環境・建設委員会速記録第十七号

令和五年十二月十五日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長原  純子君
副委員長須山たかし君
理事細田いさむ君
理事山田ひろし君
理事小松 大祐君
漢人あきこ君
もり  愛君
アオヤギ有希子君
こいそ 明君
成清梨沙子君
小磯 善彦君
小宮あんり君
増子ひろき君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長宮澤 浩司君
理事高崎 秀之君
総務部長緑川 武博君
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長長谷川徳慶君
気候変動対策部長荒田 有紀君
再生可能エネルギー実装推進担当部長小林 洋行君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長戸井崎正巳君
環境改善技術担当部長宗野 喜志君
自然環境部長生物多様性担当部長兼務和田 慎一君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環技術担当部長横山 英範君
資源循環計画担当部長中島 隆行君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長古屋 留美君
道路監花井 徹夫君
総務部長荒井 芳則君
公園緑地部長佐々木 珠君
河川部長斉藤  有君
企画担当部長松島  進君
公園計画担当部長根来 千秋君
河川防災担当部長小木曽正隆君

本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
付託議案の審査
・第二百四号議案 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百十五号議案 東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について(質疑)
・第二百十六号議案 東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について(質疑)
・第二百十七号議案 東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について(質疑)
・第二百十八号議案 東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について(質疑)
・第二百二十二号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、繰越明許費 環境局所管分(説明・質疑)
建設局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十九号議案 東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
・第二百二十号議案 東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」の策定について

〇曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

〇曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局及び建設局関係の付託議案の審査並びに建設局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百四号議案、第二百十五号議案から第二百十八号議案まで及び第二百二十二号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、繰越明許費、環境局所管分を一括して議題といたします。
 本案のうち、追加提出されました第二百二十二号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、繰越明許費、環境局所管分について、理事者の説明を求めます。

〇栗岡環境局長 令和五年第四回定例会に提出いたしました環境局関係の案件につきまして概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和五年第四回都議会定例会提出案件の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。予算案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、令和五年度一般会計補正予算(環境局所管分)についてでございます。
 LPガスを利用する家庭等の負担軽減に向けた緊急対策として、国の臨時交付金を活用し、使用料金の値引き支援を実施するための経費を計上するものでございます。
 (1)、歳出予算補正でございますが、環境改善費について二十二億七千十四万七千円を計上するものでございます。
 (2)、繰越明許費補正でございますが、家庭等に対するLPガス価格高騰緊急対策事業について二十二億六千八百四万八千円を計上するものでございます。
 以上、令和五年度一般会計補正予算案につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

〇緑川総務部長 それでは、令和五年第四回定例会提出案件の詳細につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料2をご覧ください。令和五年度一般会計補正予算説明書についてでございます。
 表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。1、歳出予算総括表でございます。
 歳出予算を補正する款は環境費でございまして、二十二億七千十四万七千円を増額計上するものでございます。
 令和五年度の歳出予算額は、既定予算額一千五百六十八億五千二百三十三万九千円と合わせまして、一千五百九十一億二千二百四十八万六千円でございます。
 次に、歳出予算の補正の内訳についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。項は環境保全費、目は環境改善費でございます。
 内容につきましては、右側の説明欄にございますとおり、家庭等に対するLPガス価格高騰緊急対策事業のための経費といたしまして、二十二億七千十四万七千円を増額計上するものでございます。
 次に、繰越明許費の補正についてご説明申し上げます。
 三ページをご覧ください。2、繰越明許費でございます。
 繰越明許費を補正する款は環境費、目は環境保全費でございます。
 内容につきましては、家庭等に対するLPガス価格高騰緊急対策事業のうち、事業の性質上、補助金の支出を翌年度に行う必要がある見込みの経費といたしまして、二十二億六千八百四万八千円を計上するものでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

〇曽根委員長 説明は終わりました。
 その他の議案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

〇小磯(善)委員 私からは、家庭などにおけるLPガス利用料金の負担軽減策について伺ってまいります。
 都議会公明党は、この家庭等に対するLPガス利用料金の補助事業の実施の要望をさせていただきました。第二回定例会補正予算におきまして、販売事業者を通じた家庭等への支援が実現したわけでございます。
 しかし、長引くエネルギー価格や物価の高騰は、いまだに都民の家計、また、都内中小零細企業の経営に深刻な影響を及ぼしております。
 こうした状況の中、我が党は改めて、十月分から遡及して支援を継続するよう要望を行い、今回、都が一所帯当たり最大三千円の支援を行う、そういう補正予算案を計上したということでございまして、評価をするものでございます。
 本事業は、LPガスの販売事業者を通じて実施するものでありますが、都内のLPガス利用者に支援を確実に届けるためには、販売事業者の皆さんの協力が欠かせないということでございます。
 私の地元町田市でも、補助事業に参画したこの販売事業者から、いろいろな声が寄せられております。事業の意義は評価するという声があると同時に、申請手続、こういったものについては工夫の余地があるんじゃないかと、このような声も寄せられているところでございます。
 そこで、まず、七月から実施したLPガス使用料金の補助事業の実施状況、そして販売事業者からの反応についてお伺いしたいと思います。

〇戸井崎環境改善部長 本年七月から九月までに実施いたしましたLPガス価格高騰緊急対策事業では、都外を含め五百八十八社の販売事業者から交付申請を受けておりまして、十二月現在、交付額の決定を行った事業者は二百七十九社、そのうち三十九社の支払いを完了いたしました。
 これらの事業者に対しましてヒアリングを実施しましたところ、顧客からは、料金の値引きは大変助かるという声が多かったとのことでございました。
 一方で、事業者からは、使用料金の値引きに関わる毎月の請求作業等の処理が負担であることや、交付申請や実績報告書等の手続が煩雑であるといったご意見もございました。

〇小磯(善)委員 やはり都の方にもいろんな声が上がっているということで、顧客にとって大変有意義であるというのと、また販売事業者にとっては負担になっているという部分があるということでございました。
 今回の補助事業の継続は大変ありがたい話でありますが、LPガスの消費量が多くなるこの冬場、販売事業者にとっても大変忙しい時期になります。そういった意味で、申請手続等の負担を軽減する配慮が必要と考えます。
 そこで、販売事業者からの意見に対して今後どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

〇戸井崎環境改善部長 LPガスの使用者が補助事業の支援を確実に受けるためには、販売事業者の負担軽減を図り、より多くの事業者に参画してもらうことが不可欠でございます。
 これまで、使用料金の値引きの処理につきましては、原則、各月の請求料金から行うこととしておりましたが、事業者の負担等を考慮いたしまして、今後は、複数月分を一括して行う方法を可能とするなど、柔軟な対応を行ってまいります。
 また、手続につきましては、申請書類を一部省略するほか、実績報告の記載内容の簡素化を図ってまいります。
 こうした取組を通じまして、事業者がより参画しやすい仕組みとしてまいります。

〇小磯(善)委員 各月の請求料金というところから、複数月を一括して行うということで、かなり軽減されるんじゃないかなと思いますけれども、こうした取組を着実に実施して、引き続ききめ細やかなサポートをお願いしたいと思います。
 ところで、事業者から聞いた話では、補助事業に参画した場合、使用料金の値引きは一旦事業者の持ち出しとなるため、そのことも負担になっていると、こういう声がございました。
 本事業では、事前に使用料金の値引き額相当を支払う概算払いという制度があったというふうに思いますが、この制度を知らない販売事業者もいるようでありますので、改めてこの周知をしっかりやっていく必要があると、このように思いますが、都の取組をお願いしたいと思います。

〇戸井崎環境改善部長 本事業では、販売事業者が都への請求前に、使用料金を値引きする際の原資等として本事業の補助金を活用するため、概算払いを行ってございます。
 都はこれまでも、概算払いにつきまして、本年七月に事業を開始する際、補助金申請の手引に記載したほか、事業者向け説明会等で周知を図ってまいりました。
 今回の事業におきましては、補助金申請の手引をより分かりやすく見直すとともに、事業者向け説明会において、フローチャート等を用いて概算払いの説明を行うなど、丁寧な情報提供を行ってまいります。

〇小磯(善)委員 販売事業者の皆様は中小企業の方が多いわけでございまして、そういった意味では、こういう役所との手続といいますかね、そうしたことについては、なかなか慣れないという方も大勢いらっしゃると思いますので、懇切丁寧に説明をしていただいて、また概算払い、これもしっかり徹底していただいて、今回は販売事業者の方が本当にスムーズに展開できるようにお願いをして、質問を終わります。

〇アオヤギ委員 日本共産党のアオヤギ有希子です。
 まず、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例について質問をします。
 この条例は、液化石油ガス法関係手数料条例で、手数料例で、石油などのタンクを事業者が設置する際に、事業者は都か国の認定を受けた検査機関の検査を受けますが、都以外の検査機関を使った場合、都に支払う検査料を減額されることなどが定められております。そこに、新たに、認定高度保安実施事業者が行う検査も減額する条例改正を行うというものです。
 認定高度保安実施事業者は、令和四年六月の高圧ガス保安法の改正で、コンビナートなど貯蔵施設または特定給油施設の完成検査を自ら検査することができると変更されました。今回、政令に基づいて都条例も変更の提案がされています。
 そこでお伺いします。認定対象者としてコンビナート事業者が想定されていますが、現在都内にはないということですけれども、今後、コンビナートなど建設される見込みがあるのか、お示しください。

〇戸井崎環境改善部長 現在、都内におきまして、高圧ガス保安法に基づくコンビナート規模の高圧ガス製造事業者はございません。また、製造事業者から同法に基づく許可申請はございません。

〇アオヤギ委員 現在、都において、高圧ガス保安法に基づくそういったコンビナートの建設許可申請はないということです。
 そもそも港湾に建設されるような余裕がないというふうに考えますのと、化石燃料をなくしていくことが求められている中で、新たにコンビナートの建設は現状考えられないという状況であるといえます。
 私たちは、今回の高圧ガス保安法の改正に当たっては、国会において、認定高度保安事業者制度については反対の立場です。
 この間、国では、同法の法改正で国や行政の監督規制が緩められ、事業者による自主保安を促進することを目的に、大臣認定事業所制度が導入されました。
 私どもは、保安活動そのものを一層民間企業に委ねるものであること、コンビナートの自主検査を推し進めることが、労働者や地域住民の生命、財産、安全の確保に重大な危険をもたらすことになる、保安確保のための政府、都道府県などの機関の監視と監督権限の縮小につながるとして、反対した経過があります。
 この認定制度導入後、認定事業所による事故や法令違反が繰り返され、過去十年間で高圧ガス法における重大事故は、認定事業所で六件発生し、また、法令違反を繰り返して、認定取消しの行政処分を受けた事業者もいます。こうしたことから、認定事業者が高度な自主保安を行っているとはいいがたい状況があります。
 今回の条例改正は、コンビナートなどの事業者が、認定高度保安事業者として完成検査を自ら実施した場合にも手数料を減額するものですが、安全の確保のため、今述べたような状況では、自主検査ではなく東京都や第三者の完成検査を原則とすべきだと考えます。
 また、今後、都内にコンビナートが建設される見通しもなく、認定高度保安事業者が自社の完成検査をするということは考えられず、したがって、改正する必要はなく、この条例改正には反対といたします。
 次に、指定管理者の指定について質問します。
 四つの都立の都民の森などの指定管理者の指定について確認します。四つとも設置されている自治体が特命で候補者に選定されています。
 この大きな理由は、大規模災害に備えて、迅速な避難や連携を図るためだということですが、神津島村の多幸湾公園については大規模改修があり、二年三か月の契約となるということですが、大規模改修後は特命でなく、事業者の公募があるのですか。

〇和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 多幸湾公園の指定期間は、大規模改修工事予定期間に合わせて、令和六年四月一日から令和八年六月三十日までの二年三か月でございます。
 大規模改修工事後の指定管理者選定についても、東京都指定管理者制度に関する指針に基づき、環境局指定管理者選定委員会に諮り、候補者の選定を行ってまいります。

〇アオヤギ委員 先ほどもいいましたとおり、四つの施設では、共通して、大規模災害に備えるということが示されていますが、二年後の多幸湾公園の選定では、大規模災害に対応できる事業者かどうか、どのように確認していくのでしょうか。

〇和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 指定管理者候補者から提出された事業計画書によると、災害時の体制強化のため、警察、消防、役場などの関係機関との連携体制の構築、災害、事故の対応マニュアルの整備や救命訓練などを実施するとしております。
 また、利用者に向けた情報発信として、ハザードマップをホームページに掲載するとともに、天候、災害の注意情報を道路沿いの掲示板で発信し、注意喚起の取組を講じるなど、災害に備えて適切に対応するとしております。

〇アオヤギ委員 今お示しされた内容ですと、警察、消防、役場の関係機関との連携構築など、地元自治体が一番確実に実施できる提案だと思います。また、この施設は、都民が自然や林業などに親しむ貴重な都有施設ですので、安定的に、かつ自然災害に備えられる体制をつくるなら、地元自治体との特命随意契約でもよいと考えます。
 地元自治体との連携を強化していただき、改修などの地元の要望があれば、対応をお願いしたいと思います。
 次に、補正予算についてお伺いします。
 まず最初に、六月補正時のこのLPガスの補正予算ですね、事業者の申請事業者数と執行した件数をお示しください。

〇戸井崎環境改善部長 本年七月から実施しておりますLPガス価格高騰緊急対策事業では、申請事業者数は五百八十八社、十二月現在、交付額の決定を行った事業者は二百七十九社、そのうち支払い件数は三十九社でございます。

〇アオヤギ委員 五百八十八社のうち二百七十九社が交付決定され、支払いが三十九社ということでした。
 交付決定がされていない事業者も、審査の後、決定され、支払われていくのだということを確認しておりますけれども、六か月分ではないんですけど、八、九、十だったと思いますが、その検針が終わって、それを都に提出した後で審査ということもあって、支払われている事業者が少ないという印象です。
 事業者は、この事業に登録後、一世帯三千円分を値引いた額を、八、九、十で値引いて、六か月分値引くということで、利用者にその引いた額で請求するために、都がこの金額を事業者に支払うまで事業者が立て替えています。非常に大きな金額です。
 この六月補正分は、十二月末、年末までに支払ってほしいという事業者の声をいただいておりますけれども、対応すべきではないですか。

〇戸井崎環境改善部長 都は、現在、LPガス価格高騰緊急対策事業における補助金の適正な支出に向けまして、販売事業者から実績報告や請求書等の提出があり次第、速やかに審査を行い、審査完了後、補助金の支払いを行っております。

〇アオヤギ委員 今回、この事業に参加している事業者の中には、まちのガス屋さんなど小さな事業者さんも含まれ、年末までに立替え分と手数料を支払ってほしいというお声をいただいています。
 この事業は、都が各家庭に対しLPガスの物価高騰分を支援するもので、事業者を経由してLPガスの減額を行うものですから、事業者は都の事業に協力している立場ですので、速やかに支払っていただきますようお願いいたします。
 次に、補助金の受け取りに時間がかからないというシステムがあります。それが概算払いですけれども、どういうシステムかをお示しください。

〇戸井崎環境改善部長 概算払いでございますが、支払うべき事業者は確定はしておりますが金額が確定していない、こういった場合に、あらかじめ概算額を交付し、支払い金額が確定したときに精算をする、こういう支払い方法でございます。
 本事業では、販売事業者が都への請求前に使用料金を値引きする際の原資等として本事業の補助金を活用するため、概算払いを行っております。

〇アオヤギ委員 使用料金の値引きの原資として使えるようにということで、概算払いがそのためにあるということです。事業者にとっては、こちらがよいと考える方もおられると思います。概算払いを行った事業者数をお示しください。

〇戸井崎環境改善部長 これまで概算払いを実施した事業者は、十五社でございます。

〇アオヤギ委員 この十五社は、先ほど答弁された支払い済みの事業者三十九社の中に入っているということです。
 六月の補正のときに、どのようにこの概算払いを周知してきたのでしょうか。また、今回の補正の執行の際にも、事業者に周知すべきではないですか。

〇戸井崎環境改善部長 概算払いにつきましては、本年七月に事業を開始する際、補助金申請の手引に記載したほか、事業者向け説明会等で周知を図ってまいりました。今回の事業でも、引き続き、申請の手引等で周知を行ってまいります。

〇アオヤギ委員 今回の補正の執行の際にも申請が新たに必要で、また、説明会があるそうなので、概算払いには特段の条件もないそうですから、その旨きちんと説明をして、事業者がまた協力していただけるようにしていただきたいと思います。
 まちの商店など、数多くこの事業者に含まれています。申請についてはワンスオンリーが大原則だということで、小池知事も別の事業でおっしゃっていましたけれども、申請を一回で済ませるということも含めて、そういった簡素化が求められていますが、申請を簡素化すべきではないか。

〇戸井崎環境改善部長 申請手続につきましては、申請書類を一部省略するほか、実績報告の記載内容を簡素化してまいります。

〇アオヤギ委員 簡素化していくということでありますので、これからこの議決後に説明会だと思いますが、年末にかけて事業者さんも大変忙しいと思いますし、前回の実績もあることですから、小さい事業者さんが簡単に申請できるように、申請の簡素化をお願いして、質疑を終わります。

〇曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇曽根委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

〇曽根委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百十九号議案及び第二百二十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

〇原委員 都立瑞江葬儀所の指定管理者の指定について、若干意見を述べさせていただきます。
 火葬場として唯一の都立施設であることもあり、瑞江葬儀所は安定的な運営が必ず行われなければならない公共業務です。指定管理者制度であっても、東京都がしっかりと責任を持って運営する必要があります。
 新施設建設中であり、新型の設備が整えば、火葬時間の短縮、動線の改善、スタッフの負担軽減などがよくなることが期待されます。
 現在、移行期の中での業務を、公園協会の慣れたスタッフが運営することは妥当であると思います。
 二〇二五年四月の新施設開設以降についても、利益を追求する民間企業などを指定することのないよう、あくまで公共事業を運営するという認識での運営をお願いします。
 その上で、要望として四点。
 一つ、施設内には豊かな樹木が茂っています。児童公園にも接していて、鳥や小動物がすんでいます。樹木保全を徹底していただくことをお願いします。
 二つ目、新施設になったら利用料が上がるのではとの心配が多数寄せられています。少なくとも現状より利用料を引き上げないよう強く求め、さらに受益者負担の考え方を変え、都内多摩地域やほかの道府県を参考に、低廉な利用料の設定を検討すべきです。
 三つ目、新施設で火葬件数を七千五百から一万五百件に三千件増やす計画とのことです。二〇二二年度の実績が七千三百六十件で、火葬の順番待ちでお葬式の日程を遅らせるケースが増えている実態から、増やすことは必要だと思います。
 年間の稼働日数を三百日から三百五十日にし、一日当たりの火葬数を二十五から三十に、稼働時間十時から十六時だったのを九時から十七時十五分にするということです。これまでより朝早い時間から車が出入りすることになります。
 時間と日数の増加に当たっては、人員配置をしっかりしていただくことと、地域の住民への周知を徹底し、質問やちょっとしたことでも問い合わせられる窓口を設け、地域との意思疎通を大事にしてほしいと思います。
 四つ目、新施設では、台風接近による浸水の危険がある場合、避難先として地域住民を受け入れるとのことです。避難時に、どこを通ってどの部屋へ誘導するのかなども、建設する途上でも想定をしておいてほしいというふうに思います。
 以上、意見を反映させていただくようお願いをいたします。

〇曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇曽根委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

〇曽根委員長 次に、報告事項、気候変動を踏まえた河川施設のあり方の策定についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

〇小松委員 それでは、私の方から、先日報告いただきました気候変動を踏まえた河川施設のあり方について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 東京都は、平成二十四年の十一月に、中小河川における都の整備方針−今後の治水対策を策定し、これまでの時間五十ミリ降雨から、年超過確率二十分の一の規模の降雨に目標整備水準を引き上げ、調節池等の整備を進めてきました。
 また、東京東部に広がる低地帯では、かつては高潮等による甚大な被害が発生していましたが、現在は、これまで整備を進めてきた防潮堤や水門などが機能を発揮し、人々の安全・安心に大きく貢献をしています。
 この東部低地帯だけで約三百万人の方が生活をされているだけではなくて、こうした東京都の安全対策もあって、人口はまだ増えているわけであります。
 そうした一方、IPCCの報告書では、気温の上昇に伴う降雨量の増加など風水害リスクの増大が示されており、その対応は待ったなしの状況です。
 そのような中、今回、都は、気候変動を踏まえた河川施設のあり方を策定しましたが、まずはこのあり方の位置づけを伺います。

〇斉藤河川部長 今回策定した気候変動を踏まえた河川施設のあり方についてでございますが、気候変動に伴う風水害リスクの増大に対して、将来に向けたさらなる安全・安心を確保していくため、都の河川施設整備の方針として、今後目指すべき整備目標や整備手法などを取りまとめたものでございます。
 中小河川におきましては、気候変動による降雨量増加などを考慮し、洪水対策を強化いたします。また、低地河川におきましては、将来の海面上昇や台風の強大化に備えて、高潮対策を強化するものでございます。

〇小松委員 都の河川事業における気候変動の対応について確認ができました。
 先ほどの答弁におきまして、中小河川の洪水対策では、将来の降雨量増加などを考慮したものに対策を強化するということでありましたが、どのように洪水対策を強化されるのか確認します。

〇斉藤河川部長 中小河川の洪水対策の強化についてでございますが、現行の年超過確率二十分の一規模の降雨から、平均気温二度上昇時における降雨量変化倍率一・一を乗じた気候変動を踏まえた年超過確率二十分の一の規模の降雨へ目標整備水準を引き上げ、将来の気候変動により増加する降雨に対して河川からの溢水を防止することといたしました。

〇小松委員 ただいまのご答弁でもございましたが、中小河川の洪水対策については、将来の降雨量の増加にも対応されていくということが分かりました。
 都はこれまで、護岸や調節池等の整備を進め、洪水に対する安全性を向上させてきたわけですが、今後は、気候変動を踏まえた整備目標に向けて、一層、河川施設の整備を進めていく必要があると思います。
 そこで、中小河川における気候変動に対応するための整備の考え方を伺います。

〇斉藤河川部長 中小河川における整備の考え方でございますが、時間雨量五十ミリまでは河道拡幅や河床掘削で対応し、五十ミリを超える部分は調節池等を活用することで効率的、効果的に対策を進めてまいります。
 また、さらなる対策のレベルアップといたしまして、トンネル式調節池を活用した地下河川等の流下施設の整備や複数調節池の連結によるネットワーク化など、多様な降雨にも対応した新たな整備手法を追加し、対策を強化してまいります。

〇小松委員 中小河川における洪水対策の強化に向けて、例えばトンネル式調節池とか、調節池同士の連結など、新たな整備手法も示されたということであります。
 また、中小河川の洪水対策の強化に伴い、施設整備の事業規模が増加するということが想定されるため、効率的に整備を進めていく必要があると思います。今後の洪水対策の進め方について伺います。

〇斉藤河川部長 今後の洪水対策の進め方についてでございますが、より効果的に整備を推進する必要があることから、優先的に対策を行うべき流域を選定いたしました。
 浸水被害状況や流域人口などの浸水時に想定される被害の深刻度などを踏まえて評価した結果、神田川流域等十流域を抽出し、並行して検討を進めてきた東京都豪雨対策基本方針(改定)におきまして、対策強化流域に位置づけました。
 今後は、これら十流域におきまして、順次、河川整備計画を見直し、優先的に対策を実施してまいります。

〇小松委員 中小河川の洪水対策の進め方について幾つか示されたところでありますが、例えばトンネル式の調節池というのは、例えば有名なところでいけば、環七の地下の調節池だと思います。こうしたトンネル式の調節池は、複数の流域間で相互に融通して、例えば一時間当たり百ミリの局地的で短時間の集中豪雨にも、効果が期待されるものというふうに理解をしています。
 先ほど控室でいろいろ意見交換していたら、一部の地域やグループの中には、この地下調節池に対して反対の声が上がっているということなんですが、ただいまのご答弁の中にもあったように、これはやっぱり連結、ネットワーク化して初めて大きな効果が発揮されるものだろうというふうに思いますので、都民の生命と財産を守るためにも、自治体や住民の方にしっかり丁寧に説明をしていただいて、ボトルネックがあってはこの大きな効果が生かせないわけでありますから、そうしたことも含めて、理解を深めていただく努力を引き続きお願いしたいと思います。
 一方で、低地河川では、将来の海面上昇や台風の強大化に備えた高潮対策の強化ということであります。どのような高潮対策を強化されるのか伺います。

〇斉藤河川部長 低地河川の高潮対策の強化についてでございますが、平均気温が二度上昇するシナリオにおきまして、二一〇〇年時点での最大値相当である〇・六メートルの海面上昇に加えまして、九百四十から九百三十ヘクトパスカルに強大化した伊勢湾台風級の高潮への対応に引き上げ、河川からの溢水を防止することといたしました。

〇小松委員 高潮対策についても、将来の高潮に対応したものに強化されていることが確認できました。
 都はこれまでも、防潮堤や水門等の整備により、東部低地帯の高潮に対する安全性を向上させてきたわけですが、今後は、気候変動を踏まえた整備目標に向けて、一層、河川施設の整備を進めていく必要があると思います。
 そこで、低地河川における気候変動に対応するための整備の考え方を伺います。

〇斉藤河川部長 低地河川における整備の考え方についてでございますが、将来の高潮の上昇に対して、防潮堤の高さを確保することを基本といたします。
 今後、海面上昇や台風の強大化の進行等を踏まえつつ、景観や背後地との連続性等に配慮して、防潮堤のかさ上げのほか、スーパー堤防や水門、排水機場の整備など、河川ごとに整備の手法を検討してまいります。

〇小松委員 低地河川における高潮対策の強化に向けた取組が確認されたところであります。
 また、低地河川の高潮対策の強化に伴って、施設整備の事業規模が増加することが想定されるため、ここについても効率的に整備を進める必要があると思います。
 そこで、今後の高潮対策の進め方について伺います。

〇斉藤河川部長 今後の高潮対策の進め方についてでございますが、より効率的に整備を推進する必要があることから、海面上昇の進行等に伴い、防潮堤の高さが将来不足する時期等を踏まえ、優先度をつけて対策を実施してまいります。
 来年度は、河川における高潮対策整備方針(仮称)におきまして、各河川における整備内容や時期等の検討を行い、その後、順次、河川整備計画を見直し、気候変動に対応した施設整備を実施してまいります。

〇小松委員 ただいまのご答弁で、低地河川の高潮対策の進め方も示されているということが確認できたわけであります。
 護岸や調節池などの河川施設は、一たび完成をすると大きな効果を発揮できるわけですが、大変長い時間をこの河川事業には要するという、そのことを踏まえますと、それまでの間、施設能力を上回る降雨などに対しては、この水害のリスクの防止や軽減の取組というところが大変重要になります。
 都はこれまでも、住民の避難行動につながる水防災情報の発信などのソフト対策にも取り組んできましたが、今後のこのソフト対策の強化の取組の内容について確認します。

〇斉藤河川部長 ソフト対策の強化についてでございますが、これまでの取組に加え、水害リスク軽減のため、都民の自助、共助の促進等の取組を展開してまいります。
 具体的には、住民の避難行動につながる水防災情報の発信、充実に向けて、水位周知河川等の指定拡大とともに、氾濫危険情報の的確、迅速な発表を支援することを目的に、AI等を用いた河川監視カメラ映像の自動解析の導入に向けた検討などにも取り組んでまいります。
 あわせて、より分かりやすい水害リスク情報を発信するため、水害実績等の情報を容易に閲覧できるシステムの構築などを進めてまいります。

〇小松委員 ソフト対策の強化についても、引き続き取り組まれているということが確認されたわけでありますが、気候変動への適応というのは待ったなしでありますし、そのような中、今回、将来想定される水害リスクに対する河川施設の整備方針をまとめたということについては評価ができるものでありますが、このまさにソフト対策については、基礎自治体やその地域の各地域の団体との連携というのが大変重要になりますので、これも事務事業の際にも少し触れたこともありますけれども、こうした日頃から、どういうふうにしっかり連携が取れるのかということの確認が重要であるということを指摘させていただきたいと思います。
 今後、この今予測されているような、温暖化から様々想定して計画を立てているわけでございますけれども、その予想を上回る温暖化の可能性というのも当然考えられるわけであります。気候変動の予測の変化に対する考え方について伺います。

〇斉藤河川部長 今後の気候変動の進行に伴い、降雨量の増加や海面上昇などの本あり方での予測と、将来時点での実態とが大きく乖離しないよう、水文気象データやIPCCの最新の知見、国の基準改定等を引き続き注視し、必要に応じて計画に反映させてまいります。

〇小松委員 将来の気候変動の状況にも柔軟に対応するという姿勢が確認されたわけであります。
 気候変動への対応は、今後の風水害対策における重要なテーマであります。
 パリ協定の目標などを踏まえた将来シナリオをはるかに上回るような可能性というのも否定できない中で、河川施設における取組を一層推進し、将来に向けた強靱な都市の実現に向けて取り組んでいただくこと、そして、加えて、これ、事務事業でも確認させていただきましたけれども、今日確認してきた中でも、大変な建設人材の確保が重要であることはいうまでもないわけでありまして、建設人材の確保や、それをしっかりマネジメントができる東京都建設局の体制、そして、区市町村との連携といったところも、きっちりとこの計画の中に組み込んでいただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

〇成清委員 まず、これまでの取組について伺います。
 中小河川の洪水対策については、都は、平成二十四年十一月に中小河川における都の整備方針を策定し、それまでの目標整備水準にある時間五十ミリ降雨から、年超過確率二十分の一規模の降雨へと引き上げております。
 また、低地河川の高潮対策については、かつて東部低地帯において大規模な高潮被害が発生していたことから、都はこれまで、高潮から背後地を守るための防潮堤や水門など、高潮防御施設の整備を進めてきています。
 そこで、河川の安全性向上のために実施してきた、これまでの河川整備の取組状況について伺います。

〇斉藤河川部長 中小河川における洪水対策につきましては、隅田川以西の中小河川のうち、四十六河川、三百二十四キロメートルを対象としており、このうち令和四年度末時点では、護岸は約六八%が整備済みでございます。
 調節池は、十二河川、二十七か所で、合計二百六十四万立米が稼働してございます。
 低地河川における高潮対策につきましては、防潮堤及び護岸は、対象延長百六十八キロメートルのうち、令和四年度末時点で約九五%が完成しており、このうち隅田川、中川、旧江戸川などの特に地盤の低い地域の防潮堤は概成してございます。
 水門、樋門、排水機場等は、二十二施設全てで整備が完了してございます。

〇成清委員 東京の河川の安全度の向上に向けて、中小河川と東部低地帯それぞれ施設整備が進められてきたことが分かりました。
 河川施設は、一度整備されれば大きな効果を発揮するものと思いますが、これまで整備してきた河川施設がどのような効果を発揮してきたのかについて伺います。

〇斉藤河川部長 河川施設による効果についてでございますが、中小河川では、令和元年東日本台風におきまして、都内でも記録的な豪雨となりましたが、これまで整備してきた護岸や調節池等が機能し、過去最多となる二十一か所の調節池で洪水を取水し、調節池の下流区間では溢水被害の発生を防止いたしました。
 また、低地河川では、平成二十九年十月の台風二十一号におきまして、過去に東京に十三万戸を超える大規模な浸水被害をもたらしたキティ台風と同程度の高潮を記録しましたが、これまで整備してきた防潮堤や水門等が機能を発揮し、浸水被害の発生を防止いたしました。

〇成清委員 これまでに着実に整備してきた河川施設が、期待されていたとおり、東京の安全・安心に大きな役割を果たしていることが分かりました。
 そのような中で、今回、気候変動を踏まえた河川施設のあり方を策定し、さらなる対策の強化に取り組むこととなったということですが、本あり方策定の経緯について伺います。

〇斉藤河川部長 本あり方策定の経緯でございますが、近年、全国的に豪雨災害が激甚化、頻発化するなど気候変動の影響が顕在化してきており、都の河川におきましても、将来の気温上昇に伴う降雨量の増加や海面上昇、台風の強大化などの風水害リスクの増大が懸念されます。
 こうしたことから、将来に向け、都の河川のさらなる安全・安心を確保していくため、気候変動を踏まえた河川施設整備の方針として策定をいたしました。

〇成清委員 気候変動に伴う将来の風水害リスク増加に備えた計画であるということです。
 続いて、中小河川についてさらに伺います。
 公共事業については効果的、効率的であり、代替不可能である必要があると考えます。洪水対策を強化する上では、公共投資の観点から、効果や効率を踏まえた上で施設整備を進めていくことが重要です。
 都は、整備目標として、将来の気候変動により増加する降雨に対して、河川からの溢水を防止することとしておりますが、洪水対策の整備目標についてどのように検討したのか伺います。

〇斉藤河川部長 洪水対策の整備目標についてでございますが、将来の降雨量増加に対応した四つの整備水準ごとに、整備効果や投資効果、整備期間を算出して比較検証を行いました。
 その結果、効率性や実現性を考慮するとともに、現行の治水安全度を下回らないように、目標整備水準を気候変動を踏まえた年超過確率二十分の一の規模の降雨に設定をいたしました。

〇成清委員 四つのケースで整備水準を比較検討し、整備目標を設定していることが分かりました。
 この整備目標の検討において、投資効果の確認のために費用便益分析を行っていますが、正しい投資判断のためにはその金額が適切であることが大前提となります。
 そこで、費用や便益の金額をどのように推定しているのかについて伺います。

〇斉藤河川部長 費用便益分析に用いた費用や便益につきましては、国土交通省の治水経済調査マニュアル(案)の手法に基づき算定してございます。
 費用につきましては、それぞれの整備水準ごとに必要な調節池規模を想定し、これまでの実績から、標準的な単価を用いて推定してございます。
 また、便益につきましては、整備をしない場合の氾濫エリアに含まれる資産額などを統計資料等から推定し、これを便益としてございます。

〇成清委員 国交省のマニュアルを用いて合理的に投資効果の分析を行い、洪水対策の整備目標を設定しているということを確認させていただきました。
 一方、東京の東部には、満潮位以下のゼロメートル地帯が広がっており、二百五十万都民が生活するこの地域で一たび浸水すると、場所によっては二週間以上にわたり浸水が継続し、甚大な被害が発生することが想定されております。
 今後、気候変動による海面水位は最大で〇・六メートル上昇するともいわれており、高潮対策を進めていくことが求められます。
 そこで、高潮対策の整備目標についてどのように検討したのか伺います。

〇斉藤河川部長 海面上昇、台風の強大化など、将来の気候変動に伴う外力増加に対しても、現在設定している治水安全度を下回らないような対策が必要でございます。
 現行水準が伊勢湾台風級の高潮でございますことから、平均気温二度上昇時の海面上昇に加えて、気候変動を考慮した伊勢湾台風級の高潮を整備目標として設定いたしました。

〇成清委員 現在設定されている安全度を確保できるよう、東部低地帯の浸水リスクを踏まえた検討がなされているということが分かりました。
 これまでも防潮堤や水門の整備を進めてきておりますが、気候変動を踏まえて、どのような高潮対策の手法を考えているのかについて伺います。

〇斉藤河川部長 防潮堤の高さが不足する河川の対策の手法といたしましては、防潮堤のかさ上げや水門、排水機場の整備、まちづくりと一体となったスーパー堤防の整備などを想定してございます。
 このうちスーパー堤防につきましては、景観や親水性に優れた手法でございますことから、整備の促進策を検討してまいります。

〇成清委員 現在、隅田川をはじめとする主要五河川について、スーパー堤防の整備が進められています。コンクリートの防潮堤と比べて、盛土により構成された幅の広いスーパー堤防は、地震への安全性も高く、景観としても潤いのある水辺空間の創出につながります。整備の促進策を検討するということですので、よろしくお願いいたします。
 気候変動を踏まえた高潮対策の取組について確認させていただきました。
 本あり方の中では、今後策定する河川における高潮対策整備方針(仮称)の中で、今後の整備内容や時期について検討するということで、ここを伺う予定でしたが、先ほどのやり取りで、来年度に検討を行うということでしたので、質問は割愛しまして、引き続き検討が進むことを期待したいと思います。
 続いて、水門について伺います。
 江東内部河川は、隅田川や荒川との合流点に水門が設けられています。地震や高潮時等には内部河川の水位を抑えるため、隅田川との合流点にある水門を閉鎖することとなっておりまして、東日本大震災の際にも一定期間閉鎖されていたと聞きます。
 今後、気候変動に伴う隅田川の水位上昇により水門閉鎖の機会が増えると、船舶で隅田川と江東内部河川を行き来することが困難になると考えられます。
 また、災害時に江東内部河川に整備された防災船着場を活用するという観点からも、船舶の航行に対する配慮が必要です。
 そこで、今後、気候変動に伴う海面上昇に備えて、水門の閉鎖時にも江東内部河川への船の通行を可能にする施設を設置する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

〇斉藤河川部長 江東内部河川におきましては、高潮時等に隅田川との合流点に設置した水門を閉鎖することで、安全性を確保してございます。
 平均気温二度上昇時には、二一〇〇年に最大〇・六メートルの海面上昇が予想されており、高潮や異常潮位などにより水門を閉鎖する機会が現在よりも増えると想定されます。
 そのため、来年度に検討を行う河川における高潮対策整備方針(仮称)におきまして、将来の海面上昇時の影響を検証し、必要に応じて対応策を検討してまいります。

〇成清委員 様々な課題が想定されるため、しっかりと検討して進めていただくことを期待したいと思います。
 気候変動を踏まえた河川施設のあり方検討委員会について、有識者からは、ハード対策とソフト対策を組み合わせて減災効果を発揮していくことが重要であるとの意見が出ております。
 ここでちょっとソフト対策についても質問しようと思っていましたが、先ほど質疑が出たものと重複するところが多いので、割愛をさせていただきます。
 ソフト面としては、情報提供や発信が主な対策となってくると思います。技術進歩なども積極的に取り入れて、今後ともハード、ソフトを連携して、対策をさらに進めていただくようお願いをいたします。
 今回、様々な難しい見積りや推定を重ねて、あり方を取りまとめていただきましたが、今後、地球温暖化の進行とともに、IPCCによる気候変動の予測が見直されることも想定されます。
 一方で、AIなどの技術開発のさらなる進展も期待されているところです。
 そこで、今後、気候変動の予測の変化や技術の進展をどのように計画や手法に反映していくのか伺います。

〇斉藤河川部長 今後、気候変動の予測の変化に対しては、水文気象データやIPCCの最新の知見、国の基準改定等を引き続き注視し、必要に応じてあり方に反映させてまいります。
 また、降雨予測技術やAIを活用した技術開発等の進展を注視し、より効率的、効果的な対策が取れるよう、施設整備や運用の状況を踏まえ、必要に応じて計画や手法等にも反映させてまいります。

〇成清委員 時代の変化にも適切に対応し、水害対策に取り組んでいく考えを確認することができました。
 百年先の安心に向けて、強靱な都市東京を実現していくため、気候変動への適応にもしっかりと取り組んでいただくことを要望し、私の質問を終わります。

〇小磯(善)委員 気候変動を踏まえた河川施設のあり方について、いろいろ確認をしていきたいというふうに思っております。
 まず、気候変動を踏まえた目標降雨の設定というところでお伺いしたいと思います。
 中小河川の洪水対策について、都は、平成二十四年十一月に、中小河川における都の整備方針を策定し、これまでの目標整備水準である時間五十ミリ降雨から、年超過確率二十分の一規模の降雨へと引き上げました。
 さらに、今回、気候変動を踏まえた河川施設のあり方を策定し、気候変動を踏まえた年超過確率二十分の一規模の降雨、これはCC二十分の一というそうでございますが、を目標降雨としております。
 そこで、まず、目標降雨について、年超過確率というのは何なのか、また、気候変動を踏まえたというのはどういうことなのか、CC二十分の一とは何なのか、お伺いしたいと思います。

〇斉藤河川部長 年超過確率二十分の一とは、一年間にその規模を超える降雨が発生する確率が二十分の一、すなわち五%であることを示してございます。
 また、気候変動を踏まえたとは、将来想定される気温の上昇に伴う降雨量の増加を考慮することでございまして、本あり方におきましては、現行の年超過確率二十分の一規模の降雨に対して、平均気温二度上昇時における降雨量変化倍率一・一を乗じることといたしました。
 CC二十分の一とは、気候変動を踏まえた年超過確率二十分の一を表しており、気候変動の英語表記であるクライメートチェンジの頭文字を用いてございます。

〇小磯(善)委員 気候変動を踏まえた目標降雨の考え方につきましては分かりました。
 このあり方の二九ページでございますけれども、私の地元町田市を流れる境川は、目標降雨の設定根拠となる雨量観測所が横浜観測所を使用していると。それ以外は大体、八王子と大手町なんですけれども。
 そういうことで、ちょっとこの境川について伺ってまいりますが、境川の現行の河川整備計画における一時間雨量についてお伺いしたいと思います。

〇斉藤河川部長 現河川整備計画における東京都施行区間の目標降雨は、一時間当たりおおむね六十五ミリであり、年超過確率二十分の一の数値を使用してございます。

〇小磯(善)委員 今のは、境川の目標降雨はおおむね六十五ミリという理解でいいんですよね−−はい。現在、境川で進められている都管理区間の目標降雨を確認できました。
 境川の源流、これは町田市でありますし、本当に八王子に近いと。それから、そういう中で、境川の現河川整備計画では横浜観測所の雨量データを利用しているということでございますが、源流に近い八王子観測所の雨量データを利用すべきというふうに私は思うんでございますが、境川において横浜観測所の雨量データを採用した理由についてお伺いします。

〇斉藤河川部長 境川流域は、東京都よりも神奈川県の流域面積の割合が大きいことから、流域全体の整備目標となる降雨の設定につきましては、横浜観測所の雨量データを採用してございます。

〇小磯(善)委員 境川という河川を考えたときに、東京都管理区間というのはやっぱり八王子の方に近いので、そこのデータを使うべきじゃないかとは思いますけれども、今の答弁で、全体の流域面積を考えたときにはこういうことになりますということでございます。
 そうすると、本来は、神奈川県と町田の管理区間ですね、境川の東京都管理区間と神奈川県の管理区間の目標雨量というのは、本来なら一致しなきゃいけないんじゃないかなとは思うんですけれども、境川の現河川整備計画において整備目標を、東京都は年超過確率二十分の一、神奈川県は年超過確率十分の一としておりまして、都と神奈川県で整備目標の違いがあると。
 そこで、気候変動に伴う東京都の整備目標の見直しによって、境川の全部の河川で同じ整備目標になるのか、今回の整備目標の改定によって全部一緒になるのかどうか、お伺いしたいと思います。

〇斉藤河川部長 本あり方は、現行の整備水準を下回らないように、気候変動を踏まえた年超過確率二十分の一規模の降雨を新たな整備目標としており、境川におきましては、東京都施行区間を対象としたものでございます。

〇小磯(善)委員 このあり方については、都の整備目標を示したものであるので、引き続いて神奈川県との調整、これもしっかり進めていただきたいというふうに思います。
 これまで都の中小河川整備においては、時間五十ミリ降雨に対応する河道整備を基本に進めてきております。
 そこで、現在、時間五十ミリ対応の河道整備のうち、護岸整備が完了した中小河川についてどれぐらいあるのか、お伺いしたいと思います。

〇斉藤河川部長 時間五十ミリ対応の護岸整備がおおむね完了した河川につきましてでございますが、境川や目黒川など十六河川でございます。

〇小磯(善)委員 時間五十ミリ対応の護岸整備の達成状況が分かりました。引き続いて護岸整備を進めていただきたいと思います。
 このあり方の中では、施設整備手法として、地下トンネル式調節池を活用した対策案が示されておりますが、海などへ放流する地下河川の整備や調節池のネットワーク化はどういった河川を想定しているのか、お伺いしたいと思います。

〇斉藤河川部長 本あり方では、地下河川などの流下施設や調節池のネットワーク化などの新たな整備手法や効果などを示しており、適用する河川につきましては、今後、事業化に向けた取組の中で整理を進めてまいります。

〇小磯(善)委員 本あり方では、新たな整備手法を位置づけたものであるということが分かりました。だから、どの河川にしていくのかというのは今後ということで、よろしくお願いしたいと思います。事業化に向けた取組をしっかり進めていただきたいと思います。
 都は、洪水対策で、これまでも対策強化流域を設定し、優先的に調節池等の整備を進めてまいりました。
 そこで、本あり方において、境川が対策強化流域に指定された経緯をお伺いします。

〇斉藤河川部長 本あり方におきまして、浸水被害状況や流域人口などの浸水時に想定される被害の深刻度などを踏まえて評価した結果、境川流域等十流域を抽出し、並行して検討を進めてきた東京都豪雨対策基本方針(改定)におきまして、対策強化流域に位置づけてございます。

〇小磯(善)委員 今回改めて評価した結果、境川が対策強化流域に指定されたという経緯が分かったところでございます。
 斉藤河川部長は、南多摩東部建設事務所で副所長をされていて、この境川の金森調節池の地元説明会で一番、賛成の人もいれば反対の人もいる、その説明会で一人で、何ていうか、その質問に対して答えておられました。大変ふだんはクールな雰囲気ですけれども、そのときは熱い情熱を持って調節池の必要性を訴えておられたことがすごく印象に残っておりますので、境川の対策強化ということで、よろしくお願いしたいと思います。
 対策強化流域においては、河川整備のほかに流域対策も重要な施策の一つであると考えます。
 そこで、対策強化流域全体と、境川流域における流域対策の実績と進捗率についてお伺いしたいと思います。

〇斉藤河川部長 東京都豪雨対策基本方針(改定)によりますと、対策強化流域における流域対策量の実績は、令和三年度末時点で約四百三十二万立米であり、目標対策量約六百五十四万立米に対して、六六%の進捗となっております。
 境川流域におきましては、令和三年度末時点で約四十三万立米の実績となっており、目標対策量約三十七万立米に対して、進捗率一一六%と目標を達成してございます。

〇小磯(善)委員 ですから、境川については、先ほど答弁がありましたように、護岸整備も終わっていると。なおかつ、流域対策については、目標の三十七万立米に対して四十三万立米ですね。
 だから、三十七万に対して四十三万ができているということなので、進捗率が一一六%ということで、護岸整備も終わっているし、流域対策ももうしっかり目標をオーバーして終わっているということは、もうあとは調節池をしっかり造る以外に、目標の六十五ミリは達成していかないということだというふうに思います。
 今、金森調節池が令和七年度で、木曽東調節池が、これも令和七年度供用開始ということでございます。中里橋側の近くを今計画されていますので、それもしっかりやってもらって、あとは、この境川の中でどれだけ地下調節池、また、そういったものを造れるかということで、その引き続きの検討をしっかりお願いをしたいというふうに思います。
 近年、日本各地で毎年のように豪雨災害が発生し、気候変動の影響が顕在化してきており、都においても他人ごとではありません。引き続き、危機感を持ってしっかりと将来への準備を進めていただくことを要望して、私の質問を終わります。

〇アオヤギ委員 気候変動を踏まえた河川施設のあり方の中の、私からは主に多摩地域の計画について伺います。
 私の地元八王子市やその周辺の地域では、台風十九号とその二年前の台風などで連続で被害がありました。河川の堤防がえぐられ、住宅の基礎までえぐり、全壊扱いになるなど住宅の被害や、南浅川の護岸が削られ、川沿いの道路が寸断され、住宅団地の唯一の生活道路だったために、車の通行はできなくなり、住宅街が数か月にわたって孤立したままとなり、道路復旧に時間がかかった場所もあります。
 この南浅川は、令和五年度整備予定に入っていると、このあり方には書かれています。
 また、十九号の八王子市の高尾山口駅付近の案内川、これは南浅川の上流に当たりますが、それが溢水し、障害者のグループホームなどが浸水となり、夜間に緊急避難となり、障害者の方々が行き場がないという状況になり、事業者の方が苦労されたお話を聞いています。
 大分時間がたってから避難先が決まりましたが、床上浸水となると、住宅やそうした施設などに甚大な被害をもたらします。
 そして、この高尾地域では、護岸が削られるということが繰り返し起こってきました。被害想定を大幅に見直す必要があると痛感しています。
 気候変動を踏まえた河川施設のあり方ということですので、想定する降雨量を引き上げ、整備することが求められていますけれども、そこでお伺いしますが、このあり方に、台風十九号時の八王子市の一時間最大七十二ミリが記録されておりますけれども、しかし、二十分の一確率雨量だと六十五・四という数字になります。七十二ミリ以上の対策が必要ではないですか。

〇斉藤河川部長 本あり方における整備目標といたしまして、現行の整備水準に対して、平均気温二度上昇時における降雨量変化倍率一・一を乗じた、気候変動を踏まえた年超過確率二十分の一の規模の降雨へ目標整備水準を引き上げ、将来の気候変動により増加する降雨に対して、河川からの溢水を防止することといたしました。

〇アオヤギ委員 この現行の整備水準に対して一・一倍の降雨量ということですが、台風十九号のときの一時間七十二ミリ以上の降水量の集中豪雨があったのも事実です。
 実際、都内でも一時間百ミリ前後の雨が降っているわけで、目標が十分か注視していきたいと思います。
 次に伺いますが、このあり方は、これまでの計画にとどまらず、さらに気候変動を踏まえた河川整備をしていくということなのか、確認します。

〇斉藤河川部長 本あり方におきましては、目標整備水準を、気候変動を踏まえた年超過確率二十分の一の規模の降雨に引き上げ、河川からの溢水を防止することといたしました。

〇アオヤギ委員 河川からの溢水を防止していくということですけれども、実際、台風十九号のときも、先ほど申し上げたように、護岸が崩れたり、土砂が流れ込み、復旧に時間がかかり、都民の生活に大きな影響を与えました。
 先ほど申し上げた住宅に影響のある場所は、復旧は最優先で行っても数か月かかりました。
 それ以外の護岸も実は崩れていたんですけれども、そういった箇所では住宅に影響がなかったものの、遊歩道が、ずっと土砂が数か月にわたってそのまんま置かれていて立入禁止のテープがずっと貼ってあったと、数か月放置されたケースもありました。
 何度か建設事務所に連絡しても、復旧に当たる事業者がいないということが十九号のとき起こりました。集中豪雨の災害時の事業者不足も、解決しなければならない課題として残っています。
 中小河川では、まだまだしゅんせつが十分にされていない川や毎年のように木の伐採などが必要な河川があります。こうした要望もなかなか数か月待ちということが平常時からあります。
 大幅に費用を確保して、川の中の樹木などを抜去するなど、しゅんせつに必要な場所をやり切るという計画、そういったことも示した上で、初めて気候変動を踏まえた対策になるんじゃないのかなというふうに思います。
 気候変動を踏まえた対策であるなら、河川の整備計画に加えて、河川の維持管理に付随する課題や解決策も、今日的な視点から改めて示されるべきだと私は思いますし、より充実した計画になると思います。
 また、無尽蔵に開発が行われれば、河川に流れ込む水の量も、流れ込む速さも速くなってしまいます。川を広げ、調節池を増やす対策にもおのずと限界がありますから、雨水浸透策などを充実させるなど、開発の在り方も同時に検討していくべきであるというふうに意見を述べて、質問を終わります。

〇須山委員 私からも、この件、質問させていただきたいと思います。
 ご説明であったりとか、今までの各委員の皆さんの質疑で、大分中身に関しては非常によく理解ができたなというふうに思っております。
 その上で、やはり今、この台風であったりとか、豪雨災害であったりとか、温暖化といった気候変動を踏まえた風水害対策の強化に向けて、引き続き護岸や調節池の整備に取り組んでいくことということは、非常に重要なことだというふうに改めて理解をさせていただいております。
 しかし、その実際の各個別の整備に当たっては、やはり地元の皆さんの声にも耳を傾けることが重要でありますし、工事によって周辺の住民の方が受ける影響などについて、都はしっかりと説明を行っていくべきだと考えております。
 そこで、東京都は、今後都民に対して、どのように理解を得ながら河川施設の整備、これを進めていくのか、この見解を伺いたいと思います。

〇斉藤河川部長 本あり方は、気候変動を踏まえた都の河川全体での対策強化の方針について取りまとめたものでございます。
 今後、各河川におきまして事業を進めていく上では、河川整備計画改定時のパブリックコメントや事業説明会、工事説明会など、様々な機会を捉えて説明を行い、住民の理解促進に努めてまいります。

〇須山委員 ありがとうございます。
 今のご答弁であったようなことをやっていくのかなというふうには思います。
 ただ一方で、やはり、今具体的な箇所とかは特にいいませんけれども、今まさに計画が進んでいるとか、そうしたところで、やはり都民の方が、東京都の説明が足りないというような声も私たちにも寄せられておりますし、多分皆さんのところにも行っていると思います。
 法定の説明会であったりとか、そういったことはきちんとやっていただいていると思いますけれども、それ以上に説明というものはやっぱり大事なのかなというふうに思います。
 本当に、先ほども申し上げましたけれども、気候変動による風水害のリスク、この増大を考えると、やはり洪水とか高潮の対策強化というのは重要であることは誰でも認めるところではありますけれども、やはり、いざ自分の身の回りにそうした計画が浮上すると、ちょっと待ってよということになるということはよく分かります。
 だからこそ、早め早めにしっかりと説明をしていただいて、そして納得をしていただくために、東京都が丁寧な説明をしていただきたいということを改めて要望させていただきます。
 該当する自治体ともしっかりと連携をして、より一層、都民の理解を得ることを念頭に置いて進めていっていただきたいと要望して、私の質問を終わります。

〇もり委員 建設局から示された気候変動を踏まえた河川施設のあり方では、地下トンネル式調節池の整備、防潮堤かさ上げなどの施設整備が挙げられています。
 今年の夏も地球沸騰化ともいえる異常気象、気候変動による台風等の自然災害の激甚化、頻発化に、被害を未然に防ぎ、都民の命と暮らしを守るための対策強化に向けて、時間五十ミリ降雨を超える部分の対策は、調節池による対応を基本とするとしており、道路下や、また公園等の公共空間を活用した整備に取り組むとしております。
 現在整備が進められている調節池に加え、今後どのくらいの調節池が必要になるか、お伺いをいたします。

〇斉藤河川部長 本あり方は、気候変動を踏まえた河川施設整備の方針について取りまとめたものでございまして、必要となる調節池容量等は、順次改定する河川整備計画において検討してまいります。

〇もり委員 東京都豪雨対策基本方針が今年十二月に改定をされ、優先的に整備が必要とされる十流域には、地元の呑川においても優先的に整備が実施されるとしております。
 現在の呑川における河川施設整備の進捗と今後の整備についてお伺いをいたします。

〇斉藤河川部長 呑川の護岸整備につきましては、全区間において完了してございます。
 今後は、河川整備計画に基づき、調節池の整備を進めてまいります。

〇もり委員 かつては暴れ川と呼ばれた呑川ですが、護岸整備も完了をし、平時にはとても穏やかな河川になっています。また、上流部ではカワセミも見られるなど、下水道局さんの清流復活事業なども功を奏しておりますので、ぜひ引き続き調節池の整備に取り組んでいただきたいと思っています。
 今回の計画では、二一〇〇年までの長中期での河川施設整備の在り方が示されております。隅田川及びその支流においては、かさ上げ高が最大〇・九メートルですが、中川、旧江戸川においては〇・六メートル、城南河川では〇・三メートルから〇・五メートルと、かさ上げ高とともに、対策必要時期では、二一〇〇年以降までの長期にわたる計画となっております。
 その中でも城南河川は、二〇四〇年から二〇六〇年と、他の地域よりも早期の整備が必要とされております。
 そこで、高潮対策における対策必要時期の考え方についてお伺いをいたします。

〇斉藤河川部長 対策必要時期につきましては、海面上昇の進行等に伴い、防潮堤の高さが将来不足する時期を示したものでございます。

〇もり委員 既に人口減少、少子高齢化社会において、東京の人口は二〇三〇年をピークに緩やかな減少をしていくことが想定をされております。持続可能な自治体運営が求められていると考えます。
 災害対策は、予算があれば、多々ますます弁ずという側面もありますが、シールド工法による地下トンネル工事は地盤沈没のおそれがあったり、安全面と費用対効果の両面からの検討が必要となっていると考えます。
 気候変動を踏まえた河川施設を整備するのに総額幾らかかると試算をされているのか、お伺いをいたします。

〇斉藤河川部長 本あり方における中小河川整備の費用便益分析に使用した費用につきましては、これまでの実績から、標準的な単価を用いて推定してございます。
 詳細な事業費につきましては、調節池等を事業化する際に、おのおの算出してまいります。

〇もり委員 先ほども、ただいまも費用や便益の視点からのご答弁をいただきましたが、公共工事は、やはり当初の予算よりかなり、着工すると増加してしまう現状などもありますので、ぜひそういったことを含めて、持続可能な計画となるように要望をいたします。
 また、それぞれの河川施設において、安全面と費用対効果を住民に説明するべきと考えますが、都の見解を伺います。

〇斉藤河川部長 各施設の工事の安全対策や整備効果につきましては、今後の事業実施に当たり、事業説明会など様々な機会を捉えて説明を行い、住民の理解促進に努めてまいります。

〇もり委員 ぜひ十分に地域住民の声を聞いて計画を進めていただきたいと要望いたします。
 パブリックコメントを経て、今回盛り込まれた都民の声、変更点があれば、お伺いをいたします。

〇斉藤河川部長 本あり方のパブリックコメントは、令和五年七月十八日より一か月間募集し、二十五件の意見が寄せられました。寄せられた意見や疑問に対し、都の見解を報告書へ記載したほか、コラムを追加するなどの対応を行いました。

〇もり委員 ありがとうございます。
 ぜひそういった得られた声などもしっかりと盛り込んでいただきたいと思っております。
 令和元年の大型台風では、地元でも内水氾濫により多くの家屋に浸水被害があり、下水道による浸水対策も求められますが、下水道事業との連携についてお伺いをいたします。

〇斉藤河川部長 平成二十四年に策定した中小河川における都の整備方針において、内水被害を軽減するため、調節池と下水道管の直接接続などの連携手法を示してございます。
 本あり方におきましても、引き続きこの考えを踏襲してございます。

〇もり委員 大型の貯留施設のみならず、自治体、民間施設による雨水貯留や浸透施設により、河川への短時間の流入を防ぐ対策の強化も求められると考えます。
 中長期的な対策とともに、局横断的に、自治体、民間の取組とも連携をしながら、計画を進めていただきたいと要望をさせていただきます。
 今回、気候変動を踏まえた河川施設のあり方においては、二一〇〇年という長期的な視点で、IPCCによる気候変動による平均気温二度上昇への備えですが、気候変動対策は全庁を挙げて取り組むべき課題であり、このように対策を強化していただいている一方で、人口減少社会に膨大なCO2を発生する高層ビル建設が相次いで進められているなど、相反する現状もあると思っています。
 個々の調節池の整備は対策の強化として大変重要ですが、それらをネットワークでつなぐ作業は、本当に壮大な規模の事業になると思っております。気候変動対策として、公共事業で生じるCO2の見える化であったり、持続可能な自治体運営の在り方を求めて、質問を終わります。

〇漢人委員 COP28が終わりました。残念ながら、とても厳しい結果であって、今後、このあり方の基となっているIPCC第六次評価報告書の予測を上回るような状況になっていくのではないかということも、大いに危惧されていると思っております。そういった点を踏まえて質問いたします。
 まず、この計画の視点について質問します。
 概要版では目的と視点、本体の方では検討の方向性ということで、五つの視点が示されていますけれども、ここに生物多様性の視点がありません。視点四、まちづくりと一体というところには、治水機能の確保とともに、川とまちの連続性や親水性への配慮、景観との調和など、まちづくりと一体となった整備手法を設定とはあるんですね。
 そこでお伺いしますけれども、単独で、もしくは視点四に含むなどということで、この生物多様性地域戦略に基づいた視点が含まれるべきだと思いますけれども、見解をお伺いいたします。

〇斉藤河川部長 本あり方は、気象変動に伴う風水害リスクの増大に対して、将来に向けたさらなる安全・安心を確保していくため、都の河川施設整備の方針として、今後目指すべき整備目標や整備手法などを取りまとめたものでございます。
 なお、生物多様性につきましては、生物多様性地域戦略アクションプランにおきまして、河川、水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進などを位置づけてございます。

〇漢人委員 今のご答弁では、生物多様性地域戦略アクションプランにおいての河川、水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進などを位置づけているということが確認できました。しっかりと確認した上で、次に進みたいと思います。
 それで、中小河川の洪水対策の最後の今後の進め方ということで、東京都豪雨対策基本方針(改定)令和五年十二月において、対策強化流域に選定された計十流域において優先的に対策を実施とあります。
 それぞれ皆さん地元の流域について質問していますが、ここの十流域とは、神田川流域、石神井川流域、白子川流域、柳瀬川流域、谷沢川、丸子川流域、野川流域、目黒川流域、呑川流域、渋谷川、古川流域、境川流域と記載されているわけですね。
 この概要とスケジュールについてお伺いしたいんですが、特に私の地元であります野川流域について、想定される地域についてお伺いいたします。

〇斉藤河川部長 本あり方におきまして、浸水被害状況や流域人口などの浸水時に想定される被害の深刻度などを踏まえて評価した結果、野川流域等十流域を抽出し、並行して検討を進めてきた東京都豪雨対策基本方針(改定)におきまして、対策強化流域に位置づけました。
 今後は、野川流域を含む全ての対策強化流域におきまして、関係機関との協議やパブリックコメント等を実施し、河川整備計画を見直した上で、必要な箇所において対策を進めてまいります。

〇漢人委員 関係機関との協議やパブリックコメントを実施してということですので、まだ丁寧な、そういった地元の住民なども含めた準備期間があるということで、ぜひそこをしっかり進めていただきたいということを確認いたします。
 それで、次なんですけれども、先ほどの一問目の質問に対しまして、生物多様性地域戦略アクションプランにおいて、河川、水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進として位置づけられているとの答弁がありました。
 これが、アクションプランの中ではどのような方針の下に掲げられているのかといいますと、まず、基本戦略Ⅰ、生物多様性の保全と回復を進め、東京の豊かな自然を後世につなぐという中の行動方針1、地域の生態系や多様な生き物の生育、生息環境の保全の中のエコロジカルネットワークの形成という項目、そしてもう一つ、市街地における身近な緑の保全・創出の二か所に掲載されています。
 さらに、基本戦略Ⅱの生物多様性の恵みを持続的に利用し、自然の機能を都民生活の向上に生かすという中の行動方針6、防災、減災等につながる自然の機能の活用の、防災、減災等に寄与するグリーンインフラの推進、そしてもう一つ、行動方針7、快適で楽しい生活につながる自然の活用の、地域の自然資源を生かした健康面、教育面などの効用促進ということで、四か所に先ほどおっしゃられたアクションプランの中での位置づけがされているわけですね。
 そして、そのアクションプランのはじめにのところに、アクションプランとは何かということが書いてあるんですが、アクションプランにおいて、生物多様性に関する都の取組を整理し、全庁的な推進体制の下、PDCAサイクルによる進捗管理を徹底することで、二〇三〇年ネーチャーポジティブに向けた取組を推進していくというふうにうたわれております。
 ということは、先ほどの一問目と照らして考えますと、今後、この各流域の河川整備計画の見直しを進めるに当たっては、この地域戦略アクションプランの今申し上げました四つの方針の下で、このPDCAサイクルによる進捗管理がなされるということで理解してよろしいでしょうか。

〇斉藤河川部長 河川整備計画につきましては、これまでも河川法に定められている、治水、利水、環境の視点を踏まえまして策定、改定してきてございます。
 なお、生物多様性地域戦略アクションプランに位置づけております河川、水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進につきましては、堤防のり面や護岸、管理用通路等の緑化を対象として記載をしてございます。

〇漢人委員 今おっしゃられた、アクションプランで掲載している河川、水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進は、堤防のり面や護岸、管理用水路等の緑化を推進することにより、生物多様性の向上や防災等に資する水と緑のネットワークを充実させるとともに、身近に水に親しむことができる水辺の環境を形成して人々のにぎわいを創出するとあります。ここを要約しておっしゃられたのかと思うんですけれども、今のはアクションプランそのものを読んだんですが、まあ、それはもちろんそうなんですね。
 先ほどいったのは、その今いった内容が、アクションプランの中では四つの場所で掲載されていると。同じことが、どういった視点でアクションプランで位置づけられているかということを説明しました。
 そして、これは、今回の今後の河川整備計画においても当然、だから、河川整備計画が河川法に定められてというのは、それは当然のことなので、それを否定しているわけではなくて、その上で、先ほどのご答弁の中でも、河川法に定められている、治水、利水、環境の視点を踏まえて策定するということでしたよね。
 その環境の視点というところがより今回、このアクションプランが東京都としても定められて、その中に今回、何度も繰り返しませんが、そういった項目が設けられているということは、そういった視点も加味して、今後、河川整備計画について検討されるというふうに当然理解するんですけど、そういうことでよろしいですか。

〇斉藤河川部長 先ほどもお答えをいたしましたが、河川整備計画につきましては、これまでも河川法に定められている、治水、利水、環境の視点を踏まえまして策定、改定してきてございます。

〇漢人委員 だから、それはもうそのとおりですよね。
 だけど、最初の質問で答えられたとおり、先ほども答えられたとおり、生物多様性の視点はどうなっているんですかということに対して、アクションプランに位置づけられていますという答弁があったんですよ。
 だから、アクションプランに位置づけられているということは、それは具体的にいえばどういうことなのかということを伺って、アクションプランでは、先ほどいったようなPDCAサイクルで進捗管理をするということになっているんだから、当然この河川整備計画についても、そういう要素がプラスされるということ、河川法に基づいて、その策定、改定するのは、当然ながらそれにプラスして、新たに東京都が今年定めたんですよ。
 全庁的にこれに沿って取り組んでいきますということで、全庁的な庁内推進会議も設けられていて、建設局からは企画担当部長が出席されていますよね。全庁的な問題として、既にある、先にあるいろんな計画についても整合性を図るということも、これ、ちゃんと位置づけられていますよ、地域戦略の中に。
 ですから、当然そういった視点も含まれるというふうに思うんですが、なぜそういうふうにおっしゃっていただけないんですか。

〇斉藤河川部長 まず、東京都生物多様性地域戦略アクションプランでは、都の取組と目標が示されておりまして、第四章、基本戦略ごとの都の取組の中で、河川、水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進につきましては、堤防のり面や護岸、管理用通路等の緑化を対象として、再掲三か所を含めた四か所に記載をしておりまして、都のホームページでもご確認をいただけます。
 なお、河川整備計画につきましては、これまでも河川法に定められている、治水、利水、環境の視点を踏まえて策定、改定してまいります。

〇漢人委員 じゃあ、あれですかね、この河川整備計画というのは、生物多様性地域戦略との整合を図らないと。東京都生物多様性地域戦略とは全く別に動いていくということになるんですかね。局長、そういうことでいいんですか。
 局長でもいいし、それから企画担当部長でもいいんですけど、今、この生物多様性地域戦略、全庁的に取り組んでいこうということなんですが、この河川整備計画は、そことの整合を図らないということが建設局としての方針なんですか。

〇斉藤河川部長 繰り返しになりますけれども、河川整備計画につきましては、これまでも河川法に定められている、治水、利水、環境の視点を踏まえて策定をしてきておりまして、今後もその視点を踏まえながら、策定、改定をしてまいります。
 また、先ほどの東京都生物多様性地域戦略アクションプランにつきましては、河川、水辺の空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進につきまして、対象となる堤防のり面や護岸、管理用通路等の緑化を対象として取組を進めてまいります。

〇漢人委員 河川整備計画には、堤防や護岸や管理用水路というのは含まれないんですかね。当然含まれるから、そのときには、この生物多様性地域戦略に基づいたチェックがされるというのが、それが整合を図るということじゃないですか。
 河川整備計画に関しては、生物多様性地域戦略の整合を図らないというのが建設局の方針ということなんですかね。ちょっとすみません、またもう一回後で戻りたいと思いますけれども、一旦ここで次の質問に行っておかないと時間がなくなると困るので保留、保留じゃないけど、もう一回後でこれは再質問、聞きますけれども、次に進めたいと思います。
 それで、生物多様性とこの河川整備がいかに重要かということなんですね。具体的に、今回この野川が対象になっているということで、先ほど、関係機関との協議やパブリックコメント等丁寧な手続を取られるということなので、そこを信用したいというか期待したいとは思っていますが、これまで、この野川の小金井エリアにおいて何があったかということについてちょっとお話をしておきたいと、確認をしておきたいというふうに思います。
 野川は、ご存じの方も多いかと思いますが、国分寺市の東部の日立製作所中央研究所敷地内を水源としまして、世田谷区南部の二子玉川で多摩川と合流する全長二十・五キロメートルの一級河川です。
 小金井市内に第一調節池、そして第二調節池、そして三鷹市内に大沢調節池という三つの調節池が既にあります。
 一九八〇年代には、この野川は生活排水が垂れ流されて、悪臭を放つどぶ川となっていたんですね。これは、あちらこちらの川でそういう状況があったと思います。
 その状態から、この野川については、住民と、そして小金井市の取組も含めて、下水道整備も早くに進んだこともありますけれども、本当に市民活動がしっかり取り組む中で、清流へと復活させてきた、小金井市民にとってはとっても思い入れがある川なんですね。
 この第二調節池は一九八九年に完成したんですけれども、この護岸工事のときに、その対岸側、これ、野川の北側に第二調節池があるんですが、対岸の南側までコンクリートで固められちゃったんですよ。
 これを受けて、市民が猛反発をしまして、反対運動を展開した結果、何と完成直前に一回固めたコンクリートを剥がして自然護岸に戻したという、そんな経緯があったんですね。これ、すごいことだなと思いますよ。
 私は当時、もう既に実は小金井市民ではありましたけど、野川とちょっと大分離れた北の方に住んでいたから、ほとんどこの状況は知りませんでした。関心もなかったんですね。
 だけど、今となってみると、本当、これ、すごい先見の明のある取組をしていただいたんだなと思います。先輩市民の皆さんもそうですし、当時そんな英断を下された建設局の担当の皆さんには、本当に大きな感謝と敬意の思いを持っております。
 この経過について、建設局としては認識をしていらっしゃいますか、確認します。

〇斉藤河川部長 昭和六十三年度末に整備が完了した野川第二調節池取水堰の対岸につきましては、地域住民と協議を重ね、護岸整備を行ったものと認識してございます。

〇漢人委員 今の答弁を聞くと、何か、何ていうか、そういってしまえばそうかもしれないけど、本当、これ、すごい小金井の中での動きがあったし、本当に大きな決断だったと思うんですよ。一旦コンクリートで固めたものを、東京都がそれを剥がして自然護岸に戻すって、ほかにありますかね。都内でそういう。(「ありますよ、それはある」と呼ぶ者あり)ありますか、じゃ、すごい。大々的に韓国なんかはそういうのを行っていますけど、まだまだ日本では少ないと思うんですが、今、こいそ委員の方から、ほかにもあるというお話だったので、ちょっと今そこまでいくとあれですが、通告していないので、そういったことができてきたんだということだと思うんです。
 だから、調節池を造るという、水害対策をするということと同時に、こういった生物多様性についても非常に重視するような取組をかつてからされていたということかと思います。
 そして、もう一つあるんですけれども、この野川においては、一九八〇年代に、今、第一、第二調節池がありますが、もう一つ、第三調節池というのが計画をされていたんですね。これが実は、住民による反対運動によって計画が凍結となりまして、それが、この間、質問でも取り上げておりますけれども、野川の武蔵野公園の一部に、その後、編入されている原っぱの部分なんですね。
 今、第一調節池、第二調節池がある向かい側の南側の広々とした原っぱがあるんですが、そこにくじら山というこんもりした山もあったりする。そこが全部壊されて、第三調節池が造られるという計画があったんですけど、これも本当に住民による大反対運動が起きて、長年にわたってこの地域でいろんなお祭りをやったり、いろんな地域のイベントもやることなども含めて、凍結されてきて、結果として、武蔵野公園に編入されているという状況になっています。
 先日の事務事業の質疑のときには紹介しましたけど、その原っぱについては、今、生物多様性地域戦略のアクションプランに位置づけられている武蔵野公園生物多様性保全利用計画の下で、かつての高茎草原の部分的回復ということまで、今取り組まれようとしている、そんな場所になっているんです。
 これも、やっぱり、大反対していただいた先輩市民、私もこれは途中から加わっている立場になるんですけれども、そして、やっぱり結局、これ凍結して、武蔵野公園に編入ということを進められた建設局の判断というものを、とてもありがたいなというか、すばらしい判断だったと思っているんですけど、この点について二点質問します。
 この野川第三調節池計画が住民の反対によって凍結となった経過というのは、建設局の中で引き継がれているでしょうか。そして、もう一つ、現在、じゃあ、この計画はいまだにあるのか、この調節池の計画は今どうなっているのか、この二つをお伺いいたします。

〇斉藤河川部長 野川第三調節池につきましては、野川第一及び第二調節池の完成や護岸整備の進捗により、平成十八年に策定した野川流域河川整備計画に位置づけてございません。
 その後、平成二十一年及び平成二十九年に河川整備計画を改定しており、いずれも当該調節池の位置づけはございません。

〇漢人委員 これも答弁としてはさらっとしていますが、第三調節池という計画があって、平成十八年の計画では、もう位置づけがなくなったというご答弁だったんですね。
 だから、第三調節池という計画があって、その凍結になった理由というところまでは共有されていますか。何か、自然消滅したんじゃなくて、その原っぱを守りたいという地域の声等の中で、凍結になったという経緯があるというふうに、私はそこは、私自身もその一部に加わっているので承知していますけれども、そういう認識はありますか。

〇斉藤河川部長 野川第三調節池につきましては、野川第一及び第二調節池の完成や護岸整備の進捗により、平成十八年に策定した野川流域河川整備計画に位置づけられておりません。
 その第三調節池につきましては、住民との協議があったということは存じております。

〇漢人委員 住民との協議というふうにいっていただきましたが、そこの、本当に深い様々な取組があったということは、しっかりと押さえていただきたいと思います。
 今後のこの野川流域についての河川整備計画を策定する過程の中では、こういった経緯もしっかり踏まえておかないと、野川流域、世田谷まであるわけなので、どこでどういった対策をするのかということも検討されるんでしょうけれども、川沿いの広々とした、調節池を造るにはちょうどいい広場ではあるわけですよ。だから第三調整池の予定になっていたんだけど、やっぱりこういう経過があって造られていないので、そのことをもしちゃんと確認しない中で造ってしまったら、何か同じことが繰り返されることになりかねません。
 やっぱり生物多様性地域戦略との関係も含めて、水害対策、この洪水対策も本当に重要なんですけれども、ただハードで固めればいいということではない。本当に生物多様性に配慮したような土地の在り方、そういったことまで含めて対策をしなければいけないんだというふうに思いますので、しっかりとその辺を踏まえていただきたいと思います。
 また、あれですよね、今回、もう四、五十年前のことなんですよね、この第一調節池、第二調節池、そして第三調節池が止まったという経緯から。それから、もう今の、例えばこの間、コロナ禍の中で、自宅で皆、引き籠もらなきゃいけないというか、待機しなければいけない、自粛しなければいけないときに、この野川流域に本当にたくさんの人がいました。やっぱり、すごく身近なこの自然環境がいかに精神的に必要なものなのかというのも、この間、改めて確認されています。
 昔のその判断をされた方々が、今のような状況まで予測をしていたことではないと思うんですけれども、やっぱり本当に重要なことが、ここに歴史的に確認されているんだというふうに思います。
 また、この調節池を止めるという過程、あるいは野川の清流を復活させようという過程の中で、小金井では雨水浸透ますの設置というのが本当に積極的に取り組まれて、これはもう世界一の設置率ということはご承知かと思います。今、昨年のデータで六七・七%ですよ。もう半分以上の家で小金井では雨水浸透ますが設置をされています。
 単に調節池を造るなということではなくて、それじゃあ代わりにどうやって浸透させていくのかということを取り組んできたということもあります。
 そういったことが大事だということは、このあり方の策定についての中でも、透水性舗装や浸透ますなど東京都豪雨対策基本方針等に基づき設置を推進している流域対策による河川への雨水流水抑制効果を考慮するということも書かれていますので、単に調節池のような、そういった大きな施設を造るというようなことだけではなくて、こういった本当にグリーンインフラを徹底して広めていくというか、そういったことも同時に考えるべきだということを申し上げておきたいと思います。
 そしてまた、この第一調節池、第二調節池については、これも、この間も何度も申し上げていますが、自然再生推進協議会というのが設置をされて、全国で二十六か所しかない、都内で一か所しかない自然再生の取組が行われていると。本当にこの間の経緯の中で、しっかりと地域の中でも、そして東京都全体からも、全国的に見ても貴重な自然を再生するような、そういったエリアになっているということですので、このことは今後のこの野川の流域河川整備計画を策定するに当たっては、しっかりと押さえた中で進めていただきたいというふうに思います。
 もう一回、先ほどの質問なんですけど、だから、本当、生物多様性の視点をしっかり持っているかというのは非常に重要だと思うんですね。だけど、先ほどの河川整備計画では、河川法に基づくだけで、生物多様性については関係ないんだというご答弁が繰り返されましたけど、本当にそれでいいんでしょうか。
 だから、そういった視点がちゃんとないと、また同じことを繰り返しますよ。今必要な水害対策、洪水対策をするということだけではなくて、本当に今、回復しなければならない生物多様性ということについての視点も同時に持つというのが、だって、それがこの地域戦略じゃないですか。
 全庁的に取り組んでいきますということなのに、この河川整備計画に関してだけは整合性を図らないんだって、局長、本当にそういうことでいいんですか。
 その整合の図り方とか、じゃあ、どうやってやっていくのかということまで細かく詰めているわけじゃないんですよ。基本的な考え方で、河川整備計画が生物多様性地域戦略と整合性を図るということがあるのかないのか。そういったことが全くらち外なのかどうかということが、先ほどの答弁だと、そういうことになっちゃいますよ、よろしいですか。

〇斉藤河川部長 先ほどからもお答えをしていますが、河川整備計画につきましては、これまでも河川法に定められている、治水、利水、環境の視点を踏まえて策定、改定してきておりまして、今後もそのような視点を踏まえて策定、改定してまいります。

〇漢人委員 これまでどおりのことをやっていたら駄目だから、地域戦略をつくったんじゃないんですか。
 河川整備計画に関しては、これはこれまでどおりなんですか。それでいいんですか。全庁的な推進会議に出られる企画担当部長もそういうことで、いや、建設局では、河川整備計画は地域戦略との整合性は図りませんというふうにおっしゃるんですか。そういうものでいいんですか、本当に。建設局、そういうことでいいんですか、局長。(斉藤河川部長発言を求む)局長に聞いているんですけど。

〇中島東京都技監 先ほど来、部長がお答えしていますとおり、生物多様性地域戦略アクションプランに位置づけておりますのは、河川、水辺空間の生物多様性に配慮した整備及び緑化推進ということでございまして、堤防のり面や護岸、管理用通路等の緑化を対象として記載しております。
 一方、河川整備計画につきましては、河川法に基づきまして、環境の視点のみならず、治水、利水の視点を踏まえて策定、改定してきております。

〇漢人委員 残念ながら、局長というか都技監といった方がいいですね。すみません、失礼しました。同じ繰り返しの答弁でしたけど、私はそれは違うと思いますよ。生物多様性地域戦略に即していないご答弁、大変残念だと思います。
 別に河川法に基づいてやることは全く否定していないんです。プラスした視点がなければ、生物多様性地域戦略、どの法律だって、どの計画だって、既にあるものに沿ってやっているんですよ。それを今見直さなきゃいけないから、地域戦略を今年つくったんじゃないですか。
 これまでどおりでやっていたら変わらないんですから、これまでどおりやってきたものについて、さらにプラスの視点で、地域戦略のアクションプランで見直しをしていくということを、ぜひ行うことを私は強く求めておきたいと思います。今の答弁は大変残念でした。ぜひ今後の見直しを求めたいと思います。

〇曽根委員長 いいですか。

〇漢人委員 終わりです。すみません、終わりといわなきゃいけない。失礼しました。

〇細田委員 私からは三点質問させていただきます。
 気候変動を踏まえた河川施設のあり方についてです。
 現在、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの報告書などでは、気温上昇の切迫性が示されており、激甚化、頻発化する大雨や高潮による風水害のリスクの高まりが懸念されていることから、将来に向けまして、さらなる安全・安心の確保が重要であります。
 特に東京の東部に広がる低地帯には、地盤の高さが東京湾の満潮時の平均水面以下の浸水リスクが高い地域が広がっていまして、気候変動に対する備えが欠かせない、そういう状況であります。
 都はこのたび、気候変動を踏まえた河川施設のあり方を策定し、その中で、低地帯の河川における将来を見据えた河川整備の方針を示されたわけでありますが、そこで、高潮対策におけます将来必要となる堤防の高さについての考え方について質問をします。

〇斉藤河川部長 将来必要となる堤防の高さについてでございますが、気候変動の影響を受けた高潮が発生した場合でも、現在の治水安全度を確保することを基本としてございます。
 具体的には、〇・六メートルの海面上昇に加えて、現行計画で想定している伊勢湾台風級の台風が強大化した場合の高潮や波浪等をシミュレーションにより算定し、これらを足し合わせて、将来に必要となる堤防の高さを設定してございます。

〇細田委員 TOKYO強靱化プロジェクト、昨年の十二月ですが、そのときの共通目線であります二度上昇、この最大値に想定する〇・六メーター、これに加えて、さらなる危険性を算定したという、そういうようなことで、将来の高潮にも対応した堤防の高さになるよう企図しているんだと、このように理解をさせていただきました。
 将来必要となる堤防の高さを確保するためには、それではいかなる方法があるのか。それを様々に具体的に考えて、実現に結びつけていくことが重要であります。
 そこで、整備における考え方について東京都の見解を求めます。

〇斉藤河川部長 整備における考え方についてでございますが、防潮堤のかさ上げを基本として、それが難しい河川におきましては、水門整備等の対策を含め、総合的に整備手法を検討してまいります。
 整備手法の設定に当たりましては、各河川の景観や背後地との連続性などにも配慮してまいります。

〇細田委員 今の答弁の一つ、後半の方の答弁の方ですが、おのおのの河川の景観との調和や、地域、まちとの連続性、また親水性への配慮が必要との、東京都の河川事業における高潮対策を克服していることを目指して整備を進めていく、こういう二つ目のお話であると、このように今の答弁を聞いて理解しますし、また、もう一つは、整備は総合的な整備手法を用いていくということでありました。
 低地河川の堤防、この場合のすなわち防潮堤や護岸は、資料によりますと、報告によりますと、百六十八キロメートルの九五%、これは完成しているということで、隅田川や中川、旧中川などの地盤の低い防潮堤は概成している、もう既にほぼ出来上がっております、できていますよということでありますが、条件は中小の河川ごとに異なってまいります。これを踏まえて、今後もしっかりと整備を進めていくことが必要であります。
 そこで、今後の整備の進め方についてはいかがでしょうか。どのように進めていくのか、東京都の見解を求めます。

〇斉藤河川部長 今後の整備の進め方についてでございますが、気候変動の進行に伴う海面上昇や台風の強大化に対応するため、必要な堤防高が現計画堤防高を超える前に対策を講じてまいります。
 来年度は、河川における高潮対策整備方針(仮称)におきまして、河川ごとの特性を踏まえた整備の内容や時期等について検討を行います。
 その後、順次、河川整備計画を見直し、気候変動に対応した施設整備を実施してまいります。

〇細田委員 ただいま、来年度は、河川における高潮対策整備方針(仮称)において、河川ごとの特性を踏まえた整備の内容や時期についてを検討していく、このようなご答弁でありました。
 都民の意見でありますパブコメでも、具体的な取組は来年度に取りまとめる予定ですと、このように都は回答していますが、今後、この整備の進め方について踏み込んだ方向性が示された、そういうことだと今の答弁で理解いたします。
 気候変動による水害リスクは高まっており、出水期には毎年、数十年に一度、また、かつてない、これまでにない、こういう言葉が報道でも飛び交っています。都民に警鐘を鳴らす時代に入っております。
 先ほど来、ご答弁いただきました、まさにIPCCの動きを注視していく、また、国のデータ、手法等もしっかりと連携していく、こういうような取組をしっかりと続けていただきますとともに、来年度の検討を踏まえて、この検討を踏まえて防潮堤の高さが将来不足しないように、一日も早く着実に整備を進めていっていただきたい、このことを求めておきます。
 そしてまた、パブコメでは、都民の声、これを可能な限り、様々もう生かした形で進んでいるというふうに思うんですけれども、生かされていっていただきたいなと改めて思いました。
 例えば、パブコメの意見の中で、高潮対策で、まさに江東内部河川のことについてですけれども、西側の河川では百分の一規模の降雨、東側の河川では一時間当たり百ミリの豪雨とあり、降雨規模の表記の意味が判然としません。同等の安全性を確保していることが必要なんじゃないですかというふうな意見等もありました。
 これは、そうじゃないですよと。江東内部河川においては、水門を閉鎖した際に、安全な水位が保たれるように計画しています。これ、都の回答でした。西側と東側では管理方法の違いから、対象とする降雨が異なっています。
 西側河川は高潮発生時に水門を閉鎖するため、高潮と重合する年超過率は百分の一規模の降雨に対応するように計画していますが、一方、東側の河川は常時樋門等で閉め切っていることから、高潮の影響を受けず、時間最大百ミリの降雨に対応する計画をしています。なお、西側河川と東側河川の豪雨時における年超過率は同等の水準となっています。
 ちょっと言葉でいっちゃったから、皆さんぱっと分かりにくかったかもしれませんけれども、同じようなんだけれども、仕組みが違うんですよと。ところが、この質問はほかにもあって、やっぱり分かりにくいんですよね。
 だから、こういうような都民の意見に対しては、心配がここに表れているから、そうじゃないですよということを分かりやすく周知する、ホームページでも周知する、この計画はこういうふうに進んでいるから、そこは大丈夫なんですよということをいかに伝えていくのかということも、都民の安心につながっていくと思いますので、そのことを要望させていただきます。
 このような意見を可能な限り、皆さんが一生懸命前に進めてくれているこの取組を、分かりやすく都民の皆様に周知していっていただきたい。そして、安心をつくっていってほしい。このことも併せてしっかりやっていただくことを改めて要望しておきます。
 また、加えまして、委員会における有識者の主な意見の中にも、例えば高潮対策も含めていろんな意見がありますから、どうぞ、生かされていると思いますが、これも反映するような形で進めていっていただいて、特に現在進められているまちづくりも踏まえて、施設整備の在り方を考えていくべきである。
 新たな時代に、まさに、かさ上げも進めていく。そして、先ほど来いわれている、まちづくりの在り方というものも、さらにバージョンアップしていくということがあるわけなので、じゃ、施設整備どうしていったらいいのということも、地域の様々な計画では変わってきます。
 ですから、これを生かすような形の先手を打った広報、また考え方というものも、どうぞこれから取り入れて、生かしていっていただく。今回の報告が、将来の気候変動への取組に確実につなげていっていただけるように要望いたしまして、私の質問を終わります。

〇原委員 委員の皆様の質問、大変勉強になります。私からも質問をさせていただきます。
 ここに書かれていますように、近年の降雨状況について、全国的に雨の降り方が大変変化してきています。線状降水帯とかゲリラ豪雨などの表現が頻繁に用いられるようになり、実際、各地で数十年ぶりという洪水や浸水の被害が起きています。局地的な集中豪雨の水害規模について予測を立て、十分な対策を持つことが重要です。
 都が、二〇一二年、平成二十四年十一月に策定した中小河川における都の整備方針では、区部の台地や多摩部を流れる中小河川における目標整備水準として、年超過確率二十分の一規模の降雨としています。
 一方で、低地部を流れる河川でも洪水対策を進めていますが、その中で、中川の整備計画での整備目標が年超過確率十分の一となっていますが、それはなぜですか。

〇斉藤河川部長 中川では、国土交通省、埼玉県、茨城県、東京都及び流域自治体により構成される流域総合治水対策協議会におきまして、中川・綾瀬川流域整備計画を策定しており、整備目標としては、年超過確率十分の一と定めてございます。
 都では、これに基づき中川・綾瀬川圏域河川整備計画を策定してございます。

〇原委員 十分の一という設定だと、二十分の一にやってくる規模の大きい豪雨に耐えられるのかというふうにお尋ねしてみましたが、低地部は高水対策をしてあるので、堤防高を高く造っている、それで大丈夫なのだという説明をいただいております。
 では、低地河川の洪水対策はどのように計画しているのか伺います。

〇斉藤河川部長 東部低地帯におきましては、伊勢湾台風級の高潮による水害から都民を守るため、高潮防御施設の整備を進めてございます。これにより、洪水に対する安全性も併せて確保してございます。

〇原委員 ありがとうございます。
 伊勢湾台風級の高潮対策が整備されているから、洪水対策でも安全が確保できるということです。
 江戸川区などは七割がゼロメートル地帯となっているので、本当に真剣に対策を講じておかなければならないというふうに常日頃思っております。
 次に、都が、このあり方の中小河川における都の整備方針の中で示している、トンネル式調節池を活用した新たな整備手法について伺います。
 本編四二ページにある複数調節池の連結によるネットワーク化は、どのように効果を発揮するんでしょうか。水を受ける容量の総量は変わらないというふうに思うんですが、よろしくお願いします。

〇斉藤河川部長 ネットワーク化により容量の相互融通が可能となり、局地的豪雨にも高い効果を発揮することを確認してございます。

〇原委員 確かに局地的な豪雨が観測される中で、調節池のネットワーク化が融通し合えるという発想はあり得るというふうに思いますが、どこでもこれができるわけではなく、ここに書かれてある、神田川や石神井川の範囲でしょうか、大変限定されてくる計画なのではないかというふうに思います。
 しかし、この一帯は歴史的に湧水の恩恵を受けてきた地域でもあります。そうした土地の特性をよく踏まえ、住民や専門家の意見を聞き、調査をした上で考えていく必要があるというふうに思います。
 実際、調節池の設置について、住民の強い反対が出ているところがあります。現在、都が進めている杉並区善福寺川に関わる調節池の計画は、住民の強い反対がありますが、なぜなのか、都としてはどのように受け止めているかを伺います。

〇斉藤河川部長 平成二十四年に策定しました中小河川における都の整備方針に基づき、神田川流域河川整備計画に位置づけた善福寺川における調節池は、既往の浸水実績などを総合的に勘案して事業内容を決めてございます。
 これまで、都市計画素案説明会に加え、個別説明やオープンハウス形式による説明を行うなど、住民の意見を聞いてございます。
 様々な意見があることは承知しておりますが、引き続き事業説明会などの機会を捉えて説明を行い、住民の理解促進に努めてまいります。

〇原委員 地元の住民の認識と大きく隔たりがあるというふうに思います。
 善福寺川の氾濫による浸水被害を防ぐためということで、一千億円かけて三十万立方平方メートルの地下トンネル調節池を造るという計画ですが、地上接続部に当たる善福寺川の緑地など公園が潰され、取水管理施設が建てられることや、原寺分橋付近では二十軒以上の立ち退きが必要となる計画です。住民生活に多大な影響をもたらす計画であるというふうに考えます。
 それとともに、貴重な湧水の消失、公園など緑地の破壊、交通渋滞、十年にわたる工事の被害などが住民から指摘をされ、批判をされています。
 先ほど漢人委員が指摘をしておりましたけれども、この場所でも生物多様性地域戦略の調査がされたのか、私、調べたところ、あまりその様子が見られない、形跡が見られないというふうに思います。
 これまで、この地域では、浸水被害を防ぐために、杉並区内での新築マンションには雨水貯留施設を設置義務化するなど、治水能力を高める取組が重ねられてきたそうです。
 そして、住民が反発する最大の理由ですが、この計画は今年八月に都市計画変更素案説明会で突如、地域住民の知るところというふうになったのですが、実は、調べてみると、二〇一六年から調査などで動いていたということで、七年間も住民に報告せず、対話もせずに進めていたということです。何でこんな基本的なことがやれてこなかったのでしょうか。
 反対の署名が今、二千五百筆を超え、ネット署名は一万人を超えているそうです。善福寺川での調節池計画について、住民の意見を踏まえて見直しの検討をするのか伺います。

〇斉藤河川部長 神田川流域河川整備計画に位置づけた善福寺川における調節池は、既往の浸水実績などを総合的に勘案して事業内容を決めてございます。
 引き続き、事業説明会などの機会を捉えて説明を行い、住民の理解促進に努めてまいります。

〇原委員 治水の対策という課題は、地域の方々も大変な関心事であります。繰り返し被害に遭ってきた地域です。同じ方向を向いて話し合うことをしていれば、こんなことにはならなかったはずです。
 年明けの二月、都計審に諮る予定と聞いておりますが、今からでも誠意を持って対応すべきです。住民の協力がなければ、計画がうまく進むわけがありません。一度、真っさらに戻して話し合いながら、計画をつくり直す必要があると思います。住民の意見を誠意を持って受け止めることを求めておきます。
 次に、スーパー堤防整備事業について伺います。
 隅田川は延長の三割が完成とありますが、残りの四河川における整備状況についてはいかがでしょうか。

〇斉藤河川部長 隅田川以外の河川におけるスーパー堤防につきましては、中川では東立石地区など二地区、旧江戸川では南葛西五丁目地区で完成しており、綾瀬川の六町地区などで事業を実施してございます。

〇原委員 何割という数字にもならない、着手できるところからやっているというような状況だというふうに思います。
 都型のスーパー堤防について、単独の場合は、適した用地を持つ所有者が手を挙げれば、整備をしていくという進め方なのでしょうか。特に期限を決めた目標はないというふうに思います。必要性については、個々のケースで検討が必要だというふうに思います。
 同じく、高潮対策という名目で、国河川の、今、江戸川区内において行われている江戸川区篠崎公園の国の高規格堤防と一体になった事業についてですが、これ、今工事に入っています。
 都は、公園高台化事業ということで公園事業として参加しておりますが、この堤防高掛ける三十という基本形には程遠く、越水対策の効果は疑わしいものだと考えます。
 この数か月で鬱蒼とした樹林が消失し、丸裸の様相に変わり果てました。樹木は三千本切られる予定となっています。大地に根を張った樹林の方が、よほど越水時に水の勢いを止める役割を果たしたのではないかと思います。
 スーパー堤防事業についても費用対効果についてよくよく検討が必要だと、この事業を見ていて思います。
 最後に、減災について伺います。
 減災の取組は重要ですが、特に低地河川における減災対策、ソフト対策をどのように考えていますか。

〇斉藤河川部長 今後のソフト対策の取組としましては、水位周知河川等の指定拡大を推進するほか、水門、排水機場において水位変動を予測し、操作を支援するシステムの導入に向けた検討などを行ってまいります。

〇原委員 水位変動予測が早く正確にできるようになるということは、大変重要だと思います。そうした意味で、DXというのも必要なのかと思いますが、やはり人の専門職の方の勘というか、そういう経験に基づく判断というのもとても大事だと思うので、それによって人の配置を減らすようなことはないようにしてほしいというふうに思います。
 特に広域自治体の役割、こういうところでは大きいです。情報の正確な発信を進めていただくことと併せて、情報難民が出ないように、防災ラジオの配布補助なども進めていただきたいというふうに思っております。
 気候変動にどう対応するかという視点で、流域治水との連携が重要です。先ほども議論されておりました。集中豪雨が起きたときに、川へその水がどんどん流れ込むことを防ぐというか、それを遅れさせる雨水浸透の力、これをパワーアップさせることは大事です。
 一つは、山や森、里山、農地を保全することです。また、アスファルトを敷き詰める開発はやめること、雨水浸透をする土地を増やしていくことが大事だと思います。
 そして、今、都市のヒートアイランド現象が深刻で、豪雨を呼んでいるという分析があります。再開発ビルの立ち並ぶ千代田区などでの熱分布が高いことを前回委員会で紹介しましたが、こうした再開発での高層ビル建設をストップすることが、都市の温度上昇を抑えることにつながります。
 神宮外苑の再開発など、本当に気候変動対策に逆行したことをやるのでは、幾ら河川対策をしても、いたちごっこではないかというふうに思います。総合的に施策を捉えなければならないことを意見し、質問を終わります。

〇曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇曽根委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十八分散会

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