令和三年第二回臨時会会議録第十三号

   午後一時開議

○議長(三宅しげき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(三宅しげき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(三宅しげき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(広瀬健二君) 知事より、令和三年第二回臨時会八月十八日の会議において同意を得た監査委員の任命について、発令したとの通知がありました。
(別冊参照)

○議長(三宅しげき君) これより日程に入ります。
 日程第一から第四まで、第百五十六号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十一号)外議案一件、専決二件を一括議題といたします。
 本案については、既に提案理由の説明を聴取しております。

○議長(三宅しげき君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 六十五番清水孝治君。
〔六十五番清水孝治君登壇〕

○六十五番(清水孝治君) 初めに、去る四月十七日に逝去された名誉都民安達雅一さんに対し、謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 また、未曽有の豪雨災害により亡くなられた方々に衷心より哀悼の意を表するとともに、被災された多くの皆様にお見舞いを申し上げます。
 このたび、都民の負託を得て、新たに都議会がスタートいたしました。都議会自民党は、第一会派として、都民のため全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げ、質問に入ります。
 現在、首都圏の感染者の大半がデルタ株といわれております。ウイルス量が従来の千倍ともいわれ、インフルエンザの三から四倍の感染力を有し、専門家からも、従来の新型コロナウイルスとは別物と考えるべきと指摘がされています。感染力、重症化リスクの点から、若い世代にとっても脅威のウイルスに変容しつつあるといえます。
 昨日は、知事からも、我々がなすべきは、デルタ株の脅威を正しく認識することとの発言もありました。
 医療非常事態にある現在、限られた医療資源を生かすとともに、長期化するコロナ禍で傷んだ都民の生活と社会経済活動を支えるといった大変難しい局面にありますが、共に知恵を絞り、一つずつ目の前の課題と対峙し、解決に向けて全力で取り組んでまいります。
 本臨時会に付託された議案は、新型コロナウイルス感染拡大防止等に係る補正予算及び専決処分の計四件、一兆八百六十三億円の予算ですが、都民の命と健康に直結する重要な予算です。
 先日、自宅療養中の基礎疾患のない三十代の方や、親子で感染していた四十代の母親が、その後急変し亡くなられたとの報道も相次いでいます。これまでと感染状況が変容していることを痛切に感じております。
 医療資源は急に増やすことはできません。今回の重症者の病床確保を優先する判断については支持するものですが、自宅療養者が安心できる環境や、急変した際のフォロー体制の整備は不可欠です。
 都が、我が会派の提案を速やかに反映し、フォローアップセンターを五十回線から百五十回線に大幅に増強したことは評価いたしますが、自宅療養者の経過観察やフォローアップ体制はさらなる拡充が必要です。今後の改善策について伺います。
 十三日、東京都医師会より、夜間帯のオンライン診療体制を整備するなどの自宅療養者に向けた支援策が発表されました。都は昨春にも試験的にオンライン診療の取組を進めており、急増する自宅療養者の見守り拡充の点からも後押しすべきと考えます。
 発表内容によれば、一日当たり百から二百名の患者対応を想定しているとのことですが、現在の自宅療養者数を考慮すれば、さらなる拡充が必要です。
 都は、こうした自宅療養者への見守り支援について医師会と連携を強化するとともに、拡充に向けた支援策も講じる必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 今回の補正予算において、酸素ステーションの設置、四十億一千万円が計上されました。自宅療養者の安全・安心を確保するために資する取組として期待されます。
 まずは、医師の常駐の下、二十四時間体制で、渋谷区の都民の城に最大百三十床で設置され、二十一日より活用されるとのことですが、自宅療養中の感染者は都内全域で急増しています。
 区部東部や三多摩地域などにも早期増設が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 先週から続く記録的な大雨により、日本各地で甚大な被害が発生しています。河川の氾濫や土砂災害が相次ぐなど、命の危険に直面する深刻な事態です。都内でも各所で避難指示が発令されました。
 都は昨年六月に、避難所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを公表していますが、コロナの感染状況が大きく変容する中、ガイドラインの見直しや改定も必要と考えます。都の見解を伺います。
 そもそも、三多摩地域の市町村は保健所の情報が共有されておらず、自宅療養者の情報を持っていません。避難誘導したくとも行うことができないのが現状です。
 今後も、今回のようなパンデミックの際には、都民の生命や健康を守るため、これまでにも増して、都の保健所と市町村が様々な課題に連携して対応していくことが重要と考えます。都の見解を伺います。
 自宅療養を余儀なくされている感染者の中には、家族の中に介護、養育を必要とする方がいる場合があります。こうした方にとって、家庭内で対応することは大変難しい状況です。
 こうした感染者や家庭に対する支援が重要と考えますが、都の見解を伺います。
 コロナ感染拡大とともに救急車の出動回数は大幅に増加しています。中でも、受入れ照会回数四回以上で現場滞在時間三十分以上の事案である救急搬送困難事案の件数が急増している点について大変危惧しています。
 都内における自宅療養者は、今月十七日時点で二万二千百六十四人となっており、中には急変する患者もいます。自宅療養を余儀なくされている方やご家族の不安は大きく、速やかな改善が期待されます。保健所や入院調整本部の機能強化をさらに進めることを強く求め、次の質問に移ります。
 自宅療養者による家庭内感染が増えつつある中、宿泊療養施設を希望しても入れないとの声が大きくなっています。
 一方で、宿泊療養施設の空室状況は改善していません。確保した室数と使用可能な室数にはおよそ二倍の乖離があり、現場の状況を正しく反映しているとはいえません。病床数もそうですが、現場の実態を少しでも正確に伝える数字で報告されることを求めます。
 このほか、十分に稼働できていない理由として、ワクチン接種などにも人手が取られ、看護師をはじめとする医療従事者の確保が難航しているとも聞いていますが、人材の確保など都の改善策を伺います。
 確保病床の使用率に比べて、医療体制の逼迫が著しい状況が続いています。こうしたギャップこそ都民の不安をいたずらにあおる原因となっており、即応病床など実態に即した医療体制の把握を求めます。
 国は、昨年より、医療機関等情報支援システム、G-MISを準備し活用することで、病床の状況の即時把握に努めています。
 都は、こうしたシステム活用が不十分ではないかとの指摘もあります。入退院の調整時間や準備、受入先の人員など、確保病床数では現れないボトルネックがあることも明らかです。
 今後、医療体制拡充、限られた医療資源の効率的な活用について、都の見解を伺います。
 入院待機中に容体が急変される感染者の方が後を絶ちません。
 我が会派では、待機中に酸素吸入できる収容施設、搬送困難対応入院待機ステーションを各地区に設置するなど増設は急務と考え、強く要望してきました。先日、都立病院など十一か所に開設し、三十六床確保されました。
 しかし、今なお感染者の増加は続いており、医療関係者からも三十六床では足らないとの声が上がっています。入院先の調整がつかず、入院待機になっている方が、入院まで安心して待機できる入院待機ステーションが必要です。区部には七月にも設置されていますが、多摩地域においても同様の施設が必要と考えます。都の見解を伺います。
 先週八月十二日に開かれた都の新型コロナウイルス感染症モニタリング会議では、専門家から、かつてないほどの速度で新規陽性者数が急増しており、制御不能な状態である、災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態である、重症患者も急増しており、医療提供体制が深刻な機能不全に陥っている等の分析結果が示されました。
 都民の生命に直結する重症患者や、重症化する可能性の高い中等症患者を病院で診ることができないという事態は何としても避けなければなりません。都は、酸素ステーションの設置を進めていますが、我が会派としても、追加提案をさせていただきます。
 例えば、都が現在借りている日本財団災害危機サポートセンターの一角、分かりやすくいえば、船の科学館の近くにある宿泊療養施設の一部を転用して、重症化するおそれがなくなった患者の受入先に特化したベッドの有効活用につながるよう、日本財団と調整すべきと考えます。小池知事の所見を伺います。
 ワクチン接種が先行するイスラエルやイギリスなどでは、国民全体の六割を超えた局面で感染や重症化の抑制効果が見られています。こうした知見を踏まえ、都も、各自治体、世代で偏ることなく、速やかな接種体制を構築すべきです。
 特に若者への感染が広がる中、若年層への接種を速やかに促進すべきとの声が強くなっております。こうした背景もあって、今回補正予算に計上されているネットメディアを活用したワクチン接種促進キャンペーンを企画されたと思いますが、モラルハザードを招き、逆効果となるのではないかといった批判もあります。こうした施策が効果を発揮するには、ワクチンの確保や副反応への不安払拭も同時に配慮が必要となります。
 施策の実効性を高めるために今後どのように取り組むのか、都の見解を伺います。
 都内でも、区市町村によってワクチン接種状況に大きなばらつきが生じております。先日は、都内複数の自治体の首長から、ワクチンの確保もままならない状況といった声明も都に提出されたと伺っております。集団接種の実務は区市町村でありますが、一定期間稼働が進み、また職域接種や都独自の大規模接種会場など、ワクチン接種のルートが多様化しています。
 広域自治体である東京都として、区市町村ごとの今後のワクチン需要と供給量や接種状況の実態を適切に把握するとともに、接種実績を公表することは都の責務です。
 都民全体のワクチン接種率を速やかに向上させるため、都は、こうした調整機能をより積極的に果たすべきと考えます。今後どのように取り組むのか伺います。
 都内でも約四百七十六万人の方が二回のワクチン接種が完了しましたが、全体の三割強であり、さらなる加速が期待されます。
 こうした中、職域接種会場において、ワクチン接種を希望する妊婦の方が会場で断られたとの報道がありました。産婦人科学会も妊婦へのワクチン接種を推奨しており、ご本人やご家族のみならず、社会全体としても理解を深める必要があります。
 現在、妊婦の方の感染者も増えており、重症化した場合には中絶や子供に重度の障害が残る可能性も懸念されております。
 都は、ワクチン接種を希望する妊婦への接種についてどのように考えるのか、見解を伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大から一年半余り経過する中、国では、飲食店の休業や時短営業要請に伴う影響が長期化し、経営が一層困難になるおそれがあることを踏まえ、酒類販売事業者に対する支援の充実を打ち出しました。
 また、酒類販売事業者だけでなく、都内では様々な事業者が営業活動を行っており、外出自粛等の影響を受けています。都内ではあらゆる業種の事業者が苦境に立たされており、都に対して、事業者に寄り添った独自の支援を求める声が日増しに強くなっています。
 こうした状況を踏まえ、我が会派は、緊急事態宣言の延長を受け、都の月次支援給付金の増額に関して緊急要望を行ったところです。
 都内中小企業の経営を下支えするために、都の月次支援給付金について、国の支援と相乗効果を発揮させるよう支援を組み合わせ、厳しい状況にある事業者を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 都はこれまで、飲食店等における酒類提供禁止など、飲食店に対して厳しい制約を課してきました。また、感染防止のガイドライン遵守や感染防止徹底宣言ステッカーの掲示、コロナ対策リーダーの選任、登録なども行ってきました。
 しかし、実際には、それらを遵守していない事業者が後を絶たず、モラルハザードが起きつつあります。
 また、今春には、既存売上げに応じた支援金支給など、ルールの見直しも行っておりますが、今なお不公平感は根強くあります。改めて公平公正な運用を求め、次の質問に移ります。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期にわたり、経済は大きなダメージを受け、雇用環境もなかなか回復の兆しが見えません。都内でも、この間、非正規雇用で働く方々などの解雇や雇い止めが数多く発生しています。コロナ禍がもたらすストレスや孤独感に加え、職を失ったことで将来が見通せないという出口の見えない不安を抱えている方々に対して、こうした切迫した状況から早期に脱するための再就職支援が求められています。
 特に今回、コロナ禍の影響を直接的に受けている飲食業や宿泊業界等においては、これまで多くの方々が離職を余儀なくされています。いまだこれらの業界の回復が見通せないことから、同じ業種での再就職が困難な状況にあり、未経験の業種への再就職も視野に入れた支援も重要です。
 都は、現下の雇用情勢を踏まえつつ、求職者一人一人の事情に合った再就職支援を実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍の長期化は、医療関係のみならず、ひとり親家庭や子育て世帯、高齢者にとっても大変重たい負担となっています。
 長きにわたり自粛を余儀なくされている高齢者の孤独を防止し、心身ともに健康に暮らせるよう支援策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 コロナ禍の終息に向けて、様々な活動自粛を都民や都内事業者に要請していますが、ゼロコロナではなく、昨春に知事が発せられたウイズコロナという考え方を改めて都民に訴えることが重要だと考えます。
 感染抑制と社会全体、都民生活の両立が期待されますが、今後どのようにバランスを図るのか、知事の見解を伺います。
 緊急事態宣言が継続している中、来週後半には夏休みが終了し再開する学校もあります。このような中、修学旅行や林間学校を予定している学校も多く、昨年に引き続き中止となってしまうと、子供たちの貴重な体験学習の場を二年連続で奪うことになってしまいます。
 文部科学省は、修学旅行は児童生徒の心情を考慮して、適切な感染対策を講じた上で、学習指導要領上、大切な教育活動であることから、実施するよう各自治体にお願いしております。
 これを受けて、修学旅行や林間学校などの体験活動の実施の重要性と子供たちの学びについて、知事の見解を伺います。
 厚労省、警察庁の統計によれば、令和二年に子供の自殺者数が四百九十八人となり、令和元年度比で百人増加しています。これに加え、十八歳以下の自殺は、夏休み明けとなる八月末から九月にかけて、まさにこれからの数日が一年で一番子供の自殺が多い時期を迎えます。
 今年は、特にコロナによる学校生活や、経済不安も含めた家庭事情の悪化もあり、特に影響が懸念されます。長期休業中における児童生徒へのメンタルケアや相談機能の拡充がすぐにも必要と考えますが、都教育長の見解を伺います。
 緊急事態宣言下では、部活動は原則中止となっていますが、例外として、心身健康等の維持のための活動が、校長の責任の下、認められるなど、取扱いが大変分かりにくくなっています。当事者である生徒には混乱と不満が鬱積しています。
 既存の通知の内容を見直すなど、判断の基準や考え方を明確にすべきと考えますが、見解を伺います。
 いよいよ来週からパラリンピック大会が開催を迎えます。我が会派ではかねてより、東京の子供たちに観戦の機会をつくりたいと要望を重ねてきました。先日は小池知事にも要望書をお渡ししたところ、まさに私も同じ思いですとの言葉とともに、ご自身が視察された二〇一六年リオ大会での感動についてもお話を伺いました。あと五日で開会式を迎える中、早期に判断し行動していかなければ、子供たちにも影響が生じてしまいます。
 感染状況を見極めつつ、最大限の感染対策を講じることが前提となりますが、子供たちのパラリンピック競技観戦に向け、学校と競技会場との送迎に貸切バスを利用するなど、安全な観戦の実施に向けて、東京都において、きめ細やかな支援の下、実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 あわせて、パラリンピック大会の観戦に保護者の同意が得られないなどの理由により、児童生徒が参加しないことを選択した場合、どのように対応するのか、都の見解を伺います。
 一年以上に及ぶ休業や時短による経営の悪化、都民の自粛疲れは限界に達しています。都は国としっかり連携し、首都圏と一体となって、区市町村の実態を踏まえた各種対策を着実に推進していくことを改めて求めておきます。
 また、都は、国の対処方針に追随するだけではなく、一歩踏み込んだ都独自の支援策の実行を強く求めるものであります。
 多くの懸案を抱えながらも、内外の評価を得た二〇二〇オリンピック大会は、先週閉幕しました。そして、間もなく、大会史上最多のアスリートの参加が見込まれるパラリンピック大会が開催されます。
 コロナ禍の状況を切り抜け、コロナ後の発展に道筋をつけていく努力がこれまで以上に求められます。ワクチン接種、自宅療養体制の改善、都内経済のセーフティーネット、学校運営のサポートなど、目前の課題への対応を迅速かつ的確に決断し実行するよう求めます。
 我が党は、責任と実行力のある都政の実現へ向けて、引き続き都民のために全力を尽くすことを固くお誓いを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 清水孝治議員の質問にお答えいたします。
 まず、宿泊療養施設の機能強化についてのお尋ねがありました。
 急激な感染拡大によって都内の重症患者数は急増しており、救急医療の現場におきまして、新規の患者を受け入れにくい状況が生じております。
 このため、都は、専門家のご意見も踏まえまして、医療を必要とする方に症状に応じた適切な医療を提供するために、緊急時の体制に移行しまして、医療機関の役割の明確化、宿泊療養施設の重点化などを進めることといたしております。
 お話の、現在、都が日本財団から借り受け、ペット同伴も可能な療養施設といたしておりますその施設を活用して、近隣の救急病院等から軽症や中等症となった患者を受け入れる、そのことは、当該病院で新たな患者が必要な医療を受けられるようになることからも大変有効と考えております。
 さらに、酸素濃縮器などを導入することで、引き続き酸素投与が必要な患者についても受入れは可能と存じます。
 今後、日本財団、そして近隣の病院等とも連携いたしまして、病院からの患者の受入先として必要な設備、そして体制の準備、整備を早急に進めまして、受入れ体制、受入れ機能の強化をさらに図ってまいります。
 二つ目、感染抑制と都民生活等への影響についてのお尋ねでございます。
 現在の感染状況ですが、デルタ株への置き換わりに伴って、爆発的に新規陽性者数や重症患者数が増加をいたしており、まさに災害級の非常事態でございます。
 都民、事業者の皆様方には多大なるご負担をおかけしておりますけれども、今は強い危機感を持ってあらゆる対策を尽くすときである、そのように考えております。
 そして、感染拡大の防止に向けた取組を徹底的に行うとともに、医療非常事態に対応できる体制を構築するなど、都庁といたしましての総力を挙げて全力で取り組んでおります。
 さらに、最大の武器でありますワクチンですが、希望する都民の皆様方全員に一刻も早く行き渡らせるように取組を加速してまいります。
 こうした取組で、この非常事態を乗り越えました際には、感染拡大の防止と社会経済活動の両立に向けて、これまで長きにわたって都民、そして事業者の皆様に要請してきました措置の見直しを図りまして、都民生活の回復につなげてまいります。
 そして、三つ目のご質問でございます、緊急事態宣言下における修学旅行などの取扱いについてでございます。
 修学旅行等の学校行事ですけれども、自然や文化に触れる体験を通じまして、次代を担う子供たちの人格形成に資する意義のある教育活動でございます。
 そして、現在、コロナとの闘いが始まって以来、最大の危機を迎えているわけでございますが、緊急事態宣言下におきまして、不要不急の外出や都県境を越える移動の自粛を都民の皆様方に対して強く呼びかけているところでございます。
 こうしたことから、都立学校におきましても、都県境を越える修学旅行等については中止または延期するということといたしておりますけれども、子供たちの心身の健康のために、学校現場において工夫をしながら学校行事を行っていくことは必要、このように考えております。
 一日も早く子供たちに安全・安心な教育環境を取り戻すためにも、コロナの感染の終息に向けまして、都の総力を挙げて取り組んでまいります。
 残余のご質問は、教育長、そして関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、長期休業明けに向けた児童生徒の心のケアについてでございますが、コロナ禍において活動の制約等が続く中、子供が漠然とした不安や深刻な悩みを一人で抱え込んでしまう心配がございます。
 そのため、都教育委員会は、日頃から教員による観察や会話を通じたきめ細かな状況把握、スクールカウンセラーとの面接、SNSを活用した相談先の周知など、子供の不安や悩みの解消に向けた取組を徹底しております。
 また、長期休業中の登校日や部活動での声かけ、保護者への連絡による家庭での様子の確認等を促しているところでございます。
 子供の心を育むためには、自らの可能性に気づくことが何よりも大切であり、長期休業明けという時期を捉えまして、全ての公立学校で、意識的に子供のよさや成長を見つけて一人一人に伝える期間といたしましてエールウイークを設定いたしまして、自己肯定感を高める取組を強化してまいります。
 次に、緊急事態宣言下の部活動の実施についてでございますが、都教育委員会では、部活動は競技中の身体接触や活動の前後の更衣室等における会話の機会が多いことから、緊急事態宣言下において原則中止としているところでございます。
 ただし、安全基準などに関するガイドラインを設けている高等学校体育連盟などが主催をする大会の出場に係る活動や、心身の健康等の維持のための活動については、継続的な健康観察の実施や活動日数の制限など、一定の条件の下、実施できることといたしております。
 緊急事態宣言期間が長期化する中で、部活動の教育的意義を踏まえ、これまでも部活動の実施基準につきましては適宜見直しを行ってきたところでございます。
 引き続き、今後の感染状況等を見極めながら、必要に応じて実施基準について検討してまいります。
 次に、学校連携観戦での貸切バスの利用についてでございますが、四者協議におきまして、パラリンピック競技観戦につきましては、自治体や学校設置者が希望する場合には、安全対策を講じた上で実施できるようにすることとされました。
 競技観戦に当たり、貸切バス等を利用したいと希望している自治体や学校がございますことから、関係機関と協議を行っているところでございます。
 具体的には、大会組織委員会や警察などと連携し、児童生徒がそれぞれの会場周辺で安全に乗り降りできる場所の確保や、会場ごとの乗降タイムスケジュールの設定等について調整を行っております。
 パラリンピック競技大会の観戦を希望する子供たちや学校が安全・安心に参加できるよう、万全を期してまいります。
 最後に、学校連携観戦に参加しない子供たちへの対応についてでございますが、競技観戦を希望している学校の児童生徒が、保護者の同意が得られず、競技会場に行かない場合などにつきましては、欠席扱いとせず、オリンピック・パラリンピックに関する課題学習に取り組む機会を別途提供するなど、柔軟に対応することといたしております。
 また、競技観戦を実施しない学校におきましても、アスリートに応援メッセージ動画を届けたり、学習を深めてきた国の選手が出場する競技をテレビ観戦したりするなどの取組を行っております。
 これらを通して、全ての児童生徒がオリンピック・パラリンピック競技大会の意義を理解できるよう取り組んでまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 十三点のご質問にお答えいたします。
 まず、自宅療養者フォローアップセンターについてでございますが、都は、昨年十一月に自宅療養者フォローアップセンターを開設し、本年一月から自宅療養者の健康観察の対象を保健所設置区市の区域に拡大するなど、自宅療養者への支援を拡充しております。
 センターでは、LINEまたは電話による健康観察のほか、容体が悪化した場合の医療相談やパルスオキシメーターの貸与などの健康面の支援と配食などの生活面の支援を一体的に実施しております。
 今月には、電話回線数を感染拡大前の五十回線から百五十回線に大幅に増強しており、今後とも、感染状況を踏まえながら、医療相談をはじめとする支援体制を強化してまいります。
 次に、自宅療養者への支援についてでございますが、都は、本年四月から、東京都医師会や各地区医師会、夜間、休日に往診等を行っている事業者と連携し、体調が悪化した自宅療養者に対し、電話、オンライン診療や往診を実施しております。
 感染拡大を受け、今月、東京都医師会に対し、本事業に参画可能な医師のさらなる確保など、地域における医療支援体制の強化について要請を行いました。
 また、この各地区医師会による取組に、広域的に在宅医療を実施している医療機関が新たに参画し、診療体制を拡充しております。
 今後も、これらの取組を通じて、東京都医師会等と連携し、自宅療養者への医療支援を強化してまいります。
 次に、酸素ステーションについてでございますが、自宅療養中の患者で自ら救急搬送を要請した方のうち、軽症の方を一時的に受け入れて、医師の管理の下、酸素投与等を行いながら経過観察する施設として、酸素ステーションを整備することといたしました。渋谷区内の旧国立総合児童センター、こどもの城を活用して、約百三十床の規模の酸素ステーションを設置いたします。
 今後、感染状況に応じて、地域バランスなどを考慮し、順次拡大していくなど、患者の症状に応じた受入れ体制の確保を図ってまいります。
 次に、避難所での新型コロナウイルス対策についてでございますが、都は昨年六月、区市町村の職員や避難所開設に当たる地域の方々等に向け、具体的な避難所内のゾーニングや動線、必要な物資等について、イラストなどを盛り込んだガイドラインを作成し、区市町村に周知いたしました。
 取組状況を調査したところ、昨年十一月時点で三十九自治体が新型コロナウイルス感染症対策について、それぞれ避難所管理運営のマニュアルに反映させております。
 引き続き、区市町村に対し、都のガイドラインを踏まえ、必要な対策をマニュアルに盛り込んでいただくよう働きかけるとともに、新たな知見が得られた際に、ガイドラインを随時更新してまいります。
 次に、都保健所と市町村の連携についてでございますが、都保健所はこれまで、管内市町村との連絡会等の機会を通じ、情報提供や意見交換を行うとともに、社会福祉施設で患者が発生した場合等には、所在地の市町村と連携して初動対応や感染拡大防止対策を実施してまいりました。
 都は今後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から終息に至るまでの都保健所の取組について検証した上で、改めてその在り方を検討していくこととしており、今年度は、必要な情報を収集するため、保健所の感染症対策業務に関する調査分析を実施いたします。
 この中で、都保健所と市町村の連携に関する課題の把握やその要因の分析を行う予定でございまして、その結果も踏まえ、連携の強化に向けて取り組んでまいります。
 次に、介護や養育が必要な家庭の自宅療養支援についてでございますが、自宅療養者フォローアップセンターでは、二十四時間対応の医療相談窓口を設置しております。
 この医療相談窓口には、自宅療養者自身の健康相談に加え、食事や掃除等の生活面や、妊娠中の療養についての相談、同居する家族の介護や養育など様々な相談が寄せられております。
 センターでは、国や関係機関等の専門相談窓口と連携するとともに、相談内容に応じて、適切な相談先の紹介等に努めており、今後も自宅療養者やその家族が抱える不安や悩みに応えられるよう、体制強化に努めてまいります。
 次に、宿泊療養施設の人材確保についてでございますが、宿泊療養施設では、看護師は、既に入所している方の日々の健康状況の確認に加え、新規の受入れ時には基礎疾患の状況やアレルギーの有無、その他詳細な聞き取りを行うため、その安定的な確保は重要でございます。
 そのため、都における新型コロナウイルス感染症患者等の診察や治療に携わる医療従事者への特殊勤務手当の支給等を踏まえまして、宿泊療養施設に勤務する会計年度任用看護師職員の報酬単価を設定するなど、待遇の向上を図っております。
 また、増加する宿泊療養施設の需要に対応するため、看護師のほか、准看護師等の確保を図るなど、健康管理業務を安定的に実施できる体制を整備してまいります。
 次に、病床の確保についてでございますが、都は、医療機関に対し、繰り返し説明会を開催し意見交換しながら、新型コロナ患者を受け入れる病床の確保を働きかけております。
 また、感染が急拡大していることから、緊急時の体制として、医療機関の役割の明確化を進めており、特に軽症、中等症患者を受け入れる医療機関には、重症、中等症の医療機関で症状が改善した患者の受入れなどの役割を担っていただくことといたしました。
 さらに、病床確保料等の補助金を受けている医療機関に対し、都からの入院受入れ要請があった場合には正当な理由なく断らないよう強く働きかけており、今後も関係機関と連携しながら、限られた医療資源を最大限活用し、医療提供体制の確保を図ってまいります。
 次に、入院待機ステーションについてでございますが、入院待機ステーションは、病床が逼迫し、入院治療が必要な患者が入院できず待機となる場合に一時的に受け入れる施設であり、医師の管理下で酸素や点滴などの必要な医療処置を実施しております。
 本年七月に、葛飾区内の医療機関に入院待機ステーションを設置し、運用を行っております。次の入院待機ステーションの候補として、八王子市内の医療機関の敷地内に十数床を設置するよう、現在調整をしております。
 次に、ワクチン接種促進キャンペーン事業についてでございますが、新型コロナの感染拡大を抑えるためには、多くの方がワクチンを接種することが重要でございますが、若年層のワクチン接種への意欲は他の世代と比べ低いという報告がございます。
 そのため、若年層の方がワクチンの安全性等に関する正しい知識を身につけ、接種を前向きに受けられるよう、効果的な普及啓発を行ってまいります。
 また、広く普及している民間のアプリに、記録の電子化をはじめとした機能を持たせてワクチン接種への機運醸成を図るほか、接種済みの方には、併せて特典を提供する予定でございます。
 今後、ワクチンが円滑に供給され、十分な量を確保した状況下でキャンペーンを展開し、接種をためらっている方を後押ししてまいります。
 次に、ワクチンの接種促進についてでございますが、都はこれまで、ワクチンチームや区市町村長会等々を通じた意見交換や情報共有などにより、区市町村における接種状況等の把握に努めるとともに、ワクチンの需給量の確認を行い、クールごとの区市町村別配分数を都のホームページで公表しております。
 一方、各自治体の接種実績は、ワクチン接種記録システム、VRSに入力された接種情報に基づき把握可能となりますが、現状では職域接種や医療従事者等の実績入力に遅れが見られるなど、接種の実態とVRSのデータが整合していない課題がございます。
 こうした点を踏まえ、各自治体の接種実績の公表については、住民接種の実施主体である区市町村と丁寧に意見交換を重ねながら、きめ細かく調整を行ってまいります。
 次に、妊婦の方へのワクチン接種についてでございますが、日本産科婦人科学会が時期を問わず接種を勧める旨の文書を発表しており、こうした知見を踏まえ、都としても、今後、接種を推進していくことが必要と考えております。
 区市町村においては、かかりつけ医の確認の上で妊婦の方がワクチンを接種できる病院の確保や、産婦人科医のメッセージの配信など、独自の取組を進めている自治体もございます。
 今後、都としても、希望する妊婦の方が身近な地域で速やかにワクチン接種を受けることができるよう、接種主体である区市町村と連携しながら取り組んでまいります。
 最後に、コロナ禍における高齢者への支援についてでございますが、外出自粛等の長期化により、他者との交流機会が減少し、高齢者の心身機能の低下が危惧されております。
 このため、都は今年度、高齢者にタブレット端末などの使い方をサポートしながら、オンラインで仲間と一緒に行う体操や趣味活動などを支援する区市町村に補助を開始いたしました。既に十三の区市でこの取組が進んでおり、今後、こうした区市の事例を紹介し、より多くの区市町村で取り組まれるよう働きかけてまいります。
 また、見守りセンサーなどのデジタル技術を活用する区市町村を支援するほか、個別訪問とSNSや電話を組み合わせた手法の活用など、ポストコロナを見据えた見守りの在り方についても検討をしております。
 引き続き、コロナ禍における高齢者の孤立防止等に取り組んでまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都中小企業者等月次支援給付金についてですが、都は、国の制度と連携いたしまして、コロナ禍において大幅に売上げを減らした事業者への支援を行ってまいりました。今般、国の酒類販売事業者に係る制度変更を踏まえまして、七〇%以上売上げ減少した事業者への加算に加えて、二か月連続で一五%以上売上げ減少した事業者を新たに支給対象としたところでございます。
 また、急激な感染拡大により、厳しい経営環境に置かれております酒類販売以外の事業者に対しまして、都独自の支援を拡充いたします。
 具体的には、五〇%以上売上げが減少した事業者に対しまして、国制度と合わせて月額で最大三十万円を、また、二か月連続で三〇%以上売上げが減少した事業者に対しまして、月額で最大十五万円をそれぞれ支給いたします。
 お話のございました国の制度との連携を深めまして、厳しい状況にある中小企業等の経営を着実に下支えしてまいります。
 次に、雇用情勢等を踏まえた再就職支援についてですが、コロナ禍で離職された方々の早期の再就職を実現するためには、求職者の多様なニーズを踏まえ、成長産業や人手不足が続く業種等において雇用を確保していく取組が重要でございます。
 このため、都は、ITなどの成長産業におきまして、トライアル就労の機会を数多く提供し、正社員での再就職を支援しているところでございます。また、介護など人材確保に課題を抱えている業界団体と連携いたしまして、講習と就職面接会を組み合わせた就労支援プログラムを実施しております。
 今後さらに、建設や病院給食などの人手が不足している業界と連携した支援プログラムを順次開始するなど、離職された方々の再就職を後押ししてまいります。

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