令和三年第二回臨時会会議録第十三号

○議長(三宅しげき君) 百十七番伊藤ゆう君。
〔百十七番伊藤ゆう君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○百十七番(伊藤ゆう君) 令和三年第二回臨時会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問いたします。
 初めに、過日、名誉都民である安達雅一さんがご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 質問に先立ち、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りいたします。また、今なお療養中の方々におかれましては、一日も早いご回復をご祈念申し上げます。
 そして、目の前の患者さんの命を救うため、必死に治療を続けておられる医療従事者の方々に対して、都民を代表して深く感謝申し上げます。
 さて、現在都内は、新型コロナウイルス感染症の第五波というべき極めて厳しい状況にあります。特に従来株よりもはるかに高い感染力を持つデルタ株の猛威により、今、私たちはこの一年半で最も深刻な局面に置かれています。
 これまで我が会派は、対策の実効性を強化するための法整備や東京二〇二〇大会における無観客開催など、常に新型コロナウイルスのさらなる感染拡大を想定し、先回りした対策を提案してまいりました。
 一方で、この間の国の対策は、希望的観測に基づく場当たり的なものに終始し、後手後手の対応だったとの声が聞こえてきます。
 非常事態においては、従来施策の延長では対応できない局面が多々あります。そうした中で、常に都民ファーストの視点に立って具体的な政策を提案し、時に国を牽引していくことこそが私たちの役割です。
 都民ファーストの会東京都議団は、新型コロナウイルスの対策に全力で取り組み、都民の命と暮らしを守っていくことをお誓いし、以下、質問に入ります。
 都内の感染実態は、デルタ株の猛威、そしてワクチン供給の慢性的な不足などにより、大変厳しい状況にあります。八月十二日の都のモニタリング会議では、専門家から、かつてないほどの速度で感染拡大が進み、新規陽性者数が急増しており、制御不能な状態と厳しく指摘されています。
 同じ十二日の政府の分科会では、期間限定の緊急事態措置のさらなる強化に関する提言が示され、その中では、現下の感染爆発ともいえる状況は、自治体だけではコントロールが困難である、災害医療との考えの下、国が自治体と協力して、いまだかつてない強力なウイルスに対処するために、前例にとらわれない思い切った対策を行う必要がある、さらに、集中的な対策の強化により、昼夜を問わず、東京都の人流を今回の緊急事態措置開始前の七月前半の五割にすべきと指摘されています。
 感染力の強いデルタ株が主流となり、重症者の数も過去最多を記録する災害級ともいえる危機のただ中にある一方で、ワクチンの普及や抗体カクテルの利用拡大などの対抗策も増えていることから、新型コロナウイルス感染症への対応は新たな局面を迎えています。
 こうした局面の変化を踏まえ、より強力な感染拡大の防止策を講じていかなければなりません。限られた医療資源を最大限活用するための全体像をブラッシュアップし、都民に示していく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 こうした困難な状況の中で、都として強い危機感を持ち、都民と共有して取り組んでいくことは当然重要ですが、危機感を持つだけではなく、迅速かつ実効的な対策につなげていかなければなりません。
 今回の補正予算を通じて、都民の命と暮らしを守り抜いていくべきですが、知事の見解を伺います。
 さきの専門家からの現状への厳しい指摘にもあるように、今後の感染拡大を想定するならば、都としてさらに強力な追加対策を事態に先んじて検討していくべきであります。
 今般、ようやく国が留保していた事業者支援分の臨時交付金二千億円を都道府県に交付することになりました。感染状況が厳しさを増す中で、医療提供体制の強化や事業者支援など、都の実情に応じた効果的な対策が一層図られるよう、国に対しては、臨時交付金の拡充や、感染状況が特に厳しい大都市に対する重点配分などを求めます。
 都内の重症者数は、過去最多を更新し続けております。八月十七日時点では二百七十六名、僅か一週間で百名の増加となっております。高齢者へのワクチン普及の効果もあり、新規陽性者に占める重症患者の割合は約〇・六%へと低下しているものの、新規陽性者の増加にいまだ歯止めがかかっていない中で、都が三百九十二床確保している重症者用の病床が満床となる危機が目前に迫っています。
 医療体制の立て直しを図るためには、現下の緊急事態宣言による対処よりも強い行動制限を検討せざるを得ない状況にあります。
 先日、政府に対して、全国知事会からもロックダウンの制度検討の要請がありました。今後のさらなる感染者の増加も見据えて、都としてより広範な休業要請を検討するとともに、国に対し必要な財源措置を要請するなど、強力な対策パッケージを今から準備すべきと考えますが、見解を伺います。
 医療体制の強化について伺います。
 都内の新規感染者が一日五千人を超える中、現場の医師から、コロナの陽性者の入院について、入院調整本部に依頼があっても、その日のうちに入院調整がつかず、翌日に繰り越されるケースが多発しています。
 特に、患者が入院待機している間に重症化するケースを防ぐ仕組みが不可欠であることから、我が会派は、かねてより入院待機ステーションを新たに設置するよう知事に要望してまいりました。
 我が会派の要望を踏まえ、都は、都立、公社病院十一か所に入院待機ステーションを設置し、計三十六床を確保すると発表しました。しかし、入院が翌日に繰り越されるケースが一日数百人単位で発生している現状を踏まえれば、規模はいまだ不十分です。
 入院待機への対応が喫緊の課題である中で、一定規模の入院待機ステーションを整備拡充するべきです。
 また、酸素投与が必要になった自宅療養者などに対する酸素ステーションの整備拡充にも取り組むべきと考えますが、併せて見解を伺います。
 都内には、八月十五日時点で五千九百六十七床のコロナ対応病床が確保されているといわれていますが、感染が拡大し、医療が逼迫している中で、実際に稼働可能な病床確保の必要性が迫られています。
 特に、その設置根拠法に公衆衛生危機への対応が盛り込まれ、平時から多額の公金が投入されている国立病院機構や地域医療機能推進機構などは、コロナ患者の受入れを積極的に行うべきです。
 両機構は、都内に八つの病院を有し、病床数は合計で三千四十五床に上ります。これらの病院は、中等症のコロナ患者であれば十分対応可能な機能を有しております。
 にもかかわらず、一部報道によれば、国立病院機構が運営する全国百四十病院の総病床数は五万床、そのうちコロナ患者向けに確保した病床数は約一千八百床にとどまっています。地域医療機能推進機構が束ねる五十七の公的病院でも、コロナ病床の比率は全体の僅か六%との指摘があります。
 都は、コロナ患者の受入先を拡大するため、現在対応できていない医療機関に事情を確認するための調査を近く実施するとのことですが、都内の国立病院機構や地域医療機能推進機構についても受入れ状況を調査した上で、都内のコロナ患者を一層受け入れるよう強く要請すべきです。見解を伺います。
 また、既存の確保病床に対して、運用病床をどの程度供給できるかは、医療機関によって差異が生じており、運用病床を増やす取組についても医療機関に求めていくべきですが、見解を伺います。
 一方、コロナ患者用の病床を確保して治療に当たってくださっている都内の病院に敬意を表し、顕彰するためにも、調査の上で受入れ患者数などを公表すべきと考えますが、見解を伺います。
 こうした既存の医療機関での病床確保におけるさらなる取組に加えて、抜本的な取組も重要です。英国では、二〇一二年のロンドン・オリンピックで使用した会場など、仮設病院としてナイチンゲール病院を設置し、患者の受入れを行ってきました。
 日本国内においても、軽症から中等症までを受け入れて治療ができる仮設病院を設置すべきとの議論が提言されています。軽症者などを一定規模で受け入れ、医師、看護師が効率的に患者を診て回ることができる、東京版ナイチンゲール病院を設置していくべきではないでしょうか。東京二〇二〇大会で使用した施設を医療資源として有効活用するなど、仮設病院の検討を強く求めます。
 厚生労働省は八月十三日に、患者の容体悪化に対応できるよう、医師、看護師を配置したホテルなどの宿泊療養施設を臨時の医療施設と位置づけることを決定し、特に軽症、中等症患者向けの抗体カクテル療法と呼ばれる点滴薬について、投与できるよう規定を改定しました。
 抗体カクテル療法は、海外の臨床試験において、入院や死亡のリスクを七割下げるなどの効果が示されています。今後、宿泊療養施設における治療が一部可能となる中で、その役割を高め、確保病床への負担を軽減していくことが重要です。
 そこで、抗体カクテル療法の投与により、患者の重症化を予防し、重症病床の逼迫を改善するためにも、医療機関や宿泊療養施設での活用をはじめとして、集約的に投与できる酸素ステーションなどでも活用を検討するなど、抗体カクテル療法を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 さらなる宿泊療養施設の活用においては、看護師の不足が課題となっています。待遇改善等による看護師の確保についても対応を求めます。
 感染拡大に伴い、自宅療養者数も初めて二万人を超えました。今回の第五波では、自宅で療養中に亡くなる人が既に数名確認されており、体調の急変に保健所や都のフォローアップセンターの対応が追いつかないケースも出ています。
 特に、感染急増で保健所の業務は逼迫しており、医療機関から発生届を受け取っても、患者に初回の連絡を入れるまで数日を要するようになっているのが実情です。入院調整のボトルネックを解消するためにも、保健所の業務を軽減し、自宅療養の健康観察などについては、フォローアップセンターがより一層その機能を担うことが必要です。
 これまで都は、自宅療養者フォローアップセンターを設け、一定の条件を満たした自宅療養者にLINEまたは電話による健康観察、自宅療養中に必要な食料品の配送、パルスオキシメーターの配布などの支援を行ってきました。
 これらに加えて、特に患者が急変しやすい深夜の訪問診療を行える医師の確保が難しくなっている中で、医師に代わって訪問看護できる体制の拡充が不可欠です。また、フォローアップセンターに医師が一人でも常駐できれば、看護師はより柔軟な患者対応が可能となります。
 今後は、フォローアップセンターと訪問看護ステーションとの連携や、応急手当てとして必要となる酸素濃縮装置を確保するなど、自宅療養者への支援拡充を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症対策のゲームチェンジャーとして期待されているのがワクチン接種です。
 しかしながら、日本全国で二回接種を完了している国民は全体の約三九%にとどまり、世界主要国と比べても、いまだ大きく後れを取っています。
 自治体や職域による接種体制が整ってきている中、国によるワクチン確保の不足がボトルネックとなっているのはいうまでもありません。こうした状況が続いている中にあっては、有事対応として、国はワクチンの全国一律的な均等配分を見直し、一都三県、大阪、沖縄など、著しく感染リスクが高い地域へ重点供給し、戦力的なワクチン供給体制をしくべきであると申し上げておきます。
 先般、国は、アストラゼネカ製のワクチンを優先配備することを言及しました。同社製のワクチンは、若年層において血栓ができやすいとの指摘もあり、原則四十歳以上が接種対象となる見込みです。
 現在、感染拡大の主要な年代である三十代未満の若年層への接種体制強化は、感染拡大を抑える上で極めて重要です。都は、国に対して、ファイザー製やモデルナ製のワクチンを一都三県など、著しく感染リスクの高い地域に優先的に配分することを強く求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 先日、台東区では、清掃事務所職員が感染したことを受けて、不燃ごみの収集を当面中止する事案が発生しました。
 都民の生活基盤を支える仕事を担う方々の健康を守る取組は極めて重要であり、我が会派は、エッセンシャルワーカーの方々が早期のワクチン接種を行えるように、都の大規模接種会場を活用した取組を都に求めてまいりました。
 今後、都の設置する大規模接種会場については、清掃業などのエッセンシャルワーカーや、特に人とじかに接する飲食業や運送業などの従事者を中心に接種対象を拡大することで、都民生活基盤を維持する仕事について、ワクチン接種の加速を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 一方、大規模接種会場で確保しているワクチンについて、必要量を精査した上で、昨日の市長会の要望にもありましたとおり、基礎自治体での一般接種が適切に進むように対応を求めます。
 今後、二度のワクチン接種を終えた方に対する三度目のワクチン接種の必要性についても検証する必要があります。主にファイザー製のワクチンを二回接種したイスラエルは、二回目の接種から五か月以上経過している六十歳以上の人たちを対象に三回目の接種を開始いたしました。同様に、九月以降、三回目の接種を計画している国も増えています。
 こうした世界の動向を捉え、都は、先行してワクチン接種を終えている国々の知見を収集、分析し、三度目のワクチンの必要性が生じたときに備え、速やかに接種できる体制の整備を国に求めるべきと考えますが、所見を伺います。
 現時点ではワクチン供給が不足しており、そもそも希望していても打てない状況にありますが、先行する諸外国の傾向からも、接種率が一定程度にとどまることが予想されます。
 特に、各種の調査からも、若年層においてワクチン接種に慎重な動向が見受けられます。
 一つの傾向として、従来株では重症化率が低いとされてきた若年層において、ワクチン副作用への不安感がワクチン効果のメリットを上回っているのではないかと思われます。
 デルタ株など、若年層でも重症化リスクが高まる中で、ワクチンについての正しい知識を啓発し、送り届けていくことは、都が担う重要な使命であると考えます。その分、費用対効果の高い啓発事業が求められています。
 そうした中で、補正予算に新型コロナウイルスワクチン接種促進キャンペーン事業として、若年層向けのワクチン接種を促進するためのアプリ開発費とPR事業十億円が計上されております。
 そこで、予算額の妥当性を伺うとともに、若年層の接種拡大にどのようにつながっていくのか、効果検証の仕組みを組み込むべきと考えますが、併せて見解を伺います。
 当該アプリは、若年層のワクチン接種促進のみならず、全世代への展開や、民間事業者の創意工夫の取組に広がっていくことが想定されます。あらかじめ関連業界の意見などを取り入れる場を設けた上で事業の推進を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 ワクチン接種の進む海外では、フランスや米国など、飲食店の店内や劇場といった屋内施設の利用の際に、ワクチン接種を受けた証明を求めるなど、デルタ株の広がりを受けた新たな試みが始まっています。今後、ワクチン接種が進んだ段階においては、感染拡大を抑え、都民の命と健康を守りながら社会経済の再生を両立させていく戦略が求められます。
 新たな接種記録アプリを活用するなど、コロナ禍の経済再生とコロナの克服につなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 デルタ株の感染拡大の中で、子供たちにも感染が広がってきています。国内では、夏休み期間中に学習塾や部活動での感染なども起きており、また、アメリカでは、子供の感染が急拡大し、感染者全体の一五%を占めるに至っています。デルタ株の脅威の中で、ワクチン接種の対象となっていない十二歳未満の子供たちをどのように守っていくか、新たな課題として対応していかなければなりません。
 これから夏休みが明ける学校での感染症対策について、さらなる感染拡大を想定した危機感を持った対応が求められています。特に、ワクチン接種ができない十二歳未満の子供たちを守る上で、新学期における小学校での対策の強化と、さらなる感染拡大の際のオンライン教育へのスムーズな移行にも想定して備えるべきと考えますが、見解を伺います。
 飲食店などに対する協力金の支給に関して、これまで度々、書類提出の手続が煩雑で、受給までに時間がかかっていたことが大きな課題でありました。受給までのタイムラグにより、資金繰りの厳しさから休業や時短要請に応じられない飲食店が増えていることを捉え、我が会派はかねてより、協力金の先渡しの仕組みを求めてきました。
 そこで、都が七月十二日からの期間の協力金について、先渡しの支給受付を開始したことを評価いたします。一方で、先渡しを優先することで、それ以前の協力金の支給が遅れては本末転倒です。
 先渡しの対象期間より前の七月十一日までの期間の協力金について、滞りなく早期に支給することはもとより、支給が前後することで資金繰りに苦慮する事業者に混乱が生じないよう取り組むべきですが、見解を伺います。
 都は、売上額が減少した酒類販売事業者、その他の事業者に対して、都独自の上乗せ支援策である、中小企業者等月次支援給付金について、我が会派の求めに応じ、今回の補正予算において、支給対象や金額を拡充しました。
 特に、売上減少幅が五〇%には届かないものの、コロナの長期化で苦境に立たされているといった、国の支援が届きにくい、届いていない事業者に対し、都がきめ細かく支援拡充したことは、事業者支援に貢献するものと受け止めています。
 今後は、協力金同様に、早期に支援が行き届くことが重要であり、月次支援給付金の支給状況を伺うとともに、手続の簡素化と給付までの時間短縮に取り組むべきですが、見解を伺います。
 以上、私たちは、常に都民ファーストの視点に立って具体的な政策を提案し、時に国を牽引する政策提言を行うことで、新型コロナウイルスの脅威から都民の命と暮らしを守っていくことを改めてお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 伊藤ゆう議員の質問にお答えいたします。
 まず、感染拡大防止策や医療資源の最大活用についてのお尋ねでございます。
 現在、爆発的に新規陽性者数、重症患者数が増加いたしております。東京は、まさに災害時というべき状況のただ中にあります。
 これ以上の感染拡大を何としても抑えていくため、科学的知見に基づいて、都民に外出の五割の削減を特措法上の措置として要請するほか、百貨店等の事業者と連携いたしました感染防止対策を新たに実施をしてまいります。
 さらに、現下の状況を医療非常事態と位置づけました上で、新型コロナウイルス感染症対策本部の下で、都立、公社病院、宿泊、自宅療養、酸素ステーション、療養調整等の医療体制の課題解決に向けました医療非常事態対応体制を構築いたしました。
 現在の医療提供におけます問題点や今後新たに発生する課題につきまして、その解決のための方策を検討して、可及的速やかに実行に移してまいります。
 また、この医療非常事態への対応を全庁体制で支えるため、各局のBCPを見直しまして、都庁の特別体制を一層強化してまいります。
 死者を出さない、重症者を出さない、そのことを最優先に、都庁の総力を挙げまして、全庁一体で取り組むことで、この難局を乗り越えてまいります。
 次に、補正予算についてのお尋ねでございます。
 デルタ株による感染拡大が進んで、都内の感染状況はこれまでに経験のない、まさに災害級のような深刻なものとなっております。
 このような情勢を踏まえまして、感染拡大防止の鍵となるワクチン接種の促進や医療提供体制の強化、事業者支援の充実など、喫緊の課題への対策を講じるために、総額三千二百七十八億円の補正予算を編成いたしました。
 具体的には、ワクチン接種にご協力いただく医療機関を引き続き支援をしていくとともに、新規陽性者の多くを占める若者に焦点を当てた対策として、新たに若年層のワクチン接種を後押しするための広報や、民間企業などとの連携をいたしまして、アプリを活用した接種促進策を展開いたしてまいります。
 加えまして、この医療非常事態ともいえます困難な局面に対応するため、御会派のご提案も踏まえまして、都立、公社病院や、都民の城に酸素ステーションを整備して、医療提供体制の強化充実に取り組んでまいります。
 また、休業や時短営業をお願いいたしております飲食店等への協力金の支給などでありますけれども、必要な対策についてしっかりと継続してまいります。
 さらに、国の支援に都独自の上乗せ等を行います月次支援給付金につきましては、支援金額の増額、対象の拡大など、さらなる充実を図るものであります。
 本補正予算に盛り込みました対策を迅速かつ着実に実行しまして、都民の命と都内経済を確実に守り抜いてまいります。
 次に、新型コロナのワクチンについてのお尋ねでございます。
 現在、都におきまして、爆発的に新規陽性者数、重症の患者数が増加をいたしております。まさに災害時であるというべきでございます。こうした状況を打開する鍵、それは最大の武器でありますワクチンを早く、広く行き渡らせることでございます。
 感染が急速に拡大している地域ほど、ワクチン接種を可能な限り前倒しで進めて、接種の勢いを止めることなく、むしろ一段と加速させ、感染終息に向けた流れを確立しなければなりません。
 都内の区市町村は、七月末までに高齢者の約八割のワクチン接種を完了させた接種能力を有しております。そして、これに都の大規模接種施設の能力も合わせることによると、ワクチンが集中的、重点的に配分されても、それに即応できる接種体制となっております。
 国に対しましては、これまでワクチンについて必要十分な量を配分するよう要請を重ねております。先月には、一都三県共同で、感染拡大リスクが高い地域に重点的、効率的に配分するように要望もいたしました。
 感染拡大が続く現下の大都市部の状況を踏まえまして、ファイザー社、モデルナ社のワクチンを優先的に配分するよう、改めて国に要望してまいります。
 同じくワクチン関連ですが、コロナ禍の経済再生とコロナの克服に関してであります。
 現在、感染主体はデルタ株に置き換わっています。爆発的に新規陽性者数、重症患者数が増加をしております。まさに災害時ともいうべき危機的な状況、繰り返し申し上げているところであります。
 この難局を乗り越えて、デルタ株という強敵に立ち向かう、そのためには、人流の抑制や感染防止対策の実効性を高めるとともに、感染終息に向けました最大の武器であるワクチンを希望する全ての都民に、いち早く行き渡らせることが何よりも重要であります。
 そのために、都自らが大規模接種会場を運営して、教育関係者など都民生活を支える方々への接種を行っているところであります。若者向けには、大学と連携した接種を進める、また、渋谷駅の近くに事前予約なしで接種可能な若年層専用の会場を設置、開設をいたします。
 さらに、若者が正しい認識を持ってもらうための普及啓発を行う、そして接種記録アプリも民間のものを活用したキャンペーンなどによって、ワクチン接種をより一層加速させてまいります。
 今後、ワクチン接種記録を活用して感染拡大を抑止しながら、都民生活の回復、そして経済社会活動の再生につなげてまいります。
 残余のご質問は、教育長、関係局長からの答弁といたします。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 夏休み明けの学校での感染症対策についてでございますが、都教育委員会では、区市町村教育委員会に対し、始業日前の各学校の感染状況を踏まえて、対策を一層徹底することを求めております。
 また、保護者に対しましては、二学期開始前から各家庭での感染症対策の徹底、児童生徒の健康観察や、発熱等の症状が見られる場合の医療機関への受診、同居家族が感染した児童生徒の登校を控えることなどを周知するよう依頼してまいります。
 また、ワクチン接種を希望する教職員に対し、夏休み期間中に完了するよう、接種を進めているところでございます。
 現在、小中学校では、一人一台端末等を活用して、子供たちの理解を深める授業を進めております。また、八割の学校では端末を持ち帰らせており、オンラインによる補習や夏休みの宿題等に取り組んでおります。
 こうした取組が非常時にも有効であるという目的意識を持って実践することで、教員や児童生徒のデジタルスキルの向上を図り、感染等により学級閉鎖などとなった場合に、オンラインを活用し、学習支援を行っていくなど、いかなる感染状況下においても学びを継続する体制を早期に構築してまいります。
 こうした内容につきまして、全ての学校で実践できるよう、あらゆる機会を捉え、積極的に区市町村へ働きかけてまいります。
〔総務局長黒沼靖君登壇〕

○総務局長(黒沼靖君) より実効性のある感染防止対策についてでございます。
 感染力の極めて強いデルタ株へと置き換わった今、人流抑制等の観点から、科学的な知見に基づき、効果的な対策を実行することが重要でございます。
 そのため、都は、商業施設等に対しまして、人と人との距離一・八メートルの確保など、基本的な感染症対策の徹底を改めて要請いたしております。
 加えて、百貨店の地下食料品売場等の入場者を五割削減することを目指し、業界団体と一体となった取組を実施してまいります。
 具体的には、職員が延べ百五十人規模で約二百店舗に直接訪問いたしまして、意見交換や優良事例の共有等を通じて、業界全体の取組を底上げしてまいります。
 災害ともいえる現下の感染状況の推移を危機意識を持って注視し、都として必要な対策を検討するとともに、国に対しても基本的対処方針の変更や必要な財源措置について求めてまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 十点のご質問にお答えいたします。
 まず、入院待機ステーション等についてでございますが、感染が急拡大する中、自宅や宿泊療養施設で療養中に症状が悪化した方の搬送先となる医療機関の選定に時間を要するケースが発生しております。
 そのため、都は、入院治療が必要にもかかわらず、入院待機となった患者を一時的に受け入れる入院待機ステーションを民間病院内に設置しており、現在二か所目の開設に向け、具体的な準備を進めております。
 また、今回新たに、救急搬送要請があった自宅療養者のうち軽症者を受け入れる酸素ステーションを約百三十床の規模で設置いたします。
 ステーションでは、医師の管理の下、酸素投与等を行いながら経過観察することとしており、今後、感染状況に応じて地域バランスなどを考慮し、順次拡大していくなど、患者の症状に応じた受入れ体制の確保を図ってまいります。
 次に、コロナ患者の受入れについてでございますが、全国的な感染拡大を受け、確実に病床を確保するため、国は、都道府県から新型コロナ感染症患者等の入院受入れ要請があった場合、正当な理由なく断らないことや、正当な理由なく断る場合は、病床確保料の対象にならないこともあり得ること等について示した通知を発出いたしました。
 これを受けまして、都は、医療機関に対し、国通知の趣旨を改めて説明するとともに、受入れ実績が低調な医療機関に対しては、個別にヒアリングを行う旨、通知しており、早急に状況を確認する予定でございます。
 お尋ねの国立病院機構や地域医療機能推進機構については、厚生労働省を通じて、病床の確保や入院患者の受入れを働きかけており、引き続き協力を求めてまいります。
 次に、病床の確保についてでございますが、都は、医療機関に対し、繰り返し説明会を開催し意見交換をしながら、新型コロナ患者を受け入れる病床の確保を働きかけるとともに、民間の医療機関に対しまして、新型コロナ患者の受入れ体制確保を支援するため、病床確保料や設備整備費等を補助しております。
 また、医療機関の役割の明確化を進め、特に、軽症、中等症患者を受け入れる医療機関には、重症、中等症の医療機関で症状が改善した患者の転院受入れなどの役割を担っていただくことといたしました。
 さらに、病床確保料等の補助金を受けている医療機関に対しては、都からの入院受入れ要請があった場合には正当な理由がなく断らないよう働きかけるなど、医療提供体制の確保を進めてまいります。
 次に、受入れ患者数の公表についてでございますが、都は、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるための確保病床数や入院患者数等をホームページで公表しております。
 病院ごとの確保病床数や入院患者数の公表につきましては、それぞれの病院が自院の状況を踏まえまして判断するものと考えておりまして、今後、病院のそれぞれの意向も踏まえまして、公表の手法等について検討してまいります。
 次に、抗体カクテル療法についてでございますが、抗体カクテル療法は、新型コロナウイルス感染症の患者で基礎疾患を有する方などの重症化を抑制する効果が示されており、医療提供体制確保の観点からも重要でございます。
 そのため、都は、入院重点医療機関で必要な薬品を常備し、速やかに投与できる体制を確保しております。
 また、宿泊療養施設においても抗体カクテル療法を実施できるよう、品川プリンスホテルのイーストタワーの一部を臨時の医療施設として指定し、八月十三日から入所者への抗体カクテル療法を開始いたしました。
 今後も、重症化を予防し、重症病床の負荷低減に資するため、医療機関や宿泊療養施設等での抗体カクテル療法を推進してまいります。
 次に、自宅療養者への支援についてでございますが、感染拡大に伴い、自宅療養者が急増する中、自宅療養者への医療支援を強化することが必要でございます。
 都は、本年四月から、東京都医師会や各地区医師会、夜間休日に往診等を行っている事業者と連携し、体調が悪化した自宅療養者に対し、電話、オンライン診療や往診を実施しております。
 また、訪問が必要な都内の自宅療養者に対し、地域の訪問看護師と保健所、自宅療養者フォローアップセンターとの連携による医療支援体制の強化に向け、東京都訪問看護ステーション協会と調整を進めてまいります。
 さらに、自宅療養者の緊急対応用として、現在、酸素濃縮装置を五百台確保しており、今後さらなる確保を図ってまいります。
 次に、大規模接種会場における対象者についてでございますが、都民の安全・安心を守り、都民生活を支える方で、人と直接接する機会が多いなど、感染リスクが高い方を対象に、住所地や年齢を問わず、優先的にワクチン接種をすることは重要でございます。
 都はこれまで、警察、消防職員に加え、御会派のご要望も踏まえまして、消防団員や柔道整復師、鍼灸師などの医業類似行為従事者、獣医師に接種を行ってまいりました。
 また、今回、これらの方々に続きまして、清掃業、理美容業、飲食業、運送業に従事する方などに対象を拡大し、都庁北及び南展望室と乃木坂会場の三か所で接種することといたしました。
 今後も、接種状況を見ながら弾力的な運用を図り、都民の生活基盤を維持する方々のワクチン接種を加速させてまいります。
 次に、三回目のワクチン接種についてでございますが、海外では、今月からイスラエルで五十歳以上を対象に開始されたほか、英国など欧州の一部の国は、来月から接種を計画しており、米国も昨日、来月二十日からの接種を発表いたしました。
 我が国では現在、政府が来年の実施に向けまして、海外の臨床試験のデータなどを収集し、必要性や有効性、対象や時期等の検討を行うほか、ファイザー社のワクチンの三回目接種分の確保を進めております。
 都としては、こうした国の動向を注視しつつ、必要となる接種体制の整備について、時宜を得て国に要望してまいります。
 次に、ワクチン接種促進キャンペーン事業についてでございますが、かつてない速度で感染拡大が進み、新規陽性者数が急増する中、この状況を打開するためには、ワクチンの接種を着実に進めることが重要でございます。
 若い世代の接種意欲が低いという報告もあることから、科学的根拠のない誤った情報に惑わされないことや、ワクチンの安全性等に関する正しい知識について、SNS広告などを用いて普及啓発を行うとともに、アプリを活用した接種促進策等のキャンペーンを集中的に展開してまいります。
 実施に当たりましては、事業者からの提案を公募により受け付け、実効性や効果検証の方法等も含めまして、最も優れた提案を行った事業者を委託先として選定し、予算の範囲内で最大の効果が得られる仕組みといたします。
 最後に、アプリを活用したワクチンの接種促進についてでございますが、本事業では、ワクチン接種の機運醸成を社会全体で進めるため、既に広く普及している、いわゆるスーパーアプリの中にワクチンの接種記録を読み込むサービス等の独自機能を追加するものであり、全ての年代の方にご利用いただくことが可能な仕組みといたします。
 若年層を対象としたキャンペーンにとどまらず、民間の創意工夫により、このアプリを活用した取組が広がるよう促してまいります。
 都は、ワクチンの接種記録を活用した企業や店舗の独自の取組が適切に行われるよう、本事業の趣旨に賛同いただける民間事業者のご意見も踏まえまして、利用する際のガイドラインを定め、SNS等を含めまして周知してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、協力金の支給についてですが、事業者に対して速やかに協力金を支給できますよう、都は、申請受付時期を当初の予定から一か月半程度前倒しして実施しております。
 また、審査のスピードアップや提出書類の不備があった際の再確認に要する時間の短縮を図るため、審査体制を千七百名規模に拡充したところでございます。
 加えまして、協力金の一部を要請期間の終了を待たずに先渡しする取組も実施し、受付開始から一か月で申請のあったほぼ全ての支給を完了いたしました。
 さらに、申請スケジュールや支給額の目安を取りまとめ、申請者に分かりやすく情報提供するとともに、七月から入金予定日が分かり次第、メールでお知らせするなど、きめ細かな対応を行っております。
 今後も、不断の改善を積み重ねることで、さらなる支給の迅速化につなげてまいります。
 次に、東京都中小企業者等月次支援給付金についてですが、売上げが減少した事業者の事業継続をサポートするためには、月次支援給付金の早期支給が重要でございます。
 本給付金は、七月から申請受付を開始した新たな制度でございまして、申請者との書類確認に一定の時間を要しております。受付開始から一か月半が経過した現在、約一万七千件の申請を受け付け、提出書類の確認を終えた約六千件の審査を終了したところでございます。国の月次支援金と同様、支給まで一、二か月かかる状況のため、さらなる迅速化に取り組んでまいります。
 具体的には、協力金の支給ノウハウも活用いたしまして、円滑に申請ができる手順を動画で案内するほか、過去に提出した書類を不要とするなど、申請者の負担軽減を図ってまいります。さらに審査体制を拡充し、早期の支給を進めてまいります。

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