平成二十九年第二回臨時会会議録第十二号

   午後三時二十分開議

○議長(尾崎大介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 百二十番早坂義弘君。
〔百二十番早坂義弘君登壇〕

○百二十番(早坂義弘君) 都議会自民党を代表して質問を行います。
 昨日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、我が国の上空を通過後、北海道襟裳岬東方の太平洋沖に落下しました。
 都議会自民党は、このような北朝鮮の暴挙に厳重に抗議するとともに、政府には防衛体制に万全を期し、これまで以上に強力な対応をとるように求めるとともに、都議会として抗議の決議を超党派で行うよう呼びかける幹事長談話を発表しました。
 都議会自民党は、北朝鮮によるこうした暴挙を許すことなく、都民、そして国民の安全・安心の確保に全力で取り組む決意であることを、質問の冒頭に当たり申し上げます。
 では、平成二十九年度市場会計補正予算について伺います。
 昨年八月三十一日の小池知事による突然の市場移転延期表明から、あすでちょうど丸一年になります。
 本年六月二十日、つまり東京都議会議員選挙告示日の三日前に、知事は、豊洲移転を発表なさいました。議会での政策検証を得ることが事実上困難なタイミングでの発表に、議会ではさまざまな受けとめ方があります。
 私たち都議会自民党は、一日も早い豊洲移転を一貫して求めてきた立場ですので、我が党の主張を受け入れた知事の移転決断そのものについては、敬意を表したいと思います。しかしながら、そこで示された三つの基本方針の内容や、そこに至る意思決定プロセスなどについては、都民の代表である議会人として、知事ご本人に幾つも伺っておきたいことがございます。
 基本方針の第一は、築地は守る、豊洲を生かすであります。
 これまでの都議会での議論で知事が明言していらっしゃったのは、築地か豊洲か、すなわち二者択一の判断で、第三の道はないということでありました。それが、築地も豊洲もという重要な方針転換がここで行われたのであります。
 そこでまず、豊洲について伺います。
 そもそも開場目前だった豊洲移転にストップをかけたのは、三つの懸念があるからだと知事がお考えになったからです。すなわち、第一に豊洲市場の安全性、第二に巨額かつ不透明な費用の増大、第三に情報公開の不足です。それが、豊洲への移転延期から移転決定へと大きくかじを切ったということは、この三つの懸念が全て解消されたと知事がご判断されたからにほかなりません。
 まず、安全性です。
 本年三月の予算特別委員会での我が党の質問に対し、豊洲市場は土壌汚染対策法上の求めている水準をカバーしていると知事はこの時点で既に豊洲の安全性を明言されていらっしゃいます。一方で、法を上回る対策を講じるという約束については、まだ十分に果たされていないとも答弁されました。
 東京都はこれまで、豊洲市場予定地の土壌汚染を環境基準以下にする、いわゆる無害化が豊洲新市場開設の前提であると説明してきました。しかし、先月の市場移転に関する関係局長会議では、この無害化方針を撤回し、必要な追加対策工事を行うことで地上の安全を確保するなど、新たな方針が示されました。
 豊洲移転延期の第一の懸念が安全性だとしてきたのですから、豊洲移転を決定した今、知事は都民に対して、法律的、科学的根拠に基づく豊洲市場の安全宣言を行うべきであります。本来ならば、安全宣言の後に移転発表という順序でありました。この安全宣言こそが、これまで大きく損なわれてきた豊洲新市場の安心向上に寄与することは間違いありません。また、市場関係者や消費者、市場を受け入れる江東区が待ち望むものでもあります。
 一方で、市場問題プロジェクトチームの小島座長は、もともと安全なのだから、改めて安全・安心宣言は必要ないという立場です。
 知事には、ぜひこの場で、市場移転を心配する全ての都民に対して力強い安全宣言を行っていただきたいと思います。知事、いかがでしょう。
 豊洲の安全対策について、無害化の方針を撤回したことについて、知事は説明を尽くす必要があります。都議会での付帯決議との関係をどのようにお考えなのか、知事のご見解を伺います。
 知事は、おとといの都議会本会議で、専門家会議や市場問題プロジェクトチームによる専門家による検討、市場のあり方戦略本部における行政としての総点検、そして事業者の方々からの意見もお聞きしたと胸を張りました。しかし、そのどこでも一度も議論にならなかった築地も豊洲もという全く新たな方針に多くの関係者が驚き、かつ不信感を抱いた方も大勢いらっしゃると伺っています。
 もとより、ひとり知事が豊洲移転をご決断されたところで、市場関係者や業界団体、地元江東区や中央区の理解と協力なくして移転はできません。
 専門家、行政、事業者から全て丁寧に話を聞いたと誇る知事は、その結果、それらの方々からの信頼と理解、協力を得られたとお感じになっておられるのか、知事のご認識を伺います。
 また、おとといの本会議で、さまざまな意見も参考にしながら、築地と豊洲の両方を生かすという基本方針を打ち出したと発言なさいました。そのさまざまな意見とはどなたの意見なのか、お伺いいたします。
 市場会計において、築地市場用地を資産運用に回すようなことは、公営企業会計本来の姿からかけ離れ、会計のあり方そのものに疑問が生ずるおそれすらあります。いうなれば、市場会計が不動産業に乗り出すようなものだからです。市場会計の健全化や持続性を論じるに当たり、具体性のない机上の空論を幾ら論じても、先の見通しは立ちません。豊洲移転反対派の方からでさえ、築地、豊洲併用案には疑問の声が上がっています。
 私たち都議会自民党は、築地も豊洲もということではなく、当初の計画のとおり、築地売却による清算を行うことを知事に求めます。ご見解を伺います。
 あわせて、移転に向けた業界の合意形成は、誰の責任において行うべきものなのか、知事にお伺いいたします。
 今、豊洲移転を決断されたのは、小池知事ご自身でいらっしゃいます。すなわち、これまで失政が仮にあったとしても、今後全ての責任は、現在の小池知事にかかっているのです。
 知事は、開場時期を来年六月上旬以降との方針を示されました。本来の開場予定日であった平成二十八年十一月七日という開場時期を東京都が示したのは、さかのぼること二年前でした。この開場日の設定は、業界団体や地元江東区、中央区との綿密な合意形成により決定されたものです。
 一方で、今回の唐突な基本方針発表と不十分な説明により、市場関係者や地元区には混乱が広がっています。豊洲移転成功に向けた理解と協力を得るため、東京都顧問をメッセンジャーに使うのではなく、知事みずからが先頭に立ち、全力を尽くすべきだと申し上げる次第です。
 次に、築地について伺います。
 知事は、基本方針において、築地と豊洲の両方を生かすとの方針を示されました。そもそも豊洲新市場の土地購入や建設費は、築地市場の売却費をもって充てるということでありました。それが基本方針では両方を生かすとなると、そのまま市場会計で持ち続けるのか、あるいは一般会計に有償所管がえするのか、そのことが全く見えてまいりません。両者を生かすというのは、大変耳ざわりがよい言葉です。
 しかし、築地の再開発を進めるという基本方針にあって、豊洲と築地両者の整備に係る財源を確保するのは至難のわざとしか思えません。豊洲移転にストップをかけたときの第二の懸念が、巨額かつ不透明な費用の増大でありました。それが、築地も豊洲もという状態になっています。これに対する収支をどう成し遂げるのか、伺います。
 築地の再開発に関しては、さまざまな手続とそれに伴う時間が必要です。基本設計、実施設計の策定、都市計画手続、そして豊洲市場と同じく土壌汚染調査が必要であり、また、環境アセスメント、さらには、松平定信邸という大名屋敷の埋蔵文化財調査も想定をされます。このうち、築地の環境アセスメントに要する期間は二年半から三年九カ月、埋蔵文化財の調査に要する期間は、かつて行った類似の汐留の場合九年、市ヶ谷の場合十三年かかったと、本年五月に開催された豊洲市場移転問題特別委員会でご答弁をいただいております。
 また、知事は、おとといの都議会本会議で、五年以内の着工を目指すと発言をされました。この五年以内とは、きょうから五年以内なのか、それとも豊洲移転完了日からの五年以内なのか、いつが起点なのか明示していただきたいと思います。
 都議会における都庁各局との質疑を重ねれば重ねるほど、五年以内の着工とは、極めて厳しいスケジュールのように思えます。さらにいえば、目指しているのは五年以内の着工であって、五年以内の工事完了ではありません。では、再開発後の築地市場で使用料収入が初めて得られるのは一体いつからだとお考えでしょうか。
 そもそも行政機関の長としての意思決定に、都庁全体の合意形成を図らずにお一人でお決めになるということはあり得ません。過日の経済・港湾委員会の我が党質問で明らかになったとおり、担当局長である市場長でさえ、基本方針を示されたのは発表当日の午後でありました。政治家小池百合子さんと、知事小池百合子さんの役割をはっきり峻別なさるべきであります。
 また、三年後に迫った二〇二〇年大会に向けて、築地の跡地利用をどう考えるのか、知事に伺います。
 基本方針には、築地再開発のため豊洲に移転すると明記されています。ということは、豊洲市場は仮移転先との位置づけなのでしょうか。これも知事に伺います。
 築地再開発の具体的イメージに関して、知事は記者会見で、これから民間のアイデアを募るが、食のテーマパーク、フィッシャーマンズワーフなどが考えられると発言をなさいました。築地も生かす、しかし、その生かし方はこれから民間に考えてもらうということでは、余りに無責任過ぎます。
 仮に仲卸が築地でも営業できるとした場合、豊洲に残る仲卸業者と、築地に戻る仲卸業者をどのような基準で決めるのでしょうか。加えて、例えば一部の仲卸業者が築地に戻った場合、豊洲市場で空いた店舗などの施設はどのように運営していくのでしょうか。
 また、基本方針には、新たな築地の姿として、仲卸の目ききを生かした競り、市場内取引を確保、発展とありますが、そのためにどのような具体策を講じるのでしょうか。
 そもそも、全ての業者が一度広い豊洲に移り、再度狭い築地に戻ってくるなど、果たして可能なのでしょうか。関係業者は、豊洲での思い切った設備投資もできず、かといってはるか将来に築地に戻れる確約もなく、不安定な事業環境に置かれることになりかねません。築地も豊洲もという知事の方針が、かえって事業者に不安を増大させているように思えます。
 築地の再開発についてもう少し申し上げます。
 築地再開発をめぐる動きを改めて見直すと、行政の継続性という問題が見えてまいります。築地の再開発に当たっては、七月二十一日の市場移転に関する関係局長会議では、豊洲市場の千客万来施設事業との整合を図りつつ、開発コンセプトなどを具体化していくとしています。
 これに対し、さきの経済・港湾委員会において我が自民党の議員から、千客万来施設事業の事業者である万葉倶楽部の悲痛な叫びの声が紹介されました。無理もありません。万葉倶楽部は、豊洲の千客万来施設事業にいわば社運をかけて取り組もうとしているからであります。
 東京都はこれまで、千客万来施設事業について、築地特有の貴重な財産であるにぎわい継承を、豊洲において継承させると明確にコンセプトをうたっていたのです。そして、移転後の築地については、中央区がにぎわい施設、これは昨年十月に営業を開始した築地魚河岸のことでありますが、これを整備するというお話になっていました。
 築地市場が豊洲に移転した後も、築地が、かつて存在していた築地市場と、そこで育まれた食を中心とした文化が将来にわたってまちの顔で居続けるために、地元中央区の皆さんが知恵を出し合い、あのような施設ができたのです。しかし、移転するはずの築地市場が依然として築地にとどまる現在、にぎわい施設は困惑し、営業においても苦戦を強いられていると耳にします。
 このような状況を何とか解決するために、地元中央区による移転後の築地のまちづくりに東京都としても協力をするという項目を初めとする三点の付帯決議が、予算を可決する際に付されたのであります。
 このように、千客万来施設事業にいよいよ着手しようとしていた万葉倶楽部が悲痛な声を上げ、そしてせっかく整備したにぎわい施設、築地魚河岸が本来持つポテンシャルを発揮できないことに、地元中央区のまちの皆さんは戸惑い、苦しんでいます。
 一方で、万葉倶楽部からすれば、経営の条件が大きく変わってしまったのであります。築地の再開発を語るときに、食のテーマパークなどという話は一切なかったのであります。地元築地で長年生きてこられた皆さんも同じです。なれ親しんだ築地のまちが、将来にわたりそのままのふるさとでいるため、いわば切り札だったはずのにぎわい施設、築地魚河岸がないがしろにされかねない状況になっているのであります。
 万葉倶楽部も中央区の皆さんも、東京都という行政を信じてここまでやってきたのです。であるがゆえに、リスクを背負い、投資をいとわず、エネルギーを傾けてきたのです。東京都との行政上の約束があったゆえであります。継続性を軽んじてはなりません。特に、東京都を信じ、これまで事業を進めてきた方々を裏切るようなことを絶対にやってはなりません。これは東京都という自治体の信義の問題でもあります。
 築地再開発の基軸として食のテーマパークを位置づけることは、これまでの関係者への説明と矛盾し、混乱を与える原因になっています。このことに対する知事のご見解を伺います。
 知事は、豊洲移転後、将来築地に戻ることを希望する仲卸業者などの皆様に応えると述べていらっしゃいます。それは、築地でも市場を運営なさるということなのでしょうか。既にある十一市場にプラスして、十二番目の中央卸売市場をつくるというお考えでしょうか。
 現行の卸売市場法のもとで、豊洲市場とともに築地の市場も農林水産大臣に許可されることが可能なのでしょうか、知事のお考えを伺います。
 今回の補正予算では、追加対策工事として三十億円が計上されています。そのほかにも、移転延期に伴い市場業者への補償や開場前の豊洲市場の維持管理など、さまざまな経費が発生しています。
 中央卸売市場会計の持続性については、これまでも議論されてまいりましたが、こうした財政負担の増大について、市場業者の負担による使用料の値上げにより賄うお考えがあるのか、お伺いいたします。
 私は冒頭、知事の豊洲移転の決断に賛意を示すと申し上げました。しかし、この間、知事の最終判断のおくれが、顧問といわれる方々の無責任な行動と相まって、市場関係者はいうまでもなく、オリンピック・パラリンピック関係者、都民、国民の都政に対する不信、不安を招いてしまったことは、都政に携わる者としてざんきにたえません。
 私たち都議会自民党は、都民の食の安全・安心を守るということを第一義に、豊洲市場を唯一の中央卸売市場と位置づけ、早期移転に全力を尽くすべきであること、移転に当たっては、業界団体を初め、関連事業者、関係区、都民の理解を得ながら進めること、環状二号線や輸送拠点の整備を二〇二〇年大会に確実に間に合わせることを明確に主張し、知事に実施を求めてまいりました。
 しかしながら、この基本方針の内容と基本方針に至る知事の言動には、市場のあり方だけでなく、都政のあり方、地方自治の将来に対して大きな問題をはらんでいます。そのことを一つ一つ確認してまいりたいと存じます。
 まず、知事の意思決定プロセスについて伺います。
 昨年八月三十一日、小池知事は、一旦立ちどまると発言し、豊洲市場への移転を延期なさいました。その後、十一月には豊洲市場移転に向けたロードマップを公表なさるとともに、市場問題プロジェクトチームや市場のあり方戦略本部などを設置して議論を深めながら、知事は移転に向けて一つ一つ段階を踏んできたとされています。
 ところが、ことしの六月二十日に突如として示された基本方針は、先日の経済・港湾委員会の質疑でも明らかになったとおり、東京都職員との議論の末、磨き抜かれて得られた結論ではないということであります。さきに申し上げたとおり、政治家小池百合子さんと行政の執行機関の長としての知事小池百合子さんとは、その役割をしっかり峻別していただく必要があります。
 かつて、関東大震災の折に東京市長後藤新平を助けたビーアド博士は、このように述べています。すなわち、市役所幹部がその都度、政治的思惑から、ここにあれをつくれと恣意的に決めることから汚職が始まるというのです。行政という執行機関の長たる知事には、みずからの決断に公平性、透明性が求められます。小池知事は、ビーアド博士の言葉をきっとよくご理解なさっているかと存じます。
 今回の基本方針策定に当たって、誰が見ても公平で透明なのか、そうした観点からすれば、それまで誰もおっしゃらなかった築地も豊洲もという第三の道が突如として浮上してきたことは、透明性に欠けると感じざるを得ないのであります。
 さて、基本方針については、その決定過程を記した文書がないことが明らかになっています。これは、都政の透明化のために、事案の決定に至る過程を記録するとしたこれまでの知事の発言と矛盾しています。
 そもそも、情報公開の不足は、豊洲移転延期の三つの懸念の一つでありました。これでは、情報公開を重視する知事の姿勢に共感を抱く都民の皆さん、そして都民ファーストの皆さんをがっかりさせてしまうのではないかと思います。このことについて知事は、人工知能、つまり政策決定者である私が決めたということ、回想録に残すことはできると発言されています。これは、市場問題に関係する全ての人々に対して、極めて不誠実な発言です。
 知事が基本方針の内容を関係局長に伝えたのは発表当日の午後であったのは、どういうお考えによるものだったのか、知事にお伺いをいたします。
 また、安藤副知事におかれましては、基本方針の内容を知ったのはいつの時点であったのか、お伺いいたします。
 先ほどから申し上げておりますとおり、政治家小池百合子さんと執行機関の長としての知事小池百合子さんの役割は異なります。知事としての政策決定を行うのであれば、執行機関との意見調整は不可欠です。今回のような執行機関との意見調整抜きの知事の政策決定方法に対する安藤副知事のお考えを伺います。
 基本方針については、小池知事がお一人でおつくりになったとは考えにくく、顧問団が練り上げたと考えるのが道理であります。そして、その顧問団の一人、小島顧問の行動が現場にさらなる混乱をもたらしています。
 移転慎重派の仲卸業者に対し小島顧問が、今後、仲卸の仕事はなくなる、生き残りたければ知事に賛成しろと、おどしともとれる形で基本方針への同意を強要しているとの報道があります。営業を続けながら再整備は可能と、耳ざわりのよい文句をふれ回り、基本方針が出た途端、正反対の方針を押しつけることは、現場の思いを軽んじ、さらなる混乱を招く行為にほかなりません。こうした小島顧問の言動を知事はご存じなのか、お伺いいたします。
 こうした行政の手続を無視したとも受けとめられかねない行政運営が行われる中にあって、業界団体や関連事業者、関係区、都民からの理解が得られているとは、残念ながら思えません。何より、業界団体の理解なくして移転の成功はあり得ません。知事は、今後、一からの信頼関係の醸成に努めていただきたいと思います。
 豊洲市場の風評被害への対応に関する知事の姿勢について伺います。
 法基準で安全である豊洲市場をめぐり、その安全性に疑問を投げかけたのは知事ご自身なのでありますから、その払拭に努めていただくのは当然であります。しかし、この間、東京都側からの情報発信からは、知事の主体的な行動は確認できません。市場関係者や江東区は、移転には知事の責任による安全宣言が不可欠と訴えています。知事は、豊洲市場の安全性を、その科学的根拠とあわせて都民にしっかり説明していくべきであります。
 知事は、豊洲市場の安全性に対する風評被害の払拭に向け、知事ご自身が具体的に何をなさるのか、お伺いいたします。
 さて、今回の補正予算案は、通常どおり、九月開催の第三回定例会において、丁寧かつ慎重な審議を行えばよかったのではないでしょうか。仮に移転を急ぐ必要があったと知事が判断されたのなら、その判断に私たち都議会自民党は賛成いたします。
 しかし、臨時会で対応する必要があるのだとすれば、なぜ八月八日の臨時会でこうした議論を行わなかったのか、知事に伺います。
 こうした唐突とも思える進め方に関する知事のコスト意識についてお伺いいたします。
 移転延期により、既に二十五億円の追加コストが費やされています。さらに、一日一日経過するたびに、いまだ使われていない豊洲市場の維持費用として、一日当たり五百万円以上のコストが必要になっています。
 このように、移転延期を決めた結果、都民の貴重なお金が余計に使われているという現実を知事はどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 次に、二〇二〇年大会に向けた準備について議論を深めてまいりたいと存じます。
 移転決定のおくれにより、二〇二〇年大会の運営に不可欠な輸送インフラである環状二号線や、築地市場の跡地を活用した大会時の輸送拠点の整備も大幅におくれています。二〇二〇年大会に向けて、これ以上の遅滞は許されません。移転決定のおくれにより生じたおくれをどのように取り戻そうとしているのか、そのための具体策について一つ一つ確認してまいりたいと存じます。
 環状二号線は、いうまでもなく、大会運営に不可欠な輸送インフラとして、その成否は二〇二〇年大会の輸送計画に大きな影響を及ぼすことになります。また、既に完成している区間でも、ネットワークの形成のおくれの影響で、現在、一部で供用が制限または供用されていない状況であります。この間にも、道路の維持補修費、日々の清掃などに係る経費は当然にかかってまいります。
 また、環状二号線の開通により利便性が向上するとの説明の中で、用地買収や移転に同意した沿線の住民の方々に対して、どのようにこのような状況を説明するのでしょうか。
 まず、現時点で、築地地区以外の地域はほぼ完成している、現在の環状二号線の未着手区間について伺います。
 また、二〇二〇年大会のためにも、早期に環状二号線を完成させる必要があると考えます。今後、二〇二〇年に向けて、築地の解体工事と環状二号線の整備との調整をどのように図っていくのか伺います。
 二〇二〇年大会を地上部道路でしのぐという案についても、一言申し上げます。
 環状二号線の地上部道路は、本線トンネルと同時に施工することになっていました。それが、二〇二〇年大会に向け、地上部道路を先行工事とすることで、無駄な工事が発生すると考えられます。
 そこで、本線工事はいつごろ整備を行い、地上部道路の事業費は幾らくらいかかるのか、お伺いいたします。
 また、将来除却する地上部道路に都民の貴重な税源を投入するということについて、知事はどのようにお考えなのか、ご見解を伺います。
 今後、二〇二〇年大会に向け、組織委員会などと大会時の輸送計画を詰めていくことになります。環状二号線の完成の見通しが立たない中で、例えばBRTを運行する予定であった新会社の設立が延期になっています。
 オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、その輸送計画は大変重要な要素です。
 今後、オリンピック輸送計画を策定するに当たり、東京都は、幾つかのソフト対策をあわせて行うことで万全を期すとしています。これに対し、見通しが甘いとする評価があります。知事のご見解を伺います。
 知事の基本方針並びに関係局長会議で導かれた方針は、市場のあり方を決める重要な議案であるにもかかわらず、この臨時議会に至るまで、二カ月以上もの間、議決機関である都議会にただの一度も報告されず、また審議されることもありませんでした。このことは、東京都政にとって重要な政策判断の場面において、都民から信託を得た議決機関である我々議会を軽視する所業といわざるを得ません。
 また、小池知事は六月二十日の記者会見では、築地市場跡地の再開発について、最終的に決定するのは都議会ということになるとおっしゃいました。
 その一方で、八月十日の記者会見では、築地と豊洲双方に市場機能を残す方針に対しての記録がないとの記者の指摘に対し、政策決定者である私が決めたということとご答弁なさっています。つまり、決定権者を、あるときは都議会としたり、またあるときは知事ご自身とするなど、明らかに矛盾する話であります。
 そこで、改めて確認いたしますが、二元代表制における議会の権能に対する知事のご見解を伺います。
 加えて、知事は本年三月の予算特別委員会において、我が党の、築地なのか豊洲なのか、それとも第三の道があるのかとの質問に対し、第三の道はないと明確に答弁されました。予算特別委員会での答弁は、議会を通じてのいわば都民への説明であり、また都民への約束であります。それが六月二十日、議会に対して事前の説明もなく、一方的にこれまでの方針と異なる趣旨の方針をお示しになったわけであります。
 こうした小池知事と顧問団による政策決定は、都民の代表であり、二元代表制の一翼を担う私たち東京都議会に対して極めて不誠実であり、地方自治法に定められた我が国の地方自治制度の否定と指摘されかねません。
 議決機関である議会に対して、市場のあり方について方針転換の説明を省略したのはどのような根拠に基づくのか、知事のご見解を伺います。
 このような行程を踏まえれば、第二回定例会以降に行われた市場移転問題に関する基本方針や市場移転に関する関係局長会議の議論について、質疑が十分に尽くされたとは到底思えないわけであります。
 我が都議会自民党は引き続き、一問一答形式による予算特別委員会あるいは市場問題対策特別委員会の設置や、経済・港湾委員会への顧問団の参考人招致を行いつつ、徹底的な審議を行うことを議会の仲間に強く求めます。
 そして、市場関係者や消費者から喜ばれる一日も早い豊洲移転を目指し、これからも積極的に発言をいたしてまいります。
 再質問を留保し、ひとまず質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 早坂義弘議員のご質問にお答えをさせていただきます。
 まず、冒頭、豊洲市場の安全・安心についてのご質問がございました。
 豊洲市場の用地につきましては、土壌汚染対策法に基づく対策が的確に講じられ、法的、科学的な安全が確保されていることを、既に専門家会議で確認されたところでございます。その上で、将来のリスクに備えまして、地下空間の追加対策工事、地下水管理システムの機能強化といった専門家会議が提言された対策を着実に実施をしていくところでございます。
 これらの追加対策工事に加えて、先日完了いたしました環境アセスメント手続、農林水産大臣の認可手続といった必要な一連のステップを着実に進めているところでございます。そして、こうした取り組みの状況や豊洲市場の客観的なデータなどにつきまして、正確な情報発信を続けていくことといたします。豊洲市場の安全・安心につきましては、都民や市場業者の方々のご理解が得られるように努めてまいりたいと考えております。
 無害化の方針と付帯決議との関係についてお触れいただきました。
 豊洲市場用地をめぐりますこれまでの議論の中で、土壌、地下水を環境基準以下にする、すなわち無害化を達成するということが大きな課題となってまいりました。この都議会におきましても付帯決議が付されたわけでございまして、この付帯決議は法的拘束力はないものの、大変重要なものであると認識をしております。
 付帯決議の実現に向けて、これまで例のないような水準の土壌汚染対策を行い、汚染の大幅な改善は図られたものの、結果として、環境基準以下という目標は達成されていないのでございます。そのことにつきまして、都民との約束が果たされていないということから、先般の都議会において、私、都知事としておわびをしたところでございます。
 もとより、豊洲市場の安全・安心の確保につきましては、開設者である都の責任でありまして、改めて行った専門家会議の検証の場で、法的、科学的な安全性が確保され、将来のリスク管理を図るために追加対策を実施するということが示されたわけでございまして、これらの状況を踏まえて、ただゼロリスクを追い求めるというのではなくて、現実的な取り組みを進める必要があると、このように判断をいたしまして、無害化にかわる新たな方針を定めたものでございます。
 今後、新たな方針に沿いまして、安全で安心な豊洲市場の実現を目指してまいります。
 次に、関係者からの信頼を得られていないのではないかというご指摘がございました。
 市場の移転問題の解決には、市場業者、専門家を初めとする多岐にわたる関係者、関係機関のご理解とご協力が必要であることはいうまでもございません。
 この間、市場業者の方々からは多くの貴重なご意見もいただきました。また、専門家会議、市場問題プロジェクトチームの委員の皆様には、専門的な見地に立って、さまざまな課題を精力的に検証していただいたわけでございます。さらに、先月、農林水産大臣のもとを訪問いたしました。そして、認可申請に関する協力も要請をしたところでございます。
 豊洲市場への円滑な移転に向けましては、引き続き関係者との連携を密にするとともに、信頼関係を築きながら、さまざまな取り組みを着実に前に進めていく所存でございます。
 基本方針の参考に、さまざまな意見も参考にしたということでご質問がございました。
 さまざまな意見というのは、さまざまな分野で専門的な知見を有する方々のご意見でございます。内外を問わず、さまざまなご意見を参考とさせていただいた次第でございます。
 築地市場用地の取り扱いでございますが、豊洲と築地の両方を生かすという基本方針の実現に向けましては、この先も市場会計が長期にわたって持続可能性を確保できるということが前提であって、今後、多角的に検討して経済合理性の確保に努めてまいる所存でございまして、また、その中にあって、都民の資産である築地市場用地を民間に売却というのではなくて、東京都として有効活用をし、豊洲と築地を両立させることが最も賢い使い道と考えているところでございます。
 業界合意に関する責任についてでございます。
 豊洲市場への円滑な移転を実現するためには、市場業者の方々と緊密に調整をしながら、都と業界が連携をいたしまして取り組んでいく必要がございます。業界との調整を円滑に進めながら市場移転を実現するというのが、市場の開設者であります東京都の責務であると、このように認識をしているところでございます。
 そしてまた、市場会計の収支についてのご質問がございました。
 豊洲と築地の両方を生かしながら市場会計を長期にわたって持続させていく、このことは極めて重要でございます。
 そのために、築地の再開発に当たりましては、築地が持つロケーション、これを最大限に生かしつつ、資金面、財政面からのさまざまな試算を行うなど精査を進めまして、経済合理性を確保してまいる所存でございます。
 また、豊洲市場の企業債の返済を着実に行うとともに、コスト削減や収入確保などの経営の改善策は具体化してまいる所存でございます。
 財政収支の観点から、市場会計全体といたしまして継続的に事業が運営できるように、持続可能性を追求してまいります。
 築地市場の跡地利用についてもご質問がございました。
 今般、豊洲と築地の両方を生かすという基本方針でございますが、豊洲市場への早期移転を最優先の課題といたしまして、その具体的な調整を始めているところでございます。そして、その上で築地市場の跡地につきましては、選手村や競技会場へのアクセス性もよく、大会に必要な車両を駐車、管理できる条件を備えているということから、輸送拠点として整備を進めていくことといたしておりますが、このことについてはよくご存じのとおりでございます。
 このことから、豊洲移転後速やかに整備に取りかかれるように、既に関係各局に対しまして、市場建物の解体工事と輸送拠点整備との工程調整など準備を進めるように指示をしたところでございます。よって、二〇二〇年大会の成功に向けまして、円滑な輸送が実現できるように、しっかりと取り組んでまいります。
 豊洲市場への移転についてのご質問がございました。
 基本方針に絡んでのご質問でございましたが、豊洲市場は、中央卸売市場として継続的に運営をしていくということを改めてここで申し上げさせていただきたいと考えております。
 二つの市場機能についてでございます。
 豊洲市場は、中央卸売市場として継続的に運営をする、今申し上げたとおりでございます。そして、築地の市場機能について、民間主導による築地の再開発とあわせて検討をするということといたしております。都が運営主体となる中央卸売市場は豊洲市場と、このように考えております。
 そして、食のテーマパークについてのご質問がございました。
 六月二十日に築地再開発を含めました市場移転に関する基本方針を公表いたしたわけでございますが、その際用いました食のテーマパークという言葉は、築地のポテンシャルを生かした再開発の一つの考えとして示させていただきました。この方針をベースに、行政の取り組みとしての具体化を図るために、市場移転に関する関係局長会議の中でさまざまな要素を勘案いたしまして、その検討を進め、今後の取り組み内容を取りまとめたところでございます。
 それから、基本方針に関しての指示でございます。
 ビーアド氏の教えというんでしょうか、その引用をされ、汚職云々の話がございましたが、この基本方針との関係はあまり見出すことができませんでした。
 基本方針の内容でございますが、六月二十日午後、副知事、そして市場当局に伝え、その際、基本方針を踏まえ、行政として具体化に向けて検討を進めるように指示をしたところでございます。
 また、顧問、小島氏のご質問がございましたが、小島氏は、環境分野を中心に豊富な行政経験を有しておられるわけでございます。そして、土壌汚染対策法などについては、当時の法律の政策に従事をしておられるぐらいの造詣が深い法律家でもございます。東京都専門委員に就任していただいて、市場問題プロジェクトチームの座長として市場問題の調査研究をして、報告書の取りまとめに尽力をされましたが、一方で、小島氏が、プライベートな立場で市場関係者の勉強会に招かれておられたということでございます。そのご自身が有する知識や経験などに基づいて個人の見解を述べるということは自然なことではないかと、このように思うわけでございます。
 風評被害の払拭に向けた取り組みやいかんというご質問がございました。
 豊洲市場の食の安全・安心の確保に向けましては、専門家会議の提言に基づきます追加対策工事を着実に実施をいたします。さらに、都民目線に立って、正確な情報をわかりやすく発信をしてまいります。都民の理解と協力を得る努力を重ねていくことは、極めて重要と認識をいたしております。
 こうしたことから、公募によりまして、都民の皆様や豊洲、地元の町会の方々を対象とした見学会を行いました。また、夏休み期間中の親子見学会の開催など、豊洲市場の現状をごらんいただく機会を設けたのはご承知のとおりでございます。参加者からは、都の安全対策など、問題点もよく理解できた、その課題と対処策も理解できたといった声が多く寄せられているところでございます。
 今後、豊洲市場に対する不安を一日も早く解消していただく、そのために、都民はもとより、全国の産地や出荷者、小売業者など、豊洲市場をご利用いただく方々への見学会の開催を初めとして、各種イベントの実施などさまざまな取り組みを効果的に進めてまいります。
 もちろん、私みずから、さまざまな場面におきましてメッセージを発信し、そのためにも現地に赴いて、先頭に立って、風評被害の払拭に努めてまいる所存でございます。
 臨時会の開催についてのご質問がございました。
 市場移転問題に関しては、六月二十日に示した基本方針を踏まえまして、行政組織としての取り組みを迅速に進めるために、関係局長会議で課題の整理を行ってきたところでございます。
 その中で、豊洲市場への早期移転を円滑に行うことは最優先事項であると、このことを確認したところでございまして、そのために、専門家会議の提案に基づく追加対策工事を速やかに完了させる、そして、さまざまな移転準備を早急に進めていく必要があるわけでございます。
 こうした追加対策工事、そしてその契約手続などを迅速に行いまして、豊洲市場への移転に向けた環境を可能な限り早期に整える、そのために、第三回の定例会を待たずに臨時会を招集し、関連する補正予算案を提出いたしまして、都議会の皆様に現在ご審議をいただいているところでございます。
 なお、八月八日はいまだ予算編成作業中であったことから、第一回の臨時会にはご提案をできなかったものでございます。
 移転延期の決断と維持管理経費についてのご質問がございました。
 移転を延期したことによりまして、豊洲市場の主要な建物下に盛り土がなく、地下ピットが存在していたこと、地下水モニタリングで、それまで検出されていなかった環境基準値を超える物質が検出されたことなど、さまざまなことが明らかとなりました。こうした課題について専門家会議等において検討が進められまして、豊洲市場の安全性の向上に資する対策につなげることができたと、このように考えております。
 移転の延期によって余分な経費がかかったとのご指摘がございましたが、当初から盛り土など適切な対策が講じられていれば生じなかったコストともいえるわけでございます。その上で、豊洲市場の維持管理経費につきましても、さまざまな工夫を行ってコスト削減を実施してきたところでございます。
 こうしたことから、移転延期の決断による余分な経費がかかったとは考えておりません。
 環状第二号線の地上部道路の整備でございますが、二〇二〇年大会までに整備する地上部道路について、築地市場の移転の状況を踏まえまして、大会後に完成させる本線トンネルの整備も視野に入れて、極力無駄にならないように、道路の線形、そしてその構造なども検討をしてまいります。
 それから、二〇二〇年大会の輸送計画についてのご質問もごさいました。
 二〇二〇年大会に向けさまざまな準備がある中でも、選手など大会関係者、観客、スタッフの輸送については重要な取り組みであることは、ご承知のとおりでございます。
 これまで、関係省庁や関連団体などと連携をしまして、大会時の輸送にかかわる基本的な考え方や検討の方向性を取りまとめまして、ことしの六月、輸送運営計画V1としてIOCに提出をしたところでございます。
 今後、計画を具体化していく中では、東京が有する道路や鉄道の都市インフラを最大限活用するとともに、夏休みをとって車の使用をやめる、テレワークなど働き方を変えるなど、ロンドン大会でも成功した交通需要マネジメントの手法を取り入れることで渋滞の発生を抑制していくなどなど、ハード、ソフト両面からの取り組みを積極的に推進して、円滑な大会輸送の実現に向け、準備を進めているところでございます。
 それから、二元代表制についてもお触れになったかと存じます。
 議会と知事は、互いに都民の代表として切磋琢磨していくことは必要なことでございます。
 私は、就任以来、現在ご審議いただいております市場の問題に関しまして、さまざまな検証、透明性を持って進め、積極的に発信をし、皆様方にもご議論をこの都議会において続けていただいたわけでございます。
 そして、一昨日、この議場におきまして市場の未来についての考え方をご説明させていただきました。そして、本日もこうして都議会の皆様のご質問に真摯にお答えをしているところでございます。
 このような都政の重要課題につきまして、議会としてもチェック機能をしっかりと果たしていただくことが都民が期待する二元代表制のあり方だと、このように考えております。
 東京の未来を切り開くというそのためには、都民本位の都政を目指した本質的、建設的な議論が必要だと考え、この都議会の場では皆様とそうした議論を展開していきたいと考えているところでございます。
 それから、基本方針の議会への報告についてでございますけれども、ことし三月、予算特別委員会におきますさまざまな質疑の経過については、私もよく覚えているところでございます。こうした議会における議論、専門家会議、市場問題プロジェクトチーム、それぞれ検証内容などを集約して総合的判断につなげるために、市場のあり方戦略本部を設置いたしました。
 そして、残された課題を含めて総点検を行い、その上でさまざまな意見を参考にしながら、豊洲と築地の両方を生かすという政策判断をしたわけでございます。これまでのあらゆる議論を踏まえた政策判断として、都民のご理解をいただけるものと考えているわけでございます。こうした基本方針につきましては、去る八月二十三日の都議会でのご報告、そしてこの臨時会でもご議論いただいているところでございます。
 これからも、都議会の皆様方との審議などを通じ、また、さまざまな機会を捉えまして、豊洲市場の安全性などにつきましては、しっかりと情報公開に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〔副知事安藤立美君登壇〕

○副知事(安藤立美君) 二点についてご質問をいただきまして、一つでございますが、基本方針の内容を聞いたのはいつかということでございますけれども、ただいま知事からもお答えをしたとおりでございまして、会見が行われました六月二十日の午後でございました。その際、基本方針の内容と今後検討するということの指示を知事から頂戴したところでございます。
 次いで、知事の政策決定方法についての見解ということでございますけれども、私ども都職員は知事の補助機関でございまして、小池知事とは常にコミュニケーションをとりながら業務を進めていると思っております。
 市場問題については、専門家会議や市場問題プロジェクトチーム、さらには市場のあり方戦略本部を設置し、さまざまな議論を全て公開でやってきました。
 これによって、土壌汚染対策でありますとか、市場会計の持続可能性などについて取り上げて議論を行ってきたところでございまして、私自身もこの議論に加わったところでございまして、行政としての幅広い議論による検討結果を踏まえた上で、さまざまな意見を参考にしながら、知事が政策判断したものと考えております。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 市場業者の負担についてでございますが、中央卸売市場会計は、公営企業会計として独立採算を原則として運営しておりまして、市場業者が負担する市場使用料を主な収入としております。
 今後の市場の財政運営につきましては、まずは徹底したコスト削減や収入確保などの経営改善に取り組み、安定した事業運営を目指すことが肝要であり、今回の追加対策工事費などにより、直ちに使用料を見直すことは考えておりません。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに環状第二号線の整備状況についてでございますが、環状第二号線は江東区有明から千代田区神田佐久間町に至る、延長約十四キロメートルの都市計画道路でございます。現在、未開通となっております豊洲から新橋までの約三・四キロメートルの区間などで道路整備を進めております。このうち、築地市場内の約四百五十メートルは未着手となっておりまして、市場移転の完了後、速やかに工事着手する予定でございます。
 次に、築地市場の解体工事と環状第二号線の整備との調整についてでございますが、築地市場の解体工事は、豊洲市場への移転完了後、速やかに着手いたしまして、環状第二号線の工事範囲を優先して解体することとしております。
 今後、移転時期や解体工事の状況などを踏まえまして、平成三十一年度末を目途に地上部道路の整備を完了させます。
 最後に、環状第二号線の本線の整備時期と地上部道路の概算事業費についてでございますが、環状第二号線の本線トンネルは二〇二〇年大会後に完成することとしております。
 また、地上部道路につきましては、今後、移転時期や解体工事の状況などを踏まえまして、道路線形や構造などを検討し概算事業費を算出いたします。
〔百二十番早坂義弘君登壇〕

○百二十番(早坂義弘君) 本日、この場において私はたくさんの質問をいたしました。その中で真っ先に質問して私が最も大切だと考えているのは、小池知事による豊洲市場の力強い安全宣言でございます。
 このことに関して、安全だと周辺の話はするけど、力強い安全宣言は、私は、今この場では小池知事からはなされなかったと感じる次第であります。
 私がいって、この場でなさることはないとすれば、先ほど知事がおっしゃった、近々豊洲へいらっしゃったときに、その場で多くの皆様の前で安全宣言をなさるか、あるいは記者会見の場でなさるか、いずれにいたしましても、近い将来、本当に近い将来、小池知事から力強い安全宣言がなされることを都民の一人として心から願うものでございます。
 二番目に、豊洲市場の安全性に対する風評被害の払拭に向け、知事自身が具体的に何をなさるか、改めてお伺いをいたします。
 また、移転に向けた合意形成はどなたの責任において行うのか、改めて知事にお伺いをいたします。
 また、基本方針の作成はさまざまな意見を参考にしたと発言されました。改めて、さまざまな意見とは具体的にどなたの意見なのか、お伺いをしたいと存じます。
 冒頭申し上げた安全宣言に関しまして、近々行うかどうか、そのお気持ちだけでもお示しいただければ幸いでございます。ぜひお願いをしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 改めてのご質問をいただきました。
 豊洲市場の安全宣言ということにつきまして、先ほどもお答えさせていただきましたが、法的、科学的な安全の確保ということについては既に専門家会議で確認され、その上で、今、将来のリスクにも備えて追加対策を実施する、そのためのこの臨時会でございます。
 そういったことを一つずつ、手続などのステップなども着実に進めることが、安全へ一歩一歩進めているということでございます。
 そして、これらの取り組みの状況や客観的なデータなどについては、正確な情報発信をしっかりと続けていく、このことが都民、市場業者の方々の豊洲市場に対します信頼や安心につながっていくもの、このように考えております。
 そしてまた、風評被害をどのようにして払拭していくかということにつきましては、この臨時会終了後も、私自身、豊洲市場を回り、そしてまた都民の皆様方にもできるだけ多く見て、そして触れていただくということが、それらの積み重ねが安全への信頼へつながっていくものだと、このように考えております。
 それから、基本方針の参考としたさまざまな意見は一体誰なのかという話でございますが、余りにも多過ぎて、この場でお答えするには時間が足りないかと思っております。
 さまざまな意見を頂戴したことに大変感謝をして、そして内外のさまざまな意見は、私の鳥の目の判断をする、そのことに大変役立ったということをつけ加えさせていただきます。

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