委員長 | 白井 威君 |
副委員長 | 鈴木貫太郎君 |
副委員長 | 倉林 辰雄君 |
理事 | 中西 一善君 |
理事 | 古館 和憲君 |
理事 | 坂口こうじ君 |
遠藤 衛君 | |
白井 常信君 | |
松村 友昭君 | |
桜井良之助君 | |
大西 英男君 | |
山崎 泰君 | |
矢部 一君 | |
渡辺 康信君 |
欠席委員 なし
出席説明員知事 | 石原慎太郎君 | |
主税局 | 局長 | 大塚 俊郎君 |
総務部長 | 北村 隆史君 | |
税制部長 | 鮎澤 光治君 | |
調整担当部長 | 須々木亘平君 | |
課税部長 | 白戸 毅君 | |
資産税部長 | 佐藤 昭久君 | |
徴収部長 | 鳥海 賢三君 | |
参事 | 小林 宣光君 |
本日の会議に付した事件
主税局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百六号議案 東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例
○白井委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
当委員会室の定員は三十二名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに十八名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○白井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○白井委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、主税局関係の付託議案審査を行います。
なお、本日は、初めに知事に対する質疑を行いますので、知事にご出席していただいております。
知事、本日はお忙しいところ、大変ありがとうございます。
これより主税局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第二百六号議案、東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例を議題といたします。
質疑に入ります前に、委員の皆様に申し上げます。
知事に対します質疑につきましては、自民党、日本共産党、公明党、民主党、無所属クラブの順序で、各会派二十分で行うことを理事会で申し合わせました。ご了承願います。
それでは発言を願います。
○矢部委員 限られた時間でございますから、絞らせていただきまして、ご質問を申し上げたいと思います。
ともかく、今回のこの外形標準課税の導入から、日本じゅうというか、税に対しての関心が高まっている、一石を投じたらば、それが、池の水がなくなっちゃうくらいだったというようなお話もありましたが、大変にいいことであると一面思っております。
そういう中で、昨年の十二月の第四回定例会におきまして、私どもの会派の野田議員から、日本銀行の法人二税が、ここ数年間、平成八年には五百億、平成九年には四百四十億ぐらい、十年、前期が四百七十億、後期分といいますか、四百七十億、これも予定申告納付されていたものが、国、大蔵省の考えのもとに変わってしまいまして、これが納付金に切りかえられてしまった。それについては知事もご発言をされていますけれども、その上に四百七十億還付を次の年にして、さらに十七億利息分を乗っけて返したと。それこそ詐欺みたいな話でございますけれども、こんなことがあったわけでございました。
そういう日本銀行も、今回の五兆円以上の銀行業の中には入っているわけですし、しっかりいただけるんだろうというふうに思っております。百三十億ぐらいではないかというようなお話もありますけれども、こうしたことも踏まえて、国は自分のところの都合で何でもできちゃう、そういう仕組みの中で東京都を運営していくというのは大変なことだと思っておりますが、このことについてどういうふうに対応されたり、どんなことになっているか、全国知事会でのお話もありましたが、まずお聞かせいただきたいと思います。
○石原知事 おっしゃいますとおり、かねてから日銀の国庫納付金の問題は、まことに理不尽な話でありまして、東京が財政的に土俵を割らないためにも、強く申し込みをいたしまして、あれだけのお金が戻ってはきたんですけれども、焼け石に水でありますが、今度の日銀における業務粗利益というものを課税標準とするということで、この外形標準課税によって、この問題は自動的に解消するわけであります。それから、加えて法人住民税については、引き続き国に対して制度を改正するように求めるつもりでございます。
○矢部委員 平成十一年は、ちなみに法人二税はおおむねゼロという状況でございますから、やはり法律をつくる側がそれをきちっと守っていかなければ、すべてが崩れていってしまうということの、すごく大きな例ではないかというふうに思っておりまして、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
それと同時に、今回地方分権一括法というのが施行されて、それに伴っていろんな条例改正が東京都の中でもあったわけですが、最終的にその裏づけとなる財源、これは税であるべきだというふうに思っていますけれども、地方の時代だ、地方の主権だといいながら、結果として財源については中長期的な課題ということで、棚上げ状態でございまして、中長期というのは、ほとんど無限に近いくらい遠くになってしまったんではないかというような感じも持っております。
こういう中で、知事は、今回いろんなお考えがおありだったと思いますけれども、東京都版の税制調査会を設置したいというお話がありました。こういう中で、そもそも地方と国との役割分担をすると同時に、もっと事務事業の役割もきちっと分ける、税源、財源もきちっと分けるということが根本的に必要だと思っておりまして、財政自主権というか、税源移譲ということを積極的に議論する場にしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○石原知事 おっしゃられたように、これはせっかく構える新しい調査機関でありますから、ほとんど無内容に近い一括法の中に魂を入れるべく、税源の移譲に関して案を練って、これを政府にぶつけていく、そういうものをひとつおつくりいただきたいと思います。
国のレベルでは、政府の税調と与党のそれぞれの税調があるようですけれども、これはみんなてんでんばらばらで、大体、政府の税調を総理官邸じゃなしに大蔵省でやるというのはおかしな話ですが、いずれにしろ、今回都でおつくりいただく税調は、議員の方々にも直接お入りいただいて、有識者とそこで議論をするという非常にコンパクトな機能的なものになると思いますので、東京における新税もさることながら、地方自治体のために、国がこういう点で、国がかかわっている税法をこういうふうにして変えろというような、そういう意見もひとつおつくり願いたい。もちろん税源の移譲については、大きな主題にしていただきたいと思っております。
○矢部委員 都議会にも、ご案内のとおり議連が設置されて、超党派で活動しているわけでございまして、連携を密に、ご同意をいただきながら、それこそ力を合わせて制度を整えていく方向でお願いをしたいというふうに思っております。
東京都に限らず、市町村もそうですけれども、基本的には、都道府県税については、法人二税が大きな税目、収入源でございます。これは、おのずと景気の動向、変動にまともに影響されますから、その波をどうやって読んでいくかということが、行政を運営していくに当たって大変大事になってくるわけですし、東京都もそういう意味では、バブル経済以降、ちょっとその波が今までとは違ったということ等があって、起債のサイトが十年というようなことも、ちょっと合わなくなってきているような感じもしておりますけれども、基本的にそういう波があるというのが法人二税ですし、その影響をまともに受けるというのも都道府県であるわけですから、そういう中において、今回、それこそ苦肉の策というか、極めて微妙に、なおかつ、うまく的を絞られた外形標準課税であると私は思っているんです。そしてその中身について、国がいろんな意見をいわれています。業務粗利益を課税標準とするのは、妥当性がないというようないい方をしています。
先日も、神野先生のお話がありましたけれども、イタリアの生産活動税、この中でスプレッドというんでしょうか、利ざやを基本的な課税標準にしているという税がありますし、イタリアの税は税率が四・二五%、東京は三%でございますから、そういうこと等からしても、極めて妥当性があるというふうに思っているんです。業務粗利益をということに対して、イタリアの例を見ても、極めて理にかなっていると私は思っているんですが、いかがでございましょうか。
○石原知事 おっしゃいますように、法人二税がジェットコースターよりも激しく上がったり下がったりしまして、税源としてほとんど当てにならない、こういう事態でありますし、また東京の財政も来るところまで来ましたので、窮余の一策か、何と呼ばれるか知りませんが、とにかく新しい財源の確保のためにこういうものを考えまして、そのためには業務粗利益を対象にするという妥当性について、局内でもさんざん議論もいたしまして、今日の銀行業の実態を精査した上での一番妥当な対象として提案したわけでございます。
この間、神野参考人がいわれましたように、やっぱり財政に関する周囲の方々の協力原理というものは、恵まれない人はやっぱり我慢をしていただく、恵まれた人には税を負担していただくということでありまして、そういう意味でも、私は当を得たものだと思っております。
○矢部委員 このバブル経済以降、バブル経済がどうして起きたのというようなことにもなるのかもしれませんが、銀行がそれこそ、土地の評価に対して一二〇%融資をしていた時期もあるわけですし、それはもう積極的に、無理やりぐらいな感じで融資をしていたわけです。現在は、それが土地の評価に対して六〇%融資するかしないかというような話でございまして、そういう意味では、結局法人二税が大きく影響するという中で、景気が回復をしませんと税収が上がってこないという中で、今、銀行業は貢献は全然していないんじゃないかという感じもしております。
経済を活性化していくという中では、ある程度そうしたことを踏まえて、投資をしたいというようなことの意欲が出たり、形として動き出していかなきゃいけないときだというふうに思っているんですが、銀行を悪者にするということではないんですけれども、余りにもそのときにやったことと、その後、それが逆に評価が変わって不良債権になったんですが、これはなるべくしてなったわけでもなくて、土地が上がり続けるという神話の中で、そうした作業があったわけでございます。
それについて、今、逆にこういう景気を戻さなきゃいけないときに、銀行も銀行なりに、応分に努力をしてもらわないとならぬというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。
○石原知事 銀行の現況を眺めますと、とにかく座っているだけで、預金の金利が手数料を差し引けばゼロでありまして、貸し出しの金利との幅がもう自動的に入ってくるわけですし、現にそれをもとに配当もしておりますし、三兆円という収益も上げている。それだけの業績を構えている企業が、いろんなサービスを受けながら、その対価を払わないというのは、これは世の中通る話じゃありませんし、つまり応分の協力をしていただきたいということで、今度の税制を考えたわけでございます。
ここで、とやかく銀行のあり方を批判するつもりはありませんが、これはやっぱり今度の税が、全社会的に見れば決して不公平なものでないということは、世論も認めてくれていると私は思っております。
○矢部委員 納税者の側というんでしょうか、銀行の側からは、税の公平性ということがいわれております。公平の原則というのはあるかもしれませんが、もう一面、税には応能負担の原則というのが当然あるわけでございますから、そういう面では、今回のことについては、なるほどと思える面が多くあるわけです。
今回のことに端を発してといいますか、その公平性の観点から、もしという仮定の話をしても、もうしようがないのかもしませんけれども、外形標準課税が導入された場合には、行政訴訟を起こすんだというようなことが報道されたりしております。仮にということでございますけれども、訴訟が起きたときに東京都として、知事はどういうふうに対応されようとーーなかなかお答えにくいところでしょうけれども……。
○石原知事 私は、じかに見ませんでしたけれども、先般、あるテレビで、評判の番組で、元の大蔵官僚が訴訟しろと、したら勝つと、何か唆したようでありますけれども、あの役人自身がどこの国のために働いたかわからない存在で、別に問題にもしておりませんが、仮に訴訟ということになれば、これは当然適切に対応いたしますし、今回の提案につきましても、その適法性について十分検証してあります。
そういう分析を含めて、銀行は訴訟するとは思いませんけれども、後ご質問が出ると思いますから、詳しくは大塚局長の方から答弁いたしますが、これはとにかく来年、つまり十二年度が終わってみなければ銀行というのは訴訟できないんです。それから、協会が挙げてというわけには、これは手続でいきませんし、各銀行、銀行が、それぞれの見解にのっとって訴訟するかしないか決めるわけでしょうが、いずれにしろそういうものを想定しまして、私たち、この問題に一番神経使いましたが、あくまでも、つまり適法ということを信じるというか、判断して行ったことでございまして、相手がもし訴訟するなら、堂々と受けて、白日のもとに開かれた形で、互いのいい分を裁判の中でいっていきたいと思っております。
○矢部委員 さきにも述べましたように、日本国憲法のもとに、この第八章に地方自治を保障して、地方自治の本旨をうたっているわけでして、国の税については租税法律主義、これは当然のことだと思うんですが、地方の税については租税条例主義であるべきだというふうに思っていますし、そういう仕組みになっているんですが、それぞれ通達等々によって基本条例のようなものがつくられて、それに基づいて構成をしていく。それは戦後スタートの、それこそシャウプ税制、最初に導入されたころは、そういう考えが必要であったと思うんですが、今、もう戦後五十数年たっている中では、当然のごとく自立をしていかなければいけないときですし、国の方向もそういうことだというふうに思っているんですね。
しかし、現実は、今回の定例会の中でも、本来地方が条例で決めるべき税について、国が法律を改正して定めてくるようなことがあったらば、地方分権一括法等々のことからかんがみても、国は自殺行為だと知事はおっしゃられております。私もそう考えておるわけです。
また、さらに少子化が進んで、これからまだまだ進んでいくわけですから、そういう中でそれを全部税でやっていこうとするならば、国は、増税をしていくしか道はないんだろうと思っているんですね。今回の議論の中で、いいチャンスとばかりに、通産まで税調をつくって、税金をというような発想もしているようですし、とんでもない方向に進んでしまうというふうに思っております。
そういうことになってしまうと、日本の国そのものがつぶれてしまいますし、知事が常々おっしゃられていますように、東京から元気になって、日本を元気にしなきゃいけないという中で、逆に減税をするということも、結果として元気になって税収が上がることになるのかもしれません。そうした根本のことが今見えない。
ある学者は、日本の税は、すべて一〇%にしても恐らく成り立つだろうといっております。GNP等から見ても、そういうことなのかなというふうに私も思いますけれども、税に対する考え方、あるいは国がやるべきこと、地方自治体がやるべきこと、それぞれ個人がやるべきこと、それに伴って税金をどうするのか、税額はどこまでなら払える、これ以上は無理だというような線がおのずと出てこなきゃならぬだろうと思っているんですね。そうした議論がされずに、ただやみくもにこのチャンスに増税をしようというような動きになってしまうということは、極めて遺憾だというふうに私は思えてなりません。
そうしたことを踏まえてというか、東京都も、しっかりした考えを今少しずつお出しいただいていますけれども、それが国にも伝わっていかなきゃ意味がないし、本来、国のあるべき姿、方向がはっきりしていくようにしていくという中で、これから東京都の役割というのは大変大きいんではないかというふうに思っておる次第でございます。税について、これからの方向について、知事のお考えをお聞かせをいただければと思います。
○石原知事 今おっしゃった、税は一律に全部一〇%にしていいんじゃないかというのは、たしか日本で講演されたハイエクさんの講演を私も聞いて、非常に強い印象を受けましたが、まあその論は別にして、やっぱり時代が変わり、社会の構造が変わってきているときに、税法というものが、依然として古色蒼然としたまたま続いているというのはおかしいと思います。
特に、地方の自立というものを動かすような法律もできて、それぞれの地方がその自主性、個性というものを踏まえながら、独特の行政をしていかなくちゃいけない時期に、それを裏打ちする財源というものを税も含めてほとんど国が掌握して、がんじがらめにしているというのは、これはおかしな話でありまして、シャウプさんが五十年前に、昭和二十四年ですか、あの勧告を出したのは、やがてアメリカと同じように、日本の地方も、強い主権を持った地方として独立すべきだという想定があったのでしょうか。いずれにしろ、アメリカの州は、税に関しても非常に強い権限を持っていまして、それがまた、今日のアメリカを救っているとも思います。
そういう点で、都が設けます税調も含めて、地方の時代の中央と地方の税における、あるべき役割の分担のようなものも大いに討論願いたいし、何といっても日本の首都東京でありますから、それを東京から国にぶつけるということで、ほかの地方も動いていくと思いますので、そういうつもりで皆さんに参加願って、この税調も運営していただきたい。そこで、新しい地方の時代の地方の税制というのはどうあるべきかということをーー国は、棚上げしてしまって答案を出すつもりはないわけでありますから、我々がまず答案を書いていくというのは必要だと思っております。
○矢部委員 今回の定例会で、本会議、予算特別委員会等々で我が会派からも質問させていただきまして、基本的なことはすべて出尽くしているかなという中で、そのところにダブらない点についてお尋ねをさせていただきました。
いろいろとあるでしょうけれども、これからは、方向として、ともかく納税者にも理解をいただく説明をきちっとしていただくことを最後にお願いして、質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○古館委員 それでは、知事に質問させていただきます。
東京都の大銀行への課税提案についてでありますが、大銀行が莫大な利益を上げながら、不良債権処理のために、まともに法人事業税を納めていない問題、この点について、私ども日本共産党は二年前から追及し、大銀行に課税する適切な措置を求めてまいりました。今回の都の提案は、私どものこの間の提案に沿うものでありまして、賛成である旨の態度表明を既に行ってきたところであります。
そこで、きょうは、三月十三日の予算特別委員会の参考人の意見陳述で、全銀協の杉田会長が、今回の銀行課税について、税の公平性という最も基本的な原則を踏み外しているという趣旨のことを述べ、しかも、政府を初め、都の銀行課税に反対や導入に慎重な人のほとんどが同様の意見を述べておりますので、この問題に関連して、まず質問させていただきます。
大銀行への課税は不公平という全銀協の会長や政府などのいい分ですが、私は、端的にいって許しがたいものだ、このように思っています。なぜなら、大手銀行には、この間、莫大な利益を上げて税金を負担する十分な力があるにもかかわらず、法人課税を免れているという事実に立脚するからこそ、私は、課税の根拠と道理がここにある、そのように確信をしています。
したがいまして、大銀行に税金を課すことは、不公平でも何でもなく、これこそ法のもとの平等に合致する当然の措置と考えておりますけれども、最初に知事のご見解をお伺いいたします。
○石原知事 私は、税というのは、やはり公正な形で、公平な形で運用されるべきものと思いますけれども、しかし、税だけが社会全体にとっての大事な規範ではございません。税も、社会全体を公正に支えていくための一つのよすがでありまして、結果として、今日社会的に眺めて、銀行のある姿というものは、国民の税金を投与されて支えられながらーーそれは、銀行を救うだけじゃなしに、銀行からお金を借りているいろんな企業を救うためでもあるかもしれませんが、いずれにしろ、自己努力をほとんどしていない。二千億円の配当もし、三兆円の収益も上げ、人員整理もしない。数十年前にやめた頭取がいまだに顧問という形で自動車に乗っておられて、こういうこともちょっとあり得ないことでありまして、役員の数も多過ぎる。
そういうものを勘案して、私たちは、この銀行のあり方が決して社会的に公平とはいえないということで、これを一応目的にしたわけでありますけれども、何も銀行をつぶしてしまってまで、取れるものを取り上げるというつもりは全くございません。十分精査いたしましたけれども、問題になっているBIS規制の自己資本比率にしても、これで毀損される額というのは〇・一%もございませんで、これによって日本の銀行が致命的な損害をこうむるということがあるなら、私たちは、やはり日本全体を考えておもんぱかりますけれども、そういうことがあり得ないという確信のもとに、要するにこういった措置を講じました。
ですから、税金という限られた領域での手続の既存性というものは、確かに破壊したかもしれません。しかし、今まであったやり口でいえば、銀行のこういった姿勢というのは続き得るわけですし、税金を払わずに済むわけでありますから、ちょっと違った手段で、いただくものはいただきたいということを申したわけでありまして、これが過剰な収入になるわけじゃありませんし、何とか来年は、これも一つのよすがにして、財政の土俵を割るのを食いとめたいと思っているわけであります。
○古館委員 私は今、大手銀行には税金を負担する十分な力がある、こういうことを述べました。その根拠に、一番先に挙げたいのが低金利政策です。
日本銀行がここ数年設定している公定歩合というのは、〇・五%という極めて低い金利によってやられております。この低金利によって、預金者は国民なんですが、泣かされて、その陰で大銀行は莫大な利益を上げてきました。
ここにパネルがございますが、これは、全銀協が出している全国銀行財務諸表分析という資料に基づいてつくったものでございますが、この赤い線が、国民などが預金をしている利息の状態なんですね。この頂点にあるのが九一年の三月、三十七兆五千億利息がありましたが、それが右肩下がりでずっと下がりまして、九九年の三月には四兆八千億円に下がりました。
そういう状況の中で、利ざやといっている、いわゆる銀行が貸し出しをするわけですけれども、その利息、つまりもうけですが、それがどういうふうな状態になっているかというのが、この青いグラフでございます。これはまた、八兆九千億を頂点に、利益がほぼ横ばい状態で来ている。
ですから、こういう事実から見ましても、銀行がこの低金利政策によって非常に大きな、先ほど私は、それこそ大きな利益を上げているというふうにいいましたけれども、それは、この問題一つとりましても、極めて明瞭だと思っております。しかも、先ほど知事もおっしゃいましたが、これらが過去の失敗のツケ回しの一部に回ったり、株主配当に回ったりしているわけですよね。利ざやで、九九年三月に八兆二千億円も稼いでいるのに、法人関係の税金は、ごくわずかしか納めていない。
ここに、一橋総研が出した「国家意志のある『円』」という本がありますが、監修は石原知事でございます。この中に、これほどの公的資金を投入するのは空前絶後だという中見出しで、ここで日本の金融機関の資金のだぶつきについての言及がありました。こう述べています。
この超低金利で、遊休資金が金融機関、一般企業双方にたまっている反面、家計の方は、実質的な賃金上昇も利殖収入もないことから、預金の取り崩しに入っている。家計における余剰資金は落ち込んでいると。つまり、銀行の資金は、こういう超低金利の中でだぶついているということを、この一橋総研の石原知事監修の書物の中でも明確に書いております。
そこで知事にお伺いしますが、低金利政策で大銀行が大きな利益を上げてきたことは明らかであり、税負担の能力は十分にあると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
○石原知事 まさにおっしゃるとおりでありまして、この程度の税負担をする能力は十分にあると思います。
○古館委員 今、知事からもご答弁がありましたけれども、大銀行が利益を上げている実態は、このように明らかです。実際に大手銀行十七行のもうけは、業務純益で、九八年度決算で二兆五千五百億円にも上っております。利益を上げている大銀行は、今の十七行の場合だけをとりましても四六・三六%、すなわち、一兆二千億円を法人事業税を初めとする法人三税として納めなければなりません。ところが、本当は一兆二千億円ぐらい納めなきゃいけないんですが、実際に納めているのは、わずか十七行で千九百六億円にすぎないものです。大もうけをして税金を払う能力が十分にあるのに、問題は、これだけ負担能力がある大銀行が税金をきちんと納めていないということです。
なぜこのようになっていくか。私は、バブルの問題を指摘しないわけにはいきません。それをつくり出した張本人が大銀行で、みずからの責任は全くとらないで、しかも、政府の税制面を含めた保護政策に唯々諾々として甘えて、文字どおり利益至上主義といってもいいぐらいの形で、先ほど利ざやの問題もお話ししましたけれども、こういう問題が最大の問題だと思っています。
大銀行は、住専に代表されるノンバンク、日栄や商工ファンドなどへの野方図な融資、中小企業などへの過剰融資、押しつけ融資ーー当時、押し貸しという言葉が飛び交っておりました。バブルの時代は、狂乱地価は、十年の間に三倍以上にはね上がりました。大銀行による異常な過剰融資が、バブルの崩壊で、二十兆とか三十兆ともいわれるぐらいに不良債権の山をつくっていきました。
そこで知事にお尋ねですが、知事は、バブル経済とその崩壊について、大銀行の責任をどのように認識しておられるでしょうか。
○石原知事 バブル経済とその崩壊は、何も銀行だけの責任じゃございません。しかし、その中で、銀行は非常に大きな役割を果たしたことも否めないと思います。いずれにしろ、国の財政運営というものが全く論理立たずに、浮かれてああいうことまでいって、また、その収拾も、非常に乱暴な形で元栓を閉めたために、大きなパニックが来たわけであります。
今、くしくもいわれましたけれども、まさに押し貸しというものが、あのころは横行したわけでありまして、私、大阪でありました尾上縫さんという料理屋のおかみさんのテレビドラマを見まして、市原悦子さんが名演技していましたが、あの中で、彼女が告発されて、私が何を悪いことをしたんだ、銀行にいわれるままにお金を借りて物を買っただけじゃないかと慨嘆していましたが、僕は、やっぱりあれがまさに庶民の声だと思うし、あのころの銀行全体の姿勢であったと思います。
ですから、私は、バブルの進展と崩壊に、銀行が全く責任がないとはとてもいえないと思いますし、いずれにしろ、その後を受けての今日、あの状況における銀行が、これだけの税金を課されることで上げている悲鳴のごときいいわけというのは、都民感覚からして正常なものとは思えないような気がいたします。
○古館委員 さらに指摘をしたいのは、政府が銀行業に対して行っている六十兆円に今回は十兆円を上乗せして、七十兆円もの公的資金投入計画、枠ですね。結局、その目的は何かというと、銀行の自己資本比率を高めさせるということで、既に十兆円をはるかに超える公的資金、国民の税金が注ぎ込まれていきました。
バブル期の乱脈融資のツケの不良債権ですが、これは文字どおり、私ども日本共産党は、銀行の自己責任で処理するのは当然だ、このように考えております。ところが、さまざまな形で公的資金を受けている上に、税金計算の上でも不良債権をどんどん損金で落とす、こういう仕掛けがあります。これは、二重、三重に不良債権処理を税金で行っているという、とんでもない構造であります。
大体、アメリカなどでも、今では銀行の不始末というのは自己責任で処理する、これが当たり前の原則になっていますし、税金計算の問題でいいますと、法人税法では、乱脈な交際費、この費用は損金として差し引かないというのがルールなんです。棚卸資産についても同じです。雨にぬれて価値が下がったときは損金扱いになりますけれども、もうけようとして大量に仕入れたのは、過剰生産で値下がりした場合などは損金として認められない。ところが、バブル期の土地や株への投機、これは同じように乱脈なのに、どんどん損金処理として認めています。
しかも、政府が損金処理を促進しているわけです。例えば、債権買い取り機構をつくって不良債権の処理を促進してまいりましたし、最近は、ゼネコン特政令というので、借金を棒引きするという仕組みもつくりましたし、公的資金投入は、先ほど述べたとおりです。こういう点では、本当に心配されるのは銀行のモラルの低下だと思います。
このような優遇措置がありながら、自治体の許される範囲で東京都が今回課税するのは、私はごく当たり前のことだというふうに考えております。金融機関の公共性からいいましても、低金利政策によって巨額の利益を上げ、納税は十分にできるということからいっても、大銀行が責任を果たすのは、私は当然であると考えますが、改めて知事の所見をお伺いいたします。
○石原知事 繰り返してまたお答えいたしますが、今日あの状況にあります、配当もし、収益も上げている銀行が、多くの行政サービスを受けながら税金をほとんど払わないということは、私はやっぱり非常に不当だと思いますし、また、私たちが今度設けました課税に対して、それにこたえる能力は十分あると思います。
○古館委員 今お話ししましたが、至れり尽くせりなんです。こういう中で、さまざまな訴訟を起こすだとか何とかというのがありますけれども、私どもは、先ほどからいっておりますように、課税をしないこと自体が不公平そのものだと思っていますし、政府や銀行協会のいい分には、全く道理がないというふうに思っております。さまざまな妨害をはねのけて、私どもも銀行課税を実現するために頑張っていきたい、そのように思っているところでございます。
東京都の大銀行への課税方針が提案されたのを機に、俄然、一般的な法人事業税の外形標準課税導入の議論がにぎやかになってまいりました。私ども日本共産党は、赤字の中小企業にも税を課す仕組みとなり、かつ中小企業ほど税負担が強まることになる一般的な外形標準課税の導入には反対であります。
この問題については、本定例都議会の代表質問で私どもの秋田かくお都議が、知事の大銀行への課税方針に賛意を表明しながら、同時に、今回の問題は、外形標準課税を日本の法人課税の基本に取り入れることとは全く別の問題であり、都として中小企業にまで外形標準課税を拡大しないという態度を表明すべき、このように質問したことに対して、知事は、今回の都の外形標準課税の対象について、銀行業に特有の事業の状況に着目したためであり、都独自に銀行業以外に拡大することは考えておりませんと、このように明快に答弁されました。この知事の対応を、日本共産党は正当に評価したいと思っております。
ここに、東京税理士政治連盟が調査しました、これは「東京税政連」という機関紙でありますけれども、この中で、下にこういうグラフがございまして、これをちょっと拡大したのが、実はこれでございます。これは何を意味しているかというと、給与総額一%モデルの税収シフトということで、それが外形標準課税として導入された場合どうなるかということなんですが、この黒いグラフは、法人事業税などの通常の今のベースの税です。こちらが大企業などの税の負担が高いところですね。当然のように、資本だとか、もうけが大きくなればなるほど、こういうふうに高くなっている。ところが、今いわれる一般的な外形標準課税が導入されますと、逆に、中小零細企業であったり赤字の企業だったり、そちらの方に税の負担がシフトしていくわけです。
したがいまして、この税理士政治連盟の方も、今回の東京都の課税の問題について、税の専門家としての立場から、金融機関大手三十行への課税について、このようにいっております。
平均自己資本比率が約一二%と高く、連年配当するなど担税力にもすぐれており、地方税法の趣旨に従い、特例として、五年間に限り課税を行うことについてはやむを得ないものと考える、こういう見解を述べながら、外形標準課税を一般化することについては、外形標準課税のとり方で税負担が大きく相違し、税の中立性が損なわれること、また、担税力を無視するので中小企業の税負担が重くなる、こういう理由から、外形標準課税を一般化することには反対という態度を表明しております。
先ほど知事が、代表質問でも答弁したことも踏まえまして、銀行業以外には考えていないという答弁、さらに、中小銀行業などへの配慮、あらゆる機会に知事が表明されているのも、私は新聞紙上でずっと読んでいるわけでありますけれども、赤字の中小企業にも課税することになる外形標準課税の一般化はすべきではないと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
○石原知事 今回の問題で案を練っている過程で私たちが踏まえたことは、今回の銀行に対する課税は、一種の外形標準課税ではありますが、政府の税調が云々してきた外形標準とは全く違います。そういう認識で、同じ金融業でも中小の非常に状況のよくない、そういう企業には配慮もいたしましたしーーということで五兆円という線引きをして、今回の税を設けたわけでありまして、都として、これから先、都プロパーの税法の中で、中小の金融機関に限らず、要するに一般の事業にこういう税金を課するつもりはございません。
○古館委員 私は、今、知事にご質問させていただきましたが、十分に税金を納める資力もあり、むしろ、そういうところが払ってこそ社会的責任も本当に全うできる、そのように確信するものであります。
この問題について先ほども表明しましたが、この大銀行に対する課税が立派に成就するように、私どもも一緒に頑張ってまいることを、決意を申し述べて質問とさせていただきます。
以上です。
○鈴木委員 私の方から質問させていただきたいと思います。
一部エールが送られたようでありますけれども、私たちは、今回の知事の英断について評価をさせていただいております。あわせて、これを契機に、財政再建のための窮余の一策という、そういうところに矮小化しては絶対いけないと私どもも考えて、課税自主権、それから地方主権の確立に向けての礎とすることを希望いたしております。
こんな観点から順次質問させていただきますが、まず、今回の導入に当たっての手順論について、率直に知事の感想、所見を承っておきたいと思うのであります。
初めに、学識経験者の一部の中に、知事のご出身の一橋大学の学長である石先生なども、この場合は、都が独自に銀行に課税をするのであれば、銀行税としてではなくて、当然、法定外普通税にしたらどうだったんだろうか、こういう一部意見の根強いものがあると思います。それから、政府税調の加藤会長に至っては、なぜ自治省は都に対して法定外普通税等を堂々といわないんだと、このようにアジるような感じのコメントも載っているやに私も見ておりますけれども、こういう発言に対して、知事はどのような率直な感想ーーそして私が聞きたいのは、今回の外形標準課税について、この手法を突然持ち出すのではなくて、百歩譲って、法定外普通税として構想を打ち出してやってみたらどうだったんだろうか。
同時に、もう一つの手順として、地方分権一括法として四月から変わるわけでありますが、その中で、法定外普通税として一たん出して国と協議をする、しかし、国がうんといわないのは、当然わかり切ったことでありますから、そこで伝家の宝刀を抜いても遅くはなかったのではないか、こう思うのであります。
ということをなぜいいますかというと、銀行に対して都が、マスコミ、いろいろなところで銀行いじめ、銀行いじめということは、そこの中で手順を踏んでいれば、ある程度希釈されるのではなかったのか、あえてこういう導入の仕方も踏まえてもよかったのではないか、そういう立場から質問させていただきたいと思うのですが、お答えいただきたいと思います。
○石原知事 一橋の石学長は私の後輩でありますが、この間、あるところで会いまして、おまえ、わからぬくせに余計なことをいうなと、一言いっておきました。(笑声)石君も加藤さんも、地方財政というものの現況をよく認識していないと思います。それから、地方税の制度についても、よく知らないんじゃないですか。財政学の専門家か知らないけれども、税制の方はどうなんですかね。私もそんなに詳しく知りませんけれども、この半年勉強してきました。
いずれにしろ、とにかく法定外税というのはいろいろ手続がありまして、そもそもこれは、国の経済政策に違反しないか、するかということで、非常に許可の要件も審査されますし、法律上の厳しい条件も課されておりまして、こんなものをしんしゃくして今回の税法を考えたら、いつできるかわからない。こっちは、もう焦眉の急でありますし、それから、少なくとも今回の東京都の措置は、現行法の地方税の規定に基づくものでありまして、つまり、国のしんしゃくを必要としない、そういう法の規範の中で行ったことでありますから、別に突き放していうわけじゃありませんが、国の関与の余地は全くない。某大臣が、事前に相談がなかったというのはナンセンスな話でありまして、する必要がないから、しなかっただけであります。
○鈴木委員 続いて、知事、大変ぶしつけな質問をお許しいただきたいんですけれども、都版の税調ができる、発足させたいといいましたから、今のお言葉の中で、石学長を初め加藤政府税調の会長などは、そうなると地方税制に対して余り見識がないから、当然、知事の頭の中には、ご推薦をする意思はないんですか。その辺は率直にどうですか。
○石原知事 ともに社会的に有名な方でもありますし、影響力がございますから、皆さんから推挽がありましたら、この際、都の税調にもお入りいただいて、地方の税法とは何か、地方の税制いかにあるかということを勉強いただくのも、ご当人たちのためだけではなしに、社会のために結構だと思います。これは、要するにいろいろ推挽の形があっての、後の決定でございますけれども、だからといって、お二人を疎外するつもりは決してございません。
○鈴木委員 了解いたしました。ひとつ広いお心でやっていただければと、こう私は願うわけでありまして、あえて、ぶしつけなご質問をさせていただきました。
次に、主題である本題に戻りますけれども、財政再建とのかかわりについて、一点だけ承っておきたいと思うのであります。
昨年、七月に知事が策定した財政再建推進プランによりますと、税財政制度の改善として、税源の移譲、財源調整措置の廃止等によって、平成十五年度には一千七百五十億円を確保するという目標値が設定されております。都の今回の外形課税が実現しますと、平成十三年度から一千百億円、税収になるわけですね。これは財政再建推進プランで掲げている税財政制度の改善に当然含まれると思うのですが、その見解を。
仮に含まれるとすると、一千七百五十億円のうち、義務教育教職員給与費等国庫負担金の減額措置の見直しで、六十五億円国から取ってきたわけでありますけれども、合わせて一千百六十五億円が達成されたことになりますね。しかしながら、財政再建推進プランの目標値達成度というような時限を超えて、今後の地方税財政制度を考えてみますと、税源移譲等は、ぜひとも実現しなければならない都版税調の最大の課題であると私は考えております。この辺を、改めて知事の見解を承っておきたいと思います。
○石原知事 当然、今回の都の銀行に対する税の措置は、財政再建推進プランにおける税財政制度の改善に含まれるべきものでございます。いずれにしろ、その地方税財政制度というものはとうに疲労を来しておりまして、やはり大きく本質的に加えていく必要があると思います。
一方では、国は確かに地方分権一括法なるものをつくりましたが、繰り返して申しますけれども、いかなる行政にも財政が伴うべきものでありますが、それに対する措置は棚上げということでありまして、今後とも、こういったものをきっかけにして、議会の協力をいただきながら、日本全体の自治体とも連携を図って、せっかくできました分権法に魂を入れる、つまり税源の分与というものを着実に実現していく、そういう努力を飽かずに繰り返していきたいと思っております。
○鈴木委員 ぜひご努力をしていただきたいと思います。
三つ目でありますけれども、これは何度も本会議等々でも出ていたと思うのですけれども、ちょっとファジーなご答弁をいただいているものですから、私の方から確認させていただきたいと思うのです。
五年後における、あるべき税の姿論についてであります。この点について、我が党の代表質問で知事の答弁は、外形課税のことについて五年間の措置としたのは、実現するかどうかわからないけれども、国における外形標準課税の動向、これは国は中長期としているが、できても十年以上かかるのではないかと。この十年という数字を、我が党の代表質問では使ってもらいました。しかし、他の会派の質問を、議事録を見てみますと、この十年というスパンの数字は、知事の発言の中には一切出ていません。情報を収集しても、絶対できっこないんだと、こういうニュアンスの答弁ばかりでありました。
したがって、この財政再建推進プランのこの期間と、知事のいった、少なくとも十年以上かかるという、この十年というスパンの間、これが非常にファジーでありまして、このところが私どもにとって、何度読んでも、知事のご答弁はちょっとわかりにくいのであります。
そして、この五年後の課税のあり方については、その時点において都議会の判断をいただくという答弁しか出ていないわけであります。確かにこのご答弁は、我々議会を尊重していただくには大変ありがたい答弁なんですけれども、主語が抜けているんですね。その前段の、理事者側として何らかの判断があって、我々も判断するわけでありますから、その判断材料、これをお示しいただくことも、五年後の税体系のあるべき姿論として、都民にわかりやすい形で述べることも大変大事な視点だと私は思います。グローバルな金融競争の中で、今後、銀行業の態様そのものが大きく変わることもわかっております。
とりあえず五年という都の考え方は、私はわからないでもありませんけれども、都民、それから納税者の側から、わかりやすい、五年後のあるべき新税の姿論というものを、この際率直にお示しいただければ、ありがたいと思います。
○石原知事 大事なご質問でございますけれども、この銀行に対する課税措置の五年後のあり方につきましては、繰り返して申しますけれども、その時点で都議会の判断をいただきたいと思っております。
ただ、私たちがなぜ一応五年という時限を構えたかということは、不良債権を抱えている銀行に、その対応策として、向こう五年間は税金を払わんでいいという特別な措置を国がとっているわけでありますから、つまりこの五年というものを、私たちはやはりしんしゃくせざるを得ない。それから、五年もたてば、少し日本の景気の動向もはっきりしてくると私は思うし、また、してこなきゃ困るわけであります。
いずれにしろ、そういった景気の動向も勘案してということで、とにかく五年はこの形で、税金を払わずに済んでいる銀行から、きちっと税金を払っていただこうということでありまして、五年後、景気の動向も踏まえて、この課税措置というものがどうあるべきかということは、私なりに考えている節もございますけれども、景気の動向を含めまして、まだいろいろ不確定な要素もございますから、今、ここでは具体的に申せませんが、もう片っ方の十年、中長期というのは、国の場合、下手をすると十年以上かかりますから、そういうことで、中長期というと少なくとも五年を超す、つまり中期にしても、そういう実体があるようでないような税源の分与というものを、全く当てにするわけにいかないんです。とにかく五年間は、これで飛んでくる弾を少ししのごうということで講じたわけでございます。
○鈴木委員 また、ぶしつけな質問になるのですけれども、仮に万に一つ、外形課税が知事の判断とは逆に、五年後に政府の方で導入した場合の、この課税との整合性についてどう考えておられるのか。
○石原知事 これも仮定の仮定の問題でありまして、ただ、私は自分なりの調査を前後左右いろいろやりましたが、やれませんな。やるつもりはないですな。それは、国の税調で議論の対象になっていますが、それを支えている国の役所が、どことはいいませんけれども、想像はつくでしょうが、やる気がないし、やるべきじゃないと思っていまして、政治家はその手の中で踊らされた話であって、政府の税調も、実をいうと、この問題に関しては、はしごを外されているんじゃないでしょうかね。私は、そういう実感を持っております。
○桜井委員 知事、きょうはご苦労さまでございます。
鈴木副委員長から、何点か具体的な話がありましたが、それを踏まえまして、私は極めて基本的なことについてお伺いしたいと思います。
地方自治というのは、自治体がみずからの責任で、その責任に基づく財源で、住民の意思を尊重しながら主体的に施策を展開していくことだ、こういうふうに思います。この地方自治は憲法でも保障されておりまして、その本旨に基づいて法律が定めをすることとされているわけでありますが、先ほど鈴木委員の質疑にもありましたように、法定外の創設一つとりましても、現実には地方税法という枠法が細部にわたって定めをしておりまして、自治体がみずからの責任で決定できる余地はほとんどないというのが現状だと思います。
そういう意味では、やっと今回の課税のような一つの方向性を見出したわけでありますけれども、全体としては、憲法で保障されている地方自治とはほど遠い地方税の税体系であるというのが現実であるといわざるを得ません。
過日の予算委員会で、参考人でありました、たしか東京大学の神野先生だったと思いますが、フランスのような非常に中央集権の強い国においても、地方税については自治体の裁量がかなり認められているんだというようなお話がございました。
そういう点から踏まえまして、知事は、この真の地方自治にふさわしい地方税制度はどうあるべきと考えていらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。
○石原知事 基本的ですけれども、大事な問題でありまして、私の認識を述べさせていただきますと、地方税制のあるべき姿というのは、基本的には、やはり税収によって地方団体の財政需要のほとんどが賄えるようになるということが望ましいと思います。
また、課税自主権をもっと拡張して、自治体がもっともっと主体的に財源を確保できるような仕組みといいましょうか、つまり国全体のシステムが講じられるべきだと思っております。その上に立って、個人の所得や法人所得、消費などに対する課税のバランスをとって、地方の税制というものを組み立てていく、そういうことが、ある程度税収の伸長性、安定性というものを構えながら、地方の税制の体系として打ち立てられることが望ましいと思っております。
今、引用されましたフランスやイタリアの例もございますけれども、例えばアメリカの州などは、非常に多くの権限を中央政府から分与されて持っています。特にレーガンの時代にそれを徹底してやりまして、地方も浮かび上がってきたし、中央政府も助かったと。今日のアメリカの景気の一つの発端は、あの時代に築かれたわけでありますけれども、そういうものを範としながら、日本の中央政府も、口だけではなしに、実質的な地方主権というものを打ち立てていくための国の譲歩というんでしょうか、譲歩というよりも、とるべき措置というものを果断にとっていただきたいと。そのためにも、ひとつ議会と一緒に、これからも努力していきたいと思っております。
○桜井委員 今回の知事の措置が非常に大きな波紋を投じていることは、皆さん方もおっしゃっているとおりでありますし、私もそのように受けとめておりますし、評価しております。
先ほど銀行に対するいろんな話が出ましたが、一部で感情論だというような話をする人がおります。金を借りに行っても借りられない、給料が高いとかいろんなことがあって、感情論などありますけれども、実態的な、やはり利潤も上がり、配当もして、しかもリストラしない、そして税金は払わないというままでは、私は一種の社会的な不公正の一つだと思います。その不公正の是正に向かって都が立ち上がったというふうに理解をしているわけでありますが、これを、単なる銀行に対する施策として一過性に終わらせることではなくして、地方分権の時代にふさわしい、一つの大きな第一歩にしていくことが必要ではないかな、このように思っているわけでございます。
そういう意味では、いろいろ税法上の議論が進んでおりますが、むしろ私は、これは国と地方との問題だという議論で、今後していく必要があるというふうに思っております。そういう意味では、さらに踏み込んだ戦略が必要になってくると思うんですね。知事は、都の税制調査会もつくって議論していこうというお話も再三出ているわけでありますが、都の発信力を高めて、国と地方の問題で議論を高めて、二十一世紀の早い時期に、本当の地方分権を確立していくための第一歩にしていくぐらいの意気込みで取り組んでいくことが大事だと思います。
そういう意味では、都対国じゃなくて、例えば、大阪府を初め大都市圏との連携を強めながら国に迫っていくとか、やはり戦略に基づいた具体的な運動論が、これから必要になってくるんじゃないか、こう思いますが、その点について知事はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○石原知事 おっしゃるとおりでありまして、日本は、今まではある意味では、一種の中央集権の社会国家だという気がいたします。それは、つまり地方の特性というのを全く無視して、知らしむべからず、よらしむべしということであった中央集権ということで効率も上げてきましたけれども、もうその制度が疲労を来している。
その中で、おっしゃるとおりですが、これは決して国対東京都の対立ということじゃなくて、やっぱり国対地方の問題として私たちも自覚して、ですからこそ、今度おつくりいただく税調にしましても、これは東京都が、まだそういうものの不準備な地方団体にかわって、国は地方のためにこういう税制の改正こそすべきであると、そういう案も出していただいて、やはり踏み込んだ戦略というものをそこから構築していく、そのよすがにしたいと思っております。
先般、私の古い知己の大阪府の府議会議員が来まして、非常にいいことなので大阪もこれをやりたい、議員提案ででもやりたいと。条例をつくっている暇はないから、東京の条例をそのまま貸してくれというんで、それを持っていきましたが、どうもあちこちから圧力がかかっているみたいですな、聞きますと。その後、どういう進展をしているかわかりませんけれども、大阪の知事さんは知事さんの立場があるでしょうし、府議会は府議会で、また違った構成になっておりますが、私は、これが大阪との提携で、なお大きなインパクトになったら、ちょっと面白いことになると思ったんですけれども、敵もさるものか何か知りませんが……。
○桜井委員 もう時間だという連絡が来ましたので、これで質問を終わりたいと思いますが、ぜひこれは、国と地方の役割分担も含めまして、単なる税制論議だけじゃなくて、真の地方自治の確立を目指す大きな一歩にして、議会側もしっかり取り組んでいきたいと思いますし、今後、またよろしくお願いしたいと思います。
○坂口委員 民主党の財政委員会の四番バッターといいたいところでございますが、四番手バッターの坂口こうじでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
知事は施政方針の中で、今のやりとりとも関連するわけでございますが、現在の日本は、みずからの運命をみずからの手で決めていくという自己決定能力を喪失していますということをいい切っておられます。私もそのように感じます。また、税財源の配分につきましても、移譲につきましても、先ほど来何回か答弁がありましたように、中長期的な課題として先送りされていると。これは、やらない、またはやれないであろうということをおっしゃっているわけでございます。
さらに加えていうならば、今、日本の財政状況というのは、ご承知のとおり、国、地方を合わせまして、長期の債務残高が六百四十五兆円にも達しておりまして、危機的な状況にある。財政再建も、凍結されたまま手がつかない状況にあるというのが実態でございます。
そのような中で、閣僚経験を持っておられます知事にお聞きしたいわけでございますけれども、現在の日本の政府、小渕政権ということになるわけでございますが、一体、財政再建ということができるのか、また、翻って、今やりとりされましたような地方分権に伴う税源ですとか、財源の移譲についての決断ができるとお考えになっているかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○石原知事 私は東京の都知事でございまして、これから、国との絡みで、国に頼むこともありますし、ご忠告申し上げることもございますが、今日の政府というよりも、今の国政というのはだれが動かしているかということを考えますと、結局、国の役人なんですね。この人たちに一つのビジョンというのが見えてこない限り、政治家が動けないというのは情けない話ですけれども、結局、場当たり場当たり。景気というものが低迷しておりますが、片方では深刻な糖尿病もあるわけだけれども、とりあえず風邪を治すために栄養をつけようということで、また栄養をとり過ぎて借金が肥大していくという、そういう悪い循環を繰り返しているような気がいたします。
ですから、小渕総理も私の友人でありまして、彼一人の責任というよりも、国政というものの機構といいましょうか、それを運営している政治家も含めて、国政に携わっている人間全体の責任だと思いますけれども、小渕内閣ということで限っていっても、タイムスパンがどれだけ長く続くのか。ことしじゅうにやる選挙の動向もよくわかりませんが、とにかく、私たち、じりじりじりじり待っているだけにはいかないんで、結局、国は国、だったら都は都で、持っている力があるんだから、それも発揚していこうということで、銀行に対する課税も考えましたが、ここで、今の政府で無理か無理じゃないかということは、これはどうも既存の政党、どれを眺めてみても、ちょっと国政のレベルで考えれば、何か役人に振り回されて、手のうちで躍らされている、これはもう否めない。ただ、これは政党によって是と非という問題じゃなくて、国民がそれをもう少し強く自覚して指摘するということで、やっぱり政治家の自覚も変わってくるんじゃないんでしょうか。
何か大きなショックがないと、どうも物が動いていかないというのは情けない話でありまして、さっきもちょっと話題に出ましたけれども、金利政策だって、いろいろいいわけはするでしょうが、だれが一番得しているかというと、これで得しているのはアメリカですからね。こんなばかな話はありませんよ、本当に。それを国民がもう少しわかって、ちょっと首をかしげていただくところから、やっぱり本当の、国民のための政治というのがよみがえってくるんじゃないかという気がいたします。
○坂口委員 ありがとうございました。
都政にも関係があり、また、慶應大学の創設者でもございました福沢諭吉が独立自尊ということをいっております。これは知事も著書の中で、「独立の気力なき者は国を思うこと深切ならず」、さらに「立国は公にあらず、私なり」、これは大変名言だと私は思います。知事もこの言葉、大変好きなようでございますけれども、まさにそのような気概を持って、これからの自治体の自己決定能力、または自己責任原則に基づく新たな地方主権の時代、国もそうだと思うんですけれども、そのような自己決定、自己責任がとれるような国になっていってもらわないと困ると思うんです。
しかし、国に物事を依存しているだけでは事が進まないわけでございますから、都政におきましては、当然のことながら、内なる行財政改革、財政再建と、外なる地方分権を進めていかなければならないと思います。このことは表裏一体だと私は考えておりますけれども、知事の認識と決意のほどをお伺いしたいと思います。
○石原知事 まさにおっしゃるとおりでありまして、行政を通じて、内側の問題、外側の問題、それぞれ範疇が違った形でございますけれども、まさに表裏一体というんでしょうか、その二つを十分複合的にしんしゃくして解決するということで、初めて都全体の行政がよみがえってくると思いますし、そのための余力というのは、東京は十分ーー十分とまではいきませんが、まだ持っていると思います。それを自分で開発して、蓄え、東京の創生のために使っていく、そういう姿勢でこれからも事に臨みたいと思っております。
○坂口委員 知事は、施政方針の中で、国政の本質を変える最初の引き金を東京からと力強くいっておられますし、また、地方主権の視点に立って、制度的な制約を打破していく行動が今強く求められている、都政に問われていることは、新たな歴史の座標をみずからつくり出すということである、そのようにいっておられるわけでございますが、今回の外形標準課税の導入というのは、歳入の確保という点からいっても、直接効果をもたらすわけでございますが、他面、先ほど来出ておりますように、地方分権、わけても地方税財政制度の確立という政治的な課題に大変大きなインパクトを与えているというふうに、私は考えております。
歳入の確保ということとともに、政治的な東京の影響力というものを、これをどのように認識して、これからどのように取り組んでいかれるお考えか、お聞きしたいと思います。
○石原知事 今回の新しい銀行に対する課税措置に関しては、いろいろ巷間いわれておりますけれども、議会でも答弁いたしましたように、何といっても、まず最初に財政難ありきでありまして、だれもどうしてもくれない。その初場所は、何とか今回の予算のように急場でしのぎましたけれども、来年はもっと厄介な問題がございまして、そういうときに、とにかく東京の持っているいろいろな力というんでしょうか、銀行もその力の一つでしょうけれども、それを活用する以外ないということで、こういう課税措置を設けました。
ただ、これがこんなに大きな反響を呼ぶとはちょっと思っておりませんでして、別に国に一泡吹かせてやろうとか、銀行はけしからぬからいじめてやるとか、そういうつもりは毛頭ございません。ただ、反響の大きさを私は本当に本質的にかみしめて、やっぱり行ってよかったという認識を持っておりますが、反響の大きさに驚く、つまり反響が大きければ大きいほど、地方自治体というのは、今まで他力本願で、ほとんど動いてこなかったんだなという感じが改めていたします。
地方主権というのは、いうに易しいことですけれども、やっぱり行政が議会と一緒になって、何を東京プロパーでやるか、どこどこの県プロパーでやるかということが大事でありまして、それを現に行っていらっしゃる、私の尊敬する知事さんも何人かおられますけれども、東京も、ほかの県と違った立場というか内容を持っているわけでありますから、そういうことで、今回の外形標準課税の一種でありますけれども、これを措置したことでの反響というものが、私にとって非常に暗示的でありまして、大いにこの反響というものを自分なりに分析し、認識しながら、次の施策というものをまた新しく講じていきたいと思っております。
○坂口委員 ある意味では、知事の著書にありますように、いとしき者が振り返ってくれて(石原知事「そこまでいかないよ」と呼ぶ)それを本当に心を込めて振り返ってもらえるための戦略を私は考えるべきだ、そのように考えております。
以下、それらについて少し提言を含めて申し上げたいと思います。
今回の外形標準課税といいますのは、課税自主権を行使しての財源確保ということでございました。このほかにどのような手法があるかといいますと、もう一つには、税源の配分を変える形での税源移譲というものがございます。特に平成九年に、実は東京都は、先ほど出ました神野先生のいろいろサジェスチョンも得まして、財源移譲のシミュレーションというのをやっているんですね。これは知事はご存じであったかどうか、ご存じでないとすれば、主税局、または財務当局がよく知っております。我々は選挙で、これは十分カバーしてなかったんですが、後で見まして、私は、大変なこれはシミュレーションだと考えております。
その結果によりますと、特に所得税を地方税に振りかえるというようなことを行いますと、仮に一〇%振りかえますと、これは大変なことになるわけでございまして、国と地方との関係が、全体では四九・五対五〇・五ぐらいなんですが、基礎自治体に五〇%近くの所得税が移譲される。国は一五・五%、都道府県はちなみに三四・三%、つまり東京都だとか道府県だけでなくて、基礎自治体に厚く税源の移譲が行われる。これは、大変なラジカルなシミュレーション。消費税も五%移譲いたしますと、これは大変な税源移譲が行われる。これも大変ラジカルですね。しかし、これを直ちにとるということ、国、地方を含めて合意を得るということは、恐らくなかなか難しいと思います。
そこで、主税当局が昨年シミュレーションを行いました。財務局も把握しているはずでございます。それによりますと、この税源の移譲の割合を、例えば所得税を国と地方で五対五にする、消費税を四対一から三対二にする。ちなみに、所得税は現在六四対三六なんですね、これをフィフティー・フィフティーにする。それから、消費税については四対一のものを三対二にする。というような、ある意味ではミックスドポリシーですね、混合政策をとることによりまして、国全体では五兆八千六百億円の税源移譲が行われます。結果として地方には、その分がそのまま行くわけでございますが、個人住民税につきましては三兆四千億円、消費税につきましては二兆四千六百億円、都について見るならば、この東京都には約四千四百億円、それから市町村には三千九百億円ですね、合わせまして八千三百億円の税源移譲が行われる。このようなシミュレーションを出して、実は予算の説明書にそれを書いているんですね。それでさらに重要なことに、この予算の説明書のところには、これを他の道府県とともに、または区市町村とともに国に働きかけていく、こういう文章が書いてあるんですね。ここのところが私は大変重要だと思います。
どうしてかといいますと、今回の、ある意味では一の矢といいますのは、外形標準課税、東京都にとってはメリットがあるんですね。大阪の状況は先ほどいったとおりでございます。首都圏についてはメリットがあるんですけれども、全国三千二百のすべての自治体に恩恵のあるようなシナリオかどうかといいますと、必ずしもそうではありません。
そこで、第二のシナリオ、第二の矢を用意すべきだ、これが私の持論でございます。そのためのシナリオは、既に東京都においてつくられている。これが税調での重要な課題になるのではないかと私は思いますけれども、そのような第二の矢ですね、これを用意していくということが大変重要なんではないかと。そうすることによって、本当にいとしき者がすべて振り向いてくれるような税源移譲、地方分権が行われるのではないかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○石原知事 まず最初に、東京の都庁が、そういう都庁プロパーの新しい税制に関するシミュレーションをしたということを初めて聞きまして、私は、早速取り寄せて参考にしたいと思いますし、また、これから行われます東京都の税調でも改めて議題としてご審議願いたいなと思います。いずれにしろ、おっしゃることは、るる本当に当を得ているし、そうなれば結構だと思いますが、受けとめる方の政府が相変わらず小さな政府をーーずうたいが大きくて、人事院の勧告だってその場で閣議決定して丸のみしてしまうみたいな、内部努力がなければ、そういう税源の配分なんというのは、とてもじゃないけれども、国の役人はうんとはいえない。
だから、どういう形で彼らを洗脳していくかということは問題でありますけれども、いずれにしろ、これは先ほどの質問にございましたけれども、東京都と国じゃなしに、まさしく地方と国とのかかわり合い、兼ね合いというものを歴史的に踏まえて、正当に踏まえて行われるべきことでありまして、東京都が既にそういう試みをしたということは非常に心強い話でありますから、今後の私の責任で、皆さんの要望にこたえて国に何か物をいうときのための一つのよすがにも、そういうことを行って参考にしていきたいと思います。
とにかく、例えばオーストラリアのニューサウスウェールズなどは、法律が変わったのかどうか知りませんが、突然、つまり特別の税制というのをしきまして、非常に広範囲なところで、どこに住むか勝手なんでありますけれども、非常に人口がふえて、財政というのは強化された。そういうことは、外国には枚挙にいとまがないんですけれども、残念ながら日本では、横から眺めているだけで、実際にやろうと思うと国ががんじがらめ、手かせ、足かせで、ままならぬというのが現況でありまして、国をどうやって洗脳するかということのためにも、今度ご協力いただきます東京都の税調が新しい矢をつくって放つということが、一つの大きな口火になると思います。
○坂口委員 知事は、「国家なる幻影」という本を書いておられますが、私は、国の権能というのは大変なものだと思いますが、ちょっと幻の部分もあるんではないかと思っているんです。全国の自治体三千二百、ここには六万人を超える議員がいるわけですね。また行政マンもいるわけです。そこが、あるにしきの御旗のもとに、ちょっと古いいい方になりますけれども、国に攻め上るならば、必ずやそれは実現するんではないか。そのにしきの御旗をぜひ石原知事をして立てていただきたいというのが、私のこの地方分権についての強い要望でございます。
そこで、じゃそれを立てるためにはどうしたらいいかということなんですが、提言をいたします。地方財政や、地方分権または地方主権に大きな関心を寄せているこの機を逃さずに、例えば介護保険のようなパンフレットをつくるとか、ここに安い岩波のブックレットを持ってまいりました。こういったものつくるとか、大変関心が高まっておりますので、または新聞の全面広告ですね、今、福祉の会社ですら新聞の全面広告を出しているんですね。またはパブリシティーをやるとか、またはテレビ、きょうもテレビが大分入ってくれておりますけれども、テレビで放映するとか、またはインターネットですね。関心が高まっているときにホームページをつくって、東京都の考え方を訴える。外形標準課税だけでは、私は弱いと思うんですね。ですから、第二の矢も含めて、やはりメッセージを東京から出すということが大切だと思います。
時間がもうなくなってきておりますので、最後の質問もあわせて行わせていただきます。今は技術論でございますけれども、最後は少し精神的な問題でございます。
かつての米沢藩の財政を立て直しました上杉鷹山が、もうご承知のとおり、なせば成る、なさねば成らぬ何事も、成らぬは人のなさぬなりけりという名言を吐いております。知事も施政方針の中で、明治以来の中央主権型の行政システムを根底から変革し、自助ーーここのところを私は順序を変えておりますが、自助、公助、共助であると、そのように理念としては持っております。これを理念として、地域住民の自己決定、自己責任を基本とする個性豊かで活力に満ちた地域社会を創造していくということが、ある意味では二十一世紀に向けての地方自治の大変大きな命題になっていると思うわけでございますが、先ほどの技術論を含めまして、知事のお考えをお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○石原知事 私は、人間にとって、また人間がつくっております組織、もっと大きくいえば、国家社会にとっての一番大事なものは、個人としての、あるいは組織としての、社会としての自由だと思います。その自由というものは、いいかえますと、それぞれの個性でありまして、それを画一化して束ねるというのは、ちょうど中共の政府の台湾に対する姿勢によく似ておりまして、私は、こんなものは時代おくれとして通用しないと。
と同じように、国が、中央が絶対の権力を持って、地方は、そのよらしむべし、知らしむべかざるということで今まで来ましたが、とてもそれでは国全体も立っていかない、もちろん地方も立っていかないということで、やはり地方自治体にとって、地方にとっての自由、つまりいいかえれば、その個性というものを発揚するような政治の国全体の形態が必要だと思いますし、それを確立していくためにも、今度の新しい税制措置がきっかけになれば結構でありますが、これだけに限らず、あらゆる手だてを講じて、本当の意味で成熟した国と地方の関係を築くことで、国全体を成熟させ、発展させていきたい、その仕事を何とか東京都でできれば初めにやりたいと。皆様のご協力をもとに、東京をそういう形で変えることが、やっぱり国全体というのを変えていくんじゃないかと、そう信じてまいりたいと思っております。
○山崎委員 四番バッターの次は五番手でございますので、若干テーマが重なる点もあろうかと思いますが、論点を少し変えて質問させていただきたいと思っております。
まず私は、知事に一点目にお尋ね申し上げたいと思いますことは、そもそも、なぜ今回この外形標準課税に着眼され、加えて銀行にということに着眼されたのかなというところなんでございます。考えてみると、この問題は、石原知事になった後に財政が逼迫し、東京都の税収の構図というのが過度に景気の動向に左右されるというわけではなくて、前任の知事のときも、前々任の知事のときも同じような財政の状況であったわけでございます。ですから、そういう中で今回、石原知事が銀行の外形標準ということを取り上げたという、何人で相談したとかいうことではなくて、そのきっかけ、どういうことが途中で、思考の過程であったのかなということを明らかにすることが、せんだっての参考人招致もございましたけれども、広く、いわゆる銀行業界にもその理解に努めてもらう一つのすべになるのかな、こんなことを思うんですが、まずそれを第一点目に質問させていただきます。
まず、その前段として、石原知事がご就任以来、私ども代表質問でも、それから昨年の行革の特別委員会でも何度となく指摘をし、知事も同じ認識だということで私たちも非常に安心をしておりましたが、やっぱり今の地方税制というのは、極めてゆがんでいるというふうに率直にいえると思います。先ほど、図らずも知事の口からシャウプ勧告というお話が出ましたが、昭和二十四年シャウプ勧告、二十五年地方税制の体系がつくられた当時の状況は、これから経済的にも、若干の変動があっても高度成長していくであろう、これから土地の価格も、若干の変動はあっても上がっていくであろう、そういう体系の時代背景だったと思います。
ただ、そうなっていたにもかかわらず、やっぱり土地の価格が変動し、先ほどお話がありましたけれども、バブル崩壊後、景気も大きく上下動するようになったにもかかわらず、地方税制そのものは、いつか景気も回復するだろう、いつかまた土地の値段も回復するだろうという形で、仕組みそのものを変えずに実はここまで来てしまったというのが大きい課題だったと思います。
じゃ、東京都でどこが変えられるんだというと、そうはいっても地方自治法で、自治省にしっかりと税法改正権というのは握られてしまっていますので、ここがやっぱり一番ゆがんだ、我々東京都としても何とかしなきゃいけないという思いを常に問題意識として持ちつつも、手が出なかった多分一番の大きなポイントであったというふうに思います。ですから、景気の動向がよくなり、利潤さえ上がってきさえすれば、特に法人事業税等に関しても、税収は何もしないでも上がる。それが逆に、景気の動向が悪くなって、利潤、所得が下がれば、どうしても、どうもがいても税収は下がる一方だと、この矛盾であったというふうに思います。
そういった意味で、私どもも、この外形標準課税なるものには、いわゆる税収の安定、利潤の幅にとらわれないという意味で注目をしてきましたが、主税局の皆さんと従前何度も話をしてきたとおり、一方で税収の安定性という魅力はありますけれども、今、景気の動向がこういうような状況のもとにおいて、中小企業等と景気の動向の影響に配慮するならば、今の導入には慎重であるべきと、昨年の十月に特別委員会で私、知事にも直接お伝えしましたし、知事もそういうことに対して配慮した発言をいただきました。そのジレンマだったわけです。
そこで、主税局の方、どこで銀行という論点が出てきたのかなと、こういうふうに思っているんです。後ほどまた、詳細に関しては主税局さんにお尋ねしたいと思います。
そこで、知事にお尋ねをしたいと思いますが、先ほどの何ゆえに銀行業に着眼されたかということなんでございます。この点を明らかにすることは、銀行業界のみならず、やっぱり都民、都議会にとっても大きな関心なので、率直な知事のお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
先ほど矢部委員のご質問にもございました、私は、去年の例の日銀絡みの一件が一つのポイントであり、一つのきっかけで、これが多分着眼点だったんだろうなというふうに勝手に推測いたしておりますので、知事の率直なご所見を伺いたいと思いますが、去年、たしか十一月であったというふうに記憶をいたしております。特に、このときに大きく問題になりましたのは、日銀の法人事業税部分に関して、国庫納付金が損金算入されてしまうということ、いってみれば、この都市銀行の場合とちょっと違いますけれども、その日銀の所得利潤のうち、いわゆる上の部分の国庫納付金がすべて損金算入されてしまうことによってーーただ、これは東京都として手の出る余地ではなくて、日銀法によって、国の財政状況によって、国庫納付金の算入の金額が、大きくふえるのも減らすのも、非常に恣意的に決まってしまう、そのことに対して、知事はおかしいじゃないかというふうに指摘をされ、また、それに加えて還付納付金も昨年たしか十七億だったと思いますが、そういうような多額の金額までつけられるのはいかがなものかと。
この構図を置きかえてみると、今の日銀の部分が、所得利潤に関して、国庫納付金というものが大きく損金算入して動かされてしまう余地だとするならば、いわゆる都市銀行の場合は、利潤と所得の部分に関して、不良債権をした人への部分が、恣意的にとはいいませんけれども、東京都が余り手を出すことができずに損金として算入されてしまうので、その分、東京都の法人事業税としての収入が、がたっと落ち込んでしまうという考え方のきっかけともなるようなことが、昨年の末に起きたと私自身は思っているんでございます。
ですから、そういったことを含めて、私自身は、日銀の国庫納付金絡みの問題が、知事がこういったことに対して着眼される一つの大きなきっかけになったのかしらというふうに思うんでございますけれども、どうぞ知事の率直な忌憚なきご所見を承りたいと思います。
○石原知事 そのご指摘は、率直にいって違います。確かに日銀の国庫納付金の問題というのは、本当にべらぼうな話でありまして、しかも、この世にはほとんどない七%という金利まで添えて金を召し上げていくというのは、本当に一方的な、まさに悪代官のようなやり口だと私は思いました。
ただ、実はこの銀行の課税の問題は、もうちょっと前からみんなで考えようということでやってきたものでありまして、要するに日銀の国庫納付金の問題が引き金になった、トリガーになったということではございません。しかし、これが自動的に今度のことによって解消されるわけであります。ただ、偉そうな口をきくわけじゃありませんが、自分がどんな可能性を持っているかということ、それは一つの力ともいえるかもしれません。それを自分で知るということがない限り、独自の戦略なり戦術というのは組み立ってきませんから、そういう意味で、自分の持てる力は何か、持てるものは何かということをまず知ることで、私は、その新しい戦略も立つと思います。
そういう意味で、主税局長が私の宿題に答えて、こういう可能性がありますと、幾つか披瀝した中で、それじゃ、それに一つターゲットを絞ってとにかくやろうということで、この案ができてきました。その間は、主税局の連中は箝口令をしいて、六十数人が一丸となって案を練って、いろんな精査をして今日に至ったわけでございまして、決して密室の話じゃございません。それだけは付言しておきます。
○山崎委員 推測が当たるとよかったんですが、違うというお話でして、でも、構図的には似ているなと、こんな感じもしますので、もう少し意思疎通をしながらやらなきゃいかぬなと。まだ、今回のプロセスに意思疎通する余地がなかったものですから、いたし方ないかなと、こんなことを思っております。
次に移ります。この間の三月十三日の参考人の意見を、大変関心を持って聞かせていただいてまいりました。あのときに、いってみれば反対論者が二人おられ、賛成論者がお一方おられる中で、今回の外形標準課税導入のプロセス論が、賛否両論ある中で、三者三様の皆さん方の中での唯一共通していた指摘だということは、気になりました。
代表質問で申し上げましたけれども、そういうことに対して、我々議会も知事部局も率直に耳を傾けていただくことが、さまざまな今後の都政運営のためにも、いい方向に働くだろうなというような認識のもと、ちょっとその点だけ確認をさせていただきたいんです。
特に、賛成論でもございました神野参考人が、プランが作成される過程で、都は銀行側の意見に耳を傾けたのだろうか、決め方のプロセスは結果に含まれるというこの言葉は、正直いって、私も気になったところでございます。知事も、たしかあのとき、メモをおとりになりながら、それをお聞きになっていたような感じがいたします。
今回の部分に関しては、先ほどのご答弁にございました諸般の事情を考慮しても、やむを得なかったであろうというふうに承ります。ただ、いわゆる議会と都の意思決定のプロセスの根幹にかかわることまで、我々議会以外の方が、外部の方がこういう指摘をされるというのは残念でもありますし、耳をかさざるを得ないな、こんなことも思っているんです。
それで、基本的にはトップダウンでもいいとは思いますが、こういうことが他の政策の部分にまで及んだり、意思決定にまで今回のようなことが起き過ぎたり、頻繁に起きたりするとーー何か最近、私が思っているのは、今まで余り気にもしていなかったんですけれども、金曜日の三時過ぎになるとそわそわしてきて、やっぱり記者会見を聞いていないと、何か起きるかなと、こんな感じでございまして、いろんな意味での政策の部分の意思決定の方法に関して、他の政策にまで、こういったことが余り大きく及んでしまうということは、知事対議会、それから、知事対それぞれ政策を担当される、事業を担当される職員の皆さん方のもとにおいても、きちっと一定の配慮をしておかなきゃいけない問題だろうと思います。
そこで、他の施策を推進していく上での影響も、私自身は懸念されるところですし、議会の中でも、そんな懸念の声も、正直いってあったところでございまして、その点に関して、知事のご所見を伺わせていただきたいと思います。
○石原知事 これを発表しましたときに、今になってちょっと反省しているんですが、いってみればヘッドスライディングのホームスチールみたいなものだというのは、例えとしては、よかったか悪かったかはわかりませんが、しかし、仮にホームスチールのヘッドスライディングをやるときに、これから盗塁しますよといってやるばかはいないので、やっぱりこの種の問題は、主税局に限って集中してやったことでうまくいったと思います、途中で雑音が入らずに済みましたから。入りかかったことはありましたけれどもね。
要するに、今度のこの企画の中での主税局の活躍というのは、いってみれば、今ちょうど「産経」に、もう一回リバイバルで出ていますけれども、「坂の上の雲」の奉天大会戦のときの秋山好古将軍率いる騎兵師団のようなものでありまして、そうご認識いただきたい。
ただ、これから事によったら、かつてのベーブ・ルースのように、バットで指して、おれは右翼にホームランを打つぞといって打つかもしれませんし、空振りするかもしれませんが、結果として、都民のためによかれと思って立案したことが着実に実るようなプロセスを、ケース・バイ・ケースで踏んでいきたい。
決して密室だけで物をするつもりはございません。だからこそ、今度も事前に議会筋にもお話ししましたし、参考人も呼んでいただいて、開かれた形で論議したじゃないですか。
○山崎委員 わかりました。ちょうどあのときは議運の理事会をやっていまして、終わった途端に、主税局の皆さんがそろって待っているから何事だと、そんなことも、たしかあったなと思っております。今の件はわかりました。
続いて、全業種、全企業への一律課税への懸念ということについて、一点だけ質問をいたします。
先ほどの質問にもございましたが、我々が知事から正式にご提案をいただいたのは、たしか二月十六日の条例案の提示でございました。私どもの会派は、それを受けて十七日に総会を開きまして、その直後、正式に談話を出しました。都は都の独自の立場でどうするかを考えるというのは当然の話だと思いますので、自治体の課税自主権を確立するということ、都は都なりに一刻でも早い財政再建をしなきゃいかぬ、国も助けてくれないという立場ですと、基本的には、知事の今回のご提案、企図には賛同をしたい。それが十七日の立場。ただ、どうしても気になる点が二点だけありますという旨を談話の中で出しました。
一点は、せんだっての代表質問の中でも触れましたけれども、いわゆる中小零細法人など、少し古いデータですが、平成九年の決算ベースで六八・八%にも及ぶ都内事業者の赤字法人への外形標準課税導入に及ばないということ。
二点目、将来的な税制改正においても、景気低迷下でのいわゆる全業種、全企業一律な、全企業という意味は中小零細企業を含めてでございますが、一律な外形標準課税という事態に至らぬよう、都としても十二分に配慮されること。
この二点が本会議において確認をされれば、原則として賛同する旨、申し上げたところでございます。
その懸念どおり、最近になって、新聞報道で余りその点は報道されなくなりましたが、当時の二月末から三月頭ぐらいにかけて、急速に政府、一部マスコミ等でも、中には一面全面を使われたところもございましたが、全企業、全業種一律にという議論が広がったところでもありました。
それに答えていただいて、二月二十九日の我が会派の私の代表質問に対して、知事は、一点目に関して、都独自に銀行業以外に拡大することを考えていないと。先ほどの答弁でもございました。それからもう一つ、知事は、私なりの独自の情報網をもとに云々、全国的な外形標準課税導入というのは困難だろうと。今の中でもありました。
都でも都議会でも、インターネット等々を通じて、この件に関して、都民の皆さんはどう思われますかということの調査をしていただいたわけですが、私も後援会に、率直にどう思いますかということをファクスで出しましたら、返ってきた中で、反対はゼロでございました。全部賛成でございました。
ただ、その中でちょっと印象に残る意見がございました。せっかくの機会ですので、こういうファクスが来ました。私は、取引銀行に対して、今のところは、恨みを持つものでも何でもなく、とりたてて不満を感じているわけでもありません。しかし、金融業、銀行業全体を考えるとき、その社会的影響力の大きさは認めるとしても、相も変わらぬ護送船団方式の特別優遇措置に対しては、大いなる疑問の念を禁じ得ず、外形標準課税導入は、まさに公平を期するための鉄槌かと思いますと、こういう意見。もちろん、政治とか行政に全く関係ない方です。新宿にお住まいで、渋谷区で飲食業を営まれている、普通の中小のレストランの経営者でございます。石原知事の思惑などと猜疑心を働かせることなく、純粋なる都知事に拍手を送りたいと思うと、こう書いてございます。
加えて、ここからなんですが、税の中立性、公平性という議論すりかえで、赤字零細法人にも外形標準課税導入が行われたり、将来的に全業種の導入を画策されたりするとすれば、それこそ公平を基盤とする正義の損失ですというふうに書いてございます。
石原都知事は、不公平感を強く意識されたればこそ、一大決心をもって導入発表に踏み切られたのと思うのですからーーこれで最後で、私が先ほど指摘した二点の部分に関しては、我々中小零細企業のことを心配しているところでありますという文面でファクスが締めくくられているところでございます。
先ほどの質問と若干重なるかと思うのですが、このように、私のもとには、依然として外形標準課税の拡大を心配する中小零細企業の不安の声が、いまだ寄せられているような状況でございますけれども、そういう中で、国の外形標準課税に関する動向について、もう一度改めて知事の見通しをお聞かせ願いたいと思うとともに、先ほど、いわゆる政府税調、はしごの上に乗せられているだけじゃなかろうかとか、前後左右ーー私は、前後左右というのは、どこをどこまでどう意味するのかということは、つまびらかではございませんけれども、差しさわりのない範囲で結構ですから、どういうような根拠で、どういうような見通しで、そこまで知事が自信を持っていい切ることができるのか、それをもう少し明確にされることで、今回の問題に関して、もっと大きく賛同が得られる。特に中小零細企業の懸念も、より払拭される部分もあろうかと思うんですが、そこら辺のことについても、あわせて踏み込んでご答弁いただけるとありがたいと思います。
○石原知事 繰り返して申しますけれども、今回の税制の措置が、停滞しています国の議論に、ある種の刺激を与えたことはあったんでしょう。ただ、それが、ひいては全般的な外形標準課税というものに直ちに結びつくということは、私はあり得ないと思います。いかなる情報源をもってするかということは、ちょっとこれは守秘義務もございますから……。
ただ、この間、ウォルフレンという、何人ですか、オランダ人ですか、大体、あの男のいうことは、頭から日本人をばかにして、非常にいつも小しゃくにさわるんだけれども、この男は何も知らないで、やり方が単純だとか、結局、東京都がこれをやることで、全般的ないわゆる外形標準課税を実現して、役人を喜ばすだけと。そんなことはありっこないですよ。
大体、こういう問題について一番たたらを踏んでいるのは、大蔵省と通産省でしょうし、それから、一般のすべての企業に外形標準をかけるというやり方は、これは消費税のパーセンテージを上げると同じぐらい大変な増税になりますし、非常な負担を弱い企業にかぶせることになりますから、それは、やるに決断が要るでしょうし、なかなか難しいと思いますね。
まあ、説得性もありませんしということで、形は一種の外形標準課税でありましょうけれども、ターゲットというと語弊がありますが、対象を絞った形の税にいたしました。
○山崎委員 今、書記さんからメモが入りましたので、最後の質問にさせていただきますが、私は最近、東京都は、打たれ強い、出るくいでいいのではなかろうかというふうに思っています。というのは、先ほどの東京税調の話ではないですが、やっぱり東京から何かを、物事を発していかないと変わらぬという今の国の現状は、私自身も痛切に感じているところがございます。
三月十五日の予特でコメントされました都の税調、大いに賛同いたします。それから、記者会見の中でいきますと、その発足の時期にまで踏み込んだ発言をされた、五月という旨を聞きました。そういったことを含めて、この議会の正式な場で、知事のご意向を改めて伺いたいと思います。
これは、知事、ごらんいただいたことがありましょうか、都議会税制研究会の活動記録というものでございます。これはいろんな意味で、今回の部分に関しては、当時平成六年九月十二日から、私たち都議会のメンバーも、それこそ手弁当で、何年間かかけてやったものでございます。都議会の中でも、従前、こういったような税制研究会を行った経緯があるということも、もしあれでしたら、後でこれを知事室へお届けしますので、お目通しをいただいて、ぜひとも東京税調の部分に関してーー先ほどの時期、検討のスパン、それから範囲等々の部分に関して、最後に知事のお考え、意気込みを伺って質問を終わらせていただきたいと思います。
○石原知事 いろいろご質問を各党からいただきましたが、いずれにしろ、東京は、まさに日本の首都たるメガロポリスの核でもありまして、この東京が、いろんな意味で、財政も含めて、つまり日本の衰弱して疲労を来した症状というものを、一番先鋭にあらわしているわけであります。
ですから、それに対する対処は、理事者も、それから議会もそれぞれ責任があるわけで、まして私たちはお互いに政治家ですから、選挙で選ばれた、つまり国民の、都民の負託を負って出てきた人間でありまして、それは行政の担当者、理事者よりも、はるかにもっと大きな責任があると思いますし、幅の広い視野も持っていると思います。
そういう知恵というものを、見識を束ねて、東京の声として国にぶつけるということは必要だと思いますし、先ほどお聞きしましたけれども、そういうシミュレーションが行われていろいろなデータがあるというものを、何で今まで積極的に国に取り次がれなかったのか、ボールとして投げ込まれなかった。これは、与党も野党も関係ないので、お互い政治家としての責任だと思いますけれども、私は、たまたまえらいところに嫁に来ましたものですから一生懸命やりますけれども、とにかく皆さんのお力をかりて、東京から、場合によったら大きな引き金も引くというつもりでやりますので、ひとつーー都の税調の方、ダブル組織になるのかもしれません。しかし、限られたメンバーで、有識者の意見も入れながら、ひとつ活発な議論をしていただき、ドラスチックな案を出していただきたい。それをみんなして、とにかく国にぶつけようじゃありませんか。よろしくお願いいたします。
○白井委員長 以上をもちまして知事に対する質疑を終わります。
知事、大変ご苦労さまでした。
この際、議事の都合より、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
午後三時八分開議
○白井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
発言を願います。
○中西委員 今回は、外形標準課税についての質問でございますが、東京都民、世論、そしてマスコミの論調が、この条例に賛成するにしても議論を都議会で尽くせということで、マスコミの皆様にもいろいろな論評をいただいて、我々も委員会でどんどん議論を百出させようということでやったわけでございますが、先ほどに比べて、知事がいなくなると、テレビカメラが一台になってしまったという状況。平場の知事とのやりとりの中が花形ではございますが、日ごろの議員の活動というものを、よくよくマスコミの皆様にもお伝えいただいて、心あるマスコミの皆様に残っていただいていますので、正確にこういうものを都民に対して報道していただくことをひとつお願いを申し上げたいと思います。
今回の外形標準課税でございますが、先ほど知事は、広く薄く、いわゆる政府税調、シャウプ勧告から続いています応益課税に基づいた一般の外形標準課税とは観点が違うということをおっしゃっておりました。ですから、そのことは今触れないとしても、今回の外形標準課税の一番の眼目は、何といっても、課税自主権の確立ということが非常に大きいと私は思っております。
先ほども何回も話に出ておりますが、地方分権と税財源の移譲というのは車の両輪でございまして、幾ら地方分権が来ても、片方のタイヤだけでは車が前進しないのと、全く議論は同じわけであります。そういう意味で、課税自主権の確立というものは非常に大きかった。
また、私は政治家でございます。当然地元を歩いて、特に私の出身は大田区でございますので、町工場も、中小企業のおやじさんなんかの大変多い地域でございますが、理事者の皆様にぜひともお伝えしておきたいのは、中小企業はどういうふうにとらえているかというと、当然、これは賛成でございますが、どのような気分かというと、ちょっと余談になりますが、銀行には公的資金が注入されたと。これは社会の公器であるから、公共性が高い。特に金融というのは経済の血液だということで、頭では、皆さん、中小企業の社長さんはわかっているわけです。しようがない、うちの会社と銀行では社会に対するインパクトが違うから、六十兆円の枠を用意してもらったのはいたし方ないじゃないかと。それにしても、我々中小企業は何となく理不尽さが残るなというのが、約一年間の経過で、非常に景気が低迷した中で、中小企業の社長さん、いわゆるおやじさんたちがちょっと心にひっかかったところでございます。
本来、課税自主権の確立という大命題なわけでありますが、そういう意味で、中小企業の社長さんたちは、一言でいっちゃうと、あっぱれというか、ああ、そうか、何となくこれで、おれも頭ではわかっていたけれども、腹でも理解できるようになったなということでーー景気対策をたくさんやっておりますが、私は共産党とは全然違いますが、財政出動とか、金融政策とか、景気対策にはいろいろな種類がございますが、一言でいってみれば、精神的な景気対策というのを私は地元でいっているわけでございます。まさに中小企業の社長さんたちは、サラリーマンも含めて、今、どんどんリストラで首を切られております。そういう中で、一つの精神的な景気対策の役割があったのではないかなと思っております。そういう意味では、主税局の皆様が行ったことは、実をいうと、このような効果も地元ではあるんだよということをお伝え申し上げたいと思います。
では、質問に入りたいと思いますが、今回、外形標準課税の導入において、東京というのは、東京市場というのは、国際金融都市の中でも三大都市、非常に重要な位置を占めておるわけでございますが、ニューヨーク市場、ロンドン市場と比べても、相対的な地位というものが年々おっこちておるのは皆様ご案内のとおりでございます。ちなみに、外為取引高で見ても、一九八九年から九五年までの六年間、ロンドンは外為取引高で二・五倍、ニューヨーク市場が一・九倍、東京市場は一・四倍にしかなっていない。また、昨今はeコマース、いわゆるIT革命というのがばんばん吹き荒れております。日本も、IT革命にはちょっと遅く乗ってしまったかという感がありますので、そういう意味で、国際市場の中においての東京の地位というものが、グローバルな視点から見ると脅かされている、私はそういう事態であると思います。
また、今、東京市場というものを、これからばんばん再生、再構築していかなければならない中において、ある意味では、今回課税対象になります大手銀行の役割ですね、今、離合集散が繰り広げられておりますが、大手銀行の役割というものが非常に大きなわけであります、実際問題として。この大手銀行の今回資本注入を受けている公的資金の返済、また、それぞれの銀行の経営健全化計画の履行に、今回の課税が支障を来すのではないかということを、全銀協の方から声高に叫ばれているわけでありますが、その辺のところ、ぜひともご所見を伺いたいと思います。
○鮎澤税制部長 今回の銀行業への外形標準課税の導入による事業税額は、全体で約一千百億円程度の増加でございます。大銀行にとりましては、決して過重な負担とはいえないのではないかというふうに考えております。
また、大手銀行には十兆円を超える公的資金が投入されておりまして、自己資本率も高まっております。また、二千六百億円を超える株主配当をするという余力もある。したがいまして、公的資金の返済や経営健全化計画の履行に支障を来すということは考えられないのではないかというふうに考えております。
なお、十一年三月期におきます自己保有株を前提の試算でございますが、十二年三月期には、九兆円にも達する多額の株式の含み益も想定されるというところでございます。
○中西委員 わかりました。
最近、先ほど申し上げましたが、銀行の合従連衡、例えば、みずほファイナンシャルグループとか、金融再編というものが本当にどんどんと行われているわけでございます。今回、資金量が五兆円超の銀行が課税対象なわけでございますが、五兆円を超えているもの同士が合併しても影響がないわけでございますが、例えば中堅銀行、五兆円を下回るような銀行が、地銀なんかが合併した場合に、合併すると五兆円を超えてしまうということで、今回の外形標準課税の導入が合併、金融再編に抑止力として働くのではないか、そういう意見、懸念もあるわけでございますが、その辺のところのご所見を伺います。
○鮎澤税制部長 資金量五兆円未満のいわゆる中堅銀行の大半につきましては、事業所数や従業者数に応じて決定されます東京都分の分割基準が、資金量五兆円以上の大手銀行に対しまして大体五分の一以下ということになっております。比較的少ない地方銀行、あるいは第二地銀などでございます。そういう分割基準の割合が非常に少ない銀行でございます。
したがって、仮に資金量五兆円以上になったとしても、税負担はふえることになるわけでございますが、合併や統合を抑止するほどの税負担の大きな変化が生ずるということはないというふうに考えております。
○中西委員 ちなみに、持ち株会社方式というのが今行われておりますが、持ち株会社の場合は、どういう課税対象という形になるんですか。
○鮎澤税制部長 持ち株会社とは、幾つかの傘下企業を統合するために、それらの企業の株式を保有することを主な目的として設立する会社でございます。したがいまして、持ち株会社及びその傘下企業とも、独立して事業を行うことになるわけでございますので、それぞれの企業の事業内容に応じまして、都の外形標準課税の対象となるか、ならないかが判断されるということになります。
○中西委員 次の質問に移ります。
東京の銀行業は、上位三十行で店舗の三割、従業者の四割強は東京に集中しておりまして、また、全預金の三割、貸出金の四割が東京所在の本支店で取り扱われているという、非常に東京への集積度が高いわけであります。今回、こういう中で東京都が銀行業を対象とした外形標準課税でございますが、先ほど私、冒頭にも申し上げましたが、国際金融市場において、東京市場の相対的な地位の低下というものは、非常に許しがたい状態になっておるわけであります。海外なんかでも、ジャパンパッシングとか、日本は通り過ぎてしまう。
例えば、この委員会じゃございませんけれども、航空政策一つとっても、日本の空港整備が余りにも弱いもので、これは日本を飛ばしてどんどん、アジアと例えばアメリカがダイレクトにつながってしまう状況が起きております。東京都という巨大な自治体の今回の条例によって、私の杞憂であるとは思いますが、東京市場の空洞化というものをどう考えられておるのか、また、その懸念はないのか、お伺いしたいと思います。
○鮎澤税制部長 銀行等につきましては、預金者や融資先と密接な関係を持って営業されております。また、そういったメリットを考えますと、今回の都の措置によりまして、銀行が支店等を都外に移すということは考えられないことではないかというふうに考えております。
○中西委員 昨今、新聞報道でも明らかなように、イトーヨーカ堂とか、ソニーとか、決済専門銀行という形で、新規業種が銀行業に参入するという状況。私自身としては、大変好ましい自然競争、まさに資本主義経済にのっとった、すばらしい動きだと思いますが、こういう動きになっておるわけでございます。これらの会社の事業参入が認められた場合、資産規模ではひっかからないと思いますが、今回の五兆円に該当するのかどうかということをまず一点質問させていただいて、また、今回、異業種の銀行業に対しての新規参入に水を差すような抑止力になってしまうようなことはないかどうか、お尋ねしたいと思います。
○鮎澤税制部長 事業会社が銀行業に参入する際の銀行免許付与の指針につきましては、現在、大蔵省、金融再生委員会、金融監督庁で検討しているようでありますが、仮に異種業種の参入が認められるということになった場合につきましては、新規参入銀行の預金高などの資金量の多寡によりまして、外形標準課税となるか、あるいは所得課税となるか判断されるというところでございます。
詳細につきましては不明でございますけれども、報道によりますと、イトーヨーカ堂グループの事業計画によりますと、新規参入後、五年目の資金量は一千百億円程度というふうに聞いております。したがいまして、直ちに外形課税の対象となる規模ではないと考えております。先生のお話のように、抑止力というお話ですけれども、直ちに五兆円を超える資金量の銀行がそういった形で出現するというのは、なかなか考えられないのではないかというふうに思っております。
○中西委員 外形標準化が行われている業種、四業種というのは有名な話でございますが、ちなみに電気、ガスが収入金額課税とされている理由は、電気事業法、ガス事業法というので料金が認可制になっている。料金が認可制で、例えばガスの輸入原価が落ちれば、その分利益計上できればいいんですけれども、料金の値下げに振り向けなければならないという非常に公共的な立場で、利益の出にくい構造であるから、外形標準化の、今回は四業種の中の二業種になっているということでございます。
また、生保と損保についても、収入した保険料の大半が責任準備金等として損金算入されるから、所得課税では適正な負担が期待できないということであります。
現在の銀行は、業務粗利益をーーこれこそ日銀のゼロ金利政策によって、資金調達というより、預金金利はほぼゼロに近い。先ほども知事がおっしゃっておりました。ほぼゼロに近い中で、貸出金利はそこそこ、三%ないしは四%という形で取っているわけであって、その間の利ざやというのは莫大なものであって、そういう意味で、これは国のゼロ金利政策というものが利ざやを巨大化させている。また、不良債権を償却できるというのは、六十兆円の枠を用意してもらって、現在十四兆円が注入されておるわけでございますが、そういうことで裏づけがあるからできることで、今回、銀行が利益が出にくいというのも、国の政策、私は国策であると思います。
この四業種の中に銀行が入る根拠で、こういうやり方はされておりませんが、そういう意味では、国の誘導政策によって、金融を壊すわけにはいかないので、こういう資金の部分から公的資金、また、利ざやの部分ではゼロ金利政策、これはほかの景気対策の面もありますが、こういう両輪で国の政策に誘導され、保護されているという部分があると思います。そういうのと同様に、今回、所得課税されるわけでございますが、その辺のところのご所見を伺います。
○鮎澤税制部長 ご指摘のとおり、今回の銀行業及び電気、ガス、生保、損保の四業種ともに、理由はいろいろとございますが、所得が出にくい構造にあるということでございます。したがいまして、両者とも所得課税では不適当だということになります。
○中西委員 四月より地方分権一括法が施行されて、今回、課税自主権の、東京都は銀行業に対する外形標準課税という形を選択したわけでありますが、今、日本の三千二百の地方自治体の中においても、法定外普通税が許可制から事前協議、また、法定外目的税が新たに新設されるという、非常に環境が変化しているわけですね。
日経新聞さん、もう帰ってしまったかもしれませんが、月曜日の日経新聞にも出ておりますが、自治体新税に強い関心ということで、法定外目的税の導入を検討すると表明した首長は六十一名、十八知事、三十八市長、五区長ということで、各基礎的自治体も含め、また、広域自治体も含め、非常に興味を持たれているというところでございます。
ちなみに、法定外目的税の検討例として挙がったのは、埼玉県の所沢市がごみ処理経費を軽減するねらいから、産業廃棄物処理業者を対象にした課税を検討していると出ています。いわゆる環境税でございます。これは目的税ですね。
法定外普通税であれば、例えば山形県の東根市は、石炭や砂利などの鉱産物の最終業者に課税できるかどうか検討中と。あと、身近な例では港区さんが、法定外普通税になりますが、たばこ自販機税。また、これは県でございますが、核燃料税、別荘所有税とか、いろいろあるわけでございますが、地方分権一括法というものをきっかけに、また、東京都が非常にすばらしい引き金をがつんと引いた今回の銀行に対しての外形標準課税、これによって課税自主権は目を覚ました。そういう意味で、ダブルの押しがあって、こういう意見が、また、検討状況というのがどんどん各自治体で出てきたわけであります。
私は東京都議会議員ですから、東京都益を考えるのは第一でございますが、それにしても、先ほど何万人の議員がいらっしゃるとどなたかいっておりましたが、地方が一丸となって一つの大きなうねりを出すということは、大変にいい動きだと思っているんですね。こういう動きがどんどん出ております。これは課税自主権行使の取り組みでございまして、基本的には総務委員会その他でも論じなきゃいけないことだと思いますが、主税局として、できれば主税局長に答えていただきたいわけでございますが、このような取り組みについて、最近いろいろマスコミ等にも取り上げられる大塚主税局長、最近ますます論客になってこられたわけでございますが、(「前から論客だよ」と呼ぶ者あり)前から論客だと思いますが、こういう取り組みについて、それだけの導火線に火をつけた大東京の局長としてどのように思っておるか、日本の地方に対して、ぜひともご発言願いたいと思います。
○大塚主税局長 知事からもいろいろと、いろいろな機会でご答弁申し上げておりますけれども、真の地方自治が確立するためには、各自治体がみずから財源確保に知恵を絞り、その責任で主体的に財源を確保することが求められているわけでございます。今回、東京都が課税自主権を行使することによりまして、それが契機となり、課税自主権行使への取り組みが、都内の区市町村を初め全国の自治体に広がっていく、そういうことになれば、大変結構なことだと考えております。
○中西委員 先般、先ほども質問に出ておりました都税調、これはすばらしい発想ですよ。石原知事の発案であると私は聞いておりますが、東京都には、二十三区二十七市五町八村という基礎的自治体を抱えているというか、網羅しているわけでございますが、それぞれの区市町村も、例えば二十三区でいえば、都区制度改革の施行によって自治意識が芽生えつつあるわけですよ。
こうした中で、当然課税自主権の行使ということを通じて、それこそ地方自治の本旨である、住民自治ないしは団体自治の確立に向けてこれから走り出そうとしている中において、東京都税調というものをつくり、それぞれの基礎的自治体に対して、よきブレーンになるべきだと私は思うんですね。何々市、何々村、何々区がそれぞれ税調をつくるというのは、これまた非常に手間暇のかかることであって、そういうときこそ、広域自治体の東京都税調というものが、よきブレーンとしてそれぞれの基礎的自治体に対して、政策提言なり、情報提供なりをしていくべきだと私は思います。
また、できれば、先ほど知事の答弁の中で、都議会議員をそのメンバーに加えるというお話でございました。例えば、二十三区長会の会長ないし市長会の会長、それぞれ代表がおられると思いますが、地元の基礎的自治体の、一番住民に近い団体であるところの関係者というものをできれば加える、ないしは意見を取り入れるようなシステムをつくるべきではないかと考えます。
最後に、課税自主権の行使も含めて、大塚局長に直接に強い決意とお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○大塚主税局長 先ほど知事からも関連の答弁がございましたけれども、これから発足する都の税制調査会でございますけれども、確かに、区市町村への政策提言あるいは情報提供の機能も、結果として出てくることになるだろうというふうに思います。
また、委員の構成のお話もございました。委員の構成につきましては、知事のお考えによりますけれども、都議会を初め各方面から見識の高い、有為の人材を幅広く集めていくことになると思われます。
最後に、区市町村の代表を加えるべきだというご要望がございました。確かに承りました。
○鈴木委員 私は、先ほど知事へ率直なご質問をさせていただいて、あと残余の質問を若干でもしておきたかったものですから、させていただきたいと存じます。
条例そのものは、率直な感想をまず申し上げるならば、地方税法をそのまま引き写しをしたという感じがしておるわけです。当然そうだと思いますね。それに反する条例をやりますと、内閣法制局から云々で、訴訟の対象にもなりかねないことになるんでしょうけれども、その罰則の規定のところもそのまま引き写しという、そういう率直な感じを受けております。東京都が実施するのであれば、租税条例主義の立場から、もう少し違った味の条例案が随所に散りばめられていてもよかったのかなーーそれは、国との絡みの中でできない問題だったのか、よくわかりません、我々は法律家ではありませんから。また、どこが条例をつくった元かわかりませんけれども、皆さん、局として、それぞれ案文の逐条解釈を全部やったと思いますけれども、その辺の条例そのものの概括的な、地方税法そのものが大体引き写しをせざるを得ないというバックグラウンドについて、まず税制部長からお答えをいただけますか。局長からでも、どちらでもいいです。
○大塚主税局長 ご存じのとおり、条例制定権というのは、根っこはもちろん憲法にあるわけですけれども、地方税法の大枠がございます。先ほど罰則とか、東京都独自の色がというお話がございましたけれども、大事なのは、仕組みとしての安定性であります。
今回の条例のポイントは、基礎的な課税要件である課税標準を何にするか、税率をどうするか、納税義務者をどうするかという、そこのところの東京都としての考え方をきちっと出して、それを動かす仕組みは、現行の地方税法のいわば根っこのところで安定的に動かしていきたいというのが私どもの真意であります。
○鈴木委員 じゃ、局長、もう一つ承りたいんですが、課税標準という言葉を今お使いになられました。一方の説によると、地方税法というのは、国を一括しての、国内法でありますから、課税標準という標準を決めるのも、国が決めるべき法体系の中の一つの分野であるという説も、加藤政府税調会長も声高に、地方税制、わからないといわれた加藤さんも使っているわけですけれども、国がつくるべきだというその辺の根拠に対して、都は、そんなことはないんだ、こういうのは都は都の考え方で、当然課税自主権のもとでやっておられるという解釈でよろしいんでしょうか。
○大塚主税局長 加藤会長が本当にそのようなことをいわれたというのは、私には信じられませんけれども、もし仮にそれがそうだとすれば、それは地方税法への理解が不十分だというふうにしかいいようがないわけであります。
まず、現行所得課税における税率、課税標準等の定めが、七十二条の十九をもとに、今回動かす東京都の外形標準課税にも適用されるというふうに誤解しておられるんじゃないか。これが一つ。
地方税法七十二条の十九は、読んで一目のことでありますけれども、個々の地方団体が、法律の定めとは別に、都議会のご賛同をいただいて制定する条例によって、独自に特例を定めることができる旨を規定したものであります。したがって、個々の団体によって取り扱いが異なるのは、法が初めから想定しているものであります。
○鈴木委員 よくわかりました。あくまでも租税条例主義ということでありますから、自信を持って我々もそれを訴えていい、そういうことであると私も解釈いたしました。
じゃ、本題の方から入っていくんですけれども、先ほど山崎委員さんの方から、これはいつ、どういうところで知事から下命があったのかというのは、時系列的にさかのぼって検証しておく必要があると私は思います。私なんかも、知事が当時の野中官房長官に会ったときに、日銀納付金の問題で、ああだこうだしゃべったということもマスコミの報道で知りましたし、五W一Hじゃありませんけれども、いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どうしたということは、都民の代表として我々は知る権利もあると思いますので、いつ、どのような形で知事から、局長、こういうことで宿題を投げかけられたのかということをつまびらかにすることも、今大事だと私は思うんですね。
知事も三月二日の議会で、こんな答弁をしています。今度の新しい税を決めた経緯についてのことで、「独善的なトップダウンではございませんで、かなり以前に大塚局長に、税の面での何か妙案はないかと。まあそれ以上のレトリックしますと問題が起こりますが、」となるわけですけれども、その辺は率直に、いつ、どこでということぐらいはつまびらかにしていただいても、もうそろそろよろしいんじゃないでしょうか。
○大塚主税局長 私は余り記憶がよくないので
……。一生懸命考えたのは、都議会に提案する前に精査に精査を重ね、とにかく完璧なものを仕上げたいという、その一念だけでありまして、また、そこで私どもの作業の評価といいますか、都議会の評価が決まるというふうに、その一点だけを考えてこれまでやってまいりました。
そういう意味では、ですから、いつ、どこで下命があったかということが、今ご審議いただいている条例案の中身にかかわりがあるとも思えませんけれども、せっかくのお話でございますから、知事からも何回もいろいろとお話し申し上げているとは思うんですけれども、振り返れば、就任以来、いろいろな下命がありました。今回のものに焦点を絞った形で、はっきりした下命があったのは、夏の終わりごろだったというふうに思います。この程度でお許しを……。
○鈴木委員 夏の終わりごろ……、小説の題名になるような感じ。(笑声)確かに局長も随分前から論客だということは、私も委員会でお会いしておりますから、よく存じ上げておりますけれども、まさかこんな小説家だとは思わなかった。知事にそっくりですね、大したもんだ。
夏の終わりごろ。これ以上突っ込むことはいたしません。いろいろな方からいろいろな分野で、すき間から質問していただければ結構だと思いますけれども、それと同時に、先ほど知事の発言の中で、こんな答弁がありましたね、雑音が入りかけたこともあったが云々という。どういうところから、どういう雑音が入りかけたのか、この辺はどうですか。
○大塚主税局長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、私は忘れっぽいたちでありまして、一番大事なことは何かということをきちっと心に決めて、もともと持っているエネルギーが大したことないものですから、そこにエネルギーと自分の持てる力を収れんして仕事をやるタイプでございまして、また、それしかできないタイプでありまして、途中で入ってくる雑音というのはいろいろあるわけでございますけれども、余り気にしないようにしております。
そういう意味では、せっかくのご質問なんですけれども、詳細には思い出せないんですが、確かに、私どもで今回ご提案を申し上げている条例案と違う中身の雑音が入ってきた、途中、本当に一瞬でありますけれども、そういうものが入ってきたというのは頭の中にございます。
○鈴木委員 これは、いつの日か回顧録でも書いて、歴史の真実として書いていただければと思いますけれども、知事がいったんですから。知事が、局長、黙ってろといったのかどうか、それはわかりませんけれども、これは歴史が後で証明すると思いますけれども、この辺なんかも大変重要な側面だと私は思います。この質問は出たと思いますけれども、某新聞にも、都が新税を導入するらしい、それも銀行にのみという感じでざわついたという一部記述もありましたけれども、あの記述についての感想はどうなんでございましょうか。声なき声は、聞かせていただく我々の立場にもありますから。
○大塚主税局長 今、この財政委員会でご審議いただいておりますけれども、ご審議をいただいている条例案の価値を左右するものではないというふうに先ほどご答弁申し上げましたけれども、そういう意味で、確かにそういうものがありましたし、私も、さらっといいましたけれども、条例案そのものに何らの影響を与えるものではないというふうに考えております。
○鈴木委員 もちろん、目の不自由な方がゾウをさわって、耳だけさわって、これがゾウなんだ、しっぽだけさわってゾウなんだという、その程度のたわいもない雑音であったと、そういうふうに私は自分なりに納得をいたしたい、こう思いますけれども……。
もう一つ、論を進めますと、税制部長、東京都の外形標準課税に関する基本的な姿勢、態度というものは那辺にあるでしょうか。
○鮎澤税制部長 外形標準課税一般についてのことであると伺いましたが、再三都議会でも申し上げておりますとおり、景気の動向に配慮し、また、中小法人の負担に十分配慮して、そういう中で税収の安定性ということから、外形標準課税については導入を国に要望しているというところでございます。
○鈴木委員 これは、税制部長が昨年十一月十八日の本財政委員会の立ち上がりの事務事業質疑のときにもご答弁なされている、その答弁の域を出ていないわけであります。また、財政再建推進プランの中にも、都としての正式見解として、税収の確保の中できちっと出ている。法人事業税への外形標準課税の導入という項目の中で、「税収の安定的確保等の観点に立ち、中小法人の負担に配慮しつつ、法人事業税への外形標準課税の導入を、他団体と連携を図りながら、国に対して強く働きかける。」これはそのとおりでございますね。
局長に伺うのでありますけれども、毎日新聞のインタビュー、特集ワイド、我々もうれしかったですよ。都がこんなに宣揚されて、特集のワイドにも載るくらい、今回の問題について世間につまびらかになって、しかも、東京都主税局長に聞く、こういうことで二月二十三日水曜日、これにこんな大きく載っているんですから、これはすばらしいことです。局長、ご苦労様でございました。すばらしいインタビュー記事であります。
ただ、この中で、一点だけ気にかかる表現が実はあるんです。「五年間の時限措置とした理由は?」で、その後、局長の答えが出ておりますけれども、「国の外形標準課税導入についての議論の動向を配慮する必要があります。基本的に国の制度は尊重するつもりです。もちろん中身次第ですが。」と、この中身次第ですがという活字を、いろいろな発言があって、マスコミでありますから、切りものでとらえていることも私もよくわかりますけれども、中身次第ですがという言葉は、聞きようによっては随分挑戦的な言葉ではないのかなと。先ほど税制部長のお答えになった、あのスタンスからすると、こういうふうに裏打ちをして私は考えざるを得ないのでありますけれども、このときの局長のいった言葉の持つ裏側の意味は那辺にあるんでしょうか。
○大塚主税局長 決して挑戦的というような、そんなことではなくて、誠心誠意インタビューに応じたつもりであります。
中身次第というのは、例えば、外形はやったけれども、その課税対象から銀行が外れるような制度、そういう制度がもしかしたらできるかもしれない。あるいは、著しく税負担の公平を欠くような制度、そういう外形制度ができるかもしれない。いろいろなことが考えられるわけでございますけれども、いずれにしても、今回の都の外形標準課税の趣旨を損なうような中身はいかがなものかと、そういう趣旨であります。
つけ加えれば、税調等でも一部議論されておりますけれども、外形と所得課税の併用方式、そういうふうな課税方式も考えられます。過日の本会議において、知事も、法律改正があった場合には、基本的にその内容を尊重する姿勢に変わりはない、しかし、最終的には、法律の具体的な改正内容を見た上で判断することとなるというふうにご答弁申し上げておりますけれども、私のこの中身も、知事発言と全くイコールであります。
○鈴木委員 それは局長、よくわかるんですけれども、局長といえども、ここにいらっしゃる皆さんは法を遵守する地方公務員であります。国が例えば、いかなる外形標準課税かわかりませんけれども、法を定めた以上、我々が気に食わない法であったとしても、皆さんは、悪法もまた法なりで遵守せざるを得ない立場にあるのでありますから、公人としての発言と、私人としての発言はおのずから違ってくると思いますが、そこを私は聞きたいのであります。
○大塚主税局長 ちょっとお互いにずれがあるような気がして、反省しておりますけれども……。
まず、国がやる外形は、新たに法律をつくります。新しい外形の法律を、全体をつくり上げて、それで外形をやってくるわけです。私どもは、七十二条の十九、現行法に基づいて先行する外形です。そうすると、この外形というのは、制度的には根っこが違うわけです。もし仮に、国の法律が全般的な外形を七十二条の十九をいじらないでつくったとしたら、これはこれ、あれはあれという制度の世界になるわけです。別の制度になるわけです。
もう一つ、これはいろいろありますけれども、国の全般的な外形を法律でつくったときに、地方税法七十二条の十九をいじるかいじらないか、それから、どういじるか、それによって、私が申し上げた中身次第という中身もいろいろ変わってくると。
基本的に、おっしゃるとおり公務員であります。入ったときに憲法を遵守するという宣誓もしております。その姿勢は入ったときから今まで全く変わりません。
○鈴木委員 これはまた認識の相違もあるでしょうから、これ以上論議はしません。そういう一部切りものの記事から、そういうふうに理解をする人もいたと頭の中にお含みおきいただければ、そういう感じで受けとめていただきたいと思います。
それから、最近のマスコミの論調が、このように角度が変わってきていますね。銀行協会または個別の各行が、訴訟を提起せざるを得ないのではないのか、最終段階ではという括弧つきだと思いますけれども。そういう論調に、何かマスコミの方がシフトをしき始めたのかなと危惧いたします。先ほども出ておりましたけれども、訴訟でも、きょうの新聞では、訴えの利益が出るまでは時間があり過ぎるので、その前にやろうじゃないかという論議もあったやに報道されています。一つ一つ、局としてどう分析しているのか、率直にお答えいただければと思います。
○大塚主税局長 新聞報道の真偽のほどを確認しているわけではありませんで、ちょっと見て、余り気にもしなかったんですけれども……。
これは通説でありますし、裁判例からしますと、具体的な事件を離れて条例の効力を直接争うことはできません。これは法律も同じであります。したがって、これまでの裁判例、訴訟を提起してもーー訴訟を提起するのは幾らでもできる、しかし、訴訟を提起しても訴えの利益はないということで却下されております。したがって、個々の銀行は、これまでの通説、あるいは裁判例によれば、まず一つは、外形標準課税による申告をしない、これが入り口になります。それに基づき、東京都は更正決定の処分をします。それを受けて、今度は東京都に対して行政手続で審査請求をします。審査請求は棄却をします。棄却の裁決を得た後に初めて、具体的な事件性があるということで行政訴訟を提起することができる。知事も、先ほど関連のご答弁を申し上げましたけれども。
ご質問はかなり幅広かったと思うんですけれども、どんなふうなスタンバイをしているかというふうなお話だったので、その関連で、一緒にあわせてお答えしますけれども、行政事件訴訟法というのがありまして、これは二十五条なんですけれども、訴訟になった場合でも、処分の効力、処分の執行または手続の続行を妨げないと、明文の規定があります。したがって、東京都は滞納処分をすることができることになります。
なお、仮に今のようなプロセス、いろいろなプロセスがあると思うんですけれども、考えられる一番標準的なプロセスですけれども、そのプロセスで流れた場合には、個々の銀行が不申告の場合には、決定額の百分の十五に相当する不申告加算金を上乗せして徴収いたします。
○鈴木委員 それができればいいですね。
問題はもう一つ、相手方は供託できるんですか。
○鮎澤税制部長 供託につきましては、地方税法及び地方税法が準用いたしております国税徴収法等に規定がございません。したがって、認められないということだと思います。
○鈴木委員 東京都は大丈夫だと。法的に完全に外側の土俵を埋め切って、矢でも鉄砲でも持ってこい、いかようでもやろうとじゃないか、どうぞ各行個別にやるんならおやりなさいと、こういう強い姿勢で恐らく取り組む決意がーーもし仮に先方様からあったとしても、再度お聞きしますけれども、強い決意で受けて立つ、そういうことで、局長、よろしいんですね。
○大塚主税局長 決してそういうことではなくて、何とか条例の真意をご理解いただきたいという、これがまず第一であります。万が一、もし仮にそういうふうなことになれば、これは知事からもご答弁申し上げましたけれども、整々と受けて立つということであります。
○鈴木委員 わかりました。それはまた、整々というより粛々と、もしやるんであれば受けて立っていただきたいし、そういうことはあってはならないことであると私たちは思っております。その前に、銀行に対してきちっと説明責任というものを当然おやりになっておると思いますので、そのことを踏まえておきたいと思います。
最後になりますけれども、地方分権一括推進法ができて、先ほど中西先生もおっしゃっておりましたけれども、法定外普通税、法定外目的税、これはいろいろな自治体で動きがあるわけでありますけれども、許可制から協議制という、協議といったって、そんな生易しい協議ではないと思います。
先ほども知事に質問させていただきましたけれども、はい、わかりましたと国がいうわけではありませんし、そういう中にあって、今、東京都は外形標準課税、銀行等にかかわる問題に汗を流しておりますけれども、これが一段落したときに、何らかの法定外普通税、法定外目的税、例えば予特でも論議がありました環境税等々、何か具体的に局内でプロジェクトをつくりながら、こういうことであれば、納得して法定外普通税、法定外目的税として検討できるのではないのかなという芽出し程度で、そういう論議は行われているんでしょうか。検討はしているんでしょうか。
○大塚主税局長 法定外にとどまらず、主税局はいろいろな形でいろいろなことを勉強して研究しているわけであります。今ご指摘の、そこに絞ったお話ということになりますと、それは組織としてはまだこれからであります。まだ頭の中にあるレベルでありまして、必要に応じていろいろと議論していきたい、こういうふうに考えております。
○鈴木委員 最後、要望させていただきますけれども、都版税調も発足することでもありますので、いろいろな形で、主税局として立派に、今回、スタッフとして皆さん総力を上げておやりになったことは評価をいたしますし、局長以下、本当に皆さん、ご苦労だったと思いますけれども、乗り切っていかれますように、また、我々もそれをバックアップしているわけでありますから。
それから、日本全国、これは課税自主権という立場から、いろいろな形で、東京都、この後何が起こるんだろうかと、かたずを飲んで見守っていると私は思います。そういう中で、都版税調の中で、がっちりと整合性、理論構築をしながら、新しい税収の面で国とやり合って、また、地方とスクラムを組んで堂々と立ち向かっていただきたいし、我々もそれをバックアップするにはやぶさかではありません。ぜひご検討を期待し、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○坂口委員 二問だけ、先ほどの知事に対しての質疑に続きまして、フォローするような形でお聞きしておきたいと思います。
今回の外形標準課税に端を発しますところの、地方分権、地方主権のうねりというのは、ある意味では新しい歴史の幕あけを告げるものになるかもしれません。分岐点になるものではないかと私は考えております。それだけに、プロセスも含めて結果を重視していきたい、そんなふうに私は考えるわけでございますけども、今の副委員長の発言とも一部重なるわけでございますが、この委員会に入る前に、銀行協会の調査役の方が私のところに来ておりました。会う時間はありませんでしたけれども、持ってまいりました新聞の記事などを見ますと、我々に対して理解を求めるということとともに、ある意味では提訴に備えての事前の活動なのかな、運動なのかなという思いもするわけでございまして、まず第一点としてお聞きしたいのは、この銀行協会、または提訴するのは個別銀行になるのかもしれませんけれども、提訴に向けての動きをどのように把握しているのか。
あわせて聞きますけれども、私は、提訴がありましたら、まさに威風堂々と受けて立つべし、そして、世論を喚起すべき。税制論からきちんと対応してもらいたいと思いますし、我々は政治も含めて、それに対しての地方分権、地方主権の必要性を訴えていきたいと思うわけでございますけれども、税務当局としての都の対応についてどのような決意でおられるのか、現時点での状況、そして、局長の決意をお聞きしたいと思います。
○大塚主税局長 提訴に向けての具体的な動きについては、把握してありません。新聞報道が中心であります。先ほどもご答弁申し上げましたけれども、それほど気にしていないということであります。
○坂口委員 次は、先ほど知事の答弁漏れといいますか、知事のお立場でございますから、余り技術論について答える必要はなかったのかもしれませんが、私は、今回の外形標準課税の問題、そして地方の財政主権、地方主権の問題は、二の矢を放つことによって、うねりをより確かなものに、大きなものにしていくということが大変重要だと思います。
先ほど局長から、ある意味では都の立場からやむを得ないのかもしれませんが、一方では自力というものを大変重視しているわけでございますが、ちょっと他力本願的な発言もあったわけでございまして、私は堂々とーー例えば介護保険とか、いろいろな新しい制度が導入されるときには、無料のパンフレットをつくりましたね。東京都が今何をやろうとしているのか、そういったものをつくるなり、または、先ほどもちょっと提起しましたけど、これは岩波のブックレット、三百円ぐらいのものですね、こういうものをきちんとつくるとか、または広告といいますか、全面広告を出すのがいいかどうかわかりません、パブリシティーのような方法もありますので、それでやるとか、先ほどインターネットを引用しての山崎理事のいろいろなお話もあったわけでございまして、インターネットのホームページでインタラクティブでいろいろな情報提供をするとか、そういうことを含めて、東京都の考え方をきちんと、全国津々浦々、三千二百の自治体、または関係者にアピールしていくということが大変重要なのではないか。
その際に、東京ひとり勝ちではだめですね。東京だけ何かうまいことをやっているんじゃないかと。今回の外形標準課税は、そういう側面が、残念ながらあるんですね。だから、やっぱり東京都としましては、全国の自治体の長として、第二の戦略、第二の矢、第二のシナリオを用意する必要がある。それは、全国の自治体に恩恵が及ぶような、本当の意味での地方主権、地方分権が確立できるような、そういう税財源移譲の戦略でなければならない、そんなふうに考えるわけでございまして、これまた都の税調で、もし開かれれば、具体的に提言したり、お考えを聞いたりしていきたいと思うわけでございますが、大変重要なところだと思いますので、局長のお考えを聞きまして、私の質問を終わらせていただきます。
○大塚主税局長 これも知事から、先ほど基本的な考え方をご答弁させていただいております。東京都のためだけではなくて、地方税制全体のためになるような地方税制改革に向けての強いメッセージを東京都が発信していく、そのために、これからお願いする、都議会にも入っていただく都税調のお力をおかりして、そういうことでやっていきたいというふうに知事からもご答弁したと思いますけれども、私も全く同じ考えであります。
第二の矢というのは、いってみれば、いろいろあろうかと思うんですけれども、現行の仕組みの中では、それほど太い矢というのは、もうこの後はありません。細い矢を何本も束ねて、毛利何とかじゃありませんけれども、そんな形で細い矢を何本も一点に向けて射込んでいくことによって風穴をあけていく、そんなふうな手法になるかと思います。
○白井委員長 ほかに。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○白井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○白井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
次に、あすの委員会ですが、委員会室をこの第五委員会室に変更して開きたいと思いますので、ご了承願います。
これをもちまして財政委員会を閉会いたします。
午後四時八分散会
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