財政委員会速記録第二十号

平成十二年十二月十二日(火曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長遠藤  衛君
副委員長松原 忠義君
副委員長大木田 守君
理事西条 庄治君
理事古館 和憲君
理事大西 英男君
鈴木貫太郎君
野田 和男君
星野 篤功君
山本賢太郎君
松村 友昭君
桜井良之助君
渡辺 康信君

 欠席委員 一名

 出席説明員
財務局局長木内 征司君
技監畑野 喜邦君
経理部長碇山 幸夫君
契約調整担当部長中村 忠夫君
主計部長成田  浩君
財産運用部長橋本  剛君
地域整備担当部長菊地 睦郎君
庁舎管理部長川島 英男君
営繕部長野本 孝三君
参事岸野  勇君
主税局局長大塚 俊郎君
総務部長白戸  毅君
税制部長鮎澤 光治君
税制調査担当部長川村 栄一君
参事谷口 廣見君
調整担当部長須々木亘平君
課税部長佐藤 昭久君
資産税部長齋藤  熙君
徴収部長小泉 克已君
参事小林 宣光君

本日の会議に付した事件
 決議について
 財務局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百七十八号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、都債
  ・第二百九十六号議案 都営住宅十二H-一〇四北(村山)工事請負契約
  ・第二百九十七号議案 都営住宅十二H-一〇六北(村山)工事請負契約
  ・第二百九十八号議案 戸吹トンネル(仮称)整備工事(その一)請負契約
  ・第二百九十九号議案 神田川・環状七号線地下調節池(第二期)善福寺川取水施設工事(その四)請負契約
  ・第三百号議案  平成十二年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その一)請負契約
  ・第三百一号議案 高砂橋鋼けた製作・架設工事請負契約
  ・第三百三号議案 当せん金付証票の発売について
  報告事項(質疑)
  ・財産利活用総合計画について
 主税局関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・東京都税制調査会答申について

○遠藤委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、決議二件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件の取り扱いにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○遠藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、財務局関係の付託議案審査、報告事項の質疑及び主税局関係の報告事項の説明聴取、質疑を行います。
 なお、付託議案のうち契約議案につきましては、議長から、所管の常任委員会にそれぞれ調査依頼を行ってあるとのことでございます。ご了承願います。
 これより財務局関係に入ります。
 初めに付託議案の審査を行います。
 第二百七十八号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、予算総則、歳入、都債、第二百九十六号議案から第三百一号議案まで及び第三百三号議案を一括議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、ただちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 十二月補正に関連して、確認の意味を含めて何項目か、この際、端的にご質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回の十二月補正については、第三回定例会の我が党の要望を真摯に、率直に、そして迅速に受けとめて、このように提案をしていただいたわけでありまして、三宅島の関連の予算でございますので、心からお礼、感謝を申し上げたいと存じております。代表質問でも述べさせていただいたとおりであります。
 そこで、三百三十八億というこの補正の財源の中でも、これは三項目に分かれておりまして、国庫支出金、都債その他、これは恐らく繰越金と承知をいたしておりますけれども、このところ一つの大きな動きになっております景気の動向の中で、IT関連事業種を中心とする底上げで、都税収入が、ある一定レベル以上、相当程度上昇傾向にあるということが、三定、四定でも論議をされていた中でありますけれども、こういう中で今回、都税収入の見込みが計上されていない補正が組まれているわけであります。当然、私はそれでよかったと思うわけでありますし、同感であります。また、財政改革を強烈にこれからも推進していくという前提で恐らくやってこられたからだと、私はその辺は評価をしておきたいと思います。
 いずれにしても、都財政というものは厳しい状況に置かれていることは、もう指摘をするまでもありませんし、特にこのところいわれている隠れ借金、こういう言葉が今飛び交っていますけれども、この中で私が聞きたいのは、減債基金の一部見送りに伴う八千五百億円の中の隠れ借金という数字が出ていますが、そのうちの半分近くを占めている三千九百億円という極めて巨額な財源が、いわゆる見送りになっているわけですね。これが八千五百億円の一つの根拠になっているわけでありまして、その他いろいろなところであるわけですけれども、こういうものをどう処理していくか、こういうことを我々が真っ先に問うていかなければならない時代に入ってきたことは、いうまでもありません。
 そこで、減債基金について、補正との関係で、過日、たしか七月の財政委員会でもこれは論議がつまびらかに行われたことを、私も記憶しておりますものですから、それの延長線上の問題として、確認の意味を含めて再度やっておきたいと思います。
 減債基金については、これは私からいうまでもありませんけれども、私がこれから行う議論の前提条件として、都債の今後の実償還額の推計についてまず聞いておかなければならないと思いますけれども、これについて具体的にお答えをいただきたいと思います。

○成田主計部長 都債の今後の実償還額の推計についてのお尋ねでございますが、ここで申します都債の実償還額とは、元金償還額と利子償還額の合計から借換債を除いたものでございます。
 今年度の一般会計当初予算における実償還額は三千二百十四億円でございますが、これまでもたびたび申し上げておりますように、過去に大量に発行した都債が、今後償還期を迎えますために、現時点におきます推計では、平成十五年度には八千億円程度に達します。その後も、現在推計を行っております十八年度までの期間では、毎年度六千億円を超える高い水準で推移することが見込まれております。

○鈴木委員 七月のときも、「財政構造改革の推進に向けて」という小冊子の三三ページで、主計部長が具体的に今お答えになられた数字よりも、上回る数字の推移がこの中に書き込まれていることも、私も存じ上げております。いずれにしても、十五年度がピークで、この三三ページの八千三百億円、今、八千億円を超えるという、こういうデータをお示しをいただきました。
 もう一つ、それじゃ、減債基金の残高は現在どうなっているのかという、その数字を確認させてください。

○成田主計部長 減債基金のうちの一般会計に係る残高でございますが、平成十一年度末現在で三千七百五十億円でございます。

○鈴木委員 そうすると、もう一度伺いますと、この「財政構造改革の推進に向けて」という冊子、私もこの同じ前提に立つといたしますと、ずうっと続けている二分の一の見送りを続けた場合の推計値、これはどうなっていくのでしょうか。

○成田主計部長 仮に本来ルールの二分の一についての積み立て、その見送りを今後も継続した場合でございますが、減債基金残高は、平成十四年度以降減少を続けまして、平成十七年度には残高がゼロになることが見込まれております。このため、都債の償還に今後多額の一般財源等を充当しなければならなくなりまして、その額は、平成十二年度、本年度の約二倍の六千五百億円程度にも上ります。
 この場合、この多額の一般財源を確保するためには、他の歳出を削減する必要が生じまして、その結果といたしまして、都民サービスの水準が大幅に低下するおそれがあるわけでございます。

○鈴木委員 六千五百億円、膨大な金額が予定されるわけでありますけれども、七月のときも、二分の一をしないで、例えば、これを減額しながら三分の一やったら、四分の一やったらという論議も実はあったと、私ははっきりと記憶しております。
 私がいいたいのは、税の自然増収という、こういう若干の明るさ感の持てる今の財政状況の中で、十三年度予算要求に際して、財務当局として減債基金の積み立てはどうするのか、どういう方法でこれをやっていくのかということに、私は最後に行き着くのではないかと思いますけれども、その辺は今、基本認識はどうお持ちになっているのでしょうか。

○成田主計部長 減債基金の積み立てでございますが、平成十三年度の予算要求におきましては、健全な財政体質の確立を目指しまして、減債基金の積み立てにつきましては、本来ルールに基づく必要額、二千九百六十億円の要求を行っているところでございます。

○鈴木委員 局長、主計部長、二千九百六十億円、これはきちっと、我々もバックアップいたしますから、やっていただきたい。まず前提条件として、これはそうあるべきだと思います。もちろん来年度は、銀行に対するいわゆる外形標準課税の税収、それから法人二税による税の自然増収、恐らく三千数百億望めるのではないかと思いますけれども、そういう中で二千九百六十億円、大半を減債基金の積み立ての方でいただこうという、この気概は私はすごいと思います。ぜひこれはエールを送りたいと思います。
 そういう中で、仮にこういうものが実現しなくなって、従来どおり積立金の一部見送りをこのままやっていきますと、これは羽田沖だとか他会計からのいろいろなもの、市場からの借入金も二千九百億円ですか、ありましたですけれども、そういうものとはちょっと違った、いってみればいわゆるモルヒネのようなものでありまして、禁じ手とまではいかないですけれども、だんだん感じがなくなってしまってくる、まあいいかというふうな感じになってしまったのでは、私はいけないと思いますので、これはきちっと財源対策上やるべき課題の一つではないかなと思います。
 それから、今、主計部長がおっしゃったとおり、一般財源の中からやるということは、将来の福祉再構築をきっちりとしていく財源にまで食い込まれてくると。これからの都政のあるべき姿というものが不確定要素になりかねませんので、その辺をきちっと踏まえていかなければいけない大変大事な視点だと思うがゆえに、きょうは関連であえて質問をさせていただいたわけであります。
 そのことをぜひお願いをしたいことと、三千九百億円のこの問題については、一刻も早く復元をすべきだという、それに近い二千九百六十億円、何としてもこれをという決意を今、私の方は勝手に解釈しますけれども、承ったものと思っておりますので、そのことを踏まえて、再度これは局長に承りたいと思いますけれども、財務当局の責任者として、この辺の決意のほど、また、財源対策上、この減債基金の問題についてもう一度、最後にお答えをいただきたいと思います。

○木内財務局長 主計部長がるる答弁申し上げましたように、都債の残高が一般会計ベースでも七兆円でございまして、その元利の償還が、現在三千二百十四億円ですけれども、それが六千億を超える、十五年度以降、平均でもピークのときの八千億を超えることから、高原状態がずうっと続くということは答弁申し上げたわけでございます。その差は年々、毎年約三千億でございまして、この数字というのは、ちょっとやそっとの数字ではございません。それにたえ得る起債の償還、いわば最優先しなければいけない、返さなければ東京都がデフォルトになってしまうわけですから、文字どおり信用力を失うわけですから、いい悪いは別として、最優先に返していかなければいけないその年々の増加額を賄うためには、鈴木先生もいわれましたように、減債基金のルールどおりの積み立てが絶対に必要だろうというふうに思っております。
 そんな意味で、増収等々も考慮しつつ、補正予算の編成の中で、ご指摘を踏まえて鋭意そういう方向で努力ができればというふうに思っております。ご尽力をいただきたいと思います。

○鈴木委員 最後に。確かに今、局長それから主計部長、平成十一年度の都債残高は七兆円といったけど、七兆五千億の後半の方、七兆六千億でありますから、七兆円台でも、これは言葉の使い方によっては八兆円に近いわけですからね。
 そういう状況でありますから、私たちは、我が党として財政構造の改革、しかも、きょう指摘をいたしました足腰の強い都財政をさらに構築をする上からも、この辺を踏まえてこれからも論議をしてまいりますので、ともどもに汗を流していきたいと思って、あえてこの問題に関連として踏み込んだわけであります。
 確かに、税の自然増収三千五百億円、その前後だと思いますけれども、それに銀行税を加算すれば、相当な使い道についてこれから論議をされて、財政当局としてもそれぞれ綱引きがあると思いますけれども、きょうご指摘をいただいた数字は、何が何でもこれはきちっとしていく、ルールどおりできる財政構造をつくっていただきたい、また、つくるべきであると、そのことを申し上げて質問を終わりたいと思います。

○遠藤委員長 ほかにご発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○遠藤委員長 次に、過日の委員会で聴取いたしました報告事項、財産利活用総合計画について質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○松原委員 私は何点か、この問題についてご質問をさせていただきたいと思います。
 私も都議会議員になりまして、本当に東京都というのは膨大な土地と建物を持っており、しかし時代の変遷で、かなりそれが使われていないとか、あいたままだとか、そういうふうなことが常々非常に気になっておりました。そういうときに、今までの、ただ単なる持っているだけ、管理だけしているということから、いわゆる一つのコスト意識を持って、今の財政難の中で、こういうふうな形の中で財産利活用総合計画が策定されたということは、非常に時宜を得ていいことだなというふうに思っております。
 せんだって、我が党の山崎政調会長がこの基本的な考え方を伺いましたけれども、また改めて委員会として、財務局がこの計画を策定した背景や目的についてお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○橋本財産運用部長 財産利活用総合計画策定の背景と目的についてでございますけれども、少子高齢化の進展でありますとか、資源、環境保護の高まりなど、近年の社会経済環境の変化によりまして、既存の行政施設につきましては、新しい行政需要に対応して、より効率的な利用を図っていく必要性が増大しています。
 このため、土地や建物につきましては、これまでの適正な管理という視点から、それらを経営資源の一つとして位置づけて、その積極的な活用を図るという視点に重点を移していくことが必要であると考えます。
 こうしたことから、今回新たに資産アセスメントを実施したわけですけれども、この結果などをもとに、今後の財産運用における総合的な指針として、この計画を策定したものでございます。

○松原委員 これで、資産アセスメントの調査の仕方なのですが、敷地が一定規模ということで、区部では百平米、区部以外では三百平米の施設ということが対象になって、約二千件ということで、そのうち百八の見直しが必要であるというふうにされたのですが、これは、総体的に大体どのぐらいの対象物件になったうちの二千件なのか、伺います。

○橋本財産運用部長 総体といたしましては、四千件ほどでございますけれども、今委員がおっしゃったように、小規模なものなどにつきましては、あるいは五十年代以降の都営住宅などにつきましては、調査の対象から外した結果、二千件ということでございます。

○松原委員 今回は、資産アセスメントによって、現在使用している行政財産の利活用、効率でしょうか、調査していますが、少子化のことがよくいわれておりますが、私ども大田区でも都立南高校が間もなく廃校になるとか、実際問題、これからは学校施設などがどんどん減っていきますね。この十年ぐらいだと、たしか都立高校が十七ぐらいですか、そういうふうな対象になっていくとか、それに関連した学校施設、そういうものがどんどんと統廃合に追い込まれていきます。
 当然、そういう対象校になった地元の方々は、その地元の活用についてどういうふうになっていくのか、非常に気になるところでございます。これが東京都だけで解決できればいいのですが、できない場合には、地方自治体とか入ってくるわけですが、いずれにしても、そういうふうな問題、あるいは、これから行政改革をやって組織の統廃合とか行われてきますけれども、そういうふうなものに対して、ある程度早期に検討をしていくという、そういう体制づくりが必要になってくると思うのですけれども、これについてはどのように認識しているか、お尋ねします。

○橋本財産運用部長 ご質問のありました学校施設あるいは児童青少年向け施設を初めといたしまして、今後、組織の統廃合あるいは事業の外部委託化などによりまして、多くの跡地あるいは建物の空き床が発生することが見込まれます。
 これらにつきましては、ご質問にありましたとおり、新たな効率的活用方策を早急に策定していく必要があると考えております。財務局では、これまでも施設用地需要調査などによりまして、各局の施設建設計画などを調査、調整してまいりましたけれども、各局の計画に対しまして、財務局がより早期に参画することなどを目的といたしまして、十三年度から新たに施設需要計画書、これは仮称でございますが、そういうものを策定していく予定でございます。
 こうしたことを含めまして、今後、各局の統廃合予定施設などに関する新たな活用方策の早期の策定に努めてまいりたいと考えております。

○松原委員 今ご答弁いただいた施設需要計画書、仮称でございますけれども、この問題については、私、大変大事だと思っているんです。といいますのは、私どもも、さっきいった都立南高校が廃校になる、しかし一方、工業高校が羽田高校を統廃合しまして、第一パンという南蒲田のところへ新しく用地を買ってやっているわけです。そうすると、本来ならば、相互の連絡ができていれば、新しいそういう土地を買うことなく、お互い連携して買うことができると思うんですよね。そういうふうな相互の連絡がうまくいっていなかったのじゃないかなと思います。
 また、少子化とかで、いろんな施設の中で需要が多くなつてくると思うんです。例えば、これは一つの案なんですけれども、住宅政策というと、今は都民住宅あるいは都営住宅がせいぜいなのですが、これを見ると、土地的に相当いいところがあいていくんですね。ですから、思い切って東京都が地主さんになって、民間のマンション業者じゃありませんが、三十代、四十代の本当の働き手の方がマンションを買うような気持ちで住宅政策というのを、民間並みのお金というのじゃなくて、例えば、土地があるわけですから、その土地の上にマンションを建てて、そのマンションは分譲しちゃうとか、いろんなやり方があると思うんですよ。
 それで、都心からどんどんみんな人がいなくなっちゃうわけですから、そういった意味で、この未利用とされているところで、今後の問題として、例えば住宅局と財務局の方が連携をとりながら、新しい住宅政策というんでしょうか、働き手のための住宅政策なんかもできるでしょうし、いろんな考え方というのが出てくると思うんです。そういった意味で、この施設需要計画書というものを、しっかりと各局連携をとりながら進めていってほしいなというふうに思います。これは要望しておきます。
 次に、これは十二年度から三カ年間で一千億円以上の売却目標を立てているということですが、ご承知のとおり、今、土地が大変下落しておりまして、売っていくのになかなか苦労をしていると思います。十一年度実績で二百八十億ですか、残りの五百億のうち二百八十億ですから、十二年度で二百億というふうな形なのですが、せっかく計画を立てた以上、やはり千億という目的に向かって頑張っていただきたいと思うのですけれども、この目標をどのように達成していく予定があるのか、お尋ねしたいと思います。

○橋本財産運用部長 今年度は二百五十億円以上の売却を目指して努力しているところでございますけれども、先般発表いたしましたとおり、都立大学深沢校舎の跡地につきまして、制限つきの一般競争入札という方式で、十二年度中に売却するなどいたしまして、売り払い収入確保を図っていくということにしております。
 また、今後、港区芝浦の旧交通局自動車工場跡地などの大規模物件の売却を図っていきますほか、各局が所管をしております未利用地の事業計画を見直しまして、実施の見込みが低いものにつきましては、財務局へ引き継ぐなどして売却物件を確保いたしますとともに、媒介委託制度なども活用しながら、売却を促進することによって、この目標の達成に努めていきたいと考えております。

○松原委員 済みません、これは質問じゃないのですけれども、ちょっと参考に聞かせていただきたいのですが、民間の方々に頼んで売却をしていくということも考えていらっしゃるようですが、これは今までどのぐらいの実績があったとか、そういうのはわかりますか。

○橋本財産運用部長 この媒介制度につきましては、まだ実施しておりませんで、今検討中でございまして、今後実施していく予定でございます。これにつきましては、宅地建物取引業協会など不動産仲介業の団体の方と協定を結びまして、そこを通じて各町の不動産屋さんに不動産媒介の委託をするものでございます。

○松原委員 これからということなんですけれども、都内には宅建業協会という不動産屋さんの組合が非常にしっかりしていまして、各区市町村に非常に情報網がありますから、そういったものを有効活用していただいて、それもひとつ努力目標の中に入れていただきたいと思います。
 それから、区市町村との関係ですけれども、多くの未利用地の売却を進めていらっしゃるようですが、売却予定地の中には、区市町村が取得して、みずから計画を持っているものがあると思うんです。例えば、今、非常に子どもがいなくなって教育施設があくかわりに、高齢化になりまして、高齢者の施設、特別養護老人ホームとか在宅サービスセンターとか、いろいろなものが考えられますが、そういう介護施設、民間も含めて公、民いろいろやっているわけですが、こういうものは逆に新しい土地を探しているという状況にあるわけでございます。また、障害者の施設についても同じようなことがいえると思うんです。
 そういう中で、区市町村がせっかく計画を立てているのですけれども、残念ながら、土地を新しく買うだけの余力がない。そういう場合に、やはり区と都が連携をとり合って情報交換していれば、より効率的に、そういうものがうまくスムーズにいくことだと思うんです。
 ただし、区にとっては、区市町村は今非常に財政難に追われていますから、その辺、取得に大変困難が伴うと思うのですけれども、こういう場合に、都としてはどのように対処していくという考え方があるのか、お尋ねしたいと思います。

○橋本財産運用部長 都が売却を予定しております土地でありましても、区市町村の事業計画などで利用が決定されていたり、あるいは将来の購入が確実な土地などにつきましては、直ちに売却するようなことはせず、一定期間は駐車場などとして暫定的な利用を図っていくといったことなどの方策を含め、対応を検討していきたいと考えております。

○松原委員 最後に、局長さんに利活用の決意をお尋ねしたいと思うのですが、一般の地主さんは、税金払うのも四苦八苦ということでいますけれども、非常にあの手この手の知恵を出して頑張って、自分の財産確保に努力しています。そういう立場の責任者の財務局長は、東京都というのは未利用地の膨大な財産を持っているわけですが、これについて今後どういうふうに進めていく決意があるのか、お尋ねいたしたいと思います。

○木内財務局長 この利活用計画をつくりまして、当面の目標、目的は、今日の財政状況のもとでの財産、土地の売却をして財産収入を得る、あるいは施設についての維持管理コストを縮減するといったような、当面の目標といいますか、目的のようなものがあろうかと思います。
 それと同時に、財政構造改革といいますか、そんな視点があって、基本的本来の考え方は、先ほど財産運用部長が申し上げましたように、財産というものの見方を少し変えていこうという--自治法上のそういう位置づけはあるわけですけれども、金だとか人だとかいうものに対して、財産というのは、少し位置づけが静止というか静態的な感じがするのについて、やはりこれも重要な経営資源であるという位置づけを考えていこうということが、本来のこの考え方、利活用計画をまとめたもともとの考え方だというふうに理解をいたしております。
 そんな意味で、ただ保有していることは、先ほどの税の問題もありますし、本来ならば保有コストとして税も入ってくるだろう、あるいは、時間という観念も入れれば金利のコストもあるわけでして、そういう意識、実態の面において、これを経営資源というふうに、職員もそうでしょうし、我々も考えていくという基本的な立場があろうかと思います。
 今後、そうした考えを基本にしながら、この計画を指針として、その実行あるのみというのが今の考え方でございます。

○松村委員 これまでも、都の未利用財産の活用問題について私も質疑を行ってきましたけれども、財産利活用総合計画が出されましたので、改めて伺いたいと思います。
 新聞報道でも、未利用地百十五ヘクタールを民間に売却、一千億円を目標にと、こういう報道が目につきますけれども、今も種々論議がありました。受ける感じからしては、とにかく何が何でもというか、売る計画ですね、売却先にありきというような色合いが非常に濃いというふうに、私はどうしても受け取らざるを得ないのですけれども、まず、この点について私からもただしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○橋本財産運用部長 財産につきまして、売却まずありきということではなく、利活用、利用されていない、あるいは利用される見込みのないものについて、処分の方法として売却を考えていく、こういうことでございます。

○松村委員 私も従来から我が党の考え方を述べてきましたけれども、とにかく、不要というか、どう見ても、例えば道路づけで何であんなところが必要なのかというのを買ったり、それからまた、確かに将来的に必要のない道路を持っているべきではないし、そういう本当に不要な土地は、これはやはり売却するというか、当然だというふうに思うんです。
 具体的にお聞きしていきたいと思うのですけれども、いろいろな考え方がこの中には示されていますが、しかし、これはいかがかというように思うものまで、これはまだ財務局の考え方の提案の段階かもしれませんけれども、民間に売り払うということが余りにも多いと思うんです。
 例えば、この三九ページに一覧をつけていただいていますけれども、これを上からずっと見ていっても、ほとんど、民間に売り払う、民間に売り払うというふうになっていますよね。この三九ページの2の、財務局がもう既に普通財産として持っている未利用地リスト、これは大体全体でどのぐらい--最後に百九十八ヘクタールと書いてありますから、これはわかりますけれども、この民間に売り払うということでは、これはどのぐらいの割合を占めているのでしょうか。

○橋本財産運用部長 財務局が所管をしております未利用地は、お話しのとおり百九十八ヘクタールでございますけれども、そのうち、事業計画がない、あるいは事業実施の見込みが薄れているということで売却を予定しておりますのは、財務局所管分で約九十八ヘクタールでございます。率はちょっと計算があれですけれども、そういうことでございます。

○松村委員 百九十八ヘクタール中、九十七・六ヘクタールということになると、半分近くです。
 さらに、この数字の中には、資産アセスメントによる見直し対象事業は含まれていませんよね。これは主に建物が現在あったりして、それで本当に有効かどうかということを財務局としても資産アセスメントをやったということですから、これも建物というか、それに伴う土地も含めて、全庁的活用ということもありますけれども、この中にも売却というものが多いわけですから、さらに、今の財務局の普通財産で利用がないということで九十七・六ヘクタール、それに、まだ所管がえはしていないけれども、売るという十七ヘクタールを入れた百十五ヘクタール以上に、資産アセスメントをやった中からも、さらに売却の予定ということでふえる可能性というか考え方が、私は進められているというふうに思うんです。この中に、本当に利用がもう終わったとかいうような形を挙げておりますけれども、福祉局とか教育庁を中心に、かなり売却方針なんですよね。
 一方、例えばこの中に出ております、これは三六ページの警視庁、これ幾つか職務住宅がありまして、ここでは、入居率を高めることというから、私もどんな形になっているのかと思って、この世田谷区の桜木住宅も見ましたけれども、確かに行ってみたら、十二棟ぐらい建物がある中で、もうほとんどがらがらと。すぐ裏のクリーニング屋さんも大変心配しているというか、前は一時、本当に安いからたくさんの方でにぎわっていたけど、今は逆に、都営住宅が当たったらどんどん出ていっちゃうということで、半分ぐらい入っていないのじゃないでしょうかということで、商売も非常に影響があるということでした。改めてそういう現場を見てきて、お聞きしましたら、この桜木住宅は三百八十戸あって四一%ですか、その次にありますところも三七%、それから四五%というふうに、かなり入っていないですよね。
 そこも、ここの考え方で、入居率を高めるということだけで活用ができるのか。狭いとかいろいろあるのだったら、今、住宅局がやっているようなスーパーリフォームだとか、いろいろなことが考えられると思うんですよ。今のままで、ただ入居率を高めるといって--いずれの施設も半分も入っていないという。しかも、これ見てみると、相当膨大な敷地と建物。一方、そういう方も、都営住宅が当たったら移られていくという。やはり家賃が安いというところを求めるとなったら都営住宅ですし、そういうことをいろいろ考えると、確かに有効利用というのはそういう面ではあります。私は、それがいいということではなくて、ただ、今のままでは、これは問題だという皆さん方の指摘は当然だというふうに思うのです。今いいましたような福祉局とか教育庁はもう即、その用にならなかったから、今度は売却ということでは、やはりどうなのかなというふうに思います。
 そこで、私聞きたいのは、都市計画事業の用に供するものは除いているという、ここの総合計画の中にも、六ページに「暫定利用中の土地を含み、都市計画決定されている土地及び取得後三年未満の代替地を除く。」とありますけれども、都市計画決定されているという事由で、なぜ除かれるのでしょうか。

○橋本財産運用部長 財務局が所管しております未利用地リストの作成に当たりましては、都市計画法に基づきまして、都市計画が決定された事業予定地につきましては、利用計画のある財産というふうに位置づけまして、未利用地リストから除外をしたものでございます。

○松村委員 本会議質問でも自民党の方からありましたけれども、道路用地で買収後工事に着手していないものがどのぐらいあるのかという質問に、建設局長は延長十五キロというふうに答えておりました。今、都市計画道路というのは幅員どのぐらいか、さまざまあると思うんですね。聞いてみたら、四十メートルもある道、ぎりぎりの十六メートル、どんなに低く見積もっても二十メートル、幅員が平均的に二十メートル以下ということはないと思うのですけれども、しかし二十メートルとしても、十五キロの延長で、買収後五年以上工事に着手していないでそのままというのは、三十ヘクタールは下らないのですね、以上なんです。
 やっぱり地元から見れば、いかがなものか、鉄さくであれしていると。確かに一部には駐車場だとか、花壇なんか植えていられるけれどもということの中で、今後、地元区市町村や地元の方々との話し合いなどを通じて、遊び場だとか荷さばき用地などにもっと積極的に活用していきたいという、大変結構なというか、そういう答弁があったと思うんです。
 しかし、私ここでいいたいのは、道路用地、これは利用計画があると。本当に長いときには、それこそ十年とか二十年以上そういう形になっているわけですけれども、一方、利用計画がないといっても、例えば都営住宅用地など、この前も練馬の高野台で相当の金額を出して買ったのが、ずうっとそのままになっていた。周囲の市場から、もう本当に大変だから駐車場に一時貸していただきたいといっても、全然応じてくれなかったと。
 それがある日突然、河川改修の工事現場になっているというので、みんなびっくりした例を挙げましたけれども、住宅局が都営住宅を建てるというのが、その時点ではもう利用目的がないからということで、いつの間にか所管がえされて、建設局に移されてしまったということですけれども、そういう都営住宅の目的を持って買ったと。今は、財政が厳しいから都営住宅の新規建設はなかなか建たないといっても、これはそういう目的で利用されるということで、都民の税金で買ったわけですから、財政状況が好転して、また都営住宅をきちっと建てるとか、それにふさわしい土地を買ったわけですから、そういう維持の仕方が考えられてもいいと私は思うんです。
 一方、道路においては、何年たっても、決めた都市計画は将来やると。一つの例ですけれども、そういうことになっているというのは、私はどうなのかなというふうに思うんですよ。
 都営住宅用地で買ったならば、やはり計画どおり都営住宅を建ててほしい。今、財政状況ですぐには建てられないという場合には、そこを暫定的に、付近の住民と話し合って、より有効な利用、活用の仕方とか、そういうことを考えるべきではないかということなんですけれども、どうでしょうか。

○橋本財産運用部長 財産管理の基本的な仕組みについて、誤解といいましょうか、あるかと思いますので、それについて一言触れさせていただきますが、各局が所管している行政上の必要で持っております行政財産の用途廃止、あるいは事業を行う見込みのないものについては、財務局に引き継いだ上、財務局としては普通財産として、その利用なり処分なりを考えるという仕組みになっているわけでございます。
 したがって、例えば先ほどの道路の予定地でありますとか、あるいは公園の予定地でありますとか、そういうものにつきましては、各局が事業を行うことを予定して、各局がそのまま行政財産なり事業財産として所管をしているものでございます。
 先ほど、財務局未利用地の中の都市計画で位置づけられているものについては除外したと申し上げましたのは、財務局が引き継ぎを受けて普通財産として管理をしているのですけれども、その中の一部に、都市計画線が入っていて処分ができないといったようなものがありますので、それらについては未利用地リストから除外をした、こういうことでございます。
 それから、住宅建設のお話でございますけれども、それも基本的には同じでございまして、住宅建設の見込みが消えていないもの、利用計画があるものにつきましては、住宅局が引き続き行政財産として管理をして、建設に向かって準備をしているというのが基本的なスタンスでございます。
 しかし、住宅局においてそういった住宅建設の見込みがないとか、あるいは事業を実施する見込みが薄れたとか、あるいはやめたとかいったような場合につきましては、その行政財産の用途を廃止して、財務局の方に引き継ぎをして、財務局としては普通財産として処分をする、こういう仕組みになっているわけでございます。

○松村委員 老婆心ながらお伺いしたいのですけど、それがわかっていないような質問だということだったらば、それをわかった上でもう少しわかりやすく質問したいと思うのですけれども、例えば都立大学の跡がありまして、私も見に行きました。長年、どういうふうに利用するかというのが大きな問題でしたけれども、例えばその隣には、本当にすばらしいというか、駒沢公園があるわけですよね。
 今、東京の公園はどうなっているかといったら、都民一人当たりの都市公園面積は、東京区部で三平方メートルですね。ところが、ニューヨークは二十九・三平方メートル、ベルリンは二十七・四、ロンドンは二十六・九と、いずれも九倍から十倍で、都民一人当たりの公園面積をふやすというのは、当然大きな課題だというふうに石原知事もいっていると私は思うんですよ。
 だから、都立大学のそういう跡地をどうするかというと、私はもっとそういう点での公園利用ということの考え方、都立大学という目的を終わってほかに移転したから、それは普通財産になった、だから、今いったそういう形の考え方はあってしかるべきじゃないのか。
 一方では、同じ世田谷でも私、見させていただいたのですけれども、祖師谷公園という都立公園がありますね。今、もう民間でこれだけの住宅が張りついて、いい環境で住み続けたいと。戦後といいますか、もう戦前に近い都市計画の網がかぶっているという点で、いやというのに、一戸一戸買うために、まだ物すごい努力をしているというか--だから、同じ区内においても公園面積、都立公園をふやすのだったら、今ある貴重なそういうところをまず確保する。だからといって、公園の網が外せるとかいう意味ではなくても、そういう遅々として進まないというか、公園を広げられないという事情があったりとかいうことで、より広げていくご努力よりも、どんなに効率的で合理的かわからないですよ。
 で、そこにまた、この前の委員会のあれもありましたけど、マンションがいきなり建つといったら、また住民はとんでもないとかいうことだけど、一般競争入札に回されれば、その利用がどういう利用になるか。この前の質疑でも足立区の例がありましたけれども、あとは、それはもう仕方がないというか、やむを得ないということは、決して都民のためにならないというふうに、私は思うんです。
 ちょっとそういう例も挙げましたけど、私、局長にも聞くというか、総合政策研究会というのをご存じですか。私も初めて勉強させていただいたわけですけれども、これは一九五一年に故有沢広巳を会長に設立されたというもので、かなり幅広い提言を行って、理事などを見ると、財界も含めてそうそうたるメンバーなんです。この研究会が「国際競争力ある東京圏づくりへの提言」ということを、ことしの三月ですか、まとめられているんですよ。
 そこで、この検討委員会のメンバーも、やはりそうそうたるメンバーなんですね。日本経済新聞社社長の鶴田さんが委員長になって、それこそ建設省の都市政策課長とか、住宅局市街地建築課長とか、あと大学だとか、日本のそうそうたる、ゼネコンも含めた、電力だとか製鉄だとかの会長さんや、主な各新聞の論説委員クラスが入って、東京に対する提言を行っている。
 私は、これを全体読んでみたら、私たちの考え方が本当に多いわけですけれども、今、石原知事などがいろいろいっております東京構想二〇〇〇などに、本当にそのまま盛られているのじゃないかと思うぐらいのすごい提言だと思いますけれども、この中に「財政難の地方公共団体が所有する不動産を売却する動きがあるが、これは長い目で見ると得策ではない。土地は将来の再構築の種地としてできるだけ保有しておくべきである。」ということを、こういう方々も将来を見据えていっているわけです。
 先ほど局長からも、財産の見方を今の社会情勢から変えるんだということで、確かに第二次の財産有効活用促進検討委員会ではその考え方が載っておりまして、それを引き継いでこの計画が出てきたというふうに思います。いろいろ立場が違う方々の提言ですけれども、土地という公有財産は、今度また必要に応じたらすぐに買えるとか、そういうものでは私はないと思うんです。しかも、この狭い、利用できる、しかも首都というか東京における、これはもういろいろな経過がありましたけれども、今ある土地というのは本当に貴重な財産で、将来的にも東京都民、首都に残していかなければならないし、いろいろな活用がある。
 それが今いったみたいに、都民が見ていたら、本当に活用されていないという点での批判、意見、しかも、それがなかなか各局所管でわからなかったことを、財務当局が調査して、やろうといった点においては、部長さん初め、私は決して否定するものではありませんし、多としますよ。
 だからといって、この前からいっているように、何が何でも今のこの時点で売り払うということは都民も望んでいないし、今、赤字財政団体になるから、本当にわらをもつかむ思いで財源をつくらなければならないということも確かにあるでしょう。でも、ご承知のとおり、幸いなことにというか、そうならないと私ども聞きましたし、そういう兆しもある中で、この計画の考え方に沿って進められても、ひとり歩きしますし、やはりいろいろあるのじゃないかということなので、もう一度再検討というか--再検討というより、今私が発言した趣旨に立って、その運用も含めて、考え方を組み立て直してほしいというふうに強く要望しておきます。
 それで、あと、個別的に若干質問をさせていただきたいのですけれども、公園については、今指摘しました。一方においては、そういう隣接する絶好の、どう見ても公園とかそういうものに残しておくのがふさわしいところが売却という形になって、急ぐような形になっている。一方、新たに公園を買っているということにおいては、財務局の立場から、所管がいってこなければ云々というか、これはどういうことなんでしょうか。東京全体の立場から見ての、全庁的な活用というのもありますけれども、今後呼びかけて、こういう財産があるんだよ、各局の所管がもっと積極的に、必要とされるものを生かすべきじゃないかとかいうような進め方をされるのでしょうか、公園なら公園に限ってもいいですけれども。

○橋本財産運用部長 財務局が所管しております未利用地につきましては、従来もお答え申し上げておりますように、まず、都において利用の見込みといいますか、利用計画があるか、将来的なものも含めてその利用予定を各局に聞きまして、それがないということになった後、地元の区市町村に対して利用希望があるかと、これも将来的なことも踏まえてそれらを聞いて、それで、利用予定がないという段階になって初めて売却ということを検討するわけでございます。
 それから、先ほど、保有しているのも必要なのじゃないかというふうな話がございましたけれども、未利用のまま長年放置をしておくということにつきましては、都有財産はいうまでもなく都民の貴重な財産ですから、それについては、やはりいろいろな批判があり得るのかなと思います。それに、保有するにはコストがかかりますので、そういった面からも、利活用の見込みのない土地につきましては、売却も含めた処分を進めていくべきであろうというふうに考えます。
 それから、公園との兼ね合いでございますけれども、公園について、ふさわしい土地、あるいは必要な土地ということにつきましては、都市計画などで定めまして、その都市計画に沿って計画的に整備を進めていくということを別のセクションでやっておりますので、それらの計画の範囲の中の都有地であれば、当然そういう利用の仕方が考えられますけれども、そうでないところにつきましては、別の利活用を考えていくべきであろうというふうに考えます。

○松村委員 ただ、今いったみたく、例えば公園なら、そのためには改めて都市計画をしなければいけないとかいう、いろいろな手続の問題などはわかりますよ。しかし、やはり行政間を越えて、例えばそういうのが本当に都民の利用に、その計画になるまで暫定的にも利用しながら、東京都にとって必要なものは進めていくとか、そういう進め方も私はあり得ると思うんですよ。その間、私も、先ほどから部長さんがおっしゃるように、未利用のままでいいとは思わないし、それは積極的な活用なのだと。
 しかし、今の、全庁的なことを呼びかけて、区市にも呼びかけて、利用計画がないとかいって、それで、都民に知れたときにはもう民間に売却して、マンションになってしまうとか、地元が改めて反対するとか、そういうことが余りにも多過ぎるからこそ、私はこの計画についてもただしているわけです。
 そこで最後に、例えば一つの具体的な、地元の問題で恐縮なんですが、都立の高等保母学院のことについてもいいましたけれども、ただ、そういうところがあるということを知って、本当に活用させてもらいたいということがあって、私もそういう点では、これは一考に値するなというふうに思う点があるので、ちょっとこれを、委員長のあれをとりましたので、局長にも配らせていただきます。委員長にも渡しておきます。
 今お配りしました表紙ですけれども、端的にいいますと、アニメミュージアムというか、館をつくってほしいと。これは同じような類例のものには写真美術館等がある中で、私、練馬ですけれども、すぐ隣に東映動画スタジオというのがあります。今は東映アニメーション株式会社になっております。それから、練馬には虫プロダクションという手塚治虫さんのあれがあったりして、そこで働く若い方や、そういうアニメのストックが相当あります。杉並などにも、そういう資源があるということが新聞報道されていました。
 今お配りしたのは、「歴史的なアニメ撮影台『一号台』を残そう!」というもので、これは練馬区が責任を持って管理をするということで、東映アニメーション株式会社から譲り受けて、今、このアニメミュージアムをつくる会という、これは東京を中心とした全国的な組織にしていこうという一つの運動があるわけですけれども、従来から私もすぐ近くだったもので、生活文化局あたり、また教育庁あたりと、そういう写真美術館のような形の、東京の一つの貴重な文化財というか、子どもたちの教育にもいろんな面があるということで、私も勉強というか教えられたわけですけれども、今それがすごく散逸しちゃうと。あの宮崎さんとか高畑さんですね、そういう中での要望が強いけれども、今、東京都の財政難とか場所の立地がないとかいう中で、こういう貴重な跡地があるということで、改めてその利用の仕方が、このつくる会では話題になっています。
 くどくならないように簡潔にいいますけれども、東映撮影所が今いろいろな建てかえとかをやる中で、本当に日本のアニメの原点となったこういう撮影も処分されかかっている、何とか残したいということで、区もその意義を感じて、保管しましょうと、しかし展示場所はなかなか提供できませんという話もあるんです。今は図書館で預かっているわけですけれども、そういう点でのやはり貴重な利用者が……(「所管が違うでしょう」と呼び、その他発言する者あり)そういう点で、都民の目から見たら、本当にそれを求めているわけですね、そういうアニメ美術館とか。それから世界にはいろいろありますよね、ウォルト・ディズニーだとか。そういう中で、やはり石原知事もいっているけれども、本当に貴重な文化資源だとか、観光じゃありませんけれども、そういうのがあるわけです。
 ただ、民間ベースに任せておいたら、なかなかそれは実現しない。そういう中で行政もいろいろ支援していくということは、一つ考えられるし、こういう貴重な土地だとか財産がある中では、もちろんそれは、おっしゃるように所管局にも判断してもらう。また、練馬区も意義を認めて、後援したいと。展覧会をやれば、子どもを連れた多数の区民の方が来るんですよ、練馬区民だけじゃなくて。(「練馬区だけの話じゃないか」と呼ぶ者あり)いや、それは練馬区だけの問題じゃないですよ。
 だから、そういう点での活用の仕方は、例えばこういう場合にどのような考え方を持っていただけるのかというか、そういう利用の仕方、これは何も民間団体というのじゃなくて、NPOでもいいです。または財団だとかいうことの形式も、今後考えられるでしょう。
 そういうときに、今、残された貴重な、本当に文化施設にふさわしい都立の保育学院のところが、この計画でいきますと、もう売却なんですよね。だから、それが民間に売却されたら、またこの前の質疑じゃありませんけど、足立のように、マンションか何かを建てられて、これはもうしようがないと。東京都にとっては財産が活用できたのだからそれでいいというには、余りにもこれはもったいない。
 だから、そういう声をお届けして、そういう機関にも暫定的にこういうふうに使えるとか、区の方からそういう意見があるのかとかいう形でも、私は、ぜひそういう考え方をしてほしいということなんですよ、いいたいのは。東京都にはそういうアニメミュージアムの考え方はない、または区の考え方もないということで、即売却の処分という(「違うんだよ」と呼ぶ者あり)いや、そうじゃないですよ、そういう考え方にならないためにはどうしたらいいのかということを、検討を求めたいというふうに思います。

○橋本財産運用部長 お話しの練馬高等保育学院につきましては、ご承知のとおり十三年三月、現在まだ使っておりますけれども、来年三月で用途を廃止いたしまして、財務局に引き継がれる予定でございます。
 そういうことで、現在、その跡地の有効活用のための検討を始めたというところでございまして、練馬区からは現在まで、利用希望に関しての要望は受けておりません。
 それで、処分の仕方については、これまでも何回も申し上げておりますように、まず、都において利用する予定があるか、それがなければ、地元区の利用希望があるかということを聞いて、それがないということになったときに、どういう形で処分をしていくか、売却も含めてどういう形で処分をしていくかというのは、そういったプロセスを経た上で考えていくということでございます。

○松村委員 今、区からはそういう希望が都立練馬高等保育学院についてはないということですけれども、私たまたま近くに住んでいて、私も小さいころからアニメで生まれ育ったもので、今までにもこの団体からその話を聞いて、私も非常に大事な話だなというふうに思ったから、東京都の生活文化局もしくは教育庁と話し合いたいというときに、確かに紹介した記憶があるわけです。
 そういう意味では、今、全庁的な活用といいましたけれども、じゃ、そういう形での所管局からの話し合いがあれば、それはもちろん受けられるというか--そのときには、たまたま財政がないから、写真美術館のようなわけには今はいかないでしょうということなんですよ。理解は示すけれども、やっぱりそういうところじゃないと。どこか適地が、ふさわしい場所があるのでしょうかと。それだけの規模のものはやっぱり見当たらないというのが、当時の私もお聞きしたときの話の範囲で、さらにそういうのを求めていこうということなんです。
 今は区から意見は聞いておりません、だからもう売却です、処分ですということじゃなくて、幅広く全庁的な活用も含めて検討していただきたいと、このことを要望して、終わります。

○西条委員 皆さんのいろんなご意見がありましたので、私はちょっと違う視点からお話をさせていただきます。
 この総合計画の中にも、本庁舎の有効活用方策というのが一項目つくられて示されております。
 そこで、この四月に清掃事業の移管、二十三区の都区制度の改革だとか、それから地方事務官制度の廃止によって、福祉局の社会保険関係や労働経済局関係の職業安定部門が出ていったとか、いわゆる行政の見直しの中から、少なくともこの本庁舎から出ていった部門もある。それから、ここにも示されているように、その反対に、今まで民間ビルに賃借していた衛生局の薬事衛生事務所や食品環境指導センターが逆に入ってきたとか、こういうような出たり入ったりが、ここである程度見直しされてきていますよね。
 それで、最終的なトータルとして、最大の財産でありますこの本庁舎が、今現在の時点で、さっきいった出入りがいろいろあった結果、結局どのぐらい空きスペースができているのか、まずその数字を示していただきましょうか。

○川島庁舎管理部長 現時点で、本庁舎にどの程度の空きスペースがあるかというお尋ねでございます。
 第一庁舎南棟四十階というのがございます。ここが八百五十平米ほど、第一庁舎三十一階に千百五十平米ほど、その他数フロアに分かれまして約五百五十平米、合計で二千五百五十平方メートルが、現在空きスペースになっております。
 なお、第一庁舎南棟四十一階に、臨時的利用になっておりますが、三宅支庁あるいは三宅村新宿総合事務所など、三宅島の災害関係の組織が現在臨時的に入っております。これは別枠でございます。

○西条委員 今、数字で二千五百五十とおっしゃいましたね。ちょっと感覚がつかめないのだけど、イメージとしてどのぐらいの感覚というふうに……。

○川島庁舎管理部長 大変失礼しました。第一庁舎、第二庁舎でほんの少し違うのですが、基準階と申します普通のフロアの、第一庁舎のワンフロアが大体二千平米ございます。第一庁舎、何十階かありますが、そのうち普通のところが丸々ない、あいているという状況でございます。

○西条委員 ありがとうございます。イメージとして大変よくわかります。
 それで、この中にも、今いったそれくらいの部分がちょうどあいていますよと。寄せていけばの話だから、ワンフロアが丸々あいている話じゃないのだけど。
 さらに、これを読ませていただきますと、今後、行政改革をさらに進めるだとか、それから、OA機器の小型化だったり、時代に合わせてオフィス環境がますます合理化されてきますね。そういうふうなこともさらに今後進んでいきます。合理的につくっていけばいくほど、少なくとも空きスペースがさらにあくでしょうと。あくというか、そういう努力もまた、有効活用するという意味でしなければいけない、そのように思っております。
 この中にも示されているとおり、この本庁舎は一つの財産ですから、しかも新宿の一等地ですから、ここでのオフィスのコスト意識をさらに上げる。それから、ここにまさに専門用語で示されていますが、ファシリティーマネジメント、こんなような方法もさらに導入して、この庁舎を、全体的なコスト削減をさらにしていくのだということも示されています。
 そこで、今いったように、最終的に寄せればワンフロア分ぐらいという大きな部分、それから、さらに努力していけばもうちょっとふえるんだよということを示されたのだろうと思いますので、じゃあ、ここの部分については、現在の時点の段階でどのように利活用しようかというのを、ちょっとお示しいただけませんか。

○川島庁舎管理部長 ご指摘のように、本庁舎を初め東京都みずからが使用している施設にかかわる費用も、人や金あるいは情報と同様に、大きな経営資源の一つであるというのが、今回の利活用総合計画の柱でございます。本庁舎も例外ではございません。
 また、ご案内のように、本庁舎は大変膨大な金をかけてつくっております。これは都民の貴重な財産であり、これをむだなく活用することは、私どもに与えられた大きな課題であるというふうに認識しております。
 そこで、将来のIT化の推進等を伴うと実際にどのくらいあくかというのは、まだ見えないところもございますが、当面、空きスペースをどのように活用していくかということですけれども、まず、来年四月以降、行政改革に伴いまして、かなり大幅な組織改正が予定されていると伺っています。今回の空きスペースについては、行政改革に伴う貴重ないわば種地として、かなり大幅な引っ越しになろうかと思いますが、その種地としてまず活用をさせていただきたい。十三年度、十四年度、場合によってはもうちょっとかかるかもしれません。それが一つ。
 それから、もう少し将来の話でございますが、現在、民間ビル等を賃貸している東京都関係の施設、かなりございます。これを、単純にはいかないのですが、本庁舎に移転することによって財政上効果があるような事業所等につきまして、今後とも引き続き検討の上、可能なものから本庁舎への入居を図っていきたい。
 ただし、これにつきましては、そもそもそういう事業所が、本来の目的ですとか、立地がどこになくてはいけないかとか、あるいは物によっては改修がかかるとか等々ございますので、単純にはいかないのですが、基本的には、三十八万平米の都庁舎を今後有効に活用していく中の一つとして、事業所等で、高いコストを払いながら民間ビルを使っているようなものも、移転候補の一つにしていきたい、こういう考えでございます。
 基本的には、本庁舎の維持管理も含めたコスト意識の活用の視点に立ちまして、民間のオフィス状況等も参考にしながら、執務環境に配慮しつつ、有効執務スペースの拡大を図るなど、本庁舎の効率的、効果的な活用方法を今検討しているところでございます。

○西条委員 ちょっと夢みたいな私の意見をいわせていただきますと、本庁舎のその部分については、ほうっておきますと--ほうっておきますとというと変ないい方ですが、あいている部分というのはそれほど目立たないですから、そのままになっていっちゃうんですね。それで、わざわざ、うちのところがあいておりますからぜひとはいってこないんですね。
 ですから私は、今ちょうどお話のあった組織改革や何かがあるときに、その空きスペースはどこかへ徐々に寄せるべきだと。まず基本的に、それで物理的な空きスペースをつくらないとだめですよ。だから、そういうのは、あるとき意図的にやらなければなりません。そういう努力をまず最初にすべきだというのが、まず一つです。
 それから、今いったようないろいろな、少なくともお金を出してよそで賃借しているようなものは、戻してくるというのがまず大原則ですよね。だけど、そうはいいながら、その事業所はそこにあることが本来の目的で、ちゃんと本来の目的どおりだったら、それだけの理由があって、賃借をしてでもそこへ出しているのだから、それが戻せるものだったら、そこへ持っていっていること自体が問題なんでね。だから、何でもかんでもいいから無理して持ってこいとはもちろんいいません。
 ただ今度は、そのあいたスペースをどうするかの一つの考え方として、これは多少手前みそになりますが、畑野技監が文京区におられましたから、うちの文京区の施設なんかは、最初から単独の行政棟という発想を捨てています--捨てているというか、そうじゃなくて、最初から区民施設と庁舎という発想で、むだな土地をわざわざ買わずに、建てるとき既に区民施設を最初から入れているんです。ですから、都の場合は後追いで、ワンフロアぐらいあけられたらば、庁舎の分じゃなくて逆に都民の施設、そういうような計画にのっているものを入れる。まして、この一等地の都庁があるところです。そんなものにも活用できるようなことも考えるべきだろうと思いますので、考え方の一つとして、ぜひそうなさることもご提案として申し上げて、そのようにお願いしておきます。
 次の質問に移ります。
 そんなこんな、今伺えば、ひょっとするとこれだけ有効活用できますよというのが、庁舎に限らず、恐らく我々の目の届かないところに物すごい数があるから、今回これだけの調査をされたのだろうと思います。
 それで、この資産アセスメントをかけた調査は、都とすればどのような視点で行ったかということはちょっとはしょりますが、結局、何がわかったわけですか、そこのところをお願いします。

○橋本財産運用部長 今回の資産アセスメントにおきましては、各局が所管いたします施設につきまして、その使用実態を調査したわけですけれども、その視点といたしましては、容積率を十分に使っているかという有効性の視点、それから、保有コストは適切であるかという効率性の視点、それから、周辺の土地利用と適合しているかという妥当性の視点などの基準により、評価をしたところでございます。
 その結果、入居率が低い宿舎でありますとか、事業量が減少している事務所などが見られまして、財産の有効活用の観点から、見直しが必要であると判断した百八の施設や事業につきまして、具体的な改善点、あるいは改善の方向を提示したところでございます。

○西条委員 結局、アセスメントをかけてみたらば、利用効率の悪い施設というのがやっぱり具体的に見えてきた、こういうことですね。
 それで、私はこういうことだろうと思うんですね。結局、今までのバブルの前のような、財政状況がいいときというのは、やはりこういうことには目が向かなかったんで、これは行政も我々議会もそうなんですよ。それで厳しくなってきたから、お互いに、都民の厳しい目もあるし、それから財源が苦しいから、やはりこれはそう看過できないよということで、こういう考え方も、それから今いった発想もいよいよ入ってきたわけですね。だから、そういう意味では、時代の要請に今、必死になってお互いに努力しているんだということだろうと思うんです。
 そのために、とどのつまり、どのような具体的な方策をこれに最終的にかけようかということですね。そこについては、まだ最終結論は出ないでしょうけど、今のところで最終的にはどのような方向性というのか……。

○橋本財産運用部長 利用効率の悪い施設の有効活用につきまして考えられる具体的方策といたしましては、まず、施設の統廃合を検討していくということが挙げられるかと考えております。この場合、事業所を集約する場合には、民間ビルを賃借している事業所を移転させることを第一ということで計画にも記載しておりますけれども、集約された施設の跡地につきましては、原則として売却をする方向で検討していきたいと考えております。
 また、売却しないで当面保有することが適当な施設につきましては、定期建物賃貸借制度、いわゆる定期借家制度ですが、それらを適用いたしまして民間に賃貸することも検討していきたいと考えております。
 このほか、利用効率の悪い施設の新たな利用方策につきましては、例えば利用率が低いスペースを見直しまして、他の用途に転用する、これは先ほどもお話がございましたけれども。それからまた、例えば駐車場などにつきましては、有料化を図ることなどにつきましても検討していきたいと考えております。

○西条委員 これで終わりにします。
 今、統廃合、あるいは売却、転用、このくらいのことはとにかく、当面の策としては当たり前のことだろうと思っているんです。それで、お聞きするところによりますと、これだけ資産アセスメントをかけ、しかも大々的に、ここまで都のあらゆる施設を対象にしてこういう総合計画をつくったのは、都としたら初めてだと、このように伺っておるんです。
 せっかくここまでやって、一個一個一定の目標年度が掲げてあります。で、先ほど鈴木先生からもありましたですね、多少財政状況が好転すると、こういうのはまた大体置いていかれちゃうんだよね。そういうことで、せっかくここまでやったのですから、逆にいうと、これを一定の期間ごとに常に継続していくという努力、僕はこれが今後大事なのじゃないかと。当面、今のこの計画はいいですよ、しかし、それぞれ十四年とかいろいろ書いてありますよね、それが終わっちゃうと、それであわよくば財政状況でも多少好転すると、これは置いていかれちゃうような気がするんです。
 ですから、むしろ財政当局とすると、せっかくここまでやったのだから、これを例えば五年ごと、十年ごと、必ずローリングして見直していくんだと。残ったものについては、またその先へ次の計画を示していくんだというふうな努力が、今後は必要なのじゃないでしょうかということを申し上げて、私の質問は終わります。ありがとうございます。

○渡辺委員 私も財産運用のあり方の具体的な問題で、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどもありましたけれども、この本庁舎の貸し出しということも既に実施されているわけですが、しかし、清掃局の区への移管を初めとして、地方分権に伴う事務事業や組織精査、こういうものが進められる中で、本庁舎の空きスペースというものが出ていると。先ほどの答弁でもありましたように、二千五百五十平米現在空き室になっているということですね。
 そこで、お尋ねをしていきたいのですが、今貸し付けている放送スタジオがありますね。これは第一庁舎の四十五階、展望台の四十平米、それと控室ということで五十三平米、合計九十三平米ですけれども、これについて坪幾らで貸しておられるのでしょうか。

○橋本財産運用部長 文化放送スタジオの月額賃料で、平米で三千四百三十二円ということですので、坪にいたしまして一万一千三百二十六円でございます。

○渡辺委員 そうですね、坪一万一千余になりますね。
 それで、もう一つあわせてお聞きしますが、有楽町駅前の宝塚に貸していた跡地がありますね。あれが最近、住友不動産と契約されるということになったわけですけれども、あそこは都心の一等地ですよね、有楽町の駅前ですから。この広さが五千六百三十一平米、約千七百坪ということになりますが、この一等地での賃料というのは坪幾らなんでしょうか。

○橋本財産運用部長 一等地のというのは、当該地のということでしょうか。

○渡辺委員 そうです。

○橋本財産運用部長 一〇〇〇days劇場を今回貸し付けをするわけですけれども、坪にいたしまして月額一万九千九百六十五円でございます。

○渡辺委員 これは地代も入っているということでしょうか。

○橋本財産運用部長 敷地を含めた建物の賃料でございます。

○渡辺委員 有楽町駅前で、五千六百三十一平米というかなり広大な土地ですよね。ここで土地も含めて坪の賃料が一万九千九百六十五円、こういうことですか。地代は入っているんですか。

○橋本財産運用部長 この五千六百三十一平米というのは、延べ床面積でございます。

○渡辺委員 そうすると、地代は入っていないということですか。

○橋本財産運用部長 その建物が建っている敷地も含めて、その建物を賃貸するわけでございます。

○渡辺委員 よくわからないんだけど、例えば延べ床面積の五千六百三十一平米ということで、延べ床面積として借りると。しかし、それは地べたの上に建っているわけだから、地代は別にもらうと、こういうことになるんですか。要するに、地代は取らないで、建物だけということですか。はっきりわかるように説明をお願いします。

○橋本財産運用部長 今回の一〇〇〇days劇場は、建物の賃貸借ということで公募をして契約するものでございますけれども、この一〇〇〇days劇場は、ご承知のように宝塚劇場が臨時に営業していたところでございまして、その使用期限が切れたので、こちらの方に返還をする予定だったのですが、返還をしないで贈与をするということなので、それらを有効に活用しようということで、その土地と建物を合わせて今度賃貸をするということで、先ほどの金額を申し上げたわけでございます。

○渡辺委員 いうことはわかりましたけれども、貸すということだから、建物と一緒に土地もあわせて貸すということ、一般的な考え方としてはそうなるわけでしょう。(「違うよ」と呼ぶ者あり)違うということはないよ、建物だけ借りるということじゃないんでしょう、一般的には。そしたら、土地というのは、ただで貸すということになっちゃうでしょう。ですから、一般的には分けて貸すという点なんだけれども、そういう点ではちょっと理解できないんだけれども、それはいいです。
 それで、上物だけの床面積が五千六百三十一平米、これの賃料が月坪一万九千円、それにしてもちょっと安いんじゃないかという感じはします。
 ところで、先に進みますが、賃料を払って、そして東京都の今まであった事務所を、臨海の三セクの、私たちからいわせれば救済のために入れたということがあるわけです。例えばですけれども、東京都の職員研修所、これはテレコムセンターに入っているんですけれども、ここの賃料は、坪幾らで今借りているんですか。

○橋本財産運用部長 職員研修所は坪二万九千円でございます。

○渡辺委員 ここは有楽町の駅前の一等地よりも、比較すれば、賃料というのは私は安くなるんだと思うんです。先ほどのは一万九千円、約二万円でしょう。今度二万九千円というんだから、向こうは九千円も高い賃料を払って入っているわけでしょう。ここのテレコムセンターに入っている職員研修所、これは面積が少し大きいですから、そういう点では、年間ここだけで八十七億円かかっているんですね。ですから、この一万円近い賃料が安くなったらどれぐらいになるか、これは大変な額になると思うんですよ。
 それからもう一つは、テレコムセンターにやはり入っている青少年センター、これについてはどれぐらいかかると思っていますか、わかったら……。

○橋本財産運用部長 青少年センターにつきましては、坪三万二百七十七円でございます。
 それから、先ほどの賃料の出し方につきましてですけれども、賃料の出し方は、例えば一〇〇〇days劇場でいえば、近傍類似の実際の賃料の事例を基準にいたしまして、建物の程度でありますとか、あるいは建物の規模でありますとか、そういうものの評価要素を加味して賃料を定めるものでございます。
 したがいまして、一〇〇〇days劇場は、先ほど申し上げましたように、仮設の劇場として設置されたものを贈与を受けて、それを有効に活用しようということでございまして、それに見合った近傍類似の賃料から比準をしてきているということでございますので、本格的、恒久的な施設から比準してくるものとはおのずと評価上違いが出てくるということを、一つ申し上げておきたいと思います。

○渡辺委員 近傍類似ということで、しかも仮設ということだといっても、長い間貸すということになれば--それは一年一年の更新ということはあるかもしれない。しかし、長い間貸すということになれば、そういうことはいっていられない話ですよ。そういうことだから、利活用の問題で私は今、問題を指摘しようと思っているわけです。まず、その話でいろいろ状況も判断をして、今聞いているわけですけどね。
 それで、先ほどの話に戻りますけれども、いずれにしても、青少年センターが坪三万二百円だというお話ですね。私、この問題について余り細かくやるつもりはありませんけれども、例えば臨海三セクに入っている施設、東京都の事務所、こういうものはこのほかにもたくさんあるわけですよ。そういう点で、私は、実際問題として、こんな高い賃料を払って、何でああいうところに入っているのかと、これは前から批判してきたところですけれども、臨海のあそこ、近傍類似という話が出たからあれですけれども、今、坪一万円前後でしょう。そういうふうにいわれているんですよ。それ以上高かったら入らない。だから、ずっと一貫して、テレコムセンター初め有明フロンティアビル、そういうところがなかなか埋まらなかったんですよ。それで、救済策として東京都の事務所がどんどんあそこへ入っていく、こういうような状況になってしまったわけです。
 そこで、二千五百五十平米、この都庁に空きスペースがあるというのならば、せめて、高い賃料を払わずに、それをここへ戻したっていいんじゃないかというふうに私は思うんです。
 例えばですけれども、青少年センターの面積というのは千九百八十九平米です。東京都の空きスペースというのは二千五百五十ですから、まだ空きスペースがありますよね。先ほどの話だと、これからいろいろ組織編成だとか再編成だとかやって、あきがもっと出るかもしれないというお話がありましたけれども、仮にそうなったら、そのほかに、例えば第二フロンティアビルに入っている第二再開発事務所、これ、二つ合わせて三千五、六百平米ですよ。そしたら、ここで浮くお金といったらおかしいですけれども、あそこで払っている賃料ですね、例えば青少年センターが十九億八千万円、それから第二再開発事務所十二億八千万、この二つをこちらに持ってくるだけで四十億円浮くというふうに、勘定としてはなるわけです。
 だから、本当に今、一億、二億の話で、いろいろと行革ということで努力されているわけだから、そういう意味で、こういうところこそ、本格的な見直しという点で考えていかなければならないんじゃないか。そのことによって財源的にも相当潤うんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、そういうことを強く要求して、終わりたいと思います。

○橋本財産運用部長 先ほど渡辺委員がおっしゃっている数字はいずれも、例えば東京都職員研修所の八十七億四千五百万円、これは単年度ではなくて、これまでの累計の賃料ということでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。

○渡辺委員 私、いただいた資料があるんです。そこにはそういうことで書いてなかったので、十二年度ということで私計算したんですが、そういうことであれば、単年度で幾らになるんですか、ちょっと聞かせてください。

○橋本財産運用部長 職員研修所につきましては、これは十年度の賃料ですけれども、単年度で十億六千六百万円、それから、第二再開発事務所につきましては二億二千三百万円という数字でございます。

○渡辺委員 先ほどの数字は、そちらからいただいた数字がちょっと合わなかったということで、訂正させてもらいますけれども、いずれにしても、合わせると年間にして十二億ということになるわけです。だから、そういう高い賃料を払ってそこにいる必要はない。こちらにスペースがあるんだったらば、ちゃんと戻して、そこで少しでもうまく経費を上げる。何だかんだいったって、今、財務局としてはそこに一番神経をとがらせて集中しているわけですから、そういう方向で努力していただきたいということを要望して、終わりたいと思います。

○遠藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 報告事項に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分程度休憩いたします。
   午後二時四十四分休憩

   午後二時五十八分開議

○遠藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより主税局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、主税局の幹部職員に変更がありましたので、大塚主税局長から紹介があります。

○大塚主税局長 去る十二月一日付をもちまして異動がございました主税局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 税制調査担当部長の川村栄一でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○遠藤委員長 紹介は終わりました。

○遠藤委員長 次に、理事者から、東京都税制調査会答申について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○鮎澤税制部長 既にご案内を申し上げておりますが、十一月三十日、東京都税制調査会から知事に対して、「二十一世紀の地方主権を支える税財政制度」についての答申が行われました。
 以下、ご報告申し上げます。
 調査会は、本年六月の初会合で知事より諮問を受けた後、数カ月にわたって議論を重ね、十月六日に中間のまとめを取りまとめ、公表したところであります。今回の答申は、それ以後の議論を踏まえ、内容をさらに充実した上で取りまとめられたものであります。
 それでは、お手元の資料第2号、東京都税制調査会答申の表紙をおめくりいただきたいと存じます。目次でございます。
 この答申は、第1章、停滞の十年と構造改革の視点から始まり、全体で六章の構成となっております。第2章は、地方分権の推進のための税財政改革、また、次のページをお開きいただきますと、第3章、今後の税制のあり方となっており、二十一世紀の税制のあり方を考える六つの視点として、地方主権を支える税財政制度、活力を生み出す税制、応益性を重視した地方税制、環境に配慮する税制、負担を分かち合う税制、透明性を高める税制が挙げられております。
 第4章以下は、今回の答申で新たに加えられた部分でございまして、第4章は、資産課税の今後のあり方、次のページをお開きいただきまして、第5章、都にふさわしい法定外税のあり方、第6章、東京都の税財政という構成であります。
 この答申のポイントにつきましては、恐れ入りますが、お手元の資料第1号、東京都税制調査会答申の概要をごらんいただきたいと存じます。
 まず、Ⅰの税源移譲であります。
 税源移譲は、今回の答申の中核をなす部分であり、その実現は、地方主権を確実なものとしていくための最重要課題であるといえます。
 ここでは、国庫支出金と地方交付税の抜本的見直しにより、七兆円を超える規模の税源移譲を行うこと、税源移譲は、所得税、消費税、たばこ税により行うこと、地方財政全体や個々の団体の財政運営に及ぼす影響を考慮し、三段階で実施すること、最後に、税源移譲に伴う新たな財政調整制度を創設することが提言されております。
 この税源移譲によって、国と地方の税収はおおむね一対一になるとされております。
 なお、答申では、これらの提言にあわせて、税源移譲が実現した場合の各団体の財政力の変化等につき詳細なシミュレーションが行われるなど、これまでにない具体的、実証的な分析が行われております。
 次に、Ⅲの法定外税であります。
 環境問題など、都における政策課題は多様でありますが、ここでは、こうした東京の抱える政策課題の解決のために、法定外税を活用することが提言されております。
 具体的には、大型ディーゼル車の環境負荷に着目した大型ディーゼル車高速道路利用税、産業廃棄物抑制に向けた産業廃棄物税、ホテル等の宿泊者が受ける行政サービスに対して応分の負担を求め、その税収の一部を観光振興等に還元するホテル税、資源多消費型遊興産業の省資源化に向けたパチンコ税の創設が提言されております。
 なお、これらのほかに、昼間流入人口等への課税が検討されましたが、これについては継続的な検討とされております。
 次に、Ⅲ、その他の税制であります。
 まず、環境に配慮する税制では、地方環境税の創設と軽油引取税の課税の適正化、自動車税等の税率構造の見直しが提言されております。
 このうち、軽油引取税の課税の適正化については、脱税防止の観点から、地方税としての庫出課税化を図ることなどが盛り込まれております。また、自動車税等については、環境重視の考え方に立ち、自家用車と営業用車、ディーゼル車とガソリン車の間の税率構造のあり方を見直すべきとされております。
 次に、二つ目の商業地等に係る固定資産税等の負担緩和であります。
 ここでは、バブル期の地価高騰の影響により、大都市地域の商業地等の負担が過重となっていること、税制度も極めて複雑化していることを指摘した上で、今後の方向としては、当面、商業地等の負担水準の上限を六〇%に引き下げること、商業地等の評価に収益還元法を導入すること、固定資産税制度の抜本的改革を図り、仕組みを簡明化することが提言されております。
 次に、三つ目の相続税、贈与税の負担緩和であります。
 中小企業の事業承継の円滑化を図るため、相続税の軽減措置を拡充するとともに、諸外国に比べて高い最高税率を引き下げ、長い間据え置かれている贈与税の基礎控除額を引き上げるべきとされております。
 次に、四つ目の芸術文化に対する寄附金控除の拡充であります。
 芸術文化の振興は、都の重要な政策課題の一つでありますが、ここでは、その一層の推進を図っていくため、芸術文化に係る対象法人の範囲を拡大すること、その控除限度額を現行の二倍程度に引き上げるべきことが盛り込まれております。
 次に、五つ目の個人住民税の税率構造のフラット化であります。
 個人住民税の税率構造は、現在、道府県分と市町村分を合わせて、五%、一〇%、一三%の三段階とされております。この税率については、社会的費用を広く分かち合う負担分任の観点から、国から地方への税源移譲を進める中で、一律一〇%のフラット化をすべきことが盛り込まれております。
 最後に、その他として、都の政策課題の一つである少子化対策と放置自転車対策を税制面から後押しする観点から、新しい制度である認証保育所と自転車駐輪場について、固定資産税、都市計画税を軽減すべきことが提言されております。
 以上、大変簡単でございますが、東京都税制調査会答申についてのご報告とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○遠藤委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し、質問等がありましたら、ご発言を願います。

○野田委員 東京都税制調査会の答申については、我が党の代表質問でも取り上げましたように、国、地方を通じた税制の将来像を、地方の立場から初めて具体的に示されたものであり、とりわけ国から地方への税源移譲については、これまでの抽象論とは異なり、現実的かつ具体的な内容が示されています。
 また、このたびの都税調の答申に当たっては、地方税財政制度の改善を目指す東京都議会議員連盟においても、税源の移譲のほか、商業地等に係る固定資産税負担の軽減、地価水準の高い東京で相続する際に事業の継続が困難になっております、中小企業の事業承継に係る相続税負担の緩和など五点について提言を盛り込むよう、強く求めてきたところでございます。
 これを受けて、都税調の答申においては、いずれも掘り下げた分析を行った上でこれらを提言されたことは、高く評価するものでございます。
 そこで、何点か質問をいたします。
 初めに、法定外税についてであります。
 最近の新聞報道等では、各地方自治体が法定外税の検討をしていることが大きく取り上げられております。私の地元でございます杉並区では、レジ袋税が検討されており、区民の大きな関心を集めております。また、神奈川県では、法人の繰越欠損金に対する独自課税が打ち出されております。
 そこでお伺いいたしますが、このような法定外税を創設する際の手続や要件について、まずお伺いいたします。

○鮎澤税制部長 法定外税を創設するに当たっては、従来の許可制が、自治大臣の同意を要する協議制に改められております。その際、自治大臣は、次の三つのいずれにも該当しない場合には、同意しなければならないこととされております。
 その要件とは、一つは、国税または他の地方税と課税標準を同じくし、かつ住民の負担が著しく過重となること、二つ目は、地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること、三つ目は、国の経済施策に照らして適当でないことであります。
 許可制から協議制への改正は、本年四月の地方分権一括法の施行を受けてのものでありまして、この要件の適用に当たりましては、分権の流れの中で、より地方自治を尊重する運用が図られることが期待されているところであります。

○野田委員 次に、今回の都税調の答申でも四つの新税が提言されていますが、これらの税が導入されるかどうか、大変関心の深いところでありますので、今後どのように検討されることになるのか、お伺いいたします。

○鮎澤税制部長 今回の都税調の答申を受けた法定外税につきましては、知事の答弁にもありましたように、あらゆる角度から十分検討し、必要性、緊急性、実現可能性等を総合的に判断していくこととなります。もちろん、この場合、都議会のご意見等も十分に伺うことになります。

○野田委員 次に、相続税、贈与税についてお伺いいたします。
 冒頭に申し上げたように、中小企業の事業承継に係る相続税については、東京において特に顕著となっております税制上の問題の一つであります。そこで、都税調の答申では具体的にどのような提言がなされているのか、改めてお伺いいたします。
 あわせて、きょうの新聞報道でも伝えられていたように、来年度の与党税制改正大綱があすにも決定されるようでありますが、相続税、贈与税の税制改正動向について、わかる範囲でお答えをいただくとともに、結果的に都税調の答申内容が与党税制改正大綱に幾らかでも反映されたことについて、感想があればお伺いいたします。

○鮎澤税制部長 都税調答申では、東京の相続税の課税割合が全国に比べて高いことなどを勘案し、中小企業の事業承継の円滑化を図るため、納税猶予・免除制度を創設するなど負担軽減を図ること、諸外国に比べて高い相続税、贈与税の最高税率を五〇%に引き下げること、昭和五十年以来据え置かれている贈与税の基礎控除を、その間の国民所得等の伸びを勘案し、二百万円程度に引き上げることなどを提言しております。
 現在、国においては、来年度の税制改正に向けて最終的な詰めが行われており、事業用宅地を承継した場合に評価額が八割減額される特例措置の対象面積を二割程度拡充する、次に、贈与税の基礎控除額を現行の六十万円から百十万円に引き上げるなどの改正が行われる見込みであります。
 なお、都においては、これまでも事業承継を含め、相続税、贈与税の負担緩和を、都議会のご支援をいただきながら、国に対し、提案要求しているところであり、大都市特有の地価事情等を反映した相続税負担等について、一定のご理解が得られたものと考えております。

○野田委員 都税調の答申の中で最も重要な課題である税源移譲に関連して、お伺いいたします。
 税源移譲を行うに当たって、国庫支出金と地方交付税を抜本的に見直すということは、地方財政全体にかかわる大きな問題であります。まして、七兆円を超える規模の税源移譲の原資となるのであれば、国の税財政制度にも大きな影響を与えるのは必至であります。こうした抜本的な見直しを行う場合には、そこには、国民的なコンセンサスが得られる基本的な考え方がその中に確立されていなければならないと考えます。
 都税調は、地方財政の中で、国庫支出金、地方交付税のあるべき姿をどのように考え、どのように改革していくべきかと考えているのか、そのあたりをお伺いいたします。

○鮎澤税制部長 都税調が地方財政を変革していこうとしている、その基本的な姿勢を申し上げますと、第一に、特定財源である国庫支出金については、補助金については国の省庁の意向に左右されやすいことなどから、また負担金につきましては、国の地方への仕事の義務づけそのものを見直す必要があることから、原則として地方税または地方交付税への一般財源化を図ること、第二番目に、地方交付税については、景気対策や政策誘導の性格を強めていることから、これを財政調整と財源保障の本来の機能に戻していくこと、三番目に、こうした国庫支出金と地方交付税については、税源移譲を進める中で、極力地方税化を図っていくことであります。
 このような改革を進めることにより、地方自治体は自前の財源に基づき、自己決定と自己責任による行財政運営を行っていくことが可能になるというものでございます。

○野田委員 国から地方への税源移譲は、地方自治体が自前の財源で自立的に財政運営ができるようになるだけでなく、住民の地方行政への関心や、税の使い道への関心が高まるなど、さまざまな効果があります。
 しかし、地方分権の財政的裏づけとなるはずの税源移譲は、これまでも都はもちろんのこと、全国知事会などでも国に強く要望したにもかかわらず、なかなか進んでいないのが実態であります。
 このたびの都税調の答申は、地方財政の改革にもつながる国庫支出金、地方交付税の抜本的な見直しを提言するとともに、具体的な税源移譲の姿を提示したということは、一向に進まない国からの地方への税源移譲に大きな一石を投じたといえます。
 今後、都においては、この都税調の答申を契機として、全国の地方自治体とも連携を図りながら、その実現を強く国に迫っていくことを要望して、私の質問を終わります。

○古館委員 それでは、質問をさせていただきます。
 私も都税調の特別委員をさせていただきまして、その中でも意見を述べさせていただきました。なお、渡辺康信政調委員長が我が党を代表して、この全体の評価については既に意見を表明しているところでありますけれども、特に、大衆増税の色彩が非常に強いということを率直に指摘をせざるを得ません。特に消費税の税率引き上げを容認したこととか、また、赤字の中小企業にも課税できる外形標準課税の導入を、ある意味で評価すると。非課税など低所得者への所得税、住民税のいわゆる増税ですね、一般住宅に対しても固定資産税の引き上げとか、そういう大衆増税が非常に強く打ち出されました。
 先ほども、国から都に対しての地方への税源移譲につきましても、私どもは、会長をされておりました神野先生も、所得税を住民税に移すということを主として提言していたわけですが、今回の都税調の中では、国からの税源移譲で、地方消費税の比率が一番高くなっているんですね。一対一ということは、つまり五〇対五〇ということで、消費税率が現行で五%だと、二・五%をおろすと。そうすると、国は絶対、うんといいませんから、どういうふうになるかというと、結局は消費税の増税につながらざるを得ないという、環境自身がそういう形でつくられていくことを、私どもは非常に危惧をしているところであります。
 そのことを指摘した上で、きょうは、大きくは二つについて質問させていただきます。
 一つは、外形標準課税にかかわってでございますけれども、今年度の税収について、まず最初にお聞きしたいんです。最終的にはどの程度と見込んでいるかということです。
 これは本会議の代表質問の答弁で、主税局長が相当程度という答弁にとどめていたわけですが、翌日の朝日新聞などで、都税は三千億円を超す増収という金額が明記されて一面に載っかったわけなんですが、そういう意味でいうと、相当程度の伸びというのは三千億を超える、このように数字的に既にマスコミに出てきていまして、私ども都議会議員は相当程度としかいえない、ところが、マスコミは三千億を超えるということになるわけですよね。ですから、この相当程度というのは三千億円を超えるものだと、こういうふうに理解していいものかどうか、まず、この点についてお聞きしたいと思うのです。

○鮎澤税制部長 十二年度の都税収入につきましては、直近の都税収入実績及び企業の決算動向などを勘案いたしますと、間違いなく相当程度の増収となる見通しであります。しかしながら、具体的な税収見込み額につきましては、現在、算定作業を行っている最中でございまして、最終的な確たる数字を申し上げる状況には、現在のところございません。

○古館委員 議会の中でも三千億を超える、それからマスコミも三千億を超えるというふうにいっていますから、相当程度って、主管局ですから、そういうふうに慎重にいっているのかも知れませんけれども、私がどうして今この質問をしたかというと、法人事業税については、景気動向が税収の多い少ないということにかなり反映しやすいわけですね。こうした特性を見きわめた税財政の運営というのが肝心かなめなことであって、例えばバブルの時期というのは、そういうふうにどんどんふえてきたら、どんどんふえてきたなりに、上物をつくるとか、いろいろなことをやってきたわけですが、問題は、こういう法人事業税の特性を見きわめた税財政の運営、これが非常に大事なことだと。
 したがって、私は、この法人事業税というのが、東京都にとっては決して不利な税金というふうには思わないんですね。税財政の運営のやり方、ここの問題であって、そういうふうに私は思うんですが、この問題についてはどのような見解をお持ちでしょうか。

○鮎澤税制部長 都税収入に大きなウエートを占めております法人事業税収入の安定化は、安定的な都の財政運営を実現していく上で必要であるというふうに考えております。

○古館委員 全くすれ違っちゃっているんですけれども、今私がいったのは、法人事業税そのものについての評価を聞いたんですね。そしたら、今は安定的な税収が必要だからと。私の聞き違いでなければ、今、外形標準課税について答弁されたのではないかと思うんですけれども、自治省の方針によりましても、税収に与える効果ということで、現在の法人事業税は、どれぐらいの--参考で、過去十年間の平均税収というのがありまして、これが約四・四兆円となっているんですよね。ところが、今回自治省が提案してくる、後で質問しますが、外形標準課税でやりますと、大体見込める金額というのが約四・〇、つまり四兆円ですね。今の法人事業税が四・四兆円ですから、これは非常に低く見積もっているというふうに私は思います。
 なぜかといいますと、この四・四兆円の積算というのは、例えば東京などでは超過課税をやっているわけですが、超過課税分を除く平成元年度から平成十年度の平均、平均なんですよね。しかも、現行税率で換算した。現行税率というのは、ご存じのとおり、九八、九九で連続的に税率を引き下げましたから、そういうふうに低く平均が出るようになっています。それで四・四兆円なんですね。
 ところが、外形標準課税を導入すると、自治省の試算だと四兆円ですから、そういうことから見て、東京の場合は法人事業税を選択する方が、東京都の税収から見たらよほどプラス効果がある、私はこういうふうに思いますが、改めてご見解をお聞きしたいと思います。

○鮎澤税制部長 現在、自治省案の税収が、都に適用した場合にどのような形になるのかということについては、自治省案の細部がわかっておりませんので、確実なことを申し上げるような状況にはございません。
 私どもが先ほど申し上げましたように、都税収入に大きなウエートを占めている法人事業税の安定化ということが、財政運営上極めて必要であるというふうに考えております。

○古館委員 ところで、この法人事業税への外形標準課税の導入についてですが、さっきいいましたように、自治省がこの十一月二十一日に具体案を示しました。全国の都道府県共通の悲願であった法人事業税収入の安定化にとって前進が図られたものとして評価する、これが都税調の答申の中に書かれている文章なんですね。つまり、評価したんですね。そこで、自治省の具体案について、済みませんが、わかりやすく簡潔に示していただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 自治省の外形標準課税案についてでございますが、まず、二分の一を現行の所得基準で、また、二分の一を外形基準で課税する併用方式となっております。
 外形基準の内容は、報酬・給与額、純支払い利子、純支払い賃借料、単年度損益の合計でありまして、税率は、所得基準が四・八%、外形基準が一・六%でありますが、資本金一億円以下の中小法人の外形基準の税率は一・〇%となっております。
 なお、実施当初三年間は、所得基準を四分の三、外形基準を四分の一とする経過措置を設けることとなっております。
 また、地方税法七十二条の十九については、地方税法上の外形標準課税が適用される法人につきましては、自治体独自の外形標準課税の対象外とする趣旨の改正を行うこととされております。
 実施時期は、原則として平成十四年四月一日というふうになっております。

○古館委員 この問題については、今、自民党の税制調査会の方も来年度の実施を見送る、こういうのがマスコミでも報道されておりますが、今の答弁との関連で、この都税調の答申は、銀行業について、地方税法第七十二条の十九の改正から除外すべきとしておりますけれども、その理由と、除外されない場合には銀行業の税収がどのように影響が出るのか、お答えいただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 都税調の答申におきましては、自治省案について、銀行業については、人件費率などについて特殊な実態がある上、支払い利子から受取利子を控除するため、支払い利子が算入されず、税負担が著しく低いものとなる、したがって、銀行業に対する適正な課税や自治体の課税自主権の適切な行使を確保するためには、地方税法七十二条の十九の改正の対象から銀行業を除外すべきであるとしております。
 また、平成十二年三月期ベースで試算すると、大手銀行の都分の法人事業税額は、自治省案による場合、わずか百十億円程度の増収という著しく低い税負担となります。

○古館委員 来年度から実施する銀行課税は、審議して、見込みは当初、主税局が大体千百億円くらいかなと。ちょっと下方修正して、一千億という声も聞いたことがあるんですが、いずれにしても銀行課税は一千億を超える税収かなと。
 ところが、今回、この答申では、地方税法第七十二条の十九の改正から除外すべきだと。その理由は今、大きくいって二ついったわけですね。人件費が入っていると。人件費が入っていて、銀行の場合は人件費が総体からいうと低い。それからもう一つは、支払い利息みたいなのが入っていて、それ自体、銀行の大もうけをしている利ざやなんかが反映されにくい。だから、自治省の案でいくと、銀行業の税収は百十億円程度しか入らないというのが今の答弁だと理解をしております。
 私は、だから、このことをもって、なぜ評価をしているのかというのがわからないんですよね。だからこそ、ここで銀行業だけを改正の対象から除外すべきという主張をしているのは、逆にいかがなものかと。赤字の中小法人にも課税ができる仕組みになる一方で、銀行業には、今いったように百十億円程度しか入らないわけですから、ほとんど税金がかからない仕掛けにもなっているわけですね。法人事業税への外形標準課税そのものの導入にこそ、東京都としては反対を表明すべきだと思いますが、この点についていかがでしょうか。

○鮎澤税制部長 都におきましては、かねてより、地方税収の安定的確保等の観点から、中小法人の負担に配慮しつつ外形標準課税の導入を図るよう、国に対し、提案要求をしているところでございます。

○古館委員 私どもは、今いいましたように、外形標準課税については、何度も主税局の委員会でも質問させていただいています。この中で、先ほどいったように、銀行業だけ除外しろということ自体は、非常に私は説得力が欠けると思うんですね。ですから、外形標準課税ではなくて、私は、こういうことは拙速にしないで、さっきいいました税収の問題から見ても、東京都の環境からいえば、私は法人事業税の方がなじむ税であるというふうに思いますので、このことを強く改めて主張しておきたいと思います。
 第二番目の質問ですが、法定外税についてです。
 先ほども質問がございましたが、各党の代表質問に対して石原知事は、四つの法定外税の導入について、都議会の意見を聞きながら、あらゆる角度から検討する旨の答弁がありました。これに対してマスコミは、導入には慎重に対応していく姿勢を示したというふうに報じておりますけれども、これは、継続分も含めて五つの法定外税すべてを石原知事は指しているのでしょうか、特定の税目を指して述べているのでしょうか、知事の真意と、主税局として、担当局としての今後の対応について改めてお聞きしたいと思います。

○鮎澤税制部長 法定外税についてでございますが、知事の真意はともかく、東京都税制調査会から四つの課税案について提言をいただいております。
 また、今後は都として、この答申を踏まえ、あらゆる角度から十分検討し、必要性、緊急性、実現可能性等を総合的に判断していくこととなります。

○古館委員 たしか当初、来年度からできるものはどうだとかという、マスコミで活字を読んだことがあるんですけれども、来年度、そんなことを計画しているようなのはあるんですか、法定外税について。

○鮎澤税制部長 先ほどご答弁申し上げましたように、この答申を踏まえ、あらゆる角度から十分検討し、必要性、緊急性、実現可能性等を総合的に判断していくということでございます。

○古館委員 来年度からということを具体的には明言されておりませんので、私は、それをある意味で了としたいと思います。
 それで、都税調が四種類、昼間流入人口への継続審査のも入れますと五種類、具体的な提言をしました。現在まで、この法定外税に関する都民からのアクセス、都民からの声、意見は何件くらいで、どういう傾向でしょうか、その質問に答えてください。

○白戸総務部長 東京都税制調査会答申に関しましては、先週末現在で、二百六十一名の方々から三百三十一件のご意見、お問い合わせをいただいております。そのうち、都民であることが確認できました方は七十六人で、ご意見、お問い合わせ件数は百件でございます。
 項目別での賛成、反対意見件数を申し上げますと、大型ディーゼル車高速道路利用税につきましては、賛成十二件、反対八件、産業廃棄物税に関しましては、賛成二件、反対一件、ホテル税に関しましては、賛成三件、反対五件、パチンコ税につきましては、賛成四件、反対二十七件、この二十七件のうちには、業界関係者と見られるのが十七件入っております。引き続き検討を行うといたしました昼間流入人口等への課税につきましては、賛成四件、反対四件、答申全体につきましては、賛成六件、反対四件でございます。
 都民からのご意見の傾向といたしましては、一概に申せるものではございませんけれども、パチンコ税反対の十七件が業界関係者からのご意見ということで、この要因を除いてみますと、賛成三十一件、反対三十二件とほぼ均衡しているものと受けとめております。

○古館委員 どういうふうに分類するかというのは、はっきりいって、かなり主税局としての恣意的な分類がされていると思うんですね。業界であっても、そういう意見は意見としてきちっと--税を直接払わなければならない部分の人たちが、意見としてあるというのは当たり前のことなんですね。それをカウントするかしないかという問題も、私は、当然カウントしてしかるべきだし、その後の各マスコミの報道でも、例えばこれは産経でしょうか、一日までにメールなどで都に届いた百九十三件の意見のうち、六割以上が反対で、高速道路利用税に対しては、一般道の渋滞がふえるとの声が多く、パチンコ税には、リサイクルに努力しているのに納得できないなどなどということで、つまり、どこのマスコミを見ても反対の声が強い。
 実際に、例えば、これは東京都ではなくて荒川区議会だったと思いますが、自転車税の問題でも反対という声が多数を占めると。
 つまり、これは法定外税で、東京都が独自で課税できるからこそ、より慎重でなければならないというふうに私は思っております。そういう点でいえば、マスコミなどの報道は今、こぞって反対の声が多数を占めています。
 環境問題に対しても、国際的な関心が強まっているということはご存じのとおりです。東京都自身も、ディーゼル車の規制の問題では、いろいろな方向性を出しているということも私は承知しています。対策が、国際的な意味で真剣に議論され、検討が進められておりますけれども、私は、環境を守るための手法というのは、国際的に見れば、経済負担をどうするかという問題はさまざまな議論があるんですね。例えば、税がいいのか、利用料がいいのか、デポジット制がいいのかとかという、どういう形でそういう経済負担を環境の問題について課すかというのは、慎重の上にも慎重でなければいけないし、それこそ総合的かつ全面的な検討が求められている、こういうふうに私は思っています。
 ですから、その点で、国際的な経験、国として果たすべき役割、メーカー責任、消費者の責務など、それぞれが担うべき役割と負担など解決すべき多くの課題があると思っています。このような認識について、主税局としてはどのようにお考えでしょうか。

○鮎澤税制部長 税制の活用につきましては、環境問題解決に向けた有力な手段の一つであるというふうに考えております。

○古館委員 今、私がいいましたけれども、メーカー責任を初めとして、その中で消費者がどういうふうに責務を負うか、こういう役割分担などについては、私は都税調でもいったんですが、都民の合意、そういう一定の、慎重でなければならないというふうに思います、総合的な判断の中で。
 そこで、最後に質問ですが、私は都税調で、これら法定外税の導入については、大企業や製造元などへの負担をどうするかも含め、拙速さを避け、全体としてさらに論議を深めていく、大いに研究、検討が必要という意見を述べましたけれども、じっくり時間をかけ、環境対策に真に有効な方向性を探求していく、このことが重要だと考えますけれども、最後にご見解を改めて求めたいと思います。

○鮎澤税制部長 先ほど申し上げましたように、今後、あらゆる角度から十分に検討し、総合的に判断していくこととなります。

○桜井委員 できるだけ質問はダブらないように簡略にさせていただきますが、私も税制調査会の答申に関連してお伺いしたいと思います。
 税制調査会の答申案が示されまして、ここに示されたように、さまざまな内容があるんですが、都民の目に触れるのは、いわゆる新しい法定外税だけが話題になっているようでございまして、そういう意味では、東京都が新しい法定外税を発想して、そして提案するという点では、地方として、国に対しての姿勢としては、一つのデモンストレーションとしても意義があるし、それなりに評価があると思います。
 しかし、それよりももっと大事なことは、私はいつも財務当局にもお話ししているんですが、税源の移譲をどうやって実現していくかということが、都政にとっては一番大事な問題じゃないかと思います。
 そういう意味では、税の中身は別にして、今回、税源移譲について具体的で詳細な方向性を打ち出したということについては一応評価をしたい、こう思っているわけでありますが、ここに七兆円--七兆二千億円と私は聞いているんですが、にも上る国から地方への税源移譲をどうして実現していくか、これが一番大きな部分だと思います。
 そこで、最初に確認の意味で聞くんですが、法定外税を合わせた税収の規模、これは百億とか二百億とか、百五十億から二百億ぐらいだとか、いろいろいわれているんですが、一体どの程度を見込んでいるのか、それをお答えいただきたいと思います。数だけでいいです。

○鮎澤税制部長 法定外税の見込み額につきましては、都税調の答申では具体的に言及されておりませんが、都税調における議論を前提といたしますと、四税合わせて百億円から二百億円程度の税収規模となることが想定されるところでございます。

○桜井委員 この四税に、一つ検討中の税もあるわけですが、さきに、いわゆる銀行税について打ち出されたわけでありまして、ただいま古館委員も触れたわけでありますが、これについては銀行側が訴訟を提起しておりますし、その波及として、今議論になったように、自治省から新しい外形案が提示されて、いろいろ議論をこれからしていかなければならない部分があると思います。
 これも確認の意味で、当初一千百億といったんですが、今は一千億という話も出ていましたが、現時点でどのくらいを見込んでいらっしゃるか。

○鮎澤税制部長 銀行業に対する法人事業税の外形標準課税の導入に伴います税収見込み額につきましては、十三年度、約一千億円程度と見込んでいるところでございます。

○桜井委員 平成十一年度も、一般会計の決算の実質収支は二年連続して赤字となったわけでありますが、財源対策を講じなかった場合の実質的な赤字は約五千八百億円になる、こういわれているわけなんですね。この財源不足の中で、両方足して一千百億でありますが、悪いいい方でいえば、いわゆる小出しの新税では、なかなかこれを解決するところにはまだまだ到達できない、こういうふうに思うわけですね。
 それで、まだコンセンサスも得られておりませんし、新しく打ち出されたことは、今度、我々も含めて議論をしなければならないということで、関係業界の声もありますし、非常に前途多難な状況もあるわけでありますが、だからこそ、税源の移譲にどう取り組んでいくかというのが非常に大事だと私は思います。
 そこで、お尋ねしたいことは、答申にある税源移譲のケースにおいて、都道府県全体の税源移譲額はどれほどになると計算されたのか。また、そのうち、東京都はどれほどの税源移譲になるのか。できれば、税調の議論を踏まえて項目別にお示しいただければと思います。

○鮎澤税制部長 答申において示されております税源移譲額は、都道府県全体では三兆六百億円であり、うち、個人の道府県民税で一兆一千五百億円、地方消費税の道府県相当分で一兆九千百億円となっております。また、都の税源移譲額は約三千八百億円であり、うち、個人都民税は一千五百億円、地方消費税の都分は二千三百億円というふうになっております。

○桜井委員 全体で三兆六百億円、東京都が三千八百億円ということでございますが、都道府県の中では東京都だけが交付税の不交付団体でありまして、他の道府県は全部交付団体、こういうことを考えますと、現行の制度の中では地方税の収入額がふえる反面、地方交付税は減収となる、こういう部分があるわけであります。
 それで、都道府県では、この税調案によってふえた分と交付税の差し引きをした場合に、実質的にどれほど税の増収が見込まれるのか、いわゆる純増額というのがどのくらいになるのか。それが都道府県全体ではどれほどになって、そのうち、都はどれくらいなのか、もしあれば示していただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 お尋ねのございました税源移譲に伴う都道府県の純増額につきましては、税源移譲額の二〇%に相当する額と、不交付団体における税源移譲額の八〇%に相当する額との合算額というふうになりまして、合計で約一兆二千五百億円となります。
 このうち、都の税源移譲額は、先ほど申し上げました三千八百億円で、全体に占める割合は約三〇%ということになります。

○桜井委員 地方分権が相変わらず議論されているんですが、これを確実に実質的に推進していくためには、税源移譲を進めていくことが一番大事なことだと思うわけなんです。
 今のご答弁では、他の道府県では純増が一兆二千五百億、都の場合は交付税がありませんから、そのまま純増になりまして、三千八百億円ということでありますが、三割を占めるということで、地方自治体の意見もいろいろあると思うんですね。中には、三〇%に反発する声もあるでしょうし、あるいは、その三〇%の部分からどうやって自分の方へ取り込もうかという動きをする自治体もあると思うんですが、そういう意味からすると、このことを全自治体の一つの考えとしてまとめていくのは、簡単ではないなというような気が私はするわけであります。
 都の場合は、国税、地方税合わせまして還元率が一番低いわけで、特に国税は、十七兆円もこの地域から上がりながら、一兆円しか戻ってこないというんですね。余りにもひど過ぎるような実態もあるわけでありますし、首都や大都市特有の需要もありますから、そういうことを考えると、果たして三千八百億だけで十分かなということも当然考えられるわけであります。
 しかし、そういいながらも、やっぱり三割が集中するということは、他の府県の理解を求めるには非常に苦労していかなければならないと、こういうことなんですが、他団体に対する一定の配慮といいますか、そういった政策的な項目を掲げることも、現実としては必要であろうかと思います。
 一部この中にも触れられておりますけれども、答申ではどのような対応策を講じようとしているのか、お示しいただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 税源移譲が実現したといたしましても、なお財政力の低い地方自治体が存在することは事実でございまして、こうした自治体に対する財政的配慮として、答申では次の三点が提言されております。
 一つは、国庫補助金をさらに削減し、その削減額に相当する額を充てることであります。二つ目は、基準財政需要額(国の経済対策に関連するもの)を一部削減した上で、これまで基準財政需要額に算入されていない事務事業の需要額を算入することであります。三番目は、現行の地方交付税とは全く別に、税源移譲に伴う何らかの新たな財政調整制度を創設することであります。
 以上三点でございますが、新たな財政調整制度を創設することにつきましては、いわゆる逆交付税の道を開くことにつながってはならないわけでございまして、自治体総体の問題として真剣に検討するに値するというふうになっております。

○桜井委員 三点、今お示しになったわけでございます。答申の中にも触れられているわけでありますけれども、税源移譲について、他の自治体と一定のコンセンサスを得ながらこれを実現していくということは、非常に大変な作業だと思います。したがって、私はいつも、東京都独自の大きな項目を一つ出していかなければならないというふうにいっているわけでありますが、答申は、全都道府県に適用するような税源移譲の中身になっているわけですね。そうしますと、今いったような状況の中で、果たしてこれが実現できるかどうかというのは、他府県との関係で、非常に大変な状況があるんじゃないかと思います。
 しかし、先ほどもいったように、五千八百億円のいわゆる赤字を埋めるために、どうしてもやらなければならないことは、この税源移譲を実現していかなければならない。これは地方分権の上でも、都の主体性の上でも非常に大事なことだと思っているわけなので、その取り組みをしっかりしていかなければならないと思うんですが、例えば、今三つ挙げましたけれども、こういう項目じゃなくて、もう少し具体的なことを提言した方がいいんじゃないか。
 これは財政委員会でもいったんですが、例えば大阪府では、税源移譲を提言する一方で、国庫補助制度を改革していくその一環の作業として、都市再生包括交付金制度の創設ということを具体的に要望しているんですね。これは大阪府だけじゃなくして、東京、それから東海、名古屋、それから大阪圏という三大都市圏に、都市再生推進重点地区というふうに指定して、期間を十年間に限って、そこに重点的な財政措置を行う。そして、それまでの間に財源移譲をしっかりとやっていくということを提言しているわけなんです。
 これは、あくまでも税源移譲とは違ったやり方でありますが、財政を確保する一つの手法として、国を動かすための、具体的な税制改革を進めていく上での手法として提言しているわけであります。
 したがって、これは十年間という限定の中ですから、十年間に税源移譲を確保するという一つのあれがあるわけですね。今のご答弁ですと、東京都はこれで三千八百億円の増収を図るんだというんですが、これをいつまでに実現をしていくのかということなんですね。いつまでに三千八百億円の税源移譲を図ろうとしているのか。

○鮎澤税制部長 三段階の税源移譲を実現するスケジュール、期限でございますが、現在のところ、具体的な時期につきまして申し上げる状況ではございません。
 いずれにいたしましても、できるだけ早く実現しなければならないというふうに考えているところでございます。

○桜井委員 実は銀行税のときに私も知事と質疑を行ったんですが、そのときに私の方から、戦略に基づいた運動論が必要じゃないかと。これは銀行税じゃなくて、地方財政を確立していく上において、やはり戦略に基づいた具体的な運動論が必要ではないか、こういうことを質問したところ、知事は、踏み込んだ戦略というものを構築していく、そういうふうにしなければいけないと思っているというような趣旨の答弁をしております。
 詳しくいいますと、今お願いしている、今度つくっていただく東京都税制調査会の答申をよすがにして、踏み込んだ戦略をそこから構築していきたい、こういうふうにいっているわけなんですね。税源移譲というのは、まさしく国とのある意味では戦なんですね。ですから、基本的な戦略がない限りは、これはなかなか実現しない。
 私も、美濃部さんの財政難のときも都におりましたけれども、税源移譲と税財政の改革というのは長い間の課題なんですよね。ちょぼちょぼっと解決したのはありますけれども、本当にこのシステムが変わっていない。相変わらず地方が苦しいところにいる。
 今、二十一世紀という新しい世紀を迎えるに当たって出したからには、やはり都の財政ビジョン、こういうものをはっきりして、目標をいつまでにどうやって実現していくかという、いわゆる税制改革の基本戦略がなければ、税源の移譲というのは実現しないんじゃないか、また絵にかいたもちに終わってしまうんじゃないかということを大変危惧しているわけでございまして、答申はできたけれども、今求められているのは具体化のための戦略と行動だと私は思うんですね。
 今後の取り組みについて、これは主税局長に認識を伺って、私の質問としたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

○大塚主税局長 戦略と行動ということでございますけれども、先ほど桜井委員からご指摘ございましたように、税源移譲の実現には、いわば二つの大きな制約条件があるというふうに考えております。一つは、いうまでもなく厚い国の壁であります。そしてもう一つは、自治体自体に内在する制約条件であります。
 政府税調の中期答申では、現在のような危機的財政状況のもとでは、国と地方の税源配分のあり方について見直しを行うことは現実的ではないといたしました。また、新しい総務大臣も、税源移譲が不十分という地方の不満はわかるが、国の財政も大変厳しい、国と地方の抜本的な税源配分の見直しは景気が回復してからだとして、いずれも税源移譲の必要性は認めながらも、これを先送りする姿勢を打ち出しております。
 また、地方団体自体も、総体として、交付税、国庫支出金頼りの行財政運営に長い間なれ切っており、総論で税源移譲といいながら、この先、各論になると、なかなか足並みがそろわない実態があります。
 都税調答申では、今回の税源移譲は、今現実に地方に来ている移転財源である地方交付税と国庫支出金を原資として行うものであり、国の財政に影響を与えるものではない。また、税源移譲によって、住民にとって受益と負担の関係がより強く意識され、地方団体の歳出の合理化等に資することによって、地方の財政再建がより早く達成され、ひいては国の財政再建にも寄与することができると反論をしております。
 振り返りますと、戦後五十年を超え、我が国において税源移譲が行われた例は、昭和三十七年の所得税、平成十一年のたばこ税のささやかな移譲以外は全くありません。その意味で、壁は極めて厚いといわなければなりません。地方団体としても覚悟が必要であります。先ほどご指摘がありましたけれども、本当に覚悟が必要だと考えております。地方団体自身、補助金、交付税に依拠した財政運営の延長に、真の分権と自治がないことを明確に自覚をしなければなりません。
 それにしても、要は、千差万別の三千三百余の地方の総力を一つの旗のもとに結集できるかどうか、税源移譲はこの一点にかかっているというふうに考えます。その点からいえば、先ほど、これも桜井委員からお話がございましたけれども、今回の都の税調答申は、思い切って一歩踏み込み、税源移譲に伴う新たな財政調整措置の創設を、いわば現実の制約条件をカウントして戦略的に提案しており、なかなか足並みのそろわないであろう地方団体の結集を図るには、大きな材料になると考えております。
 もちろん、この構想の具体化をどうするかということが残るわけでございますけれども、これは状況の進展に応じて、さらに具体的なイメージを都として表に出していくことになるというふうに思います。
 運動論でございますけれども、既に全国の道府県、政令市、中核市、都内全区市町村等に、中間のまとめ及び最終答申を知事名で発送しております。また、知事出席の七都県市首脳会議の席上にも配布するなど、連携に向けての具体的なアクションを開始いたしました。
 道は険しく、壁が厚いことは確かでありますけれども、いずれにしても、この道しかないという強い決意を持って、都議会のお力をおかりしながら、あらゆる手段、手法を尽くし、制度改革に邁進してまいります。

○桜井委員 もう少しいいたいことがあるんですけれども、すばらしい決意なので、それに期待を申し上げて、結果を待ちたいと思っております。
 最後なんですが、全然議題が変わるんですけれども、質問じゃなくて要望なんですが、都市計画税の減免につきましては、大変要望が来ております。そこで、ぜひ十三年度も現行制度を維持していただくようにご要望申し上げまして、質問を終わります。

○西条委員 今、桜井先生の質問で、最後に局長があれだけ総括をされちゃった後ですから、余り細かな質問をすると、笑われちゃうような気がいたします。
 ただ、私、私個人の答申に対する感じをまず最初に話させていただくと、いわゆる法定外税や何かが、先ほどちょっとお話もあったとおり、マスコミではそういう部分だけが一般の都民に取り上げられておりますが、少なくとも、私も一都民として考えると、この答申は--現在ではまだ答申でありますが、税制というのは、本当に長い間、いろいろな形でつくられきて、全く我々にもわからないぐらい、こんな複雑な仕組みなのかということを改めてわからせてくれたと。それと、地方税にかかわる話だけれども、当然、いろいろな部分で国税とかかわっていますから、まさに日本の税体系がどういうように現状にあって、どんな矛盾を抱えているのかということを、この八十数ページにまさにまとめていただいたという意味では、なかなかこういうものがなくて、一個一個が、そのときそのとき、ある一つの税制の部分部分だけしか我々は見えないでいたのが、こういう知事の一つのきっかけで、都税調という形の中でつくり上げられたということで、短期間のうちにここまでまとめたものができ上がったことは、これを私、理解するために二回ぐらい読ませていただいたけれども、我々素人にも、ある意味ではその成果は大きかったなと。先ほどいった、これからどうするのか、中身の賛否はいろいろあるかもしれないけれども、そういうものがこのようなきっかけでつくられたことの成果は、私は非常に大きかったと思っております。
 そんな中で、先に何点か、そうはいいながら、各論のところでちょっとわからないというか、どういうことがその裏に秘められているのかというような意味で、まず伺わせていただきます。もう時間が大分たってきていますから、簡単に質問させていただきます。
 この答申では、国庫補助金が二兆一千億、負担金の方が一兆六千億を一般財源化するとしておりますが、これは、具体的にはどのような補助金、負担金を想定されてこのように答申をされたのかということだけ、まずお示しいただけますか。

○鮎澤税制部長 都税調の答申では、国庫補助金は基本的に廃止または縮減すべきものとされており、補助率の低いものや、創設年代が古く、役割が低下しているものを中心といたしまして、また国庫負担金につきましては、住民に身近な生活基盤にかかわるものや、地方の事務として同化、定着しているものを中心といたしまして、それぞれ一般財源化することが適当であるというふうになっております。

○西条委員 ありがとうございます。
 それから、さらに一般財源化する補助金、負担金のうち、三分の二に相当する額を地方税化し、三分の一を地方交付税措置とするとしていますが、この配分の考え方、根拠は一体どのようなものなのでしょうか。

○鮎澤税制部長 地方財政の実情を見てみますと、税源移譲が行われたとしても、なお財政力の低い自治体が引き続き存在する現状を踏まえまして、一般財源化する補助金、負担金のすべてを地方税化するのではなくて、一定の割合を交付税に措置させることが、そういった面から現実的な選択ではないかという認識でございます。
 そこで、現行の地方財政における地方税と地方交付税の割合を考慮いたしまして、二対一の配分としたものでございます。

○西条委員 今の財政力の低い自治体のことを、先ほども桜井先生の質問の中で部長が大分触れておられましたね。そこの部分と結局は同じになっちゃうのかなというような気がいたしますが、この答申でいうところの新たな財政調整制度というものが結局は何なのかということが、やっぱり重要であろうと思うんですね。それは一体、具体的に何なのか。
 それから、検討すべきさまざまな課題があるとここで示されているけれども、それは一体何なのか。それから、先ほども、逆交付税への道を開いてしまうことになるんじゃないかといっておられますが、それはまたどういうことかということについて、もう一回説明していただけますか。

○鮎澤税制部長 答申で示されております新たな財政調整制度とは、税源移譲を行ってもなお財政力の低い自治体が存在することに対しまして、税源移譲額の一部をもって財政的配慮を講ずる措置でございます。
 こうした措置は、そもそも、税源移譲が地方自治の拡充と地方分権の推進を図るために行われるものであることから、自治体の財政自主権を侵害する、いわゆる逆交付税につながってはならないものでありまして、都税調の答申は、その点につきまして特に注意を喚起しているものでございます。
 こうした財政的配慮を行うに当たっては、関係自治体の合意を初めといたしまして、自治体の課税権との関係、配分額の問題、配分の仕組みなど、さまざまな課題があると指摘しているところでございます。

○西条委員 もう一点、ちょっとお尋ねしておきます。個人住民税のフラット化ということについて触れておられます。これは、東京都としてはどのようになさるおつもりなのか。

○鮎澤税制部長 都税調の答申で、所得税から個人住民税に税源移譲を図ること、その際に、個人住民税については、負担分任の性格をより強める観点から税率をフラット化すること、そして、所得税については、個人所得課税全体の税収中立を図り、個々の納税者につきましては負担増とならないよう、新たな累進税率とすることが必要であると提言をしておるところでございます。
 これは、地方主権の時代にふさわしい個人住民税について、あるべき方向を示唆したものだと考えております。

○西条委員 ありがとうございました。
 とどのつまりは、税制調査会という会をつくっていただいて、そこでこれだけの案をまとめていただいて、これが今、知事に出された。まさに知事が、これについていよいよ具体的にはどうしようかと、先ほど話していたように、そういう段階ですから、これの中身の議論は、議会、内外ともにこれから詰めていく話でしょう。そういう機会はまたつくられるんでしょうから、質問はここら辺にいたします。
 それで、私は、先ほど桜井先生の話にもありましたが、これだけ答申が出されたけれども、結局何も生まなかったというのでは、都民の期待にもこたえないことになりますから、そういう意味では、どうまとめるか、具体案をどうつくるか、それから、先ほどいったように、国を相手にどう戦略の展開をするか、そのストラテジーがどこにあるのかということがまさに問われる。そういう意味では、議会の責任も私は重大だと思っております。
 先ほど局長があれだけの決意を述べられておりますから、私は一つだけ、先ほどの局長の話を聞いていて思ったんですが、これはかなり専門的な話ですよね、まさに税制という問題で。私もこれを二回読ませてもらったけれども、その部分、その部分ではわかるけれども、全部読み終わって、また三十分ぐらいしたら、何だか全体がまたわからない、そんなような状況は私だけじゃないのかなと、こんな気がしております。
 それで、局長以下、ここにおられる方は、まさに主税局のプロですから、全部頭の中に入っているんでしょうけれども、先ほど局長の話の中に、道府県、よその関連する知事だ何だにもこれは配った、そういうところに都の主張はしている、こういうことになりますが、僕は、今までのこの一年半、新しい石原知事がいろいろな施策を打ち出したことが予想外に都民の支持を得たのは、一般都民へ向けたアピールはかなりうまい知事だなと、このように思っております。
 そういう意味では、これはまさに専門家たちがつくり上げた答申ですから、八十数ページにもわたる専門書です、私にいわせれば。問題は、せっかく私もこれだけ読ませていただいて、一素人として読んで、なるほど、こういう状況にあるのかということですから、今後の戦略はともかくも、現況の税制がどんなであり、それから、都にとってどんな矛盾というか、困った状況にあるかということを、広範な都民にどう知らせるかがさらに大事なんじゃないですか。
 先ほど局長がおっしゃられたのは、関係道府県だ、市区町村だ、これは一種のプロに向けたアピールですね。ですから、この文書でもいいでしょう。ところが、一般の都民はそうはいかないでしょう。まさか一般の人にこんな分厚いのを読めといったって、読みはしないね。私も二回から、あと今後何回読むかなと、こういうようなあれで、必要に応じてその部分だけだものね。全体を体系的に読むということはまずないでしょう。ですから、もっとわかりいい、ビジュアルな、そんなものをやはりつくるべきだろうと私は思います。
 引き合いに出したら申しわけないけれども、たまたま首都機能移転の問題では、なかなか一般にわかりいいものをつくり出していますよ。もちろん、これは答申ですから、これでいいんだけれども、これからは、さっき桜井先生のいった戦略に移っていくならば、何ページとはいわぬけれども、これだけ八〇ページのものをというんじゃなく、せいぜい五ページぐらいまで、しかもそれをわかりいいように、これがつくれるかどうかにかかっています。それで、それを一般都民に示すべきです。一般都民にこの現状をわかってもらうべきというように私は思うんですけれども、局長、いかがでしょうか、私はそう思っておりますが。
 それで私の質問は終わります。

○大塚主税局長 先生お話しのとおり、答申が答申のままでは意味を持たないわけでございまして、税財政制度改革に向けた大きな流れをつくり上げるためには、いろいろな工夫といいますか、それが必要だというふうに考えております。
 まずその一つは、今お話にございました都民、国民の関心をどう喚起するか。あしたの日本のために、国、地方を含めた税財政制度の改革が本当に必要なんだということを、都民、国民の共通の認識を持っていただくということが、第一の要諦だと思います。
 それからもう一つは、先ほどお話ししました、いわゆる制約条件の一つである全国三千三百余の地方自治体の力を一つの旗のもとに結集できるかどうか、結集しなければならない、この二つあるだろうと思います。
 そのために、この後でございますけれども、十一月三十日で、まだ入り口でございますが、都民、国民の関心を高めるための、引き寄せるための、あるいは議論を巻き起こすためのいろいろな広報媒体、あるいは会合等を含めたいろいろな仕掛けの場を活用していかなければならないというふうに考えています。
 いずれにしても、地方が活力を持たないと、もうどうにもなりません。日本の活力も出てこないというふうに考えています。大きな流れをつくるために、ありとあらゆる、考えられるすべてを尽くして、それを駆使して、狭い門かもしれませんけれども、これを突破したいというふうに考えております。

○遠藤委員長 ほかにご発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして財政委員会を閉会いたします。
   午後四時十七分散会

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