環境・建設委員会速記録第九号

令和五年九月十三日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長須山たかし君
副委員長曽根はじめ君
理事柴崎 幹男君
理事成清梨沙子君
理事小磯 善彦君
漢人あきこ君
もり  愛君
山田ひろし君
原  純子君
渋谷のぶゆき君
伊藤こういち君
こいそ 明君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長宮澤 浩司君
理事高崎 秀之君
総務部長緑川 武博君
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長長谷川徳慶君
気候変動対策部長荒田 有紀君
再生可能エネルギー実装推進担当部長小林 洋行君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長戸井崎正巳君
環境改善技術担当部長宗野 喜志君
自然環境部長生物多様性担当部長兼務和田 慎一君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環技術担当部長横山 英範君
資源循環計画担当部長中島 隆行君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長古屋 留美君
道路監花井 徹夫君
総務部長荒井 芳則君
用地部長澤井 晴美君
道路管理部長若林  憲君
道路建設部長久野健一郎君
公園緑地部長佐々木 珠君
河川部長斉藤  有君
企画担当部長松島  進君
道路計画担当部長周郷 友義君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
環境局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・私債権の放棄について
請願の審査
(1)五第七号 神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願
建設局関係
第三回定例会提出予定案件について(説明)
・神田川整備工事(その四十三)その二請負契約
・土地の買入れについて
請願陳情の審査
(1)五第五号の三 高輪築堤(第五・六街区及び第七街区)の現地保存等に関する請願
(2)五第九号の一 葛西臨海水族園(仮称)整備等事業の事業者決定の手続等に関する請願
(3)五第一二号  東武東上線(大山駅付近)の連続立体交差事業に関する陳情
(4)五第二七号  葛西臨海水族園の更新に当たり環境影響評価の実施を求めることに関する陳情
(5)五第二八号  日比谷公園の歴史文化の尊重・再生整備計画の保留・文化財としての保存に関する陳情

○里吉委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○里吉委員長 初めに、陳情の取下げについて申し上げます。
 お手元配布のとおり、五第二三号、祖師谷公園におけるスケートボードパークの整備等に関する陳情については、議長から取下げを許可した旨、通知がありましたので、ご了承願います。

○里吉委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局及び建設局関係の第三回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、環境局関係の報告事項の聴取並びに環境局及び建設局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、環境局長から紹介があります。

○栗岡環境局長 去る七月一日付の人事異動によりまして、新たに説明員となりました幹部職員をご紹介させていただきます。
 環境政策総合推進担当理事の高崎秀之でございます。総務部長の緑川武博でございます。再生可能エネルギー実装推進担当部長の小林洋行でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○里吉委員長 紹介は終わりました。

○里吉委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○栗岡環境局長 令和五年第三回定例会に提出を予定しております環境局関係の案件について概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和五年第三回都議会定例会提出予定案件の概要をご覧ください。
 今回提出を予定しております案件は、条例案一件でございます。
 表紙を一枚おめくりいただきまして、一ページをご覧ください。条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例についてでございます。
 脱炭素社会の実現に向けた実効性ある取組の強化を図るため、温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度及び地球温暖化対策報告書制度について、所要の改正を行う必要があるためでございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○緑川総務部長 令和五年第三回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の資料2をご覧ください。都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例についてでございます。
 表紙を一枚おめくりいただき、一ページをご覧ください。
 一、改正理由でございますが、脱炭素社会の実現に向けた実効性ある取組の強化を図るため、温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度及び地球温暖化対策報告書制度について、所要の改正を行う必要があるためでございます。
 二、改正の内容でございますが、(一)、温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度について、対象事業所における再生可能エネルギー等の使用量の把握及び報告を義務づけるとともに、優良特定地球温暖化対策事業所の認定を省エネルギー化に加え再生可能エネルギーの利用も含めたゼロエミッション化への取組として評価するため、規定を整備するものでございます。
 (二)、地球温暖化対策報告書制度について、都が示す達成水準を踏まえ、事業者が省エネルギー及び再生可能エネルギーの利用拡大に関する目標を設定し、達成状況を報告することとするため、規定を整備するものでございます。
 (三)、その他所要の規定整備を行うものでございます。
 二ページをお開き願います。
 三、条例の施行日でございますが、令和七年四月一日としております。ただし、(一)の一部の規定につきましては、公布の日としております。
 三ページから一三ページまでは本条例案、一四ページから二八ページまでは新旧対照表でございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。——ないですか。なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○里吉委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○緑川総務部長 東京都債権管理条例第十三条に基づき、環境局が令和四年度に実施した私債権の放棄につきましてご報告させていただきます。
 お手元の資料3、私債権の放棄についてをご覧ください。
 令和四年度に放棄した私債権は、公害防止資金貸付金の一件、金額は六百十万五千円でございます。
 当該債権は、東京都公害防止資金に係る貸付金で、平成八年度に貸し付けし、平成十年度から債務の返済が滞っている債権でございます。
 これまで債務者及び連帯保証人に対しまして、継続して文書や訪問による催告、調査等を行い、徴収に努めてまいりました。しかし、債務者は、平成十九年度を最後に返済が困難となり、平成二十二年五月に自己破産し、免責を受けております。
 その後も二名の連帯保証人に対して徴収の努力を続けてまいりましたが、令和二年度に消滅時効に係る時効期間が経過し、一名は令和四年七月に時効を援用しております。もう一名は所在不明であり、実質的に回収不能でございます。
 このため、東京都債権管理条例の規定に基づき、令和五年三月三十日に当該債権の放棄を決定したところでございます。
 以上、私債権の放棄につきましてご説明申し上げました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○里吉委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。——なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○里吉委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願五第七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○長谷川政策調整担当部長 それでは、お手元の資料4、請願審査説明表の表紙をおめくりください。
 右側の一ページをご覧ください。整理番号1、請願番号五第七号、神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願につきましてご説明申し上げます。
 請願者は、渋谷区の神宮外苑の森を守る会代表楠本淳子さんです。
 請願の要旨は、神宮外苑地区の再開発計画に関して、次のことを実現していただきたい。
 1、都において、イチョウ並木を含む神宮外苑地区の全ての樹木の根系、水系、土壌及び樹木の総合的な健康状態を、自然生態系に影響を及ぼす工事を進める前に、日本イコモス国内委員会と共同で調査するとともに、調査結果は東京都環境影響評価審議会に報告し、入念に審議すること。
 2、都議会において、神宮外苑地区の再開発計画についてさらなる審議を行い、その審議において事業者及び日本イコモスの代表を参考人として招致し、両者が議論できる場を設けることというものでございます。
 現在の状況ですが、1、本件環境影響評価については、令和四年八月十八日の審議会総会でまとめられた答申において、既存樹木の健全度や移植の可能性に関する詳細調査結果をデータと併せて説明することが指摘されたことを踏まえ、詳細な毎木調査の結果や土壌、地下水等の調査結果を盛り込んだ環境影響評価書素案が事業者から提出されました。令和四年十二月二十六日の審議会総会では、答申で指摘された内容がどのように評価書素案に盛り込まれているかの確認が行われました。
 2、その後、環境影響評価書が都に提出され、令和五年一月二十日に環境影響評価書の公示を行いました。これまで条例にのっとり厳正に手続を行っており、評価書の公示、縦覧により事業段階環境影響評価手続が終了し、条例に定める対象事業の実施の制限が解除されています。
 3、現在は事後調査手続が進められており、事後調査計画書では、工事の施行中及び完了後の一定期間にわたり、既存樹木や四列イチョウ並木の活力度調査など継続的なモニタリングを実施し、状況に応じた保育管理を行うことで、将来にわたり健全に育成していくこととしています。
 最後に、4、環境影響評価書に関する外部からの指摘に対し、事業者は、令和五年四月二十七日と五月十八日の審議会総会において、一つ一つ回答を説明し、審議会では、審議会委員が専門的な立場から確認を行った結果、評価書に虚偽や誤りはなく、予測評価の結果に影響を与えるものはないと判断するとの結論になっています。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○成清委員 私からは、神宮外苑地区の既存樹木の保全に関連して何点か伺います。
 私たちは、かねてより自然と共生する東京の実現を強く訴えてまいりました。私たちの提案を受け、先月、東京都は新たに百年先を見据えた新たな緑のプロジェクト、東京グリーンビズを公表しました。その中では、私たちが強く訴えてきた緑、自然の機能を発揮するグリーンインフラの導入など、先進的な取組が掲げられています。
 その観点からも、神宮外苑地区の再開発は、歴史的、文化的価値を適切に継承しながら、緑、自然と共生していくことが重要であり、都民の理解と共感を得ながら進めていくべきとこれまでも主張をしてまいりました。
 都は、昨年五月に三井不動産や明治神宮など事業者四者に対し、既存樹木一本一本を大切に扱い、神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めることや、とりわけ神宮外苑の象徴である四列のイチョウ並木の保全には万全を期すことなどを含む要請書を出しました。
 また、今年五月には、事業者に対し分かりやすい情報発信や都民の共感と参画を得ながらまちづくりを推進することを盛り込んだ再要請も行いました。
 こうした要請を受け、事業者側ではウェブサイトにおけるQ&Aの充実をはじめ、情報公開の質の向上を図るとともに、説明会の実施、その内容の公開などの取組を進めてきました。その中では、四列のイチョウ並木など歴史ある景観を残しながら緑やオープンスペースを増大させることや老朽化したスポーツ施設を競技開催の継続性に配慮しながら連鎖的に更新することなど、計画の意義が説明されています。
 また、緑の保全に関しては、四列のイチョウ並木は伐採せず保全することに加えて、一本一本の樹木を大切に扱い、できる限り樹木を保存すること、保存できない樹木もできる限り移植を行うことなどが示されています。
 これらに続き、昨日都は、神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全について、再開発事業者に要請文を出しました。報道によれば、今月以降、樹木の伐採が開始されるとのことですが、こうした時期に本要請文を出した趣旨を伺います。

○長谷川政策調整担当部長 都はかねてから、樹木の保全に関し事業者に対して要請を行い、事業者からは、具体的な整備計画の検討に際しては樹木保全への配慮を確実に遂行していくとの回答を得ております。
 また、本再開発事業の環境影響評価書では事業者は、新ラグビー場整備地周辺の既存樹木について設計、施工の両面からの工夫により、保存または移植を検討するとしています。
 こうした既存樹木の保全等に関する検討の結果がいまだ示されていない中、今般事業者は、新ラグビー場整備に向け、樹木伐採等に関する東京都風致地区条例に基づく許可申請手続を進め、新宿区から許可を受けました。
 そのため、日本スポーツ振興センターをはじめとする事業者に対し、新ラグビー場敷地の高中木の樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書に記載された新ラグビー場整備に伴う既存樹木の保全等の検討結果を示すよう要請書を出したものでございます。

○成清委員 新ラグビー場整備地周辺の樹木保全に向けた検討結果が示されないまま、伐採の許可が下りたことが契機となって、事業者の樹木保全に向けた検討を促すために要請文を出したとのことです。事業者が十分に検討することはもちろんのことですが、都としても要請文を出すだけではなく、今後しっかりと関与をしていただきたいと思います。
 続いて、既存樹木の移植について伺います。
 既存樹木の保全に向けては、まずは保存することを前提に、施設整備の工夫を含めて検討することが第一となりますが、それでも工事に支障があるなどして、どうしても保存できない場合は移植による樹木の保全を検討することになります。しかしながら、移植先の生態系を乱してしまうといった可能性があるなど、移植の検討は慎重に行う必要があると考えます。
 先般、七月に行われた環境アセス審議会では、建国記念文庫及び神宮第二球場周辺の樹木に関する移植計画の報告があったと聞いていますが、その概要を伺います。

○長谷川政策調整担当部長 七月の審議会における報告では、建国記念文庫及び神宮第二球場周辺には、計二百六十三本の高さ三メートル以上の樹木があり、うち保存木が七十二本、移植木が九十四本となっています。
 移植の準備作業である根回しは、九十本が実施済みで、御観兵榎エリアや聖徳記念絵画館周りに本移植を、また、聖徳記念絵画館前や新ラグビー場等、施設西側に仮移植を行う計画でございます。
 また、移植先の生態系への配慮から、既に移植先に存在する樹種を選定して、今後、来年六月にかけて移植を行う予定となっております。

○成清委員 移植計画の概要について分かりました。移植先の生態系にも配慮した計画になっていて、来年六月にかけて行うということです。
 ところで、せっかく移植をしても、その後の管理をしっかりと行わなければ移植した樹木が枯れてしまうということも考えられます。どのような管理を行っていくのか伺います。

○長谷川政策調整担当部長 七月の審議会における事業者報告では、移植木の根の発根を促進し、特に樹木からの蒸散が大きい夏場においても適切に水の供給ができるようにかん水を実施するとともに、移植木の根鉢周りに稲わらを敷くことで、乾燥には十分に注意を払うとしています。
 また、強風による倒木等の防止や樹木の揺れ抑制のため、樹木支柱等を設置するほか、樹勢の維持、回復のための剪定、また、除草を適宜実施するとしています。
 さらには、仮移植期間中及び本移植後において、毎年樹木の活力度調査を行い、必要な措置を講じた上で、環境影響評価審議会に事後調査報告を行う予定となっています。

○成清委員 移植した樹木の管理手法について詳細な説明をいただきました。状況については定期的にアセス審議会への報告があるようですので、しっかりと移植樹木の状況把握をしていただきたいと思います。
 移植をはじめ神宮外苑地区の既存樹木の保全に対する都民の関心は高いと思います。神宮外苑地区の再開発が次の百年を見据え、自然との共生の観点からも、また、財政的な観点からも持続可能なまちづくりとなるよう、引き続き都として事業者の取組を丁寧に確認していくことを改めて強く求め、質問を終わります。

○伊藤委員 それでは、私からも神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願について、関連して何点か質問してまいりたいというふうに思います。
 今から約百年前の大正十五年に創建された神宮外苑は、緑とスポーツの拠点として、都民をはじめ多くの方々に愛され続けてきました。一方で、今回の再開発事業によって、先人から継承された環境が失われるのではないかとの懸念の声も上がっております。
 本事業は、明治神宮や三井不動産など四者による民間主体の再開発事業でありますけれども、環境影響評価手続では事業者協力の下、通常よりも数多くの審議が行われたと聞いております。
 こうした議論に加えて、先ほどの説明では、本事業の環境影響評価書に関する日本イコモスからの指摘について、今年の四月、五月の環境アセス審議会で取り上げられたようでありますけれども、具体的にどのような議論があったのか伺いたいと思います。

○長谷川政策調整担当部長 環境影響評価書に関する外部からの指摘に対しまして、環境影響評価審議会では、令和五年四月と五月の総会におきまして、各回三時間、計約六時間かけて、事業者による説明と内容の確認が行われました。
 具体的には、事業者は約六十項目の指摘事項一つ一つについて説明を行うとともに、あらかじめ審議会委員から聴取した意見に対しても説明を行いました。
 審議会では、委員が専門的立場から説明内容の確認を行い、結果、評価書に虚偽や誤りはなく、環境影響評価書の予測評価に影響を与えるものはないと判断され、指摘に対する事業者による説明は終了するとの結論になりました。

○伊藤委員 審議会では計六時間かけて、事業者が指摘事項の一つ一つについて説明を行い、審議会委員が専門的立場から内容の確認を行ったということでありました。
 続いて、神宮外苑地区の樹木に関連して、イチョウ並木の保全について伺ってまいりたいと思います。
 青山通りから続く四列のイチョウ並木は、神宮外苑のシンボルであって、都民、国民の関心が非常に高いことから、その保全に万全を期すことは極めて重要であります。都議会公明党には、四列イチョウ並木は枯らせてしまうようなことがあってはならないとの声が多数寄せられております。四列のイチョウ並木を守るため、都としても積極的な関与が求められます。
 都は、昨年の五月、四列イチョウ並木の保全について万全を期すよう要請し、事業者は並木全てを保全すると明言しておりますけれども、四列イチョウ並木を守るための都の責任ある関わり方について見解を求めたいと思います。

○長谷川政策調整担当部長 昨年八月に出された本件環境影響評価書案に関する審議会答申では、環境保全措置を図るとともに継続して対策を講じていくことが重要であり、審議会としても今後の事業者の環境保全措置に継続的に関与することで寄与していくとしています。
 これを踏まえ、今後、環境影響評価の事後調査手続における報告書等が事業者から提出された際に、評価書や事後調査報告書等で示された環境保全措置が確実に講じられているかにつきまして、都は、審議会を運営し、確認していくことになります。
 イチョウ並木の保全につきましては、先般七月の審議会において、根系調査の状況が報告されたところでございます。
 また、工事中の毎年及び工事完了後の一定期間にわたって、イチョウ並木の活力度調査を行うこととしておりまして、本年につきましては十月に報告書が提出され、その後開催される審議会で報告される予定となっております。

○伊藤委員 イチョウ並木の保全をはじめとする環境保全措置については、今後、事業者から適宜報告があって、その都度、アセス審議会で議論がされるということであります。
 先ほどの答弁では、七月の審議会においてイチョウ並木の根系調査の状況が報告されたということでありますけれども、審議会でどのような議論があったのか伺いたいと思います。

○長谷川政策調整担当部長 事業者からは、根系調査を実施できた範囲では、環状剥皮の目安となる十センチメートルメッシュ内に直径三十ミリメートル以上の根が四本以上ある箇所は見つからなかったが、コンクリート塊や石礫、塩化ビニール製パイプが出現したことなどから、地点を増やすなど徹底した調査を引き続き実施していくとの報告がありました。
 また、今後も継続する根系調査の結果や樹木医の見解を踏まえ、野球場等の十分なセットバックなど、イチョウ並木を確実に保全するために必要な施設計画の見直しにしっかりと取り組むとの報告もありました。
 委員からは、イチョウ並木については、周辺住民や都民の関心が非常に高い事項であり、調査や保全措置をしっかりと行い、審議会に速やかに報告するよう意見がございまして、都としても、今後、事業者の環境保全措置の取組に注視してまいります。

○伊藤委員 根系調査の状況については分かりましたけれども、私からも調査や保全措置をしっかりと行っていただき、そのことを速やかに明らかにしていただくようお願いをしたいと思います。
 先ほどの答弁では、今後、イチョウ並木の活力度調査に関する報告があるということでありました。最近の報道などを見ますと、神宮外苑のイチョウの一部が枯れ始めているとの情報が出ております。
 現在のイチョウ並木の状況について、事業者はどのように認識をして対応しているのか伺いたいと思います。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、二〇一九年十一月から、明治神宮の日常管理の中で、四列のイチョウ並木の一部について、他のイチョウに比べ落葉が早い樹木があり、当該樹木については、昨年及び今年の春先に新芽が出て葉が生育している状況を確認しています。その後、今年の六、七月頃から、一部のイチョウについて葉の色づきが早いことを確認しています。
 そのため、事業者は、樹木医等とも相談の上、樹勢回復措置として土壌改良や施肥、かん水を実施しております。また、イチョウ並木の活力度調査等のモニタリングを行い、状況に応じた保育管理を行うとしています。

○伊藤委員 明治神宮の日常管理の中で、一部のイチョウの葉の色づきが早いことが確認をされ、樹勢回復措置を実施しているということでありますけれども、この話を聞いた、あるいは報道を目にした多くの方々が心配をしているのではないかというふうに思います。
 今年については、夏の猛暑の影響もあったかもしれませんけれども、神宮外苑の象徴ともいえる四列のイチョウ並木を確実に保全するよう、事業者にはしっかりと対応していただくとともに、都としても積極的に関与していくことを私は強く求めたいというふうに思います。
 また、都は昨日、三井不動産をはじめとする事業者四者に対して、神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全について要請文を出しました。事業者には要請文を重く受け止め、しっかりと対応していただくよう求めまして、私の質問を終わります。

○曽根委員 同じく神宮外苑再開発の見直しを求める請願について何点かお聞きします。
 まず、九月七日に国際イコモスから、神宮外苑地区再開発事業の撤回に向けた緊急要請、ヘリテージアラートが出されました。この冒頭には以下のように書いてあります。イコモスは東京において十七世紀より継承されてきた庭園都市、パークシステムのコアである神宮外苑地区再開発事業を阻止し、二三年九月より開始される三千本の樹木の伐採、移植を阻止するため、ヘリテージアラートを発令するとあります。
 ここでいわれている十七世紀以来の庭園都市、パークシステムという言葉は、実は最近、元ペンクラブ会長の浅田次郎氏が、JALの機内誌の中で東京の緑と題して書いているエッセイと非常に符合していると私は感じました。
 すなわち、東京は諸外国に比べて都心に大変緑が多い都市であり、それは、二百六十年以上戦争を免れてきた江戸城や多くの武家屋敷の跡に首都東京の政府や大学、公共施設が配置され、緑豊かな庭園が残されてきた、その代表格が神宮の森だという趣旨のエッセイです。
 浅田次郎氏はここで、私は再開発という美名の下に、父祖が残してくれた東京の緑がこれ以上損なわれることを潔しとしないと書いていますが、同じ観点から、より明確に国際レベルで警告したのが今回のヘリテージアラートだと思います。問われているのは一つの開発の問題ではなく、東京の歴史から豊かな緑の存在を失い続けていいのかという根本的な都市の在り方が問われているというふうに捉えるべきです。
 しかも、外苑開発への不信と怒りの世論がここまで急速に広がっている要因として、開発の事業者と許可権者である都知事が、開発の実態や狙いについて公開の議論を避け、何事も都民抜きで済ませてしまおうという態度を取り続けていることがあります。
 昨日、環境局、都市整備局の両局長名で出された事業者への要請文も、内容は後で触れますが、都民抜きの姿勢はまず批判されなければならないと思います。
 私からは、改めて都民公開の場で事業者とイコモスで外苑の緑の保全について討論の場を設定すべきであり、都議会の参考人招致がさらに切実に求められていることをここで強調するとともに、中心問題となっている建国記念文庫の森及びイチョウ並木の問題で何点か質問していきたいと思います。
 私は前回、六月五日の請願審査の際、建国記念文庫の森の伐採、移植計画について、樹木の大半を文化交流施設棟周辺や中央広場周りに移植する計画で、樹林が壊滅する危険を日本イコモスが指摘したことに事業者としてきちんとした反論がなかった点を指摘しました。そして、事業者とイコモス双方から意見を聴取する場が必要であると、都議会での参考人招致を私自身も求めましたが、残念ながら合意が得られず実現しませんでした。
 そこで、現時点で、私は何点か当局に質問しておきたいと思います。
 最初に、ちょっと質問の順番を変えますけれども、建国記念文庫の樹林について、今の樹林は幾つかの群落を形成していますが、なぜ現在の群落を移植の際に維持しようとしなかったのか、基本的な問題ですけれども、先にお聞きしておきたいと思います。

○長谷川政策調整担当部長 建国記念文庫の樹林につきましては、北側を保全エリアとして残した上で、文化交流施設棟周辺及び中央広場周りにおきまして、建国記念文庫等から樹木を移植し、新たに新植樹木も配置することで、建国記念文庫の樹林及び生態系を復元する計画としています。

○曽根委員 本当の意味で、この文庫の森の樹林全体を保存するということがなぜできなかったのか、群落をばらばらにしてしまうのかの理由にはお答えはなっていないかなと思いますが、イコモスが批判している点は、ご存じのとおり常緑樹と落葉樹が混合して、百年かけて樹林を形成していると。その中には人為的に植栽されたものもあれば、その後百年の歴史の中で自然に淘汰されていった姿もあると。それを人為的に、今回ばらばらに移植することで、実際は混合林ではなく混乱林になってしまうという厳しい批判をしているわけです。
 このイコモスの批判については、その後も多くの都民や団体から、この群落などへの批判にどう答えるんだと問合せがかなり来ていまして、事業者は、質問受付ページというところの回答で、今後、環境影響評価手続の中で、事後調査報告書等により内容について報告すると記述しています。これはどういう意味なのか。つまり、イコモスの批判を受け、移植計画の変更もあり得るということなんでしょうか、お聞きします。

○長谷川政策調整担当部長 事後調査計画書に基づき、今後、環境影響評価審議会におきまして事後調査報告を行うものと考えております。
 群落に関する指摘につきましては、五月の審議会において、事業者は樹木一本一本の毎木調査を行い、それらを踏まえて生態系保全のための予測調査を行っていると説明しており、審議会では予測評価に変更が生じないとの結論となっております。

○曽根委員 ということは、群落に関する指摘については五月の審議会で審議し予測評価に変更は生じないという結論だったということですが、同時に、今後行われる事後調査報告の中で、これらの予測評価に変更が生じることはあり得ないということではないと。やはり一定の変更があり得るということを含んだ答弁だと私は理解します。
 では、そもそも予測評価がどうだったのかという疑問も生じるわけですが、最低限、今後、事後調査報告の中で予測評価の変更が行われる場合、これは事業者としてイコモスの指摘を十分に受け止め、また、イコモスから事業者が直接意見を聞くべきだということも、この場で強調しておきたいと思います。
 イコモス側は、一本ごとの樹木を見るだけでは駄目なんだと。樹木のグループがそれぞれ階層的な群落をつくり、しかも百年の変遷を経てきているこの現状を壊して、人為的に移植、伐採すれば、健全な樹林は維持できないことをきめ細かく指摘しています。この点は審議会で十分疑問が解けたとはいいがたい。だからこそ、部会長が事業者に対して、イコモスなどとの対話を要請する異例の発言をしたわけです。
 それで、今後のことについて、要請の中についての、若干この文書の意味を確認しておきたいんですけれども、昨日、都は、神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全についてという要請を事業者宛てに行いました。
 急だったので、私も急いで読んだんですけれども、そこでは、今年一月二十日に公示された環境影響評価書では、新ラグビー場の設計、施工に関わって、今後、改めて既存樹林について設計、施工の両面からの工夫により、保存または移植を検討するとされていることを示して、同時に、一方、前述の環境影響評価書で事業者から示された既存樹木の保全等の検討結果はいまだ示されていない状況にありますと指摘しています。
 そこで、ちょっと聞いておきたいんですけど、建国記念の森の中高木の移植計画というのは、実施前に環境影響評価の事後調査の審議に付されることになっているのかどうか、この点を確認しておきたいと思います。

○長谷川政策調整担当部長 建国記念文庫の樹木の移植計画につきましては、七月の審議会で事後調査報告がなされております。

○曽根委員 そうすると、既に七月にこの移植計画は審議会で審議されたということですけれども、同時に、昨日の既存樹木の保全等の検討結果はいまだ示されていない状況であると要請の中に書かれております。
 少し分かりにくかったので、事前に局の方に確認しました。要するに移植計画は、移植、伐採の対象や本数の話ではなく、例えば移植先の土壌改良など移植に関する環境整備についての話であって、それは七月の審議会で議論されていると。しかし、どの樹木を何本移植、保存あるいは伐採するかについては、評価書では設計、施工両面からさらに工夫することがいわれているのに、それが十分事業者によってなされていないまま、伐採許可申請が提出、そして受理されているという状況ということだというふうに私は理解しました。
 評価書で確認されたことも十分にまだ履行しないうちに伐採許可申請を出した事業者の責任は厳しく問われます。これは新宿区のところですね。また、これを受理した新宿区も同様だといわなければなりません。
 その上で、この要請文書の内容について、念のために確認したいんですけど、要請文にある、新ラグビー場の整備に向け支障となる樹木、また、既存樹木の保全等の検討結果が示されていないもの、都は、第二球場周辺にある樹木だけではなく、さっきからお話ししております建国記念文庫の樹木も含まれているんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。

○長谷川政策調整担当部長 こちらにつきましては、建国記念文庫と、それから神宮第二球場周辺、こちらが含まれているということでございます。

○曽根委員 ということは、建国記念文庫の森の中の樹木の扱いについても、まだ全部は決まっていないということですよね。これの計画を出さないと、伐採の前に出してくれということを都は要請したということになりますね。したがって、建国記念文庫の森自体についても、まだまだ今後動く可能性はあるということがいえると思います。
 そして、文章の最後の方で、同じく要請文で、あわせてその他の区域についてもさらなる樹木の保全策を検討しお示しいただくよう要請とありますが、これは新ラグビー場敷地の樹木伐採着手以前に、新ラグビー場敷地以外の地域についても樹木の保全策を示すことを求めているというふうに考えてよろしいんでしょうか、この要請の意図するところです。

○長谷川政策調整担当部長 こちらは要請文にございますとおり、その他の区域についても、施設の設計の工夫等によるさらなる樹木の保全策について検討しお示しいただくよう要請したというものでございます。

○曽根委員 そうすると、これらの保全策は事業者が方針を決定し、審議会にやはり報告を行い、審議が行われることは当然必要だと考えますが、この点も改めて確認するまでもないことなんですけれども、大丈夫ですね。審議会での報告、審議は、当然必要と考えておられるわけですね。

○長谷川政策調整担当部長 この後、事業者から報告する内容によりまして、環境影響評価手続を進めてまいるということになります。

○曽根委員 ちょっと明確なお答えはなかったんですが、環境影響評価書に基づく手続の中には事後調査報告が入っていますので、当然これは審議にかけなきゃならないことだし、それぞれ重要な今、ちょっとお聞きした点での答弁ですので、重ねて事業者にこの点を徹底していただきたい。少なくともこれは要請を出したわけですから、必ず徹底していただきたい。このことを申し上げておきます。
 現在、建国文庫の森の樹木はどういう状態にあるのか、先ほどもちょっと質問ありましたが、改めてお聞きしておきます。

○長谷川政策調整担当部長 建国記念文庫の樹木につきましては、七月の審議会の事後調査報告において、移植木を対象に、その準備としての根回しを実施したとのことでございます。

○曽根委員 新宿区に対して住民の皆さんから、建国記念の森の樹木伐採の取消しを求める訴訟が起こされております。また、伐採の執行停止を求める申立てもされているということは、都としてもご存じですね。

○長谷川政策調整担当部長 本件については、報道等で承知をしております。

○曽根委員 神宮外苑の樹木は、もちろん一旦失われれば二度と復元はできない、そういうものです。環境局として、神宮外苑の樹木伐採に都民の強い批判の世論が広がっていることを踏まえて、少なくともこの訴訟の結果が出るまでの期間について、伐採工事を凍結、停止させる、こういうことを要請することはできないんでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 当局で所管する環境アセス条例におきまして、工事の凍結を求める規定はございません。

○曽根委員 昨日の両局長の要請では、事業者が検討するとした既存樹木の保全等の検討結果を伐採に着手する前に示すよう求めていますが、これは結局、保全できないとして伐採と決まった場合、その直前に都に報告したのでは、その是非を検討する余裕もなくなる危険があります。
 したがって、これは都のアセス条例に規定があるかどうかで解決する話ではなく、百年の間守られてきた樹木を、まともな都民的な審議や判断を抜きに事業者が伐採するのを見逃してよいかどうかの極めて重大な問題であり、環境局としての都民の信頼性が問われると考えるべきです。改めて、都の事業者への強い主導性を発揮すべきということを申し上げておきたいと思います。
 次に、イチョウ並木の問題について、この間、重大な事実が明らかになってきたので、この点についてもただしておきます。
 事業者のイチョウ並木の根系調査によると、イチョウ並木が実は現状でもかなり厳しい状態であると判明しました。全てAまたはBのランクづけをしていた事業者の見識が改めて問われます。私も現地に行ってみましたが、確かに複数のイチョウが色づきが悪く、明らかに木に勢いがない。これは当局もご覧になっていると思います。
 四列のイチョウ並木の健全性について、全てAかBの良好な状態であるとの事業者の評価は、この間、撤回または訂正されたんでしょうか。一部落葉の早い木について、施肥の工夫で改善したとの報告は、まだそのままの状態なんでしょうか。いかがですか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、四列のイチョウ並木の活力度調査につきまして、工事中の毎年及び工事の完了後において実施するとしています。今年につきましては、調査結果をまとめた事後調査報告書が十月に都へ提出される予定となっております。

○曽根委員 事業者は、最初の評価についてまだ訂正してもいないし、施肥や薬剤や、または土壌の若干の改良で何とかしたいという方向でやっているわけですね。
 根系調査では、地下の土壌中に大変異物が多く、調査を徹底してやり直すとのことですが、イチョウ並木の地下の状態が想像以上に厳しい環境にあることが今後、新球場の壁をセットバックするかどうかという事業者の判断にどのように影響することになるんでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 七月に提出された事後調査報告書では、根系調査を実施できた範囲では、コンクリート塊や石礫、塩化ビニール製パイプが出現したことなどから、地点を増やすなど、徹底した調査を引き続き実施していくとしています。
 今後も継続する根系調査の結果や樹木医の見解を踏まえまして、イチョウ並木を確実に保全するため、野球場等のセットバックなど、必要な施設計画の見直しに取り組んでいくとしています。

○曽根委員 今後、もしイチョウが本格的な立ち枯れ状態に陥り始めた場合、それは再開発の工事が原因というよりも、もう既にイチョウの木の地下の状態が厳しい環境だったことが原因じゃないかという解釈が成り立ったりすることがあるんでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 仮定の話についてはお答えしかねますが、事業者は地点を増やすなど、徹底した調査を引き続き実施し、イチョウ並木の保全に取り組んでいくとしています。

○曽根委員 現状の厳しさは幾ら調査しても、イチョウの保全にはそれだけではなりません。何よりイチョウ並木の周辺環境をこれ以上悪化させないこと。水分を吸収し、保水力が高いことから、昔から火災よけの樹木として大事にされてきたイチョウを守るには、計画の許す範囲では、どんなにセットバックしてもイチョウの環境悪化は避けられません。
 私、非常に印象的だったので、今日皆さんにちょっと紹介したいんですけど、(パネルを示す)外苑フューチャーという、この問題に関心を寄せたイラストレーターの方が描いたポスターらしいんですけど、未来に、こういう姿にイチョウ並木がなってしまうことが、私はだんだんリアルさを増しているなということを感じないわけにいきません。
 私は、何よりも事業者がイチョウ並木を守ることを最優先に考えるならば、競技場の大規模な入替えの開発などをやっている場合ではないということを、神宮外苑を守る立場から強調しておきたいと思います。
 ラグビー場に向かう十九本のイチョウは移植を検討し、移植先は新球場の北側を予定しているといいますが、これらのイチョウについて、事業者はイチョウの樹木保全についてどこまで責任を負うつもりなんでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、今後も樹木医等の見解を踏まえまして、環境影響評価審議会で調査結果や移植計画を報告しながら進めていくとしています。

○曽根委員 神宮外苑再開発の事業者は、結局これまでのところ、日本イコモス国内委員会と直接意見を交換する場を設けておりません。
 都の責任で、事後調査の場に日本イコモス国内委員会を参加させるなど、ふさわしい場を設けるべきと考えますが、この点はいかがでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 条例第七十四条の二では、審議会は、必要があるときは、事業者その他関係者の出席を求めることができると規定されておりますが、その他関係者とは、環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定しております。

○曽根委員 今のお答えに象徴されるように、環境局は、これだけ開発の環境破壊の危険が各方面から指摘されているにもかかわらず、あくまで自分たちが開発の許可権を持たず、手続条例しか持っていないことを強調してきましたが、昨日の要請文は、許可権を持つ都市整備局と連携する道をある意味で示しております。
 あくまで都民の利益を守る立場に立てば、イチョウ並木や建国記念文庫の貴重な群落などを守るための開発計画の見直しを事業者により強く求める権限を発揮する道は、まだまだ考えられるはずです。
 事業者に対して、都が都民のための自然と憩いの場としての外苑を守るあらゆる努力を尽くすよう求めるとともに、また、我々としては改めて、都議会としての事業者とイコモスの参考人招致を強く呼びかけたいと思います。
 来週十八日には、サザンオールスターズの「Relay−杜の詩」という坂本龍一氏の遺志を継いでいく桑田佳祐氏の決意を示す歌がリリースされるそうです。この中で桑田氏は、自分がいない世の中、思いやるような人であれという歌詞を挿入しているそうですが、坂本氏からは人生最後のメッセージを受け取る、この決意をにじませていると私は思いました。
 また、自分自身、これから生きていく子供たちの未来に少しでも、この外苑問題をはじめとして、希望を残せるような努力をしていく決意を申し上げて、私の質問を終わります。

○もり委員 ミライ会議、もり愛です。
 質問に入る前に、まず、請願に対するミライ会議としての意見を述べさせていただきます。
 本請願では、第一に、自然生態系に影響を及ぼす工事を進める前に、日本イコモスと共同で調査を行い、そして、環境影響評価審議会に報告し、審議することを求めています。そして第二に、都議会に事業者と日本イコモスを招致して、両者が議論する場を設けることを求めています。
 これまで東京都は、令和五年四月二十七日と五月十八日の環境影響評価審議会で、評価書に虚偽や偽りはなく、予測評価の結果に影響を与えるものではないと判断するとの結論となったと説明をしてきました。
 ところが、昨日、九月十二日付で、東京都は都市整備局長と環境局長の連名で、神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全について要請を事業者に発出をしました。
 この要請は、環境影響評価書で事業者から示された既存樹木の保全等の検討結果はいまだ示されていない状況にありますとして、事業者がアセスの義務を果たしていないとの指摘をした上で、新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までにと明確に時期を示した上で、環境影響評価書で示された検討を行った結果として、樹木の保全に関する具体的な見直し案をお示しください、及び、あわせてこの他の地域についても、施設の設計の工夫等によるさらなる樹木の保全策を検討し、お示しいただくよう要請しますとしています。これは、この請願に沿った東京都の対応として前進だと受け止めています。
 また、九月七日には、ユネスコの世界文化遺産の指定を行う際の諮問機関であるイコモスのヘリテージアラートが発出をされました。このヘリテージアラートを東京都が無視することは、今後の日本の世界遺産登録作業において必要となるイコモスの審査においても影響を及ぼすおそれもあります。何より東京都自身が文化を尊重しない都市として、国際都市としての資格を失うことになると考えます。
 私は、請願の紹介議員の一人として、この請願の採択に賛同するものですが、九月七日のユネスコのイコモスによるヘリテージアラート及び昨日九月十二日の東京都の神宮外苑地区まちづくりにおける樹木の保全についての要請を踏まえれば、委員会としてこの請願を不採択にすることは、これら直近の事情を無視するものであり、ぜひ採択していただけるようご配慮をお願いいたします。
 それでは、質問に入ります。
 昨日、九月十二日の東京都の要請で最も重要なポイントは、新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までにという時期の明記です。これは、環境影響評価書で示された検討を行った結果として、樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すこと、及び、あわせてその他の地区についても施設の設計の工夫等によるさらなる樹木の保全策を検討し示すこと、これを行う前には新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手しないように要請したものと読めますが、それでいいのか確認をさせていただきます。

○長谷川政策調整担当部長 本要請書は、事業者に対し、新ラグビー場敷地の高中木の樹木の伐採に着手する前までに、既存樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すよう要請したものでございます。
 事業者においては、具体的な見直し案を速やかに検討しお示しいただきたいと考えております。

○もり委員 ありがとうございます。
 また、環境影響評価書で事業者から示された既存樹木の保全等の検討結果はいまだ示されていない状況にありますという文言についてですが、既存樹木の保全等の検討結果が事業者から示された後、環境影響評価審議会での審議状況に鑑みると、審議をすることは可能であると考えます。この点についてお伺いをいたします。

○長谷川政策調整担当部長 事業者から提出された内容により、環境影響評価手続を進めることになります。
 事業者においては、具体的な見直し案を速やかに検討し、お示しいただきたいと考えております。

○もり委員 ありがとうございます。
 この要請文、大変重要な要請だと思っておりますので、それによって本当に事業が改善するように願い、神宮外苑について質疑をさせていただきます。
 まず、神宮外苑についての都の認識を伺います。
 第二回定例会で、会派の米川議員の質問に対して、谷崎都市整備局長は、神宮外苑は心身鍛錬の場として造営されたものであり、創建時から野球場や競技場など多くのスポーツ施設が設けられ、国民や競技者がスポーツに親しんできた場である。そのような歴史も踏まえ、平成二十三年十二月に制定した都の長期計画において、スポーツクラスターとして集客力の高い、にぎわいと活力のあるまちの方向性が位置づけられたものと答弁がありました。
 この神宮外苑は、スポーツ施設の場であるという認識にも問題があると感じています。十万七千人余、賛助員七百万人の明治神宮奉賛会の方々の思いは、神宮は、明治天皇及び昭憲皇太后を記念し、明治神宮崇敬の信念を深く厚くさせ、自然に国体上の精神を自覚させるという理念を基礎とし、一定の方針をもって建設、造営されたものである。神宮は、国民多数の報恩の真心により明治神宮に奉献するものであって、他の遊覧のみを目的とする場所とは性質が異なるというもので、一九四〇年開催の東京オリンピックの主会場も、神宮外苑ではなく駒沢公園とされていました。
 これは、創建時の明治神宮奉賛会の認識と都の認識に乖離があると考えます。これについて、神宮外苑についての都の認識を伺いたかったのですが、これは都市整備局の所管になるということで、お答えはいただけませんでした。
 明治神宮らの事業者は、七月十七日から十九日までの説明会を開催したとして、九月以降に神宮第二球場周辺の高さ三メートル以上の樹木、約三十本を伐採するとしています。
 私たちは、神宮外苑は多くの日本人が明治天皇及び皇后をしのび、献木、献金、勤労奉仕をして創建した、まさに日本人の国民遺産、コモンズであり、スポーツクラスターとされた他の三地区とは全く異なると考えています。
 ですので、ぜひ神宮外苑開発については、創建に関わった全国の方々や幅広い専門家の意見を聞く必要があると考えています。
 七月二十八日の小池都知事の定例会見の冒頭で、神宮外苑への批判的な意見に対して、象徴的なイチョウ並木がなくなるとか緑を減らすなど、事業者が一度もいっていないことが広がっているネガティブキャンペーンやプロパガンダもあったとありました。
 神宮外苑のイチョウ並木は百四十六本あり、事業者が行った調査は古いものですが、イコモスの石川先生の二〇二二年十一月と二〇二三年七月の直近の神宮外苑のイチョウ並木調査では、イチョウが枯れつつあるという指摘がありました。
 イチョウは本来、樹齢六百年、七百年と成長する大変強い樹木です。この深刻な事実に目を向けなければ、イチョウ並木は守られないと危惧をしています。
 東京都は、これはネガティブキャンペーン、うそのプロパガンダと認識しているのでしょうか。イコモス委員会の石川幹子先生の指摘について、都の見解をお伺いいたします。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、二〇一九年十一月から、明治神宮の日常管理の中で、四列のイチョウ並木の一部について、他のイチョウに比べ落葉が早い樹木があり、当該樹木については、昨年及び今年の春先に新芽が出て、葉が生育している状況を確認しております。その後、今年の六、七月頃から、一部のイチョウについて葉の色づきが早いことを確認しており、樹木医等とも相談の上、土壌改良や施肥などの樹勢回復措置を実施しております。

○もり委員 審議会の議事は審議会で決めるのが原則ですが、都の審議会は、事務局である東京都の担当部局が議事進行なども作成し、座長に提案して進めている実態があり、審議会の場では、事業者からの意見聴取はなされていますが、それに批判的な専門家の意見聴取や、事業者と専門家のかみ合った議論が行われておりません。
 神宮外苑再開発に対する批判的な専門家の意見をネガティブキャンペーンやプロパガンダとして切り捨てるのではなく、真摯に向き合うべきだと考えます。
 事業者の意見をうのみにするのではなく、都民のための都民による都政としていただきたい。今回、イコモス本部から、神宮外苑再開発に対してヘリテージアラートが発出をされました。世界遺産級の守るべき都市の緑であると世界からも注目をされております。ヘリテージアラートの発出について、都の見解をお伺いいたします。

○長谷川政策調整担当部長 環境アセスメントにつきましては、都は、条例や答申に従って適切に手続を進めております。本事業の環境影響評価手続につきましては、評価書の公示をもって事業段階手続が完了しており、現在は事後調査手続を進めております。

○もり委員 ありがとうございます。
 事後評価という名前が大変分かりづらいんですけれども、東京都の事後評価は本当に事業の継続中も、また終わった後にも及ぶということで、ぜひそういった、しっかりと環境局としても監視をしていただくことを要望いたします。
 次に、東京グリーンビズと神宮外苑開発との関係について伺いたかったんですけれども、知事は、七月二十八日の記者会見で、百年先を見据えた緑のプロジェクト、東京グリーンビズの旗印の下で、百年先を見据え、緑と生きるまちづくりを進めていく。中でも緑を守る新たな取組として、樹木を切らずに移植するツリーバンクを創設すると発言をされています。
 東京グリーンビズの名づけ親は知事だと思いますが、このグリーンビズの意味について伺いたかったんですけれども、所管は政策企画局で、質疑はできないというご答弁でしたけれども、緑を守るための取組ですので、ぜひ今回の請願のように本当に局を超えてしっかりと環境局が関与していただきたいと、こちらも要望をさせていただきます。
 大きな木の移植は大変困難です。移植しても枯れて死んでしまう可能性が高く、新国立競技場建設の際には千五百本以上の樹木が伐採をされ、約百三十本が移植をされましたが、移植前の美しい樹形を生かした移植樹と判断されたのは、新宿区の天然記念物のスダジイを含む三本ほどで、造園樹木学の第一人者である農業大学の濱野教授は、狭い空間に所狭しと詰め込まれており、森の生態系が再生されていないと指摘をされ、樹木の生態的な特性を理解しているとはいいがたい。少なくとも移植樹に関しては負のレガシーであると批判をされています。
 神宮外苑で同じことが繰り返されることがあってはならないと考えます。都としては、どのような樹木は伐採し、どのような樹木は移植するのか、その基準をご説明ください。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、環境影響評価書におきまして、工事の支障となる樹木のうち、樹高や目通りの大きいものや根鉢の適切な確保が難しいと樹木医が判断したものを伐採対象とし、その他を移植対象としています。

○もり委員 大変大きな樹木が多いので、その際に対して本当に移植は大変な作業であると思います。ですので、そういったところもしっかりと、できるだけ保全をしていく要請文に沿った開発となるように願っております。
 世界初の環境影響評価法であるアメリカの、一九六九年、NEPAに基づいて設置された環境諮問委員会、CEQによると、一九七八年にミティゲーションヒエラルキーとして、回避、最小化、矯正、軽減、代償の順序で環境への影響を緩和する措置、ミティゲーションを定めています。
 ツリーバンクの育っている木を抜いて保管し、ほかの場所に植え替える構想は、環境影響評価の五段階のミティゲーションの軽減ないし代償の措置に当たり、これについてはさきの文書質問でも触れましたが、これを真っ先に制度化することは、事業者による開発を優先するものであり、不適切な措置であると考えます。生物多様性戦略や環境影響評価制度の運用としては、回避を優先すべきだと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○長谷川政策調整担当部長 環境影響評価書では、建国記念文庫の既存樹木については、今後、設計や施工計画の詳細を決定していく中で、樹木医の判断も仰ぎながら、樹木の伐採を可能な限り回避し、保全エリアを可能な限り拡大するよう努めるとしています。

○もり委員 ミティゲーションに対する誤った考え方に基づいていれば、木は移植すればよい、何でもいいから木を植えればよいという考えになってしまいます。知事は、そこに何もなかったところにこうやって献木が行われたという人工林になっていますと述べ、人工林だから切ってまた植えればいいというような考えなのだとしたら、大変残念です。
 神宮外苑の木々は、多くの国民、都民の方により献木をされたものであり、勤労奉仕によって植えられたもので、次の百年後には二百年の樹林となって、その思いが伝わっていくものと考えます。
 三井不動産と商工会議所が集める献木の事業が行われているとのことですので、これについても所管が都市整備局ということでしたが、しっかりとこれについても環境局として関与していただきたいと要望させていただきます。
 百年先の明治神宮の姿について、一九二六年、明治神宮外苑創建時の日本の人口は約六千万人で、東京都の人口が四百六十九万人余で、人口の集中率が七%、現在の人口の総数が一億二千四百万人に対して、東京都の推計人口が一千四百万人と、人口集中度が一一%です。二〇七〇年は、日本の推計人口が八千七百万人と推計をされる中で、東京は、今の人口と同じ一一%ならば、約五百五十万人、高層ビルやスポーツ施設が引き継がれた神宮外苑が必要だとは誰も考えないと思います。さらに集中が進んで一六%の場合でも、約八百万人です。
 こういった現在行うインフラ整備や、建築物の建設を次の五十年、次の百年を考えて行うとすれば、人口の急激な減少と高齢化を踏まえて、東京の未来を創造していかなければならないと考えます。
 石原慎太郎前知事は保守の論客で、神宮外苑の由来についても深い理解があり、石原都知事時代の二〇〇三年の神宮外苑の再整備に関する調査報告書では、現在のスポーツ施設を縮小し、内苑と外苑を結ぶ内外連絡道路を裏参道として整備し、新宿御苑、青山墓地、代々木公園などを緑のネットワークでつなぎ、風の道も確保するなど、東京セントラルパークシステム構想が盛り込まれていました。
 こういったことも踏まえ、この都市の未来をどう創造していくのかということをしっかりと、人口減少社会に持続可能な都市運営が求められていると考えております。
 最後に、請願に対する賛成理由をまとめて述べさせていただきます。
 小池知事が記者会見で発したように、デマやプロパガンダに流されないようにするには、科学的根拠に基づいた説明が不可欠です。そのためには、最近の気候変化に対応し、直近の生態系調査が必要であり、開発事業者の委託を受けた調査会社の調査手法、調査結果について科学的根拠を明らかにするため、専門的知見を持った第三者と協力をし調査を行う合理性が求められていると考えます。
 また、医療におけるセカンドオピニオンや原発の処理水排出のIAEA調査のように、事業者以外の第三者の調査、評価を受けることを求めます。
 さらに、事業者と第三者委員の意見交換の場が必要であり、都議会が都の都市計画決定による環境影響について審議する場を提供することが適切だと考えます。
 神宮外苑開発にイコモス本部からのヘリテージアラートが発出されたことは大変重い決定であり、都も都議会も真摯に受け止め、神宮外苑地区の再開発計画について、さらなる審議を行うことが求められております。
 その審議の前提として、事後調査報告書で都は継続的に調査を行うとしておりますが、イチョウ並木を含む全ての樹木の根系、水系、土壌及び樹木の総合的な健康状態をイコモス国内委員会と共に調査を行い、審議において日本イコモスの代表を参考人として招致し、両者が議論できる場を設けることが求められることから、今請願の採択を求め、意見とさせていただきます。

○漢人委員 この質問も最後になりまして、大分重複するところはあるんですけれども、少し配慮しながら質問したいと思います。
 この神宮外苑の再開発については、もう単にこの事業のこのエリアだけの問題ではなくて、東京の緑、樹木、生物多様性をどう守り、未来につなぎ、残していくのかということの象徴として世界的にも注目をされることとなっております。
 九月七日、ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関である国際記念物遺跡会議、イコモスと日本イコモス国内委員会が、神宮外苑再開発に対して遺跡危機警告、ヘリテージアラートを出したわけです。皆さんからも質問がありました。これ、世界委員会の方では全会一致で出されたというふうに伺っています。
 ヘリテージアラートは、危機的な状況に置かれた文化遺産に対する警告や保存、解決策促進のために出されるもので、世界の他の公園にはない歴史を持つ神宮外苑が都市再開発によって差し迫った脅威にさらされていると警告し、事業者や東京都、自治体、国に対し、次の五つを要請しています。
 一、事業者の三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事への要請。神宮外苑の再開発計画を撤回し、国際的企業や宗教法人、スポーツ促進団体として社会的、倫理的責任を果たすこと。
 二、東京都への要請。高層ビルの建築が市民の公園利用の権利を永遠に奪うものであるという事態を鑑みて、神宮外苑再開発に関する都市計画決定を見直し、環境アセスメントの再審を行うこと。
 三、明治神宮への要請。神宮外苑が市民からの寄附と奉仕活動によって造られ、美しい公園として永遠に維持するという約束の下に奉献された歴史を考慮して、再開発事業から速やかに撤退すること。
 四、港区、新宿区、渋谷区への要請。未来の世代のために神宮外苑を名勝指定するための取組を行うこと。
 五、国への要請。神宮外苑再開発を東京だけの問題とみなさず介入すること。
 ということで、都はこの警告を真摯に受け止め対応すべきです。都市計画決定の見直しについては、都市整備局の所管になりますので、環境アセスメントの再審について、既に出ているところでありますが、改めて私からも見解を伺っておきたいと思います。

○長谷川政策調整担当部長 環境アセスメントにつきましては、都は、条例や答申に従って適切に手続を進めております。本事業の環境影響評価手続につきましては、評価書の公示をもって事業段階手続が完了しており、現在は事後調査手続を進めております。

○漢人委員 担当としてはそういう答弁になるということは、やむを得ない側面もありますけれども、それを今超えた対応が求められているということだというふうに思っております。昨日の事業者への要請などもその一つかなと思いますので、できる限りの対応を求めていきたいと思います。
 今もいわれました、その事後調査報告書についてですけれども、これも既に何人かの方から質問されていますが、七月二十七日の環境影響評価審議会第五回総会において、仮称神宮外苑地区市街地再開発事業事後調査報告書の受理が報告されているわけです。この報告書では、神宮外苑広場、建国記念文庫及び神宮第二球場周辺の樹木について、このように書かれております。
 神宮外苑広場、建国記念文庫で根回しした樹木については絵画館前へ仮移植し、神宮外苑広場、御観兵榎への本移植、そして神宮第二球場周辺で根回しした樹木については、ラグビー場敷地西側へ仮移植し、神宮外苑広場、御観兵榎及び絵画館周りへ本移植する計画であり、本移植は、落葉樹は二〇二三年十月頃から二〇二四年三月頃、常緑樹は二〇二三年九月から十一月頃及び二〇二四年三月から六月頃の移植に適した時期に行う計画であるということです。もう既に今、この九月に入っているわけですね。
 この二エリアの樹木の本数と保存、移植、伐採の内訳及び根回しの状況についてお伺いします。

○長谷川政策調整担当部長 事業者が提出した事後調査報告書によりますと、二つのエリアの樹高三メートル以上の樹木本数は二百六十三本であり、うち保存は七十二本、移植は九十四本、うち根回しの実施済みは九十本、伐採は九十七本でございます。

○漢人委員 そういった中で、昨日の神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保存についての要請が行われたわけです。この九十七本の伐採について行う前に、この保存に関する具体的な見直し案を示すようにという要請になっているかと思います。
 また、移植については、先ほどの七月の段階の事後報告書では、常緑樹は二〇二三年九月からということで、もう既に始まっているかとも思いましたが、これについてもまだ今後ということで、行われていないということを確認しております。
 これについては、しっかりと納得のできる保全に関する見直しを出していただき、環境影響審議会の方でも、これを確認するような手続を進めていただきたいというふうに思っております。
 そして、事後調査報告書では、一月に行われたイチョウ並木の根系調査については、地点を増やすなど徹底した調査を引き続き実施し、その結果や樹木医の見解を踏まえ、イチョウ並木を確実に保全するため、野球場等のセットバックなど、必要な設計計画の見直しに取り組んでいくとも記載をされておりました。
 この徹底した調査の内容と時期について、また、野球場等のセットバックなど、必要な施設計画の見直しが行われる時期についてお伺いします。

○長谷川政策調整担当部長 事業者が提出した事後調査報告書によりますと、調査内容については、前回調査よりも範囲を広げて必要なエリアで地点数を増やすなど、徹底して実施するとしており、調査時期は今冬、また、報告書の提出時期は令和六年六月としています。
 さらに、今後も継続する根系調査の結果や樹木医の見解を踏まえ、イチョウ並木を確実に保全するため、野球場等の着工までに設計、施工計画を検討するとしています。

○漢人委員 イチョウ並木の根系調査については、この冬に範囲を広げた徹底調査を行って、その結果は、来年、二〇二四年の六月頃に報告書が提出される予定ということです。
 そして、野球場のセットバックについては、まだ数年先の着工までに検討ということで、大分時間がある、余裕があるということかと思います。しっかりと検討していただきたいと思っております。単に野球場のセットバックで解決できるものではないというふうには思っておりますけれども、手続をきちんと踏んでいただきたいと思います。
 本請願については、工事を進める前に、都が日本イコモス国内委員会と共同で調査し、結果を環境影響評価審議会に報告すること及び都議会に事業者と日本イコモスの代表者を参考人として招致することを求めております。
 いずれについても賛成し、採択すべきと思っております。ぜひ皆様にもご賛同いただきたいと思いまして、お願い申し上げて質問を終わります。

○原委員 神宮外苑請願の趣旨に賛同し、関連して意見を述べさせていただきます。
 国連人権理事会のビジネスと人権作業部会のメンバーが、七月二十四日から八月四日の日程で初めて来日し、日本政府や企業が人権をめぐる義務や責任にどう取り組んでいるかを調査しました。
 その中で、明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会代表加藤なぎささんが、七月二十六日に国際連合大学で行われたこの作業部会に招待を受け、明治神宮外苑再開発において守られるべき子供たちの十の権利について報告をしました。非常に重要な内容なので、紹介をさせていただきます。
 守られるべき子供たちの権利。一、緑の中で癒やされる権利。十三年間にわたる工期は、地域の子供たちの安らぎを得る時間や経験を失うことになるでしょう。二、青空を眺める権利。三本の超高層ビルの建築により、広々とした空を失うことになるでしょう。三、清涼な空気を吸う権利。四、夏に外を歩く権利。神宮の森は夏の気温上昇を三、四度低く抑えております。五、文化的価値の高い景観を受け継ぐ権利。六、落ち着いた環境の中で学ぶ権利。四つの学校が周辺にはあります。七、伸び伸びとスポーツを楽しむ権利。八、安心・安全な生活を送る権利。九、十分な説明を受け、意見を届ける権利。十、心が守られる権利。以上、守られるべき子供たちの十の権利です。
 学校や自治体では、SDGsを教えています。その一方で、使い捨てればよい、先人の思いや歴史も切り捨ててよいというような、この神宮外苑再開発の真逆の教えを押しつけることがあってはならないとの危機感からの発信だというふうに思います。こうした発信をしっかり受け止めていただくのも、環境局や関連部局の仕事だというふうに思います。
 さらに、八月二十八日、国連子どもの権利委員会より、気候変動に関する一般的意見二十六が公表されました。各国に向けた指針で、環境と子供の権利に関し、子どもの権利条約に基づく締約国の義務についての包括的な解釈を示したものです。
 今日行った行為、あるいは行わなかった行為が、将来に引き起こすと予見される子供の権利侵害に対して責任があると明記をされています。また、環境に関する意思決定において、子供の意見を考慮しなければならないというふうに国や自治体に求めています。
 緑豊かな都市公園があり、風致地区でもある神宮外苑のまちを超高層ビルの建設などで大きく変貌させてしまうこの再開発について、この指摘は大変重要です。環境局として、未来に生きる子供たちから意見を聞く機会を持つことは考えてはいませんでしょうか。また、子育て世代の親御さんたちが参加しやすい時間帯や持ち方での説明会を開く必要があるというふうに思います。
 先日ようやく開催に至った事業者による住民説明会は、対象を制限し、参加できずはじかれた人も多くいます。そもそも参加者を制限するなど、やってはいけないというふうに思います。ここで生まれて育った人々、子育てをした人も、今子育て中の人にとっても、神宮外苑は現風景であり、季節を感じ、家族の記憶の場所です。
 イチョウ並木の確実な保全を求めた陳情は、昨年十一月二十八日、本委員会で審議され、趣旨採択をされています。この議会の意思の執行に都は責任があります。百年の歴史を生きてきたイチョウの木、大事にすれば今後もさらに百年後の世まで生きることができます。私たちにはかなわないことです。変わらないものがあることの貴重さをもっと大切にすべきです。
 イチョウ並木の状態が心配されています。保全のために知恵を出し尽くすことに集中すべきです。事業者は、真摯に日本イコモスの指摘を受けるべきです。請願の趣旨、事業者と日本イコモスとの共同調査、また、両者の議論の場が実現することを強く求めます。
 神宮外苑を守ろうと、連日チラシ配りや対話活動、森を守るイベント、清掃活動、子供たち自身の企画、文化人の企画、大勢の市民が我が事として取組がされています。皆、この森を慈しんでいます。再開発で壊されるものは計り知れないということに多くの市民が声を上げています。
 都として、未来のために誤った道を突き進まないよう本開発計画をストップさせ、根本的に見直すために全力を集中していただくことを求め、意見表明といたします。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第七号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。
 以上で環境局関係を終わります。

○里吉委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、東京都技監から紹介があります。

○中島東京都技監 先般の人事異動によりまして、当局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 総務部長の荒井芳則でございます。道路管理部長の若林憲でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○里吉委員長 紹介は終わりました。

○里吉委員長 次に、第三回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中島東京都技監 第三回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をご覧いただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、契約案が神田川整備工事(その四十三)その二、一件、事件案が土地の買入れについて一件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明いたします。

○荒井総務部長 第三回定例会提出予定案件の内容につきましてご説明申し上げます。
 最初に、資料1をご覧ください。契約案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております契約案の件名は、目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開きください。神田川整備工事(その四十三)その二でございます。
 本工事は、神田川流域河川整備計画に基づき、年超過確率二十分の一の規模の降雨に対応するため、護岸整備工事と白鳥橋の架け替えに伴う現橋梁の撤去工事を行うものでございます。
 工事場所は文京区後楽二丁目地内から新宿区新小川町地内まで、契約の相手方は真柄建設株式会社、契約金額は十六億七百十万円、工期は令和九年二月二十六日までとする工事請負契約を一般競争入札により締結しようとするものでございます。
 二ページをご覧ください。本件工事の案内図でございます。
 上の方、丸で囲んでおりますのが施工箇所でございます。
 三ページをご覧ください。構造物の形状は、平面図及び標準断面図のとおりでございます。
 次に、資料2をご覧ください。事件案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております事件案の件名は、目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開きください。事件案の土地の買入れについてご説明申し上げます。
 東京都市計画公園事業五・五・十号練馬城趾公園を整備するため、土地を取得するものでございます。
 土地の所在地は東京都練馬区向山三丁目千五百六十四番八外、取得予定面積は三万三百三十四・三三平方メートル、取得予定金額は七十九億七千七百九十二万八千七百九十円でございます。
 以上で令和五年第三回定例会提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。——ないですか。なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○里吉委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願五第五号の三を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○久野道路建設部長 それでは、お手元の資料3、請願・陳情審査説明表の表紙をおめくり願います。
 一ページにございます整理番号1、請願五第五号の三をご覧ください。
 本件は、高輪築堤(第五・六街区及び第七街区)の現地保存等に関する請願で、港区の高輪築堤の全面保存を求める会共同代表大西広さん外六人の方から提出されたものでございます。
 請願の要旨は、都において、次のことを実現していただきたい。3、都及び京浜急行電鉄株式会社は、環状四号線高輪地区、京浜急行本線泉岳寺駅−新馬場駅間連続立体交差事業による工事が高輪築堤の遺構に与える影響について、早急に地域住民及び都民に説明する場を設けることというものでございます。
 現在の状況でございますが、高輪築堤は、令和二年八月に東京都教育委員会により埋蔵文化財包蔵地として周知されました。
 同年九月には、文化財及び鉄道構造物の観点から、調査方法及び保存方法等について検討し、必要な助言を行うことを目的に、高輪築堤調査・保存等検討委員会が設置されました。
 環状第四号線港南−高輪区間及び京浜急行本線泉岳寺駅−新馬場駅間連続立体交差事業につきましては、令和三年七月の検討委員会において、事業計画や高輪築堤に係る箇所の施工方法等を説明し、記録保存とすることが承認されました。
 これに基づきまして、環状第四号線では、文化財保護法第九十四条に基づく発掘通知を東京都建設局から教育委員会教育長に提出し、令和四年二月に高輪築堤に係る全ての箇所において記録保存のための現地調査が完了しております。
 また、京急連立におきましても、令和四年から発掘通知を複数回提出し、現地調査が完了した箇所から順次工事に着手しております。
 検討委員会における検討経緯や資料につきましては、事務局である東日本旅客鉄道株式会社及び京浜急行電鉄株式会社のホームページで順次掲載し、工事による高輪築堤への影響も含めて広く情報公開を行っており、都といたしましても、事業に関する問合せには丁寧に対応しております。
 引き続き、検討委員会の助言を受けながら、適切な調査、保存を行うとともに、東日本旅客鉄道株式会社及び京浜急行電鉄株式会社と連携しながら情報公開を行いまして、事業完了に向けて取り組んでまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 私から、高輪築堤(第五・六街区及び第七街区)の現地保存等に関する請願について何点か簡潔にお聞きします。
 この請願については、JRを中心とする高輪ゲートウェイを挟む一から四街区の開発において、多くの史跡が一部を除き破壊されることが決められてしまっていますが、これに対して国際イコモスが、やはりヘリテージアラートを発するなど、内外から厳しい批判が集中しているものです。
 請願者は、世界遺産級の文化遺跡である高輪築堤を、これから本格的に行われる五、六、七街区において最大限守るために、都がJRをはじめこの地区の開発事業者に働きかけ、都自身にも、都民、住民への説明の場を求めているものです。
 ところで、私ごとになりますが、私の父親は戦後、北海道から九州にかけて国鉄の現場の転勤を繰り返し、九州の門司鉄道管理局というところの運転部長から、一九六四年に新幹線創業に携わるため上京しました。
 その後、北海道総局の幹部職員などを経て退職し、その後、僅か数年で亡くなりましたが、この間、国鉄と共に家族共々、全国を移り住みながら暮らした経験から、国鉄が近代日本の産業の発展と戦後の国民生活の向上に大きく貢献し、世界一の鉄道技術を築いたことを私自身も大きな誇りと感じてまいりました。
 しかし、JRに変わってからの、あくまで収益優先の一方で、赤字ローカル線を、北海道など次々廃線にしてきた経過には、大きな失望と怒りを抱いてまいりました。
 今回の問題も、自らの誇るべき歴史的産業遺産まで、今の開発方針に合致しなければ記録保存で済まそうとする姿勢には、改めて大きな失望を禁じ得ません。
 同時に、この流れの中で、都の道路事業も含めた事業の在り方もまた厳しく問われており、とりわけ都の環状四号線道路事業と京浜急行の立体化事業が五、六街区の開発計画と切り離されて、既に道路の橋梁部分が遺跡を記録保存したのみで破壊してしまっていることから、請願者は、遺跡保存に向けての住民説明を急いで行うよう求めているものです。
 私からは、都の建設局が進めている環状四号線の状況と京浜急行との関係についてなど、幾つか質問をしてまいります。
 都が事業中の環状四号線及び京浜急行の連続立体化事業における高輪築堤遺跡保存については、いつ、どこで検討、協議され、どのような方針が決まり、どう実施されてきたか。また、現場は一般公開されたのかどうか、まずお聞きします。

○久野道路建設部長 環状第四号線港南−高輪区間及び京浜急行本線の連続立体交差事業における高輪築堤の調査、保存につきましては、令和二年九月より、有識者等により構成される検討委員会において検討されており、令和三年七月の検討委員会で記録保存とすることが承認されました。これに基づき、環状第四号線では、令和四年二月に高輪築堤に係る全ての箇所において、記録保存のための現地調査が完了しております。
 また、連続立体交差事業においても、令和四年から順次、現地調査を実施してまいりました。両事業では、高輪築堤の一般公開は行っておりません。

○曽根委員 経過を見ると、非常に残念な経過をたどっているわけですが、都が記録保存という検討会の、これ最低限というべきだと思いますが、この方針に沿って、さきにも橋梁部分で遺跡を破壊してきたことになります。これとほぼ同時期に、国際イコモスが厳しい警告を発しています。去年の年明けの頃です。
 二二年一月に、国際イコモスが一から四街区のJRの開発についてヘリテージアラートを出して警告したことは認識しているでしょうか。

○久野道路建設部長 東日本旅客鉄道株式会社による品川駅北周辺地区の開発で出土した高輪築堤に関し、令和四年一月に国際イコモスからヘリテージアラートが出されたことは承知しております。

○曽根委員 今答弁された、品川駅北周辺地区の開発について出されたとお答えがありましたが、国際イコモスの趣旨は、もうこれは誰もが分かることですが、このアラートは、高輪築堤全体を全面的に保存するよう求めているというのがその趣旨であります。ところが、警告が出された直後に、東京都は記録保存を前提に遺跡調査をさっさと済ませて橋梁建設を始めているわけです。
 一から四街区の教訓を生かすためにも、都の姿勢が厳しく試されていたことは明らかであります。改めて今後の都の姿勢について問わなければなりません。
 今後、遺跡を最大限保存するために、事業の進め方を変更することは可能ですか。また、可能でないとすれば、その理由は何でしょうか。

○周郷道路計画担当部長 環状第四号線につきましては、検討委員会において記録保存とすることが承認されて、現地調査が完了しております。また、当該箇所の工事も完了しております。

○曽根委員 これまた極めて残念なことですけれども、一定面積ですけれども、都の事業箇所で遺跡も破壊され、橋梁は完成しております。しかし、これで、都の工事箇所が完了したからといって、都の役割が終わりではないということを強調しておきたいと思います。
 最大の問題は、限られた面積の道路橋梁の周りですね。はるかに広い面積の開発地域が今後も残されていることです。だから、請願者は都に対して、JRまた京急など開発者への働きかけを求めています。
 これは都市整備委員会で審議されることになると思いますが、もう一つ、京浜急行の立体化事業のことについてお聞きしますが、京浜急行の連続立体化事業について、都として、高輪築堤の遺跡保存についてどのように京浜急行と連携をしているでしょうか。

○久野道路建設部長 京浜急行本線の連続立体交差事業につきましては、京浜急行電鉄株式会社と連携しながら、事業の進捗に合わせて高輪築堤に係る箇所の施工方法等について検討委員会で説明し、調査方法及び保存方法等の助言を受けております。
 現地調査の結果、遺構に影響を与えることが判明した箇所につきましては、影響を抑制するため、仮設ぐいの位置や構造等を可能な限り変更しています。
 引き続き、検討委員会の助言を受けながら、適切な調査、保存を行い、事業完了に向けて取り組んでまいります。

○曽根委員 今話の出ている遺跡保存の検討委員会、ここも文書の中では、五、六街区については、築堤の現地保存を考慮した開発計画を策定することを要望すると述べています。この方向で、都は開発を行うJRなどに強く働きかけるべきであります。
 また、今後の開発計画とその中での遺跡保存については、全て住民、都民の意見を聞いて、公開の場で検討すべきです。そのためにも、請願で求めている高輪築堤保存についての説明会は、ぜひともやるべきです。
 請願で求められている都の環四事業や京浜急行の連続立体化事業における高輪築堤の遺跡保存についての住民説明会は、都として今後も行うべきではないかと思いますが、いかがですか。

○久野道路建設部長 環状第四号線及び京浜急行本線の連続立体交差事業につきましては、検討委員会における検討経緯や資料を、東日本旅客鉄道株式会社及び京浜急行電鉄株式会社のホームページで順次掲載し、工事による高輪築堤への影響も含めて情報公開を行っており、都としても、事業に関する問合せには丁寧に対応しております。
 引き続き情報公開を行うなど、事業完了に向けて取り組んでまいります。

○曽根委員 以前、東京都の事業については、ちょうどコロナ感染のひどかった時期で、説明会を文書送付で省略したことがたしかあったと思います。当時としてはやむを得なかったとしても、私は、東京都として今からでも遅くはないので、きちんとこれまでの住民周知が不十分だった点を、東京都への都民の信頼を回復する努力をすべきだと考えます。
 引き続き、東京都が、そのほかの事業者に対しても働きかけることを含め、遺跡保存に全力で取り組む姿勢に転じるよう、改めて強く求めて質疑を終わります。

○もり委員 高輪築堤の現地保存を求める請願について質疑をさせていただきます。
 東京都の説明、現在の状況では、JR東日本、京浜急行はホームページで情報公開をしていること、東京都としても事業に関する問合せには丁寧に対応しているとしています。
 都としては、事業者は情報公開を行っており、また、都としても丁寧に対応しているから、地域住民、都民に対する説明会は不要だとお考えかもしれません。しかし、丁寧に対応しているのであれば、東京都は、地域住民、都民に対する説明会を開いて、丁寧に説明会を行うべきだと考えます。
 説明会の開催に対する都の見解をお伺いいたします。

○久野道路建設部長 環状第四号線港南−高輪区間及び京浜急行本線の連続立体交差事業における高輪築堤の調査、保存につきましては、令和二年九月より、有識者等により構成される検討委員会において検討されております。
 検討委員会における検討経緯や資料については、東日本旅客鉄道株式会社及び京浜急行電鉄株式会社のホームページで順次掲載し、工事による高輪築堤への影響も含めて情報公開を行っており、都としても事業に関する問合せには丁寧に対応しております。
 引き続き情報公開を行うなど、事業完了に向けて取り組んでまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 ぜひ丁寧に取り組んでいただくとともに、また、事業者としても、ホームページの一方方向の情報公開だけではなく、双方向の質疑応答、意見交換を行う説明会を開催することを、東京都がJR東日本や京急電鉄に要請すべきだと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○久野道路建設部長 東日本旅客鉄道株式会社及び京浜急行電鉄株式会社には、これまでも事業に関する問合せには丁寧に対応するよう求めてまいりました。
 引き続き両者と連携し、情報公開や丁寧な説明に努めてまいります。

○もり委員 今のご答弁に対して質問させていただきます。
 東京都は、情報公開はするが、都民に対して直接説明することをかたくなに拒否しているように聞こえます。
 小池知事は、東京のことは都民と決めるとおっしゃっていましたが、なぜ都民に直接説明をすること、都民の意見を聞くこと、都民と決めることを拒んでいるのでしょうか。その理由をお伺いさせていただきます。

○久野道路建設部長 令和二年以降、高輪築堤調査・保存等検討委員会は、三十回以上開催されておりまして、検討の経緯、それと資料、さらには工事による影響等についての情報は順次公表されてございます。
 今後とも情報公開を行うとともに、問合せに対しまして個別に説明を行うことで、都民の皆様の疑問にお答えできるものと考えてございます。

○もり委員 東京都は、引き続き検討委員会の助言を受けながら、適切な調査、保存を行うとともに、JR東日本、京急電鉄と連携しながら情報公開を行い、事業完了に向けて取り組んでいくと説明をしています。
 東京都は行政機関であり、東京都が第三者機関を設置した方が公平性が担保されていると考えます。東京都がJR東日本という事業者が設置した委員会の助言を受けて施策を進めていくのは、適正だとお考えでしょうか。都の認識をお伺いいたします。

○久野道路建設部長 検討委員会は、考古学、鉄道史、近代史、土質力学の専門家を委員とするとともに、文化庁や港区教育委員会、東京都教育庁がオブザーバーとして参加しており、文化財及び鉄道構造物の観点から適切な助言が行われているものと認識しております。

○もり委員 ただいまのご答弁について伺いたいんですけれども、事業者が設置した委員会に都庁職員がオブザーバーとして参加をしていれば、それに基づいて都の施策を決めることは適切なことだという認識なのでしょうか。こちらはもう一度確認をさせてください。

○久野道路建設部長 この検討委員会は、東京都の事業者だけではなく、先ほど申し上げましたように、各考古学等の専門家の方々も委員として参加しておりますし、文化行政を担う文化庁、港区教育委員会、そして東京都教育庁も参加しておりまして、事業者とは違う立場で委員会に参加しているということから、適切な助言が行われているものと考えております。

○もり委員 この事業というのが、本当にヘリテージアラートが発出をされているという重みを都としてしっかりと受け止めていただき、都が積極的に、事業者任せではなく、やはり都が関与していただきたいと思っております。
 昨年一月、ユネスコの諮問機関であるイコモスは、JR東日本に対して遺構の保存や公開を要請するヘリテージアラートを出しました。現在の計画である記録保存は、発掘、記録を行い、破壊することで、アラートは、発掘、記録、破壊のサイクルの停止を求め、より広い範囲での一般公開と開発計画の見直しが求められております。
 ユネスコの諮問機関イコモスは、高輪築堤の保存について専門的なサポートをする用意があると述べていますが、イコモスの専門的意見に真摯に向き合うべきであると考えます。世界的に価値を認められた高輪築堤を不適切に取り扱えば、日本は国際社会の中で文化的な良識が疑われることになることは明白です。
 イコモスからの警告、ヘリテージアラートは極めて重要であり、都は、行政としてしっかり保全に向け、官民挙げて厳しく受け止めなければならないと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○久野道路建設部長 東日本旅客鉄道株式会社による品川駅北周辺地区の開発で出土した高輪築堤に関し、令和四年一月に国際イコモスからヘリテージアラートが出されたことは承知しております。
 先ほどから繰り返し申し上げていますように、検討委員会におきまして、事業計画や高輪築堤に係る箇所の施工方法等について説明し、公共機関の整備ということで、東日本旅客鉄道株式会社が行う開発計画と切り離し、記録保存とすることが承認されてございます。
 引き続き、京浜急行本線の連続立体交差事業につきましては、検討委員会の助言を受けながら、適切な調査、保存を行ってまいります。

○もり委員 今の答弁についてもう一度お伺いさせていただくんですけれども、令和四年一月のユネスコ、イコモスのヘリテージアラートは、令和三年七月の事業者の検討委員会の結論を踏まえたことで発出をされています。
 東京都は、ヘリテージアラートを受けて検証したのでしょうか。また、検証の上で、事業者の検討委員会の結論が妥当で、ヘリテージアラートは誤りと判断されたのでしょうか。いま一度お伺いをいたします。

○久野道路建設部長 検討委員会は現在も行われておりまして、ヘリテージアラートを踏まえた委員のお考えに基づいて意見がなされているというふうに認識しております。
 引き続き検討委員会の助言を受けながら、適切な調査、保存を行ってまいります。

○もり委員 ただいまのご答弁の中でも、検討委員会はとおっしゃっていますが、やはり私は、東京都としてしっかりとこのヘリテージアラートの重みを受け止めていただきたいと思っています。
 専門機関と連携しながら、企業としての品格と文化度、また、社会的貢献を深く認識し、高輪築堤の遺構をこれ以上破壊しないよう、事業計画の抜本的な見直しに応じていただきたいと考えます。
 大田区には大森貝塚があり、日本考古学の父エドワード・モースの大森貝墟碑があります。地元の保存会の方々からも、遺構の保全を望む声が聞かれます。
 日本考古学協会は、改めてイコモスの警告に従い、残されている五、六街区予定地内の築堤跡について全面保全を前提とした開発計画の見直しを要望し、請願の採択を求め、質問を終わります。

○漢人委員 京浜急行本線泉岳寺駅−新馬場駅間連続立体交差事業の都市計画決定と、JR東日本による品川駅改良工事中の高輪築堤の出土及び国指定史跡の指定について、この二つについて、時系列でどういう手続というか、状態だったのかということをまず示していただきたいと思います。

○久野道路建設部長 京浜急行本線の連続立体交差事業につきましては、平成三十年十二月に都市計画決定されました。令和二年四月に都市計画事業認可を受け、現在工事を進めております。
 高輪築堤につきましては、平成三十一年四月に東日本旅客鉄道株式会社による品川駅改良工事中に石垣の一部が発見され、令和二年八月に埋蔵文化財包蔵地として周知されました。
 同年九月に検討委員会が設置され、有識者等により、調査方法及び保存方法等についての検討が行われています。
 委員会の検討を踏まえ、品川駅北周辺地区で現地保存することになった箇所につきましては、令和三年九月に旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡として、国の史跡に追加指定されております。

○漢人委員 ありがとうございます。
 つまり、この京急連立交の都市計画決定というのは、高輪築堤の出土の四か月前に行われているということになります。つまり、環境アセスでは、この築堤の保全や保存についての評価はなされていないということになろうかと思うんですね。
 そうした点を踏まえれば、この本事業については、アセスの補充や修正や追加というものをそもそも行うべきではないでしょうか。そして、そのプロセスの中で、当然アセス計画書や評価書についての住民とのやり取りも出てくるんだと思いますが、いかがでしょうか。

○久野道路建設部長 環境影響評価の計画段階では、事業区間に周知の埋蔵文化財包蔵地は確認されていなかったため、史跡文化財を評価項目として選定しておりませんでした。
 環境影響評価書では、工事の施行中に新たに埋蔵文化財が発見された場合には、地元教育委員会に速やかに報告するとともに、文化財保護法等にのっとり適切に対処するとしております。
 現在、有識者等により構成される検討委員会におきまして、文化財に対する調査、保存方法等について検討するとともに、委員会からの助言を踏まえ、文化財保護法等にのっとり必要な調査等を進めております。
 引き続き適切な調査、保存を行い、事業完了に向けて取り組んでまいります。

○漢人委員 環境アセスでの築堤の保全、保存についての評価はなされていないということを確認できました。
 有識者等により構成される検討委員会というもので検討しているということなんですけれども、それだけではなく、やはりアセスの補充、修正、追加を行うべきだというふうに思います。
 そして、この請願項目の三が求めています、高輪築堤の遺構に与える影響について、早急に地域住民や都民に説明する場を設けるということも、当然これは行うべきだというふうに考えます。
 ぜひこの請願については採択をされるべきだということで、皆さんにも訴えたいと思います。よろしくお願いします。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第五号の三は不採択と決定いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十五分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 審査を続行いたします。
 請願五第九号の一及び陳情五第二七号については内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○根来公園計画担当部長 お手元配布の資料3、請願審査説明表の二ページにございます整理番号2、請願五第九号の一をご覧いただきたいと存じます。
 本件は、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業の事業者決定の手続等に関する請願で、渋谷区の葛西臨海水族園の長寿命化を考える会代表横河健さん外五百七十一人から提出されたものでございます。
 本請願の要旨は、都において、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業について、次の二点を実現していただきたいというものでございます。
 一点目は、事業者決定の手続に瑕疵がないことを、根拠ある資料により明らかにすることでございます。
 二点目は、入札の審査過程や議会における承認の手続に瑕疵がある場合には、事業者選定のやり直し、または現在設計が進められている計画の内容を都民に公開し、樹木の大量伐採などによる景観や環境の破壊が極力少ない計画への見直しを、次のとおり行うことでございます。
 一つ目は、新施設の計画を進めるに当たり、東京における自然の保護と回復に関する条例にのっとり、損なわれる自然を最小限にとどめるため、葛西臨海水族園北側の約千四百本の既存樹木について、伐採や移植が最小限となる計画とするよう事業者を指導すること。
 二つ目は、事業者に対して、自然の保護と回復に自ら努め、現在の水族園の敷地全体の樹木や土壌などを含む既存の景観と自然環境を最大限守るとともに、特に既存の淡水生物館及び流れ周辺の敷地北側の樹林を既存施設及び展示造形とともに利活用するよう指導すること。
 三つ目は、新施設は樹木の伐採を最小限とするため、芝生広場を中心に建設するという都の方針にのっとり、新施設の建設範囲を、北側の約千四百本の樹林の南側で、芝生広場の範囲から極力逸脱しない領域とし、水族園全体の景観と調和する計画とするよう事業者を指導することでございます。
 現在の状況でございますが、本事業を進めるに当たりましては、様々な分野の専門家により構成された検討会において事業計画を策定し、本計画に基づき、施設整備の機能及び性能などを示した要求水準書を定め、総合評価一般競争入札の公告を行いました。
 その後、建築や環境などの専門家等から構成される技術審査委員会において、落札者決定基準に基づき提案内容を審査し、落札者を決定しました。
 事業計画、要求水準書、落札者決定基準及び技術審査委員会における審査の過程については、都ホームページに公表しております。
 また、落札者決定後、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律第十二条の規定に基づき、令和四年第四回都議会定例会に、事業契約の締結についての議案を上程し、ご審議を経て、令和四年十二月十五日に可決されております。
 続きまして、一ページおめくりください。お手元配布の資料3、陳情審査説明表の四ページにございます整理番号3、陳情五第二七号をご覧いただきたいと存じます。
 本件は、葛西臨海水族園の更新に当たり環境影響評価の実施を求めることに関する陳情で、江戸川区の近藤周二さんから提出されたものでございます。
 本陳情の要旨は、都において、葛西臨海水族園の更新に当たり、本格的な設計前に環境影響評価を実施し、その内容を公表していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、葛西臨海水族園の新施設整備事業は、東京都環境影響評価条例に定める環境影響評価の対象事業に該当しないため、環境影響評価は実施いたしません。
 また、環境影響評価に準じた調査を実施することも予定しておりません。
 なお、本事業を進めるに当たりましては、施設の長寿命化やエコマテリアルの積極的採用など、環境の保全に配慮することとしております。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○たきぐち委員 それでは、請願五第九号の一、葛西臨海水族園に関して何点か伺いたいというふうに思います。
 本請願は、葛西臨海水族園のリニューアルに当たって、事業者を決定するまでの入札の審査過程や、議会における承認手続に瑕疵がないかどうかということを問うているものであります。
 事業手法としてPFI方式を活用し、入札については総合評価一般競争入札を実施するものとして、INOCHIグループが落札したわけでありますが、この一連の経緯や審査結果などについては、ホームページで公表されているとおりかと思います。
 入札に参加した二つのグループの審査項目ごとの加点結果についても公開されているところでありますが、これらの審査が適正に実施されたのか、また、特にINOCHIグループの展示計画や設備計画、バリアフリー計画など、施設整備に関する加点が大きかったわけでありますが、どういった点が評価されたのか伺います。

○根来公園計画担当部長 本事業におきましては、総合評価一般競争入札による提案審査等を公平かつ適正に行うため技術審査委員会を設置し、新たな水族館を整備し管理するという本事業の特性を踏まえ、建築や環境など様々な分野の専門家等十三名を委員として選定いたしました。
 技術審査委員会においては、入札参加者のうち、最も優れた提案を行った者を客観的に評価、選定するための方法及び基準を示す落札者決定基準を策定し、審査項目、配点等をあらかじめ公表した上で、適正に審査を実施いたしました。
 落札した事業者の提案は、まず展示計画については、単なる知識提供ではなく、来園者の体験の深まりを促す双方向のコンテンツなど、水槽展示だけではない、様々なコンテンツの提案などが評価されました。
 設備計画については、主要な設備機器を別棟に設置し、現在の施設で課題となっているメンテナンスや将来の更新が容易となる点が評価されました。
 バリアフリー計画については、ICTの導入による様々な障害に対応した展示解説の工夫など、来園者への対応が具体的に明記されている点が評価されました。
 これらの点も含め、施設整備に関する項目の全般にわたり高い評価がなされました。

○たきぐち委員 建築や環境などの専門家で構成される技術審査委員会で、あらかじめ落札者決定基準を策定して、審査項目、配点などを公表した上で審査を実施したということであります。
 評価につきましては、審査講評にも記されているところでありますが、例えばバリアフリーに関して、ICTの導入などで様々な障害に対応した展示解説の工夫があると。今答弁がありましたけれども、車椅子対応だけではなくて、聴覚障害や視覚障害、さらに、足腰の弱い方など、年代にも配慮した具体案が明記されていたとも伺っているところでありまして、これらの提案が総合的に評価されたものと理解をいたしました。
 次に、前回の委員会の中で、落札されなかったTOKYO Aqua-Lifeの提案内容を示すべきだとの議論もありましたが、総合評価一般競争入札において、こうした非落札企業や非落札グループの案を発注者側が公開することができるのかどうか伺います。

○根来公園計画担当部長 総合評価一般競争入札においては、発注者は民間の技術提案自体が提案者の知的財産であることに鑑み、提案内容に関する事項が他者に知られることのないようにするなど、取扱いに留意することとされております。
 本事業におきましては、事業提案内容については、著作権が事業者に帰属しており、公表の際には事業者の同意が必要であること、さらに、契約に至らなかった入札参加者の提案については、都による事業者選定過程等の説明以外の目的には使用しないこととし、そのことを入札説明書に明記しております。

○たきぐち委員 ご答弁がありましたとおり、これは建設局だけではなくて、各局において実施される総合評価一般競争入札においては、技術提案自体が提案者の知的財産であるから取扱いに留意すべしという、これは公共工事の品質確保の促進に関する方針の政府の閣議決定においても、また、都の財務局の実施要綱にも定められているものだと理解をしております。
 ということからすれば、前回の委員会の中で、日刊紙の記事を基に、その記事の案が提案者の本物の案かどうかを局に問い詰めるやり取りがありましたけれども、これは知的財産や著作権を考慮した姿勢ではありませんし、国や都が定める取決めを破る行為を迫ったものであったと、私は強く違和感を感じたということは申し上げておきたいと思います。
 改めて発注者は、今ご答弁ありましたけれども、民間の知的財産や著作権の保護に対して責務を負っているということを確認しておきたいと思います。
 最後に、議会に対する手続に瑕疵があるかどうかについてでありますが、これまで議会にはどのように報告をしてきたのか改めて確認をすると同時に、一連の手続に関する所見を伺います。

○根来公園計画担当部長 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律におきまして、予定価格が五億円以上の事業契約を締結する場合には、あらかじめ議会の議決を経なければならないことが定められております。
 この規定に基づき、本事業の事業契約案を令和四年第四回都議会定例会に上程し、審議を経て可決されております。また、事業契約案の議決に先立ち、葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画について、令和二年第一回都議会定例会の環境・建設委員会にて報告を行っているほか、本会議や委員会における質疑を通じてご議論をいただいております。

○たきぐち委員 葛西臨海水族園は、平成元年十月の開園から三十年になろうとする平成二十九年にあり方検討会が立ち上がって、この報告書が公表されて以降、十回ほどプレス発表もなされていると確認をしております。
 また、議会に対しても、今ご答弁がありましたとおり、令和二年第一回定例会の環境・建設委員会に事業計画の報告があって、PFI法に基づいて、昨年の四定に上程された契約案については、我が会派からは成清理事が質疑を行って、委員会、そして本会議で議決を行ったものと改めて確認をいたしました。
 本事業は、こうした一連の手続を経たものと理解をいたしました。同時に、PFI手法と指定管理者制度を併用して、民間の自由な発想と最新技術の活用が図られる魅力ある施設となるように、また、当該地域が都民から愛されるエリアとなるよう、そして、緑の保全と新たな緑の創出がなされるよう、これまでの議論をしっかりと踏まえ、水族館の整備事業を進めていただきたいということを要望して、質疑を終わります。

○原委員 原純子です。よろしくお願いします。
 葛西臨海水族園整備等事業を請け負うPFIの事業者選定の公平性についての疑義が出されています。都が技術審査委員会を設置し、二〇二一年、令和三年十二月二日から二〇二二年、令和四年八月二十二日にかけて四回審査会が開かれ、同八月二十五日に、落札者の決定がされています。入札にはINOCHIグループとTOKYO Aqua-Lifeグループの二者が参加し、INOCHIグループが落札をされています。
 都の要求水準の妥当性、審査の公平性、透明性、議会承認の手続に瑕疵の形跡があるとの請願者の指摘ですが、都の見解をまず伺います。

○根来公園計画担当部長 本事業を進めるに当たりましては、様々な分野の専門家により構成された検討会が策定した事業計画に基づき、要求水準書を定めております。
 また、専門家等から構成される技術審査委員会において、落札者決定基準に基づき提案内容を審査し、入札価格との合計点で落札者を決定いたしました。これらの経過につきましては、都ホームページにおいて公表しております。
 また、令和四年第四回都議会定例会に、事業契約の締結についての議案を上程し、審議を経て可決されております。

○原委員 今回の審査は総合評価方式により、入札価格と加点審査の合計点で高い方の事業者が選ばれたわけです。審査過程と議事録が公表されています。十三名の審査員が要求水準書を満たすレベルについてはB、特に優れているレベルをAとして、五段階評価を各項目について評価し、その総合得点で事業者が決まるということです。
 項目を見ていくと、平断面計画、展示計画、設備計画などで、INOCHIグループが得点差を広げ、入札価格では九億円高い提案をしたINOCHIグループが合計点で勝り、結果、選定をされています。
 事業者選定経過及び審査講評や技術審査委員会議事録を読みましたが、一切議論に上った記録が出てこないのが、淡水生物館や流れのエリアの存廃についてです。既存樹木の取扱いについても、お一人の審査員が触れているのみとなっています。
 事業者へのヒアリング、プレゼンテーションの場で質問に出たのかもしれませんが、この部分は議事録で非公表となっているので、議論されたのかどうかが私たちには分かりません。
 両事業者の提案内容詳細が公表されず、配置計画、展示計画などのどこがINOCHIグループが高得点だったのかが都民には分からない状態です。市民による開示請求は、この辺りの資料は丸々黒塗りで、提案内容全体も八五ページ中、七六ページが黒塗りという情報非公開状態が続いています。
 この黒塗り問題は、東京新聞が一面で取り上げました。都民の知る権利が保障されていません。
 そんな中、ご存じのように、非落札者、TOKYO Aqua-Lifeグループの提案内容が日刊ゲンダイに二回にわたり報道されました。都が公表せずに、こうして報道ベースで流れるのはあまりいい形ではないと思います。全ての情報を出すべきとの都民の意見を受け、今からでも二つの事業者の提案内容と審査経過を公表すべきではありませんか。

○根来公園計画担当部長 事業提案の内容につきましては、著作権が事業者に帰属しており、公表の際には事業者の同意が必要でございます。

○原委員 同意が必要ということですが、東京都は事業者に対し、提案書公開の同意を求めましたか。

○根来公園計画担当部長 事業提案の内容につきましては、先ほど申し上げましたとおり著作権が事業者に帰属をしております。公表の際には事業者の同意が必要ということでございます。

○原委員 答えになっていないんですね。同意を求めれば提案の公開はできるというふうに考えます。制限されているものもあるかもしれませんが、今のようにほぼ黒塗りという状態からはもう少し前進するのではないかというふうに私は思います。
 TOKYO Aqua-Lifeグループの提案では、樹木の取扱いについて、残地本数、また、移植、伐採本数を明らかにしていると記載されております。既存樹木のうち千百三十本をそのまま生かし、移植に百二十本、植え替えを五百本といった提案と書いてあります。
 それなら、INOCHIグループの提案も樹木の取扱いについて、当然、本数まで示され、比較できる提案になっていたのではないかと推測できますが、INOCHIグループが移植、伐採予定本数を示したか示さなかったかを伺います。

○根来公園計画担当部長 事業提案の内容につきましては、著作権が事業者に帰属しておりまして、公表の際には事業者の同意が必要でございます。

○原委員 公表してほしいんですね。だから同意を求めてほしいというふうに思うんです。今答えられないというふうな状況だと思いますが、両事業者が提案段階で移植や伐採予定本数を示していたとすれば、私が何度も質問をしてきたことへの都のこれまでの答弁、樹木の取扱いについては事業全般の進捗状況に合わせて適切に公表するといってきたのは虚偽隠蔽になりませんか。

○根来公園計画担当部長 事業の進捗状況につきましては、樹木の取扱いを含め、よくある質問やファクトシートなどを通じて公表しておりまして、今後も適切に対応してまいります。

○原委員 INOCHIグループが移植または伐採樹木予定本数を提示していなかったとすれば、そういうことさえ提示していない事業者の方を選んだということになります。要求水準書に樹木保全の方針は明記されているのに、樹木の扱いが軽過ぎるのではないでしょうか。
 淡水生物館の存廃、これも先ほど話したように触れられていない、または公表していない部分で議論されたのかもしれない、樹木の取扱いについても、今のような分からない状況、既存水族園本館との連携、これも多くの皆さんが引き続き心配していることなんですが、この大事な三点について、二つの事業者の提案にはとても大きな違いがあります。審議の中で議論がされたのでしょうか。改めて伺います。

○根来公園計画担当部長 提案内容の審査につきましては、あらかじめ公表している落札者決定基準に基づき、事業の実施体制、収支計画、配置、景観、外観、展示、環境負荷低減など、幅広い観点から適切に行っております。
 なお、会議の議事録は、応募グループの固有のノウハウが多く含まれているヒアリングの内容及び質疑応答等の部分を除き、ホームページで公表しております。

○原委員 議事録が全て公開されていないので、議論されたかどうかすら私たちには確かめられません。こうした大事な三点について、また、ほかにもたくさん大事な点はあると思いますけれども、多くの皆さんが心配している、この点について、特段議論もされなかったとしたら、この淡水生物館を解体して、その展示は新施設に入れるという提案のINOCHIグループが選ばれてしまった。これが審議を経ずに選ばれてしまった可能性があるということで、本当に残念でなりません。
 この価値が理解されていれば、もっと違う議論の組み立て方があったのではないでしょうか。
 審査の議事録で非公表の事業者ヒアリング、プレゼンテーションの部分について、都は固有のノウハウが含まれるヒアリングの内容は公表していないというふうにありますが、審査が公平に行われたという根拠を示さなければ、この請願を出された方も都民も納得ができないんではないでしょうか。
 公正に行われたという根拠と、その証拠資料をどんな形でもいいので示していただけませんでしょうか。

○根来公園計画担当部長 本事業におきましては、建築や環境などの専門家等から構成される技術審査委員会において、あらかじめ落札者決定基準を策定し公表した上で、これに基づき提案内容を審査するなど、適正に審査を実施しておりまして、審査結果については都ホームページにおいて公表しております。

○原委員 点数の積み上げだけで落札者が決まるなら、恣意的に高得点を入れる審査員がいれば、そちらに決まってしまいます。出来レースではなかったことを証明するためにも、合計点ではなく個々の審査員の名前は伏せて点数を公表したらどうかと思いますが、公表する気はありますか。

○根来公園計画担当部長 本事業は、総合評価一般競争入札方式を採用しておりまして、提案内容審査の得点に入札価格の得点を加えた合計点で総合的に評価しております。審査経過については都ホームページにおいて公表しており、審査員それぞれの採点については公表いたしません。

○原委員 都は状況を理解しておられないというふうに思います。今や非落札事業者の提案内容が一部公表されているんです。それが、樹木をなるべく保全する方針から、何本伐採し何本移植すると公表をしているということなんです。
 審査員は真摯に評価をしたと信じたいですが、こうした樹木や流れのエリアなどの自然環境の取扱いをきちんと審議したのかどうか、環境負荷の審査講評でも出てこないんですから、都民としては全て情報公開せよというのは当然のことだというふうに思います。
 審査の公平性、透明性を証明するために審査経過の全面公表を求め、請願を採択すべきものというふうに表明をいたします。
 もう一つの陳情についても、自然環境の悪化を心配する内容のものです。太陽光パネルの野鳥や生き物への影響について調べるために、環境アセスメントを実施してほしいとの要望です。
 義務はありませんが、自主アセスという方法は考えられると思います。多くの緑がなくなってしまうんじゃないか、こういう大変な心配がある、そういう方の陳情です。ぜひ実施を検討していただきたいというふうに思います。
 建設局が掲載した葛西臨海水族園整備等事業に関するよくある質問について伺います。
 樹木の取扱いについて、都は、千四百本の樹木を伐採するなどの情報がSNSを中心に一部で流れていますが、事実ではありませんと回答をしています。否定する以上事実があるわけですが、事実の指す中身を示してください。

○根来公園計画担当部長 新設整備に当たり支障となる樹木については、樹木診断を実施の上、移植し、共生の杜を整備するために活用するなど、引き続き生かしてまいります。
 この考え方に基づき、現在事業を進めております。

○原委員 千四百本がこのエリアにある樹木の本数だということは、私が聞きましたことへの答弁でも確認していますし、多くの方々が分かっています。ですが、そのほとんどが、この整備計画で伐採されてしまうんではないかと心配する声が上がっているわけです。実際の伐採や移植の本数を示さない都と事業者の責任であり、SNSで流すのが悪いかのような書き方は責任転嫁ではありませんか。
 樹木の取扱いについて、三月二十三日公表のQ&Aでは可能な限り伐採ではなく敷地内に移植しますとあったのが、六月十三日更新されたQ&Aでは敷地内にの文字がなぜか消えてしまっていました。
 これまでの説明では、敷地内でと何度も聞いてきました。敷地内での移植で済まなくなるということが分かったということでしょうか。お答えいただきたいです。

○根来公園計画担当部長 新施設整備に当たり支障となる樹木については、先ほど申し上げましたとおり、樹木診断を実施の上、移植し、共生の杜を整備するために活用するなど、引き続き生かしてまいります。
 この考え方に基づき、現在事業を進めております。

○原委員 いうことがいつの間にか変わっていくような気がします。敷地内に移植することになっていたのに、いつの間にか、どこに移ったか移植をしたか分からないような、そんな状況になりそうな印象を持ちます。目くらましのようです。
 東京都は、東京グリーンビズというプロジェクトを新たに発表しました。百年先を見据え、東京の緑を、都民をはじめ様々な主体との協働により価値を高め、継承していく考え方と書かれています。本当にやっていることと違い過ぎて、あきれてしまいます。
 ツリーバンクの創設とあります。移植する木の保管用地を造り、樹木を受け入れ、新たな需要先に活用する、つまり二度の移植をするということです。移植がうまくいかないケースがかなりあることが報告されているのはご存じと思います。
 まずは、切らずに残すことが緑を守る大前提ですが、それを忘れてはいませんでしょうか。神宮外苑も日比谷公園も移植という言葉があちこちで出てきますが、葛西臨海水族園でも移植すればよいという安易な考えを押し通すやり方は許されるものではありません。緑を守るというなら、まず、今ある樹木を残すことを大前提に、新施設の基本設計の作成をすることを求めます。
 住民への説明が不十分過ぎて、私のところに、あれどうなったのと質問が殺到しています。地元江戸川区や周辺自治体、また、利用者へ計画を知らせる広報を早急に出してください。地元住民や利用者への説明会を早く開いてください。都民の納得のいく情報公開を求め、私の質問といたします。

○もり委員 葛西臨海水族園の更新に当たり、二つの陳情に質疑をさせていただきます。
 陳情五第二七号は、葛西臨海水族園の更新に当たり、本格的な設計前に環境影響評価を実施しその内容の公表を求めるものです。
 都は、東京都環境影響評価条例に定める環境影響評価の対象事業に該当しないとの見解が示されていますが、環境影響評価の歴史をひもとけば、法律や条例が制定されていない段階では、国は閣議決定により、地方自治体では要綱により環境影響評価を実施していました。
 東京都は、国内で最も早く環境影響評価条例を制定した都道府県であり、まさに、国に先駆けて法的拘束力のある環境影響評価制度を制定しました。
 法律や条例が制定されたからといって、都有地において、東京都が実施する事業について環境影響評価を自主的に実施することが排除されるわけではないと考えます。法律や条例によって法制化するに当たって、環境影響評価を行う対象を事業の種類と事業規模で規定をする方法もありますし、特に重要な地域において実施する場合、例えば、保護すべき自然生態系域内で事業をする場合に、事業がその自然生態系に及ぼす影響を評価する場合を対象とする方法もあると考えます。
 葛西臨海水族園の更新は、都有地において東京都が事業者となって行う事業であって、かつ東京湾に流入する荒川と旧江戸川の河口に広がる三枚洲と呼ばれる干潟は、二〇一八年十月、ラムサール条約湿地に登録をされております。
 太陽光パネルが渡り鳥や野鳥に及ぼす影響については、世界的にも十分な科学的知見が蓄積をされておりません。そのような状況下で、都の施設に太陽光パネルを設置することが、都の方針であるからといって、どこでも太陽光パネルを設置すればよいものではないと考えます。
 環境影響評価制度の制定過程にも振り返り、葛西臨海水族園に設置予定の太陽光パネルがラムサール条約湿地に飛来する渡り鳥等の生き物にどのような影響を与えるのかを中心に、できる限り樹木を保存する設計となることなどを含めて、東京都として葛西臨海水族園環境影響評価実施要綱を定めて、アセスを実施すべきであると考えます。都の見解をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 葛西臨海水族園の新施設は、公園の緑など周辺環境と一体となり、自然との共存をコンセプトに整備することとしております。こうした観点から、新施設の建物全体における徹底した環境負荷低減を実現するため、太陽光パネルを新施設の屋上に設置することとしており、また、支障となる樹木については、樹木診断を実施の上、共生の杜を整備するために活用するなど、引き続き生かしていくこととしております。
 なお、本事業については、環境影響評価及びそれに準じた調査を実施することは予定しておりません。

○もり委員 ただいまの答弁について改めて質問をさせていただきます。
 私は、太陽光パネルをあえてここに設置する必要はないと思います。太陽光パネルを設置することがラムサール湿地を抱える葛西臨海水族園、葛西臨海公園の自然との共生に資する理由をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 新施設の整備に当たりましては、徹底した環境負荷の低減を実現することを目指してございます。太陽光パネルの設置は、これに寄与するものと考えてございます。

○もり委員 この規模の太陽光パネルですと、大田区にも絶滅危惧種のコアジサシであったり、裸地を好む野鳥などは、環境が変わると飛来ができないおそれがありますので、そういった世界的な、本当に生態系にも影響を及ぼしてしまうということを十分に考えた上で、ぜひ改めて環境影響評価に準じた調査を実施していただきたいと要望させていただきます。
 私たちは、葛西臨海水族園整備事業の事業者決定の手続に関する請願には採択という立場ですが、その理由と意見を述べるとともに若干の質問をさせていただきます。
 葛西臨海水族園の建て替え整備事業は、東京都が発注者ですから、どのように整備するか決定するのは発注者である東京都であって受注者ではありません。したがって、例えば設計変更については、受注する事業者の決定手続の瑕疵の有無に関わりなく、事業者を指導する事項ではなく発注者である東京都が自ら決定する事項であると考えます。よって、この請願は採択というのが理由です。
 しかし、私たちは、葛西臨海水族園の更新に当たって、近隣の樹木を伐採するような面的な建物が本当に必要なのか。例えば、カフェテリアやノベルティーグッズの販売所などは、既存施設を活用することを想定するなど、設計変更を行うミティゲーションの手法における回避措置を講じるべきだと考えています。
 立ち止まって考えていただき、環境影響評価のミティゲーションとしての回避措置を講じることを念頭に、自然環境と調和した葛西臨海水族園の設計変更を行うべきと考えますが、なぜスケジュールを優先して事業を急ぐのか、その理由についてお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 新施設の整備等事業の事業者公募に際しては、緑に配慮し、公園など周辺環境との調和を図ることを求めております。
 事業者の計画はこれに沿ったものとなっておりまして、都は、事業全般においてモニタリングを実施しながら、新施設の整備を着実に取り組んでまいります。

○もり委員 ただいまの答弁をいただきましたが、緑に配慮し、周辺環境との調和を図ることを決めるのは、発注者である東京都です。緑の配慮は回避を優先的に考えるというのがミティゲーションの考え方ですが、このミティゲーションの考え方についてはどのように考えているのかお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 先ほども申し上げましたとおり、新施設の整備等事業の事業者公募に際して、緑に配慮し、公園など周辺環境との調和を図ることを求めておりまして、事業者の計画はこれに沿ったものになってございます。

○もり委員 先ほどの答弁にも、周辺環境との調和で最も重要なのは、やはりラムサール湿地への影響だと考えます。その影響について、どのような調査をしたのかお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 繰り返しとなりますけれども、事業者の計画については、私どもが求めている、緑に配慮し、公園など周辺環境の調和を図ること、これらを満たすものというふうに考えてございます。

○もり委員 るる質疑をさせていただきましたが、やはりラムサール湿地への影響ということを大変重く受け止めていただきたいと考えます。
 また、樹木についても、既存樹木は千四百本ということで、伐採本数については、生命と幸せを紡ぎ続ける水族園という計画を示していただいていますので、できるだけ生態系を保全する立場からの計画としていただくよう、陳情五第二七号については採択を求め、質問を終了させていただきます。

○漢人委員 葛西臨海水族園(仮称)整備等事業の事業者決定の手続等に関する請願と、葛西臨海水族園の更新に当たり環境影響評価の実施を求めることに関する陳情について質問をいたします。
 葛西臨海水族園の事業者決定に関して、この間、選定されなかった事業者の提案の概要とされるものが報道されています。この件について、請願書には次のように記載されています。
 水族園全体の景観や環境の歴史的な継続性を求めて、淡水生物館とその周辺の森、景観展示、水景及び自然環境を利活用することを提案した事業者ではなく、約千四百本に及ぶ大量の樹木の伐採または移植、淡水生物館及び流れ並びに景観展示の全てを解体撤去することを提案し、入札金額が九億円高かった事業者を落札者として決定したことになるというものです。
 そして、要求水準書の妥当性、審査の公平性及び透明性並びに議会における承認の手続に瑕疵があった形跡があるとして、その解明を求めているものでして、賛成をいたします。
 なお、私は、この要求水準書に、淡水生物館と周辺樹林地の保全ということを明確にするべきだったということについても、この間、指摘をしてきております。
 一問目に用意した質問は、先ほど原委員の方から質問があり、答弁が出ておりますので、質問は省略いたしますが、ホームページのよくある質問について、六月にその内容が更新されたということで、実態は変わらないということだったんですが、やはり誤解を招くような修正はしない方がいいということを申し上げておきたいと思います。これは申し上げておきたいと思います。
 質問は一点だけなんですけれども、六月五日の環境・建設委員会で、現在、樹木調査を実施中であり樹木の取扱いについては、事業全般の進捗状況に合わせ適切に公表するとの答弁がありました。その樹木調査の進捗状況はどうなっているでしょうか、お伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 現在、計画敷地内の樹木について、樹木医による健全度及び移植の可否について調査を実施しております。

○漢人委員 まだ調査中だということです。つまり、千四百本の樹木の命運はまだ定まらないということですね。千四百本の樹木を伐採するなどの情報を、事実ではないとする裏づけはまだないということだというふうにいえると思います。
 都は、千四百本の樹林地の伐採や移植が最小限となる計画とするように事業者を指導してください。そして、委員の皆様にもぜひ、この請願への賛同を求めておきたいと思います。
 この請願に関しては、環境・建設委員会に付託をされているほかの項目もありますが、議会運営委員会の方に第三項については付託をされていますが、私はそちらについては、この委員会の判断ではありませんが、賛同できないものなんですが、こちらの環境・建設委員会に付託されている内容については、ぜひ、この葛西臨海水族園の樹林地を守っていくために、この方向での取組が必要だというふうに考えております。
 また、もう一つの陳情書に関しては、環境配慮のための環境アセスもしくはそれに準ずるものを求めるということについては、大きなところでは賛成をするんですけれども、太陽光パネル発電による影響ということに関しては、ちょっと賛同しかねるところもあります。そういうことで趣旨採択を主張したいというふうに思っております。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、請願五第九号の一を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第九号の一は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情五第二七号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第二七号は不採択と決定いたしました。

○里吉委員長 次に、陳情五第一二号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○久野道路建設部長 それでは、お手元の資料、請願・陳情審査説明表の五ページにございます整理番号4、陳情五第一二号をご覧ください。
 本件は、東武東上線(大山駅付近)の連続立体交差事業に関する陳情で、板橋区の枝村茂樹さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、東武東上線の大山駅付近で踏切問題を解消するために進められている連続立体交差事業について、高架方式での建設計画を中止し、地下方式に変更していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、本事業は、大山駅付近を中心とした約一・六キロメートルの区間にある八か所の踏切を除却する事業でありまして、令和元年十二月に高架方式で都市計画決定、令和三年十二月に都市計画事業認可を取得し、現在は用地取得を進めております。
 本区間の構造形式の決定に当たりましては、高架方式、地下方式の二案について、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却される踏切の数などの計画的条件、事業費や事業期間などの事業的条件の三条件で比較検討いたしました。
 地形的条件につきましては、高架方式、地下方式、どちらの案も対応可能であり、計画的条件につきましては、高架方式では八か所の踏切を除却できる一方、地下方式では除却する八か所の踏切のうち二か所の道路が鉄道の掘り割り構造部のために通行できなくなることから、高架方式が優位となりました。また、事業的条件につきましては、高架方式での事業費が約三百四十億円であるのに対しまして、地下方式では約五百五十億円となり、高架方式が優位となりました。
 以上のことから、本区間の構造形式として高架方式を決定いたしました。
 引き続き、地元住民に丁寧な説明を行うとともに、地元区や鉄道事業者と連携し、令和十二年度の完成に向けて事業を着実に推進してまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 それでは、私から、東武東上線大山駅付近の連続立体交差事業について何点か質疑をいたします。
 まず、この陳情の対象となっている大山駅付近の連続立体交差事業の現状についてもう少し、何点か聞いてみたいと思います。
 本事業では、高架化に伴う鉄道付属街路事業が行われることが決まっています。区施行部分もありますが、都施行部分について、面積と用地買収対象の画地数はどの程度なのか。また、現状で用地取得件数はどうなっているのか、この点をお聞きしたいと思います。

○久野道路建設部長 東武東上本線大山駅付近連続立体交差事業において、都が施行する鉄道付属街路四路線の用地取得面積は約三百二十平方メートル、画地数は十六件でございます。
 本事業では、令和三年十二月に都市計画事業認可を取得後、令和四年八月に用地補償説明会を開催しており、現在、物件調査や土地価格及び物件移転補償費の算定などを実施しているところでございます。
 あわせて、用地折衝を行っていますが、契約に至っている画地はございません。

○曽根委員 令和三年十二月ですから、まだ二年たっていないわけですが、それにしても三百二十平方メートルの鉄道付属街路の用地の十六区画の買収、用地取得がまだ契約に至っていないということで、事業は若干の遅れぎみということかなと思いますが、この本事業が計画決定された事実経過についても何点か聞いておきたいと思います。
 板橋区の都市計画審議会では、異例の継続審査の動議が出された経緯があって、これは板橋区の都市計画審議会としては初めてのことだそうですが、その動議に対する採決で八対八の同数となって、最終的には継続審査にするかどうかを会長の決裁で本採決に移行したということで、議案の本採決の結果は十対六でしたでしょうか、差がついて、これは計画として採択されたという事実があるそうですが、この経過については、東京都はご存じですか。

○久野道路建設部長 ご指摘の事実については、承知してございます。

○曽根委員 こうした異例の事態となった大きな原因として、一つは、やはり大山駅付近の東武東上線については、地元の総意というならば、地下化が総意であったという経過が一つあります。
 それに反して提案されたのが、主には事業費が二百億円高くかかるということを理由に、あと、踏切の解消などの差があるということで、高架化が提案され、これは商店街にとっては、一部商店街のアーケードを壊さなきゃならないんじゃないかとかいろんな問題があって、かなり商店街の中にも賛否が分かれたと。
 それにしても、立体化はいずれにしても必要だということで、まあ、しようがないかというような声で、なかなか合意がまとまらなかったという地元の経過が一つあります。
 そして、もう一つ大きな要因としては、この立体化を機に、大山駅に駅前広場を整備すると。こういうことが区の方から提案されたわけですが、これは今までの都市計画でもまだほとんど出ていなかったことで、事前の周知もほとんどないまま唐突に持ち込まれたことに対する、特に広場の対象となった六十件ぐらいあったでしょうか、そこのほとんどの方が寝耳に水の計画だということで、非常に反発をして、この決定が非常に難航したということがあったと聞いております。
 やはり、これに対して商業者、それから産業分野、この各分野の代表者が、板橋区に対する協力の意思はあるが、この問題についてはあまりにも事前の周知も、それから、その必要性についての区の説明もなかったということに非常に採決に抵抗したと。
 ですから、今回採決を見送るべきだという意見が半数あったんですが、最終的に採決になったときには、これが六人に減っているわけなので、その点で相当苦渋の決断が委員の中でもあったと思います。
 いずれにしても、一般住民に対して、また、区議会議員に対して、商業者、産業界でも大きな、これに対する苦渋の選択があったという、この経過がその後の事態の遅れを招いている。私は、この点に大きな、やはり事業を進める上での問題点があろうかと思っております。
 そこで、今お話ししたような、駅前広場を整備する区の事業について、これは非常に今後も遅れが予想されるというふうに思うんですが、駅舎の立体化がもし進んでいくとすれば、広場の整備が時期的に大幅にずれる場合も考えられる。計画では、駅舎と広場の整備はいつごろ完成する計画となっているのか教えてください。

○久野道路建設部長 東武東上線大山駅付近連続立体交差事業と板橋区が駅前広場として整備する板橋区画街路第九号線の事業期間は、ともに令和十三年三月まででございます。

○曽根委員 あと八年ないわけですけれども、この期間に完成にこぎ着けるとは私は到底思えないわけですが、この事業を住民の合意、それから商業者、商店街の合意も得ながら進めるためには、やはり改めて計画の改善、手直しも必要になってくるかと思います。
 そこで、この陳情についてなんですが、陳情者は立体化を、高架化をやめて地下化にすべきだと根本的な疑問を呈しているわけですが、その理由を、陳情文を読みますと、私たちはちょっと異なる立場からの、もし日本が他国から侵略を受けた場合に、高架方式では戦闘機や爆撃から狙われやすいけれども、地下方式の方が安全だと。約二百億円多くかかっても、増えた分は未来への先行投資と考えれば、それほど高額とは思えないというような主張が大きなベースになっております。したがって、陳情者の思いと私たちの地下化の方がやはり住民合意に沿っているという考えは、結論は同じですが、立場が相当違います。
 そういう点から、この陳情について、私たちは趣旨採択をすべきというふうに考えて、そのことを申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第一二号は不採択と決定いたしました。

○里吉委員長 次に、陳情五第二八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○根来公園計画担当部長 お手元配布の資料3、請願・陳情審査説明表の六ページにございます整理番号5、陳情五第二八号をご覧いただきたいと存じます。
 本件は、日比谷公園の歴史文化の尊重・再生整備計画の保留・文化財としての保存に関する陳情で、小金井市日比谷公園の歴史と文化をこよなく愛する会代表高橋康夫さん外五百七十三人から提出されたものでございます。
 本陳情の要旨は、都において、日比谷公園の性急な再生整備はせず一旦中断した上で、時間をかけて利用者や住民との合意を得ながら、東京の歴史遺産を残すように再検討していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立日比谷公園は、明治三十六年に近代的洋風公園の先駆けとして開園した日本を代表する都市公園でございます。にぎわいや憩いの場として多くの都民に親しまれておりますとともに、皇居など周辺の緑と一体となって都心の緑の核を形成し、都市に風格や潤いを与えております。
 令和三年七月に公表した都立日比谷公園再生整備計画では、百余年の時代を経て日比谷公園に積層した魅力にさらに磨きをかけ、誰もが利用しやすい空間を創出することなどを目指しておりまして、令和五年七月に公表した事業計画、バリアフリー日比谷公園プロジェクトにおいても、歴史的、文化的な価値を継承しつつ、誰もがより楽しめる公園に進化させることとしております。
 都立日比谷公園再生整備計画は、令和元年十月の東京都公園審議会への諮問、学識経験者等による審議を経て、都民等からの意見も踏まえて取りまとめられた答申に基づき策定しておりまして、今後はバリアフリー日比谷公園プロジェクトに基づき、詳細な整備内容等について情報発信することとしております。
 令和五年八月には、第二花壇エリアの整備工事に係る内容と併せて、バリアフリー日比谷公園プロジェクトに関するオープンハウスを開催し、多くの方からご意見をいただいております。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○たきぐち委員 それでは、陳情五第二八号、日比谷公園に関して何点か伺いたいと思います。
 東京都では、日比谷公園を誰もが利用しやすく、楽しめる公園に進化させるため、本年七月に、バリアフリー日比谷公園プロジェクトを策定し、本公園全体の整備を進めていくこととしています。
 このうち、日比谷公園にある大音楽堂、いわゆる野音は、大正十二年に開設され、今年で百年を迎える、都内で唯一の屋外にある大規模な音楽堂であって、これまで幅広いジャンルの音楽において数々の伝説的なコンサートが行われてきた施設であります。
 さきの第一回定例会一般質問におきまして、地元の平都議から、全国的に知名度が高い、こうした大音楽堂は、観光や経済の活性化にもつながる施設として、歴史や伝統を守りつつ、時代のニーズに応えながら、多くの人々に愛される施設として再整備を進めるべきと、都の方針をただしたところでありますが、まず初めに、これから整備する大音楽堂について、どのような視点で整備を進めていくのか伺います。

○根来公園計画担当部長 大音楽堂の再整備に当たりましては、開設から今年で百周年を迎えた大音楽堂の歴史を継承し、野音のこれからの百年にふさわしいデザインへとリニューアルを行います。
 バリアフリー対応を適切に行いますとともに、野外音楽堂ならではの開放感を維持することを前提に、天候対策としてステージ上及び観客席前方に屋根を設置いたします。
 また、アーティストの方などからいただいたご意見も参考に、控室やバックヤードなど、機能拡充を図ってまいります。
 さらなるにぎわいや憩いの空間を創出するため、大音楽堂に入場しない方も利用できる軽飲食店や売店等を設置するなど、大音楽堂の周辺を一体的に再整備いたします。

○たきぐち委員 これまでの歴史を継承してバリアフリー対応や天候への対応、そして、控室など、機能拡充を図っていくということでありました。
 ぜひこれからの百年にふさわしいデザインへとリニューアルをされ、そして、周辺との一体的な整備で魅力あるエリアを生み出していただきたいというふうに思います。
 こうした大音楽堂の再整備をどのように進めていくのか、現在の状況と今後の予定について伺います。

○根来公園計画担当部長 大音楽堂の再整備につきましては、民間事業者のノウハウや資金を活用し、効率的かつ良好なサービスを提供するため、パークPFIを活用して行うこととしておりまして、本年七月、大音楽堂の整備及び管理運営を行う民間事業者の公募を開始いたしました。
 これまで現地見学会や、民間事業者から提出された質問書に対する回答などを行っておりまして、今年度中に民間事業者を決定する予定でございます。
 その後、令和六年度以降となりますが、民間事業者が設計や工事を行い、令和十年四月までに供用開始することを予定してございます。

○たきぐち委員 知事からも、自由で開放的な空間が野音の魅力であって、こうした魅力と歴史を継承しながら民間の知恵も取り入れてリニューアルしていくという、本会議での答弁がありました。
 今ご答弁ありましたけれども、パークPFIを活用して、今年度中に民間事業者を決定するということであります。多くの都民から愛される大音楽堂の再整備を着実に進めていただきたいというふうに思います。
 最後に、公園全体の整備についてでありますが、今月から工事を開始した第二花壇周辺の整備に先立って、本年八月に、先ほどもご説明がありましたが、オープンハウスを開催したということであります。
 来場者から寄せられた声を今後の整備に生かしていくべきと考えますが、どのように進めていくのか、今後の進め方も併せて伺います。

○根来公園計画担当部長 公園の整備を進めるに当たりましては、各エリアごとの詳細な整備内容がまとまり次第、オープンハウスを実施し、整備内容について情報発信を行い、ご意見を伺うこととしております。
 先月実施したバリアフリー日比谷公園プロジェクト及び第二花壇の整備内容に関するオープンハウスでは、二百名を超える方々が来場し、樹木の保全や歴史的、文化的施設の継承など様々なご意見やご要望をいただきました。
 今後は、こうしたご意見やご要望を参考にしながら、誰もが利用しやすく楽しめる公園としてまいります。
 また、今後も、エリアごとにオープンハウスを開催しながら、段階的に整備を進めることとしておりまして、例えば広場の整備に当たり、子どもたちが参加して遊具のデザインを考えるなど、都民と進める公園づくりに取り組んでまいります。

○たきぐち委員 オープンハウスには二百名ほどの方が来場されたということで、樹木の保全や、歴史的、文化的施設の継承などいろんな意見があったと。こういった声を生かしていくというご答弁でありました。
 この陳情の中でも、都立公園ではあるけれども、地元の考えを重視して、地元の意見を尊重すべきだということが主張されているところであります。今後もエリアごとにオープンハウスを開催していくと、そして、段階的に整備を進めていくということでありますので、こうした声をしっかりと生かしながら、引き続きバリアフリー日比谷公園プロジェクトを進めて、大音楽堂をはじめ、誰もが楽しめる日比谷公園に整備していただきたいということを要望し、質疑を終わります。

○伊藤委員 それでは、私からも、陳情五第二八号、日比谷公園の歴史文化の尊重・再生整備計画の保留・文化財としての保存に関する陳情について質問をさせていただきます。
 日比谷公園は、日本における近代的洋風公園の先駆けとして、明治三十六年に開園した都立公園でありまして、皇居など周辺と一体となった都心の貴重な緑と憩いの場として、長きにわたって都民、国民に親しまれてきた都心のシンボルとなる公園であります。
 都では、今年の七月に、バリアフリー日比谷公園プロジェクトを公表し、開園百三十年となる令和十五年の完成に向けて、本公園をエリアごとに段階的に整備することとしておりますけれども、その進め方等について改めて確認をしてまいりたいと思います。
 まず、バリアフリー日比谷公園プロジェクトでは、歴史的、文化的な価値を継承すると書かれておりますけれども、どのように継承していくのか伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 本プロジェクトでは、百二十年の時代を経て、積層した魅力にさらに磨きをかけるとともに、全ての来園者及び将来の都民にとってウエルビーイングとなる公園に進化させていくこととしております。
 また、整備内容を検討する中で、公園内の段差等の解消について高齢の方や障害をお持ちの方などからの声もあったことから、バリアフリー化により、誰もが利用しやすい空間の創出を目指すこととしております。
 整備に当たりましては、公園の回遊性の軸となるS字型園路や日比谷見附跡の石垣、洋花文化を発信してきた第一花壇など、開園当初からある施設や小音楽堂や大音楽堂、大噴水などの公園施設を継承するとともに、デジタル技術を活用し、開園当時の様子を多言語や画像で見られるようにするなど、日比谷公園の歴史的、文化的価値を将来に引き継いでまいります。

○伊藤委員 ぜひ私からも、バリアフリー化などの整備を行いながら日比谷公園の歴史的、文化的な価値はしっかりと継承していただきたいということを求めておきたいと思います。
 次に、これまでの検討の経緯について確認をしたいと思います。
 本陳情では、性急な再生整備はしないよう求めておりますけれども、これまで日比谷公園では、再生整備に向けてどのような検討を行ってきたのか、その経緯について伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 都は、平成二十九年十月に、日比谷公園グランドデザインの策定に向け、学識経験者等で構成する検討会を設置いたしました。
 取りまとめに当たりましては、パブリックコメントを行い、平成三十年十二月に、日比谷公園グランドデザイン五つの提言を公表いたしました。
 その後、令和元年十月に、東京都公園審議会に対し、日比谷公園再生整備計画の策定について諮問し、学識経験者等による様々な観点からの審議やパブリックコメントを経て、令和三年三月に答申がまとめられました。これを踏まえ、令和三年七月に、日比谷公園再生整備計画を策定いたしました。
 これを踏まえて基本設計を実施し、計画の実現に向け、本年七月に事業計画として、バリアフリー日比谷公園プロジェクトを取りまとめました。

○伊藤委員 再生整備に向けて、これまで時間をかけて検討してきたという答弁でありました。
 また、学識経験者等による審議やパブリックコメントを実施してきたということでありますけれども、そのほかにも公園利用者や地域の方々の声をしっかり聞くことも大事であるというふうに私は思います。
 今月から工事を開始した第二花壇周辺の整備に先立っては、先月、八月四日から六日までの三日間でオープンハウスを開催したということでありますけれども、オープンハウスの様子と、参加者からどのような意見をいただいたのか具体的に伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 オープンハウスにおいては、バリアフリー日比谷公園プロジェクト及び第二花壇周辺の整備内容について、来場された方々に丁寧な説明を行い、職員がいただいた質問に対して個別に対応いたしました。また、来場者を対象にアンケートを実施し、整備内容等についてご意見を伺いました。
 三日間で二百名を超える方々にご来場いただき、そのうち約八割の方からアンケートにご協力をいただきました。アンケートでは、都心で緑、花に触れられる場所として、自然を感じ、ほっとできる場所であってほしいというご意見や、今ある日比谷公園を守りながらも、新しく進化した部分を感じられる日比谷公園にしてほしいなどの様々なご意見やご要望をいただきました。

○伊藤委員 オープンハウスは整備内容に関する説明を行うだけではなくて、様々な意見を聞くことができる大事な取組であり、今後も都は丁寧に対応していただきたい、このように思います。
 最後に、今後、整備を進めるに当たっての都の取組について確認をしたいと思います。
 日比谷公園の整備は都の事業でありまして、責任を持ってしっかりと進めていくべきであります。
 そして、都民の懸念や心配などを招かないように、整備に当たっては、正確な情報の提供が重要であると考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 公園の整備を進めるに当たりましては、各エリアごとの詳細な整備内容がまとまり次第、オープンハウス等により情報発信を行ってまいります。
 また、整備内容等の更新情報につきましては、事業の進捗に合わせて、建設局のホームページで公表していくなど、継続的に発信してまいります。
 さらに、整備に関する都民への理解促進や機運醸成を図るため、公園を探索し、自然や歴史を学び、知っていただくガイドツアーや整備後の新たな施設を先行して体感できるイベントなど、都民と一緒に日比谷公園を造っていく取組を行いながら、整備を着実に推進してまいります。

○伊藤委員 様々な取組を展開し、大事なことは、今答弁にあったとおり、都民と一緒になって公園づくりを進めていくということであると思います。引き続き、バリアフリー日比谷公園プロジェクトをしっかりと進めながら、公園の歴史的、文化的な価値を継承しながら、よりよい公園に進化させていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○原委員 よろしくお願いします。日比谷公園再生整備の陳情について質問します。
 陳情者の日比谷公園の歴史と文化をこよなく愛する会の陳情趣旨は、性急な再整備はせず、一旦中断した上で、時間をかけて利用者や住民との合意を得ながら、東京の歴史遺産を残すように再検討していただきたいというものです。
 二〇二一年七月に策定の都立日比谷公園再生整備計画と、その具体化として、今年七月に発行されたバリアフリー日比谷公園プロジェクトにより、公園全体を九つのエリアに分け、段階的に再整備を行うスケジュールが明らかになりました。
 二〇三三年、令和十五年まで十年かけての工事が行われることになります。今年、開園百二十周年を迎える近代的洋風公園の先駆けとして、歴史的な建築物も多く存在する日比谷公園であり、野外音楽堂、日比谷公会堂などは人々の記憶に残るコンサートや市民集会、政治集会などが重ねられてきた文化や民主主義を育む地でもあります。
 今回の再生整備計画は、野外音楽堂など歴史的な建築物が軒並みスクラップ・アンド・ビルドされ、芝生で敷き詰めた大規模な広場が中央の第二花壇のところと北西側にも設置される計画で、そのために花壇の植栽が消え、三笠山が削られます。そして、公園と周辺のまちとのアクセシビリティー向上のためということで、民間商業ビルとの間に二本のデッキをつなぐ計画です。まさに公園大改造ともいえるものです。
 先日、八月四日から六日の三日間、当公園内で、東京都によるオープンハウスが行われ、公園再整備計画の説明の場が設けられました。質問を予定していませんでしたが、ちょっとお聞きしたいんですが、根来部長さん、このオープンハウスに足を運ばれましたでしょうか。ちょっとお聞きしていいですか。

○根来公園計画担当部長 オープンハウスには私も訪れました。

○原委員 ありがとうございます。
 そうしたら、感覚的にも理解していただけると思うんですが、この期間は危険な暑さといわれる酷暑日で、外出は避けるよう警告が出ている期間でした。
 都は、公園内第二花壇の側道のアスファルトの上に仮設テントを張り開催をしています。私も行ってみましたが、あまりの暑さで五分といられないような状況でした。公園を散歩する人もほとんどいなかったです。
 来場者数は三日間で二百十六人ということです。ふだんは一日六千人以上が来園する公園です。第二花壇整備工事の九月着工のために、無理にでも説明会をしましたといいたいのじゃないかなと私は臆測をいたします。
 職員の熱中症の危険を冒してまで強行する都のやり方に、非常に問題を感じました。熱中症は死に至ることもあることぐらい知っておられると思いますが、本当に、場所とか日程とかを調整、変更することは可能だったのではないでしょうか。
 さらに、市民が来場者に対し独自にアンケートを取っていたのを、テントから外への通り道を遮断し、通れないようにしてしまったのは問題です。市民活動の自由は完全に保障されるべきだというふうに、ここで警告を発しておきたいと思います。
 オープンハウスで取ったアンケートでの意見の抜粋を読ませていただきました。抜粋なので、意見の数は確定できませんが、今回の整備計画に対し、異議あり、または説明が不十分との意見が過半数に及んでいます。
 お聞きします。オープンハウスで出されたアンケート、これをどう受け止めておられるか、この意見をどう反映させるのかを伺います。

○根来公園計画担当部長 三日間で二百名を超える方々にご来場いただきまして、そのうち約八割に当たる方からアンケートにご協力を得ております。いただいたご意見を参考に、今後の整備を進めてまいります。
 なお、アンケートの中では、例えば、公園の施設や園路の段差解消、スロープの設置などを行う、こうしたことに期待するといったようなご意見も九十一件ほどいただいてございます。

○原委員 そうですね。いろんな意見がありました。でも、やっぱり異議ある人の声、とても気になるので、ちょっと紹介します。
 ただ静かに公園で過ごしたい利用者にとっては、今回のプロジェクトは改悪としか感じられません。みんながみんなイベントを望んでいるわけではなく、樹木や花を見てほっと一息つく、読書をする、そのための公園であってほしい。歴史ある施設は保存してほしい。内幸町の再開発に合わせるような再整備は、歴史のある日比谷公園にはそぐわない。第二花壇を芝生にしないでほしい。花のない公園は浮き浮きしないなどです。
 もちろん、明るい、開けた公園に再生するという考え方には共感を覚えた、遊具を増やしてほしいなどの要望的なものもありました。
 実際利用している皆さんの気持ちと違う整備内容になっているような気がしました。そして、まだほとんどの都民や利用者が知らない現状の下、最初に整備を行うとされた第二花壇の整備工事が九月四日に突然始まり、囲いが造られ始めています。
 花壇の四方のエリアに、今も花をつけているバラなどの貴重な植栽が撤去、処分されると現地で聞いたメンバーが驚いて連絡をしてくれましたが、本当でしょうか。扱いを伺います。

○根来公園計画担当部長 第二花壇につきましては、来園者が芝生地に自由に入り、思い思いにくつろぐことのできる芝庭広場に整備をいたします。
 第二花壇のバラは、園内で活用することとなってございます。

○原委員 園内で活用するということを答弁いただきました。そうすると、撤去、処分ということではなく、そこの場からは抜いてしまうけれども、園内で使うという、処分はしないということです。
 現地ではっきりと撤去、処分というふうに伺っていますので、これは多分、たくさん抗議が東京都に行ったと思います。扱いを変更したのだというふうに今受け止めたところです。このように聞く耳があることは、まあ、ほっといたします。
 バラを育てるのは難しいということは誰もが知っています。樹木は保全しますとプロジェクトに記載しておりますが、植栽は別とか、そういうことではやっぱりなく、植栽も同様に保全するという立場で取り組んでほしいというふうに思います。
 それから、植栽の活用先について園内でということですが、私も担当の方に聞いてもまだはっきりしないと。少なくとも、移植先をはっきり決めて、公に示してから工事を始めるべきだというふうに申しておきます。
 樹木の保全方針について、そういうことがありまして、信用できないっていうことがあります。それだけではないんです。公園のプロジェクトに樹木を保存しますと書かれていますが、既に日比谷公会堂前のにれの木広場の樹木二十三本が、二〇二一年に伐採をされています。
 何で勝手に抜いたのかということなんです。計画の方針と実際やっていることが矛盾しているんではないでしょうか。

○根来公園計画担当部長 日比谷公会堂耐震工事に先立つ準備工事に当たりまして、にれの木広場内の移植対象木のうち、根腐れをしていた樹木を除き園内に移植いたしました。

○原委員 根腐れしていた樹木を除き園内に移植しましたとお答えいただきましたが、二十三本のうち園内に移植したのは一本と聞いております。(「二十四本のうち一本」と呼ぶ者あり)ごめんなさい。二十四本のうち一本を移植して二十三本を伐採したということでしょうか。ちょっともう一回お願いします。

○根来公園計画担当部長 先ほど申し上げましたとおり、にれの木広場内の移植対象木二十四本のうち、根腐れしていた樹木を除き園内に移植いたしました。

○原委員 すみません、私が勘違いしていました。そういうことで、残置をしているうちは、まだ生き延びられたはずの木ですよね。二十三本も根腐れということで、あっという間にアスファルトになってしまった。
 本当にこの場に立つと、この木がここにあればもう少し生きられたはずだなというふうに思います。ここはデッキから下りてきて芝庭広場に通じる広い敷地になっているので、やっぱり空地、真っ平らにするために伐採したということは明らかではないでしょうか。
 公園大改造計画といって過言ではないというふうに私は受け止めていますが、グランドデザインの議論の最初に、初の西洋公園としての歴史的、文化的価値について議論をされているんでしょうか。

○根来公園計画担当部長 第一回日比谷公園グランドデザイン検討会におきまして、日比谷公園の歴史的、文化的価値について議論いたしました。
 なお、先ほどのお話がございました、にれの木広場の件でございますけれども、ご説明申し上げましたとおり、日比谷公会堂耐震工事に先立つ準備工事として行ったものでございます。

○原委員 私もそう伺っておりますが、日比谷公会堂はそのままずっと使用中止になっているので、そこに対しても、どうなったかという心配の声もたくさん聞いています。急いで伐採する必要はなかったんじゃないかという、そういう声です。
 日比谷公園のよさというのは何だと思いますか。ちょっと改めてお伺いします。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園は、日本における近代的洋風公園の先駆けとして、明治三十六年に開園した都立公園でございます。皇居など周辺と一体となった、都心の貴重な緑と憩いの場として、長きにわたって都民に親しまれてきております。

○原委員 ありがとうございます。
 本当に、サラリーマンがオフィスから離れて、つかの間、体と心を休めに来られます。お弁当を食べていたりとか、本を読んでいたりとか、そういう方はいらっしゃいます。
 道路に隔てられて一線を画している、静かな公園の空間というところに価値があるともいえるんではないでしょうか。日比谷公園そのものが名勝指定の候補となり得るものであるという専門家の方も複数おられますが、都にそうした認識はありますか。

○根来公園計画担当部長 バリアフリー日比谷公園プロジェクトに基づき、百二十年の時代を経て、積層した魅力にさらに磨きをかけ、全ての来園者及び将来の都民にとってウエルビーイングとなる公園に進化させていくことが重要であると認識をしております。

○原委員 本当に名勝指定の候補となっているということを頭に入れておかないと、これ、大変なことに、後から大きな損失になるんじゃないかなというふうに思います。
 野外音楽堂や小音楽堂、大噴水の建て直し、それからテニスコート、陳列場の場所を変えての建て直し、三笠山の一部解体、第二花壇の全面芝生化によるバラ花壇の消失、あまりにも、現存する貴重な施設をなくす計画になっているんではないでしょうか。

○根来公園計画担当部長 バリアフリー日比谷公園プロジェクトでは、百二十年の時代を経て、積層した魅力にさらに磨きをかけ、バリアフリー化により、誰もが利用しやすい空間の創出を目指すこととしております。
 整備に当たりましては、開園当初からある施設や、大音楽堂や小音楽堂、大噴水などの公園施設を継承し、老朽化した陳列場については、パークプラザにその機能を集約いたします。
 三笠山は一部改修した上で残し、第二花壇のバラは園内で活用することとなっております。

○原委員 継承というけど、建て替えなんですよね。違うものが出来上がるということを継承と本当にいうんだろうかと、私、言葉の使い方をちょっと疑問に思います。
 価値ある歴史的建造物をスクラップ・アンド・ビルドする。テニスコートや陳列場が、また場所を変えても造り直すから問題ないというふうにいわれますが、本当にそうでしょうか。
 自分の家の中で例えてみたいと思うんですね。ある日、出かけて、仕事を終えて帰ってきたら、使い慣れたソファーが消えていたと。カーテンが違う色のものに変わっていたと。窓辺に置いてあったバラの鉢植えがなくなっていたと。食卓テーブルの位置が変わっていたと。これで自分の我が家として今までどおりくつろげるでしょうかというふうに思うんですね。
 歴史的にも文化的にも価値ある建造物を軒並み壊してしまうというのは、日比谷公園が日比谷公園でなくなってしまうんではないかというふうにいいたいんです。思い出深い野外音楽堂や小音楽堂、大噴水、三笠山などは残してほしいという声が多く上がっています。
 陳情者のいうように、計画を一旦止めることが必要だと思うし、可能だというふうに思いますが、いかがですか。

○根来公園計画担当部長 まず、建物でございます大音楽堂や小音楽堂、これらは、これまでも建て替えをしながら施設として継承してきたものでございます。
 日比谷公園につきましては、年齢、性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、誰もが利用しやすく、楽しめる公園に進化させ、将来の都民へ引き継いでいくため、バリアフリー日比谷公園プロジェクトに基づき整備を着実に進めてまいります。

○原委員 そうですね。建て替えたりしながら来たということも存じ上げていますが、今のような一遍な大改造というのは、本当に危険という感じがします。
 利用者の声を本当に聞いていかないと、野外音楽堂なんかは補修で十分だという声、あの野外音楽堂だからいいんだという方の声も結構あるので、やっぱりもう一回、一つ一つ聞いていく必要があるというふうに思います。
 さらに、樹木の保全について、やはりもう少し聞いていきたいと思うんですが、デッキにかかるだろう大径木も見られます。今後の樹木の取扱いがとても心配です。結局、この再生整備計画によって樹木を何本伐採し、何本移植するのでしょうか。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園の整備に当たりましては、樹木を保全し、進めていくこととしてございます。
 整備については、エリアごとに段階的に進めることとしておりまして、樹木調査についても、エリアごとの段階的な整備に合わせて実施してまいります。

○原委員 樹木の伐採がすごくやっぱり心配ですよね。こういう公園の中の樹木って、伐採されても、みどり率は変わらないということとかなんかもあって、やっぱり計画全体の樹木の計画、これを出すべきではないかというふうに思います。
 今回、大音楽堂だけパークPFI方式にしたのはなぜですか。

○根来公園計画担当部長 大音楽堂につきましては、民間事業者のノウハウや資金を活用し、効率的かつ良好なサービスを提供するため、パークPFIを活用し、再整備を行うことといたしました。

○原委員 大音楽堂を今のまま残してという声が多いんですが、屋根を設置する必要性とそのために全面建て替えする必要性をちょっと、根拠を示してほしいです。また、音楽堂の周辺まで整備が必要なんでしょうか。

○根来公園計画担当部長 現在の大音楽堂は三代目となるものでございますけれども、改築から四十年が経過し、老朽化が進んでおりまして、バリアフリー対応や、控室やバックヤードなどの機能拡充を図るため、アーティストの方などからいただいたご意見も参考にしながら、大音楽堂を改築するとともに、さらに、にぎわいや憩いの空間を創出するため、大音楽堂の周辺を一体的に再整備いたします。
 また、大音楽堂は、野外音楽堂ならではの開放感を維持することを前提に、天候対策としてステージ上及び観客席前方に屋根を設置いたします。

○原委員 前回の建て替えは都施行なんですよね。都施行で何でやらないのかなというのがあります。パークPFIにすれば、民間事業者がそこで利益が上がるようにしていくわけですから、もうけが出る店舗を増やすことにつながっていくと思います。敷地確保のための樹木を減らすことも設計の中で出てくるんではないでしょうか。
 これまでどおり都施行で、利用者の意向をよく聞いて補修などを考えていくように、もう一回計画を見直してほしいと思います。
 大音楽堂の裏にある郷土の森の樹木はどうなりますか。

○根来公園計画担当部長 お尋ねの前に改めて申し上げますけれども、パークPFI等を活用いたしますのは、民間事業者のノウハウや資源を活用して、効率的かつ良好なサービスを提供するためでございます。
 お尋ねの郷土の森に関してでございますけれども、大音楽堂の整備に当たりましては、郷土の森にある寄贈された樹木は、現状のまま保全することを公募の条件としております。

○原委員 現状保全が確認できました。ありがとうございます。
 三笠山は一部改修して残すとありますが、なぜ現状のまま残さないんでしょうか。

○根来公園計画担当部長 三笠山は、今後整備する周囲の広場との連続性を保ち一体的に利用できるようにするため、一部改修して残します。

○原委員 都心の中の貴重な緑です。本当にすばらしい場所です。再考が必要だというふうに思います。
 我が国で初の公園内設置をしたテニスコートは本当にすばらしい場所です。歴史的価値があります。なぜ場所移動をするために壊してしまうんでしょうか。

○根来公園計画担当部長 公園の北西部エリアにつきましては、テニスコートにより区域が分断されるなど、回遊しにくいエリアとなっているため、テニスコートの場所を移して、テニス以外も楽しめる球技広場として整備した上で、家族連れなど様々な世代の憩いの場となる空間に再整備いたします。

○原委員 歴史的価値のあるものなんですね。そして、テニスコートの利用率は休日で一〇〇%、平日でも九〇%以上、五面から場所を移動して四面になるということです。
 テニス以外にも利用するというけれども、今の五面を四面にして、さらに、フットサルとか開放すると。利用者にとって明らかなサービスの低下になるんではないでしょうか。周囲の広場との連続性というのはちょっと意味が分からず、再考が必要だと思います。
 芝庭広場を造るのに、北西側にも芝生広場、そんなに広場を幾つも造ってほしいというのは、どこからか要望が来ているんでしょうか。ちょっとイベント会場確保に偏重し過ぎているんではないでしょうか。木陰が減ってしまうと、夏場はほとんど人がいられない状態になるんではないでしょうか。
 以上、答えていただけますか。

○根来公園計画担当部長 バリアフリー日比谷公園プロジェクトでは、公園の北西部エリアについては、家族連れなど様々な世代の憩いの場となる広場のある空間に再整備することとしております。
 また、日比谷公園の整備に当たりましては、樹木を保全し、進めていくこととしており、樹木の移植が必要となった場合には、樹木診断を行った上で公園内で移植いたします。

○原委員 エリアごとのいろんな計画をこれからつくるというけど、もうちょっと全体として、やっぱり本当に何が必要なのかというバランスとか、山を削って広場を造る、本当にそれは要求なのかということを考えてほしいなというふうに思った次第です。
 デッキについてお伺いします。
 デッキをつなぐ構想は、いつ出てきたんでしょうか。デッキを都市計画公園区域に組み込んだのはいつでしょうか。そして整備の費用は民間事業者が持つということでしょうか。お願いします。

○根来公園計画担当部長 平成三十年十二月に策定された日比谷公園グランドデザインでは、公園へのアクセシビリティーを向上させ、憩い、集える空間を創出するため、周辺のまちづくりと連携して、地下やデッキ等で公園とまちをつなぐことなどが提言されております。
 その後、令和元年十二月の国家戦略特別区域会議で、民間事業者を事業主体とする道路上空の公園整備等が含まれる内幸町地区における都市再生プロジェクトが追加されました。公園とまちをつなぐデッキは民間事業者が整備いたします。
 なお、令和三年十一月に、都市計画公園区域の変更が決定されております。

○原委員 そうすると二〇一八年、平成三十年に、日比谷公園グランドデザインで初めてそういう構想が出されたということですね。
 (パネルを示す)これをちょっと見ていただきたいんですけれども、有楽町側でデッキを渡す公園側の予定地から道路の東側を見たものです。東京ミッドタウン日比谷のビルです。
 地下鉄の出口からビルの地下一階に直結をしているビルで、地下から七階まで、レストラン、カフェ、テイクアウトやお菓子の店舗などがずらりと並び、上の階には映画館も入っています。この二階の部分に横長のテラスが広がって見えます。ここの部分ですね。ちょうどデッキが公園側から渡せる造りになっているように見えます。
 このビルが完成、オープンしたのはいつかというと、二〇一八年三月です。グランドデザインは二〇一八年の十二月ですよね。公園の再整備検討でデッキ構想が発案されるより前に、このデッキに変更可能なテラスが出来上がっていたというわけなんです。ちなみに、このビルの工事は二〇一五年二月に着工をしております。
 公園が外とつながるようにデッキを造ろうと考え始めたら、普通その後にどこにデッキを渡そうかと場所探しをすると思います。これはちょっと順序が変だなと。皆さんも、ぜひ現地に行って確認をしてみてほしいんですが、ミッドタウンは三井不動産のビルです。事業者の方が先に発案し、先行して上空道路を渡せるようにビルを造ったとしか思えないような、本当にびっくりするような状況です。そういうことではないんでしょうか。ちょっとお答えをいただけますか。

○根来公園計画担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、デッキをつなぐ構想、こちらにつきましては、平成三十年十二月に策定された日比谷公園グランドデザインの中で公園へのアクセシビリティーを向上させ、憩い、集える空間を創出するために、周辺のまちづくりと連携して、地下やデッキ等で公園とまちをつなぐことなどが提言されたと。こちらが初めてというふうに私どもは認識してございます。

○原委員 疑惑は深まるばかりですね、これ。こうした民間ビルと公立の公園をデッキでつないだ前例はありますか。

○根来公園計画担当部長 ほかの例について詳細に把握はしてございませんが、日比谷公園のデッキは、公園とまちをつなぎ、誰もが快適に公園を訪れることができるようにするため設置するものでございます。

○原委員 前例はないということです。デッキと民間ビルをつなげば、このビルが特別に優遇されることになります。公共の公園が東京ミッドタウン日比谷、そしてTOKYO CROSS PARK、これから建てられる予定のビルとつながり、どちらにも入っている三井不動産など特定の企業が一大利益を得ることになるのは、公共の公園の整備としてどうなんでしょうか。デッキありきではなく、必要性の検討が必要です。
 先ほど述べたように、周りのビル群から遮断されていることに魅力があるという方もいると思います。日比谷公園の変わることのできない価値を都民としっかり議論すること、十分な検討が求められるのではないでしょうか。
 誰のための都立公園かが問われています。周りの商業施設のための公園にされていくという、都民からの指摘を正面から受け止め、歴史的な公園の大改造ではない整備計画に根本的に見直す必要があると思うが、いかがですか。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園を百二十年の時代を経て、積層した魅力にさらに磨きをかけるとともに、年齢、性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、誰もが利用しやすく、楽しめる公園に進化させ、将来の都民へと引き継いでいくため、バリアフリー日比谷公園プロジェクトに基づき整備を着実に進めてまいります。

○原委員 何々のためという、そこは共感しますが、そのためにも着実に進めるんじゃなくて止める必要があると思います。
 バリアフリーをいうなら、公園側に直結するエレベーターをつければ、誰でもアクセスできる公園になるのではないでしょうか。こうしたことが検討されたのか聞いたところ、局が違うので、分からないということでした。そういうことに公園へのアクセスのバリアフリーを真剣に検討した結果の計画ではないことがかいま見えると思います。
 やはりデッキを渡すことは、アクセスやバリアフリーが主たる目的ではなく、歴史ある都立公園を三井不動産主導の民間開発の前庭として利用することに一番の目的があるといわざるを得ません。
 再生整備計画は、今実施計画が済み、工事を始めようとしているのは第二花壇エリアのみ、今からでも十分止められると思います。陳情者の求めるように、一旦工事をストップし、都民、利用者の声を改めて真摯に聞き、計画を根本的に見直すことを求め、陳情を採択するものと表明し、質問を終わります。

○須山委員 私から一問だけ、ちょっと質問させていただきたいと思います。
 日比谷公園は、これまでも野外音楽堂を中心に様々な文化的なイベント、また、政治的な集会などの活動を行う場としても非常に活用されてきました。
 再整備後は、そうした都民のニーズにちゃんと応えられるのか、そうした利用ができるのかという心配の声を非常に寄せられております。
 東京都がこうした政治や文化の中心としての日比谷公園の意義をどう捉えているのか。再整備後は、そうした都民のニーズにしっかりと応えられるように整備を進めていく必要があると考えておりますけれども、これに関しての考え方や、整備の進め方をお聞かせいただきたいと思います。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園は、大音楽堂、いわゆる野音でございますが、大音楽堂を中心に、これまで様々な催事や集会が開催されるなど、文化活動等を行う場としても活用されてまいりました。
 公園の整備に当たりましては、こうした役割も踏まえ、進めてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 本当にこうした役割、非常に重要な役割だと思いますし、この東京の中ではかなり貴重な役割だと思うので、ぜひ、そこら辺の役割を踏まえて進めていっていただきたいと思います。
 私ごとですけれども、昨年、この野音のステージでちょっと演奏をしました。そのときに、あのギタリストがこういうギターを弾いていたなとか、あとは、こういう事件が起こったなとか、そういう様々なことをちょっと考えにふけりながら演奏していたんですけれども、歴史ってそういうものだなというふうに改めて感じました。
 日本で初めて西洋型の公園として造られたとか、また、ちょうど百年前、関東大震災のときには、そこが避難所になったとか、戦時中には食料難に対応するためにそこで芋を作ったとか、そういったことがいろいろあると思います。
 そうした中で、都民の命を守ってきた公園なのだなということも改めて、質疑をする上で、ちょっと勉強させていただきましたけれども、ここにいる誰もが生まれる前から、この日比谷公園というのはありました。
 そして、この東京の中で、そうした非常に重要な公園として都民の暮らしを守ってきたりとか、命を守ってきたり、また、文化的なところ、政治的なところ、民主主義を守ってきた非常に重要な公園だということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
 だからこそ、東京が今後とも政治や文化の中心であるためには、やはりこうした歴史にしっかりと学んで、そして敬意を表したその上で、しっかり整備を進めていっていただきたいなということを強く訴えさせていただきまして、私からの質問は終わらせていただきます。

○里吉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十七分休憩

   午後五時三十五分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○もり委員 日比谷公園の歴史文化の尊重・再生整備計画の保留・文化財としての保存に関する陳情に採択の立場からお伺いをいたします。
 都立日比谷公園再整備計画のコンセプトや配置図は基本的な考えを示したものですが、事業化に当たっての樹木の伐採、歴史的価値の検討が不足していると考えます。
 私たちは、再整備の名の下に安易に樹木を伐採し、あるいは移植し緑被率だけ増加すればよいとの思想の根本的な見直しが不可欠であると考えています。
 先ほどの質疑でもありましたが、重要なことですので、日比谷公園再整備計画では何本の樹木を伐採し、何本の樹木を移植し、また、何本、どれだけの広さの緑地を確保する計画なのかお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園の整備に当たりましては、樹木を保全して進めてまいります。
 整備については、エリアごとに段階的に進めることとしておりまして、樹木調査についてもエリアごとの段階的な整備に合わせて実施いたします。

○もり委員 先ほどの質疑の中でも、公園内の樹木は伐採されても緑被率が変わらないとの指摘がありましたが、都市における気候危機の問題、今年も本当に苛酷な熱帯夜が過去最高というような現状の中で、都市の緑の重要性がさらに増しています。
 また、CO2削減の効果等に資する温暖化や気候危機への対応について、しっかりと試算を行うべきだと考えますので、着工前にしっかりと、エリアごとにということですけれども、都として、緑地を確保するという点で計画を進めていただきたいと、見直していただきたいということは改めて要望させていただきます。
 日比谷公園の歴史的価値をどのように考え、生かしていくための検討を行ってきたのかお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園の整備に当たりましては、百二十年の時代を経て、積層した魅力にさらに磨きをかけ、全ての来園者及び将来の都民にとってウエルビーイングとなる公園に進化させていくこととしておりまして、バリアフリー日比谷公園プロジェクトにもその旨を記載してございます。

○もり委員 私たちは公園まちづくり制度によって、都市公園が民間ディベロッパーの開発地として提供されている現状、本来、広く都民の憩いの場である、都民の財産である都立公園をにぎわい施設に転換させることに反対です。
 また、神宮外苑の明治公園が三井不動産のTHE COURT神宮外苑の庭として整備されるような形になっているように見られますが、民間ディベロッパーの開発地の借景、前庭として整備させられることにも反対しております。
 人口半減の人口減少社会、少子高齢化社会においては、にぎわい施設よりも全ての都民に開かれた落ち着いた、木漏れ日に満ちた、都民が憩い、散歩を楽しめる公園が必要だと考えます。
 都立日比谷公園について、三井不動産は、TOKYO CROSS PARK構想を公表していますが、東京都に何の相談もなく、このような構想を打ち出しているとは思いません。日比谷グランドデザインで都市と公園をつなぐこととなった経緯とその理由をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園グランドデザイン検討会において、公園へのアクセシビリティーを向上させ、憩い、集える空間を創出するため、周辺のまちづくりと連携して、地下やデッキ等で公園とまちをつなぐ必要性等が議論され、提言されました。

○もり委員 日比谷公園の再整備では、バリアフリー化を大きな目的として掲げていますが、車椅子利用者からは、デッキの設置はかえって公園のバリアを生み出すとの声も聞かれます。
 自治体においても、人が車道を迂回するのではなく、古い横断歩道を撤去し、都市のバリアをなくしていくまちづくりが進められていますが、この計画はバリアフリー化とは逆行するものではないかと危惧されます。都の見解をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園のアクセスに当たりましては、デッキを設置することにより、公園と周辺のまちとのアクセシビリティー向上を図ることとしております。
 デッキにはエレベーターを設置し、車椅子の方や体の不自由な方も安全、快適に公園を訪れることができるようにいたします。

○もり委員 日比谷公園の有楽町駅側に巨大な高層ビル群が建設されることになれば、風致地区、風致、景観も変化し、海からの風の道が妨げられ、ヒートアイランドを助長する計画となり、また、高層ビルによるビル風も発生するなど、日比谷公園の価値にも影響が及ぶと危惧されますが、その影響について伺いたいと思いましたが、これは都市整備委員会の所属とのことでした。
 けれども、こういったことにもやはり建設局として、しっかり公園管理者として、当事者意識を持って取り組んでいただきたいと、こちらは要望させていただきます。
 まちづくりにおいては、広く都民の声を聞くことが求められ、様々な意見が共有されるよう、スクール形式の説明会の開催が求められると考えます。
 日比谷公園の再整備では、オープンハウス型の説明会が開催されました。その理由と、先ほどはどのような意見が出たのかというのはご答弁いただきましたが、やはり様々な意見があって、都民の方と説明会に参加している同士で熟議を深めるという立場からも、私はオープンハウス型の説明会は不十分だと考えておりますが、どうしてオープンハウス型説明会になったのかの理由と、また、今後、オープンハウスで出た意見がどのような形で計画に反映をされていくのかお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 バリアフリー日比谷公園プロジェクト及び第二花壇周辺の整備については、オープンハウスを開催し、来場された方々に丁寧な説明を行い、職員がいただいた質問に対し、個別に対応いたしました。
 来場者からは、樹木の保全や歴史的、文化的施設の継承など、様々なご意見やご要望をいただいておりまして、今後の事業を進めていく上で参考にしてまいります。

○もり委員 今回の陳情においてもやはり時間をかけて、利用者や住民との合意を得ながら、東京の歴史遺産を残すよう再検討していただきたいということがありますが、ただいま、どうしてオープンハウス型で開催をされたのかという理由をお伺いいたしましたが、お答えいただけませんでしたので、改めてその点についてお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 オープンハウスを開催いたしまして、来場された方々には丁寧な説明を行いました。また、ご質問に対しても個別に対応をいたしております。オープンハウスについては、こうした形で対応ができるものというふうに考えてございます。

○もり委員 ただいまオープンハウスでは個別の対応ができるためという答弁がありましたけど、やはり利用者、住民との合意を形成するという手法については不十分だと考えます。
 また、TOKYO CROSS PARK構想では、日比谷公園を前庭のようにみなして、日比谷公園とまちを橋でつなぎ、エリアの回遊性を向上と、三井不動産のCROSS PARK構想のホームページで発表されています。これについての東京都の見解を伺いたかったのですが、あくまで民間事業者の取組であり、見解を伺う立場にはないとのことでした。
 しかしながら、先ほど他の委員からも質疑がありましたが、こうして都民の財産である都立公園が民間に、都市の憩いの重要な場が民間企業によって開発の種地とされるようなことを助長するような公園まちづくり制度は、やはりしっかりと見直すべきだと思っています。
 この日比谷公園においては、明治三十六年に近代洋風建築の先駆けとして開園をしたという、その価値を東京都も十分に認識をしているわけですから、都心の緑の核として、しっかりと都市の風格や潤いを守るためにも、このデッキについても本当に必要なのかということを改めて見直しを求め、質疑とさせていただきます。

○漢人委員 最後の質問になりました。あまりダブらなかったので、ちゃんと質問させていただきます。
 最初に、本陳情書の願意は、都において、日比谷公園の性急な再生整備はせず、一旦中断した上で時間をかけて利用者や住民との合意を得ながら、東京の歴史遺産を残すように再検討していただきたいというものです。この願意に賛同し、陳情を採択すべきという立場で幾つか具体的な計画の内容について質問したいと思います。
 まず一点目ですが、東京都生物多様性地域戦略との関係です。地域戦略と後は略させていただきます。
 地域戦略が四月に策定をされました。将来にわたり、生物多様性の恵みを受け続けることのできる豊かな都市を目指して、本戦略に基づき、具体的な施策を展開していくとうたわれているものです。
 東京都生物多様性地域戦略庁内推進会議には、建設局からも企画担当部長さんが構成員となっています。これは推進会議だそうですが、策定過程でも関わっているということだと思います。いきなりできたものが降ってきたわけではなくて、策定過程から関わっていらっしゃいますよね。——はい、うなずいていただきました。
 さらに、地域戦略アクションプランというのも同時に発表されておりますが、そちらでは、建設局公園緑地部の取組として、多様な生きものが生息、生育する都市公園づくりと題しまして、都立公園三十一公園を生物多様性の拠点として位置づけ、重点的に環境整備を行い、整備後も生物種のモニタリング等を実施しながら順応的管理を実現し、多様な生き物が安定して、生息、生育できる環境を確保すると掲げているわけです。
 そこで伺います。このバリアフリー日比谷公園プロジェクトは、地域戦略策定後に最初につくられた都立公園の整備計画ということでよいでしょうか。

○根来公園計画担当部長 都立日比谷公園再生整備計画は、令和三年七月に策定をしております。令和五年七月に策定したバリアフリー日比谷公園プロジェクトは、この整備計画の実現に向けた事業計画でございます。

○漢人委員 地域戦略策定後に最初につくられた都立公園の事業計画ということ、今ご答弁をいただきました。
 そして、このバリアフリープロジェクト、完成するのが二〇三三年という予定ですので、この地域戦略でも二〇三〇年のネイチャーポジティブに向けて取り組むということですので、ばっちりこのルートとそのスケジュールというか、プログラム感と一致するわけですね。地域戦略がどういう東京の未来を考えていくのかというときに同時につくられていくのがこの日比谷公園のプロジェクトだというふうになるかと思います。
 ところが、このバリアフリー日比谷公園プロジェクトをだあっと見ますとというか、丁寧に見ましたが、生物多様性という言葉は一か所だけ、一か所しか出てきません。それも草地広場と三笠山の樹林の大半が失われて、大芝生広場とすることで計画されているエリアのところに、子供たちが生物多様性等を学習、体験できる新しい広場を整備と、すごく限定的な表現で書かれているだけなんですね。このプロジェクトは、地域戦略を踏まえて検討されたのでしょうか。

○根来公園計画担当部長 バリアフリー日比谷公園プロジェクトは、先ほども申し上げました令和三年七月に策定した都立日比谷公園再生整備計画の実現に向けた事業計画として取りまとめたものでございます。
 なお、ちょっと誤解のないように念のため申し上げますと、先ほど委員ご紹介いただきました多様な生きものが生息、生育する都立公園づくり、三十一公園が対象ということでございますけれども、日比谷公園は含まれてはございませんので、念のためそのことだけ申し上げさせていただきます。

○漢人委員 ありがとうございます。
 都立公園三十一公園に日比谷公園は含まなかったのはなぜなんでしょうかね。こういった一方で、グランドデザイン、再整備計画というものが進んでいたから、そこに含めたらまずいということで外したんでしょうかね。ちょっとそこは改めてまた別の場でしっかりと確認をしたいと思います。
 いずれにしろ、地域戦略ができたということは、当然、都の全ての行政に関わることですし、建設局においては、この公園の在り方について反映をしていくというのは、踏まえていくというのは当然だというふうに思います。
 この観点からも、陳情者は歴史、文化というところで特に訴えていらっしゃいますけれども、この生物多様性地域戦略と共に進んでいく日比谷公園の整備ということからいっても、この計画については一旦中断し、再検討すべきだということを申し上げたいというふうに思います。
 具体的に、例えば地域戦略に基づけば、私は、今回の第二花壇が芝庭広場になるということになっていますが、その芝庭広場や、あるいは大芝生広場というのは、従来型の単一の芝生によるものではなくて、例えばバッタ類など、多様なそういった生き物が生息できるような、在来の野草が混在するような、そういった芝生地、そして、芝生以外の野草の侵入も許容するような、そういった管理を検討するべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 芝庭広場は、芝生地に自由に立ち入り、思い思いにくつろぐことができる芝生空間として整備、管理してまいります。
 今後、整備予定の大芝生広場は、再生整備計画においてアクティビティーの中心で、平時は読書、昼寝など、誰もが思い思いに過ごすことができる広場としてイメージを掲げておりまして、整備の詳細は実施設計において検討してまいります。

○漢人委員 自由に立ち入ることができる芝生空間というのと、在来野草の混在する芝生地として、芝生以外の野草の侵入を許容する管理というのは、これは別に両立する問題だと思うんですね。
 また、今、大芝生広場についてもコンセプトをおっしゃいましたけれども、それについても、単一の刈り込んだ芝でなければならないということではないだろうというふうに思います。
 計画全体での生物多様性の重視というものをどのように反映していくのかということは、こういった具体的な実施計画を具体的に丁寧にそういったところに反映していくということが必要だと思いますので、ぜひこれは求めたいというふうに思います。
 次に、残念ながら、そういった中でも既に始まりつつあるというか、始まっている第二花壇の工事について伺います。
 バラの花壇、バラがどうなるのかということについて、さきにも質問がありましたけれども、心配した方が数日前に東部公園緑地事務所に問合せをしたそうです。そのときには、バラ花壇と寄せ植え花壇はボランティア三団体に了承を得ている。樹木医はついておらず、撤去決定と説明されたというふうに伺いました。
 私も実はおととい、週末はお休みなので、月曜日に東部公園事務所に電話をしてみました。バラ花壇はどうなっているんですか、バラはどうなっているんですかと聞きましたら、いや、バラについては撤去処分の予定だったけれども、問合せがたくさん届いているので、今検討中です、そういうお返事がありました。対応が変わっているようなんですね。
 このバリアフリー日比谷公園プロジェクトの一二ページには、樹木の取扱いについての考え方ということで、何度も今までも答弁を繰り返していらっしゃいますけれども、これまで受け継いできた公園の緑を守っていくとともに、将来にわたり上質な緑の空間であり続けるため、下記の考え方により樹木を保全しますとして、次のように書かれています。施設の整備工事に当たっては樹木を保全します。樹木を避けて整備を実施します。移植が必要となる場合には樹木診断を行った上で公園内で移植します。樹木診断とは樹木医の有資格者が樹木の健康状態を診断するものであり、この結果を踏まえた移植を行いますと書いてあるんですね。
 バラというのは低木であり、これは樹木じゃないでしょうか。樹木を保全するというふうに書いているんですけれども、その対象ではないのでしょうか。
 バラが撤去、処分されるということを訴えるツイートというのは、何と閲覧数がもう三十二万幾つだったか、相当な数になっています。本当に関心が高いです。象徴的な今問題になっているんですね。
 このバラは実際のところ、東部公園事務所の担当の方は、今検討中だとおっしゃいました。処分する予定だったけれども、今検討中だとおっしゃいました。実際のところ、このバラについては撤去、処分するのか、あるいは、先ほど違う答弁がありました。樹木として保全するのかどうなのかお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 第二花壇のバラにつきましては、園内で活用することとなっております。

○漢人委員 なっております、いつからなっていたのかというのが大きな疑問ですが、処分じゃないと、園内で活用するということですが、そうしたら二点、伺いますね。
 処分はしないで園内で活用するということですけど、この活用って一体何なんでしょうかね。樹木を活用。移植と何でいわないんですか。移植じゃない活用って何なんですかね。樹木ですよ。移植ではない活用とは一体何なんでしょうか。
 それから、バラについて伺っていますが、例えばツツジもあります。こういった低木というか、植栽というか、樹木については皆、同じ方針ということでいいですか。それともそれぞれ違うんですか。バリアフリープロジェクトに書いてある大方針と、例外がたくさんあるのか、大方針どおりなのか伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 先ほど申し上げましたとおり、第二花壇のバラにつきましては、園内で活用することというふうになってございます。活用という中には、もちろん移植というものも含まれているというふうに思います。
 それから、ツツジについてのお尋ねがございましたけれども、ツツジ等につきましても、公園内の全体の植栽のバランス等の中で検討していくこととなってございます。

○漢人委員 活用には移植も含まれる。移植以外の活用についてもぜひ教えていただきたいんですが、まあ、ここはいいかな。次、行きたいと思います。
 続けて、樹木について伺いますけれども、再生整備計画には、既往調査など、既往、既に行っているですね、既往調査などを基に歴史性や貴重性などの高い樹木を把握するというふうに書かれているんですね。この既往調査とは何かというところですが、東京都で行っているものでいうと、もう二十年以上前の二〇〇〇年、平成十二年に調査を行っているようですが、それを指すということでよろしいでしょうか。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園再生整備計画の記載は、整備に当たり、歴史性や貴重性などの高い樹木を把握することを述べたものでございます。
 日比谷公園の整備に当たりましては、樹木を保全し進めてまいりますし、整備についてはエリアごとに段階的に進めることとしており、樹木調査についてもエリアごとの段階的な整備に合わせて実施いたします。
 したがいまして、再生整備計画に記載の既往調査というのは、特定の調査を指すものではございません。

○漢人委員 既往調査というのは、日本語の問題ですけど、既に行った調査のことなんですよ。計画には、既に行った調査などを基にと書いてあるんですよ。だから、その既に行った調査は何ですかといっているのに、特定のものはありませんといったら、それはちょっと、それ、いいかげん過ぎませんか。計画には既に行った調査を基にと書いているのに、特定のものはありませんということはないと思います。
 今後のエリアごとの段階的な整備に合わせて樹木調査をするというのは、それはもうもちろんやっていただければいいし、全く否定するものではありません。
 だけど、この再生整備計画ではどんな考え方の下に、どんなデータを基につくられたのかということを確認したいわけです。既往調査などを基に歴史性、貴重性などの高い樹木を把握すると書いてあったんですから、そういう意味で既に行っている調査というのは、一つは少なくとも二〇〇〇年の調査があるというふうに伺っているんですけれども、それはあるわけですよね。二〇〇〇年に行った樹木調査というのはあるわけですね。ほかにもあるんですか。その辺を伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 先ほどご答弁した繰り返しになりますけれども、再生整備計画に記載をしてございます既往調査というのは、特定の調査を指しているものでございません。

○漢人委員 特定じゃないというから複数、特定じゃない幾つか示してくれといっているのにおっしゃらないというのは何なんでしょうね。実際に行われている二〇〇〇年の調査を含むということもいえないというのはどういうことなのかなと思います。
 とにかく二〇〇〇年の調査ってもう二十年以上前なんですよ。二十年以上も日比谷公園に関しては樹木調査をしてこなかったと。そういうことに基づいてつくられている整備計画なんだということを確認せざるを得ないというふうに思います。
 既往調査などを基に歴史性や貴重性の高い樹木ということなんですけど、じゃあ、何本あるのかということは今までも質問がされましたが、答弁はないんですけれども、この二〇〇〇年の調査を基に日比谷公園ガイドブックでは、今も売っていますよね、日比谷公園には高木が三千百本あるというふうに記載されております。このことについては確認してもよろしいですか。東京都が出している日比谷公園ガイドブックでは、ここ、日比谷公園には高木が三千百本あると記載されているということです。もしほかにも何か違うデータなり、あるんでしたら教えていただきたいと思います。

○根来公園計画担当部長 都立公園ガイドブックの日比谷公園の欄に、ちょっと正確な数字は今手元にございませんので分かりませんが、樹木の本数の記載があるということは承知してございます。

○漢人委員 正確な記載がない。でも、実際あるわけですからね。三千百本のようです。
 次ですけれども、この樹木の関係です。にれの木広場の問題、先ほども質問があったんですが、ちょっとはっきり答弁が正確じゃなかったというか、もし私が聞き間違い、聞き落としだったら申し訳ないんですけど、移植するということで、公会堂改修工事の資材置場とするために、二〇二一年の三月に、にれの木広場の樹木を移植すると表示をして囲いを造って、開けてみたら全くなくなっていたと。二十四本あったんだけど、移植したのは一本だけで、あとの二十三本は根腐れしていたということで聞いているんですが、その一本と二十三本の関係についてちょっと確認をしておきたいと思います。

○根来公園計画担当部長 繰り返しになりますけれども、日比谷公会堂耐震工事に先立つ準備工事に当たりまして、また、にれの木広場内の移植対象木、先ほど申し上げた二十四本のうち、根腐れをしていた樹木を除き、園内に移植をいたしました。

○漢人委員 だから、その根腐れしていた樹木を除きという、移植をできたのは何本ですかというのを伺っているんです。知らないわけないですよね。答えたくない、隠したいんですか。ちゃんと答弁してください。

○根来公園計画担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおりですけれども、日比谷公会堂の耐震工事に先立つ準備工事に当たりまして、にれの木広場内の移植の対象の樹木、これらのうち、根腐れをしていた樹木を除いて園内に移植をしてございます。

○漢人委員 とてもやましいんですね。そうとしか、だって、二十四本あって、一本だけ移植できて、二十三本根腐れというのがいろんなところでもう発表されていますよ。それをここでちゃんと、日比谷公園の陳情の審査だから答弁してもらおうと思ったら、それをいえないというのは、それほどやましい背景があるのかと思わざるを得ないんですね。
   〔根来公園計画担当部長発言を求む〕

○根来公園計画担当部長 申し訳ございません。日比谷公会堂の耐震工事に先立つ準備工事に当たりまして、にれの木広場内の移植の対象樹木二十四本のうち、根腐れをしていた樹木を除きまして、園内に一本を移植してございます。

○漢人委員 最初からいってくださればいいのに、何でそんなにちゅうちょしたんでしょうね。
 それで、この根腐れしていたということなんですけれども、それは樹木医の判断によるものですか。

○根来公園計画担当部長 先ほどの準備工事に当たりまして、都において、移植対象木のうち、根腐れをしていた樹木を除いて園内に移植するという判断をいたしました。

○漢人委員 樹木医は依頼しないで、都において、都の職員が判断したということですね。
 では、樹木医が入っていないから診断書はないと思いますが、何らかの記録は残っているでしょうか。

○根来公園計画担当部長 まず先ほどご答弁いたしましたが、都において判断をいたしました。(漢人委員「だから、記録はないのかと聞いているんですけど」と呼ぶ)記録というのは具体的にどういうものをお指しになるのかがちょっと分からないんですけれども、私どもの方で工事を実施しているというような記録は残ってございます。

○漢人委員 これからの日比谷公園でも樹木医を入れて判断をしていくわけですよね。そうすると、樹木医が入れば、この木はどういう状態なのかということが診断書のようなものが出て、移植をするのか、無理だよということなのか、いろいろ判断すると。そういう、なぜこのにれの木広場の根腐れということを判断したのかという記録が本来あるべきだと思うんです。
 職員がやったから、そういうのはないんだと。目で見て、ああ、駄目だねといって切っちゃったんだということなのかもしれませんけど、つまりここについては、先ほどの二十年以上調査をしてこなかったことも含めて、東京都は日比谷公園の樹木というものに対して、とても軽視をしてきたんだなといわざるを得ないということをここで申し上げておきたいと思います。
 それで、次なんですけれども、第二花壇の工事の予定がされていて、オープンハウスなどでも説明されていました。園路を広げるために十八本の樹木をそれぞれ数メートルぐらい移植するという計画になっているんですね。遠距離を移植するよりは、木への負担は少ないかもしれないけど、でも、やっぱり樹木の移植というのはできる限り避けるべきだというふうに思います。
 園路を芝庭広場側に広げるべきだと思うんですけれども、樹木を少し移植をして、そちら側に広げるのではなくて、芝庭広場をちょっと狭くしても移植を避けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 ご答弁の前に一言だけ申し上げますと、私ども公園の樹木、緑については大切に扱ってきているところでございます。
 ご答弁でございますけれども、車椅子やベビーカーの方が安心・安全に通れるよう園路を拡幅するとともに、利用者が憩える芝庭広場をできるだけ幅広く確保するため、現行の園路を両側に広げることといたしました。

○漢人委員 樹木を大切にされているということを確認できてよかったんですが、それでしたら何を重視すべきかということなんですね。私は広場が若干狭くなることよりも、樹木の保全を優先するべきだというふうに思います。樹木を大切にしてきた立場から、ぜひ見直しを求めたいと思います。
 次は、大噴水について伺いたいと思います。
 第二回の定例会で日比谷公園再生整備計画について、私、文書質問を提出いたしました。先日、答弁書が公開になりましたが、その中で大噴水の取扱いに関する質問に対しての答弁はこういうものでした。大噴水は、昭和三十六年に整備され、多くの人に親しまれてきた。今後は、現在の形状を継承し再整備を実施、こういったものだったんですね。
 しかし、再生整備計画には何と書かれてあるかといいますと、まず、視線を阻害しない高さに大噴水を改修すると書かれています。視線を阻害しない高さに大噴水を改修するというふうに文章では書かれています。
 そして、さらに整備後のイメージ図というのがあるんですけれども、大噴水の記載、大噴水という言葉、大噴水という三文字の言葉はなくなっています。噴水広場というふうに変わっているんですね。
 さらに、現在の大噴水には外側に直径三十メートルの水盤があるんですけれども、それがなくなっています。イベント時のイメージ図もあるんですけど、そこでは水盤があったというか、あるはずのエリアには人が群れている、人がうろうろしているような、そういった様子も書かれています。これは現在の形状を継承しているとは、私はいえないと思います。
 大噴水は、歴史的、文化的価値の高い日比谷公園のシンボルです。再生整備計画として、バリアフリー日比谷公園プロジェクトでは、大噴水はそのような改修が計画されているのか、ご説明をいただきたいと思います。

○根来公園計画担当部長 大噴水の位置、水盤の大きさなどに変更はなく、現状の形状を継承し再整備することとしております。
 詳細な整備内容は実施設計等において検討してまいります。

○漢人委員 そういうご答弁なんですけど、文書質問にもそう書いてあったんですけど、でも、現在、都が示している、先ほどいった皆さんがお手元に持っている再生整備計画やバリアフリープロジェクトの冊子、計画には先ほどのように書かれているんですよ。
 あれを見れば、大噴水は壊される、失われるとしか受け取れませんよね。だって、さっきも、何度もいっていると時間がなくなるからやめますけど、視線を阻害しない高さに改修するとか、もう絵ではなくなっているんですから、大噴水という言葉がなくて、広場になっているし、水盤はもう明らかにないような絵が描かれているんです。そこに人がうろうろしているんです。それを見たら当然そう思うわけです。
 そうじゃないんだったら、大水盤も残るし、噴水が本当に今の形状と誰が見てもちゃんとそう思えるような、そういったものであるとすれば、もう少し具体的なところで確認したいと思います。
 まず、具体的な確認をしますけど、外側の三十メーターの水盤は維持されるんですか、なくなるんですか。一つ目ですね。
 二つ目、イベント時のイメージ図で、その水盤のエリアに人が描かれているのはなぜですか。じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶと入っているというふうなこともあまり想像できないんですけど、大体水の色がなくなっているんですけどね。二つ目がイベント時のイメージ図の水盤のエリアに人が描かれているのはなぜかということ。
 そして、三つ目です。視線を阻害しない高さに大噴水を改修するというのは、これは噴水の水の噴き上げる高さを調整する、低くするという意味でしょうか。視線を阻害するだから、大噴水そのものは構造物としては低いわけですから、視線を阻害するといえば、噴水の高さを調整するということかなというふうに思いますね。この三点、質問いたします。
 ちなみに、日比谷公園公式アカウントによるツイートというか、今はXというんですかね、のポストでは、日比谷公園の大噴水は三段の水盤があり、下から直径は三十メーター、十四メーター、八メーター。八時から二十一時まで稼働しています、噴き上げの高さは、最大十二メートル。約三十分周期で二十四種類に形を変えています、夜にはライトアップも行っていますと宣伝している、そういう大噴水ですけど、この三点について、具体的にお答えをお願いいたします。

○根来公園計画担当部長 先ほど申し上げましたとおり、大噴水の水盤の大きさには変更はございません。
 詳細な整備内容につきましては、実施設計等において検討してまいります。

○漢人委員 今、三つ質問したんですけど、三十メートルの水盤は維持されるという答弁だったんですね。あとの二つについては、これから実施設計で検討するということで、今は明言が、答弁ができないということでいいですか。
 だから、水盤のエリアに人が描かれているのはなぜかというのは、今は説明ができない。それから、視線を阻害しない高さに大噴水を改修するというのは、噴水の高さを調整するのかというのも今は答弁ができないというふうに受け止めればいいんでしょうか。これからどうなるか分からないということでよろしいですか。

○根来公園計画担当部長 繰り返しとなりますけれども、詳細な整備内容につきましては、今後行います実施設計等において検討してまいります。

○漢人委員 それが詳細なのかどうかというのは判断が分かれるところだと思いますけど、再生整備計画で視線を阻害しない高さに改修するとまで明確に書いてあるのが、詳細はどうかというのが後で分かるというのはちょっと違うなと思いますが、そういう答弁しか出ないということなので、先に行きたいと思います。
 次は思い出ベンチなんですが、思い出ベンチを今回は撤去するということです。多くの人の思いが詰まったもので、一基十五万円とか二十万円を寄附された方々の声を無にすることになるのではないでしょうか。
 思い出ベンチは、現在までに都立公園、霊園、動物園など、合わせて千百八十基が寄附されたというふうに報告がされていますが、ホームページなどで公開されていますが、日比谷公園には何基あり、最も新しく設置されたのはいつのものでしょうか。そして、それらを全て撤去するのでしょうか。

○根来公園計画担当部長 日比谷公園では、平成二十年度までに二百二基の思い出ベンチが設置されておりまして、最も新しく設置したベンチでも設置から十五年以上が経過してございます。
 公園整備に伴い、撤去が必要となるものにつきましては、寄附者に対し、お礼とともに、その旨をお知らせしておりまして、希望がある場合はベンチに取り付けてある記念プレートをお引渡しすることとしております。

○漢人委員 思い出ベンチを撤去して、可動式ベンチとするのはなぜでしょうか。全て撤去するということについては、見直しができないでしょうか。

○根来公園計画担当部長 第二花壇の整備におきましては、芝庭広場の両サイドに高低差を生かしたロングベンチなどを整備いたします。
 また、利用者が思い思いの場所でくつろぐことができるよう、可動式の椅子やテーブルを導入することとしております。

○漢人委員 ロングベンチや可動式の椅子の導入というのは、それはそれでいいと思うんです、私はね。ですけれども、思い出ベンチについても、それは記念プレートをお返しするだけじゃなくて、例えば、希望するベンチは公園内のどこかほかの場所に移動するとか、あるいは記念プレートを園内のどこかに掲示するということができないんでしょうかね。
 やっぱり日比谷公園に思いがあって、日比谷公園に思い出ベンチを置きたいと思って申し込まれた方々がいるわけだから、はい、返しますよとプレートを返されたら、やっぱり日比谷公園につながっていたい思いで出していると思うので、それはもうぜひ希望する方のベンチを幾らかでも残すとか、あるいは、プレートを本人にお返しするでもいいんですけど、希望があれば、公園の中のどこかにあれば、思い出ベンチはなくなっても、プレートはあの公園に行けばあるという、何かそういう、日比谷公園とつながる思い出なんですから、ぜひそれはそういった方法も含めて検討していただきたいというふうに思います。
 最後の質問です。
 九月の工事着工に向けた広報や周知は、八月末に工事の小さな説明看板を出しただけで、全く不十分だというふうに思います。都立日比谷公園の公式アカウントでもツイートをするなど、もっと発信をして説明会を開催するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 本年七月に公表したバリアフリー日比谷公園プロジェクトにおいて、第二花壇を含む各エリアの整備内容やスケジュールを示しております。
 また、第二花壇の整備につきましては、八月にオープンハウスを開催し、整備内容の説明や質問等への対応を行いますとともに、使用した資料やアンケート結果についてもホームページに掲載をし、広く情報発信をしております。

○漢人委員 あとは意見を述べたいと思うんですけれども、この事業はグランドデザインとか、再生整備計画の策定というふうに手続を踏んできた側面はあります。だけど、その背景には、これ、内幸町再開発事業という大プロジェクトと一体で進められてきたものであって、公園利用者とか日比谷公園に思いを寄せるような、そういった皆さんへの周知とか理解を得るという、そういった過程をとても軽視されてきたといわざるを得ません。
 にぎわいを重視して、イベントを開催するということを重視するような、そういった整備によって、今も何人かの方から三井の庭みたいな表現がされていましたが、まさにそういったことが優先されるような形で進んでいるというふうに私には思わざるを得ません。そういう指摘はたくさんあると思います。
 必ずしも都心にあるからといって、にぎわいがあればいいということではない。むしろ都心にあるからこそ、静かな空間、歴史や文化が本当に尊重されるような、心安らぐような、そういった場所というのは本当に貴重だと思うんですね。だから、にぎわいを尊重するようなイベントばかりやるような、そういった公園になっていくということについては本当に危惧をしています。
 また、オープンハウスですが、八月のあの猛暑ですよ。私も最終日に行きました。ちょうどにわか雨がざあっと降って涼しくなるかと思ったら、それがわっと熱気が立ち込めてくる、何かサウナの中にいるような、そんな具合でした。そんな最中にオープンハウスというのを強行したと。
 これ、やっぱり九月から工事するには、そんなときでもやらざるを得ないという、普通だったらやらないでしょう。皆さん、外出は控えましょうという時期なんですよ。そんなときにオープンハウスをして埋められるような認識の違い、相違ではないと思いますので、私は今日も指摘をしたように、質問の中で、樹木の保全については重視される傾向になってきたと思います。
 かつては樹木はどんどん伐採して開発するのが当然だったですよね。建設局という立場からいえば、何かを造るに当たっては、そういうことというのはある意味、それが常識だったものが今どんどん変わっているという中で、いかに樹木を保全するのかということについては、この日比谷公園のプロジェクトの中でも大分修正がされているというふうに思います。
 だけど、一方で、先ほどもいった生物多様性地域戦略。ただ緑が、木が残ればいいんじゃなくて、どういう状態で残すのかとか、木だけではない、植栽や草やいろんなものを含めての生物多様性をちゃんと育んでいくような、そういった計画にはなっていないというふうに思いますので、ぜひこういったことも踏まえた形での計画の再検討をするということを私は求めたいと思います。ぜひご検討をよろしくお願いします。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第二八号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時二十分散会

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