令和三年第二回臨時会会議録第十三号

○副議長(本橋ひろたか君) 八十五番谷村孝彦君。
〔八十五番谷村孝彦君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○八十五番(谷村孝彦君) 都議会公明党を代表し、今臨時会に上程された補正予算案に関連して質問をします。
 我が国で最初の新型コロナウイルスの感染者が確認され、五百八十日が経過しました。百年に一度、人類が余儀なくされてきたこの感染症との闘いに対し、国と地方自治体が総力を挙げて、多くの都民の皆様の甚大なるご協力もいただきながら、激闘を続けてきました。それは今なお続いております。
 疫病や自然災害などによる人類への挑戦に対して、それにどう応戦するかによって文明の興亡が決まるという、イギリスの著名な歴史家アーノルド・トインビー博士の「歴史の研究」の論をまつことなく、私たちは今、間違いなく文明の岐路に立たされております。
 我が国にあっては、今、東京都に限らず、全国的に新規感染者数や重症者数など、全ての指標で過去最悪の状況となっております。現在、発出されている緊急事態宣言も、早々に十二日間の延長となりました。
 都のモニタリング会議では、先週の会議で既に、かつてないほどの速度で感染拡大が進み、新規陽性者数が急増しており、制御不能な状況とし、災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態としました。
 また、重症患者が急激に増加しており、救急医療や予定手術等の通常医療も含めて、医療提供体制が深刻な機能不全に陥っているとしております。もはや、現状の緊急事態宣言に依存した対応だけでは限界を来しているとの指摘もあります。
 不安と不満をあおるだけの一部政党、マスメディアもありますが、今こそ都の危機管理能力を最大限に発揮して、制御不能な感染状況を打破する手だてと、災害級で機能不全に陥っている医療提供体制の再構築をするべきであります。知事の見解を求めます。
 我が国は、半年前からワクチンの先行接種、優先接種が始まり、その数は世界五位となり、デルタ株の強い感染力との競争ともされてきました。国がワクチンを確保し、都道府県が調整をし、区市町村が実施するというこのスキームでは、とりわけ都の役割が重要であります。
 区市町村のワクチン接種の状況を見守りつつも、都の大規模接種会場で優先順位を定めて、それをフォローしていくことについて、公明党は、広くエッセンシャルワーカーなど、優先接種すべき方々に速やかに対応するよう、再三にわたり要請してきました。現在の取組状況について答弁を求めます。
 都議会公明党は、第二回定例会の代表質問においても、都議選の重点政策においても、そして知事への度重なる緊急要望においても、一貫して一日の感染者のうち、最も多くかつ行動範囲の広い三十代以下の若い世代に対してワクチン接種を行っていくことが、感染拡大を抑える重要な鍵になると訴えてきました。
 現在、五十代、四十代を中心に市区町村で進めているワクチン接種を強力にバックアップしつつも、より若い世代の推進も重要であります。
 先週一週間の感染者数は、二万九千八百四十七人と前の週より感染者の数が拡大をしており、そのうち三十代以下の感染者数は一万九千七百人と全体の六六%を占めております。若い世代、とりわけ行動範囲が広く、活動的な二十代、三十代の若い世代に取り急ぎワクチン接種を行っていくべきであります。
 具体的には、二十代、三十代の若い世代が多く集まるエリアで、買物や仕事などを目的として、路上を歩いている若者に対し、ワクチン接種に対する正しい知識の普及啓発を図り、事前予約がなくても、接種券と運転免許証などの証明書類でワクチン接種ができるような大規模接種会場を設置すべきであります。
 また、その際には、現在、東京都立大学で行っているように、一回目の接種後に自動的に二回目の接種予約ができるようにすべきであります。併せて知事の見解を求めます。
 公明党は七月十九日、知事に対し、ワクチンが不足する区市町村に必要なワクチンが行き渡るよう国に対応を求めるとともに、都としてもワクチン配分の十分な調整を果たすよう緊急要望しました。
 このたび特別区長会による同様の要望にも応え、都がワクチンの追加配分を決定したことは評価しますが、都内のデルタ株による感染は、もはや専門家が制御不能と評するほどの様相を呈しており、ワクチン配分の大胆な前倒しが必要であります。
 集団接種の実施主体である区市町村の焦りや、早期の接種を待ち望む都民の皆様の不安を解消するべく、都が取り組んだ今回の追加配分の考え方を明らかにすべきであります。
 加えて、国や都が実施する大規模接種や医療従事者向け接種では、多くの都外住民が対象となっております。
 また、区市町村が実施する集団接種でも、行政職や福祉職向けの接種、さらには区市町村を通じ、医療機関が実施している個別接種においても、都外住民が一定数含まれております。この人数を差し引かなければ、都民や自治体内住民の実際の接種済数を把握できないため、今後必要なワクチン確保の予定数を見定めることができません。
 都は、第十三クールに実施する追加配分後の状況を早期に分析し、必要な場合には、続く第十四、第十五クールでは、さらに有効な対策を打てるよう、国に対し追加配分を求めるなど、取組の強化を図るべきであります。併せて答弁を求めます。
 都は今後、新たに都庁北展望台の大規模接種会場において、アストラゼネカ社のワクチン接種を希望する方に開始するとしております。
 アストラゼネカ社のワクチンは、アレルギーなどで他のワクチンを接種できない方にも接種できる場合もあることや、保存温度が二度から八度の冷蔵庫で保管でき、他社のワクチンより保管しやすいとされております。
 しかし、その反面、接種後に極めてまれに血栓を生じるリスクがあることや、他社のものに比べ有効性が低いなどの指摘もあり、都民の皆様には、一定の不安が残っております。
 そこで都は、アストラゼネカ社のワクチン接種を進めていくに当たり、その効果と安全性について、分かりやすい情報提供と周知に取り組むべきと考えますが、接種の方法や内容と併せて見解を求めます。
 次に、発熱相談センターについて質問します。
 感染拡大に比例して発熱相談センターへの相談件数も急増し、七日間の平均も一日三千件前後で推移しております。センターは、平日は六十名、土日祝日は八十名体制で実施しているとのことですが、センターに相談したいが電話が全くつながらないといった声が多く寄せられております。
 大変なご苦労をされながらセンターの運営をされていることと思いますが、電話がつながらないという不安を少しでも払拭していくためにも、人員を増やすなど、さらなる工夫を行い、発熱相談センターの運営の充実を図っていくべきであります。答弁を求めます。
 第五波の感染急拡大に伴い、最前線で対応に当たる保健所では、多忙を極め、その業務はいまだかつてないほどの逼迫をしております。
 都内では、陽性と判明しても、保健所から連絡が来るまでに二日から三日もかかるケースが出ているという実態もあり、連絡があるまでの間、どのように過ごしたらよいのかとの不安の声が少なくありません。
 こうした状況を改善し、陽性者本人や家族が少しでも不安解消につながる対策を講じていくべきであります。見解を求めます。
 加えて、煩雑な保健所の業務をできるだけ簡素化し、マンパワーを増やして、陽性者を速やかに宿泊療養や入院調整できる体制を取るべきであります。答弁を求めます。
 また、東京では自宅療養者も急増し、二万人を超えております。容体が急変して自宅で命を落とす方も出るなど、悲痛な思いを禁じ得ません。往診の専門医や訪問看護、薬剤師とも連携した診療体制を早急に拡充すべきであります。見解を求めます。
 次に、救急搬送に関わる課題について質問します。
 自宅療養者の体調が悪化し、保健所やフォローアップセンターに電話もつながらないことにより、やむなく救急車を呼ぶケースが増えております。しかし、搬送先の病院が見つからず入院に至らなかったり、搬送まで長時間かかるケースも少なくありません。
 東京消防庁によると、八月二日から八日までの一週間で、新型コロナウイルスの陽性者の一一九番通報は千六百六十八件、そのうち通報を受けてから病院到着までの時間が一時間以上かかった件数が六百二十九件、そのうち五時間以上かかった件数が五十二件と、命に関わる深刻な状況となっております。
 また、救急隊が現場に到着後、保健所の判断で自宅療養継続となった件数が実に九百五十九件ともなっております。こうした救急車を呼ばざるを得ない自宅療養者の方々の不安や苦痛も受け止めなければなりません。
 都は、緊急搬送時に受入先が見つからず、救急隊からの要請があった場合には、必ず受入れをする病床を十一の都立、公社病院で三十六床を確保し、十四日から運用をしております。
 そこで、搬送困難事例への取組状況について答弁を求めます。
 公明党は、自宅療養者等の急増、急変時の仕組みづくりを都に求めてきました。これに対し都は、民間病院の協力を得て、酸素吸入等ができるTOKYO入院待機ステーションを都内に一か所設置しました。しかし、自宅療養者等の爆発的な増加により、民間の同ステーションの増設は急務と考えます。
 加えて、都立、公社病院においても、これまでの搬送困難対応入院待機ステーションとは別に酸素ステーションを新たに設置し、受入れ数の増加に対応すべきと考えます。それぞれ見解を求めます。
 また、宿泊療養施設の宴会場などの広い施設に医師、看護師を派遣して、仮設の酸素ステーションを設置し、宿泊療養者の急増、急変に当たるべきと考えます。答弁を求めます。
 公明党は、昨年の夏、仮設ベッドを備えた民間の大規模施設を視察し、いざというときに、より多くの受入れが可能な酸素ステーションを設置すべきと度々訴えてきましたが、都は、かたくなに拒んできました。
 このたび都は、都有施設を利用した大規模な酸素ステーションを設置すると発表しましたが、遅きに失したといわざるを得ません。今後の取組について見解を求めます。
 次いで、病床確保についてです。
 都は、コロナ患者の治療のため、現在、病床を五千九百六十七床確保していると公表しております。この病床については、空床確保料が国の補助金から支払われている中で、病床を確保していただいておりますが、積極的に患者を受け入れて、懸命に治療に当たっていただいている病院がある一方で、全く受け入れていない病院もあります。
 この実態を明らかにするとともに、入院の受入れが格段に進むよう、柔軟な空床利用ができるよう、都は調整すべきと考えます。併せて見解を求めます。
 現在の感染者の増加傾向を考えれば、二次救急医療を担っている民間病院に対しても、都が新たなコロナ患者を受け入れていただけるように体制整備を要請していくことは不可欠であります。
 現在、コロナ患者の受入れを行うかどうか迷っている民間病院からは、ワンフロアの全てでコロナ患者を受け入れるという前提条件では、中小の病院において経営が成り立たないという声や、コロナ終息後にコロナ病床から一般病床に転換し、通常医療の患者さんが戻ってくるまでの期間、都から空床に対する財政支援がなければ、再び従来の病院には戻れないなどの声をいただいております。
 災害級の非常事態というのであれば、一つでも多くの民間病院でコロナ患者を受け入れていただけるよう、ワンフロアの一部をゾーニングした場合でもコロナ患者の受入れを認めていくべきであります。
 また、民間病院がコロナ終息後にコロナ病床を一般病床に転換する際、患者さんが戻ってくるまでの期間、都から空床に対する財政支援を行う仕組みを構築すべきであります。併せて見解を求めます。
 厚生労働省は、中和抗体薬、いわゆる抗体カクテル療法として、新たに承認された治療薬の投与について、自宅などで療養する患者に対しても、短期入院をすれば可能とすることを示しました。
 この抗体カクテル療法は、二つの薬を同時に点滴投与することで、抗体が作用してウイルスの働きを抑える治療法であり、海外の治験では、入院や死亡のリスクを七〇%減らすことができるとしております。
 都は、コロナ患者の重症化リスクを軽減するため、この治療法を厚生労働省と調整を進め、宿泊療養施設で八月十三日から運用を開始しました。
 当初、厚生労働省は、自宅などで療養する患者も短期入院すれば受けられるとしておりましたが、病床使用率が逼迫する中で、軽症者等が短期入院で治療を受けることは現実的ではありません。
 この抗体カクテル療法を他の宿泊療養施設でも受けられるよう、早急に体制整備と拡充を図るとともに、訪問診療や地域の医療機関での外来診療でも治療が受けられるよう、検討を急ぐべきであります。答弁を求めます。
 最後に、東京都中小企業者等月次支援給付金について質問します。
 都内の多くの事業者からは、緊急事態措置等に伴う飲食店の時短営業や、外出自粛等の影響により売上げが減少し、経営状況は大変厳しいといった声が多数寄せられております。
 都は、さきの第二回定例会において、月次支援給付金を独自に創設し、公明党が要望したとおり、国制度では対象とならない事業者へも幅広く支援する仕組みを立ち上げました。さらに、七月から九月分の延長を行うとともに、支援内容の拡充を行うとしております。
 そこで、個人事業者を含めて、多くの事業者の経営が逼迫している状況を踏まえ、新たな支援の拡充について分かりやすく事業者に説明するとともに、給付を急ぐべきであります。見解を求めます。
 また、都外に住所を有し、都内で事業活動を行う個人事業者についても同じく厳しい経営環境にあります。しかし、都の月次支援給付金は支援の対象となっておりませんが、こうした方々もまた都内経済を担っておられます。
 こうした事業者に対しても、各種支援策が十分に行き渡るよう配慮すべきことを強く要望して、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷村孝彦議員のご質問にお答えいたします。
 まず、現在の感染状況の打破、そして医療提供体制の再構築についてのご質問でございます。
 都は、これまでに経験したことのない爆発的な感染拡大、これが進行しておりますことから、まさに災害時ともいえる現在の状況を医療非常事態と位置づけております。その上で、新型コロナウイルス感染症対策本部の下で、都立、公社病院、宿泊、自宅療養、酸素ステーション、療養調整などの医療体制の問題解決に向けて、全庁を挙げて対応するため、医療非常事態対応体制を構築したところでございます。
 この医療提供体制ですが、医療を必要とする方に症状に応じて適切に提供する、東京都新型コロナウイルス感染症医療アドバイザーからの提案、そして保健所、東京都医師会、そして医療機関との意見交換を踏まえまして、緊急時の体制へと移行いたしました。
 緊急時の体制につきましては、患者の症状に応じた入院、そして転院を一層推進するための医療機関の役割の明確化や、看護及び医療体制を強化した施設の整備などによります宿泊療養施設の重点化、入院待機者へのフォロー体制強化などによります自宅療養者のフォローアップ体制の拡充、これらを柱としまして、取組を相互に連携して進めることといたしております。
 大切な都民の命です。健康です。それを守るために、貴重な医療資源を最大限活用しまして、対策に万全を期してまいります。
 もう一点、お答えをさせていただきます。若者のワクチン接種センターについてのご質問でございます。
 新型コロナの感染拡大を抑える、そのためには若い世代、とりわけ行動範囲が広く活動的な二十代や三十代に対するワクチン接種は極めて重要であります。
 都はこれまで、青山学院大学や一橋大、そして東京都立大学と連携しまして、大学生に対する接種会場を設置するとともに、都の大規模接種会場で専修学校や各種学校の学生に対する接種も行ってまいりました。
 一方で、デルタ株による急激な感染が拡大しております。その中にあって、これまでの対策の枠を超えたさらなる対応が必要になってきております。
 今回は、御党からの重ねてのご要望もございました二十代、三十代の若者が多く集まる渋谷駅に、そこから近い勤労福祉会館を活用しまして、渋谷に来る若者が、事前予約がなくともワクチンを接種できる都独自の接種会場を今月の下旬に設置をすることといたしております。
 この会場の運営でありますが、一回目の接種の際に、次の二回目の予約を完了させるという、このようなご指摘もございまして、若者に対してワクチン接種に関するまずは正しい知識を持ってもらう、そのための啓発、そして若者の接種が着実に進む、そのことにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 残余のご質問は、関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 十三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の大規模接種会場の対象者についてでございますが、東京の都市活動や都民生活を支える方で、人と直接接する機会が多く、感染リスクが高い方を対象に、住所地や年齢を問わず、優先的に接種を進めることは重要でございます。
 そのため、都は、大規模接種会場では、警察、消防職員、学校教職員などに接種を進めてまいりました。
 今回、御党のご要望も踏まえまして、これらの方々に引き続き、廃棄物処理業、清掃業などの環境衛生関連サービス、飲食業、トラックやバス、ハイヤー、タクシーなどの運送業に従事する方々を順次対象に加え、接種を開始いたします。
 こうした取組により、都民の生活基盤を維持する方々のワクチン接種を加速させ、安全・安心な都市活動につなげてまいります。
 次に、ワクチンの配分についてでございますが、ワクチンは二週間分を一クールとして、七月中旬の第十クール以降、区市町村分と東京都分に分けて国から配分されております。直近の第十二クールまでは、おおむね千箱程度であった区市町村分が、第十三クール以降、半分以下に削減されることとなりました。
 そのため、都は、区市町村の接種計画に支障を来さないよう、大規模接種センターの接種計画を見直し、都に割り当てられたワクチンの約三分の二を区市町村分として、できる限り早期に配布してまいります。
 今後、都は、区市町村の接種状況等を的確に把握し、国が第十四クール以降に追加配分する予定のワクチンの確保に向け、国に強く働きかけるなど、区市町村での接種が円滑に進むよう支援してまいります。
 次に、アストラゼネカ社のワクチンについてでございますが、都は、ファイザー社やモデルナ社のワクチンにアレルギーがある方、海外でアストラゼネカ社の一回目接種を行い、二回目を希望する方、また、四十歳以上で希望する方を対象に、来月一日から都庁北展望室で接種を実施いたします。
 アストラゼネカ社のワクチンは、他のワクチンと比べ対象年齢や接種間隔、効果等に違いがあるほか、ごくまれに血栓症等を発症する例が海外で報告されております。
 そのため、効果や安全性等について、引き続きワクチンポータルサイトで最新の情報を迅速かつ分かりやすく発信してまいります。
 また、接種時には医師による対象年齢等の確認を徹底するとともに、副反応相談の案内も確実に行うなど、必要な配慮を行ってまいります。
 次に、発熱相談センターについてでございますが、発熱相談センターでは、かかりつけ医のいない発熱などの症状を呈した方に、医療機関の紹介などを行っております。感染者の増加に伴い、症状を訴える方からの相談が増加しているほか、症状のない方からの感染不安に関する相談なども多く寄せられております。
 このため、回線と相談員を増強するとともに、医療機関を迅速に案内できるよう、地図を用いた検索機能を強化し、あわせて、症状のない方には、新型コロナコールセンターを利用していただくよう、様々な広報媒体を使って周知を図っております。
 引き続き、より多くの方々に適切に発熱相談センターをご利用していただけるよう対応してまいります。
 次に、新規陽性者等への対応についてでございますが、現在、保健所から本人への連絡に時間を要していることから、都は、医師が発生届を記入する際は、酸素飽和度、ワクチン接種歴、重症化リスクとなる疾患などを漏れなく記入するよう、東京都医師会を通じて八月十七日に依頼いたしました。
 保健所が、発生届の情報から重症化リスクや入院適否を容易に判断することにより、迅速かつ的確な対応を目指してまいります。
 また、保健所から連絡が来るまでの間、安心して自宅で生活できるよう、自宅療養者向けハンドブックを案内するチラシや、今回改定を行います同居家族がいる場合の自宅での過ごし方や体調管理のポイントを記載したリーフレットを、検査を受けた方に配布いたします。
 こうした情報を通じまして、陽性者本人や家族の不安を解消するとともに、重症化リスクへの迅速な対応を行ってまいります。
 次に、保健所への支援についてでございますが、都は、宿泊調整や自宅療養者の健康観察、夜間の入院調整など、保健所の業務を支援しております。
 具体的には、保健所に代わりまして、患者等への宿泊療養施設の説明や問合せの対応を行うほか、自宅療養者を支援する自宅療養者フォローアップセンターや、夜間に自宅療養者等の容体が急変した場合に、入院先の調整を行う窓口を設置しております。
 また、保健所業務の支援を担う保健師等をトレーサーとして採用し、都保健所等に配置するとともに、保健所設置区市に対しては看護師の雇い上げ経費等を補助し、保健所の業務負担の軽減を支援しております。
 今後も、陽性者が速やかに適切な支援を受けることができるよう、保健所への支援を充実させてまいります。
 次に、自宅療養者への診療についてでございますが、都は、本年四月から、東京都医師会や各地区医師会、夜間、休日に往診等を行っている事業者と連携し、体調が悪化した自宅療養者に対し、電話、オンライン診療や往診を実施しております。
 現在の感染状況を踏まえまして、今月からは、この各地区医師会による取組に、広域的に在宅医療を実施している医療機関が新たに参画したところであり、今後も地域の実情に応じて、本事業に参画する医療機関を拡充させてまいります。
 東京都薬剤師会に対しましても、時間外や休日、夜間の調剤対応等について協力を依頼しており、さらに東京都訪問看護ステーション協会と連携し、在宅でのケアが必要な自宅療養者への医療支援体制の強化を図ってまいります。
 次に、入院待機ステーションについてでございますが、感染が急拡大する中、無症状、軽症者として自宅療養、宿泊療養中に状態が悪化し、入院調整本部等を通じて医療機関への入院を依頼する事例が増加しております。日々の医療機関の受入れ病床数には限りがあるため、入院調整本部が入院可能な病院を探索するものの、結果として入院先が決まらない場合もございます。
 そのため、都は、入院先の病院が決定するまでの間、安全・安心にお過ごしいただけるよう、酸素濃縮器等を備えた入院待機ステーションを確保することといたしました。
 先月、東京都医師会及び民間病院の協力の下、葛飾区内に設置し、受入れを開始しており、今後、八王子市内にも設置する予定でございます。
 次に、宿泊療養施設についてでございますが、都の宿泊療養施設では、公衆衛生医師等の指導の下、感染防止対策や入所者の健康管理を行う看護師を配置しており、入所者の急変に対応しております。
 感染が急拡大し、宿泊療養施設への入所者が増加する中で、状態が急変し、医療機関へ緊急搬送する事例が増加しているとともに、搬送先医療機関の調整に時間を要する事例も増えております。
 そのため、都は、入所者の容体急変時、継続的に酸素を投与できるよう、酸素濃縮器を多数配備するとともに、夜間にも医師が往診し、安全・安心に長時間待機できる医療機能を強化した往診型宿泊療養施設の整備を進めてまいります。
 次に、酸素ステーションについてでございますが、今回新たに、救急搬送要請があった自宅療養者のうち、軽症者を受け入れる酸素ステーションを旧国立総合児童センター、こどもの城に約百三十床の規模で設置いたします。
 ステーションでは、医師の管理の下、規模に応じた看護師を配置し、酸素や輸液投与等を行いながら経過観察することとしており、今後、条件が整い次第、順次開設していくなど、患者の症状に応じた受入れ体制の確保を図ってまいります。
 次に、コロナ患者の受入れについてでございますが、全国的な感染拡大を受け、国は、本年八月六日付事務連絡で、都道府県から新型コロナ患者等の入院受入れ要請があった場合、正当な理由なく断らないことや、正当な理由がない場合、病床確保料の対象にならないこともあり得ること等を示しました。
 これを受け、都も適切な受入れを要請し、実績が低調な医療機関には個別に状況確認を行う旨、通知いたしました。
 また、医療機関の役割の明確化を進め、特に軽症、中等症患者を受け入れる医療機関には、重症、中等症の医療機関で症状が改善した患者の受入れや、自宅等での療養が困難な患者への投薬、酸素投与、中和抗体薬の投与のうち一つ以上を行うことで役割を担っていただくことといたしました。
 引き続き、症状に応じた医療を適切に提供できるよう、貴重な医療資源を有効に活用してまいります。
 次に、新型コロナ病床についてでございますが、都は、コロナ患者を重点的に受け入れるため、新型コロナウイルス感染症重点医療機関を整備しております。
 この重点医療機関の要件の一つに、専用の病床を確保することを定めており、国の通知によると、お話のようにゾーニング等を行うことでフロアを区切り、専らコロナ患者等に対応する看護体制を明確にすることで、既存の一病棟を二病棟に分けることも可能とされております。
 また、都は、コロナ患者の受入れに必要な支援のための病床確保料などの財源確保に加え、通常診療を担う医療機関についても、医療機関の実情を踏まえた財政支援を国に要望しており、今後、お話にございましたコロナ終息後の対応につきましては、必要に応じ国への要望を検討し、医療提供体制が確実に維持されるよう努めてまいります。
 最後に、抗体カクテル療法についてでございますが、国の診療の手引では、発症から時間のたっていない軽症例でウイルス量の減少や重症化の抑制の効果が示されており、こうした有用性は、医療提供体制への負荷軽減に資する観点からも重要でございます。
 国は、現時点で対象を入院患者に限定しておりますが、宿泊療養施設や入院待機ステーションを有床診療所や臨時の医療施設とすることにより、使用が可能となっております。
 都は、品川プリンスホテルイーストタワーを臨時の医療施設として投与を開始いたしました。
 今後も、適切な実施に努めながら、併せて、外来診療の自宅療養者も対象となるよう国に働きかけることで、希望する方が投与を受けられる環境の整備に取り組んでまいります。
〔病院経営本部長西山智之君登壇〕

○病院経営本部長(西山智之君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、都立、公社の搬送困難事例への取組についてでございますが、救急隊からの搬送困難なコロナ患者の受入れ要請に応じるため、都立、公社病院では、対応に当たる宿日直の医師を増員するなど、救急患者の受入れ体制を強化してございます。
 十一の総合病院に常時三十六床を確保し、受入れ病院については東京消防庁と病院で調整しながら、重症度や地域性を踏まえて決定をいたします。患者の受入れ後は、重症、中等症患者についてはそのまま入院していただき、軽症者については翌日、宿泊療養施設等へ搬送することとしてございます。
 こうした取組により、運用開始後三日間で都立、公社病院では、民間病院が受け入れることができなかった搬送困難事例七十三件を受け入れてございます。
 今後とも、自宅療養者等が急変時に適切な医療が受けられるよう、全力で取り組んでまいります。
 次に、酸素ステーションの設置についてでございますが、現在、爆発的に新規陽性者数が増加しており、新型コロナ患者の重症化を防ぐためには、患者に酸素を投与する酸素ステーションを整備することは極めて有効でございます。
 このため、都立、公社病院において、主に中等症患者に酸素投与や薬剤投与等を行う病床を新たに二病院で八十床整備いたします。患者は入院調整本部から受け入れ、症状に応じて入院、宿泊療養や自宅療養に適切に結びつけてまいります。
 今後、他の病院でも順次拡大をしていくとともに、こうした酸素ステーションも活用しながら、さらに多くの患者を受け入れてまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 東京都中小企業者等月次支援給付金についてですが、今回の補正予算によりまして、国の制度改正に伴い酒類販売事業者への支給額の拡充を行うこととしております。
 また、酒類販売以外の事業者に対する都独自の支援といたしまして、国の支援金へ加算するとともに、二か月連続で売上げが三〇%以上減少した場合に、新たに支給対象とするなどの充実を図ってまいります。
 また、審査体制を二・五倍に拡充したことに加えて、中小企業支援団体と連携いたしまして、本制度を分かりやすく解説した簡易版パンフレットを用いた周知を行うとともに、ウェブサイト上でQ&Aを充実させるなど、審査の迅速化に向けて取り組んでまいります。
 さらに、新たに月次支援給付金の対象となります七、八月分につきましては、九月上旬から受付を開始するなど、月次支援給付金の早期支給につなげてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

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