環境・建設委員会速記録第三号

令和六年三月十八日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長原  純子君
副委員長須山たかし君
理事細田いさむ君
理事山田ひろし君
理事小松 大祐君
漢人あきこ君
もり  愛君
アオヤギ有希子君
こいそ 明君
成清梨沙子君
小磯 善彦君
小宮あんり君
増子ひろき君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長宮澤 浩司君
理事高崎 秀之君
総務部長緑川 武博君
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長長谷川徳慶君
気候変動対策部長荒田 有紀君
再生可能エネルギー実装推進担当部長小林 洋行君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長戸井崎正巳君
環境改善技術担当部長宗野 喜志君
自然環境部長生物多様性担当部長兼務和田 慎一君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環技術担当部長横山 英範君
資源循環計画担当部長中島 隆行君

本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第百六号議案 高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百七号議案 東京都自然公園条例の一部を改正する条例
・第百四十四号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都気候変動適応計画の改定について

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽根委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和六年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和六年三月十四日
東京都議会議長 宇田川聡史
(公印省略)
環境・建設委員長 曽根はじめ殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(木)午後五時

(別紙1)
環境・建設委員会
 第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 環境・建設委員会所管分

(別紙2省略)

○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第百六号議案、第百七号議案、第百四十四号議案及び報告事項、東京都気候変動適応計画の改定についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○緑川総務部長 去る二月十四日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をご覧ください。
 表紙をおめくり願います。目次にありますとおり、八項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、各再生可能エネルギーに関わる設置補助事業の実績額の推移(過去五年分)でございます。
 各再生可能エネルギーに関わる設置補助事業につきまして、その概要及び平成三十年度から令和四年度までの実績額を三ページにかけて記載をしております。
 四ページをお開き願います。2、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素濃度につきまして、平成二十九年度から令和三年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質濃度につきまして、同様に記載しております。
 六ページをお開き願います。3、令和四年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
 微小粒子状物質、PM二・五の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における測定局ごとの年平均値を記載しております。
 七ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして、同様に記載をしております。
 八ページをお開き願います。4、保全地域における希少種の状況でございます。
 調査対象の保全地域において確認された植物、鳥類等の希少種の数及び主な希少種名を一二ページにかけて記載をしております。
 一三ページをお開き願います。5、緑被率、みどり率の推移でございます。
 区部及び多摩地域それぞれにつきまして、(1)では平成三年及び平成七年の緑被率を、(2)では平成十年から平成三十年まで五年ごとのみどり率を記載しております。
 なお、次の一四ページに、みどり率の用途別の内訳等を記載しております。
 一五ページをお開き願います。6、建設汚泥の発生量(過去五年分)でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの各年度における建設汚泥の発生量を記載しております。
 一六ページをお開き願います。7、日本からの廃プラスチック輸出量の推移と主な国・地域別の内訳でございます。
 令和元年から令和五年までの輸出量の推移の合計及び主な国、地域別の内訳を記載しております。
 一七ページをお開き願います。8、区市町村で回収している容器包装プラスチック量及びリサイクル量並びにその合計(令和四年度、区市町村別)でございます。
 令和四年度における区市町村別のペットボトルと容器包装プラスチックの発生実績とリサイクル量を一八ページにかけて記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、まず、次世代再生可能エネルギーについて伺います。
 再生可能エネルギーの大幅拡大に向けて、都は、下水道施設においては国内で初めてフィルム型のペロブスカイト太陽電池を設置し、実証事業に加えて、洋上浮体式太陽光発電の国内で初となる洋上での実証事業を行うなど、様々な取組を進めてきております。
 そのほかの県ですけれども、福岡県では使用済みの太陽光パネルの再利用、リユースによる発電の実証事業であったり、外壁や窓への設置、路面やコインパーキングなど、国内で様々な今取組が進んでおるところです。
 また、海外では、アメリカのスタートアップ企業は宇宙での太陽光発電にチャレンジすると、そういった報道もされておるところであります。
 こういった中で、次世代の再生可能エネルギー技術の早期の実用化、社会実装をこれまで以上に後押しすべきと考えますけれども、見解を伺います。

○小林再生可能エネルギー実装推進担当部長 昨年六月に開催した第一回東京都再エネ実装専門家ボードにおきまして、専門家等から、二〇五〇年ゼロエミッション東京を見据え、エネルギーの大消費地である東京は、新たな技術も活用し、実効性のある再エネ社会実装を推進することが必要とのご意見をいただきました。
 そのため、ペロブスカイト太陽電池に続く次世代再エネ発電技術の早期社会実装に向けて、検証事業に要する経費の一部を補助する次世代再生可能エネルギー技術社会実装推進事業を来年度から開始いたします。
 具体的には、設計費、設備費、工事費等に対し、補助率三分の二、上限一億円を支援することによりまして、早期実用化に向けて開発事業者を後押しし、社会実装を加速化してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。今ご答弁いただきました次世代の再生可能エネルギーのほかに、新たな技術革新が期待される分野として、二酸化炭素を吸収するカーボンキャプチャーの分野があります。
 特に大気から二酸化炭素を直接吸収する技術は、大気中に排出された二酸化炭素を削減できるということから、世界中で大きな期待が寄せられておりまして、東京がそういった取組をリードすると、そういったことも期待されるところです。
 東京都立大と連携した取組として、カーボンステーションの開発事業が予算計上されておりますけれども、新技術を活用した二酸化炭素の減少の取組について伺います。

○荒田気候変動対策部長 大気から二酸化炭素を分離して回収する、いわゆるDAC技術を用いたカーボンステーションの開発事業は、本年度の大学提案事業として採択されたものでございます。
 本事業では、大気中の二酸化炭素を効率的に回収するとともに、有用な炭素資源に変換する装置の開発とその有効性について、三か年をかけて実証してまいります。
 初年度となる令和六年度は、小型装置を設計、作製して、実験室レベルでの検証を行い、大型化に向けた問題点の洗い出しなどを行う経費として、三千万円を予算案に計上してございます。革新的技術の開発を後押しし、東京のゼロエミッション化を推進してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。環境施策に関するまた別の新しい流れとしまして、サーキュラーエコノミーについて伺っていきたいと思います。
 これまでは、大量の消費、大量廃棄型の発想の経済というのが主流でしたけれども、現在、環境負荷を減らしていく循環型の経済への移行がビジネスの場面の重要な課題となっております。
 廃ペットボトルが完全に再利用されてペットボトルとなる製品、そういったものが出てきておりますけれども、このような使用済みの製品が同じ製品として生まれ変わる水平リサイクルであったり、3Rの中でも、近時特に重視すべきといわれておりますのがリデュース、リユースの2Rであります。
 そういったものに関する企業の活動、これをさらに後押しするためには、消費者である都民にその意義、価値をしっかりと理解してもらう必要があります。2Rや水平リサイクルの実現に向けて、消費者の協力を求める理解促進を進めるべきと考えますけれども、見解を伺います。

○中島資源循環計画担当部長 サーキュラーエコノミーの実現に向け、都は、リユースや水平リサイクルの社会実装に取り組む事業者等を後押しするとともに、持続可能な資源利用について普及啓発を実施しております。
 具体的には、オフィス向けの弁当などにリユース容器を利用する取組や、ペットボトルを水平リサイクルする取組等を支援し、これらの取組の成果や意義をSNS、ポータルサイト等で広く都民、消費者に発信してまいりました。
 また、環境イベントでは、2Rや水平リサイクルの効果などを分かりやすく解説したパネルの展示や、リユース容器やペットボトル回収ボックスの実物を展示するなど、都民が手に触れ、実感していただく機会などをつくってまいりました。
 今後、こうした取組をさらに強化し、都民、消費者の理解と行動変容を促進してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。例えば、ペットボトルをペットボトルとして効率よく水平リサイクルするためには、ペットボトルの飲み残しだったり、ラベルなどがない状態で回収することが重要となってまいります。
 飲み残しなどあった場合には回収を拒む回収機の導入促進など、企業等の回収の効率化を支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 都は、清涼飲料の事業者団体と連携し、ボトルtoボトル東京プロジェクトを実施してきており、このプロジェクトの中で考案された、異物が混入しにくいように投入口を下向きにしたデザインのリサイクルボックスは、全国的に普及が進みつつあります。
 また、令和四年度、鉄道会社が飲料メーカー六社と連携し、駅構内や駅周辺エリアの自動販売機横に設置されたリサイクルボックスのペットボトルを、ITを活用して効率的に回収するシステムの実証事業を実施いたしました。
 引き続き、サーキュラーエコノミー推進センターで実施する補助事業等を通じて、事業者等が実施するプラスチック資源循環に資する取組を支援してまいります。

○山田委員 今お話ありましたボトルtoボトルのリサイクルボックスは、都内でも見かけることが増えてきたと思います。ぜひ、より多くのエリアで広がるようお願いいたします。
 あわせて、デジタルの技術、力を活用して生産活動の全体像を追えるようにすることもサーキュラーエコノミーの実現に重要です。
 欧州委員会では、デジタルプロダクトパスポートとして、製品に使用されている物質や、設計から廃棄、回収までのプロセスを記録して確認できる仕組みを導入していくということであり、都もそういった取組を後押しすべきです。
 サーキュラーエコノミーの実現に向けデジタルを活用し、企業のサプライチェーン全体の環境配慮型の生産活動を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 サーキュラーエコノミーの実現に向けては、デジタル技術を活用して、回収、リサイクルから製造までの過程や、再生材の情報等を共有する仕組みの構築が重要でございます。国において、各産業が協調しながら、こうした情報共有を実現する共通的なプラットフォームの構築が検討されるとともに、製造業等を中心として、産業分野ごとにデジタル技術を活用した情報共有の取組が始まっております。
 都は、国等と連携し、産業廃棄物処理業者等が供給する再生材等の情報を製造業者等と共有するための使いやすいデジタルツールの整備を検討することなどにより、再生材の循環利用を促進することで、サプライチェーン全体の環境配慮型の生産活動を後押ししてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。今のご答弁でありましたとおり、事業者の中でも中小の事業者が多い産業廃棄物処理業者の対応、これをしっかりと後押しすることが重要だと思いますので、ぜひ引き続きご対応をお願いいたします。
 資源循環といいますと、これまでは廃棄物の処理に関する議論が中心でした。ですが、今後は、製品の設計する段階からそもそも廃棄物が出ない設計としていく、また、製品の長寿命化を進める、シェアリングなど物のサービス化を進めていくなど、これまでの経済の仕組みを再構築して、新しいビジネス分野を切り開いていく、そういった取組につなげていくべきであります。
 そういったサーキュラーエコノミーに適合した事業者を支援すべきと考えますけれども、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 都は、サーキュラーエコノミーへの移行を推進するため、メーカーやリサイクル事業者等の企業グループが連携したリデュース、リユースの2Rビジネスの普及や、水平リサイクルの社会実装化を目指す取組を支援してまいりました。
 これまで、2Rビジネスは四件、水平リサイクルは八件、合わせて十二件の事業への支援を行い、コーヒーチェーン等向けリユースカップのシェアリングサービスのように、次第に規模を拡大しているものや、衣料品カバーのように、全国展開を目指し、国の認定を受けたものもございます。
 来年度は、こうした動きを加速化させるため、複数の事業者が連携して行う基盤整備経費や、新しい仕組みへの切替え経費などを対象に、一事業当たり四千五百万円まで支援を行います。
 今後、国が進めるサーキュラーエコノミーの実現に向けたビジョン等の策定の動向等を注視し、様々な主体と連携を図りながら、持続可能な資源利用の実現を目指してまいります。

○山田委員 サーキュラーエコノミーについては、国の方でも今本格的な検討が進んでおりますので、都がそういった中で日本をリードしていく取組を期待したいと思います。
 次に、太陽光パネルの設置義務化について伺います。
 新制度の開始まで残り一年となる中で、先日の予算特別委員会の私たちの質問でも様々確認させていただきましたけれども、円滑な制度の実施に向けた準備が着実に今進んでおるところであると思っております。
 そういった中で、現在、東京都の財務局が公共調達に当たってSDGsに配慮した取組を強化する方針を示していますが、サプライチェーンにおける人権尊重の取組の強化がまだ強く求められているというところであります。
 都は、業界団体である太陽光発電協会と連携して、民間事業者の太陽光パネル調達過程における人権尊重の取組をこれまでも後押ししてきていますけれども、そこで、サプライチェーン上の人権配慮に向けて、これまで都と同協会が連携して取り組んできた内容を改めて伺うとともに、併せて今後の取組についても伺います。

○木村建築物担当部長 サプライチェーン上の人権配慮に向けましては、国際標準にのっとり、企業の適正な取組と定期的な情報公開を促すことが重要でございます。そのため都は、太陽光発電協会と連携し、国のガイドライン公表後では国内初となる業界独自の取組ガイダンスを昨年四月に策定し、さらに八月には英語版も公表して、海外資本の会員企業に対しても業界として求める取組を訴求しております。
 加えて、九月には、同協会内に本ガイダンスを推進するための組織を発足させ、業界全体を牽引しております。
 本年二月には、他の業界に先駆け、大手パネルメーカー七社を含む会員各社の人権方針等を順次公表し始めております。
 今後も継続的なPDCAの実施と定期的な情報公開を促進することで、企業ごとの着実な取組につなげてまいります。

○山田委員 都が業界団体と連携して、ほかの業界と比べて先進的な取組を進めてきているということは評価できるものだと思っております。今後も継続的に取組を進めて、この分野で日本をリードしていく、そういった取組を期待したいと思います。
 次に、東京ゼロエミ住宅について伺ってまいります。
 都は、令和元年度から、断熱、省エネ性能の高い住宅の普及を図るために独自の基準を定めて、建設費用の一定額を助成する東京ゼロエミ住宅事業を実施しております。多くの都民に活用されておりまして、新築住宅の環境性能の向上に大きな役割を果たしているなというふうに考えております。
 そこで、まずは確認の意味も込めまして、今年度の実績について伺います。

○木村建築物担当部長 東京ゼロエミ住宅につきましては、令和元年度の事業開始以降、助成金の交付申請件数は年々増加しており、令和五年度は、一月末時点で昨年度の四千四百件を大きく超える約六千四百件の申請がございました。
 このうち戸建て住宅が約五千四百件、集合住宅が約千件であり、どちらも都内の新築住宅の一割強を占めるなど、多くの都民、事業者に東京ゼロエミ住宅をご活用いただいております。

○山田委員 既に昨年度の一・五倍の申請があるということでして、東京ゼロエミ住宅の普及が進んできているんだということ感じております。
 この点に関して、先日、本会議の代表質問において私たちは、家庭での省エネ促進を都民が進められるように支援を大胆に拡充すべきと、そういった質疑も行いまして、知事から、来年度、東京ゼロエミ住宅において、国内最高レベルの省エネ性能となるよう基準を強化して、その助成を拡充するといった答弁をいただいたところであります。
 そこで、都が新たに設ける国内最高レベルの省エネ性能を備えた基準設定と助成額の考え方について伺います。

○木村建築物担当部長 東京ゼロエミ住宅において新設する最上位水準の省エネ性能は、太陽光発電設備による再エネと併せて、戸建住宅全体でエネルギー消費量の実質ゼロが実現可能となるよう設定いたしました。
 さらに、断熱性能につきましては、実現可能性も考慮し、現在の東京ゼロエミ住宅の上位一割程度が達成しているレベルで設定いたしました。
 こうした断熱、省エネ性能については、学識経験者等から成る検討会において、現時点の東京ゼロエミ住宅に求める最高水準として妥当であると評価をいただいております。
 また、助成額については、断熱、省エネ性能の基準を満たすために必要となる費用と通常の住宅建築費用との差額相当分を基に設定しております。
 このため、最上位の水準に対する助成額は、一戸当たり最大二百十万円から二百四十万円へと拡充いたします。

○山田委員 ありがとうございます。東京ゼロエミ住宅の最高水準では、戸建住宅の全体でエネルギー消費量実質ゼロも可能になると、その新たな水準に見合った助成額が受けられるというご答弁でありまして、こういった本事業を広く活用していただくということが重要となってまいります。
 都は、こうした東京ゼロエミ住宅の取組やその効果を都民や事業者に広く発信していくことが重要でありまして、今後さらなる普及啓発に取り組むべきと考えますけれども、見解を伺います。

○木村建築物担当部長 都はこれまで、住宅関係団体等と連携した東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームの場を活用した情報提供に加えて、動画やウェブターゲティング広告などの様々な媒体を活用し、広く周知を行ってまいりました。
 来年度は、四月から始まる国の省エネ性能ラベル制度と併せて、東京ゼロエミ住宅のロゴマーク等も一体的に表示できるようにするなど、さらなる認知度向上に取り組んでまいります。
 また、都民、事業者の参考となる手引書を作成し、新たな最高水準に適合する住宅の使用例や、建築に当たっての留意事項等を分かりやすく紹介するなどして、東京ゼロエミ住宅への理解を深め、普及をさらに促進してまいります。

○山田委員 ぜひ、ご答弁ありましたとおり、より多くの都民、事業者に東京ゼロエミ住宅を知ってもらえるように、国の施策とも連携しながら、広報の強化というのも取り組んでいただきたいと思います。
 次に、ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーについて伺います。
 モビリティー分野の脱炭素の取組も着実に進める必要がありますけれども、環境性能の高いUDタクシーは、東京二〇二〇大会のレガシーとしても着実に都内に普及しているところです。
 近年の燃料費高騰の中で、ハイブリットシステムを搭載していまして、燃料費が抑えられることからも、事業者からも大変好評だというふうにも伺っておりまして、今後さらなる普及を図っていくべきです。
 そういったUDタクシーの一層の普及が進むよう取り組むべきと考えますけれども、見解を伺います。

○戸井崎環境改善部長 UDタクシーは、誰もが移動しやすく、環境性能が高いことから、都は、平成二十八年度に補助を開始いたしました。これまでに一万七千台以上に対しまして補助を実施しております。これは都内の法人タクシーの約六割に相当いたします。
 一層の普及を促進するため、令和六年度予算におきましては、新たに補助原資として約二十六億円を計上するとともに、補助期間を令和七年三月まで延長いたします。
 今後、業界団体等と連携し、補助制度を周知するチラシをタクシー事業者へ配布するなど、補助制度についてきめ細やかに周知を行い、UDタクシーの普及を促してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。そういったUDタクシーなんですけれども、他方で、ある障害者団体の昨年のUDタクシーに関する調査では、車椅子の利用者に対して全国で三割以上、東京都内でも約一七%乗車拒否があったというふうな、そういった報告、調査もなされておるところです。
 車椅子利用者の利用に当たって、乗車拒否がないよう徹底すべきと考えますけれども、見解を伺います。

○戸井崎環境改善部長 UDタクシーの補助に当たりましては、タクシー乗務員が車椅子の方の乗車に適切に対応できるよう、車椅子の取扱いや乗降時の介助方法等について習得するユニバーサルドライバー研修を受講することを義務づけております。
 今後、改めて業界団体に乗務員の意識向上や、車椅子利用者の乗り降り円滑化のための訓練実施などについて要望するとともに、業界とも連携して、UDタクシー乗車拒否の一掃に向けて取り組んでまいります。

○山田委員 UDタクシー、今まで私も何回も乗車する機会、ありましたけれども、乗り降りしやすくて快適で、多くの方に有意義な移動手段だと思っております。引き続き、UDタクシーがさらに環境にも、また人にも優しい移動手段となっていくよう、業界団体等と連携して取り組んでいただくことを要望したいと思います。
 次に、フロン対策について伺います。
 フロンは、オフィスなどの空調設備やスーパーのショーケースなど、冷凍空調機器の冷媒として幅広く使用されてきましたけれども、温室効果が高いものであり、機器を適切に管理しないと、大気中に放出されて気候変動に大きな影響を及ぼすことから、フロンの削減に向けた取組、強化していかなければなりません。
 都では、フロンについて二〇三〇年の排出削減目標を二〇一四年度比で六五%削減としていますけれども、期限まで六年しかなく、対策は急務です。
 業務用の冷凍空調機器は、都内に約二百二十万台もあるということであり、フロンの漏えい量の約六割は機器の使用時に発生しているといったところであります。
 そこでまず、機器使用時の漏えい防止に向けた取組について伺います。

○戸井崎環境改善部長 都はこれまでに、フロンの使用機器を多く保有する多店舗展開の百貨店や飲食店などにアドバイザーを派遣し、漏えい対策と効果の提案を実施するとともに、先進技術を活用したフロン排出削減対策の実証事業を行っております。
 また、定期点検の義務がない中小企業のスーパーや飲食店などに使用される小型の冷凍空調機器に対しましては、早期の点検や修理の実施を促すとともに、フロン排出量の削減に加え、節電効果の検証を行っております。
 今後、こうした実証事業で得られた知見等を、機器の管理者をはじめ、フロンの充填回収事業者も対象とした講習会等を活用しながら、事業者に展開してまいります。

○山田委員 今ご答弁いただいたような様々な漏えい対策に加えて、フロンの排出をさらに削減していくためには、ノンフロン機器への転換を促進していかなければなりません。
 しかし、ノンフロン機器はフロン機器に比べて価格が高く、さらに、スーパーやコンビニ等で使用されている別置き型の冷凍冷蔵ショーケースは、比較的フロンの漏えい率が高いものの、大企業であっても設備投資の優先順位が低く、なかなか導入が進まないというふうに聞いております。
 そこで、省エネ型のノンフロン機器の導入に向け、他事業者への支援の強化と普及、これを促進すべきと考えますが、見解を伺います。

○戸井崎環境改善部長 スーパーや飲食店等で使用しているショーケースを対象に、省エネ型ノンフロン機器の導入促進に向けた補助を平成三十一年度から開始いたしました。令和六年度予算におきましては、一層の導入を促進するため、新たに約十二億円を計上し、これまで中小企業や個人事業者としていた補助対象を、例えばコンビニエンスストアなどのフランチャイズ運営を行う大企業にまで拡大をいたします。
 今後、冷凍冷蔵機器の展示会やSNS等を活用しながら、省エネ型ノンフロン機器の利点や導入支援制度を広く周知することで導入の拡大を図ってまいります。

○山田委員 ありがとうございます。これまでの支援を大幅に強化するというところでありますけれども、そういったフロンの削減目標の達成を図っていくためには、使用時の漏えいの防止、またノンフロン化に向けた転換に加えて、廃棄時の対策など、ライフサイクル全般にわたる取組も必要となってまいります。関連する業界団体とも連携しながら、一日も早いフロン排出量のゼロの実現を期待いたします。
 次に、リチウムイオン電池について伺います。
 リチウムイオン電池が関連する火事が増加しております。リチウムイオン電池は、小型の充電式電池が使用されておる携帯電話であったりスマートフォン、モバイルバッテリー、パソコン、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機などに幅広く使用されております。
 火事、事故を起こさないためには、まず都民に適切な分別方法の理解を広めていくことが重要であります。リチウムイオン電池の適切な分別方法を都民に理解してもらうための取組、これを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 リチウムイオン電池の適切な分別には、伝える相手に応じた広報手段を用いることが必要でございます。広く都民の皆様にお伝えするため、「広報東京都」や都民向けのラジオニュースのほか、駅のデジタルサイネージや環境イベントなど、様々な機会を捉え、広報を行ってまいりました。
 特に若年層向けには、SNSを用いて、ハンディー扇風機やワイヤレスイヤホンなど、具体的な内蔵製品の写真を載せた注意喚起を定期的に発信し、約十八万九千回の閲覧を得ました。
 また、混入の危険性を理解できるよう、ごみの収集作業時の火災防止の取組を紹介した動画を作成し、約四千八百回再生されました。
 引き続き、丁寧な広報により、都民の理解を得ながら、適切な分別行動を促進してまいります。

○山田委員 今ご答弁いただいたような、都民に安心・安全な回収に向けた分別方法を理解してもらうこととともに、ごみ処理場で混入してしまったリチウムイオン電池を適切に選別することができれば、安全性の確保に大きく貢献します。
 また、多くの製品で利用されているからこそ、適切なリチウムイオン電池のリサイクル手法、これを検討していくことも重要です。
 リチウムイオン電池について、安全かつ再資源化に資する処理方式の検討を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 都が来年度、大学等との連携により実施する小型リチウムイオン電池の安全・安心な処理フロー構築事業で、ごみ処理施設に混入した電池を選別するシステムの構築や、電池に含まれる有用な資源のリサイクル技術の検討を進めることとしております。
 令和六年度は、文献調査、現地調査等から着手し、令和八年度までの三年間で、実際の現場での導入を視野に、事故が起こりやすい破砕工程前に電池を選別除去する技術やシステム等の検証を行います。
 また、リチウムイオン電池や内蔵製品に含まれるプラスチックやリチウム等の資源循環ルートの構築を目指してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 それでは、最後の質問を伺いたいと思います。熱中症クールスポットについて伺います。
 このまま温暖化が進んでいきますと、東京では三月上旬に桜が咲いたり、夏の猛暑日、これが多くを占めることになるのではないかと、そういったこともいわれております。熱中症であったり救急搬送、そういったものも増えていく可能性がありまして、気候変動に適合したまちの形に変化を促していかなければなりません。
 本年の四月には、改正気候変動適応法が施行となりまして、区市町村が冷房設備を有する等の要件を満たす施設をクーリングシェルターとして指定し、公表する仕組みなど、熱中症対策の強化が図られます。
 今後、都としても、区市町村との連携を密にし、給水所を有する施設や民間施設等へクーリングシェルターの拡大を促すとともに、都民に向けた熱中症予防の注意喚起など、熱中症予防対策を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。

○木村建築物担当部長 都は今年度、熱中症対策を促進するため、熱中症予防の様々なアイデアを都民から募集し、SNS等により広く発信するなど、創意工夫を生かした普及啓発に取り組んでまいりました。
 来年度は、区市町村に向け、クーリングシェルターの整備に要する備品等の調達や、地域の啓発活動等に対する支援を行ってまいります。
 加えて、熱中症予防の知見を有する団体と連携し、区市町村におけるイベントや講習会等への講師派遣事業を開始するなど、きめ細かな支援に取り組んでまいります。
 今年の夏に向けて、各局との連携体制を強化し、普及啓発のさらなる充実を図ることで、熱中症への備えを確かなものとしてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。今年の夏についても、昨年に匹敵するような猛暑になる可能性も指摘されております。熱中症の予防に向けて、都庁各局や区市町村と連携しながら一層の取組強化をお願いいたします。
 以上で私の質問は終わります。

○小松委員 私からは、初めに災害廃棄物について質問させていただきます。
 本年元日に発生した能登半島地震から二か月半が経過いたしました。この間、都は、応急対応、また復旧支援に向けて多くの職員を被災地に派遣され、この中には災害廃棄物処理の支援業務も含まれているものと承知しています。
 県の発表では、今回の災害に伴い、県内のこの年間ごみ排出量のおよそ七年分に相当する災害廃棄物が発生するものと推計されていると伺いました。
 この問題、私は令和四年の予特、また昨年も質問させていただいているんですが、首都直下のときは三千万トンで、これも東京都内の区市町村のごみ総排出量の七年半分ということでありますから、やはりこれだけの甚大な、大きな地震のときには、そのくらいの量が一度に出てくるんだろうということが今回も確認できたのかなと思います。
 特に被害の大きかったこの奥能登地域などの自治体は、規模がそもそも小さい自治体が多く、日頃からこの廃棄物処理に携わる職員も少ないことから、早期の復旧に向けて、人的や技術的支援が求められてきました。
 災害廃棄物処理への対応として、この都職員を派遣することは、被災地の助けになるだけではなくて、都の職員が経験を積む上でも大変重要な取組だと思います。
 そこで、能登半島地震における災害廃棄物処理に向けた都の職員の派遣状況と具体的な支援内容を伺います。

○志村資源循環推進部長 都は、環境省からの要請に基づき、一月六日から、災害廃棄物処理の経験を有する職員を中心に、今日までに能登町及び志賀町に延べ九十二名を派遣しております。この際、管理職と一般職員でチームを組み、なるべく多くの職員が経験を積めるようにしております。
 現地では、災害廃棄物の発生量推計や解体家屋数の試算、仮置場の配置計画や案内の作成、運営方法の助言等の支援を行ってきております。現在も、今月十六日から始まった公費解体の申請受付を円滑に進めるため、管理職一名を志賀町に派遣しております。
 今後とも、被災地のニーズを適宜把握し、必要な支援を実施してまいります。

○小松委員 被災地の支援が第一義でありますけれども、実際に災害廃棄物処理を経験されたことのあるこの都職員が増えるほど、東京に災害があったときの対応力は上がってくるものと思います。やはり現地で、また現場でしか分からないことというのはたくさんあるんだろうと思います。
 こうした知見を蓄積し、いざという有事に生かしていただくべく、今後とも積極的な支援をお願いしたいと思います。
 また、今回の支援では、広島県や熊本県内の自治体など、これまで被災経験を有する自治体の職員も数多く派遣をされていると伺いました。こうした職員との人的ネットワークを構築していくことも、東京都が被災した場合に有効だと思いますので、このことも情報交換などしっかり行っていただきたいと思います。
 さて、ただいまのご答弁の中に、仮置場の配置計画や運営方法の助言を行ったとございました。都においても、仮置場の確保は大きな課題であると認識をしていますし、再三指摘をしてきました。
 さきの事務事業質疑では、都からは、広大な仮置場を確保できなくても効率的に活用できる運用方法なども示しましたという答弁をいただいたんですが、今回の被災地において、都が支援した仮置場はどのような設置、運営がなされたのか、具体的な取組を伺いたいと思います。
 あわせて、事務事業質疑の際にお願いをした都内のこの区市町村の仮置場の確保状況の把握についても進捗状況を伺います。

○志村資源循環推進部長 志賀町に設置された片づけごみの仮置場での受入れ準備に際しまして、スムーズに荷下ろしするための工夫として、住民向けの案内チラシに、ごみの分別ルールや種類別の置場の配置図を示すとともに、下ろす順番とは逆に積み込むよう記載することなど、助言いたしました。
 運用開始後は、廃棄物を積載するコンテナを品目ごとに管理することや、翌日必要な台数のコンテナや車両を的確に手配するほか、仮置場に監視カメラを設置し、保安状況等をリアルタイムに把握することで、適切なタイミングでコンテナの入替えを業者等に指示できるようにしました。
 これらにより、住民の待ち時間が軽減し、車両の大幅な受入れ拡大が可能となるとともに、翌朝の受入れ開始までに仮置場に廃棄物がほとんどない状況を保つ運営を実現しております。
 今後、こうした運営方法等を都内自治体向けの講習会や訓練等で広く周知することにより、広いスペースの確保が難しい都内仮置場の効率的な運営につなげてまいります。
 また、都内区市町村の仮置場確保状況につきましては、現在、区市町村に対して行った調査の回答の集計中でございます。

○小松委員 都が計画に示した仮置場の効率的な運営が実際の現場でも実践できたということは、都内の災害廃棄物処理を考える上でも大きな一歩ではないかなというふうに思います。今回の被災地支援で得たノウハウや知見を区市町村ともしっかりと共有し、東京都全体の対応力を一層高めていただくようにお願いしたいと思います。
 これ、あわせて、例えば水道の場合ですと、都内の水道事業者さんが今一生懸命この断水の復旧、復興に取り組まれていて、事業者にもそうしたノウハウが蓄積されているわけであります。こうした災害廃棄物の処理のときには、また別の事業者さんたちがいろいろいらっしゃるわけで、区市町村はもとより、こうした事業者さんにもしっかりと現場の情報共有する機会を、ぜひ落ち着いたタイミングでつくっていただきたいと思いますし、そのことが東京の災害のときの対応力を向上させることにつながるということを指摘しておきたいと思います。
 次に、東京都気候変動適応計画の改定についても伺います。
 近年、これまでに経験したことのない集中豪雨や台風などによる自然災害が頻発し、気候変動の影響による脅威が私たちの身近な生活に及んでいます。
 昨年七月、活発な梅雨前線の影響によって線状降水帯が発生した九州北部や秋田県では、多くの人命や家屋への被害のほか、ライフライン、地域の産業などにも甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しいところであります。
 また、東日本を中心に各地で大雨による被害をもたらした二〇一九年の令和元年台風では、私の地元の世田谷区でも、多摩川のこの水位上昇に伴って、上野毛、野毛地区や玉堤地区など、広範囲にわたって浸水被害に見舞われたところです。
 こうした気候変動の影響による自然の脅威が身近に迫る中、東京は、CO2など地球温暖化の要因である温室効果ガスの排出を削減するため、省エネ対策や再エネ導入などの緩和策に取り組まれているところです。
 一方で、緩和策では避け切れない気候変動の影響による被害を回避、軽減する適応策を取り組むことも、都民の生命や財産を守り、強靱な都市を築く上で大変重要です。
 先日の委員会で、都からは、気候変動適応計画を改定するという報告をいただいたところです。
 そこでまず、この計画を改定する意義について伺います。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 都は、令和三年三月に気候変動適応計画を策定いたしまして、気候変動の影響を回避、軽減する取組を進めてまいりました。この間、風水害への備えなど、刻々と変化するリスクを的確に捉え、対策の強化拡充を図るべく取りまとめたTOKYO強靱化プロジェクトupgradeⅠを公表いたしましたほか、熱中症対策の強化などを盛り込んだ改正気候変動適応法が成立するなど、気候変動の適応をめぐる動きを踏まえ、計画を改定することとしたものでございます。
 本計画案では、河川整備のさらなる推進をはじめとした風水害対策や、極端な高温発生リスクの増加見込みなどを踏まえまして、区市町村が取り組む熱中症対策への支援など、二〇五〇年の目指すべき姿である気候変動の影響によるリスクの最小化につながる施策を盛り込んでございます。

○小松委員 本計画案には、風水害対策や熱中症対策など、直面する課題に対する取組が示されているということが確認できました。
 本計画案では、自然災害、健康、農林水産業、水資源・水環境、自然環境の五つの分野の取組がまとめられております。
 中でも自然災害分野には、風水害や地震などの脅威に備えたTOKYO強靱化プロジェクトの内容も盛り込まれていると思いますが、本年一月の能登半島地震では、多数の電柱が倒壊し、停電が長期化するなど、災害時の電力確保が課題として浮き彫りになったところです。
 そこで、この本計画案には、この非常災害時における電力確保についてどのような取組が盛り込まれているのか確認します。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 これまで都は、災害時にも住宅や民間施設、避難所等を含む公共施設での電力利用が可能となるよう、太陽光発電設備や蓄電池など、自家消費型の再生可能エネルギー発電、燃料電池等の普及、動く蓄電池であるZEVの普及促進など、地域のレジリエンス向上に取り組んでまいりました。
 本計画案では、従来の取組に加えまして、新築建物への太陽光発電設備設置標準化の促進や、都有地におけるグリーン水素製造設備の設置に向けた取組などを新たに盛り込んでございます。

○小松委員 自然災害による停電時にも電気の継続使用が可能となるよう、蓄電池も含めた電源などの整備普及を進めることは大変重要です。想定を超える自然の脅威に対し、地域の特性に応じ、被害を可能な限り回避、軽減する施策を今後ともしっかりと検討を進めていただきたいと思います。
 また、気候変動の影響として、降水量の変化や気温の上昇などにより、平成以降においても渇水が発生しています。たしか昨年も、利根川水系の九つのダムの貯水率が六六%程度になって、知事がこの節水を呼びかけたというふうに記憶していますが、何日も雨が降らないことによる渇水リスクも高まるなど、水資源、水環境の分野においても、この気候変動、様々な影響を及ぼす可能性があります。
 今回のこの本計画案でどのような対応を図られるのか伺います。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 水資源、水環境分野におきましては、間伐や枝打ちなどの保全作業や鹿被害対策等、水源林が持つ機能のより一層の向上を図る取組や、荒廃した民有林の購入など民有林の再生に向けた取組、ドローンを活用した森林の状況確認や、被災時の現場調査における効率的な水源林の保全管理の推進などに取り組んでまいりました。
 本計画案では、従来の取組に加えまして、小河内貯水池において策定した予防保全計画に基づく総合的な予防保全事業の推進や、既存の浄水場の維持管理に向け、薬品注入の運転管理のサポートにAIを活用することなどを新たに盛り込み、厳しい渇水に対するリスクを可能な限り低減し、高品質な水の安定供給を図っていくこととしてございます。

○小松委員 将来の気候変動による影響も踏まえ、首都東京の安定給水を継続するということは大変重要なことです。
 また、人の立入りが難しい場所における被害状況の把握などに対するドローンの活用など、今後も最新技術を取り入れながら、適応策を強力に推進していただきたいと思います。
 適応策は環境局の取組だけでは完結せず、事業を所管する関係各局との連携が不可欠です。こうした取組を進めていくためには、各施策の進捗状況をしっかりと把握していくことが重要となります。
 そこで、都を挙げて適応策を推進するために、どのように各局と連携し、取組の進捗を管理されるのか伺います。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 適応策は、自然災害、健康、水資源、水環境など、都政の幅広い分野に及んでいることから、関係各局で構成する庁内会議を活用し、連携して適応策の取組を進めております。
 具体的には、今後三か年の取組予定であるアクションプランを設定し、全庁的な推進体制の下、本計画等に掲げた施策の進捗について、PDCAサイクルによる管理を徹底することで、政策目標の着実な達成につなげてまいります。

○小松委員 答弁にもありました、このPDCAサイクルをしっかり回し、施策の着実な達成を目指していただきたいと思います。
 また、先日の予算特別委員会で松田委員が、東京大改革の中でも組織横断、都政の様々な課題の中で、今後そうした組織横断での取組というのも非常に必要だと、それこそが東京大改革じゃないかというお話に対して、知事も、自分が先頭に立ってその改革を進めますというふうなお話もいただいたところでございますから、ぜひとも関係各局との施策連携について、取組をさらに強力に進めていただきたいと思います。
 台風や集中豪雨など自然災害が頻発する昨今の状況を踏まえると、気候変動の適応を進めていくということは重要なことはいうまでもありません。都は、直面する気候変動に対し、先頭に立って立ち向かっていただきたいと思います。
 気候変動による影響を低減させ、都民の生命と財産を守る強靱な都市を実現するために、今後も環境局には連携を求め、都の適応策を牽引する役割を果たすことを期待します。
 次の質問に移ります。あと三テーマあります。
 次に、集合住宅の環境性能向上について伺いたいと思います。
 都民の約七割の世帯が居住する集合住宅は、戸建て住宅と比べますと屋根の面積が非常に大きく、多くの太陽光発電パネルが設置できるポテンシャルもあります。
 しかし、入居者がそれぞれ電力契約を結んでいて、太陽光の発電設備で発電した再エネ電気は共有部でしか活用ができず、太陽光発電設備の導入は小規模になりがちです。各世帯の専用部でも利用できるように対策を講じるべきだというふうに我が会派はこれまでも要望してまいりました。
 こうしたことを踏まえて、都は、集合住宅における再エネ電気導入先行実装事業を実施されました。事業の実績と今後の取組を伺います。

○荒田気候変動対策部長 都は本年度から、比較的規模の大きな集合住宅向けに、建物全体で再エネ電気を利用できるよう、高圧一括受電のための設備と太陽光発電設備の導入補助を開始いたしました。
 都から直接、マンション管理組合への補助事業の案内チラシを送付したほか、事業者と連携してPRを行った結果、既存集合住宅を中心に二十件の申請をいただき、合計設備容量二百十七キロワットになりました。
 また、一件当たりの設置容量は一般的な集合住宅を上回り、最大三十六・一キロワット、平均十二・一キロワットとなってございます。
 このため、来年度は、本年度の二倍弱となる三・六億円に予算を拡充し、集合住宅への再エネ電気の利用拡大を一層推進してまいります。

○小松委員 多くの申請があり、集合住宅のポテンシャルを生かした設置につながったということだったと思います。来年度は二倍近く、この予算規模が拡充されるということなので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに期待したいと思いますが、一方で、よく見られるこの小規模な賃貸集合住宅では使うことができませんので、こうした住宅の設置も進むような取組が必要となります。
 また、賃貸住宅の場合は、居住者の光熱費の削減がなされる一方で、家主の方のメリットを感じづらいということもあって、断熱改修も進んでいないようにも思います。
 家庭部門における省エネ対策、再エネ導入拡大を推進するためには、賃貸集合住宅の課題に即した対応策が重要と考えますけれども、都の見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 賃貸集合住宅の高断熱化、再エネ設備の導入は、取組が進んでおらず、今後、その課題に即して対応強化する必要がございます。
 まず、高断熱化につきましては、家主の積極的な改修を促すため、分譲よりも高い補助率で新たに支援を開始いたします。
 あわせて、家主が改修後の断熱改修効果や目安光熱費を見える化し、賃借人にアピールするための省エネ診断費用を補助いたします。
 次に、再エネ設備の導入につきましては、太陽光電力の自家消費を最大化し、より多くの太陽光パネルを設置できるよう、パネル費用に加え、その電力を各住戸に供給するために必要な低圧一括受電設備の導入費用を家主に新たに補助いたします。
 こうした取組によって、賃貸集合住宅の省エネ対策、再エネ導入拡大を推し進めてまいります。

○小松委員 今のご答弁の中で、我々の問題意識と認識が共有されているということが確認できましたし、集合住宅のこの規模に応じた再エネの活用や、既存集合住宅の断熱改修を促す、様々新たな対策を講じられているということも確認ができました。賃貸集合住宅の対策は今後成果が上がるよう、さらに力を注いでいただいて、取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、新築の集合住宅についても伺ってまいりたいと思います。
 集合住宅は、上層階などの住戸において省エネ性能の高い給湯器の設置が難しいなどの制約があって、戸建て住宅と比べると性能向上が進みづらいとも聞いたことがあります。
 また、賃貸住宅においては、先ほども述べられたとおり、大家さんが省エネ投資のメリットを感じにくく、投資が進まないということも指摘がなされています。
 このような課題がある中で、東京ゼロエミ住宅の普及を通じて、今後新築される集合住宅の環境性能向上を一層促進していくべきだと考えますけれども、東京都はどのように取り組まれるのか、見解を伺います。

○木村建築物担当部長 現在、東京ゼロエミ住宅では、全ての住戸のうち、断熱、省エネ性能の最も低い住戸の水準を集合住宅一棟の水準として、住棟単位で認証しております。そのため、集合住宅の一部住戸において、スペース等の制約から、性能が高い設備の設置が困難な場合、集合住宅一棟としての水準を押し下げる要因となり、他の住戸の性能向上を阻害してしまう可能性がございます。
 そこで、本年十月からは、集合住宅の全戸が東京ゼロエミ住宅基準を達成することを条件として、住戸単位で水準の認証を行い、各水準に応じた助成金の交付を行うことで、より環境性能の高い住宅の普及を図ってまいります。
 さらに、賃貸住宅においては、都のホームページで物件を掲載するよう検討し、広報面からも普及を後押ししてまいります。

○小松委員 集合住宅特有の課題をそれぞれ踏まえて、認証単位の変更による助成金の拡充と、広報面からそれぞれ対策を行われるということでありました。こうした取組を着実に実施され、東京ゼロエミ住宅が集合住宅の環境性能向上の牽引役となることを期待したいと思います。
 次に、中小工務店さんへのこの支援についても確認をさせていただきたいと思います。
 都は、大手ハウスメーカーを対象に、断熱、省エネ性能や太陽光パネルなどの設置を求める制度を構築し、制度開始まで残り一年となりました。
 制度の開始に向けて、先行して環境性能向上に取り組む事業者を表彰する東京エコビルダーズアワードの表彰式が先日実施をされました。
 そこでは、大手ハウスメーカーに加えて、地域の工務店の取組も評価されていまして、表彰されていました。
 そこで、この東京エコビルダーズアワードを創設した意義と、受賞企業の具体的な取組内容について伺います。

○関制度調整担当部長 東京エコビルダーズアワードは、制度の開始に先駆けて、環境性能の高い建物の普及促進を牽引する意欲的な事業者を表彰するものでございまして、先月実施した表彰式では、大手ハウスメーカーに加え、地域工務店等も含め、二十六の事業者が受賞いたしました。
 大手ハウスメーカーでは、高い断熱性能と太陽光パネル搭載を標準とする住宅の供給が大部分を占める事業者が受賞するなど、住宅の環境性能向上に向けた取組が進んでおります。
 地域工務店等では、顧客に寄り添って、土地探しの段階から太陽光パネル設置を顧客に提案する取組や、太陽光パネルの搭載容量を増やす屋根形状の工夫などの取組が評価され、複数の部門で受賞する事業者もございました。
 こうした取組について、先日の受賞イベントやウェブ上で発信しており、来年度も本事業を通じまして、事業者の意欲向上を図ってまいります。

○小松委員 中小工務店ならではの地域に密着した意欲的な取組を行われている企業というものが幾つもあるということが確認できたわけであります。制度開始に向けては、大手ハウスメーカーのみならず、環境性能の高い住宅を供給していくんだという意欲の高い地域工務店を東京都が掘り起こしていくことが重要だと考えます。
 これ、たまたま見つけた名前で、先輩の会社の名前だったので聞いてみたら、従業員の方ですごくこの環境住宅に熱心な方がいて、その人が牽引役となって、今回の表彰につながったんだよねと、俺、あんまりよく分かっていないんだというふうなお話もあったんですけど、そういうこと自体がいいことだなというふうに思っていまして、このやっぱり表彰されたということがその従業員の方の成功体験になり、それがまたその工務店さんや、その工務店さんを知る周りの事業者にもいい波及効果が期待されるんじゃないかなというふうに思った次第であります。
 ただ、この地域工務店は、資金とか人材面でこうした対策というのが進みにくいため、きめ細かな支援を行うということも必要だと考えます。
 都は、地域工務店の設計、施工などの技術向上に向けた取組に対して支援を行われています。
 そこで、まずは大手ハウスメーカーの取組が先行し、次の段階として、この地域工務店の取組が進展されるんだろうと思いますけれども、現在行っている地域工務店向けの支援の実施状況について伺います。

○関制度調整担当部長 都は、地域工務店等における環境性能の高い住宅の設計、施工など、技術向上に向けた取組に対しまして、必要な経費の三分の二、年間百万円を上限として助成しております。
 事業者からは、断熱、省エネ性能を高めることを目的とした省エネ計算や、太陽光発電設備の設置に対応した構造計算の試行実施、住宅の環境性能に関するセミナー受講のための経費など、自ら注文住宅を設計、施工する事業者を中心に、これまで十五件の取組が申請されております。
 本助成制度は、令和五年二月から令和六年度末までの事業でございまして、今年度末までの募集に加え、来年度についても募集を予定しております。

○小松委員 大手ハウスメーカーなどの中でも注文住宅を取り扱われている事業者は、従来から太陽光パネルの搭載率が高いという状況だと伺っています。
 一方で、分譲事業者の中には、制度開始に向けて、現在取組を進めている企業もあると聞いています。今後、数多くの施工者を確保していく必要があると思われます。
 また、こうした施工の担い手となる地域工務店が自ら設計、施工する住宅の環境性能向上についても今後さらなる取組の本格化、こうしたことも期待されます。
 そこで、今後、パネル設置などの環境性能向上に向けた施工の担い手となっていくべき地域工務店に対し、助成金の活用も含め、技術向上を一層促すべきと考えますけど、見解を伺います。

○関制度調整担当部長 本助成金は、自ら注文住宅を設計、施工する地域工務店等に加え、大手ハウスメーカー等から発注を受けて施工を担う地域工務店等の技術向上に向けた様々な取組への活用が可能でございます。
 都は、これまでの業界団体や、省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを通じた周知に加えまして、今後、パネルメーカーや建材流通店などを通じた周知、地域工務店等への直接的なアプローチなどにより、本助成金の活用を促進してまいります。
 また、業界団体と連携いたしまして、パネル設置に必要な認定の取得や施工工程の見直しなど、施工の効率化等に向けた技術のレベルアップを図ってまいります。

○小松委員 中小工務店向けの支援の現状についての確認ができました。まずはこのトップランナーとして、大手事業者の取組、これが先行することが期待されているわけですけれども、新制度に向けて、今後は地域工務店を含めたあらゆる事業者が環境性能の高い住宅の供給に向けた取組を進められることができるよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 新制度への対応全般に加えて、東京ゼロエミ住宅への対応も重要となります。東京ゼロエミ住宅においても、大手住宅メーカーの利用が多くて、中小工務店が占める割合というのは二割を下回ると聞いています。これ、事業者の数からすれば、もっともっとこの中小の地場の工務店さんの参加が期待されるところだと思います。
 十月からは、東京ゼロエミ住宅の断熱、省エネ性能の基準が引き上げられますが、工務店の負担を軽減する実効性のある措置を講じることで、より多くの工務店がこの東京ゼロエミ住宅を建てられるように促す、こうしたことを促していく必要があると思いますが、都の見解を伺います。

○木村建築物担当部長 これまで都は、令和元年度の制度導入当初より、地域工務店等がカタログ等から一定の性能を有する建材や設備を選ぶことで、省エネ計算が不要で、東京ゼロエミ住宅を簡易に建築できるよう、基準を満たす仕様を定め、普及を促してまいりました。
 このいわゆる仕様規定は一定程度活用されていることから、今後、新たな基準に応じた仕様規定を設定し、国の仕様ともできる限り整合を図りながら、地域工務店等にとって、より分かりやすく、設計等の負担軽減につながる規定としてまいります。
 さらに、東京ゼロエミ住宅の新水準に適合する住宅の使用例や、建築に当たっての留意事項等をまとめた地域工務店等の指南書ともなる手引を作成し、東京ゼロエミ住宅のさらなる普及を促してまいります。

○小松委員 この会社の規模などによらず、環境性能の高い住宅の供給が東京にとっては当たり前になっていくよう、ぜひ工務店の設計の実情なども踏まえた制度としていただきたいというふうに思います。
 この環境性能の高い住宅を増やす、東京都に増やしていくんだということを考えたときに、やはり中小の地場の工務店さんの中にも、この分野に関心があって、そして技術もしっかりと持っている、こうした事業者を増やすことで、恐らく都民の方が住宅を考えたときに、この事業者の方を通じて啓発されていくと、こうしたケースもあるんだろうというふうに思いますから、ぜひこの制度と仕組み、今日伺っているだけでも、この数年で大分きめ細かく、実情に応じた施策、制度になりつつあるなというふうに期待するところでございますから、これ、ぜひともさらに引き続き、事業者に寄り添った形で支援を進めていただきたいと思います。
 最後に、アグリゲーションビジネスの推進について伺いたいと思います。
 都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、再エネ導入を進めていますが、再エネの導入割合が高まると、天候などにより電力の需給バランスが崩れやすくなります。
 こうしたことを踏まえ、昨年の事務事業質疑において、都の家庭の節電マネジメント事業の実績などを伺ったところ、昨年度、都内の総世帯数の約一割を超える約九十五万世帯が参加し、約六百二万キロワットアワーにも及ぶ高い節電効果があったということが分かりました。あわせて、引き続き節電行動を促しつつ、遠隔制御により、蓄電池などを束ねて調整する電気事業者などとの連携についても検討するといった前向きなご答弁もいただいたところであります。
 令和六年度の東京都予算案を見ると、アグリゲーションビジネス実装事業という事項があります。検討した成果として、来年度からこの事業を立ち上げるものと理解していますので、本日はこの取組について二、三質問をしたいと思います。
 まず最初に、この事業を立ち上げる背景などについてお尋ねしたいと思いますが、アグリゲーションビジネスという言葉は日常生活において聞き慣れない言葉ですから、この解説を含めてご答弁をお願いします。

○荒田気候変動対策部長 事業名にございますアグリは、英語で集約するという意味を持つアグリゲートから来た言葉で、家庭等に設置した蓄電池等を束ねて、電力の需要最適化を図る事業者の取組をアグリゲーションビジネスとして位置づけてございます。
 二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向けましては、都の施策等を通じて導入が進んでいる蓄電池等を最大限活用し、需要側から電力をコントロールする取組を推進することも不可欠でございます。
 しかしながら、現状におきましては、家庭向けの取組が実証段階にとどまる事例が多いことを踏まえ、後押しする観点から、来年度より本事業を開始することといたしました。

○小松委員 カーボンハーフの実現に向けて、現状では進展に時間がかかっている取組を後押しするため、本事業を開始するということが分かりました。
 エネルギーマネジメントをさらに加速するためには、節電マネジメントに加え、再エネの出力変動に合わせて電力需要を上げるなど、需要側から調整するアグリゲーションビジネスの推進は不可欠です。
 新しい取組はテクノロジーの進展が速いので、タイムリーに都が支援するということが重要です。時期を逸することなく都が支援事業を立ち上げるという姿勢は、高く評価していきたい、応援していきたいと思います。
 こうした未成熟な分野は、都によるこのきめ細かい支援がないと、今後の定着は見込めないと思います。アグリゲーションビジネスにおいては、家庭に設置した蓄電池などを束ねてコントロールする事業者と、事業者の取組に参加する家庭、両方の支援が不可欠だと考えますけれども、東京都の取組を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 アグリゲーションビジネスの実効性を高めるためには、AIやIoTを活用し、遠隔制御により、電力需要量をタイムリーに増減させる先進的な取組の推進が重要でございます。
 このため来年度は、こうした取組を実施する事業者に申請していただき、アグリゲーターとして都が登録した者を対象に、システム構築や改修に係る経費の三分の二を、上限五千万円まで補助いたします。
 あわせて、設備導入支援事業を拡充し、この取組に参加する家庭が導入する蓄電池システムにつきましては十万円、燃料電池につきましては八万円を上乗せいたします。
 都民や事業者がDXによるエネルギーマネジメントの有用性や効果等を実感できる取組を推進することで、今後の社会実装につなげてまいります。

○小松委員 アグリゲーターを登録する仕組みを取り入れ、その事業者及び協力する都民に対して積極的に支援するということが確認できました。こうした新しい取組であっても、都が登録したアグリゲーターに協力する方法であれば、都民は安心して手を挙げることができると思います。
 今後、電力需要をより最適に増減させるこのアグリゲーションビジネスを広げるためには、本事業の効果などを公表し、理解促進を図っていくことも必要となります。こうした取組は、現在国内で拡大が進んでいる再エネ電力の出力抑制の低減にもつながることが期待されます。
 都には、早期に本事業を軌道に乗せるとともに、積極的な情報発信を実施するよう要望し、私の質問を終わります。

○小磯(善)委員 私からは、まず、東京都気候変動適応計画の改定についてお伺いをしたいと思います。
 近年の急激な気温上昇によりまして、高齢者や屋外の作業員の方々の熱中症のリスクが大変高まっております。昨年は、都内でこうした熱中症による救急搬送者数が七千人を超えるということで、甚大な健康被害をもたらしたということでございます。
 こうした様々な影響が拡大する中、本年四月には、これまでの熱中症警戒アラートに加え、より深刻な健康被害が発生している場合に備えた、一段上の熱中症特別警戒情報の創設などを盛り込んだ改正気候変動適応法が施行となるということでございます。
 特に高齢者の場合は暑さを感じにくく、熱中症になったことに気づかず、気づいたときには重症化をして、時に死につながるなど、重大な健康被害をもたらします。熱中症は都民の命に関わる問題をはらんでいることから、その対策については強化し、そして、市区町村の取組の後押しも必要と考えます。
 そこで、このいわゆる本計画の案に示された熱中症対策について、都としてしっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、見解を求めます。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 熱中症対策は、健康分野の中に位置づけさせていただいてございますけれども、健康分野においては、気温上昇による健康影響を最小限にするため、適切な予防策や対処策のさらなる強化を図ることとしてございます。
 本計画案では、健康分野の一分野でございます熱中症対策について、新たに様々な施策を盛り込み、対策、取組を強化してございます。
 具体的には東京都熱中症ポータルサイトを通じた熱中症予防の基礎知識や、熱中症警戒アラート発表状況等の情報発信、熱中症死亡者ゼロを目指した庁内横断的な取組などを行うこととしてございます。
 また、クーリングシェルターの整備や、熱中症予防の普及啓発、高齢者への見守りなど、地域の実情に応じた市区町村の取組を支援することとしてございます。

○小磯(善)委員 先日、町田市体育協会の評議員会というところに出席しました。一応、合気道の評議員ということで、合気道やっていないんですけど、役職だけですけど。そこで、いわゆる生活文化局がこのスポーツ団体、一地域に対して百万円の補助を六年度から始めると。
 例えばWBGT測定器とか、ワンタッチテントとか、クーラーボックスとか、そういうのを町田市体育協会が百万円の予算の中で買って、いろんなスポーツ団体が熱中症対策のために使うという、そういうのが始まるということで、先ほど、局横断的に環境局がやるということで、それが一つ一つこうやって具体的にやっているというのは大変頼もしく思った次第でございます。
 熱中症対策の強化を含め、今まさに顕在化している気候変動の影響を踏まえつつ、都民の命、財産を守るため、今後とも適応策の推進に取り組んでいただくことを求めたいと思います。
 また、本計画には、都政の幅広い分野での取組が盛り込まれており、農林水産業の分野も含んでおります。毎年のように発生する台風や豪雨等の自然災害の影響によって、食料生産の不安定化などのリスクが増大するなど、気候変動による農林水産業分野への影響も懸念をされます。
 そこで、農林水産業分野における適応策の取組について伺います。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 農林水産業では、園芸作物や果樹、森林、林業、水産業など様々な業種への被害が懸念されることから、これまで都は、気温上昇などに適合する品目、品種への転換に対する技術支援、普及対策や、大型台風の襲来等に備えた台風強化型パイプハウス等の農業用施設の整備、災害に強い健全な森林の育成などに取り組んでまいりました。
 本計画案では、従来の取組に加えまして、遠隔操作機能を搭載した先進林業機械の導入や、内水面養殖業における飼育環境コントロールシステムの導入などを新たに盛り込み、強い農林水産業の実現に向け、取り組むこととしてございます。

○小磯(善)委員 ぜひともこの気候変動の影響に強い農林水産業の実現につなげていただきたいと思います。
 気候変動の影響は広域に及ぶことから、国や関係機関とも連携して取り組むことが重要であります。かつて私、この気候変動適応センター、これを東京都にしっかり設置すべきだと、このような提案をさせていただきましたけれども、都は、この気候変動に関する情報収集等の拠点として、令和四年一月に、この気候変動適応センターを設置したところでございます。
 これまで適応センターは具体的にどのように取り組んできて、また今後どのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 気候変動適応センターでは、環境省をはじめ、近隣自治体等で構成する広域連絡協議会への参画、市区町村職員向け研修会や説明会等の実施、市区町村が開催する環境関連イベントへの出展、動画の作成による都民への普及啓発などに取り組んでまいりました。
 今後は、市区町村が指定するクーリングシェルター等に関する都内全域のマップの作成、公開など、熱中症対策に資する広域的な情報提供を図ることとしております。
 今後とも、国や国立環境研究所、市区町村など関係機関とも連携しながら、気候変動適応に関する最新の知見等の収集、分析等に努めるとともに、都民への普及啓発等に取り組んでまいります。

○小磯(善)委員 国や関係機関等から収集した最新の情報を都の取組にも生かすとともに、都民などへの有意義な情報発信ができるよう、引き続いて、適応センターとも連携し、東京都として適応策の取組をしっかりと進めていただくことを要望いたします。
 続きまして、家庭における省エネの支援策について伺います。
 温室効果ガスの一つであるCO2の都内排出量の三割を占めるのが家庭部門ということで、その省エネ対策を進めることは極めて重要であります。
 都は、家庭で取り組みやすく、省エネ効果を実感しやすい省エネ家電への買換えを促進する事業を令和元年に開始して以降、昨年度、LED照明器具など、対象機器拡大や、ポイントを引き上げるなど、取組を強化してきました。さらに都民にとって利便性の高い制度への工夫が必要であり、その点をさきの事務事業質疑でも要望したところであります。
 そこで、まず初めに、本事業の成果として、これまでの本事業による家電等の買換えの実績、そしてCO2排出量の削減効果についてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 都は、令和元年十月から、省エネとなる家電の買換えを促進する東京ゼロエミポイント事業を開始し、累積の申請実績は、先月末時点でエアコン、冷蔵庫、給湯器、LED照明器具を合わせて約百十万台となってございます。
 この買換え行動によるCO2排出の削減量は十七万五千トン程度と試算してございます。

○小磯(善)委員 約五年間で百万台ということで、本事業が都民にとって非常に関心が高いということが分かります。
 一方、このゼロエミポイント事業を利用している都民からは、買換え後までレシートとか、またリサイクル券などを保管した上で申請をしなければならないなど、手続が分かりづらいという声も聞いております。
 都は、そのような声を踏まえて、来年度予算で店舗での値引きを行うということでございますが、申請の利便性向上として、これまでの取組と今後の具体的な内容を伺います。

○荒田気候変動対策部長 これまで都は、ポイント申請手続につきまして、インターネットによる申請を可能とするなど、利便性の向上に取り組んでまいりました。
 さらに利便性を高めるため、来年度下期から、購入時にポイント申請をしていただくことで、その場でポイント相当額を購入価格から値引く新たな仕組みを開始いたします。
 開始に当たっては、事前に家電販売店への丁寧な説明に努めるとともに、販売店との連携や、様々なメディアを活用し、都民にきめ細かく周知を行ってまいります。

○小磯(善)委員 支援を製品購入の段階で受けられるということは格段に利用しやすく、また、省エネとなる家電への買換えがさらに進むことが期待できます。家電販売の事業者の協力も得ながら、新たな仕組みを都民に分かりやすく伝えていただきたいと思います。
 さて、家電の買換えを進めていく中で、特に年配の方などは買換えによる省エネ効果を知らず、また日本のよき文化であるもったいない精神、こういったことも相まって、長く使っている方もいると伺っております。
 都は来年度、このような長期使用家電の買換え支援を強化するとしておりますが、家電の所有状況の実態とともに、今後どのように長期使用家電の買換えを進めていこうとしているのかお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 使用年数の長い家電を買い換えることは、家庭の省エネに大きく寄与し、例えば冷蔵庫につきましては、平均的な使用年数を超えた十五年前のものを買い換えると、消費電力が半分以下になることが期待できます。
 そこで都は、今年度調査を行ったところ、家庭で電力消費量の多いエアコンや冷蔵庫について、長期にわたって所有している世帯が約三割存在し、そのうちの約五割は六十歳以上の世帯であることが分かりました。
 このため、製造から十五年を経過したエアコン、冷蔵庫の買換えに対する付与ポイントを現在の最大二万六千ポイントから八万ポイントに大幅に引き上げます。
 こうした取組を、都民の生活に密着した地域の電気店をはじめとした家電販売店の協力を得ながら、申請の利便性向上と併せて実施することで、家庭の省エネ化を促進し、二〇三〇年カーボンハーフの実現を目指してまいります。

○小磯(善)委員 都は、我が党の要望にも応えつつ、都民に寄り添った支援策を次から次へと改善を図っているということが確認できました。
 家庭での対策は、その積み重ねが大きな成果につながるものであり、省エネにも資する施策の展開を期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、フロン対策について伺います。
 私もこのフロン対策については、もう何回も質問しておるところでございますけれども、二酸化炭素の数十倍から一万倍以上の温室効果があるのがこのフロンでございます。世界的に大きな課題となっており、このフロン対策の重要性を何回も取り上げてきたところであります。
 二〇三〇年のフロンの排出量を二〇一四年度比で六五%削減するという目標を掲げているわけでございます。令和二年度から三年間の緊急対策事業として、フロンGメンによる建物解体現場への全件立入り指導を実施し、適正処理の徹底を図ってきたところであります。
 そこで、フロンGメンによる機器廃棄時の立入り指導について、今年度の取組状況と現状についてお伺いいたします。

○戸井崎環境改善部長 都では今年度、フロンGメンを九名から十二名に増員いたしまして、建物解体現場等におけるフロンの適正処理の徹底に向けて、立入り指導の強化を図ってまいりました。
 特に、これまでフロンのみだり放出や違反を繰り返した事業者が実施する建物解体現場を中心に立入検査を行いまして、二月までに約六百件の指導等を行いました。
 立入検査では、おおむね九割の事業者が法令にのっとり、適正にフロン回収を実施していることを確認いたしましたが、回収状況を把握していない事業者や、法定書類の未交付など、不適正な処理を行った一部の事業者に対しましては、指示書による改善指導等を行い、厳正に対処いたしました。

○小磯(善)委員 これまでフロンGメンによる地道な立入り指導によって、フロンの適正処理が浸透してきておることが分かりました。不適正処理を行う事業者が一定程度存在するようでありますので、関係機関とも連携して厳正な取締りを行っていただきたいと思います。
 一方で、フロンの廃棄時回収率の推移を見ると、ここ数年では四割台にとどまっております。こうした要因の一つとして、回収作業時の技術的な理由から、回収し切れずにフロンが残ってしまうことがあると聞いております。
 そこで、廃棄時の回収率を高めるためには、これまで回収し切れなかったフロンをできる限り回収する必要があると思いますが、今後の取組について伺います。

○戸井崎環境改善部長 フロンを確実に回収するためには、回収業者の技術力の向上が必要であることから、来年度から新たに充填回収業者の技術力向上に向けた取組を開始いたします。
 具体的には、まず、都において、回収量の向上に必要な技術基準等を策定し、業界団体が実施する講習会等を通じまして周知啓発を図ってまいります。
 また、質の高い回収技術を持つ事業者を優良事業者として認定する制度を創設し、広くPRするとともに、こうした事業者の取組を積極的に展開してまいります。
 こうした取組によりまして、業界全体の技術力向上を図るとともに、顧客が質の高い事業者を選択することを後押ししていくことで、フロンの回収率を向上させてまいります。

○小磯(善)委員 回収業者の技術力向上には事業者の理解と協力が不可欠であります。業界団体と連携して対策を推進していただきたいと思います。
 フロンの排出量削減には、そもそも冷媒にフロンを使用しないノンフロン化を促進していく必要があります。都は、省エネ型ノンフロン機器普及促進事業を開始し、ノンフロン機器の普及を進めております。
 しかしながら、昨今の物価高騰などにより、その影響によって中小企業や零細企業は、新たな設備投資を行う余裕がなかなかないということでございます。
 そこで、冷凍冷蔵機器のノンフロン化に向けたこれまでの取組と、中小企業や零細企業に向けた今後の対応策について見解を求めます。

○戸井崎環境改善部長 平成三十一年度に中小企業等を対象として開始した省エネ型ノンフロン機器普及促進事業では、これまでに約七百台の導入補助を実施してまいりました。
 令和六年度からは、さらなる導入を促進するため、補助対象を大企業まで拡大するとともに、中小企業等に対する補助率を二分の一から三分の二に引き上げ、さらに、設置に必要な設計費も支援の対象としております。
 今後、業界団体が実施する会合や、中小企業等への立入検査と併せて、機器の利点や補助制度の啓発を図っていくことで、ノンフロン機器の導入を促進してまいります。

○小磯(善)委員 引き続いて中小企業等に対してきめ細かな支援策を行うとともに、業界団体とも連携しながら、積極的にフロンの排出量削減に取り組んでもらうことを要望したいと思います。
 続きまして、地下水中の有機フッ素化合物、PFASについて質問いたします。
 地下水中のPFASについては、都内だけでなく、全国でも検出が相次いでおり、自分たちの身近な地下水は大丈夫なのかということで心配の声が高まっております。
 こうした中、私は昨年十一月の事務事業質疑において、国がPFASの今後の対応の方向性として示した飲用による暴露防止の徹底を訴えてきたところでございます。
 さらに、昨年十二月の我が党の予算要望においても、都内全体の実態把握を進め、暫定指針値を超過した地下水については、関係局と共に飲用しない取組を徹底すべきと、このようなことを要望したわけであります。
 これに対して都は、今年度行っている前倒し調査や、比較的高濃度な地域で行う追加調査について、来年度はこれらを加速、充実していくよう予算措置されたことを評価するところでございます。
 そこで、地下水調査に関して、今年度の取組状況と、来年度具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○宗野環境改善技術担当部長 飲用水の安心・安全を高めていくには、水道水の安全性を確保するとともに、地下水の実態把握による飲用しない取組の徹底が重要でございます。
 このため、都は今年度、都内全域の概況調査として、令和五年度分の六十二地点に加え、令和六年度分の七十四地点を前倒して調査するとともに、比較的高濃度の地域の状況を丁寧に把握するため、地元自治体と共に追加調査を実施いたしました。
 来年度は、通常四年かけて行う都内全域二百六十ブロックの調査を、市区町村の意見も聞きながら一年間で行うほか、都が行う追加調査を補完する区市町村の調査に対しまして、その費用の三分の二を負担いたします。この調査は、地域の状況を踏まえ、地点選定の調整が整った市区町村において実施することとしておりまして、おおむね九十地点分を見込んでおります。
 こうした調査を、風評被害の防止にも配慮しながら、区市町村とも連携して、計画的かつ着実に進めることで、都民の不安解消を図ってまいります。

○小磯(善)委員 PFAS対応の基本は、国が示しているとおり、実態を把握の上、超過した水は飲用しない取組を徹底することでございます。都が来年度行う調査はこうした方向性に合致するものであり、大きな意義があると思います。都の市区町村への支援は、都が行う追加調査を補完する調査に限定している点は適切と考えます。
 なお、来年度の調査は相当なボリュームとなりますので、しっかりスケジュール感を持って進めていただきたいと思います。
 次に、PFOS含有の泡消火薬剤の交換促進について伺います。
 PFOSは、十年以上前に法律で製造、輸入が原則禁止となっておりますが、万一の火災時に使用するPFOS含有の泡消火薬剤は、定められた基準を遵守の上、現在も使用が認められております。
 昨年十二月には、私の地元町田市内の駐車場でPFOS含有の泡消火薬剤の漏出事故が発生をしたところでございます。地域住民の方々もニュースを見て、こうしたものが身近にあることに大変驚き、不安を感じているという声も聞いております。
 こうした中、都は、環境中への新たな排出を最大限防いでいくよう、都有施設等の泡消火薬剤を転換するほか、民間施設についても転換促進を進めていくということが大変重要な取組になってまいります。
 そこで、来年度の具体的な取組の内容についてお伺いいたします。

○宗野環境改善技術担当部長 都はこれまでも、計画的にPFOS含有の泡消火薬剤の交換を進めてきておりますが、都有施設や政策連携団体等の施設について、改めて状況を調査した結果、三十二施設がPFOS含有であることを確認いたしました。
 いずれの施設とも適切に管理され、漏えいのおそれはございませんでしたが、万が一に備え、各局の施設管理者が速やかに非含有の泡消火薬剤に交換していくこととしております。
 一方、PFOSを含有する泡消火薬剤を保有する都内の民間駐車場等の多くは、経費負担等の理由から交換が進んでおりません。
 このため、都は来年度、民間施設のPFOS含有泡消火薬剤の交換経費を支援する新たな取組を開始いたします。
 具体的には、薬剤の交換や処分に係る経費のうち、中小企業に対しては三分の二、大企業に対しては二分の一を支援いたします。
 こうした取組により早期交換の促進を図り、環境中への排出を防止してまいります。

○小磯(善)委員 都有施設等につきましては計画的に交換を進めてきたことから、PFOSを含有している泡消火薬剤が残存しているのは三十二施設ということでございますが、各局の施設管理者が今後着実に交換していくことを改めて要望いたします。
 民間施設の転換促進事業については、せっかく立ち上げた事業も活用してもらわなければ仕方ありません。対象となる民間事業者にしっかり働きかけ、交換が一件でも多く進むよう、対象となる事業者に制度をしっかりと周知していくことを要望いたします。
 次に、ツキノワグマについてお伺いしたいと思います。
 令和五年第三回定例会の我が党の一般質問で、熊との共存の取組について確認した際、都は、一部地域での取組が成果を上げていると答弁しました。近年、都において熊の目撃情報は多数報告されており、私の地元町田市でも昨年初めて熊が目撃されています。
 今後、希少な動物である熊の出没を未然に防ぐため、取組内容を充実するなど、人と熊の生息域を分ける対策をさらに推進する必要があると考えます。都の見解を求めます。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、人と熊が共存できる環境を整えるため、地元自治体と連携し、遭遇を防ぐ取組を実施しております。
 具体的には、奥多摩町と連携した電気柵の設置や見回り等の防除対策を実施してまいりました。
 来年度は、近年の熊出没の範囲の拡大を踏まえ、熊とのすみ分けに向けた取組を奥多摩町に加え、出没が複数回確認された多摩地域の五自治体に拡大して行ってまいります。
 さらに、生息数や分布状況の調査の前倒しや、人里への侵入経路を知るための行動圏調査の範囲を拡充し、詳細な生息実態を把握してまいります。
 これらのほか、町田市も含め、出没が確認された自治体において熊対策の重要性を地元住民へ啓発するなど、今後も施策を強化し、都民の安全・安心と熊の保護を両立する取組を推進してまいります。

○小磯(善)委員 都が人とツキノワグマが共存できる環境整備を拡充していくことが分かりました。今後、こうした取組を地元自治体と連携して着実に実施していくよう求めます。
 続いて、リチウムイオン電池の安全な処理について伺います。
 私の町田市では、バイオエネルギーセンターでおととしも大規模な火災があり、また去年も火災が起きまして、その原因がやはりリチウムイオン電池であろうということになっております。こうした事故を防ぐためには、リチウムイオン電池を燃えやすいごみと交ぜないなど、自治体が安全な回収方法に変更していく必要があります。
 一方で、これまでの回収方法と違う方法にするということは、自治体の負担でもあるために、都による財政支援などが必要でありますし、変更に合わせて、住民には適切な分別方法で排出してもらうことも重要であります。
 今年度の都の取組と、来年度安全な分別回収を取る自治体数について、区部と多摩の見込みについてお伺いいたします。

○志村資源循環推進部長 都は、自治体の安全な回収を後押しするため、新たに設置する回収ボックスの経費などの財政支援に加え、集積所等で不燃ごみ等と別袋で回収している自治体の先行事例などの共有を行ってまいりました。
 来年度、こうした安全な回収方法とする自治体は、区部では十区に増加し、多摩では二十七市町村と変わりませんが、対象とする電池内蔵製品の種類を増やす自治体もございます。
 今後とも、直接訪問による働きかけなどにより、安全な回収ルートの構築を進めてまいります。

○小磯(善)委員 環境局のご努力で、区部でもちょっとずつ増加しているということが分かりました。
 続きまして、都は来年度、小型リチウムイオン電池の安全・安心な処理フロー構築事業を実施し、大学と連携してリチウムイオン電池の安全対策やリサイクルに取り組むとのことでございます。リチウムイオン電池に関わる事故が減らない中で、大学提案という形で名のりを上げていただいた研究者の皆様の知見に期待をしたいと思います。
 そこで、本事業において、今後具体的にどのようにリチウムイオン電池の安全な回収等の検討を進めるのか、都の見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 小型リチウムイオン電池の安全・安心な処理フロー構築事業は、早稲田大学からの提案により、令和六年度からの三年間で実施するものであり、来年度は三千万円の予算を計上しております。
 本事業では、廃棄されたリチウムイオン電池の回収ルートの構築、ごみ処理施設での安全な選別処理技術、適切な資源循環ルートの確立を目指すこととしております。
 初年度となる令和六年度は、これらについて、連携事業に必要な基礎調査や文献調査等を実施し、令和七年度から八年度にかけて、開発した技術を実際のフィールドにおいて試験的に導入し、検証等を行います。
 今後、大学等と緊密に連携し、リチウムイオン電池の安全・安心な回収、リサイクルルートの確立に向けて取り組んでまいります。

○小磯(善)委員 リチウムイオン電池の回収ルートの構築は、市区町村の皆さんにリチウムイオン電池の回収の重要性とか、また有益な回収方法をしっかり説明して、そして理解してもらって実行に移してもらうという工程が重要であります。
 東京都の担当課の皆さんがこの二年間頑張って取り組んできたわけであります。こうした取組を大学側にもしっかりと理解していただいて、今後のリチウムイオン電池の安全・安心な回収リサイクルルートの確立に向かって取り組んでもらいたいと、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後のテーマとして、プラスチックのリサイクルについてお伺いいたします。
 都は、二〇三〇年までに一般廃棄物のリサイクル率を三七%にするという目標を掲げており、現在焼却されているプラスチックを分別し、リサイクルする取組を加速化していくことが重要であります。
 そのため、令和二年度から容器包装プラスチック再資源化支援事業を開始して、令和四年度には製品プラスチックも追加し、自治体のプラスチックの分別収集を後押ししてまいりました。
 そこでまず、補助事業の内容と、プラスチックのリサイクルに取り組む区部と多摩の現状についてお伺いいたします。

○志村資源循環推進部長 都は、市区町村によるプラスチックの分別収集を拡大するため、プラスチックの分別収集を開始する市区町村向けのスタートアップ支援として、調査費等の準備経費と収集運搬業務経費を支援しております。
 また、既に分別収集を行っている市区町村向けのレベルアップ支援として、選別施設の増強等に係る経費を支援しております。
 これまでに、スタートアップ支援で十三自治体、レベルアップ支援で九自治体を支援してまいりました。
 そして、現在、容器包装プラスチックの分別収集を実施している自治体は、区部で十九自治体、多摩は二十六自治体、そのうち製品プラスチックも収集している自治体は、区部で十二自治体、多摩で十自治体となっております。

○小磯(善)委員 多摩地域では既に二十六自治体が容器包装プラスチックの分別収集を行っているということでございますが、私の地元町田市では、平成二十八年から一部地域で先行してやっております。容器包装リサイクル協会を通じて再資源化しております。ですから、それ以外の地域では可燃ごみとして、やっぱりまだ焼却等の処理が行われているわけであります。
 町田市は当初、現有の容器包装プラスチックの圧縮梱包施設に加えて、相原エリアというところと上小山田エリアという、その市内二か所に資源ごみ処理施設を整備した上で、市内全域で収集、資源化を実施する予定でありました。
 しかし、施設の稼働が大幅に遅れる見込みとなったことから、まずは市外の民間施設で容器包装プラスチックの圧縮梱包を実施し、再資源化を行うこととなったわけであります。
 また、この製品プラスチックについても、近隣で中間処理可能な事業者が見つかれば実施を検討するとしているところでございます。
 このように、再資源化を進めるためには、中間処理事業者を見つけるところから始まり、収集運搬コストの増加、住民の分別への協力など、様々な課題があります。こうした課題に都が丁寧に支援することが重要でありますが、どのような支援を行っているのか、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 市区町村によるプラスチックの再資源化を促進するためには、準備や実施の各段階での課題について、きめ細やかな支援が重要でございます。
 そのため、容器包装リサイクル協会による制度や円滑な実施に関する講演や、先行する自治体による分別収集開始に向けた一連の手順やスケジュールなどについての事例の紹介、中間処理事業者の情報提供などにより、検討段階での課題への対応方法等の共有を行ってまいりました。
 また、収集運搬や処理経費の増加に対する財政支援を行うとともに、住民に対する新たな分別方法の周知に向けて、効果的な広報手法の共有や、チラシや看板の製作等に関する経費の財政支援を行うなど、市区町村の取組の段階に応じた支援を実施してまいりました。
 今後とも、直接訪問も含め、市区町村の課題やニーズの把握に努めながら、きめ細やかな支援を行ってまいります。

○小磯(善)委員 これまで自治体が抱える課題にしっかり対応してきたことが分かりました。引き続きの支援をよろしくお願いいたします。
 プラスチックの再資源は、資源の有効利用に加え、CO2削減の観点からも重要であります。容器包装リサイクル協会を通じた再資源化はどのように行われ、CO2の削減効果についてお伺いしたいと思います。

○志村資源循環推進部長 容器包装リサイクル協会を通じた再資源化では、市区町村が分別収集を行い、異物を除去した後、圧縮梱包して保管までを行います。その後は、容器包装リサイクル協会が委託した再商品化事業者が保管場所から再資源化施設に運搬し、マテリアルリサイクルかケミカルリサイクルを実施いたします。
 また、CO2削減効果については、国の資料によると、容器包装リサイクルルートで再資源化した場合、自治体の焼却施設で焼却し、発電した場合の二倍以上となっております。

○小磯(善)委員 ただいまの答弁のとおり、リサイクルによるCO2削減のメリットも大変大きいということでございまして、残る地域についても速やかに分別収集を開始することができるよう、都の後押しをお願いいたしまして、質問を終わります。

○原委員 共産党の原です。よろしくお願いします。
 まず、省エネ、再エネの課題について質問します。
 太陽光パネル設置義務化が一年後に迫り、準備が急がれます。今回直接義務の課されない中小業者、地方工務店でも取組を広げることは大変重要です。これまで都は、中小零細の建設関連業者を束ねる団体などにも要望を聞き、太陽光パネルの、例えばパネル設置の架台補助など、補助制度の改善を図ってきたことを評価いたします。
 既に健康住宅や太陽光パネル設置などの施主の要望を丁寧に受け止めてつくっていく、地域に根差した、そうした工務店も多々あります。それらの技術交流や進化する技術の習得、こういうことをくまなく身につけられるよう支援することが必要だと感じています。
 都は、二〇二二年十二月補正予算で、中小業者、地方工務店さんを対象にした設計・施工技術向上支援事業助成金制度をつくりましたが、その概要と実績を伺います。

○関制度調整担当部長 都は、地域工務店における環境性能の高い住宅の設計、施工など、技術向上に向けた取組に対し助成しております。
 本助成金は、自ら注文住宅を設計、施工する地域工務店等に加え、大手ハウスメーカー等から発注を受けて施工を担う地域工務店等の技術向上に向けた様々な取組への活用が可能でございます。自ら注文住宅を設計、施工する事業者を中心に、これまで十五件の申請が提出されております。

○原委員 申請が十五件ということです。研修などに使える制度があることを全事業者に知らせてほしいです。
 地域住民と近い距離にある地方工務店には、太陽光パネル義務化の疑問から、省エネ住宅のメリット、価格やランニングコスト、補償など、本当に多くの質問が寄せられます。それらの知識に加え、新たな施工技術も求められ、現場を持ちながらの取組は本当に大変です。
 今後さらに中小業者、工務店支援が必要と考えますが、どのように取り組まれますか。

○関制度調整担当部長 都は、これまでの業界団体等を通じた周知に加えまして、今後、パネルメーカー等を通じた周知、地域工務店等への直接的なアプローチなどにより、本助成金の活用を促進してまいります。
 また、業界団体と連携し、施工の効率化等に向けた技術のレベルアップを図ってまいります。

○原委員 ありがとうございます。できれば地域の空白なく技術研修の機会を提供できるよう、都が具体的に地域の団体に働きかけ、開催援助をしたり、都が企画することも含めて取り組んでほしいと思います。
 顧客向けの解説動画や助成金制度の動画を作成するなど、工務店の負担が軽くなるよう、分かりやすい資料を作って後押ししてほしいと思います。
 あと一年でスタートなので、本当にこの一年の準備期間の間に、建設関係団体の要望もよく聞いて取り組んでいただきたいと思います。また、始まるまでの助成金というふうに伺っていますが、そこで終わらず、義務化スタート後も支援を続けていってほしいと思います。
 次に、既存住宅の省エネ改修について伺います。
 都内エネルギー消費の四割弱を占める住宅部分で省エネを進めることが重要です。窓やドアの断熱改修は取り組みやすく、省エネ効果が確認されていますが、広く普及していくためには、より多くの都民に効果と補助制度を知ってもらうことが必要です。
 都の既存住宅断熱改修の補助申請は二〇二二年度、令和四年に約二万戸と伸びていると承知していますが、都内の既存住宅ストックは多く、一層断熱改修を進める必要があります。
 そこで、都民への取組促進に向けた周知について伺います。

○荒田気候変動対策部長 都は、平成二十九年度に断熱効果の高い窓への改修支援を開始し、その後、対象の拡充や補助率の引上げなど、支援の強化を図ってまいりました。
 来年度も事業を継続するとともに、光熱費低減や快適性向上などのメリットを、様々な媒体を活用し、都民に周知いたします。
 また、住宅関係団体等とも連携し、事業を推進してまいります。

○原委員 特に光熱費が高騰し続けている昨今、省エネ効果が光熱費を下げることに直結するので、メリットを知らせ、断熱改修に取り組む戸数を一気に広げていきたいというふうに思います。
 この窓、ドア断熱改修について、来年度の予算では何戸ぐらいを予定しておりますでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 令和六年度は、令和五年度同様、窓、ドアで各五万戸を見込んでございます。

○原委員 重要だと思います。この改修した方々の声なども発信をして、予算を使い切るくらいの大胆な取組をお願いしたいと思います。
 特に、既存住宅の中で、賃貸集合住宅の断熱改修が進んでいないこと、先ほども別の委員が話されていました。
 そこで都は、二〇二二年度から、賃貸住宅のオーナーが取り組むようにと、モデル事業を行ってきた、そのことについてもう一度その概要を伺います。

○荒田気候変動対策部長 賃貸集合住宅の断熱改修を推進するためには、家主の改修費用の負担軽減と、家主が賃貸人に断熱改修効果をアピールできるようにする必要がございます。
 賃貸住宅省エネ改修先行実装事業は、令和四年度に、断熱改修に対して補助率を上げた補助を、断熱窓十八件に七十戸、高断熱ドア十七件七十一戸実施し、今年度は令和四年度の申請者を対象に、改修後の効果を見える化できるよう、光熱費削減量等を推計する経費を支援してございます。

○原委員 三分の一から三分の二に補助率を引き上げての実施ということで、大変大事な取組だと思います。引き上げていくことで、賃貸住宅での断熱改修、広がる可能性があるというふうに思います。
 あわせて、賃貸住宅の断熱改修を推進するためには、住宅の省エネ性能の見える化が重要です。国が今年の四月から新築住宅への省エネ性能表示制度を始めます。断熱改修を済ませた賃貸住宅のオーナーにとっては、住宅の省エネ性能表示が強みになるとともに、借りる方の人にとっても、住宅を決める大事なポイントになります。
 既存の住宅は努力義務の対象になっていませんが、国の表示制度を活用して、賃貸住宅の断熱改修を推進すべきと考えますが、今後の取組について伺います。

○荒田気候変動対策部長 賃貸住宅におきまして国の省エネ性能表示制度を活用することは、家主が賃借人に対して断熱改修後の省エネ性能や目安光熱費をアピールでき、入居につながることが期待できます。
 都は来年度、賃貸住宅に特化した断熱支援につきまして補助率を上乗せするとともに、国の表示制度を活用するための省エネ診断費用を補助いたします。

○原委員 性能表示が一般化される中で、省エネ住宅を選んでもらうということがさらに省エネ住宅を増やすことにつながります。定着するまで補助制度は続けていただきたいと思います。
 より身近な家庭の省エネ対策として、家電の買換えがあります。都は来年度、東京ゼロエミポイント事業にて、店舗での値引き方式を実施するとのことで、都民の申請手続の簡素化が期待できます。
 そこで、この対応はいつからスタートを予定していますか。周知徹底が大事ですが、どのようにされますか。

○荒田気候変動対策部長 東京ゼロエミポイント事業におきまして、購入する際にポイントを申請していただき、その場でポイント相当額を購入価格から値引く店舗での値引き方式は、来年度下期から開始する予定でございます。
 開始に当たりましては、事前に家電販売店への丁寧な説明に努めるとともに、販売店との連携や、様々なメディアを活用し、都民へきめ細かく周知を行ってまいります。

○原委員 下期から開始ということです。家電販売店にとっては、その場で値引きをするということは大変売りやすくなるという声も聞いているので、歓迎をいたします。これまでは、申請書類が面倒で申請していないという方のケースもあったので、本当に大きく進むといいなと思います。
 環境への負荷を減らすことに都民が参加し、地域の経済が回る取組を大いに進めていけるよう、今後も関係者の意見を聞きながら、制度改善を図っていただきたいというふうに思います。
 次に、気候変動適応計画について伺います。
 都市の大切な緑である街路樹の記載が簡略化されているように見受けられます。街路樹が環境に果たす役割を伺います。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 街路樹に関する事業につきましては、本計画案において、健康分野における熱中症、ヒートアイランド対策、自然環境分野における緑の創出、保全の取組に位置づけてございます。
 具体的には、街路樹の質の確保に向け、デジタル技術を活用し、迅速かつ効率的な管理を展開するとともに、夏の日差しを遮る緑陰確保を図るための計画的な剪定などを行うこととしてございます。

○原委員 街路樹の役割、非常に多面的な役割、あると思いますが、この適応計画との関係でいいますと、特にヒートアイランド対策に大きな効果をもたらすといえます。今、質の確保とおっしゃったんですが、本当に大事だと思います。
 この街路樹については、街路樹維持管理計画書というのを作成しておりまして、ですが、昨年、私、都道の街路樹の様子を、都心を中心に見て回ってきたんですけれども、枝が強剪定されて、葉が伸ばせない状況になっている樹木も多く見受けられました。それぞれ理由があるのかもしれませんが、もっと樹冠拡大の方針をきちんと持って、都市の熱を下げる役割を発揮できるように取組を強化すべきだと考えます。
 欧米や東アジアの国々では、樹木の葉が地表を覆う面積を示す樹冠被覆率を用いて、三割、四割の率を達成している都市もあることを最近知り、東京ではそうした指標さえ使っていないことが都市の緑化政策でも大きなネックになっていると思うに至りました。
 体制も、各建設事務所に担当者が一人などで、剪定はほぼ民間事業者に委託しているというふうに伺っています。管理計画を実行する上でも、体制強化が求められるというふうに思います。
 位置づけの問題なので、また今後議論していきたいと思いますが、気候対策としてしっかり位置づけ、少なくとも今、方針として持っている樹冠拡大についての記載の追加も検討してほしいと思います。
 次に、計画には書かれていないことなんですが、都として気候市民会議について取り組むことを提案しますが、いかがでしょうか。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 気候変動対策の推進には都民一人一人の行動が不可欠でございまして、都はこれまでも、自治体や環境団体等が実施いたします市民参加型のシンポジウムや勉強会等に参加することで、都民の生の声を聞きながら、都の取組についても発信し、共感と協働を呼びかけてまいりました。
 また、未来を担う若者等からのヒアリングなども実施しており、引き続き、様々な場で多くの主体の参画を得て、カーボンハーフを実現してまいります。

○原委員 ありがとうございます。おっしゃられたように、気候変動対策は都民一人一人の行動が鍵になります。集団での議論を通じて出された都民のアイデアを政策に生かしていくこと、とても大事だと思うんですね。気候区民会議を実施している区市もありますので、聞き取りもして、これから検討をしていただきたいと強く要望をしておきます。
 気候変動適応計画について、以上です。
 続けて、神宮外苑再開発計画について伺います。
 神宮外苑再開発計画がこの地域の歴史、文化、景観を根底から破壊することになるのではないかと、多くの国民が注目をしています。とりわけ百年守ってきた百四十六本のイチョウ並木をこの先二百年、三百年と守り抜くことは、私たちの世代の責任ですが、事業者は、四列のイチョウ並木は守りますとはいうけれども、秩父宮ラグビー場東側の港区道一一〇七号沿いのイチョウ並木十九本、いわゆる兄弟木については残置できない計画をつくり、イチョウの取扱いを明らかにしていません。
 この港区道沿いのイチョウについて伺います。
 環境影響評価書や資料編では、活力度A、活力度Bであるにもかかわらず、枝や幹に腐朽が見られるものや、歩道の樹林帯という限られた空間で根が十分に伸長できていないなど、生育が健全とはいえないものも多く確認されているとされていますが、この確認のため、どのような調査を行ったのでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、二〇一八年十二月から二〇一九年一月、同年四月から五月にかけて、毎木調査を行っています。

○原委員 続けてお聞きします。活力度調査で、AやBの評価を決めるに際し、腐朽や根が十分に伸長できないことなどが調査の項目として示されているのでしょうか。また、今後、事業者が提出する事後調査報告書でも同じ基準が適用されるのでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 環境影響評価書における活力度調査は、外観による樹勢や樹形などを調査し、評価を行っておりまして、事後調査計画書に基づく調査につきましても同様に行われると聞いております。

○原委員 活力度調査というのは、地上部分で見える範囲の、この外観による樹勢や樹形などを評価したものだということなんですね。つまり、腐朽があることや、根が十分に伸長できていないことが必ずしも直ちに活力度調査の結果に影響するわけではないというふうに理解をしました。ただ、腐朽については、その後の推移をきちんと見極める必要があると思います。
 ご案内のとおり、イコモスは、現時点における十九本の活力度を再度示すよう要請しています。根の部分については評価対象外だが、評価書では、その状態について備考欄に記載があるということです。
 以上のことから、活力度としてはA評価、B評価であるのに、では、なぜこの調査結果をもって、当初、移植不可と判断したのでしょうか。また、移植不可の判断を移植検討へと判断を変えた理由は何でしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、根鉢の適切な確保が難しいことなどから、樹木調査における移植の評価を不可に分類していましたが、今後、詳細な調査により、新野球場北側への移植の検討を行うとしています。

○原委員 樹木の樹勢や樹形における活力度としてはAやBだけれども、移植の際の根鉢の適切な確保が難しいことから、移植の評価を不可に分類したということでした。
 さらに、評価書とは別の図書、公園まちづくり計画提案書の当該部分に、十九本のイチョウの根系の状況、細根の確保についての記述がありまして、移植は困難という記載が出されていますが、これは何の調査に基づくものでしょうか。調査を公表してください。
 また、この調査は評価書や資料編の記述のための調査と同一のものなのでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 当局所管外の手続に関するご質問であるため、当局としてはお答えする立場にございません。

○原委員 非常に関連する図書だというふうに思うんですけどね、評価書そのものではないため環境局の管轄ではないというふうなお答えでした。
 時期的に見て、この評価書の基になった調査と同じ調査に基づく内容だと思われます。こちらの恐らく都市整備局管轄になりますが、公園まちづくり計画提案書の記述には、根の状態について、評価書より詳しい内容が書かれています。
 例えば、根本の左から見て、植栽帯に根が集中し、長く太く伸びている可能性が高い、歩道側及び段差のある車道側では、舗装下の砕石層などの基盤が根の伸長可能硬度を超えていると想定されるなどです。
 そして、根回しを最大限適切に行ったとしても、細根の状況から、移植前の根回し時に枯れる可能性や、移植後、樹形の一部枯死も起こり得ると書かれていて、そうした理由から、適切な根鉢確保は難しいため、移植は困難であると結論づけられております。これが計画提案書の記述です。
 その移植不可としたイチョウの判断を変更して、評価書では、今後、詳細な調査により、新野球場北側への移植の検討を行うというふうにしたわけなんですが、エビデンスが全く示されておらず、信頼してくれといわれても無理があります。再開発事業の企画提案書よりも評価書の方が記述が乏しいというのもそもそもどうなのかと思うんですけれども、少なくともこの提案書の記述の記載を完全に払拭するような内容が示されなければ、移植の検討などはできないのではないでしょうか。
 環境影響評価書では、今後、詳細な調査を行うとしていますが、どのような調査を行うのでしょうか。また、その調査結果はいつ公表されるのでしょうか。四列イチョウ並木の健全度調査の結果の公表と同時でしょうか。お答えください。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、根系の状態や、根鉢が適切に取れるかなど、樹木医とも調査をした上で、移植を検討すると説明しています。
 アセス図書は、事業者が作成し、都に提出するものであり、都としては、事業者からアセス図書が提出され次第、条例に基づき、内容を踏まえて環境影響評価手続を進めることになります。

○原委員 根系の状態や、根鉢が適切に取れるかなど、樹木医とも調査をした上で移植を検討すると事業者が説明しているということです。そして、アセス図書が提出されたら審議の手続をするということですが、この調査結果は当然、事後調査報告書として審議会に報告され、しっかり審議されるべきものです。
 ここで最低限の確認をしておきたいんですが、調査の結果、再び移植不可となった場合、伐採をするのでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 仮定の話についてはお答えしかねますが、事業者は今後、詳細な調査により、新野球場北側への移植の検討を行うとしています。

○原委員 本当にそういう受け身では、私、困ると思うんですね。市民がそれを許さないんじゃないかと思うんです。環境局という局の使命を果たしてほしいと思います。
 初めに話したように、伐採という選択肢は許されないというふうに思うんですね。改めて移植が困難と判定された場合、残置の計画につくり直すべきです。
 そもそも残置を前提にしない、あるいはその選択肢がない再開発計画など、認められるべきではありません。にもかかわらず、移植不可に分類されたものを移植検討などという、中身も全く不明のまやかしの表現に直しただけで評価書を通した責任が今改めて厳しく問われていると思います。
 現在の計画をこれ以上進めるべきではありません。都は今後、権利変換計画の認可をすべきではありません。この話は都市整備局の所轄であり、知事の権限ですが、今からでも環境局として強く知事に要請をすべきです。
 三月十四日に、日本弁護士連合会から、神宮外苑地区第一種市街地再開発事業に対する東京都環境影響評価条例の適用に関する会長声明が出されました。ご存じだと思います。
 風致地区であり、神宮外苑銀杏並木周辺景観形成特別地区として特別に保護されてきたこの地域で、再開発計画が適切な環境影響評価を経なければ、自然環境、歴史的、文化的環境が大きく損なわれる可能性があるとした上で、本件評価書には情報不足、調査手法の誤り及び科学的でない記載があると指摘をしています。
 その例として、イチョウ並木の衰退が生じているものがあるのにその言及がないこと、群落調査が不十分、現存植生図が示されていないこと、伐採本数の申請が三千本を超えることが示されていないことなどが挙げられています。
 日弁連は、客観的かつ科学的な検討に基づく評価書の再提出を都が事業者に要求すること、審議会において条例七十四条の二の趣旨に基づき、森の植生調査について高度な知見実績を有する専門家の出席や資料の提出を要請して調査審議し、評価書が客観的かつ科学的であることが明らかになるまで再開発工事の停止を検討することを求めました。
 環境局がこの日弁連の会長声明も重く受け止め、再アセスを含め、改めてアセス制度を最大限駆使して、外苑再開発計画に厳しく変更を迫ることを求めるものです。
 最後に、GLP昭島プロジェクト環境影響評価審議について質問をいたします。
 昭島駅から北方向七百メートルに位置する代官山緑地を囲む広大なゴルフ場だった緑豊かな土地に巨大物流センターの開発計画が起こり、地域住民に甚大な不安と恐怖を与えています。
 開発事業者は、日本GLP株式会社で、開発面積は五十九万平方メートル、東京ドーム十二個分。その敷地内に物流施設三棟とデータセンター八棟という、関東圏内で最大規模の施設が建てられ、二十四時間稼働する計画です。
 北側は、史跡玉川上水に直結し、代官山緑地を囲む昭和の森ゴルフ場の大事な自然環境を破壊する計画であること、毎日五千八百台もの車両が出入りするなど、交通環境が悪化すること、また、建物の圧迫感、排熱による気温上昇など、住民の間で数限りない疑問と不安が噴出しています。
 最初の説明会が二〇二二年二月に開かれていますが、そのときは八百五十人の住民が出席をしています。関心の高さがうかがえます。
 本年一月二十九日、環境影響評価審議会に評価書案が提出をされましたが、そもそも住宅と密接した地域であり、東京西部の貴重な希少種のすむ緑地帯である場所に巨大物流センターをつくる必要があるのかとの住民の疑問が出されています。どのように説明をされていますか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、環境影響評価書案において、計画地は国道一六号等の主要幹線道路にも近く、また現況は、大部分がゴルフ場、一部がゴルフ練習場や宿泊施設等の敷地として、全域が人工的な管理下にあるとしています。
 事業者は、このような立地特性と、市が検討中の当該地区の地区計画等を踏まえ、緑や防災等に配慮した物流施設等の新設を行い、本事業を通じて、地域に開かれた環境の創出と、回遊性やにぎわいを付加させ、地域社会に貢献していくとしています。
 GLP昭島プロジェクトは、市のまちづくりの中で進められている中で、住民の意見も踏まえながら計画の見直しを行ってきており、本件環境影響評価は、当該見直された計画案に対し、環境の側面から手続を進めるものでございます。

○原委員 説明がありましたけれども、物流施設のみならず、データセンターを建設できるまとまった土地を取得できる、そういうことで選ばれたんではないかと思います。
 しかし、ここは、昭島市都市計画マスタープランで、水と緑を守り育てるゾーンというふうにされています。昭島市は、深層地下水を水道水源とする都内唯一の自治体でもあります。
 代官山緑地には、オオタカ、ヤマガラ、ジョウビタキなど、野鳥や貴重な動植物が生息しており、代官山を囲む昭和の森ゴルフ場には四千八百本以上の樹木が生い茂っています。
 希少種の猛禽類の生息についてですが、評価書案でも、代官山緑地にてオオタカの生息が確認されましたが、どのように評価されているんでしょうか。そして、どのように守っていくんでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、評価書案において、計画地に囲まれている代官山緑地でオオタカの営巣、繁殖が確認されており、北側に公園を配置するなどして、当緑地を中心に飛翔空間を確保し、また採食地となる開けた空間を創出するとしています。
 工事の施工中は、モニタリングやコンディショニング等の、また完了後、遮光フェンスの設置や、営巣期の園路の立入り制限等の環境保全措置を実施するとしています。
 こうした取組によりまして、生息環境への影響の軽減が図られるとしています。

○原委員 猛禽類の生息が確認された場合、環境省の手引である猛禽類保護の進め方によると、その生育域を定め、その域内の樹木の伐採は原則行わないことになっております。
 オオタカが代官山緑地内だけで営巣、繁殖していたわけではなく、昭和の森ゴルフ場の緑地を採食地としていたことはほぼ明らかです。
 審議会の中でも専門家の意見を聞き、よく議論していただきたいというふうに思いますが、希少種の生育環境保護は国や東京都の基本方針ですから、さらなる詳細調査も行い、計画そのものを見直す必要が出てくるんではないかと思います。
 また、交通量についてです。
 交通量が増えることで、交通渋滞や交通安全のほか、環境の面で心配の声がたくさん出ています。環境アセスの項目ではどのように取り扱われてきたのでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 対象事業に係る工事用車両及び関連車両の走行により大気汚染や騒音、振動の影響が予想される場合は、交通量等を調査して、予測、評価を行うこととなっております。

○原委員 大気汚染や騒音、振動の影響ということで、交通量の調査を行うということですが、交通安全であるとか交通渋滞、または交通事故などの項目がアセスにはないということを今回確認しております。
 つつじが丘通りには、現在でも渋滞する箇所があるんですが、そこに物流センターに出入りする車両五千八百台がこの地域を走ります。出された評価書案では、五千八百台のうち、大型車が三千五百三十台とのことで、大型車混入率は六〇・九%です。車両が入庫するピークは朝八時頃、まさに通学時間帯です。
 交通渋滞による大気汚染や騒音、振動、そして、もちろんそれだけではなく、住民の皆さんが一番恐れるのが交通事故の多発です。この開発敷地の周りには、昭島市と立川市の小学校や中学校がたくさんあります。
 住民の方が作成した交通心配マップというのを見ますと、小学校が十二校、中学校が四校、この地域にあることが分かります。もちろん保育園や幼稚園もあるでしょう。ここに物流施設ができ、毎日、大型車三千五百三十台を含む五千八百台の車両が、これまでの車両に加えて走行し、出入りをする。抜け道など、住宅地をばんばんと通過されたらと、住民が恐怖し、計画に異議を訴えるのは当然ではないでしょうか。
 この交通量問題、それから、そこから起こる大気汚染や環境基準を超える騒音問題について、これまでも住民は事業者との話合いの中で問題にしてきましたが、改善策は一切示されておりません。
 これまでの生活環境や自然環境が大きく損なわれる計画が許されてはなりません。関係所管と連携をして、交通量と環境影響予測、また評価を実施することを強く求めます。
 環境影響評価審議会、今後の審議の中で、住民の声はどのように反映されるのかをお示しください。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は今後、都民や関係市町からの評価書案への意見に対する見解書を都に提出することとなっており、見解書の公示、縦覧後、当該内容や評価書案についての都民の意見を聞く会が開催される予定となっております。
 これら都民等の意見や見解書の内容を勘案し、環境影響評価審議会において、環境保全の見地からの審査に基づき答申が出され、事業者は、当該答申を踏まえて評価書を作成することとなります。

○原委員 これから意見募集の内容と見解書も公表されていくこと、そして都民の意見を聞く会が持たれるということです。意見募集はもう終わっておりますけれども、かなり地元からたくさんの方が意見を出したというふうに聞いております。何件かということも早く知りたいんですが、見解書を作成されて提出をされるというふうに思います。
 たくさんの方が既に多くの角度から指摘をしている、そうした意見を一つ一つ丁寧に受け止めてほしいです。そして、計画の変更、さらには計画の撤回も含めて、反映させる姿勢が必要です。
 この巨大物流センターの建設計画は、東京西部の広大な緑地帯を破壊する、そういうことになってしまいます。本当にそれを止められるかどうか、改善できるかどうか、都民の意見に基づいて、審議会での徹底審議をしていただきたいというふうに思うんですね。
 野生生物、希少種を保護する方針を掲げて生物多様性の回復を進めている東京都が、この計画について積極的に関わる、そういうことが必要です。民間と民間の話だとして、このような形で緑地がどんどんとなくなってしまっていったら、東京の自然環境はどのように守ることができるのでしょうか。温暖化を止めることができるんでしょうか。
 本当に、都として、住民の命と安全を守る立場、東京の生態系と緑を守る立場から、本計画に対して真摯に取り組んでいただきたいということを申し上げ、私の質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十八分休憩

   午後三時五十六分開議

○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○須山委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、建築物環境報告書制度の都民理解について伺います。
 建築物環境報告書制度の施行まで、いよいよ残り一年となりました。この委員会でも、新築家屋の太陽光パネル設置義務化ということで、賛否も分かれたりしましたが、当時も、都民への制度の理解促進などが大きく議論されたと記憶しております。
 制度の円滑な施行に向けては、都民が制度について正しく理解するとともに、断熱、省エネ性能が確保され、太陽光発電を備えた住宅のよさというものを知っていただくことが重要だと考え、我が会派からもそうしたことを要望してまいりました。
 そして、都民の理解促進には、メーカーや不動産事業者といった方々の理解と、そこからの都民への周知や説明といったものが重要だとも考えております。
 そこでまず、建築物環境報告書制度の都民理解を促進するための、これまでの成果と今後の取組について伺います。

○関制度調整担当部長 制度に対する都民の理解促進に向け、今年度は、住宅購入検討層を中心に、ウェブ広告や各種イベントなど、対象に応じた様々な広報を行ってまいりました。
 また、ワンストップ相談窓口では、補助制度を中心に、これまで約四千五百件の問合せに対応しております。
 今後も引き続き、多様な媒体を活用するとともに、環境性能の高い住宅のメリット等について、分かりやすい動画やリーフレットを活用すること等により、具体的な情報発信を行ってまいります。

○須山委員 ワンストップ窓口に四千五百件ものお問合せが来ているということは、都民の皆さんの関心が高まっているともいえるのかなというふうに改めて感じました。
 また、先ほど申し上げたとおり、都民が新築住宅を買う場合、やはり事業者との関わりというのは非常に、そこから話が進んでいくと思いますので、答弁にあった動画やリーフレット等を活用していただいて、事業者との接点を生かした広報についても要望しておきたいと思います。
 制度施行に向けて都民理解が一層進むよう、しっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに改めて要望させていただきます。
 続いて、ハウスメーカーなどの事業者について伺います。
 来年四月の新制度開始に向けて、制度対象となる事業者が環境性能の高い住宅を供給できるように準備を進めていくことが必要であり、そのために都が様々な支援を行っていくことが重要だと考えておりますけれども、そこで、建築物環境報告書制度の対象となります事業者に対する、今年度における東京都の支援とその成果、また来年度における取組について伺います。

○関制度調整担当部長 今年度、都は事業者に対し、住宅モデルの環境性能向上に要する費用を補助することで、新たに大容量パネルを搭載する住宅が商品化されるなど、商品ラインアップの多様化が進んでおります。
 また、地域工務店等も含め、意欲的な事業者を対象とする東京エコビルダーズアワードでは、高い断熱性能と太陽光パネルを標準搭載する企業など、二十六社が受賞しており、事業者の取組意欲向上が進んできております。
 来年度も、事業者の取組状況に応じたきめ細やかな支援を継続し、新制度の円滑な施行に向け取り組んでまいります。

○須山委員 制度開始に向けて、東京都が事業者に必要な様々な支援を行っているということが確認ができました。
 今後も引き続き、東京都による積極的な取組を要望して、次の質問に移りたいと思います。
 既存住宅への太陽光発電設備の導入推進について伺いたいと思います。
 東京都は、二〇三〇年カーボンハーフの目標の達成に向けて、昨年度、再エネ電力の地産地消に資する都内太陽光パネルの導入量を二百万キロワット以上とする目標を掲げまして、住宅や公共施設等での導入拡大を推進していくこととしております。
 先ほどの質問で、新築住宅については、建築物環境報告書制度により、太陽光発電設備の導入は着実に進んでいくことが期待できますけれども、また、既存住宅において、東京都は、新築同等の手厚い支援制度を設け、再エネの導入を促進していると伺っておりますけれども、その状況を確認したいと思います。
 既存住宅への太陽光発電設備の導入の目標とともに、支援制度の利用状況についてお聞かせいただきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 都は、二〇三〇年度に太陽光発電設備二百万キロワット以上の導入を目標としてございまして、既存住宅で三十万キロワット程度の追加導入を見込んでございます。
 この達成に向けて、主に既存住宅の再エネ、省エネ化を支援する断熱・太陽光住宅普及拡大事業を令和四年度から実施し、毎年、太陽光発電設備、年間約一万件の導入を見込む予算を計上してございます。令和四年度は約八千件の申請を受け付けてございます。
 来年度も引き続き、既存住宅への再エネ導入を支援してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。環境局がこの数年にわたってかなりの予算が投入されて、様々な二〇三〇年のカーボンハーフに向けた取組をしているということは非常に理解をさせていただいておりますし、そうしたことをしっかりと進めていって、本当に二〇三〇年のカーボンハーフの実現のために、皆さんのご努力、お願いしたいと思いますし、私たち都議会としても、しっかりとそれを支えていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ということで、次の質問に移りたいと思いますけれども、有機フッ素化合物、PFASについて伺います。
 東京都は来年度、PFOS等、泡消火剤の転換促進事業として二億円を計上しております。私ももともと府中の市議会議員をやっていたもので、一部で大きな値が出たこともあって、当時から府中の市議会でも問題になっておりました。
 そうしたこともあり、伺いますけれども、この問題に関して、まず、東京都がこれまで行ってきた地下水の調査や、その結果について改めて伺いたいと思います。

○宗野環境改善技術担当部長 都は、地下水中のPFOS等につきまして、平成二十二年度から測定を開始し、令和三年度からは測定計画に位置づけ、都内全域二百六十ブロックの概況調査と、暫定指針値を超過した地点の継続監視調査を行っております。
 概況調査では、令和三年度は五地点、令和四年度は六地点で暫定指針値の超過を新たに確認いたしました。
 継続監視調査では、令和三年度は十九地点、令和四年度は十七地点が暫定指針値を超過しておりました。
 なお、暫定指針値を超過した地点の存する自治体は、区部で五つの自治体、多摩地域で十二の自治体となっております。

○須山委員 ありがとうございます。改めて状況を伺わせていただきました。
 継続監視調査の結果によると、超過地点は減少しているけれども、そうした中で、地域のそうした超過地点の地域の方からは、指針値を下回って、すぐに調査が終わってしまうのではないか、やめてしまうのではないかという心配の声を伺いました。
 しばらく継続して調査することが重要と考えるんですけれども、これに関してどのように対応しているのか伺います。

○宗野環境改善技術担当部長 都では、地下水の測定に関する国の手引を参考にいたしまして、環境基準が定まっている物質については、五年連続で基準値を下回っていることを確認してから、継続監視調査の対象外としております。
 PFOS等については、要監視項目でございますけれども、環境基準が定まっている物質と同様に、五年をめどとしております。

○須山委員 五年は取りあえず継続で調査を行うということが分かりましたので、監視をしていくということで、分かりました。
 何ていうかな、市民の皆さん、やっぱり自分たちが直で口に入れたりするもの、また、子供たちが口に入れるものとか、あとは何かいろいろと、水を飲むだけじゃなくて、食べ物にもしかしたら入っているかもしれないというような、やっぱり不安というものは非常に抱えているので、調査というものでしっかりと科学的な根拠を示していただきたいと思いますので、調査はなるべく続けていっていただきたいなということは要望させていただきたいと思います。
 昨年の市長会からの東京都への要望では、各種調査体制の一層の充実や、市の調査対策に対する財政支援といったものが要望でありましたけれども、令和六年度予算では、区市町村と連携したPFOS等地下水調査促進事業として各自治体との連携をして、追加調査を行っていくということでした。来年度、東京都が予定している地下水調査についてお聞かせいただきたいと思います。

○宗野環境改善技術担当部長 都は今年度、都内全域の前倒し調査と、比較的高濃度な地点の存する地域における追加調査を実施しております。
 来年度は、これらの調査を加速、充実いたしまして、都内全域の調査を一年間で行うほか、都の追加調査を補完する調査を実施する区市町村に対しまして、費用の一部を負担してまいります。
 こうした調査を風評被害の防止にも配慮しながら、区市町村とも連携いたしまして、着実に進め、都民の不安解消を図ってまいります。

○須山委員 ありがとうございます。六年度もしっかりと予算的な補助もしていただくということで、非常に評価をさせていただきたいと思います。
 高い数値が出た自治体の議員の仲間と話すと、調査の継続はもちろんのことなんですけれども、PFAS汚染の原因究明や情報開示、地下水並びに水道水のPFAS除去、低減、これは大分、東京都、やっていただいていると思っております。あと、希望者が血液検査を受けられるようにすること、自治体が実施する地下水の独自調査、検査等、これは今まさにおっしゃっていただいたことだと思うんですけれども、財政的な支援をすることなどの意見をいただきました。
 また、私の母校も地下水を使っていて、まさに影響を受けたというところに通っていたんですけれども、その分、水道水を使わなくてはならなくなったということで、かなり財政的な影響を受けたというふうにうちの先生からも伺っております。
 こうした支援というのは本来は国がやっていくべきだと私も考えておりますけれども、都民の生命、財産、健康を守るために、やはり東京都が率先して対応をしていただくことが重要ではないかなというふうに考えております。
 環境局の管轄外の部分も今いったことにはありますけれども、そうしたところの対応ということも、引き続き横の連携を取りながら、ぜひお願いしたいと思いますので、要望させていただきたいと思います。
 続きまして、GLP昭島プロジェクト環境影響評価書案の取扱いについて質問させていただきたいと思います。
 JR昭島駅から徒歩数分の元ゴルフ場、昭和の森ゴルフコース跡地に、敷地面積約五十八・八万平方メートル、東京ドーム約十二個分の巨大物流センターやデータセンターをつくるGLP昭島プロジェクトという計画があります。
 駅からも近い、住宅地にも近接した地域にこれだけの巨大建築物をつくる計画ですから、当然のことながら、地元住民から環境破壊や交通渋滞、交通事故を心配する多くの声が上がっております。
 当該地元の昭島市からも、事業者に対して、緑の消失や分断を最小限に抑えること、発生交通量を抑制する計画とすることなど、多くの項目を強く要請しますという強い言葉で求められる要請文が送られておりますし、また、隣接する立川市からも同様の踏み込んだ要請文が送られています。
 しかし、そもそも物流センターが緑を残すために建築面積を減らしたり、交通発生量を抑制することは、施設の損益に大きく影響するため、事業者からは満足な回答が得られていないと伺っております。都民が提出することができる環境影響評価書案に対する意見書にもその旨を書いたというお話を伺っております。
 そこで、今後の手続について伺いたいのですが、今後この環境影響評価書案はどのように都で扱われることになるのか、改めて伺います。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は今後、都民や関係市町からの評価書案への意見に対する見解書を都に提出することとなっており、見解書の公示、縦覧後、当該内容や評価書案についての都民の意見を聞く会が開催される予定となっております。これら都民等の意見や見解書の内容を勘案し、環境影響評価審議会において、環境保全の見地からの審査に基づき答申が出され、都は、当該答申に基づき、審査意見書を事業者に送付いたします。
 事業者は、当該審査意見書を踏まえて評価書を作成することとなります。

○須山委員 ありがとうございます。地元住民の皆さんからは、大気汚染、騒音、振動、景観の破壊、オオタカやアナグマなど希少生物への悪影響など、様々な分野での懸念の声が上がっております。
 そこで、環境影響評価制度として、事業者に何か求めることができるのかを伺います。

○長谷川政策調整担当部長 審査意見書では、評価項目についての十分な環境保全措置の検討など、環境に関する意見が示され、事業者はこうした意見等に基づき、評価書案に検討を加え、評価書を作成することになります。

○須山委員 地元住民の皆さんから最も強い心配の声をいただいているのが、実は交通渋滞の問題です。交通渋滞は経済的損失を生み出すだけでなく、大量のCO2を生み出します。しかし、なぜか環境影響評価項目に含まれておりません。
 この地域はもともと朝夕の渋滞が多い地域で、そこに毎日約、片道で五千八百台の業務車両が追加されると、交通渋滞が慢性化し、環境汚染の原因となることは必至と思われます。
 地元住民からは、事前に動的な交通シミュレーションを行って、渋滞対策を検討するように要請しておりますけれども、事業者はこの動的交通シミュレーションすら行おうとしません。
 今後、同様の問題は都内の別の地域でも繰り返される可能性があります。そのため、交通渋滞を環境影響評価項目に加えることを要望して、質問を終わります。

○もり委員 まず初めに、東京都気候変動適応計画について質問させていただきます。
 気候変動の影響が深刻化する中、東京都は、気候変動適応計画を作成し、気候変動の影響となる原因を少なくする緩和策の強化と気候変動の影響に備え、被害を回避、軽減する適応策として総合的に対策を推進し、都民の生命と財産を守る強靱な都市を築くことを目的として、自然災害、健康、自然環境など幅広い分野で、DXの視点も取り入れながら、二〇五〇年の気候変動の影響によるリスクの最小化を目指し、都民の生命、財産を守り、人々や企業から選ばれ続ける都市の実現を掲げています。
 自然災害対策として、河川の洪水を防ぐための調節池を連結し、海までつなぐ地下河川化の事業が上げられています。激甚化する豪雨等を踏まえた風水害対策の強化として、TOKYO強靱化プロジェクトの風水害対策にも位置づけられており、今後十年で六兆円規模の巨大工事です。
 今後の人口減少社会において、巨額な整備コスト、大型工事によるCO2の発生による事業効果をどのように試算していくのか、所管は環境局ではないので、個別事業により発生するCO2は把握していないとのことですが、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッション東京の達成に向けては、全庁を挙げて取り組むことが求められ、所管する環境局として、ぜひ、異なる各局の事業であっても、発生するCO2の見える化をして、都民に情報共有をしていただきたいと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○中村率先行動担当部長 ゼロエミッション都庁行動計画に基づき、各局が温室効果ガスの削減に取り組んでおりまして、毎年度、温室効果ガス排出量を公表しております。

○もり委員 また、生物多様性戦略との整合性ですとか、また気候変動対策において、まずは被害を大きくしないための緩和策の適用が求められるものではないかと考えますが、緩和と適応の考え方について確認をいたします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 気候変動対策には、その原因物質である温室効果ガス排出量を削減する緩和策と、気候変動の悪影響を軽減する適応策の二つの対策がございます。
 気候変動を極力抑制する緩和策を行ったとしても避けられない影響に対しては、その被害を回避、軽減する適応策を行うことが重要でございます。

○もり委員 ただいまのご答弁にもありましたけれども、やはり、気候変動を極力抑制する緩和策にまず取り組むべきだという思いがありまして、質問、確認をさせていただきました。
 健康対策として、熱中症の救急搬送数の増加、熱中症死亡数が年間千人を超える中、国においても、改正気候変動適応法が二〇二四年の春に施行されることから、モデル地区となった自治体においては、熱中症から身を守るクーリングシェルターとともに、冷たい飲物や冷却剤等の配布を行っている自治体もあると記載されております。
 東京都においても、熱中症対策ポータルサイトによる情報発信とともに、どのように区市町村によるクーリングシェルターの整備支援を行っていくかお伺いをいたします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 健康分野の一分野であります熱中症対策につきましては、東京都熱中症ポータルサイトを通じた情報発信とともに、クーリングシェルターの整備や熱中症予防の普及啓発、高齢者への見守りなど、地域の実情に応じた区市町村の取組を支援することとしてございます。

○もり委員 また、環境局のホームページには、TOKYOクールシェアとして、HTTの取組の一環として広報するページもあり、また、地元の大田区では、独居高齢者が自宅で熱中症にならないよう、涼みどころ、クールスポットとして、区内の高齢者施設、公共施設を公開していますが、東京都の情報ポータルには掲載されていませんでした。
 志向は同じ事業であると感じますので、ポータルのマップなど連携ができれば、都民の利便性に資すると感じます。ぜひDXで自治体を超えた連携を要望いたします。
 令和六年度予算においても、再生可能エネルギー等の拡充に一千九百七十億円と、前年度比一千億円増の積極的な予算編成となっています。
 昨年十二月のCOP28では、二〇三〇年までに世界の再生可能エネルギーを三倍、省エネ改善率を二倍とする宣言が提案され、さらなる再エネの導入促進が求められます。
 地域におけるレジリエンスを向上する取組として、都は、再生可能エネルギーを無駄なく利用するため、再エネの自家消費とともに、地域全体でのエネルギーシェアリングを推進するとしています。
 一月に発生した能登半島地震においても、震災時における水と電気の確保は極めて重要であり、都民の関心も高い中、一層の導入を促進すべきと考えます。
 二〇三〇年まであと六年。都内の太陽光発電導入量は、二〇三〇年目標二百万キロワット以上に対して、現在、累計六十七・四万キロワット。家庭用燃料電池の普及においては、二〇三〇年目標百万台に対して、累計約七・七万台にとどまっています。
 昨年、エネルギー政策は、環境局から産業労働局に所管が移りました。しかし、ゼロエミッション東京戦略において、東京都は再生可能エネルギーを基軸とするとの目標を掲げ、令和六年度予算においても環境局の予算として、次世代再生可能エネルギー技術社会実装推進事業等が計上されております。
 二〇三〇年までに目標を達成するための具体的なロードマップとして、令和六年度、達成目標をどのように施策を推進していくのか。ゼロエミッション東京戦略で掲げた目標の達成に向け、環境局として、進捗管理にどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 都は、環境基本計画及びゼロエミッション東京戦略で掲げました目標に対する進捗状況を環境審議会に定期的に報告し、ご議論いただくとともに、ホームページや環境白書等を通じて、都民、事業者に分かりやすく公表してございます。

○もり委員 ぜひ、所管がかなり今、様々な施策においても、横串を刺すのは大変必要なことだと思うんですけれども、そのことで、所管を替えたことによって途切れてしまうことのないように、引き続き環境局の視点から関わっていただきたいと要望いたします。
 次に、令和六年度予算についてお伺いをいたします。
 飲食店の多い都内において、廃食用油は都市油田であり、都内産エネルギーとして、持続可能な航空機燃料として期待をされています。
 SAFではありませんが、地元大田区では、あぐりーんTOKYOがバイオディーゼル燃料の製造に取り組んでおります。
 家庭、飲食店等、また自治体と連携しながら、SAF原料の回収と活用に向けた今後の取組についてお伺いをいたします。

○志村資源循環推進部長 都は今年度、廃食用油の回収拡大に取り組む自治体への財政支援や、企業と連携した家庭系の店頭回収等の取組を支援してまいりました。
 今後も、区市町村や企業と連携し、SAF原料となる廃食用油のさらなる回収拡大に取り組んでまいります。

○もり委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 食品ロス対策について伺います。
 新年度、小売ロス削減総合対策として新規に一億円、アフターコロナにおける外食産業の食品ロス削減事業に二千万円の予算が計上されています。
 オリ・パラでは三万食のお弁当が廃棄され、処理費用として三億円を投じたとのことです。リユース、リデュース、リサイクルですが、食品ロスを生まないためには、まずはごみを発生させないための、つくり過ぎ、流通し過ぎを見直すべきであると考えます。
 全国民が毎日おにぎり一個分の食品ロスを出していると試算もありますが、今年も大量の恵方巻が廃棄されたとのニュースもありました。発生を抑制するため、都として、事業者への働きかけも重要であり、一層の事業者への働きかけを求めます。
 食品ロスの経済的損失は二・六兆円といわれ、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッションを達成するためにも、食品ロスの削減は喫緊の課題です。
 英国のウィノウでは、ごみを量ることで、ヒルトン東京ベイで食品ロス五〇%以上、米国のリーフパスでは、リッツで五四%以上のごみの発生量が減ったとのデータがあり、来年度の新規事業では、食品ロスの発生抑制のための施策の基礎データとして活用するとのことですが、取組を伺います。

○中島資源循環計画担当部長 都は来年度、食品ロス削減施策の基礎データとして活用するため、スタートアップ等からの提案を受け、外食産業等の食品ロス発生量の測定や予測等を実施いたします。

○もり委員 韓国では、生ごみの焼却を禁止し、再資源化を実現しました。自治体のごみ処理において、生ごみは水分量が多く、重くて燃えにくいことから、生ごみの削減が求められます。
 生ごみ処理機の購入に助成している自治体もありますが、生ごみの発生抑制に向けた今後の取組についてお伺いをいたします。

○中島資源循環計画担当部長 都は、生ごみ処理機を導入する事業者に対し、区市町村が補助を行う場合、その費用の一部を支援してまいりました。
 引き続き、こうした取組により、区市町村による食品リサイクル対策を支援してまいります。

○もり委員 大田区では、市民が中心となったコンポストづくりの取組がありまして、今回、この質問に当たって、私もコンポストづくりに参加してきました。いきちかクラブさんという市民団体なんですけれども、生ごみが堆肥として増えない、消える方式の生ごみコンポストは、六千円程度の工作費で十年以上使え、細かく刻んだ生ごみを埋めれば、五日程度でごみが土に返り消えるというものです。
 自治体の食品リサイクル対策を支援すると今ご答弁がありましたので、ぜひ、都内のいい取組については横展開していただけるように要望いたします。
 日本の食料廃棄には三分の一ルールがあり、本当の賞味期限よりも短い期間しか店頭に並べることができないなども見直しが必要であると考えます。
 都の来年度の事業では、都内食品小売事業者と連携し、どのように食品ロス対策に取り組むのか、具体的な取組についてお伺いをいたします。

○中島資源循環計画担当部長 都は、賞味期限内食品の廃棄抑制に向け、中小小売店のフードバンク等への寄贈ルート開拓を促進するための輸送費の助成などを実施してまいりました。
 引き続き、こうした取組を進めることなどにより、都内食品小売業者と連携して、食品ロス削減に取り組んでまいります。

○もり委員 大量の食料が廃棄される一方で、週末、都庁前には、食料の配給に長い列ができるなど、長く続いたコロナ禍と物価高騰等、都民の生活は大変厳しい状況にあります。連携企業、福祉局とも連携し、必要とする方に届くよう、ただいまのご答弁でも、フードバンクなどにも輸送のコストについても助成をしていただいていると伺いましたので、一層の連携と取組の推進をお願いいたします。
 昨年の事務事業質疑においても、小型リチウムイオン電池の回収時における発火事故について、安心・安全な回収、処理方法の検討を求めてきました。
 今回、大学との連携により、小型リチウムイオン電池の資源循環における東京モデルの提案があり、改修時に発火することなく、部品がマテリアルリサイクルとして再資源化されることを期待するものです。
 東京モデルについて、都民への周知と安全な回収システムの確立について、都の今後の取組をお伺いいたします。

○志村資源循環推進部長 都は、令和六年度からの三か年で、大学等と連携し、小型リチウムイオン電池の安全・安心な処理フロー構築に向けた調査検討を進めることとしております。
 大学から提出された事業実施計画書では、その成果を東京モデルとして提案するとしております。この事業の成果は、ホームページ等により、広く都民に周知してまいります。

○もり委員 回収における大学との連携ということで、事業の東京モデルを期待するものですけれども、一方で、やはり部品がマテリアルリサイクルとして再生しやすいように、生産している事業者に対しての働きかけも重要だと感じますので、ぜひそういった、よりリサイクルしやすいリチウムイオン電池をつくっていただけるような事業者への働きも併せて要望をいたします。
 次に、東京グリーンビスの所管についてお伺いをいたします。
 東京グリーンビズは、政策企画局の所管ということですが、環境政策がるるありますので、具体的には環境局の所管ではないのかという思いがあります。
 生物多様性保全の観点から、環境局がどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 東京グリーンビズの取組として、保全地域の指定拡大や自然公園の利活用、都民体験イベントなどを行ってまいります。

○もり委員 様々な局に横断するような事業というのは大変多いんですけれども、ぜひ、これまでも長い蓄積の中で環境局が培っていたことについては、引き続き連携しながら取り組んでいただきたいと要望いたします。
 次に、環境アセスメントについてお伺いいたします。
 環境アセスメントでは、環境と開発の間のチェック・アンド・バランスが必要ですが、神宮外苑再開発のアセスメントについては、審議会委員からも様々な声を聞いておりますが、再開発手続を進めたい事業者や都市整備局から環境局や審議会委員に対して、標準的な手続期間が過ぎているから早く答申を出せといったような要請や圧力がなかったのかお伺いをいたします。

○長谷川政策調整担当部長 環境アセスメントにつきましては、条例や答申に従って適切に手続を進めております。

○もり委員 環境アセスが何のために、誰のためにあるのか。企業の開発にお墨つきを与えるためのものではないと考えます。委員の皆様、本当に専門的な視点からご審議をいただいている中で、さきの定例会の質疑の中でも、アセス図書が提出されれば、都は手続を進めるといった答弁がありました。
 民間事業だからと責任を転嫁するのではなく、歴史的経緯を見ても、この開発事業は都が働きかけをして始まった、都の主導の開発事業であり、私たち議連のメンバーで、三月七日には、超党派の神宮外苑の歴史と文化を守る議連においても、百四十六本のイチョウの保全を求め、また開発計画の見直しを求め、要望書を事業者に対してお渡しをしに行ってまいりました。
 また、十四日には、日弁連からも、この環境アセスについて、科学的ではないとの評価書の再提出を求める要請がありました。
 ユネスコの諮問機関であるイコモスのヘリテージアラートが発出をされているという重みをぜひ重く受け止めていただき、また、事務局は環境局ですので、事業者と共にではなく、都民と共に、都民の声を聞いてアセスを進めていただきたいと改めて要望させていただきます。
 次に、風の道への配慮について伺います。
 東京湾沿いのタワーマンションやタワーオフィスからは、海からの風の道を遮り、ヒートアイランド現象を加速する可能性がありますが、都内各地で行われている高層ビル建設のラッシュに対して、どのように風の道の配慮を行っているのかお伺いをいたします。

○木村建築物担当部長 都はこれまで、建築物環境計画書制度において、建物からの排熱抑制や人工被覆の改善などの取組を評価することで、新築する建物のヒートアイランド対策を誘導してまいりました。
 特に、夏季における海方向からの風の影響を直接受ける建物の面を小さくするよう、夏の街区の風通しにも配慮した取組についても評価してございます。

○もり委員 やはり本当に二〇三〇年にカーボンハーフ、二〇五〇年にゼロエミッション東京を実現するという本当に計画を立てている一方では、本当に人口減少社会の中で、高層ビルラッシュが続いているということを大変苦慮しております。
 そういった中で、高層ビル、ほかの局、建設局さんの質疑の中でもいろいろ開発についての質疑もやっているんですけれども、この建設に際するCO2というのがなかなか、土木工事における算出が難しいというような声もありましたので、やはり環境局さんとして、ぜひこのゼロエミッション東京戦略を実現する点から、ぜひ企業への働きかけをお願いしたいと思っております。
 最後に、廃棄物処理について伺います。
 地震では、大量の廃棄物の処理、特に太陽光発電パネルは、破損しても感電の可能性があり、またごみとして処理をするのも大変です。
 都は、太陽光パネルの廃棄処分の在り方を先送りしておりますが、予測していなかった能登半島地震のように、風水害、地震などの災害はいつ起きるか分かりません。
 災害によって大量の太陽光パネルが廃棄物となった場合の安全性の確保の責任の在り方、廃棄物となった場合の処理方法と費用負担の在り方に関して、早急にリサイクル、廃棄物処理の義務化をすべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中島資源循環計画担当部長 都はこれまで、取り外し作業マニュアル等の策定や、リサイクルを喚起する情報提供のほか、リサイクル費用への補助などを行っております。
 なお、太陽光パネルは、廃棄物処理法などにより、リサイクルも含む適正処理を行うことが義務づけられております。

○もり委員 今後、再生可能エネルギーを機軸としていく東京都として、ぜひ推進とともに、リサイクルもセットで拡充をしていきたいと述べまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○漢人委員 私は、本日は、気候変動適応計画、ゼロエミ住宅の基準引上げ、住宅の断熱、省エネ基準の強化、食品ロス、フロン、PFAS、生物多様性地域戦略について質問します。
 まず、気候変動適応計画案についてなんですけれども、広範囲にわたる計画なんですが、今日は熱中症対策に絞って質問します。
 この計画の−−こちらですね、配布されている、こちらの二ページに改定の目的が書かれています。
 この背景として踏まえる動向が三つ挙げられていますが、その一つが、昨年四月の熱中症対策を強化するための改正気候変動適応法の可決、成立です。ところが、その割にはこの改定案での熱中症対策の比重は小さく、大変不十分だといわざるを得ません。
 東京都の熱中症死亡者数は、二〇一九年から二〇二二年の平均で二百四十六人で、同期間の平均の交通事故死者数、百三十八人よりも多いんですね。二倍近い人数です。
 国立環境研究所の予測では、二〇五〇年までに、熱ストレス超過死亡数は、将来期間、RCP、年代によらず、全ての県において二倍以上となることが予測されていると指摘をしています。つまり東京都は、五百人以上への増加が予測されるわけです。
 この改定案では、四二ページのコラム、トピックというところで、ピンクの枠をつけて、このトピックのところで、昨年改正された気候変動適応法では、二〇三〇年までに熱中症による死亡者数を現状から半減することを目指していますと紹介しています。
 国は、改正気候変動適応法に基づいて閣議決定された熱中症対策実行計画でも、二〇三〇年に熱中症による死亡者数を現状の千二百九十五名から半減するという目標を明記しています。そして、この改定案には、二〇三〇年に向けた政策目標として、たくさんの目標値が掲げられています。
 ところが、二〇三〇年熱中症死亡者半減の記載がありません。一体なぜなのか、その理由をまずお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 本計画案では、二〇五〇年の目指すべき姿として、気候変動の影響によるリスクを最小化し、都民の生命、財産を守り、人々や企業から選ばれ続ける都市を実現することを掲げております。
 健康分野においては、熱中症等による健康被害などの気温上昇による健康影響が最小限に抑えられていることを目指しております。
 また、二〇三〇年に向けましては、都政及び都民、事業者の活動において、気候変動の影響を受けるあらゆる分野で、サステーナブルリカバリーの考え方やデジタルトランスフォーメーションの視点も取り入れながら、気候変動による将来の影響を考慮した取組がされていることを目標に掲げ、分野ごとに今後の主な取組をお示ししてございます。

○漢人委員 今のご答弁は、質問をしました、なぜ二〇三〇年熱中症死亡者半減の記載がないのかということにお答えいただいていません。
 二〇三〇年に向けた政策目標は、数えましたが、この中、全体で七十項目ほども掲げられています。改定前の二〇二一年版もほぼ同じですけれども、現状の更新とか若干の増減があるようではありますけれども、健康分野については、前回と全く同じ四項目のままなわけです。今回の三つですよ、三つしかない背景の一つの熱中症対策について、政策目標が追加がないというのは、これは納得できません。
 そこで二点伺いますが、まず、このトピックのところですね、四二ページの。トピックとして、気候変動適応法の改正について掲載し、改正法では、二〇三〇年までに熱中症による死亡者数を現状から半減することを目指していることを記載しています。東京都も、改正法に基づいて、二〇三〇年熱中症死亡者半減を目指すということでよいでしょうか。このトピックで紹介していることは東京都も目指しているということでよいかどうか。
 もう一つ一緒に伺います。
 次に、この資料8、これはこちら、資料8ということでいただいているものがありますが、資料8ということで、この東京都気候変動適応計画の改定について(概要)というのを配られていますけれども、こちらの4のスケジュールのところに、三月下旬、東京都気候変動適応計画改定、公表というふうに記載をされています。
 ということは、本日の委員会での審査を反映する余地はあるということでよいでしょうか。二点お伺いします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 まず、目標の件でございますけれども、本計画案では、健康分野におけます二〇五〇年の目指すべき姿として、熱中症等による健康被害など、気温上昇による健康影響が最小限に抑えられているとしてございます。
 また、二〇三〇年に向けては、都政及び都民、事業者の活動において、気候変動の影響を受けるあらゆる分野で、気候変動による将来の影響を考慮した取組がされていることを目標に掲げており、お話の熱中症対策も含めまして、分野ごとに今後の主な取組をお示ししているところでございます。
 なお、国は、令和四年四月に改定いたしました熱中症対策行動計画において、熱中症による死亡者ゼロに向けて多様な取組を図ることとしておりまして、都としても熱中症死亡者ゼロを目指した取組を推進することとしております。
 また、もう一つのご質問でございますけれども、一月の末に改定案を公表いたしまして、パブリックコメントを実施したところでございます。そういったご意見等々を踏まえまして今月末までに適応計画の改定を行いたいというふうに考えてございます。

○漢人委員 今、どちらもお答えいただいていないんですね。同じのを繰り返して読むのは結構ですから、私は、二〇三〇年、だから二〇三〇年目標って大事ですよね。気候変動でもそうですけど、この計画でも二〇三〇年にどうするかということが書かれているわけですよ。
 その意味で、国では二〇三〇年に熱中症死亡者半減という、CO2と同じですね。二〇五〇年ゼロエミッション、二〇五〇というけど、やっぱり二〇三〇がなきゃ駄目なんだと。はるか先じゃなくて二〇三〇が大事だということで、二〇三〇にカーボンハーフというのを掲げているわけでしょう。
 熱中症についても、二〇五〇年ゼロはこの計画にも書いてありますよ。だけど、やっぱりその途中の二〇三〇年半減ということを国もいっているんだから、東京都も当然それはするんじゃないんですか。関係ないんですか。
 だから、トピックでは紹介しているんだけど、これは、東京都もそれを行うのかどうか。それとも、東京都はその二〇三〇死亡者数半減なんていうことは関係ないということなのか、そこをひとつ伺っています。
 それから、三月下旬に改定、公表するということは、今日の委員会のこの審査というのは反映する余地があるのかないのかを聞いたんです。パブコメしてきたり、いろんなことをしてきて、今日はそういう意味では最後の機会かと思いますよね。いや、とっくにもう準備しているから、今日の委員会審査関係なく改定、公表されるということなのか、そこの二点、ちゃんとお答えください。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 繰り返しになりますけれども、本計画案では、二〇五〇年の目指すべき姿、それから、二〇三〇年に向けた目標を掲げてございます。それに向けまして、その実現に向けまして、分野ごとに主な取組をお示ししているところでございます。お話の熱中症対策も含めて、分野ごとに主な取組をお示ししてございます。
 国が定めました熱中症対策行動計画におきましても、熱中症による死亡者ゼロに向けた取組を進めてございます。都としても、熱中症死亡者ゼロを目指した取組を推進することとしてございます。
 それから、今回の改定案でございますけれども、先ほど申し上げましたように、パブリックコメントを実施したところでございますけれども、都議会にご報告をさせていただきましたご議論を踏まえた上で、最終的に検討案を成案としてまとめてまいります。

○漢人委員 二〇三〇年熱中症死亡者半減については、やっぱり答弁がありませんでした。そういう明確なポイントを示さなかったら目標達成できませんよ。
 それと、後半の方の、今日の審査はどうなのかということについては、ご議論いただいた上でということですから、反映の余地はあるんだというふうに私は受け止めました。ここで、今までこの計画に書いていないことを書くと部長の立場ではいえないかもしれませんけど、ぜひその検討をしていただくことを求めたいと思います。
 もう必須ですよ。熱中症死亡者半減、二〇三〇年、国も掲げているのに、何で東京都がそれをいえないのかというのは不思議です。というか、どこかで漏れたのかなというふうにしか私は思えません。
 それで、改正気候変動適応法に基づいて、昨年五月に熱中症対策実行計画及び気候変動適応計画の一部変更が閣議決定をされています。気候変動適応計画には、新たに第四章、熱中症対策実行計画に関する基本的事項を追加し、熱中症死亡者半減を掲げ、おおむね五年間の熱中症対策の具体的施策を示すと記載されたことを踏まえて、次の質問に進みますが、総務省によれば、二〇二三年、昨年の夏に熱中症で救急搬送されたのは、日本全体で九万一千四百六十七人、東京都は最多の七千三百二十五人でした。
 救急搬送された人のうち約四〇%は屋内で発症しています。さらに、熱中症死亡者の約九割は、死亡者ですよ、今度、発症だけじゃなくて死亡者の約九割は屋内で、エアコンを使っていない割合が八割から九割、エアコンを持っていない割合が二割強です。
 また、高齢者が八割以上、単身者が七割で、高齢単身の低所得者の死亡者が多いということが想定されます。この層に対する具体的な対策はありますでしょうか。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 本計画案では、健康分野の一分野である熱中症対策について、熱中症予防等に関する情報発信や、市区町村の地域の実情に応じた取組を支援することとしております。
 また、発生場所別で最も割合の高い在宅時の熱中症を防止するため、エアコンの適切な使用を促すとともに、窓などの高断熱化や高効率エアコンの導入等、よりエアコンの効果を高めることができる断熱、省エネ性能の高い住宅の普及を促進することとしております。
 なお、都は、既に令和三年度から、身近できめ細やかな対応が可能な市区町村と連携し、使用年数の浅いリユースの省エネ家電への購入等の支援を行っており、来年度も引き続き実施するとともに、より環境性能の高い製品の選択を促すため、東京ゼロエミポイント事業において、買換え時に加え、新規購入時にも支援対象とすることとしてございます。

○漢人委員 今紹介いただいたうちの最後の方の、身近できめ細やかな対応が可能な市区町村と連携し、使用年数の浅いリユースの省エネ家電への購入等の支援というのがありました。これが今、私の質問の趣旨の高齢単身低所得者に対しては非常に重要だと思うんですけれども、この事業の実施自治体と補助率をお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 本事業につきましては、区市町村との連携による地域環境力活性化事業におきまして支援をしてございますけれども、補助率につきましては、事業費の二分の一でございます。
 実施自治体につきましては、今年度の申請分も含めまして、二自治体を想定してございます。

○漢人委員 そうなんですね。とてもよい制度なんですけど、都内には六十自治体あるのに二つの自治体しか実施をしていないんです。それでは十分に効果を発揮できません。なぜ実施する自治体が少ないのか。
 また、この二自治体というのは荒川区と調布市なんですよね。ほかに、練馬区や足立区では独自に、一定の要件を満たした区民に対するエアコン購入ないし設置に対する補助が行われているようです。
 エアコンは今や生存権に関わるほどの重要性を持ちます。今後、気候変動が深刻化すれば、熱波による被害が増えると考えられます。エアコンの設置は適応策として一層強い意義があるわけです。
 そして、必要な要件を確認するためには、個々の住居を訪問する必要がありますから、これは市区町村での制度実施が有効です。高齢低所得者層へのエアコン普及につながるように、先ほどご紹介いただいた制度の検証、それと実施自治体増加に向けた取組を求めるものです。
 また、政府の気候変動計画では、熱中症対策の推進に当たっては、熱中症による救急搬送人員や死亡者の年齢や状況等に関する調査結果、個人の体質や暑熱順化等に応じた暑さへの耐性等を踏まえ、効果的な施策を策定し、関係府省庁や地方公共団体が連携して、一体的に実施することが重要との記載もあります。グリーンな東京としては、エネルギー貧困世帯の調査、そして、それに基づく対策をこれまでも求めてきました。
 気候変動適応法に基づいて、二〇二二年、令和四年に設置された東京都気候変動適応センターが、夏季の都内熱中症救急搬送者数の調査を行っていますね。その結果から、高齢者が多く、所得が低い自治体で熱中症救急搬送者数が多いということは、これ、明らかなんですね。熱中症死亡者半減のためには、もうとにかくここに照準を当てて対策することが有効ということではないでしょうか。
 そこで、気候変動適応計画については最後の質問ですが、改定案には、熱中症死亡者ゼロを目指した庁内横断的な取組を推進しますとありますが、庁内横断的な取組の推進とは具体的にどのようなものでしょうか。熱中症対策としては、これは福祉局との横断的取組が重要だと思いますけれども、これはされていますか。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 気候変動による影響は様々な分野に及び、熱中症対策も含め、その影響に対する適応策も分野ごとに、また分野横断的に検討を実施する必要がございます。
 そのため、全庁的な推進体制の下、関係各局と連携して適応策に取り組むこととしておりまして、本計画案に具体の施策を盛り込んでございます。

○漢人委員 とても抽象的で、計画をつくったことで十分というふうに受け取れるような、今、ご答弁だというふうに私は感じました。
 今回、この二〇三〇年熱中症死亡者半減という目標が入らなかったというのは、これは絶対おかしいですよ。これは、私は、まさに福祉局と環境局との連携不足の象徴じゃないかというふうに思いますので、ぜひ、下旬公表に向けて、もう一回ご検討いただきたい。
 七十もあるんですからね、政策目標が。なのに、今回改定のポイントである熱中症対策について、政策目標が一つもないんですよ。国は掲げている、そしてトピックで紹介もしているのに、東京都としての目標にはしていないというのは、これは絶対おかしいですので、再検討、お願いをして、この質問を終わりたいと思います。
 次は、東京ゼロエミ住宅です。
 まず、より高い断熱、省エネの基準をということでお伺いいたします。
 東京ゼロエミ住宅普及促進事業として、断熱、省エネの基準引上げ、補助額の増加が予定をされています。この点は、気候変動対策の強化として評価すべきことです。
 しかし、強化された基準でも、国の断熱等級七に当たるUA値〇・二六の基準は設けられていません。東京都とおおむね同じ地域区分に該当する鳥取県では、UA値〇・二三の基準が設けられています。
 そして、東京ゼロエミ住宅における最も高い水準である水準三に申請した住宅の五%は、既にUA値〇・二六以上です。したがって、高い水準に対する需要は十分にあると考えられます。
 また、断熱、省エネ性能の高い住宅は、健康への好影響、費用回収による経済合理性など、そういったメリットが大きく、高い断熱、省エネ性能を持つ住宅を補助することは、長期的な住宅の在り方を示すことにもなるというふうに考えます。
 ということで、現状の三つの基準に加えて、さらに上のUA値〇・二六以上の断熱に当たる基準を設けるべきではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。

○木村建築物担当部長 東京ゼロエミ住宅で新設する最上位の水準の断熱性能につきましては、実現可能性も考慮し、現在の東京ゼロエミ住宅の上位一割程度が達成しているレベルで設定いたしました。
 こうした断熱性能は、国内最高レベルとして設定した省エネ性能と併せて、検討会において、現時点の東京ゼロエミ住宅に求める最高水準として妥当であると評価いただいております。

○漢人委員 実現可能性を考えて、一割程度が達成しているということなんですけれども、さっきいったように五%。だから、五%じゃ駄目で、一〇%達成しないと駄目というようなご答弁なんですけれども、ご紹介した鳥取県でも、また、鳥取県と同様に高性能住宅を増やそうとしている横浜市でも、対応できる工務店が増えるように講習会を行うなど、普及策を講じて成果を上げているということです。
 その達成実現可能性というのは、待つのではなくて、積極的につくるものだと思うんですね。より高い水準を設けることに消極的になる理由はないじゃないですか。
 鳥取県や横浜市でできることがなぜ東京都ではできないのかということになります。早急な断熱水準の見直しとアップを求めます。
 次の質問ですが、住宅の断熱及び省エネ性能基準の義務を強化すべきという提案です。
 建築物の省エネについては、建築物環境計画書制度、建築物環境報告書制度、それらと関連した制度が主たるものとなっていまして、書類の提出の義務づけ、情報公開などの情報的手段、そして各種補助金などの経済的手段が設けられています。また、二〇二五年四月からは、国のトップランナー制度と同等の断熱及び省エネ性能基準への適合義務が設けられます。
 しかし、日本全体で二〇二一年の新築戸建て注文住宅でのZEHの割合は二六・八%、新築戸建て建て売り住宅でのZEHの割合は二・六%と、住宅の省エネ化は十分に進んでいませんから、全体的な政策の強化が求められます。
 また、都は、二〇三〇年までにCO2排出量の五〇%削減を目指していますから、この達成のためには、CO2排出量全体の約三割を占める家庭部門での取組が重要です。皆さんもおっしゃっているとおりです。
 なお、繰り返しますけれども、断熱、省エネ性能の高い住宅は、健康への好影響、費用回収による経済合理性などメリットが多く、技術的に可能であれば、なるべく断熱、省エネ性能の高い住宅を増やすべきだというふうに考えます。
 よって、義務化される住宅の断熱及び省エネ性能基準を引き上げるべきではないでしょうか。見解をお伺いします。

○木村建築物担当部長 都は、住宅の断熱、省エネに関し、国の義務基準以上の性能を義務づけるとともに、さらなる性能向上を促すため、国の義務基準を大きく上回る誘導基準を設けております。この制度を着実に運用することで、家庭部門のCO2削減につなげてまいります。

○漢人委員 国全体では、二〇五〇年に住宅建築物のストック平均でのZEH、ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指しています。そもそもこの目標自体が、もう世界水準からすると相当に低いわけですね。
 住宅が十数年は利用されることも考えれば、なるべく早い時期に、全ての新築住宅が少なくともZEH基準を満たさなければなりません。そのため、ZEH基準を下回る現在の基準では、家庭部門での十分なCO2削減はできません。目標との整合性のある施策を求めます。
 次の質問ですが、乗用の燃料電池車、FCVへの補助についてお伺いします。
 乗用車について、電気自動車、EV及びプラグインハイブリッドカー、PHVの補助金四十五万円に対し、燃料電池車、FCVへの補助金は百十万円と高額です。
 水素の活用は、再エネを用いた電力では担い切れない分野において、一定の必要性がありますし、電気自動車は長距離移動等を苦手とするため、特定の種類の自動車に対して燃料電池を用いることは合理性があるというふうに考えます。
 しかし、乗用車については、電気自動車の高性能化を待てば足りるのではないでしょうか。まだ開発途上であり、高額な燃料電池車の購入を支援する必要性はありません。
 グリーン水素は再エネ電力を用いてつくられるため、エネルギー効率は明らかに再エネに劣ります。また、同じ分野で電力と水素の両方を活用すると、両方のインフラが混在することになりますから、コストや利用しやすさの面でも問題があります。
 このような困難にもかかわらず、乗用の燃料電池車に対して多額の補助を行う理由についてお伺いします。

○荒田気候変動対策部長 ZEV車両には、それぞれ異なる特徴がございまして、燃料電池自動車は、充填時間が短く、走行距離が長いなどのメリットがございます。
 引き続き、ZEV購入支援を実施し、燃料電池自動車等の技術革新や、多様化する消費者ニーズに応じた車種の普及拡大を推進してまいります。

○漢人委員 そういう答えなんですけれども、燃料電池車は、充填時間が短く、走行距離が長いなどのメリットがあるとの答弁ですけれども、そのメリットが先ほど述べたようなデメリットを上回っているということが説明されなければ、高額補助を行う理由としては全く納得できません。
 また、多様化する消費者ニーズに応えるとのことですが、この事業の目的は、ゼロエミッションであり、まずは二〇三〇年カーボンハーフなんですね。燃料電池自動車の購入を補助するよりも、その二倍以上の電気自動車を普及拡大させる方がどう考えても合理的で有効だというふうに思います。
 都の水素重視には大いに疑問がありますが、その中でも、この環境局に残ったこの乗用の燃料電池車への補助は最も非合理的であると指摘をいたします。
 次の質問に行きます。食品ロスの削減についてです。
 食料生産、流通、加工、消費過程を含めた温室効果ガス排出量は、温室効果ガスの三分の一を占めると指摘をされていますから、食品ロスを削減することは、気候対策としても極めて重要な課題です。
 まず、削減目標について伺います。
 二〇一五年のSDGsでは、二〇三〇年までに、小売消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減という目標が表明されています。ところが、都の二〇一五年度の食品ロスのデータはないんですね。二〇一七年度は五十一万トンです。
 全国の食品ロスは、二〇一五年度六百四十六万トン、二〇一七年度六百十二万トンで、五%削減しているので、これを当てはめて算出をしますと、都の二〇一五年度の食品ロスは約五十三万トンと想定をされます。
 したがって、SDGsの目標である二〇一五年比半減を実現するためには、約五十三万トンの二分の一の約二十六万トンを削減しなければなりません。
 しかし、東京都の削減計画では、基準年を二〇〇〇年度とし、その年の食品ロス七十六万トンの半減である三十八万トンへの削減を目標としています。これは、二〇五〇年度比に換算すると二八%の削減にとどまります。SDGsの目標である五〇%削減の半分程度でしかありません。
 削減目標を引き上げるべきだと考えますが、いかがですか。

○中島資源循環計画担当部長 二〇〇〇年は、食品リサイクル法の成立年であり、国は法に基づく基本方針及び第四次循環型社会形成推進基本計画において、基準年を二〇〇〇年度に設定しております。
 都は、こうした基準年や目標値の考え方を踏まえ、目標を設定しております。

○漢人委員 都は、国とは違う積極的な取組をしているわけですよね。国の方針とは別に、都独自で目標を引き上げるという考えはないのですか。

○中島資源循環計画担当部長 繰り返しになりますが、法に基づく基本方針や、第四次循環型社会形成推進基本計画の考え方を踏まえ、都は、二〇〇〇年度を基準年とした二〇三〇年の食品ロス半減の目標を掲げるとともに、さらには、二〇五〇年の食品ロス実質ゼロを目指してまいります。

○漢人委員 残念ですね。
 実は、都は二〇二〇年度、二〇二一年度に、既に半減目標を達成しているんですね。このことからも、さらに高い目標を設定すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中島資源循環計画担当部長 二〇〇〇年度、二〇二一年度の大幅な食品ロス削減は、都内食品ロスの約四割を占める外食産業が新型コロナウイルス感染症対策による休業や、時短営業等の影響を受けたことが考えられ、令和五年五月の五類移行後の社会経済活動の活性化の動向も注視する必要がございます。
 都は引き続き、二〇三〇年食品ロス半減とともに、二〇五〇年の食品ロス実質ゼロを目指してまいります。

○漢人委員 二〇五〇年実質ゼロを目指すから同じということではないと思います。その実現のためには、適切な中間目標の設定とその達成が必須です。
 SDGsの目標に合わせて、二〇三〇年に二〇一五年度比半減を目標とすることを求めて、次の質問に進みます。
 次は、食品廃棄の禁止とフードバンクへの寄附の義務づけについて伺います。
 フランスなど海外では、一定規模以上のスーパーに食品廃棄を禁止し、フードバンクなどへの寄附を義務づけています。
 都は、フードバンクへの寄附を推奨し、事例も紹介していますが、さらに進めて、条例で義務づけることを提案します。
 法的な整備がないために困難との答弁が想定されますが、そうだとしたら、国への要望を行いませんか。昨年の国への提案では、フードバンク等を活用し、発生した食品ロスの寄贈や再流通を促進することと記載されていますが、促進するためには義務化が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○中島資源循環計画担当部長 食品寄贈の促進に向け、国は、昨年十二月に策定した食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージにおいて、来年度新たに食品寄附に関するガイドラインを策定し、その定着を図ることとしております。
 また、提供した食品により食中毒やアレルギーが生じた際の救済制度にも配慮した法的責任の在り方についても検討していくこととしております。
 都は引き続き、都や自治体の防災備蓄食品をフードバンクに寄贈するマッチングシステムの運用や、食品スーパーがフードバンク等に食品寄贈する際の輸送費支援などにより、寄贈拡大による食品ロス削減を推進してまいります。

○漢人委員 義務化しないかという質問なんですけれども、それに関する答弁、それに触れた答弁はないということで、残念です。
 次に、外食産業での食べ残しの持ち帰り、ドギーバッグについて伺います。
 食品ロスに占める外食産業の割合は、全国では約一六%ですが、都は四割近くもあり、外食産業の食品ロスを削減することが極めて重要な課題となっています。
 海外では、レストランなどの外食事業者にドギーバッグを義務づけ、食べ残しの持ち帰りを促進しています。
 自己責任で持ち帰ることを促進するために、事業者にドギーバッグの備えと、持ち帰りを推奨するシールを店舗に貼り出すことを義務づけたらいかがでしょうか。お伺いします。

○中島資源循環計画担当部長 外食時の食べ残しの持ち帰り促進に向け、国は、昨年十二月に策定した食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージにおいて、来年度新たに、食べ残し持ち帰りガイドラインを策定することとしております。
 同ガイドラインでは、消費者の自己責任を前提としつつ、協力する飲食店等が民事上、食品衛生上、留意すべき事項を規定し、外食事業者及び消費者双方の持ち帰りに対する意識の変化や行動変容につなげることとしております。
 都は引き続き、食品ロス削減に向けたPR動画や小冊子等で、飲食店に持ち帰りが可能か確認した上でのドギーバッグの活用を促すほか、地域の飲食店と連携して持ち帰り促進に取り組む自治体を財政支援してまいります。

○漢人委員 国も食べ残しの持ち帰りは推奨する方向なんですね。都は、ドギーバッグの活用を促すとのことです。
 ドギーバッグを備え、持ち帰り推奨のシールが店舗に貼り出されていれば、これ、確実に食べ残しの持ち帰りの促進につながりますよ。事業者にとっても生ごみの廃棄量が減ることになり、大きなメリットになります。ぜひこの義務づけの検討を求めておきます。
 次に、フロン対策について伺います。
 全国のフロン排出量は、温室効果ガスの四・六%ですが、東京都は一〇%と突出して高く、都としての排出削減の重要性は極めて高いといえます。
 また、二〇二一年の東京都の温室効果ガスは、二〇〇〇年比で二・三%、エネルギー起源排出量が六百一万トン削減されていますが、フロンは五百三十四万トン増加しており、CO2排出量の削減をほとんど帳消しにしてしまっています。このようなフロン削減対策の重要性を踏まえて質問します。
 まず、政府は、キガリ議定書の、先進国は二〇二九年までにフロン生産量、消費量の七〇%削減を目指しています。生産、消費量の削減のために、政府に何が求められていると考えますか。お伺いします。

○戸井崎環境改善部長 国は、モントリオール議定書キガリ改正に基づきまして、フロン類の生産や消費量の削減のため、適切な施策を行っております。

○漢人委員 何が求められているかと質問したんですが、それに対する答弁はありませんでしたけど、国は適切な施策を実施しているというふうに認識している、そういう見解が確認できました。
 では、次の質問ですが、海外でも導入されているフロン税の導入による生産、消費量の抑制が必要だと考えますが、これについてはいかがですか。

○戸井崎環境改善部長 国では、生産や消費量の抑制を図るため、様々な施策の一つとして、フロン税の導入を含めた経済的手法を検討しているというふうに聞いております。
 都は引き続き、国の動向を注視してまいります。

○漢人委員 東京都は国に対して、CO2排出削減のために実効性のあるカーボンプライシングを要請していますよね。同様に、国に対してフロン税の導入、フロンプライシングを提案してはどうかと思うんですね。
 注視しているだけじゃなくて、積極的に提案をしてはどうでしょうか。いかがですか。

○戸井崎環境改善部長 繰り返しのご答弁となってしまいますが、国では、生産や消費量の抑制を図るため、様々な施策の一つとして、フロン税の導入を含めた経済的手法も既に検討していると聞いております。
 都は引き続き、国の動向を注視してまいります。

○漢人委員 残念ながら繰り返しの答弁でした。
 都としては、フロン税については国の動向を注視するのみで、独自の見解を持たないということのようで、とても残念です。
 政府は、二〇二一年の地球温暖化対策計画で、二〇三〇年のフロン排出量を二〇一三年比で五五%の削減としています。しかし、二〇二一年には七〇・六%も増加をしています。都の二〇三〇年目標は、環境基本計画に二〇一四年比で六五%削減とあり、二〇二一年比では七八%という大変高い削減目標となっています。
 目標が高いことは歓迎しますけれども、実効性には疑問があります。前年比で毎年一〇%以上の削減が必要になるんですね。二〇二〇年と二〇二一年では横ばい状態というのが、でも、一方の現実です。
 あと六年で二〇一四年比六五%、百三十八万トンへの削減は可能なのか、見解をお伺いします。

○戸井崎環境改善部長 都では、二〇三〇年のフロン排出量削減目標を達成するため、フロン機器における使用時漏えいの削減や、廃棄時の適正な回収に向けて、事業者指導等、各種対策を着実に実施してまいります。

○漢人委員 削減目標達成は可能かという質問をしたんですけど、またそれに対する答弁はなくて、各種対策を着実に実施ということでした。
 じゃあ、新たな実効性のある対策というのはあるのでしょうか。

○戸井崎環境改善部長 繰り返しのご答弁になりますが、使用時漏えいの削減や廃棄時の適正な回収に向けて、事業者指導等の各種対策をより一層充実して、着実に実施してまいります。

○漢人委員 そう、繰り返しですね。新たな実効性のある対策はないということですね。つまりね、いえないんですね。
 では、フロン税などの方法でフロンの価格を高くして、ノンフロン冷媒を相対的に安くすることで、ノンフロン冷媒の普及を促進してはどうでしょうか。提案します。
 また、ノンフロン冷媒の普及率は現在どれほどなのかお伺いいたします。

○戸井崎環境改善部長 都は、ノンフロン機器への転換に向けて、省エネ型ノンフロン機器普及促進事業により、導入の促進を図っております。
 国によりますと、家庭用冷蔵庫、自動販売機等については、ノンフロン冷媒への代替が進んでいる一方、エアコンや業務用の大型、中型冷蔵庫は、ノンフロン製品の普及が進んでいないという状況を聞いております。

○漢人委員 フロン税についてはコメントがありませんでした。
 そして、最初の質問への答弁で、国は適切な施策を実施しているという見解を持っていると、そういうご答弁あったんですけど、今の答弁ですと、エアコンや業務用の大型、中型冷蔵庫のノンフロン製品の普及は、これ、国がすることですが、進んでいないんですよね。だから、適切にやっている、施策を実施しているとはいえないんじゃないですかね。
 都は、二〇三〇年目標の百三十八万トンまで、六年間毎年一〇%削減していかなければならないのに、その実現のめどが全く見えないという大変残念なことになってしまいました。
 早急なフロン税の導入が必要ではないでしょうか。都からも国に要望するべきです。強くお願いをしておきます。
 次に、有機フッ素化合物、PFAS汚染対策について伺います。
 PFASを含む泡消火薬剤やその汚染水の横田米軍基地での大量の漏えいや保管が明らかになり、また市民団体と研究者の調査でも汚染の深刻さが確認をされています。
 そして、昨年十二月には、世界保健機構、WHO傘下の国際がん研究機関、IARCが、PFOAについて、人に対して発がん性があると評価をしました。
 都は来年度、PFOS及びPFOAの地下水汚染調査を拡充し、新たに区市町村と連携したPFOS等地下水調査促進事業と、PFOS等泡消火薬剤の転換促進事業を行う予算を提案しています。
 そこで、地下水調査に関する区市町村との連携についてのみ質問いたします。
 PFOS及びPFOAの地下水汚染調査は、都内二百六十か所での測定とのことですが、その測定井戸の選定や確定はいつ、どのように行うのでしょうか。

○宗野環境改善技術担当部長 都内全域二百六十か所の調査につきましては、いずれの調査地点も各自治体の意見を聞きながら適切に選定し、計画的に調査を行ってまいります。

○漢人委員 続いて伺いますが、区市町村と連携したPFOS等地下水調査の追加調査について三点伺います。
 まず、予算額と測定箇所数、補助率。次に、区市町村への事業説明と実施のスケジュール。最後に、調査箇所の選定、確定の基準や方法など。
 以上です。お願いします。

○宗野環境改善技術担当部長 まず、予算額、測定箇所、補助率でございますけれども、区市町村と連携したPFOS等地下水調査促進事業の予算額は約一千万円でございまして、都の追加調査を補完する調査を実施する区市町村に対しまして、費用の三分の二を負担いたします。
 この調査は、地域の状況を踏まえ、区市町村との調整が整った地点で実施することとしておりまして、おおむね九十地点分を見込んでおります。
 次に、区市町村への事業説明等についてでございますが、都は、区市町村との定例的な会議等を通じまして、区市町村と連携したPFOS等地下水調査促進事業の周知を図り、計画的に調査を行ってまいります。
 最後に、調査箇所の選定等についてでございますけれども、都が行う追加調査を補完する区市町村が行う調査につきましては、地域の状況を踏まえまして、地点選定の調整が整った区市町村において実施するということにしております。

○漢人委員 二百六十か所調査も、それからおおむね九十地点となる追加調査も、区市町村、各自治体の声を聞き、連携して取り組むとのことです。大変歓迎したいと思います。
 しかし、残念ながら、自治体の側にはまだちゅうちょが大分あるようです。都が調査の継続、拡大の方針を打ち出し、自治体に協力を求めるということは、メッセージとしてもとても重要だというふうに考えます。
 今月七日に締め切られた食品安全委員会のPFASの許容摂取量に対するパブリックコメントには、かなりの数の意見が寄せられたようです。アメリカの環境保護庁、EPAの暫定案と比べて最大で六百六十六倍、欧州食品安全機関、EFSAの六十倍という、規制強化へ向かう世界の流れに逆行するかのような内容でしたから、これは当然だというふうに思います。
 そして、このとんでもない許容摂取量案がパブコメを受けて変わるのか、変わらないのかが今注目をされているところです。この結果にかかわらず、都は、世界的な規制強化の流れをしっかりと見据えて対応することを求めて、この質問は終わります。
 最後ですね。生物多様性地域戦略についてお伺いします。
 東京都生物多様性地域戦略は、昨年四月に策定されましたが、東京都生物多様性地域戦略アクションプランの更新を通じた、PDCAサイクルによる継続的な改善により取組を推進していくこととなっています。
 昨年四月に策定された現在のアクションプランのチェック、検証、そしてアクト、見直しはどこで、どのように行われ、そして、次の新しいアクションプランのプラン、計画へとつながるのかお伺いします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 生物多様性地域戦略アクションプランについては、今後検証するために、自然環境保全審議会計画部会に報告し、意見をいただくこととしております。
 審議会からの意見について、生物多様性地域戦略庁内推進会議で共有し、必要に応じて見直しを行い、次期アクションプランを策定することとしております。

○漢人委員 アクションプランの進捗状況は、毎年度ホームページで公表するということになっています。
 次期アクションプラン策定に関する自然環境保全審議会計画部会、そして生物多様性地域戦略庁内推進会議の開催予定と、次期アクションプランの公表時期はいつになるのかお伺いします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 アクションプランは、毎年度の進捗状況などを示すものであり、次期アクションプランについては、来年度、自然環境保全審議会計画部会、生物多様性地域戦略庁内推進会議に報告し、公表してまいります。

○漢人委員 お伺いしますね。今、公表時期はいつかというふうに伺ったんですが、答弁は来年度という、これ、来年度というのは、二〇二四年四月、もうすぐ四月ですけど、そこから一年後の二〇二五年三月まで一年間あるんですよ。
 二〇二四年から三年間の次期アクションプランを今つくろうとしているのに、その公表がまさか来年の、一年後の次期二〇二五年三月ということはないと思いますが、二〇二四年度のおおよそいつになるのか。普通だったら、私は、もう速やかに四月、五月あたりには、会議をやって発表するべきだと思いますけれども、例えば夏ぐらいまでとか、上半期とか、ちょっとこの来年度というあまりにも大ざっぱな答弁じゃ、これは、えー、いつできるか分からないじゃないということになりますので、もう少し絞ったご答弁いただけませんか。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 次期アクションプランについては、来年度、自然環境保全審議会計画部会、生物多様性地域戦略庁内推進会議に報告し、公表してまいります。

○漢人委員 時間いっぱいまで同じことを繰り返しても無駄だと思うので、もう来年度としかいえないということのようですけど、これ、本当残念ですよね。昨年度の最初に、四月にできて、初めての次期のアクションプランのこの改定というか、作業になるので、そういう意味では初めてですから、あんまり期限を区切らず、しっかりやりたいというところは分からなくはないです。
 だけど、やっぱり早い時期にやらなければ、来年からのその取組についてちゃんと進まないと思いますので、極力早急に審議会計画部会、そして庁内推進会議、開催して、ホームページにも進捗状況を公表するということを強く求めておきたいと思います。
 生物多様性条約と気候変動枠組条約は、これ、一九九二年の地球サミットで同時に署名された双子の条約というふうにいわれているんですね。気候危機の一層の深刻化と同時進行で生物多様性の損失が人類の大きな脅威となっていると、これ、生物多様性地域戦略では、その冒頭に記載されています。
 ところが、残念ながら、この間の私の印象では、庁内ではそのような認識が十分に共有されていないというふうに感じます。自然環境保全審議会におけるアクションプランの進捗状況の審議においては、単に個別事業のアクションプランで掲げられている一つ一つの事業の検証にとどまらないで、地域戦略が果たすべき総合的な役割についても再確認をするような形で、ぜひ審議会の皆さんと検討していただきたい。
 地域戦略ができて一年たったけれども、様々な東京都の施策について、私は総合的に反映されていくというか、認識されていかなきゃいけないと思うんだけど、そうはなっていないというふうに、すごく私は感じています。
 担当の環境局の皆さん、特に自然環境部の皆さん、どう思われているのか分からないんですが、その辺をしっかり審議会の皆さんと検証していただくことを強くお願いしておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○増子委員 私からは、集合住宅のEV、十一月の続きというか、今日まで環境局さんとしてどういう取組をしていただいたかということについて、少し質疑をさせていただきたいと思います。
 都は、ZEVの普及に取り組んでいますけれども、EVが当たり前になるような、そういう時代に、機械式駐車場に駐車することができるのか、そういう懸念を持っていました。
 以前にもお話ししましたけれども、昨今のZEV、バッテリーEVにせよ、FCEVにせよ、今の現行型というのは大体二トンぐらいはあるという、二千キロ級の車がほとんどという中で、一方で、じゃあ、それが止められるのかということで、あくまで私の近隣の、いろいろ駐車場をそのときに調べてみたら、大体千六百キロぐらいから二千三百キロぐらいまでの幅があって、その中で立体駐車場とかマンションの駐車場なんかは駐車しているというようなことが、その範囲の中だけですけれども、分かったので、これは大丈夫かなということも思って、昨年の十一月に、事務事業質疑において、重量化あるいは大型化する、そういったEVに対して、集合住宅の機械式駐車場の対応を、どのように対応しているのかということについて質疑をさせていただいたと思います。
 局の方でもいろいろ調べていただいたり、あるいは関係のメーカーさんにヒアリングをしていただいたりして、新築の集合住宅などですと、大方のEVが駐車できるということがご答弁でも分かりましたし、一方で、古い集合住宅の機械式駐車場だと、やはり重量制限などして、EVということであれば小型のものにどうしても限られてしまうということも分かりました。
 ただ、いろいろそれこそメーカーさんへの多分聞き取りだと思うんですけど、例えば平置きの駐車場みたいな形に転換をするとか、あるいは重量化に対応をするようにパレットを改修、パレットというのは車両を載せる台のことですね。パレットを改修したり、あるいは新しい機種に変更したりするということの中で、大方のEVを機械式駐車場にも止めることができるだろうということも分かりました。
 私自身もそのときに申し上げましたけれども、メーカーさんにもその実態どんなことになっているのかというのをお伺いしたときに、現在は、耐荷重でいうと二千七百七十キロというのが最大で、そこまで置けるようなパーキングシステムを用意していて、実際に提供もしていらっしゃるということもお伺いしましたし、そういったEV対応の様々な技術、充電の設備も含めて、技術開発もしていらっしゃるということもお聞きしました。
 それなんで、旧式の特に機械式駐車場について、EV対応のためにリニューアルを推進していくという必要があると思っていまして、そのために、メーカーさんとか関係のいろんなところと協力あるいは連携をしていく必要があるなというふうに思っていました。
 都は、令和四年の九月に、このEV充電設備の普及促進ということを目標に、連携協議会を創設しました。特に、その連携協議会の中に、機械式駐車場メーカーがどのような形で参加をしているか、その参加状況について、まず伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 連携協議会は、充電事業者や自動車販売会社、マンション関連業界団体など、創設当初、二十三の企業、団体で設立し、現在では五十三にまで拡大してございます。
 機械式駐車場につきましては、都も課題認識を持ってございまして、メーカーに働きかけたところ、新たに業界大手も加わり、機械式駐車場メーカーは合計五社になってございます。

○増子委員 早速働きかけをしていただいたということで、ありがとうございますというのも変だけれども、五社になったということで、だんだんそういう体制も整っていくのかなというふうに思います。
 都が集合住宅の機械式駐車場の課題をしっかり認識していただいて、機械式駐車場メーカーなどと連携強化に取り組んでいくということが分かりました。
 次に、その連携強化の方法というか、具体的な取組なんですけれども、昨年の十一月の事務事業質疑のときにも、都からは、機械式駐車場におけるその運用状況など、実態あるいは課題について調査して把握するというようなお話があったと思いますけれども、実態調査をされたのであれば、その内容や結果についてお知らせいただきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 機械式駐車場メーカーの知見もいただきまして、アンケート票を作成し、集合住宅の管理組合に調査を実施したところ、約百件の回答がございました。
 一九九〇年代から二〇〇〇年代に設置されたものが多く、約八割が更新時期を迎えている中、大型車への対応や空き区画の解消が課題となっていること、また、EV充電設備につきましては、約四割が設置の可否を課題に掲げており、関心があることが分かりました。
 こうしたことから、更新時期を捉え、管理組合が機を逸することなく、将来のEV普及を見据えて、リニューアル等や充電設備設置の検討が必要なことが確認できました。

○増子委員 ありがとうございます。今お聞きしたら、その調査の結果から、一九九〇年代から二〇〇〇年代に設置されたものが多くて、八割が更新時期を迎えているというふうにお聞きをしました。それで、大型車への対応ですとか、空き区画の解消などが、やっぱり空いているんですよね、非常に課題だということで、分かりました。
 私が心配していることも、やっぱりある程度あるなということがよく分かりましたので、今回実施していただいたそういった調査結果から、都内の集合住宅では、旧式の機械式駐車場の課題も多くて、また更新時期を迎えているところもたくさんあるということですから、今後、そのEVに対応するために、耐荷重とか、あと、幅も含めた大きさですけれども、大型化するというようなことのリニューアル等を進めていかなくてはならないと。置くところがなくなっちゃいますので。
 そこで都は、こうした実態を踏まえて、機械式駐車場のリニューアルの実績を持つ事業者などとも連携して、管理組合の検討が進むように、きめの細かいサポートを行っていくべきだと思いますけれども、今後の取組についてお伺いをしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 都は、既に十二月と二月に開催したセミナーで、既存の機械式駐車場におけるEVの対応状況と対処方法について周知いたしました。
 また、今月二十日の個別相談会では、機械式駐車場メーカーとも連携して、管理組合の相談にも対応いたします。
 さらに、来年度は、EV対応のリニューアル事例を収集し、マンション充電設備に特化したポータルサイトやセミナーなどの様々な広報ツールを通じて情報発信をしてまいります。
 これらの周知に加え、マンション充電設備普及促進事業におきましては、専門事業者が行う現地調査経費補助の対象に充電設備設置が伴う機械式駐車場リニューアルを追加いたします。
 これらの取組を通じて、重量化や充電設備設置などの集合住宅のEV対応を加速してまいります。

○増子委員 ありがとうございます。三月二十日に個別、もうあさってですね、これ。展開が早いですね。個別相談会を行われるということで、様々なきめの細かいサポートも進みつつあるなというのも今実感をさせていただきましたし、この機械式駐車場のリニューアルを現地調査経費の補助の対象にするということで、予算的な措置も早速行って、これに取り組んでいくということが分かりました。
 集合住宅の旧式の機械式駐車場のリニューアル等が進むように、ぜひ機械式駐車場メーカーとも連携して、管理組合のサポートに取り組んでいただきたいと思っておりますし、今後も、そういった都内の、今回回答いただいたところだけじゃなくて、これからも多くの集合住宅にそういう局面が必ず来ると思うので、都内の集合住宅の機械式駐車場における実態を、これからも把握を続けていただいて、そういった管理組合のそれぞれのニーズを踏まえた支援をぜひ検討していただきたいということをお願いさせていただきまして、私の質問といたします。終わります。

○小宮委員 資源循環施策について質問します。
 私たちの暮らしとごみ、廃棄物は切っても切れない関係にあります。東京都においては、かつて、当時の知事がごみ戦争を宣言するほどに、大変ごみがあふれた時代がありましたが、今では家庭から排出される一般廃棄物は大きく減少してきました。
 一方で、最終処分場の延命化に加えまして、資源の循環利用などの観点からも、今後、より一層の三つのR、3R推進が重要と考えております。
 そこでまず、都における一般廃棄物排出量の現状と今後の取組について伺います。

○志村資源循環推進部長 都における一般廃棄物排出量は、人口が増加する中にあっても減少傾向にあり、平成十年代半ばの約五百五十万トンから、令和三年度には約四百二十万トンまで、約二四%減少しており、一人一日当たり排出量は、同じ期間で約三〇%の減少となっております。
 都は、環境基本計画において、エネルギーの脱炭素化と持続可能な資源利用によるゼロエミッションの実現を戦略の一つとしており、二〇三〇年目標として、家庭と大規模オフィスからのプラスチック焼却量を二〇一七年度比で四〇%削減、食品ロス発生量を二〇〇〇年度比で半減等の目標を掲げております。
 こうした目標の達成に向け、区市町村によるプラスチックの再資源化支援、先進技術を活用した食品ロスの削減、AIやICT技術を活用した廃棄物処理の高度化等に取り組んでいるところでございます。

○小宮委員 一般廃棄物の中でも、プラスチックの焼却量削減や食品ロスの削減は、気候変動対策にもつながる重要な取組ですので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 このうちプラスチックについては、答弁にもあった自治体向けの支援策と、自治体の努力、そして何より都民の皆様のご協力により、家庭から排出されるものについてはリサイクルの取組が大きく進んでいると聞いています。
 一方、オフィスからの廃プラスチックは、リサイクルルートが確立していないということもありまして、現状、ほとんどが焼却をされているということです。オフィスから排出されるプラスチックは産業廃棄物ですけれども、区市町村によってその処理の基準はまちまちであるということもあり、東京都はしっかりと対策を講じる必要があると考えますが、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 都は今年度、大手ディベロッパーやリサイクル事業者等と連携し、オフィスから排出されるプラスチックを実際に回収し、リサイクルを行う実証事業を実施し、適切に分別がなされれば、マテリアルリサイクルが可能であることを確認しました。
 そこで、来年度から実施するサーキュラーエコノミーへの移行推進事業では、メニューの一つとして、ビル単位等でプラスチックのマテリアルリサイクルに取り組む際に、焼却処分に要する経費との差額の二分の一を支援いたします。
 本事業ではこのほか、リユース容器の導入等も支援対象としており、こうした取組により、先導的な民間事業者の取組を後押しすることで、プラスチックの焼却量削減目標の達成を目指してまいります。

○小宮委員 現状では、リサイクル事業者が少なく、民間事業者がマテリアルリサイクルに取り組むハードルも高いと聞いておりますので、東京都として、財政面はもちろん、技術面でもしっかり支援をしていただけたらと思います。
 次に、食品廃棄物のリサイクルについて伺います。
 杉並区では昨年、大手外食チェーンと連携した食品廃棄物対策事業に、区内の六十一の飲食店が参加しまして、お客様の希望に応じて、食べ残しを持ち帰る取組などを促進し、飲食店からの食品ロスの削減を図ろうと取り組んでいるところなんですが、飲食店で持ち帰りにやはり適さないものというのはどうしてもありまして、生ものであったり魚の骨、野菜の皮などについては、腐敗によるガスの発生や、悪臭、害虫等の発生を防ぐというために、衛生的に処理する必要がありまして、清掃工場で焼却される、実にその焼却量の約二割がそうした生ごみ、いわゆる食品廃棄物が占めております。
 こうしたごみというのは貴重なバイオマスでありまして、焼却をせず、都内の食品リサイクル施設で飼料や肥料の原料や、メタンガス発電に利用していくべきと考えます。
 東京都では、二〇三〇年度に一般廃棄物のリサイクル率を三七%にするということを目標に掲げておりますけれども、そのうちの、都は、この目標に含まれる家庭や飲食店等の食品廃棄物のリサイクルについてどのように取り組み、今後取り組んでいくのかということ、見解を伺います。

○中島資源循環計画担当部長 一般廃棄物のリサイクル率の向上に向けて、家庭や飲食店等から排出される食品廃棄物を飼料やバイオガス発電の原料などとして有効利用していくことは効果的でございます。都は、こうした先進的な食品リサイクルを行う施設の整備を、スーパーエコタウン事業として後押ししてまいりました。
 今年度は、外食チェーン店で発生した食品廃棄物を飼料化施設へ搬出し、その飼料で育てた鳥の卵を料理として提供する取組を支援するなど、外食産業、リサイクラー、畜産農家などによる食品ループの構築を後押ししております。
 また、学校給食の調理で発生した生ごみなどをリサイクル施設で堆肥化し、学校の園芸用として利用するなどの、自治体でのリサイクルの取組を支援しております。
 来年度は、食品小売店向けの新たな総合支援対策において、売れ残り食品などのリサイクルも補助対象とするなど、食品リサイクルの取組を強化し、一般廃棄物のリサイクル率を高めてまいります。

○小宮委員 家庭や事業所からのプラスチックや食品廃棄物のリサイクルに取り組んでいく民間や区市町村の取組を推進していくということは分かりましたけれども、こうした取組の重要性を都民が理解をして行動に移していくことが重要です。
 家庭でのごみの分別は、自治体ごとにルールが決まっており、資源として分別されたものを自治体が回収してリサイクルを進めています。リサイクルに適した分別を進めていくためには、実際に分別を行ってくださる都民の納得した行動が欠かせないと思います。
 そこで、広域行政を担う東京都には、都民に対してリサイクルに向けた分別行動につながる普及啓発を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○中島資源循環計画担当部長 持続可能な資源利用の実現には、都民などがリサイクルの重要性を認識し、ごみの分別に取り組むことが重要であり、都はこれまで、3Rの取組などについて広く情報発信を行ってまいりました。
 具体的には、東京サーキュラーエコノミー推進センターと連携し、様々なリサイクル事業に取り組む企業や自治体の情報をホームページ等で提供するとともに、最新の環境イベント等の情報をSNSで発信しております。
 また、製造メーカーによる歯ブラシやシャンプーボトルなどのリサイクルなど、都民に身近な製品の先進的な取組をオンラインシンポジウム等で紹介し、都民、事業者に幅広く情報を発信してまいりました。
 引き続き、リサイクルに適した分別方法などにつきまして、分かりやすく紹介する新たな動画を制作、配信することなどによって、都民のリサイクルの意識を高め、行動変容を促してまいります。

○小宮委員 都民に対する啓発と併せて、事業者に対してリサイクルを促す取組も重要です。企業は社会的責任として環境配慮を求められておりますが、事業活動で出てくる廃棄物をリサイクルしたいと考えている事業者は多いと思いますけれども、どの処理業者に処理を依頼したらいいか分からないという声も伺っております。事業者に対する支援は、産業廃棄物を所管している東京都が積極的に進めていくべきです。
 そこで、東京都がこれまで実施してきた排出事業者向けのリサイクル促進の取組と、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 都は、東京サーキュラーエコノミー推進センターにおいて、企業のリサイクルに関する助言から企業間の連携まで、ワンストップでサポートを行っております。
 また、今年度、区市町村が開催する排出事業者向けの講習会に講師を派遣し、リサイクルに資する分別方法等を啓発してまいりました。
 さらに、オフィス等に3Rアドバイザーを派遣し、リサイクルボックスの効果的な配置や、分別の周知のための分かりやすい掲示物等について助言を行ってまいりました。
 今後、こうした取組で得た知見を生かし、排出事業者等が産業廃棄物処理業者のリサイクル可能品目や、その分別方法などの情報を容易に検索できるツールの構築などを検討してまいります。
 こうした取組により、排出事業者と産業廃棄物処理業者等の連携を支援することで、リサイクルを促進してまいります。

○小宮委員 排出事業者のリサイクル意識を高め、具体的な分別行動を促すとともに、リサイクルを進めている産業廃棄物処理業者との連携を支援する取組を今後ともしっかり進めていただくようお願いして、質問を終わります。

○細田委員 私からはまず、提出された条例案のうち、東京都自然公園条例の一部を改正する条例について質問をいたします。
 このたびの条例改正では、大島公園にある海のふるさと村セントラルロッジの利用額の上限を改定することになっています。今から三十八年前の昭和六十一年に現在の使用料を設定されてから、これまでずっと同じ料金だったと聞いております。
 今回のタイミングで施設の使用料金を改定する理由について、都の説明を求めます。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 東京都立大島公園海のふるさと村セントラルロッジは、昭和六十一年の設置以来、大規模な改修工事を実施せずに利用されておりました。
 このたび、施設の老朽化と近年の利用者ニーズに対応して、安全、快適に、年間を通じて幅広い層の利用者が大島の魅力的な自然を十分に体験できる滞在施設として、大規模な改修工事を実施いたしました。
 その結果、多様なニーズに応えられる部屋割りにするなど、利用環境が大きく改善されることから、施設の使用料を改定することといたしました。

○細田委員 今のご答弁、このたびの料金の改定は、大規模な改修工事により、利用環境が大きく改善される、これが理由であるというご答弁だったと思います。
 私は先月、同地を訪れまして、工事中の現場を見てまいりました。今回のセントラルロッジの改修工事において、宿泊する対象者を誰と想定して、施設をいかに改修したのか、都の見解を求めます。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 これまで当該施設は、主に学校や青少年活動などの団体で利用されておりましたが、近年、こうした団体利用と併せて、自然体験やキャンプ、バーベキューなどの野外活動を楽しむ家族など個人での利用が増えております。そこで、少人数から団体利用まで、様々な人数構成の利用者への対応を図るために、施設を改善いたしました。
 具体的には、団体利用を前提とした部屋割りから、少人数の家族に合わせた部屋割りに一部変えることで、多様な利用者を受け入れてまいります。
 また、ベビーカーや車椅子利用者のために、セントラルロッジの管理棟から宿泊棟へのスロープや、宿泊棟にバリアフリートイレを新設いたしました。
 さらに、内外装を一新して、シャワー室、洗面室及び給排水、電気、空調設備を改修し、宿泊棟の壁、サッシを断熱仕様にすることで、一年を通して快適に利用できるようにいたしました。

○細田委員 大島は二〇一三年、豪雨による大災害で土石流の大災害が起こりました。この施設は、セントラルロッジ、この擁壁の背後には土砂の防護柵も整備されて、災害時の一時避難場所としても大いに活用される、このような安心・安全の施設であるということで、その機能に対しても大いに期待をしているところであります。
 ふるさとセントラルロッジの一人当たりの宿泊費は、一般、小学生及び中学生、学齢に達しない者と三つに分類されていますが、どれも条例改正によって、アップ率が二二五%の料金にアップされる、このようなことになります。この料金の妥当性について、都の見解を求めます。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 条例に定める宿泊施設の使用料は、受益者負担の考え方から、施設を維持管理する上で直接必要となる経費について原価計算を行い、その上限額を定めることとしております。
 このたびの改定では、セントラルロッジ改修工事による原価計算を行った上で、島内の宿泊施設の状況を総合的に勘案し、上限額を四千五百円と定めております。

○細田委員 使用料が受益者負担の考え方から、施設を維持管理する上で直接必要となる経費についての原価計算、これが行われているということと、基本は人件費、維持管理費、減価償却費ということなんだというふうに理解をしております。
 そして、この場所は、島内でも人里離れた場所でして、海と山に囲まれたところに位置しています。私も、そこまで行く間にも、駆除の対象にはなっておりますけど、キョンを二回見ましたし、猿が飛び出してくるところも確認しました。
 このような場所なんですけれども、コロナ禍以前には、島外からよく利用されていた本施設であります。平成三十年にも六千人近く、平成三十一年にも五千人近くの方々が利用されています。
 島民の中から、この場所を利用したいという声があります。島民も、この物価高の現状下で、島から出て、都内や近県を訪れても宿泊費が高くて、また動きにくい。せめてオフシーズンでもよいから利活用ができないでしょうかという声も私の元には寄せられております。
 狭い島内でありましても、家族や友人などがバケーションを楽しめる場として利用ができるように、施設利用の優遇措置や、料金の割引サービスなどを実施していくべきと考えます。都の見解を求めます。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 これまで、当該施設における島民利用については、セントラルロッジに隣接するテントサイトにおいて、小中学校による遠足、自然体験教室、キャンプなどで利用しております。
 なお、学校教育等公益目的で日帰り利用する場合は無料としております。
 今後、来年度整備を予定しているテントサイトも含め、施設の島民の利用の在り方について、島民のニーズや他県施設の実態調査等を踏まえて検討してまいります。

○細田委員 観光客だけでなくて、島民の憩いの場として施設を利用できますよう、これからも島民の意見を十分に聞くなど、しっかりと調査と意見交換をしていただきまして、島民の施設利用の優遇がなされるよう、強く要望いたします。
 コロナ禍後において、島内の観光や経済を活性化させて、島に人を呼び寄せる必要があり、この海のふるさと村も活性化の起爆剤になるのではないか、このように考えております。
 知事が今定例会の施政方針表明でいわれました新たな島のにぎわい、また、雇用創出などにはどのように貢献していくのか、都の見解を求めます。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 島内の観光や経済を活性化させるためには、海のふるさと村が島内の観光施設などと連携して、利用者の回遊性を高めることが重要でございます。
 これまで、ジオパークに位置づけられている地層断面や裏砂漠の情報をSNSで発信したり、椿まつりの期間中、会場までバスの送迎を行うことで、利用者の利便性を高める取組を行ってまいりました。
 今後、デジタル技術も活用して、ジオパークガイドと連携した島内の自然体験活動や、周辺観光施設の案内の充実を図ることなどにより、島のにぎわいや雇用創出に貢献してまいります。

○細田委員 今回の施設のリニューアル工事で利用環境が大きく改善される、そのことで使用料が改定されることは分かりました。
 費用に見合っただけのサービス向上に向けて、また、島の豊かな自然を享受できて、島民や観光客から愛される施設として、地元関係機関ともしっかり連携していくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 都有施設における再生可能エネルギーの利用について質問します。
 都は、様々な用途を持つ施設を数多く持っていて、事業者としての多くのエネルギーを消費しているという側面を持っております。都の率先垂範の行動は重要でありまして、二〇三〇年に知事部局などの都有施設の使用電力を再エネ一〇〇%化していくということを都は目指していますが、そのために、家庭の卒FIT電力を上乗せして買い取りながら、再エネ一〇〇%電力を都有施設で活用する、とちょう電力プランをはじめとした様々な取組が進んでおります。
 このような状況の中で、近年、資源価格の高騰などから、小売電気事業者が新規の電力契約を停止するなど、調達が難しい期間が続いていると理解しています。
 そこで、知事部局などの都有施設における年間電力消費量、再エネ電力の利用割合と、来年度の再エネ利用率向上へ向けての取組について質問をいたします。

○中村率先行動担当部長 知事部局等の都有施設におきましては、年間約八億キロワットアワーの電力を消費しており、再エネ電力利用割合は、前年度末時点で約二七%まで上昇しております。
 今年度は、再エネ電力利用割合を高めるため、さらに都有施設の年間使用電力の約九%に当たる再エネ電力の調達を行っております。来年度は、とちょう電力プランの事業者募集を行うなど、一〇〇%電力の調達に継続して取り組んでまいります。
 さらに、その他の施設におきましては、入札時の水準引上げにより、再エネ比率の高い電力の利用を推進しまして、再エネ電力利用割合を高めてまいります。

○細田委員 都有施設について、今年度も再エネ電力の調達が進められていることや、来年度の再エネ利用拡大への取組が分かりました。引き続きまして、再エネ利用拡大に向けて積極的な取組を求めておきます。
 また、再エネ電力の利用拡大を一層推進するための取組として、電力の使い方などが多様な都有施設において太陽光発電設備や蓄電池などを設置して、例えば、休日の学校で発電した再エネ余剰電力を束ねて防災公園や二十四時間稼働の施設へ供給するような、都有施設におけるVPP、いわゆるバーチャル・パワー・プラント構築事業を進めていると聞いております。
 そこで、再エネ電力の利用拡大に資する、都有施設におけるVPP構築事業の取組状況と、来年度の取組について質問をいたします。

○中村率先行動担当部長 今年度は、基礎調査や対象施設の検討を踏まえ、各対象施設の運用方法の詳細等を検討しながら、太陽光発電設備、蓄電池及びIoTを活用した運用システムの設計等を行いました。
 来年度は、設計した運用システムを用いて、都営住宅四棟に設置した太陽光発電設備から東京都庭園美術館に電力を送る取組を開始します。あわせて、用途の異なる施設への展開に向け、準備も進めてまいります。
 こうした取組を通じて、都有施設の再エネ電力の利用拡大を図るとともに、都内での再エネ利用の拡大を牽引してまいります。

○細田委員 事業者としても多くのエネルギーを消費して、再エネ利用を推進している東京都自身が、とちょう電力プランやVPPなどの再エネ率向上に資する取組を行うことは重要であります。
 東京都全体の再エネ利用拡大に向けて、都民や民間事業者などを牽引できますよう、これからも取組を力強く進めていくことを要望いたします。
 次に、建物におけるゼロエミッションの推進について質問します。
 脱炭素化が進む北欧では、鉄やコンクリートに比べましてCO2の排出が少なく、断熱性にも優れた木材を用いた大規模な開発の計画が発表されています。我が国におきましても、戸建て住宅だけでなく、中高層の建物においても、構造の一部を木造化するものが登場してきております。
 木材の利用の促進は、国内林業の活性化にもつながる効果も大いに期待できます。ゼロエミッション東京を実現するには、こうしたCO2排出量の少ない木材を用いました中高層建築物を広く普及させていくことが重要と考えますが、都の取組について質問をいたします。

○木村建築物担当部長 都はこれまで、建築物環境計画書制度において、省エネ、再エネ、資源の適正利用などの取組を評価し、新築建物の環境配慮を促してまいりました。
 令和七年度からは、こうした項目に加えて、全国に先駆けて、木材などの低炭素建材を利用した建築物の評価を開始いたします。
 さらに、こうした建材の製造や、新築から解体までに発生する、いわゆるエンボディドカーボンの削減を促進するため、建設時のCO2排出量を把握する取組の評価も併せて導入し、中高層建築物の脱炭素化を進めてまいります。

○細田委員 都が木材などの低炭素な建材の利用を誘導して、建物のエンボディドカーボンの削減を進めていくことが分かりました。
 建物の脱炭素化を進めるには、設計の初期段階から環境性能を考慮する、このことが重要であります。
 ビルディングインフォメーションモデリング、いわゆるBIMは、建物形状の三次元モデルを基に、建材などの情報を併せ持った設計ツールでありまして、現在、国を挙げて普及に取り組んでいます。BIMを活用することで設計の効率化を図るとともに、木造化による建設時のCO2排出量の削減効果などを把握することが容易になります。
 そこで、BIMの普及を積極的に推進して、建築物の脱炭素化を進めていくべきと考えますが、都の取組について伺います。

○木村建築物担当部長 BIMは、我が国では、設計、施工の効率化やDX推進の観点から普及が進められておりますが、建物の省エネなど、環境性能の高い建築設計を行う上でも重要なツールでございます。
 都は来年度、BIMを活用した省エネ手法等を実践的に学ぶ講習会を新たに開催し、環境配慮設計を推進してまいります。
 今後も、多くのゼネコンや設計者が参加する環境建築フォーラムなどの機会を活用し、建物の脱炭素化に向けた先進的な取組の周知を図ってまいります。

○細田委員 都は、来年度からBIMの普及に取り組むということであります。BIMはまだ普及の初期段階であり、当面は中堅以上の建設会社などが中心になると思いますが、将来的には中小企業の方々にも浸透していくよう、都の継続的な取組を要望いたしまして、次の質問に移ります。
 既存住宅における省エネ対策について質問します。
 都は、家庭部門の省エネに向けて、家電の買換え事業や、窓、ドアの断熱改修に重点を置いた施策を展開してきており、さらに今年度からは、壁、床などの断熱改修も支援対象にしたことを評価いたします。
 一方で、特に築年数の長い戸建ての住宅を環境性能のよい住宅にするには、住宅全体をリノベーションするなど、大がかりな改修が必要となるため、壁や床の断熱改修に関わる支援を充実してほしいとの声を都民から聞きます。
 そこで、既存住宅の省エネ化に向けた来年度の取組内容について見解を求めます。

○荒田気候変動対策部長 都はこれまで、既存住宅の断熱改修の促進に向け、例えば居室一部屋だけの窓改修やドア単独での改修も対象とするなど、比較的取り組みやすい改修の支援を行ってまいりました。
 来年度は、さらにリノベーションなど、住宅全体を見渡した本格的な断熱改修にも対応できるよう、壁や床などの改修に係る経費の支援額の上限を二十四万円から百万円と大幅に引き上げます。

○細田委員 建て替えずに、改修により断熱性の高い住宅にしていくことは、経済性や環境性の観点でも有効であるといわれておりまして、都の支援制度の強化は理にかなった施策であるといえます。戸建てではなく、マンションなどの集合住宅の多い二十三区でも活用しやすくなるよう、周知拡大に取組を進めていただくことを求めておきます。
 さて、さらなる住宅の省エネ性能を高めるには、給湯にも注目しなくてはいけません。家庭部門のエネルギーの消費量の約四割は給湯にあります。
 私も一日の疲れを取るために、湯船につかり疲労を取る、このことがとても好きでありますが、湯を沸かした後、ついつい時間が経過して、何度も追いだきをしてしまうことがありました。
 そこで、昨年の春、浴槽を高断熱浴槽に取り替えたところ、保温力が高くて、追いだきする機会もうんと減りまして、省エネになりました。ぜひ、窓などの住宅の断熱改修の機会を捉えて、浴槽の高断熱化も進めていくべきと考えます。
 そこで、改めて、高断熱浴槽への取替えによる具体的な効果と、推進に向けた取組について、都の見解を求めます。

○荒田気候変動対策部長 高断熱浴槽は、従来の浴槽に比べ、風呂蓋を閉じたままの状態での四時間後の温度低下が六度から二・五度に低減されるといわれておりまして、家庭の省エネに有効でございます。
 都は来年度から、既存住宅における省エネ改修促進事業に高断熱浴槽への取替えもメニューに加えまして、取替え費用の三分の一を支援いたします。
 こうした取組を今後もより多くの都民に活用していただくため、東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームに参加するリフォーム事業者団体等と情報共有を行うなど、様々な機会を用いて広く都民に周知し、家庭部門の省エネ化を推進してまいります。

○細田委員 都内には七百万戸の住宅ストックが存在しており、既存住宅の省エネ化を強力に進めていくことは非常に重要であります。多岐にわたる断熱改修支援のメニューを設けるなど、都民が取り組みやすい仕組みを提供していくことが確認できたところであります。
 今後も、こうした充実した制度を都民に広く知ってもらって、利用していただけるよう、周知強化に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、都庁のプラスチック対策について質問します。
 令和四年四月、いわゆるプラスチック資源循環法が施行され、プラスチックを廃棄する際には、基本的にリサイクルをしていくこととされました。家庭から排出されるプラスチックは、かねてから容器包装リサイクル法があり、リサイクルの取組が進んでおりますが、オフィスからのプラスチックはほとんどが焼却されている現状にあります。
 こうした中、都は本年の四月から、都の率先行動として、都庁舎から排出されるプラスチックをマテリアルリサイクルにすることとして、約三千三百万円の予算を計上していますが、現在の進捗状況について質問をいたします。

○志村資源循環推進部長 都は昨年、大手デベロッパー等と連携した実証事業において、環境局から排出されるプラスチックをマテリアルリサイクルが可能なリサイクル施設へ搬入し、分別方法などの受入れ条件等について整理を行いました。
 本年四月からは、都庁舎から排出されるプラスチックについて、マテリアルリサイクルを開始することとしており、現在、回収したプラスチックをこうした施設へ運搬する事業者との契約手続を進めているところでございます。
 マテリアルリサイクルには、職員による分別の徹底が不可欠であることから、今後、新たな分別ルールを分かりやすく表示することなどにより、プラスチックのマテリアルリサイクルを進めてまいります。

○細田委員 ぜひ、このオフィスから排出されるプラスチックのマテリアルリサイクル、この推進をしていただきたいと思います。都がモデルを示すことは大変に重要です。都の取組が民間の事業者に広がっていくことを期待しております。
 次に、産業廃棄物のDX推進について質問いたします。
 産業廃棄物処理業界は、持続可能な資源循環に向けて、廃棄物の適正処理とリサイクルという重要な役割を担っておりますが、中小零細企業が多く、二〇二四年問題などへの対応にも追われている現状にあります。
 私は昨年の事務事業質疑で、収集運搬事業者の人手不足に対応するため、効率的な運搬方法について質疑を行った際に、DXを活用した適切な計量法に対して支援を行うよう提案をさせていただきました。
 来年度、資源循環・廃棄物処理のDX推進事業が予算計上されておりますが、まず、この目的と意義について伺います。

○志村資源循環推進部長 都は、昨年度策定した環境基本計画において、ゼロエミッション東京の実現に向け、脱炭素にも貢献するサーキュラーエコノミーへの移行を目指すことを掲げております。
 収集運搬や中間処理を担う産業廃棄物処理業者は、リサイクラー等を通じて、製造事業者にリサイクル素材を提供するなど、サーキュラーエコノミーの一翼を担っていくことが期待されています。
 一方、都内の産業廃棄物処理業者は、中小零細企業も多く、設備投資が難しいことに加え、人手不足にも直面している現状がございます。
 そこで、DXへの取組を行う産業廃棄物処理業者への財政支援により、効率的かつ適正な収集運搬や廃棄物処理とリサイクル技術の高度化を図り、循環経済への移行を促進してまいります。

○細田委員 持続可能な資源利用には、従来の3Rを超えて資源を循環させる、いわゆる、今答弁されたサーキュラーエコノミーへの移行が必要になります。その実現に向けて、廃棄物を収集してリサイクルする産業廃棄物処理業界のDXを促進していくことは大変に、大変に有意義な取組であると考えます。
 最後に、具体的に産業廃棄物処理業者のどのような取組を想定しているのか、またその効果についてはいかなるものなのか、都の見解を求めます。

○志村資源循環推進部長 近年、ICTやAIに関わる技術が急速に発展しており、これらの技術を活用することにより、廃棄物処理業界のDX推進に大きく貢献することができます。
 具体的な取組としては、ごみのたまった量を遠隔で確認できる次世代型ごみ箱や、収集運搬車両のAI配車、混合廃棄物のAI自動選別、再生材としての利用を見据えた廃棄物の追跡確認システム等への活用が期待されます。
 これによりDXに取り組むことで、廃棄物処理業務の効率化による従事者への負担軽減、作業環境の改善が期待されるほか、製造業者等との連携を促進することで、リサイクルの高度化にもつながります。
 また、どのように処理されたかを可視化し、排出事業者にフィードバックすることなどで、排出事業者の環境配慮行動を促すなどの効果も期待ができます。

○細田委員 今ご答弁がありました、ごみのたまった量を遠隔で確認できる次世代型ごみ箱や、また、収集運搬車両のAIの配車や、混合廃棄物のAIの自動選別、再生材としての利用を見据えた廃棄物の追跡確認システムなどへの活用、これが期待できる。大変に、本当に、この二〇二四年問題を、来月を前にしてこういう取組がいち早く、また必要な事業者たちに渡っていってほしい、このように私も願います。
 DXを使って、個々の事業者が事務の効率化を図りながら、サーキュラーエコノミーにつながるこの取組は、排出事業者や廃棄物処理業者にとって有益なものになると信じております。
 こうした取組が業界全体に広がっていくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時二十一分休憩

   午後六時四十五分開議

○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○アオヤギ委員 まず最初に、再生可能エネルギーについて伺います。
 IPCCの二〇二三年の報告書では、地球温暖化がさらに進むと、ティッピングポイント、地球環境そのものが制御できない状況になる転換点に達したときに、気候システムの突然の及び、または不可逆的な変化が発生する可能性と影響が増大すると指摘しており、グリーンランドの氷床融解などが起きるとドミノ倒しのように連鎖する、現在も極めて危険な状況だと専門家は指摘をしています。
 平均気温一・五未満を実現するための条件整備を確実に実行しなければならない状況だということです。その条件整備の一つが再エネの抜本的な普及です。
 先日も、発送電分離を求める陳情が都民から出されました。そのときも議論しましたが、今年、東京電力管内でも、再エネの出力抑制があることが報道されています。せっかく東京都で、都の施策で発電された再エネが使われず、無駄になってしまうことは、二〇三〇年カーボンハーフを実現する上でも避けなければなりません。
 ですから、東京電力管内では、今、原発は再稼働されていませんが、これを再稼働し、石炭火力を温存し続けるなどということは、何としてもやめなければならない課題です。
 都が、再生可能エネルギーを基幹エネルギーにするため、様々な施策、来年度拡大が提案されているのは重要です。
 まず、出力抑制の話に入る前に、電力逼迫の方について質問したいと思います。
 電力逼迫についてですが、この予測がされるのはどういう時期で、どれくらいの時間か、またどれくらいの電力が足りなくなるのか、お示しください。

○荒田気候変動対策部長 一般的には、電力需要が多い夏季及び冬季の夕方に電力が逼迫する可能性が高まります。電力の不足量につきましては、その時々で異なります。

○アオヤギ委員 その時々で異なるといいますが、大体一年間のうち、逼迫する時間は約五時間ぐらいというふうにいわれております。
 ただ、確かに東京電力管内電力使用量の実績と供給を見ますと、使用率が一番高くなったのは、去年でいうと八月、ピーク時九四%ということですから、こうしたピークをずらしていく方策が求められます。産業部門での取組ももっと強める必要があると思いますが、家庭部門の取組も大切です。
 まず、電力の需給バランスを調整し、電力の逼迫時に使用する電力を抑えることができるデマンドレスポンス事業について伺います。
 デマンドレスポンス事業をやる意義、目的を伺います。

○荒田気候変動対策部長 家庭のデマンドレスポンス事業は、エネルギー需給逼迫等の際、節電行動に加えて、電力の使用時間帯をシフトするデマンドレスポンスの行動を、小売電気事業者等を介して都民に浸透させることを目的とした事業でございます。
 本事業を通じて、電力系統全体の需給バランスを保つことは、停電の回避につながるほか、節電意識を高める取組の一つとしても有効でございます。

○アオヤギ委員 電力系統全体の需給バランスを保つことが停電の回避にもつながるということで、電力逼迫時にも需要側の対策として有効な手段だと思います。
 次に、デマンドレスポンス事業の対象はどういうところになるのでしょうか。また、事業の参加者をどのように増やしていくのでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 本事業は、小売電気事業者等を補助対象としてございます。
 参加世帯につきましては、補助事業者からのメールやホームページ等を通じて募集をしているほか、都の補助により、節電を達成した世帯が受け取るポイントを上乗せすることで拡大を図っております。

○アオヤギ委員 都のデマンドレスポンスに参加している小売電気事業者から電気を買う家庭が節電に成功すると、ポイント、千円、最大でもらえるというものです。
 デマンドレスポンス事業で電力需要をどれくらい抑制できるのでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 二〇二二年度におきまして、夏季、冬季で延べ九十五万世帯がデマンドレスポンスの取組に参加し、約六百二万キロワットアワーの節電効果がございました。

○アオヤギ委員 延べ九十五万世帯、六百二万キロワットアワーということでした。ただ、この数字がどれくらいの貢献度なのかということは、いまいち分かりにくいというふうに思います。その辺りの理解が進むように、環境局には発信の工夫を求めたいと思います。
 次に、アグリゲーションビジネス実装事業について伺います。
 陳情審査の際にも伺いましたが、再エネを広げる取組として、新年度予算案では、VPP実証事業やアグリゲーター実証事業があります。VPPは、バーチャル・パワー・プラントの略で、複数の再エネ電源と需要源を組み合わせ、再エネ拡大と省エネ、ピーク需要削減などに資するものだと考えます。
 このVPPの核となるのがアグリゲーションコーディネーターです。今年度、環境局のこのアグリゲーションビジネス実装事業を予算化して、家庭の蓄電池などを遠隔制御し、エネルギーの需給をコントロールするといいます。家庭が環境局で、事業者の方は産労の所管となっています。
 アグリゲーターの必要性については、都は、アグリゲーターは家庭などに設置した蓄電池等のエネルギーリソースを束ねて、電力の需要最適化を図る事業者であると、再エネ拡大に向けては、アグリゲーターによるエネルギーマネジメントの推進の役割も期待しているとお答えいただいております。
 このアグリゲーションビジネスは、地元の事業者を育てることが重要だと申し上げましたが、アグリゲーションビジネス実装事業について、どういった事業者を対象とするのかお答えください。

○荒田気候変動対策部長 本事業は、家庭に設置した蓄電池等を束ね、遠隔制御により需要最適化を図る取組を浸透させることを目的としておりまして、こうした取組を新たに実施する事業者を対象といたします。

○アオヤギ委員 遠隔制御ができる蓄電池を持っている人と、それを束ねる事業者が必要だということです。
 都の補助制度でも蓄電池を設置したご家庭が多数あると思います。こうした方々に協力してもらう必要がありますが、こうした情報を持っているのは、都や販売した事業者になると思います。
 一握りの事業者だけの事業とならないようにしていかなければなりません。地域の事業者をどう育てるのでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 アグリゲーションビジネス実装事業においては、遠隔制御により需要最適化を図る取組に係るシステム構築等の経費の一部を補助いたします。
 こうした支援のほか、本取組による実績などを公表することで、今後、アグリゲーションビジネスの社会実装を推進してまいります。

○アオヤギ委員 私は、ある地域で、地域内の電力需要の自立化に取り組んでいる方たちにお話を伺ってきました。そういう方たちの目から見ても、地域に密着したアグリゲーション事業を行える事業者は、今のところ思い当たらないということでした。新規の地元の事業者も参加しやすいように取り組んでいただきたいと思います。
 以上のような取組を進めていくことで、電力の逼迫のリスクは今後、より少なくなっていくと思いますし、そうしなければなりません。その意味でも、原発や火力発電に頼る場面はどんどんなくなっていくし、なくしていかなければならないと思います。
 そして、最初に触れたように、再エネ拡大が進む中で、いよいよ東京電力管内でも出力抑制がいわれるような状況が生まれています。
 そこでお伺いしますけれども、東京電力管内の再エネの出力制限はどれくらいの電力になると予測しているのでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 東京電力パワーグリッドが公表した二〇二四年度の出力制御見通しによれば、群馬県と山梨県に地域を絞って累計で三十時間、一・六万キロワットアワーの出力制御をする見通しを立ててございます。

○アオヤギ委員 二〇二四年度で、一年間で三十時間、一・六万キロワットアワーということです。送電線の混雑などを理由にノンファーム系の再エネ電力が制限されるわけですが、その混雑の中身も検証の余地があると専門家は指摘をしています。
 また、火力の出力の最低出力が大きくなっている、つまり、あまり抑えられていない可能性も指摘されています。
 これだけ再エネが広がり、さらにもっと広げていこうというときに、こうした再エネへの出力抑制はやめるべきです。
 東京電力管内には、設備容量で約一千百万キロワット、八時間運転可能という、かなり強力な揚水式の水力発電があります。その活用も重要です。
 昨年の五月あたり、残余需要が少ない日の日中にくみ上げに回した実績もあるようですけれども、年間を通じてもっと工夫の余地があるのではないかと思います。また、数分で出力を上げられるのは、揚水は火力よりも優れている点です。
 次に、お伺いしますけれども、二〇三〇年までにカーボンハーフを実現するために、都が実施している再エネの基幹エネルギー化を促進していかなければならないと思います。しかし、その再エネ電力を使わなければ本末転倒です。このまま火力発電、原発を温存していては実現不可能であると考えます。
 都の政策で発電された再エネを、出力制限を受けないように、火力に代わって利用されるようにするためには、東京都はどのようなことをするのでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 先ほどのアグリゲーションビジネス事業のところでもお答えも差し上げたところでございますが、都は、再エネの利用拡大に向け、キャップ・アンド・トレード制度等の強化による取組や、需給調整としてのアグリゲーションビジネス事業を進めてまいります。

○アオヤギ委員 再エネを拡大し、需給バランスを調整するには、確かにアグリゲーションビジネスは有効ですけれども、それだけでは再エネ電力を出力抑制から免れないと思います。
 今、意見書も、私ども、提案しておりますけれども、より実効性のある再エネを優先して給電する制度が必要です。
 最初に申し上げたとおり、地球温暖化はあと数年で目標を達成しなければ、後戻りできないような状況に陥るといわれています。都でも再エネをこれから広げようというときに、石炭火力や原発を温存するということをやっている場合ではないと思います。
 送電線が足りないならちゃんと整備をするなど、これも、やれることはやっておくべきです。
 また、原発は今も東京電力管内では動いておらず、十分間に合うことは明らかです。東電の株主として、再エネを拡大する立場として、きちんと主張していくことを求めます。
 次に、再エネを広げる施策として、公共施設の再エネ化も不可欠です。
 公共施設の約四割を学校が占めているといわれています。都内の公立学校では、普通教室のエアコン設置もほぼ完了し、学校体育館エアコンの設置費補助制度もできて、設置が進みましたが、私の地元八王子市ではまだ設置が進んでいないのが現状です。
 その理由としてよくいわれるのが電気代が高いということです。本来、教育を最優先すべきですので、電気代を理由にし、設置をしないというのはあり得ないことなんですが、設置をしたところでも、体育館の真夏の熱中症アラートが出るようなときにエアコンをつけると、大変電気代もかかるし、また、LPガスで発電しているところもあります。やはり体育館など、再エネをつけていかなければならないと思います。
 都は新年度、区市町村公共施設等へ、再エネ促進事業の予算を皆増で四億三千万円提案しています。三分の二補助で、蓄電器にも補助がされ、売電はせず学校内で使うというのが条件です。
 この学校も対象とした事業は、今年度は事業者向けの中に区市町村の公共施設も含まれているそうですが、区市町村の公共施設の再エネ設備導入のこれまでの補助実績についてお示しください。

○荒田気候変動対策部長 区市町村の公共施設への再エネ導入支援は、平成二十八年度から昨年度までの間に、五区六市四町村から計三十施設の申請がございました。

○アオヤギ委員 三十施設ということで、なかなか進んでいない印象です。
 ゼロカーボンシティなどを掲げる自治体も都内に増えているわけですから、公共施設での再エネ一〇〇%を進めたいという意向もあると思われます。周知徹底することと、どういうことが設置を阻んでいるのか、区市町村にも聞いていただいて、改善してほしいと思います。
 次に、併せて学校の省エネ対策、断熱対策も求めておきたいと思います。
 老朽化している学校も多く、区市町村が修繕を実施するのは毎年数校というのが現状で、なかなか修繕がされないケースも多々あります。エアコンを設置されている学校がほとんどですから、電力の需給バランスを考えても、省エネ、断熱対策は学校こそやるべきです。しかし、こちらも財政的な問題から、なかなか進んでいないのが現状です。
 そこでお伺いします。区市町村の公共施設に省エネ、断熱対策にも補助すべきではないですか。

○荒田気候変動対策部長 都は、区市町村にも使っていただけるオープンデータとして、省エネ・再エネ東京仕様などの省エネ化や再エネ利用に関する情報を広く発信しております。
 あわせて、国は、省エネ、断熱対策と再エネ導入を組み合わせた取組を行う区市町村に対する補助を既に実施してございます。

○アオヤギ委員 ご答弁ですと、国しかやっていないんですね。省エネ、断熱化を進めることは、ピーク時の供給不足の緩和にもつながります。都内公共施設でもぜひ補助を実施していただきたいと求め、次の質問に移ります。
 PFASについて質問いたします。
 多摩地域の地下水中PFAS濃度調査の結果について、京都大学、原田浩二准教授が十二月、記者会見で公表しました。その中で新たな知見が示されたのが、浅井戸と深井戸でのPFASの数値が違うということです。
 原田先生の資料によりますと、立川市では浅井戸で高濃度のPFOSが検出されており、深井戸ではそれより低かった、国分寺市、昭島市では深井戸で高かった、PFHxS、PFOAについてもこの傾向が見られた、浅井戸の汚染は発生源が近隣であることが示唆されるが、深井戸の汚染は水脈の上流からの由来であると考えることができるということです。
 また、地層については、立川市周辺の地質は関東ローム層の下に立川礫層があり、その下の砂層が広がるが、その次の不透水層となるシルト層が不明瞭な地域があるとされる、立川の浅い領域の汚染が、国分寺市周辺の深い地下水に影響することがあり得る、また、立川市、昭島市の深井戸でも高い濃度のPFOSなどが検出されていることの理由と考えられるということで、不透水層、水を通しにくい地層が多摩地域の西から東に行くにつれて深く沈み込んでいるため、立川西部が最大値のPFOSが、東の国分寺市では深井戸から最大値が出るということを明らかにされています。
 同じくPFOA、PFHxSについても、同じく等高線図を示している、同じ値が出ているということです。同じ等高線図を示しているということです。
 都は、二百六十か所の調査を実施することは重要です。この京都大学の原田准教授の研究結果を発表し、浅井戸、深井戸の調査を行った結果、西から東に水を通しにくい地層が深く沈んでおり、東の地層では深いところからPFASが検出されているということでした。
 東に行くにつれて深井戸を調査する必要がありますが、深井戸、浅井戸はどのように調査するのでしょうか。

○宗野環境改善技術担当部長 都内全域二百六十か所の調査については、いずれの調査地点も、これまで同様、各自治体の意見を聞きながら適切に選定し、計画的に調査を行ってまいります。

○アオヤギ委員 深井戸、浅井戸のところはちょっと明らかになりませんでした。
 次に、PFASは時間をかけて深く沈んでいくということなんですけれども、このような認識をお持ちでしょうか。

○宗野環境改善技術担当部長 国は、PFASに関する今後の対応の方向性におきまして、飲用による暴露防止の徹底を掲げております。
 都は、飲用水の安心・安全を高めるため、水道水の安全性の確保と、地下水の実態把握による飲用しない取組の徹底を図っております。

○アオヤギ委員 やはりこの研究結果を基に、浅井戸、深井戸それぞれの地点を検査しておくべきです。
 これについても、原田先生の結果では、PFHxSがPFOSより早く土壌に浸透するという都内地下水における有機フッ素化合物の実態とその挙動に関する考察の報告を基に調べた結果、PFHxSが立川より東側で高くなっていて、深井戸にPFHxSが早く到達し、国分寺では濃度が高くなったことが示唆されたと述べられています。ですので、東側は深いところも測定することを求めておきます。
 米軍横田基地が都内のPFAS汚染の重大な汚染源の一つであると各方面から指摘され、そのことを示す証拠も既に明らかになっています。
 私ども日本共産党都議団が繰り返し指摘し、先日の決算委員会で、斉藤まりこ都議が都の環境科学研究所の解明した事実に基づいてただしました。しかし、都はいまだに米軍横田基地からPFASが流出したという事実を認めていません。
 今日は、改めてこの問題について、私たちがまだ都議会で取り上げたことのない情報を基に質問していきたいと思います。
 まず、先ほども紹介した昨年十二月一日の原田浩二先生の記者会見の発表文書では、第一に、二〇〇〇年以降、PFOS、PFOAの製造の自主規制が進み、その後、ストックホルム条約で制限、廃絶される下で代替PFASが導入され、そのうち泡消火剤成分にはフッ素テロマー化合物、これは六対二テロマー、あるいはC6とも呼びます、以下、C6と呼びますけれども、これが使用されてきました。
 第二に、C6の製造時の不純物としてC6が環境中で分解することで、幾つかのPFASが生成される。六対二FTS、六対二フッ素テロマースルホン酸とはその一つであります。
 そして第三に、今回、原田先生らが行った調査における地下水試料では、PFASの一つであるその六対二FTSは、立川市でPFOSが高い濃度で検出された地点で検出された。したがってPFOSの発生源でC6、さっきいった代替PFASも使用されている可能性があるといったことが指摘されています。
 一方、昨年十一月十四日付の東京新聞の報道では、在日米軍は二〇一六年、消火訓練で従来のPFOS、PFOAを含む泡消火剤の使用を停止、そして、二〇年から代替品AFFF−C6への設備交換を始めたと、二〇年にはC6、泡消火剤が基地内で漏出した事故が三件発生、本紙は在日米軍に代替品について問い合わせたが、期限までに回答はなかったとあります。
 つまり、このC6に交換しているというのが横田基地なんですね。原田先生たちの調査と、この新聞報道を照らし合わせて考えてみても、やはりこの代替のPFASが出るという、横田基地で使用したり、そして漏出した泡消火剤が、地下水や土壌にPFASが流出していることが強く疑われます。
 もちろん、基地以外の場所でPFOS及びC6が使用された可能性も否定できませんけれども、今のところ横田基地以上に有力な情報は明らかではありません。
 環境局は、横田基地内の泡消火剤の成分について情報を持ち合わせていないとのことです。また、基地外での六対二FTSの調査は行っていないようですので、今のところ答弁難しいかもしれませんけれども、ぜひこの物質を、調査を進めていただきたいと思います。
 さらに私たちは、PFAS汚染解明者の第一人者である小泉昭夫京都大学名誉教授にも教えを請いました。
 まず、お聞きしますけれども、都環境科学研究所の論文、都内河川および地下水における有機フッ素化合物の実態調査の表2、都内地下水PFCs濃度一覧では、国立市、立川市、府中市の三地点にはどのような共通した特徴が表れているとされていますか。

○宗野環境改善技術担当部長 当該論文によりますと、国立市、立川市、府中市の三地点は、地下水中のPFOSやPFOA等の構成比が類似していると分析しております。

○アオヤギ委員 はい、そのとおりです。小泉先生の解説に沿ってお話ししますけれども、まず、昨年五月、アメリカハーバード大学の研究チームの発表で、3M社製の泡消火剤が使われた米軍ケープコッド基地で、PFASの前駆物質が土壌中の微生物などの働きによって化学変化し、先ほどもいいましたPFHxSやPFBSの地下水濃度を引き上げることが分かりました。
 一方、ご答弁にあったように、環科研の論文、都内河川および地下水における有機フッ素化合物の実態調査、表2、都内地下水PFCs濃度一覧では、国立市、立川市、府中市、三地点は、全物質の比率が類似し、排出事業者に共通する特徴があることも想定されると述べています。
 そして、もう一つ重要なことは、この国立、立川、府中の三地点は、PFHxSとPFBSが他の調査地点よりもかなり高い値で検出されているという特徴があるのです。
 例えばPFHxSで見ると、他の九つの調査地点がいずれも一桁か二桁台なのに対し、国立が二百三十、立川が百六十、府中が二百ナノグラム・パー・リットルというふうになっております。
 確認ですけれども、この論文の中で、国立、立川、府中の三地点が他の調査地点よりPFHxS、PFBSの値がかなり高いというのは事実でよろしいですよね。

○宗野環境改善技術担当部長 高くなっております。(アオヤギ委員「下がっているの」と呼ぶ)もう一度申し上げます。高くなっております。

○アオヤギ委員 はい、そのとおりですよね。この論文は、これら三つの地点は互いに接近していないため、それぞれが固有の汚染に基づくものとも考えられるがと述べられているので、それはご紹介しておきます。
 小泉先生ももちろん、様々な汚染源になり得る施設があるとおっしゃっておりました。例えば、研究機関などもその一つだと思います。
 同時に先生は、都内のPFAS汚染源が米軍横田基地である蓋然性が高まったといえるともコメントされています。先日、斉藤都議が指摘したことに加え、またしても東京都自身の調査で、横田基地からのPFAS流出について、少なくともその蓋然性が高い結果が示されているわけです。
 斉藤都議が指摘したのは、横田基地からの下水からのPFASの検出でしたが、今日ご紹介したのは地下水のこの状況のお話です。重大な結果ではないでしょうか。
 横田基地が汚染源であることを公式に認めることがなぜ大切かというと、もちろん米軍基地の存在が、都民の平和な暮らしのみならず、健康、安全とも両立しないことがいよいよはっきりするという問題もあります。
 同時に重要なことは、PFASの除染を考えたときに、汚染者負担の原則から、米軍、米国にしっかりとその責任を果たさせなければならないという問題があります。小泉先生はその観点を強調されていました。
 先ほどご紹介したハーバードのチームの研究では、規制されていない前駆物質が研究対象の地下水中のPFAS全体の半分を占めていて、それが化学変化によってPFHxSのような規制対象となっているPFASに変化していくことが明らかにされました。
 つまり、規制対象のPFASを今後一切使用していなくても、きちんと除染を行わなければ、PFAS汚染は長期にわたって継続するということです。
 小泉先生は、数百年単位で汚染が継続するとおっしゃっていました。そういう意味で、横田基地が汚染源であることを公式に明らかにすることは、決して曖昧にしてはならないと思います。
 都は、都内二百六十か所の地下水調査を四年かけて行うところを、今回一年間で実施するということにしました。確認ですけれども、この調査項目にPFHxSも含まれているということでよろしいでしょうか。

○宗野環境改善技術担当部長 東京都では、測定計画に位置づけまして、PFOS、PFOAの調査を令和三年度から行っております。
 参考といたしまして、PFHxSにつきましても、参考値として、併せてホームページの方に記載しております。

○アオヤギ委員 都は、前からこのPFHxS、調べているんですよね。調査を大幅に今回、一年間で前倒しするということは重要です。ぜひしっかり調査していただきたい。
 そして、同時に、ただ調査結果を載せるだけにとどまらず、汚染源の究明につながるように、調査結果をしっかり分析して公表すべきです。いかがですか。

○宗野環境改善技術担当部長 都は、横田基地の漏出事故に関しまして、国の責任において、基地内のPFOS等の漏出に係る地下水への影響について、調査、分析、評価等、必要な対応を行うことを要請しております。

○アオヤギ委員 そのことは知っているんですけれども、汚染源の究明につながるように、環境局としてぜひしっかり分析した結果を公表していただきたいと重ねて求めておきます。
 都民の命と健康に責任を負う環境局の重大な使命であり、また今後の除染計画を考えたいときに、誰にその責任を果たさせるのか。その道筋を示す役割が期待されていると思います。
 そして、都内のPFAS汚染の汚染源は、もちろん横田基地だけに限りません。環境省は二〇一九年と二〇二〇年に、PFAS全国存在状況把握調査というのを行っています。
 環境省によるPFASの全国存在状況把握調査において、PFASの排出源となり得る施設について例示されている施設はどのようなものでしょうか。

○宗野環境改善技術担当部長 国は、全国存在状況把握調査におきまして、排出源となり得る施設として、泡消火剤を保有、使用する施設、有機フッ素化合物の製造、使用の実績がある施設、廃棄物処理施設、下水道処理施設等が挙げられるとしております。

○アオヤギ委員 泡消火剤を保有、使用する施設、有機フッ素化合物の製造、使用の実績がある施設、廃棄物処理施設、下水道処理施設等がPFASの排出源となり得る施設として例示されているということでした。
 そして、この全国調査では、これらの排出源となり得る施設に関わって、公共用水域と地下水、それぞれについて調査地点を定め、そこでの検出結果を明らかにしています。
 つまり、これらの調査地点で高い値が出た場合、その周辺の排出源となり得る施設が汚染源である可能性が高いということになります。下水道処理施設は、他の三つの例示施設とはちょっと性格が違うかもしれませんけれども。
 そこでお伺いしますが、この調査において東京都は、公共用水域と地下水について、どこを調査地点としていますか。二〇一九年度と二〇二〇年度の調査について、それぞれお答えください。

○宗野環境改善技術担当部長 国の調査では、公共用水域について、二〇一九年度は、多摩地域で二地点、二〇二〇年度は、区部で一地点調査しております。
 地下水については、二〇一九年度は、区部で四地点、多摩地域で六地点、二〇二〇年度は、区部で二地点、多摩地域で四地点調査しております。

○アオヤギ委員 調査地点の数でお答えいただきましたけれども、二〇一九年の方は、公共用水域は、多摩川に架かる拝島橋、昭島市、同じく多摩川原橋、稲城市。地下水は、立川市二か所、国立市二か所、練馬区二か所、福生市一か所、日野市一か所、府中市一か所、調布市一か所、渋谷区一か所、大田区一か所、計十二か所、主に井戸だと思われます。
 二〇二〇年の方は、公共用水域は、多摩川の田園調布堰上、大田区、地下水は、大田区二、八王子市一、小金井市一、国分寺市一、瑞穂町一です。
 続いてお聞きしますけれども、なぜそれらの地点を調査地点に選んだのですか。調査地点に係る対象施設を明らかにしてください。

○宗野環境改善技術担当部長 国は、都内の公共用水域の調査地点について、環境基準の維持達成状況を把握する環境基準点から選定しております。
 また、国は、都内の地下水の調査地点については、過去に都が実施した調査結果から、PFOS、PFOAの検出が見込まれる地点を選定しております。

○アオヤギ委員 公共用水域の方は環境基準点の中から選定しているということでした。
 環境基準点とは、簡単にいうと、その水域の水質を代表する地点で、環境基準の維持達成状況を把握するための測定点のことです。都内河川でいうと、環境基準点は六十か所以上ありますから、その中から多摩川の三か所を選んだ理由、そして、その周辺の排出源となり得る施設を都は国に報告していますけれども、黒塗りです。
 ちょっと確認なんですけれども、なぜ六十か所以上ある環境基準点から多摩川の三か所を選んだんですか。そして、その周辺の排出源となり得る施設はどこですか。

○宗野環境改善技術担当部長 繰り返しになりますけれども、この国が行った全国存在状況把握調査につきましては、国が行ったものでございます。国は、公共用水域につきましては、環境基準点の維持達成状況を把握する環境基準点の中から国の方が選定をしたと。
 また、都内の地下水の調査地点でございますけれども、こちらについても国の方が、過去に都が実施した調査地点から、PFOS、PFOAの検出が見込まれる地点を選定していると、そういうことでございます。

○アオヤギ委員 選んだのは国なんだと。過去に都がやっていた場所から選んだと。排出となり得る施設というのが回答されているわけですけれども、ちょっと回答なかったんですけれども、それはちょっとお聞きしたいところです。
 しかし、事前に局からお聞きした話では、これらの調査地点について、排出源となり得る施設を特定あるいは推定しているわけではないというふうにお聞きをしております。
 念のためにお聞きしたいと思いますけれども、私どもの手元に、この全国調査に当たって都から国に提出した回答書、回答様式があるのですが、これを見ると、地点は都が推薦しているように思うんですけれども、まあ、ちょっと確認ですけれども、そうじゃないということなのか、あくまで国が選んだということでよろしいですか。

○宗野環境改善技術担当部長 繰り返しになりますけれども、国の全国存在状況把握調査は国が行っているものでございまして、国の方が公共用水域、あと地下水の方、そちらについても選定を国の方がしているということでございます。

○アオヤギ委員 国がやっているということなんですけれども、回答書には、各調査地点について、周辺の有機フッ素化合物の排出源となり得る施設を回答する欄があり、先ほどの例示施設を選択して回答するようになっているんですけれども、そこにはどのように回答しましたか。

○宗野環境改善技術担当部長 東京都では、PFOS、PFOAにつきまして、先ほど先生の方にも取り上げていただいた論文、環科研の方で平成二十二年度から数か年かけまして、二百六十か所、都内全域の調査を行っております。その中で比較的高い地点というものが、検出が見込まれる地点ということが分かっておりますので、そういった地点から国の方が選定したものと考えられます。

○アオヤギ委員 ちょっと、どっちが選んだかというお話じゃなくて、回答が、排出源となり得る施設という、そこの端からやって、そこの地域で排出源となるのはどこかというのは、もう地点ごとにご回答なさっているようなんですね。そこはどういうところだったのかというのはちょっと今、明らかになりませんでした。
 次にお伺いしますけれども、この調査、その後はありましたでしょうか。

○宗野環境改善技術担当部長 都は、国の全国存在状況把握調査におきまして、暫定指針値を超過した都内の地下水調査地点、そちらについては継続して調査を行っております。

○アオヤギ委員 もともと都がやっていた調査地点を国が選んで、令和元年度は国が調査をやった。そして、そのまま都は、その場所も、他の場所も継続して調査を行っていて、今回二百六十か所の調査地点にこの国の調査地点も入っているということです。
 いずれにせよ、現在、国が公表している調査結果からだけでは汚染源の特定には程遠いことは明らかです。やはり都の責任、汚染源の解明に努力することを求めます。
 先ほどご紹介した昨年十二月一日の原田浩二先生の記者会見文書を見ても、先生たちが行った調査によって、明確に横田基地とは別のPFAS汚染源が存在することが示唆されています。今度は都の出番だと思います。二百六十か所の調査を確実にやっていただきたいと思います。
 加えて、区市町村がやるPFAS調査に補助をすることも重要です。区市町村の調査費用の補助事業はどうやって広げていくんですか。

○宗野環境改善技術担当部長 この区市町村へのこの事業、区市町村と連携したPFOS等地下水調査促進事業でございますけれども、都が行う追加調査を補完する区市町村が行う調査を対象としております。
 都は、区市町村との定例的な会議等を通じまして、この事業の周知を図ってまいります。

○アオヤギ委員 自治体の方ではまだ足を踏み出すことにためらいもあるようですから、ぜひ東京都から丁寧にしっかり働きかけていただきたいと思います。
 次に、土壌のPFASの検査についてですけれども、この間も求めてきたところです。
 確認ですけれども、東京都に土壌の調査を実施する技術はあるのですか。

○宗野環境改善技術担当部長 国は昨年七月、土壌中のPFOS等の暫定的な測定方法を示しておりますが、この方法は、様々な土質で一様に同等の精度が得られることは確認されていない、そういう留意事項を同時に示しております。

○アオヤギ委員 国の調査の答弁でしたけれども、こちらも環科研が、土壌でどのようにPFASが浸透するのかを研究もされていますので、ぜひ知見を生かして、土壌も検査していくべきです。
 そこでお伺いしますけれども、土壌の調査も都有地などで進めていくべきではないですか。

○宗野環境改善技術担当部長 国が示した土壌中のPFOS等の測定方法は暫定的なものでございまして、いまだ土壌調査の対象、評価指標、運用方法及び必要な措置等は示されておりません。
 都は引き続き、国に対し、これを明らかにするよう求めております。

○アオヤギ委員 十分か不十分かというのは別として、例えば水質管理の暫定目標値などに照らして、学校の校庭の土が子供たちの口に入った場合の評価ぐらいのことは明らかにできないのかなというふうに思っております。
 また、この問題でも国待ちにならずに、都が率先して動いてほしい、このことを要望します。
 自然環境保全審議会では、温泉の水質の調査をして、許可をしていくものなんですけれども、様々な化学物質を調査しています。そこにPFASの調査も加えてはいかがでしょうか。

○宗野環境改善技術担当部長 国は、PFASに関する今後の対応の方向性におきまして、飲用による暴露防止の徹底を挙げております。
 都は、飲用水の安心・安全を高めるため、水道水の安全確保と、地下水の実態把握による飲用しない取組の徹底を図っております。

○アオヤギ委員 様々な場所で温泉、地下水、くみ上げていますので、都内全域の深井戸の状況が分かるものだと思います。
 また、二十三区の状況はそれほどまだ分かっていませんので、こういう場所も検討していただきたいと要望します。
 我が党の福手都議も、予特の場で水俣病の調査をした病院のお話をしましたが、私は以前、ぜんそくの調査をした医療機関のお話を聞きました。
 その病院のぜんそくの患者さんが幹線道路沿いに住んでいることを調べて公表し、そのデータが大気汚染裁判の訴訟につながり、ぜんそく患者の原告が勝訴し、ディーゼル規制にすることにつながりました。都もそのときに率先して大気汚染の状況を調べてきたと聞いております。
 実は、この調査の医療機関の皆さんが今回も多摩地域のPFASの汚染の血液調査、地下水調査に取り組んでいます。PFASも調べないとまだまだ分からないことがたくさんありますので、様々な角度からの調査と分析を重ねて申し上げて、質問を終わります。

○こいそ(明)委員 質問、最後になりまして、順番ですね、もうちょっとお付き合いいただきたいと思います。
 それでは、まず最初に、ペロブスカイト太陽電池について伺いたいと思います。
 ペロブスカイト太陽電池は、これはもう前々からいわれておりますけれども、我が国で生まれた技術でありまして、主な原料であるヨウ素は国内調達が可能だということですね。そして、日本の産業技術振興の観点からも、これまた有望な次世代太陽電池であるわけであります。
 都も現在、下水道施設、そして都庁の執務室を検証フィールドとして提供されて、開発企業を支援していますけれども、しかし、早期の実用化を図り、広く普及していくには、技術的課題の解決はもとより、今から多くの都民の皆さんの、これは関心をやはり高めていくことも重要ではないのかと。
 このため、これまでも都民の皆さんの目に触れやすい場所で検証を行う、さらにフィールドを広げていくべきではないのかと都に求めてきたわけでありますが、今後の取組についてお願いします。

○荒田気候変動対策部長 都は現在、ペロブスカイト太陽電池の開発企業と連携し、下水道施設や都庁の執務室内で実装検証事業を行っております。これらに加え、あしたから、都民が利用するサービス付高齢者向け住宅や、都庁展望室での新たな実装検証を開始いたします。
 多くの都民等が訪れる展望室では、ペロブスカイト太陽電池を搭載したセンサーで計測した温度やCO2濃度などをディスプレーで表示いたします。
 あわせて、薄い、軽い、曲がるといったペロブスカイト太陽電池の特徴を、壁や窓など、これまで難しかった場所での活用が期待できることなどを記載したポスターを掲示してまいります。
 ペロブスカイト太陽電池の早期実用化に向けまして、開発企業を後押しするとともに、実装検証の見える化を通じて、都民の関心を高めてまいります。

○こいそ(明)委員 このペロブスカイト太陽電池は、欧米や中国でも開発が非常に進展をしているというような報道もありますけれども、特に中国は、まさに取り組んでいく、やるということになれば非常にスピードが速い、集中的に予算も投入していく。
 その一方、国内でも、やはり大手化学メーカーやスタートアップなど、様々な事業者がこの開発に取り組んでいるわけであります。二〇二五年に事業化し、二〇二八年に竣工が予定されているといわれる都内高層ビルへの大規模な実装を目指す事業者がいるとも聞いているわけでありますけれども、早期の実用化をより確かなものにしていくことは、これはもういうまでもありません。
 これまでにも都は、開発企業への支援が必要であることは我々も求めてきたわけでありますけれども、来年度の取組についてお願いしたいと思います。
 それから一点、このような中でありますけれども、太陽光、いわゆるペロブスカイトの関係で、やはり、この何ていうんですかね、耐用年数の問題、まだまだ解決しなきゃいけない課題があるというふうに聞いておるわけでありますが、この辺りについてもお願いしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 開発企業へのヒアリングでは、多様な検証フィールドの提供に加え、資金面でのサポートを求める声も上がってございます。このため、来年度から新たに補助制度による支援を開始いたします。
 具体的には、都有施設だけではなく、都内民間施設等での実装検証を対象に、設計費や工事費に加え、取組状況などを広く都民へPRする費用等につきまして、補助率三分の二、四千万円を上限に支援してまいります。
 開発企業の取組を一層後押しし、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化を図ってまいります。
 なお、お尋ねのペロブスカイトの耐用年数でございますけれども、こちら、日本の企業は大変得意としているところでございまして、また来年度の予算等を通じまして、この開発がさらに進むように後押しをしてまいりたいと思ってございます。

○こいそ(明)委員 それぞれの事業者がこの開発に取り組んでいると、これをさらに進めやすい環境を整えることが重要であると。
 ペロブスカイト太陽電池は、先ほどからいっておりますけれども、この日本で生まれた技術でありますから、その中でも、今お話ありましたけれども、品質が非常に高いものですね、技術的にですね、日本はまさにこの辺りからも、技術的にも優位性があると思うんですね。
 世界の市場の中でも、やはりこの優位性としっかりしたプレゼンスを得ることは、これはもう重要でありまして、まさにここ数年がいわゆる、いろいろ聞くと、勝負といっていいかどうか分かりませんけれども、非常に重要だというようなこともいわれております。
 都は、今後も開発企業の取組を後押ししつつ、一日も早い実用化と社会への実装を進めることを要望して、次の質問に移ります。
 次に、東京都環境科学研究所であります。いわゆる環科研について伺いたいと思います。
 環科研は遡ると、東京都公害研究所から実際始まりましたね。そして、時の知事でありました石原知事時代は、ディーゼル車規制の先鞭をつけるなど、大気汚染環境をかなり革新的に浄化したと思うんですね。
 その中においても、このいわゆる環科研は、この辺りも常に政策的な中で研究をしっかりと取り組んで、連携をしてきた経緯があると思うんですね。このいわゆるそれぞれの研究成果、これは資料もいただいておりますけれども、その当時の話でありますね、国内でも有数の、まさに地方環境研究所であったと思うんですね。
 環科研は、当初はここでいうまでもない、東京都のいわゆる環境局の組織上、入っていた。いわゆる直営といってもいいでしょうけれども、行政改革の、まさにそのときの時代のその中で行革対象になった。
 平成十九年、もう十五年以上、十七年ぐらいたつかどうか、十五年以上前になりますけれども、当時の東京都環境整備公社は、現在のいわゆる環境公社になっておりますけれども、ここにこの環科研は移管されたんですね。
 これに関して、当時、それぞれの意見はありましたけれども、このいわゆる公的研究機関としての環科研の、いわゆる何ていうんですかね、様々な発信的な要素、力が損なわれていくのではないかという懸念を持つこともありましたし、移管すべきではないのではないかと、当時は私も考える一人でもあったんですね。
 そこで、確認のためでありますけれども、当時の環科研が公社に移管された際の経緯、改めて聞きたいんですけれども、目的についてお願いします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 東京都環境科学研究所、環科研は、平成十七年に出された全庁的な試験研究機関の見直し方針を踏まえまして、施策の科学的裏づけとなる研究を公的試験研究機関としてさらに効果的に行っていく体制づくりが不可欠との観点から、当時の東京都環境整備公社に移管いたしました。
 移管によりまして、公的試験研究機関の機能を維持しつつ、弾力的な人材、資金活用や民間企業等との共同研究の拡大等を図ることで、都政において最も重要な課題の一つである環境行政を研究面から柔軟かつ機動的に支えていくこととしたものでございます。

○こいそ(明)委員 実際、先ほどもちょっと触れましたけれども、行革の一環なんですよね、当時は。その中で、大丈夫なのかと。公的試験研究機関の機能を維持しつつ、今までの、これ、とても大切な研究も、いうまでもありませんが、やられているんですね。
 例えば、視察へ行ったときも、メダカね、これはもう生態系の研究なんかですごく重要なんですね。でも、それだけじゃない、いわゆる研究所内での閉鎖環境で、あの環境ホルモンの影響を解説していたんですね。これ、国内でも非常に重要な研究だったんです。
 杉並病といわれるのが、これにもあるわけでありますけれども、原因がなかなか究明されなかった。この論文は世界的にも評価されたと記憶をしております。
 そういう中で、このいわゆる地方環境研究所として、環境先進都市を目指す東京都、そうですよね、環境先進都市東京。その中における政策課題に常にというかリンクをしていた。率先垂範で取り組まれていたと、この記憶もしておりますけれども、今日の環科研は、行政課題の解決に直結するような、例えば浮遊粒子状物質、その後のPM二・五も研究されたといわれますけれども、そういう中で、いわゆる行政課題の解決に直結するような研究成果について、当然あるんでしょうけれども、これもいただいておりますけれども、なかなか一般的にそれが伝わっていかない。我々の耳にもなかなか入ってこない部分もあります。
 そういうことで、環科研における移管後の研究に関する取組とその成果、これを改めて教えていただきたいと思います。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 環科研では、資源循環や水、大気環境、化学物質によるリスク、水素等の次世代エネルギーなど、大きく三分野にわたる幅広い研究を行ってまいりました。
 このうち、PFASの環境中の濃度実態を平成二十二年度から四年間、国に先駆けて調査し、国による地下水中の暫定指針値の設定に寄与したほか、お話ありましたPM二・五のモニタリングでは、都内広域で平成二十六年度から長期的にデータ収集することで、環境基本計画における二〇三〇年目標値の策定に反映するなど、環境政策の立案を支える研究成果を上げております。
 また、外部機関と連携し、外部資金研究に積極的に取り組むとともに、公社自身の財源を活用した自主研究にも力を入れるなど、内容の質的な向上を図っております。
 今後も脱炭素をはじめ、都が直面する多様な政策課題の解決に資する研究成果を得られるよう、環科研と一体となって取組を強化してまいります。

○こいそ(明)委員 今、いろんなお話を聞かせていただきましたけれども、私も、この成果と課題、総括ということで拝見させていただきましたが、どちらかというとエネルギー問題は、今、水素という話ありましたけれども、エネルギー問題というのは、あまりこれ、どうなのかな、全くないわけじゃないけれども。
 今後は、先ほど、いわゆるペロブスカイトを含めた、まさに今日的というか、これからというか、こういう研究はやはり求められているんではないかなと思いますし、ZEV政策の中で、やっぱりCO2の削減、こういうテーマの中で、もっとしっかりと研究をされた方がよろしいのかなという感じもするんですね。実際のところ、やられているという今、話ありましたけれども。
 それから地中水素、ご案内のとおり。こういうようなやっぱり課題は、非常にこの世界的にも重要なんですね、これ。やっぱり今、東京のいわゆる環境課題というのは、日本全体、世界全体の環境課題にも、もうまさに直結するというか、非常に重要なところを、いわゆる環境政策として推進されているわけであります。
 それと、先ほど、いわゆるリチウムイオン電池の様々なリサイクル対応というんですかね、これを早稲田大学でこれからやられると。大変結構なことだと思うんですけれどもね。
 それとまた燃料電池車は、今だんだん普及されてき始めておりますけれども、特に清掃パッカー車、これ、下関から始まって、都内でも走行実装して、相当の時間がかかった。でも、これはやっぱり早稲田大学の研究室がやっていましたよね。長く長くいろんなデータを取って、相当長い期間やられていた。こういうことあたりも一緒になってできないのかなと私は前から思っていたんですけれども、それと、それ以上あれですけれども。
 例えば、海の地下資源、いわゆる資源でありますけれども、メタンハイドレート、我が国の約四〇%が東京の海域ですよね。この中において様々な資源がそこにある。その中における次世代的エネルギーといわれるメタンハイドレート。この辺りはやっぱり東京が先鞭つけてやる意味あるんじゃないですかね。
 そんなことも、いわゆる、ぜひ期待をしながら、私は今お話を伺っているところなんですけれども、ぜひ、環境先進都市東京、その中における、本来だったらシンクタンク、これがしっかりと位置づけされても私はいいんではないのかなと。
 しかるとき十数年前、組織改正というか、行政改革で、何か知らないけれども、パラソルなのか、要するに、アンブレラの中に入ったのか分からないけれども、その後、分からないとね、もっとこれ強化してもいいんじゃないですかね、実際上。やっていますよ、やっていますよということはいわれるんだけれども、私、やっぱり研究員も含めた内外との交流。それと、やはりしっかりした研究体制、いわゆる環境整備というか施設整備というか、それを、やっぱり予算をしっかり−−だって、環境局はあれでしょう。私が知っているときでは二百億、三百億という時代あったじゃないですか。今何と一千何百億、一千億超えた。こういう規模まで成長した環境局じゃないですか。
 やっぱりこういうその研究をしっかりやってもらう部門が、私、あっても当然いいんじゃないかな、あるべきじゃないかな、こういうことを思うんですよ。その辺りどうでしょうか。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 環科研ではこれまで、任期付や非常勤などの人事制度も活用しながら、外部から専門性の高い人材を柔軟に採用するとともに、産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所に研究員を派遣するなど、他機関との人材交流を図ってまいりました。
 また、昨年度、外部の研究機関から環境分野における高度な研究実績を持つ人材を所長として招聘いたしまして、各研究員の研究レベルの指導向上を図るとともに、学会での積極的な意見交換や、ウェブ上での研究成果の分かりやすい公表など、環科研のプレゼンス強化に向けた取組を進めております。
 今後、お話ありましたような、そのシンクタンク機能の充実強化、あるいは情報発信、それから様々な技術等々におけます外部連携機能の強化、それから研究体制の強化等の方向性について、方針として取りまとめてまいりたいと考えてございます。
 都政の環境政策課題はもとより、環境公社が実施する気候変動対策や資源循環などの事業との連携強化をより一層進めまして、公社組織としての強みを生かした研究を促進してまいります。

○こいそ(明)委員 私も、今日的な研究所の環科研のいわゆる研究員の皆さん、体制、一般的にどうなのかよく分からないけれども、我々から見ると、これ、非常に少ないですよね。二十名足らずじゃない、二十五名ぐらいいるのか、非常勤入れて。
 海外との交流、一人だけでしょう、何か短期間で送ったという。私がここでいっているのは、やっていますよ、やっていますよ、それは分かるんだけれども、やはり計画的に、もっとこのシンクタンク機能の充実強化ってうたっているわけでしょう、これ。それから、さらに情報発信、外部連携機能を強化すると。それから、必要な人員体制や施設、設備を確保すると、これはっきりいって、いっぱい書いてあるじゃないですか、うたっている。
 やっぱり体制をしっかりつくり上げて、計画的に、この環科研の、やはりあれじゃないですかね、もっと強化というか、機能強化をやっぱり図る必要性はあるんじゃないかと思うんですがねということです。
 そして、時間もあれですからね、そういうことを強く要望して本当はご答弁いただきたいところなんだけれども。これからちょっと触れますけど、SAFやペロブスカイトをはじめ、先ほど申し上げたようなことも含めて、今の体制でやれやれといったって、なかなか厳しいんじゃないですかね。一生懸命やられて、いろんな研究成果も出されている。それを承知していますよ。もう少ししっかりとした、機能強化もそうだけれども、体制強化を図って。やっぱり世界から注目されたときもあったじゃないですか、環科研が、公害研究所のときもそうだったかもしれないけれども。これだけなった東京だ。これだけ今、一生懸命やっている環境行政じゃないですか。この中における、私はしっかりとしたシンクタンク的技能を持った、まさに東京都の環境科学研究所の存在がしっかりあってもしかるべきだと思います。
 ぜひ局としても受け止めいただいて、ご検討を賜ればというふうに要望させていただきます。
 それでは次に、これは多摩地域の話になります。
 これは、里山の貴重な自然地を後世に残すためとご努力をされておられるわけでありまして、これの保全地域は五十か所指定されています。その中で、様々な方々がそこで保全活動を展開されておられるわけでありますが、なかなか、中にはボランティア団体の方々でも、高齢化によって、活動がやられているんだけど、いろんな話があるようであります。
 そういう中で、この保全地域に対する、それぞれ特徴を持っているわけでありますが、現場の実態を踏まえる中で、保全地域のまさに再生という観点で、この再生に向けた取組を具体的にどう進めるか、お願いします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都はこれまで、地元自治体、ボランティア団体と連携して、下草刈り等の維持管理や、都民等の自然体験活動を通じた緑地保全を進めてまいりました。
 来年度は、これまでの取組の充実強化を図るため、多摩環境事務所が核となり、新たに設置する生物多様性推進センターも活用し、樹勢の弱い樹林地等の再生に向けた取組を進めてまいります。
 具体的には、樹木医等の専門家の意見を踏まえ、地域のボランティア団体などとも連携し、荒れた樹林地の間伐などによる再整備を進め、段階的に草地、低木、林床の明るい若い樹林へと自然環境を再生させてまいります。
 加えて、保全活動の活性化のため、新規ボランティアの育成や、経験人材をボランティア団体に派遣するサポーター制度の拡充などに積極的に取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 ただいまご答弁いただきました。その中で、生物多様性センターを設置するというようなお話だったかと思うんですね、ご答弁の中で。
 多摩環境事務所が、このいわゆる自然の、いわゆる保全地域に対する中で、まさに地域の循環だとか、維持管理だとか、ボランティア対応だとか、様々なことをそれぞれ職員の方々が一生懸命担われてきた、対応されてきた。そして、それだけのノウハウもしっかり持たれている。
 ところが、じゃあ一方、これも先ほどの話じゃないですけれども、それなりの、多摩、広いですからね、やっぱり。いろんな自然が、多様な自然が存在している。それで、いわゆる保全地域もそうですよ。その中における、今まで一生懸命やられてきたけれども、やっぱりなかなか、最終的には大きな倒木というか、木を少し整理していかなきゃいけないから、木を切ったりいろいろしなきゃいけない。それは専門家の方の手も入れていただかなきゃいけない。
 そういう中で、いろんな方々が、ボランティアの方も含めて、そういう、いざとなったときの専門的な方々も含めて、それをコーディネート、調整をずっとしてきたのは多摩環境事務所であり、事務所の職員の皆さんじゃないですか。ところが、まだいろんな要望が来ているんじゃないですか。その環境事務所の皆さんから、実態的な現場をそれぞれ踏まえた中で、要望が来ているんじゃないかと。
 だけれども、いきなりここで、いきなりとは大変失礼だけれども、いわゆる生物多様性はよく分かるけれども、センター設置をするんだと、もうこういう話が出た。やはり、これはこれで意義や意味合いがあるというか、いろいろ仕組みをつくりながらやってきたんでしょうけれどもね。
 でも、実際上は、ちょっと時間ないからもう先行っちゃいますけれども、少なくとも、私はやっぱり段階を踏んで、多摩地域、例えば事務所、センターつくったからといったって、これで全て解決できるということはまさに思っていないと思うけれども、まずはやはり今までやってきた多摩環境事務所及び職員、ここにもう少しやっぱり対応すべきじゃないんですか、本来は、まずは第一義的に。
 そうじゃなくて、今度センターをつくる、センターでやるといったって、センターどれだけできますか、はっきりいって、これ。いわゆる自治体との調整機能はその事務所でやりますよということはそうだろうけど、現場を知っているわけだから、ノウハウを持っているわけだから、今までずっとやってきたんだから。そういう中でどう考えるのかなと。その辺りお願いします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 先ほどご答弁いたしましたように、来年度、センターを設置するということでございますが、これまで多摩地域の自然環境保全は、多摩環境事務所が中心となり、緑地の巡回点検や維持管理業務等を行い、ボランティア団体との連携事業等を担う東京都環境公社がその取組を補完してまいりました。
 一方で、保全地域における昨今の生物多様性の危機を踏まえまして、都民による保全活動の活性化や、自然再生の対策を強化するため、来年度、環境公社の組織を拡充し、生物多様性推進センターを設置いたします。
 センターには、樹木医等の専門家も含む二十名の職員を配置し、地域別の担当制を導入することで、現場の実態をきめ細かく把握し、地元自治体やボランティア、都民など様々な主体との連携強化や、人材育成事業の強化を図ってまいります。
 こうした機能を有するセンターを設置することで、多摩環境事務所の機動性を高め、保全活動の活性化等につなげてまいります。

○こいそ(明)委員 今までだって担当は決まっていたでしょう、環境事務所のそれぞれ担当いたでしょう。いざとなったら樹木医だってお願いしたわけでしょう。それで、それぞれの民間にもお願いしてきたわけでしょう。それを今までやってきたのは環境事務所及び職員じゃないですか。それで、今回、いわゆるまた別のところにセンターをつくるんですよと。全く別のところだね。
 それと、さらにこれ、予算、今審議しているところだから、全体で確約的なのできないでしょうけれども、圧倒的にさっきの環科研より多い、いきなりだあんと。こういうことから見たって、段階というのはあるじゃないですか。幾ら今お金がかなり増えた環境局だから、何かばんばん、ばんばんばんばんではないけれども、やっぱりもう少し段階を踏むべきじゃないですか、地域実態を踏まえて、これ。よくやっぱり、環境研究所は皆さんの組織だから、これやれといえば、はい、分かりましたというかもしれない。だけれども、私はそんなもんじゃないんじゃないかと思いますよ。
 だって、地域のボランティア団体だって、こんにちは、さようならといったって、一回でうまくできますか。長年のやはりつながりがあってこそ、ボランティア団体の皆さんとのいろんな意思疎通が図れてきたんじゃないですか、これは。
 そういう意味合いからも、現在のところ、どこが足りてどこが足りないのか、どうなのか。まずそこのところをしっかりやって、そうして次の段階で−−否定しているわけじゃないですよ、否定しているわけじゃないけど、計画的に、段階的に、多摩の自然をどうやって守っていくか。そういう意味で、生物多様性をどうやってしっかりと保全していくかという観点から見ても、決して悪いことではないと思いますよ。だけど、もう少ししっかりとした計画性の中で、現状を見据えた中で本来やるべきじゃないですかね。答弁もらいたいけれども、いいですよ。これは一つの思いで、要望も入って、よろしくお願いします。
 はい、その次ですね、行きます。区市町村との連携支援についてであります。
 環境問題はいうまでもない、気候変動分野のほか、資源循環、自然環境、大気環境、幅広い分野にわたって、まさに多様性と複雑化してきております。
 二〇三〇年のカーボンハーフ、二〇五〇年のゼロエミッションを実現していく中でも、都はもとより、住民に最も身近な市町村がしっかりと環境課題にも、これは取り組む、連携していく。重要だと思います。
 しかし、多摩−−多摩といったって、それぞれの自治体、そして島しょ地域のそれぞれ自治体もある。当たり前の話。この多摩・島しょの市町村からは、まさに財政状況は一律ではないとしても、極めて財政状況が厳しいところが多いですよ、これ。それとともに、しっかりした体制を強化したいといっても、なかなかこれ、できるところとできないところがある。
 気候変動が一層深刻化する中で、環境課題への対応はもう待ったなしという中、市区町村が様々な課題に取り組むには、私は、都が総合的かつきめ細かい支援策を間断なくやはり打ち出していくことが必要なんじゃないかなと思うんですね。
 都は、平成二十六年から、区市町村との連携による地域環境力活性化事業を通じて、市区町村の取組を支援してこられました。十年目を迎えるわけでありますけれども、今年度十年目ですね。すなわち、十年目を迎える中で、今年度が最終年度になるわけですね。
 そこで、本事業のこれまでの実績と成果についてお願いします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 都は、多様な環境課題の解決に向け、地域の実情に精通する市区町村との連携を図り、その取組を支援するため、地域環境力活性化事業において、その補助対象となるメニューを提示し、経費の二分の一を市区町村に対し補助しております。
 本事業開始以来、今年度分の申請も含め、都内の全ての市区町村で活用されており、平成二十六年度から令和四年度までの執行額の合計は、約三十四億四千万円となってございます。
 また、事業を開始した平成二十六年度と令和四年度との執行実績を比較いたしますと約四倍、多摩地域では十七倍へと事業規模が飛躍的に拡大しております。
 具体的な取組事例としては、区域内への再エネ電力を供給する仕組みの構築、フードバンクへの活動支援など、他自治体への波及が期待される取組等が挙げられます。

○こいそ(明)委員 地域環境力活性化事業は今年度で終了すると。来年度からは、区市町村との連携による環境政策加速化事業が新たに創設されるわけでありますけれども、これまでの事業の後継事業と聞いているわけでありますけれども、当然、ただ延長的にこの事業を推進するわけではないと思います。
 市区町村の環境施策を先進的かつ実効性あるものへと、より進化をさせていくために、今後さらにまた発展をさせていく必要が当然あるわけでありますけれども、そこで、新しい補助事業である環境政策加速化事業の概要と今後の取組についてお願いします。

○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 区市町村との連携による環境政策加速化事業は、環境基本計画に掲げる二〇三〇年目標の達成に向けて、市区町村の取組に対する補助事業として、来年度新たに創設するものでございます。
 事業期間は来年度からの三年間とし、実施主体を一部事務組合にも広げることとしております。
 また、新たに十分の十の補助率を設定するとともに、市区町村が活用しやすいものとなるよう、補助メニューを統合するなど、利便性の向上を図ることとしてございます。
 とりわけ十分の十の補助事業につきましては、例えば、ペロブスカイト太陽電池等、最新技術を用いた実証事業の展開など、先進性が高く、他の市区町村への拡大等が見込まれる施策等の採択を想定しております。
 今後とも、市区町村の取組をしっかり後押しし、連携しながら、ゼロエミッション東京の実現に向け取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 新しい補助制度がスタートするわけであります。何回も出てくるペロブスカイト、今ご答弁ありましたけれども、将来有望な技術を活用した先駆的な取組に対して重点的に支援をするんだ。特に多摩地域はリソースが限られているため、また、市区町村の職員が意欲的にこれ、取り組んでいかなきゃならないわけでありますけれども、それにはどうしたらいいかということですね。
 これはいわゆる環境人材の育成策、そして様々な、やはり意識、意欲というか、そういうもの、いわゆる情報、知識を得るということも当然なことでありますけれども、その中において、やっぱり職員の意識がさらに高まり、創意工夫を凝らして、意欲的な取組が生まれ、そのようなことをやっぱり期待するわけであります。そういう観点からも、ただ政策上やっているから、ペロブスカイトやっているから、もう重点的に予算出すよというところじゃなくて、やるのはやっぱり職員だし、職員の意欲、職員がどれだけ成果を上げていくか。こんなことをするためにも、やっぱり人材育成策というのを大いに取り込んでいただきたいと思うんですよ。
 今後とも市区町村と密接に連携して、ゼロエミッション東京の実現にまさに取り組んでいただくことを要望させていただきます。
 まだ時間あるかな。もうそろそろあれしますけれどもね。
 SAFであります。特にこの事業は、これはもう航空機燃料という、そのいわゆる廃食用油から原材料確保をすることが重要だということで、三十団体が回収して、約百四十トンに回収量がなったと。しかし、これにとどまっていては、当然これは厳しいですよね。
 ですから、回収量の拡大には、これも申し訳ない、やっぱり意識と取組を拡大していく、こういう意味合いでも私は財政を含めた支援が必要ではないかと思うんですね。そういう中で、これについてお願いします。

○志村資源循環推進部長 都内では約三十自治体が廃食用油の回収をしており、今年度、拡充に取り組む三自治体に普及啓発用の広報紙作成や、回収に必要な備品等の経費について財政支援を実施いたしました。
 また、公募の上、採択した事業者と協力して、七自治体が開催するイベント等における回収ブースの設置、運営等を支援いたしました。
 さらに、普及啓発のツールとして、回収拡大や都民のSAF認知度向上を目的とした動画を作成し、現在、市区町村に対して活用の案内を図っております。
 都は引き続き、こうした取組を進め、都内の廃食用油回収拡大に取り組む市区町村を積極的に後押ししてまいります。

○こいそ(明)委員 さらなる回収拡大に向けてと、今ご答弁いただきましたけれども、この廃食用油から航空機燃料ができるんだということで、意外と分からない人もいるんですよね。ですから、より一層のやっぱりPRが必要じゃないかな。
 また、効果的な回収方法の分析、実証にもぜひ取り組んでいただきたいなと要望させていただきたいと思います。
 一方で、国では、二〇三〇年のSAFの必要量は百七十万キロリットルと示されています。その後も必要量は当然増加が予想されるわけであって、こうした数値を踏まえると、当然、廃食用油だけでは原料が足りなくなることは明らかでありますよね。
 また、昨今のエネルギー危機を踏まえると、SAFの燃料を輸入に頼ると、価格の高騰、供給不足等々、非常に厳しい。国産SAFを製造することが、そういう中でも非常に重要になってくるわけですね、いうまでもないですけれども。
 都は来年度、原料としてのポテンシャルが高いといってもいいんでしょうかね、都内一般廃棄物による国産SAF製造に向けて、より進めていっていただきたいと思うんですけれども、この辺りの取組のお考えをここでお示しいただきたいなというふうに思います。

○志村資源循環推進部長 現在、日本では、廃食用油以外にも、都市ごみや木質廃棄物等の様々な原料からSAFを製造する技術開発が進められております。その中でも、再エネ実装専門家ボードの技術的専門家の説明で、都市ごみによるSAF原料のポテンシャルは非常に大きいということが示されました。
 そこで都は、一般廃棄物を利用したSAF製造に取り組む事業者を公募し、SAFへの転換による二酸化炭素削減効果や、SAF製造所への効率的な輸送等の検討を支援いたします。
 都は今後も、廃食用油の都内回収量拡大に取り組むとともに、一般廃棄物からのSAF製造を積極的に後押ししてまいります。

○こいそ(明)委員 ただいまのご答弁いただいて、私の質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時二十二分散会