令和三年第二回臨時会会議録第十三号

○議長(三宅しげき君) 五番森澤恭子さん。
〔五番森澤恭子君登壇〕

○五番(森澤恭子君) 新型コロナの感染が拡大し、病床が逼迫している中、都は緊急時の体制として、自宅療養者のオンライン診療や往診の拡大等を進める方針を示し、さらに酸素ステーションの設置も決めました。
 また、宿泊療養施設においては往診体制の整備、一部の施設において抗体カクテル療法が始まりましたが、早期に適切な医療を講じることで重症化を防ぐことは重要で、早急な拡大が期待されます。
 一方で、引き続きワクチン接種の加速も鍵となっており、これまで以上に様々な場面で医療人材が必要となる中、限りある人材の適切な配置などについて、俯瞰して総合的に考えていくことが大変重要です。
 今回、都は、医療非常事態として総力戦で取り組むとのことですが、具体的にどのように進めていくのか伺います。
 新型コロナは急変するケースがあることから、自宅療養者の日々の健康観察において患者の状態を正確に聞き取る必要があります。しかし、感染が急拡大する中で、保健所では必ずしも専門的な知識を持たない職員が対応する場合もあると聞いています。聞き取りの統一基準や聞き方の工夫を保健所間で共有するなど、適切な健康観察が行われるよう、早急な対応を求めるものです。
 一方で、患者や家族側も体調悪化や不安が募った結果、電話にて正確に症状を伝えられないこともあります。保健所側が必要とする情報を得ることができず、結果として適切な見立てがかなわず、医療的な対応が遅れることは防がなければなりません。
 そこで、患者や家族側も保健所の見立てに必要な情報や症状を適切に伝えられるよう、重症化の兆候などを分かりやすくホームページに掲載するなど、より広く都民に周知すべきと考えますが、見解を伺います。
 ワクチン接種について、当初は七月末までに高齢者への接種を終え、社会経済活動を徐々に取り戻していくのが一つの目標でしたが、現在はデルタ株の影響で重症患者が増えている四、五十代に重点的に接種することとしています。感染状況に応じて接種目標が刻々と変化する中で、都内区市町村間のワクチン接種の進捗における差異を埋めることが重要です。
 都は、広域行政としての調整機能をより一層果たしていくべきであると考えますが、見解を伺います。
 感染状況はいまだ厳しい中ですが、子供たちの学びを止めてはなりません。子供たちは約一年半の間、多くの我慢を強いられており、中高生であれば、その半分の学校生活がコロナ禍にある状況です。子供の感染が増えている状況ではありますが、安全を確保した上で、学びと健全な成長機会を確保していくことは大人の責務です。
 そこで、たとえ緊急事態宣言下でも、学校行事や課外活動などを含めた学びが継続できるよう工夫していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 一方で、感染不安等から学校に行くことのできない、あるいは学校に行かせたくないという選択を保護者が取った場合も、その児童生徒が学習機会、進路選択などにおいて、不利益を被らないよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 森澤恭子議員のご質問にお答えいたします。二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、緊急事態宣言下の学びの継続についてでございますが、学校の教育活動を実施するに当たっては、感染症対策の徹底を図るとともに、児童生徒等の健やかな学びの保障との両立を図ることが必要でございます。
 都立学校ではオンラインを活用した分散登校、時差通学や短縮授業など、感染状況に応じた学校運営を行っております。
 また、飛沫感染の可能性が高い学習活動を避けるとともに、学校行事などはオンラインを活用した文化祭や学年ごとに分けた運動会の実施、校外行事では徒歩圏での活動や昼食を避けた時間設定などの工夫を行っております。
 引き続き、児童生徒等の感染防止に努め、安全な教育活動に万全を期してまいります。
 次に、感染に対して不安がある児童生徒への対応についてでございますが、保護者から感染が不安で休ませたいと相談のあった児童生徒に対して、各学校では、オンラインを活用した学習保障の取組など、個別に対応を行っております。
 また、出席等の取扱いにつきましては、児童生徒自身の基礎疾患がある場合のほか、同居家族に高齢者がいるなどの合理的な理由があると校長が判断する場合、欠席とはしないなどの柔軟な取扱いが可能となっております。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会及び都立学校にこうした内容について周知してまいりました。
 今後とも、登校不安を抱える児童生徒には、各学校が保護者との緊密な情報共有に努めることで、個々の状況を丁寧に把握して適切に支援するよう、趣旨の徹底を図ってまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療非常事態における取組についてでございますが、都は、これまで経験したことのない爆発的な感染拡大が進行していることから、医療体制の課題解決に向け、医療非常事態対応体制を構築いたしました。
 医療提供体制は、医療を必要とする方に症状に応じて適切な医療を提供するため、東京都新型コロナウイルス感染症医療アドバイザーからの提案等を踏まえ、緊急時の体制へ移行いたしました。
 緊急時の体制におきましては、医療機関の役割の明確化、宿泊療養施設の重点化、自宅療養者のフォローアップ体制の拡充を柱に、これらの取組を相互に連携して進めることとしております。
 都は、関係機関と連携し、限られた医療資源を効果的に活用しながら、医療提供体制の確保に努めてまいります。
 次に、自宅療養者への情報発信についてでございますが、自宅療養者の急変に的確に対応するためには、健康観察の際に自宅療養者が自らの症状等を的確に伝えられるよう、症状の目安や留意点等について情報を提供することが必要でございます。
 現在、自宅療養者フォローアップセンターから、パルスオキシメーターの配布と併せて、健康観察で留意すべき症状等の目安について周知しております。
 また、都のホームページにも、自宅療養中の健康面や生活面での注意点などを掲載してございます。
 今後とも、自宅療養中の患者や家族が安心して療養できるよう、専門家の意見も踏まえながら、分かりやすい情報発信に努めてまいります。
 最後に、ワクチンの接種についてでございますが、都はこれまで、ワクチンチーム等を通じた意見交換や情報共有などにより、区市町村における接種状況の把握に努めてまいりました。今般、迅速な住民接種の完了に向け、個別接種に取り組む医療機関に対する協力金の支給事業を十一月まで延長する補正予算案を計上いたしました。
 また、自治体間で接種の進捗に大きな差異が出ないよう、各区市町村の接種体制やワクチンの配布率等を踏まえ、都の大規模接種会場用のワクチンの一定量を配布するなど、広域的観点からワクチン配分を調整しております。
 今後とも、希望する都民が一日も早くワクチン接種ができるよう、区市町村を支援してまいります。

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