財政委員会速記録第五号

平成十二年三月十七日(金曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 十四名
委員長白井  威君
副委員長鈴木貫太郎君
副委員長倉林 辰雄君
理事中西 一善君
理事古館 和憲君
理事坂口こうじ君
遠藤  衛君
白井 常信君
松村 友昭君
桜井良之助君
大西 英男君
山崎  泰君
矢部  一君
渡辺 康信君

 欠席委員 なし

 出席説明員
主税局局長大塚 俊郎君
総務部長北村 隆史君
税制部長鮎澤 光治君
調整担当部長須々木亘平君
課税部長白戸  毅君
資産税部長佐藤 昭久君
徴収部長鳥海 賢三君
参事小林 宣光君
出納長室出納長佐々木克己君
副出納長三宅  亨君
副出納長上村 弘明君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 出納長室関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出 出納長室所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第五十八号議案 東京都収入証紙条例の一部を改正する条例
  ・第五十九号議案 東京都用品調達基金条例の一部を改正する条例
 主税局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出 主税局所管分
  ・第三号議案 平成十二年度東京都地方消費税清算会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第五十六号議案 東京都都税条例の一部を改正する条例
  ・第五十七号議案 東京都都税事務所設置条例の一部を改正する条例
  ・第二百六号議案 東京都における銀行業等に対する事業税の課税標準等の特例に関する条例
  ・議員提出議案第一号 東京都都税条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・平成十二年度地方税制の改正について
  ・新築住宅に係る固定資産税・都市計画税の減免について
  請願陳情の審査
都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
  ・一一第九〇号
  ・一一第九一号
都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
  ・一一第九五号
都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
  ・一一第一〇二号
都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
  ・一一第一〇五号
  ・一一第一〇八号
  ・一一第一一〇号
  ・一一第一一二号
  ・一一第一一五号
  ・一一第一一六号
  ・一一第一一八号
  ・一一第一二〇号
  ・一一第一二二号
  ・一一第一二三号
  ・一一第一二八号
  ・一一第一三〇号
  ・一一第一四四号
  ・一一第一四五号
都市計画税の軽減措置の継続に関する請願
  ・一二第一号
都市計画税の二分の一減免措置の継続に関する陳情
  ・一一第一四一号

○白井委員長 ただいまから財政委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件の取り扱いにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○白井委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、初めに、出納長室関係の予算調査、付託議案審査を行います。次に、主税局関係の予算調査、付託議案審査、報告事項の質疑及び請願陳情審査を行います。ご了承願います。
 なお、第二百六号議案につきましては、三月二十二日に集中審議を行う予定としておりますので、本日は、第二百六号議案を除く全案件について質疑終了まで行いたいと思います。ご了承願います。
 次に、予算の調査について申し上げます。
 平成十二年度予算につきましては、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してございます。
 朗読は省略いたします。
平成十二年三月十六日
東京都議会議長 渋谷 守生
財政委員長 白井  威殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、予算特別委員長から別添のとおり調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。

1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時

(別紙1)
財政委員会
 第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中
   予算総則
   歳入
   歳出
   都債 財政委員会所管分
 第三号議案  平成十二年度東京都地方消費税清算会計予算
 第十四号議案 平成十二年度東京都用地会計予算
 第十五号議案 平成十二年度東京都公債費会計予算

(別紙2省略)

平成十二年三月十六日
予算特別委員長 清原錬太郎
東京都議会議長 渋谷 守生殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 本委員会は、付託された議案の審査に当たって各常任委員会の意見を参考とすることに決定したので、左記のとおり調査の依頼をお願いします。

1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時

(別紙1、2省略)

○白井委員長 これより出納長室関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、出納長室所管分、第五十八号議案及び第五十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○矢部委員 予算特別委員会が終わりましたというか、前段が終わって、いろいろと質疑もありました。そういう中で、東京都の中のコンピューター化というか、それこそハッカーも入れないぐらい陳腐化をしているなどというようなお話がありましたけれども、そういう中で、出納長室というか、出納事務に、電子情報あるいは電子情報化が進んでいくこの世の中において、どういうような取り組みをされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○三宅副出納長 出納事務におきましては、現在、全事業所をオンラインで結びまして、予算から決算までを財務会計システムにより行っているところでございますが、近く二種類の電子情報の導入を予定しております。
 その一つでございますが、これは口座情報払いでございまして、支払い形態の大半を占めます口座振替払いの期間短縮を図るために、本年三月二十一日から導入をするものでございます。この口座情報払いは、指定金融機関への口座情報の送信にデータ伝送方式を採用いたしまして、現行の方式に比べ、債権者の口座に入金するまでの期間が、おおむね二日から五日間短縮できるものでございます。
 二つ目でございますが、現金の支払い手段として使用することができますデビットカードを本年の四月から導入いたします。これは、恐らく他の自治体に先駆けて導入することになろうかと思います。このデビットカードでございますけれども、都の局及び事業所におきまして現金支払いが必要な場合に、資金前渡受け者が所持しておりますキャッシュカードをデビットカードとして利用できることとするものでございます。
 なお、今回のデビットカードの導入を契機といたしまして、各種手数料の電子収納につきましても、法令などの問題を解決いたしまして、都民の方々の利便性の向上が図られますよう取り組んでまいりたいと考えております。

○矢部委員 大変すばらしいお答えで、感激しておりますけれども、私もよく知らないんですが、最近、デビットカードというのがテレビのコマーシャルで出たりなんかしていますね。使えますよというような宣伝をしています。まだ余り一般的じゃないとは思うんです。しかし、よくよく私も聞きますと、今までのクレジットカードやキャッシュカードなんかとは違った扱いがあるというんですが、どういう特徴があって、どんなメリットがあるのか、教えていただけますか。

○三宅副出納長 デビットカードは、従来のキャッシュカードの基本機能に、新たに即時決済機能を付加したものでございます。
 そのメリットといたしましては、第一番目には、現金ではなく、キャッシュカードで代金支払いができることから、多額の現金を持ち歩く必要がなくなり、事故防止に役立つことが挙げられます。
 第二点目といたしましては、利用可能金額が預金残高の範囲内ということになりますので、クレジットカードの場合のように、使い過ぎが発生するおそれがないことが挙げられようかと思います。
 それから、三点目といたしましては、ATMに比べまして利用可能な時間帯が長く、土曜、日曜あるいは祝日でも利用ができることが挙げられます。
 さらに、第四といたしましては、利用の手数料がかからないといったことが挙げられようかと思います。

○矢部委員 今まではどういうふうに決済をされていて、具体的に出納事務の中でどういうふうに使われるのか。

○三宅副出納長 東京都の小さな物品と申しますか、こういった物品の購入に当たりましては、可能な範囲で、ある一定の範囲内で資金前渡を受けまして、その現金でもって購入するようなケースが多うございました。
 また一方、キャッシュカードを資金前渡受け者が持ちまして、それで現金を引き落として、それで買い物をするといったケースがこれまで一般的だったと考えております。

○矢部委員 ということは、今までは必ずどこかで現金を持ち歩く分があったということですか。今度は、それがまるっきりなくなっちゃう、デビットカードというので決済できちゃうということですか。

○三宅副出納長 今お話のあったとおりでございます。

○矢部委員 現実的に相当多額のお金が動くこともあったんでしょうから、恐らくそのことに当たる職員の方も、やはり冷や冷やされていたこともあったと思うんですね。そういう意味では、それがなくなるというのは大変いいことだなというふうに思っています。
 東京都が支払うときはそういうことなんですが、逆に、東京都に対して手数料だとか何か払うというようなときに、税金を納めるときと思っていいでしょうけれども、これからの進化というか、せっかくいいものを入れて、東京都だけがそれを使っているんじゃなくて、都民の皆様にとってもそれは便利なものにならなきゃよくないと思うんですね。出納長、どうですか。

○佐々木出納長 おっしゃるとおり、今回のデビットカード、これはあくまでも第一歩でございまして、本当に都民のために利便をということであれば、都民の方がそのデビットカードを使って税金その他が支払える、こういう形が必要でございます。
 ただ、現実には、それを行うに必要な法令、法体系がうまくできていないということ、それから、我々もデビットカードについて全面的に信頼できるという状況にもない。さらに、デビット会社の協会みたいのがございますけれども、そういうところとの手数料の問題とか、いろいろこれから詰めなくちゃならない問題がございます。
 そういう意味で、我々も将来的にはそういう大きい視点を考えておりますけれども、当座、モデル的に都の職員の中でデビットカードを使って、いろいろ検証しながらさらに大きな展望に広げていきたい、こんなふうに考えております。

○大西委員 今回、外形標準課税の問題や何かが大変注目を集めて、銀行業に対する関心というのも高まってきているんですね。そして、東京都が銀行との直接のかかわりがあるというのは、指定金融機関制度を通じて、かかわり合いを今日までずっと持ってきているわけです。今、富士銀行が指定金融機関になっているわけですが、この指定金融機関制度について、いろんな角度から教えていただきたいと思うんですけれども、あるいはご意見申し上げたいと思うんですけれども、まず、富士銀行を指定金融機関として指定した経緯をお聞かせをいただきたいと思います。

○三宅副出納長 歴史的経緯でございますけれども、大正三年に、それまで東京府あるいは東京市の公金を取り扱っておりました東京府農工銀行から実は辞退の申し出がございまして、他行への変更を打診いたしましたけれども断られましたために、当時の第三国立銀行の初代頭取でございます安田善次郎氏らに打診をいたしまして、大正四年に第三銀行に公金を取り扱っていただくこととなりました。
 その後、大正十二年には、第三銀行を含めました十一の銀行が大合同して安田銀行が設立をされまして、東京市及び東京府の金庫事務は安田銀行に引き継がれております。
 昭和十八年、東京都制が施行されましたが、安田銀行は引き続き金庫事務を取り扱うこととなっております。
 昭和二十五年の五月には、地方自治法施行令の一部改正によりまして、金庫事務は議会の議決を経て定める銀行に取り扱わせるということになりました。これに基づきまして、同年九月の都議会におきまして、富士銀行に都の金庫事務を取り扱わせることを議決いたしまして、同行が都の金庫事務取扱銀行となったものでございます。
 その後、昭和三十九年四月に、地方自治法の改正によりまして指定金融機関制度が創設されましたが、従前の取扱銀行がそのまま指定金融機関とみなされまして、現在に至っているということでございます。

○大西委員 今のご説明で、昭和三十九年四月の地方自治法の改正によって指定金融機関制度が創設をされて、富士銀行が、その後引き続き東京都の指定金融機関になっているということなんですけれども、これは地方自治法上、指定金融機関というのは一行でなければならないというような規定があるんですか、その辺についてお聞かせをいただきたいと思います。

○三宅副出納長 指定金融機関につきましては、地方自治法によりまして、一つの金融機関を指定することとされております。この一つの金融機関と申しますのは、一定の期間、一つの指定金融機関を指定するということを意味しておりまして、したがいまして、複数の金融機関が交代で指定金融機関となる、いわゆる輪番制をとることは、法律上は可能というふうにされておるところでございます。

○大西委員 各道府県があるわけですけれども、他の自治体の中で、どういう指定金融機関制度が行われているのか。例えば、具体的に輪番制だとか、何か東京都と違ったような状況があれば、それについても教えていただきたいと思います。

○三宅副出納長 まず、都道府県におけます指定金融機関の指定状況についてでございますが、都を含めまして、四十五都道府県が単独の金融機関を指定し、残りの二県が輪番制を採用しております。
 制令指定都市におけます指定金融機関の指定状況でございますけれども、十二政令指定都市のうち、十市が都と同様に単独の金融機関を指定しておりまして、残りの二市が輪番制を採用しております。
 なお、輪番制を採用しておりますのは、当該地方公共団体の歴史的な経緯あるいは地域的な事情によるものというふうに伺っております。

○大西委員 指定金融機関を単独指定する場合と、輪番制でやっている場合があるようでございますけれども、それぞれについてメリット、デメリットというんですか、いろいろあると思うんですけれども、お聞かせをいただければと思います。

○三宅副出納長 まず、指定金融機関を単独指定とする場合のメリットでございますけれども、単独の金融機関が長期にわたりまして公金事務を取り扱うことによりまして、地方公共団体の制度変更でございますとか、あるいは事務改善に指定金融機関が迅速かつ適切に対応できることから、都の業務運営の効率化を図りやすいということが一点挙げられようかと思います。
 二点目といたしましては、指定金融機関におきまして業務ノウハウが蓄積されることによりまして、金融機関の行員も事務処理に習熟することができますため、迅速かつ的確な事務処理を実現することができるということが挙げられます。
 一方、デメリットといたしましては、単独の金融機関が長期にわたりまして公金取扱事務を担い続けることによりまして、地方公共団体と指定金融機関との間の緊張関係が薄れる嫌いがあるといったことが挙げられようかと思います。
 また、輪番制とする場合のメリットでございますが、一点目は、金融機関の破綻時に、別の金融機関への業務引き継ぎを比較的スムーズに行うことができるといったことが挙げられますし、二点目といたしましては、複数の金融機関が公金を取り扱うことによりまして、地方公共団体と金融機関との間に一種の緊張関係が生まれるといったことが挙げられようかと思います。
 デメリットといたしましては、金融機関が交代をする際には、電算システムの変更でございますとか事務引き継ぎ、あるいは金融機関の行員の習熟等に時間を要しますことから、業務の円滑な遂行に支障を生じるおそれが強いということが挙げられますし、さらには、金融機関につきましては、その交代の都度、通常の銀行業務とは大きく内容の異なります公金取扱事務に精通いたしました行員の確保が求められるところでございますけれども、一方、担当しない時期につきましては、この行員の活用といった面で問題がございます。
 東京都におけます公金取扱業務は非常に膨大でございますため、多数の行員が必要となりますので、金融機関に対して多大な負担を求めることになろうか、こういった点が挙げられると考えております。

○大西委員 ざっと今お話を聞いてくると、やっぱり輪番制の場合にはデメリットが多いのではないかなという気が率直にしますけれども、一方で、単独制といっても、これは指定金融機関の変更ということはできるわけでございますから、そういった意味では、緊張感を持続していく意味で、あるいは競争原理を導入していく意味でも、ただずっと半永久的に指定金融機関がかわらないというのは、これは都民にとってどうなのか、都民の利益に合致するのかなという点が疑問ではありますけれども、それはそれとして、またいずれの折に論議を深めていきたいと思います。
 指定金融機関、これは私ども考えると、指定金融機関としての事務業務、これは大体わかりますけれども、指定金融機関になるということによって、一般の銀行業務として、例えば、富士銀行が富士銀行としていろんなメリットを享受できるんじゃないかと思うんですね。
 せんだっての予算委員会でも明らかになったように、十数兆円の東京都のお金が、一時的にプールされるんじゃないでしょうけれども、還流していくわけですね。動いていくわけです、東京都の公金が。そういう意味では、こういった預金量のスケールメリットみたいなものも享受しているんじゃないかと思うんですけれども、銀行業務上どのような利益が銀行側にあるのか、教えていただければと思います。

○三宅副出納長 指定金融機関は、地方公共団体の公金の収納、支払い事務と、各金融機関が取り扱った公金の総括を行う責務を有しておりますけれども、これらの業務は極めて公共性の強いものでございます。したがいまして、一般的に申し上げますと、指定金融機関であることによりまして、プラスマイナスはあるものの、当該指定金融機関に対する社会的な信用が高まるといったことが挙げられます。
 また、地方公共団体の公金の出納や保管事務を行いますことから、資金量を確保できるといったこともメリットとして挙げられようと思います。

○大西委員 この問題についても、いずれかの機会に、銀行業務としての利益というものについて、もっと掘り下げた検討もしてみる必要があるかなと思うんですね。これは、恐らく大手金融機関にとって、東京都の指定金融機関になるということは、ある意味では大きな営業上の、営業上というか、目的にもなるのではないかなと。東京都の指定金融機関なんかにはなりたくないですよというのは、少ないんじゃないかなと私どもは思うんです。それであればあるほど、金融機関としての純粋な業務としても、指定金融機関として利益を上げている。しかも、東京都の公金収納という法的な、東京都の自治体としての活動の一翼も担っているわけですね。
 そうしますと、これは東京都の政策的な理念だとか、都としての、自治体としての倫理性に逸脱するような銀行業務が行われている銀行だということになると、やっぱり都民から、何でそんな銀行を指定金融機関にするんだという批判が、ごうごうと起きてきてもやむを得ないことではないかと思うんですね。
 そういう中で、せんだって予算委員会の場で、富士銀行の創設者ともいえる安田善次郎翁の来歴について、郷仙太郎副知事から極めて中身の濃い、短時間に効率的なご説明があったわけですけれども、確かに東京都がそういった大正時代、関東大震災に遭い、あるいはさまざまな経済的な危機を乗り越える中で、安田翁の何というか、マクロ的な立場から、そして大経済人としての勇気と決断によって、東京都の財政が支えられたということはあるわけですね。ですけれども、それから年を経て今日、富士銀行の中に、こうした天下、国家のために、あるいは都民のために、東京都という自治体のために、本業を捨てるとはいいませんけれども、本業を賭してまでしっかりと支えようという気迫があるのかどうか、私どもは甚だ疑問に感ぜざるを得ないですね。
 それが、この間の銀行協会の杉田会長が予特の参考人の場で発言したことによって、いみじくも明らかになっているんじゃないかと思うんですね。私も予特の場でもいいましたけれども、この秋に富士銀と一勧と、それからどこでしたっけ、(「日本興業銀行」と呼ぶ者あり)日本興業銀行、そして、世界第一位の資金量を持つ大金融機関に生まれかわるわけですね。今でもあの杉田全銀協会会長というのは、日本経済のリーダーであることは世界的に認知されているわけですけれども、あの人の発言の中には、天下、国家とか自治体だとか、あるいは都民、国民のために銀行業が今どうあらねばならないかというような視点が全く欠けているわけで、それこそ高利貸しのおっさんみたいに、自分たちの利益を一銭でもどうやって上げるか、ただそれだけ。そして、公共のためには一銭も出さないというような、そういうことが目に見えているわけですからね。
 ですから、私は、そういう意味でも今、銀行業の倫理が問われているんじゃないかと思うんです。そういう中で、私は本当にがっかりしたのがこれなんですね。
 これは、金融再生委員会の上半期の調査です。皆さんご承知のように、公的資金を七兆五千億円近く十五行が注入された。それについて、金融庁に対して、中小企業向け貸し出しを増加いたしますと。十五行で三兆円、端数は別にして約三兆円を融資いたします、こういう約束をして、その見返りにということではないけれども、公的資金が七兆五千億円投入されたわけですね。
 その後、金だけは国から注入してもらった、さあ約束は守れたかというのを追跡調査した結果、何と目標の二三%にとどまっているという結果が発表された。しかも、これは経済・港湾委員会じゃないから、この辺について問いただすわけじゃありませんけれども、三月期、もう間もなく金融監督庁の、金融再生委員会の方に報告が出るはずですけれども、これは絶対この約束を果たせないんじゃないかと思うんですね。それは、あと七七%残っているんですからね、約束に対して。それだけのものがわずか半期の間にできるはずがないと――私じゃないですよ、これは新聞が書いているんですけれども、そう予測していますが、楽しみでならないですよ、どういう数字が出てくるか。
 そういう中で非常に残念であったのは、あのようなすばらしい安田翁の足跡を受け継ぐ富士銀行が、十五行の中で最低なんですよ、中小企業向け貸出額が。しかも、それは公的資金を注入される以前と比べて、一千六百六十八億円減っているんですよ。ふやすと約束したのに減っているんですよ。しかも、それじゃ、この三月までに目標を達成するためには幾らふやさなきゃいけないかというと、五千億円ふやさなきゃいけないんですね。減っている一千六百億円をプラスすると、これは大変な額をしなければいけないわけでございまして、私ども地域の中では、みんな泣いていますよ、この都市銀行の貸し渋りに。そして、都市銀行に命を絶たれた中小企業もたくさんあるわけです。
 これは、機会を改めてまた、この問題についてはじっくりとやりたいと思うんですね。三月の報告をしっかりと見定めながら、この問題についてまた触れてまいりたいと思いますけれども、そういう意味で――今、富士銀行どうしろ、こうしろなんていっているんじゃないですよ、そういう誤解を受けると困りますから。しかし、そういう意味では、こうした指定金融機関として公的な責任も果たしていく必要があるんじゃないか、この指定金融機関の都政への倫理的、政策的共通理念がなければならないんじゃないかと思うんですけれども、その点についてどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。

○佐々木出納長 金融機関も、これは一企業でございますから、当然のことながら、その活動というのは営業の側面を持つわけでございますけれども、しかし、他方では、我が国においての金融機関というのは、国の経済社会における一種の血液の役割を果たしていると。そして、そのことを通じて企業を育成するとか、そういう役割を果たすわけで、いわば一種の社会的なインフラの役割を果たしているんだろうというふうに思うわけでございます。
 そのことは、銀行法の第一条に「目的」というのがございますが、その中でも、「銀行の業務の公共性にかんがみ」とか、あるいは「もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と、こういうようにございます。
 そういう中で、とりわけ今お話がありました指定金融機関につきましては、都議会の議決もいただいてなっているわけでございまして、一般の金融機関以上に公的な使命といいますか、そういう問題は感じていただかなくちゃいけないだろうと私ども思っております。そういう意味で、私の立場からも、機会をとらえまして、指定金融機関に対しましては、こういう使命をより積極的に果たしていただくよう要請していきたい、こういうふうに思っております。

○大西委員 きょうはこの辺でとどめます。

○白井委員長 ほかに。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○白井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白井委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○白井委員長 これより主税局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査、報告事項の質疑及び請願陳情の審査を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、主税局所管分、第三号議案、第五十六号議案、第五十七号議案、第二百六号議案、議員提出議案第一号、報告事項二件及び一一第九〇号、都市計画税の軽減措置の継続に関する請願から一一第一四一号、都市計画税の二分の一減免措置の継続に関する陳情までを一括して議題といたします。
 初めに、請願陳情について理事者の説明を求めます。

○鮎澤税制部長 一一第九〇号外十八件、都市計画税の軽減措置の継続に関する請願及び一一第一四一号、都市計画税の二分の一減免措置の継続に関する陳情につきましてご説明申し上げます。これらは、いずれも都市計画税の軽減措置に関する内容でありますので、一括してご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会付託請願陳情審査説明表の一ページから二〇ページをご参照いただきたいと存じます。
 本件請願及び陳情の趣旨は、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置を、現行のまま平成十二年度以降も継続していただきたいというものでございます。
 小規模住宅用地に係る都市計画税につきましては、ご案内のように、区部における住民の定住確保を図る等の見地から、都独自の措置として、その税額の二分の一を軽減する措置を講じてきたところでございます。
 平成十二年度につきましては、現在の景気状況における納税者の税負担感に配慮し、現行の措置を継続することとして、条例の改正をお願いしているところでございます。平成十三年度以降のあり方につきましては、今後検討してまいります。
 本件請願及び陳情についての説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○白井委員長 説明は終わりました。
 予算案、知事提出の付託議案及び報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求しました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○北村総務部長 先般の委員会におきましてご要求のございました主税局関係の資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の財政委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 初めに、目次の次にございます一ページの要求資料第1号、外形標準課税の検討の経緯についてご説明申し上げます。
 まず、最上段にございますように、第一次シャウプ勧告では、事業税は国税の賦課徴収結果に依存しないよう改革すべきであるとしております。以来、現在に至るまで、政府税制調査会は累次にわたり、外形標準課税が望ましい旨の答申を行っております。
 なお、全国知事会におきましても、上から四段目にございますように、昭和五十二年に、各都道府県の条例により、独自に外形標準課税を実施する具体案を作成しております。
 次に、二ページの要求資料第2号、大手銀行の資金量及び業務粗利益についてご説明申し上げます。
 この表は、平成十一年三月末時点での資金量上位五十行について、平成十一年三月期における各行の資金量及び業務粗利益をお示ししたものでございます。
 次に、三ページの要求資料第3号、主要十九行の業務粗利益、業務純益及び臨時純損(益)等の推移についてご説明申し上げます。
 このグラフは、都銀九行、信託銀行七行及び長期信用銀行三行の主要十九行における平成二年度から平成十一年度までの業務粗利益、業務純益及び臨時純損(益)などの推移をお示ししたものでございます。
 次に、四ページの要求資料第4号、大手銀行業三十社及び収入金課税法人の法人事業税の税収実績と平均についてご説明申し上げます。
 このグラフは、昭和五十九年度から平成十一年度までの過去十五年間の、大手銀行業三十社及び収入金課税法人である電気、ガス、生命保険、損害保険業の法人事業税の税収実績等の推移をお示ししたものでございます。
 次に、五ページの要求資料第5号、法人事業税の推移についてご説明申し上げます。
 このグラフは、すべての法人、大手銀行業三十社及び収入金課税法人の昭和六十年度から平成十一年度までの法人事業税の推移を、昭和六十年度を一〇〇とした指数でお示ししたものでございます。
 次に、六ページの要求資料第6号、資金量五兆円以上の銀行業等に係る事業税収割合の推移等についてご説明申し上げます。
 上段の表は、都の法人事業税収に占める主要三十行の納税額の割合について、その推移をお示ししたものでございます。
 次に、七ページの要求資料第7号、四業種に対する収入金額課税導入の経緯についてご説明申し上げます。
 この表は、電気供給業など四業種について、収入金額課税導入の理由についてお示ししたものでございます。上段の電気供給業、ガス供給業は、料金が認可制とされ、所得課税では適正な負担が期待できないことなどが理由とされております。また、下段の生命保険業、損害保険業は、収入した保険料の大半が損金に算入されるなど、所得課税では適正な負担が期待できないことなどが理由とされております。
 次に、八ページの要求資料第8号、銀行業等に対する外形標準課税の導入に係る各団体の意見についてご説明申し上げます。
 この表は、今回の都の外形標準課税について、全国銀行協会等の意見をまとめたものでございます。最上段の全国銀行協会及び二段目の経済団体連合会は、経済活性化を妨げるものではないかという懸念、銀行業のみを対象としていることの是非などを取り上げております。また、四段目の東京税理士会は、銀行業については、今後数年間は担税力に見合った事業税負担を求めることは困難な事業の状況が認められるとし、今回の措置をやむを得ないものとしております。
 次に、九ページの要求資料第9号、法人事業税の税率の推移についてご説明申し上げます。
 この表は、法人事業税について、地方税法上の標準税率、制限税率及び都が実際に用いている超過税率の推移をお示ししたものでございます。
 次に、一〇ページの要求資料第10号、法人事業税収入額の推移についてご説明申し上げます。
 この表は、昭和四十九年度から平成十二年度までの法人事業税の収入額について、標準税率相当分と超過課税分とに分けて、その推移をお示ししたものでございます。
 なお、B欄及びC欄には、それぞれA欄の決算額に占める標準税率相当分、超過課税分の額と対前年度伸び率をお示ししてございます。
 次に、一一ページの要求資料第11号、平成十一年度の恒久的減税に伴う法人事業税の影響額についてご説明申し上げます。
 この表は、平成十一年度税制改正で実施された恒久的減税の改正要旨とその影響額をお示ししたものでございます。
 次に、一二ページの要求資料第12号、都税収入等の推移についてご説明申し上げます。
 この表は、昭和六十年度から平成十二年度までの一般会計歳入総額、都税総額及び主要税目ごとの収入額などの推移をお示ししたものでございます。表の最上段にありますように、都税総額につきましては、法人二税、繰入地方消費税、固定資産税・都市計画税、その他の税に分け、それぞれの収入額と当該金額の都税総額に対する構成比をお示ししてございます。あわせて、表の一番右側の欄に、当該年度の地方税法等の主な改正内容をお示ししてございます。
 次に、一三ページの要求資料第13号、都税収入の伸び率の推移についてご説明申し上げます。
 この表は、平成元年度から平成十二年度までの都税総額及び法人二税など主要税目ごとに、収入額の対前年伸び率の推移をお示ししたものでございます。
 次に、一四ページの要求資料第14号、国内総生産に対する租税弾性値の推移についてご説明申し上げます。
 この表は、昭和五十五年度から平成十二年度までの都税及び国税の国内総生産に対する弾性値の推移などをお示ししたものでございます。表の最上段にありますように、左から国内総生産とその成長率、その右の欄には、都税の決算額と対前年伸び率及び伸び率を成長率で割った弾性値をお示しし、さらにその右の欄には、国税について同様に示してございます。
 なお、成長率がプラスで、税収の伸び率がマイナスの場合及びその逆の場合には、弾性値は算出できないため、短い横線、ハイフンで表示してございます。
 次に、一五ページの要求資料第15号、自動車税の収入額、滞納額、滞納件数の推移についてご説明申し上げます。
 この表は、平成二年度から平成十年度までの自動車税の収入額、滞納額及び滞納件数の推移をまとめたものでございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料に関する説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○白井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料とあわせて、予算案、付託議案、報告事項及び請願陳情に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○矢部委員 私は、議員提出議案第一号、東京都都税条例の一部を改正する条例について、提案者に何点か質問をさせていただきたいと思うんです。
 ただいま資料をお配りいただきましたが、資料の9、10をもとに、なおかつ、今の提案者の共産党さんは通告をしない主義のようですから、私もそれに基づいて通告をしていませんから、余り専門的ということではなくて、この資料に基づいて幾つか質問をさせていただきたいと思っております。
 最初に、資料9ですが、四十九年に創設されて、五十年に制限税率が設けられて、そして今日まで来ているわけですが、その中で、六十三年に制限税率から、さらに東京都の超過課税分は半分にされたわけでございますから、下がったわけです。そして、平成十年、十一年と標準税率そのものを下げたという形が、資料9で表現されているというふうに思っております。そして、なおかつ、資料の10の方を見ますと、六十三年に税率を下げたんですけれども、下げた翌年の平成元年――六十三年は一兆四千五百四十五億円、そして平成元年は一兆五千八百六億円と、下げたにもかかわらず税収は現実的にふえていたわけです。
 そういう中で、逆にいえば、大変な高額を負担していただいていたと思っていますが、六十三年に下げたこの税率については、提案者の古館理事からお答えをいただけるでしょうか、どういうふうにお考えでございましょうか。

○古館委員 この超過課税の問題は、革新都政ができて以来、超過課税の制限税率目いっぱいかけてきたわけですが、私ども日本共産党は、その点についても、六十三年度のときも、半分にする必要はないということでずっといってまいりました。
 六十三年前後のことが今質問がありましたけれども、この辺は、バブルがちょうど上昇カーブをたどってくる状況でありますので、こういう形になっているわけですけれども、現在の十一年最終、十二年当初という10号の資料を見ますと、かなり落ちています。これは、もちろん経済情勢の変化もありますけれども、一番の主原因は、国による税制改正が、法人事業税についても、この9号の資料にありますように、一一・〇%に落として、なおかつ連続的に九・六%というふうに落とした、その結果が、こういう現在の事業税のかなりの落ち込みになっているというふうに理解しております。

○矢部委員 落ち込みというお話ですが、平成十年、十一年度、一一%から九・六%と、さらに下げたということです。当初一二%の標準税率だったものを、二%乗せて一四%で課税をした昭和四十九年に四千百二億円であった事業税収入、それが十二年、九・六%に下げて、それに一・〇五を乗じた一〇・〇八というときでも、七千百四十一億円納めていただいているわけで、全法人五十四万社ですか、そのうちの法人税を納めていただいているのは実質六%ぐらいと称していますけれども、三万三千社といわれていますので、極めて善良な納税者だと私は思っているんです。国が、景気が大変厳しいときだということで、なおかつ標準税率を下げて、そのことにこたえるというか、対応しているのに、それをなぜここで上乗せをするのか、上げるのか、そのことをちょっと教えてください。

○古館委員 私どもは、今回の銀行課税、金融機関に対する課税も、一定の法の中での考えられ得る税収は何かということで、相当の考え抜かれた提案をしてきたと思っております。
 そういうことと同じでありまして、確かに標準税率も下げましたけれども、依然として、この地方税法の中でも超過税率というのはきちっとあるわけですから、その超過税率にのっとって、私どもも、今の東京都の財政難の原因論とかなんとかという問題以前に、都税収入がこれほどまでに落ち込んできているという中で、何とかして本当に都民の福祉向上を図っていきたいということになれば、考えられ得るあらゆる状態というのを、少しでも増収にどうしたらつなげられるかということ、しかも、なおかつ都民には負担を負わせない、そうなりますと、大企業を中心として課税をしているこの法人事業税、この部分を法に基づいて制限税率いっぱいいただこうと。
 その場合でも、今回の二年連続のいわゆる減税によりまして、例えば、昨年の引き下げ分一年だけでも千四十六億円に上りますので、今回、日本共産党の制限税率いっぱい超過課税させていただいた場合に、考えられる増収というのは、大体三百億円程度かなと。これは、資料の第10号を見ていただきますと、右の欄の一番下の段に三百二十六億円という超過課税分がありますが、これは、二分の一にしたときが三百二十六億円というふうになりますから、その倍にするという考え方ですから、ちょうど増収は三百億円程度かなと。現実に一千億円以上の減税が既に法人に対してはあるわけですから、その一定の割合をこの東京都の財政難の中で負担をしていただくということは、決して無理難題の話ではない、このように確信をしています。

○矢部委員 革新の日本共産党が確信をしているというんですけれども、今の世の中の様子、ようやっと景気が幾らか上がりつつあるかなというときに、それこそ三百億、全体からすれば少ないといいながらも負担を強いるというのは、今世の中はどちらかというと、粉飾赤字だといってはいけないのかもしれませんが、そういうようなことが平気で成り立っているような感じもある世の中でございますから、そういうときにもかかわらず、しっかりと黒字の申告をして税金を積極的に納めていただいているんですね。
 今いろいろお話がありましたけれども、それこそ平成元年がピークで、そのときは一兆五千億、それからすると、ことしは七千百四十一億、これは当初ですからもう少し変動するかもしれません。そうだとしても、五十年当初からすれば倍納めていただいているんですね。これは東京都にとっては、それこそ神様に等しい皆様だと私は思うのです。そういう人たちにさらに強いるというのは、今の時期、極めてよくないと私は思っております。
 この経済状況の中で、先ほど外形標準のこともお話にありましたけれども、これは本来納める能力があるのに納めていないという部分と、そうじゃなくて、積極的に、それこそ表彰物で、六%しかいない中で、積極的に納めていただいている法人の方々にさらに課することは、私はとんでもないことだというふうに思っております。
 そういうことを申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 まず最初に、新築住宅にかかわる固定資産税、都市計画税の減免についてお尋ねいたします。
 今回、こうした提案を金融機関に関する課税と同時に提案してきたわけですが、この目的は、提案の中にありますが、新築住宅の取得を税制面から支援し、もって景気対策、良質な住宅ストックの形成に資する、このようにしておりますが、景気対策とか良質な住宅ストックの形成ということであるならば、なぜ新築住宅だけに限定をしたのか、まず、そこについてお聞かせをいただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 今回の減免措置につきましては、住宅取得の促進を図りまして、景気対策あるいは良質の住宅ストックの形成に資する、そういうことを目的といたしております。したがいまして、対象を新築住宅に限ったものでございます。

○古館委員 実は今、高齢化に伴ってバリアフリーの住宅に改造したいとか、あるいは耐震性をもっと強めたいとか、しかし新築するまで資力はないというような方々もいらっしゃると思うんです。そういう場合に、一定の基準を都が決めて、そういう住宅の増改築に対しても、同様の減免措置を講じてもよいのではないかと思うのですね。そのことが、景気対策にとって決してマイナスにはならない。だって、近所の建設業の人に頼んだりなんか、いろんな形をするわけですね。資材も購入するわけです。ですから、そういう刺激を与えるという点でいうと、増改築に対しても同様の減免措置を講じてもいいのではないかと思うのですが、この点についていかがでしょうか。

○鮎澤税制部長 今回の減免措置は、新築住宅の取得ということを促進する観点から設けられたものでございまして、増築や改築を減免対象とすることは考えてございません。お話のバリアフリーの増改築等につきましては、いろいろと歳出面での優遇措置が講じられてあります。

○古館委員 今回、この新築住宅に対する対応ですけれども、固定資産税の全部免除と二分の一免除ですから、相当の効果はあるわけですね。その場合に、どういう形の基準をつくるかというのはあるとしても、やっぱり増改築に対しても、これは考えてもいいんじゃないのかなと。それが今の時代に対するニーズにこたえることにもなる、こういうふうに思います。
 考えていないと明確にいわれたので、この問題は改めて強く求めておきたい、こういうふうに思います。
 次ですけれども、これは予算特別委員会でも議論になっていたようですけれども、固定資産税、都市計画税の徴収を独自で行っている三多摩各市町村は、今回の減免措置が適用外であるということになりますね。これは理解しております。東京都としては、この事業を都として展開するわけですね。ここからは三多摩ですからということで、東京都の事業をこういうふうに区分けするということが、市町村の方から見たら、やはり釈然としないという部分があるんじゃないかと思うんです。
 したがいまして、これは、きのうの毎日の夕刊でも、二十三区以外の市町村が、何とかこういう住宅に対する減免について市町村に対しても何か考えてくれ、あるいは負担してもらえないか、こういうことが強い要望として出ているわけですけれども、この問題について、減免制度ないしは、それにかわる何らかの支援策を講ずるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○鮎澤税制部長 二十三区の区域内におきましては、ご指摘のとおり、東京都が都税として固定資産税、都市計画税を課税しております。三多摩の市町村につきましては、その課税権に基づきまして、それぞれの市町村が独自の判断に基づいて行われるべきものと考えております。

○古館委員 だから、それはわかっているんです。わかっていっているんですよ。東京都がやる事業として、二十三区は固定資産税を都が徴収していますから、当然それに対してその網がかぶるというのは、それはわかって質問しているのです。
 確かに、三多摩各市は自分たちで徴収するわけですけれども、景気対策などに含めて、こういうものに対して一定の支援策なりを、例えば主税局がどうしてもそれは不可能ですということであるならば、他の局に対して、こういうことで今やっているんだけれども、何とかならないだろうかということを協議することはできるんじゃないでしょうか。だって、石原知事も、この新聞報道によると、予特でこの問題が取り上げられたときに、私としては板挟みの気持ちだ、市町村の動向を見定めて今後の姿勢を決めたいといっているんですね。
 ですから、そういう点でいうと、もっと前向きに支援策を考えてもらいたい、そういうふうに思いますが、改めて見解を伺いたいと思います。

○大塚主税局長 古館先生のご指摘は、ご指摘をいただく場がちょっと違うような感じがしております。主税局は税を所管する局でございまして、知事が予特でそういうふうに答弁されておりますから、所管の、これは総務局になりますけれども、総務局が知事のご答弁を踏まえて、それなりのしかるべき対応をするものと私どもでは考えております。

○古館委員 そうしたら、こういう質問が財政委員会からも出たと、そういうことについては意見交換してくださいよ。局として、あるはずなんですからね。そういうことで、そういう提案があったということをぜひともいっていただきたい、このように思います。
 次に、税源の移譲等を一千五百億円というふうに、財政再建推進プランではなっております。今回の大手金融機関への千百億円の課税は、課税自主権の行使として生み出すものだと理解しております。したがって、国からの税源の移譲については、今後の課題だというふうに私は認識しております。国の税源移譲の問題では、自治権、財政権の一層の拡充として緊急かつ重要な問題でありまして、東京都の姿勢も問われていると思います。
 そこでお尋ねいたしますけれども、今、東京都としては、国からの税源移譲については、どの税目がふさわしい、このように判断をしているところでしょうか。

○鮎澤税制部長 税収の安定性を備えた地方税体系の構築を図ることが重要だと考えておりまして、都はかねてから国に対しまして、所得税、消費税などの税源移譲を要望しております。

○古館委員 これも予算特別委員会で、東京都版税調創設を提案したことに対して、知事も前向きに答えたということがあるのですが、私は、この国への税源移譲の問題でも、主税局を初め、東京都として今までもかなり調査もやりながら、その結果もまとめてきたという点があると思うのです。そこの蓄積をどういうふうに大事にするかということ、ここの問題を外してはならないと思うんですね。
 その中で、例えばこれは平成九年五月に、都から区市町村への分権のあり方検討委員会というまとまった文書があるんですけれども、この中で、今いった税源移譲についてということを具体的にやはり提案しております。ここでは、望ましい税源移譲として、基本的には、全国に三千二百余りある地方自治体間でできるだけ偏在度が少ない税源、特に所得税の最低税率である一〇%の比例的な税率部分や、消費税の一部を充てることが望ましいとしている。今、それをお答えになったと思うのです。
 この問題は、もうかなり、こういう見解を出してから数年たっているんですよ。それで財政のあのプランでは、国に税源移譲を求めるということまでいっているんですが、今回、銀行に対する、金融機関に対する課税は確かに出しましたけれども、国への税源移譲の問題でも、はっきりいって、東京都としてはどういう形で国に迫るかということがはっきりしてもいいのではないか、こういうふうに思っているのですが、その点についてはいかがですか。

○鮎澤税制部長 都といたしまして税源移譲を図るべき税源の問題でございますけれども、これにつきましては、所得税、消費税を中心に考えてはおりますけれども、これに限定しているというわけではございません。

○古館委員 限定はしていないということをいうんですけれども、せっかく長い間、大都市税制のあり方だとか、いろんなことを研究して、積極的に提言しているわけですよ。私は、ある意味で主税局自身も、この問題についてはやっぱりリーダーシップをとる必要があるんじゃないかなと思うんですね。
 私は、二つの案のうち、とるべき税源は所得税の比例部分の移譲である、このように考えています。これは地方制度や地方財政にかかわる学者の中でも、大きな一つの流れになっているというふうに私は思っています。その代表的な人が、この間来ましたが、参考人で陳述しました神野直彦氏ですね。この税源移譲について、私は氏の提案を支持しています。私は、神野氏のいっていることを全部支持するという意味ではありませんが、この税源移譲の問題で、特に所得税の基礎税率部分ですね。氏は、国民に対する増税などによる負担増を抑えるというところに一つの特徴を見出しながら、国と地方の関係を当面五対五にするという提案であります。これは「地方に税源を」という本の中にもまとめられておりますけれども、この当時の都の試算では、この中に書いてあるのですが、大体十一兆六千億が地方に配分されるというふうにしています。
 これに対して、消費税の移譲という方策をとった場合、都の案ですと、消費税の六割分が国で、四割を地方に、こういう仮説を立てております。仮に十一兆六千億が地方にということになりますと、全部で二十八兆円から二十九兆円、消費税を国民からいただかなきゃいけない。税率にしますと、大体一四%から一五%にしなきゃ間に合わないわけですね。消費税が五%になってから、今でも深刻な不況があるわけですから、さらに消費不況から立ち直れないという状況の中で、消費税の減税が今切実に求められている中で、私は消費税を税源移譲の財源として選択すべきではない、こういうふうに思うのですが、これについてはいかがでしょうか。

○鮎澤税制部長 都は、国から地方へ移譲すべき税源といたしまして、所得税か消費税かといった二者選択で考えたことはございません。

○古館委員 そうであるならば、消費税の地方へということは、何か大きな流れになっているような気がします。私は、この問題については、やはりこうした地方消費税などという形で採用するべきではないというふうに思っております。
 実は、ここに直近の三月十八日付の「週刊東洋経済」というのがあります。石原知事のいろんな顔が写っていまして、これは私は表紙にわっと驚いてぱっと買ったんですが、この中で、税制調査会の加藤会長がこんなことをいっているんですよ。税制調査会の加藤会長は、外形標準課税を導入したぐらいでは地方財政再建には力不足だ、地方財政を抜本的に変えていく必要がある、地方交付税と補助金政策をやめろというのです。やめて、そのかわりの財源に地方消費税を充てるのがよい、同時に、自治体のリストラが不可欠だと。
 もし本気になってこれをやったら、消費税は物すごく高くなりますよ。(「低いんじゃないの」と呼ぶ者あり)いや、そうなります。地方交付税から何から全部やめちゃって、これに変えろと、これは税制調査会の加藤会長がいっているわけですね。ですから、私はこういう問題では、やはり所得税の基礎税率部分の税源移譲、こういう点で一番望ましい税源であるということで、改めて、消費税を税源にするということについては反対の立場を貫いてほしい。
 次に、二〇〇〇年度の都財政の中核をなしている都税収入についてお尋ねしたいと思います。
 これまで最大の税目でありました法人二税ですが、恐らく都政史上初めてだと思いますけれども、今回の十二年度の資料を見ますと、固定資産税と都市計画税がついに第一位の税収になりました。バッテン印でばっとクロスしちゃったんですが、法人二税は、十二年度の場合は合計額が一兆三千七百二十七億円、それが来年度一千百億円の減になりますので、一兆二千六百六億円。これがどうしてこんなふうに落ちてきたのか、この主な原因は何だと考えていますでしょうか。

○大塚主税局長 今のご質問にお答えをする前に、一点だけ。確かに十一兆六千億のお話がございました。ただ、古館理事ご存じのとおり、それは平成六年度のデータですね、それをもとに、税率等で補正した平成九年度の数値、いわば古い数値です。その後、所得税の減税、恒久減税等がありましたので、根っことしての数字は随分変わってきているということだけを、まず一つ。
 ただ、一つだけご理解をいただきたいんですけれども、確かに神野先生は五〇対五〇というふうにいっていますけれども、東京都の考え方もまた、五〇対五〇です。ただ、今、国税全体が細ってきていますから、十一兆円を移譲しなくても五〇対五〇のベースにはなるわけです。所得税、消費税とも一定割合を税源移譲すべきだということで主張しておりまして、消費税の増税は東京都は要望したことがない。かつてないし、これからもないということです。
 それから、所得課税については、ご存じのとおり六四対三六です。これを五〇対五〇、それから現行の消費課税四対一を三対二にする。これによって、国と地方の税源配分というのは五〇対五〇になります。それをかねてから東京都は国に要望しているということを――消費税は税収の安定性を備えた、地方税にふさわしい税でございまして、現行の制度を前提として、所得税とともに地方に移譲すべき税源であるというふうに考えています。
 それから、今のご質問のお話ですけれども、十二年度予算で法人二税が減収となる要因というのは、恒久的減税、今お話ししました。補てん措置は、都議会のご協力もいただいて、例の地方特例交付金、平年度ベースで一千三百億円でございます。

○古館委員 確かに地方特例交付金というのがあるんですけれども、この問題については、全部補てんされているわけじゃないですから、残りは借金なわけですよ。ですから、私どもはやはりこの問題についても、都税収入の問題から見て、きちっと税収としてどう確保するかということがすごく大事だと思っております。
 来年度の法人二税が一兆二千六百六億円と先ほどいいましたが、これは、ちなみに何年度の水準になっているでしょうか、そのときのGDP、国内総生産は幾らでしょうか。

○鮎澤税制部長 来年度の法人二税の水準でありますが、昭和五十八年度の一兆二千九十一億円を若干上回る程度の水準となっております。当時の国民総生産は、名目で二百八十六兆円弱であります。

○古館委員 ですから、今もお話ししましたけれども、法人二税、事業税と都民税ですけれども、これで、水準は昭和でいえば五十八年、西暦では八三年度に逆戻りしているぐらいに落ち込んでいるわけですね。そのときの国内総生産は、GDPは二百八十五兆ですから、今は五百兆をちょっと下回っている状態ですから、一・八倍ぐらいに国内総生産は変わっているわけです。
 先ほどの答弁でもはっきりしておりますように、超過課税分を含めた法人事業税の税率、これは九七年度までは一二・六%でありましたが、九八年度は一一・五五%になり、さらに昨年の減税で一〇・〇八%に引き下げられ、この三年間だけで二割も引き下げられてしまったわけです。政府による補てん措置、先ほど局長からも答弁のありました補てん措置がとられたとはいえ、その額も、方法も、私どもは極めて不十分だと考えています。現在、都は法人事業税について、法的に許される限度の二分の一を超過課税していますけれども、許される限度いっぱいに超過課税を実施しても、昨年の減税で引き下げられた分の三分の一程度を回復するにすぎない、このように思いますが、いかがでしょうか。

○鮎澤税制部長 そもそも超過課税は、既に税負担をいただいている法人に対しまして、通常の税負担を超えた特別の負担を求めるものでございます。加えて、企業を取り巻く環境は極めて厳しいこと、そういったことから、法人事業税の制限税率いっぱいへの課税は考えておりません。

○古館委員 私が聞いたのは、いわゆる減税分の三分の一程度を回復するにすぎないと思うけれどもどうかと。この部分については答弁を避けていますが、数字ですから、それは明らかにそうなる。その上で、今見解が述べられたと理解しておりますが、私どもは、他の税金を払っていない、法人事業税を払っていないところなんか見ましても、例えば、これはちょっと古い資料だと思いますが、この「週刊東洋経済」でも、九八年度調べですが、NECなんかも法人事業税ゼロとなっているわけですよ、東芝もゼロとか。これは結局、大企業に対する優遇税制のたまものなんですね。そういうふうに利益が生まれないようにしても済むような計算方式になっていますから、それはそれでちゃんと、国のこういう優遇税制を改めていくという方策は当然必要だと思っています。
 同時に、十五年前の八五年の法人二税の構成比は五〇%を超えていました。それが現在三二・三と、固定資産税の比率三三・三%よりも下回るようになりました。十五年前の八五年度との比較で、法人二税の伸び率は、今はマイナス八二・三%になっています。私どもの試算によりましても、国の税制改正に基づく影響額は、この十年間で累積一兆円余に上っています。その最大の減税が九九年度で、その規模は二千三百四十九億円に上っております。
 我が党が既に賛成を表明している大銀行、金融機関への課税は、都として課税自主権を行使して、法の範囲内でできる措置をとったということだと理解しています。いうまでもなく、法人事業税は、都市基盤整備など自治体が行うサービスへの対価という位置づけを持っており、政府が一方的に税率を引き下げ、一部は特例交付金、残りは都債、借金で賄うなどはとんでもないと私どもは思っています。
 今回、条例提案させていただいている東京都都税条例の一部改正案も、極めて大きな減税となった大企業に対して、都ができ得る財源確保を行うというものでありまして、議員各位のご賛同を心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。
 以上です。

○鈴木委員 私の方からは、資料の14と15の二つを要求しておりまして、あとは二十二日の方の問題の資料でありますので、私はこの15号、自動車税の収入額、滞納額、滞納件数の推移、この項から先に何項目かお尋ねをさせていただきたいと思うのであります。
 地方分権一括法が成立をして、四月一日から地方分権、すべての事務が移管をされる。しかし、権限が移譲されたところで財源――分財と私は表現するんですけれども、これがちっとも来ない。それから、人の移譲、分人、分というのを使えば分人なんでしょうね。分権、分財、分人という面からすると、確かに、東京都の立場として今度提案をしている銀行業等に関する外形標準課税、課税自主権を、これは二十二日にがっちりさせていただきますが、そういう税金の入る場所を考えるのは当然だと思いますし、もう一つ、主税局として歳入確保に対する血のにじみ出るようなご努力、これも大変大事な一つのセクションだと思っております。都税事務所の職員の方々も一生懸命やっておられる姿を、私たちもよくわかっております。それを踏まえてバックアップをする立場からの論点であります。重箱の隅をつつくとか、そういうことではありません。そういう立場から論を進めさせていただくということで、ご理解をしていただきたいと思うのであります。
 この自動車税の収入額、滞納額、滞納件数、ずっと一覧表で示していただきましたけれども、この滞納額というのが、大体百五十億前後でずっと並んでおりますね。すばらしい滞納額になっておるんですけれども、まず伺いたいのは、東京都に何台の自動車が登録をされて、徴収率――話は違うんですけれども、国保の徴収率なんか我々よく考えるんですけれども、自動車税の徴収率は、全国ベースに見て東京都はどのくらいのランクにあるのか、そういうことを直近のデータでお示しをいただきたいと思います。

○鳥海徴収部長 自動車の課税台数でございますが、平成十一年四月一日現在で約三百五十万台でございます。また、東京都の自動車税の徴収率は、平成十年度決算で九二・四%でございます。これは全国平均九五・六%に達しておりませんで、全国的に見ても低い水準になっているということでございます。

○鈴木委員 もうちょっと詳しく教えていただきたいんですが、九二・四%という、全国平均より、ポイントでいくとはるかに低いと理解しているのですが、どのくらいのランクで、ワーストファイブに入っているのか入っていないのか、その辺を教えていただきたい。

○鳥海徴収部長 四十七都道府県の下から三番目でございます。

○鈴木委員 確かにご努力はしていると思うんですけれども、台数が三百五十万台という膨大な台数でありますから、その辺のネック等々、恐らくおありになるのかなと思いますけれども、私の今の認識に加えて、徴収部長、東京都の置かれたこういう低水準、九二・四%という数字の裏から読み取れることについて、もう少し具体的にまた教えていただきたいと思います。

○鳥海徴収部長 徴収率の低い原因といたしましては、まず対象となる自動車の課税台数、これが全国一多いということと、自動車の移動率が高い、こういう大都市特有の事情を反映していることが挙げられようかと思います。
 自動車の課税台数は、先ほど申し上げましたが、約三百五十万台でございますが、新規登録、他府県からの転入、これによります登録の増が平成十年度では約五十五万台ございました。また、廃車、他府県転出などによる登録の減、これも約五十三万台ございまして、年間で百万台以上の自動車の移動があったということでございます。このため、権利者の移動だとか所有者の住所移転、こういったことがございまして、いろいろ徴収上の問題が生じているわけでございます。
 さらに、こうした環境の中で、自動車税は車検を受けるときに納めればよい、こういう意識が一部の納税者の中に根強く残っている、こういったことが相まって、現在の低い徴収率になっているのではないかと考えております。

○鈴木委員 すごい移動率ですね。約百万台、目の飛び出るようなすばらしい移動だと思います。なおかつ、その中でご努力をしているということはよくわかりますけれども、先ほど指摘した四十七都道府県で下から三番目、私の知るところによりますと、ある方から、東京都は低い、もっと低いところが福岡県で、その次は高知県と聞いています。その福岡、高知、東京、そういう低ランクにあるということは、過日ののテレビを見た方から私も聞き及んでおるわけですけれども、私の認識に間違いはないと思います。
 福岡県なんか、こういう事態に適宜適切に対処をしながら、徴収率の向上に全力を挙げてやっているというふうに仄聞いたしました。滞納者の給与か預貯金を一斉に差し押さえる方針のもとに、徴収強化に取り組んでいるとか、税務職員が一人一人の未納者にしつこく文書や電話で、納付をしてほしい、納付をすべきだ、そういう呼びかけをしたり、それから直接訪問をしたり、それはあの手この手といいましょうか、本当に苦労なさっているという姿がかいま見える思いがいたします。他県のことでありますけれども、一生懸命努力をしておると思います。
 こういうことから、都財政が今こういう厳しい状況の中で、東京都としても――我が党の質問の中でも、歳入確保に対して徴収努力、これは当然のことである、そのほかも考えなさいということをいいましたけれども、この徴収努力、これはどのようなことをこの件について過去に行ってきたのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

○鳥海徴収部長 これまでも自動車税総合事務所におきまして、文書や電話による催告を行いまして、納付慫慂に努めてまいりました。また、都税事務所におきまして、車検切れ等による滞納者に対しまして納付慫慂に取り組み、自動車税収入の確保及び徴収率の向上に努めてきたところでございます。
 本年度も、より一層の自動車税の早期徴収、徴収率の向上を図るために、自動車税総合事務所におきまして電話催告を一層強化する、これとともに、この二月から、自動車税を五台以上所有する高額滞納者、及び他の税目と重複して自動車税を滞納している滞納者につきまして、新たに都税事務所の徴収部門に引き継ぐなど、滞納整理の強化を実施しているところでございます。

○鈴木委員 今の答弁の中に、自動車を五台以上所有する高額滞納者という表現がありました。それから、他税目と重複している滞納者、これを都税事務所に引き継ぐと。そういう答弁の中で、それでは都税事務所に今のものを引き継いで、具体的にどうしたのか、その成果のほどについて教えていただきたい。

○鳥海徴収部長 今回、新たに都税事務所に引き継ぎました自動車税の滞納事案は、自動車を五台以上所有する高額滞納者と他の税目と重複している滞納者でございますが、合わせて件数で約三万五千件、税額で十二億六千万円でございます。
 現在、滞納整理につきまして鋭意取り組んでいるところでございますが、一例を申し上げますと、今回の引き継いだ高額案件の中で、最高の台数を滞納している、五十八台の滞納をしているタクシー会社でございますけれども、これにつきましては既に納税交渉を行い、全額完納していただきました。こういった取り組みを鋭意進めておりまして、引き継いだ事案については年度内に完結できるよう努力していきます。

○鈴木委員 五十八台、タクシー会社、よく頑張って取っていただいたと思いますけれども、やはりこういう不公平があってはいけないと思いますね。二月二日付のたしか東京新聞に、滞納額の総額は、私の記憶では二十二億と書いてあったんだけれども、今のご答弁では十二億と。この差というのは那辺にあるのですか。それとも新聞記事の間違いだったんでしょうか。その辺、私はヒントがあったものですから、ちょっと聞いたのですが。

○鳥海徴収部長 一点目は、その数字を出した時点の違いがございまして、二十二億を出したときから数カ月たったという段階で、ほかの税目が入っていて、既に納められたものがあると。正式に二月九日に出したときに、この十二億になったわけでございます。

○鈴木委員 一つは時系列的に見て、順調に収納されていたというふうに理解をしておきたいと思います。
 最後の項目になりますけれども、今ずっと聞いて、私どもは自動車税、庶民の足、また法人等々でたくさん持っているところも、やはり納めるべきものはきちっと納める、これは当たり前のことでありまして、それがこのデータから、滞納額が百五十億、何でこんなにあるのだというのは、みんなやっぱりびっくりすると思います。もちろんさっきご答弁にあった、車検のときに納めりゃいいだろうという、そういう安易な気持ちも恐らくあるでしょうし――私たちが普通納めるのは、五月に納付書が来て五月いっぱいに納めるという、そういうのはわかった上でやっているわけなんですけれども、それが全然ずれたりしていると思います。
 今後、都として厳格に、厳密に、都税事務所三十近くおありになるでしょうから、その職員の方々、きちっとそのプロの方を恐らく置くのではないかなとも思いますけれども、大変なご苦労をかけると思いますが、徴収の一%、一ポイント上げることは大変な努力だと思いますよ。都税全体で一ポイント上げる、これは大変なことだと思います。その中でも、自動車税が、先ほど平均値が九五・六%ですから、このランクに行くまでには大変な努力が必要だと思います。そのことを踏まえて、東京都として、このことについて今後の取り組み方、これを具体的にお答えをいただきたいと思います。

○鳥海徴収部長 今後の取り組みでございますけれども、平成十二年度より、自動車税の早期納付、徴収強化をさらに徹底するとともに、車検時に納めればよいという納税者の意識を払拭するなど、自動車税の滞納を一掃すべく取り組みを強化していくこととしております。
 具体的には、平成十二年度からの二年間で徴収率を九七%まで引き上げ、約百億円の収入増を図る、こういうことを目標にしまして、自動車税の滞納整理を行う臨時的な専門の担当チームとして、自動車税班を各都税事務所にこの四月に設置いたします。この専担チームには、主税局職員全体の中から、内部努力により捻出いたしました百名を投入することとしております。この自動車税班を中心に、徴収部門全体で他の税目と同様に、きめ細かく繰り返し繰り返し納付慫慂を行うとともに、どうしても納付に応じていただけないといった場合につきましては、預貯金や給与を差し押さえるなり、こういった処分に着手するなど、徹底した滞納整理を行っていきたいというふうに考えております。
 こうした取り組みによりまして、自動車税徴収率を全国都道府県の中でも上位の水準にまで引き上げたい。それで、自動車税の納税秩序の回復及び税負担の公平を期してまいる所存でございます。

○鈴木委員 この項の最後に、要望にとどめるんですけれども、今徴収部長がおっしゃったとおり、九七%の徴収率、今九二・四%ですから、これは大変なご努力だと思います。局長を初め皆さん、百人のいわゆる専門の方々、東京都はそういう徴収部門にたけておりますから、これは評価をされているところでありますから、断じてその数字を確保していただきたいと私は思います。
 これは、努力は大変な努力で、百人ですから一都税事務所当たり三名強ですね。それで滞納件数が三万五千件、一都税事務所当たりアバウトで千百件。二年間でこれをやればいいわけでありまして、三人で三百七十件当たりですか、二年間ですから、断じてこれはクリアしていただきたい。そういうことで、不公平をなくしていただきたいということを再度要望しておきたいと思います。
 もう一つは、資料の14で租税弾性値の資料を要求したんですが、この租税弾性値というのは、何となく過去のものになりそうな、理論上の世界に陥ったようなものになりかねないという傾向を持っております。名目国民所得が一%増加したときに、税収が何%ふえていくかという数値なんですけれども、このデータから見ると、五十年代からは読み取れるんですけれども、直近の方ではばらばらですね。そこで、この相関関係というものは、資料から見ても非常に乱れ切っています。都税収入をあらかじめ想定するものとはなり得ない租税弾性値になっているのではないかなと私は思います。
 したがって、これの傾向について、今後どうなるかわかりませんけれども、現時点におけるこの租税弾性値論について一点だけ、都の見解を承っておきたいと思います。

○鮎澤税制部長 ご指摘の租税弾性値についてでございますが、右肩上がりの経済が終えんいたしまして、企業が含み益等によりまして安定的な収益を確保するということができなくなりました。また、為替等のリスクもありまして、租税弾性値につきましては大きくぶれるようになってきております。このため、お話にもございましたが、租税弾性値により税収を見込むということが不可能になっているという状況でございます。
 税収見込みに当たっては、可能な限り各種のデータを収集いたしまして、さまざまな分析を行い、見込む必要があると考えております。今後とも、的確な税収見込みになりますよう努力していきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○白井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、主税局所管分、第三号議案、第五十六号議案、第五十七号議案、議員提出議案第一号、報告事項及び請願陳情に対する質疑はこれをもって終了いたいたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○白井委員長 異議なしと認め、第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳入、歳出、主税局所管分、第三号議案、第五十六号議案、第五十七号議案、議員提出議案第一号、報告事項及び請願陳情に対する質疑は、いずれも終了いたしました。
 なお、第二百六号議案につきましては、委員会の冒頭に申し上げましたが、三月二十二日に再度議題といたしまして集中審議を行います。よろしくお願いいたします。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして財政委員会を閉会いたします。
   午後二時四十六分散会

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