環境・建設委員会速記録第十六号

令和五年十二月一日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長原  純子君
副委員長須山たかし君
理事細田いさむ君
理事山田ひろし君
理事小松 大祐君
漢人あきこ君
もり  愛君
アオヤギ有希子君
こいそ 明君
成清梨沙子君
小磯 善彦君
小宮あんり君
増子ひろき君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長宮澤 浩司君
理事高崎 秀之君
総務部長緑川 武博君
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
気候変動対策部長荒田 有紀君
再生可能エネルギー実装推進担当部長小林 洋行君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長戸井崎正巳君
環境改善技術担当部長宗野 喜志君
自然環境部長生物多様性担当部長兼務和田 慎一君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環技術担当部長横山 英範君
資源循環計画担当部長中島 隆行君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長古屋 留美君
道路監花井 徹夫君
総務部長荒井 芳則君
道路建設部長久野健一郎君
公園緑地部長佐々木 珠君
河川部長斉藤  有君
企画担当部長松島  進君
道路計画担当部長周郷 友義君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
環境局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について
・東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定について
・東京都檜原都民の森の指定管理者の指定について
・東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定について
建設局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
・東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定について
報告事項(説明)
・「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」の策定について
陳情の審査
(1)五第四八号 住民追い出し・まち壊しの特定整備路線の建設中止に関する陳情
(2)五第四九号の二 特定整備路線補助第二六号線の事業等に係る地域住民への説明会実施等に関する陳情

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課担当書記の小林玲菜さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○曽根委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局及び建設局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに建設局関係の報告事項の聴取及び陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより環境局関係に入ります。
 第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○栗岡環境局長 令和五年第四回定例会に提出を予定しております環境局関係の案件につきまして、概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和五年第四回都議会定例会提出予定案件の概要をご覧ください。
 今回提出を予定しております案件は、条例案一件及び事件案四件でございます。
 表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。まず、条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例についてでございます。
 地方公共団体の手数料の標準に関する政令の改正に伴い、規定を整備する必要があるためでございます。
 続きまして、事件案の概要についてご説明申し上げます。
 東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定についてなど、指定管理者の指定に係る事件案四件でございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要についてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○緑川総務部長 それでは、令和五年第四回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明を申し上げます。
 初めに、お手元の資料2をご覧ください。液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。
 改正理由でございますが、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の改正に伴い、規定を整備する必要があるためでございます。
 二、改正の内容でございますが、別表十の項を改正し、液化石油ガス貯蔵施設等完成検査手数料等の減額対象として、認定高度保安実施者が自ら完成検査を行い、基準に適合していることを確認した施設を追加するものでございます。
 三、条例の施行日でございますが、公布の日としております。
 裏面の二ページは本条例案、三ページから四ページまでは新旧対照表でございます。
 続きまして、資料3をご覧ください。東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定について外事件案三件についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。概要を表にまとめてございます。整理番号1から順次ご説明申し上げます。
 整理番号1、東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村の指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都立奥多摩湖畔公園山のふるさと村、指定管理者の名称は奥多摩町、指定の期間は令和六年四月一日から令和十一年三月三十一日まででございます。
 なお、整理番号3及び4につきましても、指定の期間は同じでございます。
 整理番号2、東京都立多幸湾公園の指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都立多幸湾公園、指定管理者の名称は神津島村でございます。指定の期間は令和六年四月一日から令和八年六月三十日まででございます。
 整理番号3、東京都檜原都民の森の指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都檜原都民の森、指定管理者の名称は檜原村でございます。
 整理番号4、東京都奥多摩都民の森の指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都奥多摩都民の森、指定管理者の名称は奥多摩町でございます。
 なお、これらの事件案は、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づき提出をするものでございます。
 二ページ以降は、それぞれの議案でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。――なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で環境局関係を終わります。

○曽根委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中島東京都技監 第四回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をご覧いただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、事件案が東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定についてなど二件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明申し上げます。

○荒井総務部長 第四回定例会提出予定案件の内容につきましてご説明申し上げます。
 資料1をご覧ください。事件案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております事件案二件の件名は、目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開きください。整理番号1の東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定についてご説明申し上げます。
 1の提案理由でございますが、本公園の指定管理者の指定に当たり、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づき提出するものでございます。
 2の指定の概要でございますが、対象となる公の施設の名称は東京都立東京臨海広域防災公園、指定管理者の名称は公益財団法人東京都公園協会、指定の期間は令和六年二月一日から令和十年一月三十一日まででございます。
 次に、整理番号2の東京都瑞江葬儀所の指定管理者の指定についてご説明申し上げます。
 1の提案理由でございますが、本施設の指定管理者の指定に当たり、先ほどと同じ、お示しの規定に基づき提出するものでございます。
 2の指定の概要でございますが、対象となる公の施設の名称は東京都瑞江葬儀所、指定管理者の名称は公益財団法人東京都公園協会、指定の期間は令和六年四月一日から令和七年四月三十日まででございます。
 二ページ以降に議案を添付してございます。後ほどご覧いただきたいと思います。
 以上で令和五年第四回定例会提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。――なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○曽根委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○斉藤河川部長 気候変動を踏まえた河川施設のあり方の策定につきましてご報告を申し上げます。
 お手元に配布しております資料2に沿ってご説明を申し上げます。
 右上に概要版と記された一ページ目をご覧ください。
 まず、策定の背景と目的についてでございます。近年、都内でも一時間五十ミリを超える雨が増加傾向にあり、また、東京東部の低地帯には地盤高が満潮位以下で潜在的に浸水リスクの高い地域を抱えております。
 一方、IPCCの報告書では、将来の気候上昇の切迫性が示されており、パリ協定の目標である平均気温二度上昇の場合において、降雨量は一・一倍に増加し海面水位は最大約〇・六メートル上昇することなどが見込まれております。
 都はこれまでも、護岸や調節池等の整備による洪水対策や防潮堤等の整備による高潮対策を進めてきておりますが、将来に向けてのさらなる安全・安心の確保が必要でございます。
 そのため、強靱な都市東京の実現に向けまして、気候変動を踏まえた中小河川の洪水対策や低地河川の高潮対策などをさらに強化していくため、今後の目指すべき整備目標や整備手法、整備の進め方などを整理し、本あり方として策定をいたしました。
 二ページ目をご覧ください。
 まずは、中小河川の洪水対策でございますが、将来の気候変動により増加する降雨に対して河川からの溢水を防止するため、現行の年超過確率二十分の一規模の降雨から二度上昇時における降雨量の増加率一・一を乗じた気候変動を踏まえた年超過確率二十分の一規模の降雨へ整備目標を引き上げます。
 整備の考え方でございますが、調節池等を活用した効率的、効果的な対策を進めてまいります。具体的には、時間五十ミリを超える部分の対策は、これまでと同様に調節池等により対応することを基本といたしまして、さらなる対策のレベルアップとしてトンネル式調節池を活用した新たな整備手法を追加いたしました。
 一つ目は、トンネル式の調節池を海等へ延伸することで、線状降水帯のような数時間降り続く豪雨に対しても継続的に効果を発揮できる地下河川などの流下施設とする手法でございます。
 二つ目は、トンネルを活用した調節池のネットワーク化により、容量の相互融通を図り、局地的な時間百ミリを超える豪雨にも効果を発揮できる手法でございます。多様な降雨を考慮したこれらの整備手法も加え、効率的、効果的に整備を進めてまいります。
 今後の進め方といたしましては、並行して検討を進めてまいりました東京都豪雨対策基本方針改定で選定した神田川流域などの十流域におきまして、順次、河川整備計画を見直し、優先的に対策を実施してまいります。
 三ページ目をご覧ください。続きまして、低地河川の高潮対策でございますが、将来の気候変動に伴う海面上昇や台風の強大化に対して河川からの溢水を防止するため、〇・六メートルの海面上昇と、九百三十ヘクトパスカルに強大化した伊勢湾台風級の台風がもたらす高潮の対応へと引き上げます。
 整備の考え方でございますが、各河川の景観や背後地との連続性等にも配慮し、防潮堤のかさ上げ、スーパー堤防の整備など、場所場所に応じた対策を講じてまいります。
 今後の進め方といたしましては、右下の図に示すとおり、防潮堤の高さが将来不足する時期の早い河川から、背後地の利用状況なども踏まえ、必要な高さの確保のための取組を実施してまいります。
 最後に、ソフト対策の強化についてでございますが、これまでの取組に加え、水害リスクの防止、軽減のため、都民の自助、共助の促進やハード対策の効果を高めるさらなる取組を展開してまいります。
 以上が概要でございますが、詳細につきましては、気候変動を踏まえた河川施設のあり方の本編をご覧いただければと存じます。
 最後に、今後の予定についてでございますが、本あり方につきましては、年内に公表する予定でございます。
 説明は以上となります。よろしくお願いいたします。

○曽根委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○曽根委員長 次に、陳情の審査を行います。
 初めに、陳情五第四八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○周郷道路計画担当部長 それでは、お手元の資料3、陳情審査説明表の表紙をおめくり願います。
 目次の次の一ページにございます整理番号1、陳情五第四八号をご覧ください。
 本件は、住民追い出し・まち壊しの特定整備路線の建設中止に関する陳情で、品川区の東京都特定整備路線連絡会共同代表多田康弘さん外三百五十六人の方から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、特定整備路線の建設を直ちに中止し、国に求めた事業認可を取り下げるとともに、事業認可取消し請求に関する行政裁判について争うことをやめていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都は、今後三十年で七〇%の確率で発生すると予測される首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえまして、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域を燃え広がらない、燃えないまちとすることを目指し、防災上効果の高い特定整備路線の整備を進めております。
 特定整備路線は、震災時の大規模な市街地火災に対して、延焼を遮断するとともに、避難路や緊急車両の通行路となるなど、都民の生命と財産を守る極めて重要な都市基盤であることから、「未来の東京」戦略やTOKYO強靱化プロジェクトにおきまして、安全・安心を確保し、持続可能な都市を実現するために必要な事業として位置づけております。
 また、防災都市づくり推進計画におきましては、震災時の被害拡大を防ぐため、特定整備路線の整備と市街地の不燃化を一体的に進めることで、より高い施策効果が発現されるものとしております。
 現在、計画した二十八区間、約二十五キロメートル全てで事業中でありまして、関係権利者に対して丁寧に説明するとともに、民間事業者を活用した相談窓口の設置などにより生活再建をきめ細かに支援してきており、これまでに六割を超える用地を取得し、全区間で工事に着手するなど着実に事業を推進しております。
 また、これまで二区間の延長約一・五キロメートルを交通開放いたしました。
 なお、一部の区間において国が被告となり事業認可の取消し訴訟が行われており、都は、参加人として訴訟に参加しております。
 今後とも、関係権利者に丁寧に対応し、理解と協力を得ながら、きめ細かな生活再建支援を行い、安全・安心なまちづくりに資する特定整備路線の整備を進めてまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○アオヤギ委員 それでは、陳情五第四八号、住民追い出し・まち壊しの特定整備路線の建設中止に関する陳情について、陳情者の訴えに賛同する立場から意見を述べます。
 陳情者は、特定整備路線が多くの場合、住民多数に立ち退きを迫り、商店街の分断や公共施設を移転させるものであり、地域の住環境、自然環境を破壊し、都民の居住権、財産権、環境権、生存権を侵害する路線であると訴えています。
 それは大半の特定整備路線が敗戦直後に復興院が机の上で線引きした計画であることや、戦後の宅地化や商店街発展の中で、事業化も困難な上に、道路の必要性も薄れて凍結された路線が多いからです。
 こうした経過を無視して、石原都政が東日本大震災を機に国土強靱化の名で、国財源も投入して、防災のための道路として二十八路線の事業化を推し進めたのです。
 しかし、その後、国は、地方自治体に、都市計画道路見直しの運用指針を示し、住民の理解が得にくい道路計画の再検討を指導し、京都、大阪など全国で二、三割の道路計画が廃止されています。都も陳情者の訴えを真摯に検討し、特定整備路線の見直しに着手すべきです。
 また、陳情者は、特定整備路線を突破口に、超高層ビル再開発がごり押しされている都内三商店街の例を挙げています。
 品川区戸越公園駅周辺では、補助二九号線と市街地再開発がセットで推進され、地権者の三分の二の合意で再開発組合を設立し、道路反対住民も強制的に協力させる仕組みで道路整備が進められています。
 板橋区の大山ハッピーロード商店街では、補助二六号線によって、大型商店街の分断が進められています。そして、その道路沿いの市街地再開発は、都や区の所有地も使って、開発反対の店舗の追い出しを図り、高層マンション二本を含む四つのビル建設が強行され、まちをさま変わりさせています。
 北区十条の商店街では、補助七三号線整備と併せた駅前再開発の超高層マンションに新たな高級スーパーやデパートが導入され、古くからの商店街が衰退の危機に瀕しています。
 いずれも地元の住民の中では、我がまちに必要なのはタワマンよりも安くて親切な商店街だというのが共通の声であり、再開発は住み慣れたまちから住民や商店を追い出し、新たなマンション建設でコミュニティの分断を招きかねないものです。超高層ビル中心の再開発推進とセットで大型道路を推進することはきっぱり見直すべきです。
 特定整備路線の必要性について、都は、先ほどの状況説明の中で、特定整備路線整備の意義について、木造密集地域に燃え広がらない、燃えないまちとすることを目指し、防災上の効果の高い道路を建設すると述べていますが、その最大の論拠とされた延焼遮断効果を証明する都のシミュレーションがいかに非現実的なものかが補助二九号線などを反対する住民訴訟の裁判の公判で明らかにされています。
 令和三年一月二十日の第十二回口頭弁論において、都の担当幹部職員を証人として、原告側弁護士が以下の点を証人に認めさせました。
 一、延焼シミュレーションは、建設局が当時の消防庁作成のソフトを借用し、専門家の技術的アドバイスも受けずに勝手に特定整備路線の予定地に適用したこと。
 二、そのソフトは、強風による飛び火の可能性が考慮されていなかったこと。ちなみに、消防庁では、その後、糸魚川火災を基に飛び火を考慮したシミュレーションを使っています。
 三、火災発生後も、住民も含め一切の消防活動がないことを前提に、風の力だけで燃え広がることを予想していること。
 こうした現実にあり得ない想定で火災延焼を推測したものであり、広い道路は火災の延焼を防ぐという仮説に都合のよい材料だけを使ったシミュレーションであったことは明らかです。
 今、地域の防災力として、住民自身による消防力の強化充実こそ重視しているときに、大型道路で住民を立ち退かせ、商店街を壊し、コミュニティを壊してまで大型道路を押し通す特定整備路線は、まさに逆行といわなければなりません。
 以上のことから、本陳情は採択すべきであると申し上げ、意見といたします。

○もり委員 陳情五第四八号、住民追い出し・まち壊しの特定整備路線の建設中止に関する陳情について、ミライ会議としては、特定整備路線の整備は、都民の命と暮らしを守る防災の観点から、いつ来るとも知れぬ首都直下震災への備え、木造密集地域の改善に向けた不燃化、耐震化の取組は必要であるとの考えから、全ての特定整備路線の整備に反対するものではありません。
 また、多摩地域においては、道路網が弱く一層の整備の迅速化を求める声もありますが、本陳情については趣旨採択を主張し、一言意見を申し上げます。
 特定整備路線、都市計画道路計画においては、陳情にもあるように、戦後直後につくられ、計画策定後、長期間を経て宅地化や商店街などが形成され、道路として必要性がなくなったものもあるとの指摘はもっともであると考えます。
 人口減少社会において、車優先のまちづくりから人と緑が憩うまちづくりが求められており、特定整備路線の整備が過度な再開発を誘導するものであれば、持続可能な環境都市づくりに逆行する時代錯誤な開発は見直すべきと考えます。
 特定整備路線の整備においても、地域の防災計画や地元自治体とも連携しながら、時代に応じて今本当に整備することが住民の命を守るために必要であるか、専門的な知見とともに、十分に住民の意見を聞き、再検討が必要なものは、計画の見直しについては、地元自治体、住民の声を十分に反映するよう求め、趣旨採択を主張いたします。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○曽根委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第四八号は不採択と決定いたしました。

○曽根委員長 次に、陳情五第四九号の二を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○久野道路建設部長 それでは、お手元の資料3、陳情審査説明表の二ページにございます整理番号2、陳情五第四九号の二をご覧ください。
 本件は、特定整備路線補助第二六号線の事業等に係る地域住民への説明会実施等に関する陳情で、板橋区の特定整備路線補助二六号線を考える会代表金崎文子さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、次のことを実現していただきたい。
 3、東武東上線大山駅付近の連続立体交差事業の進捗状況や今後の予定等、大山のまちづくり全体について、願意1の説明会と併せて、東武鉄道株式会社等の関係機関と一緒に地域住民への説明会を定期的に行うこと。
 4、東武東上線大山駅付近の連続立体交差事業について、願意3による説明会での意見や要望を踏まえ、見直しも含めて再検討することというものでございます。
 現在の状況でございますが、東武鉄道東上本線大山駅付近連続立体交差事業は、大山駅を中心とした約一・六キロメートルの区間にある八か所の踏切を除却する事業でございまして、令和元年十二月に高架方式で都市計画決定、令和三年十二月に都市計画事業認可を取得して、現在は用地取得を進めております。
 本事業に係る地元への説明といたしましては、平成三十年二月に都市計画素案説明会、同年七、八月に素案を説明するオープンハウス、同年十二月に都市計画案説明会、令和二年二月に用地測量等説明会、令和四年八月に書面による用地補償説明会を開催いたしました。
 今後、工事に着手する前には、地元住民を対象として、連続立体交差事業の工事に関する説明会を開催いたします。
 また、東京都のホームページで事業に関する情報をお知らせするとともに、地元住民からの問合せには丁寧に対応しております。
 本区間の構造形式につきましては、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却される踏切の数などの計画的条件、事業費や事業期間などの事業的条件の三条件で比較検討し、計画的条件及び事業的条件で優位である高架方式に決定いたしました。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携しまして、早期完成に向けて事業を着実に推進してまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 本委員会については、東武東上線大山駅付近の連続立体交差事業についての陳情審査になります。
 本事業は、都市計画道路補助第二六号線との交差箇所を含む延長約一・六キロ、計八か所の踏切除却という計画になっています。
 南口の道路事業と、まちの再開発、駅舎を含む東武東上線の高架化に加え、板橋区による駅北口の駅前広場整備という事業計画が住民の不安をさらに広げています。
 南口は、商店街を突き抜けるように幅二十メートルの道路を造るのと同時に進められているまちの再開発では、二六号線に沿って高層の建物が四棟、九十五メートルが二棟、四十五メートルが二棟、うち三棟はマンションです。
 現地を見てきましたが、既に驚くようなまちの変わりようです。大山ハッピーロード商店街のクロスポイントを過ぎた少し先から店舗がなくなり、両側に白い囲いが続き、その向こうには高層ビル建設が進んでいました。
 商店街を真ん中から壊して、二十五メートル道路を通したら、その先の商店街への影響は計り知れません。安心・安全とか、にぎわいとか、そんな言葉が再開発の理由に挙げられていますが、真逆の結果になるのではと想像されます。
 私どもの建設局が審査する陳情としては、東武東上線の連続立体交差事業の進捗状況や今後の予定など、大山のまちづくり全体について、陳情者は、東武鉄道株式会社などの関係機関と一緒に地域住民への説明会を定期的に行うことを求めています。
 また、説明会での意見や要望を踏まえ、見直しも含め再検討を求めています。補助二六号線が通れば、交通量が増大するため、踏切では済まなくなることから、立体交差が急がれるという関係もあると思います。
 この両事業の事業期間をまずお聞きします。補助二六号線の完成時期は、二〇二五年度末、令和七年度末と聞いていますが、連続立体交差事業の完成時期はどうなりますか。

○久野道路建設部長 東武鉄道東上本線大山駅付近連続立体交差事業の事業期間は、令和十二年度末まででございます。

○原委員 令和十二年度末、二〇三〇年度末ですね。計画でも補助二六号線の道路ができてから五年間は開かずの踏切が続くわけです。
 二六号線との交差点に当たる東上本線第一六号線、この踏切がこの交差点に当たります。これ、大丈夫かと住民からの懸念が募っています。交通渋滞だけでなく、排ガス公害、騒音などの問題も拡大するでしょう。
 地下化と高架化のどちらを選択するかの議論がされてきましたが、高架化に決定をしています。高架化を選択したことで、鉄道附属街路の都施行部分についての用地取得面積が約三百二十平方メートル、画地数は十六件とされていますが、現状の用地取得件数を伺います。

○久野道路建設部長 現在、契約に至っている画地はございません。

○原委員 事業認可をしたのが二〇二一年十二月です。それから二年がたちますが、いまだに一件も契約に至らないというのは、どういう状況なのでしょうか。

○久野道路建設部長 本事業では、令和三年十二月に都市計画事業認可を取得後、令和四年八月に用地補償説明会を開催し、現在、物件調査や土地価格及び物件移転補償費の算定などを実施しているところでございます。
 引き続き、事業への協力が得られるよう、用地折衝を進めてまいります。

○原委員 環境影響評価審議会における評価書案に対する都民等の意見書と事業者見解というのを読ませていただきました。
 高架化と地下化はどちらも可能だが、地下化は八か所のうち二か所が掘り割り構造のため通行できなくなるということと、事業費が高架化は地下化より二百十億円安くできるということと、事業期間が十年で、地下方式より二年短いとの見解です。
 住民からは、高架化への強い反対が出されています。騒音、振動の環境被害、日照が遮られてしまう問題などです。
 地下化にした場合の地域環境に与える影響との対比がなく、高架化を先に決めてから現状と高架化後とを比較するのでは不十分であり、問題だとの主張はそのとおりだと思うものです。
 住民の不安と不信を払拭する努力をしなければ、鉄道附属街路確保への協力なども進まないというふうに思うんですね。
 立体交差事業だけでなく、唐突に出た駅前広場計画、これは板橋区の事業でありますが、この駅前広場計画、そして商店街分断と相まって、このままでは、とてもうまくいくとは思えません。
 補助二六号線道路は、昭和二十一年、戦後すぐに都市計画決定された計画です。その後、商店が並び発展し、多くの人に親しまれている大山ハッピーロード商店街の歴史を無視し、商店をどかして、真ん中を突き抜けてまで道路を造る意義があるのか、道路をどうしてもここに通さないとならないのか。住民の声も聞かずに進めていることは、言語道断といえます。
 市街地再開発に至っては、都が持っている都営住宅跡地を差し出し、タワーマンションを建てるというのですから驚きです。都市計画法第一条にうたわれた公共の福祉の増進に寄与する、この目的に違反するのではないでしょうか。
 今も再開発反対のポスターが商店街に貼られ、運動が続いています。用地取得率は五割です。地域をどう守るのかの視点で、これらの事業と併せて、改めて連続立体交差事業についても捉え直す必要があるというふうに思います。
 私としては、この立体交差事業についても、方式の再検討と再アセスが必要だと思います。
 陳情者の定期的な説明会をとの要請は当然のものですが、これまでに行ってきた連続立体交差事業についての説明会を伺います。地権者に対してだけでなく、地域住民が参加できる説明会になっていましたか。周知方法も併せて伺います。

○久野道路建設部長 本事業では、平成三十年二月に都市計画素案説明会、同年七、八月に素案を説明するオープンハウス、同年十二月に都市計画案説明会、令和二年二月に用地測量等説明会、令和四年八月に書面による用地補償説明会を開催しております。
 都市計画に関する説明会では、事業区間の沿線全ての町丁目に案内を配布しており、用地取得に関する説明会では、関係する地権者や居住者に案内を配布しております。
 また、説明会の開催に関する情報は、東京都のホームページや区報などでも広くお知らせしております。

○原委員 令和二年の用地測量等説明会や令和四年の用地補償説明会は、主に地権者との話合いだと思うので、地域住民に開かれた説明会やオープンハウスは、平成三十年、二〇一八年以降行われていないということになります。コロナ禍といえど、この四、五年開かれていないことになります。ちょっとこれは時間がたち過ぎだというふうに思います。
 今後の説明会の開催予定はどうなっていますか。進捗状況を地域住民に対して明らかにすることは当然求められますが、定期的に開催してほしいとの陳情の要望をどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。

○久野道路建設部長 今後、工事に着手する前に、地元住民を対象として連続立体交差事業の工事に関する説明会を開催いたします。
 今後とも、東京都や板橋区、東武鉄道のホームページ、チラシ、パンフレット等により事業に関する情報を提供していくとともに、地元住民からの問合せには丁寧に対応してまいります。

○原委員 工事に着手するのはいつになるのか、いまだ一件も契約に至っていない中で、状況が分からない状態が今後も長期間続くことが予想されます。
 着手のめどがつかなくても、それを含めて進捗状況を知りたいというのは、住民にとって当たり前のことです。定期的な説明会の開催を検討していただくことを強く求めます。
 地権者や住民の意見を聞いて、計画の変更を行うことはあり得るのでしょうか。

○久野道路建設部長 本事業は、都市計画に関する地元説明会を開催した上で、令和元年十二月に高架方式で都市計画決定、令和三年十二月に都市計画事業認可を取得しております。
 構造形式につきましては、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却される踏切の数などの計画的条件、事業費や事業期間などの事業的条件の三条件で比較検討し、計画的条件及び事業的条件で優位である高架方式に決定いたしました。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携し、早期完成に向けて事業を着実に推進してまいります。

○原委員 どの段階でも住民の意見を聞いてほしいということなんです。住民の暮らしへの影響を軽く見過ぎているというふうに感じます。
 住民の意見を聞くということは、大小にわたる計画の変更、改善などを前提として行うべきです。本当にこの点、ご検討をよろしくお願いします。
 最後に、ハッピーロード大山商店街との関係をお聞きしたいんですが、何か影響はありますでしょうか。

○久野道路建設部長 連続立体交差事業の都市計画線がハッピーロード大山商店街のアーケードの端部にかかってございます。

○原委員 商店街の建物の一部を解体したり、再整備をする必要があるということになります。商店街の組合の方々とも、これから交渉などをしていくんだというふうに思います。
 日本で有数の大山商店街が、人が集まるまち並み、高齢者にも優しい商店としてどうしたら守っていけるのか、地域の皆さんは、今一生懸命考えています。商店街の皆さん、利用者に寄り添い、駅南口の整備についても意見を聞きながら考えてほしいと思います。
 陳情者の願意に賛同し、本来採択すべきものですが、本委員会においては趣旨採択を表明し、質問を終わります。

○漢人委員 陳情五第四九号の二、特定整備路線補助第二六号線の事業等に係る地域住民への説明会実施等に関する陳情を趣旨採択すべきという立場で意見を述べます。
 東武東上線の連続立体交差事業は、都市計画道路補助二六号線の整備とともに、大山駅周辺地区で大がかりに進められつつあるまちづくりの柱となっています。
 周辺では、板橋区の積極的な関与の下で、幾つもの市街地再開発事業が動きつつありますが、これらも連続立体交差事業や都市計画道路事業と一体のものです。
 地域では、都、区主導のこうしたまちづくりに対して強い異論が繰り返し出され、訴訟も含め、長く争いが続いています。
 最近では、二六号線予定地にかかるハッピーロードアーケードの解体計画に対して、商店街や地域から大きな反対の声が上がっています。
 この地域のまちづくりをどのような手法、方向性、理念の下に進めるかは、東上線の連続立体交差事業の在り方、とりわけ高架方式か地下方式かという構造形式の問題とも深く関わっています。
 連続立体交差事業は、高架方式を基に二〇二一年に事業化されましたが、用地買収をはじめとして、今後も大きな困難が予想されます。
 また、補助二六号線の事業も、事業認可期間が残すところ二年となりましたが、用地買収も順調に進んでいるとはいい難い状況です。
 連続立体交差事業の事業計画の柔軟な見直しも含め、地域の理解と協力を得るために、なお一層の努力を求めます。
 したがって、本陳情の求める東武東上線の連続立体交差事業の進捗状況や今後の予定等、大山のまちづくり全体について、特定整備路線補助第二六号線の事業及び再開発事業の進捗状況等の説明会と併せて、東武鉄道株式会社等の関係機関と一緒に地域住民への説明会を定期的に行うこと、これは当然行われるべきことです。
 そして、その説明会での意見や要望を踏まえ、連続立体交差事業の見直しも含めて再検討することを求めます。
 住民の皆さんの陳情趣旨を受け止め、趣旨採択とすることへの委員の皆さんのご賛同を求めるものです。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○曽根委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第四九号の二は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十六分散会

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