平成二十九年第二回臨時会会議録第十二号

○議長(尾崎大介君) これより質疑に入ります。
 先日の知事の発言に対し、質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 百十二番木村基成君。
〔百十二番木村基成君登壇〕

○百十二番(木村基成君) 第二回臨時会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事並びに関係局長に対して質問をいたします。
 私たち都民ファーストの会は、本年七月二日に行われた都議会議員選挙において、小池知事の東京大改革を掲げ、多くの都民の皆様に信任をいただき、五十五人の都議会議員を当選させていただきました。
 今、都民の期待は、東京大改革を実現することにあります。私たち都民ファーストの会と小池都知事は、都庁と議会における東京大改革を実現していく二つのエンジンであります。そしてこのことが、選挙で私たち都民ファーストの会を選んでいただいた都民の方々の負託に応える道であることを、まず明らかにしておきたいと思います。
 今回の議会は、豊洲市場への移転に向けた準備を早期に整えるとともに、築地の再開発に向けた検討を進めていくため、補正予算を審議する目的で招集された臨時議会であります。
 豊洲移転という都政の重大事項を徹底的に審議するため、定例会ではなく、臨時議会という機会が設けられたことは、都民の代表者たる都議会として高く評価するところです。
 まず初めに、大前提となる豊洲市場への移転の経緯についてお伺いいたします。
 小池知事は、都知事選挙の中で、市場移転問題を一旦立ちどまって考えることを都民と約束し、当選して間もない昨年八月三十一日に市場移転の延期を決断、発表されました。
 当時、豊洲新市場では、二年間のモニタリング調査が継続しており、二回分のモニタリング調査が残っていながら、結果を待つことなく豊洲新市場の開場時期が決定してしまいました。既定路線が敷かれている中で、小池知事が待ったをかけたことは、当時、大変勇気の要る決断であったと思います。
 その開場延期を決められた理由と知事ご自身で決められたことについて、改めて知事からお聞かせください。
 小池知事による開場延期発表以後、安全・安心対策として約束されていた建物下の盛り土がなかった重大事実、固唾をのんで見守った二年間モニタリング調査では、ことし一月に環境基準を七十九倍以上上回るベンゼンが検出されたほか、当初の想定をはるかに超える地下水の調査結果が示された事実、さらに豊洲市場開場後の収支が大幅な赤字となることが判明したことなど、さまざまな事実が次々に明らかになりました。まさに小池知事が懸念された安全・安心、市場の持続可能性、情報公開の不十分さが明らかになったのであります。
 豊洲市場の安全・安心は最大の課題でした。安全・安心について、都議会と石原都知事以来の都庁は、土壌汚染対策法上の安全対策だけでは市場開設のためには十分ではないとして、技術会議で提案された対策を実施して、操業由来の汚染土壌を除去し、土壌も地下水も環境基準値以下にするという無害化の約束をしていました。
 安心は、豊洲市場を利用する消費者や都民の信頼の問題ですが、豊洲市場では、安心対策は無害化の実現という極めて具体的な対策として示されていたのです。この点について、建物下の盛り土がなかったことは、技術会議で提案された対策が実施されていなかったという意味で、都民の信頼を損ねる行為でありました。
 また、地下水の二年間モニタリングは、東京都が実施した土壌汚染対策により、操業由来の汚染土壌が除去されているかどうかを判断し、土壌汚染対策法上、形質変更時要届け出区域の解除、あるいは管理区分の変更を行うために必要な手続です。
 小池知事がこの結果を見きわめることとしたことによって、環境基準を超えている地点が二百一カ所中七十二カ所、その後の整理で七十四カ所あることが判明しました。また、無害化は、近い将来において達成できないことも明らかとなったのです。
 昨年の十一月七日に豊洲に移転する以前の決定は、まさに見切り発車だったのであります。
 これらの事実が明らかになったことで、豊洲市場について風評被害が発生したとする意見や、移転延期によって豊洲市場の維持管理費や業者への補償などの費用が発生しているとの指摘がなされています。
 しかし、これらの意見や指摘を理由に、予定どおり移転した方がよかったなどとは到底いえないことは明らかであります。
 もし、小池知事が開場に待ったをかけることなく、当初予定のまま、昨年十一月七日に新市場が開場していた場合には、ことし一月の基準値を超える地下水モニタリング結果だけでなく、新市場営業中に盛り土がなかった事実が判明した可能性もあります。その場合には、豊洲新市場の風評被害の懸念は現実のものとなって、豊洲新市場は開場当初から大混乱に陥っていたものと考えられます。
 市場の持続性は、誰も指摘してこなかった課題でした。都議会も都庁も、六千億円に上る豊洲市場建設費用をどう賄うかということについては議論してきました。既にかかった費用は取り戻せないのだから、移転延期の理由とするのはおかしいという指摘もありました。
 しかし、豊洲市場開設後、初期費用の回収も含め、どれだけの費用がかかるのかは、将来の都民の負担にかかわる話です。
 日本人の食生活の変化、少子高齢化や世帯構成の変化の影響により、生鮮食料品、特に魚の需要が減少し、流通形態も多様化しています。平成に入り、中央卸売市場の取扱量も取扱金額も半減しているという事実を踏まえ、巨大な豊洲市場を開場した後、収支がどうなるのか、誰も考えてきませんでした。
 また、現在国では、卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止すべく、平成二十九年末までに具体的結論を得て、所要の法令、運用等を改めることが閣議決定され、改正作業が進んでいます。さらに、生鮮食料品の場外流通では、インターネット販売、配送業者の本格的参入が始まっており、卸売市場はさらなる競争にさらされています。
 中央卸売市場は一つの経営体です。経営体が収支を全く考えてこなかったこと自体があり得ないことであります。
 この点について、市場問題プロジェクトチームや都庁の事務当局が検討を重ね、豊洲新市場への過大な投資によって年間の赤字額が約九十億円に上り、減価償却費用を除いても約二十億円の赤字という収支不均衡な計画の実態が明らかになりました。
 営業すれば営業するほど赤字が累積していく、これが豊洲市場の経営実態なのです。このような豊洲市場の持続性の課題は、知事の指摘がなければ浮かび上がってこなかった課題であります。
 さらに、情報公開、説明責任の観点からは、都議会や都民には、建物の地下に盛り土をすると説明しておきながら、実際は盛り土をしてこなかったという事実は、東京都は都議会や都民に対して本当のことをいっているのだろうかという信頼を揺るがす事件でありました。
 また、八百六十億円の費用をかけた土壌汚染対策の効果を、二年間モニタリングによって最後まで見きわめることをせず開場しようとするなど、都民に対する説明としては、決定的に不十分、不誠実でありました。
 これらの新事実と、事実に対する検証は、全て小池知事の待ったから始まっており、専門家会議、市場問題プロジェクトチーム、都庁職員による検討など、ロードマップに従った検討を着実に重ねた結果、明らかになったものです。そしてこのことは、多くの都民の皆様の支持をいただいていることと確信をしております。
 ロードマップに従った検討では、課題の抽出だけでなく、それらの課題の解決策に関する選択肢も示されました。これらを踏まえ、小池知事は、最終的に六月二十日に、築地は守る、豊洲を生かすという基本方針を示されました。
 私たち都民ファーストの会は、築地は守る、豊洲を生かすという基本方針が、豊洲市場を市場の移転問題にとどめることなく、東京の都市づくりの観点から、都政の責任者として判断されたものと高く評価しております。
 そして、私たち都民ファーストの会は、その基本方針と同じ方向性を都議会議員選挙の政策として掲げ、その実行を都民の方々に約束してまいりました。
 これは基本方針ですから、その骨格を形づくり、内容を固めていく作業はこれからだと思います。しかし、知事の基本方針に対する考え方について、都民の皆様にわかりやすくご説明をすることは大切だと考えています。
 そこで、知事にお伺いします。
 築地は守る、豊洲を生かすという考え方は、豊洲への市場移転と築地での再開発を包含した一つの東京の成長戦略、都市づくりの中で位置づけられると認識していますが、知事のご認識を伺います。
 先ほど、私たちと知事は、東京大改革を推進していく二つのエンジンであると述べました。政策決定は知事の役割です。とりわけ重要政策については、選挙で選ばれた知事が責任を持って決定した政策を行政職員が実行に移す、これがいわゆる知事と行政職員との当然の役割分担であると考えます。
 概して行政が、継続性、一貫性を背景に、時代や都民が求めるニーズに対する柔軟性や方向性修正には鈍重であることが多いものです。豊洲市場問題に限らず、長年にわたる既存の方針を変更しないという硬直的な対応では、都民が求める東京大改革は実現できません。
 私たちは、都庁職員の皆さんも、都民が求めた東京大改革に積極的に取り組んでいただけるものと期待をしております。私たちは、都庁の方々も、東京大改革に積極的に取り組んでいただけるものと考えております。
 政策決定過程における都庁の職員の方々の仕事として、幾つかの選択肢を提供するなど、知事の政策決定に際しての材料を提供することがあります。現に、知事の基本方針決定に際して、都の幹部職員で構成されたあり方戦略本部の作業も、知事の判断材料となっていると思います。
 ただし、政策決定者は、行政機関からの情報だけでなく、幅広く情報を集め、最後は政治家としてみずからの責任で政策を決定する役割を担っています。
 私たちは、時代の変化、環境の変化、新しい事実の発覚などから、選挙で信任を得た知事がさまざまな情報を収集、分析し、政治決断することに、何ら問題はないどころか、政治家としての柔軟性を発揮した決断であると高く評価をしております。
 そこで、念のため確認いたします。
 知事の基本方針決定に至るまでの庁内の意思決定の手続について、都の所見をお伺いいたします。
 知事には、政治家として政策を決定するという側面と行政機関の長として行政を執行していくという側面があります。
 政策決定過程では、選挙で選ばれた知事の役割が大きいのですが、政策の執行過程では、都庁の職員の方々にしっかりとやっていただかなければなりません。政策は実行されなければ効果を上げません。また、政策の執行過程は、都民の皆様に直接影響を及ぼす契約や行政処分を含んでいくこととなるので、適正かつスピーディーな執行が大切です。
 私たち都民ファーストの会は、議会において、小池都知事とともに東京大改革を進めてまいります。そして、政策の執行機関である都庁組織が改革を着実に進めていくよう、行政をチェックしてまいりたいと考えています。
 そこで、質問をいたします。
 知事の基本方針発表後、知事の基本方針の資料と都庁幹部の皆様が作成されている資料に微妙な食い違いがあるのではないかと懸念します。都庁全体として、知事の基本方針を着実に実行する体制ができているのでしょうか。都の所見をお伺いいたします。
 次に、基本方針に沿った今後の計画についてお伺いいたします。
 これからは、市場の豊洲への移転、さらには築地再開発という大きなプロジェクトが進むことになりますが、まず、豊洲市場の運営の課題と将来性について伺いたいと思います。
 豊洲市場の現時点での運営計画、収支計画は、とても健全な計画とはいいがたい面があります。一方で、物流拠点としての将来性には展望があり、大きな可能性を感じます。
 その理由の第一は、豊洲市場の抜群にすぐれた交通アクセスです。首都高湾岸線、環状二号線、晴海通りなどが近接し、羽田空港と東京湾にも近い。市場の今後の海外展望、輸出、輸入も見据えれば、絶好の場所に開設されることになります。
 第二は、冷凍冷蔵施設の充実など近代的な最新設備により、コールドチェーンやHACCP対応などが可能となることです。これによって、世界的な食品流通と競争できる可能性があります。
 そこで、こうした豊洲市場のメリットをいかに評価し、今後どう生かしていくのか、都の所見をお伺いいたします。
 また、特定フロンの全廃規制も、豊洲市場の経営にプラスとなる可能性があります。環境省は、モントリオール議定書を受けて、オゾン層保護法に基づき、特定フロンの製造、輸入に関する規制を行っており、HCFC以外のオゾン層破壊物質については平成十七年までに生産及び消費ともに全廃、HCFCについても平成三十二年までに全廃の予定としています。
 つまり、現行の特定フロンは使用ができなくなりますので、冷凍冷蔵設備は逼迫することが予測されます。二〇二〇年には、このような背景により、豊洲市場の冷凍冷蔵設備は格段に付加価値を生む可能性があり、このポテンシャルを大いに生かすべきと考えます。
 そこで、都は、特定フロンの全廃が生鮮食料品の流通、さらに豊洲市場にもたらす影響について、どのように評価し、今後どのような事業展開を考えているのかお示しください。
 次に、築地の再開発についてお伺いいたします。
 築地市場の跡地に関しては、東京オリンピック・パラリンピックの輸送拠点としての役割を終えた後、築地ブランドと民間の力を生かした再開発が行われる検討方針が示され、今回の補正予算でも、検討経費として二千万円の予算が計上されています。
 築地には歴史があり、文化があります。そして、長年培われた世界に通じるブランド力には、単なる不動産相場価格を超えた無形の価値があります。
 知事は会見で、築地は東京都の莫大な資産とおっしゃいましたが、この莫大な資産は、一度売却してしまえば二度と戻ってくることはありません。
 また、築地は、都市計画の観点から見ても、道路幅員の広さ、水辺環境、商業性、銀座への距離など、あらゆる好条件がそろっているといっても過言ではなく、これだけの土地は、もはや都心でほかにはありません。
 例えば、隣接する浜離宮恩賜公園は、二十五ヘクタールもの広さを持つ都立公園で、こちらも長い歴史を持つ東京都の貴重な資産です。築地川を挟んで築地市場と向かい合う立地にあり、築地とのアクセスを改善するなどしながら一体的な活用を行うことで、このエリア全体の価値を高めていくことにつながります。
 さらに、ウオーターフロントとしての立地環境は、隅田川を通じて浅草から築地、豊洲、勝どき、月島、晴海、そして葛西臨海公園など、特色あるまちを結ぶ水運の拠点として、物流機能、観光機能を今まで以上に担うことができる潜在力があります。
 私たち都民ファーストの会は、築地の再開発を民間主導で行うことにより、経済合理性のある再開発、観光客を呼び込み、キャッシュを生み出していく東京の成長戦略の一角を担う再開発を実現できると考えています。
 そこで、この築地のポテンシャルをどのように評価し、この都心では最大最後ともいえる築地の再開発をどのように検討していくのか、知事の決意をお伺いいたします。
 基本方針では、希望される事業者の方々が再び築地に戻ることも想定されています。都としては、築地で働く事業者の皆様に、できるだけ早くその構想を示すことが重要です。築地再開発は豊洲移転を行った後に進めるものですから、まずは豊洲移転の時期を決めることが先決となります。
 市場問題プロジェクトチームの報告書によれば、移転をして改修する場合、民間的手法を用いれば、最短工期三年半、都庁内手続を入れて四年半で完成も可能という試算が出されています。
 豊洲移転の時期が追加工事の関係から来年六月以降ということになり、具体的な時期は業者との調整によるとしても、調整が早く整えば、知事が述べられたとおり、五年以内でできるだけ早く着工し、五年後をめどに完成させることは十分可能と思われますが、いかがでしょうか。
 そこで、あらゆる手法の可能性を検討しながら、築地再開発は、より迅速に進めていくべきと考えますが、今後のスケジュールについて、改めて都の所見をお伺いいたします。
 あわせて、環状二号線建設のスケジュールについてもお伺いいたします。
 環状二号線は、東京オリンピック・パラリンピックに向けて不可欠であり、都内の交通インフラとしても重要な意味を持つものです。オリンピック・パラリンピックの選手村や競技会場のある臨海部から都心や他会場に向かうには、首都高速などが通るレインボーブリッジ、一般道の晴海通りがありますが、晴海通りの渋滞は深刻であり、その輸送力は十分とはいえません。
 そのため、国際オリンピック委員会、IOCに提出した立候補ファイルで、環状二号線は、選手村から主会場である新国立競技場までを結ぶ主要道路として位置づけられています。
 現状の計画では、平成三十一年度末をめどに、地上部道路の整備を完了させるとなっていますが、道路線形や構造が構想段階にあるなど、果たして大会までの間に開通がなされるのか懸念する声も上がっています。
 そこで、環状二号線道路は、大会までの開通を着実になし遂げ、大会運営に支障を来さないよう対応を求めるものですが、今後の対応について、都の所見をお伺いいたします。
 次に、関係局長会議で示された無害化にかわる新たな安全対策についてお伺いいたします。
 これまでの知事と執行機関が随時実施してきた土壌汚染対策が、なぜ結果として都民や関係事業者に大きな不安を抱かせ、都政への不信を募らせることになってしまったのでしょうか。
 ここで重要なポイントは、無害化三条件の達成を開場条件としたことです。これは、都議会の付帯決議を受けて、二〇一一年二月二十三日の予算特別委員会において、中央卸売市場長が、操業に由来する汚染物質が全て除去、浄化され、土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になることと答弁したことを指しています。
 日本の技術をもってすれば無害化は実現できるとして、これまで東京都は、八百六十億円もの予算を費やして土壌汚染対策を実施してきました。しかし、この一年の間に判明した事実は、無害化は当分実現できないということでした。
 これを受けて、小池知事は、本年六月一日の第二回都議会定例会において、無害化を約束したのはかつての都知事初め東京都であり、現場を担う業者の皆様には、お約束を守れなかったことを都知事としておわび申し上げ、また、八百六十億円もの土壌汚染対策を施しながら、いまだお約束を守れていないことを都民の皆様におわび申し上げると述べられています。
 その上で、本年六月、専門家会議、市場のあり方戦略本部、市場移転に関する関係局長会議における議論を踏まえ、無害化にかわる新たな方針が策定されました。
 そこでは、安全で安心な市場の実現に向け、専門的、科学的で妥当な対策を講じること、追加対策工事の着実な実施により地上の安全に万全を期すること、地下水管理システムの適切な運用により地下水位を管理するとともに、同システムの揚水機能を発揮し、中長期的に水質の改善を図ること、専門家会議の助言に基づき、地上部の大気や地下水の水質を測定し、正確な情報発信を通じて、都民や事業者の理解と安心につなげていくことなどが提言されています。
 そこで知事にお伺いいたします。
 この提言を実現するために補正予算が編成されておりますが、安全対策を講じる上で非常に重要な役割を果たした今回の専門家会議について、知事自身はどのような評価をされたのか、見解をお伺いいたします。
 私たち、都民ファーストの会は、都民と事業者の安心と信頼を取り戻すべく、地に足のついた新方針が示されたことを高く評価いたします。この上は、この新方針が広く都民と事業者に理解され、支持を広げ、速やかに実施されなければなりません。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 今回の追加対策工事並びに豊洲市場の広報活動が都民と事業者に再び安心を抱かせ、信頼を取り戻すことにどのようにつながっていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 補正予算案のもう一つの柱となるのは、開場に向けた移転準備に必要な経費二十五億円です。引っ越し作業の再構築や習熟訓練の本格化など、多額の補正予算が計上されている点に触れるまでもなく、円滑な市場の移転に向けては、市場関係者の理解と協力を欠かすことができません。
 これまでも小池知事は、知事就任直後に両市場を訪れ、関係者から公開の場でヒアリングを行い、また無害化方針の未達成については、知事みずから説明と陳謝に訪れるなど、市場関係者に対して真摯に向き合ってこられました。それでもなお、これまでの移転経緯などへの不信から、今回の市場移転に関して、事業者の一部からは不安の声も聞こえます。
 市場を取り巻く環境は厳しく、経営が危機的状態にある事業者の状況を好転させるためにも、また、東京オリンピック・パラリンピックの円滑な実行のためにも、事業者と協力し、来年度中の早期移転を完了されることが望まれます。
 そこで、知事は就任以来、市場の当事者たちとどのようなコミュニケーションを図ってこられたのか、そして、本補正予算の執行と市場移転の実現に向けて、引き続きどのように向き合っていかれるのか、知事の所見をお伺いいたします。
 では、これ以降は、所管局に対して補正予算案の詳細について順次お伺いいたします。
 床面のコンクリート打設や換気設備の整備により、ガス濃度上昇を防止するとした地下ピット追加対策工事には、債務負担行為六億円と合わせて十九億円が計上されています。
 新たに招集された専門家会議は、あるべきはずの盛り土がなかったという事実からスタートし、そのかわりに存在していた地下ピット、地下空間に対し、盛り土が果たすはずの機能を満たすためには、どのような対策が必要であるのかを最重要検討課題としてスタートしています。
 その地下ピットには、本来あるはずのないたまり水があったことが多くの都民に衝撃を与え、その安全性に大きな懸念を残すことになりました。
 また、調査の過程で実施した空気測定においては、地下ピット内に換気設備がなかったことから、環境基準値を上回る水銀が空気中から検出されるなどの課題も発生いたしました。
 これらの問題を解決するためには、専門家会議では二つの工法が示唆されています。一つは、遮蔽シートによって水銀などガスの侵入を大幅に低減するもので、もう一つは、コンクリートによって水銀などガスの侵入を低減させるものです。
 遮断シートでは、ガスの侵入を大幅に低減できるので換気の頻度が低下し、ランニングコストが抑えられる一方、初期費用や対策工事に時間を要します。コンクリートでは、ガスの侵入を低減する効果が遮断シートに比べて落ちるため、頻繁な換気が必要になる反面、初期費用が低く工期が短いというメリットがあります。
 しかしながら、本当にコンクリートで長期にわたってガスを遮断できるのか、広大な地下ピットにコンクリートを改めて設置する作業は物理的に可能なのか否かなど、懸念も提示されているところであります。
 そこで、専門家会議から提示された二案について、コンクリートによる工法を選択した理由を改めて伺います。
 また、この工法によって、地下空間の安全は確実に担保されるのか、その効果について、都の見解をお伺いいたします。
 次に、地下水管理システムについてお伺いいたします。
 地下水水位の早期低下、地下水モニタリングなどのための機能強化を実施するとして、地下水管理システムの機能強化対策に債務負担行為を含めて二十億円の補正予算が計上されています。
 万が一、地下水に汚染が発見された場合の二重三重の安全対策として、地下水位をAP一・八メートルから二・〇メートルの間で管理するとしていた地下水管理システムですが、昨年十月の本格的稼働以来十カ月を経過してもなお、地点によっては三メートルを超えている水位が観測されるなど、残念ながら目標値には至っていないのが現状です。
 地下水位が目標値まで下がらない点をもって、地下水管理システムに不安を感じる都民もいる状況かと思いますが、改めて、これまでの地下水管理の経緯と地下水管理システムの作動状況について、都に説明を求めます。
 そして、今回の強化対策は、目詰まりを起こして機能が低下した既存の揚水井戸の洗浄、ポンプ交換をするほか、新たな揚水ポンプや真空ポンプを設置し、また観測井戸での揚水などを行うことが予定されています。
 機能を強化しても、また新たなポンプが目詰まりを起こして想定どおりに機能しないのではないか、観測井戸で揚水を行って本来の機能に影響がないのかなど、幾つかの懸念が考えられるところです。
 機能強化対策によって、都民が納得のいく確実な効果が得られるのかどうか、都の所見をお伺いいたします。
 次に、五千万円が計上されている補助三一五号線連絡通路部の観測用人孔補修についてお伺いいたします。
 この対策は、補助三一五号線下道路の砕石層の中から水銀が検出されたことを受けて、専門家会議で対応が検討された事項です。
 汚染土壌の残る部分ということで、都民や事業者が不安に感じるところでもあり、今回の補修で確実な封じ込めが見込まれるのかどうか、都の見解をお伺いいたします。
 開場に向けた移転準備に必要な経費のうち三億円が計上されている引っ越し作業の再構築について要望を述べておきます。
 豊洲市場を円滑に開場するに当たり、数百に上る事業者の方々を円滑にサポートすることは欠かせません。類を見ない規模の作業量となり、綿密な計画が必要となります。こうした計画の立案やサポートは専門業者に委託するとも聞き及んでおりますが、適正な事業者を選択し、スケジュールどおり確実に遂行しなければなりません。
 今回の補正予算に当たって、都として、移転に伴う膨大な作業量と現場のサポートに十全を期されるよう要望しておきます。
 次に、豊洲市場の使い勝手の向上に係る経費一千万円、債務負担行為七億円についてお伺いいたします。
 八十二年続いた築地市場から新天地に移る事業者の不安は大きく、新たな市場に対しては、その使い勝手についてさまざまな懸念が示されてきたところです。
 その後、都は、事業者や業界団体と真摯に向き合い、事実と異なる懸念は払拭し、現場の意見として取り入れるべきものは取り入れて計画立案を進めてきたものと思います。
 そこで、今回の補正予算で改善予算を計上するまでに至る対応の経緯を改めてお伺いいたします。
 また、使い勝手の向上については、今後も業界団体と密なコミュニケーションを重ねた上で、不断の努力が求められると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、築地の再開発に向けた検討費用二千万円の詳細についてお伺いいたします。
 知事の基本方針を検討するため、築地再開発検討会議を設置するための予算が計上されました。築地再整備に向けた都庁組織としての強力な体制づくりが急がれると考えますが、都の所見をお伺いしたいと思います。
 豊洲市場のPR経費約一億円について伺います。
 豊洲移転問題について、都民への周知、情報の公開を行っていくことが大切だと考えています。
 そこで、移転問題に関連して都がこれまで行った具体的な情報公開、広報の取り組みについてお伺いいたします。
 六月からは新たな対応策として、豊洲市場の定期的な都民向け見学会が開催され、参加した多くの都民に好評であると聞き及んでおります。
 一方で、まだまだ見学会に参加できる人数が足りない、開催する頻度をふやしてほしいなど、改善に向けた要望も寄せられていると聞いております。
 また、参加できる人数は限られているものの、そうした見学の様子や参加者の意見がメディアを通じて報じられるのは重要なことでありますが、都みずからも見学会の様子や成果をきちんとPRすることも必要です。
 今後、この補正予算を生かして、広報PRにおいてどのように取り組みを深めていくのか、都の所見をお伺いいたします。
 次に、豊洲市場認可申請の準備二千万円についてお伺いいたします。
 中央卸売市場である豊洲市場を開設するためには、農林水産省からの認可申請が必要となります。基本方針発表後の七月七日、小池知事は円滑な豊洲市場への移転に向けて、農林水産大臣への認可の協力を要請したと聞き及んでおります。移転に反対する人々の中には、現状では農水省の開設許可がおりないと主張する方もいるため、認可申請に向けたプロセスが着実に進んでいることを示すことは重要です。
 そこで、豊洲市場認可申請についての現状と今後の開設許可に向けた見通しについて、都の展望をお伺いいたします。
 最後に、基本計画を達成するための財政プランについてお伺いいたします。
 築地を売却せずにキャッシュを生み出すという計画については、企業債の償還が始まったタイミングで一時的にキャッシュが不足するのではないかと指摘もなされているところです。
 都民財産を守りながら、基本方針を達成するための財政計画についてどのように検討されていくのか、今後の展望をお伺いいたします。
 以上、そもそもの移転延期の決断から基本方針の決定過程、さらには円滑な移転を進めるための補正予算について、多くの質問を重ねてまいりました。
 この市場移転問題は、長期にわたって都政の大きな課題でした。移転先の選定から安全対策の選定に至るまで、甘い見通しと不透明な意思決定が多く存在したことから都民の不信が頂点に達したという事実を、私たち都議会は強く自覚しなければなりません。
 私たち都民ファーストの会は、都民の信頼を再び取り戻すため、全力を尽くすとともに、世界に誇れる東京のブランドを守り抜いてまいります。
 そして、今まさに都民が求めているのは、市場問題を政争にして足を引っ張ることでも、殊さら食への不安をあおり立てることでもなく、徹底した情報公開のもと、円滑な豊洲市場移転や築地再開発プランを前に進めていくことにほかなりません。
 責任与党たる都民ファーストの会は、本臨時会で審議される補正予算によって、知事とともに都民にお約束した基本方針を着実に前進させていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) まず、答弁に先立ちまして、先ほど、北朝鮮によるミサイル発射に対する抗議の都議会決議がなされたことを受けまして、知事として一言申し上げておきます。
 国際社会の強い抗議や警告を無視し、我が国に深刻かつ重大な脅威をもたらす暴挙を繰り返す北朝鮮に対しましては、東京都として厳重に抗議をいたします。都は、政府と緊密に連携を図りながら、北朝鮮の動向を注視し、都民の生命と財産を守るために万全を期してまいります。
 あわせまして、重大な人権侵害でございます拉致問題の一刻も早い解決に向けて最善の努力を続けてまいります。
 それでは、木村基成議員のご質問にお答えしてまいります。
 移転延期の決断についてのご質問がございました。
 昨年八月、豊洲市場への移転を延期いたしましたのは、都民ファーストの視点から、安全性への懸念、巨額かつ不透明な費用の増大、情報公開の不足、この三つの疑問点が解消されていなかったからでございます。食の安全を守り、都民への説明責任を果たすべき都知事といたしまして、このような状況で移転を進めること、これは都民の納得を得られるものではないと考えたものでございます。
 一旦立ちどまったそのことによりまして、主要建物の下の盛り土がなされていなかったことや、地下水モニタリングでそれまで検出されていなかった環境基準値を超える物質が検出をされたこと、豊洲市場の事業継続性や市場会計の持続可能性に問題があることなどが明らかになったわけでございます。これまで議論の対象とならなかった課題に光が当てられ、都民にオープンな形で検討がなされたことで、市場移転問題の議論は深まったものと、このように考えております。
 そして、基本方針についてのご質問がございました。その認識はいかんということでございます。
 日本の新たな中核市場としての可能性を持つ豊洲、そして都心に近くさまざまなポテンシャルを有している築地。首都東京、都市東京の魅力を高めてさらなる成長に結びつけていく、そうした観点から、この両方を生かしていくべきとの信念のもとで私自身が出した考えでございます。
 この基本方針を、都としての具体の取り組みにつなげていくために、副知事、関係局長に、築地の魅力を最大限に生かした再開発など三点を指示したところでございます。そして、その具体化に向けまして、全庁一丸となって取り組むとともに、民間の活力を最大限に生かして、東京の持続的な成長につなげてまいりたいと考えております。
 続きまして、築地の可能性、ポテンシャルの評価、そして再開発の検討についてのご質問がございました。
 築地は、将来の東京にとりまして極めて重要な役割を担うエリアでございます。築地は、築地のエリアが有する食文化、浜離宮の景観、水辺の魅力、そして船旅の活用、都心への近接性などなど、さまざまなポテンシャル、可能性を有しているところでございます。
 このようなポテンシャルを生かしながら、東京の魅力をさらに高められるように、幅広い検討をスタートさせてまいります。そして、民間からのアイデアも募りながら、築地のロケーションを最大限に生かした夢のある姿を描いていきたいと考えております。
 専門家会議についてのご質問がございました。
 昨年九月の設置以降、専門家会議では、豊洲市場において空気や地下水に関しますさまざまな測定を行って、多角的な議論をしていただきました。その結果を踏まえまして、科学的な知見に基づく提言を取りまとめていただいて、この提言に基づいた補正予算をこの臨時会に上程しているところでございます。
 平田座長を初めとする委員の皆様方には、真摯に、かつ精力的にご審議をいただいたものでございまして、この間のご労苦に対しては心より感謝を申し上げたく存じます。
 また今後、専門家会議の皆様方の提言に基づいて追加対策工事を着実に進める、そのことによって、豊洲市場のさらなる安全性の向上に努めてまいりたいと考えております。
 その安全対策でございますが、都民と事業者の安心確保に向けた取り組み、これにつきましては、豊洲市場の食の安全・安心の確保に向けて、専門家会議の提言に基づきます追加対策工事を着実に実施をするとともに、都民目線に立って、正確な情報をわかりやすく発信をするなど、都民や事業者の理解と安心を得る努力を重ねていくことは極めて重要と認識をいたしております。
 このため、豊洲市場用地の無害化にかわります新たな方針に基づいて追加対策工事を着実に実施するとともに、その進捗状況を随時発信いたしてまいります。そして、その整備効果につきましても丁寧に説明をしてまいります。
 また、実際に豊洲市場を都民の皆さんにごらんいただきます見学会でございますが、今後、定例化をしてまいります。そして、対象者をふやすなど、その拡充を図っていく考えでございます。
 こうした取り組みに加えまして、私みずからも、さまざまな場面におきましてメッセージを発信してまいります。
 ちょうど本日でございますが、築地市場の業界団体の皆様方から、風評被害の払拭についてのご要望をいただいたところでございまして、今後とも先頭に立って、都民や事業者の安心確保と信頼の確保に取り組んでまいる所存でございます。
 市場業者への対応についてのご質問がございました。
 市場の移転問題を解決するためには、築地市場で働く市場業者の方々のご理解とご協力をいただくことは重要でございます。
 こうしたことから、ことしの一月には築地市場の視察とあわせまして業界代表の方々と意見交換をさせていただき、また、六月には築地市場を二回訪問いたしまして、無害化のお約束を果たされていない現状についておわびを申し上げるとともに、基本方針についても、業界団体の代表の方々に直接ご説明もさせていただきました。
 今後も、可能な限り築地市場を訪問したいと考えておりまして、引き続き、市場業者の方々に寄り添った丁寧な対応に努めていきたい、このように考えております。
 その他のご質問につきましては、東京都技監、関係局長よりのご答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、築地再開発の今後のスケジュールについてでございます。
 補正予算成立後、早期に築地再開発検討会議を設置し、築地の持つ地域特性やポテンシャルなど、まずは幅広い観点から検討をスタートさせてまいります。来年度にかけて、民間からのヒアリングなども行いながら、まちづくり方針として取りまとめる予定でございます。
 その後、民間の知恵やノウハウを生かすための、事業者からの提案募集や、それに基づく必要な設計、都市計画等の手続、土壌や埋蔵文化財の調査などを、おおむね三年程度をかけて進めることを想定してございます。それらの状況によっては、工事着手まで早まることも、あるいは期間を要することもあり得ますが、このようなステップを踏みながら、五年以内のできるだけ早い時期に再開発に着工することを目指してまいります。
 次に、築地再開発に向けた体制づくりについてでございます。
 補正予算成立後、早期に築地再開発検討会議を設置して、幅広い検討をしていただく考えでございます。あわせて、市場移転に関する関係局長会議などの場も活用し、関係各局とも一層連携を強化して、組織を挙げて検討を進めてまいります。
〔政策企画局長長谷川明君登壇〕

○政策企画局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、知事の基本方針決定に至るまでの庁内の意思決定の手続についてでございますが、昨年八月の移転延期決定以降、専門家会議では土壌汚染対策等について、また、市場問題プロジェクトチームでは建物の構造安全性や事業継続性等について、それぞれ専門家による検証を進めてまいりました。さらに、これらの検証結果を集約し、残された諸課題の総点検を行い、知事の総合的判断につなげるため、市場のあり方戦略本部を設置し、議論を行ってまいりました。
 今回の基本方針は、こうした検討を踏まえ、さまざまな意見も参考に、知事が政策判断として示した考え方でございます。一般的な事案の決定とは性質を異にするものであり、手続面で問題はないと考えております。
 次に、基本方針を着実に実行する体制についてでございますが、基本方針発表後、知事の指示により、東京都としての具体的な取り組みにつなげていくため、知事及び副知事の出席のもと、市場移転に関する関係局長会議を開催しております。
 この会議におきまして、第一に、築地市場の豊洲市場への早期移転の円滑な実施、第二に、二〇二〇年東京大会に向けた準備の推進、第三に、築地の再開発に向けた検討、これら三点について、課題の整理と検討を行ったところでございます。
 基本方針と関係局長会議で取りまとめた内容の方向性は一致しており、今後とも、関係局一丸となって取り組みを進めてまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 十点のご質問にお答えいたします。
 まず、豊洲市場のメリットについてでございますが、豊洲市場は、高度な品質、衛生管理や効率的な物流の実現等を目指した必要な施設整備を進めてまいりました。
 具体的には、閉鎖型の施設とすることで温度管理や衛生管理を可能とするとともに、バースや荷さばき場、積み込み場などの物流施設を充実させております。また、新たな業務需要に対応いたしました加工パッケージ施設を整備しております。さらに、より高度な品質、衛生管理を目指し、輸出などへの対応を考えている事業者に対しましては、第三者認証の取得に対する支援制度も創設したところでございます。
 今後、こうしたハード、ソフト両面にわたる取り組みに加えて、市場業者と協力して、空港への近接性という地理的な優位性も生かし、豊洲市場を日本の中核市場として育ててまいります。
 特定フロンの全廃の影響についてでございますが、二〇二〇年からフロン規制が適用されますが、豊洲市場の民間冷蔵庫棟は規制に適合する施設が整備されております。こうした施設を活用した規制に伴う需要への対応につきましては、開場後の市場内における冷蔵庫の利用状況や、市場内施設という位置づけとの整合性、整備主体である民間事業者の意向などを見定めた上で検討してまいります。
 地下ピット内の追加対策工事についてでございますが、専門家会議からは、追加対策として二つの案が提言されておりますが、いずれの案も、地下ピット内でのガス濃度上昇防止策として妥当と判断されております。
 これを踏まえまして、都といたしまして、工期や工事費の面ですぐれている第二案により、対策工事を進めることといたしました。
 専門家会議では、豊洲市場における空気測定結果を踏まえて対策を提言しておりまして、今回の対策につきましては、盛り土があれば果たされるはずであった機能を有していると評価されております。
 都といたしましては、提言に基づく追加対策工事を着実に進めるとともに、工事完了後、専門家会議に対策の効果を確認していただく予定であり、こうした取り組みを通じて、豊洲市場のさらなる安全性の向上に努めてまいります。
 地下水管理の状況についてでございますが、地下水管理システムは、街区周縁を遮水壁で囲まれた豊洲市場におきまして、地下水を揚水することで地下水位を安定的に管理するシステムでございまして、昨年十月の本格稼動後、地下水位は徐々に低下しております。
 また、地下ピットからの強制排水の実施により、建物下の地下水位は、地下ピットの床面より下にまで低下しております。
 一方で、同システムでは、井戸やポンプの目詰まり等により揚水量が十分に確保されておらず、敷地全体の地下水位は、現時点で目標管理水位まで到達しておりません。
 こうした状況を踏まえまして、専門家会議からは、揚水機能の強化が必要との提言をいただいたところでございます。
 地下水管理システムの機能強化についてでございますが、専門家会議からいただいた提言を踏まえ、地下水管理システムの機能強化を進めてまいります。
 具体的には、揚水機能が低下した井戸の洗浄やポンプの交換を行うとともに、地下ピット内に新たな揚水ポンプを設置いたします。
 また、地下水位を観測するための井戸を揚水井戸として活用するほか、地下水位が高い箇所において、吸引管と真空ポンプを用いた揚水を実施しまして、揚水能力を確保してまいります。
 こうした機能強化の取り組みを着実に進めることにより、早期の地下水位の低下を目指すとともに、地下水管理を適切に行ってまいります。
 補助三一五号線連絡通路下の追加対策でございますが、補助三一五号線連絡通路下では、アスファルト舗装と、ベントナイト混合土層による汚染土壌の封じ込め対策を行っておりまして、専門家会議において空気測定を行った結果、地上部では水銀等は指針値等を下回っておりました。
 一方、アスファルト舗装下の砕石層で空気測定を行った結果、水銀等が指針値等を超過していたことが確認され、専門家会議では、その原因として、観測用マンホールとベントナイト混合土層の境界部分にすき間がある可能性が指摘されたところでございます。
 これを踏まえまして、すき間を充填剤等で埋める対策が提言されており、今後、この対策工事を着実に実施するとともに、対策の効果を確認するための空気測定を行うことで、さらなる安全性の向上に努めてまいります。
 豊洲市場の使い勝手の向上についてでございますが、豊洲市場の使い勝手につきましては、業界からさまざまなご意見、ご要望が寄せられており、市場問題プロジェクトチーム会議においても議論があったところでございます。
 こうした経緯を踏まえまして、事業者が利用しやすい市場の実現に向け、施設設備の改善に必要な経費を補正予算案に計上いたしました。
 開場に向けて、ターレスロープへのカーブミラーや注意喚起標識の設置など施設面の改善に加え、六街区ランプウエー付近のカーブにおける車両動線の見直しといった運用面の改善につきましても、必要な取り組みを着実に進めてまいります。
 このほか、市場を運営するためのルールづくり等について、より一層業界との調整を進め、安全で使いやすい豊洲市場の実現を目指してまいります。
 これまでの広報等の取り組みについてでございますが、豊洲市場の移転に当たっては、食の安全・安心に関する都民の信頼を得ていくため、正確な情報を迅速に提供していくことが重要でございます。
 そのため、都では、専門家会議などの会議をフルオープンで開催し、インターネットでも中継するなど広く公開するとともに、当局のホームページのトップ画面から、豊洲市場の地下ピットの現状や地下水位の状況など、さまざまな情報に素早くアクセスできるよう取り組んでまいりました。
 また、豊洲市場の現状をごらんいただくため、公募した都民や地元の町会の方々を対象とした見学会なども行ってまいりました。
 続いて、今後の広報活動についてでございますが、これまでの取り組みの充実、強化といたしまして、まず、豊洲市場の見学会については、今後、毎月開催していくとともに、豊洲市場の安全対策の理解促進に向けて、築地市場内に設置しているPRコーナーについてもパネルや展示物等の拡充を図ってまいります。
 また、今後、定期的に計測する豊洲市場の大気の状況なども、ホームページやSNS等を通じてわかりやすく発信し、見える化の取り組みを推進してまいります。
 さらに、新たな取り組みといたしまして、施設の安全性や効率性、品質、衛生管理面の対応等について、地元のイベントとの連携やパンフレット、「広報東京都」などの広報媒体の活用によりまして、都民の皆様に幅広く発信してまいります。
 最後に、豊洲市場の認可申請についてでございます。国は、国会審議において、豊洲市場の認可申請については、関係法令に適合しているかどうかなど、卸売市場法第十条各号に掲げる基準に基づき審査するといたしました。
 また、市場用地の土壌や地下水汚染につきましては、汚染の除去や封じ込め等の措置が講じられている形質変更時要届け出区域として区域指定されていることを前提とすれば、認可の障害とはならない旨の見解を示しております。
 都はこれまで、豊洲市場は土壌汚染対策法に定める要件を満たしていることや、移転に向けた追加対策工事の実施等について、必要に応じて国に説明を行ってまいりました。
 引き続き、豊洲市場への円滑な移転に向けて、市場業者からの意見聴取、豊洲市場の事業計画など必要な準備を進めるとともに、認可申請に向け、国との調整を図ってまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 環状第二号線についてでございますが、二〇二〇年大会に向けまして、平成三十一年度末を目途に環状第二号線の地上部道路の整備を完了させます。
 その線形や構造につきましては、市場の移転時期や、その後の解体工事などの状況を踏まえまして、工事が可能となる期間などを考慮し、検討を進めてまいります。
 今後、二〇二〇年大会が円滑に運営できますよう、環状第二号線の地上部道路の整備を着実に進めてまいります。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 基本方針の達成に向けた財政面での検討についてでございます。
 豊洲と築地の両方を生かすという基本方針の実現に向けましては、この先も市場会計が長期にわたり持続可能性を確保できることが前提となります。
 そのため、築地の再開発に当たりましては、築地が持つロケーションを最大限に生かしながら、資金面、財政面からの検討を行い、経済合理性を確保してまいります。
 また、豊洲市場の企業債の返済を着実に行うとともに、流通環境など市場を取り巻く状況の変化の視点も踏まえながら、コスト削減や収入確保などの経営改善策を具体化してまいります。
 財政収支の観点から、市場会計全体として継続的に事業が運営できるよう、都庁一丸となり、持続可能性を追求してまいります。

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