平成十九年第一回臨時会会議録

平成十九年五月十日(木曜日)
 出席議員 百二十七名
一番遠藤  守君
二番伊藤 興一君
三番米沢 正和君
四番鈴木 章浩君
五番菅  東一君
六番後藤 雄一君
七番福士 敬子君
八番伊沢けい子君
九番そなえ邦彦君
十番西崎 光子君
十一番山口  拓君
十二番伊藤 ゆう君
十三番原田  大君
十四番河野百合恵君
十五番小竹ひろ子君
十六番松葉多美子君
十七番大松  成君
十八番中山 信行君
十九番高倉 良生君
二十番きたしろ勝彦君
二十一番田中たけし君
二十二番鈴木 隆道君
二十三番神林  茂君
二十四番早坂 義弘君
二十五番崎山 知尚君
二十六番宇田川聡史君
二十七番原田 恭子君
二十八番佐藤 広典君
二十九番尾崎 大介君
三十番伊藤まさき君
三十一番松下 玲子君
三十二番野上ゆきえ君
三十三番西岡真一郎君
三十四番たぞえ民夫君
三十五番村松みえ子君
三十六番橘  正剛君
三十七番上野 和彦君
三十八番吉倉 正美君
三十九番谷村 孝彦君
四十番石森たかゆき君
四十一番高橋 信博君
四十二番鈴木あきまさ君
四十三番秋田 一郎君
四十四番矢島 千秋君
四十五番高橋かずみ君
四十六番串田 克巳君
四十七番吉原  修君
四十八番山田 忠昭君
四十九番山口 文江君
五十番今村 るか君
五十一番吉田康一郎君
五十二番斉藤あつし君
五十三番泉谷つよし君
五十四番くまき美奈子君
五十五番大西さとる君
五十六番増子 博樹君
五十七番かち佳代子君
五十八番植木こうじ君
五十九番長橋 桂一君
六十番野上 純子君
六十一番東村 邦浩君
六十二番小磯 善彦君
六十三番臼井  孝君
六十四番林田  武君
六十五番野島 善司君
六十六番高木 けい君
六十七番山加 朱美君
六十八番服部ゆくお君
六十九番田代ひろし君
七十番三宅 茂樹君
七十一番川井しげお君
七十二番鈴木 一光君
七十三番大西由紀子君
七十四番いのつめまさみ君
七十五番門脇ふみよし君
七十六番小沢 昌也君
七十七番石毛しげる君
七十八番岡崎 幸夫君
七十九番柿沢 未途君
八十番清水ひで子君
八十一番古館 和憲君
八十二番松村 友昭君
八十三番東野 秀平君
八十四番藤井  一君
八十五番ともとし春久君
八十六番木内 良明君
八十七番吉野 利明君
八十八番倉林 辰雄君
八十九番村上 英子君
九十番こいそ 明君
九十一番三原まさつぐ君
九十二番田島 和明君
九十三番樺山たかし君
九十四番新藤 義彦君
九十五番古賀 俊昭君
九十六番立石 晴康君
九十七番初鹿 明博君
九十八番酒井 大史君
九十九番花輪ともふみ君
百番大沢  昇君
百一番大津 浩子君
百二番大塚たかあき君
百三番相川  博君
百四番曽根はじめ君
百五番大山とも子君
百六番鈴木貫太郎君
百七番石川 芳昭君
百八番中嶋 義雄君
百九番石井 義修君
百十番桜井  武君
百十一番遠藤  衛君
百十二番高島なおき君
百十三番宮崎  章君
百十四番野村 有信君
百十五番比留間敏夫君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番中村 明彦君
百二十一番山下 太郎君
百二十二番馬場 裕子君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番田中  良君
百二十五番名取 憲彦君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番渡辺 康信君

 欠席議員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事横山 洋吉君
副知事大塚 俊郎君
副知事関谷 保夫君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長大原 正行君
財務局長谷川 健次君
主税局長菅原 秀夫君
警視総監伊藤 哲朗君
生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君
都市整備局長柿堺  至君
環境局長村山 寛司君
福祉保健局長山内 隆夫君
産業労働局長島田 健一君
建設局長依田 俊治君
港湾局長津島 隆一君
会計管理局長三枝 修一君
交通局長松澤 敏夫君
消防総監関口 和重君
水道局長御園 良彦君
下水道局長前田 正博君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
東京オリンピック招致本部長熊野 順祥君
病院経営本部長大塚 孝一君
中央卸売市場長比留間英人君
選挙管理委員会事務局長梶原 康二君
人事委員会事務局長高橋 道晴君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長白石弥生子君
収用委員会事務局長中田 清己君

五月十日議事日程第一号
第一 東京都副知事の選任の同意について
  (一九財主議第四二号)
第二 東京都副知事の選任の同意について
  (一九財主議第四三号)
第三 東京都副知事の選任の同意について
  (一九財主議第四四号)

午後一時二分開会・開議

○議長(川島忠一君) ただいまから平成十九年第一回東京都議会臨時会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川島忠一君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) 次に、去る四月八日執行されました東京都議会議員の補欠選挙において当選されました議員の議席を、会議規則第二条第二項の規定により、お手元配布の議席指定表のとおり、それぞれ指定いたします。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   八番 伊沢けい子さん 及び
 六十五番 野島 善司君
を指名いたします。

○議長(川島忠一君) 次に、議会局の部長に異動がありましたので、紹介いたします。
 管理部長長嶋博宣君、調査部長前田敏宣君。
   〔部長あいさつ〕

○議長(川島忠一君) 以上で紹介を終わります。

○議長(川島忠一君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(松原恒美君) 平成十九年四月二十七日付東京都告示第七百二十一号をもって、知事より、本臨時会を招集したとの通知がありました。
 また、平成十九年第一回定例会の会議において同意を得た固定資産評価審査委員会委員及び公害審査会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、先般の組織改正に伴う東京都議会説明員の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) この際、報告いたします。
 このたびの能登半島地震により被災された方々に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。
 本議会は、石川県議会議長及び石川県知事に対し、見舞状を添えて、全議員の拠出による見舞金を贈呈いたしました。

○議長(川島忠一君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾に掲載〕

○議長(川島忠一君) 次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
 去る三月十五日付をもって、足立区選出近藤やよいさん及び江戸川区選出大西英男君より、また、三月十九日付をもって、江東区選出山崎孝明君、大田区選出松原忠義君及び板橋区選出坂本たけし君より、それぞれ議員を辞職したい旨、届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもって辞職を許可いたしました。

○議長(川島忠一君) 次に、新たに当選されました諸君を順次ご紹介申し上げます。
 三番米沢正和君、四番鈴木章浩君、五番菅東一君、十番西崎光子さん、五十番今村るか君、九十一番三原まさつぐ君、九十二番田島和明君。
   〔拍手〕

○議長(川島忠一君) 以上をもって紹介は終わりました。

○議長(川島忠一君) 次に、先般の組織改正に伴い、異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君、会計管理局長三枝修一君。
   〔理事者あいさつ〕

○議長(川島忠一君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(川島忠一君) 次に、閉会中の常任委員の所属変更について申し上げます。
 去る四月二十七日付をもって、吉原修君より、都市整備委員から公営企業委員へ、花輪ともふみ君より、経済・港湾委員から公営企業委員へ、秋田一郎君より、公営企業委員から都市整備委員へ、それぞれ常任委員の所属変更の申し出がありましたので、委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、議長において、それぞれ同日付をもってこれを許可いたしました。

○議長(川島忠一君) 次に、閉会中の常任委員の選任について申し上げます。
 委員会条例第五条第四項の規定により、去る四月二十七日付をもって、議長において、新たに当選されました諸君を、お手元に配布の名簿のとおり、それぞれ指名いたしました。

 常任委員選任名簿
経済・港湾委員 米沢 正和君
経済・港湾委員 鈴木 章浩君
文教委員    菅  東一君
総務委員    西崎 光子君
経済・港湾委員 今村 るか君
総務委員    三原まさつぐ君
警察・消防委員 田島 和明君
〔以上 平成十九年四月二十七日付〕

○議長(川島忠一君) 次に、閉会中の議会運営委員の欠員の補充について申し上げます。
 議員の辞職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る四月十日付をもって、鈴木あきまさ君、串田克巳君及び高木けい君をそれぞれ指名いたしました。

○議長(川島忠一君) 次に、閉会中のオリンピック招致特別委員の欠員の補充について申し上げます。
 議員の辞職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る四月十日付をもって、串田克巳君及び村上英子さんをそれぞれ指名いたしました。

○議長(川島忠一君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の臨時会の会期は、本日一日といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、会期は一日と決定いたしました。

○議長(川島忠一君) この際、知事より、あいさつのため発言を求められておりますので、これを許します。
 知事石原慎太郎君。
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 平成十九年第一回都議会臨時会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、都民の皆様のご支持を賜り、三たび、首都東京のかじ取りを担うこととなりました。引き続きよろしくお願いいたします。
 改めて二期八年を振り返ってみますと、東京から日本を変えようということで、都独自の取り組みを重層的、複合的に講じ、その幾つかは国を動かす力となって、日本全体に新しい流れをつくり出してもきました。都議会の多くの方々との歯車もかみ合い、前向きな議論を重ねることができたからこそ、多くの成果を形をもって示し得たのだと思っております。
 しかし、今、都民の間に漠たる不安、漠たる閉塞感があることも事実であります。今回の選挙においても、街頭に立ち、都民のこうした心情を肌で感じてまいりました。
 東京には、よきにつけあしきにつけ、日本の現況が先鋭的にあらわれております。都民、国民の不安を一刻も早く払拭し、より安心で安全な東京を実現するには、いまだ多くの課題が残されているといわざるを得ません。
 もちろん、安心・安全の確保は、いつの時代にあっても、行政の最も基本的な役割であります。しかし、それは、最大の都民福祉である治安の維持や回復、あるいは充実した医療の提供にとどまるものではありません。高齢者、障害者も安心して生活できる社会の仕組みづくりや、不安なく子どもを産み育てられる環境の整備、次代を担う子どもたちの健全な育成と教育の再生など、都民生活の根幹にかかわる、すそ野の広い課題であります。
 同時に、地球のあすをも左右しかねない温暖化問題への対応など先進的な環境対策や、いつか必ず起こる大規模な地震への万全の備えについても、しっかりと手だてを講じる必要があります。
 今後、昨年末に策定しました「十年後の東京」の実現に向けて、さらにアクセルを踏み込み、日本をリードする先駆的な政策を着実かつ迅速に実行に移し、都民の安心・安全を確保してまいります。
 また、この東京で再びオリンピックを開催することは、都民、国民にとって大きな夢の実現であり、若い世代へのすばらしい遺産となるに違いありません。今後、招致活動に総力戦で臨み、大願を成就していきたいと考えております。
 これからの四年間は、まさに十年先の東京を見据えた基礎固めの時期であります。必要とあらば、国と鋭く対峙することも辞さず、一歩も引かない姿勢を貫いて、新しい首都東京の造成に取り組んでまいります。過去八年の実績をステップに、新たな一歩を力強く踏み出し、東京のため、日本のため、全身全霊を傾注していく覚悟であります。
 以上、三期目のスタートに当たり、都政運営に関する基本姿勢の一端を申し述べましたが、都民の皆さんとの約束を確実に果たしていくには、都議会の皆様の協力が不可欠であります。これまで以上に連携を深め、車の両輪として都政運営に当たってまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、本臨時会には、副知事選任の同意に関する議案を提出しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして発言を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○議長(川島忠一君) これより日程に入ります。
 日程第一から第三まで、東京都副知事の選任の同意について三件を一括議題といたします。
   〔松原議事部長朗読〕

一、東京都副知事の選任の同意について三件
一九財主議第四二号 
平成十九年五月十日 
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都副知事の選任の同意について(依頼)
 東京都副知事に左記の者を選任したいので、地方自治法第百六十二条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     谷川 健次

      略歴
谷川 健次
昭和二十三年三月十三日生
昭和四十六年 三月 中央大学商学部卒業
昭和四十三年 四月 入都
昭和六十二年 四月 第五商業高等学校事務室長
平成元年   四月 総務局副主幹〈オフィスオートメーション推進担当〉
平成三年   六月 総務局総務部情報システム管理室企画指導担当課長
平成五年   四月 財務局経理部契約第二課長
平成七年   六月 財務局主計部予算第一課長(統括課長)
平成九年   七月 財務局参事〈総務課長事務取扱〉
平成十一年  四月 武蔵村山市助役
平成十二年  八月 福祉局障害福祉部長
平成十四年  七月 建設局総務部長
平成十五年  六月 交通局次長
平成十七年  七月 財務局長

一九財主議第四三号 
平成十九年五月十日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都副知事の選任の同意について(依頼)
 東京都副知事に左記の者を選任したいので、地方自治法第百六十二条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     菅原 秀夫

      略歴
菅原 秀夫
昭和二十二年五月八日生
昭和四十七年 三月 中央大学法学部卒業
昭和四十一年 五月 入都
昭和六十二年 六月 文京区総務部副主幹〈文京区地域振興サービス公社派遣〉
平成四年  十二月 主税局総務部副参事(広報担当)
平成六年   四月 主税局徴収部整理課長
平成七年   六月 主税局徴収部計画課長(統括課長)
平成九年   七月 主税局課税部計画課長(統括課長)
平成十年   七月 杉並都税事務所副所長兼総務課長
平成十一年  六月 中野都税事務所長
平成十三年  七月 主税局徴収部長
平成十五年  六月 主税局総務部長
平成十七年  七月 主税局長

一九財主議第四四号 
平成十九年五月十日 
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   東京都副知事の選任の同意について(依頼)
 東京都副知事に左記の者を選任したいので、地方自治法第百六十二条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     山口 一久

      略歴
山口 一久
昭和二十四年十月十日生
昭和四十八年 三月 明治大学政治経済学部卒業
昭和四十三年 四月 入都
昭和六十二年 六月 産業貿易センター振興課長
平成二年   八月 生活文化局副参事(国際フォーラム調整担当)
平成四年   四月 総務局人事部制度企画室人事制度担当課長
平成六年   四月 港湾局総務部企画室計理担当課長(統括課長)
平成八年   七月 港湾局参事〈総務課長事務取扱〉
平成九年   四月 科学技術大学事務局長
平成十一年  六月 労働経済局参事〈信用組合経営改善担当〉
平成十二年  八月 生活文化局国際部長
平成十四年  七月 産業労働局総務部長
平成十五年  六月 大学管理本部長
平成十六年  七月 主税局長
平成十七年  七月 知事本局長

○議長(川島忠一君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、いずれも知事の選任に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(川島忠一君) 起立多数と認めます。よって、本件は、いずれも知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) 陳情の付託について申し上げます。
 本日までに受理いたしました陳情三件は、お手元に配布の陳情付託事項表のとおり、都市整備委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(川島忠一君) お諮りいたします。
 ただいま都市整備委員会に付託いたしました陳情は、閉会中の継続審査に付したいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川島忠一君) ご異議なしと認めます。よって、本件陳情は、いずれも閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。

○議長(川島忠一君) この際、副知事の職を退任されることになりました横山洋吉君、大塚俊郎君及び関谷保夫君より、あいさつがあります。
 横山洋吉君。
   〔副知事横山洋吉君登壇〕

○副知事(横山洋吉君) 副知事を退任するに当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 川島議長、木内副議長を初め都議会の先生方におかれましては、長年にわたりまして温かいご指導、ご鞭撻を賜りましたことに、まずもって厚く御礼を申し上げます。
 私は、昭和四十年に東京都に職を奉じて以来、今日まで四十二年間にわたり務めさせていただきました。特に、石原知事のもと、都議会のご同意をいただきまして、教育長並びに副知事の職を拝命いたしました。
 私としましては、都政発展のため、精いっぱいの努力を重ねてまいったつもりではございますが、もとより浅学非才でありますため、今改めて振り返り、期待にこたえ得たのか否かを考えるとき、じくじたる思いをぬぐい去ることができません。にもかかわりませず、今日この日を迎えることができましたのも、ひとえに諸先生方のご厚情のたまものと存じ、重ねて深く感謝申し上げる次第でございます。
 議長、副議長を初め都議会の先生方におかれましては、今後ともご健勝にて、都政発展のため、さらなるご活躍をなさいますよう心からお祈り申し上げまして、退任に当たりましてのお礼のあいさつとさせていただきます。
 長い間まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 大塚俊郎君。
   〔副知事大塚俊郎君登壇〕

○副知事(大塚俊郎君) 退任に当たりまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 議長、副議長を初め都議会の先生方におかれましては、長年にわたり温かいご指導、ご鞭撻を賜りましたことに、まずもって厚く御礼を申し上げます。
 私は、昭和四十三年に入都以来、今日まで三十九年間にわたり務めさせていただきました。もとより浅学非才でありますために、今はその成果のほどを顧みて、内心まことにじくじたるものがございます。にもかかわりませず、今日の日を迎えることができましたのも、ひとえに諸先生のご厚情のたまものと存じ、重ねて厚く感謝を申し上げる次第であります。
 議長、副議長を初め都議会の先生方におかれましては、今後とも、ますますご健勝にて、都政発展のため、さらなるご活躍をなさいますよう心からお祈りを申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。
 長い間まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 関谷保夫君。
   〔副知事関谷保夫君登壇〕

○副知事(関谷保夫君) 退任に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 議長、副議長を初め都議会の先生方におかれましては、長年にわたりご指導、ご鞭撻を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 私は、昭和四十七年、東京都に職を奉じて以来、今日まで三十五年間にわたり務めさせていただきました。自分といたしましては、自分なりに都民のため、都政のために努力を傾注してきたつもりでございますが、今、顧みますと、至らない点が多々あったことと感じております。にもかかわりませず、きょうの日を迎えることができましたのも、ひとえに諸先生のご支援のおかげでございまして、重ねて感謝を申し上げる次第でございます。
 議長、副議長を初め都議会の先生方におかれましては、今後とも、都政発展のため、さらなるご活躍を心からお祈り申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(川島忠一君) 以上をもってあいさつは終わりました。
 本当に長い間ご苦労さまでございました。

○議長(川島忠一君) 以上をもって本日の日程は全部議了いたしました。
 会議を閉じます。
 これをもって平成十九年第一回東京都議会臨時会を閉会いたします。
   午後一時二十三分閉議・閉会


文書質問趣意書及び答弁書

一九財主議第一三号
平成十九年四月二十日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 川島 忠一殿
   文書質問に対する答弁書の送付について
 平成十九年第一回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。
     記
後藤雄一議員
そなえ邦彦議員
小竹ひろ子議員
植木こうじ議員
石毛しげる議員
清水ひで子議員
古館 和憲議員

平成19年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 後藤雄一

質問事項
一 神津島の農協直売所に対する補助金について
二 東京都立多摩総合精神福祉センター建物管理委託について
三 交差点の交通標識について
四 交通局の事務引継とパワーハラスメントについて
五 都議会政務調査費の監査委員監査について
六 都庁舎地下駐車場の組合車両の駐車について
七 都庁第一庁舎7階フロアー「イス」の入札について

一 神津島の農協直売所に対する補助金について
平成18年9月26日、東京都神津島村から「農協直売所建設」の補助金申請(5250万円)が提出され受理された。
しかし受理されたにも関わらず、平成18年度中(平成19年3月31日)に工事が完了に目処がただず、補助金は執行されなくなったと聞く。そこで
1 平成18年1月の神津島村議会で産業観光課長は「(農協直売所建設は)本質的には農協の立て替え事業」と答弁しており、それが事実であるとすれば、村担当者が補助金目的を逸脱していることを承知で補助金の申請を行ったことになると思うが、東京都の見解を伺う。
2 本件申請は9月に受理されたにも関わらず、建築確認申請を提出したのが、平成19年1月初旬、その為、工事が間に合わなかったようだが、何故建築確認申請まで4ヶ月近くかかったのか、伺う。
3 本件建設予定現場では、建築確認申請をする前から建物土台工事の予備工事を行い、地下に埋設されていた排水溝の上部を切り取る作業まで行っていた。この排水溝は大島支庁が管理する排水溝と聞いているが、行政財産である排水溝の上部を切り取る許可を出した部署はどこか伺う。
また、修復する必要があるかを含めて、見解を伺う。
4 18年度の補助金は未執行で処理された。新たに19年度分として補助金申請をするのか?この例のような場合はどのように対処するか?事例を含めて見解を伺う。

二 東京都立多摩総合精神福祉センター建物管理委託について
平成17年4月1日、東京都立多摩総合精神福祉センターは、(株)プロスペックと建物管理委託契約を結んだ。しかし、本契約3条には「業務の一部再委託の禁止」条項があるにも関わらず、「清掃業務等」を別会社に再委託している事が判明した。そして、6ヶ月後に「建物管理委託契約にかかる業務の一部再委託について」との起案文書が作成され、4月に遡及して「再委託」を認めている。行革110番が福祉センター事務長より事情を聞いた所、本件管理委託契約には「再委託が行われた清掃業務」以外にも行われている業務があることを、再委託を認める理由に上げている。
しかし本件・東京都立多摩総合精神福祉センター建物管理委託は、37,800,000円と財務局契約で、内容は「清掃業務、環境衛生管理業務、設備管理業務、警備業務、樹木管理」である。
一方、(株)プロスペックが再委託先との委託契約書が存在、その契約書には、「東京都立多摩総合精神福祉センター建物等の清掃、環境衛生管理、設備定期保守点検、樹木管理に関する業務」と書かれ、16,269,804円と書かれている。つまり、東京都立多摩総合精神福祉センターが(株)プロスペックと建物管理委託契約を結んだ部分の「警備業務」を除くほとんどの部分を「再委託」していることになる。そこで、
1 本件業務委託契約は、本契約3条の「業務の一部再委託の禁止」条項に違反すると考えるが、見解を伺う?
2 現在の契約状況は改善されているのか、伺う?
本件契約は財務局契約であり、財務局に「業務委託契約成績評定報告書」の提出が定めら、担当者、担当係長が記入し本件も提出されている。しかし、提出された報告書の担当者欄には係長が記入しており、「担当職員」が記入した報告書が別に存在していたことが判明している。行革110番の調査で、担当者が評価欄に「0点」を記入したので、書き替えるように職務命令をかけたが、指導したが従わないので現在提出したものを作成したと言う。そこで、
3 本来提出する報告書は、「担当者欄には、担当者が記入し、所見、総合所見欄に管理職が経緯等」を書くべきと考えるが、見解を伺う。
4 この職務命令まで行い、担当者の評価を変えろ!と命令する行為は、パワーハラスメントに当たらないか、伺う?

三 交差点の交通標識について
出会い頭の事故は信号機のある交差点でも相変わらず発生しているが、身近な信号機のない交差点の事故が多い。そこで、道路交通標識の改善が必要と考える。そこで以下の質問をする。
1 同規模の幅員の道路が交差する交差点で、「止まれ」の標識・停止線の設置が義務付けられていると思うが、伺う?もし義務づけられている場合は、道交法を始め条例・要綱等の法文規程をお示し頂きたい。
2 自転車は軽車両として位置づけられている。しかし、自転車に対する交通標識はほとんどないに等しい。「ストップマーク」が存在すると反論されるかも知れないが、「マーク」は公安委員会の管轄でない。特に危険と思われるのは、優先道路と一方通行の交差点で、一方通行道路を逆行で走ってくる自転車には一時停止の標識がなく事故が起きても不思議ではない。自転車用に一時停止させるよう標識の設置を考えるべきと思うが見解を伺う。
3 国道と都道が交差している交差点、また都道と区市町村道が交差している交差点等の場合、交差点の標識等の設置、管理の体制について、伺う?
4 通行者・ドライバーの視点で交通標識を考えると、以下のように縦割りの弊害が思い当たる。交通事故を一件でも減らす為に、交通標識等については一元化すべきと考えるが、見解を伺う?
道路交通標識について苦情の受付はどこか。
都民の生活する(狭隘)道路の交通標識は、電柱に付けられているケースが多々存在する。そして、電柱の付け替え等が行われたときに、交通標識を考慮に入れないケースが多々存在する。
また上記交差点で、標識・マークを併用しているが、マークばかり多くて通行客・自動車・自転車を利用するものに取って、紛らわし。
高い位置に付けられている「止まれ」の標識は、離れたところからはよく見えるが、そばに行くと見えない。通常の「止まれの標識」も併用すべきだ。

四 交通局の事務引継とパワーハラスメントについて
1 事務引継時間に付いて
都バスを運行する交通局、早稲田営業所青梅支所との18年1月から9月までの超過勤務命令簿から、「泊勤務の朝の事務引継ぎ時間」を調べてみた。
青梅支所には出先の大和操車場があり、事務引継時間は「青梅支所の運転主任は30分、同運輸事務は20分、そして大和操車場の運輸事務は60分」という一定の法則があるのが分かった。
青梅支所で勤務するAバス乗務員が指摘したところ、事務引継時間の60分は多少は改善されたと聞いている。そこで、
ア 全営業所の泊まり勤務時の事務引継時間は、どの程度か伺う?
イ 大和操車場の60分の事務引継時間が、妥当だったと言える根拠は何か伺う?
ウ 今後の事務機引き継ぎ時間について改善を行うべき、と考えるが見解を伺う?
エ この事務引継時間問題はバスだけでなく、地下鉄も同様と考える。交通局全体の状況も伺う?
2 パワーハラスメントに付いて
以前、アルコール検査を免れようとしたバス乗務員が、検査係の職員にアルコールチェッカー検査の替え玉を依頼した。この替え玉検査を行っていた現場に居合わせてAバス乗務員職員が、替え玉検査を行った検査係を発見し上司に告発した事件があった。今回の事務引継時間についてもAバス乗務員職員の指摘で改善が行われたにも関わらず、Aバス乗務員職員は上司である管理職から、「お前なんか、公務員なんかやめろ、交通局協力会に雇ってやる。一番安い最低の賃金で使ってやる」と暴言を吐れた本人から行革110番は告発を受けている。そこで
ア 青梅支所では、60分の事務引継、アルコールチェッカーの替え玉等、考えられない事件がつづく、原因についてどのような見解をもっているか、を伺う?
イ マスコミでも職場に於けるイジメ、管理職のパワーハラスメントが問題になっている。今回指摘した事例は「パワーハラスメント」と認識してよいか?
また今後の対応策について伺う?

五 都議会政務調査費の監査委員監査について
政治家の金にまつわることが最近のマスコミ報道で多く取り上げられている。また、区議会議員の政務調査費については目黒区の公明党区議会議員全員が辞職するなど、常識で考えられないような違法・不当な支出が明らかになり、23区のほとんどが領収書の添付を決めた。
そのような中で、東京都では監査委員は現在4名、19年度からは5名に、1名増員されるが、都議会の政務調査費の領収書を含めた監査は行っていない。
多くの都民は「なぜ、監査(監査委員・会計検査院)をやっているはずなのに、これだけ不祥事がおこるのか?」と疑問というより怒りに変わり、監査委員へのあきらめ、そして不信になっている。そこで伺うが、
1 都議会議員の政務調査費の領収書を含めた監査を行う時期にきいてると思うがいかがか?
2 今まで領収書を含めた監査を行っていないが、なにか法的根拠があるのか伺う。
3 また、都知事は予算の管理・監督・執行権者であり、監査委員に対し「都議会の政務調査費の領収書を含めた監査を指示する事ができる」と認識するがいかがか?できないと考えられ根なら、その法的根拠を伺う。
4 都議会議員が利用する公用車・ハイヤーについて通常の監査は行っていると考えるが、実際の利用・運用についてまでの監査を行ったことがあるか伺う?また、行ってなければ、何故行ってないのか伺う?

六 都庁舎地下駐車場の組合車両の駐車について
現在、都庁職員が作る組合団体の車が、都庁第1庁舎等の駐車場に無料で停めている。行革110番が指摘した所、4月から駐車場公社が組合団体と定期貸し(有料)を結び駐車を認める、と言う。そこで
1 都庁地下駐車場に4月からの定期貸しを行う団体はどこか伺う?また、現在定期貸ししている団体はどこか伺う?
2 今後、同様の要望が他の団体等から出される可能性があるが、定期貸しを認めるのか伺う?
3 定期貸しを認める条件についても伺う?

七 都庁第一庁舎7階フロアー「イス」の入札について
2月、都庁第1庁舎7階フロアーのイスを買い替る為、電子入札によって行われた。
電子入札では、パソコン画面上で(1円入札などは例外として)入札価格の安い業者を落札者とし、落札業者決定の「確認ボタン」を押す。そして、落札業者を都庁に呼んで契約手続きに入る。この「イス」の入札、調べると落札価格は、998万円と記されている。しかし、行革110番の調査で、落札額より200万円以上安い「780万円」の札(メール)を入れた業者がいる事が判明している。しかしその業者は「辞退」とされ、2番目の価格(998万円)で入札した業者が落札していたのだ。そこで、
1 なぜ、200万円も安い業者が入札しているのに、今回は2番札の998万円の業者に落札したのか伺う?
2 今回の開札時、パソコン画面の保留ボタンを押し、この入札を保留にし、各入札参加業者にも保留したことを通知した。保留ボタンはどのようなケースに押すことになっているのか、基準・マニアルがあるのか伺う?存在しない場合は、今後作成する予定があるかも伺う?
3 今回の「イス」の入札でも寸法等が入った図面を記載している。しかし物品には各メーカーで同等品が多く存在する。そこで仕様書に「××と同等品以上のもの」という記載で十分と思うが、財務局の見解を伺う。
4 都庁では、メーカーの「出荷証明書・品質証明書」の提出をさせるケースがあると聞くが、事実か伺う?また、理由も伺う。

平成19年第一回都議会定例会
後藤雄一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 神津島の農協直売所に対する補助金について
1 神津島産業観光課長は「(農協直売所建設は)本質的には農協の立て替え事業」としている。事実であれば、村担当者が目的逸脱を承知で補助金申請を行ったことになるが、都の見解を伺う。

回答
JA東京島しょの計画では、農業協同組合の事務所と、農産物直売施設及び農業指導等を行う研修室を同時に整備することとなっていました。都の補助事業では、このうち、直売事業と研修室の部分及びトイレ等の共通部分のうち面積比に応じて案分した部分を対象としていたものです。

質問事項
一の2 なぜ建築確認申請まで4ヶ月近くかかったのか伺う。

回答
本事業では、都は完了した時点で検査を行いますが、事業途中における進捗状況の確認やそれに伴う諸手続については、事業主体であるJA東京島しょ自らが把握すべきものです。

質問事項
一の3 建設予定現場では、建築確認申請前から土台予備工事を行い、大島支庁管理の排水溝の上部を切り取ったが、許可を出した部署はどこか。また、修復する必要があるかを含め、見解を伺う。

回答
排水溝を切断する許可は出していません。なお、排水溝を管理する大島支庁では、排水溝の機能維持のため、速やかに復旧するよう指示しました。

質問事項
一の4 18年度の補助金は未執行処理された。新たに19年度分として補助金申請するのか。この例のような場合にはどう対処するか。事例を含めて、見解を伺う。

回答
補助事業の申請は、事業主体であるJA東京島しょが行うものであり、平成19年度に申請するかどうかは承知していません。
また、本件と同様の事例は把握していませんが、改めて申請があった場合については、補助基準等に照らして、判断することとなります。

質問事項
二 東京都立多摩総合精神保健福祉センター建物管理委託について
1 平成17年度の多摩総合精神保健福祉センターの建物管理委託契約では、再委託先との契約書が存在する。業務委託契約は、本契約第3条の「業務の一括再委託の禁止」条項に違反すると考えるが、見解を伺う。

回答
本件委託契約書第3条では、「乙は、この契約について委託業務の全部又は主要な部分を一括して第三者に委託することができない。ただし、あらかじめ甲の承諾を得たときは、この限りでない。」と規定しています。
都では、個別の契約ごとに、再委託の必要性、妥当性などを勘案し、適切と判断した場合には、委託業務の一部について第三者に委託することを承諾しています。
本件委託契約の履行においては、受託者から受託業務の一部について第三者に委託して実施したい旨の申出があり、委託業務の全部又は主要な部分の一括再委託には当たらないと判断し、委託契約書第3条ただし書の規定に基づき承諾しており、違反していません。

質問事項
二の2 現在の契約状況は改善されているのか伺う。

回答
平成18年度の東京都立多摩総合精神保健福祉センター建物管理委託契約の履行において、受託者は、受託業務の一部を第三者に委託していません。

質問事項
二の3 本契約に関する成績評定報告書の担当者欄は、係長が記入している。担当者欄に、担当者が記入し、所見、総合所見欄に管理職が経緯等を書くべきと考えるが、見解を伺う。

回答
都の業務委託成績評定は、財務局通知に基づき、契約の履行開始日から基準日である9月1日までの履行状況について、全庁統一的に評定を行っているものです。
業務委託成績評定は、組織として実施し、報告するものであり、関係職員や上司が担当者に代わって記載しても、何ら問題ありません。
本件委託契約に係る平成17年度業務委託成績評定においては、担当者が行った評定の方法が適切でなかったため、上司が担当者に代わって記載したものです。

質問事項
二の4 担当者に書き替えるよう職務命令をかけたが、従わなかったという。職務命令まで行い、担当者の評価を変えろと命令する行為は、パワーハラスメントに当たらないか、伺う。

回答
担当者に対し、業務委託成績評定報告書を財務局通知に基づき適切に記載するよう指導したのは、上司として当然の行為です。

質問事項
三 交差点の交通標識について
1 同規模幅員の道路の交差点で、止まれの標識・停止線の設置が義務付けられているのか伺う。義務付けられている場合は、法文規程を示していただきたい。

回答
同規模幅員道路の交差点における、一時停止標識及び停止線の設置は義務付けられていません。
設置の必要性については、個々の交差点の実態に応じて、公安委員会が判断しています。

質問事項
三の2 一方通行道路を逆行してくる自転車に対しては、一時停止の標識がない。自転車用に一時停止させるよう標識設置を考えるべきだが、見解を伺う。

回答
道路交通法上、自転車は「車両」に該当しますので、道路交通法上の交通規制の対象となります。したがって、一方通行道路を逆行する自転車に対する一時停止規制の実施は可能です。
しかしながら、自転車は、小学生から高齢者まで幅広く利用されている交通手段であり、その高い利便性により手軽に利用されている実態から、このような場合に、あえて罰則の対象となる交通規制の義務を課すことは必ずしも適切ではないこと、一般的に自転車自体の性能が高速度を出すことができない構造になっていること、道路交通法第42条の規定により、見通しがきかない交差点等における徐行義務が自転車にも課せられていることなどから、当庁では、一時停止規制に代わる対策として、「自転車ストップマーク」表示を路面に設置することにより、注意喚起を図っています。

質問事項
三の3 国道と都道の交差点、都道と区市町村道の交差点等の場合、交差点の標識等の設置、管理の体制について伺う。

回答
道路標識標示の設置については、
・ 道路交通法及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(内閣府令)に基づき公安委員会が設置する規制標識等
・ 道路法及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(内閣府令)に基づき道路管理者が設置する案内標識等
があります。
なお、公安委員会が設置する規制標識等については、道路の管理区分に関係なく警察署長が管理しており、道路管理者が設置する案内標識等は各道路管理者が管理しています。

質問事項
三の4 通行者・ドライバーの視点で交通標識を考えると、縦割りの弊害が思い当たる。交通事故を一件でも減らすため、交通標識等については一元化すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
東京都内の道路標識等には、
・ 道路交通法及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(内閣府令)に基づき公安委員会が設置する規制標識等
・ 道路法及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(内閣府令)に基づき道路管理者が設置する案内標識等
があり、それぞれ適切に設置・管理されており、今後も引き続き、相互に連携を図りながら、交通事故防止に努めていきたいと考えています。

質問事項
四 交通局の事務引継とパワーハラスメントについて
1 事務引継時間について
ア 全営業所の泊まり勤務時の事務引継時間は、どの程度か伺う。

回答
事務引継について、点呼執行者は、運行管理に関わる業務全般について行っており、事務引継時間は、30分となっています。
また、会計業務や運行管理業務を担当する職員は、それぞれの業務について個別に行っており、事務引継時間は、20分となっています。

質問事項
四の1のイ 大和操車所の60分の事務引継時間が、妥当だったと言える根拠は何か伺う。

回答
大和操車所では、管理する乗務員数及び車両数に対応して職員1人を24時間配置し、運行管理業務を行っています。
この間、当該職員は、午前7時から午後8時まで窓口で定期券等を販売するため、60分の超過勤務をさせています。
その時間について、午前8時30分以降の勤務時間外に、「運行管理業務」を「事務引継」として処理したものです。

質問事項
四の1のウ 今後の事務引継時間について改善を行うべきと考えるが、見解を伺う。

回答
事務引継については、適切に対応しています。

質問事項
四の1のエ 事務引継時間問題は、バスだけでなく地下鉄も同様と考える。交通局全体の状況も伺う。

回答
事務引継は、バス運行管理部門、地下鉄の駅務や保守部門などの交替制勤務職場において、円滑な事業執行を図る観点から行うものであり、各々の業務実態に応じ適切に対応しています。

質問事項
四の2 パワーハラスメントについて
ア 青梅支所では、60分の事務引継、アルコールチェッカーの替え玉等、考えられない事件が続く、原因についてどのような見解を持っているかを伺う。

回答
御指摘のような事件が続いているという事実は、全くありません。

質問事項
四の2のイ 乗務員職員が、上司である管理職から、公務員なんかやめろなどと暴言を吐かれた。この事例は「パワーハラスメント」と認識してよいか。また今後の対応策について伺う。

回答
所長が暴言を吐いたという事実はありません。

質問事項
五 都議会政務調査費の監査委員監査について
1 都議会議員の政務調査費の領収書を含めた監査を行う時期にきていると思うが、いかがか。

回答
政務調査費については、東京都政務調査費の交付に関する条例等で、領収書の添付が義務付けられていないため、定例監査等において、領収書を監査しうる状況となっていません。

質問事項
五の2 今まで領収書を含めた監査を行っていないが、何か法的根拠があるのか伺う。

回答
東京都政務調査費の交付に関する条例等において、領収書の添付が義務付けられていないためです。

質問事項
五の3 知事は予算の管理・監督・執行権者であり、監査委員に対し、政務調査費の領収書を含めた監査を指示することができるか。できないなら、その法的根拠を伺う。

回答
知事は、監査委員に対して、監査の要求をすることは可能ですが、東京都政務調査費の交付に関する条例では、議長がその適正な執行の確保に努めるものとされています。したがって、知事が監査の要求を行うことは考えていません。

質問事項
五の4 都議会議員が利用する公用車・ハイヤーについて通常の監査は行っていると考えるが、実際の利用・運用についてまでの監査を行ったことがあるか伺う。
また、行っていなければ、何故行っていないのか伺う。

回答
公用車に関する監査については、毎年、定例監査の中で行っており、車両の借入れなどの契約を中心に監査しています。
何をどのように監査するかは、監査委員が決めることであり、通常、重要と思われるものを中心に監査しています。

質問事項
六 都庁舎地下駐車場の組合車両の駐車について
1 都庁地下駐車場に4月からの定期貸しを行う団体はどこか伺う。
また、現在定期貸ししている団体はどこか伺う。

回答
東京都庁駐車場の運営を行っている財団法人東京都道路整備保全公社によれば、4月からの全日定期の新規契約者は、東京都庁職員労働組合、全水道東京水道労働組合、東京水道労働組合の3団体と聞いています。
なお、同公社が現在、同様の駐車契約を締結している団体は、公立大学法人首都大学東京と承知しています。

質問事項
六の2 今後、同様の要望が他の団体等から出される可能性があるが、定期貸しを認めるのか伺う。

回答
本件については、東京都から行政財産の使用許可を受け、東京都庁駐車場の運営を行っている財団法人東京都道路整備保全公社が、同公社の定める駐車場管理規程第7条第2項に基づき、個別に判断するものです。

質問事項
六の3 定期貸しを認める条件についても伺う。

回答
財団法人東京都道路整備保全公社が定める駐車場管理規程第7条第2項によれば、夜間定期を除き、全日定期の駐車契約が可能なのは、「東京都関係団体車両で且つ東京都が指定する団体の車両」及び「公共事業関係車両」となっています。

質問事項
七 都庁第1庁舎7階フロアー「イス」の入札について
1 なぜ、200万円も安い業者が入札しているのに、今回は2番札の998万円の業者が落札したのか伺う。

回答
平成19年2月7日に行われた椅子の購入に係る電子入札の開札状況については、「入札経過調書」に記載のあるとおり、入札参加者10社のうち、結果的に4社が辞退し、残り6社のなかで最低価格を提示した業者が落札したものです。

質問事項
七の2 今回の開札時、パソコン画面の保留ボタンを押し、入札を保留にしたが、どのようなケースに押すことになっているのか。基準・マニュアルがあるのか、作成予定はあるか伺う。

回答
本件は、契約の適正な履行を確保するため、開札処理において応札金額の確認を要する場合と判断し、電子入札システムにおける「保留」ボタンを使用しました。
「保留」ボタンの取扱いについては、今後とも電子入札の公平性・透明性の確保の観点から適正な運用に努めていきます。

質問事項
七の3 今回の入札でも、寸法等が入った図面を記載しているが、物品には同等品が多い。仕様書に、同等品以上という記載で十分と思うが、財務局の見解を伺う。

回答
物品の買入れ契約に当たっては、原則として、商標等を指定せずに、調達する製品の説明として、規格、機能、その他の要件を仕様書や図面で行っています。

質問事項
七の4 都庁では、メーカーの出荷証明書・品質証明書の提出をさせるケースがあると聞くが、事実か伺う。また、理由も伺う。

回答
仕様書に定める品質や性能を有することを確認するために、出荷証明書、品質証明書の提出を求める場合があります。

平成19年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 そなえ邦彦

質問事項
一 都営住宅政策について

一 都営住宅政策について
真に住宅に困窮する都民に、公平かつ的確に住宅を供給するために、セーフティネット的役割をはたすことが望まれております。
公営住宅の応募率をみても、平成16年度で全国平均が9.7倍、大阪府が13.2倍で、東京都は28倍を超すということであります。
私の近くにも、民間から、明け渡しを迫られたり、生活の事情から家賃の低い都営住宅に入居を希望し、申し込むが、なかなか当たらない人達が多く存在しています。
今や、都営住宅も様々なニーズに応えるよう改良化していかねばなりません。都でも「住宅マスタープラン」に従って都民に住居の安定確保をするよう努力をしていると思いますが、ここで改めて、都営住宅政策をめぐる疑問点について何点か質問したいと思います。
1 都営住宅の最近5ケ年の募集戸数と倍率はどのくらいかを伺います。
2 シルバーピア、車イス用住宅は全体でどのくらいの戸数なのか、又、今後どのくらいに設定していく予定なのか伺います。
3 困窮度の高い者が優先的に入居できるように募集、選考方法を改善すべきだと考えますが、その点について、伺います。
4 高額所得者は何人いるか、又、それらの人達にはどの様な手続きで対処されているのか伺います。
5 住戸の規模と居住人数とのアンバランスを解消するためにどの様なことをされているかを伺います。
6 都営住宅の耐震化改修工事の現状と今後の計画について伺います。
7 バリアフリー化についてどの様な事を行っているのかについて伺います。
8 「高齢者の見守り」を神戸で、公営住宅の住戸を利用して行う制度を導入したが、都でも導入する考えはないか、伺います。

平成19年第一回都議会定例会
そなえ邦彦議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都営住宅政策について
1 都営住宅の最近5か年の募集戸数と倍率はどのくらいかを伺う。

回答
都営住宅の平成13年度から5か年の募集戸数と平均倍率は、以下のようになります。
平成13年度は、募集戸数8,965戸、平均倍率22.0倍
同様に、平成14年度は、6,826戸、30.0倍、平成15年度は、7,700戸、28.7倍、平成16年度は、7,379戸、29.4倍、平成17年度は、6,474戸、33.7倍となっています。

質問事項
一の2 シルバーピア、車いす用住宅は全体でどのくらいの戸数なのか、また、今後どのくらいに設定していく予定なのか伺う。

回答
平成17年度末の戸数については、シルバーピア4,100戸、車いす用住宅1,007戸です。
また、シルバーピアや車いす使用者向けの都営住宅の建設については、都営住宅の建替えに当たり、地元区市から、まちづくりの構想などにより建設の要請があった場合、当該団地の居住者の状況等を踏まえながら適切に供給していきます。

質問事項
一の3 困窮度の高い者が優先的に入居できるように、募集、選考方法を改善すべきだと考えるが、所見を伺う。

回答
都営住宅の入居者選考において、高齢者世帯や障害者世帯等を対象に、抽選によらず住宅困窮度の高い者から順に都営住宅への入居を認める「ポイント方式」や、通常より当せん率を高くする「優遇抽せん制度」を実施しています。
今後とも、真に住宅に困窮している低所得者に対し的確に住宅を提供していきます。

質問事項
一の4 高額所得者は何人いるか、また、それらの人達にはどの様な手続きで対処しているのか伺う。

回答
高額所得者として明渡しの対象となる居住者は、平成17年度末で、205名です。
高額所得者として認定した場合、まず自主的な明渡しを求め、応じない場合、東京都都営住宅高額所得者審査会の審査を経た上で、法的手続により住宅の明渡しを請求しています。

質問事項
一の5 住戸の規模と居住人数とのアンバランスを解消するために、どのようなことをしているのか伺う。

回答
都営住宅では、世帯人員の増減により住宅の規模とのアンバランスが生じた場合、住宅変更制度により、審査の上、他の住宅への変更を認めています。
さらに、都営住宅の建替えに当たっては、居住者の世帯構成に応じた、適切な居室構成や面積規模の住宅を供給しています。

質問事項
一の6 都営住宅の耐震化改修工事の現状と今後の計画について伺う。

回答
都営住宅においては、阪神・淡路大震災の被害状況を踏まえ、平成8年に専門家により耐震に関する指針を作成し、優先順位の高いものから取組を進めてきました。
今後は、平成18年度に策定した耐震改修促進計画を踏まえ、旧耐震基準で設計された都営住宅のうち、建替え対象を除く約3,200棟について、平成24年度を目途に耐震診断を行い、必要に応じて順次、耐震改修を実施します。

質問事項
一の7 バリアフリー化についてどの様な事を行っているのかについて伺う。

回答
都営住宅の建替えに当たっては、エレベーター設置、住戸内の床段差の解消、浴室・玄関等への手すり設置等のバリアフリー化を実施しています。
また、既存の都営住宅についても、団地の状況や費用対効果などを踏まえ、エレベーターの設置やスーパーリフォーム事業を行うなど、バリアフリー化に努めています。

質問事項
一の8 高齢者の見守りを神戸で、公営住宅の住戸を利用して行う制度を導入したが、都でも導入する考えはないか伺う。

回答
見守りなど高齢者を地域で支える施策は、地域福祉の担い手である区市町村が主体となって実施すべきものと考えています。
なお、都営住宅の建替えに当たっては、地元自治体と、地域に必要な福祉施設等の整備について協議しています。

平成19年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 小竹ひろ子

質問事項
一 「産業振興基本戦略」と今後の中小企業振興策について

一 「産業振興基本戦略」と今後の中小企業振興策について
東京都産業労働局は1月末に「東京都産業振興基本戦略(素案)」(以下「産業基本戦略」)を発表しました。その後、都民意見の公募という形をとり、「2006年度末までに最終まとめを発表したい」としています。そこで、この「産業基本戦略」のうち、中小企業振興策に絞って、何点か質問します。
最初に、「産業基本戦略」の策定趣旨が「『10年後の東京』が目指す都市像の実現を産業振興の面から具体化するもの」とする点についてです。
そもそも「十年後の東京」は、オリンピックにむけた三環状道路を中心としたインフラ整備に主眼がおかれており、福祉やくらし、教育などの施策に見るべきものがありません。福祉の目玉は介護ロボットの研究で、特別養護老人ホームやリハビリテーションの充実、介護保険の負担軽減など、都民要望にこたえる中身がありません。教育でも三〇人学級など、ゆきとどいた教育のための条件整備は見あたりません。
産業分野にいたっては、切実な課題となっている商店街事業、農林漁業対策にはひと言も言及がありません。
この「十年後の東京」で掲げられている産業を見ても、「都市機能の向上をふまえ、東京の持つ豊富なポテンシャルを活かして、東京の将来を支える都市型産業を重点的かつ戦略的に育成していく」としています。そして、「創造的都市型産業群」として例示しているのは、「環境、健康・医療・福祉、危機管理、アニメ・コンテンツ、デザイン、ファッション、情報家電、マイクロマシン、航空機」です。また、「三環状道路の開通や羽田空港の国際化など、今後の都市機能の向上を契機に、都市機能活用型産業を育成していく」、「多摩シリコンバレー」は三環状道路のひとつである圏央道促進の理由づけと言われても仕方のないものです。まるで、都市づくり戦略と産業をマッチさせていけば、すべてがうまくいくような記述です。これを読んだ学者の方からも、「これでは産業政策に名を借りた東京都市再開発プランだ」との声が寄せられています。
1 産業政策を考えるというのに、このようなオリンピックにむけた「『十年後の東京』がめざす都市像の実現を産業振興の面から具体化するもの」する事自体が間違いです。このような「十年後の東京」を前提にせず、産業政策をつくるよう求めるものです。
東京の産業振興をいうのであれば、まずは東京の中小企業の実態の上に立って、今求められていることはどういうことなのかを分析することが必要です。
東京の中小企業は、倒産、廃業で減少しつづけています。製造業でみれば3割も減少しており、その8割は10人未満の中小零細企業となっています。
2 今後10年の産業振興の施策展開の方向性を示した「産業基本戦略」といいながら、「産業基本戦略」には、こうした現状分析がありません。そもそも、長期的視点にたった産業戦略を考えるなら、地域経済、中小企業など、中小企業の実態、東京の産業の実態を分析することが必要です。答弁を求めます。
「産業基本戦略」では、「これまでの施策の成果」として、CLO・CBO、ファンドの活用やベンチャー企業の育成や産技研の独法化などがあげられていますが、CLO・CBOなどで資金調達できるのは体力ある中堅企業が対象です。今中小企業のおかれている厳しい現状の上に立って、本当に必要とされていたものなのかどうかはなはだ疑問を感じざるをえません。
3 これまで都が行って来た施策が、現状の中小企業にとってどのように使われてきたのか、その問題点と成果・教訓など、今後にいかし発展させいくべきは何なのかについて分析など、これまでの東京都の産業政策の総括が必要です。また、東京都の独自の役割として、区市町村など基礎的自治体との連携などの視点が必要です。それぞれ答弁を求めます。
「産業基本戦略」は、「基本的考え方」で「イノベーションにより国際競争力を強化」としています。
グローバリゼーションは避けて通れない課題ですが、グローバリゼーションの中でも、ヨーロッパの各国では、地域に密着した中小企業が主役になっています。地域に根付き中小企業が、本当に消費者・ユーザーにとって選ばれるお店づくり、工場づくりをするために、それぞれの企業の特徴を活かして行く必要があります。
また、「イノベーション」、技術革新の必要性は、これまで繰り返し言われてきたことです。しかし、中小企業の多くは、簡単にはできず、その底上げが求められています。
そのためには、きめ細かな相談にのることのできる専門能力をもった職員が欠かせません。しかし、この間石原都政がすすめてきたのは、高度な技能と見識を持った人材を確保していた商工指導所を廃止してしまうなど人材育成に逆行しています。2001年に51名いた中小企業経営診断士などの資格をもった経営指導職という専門職の人は、2006年には東京都中小企業振興公社を含めて23名に半減してしまいました。
4 大阪では継続させ商工業の支援に大きな役割を果たしています。人材育成を言うなら商工指導所を復活させるなど、有能な人材を確保し中小企業を支援すべきです。見解を求めます。
「産業基本戦略」は、「10年後の東京」をうけ商業振興策などについて、非常に低い位置づけになっており、充実する必要があります。また、業界団体から再三にわたり要望があがっている建設産業振興については、振興策がみえません。
建設産業振興策について言えば、東京都では、これまで産業振興の対象に位置づけられておりません。都市整備局で、「建設工事請負契約上の紛争相談」「建設業者の許可、指導、監督、および経営事項審査」などに対応しているだけです。これでは、建設産業の振興を、産業政策としてかんがえられるわけがありません。国は、すでに建設業を「地域の基幹産業」として位置づけ、「新しい建設業政策のあり方」を検討しています。
5 建設業を、地域の基幹産業として位置づける必要があると考えます。また、建設業を含めた産業振興政策をつくるよう求めます。それぞれ、答弁を求めます。
「産業基本戦略」についての問題点を指摘してきましたが、このような「産業基本戦略」ができた要因の一つとして、その作成手続きにかかわる問題があります。
東京都には、「東京都中小企業振興対策審議会」(以下、「中対審」)が設置されています。この審議会は、2004年5月の「都のものづくり産業の集積施策のあり方」答申を発表して以来、休眠状態です。
6 こうした各種審議会が設置されているにもかかわらず、ごく少数の委員のみですすめる一方、産業の基本方針を都民参加ですすめないのは問題です。東京都の産業政策は、あらためて作成段階から各産業の代表を網羅し公募した都民による参加で、審議をすすめ、産業にかんする基本方針を作成するよう求めるものですが、答弁を求めます。
一方、都立産業技術研究所の臨海部への移転を決めた「産業支援体制の再整備に係わる基本構想検討」は、7人の委員でわずか半年間、4回の会議を経て発表。「産業基本戦略」も7人の委員で5回の会議が開催され今年の1月30日に素案が発表されましたが、検討経過も非公開ですすめられ、委員会の議題すら公表されません。
7 こうした経過でつくられた「産業基本戦略」をもとに、予算が重点的に配分されて執行するようなことはあってはなりません。広く、産業振興を考え、特定の分野に偏って執行するようなことがないよう求めるものですが、答弁を求めます。

平成19年第一回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 「産業振興基本戦略」と今後の中小企業振興について
1 オリンピックにむけた「10年後の東京」がめざす都市像の実現を、産業政策の面から具体化すること自体が間違いである。「10年後の東京」を前提とせず、産業政策をつくるよう求める。答弁を求める。

回答
「10年後の東京」は、成長のステージを経て成熟を遂げつつある東京が、さらに機能的で魅力ある都市に生まれ変わるため、都市インフラはもとより、産業、観光、環境、安全、文化などさまざまな分野で、より高いレベルの成長を遂げていく都市像と、それに向けた政策展開の方向性を都市戦略として示したものです。
産業振興基本戦略は、この都市像の実現を産業振興の面から推進するために策定したものです。

質問事項
一の2 産業振興基本戦略には、現状分析がない。長期的視点にたった産業戦略を考えるなら、地域経済、中小企業など、中小企業の実態、東京の産業の実態を分析すべきだが、答弁を求める。

回答
都では、東京の産業の実態について、「東京の産業と雇用就業」や「中小企業の現状」(旧「中小企業経営白書」)、政策調査などにおいて、日常的に実態調査や現状分析を行っています。産業振興基本戦略では、これらに基づき「東京の産業の特徴」として現状の分析を記載しています。

質問事項
一の3 これまでの施策の分析など、都の産業政策の総括が必要である。また、都独自の役割として、区市町村など基礎的自治体との連携などの視点が必要である。それぞれの答弁を求める。

回答
都は、これまでCLO、CBOの発行、ベンチャーファンドの創設、ナノテクノロジーセンターの設置など、都独自の産業振興施策を進め、中小企業の競争力強化など東京の経済活性化に大きな役割を果たしてきました。
また、区市町村との連携は重要であり、基本戦略においても区市町村が進める産業振興との連携・協力を強化していくこととしています。

質問事項
一の4 大阪では、商工指導所を継続させている。人材育成を言うなら、商工指導所を復活させるなど、有能な人材を確保し中小企業を支援すべきである。見解を求める。

回答
平成13年度、それまで商工指導所が行っていた経営相談業務については、東京都中小企業振興公社に移管した上で、中小企業経営、法律などの専門家を確保・活用して効果的かつ効率的に推進しています。

質問事項
一の5 建設業を、地域の基幹産業として位置づけるべきである。また、建設業を含めた産業振興政策をつくるよう求める。それぞれ答弁を求める。

回答
平成11年の中小企業基本法の改正の趣旨を踏まえ、都においても業種別振興を柱とする政策から、経営革新や創業等、業種に関わらず意欲ある中小企業等の前向きな事業活動に対して支援する方向に政策を転換してきました。
したがって、個別の業種について、地域の基幹産業として位置付けることや、産業振興政策をつくる考えはありません。

質問事項
一の6 産業振興基本戦略は、作成手続きに問題がある。あらためて作成段階から各産業の代表を網羅し公募した都民による参加で、審議し、産業に関する基本方針を作成するよう求める。答弁を求める。

回答
産業振興基本戦略は、素案の策定に当たり、懇談会委員の外に、中小企業、研究機関など、現場の第一線の方々から多くの意見を聴取しました。素案発表後は、パブリックコメントを通じて都民の方々から意見をいただくとともに、議会、業界団体、自治体から、幅広く意見を聴取しました。
これらの意見を十分に考慮して、産業振興基本戦略を策定しました。

質問事項
一の7 検討経過非公開ですすめられるなどした産業振興基本戦略をもとに、予算が重点的に配分されるなどしてはならない。広く産業振興を考え、特定の分野に偏って執行することがないよう求める。答弁を求める。

回答
産業振興基本戦略は、重点産業の育成、技術・経営革新の促進と経営基盤の強化、魅力ある都市の創出、人材育成の4つの戦略を定め、東京全体の産業の活性化を推進する中長期の施策の方向性を示しています。今後の産業振興に当たっては、これら4つの戦略を具体化していきます。

平成19年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 植木こうじ

質問事項
一 中野区の小児救急医療の危機打開への支援を

一 中野区の小児救急医療の危機打開への支援を
医師不足が深刻な社会問題になっています。とりわけ、乳幼児の命と健康を守る小児科医の確保は急務です。
中野区では、区内でただひとつ365日24時間対応の小児救急を実施していた中野総合病院が、小児科医不足のため小児病棟を維持できなくなり、二次救急も対応できなくなりました。同病院は、中野区医師会と協力して、小児初期救急と二次救急をくみあわせて軽症から検査、入院まで対応する「中野方式」といわれる先進的な体制を構築し、実績をあげていました。
その中野総合病院の小児二次救急が維持できなくなり、中野区内から休日・夜間の小児救急に対応できる病院がなくなってしまったことは、区と区医師会、そしてなにより区民にとって大問題になっています。
私は先日、中野総合病院を訪問して実情を伺ってきました。病院では、「これまでは大学病院との連携によって医師の体制を組むことができましたが、大学側も研修医制度の影響もあって医師不足が深刻になり、他の病院への派遣ができなくなってしまいました。独自に医師を確保するなど努力をしてきましたが、残された医師の負担が重くなり、やむなく小児二次救急を断念せざるをえませんでした」と語っていました。
中野区が属している区西部医療圏で小児休日全夜間救急を実施している病院は5か所ですが、いずれも新宿区の大学病院、国立病院です。人口30万人の中野区がゼロ、人口51万人の杉並区もゼロです。
40度の熱で脱水状態になった乳児が、三か所の大学病院が一杯で断られて4か所目の大学病院でようやく受け入れてもらうことができて一命をとりとめることができましたが、診療してもらうまで3時間もかかったということもおきています。
1 東京都は都内60か所に小児休日全夜間救急を整備するとしていますが、区西部医療圏は5か所から4か所に後退し、中野区は1か所がゼロになっています。深刻な事態であり、早急に打開する必要があると思いますが、都の認識を伺います。
中野総合病院の小児科は現在、外来のみで、平日午後7時から10時までの平日準夜間の小児初期救急については、中野総合病院の医師と医師会の19名の医師により維持しています。しかし、小児病棟がなくなることを予告してから、小児科外来、準夜間救急ともに、急速に患者数が減っています。やはり多くの区民は、初期救急と検査・入院の両方が一か所でできる「中野方式」の再開を期待しているのです。
同病院では、地域住民の医療をまもるため、小児科医をなんとかして確保し、休日全夜間救急を再開したいと努力をつづけています。しかし、「医師確保のための広告費や人件費などがたいへんで、一病院の努力で小児二次救急を再開するのは困難だ」と訴えています。
2 こうした民間医療機関の小児科医確保に対し、都として助成をおこなうなどの支援が必要だと考えますが、どうですか。
3 たとえば三重県は、県の職員として医師を確保し、県内の医療機関に派遣するドクター・プール制度を実施しています。長崎県や北海道にも、医師の派遣制度があります。都としても、島しょ対策だけでなく、医師不足に苦しんでいる民間病院や公立病院に対する医師派遣制度を創設することを提案するものです。見解を伺います。
4 八王子市では、都立八王子小児病院が小児休日全夜間救急を実施しているほか、東京医大八王子医療センターが偶数日、東海大学八王子病院が奇数日を担当するという分担方式で実施しています。こういう複数の病院が連携した方法で小児休日全夜間救急を再開することも緊急対策として有効だと思いますが、どうですか。
飯田橋にある東京警察病院が、中野区に移転する計画で、新病院の建設をすすめています。区民からも、区医師会からも、同病院で小児二次救急をおこなってほしいという切実な声があがっています。
私は2月19日に、日本共産党中野区議団とともに東京警察病院の新病院建設委員長を担当している病院副委員長を訪ね、新病院で小児二次救急を実施してほしいとの申し入れをおこないました。
新病院では小児科外来を開設することにしているが、「小児二次救急の体制を整えることは難しい」と答えました。話し合いの中で、「小児救急の必要性は認識している。医師不足の問題など多くの課題がある。将来の課題です」と話していました。
5 中野区に開設予定の新しい東京警察病院において、休日・全夜間対応の小児二次救急を実施することは重要な意義があると思いますが、どうですか。また、都としても実施に向け働きかけていただきたい。答弁を求めます。
6 都は病院が実施する小児休日・全夜間救急に対し病床確保などの財政支援をおこなっていますが、実態に見合ったものとなっていません。小児医療をめぐる今日のきびしい環境の下で目標の60か所を実現するには、思い切った拡充が必要です。私は、初期救急から検査・入院まで対応できる「小児救急医療センター」の整備・運営を支援する事業として抜本的に拡充することを提案するものですが、どうですか。
7 中野区は、医師会や区民のつよい要望もあり、準夜初期救急の予算を拡充し、今年の4月から、これまでの平日だけでなく土曜、日曜も加えた体制整備の努力をしています。こうした小児初期救急体制整備に向けた区市町村のとりくみに対する都の運営費補助、整備費補助についても拡充することを求めるものです。見解を伺います。
都は来年度予算で、大学病院等が、都内に不足する診療科を志望する後期臨床研修医を確保した場合に指導経費等を補助し、都における将来の専門医確保をはかる「東京シニアレジデント」や、都立病院における臨床研修医制度を整備・拡充する「都立病院医師アカデミー(仮称)」をもりこみましたが、小児科、産科などの医師の育成・確保対策については、いっそうの拡充が求められています。
たとえば、医学生に対する奨学金制度は群馬県、長野県、和歌山県、鳥取県、山口県、宮崎県などが実施し、県内の医療機関に就職した場合は返済免除にするなど、地元への定着を図る努力をしています。
三重県や宮城県は、地元の大学医学部に地域医療の寄付講座を開設しています。東京都も、都内の大学医学部に、地域医療、小児救急などの寄付講座を開設し、都が必要としている医療人材を積極的に育成してはどうでしょうか。
山形県、愛知県、京都府、山口県などは、離職している医師の再就職を支援する無料職業相談所ドクターバンク事業を実施しています。なかでも京都府は、離職した女性医師対象の女性医師バンク、定年退職した熟練医師が対象のベテラン医師バンクなど、きめ細かい対応をしています。
8 こうした全国のとりくみも参考にして、都として小児科・産科医師育成奨学金、大学寄付講座、ドクターバンクの実施など、医師確保対策のいっそうの拡充にふみだすことを提案するものですが、答弁を求めます。
また、小児科の医師は、女性医師のしめる割合が高いことが特徴であり、女性医師が働きつづけられる環境整備が重要です。
9 都内の医療機関で働く女性医師の妊娠中の当直免除や、産休中の身分保障、育児休暇をとった医師の代替要員確保と現場復帰の保障、院内保育所整備など、女性医師の仕事と家庭の両立支援に、都としてとりくむことを提案するものですが、どうですか。
これほど医師不足が深刻になった要因のおおもとには、政府が医療費適正化の名で、医師の養成を抑制してきたことにあります。政府はいまだに「医師は充足している」としていますが、大きな間違いです。日本の医師数は人口10万人あたり200人に対し、OECD加盟国の平均は310人で、OECD加盟30か国中、日本は27位という低い水準です。
最近政府は、世論の高まりをうけて従来の立場を修正し、暫定的に医学部の定員増を認める方向をうちだしましたが、対象は10県にかぎられ、それも将来分の前倒しにすぎず、のちに定員削減を求められます。これでは、深刻な事態の根本的打開はできません。
10 都として政府に対し、大学医学部の定員を大幅に増やし医師の計画的な増員をはかること、小児科、小児救急の診療報酬をひきあげることを要請すべきと考えますが、答弁を求めるものです。

平成19年第一回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 中野区の小児救急医療の危機打開への支援を
1 都は都内60か所に小児休日全夜間救急を整備するとしているが、区西部医療圏は4か所に後退し、中野区は1か所がゼロになっている。早急に打開すべきだが、都の認識を伺う。

回答
入院治療を必要とする小児救急患者に対応する休日・全夜間診療事業(小児科)については、都全域で整備目標である70床を確保しています。中野区を含む区西部保健医療圏においても、複数病院の参画を得て必要な入院治療体制が確保されています。

質問事項
一の2 中野総合病院では小児科医確保の努力をしているが、二次救急再開は困難だと訴えている。民間医療機関の小児科医確保に対し、都として助成するなどの支援が必要だが、見解を伺う。

回答
休日・全夜間診療事業(小児科)の参画医療機関に対しては、これまでも小児科医師の確保のための経費を含め、支援を行っています。

質問事項
一の3 他県にはドクタープール制度や医師の派遣制度がある。都としても、島しょ対策だけでなく、医師不足に苦しむ民間病院や公立病院に対する医師派遣制度の創設を提案する。見解を伺う。

回答
医師の養成・確保は、本来、国の責務であり、都道府県単位の医師確保の取組には限界もあることから、国に対し、重点事項として医師の養成・確保についての提案要求を行っています。
また、都としても、全国的に不足しているといわれている小児科・産科等の医師確保について、「東京シニアレジデント」制度の創設や「都立病院医師アカデミー」などの新たな独自の取組を開始することとしています。

質問事項
一の4 八王子市で実施されているように、複数の病院が連携した方法で小児休日全夜間救急を再開することも、緊急対策として有効だと思うが、見解を伺う。

回答
小児の休日・全夜間診療事業については、二次保健医療圏ごとに地域の医療資源の実情に応じた体制整備を行うこととしており、既に複数医療機関での体制確保も、この事業の対象としています。

質問事項
一の5 中野区に開設予定の東京警察病院での、休日・全夜間対応の小児二次救急実施は、重要な意義があると思うがどうか。また都としても、実施に向け働きかけるべきだが、答弁を求める。

回答
東京警察病院の移転に当たっては、病院に対し、地元自治体や医師会等との協力、連携に努めるよう指導しており、救急医療など地域に貢献できる医療を実施すると聴いています。

質問事項
一の6 都は、小児休日・全夜間救急への財政支援をしているが、実態に見合っていない。初期救急から検査・入院まで対応できる小児救急医療センターの整備・運営支援事業として抜本的拡充を提案する。見解を伺う。

回答
都は、入院治療を必要とする小児の救急患者に対応する休日・全夜間診療事業(小児科)において、参画医療機関に対し、小児科医師の確保料を含め、国の基準を上回る手厚い財政支援を行っています。
軽症患者の診療に当たる初期救急については、区市町村が主体となって小児初期救急診療事業を行っていますが、地域の医療資源の状況に応じて、二次救急医療機関において区市町村が小児初期救急診療事業を実施する場合についても、既に都は補助を行っています。

質問事項
一の7 中野区では、準夜初期救急の予算を拡充している。こうした小児初期救急体制整備に向けた区市町村のとりくみへの都の運営費補助、整備費補助の拡充を求める。見解を伺う。

回答
初期救急医療体制は、本来、住民に身近な区市町村が主体となって整備を進めるものです。
都は、これまでも、区市町村が実施する平日夜間の小児初期救急診療事業に係る運営費や施設整備費等の支援を行うことにより、その促進を図っています。

質問事項
一の8 全国のとりくみも参考にし、都として小児科・産科医師育成奨学金、大学寄付講座、ドクターバンクの実施など、医師確保対策の拡充にふみだすことを提案する。答弁を求める。

回答
医師の養成・確保は、本来、国の責務であり、都道府県単位の医師確保の取組には限界もあることから、国に対し、重点事項として医師の養成・確保についての提案要求を行っています。
一方、都としても、全国的に不足しているといわれている小児科・産科等の医師確保について、「東京シニアレジデント」制度の創設や「都立病院医師アカデミー」などの新たな独自の取組も開始することとしています。

質問事項
一の9 都内医療機関で働く女性医師の妊娠中の当直免除、産休中の身分保障、院内保育所整備など、女性医師の仕事と家庭の両立支援に、都としてとりくむことを提案する。答弁を求める。

回答
出産、育児に関する労働条件は、労働基準法をはじめ育児・介護休業法などにおいて定められているとともに、次世代育成支援対策推進法において、職場と家庭生活との両立支援に向けた雇用環境の整備が求められており、医療機関も事業主として適切に対応することが求められています。
都においても、法律や制度の周知など普及啓発に取り組むとともに、院内保育所の運営について補助を行うなど、これまでも支援に努めています。

質問事項
一の10 都として政府に対し、大学医学部の定員を増やし医師の計画的増員をはかること、小児科、小児救急の診療報酬をひきあげることを要請すべきだが、答弁を求める。

回答
都はこれまでも、小児科医師の十分な養成・確保、小児医療、小児救急医療に係る診療報酬の改善について、国に対する提案要求を継続して行っています。
また、これまでも全国知事会における国への予算要望活動等、様々な機会を通じ、へき地勤務医師の確保や小児科・産科等の特定診療科における医師の偏在の解消、増加傾向にある女性医師の就業環境の整備などに関し、広く要望を行っています。

平成19年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 石毛しげる

質問事項
一 軽度発達障害者支援について
二 北多摩北部保健医療圏の小児救急医療について

一 軽度発達障害者支援について
軽度発達障害者の就労支援をめぐる問題について、大妻女子大学人間関係学部の小川浩助教授がこのように言っております。「軽度発達障害の人が一般企業に就職する場合、企業が障害に対する一定の配慮を行うことが必要である。障害に対してどの程度配慮できるかどうかは、障害のある人の能力とともに就労成功の重要な要素となる。多くの従業員を雇用管理する企業の立場からすると、公的に障害者と認定され、障害者雇用率の対象となる人であれば一定の配慮を行うことはできるが、障害者手帳を持たない人に対してあいまいな根拠で配慮をすることは困難である。極端に言えば、障害に対する配慮が必要であれば、手帳を取得して、障害者雇用枠で就職することが無難であり、障害者であることを職場で公表したくなければ、通常の競争原理の中で働く覚悟が必要となる」
知的障害者を対象とする療育手帳の交付基準は、県によっては若干異なっているようである。一部では、自閉症の診断を受けた児・者については、境界線級まで療育手帳を交付している例もあり、支援の必要性に合致した運用として成果を上げている。軽度発達障害のある人が雇用率対象に含まれるためには、このように境界線級を含めた療育手帳交付を進めることも一つの方策であると考える。」
「軽度発達障害のある人の就労支援の課題は多岐にわたり、その問題解決には、自閉性障害についての専門知識が必要とされる。今後、研修の実施などを通して、障害者職業センター、ハローワーク、就業・生活支援センター、地方自治体の就労支援事業、発達障害者支援センターなどに軽度発達障害に関する専門性を持った就労支援専門職員をふやしていくことが必要である」
「軽度発達障害のある人の社会適応は就労の成功がかぎとなる。職業生活に適応できず就労困難となった人は、知的障害者や精神障害者の福祉サービスには居場所を見つけることができず、結果、家庭での引きこもりに至ることも少なくない。生活面の問題を深刻化しないためにも、学校生活から職業生活への移行を支援していくことが必要となる。そのためには、就労支援の分野だけではなく、早期の診断、障害受容、教育、職業訓練などを含むライフサイクルに即した一貫した支援が必要である」
このように述べております。このようなことを十分考えていただいて、これからの東京都における発達障害児・者の施策について伺います。
1 雇用する側、される側の視点に立ち、療育手帳の申請相談の中で、予算的な課題もあるだろうが、希望があれば、障害者として認定する方策は考えられないのか。
2 今後、研修の実施などを通して、障害者職業センター、ハローワーク、就業・生活支援センター、地方自治体の就労支援事業、発達障害者支援センターなどに軽度発達障害に関する専門性を持った就労支援専門職員は現在配置されているのか。また、ふやしていくことは考えられるのか。
3 神奈川県では、学校で一番力のある先生でもあるコーディネータが特別支援教育について、担任をやりながらでは忙しくてその実力を発揮できないため、平成19年度から7億1千万の予算をつけ教員を雇い、授業の肩代わりを出来るような体制を整え、専任でコーディネータの仕事を出来るようにするという。東京都も、特別支援教育コーディネータ(教育支援コーディネータではない)について、保護者から「現場の先生を忙しくさせる研修ではなく、具体的な検討事例を含めた研修を実現してほしい」「親との接触が何もないことに不安を感じている」「障害理解には当事者の話を聞くことが一番大切だと思うが公的研修だけで大丈夫だろうか」との声も上がっており、同様の施策の実現が望まれるが、見解は如何。
4 小平市では指定学校変更許可及び区域外就学承諾に関する審査基準において、区分の2番目に身体的理由が書かれているが、各方面の医師や幼稚園教諭、訓練士等から、高機能広汎性発達障害の障害特性ゆえ、刺激が多いと勉強に集中できないのでクラスの人数の少ない小学校に行くことを強固に勧められている場合でも、市教委もこの障害を基準に適用させることができない場合が多い。故に、東京都の施策で軽度発達障害児が在籍する学級の児童数を若干抑えることが出来ないか。例えばそのクラスに限り30人以下にする。また、その児童を2名分とカウントし、1学年が80名ならその子がいるとカウント上は81名となり3クラス編成ができるようになるなどが考えられるが。
5 地域の方からの話によれば、能力が高くても支援が足りずに普通学級にいられなくなった児童は生活のための学習を続けることになる。障害児教育自体は生活の訓練であり、その子に合わせるというのも良いけど、ここまで持っていくというものがなく、能力の高い児童がこのままの教育を受けると、本当はやればできることもやらずに終わってしまうと危惧されている。最近、都立の養護学校は職業訓練型の学校も含め、愛の手帳の提示を求めるようになっており、知的に遅れのない場合、入学が難しいと言われている。小平市で増えている、知的に遅れがなさそうな児童が心障学級に多いということは、障害児教育を受けたため高校入試は学力的に無理で、発達検査の結果が高く「愛の手帳」がなく、養護学校も入れない、中学校を出てもどこにも進学できないのではないかと親御さん達は心配している。小・中ともに保護者の方は、「障害者は労働者たり得る、そのための公的な支援、教育なのではないか」という意識で、子どもの能力開発をしたいのに、そのような就学の機会がなく、一般事務が出来るだけの学習面の教育がされず、現状では問題が多すぎると見ている。発達障害の自閉の子が固定の心障級にいくと勉強の習慣がつかない、作業しか教えないことで能力開発ができなかったなどの声もよく聞きます。普通級から心障級に転学したお子さんの保護者は、小学校3年生まででも子どもの能力はIQも含めてぐんと伸びるので、ぜひ、可能性をもたせてほしいと言っております。
そして、現場の心障級の先生がちゃんと勉強する機会を保障して欲しいということも言っております。中年以上の先生ほど分かっておらず、勘に頼りすぎるので、子どもに対する、障害特性やそれに伴う教育支援のあり方を、先入観を持たずに知って欲しい。先生方は学校の雑務に忙殺されているが、市は教員の人材養成にもっと力を入れて欲しいと皆さん言っておられます。
東京都教育委員会は、児童相談所の判定で、「愛の手帳」が出ず、発達検査でも知的障害が認められない児童が心障学級に行くことについて、どのような認識をもっているか。この陥穽をどのように埋めようと考えるか。静岡県では固定級において、知的障害学級と情緒学級を分け、それぞれの障害特性に応じた教科教育やソーシャルスキルの訓練を行っている。東京都でも同様の施策を実現できないか。
6 通級学級設置校の児童については、市区町村内全域の対象児童を数校の通級学級で受けているの場合が多いと思うが、区域の各校の児童を公平に受け入れているとは言い難い。自力通学が出来るか出来ないかという1つの能力の有無で、支援の必要な児童・生徒を安易に切り捨ててはいないだろうか。通級はそもそも入級資格に関して明記されたものがなく、人によって話も違っており、いつ募集があり、決定されるのかを公表していない。また、通級を希望しても、学務課に相談も見学も断られる児童・親がいる。どんなに医者や訓練士から通級を勧められても、知的に境界線上にいる子どもの多くは、入級対象外とされているケースも見受けられる。通常の授業を抜けて通級指導を受けても勉強が遅れないようにするためとの説明もあるが、親御さん達にとっては、「支援の価値なし」と思われているようだとのこと。これらの児童・生徒に対して放置するのではなく、何らかの具体的な教育支援をとるべきだと考えるが東京都の見解を問う。
7 また、通級の入級資格の透明性を図り、通級設置校・非設置校の如何に関わらず現状の人数の偏りについて平等性を確保し是正を行うべきだが、見解を問う。質問というより提案ですが、障害特性に応じた通級と同じような教室を、特別な支援を必要とする子がいる全学校に設置すべきではないか。無論それが出来ないから通級なのだという話もわかるが、通級設置校以外の通級児童の親御さん方から指摘される不公平や不平等性、子どもの片道20分以上も一人きりで歩かねばならない自力登下校の安全面、先生方の送り迎え、親御さんの送り迎え、ルート上にバスを走らせることなどの全てのコストパフォーマンスを比較考慮しても、特別な教育支援を必要とする子どもがいる全学校に加配なり何なりして、逆に通級の先生が巡回したってかまわないのだから、子どもが移動する必要がない指導学級の制度も意を尽くして、考えるべきだがどうか。簡単に言えば、各校においても通級設置校と同様に、もっと簡易に支援を受けられるようにならないか。通級設置校の児童は、診断を受けていない児童でも在籍校と言うだけで、休み時間や放課後を利用して簡単に指導を受けられる。都の責任で通級の増設を可能にできないか。
8 また、今後も通級への入級希望者が増え続けることが予想されるが、各校の定員を超えた場合の対策は考えているか。また指導教員の数が不足しているのではないかとの声もあるがどうか。さらに、各通級指導学級の指導教員は専門的な知識や研修を積んだ教員が少なく、通常学級の担任からの移行が多いように思われ、また自主的に研修を積んでいる教員がいる一方、障害の特性を理解しまいまま、指導に当たっている教員がいる現状を把握しているか。
二 北多摩北部保健医療圏の小児救急医療について
夜間・休日に子どもが急な病気になった際、診療してもらえる医療施設があることは子どもを持つ親にとって切実な要求である。
小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市の5市から構成される、北多摩北部保健医療圏においても、夜間・休日の小児医療の確保は重要な課題となっている。
これまでこの地域の小児医療に大きな役割を果たしてきた都立清瀬小児病院は、平成22年3月に府中市に小児総合医療センター(仮称)として移転統合される予定となっており、その後の小児医療とりわけ小児救急医療の確保はこの保健医療圏において大きな問題となってきた。
このため、都では、多摩北部医療センター(旧都立多摩老人医療センター)に小児科を設置、平成17年6月からの休日・全夜間診療事業(小児科)参画など、同医療センターの二次救急医療機関としての体制整備を進めてきた。
一方、圏域各市においては、地元医師会の協力を得て、平成17年1月から小平市が、同年6月からは東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市の4市が共同で小児初期救急診療事業を立ち上げ、また、圏域5市及び5市医師会その他の関係者が集まり、圏域の小児初期救急医療体制について検討を行う会議を定期的に開催するなど、市の枠組を越えて協力し、小児救急医療体制の確保に取り組んできた。
しかしながら、清瀬小児病院がこれまで地域で担ってきた役割の大きさを考慮すると、多摩北部医療センターの小児科の更なる体制充実とともに、現在、各市が実施している初期救急診療事業についても拡充が必要と言わざるを得ない状況にある。加えて、小児科医師の確保難から、この圏域においても小児科の二次救急医療機関が夜間・休日の小児救急医療を休止する例も出ており、地元各市の関係者の危機感は大変強いものとなっている。
こうした状況の中、先ごろ各市は地元医師会と協力し小児初期救急診療事業の拡充を進める方向を確認し合い、4市共同で実施している小児初期救急診療事業においては、現在多摩北部医療センターでの診療日数を拡大するとともに、新たに西東京市内においても実施拠点を設けることとした。
この方針については、清瀬市と東京都における地域の小児医療の確保に関する協議においても検討がなされ、都も初期救急医療体制の整備について、地域の意向に配慮した支援を行っていくとされている。
各市は、圏域の小児初期救急体制の充実に向け取り組んでいくにあたり、市の取組に対し都の十分な理解と支援を求めることが必要であるとして、本年1月、5市市長が連名で都への要望を行い、その中で「北多摩北部圏域における総体的な小児医療体制の底上げに向けた支援」を求めている。
1 都は、5市市長が一体的に要望を行った意義についても重く受けとめ、小児初期救急診療事業の拡充などの各市の取組に対する支援を講じていくべきである。5市市長からの「北多摩北部圏域における総体的な小児医療体制の底上げに向けた支援」の求めに対し、都はどのように取り組んでいくのか伺う。
比較的軽症な患者に対応するための初期救急医療体制の整備を進める市の取組は重要であり、都として十分な支援を行うべきと考えるが、一方、入院が必要な症状の重い患者をいざという時に受け入れられる、しっかりとした二次救急医療体制も地域にとっては不可欠である。
2 地域の二次救急医療機関として多摩北部医療センターが期待される役割は大きく、そのため同医療センターの小児科の体制充実は、地域の安心を得るためにも重要である。5市市長の都への要望においても、「多摩北部医療センターにおける需要に見合った小児科医師の配置」を求めているが、都としてどう取り組んでいくのか伺う。
北多摩北部保健医療圏の小児救急医療体制整備については、今後、都と地元市、医師会、地域の医療機関等の関係者が力を合わせて、実際の体制づくりを行っていくこととなるが、その取組にあたっては、どこかにしわ寄せがいくような仕組みとならないようにする目配りも必要である。
この圏域に限られることではないが、より安全で安心できる小児救急医療が提供されるためには、診療にあたる医師の側の環境についても配慮が必要であり、新聞報道等で取り上げられるような、救急病院の小児科医師が長時間労働などの勤務環境の苛酷さに耐え切れずやめていってしまうということを防ぐシステムづくりにも目を向けることが求められる。
その一つは、小児科の診療に携わる医師にインセンティブを与えるような待遇や勤務環境の改善を通じて医師の安定的な確保を図ることであり、それに向けた抜本的な方策について都が他に先駆けて取り組むことを私は強く期待している。
また一方、一部の医師に負担が集中しないよう、限られた医療資源ともいえる小児科医が協力して、地域の小児医療を支えるシステムの構築も重要である。
3 小児救急医療に携わる医師の安定的な確保について、都の考えを伺う。

平成19年第一回都議会定例会
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 軽度発達障害者支援について
1 軽度発達障害者の就職には、企業の配慮が必要だが、療育手帳を持たない人への配慮は困難である。雇用の視点に立ち、手帳申請相談で、障害者認定する方策は考えられないか伺う。

回答
愛の手帳は、「東京都愛の手帳交付要綱」に基づき、明確な判定基準にのっとって、知的障害者を対象として交付しています。
このため、本基準に該当しない方を、障害者として認定することは困難です。

質問事項
一の2 障害者職業センター、ハローワーク、発達障害者支援センターなどに軽度発達障害の専門性を持った就労支援専門職員は現在配置されているのか。また、増やすことは考えられるのか伺う。

回答
東京都発達障害者支援センターにおいては、現在、4名の専門職員が、発達障害者及びその家族等に対し専門的な助言や就労支援等を行うとともに、関係機関への普及啓発等を実施しています。また、障害者就業・生活支援センターや区市町村障害者就労支援事業、国の東京障害者職業センターやハローワークでは、障害者の就業を支援する職員を配置し、発達障害を含むすべての障害種別に対応した就労支援を実施しています。
都では、現在、発達障害を含めた障害者の就労支援に関する専門性の向上を目的として、都や区市町村の各就労支援機関の職員に対して研修等を実施しています。

質問事項
一の3 神奈川県では、平成19年度から特別支援教育について、コーディネーターが専任で仕事ができるような体制を整えるという。同様の施策の実現が望まれるが、見解はいかが。

回答
小・中学校における特別支援教育コーディネーターについては、国は、いわゆる義務標準法において専任として位置付けておらず、また、都教育委員会としても、特別支援教育コーディネーターを校務分掌の一つと位置付け、すべての教員が発達障害等障害を理解し、協力して組織的に一人一人の児童・生徒の指導や支援に取り組むべきものと考えています。
なお、区市町村教育委員会における特別支援教育を支援・推進していくため、平成19年度より、小・中学部が設置されている知的障害養護学校の教員が計画的に地域の小・中学校を訪問し、支援することができるよう、必要な非常勤講師の配置や旅費に係る予算措置をしています。

質問事項
一の4 小平では、指定学校変更許可基準等により、医師などから少人数クラスの学校を勧められても実現できない場合が多い。都の施策で軽度発達障害児が在席する学級の児童数を抑えることができないか伺う。

回答
都教育委員会としては、学級には一定規模が必要と考えており、引き続き、現行の学級編制基準に基づき対応していきます。
なお、区市町村教育委員会においては、通常の学級に在籍する学習障害等の児童・生徒への対応も含め、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など小・中学校における特別支援教育の推進体制の整備を進めており、都教育委員会としても、特別支援教育体制モデル事業等の成果の提供等を通じ、区市町村教育委員会を支援しています。

質問事項
一の5 都教委は、愛の手帳が出ず、知的障害が認められない児童が心障学級に行くことをどう認識しているか、静岡では障害特性に応じた教科教育等を行っているが、都でも実現できないか伺う。

回答
小・中学校の特別支援学級については、学校教育法等に基づき、障害のある児童・生徒を対象としており、知的障害特別支援学級については、愛の手帳の有無に関わらず、知的障害のある児童・生徒を対象としています。
なお、特別支援学級については、学校教育法等に定める障害のいずれを対象とするかを含め、区市町村教育委員会の判断により設置するものです。

質問事項
一の6 通級は入級資格を明記したものがなく、通級を希望しても入級対象外にされるケースもある。これらの児童・生徒を放置するのではなく、具体的な教育支援をとるべきだが、見解を問う。

回答
小・中学校の特別支援学級のうち、通級指導学級の対象となる児童・生徒については、小・中学校の設置者である区市町村教育委員会において、学校教育法施行規則等に基づき、様々な観点から総合的に判断しています。
なお、区市町村教育委員会においては、通常の学級に在籍する学習障害等の児童・生徒への対応も含め、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など小・中学校における特別支援教育の推進体制の整備を進めており、都教育委員会としても、特別支援教育体制モデル事業等の成果の提供等を通じ、区市町村教育委員会を支援しています。

質問事項
一の7 通級の入級資格の透明性を図り、平等性を確保し是正すべきだが見解を問う。各校でもっと簡易に通級設置校と同様の支援を受けられないか。都の責任で通級の増設を可能にできないか。

回答
小・中学校の通級指導学級については、小・中学校の設置者である区市町村教育委員会の判断により設置され、都教育委員会としては設置の同意を行うものです。
なお、通級指導学級の対象となる児童・生徒については、各区市町村教育委員会において、学校や家庭における状況、専門的な検査など様々な観点から総合的に判断するものですが、都教育委員会としても、通級指導学級への入級も含め、障害のある児童・生徒の就学相談に関し、区市町村教育委員会に対する支援を行っており、保護者の理解が得られる就学相談の充実のため、引き続き取り組んでいきます。

質問事項
一の8 今後も入級希望者が増えると思うが、定員を超えた場合の対策は考えているか。指導教員不足との声もあるがどうか。通級指導学級で障害の特性を理解していない指導教員がいる現状を把握しているか伺う。

回答
小・中学校の通級指導学級については、小・中学校の設置者である区市町村教育委員会において、地域の状況等も踏まえつつ、設置されるもので、都教育委員会としては設置の同意を行うものです。
なお、都教育委員会においては、通級指導学級での研究授業等へ講師として指導主事を派遣したり、東京都教職員研修センターにおいて、特別支援教育に関する教員研修を実施し、また、区市町村教育委員会においても研修等を実施するなどして、指導教員が障害のある児童・生徒の理解を深めて、指導しています。

質問事項
二 北多摩北部保健医療圏の小児救急医療について
1 都は、5市市長が一体的に要望を行った意義についても重く受けとめ、小児初期救急診療事業の拡充などの各市の取組に対する支援を講じていくべきである。5市市長からの「北多摩北部圏域における総体的な小児医療体制の底上げに向けた支援」の求めに対し、都はどのように取り組んでいくのか伺う。

回答
都は、区市町村が行う住民に身近な場所で小児初期救急医療を確保しようという取組に対して、地域の実情を踏まえながら、小児初期救急平日夜間診療事業補助により支援しています。
北多摩北部保健医療圏の5市の要望についても、小児初期救急平日夜間診療事業補助の活用とともに、入院治療が必要な小児患者に対しては、休日・全夜間診療事業(小児科)による二次救急医療体制の確保などを通じ、総体的な小児医療体制の底上げに向け引き続き支援していきます。

質問事項
二の2 二次救急医療機関として多摩北部医療センターへの期待は大きく、小児科の体制充実は重要である。五市の要望でも、需要に見合った小児科医師の配置を求めているが、都としてどう取り組むのか伺う。

回答
清瀬小児病院の移転後に、地域住民が安心して適切な医療を受けられるよう救急医療を含む小児医療体制を確保するためには、多摩北部医療センターが小児医療に関して地域の中核的役割を果たしていくことが不可欠であると考えています。
そのため、小児科医師の確保については重要な課題と考えており、多摩北部医療センターを運営する東京都保健医療公社とも連携しながら、引き続き努力していきます。

質問事項
二の3 一部の医師に負担が集中しないよう、限られた医療資源ともいえる小児科医が協力して、地域の小児医療を支えるシステムの構築も重要である。小児救急医療に携わる医師の安定的な確保について、都の考えを伺う。

回答
都は、小児初期救急診療事業によって地域の小児科医が協力して小児救急医療を支える仕組みづくりを推進するとともに、親の不安を軽減するため、小児救急電話相談や東京都こども医療ガイドでの普及啓発を行い、一部の救急医療機関への夜間の患者集中の緩和を図っています。さらに、「開業医小児医療研修」の実施により、地域の小児医療基盤の確保についても既に取り組んでいます。
また、国に対しては、小児救急医療に係る診療報酬や医師の勤務環境の改善を通じ、小児科医師を十分に養成・確保することを提案要求しています。

平成19年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 清水ひで子

質問事項
一 希望するすべての子どもたちに高校進学を保障することについて

一 希望するすべての子どもたちに高校進学を保障することについて
今定例会本会議でわが党の松村議員は、99年度には96校あった夜間定時制高校が、統廃合により、この4月に向け生徒を募集したのは39校で、しかも今年度は一度に18校も募集停止になったため、2次試験でも多くの不合格者を生むのではと懸念されていることを指摘し、「夜間定時制高校は統廃合計画は見直し、募集再開を含め、生徒の実情にあった配置に改善するよう」求めました。
中村教育長は「都立高校改革推進計画」に基づき、周辺の夜間定時制課程を統合しながら、昼夜間定時制独立校の整備をしており、今後も着実に計画を推進」と、今後も計画どおり統廃合を進めていく旨の答弁をしました。統廃合により生徒たちがどんな事態に陥り、どれだけ生徒たちの気持ちを傷つけているか、まったく理解していない答弁だといわざるをえません。
私の地元の八王子市では、石原知事のもとで2002年に発表された都立高校改革推進計画、新たな実施計画により、市内の南多摩高校、富士森高校、第二商業高校、八王子工業高校の4校の夜間定時制高校が、昼夜間定時制の八王子拓真高校に統廃合されることとなり、今回の入試から4校とも募集停止となりました。
かねてから八王子地域では、この統廃合と募集停止により、残った高校に応募が殺到し、2次募集でも合格できずに、卒業式まで進路の決まらない生徒が生まれるのではないかと懸念されていました。そして1次募集の合格発表が終わった今、その懸念が現実のものとなりつつあります。
これまで都立高校の受験生たちは、もし失敗しても、定時制高校の2次募集に十分な枠があり、そこで受け入れてもらうことができました。しかし今年度は、これまであった4校がすべて募集停止、統合された八王子拓真高校は、1次募集から応募倍率が4倍となり、拓真高校だけで373人も不合格となったのです。市内の全日制の不合格者も合わせて398人にもなりました。それに対し市内の二次募集は、拓真高校の分割後期募集145人のみという、狭き門になってしまっているのです。
受験した子どもたちの思いはどうだったでしょうか。3月1日に合格発表がありました。八王子市内のある中学校では、15人が八王子拓真高校を受けましたが、2人の男子しか合格しませんでした。その隣の中学校では、1人も合格しなかったといわれています。心を痛めた女子中学生が3月2日に書いた文章です。
「私の意見がすこしでも参考になればうれしいです。私の学校では拓真高校をうけた子が15人です。その中でも私立を受けていない子がほとんどでした。みんなだめかもと言いながらテスト受けて、いっぱい面接の練習をしたりして、すごくがんばった子ばかりでした。しかし結果は男子1人しかうかりませんでした。落ちた子は働くって言ってる子ばかりで・・。がんばったけど勉強についていけず、内申が上がらなかった子もたくさんいました。高校に行きたい、でも受かる高校がない、でも私立をうけることはできない、だから拓真を受けたって子もいました。口では働くっていってるけど、やっぱり、高校に行きたいって思っているはずだから、少しでも募集してもらえるようになるとうれしいです。一人でも多く・・・お願いします。」
また、ある男子生徒は、インターネットの日記に次のように綴っています。
「高校落ちた。/あっけなかった。合格発表の紙見た瞬間、足の力が抜けて倒れた。/先生ごめん。/合格できなかった。/いろいろな事やってくれたのに。/期待に応えられなくて。親父ごめん。/絶対合格するっていったのに・・・。/中略/またがんばるからさ。/応援してください。」
1 このような生徒たちの気持ちをどう思いますか。
全日制の受験生のなかには、不合格なら私立高校に行く生徒もいるかもしれません。しかし、都立高校の授業料免除者は、石原都政7年間で、全日制と定時制あわせて6,739人(99年度)から16,135人と2.4倍にもなっていることからも明らかなように、経済の格差の拡大が教育の分野にも大きな影響を与え、都立高校でないと進学できないという生徒は増えているのです。
都立がだめなら高校進学はあきらめるという生徒が多くなっているとき、都の対応がこれでいいのか、本当に疑問です。
2 高校で学びたいと考える子どもたち全員に学びの場を保障するのが、東京都教育委員会の重要な役割であり責任であると考えますが、どうですか。
都教育委員会は、昼夜間定時制の独立校を開校するに際して、統合する対象校の生徒数に対応する定員を確保するという計画で、八王子地区でも必要な募集定員は確保している、高校進学を希望する生徒が通学可能な範囲の学校に入学できないということはない、と言います。
しかし、これまでの例でも昼夜間定時制担った学校は、1次募集で倍率は2倍にも3倍にもなり、定員は埋まってしまいます。夜間定時制の代わりの役割は果たせないのです。
数年前江東区で、周辺の夜間定時制が大江戸高校に統廃合されたときは、大江戸高校だけでなく、両国高校など残った夜間定時制の2次募集に応募が殺到し、夜間定時制を不合格になった生徒が64人も出てしまいました。
他の昼夜間定時制高校やチャレンジスクールへの統廃合でも、多かれ少なかれ同じような状況が生まれ、都民やから批判されてきたのではないですか。
3 これまでの経験から、今年の入試で八王子地域でも同じことが起こると予測しなかったのですか。
また都教委はこの間の都議会文教委員会で、八王子で不足しても、国立、府中、調布などの夜間定時制高校があるから、そこで受け入れることができると答弁しています。しかし、ある保護者は、「八王子の恩方中学校から八王子駅までの通学定期代は月22,320円、高尾駅までは19,440円です。これだけでも大きな額ですが、さらにJRや京王線の定期が必要となると大変な額となり、大きな負担です。比較的通いやすかった都立高陵高校、館高校が募集停止となり、数年後今度は、第二商業、八王子工業の募集停止と、通いやすい高校が次々なくなり、不安な気持ちでずっときました。夜間定時制4校の統廃合も、第2商業が昼夜間定時制の八王子拓真高校に変わることも、私たち保護者の誰1人望んだことではありません。中学校での説明を、驚きと不安で聞かされてきただけなのです」と述べています。
国立がある、調布があるというのは、生徒や保護者の実態や気持ちとかけ離れた話です。
その親御さんはまた、「親の感覚では、定時制が希望する生徒を受け入れないとは、まず理解できなかった」と言い、八王子拓真高校についても、お子さんが、「(午前、午後、夜間の)3部もあるのだから(入れるのではないか)」という親の言葉に「お母さんはなにもわかっていない」と泣いて訴えていた意味がわかり、愕然としたそうです。
4倍という異常な倍率となり、発表のあった3月1日、「落ちちゃった」「だめだったよ」とお子さんのところに友人から次々と連絡が入ったそうです。「まだ14歳、15歳の子どもが学費だけでなく、定期代までも心配し、親に負担をかけまいと学校を選択し、がんばってきたことを、東京都の方に知ってほしい」と訴えています。
保護者だけではありません。ある中学校の副校長先生も今回の事態を憂え、校長会でも緊急に対応を申し入れることを検討したり、いろいろと努力しているとのことです。現場を知る教職員をはじめとする多くの関係者が、生徒たちの現状から、このまま放っておくことは出来ないと考えているのです。
4 校長会をはじめ、教育関係者、都民などからどんな要望かあがっていますか。お示しください。またそれらの要望を重く受け止め、対応すべきと考えますが、どうですか。
3月6日、2次募集の応募倍率が発表されました。八王子拓真高校は344人、2.37倍の応募で、およそ200人も不合格になってしまいます。この200人の子どもたちの未来をくじくようなことがあってはなりません。
どう考えても募集定員が足りません。神奈川県では2003年春に、統廃合により定時制高校に応募が殺到するという事態になり、3次募集までおこない枠を増やしました。このように、1度計画したことでも、その結果起こったことを謙虚に受け止め、募集枠、募集人員を急遽増やし対応しているところもあるのです。
5 都教委として、今年の受験生の高校進学を保障できるよう、緊急に、八王子の南多摩高校など今回募集停止となった定時制高校の募集を再開する、八王子拓真高校の募集を増やすなど、今からでも対策をとることを求めます。
6 来年は、十分な定時制の枠が確保できるよう、今年の事態をきちんと分析し、生徒の希望や通学事情などの実態に即して必要な定員枠を確保できるよう、本格的に夜間定時制の募集を再開する措置をとることを求めます。
7 経済格差の拡大の中で、交通費負担の少ないところでなくては通えない、都立でなくては行けない生徒が増えています。そうした状況の変化がある中で「都立高校改革推進計画」を遮二無二すすめるのでなく、いったん立ち止まり、生徒の実情にあった内容に、見直し・改善をすべきだと思いますが、見解を伺います。

平成19年第一回都議会定例会
清水ひで子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 希望するすべての子供たちに高校進学を保障することついて
1 これまで都立高校の受検生は、もし失敗しても、定時制の二次募集に十分な枠があったが、今年度は狭き門となり、不合格者が多数出た。このような生徒たちの気持ちをどう思うか。

回答
都としては、今年度も従前と同様に全日制課程、定時制課程、通信制課程と、生徒の就学希望にこたえられる必要な受入枠を設けています。
なお、都立高校は、全日制課程について、推薦による選抜、第一次・分割前期募集、分割後期・第二次募集、さらに、定時制課程の第二次募集を設定するなど、生徒の受検機会を十分保障しています。

質問事項
一の2 経済格差の拡大により、都立がだめなら進学はあきらめるという生徒が多くなっている。高校で学びたい全員に学びの場を保障するのが、都教委の重要な役割・責任であると考えるが、どうか。

回答
都としては、これまで、全日制課程、定時制課程、通信制課程と、必要な受入枠を設けています。
受検生の就学希望にこたえ得る受入枠を確保しています。

質問事項
一の3 江東区で夜間定時制が統廃合された際、不合格の生徒が多数出てしまい、他の統廃合でも同じような状況となった。これまでの経験から、八王子でも同じことが起こると予測しなかったのか。

回答
都教育委員会では、定時制における多様化するニーズにこたえるとともに、全・定併置校が抱える施設利用や指導時間の制約などの課題を解決するため、昼夜間定時制独立校を地域のバランスを考慮して全都に11校設置し、定時制教育の改善を図っています。
八王子拓真高校は300人の募集人員であり、これは募集停止となる4校の在籍人数を確保できるように設定したものです。また、近隣の夜間定時制課程において相当数の第二次募集が実施されるなど、定時制課程を希望する生徒の受入は可能であると考えています。

質問事項
一の4 保護者だけでなく、多くの関係者がこのまま放置できないと考えている。校長会、教育関係者、都民などからどんな要望があがっているか。要望を重く受け止め、対応すべきだが、どうか。

回答
都民などに、様々な意見があることは認識していますが、都教育委員会としては、都立高校改革推進計画に基づき、昼夜間定時制独立校の設置を中心に、定時制教育の改善を図っていくことが、多様化する生徒・保護者のニーズにこたえることであると考えています。

質問事項
一の5 今年の受検生の高校進学を保障できるよう、緊急に、南多摩高校など今回募集停止となった定時制高校の募集再開、八王子拓真高校の募集を増やすなど、対策を求める。答弁を求める。

回答
八王子拓真高校は300人の募集人員であり、これは募集停止となる4校の在籍人数を確保できるように設定したものです。また、近隣の夜間定時制課程において相当数の第二次募集が実施されるなど、定時制課程を希望する生徒の受入は可能であると考えています。

質問事項
一の6 来年は、今年の事態をきちんと分析し、生徒の希望や通学事情などの実態に即して必要な定員枠を確保できるよう、本格的に夜間定時制の募集を再開する措置をとることを求める。答弁を求める。

回答
定時制課程に通学している生徒数及び応募状況等から判断して、定時制を希望する生徒の受入枠は確保していると考えており、夜間定時制課程の募集を行う学校を増やす考えはありません。

質問事項
一の7 経済格差の拡大の中で、都立でなくては行けない生徒が増えている状況の中、都立高校改革推進計画を生徒の実情にあった内容に見直し・改善すべきと思うが、見解を伺う。

回答
都教育委員会は、多様化する生徒の実態や社会状況の変化を踏まえ、多様な進路希望等に対応できる様々なタイプの都立高校を設置し、都民の期待にこたえています。
今後とも、都立高校改革推進計画に基づき、着実に都立高校改革を推進していきます。

平成19年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 古館 和憲

質問事項
一 三宅島島民への復興支援について

一 三宅島島民への復興支援について
先月2月1日で三宅島の避難指示が解除されて二年がたちました。三宅島に帰島した島民も、いまだに帰島できないでいる約千人の人たちも困難を極めた生活をおくっています。故郷にさまざまな事情で帰れない島民は、「三宅島への一時帰島にたいして船賃などの運賃補助がなくなってしまった。補助を復活してほしい」など、生活に関する要求・要望などであふれています。
島民への生活再建支援はもとより、帰島する意思がありながらも都内で生活を余儀なくされている三宅島民への直接支援が待ったなしの緊急課題となっています。
都内では「三宅島ふるさと再生ネットワーク」が結成され、いまもさまざまな支援活動を展開していますが、その一つが「三宅島非帰島住民の生活状況についてのアンケート」活動です。配布世帯のうち回収率が31%で、回答者の7割の方が60歳台以上とのことです。現在の職業が避難前では、「無職」が3割強でしたが、現在の避難先では無職が6割強と最も多くなっていることです。1年前に比べて『生計』はどうかとの問いに、とても苦しくなったが22%、少し苦しくなったが44%、合わせると66%が苦しくなったとしています。今後の生計について7割以上が悲観的な回答をよせています。困っていることへの回答で一番多かったのが「島の住宅費がかかる」で回答者の42%。次に「近くに知り合いがいなくてさびしい」「自分もふくめ、家族の中に喘息など高感受者や病気がちの人がいる」「家賃の支払い」「医療費が高い」「未帰島の人への支援が打ち切られて苦しい」「飛行場が再開されていない」などとなっています。
1 こうしたアンケートへの回答が寄せられているが、改めて、村とともに都として三宅島に戻っていない約一千人にたいして生活実態調査や、要望などを集約するとともに帰島する意思がありながら、何らかの事情で帰島できない島民に対して、住宅の再建や溶岩流に覆われた農地の復旧、公営住宅の建設、医療の確保など都として帰島を早めるための対策をとること。
帰島して三宅島で生活している島民も、高濃度ガスによっていまだ自分の家にも住めず「家屋補修が継続して求められている。なんとか援助してほしい」との声は、災害がいまも継続している島民です。こうした認識に立った施策展開が求められています。また、「村営住宅の家賃が高くて払いきれない、何とか補助してほしい」などなどの切実な声があがっています。いま、都や村にとっての最重要課題は、村民が求めている生活苦などの島民のニーズを汲みつくすことだと考えます。
帰島から一年たった際に、三宅村長が知事に会い、そこで「都が持っている農地試験場の跡地を開放してほしい」旨を要望したこと。それに対して、石原知事は、「都が使っていないんだったらいくらでも提供しますが・・・」と言いながら、三宅村長に対して『マン島視察』について言及したことが、報道記事(06年1月27日の記者会見)で読みました。
2 この「畜産試験場の未使用地」の利用については、その後、どのようになっているのでしょうか。
3 多くが未使用地となっているときいており、有効利用の立場から「高濃度地区」の住民などに農地として使用できるようにするなど、有効活用に道を開く必要があると考えますがどうか。
4 海中は、火山灰が浮遊し、磯はあれ、その上亀が大量に上陸してテングサを食い荒らしているなど海の復興もいまだ道半ばとのことです。この対応も急務だと考えますが、対処についてお聞かせください。
5 枯損木の処理もすすんでおりません。個人所有地での枯損木の処理と植樹については、都として補助をするなど、積極的な対応がいまこそ求められています。
6 また、三宅村が昨年の3月に作成した「三宅村観光支援」プランでは、三宅島観光の目指すべき姿として「火山島である三宅島の豊かな自然を体験するエコーツーリズム(自然環境などを損なわずに行う観光事業)」が第一に掲げられており、知事のトップダウンで進められようとしているバイクレースがこうした目標にそぐわないことは明らかです。エコーツーリズムを第一に掲げている三宅村の『構想』を後押しすることこそ都の最優先の課題ではありませんか。
7 さらに、村民の強い要望である、東京からの飛行機の直行便の再開を引き続き働きかけること。

平成19年第一回都議会定例会
古館和憲議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 三宅島島民への復興支援について
1 都として、村とともに三宅島に戻っていない約1千人にたいして生活実態調査や、要望などを集約するとともに、帰島意思がありながら、事情により帰島できない島民に対し、住宅再建や農地復旧、公営住宅建設、医療確保など、都として帰島を早めるための対策をとることを求める。答弁を求める。

回答
帰島後2年を経過し、いまだ帰島していない方々については、健康状態等、個々の事情があるものと理解しています。三宅村としては、未帰島者から帰島の相談等がある場合は、村営住宅の入居その他について積極的に支援を行っています。
都としては、被災農地の復旧、村営住宅整備への補助、医療体制の整備など、三宅島の帰島支援対策に積極的に取り組んできており、住宅再建支援については、東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例の有効期限を1年延長しました。また、国においても、引越し経費等を支援する制度が1年延長されました。
なお、未帰島者に対する生活実態調査等の実施については、三宅村が判断すべきものであり、村として実施する予定はないと聞いています。また、都としても、実施する予定はありません。

質問事項
一の2 知事が、都が使っていないなら提供する、と言った畜産試験場の未利用地の利用は、その後、どのようになっているのか。

回答
旧畜産試験場の用地については、現在、東京都島しょ農林水産総合センターが管理しており、三宅島の農業の復興に向けた試験研究のための農場として活用しています。
なお、利用可能な部分については、すでに、都が、三宅島雄山の荒廃地を緑化するためのオオバヤシャブシやヤブツバキなどの苗木育成ほ場として利用しているほか、三宅村に対して、施設栽培農家のためのレザーファン苗の育成ほ場として提供しています。

質問事項
一の3 多くが未利用地になっているときいており、有効利用の立場から高濃度地区の住民などに農地として使用できるようにするなど、有効利用に道を開くべきだがどうか。

回答
旧畜産試験場用地のうち利用可能な用地については、都が農業に関する試験研究や緑化用苗木の育成ほ場として利用しているほか、三宅村がレザーファン苗の育成ほ場としても利用しています。
今後も引き続き、こうした活用により三宅島の復興に貢献していきます。

質問事項
一の4 海中は、火山灰が浮遊し、磯は荒れ、亀が大量に上陸してテングサを食い荒らしているなど、海の復興もいまだ道半ばである。この対応も急務だが、対処について伺う。

回答
都では、火山灰の堆積や流入による三宅島周辺漁場の回復状況を継続的に調査しています。この結果を踏まえ、テングサの繁茂状況等を示したマップを随時漁業者に提供し、効率的な漁業操業を支援しています。
また、平成17年度からはイセエビや海藻の資源を回復するため、火山灰の影響が少なく、早期の回復が見込める地域において築いそによる漁場整備を進めています。さらに、アカハタの稚魚やトコブシなどの放流によって、着実な資源の増殖を図っています。

質問事項
一の5 枯損木の処理もすすんでいない。個人所有地での枯損木の処理と植樹については、都として補助するなど、積極的な対応が求められているが、答弁を求める。

回答
三宅島においては、現在も火山ガスの放出が続いているため、都では、ガスの危険度を踏まえて、枯損木の処理及び植樹を実施しています。
なお、個人の森林所有者が実施する枯損木の伐採とその後の植樹に対しては、造林補助制度が設けてあります。

質問事項
一の6 三宅村観光支援プランでは、エコツーリズムが第一に掲げられており、バイクレースがそぐわないのは明らかである。三宅村の構想の後押しこそ都の最優先課題ではないか。答弁を求める。

回答
三宅島の観光復興に当たっては、三宅村による主体的な取組が重要です。
都は、平成18年度において、村が取り組む観光復興事業への専門家の派遣やモニュメント建設への支援を行いました。

質問事項
一の7 村民の強い要望である東京からの飛行機の直行便の再開を引き続き働きかけることを求める。答弁を求める。

回答
三宅島島民にとって航空路の再開は、島民の生活を安定させる上で欠かせないものであり、これまで滑走路や航空灯火などの空港施設の復旧整備を行うとともに、運航事業者等との調整を行ってきました。
しかし、空港は高濃度の二酸化硫黄ガスが観測される環境にあることから、運航事業者より、公共交通輸送機関として安全の確保が最も重要であり、運航可否の判断を行うためには空港及び空港周辺の飛行経路上における二酸化硫黄ガスの観測の必要性などが指摘されており、このため、上空のガス濃度の測定や気象状況の観測などを行っています。
今後も、観測の結果などを踏まえ、関係機関や運航事業者などと連携し、再開に向けた取組を進めることとしています。

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