環境・建設委員会速記録第七号

令和五年六月十六日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長須山たかし君
副委員長曽根はじめ君
理事柴崎 幹男君
理事成清梨沙子君
理事小磯 善彦君
漢人あきこ君
もり  愛君
山田ひろし君
原  純子君
渋谷のぶゆき君
伊藤こういち君
こいそ 明君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長宮澤 浩司君
総務部長小川 謙司君
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長長谷川徳慶君
気候変動対策部長荒田 有紀君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長戸井崎正巳君
環境改善技術担当部長宗野 喜志君
自然環境部長生物多様性担当部長兼務和田 慎一君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環技術担当部長横山 英範君
資源循環計画担当部長中島 隆行君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長古屋 留美君
道路監花井 徹夫君
総務部長浅野 直樹君
道路建設部長久野健一郎君
公園緑地部長佐々木 珠君
企画担当部長松島  進君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
建設局関係
契約議案の調査
・第百五十三号議案 関戸橋(五)鋼けた製作・架設工事請負契約
・第百五十四号議案 等々力大橋(仮称)(五)下部工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百五十七号議案 東京都立明治公園の指定管理者の指定について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十三号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 環境局所管分
報告事項(質疑)
・カーボンハーフ実現に向けた既存建物等に係る制度の見直しの方向性について(大規模事業所に対する温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)、地球温暖化対策報告書制度、エネルギー環境計画書制度)
・東京都生物多様性地域戦略の改定について
・東京都災害廃棄物処理計画の改定について(中間のまとめ)

○里吉委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、去る六月六日の本会議において、本委員会委員にもり愛議員が選任されました。
 この際、新任のもり愛委員をご紹介いたします。

○もり委員 もり愛です。どうぞよろしくお願いいたします。

○里吉委員長 紹介は終わりました。
 なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○里吉委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和五年六月十四日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 里吉 ゆみ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百五十三号議案 関戸橋(五)鋼けた製作・架設工事請負契約
 第百五十四号議案 等々力大橋(仮称)(五)下部工事請負契約
2 提出期限 令和五年六月十六日(金)

○里吉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の付託議案の審査、建設局関係の契約議案の調査並びに環境局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百五十三号議案及び第百五十四号議案を一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ(明)委員 それでは、契約案件であります関戸橋(五)鋼けた製作・架設工事について伺いたいと思います。
 かつて多摩川中流域に架かる橋梁は、関戸橋を含めて五橋しかなく、橋がボトルネックとなり、慢性的な渋滞が発生をしていたところでございます。このため、昭和五十五年に発足した多摩川架橋及び関連道路整備促進協議会などとの連携を図りながら、整備促進を訴えてきたところであります。
 関係者のご努力もございまして、橋梁の整備が着実に進んできた現在でありますが、その橋梁の数は五橋から九橋に増えたということであります。その結果、多摩川中流部の橋梁の間隔は、昭和五十五年当初の約四・三キロメーターから二・二キロメートルとなりまして、周辺の道路交通状況は大きく改善をされてきたところでございます。
 関戸橋は、歴史ある鎌倉街道の一部をなして、府中市と多摩市を結んでおります。古くから多摩川中流部の交通を支えて、防災上も重要な役割を担ってきたところでございますけれども、架設後八十年近くの歳月が経過し、老朽化が著しく進んできていることから、これまでもそうでありますが、架け替えの必要性を訴えさせていただいたところであります。
 現在、関戸橋では架け替えの工事が進められておりますが、今回審議する鋼けた製作・架設工事については、同じ内容の工事が昨年発注されたにもかかわらず、契約に至らなかったわけでありますが、今回の議案を審議する前にまず、前回工事が契約に至らなかった経緯についてからお伺いしたいと思います。

○久野道路建設部長 前回の鋼けた製作・架設工事は、令和四年九月に開札が行われました。工事の予定価格が九億円以上であることから、開札後、都議会において契約案件の議決を経て、工事請負契約を締結する予定でございました。
 しかし、設計の内容につきまして確認したところ、手すりやボルト等の塗装に係る積算の誤りにより、予定価格が本来より過大となったことから契約を取りやめました。
 このため、改めて積算を行い、令和五年四月の開札を経て、今回議案として提出したものでございます。

○こいそ(明)委員 積算の不備によって予定価格が本来より過大になったということで、見合せ、まあ、契約を取りやめたということで、今お話をいただきましたけれども、やはり橋梁の架け替えというのは、いうまでもなくて、一定以上の年数がかかる。地元でも、何とか早く、早期に架け替えをお願いできないかなという声が非常に強いわけであります。
 そういうことの中でも、これは契約の積算の点で不都合性が生じてしまったということでありますけれども、やっぱり一定の期間、一年まではいっていませんけれども、期間がずれてしまったということね。これはちょっと、今後こういうことがないようにぜひしていただきたい。これはもう強く要望させていただきたいと思います。
 改めて、関戸橋架け替え事業の進捗状況について伺いたいと思います。

○久野道路建設部長 関戸橋は、昭和十二年に架けられた下流橋と、昭和四十六年に架けられた上流橋に分かれておりまして、架設から七十五年以上が経過し、老朽化が進んだ下流橋を架け替えることといたしました。
 橋梁の本体工事に先立ち、平成二十七年度に仮橋工事に着手し、三十年度に仮橋に交通を切り替えました。その後、下流橋の架け替え工事に着手し、先月までに下流橋の全ての橋脚と橋台が完成したところでございます。

○こいそ(明)委員 下流橋の橋脚と橋台が全て、先月完成したというお話であります。
 工事が進捗しているということは今の答弁で理解いたしましたが、今回、これに引き続く工事として、関戸橋(五)鋼けた製作・架設工事が議案としてこのように提出をされているわけでありますが、今回の工事概要について改めてお伺いしたいと思います。

○久野道路建設部長 本工事は、橋長約三百八十メートル、幅員約十六メートルの鋼橋の橋桁と床版を製作し、架設するものでございます。
 橋桁等の架設については河川内で行うため、まず、川の流れを変えて施工ヤードを確保し、橋桁の仮受け台を設置いたします。その後、橋桁等をクレーンで順次架設してまいります。
 工事は令和八年七月までに完了する予定でございます。

○こいそ(明)委員 先ほども申し上げましたけれども、この橋梁架け替えは大変長い時間がかかるということであります。工事中の交通規制を伴うなど、周辺地域への影響も少なからざる出てきているところでありますけれども、今後とも、やはりさらに広報を活用して、地元に進捗状況も含めた取組状況についての広報をぜひ、地元理解を得る中でお願いしたいなと思います。
 そして工事をよりまた、今お話がありましたけれども、さらにさらに進めていただきますようにお願いしたいと思います。
 今後の取組について伺いたいと思います。

○久野道路建設部長 本年度は、下流橋の橋桁等の製作に着手するとともに、十一月の渇水期からは、橋脚周辺におきまして河床の洗掘を防止するための工事を実施いたします。
 令和六年度からは、渇水期から橋桁の架設に着手するなど、上部工事等を着実に進めていく予定でございます。
 工事に当たりましては、地域の方々に工事の概要や進捗状況をご理解いただくための地元説明会を開催するほか、広報紙である関戸橋通信を発行するなど、事業PRに努めてまいります。
 今後とも、関戸橋の早期完成に向け、事業を推進してまいります。

○こいそ(明)委員 今後の取組について今お話をいただきました。引き続いて、関係する周辺の地域、地元の丁重な広報を含めた対応をお願いしたいと思います。
 そして、やはり速やかなる工事をですね、速やかに工事をこれからもさらに進めていただくよう、重ねて強く要望させていただきたいと思います。
 終わります。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○里吉委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百五十七号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○たきぐち委員 それでは、都立明治公園の指定管理者の指定に関連して質疑を行いたいと思います。
 我が会派では、都立公園を都市戦略の中核に位置づけるべきだとかねてから主張してまいりました。平成二十九年六月の都市公園法の改正によって、公園をより柔軟かつ多面的に活用できるようになりました。
 都市と地域の魅力を創出するために、民間の発想とノウハウを取り入れることが有効であり、マーケットサウンディング調査の実施についても我が会派から提案をし、令和元年五月に、区部南部二十一公園を対象として、多面的な活用の推進に向けたマーケットサウンディング調査が実施をされました。
 今回、明治公園の指定管理者の選定に当たって、パークPFI事業者に特命していることから、まずはパークPFI事業について確認をしたいと思います。明治公園にパークPFI制度を導入した経緯について伺います。

○佐々木公園緑地部長 委員のお話にございましたとおり、平成二十九年の都市公園法の改正により、民間活力による新たな都市公園の整備手法であるパークPFI制度が創設されました。
 明治公園につきましては、交通利便性や周辺に多様な施設がある立地を生かし、イベント等を通じて人々が交流するにぎわいと交流のゾーンを設けることとしており、時代に即した多様なニーズに対応するため、民間ならではの新しい発想を取り入れることを整備計画において定めております。
 この整備計画を踏まえ、公園の魅力や価値の向上を図るため、パークPFIを導入することといたしました。

○たきぐち委員 これまでも公園内にカフェなど民間店舗が設置され、公園の魅力や地域の活力向上などに寄与している事例が多くあります。
 例えば南池袋公園なんですけれども、平成二十八年にリニューアルオープンいたしまして、芝生広場や遊具、カフェレストランなどが設置をされまして、夜はライトアップされるなど、かつての雰囲気、私も学生時代に何度もここを訪れていたんですけれども、そのときとは全く異なる空間へと生まれ変わりました。私も同僚議員と四、五年前に訪れまして、公園の様子をうかがいながら打合せをした記憶が残っております。
 この南池袋公園には、自宅でも学校や職場でもない第三の場所、サードプレースの理念が公園運営に導入されているということが特徴であります。平成二十八年九月に、小池知事から東京都公園審議会に諮問されて検討が始まりました都立公園の多面的な活用の推進方策に関する専門部会においても、多面的な活用を定義するキーワードとしてサードプレースがうたわれているところであります。
 また、やはり五年ほど前に、平成三十年には、我が会派の環境・建設委員会のメンバーと都市整備委員会のメンバーで、大阪の天王寺公園を視察いたしました。大阪市の担当者から、民間活力を導入したパークマネジメント手法について、取組状況や成果などを伺ってまいりました。
 私、このとき都市整備委員会の委員長を務めさせていただいておりまして、中島都技監も同じ委員会でご一緒させていただいたところでありますけれども、天王寺公園で視察をした後に大阪城公園にも立ち寄ってまいりまして、インバウンドも含めて多くの方々でにぎわっている様子というものを確認させていただきました。
 この天王寺公園、あるいは大阪城公園、いずれも指定管理者制度の活用でありますけれども、単に管理運営だけの委託ではなくて、公園のプロモーション活動や、にぎわい創出のイベントの企画、あるいは実施など、エリアの魅力向上に向けて様々な事業を展開されていることがとても印象的でありまして、参考になる取組を確認することができました。
 今回の都の事業では、パークPFIと指定管理者を組み合わせる手法となっています。パークPFIと指定管理者を組み合わせることによって、より一層、公園の価値や地域の魅力の向上に貢献できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○佐々木公園緑地部長 明治公園の特定公園施設の管理運営、すなわち指定管理業務をパークPFI事業者であるTokyo Legacy Parks株式会社に担わせることで、公募対象公園施設と一体となった質の高い維持管理と公園利用者の利便性の向上が図られます。
 また、公募対象公園施設から得るパークPFI事業者の収益の一部は、特定公園施設の管理運営、すなわち指定管理業務に還元され、きめ細やかな樹木等の管理や長期的な視点に立ったにぎわいの創出など、公園の魅力向上に向けた取組の充実が図られます。
 こうしたことから、明治公園の整備、管理運営事業において、パークPFI制度と指定管理者制度を組み合わせることは有効であると考えてございます。

○たきぐち委員 公募対象公園施設の収益の一部を公園の管理運営に還元するということでありますが、今のご答弁にあった取組も含めて、事業者が長期にわたって安定して明治公園の管理運営を継続するためには、公募対象公園施設がしっかりと収益を確保するということも重要であります。
 事業者の収支計画について、パークPFI事業者の選定に当たって、どのようにチェックをしたのか伺います。

○佐々木公園緑地部長 事業者の選定に当たっては、財務会計の専門家を含む外部有識者により構成される事業者選定委員会を設置し、収支計画の実現可能性、事業継続性などについても審査をいたしました。

○たきぐち委員 収支計画について、専門家の目で実現可能性や事業継続性などを確認したということであります。
 次に、パークPFI制度のもう一つの特徴である財政負担の軽減について確認をしておきたいと思います。
 パークPFI制度を活用して明治公園を整備し、管理運営を行うことの財政的なメリットについて伺います。

○佐々木公園緑地部長 整備につきましては、都が負担する特定公園施設の整備費五億七千二百万円に事業者が四億五千二百万円を上乗せすることにより、充実が図られております。
 管理運営につきましては、指定管理、すなわち特定公園施設の管理運営におきまして、公募対象公園施設の収益の一部が還元されることとなっており、管理の一層の充実が図られます。
 具体的には、事業者から提出された事業計画書によりますと、令和六年度の場合、都が支出する指定管理費二千三百万円に加え、事業者の収益からの還元額四千三百万円が公園の管理運営に充てられることになっております。

○たきぐち委員 特定公園施設の整備費において、都の整備費に加えて事業者が負担をするということであります。加えて、運営面においても、公募対象公園施設の収益などから還元されるということで、指定管理料と合わせて、毎年六千万円強の管理運営費による充実した管理が見込めるということになります。都として、しっかりと収益からの還元額が管理運営費に充てられていくようにチェックをしていっていただきたいと思います。
 先ほど述べました天王寺公園でも、大阪市直営のときには財政負担となっていた年間管理費約三千七百万円が七百万円まで削減されたということに加えて、事業者から公園使用料として年間三千二百万円の収入に転換されたというお話も伺ったところであります。
 こうした財政面でのメリットだけではなくて、公園としての魅力向上を図ることで、都民をはじめとする利用者に還元される取組が重要であるということはいうまでもありません。
 事業者からは指定管理の提案として、公園の魅力向上と利用促進を図るため、DXを活用したPR、モニタリングが挙げられているところであります。民間の発想やノウハウの活用という観点では、DX化を進めることによって、公園の管理運営における業務の効率化や質の向上、さらには利用者情報の蓄積や分析などによるさらなる満足度向上に向けた取組を進めることが重要だと考えますが、具体的な取組について伺います。

○佐々木公園緑地部長 事業者の提案では、公園の魅力向上等を図るため、DXを活用するとしております。
 例えば、園内のイベント実施日に、SNS上の利用者コメントをリアルタイムで分析し、即時に現場運営に生かすほか、スマートポールを活用し、来園者の属性などの分析を行うことで、利用者満足度の向上につなげるなど、データに基づいた公園運営を推進するとしております。

○たきぐち委員 ご答弁がありましたとおり、指定管理者のノウハウを生かして、デジタル技術を活用した新しい公園管理の取組が予定されているということでありますので、期待をしたいというふうに思います。
 一方、指定管理者の選定委員会の議事要旨に、今回の指定管理者候補は、公園管理者であるとともに、パークPFI事業の公募対象公園施設の運営者でもあるが、二つの立場の間で利害等が相反する場合は前者としての立場を優先するべきであるとの記述がありますが、ここでいう利害等の相反というのはどういったことが想定されるのか伺います。

○佐々木公園緑地部長 利害等の相反の例でございますが、例えば、地元商店街と連携した臨時店舗の出店を含む自主事業イベントを実施したい指定管理者の立場と、公募対象公園施設における販売を促進したいパークPFI事業者の立場、この二者の間で利害が相反するケースなどが考えられます。

○たきぐち委員 公募対象公園施設においての販売促進により、収益をしっかりと確保したいというパークPFI事業者の立場も理解できますが、指定管理者の自主事業イベントなどで集客が増加すれば、公園の認知度向上やリピーターとしての利用者増に結びつき、相乗効果を生むことで、よりにぎわいのある公園になっていくものと理解をしております。
 Tokyo Legacy Parksが公園管理者としての立場を優先することは、選定委員会での意見のとおり当然でありまして、都としてもしっかりと注視していただきたいと思います。
 最後に、先日の我が会派の代表質問で、新たなまちづくりの方針として、グリーンインフラの導入を提案いたしまして、知事からも早急に議論を深めていくという答弁がありました。
 グリーンインフラというのは、治水やヒートアイランド機能をコンクリートでできた貯水池や下水施設などのいわゆるグレーインフラだけに頼るのではなく、植栽などの雨水浸透性を最大限に高めることなどの対策に求めようという考え方でありまして、アメリカのニューヨークではグリーンインフラ計画を策定し、雨水の地表面の流出を削減する数値目標を定めて取り組んでいるところです。
 代表質問でも申し上げましたけれども、グリーンインフラというのは、災害対策、豪雨対策の予算を効果的に活用して緑を増やしていく取組ともいい換えることができます。
 明治公園におけるこうしたグリーンインフラの導入など、都としての考え方を事業者に示していくべきと考えますが、見解を伺います。

○佐々木公園緑地部長 明治公園は、周辺緑地とつながる多様性に富んだ緑の拠点をコンセプトの一つに掲げております。
 これを踏まえ、誇りの杜を中心に、人の手による管理と自然の生育を組み合わせ、生態系に配慮したサステーナブルな森づくりを行うことが予定されております。
 このような取組は、生物多様性や雨水浸透機能の確保、ヒートアイランド対策などに寄与し、グリーンインフラ機能を果たすことにつながります。こうした考え方を事業者ともしっかり共有し、明治公園の整備、管理運営に取り組んでまいります。

○たきぐち委員 生物多様性や雨水浸透機能の確保などのグリーンインフラ機能の考え方を共有していくということでありました。今後、都市づくりの戦略にどのような横串を刺して、このグリーンインフラを推進していくべきなのかということについては、また今後、各局と理解を深めながら進めていきたいというふうに考えているところです。
 冒頭にも申し上げましたけれども、公園や緑を都市づくりの中核に据えるべきだということは、我が会派として一貫して述べさせていただいているところでありますので、建設局の皆様にも戦略的に取り組んでいただくことを求めまして、質疑を終わります。

○小磯(善)委員 先般、都立明治公園の指定管理者候補者がTokyo Legacy Parks株式会社に決定したということでありますけれども、この会社は明治公園の整備を行っているパークPFIの事業者でもあります。
 そのため、まず最初に、パークPFI事業者の選定の経緯について確認をしておきたいと思います。
 まず、パークPFI事業者の公募には何者の応募があったのかをお伺いいたします。

○佐々木公園緑地部長 明治公園パークPFI事業における公募につきましては、三者からの応募がございました。

○小磯(善)委員 公募に応募したところが三者ということでありますが、その中から最終的にTokyo Legacy ParksがパークPFI事業者として選ばれたということでございますが、選定においてどのような点が評価されたのかお伺いしたいと思います。

○佐々木公園緑地部長 本事業者の提案内容について、周辺の緑と調和する誇りの杜を中心として、周囲に広場と水空間を配置しており、にぎわいと落ち着きとのバランスが取れていて多世代交流の場としてふさわしい、幅広い世代を対象にリピーターを増やすコアな公園ファンづくりを行う魅力的な提案となっている、このような点などが評価されました。

○小磯(善)委員 緑との調和、また幅広い世代を対象とした公園ファンの獲得など、評価のポイントということでございました。
 それで、あと、質問しようかと思ったら、今、たきぐち委員と同じ質問がありましたので、割愛いたします。全体の委員会が八時半までかかるので、ちょっとでも貢献しようかと思って、あと二つは割愛して。
 明治公園はパークPFI制度を都で初めて活用した公園でありまして、大きな期待が寄せられているところであります。質の高い維持管理と公園利用者の利便性の向上が図られるとのことでありますので、しっかりと指定管理者を指導し、すばらしい公園として育てていただきたいということを申し上げて、終わりといたします。

○曽根委員 私からも明治公園の指定管理者の案件について、何点か質疑をさせていただきます。私、ほとんど前の方とダブりませんので、独自に行わせていただきます。
 明治公園というのは、私も、学生時代は北海道にいましたが、東京に出てきてからは何度となく集会等で利用した記憶がありまして、都立公園には珍しくアスファルトで固めた大きな広場、霞ヶ丘広場といいますが、そこを大規模な集会やデモの集約点として大いに利用していた時代がかつてあったものです。
 そのほかは東京体育館の周辺の場所ということで、都立公園としてはちょっと変わった異色の公園だということになるかもしれませんが、それが今回、いってみれば神宮外苑開発の大きな枠組みの中で組み込まれまして、これまで霞ヶ丘広場と呼ばれた集会などで使われた広場の部分は、日本青年館などの建て替え用地として公園から外され、一方で、隣接していた、今回提案されています霞ヶ丘の都営住宅の取り壊したですね、この跡を明治公園として新たに庭園のような形で整備が行われることになったと伺っております。
 この新たな公園用地一・六ヘクタールについては、庭園として整備することと併せて、今回、パークPFI制度により、民間企業による幾つかの集客施設を整備する計画が加わりまして、ここをパークPFIの事業者が公園整備と併せて提案し、整備をしていくと。公園として開設された後は、同時にこのPFI事業者が指定管理者も兼ねてずっと管理していくという形で、特命随意契約という形で、今回、指定管理者をお願いするという案件になっていると思います。
 そこで、やはり基になっているパークPFIの特徴というのはどういう点にあるのか。また、それの法律的な根拠は恐らく今までのPFI法とは違うと思いますが、どういうものか。また、都立公園でこの制度を適用した理由や意義についてお伺いしたいと思います。

○佐々木公園緑地部長 パークPFI制度は、公募により選定された者が飲食店、売店などの公園利用者の利便の向上に資する公募対象公園施設の設置と、その収益を活用して、周辺の園路、広場などの特定公園施設の整備等を一体的に行うものでございます。
 平成二十九年の都市公園法の改正により本制度が創設され、公園の魅力や価値の向上を高めるため、都立公園に導入をしております。

○曽根委員 国の都市公園法の中に新たに設けられたということですから、国の制度を基にしているんですけれども、特にこのことを活用しようとするとすれば、先ほど天王寺公園の例が出ましたが、大都市の都心にある公園などが主な対象となるであろうことはいえると思います。
 その都市公園の中にPFI、一部そういう手法を持ち込むことが、今お答えにあったように公園の魅力や価値の向上を図ることになるのかという点が、我々、検討しなきゃならない問題だと思います。
 今までPFI事業では、導入の是非を判断する材料として、以前は公共事業とのVFM、バリュー・フォー・マネー、つまり同じ事業を公共で行った場合とのコストの違い、この比較が一つの判断材料として提示されてきました。それは今回行われていないと、パークPFIでは、このことを想定していないというふうに聞きました。
 これはやはりコストカットというのを錦の御旗にした、都内や、また全国のPFI事業の多くが結局失敗の道をたどったという例が多いことから、コストだけで判断できないというのがこれまでのPFI事業の経過だと思いますが、しかし、それに代わる評価基準が確立されているとも私は思いません。
 東京都は外部の識者を選定委員としたということですが、一連の神宮外苑開発では、近隣住民や都民の疑問にもまともに答えないと。こういう都の姿勢、事業者の姿勢が厳しく問われている状況です。ここは公園用地ではありますが、かつて都営住宅、相当、居住者の反対もあったところをかなり強引に取り壊し、除却を行ったという経緯もあり、公園用地になる部分についても、やはり近隣住民の声を十分に聞いたとは、私はいえないと思います。
 図面を見ますと、都営団地はどうしても本当に追い出さなければならなかったのかと、私、率直に疑問に思いますし、この公園が特定企業の営利優先にならないようにするための歯止めをかけるのは、今後なかなか難しくなってしまうだろうと思います。
 そこで、やはり明治公園のPFI事業者の選定について、改めてこれが正当な競争で行われたのかどうかについて確認をしておきたいと思います。
 明治公園については、PFI事業者の選定に、先ほど三者が応募したとありました。この選ばれた事業者は、明治公園のPFIを担うため、目的を限定した事業者なのでしょうか。

○佐々木公園緑地部長 パークPFI事業者のTokyo Legacy Parks株式会社は、明治公園の整備、管理運営事業を行う特別目的会社でございます。

○曽根委員 このTokyo Legacy Parks株式会社の資本出資者を見ると、都心の多くの再開発を手がけてきた東京建物や三井物産などがメインとなっておりまして、この点でも、明治公園が都心の大きな開発の様々な活動の中で、大きな枠組みに組み込まれた格好になっているんじゃないかという、そういうことを感じるわけです。こうした経過を見ても、明治公園が都立公園として広く都民が利用でき、憩いの場とできる施設として残していけるかどうかは非常に微妙になってくると私は危惧しております。
 最近、新たな都立公園の整備と管理のあり方についてという冊子を送っていただきまして、令和四年度ですけれども、都政モニターアンケートというのが都立公園を利用する目的としてアンケートを取っているんですけれども、その目的の一番大きいのは、公園利用の主な目的は、散策や季節の自然を楽しみ、のんびり過ごすことで、これは二十年前と同じだというふうにこの冊子の中で紹介をされております。
 また、都立公園に期待する役割として、これも令和四年度調査ですが、重要視されているのは、緑、生き物、防災という点でも、これも最近やはりこの点は都立公園に、東京都全体ですけれども、期待する都民の要望が反映されていると思います。
 したがって、この経過を見ても、明治公園が都立公園として広く都民が利用でき、憩いの場とできる、そういう保障といいますか、枠組みをつくるために、私たちは以前、都立公園が置かれていたように、都の直営で直接管理すると、そうすべきだという原則的立場を取っておりますが、この間、長期にわたり指定管理者を選定してきている経過を踏まえて、少なくとも公園の指定管理者としては、集客施設を経営するPFI事業者への特命随意契約ではなく、都立公園にふさわしい全体の公的な管理運営が行われるために、公園の公的管理の実績を積んだ別の事業者を選択できるよう、公募による選定をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○佐々木公園緑地部長 本事業において、民間事業者が公募対象公園施設の整備及び管理運営、特定公園施設の整備を行うこととしており、特定公園施設の管理運営、すなわち指定管理業務についても公募対象公園施設の管理運営と一体的に行わせることで、質の高い維持管理と公園利用者の利便向上が期待できます。
 このため、指定管理者候補者としてパークPFI事業者を特命で選定しております。

○曽根委員 つまり、今のお答えのように、PFI業者の募集のときから、公園の整備だけでなく、事業者が経営する集客施設とともに公園全体も維持管理していく、指定管理者に自動的になってもらうということが当然前提とされて、事業者もそれを承知で、ここの明治公園をずっと管理していくための目的会社としてつくられ、応募してきているわけですよね。
 したがって、今、指定管理者を議会で議決するのは法的に当然、議会が決めなければなりませんから、かかっていますけれども、もうPFI事業者募集段階から、この明治公園の庭園部分は丸ごとやっぱりPFI事業者に、中の施設は自分のお店として経営し、その周辺の庭園部分は、そのお店の経営と一体になって、利益も還元するけれども、事業者の構想によってコントロールされていくということが前提になっているわけなので、だとすれば、パークPFI方式では、都立公園が、一般に利用する方はもうほとんど、誰にも開放されている施設ですから、広く開放された公共施設であるという、先ほどのように、散策や季節の自然を楽しみ、のんびりと過ごす。特に都心においては、都立公園というのはそういう場としても貴重な存在ですので、それを本来の役割どおりに守ってほしいという、この一般都民が皆さん共通して抱いているこの思いを誰が守り保障していくのかと、この条件がますます厳しくなってしまうんじゃないかというのが私たちが危惧するところです。
 これからは、PFI事業者のコンセプトで公園がレイアウトされ、コントロールされていくことになりますので、将来、明治公園で、例えば昼休みに木陰のベンチを探そうとしても、気がつくと、よい場所はお店の周辺に集まっていて、そこで飲食しないと居心地が悪いというようになってしまうのではないか。そんないろんな心配をしてしまうんですが、これが杞憂になるよう、何らかの歯止めが必要だと考えます。このスキームでは、これは難しいんじゃないかと思います。
 例えば、多摩地域をはじめ、多くの都立公園では、今も利用者の都民の意見を日常的によく聞いておりまして、植栽や園内施設の配置などを工夫したり、野鳥その他の観察会なども、そうした利用者の希望に即したイベントも行っているわけですね。都心の公園には別の大きな価値があるでしょうけれども、それはあくまで利用する都民の声が基になるべきだと私たちは考えます。
 もう一つは、歴史的に明治公園が果たしてきた非常に大規模な集会が行える施設としての公園の占用利用の在り方について確認しておきたいと思います。
 明治公園の集会などでの活用は今後どうなっていくのか。その場合、従前の明治公園は大きな広場がありましたが、集会目的で利用していた団体などの意見は聞いたのかどうかお聞きします。

○佐々木公園緑地部長 集会での占用につきましては、これまでと同様に都の許可が必要でございます。
 許可に当たりましては、許可申請の内容について、公園管理上、支障がないことなどを都度個別に都が判断することから、意見の聴取は行ってございません。

○曽根委員 先ほど紹介したように、明治公園というのは歴史的な経過があって、大きな広場があり、大きな集会等で利用されてきた経過があります。これらの利用者も含めて、PFI事業者の選定の中で、明治公園の今後の在り方、この問題について近隣住民や、それから公園をこれまで利用してきた都民の意見は、実際にはPFI事業者の選定の過程ではほとんど聞いていないというのが実態ではないでしょうか。
 この点では、先日、この委員会でも原委員から質疑がありましたように、葛西臨海水族園のPFIの選び方と同様、この姿勢はやはり利用する都民の声をなかなか聞けないという仕組みになっているという問題点は、改めて厳しく指摘しておきたいと思います。
 今後、代々木公園のパークPFIも審議することになりますが、代々木公園もやはり大きな広場を抱えております。まさか同じようなやり方でやったら、本当にメーデーの集会すらできなくなってしまいますので、こういうことはないと思いますが、都の姿勢が誰のための都立公園なのかという点で、そこをPFI事業者に任せたり、その企業の営利優先になってしまうことのないよう、厳しく求めておきたいと思います。
 この点からも、本議案については賛成し難いことを述べておきます。
 以上です。

○漢人委員 明治公園指定管理者の指定について質問いたします。
 少し重なる部分は少し配慮しながら質問をしたいと思います。指定管理者の選定議案ですけれども、特命で候補とした理由がパークPFIの事業者であるということを踏まえまして、パークPFIに関わる経緯についても必要な範囲で伺います。
 ということで、まず、パークPFI適用の基本的な考え方について伺います。どのような場合にパークPFIを活用するのでしょうか。また、今後この手法を使って都立公園の整備を行う予定があると思いますが、それはどちらでしょうか。

○佐々木公園緑地部長 都立公園は、規模、利用状況等の特性がそれぞれ異なっており、民間連携の具体的な在り方は、各公園の特性に応じて検討していくものでございます。
 明治公園につきましては、周辺の緑地とつながる緑の拠点として、豊かな緑のゾーンと人々が交流するにぎわいと交流のゾーンを設けることとしており、にぎわいと交流のゾーンでは、民間ならではの新しい発想を積極的に取り入れることを整備計画において定めております。この整備計画を踏まえ、パークPFI制度を導入しました。
 現在、代々木公園においてパークPFI制度による公園整備を実施しているほか、日比谷公園大音楽堂におきましても、この制度を活用してまいります。

○漢人委員 ご答弁をいただいたんですけど、とても違和感があります。というのは、パークPFIは、民間資金の活用により公園管理者の財政負担の軽減を図るというのが大きな目的だと思うんですね。だから、まずそこを説明されるべきなのではないでしょうか。
 事業者と都の両方の利益になるウイン・ウインの制度のようでもありますけれども、一方で、事業者が過度の収益確保を求められるために、公園本来の公共性や公開性がゆがめられることにもなりかねません。私はそういった側面もあることを十分に認識して臨むべきだというふうに思っております。
 次に、パークPFI適用の際の公明性、公開性の確保、そして議会対応についてお伺いします。
 パークPFIで公園整備を行う際の検討、協定、公募設置等認定計画の内容は公表されていますでしょうか。また、議会への報告は行われてきましたか。

○佐々木公園緑地部長 明治公園につきましては、公園審議会における審議、パブリックコメントの実施、審議会答申を経て、令和元年度に整備計画を策定し、これに基づき、整備、管理運営事業を担う事業者を募集し決定いたしました。審議会開催時や整備計画策定時のほか、パークPFI事業者の公募や決定、公募設置等計画の認定など、節目のタイミングで公表をしております。
 認定公募設置等計画のうち、特定公園施設の管理運営内容については、指定管理者の事業計画書として内容を公表しております。
 認定公募設置等計画のうち、公募対象公園施設に係る内容は、事業者固有の営業戦略に関わることから公表しておりません。
 実施協定につきましても、個別協議の内容に関わるものであるため公表しておりません。
 議会におきましては、本事業についての質疑等を通じてご議論をいただいております。

○漢人委員 概要的なところは把握はできるわけですけれども、今のお話では、指定管理料も含めた事業者負担の適正さ、それから現実性といったものを検証する余地がないというふうに思います。まあ、ないということが問題ですね。
 そして、また、議会に対しては、質疑があったから応じたというか、答えたということであって、議会に対しての報告というものはされていないということだと思いますので、これも大きな問題だというふうに指摘をしたいと思います。
 次に、パークPFIと指定管理者との関係について伺いますが、パークPFIを適用した場合は必ず特命で指定管理者候補とするのでしょうか。
 また、パークPFIの事業期間と指定管理期間との関係ですが、特命での更新回数はどのようになっていますでしょうか。

○佐々木公園緑地部長 パークPFIは公園整備の手法であり、整備後の特定公園施設の管理運営については、パークPFI事業者以外の者に行わせることも制度上、可能でございます。
 明治公園では、民間事業者が公募対象公園施設の整備及び管理運営、特定公園施設の整備を行うこととしており、特定公園施設の管理運営、すなわち指定管理業務についても、公募対象公園施設の管理運営と一体的に行わせることで、質の高い維持管理と公園利用者の利便向上が期待できます。このため、指定管理者候補者としてパークPFI事業者を特命で選定しております。
 本パークPFI事業の事業期間は二十年間であり、また、公募対象公園施設の設置許可期間及び指定管理期間は十年間ですが、都市公園法の定めにより、パークPFI事業者には実質的に事業期間内の設置許可の更新が保障されております。このため、設置許可の更新時期となる令和十四年度に、再度、パークPFI事業者を指定管理者候補者として特命選定することを予定しております。

○漢人委員 一応、最初にパークPFI事業者と指定管理者は別であることも制度上は可能だということはありましたけれども、それはあまり、絵に描いた餅というか机上の空論であって、特定公園施設の指定管理者となることが収益確保にとっては必要であると、これはセットでなければ成り立たないというのが実態ではないかというふうに思います。
 それでは、具体的に明治公園におけるパークPFIについてお伺いします。
 まず、費用負担についてです。ちょっと重複しますけれども、確認をしておきたいと思います。
 公募対象公園施設による収益を還元し、特定公園施設の整備及び事業対象区域の管理に関わる東京都の負担を軽減するということが、まあ、先ほどもいいましたが大きな目的ということになるわけですけれども、特定公園施設の整備費総額とPFI事業者の負担額は幾らでしょうか。

○佐々木公園緑地部長 特定公園施設の整備費は全体で十億二千四百万円であり、そのうち都が五億七千二百万円を負担し、事業者が四億五千二百万円を負担いたします。

○漢人委員 それでは、指定管理者としての管理経費の総額と、そのうちPFI事業者が自ら負担する額は幾らですか。

○佐々木公園緑地部長 本事業においては、事業者が公募対象公園施設の収益の一部を公園の管理運営に還元することとなっております。
 事業者から提出された事業計画書によると、令和六年度の場合、事業者が四千三百万円を公園の管理運営に還元し、都が支出する指定管理費と合わせ、管理運営費の総額は六千六百万円でございます。

○漢人委員 それでは、そのPFI事業者の負担額、つまり特定公園施設の整備費四億五千二百万円と、毎年の管理経費およそ四千万円、毎年毎年四千万円ですね。これを引き受けるに足る収益見通しは示されているのでしょうか。また、収益が得られなかった場合の取扱いはどのようになっていますか。

○佐々木公園緑地部長 本事業の収支計画は、事業者選定時に財務会計の専門家を含む外部有識者により構成される選定委員会において審査され、収支計画の実現可能性、事業継続性などについても確認されております。これを踏まえて、都が事業者の公募設置等計画を認定しております。
 収支計画の内容も含め、事業者の責任において本事業が実施されることとなります。

○漢人委員 選定委員会で確認しているから大丈夫という答弁ですね。そして、不測の事態も想定していないというか、事業者は何があっても二十年間、毎年四千万円程度の管理経費を負担し続ける、そういう責任があるのだと、そういった答弁だったというふうに思いますが、本当に大丈夫なんでしょうか。そのために公園管理の在り方に悪影響が出ることにならないのか、とても心配です。
 事業者負担額をPFI事業者が負担すべきことの定めはどのようになっていますか。また、PFI事業者であるTokyo Legacy Parks株式会社は、東京建物、三井物産、日本工営、西武造園、読売広告社、日テレアックスオンの六つの企業で構成されていますが、これらの構成企業六者が事業者負担額について負うべき責務に関する定めはどのようになっているのかお伺いします。

○佐々木公園緑地部長 事業者は、法令等を遵守し、実施協定、公募設置等指針、認定公募設置等計画等に従い本事業を実施することが実施協定で定められております。これに基づき、収支計画の内容も含め、事業者の責任において本事業が実施されます。
 明治公園におけるパークPFI事業者は、Tokyo Legacy Parks株式会社一者であり、本事業は同社の責任の下、実施されます。

○漢人委員 また大丈夫という答弁なんですけど、事業計画書でも、業界トップランナーが集結、チームワークを発揮、全体最適を追求ということで、六つの構成団体、先ほど挙げた六つの企業ですね、これが掲載されているわけです。でも、負担額に関する定めはない、あるいは都としては把握していないというのは理解ができません。全部Tokyo Legacy Parksの責任の下でできるんだと、信じていますという答弁、これでは、私はちょっと理解できないというふうにいわざるを得ません。
 それでは、パークPFI事業者が指定管理の更新を望まず、もしくは指定管理期間の中途で指定管理を辞退することとなった場合の費用負担の整理はどのようになるでしょうか。

○佐々木公園緑地部長 本パークPFI事業の事業期間は二十年間であり、指定管理者として同期間指定することを条件に、パークPFI事業者を公募しております。
 このことを踏まえて、一回目の指定管理期間が終了する令和十四年度に事業者が再度指定管理者として申請し、二十年間、指定管理業務を継続する意思があることを確認しております。

○漢人委員 これも不測の事態は想定していないということだと思います。これについても大変不安だといわざるを得ません。
 最後に、収益事業と公園機能の関連についてお伺いしたいと思います。
 これ、先ほどと全く重複するんですが、選定管理委員会の議事要旨、議事説明資料にありましたが、こちらに公園の指定管理者候補者は、公園管理者であるとともに、パークPFI事業の公募対象公園施設の運営者であるが、二つの立場の間で利害が相反する場合は前者としての立場を優先するべきであるとあります。この二つの立場の間で利害等が相反する場合とはどのようなことかという全く同じ質問が先ほどありましたので、答弁はありましたね。地元商店街と連携したようなイベントの場合と、指定管理者としての公募対象公園施設への販売の関係などということで例がありました。
 とても分かりやすい例だったと思いますので、それはそのまま受け止めまして、それでは、ほかに、事業者は指定管理施設において各種イベントを実施することを計画していますが、その事業の中で、指定管理施設や特定公園施設を占用して行われるイベント等の回数と主な占用エリアなどはどのように予定されているでしょうか。

○佐々木公園緑地部長 指定管理者が行うイベントは、事業計画書において、その概要や実施時期等が提案されておりますが、回数や実施場所等の詳細は、指定管理者としての指定後、都との協議、承認を得て決定されます。

○漢人委員 いろいろ未定、不安な要素が多いということが分かりました。
 最後に意見を述べて終わりたいと思いますが、都市公園は、その位置や形状などに応じて様々な機能が求められますが、それらの機能は公共の福祉に資するものでなければなりませんし、また公園本来の役割として、広く市民の自由な利用に供されるものでなければなりません。パークPFI事業と一体で進められようとしている明治公園の新たな管理運営は、整備費や管理経費の大きな部分を事業者に負担させることで、都の負担を大幅に軽減させるものとされています。
 しかし、事業者がこの負担を引き受け続けることができるかどうかというのは、公園施設の収益事業の成否に依存しています。事業者が確実に多額の負担を引き受けるためには、収益確保に邁進しなければなりません。そして、収益性を追求すればするほど、収益確保のために、公園本来の公共性や公開性がゆがめられるということにならないでしょうか。そのような危惧を抱かざるを得ません。
 よって、私は本議案には賛成をすることができないことを申し上げておきたいと思います。

○もり委員 都立明治公園の指定管理についてお伺いいたします。
 都立公園は、都民の福祉の増進と生活文化の向上に寄与することを目的とした公の施設であり、都民の公共の財産です。指定管理の目的に、令和四年二月に発表された「未来の東京」戦略 version up 二〇二二では、行政の代行者としての責務を果たすとともに、民間ならではの創意工夫ある企画や効率的な運営と質の高いサービス提供が挙げられています。
 全都立公園の運営主体を確認させていただきましたが、地域ごとにグループをつくって、それぞれ指定管理で運営をされておりました。
 今回、明治公園は、国立競技場に隣接をし、Tokyo Legacy Parksとして、基本理念とビジョンには、多様性、包摂性、緑、環境、地域社会との持続的関係、エシカル思想、心身の健康、幸福が挙げられております。
 Tokyo Legacy Parksの構成事業者には、都立公園指定管理の実績のある造園業者と共に、不動産、総合商社、大手広告代理店、マスコミが入っており、さながらイベント事業がメインなのではと、当初、資料をいただいた際は危惧をしたものです。
 パークPFIとして、稼ぐ公園づくりによる再開発が全国的に行われていますが、本当に都民は稼ぐ公園づくりを望んでいるのでしょうか。
 ヨーロッパであれば、公開のコンペが行われますが、日本では事業者が選ばれる過程が見えません。構想段階から地域住民の参加はあったのかお伺いをいたします。

○佐々木公園緑地部長 令和元年度に明治公園の整備計画を策定する際に、計画案に関するパブリックコメントを実施するとともに、地元区の意見聴取を行っております。
 また、地元町会等に対しましても整備計画を説明し、意見交換を行っております。

○もり委員 ありがとうございます。
 一つ目の目標に、多様性と包摂性、インクルーシブパークの理念が描かれておりますが、パークPFIにおける広く都民に開かれた公園として、包摂性とインクルーシブパークの実現にどのように取り組むのかお伺いをいたします。

○佐々木公園緑地部長 事業者の計画では、園内の緩やかな起伏を活用し、多様な来園者の交流の場となるインクルーシブ広場が設置される予定でございます。
 また、ハード面だけでなく、ソフトの面においても、誰もが楽しめる場づくりを進め、例えば、車椅子利用者や障害のある子供たちも楽しめるイベント等も計画されており、このような取組を通じて、インクルーシブな公園を整備、運営するとしております。

○もり委員 一年を通じて多くの自主事業としてのイベントの計画がありますが、お金を払わない都民が排除されるものになってはならないと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○佐々木公園緑地部長 指定管理者の自主事業につきましては、年度ごとに事業者が都に提出する事業計画に記載することとなっております。
 自主事業イベントの実施に当たりましては、参加料を徴収する場合におきましても実費程度とすることを基本としておりまして、利益が生じた場合には公園に還元することとしております。
 こうした考え方に基づき、都は指定管理者を指導し、計画を承認いたします。

○もり委員 公園は全ての都民のためのものであって、特定の企業がもうけるための場所ではなく、全ての都民のものであってほしいと願います。
 昨今ではホームレス対策として、横になることができないベンチや、長時間座りづらい椅子なども見受けられます。治安は大切ですが、公共の場から、社会から弱者を追い出すようなことのないよう、社会的包摂、誰もが都市の貴重な緑の中で憩いを感じ、障害の有無にかかわらず、共に楽しめるような公園づくりを行っていただきたいと要望いたします。
 運営管理計画に、公園利用者イコール顧客という視点が描かれておりますが、公園を都民の公共の財産として、地域住民と共につくっていく姿勢が求められ、地域共生での魅力づくりがあります。公園周辺の地域の声を聞き、地域共生で魅力ある公園、まちづくりを行うとのことですが、地域の子供の意見など、幅広い都民参加のまちづくりが求められていると考えます。どのように進めていくのか見解をお伺いいたします。

○佐々木公園緑地部長 都は、各指定管理者に対し、地域住民等が参加するパークミーティングを開催し、よりよい公園づくりに向けた意見交換を行うことを求めております。
 子供等を含めた幅広い意見を反映できるような仕組みづくりを含め、今後とも多様な主体との連携を図ってまいります。

○もり委員 指定管理者が地域の声を聞き、共につくっていく姿勢が求められ、こども基本条例を制定した東京都としても、子供の声を行政計画に酌み上げていくことはとても重要だと考えます。自分たちの願いが地域の公園に反映をされる小さな成功体験が子供たちに地域自治への意識を高めることは、主権者意識の醸成と、まちづくりへの参加意識を育てることにつながると考えます。
 子供たちが共に地域の未来を考えて、子供たちと一緒に将来どういったまちに、また公園になってほしいのか、ぜひ地域住民の皆様の声を聞き、パークミーティングには地域の子供たちも含め幅広い意見を反映できるような取組をお願い申し上げます。
 また、地球温暖化と気候危機、ヒートアイランド対策は喫緊の課題であり、世界の主要都市では、開発によって失われた緑を都市に取り戻していくまちづくりが行われています。ニューヨークでは百万本の植樹が行われ、フランスのパリでは五輪に向け、五十四ヘクタール、まさに東京ドーム十一個分のパリ最大規模の緑の公園づくりが行われています。
 一方で、都内では公園の中でも多くの伐採計画があったり、また、移植をされた木々はほとんど残っていないような現場も見てまいりました。
 今回、樹林の管理にチームとして参加されているのは、神宮の森生態系研究の第一人者といわれる濱野周泰教授は、神宮の森の創建に携わった上原敬二氏の志を継ぐご親戚だと伺いました。日本学術会議の環境学委員会都市と自然と環境分科会のメンバーとして、神宮の森の生態系の特質を踏まえ、大地に根差した水循環を可能とする本物の森をつくり出す提言にも賛同されています。
 その中では、森が成立するように、将来に期待する樹木について、五十年、百年、百五十年後の三段階に分けて、変化の道筋を示す予想図を作成して造営局へ提出してありますとあり、都市の貴重な緑を育んでいく、時間をかけて育てていく森づくりの考え方は非常に重要です。
 明治公園で整備される予定の森を事業者はどのように維持管理をしていくのかお伺いをいたします。

○佐々木公園緑地部長 事業者の計画では、長期的な視点に立ち、樹林の成長に合わせたきめ細やかな維持管理を行うこととしております。
 森を健全に保つため、人の手による管理と自然の生育を組み合わせ、樹林密度の高い空間や、枝下が高い疎林——まばらな林のことでございますけれども、そのような空間をつくり出すなど、緑の魅力を引き出す維持管理を行う計画となっております。

○もり委員 気候変動が深刻化する中、都市の緑を育み次世代につなげていくまちづくりが求められています。
 一方で、全国各地で再開発によって樹木が大規模に伐採されている等、危機に瀕しています。神宮のみならず日比谷公園においても、また葛西臨海公園でも大規模伐採が行われようとしていることを多くの都民が危惧をしています。本当に都民は稼ぐ公園を望んでいるのでしょうか。
 先ほども指摘をさせていただきましたが、パークミーティングにおいては、公園が完成した後のみならず、公園の構想段階から広く地域住民、都民の参加を促し、都民と共につくる開かれた場となるように要望をいたします。
 都民の公共の財産である都立公園が一部の企業の利益のために切り売りをされるようなことがあってはならないと考えます。
 今後、都が想定をしているパークPFI事業においても、都立公園の本来の趣旨である都民の福祉の増進と生活文化の向上に寄与することを目的とした公の施設として、広く都民に開かれた都市の緑と憩いの拠点として、よりよい公園になることを願い、質問を終わります。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。

○里吉委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百十三号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、環境局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小磯(善)委員 私から補正予算について質問させていただきます。
 家庭等におけるLPガス利用料金の負担軽減策についてでございます。
 先般、我が党の代表質問で知事から、LPガスの利用料金の負担軽減策として、家庭等に対するLPガス価格高騰緊急対策事業の円滑な実施に向けて、LPガス販売事業者に対する様々な支援策について答弁があったところであります。
 本事業は、LPガスの販売事業者を通じて支援を実施するものでありますが、新たな事務作業や人件費等が発生することは避けられません。
 そこで、今回の補正予算案には、販売事業者への負担軽減に要する経費が計上されておりますが、具体的な内容と支援額について説明を求めます。

○戸井崎環境改善部長 LPガスの利用者の支援を確実に届けるためには、販売事業者の理解と協力を得ることが重要でございまして、そのため、事業者の負担軽減策を講じることといたしました。
 具体的には、使用料金の値引きや利用者への周知等に要する事務経費として、全販売事業者に対しまして定額三万円、それと、一世帯当たり二百円を目安に支援を予定しております。
 また、顧客管理システムの改修に係る経費として、上限十六万円の支援を予定しております。

○小磯(善)委員 定額三万円と一世帯当たり二百円の支援、そして顧客管理システムの改修の費用として上限十六万円の支援ということでございました。
 一方で、七月の事業開始までの準備期間が短いといえば短いわけでございまして、事務手続にはある程度負担が及ぶことから、協力をちゅうちょする事業者がいる可能性があります。
 そこで、販売事業者に対して丁寧に本事業の周知を図るとともに、交付申請や請求手続が容易にできるよう支援を行う必要があると思いますが、今後の取組についてお伺いいたします。

○戸井崎環境改善部長 都では、業界団体の会合の場を通じまして本事業の周知を図るとともに、六月下旬には販売事業者に対しまして説明会を実施いたします。
 具体的には、区部と多摩地域の会場及びオンラインによる説明会をそれぞれ午前、午後の各一回、合計六回実施するとともに、当日ご都合の悪かった方のためにも動画による配信も予定をしております。
 また、七月上旬には総合相談窓口を新たに開設いたしまして、販売事業者が円滑な申請手続に対応できるようサポートを実施してまいります。
 こうした取組によりまして、販売事業者の事務手続が円滑に進むよう努めてまいります。

○小磯(善)委員 説明会、合計六回、また来られなかった方のために動画による配信、また総合相談窓口の設置と、様々な機会を通して販売事業者に対する周知、またサポートをするということが分かりました。
 本事業でありますが、東京都では一世帯当たり最大三千円を値引きすると聞いております。近隣県でも同様な取組を実施するとのことでありますが、各自治体で値引き額が異なっております。そのため、例えば神奈川県の販売事業者が神奈川県と都内の双方の利用者に対して供給している場合、混乱が生じることが想定されます。
 そこでまず、改めて近隣県の支援内容と、他県の販売事業者が都内の利用者に、例えば神奈川県の販売事業者が町田市の利用者に供給している、そういう場合の取扱いについてお伺いいたします。

○戸井崎環境改善部長 利用者への値引き支援の他県の状況でございますが、一世帯につき、埼玉県は二千五百円、千葉県は二千四百円、神奈川県は二千二百八十円となっております。
 広域にLPガスの供給を行っている事業者が利用者への値引きを行う場合は、東京都の利用者に対しては都の値引き額が、例えば神奈川県の利用者に対しては神奈川県の値引き額がそれぞれ適用されることになります。

○小磯(善)委員 東京都民の利用者の場合は三千円の値引きということで理解したいと思います。
 近隣県の支援内容と取扱いについては分かりましたが、こうした事例に適切に対応し、都内のLPガスの利用者に支援を確実に届けるためには、他県と連携した取組が重要と考えますが、その取組についてお伺いいたします。

○戸井崎環境改善部長 都は、販売事業者を対象とした説明会で、東京都の支援内容に加え、他県の情報や問合せ先についても周知を図ってまいります。
 また、都外の販売事業者に対しましても、都の事業について周知を徹底するとともに、理解と協力を得られるよう、隣接する他県や各地域の業界団体とも連携して、支援事業の情報共有を図ってまいります。
 こうした取組によりまして、都県にまたがる販売事業者の協力を得ながら、都内のLPガスの利用者に対する支援を着実に実施してまいります。

○小磯(善)委員 これまでの質疑を通じまして、家庭等を対象としたLPガス利用料金の支援策について、その事業の成否に大きく影響を与える販売事業者に対する具体的な取組が理解できました。
 都民や事業者がエネルギー高騰への負担軽減が実感できるよう、しっかりと業界団体と連携しながら事業を進めていくとともに、LPガス販売店の多くが個人商店であることから、改めて、きめ細かな支援を要望して、質疑を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○里吉委員長 次に、報告事項、カーボンハーフ実現に向けた既存建物等に係る制度の見直しの方向性について(大規模事業所に対する温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)、地球温暖化対策報告書制度、エネルギー環境計画書制度)外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ(明)委員 それでは、まず初めに、東京における生物多様性地域戦略について伺います。
 東京は世界的に見ても大都市でありますけれども、しかし、二千メーター級の山並みから、丘陵部、島しょ部、そして我が国最南端、我が国最東端、すなわち亜熱帯まで東京の行政圏ですよね。世界的に見ても緑地面積は恐らく六十四位、しかし、海洋面積では六位、大変ないわゆる海洋を、東京都はそのうちの四〇%を占めているんですね。大変な面積であるわけでありますけれども、それらの中に展開する東京の自然というのはいうまでもなくて、非常に多様性をそこに占めておるし、存在しているというところであります。
 その中で、とりわけ私たちの身近な里山環境の中から見ても、固有の野生生物も少なくなく生息をしているわけでありますけれども、約一万年という悠久の時を経た中で、多摩丘陵、そこにタマノカンアオイという植物でありますけれども、群生していたんですね。
 私も幼少期の頃というか子供の頃、至るところでこの群生状況は見ておりますけれども、しかし、このタマノカンアオイがまさにレッドリスト、いわゆる絶滅危惧種になってしまったと。大変ショッキングな、そして、いろんな思いを持つわけでありますけれども。または、小川だとか、いろいろ田んぼのあぜだとか、そこにゲンゴロウ、とても愛きょうのある小さい生き物でありますけれども、このゲンゴロウがもう東京都内では既に絶滅したと。これは東京だけじゃなくて、近県でもなかなか見られなくなってしまったと、こういうことでありますね。
 また、東京のまさに生物多様性にとって、これだけじゃありませんね。レッドリストの中ではかなり、後ほどご答弁もいただくと思いますけれども、減少傾向が続いている。これは深刻な、まさに東京環境が抱える課題ではないかというふうに思っております。
 先般、都は、生物多様性地域戦略を改定する中で、生物多様性を回復軌道に乗せると、二〇三〇年を目標として掲げました。その実現に向けて、新たな野生絶滅ZEROアクションを行動目標として定めたわけでありますけれども、初めに、新たなこのいわゆる野生絶滅ZEROアクションを目標として定めたその背景、そしてその趣旨について改めて伺いたいと思います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都内の希少な野生生物種等の一覧である最新の東京都レッドリスト二〇二〇の掲載種は千八百四十六種で、前回、二〇一〇年の千五百七十九種から増加しております。
 また、新たに掲載された種には、ドジョウなど、近年まで普通に見られていた生き物も多く含まれていることが分かっております。
 こうした都内の野生生物の現状などを踏まえ、新たな野生絶滅がゼロとなるよう、減少している野生生物の保全と回復を図る実効性のある取組を市区町村や市民団体など様々な主体と共に実施することを目標といたしました。

○こいそ(明)委員 今ご答弁いただきましたけれども、二〇一〇年で千五百七十九種、そして、その十年後、二〇二〇年には千八百四十六種と、これだけ減少が続いているわけですよね。
 そういう中で、都が最新のレッドデータブックということで公表されたわけでありますけれども、この中で野生生物種の主な減少要因として、これは一時期乱開発も指摘をされましたけれども、森林伐採や水田の減少による生息環境の悪化。アライグマ、または、農家にとって非常に困っておりますけれども、ハクビシンが大変増えてきた。これは当初から固有種じゃありませんから、人によって、より持ち込まれたというか、いろんな要因があるでしょうけれども、これは放された。すなわち侵略的外来種による捕食や、今の二種類じゃありませんけれどもね、これだけじゃありませんけれども、外来種による捕食や生態系の影響などが、最新の報告には紹介されています。私が保全活動というか、このような関わりを一時持っておりましたけれども、保全地域でも希少な動植物の生息が確認をされています。
 しかし、このような乱開発から守られている、開発から乱開発、同じようなものですけれども、保全地域でも深刻な盗掘による、人的行為でありますけれども、などにより、固有種の数が減少する。これも原因関係に挙げられているんですね。
 一時期、私はこの保全区域にカメラを設置したらどうでしょうかと。その当時、かなり前でありますけれども、これを提案いたしましたら、非常にこれが一笑に付された経緯があるんですよ。
 結局、折り合い点としては、中にいわゆるフィルムというか入っていない、ただ外見だけカメラを設置しましょうということになったんだけれども、しかし、今、深刻なこのような状況下の中で、やはり監視カメラの設置というのはもうなっていますよね。これは是とするわけでありますけれども、いずれにしても、大半の保全地域への、今申し上げたのは進んでおりますけれども、希少種の保護が、私はあらゆる面で図られていくべきではないのかなと思うんですね。我々が考える以上のいろんなことが現実起きていることもやはり報告があるんではないかと思います。
 今後、先ほどの新たな野生絶滅ZEROアクションを推進する上で、保全地域だけではなくて、都内全体であらゆることで取り組んでいただきたい。都として取組を推進するための希少種の保全方針が必要と考えるわけでありますけれども、見解を伺いたいと思います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 東京全体で希少種等の野生生物種の保全を戦略的に進めていくためには、地域ごとの環境や人による踏み荒らし、外来種の侵入などの減少要因に応じた対策を示した方針を新たに策定することが必要でございます。
 都はこれまで、希少種の現状を解説するレッドデータブックの策定に当たり、都内における分布状況や減少要因の把握を行ってまいりました。
 現在、都は、保全方針策定に向け、希少種が多く生息するエリアを整理するとともに、種ごとの減少要因や、丘陵部、島しょ部等の地形区分を踏まえた効果的な保全手法等について検討をしております。

○こいそ(明)委員 都としても保全方針の策定を検討しているということであります。希少種保全は、まさに待ったなしの状況ではないかというふうに思いますし、この課題は、できるだけ早期に都としての方針の策定をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 野生生物の減少要因の中で、とりわけアメリカザリガニやアカミミガメなどの外来種による影響を特に危惧しておりますけれども、これは先ほど申し上げておりますように、ペットで飼われて、それが本来、日本の自然界にいるわけじゃないんですけれども、これがいろんな考えがあるんでしょうが、捨てられたり、そういうことになってしまっている。そして、本来生息していない地域に、そのようないわゆる生態が、すみかというか、活動してしまっている。
 日本にはいるはずのない蛇だとか、多摩川では実は珍しくない、これ、多摩川だけじゃないんですよ。かなり広範にわたってピラニアが見つかったと。これは驚くべき報道でも何でもないんですけれども、いろいろと報道されておりますけれども、このような状況。
 アメリカザリガニは、過去では食料難時ですね、当時のこれに対する対策で持ち込まれ、生息数はもう非常に、いわゆる激増したというふうにいわれております。
 それとともに、カミツキガメもやっぱり日本の環境生態の中では生息していなかったわけでありますけれども、これが側溝にいたと。それで、子供、幼児、ちょっと手を伸ばした。ところが、寸前に危ないということで回避できた。こういうことあるんですね。こういう危険なことも出てきてしまっている。
 固有の生き物を保全していくためにも、このような外来種の対策が重要ではないかと考えるわけでありますけれども、どのようにこの対策を進めていかれるのか伺いたいと思います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 絶滅危惧種などの固有種の保全を図るには、生態系被害を及ぼす外来種の対策を進めることが重要でございます。
 現在、都内全域で外来種の対策を促進するため、その分布や生態系被害の状況の調査を行っております。この調査結果に基づき、優先的に対策すべき種や、効果的な防除手法、市民等への啓発といった具体的な方策の取りまとめを進めております。
 今後、専門家の意見も踏まえ、市区町村や市民団体など様々な主体と連携し、地域における実効性ある外来種対策の取組につなげてまいります。

○こいそ(明)委員 希少種等の野生生物の保全を戦略的に進めるための方針の策定について今ご答弁いただきましたし、外来種対策と両面で強化していくんだと。これはぜひ、それについては理解いたしましたけれども、さらにこれを進めていただきたい。
 先ほど申し上げた外来種の問題では、鑑賞用に飼われていた外来種メダカが川に何らかの形で放出される、捨てられる。固有種であるミナミメダカとの交雑として変異種が出現している。これはメダカも特に顕著な例らしいですけれども、ほかにもかなりこういうことが起きているというふうに報告もあります。これは本来の生態とは違い、深刻な問題になってきております。
 アカミミガメだけじゃなくて、先ほども申し上げましたけれども、カミツキガメなど、人によって極めて危険な外来生物も、何回もいって申し訳ないですけれども、何らかの理由で放置するか、捨てられるかしてしまう。
 また、希少種である植物、キンラン、ギンランの、これは現実的にカメラでも捉えていますけれども、盗掘や、メジロをはじめとする野鳥の密猟といった、これはどういうことかというと売買目的というふうにいわれておりますけれども、これが横行している。基本的にはモラルが問われるというケースではあるわけでありますけれども、深刻です。
 これら全てといいましょうか、何点かは明確な人為的な行為だと思います。身近な生き物、固有種の減少にもつながることを人々がもう少し認知、認識しなきゃならないのではないか。都民の皆さんが生き物の生息環境の変化に危機感を持っていただくことも重要ではないのかな。
 私は、誰もが生活の中で利便を享受していくことは大切でありますし、さりとて、生活のどこかで生物、その中でも生物多様性に対して加害的な立場になり得る。また、知らぬ世代になっているということをもう一度やっぱり認識する必要性があるのではないか。これは自然界からも問われているんではないかと思います。
 東京の生物多様性の現状や恵みを享受していることを多くの皆さんが、とりわけ将来を担う小中高大学生をはじめとする若い方々が理解し、若い方々じゃないですけれども、特に次世代を担うという意味合いなんですけれども、野生生物の危機的な状況等をまさに自分事として捉え、希少種の保全に向けた行動を意識づける啓発に取り組んでいくべきだと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 希少な野生動植物の保全には、ペットとして飼われている外来種の屋外放出や希少種の盗掘などが身近な自然環境に影響を与えていることを都民一人一人、特に若い世代が認識するよう、啓発活動を行っていくことが重要でございます。
 外来種の中で、法改正により早急な対策が必要なアカミミガメ、アメリカザリガニについて、最後まで飼い続けることを広く都民に伝えるため、警視庁などと連携してポスターを作成し、小中学校などに掲示いたしました。
 さらに、今年度、都民向けに動画やリーフレットなど、啓発ツールの充実に取り組んでまいります。
 あわせて、希少種に関する様々な現状を広く知ってもらうため、外来種が希少種に与える影響や、盗掘による動植物種の減少などの情報について、最新のレッドデータブックのホームページでの発信や、その概要版を小中学校へも配布いたします。
 また、大学生や小中高校生向けに保全地域で実施している自然体験プログラムにおいても、希少種保全の重要性を分かりやすく伝えるなど、啓発活動の充実に取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 これは第一回定例会でもご答弁をいただいておりますけれども、体験型、特に自然公園をはじめ自然地域でもそうでありますけれども、体験型プログラムを実施すると。これ、小学生という話もありましたけれども、次世代の若い世代に向けて、ぜひ、このような希少種保全の重要性を分かりやすく伝えていくなど、今後あらゆる機会を通じて、きめ細やかな啓発を進めていただきたいと思います。
 新たな絶滅種を生まないように、また絶滅危惧種を増やさないよう、外来種対策と希少種保全の両面の強化をより図っていただき、必要な対策を着実に進め、都内の生物多様性の保全と回復を一層促進していくことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次は、災害廃棄物処理計画の改定について伺いたいと思います。
 石川県珠洲市で震度五強が発生しました。そして、その後、千葉県等、関東地方でも比較的大きな地震も発生をしております。さらに、今週日曜日は北海道でも震度五弱の地震が発生をしております。
 関東大震災から百年目の今年、そして首都直下震災がいわれて久しいわけでありますけれども、三十年以内に七〇%の確率で発生するといわれる中、こうした大きな地震をそれぞれ目の当たりにすると、改めて災害への備えをしっかりと整えていく重要性を実感するわけであります。
 現在、災害廃棄物処理計画の改定を進めておられるわけでありますが、大規模な震災の発生後、大量に発生することが見込まれる瓦礫をはじめとした災害廃棄物を円滑に処理し、早期の復旧、復興を実現するために、しっかりとした計画を立てていくことは極めて重要です。
 そこで、まず初めに、改めて本計画改定の目的と今後の改定の方向性について見解を伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 現行の東京都災害廃棄物処理計画は、二〇一七年の策定から五年が経過しておりまして、この間、首都直下地震の被害想定が見直されたことや、近年、風水害が増加していることから、災害廃棄物対策の強化が必要となっております。このため、都内の自治体も被災した令和元年台風や、他県の災害廃棄物処理支援の経験も踏まえ、内容の充実を図ることとしているところでございます。
 今回の改定では、各主体との役割分担の整理及び連携強化や、風水害等への対策強化等、四つの柱を掲げてございます。
 具体的には、発災時に初動期からスムーズな対応を図れるよう、平時から市区町村と一部事務組合による合同処理本部の設置を提案したほか、水害時に速やかに災害廃棄物の発生量を把握し仮置場の確保等ができるよう、最新の知見等を踏まえた推計式を新設したところでございます。
 現在、パブリックコメントや自治体からの意見聴取を実施しており、九月下旬の計画改定に向けて検討を深めてまいります。

○こいそ(明)委員 これまでに発生した災害では、自治体が清掃工場に搬入した廃棄物に、日頃、一部事務組合で処理できない廃棄物が含まれていることから、その後の分別方法の調整に時間を要し、初動対応期に遅れが生じた事例があったわけであります。
 こうしたことから、都が市町村と清掃一部事務組合により合同処理本部を平時から設置することを提案したことは高く評価いたしますけれども、今後、この本部において具体的な検討が進んでいくわけでありますが、一方で都が計画を示す、そして実際は基礎自治体がそれを具体的に行っていくということになるわけでありますけれども、その中で私は、いろんな知見を有する東京都が、広域行政体との責務の中でも、やはり各基礎自治体、いろんな事情があります。これは多摩地域においても当然であります。要するに職員数の問題、それからさらに財政問題、こういうことも総合的に勘案する中で、区市町村との連携をやはりしっかりとしていただきたいなと思います。
 そして、人材育成というのも当然そうです。ちょっと時間があれですから、行きますけれども、今のご答弁はいただきたいと思いますが、後ほどで結構です。
 中間の取りまとめを見ますと、首都直下地震の中でも被害が最大となる都心南部直下地震では、全壊が八万二千棟、半壊、焼失を合わせると、およそ四十万棟の建物が被害を受け、それによる災害廃棄物の量は何と三千二百万トンにも及ぶということであります。これは都内で一年間に自治体が処理するごみの量のおよそ八年分に相当します。
 加えて、震災の際に発生する災害廃棄物は、市町村や一部事務組合が日頃処理していない建物の解体廃棄物が大半を占めるようでありまして、処理することは極めて困難であると思います。
 こうしたときこそ、やはり都はしっかりと対応策を考えて、連携をする中で、災害廃棄物の処理にしっかりと取り組むことが必要と思いますが、都の見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 都はこれまで、他県で発生した大規模災害において、国や被災自治体からの要請を受けて、災害廃棄物処理の経験がある職員を派遣する一方で、他県の廃棄物を都内清掃工場等で受け入れるなど、災害廃棄物処理の経験を重ねることで、都における災害対応力の向上も図ってまいりました。
 災害により発生した廃棄物は、まずは市区町村が設置する仮置場に搬入され、分別した上で、自治体の処理施設等へ運ばれることになります。都心南部直下地震や多摩直下地震のような災害により、市区町村が処理できない災害廃棄物が大量に発生する場合には、都も自ら大規模な仮置場を設置し、選別や破砕などの中間処理を実施いたします。
 こうしたことにより、都全体で災害廃棄物の処理を着実に実施し、早期の復旧、復興に向けて、都が先頭に立って取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 災害廃棄物を進めるに当たって、課題は今お話がありましたけれども、様々ありますが、仮置場の確保、運用は最重要課題の一つであると思います。これは第一義的には確かに区市町村でありますけれども、広域的な、いわゆる大規模的な、地震を含めた風水害が発生する中で、これをしっかり調整したり、手当てをする、対応していく、これはやはり東京都の責務ではないかというふうにも私は思います。
 それとともに、被害が甚大で、今申し上げたように広域的な対応が必要な場合でありますけれども、私は、都も広域的な中における、いわゆる仮置場の確保、その後、区市町村、広域的な東京都ということでありますけれども、季節によっては、早く二次的に場所を確保する中で、また次の段階に処理していかなければ、これは今までの様々な各地域での状況じゃありませんけれども、やっぱり悪臭が出るとか、ハエの大量発生とか、二次的なことも、いわゆる季節においては発生するのではないかということもあります。これは衛生的な観点でのことでありますけれども、そういうことを含めて、より積極的に、私は仮場の確保とか、その後における災害廃棄物の処理対応を、積極的に東京都の取組を求めて、終わらせていただきたいと思います。もう時間がないからしようがないな。

○里吉委員長 いいですか。

○こいそ(明)委員 答弁駄目でしょう。時間ないでしょう。

○里吉委員長 いや、まだいいですよ。

○こいそ(明)委員 では、答弁くれる。それで終わり。

○志村資源循環推進部長 委員ご指摘のように、大規模な災害が発生した場合には、市区町村が処理できない災害廃棄物について、東京都も先頭に立って処理していくことが重要だと考えております。最大限、努力させていただきたいと思います。

○里吉委員長 よろしいですか。——はい。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

   午後三時十一分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山田委員 私からは、キャップ・アンド・トレード制度について伺いたいと思います。
 キャップ・アンド・トレード制度は、東京都が二〇一〇年当時、世界初の都市型のものとして取り入れた、先進的にやってきたものであります。
 今現在、本当に脱炭素への注目度は非常に高まっておりますけれども、十年以上前からこういったカーボンプライシングの一つとして取組を進めてきた、これは非常に重要だと思っております。
 まず、これまでのこの制度の運用実績と、それに対する都の見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 二〇一〇年度から二〇一九年度までの第一、第二計画期間においては、全ての対象事業所が削減義務を履行するとともに、二〇二一年度のCO2排出量は基準排出量に対して三三%減と削減義務率二七%を上回る削減となっております。
 これは、対象事業所の皆様が積極的に削減対策に取り組んでいただいた成果であると認識しております。

○山田委員 ありがとうございます。
 事業者の皆様の積極的な取組によって、一定の成果が出てきているということがよく分かりました。
 今回、二〇二五年度からの第四計画期間、この削減義務率を二七%から五〇%に引き上げるということを今検討中であるということであります。現行の削減義務率からの大幅な引上げとなりますけれども、対象となる事業所はどのように削減義務を履行していくのか都の見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 二〇二五年度から二〇二九年度までの第四計画期間に向けては、省エネのさらなる深掘りと再エネ利用の拡大を一層促進する制度への強化を進めております。
 具体的には、事業所外からの再エネの導入、再エネ電気や再エネ由来証書の利用などの義務履行手段を拡充し、これまでに比べ多様な手段により排出削減に取り組むことができる制度への改正を検討してございます。

○山田委員 事業者がこれまでより多様な手段を用いることができる、そういった制度にしていくということでした。CO2の削減に向けて多様な手段を活用できるようにしていく、これは有意義だとは思っております。
 ただ、そのやっていく手法が本当にCO2の削減に効果があるものかどうか、これはしっかり問われていかなければなりません。近時、実態を伴わないのに、あたかも環境に配慮した取組のように見せるグリーンウオッシュといわれるようなものも指摘されておりますけれども、手段の多様化がこういったグリーンウオッシュの温床となることがないように、第三者による検証などの取組、これは引き続き強化していくということをぜひ求めておきたいと思います。
 次に、キャップ・アンド・トレード制度では、削減量、クレジットの取引が制度上想定されております。これまで、実際にそのクレジットの取引がされることはあまりなかったということですけれども、直近の排出量取引の実績についてまず伺います。

○荒田気候変動対策部長 二〇一五年度から二〇一九年度までの第二計画期間では、対象事業所の約一五%に当たる百八十三事業所がクレジット等を約七十四万トン活用し、削減義務を履行いたしました。

○山田委員 ありがとうございます。
 これまでは事業者が排出量の取引というより、自分たちの省エネの取組により義務達成を進めてきた、そういった面が強いということが今のご答弁からいえると思います。
 ただ、今後削減の義務率が上がっていくことによりまして、実際、排出量の取引を活用する事業所が増える可能性があります。取引したいと考える事業所に対して支援が必要と考えますけれども、都の見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 都の制度における排出量取引は相対取引であり、都はこれまでも取引を円滑に進めるための説明会や、取引の参考となる査定価格の公表、専用相談窓口での個別相談の受付などの支援を実施してまいりました。さらに今年度、対象事業所などが利用する専用システム上において、取引相手の検索機能を拡充し、利便性を高めました。
 今後も対象事業所の確実な義務履行に向けて、事業者のニーズに合った支援を積極的に実施してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 さて、ESG投資、そういった世界的な流れを受けまして、各事業者には投資家からの厳しい目が向けられる、そういった傾向も強まっているところであります。
 各事業者にこのキャップ・アンド・トレード制度への積極的な対応を求めていくには、投資家だったり、またマーケットだったりにもその意義を理解してもらった上で、積極的に取り組む事業者が適切な評価を受けられるようにすべきと考えますけれども、都の見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 第四計画期間においては、投資家や金融機関などからの評価にもつながるよう、対象事業所の床面積当たりのエネルギー消費量や、再エネに関する目標、調達方法ごとの再エネの利用状況等を新たに公表するなど、公表内容を拡充することを検討しております。
 公表に当たっては、第三者に分かりやすく、利用しやすい形で情報提供を行うため、地図データ上での表示やオープンデータ化を行い、排出削減に積極的に取り組む事業所を後押ししてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 いい取組をしている事業者がちゃんと評価されるような、分かりやすい開示を進めていくというご趣旨でしたので、ぜひしっかりお願いしたいと思います。
 先日、経済産業省の方からは、工場などから排出された二酸化炭素を回収して地中深くにためるカーボンキャプチャーストレージ、CCSと呼ばれる技術の事業化に向けて、そういった取組が発表されておるところであります。
 ニューヨーク市では、カーボンキャプチャー等の新たな技術を使って、ボイラーから排出されるCO2を圧縮、冷却するなどで貯蔵してコンクリートに吸着させる、そういった取組を実施する事業者もいるというふうに聞いております。
 東京都のキャップ・アンド・トレード制度にも、こういったカーボンキャプチャー等の新しい技術の活用の視点、これを取り入れるべきと考えますけれども、見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 二〇三〇年カーボンハーフに向けては、建物で使用するエネルギーの効率化とエネルギーの脱炭素化を一層加速させることが重要であります。第四計画期間においては、さらなる省エネの深掘りと再エネの利用拡大を促進する制度への改正を予定しております。
 一方で、二〇五〇年ゼロエミッションの実現には、省エネや再エネ利用を最大限実施してもなお残る排出量の除去等の新たな技術も重要でございます。そのため、第四計画期間においては、制度上の義務履行の手段であるかを問わず、新たな技術の活用やサプライチェーンにおける排出削減の取組など、対象事業所の脱炭素化に向けた取組の報告及び公表を可能とすることで、事業所の積極的な取組を後押ししてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 こういった新しい技術の進展にはスタートアップ企業、スタートアップの力も必要になってきます。
 私たち、我が会派はこれまでも、気候変動の問題を解決するクライメートテックなど、スタートアップの支援、その産業化の進展を進めてまいりました。ぜひ、環境局の方でも、様々な制度の改正、制定であったり、取組を進める際にも、スタートアップだったり新しい技術の活用も併せて検討していただくことを改めて求めておきます。
 これまでキャップ・アンド・トレード制度について伺わせていただきましたけれども、国においても、自主的に取り組む企業によるものですけれども、東京証券取引所におけるカーボンクレジット市場の実証実験、こういったものが開始されるなど、排出量取引の機運というのが高まってきておると思っております。東京都は、十年以上前から先進的な取組を進めてきたところでございますので、ぜひ東京都の取組が日本全体をリードする取組となっていくように、引き続きお願いしたいと思います。
 次に、地球温暖化対策報告書制度について伺いたいと思います。
 二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向けましては、大規模な事業所だけではなくて、中小の規模の事業所における脱炭素化の取組も重要となってまいります。
 この制度に関連する事業所の内訳といたしまして、大まかな数字として伺いましたけれども、大規模事業所が約四〇%で、中小の事業所が六〇%、その中小事業所の六〇%のうち、現在、都の制度に参加しているのが二五%で、参加していないのが三五%程度であるというふうに伺っております。
 こういったところからいたしますと、中小事業者を対象とする地球温暖化対策の報告書の制度、既に制度に参加している中小事業所のさらなる後押しと、まだ参加していない未参加の中小事業所の参画、これを両方ともしっかり後押ししていかなければなりません。
 二〇二五年度以降の新たな地球温暖化対策報告書制度において、事業者のさらなる取組を促進するために、どのように都は取り組んでいくのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 中小規模事業所を対象とした地球温暖化対策報告書制度においては、新たに二〇三〇年度目標の設定とその取組状況の報告を求め、対象事業者のさらなる省エネ対策と再エネ利用拡大を促進することにより、二〇三〇年カーボンハーフの実現を目指します。
 対象事業者の積極的な取組のさらなる見える化や、取引先等からの評価につなげるため、報告や公表項目を拡充するとともに、取組状況について第三者にも分かりやすく、利便性を高めて公表することで、対象事業者を後押ししてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 こちらも積極的に取り組んでいる事業所を積極的に応援するような開示だったり、そういった在り方が充実されるということでした。
 では、この中小規模の事業所のうち、報告書の提出が任意になっていて、そういった中で制度に未参加である中小企業等においても、今後、カーボンハーフへの取組に取り組んでもらうために、東京都としてどのような取組を進めていくのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 中小企業等においても、サプライチェーンの観点から自らのCO2排出量を把握し、削減に取り組むことが求められる動きがございます。
 一方で、資金や人材面等で脱炭素の取組が進みにくい中小企業等に対しては、ノウハウ提供等、様々な面での後押しが必要でございます。
 そのため、引き続き産業労働局とも連携し、中小企業等に向けた多面的な支援を実施してまいります。あわせて、支援を受ける中小企業等に対して報告書の提出を促すなど、施策の連動性を高めることで、中小企業等の継続的な削減努力を後押ししてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 環境への配慮と、また経済成長妨げとか、矛盾するんじゃないかとか、そういった指摘が根強くあるところはありますけれども、やっぱり世界の諸国の経済の動向を見ていると、当然、経済が成長していく中でも、CO2の排出量は逆に減少していく、デカップリングというふうにいわれていますけれども、そういった現象も見られておりますので、やっぱり環境配慮が経済成長の妨げになるといった、そういった見解は、もう妥当しないというふうに考えております。
 日本の状況を見ていくと、脱炭素の取組を測る指標に炭素生産性、CO2排出量当たりのGDPというのもありますけれども、二〇二一年時点の数字を見ると、OECDの三十八か国中、今三十二位になっているというところであり、まだ、そういった観点からも日本の企業は取組の進展は必要だと思います。
 大規模、中小、両方含めて、企業に対して、経済成長と環境の配慮、それは両立するんだというものであって、顧客だったり投資家からの評価につながる、持続可能な経営につながっていくんだというところをぜひこれまで以上に理解してもらって、都としてもその取組を後押しすると、産業労働局等との連携も必要だと思いますけれども、ぜひ推進をお願いしたいと思います。
 次のテーマに移らせていただきます。次に、生物多様性の地域戦略の改定について伺いたいと思います。
 自然と共生する都市東京、これは私たち、かねてより訴えてきたところでありまして、そういったところからも生物多様性の地域戦略の改定は重要なものであります。
 乱獲防止だったり在来種の在り方などについて、私、地元三鷹市ですけれども、井の頭公園でも都立公園のかい掘りとして外来種の取組などがなされてきました。そういったかい掘りの取組の成果は、生物多様性地域戦略の改定にどのように生かされているのか伺いたいと思います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 公園池などで行われるかい掘りは、自然の浄化能力を活用した水質改善や外来魚の駆除による生態系の回復を目指しており、生物多様性保全の具体的な取組として有効でございます。
 井の頭池では、都民や民間団体のボランティアと協働して、外来魚の防除や在来種の救出などを実施し、絶滅したと考えられていたイノカシラフラスコモが約六十年ぶりに池で確認されるなど、取組の成果が上がっております。
 こうしたかい掘りによる自然再生の取組などを参考に、改定した生物多様性地域戦略では、希少野生動植物の保全や外来種対策について、都民や事業者など様々な主体と連携、協働して取り組むこととしております。

○山田委員 このかい掘りの取組は本当に地域でも大きな反響がありまして、コロナの前でしたけれども、私も見させていただきましたが、参加された方も見ていた方も大変関心を持たれていまして、生物多様性の理解促進に大きな役割を果たしたというふうに思っております。
 こういった種の多様性の維持などの野生の動植物の視点といったものに加えて、そういった生き物の生息環境である生態系の多様性に関しても、水質の改善であったり、森林や土壌、湿地の保全など、生物多様性の保全と回復に向けた取組の範囲は大変広いものだと思います。
 大変意義があって、非常に充実した戦略の改定があったと思っておりますけれども、ただ、都民の方からすると、生物多様性の価値だったり、また保全の意義、そういったものがどの程度まで理解されているかといったときに、例えば気候変動の危機と比べますと、まだそこまでいっていないのではないかというのがやっぱり率直な実感としてあるのではないでしょうか。そういったところを踏まえまして、都民の認識の変化、また行動変容を促していくために、どのような取組を今後進めていくのか見解を伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 生物多様性の保全と回復、持続的な利用を進めていくためには、都民がその意義を正しく理解した上で、主体的に行動することが重要でございます。
 都はこれまで、東京の魅力的な自然を都民に知ってもらうため、最新のデジタル技術を駆使して発信する自然環境デジタルミュージアム構想の検討を進めているほか、デジタルコンテンツを制作し、イベント等で先行発信するなど、生物多様性の情報発信を進めてきております。
 今年度からは、新たに小学生を対象に、東京の特徴ある自然を知るとともに、その自然環境を守るために自ら行動していけるようなプログラムを実施してまいります。
 こうした取組を通じ、生物多様性について、都民の理解促進と行動変容につなげてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 今ご答弁いただいたような、例えばデジタルミュージアムの構想などは我々も会派として訴えさせていただいたものでもございますし、ぜひそういった取組を都民の理解の促進にしっかりとつなげていただきたいと思います。
 今のは都民の生物多様性に関する認識について、理解促進について伺わせていただきましたけれども、やっぱり企業さんも、一部の、非常にビジネスの本質上、飲料水のビジネスだとか、そういったビジネスをもともとされているところからすると、生物多様性に関する認識は進んでいらっしゃる企業さんもあるとは思うんですけれども、グリーントランスフォーメーションと比べても、生物多様性の価値、保全の価値ですね、それを一体どうしたらいいのかというのが分からないといったお声も実際、私自身も伺いますし、なかなかそういう企業さんが今そういう状況であるのも無理もないのかなという面もあるとは思います。
 そういった中で、企業に対しても都民の方々と同じく生物多様性の保全の意義、これを伝えて、生物多様性の確保に貢献するための行動を促していくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 生物多様性の持続的な利用に向けて、企業がその意義や重要性を理解し、主体的な行動を行えるよう促していくことが重要でございます。
 改定した地域戦略では、Tokyo-NbSアクションの推進を行動目標として掲げ、緑地における雨水浸透や植物の蒸散作用など、自然が有する多面的な機能を防災や暑さ対策など、様々な社会的課題の解決に活用するNbSを実践する企業や団体等の取組を促進することといたしました。
 今年度は、NbSを実践する企業による具体的な取組事例をホームページで紹介いたします。また、実践企業が参加する普及啓発イベントを開催し、取組内容や、そのきっかけとなった事象、取組により得られた社内外の評価など、より具体的な内容を広く収集、発信していくことで、企業の機運醸成を図り、主体的な行動につなげてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 今回の都の計画の戦略の改定、十年ぶりということですけれども、その中では、二〇三〇年の目標としまして、新たなほかの国際目標だったり国家戦略と同じく、ネーチャーポジティブの実現を掲げて、それに向けた戦略であったり取組が示されておるところであります。
 東京都が今後、生物多様性の保全にこれまで以上に力を入れて取り組んでいくとして策定した今回の地域戦略は、ぜひ世界にも広く伝えて、世界の流れをリードするものともつなげていくべきだと思います。
 生物多様性の保全に向けて、東京の生物多様性の現状や都の取組姿勢、これを広く世界に発信していくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 改定した地域戦略では、都内だけでなく、地球規模の生物多様性にも貢献していく方向性を示しており、都の生物多様性保全に対する取組を世界に発信することは重要でございます。
 都はこれまで、昨年開催された生物多様性COP15のサイドイベントに参加し、都の取組を発信するとともに、生物多様性に関する世界レベルでの都市間誓約であるエジンバラ宣言やモントリオール誓約に署名し、世界の都市と共に、生物多様性の保全や持続的な利用を進めていくことを明らかにしております。
 今後、地域戦略の英語版を作成するなど、世界に向けた情報発信の充実を図ってまいります。

○山田委員 分かりました。ありがとうございます。
 それでは、最後のテーマについて伺わせていただきたいと思います。災害廃棄物処理計画の改定について何問か伺いたいと思います。
 台風、水害のシーズンが東京でも近づいてきておるところでありますけれども、都内でも令和元年、例えば台風十五号、十九号のみならず、水害の激甚化というのは非常にどんどんどんどん激しくなっておるところでございます。
 今回の災害廃棄物の処理計画の改定は重要でありますけれども、今年も台風、水害、大きな被害が生じる可能性もある中で、できるだけ早期に実際の取組に生かしていくことも重要であります。
 令和元年の台風の十五号、十九号など、近年の台風等の大きな被害がありましたけれども、その際の経験はどのように今回の改定に生かされるのか伺います。

○志村資源循環推進部長 今回の災害廃棄物処理計画の改定に当たりましては、被災自治体の取組を可能な限り取り込むこととしております。
 令和元年の台風十九号では、都内でも多くの自治体が被災し、世田谷区や八王子市など六区市で災害廃棄物が発生しました。災害発生直後、被災自治体が日頃、廃棄物の処理を行っている一部事務組合の清掃工場へ倒壊した建物の瓦礫等が混入した片づけごみを搬入したところ、清掃工場での分別が必要となり、処理に遅れが生じました。
 今回の都の改定では、これらの経験を踏まえ、市区町村と一部事務組合による災害廃棄物合同処理本部を設置し、平時から搬入可能な廃棄物の種類や量等を事前に調整することなどを提案しているところでございます。

○山田委員 ありがとうございます。
 このように実際の被災自治体の経験を踏まえた、改定された計画ですけれども、その内容を実際の現場にどのように生かしていくのかというところが重要となってまいります。
 災害廃棄物の処理計画に記載した事項、これをどのように現場の市区町村職員の行動に、どうやって落とし込んでいくのかと併せまして、水害における災害の廃棄物への対応については、今からでも迅速に対応を強化していくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 都はこれまで、市区町村の職員を対象として、最新の災害廃棄物処理の情報を共有するほか、災害廃棄物処理の図上訓練等を実施することにより、レベルアップを図ってきたところでございます。
 今年度は、都内で水害が発生した場合も想定し、仮置場から災害廃棄物を搬出する実地訓練を実施することとしております。また、今回の中間のまとめでお示しした水害専用の災害廃棄物発生量の推計式や、自治体のハザードマップ等を活用した災害廃棄物の発生量を推計する研修を実施いたします。
 今後、改定した災害廃棄物処理計画の内容につきまして、市区町村職員へ周知を図り、災害対応力向上に取り組んでまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 災害の廃棄物を仮置場に置いておく期間が長かったために火災が生じてしまったり、また崩れ落ちてくると、そういった事態も生じたというふうに伺っております。そういったことも踏まえて、今回、随時処理への方針の変更などもあったと理解しておりますけれども、そういった中では、やっぱり民間とも連携しながら迅速な対応を進めていかなければなりません。
 民間との連携の在り方といたしまして、災害廃棄物は家庭ごみではなく産業廃棄物に近い性質がございますので、産業廃棄物の処理事業者との連携など、様々なことが考えられますけれども、どのように今後取組を進めていくのか伺います。

○志村資源循環推進部長 災害廃棄物には、日頃、自治体や一部事務組合が処理していない解体廃棄物等が含まれており、こうしたものは民間の事業者の施設で処理することが必要です。
 都は、産業廃棄物の業界団体と災害廃棄物の処理に関する協定を締結し、自治体が処理できない解体廃棄物についても円滑に処理ができるよう図っているところでございます。
 今後、市区町村と産業廃棄物処理業者が処理可能な廃棄物の種類や量、施設への搬入方法等について平時から具体的な調整を図れるよう、都がコーディネートし、災害時のスムーズな廃棄物処理の実現に向けた取組を強化してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 行政と民間との協定というと、どうしても単に結んでしまっただけで終わってしまう事例もあるとは思いますけれども、その中身の実効性の確保が重要でございますので、ぜひその取組を引き続きお願いいたします。
 次に、最後の質問となりますけれども、この災害廃棄物についても、ほかの廃棄物と同じく、できる限りやっぱりリサイクルを進めていくということが必要となってまいります。
 災害廃棄物のリサイクル、これについてどのように取組を進めていくのか伺います。

○志村資源循環推進部長 現行の災害廃棄物処理計画では、災害時に膨大に発生する災害廃棄物についても、可能な限りリサイクルを推進するとともに、再資源化したものについては復興資材として有効活用することを基本方針としております。
 災害廃棄物を着実にリサイクルするためには、発災直後の混乱した状況にあっても、被災者、ボランティアや収集運搬業者が分別ルールを遵守して仮置場等に搬入することが重要でございます。
 このため、中間のまとめでは、住民等へ排出方法等を周知するチラシを作成する際のポイントをお示ししたほか、平常時から排出方法等に関する情報を周知することや、災害時のこうした情報の掲載場所を案内することを促しているところでございます。

○山田委員 今回、キャップ・アンド・トレード制度などの制度であったり、また生物多様性戦略、また災害廃棄物処理計画の改定は非常に重要なもの、全てそうだと思っておりますけれども、ぜひ、都民や企業さんの理解と、また現場の区市町村、そういったところを踏まえまして、いずれも実効的なものとなるよう強くお願いいたしまして、私の質問は終わらせていただきます。

○小磯(善)委員 初めに、キャップ・アンド・トレード制度についてお伺いいたします。
 東京都は、大規模事業者に対してCO2排出総量削減を義務づけるとともに、排出量取引によって義務履行が可能なキャップ・アンド・トレード制度を運営しております。
 現在、二〇二五年度以降の第四計画期間の制度の検討を進めておりますが、まず、これまでの制度における排出削減の実績についてお伺いします。

○荒田気候変動対策部長 二〇一〇年度からの第一計画期間、二〇一五年度からの第二計画期間においては、全ての対象事業所が削減義務を履行しております。二〇二〇年度からの第三計画期間の直近の実績である二〇二一年度においては、削減義務率二七%を上回る基準排出量比三三%の削減となってございます。

○小磯(善)委員 削減義務率を上回る三三%という削減が既になされているということであります。多くの事業者が大変な努力をして排出削減に取り組んでいることのあかしであると思います。
 しかし、事業所によっては、省エネなどによる排出削減だけでなく、排出量取引をして義務を履行した事業所もあるのではないかと考えます。
 そこで、これまでどれぐらいの排出量取引がなされてきたのか、その実績をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 二〇一〇年度からの第一計画期間においては対象事業所の約九%に当たる百二十四事業所が、また二〇一五年度からの第二計画期間では対象事業所の約一五%に当たる百八十三事業所が、クレジット等を活用して削減義務を履行いたしました。
 活用されたクレジットの量は、自社が保有する複数の事業所の間での取引等も含め、それぞれ約十九万トン及び七十四万トンでございます。

○小磯(善)委員 制度の対象事業者が排出量取引をする場合、取引の際のクレジットの価格がどのように決まるのか、また、都は取引価格の決定に役立つよう、どのような支援をしているのかお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 都の制度における排出量取引は相対取引であるため、売買価格は当事者同士の交渉で決定されます。
 都は、排出量取引を希望する事業者の円滑な取引が可能となるよう、売買を希望する事業者や仲介事業者へのヒアリング等により推計した査定価格を環境局のウェブサイト上で公表し、参考としていただいております。

○小磯(善)委員 多くの事業者が自らの削減努力によって義務を履行しており、また排出量取引をする場合でも、都が査定価格を公表するということで取引をしやすくなるように配慮しているということでございます。
 しかし、今回、二〇三〇年カーボンハーフの達成に向け、第四計画期間の削減義務率を五〇%に引き上げることが検討されており、対象事業者はその達成に向けてさらなる削減努力が求められます。
 都は、削減義務率の引上げとともに、義務履行の手段として認める再エネの範囲を拡大するということでありますが、具体的にどのような再エネを活用できることになるのかお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 二〇二五年度以降の第四計画期間においては、発電事業者等との契約により、事業所外に導入された再エネ設備で発電された再エネ電気や、小売電気事業者が提供する再エネ電気メニュー、非化石証書等の再エネ由来証書の購入等について、義務履行手段を拡充することを検討しております。

○小磯(善)委員 対象事業者が義務履行に活用できる再エネの種類が増え、対象事業者が削減に取り組みやすくなることが分かりました。
 なお、非化石証書等の再エネ由来証書も新たに認められるということでありますが、証書を購入するだけで削減が可能となり、削減対策が証書の購入に偏るということも懸念されます。事業所に対して、新たな再エネ設備の導入を促していく制度とすべきと考えますが、見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 第四計画期間に向けては、再エネ利用の拡大を一層促進するため、これまでに比べ多様な手段を選択できる制度への改正を検討しております。
 義務履行手段の拡充に当たっては、再エネ由来証書の購入に偏ることなく、対象事業所の省エネ対策や新たな再エネ設備の導入を推進する制度とする必要がございます。
 そのため、第四計画期間からは、省エネ対策と事業所内外の再エネ設備の導入による削減量に応じて超過削減量が創出される仕組みを新たに導入し、省エネ対策の深掘りと新たな再エネ設備の導入を促してまいります。

○小磯(善)委員 また、第四計画期間からは、電気と熱の排出係数について実排出係数を使用する予定であると聞いております。
 現在の排出係数の仕組みと、導入することによる効果についてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 これまでの制度において、対象事業所の省エネ対策が排出削減量に確実に反映されるよう、原則として電気と熱の排出係数については固定値を使用しております。また、その数値は都内の直近の排出係数の実績値を基に一律に設定してございます。
 第四計画期間からは、対象事業所において実際に供給されている電気や熱の排出係数を使用することにより、排出係数の低い再エネ電気調達等の多様な手段による削減効果を反映できる制度に改正してまいります。

○小磯(善)委員 再エネ利用の拡大、そして実際の排出係数の使用などの新たな仕組みを導入するとはいえ、削減義務率五〇%を達成するために、対象事業者には省エネや再エネの設備投資が求められます。
 その経費についてどのように考えているのか、都の見解をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 二〇三〇年カーボンハーフに向けては、省エネ及び再エネに関する設備の導入をはじめ、制度の対象となる大規模事業所による一層の削減努力が必要となると認識してございます。
 再エネ設備の導入については、大規模事業所を含む事業者に対し、設備の導入に必要な経費の一部を補助する事業を実施しております。
 また、昨今の化石燃料等のエネルギー価格の高騰により省エネ対策の経済性が高まるとともに、電気料金の高騰により再エネ設備の導入の経済性も向上しつつあります。
 これらの補助事業や削減対策に関する経済性についても、対象事業所への省エネ診断やセミナー等を通じて周知を図ってまいります。

○小磯(善)委員 続きまして、地球温暖化対策報告書制度についてお伺いいたします。
 都における業務、産業部門のCO2排出のうち、中小規模事業所が約六割を占めており、二〇三〇年カーボンハーフに向けては中小規模事業所の取組も不可欠であります。
 都は、中小規模事業所に対して地球温暖化対策報告書制度を実施しておりますが、制度の運営状況、またこれまでの実績についてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 地球温暖化対策報告書制度において、毎年度のCO2排出量や対策状況等を都へ報告することにより、中小規模事業所は継続的に削減に取り組んでまいりました。都内に複数の中小規模事業所を設置し、年間のエネルギー使用量が一定以上の事業者は報告書提出が義務となってございます。
 都は、これらの義務提出をはじめ、任意提出と合わせ、三万を超える事業所から毎年度報告を受け、評価、公表しております。
 制度開始以来、省エネ効果により、床面積当たりのCO2排出量は、制度開始の二〇〇九年度実績から約二一%削減いたしました。

○小磯(善)委員 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、今後は中小規模事業所におけるCO2排出削減に向けた取組をさらに促していくことになりますが、二〇二五年度以降の地球温暖化対策報告書制度の強化の方向性についてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 新たな地球温暖化対策報告書制度においては、さらなる省エネと再エネ利用を促進するため、都は、二〇三〇年度の達成水準として、エネルギー消費量を二〇〇〇年度比三五%削減、再エネ電力割合を五〇%と設定いたします。事業者は、都が示すこれら達成水準を踏まえ、自ら目標を設定し、その取組状況について毎年度報告を行います。
 また、事業者の取組状況のさらなる見える化や、二〇三〇年度の達成水準に早期に到達した事業者を評価するなど、公表、評価についても拡充してまいります。
 さらに、第三者に対しても分かりやすく利便性を高めて公表することで、取引先等からの評価につなげるなど、積極的な事業者を後押しし、カーボンハーフ実現に向けた取組を促してまいります。

○小磯(善)委員 続いて、エネルギー環境計画書制度について伺います。
 エネルギー環境計画書制度の対象事業者は、都内に電力を供給している小売電気事業者などでありますが、この制度には何社の事業者が参加しているのかお伺いします。

○荒田気候変動対策部長 エネルギー環境計画書制度は、東京都環境確保条例に基づき、都内に電気を供給している小売電気事業者等に対し、供給電気の環境性能向上を推進するための計画書、報告書の作成、公表を義務づける制度でございます。
 令和四年度の本制度における対象事業者は二百八十社でございます。

○小磯(善)委員 これらの事業者を中心とした都内における再エネ電力利用割合と再エネの導入状況についてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 令和三年度の都内の再エネ電力利用割合は、小売電気事業者による供給や電気需要家自らの調達等を含め、精査中ではございますが、全体で一九・八%でございます。
 また、都内に設置されている再エネ発電設備の内訳は、令和二年度末において、太陽光発電が約六十四万六千キロワット、水力発電が約四万七千キロワット、バイオマス発電が約五千キロワット、水力発電が約四千キロワットとなってございます。

○小磯(善)委員 都内の再エネ電力利用割合……
   〔荒田気候変動対策部長発言を求む〕

○里吉委員長 ちょっと待ってくださいね。すみません。質問、答弁漏れですか。

○荒田気候変動対策部長 はい、失礼いたしました。
 令和三年度の都内の再エネ電力割合は、小売電気事業者による供給や電気需要家の自らの調達等を含め、精査中ではございますが、全体で一九・八%でございます。
 また、都内に設置されている再エネ発電設備の内訳は、令和二年度末において、太陽光発電が約六十四万六千キロワット、水力発電が約四万七千キロワット、バイオマス発電が約五千キロワット、風力発電が約四千キロワットでございます。

○小磯(善)委員 都内の再エネ電力利用割合は、現在のところ約二割ということであります。そのほとんどが太陽光発電であるということが分かりました。
 都の再エネ電力利用割合の目標は五〇%ということでありますが、これ、どのように再エネ電力の利用割合を高めていくのかが大事になってきます。支援策も含めてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 二〇三〇年再エネ電力利用割合の目標の達成に向けては、需要側である事業者等における再エネ利用の拡大に加え、小売電気事業者による再エネ供給の拡大を図ることが重要でございます。
 そこで、都は、小売電気事業者に対し、都が示す再エネ割合の目標水準を踏まえた目標設定を求めるとともに、事業者の目標達成に向けた計画や実績を公表することで、事業者の意欲ある取組を後押ししてまいります。
 また、再エネ割合が低い小売電気事業者等を対象に、都内需要家に供給する再エネ発電設備の新設に対し、設備導入経費の二分の一を補助する事業を今年度間もなく開始するなど、都内外での再エネ電源の新規開発を支援いたします。
 今後とも、電力の需給両面からの取組を推進することで、再エネ利用の拡大を加速してまいります。

○小磯(善)委員 二〇二三年三月のIPCCの第六次評価統合報告書では、一・五度C目標の実現には、二〇三五年までに二〇一九年比で温室効果ガス六〇%の削減が必要であることが示され、この十年間に行う選択や実施する対策が現在から数千年先まで影響を持つことが指摘されていると書いてあります。
 五月のG7広島サミットの首脳コミュニケにおいても、二〇三五年までに約六〇%削減することの緊急性が高まっていると明記され、IPCCの呼びかけに応える姿勢が示されております。
 そんなことで、それぞれの事業者が大変な目標を今後設定されるわけでありますけれども、この十年が数千年先までの影響を持つということであれば、この目標を前提に、事業者の声もしっかり聞いて、全力で支援をして目標を達成すべきである、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
 生物多様性地域戦略の改定について何点か伺います。
 地元町田市では、豊かな自然環境が残されています。今回配ったというか、つくっていただいた東京都生物多様性地域戦略、この立派な本でございますけど、この中に、九六ページに、町田市の図師小野路歴史環境保全地域の写真が出ております。本当にすばらしい田園風景で、私はこの図師に住んでいますので、こういう田園風景の中を通りながら、この大都会の新宿まで、都庁まで通勤をしているわけでございますが、ぜひ町田にお寄りの際は、こういう田んぼ風景を見ていただければと思います。
 東京全体を見ても、奥多摩の森林や丘陵地の里山、市街地の屋敷林など、まだまだ多くの自然があり、東京の生物多様性を保全していくためにも、こうした自然をぜひとも守り、後世につないでいくことが重要と考えます。
 東京都は、平成二十四年に生物多様性地域戦略に当たる緑施策の新展開を策定しておりますが、初めに、今回の改定に至った背景と前回の地域戦略との違いについてお伺いいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、平成二十四年度に初めての生物多様性地域戦略に当たる緑施策の新展開を策定し、取組を進めてまいりました。
 国においては、愛知目標に代わる新たな国際目標に合わせて、国家戦略の改定が行われております。都は、こうした動向や東京における生物多様性の課題も踏まえ、本年四月に地域戦略を改定いたしました。
 改定した地域戦略は、緑施策を中心としたこれまでの戦略から、生き物の種の保全を前面に出した総合的な生物多様性に関する戦略としております。
 具体的には、地球規模の生物多様性の課題に貢献していくことや、行政だけでなく、都民、事業者、民間団体など多様な主体が取り組む内容を盛り込んでおります。

○小磯(善)委員 地域戦略では、二〇三〇年目標に生物多様性を回復軌道に乗せるネーチャーポジティブの実現を掲げ、その行動目標の一つに生物多様性バージョンアップエリア一万プラスを掲げています。
 その多様性の保全と回復を図るには、こうした明確な目標設定の下、庁内関係局と連携して取組を着実に進めていくことが重要と考えます。
 今後、この行動目標の達成に向けてどのような取組を進めていくのか伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 生物多様性の保全と回復を進めるためには、緑や水辺など、生き物の生息、生育環境の確保や向上に資する取組を庁内関係局が連携して推進することが重要でございます。
 改定した地域戦略では、生き物の生息、生育空間や生態系サービスの維持向上を図るエリアを二〇三〇年までに行政として一万ヘクタールとする行動目標を示しました。目標達成に向けて、自然地の保全管理、緑の新たな確保、公園、緑地の新規開園の三つの施策がございます。
 自然地の保全管理では、荒廃した杉、ヒノキの人工林を対象に間伐や枝打ちをする森林再生事業や水道水源林の適切な保全管理などに取り組んでまいります。また、緑の新たな確保では、条例により指定する保全地域の新規指定などに、公園、緑地の新規開園では、都立公園や海上公園の整備などに取り組んでまいります。これらの取組を庁内関係局との連携により着実に進めてまいります。

○小磯(善)委員 地域戦略では、生物多様性の保全と回復に向けたもう一つの行動目標に、新たな野生絶滅ZEROアクションを掲げております。新たな野生絶滅となる種がゼロとなるよう、減少している野生生物の保全と回復を図るための取組を進めるというものであります。
 町田市では、南多摩の一部にしか生息していないタマノホシザクラというのがございます。多摩丘陵で発見されて、二〇〇四年に新種として認定をされております。多摩丘陵の付近に百八十本ぐらいしか確認をされていないということであります。目印は赤い星型のがく片ということでございます。
 都のレッドリストにも掲載されている希少種が見つかっています。生物多様性を保存するためにも、こうした希少な野生動植物が根絶しないよう、また身近に見ることのできる野生動植物がレッドリスト掲載の希少種にならないよう、タマノホシザクラを含め、守っていくべきと考えます。
 そこで、都内の希少野生生物の現状と、タマノホシザクラ保全のための取組について伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、絶滅のおそれのある野生生物種のリストである東京都レッドリストを平成十年から約十年ごとに改定しており、本土部における最新のレッドリスト二〇二〇では千八百四十六種が掲載されております。
 東京都固有の植物で南多摩にのみ分布するタマノホシザクラは、レッドリスト二〇一〇から掲載されており、ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種と評価されております。
 都は、令和元年度より、民間事業者が有する組織培養による増殖技術を用いて、東京の桜の遺伝子を未来につなぎ、東京にゆかりのある桜を保存、普及させるTOKYOサクラプロジェクトを官民連携により開始いたしました。
 タマノホシザクラについて、このプロジェクトの中でその保全の取組を進めており、令和二年に培養するための茎を複数本採取した後、組織培養を進め、苗木を育成しております。今後、育成した苗木は、多摩丘陵南部の生育に適した地域での植樹を予定しております。

○小磯(善)委員 希少種の置かれた現状やタマノホシザクラの保全に向けた取組についてお聞きしましたが、ぜひ今後、地元町田市内でもタマノホシザクラを植樹していただきたいと思います。まあ、要望でございます。
 次に、外来種対策、特にアライグマ、ハクビシン対策について伺います。
 町田市にも外来種であるアライグマやハクビシンがすみついており、生活環境のみならず、里山に生息するホトケドジョウなどの魚類の捕食による生態系への影響が懸念されております。ホトケドジョウは都のレッドリストにも掲載されている希少種であり、こうした希少種を将来にわたり保全していくためには、捕食者であるアライグマなどの外来種対策が必要であります。
 都は、生物多様性保全に向け、地元市と連携し対策を促進していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 アライグマやハクビシンは雑食性のため、希少な魚類、両生類などを幅広く食べてしまうことから、都内全域で生態系への影響が発生しており、その対策が急務でございます。
 そのため、都は平成二十五年度から、市区町村向けにアライグマ等の捕獲に関する技術講習会を開催するとともに、都が策定した防除計画に基づき、捕獲を行う自治体に対し財政支援を実施してきております。これまでに都内の五十三自治体のうち、町田市を含む四十五自治体で対策が行われております。
 今後、防除計画に参画していない自治体へのさらなる働きかけを行い、都内全域でのアライグマ、ハクビシン対策に取り組み、生物多様性の保全を進めてまいります。

○小磯(善)委員 防除計画に参画していない自治体をぜひとも巻き込んでいただいて、保全を推進していってもらいたいと思います。
 最後に、生物多様性の保全に向けた都民の行動変容について伺います。
 地域戦略では、生物多様性都民行動一〇〇%を行動目標に掲げております。これは、保全活動への参加など、全ての都民が生物多様性に配慮、貢献する取組を推進するものであります。
 町田市内は、多くの緑や農地など豊かな自然環境が残されています。しかしながら、若い世代の方々はあまり自然観察など自然に触れ合う機会が少ないように思います。そのような人たちが身近な生き物について、デジタルを活用して手軽に観察できるツールがあれば、自然環境の保全の必要性に気づくきっかけになると思います。
 そこで、こうした自然観察ツールを都民に提供し活用してもらうことで、都民一人一人の意識を高め、自然環境保全の行動につながる仕組みづくりが必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 若い世代など、多くの都民が自然環境保全に向けた具体的な行動を行うようになるためには、身近なデジタルツールを活用して自然環境への関心を喚起し、多くの人たちとつながる仕組みづくりが必要でございます。
 都は、今年度、多くの都民が楽しみながら生き物の調査ができ、生き物と触れ合うきっかけをつくるため、都民が身近なところで撮影した生き物の画像や位置情報を投稿できるスマートフォンアプリを広く都民に提供する事業を開始いたします。このアプリの特徴は、スマートフォンで撮影した生き物の種類をAI判定機能により知ることができ、SNS機能を通じ、参加者同士の交流が図れることでございます。
 この事業を通じ、都民が身近な地域の自然の豊かさに触れ、自然環境保全に向けた具体的な行動を起こしていくことにつなげてまいります。

○小磯(善)委員 確かにスマートフォンで撮影したものの種類とか、花の名前とか、昆虫の名前とか、そういったものがスマートフォンで分かれば、大変興味が湧いてくると思いますので、ぜひしっかりとお願いしたいと思います。
 これまで生物多様性地域戦略についていろいろとお聞きしてまいりましたが、戦略を策定して終わりではなく、市区町村や都民など様々な主体と連携して、東京の生物多様性の保全に向けて一層前に進めてもらうことを期待いたしまして、質問を終わります。

○原委員 生物多様性地域戦略の改定について、まず伺います。
 人間活動による影響で、かつてない種の大量絶滅と生態系の劣化が進む中、現在の生物多様性の問題は、気候危機対策と並んで、今、地球規模で取り組まなければならない緊急課題です。
 二〇〇八年、国による生物多様性基本法策定を受け、二〇一二年に都は、緑施策の新展開−生物多様性の保全に向けた基本戦略を出し、今回、改定版として生物多様性地域戦略が策定をされました。
 改定に向けた検討会では、十一回もの議論を経て練り上げられ、まとめていただきましたことに心から感謝を申し上げます。ちょっと重なる点もありますが、流れがあるので質問させていただきます。
 地域戦略の改定について、改定の背景と地域戦略のポイントについて、まず伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 国においては、新たな国際目標に合わせて、国家戦略の改定が行われており、都は、こうした動向や東京における生物多様性の課題も踏まえ、本年四月に地域戦略を改定いたしました。
 改定した地域戦略は、緑施策を中心としたこれまでの戦略から、生き物の種の保全を前面に出した総合的な生物多様性に関する戦略としております。

○原委員 これまで緑施策を中心に取り組んできたけれども、生物多様性そのものの回復に全面的に取り組まなければならないという認識の下での二〇三〇年に向けた新たな戦略ということです。
 本プランでは、世界中で生物多様性の劣化が進んでいるとして、四つの危機、一つ目に森林伐採、農地や湿地の減少、開発など人間活動による危機、二つ目に自然に対する働きかけの縮小による危機、三つ目に人により持ち込まれたものによる危機、四つ目が地球環境の変化による危機を劣化の原因として分析をしております。
 昨年十二月にモントリオールで行われた生物多様性第十五回締約国会議、COP15では、生態系を取り戻すための具体的な目標と取組が呼びかけられました。その柱が、二〇三〇年までに自然の損失を止め、生物多様性を回復軌道に乗せるネーチャーポジティブの実現です。
 東京都も、二〇三〇年目標としてネーチャーポジティブを掲げました。基本政策として、二〇三〇年目標を実現するためには、生物多様性の価値が尊重されるとともに、持続可能な利用が行われ、東京の豊かな自然が後世に受け継がれる社会づくりを進めていかなければならないとし、生物多様性の保全、回復、その恵みを都民生活向上に生かすこと、生物多様性の価値を認識するなどの三つの基本戦略を設定しています。
 この基本戦略のうち、基本戦略Ⅰ、生物多様性の保全と回復を進めるの行動目標に、生物多様性バージョンアップエリア一万プラスを掲げました。その内容を伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 生物多様性の保全と回復を進めるため、改定した地域戦略では、生物多様性バージョンアップエリア一万プラスを行動目標に掲げ、行政だけでなく、民間等の取組をプラスで表現し、様々な主体と共に目指す目標といたしました。
 目標の達成に向け、都は、荒廃した人工林の間伐や水道水源林の適切な保全、保全地域の新規指定などに取り組んでまいります。

○原委員 ありがとうございます。
 人の手が入らなくなり荒廃してしまった森林を間伐することや、里山を復元することなどで、動植物がすみやすい自然環境を取り戻す質の回復向上は、どうしても公の支援が必要だというふうに思います。
 緑の新たな確保として、保全地域を新規に指定していくとの答弁がありました。保全地域の現在の指定状況と、今後、新たに保全地域をどのくらい指定していく予定なのか伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都はこれまでに、都内に残された貴重な自然地を五十か所、約七百六十ヘクタール、保全地域として指定してまいりました。
 都の取組を取りまとめたアクションプランにおいて、二〇三〇年度までに約三十ヘクタールの指定、公有化を図ることを掲げております。

○原委員 生き物のすみかとしてまとまった自然環境を守り、また、創出していくことは重要です。公有化も含めて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 生物多様性バージョンアップエリア一万プラスのプラスの部分は、民間などが目指すことのできる目標としていますが、どのように民間の取組を進めていくのか伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都では、事業者による生物多様性保全に向けた取組を推進するため、江戸のみどり登録緑地制度を平成二十九年度から実施しております。
 本制度は、積極的に在来種を植栽し、生物多様性の保全に取り組んでいる事業者の緑地を都が登録、公表することで、事業者の意欲を引き出す仕組みでございます。
 こうした制度などにより民間等の取組を促進し、バージョンアップエリア一万プラスの実現を目指してまいります。

○原委員 ありがとうございます。
 実際、この基本戦略の取組の記述では、事業者の取組、民間団体の取組、教育、研究機関の取組、都民の取組など、行政のみならず民間の事業者も、団体も、個人も取り組みましょうというふうに書かれています。
 今紹介された江戸のみどり登録緑地制度のほかにも、様々な認証制度があります。国のOECM、環境に配慮した認証制度であるSEGESや、JHEP、ABINCなど、一五八ページに記載がされて、読ませていただきました。とてもよいと思うんですが、実際、添え物のような緑の演出になってしまわないように、質を大いに重視した取組になるべきだというふうに思っております。
 民有地の開発では、プラスどころか、奥多摩、檜原村の産業廃棄物処理施設建設計画のように、自然豊かな森林の自然環境や生態系が損なわれてしまうマイナスの問題が発生することが多々あります。
 檜原村の八割は秩父多摩甲斐国立公園の指定地域であり、東京の水源地であるところですが、都に認可申請が出されました。川の汚染、排気ガス汚染、騒音公害などがもたらされると地元住民が大反対し、結果として、事業者の取下げにより計画が撤回をされました。
 自然公園区域内で周辺環境を悪化させるおそれのあるこうした開発計画について、自然公園法上の歯止めというものはないのでしょうか。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 自然公園の区域内では、住宅や道路等の工作物の新改増築、木竹の伐採など、各種の開発行為が規制されております。一定の規模以上の開発行為を行う場合は、公園計画の保護計画によって定められる保護の重要さに応じた区分により、自然公園法または自然公園条例に基づく申請や届出の手続が必要となります。

○原委員 この産廃焼却場の建築許可が下りた場合、その後、自然公園法に基づく申請や届出が必要ということです。
 ただ、今聞いていますと、申請や届出というくらいで、あまりにも心もとなく、規制というふうにはいえないのではないでしょうか。これで森林が守れるのか、今回のケースをきちんと分析し、今後の教訓にすべきです。
 こうした計画が今後もないとはいえないので、生態系を守るどころか、壊されるという問題に真摯に向き合うべきと分析を求めておきます。
 都心の緑も、保全どころか、地域戦略とは逆行し、あちこちで豊かに育った樹木の伐採が行われています。市街地における緑の施策は重要です。まず、その緑の役割やその効果について改めて伺います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 緑には、生物多様性の保全や人々の安らぎや潤い、防災、都市の熱環境や大気環境の改善など、多面的な機能がございます。

○原委員 そうなんですね。分かり切っていることなんですけど、とっても大事なことなので、質問させていただきました。
 都心にはヒートアイランド現象という問題もあります。そうした中で、樹木は木陰をつくり、空気を冷やす効果があります。人々に安らぎをもたらし、大中小の公園、緑地は、子育てや人々の健康増進に欠かせない存在です。
 この冊子の四二ページには、都心に残る大規模緑地−「永遠の杜」づくりと題して、明治神宮一帯の植樹が百年たち、今や自然林の生態系となっていることが紹介をされています。今、問題になっている明治神宮の外苑は、内苑、外苑一体のものとして長年都民に愛され、観光地にもなっています。
 一五六ページには、開発時における生物多様性への配慮及び新たな緑の創出の項目があります。事業者の取組では、開発や土地利用の改変を行う場合は、生き物の生息、生育状況や景観、保護価値の重要性などを把握し、開発、土地改変の回避、開発、改変面積の低減、代償措置の優先順位で保全策を検討しますというふうに書かれております。
 けれども、これ、外苑再開発を今進めようとしている事業者の皆さん、ちゃんと読んでおられますでしょうか。本当にやっていることが逆行しているというふうに思います。
 また、この再開発計画は、都が持ち込んだ計画であるということが今明らかになりつつあります。問題は本当に深刻です。都自身の所有であり、都が行っている日比谷公園、明治公園など都立公園の再整備でも、大切な樹木の伐採問題が今起きています。
 葛西臨海公園内の水族園敷地でも、新施設建設による大量の樹木伐採が懸念されています。緑の保全は、生物多様性保全の最重要の柱です。既存の樹木を守らないで、どうやって緑を保全するんでしょうか。
 開発や公園再整備について根本的に考え方を改めなければ、この地域戦略で幾ら保全地域を増やしても、どんどん緑が失われていってしまいます。生物多様性の保全、地域戦略の目標、ネーチャーポジティブを実現させるためには、全庁的な真剣な取組が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、生物多様性の保全と回復を図るため、庁内各局が連携して地域戦略を策定いたしました。生物多様性の保全と回復に係る取組については、その趣旨を踏まえ進められていくものと考えております。

○原委員 その趣旨を踏まえ進められていくものというのは、ちょっと消極的な感じで、ぜひリーダーシップを取っていただきたいと思います。
 庁内各局が連携してこの戦略を策定したのであれば、それをやはり実行する責任が全ての庁内各局にあるというふうに思います。
 庁内推進会議が五月三十日に設置をされたことが分かりました。各局がそろって委員になっています。この推進会議の開催日がまだ決まっていないということですが、定期開催と、それから生物多様性保全についての具体的で真剣な議論を望みます。
 再開発で邪魔になった樹木を伐採しても、新たな緑の創出、緑を新たに植えればよいと解釈できるような記載も開発計画の文章であちこち出てきますが、百年育った大径木をなくして芝生を敷いても、誰も同じとは思わないでしょう。緑の質が問われる段階です。
 生物多様性の恵みを受けてきた人間が私欲で自然破壊を続けるために、生態系が崩れ、結果、人の住めない地球にしてしまうのだと世界は警告をしているわけです。気候危機問題とともに、自然が私たちに与えてくれているものについてしっかりと学び、都として生態系を守る環境都市東京になるよう、今回策定した生物多様性地域戦略について、全庁挙げて責任を持ち、実効ある取組を求めます。
 最後に、この間、本プラン策定に向け議論してきた自然環境保全審議会で、専門の先生方より出されていた意見の中で、どれも大切なんですが、特に二点、触れておきます。
 一つ目は、生物多様性地域戦略を進めるための拠点が必要だという話です。生物多様性センター、自然史博物館のような施設の計画検討をぜひぜひ進めていただきたいという声が上がっておりました。ぜひご検討をお願いします。
 二つ目には、中学校や高校の副読本にするとか、このプランをいろいろなところに配布をして、広く普及すべきという意見です。コラムなどもとても読みやすく、私も勉強になりました。学生や市民の中に生物多様性の学びを広めることで、担い手も増えることにつながるのではないでしょうか。また、小学生向けの冊子や動画など、分かりやすく伝える教育活動にも、ぜひ生かせるようなものをつくってほしいと思います。
 審議会の場で環境局長が、今回のプランは、都内に残る貴重な自然地を将来にわたって残す保全地域の価値や魅力をさらに向上させるための初めての総合的なプランですとおっしゃっておりました。本当にそうだと思います。目標に向かってしっかりと取り組んでいけるよう、よろしくお願いをいたします。
 続けて、災害廃棄物処理計画の改定について、中間のまとめが公表されました。質問をしていきます。
 今、六月二十九日まで意見募集を行っている最中です。発災後の混乱を最小限にとどめ、迅速な処理ができるための備え、課題について、自治体、関係事業者、住民に共有され、課題克服に取り組むことが大変大事だと思います。
 大規模災害における広域自治体である東京都の役割について、まず伺います。

○志村資源循環推進部長 災害廃棄物は、区市町村が主体として収集運搬や処理、仮置場の設置運営等を行うこととされております。
 都は、区市町村で処理が円滑に進むよう支援するほか、他県等の広域的な支援が必要な場合に、関係機関との調整等を行う役割を担っております。

○原委員 災害の種類によって迫られる対応が違ってきます。想定される災害として、地震災害、水害、土砂災害、竜巻、火山災害、津波、高潮災害の特徴と留意点が記載されていますが、地震と豪雨などの複合災害も近年起こっており、いつ起こってもおかしくないわけです。
 突然被害を受けた地域、基礎自治体に対し、広域自治体である都の果たす役割は大変重く、正確な判断と支援が求められることになります。都民としても、必要な知識を持つことが大事と思います。主に地震と水害について伺います。
 首都直下型地震の被害想定が見直されたことを受け、都内の家屋の被害想定数がどう変わり、災害廃棄物の処理などの対応など、どう更新したのかについて伺います。

○志村資源循環推進部長 昨年五月に公表されました首都直下地震の被害想定における建物被害は、従来の三十万四千棟から約十九万四千棟に引き下げられております。これに伴い、災害廃棄物の発生量も約二七%程度減少するものの、依然として都内で一年間に自治体が処理するごみの量のおよそ八年分に相当する量であり、対策の強化が必要となっております。
 震災時の対応力強化に向け、今般の災害廃棄物処理計画の改定に当たりましては、区市町村と一部事務組合による災害廃棄物合同処理本部の設置などをお示ししているところでございます。

○原委員 ありがとうございます。
 例えば、被害想定で、都心南部直下地震、マグニチュード七・三だと、区部で二千八百七十四万トンの災害廃棄物が発生するとの推計値が書かれております。二十三区で出されたごみの量が二〇二二年で二百五十四万トンとなっておりますので、ここから見ても十年分に匹敵します。ちょっと想像が難しい量だというふうに思います。
 住宅の耐震化や延焼遮断帯の整備などの状況によっても、被害の広がりが変わってくると思います。大量のごみを整然と処理するための関係者の連携と的確な誘導が必要です。
 今回の改定、中間のまとめで風水害への対応強化がされたとのことで、それは重要ですが、具体的にはどのようなことでしょうか。

○志村資源循環推進部長 風水害では、家電や家具、畳等が水にぬれた、いわゆる片づけごみが、水が引くと一斉に排出されるという特徴がございます。こうした廃棄物について、区市町村が速やかに処理すべき量を把握し、必要となる仮置場の面積や収集運搬車両を確保するために活用できる推計式を新たにお示ししております。
 また、水害は、気象情報等により予見可能なこともあるため、処理施設における浸水対策など、発災直前に自治体が取り組むべき事項をお示ししております。

○原委員 改定に当たり、最新の知見や被災自治体の取組を取り込むとした中身は、例えばどのようなことですか。

○志村資源循環推進部長 最新の知見等につきましては、令和元年台風第十九号の際、都内の一部の自治体の災害廃棄物処理で、清掃工場を運営している一部事務組合との間で、搬入可能な廃棄物の種類等の調整に時間を要した経験を踏まえ、災害廃棄物合同処理本部を設置し、平時から調整を図ることなどを提案しております。

○原委員 二〇一九年十月十二日の台風十九号、本当に記憶に新しいです。江戸川でも浸水、川の氾濫の可能性があり、多くの人が避難をしました。
 多摩川が氾濫をして、里吉委員長がここにいますけれども、そのとき浸水したお宅を軒並み歩いて支援に回ったそうです。世田谷は大変被害が大きかったです。
 水が引いた後、使えなくなった家具や畳、じゅうたん、家電など、とにかくごみを屋外に運び出さないと家が片づけられないということで、まずみんな道路へ、道へ出したそうなんですね。けれども、放っておくと腐敗が始まり、区の人に消毒剤を散布してもらったり、地下スペースにたまった水を抜きにポンプ車に来てもらったり、それは大変だったそうです。
 そのときのことを、世田谷の区長さんも同年十二月議会の所信表明で触れているので、ちょっと紹介をしたいと思います。
 台風通過直後の十三日午前中からは、浸水した家屋の片づけが始まり、多くの災害ごみが路上にまとめて出されていました。相当の量に上るため、災害ごみを回収に当たる臨時体制を組み、清掃・リサイクル部が一丸となって精力的に取り組みました。今回、庁内の応援体制だけではなく、目黒区、品川区、渋谷区の近隣区の応援も受けて回収に当たりました。近隣区の温かい応援に心から感謝をいたします。
 また、被災地域に近い玉川野毛町公園の拡張予定地に、早い段階で臨時に粗大ごみ中継所を設営し、小型ダンプ車で現場からピストン輸送を行うとともに、そこから中型プレス車で中央防波堤の処理場に何度も運びました。今回は、こうした中継地として使用可能な場を設けた結果、路上からの撤去作業が進んだことで、災害時に一定のスペースを確保していくことが重要であるということも分かりました。
 さらに、清掃・リサイクル部では、浸水で家具を失った被災者のために、エコプラザ用賀で粗大ごみリユース家具の無償頒布を二回開催しました。被災者の方にお申し込みいただき、ご利用をいただいていますというふうに書かれております。これを読んだだけでも、とても参考になります。
 加えて、里吉委員長から聞いたことですが、薬品やガスボンベを取り扱う工場では、そうした危険物が水で流されないように、日頃からチェーンなどで固定をしておくことが重要なのだけれども、今でもそうした災害対策が取れていないのではないかということで、そういう目で地域を見ると、危険を事前に回避できる取組が見えてくるのではないかというふうに思います。
 ちょっと長い紹介でしたけれども、大事だと思って読ませていただきました。
 今回の計画改定で予見可能な風水害について、災害廃棄物対策として地震災害とは分けて発災前の取組を記載したのは重要だと思います。区市町村がやるべきこと、住民などができることで大事なことは何でしょうか。

○志村資源循環推進部長 風水害は、気象情報などにより予見可能な場合もあり、発災前からハザードマップ等で浸水域を確認することが重要でございます。
 区市町村では、災害廃棄物の仮置場の設置等に関する関係者への連絡、片づけごみの出し方等に関するチラシ作成やホームページ等への掲載などの準備ができると考えております。
 また、住民におきましては、浸水被害が想定される場合には、水に弱い電子機器等をなるべく高い場所に移動させるなど、被害の最小化に向けた行動や片づけごみの出し方をあらかじめ自治体のホームページ等で確認することも有効であると考えております。

○原委員 浸水域を確認しておくこと、災害時のごみの出し方を知っておくこと、また水に触れたくないものを二階に避難させるなど、いずれも大事なことだと思います。
 そうした取組について住民が日頃から心構えを持ち備えるために、都としては、区市町村の啓発活動など、どのように支援していくのでしょうか。

○志村資源循環推進部長 災害時におきましても、災害廃棄物を分別して排出することは、処理施設でのスムーズな処理に向けて重要でございます。
 今回の改定では、住民やボランティア等に配布する分別区分等のチラシを平時から準備することや、そのチラシへの記載事項のポイントを整理しております。また、一部の自治体では、ホームページや広報紙等で災害時のごみの出し方等を周知しており、こうした取組を他の区市町村においても取り組むよう促しているところでございます。

○原委員 中間まとめの八四ページにもありますように、ごみ出しの分別の知識を事前に知っておくことは本当に大事だと思います。
 世田谷区でも台風十九号被害を受け、二〇二〇年に策定した災害廃棄物処理計画、これなんですけれども、これには仮置場の分別配置図も載っています。とても具体的でいいと思います。こうした情報提供は、全自治体で取り組むことが必要だと思います。
 また、発災以降も、混乱を防ぐための住民への様々な連絡、情報伝達ツールが一つではなく複数あること、スマホが使えるように充電できるようにすることや、スマホがない方が取り残されないようにすることは、災害廃棄物処理の観点からも重要だと思います。
 以上、気がついた点を申し上げましたが、都民の意見を反映させ、より実効性ある計画としていくことを願い、質問を終わります。

○須山委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、キャップ・アンド・トレードに関して質問しますが、この間の委員会質疑で、今回の改正に関しては非常によく分かりました。第四計画期間において、対象事業者の事業所の削減義務率が五〇%ということで、厳しい義務率を課すことによって、さらに総量削減、カーボンハーフを目指していくということがよく分かりました。
 この改正の中で、主に省エネの取組が特に優良な事業所を認定するというトップレベル事業所認定制度、これも強化するということでしたけれども、どのように行っていくのか、その内容をお聞かせいただきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 キャップ・アンド・トレード制度では、二〇二五年度から二〇二九年度までの第四計画期間に、省エネのさらなる深掘りと再エネ利用の拡大を一層促進する制度に強化することとしており、トップレベル事業所認定制度も方向性を合わせて強化を検討しております。
 具体的には、これまでの高効率な省エネ設備や適切な運用管理等の評価に加え、事業所内外での再エネ利用や、事業所のゼロエミッションに向けたロードマップの作成等を評価することを検討しております。

○須山委員 トップレベル事業所認定制度の強化を検討していくということで、また内容も、より充実をしていかれるということで、積極的に取り組んだ事業所に具体的なメリットがあるように、もっとしていくようにすることがさらに必要だと考えております。
 そうした意味においても、この制度自体をもっとPRをしていくことが望まれると考えますけれども、これまでの取組、また今後どのように取り組んでいくのか考えをお聞かせいただきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 トップレベル事業所認定制度では、毎年度、認定事業所を公表し、事業所の優れた省エネ対策を環境局ウェブサイトに紹介するなどの取組を実施してまいりました。また、トップレベル認定を取得している場合に、国際的な不動産の評価制度においても評価されるように連携しております。
 今後とも、関係機関と協力して、認定制度や認定事業所をイベント等でPRするなど、認定事業所の社会的、経済的評価の向上に資するような取組を進めてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 認定事業所の社会的、経済的評価の向上に資するようにということで、これは非常に、やっぱりこうやって積極的に取り組んでいっていただいた事業所が、さらに具体的に実質的なメリットが受けられるような、そういった制度設計をしていっていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 そうすることによって、さらに総量の削減を進めていっていただきたい、そして、二〇三〇年のカーボンハーフに向けていっていただきたいと思います。
 キャップ・アンド・トレードに関してはこのぐらいで、私、災害廃棄物に関しても質問しようと思ったんですけれども、正直、出そろっているかなと思いまして、ちょっと要望だけさせていただきたいなと思います。
 災害廃棄物に関して、様々皆さんからのお話もありましたけれども、やはり二〇一九年の台風十九号、非常に各地で甚大な被害が出まして、この東京の中でも非常に被害が出ました。
 私も当時、基礎自治体の議員だったため、職員の皆さんが被害が始まる前から避難所の準備であったりとか、また、様々その中での周知であったりとか、いろいろなことを、そして、災害が終わった後に、今度は災害廃棄物をどうしていくかとかそういったことも、様々職員の皆さんがご尽力いただいたことに本当に敬意を表しております。
 また、今回の災害廃棄物処理計画の改定ということで、様々議論をしていただいていると思いますけれども、基礎自治体から広域自治体である東京都に求めること、これは何かというと、調整機能だと伺っております。地元八王子からは、廃棄物を処理するための調整機能を充実してほしいという声を聞きました。
 例えば、二〇一九年の台風十九号のときに、八王子ではアスベスト混じりのごみを産廃ではなく一般廃棄物として処理する際に、引き受けてくれる処分場がほとんどなくて、愛媛県まで持っていった事例があったというふうにも聞いております。大規模災害の発災時、どの自治体も事情は同様であると思いますので、ぜひ連絡調整強化を東京都で取りまとめてやってほしいということをいわれました。
 また、二〇一八年の中国地方での大雨の災害がありましたけれども、そのとき、私は立憲民主党の仲間の皆さんと岡山にボランティアで行きましたけれども、そのときに、廃棄物が出たときに、どこに集積をしておくか、これが自治体によって違うんです。
 だから、隣まちに行ったら、あそこの学校に集積をされているんだけど、こっちの道を隔ててすぐのところではもう道路に廃棄物が置いてあったりとか、それは実際の例ではありますけれども、そうしたことによって、各自治体の判断で廃棄物をどうしていくかということも、その場でやっていかなくてはいけない、その場で対応が変わってくるということを、非常に目の当たりにしました。
 だからこそ、そうした実際の災害があったときの経験というものを、東京都内だけじゃなくて、県外でもいろいろな事例があると思います、それをしっかりと学んでいっていただいて、この災害廃棄物の処理計画に役立てていっていただきたいと思います。
 そうすることによって、さらに平時から各自治体としっかりと連携を密にしていっていただいて、都民の生命、財産を守っていく、そのような計画をつくっていただきたいと要望して、私の質問を終わります。
 以上です。

○漢人委員 まず、カーボンハーフ実現に向けた既存建築物に関わる制度の見直しの方向性について質問いたします。
 そのうちの一番目は、大規模事業所に対する温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、キャップ・アンド・トレード制度についてです。
 産業、業務部門のCO2排出量の約四割は大規模事業所が占めています。大規模事業所は着実に排出量を減らしていますが、中小規模事業所のうち地球温暖化対策報告書の義務提出の事業所の排出量は、ほぼ横ばい状態です。あまりというか減っていないんですね、ほぼ横ばいですね。
 二〇三〇カーボンハーフに向けてCO2削減を進めていくためには、確実な削減が見込める大規模事業者への対策の強化、つまり削減率のさらなる引上げが必要ではないかと思います。今回五〇%というのを出していますが、私はさらなる引上げが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、大規模事業所の対象を、現在の千五百キロリットルから千キロリットル以上などに拡大することも有効ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 二〇二五年度以降の第四計画期間の削減義務率については、二〇三〇年の目標排出量からのバックキャスティングを前提とするとともに、今後の省エネ対策や再エネ利用などによる削減余地も考慮しまして、オフィスビル等は五〇%、工場等は四八%とすることを検討しております。
 年間のエネルギー使用量が原油換算千五百キロリットル未満の事業所につきましては、地球温暖化対策報告書制度の対象となっております。報告書制度についても、二〇二五年度からの制度強化を予定しており、両制度の円滑な運用によって産業、業務部門全体の排出削減に取り組んでまいります。

○漢人委員 今回そういう提案なんですけれども、今度の第四期が二〇二九年までということなので、二〇三〇年になっちゃうわけですね。なので、じゃあ、第五期に向けて頑張ってくださいといっていていいのかなという思いをしながら、まあ頑張ってくださいということだと思います。
 次なんですが、それで、CO2の余剰排出枠を次年度以降に繰り越すバンキング制度というのがキャップ・アンド・トレード制度にはありますけれども、それによって第三期から第四期に繰り越される排出量は何トン程度と想定されているでしょうか。
 また、これについて事業所ごとの傾向などはあるでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 現在は第三計画期間の途中でございまして、第四計画期間に繰り越されるクレジット量は不明でございますが、仮に二〇二一年度以降の排出量が二〇一九年度と同程度となった場合、六百九十万トン程度となる可能性があることを、制度を検討している専門会議で公表しております。
 排出削減の状況については、用途では目立った差異はなく、むしろ事業所の状況によって異なっております。

○漢人委員 このバンキング制度というのは、とてもよく考えられたものだなと思っています。たくさん削減をする事業者が、出し惜しみじゃなくて逆の削減控えとか削減惜しみをしないようなために、ちゃんとたくさん削減すれば、次の期まで持ち越せるよという制度なわけですよね。
 だけど、あまりそれが持ち越されると、次の期の削減量が減ってしまうことになりかねないので、そこについてもまた制限をしていこうということも今回出てきていて、このキャップ・アンド・トレード制度というのは、そういった設計について、本当に様々な配慮がされている、すごい制度だなと思います。
 私はあまりこういうことは得意ではないので、制度を見ていても十分理解はし切れないところはあるんですけれども、でも、本当に着実に成果を上げている東京都の気候変動対策のとても先進的な政策でありまして、これについてはその成果や効果、そういったものをもっともっと発信していく、ある意味、国や全国に対してもっと積極的にリードしていくぐらいの発信をしていくということが私は必要ではないかなというふうに思います。
 ということで次なんですが、大きな二問目ですが、中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度について質問いたします。
 二〇三〇年度のエネルギー消費量と再エネ電力割合の達成水準を示して、報告、公表、評価ということをするだけで、カーボンハーフを実現できるレベルの効果が得られるというのが、一応この制度の強化の内容なんですけど、本当にそれで大丈夫かなというのが私は大いに疑問なところなんですけれども、可能なのでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 新たな制度では、事業者に対し、都が示す二〇三〇年度の達成水準を踏まえ、目標等の設定とその達成状況について毎年度報告を求めてまいります。
 毎年度の取組状況につきましては、さらなる見える化や第三者にも分かりやすい公表により事業者の積極的な取組を後押しし、カーボンハーフ実現に向けた取組を促してまいります。

○漢人委員 公表と評価の内容と工夫が本当に決定的に重要だというふうに思います。いかに多くの人たちの目に届き、そして関心を持たれるかということが、この制度の要になるんだと思いますね。
 具体的にどのような方策が検討されているのか、今、見える化などいろいろお話もありましたけど、さらに詳しくありましたら教えていただけないでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 事業者の取組状況のさらなる見える化や評価制度の強化など、第三者にも分かりやすく、利便性を高めて公表することによって、取引先等からの評価につなげるなど、事業者の積極的な取組を後押ししてまいります。

○漢人委員 後でまとめてコメントさせていただきますので、次に、エネルギー環境計画書制度について伺います。
 この制度は、都内に電気を供給している小売電気事業者及び一般送配電事業者を対象としていますが、東京電力はこの中に入るんですけど、都内の電気の何割を供給しているでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 小売電気事業者等から都に提出されているエネルギー状況報告書によりますと、令和三年度における都内電気供給量における東京電力関連のシェアは約六割でございます。

○漢人委員 この制度の対象となるのは、先ほどの質問でご答弁もあった二百八十社あるわけですよね。だけど、東電だけで全てのシェアの六割を占めているということになります。再エネ割合の高い事業者が評価をされて、契約先を変えるような事業所や家庭が増えていくということを期待いたします。
 私も自宅についても一〇〇%再エネ事業者との契約をしているということで、そういう人たちが増えていくことを期待するんですけど、しかし、何といってもやっぱり東京電力ですね、電気の六割シェアしている東電の再エネ率が大幅にアップしなければ、小規模のところが幾ら頑張っても追いつかないというのが現状です。
 この制度というのは、東京電力に対してこれを求めるという意味で、本当に期待をする大きな役割を持つ制度だというふうに思っております。それが実際できるのかどうかというのが問題になるわけです。
 それで、再エネ電力割合の二〇三〇年度目標水準を五〇%程度とした理由と根拠をお伺いします。

○荒田気候変動対策部長 都が二〇三〇年の都内における再エネ電力利用割合を五〇%程度とする目標を掲げていることを踏まえ、今回の制度強化においては、小売電気事業者が供給する電力に占める再エネ電力割合の二〇三〇年目標水準を五〇%程度といたします。

○漢人委員 それで、先ほどと同じ質問なんですが、二〇三〇年度の再エネ電力割合の目標水準を示して、こちらについては報告と公表をするだけで、カーボンハーフを実現できるレベルの効果が本当に得られるのかというのが大いに疑問なんです。可能なのでしょうか。
 また、こちらについては評価がないのはなぜでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 都は、小売電気事業者に対し、都が示す再エネ割合の目標水準を踏まえた目標設定を求めるとともに、事業者の目標達成に向けた計画や実績を公表してまいります。また、多様な再エネ電力メニューの提供、公表についても求めてまいります。
 これらの制度強化によって、積極的な事業者が電気需要家から選ばれる環境を整備することで、事業者の意欲ある取組を後押しし、二〇三〇年再エネ目標を達成してまいります。

○漢人委員 こちらについても、公表の内容と工夫が決定的に重要になります。いかに多くの人たちの目に届き、関心を持たれるかが制度の要となるわけですが、どのような方策が検討されているでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 小売電気事業者が都に提出する計画や実績の公表につきましては、都のホームページにおいて、再エネ電力利用割合が高い事業者や、再エネ利用割合が高いメニューを提供している事業者を抜き出して表示するなど、電気需要家が取組の進んだ事業者を選びやすいデータベースを構築してまいります。

○漢人委員 今回のこの三つの制度なんですけれども、それぞれいろいろ違うんですが、どれについても本当に分かりやすく、都民、普通の都民に広報していくというのがとても重要だと思います。
 私自身もキャップ・アンド・トレード、何か東京都、すごいことやっているなと思ってはいたけど、あまりよく分からなかったところはあって、やっぱり難しいというのがあるので、大事なことをやっているけど、分からなかったところがあるんですけど、その辺も、細かいことはいいから、とにかく東京都はすごいことをやっているんだと。ちゃんとそれで成果を上げているんだということ。
 そして、今回の二つの目標水準を掲げて、それについて、それぞれの事業者がどういう取組をするのかというのについても、違うけれども、都民に広く、普通の都民が関心を持つことによって、事業者間の契約取引などについても影響するような、ぜひそういったアピールをしていただくのが必要だというふうに思います。
 例えば、ワースト表彰というのは東京都がやるのは難しいかもしれないけど、ベストテンぐらい発表するような形で、とにかく注目を集める。こんな制度を取り組まれているんだ、気候変動の対策として、CO2削減に向けて、東京都が積極的にやっているということをアピールするということをぜひお願いしたいというふうに思います。
 期待をして、次の質問は、生物多様性地域戦略の改定について質問いたします。
 まず、昨年のこの環境・建設委員会で中間のまとめの報告がありました。その質問の中で、私は十八点について意見を述べて要望しましたけれども、今回この改定版において反映されたものはあるでしょうか。お伺いいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 中間のまとめについては、パブリックコメントで幅広く都民から意見を伺い、また委員からのご意見も含め、議会からもご意見をいただきました。
 いただいた様々なご意見を踏まえ、東京都自然環境保全審議会では、生物多様性の説明を充実させるなどを検討し、答申として取りまとめを行いました。
 今回改定した地域戦略は、この答申を踏まえて策定しております。

○漢人委員 私の出した要望については全部はチェックし切れていないんですけれども、しっかりと修正や加筆されたものもありますが、残念ながら反映されなかったものの方が多いのではないかなと思っています。今回はその個別項目については質問いたしません。
 それで、大事なのは推進体制だと思うんですね。この地域戦略改定版では第五章になります。この推進体制について三点質問いたします。
 幾ら立派なすばらしい計画ができても、飾ってあるだけでは意味がありません。どのような推進体制が組まれるのかというのが重要になります。
 まず、国連生物多様性の十年日本委員会のようなマルチステークホルダー会議の設置が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 地域戦略の推進に当たっては、今後、公募による都民委員、学識経験者、事業者団体、市区町村、都議会議員等で構成される東京都自然環境保全審議会に都の取組の実施状況を報告し、幅広い視点からご助言をいただきながら、施策の推進や見直しを行っていくこととしております。

○漢人委員 残念ながら、新たなマルチステークホルダー会議の設置ではなく、東京都自然環境保全審議会の助言をもらいながら進めるとの答弁です。
 改定版では、学識経験者等の助言を踏まえた施策の推進、見直しということに関して、自然環境保全審議会計画部会においてというふうに書いてあるので、そういうことなんだというふうに思います。
 次に、その自然保全審議会について伺いますけれども、この地域戦略の改定版のためには、地域戦略改定検討会というのを設置していて、そこには専門委員という方が六名いらっしゃいました。地域戦略推進のための審議会にも検討する策定のときにはいらっしゃったんですから、推進するための審議会にも同様の専門委員というのは必須だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 また、自然保全審議会の開催予定と頻度についてもどのような予定になっているのかお伺いいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 次期の東京都自然環境保全審議会委員の構成や開催予定等について、現在検討中でございます。

○漢人委員 検討中ということなので、ぜひ反映していただきたいと思うんですけれども、この地域戦略の冊子の一番最初に小池知事の挨拶というんですか、冒頭の言葉が述べられていますけど、その最後の締めくくりですね。本戦略に基づき、都民や事業者、NPO、NGO等の民間団体、教育、研究機関などあらゆる主体と力を合わせ、将来にわたり生物多様性の恵みを受け続けることのできる豊かな都市を目指してまいります。これ、まさにマルチステークホルダー会議を設置しようと、必要だと小池さんが、もうこの冒頭でおっしゃっているんだというふうに思うんです。
 そのままの新しい会議をつくるのは難しいかもしれませんけれども、専門委員という形で、こういった小池知事も述べているようなメンバーを入れていくということが本当に重要だと思いますので、ぜひ検討の中で反映をしていただきたいと強くお願いをしておきたいと思います。
 次は、生物多様性地域戦略庁内推進会議ですね。これは、答弁も出ていますが、五月にもう設置はされているんですね、設置はされているけど、まだ開催はされていないということですが、いつ頃の開催ということになるのかお伺いしたいと思います。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 東京都生物多様性地域戦略に基づく都の取組を全庁的に推進するため、庁内推進会議を本年五月に設置いたしました。今後、必要に応じて会議を開催してまいります。

○漢人委員 必要に応じてということですが、速やかにちゃんとした会議、そして研修みたいなものを私はやっていただかなきゃいけないと思っています。これは以前にも申し上げました。
 この間、中間まとめが出てから地域戦略が策定をされると、新しいものができるので、どういうふうに反映しますかと、環境局もそうですけど、ほかの庁内のいろんな担当の方にお話しすると、大体いわれるのが、もう十年前の緑施策の新展開、そこにも生物多様性については言及されているから大丈夫ですと、見直す必要はありませんと、そうおっしゃる方がほとんどなんですよ。違うでしょうと。今回、それじゃ駄目だから、十年前のものじゃ駄目だから、より危機が深まっているから、この改定版ができたわけだから、これに基づいてもう一回庁内の様々な施策を見直さなきゃいけないんですよね。
 そういうふうに思っている方が残念ながらまだ庁内、先ほどから都民全体とか事業者とかいろんな話もあるんだけど、そもそも、それを進めようとするこの庁内でそういう機運になっていないんじゃないかというふうに思うんです。
 その意味で、庁内推進会議というのがいかに有効に機能するのか、環境局、しっかりとこれをリードするような、自然環境部長が座長ですよね、しっかりと、これは本当に大事な計画なんだから、まず庁内から始めないと広がらないんだというところを押さえていただくような、そんな取組をぜひ期待したいと思います。本当によろしくお願いいたします。
 次に、アクションプランですね。アクションプランの方は冊子はいただけていないのでプリントアウトしましたが、ホームページ上に出ていますけれども、このアクションプランについて少し伺いたいと思います。
 二〇二一年度実績という表記がある項目というのが幾つかあるんですけれども、二〇二四年度の数値目標、これ、二〇二二、二三、二四の三年間のアクションプラン、計画なんですけど、それに当たって、その前年の二〇二一年度の実績ということで表記があるのはあるんだけど、二〇二四年のアクションプランの最終年度の数値目標がほとんど記載されていません。
 三年間でどこまで進めるのかというのが大変重要なので、二〇二四年度の数値目標というのは掲げるべきだと思うんですけれども、なぜほとんどないんでしょうか。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 東京都生物多様性地域戦略アクションプランは、地域戦略で掲げる三つの基本戦略を踏まえ、都の取組及び目標を取りまとめたものでございます。
 このアクションプランでは、基本戦略ごとに各施策の二〇三〇年度までの目標を定めており、このうち二〇二三年度及び二〇二四年度の予定が定められている取組については記載をしております。

○漢人委員 そう、この記載をされているのが本当に少ないんですよ。二〇三〇年までの目標を掲げた地域戦略ですけど、その実現のためには本当にこの三年ごとのアクションプランで着実に積み上げていく、これが必要だと、大事だということは、だからこのアクションプランをつくっているんだと思うんですね。そして、やっぱり数値的に表すというのが大事だというのが、目安になるということは、様々な計画でも了解されていることだと思います。
 もう今、二〇二三年なんですよね、三年度なんだけど、二〇二二年と二三年と二四年の三年間の計画です。この後、二〇二五、二六、二七、そして、その次は二八、二九、三〇で、もう二〇三〇ネーチャーポジティブが実現できるかというところに行くわけですから、次の二〇二五年からの三年間のアクションプランについては、当然、二〇二七年までにどこまで進められるのか、その次のときにはもう達成しなきゃいけないんですから、そこをちゃんと出せるように立てていただきたい、これも強く求めておきたいと思います。
 次、アクションプランの中から自然環境部所管のものに絞って幾つかお聞きしようと思ったんですが、ちょっと時間がなくなってきたので、一つだけお伺いしますね。
 東京都版のエコツーリズムの推進というのがありまして、ここで認定ガイド数を、先ほどいった数値、二〇二一年度実績としての数値として掲げているんですが、この認定はどのように行っているんでしょうか。
 また、このガイドについては、人数だけでなく質の向上が求められるのではないかとの指摘があるのですが、この点いかがでしょうか。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 島しょ地域で将来にわたり保護すべき貴重な自然がある地区において、自然の保護と適正な利用を図るための制度として、東京都版エコツーリズムを推進しております。
 各地区の実情に応じて、都が実施する養成講座の修了生を都が認定しております。ガイド認定後も、地元町村や観光協会とも連携し更新講習を行うなど、ガイドの質の向上を図っております。

○漢人委員 実はあと二つ、校庭芝生化の推進の件と保全地域における希少種等保全策の強化について伺おうと思っていたんですが、ちょっと時間がないので、それはまたの機会にしたいと思います。
 とにかく、このアクションプラン、様々な項目、全庁的にあるんですけど、本当にこれで大丈夫かと大変不安に思います。
 先ほどの地域戦略の冒頭の小池知事の挨拶の中でも、私たちは生物多様性の恩恵を享受できなくなる危機的な状況にあります。気候危機の一層の深刻化と同時進行で、生物多様性の損失が人類に大きな脅威となると、本当にこのようにいっているにしては、とても頼りない推進体制、そしてアクションプランだなといわざるを得ません。
 まず、現場をよく知る市民や専門家などを含むマルチステークホルダーとなるような、そういった審議会をぜひ早く設置をしていただきたい。そして、庁内推進体制についても、先ほどいいましたように、本当に、まず隗より始めよで、庁内でこの機運が高まらなければ、都民に対してとか事業者に対してだって働きかけはできませんので、その点についても全庁的な施策の見直しが必要なんだと、十年前の計画に沿っているからいいんだではないというところをしっかりと徹底をしていただきたいと思いますので、ぜひ、絵に描いた餅にならないように、本当に大事な地域戦略ですので、しっかり展開していただくようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。

○里吉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十四分休憩

   午後五時二十九分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○もり委員 まず、東京都生物多様性地域戦略についてお伺いいたします。
 知事は、巻頭の言葉で、東京都生物多様性戦略では、生物多様性を回復軌道に乗せるネーチャーポジティブの実現を掲げると述べています。ネーチャーポジティブ、自然再興とは、昆明・モントリオール生物多様性枠組で掲げられた二〇三〇年ミッションであり、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させることです。
 緑の評価、森の生態系の評価についてお伺いいたします。
 行動計画一、生物多様性バージョンアップエリア一万プラスでは、公園、緑地などの緑を新たに拡大していくことの視点が必要と述べ、二〇三〇年までに行政として緑の質の維持向上を図るエリアと緑の量を確保、拡大するエリアを合わせて一万ヘクタールとすることを目指しますと述べています。
 ネーチャーポジティブのためには、緑の量だけでなく、緑の質も大切だと考えます。緑の質について、どのように考えているのかお伺いをいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 緑には、生物多様性の保全や人々の安らぎや潤い、防災、都市の熱環境や大気環境の改善など、多面的な機能がございます。これらの機能を総称し緑の質と呼び、生物多様性の保全に当たっては、こうした緑の多面的な機能を一層発揮させていくことが重要と認識しております。

○もり委員 環境省では、悠久の時によって育まれた巨樹、巨木林は、我が国の森林、樹木の象徴的存在であり、良好な景観の形成や野生動物の生息環境、地域のシンボルとして人々の心のよりどころになるなど、保全すべき自然として重要であるとして、巨樹、巨木林調査を行っていますが、都の巨樹、巨木林に対する評価をお伺いいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しております。
 本制度においては、良好な既存樹木を保存するため、天然記念物に指定されている巨木等に関し必要な調査を行い、行為地内にそのまま残すか、または行為地内において移植することについて適正な検討をすることを求めております。

○もり委員 ただいまのご答弁では、自然地と限定しているがために、民有地や管理されている土地は対象外となってしまい、都市の中で失われていく生物多様性の保全には不十分であると危惧します。都市の中において自然地と限定することなく、良好な既存樹木を保全する制度となるよう要望をいたします。
 森は、大きな木だけで成り立っているのではなく、小さな木、草、土壌などが森の生態系を形づくっており、一定の大きさの木の数だけで森の生態系を評価することはできないと考えますが、都として森林生態系をどのように評価しているのかお伺いをいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 奥多摩など山間部の森林は、木材生産機能や水源涵養、土砂の流出防止、野生生物の生息、生育環境の提供など、多様な役割を担っております。
 森林は、間伐等により人の手が入り、林の中に光が入ることで多くの下草や低木などが生育し、野生生物の生息環境が改善されると考えております。

○もり委員 生物多様性戦略では、台地東部には高度な都市機能が集約する中、皇居や明治神宮など、大規模緑地や企業などの民有の緑地がありますと述べ、明治神宮については、都心に残る大規模緑地−「永遠の杜」づくりとしてコラムが設けられていますが、神宮外苑については一言も触れられておりません。
 明治天皇及び昭憲皇太后をご祭神とする明治神宮は国が、また神宮外苑は日本全国の人々の献金と献木によって創建されたものであり、森林生態系としては、ともに重要だと考えます。都の明治神宮外苑に対する評価を伺いたかったのですが、生物多様性地域戦略の質疑において神宮外苑開発については所管外とのことで、ご答弁をいただくことはできませんでした。
 行動目標は、開発などにより失われるおそれのある既存の緑の確保の視点や、人の利用に供する公園、緑地の拡大の視点が指摘をされておりますが、神宮外苑では、再開発によって失われる既存の緑が多くあり、また、人の利用に供する公園、緑地は拡大していないと考えます。
 神宮外苑開発では、事業者は一面広告を打って、緑が増えるというのは、切って植えるから緑が増えると述べています。切って増えるというのは、環境政策ではミティゲーションの中で代償措置で、回避、最小化、修正、修復、軽減の中で、代償は代替資源や環境を置き換えて提供し影響の代償措置を行うという五段階であり、最後の手段です。代償措置に行き着くまでの間にどのような検討がなされたのか、都民には全く見えません。
 また、切る樹木は七百四十三本というのは、三メートル以上の樹木の数であり、日本イコモスによれば、建国記念文庫の森だけで三千本の樹木が伐採されるという見解があります。事業者の見解は、森の生態系の考え方に即して正しいものといえるのでしょうか。
 東京都生物多様性戦略でも、東京の将来像を実現するための二〇三〇年目標として、自然と共生する豊かな社会を目指し、あらゆる主体が連携して生物多様性の保全と持続可能な利用を進めることにより、生物多様性を回復軌道に乗せるネーチャーポジティブが掲げられています。
 神宮外苑開発において、ネーチャーポジティブはどのように実現をされるのでしょうか。ネーチャーポジティブは、方法論としてあらゆる主体が連携して、生物多様性の保全、持続可能な利用を進めることとされていますが、神宮外苑開発では地域住民が説明を求めても、また、日本イコモス委員会が意見交換を求めても、まさに無視と排除の開発が行われていることが大変残念でなりません。神宮外苑再開発において、あらゆる主体が連携して、生物多様性の保全と持続可能な利用を進めることが生かされるべきであると考えます。
 東京都環境影響評価条例は、計画の策定及び事業の実施に際し、公害の防止、自然環境及び歴史的環境の保全、景観の保持等について適正な配慮がなされていることを期し、もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とするとされています。ネーチャーポジティブは、環境影響評価に生かされるべきだと考えます。
 六月九日の衆議院環境委員会では、環境省は、環境影響評価は住民から広く意見を聞き、専門家の意見も聞きながら、環境保全の視点から、よりよい事業をするものと述べていますが、都として、神宮外苑開発の東京都環境影響評価条例の運用について、住民から広く意見を聞いて、また専門家の意見も聞きながら進めるべきだと考え、こちらも要望をいたします。
 また、同じ委員会で西村環境大臣は、東京都から相談があれば助言をすると述べていますが、東京都として、この神宮外苑開発の環境影響評価について、環境省や文部科学省に相談をしていないと見てとれますが、なぜ相談をしないのか、その理由を伺いたかったのですが、こちらも所管外ということですので、ぜひ国に対して、環境影響評価について環境省、文科省に相談をしながら名勝指定の選定など、ぜひ保全に向けた都の積極的な姿勢を求めます。
 また、明治神宮外苑開発は現在、イベント施設とオフィス、商業地へと変化をしておりますが、都市計画の権限を有する東京都が、当初はスポーツクラスターをつくろうと主導してきた再開発であり、事業者だけに責任を押しつけるのではなく、広く専門家や住民の意見を聞いて進めるべきと考えます。
 今回、生物多様性地域戦略の策定においての質疑ですが、どんなにすばらしい計画をつくっても、実際に目の前で失われていく生物多様性をそのままにすることは、計画そのものが空虚になってしまいます。
 環境アセスメントの分野の国際学会である国際影響学会の日本支部は昨日、六月十五日に明治神宮外苑地区の環境アセス手続に問題があるとして、東京都に対し、事業者に工事の一時停止を求めるよう勧告がありました。都の動きは世界からも注目をされております。
 昨日、都庁で会見をされた原科支部代表から、都の専門家の声を聞かない姿勢は、SDGsを求める……
   〔発言する者あり〕

○里吉委員長 静かにしてください。

○もり委員 世界の標準からかけ離れているとの視点がありました。東京都の都市の貴重な緑と生物多様性を守るため……
   〔発言する者あり〕

○里吉委員長 もり委員、質問をちゃんとしてください。

○もり委員 はい。都が責任を持って見直しを求めるよう強く求め、また、東京都生物多様性戦略を実現するために、全庁的な取組が求められると考えますので、ぜひ遵守していただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 次に、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けた気候変動対策について、キャップ・アンド・トレード制度についてお伺いをいたします。
 ゼロエミッション東京戦略における二〇三〇年カーボンハーフ達成に向けて、首都東京が国に先駆けた取組を行うことはとても意義があり、都内におけるCO2排出量の七割を占める建物への対策強化が求められます。
 昨年、条例改正を行った新築建物に対する再エネ設備の義務化に加えて、既存建物における取組の強化は喫緊の課題であり、これまでの省エネの取組から、再エネの利用拡大を積極的に支援する取組はとても重要であり、今回の需要と供給の両面からの制度強化を高く評価いたします。
 大規模事業者に対しては、キャップ・アンド・トレード制度の取組を強化するとしています。積極的な取組を後押しするインセンティブ等について、具体的にどのように推進をしていくのかお伺いをいたします。

○荒田気候変動対策部長 主に、省エネの取組が特に優良な事業所を認定するトップレベル事業所認定制度において、二〇二五年度から二〇二九年度までの第四計画期間には、省エネに加え、再エネ利用を含むゼロエミッション化への取組等を評価することにより、事業所の対策を促進いたします。
 また、投資家や金融機関等からの評価にもつながるよう、対象事業所の床面積当たりのエネルギー消費量や再エネに関する取組状況等を新たに公表するなど、公表内容を拡充することを検討しております。
 これらの取組を通じて、排出削減に積極的に取り組む事業所を後押ししてまいります。

○もり委員 改正案では、これまで原則固定していた電気、熱の排出量係数を実質排出係数に移行するとしており、これによりエネルギー使用量の削減を中心としていた制度が、より事業所のCO2排出削減の実態に即した制度になるものと評価いたします。
 改正後の制度を適正に運用するには、各事業者が使用するエネルギーの性質や、そのエネルギーの温室効果ガス原単位を的確に把握することが大切です。また、今回の改正においては、省エネ対策、再エネ利用、オンサイト、オフサイトを促すため、これらの実績に応じて超過削減量が創出される仕組みを新たに設定するとされています。
 これらを的確に算定するに当たり、自動計算を可能とするなどの対応が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 これまでの制度運営においても、対象事業者が都に提出する報告様式に使用した電気、熱及び燃料種ごとの使用量を入力すれば、原油換算エネルギー使用量やCO2排出量が自動的に算出されるよう工夫しております。
 第四計画期間におきましても、引き続き、事業所による適正な算出ができる報告様式等を提供してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 次に、中小規模事業所の地球温暖化報告書制度についてお伺いをいたします。
 中小規模事業所の継続的なCO2削減に向けた取組を促すため、地球温暖化対策報告書制度への参加を促進することが重要です。二〇二五年度以降の制度強化では、報告、公表、評価の拡充により、省エネと再エネ導入に取り組む事業所を取引先からの評価につなげ、後押ししていくとのことです。特に中小企業等は、我が国の産業を支える重要な存在であり、サプライチェーンの一環として、大企業からCO2排出量の把握や削減に向けた取組が求められる動きがあります。
 今後は、制度に未参加の中小企業等についても、省エネや再エネ導入の取組をさらに促進することが重要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 中小企業等においても、省エネや再エネ導入によりCO2排出削減に取り組むことは重要です。一方で、資金や人材等で取組が進みにくい中小企業等に対しては、様々な面で後押しが必要でございます。
 そのため、引き続き産業労働局と連携し、中小企業等に対し多面的に支援いたします。あわせて、支援を受ける中小企業等に対して報告書の提出を促すなど、施策の連動性を高めることで中小企業等の継続的な取組を後押ししてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 今、本当に中小企業、大田区も中小企業のまちですので、ウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰や様々な影響が出ており、そういったことからも、再エネ導入を大きく後押しすることが事業改善の面からも意義があると考えますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、エネルギー環境計画書制度についてお伺いをいたします。
 供給側を後押しする取組として、エネルギー環境計画書制度として方針改定の方向性が示されております。都は、二〇三〇年度の都内における再エネ電力利用割合の目標として五〇%程度を提示しております。
 現在、二割の現状に五〇%の目標は大変意欲的であり、評価するものですが、高い都内再エネ目標の達成に向けて、事業者の取組をどのように後押しするのかお伺いをいたします。

○荒田気候変動対策部長 今回の制度強化におきまして、都は、小売電気事業者による再エネ電力割合の二〇三〇年目標水準を定めることにより、再エネ電力割合の高い事業者の拡大を誘導してまいります。
 また、事業者に対し、目標水準を踏まえた目標設定や目標に向けた計画、実績等についての報告、公表を求めることによって、積極的な事業者が電気需要家から選ばれる環境を整備してまいります。
 こうした取組を通じ、事業者の意欲ある取組を後押しすることによって、都内再エネ電力割合を五〇%程度とする二〇三〇年目標を達成してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 エネルギーの大消費地である東京都が再生可能エネルギーを基軸に据えて、供給側の取組を後押しすることは大変重要です。
 一方、国では、温室効果ガス削減に寄与するとして、原子力を最大限利用する方針にかじを切りました。知事は、電力需給などをはじめとするエネルギー問題について検討する東京都エネルギー問題アドバイザリーボードを立ち上げ、五月二十九日に初会合を開催し、石炭火力や原発利用への方向転換をするのではと危惧の声が上がっており、時代に逆行するものであってはならないと考えます。
 気候危機は、まさに待ったなしの問題です。事業者の意欲ある取組を後押しするとともに、区市町村、都民と共に強力に再エネ利用目標達成を進めていくことで、東京から国を牽引する取組となるよう期待を込めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、私から、災害廃棄物処理計画の改定、中間のまとめについて幾つか質問してまいりたいと思います。重複しているところも多々ありましたので、省いてまいりたいと思います。
 現行の災害廃棄物処理計画については、策定したのが二〇一七年ということでありますから、五年が経過しているわけであります。この間、岡山県や広島県が被災した平成三十年七月の西日本豪雨や、あるいはまた都内、また千葉県等々で自治体も被災をした令和元年台風など、全国各地で大規模な災害が発生をしております。
 これらの被災地では、いずれも多くの災害廃棄物が発生をしておりまして、その処理の現場では、今後に生かすべき様々な教訓があったというふうに思います。
 まず初めに、こうした教訓が今回の改定にどのように反映されているのか伺ってまいりたいと思います。

○志村資源循環推進部長 今回の改定では、近年の災害廃棄物対応により得られた知見や教訓などを積極的に取り組むこととしております。
 例えば、平成三十年七月、西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市等では、ボランティアによる家庭からのごみの搬出等の活動が災害廃棄物処理に貢献したことから、今回の改定では、ボランティアとの連携を新たな視点として加えております。
 また、令和元年台風第十九号により、都内の一部の自治体で行った災害廃棄物処理では、清掃工場を運営している一部事務組合との間で搬入可能な廃棄物の種類等についての調整に時間を要し、初動に遅れが生じたことから、災害廃棄物合同処理本部の設置により、平時から調整を図ることを提案しております。

○伊藤委員 災害廃棄物処理の実効性を向上させていくためには、過去の災害からの学びをしっかりと計画等に反映をしていくことが重要であります。都には、今後も情報収集や検証をしっかりと行って、処理主体である区市町村との共有を図っていくことをぜひ要望したいと思います。
 今回の改定の中に、新たな視点としてボランティアとの連携ということを入れたという答弁でありましたけれども、ちょっと前になりますけれども、スーパーボランティア、災害ボランティアで有名になった尾畠春夫さんがいらっしゃいましたけれども、今八十を超えて、今でもお元気で、体を鍛えながら、災害に備えながら、ボランティアをいつでもできるようにやっているということをSNSで見ましたけれども、本当にこうした志の高いボランティアの方々であります。
 先ほど須山副委員長の方から、自治体によって災害廃棄物の収集の仕方が違うという話がありましたけれども、私は、ぜひお願いをしたいのは、このボランティアの方々を受け入れて采配をしていくのは、区市町村の社会福祉協議会が窓口になるわけでありますので、ぜひ区市町村がどういうふうに仕分けをしていくのか、こうしたことをボランティアにしっかりと伝わるような体制をつくっておくという観点、これを持っていただければというふうに思います。
 いずれにしても、大規模な災害によって大量の災害廃棄物が発生したときには、都内の施設だけで処理することが困難となって、他県からの支援を受けるなど、広域的な対応が求められる場面も想定されるわけであります。
 先ほど、都は広域的な支援の調整を行うという答弁がありましたけれども、広域的な支援の調整、これ、具体的にはどういう取組になるのか伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 大規模な災害によりまして、大量の災害廃棄物が発生し、都内の施設だけでは処理できない場合には、他県の自治体等から支援を受けることになります。
 こうした場合、国が設置する災害廃棄物対策関東ブロック協議会を通じまして支援を求めることとされており、都は、この協議会に参加し、平時から関連自治体との顔の見える関係の構築に努めております。
 また、災害発生時には、都内の被害状況や被災自治体の意向を把握するとともに、こうした枠組みを活用し、必要に応じて都が前面に立って、他県の自治体との調整を進めてまいります。
 一方、他県等での災害発生時には、災害廃棄物処理の経験を有する職員の派遣や、災害廃棄物の都内施設での受入れに向けた調整を行うなど、積極的な支援を行っているところでございます。

○伊藤委員 答弁の中に、他県等での災害発生時には、災害廃棄物の処理の経験を有する職員の派遣をしたりとか、あるいは都内の施設でも受け入れていくんだということでありました。
 私たちはまだ記憶に新しい東日本大震災でありますけれども、この東日本大震災では災害廃棄物が二千万トンを超えて、早期の復興の妨げになっていたわけであります。被災県だけで処理するには二十年近くかかるということで、この当時、都議会公明党からも石原都知事に要望させていただきまして、東京都は全国に先駆けて災害廃棄物の受入れを開始したわけであります。
 しかし、都民の方の中には、福島の原発の事故による放射能を浴びた廃棄物に対しての心配もありました。岩手県の宮古から東京は受入れをしていったわけでありますけれども、現地で三回、放射線の検査、受け入れてからも三回検査して、こうやってお互いに助け合ってきたわけであります。
 こうしたお互いに他県との関係を深めていく、これは本当に大事なことだと思いますけれども、ましてや東京が被災をしたときに、災害発生時の大混乱のさなかで、他県への支援要請を区市町村が行うということは現実的には難しいというふうに思います。都が被災自治体のニーズを的確に把握をして調整を進めるように、ぜひお願いしたいと思います。
 また、大規模な災害発生時に、特に水害では、廃棄物の収集を行うパッカー車、ごみを収集していただくパッカー車が水没をして、特定の地域で収集できない、こうした事態が生じることも考えられるわけであります。こうした場合のバックアップ体制はどのようになっているのか伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 災害廃棄物の収集運搬は区市町村が担うこととされており、災害により、パッカー車をはじめとした車両が使用不能となった場合には、まずは近隣の自治体へ支援を要請することとなります。
 例えば、特別区では特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定を、多摩地域では多摩地域ごみ処理広域支援体制実施協定書を締結するなど、災害時に相互に支援する体制を構築しております。
 被害が広範囲にわたり、都内の区市町村だけでの対応が困難となった際には、他県に支援を求めることとなり、こうした場合には都が中心となって調整を図ってまいります。

○伊藤委員 答弁にあったとおり、しっかりとそうしたときには都がリーダーシップを取っていただいて、調整をやっていただければと思います。
 既に相互支援の協定が結ばれているということで安心をいたしましたけれども、災害時には自治体も混乱のさなかにあって、調整がうまく進まないことも多々あるというふうに思います。そうした際には、円滑に調整が進むよう都が間に入っていただくよう、よろしくお願いをいたします。
 私は、これまで東日本大震災の後の東北をはじめ、幾つもの被災地の視察、また調査をしてまいりました。こうした中で、様々な廃棄物が分別されることなく排出をされて、その後、処理に苦戦する様子を何度も目にしてまいりました。
 災害時といえども、しっかりと分別することで、その後の処理をスムーズに進められることはもちろん、再資源化も可能となります。このため、平時から住民に対して災害時の分別ルールなどを事前に周知することが重要と考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 災害時であっても、仮置場等において災害廃棄物の分別を着実に行うことは、その後のごみ処理施設での円滑な処理やリサイクルにつながることから重要であると認識しております。
 今回の改定では、排出方法の遵守に向けて、住民やボランティアに配布する分別区分を分かりやすく示したチラシを事前に準備しておくことを促すとともに、そのチラシに記載すべきポイントを整理しております。
 また、一部の自治体では、既にホームページやごみカレンダー等で災害時のごみの出し方を周知しており、こうした取組を他の区市町村でも実施するよう促しているところでございます。

○伊藤委員 災害時には被災した都民も混乱することが想定をされるため、平常時から災害廃棄物の分別のルール、これを周知することは大変重要なことだと思います。答弁にあったごみカレンダーへの掲載などに加えて、各区市町村で、地域で防災訓練をやっています。こうした防災訓練のときを捉えて、ぜひ災害のときにはこういうふうに分別をしていただきたいということを区市町村から発信できるようにしていただきたいというふうに思います。
 これは環境局からいただきましたけど、府中市の災害が発生したらこういうふうに分けるんですよというチラシが事前に配られているようでありますので、このような好事例をしっかりと広げていただいて、今申し上げたとおり、地域の防災訓練のときに周知をする、こうしたことも重要だというふうに思います。多くの自治体で事前の周知が行われるよう、都からしっかりと働きかけをお願いしたいと思います。
 また、災害時には危険物や有害物をはじめ、日頃、自治体では処理していない廃棄物も発生をするわけであります。こうした処理困難物をどのように処理をしていくのか伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 今回の改定では、これまでの知見や経験を踏まえて、災害廃棄物の中でも石綿含有建材、PCB廃棄物、廃タイヤなど、処理困難物等の主な処理先の考え方や留意点を整理したところでございます。
 例えば、石綿含有建材について、原則として現場から処理施設へ直接搬入すること、やむを得ず保管する場合は他の廃棄物と分け、飛散防止措置を施し、その旨を表示すること等の留意点を示しております。
 また、廃タイヤについては、燃え出した場合、消火が困難となるため、保管場所の面積に上限を設ける、複数の保管場所がある場合には離隔距離を確保すること等の留意事項を示すとともに、処理に当たっては、既存のリサイクルルートを活用することを示しております。
 今後、こうした処理困難物の処理先の考え方や留意点等について、区市町村の職員を対象とした災害対応力向上訓練や情報交換会等の場を活用して浸透させてまいります。

○伊藤委員 処理困難物といえども、事前の備えさえしっかりしておけば、着実に処理することが可能であります。区市町村への周知をしっかりと行うよう、お願いをしたいというふうに思います。
 三宅島が噴火をされて、全島避難をされて、もう二十数年になりますけれども、その後、島民が帰島されたときに私も視察に行かせていただきましたけれども、あれは避難をされてから帰島するまで数年がありましたので、そういう意味でいうと準備の時間があったかもしれません。
 ただ、帰島されたときに私が行ったときには、例えば小学校の校庭に冷蔵庫、冷蔵庫ばっかりばあっと並んでいて、フロンガスの処理とかをちゃんとまとめてやる、あるいは、もう乗れなくなってしまった車、こうしたものもしっかりと集めて、バッテリーはバッテリーでちゃんと処理の準備をしていたところを見たわけでありますけれども、災害のときにこうした処理困難物というのは、処理の仕方も非常に大事だというふうに思いますので、中間のまとめで示されたとおり、このことについてもしっかりと教訓を生かしていただきたいというふうに思います。
 また、この計画の中に災害廃棄物合同処理本部を設置するということでありますけれども、これも非常に重要な取組だというふうに思います。
 そこで、この災害廃棄物合同処理本部はどのようなメンバーで構成されるのか、また、具体的にどのような検討を行うのか伺いたいというふうに思います。また、あわせて、合同処理マニュアルの策定を働きかけるということでありますけれども、これもどのようなことが記載されるのか伺ってまいりたいと思います。

○志村資源循環推進部長 今回提案しております災害廃棄物合同処理本部でございますが、一部事務組合と当該組合を構成している区市町村がメンバーとなって設置することを想定しており、都も必要に応じてオブザーバーとして参加することとしております。
 処理本部では、発災時の指揮命令系統、一部事務組合で受入れ可能な災害廃棄物の種類や量、仮置場の分別区分、搬入車両の種類や大きさ等を検討すべき事項として示しているところでございます。
 また、マニュアルでは、こうした検討結果を踏まえ、構成区市町村と一部事務組合の役割分担、片づけごみについて一部事務組合で処理するものと民間事業者に処理を委託するものの区分など、合同で処理する上で必要な事項を整理することを想定しております。

○伊藤委員 初動期に混乱が生じると、その後の処理にも影響が大きく出るということであります。合同処理本部を設置するということでありますけれども、この本文の方の二九ページのところにこの災害廃棄物合同処理本部の設置ということが書いてあります。その本文の八行目辺りから、合同処理本部の設置方法や構成員、本部長等についてあらかじめ検討を行う。また、災害廃棄物の収集、運搬から処理、処分までのフローについて、今後、確認、検討をしていくというふうに書かれております。
 私が思ったのは、災害廃棄物の収集、運搬から処理、処分までのフローと書いてあります。この災害廃棄物を、また生活ごみについても、最前線で収集あるいは運搬に当たっていただいている方々は、東京環境保全協会の事業者の方々であるというふうに思います。この表の中にそのことを文では書かれてあるんですけれども、環境保全協会のように最前線で収集をしてくださる、運搬をしてくださる、こうした方々の意見もしっかりと取り入れていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 いずれにしても、このたびの中間のまとめのポイントの一つとして、水害時の災害廃棄物発生量の推計式を示したということが挙げられるわけでありますけれども、そこで、この推計式がどのようなものなのか、またどういった場面で活用されるのか伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 地震災害では、災害廃棄物のほとんどが家屋の倒壊、解体による解体廃棄物となりますが、水害では、水にぬれた家具や家電等が廃棄物となった片づけごみの発生が多くなります。
 こうした点を踏まえ、新たに整理した推計式では、解体廃棄物と片づけごみをそれぞれ計算することとしております。このうち、片づけごみについては、床上浸水、床下浸水、それぞれの世帯当たりの発生量をお示ししております。
 水害時には、水が引き、片づけが始まると、災害廃棄物が一斉に排出されるという特徴があり、区市町村が速やかに処理すべき量を把握し、仮置場や収集運搬車両を確保することなどに活用することを想定しております。

○伊藤委員 災害廃棄物の発生量を迅速に把握することは、円滑な処理に向けて大変重要なことだというふうに思います。区市町村の職員がなるべく正確に算定することができるように、都からは丁寧に支援をしていただくようお願いをしたいと思います。
 都が昨年十二月に策定したTOKYO強靱化プロジェクトでは、大規模地震の発生のときに、マンションの住民の方に対して在宅避難を呼びかけ、避難所への避難を抑制するというふうにしております。
 この件については、過日の本会議の代表質問で都議会公明党も取り上げさせていただきましたけれども、被災したマンションでは、設備の故障等によってトイレの利用ができなくなることもあって、復旧まで一か月以上要することも想定されているわけであります。
 この場合、復旧までの間は、簡易トイレやマンホールトイレを活用していくということになると思いますけれども、タワーマンションなど、住戸の数が多くて、簡易トイレの廃棄量も膨大な量に及ぶため、処理も大変に困難になるというふうに考えます。
 総務局の想定では、首都直下地震の見直しを行っていく中で、在宅避難をしているマンション、集合住宅にお住まいの方で、一世帯で仮に四人、親御さんと子供さん二人がいて、四人の家族でもって、一人が大体一日五回、簡易トイレを使うだろう、そしてそれが七日間は続くだろうという想定をしています。
 ということは、一週間でこの簡易トイレが一世帯だけで百四十個たまるわけであります。これが何百世帯という大きなマンションであったりとかした場合には、大変な問題になるというふうに思います。
 こうした簡易トイレの収集、あるいはまた処理についてどのようにして行うのか、都の見解を伺っておきたいと思います。

○志村資源循環推進部長 使用済みの簡易トイレは、公衆衛生上の観点から、生ごみと同様に優先的に回収し、清掃工場で焼却処理を行う必要があります。一方で、簡易トイレは水分を多く含んでおり、簡易トイレのみが大量に持ち込まれた場合には、焼却に際して注意が必要となります。
 このため、住民等への排出方法、区市町村での収集運搬の方法、清掃工場における焼却の手順等を事前に定めておくことが有効でございます。
 災害廃棄物合同処理本部での検討事項の一つとして、簡易トイレを含む生活ごみ等の収集運搬体制の構築、処理先である一部事務組合との調整等を示しており、今後、災害廃棄物処理計画の内容を周知する中で、簡易トイレの処理についても検討を働きかけてまいります。

○伊藤委員 今、答弁いただいた内容はとっても大事な内容であります。公明党の小磯理事が、このことを前からずっと課題を追っているわけでありますけれども、鹿児島の方に視察に行かれて、そこのところで高齢者施設から出てくるおむつであったりとか、あるいは保育所から出てくるおむつだったりとか、それを地域によっては大量に処分しなきゃいけないわけであって、清掃工場でそれを処分しようと思うと、やっぱりぬれていますので、非常に窯の温度が下がってしまう。だから、またさらに燃料を使って燃やしていって、処理工場自体がどんどん老朽化も速くなってしまう。こんな状況も視察をされたというふうに伺いましたけれども、これ災害時、先ほど申し上げた、数字を具体的に出しましたけれども、大変な問題になると思いますから、事前にしっかりと十分に検討していただいて、清掃工場それぞれが大丈夫なのかどうか、まだ誰も実験したことがないわけでありますので、しっかり準備をしていっていただきたいというふうに思います。
 大規模な災害は、明日にでもやってくる可能性があるわけであります。できるだけ早く処理のルール等を定めるよう、都から強く働きかけていただきたいと思います。
 ここまで災害廃棄物処理の計画の内容について様々に質問をしてまいりました。また、要望もさせていただきました。備えあれば憂いなしというように、事前の計画をしっかりと立てておくことが、円滑な災害廃棄物の処理には欠かせないわけであります。引き続き、専門家等の意見を聞きながら、実効性の高い計画を策定していただくようお願いをしたいと思います。
 また、こうした計画はつくって終わりというわけではありません。計画に記載されていることを都はもちろん、各区市町村に着実に浸透させていくとともに、災害廃棄物処理に関する最新の知見をまた取り入れていきながら、適宜見直すことも要望して、質問を終わります。

○曽根委員 最後の質問となりますので、できるだけ簡潔にやりたいと思います。
 私からは、カーボンハーフを目指すキャップ・アンド・トレード等の見直しに向けた報告についての質疑をできるだけ絞って行いたいと思います。
 これまでも何人もの方が質問をされて、この中で今までの成果は大きく評価できるということと、しかし、二〇二五年から始まる、いわばカーボンハーフを達成するための五年間の取組は、これまでの取組からの飛躍的な取組の強化が必要と。制度も強化しなきゃならないと。しかし、どの分野も取り残してはならないという大きな課題を持っていると思います。
 私は、需要面と、それから主に電力の供給面、両方の角度から、今までの取組の中で、このままでいくと大きな取り残しになってしまいかねない分野について絞って質問いたします。
 一つは、需要面でいいますと、とにかくこれからは特に事業所ですね。建物、住宅などの排出エネルギーが七割ですので、そこをいかに減らしていくのかということで、その建物の多くを担っている事業所、取組のテンポを大きく飛躍させるために何が必要かと。
 報告の中で強調されているように、やはり省エネはもちろん進めなきゃなりませんが、再エネの導入の拡大努力ということがいわれております。確かにこのことが今後の大きな飛躍のためには不可欠だというふうに私も思いますが、その上で、大企業は様々な投資能力も持っているので、資金力もありますから、いろんな事業所外の再エネ設備をつくるとか、そこからの電力を確保するなどのことが大いに可能だと思うんですが、問題は中小規模の事業所にとって、再エネの利用拡大に、多くのところでは、私が知る限り、情報もなかなか来ないと、意欲も持てないという状態にある現状をどう打開するのかと、このことが大きな鍵を握っていると考えております。
 大企業が目標を達成すれば、東京都全体としてはある程度前進すると思うんですが、しかし、最終的にはカーボンゼロ、ゼロエミッションを実現するわけですので、そのときに、現状でエネルギー排出の六割が中小企業の事業所から出ておりますので、ここを取り残して置き去りにしていくことは絶対にあり得ないと思うんですね。
 その点で、中小企業は都内の地域経済の中での重要な基盤になっておりますので、それでなくても、地球環境対策でもって東京都の政策についていけなくなるというようなことになると、東京の地域経済にとっても大きな損失ということにもなりますので、ここをいかに前向きに取り組めるように支えていくのかということが大事だと思います。
 そこでお聞きしたいんですが、東京都では中小規模事業所などの需要面の取組として、この地球温暖化対策報告書制度の中で目標設定をして、エネルギー消費量で二〇〇〇年対比三五%の削減、再エネ電力割合で五〇%を実現するという目標を提示して、これにいかに近づけていくかということのそれぞれの報告書、取組状況の報告を求めているわけですが、これに取り組んでいく上で、例えばまち場の商店や工場などの小規模な事業所において、簡便な手続で再エネ設備を導入できるような初期投資の軽減などの支援がどうしても必要になってくると思うんですけれども、東京都の取組の具体的な状況についてお聞きします。

○荒田気候変動対策部長 地球温暖化対策報告書制度においては、積極的に再エネを利用する事業者を評価し、CO2排出の削減に向けた継続的な取組を後押ししております。こうした中、中小企業等の再エネ設備導入を促進するため、関係各局と連携し、様々な支援を行っております。
 例えば、環境局が実施する太陽光発電及び蓄電池グループ購入促進事業では、出力十キロワット未満の太陽光発電設備等を住宅や事業所などに設置する場合、市場価格より安価に購入できるようになります。

○曽根委員 私もお聞きして意外だったのは、東京都の四月の末から登録が始まっている制度では、神奈川県などが先行しているようですけれども、グループ購入による太陽光パネルなどの設置によって、住宅でも、または小規模事業所でも、どちらも登録ができて、グループ制度を使うことによって、設置費用が大体一割から二割程度、価格が引き下げられるということが可能になると聞きました。
 東京都の案内の中には、この仕組みを使えば、東京都の補助金も併せて利用できる場合がありますので、ぜひご活用くださいと。つまり、ダブルの支援が受けられる場合があるわけですよね。住宅では、当然ながら既存住宅の太陽光パネル設置に対する補助金が、この割り引かれた実費に対して、さらに補助制度が使えるようになるんだと思います。
 問題は、中小企業がこれを使った場合、この制度そのものは活用できるんですが、その先、個別の中小事業者として、これは主に産労局になると思いますが、新たにここに補助金や融資制度を受けていくのが、なかなか条件が厳しいというふうに聞いています。
 ただでさえ今、中小の商店や工場の経営は、軒並み赤字が多い状況ですし、さらに福祉や医療分野の事業所など様々な分野がありますので、こういうところが新たに設備投資をして再エネを導入し、かつそれに対して一定の支援を業者から受けられるかどうか。ここには大変厳しい、何ていいますか、条件が課されていると思うんですね。
 ここの分野を、大きく個人住宅ぐらいの融資や補助に制度の門戸が開かれる必要があると。そうしないと、なかなか中小事業者がこの三五%削減、五〇%再エネの目標に近づいていくということは、かなり難しいんじゃないかというふうに感じます。
 東京のカーボンハーフは、さらに脱カーボンという取組には、都民はもちろんですが、中小零細企業を絶対取り残してはならないというふうに私は思いますので、この点での産労局とも連携したさらなる取組の大きな支援の充実を求めておきたいと思います。
 もう一点、今度は供給の側なんですが、東京都は、再エネ電力割合の高い電気供給事業者の拡大ということを今回の柱の三つ目のところですが、強調しておりまして、都内に電力を供給している小売電気事業者約二百八十社、ここの中で五〇%の再エネ割合を達成するように目標を提示しています。
 問題は、この小売電気事業者の中で、先ほどもちょっと質問がありましたが、大企業と中小企業の電力供給割合に大きな開きがあるんですが、例えば私の方で聞きたいのは、上位十社だけでも相当な割合を占めていると思うんですが、この割合についてお聞きしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 小売電気事業者等から都に提出されているエネルギー状況報告書によると、令和三年度における制度対象事業者二百八十社のうち、上位十社の都内電力供給の割合は約八割でございます。

○曽根委員 二百八十社中の十社だけでも全体の電力供給の八割を握っているわけで、ここが本気になって、この五〇%再エネ割合、私はもっと本気になって、五〇%を超える目標を、東電をはじめ、こういう全体の大部分を電力供給している会社が積極的な目標を持つということは全体を底上げするわけですから、先ほど目標にあった小規模事業者の再エネ五〇%も、そういう電力会社に契約していれば自動的に達成するということになりますので、そういう点でも底上げができるようになる。それぐらいのことをやらないと、今、国際的に求められている日本に対する脱カーボンの取組には、もう間に合わないんじゃないかというのが私の実感であります。
 これは代表質問でも私たちは提起をいたしましたが、IPCCが今年三月に報告書を公表しまして、これからの取組が千年規模で地球の環境を規定すると。さらに、グテーレス国連事務総長は、気温上昇を一・五度に抑えることは可能だけれども、飛躍的な行動の前進が必要だとして、先進国の指導者には、できるだけ二〇四〇年を大きく超えない時期に排出量実質ゼロを実現することを求めているわけで、十年繰り上げてほしいということですよね。二〇五〇年ではなく、二〇四〇年ぐらいまでに実質ゼロを実現してほしい。
 そうすると、二〇三〇年が五〇%目標でいいのかということが、日本を含め先進国に問われてくるということになりますので、例えば最大手の東電などが自発的に六〇%目標を掲げるということになれば事態は大きく変化し、一気に日本の取組の底上げがされることは明らかであります。
 そのためには、東京電力には、少なくとも石炭火力発電など、政府の電力政策にいつまでもついていくというようなことからの脱却も求めなければならないと思います。そういう点で、本当の意味で東京の、全国にも最新、最先端を切っている省エネ、再エネの責任を果たしていくことになると思います。この点も強く求めておきたいと思います。
 最後に、新たな再エネ、省エネの可能性を広げるために、私の方から、これは質問ではありませんが、東京に特有のエネルギー排出についての把握漏れをなくしておくことも提起しておきたいと思います。
 第一は、昨年、私、事務事業質疑、本委員会で提起しましたが、大型ビルを建設する場合、取壊しの段階と建設の段階の工事に伴うエネルギー排出量の問題です。
 今回はまだ制度の枠組みとして位置づけられていませんが、ビル建設ラッシュが続く東京では、大型ビルの場合、トータルのエネルギー排出の三割が建設時と取壊し時に排出されるわけで、都の排出量削減計画にカウントされていないという問題は無視できないと考えます。
 もう一つ、今回新たに問題提起したいのは、やはり超高層のタワーマンションなどが排出するエネルギーの問題です。
 これは、建物、住宅の場合には、建ち上がった後については、排出量の計画などは提出の義務はありませんので、大型のマンションは管理組合に管理が移行した後は、この排出エネルギーについては規制の対象にならないわけです。
 そういう点では、今後は大規模事業所並みの省エネ、再エネの取組が進めば、カーボンハーフに向けて大型マンションなども大きく貢献できるし、また、そういう制度をつくっていかなければならない状況じゃないかと思います。
 大規模マンションを日常管理する管理組合を対象に、省エネ、再エネの取組について積極的に啓発を行い、例えば最新の超薄型の太陽光パネルなど、再エネ技術などの情報の提供や、その導入のための援助、指導、補助制度の充実などに取り組む必要があると考えます。この点も併せて要望して、今後、取組の飛躍的な拡大を促進するための積極的な提案も私たちは行っていきたいと思いますので、以上申し上げて、質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時二十八分散会

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