳の数字を見せていただきますと、歳入確保の中に、結局、銀行税、外形標準課税の一千億円というのが入っているわけです。これをプラスして四千四百七十四億円、七一%の達成率と、こういうふうにいっているわけですけれども、これを抜いてしまえば、当初このプランが立ったときには、外形標準課税のがの字もなかった。数字にこれを入れてきたのはこの後のことだということを今説明で伺いましたけれども、これを抜いてしまえば五五%程度の達成率ということが一つと、そして、歳入確保の中の税源の移譲等というこの一千五百億を目標にしていますけれども、消費税や所得税の移譲の実現ということは全く進んでないわけです。
 伺えば、誠心誠意努力してまいりますという答弁が返ってくるんでしょうから、それについては伺いませんけれども、二年くらいの間に、これが簡単に国から財源が移譲されるという見通しも立たないのではないかなと私なりに考えているわけです。
 そうしますと、この歳入確保額の中の一千七百五十億円、外形標準課税の導入がありまして、一千億は確保されていましたけれども、さらに厳しく内部努力ですとか、さっき部長おっしゃいましたけれども、施策の見直しをもう一度洗い直して、ある程度数字を精査し直す必要があるのではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○松澤主計部長 今先生からお話ございましたように、平成十一年の七月につくった財政再建推進プランの段階では、六千三百億の財源不足を解消する、こういうことを目標にして、十二年度から十五年度までの四年間のスパンの中でやっていく、こういうふうな一つのプランといいますか、形になっているわけでございます。
 十二、十三ということで二年間たちまして、ちょうど半分といいますか、折り返し点に来ているわけでございますが、その中で、この達成率としては七一%ということが出ておりますが、今回の収支見込みの方向では、大体三千億円ぐらいということでございますから、大体真ん中ぐらい、半分ぐらいのところに来ているということで、そういう面から行きますと、四年の二年目で五割ぐらいということになっているわけでございます。
 ただ、今お話ありましたように、財政再建プランの中の四つの柱のものについては、それぞれ表にもございますように、達成率については若干濃淡があるといいますか、特に税財政制度の改善については、今お話ありましたように、銀行業等に対する例の課税の問題で千億ほど入っておりますから、税源移譲というのは先ほども論議がございましたように、まだなかなか進んでない状況があります。
 そういうことも含めまして、個々にそれぞれ確保するのももちろん目標でございますが、トータルとして、まずこの四年間、残り二年間で財政再建のこの目標を達成していきたい。もちろん、時点がある程度、二年たって変わってきておりますので、そういうことも十分踏まえながらやっていかなきゃいけない、このように考えております。

○近藤委員 これからの都財政の負担要因という中で何点か挙げられていまして、特にその中から、退職手当について何点か伺いたいというふうに思っております。
 職員の年齢構成を見ますと、現在六十歳以上の方が三千七百五十一人、そして五十四歳の方が、これは団塊の世代といわれる方々の世代ではないかと思いますけれども、七千四百十六人ということで、六十歳以上の方のざっと倍の人数が五十四歳、つまりこの方たちが定年を迎えるときは、ことしかかっている退職金の、ざっと見積もっても倍の金額がこの年の経費から落ちるのではないかというふうに思うんですけれども、ざっと計算した、いわゆるピーク時を迎える五十四歳の七千四百十六人の方が退職されるときの予想される退職手当は、どのくらいになりますか。

○松澤主計部長 今先生お話ありました、このグラフの中で七千四百十六人も含めました具体的な退職手当の額というのは試算してございませんが、人数を勘案して、現在の状況から見ますと、大体二倍である三千億円を要するものというふうに考えております。

○近藤委員 公営企業ですと複式簿記ということで、退職金に合わせた積立金をしていく、複式簿記の制度があるわけですけれども、私がいうまでもなく、単式の単年度の予算ですから、通常、退職金について積立金を積んでいって、来たるべきときに備えるということはしていないわけですよね。
 しかも、都債の償還の減債基金の積み立ても一部見送っているこの状況の中で、自分たちの将来の退職金のためにお金をプールしていくという議論はいかがなものか、都民には受け入れられないのではないかというようなご説明もございましたけれども、といっても、このときに、お金がないから退職金払いませんよというわけにいかないわけですから、やはり議論はこういうところにのせていただいて、大きな負担要因になっていくということを認めたことが大きな進歩であるというふうに自画自賛なすっていた節もございますけれども、やはりこれはさっきおっしゃった大量の、一遍に退職金が出ていくわけですから、これはある程度前もって手当てをしていかなければいけないというふうに思うんです。
 ところが、ここで平成十一年度に退職手当債三百億円というのを計上しているわけですけれども、これはどういった場合に起債できるものなんでしょうか。

○松澤主計部長 退職手当債でございますが、これは通常の起債と違いまして、組織の改正とか定数の改廃、または予算の減少によって職員を退職させる場合、この退職手当に充てるための財源として発行が認められる特別な地方債でございます。
 したがいまして、その条件としましては、職員の退職によりまして職員定数を将来にわたって減ずることにより、その削減した経費をもって退職手当債の償還財源といいますか、それに充てることができるとか、そういった条件つきで発行が許可されるものでございます。

○近藤委員 平成十一年度、十二年度に予算計上されていますけれども、この理由はどういう理由からでしょうか。また、実際に発行されたんでしょうか。

○松澤主計部長 現在もそうでございますが、非常に都財政は厳しい状況がここ数年ずっと続いてきておりまして、また、そういうことも含めまして、定数の削減も大幅にやっていくという計画の中で、この退職手当債につきましては、平成十一年度に三百億円、それから平成十二年度には二百億円をそれぞれ計上したところでございます。
 このうち平成十一年度につきましては、三百億円の退職手当債を予算どおり発行したわけでございますが、昨年度、平成十二年度につきましては、ご案内のとおり、年度途中における都税収入のある程度増加が見込まれたこともございまして、予算計上いたしましたが、特別な起債であるということも含めまして、退職手当債の発行を見送った次第でございます。

○近藤委員 つまり通常の退職については、この退職手当債というのは起債できないということですから、例えばこれだけ、七千四百十六人が退職されるということであっても、これはもちろん通常の退職になるわけですから、結局これに合わせて起債することができない。つまりこのときにもし起債をするということになれば、このときに合わせて都庁の職員の定数を削減するということ以外に、起債をする--仮に起債を起こすということになれば、方法がないわけですよね。

○松澤主計部長 先生おっしゃるとおりでございまして、要件として、これは定数をある程度削減するということが前提条件になっておりますので、やはりそうしたことをその時点においてちゃんとやっておけば、それなりの、そのやった分だけの枠は確保できますが、それがなければ、通常の退職と同じでございますから、この退職手当債は不可能ということになると思います。

○近藤委員 それでは、退職手当の急増に充てる財源として、これから計画的に対処していっていただきたいということを申し添えて、次の質問に移ります。
 財務局は、今日の都財政の悪化を招いた要因として、バブル崩壊後に都税収入が急速に落ち込む中にあっても、歳出は高い水準を維持してしまったことを一つ理由として挙げられて、さっきこれについて長橋委員が議論されていたようですけれども、いつをピークにして税収が急激に落ち込んだのか、教えてください。

○松澤主計部長 都税収入につきましては、例えば昭和六十年代から現在まで見ますと、平成三年度の四兆八千四百九十四億円、これが一番のピークでございます。五兆近い税収があったわけでございます。ところが、先ほどもちょっとお話しいたしましたが、四年度に四兆三千七百六十八億円、五年度には四兆五百七十二億円ということで、それから六年度は三兆八千六百一億円ということで、四年、五年、六年というところで坂道を転げ落ちるように税収が落ちてきたというようなことでございまして、これは裏返せば、元年、二年、三年あたりはバブルという中で、一つの、そういうことも含めて税収が大幅に出たということにもなると思います。
   〔鈴木副委員長退席、委員長着席〕

○近藤委員 一部分重なる部分も出てきてしまうんですけれども、そうしますと、続けて四年間ぐらい大幅に税収が落ち込んでいく中で、なぜ歳出は高い水準のまま維持されたんでしょうか。

○松澤主計部長 今申し上げましたように、バブル経済崩壊後の都税収入は急速に落ち込む中にあっても、歳出水準というのはある程度のレベルをずっと推移してきたわけでございます。
 例えば、今申し上げた中で、平成三年度は歳出水準が六兆六千億台だったわけですが、四年度に六兆八千億、五年度が六兆九千億ということで、歳出はある程度安定的といいますか、若干ふえるような傾向にございました。このことでございますが、これは都税が落ちた分を、これまで培ってきた財政の対応能力といいますか、都債を積極的に活用したり、それから基金を取り崩しまして財源を確保して、歳出水準を可能な限り維持してきたわけでございます。これはやはり都民の期待にこたえて、これまで講じてきた都民サービスの水準の維持を図るということとあわせまして、国の景気対策に連動して、公共投資を中心とした景気対策に積極的に取り組んだことによるものでございます。
 それから、若干これは振り返ってみてのことになるかとは思いますが、当時の判断、見通しとしまして、景気の推移というのはそれまでは大体循環サイクルといいますか、ある程度期間を経ればまた回復するという形も一応予定されておりましたので、そういう見通しに立って、今申し上げましたように、その分をこれまで培ってきた財政の対応能力をフルに活用して、景気低迷時を乗り切る財政運営といいますか、都民サービスを低下させない歳出水準の維持、こういう財政運営をしてきたことによるものと考えております。

○近藤委員 さっき長橋委員の質問に対してのお答えの中にも、国の景気対策に連動しということをおっしゃっていました。また、景気はいつかはよくなるだろう、何とかその間、基金を取り崩し、つまり貯金を取り崩し、起債を起こし、借金をしながらしのいでいこうと。そのうち、しのいでいるうちに何とか明るい兆しが見えてくるよというようなことをしながらある時点まで来たんだと思うんですけれども、これがいよいよ見通しが違うと。今おっしゃったような循環サイクルという形の中でこのまま突っ走ってもいけないぞ、ちょっと先行きがおかしくなってきたぞというふうな実感の中で、東京都が政策の大きな転換を図ったのは何年になりますか。

○松澤主計部長 これはなかなか難しいご質問でございまして、いつギアをチェンジしたかということになると、はっきり例えばトップからセカンドに落としたというのはなかなか難しい面もございますが、一番、我々の方で財政運営から見ている面は、歳出の総額と、都税が主力でございますから、都税との間のいわゆるギャップでございますね、これがどれくらいかということの中で、これをどういう形で埋めていくかということが、ある意味では転換のことになると思います。
 そういう意味から申し上げますと、やはりバブルがはじけた後の四年度以降は、ギャップとして、この歳出総額と都税の間が二兆五千億とか二兆八千億台でずっと推移してきたわけでございます。これに対して、都債を発行したり、基金を取り崩してやってきたわけでございますが、そういうことがなかなかできにくくなって、歳出ギャップも九年度あたりから二兆一千億、二兆二千億という形で、かなり歳出も落としてきておりますので、やはり九年、十年あたりから今回の財政再建推進プランにつながる時期が一つの大きな転換、変わり目になっているのじゃないか、このように考えております。

○近藤委員 先ほどの国の景気対策に連動しというようなことと、都税の見通しというようなこともあって、例えば税収がこれからどの程度伸びていくか、どの程度落ちていくかですとか、相対的な景気の動向などは最終的には東京都独自の判断で行っていらっしゃるんでしょうか。それとも、さっき二言目には国と連動、国と連動というようにおっしゃいましたけれども、最終的には国の判断を東京都の判断とするんでしょうか。

○松澤主計部長 税収の見通しといいますか、見積もりの問題でございますが、東京都の税収は当然のことですが、地方税ということでございますので、また国税とはちょっと違った税目の中で構成されているわけでございます。そういうことで、毎年税収見通しをどれぐらいになるかというのは、国のことよりも、先月になりますが、九月末の法人等の中間決算報告を見て、主税当局は、それがまとまるのが十一月の中旬とか末ごろになりますから、それを踏まえると次年度の税収見積もりというのが大体はっきりしてまいります。それを踏まえて、まず来年度の税収がどのくらい法人も含めて見込まれるか、そういう予算編成の中でまず歳入の方の胸算用といいますか、それを立てるわけでございます。
 国の方は、どちらかというと、次の年の予算は大体年末あたりに発表されますが、そのときに経済見通しとかいろいろなものも一緒に出てくるわけでございますので、そういうことも十分、新しく次年度の予算をつくるときには参考にさせていただきながら、それから地方財政計画も出てまいりますので、そういうのを踏まえてやりますが、基本的には冒頭申し上げましたように、主税当局での税収見積もりをまず踏まえてと、こういうことでございます。

○近藤委員 そうすると、来年度に向かっての税収はこのくらいになるという短期的なことはよろしいんですけれども、さっきおっしゃった、税収が平成四年度からぐっと落ち込んで、最終的な大きな転換と見られる時期が平成八年から九年ということをおっしゃったかと思うんですけれども、そうすると、その間の四年間または五年間という間は、さっきの冒頭、これは短期的な落ち込みであって、循環サイクルの一つにすぎないという判断の中で、歳出は今までどおり、大幅に税収が少なくなる一方でも歳出は抑えていくということはしなかったわけですよね。
 そういう判断、最終的な景気の、短期的なことではなくて、さっきおっしゃった景気の見通し、これは短期的な落ち込みである、サイクルであるというような見通しをされた中で、東京都の毎年の基金の取り崩しですとか、都債の起債というものの金額が決められてきたんだと思いますけれども、その例えば四年間の経済的なサイクルの見通しについて、こうだという中での政策を立てるに当たっての最終的な権限ですとか、この見通しについてだれが責任をとるんですか。

○松澤主計部長 バブル経済後の日本経済、あるいはこれがどういう形になっていくかというのは、当時もなかなかこれは非常にわかりにくかったこともございますし、今から振り返れば、九〇年代の失われた十年というのはまさにそういうことが今ツケになって、国の方も地方も含めて、構造改革やらなきゃいけない、そういう時代に入っているんじゃないかということでございます。
 当時の、景気が必ず戻ってくるというふうに見込んでいたということではないんですが、そういう期待も含めて、当時はやっていたということは一つあると思います。その四年、五年、六年も含めて、毎年単年度のことでなくて、もっと中期的な見通しはだれが責任持つかということでございますが、これにつきましては、予算はもちろん単年度的にやっておりますが、もう一つとしては、計画的な行政といいますか、そういうものも含めて、東京都も含めて、地方自治体はやっておりますので、そういうことを含めてトータルに都政としてそれを運営してきたわけでございまして、そのことは特に失敗ということでなくて、そういう形で財政運営も行い、また、都民のための施策を低下させることのないように運営をしてきたことでございますので、これは一つの、政策というものがそれぞれの時代によって変わってくることではないか、そういうふうに思っております。

○近藤委員 申しわけありません、ちょっと私の質問に直接お答えいただいていないなというふうに思うんですけれども、やはりこれだけ莫大なお金を出していくわけですから、短期的にはもちろん、長期的なある程度のスパンに立った、もちろん経済動向もすべて勘案した上で皆さん方やっていらっしゃると思うんですけれども、例えば、表に総合研究所みたいなことがございますよね。経済の動向をきちんと精査しているような、そういった部署が、財務または都庁の中にはあるんでしょうか。

○松澤主計部長 私の知っている限りでは、そういうシンクタンク的なものとか長期的な経済見通しを都独自でやる外部的な研究機関というのは、東京都の方には特にないのではないかと思っております。
 ただ、今申し上げましたように、計画行政の中でいろいろその知事ごとに、過去に鈴木知事の時代も青島知事の時代も、三カ年計画とか十カ年計画とか立てておりまして、その中である程度どれぐらいの経済成長で行くとか、そういうことも十分見通しを立てながら運営してきた、そういうような状況がございます。

○近藤委員 一番大事なところが最後聞き取れなかった。運営してきたとおっしゃったんですか。

○松澤主計部長 そういう計画行政と予算というものとかみ合わせながらやってきたということでございます。

○近藤委員 では、ある程度中長期的な景気の動向をにらみながらの予算編成というものについての最終的な権限なり責任というのは、財務局にあるという理解でよろしいんですか。
   〔「議会にもあります」と呼ぶ者あり〕

○松澤主計部長 若干話がずれますが、毎年度、来年がどうなるかという経済動向そのものはそれなりに、政府の経済見通しも出ますし、それから民間からも中期も含めていろいろなもちろん見通しが出ますから、当然、そういうことは十分参考にしながらやっていっているわけでございます。
 当時はそういうことで、都のみならず、国も企業も皆やはり同じような、さっきも申し上げましたけれども、なかなかそこら辺の見通しが難しいといいますか、そういう中でいろいろな、企業においては企業経営、また国家財政、地方財政をやってきたということでございますので、これはそういうような公的部門、民間部門問わず、やはりそういう中でそういう時代がやってきた、こういうことではないかと思います。

○近藤委員 どうして私しつこく聞いているかというと、これはせんだっての九月二十八日の委員会の中で、私どもの会派の桜井委員の質問に対して局長が、短いですから読ましていただきますと、法人二税中心になっておりまして、時によりますと、二千億、三千億、五千億落ちた年もありました、こういうことで、こういう大幅な減に対して、歳出を合わせて削るというのが大変至難なわざでありまして、こういう不景気が何年か続くと、たちまちに財政危機に陥る、この繰り返しをこれまでしておりましたと。これが繰り返されたら、都民はたまったものではないというふうに思うんですね。この後に続いて、問題は地方自治体の歳入の単独性を縛っている国の制度にもあるが、やはり我々の方の責任といいますか、財政運営上の責任というものがやはりあるというふうに思いますというお答えをしていらっしゃるわけです。
 ですから、私が伺っているのは、歳入が落ちたから、これでまた、たちまち財政危機に陥るという繰り返しであるということがわかっていながら、そういう状況から脱却できない理由は局長もご答弁なすっていますけれども、そしてその後に、税収が伸びているときにそれを蓄えるというような工夫がどうして欠けていたということで、美濃部都政の時代に知事に怒られたということを局長は述べていらっしゃるわけですね。その反省から、鈴木知事になられたときに一定程度を積み立てるという条例をつくりました、こういうふうにお答えになっているわけですけれども、では、今回のだれに責任があると、さっきおっしゃいました、議会にも、そういう予算を通してきたという意味では責任はもちろんあるわけですけれども、この状況の中から、では次の世代に向かって局長が教訓とされて、次にこれはということで託していきたい、この中から私たちが学んでいかなきゃならないことは一体何だろうかということを最後に伺って、質問を終わります。

○安樂財務局長 恐らく相当根源的というか、難しい問題が提起されていると思うんですね。というのは、財政的な見通しとか、あるいは経済見通しについてだれが責任をとるかということについては、これまでも、国も東京都も含めて、必ずしも明確にこういうことだというふうにはちょっと断言できないと思うんですが、少なくとも私が都の職員としての範囲内で考えていたことをこの間もちょっと申し上げたんですが、繰り返しになりますけれども、こういう財政危機が繰り返されるのは、先ほども申し上げましたように、歳入と歳出の間に余りにも対応できない大きな差が出てしまうというところに一つ問題があるというふうに思うんですね。
 ただ、ではそれを放置していいかという問題、これはもう我々の財政運営上の今度は責任になってくると思うんですが、それについては前にもちょっとお話ししましたが、やはり年度間で財政を蓄えるというような工夫、それからもう一方では既にたまってしまっている都債のような借金、これを少しでも景気がいいときに軽減しておくというような、こういう財政運営、やはりそういうのがちょっと欠けていたんじゃないかと私は思うんですね。
 それともう一つは、先ほどの藤田先生との議論の中にもございましたけれども、財政に余裕がある、それはちょっと形式的な財政に余裕があるときなんですけれども、実際には借金だとかいろいろあるわけですけれども、そういうのを除いておいて、余裕があるときには、やはり歳出増加圧力というものにどうしても抵抗できないという面があります。
 その一端は、先ほど申し上げました我々の責任、勇気がないというようなこともあると思います。それと同時に、都政は都民のためにやらなくちゃいけない仕事というのはたくさんあるんですね。これもやりたい、あれもやりたいというのがたくさんありまして、やはりそういう少しでも余裕があるときというのはどうしても、これはもう当然のことだと思いますけれども、我々も都民のために仕事をしているわけですから、なるべくそういうことに使いたい。また議会も当然にそうだと思います。こういうことで歳出を組んでほしいという要求が当然あると思いますし、いい、悪いは別にして、そういう歳出圧力というもの、なかなか難しいんですね、これに抵抗することが難しい。
 実際には、財務当局はいろいろな面で、余裕があるように見えても、借金もありますよというようなことを本当は明確に理解してもらわなくちゃいけないんでしょうけれども、やはりそういうことも欠けていたんだと思います。
 そういうことでは、最近は主計部なんかもいろいろな形の報告書を出して、長期的な財政運営しなくちゃいけないということもいっておりますし、また、実際の財政状況はこうなんだということも、結構最近では隠れ借金なんていう言葉を使っていますけれども、言葉の使い方は別にしても、相当いろいろなことを明らかにしてきているんだと思います。そういう点は、財政見通しとかそういうことの責任とは別に、やはり我々がカバーする範囲内の責任ではないかなというふうに思っております。

○渡辺委員 基本的なところをちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず最初に、局長にちょっとお尋ねしたいんですけれども、新局長に抱負を聞くという、これは「都政新報」に載っていたインタビューですけれども、この中で、十億円の新規事業をやろうとすれば、十億円をみずからの局で切らなければならない、傾向として、余り新規施策を出さなければ、消極姿勢になりがちだ、こういうふうに一つはいっているんですね。ということは、スクラップ・アンド・ビルドということがあるんですが、まず何か切れと、これは前提として先にありきなんですか。
 要するに、士気全体を盛り上げるために、こういう新規事業をやらなければならない、そのためには何か減らさなきゃならない、こういうことになるわけですよね、この関係からいうと。その辺はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。

○安樂財務局長 その前後の文脈は、今度重要施策というものの選定をするということになった、その前後の中で申し上げている話なんですが、従来のやり方は、先ほども申し上げましたけれども、シーリングがかかっております。そのシーリングというのも、前年と同じ予算額の中で要求しなさいというのではなくて、一〇%、二〇%、総体としては予算を切って--要求段階ですよ、要求段階で切って要求しろというふうになっているわけですね。そうしますと、各局にとっては当然、何か新しい施策をしようと思えば、それに相応するだけの財源は自分の中で何か既定事業を整理せざるを得ないという、そのことを申し上げたんです。

○渡辺委員 そうすると、結論的にいえば、何かを削れと、そうしなければ要求できない、こういう関係にあるということの内容ですね。
 そのよしあしはきょうはここで論じませんが、それから、もう一つここでいっているのは、今、重点施策のお話がありましたけれども、重点施策についてはシーリングの外ということになっているということを述べていますよね。それで、問題は、これまでの予算査定で--前のはありますよ、これまでの予算査定でも、予算要求したものがばさばさと切られる、現状維持で逃げようとしてもシーリングがかけられる、その意味では何も変わってない、要求どおりにはいかないのが予算の査定だ、こういうふうにいっているんですけれども、私もちょっとここで一つ聞きたいのは、ばさばさ切られるということで、これは、財務局長にまだ新しくなったばかりですが、ほかの局にいたときに、いろいろと要求をする、そうしたら財務局にばさばさと切られた、こういうことですか。

○安樂財務局長 それも前後の文脈の質問の中で答えているんですが、新しいやり方をすると、新規要求についてはシーリングがかからない、そうなると、重要施策でないものについてはより厳しいシーリングがかかるんじゃないか、みんな消極的になってしまうんじゃないか、そういう質問なんですよね。それについては、これまでも今回のような方式をとってもとらなくても、要求したものがすべていつも認められるわけではないという、査定が必ずありますよということを申し上げているんですね。そういう点では、これまでと本質的には変わりはない。
 今回の新しい方式が、では何が違うのかといえば、新規要求といいますか、重要施策というのは都市再生とか都民生活を守るためにすぐれた施策だというふうに思っていただければいいんですけれども、そういうものについて積極的に出したいときには、それは当然シーリングはありますけれども、要求段階ではシーリングがかかっていませんという、そういうところに今回の方式の意味があるというふうに、その説明の中で述べております。

○渡辺委員 今の答弁はよくわからないけれども、正直いって。いわゆる予算査定でも、予算要求したものがばさばさ切られるというのは、今の話とはやはりちょっと違うと思うんですよ、私。
 というのは、財務局と各事業局との間では、いつもこれやり合うんですよ。私たちが、例えばですけれども、事業局に対していろいろと要求をする。そうすると、財務局がだめなんだよ、うるさくて、こういうふうになるんですよ。財務局から切られると。だから財務局にいってくださいよと、こういう話になるでしょう、事業局へいったら。ところが、財務局からいうと、そんなことありませんよと。財務局というのは一つ一つの事業に対して一律一〇%ということでかければ、それを全部かけるんですよ、そういうことはいっておりませんよ、全体の総枠でどうするかということでは、一〇%だったら一〇%というのは、各局でそれぞれ検討してくださいよ、こういう話でしょう。だから、ばさばさ削るというのは、どっちが本当なのか、私よくわからないけれども、いずれにしても、局長のこういう抱負で、この中に述べられているから一言ちょっと聞いてみようか、こういうことでお聞きしたんです。これは答弁結構です。
 財政再建の問題について、少し基本的なところでお伺いしたいと思っています。
 この財政再建推進プランを進めておるわけですけれども、中でも経常経費が増加する、こういうことでその見直しが最も強く求められているということですね。見直し目標に対して、経常経費の到達点、この数字からまずお聞きしていきましょうか。

○松澤主計部長 財政再建推進プランにおける経常経費の見直しにつきましては、十二年度、十三年度の二年間で、目標額は千八百億円に対しまして、千二百八十一億円ということで、達成率七一・二%の財源を確保したところでございます。

○渡辺委員 千八百億円に対して千二百八十一億円ということで削ったわけですよね。財政再建推進プランの中では最大の見直しになったというふうに私は思っています。これはどのようなものを主として削ったのかということをちょっと聞かしてください。

○松澤主計部長 これは今局長の答弁にもございましたように、個別一つ一つを、何を切ったというよりも、シーリングをかけて各局から削減を出してもらったものもございますので、個別にこれが幾ら、これが幾らというような形では特に今申し上げるような状況でもないし、また、そういう形で具体的には把握してございません。

○渡辺委員 この削減された中に、これは特に福祉事業ということだと思うんですよ。例えばシルバーパス、マル福あるいは老人福祉手当、それから特別養護老人ホームへの補助金、国保に対する補助金などたくさんあるわけですけれども、こういうものを全部含めると、全体事業が終わるということになると、一千億円になるんですよね。
 今日の消費不況という中で、消費が冷え込んでいるというのに、これらの今いったような社会保障制度がどんどんと切り捨てられていった。都民の将来不安というのは一層そのために募ってくる。これで景気回復ということにはつながらないと私は考えているんです。
 このように福祉施策は大胆に削った。しかし、同じ経常経費の中に、投資的な性格を持つ事業はたくさんあるわけですよ。これは幾つかの例をちょっと挙げます。例えば都市高速鉄道建設助成、首都高速道路公団出資金、日暮里・舎人線の整備事業、常磐新線整備事業、住宅供給公社貸付及び補助金、市街地再開発事業会計繰出金、東京都埠頭公社貸付金、公営企業会計支出金、これは病院と市場を除きますが、そのほか区画整理事業等々、たくさんあるんですね。
 例えばですけれども、今申し上げた中に、私はこれを一律的に削れとか、あるいは機械的に見直せということをいっているわけじゃないんです、必要なものはあるわけですから。しかし、これら全体的に見ますと、この投資的性格を持つ事業の見直しはどういうふうになっているかということを、ちょっとお聞きしたいんです。

○松澤主計部長 今先生からお話ございました都市高速鉄道建設助成以下の事業でございますが、こういうものを含めましてでございますが、経常経費については、投資的なもの及びそれ以外のものという区分は特に行っておりませんが、今先生からご指摘のあった経費については、十三年度と十一年度当初予算ベースで比較しますと、〇・六%の減、こういうふうになっております。

○渡辺委員 そうですよね。先ほど申し上げた事業中の区画整理事業ということを除いた予算ですけれども、十三年度予算額が三千四百四十六億円、先ほど挙げた八項目ですけれども。十一年度の予算、これは三千四百六十七億円。これは十一年度がベースですからね、この再建推進プランの。これを比較してみますと、先ほど答弁がありましたけれども、わずか〇・六%の減。わずか二十一億円の削減しかないんです。これでは私からいわせれば、全く地方自治という立場から見て、逆立ちしているんじゃないかというふうにいわざるを得ないんです。
 そこで伺いますけれども、来年度の予算編成に向けた依命通達が出されておりますが、その中で重要施策は、先ほどもありましたけれども、シーリングの対象外ということになっています。経常経費と投資的経費の一律一〇%のマイナスシーリング、こういうことになっているわけですね。それで、推進プランの取り組みの中では、経常経費の見直し、これについては残りまだ三〇%近くありますよね。正確には二九%ということがありますけれども、これを金額にすると五百四十億あるわけですよ、まだ。経常経費の中で、今度はこの五百四十億をまたつくる、捻出させる、こういうことでまたまたここに切り込みを入れてやろうとするわけでしょうけれども、何を今度は削るんですか。これをちょっとお聞きしたい。

○松澤主計部長 やはり財政再建の中で構造改革としてやっていくためには、経常経費、投資的経費を問わず、基本的には聖域なく見直しを行う。また、もちろん重要施策も含めまして、都民のために必要なものは、当然それは予算措置していく、こういう原則の中でやっておりますので、また一方で財政再建推進プラン、十五年度までに達成していかなければならないということもございますので、そういうことを総合的に勘案して、個々に何を切るということでなくて、そういうことをこれから含めて見直し、再構築をやっていく、こういうことでございます。

○渡辺委員 きょうは余り深追いはせずに、基本的なところだけちょっと質問させてもらいます。
 経常経費の中の投資的性格を持つ、先ほどいいました事業ですね、これは先ほどいったようにたくさんあるわけです。あれ以外にもたくさんあるわけですから。その見直しを私は強く改めて求めておきたい。
 もう一言いわせてもらえれば、私たちがこれまで、削りなさい、削りなさいということをいってきたものについては、全然メスが入らない。これは大型公共事業というのは後からいいますから別ですよ。
 例えば、具体的にいいますけれども、同和事業ですよ。同和事業というのは、来年三月に終了するんです。終了するんですけれども、一般施策に移行するということで、全部移行させるんです。ところが、移行するんだけれども、一般施策に入れて、その中の特別対策ということでこれを継続しようとしている。これはもうとんでもない話だというふうに思うんですね。
 もっと具体的に、二つだけ申し上げます。一つは、例えば都営住宅、解同だけじゃありませんけれども、同和の特割というのがある、特別割り当て。特別割り当てを受けて、そして部落出身だということが証明されるということになったら、その住宅に入れる。資格があるわけですからね。それで入れば、家賃は二分の一になる。しかも、高額所得でも追い出されない。こういう特権的な事業というのが続けられている、いまだに。それをまた今度は一般施策の中に潜らして、特別対策だと。とんでもない話ですよ。こういうのをなぜやめないのかという問題ね。
 それからもう一つ、これは同和関係のいわゆる家内労働の相談員というのがいる。この相談員の方、今四名いるんだけれども、月々二十五万円の給料をもらっている。何をやっているか、よく調べていただきたいと思うんですけれども、それはもう報告出せといえば出すでしょうけれども、これは同和のいわゆる解同、解放同盟というこの団体の資金源になっている。そういうものは依然として継続されようとしているんです。こういうものも、本当に財務局、財政を再建したいというんだったら、そういうむだ遣いこそきっぱりとやめさせるということじゃないですか。私はそれを強く求めておきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、投資的経費の見直しですけれども、この到達点、聞かしてください。

○松澤主計部長 投資的経費につきましては、十二年度と十三年度の二年間で、目標額、財政再建推進プランで六百億円を設定しておりまして、三百十八億円、五三%の財源を確保しているところでございます。

○渡辺委員 投資的経費の見直し目標というのは、経常経費の三分の一ということですよね。経常経費が千八百億、それに対して投資的経費が六百億ということ。しかも、その六百億の到達点というのは五三%、約半分ということで、三百億ということですよね。この投資的経費の中の見直しということについても、重点化されているわけですね。これは皆さん方もよくおっしゃいますけれども、重点化ということでされている。生活密着型という中小企業に非常にかかわりの多い、しかもまた強い事業というのがどうなっているかというと、大幅に縮小されている。
 例えば、生活道路、あるいは特別養護老人ホームなどの福祉施設、それから住宅、交通安全施設、中小河川、こういうものについては公共事業の重点化ということで大型化の方に行ってしまっていますから、こういうものが極端に予算が切り縮められている。十年前と比較したら、四割、五割削られている。そういう状況になっちゃっている。やはり私は、これも地方自治体としてみれば、あるまじき行為だというふうにいいたいところなんですよ。
 一方、大型開発事業、これは温存されているということを私たちは一貫して主張してきているところですが、むしろますます拡大されようとしている。例えば首都圏メガロポリス構想、さらにまた、ここへ来て都市再生ということでどんどん大型化しているわけでしょう。これをまた積極的に推進しようという、そういう状況にもなりさえある。だから、財源が幾らあってもこれでは足らないですよ、正直いって。これらを推進するという立場に立てば、今後税収が伸びない。むしろ減収、税収減が予想される。こういう状況の中で、財源をどこから捻出しようとするのかという問題ですよ。これはどのように考えておられるんでしょうか。

○松澤主計部長 まず初めに、ご質問からは若干外れるかもしれませんが、投資的経費については、今回の委員会の資料でもお示ししてございますように、普通会計で、五年度二兆近くあったものが、今大体八千五百億という、ここまでかなり落としてきているわけでございます。限られたそういう投資的経費の中で、公共事業についてはこれまでも生活福祉関連事業などを含めまして、さまざまな都市基盤整備を着実に進めてきたところでございます。
 中でも、大規模公共事業というお話もございましたが、やはり東京における空港、鉄道、道路というのは都市の根幹でございますから、こういう施設の整備がやはり大事なことでございますし、次世代に引き継ぐということで、こういうものもちゃんとやっていかなければいけないというようなことでございます。
 そういうことで、やらなきゃいけないことはぜひやらなければいけない。しかし、一方で財政構造改革をやらなきゃいけないということでございますから、やはり不要不急で、ある程度事業を見直して、再構築するものを財源として出して、一方でやらなきゃいけないところにその財源を回す。また、めり張りのある予算をやっていく、そういうふうな形で財源を捻出していくことが、こういう時代においては必要じゃないか、このように考えております。

○渡辺委員 我が党は、従前から大型公共事業の見直しというのは、都民参加で積極的に取り組むべきだということで主張してきたわけですよ。今のお話、答弁でもそうですけれども、私たちは都市基盤整備ということについて全く必要ないなんていっているわけじゃないんですよね。必要なものについてはやらなきゃならないということは明らかですから。
 だけれども、先ほどもいいましたように、公共事業の本当に自治体としてやるべき公共事業、都民に密接に結びついている、こういうものについては積極的に取り組む、そういうことをいっているわけです。だから、大型化に重点化するという、こういうものを見直しをしていかなきゃだめなんですよということをいってきておるわけです。
 今、部長の方からも答弁ありましたけれども、投資的経費を八千五百億というように縮めてきた、こういうことでお話がありますけれども、投資的経費というのは八千から八千五百億、そうかもしれないね。しかし、経常経費の中の投資的性格を持つ事業、先ほどいいましたけれども、こういう事業というのはさらにそれにプラスされるわけですよ。ですから、これを全部計算しますと、一兆一千億ぐらいあるわけですよ、まだ。まだバブル前の状況から見ると、二倍化しているわけですから。そういう点ではまだまだ見直しが足らないというふうに私思うんです。
 この事業の中の大型開発、大型公共事業の見直し、これは本腰入れてやっていただかないと、私は財政再建などというのはできないというふうに思うんですけれども、大型化していく、あるいは重点化ということで進めていく大型事業、これの見直し、本当に本腰入れてやるかどうかという点でどうなんでしょうか、ちょっとお聞きしたいんです。

○松澤主計部長 先ほどお話ししましたように、投資的経費についてはもうかなり落としてきておりまして、もう目いっぱいの中で、やらなきゃいけないことをやるような形になっているわけでございまして、その中には、繰り返しになりますが、生活福祉関連みたいな、そういう生活密着型の投資ももちろんありますし、それからやはり空港、鉄道、道路とか、これから東京の再生のために都市基盤としてやらなきゃいけないものもありますから、そういうものをうまくかみ合わせて、やはり効率的に、また都民ニーズに合った形でこれから公共投資というものをやっていかなきゃいけないと思います。
 それからもう一つ、先ほど経常経費の中にも、そういう首都高とか入っているというお話もございましたが、これは貸付金とか出資金ということでございますので投資的経費に入ってございませんが、これもまた国や特殊法人がやる中で、都市基盤あるいはいろいろな交通基盤ということで、これも大事な一つのものでございますし、そういうことで特にこれが経常経費だから、そのものがおかしいということではないんじゃないかと思います。
 それからまた、逆にいいますと、特別養護老人ホームの建設なんかの民間助成については、投資的経費に入ってなくても助成金として出して、いろいろな建設助成とかやっているわけでございますので、ここは複合した形でやはり考えざるを得ないんじゃないか、このように考えています。

○渡辺委員 そういうことをいうといろいろと反論したくなるんだけれども、例えば特別養護老人ホームの補助金なんといったって、どんどん削って、これからなくしていく方向でしょう。今特別養護老人ホームなんというのは大変な事態になっているんですよ。知っていますか。だって、二百億、三百億あった補助金が百億に減らされて、今度七十億になって、さらにもっと削るということで、三十億だなんて話だろう。そのうちなくなっちゃうでしょうよ。そんな悠長なことをいっていたら、本当に大変なことになるんですよ、これは。
 だから、本当にそういうことで、私は大型開発、こういうものの見直し、これが今の時代の流れなんですよ。ここで私、局長に聞きますけれども、局長は、この東京都の財政というのは危機的状態にあるということをよくいうけれども、本当にそういう認識に立っているんですか、局長に聞きます。

○安樂財務局長 そういう危機的状況に立っているかと、そういう内心のことをいわれてもちょっと難しいんですけれども、少なくとも行動においては、財政再建のために全力で努力しているつもりでおります。
 ちょっとお言葉を返すようですけれども、私たちは、先ほど部長からもお答えしましたけれども、都民にとって緊急性のあるもの、必要性のあるものということで公共事業を進めておりますので、大型であるから都民に役立たず悪であるとか、それ以外のものだと密着型で善であるというような、そういう観念でやっているわけではないんですよね(渡辺委員「私はそんなこといってないよ、全然」と呼ぶ)ただ、先ほどからそういうふうに聞こえておりますけれども(渡辺委員「聞こえていないよ。ちゃんと必要なものは必要だといっているんだよ」と呼ぶ)ですから、そういう点では全く私たちと同じだと思うんですよ。

○大西委員長 発言は挙手してください。

○安樂財務局長 ということでご理解いただきたいと思います。

○渡辺委員 なぜこれを聞いたかというと、繰り返しになるかもしれませんが、今日のこの都財政の危機的状況というんだったら、これまでの財政運営において、大型開発を積極的に推進してきたこと、しかもそれらの事業を都債、借金でほとんど賄ってきたこと、これが今日の都財政を窮地に追い込んだ最大の理由ですよ。そうでしょう。この大型公共事業の抜本的な見直しを本腰入れてやらなければ、先ほどからいっているように、本当の財政再建などはあり得ないというふうに私は強調しておきたいと思います。
 まして長引く不況の中で、しかも消費が冷え込んでいる、こういう現状の中で、社会保障的な福祉、医療というものをどんどん切り捨てるということでは、将来不安が一層高まるだけ。したがって、過大な大型公共事業、これは先ほどいったように必要なものも中にはあるでしょう。そういうものを全部否定しているんじゃないんですよ。(「例えば」と呼ぶ者あり)例えば、大型公共事業を抜本的に見直しをしていく方向を積極的に取り組んでいくということ。
 それからもう一つは、社会保障、こういうものをどんどん切り捨てるという方向でなく、都民が安心して暮らすことができるような、そういう施策を充実させていくということが、本当に相まって進めていくということになれば、これは財政の立て直しもできるし、都民の皆さんの要求にもこたえられるという両立論を私たちは一貫して主張しているわけですよ。これが全然今までかみ合っていないわけですから、本腰入れて取り組んでいただきたい。本当に財政危機というような認識を持つんだったら、その立場に立って進めていただきたい、こういうふうに思うわけなんです。
 それで、あとちょっとですから、聞いてください。
 このまま大規模な開発を推し進めるということでいくならば、特に都市再生ということでどんどん推し進めていくということになれば、都債の増発ということになりかねない、こういうふうに私は心配するんです。
 ですから、この点では、まとめて聞きますが、三千五百億と今出ていますよね、目標は。三千五百億円というと、必ずしも今の借金が減らない、私たちの計算でいくと。どうしたって、借金を減らすということになれば、三千億以下にしなければならない。三千億だと減るんです。ですから、そういうことで、その計画の問題はいいとしても、これから都市再生ということで大型開発をどんどん進めるということで、この東京都が今出している、守っていこうとしている三千五百億という都債、これは守れますか。

○松澤主計部長 今回新しく始まった重要施策も含めまして、やはり都民のためにやらなきゃいけない施策はやっていかなきゃいけない。また一方で、繰り返しになりますが、経常経費、投資的経費、聖域なく、それ以外のものは聖域なく見直しをして、財政再建、財政構造改革を進めていかなきゃならないということだと思います。
 そういう中で、特に都債につきましては、投資的経費の財源でございますから、何が投資的経費として必要かということがまず選ばれた中で、後、その中で財源として何を充てていくかという問題になってくるわけでございまして、初めに都債ありきではないというふうに思っております。ただ、そうはいいましても、今お話ありましたように、都債残高がふえて、これからもどんどん公債費の負担が多くなるわけでございますから、当然、財政再建推進プランで今三千五百という数字を設定しながら都債というのを計上しておりますが、これを大きな目標にしながらやっていきたいと思います。

○渡辺委員 三千五百億円というのは、先ほどいったように、これ以上借金をできるだけふやさないということで東京都が自主的に打ち出した内容ですよね。しかし私どもは、先ほどいったように、三千五百億ですとまだ借金を減らすというところまで行きませんよ、こういう話をしているので、三千五百億円を守りなさいといっているんじゃないですよ。それ以上にしてはだめですよということはいいますけれども、それ以下にどんどんしなきゃ借金を返済するということにはつながりませんよということをもう少しはっきりと強調しておきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、聖域なき見直しという言葉が今ありましたけれども、この聖域なき見直しというのがくせ者なので、これまでもそういうことでやられてきたんだから。だから、聖域なきといっても、やはり地方自治体なんだから、地方自治法という立場に立って何をすべきか、まず都民の暮らし、あるいは福祉、医療、こういうものをやはり積極的に守るという立場から見直しというものも考えていただかないといけないと思うんです。ですから、そういう点ひとつしっかりとおさめておいていただきたいというふうに思います。
 これは局長に最後に申し上げておきたいと思うんですけれども、財政再建というのは都民へ犠牲を押しつけて、そして大型公共事業をどんどん積極的に推進する、これではだめなんだということを改めて強調させていただきたいというふうに思います。
 今求められているのは、先ほどもいいましたけれども、むだなものですね、不要不急のもの、こういうものについては徹底して見直しをする。あわせて大型公共事業の抜本的な見直し、例えば都市計画局の貸付金、私、この貸付金だって大型公共事業というところに結びついていくわけですから、これもちゃんと見直しをしていかなきゃいけないと思うんですよ。都市計画局の貸付金だけで六千四百億円あるんですよ、ご存じだと思いますけれども。ですから、こういうものを含めてやはり見直しをする。そして都民の暮らし、福祉、医療というものをしっかり守る。あわせて、公共事業というものは都民の生活密着型、こういうところに重点を移して、そして都政運営というものに当たっていただきたいということを強く申し述べて、ちょっと五時過ぎましたけれども、終わらせていただきます。

○大西委員長 局長、何か一言ありますか。--いいですか。
 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大西委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五分散会

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