平成二十一年第一回臨時会会議録

平成二十一年五月二十九日(金曜日)
 出席議員 百二十五名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番伊藤まさき君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番菅  東一君
二十一番きたしろ勝彦君
二十二番田中たけし君
二十三番鈴木 隆道君
二十四番神林  茂君
二十五番早坂 義弘君
二十六番高木 けい君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番山口  拓君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番矢島 千秋君
四十四番高橋かずみ君
四十五番吉原  修君
四十六番林田  武君
四十七番野島 善司君
四十八番服部ゆくお君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番野上 純子君
六十番東村 邦浩君
六十一番長橋 桂一君
六十二番小磯 善彦君
六十三番田代ひろし君
六十四番川井しげお君
六十五番こいそ 明君
六十六番崎山 知尚君
六十七番宇田川聡史君
六十八番秋田 一郎君
六十九番村上 英子君
七十番倉林 辰雄君
七十一番遠藤  衛君
七十二番三原まさつぐ君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番石川 芳昭君
八十七番田島 和明君
八十八番樺山たかし君
八十九番山加 朱美君
九十番山田 忠昭君
九十一番串田 克巳君
九十二番新藤 義彦君
九十三番古賀 俊昭君
九十四番立石 晴康君
九十五番桜井  武君
九十六番吉野 利明君
九十七番初鹿 明博君
九十八番花輪ともふみ君
九十九番大津 浩子君
百番大塚たかあき君
百一番相川  博君
百二番中村 明彦君
百三番馬場 裕子君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番藤井  一君
百七番中嶋 義雄君
百八番木内 良明君
百九番石井 義修君
百十番宮崎  章君
百十一番鈴木 一光君
百十二番三宅 茂樹君
百十三番高島なおき君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番山下 太郎君
百二十一番酒井 大史君
百二十二番大沢  昇君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし
 欠員
五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事谷川 健次君
副知事菅原 秀夫君
副知事山口 一久君
副知事猪瀬 直樹君
教育長大原 正行君
知事本局長吉川 和夫君
総務局長中田 清己君
財務局長村山 寛司君
主税局長熊野 順祥君
警視総監米村 敏朗君
生活文化スポーツ局長秋山 俊行君
都市整備局長只腰 憲久君
環境局長有留 武司君
福祉保健局長安藤 立美君
産業労働局長佐藤  広君
建設局長道家 孝行君
港湾局長斉藤 一美君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長金子正一郎君
消防総監小林 輝幸君
水道局長代理水道局総務部長小山  隆君
下水道局長今里伸一郎君
青少年・治安対策本部長久我 英一君
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長荒川  満君
病院経営本部長中井 敬三君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長矢口 貴行君
人事委員会事務局長中村 晶晴君
労働委員会事務局長関  敏樹君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長野口  孝君

五月二十九日議事日程第一号
第一 第百二十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第二 第百二十九号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百三十号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第六号
  東京都議会議員の期末手当の特例に関する条例
議事日程第一号追加の二
第二 第百二十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百二十九号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第四 第百三十号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

   午後一時一分開会・開議

○議長(比留間敏夫君) ただいまから平成二十一年第一回東京都議会臨時会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(比留間敏夫君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
    十四番 河野百合恵さん 及び
   六十九番 村上 英子さん
を指名いたします。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議会局の部長に異動がありましたので、ご紹介いたします。
 管理部長阿部義博君、議事部長鈴木省五君。
   〔部長あいさつ〕

○議長(比留間敏夫君) 以上で紹介を終わります。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 平成二十一年五月二十七日付東京都告示第八百二十八号をもって、知事より、本臨時会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本臨時会に提出するため、議案三件の送付がありました。
 次に、都議会説明員について、水道局長東岡創示は病気療養のため、本臨時会は、総務部長小山隆が代理出席するとの通知がありました。
 次に、平成二十一年第一回定例会の会議において同意を得た収用委員会委員及び固定資産評価審査委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、人事委員会より、平成二十一年五月十五日付で、都の一般職の職員の特別給についての勧告等がありました。
(別冊参照)

○議長(比留間敏夫君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載〕

○議長(比留間敏夫君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第六号、東京都議会議員の期末手当の特例に関する条例が提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(比留間敏夫君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の臨時会の会期は、本日一日といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、会期は一日と決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成二十一年第一回都議会臨時会の開会に当たりまして、職員の給与に関する条例等の改正について所信を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 アメリカ発の世界同時不況は瞬く間に日本にも波及しまして、東京では経済活動が急激かつ大幅に収縮しており、雇用への不安も広がっております。
 都は昨年、二度にわたる緊急対策を実施するとともに、巨額の税収減が見込まれる中にあって、都民へ安心をもたらし、希望を指し示すための新年度予算を編成するなど、難局を乗り越えるべく、かたい決意で施策を展開しております。また、効果的な行財政運営に努め、たゆまぬ内部努力も進めております。
 未曾有の経済危機のまさに渦中にある民間企業では、存続の危機と隣り合わせの厳しい経営環境が続き、従業員の賃金にもかつてない深刻な影響が出ております。
 このような社会経済情勢のもとで、今月十五日、人事委員会から、職員の特別給について、民間企業の夏季一時金が過去に類を見ないほど大幅な減少傾向にあることを踏まえた、緊急の勧告を受け取りました。
 公務員の給与については、社会一般の情勢に適応させていくことが原則であり、このたびの勧告も、これに沿った人事委員会の判断であると受けとめております。
 この勧告に基づきまして、六月期の特別給について、支給月数の一部を削減して適用することといたしました。支給基準日が六月一日であるため、今月中に職員の給与に関する条例等の改正を行う必要があります。そこで、皆様にもお集まりをいただきまして、本臨時会に条例案三件を提案いたしました。
 この一部削減を機会に、職員には、難局のただ中にある都民、民間企業の深刻な状況を身をもって受けとめ、職務になお一層精励することを求めてまいります。同時に、これまで以上にコスト意識の高い、迅速かつ的確な行政執行にも取り組んでまいります。
 今後とも都は、持てる力のすべてを発揮して、一刻も早く現下の経済危機を突破していく決意であります。
 都議会の皆様には、条例改正案の趣旨についてご理解を賜り、よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして発言を終わります。ありがとうございました。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○議長(比留間敏夫君) これより日程に入ります。
 日程第一から第三まで、第百二十八号議案、東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例外議案二件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事谷川健次君。
   〔副知事谷川健次君登壇〕

○副知事(谷川健次君) ただいま上程になりました議案についてご説明申し上げます。
 第百二十八号議案、東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例から第百三十号議案、学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例までの三議案は、民間における賃金情勢の急激な変動や東京都人事委員会勧告に伴い、知事及び職員に平成二十一年六月期に支給される期末手当について、所要の改正を行うものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(鈴木省五君) 人事委員会の回答は、第百二十九号議案及び第百三十号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

二一人委任第二九号
平成二十一年五月二十七日
東京都人事委員会委員長 内田 公三
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十一年五月二十七日付二一議事第四九号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第百二十九号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正
する条例
二 第百三十号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を
改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一及び第二は総務委員会に、日程第三は文教委員会に、それぞれ付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一及び第二は総務委員会に、日程第三は文教委員会に、それぞれ付託することに決定いたしました。
 この際、委員会審査のため、暫時休憩いたします。
   午後一時九分休憩

   午後二時十六分開議

○議長(比留間敏夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、日程の追加について申し上げます。
 委員会より、第百二十八号議案、東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例外条例二件の委員会審査報告書が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(比留間敏夫君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、議員提出議案第六号、東京都議会議員の期末手当の特例に関する条例を議題といたします。
 案文は、お手元に配布してあります。
(議案の部参照)

○六十七番(宇田川聡史君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第六号については、趣旨説明並びに委員会付託を省略し、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第六号は、原案のとおり可決されました。

○議長(比留間敏夫君) 追加日程第二から第四まで、第百二十八号議案、東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例外議案二件を一括議題といたします。
 本案に関する委員会審査報告書は、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

   総務委員会議案審査報告書
 第百二十八号議案
  東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
 第百二十九号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 本委員会は、五月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十一年五月二十九日
総務委員長 馬場 裕子
 東京都議会議長 比留間敏夫殿

   文教委員会議案審査報告書
 第百三十号議案
  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 本委員会は、五月二十九日付託された右議案を審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので報告します。
  平成二十一年五月二十九日
文教委員長 大山とも子
 東京都議会議長 比留間敏夫殿

○議長(比留間敏夫君) 本案に関する委員会の報告は、いずれも可決であります。
 お諮りいたします。
 本案は、委員会の報告のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本案は、いずれも委員会の報告のとおり決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 請願の付託について申し上げます。
 本日までに受理いたしました請願一件は、お手元に配布の請願付託事項表のとおり、文教委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(比留間敏夫君) お諮りいたします。
 ただいま文教委員会に付託いたしました請願は、閉会中の継続審査に付したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本件請願は、閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。

○議長(比留間敏夫君) 次に、議会運営委員会の所管事務について、閉会中の継続調査の申し出があります。
 本件は、お手元に配布の特定事件継続調査事項表のとおり、閉会中の継続調査に付したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(比留間敏夫君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、閉会中の継続調査に付することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(比留間敏夫君) 以上をもって本日の日程は全部議了いたしました。
 会議を閉じます。
 これをもって平成二十一年第一回東京都議会臨時会を閉会いたします。
   午後二時十九分閉議・閉会


文書質問趣意書及び答弁書

二一財主議第五〇号
平成二十一年五月二十二日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 比留間敏夫殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成二十一年第一回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
   福士敬子議員
   村松みえ子議員
   石毛しげる議員
   曽根はじめ議員

平成21年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  福士敬子

質問事項
一 渋谷区南平台町38番15外5筆の土地について
二 都市再生法による都市再生緊急整備地域の指定について
三 一般競争入札による売却について

一 渋谷区南平台町38番15外5筆の土地について
1 渋谷区南平台町38番15外5筆の土地(以下「本件土地」という)に旧東京都第七建設事務所があったと聞くが、第七建設事務所用地としての用途を廃止したのは、いつどのような理由からか。
2 用途廃止について議会に対して説明の必要はなかったのか。
3 用途廃止について都民に対し、いつ、どこで、いかなる方法で説明したか。
 財務局長に引き継がれた普通財産について、東京都公有財産規則第15条は、「局長等は、その所管に属する公有財産の管理について、常に最善の注意を払い、経済的かつ効率的に利用されるようにしなければならない。」と規定している。
4 本件土地は1,660平方メートルもある都心部の一等地であるので、財務局長、都市計画局長、建設局長等は、当然その規定に基づき利用計画を作成したと思うが、どのような内容のものか。
5 それを議会および都民に対していつ、どこで、どのような方法で説明をしたのか。また、説明を行なっていないとすれば、その理由は何か。
二 都市再生法による都市再生緊急整備地域の指定について
 平成17年12月28日に本件土地を含む渋谷駅周辺地域が都市再生法に基づく都市再生緊急整備地域として政令で指定された。
1 本件土地は平成17年11月18日に一般競争入札により売却されたが、都は、一般競争入札に付した時には、渋谷駅周辺地域が都市再生緊急整備地域として間もなく指定されることは知っていたと考えるが、どうか。
2 渋谷駅周辺地域が都市再生緊急整備地域として指定されるということは、都市再生法の法目的である都市機能の高度化や都市の居住環境の向上が図られる地区とされることであり、これは、都の行政目的に沿うものであるばかりでなく、この地域における都の決定的に重要な役割を考えれば、この方向の整備を地域整備方針等に反映させるため、本件土地を含む都有地は売却せず、公共用地として留保するのが原則であると考えるが、どうして売却したのか。
 土地の売却を行なう場合、都市再生緊急整備地域の指定の前と後では売却条件が違ってくると考えられる。指定によりディベロッパー・ゼネコン等民間事業者は、開発について都市再生法上の特典を受けることができるようになるから、指定は土地の価格の上昇要因となることを承知していたか。
3 本件土地は指定の直前に売却されている。なぜ、本件土地は指定の後ではなく指定の直前に売却されることになったのか。
三 一般競争入札による売却について
1 本件土地の一般競争入札は、いつ東京都公報で公告されたのか。
2 公告において、入札参加者に必要な資格としてどのようなことが掲載されたのか。
 東京都契約事務規則第13条第2項は、「予定価格は、契約の目的となる物件または役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。」と規定している。
3 本件では13億8,680万円が予定価格すなわち最低売却価格であるが、この価格算定の具体的根拠を明らかにされたい。建物と土地をそれぞれどのように評価したのか、それについて明文の規準があれば示されたい。
 東京都公有財産規則第47条第1項は、「普通財産の管理及び処分に係る予定価格並びに財産の取得に係る予定価格は、適正な時価により評定した額をもって定めなければならない。」と規定している。
4 本件土地の予定価格を適正な時価により評定する際、間もなく本件土地を含む渋谷駅周辺地域が都市再生緊急整備地域に指定されることは考慮されたのか。そうだとすれば、どのように考慮したのか。最低売却価格との関係において明確にされたい。
 東京都公有財産規則第46条及び第48条によると、普通財産の売払いや予定価格の決定に際しては、別に知事が指定するものを除き、東京都財産価格審議会の議を経なければならないとされている。
5 本件では、売払いや予定価格の決定に東京都財産価格審議会の議をいつ、どこで、どのような方法で経たか。
 今回の入札結果は、落札者株式会社ハウジングニチエー(以下「ハウジングニチエー」という)の入札金額は34億6000万円と最低売却価格の3倍近くになる反面、唯一の競争入札者アパマンション株式会社(以下「アパマンション」という)の入札価格は、最低売却価格とほぼ等しい14億3000万円であり、その差は約20億3000万円と大きい。
6 過去5年間、最低売却価格10億円以上の都有地の入札において、最低売却価格に対する落札価格の平均倍率と最高倍率、最低売却価格との差の最大額をそれぞれ示されたい。
7 入札者の支払能力の調査はどのようにして行ったか。
8 落札者ハウジングニチエーが三菱UFJ信託銀行から融資をうけて本件土地を購入したことを、いつ、どのような機会に、どのような方法で知ったか。
9 落札者ハウジングニチエーもしくはその委任をうけた代理人もしくは受託者代表遠藤修が、本件土地の入札公告の前に会った東京都の職員はいるか。またはその後会った者はいるか。いるとすれば、誰が、いつ、どこで会ったのか。
10 落札者ハウジングニチエーと遠藤修は暴力団に繋がる者だと報じられ、その後遠藤は脱税で起訴されているが、遠藤がかかる存在であり、かつ本件入札に介在していることにいつ気が付いたか。
11 入札前に、競争入札者アパマンションの会社の関係者に会った東京都の関係者はいるか。いるとすれば、誰が、いつ、どこで会ったのか、明らかにされたい。
12 落札者ハウジングニチエーと前述のアパマンションにつき、本件入札における関係において、公正な入札を実現するためいかなる注意を払ったか、具体的に明らかにされたい。
13 落札者ハウジングニチエーは、本件落札後半年も経たない平成18年4月28日に本件土地を住友不動産株式会社に売却している。この事実を知ったのはいつか。
 エンドユーザーが誰であるかを確認することは、本件土地が都市再生緊急整備地域に指定されることが前述のとおり確実であったのであるから、都市計画の面だけでなくあらゆる意味でこの整備計画に重大な責任を持っている東京都としては当然のことである。
14 入札当時住宅地であった本件土地が整備地域に組み込まれ商業地となり、高層商業ビルが建設できることを見越して、そのために入札公告の前からエンドユーザーは住友不動産であり、同社が買い受けることを承知していたのではないか。
15 ハウジングニチエーは単なるクッションに過ぎず、本件入札の本当の目的は、住友不動産等の「都市再生」プロジェクトの便宜を図るものではなかったのか、答えられたい。
 本件土地が落札された平成17年11月18日のわずか4日前、渋谷区は前述ハウジングニチエーに対し、本件土地に近接した土地(渋谷区南平台町40番28、120.89平方メートル)を随意契約で売却している。しかもこの土地は、国から無償で譲与されたものである。渋谷区の土地というより、むしろ国の土地といった方がよい。
16 渋谷区の売却は前述した都市再生法の地域指定がらみで売買されたものであることから、東京都が知らないとは考えられないが、この事実をいつ誰からどのような機会に知ったのか、答えられたい。
17 本件土地約500坪及び上記渋谷区の土地を含む約2100坪をハウジングニチエーが所謂地上げをし、上記のとおり半年経たないうちに住友不動産に計422億円で売却している。坪あたり約2000万円となるから、落札価格の坪あたり約700万円と比較すると、約半年で価格が3倍に跳ね上がったことになる。
 上記の事実をいかなる機会に知ったか。
18 上記の事実を知らなかったとしても、落札価格が時価より低く民間に売却すれば価格が跳ね上がることは入札前から認識していたのではないか。そうでないとすれば、なぜ認識できなかったのか。

平成21年第一回都議会定例会
福士敬子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 渋谷区南平台町38番15外5筆の土地について
1 渋谷区南平台町38番15外5筆の土地に旧東京都第七建設事務所があったと聞くが、第七建設事務所用地としての用途を廃止したのは、いつどのような理由からか伺う。

回答
 旧東京都第七建設事務所用地については、平成17年度組織改正により第七建設事務所が廃止されたことや、その後の利用計画がなかったことから、東京都公有財産規則第7条に基づき、平成17年3月31日付けで用途廃止しました。

質問事項
一の2 用途廃止について、議会に対して説明の必要はなかったのか伺う。

回答
 用途廃止については、庁内の事務手続であるため、議会への説明は行っていませんが、第七建設事務所の廃止については、常任委員会所属議員を中心に、事前説明や資料送付を行っています。

質問事項
一の3 用途廃止について、都民に対し、いつ、どこで、いかなる方法で説明したのか伺う。

回答
 用途廃止については、庁内の事務手続であるため、都民への周知は行っていませんが、第七建設事務所の廃止については、平成17年3月以降に広報東京都、関係区広報紙への掲載や建設事務所窓口等にチラシを置くなど、都民に周知を行っています。

質問事項
一の4 本件土地は都心部の一等地であり、財務局長、都市計画局長、建設局長等は、東京都公有財産規則第15条の規定に基づき利用計画を策定したと思うが、内容について伺う。

回答
 本件土地の利用計画については、建設局からこの土地を引き継いだ財務局において検討しましたが、当該土地は隣接土地所有者が所有していた幅員の狭い私道のみにしか接していないため、行政目的としての需要は無く、普通財産としても有用な活用は困難であるため、一般競争入札により売却することにしました。

質問事項
一の5 その利用計画について、議会および都民に対し、いつ、どこで、どのような方法で説明したのか伺う。また、説明を行っていなければ、理由について伺う。

回答
 本件土地の売却は、「議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」第3条が適用される「20,000平方メートル以上の土地の売払い」に面積が満たないため、議会への付議や説明は行っていません。

質問事項
二 都市再生法による都市再生緊急整備地域の指定について
1 本件土地を一般競争入札に付した時、都は、渋谷駅周辺地域が都市再生緊急整備地域として間もなく指定されることを知っていたのか伺う。

回答
 渋谷駅周辺地域について、国から都市再生緊急整備地域の指定を受ける可能性があることは承知していました。

質問事項
二の2 都市再生緊急整備地域の指定に伴う本地域の整備を、整備方針等に反映させるため、本件土地を含む都有地は売却せず、公共用地として留保するのが原則と考えるが、なぜ売却したのか伺う。

回答
 渋谷駅周辺地域は、都市再生緊急整備地域の地域整備方針の目標として、商業・業務・文化機能の集積を生かし多世代による先進的な生活文化等の情報発信拠点の形成と、駅から周辺の街に連続するにぎわいのある都市空間の形成を掲げています。
 本件土地は都市再生緊急整備地域内に在りますが、最も端に位置しているため、渋谷駅周辺の繁華街とも距離があり、現状では、駅前のにぎわいは本件土地の周辺までは連続していません。
 また、本件土地は幅員の狭い私道のみにしか接しておらず、行政目的としての需要はなく、有効な利活用方法もありませんでした。
 こうしたことから、売り払うことによる歳入の確保と、その後の民間による利活用が有益と判断したものです。

質問事項
二の3 本件土地が、都市再生緊急整備地域の指定の後ではなく、なぜ指定の直前に売却されることになったのか伺う。

回答
 前述のとおり、本件土地の周辺は、オフィスビルや高級マンションが建てられているエリアです。また、駅周辺の繁華街と距離がある上、現状では、駅前のにぎわいは本件周辺までは連続していません。
 そのため、渋谷駅周辺地域が都市再生緊急整備地域の指定を受けても、本件土地については、都市再生特別措置法に基づく都市再生特別地区などの都市計画上の特例を受けることは見込めませんでした。
 したがって、都市再生緊急整備地域の指定による本件土地への評価額の影響は無いと見込み、公告した日程どおり入札を実施しました。

質問事項
三 一般競争入札による売却について
1 本件土地の一般競争入札は、いつ東京都公報で公告されたのか伺う。

回答
 平成17年10月17日付東京都公報(特定調達公告版)特定調達第1270号で公告しています。

質問事項
三の2 公告において、入札参加者に必要な資格としてどのようなことが掲載されたのか伺う。

回答
 地方自治法施行令第167条の4(一般競争入札の参加者の資格)第1項で「普通地方公共団体は、特別の理由がある場合を除くほか、一般競争入札に当該入札に係る契約を締結する能力を有しない者及び破産者で復権を得ない者を参加させることができない。」と規定されています。このため、公告では「2 競争入札に参加する者に必要な資格」として「地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の4第1項に該当する者は、入札に参加できない。」としています。

質問事項
三の3 本件入札における予定価格について、算定の具体的根拠について伺う。また、建物と土地をどう評価したのか、明文の基準があれば示されたい。

回答
 財務局では、一般競争入札で売払う財産の鑑定評価は、原則として二者の不動産鑑定士に委託しています。また、その最低売却価格については、「〔1〕二者鑑定の場合は、鑑定評価額が低い鑑定評価額(総額)とする。〔2〕10万円未満の額がある場合には、それを切り上げて10万円単位で設定する。〔3〕建物に係る消費税及び地方消費税相当額を含めた総額で設定する。」という基準を定めています。本件においてもこの基準に基づき、二者鑑定のうち低い鑑定評価額を基に設定しました。

質問事項
三の4 本件土地の予定価格を適正な時価で評定する際、間もなく都市再生緊急整備地域に指定されることは考慮されたのか伺う。そうであれば、どう考慮したのか、最低売却価格との関係も含め伺う。

回答
 都が渋谷駅周辺地域の都市再生緊急整備地域の指定を受けたのは、平成17年12月28日ですが、本不動産鑑定委託は、価格時点を平成17年11月1日として平成17年9月9日に発注し、平成17年10月11日に納品されているため、都市再生緊急整備地域の指定のことについては考慮していません。
 なお、考慮したとしても、予定価格は変わるものではありません。

質問事項
三の5 本件土地の売払いや予定価格決定において、東京都財産価格審議会の議を、いつ、どこで、どのような方法で経たのか伺う。

回答
 依命通達「公有財産関係の条例及び規則の施行について」の別紙第3により不動産鑑定士の鑑定評価により売り払う土地等について、その評価額が2億円未満、又はその面積が一件2万平方メートル未満のもの(財務局財産運用部で処理するもの及び多摩ニュータウン事業会計に係るものに限る。)については、東京都財産価格審議会に付議することを要しないものとしています。本件土地の売払いについては、土地の面積が、1,665.89平方メートルであることから、東京都財産価格審議会に付議していません。

質問事項
三の6 過去5年間の最低売却価格10億円以上の都有地の入札において、最低売却価格に対する落札価格の平均倍率と最高倍率、最低売却価格との差の最大額についてそれぞれ伺う。

回答
 過去5年間の最低売却価格10億円以上の都有地の入札における落札価格の平均倍率は、1.36倍で、最高倍率は2.49倍です。最低売却価格との差の最大額は、20億7320万円でした。

質問事項
三の7 入札者の支払能力の調査はどう行ったのか伺う。

回答
 一般競争入札においては、地方自治法施行令第167条の7の規定に基づく、参加要領にあるとおり、入札参加者に各自の見積もる金額の100分の3以上の入札保証金の納付を入札参加条件としていますが、その他の支払能力は要件にしていません。したがって、支払能力の調査はしていません。本件について落札者は、入札日に1億6千万円の入札保証金を支払っています。

質問事項
三の8 落札者が信託銀行から融資を受けて本件土地を購入したことを、いつ、どのような機会に、どのような方法で知ったのか伺う。

回答
 平成17年11月18日に都有財産売買契約を締結し、同日に契約額の全額の納付を受け、契約は適正に履行されましたので、資金調達方法については、調査する必要がありません。

質問事項
三の9 落札者もしくは委任を受けた代理人もしくは受託者代表が、本件土地の入札公告前に会った都職員はいるのか伺う。またはその後に会った職員はいるのか。いるとすれば、誰が、いつ、どこで会ったのか伺う。

回答
 公告前については、境界確定等で都の担当者が隣接地土地所有者である落札者と会っています。公告後は、一般競争入札参加要領の手続に従って、平成17年11月10日に財務局財産運用部の事務室で都の受付担当職員が一般競争入札の参加申込を受け付ける際、落札者の担当者と会っています。

質問事項
三の10 落札者と受託者代表は暴力団につながる者だと報じられ、その後受託者代表は脱税で起訴されたが、受託者代表がかかる存在であり、かつ本件入札に介在していることに、いつ気付いたのか伺う。

回答
 お尋ねの件については、平成21年1月末からの新聞報道等で知りました。

質問事項
三の11 入札前に、競争入札者の会社の関係者に会った都の関係者はいるのか伺う。いるとすれば、誰が、いつ、どこで会ったのか伺う。

回答
 一般競争入札参加要領の手続に従って、平成17年11月11日に財務局財産運用部の事務室で受付担当職員が一般競争入札の参加申込を受け付ける際、入札参加者の担当者と会っていることについては、確認しています。

質問事項
三の12 落札者と競争入札者について、本件入札における関係において、公正な入札を実現するために、どのような注意を払ったのか具体的に伺う。

回答
 一般競争入札による都有財産の売払いについては、入札参加条件を満たした者による一般競争入札を実施し、落札者を決定しています。本件においても参加条件を確認するとともに、入札を公開で行うなど、適正に一般競争入札を実施するように注意を払いました。

質問事項
三の13 落札者は、本件落札後半年も経たないうちに、本件土地を不動産会社に売却しているが、この事実を知ったのはいつか伺う。

回答
 お尋ねの件については、平成21年1月末からの新聞報道等で知りました。

質問事項
三の14 入札当時住宅地であった本件土地が整備地域に組み込まれ商業地となり、高層商業ビルが建設できることを見越して、入札公告前から本不動産会社が買い受けることを承知していたのではないか伺う。

回答
 お尋ねの件については、平成21年1月末からの新聞報道等で知りました。

質問事項
三の15 落札者は単なるクッションに過ぎず、本件入札の本当の目的は、不動産会社等の「都市再生」プロジェクトの便宜を図るものではなかったのか伺う。

回答
 本件入札は、東京都契約事務規則の定めに則り、適正に執行しています。

質問事項
三の16 渋谷区は、本件土地に近接し、国から区に無償で譲与された土地を、本入札の直前に、落札者に随意契約で売却しているが、この事実を都はいつ誰からどのような機会に知ったのか伺う。

回答
 お尋ねの土地の処分権限は渋谷区にあり、都が売却の状況を知り得るものではありません。

質問事項
三の17 本件土地周辺を落札者がいわゆる地上げをし、落札価格の約3倍の坪あたり単価で、半年も経たないうちに不動産会社に売却している。本事実をどのような機会に都は知ったのか伺う。

回答
 お尋ねの件については、平成21年1月末からの新聞報道等で知りました。

質問事項
三の18 本事実を知らなかったとしても、落札価格が時価より低く、民間に売却すれば価格が跳ね上がることは入札前から認識していたのではないか。そうでないとすれば、なぜ認識できなかったのか伺う。

回答
 本件入札は、地方自治法第237条第2項「普通地方公共団体の財産は、……又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。」の規定に則り、適正な時価として不動産鑑定士による鑑定評価額を採用し、本物件の最低売却価格としています。
 また、落札価格については、一般競争入札の結果であると考えています。

平成21年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  村松みえ子

質問事項
一 市町村の公立病院への支援の充実について
二 消防団活動への支援について

一 市町村の公立病院への支援の充実について
 今年2月に、日野市立病院をはじめ、稲城、町田、青梅、福生、奥多摩など、多摩地域の公立病院の事務長さん、前事務長さんからお話を聞く機会がありました。
 日野市立病院では、昨年6月までに小児科医師全員が退職するという危機的状況においこまれ、それに伴い出産業務も休止する事態になったこと、幸い1名が残って非常勤医師と小児科の診療をなんとか続けることができたこと、などのきびしい現状をお聞きしました。町田市民病院も、医師不足ため昨年9月から小児の二次救急を中止しています。そのため、多摩市にある日本医科大学多摩永山病院の小児救急患者が増え、同院からおしだされた救急患者で稲城市立病院の小児科の患者が増加しているとのことでした。どの病院も、診療報酬削減や医師不足でご苦労されている様子が伺えました。その中でも町田市民病院では、NICUの取り扱いを開始して市民の要望に応えようと懸命に努力されていることがわかりました。
1 こうした多摩地域の公立病院の果たす役割について、都はどのように認識していますか。
2 また、多摩地域の公立病院が、医師・看護師不足や、診療報酬削減により、深刻な運営状況にあることを、どう考えていますか。
 どこの病院からも強調されたのが、多摩地域の公立病院は都立病院の補完的役割を果たしているのに、1床あたり122万円の補助額ではあまりにも少なすぎるということです。
 東京都は、石原知事が就任する直前に編成された1999年度予算で、公立病院運営費補助の単価を、1床あたり130万円から135万円に引き上げました。しかし、石原知事が就任してから、1床あたり122万円でまで減らされました。
 市町村は公立病院にたいし、一般会計から毎年多額の繰り入れを行っており、市町村財政の重い負担になっています。市長会からも、「公立病院に対する補助制度の充実を求める」要望が、重点要望として提出されています。
3 市長会から出された重点要望の「公立病院の地域での役割や経営状況を考慮し、病床基礎額の特段の増額や、補助金算定における減額のための経営評価指数(病床利用率・自己収支比率)の適用緩和が充分図られるように検討を行うこと」 、「都立病院の補完的役割として、地域医療に不可欠な二次救急医療(特殊診療部門運営事業)に係る補助基準の増額を図ること」を求めている市長会の重点要望を、都はどう受け止めているのですか。
 都は、診療報酬削減への対応や、医師の待遇改善などのため、都立病院への一般会計からの繰り入れを、2007年度から増やし始めました。09年度予算案でも増額となっています。ところが、公立病院運営費補助は、1床あたり122万円ですえおかれたままです。私は、市町村の公立病院にたいする支援の充実をつよく求めるものです。
4 都は、市町村の実情にあった病床基礎額の増額という市長会の要望に、どう対応するのですか。
5 経営評価指数(病床利用率・自己収支比率)によって補助金算定を減額する算定方法の見直しが、必要ではありませんか。
6 また、地域医療に不可欠な二次救急医療(特殊診療部門運営事業)に係る補助基準の増額を求める市長会の要望には、どう対応するのですか。
 小泉政権時代の「構造改革」路線により、8年間で4回も診療報酬が引き下げられました。医師の数が増えると医療費が増えるとの考え方から、医師の養成数も抑制されてきました。このため、公立、民間を問わず医師不足で充分な医療が提供できない深刻な問題が全国で生じています。日野市立病院の産科休止問題や、都立墨東病院で起きた医師不足の問題などがマスコミで報道される中、東京都も、地域医療を支援する新たな医師派遣システムを創設し、10名程度の「東京都地域支援ドクター」の募集を始めました。派遣予定医療機関に日野市立病院も入っています。
7 「東京都地域支援ドクター」の派遣の時期、人数、派遣される医師の専門診療科などの見通しはどうですか。今後、医師の派遣にあたっては、日野市立病院の意見、要望を充分に聞いていただくよう求めるものですが、どうですか。
 深刻な医師不足を解消するためには、出産などで、いったん医療現場から離れた、女性医師などが復職できるように、条件整備をすることも重要です。
8 離職している医師・女性医師の復職を支援する「ドクターバンク」「女性ドクターバンク」の創設、復職を支援する研修システムの確立、医学生への奨学金制度の拡充、また、たとえば杏林大学に多摩の地域医療についての「寄付講座」を開設するなど、大学の医学部教育に対する「寄付講座」の活用など、都の医師確保対策を、さらに拡充することが重要です。見解を伺います。
 2007年12月に総務省は「公立病院改革ガイドライン」を発表し、公立病院の再編、民間的経営手法の導入、経営効率化を具体化した「公立病院改革プラン」を08年度中に作るよう、全国の自治体に通知しました。この中には、医師不足などの地域の実情を無視して、病床利用率が3年連続70%未満の病院は、「病床数の削減、診療所化等の抜本的な見直しを行うことが適当である」などということまで示されています。
9 公立病院の改革は、あくまでも各自治体の自主的な判断と責任において進めるものであり、「 公立病院ガイドライン」の方針を自治体に押し付けるべきではないと考えますが、都の見解を伺います。
二 消防団活動への支援について
 地域の消防団の皆さんは、市民の命と財産を守るために自らの職業を持ちつつ地域に密着して頑張っています。火災、水害時はもちろん、年末年始の火災防火の呼びかけや夏祭りのときの地域の見回り、また、様々な訓練活動に取り組んでいます。こうした消防団の皆さんの活動は家族の皆さんの理解と協力が欠かせません。この消防団の皆さんへの待遇にも多摩格差が生じています。
 その1つに、消防団の皆さんが着用する防災服です。
 23区では、消火の際に着用する防災服の更新が始まっています。素材は、難燃ビニール、ビニール80%、ポリエステル15%などで燃えにくい素材を使用している防災服です。すでに、新宿区や、渋谷区では全員が着用し、2年後の2011年度には、1万3千人の消防団員すべてに着用完了の予定です。これは、東京消防庁が直接23区の消防団に責任をもつ体制になっているからです。一方、多摩地域の消防団は、財政力のない市町村が責任を持たなければならないためにその計画すらないのが実情です。
 消防団の出動回数は、23区19.13日、多摩19.17日とほぼ同じ出動日数ですが、その内分けは、多摩の火災出動が、5.07日。23区の火災出動は、0.91日です。多摩地域の火災出動日数からしても、直接消火活動に係る日数の多い多摩の消防団の防災服を難燃性の防災服使用できるようにするために、東京都が特別の支援策を講じるべきと考えますが答弁を求めます。

平成21年第一回都議会定例会
村松みえ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 市町村の公立病院への支援の充実について
1 多摩地域の公立病院の果たす役割について、都はどう認識しているのか伺う。

回答
 多摩地域の公立病院は、地域における中核的病院として地域医療を担っています。

質問事項
一の2 多摩地域の公立病院が、医師・看護師不足や、診療報酬削減により、深刻な運営状況にあることをどう考えているのか伺う。

回答
 病院経営は、全国的に医師・看護師の確保が困難となっていることなどから、厳しい状況にあります。
 市町村公立病院においても、同様な状況にあり、それぞれが経営改善の取組を行っています。
 都としては、公立病院運営費補助等により、運営を支援しています。

質問事項
一の3 「病床基礎額の特段の増額」や「二次救急医療に係る補助基準の増額」等、市長会から出された重点要望について、都はどう受け止めているのか伺う。

回答
 市町村公立病院運営費補助については、平成13年度から経営評価指数を導入して、経営努力が反映される仕組みとしています。
 補助金の病床基礎額については、全国の政令指定都市の決算を踏まえて、3年ごとに市町村と協議し、見直しを行うこととしており、平成22年度の次回改定に向けて、今後、協議を行っていきます。
 また、二次救急医療については、民間病院に対する休日・全夜間診療事業の病床確保料に準拠し、支援を行っています。

質問事項
一の4 都は、市町村の実情にあった病床基礎額の増額という市長会の要望に、どう対応するのか伺う。

回答
 市町村公立病院運営費補助に当たっての病床基礎額は、全国の政令指定都市の決算を踏まえて、3年ごとに市町村と協議し、見直しを行うこととしており、平成22年度の次回改定に向けて、今後、協議を行っていきます。

質問事項
一の5 経営評価指数(病床利用率・自己収支比率)によって補助金算定を減額する算定方法を見直すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 市町村公立病院運営費補助は、市町村との協議を踏まえ、平成13年度から経営評価指数を導入して、経営努力が反映される仕組みとしています。

質問事項
一の6 また、地域医療に不可欠な二次救急医療に係る補助基準の増額を求める市長会の要望には、どう対応するのか伺う。

回答
 市町村の公立病院が行う二次救急医療に対しては、運営費補助の加算措置として、民間病院に対する休日・全夜間診療事業の病床確保料に準拠し、支援を行っています。

質問事項
一の7 「東京都地域医療支援ドクター」の派遣時期、人数、派遣される医師の専門診療科などの見通しについて伺う。また、今後医師の派遣に当たっては、日野市立病院の意見・要望を充分に聞くことを求めるが、どうか。

回答
 平成21年4月から、2名を派遣しました。
 今後も引き続き募集を行っていきますが、派遣先の選定に当たっては、市町村公立病院の意見・要望を聞いています。

質問事項
一の8 離職している医師・女性医師の復職を支援する取組や医学生への奨学金制度の拡充など、都の医師確保対策のさらなる拡充が重要だが、見解を伺う。

回答
 都においては、不足が顕著な小児、周産期医療などに従事する医師を確保するため、昨年度、「医師勤務環境改善事業」を開始しました。
 また、「医師奨学金制度」を創設し、地域医療を担う医師の養成・確保に取り組んでいます。

質問事項
一の9 公立病院改革は、あくまでも各自治体の自主的な判断と責任において進めるものであり、「公立病院ガイドライン」の方針を自治体に押しつけるべきではないと考えるが、見解を伺う。

回答
 公立病院が、今後とも地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくために、各市町村において、医療内容の充実と経営改善を内容とする病院改革プランを策定しています。

質問事項
二 消防団活動への支援について
 財政力の弱い市町村が責任を持っている多摩地区の消防団の防災服を、難燃性の防災服に更新できるよう、都が特別の支援策を講じるべきだが、見解を伺う。

回答
 消防団については、市町村が設置し、防災服など被服の費用を負担することとなっています。

平成21年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  石毛しげる

質問事項
一 献血の推進について
二 東京東部の海抜ゼロメートル地帯における高潮等の災害対策について

一 献血の推進について
 輸血等に必要な血液製剤の供給は、国民の善意である献血によって支えられているのが現状です。人工的に製造することができない血液が、献血する人が減少することによって充分確保されない状況に至っています。
 さて、昨年に起きた世界同時不況のあおりを日本も受け、その影は献血にも波及している。企業による献血は、献血の安定化を支えてきました。しかし、企業の工場の生産ラインの減少や正規社員、非正規社員の解雇、工場閉鎖などにより献血移動車での献血者の人数や献血が減少しています。
 神奈川県では、血液が充分でなく東京に不足分を依頼している状況が出てきています。関東でも埼玉県や栃木県も神奈川県同様の厳しい事態であります。
 日常の生活の中で私たちは、いつ事故や病気に遭遇するか判りません。今後、献血が減少していくと妊婦の出産時や事故などで、血液が充分でないという理由で断られる事態にもなりかねません。
 献血の受け入れは、日本で唯一の献血事業者である『日本赤十字社』によって行われています。平成14年の献血者数は579万人(213万リットル)、平成15年 502万人(208万リットル)、平成16年 547万人(202万リットル)、17年 532万人(196万リットル)、18年 499万人(184万リットル)、19年 494万人(189万リットル)と、このように年を追うごとに献血者と献血量は減少の一途をたどっています。また、献血者数を年代別にみると、20代までの若年層の落ち込みが著しい状況にあります。厚生労働省が平成20年3月に公表した『若年層献血意識に関する調査』によると、献血の経験のない者のうち、「非常に関心がある」「関心がある」という回答をした人が45.8%で、「特に関心がない」「まったく関心がない」と回答した人は54.2%と、ほぼ同率となっている。
 さて、今後少子高齢化の中、血液の消費に占める高齢者の割合が増えていくと考えられます。まず、若年層に安定的に需要を支えていく持続可能な血液の需給体制を構築していくことが必要であろうし、その若年層の複数回の献血を確保する体制も必要だと考えます。
1 都の献血に対する見解を伺う。
2 都の取り組み状況はどうなっているか伺う。
3 首都大学東京を含む、都内の大学での取り組みについてはどうか伺う。
4 都立高校での普及啓発や献血車の配置なども考えられないか伺う。
二 東京東部の海抜ゼロメートル地帯における高潮等の災害対策について
 環境問題を語るときに、南太平洋に位置するツバルが海水面上昇による浸水被害に日常的に悩まされていることが報道される。島国である我が国にとっても、それはもはや対岸の火事とは言えないところまできている。
 2008年5月に環境省から温暖化に伴う海水面の上昇が発表された。高潮による被害の予測では日本沿岸の海水面は今世紀末に1990年と比べ約38センチメートル上昇し、この結果東京湾や伊勢湾、瀬戸内海などで浸水被害を受ける地域の面積が今世紀末に2000年と比べ2.9倍の5万8千ヘクタールに、同地域内で高潮の被害を受ける可能性のある人口が同年29万人から、137万人に増加すると指摘している。
 また、海水面上昇と豪雨が多発することにより、地下水位が上昇し、地震の際に東京東部の海抜ゼロメートル地帯の液状化現象の危険性も増加するとしている。
 さらに、我が国の沿岸で海水面が1メートル上昇したとすると砂浜の90.3%は消失し、その湾岸施設の対策に7.8兆円、海岸構造物の対策に3.6兆円が必要との試算が出されている。一方、国土交通省の試算では、1931年の室戸台風級の超大型台風が東京湾を襲えば、水門が閉鎖できないという最悪の場合を想定したとき東京都と神奈川県の港の周辺部で計約28兆8千億円の経済被害を受ける可能性があると指摘する。
 東京湾、特に東京港は現在、世界や国内の主要港と外貿、内貿のネットワークによって結ばれ、日本の産業社会を支える重要な国際、国内物流拠点となっている。また、アジアでは海抜の低い沿岸地域に人口や資産が多く集中している国々が多いが、我が国でも海水面よりも低いゼロメートル地帯に、約200万人が居住し、54兆円の資産が集中している。これを標高1メートルまで拡大すると、人口約410万人、資産は109兆円となる。海水面が1メートル上昇したとすると、これらの人口と資産の被害が予想される。
1 これまでの東京東部の海抜ゼロメートル地帯の高潮水害対策について伺う。
2 今後、予想される海水面上昇による東京東部の海抜ゼロメートル地帯の水害に対する現状認識について伺う。
3 東京港における災害時の物流機能維持のための流入物対策について伺う。

平成21年第一回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 献血の推進について
1 都の献血に対する見解を伺う。

回答
 血液製剤の安定供給を確保するためには、都民の献血への理解と協力が不可欠であり、若年層を含めた都民の献血意識の向上を図っていくことが重要であると考えています。

質問事項
一の2 献血の推進に関する都の取組状況について伺う。

回答
 都は、毎年度策定する献血推進計画に基づき、採血事業者である日本赤十字社と連携し、献血キャンペーンを実施するなど、普及啓発の取組を行っています。
 キャンペーンでは、都民に対し献血への協力を呼びかけるため、電車内へのポスターの掲出や屋外街頭ビジョンでのセンチメートル放映、「成人の日」式典でのリーフレットの配布等を行っています。
 また、献血に積極的に協力した学校、事業所及び町会などに感謝状の贈呈を行うなど、地域、職域等において献血を推進する組織の育成を図っています。

質問事項
一の3 首都大学東京を含む、都内の大学での献血推進に向けた取組について伺う。

回答
 都は、日本赤十字社と連携して、大学、企業などの団体における献血の推進を図っており、都内の大学については、平成19年度、79大学において、207回の献血を実施し、延べ約1万8千人の協力が得られました。
 なお、首都大学東京においても、採血車による献血を5回実施し、延べ382人の協力が得られました。

質問事項
一の4 都立高校での献血の普及啓発や献血車の配置などについて、所見を伺う。

回答
 都教育委員会は、献血に関する正しい知識の普及啓発のため、厚生労働省が作成した高校生用及び教員用テキストの全都立高校への配布に協力しています。
 都立高校においては、奉仕体験活動として、献血ルームで献血受付などの補助を行ったり、文化祭に採血車を配置し、来校者等に献血を呼びかけるなど日本赤十字社の活動に協力している学校もあります。また、これらの学校の中には自主的に献血を行う生徒もいます。
 今後とも、厚生労働省からのテキスト配布に協力するとともに、こうした取組を広く都立高校に紹介していきます。

質問事項
二 東京東部の海抜ゼロメートル地帯における高潮等の災害対策について
1 これまでの東京東部の海抜ゼロメートル地帯の高潮水害対策について伺う。

回答
 都は、東京東部の海抜ゼロメートル地帯において、日本最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風級の台風が東京を襲った場合の高潮を想定し、防潮堤や水門等の整備を重点的に進めてきており、おおむね完了しています。
 また、高潮のおそれがある場合は、東京都地域防災計画、東京都水防計画等に基づき、即応した配備体制をとるとともに、水門等の操作を確実に実施しています。

質問事項
二の2 今後、予想される海水面上昇による東京東部の海抜ゼロメートル地帯の水害に対する現状認識について伺う。

回答
 現在、都の東京東部の海抜ゼロメートル地帯における、伊勢湾台風級の台風がもたらす高潮にも耐えうる防潮堤等の整備は、おおむね完了しています。
 なお、都としては、予測される海面水位の上昇や台風の大型化の影響についての国等の動向を注視し、必要に応じて国や区などと連携して高潮対策を検討していきます。

質問事項
二の3 東京港における災害時の物流機能維持のための流入物対策について伺う。

回答
 災害が発生した場合においても、東京港の物流機能を維持していくことは極めて重要であると認識しています。
 高潮等により、東京港に船舶の航行や港湾荷役等の支障となる流木等の障害物が流入した場合は、東京都地域防災計画等に基づき、港湾局及び東京海上保安部の船舶が除去作業を行うほか、必要に応じ民間事業者等にも応援を求めます。早急に除去することが困難な障害物については、東京海上保安部が警報等により海事関係者等に周知を図ることとしています。

平成21年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  曽根はじめ

質問事項
一 東京北社会保険病院について
二 JR王子駅の汚水たれ流し問題について

一 東京北社会保険病院について
 東京北社会保険病院は、国立王子病院廃止後の後継病院として、2004年4月に開設され、現在、280床、18診療科目の、北区最大の総合病院です。
 24時間小児救急体制も整えられた、北区でゆいいつ産婦人科が置かれた医療機関でもあります。
 しかし、同病院が開設された当時、厚生労働省による社会保険病院などの「見直し」・民営化の動きの中で、同病院を運営する予定だった社会保険都南病院が、当初の開設予定の2003年になって厚労大臣から突然廃止を宣告され、病院長はじめ全職員の不当な解雇・配転騒ぎが起こり、北社保病院は、新たな運営主体を決めるまで1年間開設が凍結された経過もありました。
 それだけに、北区民にとって、社会保険病院の存続と更なる充実は地域医療の中心的課題の一つです。
 こうした時、政府が社会保険庁解体の方針を決定したことにより、同庁が所有する社会保険病院の今後のあり方が問題となり、昨年十月に、他の保有施設と同様、施設売却のための組織であるRFOに移管されて今日に至っています。
 今年になって、政府は全国63箇所の社会保険病院と厚生年金病院については、地域医療を確保する観点から存続を図るとしながらも、自治体など公的団体または医療法人に譲渡を進めるとの姿勢を変えていません。
 しかし、もともと厚生省が所有していた社会保険病院・厚生年金病院を、社会保険事業の切り離しの際に、社会保険庁に移した経過からも、また、今日、民間医療法人の病院経営がのきなみ赤字で、産婦人科など不採算医療を打ち切る事態が相次いでいることなどをみても、安易な民間売却は、地域医療確保の方針にも逆行するのは明らかです。
 そこで、都として、東京北社会保険病院を含め、都内の社会保険病院・厚生年金病院を、政府の責任において公的に存続させ、地域医療の中核として拡充を図っていくよう、政府への働きかけをふくめ力をつくすことを求める立場から、以下、質問します。
1 都は最近、東京北社会保険病院を、災害時の拠点病院として、また周産期医療における連携病院として指定しましたが、都として、都民の切実な医療要望に応えるためにも、同病院が国によって公的に安定的な存続が図られることは重要な課題と捉えるべきと思いますが、どうか。
2 またこの立場から、同病院および、他の都内3箇所の社会保険病院・厚生年金病院について、国が責任を持って存続・拡充を図るよう、都としてはたらきかけるべきと思いますが、どうか。
3 東京北社会保険病院は、周産期母子医療センターをめざして、今後100床ほどの増床をしたいと希望しており、都に対して申請をする意向と聞いていますが、このことについて都は積極的に受け止め、支援すべきと考えますが、都の所見を伺います。
4 北区内で、2007年10月に350床を標榜する東十条病院が廃止されたが、今年中に、板橋区の医療法人が、東十条病院跡地に総合病院を開設する計画があると聞きます。都はどういう認識を持っているのか、伺います。
5 北区を含む区部北部医療圏は、現在、入院病床数が基準を下回っていますが、北区の病床増加計画を含め、練馬区などでの病院開設の動きなどを合わせると、今後、病院病床数が、基準を越えてしまう可能性を否定できません。
 その場合、各区の医療計画を尊重することを基本に、医療圏のベッド規制を見直すべきではありませんか。
 少なくとも各区の人口対比の病床数が、医療圏全体の平均を下回っている場合は、増床を認めるなどの措置が必要ではありませんか。見解を伺います。
二 JR王子駅の汚水たれ流し問題について
 王子駅南口トイレからの汚水が下水道局の汚水管の越水を石神井川に放流する雨水管に接続されていた問題は、3月上旬に都の職員が点検中に発見したということですが、40年以上にわたる石神井川周辺住民の悪臭被害の原因の一つとも考えられることから、徹底した原因の究明と、住民へのていねいな説明、実効ある対策が急がれています。
 また、この事実が2年前に下水道事務所で認識されていた事も重大です。
 この問題について、私自身がこの間、調査や申し入れなどを行ってきた中で、都に質すべき問題について、いくつか質問します。
1 当該地域については、昭和39年ごろに公共下水道が敷設され、当時の国鉄にとっては、下水道法に基づいて早期に下水道管に接続するよう求められていた地域です。
 予算委員会で知事は、40年前当時の国鉄が、黙って工事をしたとの発言を行いました。しかし関係書類が残っていない以上、知事が答弁したように国鉄がだまって工事をしたという根拠はないはずです。3月19日の記者会見でも知事はいったん同趣旨の発言をしたのち、記者から根拠を聞かれて示せませんでした。議会での発言は、訂正する必要があると考えますが、どうか。
2 都の職員が今年の3月2日に発見した際に、JR王子駅を訪ね、事実を確認してトイレの使用を中止した時点で、直ちに直接もしくは北区を通じて近隣住民に広報し説明する必要があったのではないかと考えますが、私が申し入れるまで、JRからも都からも外部に連絡がなかったのはなぜか、伺います。
3 都の当該下水道事務所が、2年前に事態を発見していたことが明らかになったが、今回のようにすぐJRに連絡し、トイレの使用を中止させなかったことは、その後の引継ぎの不手際は別としても、河川の汚染拡大を放置した点で、明らかに河川法に抵触する行為と言わざるを得ませんが、認識を伺いたい。
4 都は、当該地域について、豪雨時の汚水が一部河川に放流される合流方式の矛盾を緩和するため、改良工事を急ぐとしていますが、問題の本質的解決にはなりません。
 都として、時間をかけても分流式をめざす方針を立て、技術開発を急ぐとともに、当面、王子駅はじめ鉄道駅や公共施設など、不特定多数が利用するトイレからの排水を、優先的に合流方式から分離し処理場まで到達させるよう、逐次改善を進めることを検討すべきではありませんか。
5 地域住民からは、王子駅付近から石神井川が隅田川に合流する地点までは川床に傾斜がなく、途中に滝つぼのようなくぼみもあることから、汚泥がたまりやすい構造であり、川床の構造改善を求める声も出ています。真摯に要望を聞き、検討すべきはありませんか。

平成21年第一回都議会定例会
曽根はじめ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京北社会保険病院について
1 都は、東京北社会保険病院を、災害時の拠点病院として、また周産期医療連携病院として指定したが、都として、同病院の国による公的に安定的な存続は、重要な課題と捉えるべきと思うが、所見を伺う。

回答
 東京北社会保険病院は、災害医療、周産期医療、小児救急医療など地域に必要な医療を担っています。
 国は、社会保険病院等の譲渡を進めるに当たり、地域の医療体制が損なわれないよう十分な配慮をすることを基本とすることとしています。

質問事項
一の2 同病院及び他の3箇所の社会保険病院・厚生年金病院について、国が責任を持って存続・拡充を図るようはたらきかけるべきだが、所見を伺う。

回答
 国は、地域の医療体制が損なわれることのないよう十分に配慮するという方針を定め、社会保険病院等が立地する地域の都道府県及び区市町と調整しながら、譲渡等を進めることとしています。

質問事項
一の3 東京北社会保険病院は、周産期母子医療センターをめざして、今後100床ほどの増床を、都に対し申請する意向だが、都はどう捉えているのか伺う。

回答
 東京北社会保険病院の増床の意向については聞いていません。

質問事項
一の4 北区内で、東十条病院が廃止されたが、今年中に板橋区の医療法人が、跡地に総合病院を開設する計画があるとのことだが、都の認識について伺う。

回答
 東十条病院の跡地に、板橋区の医療法人が、300床程度の病院を平成21年中に開設する計画を進めています。
 この病院が開設されれば、地域医療の確保に寄与するものと考えます。

質問事項
一の5 区部西北部医療圏は、病院開設の動きなどから、入院病床数基準を超える可能性がある。その場合、医療圏のベッド規制を見直すべきではないか。少なくとも各区の人口対比での病床数が全体平均を下回る場合は例外を認めるべきだが、見解を伺う。

回答
 基準病床数(療養病床及び一般病床)は、医療法により二次保健医療圏ごとに定めることとなっており、特定の区市町村の病床を優先的に取り扱うことはできません。

質問事項
二 JR王子駅の汚水たれ流し問題について
1 王子駅の問題について、関係書類が残っていない以上、知事が答弁したように、国鉄がだまって工事したという根拠はないはずである。議会での発言を訂正する必要があると考えるが、どうか。

回答
 本件は、雨水放流渠への誤った接続により、JR王子駅のトイレ排水が石神井川へ流出していることが判明したことから、都はこのことをJR東日本に通知し、JR東日本が直ちに当該トイレを使用禁止にしたものです。
 なお、本件に関して知事は平成21年3月24日の予算特別委員会で答弁していますが、ご質問の「国鉄が黙って工事した」という発言はありません。

質問事項
二の2 都の職員が発見し、事実を確認してトイレの使用を中止した時点で、直ちに近隣住民に説明すべきであったと考えるが、私が申し入れるまで、JRからも都からも外部に連絡がなかったのはなぜか、伺う。

回答
 都としては、トイレの排水が誤って雨水放流渠を通じ石神井川に流出している状態を直ちに是正することが必要であると判断し、JR東日本にトイレの使用禁止措置をとるとともに、駅トイレの排水設備を適正化することを求めたものです。
 必要な地元説明会については、適宜行っていきます。

質問事項
二の3 2年前に事態を発見していたにもかかわらず、トイレの使用を中止させなかったことは、河川の汚染拡大を放置した点で、河川法に抵触する行為と言わざるを得ないが、認識を伺う。

回答
 今回の事態は遺憾であり、河川管理者として、下水道局に対し再発防止を求めるとともに、他に不適切な放流がないかを調査し、報告するよう指示しました。

質問事項
二の4 都として、分流式をめざす方針を立て、技術開発を急ぐとともに、当面、不特定多数が利用するトイレからの排水を、優先的に合流方式から分離し処理場まで到達させるよう、改善を検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 下水道には、汚水と雨水を同一の管渠で収容する合流式下水道と、別々に収容する分流式下水道がありますが、区部の多くの地域は、トイレの水洗化など生活環境の改善と、雨水排除等を早急かつ効率的に進める必要があったため、合流式下水道で整備しています。合流式下水道では、一定量以上の降雨があった場合には、汚水混じりの雨水の一部が海や川などへ放流されるという問題があります。一方、分流式下水道では、道路上のごみやほこり等が雨水とともに、直接海や川に放流されるという問題があります。
 合流式下水道を分流化するには、埋設物が輻輳している狭隘な道路に汚水と雨水の2本の管渠を敷設する工事や、これまで合流式で整備されたお客さまの宅地内や建物内の排水管もあらためて汚水と雨水に分ける工事が必要となります。区部の約4万6千ヘクタールもの面積に整備された合流管渠すべてを汚水管と雨水管に分けるには、莫大な費用と時間を要するなど、多くの困難な課題があります。
 現在、都において、合流式下水道の改善のために、川などに放流される量を減らし、水再生センターでの処理量を増やすための幹線管渠の増強、降雨初期の下水を一時的に貯める貯留池の整備などの対策を進めています。

質問事項
二の5 地域住民からは、汚泥がたまりやすい構造となっている川床の構造改善を求める声も出ているが、真摯に要望を聞き、検討すべきだが、所見を伺う。

回答
 石神井川の王子駅付近から隅田川に合流する地点までの区間は、潮の干満の影響を受けることから、これまでしゅんせつを実施してきており、現在、首都高速道路株式会社が中央環状王子線に関連して護岸を整備している溝田橋付近を除き、川底はほぼ平たんとなっています。
 この溝田橋付近についても整備が完了すれば、土砂がたい積しにくい状況となります。

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