平成二十九年第二回臨時会会議録第十二号

○副議長(長橋桂一君) 九番やながせ裕文君。
〔九番やながせ裕文君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕

○九番(やながせ裕文君) これまでの答弁を聞いてきましたけれども、このままでは補正予算にとても賛成することはできないと考えます。豊洲への早期移転に向けて準備をしていくことには賛成ですけれども、築地をどう守るのか、その姿が全くわからないからであります。築地の再開発なるものが都民の利益を毀損することがないのか、全体像の見えない再開発の調査に安易に賛成はできないということを、まず述べておきたいと思います。
 まず、築地を守るとした基本方針の前提についてですが、六月二十日に知事が発表した基本方針は誰が作成したのか、基本方針や資料の作成に東京都顧問の関与はないのか、これを伺います。
 知事は築地に食のテーマパークをつくると基本方針で示されましたが、このテーマパークはどのようなものなのか、これが全く説明をされていません。詳細な絵はこれから描くとしても、USJのようなものなのか、ラーメン博物館なのか、それともデパートの地下のようなものなのか、これは全てテーマパークといえるんですけれども、規模も形も違います。そもそも市場なのか市場でないのか。知事の頭の中にある、このテーマパーク、これをできるだけ詳細に説明していただきたいと思います。
 これがなぜ重要かというと、築地の貸付金額に大きな影響を与えるからであります。財務局の試算では築地の土地は年間百六十億円で貸し付けができる、だから、二十億円程度の経常黒字を出すことができ、経営持続性を確保できるとなっていますが、これは正しいのか。あくまで、この百六十億円というのは、全ての土地開発を民間事業者にお任せすることを想定したもの。テーマパークの規模によっては、当然土地の使い方を制限することになりますから、相当額が減額されることになる。
 そこで、この試算額百六十億円の賃料収入とは、食のテーマパークとして土地の用途を制限したことを織り込んだ見込み額なのかどうか。また、その検証をしたのか伺います。
 現状のままでは市場会計は平成三十三年に資金ショートが発生し、破綻するという深刻な状況にあります。この綱渡り状態の中において余りにも試算が雑ではないか。将来重大な事態を引き起こすことがないという明快な根拠をお示しいただかなければ、とても認めることはできないと申し上げておきます。
 また、知事は豊洲移転後、希望する仲卸業者には築地に戻ってきてもらうと述べていますが、これは市場の機能を分離させようということなのか。市場は鮮魚と青果、卸と仲卸、関連事業者が一体的に集積することによって、その強みを発揮すると考えますが、豊洲から仲卸がこぞって移転をすることになれば、豊洲市場の機能は確実に低下することになります。
 そこで、知事は豊洲市場における仲卸の役割についてどのようにお考えなのか、これを伺います。
 知事は市場業者の不安に寄り添うとおっしゃっています。豊洲移転に向けて市場業者の丁寧な合意形成が必要不可欠ですが、混乱を生じさせているのが知事が任命した小島顧問です。仲卸業者を集めて私的な勉強会を複数回行っていますが、仲卸は先細りだ、ただ、知事の方針に従えば悪いようにはしないという趣旨の発言を繰り返しています。
 参加した方と会いましたが、恫喝を受けているように感じたといっていました。早急な合意形成は必要ですが、このような不安をあおり、恫喝まがいのやり方は明らかに間違っていますし、許されるものではありません。小島顧問のこのような活動の実態について、知事は責任を持って調査するべきではないかと考えますが、見解を伺います。
 また、この間の小島顧問の言動が特別顧問設置要綱の五条における守秘義務違反、都職員の信用を傷つける行為に該当する可能性があり、特別顧問の解職事由に相当すると考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、都議会も都庁も、長きにわたって、この移転問題で市場業者の皆さんを振り回してきました。築地で再整備ができると夢を与えて、実現することはできず、失望させてきた。何度も何度も同じことを繰り返してきたんです。申しわけない思いでいっぱいであります。
 今、豊洲市場は完成しました。小池知事は、折衷をして、豊洲に移転はするが、築地に帰る場所を用意するといいました。これは本当にそんなことが実現できるんですか。知事の任期はあと三年。築地で再開発に着工するのは五年後。知事は五年後にはいないから、また空手形となるのではないかという批判があります。
 こういった発言に対して、知事は五年後もみずから下した決断を責任を持ってやり遂げるという覚悟がおありなのかどうか、この点をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) やながせ裕文議員のご質問にお答えをいたします。
 まず基本方針の作成などにつきまして二問ご質問をいただきましたが、まとめてお答えをさせていただきます。
 開会日にも述べましたとおり、私が移転延期を決断して以降、専門家会議、市場問題プロジェクトチームの検討、そして市場のあり方戦略本部での総点検など幅広い議論が行われ、また、この間、新しい事実も明らかになったところでございます。
 そうしたことを踏まえまして、都知事として熟慮を重ねた結果、政策判断といたしまして、私の責任におきまして資料を作成し、基本方針としてお示しをした。これが六月二十日でございます。
 基本方針や資料の作成につきましては、内外の専門家などのさまざまな意見を参考にしたところでございます。
 そして、食のテーマパークについてのご質問がございました。築地再開発を含めた市場移転に関する基本方針の公表に当たりまして、食のテーマパークについて語らせていただきました。築地のポテンシャルを生かした再開発の一つの考え方として示したものでございます。この方針をベースにいたしまして、行政の取り組みとしての具体化を図るために市場移転に関する関係局長会議を設けました。そして、そこでさまざまな要素を勘案した上で検討を進めます。そして、今後の取り組み内容を取りまとめるというところでございます。
 具体的には、市場の業者を初め、東京の食文化を担う多くの方々の努力によって脈々と築かれてきた築地ブランドを生かす、築地エリアが有するポテンシャルを引き続き活用して東京の魅力をさらに高めていく、そしてさらに、経済合理性を確保しながら民間の主導で再開発をする方向で検討をしてまいりたいと考えております。
 また、豊洲市場における仲卸業者の役割についてのご質問がございました。
 現在、都内の中央卸売市場では、国内外の産地から多種多様な生鮮食料品等が集められて、日々活発な取引が行われているところでございます。その中で仲卸の業者は、目ききの力を発揮して商品の品質、鮮度を適切に評価する、そして量販店などの多様な顧客の要望に応えた小分け、加工を行うなど重要な役割を担って、豊洲市場においても同様な役割を担うことを期待しているところでございます。
 そして、小島氏の活動について幾つかご質問がございました。
 小島顧問が市場関係者に招かれ、相談を受けて、それに対してご自身の見解を述べていることなどは承知をしておりますけれども、それは公務ではございません。プライベートの立場で行っておられると、このように認識をしております。
 そのため、小島氏のこの行動、活動につきまして私が指示をしているものではございません。調査することも考えておりません。
 小島氏が市場関係者に招かれて相談を受けたり、そしてまた、それに対して見解を述べておられるということについては聞いてはおりますが、こうした小島氏の言動については、小島氏の知識、経験や考え方に基づいているものでございます。そして、守秘義務に反しているとは考えておりません。その他非違行為に当たるとも考えておりません。
 よって、特別顧問の解職事由に当たるとは考えておりません。
 最後に、五年後についてのご質問がございました。
 私は、現在、未来を見据えた鳥の目で、二〇五〇年の東京のビジョンも描かせていただいているところでございます。五年後もさることながら、五十年後、百年後、都議会を担っておられる議員の皆様方も将来に対しての責任はひとしく背負っていると、このように考えております。それを一つ一つ丁寧に、そしてしっかりと確実に前に進めていくことが私の責任であると、このように考えております。
 以上です。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 築地市場用地の貸付料についてでございます。
 第三回市場のあり方戦略本部会議では、土地価格調査の中で区画割りを行った上で地価を推定し、直近の都有地の貸付事例をもとに、事業用用地は地価の三・六%、住宅用用地は地価の二・七%を乗じた額を試算のベースとしております。
 その上で、都有地貸付に当たりまして、公益施設の設置など一般的な貸付条件の制約を想定いたしまして、一〇%を減額した百六十億円を貸付料として試算したものでございます。

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