平成二十九年第二回臨時会会議録第十二号

○議長(尾崎大介君) 十一番山内れい子さん。
〔十一番山内れい子君登壇〕

○十一番(山内れい子君) 都議会生活者ネットワークの山内れい子です。
 まず、環境アセスメントについて伺います。
 二〇一一年七月に中央卸売市場が出した環境影響評価書では、主要な建物の下に盛り土が施されることが明記されていました。ところが、実際には発注内容と違い、盛り土はありませんでした。これは虚偽記載であり、環境アセスメント条例違反であると生活者ネットワークは昨年十月、一般質問で指摘したところです。今回、八月十日、事実に合わせて変更届が提出されました。
 本来、盛り土を行わず、地下ピット、地下空間をつくることは、まさに環境に重大な影響を及ぼすことであり、変更届ではなく、アセスメントのやり直しを行うべきだったと考えます。たとえ時間がかかろうとも、法や条例の精神を踏まえれば、変更届で済ませてはなりません。
 しかし、環境局は二十一日に再アセスは不要と決定し、二十八日、環境影響評価審議会に報告しました。審議会では会長も、評価書の内容と異なる工事が実施され、制度の信頼性が損なわれる事態が発生した、強く遺憾の意を表したいと述べたと報道されています。
 改めて、なぜアセスメントのやり直しが不要なのか、都の見解を伺います。
 知事は、専門家会議の環境基準以下を目指すことは難しいとの見解を踏まえて、都議会定例会や築地市場訪問において無害化するとの約束を守れなかったことを陳謝しました。今回の補正予算は、無害化にかわる新たな方針とされています。
 しかし、そもそも専門家会議の議論や提言、見解などについて生活者ネットワークはたびたび疑問を呈し、専門家会議の委員の交代や補充などの提案もしました。私は、改めて専門家会議のあり方に問題があったことを指摘します。
 さらに、市場問題プロジェクトチームには、専門家会議の評価とは違った視点で検討することを要望しましたが、残念ながら専門家会議の取りまとめを追認しただけにとどまりました。
 そして、今回提案の追加工事、中でも地下水管理システムの機能強化対策は、いわゆる不透水層からの汚染水の上昇には対応できず、また、大地震による液状化のおそれもあって、将来にわたって有効だとはとても考えられません。
 東京ガス工場跡地を選んだがために、今回の工事だけで完了とはならず、汚染対策のため、今後数十年にわたって追加工事が必要となるのではないかと懸念しますが、都の見解を伺います。
 今回の補正予算における築地の再開発に向けた検討は、わずか二千万円にすぎず、検討のための調査費用ということでは、築地の事業者の理解を得られるものではありません。なぜ市場機能を入れた具体的な方針を明確にできないのか疑問に思います。
 知事の六月二十日の記者会見資料によれば、方針として新たな築地の姿が示され、仲卸の目ききを生かした競り、市場内取引を確保、発展させると記されています。しかし、今回の補正予算の内容では、知事方針の具体化が担保されているとは考えられません。
 改めて、築地の将来像と、再整備ではなく再開発とした理由について知事に伺います。
 築地で事業を続けたいと考えている事業者は、築地は守るという知事の基本方針に期待を寄せました。こうした事業者の期待に対して、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、市場の規模について伺います。
 気候変動や乱獲による水産資源の枯渇など、魚を取り巻く環境は大きく変化し、流通についても、運転手不足で物流、運送が滞る事態を迎えています。
 既に市場外流通の増加などで卸売市場の取引数量は減少しており、今後の人口減少や流通のあり方を考えると、市場規模について考えていく必要があります。市場問題プロジェクトチームの第一次報告書でも、都が運営している中央卸売市場全体について経営戦略の必要性が述べられています。
 こうした中で、巨大な豊洲市場を動かしていくことが、過大な公共施設の一つとして、将来東京都の重荷になっていくのではないかと考えておりますが、知事の見解をお伺いいたしまして、都議会生活者ネットワークの質問を終わりたいと思います。
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 山内れい子議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、築地の将来像についてのご質問がございました。
 築地市場の現在地再整備については、これまで何度も議論はございました。しかし、営業しながらの工事は困難であるなど、さまざまな問題から実現に至らなかったという経緯がございます。
 こうした経緯を踏まえまして、築地市場を豊洲へと移転し、豊洲市場は継続的に中央卸売市場として運営をしていくということといたしました。
 一方で、築地は都心に近いという大変好立地にございます。そして、多くの方々の努力によって築かれてきた築地ブランドがございます。さまざまなポテンシャルを有していることから、東京のさらなる成長に向けてその魅力を最大限に生かした再開発を行っていく所存でございます。
 築地の将来像については、今回提案をしております補正予算の成立後に、速やかに築地再開発検討会議を設置いたしまして、まちづくりの観点からも夢のある姿を描いてまいりたいと考えております。
 市場会計の持続可能性について、物流、市場流通、人口減少に伴う消費動向の変化などのご指摘がございました。卸売市場を取り巻く今後の状況の変化を見据えた経営戦略の必要性につきましては、かねてより認識をいたしております。そして、市場のあり方戦略本部などにおいても、これらの点について検証も行ってまいりました。
 豊洲と築地の両方を生かすという基本方針の実現に向けましても、市場会計が長期にわたって持続可能性を確保することが前提となるわけでございます。そのため、築地の再開発に当たりましては、先ほど申し上げました築地が持つロケーションを最大限に生かしながら、資金面、財政面からのさまざまな試算を行い、精査を進め、経済合理性を確保してまいる所存でございます。
 また、豊洲市場の企業債の返済を着実に行うとともに、コスト削減や収入確保など、経営の改善策を具体化してまいりたいと考えております。財政収支の観点から、市場会計全体として継続的に事業が運営できるよう持続可能性を追求してまいります。
 その他のご質問につきましては、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 豊洲市場の環境アセスメントについてでございますが、今回、中央卸売市場から提出された変更届では、水質汚濁、土壌汚染及び廃棄物の三項目について、予測、評価を見直し、いずれも今回の変更に伴う環境への影響は小さく、変更前後で評価の結論に変更がないとされており、根拠データや資料からこの評価が妥当であることを確認したものでございます。
 このため、今回の変更は、再アセスメントの実施が必要な環境に著しい影響を及ぼすおそれがある変更には当たらないものと判断したものでございます。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地下水管理システムの機能強化についてですが、専門家会議は、地下水モニタリングの結果や地下水管理システムの稼働状況を踏まえた上で、地下水管理システムの揚水機能の強化が必要と提言いたしました。また、この提言も踏まえて、さきの関係局長会議では、無害化にかわる新たな方針が定められたところでございます。
 都といたしましては、専門家会議の提言と新たな方針に基づいて地下水管理システムの機能強化対策を着実に実施し、地下水位を管理するとともに中長期的な水質改善を図り、豊洲市場の安全性の向上を目指してまいります。
 なお、豊洲市場の用地では、敷地全域に液状化対策を実施しており、大地震でも液状化の可能性が低いことは、市場問題プロジェクトチームで確認していただいております。
 次に、築地再開発の取り組みについてでございますが、築地の再開発につきましては、そのロケーションを最大限に生かした夢のある姿を描いていくため、今後、築地再開発検討会議を設置して検討を進めることとしております。築地エリアが有するポテンシャルを生かして、多様な観点からまちづくりを検討する予定でございまして、こうした動きの中で、将来築地に戻ることを希望する仲卸業者に応えるためのさまざまな方策についても、豊洲市場移転後の状況も踏まえながら検討を行うこととしております。

○議長(尾崎大介君) 以上をもって質疑は終わりました。

ページ先頭に戻る