財政委員会速記録第六号

平成十三年三月二十二日(木曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長遠藤  衛君
副委員長松原 忠義君
副委員長大木田 守君
理事西条 庄治君
理事古館 和憲君
理事大西 英男君
鈴木貫太郎君
野田 和男君
星野 篤功君
山本賢太郎君
松村 友昭君
桜井良之助君
渡辺 康信君

 欠席委員 なし

 出席説明員
財務局局長木内 征司君
経理部長碇山 幸夫君
主計部長成田  浩君
主税局局長大塚 俊郎君
総務部長白戸  毅君
出納長室出納長佐々木克己君
副出納長三宅  亨君
収用委員会事務局局長安間 謙臣君
次長宇口 昌義君

本日の会議に付した事件
 予算の調査(意見開陳)
 ・第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出 財政委員会所管分、都債
 ・第三号議案 平成十三年度東京都地方消費税清算会計予算
 ・第十四号議案 平成十三年度東京都用地会計予算
 ・第十五号議案 平成十三年度東京都公債費会計予算
 付託議案の審査(決定)
 ・第四十七号議案 東京都政務調査費の交付に関する条例
 ・第四十八号議案 東京都多摩ニュータウン事業会計条例
 ・第四十九号議案 東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
 ・第五十号議案  東京都都税条例の一部を改正する条例
 ・第五十一号議案 東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
 ・第五十二号議案 東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
 ・第四十七号議案に対する修正案
 請願陳情の審査
 (1)一二第六五号 都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
 (2)一二第六七号
 (3)一二第六九号 都市計画税の二分の一減免措置の継続に関する陳情
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○遠藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、予算調査、付託議案審査、請願陳情審査、閉会中における請願陳情並びに特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。ご了承願います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算中、予算総則、歳入、歳出、財政委員会所管分、都債、第三号議案、第十四号議案及び第十五号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○松原委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十三年度予算関係議案について意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 現下の都財政は、八兆円に迫る都債残高や二年連続の財政赤字に加え、一兆円を超える隠れ借金の存在など、依然として厳しい状況下にあります。こうした危機的な財政状況の克服を図るとともに、首都東京の再生に向けて、都市基盤整備や少子高齢社会への対応、景気対策、環境対策、防災など、都政の重要課題に積極的に取り組んでいく必要があります。この観点から、新しい時代にふさわしい施策の再構築や歳入確保努力など、財政構造改革の引き続く実行がますます重要になるのはいうまでもありません。
 知事は、平成十三年度予算案を、財政再建推進プランの前半の到達点としてその着実な実行を図ることにより、首都東京の再生を目指す予算と位置づけられました。
 財源確保に当たっては、銀行業等に対する外形標準課税が一千億円程度新たな税収として見込まれ、厳しい都財政にとって大変貴重なものとなります。また、都が地方交付税不交付団体であることによって受けている国庫支出金の財源調整措置に関して、知事と都議会が相協力し、国に強力に廃止を要求した結果、昨年に引き続き改善が図られました。
 今後も引き続き財源確保に一層の工夫を図るとともに、税源移譲を初めとする地方税財政制度の改善を強く国に働きかけ、地方分権の時代にふさわしい財政自主権を実現していかなければなりません。
 また、この予算案においては、都債の償還経費等、今後見込まれる将来負担の増大に対応し、財政調整基金や社会資本等整備基金の積み立てを行うなど、財政基盤の強化を図っておりますが、財政構造改革を進めるという観点からは必要不可欠なことであります。
 一方、景気の先行きは依然として不透明であり、都財政の運営に当たっては、常に財政再建の初心に返り、今後も引き続き財政再建推進プランに掲げた目標の確実な達成を図っていかなければなりません。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも一層効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく、最大限の努力を重ねられるよう強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、財務局関係について申し上げます。
 一、財政再建推進プランの前半の到達点として、引き続き財政構造改革を積極的に推進するとともに、税源移譲を初めとした地方税財政制度の抜本的改革を国に強く働きかけられたい。
 二、首都東京を再生し、新たな都民ニーズにも的確に対応するため、引き続き効率的、効果的な都政運営に徹し、長期的な視点に立った堅実で健全な財政運営に努められたい。
 三、不用財産の売却促進はもとより、土地、建物などの貴重な都有財産をより効率的に利用するため、資産アセスメント制度を十分に活用し、適切な資産管理運用を図られたい。
 四、中小企業にとって厳しい経営環境が続いており、共同企業体方式の活用や分離分割発注を推進し、中小企業の受注機会を確保するとともに、ゼロ都債の活用などにより、公共工事の早期発注や平準化を図り、中小企業の経営の安定化に取り組まれたい。
 次は、主税局関係に移ります。
 一、平成十三年度の都税収入は増収が見込まれるものの、本格的な景気回復の兆しが見られない我が国経済の状況等を勘案すると、当面、今後の税収は期待できない。引き続き負担の公平の観点から総力を挙げて徴税努力に取り組むとともに、納税者の担税力に応じたきめ細かい配慮を加えつつ、都税収入の確保に万全を期されたい。
 二、地方分権の推進、高齢少子社会の進展に対応した安定的な財源の確保に向けて、税源移譲等により、地方独立税源の充実確保が図れるよう、国に対し強く働きかけられたい。
 三、今後とも、大都市における膨大な財政需要に見合う自主財源の確保、財政基盤の強化等を図るため、事業所税の新増設分などの地方税における定額課税の見直し、法人事業税の分割基準を財源調整機能として用いないこと等を国に対して強く働きかけるとともに、東京都税制調査会を活用し、地方主権の時代にふさわしい税制のあり方について引き続き検討されたい。
 四、法人の届け出様式の統一化や申告書の税務署での出張受け付けの拡大など、納税者サービスの一層の向上を図るとともに、平成十五年度以降に地方税への導入が予定されている電子申告に適切に対応されたい。
 以上をもちまして意見開陳を終わります。

○古館委員 それでは、日本共産党の意見開陳を行います。
 今、国民の国政に対する怒りの声はますます広く、深くなっており、それとともに、人の命を何よりも大事にする政治、金権腐敗のゆがんだ政治から国民の声が生きる政治を求める声が、燎原の火のように広がっています。政府がこの間いい続けてきた、景気回復に力を入れていますとの言葉とは裏腹に、国民の個人消費は冷え続け、とりわけ高齢者の多くは重い介護保険料、利用料の負担、年金改悪、そして、ことし一月からの医療費改悪など、あしたへの希望をますます喪失させています。
 こうした中での石原都政による二年目の新年度予算案は、二〇〇〇年度最終補正予算と合わせて八千四百億円に上る税収増というもとで編成されただけに、石原都政が都民の立場に立って都政運営をするかどうかが問われた予算案でもありました。都民、とりわけ高齢者や障害者などが切望したシルバーパスの全面有料化や老人医療費助成と老人福祉手当の段階的廃止、障害者医療費助成の有料化と所得制限の強化、重度障害手当への所得制限導入など、かけがえのない福祉医療制度の復活について、それを拒否したばかりか、一層痛みを拡大するものとなりました。
 都が、財政再建団体転落の危機だと宣伝しながら、財政再建推進プランでは、四年間で一般財源が六千三百億円不足する、ないそでは振れないといって福祉切り縮めを進めてきた論拠も、大幅な税収増などによって成り立たなくなったことは明白であり、これら福祉医療制度の復活は、増収の一部を振り向ければ実現できるものであり、都民が復活を強く求めたのは当然であります。我が党は、あわせて、高過ぎる介護保険料、利用料の減免に、都として本格的に乗り出すことを引き続き求めていきます。
 この税収増に関連して、私は今からちょうど三年前の財政委員会で、日本共産党都議団の一員として、外形標準課税にかかわって、巨額の利益を上げていながら、不良債権があるなどとの理由で銀行業が税金逃れをしている問題を取り上げ、銀行課税を提案しました。その趣旨が生かされ、二〇〇一年度から税収が見込まれたことをうれしく思っております。それと同時に、税収増だからこそ、都財政の借金を計画的に返済していきながら、同時にむだを削り、不要不急の事業に厳しくメスを入れ、将来につないでいける財政運営に徹することが極めて重要だと確信しています。
 しかし、この問題でも、今年度最終補正予算が、国の景気対策に迎合して、国直轄事業負担金や、国のいいなりで首都高速道路公団への無利子貸付など、不要不急の公共事業に一般財源の多くが注ぎ込まれたのに続いて、新年度予算でも、国直轄事業負担金として当初予算で二百八十五億、首都高速道路公団に今後も二千億円を貸し付ける。さらに、従来型の大型幹線道路や環状二号線市街地再開発、汐留区画整理事業など、投資型経費がバブル前の二倍近い一兆一千億円、これに公債費を加えると、投資関連経費は一兆六千億円を超えるものとなります。このため都債残高は一般会計だけで二千八百八十億円もふえ、残高は七兆七千五百八十億円と、史上最高を塗りかえています。臨海開発には一千億円をつぎ込むだけでなく、臨海開発事業会計と二つの埋立事業会計との統合によって五千億円を臨海開発事業会計の借金の穴埋めに使うなど、まさに臨海開発が都財政を食いつぶしている実態が鮮明にされた予算案となりました。
 公共事業に対する日本共産党の態度は、今日まで一貫して浪費型の大型開発から生活密着型に切りかえることであり、こうした方向にこそ、都財政の着実な立て直しも、中小企業への発注機会の拡大、そして雇用確保も、より拡充することができるものと主張し続けてきましたが、景気回復の面からも、こうした都財政運営の思い切った転換を強く求めます。
 都債の十年一括償還がこれからいよいよ迫ってくる中で、多額の公債費支出が見込まれ、これが毎年の財源不足の大きな要因になっております。我が党は、都財政難の根本的な打開には、都債の発行を今後三千億程度に抑えることが厳しく求められていると考えています。そして、この方向でこそ都財政の構造的な立て直しができます。
 こうしたことを指摘した上で、二〇〇一年度一般会計予算案に反対するものです。
 次に、各局関係について述べます。
 財務局についてです。
 一、大型公共事業に偏った投資型経費を見直し、都債発行を三千億程度とすること。
 一、過大な公債費関連の歳出については、見直すこと。
 一、都の発注する官公需の中小企業向けの比率を一層引き上げるとともに、分離分割発注、地元優先発注を推進し、中小業者の受注機会の増大を図ること。
 一、土地などの財産有効活用については、安易に売却することなく、今後の諸施策の展開とのかかわり、とりわけ都民生活や環境などに着目し、都民サービス向上の視点から活用の検討を行うこと。
 一、首都高速道路公団への無利子貸付については、自己調達に切りかえさせること。既往貸付分については、利子負担を求めること。出資金についても、都負担の軽減を図ること。
 一、国直轄事業についても、維持管理費を初めとして廃止の立場で国に強く求めること。
 主税局についてです。
 一、中小企業に税負担が強まり、かつ、赤字の中小企業にも課税される一般的な外形標準課税の導入は行わないこと。国に対して、導入しないように働きかけること。
 一、法人事業税の超過課税については、課税自主権の一層の拡充と財源確保という立場から、過去の実績にならって制限税率いっぱいまで課税すること。
 一、国からの税源移譲に本格的な取り組みを進めること。
 一、消費税の増税に都として反対すること。また、景気回復の決め手として、三%への減税を国に求めること。
 以上で意見開陳を終わります。

○鈴木委員 私は、都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成十三年度予算関係議案について意見の開陳を行うものであります。
 平成十三年度東京都予算案は、一般会計が六兆二千六十億円で、三年ぶりに対前年度比三・六%増となったものの、一般歳出は対前年度比〇・三%増とほぼ横ばいとなり、投資的経費は九年連続の減少となっております。一般会計が増加したといっても、これは、銀行業等に対する外形標準課税一千四百十六億円及びIT業種等の法人税の伸びに支えられたものであります。
 他方、減債基金積み立ての一部見送りや他会計からの借り入れによって生じた、いわゆる隠れ借金が累計で一兆円にも上り、加えて十四年度から飛躍的に膨れ上がる都債償還費、退職手当や既存の社会資本の維持更新等に要する経費の増嵩を考えるならば、都財政の先行きはなお予断を許さないものがあります。したがって、今後とも積極的な財政構造改革への取り組みが必要となることはいうまでもありません。
 我が党は、この新年度予算編成に当たり、徹底した行財政改革で都の財政構造を変革すると同時に、少子高齢社会への対応、東京の活性化に必要な予算には十分配慮すべきであると繰り返し主張してまいりました。都が今回の予算を、財政構造改革を着実に進めながら東京の再生を目指す予算と位置づけておりましたが、このことは、まさに我が党の方針と軌を一にするものであります。その意味では、職員定数や職員給与の削減、管理事務費や監理団体への財政支出削減、経常経費の見直しなどで、およそ八百億円に及ぶ財源を捻出し、新たな福祉システムの構築並びに環境、教育、中小企業対策など、社会経済情勢の変化に対応した都民福祉向上のための予算確保に充てられたことは、高く評価するものであります。
 しかしながら、依然として厳しい財政環境下のもと、都は今後とも、財政再建をなし遂げつつ東京の活力を維持し、都民生活を擁護するために、引き続き政策努力を展開し、都民とともに新たな世紀の構築に向けて前進されることを、この際強く要望するものであります。
 以下、各局別に申し上げます。
 初めに、財務局関係についてであります。
 一、健全で強固な財政基盤を確立するため、一時的税収増に惑わされることなく、内部努力の徹底や一層の効率的な財政運営に取り組み、財政再建も確実になし遂げること。
 二、投資的経費については、国庫補助金の確保に努めるとともに、コスト縮減などを行い、事業量の確保に努めること。その上で、福祉、環境、防災面にも配慮した都市基盤整備については、景気浮揚の観点からも優先的に確保すること。
 三、国に対して地方税財政制度の抜本的改革を強く要求すること。特に、税源移譲を初めとする課税自主権の拡充、地方交付税の不交付団体であることを理由に行われている財源調整措置の廃止など、早急に実現するよう国に強く働きかけること。
 四、都債については、後年度負担に留意しながら、償還期間の多様化を図りつつ、適切に活用するとともに、発行条件の向上に努めること。
 五、都有財産の有効活用を図るため、未利用地の積極的な売却、資産価値を生かした土地利用を促進し、策定された財産利活用総合計画をこの際着実に実施していくこと。
 次に、主税局関係についてであります。
 一、平成十三年度都税収入の確保に万全を期され、特に税負担の公平を実現するため、自動車税など諸税目の滞納発生の防止に努めるとともに、既滞納分についても、納税者の担税力に応じたきめ細かな配慮を加えつつ、引き続きその整理に努めること。
 二、地方の財政需要に対応した安定的な税財源を確保するため、国と地方の税源割合を少なくとも一対一とするよう、国に対して税源移譲を強く働きかけること。
 三、大都市における膨大な財政需要に見合う自主財源の充実確保に向けて、東京都税制調査会を活用し、さまざまな角度から検討を行うとともに、事業所税新増設分などの地方税における定額課税の見直し、法人事業税の分割基準を財源調整機能として用いないことなどを国に対して強く働きかけること。
 四、固定資産税、相続税については、高地価によって生活者が過重な負担を強いられないよう、引き続き大都市地域の実情に見合った税負担のあり方を検討すること。
 五、厳しい社会状況の中で、最小徴税費の原則に基づいた効率的かつ効果的な業務運営を行うため、引き続き新たな視点で分析、見直しを行い、コア部分を除き戦略的なアウトソーシングをこの際さらに推進すること。
 最後に、出納長室関係について申し上げます。
 一、資金の運用に当たっては、競争原理を導入し、効率的な運用を図ること。
 二、平成十四年四月のペイオフ凍結解除に備え、都の公金の安全性確保の見地から、公金の管理運用には万全を尽くすこと。
 以上をもって意見の開陳を終わります。

○西条委員 都議会民主党を代表して、当委員会に付託された平成十三年度予算にかかわる議案について意見の開陳を行います。
 平成十三年度東京都予算案は、企業収益の改善や銀行業等に対する外形標準課税の導入などにより、法人二税の大幅な伸びを見込み、三年ぶりの増額予算案となっています。しかし、一般歳出はほぼ横ばいであり、一般財源ベースでの財源確保の状況は、徴税努力や外形標準課税の導入で歳入確保策が前進した反面、内部努力や施策の見直し、再構築では十二年度予算案に比べて大きくペースダウンしています。これらの結果、歳入の伸びが見込まれるにもかかわらず、職員給与の削減や減債基金積み立ての一部計上見送りで、合計一千五百億円程度の臨時的な財源対策を余儀なくされています。
 一方で、アメリカ経済の急減速や昨今の世界同時株安に見られるように、日本経済の構造改革のおくれが世界経済を景気後退に巻き込み、それが日本経済を破局に導くという最悪のシナリオが進行しつつあります。今は、一刻も早く政権を交代し、破局回避の政策を断行しなければなりません。また、仮に破局が回避されたとしても、景気の先行きは極めて不安定であり、都税収入の減収をも見込まざるを得ない状況にあります。本予算案では、財政調整基金や社会資本整備基金への積み立てによって、ある程度の減収には対応できるよう措置されていますが、今後の情勢は予断を許してはくれません。
 私たちは、政府が破局を回避できなくても、七都県市とも連携しながら、でき得る限り都民生活を防衛していかねばなりませんし、東京都自身も、今後実施される組織再編成、電子都庁化に伴う事務事業の見直し、十三年度に本格実施される行政評価制度などを活用しながら、より一層の内部努力や施策の見直し、再構築に取り組んでいく必要があります。
 都財政の構造改革のより一層の推進は、二十一世紀の都政を大きく前進させるために避けて通れない課題です。本予算案に示された各種事業の新設や強化は、これまでの構造改革の成果であります。過去に戻ることで未来を建設することはできません。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について述べます。
 最初に、財務局にかかわる事項について申し上げます。
 地方税財政制度の抜本的改革を通じて自治体への税財源移譲を図るよう、国に強く働きかけること。
 一、公会計に企業会計手法を導入するための法整備を国に働きかけるとともに、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、行政コスト計算書による機能するバランスシートの積極的な活用を図ること。
 一、強固な財政基盤の確立に向けた施策の再構築に引き続き取り組むこと。
 一、行政評価制度を整備し、予算編成の分権化、簡素化を図るなど、予算編成手法のより一層の改善を図ること。
 一、主要な政策課題と取り組み局とを横断的にとらえることが可能になる、マトリックス方式による予算編成を加えること。
 次に、出納長室にかかわる事項について申し上げます。
 一、金融改革に伴う金融機関の再編成、業務の見直し、ペイオフ解禁を踏まえて、指定金融機関のあり方、公金の運用管理のあり方などを早急にまとめ、公金の運用管理に万全を期すること。
 次に、主税局にかかわる事項について申し上げます。
 一、東京都税制調査会答申を踏まえ、都民へのPR、国への働きかけを初めとした地方税財政改革の取り組みを積極的に推進すること。
 一、不正軽油(混和軽油)を追放するため、製造、購入、使用のあらゆる段階に対する調査、検税、悪質不申告、不納入業者の摘発に努めること。
 一、納税、課税証明申請書等の各種申請様式の電子化に引き続き、申告、納税の電子化を図るなど、税務事務の一層の情報化を進め、効率化と納税者サービスの向上を図ること。
 以上をもって都議会民主党の意見開陳といたします。ありがとうございました。

○遠藤委員長 意見の開陳は終わりました。
 ただいま開陳されました意見は、調査報告書として取りまとめた上、議長に提出いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○遠藤委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第四十七号議案から第五十二号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了しております。
 ただいま議題となっております議案中、第四十七号議案に対し、古館委員外二名から修正案が提出されました。
 案文はお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

   修正案の提出について
第四十七号議案 東京都政務調査費の交付に関する条例
 右議案に対する修正案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
  平成十三年三月二十二日
(提出者)
 古館 和憲  松村 友昭  渡辺 康信
財政委員長殿

第四十七号議案 東京都政務調査費の交付に関する条例に対する修正案
 第四十七号議案東京都政務調査費の交付に関する条例の一部を次のように修正する。
 第十条第一項中「を交付を受けた日」を「に当該調査費の支出を証する書類を添付して、交付を受けた日」に改める。
(提案理由)
 政務調査費の使途にかかる透明性の確保を規定する必要がある。

○遠藤委員長 本修正案を本案とあわせて議題といたします。
 提出者の説明を求めます。

○渡辺委員 私は、第四十七号議案、東京都政務調査費の交付に関する条例案に対する修正案を提出するに当たり、一言説明させていただきます。
 政務調査費は、議会活動に伴う調査研究のための経費を、知事の定めた規則などに基づき、補助金として議会の各会派に交付しているものであります。
 昨年五月、国会で地方自治法の一部が改正され、この政務調査費の法的根拠が明文化されました。今回の東京都政務調査費の交付に関する条例案は、その法改正に基づいたものであります。
 提案されている東京都政務調査費の交付に関する条例案は、従来の規則をほぼそのまま条例化するもので、議員一人当たり月額六十万円を議員数に乗じて各会派に交付するとしています。また、この政務調査費の使途についての各会派が議長に提出する収支報告書は、A4判の紙一枚、支出項目も調査費、研修費、行動費などの費目ごとの合計金額が示されるだけで、実際にどういう使途に支出されたのかは全くわからないものとなっております。
 今回提案されている東京都政務調査費の交付に関する条例案の最大の問題点は、政務調査費の使途の透明性の確保という規定条項が欠落しているということであります。この点で、政府の法改正の提案趣旨説明では、情報公開を促進する観点から、その使途の透明性を確保することが重要だと指摘しております。政務調査費の使途については、領収書を添付すべきだという、多くの都民から強い要望が出されていたところでもあります。
 今、機密費問題など、税金の使途の透明性について国民の関心が大きく高まっています。政務調査費においても、その使途を明確にするのは当然であり、本条例案に透明性を求める規定を設けることが、都民の期待にこたえる唯一の道だと考えるものであります。
 一部に、現行の領収書でも議長が必要に応じ調査することができるから、領収書まで添付する必要はないという議論もありますが、これをもって情報公開を拒む口実にする姿勢は、まさに時代の逆行だというほかありません。
 以上の立場から、我が党都議団は、政務調査費の収支報告に領収書など支出を証明する書類の添付を義務づける条例案の修正を提案するものであります。
 修正案は、お手元に配布させていただきました。具体的内容は、本条例案第十条第一項中「を交付を受けた日」を「に当該調査費の支出を証する書類を添付して、交付を受けた日」に改めるという修正案であります。
 東京都議会は、首都東京という自治体の責務から、みずからの高い自覚のもと、東京都議会情報公開条例を制定してきました。この都議会情報公開条例にふさわしく、政務調査費の透明性を確保し、一層全国に誇り得るものにすることも、都議会のすべての会派と都議会議員一人一人の責務であると考えるものであります。
 委員各位におかれましては、趣旨をぜひご理解いただき、全員のご賛同を賜りたくお願いを申し上げ、説明とさせていただきます。
 以上です。

○遠藤委員長 説明は終わりました。
 この際、松村委員から発言が求められておりますので、これを許します。

○松村委員 初めに、議案第四十七号、東京都政務調査費の交付に関する条例について意見を述べます。
 政務調査費の交付については、地方自治法の一部改正で法的根拠が明文化され、条例化が必要になったものであり、我が党も議員会派の政策調査活動は、本来の住民の利益を守るべき議員の正当で必要な活動と考えます。今回の条例案は、既に規則によって運用されているものを条例明文化するものですが、実際の運用に当たって不明朗であるとして、都民から領収書の公開を求める声が上がっています。
 よって、条例化に当たっては、透明性の確保と情報公開が特に重要な課題であり、国会での提案趣旨説明でも、情報公開を促進する観点から、その使途の透明性を確保することが重要と指摘しています。しかし、提案されている条例案は、政務調査費の使途の透明性の確保が規定されていません。そこで、政務調査費の収支報告書に、領収書など支出を証明する書類の添付を義務づける条例案の修正を提案したものであります。この提案は、これまでの政務調査費の使途や明細が必ずしも明確でないとの都民の批判があることなどを踏まえれば、都民の期待にこたえるためには不可欠のものであります。
 以上、各会派、委員の皆さん方のご賛同を重ねて呼びかける次第です。
 次に、第四十九号議案、東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例についてです。
 これは、臨海関連三会計を統合するものであります。質疑でも明らかになったとおり、それぞれの会計の九九年、平成十一年度決算状況は、羽田沖埋立事業会計では一千二百二十億円の剰余金を初め、前倒しで一般会計から返済される二百十四億円など、保有資産は千六百三十四億円となっています。また、埋立事業会計においても、出資土地を除いても五千億円以上の保有資産があります。一方、臨海副都心開発事業会計は、累積欠損金が約五千億円、長期借入金が七千七百八十億円に上り、この膨大な赤字は処分可能用地をどう運用しようとも、もはや返済不能であり、臨海副都心開発事業会計が破綻していることが明白です。
 羽田沖埋立事業会計、埋立事業会計の剰余金は、本来、都民のために使う一般会計の財源になるべきものです。それを膨大な赤字を抱える臨海副都心事業会計と統合するということは、まさに臨海開発の赤字の穴埋めに都民の貴重な財産をつぎ込むこと以外の何物でもありません。会計統合をやって、たとえ一時的にも資金ショートを免れたとしても、破綻の先延ばしにしかすぎず、今後ますます泥沼状況に陥ることは明白です。
 我が党は、臨海副都心開発事業は直ちに凍結し、都民参加で抜本的に見直しをすることを強く求め、三会計統合の本議案には反対いたします。
 以上です。

○遠藤委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第四十七号議案、東京都政務調査費の交付に関する条例を採決いたします。
 まず、古館委員外二名から提出されました修正案について、起立により採決をいたします。
 本修正案に賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○遠藤委員長 起立少数と認めます。よって、修正案は否決されました。
 次に、原案について起立により採決をいたします。
 原案のとおり決定することに賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○遠藤委員長 起立多数と認めます。よって、第四十七号議案は原案どおり決定いたしました。
 次に、第四十九号議案、東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○遠藤委員長 起立多数と認めます。よって、第四十九号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第四十八号議案及び第五十号議案から第五十二号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認めます。よって、第四十八号議案及び第五十号議案から第五十二号議案までは、いずれも原案のとおり決定をいたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○遠藤委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 請願一二第六五号、請願一二第六七号及び陳情一二第六九号を一括して議題といたします。
 本件については既に質疑を終了しておりますので、直ちに採決を行います。
 お諮りいたします。
 本件は、いずれも趣旨採択とすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認めます。よって、請願一二第六五号、請願一二第六七号及び陳情一二第六九号は、いずれも趣旨採択と決定いたしました。
 なお、本日審査いたしました請願陳情につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。

○遠藤委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○遠藤委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、佐々木出納長から発言を求められておりますので、これを許します。

○佐々木出納長 所管四局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。
 ただいまは、当委員会に付託されました各議案につきまして、それぞれご審議の上、ご決定をいただきまして、まことにありがとうございました。
 ご承知のとおり、このたびの定例都議会は二十一世紀初の議会でございます。その中で、平成十三年度予算は、財政構造改革を確実に進める中で首都東京の再生を目指す予算として、重要な位置づけを持っております。
 当委員会審議におきましては、付託されました数多くの議案につきまして、大変熱心なご審議をいただいたところでございます。このたびの委員会審議におきまして委員の皆様方からいただきましたご意見、ご指摘につきましては、今後の財政運営あるいは事務執行に反映させまして、万全を期してまいりたい、このように思っております。
 今後とも、どうかよろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げまして、簡単でございますが、御礼のあいさつにかえさせていただきます。本当にありがとうございました。

○遠藤委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十二分散会

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