委員長 | 曽根はじめ君 |
副委員長 | 原 純子君 |
副委員長 | 須山たかし君 |
理事 | 細田いさむ君 |
理事 | 山田ひろし君 |
理事 | 小松 大祐君 |
漢人あきこ君 | |
もり 愛君 | |
アオヤギ有希子君 | |
こいそ 明君 | |
成清梨沙子君 | |
小磯 善彦君 | |
小宮あんり君 | |
増子ひろき君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 栗岡 祥一君 |
次長 | 宮澤 浩司君 | |
理事 | 高崎 秀之君 | |
総務部長 | 緑川 武博君 | |
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 | 上田 貴之君 | |
企画担当部長 | 三浦亜希子君 | |
政策調整担当部長 | 長谷川徳慶君 | |
気候変動対策部長 | 荒田 有紀君 | |
再生可能エネルギー実装推進担当部長 | 小林 洋行君 | |
率先行動担当部長 | 中村 圭一君 | |
建築物担当部長 | 木村 真弘君 | |
制度調整担当部長 | 関 威君 | |
環境改善部長 | 戸井崎正巳君 | |
環境改善技術担当部長 | 宗野 喜志君 | |
自然環境部長生物多様性担当部長兼務 | 和田 慎一君 | |
資源循環推進部長 | 志村 公久君 | |
資源循環技術担当部長 | 横山 英範君 | |
資源循環計画担当部長 | 中島 隆行君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・東京都災害廃棄物処理計画の改定について
○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
議案法制課担当書記の佐々木香菜子さんです。
よろしくお願いいたします。
〔書記挨拶〕
○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
これより環境局関係に入ります。
事務事業及び報告事項、東京都災害廃棄物処理計画の改定についてに対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○緑川総務部長 去る十月十七日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の環境・建設委員会資料をご覧ください。
表紙をおめくり願います。目次にございますとおり十八項目ございます。
まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移(過去五年分)でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量を記載しております。
令和三年度は速報値となっており、二ページ及び三ページについても同様となっております。
なお、表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しており、こちらも二ページ及び三ページについても同様に記載をしております。
二ページをお開き願います。2、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移(過去五年分)でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの各年度における東京の温室効果ガスの年間排出量を記載しております。
三ページをお開き願います。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移(過去五年分)でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量を記載しております。
四ページをお開き願います。4、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況(過去五年分)でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの各年度における発電方式ごとの設備容量を記載しております。
五ページをお開き願います。5、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去五年分)でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの各年度における再生可能エネルギー電力利用割合等を記載しております。
六ページをお開き願います。6、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額(過去五年分)でございます。
令和元年度から令和五年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載しております。
七ページをお開き願います。7、都内自動車走行量の推移(過去十年分)でございます。
平成二十三年度から令和二年度までの各年度における旅客及び貨物の自動車走行量を記載しております。
八ページをお開き願います。8、都内の新車販売台数及び自動車走行距離に占めるEV・PHV・FCVの割合(乗用車)(過去五年分)でございます。
平成二十九年度から令和三年度までにおける(1)、新車販売台数及び(2)、自動車走行距離に占めるEV、PHV及びFCVの割合を記載しております。
九ページをお開き願います。9、建設汚泥の発生量(過去五年分)でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの各年度における建設汚泥の発生量を記載しております。
一〇ページをお開き願います。10、区市町村で回収している容器包装プラスチック量及びリサイクル量並びにその合計(令和三年度、区市町村別)でございます。
令和三年度における区市町村別のペットボトルと容器包装プラスチックの発生実績とリサイクル量を一一ページにかけて記載しております。
一二ページをお開き願います。11、都有施設の太陽光発電システムの設置ポテンシャル及び設置状況の推移(施設分類別・過去五年分)並びに区市町村有施設における設置状況の推移(区市町村別・過去五年分)でございます。
(1)、都有施設につきまして、平成二十九年度から令和三年度までの各年度における施設分類ごとの設備容量及び平成三十年度に実施した調査における設置ポテンシャルを記載しております。
一三ページをお開き願います。(2)、区市町村有施設につきまして、平成二十九年度から令和三年度までの各年度における区市町村ごとの設備容量を一五ページにかけて記載をしております。
一六ページをお開き願います。12、省エネ、再エネのための補助金利用実績(予算額・決算額・交付申請件数・支払件数)(過去五年分)でございます。
平成三十年度から令和四年度までの各年度における事業ごとの予算額、決算額、交付申請件数及び支払い件数を一九ページにかけて記載をしております。
二〇ページをお開き願います。13、東京ゼロエミ住宅導入促進事業の実績でございます。
(1)では、令和元年度から令和四年度までの各年度における戸建て住宅、集合住宅ごとの交付申請件数及び支払い件数を記載しております。
(2)では、令和四年度における戸建て住宅、集合住宅ごとの水準一から水準三までの交付申請件数の内訳を記載しております。
二一ページをお開き願います。14、既存住宅の断熱補助の補助実績でございます。
平成三十年度から令和四年度までの各年度における高断熱窓及び高断熱ドアそれぞれについて、補助件数及び金額を記載しております。
二二ページをお開き願います。15、都内区市町村との連携による地域環境力活性化事業における再エネ導入拡大に係る事業の補助実績でございます。
平成三十年度から令和四年度までの各年度における各事業ごとに補助した自治体数及び金額を記載しております。
二三ページをお開き願います。16、緑被率、みどり率の推移でございます。
区部及び多摩地域それぞれについて、(1)では平成三年及び平成七年の緑被率を、(2)では平成十年から平成三十年まで五年ごとのみどり率を記載しております。
なお、次の二四ページに、みどり率の用途別の内訳等を記載しております。
二五ページをお開き願います。17、東京都レッドデータブックに掲載された東京本土部における保護上重要な野生生物種数と絶滅種の数でございます。
分類群別に種数と、そのうちの絶滅種数を記載しております。
二六ページをお開き願います。18、アスベスト対策に係る補助事業の実績でございます。
令和三年度及び令和四年度の事業ごとの補助件数及び金額を記載しております。
以上簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○曽根委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○こいそ(明)委員 それでは、最初に太陽光パネルの関係についてから伺いたいというふうに思います。
これまでも私は、本委員会におきましても太陽光パネル設置義務化の導入に際して、サプライチェーン上の人権配慮に関する対応を繰り返し求めてまいりました。先頃、世界各国の国会議員が、この人権問題に対して東京で会議が持たれたところでもあります。
また、米国では、これはもういうまでもありませんけれども、人権弾圧が続く、また、問題視されているウイグル産製品の輸入を全面的に禁止する法律が施行をされております。EU諸国でも製品の輸入を禁止する法案が現在も検討されているということであります。
こうした中で、我が国における法制化はもちろんのこと、日本の首都東京として、どのように今までもこれからも対応していかれるのか。取組の姿勢について、やっぱり国際社会からも強い視線が向けられているというふうに思います。
東京都は、国に先駆けて太陽光パネル設置の義務化を行ったわけでありますから、都が率先して本問題にしっかりと向き合う、まさに決意と覚悟が必要だというふうに考えます。
現在、都は、サプライチェーン上の人権配慮に向け、どのように具体的に取組を進められているのか。現在の取組状況について伺いたいと思います。
○木村建築物担当部長 国連のビジネスと人権に関する指導原則では、国家には人権を保護する義務が、企業には人権尊重の責任が規定されております。人権配慮に向けては、こうした国際標準にのっとり、業種、業態を問わず企業の取組を促すことが重要でございます。
太陽光発電協会が公表した取組ガイダンスは、国際標準を踏まえて作成したものでございまして、七月には同協会の会員企業を対象に、企業に求められる人権対応や本ガイダンスに関する研修を開催いたしました。
さらに、同協会は、都との協議を踏まえ、取組ガイダンスに基づく人権配慮に係る対策の実効性確保に向け、理事会直下に新たな組織を九月に発足させております。
都は、こうした組織との協議を通じて業界全体の取組強化を進めております。
○こいそ(明)委員 今ご答弁ありましたけれども、企業の取組を促進するということは当然重要でありますけれども、実効性が伴わなければ意味を持たないというふうに思うんですね。
その実効性を高めるために、都が主体性をどのように持っておられるのか、どう向き合っていくのか、そのことがやはり重要だというふうに思うんですね。実効性の担保について都の見解を伺いたいと思います。
○木村建築物担当部長 人権尊重に係る取組ガイダンスに基づく企業の取組の実効性確保に向けまして、都は、八月から九月にかけて、協会傘下の太陽光パネルメーカーを対象に個別ヒアリングを実施し、対策の強化を求めております。
また、今月中にも再度、人権に関する研修を実施する予定でございまして、今後も継続的なヒアリングや人権研修等を通じて、太陽光パネルに係る企業の適正な取組を促進してまいります。
加えて、業界団体に新たに発足した組織とも連携し、企業の人権方針の策定や人権デューデリジェンスの実施状況等について定期的な情報開示を求めるとともに、取組状況を踏まえ、継続的に対策強化を促進してまいります。
○こいそ(明)委員 ぜひとも実効性が伴った対応策をお願いしたいと思います。人権意識の啓発、そして企業の皆さんにもしっかりとこのあたりを認識していただくと。また、それについては、やはり都がどうしても先頭に立ってしっかり取り組んでいくということが必要ではないかというふうに思うんですね。
その上で、私は、この問題の一つの答えといういい方が適切かどうか分かりませんけれども、考えさせていただいているのが、ペロブスカイト太陽電池であります。太陽光パネル市場においては、様々な次世代型太陽電池の開発がしっかりと進められておりますけれども、特にこのペロブスカイト太陽電池は、我が国日本で生まれた技術であります。
主な原料であるヨウ素は、世界産出量の約三割が国内産であることから、まさに輸入に頼らない、国内からの安定的供給がしっかり、これまた期待できるとも聞いております。
このため、先ほどの中国における新疆ウイグル自治区での人権懸念を払拭する観点からも、ペロブスカイト太陽電池は、最も有力な次世代型といいましょうか、次世代技術であると思います。これはもうまさに、大いにこれを期待するところでもあります。
都は、このペロブスカイト太陽電池にいち早く着目して、企業と連携した実証を行っておりますけれども、実証の進捗状況についてお願いします。
○荒田気候変動対策部長 ペロブスカイト太陽電池は、薄く、軽く、曲がるといった特性を有し、様々な場所への設置が可能となることが見込まれていることから、都のフィールドを提供した実証事業を通じて、開発企業の実用化への後押しを進めております。
今年五月に、下水道局森ヶ崎水再生センターの水処理施設反応槽の蓋の上にペロブスカイト太陽電池を設置し、定期的な測定により、屋外での発電状況や耐久性等の検証を進めております。
この十月からは、反応槽の蓋の裏側に太陽電池を設置し、より腐食性の高い環境下での耐久性の検証を開始いたしました。
また、七月に、都庁執務室内に設置したペロブスカイト搭載のCO2センサーによる発電性能等の検証につきましては、九月までの測定結果を分析中でございます。分析結果に基づき必要な改善を行った上で、再度検証を行う予定としております。
○こいそ(明)委員 ペロブスカイト太陽電池の開発促進に向けて、都はそれぞれ、この開発に取り組んでおられる企業と連携を図りながら、とりわけ下水道施設、今お話にありましたが、庁内、オフィス内での実証に取り組んでおられることは、具体的なことで評価できると思います。
しかしながら、現在、欧米や中国等々でも、この開発が極めて速度を上げて進展をしているんですね。中でも中国は量産化に力を入れているとの報道も耳にしております。ペロブスカイト太陽電池の開発の先鞭をつけたのは、まさに日本であります。
日本が他国をリードしていく、やっぱり先導的役割を果たしていくことは、もう極めて重要であり、現在、シリコン型太陽電池パネル生産の中心を他国が占める状況とはなっておりますけれども、同じような、轍を踏まないようにしっかりと対応していただきたいなと。
このため、ペロブスカイト太陽電池の技術の早期実装化に向けて、もっと幅広く後押しをしていくべきと考えるわけでありますけれども、見解を伺います。
○荒田気候変動対策部長 ペロブスカイト太陽電池は、日本で生まれた新技術であり、製品化の鍵となる大型化や耐久性については、日本は他国をリードしておりますが、海外企業の開発、量産化の急速な動きが見られます。
日本の企業がペロブスカイト太陽電池の実用化を牽引していくためにも、企業が行う実証に対して、都が積極的に後押ししていくことは極めて重要と認識しております。
今後も引き続き、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化に向けて、都有施設をはじめ、政策連携団体保有の関連施設などを実証フィールドとして提供することに加え、先行して実証に取り組む企業へのさらなる支援も検討してまいります。
○こいそ(明)委員 開発企業への、これは大手から中小といっていいでしょうか、それぞれが取組をされているんですね。それぞれが積極的に、かつ、この開発をしているわけでありますけれども、これらの企業へのさらなる実証支援を首都東京としてもしっかりと行っていくべきじゃないのかなと。
技術的課題の解決と併せて、都民の皆さんの関心を高めていくという観点からも、私は様々に対応することは重要であると思いますし、そのため、今後より都民の目につきやすい場所での実証、例えば住宅向け製品の実装、さらにフィールドを広げていくことも有効であると私も考えます。
その中で、政策連携団体というお話がありましたけれども、住宅供給公社、JKK、このあたりも非常に積極的に協力しようというような意向があるようでありますので、ぜひとも具体的な形で、この実装が、さらにこういう住宅部分でも行えるようにお願いしたいというふうに思います。
我が国において、できるだけ早期に実用化、社会実装されることは、今後もさらに大きな期待をいたすところでありますけれども、都が企業への支援、これはやはり大切だと思うんですよ。
これは今までもディーゼル車NO作戦、これはかなり前の話ですけれども、これは各企業もそれぞれやはり何とか東京の大気汚染を解消しようということで、車体というか、そういう企業もメーカーも様々関わり、みんなで一丸となって取り組んできたということはいうまでもないんですね。
そういう意味合いからも、ぜひこの支援は、やっぱりさらに推し進めていっていただきたいということで要望させていただきます。
次に、地下水中の有機フッ素化合物、PFASについて伺いたいと思います。
これは大変関心が高いことでありますから他の皆さんからも出るとは思いますけれども、最近、新聞やテレビなどで、このPFASに関する報道をよく耳にするようになっております。
先日も多摩地域、いろいろ出ていますよね。各市それぞれ。その中でも、日野市のある地点においても、このPFASのうち、法で使用が禁止されているPFOSが地下水で高い数値が出ていたことから、数値が非常に高かったんですね、この数値が高いので追加の調査をしていくんだといった報道がありました。
実は、私の地元と隣接をしているんですね。そんなことで、私の地元の人からも、うちの方は大丈夫なのかなというような声も聞くわけでありますけれども、都内の地下水の状況をいろいろとお聞きしたところ、国が定めた暫定指針値を超過した地点は、当然多摩地域も出ておりますけれども、区部においても様々な地点で検出されているということでありますから、いわゆるこれは東京都全体のことになるわけですね。まさに、都民にとって身近な問題になっています。
誰もが毎日口にお水をいただくというか飲む、こうした状況にやっぱり一瞬一瞬でも不安を持つ、大丈夫かなと、これは大丈夫だろうかということ。これはやはり、そういう不安を抱かせることを避けていかなきゃいけないと思うんですね。
その不安払拭に向けた取組は、いうまでもありませんが重要です。そこで改めて、都内の地下水の状況と、都民のまさに不安解消に向けた都の取組、局の取組をお願いします。
○宗野環境改善技術担当部長 都の水道水については、独自の水質検査により暫定目標値を大幅に下回っていることを確認しておりまして、安全性を確認していると水道局から聞いております。
地下水につきましては、都内の様々な地点でPFOS等が検出されている中、都民の不安の解消に向けては、地下水の状況を的確に把握の上、暫定指針値の一リットル当たり五十ナノグラムを超過していること、これが判明した地下水は飲用しないような取組を徹底することが重要でございます。
そのため、都は、地下水中のPFOS等について平成二十二年度から測定を開始し、令和三年度からは水質汚濁防止法の測定計画に位置づけまして、都内全域二百六十ブロックの調査を進めております。
これまでの調査の結果、暫定指針値を超過した地点は、区部で五自治体、多摩地域で十二自治体にわたっておりまして、超過した地点については、関係局と連携して、飲用しないよう助言を行うとともに、その調査の結果をホームページ等で公表しております。
なお、報道のあった日野市につきましては、直近の令和四年度の調査では、一地点が一リットル当たり十二ナノグラム、一地点が百ナノグラムという状況でございまして、超過した一地点、百ナノグラムの方でございますけれども、継続して監視していくということでございます。
また、隣接する多摩市につきましては、やはり直近の令和四年度の調査で〇・三ナノグラム未満となっております。
今後も都は、地下水の状況を計画的に把握し、その結果を分かりやすく情報発信することで、都民の不安払拭に努めてまいります。
○こいそ(明)委員 今ご答弁もありましたけれども、都は、水道水の安全の確保について、これまでも万全に行ってきたということ、今お話がありました。
先ほども、私どもの隣接市で大変高い濃度が検出されたと。一地点で百ナノグラム。これはすごく高い数値で、こっちは数値が低いから、じゃあ、安心で大丈夫だろうと。それは思いますけれども、それだけじゃなくて、やっぱりこの対応策というのは、全都を挙げて対応していかなきゃいけないものだというふうに思うんですね。
また、地下水についても、都のこれまでの調査で、都内の、まさにありましたよね、二百六十ブロックでやられたということでありますから、様々な地点で、そしてまたさらに、検出も確認されているPFOSですが、このPFOS等の問題は、これちょっと意外と分かりにくい点も多々あるんですよね。都民の皆さんにとってもそうだと思います。
この分かりづらい面もあると思いますので、今後も一層、分かりやすい情報の発信、提供はやっぱりお願いしたいなと思いますし、引き続いて、この対策をしっかり取っていただきたいと思います。
次に、持続可能な航空燃料として今注目を浴びているSAFについて伺います。
日本の国内航空や国外の航空に伴って発生したCO2排出量は、二〇一九年度実績で年間二千九百万トンに上り、これは都内のCO2排出量の約半分に相当するわけであります。
現在、航空業界では、二〇五〇年カーボンニュートラルの目標に向けて、脱炭素化の取組が加速しているとも聞いております。目標達成の手段は、新技術の導入、運航の改善等々がありますけれども、その中でも、SAFは様々な原料から製造が可能であると。かつ、現在の航空機にそのまま使用可能なことから、これはまさに脱炭素化の切り札とも今いわれているんですね。
海外では既に廃食用油からのSAFの商用化生産がもう始まっております。国内でも二〇二五年頃から、関西方面でプラントを造っておりますけれども、プラントを造ってから供給が開始される見込みだというふうにもお話を聞いております。
一方で、コストダウン、大量生産技術に加えて、安定的な原料の確保やサプライチェーン構築などが課題となっています。
こうした状況の中で、都は今年度から、SAF原料となる廃食用油の回収に関わる取組を始めたとお聞きしております。そこで、まずその取組状況、今後についてもどういうふうにこれを進めていくのか、お願いします。
○志村資源循環推進部長 航空分野の脱炭素化に向け、SAFの原料となる廃食用油の確保は重要でございます。
廃食用油は、業界団体の最新の推計によると、全国で年間約三十六万トン排出される事業系は三分の二が飼料等にリサイクルされ、三分の一が国外へ輸出されております。
一方、年間約十万トン排出される家庭系は回収が一割未満であり、都内でも約三十の自治体で回収を実施しているものの、約百四十トンの回収にとどまっております。
こうした現状を踏まえ、都は今年度、廃食用油の回収事業を共同で行う事業を公募し、二件を採択いたしました。
都内のスーパーの店舗等で専用容器を用いて家庭から回収する事業では、十月末時点で都内四店舗での回収を開始したところでございます。
また、SAFの重要性等の普及啓発イベント等を通じて家庭や商業ビル等からの回収拡大を図る事業では、十月末までに都のイベントでVRを活用したSAFのPR等を行うとともに、三つの自治体イベントで廃食用油の回収を実施いたしました。
○こいそ(明)委員 都が、環境局が、SAF原料となる廃食用油の回収に取り組んでおられるということは今の答弁で分かりました。
一方で、SAFの導入促進に向けた官民協議会では、五月に、二〇三〇年に国内の空港で給油する航空燃料の一〇%をSAFとしようと義務づけをするとの中間の取りまとめが示されました。
しかし、現状では、生産体制はいまだ整ってはおりません。輸入に頼ると、まさに価格の高騰や供給不足のおそれが出てきますが、そういう中でも安定した利用には、やはり国内のSAFが必要と、このように多くの方々もいわれております。
私も昨今のエネルギー危機を踏まえて、国内のSAFを製造することは当然重要だと思っておりますけれども、また、今後必要となるSAFの量を考えると、廃食用油だけでは原料が全く足りないんではないかという話があります。
千七百万キロリットルを一体どのように賄えるか。この中でもどうも推定二十万キロリットル。かなりの差がありますよね。現状使っている全体の数字ですけれども、そこで、安定的な国産SAF製造につなげる、まさにサプライチェーン構築に向けて、都は今後どのようにこれに取り組んでいくのか見解を伺いたいと思います。
○志村資源循環推進部長 SAFは、廃食用油、都市ごみ、木材等の様々な原料から製造可能といわれており、現在、国内外で技術開発が進められております。
こうした中、廃食用油からのSAF製造は既に海外で商用化され、国内においても二〇二五年頃から商用化が始まる見込みでございます。
一方で、二〇三〇年のSAF必要量は、一年間で約百七十万キロリットルでございまして、廃食用油を原料とするSAFだけで賄うことはできず、別の原料からのSAF製造も必要だと考えております。
十一月一日に開催いたしました再エネ実装専門家ボードでは、SAFをテーマといたしまして専門家の方から、廃食用油以外の原料によるSAF製造についても意見やアドバイスをいただいたところでございます。
今後、都は、廃食用油の都内回収量の拡大に取り組むと同時に、廃食用油以外を原料としたSAFについても後押しの可能性を検討してまいります。
○こいそ(明)委員 SAFの供給拡大に向けて、新たな技術開発が進んでいるというふうに聞いております。都としても事業者への支援をしっかりと行っていただきたい。
これは先ほどの話に結びつくわけでありますけれども、一方で、新技術が実装されるまでの間は、多くの廃食用油を回収してSAFを製造することは重要であり、そのためには行政による回収拡大ということにやはり力を入れていくべきじゃないかと思います。
多少手間がかかっても、都民の皆さんに、先ほどの答弁にあったスーパーなどへの回収場所へ持っていっていただくということの広報、お願い、これらのことも必要だと思います。
都には、都民の皆さんが廃食用油の回収に積極的に協力していただくような、また、SAFの重要性や廃食用油の循環利用の意義について、普及啓発に一層取り組んでいただきたいというふうに思います。
このことにつきましては以上とさせていただき、次の質問に移ります。
次に、これまでも当委員会でも取り上げさせていただいておりましたけれども、いわゆる原因が、どうもリチウムイオン電池のもとによる発火、これは車両発火、車両の中でも発火、収運の中でね。
それから施設、それぞれの施設があると思いますけれども、例えば、清掃工場で、しっかりと検証を今されているんでしょうけれども、原因は出てくると思いますが、各地の一部事務組合でも相当の発火の件数が上がっているんですよね。
それがかなりの火災としてなった場合は、清掃工場をストップさせなきゃいけない事態にもなっている。これは、直接都民、市民の皆さんの生活にもこれ、響きます、影響しますよね。こういうことは日常的に起きているんですよね。
それで、例えば車両火災としても、通学路、もしくは何ていうかな、高齢者施設周辺、いろいろありますけれども、こういうところでもしも発火しちゃって、二次的な災害につながったらどうなるのかなという危惧を持つような事案もあるんですよね、現実問題として。
これは東京だけの話じゃないんですね。これは日本全体の話なんですけれども、件数は全国的にも実はかなり増えているんですよ。
今、東京消防庁が出場して火災の鎮火に当たった、または、そのような火災活動に出場した件数は聞いておりますが、私は、いろいろ話を聞いた中でも、もっともっと発生件数が高いんじゃないかなと思わざるを得ないようなことも聞いているんですね、現場の方々の方からも、いわゆる一組からも。
そういうことの中で、都内市区町村でのリチウムイオン電池や電池内蔵製品の回収方法はそれぞれ異なってはいるかもしれませんが、火災件数の統計を見るたび、やはり出ていないというか、あまり報告されていないというか、結局、出ていないんですよ、出火がね。というところと、出火が結構出ている、今、施設の方が多いような気がしますけれども、こんなことも含めて、環境局ではどのように把握されているのか教えていただきたいと思います。
○志村資源循環推進部長 リチウムイオン電池は、収集運搬や処理の過程で強い力がかかると発火するため、プラスチック等の燃えやすいごみと分別し、収集することが有効でございます。
東京消防庁の資料によりますと、平成三十年から令和四年までの五年間で、リチウムイオン電池に起因する処理施設及び清掃車の火災件数は、区部が五十八件、多摩地域が三十四件となっております。
また、この五年間でリチウムイオン電池に起因する清掃車火災が一度も発生していない自治体は、区部で三自治体、多摩地域で二十自治体となっております。
リチウムイオン電池や電池内蔵製品を他のごみと分別収集している約六割の自治体で火災が発生していないのに対し、分別していない場合は約三割の自治体にとどまることから、分別収集が清掃車火災を減らす要因になっていると考えております。
○こいそ(明)委員 区部は三自治体で、多摩地域は二十自治体が--いわゆる発火しているというか火災発生のリチウムイオン電池の原因関係は今お話がありましたけれども、そうすると、これはやっぱりそのほかの区部もかなり多いんだなという、そんな感じもするんですね。
そういう中で、分別収集の安全性というか、それに対する分別収集をしっかりやるということも大切でしょうけれども、また、適正にやっぱり排出していただくと。適正排出をしっかり促していくということ。これは、やはり各自治体がしっかりと普及啓発を行うことがまさに第一義的体制だと思いますし、そのためには、これは基礎自治体のことだよじゃなくて、やっぱり東京都総体というかな、全域でこれは起きているわけでありますから、東京都もいま一つ、この取組を強めていただきたいなと思うんですね。そして、各自治体との連携、東京消防庁との連携はもう当然でありますけれども、しっかり取り組んでいただきたいなと思います。
都は今後、これらのことで、今申し上げましたけれども、市区町村との連携、普及啓発を効果的に進めていくという中で、どのように進められていくのか見解を伺いたいと思います。
○志村資源循環推進部長 リチウムイオン電池に起因する火災を防止するためには、都民、事業者に対し、プラスチック等の燃えやすいごみとの分別を促すため、発火の危険性や電池内蔵製品を周知していく必要がございます。
そのため、東京消防庁とも連携を強化しながら、その危険性の認識と対策の重要性を自治体と改めて共有するとともに、適正排出に向けた普及啓発を進めることが重要でございます。
本年十月に開催した区市町村との共同の勉強会において、東京消防庁からの注意喚起、安全な収集運搬に関する先進事例の共有等を行いました。
あわせて、大掃除等によりごみ量が増える十二月を中心に、広報紙やSNS等を活用した自治体一斉の普及啓発活動を実施するよう呼びかけております。
引き続き、リチウムイオン電池に起因する火災の防止に向け、関係自治体とも連携しながら自治体を支援するとともに、都民への周知を図ってまいります。
○こいそ(明)委員 都民への普及啓発と併せて、やっぱり実際的に市区町村で、いわゆる清掃、廃棄物リサイクル行政を実際に行っている、支えている職員の方々ですね。私は前からいわせていただいているんですけれども、みんな一生懸命やられているのはもう本当によく理解をしているんですけれども、多摩地域、それから区部、歴史的な経過が若干違うんですね。東京市から、それから清掃局ができたときも、あれは二十三区が対象なんですよ。
当時、優秀な職員の皆さんが、そこにやられてしっかりと対応されておりましたけれども、多摩地域はそれぞれの自治体は基礎自治体として頑張っているんだけれども、そして、中には非常に財政が厳しい、脆弱といったらあれかもしれないけれども、厳しい、こういう自治体は少なくはないんですよね。だけれども、頑張っていろいろと法改正も含めた中でもしっかり対応しているわけであります。それをまた支えてしっかりやっているのが職員の皆さんですね。
だけれども、しっかりとした研修時間、その機会だとか、新しい知識がどんどんどんどん必要となってくる。日々日々忙しいからということもあるかもしれないけれども、しかし、区部もそうだと思うけど、多摩地域の環境人材育成という観点から、このあたりは、私はぜひもう少し力を入れてもいいんじゃないかなというふうに思うんですよね。
もう少し、やはり広域行政体の東京都環境局として、そういう環境人材の育成、そして底上げというのはあれかもしれないけれども、東京の環境は日本一、世界一なんだといわれる中では、これは島もそうかもしれないけれども、全体的な中で環境水準を上げていかなきゃいけないと思うんですよね。
そのためには、一生懸命頑張っている、だけれども、やっぱり環境人材育成というものをしっかりと取り組んでいただきたいんですよ、どうですかね。
○志村資源循環推進部長 東京の廃棄物資源循環行政を進めていく上では、区市町村の職員を含めた環境に関する知識の向上というのは不可欠と考えております。
今後も都は、こうした普及、研修等についてしっかりやっていきたいと思います。
○こいそ(明)委員 ぜひよろしくお願いします。
それから、これはいうまでもありませんが、明年四月から働き方改革、これは建設業、それから運送業に至るまで、いよいよ施行義務化されますよね。
今ご案内のとおりに、先ほどいいましたけれども、東京市から始まる清掃事業は、あのパッカー車というのは、よく見てお分かりのとおりに、昔は青ナンバーといったんだけれども、よく見ればグリーンナンバーなんだけれども、ほとんどそうなんですよね。東京陸運局の許可を受けているんですよ。ということは、来年施行の運送の範疇の中にやはり入るんですよ。
その中で、いわゆる五日勤務、四十時間、そして土日休みというサイクルですよね、全体的に。こういうことの中で、ところが、ある自治体によっては、現行も土曜日まで、そしてさらに、準備をしていたのか分からないけれども、聞くところによると明年の施行も先送りすると。現行体制で行くというようなことも聞くんですね。
ということは、発注元というのは行政ですよ、役所ですよ。役所はやっぱり率先垂範して、法に従って執行していかなきゃいけないんじゃないかと思うんですよね。ところが、何かちょっと、あれは本当なのかなという感じも、今も半分ぐらい思っているんですけれども、どうもそういうようなことが見受けられる自治体があるんです。
ですから、このあたりどうなんですかね。要するに働き方改革、そして今年の夏、建設業界も、エッセンシャルワーカーといわれる様々な方々も、現場で四十度を超える中で働いているんですよ。四十度、何日になったかな。
いずれにしても、こういう暑いときで、あの炎天下、三十五度だったら外に出ちゃ、ちょっと控えてください、子供は遊び、ちょっとやめてください、こういうことですよ。ところが、四十度のところで、炎天下、毎日働いている。まあ、毎日四十度じゃないけど。
こういうことで、さらに、実際の法制度がそうであるにもかかわらず、先延ばしていくということ、これはどういうことなのかなと思うんですよね。見解を聞かせてください、局長。
○栗岡環境局長 今、委員ご指摘のございました市区町村の一般廃棄物の委託の関係だと伺っております。
また、働き方改革の関連法案への対応など、こういったことはしっかり対応していかなきゃいけない課題かなというふうに認識はございますけれども、事業者における課題を把握していくということで、安定的な業務を運営していくのは非常に重要なことだと思っています。
都はこれまで、廃棄物の行政講習会ですとか、市区町村と資源循環について検討を行う共同検討会や勉強会を開催いたしまして、市区町村の職員の知識向上やノウハウの共有を図ってまいりました。
具体的には、現場担当者から管理職まで幅広い職層に対しまして、基礎知識から専門性の高いものまで、多様なテーマを取り上げて情報提供するなど、継続的に支援してきてございます。
今後も、こういった資源循環行政が抱える課題や働き方改革関連法案の時宜を得た社会的テーマの講義などを通じまして、幅広い視点で課題解決に取り組めるように自治体職員をしっかり支援してまいりたいと考えてございます。
○こいそ(明)委員 ありがとうございました。
ここでまた、局長がご答弁いただきましたので、結構なんですけれども、やはり環境人材と先ほど私、お話しさせていただきましたけれども、ぜひこのあたりも踏まえて、ちょっと前後いたしましたけど、大変申し訳ないです。ぜひこのあたりの取組を具体的に、ある程度制度的にというのかな、どういうような形にしろ、そういうことを踏まえて。
やっぱり包括的にいろんな課題があるんですよね、様々に。ですから、そういう課題も東京都の調整力、東京都の具体的な実施力というのかな、かなり強いわけですからね。このあたりで、ぜひぜひ、いろんな課題を共に解決する方向で取り組んでいっていただきたいと思います。終わります。
○山田委員 では、私からは、まず建築物環境報告書制度、特に太陽光パネルの設置義務化に関して何点か伺ってまいります。
昨年十二月に条例改正が議決されまして、義務化の開始は令和七年、二〇二五年の四月からとなります。
都は、条例可決から制度の実施までの約二年間、準備、周知期間と位置づけておりますけれども、円滑な制度の施行に向けて大変重要な期間であります。制度への理解、浸透しつつありますけれども、制度の開始まで一年余りとなり、さらなる加速が必要です。
これまでの都民、事業者への条例、太陽光パネルへの理解を深める取組を踏まえ、社会全体における機運醸成のため、さらなる取組の強化が必要と考えますけれども、見解を伺います。
○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度に対する都民、事業者の理解を深めるため、対象に応じた戦略的な広報を実施しております。
今年度は、住宅購入検討層向けにウェブターゲティング広告や住宅情報誌への記事掲載、一般向けには交通広告、街頭ビジョンでの制度概要動画の放映のほか、商業施設でのイベント等を実施しております。
また、事業者向けには、大手ハウスメーカーを対象に制度の説明会を開催したほか、太陽光発電設備に関するセミナー等を行っております。
年明けには、環境性能の高い住宅を供給する事業者への表彰を通じて、事業者の取組意欲向上を図るとともに、住まい手への理解向上につなげてまいります。
今後とも様々な方法で効果的な情報発信を行いまして、さらなる機運醸成に取り組んでまいります。
○山田委員 現在、住宅の購入を検討することが、今三十代から四十代の方であったり、将来的に購入を検討する可能性がある二十代の、より若い層向けだったり、今様々実施している広報活動に関するそれぞれに対する都民、事業者の方々の反応なども、それもしっかり分析していただきながら、今後の理解促進を進めていただけるようお願いいたします。
次に、私たちは、新しい制度による義務対象となる大手ハウスメーカー等への支援と併せて、義務の対象とはならないけれども、積極的に取り組む地域の工務店等に対する支援メニューを盛り込むことを求めてまいりました。
東京都からは、義務の対象とならない地域工務店等に対しても、制度に対応した高い環境性能住宅の設計や施工など、技術向上に向けた取組に対して、その費用の一部を補助する旨の答弁は以前あったところです。
大規模事業者のみならず、地域の工務店の取組のさらなる後押しが必要と考えますけれども、見解を伺います。
○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度の施行に向けまして、規模の大小にかかわらず制度に意欲的に参画する事業者を後押しすることにより、環境性能の高い住宅の普及を図っていくことが重要でございます。
地域工務店等に対しては、環境性能の高い住宅の設計、施工などの技術向上に向けた取組に対しまして、新制度施行までの間、必要な経費の三分の二、二百万円を上限として助成するなどの支援を実施しております。
今後も引き続き、省エネ・再エネ住宅推進プラットフォーム等において情報共有を行うなど、事業者による都の支援制度の活用を促進してまいります。
○山田委員 次に、先ほどもお話がありましたけれども、人権尊重の取組について伺います。
これまで、東京都は、業界団体の働きかけであったり、太陽光発電に関する連携協定の締結など、業界の人権配慮に関する取組の後押しを進めてきました。
これらの取組によって太陽光発電をはじめとする企業のサプライチェーンにおける人権課題の取組が進みつつありますが、制度の本格的な実施に向けては、継続的に企業の取組を促していく必要があります。
業界団体と締結した太陽光パネルに関する連携協定の具体的な内容を伺うとともに、今後の取組についても併せて伺います。
○木村建築物担当部長 都は、昨年十二月に業界団体と、本年六月には川崎市を加え三者で連携協定を締結しており、人権尊重などSDGsに配慮した事業活動等について協働して取組を推進しております。
これまで三者は、本協定に掲げた連携分野の連絡調整等を行う会議を定期的に開催するとともに、実務者で構成するワーキンググループにおいて、具体的な検討を重ね、取組を実施しております。
例えば、国の責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを踏まえた業界独自の取組ガイダンスを策定したほか、ガイダンスに関する研修の開催、パネルメーカー等との意見交換等を通じて、企業の適正な取組を促進しております。
今後も引き続き、こうした取組を着実に積み重ね、企業の責任ある事業活動を促してまいります。
○山田委員 日本政府がまとめたガイドラインは、国連のビジネスと人権に関する指導原則等の国際的な枠組みを踏まえた内容となっておりますが、現時点ではガイドラインにとどまっております。
欧米等では人権デューデリジェンスの義務化を含めた法制化も進んでおるところもありまして、やはり産業全体で強制労働、また、児童労働などをはじめとする人権尊重の強化が進んでおります。
今後さらなる対応を進め、この分野で日本をリードする取組となることを期待いたします。
では、次に、国内のパネルメーカーによる住宅用太陽光パネルの国内シェアを一層拡大していくためには、先ほどお話がありましたとおり、ペロブスカイト太陽電池は極めて重要でございます。
また、再生可能エネルギーのさらなる導入の拡大のためには、ペロブスカイト太陽電池に加えて、次世代技術のさらなる開発、これも必要不可欠です。
例えば、窓ガラスとして設置ができる、透明度が高い太陽電池の開発を進めている企業があるということも聞いております。
ペロブスカイト太陽電池を含む次世代技術の開発に当たっては、様々な企業がしのぎを削っていますが、こうした技術の早期実用化に向けて、都としてさらなる実証事業の実施をはじめ、技術革新、開発企業の後押しを一層進めるべきと考えますけれども、見解を伺います。
○荒田気候変動対策部長 再エネに関する新たな技術につきましては、スタートアップも含め様々な企業による多岐にわたる開発が日進月歩で進められております。
ペロブスカイト太陽電池に関しては、引き続き都有施設の提供などを通じて企業による実証をサポートしてまいります。
ペロブスカイト太陽電池以外にも、強風で安定した発電が可能な風力発電技術や、捨てられてきた熱源から電気を生み出す技術などの開発が行われております。
再エネの一層の拡大に向けましては、ペロブスカイト太陽電池に続く、こうした次世代技術の早期社会実装が不可欠であることから、実用化に向けて先行して実証事業を実施する開発企業の後押しとなるよう、支援を検討してまいります。
○山田委員 ありがとうございます。
ぜひそういった次世代技術の開発、しっかり都としても後押しをお願いいたします。
次に、太陽光パネルの設置義務化に関連してですけれども、耐用年数を過ぎた太陽光パネルのリサイクルも重要な課題と指摘されております。事業者と連携した都の太陽光パネルリサイクルの取組の現状について伺います。
○中島資源循環計画担当部長 都は昨年九月、パネルメーカー、建物解体、リサイクル等の関係団体で構成する協議会を立ち上げました。これまで協議会構成員と連携し、住宅用パネルについて、事業者向けの取り外し作業マニュアルなどや、住民向けの維持管理マニュアルを本年五月に策定いたしました。
また、廃棄量の少ない現在においても、住宅用パネルのリサイクルの流れを確実なものとするため、埋立処分と比べ割高になるリサイクル費用の一部を補助する事業を六月から開始いたしました。
現在、マニュアルや補助事業が利用されるように、廃棄物処理業者、工事業者、ハウスメーカー等に個別説明を行うとともに、「広報東京都」に掲載するなど、幅広い周知活動に取り組んでいるところでございます。
今後も、将来の太陽光パネルの本格廃棄を見据え、関係事業者と連携し、住宅用太陽光パネルのリサイクルルートの構築に取り組んでまいります。
○山田委員 今、太陽光パネルのリサイクルに関して伺いましたけれども、次に、サーキュラーエコノミーについて伺いたいと思います。
これまでは、大量消費、大量廃棄型の発想の経済活動が主流となっておりましたけれども、今は、環境負荷を減らしていく循環型の経済への移行、これがビジネスの場面でも重要な課題というふうにいわれております。
例えば、海洋プラスチックごみを利用したボールペンであったり、廃ペットボトルを完全再利用するといった事例なども出てきておりますが、そういった企業の活動を後押しするためには、消費者である都民に、その意義、価値をしっかり理解してもらう必要があります。
また、あわせて、デジタル技術なども活用しながら、生産活動の全体像を追っていくことができる、そういうような取組を進めることも循環型のサーキュラーエコノミーの実現に重要となってきております。
欧州委員会では、デジタル製品パスポートといったものとして、製品に使用されている物質の中身であったり、また、製品の設計から廃棄、回収まで、全ての履歴を電子的に記録して、オンラインで見れるようにする、そういったものの検討も進んでいるというふうに聞いておりまして、都としても特定の産業分野などで実施なども検討を進めるべきと考えております。
このように、都民に対する環境配慮型の製品、生活の意義の普及の啓発と併せて、デジタルの活用なども含めて、企業のサプライチェーン全体の環境配慮型の生産活動を後押しすべきと考えますけれども、見解を伺います。
○志村資源循環推進部長 サーキュラーエコノミーの実現に向け、都民、事業者、行政が一体となって取組を進めていくことが重要でございます。
都はこれまで、映像コンテンツの作成やイベントの実施などにより、資源の循環利用に関する都民への情報発信に努めてまいりました。
また、令和四年度は、東京サーキュラーエコノミー推進センターを設置し、リユース、リサイクル事業者と、そうしたサービスの導入を検討する事業者のマッチングを開始したところでございます。
さらに、製造や販売を担う、いわゆる動脈産業と、廃棄物処理やリサイクルを担う静脈産業が、それぞれが持つ情報を連結し、再生材の利用、供給に必要となる情報を共有できるデジタルプラットフォームの構築を目指す事業者の取組を支援いたしました。
今後も、都民への普及啓発を行うとともに、サプライチェーン全体を通じた環境負荷低減を目指す先進的な事業者への支援を実施し、循環型社会の形成に取り組んでまいります。
○山田委員 循環型社会の実現に向けては、これまで廃棄物処理に関する議論が中心となってきましたけれども、さらに踏み込んで、そもそも廃棄物が出ない製品の設計を進める、また、電子化だったり、また、他人とのシェア、シェアリング、そういったものをサービス化していく、また、製品の長寿命化を進めていく、様々なアプローチで考えられるところであります。
サーキュラーエコノミーの実現に向けて、製品設計、サプライチェーン、消費スタイルを含めて徹底的に見直して、経済の仕組みを再構築する、そういった形での経済的な成長戦略としても後押し、検討を進めることを求めておきます。
次に、再生砕石、再生骨材コンクリートについて伺います。
こちらの利用推進も循環型社会の実現には重要であります。しかし、再開発で出るコンクリート塊の再利用について、道路利用が十分に進まない状況であるなどの指摘も聞いております。
都発注工事での積極的な活用や事例集を超えて、民間工事での活用を促すよう取り組むべきと考えますけれども、見解を伺います。
○志村資源循環推進部長 再開発等により発生するコンクリート塊は、ほとんどが再生砕石として道路の路盤材等に再生利用されておりますが、需要減少にも対応しながら、再生利用を円滑に進めるためには、再生骨材コンクリートとしての活用も重要でございます。
これまで関係局と連携して、環境物品等調達方針において、再生骨材コンクリートなどを環境負荷の少ない建設資材として位置づけるなど、公共工事での使用を推進してまいりました。
本年五月には、利用工事事例集をホームページで公開するとともに、冊子を作成し、建設関連団体との意見交換会や環境イベント等で配布することで、普及啓発に取り組んでおります。
今後は、関係局と連携し、都の発注工事における使用拡大を図るとともに、民間の工事についても個別の事業者へのヒアリングや、活用推進の働きかけを行うことなどにより、再生骨材コンクリートの利用を促進してまいります。
○山田委員 次、最後となります。サーキュラーエコノミー、また、循環型社会の実現に向けて、企業の活動を変えていくためには、消費者である都民からのアプローチが重要となっております。
その中でも、東京の未来を担っていく将来の消費者である子供の視点を取り入れていくことは重要です。
例えば、区市町村で児童生徒が市内の店舗を訪問する際、そういった場面で、子供たちとお店の方との間で、環境配慮に向けたどういった取組があるのかといった意見交換であったり、そういったものを通じて、子供にも店舗にも環境配慮に向けた取組の意識を高めてもらうことも考えられます。
未来の消費者である子供たちを起点として、環境配慮への理解を後押しすべきと考えますけれども、見解を伺います。
○志村資源循環推進部長 未来の消費者である子供たちが、3Rをはじめとした環境配慮への意識を高めていくことは重要でございます。
都は、中央防波堤外側処分場において小中学生の社会科見学を受け入れており、コロナ禍の前には約五万人の来場がございました。
見学の際には、埋立ての現場を実際に目で見て体感することに加え、都内でのごみ処理の流れや、3Rの重要性について説明員と子供たちが双方向での対話を行うことで、資源循環への理解を深めております。
また、都内区市町村との連携に加え、九都県市の取組として、ホームページに子供向けのコンテンツを掲載しているほか、スーパー等の店頭で、事業者の食品ロスやプラスチック削減の自主的な取組を掲載したリーフレットの配布などを行い、そうした企業の製品を選択するよう促しております。
今後も、こうした知見やネットワークを活用し、環境教育のさらなる充実を図ってまいります。
○山田委員 環境に配慮した商品かどうかというのは、特に若い世代中心に購入時の重要なポイントになりつつあります。
ある民間企業の調査では、環境に負荷をかけない商品を購入したいと考えている人は七割弱に及びますけれども、その中の約半数は、実際に購入するという行動までは踏み出せていないとのことです。
その理由として多かったのは、価格というよりも、どんな商品が環境負荷が低いのか分からないという点が多かったということです。
環境局として、環境負荷が低い製品、商品に関する正確な分析、情報提供と、それに基づいた都民の行動を後押しする取組の強化、これを求めまして、私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○小磯(善)委員 私からも、リチウムイオン電池の質問から入らせていただきます。
このリチウムイオン電池の質問というのは、昨年、町田市のバイオエネルギーセンターでリチウムイオン電池が原因と思われる火災がありまして、新しくできたばっかりのバイオエネルギーセンターが相当な被害を受けたということで、それ以来、度々このリチウムイオン電池の安全な処理ということで質問を重ねてまいりました。
十一月四日のつい先日ですけれども、やっぱりこの町田市バイオエネルギーセンターで火災がありまして、消防も消火活動をしたということですが、ベルトコンベヤーが二十四メートル焼損したということでございますので、これが、まだ原因ははっきりしませんけれども、こういったところの火災をなくしていくという観点でも、リチウムイオン電池の安全な処理は大変大事であると、このように思っております。
リチウムイオン電池というのは、スマホ等に利用されておりまして、本当に当たり前のように利用されております。その一方、強い衝撃を与えると発火事故を引き起こすということで、廃棄をする場合には、安全に配慮した処理をすることで火災の発生を防ぐことが重要ということでございます。
今年の第一回定例会のこの委員会におきまして、都からは、引き続き区市町村へ分別回収の実施等を働きかけ、安全な回収ルートの構築を進めていくと、そのような答弁がございました。
自治体による回収には幾つかございます。まず一つは、ごみ集積所等で有害危険ごみ等として電池や内蔵製品を回収する方法。また、いろんなところに小型家電製品のリサイクルボックスを置いて、そこで回収する方法。また、不燃ごみの収集日に、電池等を別の袋に入れて排出し回収する方法というものがございます。
回収方法ごとに、分別回収を実施している自治体の数と、それから、今年度いわゆる分別回収とか、そういう工夫した自治体数について、区部と多摩の現状についてお伺いしたいと思います。
○志村資源循環推進部長 まず、有害ごみ、危険ごみ等としてリチウムイオン電池や内蔵製品を回収している自治体は、令和五年度に多摩地域で二自治体増え、区部で一自治体、多摩地域で二十三自治体でございます。
また、小型家電製品等のボックスでの回収は、区部で三自治体増え五自治体、多摩で一自治体増え五自治体でございます。
集積所等で不燃ごみ等と別の袋で回収している自治体は、昨年度と変わらず、区部で二自治体ございます。
○小磯(善)委員 いただいた表と、今の答弁の数と、ちょっと合わないんですけど、また後ほど教えてもらえればと思いますけど、二十三区で足しますと、ダブりもあるかもしれませんけれども八自治体、多摩は、ダブりもあるかもしれませんけれども二十八自治体ということで、そういった意味では、多摩は、このリチウムイオン電池の回収ということについては意識を持ってやっていると思いますけれども、区部では分別回収が多摩ほどは進んでないという実態なんだと思います。
これは、区部で発火事故が少ないからなのかどうか。令和四年度の都内の区市町村のリチウムイオン電池による発煙、発火事故の発生状況についてお伺いいたします。
○志村資源循環推進部長 都は、リチウムイオン電池が原因と思われるごみ収集車両や廃棄物処理施設における火災等の発生状況を把握するため、市区町村に対してアンケート調査を実施しました。
令和四年度は、火花が出るといった消防を呼ぶような火災に至らないものも含め約三千件、このうち消防による消火活動が行われたのは三十四件、うち区部で二十件でございました。
○小磯(善)委員 消防庁が出動した火災については三十四件あったと。そのうち区部が二十件であるということですので、割合からいくと区部が約六割ということになります。
アンケート調査による三千件を、この六割で計算すると、千八百件が区部の可能性があるということでございますが、またこの数字は後ほど教えていただければと思います。
やはり区部でも多くの火災が発生しているというふうに認識できるんじゃないかなと思います。分別回収があまり進んでいないということで、都は、区部に対してさらなる働きかけをすべきと考えますが、見解を伺います。
○志村資源循環推進部長 自治体によりますと、収集するごみの区分を変更しようとする場合、車両の手配等に伴いコスト増の可能性があることに加え、排出する住民が混乱なく分別できるよう、複数回の住民説明会の開催や、ごみ分別冊子の改訂が必要となるなど、自治体への負担が生じることになります。
都はこれまで、リチウムイオン電池の安全な回収に向け、新たな対策を実施する自治体に対しての財政支援や直接訪問による働きかけを行っております。
今年十月の都と区市町村の検討会、勉強会では、比較的導入しやすい集積所等で不燃ごみ等と別の袋で回収している自治体の先行事例などを共有し、取組の促進を働きかけました。
今後も、分別回収の実施等について、区部に対して重点的に働きかけるなど、安全な回収ルートの構築を進めてまいります。
○小磯(善)委員 財政支援に加え、直接訪問による働きかけ、さらに、先進事例の共有など、自治体に対して様々な支援、後押しをしていることが分かりました。
便利な充電式の製品が増えれば、やがて排出も増え、そして火災が増加していくことが予想されます。
今後も安全な回収ルートが構築できるよう、引き続いて自治体への働きかけをよろしくお願いいたします。
続きまして、地球温暖化対策報告書制度について伺います。
制度の対象であります中小規模事業所は、業務、産業部門のCO2排出量の約六割を占めております。現在、制度参加している事業所からの排出量は、中小規模事業所全体の約四割であり、ほぼ大企業の事業所からだと聞いております。
この大企業の事業所というのは、大手コンビニのそれぞれの店舗というようなことだと思いますけれども、そのため、二〇三〇年のカーボンハーフに向けては、制度に未参加の中小企業における取組を促していくことが大変重要であります。
一方で、制度への参加、報告書の作成に当たっては、CO2排出量の算出が必要でありますが、初めて取り組む中小企業にとってはハードルが高く感じられると思います。
そこで、初めて制度に参加する中小企業でもCO2排出量の算出ができるなど、簡便に報告書を作成できる工夫が必要と考えますが、見解を伺います。
○荒田気候変動対策部長 地球温暖化対策報告書制度におきましては、事業者の声も伺いながら、中小企業も参加しやすい工夫や配慮が重要でございます。
そのため、報告書を作成しようとする事業者からの問合せを通じて寄せられた意見を参考に、様々な工夫を行ってまいりました。
具体的には、複雑な計算をすることなくCO2排出量等を算出できる作成ツールや、多忙な事業者がご自身の都合に合わせて作成できるマニュアル動画の提供、さらに、ヘルプデスクによる相談対応など、サポート体制を強化してまいりました。
二〇二五年度から施行される改正制度におきましても、初めて報告書を作成する事業者の声にしっかり耳を傾けながら、参加しやすくなるよう工夫を重ねてまいります。
○小磯(善)委員 報告書の作成では、簡便にCO2排出量が算出でき、また、作成の負担軽減に向けて改正制度においても工夫していくということでございます。引き続いて事業者の声を聞いて、利便性の向上に取り組んでいただきたいと思います。
前回の定例会で条例改正が可決されました。二〇二五年度からの改正制度においては、新たに都が示す二〇三〇年度の達成水準を踏まえ、事業者が省エネ、再エネの目標や計画を設定し、継続的に排出削減を進めていくことになります。
二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けた制度強化のポイントでもありますが、中小企業においても、二〇三〇年度までの目標に向けて取り組める仕組みが重要と考えますが、見解を伺います。
○荒田気候変動対策部長 省エネ、再エネ利用に当たっては、中小企業等の取組段階に応じた多面的な支援が重要でございます。
これまで取り組んだことのない中小企業には、セミナーによる情報提供や、省エネ診断などを通じて、対策によるCO2削減効果に加え、節電によるコスト削減や再エネ導入による災害時の電源確保などのメリットも伝えてまいりました。
具体的な設備導入等に取り組む中小企業につきましては、その計画の策定や実行について、経営の専門家を派遣するほか、設備導入等の支援をしてまいりました。
二〇三〇年度の目標に向けて取り組む中小企業には、中小企業を支援する関係機関や産業労働局とも連携しながら、事業者の二〇三〇年度目標の達成に向けて、伴走型の支援を実施してまいります。
○小磯(善)委員 中小企業の方々が排出削減に向けた道筋を見据え、取組を進めていくためには、様々な場面での多面的な支援が不可欠であります。
そういった意味で、産業労働局が中小企業をしっかり支援する、そういう役割を担っておりますので、そういったところとの連携もしっかり取っていただきたいと思います。
省エネや再エネ利用に関するノウハウの提供、相談支援は、本当に日頃から接点が大変あります区市町村による取組も効果的であると、このように思っております。
例えば、地域ごとに省エネや再エネに関するセミナーや相談会を開いたり、あるいは優れた事業者の取組を地域のモデルとして表彰したりするなど、地域に根差した取組は中小企業が継続的に排出削減に取り組む動機づけになると考えます。
中小企業の方々が取組を継続できるよう、こうした区市町村による地域に根差した施策への都の後押しが重要と考えますが、見解を伺います。
○荒田気候変動対策部長 より多くの中小企業が脱炭素化に取り組んでいただくためには、日頃から接点のある区市町村と連携しながら、中小企業の取組を促していくことが重要でございます。
一方で、区市町村は、地元の中小企業の脱炭素化の必要性は認識しつつも、具体的な施策につなげるためのマンパワーやノウハウが十分ではないと伺っております。
そのため、区市町村に対して、省エネや再エネ利用に関する都のノウハウの提供やセミナーの実施、専門家派遣、補助金交付などを実施しておりまして、今後も区市町村による中小企業の脱炭素化支援を積極的に後押ししてまいります。
○小磯(善)委員 現在、都内の四分の三の区市町村では、二〇五〇年のゼロカーボンシティという高い目標を宣言し、地域における脱炭素化の取組を進めようとしております。このような志の高い地域も増えております。
中小企業にも、省エネ、再エネの取組を積極的に進めていただくためには、顔の見えるこの区市町村を後押ししていくことが重要であり、今後もしっかり連携しながら取り組んでいただくことを要望したいと思います。
次に、家庭における省エネへの支援策について伺います。
今年の夏は、例年にも増して暑く、東京では夜の最低気温が二十五度以上となる熱帯夜の日数が過去最高の五十七日になるなど、気候変動は厳しさを増してきております。
今日も昼間は、十一月なのに二十六度という報道がされておりました。また、都のエネルギー消費において、家庭部門は部門別で唯一、二〇〇〇年度比で増加するなど、省エネ化は喫緊の課題であります。
このような中、我が党は、家庭で取り組みやすく省エネ効果が実感しやすい省エネ家電の買換え事業、東京ゼロエミポイント事業の拡充を、ここ数年、度々質問し、また、要望をしてまいりました。
そういう中で、LEDの照明に替えるという事業も加えていただきまして、都民の皆様からは、大変喜んでいる声が寄せられております。
これに対して都は、事業継続に加え、今年の四月から付与ポイントを全製品に対して約二割引き上げたということで取組を強化しているわけですが、改めて支援を強化した理由と強化後の都民の利用状況について伺います。
○荒田気候変動対策部長 現在の快適な暮らしを維持しながら、家庭で省エネを推進するには、日頃利用する家電製品を更新する際に、省エネ効果の高い製品にすることが効果的であります。
そのため、都は、省エネ家電への買換えをさらに促進するため、事業開始以降の家電製品の価格上昇も考慮し、今年四月から東京ゼロエミポイント全対象製品の付与ポイントを約二割引き上げました。
今年度の申請件数は、九月までの六か月間で約二十二万台でございまして、昨年度、対象製品を拡充した七月以降の三か月間を比較しますと、約二倍の申請となっております。
○小磯(善)委員 この制度がしっかりと都民に行き届いて、買換えによる省エネ行動が実を結んでいるということが確認できたと思います。
効率のよい家電への買換えは、気候変動対策のみならず、高止まりしている電気料金の削減にも直結するなど、都民の生活に寄り添った対策でもあります。
家庭部門の省エネ推進のためにも、ぜひ本事業を来年度も継続していただき、さらに、昨年度ご高齢などの方への配慮としてLED照明器具の取替えの支援を拡充したように、今後も都民に寄り添った制度の工夫を、また電化製品を一つ、二つ増やしていただいて、このポイント制度をどんどん拡充していただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それで、最後に、PFASについて質問いたします。
地下水中の有機フッ素化合物、PFASについてでございますが、我が党では、国の方ですけれども、令和元年に国会において水質基準の設定の必要性を主張して、令和二年の国によるPFOS等の暫定指針値の設定につなげてきたというのがございます。
現在、この暫定指針値は、大変注目される重要な指標となっておりますけれども、都内の地下水でも様々な地点で指針値の超過が確認をされております。不安に感じている住民の方々もおられます。
まず、このPFASはどういうものなのか、その規制の状況、また、その影響などについて改めてお伺いいたします。
○宗野環境改善技術担当部長 有機フッ素化合物、PFASは、一万種類以上ございまして、撥水性、化学的安定性等の特性から、撥水剤、半導体用反射防止剤等の幅広い用途で使用されてきております。
こうしたPFASのうち、PFOSとPFOAにつきましては、既に国内で使用、製造が原則として禁止されております。
国は、地下水について令和二年に、PFOS等を要監視項目というものに位置づけまして、科学的知見に基づきPFOSとPFOAの合算値、足し合わせたもので、一リットル当たり五十ナノグラム以下とする暫定指針値、これを定めております。
なお、この五十ナノグラムは、体重五十キログラムの人が一生涯、毎日二リットル飲用したとしても、健康に悪影響を生じないと考えられる水準に設定をされております。
○小磯(善)委員 さて、私は、国が暫定指針値を定める以前の令和二年三月にも、この環境・建設委員会でPFOS等について質疑を行っております。
そこでは、PFOS等について、一般的になじみがなく不安に思う都民も多いことから、都が実施した調査結果については、分かりやすくホームページで情報提供すべきと要望をしておりました。
今の環境局のホームページを見ておりますと、平成二十二年度から環境科学研究所が実施した都内全域の調査結果を含めて様々な情報が公表されているところでございます。
現在、都内ではどのような検出状況になっているのかをお伺いいたします。
○宗野環境改善技術担当部長 都は、令和二年に暫定指針値が定められた後、PFOS等の測定について、令和三年度より、水質汚濁防止法に基づく測定計画に位置づけまして、都内全域二百六十ブロックで状況の把握を進めております。
直近の令和四年度は六十二地点で測定を行い、そのうち六地点で暫定指針値の超過を確認しております。
また、経年変化を把握するため、暫定指針値を超過した地点では、継続監視の調査を行っておりまして、令和四年度は二十四地点で測定を行い、そのうち十七地点で暫定指針値の超過を確認しております。
○小磯(善)委員 地下水の暫定指針値の超過は、都内のみならず全国各地でも確認をされているところであります。関係自治体や地元住民から不安や対応を求める声が上がっていることを受け、国は本年一月、PFASの総合戦略検討専門会議を設置いたしまして、七月にはPFASの今後の対応の方向性というものを取りまとめております。
この取りまとめでは、取組の柱として、暫定指針値を超えて検出された場合には、飲用による暴露の防止を徹底することを掲げているところであります。
飲用水については、今回、国が示したように、何よりも暴露防止の徹底、すなわち超過した水を見つけたら飲まない、飲ませないという形で取り組むことが重要であります。
国が方向性を示したことを受けて、都においても都民の安心・安全に向けて、こうした取組を着実に進めていくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
○宗野環境改善技術担当部長 都内の様々な地点でPFOS等が地下水から検出されている中、飲用水における都民の安全・安心を高めていくことが重要でございます。
そのため、都の水道水については独自の水質検査により暫定目標値以下であることを確認し水道水の安全性を確保している、そのように水道局から聞いております。
暫定指針値を超過した地下水につきましては、関係局と共に、飲用しないよう井戸所有者に助言することで、暴露の防止の徹底を図っております。
今後も都内全域で着実に調査を進めまして、都民の不安の払拭を図ってまいります。
○小磯(善)委員 PFASに関する健康影響については、国の資料によりますと、コレステロール値の上昇、免疫系等の関連が報告されておりますが、いまだ確定的な知見がなく、国が検討を継続するとしているところであります。
このように、PFASに関しては不明な点があることも確かでありますが、水道水が安全であることや超過した地下水については飲ませない取組が徹底されているということが分かりました。
様々な情報がある中で、何が正しい情報なのか分からず、不安に感じているという都民も多いと思いますので、より分かりやすく丁寧な情報提供をしていただくことを要望したいと思います。
次に、十一月三日の沖縄タイムスにて、横田基地においてPFOS等を高濃度に含んだ泡消火剤が漏出していたということの報道がございました。
これまでも横田基地ではPFOS等の漏出があったと聞いておりますが、都はこれまでどのように対応してきたのか、また、国からどのような反応があったのか伺いたいと思います。
○宗野環境改善技術担当部長 都は、横田基地からのPFOS等の漏出の事実を受けまして、本年七月五日、地元自治体と共に国に対しまして、PFOS等の漏出が判明した場合には、迅速に情報提供するとともに、国の責任において基地内のPFOS等漏出に係る地下水への影響について調査、分析、評価等、必要な対応を行うことを要請しているところでございます。
国からは、日米関係者で様々な場を活用して協議を行ってきているということや、引き続き米側及び関係省庁と連携して対応していくことなどの回答が来ていると都市整備局から聞いております。
○小磯(善)委員 都はこれまでも、国に対して要請を行っていることや、都の要請を受けて国も対応を進めていることが分かりました。多摩地域で出ているPFOSの原因が横田基地と決めつけるのは、私は慎重であるべきであると思います。
いずれにしましても、都は、早急に事実確認を行うべきと考えますが、現在の対応状況について伺います。
○宗野環境改善技術担当部長 本年十一月三日、沖縄タイムス紙におきまして、横田基地のPFOS関連の記事が掲載されていた件に関しまして、既に都市整備局から国に対しまして、口頭で早急な事実確認と情報提供について申入れを行ったというふうに聞いております。
また、国からは、分かり次第、早急に情報提供する旨の連絡があったとも聞いております。現在、関係局と共に対応を検討しております。
○小磯(善)委員 まずは、国に対して事実関係を明らかにし、都として早急な対応を行っていくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十分休憩
午後二時五十五分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
この際、傍聴人の数についてお諮りいたします。
本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 原純子です。よろしくお願いいたします。三つのテーマで質問をしていきたいと思います。
まずは、本日出していただきました資料要求の資料、これの二三ページ及び二四ページにあります緑被率、みどり率に関わって質問をいたします。
都は平成七年、一九九五年を最後に緑被率を公表するのをやめてしまいました。平成十年、一九九八年からは、緑被率に代わって、みどり率のみ五年ごとに調査し、公表をしています。
緑被率は、緑に覆われている土地の面積がその地域全体の面積に占める割合です。
みどり率は、緑被率に、河川、水路など水面の面積と公園の中で緑に覆われていない面積を加え、率を出しています。理由は、鳥などの生き物が生きていくのには、緑だけでなく水辺も必要だとの説明です。当然のことだとは思いますが、そういう理由で、緑被率を公表するのをやめてしまったということです。
私はこれまで、都立公園の敷地全体を対象にしたみどり率では、公園内の樹木が何本伐採されようと、みどり率が変わらないことを指摘し、それでは緑の実態が分からなくなってしまうため、緑被率の調査、公表を求めてきました。
区市町村の緑の保全の取組計画を見れば、ほとんどの自治体が、今もみどり率とともに緑被率を公表し、緑の保全や緑を増やす計画を出しています。
例えば私の地元江戸川区では、今、緑の基本計画を作成中ですが、その原案の中で、江戸川区の緑被率は一八・五%、みどり率は三〇・八%との記載があります。これは二〇一八年の数字で、五年前との比較で、どちらも〇・三%減少していると。農地、公園、河川など分けて、面積と割合をそれぞれに記載しています。
減少した理由として、生産緑地、農地の宅地化や保護樹木が自宅の建て替えや枯死などで失われたと分析しています。
緑を増やす取組として、この間、区民一人当たり樹木十本を目標にしようとしてきたり、今後の計画の第一に、大径木、街路樹、農地などの保全を挙げています。緑被部分をどう保全するかという論立てが中心になっていることが分かります。
その江戸川区の緑の基本計画原案の中の図、緑の面積の推移に描かれた緑被率とみどり率の表の出典が東京都調査になっていました。担当課に伺ったところ、都の環境局よりデータをもらい、区が計算をし、区の責任で数字を明らかにしたとの説明でした。都がデータを提供したんでしょうか。お答えください。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、みどり率の調査を定期的に行っており、航空写真などから作成した地図データを複数組み合わせてできた地理情報システム、いわゆるGISデータに基づき、数値として、みどり率を算出しております。
今回、江戸川区より、都が保有するGISデータの貸出し依頼があったため、提供を行っており、区では、そのGISデータに基づき、独自に数値としての区内のみどり率及び緑被率を算出したと認識しております。
○原委員 データを区に提供したとのことです。江戸川区以外にも提供した自治体があると伺いました。基礎自治体は、農地を減らさないよう支援したり、保護樹木を増やすなど、地域の対応を考えるわけですから、地域全体と、また、詳細な緑の状況をつかんでの対策を実際にはしています。
先ほど述べたように、都は、もう二十八年前、一九九五年を最後に、緑被率の調査、公表をやめてしまいました。ところが、今年七月に発表したグリーンビズでは、これまでの緑に関する取組の成果として、いきなり都心三区、千代田区、港区、中央区の緑被率を持ち出して、これが増えていると宣伝し始めました。
では、都として、緑被率を再度指標として使用することにしたのかと聞くと、そうではないと。ご都合主義も度が過ぎるのではないでしょうか。
こうした都合のよいつまみ食いではなく、区市町村に見習って、都内の緑被地の詳細を把握し、真剣に対策を考えるために、都として緑被率の調査、公表を復活すべきです。
都の前回調査から五年目の今年度、緑の調査をしていると聞いております。みどり率とともに緑被率の調査、公表を復活することを求めます。
緑のテーマでもう一つ取り上げたいのが、六万平米の緑についてです。
小池知事は、第三回定例会の所信表明で、開発が進む都心の緑はむしろ増えている、竹芝や麻布台、大手町など最近のまちづくりで六万平方メートルを超える緑空間が新たに生まれていると演説しました。
今、ちょっと見ていただきたいんですが、(画像表示)こちらの東京グリーンビズ「東京都の緑の取組」という冊子が十月に出されております。この十月です。最近の大規模民間開発では、合わせて六万平方メートルの緑が新たに生まれていますと、ここに記載をされています。この表紙が、この冊子の一八ページに記載がありました。
そこで内訳を担当局に聞きましたが、この六万平方メートルの内訳はお示しできませんとのことでした。事業者が提出した資料の数字を足したものだが、内訳は公表できないというふうにいうんですね。だったら六万平方メートルなどというなと私はいいたいです。
そして、要求資料の二四ページにあるように、東京のみどり率は、直近の比較で、都全体でも、二十三区の区部でも、また多摩部でも減少していますから、都心の緑が増えるからそれでいいというふうにはならないというふうに思います。
再開発で、民間の再開発ビル建設に対しては、緑化基準がありますから、当然一定の緑は置かれます。
ちょっとこれを大きくしてみますと、この緑の例というのは、このような地面についていない、土が広がっていないところの緑が多く見られます。この評価はともかくですが、これで大規模民間開発が推進されるのは、いかがなものかというふうに思います。
再開発での超高層ビル建設はCO2排出量を莫大に増やします。大手町の超高層ビルは、再開発前の年間一万七千九百トンから、開発後は四万五千トンと、CO2排出量が二・五倍になることが都議団の追及で明らかになっています。
脱炭素社会の実現に向け、スクラップ・アンド・ビルドの再開発計画を根本的に見直すことが必要です。
さらに、ビルとアスファルトの敷地拡大がヒートアイランド現象を深刻にしています。千代田区が二〇一八年に公表している区の緑の実態調査及び熱分布調査によると、大規模な建造物の敷地部分は熱分布が高いという地図が示されています。
再開発が緑を生み出すなど、ばら色に描くのは、CO2排出やヒートアイランド現象の深刻化を覆い隠す都民だましであり、やめていただきたいと思います。現存する樹木などの緑を徹底的に守ることを最も重要な課題とすべきです。
神宮外苑再開発事業や日比谷公園再生整備、また、葛西臨海公園での水族園の建て替えによる都立公園などの豊かに育った樹木を簡単に伐採することは絶対に許されないと申し上げ、次のテーマに移ってまいります。
次は、神宮外苑再開発事業に関連しての質問に移ります。
九月七日に、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議、イコモスからヘリテージアラートが発出されました。ヘリテージアラートとは、危機的な状況に直面する文化的遺産に対して出される警告のことです。国内では三例目です。
東京が庭園都市として高い価値を有しながら、そのコア部分である神宮外苑において、三千本の樹木を伐採、移植し、超高層ビルを乱立させる再開発事業が多くの市民の反対を押し切って進められようとしている事態は、国際機関イコモスに衝撃をもって受け止められ、再開発事業の中止を要請したのがヘリテージアラートです。
都市公園の敷地を削って、超高層ビルや商業施設を造るというのは、世界の都市では例がないそうです。
イコモスの緊急要請は、事業者に対し、開発事業の撤回を求めるとともに、東京都に対し、都市計画決定の見直しと環境アセスメントの再審を行うべきとしています。事業者と都の責任は重大です。
今、解体中の神宮第二球場跡地に新ラグビー場を建設する計画をめぐって、事業者は、予定地とその周辺、建国記念文庫の森の樹木の保全策の見直し案を提出することを、都と審議会に約束していました。
ヘリテージアラート発出後、九月十二日、東京都は事業者に伐採前の見直し案提出を要請、事業者は見直し案を変更届として提出することを表明したことで、樹木伐採は当面は止まっていますが、予断を許さない状況といえます。
この変更届、そして、事後調査報告書について、まずお聞きします。
先日、事後調査報告書の提出について、十月としていたのを延期し、十二月以降になると事業者が公表しました。この事後調査報告書の中身は、全樹木についての活力度調査の結果の報告です。既存樹木の保全策についての変更届とは別のものです。
当然、樹木の健康状態が明らかになる事後調査報告書が提出をされた後、この調査結果も受けての見直し案、変更届になると思われますが、そのような解釈で間違いないでしょうか。また、そうすると、変更届の方は少なくとも年明け一月以降の提出になると考えてよいでしょうか、お尋ねします。
○長谷川政策調整担当部長 アセス図書は事業者が作成し、都に提出するものでございます。
都としては、事業者から図書が提出され次第、内容を踏まえて手続を進めることになります。
○原委員 どちらが先というのはないということだったと思います。アセスの図書は事業者が作成し、それぞれ独立した文書として提出されることは、環境アセスの仕組み上、当然のことだと思います。
しかし、新ラグビー場の整備に関わる周辺の樹木の保全については、既に評価書で個別の樹木の取扱計画が出されており、審議会の承認を得ています。同時に、今後も樹木保全の努力で変更届を出す余地が残されている。その場合、樹木の扱いを変更する重要な根拠となるのが、全樹木の活力度の事後調査の結果報告であることは明らかです。
活力度調査結果が不明のうちに、この木は伐採から移植に変更とか、保全エリアに残すとか、決められないのは明らかです。公表が十二月以降となった事後調査結果が報告されて以降に、その内容を受けた形で変更届が出され、審議会で審議されるべきです。
さらにいえば、イチョウ並木の活力度がAまたはBの良好状態だとしていた事業者の評価が大幅に変更されなければ、実態と全く合いません。
この事後調査報告書で明らかになる活力度調査の結果は、全樹木対象だということで、イチョウ並木通りのイチョウも含まれています。イチョウ並木の保全が現在の重要課題であることから考えれば、この事後調査報告書も大変重要なものになります。
事後調査報告書についても、審議会における徹底審議が必要です。単なる報告にとどめず、十分に時間を取って審議することを求めますが、いかがですか。
○長谷川政策調整担当部長 先ほどもご答弁したとおり、事業者から図書が提出され次第、内容を踏まえて手続を進めることになります。
○原委員 一回目の事後調査報告書については、審議会議論がされています。当然、二回目に当たる今回の報告も同様の対応をされるべきですので、徹底審議の実施を求めておきます。
変更届について伺います。
私たちが入手した情報では、新ラグビー場の計画敷地を多少南側へずらす案、あるいは形状の変更など検討をされているようです。もしそうだとすると、それ自体、大きな計画変更になります。
事業者から都と審議会に出される変更届については、その重要性に鑑み、当然審議の対象とすべきですが、いかがですか。
○長谷川政策調整担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、事業者から図書が提出され次第、内容を踏まえて手続を進めることになります。
○原委員 審議は必須です。通常、変更届は、工期の遅れにより、工期の延長などの届出が多くを占めると聞いています。設計変更という大きな変更が届出だけで進められてしまってよいのでしょうか。
しかも、例えば、新ラグビー場を少しずらしたところで、建国記念の森を守ることはできません。徹底審議が必要です。
審議に当たっては、この間、評価書に対し多くの指摘や資料提供をしている日本イコモス国内委員会の委員を必ず参加させていただきたいです。または別の場であっても、事業者とイコモスの直接対話の場を設けるべきですが、いかがですか。
○長谷川政策調整担当部長 条例第七十四条の二では、審議会は、必要があるときは、事業者その他の関係者の出席を求めることができると規定されておりますが、その他関係者とは、環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定したものでございます。
直接対話については、当事者が判断すべきものと考えてございます。
○原委員 その他関係者の説明をいただき、ありがとうございます。
東京都環境影響評価条例の第七十四条の二には、審議会は、第六十九条の規定による調査審議を行うため必要があるときは、事業者その他関係者の出席を求め、事業者その他関係者から資料の提出を求めることができると書かれています。
その他関係者とは、評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定とのお答えでしたが、特にコンサルタントだけですと正式な文章で確認しているわけではありません。それは、これまでの考え方という意味で、今後もずっとその範囲に制限することを決めているわけではないのです。その他関係者というくくりで、日本イコモスの参加を実現できるようにすればいいわけです。
または、こちらはどうでしょうか。同条例の第九十三条に、都市計画決定権者は、事業者に対し、環境影響評価の手続を行うために必要な調査等の実施、資料の提供、説明会への出席その他の必要な協力を求めることができるとあります。
神宮外苑再開発の地区計画の決定権者は東京都知事です。したがって、知事は、事業者に対し、手続に必要だと判断すれば、その他の必要な協力の対象として日本イコモスを招請するよう求めることは可能だと思いますが、いかがですか。
○長谷川政策調整担当部長 条例第九十三条にある都市計画決定権者とは、第九十二条におきまして、アセス対象事業が都市計画法第四条第七項に規定する市街地開発事業、または同条第五項に規定する都市施設として同法の規定により都市計画に定められる場合において、都市計画を定める者とされており、本事業につきましては、いずれにも該当せず、第九十三条は適用されません。
○原委員 大規模な市街地再開発事業は、通常、都市計画上の位置づけをもって行われますが、この神宮外苑再開発については、地権者の数を三井不動産、明治神宮など四者に抑えて個人施行とし、市街地再開発事業についての都市計画決定を回避することで、審議を免れたといわれています。
そのことが環境影響評価の過程においても、いざ、今回のような重大な局面を迎えた際に、条例の網の目をかいくぐる役割を果たしているということだと思います。実に計算高いやり方だと思います。
しかし、事業者とイコモスの直接対話は、今や社会的要請だと思います。事業者には、これに正面から応える社会的責任があり、また、東京都にも、これを促す重大な責任があります。日本イコモスの審議会出席と徹底審議を実施するよう求めます。
今後、事業者から出される見直し案が、多少ラグビー場の位置をずらすような内容だったとしても、およそ樹木の保全を保証するものにならないことは容易に想像できます。審議会などでの徹底審議を行うとともに、小池都知事がこの計画の抜本的見直しを求める必要があると思います。
事業者に対し、伐採を中止し計画を抜本的につくり直す要請を知事が出すことを求めますが、いかがですか。
○長谷川政策調整担当部長 本事業をはじめ、当局で実施している環境影響評価手続は、事業者が大規模な開発事業を実施する際に、あらかじめその事業が環境に与える影響を予測、評価し、その内容について専門的立場からの審査を受ける一連の手続でございます。
○原委員 手続とはどんなものですかと聞いているんじゃないんですね。環境局としては、こうしたアセスの範疇のお答えになるのかもしれませんが、開発許可を出した小池知事の責任は免れません。小手先の見直し案で再開発工事が進むことは許されません。知事が改めて計画の変更を要請すべきです。
続いて、ヘリテージアラートに対する事業者の見解が、イコモスをはじめ多方面からの批判を受けている中心点について伺っていきます。
この間、神宮外苑再開発について、かつてない大きな規模で反対世論が巻き起こっています。神宮内苑とともに人々に愛され、スポーツ施設も併せて親しまれてきた神宮外苑、風致地区を再開発で、一部の事業者の勝手な描きで破壊されることへの抵抗であります。
著名な方々が次々と声を上げ始め、都議会では、会派を超えた外苑議連を十月四日に結成したところです。正式名称は、神宮外苑再開発をとめ、自然と歴史・文化を守る東京都議会議員連盟です。参加都議は四十名、全体の三分の一に及ぶ勢力です。
先日は、国会議員でつくる外苑議連との懇談や、日本イコモス国内委員会の石川幹子氏よりレクチャーを受けるなど、この再開発を何としても止め、外苑の森を守るんだと、覚悟を持って取り組んでおります。
神宮外苑市街地再開発事業について、二月十七日に都が開発許可を出して以降、環境影響評価書の内容に対し、樹木の活力度をはじめ事実認定の間違いなど、五十八項目の指摘が日本イコモスから出されるなど、活発な議論が続き、都民からは、事業者と日本イコモスの直接議論の場をとの要望が再三出されていますが、事業者は背を向け続けています。
住民説明会もようやく開かれましたが、対象を三百八十メートル以内の居住者と謎のラインを引き、制限したことも大きな批判が寄せられました。
そして、九月七日、国際イコモスから出されたヘリテージアラートに対し、九月二十九日に事業者から見解を示す文書が出されました。
私がまず驚いたのは、イコモス独自の認識の下で一方的に発信されたと書かれていたことです。ユネスコの諮問を受け、国際遺産の登録に重要な役割を果たすような国際的な専門家集団からの警告に対し、見解の最初からこんなことを書いていること自体、不見識極まりないです。
事業者側として指摘を真摯に受け止め、専門家や市民の声を、意見を聞く姿勢がこの間ほとんど見られず、大問題です。
例えば、森について事業者はこのように述べています。明治神宮の広大な森と異なり、外苑の計画エリアにおいて、一部の方々から森と称される場所は建国記念文庫の敷地のみであり、総面積二十八・四ヘクタールに対して約五千平方メートル、一・七%、三・〇メートル以上の既存樹木は百四十九本です。ヘリテージアラートにおいて、建国記念文庫の敷地内の樹齢百年以上の樹木六十五本のうち十一本のみが保存、約八〇%が伐採との記載がありますが、事業者において樹齢を確定できる記録はございません。事業者はこのように書いています。
ヘリテージアラートが森を完全に破壊するとした場所を建国記念文庫の敷地に限定した上で、こんな小さな森なんですよと狭さを強調し、そこで歴史を重ねてきた樹木の樹齢は分からないといい切る態度は、到底、森に触れる資格などないという怒りを感じました。
イコモスのヘリテージアラートの百年にわたり育まれてきた森は完膚なきまでに破壊されるという警告が現実のものになり、取り返しのつかないことになる前に、何とかしなければと思います。
イコモスの警告、または日本イコモスの評価書への指摘に対し、事業者の見識が不十分、または答えになっていないと思われるもののうち、とりわけ重大だと思われる五点について質問し、評価書の評価を根本的に問い直したいと思います。
まず一点目は、先ほど触れました、外苑に育つ樹木の樹齢の見識が不十分なことです。事業者は九月二十九日のヘリテージアラートについての事業者見解についての中で、外苑の森の樹木について、事業者において樹齢を確定できる記録はございませんと述べていますが、石川氏は、樹齢を推定することは可能であり、造園時の記録や樹木の状態など、あらゆる方法で樹齢を推定し、そこにふさわしい樹木の保全方法を出すのが事業者の責任だと指摘をしています。
この事業者責任を果たしていると審議会では評価して承認をしたのでしょうか。お伺いします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、毎木調査によって樹木一本一本の状態を把握した上で、生態系保全のための予測調査を行っております。
○原委員 樹齢は関係ないということでしょうか。樹木医なら、樹種、高さ、目通りなどから、おおむねの樹齢を推定する能力を通常は持っているそうです。樹齢を一切考慮せずに、伐採や移植の計画を立てているということでしょうか。信じられません。
実際、石川氏は、現地調査、毎木調査のみならず、戦後の米軍撮影の航空写真や植樹などの歴史的書物にも当たられており、その樹木がいつからその地にあったのか、どういう経緯で植えられたのかを調べています。
結局、事業者からは、先人たちが百年、二百年先の未来を見据えて計画し、その後、実際にそれだけの歳月を経て遷移し、今日、豊かに実っている外苑の森の成り立ちについて、僅かのリスペクトも持たず、その結果、樹齢を知ろうとする努力の一片すらも見受けられない、極めて残念な事態です。
二点目は、環境影響評価書において、保全の基本となる現存植生図が出されていないことです。
事業者から出されているのは緑地の分布状況図であり、しかも、それは市街地再開発の事業敷地内のみです。環境アセスメントにおいては科学的調査が必須ということは、事業者が示した環境アセスのマニュアルにも書かれていることです。
また、森林生態系を知るためには、再開発区域以外も含む神宮外苑の植生の全体像を把握する必要があります。そのためには、単なる緑地分布図ではなく、現存植生図が必要であり、かつ、外苑全体の森を網羅するものが必要です。
日本イコモスの石川氏は、自ら相関による現存植生図を作成されています。それがこちらです。(画像表示)事業者の緑地分布図、こちらと比較すると、こちらが日本イコモスの提供の現存植生図、その違いは一目瞭然だと思います。この部分がここの部分ということになります。
事業者は、現存植生図が調査もされていないと石川氏が指摘していることに対し、事業者見解では、まともに反論をしておりません。環境影響評価審議会では、なぜこれを求めずに承認をしたのでしょうか。お答えください。
○長谷川政策調整担当部長 現存植生図について、事業者は、本年四月と五月の審議会において、評価書に掲載されている緑地の分布状況が現存植生図に該当すると説明しています。
同審議会では、評価書に虚偽や誤りはなく、予測評価に影響を与えるものはないと判断されております。
○原委員 緑地の分布状況だけでは植生が分からず、群落の特徴を正確に反映できないことは明らかです。いわば、アセスメントの前提を欠く状態だということだと思います。
また、建国記念文庫の森は、単独に存在するものではなく、外苑全体の中で捉えることが必要です。
同様の理由から、絵画館前の芝生広場について、市街地再開発事業の事業地に組み込まれていないからといって、そもそも生態的情報を欠落させているのは、全く適正ではありません。
日本イコモス国内委員会が解明しているとおり、神宮外苑の意匠は、二十世紀初頭の都市美運動のデザイン思潮を踏まえたもので、近代日本を代表する文化的景観であり、近代都市美、風景式庭園が原型となっています。
ちょっと小さいんですが、紹介しておきます。(画像表示)こちらが青山通りですね、これ、イチョウ並木です。青山通りから四列のイチョウ並木のビスタ、景観を通す軸になりますが、この線を経て、芝生広場では、疎林、まばらな林から次第に混交林、落葉広葉樹や常緑広葉樹林に移行をし、ビスタの焦点にある絵画館の背後では、常緑広葉樹の深い森が全体を受け止める意匠となっています。
この空間構造は、個別に切り離されて成立するものではなく、緊密な関係性の中に都市美の形成が行われたものです。
こうした当時の先人たちの最新鋭の思潮が百年の時を経て、現在どのように受け継がれ、豊かに実っているのか。こうしたことへの真剣な考察を抜きにして、神宮外苑の森の保全に取り組むことは、本来は不可能なのではないでしょうか。
連携した緑のネットワークをこの外苑全体が築いていることは、現地を歩けば、私でも分かります。
結局ここでも、事業者の森といえるのは建国記念文庫のみといったような、本当に狭くて浅い認識が根底にあるから、ちゃんとした現存植生図が出てこないのではないでしょうか。
三点目です。事業者の建国記念文庫の森についての植物群落調査結果について、石川氏は、事業者が単一の群落と扱っているのは間違いで、調べてみると、四つの群落とすべきと指摘していましたが、事実関係はどうなのでしょうか、お伺いします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、本年五月の審議会におきまして、樹木一本一本の毎木調査結果を踏まえて、生態系保全のための予測調査を行っていると説明しており、審議会では、予測評価に変更は生じないと判断されております。
○原委員 予測評価に変更が生じないということでしたけれども、石川氏のレクチャーをしっかりと聞いてほしいと思います。
石川氏は、この場所の異なる群落を一つの群落としたことを極めて初歩的な誤りと指摘をしています。方形区の取り方が適切ではなく、群落断面図も調査票と一致しないことや、群落名が植栽樹林帯、落葉広葉ではなく、常緑落葉広葉樹混交林の分類が適切だと指摘をされています。
石川氏によると、神宮の森は、創建から百年の時を経て、自然林の状態に遷移をしている。これを理解することが必要だそうです。
それは、林学者の本多静六博士が百年前に描いた林の遷移予想図なんですね。ちょっとお示ししたいと思います。(画像表示)こちらの絵は、本多博士と共に神宮の森づくりに取り組んだ本多氏の弟子、本郷高徳氏が描いたものです。
一段目は植栽直後の林、これですね。二段目は五十年後、その下が百年後、最下段が百五十年後の予想図です。この小さい三角が松と書いてあります。細長い三角のところがここに書いてありますが、松以外の針葉樹類、ヒノキ、サワラなどと書いてあります。そして丸いの、綿あめみたいなのが常緑広葉樹と書かれておりまして、カシ、シイ、クスなどというふうに書かれております。
これが百年前に描かれた予想図です。広葉樹や針葉樹など多様な植種を交ぜ、高木層、中木層、低木層と樹高、幹の高さを多層構造にします。そのために単一でない複数の群落が必要だったんです。
落ち葉は微生物で分解されて腐葉土となり、その栄養で植物は成長を続けていきます。土の中の水分と木漏れ日の光を受けて、樹林全体として天然更新が進む。こうして時を経て、自然林へ遷移していくそうです。ここに変移と書いてありますが、この頃は遷移という言葉がなくて、今は遷移という言葉を使っているそうです。
昆虫、鳥類、小動物などが暮らし、生命の循環の役割を果たすそうです。これを石川氏は、森のダイナミズムと呼ばれました。
この自然林への過程を、内苑はこの予想図どおり進んでいるそうですが、今、百年目ですから、この辺ですね。そして、この建国記念文庫の森も同じように、五十年後、百年後の予想図どおりに、自然林へ遷移しているそうなんです。内苑と同じように遷移しているということなんですね。
百年、二百年先を見越した先人たちの先見性と森のダイナミズム、すごいというふうに思いませんか。こうした森の歴史を理解するならば、群落を単一のものと扱い、真二つに切って、南側の樹木をばらばらにしてしまうことが、いかに先人たちに背くものかを認識すべきです。
この森にある三メートル以上の樹木百四十九本のうち、四十八本が移植され、四十三本が伐採される計画で、これは全体の六〇%になります。残る樹木も、新ラグビー場の屋根つきの建物に日が遮られ、日陰では育たない樹木が枯死してしまう可能性が高く、樹木は危機に瀕しています。群落調査の見誤りは、決定的な森の壊滅をもたらすことは明らかです。
四点目に入りますが、事業者見解である開発は生態系に大きな影響を与えないどころか、森は壊滅してしまうという現実が迫っています。
外苑の森で最も消滅の危機にあるのが、ヒトツバタゴ、通称ナンジャモンジャの木だそうです。建国記念文庫の森に三十四本あるうち、北側の僅かなスペースに十六本残る予定ですが、暖かい陽光の中でしか開花できないナンジャモンジャは絶滅すると、石川氏は厳しく批判しています。
事業者は、特定の樹種が全滅すると指摘されているのに、開発は生態系に大きな影響を与えないとなぜいい切れるのでしょうか、お答えください。
○長谷川政策調整担当部長 建国記念文庫の樹林については、北側を保全エリアとして残した上で、文化交流施設棟周辺及び中央広場周りにおいて、建国記念文庫等から樹木を移植し、新たに新植樹木も配置することで、建国記念文庫の樹林及び生態系を復元する計画としております。
○原委員 北側を保全エリアとして残した上でと、もうそこから質問をし直したいです。今の計画では保全エリアなんかにならないといっているんです。移植をし、新しく植樹をするから復元できると簡単にいいますが、百年かけてできた自然林への畏敬の念があれば、それは復元といえるものにならないことは明らかではないでしょうか。
文化交流施設となる建築物を囲むように、または中央広場周りに植える。これでは森の復元は無理です。そうある以上、私たちは今の森を残して、百五十年、二百年先まで守らなければならないと思っています。ここはそういう森なんです。
石川氏は、樹木には物語があるといわれました。外苑を象徴する樹木として、ヒトツバタゴの歴史をお話しいただきました。まだ名前がなくて、人々がナンジャモンジャと呼んでいた木、ヒトツバタゴは、江戸時代からこの青山の地にあったそうです。
青山練兵場にあった初代ヒトツバタゴの木は、大正十三年、一九二四年に天然記念物に指定されました。元帝国大学教授の白井光太郎博士が二世の育成に成功していますが、その二世の一つと推定されるヒトツバタゴの木が、外苑霞ヶ丘門の正面、建国記念文庫の森の一角に立っています。
(画像表示)おととい、外苑ウオークに参加し、写真を撮ってきました。(画像表示)この真ん中のところ、ここがヒトツバタゴです。これが桜の木です。春になって桜が咲き、その桜が終わる頃に、今度は、この真ん中にあるヒトツバタゴが真っ白な花を咲かせて、道行く人々を魅了いたします。
二世のこの木は、幹回り百九十五センチに育ち、初代の木を超えて成長をしています。この木、再開発事業で伐採対象にされていました。日本イコモスなどから指摘が、また、たくさんの市民から批判があり、移植予定となりましたが、移植でもつかどうか、枯死したら一体誰が責任を取るのでしょうか。移植先もいまだに不明です。
十六本のヒトツバタゴは建国記念文庫の森に保存されるといいますが、南側に立つ予定の新ラグビー場は屋根つきで、約五十メートルの高さになるそうです。残った僅かな森は、日が当たらなくなります。移植は十四本、伐採四本、ヒトツバタゴ二世、三世と大切に受け継がれてきたこの木が、その命をつなげる保証はありません。
再開発の犠牲で消えていく。これでも開発は生態系に大きな影響を与えないといえるんでしょうか。
現在、樹木の成り立ち、群落、土壌の成分を無視して移植しても、育たないと指摘をする複数の樹木医さんからの指摘が出されているところです。
最後に、五点目です。事業者が出した四列のイチョウ並木のイチョウの活力度調査は、百二十四本がA、四本がBで、百二十八本全てが健全というものでした。
日本イコモスの調査では、形、樹勢、先端部の状況が要注意のイチョウが五本、著しく枯損しているのが一本、この六本について、事業者は全てAの評価をつけています。あまりにずさんな調査といえます。
本年四月のイチョウの状況に関して、事業者は、一部のイチョウで葉の色づきが早いものがあるとしていましたが、それは色づきではなく枯れ葉ですと日本イコモスが指摘をしたところです。
樹木の状況については、最初に触れたとおり、事業者から改めての樹木調査結果、事後報告書が出されることになっております。
質問は、新神宮球場と商業施設の建設用地からイチョウの幹までの距離が僅か四メートル、その影響についての評価報告についてです。
イチョウ並木の保全に関する事例の研究について、日本イコモスが新宿御苑トンネル樹林への影響についての昭和五十九年から令和四年までの四十年の軌跡を調査して提起をしていますが、事業者は、東京駅や御堂筋のパンフのみの添付で、自ら調べた形跡がありません。これで十分な審査といえるのでしょうか、お答えください。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、本年五月の審議会において、審議会からのイチョウの保全に際しての事例を収集するようにとの助言を踏まえて、他地区の事例を評価書に掲載したものであると説明しています。
○原委員 確かに、そもそも審議会からの助言も御堂筋を例に挙げて、長期的な保全の目標を示すようにといっているのみで、ほかの事例について調査研究を求めたわけではありません。事業者は御堂筋のイチョウ保育管理計画から言葉を借りてきて、基本計画の中に次の百年云々と書き込んだにすぎません。本当にこれでいいのでしょうか。
ちなみに、大阪市に連絡を取って、このイチョウ保育管理計画を確認したところ、御堂筋のイチョウは幅四メートル程度の植栽帯に植えられていて、両脇は固い路盤、路体で固められているので、そこに根を伸ばすことは不可能で、樹形や樹勢を見ても厳しい環境の中でやっと生きているといった状態とのことでした。そのため、対策をしても回復の可能性が低い場合には、イチョウの植え替えを否定していません。
この事例、外苑のイチョウの保全の参考になりますでしょうか。事実、計画から十年がたち、この御堂筋のイチョウは、台風被害を除いても、実際にイチョウの更新があるそうです。一般的な街路樹の保全計画としては、特に問題にされない計画かもしれません。
しかし、言葉を借りただけとはいえ、さらに百年先を見据えた保全が絶対命題である神宮外苑四列のイチョウ並木の参考として、評価書に掲載するのに適した事例なのでしょうか。
翻って、日本イコモスが調査、提供した新宿御苑トンネルの過去事例を見ますと、トンネルが土壌を掘って建設された前と後のイチョウ並木やそのほかの種類の樹木への影響を四十年のスパンで検証をしています。
日本イコモスより提供いただいた資料です。(画像表示)御苑のトンネルから十五メートル以内の距離にあるエリアにおける保存樹木の残存率は三三%でした。一九八四年時点で、歴史的樹木として保全の対象とした九十四本のうち、二〇二二年現在、十七本の常緑広葉樹と落葉広葉樹と大イチョウ十四本は無事、枯死した樹木は六十三本だそうです。
これに対し、十五メートルから二十五メートル離れているエリアの二十一本のイチョウは、全て順調に生育し、三百年の樹齢をさらに伸ばしているそうです。
このことから、イチョウが無事に育つためには、地下を掘る工事区間から少なくとも十五メートルは離さなければならないことが分かります。逆に、きちんとした保全策を取れば、イチョウは三百年、四百年と生きられるということです。重要な参考資料です。
こうした調査資料を真摯に読み深め、事例評価を行う姿勢を事業者が示さなければ、国民の宝であるイチョウが守れないことは明らかです。
以上、石川幹子先生に導かれながら、五点にわたり、評価書の重大な問題点を見てきました。
これまでの環境影響評価審議会において、各ご専門の先生方が、その知見を生かし、審議を深められてきたことに敬意を表します。同時に、それでもなお、私たち都議の目から見ても、それはつまり都民の目から見て、評価書の審議が十分に尽くされたとはいえない状況が残されていることが明らかになったと思います。
それを踏まえ、私は、神宮外苑地区市街地再開発事業の環境アセスの再審査を求めるものです。知事がそれを要請すべきです。
外苑の端から端まで歩き、千本の樹木の状態を一本一本丹念に調べた石川氏の驚異的な努力と正確な調査資料の提供があったことで、こうした事業者の出してきた評価書の問題点が私たちにも分かるようになったことに、敬意を持って応えたいと思います。
まず、何より事業者が、そして開発認可を出した都が、原点に返り、この外苑の価値を学び直すことを呼びかけます。
知事は、これまでの事業者任せで、都民世論に難癖をつける態度を根本的に改め、神宮の森を本気で守る立場で行動し、物をいうべきです。
まとめます。事業者からの見直し案が出された後、伐採を始めさせないよう、知事が強い要請を行うこと、審議会での徹底議論を必ず保証すること、また、イコモスの参加を実現させること、審議会において環境アセスの再審を実施すること、以上を強く要請します。
都議会と東京都知事が百年の森を守り、この先二百年、三百年までつなぐ、先人たちとの約束を厳守できるよう、進む道を間違えないよう、開発を中止することを求め、このテーマを終わります。
最後に、アスベスト対策についてお聞きします。
アスベストの含有建材調査について、二〇二三年十月より、有資格者による事前調査をしなければならないということを義務化いたしました。有資格者による調査の義務化がされた背景をお示しください。
○戸井崎環境改善部長 大気汚染防止法では、アスベストの飛散防止に向け、解体業者等に対しまして、建物の解体等の工事前におけるアスベスト調査の実施などを義務づけております。
この制度運用の中で、近年、事前調査におけるアスベストの見落としなどの課題が指摘されました。
そこで、国は法改正を行い、令和四年四月から、都道府県等への調査結果の報告を義務づけるほか、本年十月からは、有資格者による調査を義務づけ、調査の信頼性を確保するなど、その飛散防止対策を強化いたしました。
○原委員 事前調査が有資格者によって行われ、飛散防止対策が徹底されることは重要です。
大気汚染防止法が改正され、二〇二一年四月から順次施行されています。アスベスト飛散防止対策強化の内容は、規制対象建材の拡大、事前調査の信頼性の確保、作業記録の作成と保存、罰則の強化などだったと思います。
事前調査について、新たに規制対象となった石綿含有成形板や仕上げ塗り材などのレベル三建材を含め、都としては、調査費を補助する区市町村に対し補助する仕組みを今年の四月から始めています。地域環境力活性化事業にメニューを加えて使えるようにしたとのことです。
それで、地元の江戸川区にも補助制度があるんですが、レベル二までしか調査費補助を実施していないんですね。東京土建の組合から、補助が二分の一では低いということと、なぜレベル三を除外するのかとの意見が出ています。
日本建築防災協会が作成した建築物の解体等工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュアルには、レベル三は、破砕、切断作業においては発じんを伴うため、湿式作業原則の記載がされています。
このように、レベル三も飛散防止が必須なのです。都は、レベル三までを対象にした助成だということを区市町村に伝え、義務である事前調査支援の重要性を伝えてほしいというふうに思います。技術的知見の提供と助言による支援を強めていただけるよう、お願いします。
十月からは有資格者がやらなければならない調査になりましたが、都としての事業者向け建築物石綿含有建材調査者の資格取得支援はありますか。
○戸井崎環境改善部長 事前調査の義務化に伴いまして、今年度は、都内の工事業者を対象といたしました講習を国の登録講習機関と共同で開催いたしまして、会場使用料を都が負担することで、資格取得費用の軽減を図っております。
○原委員 申請してもなかなか受講できないとの声に、講習を増やすなどしていただいて本当によかったです。
資格取得には五万円前後かかるようです。多くは現場の皆さんが仕事を持ちながらの講習受講ですから、負担軽減など様々な形で都の資格取得支援を引き続きお願いしたいと思います。
国土交通省によると、民間建築物にアスベストが使用されている物件は、二百八十万棟も残っているそうです。主には解体時の問題ですから、これからが大事です。
アスベストが飛散すれば、工事に当たる労働者はもちろん、周辺住民に被害をもたらすことになります。被害を出さない、そのために行政が建物の事前調査と飛散防止をしっかりサポートすることが求められます。
東京土建の役員から伺った話ですが、石綿含有建材調査者の資格者番号を報告書に勝手に使われた例が複数発覚したそうです。驚きました。調査もアスベスト除去工事も、それだけ経費が余計かかりますから、解体工事の価格競争の下で、違法的な行為を行う悪質業者が出ているわけです。
不当に価格を低く提示し、安全対策や粉じん対策に経費を使わない業者がはびこるようなことがないよう、法令遵守し、アスベスト対策に真面目に取り組む業者が安心して仕事を行えるよう、悪質業者の摘発などの手だてを取ってほしいと思います。
また、事前調査補助を来年度以降も継続、充実することを求めておきます。
以上、三テーマにわたって質問をさせていただきました。これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○須山委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
まず、太陽光パネルの設置拡大について伺います。
太陽光パネルの各メーカーは、一般的なパネルに加えて、建物への設置容量を増やしていくためなど、様々な新製品を開発して販売をしておりますけれども、まだまだ価格が割高でございます。
例えば、環境局では、ペロブスカイトの実証実験をしたりとか様々やられていて、それに関しても非常に評価をさせていただきたいと思いますけれども、ペロブスカイトは私もすばらしいなと思いますけれども、まだ実用化にはもうちょっとかかるのかなというふうにも思います。
そうした中で、二〇三〇年カーボンハーフを目指す東京都として、さらには二〇二五年四月の太陽光パネルの設置義務化スタートがもう目の前に迫っている中で、東京都として、こうした製品の普及のため積極的な支援を行っていくべきだと考えます。
こういった状況の中で、東京都は、今年度予算において、東京の地域特性に対応した機能を有する太陽光パネルの設置の普及拡大に向け、新たな取組を開始していると聞いておりますが、取組状況をお聞かせいただきたいと思います。
○関制度調整担当部長 太陽光パネルの設置拡大に向けては、狭小住宅や隣地との間隔が狭い住宅が多いといった都市特有の状況に対応した優れた機能を有する太陽光パネルの普及促進が有効でございます。
そこで、都は、小型パネルや建材一体型パネル、近隣への反射光のまぶしさを軽減するパネルなどについて認定基準を定め、昨年度末に十五社、百三十六件の製品を認定し、公表しております。
さらに、今年度、都の住宅向け各補助事業において、認定製品を対象に上乗せ補助を開始しております。
都は、こうした支援を継続的に実施することによりまして、東京の屋根のポテンシャルを最大限に活用し、太陽光パネルの設置拡大を加速してまいります。
○須山委員 ありがとうございます。
やはり東京都に関していうと、小型化であったりとかということが非常に重要なのかなとも思いますし、また、以前この委員会でも質問させていただきましたけれども、光害に関しての防眩型のパネルなど様々、東京都としても、今、認定基準を定めていただいているということで、これに関しては非常に評価をさせていただきたいと思います。
やはり東京という都市に合ったパネル、新商品というものはどんどんと開発が進んで実用化がされていると伺っておりますので、様々な進化が進む中で、東京都は、今後そうした動きをよく把握しながら、認定製品の更新について積極的に取り組んでいただきたいと要望させていただきまして、次の質問に移ります。
続きまして、都有施設におけるバーチャル・パワー・プラント事業、VPP構築事業についてお聞かせいただきたいと思います。
東京都は、自身が多くの事業所を所有することから、率先行動として、都有施設への再生可能エネルギー設備の導入を積極的に進めていると伺っております。
さらに、再エネ電力の利用拡大を進める上で、例えば、休日に余剰電力が発生する施設がある一方で、休日も電力消費が大きい施設があるなど、電力の発生や消費パターンが多様な都有施設がある中、例えば、施設間で電力を融通して有効活用していくことも、これから重要となってくると考えます。
そこで、都有施設で生み出した再エネを施設間で需給調整して、最大限有効活用する取組である都有施設におけるVPP構築事業の進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。
○中村率先行動担当部長 都は、再エネ大量導入時代を見据え、導入した太陽光発電設備や蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用し、高度なエネルギーマネジメントを行う都庁版VPPの構築に取り組んでおります。
昨年度は、用途や規模が異なる都有施設におきまして、余剰電力の発生や電力消費パターン等の基礎調査を行いました。
さらに、施設から発生する余剰電力を他の施設で最大限有効活用することなど、運用方法を整理しつつ、対象施設の検討を行いました。
今年度は、対象施設におきまして運用方法の詳細等を検討しながら、太陽光発電設備、蓄電池及びこれらの運用システムの設計等を進めております。
○須山委員 ありがとうございます。
VPPに関しても、前から取り上げさせていただいておりますように、非常にいい取組だなというふうに考えております。
再エネ電力の利用拡大を進めるには、太陽光発電設備等の再エネ設備を導入するだけでなく、やはり今おっしゃっていただいたような都庁版のVPPのように、変動する発電電力を上手に活用する仕組みを構築することも重要となってきます。
率先行動として、東京都が様々な実験的なことも含めてやっていただいていることを非常に高く評価をさせていただきたいと思いますし、都民や民間事業者を牽引できる取組を継続していただけるよう、お願いを申し上げさせていただきまして、次の質問に移ります。
続きまして、ナラ枯れへの認識と対応について伺います。
ナラ枯れ、本当に、今、多摩地域を中心に特に非常に問題となっていると思います。曽根委員長も以前ご質問をされていたと思いますけれども、ナラ枯れに関しては、樹木の害虫であるカシノナガキクイムシが媒介をするナラ菌によって、樹木が感染をして枯れてしまう病気でありまして、最終的に倒木してしまうこともあります。
都内では、十年ほど前に島しょ部において初めて被害が確認をされましたが、近年、関東周辺や私の地元八王子をはじめ、都内の多摩部でも広がりを見せております。
ナラ枯れが拡大すると、樹木やその周辺に生息する生き物の生育環境の低下や、倒木などによる人への被害が発生することにもつながり、喫緊の課題だと考えております。
まず初めに、都内の被害状況等について伺います。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 樹木の害虫であるカシノナガキクイムシが媒介するナラ菌により、樹木の通水機能が阻害されることにより生じるナラ枯れは、三宅島、御蔵島などにおいて平成二十二年に都内で初めて確認されております。
近年、本土部でもコナラ、クヌギなどに被害が発生しており、都は、森林法に定める区域を有する市町村に対して、ナラ枯れ被害の調査を実施し、その結果、令和四年度被害本数は十二市町で約五千八百本となっております。
このほかにも、都や区市町村の公園や民間の緑地などにおいてもナラ枯れが発生していると聞いております。
○須山委員 ありがとうございます。
平成二十二年に都内で初めて確認されたということです。
ちなみに、私の地元の八王子だと、大体五年前ぐらいに市内で発見したということで、伺いますと、大体五年ぐらいがすごくピークになってきて、増えていくという話でありました。
今、そうした中で、八王子なんかも結構、本当に被害が多くて、以前は、由木地区という南大沢とかあっちの方がメインだったんですけれども、今、高尾の方にも増えてきているということで、地元の市からも、何とかしていきたいということもお話をいただいております。
特に、今、多摩地域ではナラ枯れ被害が本当に拡大しておりまして、その対策が急務でありますけれども、被害が広範囲に点在し、虫が飛んでいくことによって、被害の拡大を食い止めることがなかなか困難であります。
そのため、リスクの高いところ、例えば、台風等によって倒木の危険があったりとか、道路に面していたりとか、人家に危険が及ぶ場所にあるなどの樹木の伐採や撤去等の支援というのを優先して行っていくことが必要だと考えます。
市区町村は、地元の公園や緑地を対象に対策を行っているようですが、民間の土地でもナラ枯れが発生していることから、これらも含めて、都は、市町村への支援を進めていくべきだと考えます。
しかし、都内の自治体では、現状で民間への補助制度があるのは稲城市とあきる野市だけだと伺っております。そこで、東京都の見解を伺いたいと思います。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 ナラ枯れは、樹林地等の荒廃に伴う生態系の低下や倒木、枝打ち等による被害につながるため、蔓延防止に向け、被害区域のある地元自治体と連携しながら取り組むことが必要でございます。
都は、区市町村との連携による地域環境力活性化事業を活用し、市町村が地元の公園や緑地に加え、民間が所有する土地についても、枯れた樹木の伐採、撤去など、自然地の生態系を保全する取組を支援しております。
令和四年度は、稲城市で民間の土地における対策への支援を行っております。
今後も、地元自治体と連携して対策を進め、自然地の生態系の保全と倒木等の被害防止に取り組んでまいります。
○須山委員 さすが、こいそ先生のご地元ですね。ありがとうございます。
市町村の中には、こうやって都からの補助金を活用して、公共の緑地のみならず、民間の土地のナラ枯れ対策に取り組んでいる自治体があるということは分かりました。
しかしながら、こうした取組を行っているところが少ないというのが現状だと思います。これは、一つは、やはり補助率が五〇%であって、半分は自治体の持ち出しである。そのことで、財政的になかなか出しづらいというようにも聞きます。
ナラ枯れは、カシノナガキクイムシという虫が媒介していくというのは答弁にあったとおりですが、飛んでいってしまうために、ある程度、一気に対応をしていかなくてはならないというふうにも聞きます。自治体を超えて、しっかりと面として対応していくことが必要であり、だからこそ、広域自治体の東京都としての対応が求められると考えます。
今後、民間の土地まで含めた対策がもっと広がっていくように、東京都は市町村と連携しながら、ナラ枯れ対策に取り組んでいただくよう強く要望して、この質問を終わります。
最後に、神宮外苑に関して、先日、都議会でも、ご承知のとおり議連が立ち上がりました。その後、国会の議連の皆さんとの懇談会を行いました。そこには現職の国会議員の方だけでなく、亀井静香さんとか、私が子供の頃から見ていた、本当に保守の、何かすごい人、すごいというとあれなんですけれども、元議員の方ですね、そういう方も来ておりました。
私は、この問題というのは、やはりどんな社会をつくっていきたいのか、そしてどんな未来を子供たちに残していきたいのか、そのために右とか左とかを超えて、たくさんの皆さんが集まったのかなというふうに考えております。
神宮外苑再開発については、都民からも、樹木の伐採について多くの反対意見が寄せられている中、九月七日、文化的資産が直面している危機に対して、保全と継承のために出されるヘリテージアラートが国際イコモスから発出されました。
これを受けまして、事業者は九月二十九日に、ヘリテージアラートに対する事業者見解についてを本再開発事業のプロジェクトサイトで公表をしております。
ヘリテージアラートでは、本再開発事業によって約三千本の文化的資産としての樹木が失われるとして、事業者に対し、神宮外苑の再開発計画を直ちに撤回することを求めておりますが、これについて事業者はどのような見解を示したのかを伺います。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、本年二月の風致地区に係る手続におきまして、申請した伐採対象樹木のうち、約九割はツツジ等の群生低木であり、本数のカウントができず、面積から推計したものであるとしています。
伐採する樹木の本数以上の新植を行う計画となっており、開発後の樹木の本数は増加する見込みであると説明しています。
○須山委員 ありがとうございます。
事業者の見解として伺いましたけれども、低木でカウントができずに、伐採する樹木の本数以上の新植を行うというのは、正直、ちょっとよく分かりません。
イコモスの主張と事業者の主張というのは、一事が万事、かみ合っていないように見受けられます。双方の意見をきちんと聞く場を設けなくてはならないと改めて感じましたし、やはりこうしたことというのは、ちゃんと東京都として、行政として緑を守るために、もっと動いてもらいたいなということは改めて感じました。
森というものは、やはり人の手が加わることによって、より生きていくということはよく分かります。間引きをしていくために伐採することとかもあると思いますし、それはあくまでも森があっての人の手であって、この再開発に関しては、森がありきの再開発というふうにはちょっと私からは見えません。
私たち東京都議会立憲民主党は、再開発自体には、今までも反対してきてはおりません。しかし、樹木をしっかりと守っていけるような計画にしていっていただきたいということは、再三訴えさせていただいております。
今の状況が森ありきなのかということは、正直、本当に懐疑的にならざるを得ません。都民の理解を得られるために、やはり森があっての再開発にしていかなくてはならないなというふうに改めて感じております。
そのために、東京都環境局としても、東京の環境を守り、森を守り、そして子供たちに引き継いでいける、そんな東京都のために動いていただきたいなということを要望させていただきまして、私の質問を終わります。
○もり委員 まず初めに、神宮外苑再開発事業についてお伺いをいたします。
東京都は、二〇二三年九月十二日付で、事業者に対して次の要請を行いました。
新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すこと。あわせて、その他の区域についても、施設の設計の工夫などによるさらなる樹木の保全を検討し示すこととしました。
これに対して事業者は、二〇二三年九月二十九日付で、東京都に対し、新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果としての樹木の保全に関し、具体的な見直し案を示し、見直し案を含め、環境影響評価審議会に変更届として報告をすること。絵画館前テニス場計画及び絵画館前広場計画の設計にも着手し、新ラグビー場同様に、既存樹木のさらなる保全等に向け検討を進めているところであり、まとまり次第、改めて報告すること。さらに、今後、絵画館前広場以外のエリアについても、既存樹木のさらなる保全等に向け検討することとしています。
東京都の要請のうち、施設の設計の工夫などによるさらなる樹木の保全を検討し示すこととしている、その他の区域とは、具体的にどの区域を念頭に置いて要請したものなのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 要請書では、新ラグビー場敷地以外のその他の区域について、さらなる樹木の保全策を検討し示すよう要請したものでございます。
○もり委員 具体的にお伺いをいたします。建国記念文庫エリアは、新宿区の伐採許可が下りていませんので、現時点で新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手することはできませんが、都の要請は、建国記念文庫エリアの樹木について、施設の設計の工夫によって樹木を保全する検討を求めているのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 要請書では、事業者に対し、新ラグビー場敷地の樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書に記載された樹木保全等の検討結果を示すよう要請したものでございます。
○もり委員 イチョウ並木は、先ほど原委員の写真でもあったんですけれども、最も西側のイチョウ、特に建物が設置されている近隣の樹木の衰退が見られ、新神宮球場が設計をされれば、さらに衰退が進むことが懸念されます。
我が会派も現地に行って見てきたんですけれども、本当に深刻な状況であると感じました。新神宮球場についても、施設の設計の工夫によって樹木を保全する検討を求めているのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、今後も継続する根系調査の結果や樹木医の見解を踏まえ、イチョウ並木を確実に保全するため、野球場等のセットバックなど、必要な施設計画の見直しに取り組んでいくとしています。
○もり委員 イチョウは、高さに匹敵する本当に深く根を張る植物ですので、そのセットバックというのが下の基盤だけではなく、本当に建物自体セットバックをしなければいけないという思いがあるんですけれども、イチョウ並木は守ると再三確認をしていただいていますが、イチョウ並木の区域についても、施設の設計の工夫などによるさらなる樹木の保全を検討し示していただきたいと考えます。
現在、事業者は、イチョウ並木のイチョウの根の広がりを水平距離、垂直距離、それぞれどのぐらいと想定をしているのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、環境影響評価書において、イチョウ並木の根系調査を行い、その結果等を踏まえ、建築計画等における環境保全措置を具体的に示すとしています。
○もり委員 現在の施設の設計によって、イチョウの根に影響を及ぼさないことをどのように確認をしたのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 先ほどもご答弁しましたが、事業者は、環境影響評価書においてイチョウ並木の根系調査を行い、その結果を踏まえ、建築計画等における環境保全措置を具体的に示すとしています。
○もり委員 現在の計画というのがかなり古い活力度調査で、Aという状況で計画が進められていたところ、今、改めて調査をし直してはいただいているんですけれども、今年の夏は暑さのため枯れが早いという、以前、さきの答弁でいただいたようでは説明がつかないほど、本当に傷んだ深刻な状況のが二本ありましたり、今のままでは本当にイチョウ並木すら守れないという深い危惧をしておりますので、改めて環境アセスの再審を強く求めるところです。
新神宮球場の工事中、工事ヤードはイチョウ並木のエリアにどのように影響を及ぼさないようになっているのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、環境影響評価書において、工事施工の際に、樹木近くを重機が通らないよう工事ヤードを設定するほか、工事用車両出入口の位置の工夫や、球場の内側から工事を行うなどの工夫によって、根への負担を軽減するとしています。
○もり委員 ぜひ、本当に東京のシンボルであり、また、世界からも注目されているこのイチョウ並木について、今年の冬にまた調査を行っていただくということなんですけれども、環境アセスにおいても、しっかりと保全に向けた本当に万全な再審について、改めて要望させていただきます。
変更届の手続について、事業者は、変更届をアセス審議会に提出すると回答していますが、条例の規定に沿って質問いたします。
事業者の回答にある変更届とは、アセス条例六十二条に基づき、四十条の環境影響評価調査計画書の提出後、六十八条の工事完了届までの間に、四十条第一項第一号、事業者の変更、または第二号の事業の名称、目的、内容の変更、事業の中止、廃止についての変更のことなのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 条例第六十二条第一項においては、第四十条第一項第一号、もしくは第二号に掲げる事項を変更しようとするとき、または対象事業の実施を中止し、もしくは廃止しようとするときは、その旨を知事に届け出なければならないと規定されており、事業の中止、廃止は変更に該当しません。
○もり委員 アセス条例六十九条では、アセス審議会は、この条例により、その権限に属させられた事項並びに知事の諮問に応じて、環境影響評価及び事後調査に関する重要事項を調査審議することになっています。
アセス条例六十二条は、変更届は知事に対して提出することとなっているので、手続としては、変更届を知事が受理して、知事がアセス審議会に諮問する手続を取るということになるのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 条例第六十二条第二項においては、届出があったときは、遅滞なく当該届出の内容を公表しなければならないと規定されており、諮問の手続に関する規定はございません。
○もり委員 アセス条例七十四条の二は、審議会は、第六十九条の規定による調査審議を行うため、必要があるときは事業者その他関係者の出席を求め、説明を聞き、または事業者その他関係者から資料の提出を求めることができると規定をしています。
アセス条例七十四条の二の規定は、アセス審議会が審議に当たって、事業者やイコモス専門家の出席を求め、またはこれらの者からの資料の提出を求めることは、審議会が自らの権限として判断することであって、知事や事務局である都庁官僚の考えには左右されないという規定であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 条例第七十四条の二にある、その他関係者とは、環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定したものでございます。
○もり委員 先ほどの質疑でもあったんですけれども、事業者その他関係者の関係者として、環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定というのは、アセス条例第七十四条の二は、事業者と並んで都民やイコモスなどの有識者の出席を求め、またはこれらの者からの資料の提出を求めることができるけれども、それは都として想定外だという趣旨なのか、もしくは、出席を求めることも資料の提出を求めることもできないという趣旨なのか、これがちょっと今のご答弁で分からなかったので、お聞きしたいんですけれども、お願いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 条例第七十四条の規定につきましては、本規定が設けられる以前は、都が審議会において環境影響評価図書に係る事業内容等の説明を行っておりました。
これを事業者が事業内容等についての説明責任を果たす観点から、平成三十年十月の環境影響評価制度見直しに係る審議会答申を踏まえ、事業者等が審議会に出席して、事業内容等の説明ができるようにするため、令和元年施行の条例改正によって設けた規定でございます。
本規定に基づく出席者は、事業者や環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定しております。
○もり委員 答申の趣旨だけを条文化するならば、答申は事業者のことしか述べておらず、端的に事業者の出席を求め、説明を聞き、または事業者から資料の提出を求めることができればいいと規定をすればいいことに、これで答申が求めている事項は十分満たされていると思うんですけれども、アセス条例七十四条の二は、そう書かれておりませんでした。
昨晩、資料を送っていただいたんですけれども、事業者その他関係者の出席を求め、説明を聞き、または事業者その他関係者から資料の提出を求めることができると規定をしています。
事業者その他関係者と規定をされていれば、事業者は関係者の例示にすぎませんが、のがない、事業者その他関係者と規定をされているため、事業者については、条例の文言として、出席を求め、説明を聞き、または事業者から資料の提出を求めることができることは確定をしていると思うんです。
事業者その他関係者という場合、事業者と関係者は並立となっております。条例の条文の文言として、関係者について、出席を求め、説明を聞き、または事業者から資料の提出を求めることができるということが書かれていると思います。そして、事業者と並列させる関係者には、意見を述べる都民や専門家などがいます。
そこでお伺いをいたします。東京都の想定を伺っているのではありません。都の想定を答えるのではなくて、アセス条例七十四条の二の規定は、その他関係者として、都民や専門家を排除しているのかどうかをお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 先ほど来ご答弁しておりますが、条例第七十四条の二にあるその他関係者とは、環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定したものでございます。
○もり委員 審議会の答申では、事業者のことしか述べていません。しかし、実際のアセス条例七十四条の二の規定には、事業者その他関係者と書かれているので、その他関係者については、答申と関係がありません。
これは都庁でつけ加えた文言なのだと思うんですけれども、仮に、その他関係者を限定するならば、法律の条文では、事業者その他政令で定める関係者と規定して、政令で定める事業者とは、環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントと書くことになると思うんですけれども、条例の場合、事業者その他規則で定める関係者と規定し、規則で条例七十四条の二の関係者とは、環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントをいうと書いてはないと思います。条例第七十四条の二には、そのような関係者を限定する規定は書かれていません。また、事業者その他の関係者ではなく、事業者その他関係者と、事業者と関係者が並列に書かれています。このことによって、条例七十四条の二の規定は、審議会に、その他関係者に出席を求め、説明を聞き、またはその他関係者から資料の提出を求めることができる権限を付与するものと読むのが率直だと思うんですけれども、都の見解を求めます。
○長谷川政策調整担当部長 先ほどご答弁しましたけれども、本規定の趣旨を鑑みて、本件のその他関係者というのは、環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定したものでございます。
○もり委員 繰り返しの答弁なんですけれども、都の想定を聞いているのではなく、条例第七十四条の二の規定からして、その他関係者を環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントに限定することは、条文の読み方として誤っていると思います。
条例第七十四条の二の規定では、都民やイコモスなどの有識者の出席を求め、またはこれらの者から資料の提出を求めることができるということを排除することはできない、その旨をるる申し上げています。
なので、東京都としての法令意見を責任部署から提出していただくことを求めて、次の質問に移ります。
二〇二三年九月十二日の要請文は、知事が受理した環境影響評価書について、知事が説明を求めるものでした。
同時に、アセス審議会は、事業者に示した評価書案に対する審査意見に事業者がどのように対応しているかについて、事業者に説明を求めることができると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 本件環境影響評価では、評価書案に対する審議会答申を踏まえて作成された評価書素案について、令和四年十二月の審議会において、答申の反映状況の確認が行われ、その際にあった審議会からの助言に基づき、事業者は、素案にさらなる検討を加えた上で、評価書を令和五年一月十日に都に提出しています。
○もり委員 次に、事業者の回答には、変更届を提出する時期について記述がありませんが、二〇二三年末から二〇二四年初め頃に、見直し案を環境影響評価書の変更届として提出する予定という報道もあります。
事業者が樹木の保全に関する具体的な見直し案を含め、環境影響評価審議会に変更届として報告する時期はいつ頃になるのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示した検討を行った結果としての樹木の保全に関する具体的な見直し案を含め、環境影響評価審議会に報告するとしています。
○もり委員 これも本当に多くの方が注目をされていて、当初九月下旬であったのが、事業者への見直し案の提出を求め、ストップをしております。
これについては、今の段階では、このままでは本当にイチョウ並木を守ることができないという旨の下に、しっかりと改めて環境影響評価審議会に報告されるということなんですけれども、そもそもの前提が間違っている。
先ほども、日本イコモスからの指摘に事業者の提案があったというんですけれども、それも科学的知見を持って一つ一つ事業者の回答というのをチェックしていくと、やはり影響評価で環境アセス審議会で説明をされた事業者の説明というのが、いかに間違っているかということは、日本イコモスと事業者が同じテーブルに着いて説明を受ける機会が、本当に環境アセスに招かなければ、しっかりとした科学的な根拠に基づいた検証が十分ではないという思いを改めて強く申し述べさせていただきます。
新国立競技場の建設でも樹木の伐採、移植が行われ、JSCによると、国立周辺には約百三十本の樹木が移植されたことになっていますが、どこの樹木がどこに移植され、健全に育っているのかの追跡がなされないまま、移植された樹木は生育不良となり、枯死しているものもあります。
移植樹木は、一つ一つ識別できるようにして追跡できるようにしておかなければ、いつの間にかなくなっていたということになりかねません。
新ラグビー場敷地の既存樹木について、新宿区の伐採、移植の許可が出ているのは、神宮第二球場の周辺の樹木です。
事業者の計画では、新ラグビー場の既存樹木のうち、移植される樹木は一旦どの場所に植え替えられ、最終的にどの場所に移植をされることになっているのか、移植先の追跡についてどのような措置が講じられることになっているのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、事後調査報告書において、御観兵榎エリア等に本移植を、また、聖徳記念絵画館前等に仮移植を行う計画であるとしており、移植した樹木については、かん水や除草、樹木医によるモニタリング等を行うとしています。
○もり委員 これも毎年モニタリングを行っていくということなんですけれども、三メーター以上の樹木については全てナンバリングを行って、追いかけていくということもお伺いをいたしました。
これについてもしっかりと、国立競技場の移植の際の現場なども私も何度も歩いているんですけれども、やはり既に姿を見なくなった樹木などもありますので、本当にそういったことを繰り返してはならないということを改めて強く申し上げます。
東京都立篠崎公園の高台事業では、移植する樹木は、活着率が高く、移植先で枯損するリスクが低い、健全に生育されている幹周り百五十センチ未満の樹木、移植に適さない樹木は、移植先での枯損のリスクが高い、幹周り百五十センチメートル以上の大木や老木など、根が水平に広がり、根上がりが発生している樹木は、根が巨大化し、支持力が低いため、強風などによる移植先での倒木のリスクが高い。樹木が密生している場合は、周辺の樹木と根が絡んでいて、作業場所の確保も難しく、移植が難しいとしています。
東京都が都立公園の委託事業で使っている基準に照らして、事業者が計画している移植樹木は移植に適しているのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、環境影響評価書において、解体や建築に際して支障となる樹木のうち、樹高や目通りが大きいものや根鉢の適切な確保が難しいと樹木医が判断したものなど除き、移植対象としています。
○もり委員 移植は樹木にとって大手術であり、移植先でのリハビリや、復帰のためによりよい環境の提供が必要となりますが、事業者が移植する樹木について、移植した樹木が健全に育つような樹木環境がどのように適切に配置をされているのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 七月の審議会における事業者報告では、かん水の実施や稲わらの敷設による乾燥への配慮のほか、樹木支柱等の設置や除草の実施、また、樹木の活力度調査を行うなどとしています。
○もり委員 かなり大きな木も多い中で、以前、新宿区の天然記念物の木が植え替えられたときには、一本で千四百万円も予算を要するなど、本当に移植というのは一本一本が大事業だと思います。
そうした中で、本当に移植先で根を張ることができるのか、また、絵画館前に多くの樹木を配置するというような計画になっていますけれども、その移植先での生態系がしっかりと守られるかなど、今後も十分に配慮しなければ、本当に一本一本が守られないということを危惧しておりますので、議会としても、今後についてもしっかりと後を追っていきたいと思っています。
次に、生物多様性についてお伺いをいたします。
三井不動産は、二〇二三年四月十三日のプレスリリース、昆明・モントリオール生物多様性枠組に賛同したコミットメントを策定し、三井不動産グループの生物多様性への取組事例として、東京神宮外苑の再開発について、当地区内の樹木本数は既存の千九百四本から千九百九十八本へ増加、緑の割合は約三〇%、現況約二五%が増えるとなる予定です。次の百年に向け、樹木を若い樹木に植え替えることにより、緑の循環を図ってまいりますと述べています。
緑の循環という言葉は、木材が持続可能に管理され、森林から伐採されたものであることを証明する仕組みである森林認証の一つとして、緑の循環認証会議、SGECがありますが、一般的に、都市内の緑について、緑の循環という言葉は使われるのでしょうか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 三井不動産が自社の取組を発表した内容であり、都としてお答えする立場にはございません。
○もり委員 神宮外苑の樹木を若い樹木に植え替えることが緑の循環で、生物多様性を保全し、ネーチャーポジティブの取組になるのか、生物多様性戦略を進める都の見解をお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 先ほどもご答弁しましたが、三井不動産が自社の取組を発表した内容であり、都としてお答えする立場にはございません。
○もり委員 神宮外苑の樹木を伐採し、芝生の面積を増やすことは、昆明・モントリオール生物多様性枠組に賛同したコミットメントになるのか。これは、生物多様性戦略、先日も立派な計画書の改定が行われました。
そういった中で、東京都として、やはり民間の計画だというのではなく、生物多様性戦略に進めていく上で、目の前で失われていく生物多様性に何もできないのだったらば、東京都としての戦略は何なのかということになってしまいますので、ぜひ東京都としての見解をお伺いできればと思います。
○長谷川政策調整担当部長 繰り返しとなりますけれども、三井不動産が自社の取組を発表した内容であり、都としてお答えする立場にはございません。
○もり委員 次に、環境アセスメントのミティゲーションについてお伺いいたします。
環境アセスメントの環境保全措置について、事業を行うに当たって、環境保全措置は、環境影響評価制度とともに体系化されてきました。
世界初の環境影響評価法であるアメリカの一九六九年のNEPAに基づいて設置された大統領府環境諮問委員会、CEQは、一九七八年にミティゲーションヒエラルキーとして、回避、最小化、修正、軽減、代償の順で環境への影響を緩和する措置、ミティゲーションを定めています。
神宮外苑開発の環境アセスにおいても、この順番で保全措置を考えるべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、環境影響評価書において、ラグビー場棟や野球場棟などの樹林地に近い施設の詳細な検討に当たっては、樹林地への影響を回避、最小化するよう計画を検討するとしています。
○もり委員 神宮外苑の環境アセスにおいて、樹木を伐採し、新しい木を植えたり芝生をつくったりする措置は、ミティゲーションの第五順位の代償措置に該当すると考えます。都の見解をお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、環境影響評価書において、ラグビー場棟の建設により、緑のまとまりは縮小するものの、代償として、文化交流施設棟周辺に新たな緑地を創出するとしています。
○もり委員 次に、環境アセスにも大きく関わると思いますので、グリーンビズについてお伺いをさせていただきたいのですが、グリーンビズは、神宮外苑開発など、環境アセスメントの代償措置とはどのような関係にあるのか、お伺いをいたします。
○長谷川政策調整担当部長 先ほどのご答弁と重なりますけれども、環境影響評価書においては、ラグビー場棟の建設により、緑のまとまりは縮小するものの、代償として、文化交流施設棟周辺に新たな緑地を創出するとしています。
○もり委員 グリーンビズは環境局の所管ではないということで、ご答弁が得られなかったんですけれども、先ほども、百年先を見据えた緑と生きるまちづくりとして、まさにあらゆる機会を通じて緑を創出、保全することで、緑の底上げと質の向上を図るというのは、まさにこれまで環境局が取り組んできた事業だと思うんです。グリーンビズは環境局と連携をされていないのでしょうか。
アメリカでは、開発で自然環境が減少、消失する場合には、ミティゲーションというノーネットロス原則が確立をしており、開発を行う事業者が何らかの事情で当該地域周辺でミティゲーションを行えない場合、債券を購入することで、ミティゲーションを行ったとみなすということができる、ミティゲーションバンキングという考え方があります。
グリーンビズとアセスメントにおけるミティゲーションバンキングと関係があるのか。また、環境局はアセスの様々な代償措置の経験があり、また、生物多様性戦略を進めてきていますが、グリーンビズがなぜ環境局所管でないのか。グリーンビズのビズというのは、こちらの資料には、事業ということで、グリーンの事業で、まさに本当に環境局がこれまで行ってきた事業であり、これからも環境局が率先をして連携をしながら進めるべきだと思いますが、グリーンビズがなぜ環境局所管でないのかという点について、改めてお伺いをいたします。
○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 グリーンビズにつきましては、本年七月に公表させていただいてございますけれども、本件につきましては、政策企画局と都市整備局が主管となりまして、全庁挙げて取りまとめているところでございます。
○もり委員 やはりこれまでの知見も併せて、しっかりと環境局として、本当に生物多様性戦略、立派な計画を改定を行いましたが、そういったことが、先ほどの委員のパネルでも、都市に壁面緑化なども大変いい取組ではあると思うんですけれども、それは抜本的な緑被率にはならないと思います。
ですので、第三回定例会でも知事の演説部分で、緑をあしらうという言葉があったんですけれども、都市に緑をあしらうものではなくて、一本一本、本当に生きている都市の樹木が今、目の前で失われようとしている。
ヘリテージアラートというのは本当に重いものです。イコモスの世界の本部でヘリテージアラートが発出をされて、そして、この再開発によって、都市に本当に差し迫った脅威として、イコモスのヘリテージアラートが発出をされ、三・四ヘクタールの公園と三千本の文化的遺産としての樹木が失われると。
まさに本当に世界から注目されているこういった大きなヘリテージアラートに対して、その所管をする環境局として、本当に危機感を持って接していただきたいと思っています。
ですので、ぜひ、事業者のこれまでの意見というのをしっかりと科学的知見に基づいて、日本イコモスと対話の場を設置すること、また、環境アセスの再審を求めることを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
では、次の質問に移ります。エネルギーの脱炭素化と持続可能な資源利用によるゼロエミッションの実現についてお伺いをいたします。
気候危機行動宣言改め、気候非常事態宣言を超えて行動を加速する宣言を行った東京都として、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロ、二〇三〇年にカーボンハーフを掲げていますが、二〇二一年度の速報値では、前年度に比べ、CO2排出量は六千九万トンから六千七十八万トンと増加している現状があり、二〇三〇年に約三千万トンの目標達成の実現を本気で目指すならば、全庁を挙げて社会の構造から変革を行うべきと考えます。
二〇〇〇年度比率で、二〇三〇年にカーボンハーフを掲げている東京都として、目標達成に向け、脱炭素化に向けた取組は待ったなしの状況です。
都は、目標達成に向け様々な施策を講じてきましたが、増加した原因をどのように分析しているのか、二〇三〇年カーボンハーフの達成を、どのように達成していくのか、お伺いをいたします。
○荒田気候変動対策部長 都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、昨年取りまとめた環境基本計画に基づき、新築建築物、既存建築物、エリアマネジメント、再エネ供給など、幅広い面で条例制度の強化を図るとともに、エネルギーのさらなる効率的利用と再エネの導入を促す施策を多岐にわたって展開しております。
引き続き、都自らはもちろんのこと、都民、事業者、団体など、あらゆる主体を巻き込んだ脱炭素行動を促してまいります。
○もり委員 先ほど神宮外苑開発について質疑をさせていただきましたが、神宮外苑開発では、百九十メーター、百八十メーターの超高層ビルがイチョウ並木に隣接して建設される計画となっています。
各家庭、事業者にCO2削減の取組を義務づける一方で、東京都は古い大規模開発を続け、大量の温室効果ガスの発生を促し、その開発によって都内で大規模な樹木の伐採が行われていることは大変遺憾です。
日本全体の約一割の電力を消費するエネルギーの大消費地である東京都が、再生可能エネルギーによる地産地消を進めることは大きな意義があり、都の地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業について十分に活用されることを求め、二〇一八年の一般質問において第三者所有モデルの設置を要望させていただき、対象となりました。
二〇二二年度からは、都外へ設置する再エネ発電事業設備も対象となり、都内の基幹エネルギーとして、再生可能エネルギーの導入をさらに後押しするものと期待をしております。
現在の事業の実績と取組状況についてお伺いをいたします。
○荒田気候変動対策部長 令和五年十月末現在、低容量の太陽光発電設備設置への補助単価割増しに対応した事業プランが計九件登録されております。
補助金申請につきましては、建て売り住宅での活用を見据え、事後申請方式を採用しておりまして、現在二件の申請があるほか、今後、二百件程度増加する見込みでございます。
○もり委員 都では、住宅用太陽光発電の初期ゼロ促進の強化に取り組んでいただき、新築住宅のみならず、既存住宅における設置や屋根借り、自己所有モデル等によって、住宅所有者の初期費用ゼロで、太陽光発電を設置する事業者にも設置の費用を助成しています。
自己負担ゼロでの設置は、昨今の電力高騰の中、都民のメリットが大変大きな事業であると考えますが、今後の取組の拡大に向け、どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○荒田気候変動対策部長 引き続き、事業プランの登録などを促し、住まい手が太陽光発電設備を設置しやすい環境を整えてまいります。
○もり委員 この事業の予算を確認しますと、三十五億円規模で、数千件分の予算が確保されている中で、先ほどご答弁いただいた、事業プランの計九件で、今後二百件程度増加する見込みとなっておりますが、もっと都民の皆様に活用していただかなければもったいないと考えます。
初期費用ゼロで設置が可能で、今のエネルギー価格の高騰、電気料金の価格が大変上がっている中で、都民のメリットも大変大きな事業であると考えますので、一層の周知に向けては、現場の自治体、また、設置事業者とも連携をして進めていただきたいと要望いたします。
再生可能エネルギーを東京都の基幹電力として、都民の利用を一層促していくためには、電力事業者への一層の働きかけが求められると考えます。
都の見解と今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○荒田気候変動対策部長 都は、エネルギー環境計画書制度により、電気事業者に再エネ電力の供給拡大を促しております。
また、電気事業者の電力販売メニューごとに、再エネ利用割合やCO2排出係数等を公表し、都民、事業者が電力購入の際に再エネを選択しやすくすることで、再エネ電力の利用促進を図っております。
○もり委員 また、都内には賃貸住宅も多いので、昨年までのグループ購入なども大変いい事業であると思いました。自宅に設置することが難しい都民の方にも、再生可能エネルギーの選択を促す、とてもいい事業であると考えますので、ぜひ電力事業者への再生可能エネルギーによる電力の利用を促していただき、都民が選択できるような取組の再開についても要望をいたします。
太陽光パネルの普及拡大に向けては、太陽光パネルの製造過程におけるトレーサビリティー、人権問題への懸念にも向き合うことが重要で、東京都では、開発企業と国産技術であるペロブスカイト太陽電池の実用化に取り組んでいます。
現在、私の地元大田区の森ヶ崎水再生センターで実用化に向けた共同研究が行われておりますが、現在の取組状況をお伺いいたします。
○荒田気候変動対策部長 都は、開発企業と連携して、下水道施設の水処理反応槽の蓋の上に、ペロブスカイト太陽電池を今年五月に設置いたしました。現在、発電効率の測定や耐久性等の検証を進めております。
なお、先ほど答弁の中で、初期ゼロの実績についてお答えいたしましたが、ご質問の方が、産業労働局所管の地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業でしたので、修正させていただきたいと思います。失礼いたしました。
○もり委員 ありがとうございます。
先ほどの質疑でも、様々な新エネについての技術も、地元大田区も中小企業のまちで、そういった産業とも連携をしながら、ぜひ国産の優れた技術については、より一層、導入、また検証を行っていただき、実用化に向けての支援をお願いいたします。
太陽光発電施設の設置の義務化により、今後、寿命を迎えた大量のパネルの廃棄にも備えていかなければなりません。太陽光パネルをいかに回収し、リサイクルを行っていくかは重要な課題であり、東京都では昨年九月に、リサイクルに向け、東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会を立ち上げ、太陽光発電設備のリサイクルルートの確立に取り組んでいます。
パネルの廃棄については、先ほども他の質疑がありましたので質問は割愛しますが、自治体や実際に取り扱う住宅メーカーとも連携をしながら、着実にリサイクルされるよう、回収とリサイクルルートの確立をお願い申し上げます。
最後に、地元城南島を中心に、首都圏の廃棄物問題の解消を図り、循環型社会を目指した先進的なリサイクル施設が集積をするスーパーエコタウン整備が進められ、夏休みには地元の青年会議所と連携し、子供たちと環境教育や工場見学を行っており、廃棄物をいかに再資源化を行うことができるか、先進的な取組を学ばせていただいております。
中央防波堤の埋立用地にも限りがある中で、できるだけマテリアルリサイクルの推進が求められる中、携帯電話、ノートパソコンが普及するとともに、小型リチウムイオン電池内蔵製品がコンビニでも手軽に購入できますが、ごみとして廃棄されると、先ほどの質疑でも伺ったんですけれども、環境省のホームページでは、全国で約一万件を超える状況で火災につながるような事故があるという指摘があります。
自治体によって廃棄方法は異なると思いますが、先ほど回収方法についてはご答弁がありましたので、こうしたリチウムイオン電池を内蔵する小型家電について、より都民に周知するとともに、製造者責任として、リサイクルを前提とした構造となるよう、行政から製造業者へ指導するべきと考えますが、都の見解を伺います。
○志村資源循環推進部長 リチウムイオン電池を内蔵する小型家電や、その回収方法については、ホームページや広報紙、環境イベントなど、様々な媒体を通じて周知を図るなど、区市町村とも連携して取り組んでおります。
また、リチウムイオン電池内蔵製品のメーカーに対し、リサイクルの際に、電池を簡単に取り外せる設計とするよう働きかけることなどについて、国に要望しております。
○もり委員 また、スーパーエコタウンの食料廃棄物リサイクル施設では、生ごみからバイオガス発電が行われており、一日当たり三百トンの生ごみがエネルギーに変わる事業も行われています。
そこで、こうした事業系一般廃棄物の処理責任を有する区市町村において、食品廃棄物の分別とリサイクルを推進する取組が求められると考えますが、最後に、都の見解をお伺いして、質問を終わります。
○中島資源循環計画担当部長 一部の自治体の清掃工場では、事業系一般廃棄物を含む可燃ごみから食品廃棄物等を分別し、バイオガス発電を実施しております。
都は、食品廃棄物のリサイクルに向けて、区市町村が事業者を対象として実施する対策等に補助を行うなど、取組を支援しております。
○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後四時五十九分休憩
午後五時十九分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○漢人委員 私は、大きく四テーマについて質問いたします。
十一月だというのに暑い日が続いておりまして、十一月に三日の夏日というのは観測史上初だということです。ということで、まずは気候危機対策について伺います。
今日も、もう衣替えが終わって、ネクタイをしている答弁者の皆さんという姿を久しぶりに見たんですけれども、一方、この部屋は冷房が効いていて、むしろ寒いぐらい。十一月ですよという状況です。
今年の夏は、各地で観測史上最高の気温とされまして、猛暑、水害、山火事などの気候関連災害が激化し、国内外で多くの命が失われ、温暖化は暴力的な形で地球全体を襲うようになっています。
国連のグテーレス事務総長は、七月には、地球温暖化の時代は終わり地球沸騰化の時代が到来したと訴え、九月には、私たちの気候は地球のあらゆる場所で起きている異常気象に私たちが対応できる速度を超えて崩壊しつつある、まだ気候変動による最悪の混乱を避けることはできる、ただし、一刻の猶予もないと世界に警鐘を鳴らしています。
そして先日、十月二十三日、イギリスの南極観測局が衝撃的な発表をしています。深刻な地球温暖化の進行によって、一番野心的な削減目標の気候シナリオで温室効果ガスの削減を減らし、産業革命以降の気温上昇を一・五度以内に抑えたとしても、今世紀中に南極西岸の棚氷の融解と海面上昇は止めることができないおそれがあるとする論文です。
南極では、今年九月に冬の海氷面積が観測史上最小になるなど、温暖化の影響が顕著に現れています。西南極の棚氷が全て融解すると、将来的に世界の海面を最大約五メートル上昇させる可能性があると、これまでも科学者たちは警鐘を鳴らしてきました。
小さな新聞記事にしかなっていませんが、この南極棚氷の一部でティッピングポイントに至る可能性が指摘されたということは、気候政策を担当する環境局やこの委員会の皆さんは特に深刻に受け止められておられると思います。
小池知事は、今年もCOP28に行かれるようですが、昨年のように水素エネルギーの活用拡大のみを主張するようなことはおやめいただきたいと思います。水素が将来的に必要であり、その準備をすることは否定しませんが、今、緊急に求められている取組への対策強化とアピールをメインとするべきです。
特に、世界の気候対策の足を引っ張り気候野心サミットでの発言もさせてもらえなかった日本政府の、その日本の首都東京の知事という立場であるわけですから、国を上回る取組への意欲や姿勢を打ち出していただくことを強く求めます。
以上の観点から、気候危機対策について質問します。
まず、基本的な姿勢についてお伺いします。一つ目は、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの削減目標に対する姿勢についてです。
IPCCは、今年三月に公表された第六次報告書で、二〇一九年比で二〇三〇年にCO2の四八%削減を要請しています。これを都に当てはめると、五千四百九十七万トンを四八%削減するということで、二千八百五十八万トンになります。都の二〇三〇年目標は二千八百五十八万トンと、ほぼ同水準となります。
しかし、IPCCの削減目標は、五〇%の確率で一・五度C目標を実現するというものであって、五分五分なんです。丁か半かの世界なんです。一・五度C目標を確実に実現するものではありません。六六%の確率で一・五度C目標を実現するためには、さらなる削減目標の引上げが求められています。
また、これは全世界平均の達成すべき目標であり、途上国も含めたものです。先進国の歴史的排出責任など、気候正義の立場に立てば、都は現在の目標、すなわち二〇三〇年カーボンハーフ以上の削減が求められると思いますが、いかがでしょうか。
○荒田気候変動対策部長 気候危機への対応は一刻の猶予もなく、二〇三〇年までの行動が極めて重要との認識の下、都は、二〇三〇年までに都内温室効果ガスを半減する目標を掲げております。
また、その実現に向け、新築住宅等への太陽光パネル義務化や大規模事業所に対するキャップ・アンド・トレード制度等の条例改正を行ったほか、都民事業者に対し、エネルギーのさらなる効率的利用と再エネの基幹エネルギー化を促す施策を幅広く展開するなど、施策の抜本的な強化拡充を図っております。
○漢人委員 二〇三〇年カーボンハーフ以上の削減が求められているのではないかという質問をしたんですけれども、これには答えていただけませんでした。一刻の猶予もないという認識がありながら、丁か半かのばくち的な半減目標を見直す必要性に言及もできないというのはとても残念です。
二つ目に、二〇三五年削減目標について伺います。
グテーレス国連事務総長は、先ほどの地球沸騰化の警告を訴えるとともに、先進国は二〇四〇年カーボンゼロを目指すべき、二〇五〇の間違いではありません、二〇四〇年カーボンゼロを目指すべきと提言をしています。
そして、国際エネルギー機関、IEAは、先進国は二〇三五年までに二〇二〇年比で八〇%の削減を求めています。この二〇三五年までに八〇%、そして二〇四〇年にはゼロというのは、整合的と考えられています。
また、今年のCOP28では、各国の削減目標の進捗状況がチェックされ、二〇二五年には二〇三五年の削減目標の提出が求められているとされています。東京都も二〇三五年目標の検討が急がれます。
先進国は二〇四〇年までにカーボンゼロの提言をどう受け止めているのか、また、二〇三五年目標の策定が急がれていると思いますが、その予定はあるのかお伺いいたします。
○荒田気候変動対策部長 気候危機は一層深刻化しており、都は、エネルギーの大消費地の責務として、世界の脱炭素に貢献していく必要があります。
今後も世界や日本の動向も踏まえながら的確に対策を講じ、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッションを目指してまいります。
○漢人委員 小池知事はCOP28に行って、先進国は二〇四〇年までにカーボンゼロの提言をどう受け止めているのか、あるいは二〇三五年目標を検討しているかと聞かれたら、そんなの関係ありません、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッションを目指していきますと答えるのでしょうか。
本当にエネルギーの大消費地の責務を果たそうというのであれば、せめて早急に検討するくらいのコメントを発するべきだということを強く要望して、次の質問に移ります。
補助金による誘導と罰金を伴う規制強化の両輪で実効性の担保を行うべきということです。現状では、二〇三〇年カーボンハーフの実現は厳しいと考えますが、その大きな要因は、補助金と公表による誘導が中心で、規制強化が不十分なためだと思われます。
新築建築物の太陽光発電の義務化、新築建築物の断熱宅、また、新築建築物へのEV充電設備の設置などについて義務化として多額の助成を行うのですが、罰金がないために、実効性が担保されているとは私は思いません。これまでも度々繰り返して申しております。
罰金を伴う規制強化とセットでの助成による誘導策が効果的と、そして実効性を伴うと考えますが、いかがでしょうか。
○荒田気候変動対策部長 建築物環境報告書制度では、義務対象となる事業者ごとに供給した建物に関する義務の達成状況や取組概要について都が公表するとともに、取組が不十分な場合は、都が指導、助言、勧告、事業者名公表等を行い、適正履行を促進する仕組みとしております。
気候変動対策の実施に当たっては、各課題の現状に応じ、補助金等の支援、義務づけや罰則などの規制的手法について、環境審議会等において専門家の意見も伺いながら、総合的な判断から手法を選択しております。
○漢人委員 繰り返しこれも申し上げていますが、東京都は頑張っていると思うんです。全国的に見ても、とても先進的な取組もしているし、今本当に頑張っているとは思うんですけれども、でも、現在の手法で一定の成果は得られるとしても、一刻の猶予もなく二〇三〇年カーボンハーフは必須なんです。その上に二〇四〇年カーボンゼロを目指さなければならないという認識であるとすれば、規制強化を伴う誘導は、私は避けられないというふうに思います。
次の質問に行きます。電気自動車、EV化の促進について伺います。
都は、二〇三〇年に乗用車の新車販売に占めるゼロエミッションビークル、ZEV、すなわち、走行時に二酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車や燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車の割合を五〇%とする目標を掲げています。
そのための予算のZEV購入補助金額は、二年間で約五万台、二百四十億円なので、一台当たりにしますと四十八万円となります。都の年間の乗用車の新車販売台数は約二十一万台ですから、二〇三〇年に五〇%とすると約十万台となります。同条件として単純計算すれば、補助金の総額は四十八万円掛ける十万台で四百八十億円と膨大な金額になります。
このような膨大な補助金制度だけでなく、ガソリン車への規制となる政策を検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
例えばヨーロッパでは、都市交通政策としてCO2や大気汚染物質を多く排出する車両の進入を制限するローエミッションゾーン、低排出ゾーンが進められ、EV車購入を促進する役割を果たしています、検討してはいかがでしょうか。
○荒田気候変動対策部長 都は、自動車を多く使用する事業者に対し、一定割合以上の低公害、低燃費車の導入を義務づける制度を運用しており、令和四年度からは、乗用車への一定割合の非ガソリン車の導入も義務づけております。
また、自動車メーカーのZEV開発意欲を高めるため、今年度からメーカーに開発インセンティブを与える取組を導入するなど、補助制度の拡充も行っており、個人からの申請は、本年十月末現在で、昨年度一年間の実績の約八割に達しております。
引き続きこうした取組を通じて、二〇三〇年までに都内乗用車新車販売の五〇%ZEV化を実現してまいります。
○漢人委員 現状の取組で本気で二〇三〇年ZEV五〇%化を実現できるとお考えなのか、私は大いに疑問です。
次に、エネルギー貧困対策の強化について伺います。
都が取り組む気候変動対策のほとんどは、住宅の新築や改修など、一定所得以上の世帯が健康や経済的な恩恵を受けるものとなっています。福祉保健局と連携したエネルギー貧困の視点は重要であるとこれまでも求めてきました。
東京二十三区における二〇二二年の屋内での熱中症による死亡者百九十四人中、八五%の百六十五人がエアコンを使っていませんでした。経済的理由でそもそも設置されていないケースが想定されます。また、エアコンを設置していても使用しないケースが過半であり、その理由として、電気料金の高騰等の経済的事情があります。
家電を効率よく利用することなどを都民に周知し伝えていくことも有効です。気候危機が進む中、環境と福祉の連携は一層重要です。民生委員などを通じた周知について以前から要請をしていますけれども、その後の進展はいかがでしょうか。
○荒田気候変動対策部長 都は、家庭の省エネ行動を促すため、省エネ性能の高い家電等の買換えを推進する東京ゼロエミポイント事業や、家電等の省エネとなる使い方の工夫をまとめた省エネ対策リーフレット、家庭の省エネハンドブックを作成し、区市町村をはじめ関係機関に周知しております。
また、福祉局とも連携し、今年の夏に備え、民生児童委員の区市町村会長が集う会議でこうした取組を紹介するなど、より幅広い世帯に対し、日常生活で行える省エネとなる工夫の周知を行っております。
○漢人委員 先ほど昨年度の数値をいいましたが、今年度の屋内での熱中症による死亡者は、今、十月現在で百四十八人で、九〇%がエアコンを使用していませんでした。
経済的理由でそもそも設置されないケースについても対応するには、これは購入補助も必要です。生活困窮世帯エアコン購入費補助事業を実施している自治体もあります。この拡大も環境局の直接の担当ではないかもしれませんけれども、ぜひこういったエネルギー貧困、気候政策の中で必要だという観点から発信をしていただくことをご検討いただき、また連携を深めていただければというふうに思います。
次に、フロン対策についてお伺いします。
都の温室効果ガスの推移では、二〇〇〇年比でCO2は削減されていますが、フロンは増加が継続していますので、フロン対策は重要です。
二〇二〇年の四月に施行された改正フロン排出抑制法では、建物解体現場における取締りの強化が方針となっていますが、罰金や逮捕、書類送致を含めた検挙件数、事例と効果についてお伺いいたします。
○戸井崎環境改善部長 警視庁からの情報によりますと、都内でフロン排出抑制法に基づく違反により検挙された事案は二件でございます。
対象となった違反行為は、建物解体業者や金属買取り業者等によるフロンのみだり放出や機器の不適切な処理等でございます。
両事案ともフロン排出抑制法改正後、全国で初めて書類送致または逮捕に至ったこともあり、フロンの不適正の処理の防止に向けて効果があったというふうに考えております。
○漢人委員 検挙事案が二件あり、フロンの不適正処理の防止に向けて効果があったとのことです。規制強化による効果ということで、他の政策でも大いに参考にしていただきたいと思います。
次の質問ですが、都のフロン削減目標は、二〇三〇年までに二〇一四年の六五%削減ですが、政府の削減目標は、二〇一三年比で五五%削減です。削減率は、なぜ政府と異なるのでしょうか。
○戸井崎環境改善部長 フロンの排出削減目標の策定に当たりましては、国の施策に加えて、都が独自に行う冷凍空調機器の使用時、廃棄時における適正処理の徹底やノンフロン機器の導入促進等、今後の施策や有識者のご意見を踏まえて設定をいたしたものでございます。
○漢人委員 都独自の対策を導入して、国を上回る削減目標を掲げているわけですよね。都の気候対策全体としても、ぜひ国を大きく上回る削減目標の検討を求めます。COP28での小池知事の発言に大いに期待をしておきたいと思います。
次に、大きなテーマの生物多様性地域戦略についてお伺いいたします。
今年四月、東京都生物多様性地域戦略が公表されました。とても充実した内容となっています。一九九二年の地球サミットで同時に署名された生物多様性条約、そして、気候変動枠組条約は、双子の条約ともいわれています。気候危機の一層の深刻化と同時進行で生物多様性の損失が人類の大きな脅威となっていると、地域戦略の冒頭で知事も述べておられます。
ところが、二〇一〇年のCOP10で確認された愛知ターゲットの二十の目標について、何とこれが達成ゼロでした。計画や目標を掲げるだけでなく、その推進体制こそが重要ということで、そこに絞って質問いたします。
現在、第二十六期自然環境保全審議会が設置をされて、七月二十一日には第百五十三回の審議会が開催されました。その審議会では、東京都生物多様性地域戦略アクションプランについても報告をされ、このアクションプランは、自然環境保全審議会の計画部会に報告して助言を求め、その後、庁内の推進会議において計画部会の助言を共有して取組を見直し、新規施策等を翌年度のアクションプランに反映していく流れで進捗管理し、毎年度更新していくと説明がされています。
地域戦略を策定した地域戦略改定検討会というのがありましたが、そちらは自然環境保全審議会から四名の計画部会委員、三名の計画部会臨時委員、五名の専門委員の計十二名で構成されていました。
ところが、今回発足した第二十六期の自然環境保全審議会の計画部会は、五名の委員と二名の臨時委員の計七名です。十二名から七名へと減ってしまい、相当に脆弱となっています。
計画の推進には、マルチステークホルダーを構成員とする体制、すなわち企業や消費者、投資家、労働者、NPOなど、社会の様々な立場にある組織や個人がプロセスに参加し、学び、協力し、それぞれが役割を果たすことが必須です。専門委員を追加委嘱すべきだと思いますが、いかがですか。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 生物多様性地域戦略改定検討会は、地域戦略策定のため、東京都自然環境保全審議会計画部会の委員に生物多様性に関する専門的知見を持つ企業やNPOなどの有識者を加えて設置したものであり、地域戦略策定後、その役割を終えております。
審議会計画部会は、地域で活動している都民委員、生物多様性に関する専門的知見を持つ学識経験者など、様々な立場の委員で構成されております。
○漢人委員 現在の審議会委員の皆さんに不足があるとか不満があるということではありません。十二名で策定した計画の進行管理を七名で行うのは困難です。十分な体制とはいえないということです。進行管理こそが重要という観点から、専門委員の追加委嘱を強く求めます。
次の質問ですが、二〇二四年度のアクションプラン更新に向けた計画部会と、生物多様性地域戦略庁内推進会議の開催スケジュールについてお伺いいたします。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 自然環境保全審議会計画部会、生物多様性地域戦略庁内推進会議とも、今後も必要に応じて開催してまいります。
○漢人委員 必要に応じて開催は、それは答えになっていませんよ。基本的な開催予定があって、加えて必要に応じて開催するということだと思います。審議会委員の皆さんに就任を依頼する際にも、開催頻度の目安などはお知らせした上で打診しているのではないですか。
アクションプランは毎年更新するわけですから、理想としては、新年度を迎えるに当たっては、新たなアクションプランができていることが望ましいと思います。--ですよね、年度の冒頭には、その年にどのような取組をするのかということが決まっていることが望ましいと思います。その更新アクションプランを確認するための庁内推進会議と、その報告を受ける審議会計画部会が、年度内に各一回は必要ではないでしょうか。
さらに、進捗状況の確認は、例えば、この基本戦略は三つの基本戦略に分かれておりますので、これごとに確認するような形で複数回の検討部会の開催が必要ではないかと考えます。
形式的ではない、しっかりとした進行管理を行うことができるための専門委員の追加、そして複数回の各会議の開催を強く求めて、この質問を終わります。
次は、神宮外苑の再開発についてお伺いいたします。
まず、イコモスのヘリテージアラートについてです。国際イコモスが発出したヘリテージアラート、遺産危機警告を基に、日本イコモス国内委員会が見解を示すことを希望したことへの回答期限は十月十日でした。
都は、都への要請である高層ビルの建築が市民の公園利用の権利を永遠に奪うものであるという事態を鑑みて、神宮外苑再開発に関する都市計画決定を見直し、環境アセスメントの再審を行うことに対して回答をしていません。
ヘリテージアラートは、事業者、都、自治体、国に対して五つの要請をしています。都は、事業者や港区、新宿区との連絡調整や意向確認をしたでしょうか。
○長谷川政策調整担当部長 対応につきましては、事業者や国、関係区、それぞれにおいて判断すべきものと考えております。
本件事業に関するアセスにつきましては、これまでも条例や答申に従って適切に手続を進めていると説明をしております。
○漢人委員 それぞれやっているでしょうという国際イコモスへの敬意のようなものが全く感じられない対応だといわざるを得ません。
事業者はイコモスの指摘に対して、イコモスが貴重な都市の森と位置づけたことに対して森は僅かしかないとするなど、事実とかけ離れているとして反論する見解を示しました。これに対する東京都の見解をお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 個別の事業については、事業者が責任を持って説明していくべきものであり、事業者には、内容を丁寧に説明するとともに、本事業に対する理解と共感が得られるよう、引き続き努めていただきたいと考えております。
○漢人委員 これも東京都としての責任を回避した答弁ですね。事業者の反論や対応が適切であるかということは、都も確認し、見解を示す責任があるというふうに考えます。
環境アセスメントの再審を行うことも求められているわけですが、再審をすることになる環境影響評価審議会の意見は聞いたでしょうか。
○長谷川政策調整担当部長 本件事業に関するアセスにつきましては、条例や答申に従って適切に手続を進めており、審議会においても様々な案件と同様、条例に従って適切に手続を進めてきているとの見解が示されております。
○漢人委員 だから今回、あえて意見を聞く必要はなかったという答弁ということになるかと思います。
回答に関して検討した手続、そして回答しなかった理由というのをお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 先ほどご答弁した内容と重なりますけれども、本件事業に関するアセスにつきましては、これまでも条例や答申に従って適切に手続を進めていると説明をしております。
○漢人委員 国際機関であるイコモスから日本に向けた三例目となる非常に重要なヘリテージアラートであるにもかかわらず、あまりにも不誠実な対応だといわざるを得ません。
イコモスは、この事業が都の条例や審議会答申などに従って手続が進められてきたことは承知の上で、その都市計画決定を見直し、環境アセスメントの再審を求めています。都市計画決定、開発許可をしたこの計画に対する重大な責任を持つ東京都は、関係機関と協議、調整の場を持つことは当然行うべきだと思います。
次に、神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全についてお伺いします。
九月十二日に都市整備局長と環境局長の連名で行ったこの要請を受けて、事業者は、年末か年明けに樹木の保全に関する具体的な見直し案を盛り込んだ環境影響評価書の変更届を提出すると聞いております。
事業者の見直し案を受けた環境影響評価審議会の開催と手続のめどをお伺いいたします。
○長谷川政策調整担当部長 事業者から図書が提出され次第、内容を踏まえて手続を進めることになります。
○漢人委員 その図書提出後に審議会委員が十分に検討できる期間を設けてから審議会の議題とするべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○長谷川政策調整担当部長 先ほどご答弁したとおりとなりますが、事業者から図書が提出され次第、内容を踏まえて手続を進めることになります。
○漢人委員 残念ながら繰り返しの答弁でした。審議会委員が十分に検討できる期間を設けるということも答弁できないんですかね。環境影響審議会は、毎月下旬に開催をされています。仮に年末に変更届が提出されたとして、昨年のように、その直後の審議会の議題とするようなことはあり得ませんよね。求める必要もないことかと思いますが、不安を招く答弁なので、強く求めておきます。
さきに気候危機対策や生物多様性地域戦略について質問をしました。再エネや省エネに膨大な経費をかけて気候危機対策を進め、そして生物多様性の損失が人類の大きな脅威となっているとして地域戦略を策定する、その一方で、CO2を吸着し、緑陰を形成し、生物多様性の維持に不可欠の都市の貴重な樹木を失うことになる事業を進めるということは、大いなる矛盾です。
大量の樹木の喪失を伴うことを避けることができない神宮外苑再開発の中止見直しを求めて、この質問を終わります。
最後に、PFAS汚染についてお伺いいたします。
今年一月に発生した横田基地でのPFAS入り消火剤汚染水の漏えいについてです。十一月三日の沖縄タイムスが、米軍横田基地で一月二十五日、二十六日の二日間にわたって、消火用スプリンクラー設備の部品が凍結によって破損し、内部のPFAS汚染水が漏えいしたことを報道しています。
計七百六十リットル、一リットル当たりの濃度は、PFOSが二百四十万ナノグラム、PFOAが三十二万ナノグラムの計二百七十二万ナノグラムで、暫定指針値の五万四千四百倍です。漏えい場所は、福生市側の民間地から百メートルしか離れていないということです。
本件について、米軍から都への報告はあったでしょうか。
○宗野環境改善技術担当部長 米軍から国への報告の有無につきましては、国に照会中であると都市整備局から聞いております。
○漢人委員 質問は、米軍から都への報告があったかどうかを伺っているんですね。今は、米軍から国への報告の有無について照会中ということなんですけど、米軍からも国からも、どちらからも報告がないということでよろしいですか。
○宗野環境改善技術担当部長 繰り返しになりますけれども、米軍から国への報告の有無については、国に照会中であると都市整備局から聞いているということで、今、先生の方からありましたけれども、東京都の方には報告がないということでございます。
○漢人委員 都にはまだ何も報告がないということなので、以下については難しいかと思いますが、まとめて三つ伺います。
その新聞記事によりますと、スプリンクラー設備の管の中には、事故後も推定九千五百リットルの汚染水が残っており、米軍が排出を試みたら失敗したとのことです。その原因はまだ分からないんでしょうが、分かりましたか。
事故現場で清掃作業に使われたPFASで汚染された吸収材などは、どう処分されたのでしょうか。
三つ目は、米軍は、七月に過去の漏えいの情報提供をした際に、なぜこの直近の一月の事故について公表しなかったのか。この三点が大いなる疑問ですけれども、これについていかがでしょうか。
○宗野環境改善技術担当部長 ただいま三つの点についてご質問がございましたけれども、いずれの点につきましても国に照会中ということで、都市整備局から聞いております。
○漢人委員 いずれも国に照会中ということですが、これらは都にとって、そして周辺住民にとってとても重要な点ですので、しっかりと確認をしていただくことを求めます。
漠然と照会中などではなくて、こういった様々な具体的な点について照会をしているんだということでよろしいですか。
○宗野環境改善技術担当部長 こういった点も含めまして国に照会中であるというふうに都市整備局の方から聞いております。
○漢人委員 本当にひどい話だと思いますね。米軍に対して、基地内に存在するPFAS汚染水の全容の情報提供と対策を求めるべきだと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
○宗野環境改善技術担当部長 関係局と共に検討いたしているところでございます。
○漢人委員 関係局と検討中ということで、都市整備局が米軍に関しての担当だということで、非常に何かぼやとした答弁が続くんですが、今の検討中の内容は、何というんですかね、対応や要請する方法について、どんな手続でするのかということを検討しているということでいいんですよね。
七月の要請が、ある意味ほごにされたわけですよね。それに対してさらに強く求めるという、要請する方向性、要請をすること自体はすると。ただ、そのやり方について検討中というふうに理解していいですか。要請するかどうかも含めて検討中なんですか。
○宗野環境改善技術担当部長 関係局と共に要請する方法など、そういうことも含めまして検討しているということでございます。
○漢人委員 この内容を要請するということで、強く求めたいと思います。
さらに、これも福生市の民間地から百メートルしか離れていないところで起きたということなんです。緊急に福生市の漏えい場所に近い地域の汚染調査を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○宗野環境改善技術担当部長 都は、都内全域の地下水の水質測定、水質調査を行っておりまして、地元自治体と意見交換をして地点の選定を進めていくとしております。
○漢人委員 それは今、全体的な都内のPFAS調査についての追加調査の選定の話かと思うんですけれども、もちろんその中に含まれるということもあるかと思いますが、さらにそれに追加をしてでも、明らかに今年の一月に、直近百メートルですよ、用意ドンで行けるような百メートルのところで、大量な高濃度のPFAS汚染水が漏えいしたことが分かっているわけですから、その周辺での調査については追加をしてでも選定をして、調査をするべきだということを求めたいと思います。
三多摩地域のPFAS汚染調査で、高濃度の結果が出ている地域と横田基地の場所、それから地下水の流れ、これも難しいけれどもおおよそ分かるわけですが、こういったものを合わせてみれば、三多摩地域のPFAS汚染というのは、横田基地からの漏えいがその原因であることは、もう間違いないだろうと推定ができます。
在日米軍は、一六年からPFAS使用の泡消火剤を代替品に置き換える手続を進め、沖縄県内の海兵隊などでは作業が完了した、横田基地で終わったとの報告はなく、現在も設置されていると見られるというのは、一年前の報道でありましたけれども、今回の事故で明らかになったのは、横田基地内にはまだ相当量のPFAS入りの泡消火剤などが存在しているということですね。
こういったことが明らかになったわけですから、横田基地への立入調査も含めて、米軍への強い姿勢での対応を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
○小松委員 まず、気候変動対策について伺います。
昨年のウクライナ、ロシア情勢により顕在化したエネルギーの安全保障という課題は、長期化の様相を呈しています。電力需給の逼迫や電気料金の高騰は、都民、都内事業者の生活、業務に直結する課題であり、電力の安定確保に向けては、原発を含めたエネルギー全体の問題として捉える必要があります。
原発の稼働等については、国の専権事項ではありますけれども、最大のエネルギー消費地であり、都市活動に必要なエネルギーの多くを地方に依存する都がなすべき取組として、東京都は省エネやエネルギーの脱炭素化を強力に進めていくことが必要です。
さて、東京都は、二〇三〇年カーボンハーフを目標に掲げていますが、エネルギーの脱炭素化をどのように進めていくのか見解を伺います。
○荒田気候変動対策部長 エネルギーの脱炭素化には、省エネ対策と再エネ導入の施策を抜本的に強化し、化石燃料への依存から脱却していくことが重要であります。
このため、昨年九月に策定した環境基本計画では、産業、家庭、運輸など、それぞれの主体が果たすべき役割と責任を一層明確化すべく、カーボンハーフに向けた部門別のCO2やエネルギー消費量削減の新たな目標水準を示しました。
また、その実現のため、住宅や事業所などの建物対策に係る条例制度を強化するとともに、都民、事業者に対し、エネルギーのさらなる効率的利用と再エネの基幹エネルギー化を促す施策を幅広く展開しております。
気候危機は一層深刻化しており、エネルギーの大消費地である東京の責務として、今後も各施策を進化させ、カーボンハーフの実現を目指してまいります。
○小松委員 エネルギーの脱炭素化に向けて東京都が制度や支援の拡充に取り組んできており、今後も施策を大幅に進化させていくという前向きな方針を確認することができました。
気候変動対策を進めるには、まずは徹底した省エネの深掘りに取り組むことが必要です。そこで、次に、省エネ対策、とりわけ部門別で唯一CO2排出量が増加している家庭部門の省エネ対策について何点か伺っていきたいと思います。
まず、新築住宅について伺います。
二〇三〇年カーボンハーフに向けて、家庭部門のエネルギー消費量は都内全体の約三割を占め、部門別では二〇〇〇年度比で唯一増加をしており、対策が急務といわれております。
東京都は、断熱、省エネ性能に応じた段階別の東京ゼロエミ住宅基準を満たす新築住宅に対して、建築費用の一部を助成する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を令和元年度から開始をし、本事業は多くの都民の方に活用されているとも聞いています。
東京ゼロエミ住宅においては、令和四年度から基準の多段階化を実施し、現在さらなる環境性能の向上に向けた見直しも検討されています。
そこで、今回の基準の見直しの狙い、そして現在の検討状況について確認します。
○木村建築物担当部長 新築住宅の脱炭素化を進めるためには、省エネ性能等の高い住宅の普及に向けた取組を強化していくことが重要でございます。多段階化を実施した令和四年度以降、東京ゼロエミ住宅のうち、断熱、省エネ性能が最も高い水準三の住宅が全体の半数程度を占めており、さらなる性能向上の余地があると認識しております。
このため、本年六月に学識経験者や建築士等から成る検討会を設置し、東京ゼロエミ住宅の基準をより高い断熱性能や国内最高レベルの省エネ性能を備えた基準へと引き上げるとともに、再エネ設備の設置を要件化することなどを検討しております。
今後、年度内に新たな基準を決定し、一定の周知期間を設けた後、来年秋頃からの適用を予定しております。
○小松委員 これまでの補助実績を見ますと、住宅の新築や購入を検討する都民からの関心が非常に高く、新築住宅の断熱、省エネを進めていく上で、この事業の果たす役割というのが非常に大きいものだというふうに考えます。ぜひ環境性能の高い住宅がさらに普及するように、さらに専門家や関係者の意見を丁寧に酌み取りながら検討を進めていただき、実効性の高い取組を推進していただきたいということを要望しておきたいと思います。
今度は、既存の集合住宅の省エネ対策についても確認したいと思います。
今年に入り、東京都や国が断熱改修に手厚い支援を行ったことから、既存住宅の断熱リフォームが進んだとも伺っています。一方、賃貸集合住宅の断熱改修というのはほとんど進んでいないとも聞いています。
都内では集合住宅の約四割が賃貸の集合住宅です。賃貸集合住宅の断熱改修に力を注ぐべきだと考えますが、都の認識と現状の取組を伺います。
○荒田気候変動対策部長 賃貸集合住宅の断熱改修は、居住者の光熱費が削減される一方、改修費用を負担する家主がメリットを感じづらいことから、進んでおりません。
そこで、昨年度はモデル事業として、賃貸集合住宅の断熱改修に対して補助率を大幅に引き上げたところ、断熱窓十八件、七十戸、断熱ドア十七件、七十一戸の申請がございました。
今年度は、昨年度の申請者を対象に、改修後の光熱水費削減量等を推計する経費を支援し、改修や削減量等を賃貸広告に記載していただくことにしております。
今後、削減量算出や賃貸広告が家主に与えるインセンティブの効果検証を行い、賃貸集合住宅の省エネ改修をさらに進めてまいります。
○小松委員 なかなか進めていく上で難しいこの賃貸集合住宅の断熱改修についても、都は課題を踏まえて取り組まれているということの確認ができました。
インセンティブの効果検証をされるということでございますけれども、こうした検証をしっかりしていただいて、家主の省エネ改修意欲が高められるような対策を実施することを要望しておきたいと思います。
次に、家庭のデマンドレスポンスについても伺います。
東京都は昨年度、東京電力管内において電力の危機的な状況に直面したことなどを踏まえ、補正予算を編成しながら様々なエネルギー施策を展開しました。
こうした中、都は、二定補正により、家庭の節電マネジメント事業を立ち上げ、電力逼迫のおそれなどがあるときに、電力の需要側である家庭において節電に取り組むデマンドレスポンスという仕組みへの支援を開始しました。
電気事業者を通じて本事業に参加した世帯数は、事業立ち上げ時の夏季の段階では約二十一万世帯でありましたが、冬季においては、都内総世帯数の約一割に当たる七十四万世帯にまで拡大したと聞いています。東京電力管内では、昨年の電力逼迫時の取組として、家庭での節電量が事業者の節電量を上回ったという実績もあります。
この事業を通じて大きな節電効果を生み出すためには、さらに多くの世帯に参加していただけるよう工夫することも重要です。
東京都は、今年度も本事業を実施されていますが、より多くの世帯に参加していただくためにどのような工夫をされているのか確認します。
○荒田気候変動対策部長 本事業への参加を促進するためには、電気事業者からのお願いメール等に基づき、節電に協力した家庭へのインセンティブを高めることが重要であります。
昨年度までは、より多くの節電ポイントが上乗せしてもらえる対象を再エネ一〇〇%電力メニューに限定しておりましたが、本年夏季からは、蓄電池などの蓄エネ設備を生かした電気料金メニューまで広げました。
これに加えて、五日以上の節電達成を条件に付与していた上乗せ節電ポイントにつきまして、本年冬季からは一日以上の節電達成でも付与できるよう見直しを図りました。
こうした工夫を重ねたことにより、本年夏季、冬季を合わせた参加申請数は、十月末現在で計二十三事業者、約二百万世帯にまで拡大いたしました。
今後も制度の充実を図りながら、家庭におけるデマンドレスポンスに係る支援を積極的に推進してまいります。
○小松委員 ただいまの質疑を通じて、昨年度の電力逼迫へのおそれを契機に、支援を始めた家庭におけるデマンドレスポンスについては、東京都は今後も積極的に推進される姿勢を持っているという点が確認できました。
節電に協力した家庭へのインセンティブは、今後もぜひ続けていただきたいのですが、この事業の効果を最大化するためには、これに加えて、海外での取組事例なども参考にすることが重要だと考えます。
海外では、各家庭を束ねたときの効果の大きさに着目し、事前承諾を得たご家庭に設置された蓄電池などの機器を遠隔制御することで、節電効果を生み出す取組がビジネスとしても拡大されていると聞いています。都にはこうした事例も参考にしながら、今後もこの事業を効果的に運用していただきたいと思います。
脱炭素化には徹底した省エネ対策と併せて、再生可能エネルギーの導入を進めていくことも必要になります。欧州では、気候変動対策に加えて、ウクライナ危機を受けて再エネシフトを加速し、エネルギーの自給率の向上を図っています。
また、先般、国際エネルギー機関であるIEAは、気候変動対策の報告書を公表し、気温上昇を抑えるために、再生可能エネルギーの設備容量を二〇三〇年までに三倍に拡大するよう提言するなど、化石燃料からの脱却の動きは世界各地で進んでいます。
都内の再生可能エネルギーの利用割合は、二〇二一年実績で約二〇%と聞いていますが、二〇三〇年の目標として掲げる五〇%の達成に向けてどのように取り組まれるのか伺います。
○荒田気候変動対策部長 都内の再生可能エネルギーの利用割合を高めていくためには、需給両面から制度や支援策などを強化していくことが必要であります。
このため、都では、再エネ利用を拡大する取組として、新築住宅等への太陽光発電に関する制度強化に加え、費用負担の軽減や初期費用ゼロで設置可能となる事業を開始するなど、支援策を拡充いたしました。
また、再エネ供給を拡大する取組として、小売電気事業者が都内に供給する電力の再エネ割合を高める取組等をより促す制度への強化を図るとともに、再エネ電源への新規開発への支援も開始いたしました。
さらに、本年六月に設置した再エネ実装専門家ボードからは、太陽光発電や風力発電など、幅広い再生可能エネルギーの社会実装に向けた助言をいただいております。
今後も強化した諸制度の円滑な実施や支援策の効果的な活用のほか、専門家からの助言の取組への反映など、あらゆる施策を総動員し、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化を図ってまいります。
○小松委員 都が再生可能エネルギーの利用、供給の両面から施策を強化し、取り組んでいるということが確認できました。
都が目標とする二〇三〇年は、実はもう数年先のことでありまして、また、近年の気候危機の深刻化なども踏まえますと、再生可能エネルギーの導入の加速の必要性は疑う余地もありません。
東京都は、大手ハウスメーカーを対象に、断熱、省エネ性能や太陽光パネルなどの設置を求める制度を令和七年度から開始する予定としています。この制度の円滑な施行に向けては、事業者の着実な準備、そして環境性能の高い住宅を購入したいという都民のニーズの醸成が欠かせません。
そこで、ここからは新制度に関する事業者の取組の実態と都民理解の浸透について幾つか確認していきたいと思います。
令和七年四月の施行まで二年三か月余りとしていた準備期間が残り一年半となりました。都は、条例改正を行った以上、制度への対応を事業者任せにするのではなく、東京都も各事業者の実態を丁寧に把握しながら、事業者の取組を後押しする必要もあります。
まずは条例改正後の都の対応状況を伺いたいと思います。あわせて、制度の対象となる大手ハウスメーカーの取組の準備状況についても確認したいと思います。
○木村建築物担当部長 都は、昨年十二月の条例規則改正後、制度運用の詳細について、有識者で構成される技術検討会等を踏まえ、検討を進めてまいりました。その際には、外部の専門家として、制度対象事業者や業界団体から現場の声を頂戴するなど、実態を踏まえた検討を行うとともに、事業者向け説明会を複数回開催し、制度の浸透を図っております。
また、これまで四回以上にわたる事業者への直接訪問によるヒアリング等を通じて準備状況の把握に努めており、現在、大多数が制度開始に向け、着実に取組を進めていることを確認しております。
例えば、既に今年度から太陽光発電の搭載を標準化した住宅の販売を開始した事業者や建て売り住宅を供給する事業者の中には、令和七年度からの全棟設置を目指す事業者が出てくるなど、都の制度導入を契機に、環境性能の高い住宅の普及に向けた土壌が形成されつつあります。
今後もヒアリング等を通じて事業者の進捗を定期的に把握するとともに、制度開始に向け、企業の取組を促進してまいります。
○小松委員 事業者の意見を踏まえながら制度を構築されてきたということが分かりましたし、我が会派も、この間、再三要請してきましたし、今日、こいそ委員からも指摘をさせていただきましたけれども、太陽光パネルのサプライチェーン上の人権配慮の取組なども、環境局として最大限の努力をされてきたということは承知をしています。
今の答弁の中では、事業者の準備状況もおおむね順調であるというふうにご報告がありましたけれども、一方で、制度の対象となる大手ハウスメーカーの中でも、太陽光パネルの設置経験が実はなかったり少ないといったところで、取組が遅れている事業者があるとも聞いています。
制度の実効性をさらに高めていくためには、こうしたパネルの設置経験が少ない企業への後押しというか、サポートも不可欠であると考えます。都は、こうした企業にどのようにアプローチをして取り組んでいくのか見解を伺います。
○木村建築物担当部長 事業者の取組を促すには、これまでの商品構成や顧客のニーズを踏まえた支援を行うことが重要でございます。
都はこれまで、とりわけ太陽光パネルの設置経験が少ない事業者に対し、直接経営層に向けて制度の詳細や支援策の活用方法などを説明するなど、事業者の実態を踏まえた対応を行っております。
例えば、既存の商品ラインナップに太陽光パネル設置モデルが存在しない事業者に対しては、環境性能向上を支援する補助の活用を提案し、制度に対応した住宅の開発を促しております。
また、比較的低価格の建て売り住宅を供給する事業者に対しては、初期費用ゼロ事業の活用も選択肢の一つとして提案しており、今年度中に試行設置を開始する事業者も現れております。
今後も事業者の実態を踏まえ、都の多様な支援策の活用を促すなどにより、制度開始に向けて対象事業者全体の底上げを図ってまいります。
○小松委員 制度の対象者である都内大手住宅メーカーは、東京都の資料によりますと約五十社ということですが、都内には、そのほかにも数多くの地域の工務店が存在しています。新制度では、これらの中小企業においても制度の参加が可能ということになっています。
そこで、環境性能の高い住宅をこれから供給していこうと考えているこうした事業者を東京都が掘り起こし、制度参加に結びつけていくということが、ゼロエミッション東京の実現に向けた家庭部門対策の鍵であるのではないかなと思います。資金や人材面などで対策が進みにくい中小企業者に対し、きめ細かい支援を行うことが必要です。
都は、環境性能の向上に対し、こうした意欲の高い中小企業者に具体的にどのような支援を行うと考えているのか伺います。
○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度の施行に向け、規模の大小にかかわらず制度に意欲的に参画する事業者を後押しすることにより、環境性能の高い住宅の普及を図っていくことが重要でございます。
そこで都は、地域工務店等に対して、太陽光発電設備を設置するために必要なパネルメーカーの認定を取得するための費用や環境性能の高い住宅を建設する際の省エネ計算の試行実施に要する費用など、技術向上に向けた取組に必要な経費を支援しております。
今後も中小企業者等の動向について情報収集を進め、事業者の取組をきめ細かく支援してまいります。
○小松委員 新制度に向けて大手ハウスメーカーのみならず、まち場のこうした工務店など、あらゆる事業者が着実に取組を進めていくということが重要であるということを改めてここで申し上げておきたいと思います。今後も東京都による継続的な支援が必要であることを併せて指摘をしておきます。
太陽光パネルの設置が求められるのは、大手ハウスメーカーなどの住宅供給事業者が対象ですが、制度を円滑に進めるためには、何より都民の理解を得るということが重要です。
都はこれまで、様々な広報を行ってきましたけれども、太陽光パネルを備えた環境性能の高い住宅のメリットなどについての都民理解を制度の施行までにさらに深めていく必要があると考えます。
そこで、令和七年四月からの新制度の開始に向け、どのように都民の理解促進に取り組まれるのか伺います。
○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度についての都民の理解を促進するため、様々な媒体や機会を活用し、広報を実施しております。
まず、制度に関する都民等の様々な問合せに直接丁寧に答えるため、本年一月、ワンストップ相談窓口を設置し、これまで約三千五百件の相談に対応してまいりました。
また、制度の内容を分かりやすく簡潔に伝える取組として、「広報東京都」の特集号を二回発行したほか、動画を作成し、ウェブ上で約二百七十万回再生されております。
こうした取組を継続することに加えまして、事業者が顧客に住宅の環境性能を説明する際に活用できる動画を作成するほか、年明けに実施する環境性能の高い住宅を供給する事業者の表彰では、受賞者や有識者からの情報発信も予定しております。
今後とも、都からの一般的な情報発信に加えまして、都民が住宅の購入等を検討する際に具体的に役立つ情報提供がなされるよう取り組むことで、都民の理解促進に努めてまいります。
○小松委員 実績だけ見ますと、広報が苦手な東京都にしては、大変いろいろ丁寧にされていらっしゃるなというような印象を持っています。
また、住宅の購入等の場面を捉えた広報にも取り組まれるなどの工夫も感じられるんですけれども、これはやっぱり制度の理解だけではなくて、この目的とか目標に共感していただけるような広報であることを要望しておきたいというふうに思います。
というのも、ここまでかなりしつこく質問させていただきましたけど、エネルギーの大消費地としての東京都の責任というのは大変大きく、重たいものだと我々自民党は常々訴えているところであります。あわせて、世界の大都市の責務として直面する気候変動に対し、東京都が先頭に立って立ち向かわなくてはならないというふうに思います。
さらに、国内では化石燃料価格が昨年度上昇し、電気料金は高止まりしており、都民の暮らしへの影響は一層大きくなっています。エネルギーの安全保障の観点でも、再エネ導入拡大を加速させていかなくてはなりません。積極的なエネルギー対策に取り組んでいただけるように要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、プラスチックの削減について伺いたいと思います。
都は、ゼロエミッション東京戦略において、3Rの推進やプラスチック対策を資源循環分野の施策の柱に位置づけています。そして、二〇三〇年までに一般廃棄物のリサイクル率を三七%にするという目標を掲げています。
現在のリサイクル率を都のホームページで確認したんですが、多摩地域は三七%、区部では約二一%でありました。
リサイクル率を上げるには、焼却されているプラスチックの分別が重要です。特に区部においてリサイクルを進める必要があります。
都は、令和二年度からプラ製容器の包装再資源化支援事業を開始し、分別収集の実施を促しています。令和四年四月にはプラスチック資源循環法が施行され、これまでの容器包装プラスチックに加え、製品プラスチックの分別収集の実施も自治体に求められています。
そこで都は、昨年度、区部においてどのような支援をされてきたのか実績を伺います。
○志村資源循環推進部長 二〇五〇年CO2排出実質ゼロに向けては、プラスチックのリサイクルを推進していくことは重要な取組でございます。
そのため、都は、プラ製容器包装等・再資源化支援事業により、令和二年度から令和八年度を終期とする自治体への財政支援を行っております。
令和四年度には、新たに分別収集を開始する自治体向けのスタートアップ支援として、住民アンケート、ごみの組成割合の調査や住民説明会、チラシ作成等の普及啓発の費用等について、文京区、台東区、豊島区、北区の四区に、収集運搬業務委託等に関する経費について、渋谷区、北区、大田区の三区を対象に支援を実施しました。
また、分別実績の向上を図る自治体向けのレベルアップ支援として、手選別作業人員の増強や、区民が分別方法を簡単に調べられるAIチャットボットの導入等に関する経費について、港区、中央区、新宿の三区を対象に支援を行いました。
○小松委員 収集作業に限らず、幅広い財政支援が行われているということが分かりました。まだ開始をしていない自治体に対しては、こうした支援を丁寧に説明することも重要だと思います。
現在、区部においてプラスチックの分別収集を実施している自治体がどれくらいになったのか、また、実施をしていない自治体はどこなのか、都は、自治体による分別収集のさらなる促進に向けて具体的にすべきだと思いますが、伺いたいと思います。
○志村資源循環推進部長 現在、区部においてプラスチックの分別収集を行っている自治体は、一部地域での先行実施を行っているところも含め、十九区となっております。そのうち十二区では、容器包装と製品の両方のプラスチックの収集を行っております。
都はこれまで、財政支援と併せて直接自治体を訪問し、支援事業の活用と分別収集の実施の働きかけを行ってまいりました。また、区市町村と共同の勉強会等を通じて、事前調査や広報等の先行事例を共有するなど技術的支援を実施し、取組を促しております。
今後も引き続き分別収集の拡大に向け、区市町村に対し財政的、技術的支援を行うとともに、来年度開始に向け準備を行っている板橋区、モデル事業等を実施したものの分別収集に至っていない文京区のほか、足立区、世田谷区の分別収集を開始していない四自治体に対し、分別収集の実施に向け、積極的に支援事業の活用等を働きかけてまいります。
○小松委員 東京都は、財政支援に加えて技術的な支援も行われているということであります。その結果、二十三区のうち十九区がもう既に実施をされていて、板橋区も準備を始められたと。文京区や足立区も聞くところによれば、そうした準備に入っているというふうに聞いています。
要は、二十三区のうち世田谷区を除いた自治体は、この取組についても進んでいるんだということなんですけど、実際、世田谷区の担当者とかとしゃべっていると、こんなむちゃなことをいうのはおかしいというような発言がいまだ出てくるんですよ。
二十三区のうち二十二区ができていて、何でそういう考え方になっているのかなというのは非常に残念に思っているんですけど、そこのまちで暮らしている私としても、しっかりと働きかけてはいきたいなと思うんですが、東京都には引き続き、この未実施の都内自治体がプラスチックの分別収集をしっかりと早く開始できるような支援、後方支援を要望しておきたいと思いますし、時には厳しい話も積極的にしていただきたいというふうに思います。
次に、都が六年ぶりに改定した災害廃棄物処理計画について伺います。
近年、全国各地で毎年のように大規模な水害が発生しています。令和元年の台風では、地元の世田谷区も被災しましたし、本年七月に発生した大雨は、九州の北部や秋田県で大変多くの家屋が床上、床下浸水の被害に遭いました。
東京の最大の課題の一つである首都直下地震が一たび起きれば、この確率といわれているのは、今後三十年に七割で発生するともいわれていますけど、こうした対策を東京都は強靱化プロジェクトによって都民の生命や暮らしを守り、首都東京の機能や経済活動を維持するために、浸水対策、耐震化などの取組に取り組んできた歴史があります。
一方で、一たび首都直下地震が起きた場合、三千万トンの災害廃棄物が生じるわけであります。この三千万トンという量は、都内の区市町村が処理するごみの総排出量の七年半分が一度に、一瞬にして生じるわけであります。よって、事前の準備、また、計画的、効率的な処理について、従前からしっかりと検討し、関係各位と調整をしておく必要があるというふうに思います。
強靱化プロジェクトなどのハード面を中心とした対策を進めつつ、大規模災害で発生するこうした大量な災害廃棄物を着実に処理できるように、また、そうすることが早期の復旧、復興を可能とするものだと思います。
そこでまず、今回の本計画改定により対策を強化したポイント、そして処理の実効性向上に向けた今後の取組について確認します。
○志村資源循環推進部長 東京都災害廃棄物処理計画については、昨年五月に首都直下地震における被害想定が見直されたことや、近年多発する水害への対応力の強化を図るため、本年九月末に改定を行いました。
今回の改定では、区市町村をはじめとした役割分担の整理及び連携強化や風水害等への対策強化など、四つの柱を掲げております。
具体的には、発災時に初動期からスムーズな対応を図れるよう、平時から区市町村と一部事務組合等による合同処理本部の設置を提案するとともに、都においても民間事業者との連携強化を図ることを示しています。
また、都内の自治体も被災した令和元年台風や他県で発生した水害での災害廃棄物処理支援等の経験も踏まえ、水害時に取り組むべき事項を整理するなど、内容の充実を図っております。
今後、合同処理本部の設置を自治体へ働きかけるとともに、自治体職員を対象とした演習等において、仮置場の運営等に係る実践的な訓練を実施することなどにより、災害廃棄物処理の実効性向上を図ってまいります。
○小松委員 これまで多くの自治体が被災してきたことで、災害廃棄物処理のノウハウも国全体で蓄積が進んでいると思います。都には、計画改定後にも適時適切にアップデートを行うとともに、自治体職員の人材育成を進め、災害廃棄物処理の実効性を高めていくようにお願いしたいと思います。
冒頭にも申し上げましたとおり、災害時には、平常時とは比べものにならない量の災害廃棄物が発生します。また、処理責任を有する区市町村が日頃処理していない建物の解体廃棄物なども大変多く含まれることから、民間事業者の力を借りるということは不可欠になります。
これまで他県などで発生した災害においても、廃棄物処理事業者はもちろんのこと、ゼネコンや建物解体など、多様な事業者が災害廃棄物の処理の際に力を発揮し、災害からの復旧、復興に大きな役割を果たしたことはよく知られたことであります。
こうした点を踏まえ、都は、民間事業者との連携強化をどのように進められるのか伺います。
○志村資源循環推進部長 これまで他県で発生した災害では、廃棄物処理業者に加え、解体など様々な事業者が災害廃棄物の処理に貢献しており、こうした事業者と連携強化を図ることは重要でございます。
新たな災害廃棄物処理計画では、処理に向けて必要となる車両等の資機材確保や建物解体などについて支援が期待できる建設業や解体業などの事業者団体を例示しております。
廃棄物処理業界に加え、今後、多様な事業者の団体と災害時の廃棄物処理に係る協力を得るための協定締結に向けた調整を進めるとともに、区市町村等も含めた連携体制の構築が進むよう、積極的に取り組んでまいります。
○小松委員 連携強化という話がございました。総務局さんなんかにもお話はさせていただいていますが、様々な都内にある各種団体と東京都で協定を結んでいるケース、たくさんあると思うんですけれども、それが有事の際に有効に機能するのかどうかという点検ということを丁寧にやっていただけている団体と、提携、協定を結んだところで終わってしまっている団体とが存在していますので、この災害の廃棄物処理のところにおいては、改めて区市町村も含めて、有事のときに機能できるかどうかの点検などもしていただけるようにお願いしたいと思うんです。
災害というのは、明日にでも発生するおそれがありますから、早期に関係構築を進めるということを掲げるだけではなくて、具体的なアクションにつながるようにお願いしたいと思います。
災害廃棄物を円滑に処理するに当たっては、大きな課題の一つとなっているのが、災害廃棄物を一時的に保管して、場合によっては再資源化とか破砕、選別まで行う仮置場の確保になります。
冒頭申し上げた秋田の災害の際は、県内に広大な空港の跡地があったために、速やかに仮置場を設置して、災害廃棄物の処理を円滑に進めることができたというふうに聞いています。
一方で、東京都は、オープンスペースが大変少ないことから、計画策定に当たって実施した区市町村からの意見聴取でも、この仮置場の確保というのが東京都に期待する役割として大変多くの声が寄せられていると聞いています。
仮置場は、災害廃棄物の処理責任を有する区市町村が本来確保すべきことと承知はしていますけれども、東京都はこうした声に応え、区市町村の確保状況などを把握するとともに、早期の復旧、復興に向けた必要な支援を行っていくことが重要と考えますけれども、見解を伺います。
○志村資源循環推進部長 災害廃棄物の仮置場は、生活環境を保全するために、被災現場からの搬出先として設置するものであり、その用地については、区市町村があらかじめ想定しておくことが重要であります。
災害廃棄物処理計画では、区市町村における仮置場での分別方法等について示すことに加え、広大な仮置場を確保できなくても効率的に活用できるよう、搬入から搬出までのサイクルを短くする運用方法なども示しております。
都は、関係局とも連携しながら、活用可能な都有地の把握に努めるとともに、区市町村における仮置場の確保状況を把握し、必要に応じてその確保等を支援いたします。
今後、災害廃棄物処理に係るマニュアルを作成する中で、区市町村が都有地を仮置場として使用する際の手順等についても検討してまいります。
○小松委員 仮置場が早期に設置されないと、場合によっては道路に廃棄物があふれるような事態にならないとも限りませんし、そうすると、復旧、復興に支障が来るわけであります。
先ほど各局と連携しながら活用可能な都有地の把握に努める、また、併せて区市町村における仮置場の確保状況を把握するというふうにご答弁いただきました。
恐らく大きな災害が起こったときには、仮置場はもちろん大事だけれども、仮設住宅であったり避難所の運営だったりとかというところをオープンスペースを活用するという、ほかにもいろいろあるのだろうと思うんです。
となると、やっぱり区市町村の仮置場の現状をしっかりと把握して、十分確保できそうだという区市町村と、明らかに足らないという区市町村が恐らく存在すると思いますし、実際にはどこが震源かによって、またそこの見通しも変わるんだろうというふうに思います。
そうしたことの現状把握をできる限り、広域自治体として東京都が中心になりながらやっていただいて、濃淡をちゃんとつけていただいて、仮置場の確保状況などの実効性をしっかりと高めていただきたいなというふうに思っております。
次の質問に移ります。環境学習について一題確認したいと思います。
二〇五〇年ゼロエミッションの実現に向けては、都民の環境意識をさらに高め、行動できる人材を育成していくということが重要です。とりわけ、次世代を担う子供たちが環境について理解を深めるとともに、自ら考えて判断し、行動に移していくことも求められます。
こうした取組を実現するためには、子供の頃から環境課題の重要性について理解と関心を深められるように、学校教育と連携して子供たちに環境学習を行っていくことが不可欠であると考えますが、具体的に東京都の取組を伺います。
○上田環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 東京の環境を引き継ぐ将来を担う世代の育成を図る上で、環境学習の取組は重要でございます。
都はこれまでも、公立、私立の小学校教職員を対象に、夏休み期間等を活用し、オンラインやフィールドワークなども組み合わせた環境教育研修会を年五回程度開催するとともに、学校教育等と連携したデジタル化した学年別の教材等の作成を支援しております。
また、主に小学生以上を対象に環境学習講座を実施しており、本年度は気象予報士による気候変動対策、ジョギングとごみ拾いを掛け合わせたプロギングなどの学べる機会を提供し、動画配信を含め、取組事例集としてホームページでも公開をしております。
加えて、家族で楽しみながら節電対策などのアクションに取り組むわが家の環境局長事業や地域における自然体験活動など、子供たちが身近な環境課題に触れる機会を提供しております。
こうした取組を通じまして、引き続き学校教育等との連携を図りながら、次世代の人材育成に資する環境学習の充実に取り組んでまいります。
○小松委員 都が進める環境学習の取組について、この次世代の子供たちの興味、関心を引き出すための取組をされているということが確認できたわけですが、冒頭、環境教育が大事だといっておきながら大変矛盾する話をするかもしれませんが、例えば今、学校現場、道徳が大事だ、災害教育も大事だ、英語や海外理解、またジェンダー、SDGs、そして金融教育も大事だ、様々なものがあって、教育庁に聞いたら、〇〇教育と名のつくものは約二百ぐらい認識していますといっています。
つまり、環境学習は大事だということを否定する人は多分いないんだと思うんですが、学校の先生の働き方改革や業務のキャパオーバーであることは、皆さん方に説明するまでもなく、十分理解されていると思うんです。
子供たちもぱんぱんの中で、どうやってこの環境というところの分野のことの理解を子供たちの中で気づきを与えていくのかという、効率性みたいなところというのもしっかりと踏まえながらいかなきゃいけないのかなと思います。
フィールドワークをつくりました、これは大変いいものだからやりましょうというのを、様々な分野がそれをやっているわけでありまして、なかなか学校の先生にも、大事だとは思うけれども、取り組めないというジレンマがあるとも聞いています。
例えば、コロナ禍は大変苦しいこともありましたけれども、タブレットが子供たちの日常に根づいて、教育の中で根づいているわけです。
私の長男は、大変学習意欲の低い少年ですけれども、そんな長男も小学校三年ですけど、宿題をちゃんとオンラインで自分の動画を撮って、例えば運動会の練習風景を動画で撮って先生に送って、どこが駄目だったとフィードバックを受けて、それをお父さん、お母さん見てというふうに、ちゃんと使いこなしているんだなということを思うんです。
となると、環境学習のところも、例えば東京都の環境局さんが中心となって、そういうコンテンツを少し用意してあげて、それをお父さん、お母さんと一緒に見てねというような、手軽なものにしていくということとかも工夫の余地はあるんだろうなというふうに思っておりますので、こうした様々なメニューをしっかり考えて取り組んでいただくということと併せて、いかにそういう、ある意味、省エネでしっかりと子供たちに環境教育の重要性を伝えるのかという創意工夫も期待するものであります。
最後に、神宮外苑再開発事業に関する環境アセスについて、様々な会派の委員の方からも質問がありましたので、三点だけ確認をさせていただいて終わりたいと思います。
本件事業については、様々な意見が飛び交っており、関心の高さがうかがえます。環境局では、本件事業に関する環境アセスを実施していますけれども、その手続について何点か確認します。
環境アセス制度は、調査計画書や評価書の作成から、工事着手後の調査報告などの一連の手続で構成されていますが、本件事業に関する環境アセスは、現在どのような手続の段階にあるのか伺います。
○長谷川政策調整担当部長 平成三十一年四月に事業者から調査計画書が都に提出されて以降、令和三年七月に環境影響評価書案が提出され、審議会での専門的見地からの審議を経て、令和五年一月に環境影響評価書が提出されております。その後、環境影響評価書の公示によりまして、対象事業の実施の制限が解除となり、事業段階環境影響評価手続が終了しております。
現在は、工事着手後の事後調査手続を進めているところであり、令和五年七月に工事施工中の事後調査報告書が提出されたところでございます。
○小松委員 確認します。既に環境影響評価書の公示がなされて、事業段階環境評価手続は終了し、現在は工事着手後の事後調査手続に入っているということであったと思います。つまり、基本的には環境影響の予測評価を実施し、評価書を作成する事業段階環境影響評価手続のやり直しはないということなのかなと思います。
本件環境アセスについては、評価書に記載の植物群落の考え方や樹木保全の予測評価などに関して、虚偽や誤りがあるといった外部からの指摘もありました。これに対して、環境アセスの審議会ではどのような対応が取られて、また、結論についてはどのようになったのか確認します。
○長谷川政策調整担当部長 環境影響評価書に関する外部からの指摘に対し、環境影響評価審議会では、令和五年四月と五月の総会におきまして、各回三時間、計約六時間かけて、事業者による説明と内容の確認が行われました。
具体的には、事業者は約六十項目の指摘事項一つ一つについて説明を行うとともに、あらかじめ審議会委員から聴取した意見に対しても説明を行いました。
審議会では、委員が専門的立場から説明内容の確認を行い、結果、評価書に虚偽や誤りはなく、環境影響評価書の予測評価に影響を与えるものはないと判断され、指摘に対する事業者による説明は終了するとの結論となりました。
審議会は全て公開で行われ、また、議事録も既に公開しております。
○小松委員 この事業の評価書については、いまだ誤りがあるなどの意見も見られるんですが、審議会としては、評価書において予測評価に影響を与えるような虚偽や誤りはなかったという結論だということのご答弁だったと思います。
最後に、先日、国際イコモスがヘリテージアラートを出し、本件環境アセスの手続に対しての指摘がなされていますが、そもそも本件の環境アセスは適切に行われたのか、都、そして審議会の見解を確認します。
○長谷川政策調整担当部長 アセス手続におきましては、これまでも条例や答申にのっとって、適切に手続を進めてございます。
また、審議会におきましても、様々な案件と同様、本件事業に関しても条例に従って適切にアセス手続を進めてきており、外部からの指摘に対する反証の場を設けるなど、丁寧に議論を進めてきたとの見解が示されております。
○小松委員 東京都も、そして審議会も、本件環境アセスは条例等にのっとって適切に進められてきたという認識であり、このことはアセスの審議会でも確認がされたということでありました。
神宮外苑の再開発事業に関する環境アセスについて三点確認させていただきましたけれども、この答弁を聞く限りは、アセスがきちんと行われてきたという確認ができたんだと思うんです。
一方で、冒頭に申し上げましたけれども、本件の開発事業に対する都民の関心は大変高いものでありますし、今日、様々な会派の委員からもそれぞれ指摘、様々なご意見があったことだと思います。改めて正確な情報をしっかりと発信し、誤解のないようにしていくことが重要だと思います。
都や事業者においては、しっかりと取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、私からの質問は終わります。
○成清委員 まず、家庭における省エネ、再エネの推進について伺います。
二〇三〇年カーボンハーフの実現には、都内エネルギー消費量の三割を占める家庭部門での対策が重要であり、住宅の省エネ化、再エネ化に向け、対策の重要性は一層増しております。
また、ロシア、ウクライナ情勢等による光熱費の高騰はいまだに継続しており、都民の日々の暮らしにも影響を及ぼしています。
そのような中、都民が日常生活を暮らす中で身近に取り組める対策として、家電の省エネルギー化は、エネルギー削減の観点からも有効です。
我が会派としても、都の省エネ家電導入を促進するゼロエミポイント事業に対し、事業の拡充や都民への周知徹底を要望するなど、重要かつ有効な施策と捉えております。
一方で、家庭で使用する家電は、本事業で支援対象としているもの以外にも、テレビなど省エネ性能をうたう家電が多くあります。
そこで、改めてゼロエミポイント事業の対象をエアコン、冷蔵庫、LED照明器具、高効率給湯器としていることの理由について伺います。
○荒田気候変動対策部長 家庭部門のエネルギー消費量の約四割が給湯であり、また、電気使用量では照明器具、冷蔵庫、テレビ、エアコンの四つの機器で約六割となっております。これらの製品は、多くの世帯で使用されており、高効率な機器への取替えの推進は、家庭部門の消費エネルギーの削減に寄与いたします。
なお、テレビについては、4K対応や大型のテレビを購入する傾向があり、買換えによる省エネ効果は限定的と考えられることから、省エネ家電等の買換え事業の対象は、LED照明器具、高効率給湯器及び一定の省エネ基準を満たしたエアコン、冷蔵庫としております。
○成清委員 今、テレビが対象外とされている理由についてご答弁いただきましたが、環境局が出している家庭の省エネハンドブック二〇二三の中に、買換えで省エネという項目がありまして、ここには部屋の広さに合ったサイズを選ぶという前提で、冷蔵庫、エアコンと並んでテレビも記載をされています。
また、例えば食洗機については、手で食器を洗うよりも節水効果が高く、光熱水費も抑えられるといわれています。ただ、手洗いと比較すると電気を利用するため、電気が再生可能エネルギー由来のものでない場合、環境負荷が上がってしまうという指摘もあるということです。
しかしながら、都内エネルギー消費量の三割を占める家庭部門での対策強化は急務であります。例えば、再生可能エネルギー由来の電力への切替えを行っている家庭や太陽光パネルや蓄電池など電力を自家消費できる設備を導入している家庭に対しては、ゼロエミポイントの対象製品を拡大するなどの事業の工夫を強く要望しておきます。
さて、このような都民に寄り添い、効果の高い支援策だからこそ、都民一人一人に知っていただくことも重要です。また、公金で支援を行う以上、申請の際に根拠書類を整えることは重要ですが、迅速で利便性の高い手続とすることで、一層の買換えにつながると考えます。
そこで、本事業について、どのように都民への周知やポイント申請の利便性を高める工夫をしてきたのか伺います。
○荒田気候変動対策部長 省エネ家電等への買換えを推進していくには、本事業をより多くの都民に知っていただき、利用していただくことが重要であります。
そのため、事業を開始した令和元年以降、区市町村とも連携した広報紙をはじめ、テレビや新聞などの様々なメディアやSNS、住宅関連団体や家電販売店等を通じた周知を毎年実施してまいりました。
また、ポイント申請につきましても、事業開始当初は紙のみによる申請に限定しておりましたが、令和三年四月からはインターネットによる電子申請の交付も開始し、利用しやすい環境の整備に取り組んでまいりました。
引き続き、様々な機会や家電販売店等とより一層連携を深め、省エネとなる家電等の買換え促進に取り組んでまいります。
○成清委員 家電の省エネ化は、一つ一つの削減効果は小さくても、積み重なることで大きな効果を生むものです。また、省エネとなる家電の買換えという身近な行動から、住宅全体としての省エネ、さらには、その先のゼロエミッション東京の実現に向け、都民一人一人の意識が変容していく効果も期待できます。
ぜひ本事業の継続とともに、さらなる申請の簡素化などにより、都民が利用しやすい制度となるよう、地域家電店などの事業者と連携した取組の推進を期待します。
次に、生物多様性地域戦略について伺います。
私の地元墨田区は、もともと自然が少ない地域ですが、昭和四十七年には二十三区で初めて緑化宣言を行い、また、昨年には、第二次墨田区緑の基本計画と墨田区生物多様性地域戦略を策定し、グリーンインフラの構築に取り組んでいくことを明記され、緑豊かな墨田区を目指して積極的に取り組んでおります。
将来にわたり東京を自然と共生する都市としていくためには、生物多様性を持続的に利用していくことが重要であり、本年四月に改定した生物多様性地域戦略に基づき、取組を着実に進めていく必要があると考えています。
地域戦略では、二〇三〇年目標の実現に向けて三つの基本戦略を掲げ、それぞれ行動目標が設定されています。その一つ、Tokyo-NbSアクションの推進は、生物多様性の恵みを持続的に利用していくための目標とされていますが、まずはこの行動目標を設定した趣旨について伺います。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 生物多様性は、生き物の生息、生育環境のほか、食料の供給や災害の防止、緑地におけるストレス解消など、社会的な課題の解決に資する様々な価値を有しております。
東京は、多くの企業や団体が集積した大都市であり、生物多様性の恵みを持続的に利用し、都民生活の向上に生かしていくためには、自然を活用して社会課題を解決するNbS、ネーチャーベースドソリューションズとなる様々な取組を行政だけでなく、企業や団体などの各主体が共に推進していく必要がございます。
そのため、改定した地域戦略では、二〇三〇年目標の実現に向けた行動目標の一つにTokyo-NbSアクションの推進を掲げ、自然に支えられる都市東京を目指し、企業などの各主体がNbSに取り組むことを目標といたしました。
○成清委員 行動目標設定の趣旨について理解いたしました。
NbSとなる取組を行政や企業、団体などの各主体が推進するとのことですが、私の地元の飲料メーカーでは、水源地の森林保全活動を行っており、雨水の涵養や生物多様性の保全に加え、間伐材の活用にも取り組んでおります。
NbSはこれまでにない新しい考え方であり、具体的にどのように取り組むのかが分からないといった企業も少なくないと思います。先行している企業の取組をNbSとして周知し、取組を広げていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 Tokyo-NbSアクションの推進では、緑地における雨水浸透や植物の蒸散作用など、自然が有する多面的な機能を防災や暑さ対策など、様々な社会的課題の解決に活用するNbSを実践する企業や団体等の取組を促進することとしております。
企業や団体の中には、先行的にNbSに取り組んでいる事例があることから、都は今年度、こうした具体的な取組事例を国外を含め広く収集し、ホームページ等を通じて発信いたします。
また、実践企業が参加する普及啓発イベントを開催し、取組内容や取組のきっかけなど、より具体的な内容を紹介していくことで、企業などの機運醸成を図ってまいります。
こうした取組により、実践する企業などの裾野を広げ、自然と共生する社会を目指してまいります。
○成清委員 我が会派のグリーンインフラ推進の提案も受けて、都は、今年八月に東京グリーンビズを立ち上げました。NbSは雨水浸透や貯留といったグリーンインフラ含むより広い環境保全の考え方です。NbSを実践する企業などが増えていくことは、生物多様性の持続的な利用につながり、都民生活の向上にも資するものです。
引き続き、環境局として主体的に積極的に取組を進め、自然と共生する都市東京を目指していただきたいということをお願いして、質問を終わります。
○細田委員 私からは、四点質問をさせていただきます。
まず初めに、太陽光の義務化について質問します。
昨年の十二月の第四回定例会におきまして、可決、成立しました改正環境確保条例に基づいて、再来年の令和七年四月より、新築住宅などへの太陽光パネル等の設置を義務化する新たな制度が施行されます。
都議会公明党は、環境確保条例改正案の都議会への提出に先立ちまして、事業者や都民の皆様からの様々な声を受けて、必要な支援策を実施するよう緊急要望を行わせていただきました。
内容は、具体的には、初期投資ゼロスキームのうち、割高となります三キロワット未満の太陽光発電設備の設置に係る支援の強化や、また、太陽光発電設備設置のメリットや効果などを効果的に周知、広報をするとともに、様々な問合せに対するワンストップ相談窓口を設置することなどの要望でございます。こうした要望を受けて、都が昨年度中に支援策を開始したことは評価をしております。
これらの支援策について、まず、住宅向けの初期投資ゼロスキームへの支援策ですが、都は、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業を本年の二月に立ち上げまして、補助対象として登録する事業プランの募集を開始されました。
事業開始から既に八か月が経過をいたしましたが、現在のプランの登録状況及び申請状況につきまして、都の答弁を求めます。
○荒田気候変動対策部長 本事業は、リース、電力販売等により、住まい手の初期費用ゼロで、太陽光発電設備等を設置する事業者に対し、都が実施していた補助を一部見直し、改めて開始したものでございます。
令和五年十月末現在、九件の事業プランが登録されており、これらは全て本事業の再開に伴い拡充した低容量の太陽光発電設備設置への補助単価割増しに対応しております。
補助金交付申請は、建て売り住宅での本事業の活用を見据え、設備設置完了後に申請する事後申請方式を採用したため、現在二件にとどまっておりますが、事業者からは、今後二百件程度申請予定があるとの報告を受けております。
引き続き拡充した補助内容等の活用を促しながら、住宅向けの初期投資ゼロスキームへの支援を展開し、住まい手が太陽光発電設備を設置しやすい環境を整えてまいります。
○細田委員 今ご答弁にございました建て売り住宅での活用を見据えて、事後申請方式を採用していただいて、今後、今の現状の約百倍ほどの申請となると予想されているということでありました。住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業が着実に実施をされていることを確認できました。
本事業は、住宅購入時における初期費用を軽減できる有効なスキームであります。太陽光義務化の支援策の一つとして、都民、事業者とも期待しておりますので、どうぞ今後とも積極的に事業を展開するようお願いをいたします。
太陽光パネル等の設置の義務化に向けては、先ほど答弁のありました住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業をはじめ、都は様々な支援策を実施していますが、こうした支援策と併せて、制度の仕組みや太陽光パネルのメリットについて、都民の理解と共感が得れられやすくなるように、丁寧に説明を行っていくことが大変に重要であると思います。
こうした都議会公明党の主張も踏まえ、都は、太陽光義務化に関するワンストップ相談窓口を本年の一月に開設されました。窓口開設から十か月が経過いたしましたが、現在の運営状況についてはいかがでしょうか、答弁を求めます。
○関制度調整担当部長 太陽光パネルの設置等に関するワンストップ相談窓口は、令和五年一月四日に開設をいたしまして、これまで約三千五百件の相談が寄せられております。
そのうち約八割が補助制度の対象や金額等についての問合せとなっておりまして、相談者の状況に応じた補助制度をご案内するなど、きめ細かく対応しております。
また、義務対象者や太陽光パネルの設置基準といった制度の具体的な内容のほか、太陽光パネルの設置や維持管理に関する相談など、幅広くご活用いただいております。
今後とも、建築物環境報告書制度の内容や太陽光パネル設置のメリット、住宅の環境性能向上に関する補助金等の問合せに丁寧に対応することで、都民、事業者の理解促進に努めてまいります。
○細田委員 ワンストップ相談窓口が多くの方々に利用されて、また、都も丁寧に対応するよう努めているとのことであります。引き続き、建築物環境報告書制度や様々な補助制度について、都民の方々の理解が広がり、深まりますよう対応を要望しておきます。
さて、次に、東京湾の水環境について質問します。
東京湾は、首都圏に流れる複数の河川が流入しており、特に高度経済成長期には、その水質の悪化が問題となりました。しかし、近年には、お台場、また湾岸エリアの親水空間の整備などが進んで多くの人々が集うようになり、東京湾はそのにぎわいと美しい姿を取り戻してきています。
東京湾における水質は、そこに生息する生き物にとっても非常に重要であります。
そこでまず、東京湾の水質について、都はどのように調査を行っていて、現状どのように認識しているのかを質問いたします。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、東京都内湾及び運河の五十地点を水質測定地点と定めて定期的に調査を実施し、その結果を公表しております。
海域の水質汚濁を表す代表的指標であるCOD、化学的酸素要求量の値は、東京湾の水質が悪化していた昭和四十八年度に、内湾平均一リットル当たり五・四ミリグラムが、令和三年度には一リットル当たり三・一ミリグラムとなっております。
一方、東京湾は、流域からの汚濁負荷が滞留しやすい閉鎖性水域であり、夏場を中心に赤潮や底層の溶存酸素量が低い状態が続くなど、生物の生息環境としては好ましくない状況も発生しております。
このため、東京湾の水質は、高度経済成長期の著しい汚濁状況と比較すると大幅に改善しておりますが、さらなる取組が必要であると認識しております。
○細田委員 今のご答弁で、東京湾は流域から汚濁負荷が滞留しやすい閉鎖性の水域であって、湾がそういう状況ですから、また、夏場を中心に赤潮や底層の溶存酸素量が低い状態が続くなどの生物の生息環境としては好ましくない状況も生まれている現状がまだありますという課題をいっていただいたんですけれども、東京湾の水質は改善が図られているものの、今おっしゃったとおりであり、生物生息の環境という観点からは、依然として問題があるとのことでございました。
海外では、自然を活用した水辺や湿地帯の再生プロジェクトにより、新たに形成をした水辺にバクテリアや微小生物が戻って、それが流入する汚濁の分解や過剰な栄養分を減らすことに役立っている事例があります。他の局等にも紹介をしてきてはいるんですけれども、こうした考え方が、今ちょっと直前の質問にもありましたが、NbS、ネーチャーベースドソリューションズであります。
これは自然を活用した解決策を取り入れている取組でありまして、また、この東京湾の水質でいうならば、通常、夏に比べて水質状況が良好の三月に東京湾の水質調査を行った民間の生態系総合研究所の小松正之氏、よく存じ上げている方なんですが、元政策研究大学院大学の教授の方なんですが、濁度、FTUと、それから溶存酸素、DO、これ溶存酸素が少ないと、やはり生き物が生きていくことができないという状況が起こるので、どちらも悪化の値が目立ったというご指摘もいただいたところであります。
このような東京湾の水質の環境の改善におきましても、ネーチャーベースドソリューションズ、まさに社会に効果的に、かつ順応的に対処して、人間の幸福及び生物の多様性による恩恵を同時にもたらす。自然、そして人為的、そして改変された生態系の保護、持続可能な管理、それを再生していくための行動である。
このようなことを環境局もこの四月に東京都生物多様性地域戦略として掲げているわけでございますので、どうぞこの観点をしっかりと取り入れて、東京湾の水環境の改善にも努めていっていただきたい、このように思いますけれども、東京都の見解を求めます。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都はこれまで、関係局が連携し、東京湾の水環境の改善を進めるため、事業場排水規制や合流式下水道の改善等の取組を進めてまいりました。
こうした取組に加え、生物の生息環境を新たに創出するなど、水環境の改善をさらに進めていく必要がございます。
都は、本年四月に改定した東京都生物多様性地域戦略において、自然を活用した解決策、いわゆるNbS、ネーチャーベースドソリューションズとなる取組の推進を掲げております。
NbSには様々な取組があり、海の水質や生物多様性の向上に向けて、企業、団体と行政が協力し、干潟の保全等を行っている事例がございます。
こうした事例も踏まえ、関係部署とも連携協力しながら、東京湾の水環境の改善を進めてまいります。
○細田委員 分かりました。よろしくお願いします。
これまでも多くの関係者が東京湾の水環境の改善に尽力されてきた、このように思っております。
ですが、今答弁にありましたように、どうぞ本年四月にちゃんと位置づけました本計画をしっかりと理解していただいて、都にも情報提供して紹介をしているんですが、アメリカのメリーランド州が積極的に取り組んでいて、情報提供して頑張っていきたいと、こんなふうに思っている地域もあったりいたしますので、情報も収集していただいて、首都東京、しっかりと今後も東京の自然環境を守って生態系を守っていく、このことに尽力していっていただきたいと思います。
NbSという新たなアプローチの手法を取り入れていただき、そのことを要望して、より一層、東京湾の水環境が改善されていくことを期待いたします。
さて、次に、二十三区の区部におけるビルピット汚泥の運搬の効率化につきまして質問いたします。
ビルピットといいましても、皆さん、もしかしたらちょっと分かりにくいかもしれないので申し上げますと、ビルピットというのは排水処理設備の一つでありまして、ビルなどトイレの排水や厨房等の排水は、地上階より高い場所からそのまま下水道に流しますが、地下の階では流せません。
ですから、地下にある飲食店や車庫や地下鉄の駅、地下街では排水槽を設置して、トイレの排水は汚水槽、その他の飲食の厨房から出るようなものは雑排水槽というところに一旦ためまして、水はポンプで下水道に流しますが、これらの排水槽には残渣物が残ります。この残渣物を総称してビルピットといっております。
このビルピット、何もしないと硫化水素、硫化水素は硫酸になって鉄筋コンクリートを腐食させて、建物の寿命に大きな影響を与えてしまいます。また、ハエや蚊の発生などの地域の環境へも悪影響を及ぼしてしまうというものであります。
このビルピットなんですが、現在、地下にあるビルピットの清掃時に発生した残渣物の汚泥は、今申し上げましたようにし尿が混じる汚水槽、これは一般廃棄物というものになります。もう一つは、厨房から出た雑排水槽、これは産業廃棄物という枠組みになって区別されて、それぞれこれを取るためには、ビルピットに残った残渣物、同じような形状をしているものなんですが、それを取るために別々の車を出動させていて、民間の中間処理施設に運搬をしています。
その後、民間の中間処理施設でそれを混ぜて、混合して一緒にこれを処理するんですけど、収集の運搬時には混載が認められていないために非常に非効率であって、二〇二四年問題がいわれている今の現状の中で、また、燃料高がいわれている現状の中で、人材不足の現状の中で、そして、働き方改革がいわれている現状の中で、業務の効率化が急務となっております。
こうした中、令和三年の九月に出されました国からの通知では、同一の性状を有するものの処理に当たっては、明確に廃棄物の種別を区分できるものに限り、一台の車に混載して運搬しても、廃棄物処理法上禁じられていないよということが明確化されました。
であるならば、わざわざ二台用意して、わざわざタンクが空いている状況を用意してというこの状況を、また、CO2を出していくということの状況を変えていくことができるんだったら、行政から許可を受けたちゃんとした正式な事業者による東京二十三区内でのビルピット汚泥の収集と中間処理施設への運搬については、今申し上げました環境省、国の通知に基づいて、一般廃棄物許可車両に産業廃棄物を混載して収集して運搬できるようにすべきであると私は考えますが、いかがでしょうか。東京都の見解を求めます。
○志村資源循環推進部長 いわゆる二〇二四年問題により、ドライバー不足が懸念される中、廃棄物の収集運搬業務についても効率化が必要となっております。
国の通知では、一般廃棄物と産業廃棄物の両方の許可を有する者の運搬車において、廃棄物ごとに適切に計量できれば、混載しても差し支えないということが示されております。
特別区は、業界団体から民間施設で処理される場合の混載について要望を受け、その対応の方向性を検討しているところと聞いております。その経過を注視しているところでございます。
業務の効率化と適正処理の確保を両立できる運搬方法について、関係機関や業界団体等との意見交換を通じ、あるべき方向性を共有してまいります。
○細田委員 国からの通知では、産廃物ごとに適切に計量できれば混載をしてもいいということです。例えば、DXを活用した適切な計量方法に対して支援をするなど、都においても検討をいただければと思います。
ドライバー不足を懸念する中、少しの猶予もございません。業務の効率化と適正処理の確保を両立できる運搬方法について、早急に関係者の間の調整が進むよう期待をしております。
そして、最後に、四点目です。PCB廃棄物について質問します。
PCBは、主として変圧器やコンデンサーなどの電気機器の絶縁油として使用されてきましたが、昭和四十七年に製造が禁止されました。その後、三十年以上にわたって使用者が保管することを余儀なくされてきましたが、高濃度PCB廃棄物は、平成十六年から順次、国が一〇〇%出資する中間貯蔵・環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOにおいて、全国五か所での処理が始まりました。
一都三県分の高濃度PCB廃棄物のうち、トランス、コンデンサーについてはJESCOの東京事業所で処理が開始され、昨年度末が処理期限となっています。そして、照明用安定器はJESCOの北海道事業所で処理が行われ、今年度末が処理期限となっております。
そこでまず、高濃度PCBを使用したトランス及びコンデンサーの処理状況及び安定器の処理に向けた現状と都の取組について質問いたします。
○横山資源循環技術担当部長 都は、法に定められた期限までにPCBが確実に処理されるよう、掘り起こし調査の徹底や関係団体と連携した周知を行ってまいりました。
トランス、コンデンサーについては、JESCO東京事業所での処理開始以降、昨年度末までに一都三県で約八万九千台、うち都内分で約三万五千台を処理いたしました。
令和二年度末時点において、掘り起こし調査によって発見された未処理の約一千事業者への立入指導を行い、処理委託契約の手続方法や助成金の案内を通じて処理を促した結果、処理期限までに見つかった未処理のPCB廃棄物の処理が完了いたしました。
現在は、その後、新規に発見される毎月数件程度の事業者に対して立入指導を実施しております。
一方、照明用安定器については、北海道事業所で処理しております。昨年度末までに都内分で約二千八百トンを処理するとともに、今年度末の処理期限に向けて、現在約三十の事業者に対して立入指導を実施しているところでございます。
○細田委員 高濃度PCBの処理は順調に進んできたことが分かりました。一方、民間の無害化処理認定施設で処理されています低濃度PCB廃棄物の処理期限は令和八年度末となっておりまして、期限内の処理に向けて、都の積極的な取組が欠かせないという状況であります。しかしながら、昨今の物価上昇により、特に個人事業主や中小企業は対応に苦慮しています。
こうした中、都は、中小企業者などに対して、低濃度PCBで汚染されているトランス、コンデンサーなどの処理費用を助成する制度は実施していますが、これまでの支援の実績と現在の都内で保管または使用されている量について答弁を求めます。
また、都内に残る低濃度PCB廃棄物は、法の期限に向けて確実に処理されるように取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○横山資源循環技術担当部長 中小企業等への費用の助成については、令和四年度までに分析費用が約一万二千台に対して約一億三千万円、処理費用が約七千八百台に対して十二億円の助成をしております。
令和三年度末時点で、トランスは約四千八百台、コンデンサーは約三千五百台が保管または使用されております。
今後とも国と協力しながら、業界団体を通じた普及啓発や立入指導による処理の促進などに取り組んでまいります。
引き続き、中小企業を対象とした微量PCB廃棄物処理支援事業を行うことで、法の期間内に確実に処理が促進されるよう取り組んでまいります。
○細田委員 都内には、まだ多くの低濃度PCB廃棄物が存在しています。処分期間に向けまして、引き続き処理の促進と、中小企業などへの支援を継続して取り組むよう要望いたします。
都は、法で定められました処理期限に向けて、PCB廃棄物の処理に取り組んで成果を上げております。しかしながら、高濃度PCBを処理するJESCOの処理施設の解体撤去後、そして低濃度PCB廃棄物の処分期間後に、新たにPCB廃棄物が発見される可能性があるものと思われます。
都は、今後、新たに発見されたPCB廃棄物についても早期の処理を図っていくべきと考えますが、都の見解を求めます。
○横山資源循環技術担当部長 PCB廃棄物は、PCB特措法に基づき、保管事業者等が定められた期間までに処分事業者に委託または自ら処理することが義務づけられております。
国は、環境省と経産省が中心となり、普及啓発や周知を行うとともに、実態把握調査やヒアリング調査などを実施するなど、早期処理に向けて処理の促進を図るとしております。
東京都は、法にのっとり、確実にPCB廃棄物の処理を進めるとともに、国と連携しながら早期処理に取り組んでまいります。
○細田委員 都議会公明党は、これまで一貫してPCB廃棄物の確実な処理を求めてまいりました。また、事業者としての都に関わるPCB廃棄物についても、求めに応じ適切に都は対応してきており、そして、都民や都内事業者に対しても支援策を都議会公明党は提案してきて、都もこれに応えて取組を進めてきていただいております。
都は、掘り起こし調査や立入指導などにより、期限内の処理に向けて取り組んできていますが、期限後にも高濃度PCB廃棄物が発見されるなどの状況もあり、ゼロになるのは困難な実情も散見されています。
都も国の動向をよく把握して、PCB廃棄物の確実な処理に向けて、今後とも精力的に対応していただくよう要望して質問を終わります。
○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十五分間休憩いたします。
午後七時二十四分休憩
午後七時四十九分開議
○曽根委員長 休憩順に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○アオヤギ委員 日本共産党のアオヤギ有希子です。PFASについて伺います。
六月二十九日、私ども日本共産党国会議員団、都議団、地方議員団、地域住民の方々と共に、防衛省、環境省のレクに私も参加しましたが、そこで防衛省から、横田基地で二〇一〇年代に三件の泡消火剤の漏出があったことについて、米軍から報告を受けていたことを初めて明らかにしました。
このレクの後、二〇一九年一月に防衛省は米軍から報告を受けていたことが分かりました。四年半も隠蔽していたことになり、断じて許されません。
この三件の漏出事故は、既に報道されていたジョン・ミッチェル氏が、米国に対し開示請求をして明らかになっていた事故と合致するものでした。そのうち一件は、三千リットルもの泡消火剤の原液が、一年後に点検したら、全て漏出していたというものです。
都がこうしたことを受け、米軍や国から説明がなかったことに対して、誠に遺憾だと表明したことは当然です。
ところが、今年に入って、また米軍は漏出事故を起こしていたことが、沖縄タイムスの報道で分かりました。この件についても、ジョン・ミッチェル氏の開示請求で分かったものです。
内容を見ますと、有機フッ素化合物、PFAS入り消火剤に汚染された水が二日連続で漏れていたことが、本紙が入手した内部文書で分かった。濃度は日本の暫定基準指針値の五万四千四百倍に達していた。
事故は、一月二十五日、二十六日の両日で、基地内売店、PXの外にある物品搬入口で起きた。消火用スプリンクラー設備の部品が凍結によって破損し、内部のPFAS汚染水が二日間で計七百六十リットル漏れ出した。
警報は作動せず、汚染水が四百十平方メートルの地面に広がって、側溝にも流れ込んだ。一リットル当たり濃度はPFOSが二百四十万ナノグラム、PFOAが三十二万ナノグラムの合計二百七十二万ナノグラム、日本の暫定指針値の五十ナノグラムの五万四千四百倍に上った。
米軍は、事故後、側溝から水が基地西部の福生市側に出る排水溝を吸収材で塞いだ。
内部文書によると、基地外への流出はなく、基地内外の公衆衛生や健康のリスクはないとしている。
スプリンクラー設備の管の中には、事故後も推定九千五百リットルの汚染水が残っており、米軍が排出を試みたが、失敗した。原因は不明だという。
本紙が入手した事故現場の写真からは、泡を含む水が側溝に流れ込んだり、米兵と見られる人々が全面マスクをつけて清掃したりする様子が分かる。
内部の文書によると、清掃作業に使われた吸収材などPFASで高度に汚染されたが、どう処分したかは明記されていない。
事故現場は、民間地との境界から約百メートルしか離れていない。本紙は、横田基地に事故をなぜ公表しなかったのか、二日目の事故はなぜ防げなかったのか、汚染水や吸収材はどう処分したのかを問い合わせているという記事です。
排水溝に流す写真も掲載されています。排水溝は、福生市を通る国道一六号の近くで、道路を挟んで住宅街があります。排水溝の水は基地内に滞留するわけではなく、周辺に流されているものだと考えます。基地の外に漏出していないなど、極めて疑わしいといわざるを得ません。
今年六月の私どものレクでも明らかにされず、米軍はうそをついていたわけです。ずさんな管理と併せて、怒りが湧いてきます。
横田基地内の消火施設には、まだ大量にPFAS含有の消火薬剤が残っています。今回、凍結によるスプリンクラーの破損が原因ということだから、また同じことが起こる可能性もあります。
また、五万四千四百倍という数値を考えると、横田基地周辺で今年、さらに汚染が広がっている可能性も考えられます。
そこでお伺いしますが、都は、今回の事態をどのように受け止めているのですか。緊急に横田基地に立入調査をし、横田基地周辺のエリアでも、きめ細かく検査を実施すべきではないですか。
○宗野環境改善技術担当部長 当該記事の内容につきましては、現在、国に対して事実関係を確認中であると都市整備局の方から聞いております。
都は、都内全域の地下水の水質調査を行っておりまして、地元自治体と意見交換をして地点選定を進めるとともに、これまで本会議で答弁していますとおり、比較的高濃度の地域では、追加調査を実施することとしております。
○アオヤギ委員 事実は確認中ということです。事実関係をはっきりさせていただき、改めて米軍に厳重抗議していただきたいと思います。
また、私たちが防衛省レクで聞いたとき、防衛省は、二〇二〇年代については確認中といっていましたが、それも防衛省は知っていた可能性があります。この点についても事実を明らかにしていただきたいと思います。
追加調査をするということで重要ですが、どこをどれだけやるのかが問われています。その上で、まず第一に、新たに漏出事故を起こし、無責任に側溝に流してしまう、PFASをどう処分したのか明らかにしていないといった米軍の対応を考えると、沖縄県のように、直ちに横田基地への立入調査を実施し、原因を特定することが不可欠です。
また、基地内にどれくらいPFASが残っているのかも全く明らかになっていません。横田基地や日本国内の米軍のPFASの対応は、明らかに米国本国と、またドイツなど駐留米軍での対応と違い、情報を出さない、対策をきちんとしないなど、日本特有の従属的な関係が表れています。
さらに、米軍基地によるPFAS汚染がどこまで広がっているのかも分かりません。今こそ基地周辺を重点的に検査をして、証拠をつかんでおくことが重要であると考えます。
今回、初めて写真で側溝に流す画像があり、そこでPFASを吸着させたといいますが、吸着したものをどう処分したのかも分からないということです。側溝に流した水が下水管に入ったのか、それとも雨水管に入ったのか分かりませんが、結局、最後は多摩川に流され、その水を水田に利用している方もいると聞いています。
比較的高濃度の地域で追加調査を実施予定という答弁がありました。ぜひ横田基地周辺でこれをしっかり実現していただきたいと思います。
さて、これまで、市民団体が水質の調査や血液検査を自主的に行っています。その結果も踏まえて、都民から寄せられた多くの不安に応える形で、東京都は、都内全域で自治体ごと測定ブロックを区切って、四年間で一巡するように、そのブロックから選んで行っている水質調査について、今年度、来年度分を前倒しして実施するとしたことは重要です。
私の地元八王子市は市域が広いので二十ブロックですが、お隣の日野市、立川市などは四ブロック、四か所しかありません。その限られた場所でも、立川市のある地点は、令和元年に八百四十ナノグラム、令和四年に六百二十ナノグラムと非常に高くPFASが検出されています。
もはや答えは明白な気もしますが、都は、なぜこのようなことが起きているのか、どのような分析をしているのでしょうか。
○宗野環境改善技術担当部長 PFOS等の有機フッ素化合物は、撥水剤、半導体用反射防止剤等の幅広い用途で使用されており、都のこれまでの地下水調査では、全区市町村で検出されております。
暫定指針値を超過した地点は、多摩や区部の複数の地点で確認されておりまして、継続して調査を行うとともに、飲用しないよう対応しております。
○アオヤギ委員 今回の漏出事故を考えても、これまで立川市で値が高いのは、横田基地の影響を抜きに考えることはできないと思います。
さらに、今回の漏出事故で、PFAS汚染水は基地内を福生市側に流されたようですが、福生市のブロックは四ブロックであり、基地に面しているブロックは多くて二か所で、実際の調査箇所は、もしかしたら基地に面した箇所は一か所もないかもしれません。
詳しい地点は公表されていないので分かりませんが、重ねて、もっと細かく基地周辺でどう流れていったのか調べる必要があると強く強調しておきたいと思います。
その上で、基地周辺には小中学校や都立学校もあります。こうしたところは、都立学校は都有地ですから、都有地などはすぐにできますし、小中学校も子供たちが集う場ですので、優先的にやっていくべきだと思います。
同時に、確かにPFASは工業用途で使用され、大阪ではダイキンの工場周辺で高い濃度が検出されています。都内でも同様の問題がないか、これまでの超過地点の継続調査にとどまらず、それも起点にしつつ、高濃度が検出されている地域では、より集中的な調査が必要ではありませんか。今までの検査地点よりも細かく、地下水も土壌も検査すべきではないですか。
○宗野環境改善技術担当部長 地下水調査につきましては、先ほどもご答弁いたしましたとおり、水質汚濁防止法の測定計画に基づき、都内全域を対象に行うとともに、比較的高濃度の地域では追加調査を実施することとしております。
土壌調査でございますが、国がまとめた土壌中のPFOS等の測定方法は暫定的なものとなっておりまして、評価指標や必要な措置はまだ示されておりません。これらを明らかにするよう、国に対して求めております。
○アオヤギ委員 比較的高濃度の地域での追加調査は、都内全域を対象としていると考えているとの答弁でした。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
土壌の検査も、国待ちにせず、他の自治体と意見交換も行い、都独自に調査を探求していただきたいと要望して、次に移ります。
私の地元八王子市では、豊かな自然環境が残るまちですが、長年にわたりその自然環境を破壊するような開発の標的になって、自然環境や住環境に大きな影響を与えてきました。
その一つが、残土を持ち込まれ、台風で崩落した八王子市内の戸沢峠ですが、事業者が見つからず、結局、東京都が回収しました。
また、熱海市の残土現場の崩落で甚大な被害によって、ようやく国によって盛土規制法が始まったところですが、本当に残土事業を規制できるのか問われています。
まず最初に、八王子市宇津貫町で行われる巴山興業株式会社自社資材置場及び屋外運動施設、パンダフィールド建設事業について伺います。
この事業は、八王子市宇津貫町と町田市にまたがる事業区域で、近くには国道一六号線、一万世帯が住む、みなみ野シティという住宅街が近くにあります。
当該事業区域は斜面地となっていて、そこを事業者が持ち込む建設発生残土などで盛土をし、その上にサッカー場と資材置場を造る計画です。
盛土高最高二十八メートルとなります。持ち込む土は約二十九万五千立方メートルとなります。熱海市の盛土総量は七万立方メートルでしたから、およそ四倍の量の盛土を持ち込む計画です。
八王子市には、残土に関わる事件などがあり、残土規制条例がつくられ、残土事業を行うには一定のハードルがあり、この条例の適用を受けない事業に変更され、サッカー場建設など公共性のあるものを造るという理由がつけられたため、この事業計画は、後に紹介するもう一つの事業も、都市計画法の開発許可を必要とする事業とされ、審議が進められてきました。
宅地造成及び特定盛土等規制法について都に確認しました。第四条、基礎調査、第十条の宅地造成等工事規制区域が、この計画との関係でどのように働くのか都市整備局に確認しましたところ、現在、この法律が適用される区域を各区市町村が指定しているところだということで、来年七月をめどに指定区域内の盛土は許可を取っていくことになり、当該事業はこの許可は適用にならないのと、許可を得た事業への監督処分も適用されませんが、盛土はしますので、保全義務、危険かどうかの指導や改善命令の対象となるということでした。
この改善命令も、防災の観点で崩れたかなどの点検ですので、やはり自然環境への影響については、自然保護条例によって、どのように対応するかが重要になっています。
そして、この宇津貫町の事業は、現在、自然環境保全審議会で条件を付して許可相当と答申が出されました。規制部会の専門家の皆さんが懸念していることに対し、事業者は改善案を出し、許可相当という結論になっていますが、本当に専門家の皆さんが納得しているのかは、議事録では読み取れません。
そこでお伺いしますが、八王子市の宇津貫町のこのパンダフィールドの事業、進んでおりますが、自然環境保全審議会の規制部会では様々な指摘をされたと聞いていますが、動植物や事業資金、水質など指摘された主な点についてお示しください。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 巴山興業株式会社自社資材置場及び屋外運動施設建設事業については、令和四年二月に、東京都自然環境保全審議会において、開発許可の答申を受けております。
答申に至るまでの規制部会においては、希少動植物の保全、盛土の安定性の確保、事業区域内の水質改善などについて指摘がございました。
○アオヤギ委員 三回の規制部会が開かれていますが、議事録を見ますと、東京都のレッドデータブックに記載されている絶滅危惧種に指定されている動植物が幾つか述べられています。
そこでお伺いしますが、東京都レッドデータブックに指定されている動植物が、各カテゴリー別にどれくらい確認されたのか。絶滅危惧種ⅠA類、絶滅危惧種ⅠB類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧でそれぞれお示しください。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 事業者の保全計画書によると、植物では、絶滅危惧ⅠA類が一種、絶滅危惧ⅠB類が二種、絶滅危惧Ⅱ類が十種、準絶滅危惧が十種でございます。
また、動物では、絶滅危惧ⅠA類が一種、絶滅危惧ⅠB類が一種、絶滅危惧Ⅱ類が十一種、準絶滅危惧が十九種でございます。
○アオヤギ委員 この事業区域では、本当に自然公園として保存してほしいくらいの生物多様性の宝庫だといえると思います。植物、動物ともに非常に多くの種類がレッドデータブックに記載されているということです。
しかも、今答弁があった絶滅危惧ⅠA類というのは、絶滅危険度でいうと、上から絶滅、野生絶滅、絶滅危惧Ⅰ類の次のランクとなっており、ごく近い将来、野生での絶滅が極めて高いというもので、ⅠA類の植物はランヨウアオイということですが、二百四十六の個体数が確認され、委員の専門家からも、ランヨウアオイが二百四十六個集中してある、一定部分に相当数が分布しています、私は、これは相当重要なことだ、簡単に認められる計画ではないと述べられ、さらに、移植云々ということではなく、これはⅠA類ということは絶滅の可能性が相当高いわけですね、その生息地を減らすということは、移植すればいいという話ではないと述べられています。
この事業計画そのものに対して、簡単に認められないと述べられています。
そのほかにも、移植がとても難しいとされるクロムヨウランなども確認されています。
動物では、ⅠA類のヨタカ、ⅠB類のホトケドジョウなどが確認され、建設残土が持ち込まれ、土壌や水質の汚染、騒音やサッカー場ができた場合の照明施設の影響などを考えると、とても保全されるとは考えられないのですが、希少植物種の事業計画については、移植せずに、一部計画を変更して、その場で残すことが示されていますが、宇津貫町で発見されたハチオウジアザミなど、レッドデータブックに登録されている希少種の動植物がどのように保全されるのか、お示しください。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 事業者の保全計画書によると、希少種の保全について、例えば植物では、ハチオウジアザミは、生育地を残留緑地に設定し保全しております。
また、生き物では、ホトケドジョウやサワガニなどについては、残留緑地内の水辺に残すとともに、生息地が改変される個体は捕獲し、事業地内の水辺に移動し、保全することとしております。
○アオヤギ委員 ハチオウジアザミは、この事業区域と同じ町内の八王子市宇津貫町で二〇〇三年に発見された新種であり、審議中にレッドデータブックに記載されました。保全する対象にはなり、計画地に一〇〇%残すということになりましたが、こちらも周辺環境次第で生き続けられるのか疑問です。
また、八王子の高尾山で確認され、貴重な動物として紹介されているムササビもこちらで確認されています。ムササビも絶滅危険度が上がっています。
工事が終わった後、これらの貴重な動植物がどうなるのかが問われていると思います。
そこでお伺いしますが、残土を持ち込むため、周辺の水質や土壌の状況が変化することが考えられます。どのように、いつまで点検や対策をしていくのでしょうか。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 事業者の保全計画書によると、盛土の改良土から、雨水等によりアルカリが流出する懸念があるため、中和する排水処理を行うこととしております。
また、排水の水質については、工事中から工事完了後も継続して調査を行うとしております。
○アオヤギ委員 盛土がアルカリ性となるため、中和するため、炭酸を流すということです。事業者からの説明では、改良土はセメント処理をするためpHが上がる。だから炭酸を工事期間中に流すという計画です。
この点についても専門家の方から、周辺の環境への影響を懸念する意見がありました。この作業は工事期間中だけです。
また、事業者の説明では、六価クロムも溶出することもあり、基準値以下にする作業をすると説明されています。これについても規制部会では、事業者の説明が不十分で、専門家の方の委員から、現場でそうできなかった、これは六価クロムを減らすことができなかったことが発覚したら、もうこの事業は停止するということでよろしいのでしょうか、白紙撤回かと迫られる場面もありました。
建設残土が持ち込まれた後、アルカリ性の水がどうなるのか、六価クロムを基準以下に本当にしていけるのか、確認していかなければならないと思います。
事業計画地にレッドデータブックのホトケドジョウがいて、そこにある湧水にいるということもいわれており、湧水に化学物質が混ざるのではないかなどの懸念もあります。
そこでお伺いします。絶滅危惧種の動植物が生息するこの計画地は、引き続き、事業完了後も調査を進めるべきではないですか。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 事業者の保全計画書によると、工事完了後、地域住民等と協働して、緑地等を適切に管理していくことになっております。
○アオヤギ委員 事業者は、事業実施後、自然保護条例第五十五条に基づく緑地等管理計画書を提出します。条例の施行規則第六十五条の二に関連の細かな規定もあるのですが、これらによると、工事完了後三十日間で緑地等管理計画書を提出し、そこから一年間、緑地等を適切に管理しなければならず、その後二か月の間に、緑地等管理状況報告書を提出しなければならないことになっています。
しかし、計画書、報告書の書式を見れば分かるように、甚だ簡単なものであり、事後の状況を確認しようがありません。そして、建設残土の影響を把握する義務もなければ、事業者はモニタリングしたとしても、規制部会に報告する義務もありません。
ですから、レッドデータブックに載る数多くの動植物が確認されても、ほとんどが移設となり、計画地に残すとなっても、建設残土の影響がどのようになるのか分からないし、把握しないということです。
せめて、絶滅危惧種など希少動物を守るため、建設残土が希少動物や土壌、水質に与える影響を把握し、事後のモニタリングの期間を長くして、点検内容も強化する規則の改正や条例改正が必要だと考えています。
また、都内の希少種をどう守っていくのか。あまりに希少種に影響を与える開発は許可しないという、希少種を守っていくためのルールづくりも必要だと思います。
今後は、八王子市にこの点検が戻され、開発がされていきます。冒頭述べましたとおり、八王子市には、長年の残土事業での汚職や、持ち込まれた後、放置される事件が相次ぎ、残土規制条例を持っています。
そうした条例を避けて、事業者は、残土持込みのみの計画ではなく、サッカー場や公共性の高い事業をするために残土を持ち込むという計画に変えて、申請をするようになりました。
そのため、八王子市では、土地計画法の開発許可を適用させ、市の答弁でも残土事業ではないと答弁されています。
しかし、この開発許可申請も簡単にはできないように、八王子市市街化調整区域の保全に向けた適正な土地利用に関する条例、ガイドラインを制定し、そこには、盛土をするための土砂は事業区域内で発生する土砂を使用すること、やむを得ず事業区域外から土砂を搬入する場合は、公共性、公益性が認められる事業であること、また、盛土をする際には土質試験等を行い、物理的、化学的性質が現場条件に適した土質材料を使用するとともに、風水害等に対し安全性が担保された形状とすること、こうしたことが書かれ、物理的、化学的性質が現場条件に適した土質材料を使わなければならず、市は、開発許可申請が提出されている中、検査方法やその頻度、そういったものも事業者と詳細に協議を行いまして、有害物質の混入がないよう適正に指導、確認をしてまいりますと答弁していますから、残土の中身をどのようにチェックするのかが問われています。
また、この事業は残土事業ではないという建前としてありますが、規制部会での事業者の説明のとおり、建設残土を持ち込むということがはっきりしています。しかし、この建設残土で得られる資金を使ってサッカー場を運営しようとすれば、残土で埋め立てた後は、収入が大幅に減ることも考えられます。
事業者は、会社の運営資金でサッカー場を賄う、利用料は取らない、五億円を借り入れて、年間五千万円を十年で返すという計画です。こうした経営状況についても意見がありました。残土を持ち込んだことで得られる資金がサッカー場の運営に充てられるのでしょうか。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 事業者の保全計画書によると、施設の運営費用は、産業廃棄物処分業などの会社の本業の収益で賄うとしております。
○アオヤギ委員 この会社の本業の一つは、建設残土を受け入れて再生土をつくることであり、この計画地の隣接地に再生土のプラントを持っています。
この事業には、二十九万立方メートルの残土が必要ですから、もし建設残土を改良するための費用を差し引き、借入れ五億円を足したとしても、また、サッカー場の利用料金をただにしても、お釣りが来るほどの莫大な利益が得られると考えられます。まさに残土事業です。
こうした事業を優先し、絶滅危惧種など貴重な動植物が失われれば、二度と回復することはありません。絶滅危惧種を東京都はどのように守っていくのか、お答えください。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 開発許可制度における行為地内の希少種については、できる限り保全するよう、事業者を指導しております。
○アオヤギ委員 できる限りということでは、ごく近い将来、野生での絶滅が極めて高いレッドデータブックの絶滅危惧種は守ることはできないと思います。
自然保護条例では、許可制度ですので、許可をしないということがあってしかるべきものだと思います。
また、先ほども述べたように、今後の事後の調査の強化やモニタリングの結果を規制部会の専門家に点検してもらう規則の改正や条例の改正がどうしても必要であると指摘をします。
もう一つの残土事業、八王子市内の川町スポーツパークについて伺います。
この事業は、先ほどの宇津貫のサッカー場に先んじて、二〇一二年、近隣住民に説明され、大きな反対運動が起きております。
持ち込む残土は熱海市の事件の約八倍、五十五万立方メートルという量で、高さは最大三十八メートルにもなる、宇津貫よりも規模の大きい計画です。こちらもサッカー場を造るという名目で残土を持ち込む計画です。
こちらの計画は、規制部会で、自然環境保全書に不備が多く、資金計画も不備がありました。再提出を求められ、提出しましたが、この内容にも疑問が出されたまま、再々提出はできない状態で、現在止まっています。
最後に事業者が規制部会に出席したのはいつですか。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 仮称八王子スポーツパーク建設事業は、屋外運動施設を建設する事業であり、自然環境保全審議会規制部会が開催されたのは、平成三十一年二月でございます。
○アオヤギ委員 四年前以降、この事業の規制部会は開かれておらず、事業者からは改善案が示されていないということです。
この事業は、資金が数十万円という団体で、こちらも残土事業ではないかという指摘に、市は一応、残土事業ではないと説明していますが、サッカー場が本当に運営されるのか、全く不透明な状況です。
事業者が提出している資金計画に、totoなどの補助金を運営費に充てるという計画を出していますが、今年、東京都サッカー協会へ住民の方々が問合せをしたところ、当該事業者に支援金を支出する約束も話も一切していないと述べられています。
こちらも専門家の方々が調べた結果、貴重な自然が残っていることが分かっています。
最初の説明から十年以上がたつ中で、先ほど申し上げた八王子市の市街化調整区域の保全に向けたガイドラインがつくられ、熱海の残土事件後の盛土規制法がつくられているため、これらの基準も守られなければならないと考えています。
また、都の自然環境保全審議会には、昭和四十八年提出の案件も審議中の扱いになっており、明らかに申請者がいない、または諦めたものかと考えられます。
規制部会の指摘が改善できないまま時間がたった計画は、一旦整理すべきと思います。期限を設け、答えられなければ不許可とすることが妥当と考えます。
そこで伺います。計画の取下げは可能ですか。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 計画の取扱いは、取下げも含めて、事業者の判断によるものでございます。
○アオヤギ委員 取下げも含めて、可能だということだと思います。規制部会への返答を用意できないということであれば、そういう事業は一旦整理をするということも必要だと思います。
住民は、熱海市の事件の数倍にもなる残土事業が住宅のすぐそばで行われ、また、貴重な自然が失われるおそれがあると、この十年間、不安を抱えております。
今日的にこうした残土事業は厳しい規制が必要ですし、貴重な残された自然を守ることが最優先にされなければならないと思います。事業者が網目をくぐって開発をしないよう、条例改正や規則改正を求め、質疑を終わります。
○小宮委員 脱炭素社会の実現に向けた都の再エネ施策について伺います。
東京は、現在、エネルギーの九割を他県に頼っておりまして、エネルギーの大消費地という話が再三出ておりますけれども、こうした中、東京都は、二〇三〇年に都内電力消費量に占める再エネ電力の利用割合を五〇%程度とするという目標を掲げまして、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた様々な取組、もう質疑の中で出ておりますけれども、そうした取組を進めております。
そこでまず、二〇三〇年再エネ利用割合五〇%程度の目標に対して、具体的にどのような取組によって、どう達成を目指していくのか、また、五〇%の数値目標の構成比率について伺います。
○荒田気候変動対策部長 東京は、エネルギーの大消費地の責務として、最大限の省エネに取り組むとともに、再エネの基幹エネルギー化を進めていくことが重要でございます。
都は、二〇三〇年目標の達成に向けて、建物が多い大都市東京ならではの強みやポテンシャルを生かし、新築住宅等への設置義務化をはじめ、既存建物、公共施設等での導入拡大により、再エネ電力の地産地消に資する都内太陽光パネルの導入量を二百万キロワット以上とする目標を掲げております。
この二百万キロワットによる再エネ発電量は、再エネ電力利用割合五〇%のうち四%程度でございまして、系統電力の再エネ化や、エネルギー環境計画書制度の強化を通じた小売電気事業者等の取組促進など供給サイドの取組と、都外PPAの拡充や再エネ一〇〇%等電力の利用促進など需要サイドの取組の両面で、残りの四六%の割合を目指し、都内再エネ電力の一層の利用拡大を推進してまいります。
今年六月に設置した再エネ実装専門家ボードから提案や助言をいただきながら、あらゆる施策を総動員し、二〇三〇年目標の達成を目指してまいります。
○小宮委員 再エネ電力利用割合五〇%を目指していて、そのうちの四%が太陽光で、その他は供給サイドや需要サイドによりまして四六%を目指すということでした。
今、二〇二一年度実績が出ていますけれども、再エネの割合は二〇・二%ということで、過去の二年分のこれから出てくる実績と、それから二〇三〇年まであと六、七年というところになりましたけれども、この間でプラス三〇%の再エネの普及が必要ということを聞きますと、とても目標が高いなというふうに私は感じますけれども、脱炭素社会の構築のための基幹エネルギーという話が本日も多々出ておりますが、基幹エネルギーとしなければならないわけですから、再エネをつくり出すということと、それから再エネへの転換を促すということと、そして再エネを使うということを都民や事業者とぜひ共有をするということ。
東京都が掲げる二〇三〇年の再エネ五〇%の目標ということを、私自身もこうやって聞かないとなかなか分かりにくい部分もありますけれども、ぜひ都民に分かりやすく伝えていただきたいということを要望しておきます。
それから、新制度施行に向けて、太陽光パネルの国内メーカーの支援、東京の地域特性を踏まえて技術革新の誘導をするなどといった質問やご答弁などは、既に出ておりますので割愛をさせていただきまして、次に、太陽光パネルだけでなくて、これから目指す、その次に、東京においては陸上だけでなくて、海の可能性、東京湾もございますし、その南方、海上に伊豆諸島も広がっておりまして、そうした様々なポテンシャルを有しております。
東京都は六月に、様々なそうした分野の専門家、実務家等から助言をいただいて、実効性のある再エネ社会実装を推進するための再エネ実装専門家ボードを立ち上げておられまして、第二回目は洋上風力と、それから海洋エネルギーについて議論をされたというふうに聞いています。
そこで、都は今後、東京の海域を活用して、再生可能エネルギーの普及をどのように進めていくのか伺います。
○小林再生可能エネルギー実装推進担当部長 再生可能エネルギーのさらなる実装に向けましては、地域特性を踏まえた再エネ設備の選択、導入が重要でございます。
本年九月に開催した第二回東京都再エネ実装専門家ボードでは、専門家の方々から、伊豆諸島の海域はおおむね毎秒九メートルを超える好風況であり、洋上風力発電及び火力発電のポテンシャルがあることや、離島のカーボンニュートラル化のみならず、東京全体の地産地消のエネルギー源としても有効というご意見をいただきました。
こうした再エネ実装専門家ボードでのご意見を参考に、海洋エネルギー実装の可能性につきまして検討を行ってまいります。
○小宮委員 東京都の持つそうした潜在力を生かしていただいて、積極的に取組を進めていただきたいと思います。
今後、世界的に洋上風力は、水深が深い海域でも設置できる浮体式が主流になっていくということでして、そうした浮体式の技術に強みがあると聞いている国内企業の技術開発がさらに加速していく、また、東京都がそうした支援も、太陽光パネルでもそういうお話がございましたけれども、積極的に取り組んでいただくよう、お願いしたいと思います。
次に、排出も消費も増加の傾向が強いということで、今日もたくさん出ておりましたが、家庭部門におけるCO2削減対策について伺いたいと思います。
都内のCO2排出量の約七割が建物でのエネルギー使用、とりわけ全体の三割を家庭部門ということで、部門別では産業、業務、運輸の削減が進む一方で、家庭部門というのは、世帯数も増えていたり、また近年は、コロナ禍において在宅の時間が増えていたりという影響がありまして、唯一、残念ながら増加をしております。
特に住宅というのは生活の基盤でありまして、環境性能の向上が欠かせないと思います。
そこで、今後、家庭部門におけるCO2排出量の削減に向けて、住宅の省エネ化にどう取り組むのか見解を伺います。
○荒田気候変動対策部長 住宅の断熱、省エネ性能を向上させることは、エネルギー消費量を削減でき、CO2削減に貢献するほか、光熱費の削減にもつながります。
そこで、都は、東京ゼロエミ住宅導入促進事業により、高い環境性能を有する新築住宅の普及拡大を図るとともに、既存住宅の窓等の断熱改修支援や省エネ家電への買換え支援を拡充するなど、幅広い取組を行っております。
今後、新築住宅等については、令和七年四月から施行する大手ハウスメーカー等を対象とした建築物環境報告書制度を通じて、断熱、省エネ性能の向上を強力に進めてまいります。
また、既存住宅におきましても、これまでの窓やドアに加え、今年四月から、壁や床などの断熱改修も補助対象とし、その活用をリフォーム関係団体等に働きかけるなど、住宅全体の断熱性向上を強く促してまいります。
こうした取組について住宅関連団体等とも連携しながら幅広く周知し、都民の理解と共感を深めることで住宅の省エネ化につなげ、家庭部門のCO2削減を積極的に進めてまいります。
○小宮委員 今後、都内の新築住宅は、条例ですとか支援制度によりまして、基本的に環境性能の高いものとなるだろうというふうに思います。
それに比べて、既存の住宅を転換するということは、先ほど小松理事からも賃貸の課題なんかも伺いましたけれども、やはり東京の都民の住まい方というものを考えると、そのきっかけやタイミングなど、簡単ではないというふうに思いますけれども、都内全体の棟数でいうと、二百万棟のうち新築は毎年四万棟程度ということですから、新築だけでなく、既存の住宅への支援がしっかりと行き届くような努力をぜひ求めておきたいと思います。
それから、話は変わりまして、食品ロス対策について伺います。
私は杉並に住んでおりますけれども、杉並でも子供食堂など、食を支援する団体が四十三か所ほどあるというふうに確認をしておりますけれども、様々な活動が、昨今、大変活発に展開されるようになっております。
そういう中に民間団体も多々ありまして、食品の支援が必要な人と、それから食品ロス対策に取り組む事業者と、そうした人と人をつなぐ人ということがあって、それがうまくつながるといいんですけれども、やはり民間の事業者にとっては、いろいろな点でマッチングや、搬送や、そういった点で大きな課題があるというふうにお話を聞いておりますが、東京都においては、令和二年から、食品ロス削減に向けまして、東京都や都内の自治体が保有する期限間近の防災備蓄食品をフードバンクなどに寄附する事業を実施していますが、この間の取組について、状況について伺います。
○中島資源循環計画担当部長 食品ロスの削減に向けては、賞味期限が迫る防災備蓄食品を廃棄することなく、フードバンク等に寄贈することが有効でございます。
都は、令和二年度にマッチングシステムを構築し、自治体やフードバンク等にその利用を働きかけ、提供元として、都のほか二十四区市、提供先として、フードバンク等の十五団体を登録しております。
寄贈量は年々増加し、令和四年度は四十六件のマッチングが成立し、前年度に比べ二倍に当たる約五万七千六百食の支援につながりました。
今年度も、さらなる寄贈を呼びかけ、十月末時点で昨年度を上回る約五万八千三百食の寄贈を行っております。
○小宮委員 また、量は増えているということで、量の確保の先には、やはり例えば幅の広い種類の食品を選択できるといったことなど、より活用しやすい環境を整えていけたらなというふうに思いますが、子供食堂などではお菓子類が好まれ、高齢者には白がゆが喜ばれるなど、支援を受ける方により、好まれる食品が異なるという話も聞いております。
そこで、東京都としては、今の事業の中で、多様な食品の確保などフードバンク等のニーズにどのように応えているのか伺います。
○中島資源循環計画担当部長 マッチングシステムでは、都内自治体や都の公営企業、教育庁所管の学校などから、様々な食品の提供を受けております。
この結果、昨年度は白米やひじきご飯などの主食、カレーやハンバーグなどのおかず、ビスケットやクラッカーのおやつなど、多種多様な食品の寄贈をすることができました。
また、寄贈食品の受渡しに当たっては、フードバンク等による引取りに加え、寄贈元からの配送や、都が手配するトラックで複数の寄贈元や寄贈先を取りまとめた配送なども実施し、利便性の向上に努めてまいりました。
今後も引き続き、自治体とフードバンク等の双方のニーズを把握しながら、きめ細かな対応により、寄贈の拡大を促進してまいります。
○小宮委員 量の確保だけでなく、質についても、きめ細かな対応をいただいているという話でした。
食品ロス対策は進めばいいなと皆が思っておりますけれども、寄贈元と寄贈先をつなぐといったことも含めて、民間の皆さんの取組もなかなか難しいところがあるということもありますので、ぜひ環境局の皆様には、東京都の施設のことで始めたことでありますけれども、そうした民間の事業にもご指導、ご支援をいただけるように、それによって食品ロスがなくなるように、削減されるようにお願いしたいと思います。
質問を終わります。
○増子委員 私からは、ZEVと集合住宅の駐車場について伺いたいと思います。
まず、集合住宅のEV対応について伺います。
EVの普及を推し進めるためには、多くの都民が居住する集合住宅でも安心してEVを購入できるインフラを整備していく必要があります。
EVユーザーの利便性の観点からは、自宅で充電できる環境が求められますが、集合住宅では充電器の設置費用や導入後の管理、運用面での負担が大きいことから、管理組合の合意形成が容易ではなく、簡単には導入が進められないと聞いています。
都は、集合住宅での充電設備設置拡大に向け支援策を展開していますが、都内の集合住宅におけるEV充電設備の設置状況とこれまでの取組について伺います。
○荒田気候変動対策部長 都内では、世帯の約七割が集合住宅に居住しており、集合住宅にEV充電設備設置を促進していくことは重要でございます。
令和四年度末時点の設置数は、都の補助制度の実績と充電事業者からのヒアリング等の情報を合わせて八百九十九基でございます。
都は、集合住宅の充電設備の設置に向け、管理組合の検討段階や導入段階、運用段階に応じた様々な支援策を行っております。
検討段階の支援としては、充電設備に特化した総合情報提供サイトの開設に加え、気軽に参加できるオンラインマッチングセミナーの開催、アドバイザーの派遣、充電事業者とのマッチング会などの対面型の支援のほか、管理組合が設置を検討する際の現地調査経費の補助を実施しております。
導入段階の支援としては、充電設備購入費用と設置工事費用の補助を実施し、運用段階の支援としては、充電設備設置後の電気料金の補助を実施しております。
こうした取組によって、集合住宅における充電インフラの普及を促進してまいります。
○増子委員 これまでのところ、集合住宅へのEV充電設備の設置は八百九十九基ということですけれども、さらに設置を促進していく必要があるかと思います。
集合住宅での充電設備の設置拡大は、EV普及にとって不可欠ですので、今後、多くの管理組合に利用されるように、広報活動を強化するなど、様々な支援策を行っていただくようにお願いをしておきたいと思います。
さて、私の事例で恐縮ですけれども、自宅に駐車場がないので、近所のマンションの駐車場を借りて駐車しているんですね。ちなみに、このマンションというのは築三十六年、駐車場に入れられる車については、幅が千八百五十ミリ、重さが千六百キログラムという制限があるわけですね。
私の車は、幅千八百ミリ、重さ千五百八十キロなので入っているということなんですけれども、さて、これをもしZEVにしようかなと思ったときに、なかなか簡単じゃないなということが分かりました。
今、普通に通常売られている電気自動車というのは、例えば日産のアリアですと千九百二十キロあるということですし、トヨタの水素燃料電池車のミライだと現行車で千九百二十キロから千九百九十キロあるということです、カタログ上。ほかにもいろいろ見ると、結構重いということが分かります。こうやってみると、バッテリーEVにせよ、FCEVにせよ、バッテリーを大量に積むという形式の車は、おおむね三百キロから四百キロは、いわゆるガソリンエンジン車に比べれば重いということがいえるというふうに思うんですね。
私の近所の駐車場もいろいろ自分では見てみたんですが、古いビルですとかマンションだとかというところは、やっぱり私のところと同じで、千六百キロだったり、あるいは千八百キロが制限だったりしています。まあ、二千キロというところもありますし、最大は二千三百キロというところもあるんですけれども、なかなか大きな車が入る駐車場というのは少ない上にあまり空いていない、あるいは料金的にも当然相対的に高いというふうに感じます。
近年、自動車が大型化、あるいは重くなっているということで、古い機械式駐車場では対応できないというケースが増加しているんじゃないかなというふうに思います。
私の事例をいいましたが、私のような人が都内に多分たくさんいると思います。
都は、二〇三〇年の新車販売台数に占めるZEVの割合を五〇%まで高める目標を掲げて、ZEVの普及に取り組んでいます。近い将来、ZEVが増えたときに、都内の集合住宅に多い機械式駐車場に、そもそも駐車することができるのかという心配をしております。
そこで、集合住宅における機械式駐車場のEV対応の状況について伺います。
○荒田気候変動対策部長 集合住宅の管理組合や居住者から、機械式駐車場へのEV充電設備の設置に関する問合せが多く寄せられており、都としても、機械式駐車場メーカーにヒアリングを行っております。
機械式駐車場メーカーでは、大型化する車両やEV車両の重量幅に対応した設備を開発し、製品ラインナップに加えており、現在販売されているEVをほぼ駐車できるよう対応しております。
新築の集合住宅につきましては、ディベロッパーのニーズに応じて製品を提供しており、入居者のEVに対応した機械式駐車場を整備することで、駐車が可能であると聞いております。
○増子委員 メーカーさんにヒアリングまでしていただいたそうで、ありがとうございます。
機械式駐車場メーカーは、大型化するEV車両に対応した製品を現在は提供していて、新築の集合住宅ではEV対応が可能だということは分かりました。
実は、私も機械式駐車場メーカーの方にお話を伺いました。お聞きすると、最近では、最大では耐荷重二千七百七十キロの駐車場まで提供しているというお話でした。だとすると、課題になってくるのは、既存の集合住宅ということになるというふうに思います。
機械式駐車場は、一九八〇年代の後半から急速に普及してきていまして、都内には相当数の機械式駐車場が存在しているというふうに思います。
ただ、私が聞いたところ、既存の機械式駐車場でも、パレットの、パレットというのは車を載せる台のことをいうんだそうですが、パレットの改修で、車両の重量化と、あるいは大型化にも対応できるというものもあるというふうに聞いています。
そういう重量化しているEVが駐車できない古い機械式駐車場について、EV普及を目指す都として、何らかの対応が必要なのではないかと思いますけれども、都の見解を伺います。
○荒田気候変動対策部長 既存の機械式駐車場につきましては、設置時期やメーカーによって異なりますが、現在販売されているEVのうち、駐車可能な車種はおおむね三割から八割程度になると聞いております。
設置時期が古い分譲の集合住宅では、現在の駐車場需要以上の駐車台数を有していることが多く、利用実績に応じた必要台数まで減らすことで、機械式駐車場から平置き駐車場への転換、車両の重量化と大型化に対応したパレット改修や最新機種への更新により、EVの駐車が可能になります。
こうした旧式の機械式駐車場のEV対応につきまして、住宅政策本部とも連携を図りながら、充電設備に特化したポータルサイトや気軽に参加できるオンラインセミナーなど、様々な広報ツールを通じて周知してまいります。
機械式駐車場における運用状況等の実態や課題について把握することで、適切に対応をしてまいります。
○増子委員 ありがとうございます。
既存の旧式の機械式駐車場でも、改修ですとか、あるいは最新機種に更新するということで、重量化したEVでも駐車をすることが可能だということが分かりました。
ここのところ、東京ではジャパンモビリティショーが行われたり、名古屋でも技術者向けのオートモーティブワールドというのが行われていて、どっちも行ってきたんですね。
自動車技術の進歩というのは物すごいスピードで進んでいるというふうに感じましたし、特に興味を持ったのは、全固体電池という電池です。今日もリチウムイオンバッテリーのお話が随分出ていましたが、電解質が液体か固体かによって安全性も随分変わるということで、その意味でも意味のある電池なんだそうです。
先日、トヨタと出光がこの全固体電池の共同開発を発表したんですけれども、二〇二七年もしくは二〇二八年には、これを大量生産して、車載するということを目標にしていて、この全固体電池は十分以内の急速充電で千キロ以上が走行可能だということだそうでございます。
そうなると、ガソリンスタンドを利用するのと同じように充電することが、ほぼ近い形でできるようになるので、自宅で充電できない人でも購入しようとする人が多分急速に増えるんじゃないかなと想像できます。私も買おうかなと思いますね。
なので、都は、これまで以上のスピードでこの問題にぜひ取り組んでいただいて、こうした情報を集合住宅の管理組合や居住者の皆様へ周知をお願いするとともに、EVの普及に向けて、都内の集合住宅に多い機械式駐車場について、自動車のEV化に伴う車両重量の増加に対応するための方策をぜひ検討していただきますように要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽根委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時五十二分散会
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