平成二十九年第二回臨時会会議録第十二号

   午後五時五十分開議

○副議長(長橋桂一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 五十四番西沢けいた君。
〔五十四番西沢けいた君登壇〕

○五十四番(西沢けいた君) 私は、都議会民進党を代表して、知事発言について小池知事並びに関係局長に伺います。
 私たち都議会民進党は、さきの都議会議員選挙において、豊洲移転は安全・安心が最優先と掲げ、追加対策の実施や情報公開の徹底、都民の理解と納得なくして豊洲市場への移転はあり得ませんと訴えてきました。
 また、二〇〇九年の都議会議員選挙では、築地市場の強引な移転反対を訴え、平成二十二年度の市場会計予算に対しては、無害化された安全な状態での開場を可能とすることなどとした付帯決議を、平成二十四年度の市場会計予算に対しては、築地での食文化の拠点が継承されるよう最大限努力することなどとした付帯決議を提案し、成立させてきました。
 こうしたことを踏まえ、以下質問をいたします。
 初めに、豊洲の土壌汚染対策についてです。
 平成二十二年三月の市場会計予算に対して、無害化された安全な状態での開場を可能とすることとの付帯決議を付したのは都議会であり、中でも、私たち都議会民進党が率先して提案し、成立させてきました。
 この付帯決議が付された当時、東京都は、この無害化について、土壌を環境基準以下にすると答弁していました。しかし、付帯決議の翌年、平成二十三年二月二十三日の予算特別委員会において、東京都は、土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になることであるなどと、さらに踏み込んだ答弁をしています。
 このいわゆる無害化三条件と呼ばれている答弁について、プロジェクトチームの一次報告書では、専門的見地からは、当初から実現困難な条件であると切り捨てています。
 そこで、当時の答弁は、地下水中の汚染も環境基準以下となる見込みがあっての答弁だったのか、見解を伺います。また、地下水も環境基準以下になる見込みがあったのであれば、その背景となる根拠について見解を伺います。
 当時、いわゆる無害化三条件を答弁するに当たっては、専門家などに対して、当然、意見を求めたものと考えますが、事実関係及び専門家の意見などについて見解を伺います。
 なぜ、東京都が答弁した無害化三条件がクリアされなかったのか。私たちは、その原因を解明しなければ、また同じことを繰り返すのではないかと考えています。
 一方で、小池知事は、豊洲市場用地の土壌汚染対策に係る無害化にかわる新たな方針の中で、環境基準を達成できていない現状を真摯に受けとめ、その反省を踏まえた上で、安全で安心な市場の実現に向け、専門的、科学的で妥当な対策を講じるとしています。
 そこで、ここでいうところの反省とは具体的に何であるのか、知事の見解を伺います。
 豊洲に移転するのであれば、安全宣言をしてほしいと願う市場関係者も少なくありません。二〇一四年十二月九日の舛添前都知事の定例記者会見での発言を事実上の安全宣言とする指摘もありますが、その後、盛り土問題などがあったことを踏まえると、納得できるものではありません。この間、小池知事は、安全と安心は違うとしつつも、法的にも科学的にも安全と述べています。
 そこで、改めて、小池知事は豊洲市場が心の底から安全だと確信をしているのか、お伺いをいたします。
 豊洲移転は、安全・安心が最優先です。私たちは、追加対策工事を着実に実施し、情報公開の徹底、追加対策の効果が確実に上がっていることなどを都民と継続的に共有しながら、理解と納得を積み重ねていくことが必要であると考えます。
 加えて、モニタリングを継続する中で、万が一、理解しがたい数値が検出されるなどした場合、専門家の意見を聞きながら、さらなる追加対策の実施も含め、豊洲の安全・安心に万全を期すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、築地のまちづくりについて伺います。
 私たち都議会民進党は、平成二十四年二月七日、築地市場のある中央区と東京都が築地のまちづくりに関する合意を締結したことを踏まえ、平成二十四年度の市場会計予算に対して、築地での食文化の拠点が継承されるよう最大限努力することなどとした付帯決議を提案し、成立させてきました。
 したがって、私たちは築地での食文化の拠点継承を進めるという立場であり、六月二十日に知事が発表した食のテーマパーク構想について、大いに注目をしています。
 しかし、一昨日の所信では、食のテーマパーク構想への言及は一切なく、その説明もありませんでした。仲卸などの期待をあおるだけあおっての方針変更であれば、信用問題です。
 一昨日の所信で、小池知事は、食のテーマパーク構想になぜ触れなかったのか、方針を変更したのか、見解を伺います。
 小池知事は、豊洲が市場法に基づく市場になる一方で、築地については、法改正もにらみながら、一番市場としての機能が確保できるための方策を見出していきたい旨述べるにとどめており、このことは、築地は市場法の市場にならないことを示唆しています。
 知事の思いは、市場法という枠組みよりも、仲卸を中心とした目ききのわざ、目ききの技術を後世に伝え、生かしていきたいということに重きを置いているものと理解をするものですが、築地で競りを行うのか、卸は築地に来るのか、具体的に築地で市場機能をどう確保するのか、知事の見解を伺います。
 六月二十日、小池知事は築地市場を五年後を目途に再開発すると述べましたが、これを聞き、五年我慢すれば築地に戻れると思った水産仲卸の人たちは少なくありませんでした。
 プロジェクトチームの小島座長が、水産仲卸有志の勉強会において、五年後に戻れる旨発言をしているとも聞いており、こうしたことが誤解に拍車をかけたようにも思います。
 さきの委員会では、東京都は五年以内の着工を目指すと答弁をしましたが、着工か完了か、これを曖昧にして、五年後という数字だけひとり歩きさせた六月二十日の知事発言は、いつ築地に戻れるのかと期待する人たちに対しては、極めて不誠実です。
 六月二十日の時点で、小池知事は、みずから発言した五年後が、着工時期か完成時期か承知をしていたのか、知事の見解を伺います。
 承知していたのであれば、なぜ着工時期か完成時期かを述べなかったのか。承知していなかったのであれば、なぜあえて誤解を招く形で五年後という数字をひとり歩きさせたのか、知事の見解を伺います。
 あわせて、築地の再開発に向けた進め方について、示されている、一、築地の持つ地域特性やポテンシャルの検討、二、開発コンセプト等の具体化、三、民間事業者の募集、選定、四、設計、土壌・埋蔵文化財調査、五、再開発工事、このスケジュールについて、それぞれどの程度の期間を想定しているのか、具体的な再開発の想定スケジュールをお伺いいたします。
 次に、知事の政策決定過程について伺います。
 六月二十日の方針発表における小池知事の政策決定過程は極めて不透明です。財源についても、小池知事は、関係局長が集まった会議で、既にA案、B案、C案、D案と各種の数字が出てきている旨述べていますが、知事の方針は、そのどれにも当てはまりません。
 小池知事は、最後の決定はAI、人工知能と述べていますが、特に、社会的にも注目される市場問題の政策決定過程が不透明であってはなりません。
 私は、市場問題こそ、その政策決定過程を議会や都民と共有し、決定すべきであったと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、知事は、今回の政策決定過程について、回想録に残すことはできるかと思っていると定例会見で述べていますが、回想録にお書きになるであろうことについて、今、この場で述べていただきたいと思います。知事の見解を伺います。
 私たち都議会民進党は、小池都政に対して、改革は積極的に進める一方で、都政へのチェック機能も適切に果たしていくという立場です。しかし、チェック機能を果たす上で、時間もまだまだ足りません。知事とも、一問一答形式で議論を深めたかったと感じます。
 私たち都議会民進党は、予算特別委員会の設置を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 西沢けいた議員のご質問にお答えをさせていただきます。
 まず、無害化にかわる新たな方針についてのご質問がございました。
 豊洲市場の用地をめぐるこれまでの議論の中で、土壌、そして地下水を環境基準以下にする、すなわち無害化を達成することが大きな課題となって、そして都議会においても付帯決議が付されたこと、ただいまの西沢議員のご質問の中にも、その経緯がずっと述べられておりました。
 そして、都議会、都政、それぞれこの目標に向けて、他に類のない水準の土壌汚染対策が行われて、汚染の大幅な改善は図られたものの、結果とすれば、環境基準以下という目標が達成されていないということでございまして、私は都民との約束が果たされていないという観点から、先般の都議会において、おわびをしたところでございます。
 こうしたことを真摯に反省して、現実的な取り組みを進める必要があるという判断でございます。
 無害化にかわる新たな方針といたしまして、専門家会議の提言を踏まえて、専門的で、科学的で、妥当な対策を講じる、地上の安全に万全を期すということとともに、地下水管理システムの適切な運用によって中長期的に水質の改善を図っていく、この専門家会議のご提言でございます。これに加えて、正確な情報発信を通じ、都民や事業者の理解を得ていくことといたしております。
 今後は、新たな方針に沿いまして、安全で安心な豊洲市場の実現に向けて邁進をしていきたいと考えております。
 豊洲市場の土壌汚染対策、それを経て、安全についてのご質問でございます。
 昨年八月の移転延期を決めて以降、豊洲市場では、ご承知のように、地下ピットが見つかったり、環境基準を超える地下水が検出されたりなどなど、さまざまなことが明らかになりました。
 こうした課題に対して、専門家会議等におきまして一つ一つ検証が行われてまいりました。そして、専門家会議は、豊洲市場は、土壌汚染対策法に基づく対策は的確に講じられ、法的、科学的には安全と評価を下したところでございます。
 その上で、今後、専門家会議が提言した追加対策を着実に実施する、そのことによって豊洲市場で事業を行う上での安全・安心を確保していく、この認識でございます。
 豊洲市場の土壌汚染対策について、安全・安心の確保に向けた取り組みについてのお尋ねがございました。
 豊洲市場における安全・安心の確保に向けて、まずは専門家会議の提言に基づいて追加対策工事を着実かつ確実に実施をする、そして工事の進捗状況に加えて、整備効果についても都民に対してわかりやすく丁寧に説明をしてまいります。
 さらに、専門家会議の評価を加えまして、大気、地下水の測定の結果などなど、豊洲市場に関する客観的なデータを正確に発信をしてまいります。それとともに、必要があれば専門家に相談をいたしまして、適切に対応していく所存でございます。
 無害化にかわる新たな方針に基づいて、こうした具体的な行動を継続的に行う、そのことによって豊洲市場の安全・安心に万全を期してまいりたいと考えております。
 続いて、築地について。
 まず、まちづくりについてのご質問がございました。
 六月二十日、築地再開発を含めた市場移転に関する基本方針を公表させていただきました。その際用いた食のテーマパークという表現でございますが、まさしく築地のポテンシャル、その可能性を生かした再開発の一つの考えとして示したものでございます。
 この方針をベースにいたしまして、行政の取り組みとしての具体化を図る、その意味で市場移転に関する関係局長会議を開き、その中で、さまざまな要素を勘案した上で検討を進め、今後の取り組み内容をまとめたものでございます。そして、今回の臨時会での所信表明におきましては、その内容をお示しさせていただきました。
 具体的に申し上げると、市場業者を初め、東京の食文化を担う多くの方々のご努力により脈々と築かれてきた築地ブランド、そして築地エリアが有するポテンシャルを引き続き活用して、東京の魅力をさらに高めていくために、経済合理性を確保しながら、民間主導によって再開発する方向で検討していくという内容でございます。
 今後、築地再開発検討会議を設置いたしまして、まちづくりの観点からも築地のロケーションを最大に生かした夢のある姿を描いていきたいと考えております。
 そして、築地再開発における市場機能についてでございますが、築地の再開発につきましては、市場会計の持続可能性を担保するため、経済合理性を確保しながら、民間主導で行うことといたしております。
 このため、補正予算を成立させていただきました後には、速やかに築地再開発検討会議を設置させていただき、まちづくりの観点からも築地のロケーションを最大限に生かした検討を進めていく考えでございます。
 築地の地域特性、先ほどから申し上げているさまざまな可能性などから検討をスタートいたしまして、民間からのヒアリングを実施するなど、一つ一つステップを踏みながら、開発コンセプト等を具体化していく予定でございます。
 こうした動きの中で、市場機能を含めまして、将来築地に戻ることを希望する仲卸の業者に応えるためのさまざまな方策につきまして、豊洲市場への移転後の状況を踏まえながら検討を進めてまいる所存でございます。
 築地再開発の方針についてのお尋ねでございます。
 六月二十日の基本方針におきましては、築地は五年後を目途に再開発するという大きな方針を示させていただきました。行政の取り組みとして、その具体化に向けまして詳細なスケジュールや手順の検討を行うよう、その際に指示をしたものでございます。
 そして、築地再開発の五年後というその意味合いでございますが、基本方針は幅広い議論、そしてさまざまな意見を参考にして、私みずから政策判断を行ったものであり、基本的な考えとしてお示しをさせていただきました。そして、この基本方針を具体化するため、関係局長会議において課題を抽出いたしまして、そして検討の方向性を取りまとめたものでございます。
 そのような経過を経まして、築地の再開発については、幅広い検討、そして土壌調査などステップを踏みながら進めて、五年以内の着工を目指すということといたしております。
 基本方針の政策決定過程についてのご質問でございます。
 市場移転問題については、建物の下にあるはずの盛り土がなかったことが発覚して以降、専門家会議や市場問題プロジェクトチーム、さらには市場のあり方戦略本部を設置して、さまざまな議論を公開の場で行ってまいりました。これによりまして、土壌汚染対策に関しまして、地下ピット内の安全対策や地下水管理システムの機能強化など、具体的な対策が示されたところでございます。
 また、市場会計の持続可能性や時代の変化を踏まえた今後の市場が果たす役割についても取り上げ、公開で議論を行ってまいりました。
 こうした行政としての幅広い議論による検討結果を踏まえた上で、さまざまな意見も参考にしながら、最終的には都知事である私が政策判断を行ったものでございます。そして、豊洲と築地の両方を生かすという趣旨の方針を示させていただきました。
 それを受けて、方針の具体化を図るために、関係局長会議での議論を進め、課題を整理し、対応の方向性を取りまとめているところでございます。
 このように、政策決定過程の透明性はしっかりと確保されているものと、このように認識をしております。
 回想録についてのご質問がございました。
 今ご答弁したとおり、市場移転問題に関しては、専門家会議、市場問題プロジェクトチーム、さらに市場のあり方戦略本部の設置、さまざまな議論は公開の場で行ってまいりました。これらの検討を踏まえて、さまざまな意見も参考に、最後は政策決定者である私自身が出した考え方が今回の基本方針でございます。一言で申し上げるならば、知事としての政策判断ということでございます。
 そして、この内容を文章として残すならば、政治家としての私の回想録となるであろうということを申し述べたものでございます。本日のこの会議の内容などについても、しっかりとその回想録で伝えていきたい、そのように思っております。
 その他のご質問につきましては、東京都技監及び中央卸売市場長からのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 築地再開発のスケジュールについてでございます。
 補正予算成立後、早期に築地再開発検討会議を設置し、築地の持つポテンシャルなど、幅広い観点から検討をスタートさせ、来年度にはまちづくりの方針として取りまとめる予定でございます。
 その後、事業者からの提案募集やそれに基づく必要な設計、都市計画等の手続、土壌や埋蔵文化財の調査などを、おおむね三年程度をかけて進めることを想定してございます。
 それらの状況によっては、工事着手まで早まることも、あるいは期間を要することもあり得ますが、このようなステップを踏みながら、五年以内のできるだけ早い時期に再開発に着工することを目指してまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、平成二十三年二月の答弁についてでございますが、当時の市場長の答弁は、それまでの専門家会議や技術会議における議論等を踏まえたものと認識しております。
 具体的には、平成二十年七月の専門家会議の提言では、建物下の地下水は建物建設前に環境基準達成を目指し、それ以外は地下水管理を実施し将来的に環境基準の達成を目指すこととされております。
 また、平成二十一年二月の技術会議の提言においては、市場施設の着工までに地下水を敷地全面にわたり環境基準以下とすることとされております。
 さらに、平成二十二年に行われた汚染物質処理に関する実験結果から、技術会議において汚染物質は除去可能と評価されており、当時の市場長はこうした経緯を踏まえて答弁したものと考えております。
 次に、環境基準以下となる根拠についてですが、専門家会議や技術会議の提言に加え、平成二十二年一月から七月にかけて現地で行われた汚染物質処理に関する実証実験では、全ての地点において土壌、地下水とも環境基準以下への浄化が確認され、技術会議においても豊洲市場予定地の汚染物質は除去可能と評価されております。
 こうしたことを踏まえて、地下水を環境基準以下とすることが可能と認識したものと考えております。
 最後に、専門家の意見についてでございますが、当時の市場長の答弁は、専門家会議や技術会議の提言に加えて、現地の実験により土壌汚染対策の有効性が確認されたことを踏まえ、環境基準以下とすることが可能と認識し、その旨を答弁したものと考えております。

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