環境・建設委員会速記録第十号

令和五年九月二十九日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長須山たかし君
副委員長曽根はじめ君
理事柴崎 幹男君
理事成清梨沙子君
理事小磯 善彦君
漢人あきこ君
もり  愛君
原  純子君
渋谷のぶゆき君
伊藤こういち君
こいそ 明君
山田ひろし君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長宮澤 浩司君
理事高崎 秀之君
総務部長緑川 武博君
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長長谷川徳慶君
気候変動対策部長荒田 有紀君
再生可能エネルギー実装推進担当部長小林 洋行君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長戸井崎正巳君
環境改善技術担当部長宗野 喜志君
自然環境部長生物多様性担当部長兼務和田 慎一君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環技術担当部長横山 英範君
資源循環計画担当部長中島 隆行君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長古屋 留美君
道路監花井 徹夫君
総務部長荒井 芳則君
用地部長澤井 晴美君
公園緑地部長佐々木 珠君
河川部長斉藤  有君
企画担当部長松島  進君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
建設局関係
契約議案の調査
・第百八十三号議案 神田川整備工事(その四十三)その二請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百八十七号議案 土地の買入れについて
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十四号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について

○里吉委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和五年九月二十七日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 里吉 ゆみ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百八十三号議案 神田川整備工事(その四十三)その二請負契約
2 提出期限 令和五年十月二日(月)

○里吉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の付託議案の審査、建設局関係の契約議案の調査並びに環境局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百八十三号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小磯(善)委員 契約案件の神田川整備工事(その四十三)その二について質問をいたします。
 近年、全国各地において頻発化、激甚化する大雨によって豪雨災害が発生しており、東京においても、本年六月ですか、神田川流域であります善福寺川で溢水被害が発生をしているわけでございます。
 これまで都は、中小河川において護岸整備や水道橋分水路などの分水路整備、神田川・環状七号線地下調節池などの調節池整備を進めてきたところでございます。
 こうした溢水被害をなくしていくためには、護岸整備を着実に進めることが重要であると、このように考えるわけでございますが、そこでまず、神田川における護岸整備の実施状況についてお伺いしたいと思います。

○斉藤河川部長 神田川では、中小河川整備の計画延長二十・六キロメートルのうち十八・一キロメートルの護岸整備が完了しております。
 現在、本契約案件の工事箇所である新宿区と文京区にまたがる白鳥橋上下流のほか、中野区本郷橋付近及び杉並区の神泉橋下流の二か所で護岸整備を実施しております。

○小磯(善)委員 神田川の護岸整備が様々な場所で進められているということで、整備を着実に進めてほしいと思います。
 神田川の中小河川区間では、本契約案件の箇所を含め三か所で工事を実施しているという答弁でございました。
 そこで、神田川では複数箇所で護岸整備が進められているが、いわゆるどのような考え方に基づいて進められているのか、お伺いしたいと思います。

○斉藤河川部長 都の中小河川におきましては、下流から順次、川幅を広げるなどの護岸整備を行うことを基本としております。
 このうち、沿川に住宅が密集するなど整備に長期間を要する神田川におきましては、護岸整備に先行して調節池を設置し、下流の安全性を高めた上で、上流に向けて護岸整備を進めるなど、水害に対する安全性の早期向上に取り組んでおります。

○小磯(善)委員 護岸工事に合わせて調節池の整備を行うということで、まずは、下流の安全性を高めて、上流に向けて護岸整備を進めていくと。事業をできるだけ早く進めているということでございます。
 今回の本契約案件の工事内容についてお伺いしたいと思います。

○斉藤河川部長 本工事は、文京区後楽二丁目地内から、新宿区新小川町地内における神田川の白鳥橋上下流で、白鳥橋の架け替えに伴う現橋梁の撤去と、橋台を含む延長七十一・五メートルの護岸整備を実施するものでございます。

○小磯(善)委員 橋梁の架け替えの工事をやるということでございますけれども、今後、この神田川の護岸工事に伴った架け替えを行う橋梁が何橋あるのか伺いたいと思います。

○斉藤河川部長 今後架け替えを行う橋梁は、二十四橋を予定しております。

○小磯(善)委員 二十四橋ということでございまして、後ほど述べますが、相当の時間がかかるということでございますが、さて、対策強化流域である神田川などの区部の河川では、目標整備水準である年超過確率二十分の一の降雨規模、時間七十五ミリへの対応は、河道で五十ミリ、それを超える部分は調節池などで行うということでございます。
 そこで、本契約案件区間では分水路が整備されておりますが、分水路はどのような役割を担っているのかお伺いしたいと思います。

○斉藤河川部長 神田川の下流部におきましては、早くから市街化が進み、河道沿いに密集した建物や幹線道路が存在していたことから大幅な河道拡幅は困難でありました。
 そのため、河道と並行した幹線道路の拡幅などに合わせ、その地下に分水路を設置することで河道の役割の一部を分担させております。

○小磯(善)委員 最後に、今議会の本会議の質問でも河川の気候変動対策として、一・一倍の降雨に耐え得る河川整備が論点となったところでございます。こうした目標水準の引上げにどれだけ現実の整備が追いつくかというのが大変重要になってくると、このように思います。
 神田川の橋梁の架け替えが、先ほど二十四か所もあるという答弁でございました。橋梁一か所で十年はかかるとすると、大変な、二百四十年という気の遠くなる期間でありますけれども、三か所同時に並行で橋梁を架け替えるということで、三分の一の時間短縮になるということでございます。
 そこで、橋梁の架け替え、護岸整備について一日も早い完成を目指して、都民の安全・安心に向けての取組について、建設局の決意を求めたいと思います。

○斉藤河川部長 激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池等の整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 このため、都は、神田川などにおける護岸の着実な整備に加えて、調節池では、境川木曽東調節池、下高井戸調節池、城北中央公園調節池などで整備を進めております。
 こうした施設の整備を着実に進め、豪雨に対する安全性を高めてまいります。

○小磯(善)委員 よろしくお願いします。

○曽根委員 私からも神田川の護岸整備の契約案件について何点か簡潔にお聞きしたいと思います。
 この護岸整備の工事、議案の番号が四十三その二ということで、かなりの工区をずっとやってきたんだということで、地元の私どもの会派の区議会議員の人に聞いてみたら、その人が初当選をした三十二年前から神田川の文京区内の橋を十か所ぐらい、ずっと架け替えをやってきて、文京区内でいうと、ここが新宿区の区境ですから最後の十橋目が白鳥橋ということになるんだそうで、その間、三十年以上。本当は十年ぐらいでやる予定だったのが、遺構が出てきたり様々な問題があって遅れてきているというようなお話を聞きました。
 なかなか複雑な、川の沿岸の、しかも高速道路が上を走っているという、なかなか条件の厳しい中での護岸整備と、それから橋の架け替えということで、何年かかけて今回も行うようですが、東京都は、そういう意味では、日本で最も技術の優れた道路整備、護岸整備の技術を持っていますので、ぜひ安全に気をつけてやってほしいと思います。
 その上で何点かお聞きしたいんですが、神田川の白鳥橋付近が文京区内では最後の方だということでしたが、白鳥橋がこの間ずっと残されてきた理由というのは、どういうことになるんでしょうか。

○斉藤河川部長 都の中小河川におきましては、下流から護岸整備を進めることを基本としておりまして、本契約案件付近では、平成三十年から令和三年までの白鳥橋下流での整備に引き続き今回の工事を実施するものであります。

○曽根委員 私、昨日現地へ行ってみたんですけれども、首都高の五号線が上を通っていまして、その先の飯田橋交差点付近は高さ多分十メートル以上あると思うんですが、そこから神田川の上をずうっと下がってきまして、かなり低くなってきているところに白鳥橋が架かっており、上に屋根が架かったような感じですので、薄暗い感じの橋だったので印象的でした。
 工事中かなりの期間、橋が通行できなくなるということですが、現状でのこの橋の自動車交通量は何台で、工事中はどのように迂回をさせるのかお聞きします。

○斉藤河川部長 平成三十年二月の調査によりますと、白鳥橋を通行する車両の台数は一日当たり約六千台でございます。
 白鳥橋の通行止め期間中は、下流の新隆慶橋を主な迂回路とし、路面標示や案内看板等により適切に迂回していただくことになります。

○曽根委員 お聞きすると、まずはその準備の段階で、十月ぐらいから工事が始まった、最初は橋を封鎖する前に、側面を通っている道路の、何ていうんですか、標識などを書き換えると、迂回路を造るというところから始まるそうですが、その前に首都高速がかなり低いところに下がってきている、この橋の架け替えが今後待っていることを考えた場合、どういう対策を取るのか、高さはどれぐらいになっているのかお聞きします。

○斉藤河川部長 地上から首都高速道路の桁下までの高さは約六メートルでございます。
 工事に当たりましては、作業員への注意を促す看板等を設置するとともに、重機が安全な離隔を確保していることを監視し、接触事故の防止を図るなど、工事安全対策を徹底してまいります。

○曽根委員 今回入札の資料をいただきますと二者が応じているんですが、今回提案されている真柄建設株式会社ともう一つの競争相手が都の工事予定価格を超えて入札しておりました。
 多分、私の勝手な推測ですが、安全対策のための費用が結構やはり、監視員を置いたり、様々な費用もかかるので、この見積りの差が出たのかもしれないと思うんですが、落札した企業には、これから高さ六メートル程度の高架の桁下にクレーンなども置いて、鋼材をつり上げたりする作業もあるでしょうから、くれぐれも首都高の橋脚もしくは橋台との接触事故には気をつけてやってほしいと思います。
 あわせて、今後、工事会社が正式に決まってからの地元への説明会なども、また、通勤の人や車が大変多い場所なので、こういう不特定の通行者に対する説明をできる機会を持ってもらいたいと地元から要望を受けております。
 近隣住民と通勤等の利用者などへの説明会、もしくは特別な周知徹底の必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○斉藤河川部長 工事に当たりましては、通行止めや迂回路の情報につきまして、周辺地域における説明会の開催やお知らせの配布、交差点への案内看板の設置に加え、都のホームページへの掲載などにより、歩行者等に対する周知徹底を図ることとしております。

○曽根委員 地元の説明会はぜひお願いしたいと思います。そこでは工事会社が責任を持って、鉄骨などを高速道路の橋桁、橋脚に接触させないための最新鋭の機器による安全監視技術も、具体的にはこれは工事会社の方でどういう手法を取るかを決めるそうですので、会社の責任で、例えばレーザービームなどを使って絶対に接触を避けると。警報が鳴るような最新鋭の装置も含めて、最新の技術を使い安全対策に努める、具体的な対策も示していただけるような、具体的なことが分かる説明会や、また、案内にしてほしいということを強く要望しておきたいと思います。
 といいますのも、先日、八重洲口のビル建設現場で、鉄骨の針をワイヤーでつって仮留めした後に、ワイヤーを外した直後に鉄骨の上に作業員を乗せたまま落下する、五人が死傷する事故があったばかりで、この原因も含めて東京都も調べていると思いますが、また、少し前には東名高速でも巨大な、大変大きな高架道路の路面を水平に設置することに失敗しまして滑り落ちると。
 この水平を維持するための微妙な高さ調整の人数が、私、広島の例にあったように十分だったのかということや、最新の技術を持った人の不足が影響していないかなど、非常に気にかかる事故がこの間相次ぎましたので、その点、東京都の建設現場として万全の対策を改めて要望しておきまして、質問を終わります。
 以上です。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○里吉委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百八十七号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○渋谷委員 練馬城址公園の整備についてですが、今回の購入は三ヘクタールと広いものであり、また、令和十一年に向け整備していくものと聞いています。
 城址公園という名称であり、歴史を伝える文化ゾーンにもなるとのことですが、そのためには、練馬城などの歴史を生かしていくことも必要と考えます。
 また、この場所がとしまえんであったことも一つの歴史であり、大正十五年に練馬城址豊島園との名称で開園するなどの歴史も後世に伝わるようにしていくべきと考えますが、この点について伺います。

○根来公園計画担当部長 本年五月に開園した区域には、としまえんの正門やベンチを再利用した広場を整備し、練馬城址豊島園やとしまえんなどの歴史を紹介する解説板も設置しております。
 今後、石神井川南側の練馬城跡の歴史エリアにつきましても、練馬城や練馬城址豊島園開設の歴史を伝える場として整備してまいります。

○渋谷委員 令和六年度にも土地を取得し、令和十一年に向けて整備する計画と聞いていますが、この公園は防災公園でもあり、また、地元の皆さんも早期の完成を期待しているところであり、早めに整備することはできないでしょうか。今後の整備の予定を伺います。

○根来公園計画担当部長 本公園におきましては、段階的に整備を進めていくこととしておりまして、これまで令和五年度に花のふれあいエリアなど、三・二ヘクタールを開園いたしました。今後、練馬城跡の歴史エリアや緑と水の憩いエリアなどの整備を進めてまいります。
 こうした整備の途中段階におきましても、周辺からの避難者を円滑に受け入れることができる出入口や避難空間を確保し、防災機能の強化を図ることとしております。
 また、令和十一年度の概成に向け、整備の進捗に合わせて順次開園してまいります。

○渋谷委員 この公園の緑地についてですが、最終的には、この公園の緑地面積はどの程度増えるのか伺います。

○根来公園計画担当部長 令和十一年度の公園概成時には約十一ヘクタールが開園し、新たな樹木の植栽や草地広場等の整備により、区域内の緑が増加することとなります。

○渋谷委員 練馬城址公園の都市計画決定は昭和三十二年と記載されています。その後、優先整備区域に設定されたのは平成二十三年であり、さらに、今回の用地取得までも時間を要するなど、公園の整備までは長い年月がかかるものだということを改めて感じます。
 時間がかかっているという点では、狭山丘陵には、観音寺森緑地という都市計画緑地があります。かなり以前に都市計画決定され、平成二十三年に優先整備区域に設定されたものの、今なお事業化されておらず動きが見えません。
 私のところにも地権者の方から、東京都に早期に買い取ってもらえないだろうかとの相談が寄せられています。将来の公園整備に向けて、早期の事業化を願うものです。
 都心部の公園の整備だけでなく、樹林地から成る丘陵地の公園なども緑を守るためにも重要な存在であり、緑地保全のためには早期に事業化し、用地取得を着実に進め、公園整備を推進していく必要があります。都の見解を伺います。

○根来公園計画担当部長 緑あふれる東京の実現に向けて、緑のネットワークの拠点となる公園の整備は重要でございます。とりわけ、樹林地から成る丘陵地は、東京全体の緑の保全に寄与するものであり、公園としての整備を着実に進めていくことが重要であると認識しております。
 都はこれまで、都市計画公園緑地の整備方針に基づき、整備効果を早期に発現するため、優先整備区域を設定し計画的に事業を進めておりますが、一方で、区域外地権者から早期の買取りを求める声があることも承知しております。
 先月、都は、百年先を見据えた新たな緑のプロジェクトとして東京グリーンビズを立ち上げ、緑を守る、増やしつなぐ、生かす取組を強化することとしておりまして、その柱の一つに公園整備の加速を掲げております。
 東京の緑豊かな環境を保全するため、今後、用地取得体制の強化を図るなど、丘陵地を含め公園整備を加速してまいります。

○渋谷委員 用地取得体制の強化など、緑地の保全に向け、新たな動きが出てきたことは一歩前進ですが、宅地化などが進む中では、東京の緑の保全は待ったなしであり、道半ばといえます。
 せっかくグリーンビズという取組を掲げているのですから、練馬城址公園はもちろん、その他の公園についてもしっかりと緑地が保全できるよう、スピード感を持って公園整備に取り組んでいただくことを強く求め、質問を終わります。

○原委員 土地の買入れについて質問します。
 九十四年間多くの人に親しまれたとしまえんが、二〇二〇年八月、閉園となりました。もともと都市計画公園として、東京都の震災条例に基づく避難場所に指定されていたとしまえんの敷地ですが、東日本大震災を踏まえ、防災機能強化に向け重点的に整備することとし、新たに事業認可を取得する優先整備区域に設定されたのは二〇一一年十二月です。
 本計画は、西武の土地である元としまえん敷地二十六・六ヘクタールを都が区画を分けて買い入れ、都立公園として整備する計画です。
 昨年は、四ヘクタールを約百億円で買い入れ、うち三・二ヘクタールをエントランスゾーンBと花のふれあいゾーンAとして、今年五月、都立練馬城址公園の新規一部開園を行いました。
 全体の四分の一に当たる石神井川の北側ゾーンは、ワーナーブラザーススタジオツアー東京が同じく今年六月に開園しており、この一帯は三十年間は西武が民間事業者に貸し出すということで、その後、公園に整備する予定になっています。
 今回の買入れは、石神井川の南側のBゾーンとなっている敷地の約四割を占める三ヘクタールで、取得予定額は約八十億円です。としまえんプールのハイドロポリスなどがあった場所です。
 公園整備の土地買入れに当たり、国庫補助も前回は三十億円、今回の買入れでは二十六億六千万円受けるとのことです。都立公園の整備による避難地、避難路の確保という公共の役割に対し出される国庫補助だそうです。
 今回買い入れる敷地であるDゾーンは、歴史を伝える文化ゾーンとされていますが、その部分の計画はどのように考えているのか、また、その設計のスケジュールについて伺います。

○根来公園計画担当部長 本公園の整備計画では、お話の人々を繋げ歴史を伝える文化ゾーンについて、地形や自然を生かした練馬城や遊園地が積み重ねてきた文化やにぎわいの歴史を伝える憩いの空間として計画しております。
 令和十一年の概成に向け、今後、測量や設計を実施してまいります。

○原委員 Dゾーンは、まだ敷地全体の買入れが済んでいないので、また次年度以降の買入れとなると思いますが、ここの整備は石神井川のCゾーンに接するため、川辺との調和、連携も含めた公園の中の大事なゾーンになるというふうに思います。
 としまえん閉園に当たり、プールだけは残してほしいとの強い要望もありました。整備計画のDゾーンを見ると、水遊び広場や自然観察を楽しめるよう整備する緑と水の憩いエリア、そして練馬城の地下遺構保全や、開園当時のシンボルだった噴水の修景施設も予定されるなど、歴史を伝えるエリアとして計画されているようです。
 この夏、酷暑だったこともあり、やっぱりこの公園にプールが欲しい、としまえんプールの規模とはいわないがプールを造ってほしいとの地域の声がかなり強く今も出されております。
 また、樹木の保全の方針はありますが、樹林地のことなど、どのように保存されるのか、生かしていくのか、こうしたことも関心が高まっています。
 また、災害時の避難場所としての機能についても、今後さらに具体的に示す必要があるというふうに思います。
 二〇二九年の概成に向けて、これから基本設計、実施設計、工事と進むわけですが、現段階の計画の中身やスケジュールが明らかになっていないことが住民には不安です。
 設計が固まってから説明をするのではなく、住民と対話しながら進めていただきたいと思います。今後整備を進めるに当たって、住民への情報提供や意見を聞く機会はありますか。

○根来公園計画担当部長 本年五月に開園した区域の整備に当たりましては、ホームページ等で情報提供いたしますとともに、オープンハウスの開催等により、広く都民の意見を聞いておりまして、石神井川南側区域の整備におきましても、引き続き適切に対応してまいります。

○原委員 ホームページでのアップは当たり前というふうに思いますが、決定してからではなくというふうなことを私は主張させていただきました。
 全面都立公園としての整備が前提だったところに、突然スタジオツアー計画が下りてきた経過もあり、住民は都を信用できないという気持ちが払拭できておりません。オープンハウスで説明しましたというふうになることなく、住民の意見を聞き、懇談する機会を設けてほしいです。必ず機会を設けてくださるよう、お願いをいたします。
 今回の買入れ予定敷地にも一部がかかっている歴史的な建築物である古城の塔について整備計画の中で触れられておらず、心配が広がっております。保存を求める住民署名が取り組まれ、日本建築学会など、専門家からも保存、活用の要望が出されているわけです。
 昨年、建物の状況調査が行われましたが、現在の状態と補修などの必要性を伺います。

○根来公園計画担当部長 お話の建物は、遊園地開設時から食堂や事務所として利用されてきたものでございまして、その耐震性能等を調査したところ、大規模な地震により倒壊する危険性が高いとの結果でございました。

○原委員 耐震の問題で危険だということです。それを受けての今後の取扱いについて伺います。この古城は保存を前提に考えているのでしょうか。お願いします。

○根来公園計画担当部長 先ほど答弁させていただきましたとおり、大規模な地震により倒壊する危険性が高いとの調査結果を踏まえ、今後、建物を使用することとした場合や展示用途で建物を残す場合、建物を撤去する場合のコストや工期等について調査を実施していくこととしております。

○原委員 今後も調査をするということです。建物を残すとしても、使用するか、または展示物として眺めるだけにするのかによっても補修の内容が違うということだと思います。コストがかかるという理由で建物を撤去することだけは避けていただきたいと思います。
 二〇二九年公園概成に合わせて工期を組む関係では、さらなる調査の結果を受けたところで方針を決めることになると思います。一九二〇年代に建てられた歴史的な価値があることに鑑み、保存していただくことを改めて求めるものです。
 その場合も、建築学会など、専門家や、また、都民の意見を聞く機会を持つよう、お願いをいたします。
 関連して、五月に開園したAゾーン、花のふれあいゾーンについての要望を少しお伝えしたいと思います。
 私も現場を見てきました。地域の皆さんにとても喜ばれております。塀だった場所が開放され、草花を育て、四季を感じられる公園になったことで、散歩に訪れる人も多く、高齢者向けの健康器具や子供の遊具も充実し、本当にありがたいということです。
 Aゾーンは、区民団体が草花の観察会をしたり、ボランティアによる水やりなどが取り組まれているそうです。公園をきれいにしようと、管理事務所には軍手とトングが置いてあり、子供たちなど区民が自主的にごみ拾いをするなど、大変工夫が凝らされていました。
 地域住民と共につくる公園、これがとても大事だと思います。Dゾーンの整備に当たっても、整備の段階から、こうした住民対話を大切に進めていくことが私たちの公園、自分たちの公園という意識になると思います。
 要望としては、夏の暑い季節は日陰がなく、木陰やタープなど、日よけになるところがないと大変つらいということです。対策を検討していただければと思います。
 また、長椅子やテーブルなどに防災機能が備わっているのが、とてもよく表示もされていていいなと思いますが、五月の開園のときに一度披露したきりで、九月一日にも何もなかったということです。
 かまどや防災トイレの設置の仕方や、何人分あるのかなど、訓練をもっとやってほしいとの要望です。避難訓練については区との連携が必要だと思いますが、ぜひ都がイニシアチブを握って、できることを考えて取り組んでいただければというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○もり委員 第百八十七号議案、土地の買入れについて伺わせていただきます。
 これは、都立練馬城址公園を整備するため、当該の土地三万三百三十四・三三平方メートルの土地を七十九億七千七百九十二万八千七百九十円で購入をするものです。
 練馬区のとしまえん敷地は、昭和三十二年十二月に都市計画公園として、遊園地としてとしまえんが閉じられてからは都市計画練馬城趾公園を都有地と民有地と一体となって整備する計画となっています。
 今回は土地の購入のみで、計画の詳細、具体は今後の課題ですが、土地の購入に関して確認をさせていただきたい事項について質問させていただきます。
 センターコアエリア内では、公園まちづくり制度により、都市計画決定した公園の一部を変更し、民間による緑地等の整備が行われることもあります。一方、練馬城址公園は、センターコアエリアの外側であり、公園まちづくり制度に該当しない区域であると考えます。
 そこで、都市計画練馬城趾公園における整備の進め方について伺います。

○根来公園計画担当部長 本公園は、昭和三十二年に練馬城址公園として都市計画決定しておりまして、令和三年に事業認可を取得し、現在整備を進めております。

○もり委員 東京都の公園政策は、にぎわい過剰で、イベント施設や高層ビルが建設され、企業の金もうけの場になっていることが危惧されています。都民の憩いの場でなくなってしまうことを危惧しています。
 スタジオツアー施設終了後には都が公園を整備していくとされていますが、東京都が税金で土地を購入した後、民間事業者を引き入れて、にぎわい施設を建設され、民間事業者の金もうけに提供するのではないかという危惧は捨て切れません。
 東京都、練馬区、西武鉄道、ワーナーブラザースジャパン、そして、神宮外苑再開発等問題となっていることもあり、スタジオツアー施設終了後の方針を定める際には広く区民、都民の意見を聞いていくことが重要です。
 そこで、スタジオツアー施設終了後を含め、公園整備の計画がどのようになっているのかお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 都市計画練馬城趾公園の整備計画は、東京都公園審議会に諮問し、地域住民を含む都民の意見を広く求めるため、パブリックコメントを実施するとともに、地元区への意見照会等も行った後、審議会で答申を受け、令和三年五月に策定しました。
 この整備計画では、都民に親しまれてきた土地の歴史、風土、緑豊かな自然を生かしながら、緑と水、広域防災拠点、にぎわいといった三つの基本目標の実現に向け、整備を進めることとしておりまして、現在、スタジオツアー施設のある区域については、緑豊かな樹林地や広場の中で、体を使った様々な野外体験ができる、にぎわいあふれる人々の活動空間に位置づけられております。

○もり委員 都立公園は、生物多様性地域戦略の中でも、生物多様性の拠点に位置づけられ、また、子供たちが育つために必要な都民の財産であり、さきの計画の中にも、自然は嗜好品ではなく必需品であると明記をされています。
 こども基本条例を制定した都として、都立公園の整備については、自治体とも連携をしながら、子供の意見を聞く機会を設けるなど、幅広く都民と共に整備をしていただきたいと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 本年五月に開園した区域の整備に当たりましては、ホームページ等で情報提供をいたしますとともに、オープンハウスを開催し、子供を含む多くの都民から意見をいただきました。
 今後の整備におきましても、引き続き適切に対応してまいります。

○もり委員 先ほどの質疑もありましたが、ホームページ等で周知をしていただいたり、また、近年の説明会はオープンハウス型が増えておりますが、ぜひ、子供との対話も大切にしていただきながら、地域住民の皆さん、また、実際に公園で遊ぶ子供たちの声を広く取り入れていただきたいと強く要望をさせていただきます。
 最後に、懸念について伺いたいのですけれども、都市計画練馬城趾公園の土地所有者は、現在は西武鉄道株式会社です。この土地を都が購入するに当たって、覚書が締結をされておりますが、覚書は当事者間の合意によって変更可能なものであり、いつ変更されるか分からない懸念があります。
 東京都が西武鉄道から土地を購入し、その土地のにぎわい機能を備えたイベント施設や高層ビルを建設する事業を西武鉄道がPFIで行うことがあり得ます。そうなれば、東京都に土地を売却した資金を元手に、西武鉄道が施設を建設して運営することとなり、それは実質的には東京都が西武鉄道に開発資金を税金で支給することに等しくなることを懸念しています。
 そのようなことはあってはならないことで、そうなるとしたら土地の購入をすべきでないと考えます。ですから、PFIの可能性があるなら、その質疑を尽くした上でなければ賛否を決めることができないという懸念を持っております。
 私は当然ながら、そのことは起きないと考えていますし、今公園の計画を見ても、この土地は、先ほどご答弁いただいたように緑豊かな公園整備の計画となっている計画案も見せていただきました。
 けれども、今、都庁の縦割りによって、本審議に大変重要な課題が都市整備局の所管となるためお答えがいただけないということは大変残念に思っております。私たちは、建設局が所管局となって購入して、土地をどのような方法で整備するのかを建設局が決められないことはないと考えています。
 最後に、このことを確認しなければ、賛否に関わることなので伺いたいのですが、都として都市計画練馬城趾公園ではPFIで今回購入のエリアでは事業を行うことがないということをぜひ確認させていただきたいのですが、お伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 今回、買い入れます土地の区域におきまして、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法ですが、こちらのPFIに基づく、PFI手法を用いることは検討していません。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。

○里吉委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十四号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ(明)委員 それでは、私からも、今回、都が提案をしておりますキャップ・アンド・トレード制度及び地球温暖化対策報告書制度に関する環境確保条例の改正について、都の事業者の大多数を占め、東京の産業、そして経済を支えている中小企業の視点から質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、確認の意味で、今回の制度改正の趣旨と主な改正点について伺います。

○荒田気候変動対策部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、都内CO2排出量の約半分を占める業務、産業部門のCO2削減対策をさらに加速させる必要がございます。
 そのため、大規模事業所を対象とするキャップ・アンド・トレード制度においては、削減義務率をオフィスビル等は五〇%、工場等は四八%に引き上げるとともに、事業所外から導入した再エネ等の義務履行手段を拡充いたします。
 また、中小規模事業所を対象とする地球温暖化対策報告書制度におきましては、都が示す二〇三〇年度の達成水準を踏まえ、事業者が自ら目標を設定し、その取組状況の報告を行うものといたします。
 これらの改正を通じて、省エネのさらなる深掘りと、再エネ利用の拡大を一層促進する制度に強化いたします。

○こいそ(明)委員 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けてということで、さらなる省エネと、再エネ利用の拡大を図っていくんだということのお話でありました。
 いうまでもありませんけれども、その必要性については大きなというか、理解をしているわけでありますけれども、エネルギーの安定確保の観点からも、これはいうまでもない、重要であります。
 しかし、マンパワーやノウハウが極めて限られている中小企業にとっては、現実問題として制度の参加や、脱炭素に向けた取組のハードルは極めて高いんではないかというふうに思うんですね。
 実際、大多数の中小企業が対象となる地球温暖化対策報告書制度においては、コンビニなど都内に多くの建物を持つ大企業の参加が中心である現状において、中小企業のさらなる参加が望まれるということだというふうに思います。
 報告書を提出することで、自社のエネルギーをどれだけ使っているのかを知る、例えば節電対策に役立っていることができるというふうにも聞いておるわけでありますけれども、そのため、中小企業でも簡単にといいましょうか、書類作成が簡素化できるように、書類の作成ができ、また、提出ができるような、そこに工夫が必要と考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 地球温暖化対策報告書制度におきましては、事業者の声も伺いながら、大企業だけでなく、中小企業も参加しやすい工夫や配慮を行うことが重要でございます。
 報告書の作成につきましては、複雑な計算が不要で、CO2排出量等を算出できる作成ツールの提供や、ヘルプデスクなどサポート体制を充実してまいります。
 報告書を提出していただく際には、提出様式への自動出力やオンライン提出によって、紙への印刷や郵送を不要とし、事業者の負担を軽減してまいります。

○こいそ(明)委員 報告書制度に参加する中小企業について、さらなる負担の軽減に配慮していくとのことであります。これはもう当然対応していただきたいわけでありますけれども、今後も事業者の率直な声をよく聞いていただいて、まさに、中小企業がやっぱり参加しやすい、裾野をもっと広げていかなきゃなりませんから、そういう意味合いで、実際的に多くの中小企業事業者もこの制度にさらに参加をする、促していくということを行っていただきたいなと思います。
 また一方で、削減義務率の引上げが予定されているキャップ・アンド・トレード制度は、原油換算で千五百キロリットル以上のエネルギーを使用する、特に、大規模事業者が対象となるというふうに聞いておりますけれども、その制度の対象に中小企業が含まれているのか、また、含まれているのであれば、削減義務の対象となるのか、このあたりを伺いたいというふうに思います。

○荒田気候変動対策部長 大規模事業所に該当する事業所は、中小企業であっても制度の対象となり、対策を進めるための組織体制の整備を含め、排出削減に努めていただいております。
 ただし、中小企業については、経営資源が限られていることから、中小企業が所有する部分のエネルギー使用量が二分の一以上となる事業所は、削減義務の対象外となります。

○こいそ(明)委員 キャップ・アンド・トレード制度に参加する中小企業は、削減努力は促しつつも、削減義務は対象外ということですね。
 繰り返しになりますけれども、一定の配慮がなされているとはいえ、中小企業は、まさにマンパワー、ノウハウ、様々な資金不足もそうでしょう。また今後、ゼロゼロ融資返済や、これはあれですけど、インボイス制度が導入されていくとか、エネルギー価格が現状としてさらにやはり高騰しております。
 こういう長引く厳しい中小企業を取り巻く経営環境は、もうまさに、塗炭の苦しみというか、大変な思いをしているというのが現状だというふうに思うんですね。
 そういう中で、中小企業が生産効率向上など、企業の競争力を確保するということも大切であり、都が設定する二〇三〇年カーボンハーフの目標の達成を目指していくには、省エネや再エネ利用の支援を実施していく、これは全庁を挙げて、各局連携というのは当然必要ではないかと。
 そこで具体的な、いわゆる都庁全体的な、また、連携の方策について伺いたいというふうに思います。

○荒田気候変動対策部長 資金面や人材面で取組が進みにくい中小企業には、多面的な支援が必要でございます。
 そのため、省エネや再エネ導入に取り組む中小企業に対し、ノウハウの提供や設備導入の補助など、多面的な支援を展開してございます。
 また、中小企業が報告書を提出した場合、設備投資等の優先的な支援や導入した機器等の税の軽減が受けられるなど、今後も関係局と連携しながら、中小企業の脱炭素の取組をきめ細かく支援してまいります。

○こいそ(明)委員 今ご答弁もいただきましたけれども、まさにいうまでもない、大企業と比べて経営資源に乏しい、先ほどからいっておりますけれども、中小企業が脱炭素の取組を実際的にこれから進めていく上で、やはり何としても都の支援はもう絶対的に不可欠だというふうに思いますね。
 制度の強化を踏まえて、これまで以上に全庁的な、各局との連携をする中で、この中小企業への支援についても、さらにさらに強化していくことを要望させていただきたいと思います。
 そこで、今回の制度改正では、再エネの利用拡大を事業者に求めていくとのことでありますが、再エネに関しては、現在、様々な技術の開発が日進月歩で進んでおります。中でもペロブスカイト太陽電池は、最も有望な次世代技術の一つであるということにも感じておるわけでありますけれども、このペロブスカイト太陽電池の主要な原料であるヨウ素は、世界産出量の約三割が国内産だと。
 また、将来的に製造コストが低減できる、その可能性も大であると。また、日本の産業技術の振興の観点から見ても、私自身も思いますけど、大いにこれは期待ができるんではないかというふうに思うんですね。
 それとともに、これは後ほどの話もありますけれども、やはりよくいわれるジェノサイド、そして人権対応の観点からも、このあたりのさらなる取組、それからまた、この問題に対する解決前進につながっていくんじゃないかなと。
 今回、制度改正を行う二つの制度においても、こうした新しい再エネの積極的な導入により、排出量減をしていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 都内では、太陽光発電設備の設置が限られる既存事業所もあり、小型や建材一体型の太陽光パネルなどの新技術を活用しながら、再エネ設備の導入を進めることは有効でございます。
 このため、これらの新たな再エネ技術の導入への補助に加え、キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所に対しては、こうした技術の活用など、脱炭素化に向けた積極的な取組を促してまいります。
 また、地球温暖化対策報告書制度においては、再エネ設備を設置した事業者についてはより高く評価いたします。
 一方、委員お話しのペロブスカイト太陽電池は、次世代型の太陽電池として期待も高く、開発企業が二〇二五年の事業化を目指しております。現在、都も下水道施設や都庁舎を活用した実証を行っており、今後も早期の社会実装を強力に後押ししてまいります。
 これらの需要側における取組の促進や、供給側の社会実装への支援を通じて、積極的な再エネの導入を推進してまいります。

○こいそ(明)委員 日本で生まれたシリコンを用いない、まさに革新的な太陽電池であるペロブスカイト太陽電池は、今では世界中で研究開発競争が激化してきているというふうにも聞いております。
 社会実装に向けた都の支援などを通じた、我が国においてできるだけ早期にこの太陽電池が実用化されることを大いに期待するところでもあります。
 最後に、繰り返しになりますけれども、脱炭素の取組とエネルギーの安全、安定確保を確立し東京の持続的な発展につなげていくには、東京の産業と経済を支える中小企業が省エネ、再エネ利用をさらに進めていけるような環境整備を促進していくことが、また、支援していくことが不可欠だと思います。
 だからこそ中小企業に寄り添って、環境局と関係各局がしっかりと密に連携して、施策をさらにさらに展開していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○山田委員 私からは、六月の定例会でも様々な観点から質疑させていただきましたけれども、今回、条例案が提案されておりますカーボンハーフの実現に向けた既存建物に関する制度の見直しについて何点か伺わせていただきます。
 まず、キャップ・アンド・トレード制度について確認させていただきます。
 キャップ・アンド・トレード制度、都が二〇一〇年当時、世界初の都市型キャップ・アンド・トレードとして先進的にこれを取り入れたものであって、十年以上前から、このようにカーボンプライシングの一種として、都が取組を進めてきた極めて意義があるものと思っております。
 今回、二〇二五年度からの第四計画期間の削減義務率を二七%から五〇%に上げていくなど、制度改正案が提案されておるところですけれども、これは現行の削減義務率からの大幅な引上げとなります。
 前回の委員会では、その対応として、事業者がこれまでより、より多様な手段を用いることができるような制度にするというふうな都からの答弁もございました。
 削減義務率が大幅に引き上げられますけれども、こういった見直しに関するパブリックコメントを踏まえて変更した制度の改正事項があったのか、その詳細について伺います。

○荒田気候変動対策部長 第四計画期間から、トップレベル事業所の認定に当たり、ゼロエミッション化への取組を進める事業所を認定していくため、トップレベル認定事業所の削減義務率の緩和措置を原則廃止することといたします。
 これに関し、既に認定準備を進めている事業所等への削減義務率の緩和を求める意見がございました。そのため、既に認定に向けた設備更新等を計画していた事業所等も、削減義務率を緩和してまいります。

○山田委員 パブリックコメントの結果も踏まえまして、CO2の削減にしっかりと取り組んでいる事業者に対して、より配慮した形の制度にするというところでした。それ以外は、この六月の議論のところから変更はないということでありますけれども、今年の七月に、国連のグテーレス事務総長は地球沸騰化の時代が来ているというふうな発言もあったところでございまして、やはり気候変動対策の強化は一層重要となってきております。
 都の今回の制度も、制度に参加する企業の協力なしには実現ができないところでございますので、事業者からの様々な意見をこれからも的確に踏まえての制度設計を引き続きお願いしたいと思います。
 次に、中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度について伺います。
 二〇三〇年のカーボンハーフの実現に向けては、大規模な事業所だけではなくて中小規模事業所における脱炭素化の取組も極めて重要でございます。そのためには、やっぱりいかに制度に対して、中小規模の事業所の参加、協力を得ていくか、これが重要となってまいります。
 前回の委員会の際には、そのためにまだ制度に参加していない中小企業等についても、積極的にカーボンハーフに取り組んでもらうために、都としても取組を進めるべきではないかと質問させていただいて、それに対して産業労働局と連携しながら、多面的な支援を進めていく旨の答弁をいただいていたところであります。
 今回改めて、中小企業等の継続的な削減努力を後押しするための都の取組について、その具体化の状況について伺います。

○荒田気候変動対策部長 中小企業等の地球温暖化対策報告書制度への参加に向けて、省エネ及び再エネに関連する支援事業を実施する関係局との連携を強化してまいります。
 例えば、省エネ対策のアドバイスのために企業に出向いた専門家や、補助金の申請窓口の担当者が対面で報告書制度を分かりやすく紹介いたします。また、脱炭素化に向けた様々な補助制度において、中小企業等が報告書を提出した場合、審査で加点するなど、支援を受けやすくしてまいります。
 今後も関係局と連携しながら、多面的な支援と報告書制度との連動性を高めながら、中小企業等における継続的な削減努力を後押ししてまいります。

○山田委員 ありがとうございました。
 今の点はほかの委員の方からもご指摘などがありましたけれども、ぜひ引き続き、ほかの局とも連携しながらお願いしたいと思います。
 次に、最後の質問になりますけれども、前回の委員会で気候変動の問題を解決するスタートアップ、クライメートテックなどの力の活用というのも我々は求めてきてまいりました。
 都全体としても、スタートアップの力を行政に活用していこうというのを強く意識されてき始めているところでありまして、環境の重要な分野の一つであると考えております。
 前回の委員会では、中小企業等においても、サプライチェーンの観点から自らのCO2の排出量を把握して削減に取り組むことが求められる動きがあると、そういった答弁がありましたけれども、そこで、こうした中小企業等においてクライメートテックを積極的に活用すべきと考えますけれども、その見解をお伺いします。

○荒田気候変動対策部長 資金面や人材面で脱炭素化の取組が進みにくい中小企業等が、より簡便かつ効率的に対策に取り組めることは重要でございます。
 例えば、CO2排出量の算定やエネルギー可視化などにおいて情報通信技術を活用することで、中小企業等のエネルギー利用効率の向上や作業負担の軽減に資することが期待できます。
 そのため、新たな報告書制度では、このような先進的な技術を活用して削減対策等を実施した場合、優良事業者として公表することで、取引先からの評価につなげるなど、事業者の削減努力を後押ししてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 最後になりますけれども、この条例案、東京のカーボンハーフを実現する上で極めて重要な取組だと思っておりますけれども、環境局だけで実現できるというものではないと思っております。
 聞かせていただきましたけれども、引き続き産業労働局、デジタルサービス局、スタートアップ・国際金融都市戦略室など、都庁全体として連動しながら積極的な取組、これを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○小磯(善)委員 東京都は、大規模事業所に対してCO2の排出総量削減を義務づけるとともに、排出量取引によって義務履行が可能なキャップ・アンド・トレード制度を運営しています。
 前回かなりいろいろ質問しましたけれども、今定例会には二〇二五年度以降の第四計画期間の制度改正に向けた条例改正案が提出されておりますが、まず、今回の改正案に至るまでのキャップ・アンド・トレード制度に関するパブリックコメントが、どのような意見の提出状況だったか、また、その内容についてお伺いします。

○荒田気候変動対策部長 第四計画期間の制度改正に向けたパブリックコメントは、本年五月二十二日から六月二十日の三十日間実施いたしました。
 その結果、キャップ・アンド・トレード制度については、事業者、団体等から合計百件の意見をいただきました。
 具体的には、トップレベル事業所認定制度など、一定の条件下における削減義務率の緩和措置やCO2の排出係数や再エネを利用した場合の排出量の考え方についての要望等がございました。

○小磯(善)委員 様々な意見があったものの、制度の見直しの趣旨そのものについては大きな反対はなかったようでございます。
 今年の六月から八月までの日本の平均気温も一八九八年の統計開始以降、過去最高を更新したということでございますが、事業者もこうした気象の変化を肌で感じて、CO2の排出削減の必要性を理解してくださっているのではないかなというふうに思います。
 一方で、優良特定地球温暖化対策事業所、トップレベル事業所ということでございますが、今回このトップレベル事業所の削減義務率の減少、つまり、義務率の緩和措置を原則廃止して、代わりに超過削減クレジットをより多く発行できる制度改正案が提案されております。
 しかし、先ほどの答弁によれば、パブリックコメントではトップレベル事業所の削減義務率の緩和措置を求める意見があったとのことであります。そもそも都は、削減義務率の緩和措置を原則廃止することとしておりますが、その理由を伺うとともに、今回出された緩和措置の継続を求める意見に対して対応すべきと思いますが、この考えについて伺います。

○荒田気候変動対策部長 現在のキャップ・アンド・トレード制度では、主に省エネ対策による排出削減を評価しており、特に省エネの取組が優れた事業所はトップレベル事業所として認定し、削減義務率の緩和を認めております。
 制度改正後は、再エネ利用がしやすくなった社会変化を踏まえ、トップレベル事業所認定においても、省エネ、再エネ利用によりゼロエミッション化への取組を進める事業所を認定し、原則として削減義務率の緩和措置を廃止いたします。
 今回、パブリックコメントでの意見を踏まえ、既に認定に向けた設備更新等を計画または実施している事業所は、事業所の早期の取組への配慮から、削減義務率を緩和する経過措置の対象といたします。

○小磯(善)委員 この夏の異常な暑さ、毎年のように繰り返される豪雨を考えても、都民や事業者の命と財産を守るため、CO2の排出削減を進めることは大変重要であります。
 しかし、大規模事業所の設備更新は、規模も大きくて、しかも一定の時間、そしてまた費用がかかることは容易に想像できるわけでありまして、そのような設備更新などに早期から取り組む事業所の削減計画を尊重する観点から、いただいたご意見を踏まえて制度改正の内容を柔軟に修正することが大事だと、大切だと、このように思います。
 都には、事業者の理解と協力が得られて初めて制度が的確に運用できるということを忘れず、しっかり取り組んでもらいたいというふうに思います。
 次に、地球温暖化対策報告書制度の改正についてお伺いいたします。
 中小規模事業所を対象とする地球温暖化対策報告書制度についても、二〇二五年度以降の制度改正案について、パブリックコメントの募集を行ったとのことでありますが、まず、パブリックコメントの意見提出状況とどのような意見が寄せられたのか、お伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 地球温暖化対策報告書制度の改正案に対するパブリックコメントにおいては、合計十三件の賛成意見や要望がございました。
 要望内容の一つとして、商業用途が中心のテナントビルにおいては、入居するテナントに対して、ビルオーナーだけではなく、都からもビル全体の省エネ等への協力について、継続的な働きかけを行ってほしいとの意見がございました。

○小磯(善)委員 パブリックコメントにおいて、商業用途が中心のテナントビルについて、要望があったということでございまして、私も大変大事な意見じゃないかなというふうに思っております。
 商業用途が中心のテナントビルは、報告書制度においても全事業所の約三分の一ということで占めていると聞いておりまして、二〇三〇年カーボンハーフの実現のためには、こうしたテナントビルにもしっかりと取組を進めていくことが必要であります。
 そのため、ビルオーナーとテナントが協力できるよう、都としても取り組んでいくべきと考えますが、都の見解についてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 テナントビルなど複数の事業者が使用するビル全体における省エネ対策等については、事業者間の協力が不可欠であります。
 そのため、今後、事業者や関係団体に対して、制度改正の説明を行う機会を捉え、事業者間の連携協力を改めて働きかけてまいります。
 また、新たな制度においても、引き続き事業者間の連携協力体制や、その取組状況について報告と公表を求めてまいります。
 さらに、こうした連携協力をしながら、脱炭素に向けた優れた取組を行うテナントビルをモデルビルとして評価してまいります。

○小磯(善)委員 今回の制度改正では、都が二〇三〇年度の達成水準として、エネルギー消費量を二〇〇〇年度比三五%削減、再エネ電力割合を五〇%と設定することが大きなポイントであります。
 事業者の方々は、これらの達成水準を踏まえ、自ら目標を設定し、毎年、その達成状況を報告することで、二〇三〇年カーボンハーフを目指していただくことになると聞いております。
 一方で、二〇三〇年カーボンハーフは、二〇五〇年ゼロエミッション東京に向けた通過点でもあり、今夏の厳しい暑さなどの気候変動の激化から、脱炭素化に向けたさらなる対策が求められるようになっています。
 こうした中、中小規模事業所においても、二〇三〇年の先を見据えたゼロエミッションにつながる、さらなる取組を進める事業者に対しても、都としてしっかりと後押しをしていくことがますます重要になります。
 そこで、事業者の方々に、今後、積極的に取組を進めていただくためには、それらを評価する仕組みが重要であると考えます。都の取組についてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 地球温暖化対策報告書制度においては、省エネ、再エネ利用、CO2排出の三つの視点から取組状況を評価し、同業種内での平均値や、都が示す二〇三〇年の達成水準レベルとの比較によって、さらなる見える化を図り、積極的な取組を後押ししてまいります。
 また、二〇三〇年より前に達成水準レベルに到達した事業者を優良事業者として公表してまいります。
 さらに、ゼロエミッション化に向けた設備導入等の先進的な取組を行う事業者もあり、こうした事業者を、より上位の優良事業者として公表していくことで、二〇三〇年の先を見据えた事業者の取組も後押ししてまいります。

○小磯(善)委員 中小規模事業所における制度強化の趣旨を踏まえ、より積極的な取組を行う事業者をぜひ高く評価していただきたいと思います。
 最後に、これまでの質疑にあった制度改正については、参加する事業者の理解と、そして協力がなければ、東京の脱炭素化を進めていくことはできません。
 今回の制度改正の内容は技術的な内容も多く、かつ多岐にわたりますが、今後、事業者が改正内容を理解しながら取組を進めていくために、周知が大変重要であります。都の見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 今回の制度改正を通じて、事業者に脱炭素に向けた取組を一層推進していただくためには、多岐にわたる制度改正の内容を正しく理解していただくことが重要でございます。
 そのため、今後、本条例案が可決された場合、今回の改正内容を指針やガイドライン等に反映し、事業者向けの説明会等において丁寧に説明してまいります。
 加えて、事業者及び団体等への個別の訪問による説明や専用窓口での案内等を通じて、事業者の相談等にきめ細かに対応してまいります。

○小磯(善)委員 個別の訪問とか、また、相談窓口、そういったことを通じて、きめ細かに対応するということで、この点はしっかりよろしくお願いいたします。
 今回の制度の改正では、事業者にさらなる省エネ、また、再エネ利用の拡大を求めるものでございますが、国際的な都市間競争が激化する中、気候変動対策の取組状況により、都市や企業が評価される時代になっております。
 ビルにもそのような動きが始まっており、積極的に取り組むビルが入居先として選ばれ、また、東京が魅力ある都市としてあり続けるためにも、既存ビルの脱炭素化に向けて、事業者の理解と協力を得ながら、この二つの制度が実効性のあるものとなるよう、しっかりと取り組んでいただくということを要望いたしまして、質問を終わります。

○曽根委員 私からも、今回の中小規模事業所向けの報告書制度を中心に、この点で何点か質問していきたいと思います。
 これまで私も何度か指摘してきたように、都の部門別CO2排出量の四八%、約半分を占めるのが業務、産業部門であり、そのうちの約六割が中小規模事業所から排出されていると。
 したがって、この中小規模事業所の環境対策が大きく前進しない限り、ゼロエミッション、そしてカーボンハーフもなかなか厳しいということは明らかです。
 しかも、数の上では個人商店や零細な業者が圧倒的多数を占めておりまして、いずれも資金不足などから自前のビルや店舗の建て替えなどで、一気に環境性能を改善するということがなかなか見込めないのも、この中小企業分野の特徴であります。
 都の目標達成のためには、この中小規模事業所がどんどんとこの制度に参入してくることが不可欠だと思いますので、この点を何点か、提案も含めてお聞きしたい。
 まず、現状についてお聞きしますが、中小規模事業所向けの報告書制度の対象事業所数は、都内でおよそどの程度と推定しているか、そのうち、現状では制度参加の事業所はどの程度か、まずお聞きします。

○荒田気候変動対策部長 都の統計調査によれば、都内の事業所数は約六十三万でございます。
 現在、地球温暖化対策報告書制度に参加する事業所数は約三万でございますが、CO2排出量では、中小規模事業所全体の約四割を占めてございます。

○曽根委員 六十三万の事業所を対象としている中で、報告制度参加は約三万、全体の五%程度ですが、その五%の数の事業所で、中小規模事業所全体の排出量の四割を占めていると。
 平均の八倍ですよね。ということは、やはり先ほどもどなたかおっしゃったように、総体的には中小規模といっても規模の大きいところやチェーン店やコンビニやスーパーなどの本部で集約、報告ができる条件がある、そういうところにまだまだ報告書参入が限られているというのが現状だと思われます。
 今回の制度充実で、こうしたフランチャイズだとかグループ企業などの事業所を極力網羅していけば、二〇三〇年カーボンハーフ突破の条件は、私は開けるかもしれないと思います。
 しかし、東京都の取組は、それで終わりではないわけで、CO2の五〇%削減を達成した後、実質ゼロまでゼロエミッションまで進めるには、制度未加入の残る六十万の事業所が、先ほどのお答えにあったように、都のCO2排出量の部門別でいうと約半分、そのうちの六割が、まだ報告書に参加していない中小零細を含む事業所から排出されているので、その六割の中小規模事業所のそのまた六割が現状で、まだまだ参入していないということですから、全体にならしてみますと、大体東京都の全排出量の約二割近くを占めていると。ここがやっぱり最後に参加してこない限りは、実質ゼロ達成は困難だということは明らかです。
 この分野は、先ほど申し上げたように、建物の更新などで環境性能の飛躍的アップの条件も、またそのための情報や資金も極めて乏しいと思われます。条例改正を機に、二〇三〇年目標のその先を展望して、この二〇三〇年に向けた取組の中で強化していくべき点は何か、この点で幾つか提案したいと思います。
 さきの代表質問では、私たちの会派で、産労局が今行っている中小企業向け省エネ診断の専門家を増員してほしいと、相談受付の体制強化を求めて、取組を開始しているという答弁が産労局長からありました。
 これと連携しながら、制度参加の中小企業を抜本的に増やすために、産労局などとも連携して、個別事業者が省エネ、再エネで必要な設備投資などのための制度融資や公的補助の相談を行う際に、補助を受けたり制度融資に取り組むんだったら、報告書制度にも参加してほしいと。
 この点を周知、奨励するなどの、とにかく局間のそれぞれの役割を連携して、工夫と努力を進めるべきだと思いますが、どうでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 中小企業に対し、ノウハウ提供等、様々な面での後押しをするため、引き続き関係局と連携し、多面的な支援を実施するとともに、こうした支援を受けようとする中小企業に対し、報告書の提出を促してまいります。

○曽根委員 この省エネ、再エネの取組というのは、ある事業所が効果的な初期投資を行えば、すぐに翌月から光熱費が下がってくる、そういった経済的メリットが非常に確実に返ってくる分野ですから、そのための設備投資などに係る資金が工面できれば、これは確実に広がっていくはずだと私は思います。
 この点で、市民レベルでこういう制度が普及しているヨーロッパなどに比べて、地域の省エネ診断、つまり、おたくの事業所はここを改善すれば一気に光熱費が下がりますよと、こういったことを判断してくれる専門家の配置が、やはりまだまだ限られているというのが日本の現状だと思いますので、この点で、都の省エネ診断のレベルを、東京都の窓口だけじゃなくて区市町村、さらに地域、ここにまでどう広げていくのかが課題だと思います。
 それから、これは産労局分野の部分が多いかもしれませんが、業種別の団体などへの働きかけも大切です。地域の経済団体などへの働きかけの現状と今後の取組についてお聞きします。

○荒田気候変動対策部長 これまでも、より多くの中小企業に制度に参加いただくために、ふだんから地元で接点の多い関係団体等の理解を得ながら、そうした団体等を通じて報告書の提出を促してまいりました。
 引き続き、今回の改正内容について、中小企業の関係団体等へも丁寧に説明を行い、各団体等からの要望も踏まえながら、中小企業の制度参加を促進してまいります。

○曽根委員 こういうことは環境局としても取り組んでいるわけですので、私、そこで、例えば商店街を構成する小さな飲食店とか、美容院とか、クリーニング店など、それぞれ業種の違う様々な業種業態の店舗などが、こういうふうに取り組めば、これぐらい省エネ、再エネになりますという具体的な分かりやすい工夫が必要ではないかと。この点については、都としてどのように取り組むんでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 様々な業種の中小企業が脱炭素化に向けた対策を効果的に行うため、三十を超える業種別の具体的な省エネ対策についてテキストを作成し、セミナーや対面でのアドバイスを行っております。
 また、省エネや再エネ利用に関する都の支援につきましては、相談窓口を設置し、総合的に情報提供を行ってございます。

○曽根委員 今お話のあったように、飲食店だとかクリーニング、美容院など、具体的な各業種の店舗で使っている冷蔵庫や乾燥機やボイラーなど、各種機材を更新すれば、どういうレベルのものを導入すればどういう効果があるか、そして、経済的メリットはどのように返ってくるのか、こういう具体的な情報が得られることは非常によい方法だと思います。
 とにかくすぐに使える生きた情報を、できるだけ事業者の身近なところに届けるために、地元区市町村との連携をより綿密に取っていただきたい、このことを強く要望しておきます。
 また、振興組合が置かれている規模の大きい商店街、こういうところでは法人化されていますので、商店街として後継者対策とか個別店舗対策、場合によっては産労局の補助なども受けて取り組んでいる。そういう中に、環境対策でパイオニアになるようなお店を、そういったところが育てていくなどの取組を呼びかけることも重要だと思います。
 とにかく、お店や事業所の現場で、とにかく毎日忙しいわけですので、具体的に使えるアイデアを提供することが、私はこういう中小零細を含む多くの業種の方々に一番重要な点だと思っております。
 中小規模事業所対策の最後に、今後、開発が期待される、先ほどちょっとお話があったんですけど、ペロブスカイト太陽電池や、例えば固体電池などの新しい技術を中小零細企業、個人商店などが簡単に使える再エネ、省エネのシステムに応用して普及するなど、これはもう、もちろん環境局一局ではできませんが、例えば、環境科学研究所や、産労局の所管する産業技術研究センターなども動員して、全庁を挙げて取組を広げるように求めておきたいと思います。
 もう一つ、大規模事業所のキャップ・アンド・トレード制度の充実について、これは要望として述べさせていただきます。
 一つは、今回から事業所が再エネを活用することを促進するために、その活用実態を反映できるようにする中で、例えば再エネ由来の証書については、この計画にはグリーンエネルギー証書、FIT非化石証書及び非FIT非化石証書(再エネ指定)に限るとされています。
 これは大変重要な規定で、例えば、これによって原発で発電された電力は証書から排除できるというふうに局の方に確認をしました。私たちは、原発で発電される電力については、再エネ証書を出すべきじゃないと。ここは厳格に排除すべきというふうに考えておりますので、この原則を今後も守るように求めておきたいと思います。
 もう一つ、既に昨年の事務事業質疑などで、私、指摘しておりますように、再開発のラッシュが続く都心などで、高さ百メートルを超える超高層ビルだけでも二百棟近くが建設または準備中です。
 そのビルのライフサイクル全体のうち、建設途中のCO2排出が約一四%、ビルのライフサイクルが終わって取壊しにかかっている、その取壊し中の排出も一六%ある。合計ビルのライフサイクル全体の約三割のCO2排出が現在の制度では捕捉されていないこと。
 あわせて、現制度では、ビルの完成後三年間はCO2排出の実績は調べるが、その値を出発点にして、そこから削減していくという制度となっていることなど、コントロールし切れていない環境負荷部分が残されているわけです。
 そのトータルは、超高層ビル分だけでも毎年の東京のCO2排出の二%程度になるんじゃないかと、私、昨年推定を申し上げました。高層ビル建設が多くない欧米でさえ、今、建物のライフサイクル全体の排出CO2をいかに実質ゼロにするかの課題に取り組んでおりますので、この部分にも有効な削減の取組を、具体化を急ぐよう、これは要望をいたしておきます。
 それから、これはもっと大きな話になりますが、東京の都市環境の特徴であります海風が以前に比べて著しく阻害されてきていることによるヒートアイランド現象についても、これによる気温上昇の影響などを、住宅やオフィス内部で冷房などで下げるための莫大なエネルギーを要している。このことを踏まえますと、臨海部に林立、または計画されているビルの規制も含め、何らかのヒートアイランド対策、規制と対策が必要であることも含めて、指摘しておきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○須山委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。各委員の皆さんからのご質問もあって、かぶるところははしょりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、キャップ・アンド・トレードに関して、第二回定例会でもご報告いただいて、それがパブコメを行った後の制度改正と最終案ということで今回出されていました。
 パブコメに関して、また、パブコメを受けての変更点というのは、先ほど来の質問で理解をしましたので、それに関しては質問はいたしませんけれども、先ほどの答弁でもありましたように、既存の認定に向けた取組を進めてきた事業者に対して、しっかりと緩和の措置ということも取っていただいて、そういうことをすることによって、やはり事業者の皆さんのモチベーションも上がっていくなということも改めて感じましたし、緩和措置ということで、しっかりと事業者さんが取り組めるようなことをさらに進めていっていただきたいなと思います。
 また、キャップ・アンド・トレード制度について、モチベーションという点からしても、事業所の排出削減を促進するために、報告内容の公表ということは非常に重要なポイントと私は考えます。どのように公表していこうと考えているのかということを、ちょっと伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 事業所の優れた取組が、投資家や金融機関等からの評価にもつながるよう、床面積当たりのエネルギー消費量や再エネに関する目標、調達方法ごとの再エネの利用状況等を新たに公表いたします。
 公表に当たっては、地図データ上での表示やオープンデータ化などにより、分かりやすく事業所の比較がしやすい形で公表し、積極的に排出削減に取り組む事業所を後押ししてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 そうやって様々、公表をしていく中で、やはり事業者さんに関しても、経済的なメリットが享受できるように、そして、この制度に参加することによってさらにCO2の削減に向けて、東京都としても、事業所としても進んでいっていただくように、そうした制度を今後も進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、中小規模事業所を対象とした地球温暖化対策報告書制度に関してですけれども、こちらもパブコメに関しては先ほどのご答弁もありました。対象の事業者に関して、十三件のパブコメの意見というのは、若干少ないのかなというのは正直思いました。
 意見がなかったのはいいことなのかもしれないですけれども、やはり、この制度設計をしていく中では、制度をつくっていくときにも事業者の皆さんの声、また、事業者さんたちが、その制度をつくっていく中で、そうしたところでいろいろ声を伺えることがすごく大事だなと思いますので、今後に向けて、しっかりとそうした事業所の皆さんの声というものを積極的に受けて、そして一緒に制度をつくっていくことによって、やはり事業者の皆さんを巻き込んでいく、そうした制度にしていっていただきたいと思いますので、そこは要望とさせていただきます。
 この地球温暖化対策報告書制度においては、削減義務が課されておりませんけれども、こうした中で、事業者にカーボンハーフに向けて着実に削減を進めてもらうためには、東京都としてどのように取り組んでいくのかをお聞かせいただきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 地球温暖化対策報告書制度においては、カーボンハーフの実現に向けて、都が示す二〇三〇年度の達成水準を踏まえ、事業者が省エネ、再エネ利用に取り組むことは不可欠であります。
 そのため、毎年度の取組状況については、省エネ、再エネ利用、CO2排出の三つの視点から、二〇三〇年度の達成水準等との比較に基づき、視覚的にも分かりやすく評価、公表することで、より積極的な取組を促してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 本当にそうやって一つ一つのことによって、しっかりと事業者の皆さんが参加をしていけるような制度にしていっていただきたいと思います。
 二〇三〇年カーボンハーフに向けて様々な取組をされているということもよく分かっておりますし、今回の委員会でも様々な委員の皆さんからのご意見もありました。そうしたものをしっかりと捉えていただいて進めていただきたいと思います。
 うちの会派の一般質問でも、西崎議員が気候不安ということも今回質問もさせていただきましたけれども、そうした中で、若い人たち、これからの未来を担っていく人たちにツケを回さないためには、やはり私たちがしっかりと頑張っていかなきゃいけないと思いますので、私も微力ですけれども、お手伝いさせていただきたいなと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 質問は以上です。

○もり委員 第百七十四号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部改正について、質疑をさせていただきます。
 今回の条例改正案は、脱炭素社会の実現に向けた実効性ある取組の強化を目的とし、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けた制度の見直しであり、これまでの省エネの取組から、積極的な再生可能エネルギーの利用の拡大により、ゼロエミッション化を大きく後押しする制度改正となることを期待しております。
 そこで、条例改正案に関連して、パブリックコメントで寄せられた都民、事業者の声から、基本的な事項について質問をさせていただきます。
 省エネルギーの目的は、省エネ法の目的にあるように、エネルギーの有効な利用の確保に資することであり、CO2削減の目的は、温暖化対策推進法の目的にあるように、社会経済活動その他の活動による温室効果ガスの排出の量の削減等を促進するための措置を講じることです。
 今回のキャップ・アンド・トレード制度の改正案では、電気の一次エネルギー換算係数及び単位発熱量については、改正省エネ法と整合させる。電気、熱、冷温水、蒸気の排出係数は実排出係数とし、それ以外の熱量等の排出係数は、環境省温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度で採用される数値に変更するという考え方が示されております。
 まず、電気を原油換算することについて質問させていただきます。
 キャップ・アンド・トレード制度において、電気を原油換算するということは、その電気のエネルギーが原油何キロリットルに相当するかを計算することだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 キャップ・アンド・トレード制度においては、事業所における年間のエネルギー使用量が原油換算で千五百キロリットル以上であることを制度の対象事業所の要件としております。
 そのため、電気の使用量についても、その単位を原油に換算した上で算定しております。

○もり委員 電気は、石炭火力発電、天然ガス発電、太陽光などの再生可能エネルギー由来の発電や、原子力発電など様々な発電方法がありますが、電気を原油換算する場合には、電源構成に関係なく石油火力での発電効率を用いて一律に計算すればよいと思いますが、その考え方について都の見解をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 キャップ・アンド・トレード制度におきましては、電気の原油換算エネルギー使用量を算定するために使用する一次エネルギー換算係数につきましては、省エネ法と整合させてまいりました。
 第四計画期間において、省エネ法の改正に合わせ、石油火力に限らず、再生可能エネルギーなどの全ての電源を基に計算された全電源平均係数を用いて算定いたします。

○もり委員 熱から電力を得る場合、熱エネルギーの一部しか電気に変換できません。また、発電所からの送電時の効率ではなく、実際には消費者が使う段階での電力を基準とする効率である受電端効率を考えなければなりません。
 改正前の省エネ法の一次エネルギー換算係数には、平成十五年の実測値を使用していますが、なお、電気事業連合会の資料によると、平成十五年度の火力発電の発電端効率は、昼間は約四〇%、夜間は四一・九%、全日四〇・九%、受電端効率は、昼間は三六・一%、夜間は三八・八%、全日三六・九%とされています。
 様々な化石エネルギーや再生可能エネルギー、原子力を用いて発電をすることによって省エネルギー、すなわち、どれだけエネルギーを節約したかを計算するには、原油換算して計算することが適切です。
 省エネルギーの観点からすれば、どれだけ省エネルギーが進んだかを計算するには、受電端効率を用いて電気を原油換算することが適切だという考え方について、都の見解をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 キャップ・アンド・トレード制度において、電気の原油換算エネルギー使用量の算定に使用する全電源平均係数は、省エネ法と同様に送配電時の損失等を考慮し、受電端効率を用いております。

○もり委員 東京都の制度では、制度の対象事業所を判断する場合には、全電源平均係数を採用するとしても、毎年度のCO2排出量の報告には、再生可能エネルギーを使用している場合、CO2排出量の実態に即した計算をすべきだと考えます。
 電気の一次エネルギー換算係数及び単位発熱量については、改正省エネ法と整合させるということと、電気の排出係数は実排出係数とするということの関係について、都民に分かりやすい説明が必要だと考えますが、説明をお願いいたします。

○荒田気候変動対策部長 制度の対象事業所となるかは、事業所で使用するエネルギー使用量を要件の一つとしてございます。その際、電気のエネルギー使用量を算定するための一次エネルギー換算係数につきましては、省エネ法に基づき、全電源平均係数を用いて算定いたします。
 一方、毎年度の事業所のCO2排出量の算定には、第四計画期間から、事業所に実際に供給される電気のCO2の排出係数である実排出係数を使用して算定し、再エネ利用割合の高い電気の使用を促してまいります。
 これらの計算方法については、今後、指針やガイドライン等に反映し、事業者向けの説明会等において丁寧に説明してまいります。

○もり委員 今回の条例改正では、事業所に実際に供給される電気のCO2の排出係数である実排出係数を使用して換算し、再生可能エネルギーの利用割合の高い電気の使用を促進する旨のご答弁をいただき、高く評価をしております。
 都民、事業者に分かりやすい周知により、事業者の協力と理解の促進が必要だと考えますので、ぜひ、ただいまご答弁をいただいたように、丁寧な説明と大田区も中小企業の多いまちですので、事業者の取組がより一層進むよう、産業労働局や関連局とも連携をし、取組の支援、また、都としての後押しをお願いいたします。
 原油高、エネルギー価格の高騰の中で、取組を進めることが中小企業のメリットになるということもしっかりと周知をしていただきたいと思っています。
 気候変動による影響は、かつてないほど激しく、三十五度以上の酷暑日が日常化し、雨が降れば大雨、洪水、雨が降らなければ渇水で、台風も巨大化するなど激甚化をしています。
 エネルギーの大消費地である東京都が、温室効果ガス削減とともに、原子力ではない再生可能エネルギーをエネルギー戦略の基軸に据えて推進していくことは大きな意義があります。
 一方、一般的に原子力は発電量を調整できないので、火力発電以外の電力抑制では再生可能エネルギーが抑制され、電力需要の増減を再エネの抑制量で調整することになりかねません。
 原子力発電は、地震、津波のリスクだけでなく、知事の所信表明で述べられたように、ミサイル攻撃など有事があった場合には、原子力発電のサイトや周辺設備が壊滅的被害を受け、重大事故となりかねません。原子力発電は、ドイツが実現したように速やかに、かつ計画的に廃止すべきだと考えています。
 国、東電に対しても、原発の速やかな廃止と再エネ以外の電力を優先して減少させる政策を国や東電に求めていくことを要望し、質問を終わります。

○漢人委員 最後の質問です。都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例について質問いたします。
 国連のグテーレス事務総長は七月二十七日の国連本部の記者会見で、地球温暖化の時代は終わり地球沸騰の時代が到来したと警告し、各国政府などに、より強力な対策を至急取るように促しました。
 そして、地球の気温上昇を一・五度Cに抑え、気候変動による最悪の事態を回避するには、劇的で即座の気候変動対策が不可欠として、先進国に対しては、二〇四〇年カーボンゼロを求めました。これは、七月の平均気温が過去最高を更新する見通しとなったことを受けての発言でした。
 そして八月には、ハワイ・マウイ島での大規模な山火事が発生しました。また、カナダや南ヨーロッパでも猛烈な熱波による森林火災が頻発をしています。二十年前の二倍の規模で、この森林火災が今起きているといわれています。
 そして一方では、リビアでは大洪水で、死者が今二万人にも及ぶのではないかといわれる、そんな状況が起きています。
 私たちも本当に苛酷な暑い夏を過ごしました。そして、この夏を経て今度は九月六日です。グテーレス事務総長は、六月から八月の世界の平均気温が観測史上最も高かったことを受けて、また声明を発表しています。
 私たちの気候は、地球のあらゆる場所で起きている異常気象に私たちが対応できる速度を超えて崩壊しつつある。まだ気候変動による最悪の混乱を避けることはできる。ただし、一刻の猶予もないというものです。
 このように刻々と深刻化を増して、より強力な対策が求められているこの現状において、改めて本条例、制度改正の提案のお考えをお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 都は、二〇五〇年のゼロエミッション東京、二〇三〇年カーボンハーフの実現を目指して、東京都環境基本計画の改定を行い、各制度の強化を進めております。
 キャップ・アンド・トレード制度及び地球温暖化対策報告書制度についても、省エネのさらなる深掘りと、再エネ利用の拡大を促進する制度改正を提案してございます。
 提案に当たっては、対象となる事業所の削減対策の準備期間も考慮し、二〇二二年九月以降、専門家による検討会での議論やパブリックコメントの意見も踏まえて検討を進めてまいりました。

○漢人委員 二〇二五年度からスタートする制度を、二年半前の二〇二二年九月に改定された環境基本計画の改定を受けて、制度改正の準備をしてきたわけです。
 行政の手続としては、これは市民参加や、あるいは事業者の準備期間など、一定の期間が必要なのは当然なわけですけれども、しかし、今このペースでは、先ほどの一刻の猶予もない、気候崩壊への対応は間に合わないのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 二〇四〇年カーボンゼロ、こちらに向けた環境基本計画の速やかな見直し、そして各制度の一層の強化が必要だということをまず申し上げておきたいと思います。
 キャップ・アンド・トレード制度について伺いますが、都外クレジット、そして、都内中小クレジットというものがあります。これらはいずれも排出削減を都外クレジットは他の道府県、都内中小クレジットは中小企業に課された地球温暖化対策報告書とダブルカウントをすることになります。
 本来、望ましくない制度ではないでしょうか。利用事業者も少ないですし、これは廃止するべきだと思いますが、いかがですか。

○荒田気候変動対策部長 これまでの制度運用におきまして、排出量取引よりも、自らの省エネ対策等による排出削減が多いものの、事業所の状況により自らの削減対策に加え、排出量取引を活用して義務履行を行う場合がございます。
 そのため、第四計画期間の削減義務率の強化に当たっては、事業所が多様な手段で義務履行ができるよう、専門家による検討会での検討も踏まえ、都内中小クレジット及び都外クレジットの仕組みを継続することとしております。
 なお、両クレジットの仕組みは、複数の事業所を所有する事業者が、事業全体の削減計画に基づき、都内の中小規模事業所をはじめ、国内の事業所の排出量削減を促進することにもつながります。

○漢人委員 今、最後の都内の中小規模事業所をはじめ、国内の事業所の排出量削減を促進することにつながるとのことなんですけれども、それは、そもそもは都内中小規模事業所の排出量は、そちらの報告書制度で削減できるようにするべきですし、都外についても、これは国や他の道府県での制度で対応するべきものだと思います。
 現在この制度の利用者は少なく、影響は小さいですけれども、やはりクレジットの利用が増える状況となる可能性もあるわけですから、私は廃止に向かうべきだと考えます。
 次に伺うのは、私は、今回のこの制度改正のとても大きな疑問点なんですね。制度の制定や改正の考え方というものは、それは支持します。大変先駆的に取り組んでこられているし、今回も方向性としては賛成するんですね。
 だけど、今求められている役割を果たすことができるのに十分なのかどうかという点では、これは議案への賛否についても大いに迷った問題です。
 今回の制度改正による二〇三〇年のCO2排出量削減目標は、現在の排出量の割合のままだと仮定すると、キャップ・アンド・トレード制度の対象となる大規模事業所も、地球温暖化対策報告書制度の対象となるその他の中小規模事業所も、いずれも二〇一九年比で約五〇%削減ということになると思いますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
 つまり、CO2排出量が義務化されてペナルティーもある、この厳しいキャップ・アンド・トレード制度でさえ五〇%削減なのに、義務化もない地球温暖化対策報告書制度でも同じ五〇%削減ができるということになっているんですよ。これは私、とても考えられません。
 したがって、環境基本計画の産業、業務部門のCO2排出量の削減目標というのが、二〇一九年の二千七百六十三万トンから二〇三〇年一千三百八十一万トン。約半減させるというふうにうたわれていますけれども、これはとても不可能だということになりませんか。この点について見解をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 新たな制度では、事業者に対し、都が示す二〇三〇年度の達成水準を踏まえ、目標等の設定と、その達成状況について毎年度報告を求めてまいります。
 毎年度の取組状況については、さらなる見える化や、第三者にも分かりやすい公表によって事業者の積極的な取組を後押しし、カーボンハーフ実現を目指してまいります。

○漢人委員 地球温暖化対策報告書制度の説明を繰り返していただきました。何度も伺っている内容です。現在の制度よりも大きく改善されるということは確かだと思います。でも、それで五〇%削減、カーボンハーフが実現できるとはやはり思えません。
 答弁も、カーボンハーフを目指していくということでしたから、実現が厳しいことは実際になっていらっしゃるわけだから、十分に承知をしている中で、こういった形ででもやらざるを得ないということかなというふうに思います。
 大体、報告書制度ということでだけですよ、報告書制度で五〇%削減ができるんであれば、だったら、そんなCO2排出量を義務化してペナルティーも課すような厳しいキャップ・アンド・トレード制度なんか必要ないじゃないですかと素朴に思うわけです。
 最後の質問なんですけど、ということで、したがって、この産業、業務部門の二〇三〇年カーボンハーフを実現するためには、今回提案の制度改正では全く不十分で、キャップ・アンド・トレード制度、そして地球温暖化対策報告書制度のさらなる強化が必要だと思います。
 例えば、中小規模事業所の報告書の提出を義務づける事業者を三千キロリットル以上から大幅に引き下げること、あるいは、キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所の千五百キロリットル以上という基準を引き下げることなどによる対象事業所の拡大をするべきではないかと思います。
 確実に二〇三〇年カーボンハーフを実現しようとするならば、このような強化を行わなければ実現はできないのではないかと思いますが、そのようなことを今回提案されなかった理由を伺います。

○荒田気候変動対策部長 産業、業務部門におけるカーボンハーフ実現に向け、今回、大規模事業所及び中小規模事業所を対象とする両制度の強化を図っているところでございます。
 地球温暖化対策報告書制度においては、都が示す省エネ、再エネ利用の二〇三〇年度の達成水準レベルまで取組を進めることで、カーボンハーフの実現を目指してまいります。
 また、地球温暖化対策報告書制度に未参加の中小企業等に対しては、省エネ及び再エネに関連する支援事業を実施する関係局と連携しながら、削減努力を後押ししてまいります。
 強化後の両制度の着実な実施と支援策の活用によって、産業、業務部門全体の排出削減に取り組んでまいります。

○漢人委員 今ご答弁できるのは、現状のままやっていきますということになるんだろうとは思います。私は、東京都のこの間のキャップ・アンド・トレードであるとか、今回の報告書制度についても、あるいは太陽光パネルの義務化など、様々先駆的な取組をされてきたことについては高く評価をしておりますし、さらに頑張っていただきたいと思っています。
 でも、最初に申し上げましたとおり、先進国は今二〇四〇年のカーボンゼロが求められている状況に刻々と変わっているわけですね。そして、今世界のCO2排出量の第五番目になる日本は、当然先進国として二〇四〇ゼロカーボンを果たさなければならないはずなんです。
 そういった中で、日本の首都である東京というのは、今まで以上に頑張って強い制度をつくってリードしていかなければならないというふうに思います。
 また、これはここで、環境局のこの委員会で質問しているんですけど、やはり知事の強いトップダウンという意思がなければできないことであるかと思いますが、しかし、それに向けて発信していくのは、やはり環境局であり、担当の皆さんから発信をしていくということで、そしてもちろん皆さんからも今日は話がありましたけれども、環境局だけでできることじゃないのは当然です。全庁的な様々な力を合わせて取り組んでいくことが必要だということを申し上げて、私の質問を終わりにしたいと思います。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○里吉委員長 次に、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三分散会

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