環境・建設委員会速記録第六号

令和五年六月五日(月曜日)
第九委員会室
午後一時三十一分開議
出席委員 十三名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長須山たかし君
副委員長曽根はじめ君
理事柴崎 幹男君
理事成清梨沙子君
理事小磯 善彦君
漢人あきこ君
山田ひろし君
原  純子君
渋谷のぶゆき君
伊藤こういち君
こいそ 明君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長宮澤 浩司君
総務部長小川 謙司君
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長長谷川徳慶君
気候変動対策部長荒田 有紀君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長戸井崎正巳君
環境改善技術担当部長宗野 喜志君
自然環境部長生物多様性担当部長兼務和田 慎一君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環技術担当部長横山 英範君
資源循環計画担当部長中島 隆行君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長古屋 留美君
道路監花井 徹夫君
総務部長浅野 直樹君
道路建設部長久野健一郎君
公園緑地部長佐々木 珠君
河川部長斉藤  有君
企画担当部長松島  進君
建設DX推進・危機管理強化担当部長DX推進担当部長兼務儀間  潔君
道路保全担当部長原田 和生君
無電柱化推進担当部長今宮 正純君
道路計画担当部長周郷 友義君
公園計画担当部長根来 千秋君
河川防災担当部長小木曽正隆君

本日の会議に付した事件
議席について
建設局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・関戸橋(五)鋼けた製作・架設工事請負契約
・等々力大橋(仮称)(五)下部工事請負契約
・東京都立明治公園の指定管理者の指定について
報告事項(説明・質疑)
・令和四年度予算の繰越しについて
請願の審査
(1)五第三号 葛西臨海水族園における景観と自然環境の保全及び既存施設の利活用に関する請願
環境局関係
第二回定例会提出予定案件について(説明)
・令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 環境局所管分
報告事項
・令和四年度予算の繰越しについて(説明・質疑)
・カーボンハーフ実現に向けた既存建物等に係る制度の見直しの方向性について(大規模事業所に対する温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)、地球温暖化対策報告書制度、エネルギー環境計画書制度)(説明)
・東京都生物多様性地域戦略の改定について(説明)
・東京都災害廃棄物処理計画の改定について(中間のまとめ)(説明)
請願陳情の審査
(1)五第一号 神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願
(2)五第七号 太陽光パネルの設置及びメンテナンスに関する陳情

○里吉委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 議席は、ただいまご着席のとおりといたしたいと思います。ご了承願います。

○里吉委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議案法制課担当書記の小関友恵さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○里吉委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の第二回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、報告事項の聴取及び請願陳情の審査を行います。
 なお、本日は、予算の繰越しに関する報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑をそれぞれ終了まで行い、提出予定案件及びその他の報告事項につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、東京都技監から紹介があります。

○中島東京都技監 去る四月一日付で異動のございました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 次長の古屋留美でございます。道路建設部長の久野健一郎でございます。公園緑地部長の佐々木珠でございます。河川部長の斉藤有でございます。企画担当部長で子供政策連携室企画調整担当部長、スタートアップ・国際金融都市戦略室スタートアップ戦略推進担当部長を兼務いたします松島進でございます。建設DX推進・危機管理強化担当部長でDX推進担当部長を兼務いたします儀間潔でございます。道路保全担当部長の原田和生でございます。無電柱化推進担当部長の今宮正純でございます。道路計画担当部長の周郷友義でございます。河川防災担当部長の小木曽正隆でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○里吉委員長 紹介は終わりました。

○里吉委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中島東京都技監 第二回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をご覧いただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、契約案が関戸橋(五)鋼けた製作・架設工事など二件、事件案が東京都立明治公園の指定管理者の指定について一件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明いたします。

○浅野総務部長 第二回定例会提出予定案件の内容につきましてご説明申し上げます。
 最初に、資料1をご覧ください。契約案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております契約案二件の件名は、目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開きください。関戸橋(五)鋼けた製作・架設工事でございます。
 本工事は、鎌倉街道の多摩川に架かる関戸橋につきまして、老朽化が進んだことから、下流橋の架け替えを行うものでございます。
 工事場所は府中市住吉町二丁目地内から多摩市関戸二丁目地内まで、契約の相手方は三井住友建設鉄構エンジニアリング株式会社、契約金額は二十五億三千百九十七万四千五百円、工期は令和八年七月二日までとする工事請負契約を一般競争入札により締結しようとするものでございます。
 二ページをご覧ください。本件工事の案内図でございます。丸で囲んでおりますのが、工事場所でございます。
 三ページをご覧ください。構造物の形状は、平面図及び標準断面図のとおりでございます。
 四ページをご覧ください。等々力大橋(仮称)(五)下部工事でございます。
 本工事は、東京都側の目黒通りと神奈川県側の宮内新横浜線をつなぐ多摩川を渡河する新設の橋梁を整備する事業でございます。
 工事場所は世田谷区玉堤二丁目地内から神奈川県川崎市中原区宮内一丁目地内まで、契約の相手方は清水建設株式会社、契約金額は十一億七百七十万円、工期は令和六年八月五日までとする工事請負契約を一般競争入札により締結しようとするものでございます。
 五ページをご覧ください。本件工事の案内図でございます。丸で囲んでおりますのが、工事場所でございます。
 六ページをご覧ください。構造物の形状は、平面図及び標準断面図のとおりでございます。
 次に、資料2をご覧ください。事件案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております事件案の件名は、目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開きください。整理番号1、東京都立明治公園の指定管理者の指定についてご説明申し上げます。
 1の提案理由でございますが、東京都立明治公園の指定管理者の指定に当たり、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づき提出するものでございます。
 2の指定の概要でございますが、対象となる公の施設の名称は東京都立明治公園、指定管理者の名称はTokyo Legacy Parks株式会社、指定の期間は令和五年十月三十一日から令和十五年二月二十八日まででございます。
 二ページに議案を添付してございます。後ほどご覧いただきたいと存じます。
 以上で令和五年第二回定例会提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。——なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○里吉委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○浅野総務部長 令和四年度建設局予算の繰越しにつきましてご報告申し上げます。
 予算を翌年度に繰り越して使用する場合は、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び第百五十条第三項の規定によりまして、議会に報告することとされております。
 お手元に配布しております資料3、令和四年度繰越説明書の一ページをお開き願います。令和四年度繰越明許費総括表でございます。
 表の最上段、一般会計、土木費の行をご覧ください。
 土木費の予算現額は三千九百五十七億三千三百二万七千円、繰越明許費の予算議決額は四百五十七億九千百万円で、二百二十六億二千百九万五千円を翌年度へ繰り越しするものでございます。
 財源は分担金及び負担金、国庫支出金並びに繰越金でございます。
 次に、下から二段目、用地会計の行をご覧ください。
 この会計は財務局の所管でございますが、当局が執行委任を受けまして執行したものでございます。
 翌年度繰越額は一億五千八百三万七千円で、財源は都債及び繰越金でございます。
 一般会計と用地会計を合わせた翌年度繰越額の合計は二百二十七億七千九百十三万二千円でございます。
 二ページをお開き願います。一般会計に係る明許繰越の事項につきましてご説明申し上げます。
 番号1番の庁舎整備及び2番の土木補助は土木管理費でございます。
 繰越理由は、右側の説明欄にそれぞれ記載しておりますとおり、庁舎整備につきましては先行工事の遅延等、また、土木補助につきましては市町施行事業におきまして、関係機関との調整及び用地取得に伴う関係人との折衝等に日時を要したことによるものでございます。
 三ページをお開き願います。上段の3番、生活再建資金貸付までが土木管理費でございます。
 繰越理由は、生活再建資金借受者が建物再建等に日時を要したことによるものでございます。
 同じ三ページ下段の4番、道路補修から六ページ上段の9番、橋梁整備までは道路橋梁費に係る繰越明許費の詳細を記載してございます。
 同じ六ページ下段の10番、河川防災から八ページの14番、砂防海岸整備までは河川海岸費の詳細を記載してございます。
 九ページの15番、公園整備から一〇ページの17番、霊園葬儀所整備までは公園霊園費の詳細を記載してございます。
 これら事業の主な繰越理由は、関係機関との調整、施工方法の再検討、地元住民との調整及び用地取得に伴う関係人との折衝に日時を要したこと等によるものでございます。
 一一ページをお開き願います。用地会計による公共用地先行取得でございます。
 繰越理由は、用地取得に伴う関係人との折衝に日時を要したことによるものでございます。
 一二ページをお開き願います。令和四年度事故繰越総括表でございます。
 事故繰越は、年度内に支出負担行為をし、避け難い事故のため年度内に支出が終わらなかった経費につきまして、地方自治法第二百二十条第三項ただし書の規定に基づき、翌年度に繰り越して使用するものでございます。
 表の最上段、一般会計、土木費の行をご覧ください。
 翌年度繰越額は十四億二千三百八十九万四千円で、財源は繰越金でございます。
 一三ページをお開き願います。事故繰越の事項についてご説明申し上げます。
 番号1番の交通安全施設から次の一四ページ上段の3番、街路整備までは道路橋梁費の詳細を、同じ一四ページ下段の4番、高潮防御施設は河川海岸費の詳細を、次の一五ページの5番、公園整備は公園霊園費の詳細をそれぞれ記載してございます。
 これら事業の主な繰越理由は、先行工事の遅延や用地取得に伴う物件移転に日時を要したこと等によるものでございます。
 以上で令和四年度予算の繰越しにつきましてご報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○里吉委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。——発言がなければお諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○里吉委員長 次に、請願の審査を行います。
 請願五第三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○根来公園計画担当部長 お手元配布の資料4、請願審査説明表の一ページにございます整理番号1、請願五第三号をご覧いただきたいと存じます。
 本件は、葛西臨海水族園における景観と自然環境の保全及び既存施設の利活用に関する請願で、渋谷区の葛西臨海水族園の長寿命化を考える会代表横河健さん外千四百四十六人から提出されたものでございます。
 本請願の要旨は、都において、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業及び葛西臨海水族園の既存施設の利活用に関して、都の政策である「未来の東京」戦略における推進プロジェクトにうたわれているサステーナブルリカバリーや緑あふれる東京プロジェクトの推進に向けて、次の四点を実現していただきたいというものでございます。
 一点目は、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業の新施設の計画を進めるに当たり、東京における自然の保護と回復に関する条例にのっとり、損なわれる自然を最小限にとどめるため、葛西臨海水族園北側の約千四百本の既存樹木について、伐採や移植が最小限となる計画とするよう事業者を指導することでございます。
 二点目は、事業者に対して、自然の保護と回復に自ら努め、現在の水族園の敷地全体の樹木や土壌などを含む既存の景観と自然環境を最大限守るとともに、特に既存の淡水生物館及び流れ周辺の敷地北側の樹林を既存施設及び展示造形とともに利活用するよう指導することでございます。
 三点目は、新施設は樹木の伐採を最小限とするため、芝生広場を中心に建設するという都の方針にのっとり、新施設の建設範囲を北側の約千四百本の樹林の南側で、芝生広場の範囲から極力逸脱しない領域とし、水族園全体の景観と調和する計画とするよう事業者を指導することでございます。
 四点目は、既存ゲート及び本館を水族園全体のゲートとして利活用し、既存施設の保存、再生と新棟計画を統合し、併せて環境教育の場として活用するため、既存本館と新施設の往来がブリッジまたは内部通路などによって直接できるよう新施設を配置し、既存本館を利活用する計画とすることでございます。
 二ページをご覧ください。現在の状況でございますが、新施設は既存施設の老朽化等に対応するため、新たに整備するものでございまして、自然との共存をコンセプトに、既存施設と連携しながら建設することとしております。
 新施設の整備におきましては、芝生広場を中心に建設し、既存樹木への影響を極力減らすとともに、周辺環境との調和にも配慮することとしております。支障となる樹木についても、可能な限り伐採ではなく移植するよう、現在設計を進めているところでございます。
 淡水生物館については、新施設の本館内において、淡水生物に関する展示を行うこととしておりまして、現在の施設を保全することは予定しておりません。
 新施設では、来園者の利便性を考慮し、既存施設とは別の場所にメインの出入口を設ける計画としております。また、既存施設との連携を確保するため、両施設の間に散策路を配した共生の杜エリアを設けるなど、往来を想定した配置とすることとしております。
 都は、事業者が行う新施設の整備事業全般について、要求水準書等を達成しているかをモニタリングしております。
 既存施設の利活用につきましては、新施設と有機的な連携を図るというコンセプトに基づき検討を進めております。
 なお、既存施設の保存、再生と新棟計画を統合することは予定してございません。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 原純子です。よろしくお願いします。
 葛西臨海水族園整備事業の請願審査について質疑を行います。
 請願提出者は、葛西臨海水族園の整備等事業に当たって、東京都が提唱している、サステーナブルリカバリーや緑あふれる東京プロジェクトの推進にのっとって、この計画を進めることがまず強調されています。
 この都立公園内にある水族園の建て替えが、持続可能な地球環境の回復の象徴となることが必要です。それは、かつては豊かな漁場であった葛西沖が高度経済成長期、工場排水や産業廃棄物により汚染地帯となり、魚のすめなくなってしまった一帯を再生しようと人々の努力が重ねられ、干潟の再生を果たした葛西海浜公園、木を植え、臨海公園の開園とともに自然環境の回復を成し遂げたその象徴として、今の葛西臨海水族園、ガラスドームがあるからです。それは都民の宝です。
 しかし、都は、現水族園をリノベーションするのではなく、新たな施設を同敷地内につくることを決め、さらに民間事業者によるPFI方式を用いることを十分な議論を経ずに決め、昨年八月にPFI事業者を選定しました。
 落札事業者の提案内容については、イメージ図と構内概略図しか公表されず、情報開示請求しても、ほぼ黒塗りの状態です。この間もお見せしましたが、本当にこういう状況が今の非公表の実態です。
 選ばれなかった方の提案は一切非公表で、私たち委員にも、都民にも、選定経過、新施設の計画内容を隠している状態が続いています。都民の知る権利がないがしろにされていることへの怒り、計画敷地北側の千四百本の樹木の大量伐採がされるのではないかという不安の声、水族園本館とともに大事な施設である淡水生物館の解体は反対との声が高まっています。
 今回の請願も、こうした趣旨で出されていると受け止められます。請願者より、請願署名が千四百四十六筆提出されていることも伺っております。
 また、同趣旨でオンライン署名が取り組まれ、現在、二千三百八十三筆集まっています。都民の強い関心と要望があることを心していただきたいというふうに思います。
 お伺いします。計画敷地北側にある千四百本の既存樹木の取扱いについてお聞きします。
 三月の委員会で樹木調査を実施するとの報告がありましたが、結果は出ましたか。公表はいつになりますか。何本の樹木を伐採し、何本移植するのですか。移植の対象としない不健全木、大径木は何本になりますか。お答えください。

○根来公園計画担当部長 新施設の整備に当たっては、樹木への影響を極力減らすよう配慮することとしております。
 現在、事業者において樹木調査を実施中でございまして、樹木の具体的取扱いについては、事業全般の進捗状況と合わせて適切に公表してまいります。

○原委員 三か月たっています。まだ何一つ情報が出ていないのでしょうか。
 移植の方法についてはどうなりますでしょうか。移植元と移植先の面積をそれぞれ教えてください。

○根来公園計画担当部長 新施設整備に当たり、移植する樹木については、新旧両施設の間に設ける共生の杜エリアなどを中心に配置する予定でございまして、詳細は現在事業者が設計しているところでございます。

○原委員 新旧施設の間にあるエリアは、既に樹林地帯が広がっています。その前の芝生の辺りには野外のカフェテリアを配置するとイメージ図で描かれております。千本ほどの木をどの辺に移植するのか。本当に現実、可能なんでしょうか。移植先のイメージが湧きません。
 それから、設計の公表と同時では、伐採と移植の本数は公表したとおりで、設計が決まった後はもう変更できませんといわれかねません。樹木の伐採と移植を最小限となる計画とするよう事業者を指導することを請願者は求めているわけですから、設計前に樹木調査、計画概要を公表し、広く都民の意見を聞くべきです。
 何度もいってきましたが、秘密裏に設計まで持っていこうとする姿勢をここで変えてもらわなければ、PFI方式自体がおかしいという世論になっていくと思います。
 現水族園本館とともに、大事な施設である淡水生物館、流れのエリアについて、利活用の要望が改めて出されています。
 今回の計画で淡水生物館が解体されるとのことですが、どこで決まったのかも、解体する理由も不明のままです。解体理由をお示しください。

○根来公園計画担当部長 事業者の提案においては、新施設の本館内で淡水生物に関する展示を行うこととしてございます。

○原委員 事業者任せで判断をするということでしょうか。選定に先立って、現水族園の施設の取扱いについて、都は、パブコメを行いました。
 もう一つの大事な水族園施設である淡水生物館について、残すのか、残さないのかの意見を都民に聞いていないというのが問題です。事業者の提案だからというのは、都が評価を持っていないということで、都の施設なのに、あまりにも無責任ではないでしょうか。
 淡水生物の屋外展示を室内から水の中にいるように見られる展示は、とても珍しく貴重なのだと園の関係者のお話も伺いました。その価値の評価が必要だと思います。
 淡水生物館を取り囲む流れのエリアについても、スタッフが大事に世話してきた場所です。水族園施設と一体に時間をかけてつくり上げてきた池や川、草地など、多様な生き物が暮らすビオトープの価値についての専門家の評価を知りたいです。いかがですか。

○根来公園計画担当部長 流れは既存施設の展示物の一部でございまして、既存施設の修景を構成するものでございます。

○原委員 流れのエリアは展示物の一部だから、存廃の判断は事業者がしても構わないと、そういうことでしょうか。それをいうなら葛西臨海公園も海浜公園も皆、人々が手を入れて、長年かけて、豊かな自然環境をつくってきた場所です。
 ラムサール条約に登録されるような海浜公園の干潟の再生は、海と自然、生き物を愛する人々の努力のたまものです。展示物だから、壊す判断を勝手にしていいわけはありません。
 展示物と一くくりにするものではなく、流れのエリアは三十数年の月日の中で、生き物が生息する、それは豊かなビオトープになっているわけです。簡単に壊すのではなく、どのような生物が生息しているのか、草花についての記録などが必要ではないかとの自然保護団体からの声を先日いただきました。淡水生物館とともに保全すべきとの要望は真っ当なものであると考えます。今からでも保全することへの検討を求めます。
 日本建築家協会より、土壌の有害物質についての懸念が出されていますが、土壌調査などはされているのですか。

○根来公園計画担当部長 土壌汚染対策法及び環境確保条例に基づき、適切に対応してまいります。

○原委員 現水族園の建設の際、軟弱地盤との格闘が記録に残されています。埋立地であるために、土壌汚染の懸念も日本建築家協会の方からも出されています。予定敷地の土壌調査の実施と報告を求めます。
 既存水族園入り口ゲートの活用について、引き続き強い要望が出されていることをどう考えますか。
 また、公園全体のランドスケープについて審査対象となっていたのでしょうか。どのような議論がされたのかをお答えください。

○根来公園計画担当部長 新施設では、来園者の利便性を考慮し、既存施設とは別の場所にメインの出入口を設けることとしておりまして、既存施設と新施設の間に散策路を配した共生の杜を整備することで、両施設間の連携を確保することを予定しております。
 事業者選定においては、建物の配置や景観、外観についても審査してございます。審査において、事業者の案は、敷地の高低差を利用して公園全体の景観と調和した外観を形成している点などが評価されております。

○原委員 新施設から現施設へつながる道またはブリッジを事業者と一緒につくる計画がありますか。

○根来公園計画担当部長 既存施設と新施設の間に散策路を配した共生の杜を整備する予定でございます。

○原委員 ありがとうございます。
 既存ゲートの利用については必須だと思っています。ガラスドームから海への眺望は見事としかいいようのないすばらしいものです。ガラスドームが公園全体を見守るように位置しています。設計を手がけた谷口吉生さんは、公共建築とは何かを探求し、みんなの建築であること、それはみんなのためにつくり、みんなでつくる協働というコンセプトを提唱しています。美術館や図書館など、多くの公共建築を設計してきた谷口さんだからこそ、できたことです。
 そして、都知事や担当局職員の関係者と何度も話し合い、練り上げる作業を通じて、今のような水族園が生まれたんです。そういう視点が今の東京都に欠落しているのではないでしょうか。
 都立公園は都民の宝なんです。ぜひ今度の新水族園も市民と共につくる水族園にしていきたいと思います。
 地元区から、もっと計画などの情報公開を、また、樹木を守ってなどの要望が出されています。区議会でも区民の心配や声が取り上げられています。
 江戸川区や区民から事業内容について、詳しい情報提供や住民説明会を求められた場合、当然対応すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 事業の概要については、既に都のホームページ上で公表しておりまして、今後の進捗状況についても適切に公表してまいります。
 また、江戸川区に対しては、これまでも事業に対する情報提供を適宜行っておりまして、今後も適切に対応してまいります。

○原委員 ですが、残念ながら地元の皆さんは、葛西水族園の建て替えについての情報がほとんど知らされておりません。東京都は、こうした地域住民向けの広報などを出していないと思います。ホームページに出しましたといっても、それは検索をしてみて初めて情報が載っていることが分かるわけです。説明会や情報提供が必須です。
 その際、黒塗りのこういう計画を見せるわけにはいかないでしょうから、ぜひとも黒塗りをやめて、情報公開、開示をしていただきたいと思います。
 進捗状況に合わせて適切に公表していくという答弁をされますが、公表したときには、もう意見も何もいえなくて、全て決定した後だったというのでは、みんなの建築にはなりません。もう一度、公共建築の原点に立ち戻って考え、住民と共に進めることを求めます。
 請願は採択すべきものと表明をいたします。
 資料をお配りさせていただきます。ところで、今日の午前中に、こんな情報がSNSで流れてきました。葛西臨海水族園整備等事業の事業者選定で入札に参加した非落札事業者、東京アクアライフグループ提案の水族園新施設イメージ図がここに載っています。発信元は日刊ゲンダイです。この入札事業者提案に関する記事が出ていることを都は承知しておられますか。

○根来公園計画担当部長 記事が出ていることは承知をしておりますが、詳細については把握しておりません。

○原委員 採用されなかった事業者の提案、プランについては、私たち委員も都民も一切知ることができなかったため、今の今まで比較ができないできました。比較どころか当選した事業者の提案内容すら、黒塗りというわけですから、全く闇の中で事業者契約の承認を、都は、私たち委員に求めたというわけです。
 この東京アクアライフグループのイメージ図を見ると、既存淡水生物館が残っています。記事ではこう書いてあります。既存樹木への影響を最小限に抑える、スクラップ・アンド・ビルドの価値観からの転換を表明する計画、このように書かれておりました。
 なぜ、これが今出てきたのかは分かりませんし、これが本当にもう一者の入札事業者の提案だったのかも私たちには分かりません。都は、どう認識されているんでしょうか。この資料は、非落札事業者の提案内容で間違いないでしょうか。伺います。

○根来公園計画担当部長 事業者の募集時の入札説明書において、契約に至らなかった入札参加者の提案については、事業者選定に係る目的以外には使用しないとしてございます。

○原委員 都が、そういう取決めで公表しないということは、私も資料を読ませていただいて、そういう文章があるということは、それ以外の目的で使用しないということは書かれております。
 しかし、この出てきた資料が非落札事業者の提案内容かどうかということは分かるというふうに思います。それは担当者は見ていますし、審査員の方も見ておられますから、そこのところ、どうなんでしょうか。そうでないとすると、この資料を基に議論したりすることはできませんので、まずこの提案で間違いないかどうかの確認をいただきたいんですが、お願いします。

○根来公園計画担当部長 繰り返しになり恐縮ではございますが、事業者募集時の入札説明書において、契約に至らなかった入札参加者の提案については、事業者選定に係る目的以外には使用しないというふうにしてございます。

○原委員 都が、これ、出したんじゃないんですよね。都が出したんじゃないと思うので、別にいいんだと思うんですね。どこで出されたのか分かりませんが、それが本当かどうかぐらいの確認はすぐできると思いますので、それは求めておきます。
 そして、本当に今、驚いておりまして、改めて問題だと思うことは、その二者とも、提案内容がほぼ都民に知らされていないということです。どう比較検討され、今の事業者が選定されたのか、審査議事録を見ても、その部分は飛ばされておりますので、議論内容が全く分かりません。
 淡水生物館を残し、樹木を極力切らないプランが提示されていたということが事実であれば、審査経過の詳細を公表してもらう必要も出てくるというふうに思います。そもそも公表されていないことが問題だというふうに私は思います。非公表のまま進めるやり方は、公共建築に反する大問題なのだということをよく認識していただきたいです。
 とはいえ、私も先ほどこの記事を拝見したばかりですので、これからよく読んで、改めて見解と要望を出したいというふうに思います。
 都民に開かれた議論、進め方、都民が納得のいく誠実な対応を求めて、私の質問を終わります。

○漢人委員 続けて、この葛西臨海水族園の景観と自然環境の保全及び葛西臨海水族園既存施設利活用に関する請願について質問をいたします。
 まず、請願項目1なんですけれども、この項目1が求めているのは、損なわれる自然を最小限にとどめるため、葛西臨海水族園北側の既存樹千四百本について、伐採や移植が最小限となる計画とするように事業者を指導するということです。
 都は、これに対しては、願意に沿った対応をしているということでよいでしょうか。

○根来公園計画担当部長 新施設の整備に当たっては、樹木への影響を極力減らすよう配慮することとしております。
 支障となる樹木については、可能な限り伐採ではなく共生の杜エリアなどへ移植するよう、事業者において新施設の設計を進めております。

○漢人委員 樹木への影響を極力減らすよう配慮する、支障となる樹木については、可能な限り伐採ではなく移植するということですから、これ、請願項目1については、都は、願意に沿った対応をするということになるのだというふうに思います。
 ただし、移植すればよいということではありません。移植も樹木にとっては大きな負担となります。移植先でちゃんと生育できるという保証はありません。ですから、そもそも支障となる樹木自体を現状よりも極力減らすことを求めるべきだと思いますが、いかがですか。

○根来公園計画担当部長 事業者募集時に示した要求水準書では、新施設の整備に当たっては、樹木への影響を極力減らすよう配慮することを求めておりまして、これに基づき事業者を選定いたしました。
 事業者の提案は、これに沿ったものとなっており、都は、事業全般においてモニタリングを実施し、要求水準書等を達成しているかを確認することとしております。

○漢人委員 要求水準書では、北側の樹林、千四百本のエリアの保全ということはうたっていないんですね。つまり、皆伐や喪失も可能とした上で、樹木への影響を極力減らすよう配慮するということを求めているわけです。極力減らすということを改めて強く求めておきたいと思います。チェックをし続けていただきたいというふうに思います。
 請願項目2なんですが、こちらは淡水生物館及び周辺樹林の保全を求めています。この点について二点お伺いいたします。
 先ほど原委員からの質問もありましたが、改めてお伺いしたいと思います。
 要求水準書に淡水生物館の維持を掲げなかったのはなぜでしょうか。二つ目には、淡水生物館は利用者に愛され、十分に機能を果たしている施設です。そのような都の施設を取り壊すということは、これは都の事業として行うべきではないと思いますが、いかがですか。

○根来公園計画担当部長 事業者募集時に示した要求水準書では、新水族園においても既存の淡水生物館の機能の確保を求めております。
 また、要求水準書では、淡水生物館を継続利用することも可能としておりまして、その場合には施設の改修及び設備の全更新を行うことを求めております。
 選定された事業者の提案においては、新施設の本館内で淡水生物に関する展示を行うこととしております。

○漢人委員 淡水生物館の維持や継続利用を掲げなかったのはなぜかと質問しているんですけれども、やはりそれについての答弁はありませんでした。つまり、都は、もう事業者に選択させたということのみなんですね。
 先ほど原委員の方から示された今日のネット記事です。こちらを見ても、これが実際にPFIの入札の際のもう一つの事業者のものかどうかということは、都からの確認はいただけませんでしたけれども、しかし、仮にそうであるとすれば、そもそも淡水生物館を存続すると、東京都は保全をするんだという前提で、その要求水準書に掲げて入札をかけていれば、このような樹林を十分に保全をした上での様々な提案がされたのではないかと思うんですね。そこを事業者に任せてしまったということで、先ほど原委員から出されました資料によると、全く違う二つの図面になっている。今回、東京都が採択したもの、今回、提案されているものについては本当に緑が失われた、樹林地が喪失されたものになっているということになっています。淡水生物館及び周辺樹林の保全というものを東京都がそもそも要求水準書に掲げなかったということが大変大きな問題だといわざるを得ません。
 次に、請願項目の3ですけれども、こちらは、樹木の伐採を最小限とするため、事業者を指導することを求めています。これについて二点質問いたします。
 要求水準書の樹木への影響を極力減らすということのためには、新施設の建設範囲を北側の千四百本の樹林の南側で極力芝生広場の範囲から逸脱しない領域とすることが当然望ましいわけです。そのように事業者に指導をするべきではないでしょうか。
 そしてもう一つ、要求水準書には、樹木が支障となる場合は、原則として不健全木もしくは大径木等で移植困難なものを除き移植を前提に検討することとありますが、樹木が支障となるエリアの不健全木もしくは大径木等で移植困難なものというのは、一体何本程度あるのでしょうか。詳しい本数については調査中だとしても、おおよそどの程度ということぐらいは、都として現在把握していないんですか。

○根来公園計画担当部長 新施設は、周辺環境と一体となり、自然との共存をコンセプトに整備をし、樹木の少ない芝生広場を中心に建設することとしております。支障となる樹木についても、可能な限り伐採ではなく移植とするよう、事業者が設計を進めているところでございます。
 また、現在、事業者において樹木調査を実施中でございまして、樹木の取扱いについては、事業全般の進捗状況と合わせて適切に公表してまいります。

○漢人委員 要求水準書の樹木への影響を極力減らすと、これをうたっているわけですから、そのためには現在の芝生広場を中心に建設するということになっているこの計画を、芝生広場の範囲から逸脱しない領域とするように、都は指導するべきだというふうに思います。ぜひそのようにお答えをください。
 そしてもう一問、再質問ですが、移植困難なものが何本になるのかというのは、まだ調査中で分からないということです。でも、何本くらいが移植対象になるのかというのが、そして大体いつ頃に分かるのか、時期ですね、いつ頃に私たちは知ることができるのか、そのぐらいは把握していないのでしょうか。

○根来公園計画担当部長 現在、事業者において樹木調査を実施中でございまして、樹木の取扱いについては、事業全般の進捗状況と合わせて適切に公表してまいります。

○漢人委員 事業全般の進捗状況に合わせて適切に公表する、それはいつなのかと伺っているんですけれども、まだそれも分からないと。いつになるか分からない状況で何本ぐらいが移植可能なのか待っているという、本当にお先真っ暗というか、分からない状況なんだということが確認できました。
 請願項目の4ですけれども、既存施設の保存、再生と新棟計画の統合を求めています。委員会に出されました資料によりますと、都は、既存施設の利活用については新施設と有機的な連携を図るとしていまして、統合は予定していないとのことです。
 既存施設と新施設の有機的な連携ということと、既存施設の保存、再生と新棟計画の統合、この違いが私には分かりません。どういうことかご説明ください。

○根来公園計画担当部長 既存施設は、新施設と有機的な連携を図るために、自然に親しみながら環境教育を行う場とするなど、新たな水族園とも連携しながら利活用することとしております。
 このコンセプトに基づき、現在、新施設の整備事業と並行して利活用方法を検討しております。

○漢人委員 有機的連携の説明ということで答弁をされましたけれども、私が質問したのは、有機的連携と計画の統合の違いは何かなんですね。その答弁はないということを確認いたします。答弁ができないということなんでしょうか。
 最後の質問なんですけれども、建設局は葛西臨海水族園(仮称)整備事業等に関するよくある質問というのを建設局のホームページに掲載をしまして、私たち環境・建設委員にも、こちらですね、このプリントアウトされたものとホームページ掲載についてのお知らせが郵送されてまいりました。
 そのお知らせの送付文にこのように書かれていました。今般、本事業について、大量の樹木を伐採する等の事実とは異なる情報がSNSを中心に流布していることを受け、正しい情報を伝えることを目的として、本事業のよくある質問を局ホームページにて公表することといたしました。このように書かれていました。
 この事実とは異なる情報がSNSを中心に流布とは、どのような内容なのか、事例のご提示をお願いしたいと思います。

○根来公園計画担当部長 令和五年二月頃より、SNSを中心として、千四百本の樹木を伐採する、太陽光パネルを設置するために樹木を伐採するなど、事実を誤認させるような情報を確認しております。

○漢人委員 具体的な事例の提示はなかったんですが、事実と異なるとされるSNSについては、事前には具体的な投稿など示していただきました。
 しかし、千四百本の樹木については、まず、都は、今まで確認したように、要求水準書において、保全ではなく場合によっては皆伐も可能なエリアとしたことは、これは事実です。その上で、伐採ではなく移植を検討とはなっていますが、それも原則として不健全木もしくは大径木等で移植困難なものを除きという条件つきです。そして、実際に何本を伐採から移植に変更できるのか、それがいつ明らかになるのかということも分からないということが、先ほどまでの答弁でも明らかになっています。
 千四百本の樹木が伐採されるかもしれないという不安や危惧や怒りの発信を、これをですね、事実とは異なる情報ということで打ち消すような説明資料をつくるということは、都が行うこととして、的外れだといわざるを得ません。
 都が取り組むべきなのは、むしろ、そのような都民の危惧の声、不安の声に対して、事業者に対して、樹林地そのものをできるだけ広く残し、伐採や移植の対象となる、支障となる樹木の本数を極力減らすための指導や要請にこそ力を注ぐべきではないでしょうか。
 私は、淡水生物館及び周辺樹林を保全し、新施設の規模を縮小する設計変更を求めますが、それが仮に困難だとしても、樹木の伐採や移植が最小限になるよう、都が事業者に指導することを求めます。
 先ほど示された、もう一つの事業者による提案のような形での大幅な設計変更ということだって、これから可能だというふうに思いますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
 また、環境・建設委員の皆様には、この請願の採択、申し上げましたように、都としても、おおむねこの請願の趣旨に沿った、願意に沿った対応をするということになりますので、ぜひ採択に賛成をしていただくようお願いをいたしまして、私の質問を終わりといたします。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第三号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○里吉委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、環境局長から紹介があります。

○栗岡環境局長 去る四月一日付の人事異動によりまして、新たに説明員となりました幹部職員及び職名の変更がございました幹部職員をご紹介させていただきます。
 次長の宮澤浩司でございます。環境政策担当部長で生物多様性、DX推進、政策企画局カーボンハーフ、子供政策連携室企画調整、スタートアップ・国際金融都市戦略室スタートアップ戦略推進担当部長兼務の上田貴之でございます。政策調整担当部長の長谷川徳慶でございます。環境改善部長の戸井崎正巳でございます。自然環境部長で生物多様性担当部長兼務の和田慎一でございます。資源循環技術担当部長の横山英範でございます。資源循環計画担当部長の中島隆行でございます。また、当委員会との連絡を担当いたします総務課長の池上洋平でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○里吉委員長 紹介は終わりました。

○里吉委員長 次に、第二回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○栗岡環境局長 令和五年第二回定例会に提出を予定しております環境局関係の案件につきまして、概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和五年第二回都議会定例会提出予定案件の概要をご覧ください。
 今回提出を予定しております案件は、予算案一件でございます。
 表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。予算案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、令和五年度一般会計補正予算(環境局所管分)についてでございます。
 LPガスを利用する家庭等の負担軽減に向けた緊急対策として、国の臨時交付金を活用いたしまして、使用料金の値引き支援を実施するための経費を計上するものでございます。
 (1)、歳出予算補正でございますが、環境改善費について十九億九千百三十三万九千円の計上を行うものでございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小川総務部長 それでは、令和五年第二回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料2をご覧ください。令和五年度一般会計補正予算説明書についてでございます。
 表紙を一枚おめくりいただき、一ページをご覧ください。1、歳出予算総括表でございます。
 歳出予算を補正する款は環境費でございまして、十九億九千百三十三万九千円を増額計上するものでございます。
 令和五年度の歳出予算額は、既定予算額一千五百四十八億六千百万円と合わせまして、合計一千五百六十八億五千二百三十三万九千円となっております。
 次に、歳出予算の補正の内訳についてご説明申し上げます。二ページをお開き願います。項は環境保全費でございまして、目は環境改善費でございます。
 内容につきましては、右側の説明欄にございますとおり、家庭等に対するLPガス価格高騰緊急対策事業のための経費といたしまして、十九億九千百三十三万九千円を増額計上するものでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。——なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○里吉委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
 初めに、令和四年度予算の繰越しについての報告を聴取いたします。

○小川総務部長 令和四年度予算の繰越しにつきましてご報告申し上げます。
 お手元の資料3、令和四年度一般会計予算繰越説明書をご覧ください。
 表紙をめくって、一ページをお開き願います。繰越額総括表でございます。
 区分は繰越明許費、事業名は自然公園整備で、繰越額は計一億四千七万六千円でございます。繰越財源内訳は繰越金でございます。
 二ページをお開き願います。繰越明許費繰越説明でございます。
 款は環境費、項は環境保全費、目は自然環境費で、予算現額は十億五千二百四十九万円、繰越明許費の予算議決額は一億四千八百十九万九千円で、一億四千七万六千円を翌年度へ繰り越すものでございます。
 繰越理由でございますが、資料右側の説明欄に記載しておりますとおり、多幸湾公園管理棟改築工事等につきまして、年度内に支出が終わらなかったため、翌年度に繰り越しして支出するものでございます。
 以上、令和四年度予算の繰越しにつきましてご報告申し上げました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○里吉委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。——発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○里吉委員長 次に、カーボンハーフ実現に向けた既存建物等に係る制度の見直しの方向性について(大規模事業所に対する温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード制度)、地球温暖化対策報告書制度、エネルギー環境計画書制度)外二件の報告を聴取いたします。

○荒田気候変動対策部長 資料4をご覧ください。カーボンハーフ実現に向けた既存建物等に係る制度の見直しの方向性についてご説明いたします。
 1、エネルギーの需給両面での制度強化でございます。
 (1)の需要面に関しましては、オフィスビルや住宅が集積する東京は、建物からの排出量が全体の七割を占めており、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、新築建物の制度強化に続き、既存建物の省エネのさらなる深掘りと再エネ利用拡大が必要と考えております。
 (2)の供給面に関しましては、都内のエネルギー起源CO2排出量の約七割は電力消費に由来しており、再エネ電力割合の高い電気供給事業者の拡大と多様な再エネ電力メニューから選択できる環境整備が必要と考えております。
 次に、2、大規模事業所に対する温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度についてでございます。
 (1)の制度概要でございますが、本制度は、都内の大規模事業所に対し、CO2排出総量削減を義務づけるとともに、排出量取引によって他の事業所の削減量等を取得しての義務履行が可能な制度でございます。
 令和七年度からの第四計画期間を迎えるに当たり、令和四年九月以降、事業者からのヒアリングを含め、削減義務実施に向けた専門的事項等検討会を六回開催し、制度案の検討を進めております。
 二ページをお開き願います。(2)の制度見直しの方向性についてでございます。
 アの第四計画期間の削減義務率につきましては、二〇三〇年の目標を前提とし、対象事業所の今後の省エネ余地等も踏まえ、オフィスビル等を五〇%に、工場等を四八%に設定することを検討しております。
 イの再エネ利用の拡大につきましては、事業所外から導入した再エネ、小売電気事業者等からの再エネ電気等の調達、再エネ由来証書の直接購入を義務履行に活用可能とするとともに、再エネ電気調達等による削減効果を反映するため、年度排出量の算定時の電気、熱の排出係数については、実排出係数を使用いたします。
 ウの対象事業所の積極的な取組の後押しにつきましては、まず、主に省エネの取組が特に優良な事業所を認定するトップレベル事業所認定制度を、再エネ利用を含めたゼロエミッション化への取組を評価する制度に強化いたします。また、積極的に排出削減に取り組む事業所の評価向上に向けて、省エネ、再エネの取組状況等の報告、公表を拡充いたします。
 (3)の今後のスケジュールでございますが、先月二十二日から今月二十日までパブリックコメントを実施しております。本年八月以降にパブリックコメントを踏まえた制度改正案を取りまとめた後、条例改正案の提出を予定しております。改正後の制度の施行は令和七年四月を予定しております。
 次に、3、中小規模事業所に対する地球温暖化対策報告書制度についてでございます。
 (1)の制度概要でございますが、本制度は、都内の中小規模事業所がCO2排出量と対策状況を都へ報告する制度でございます。本制度についても、大規模事業所の検討と合わせ、削減義務実施に向けた専門的事項等検討会において、令和七年度以降の制度案の検討を進めております。
 (2)の制度見直しの方向性についてでございます。
 アの二〇三〇年度の達成水準の設定につきましては、都が、二〇三〇年に向けたさらなる省エネ、再エネ利用の拡大等の一層の促進のため、エネルギー消費量の二〇〇〇年度比三五%削減や再エネ電力割合五〇%など、事業者としての目標となる達成水準を提示いたします。事業者には、その達成に向けて自ら推進計画を策定し、毎年度、取組状況を報告することを求めるものでございます。
 イの報告、公表、評価の拡充につきましては、CO2削減、省エネ、再エネに関する報告、公表、評価を拡充し、取組状況のさらなる見える化により積極的に取り組む事業者を後押ししてまいります。
 (3)の今後のスケジュールにつきましては、キャップ・アンド・トレード制度と同様でございます。
 最後に、4、エネルギー環境計画書制度でございます。
 (1)の制度概要でございますが、本制度は、都内に電気を供給している電気供給事業者に対し、CO2排出係数低減等により、供給電気の環境性能向上を推進するための計画書、報告書の作成、公表を義務づける制度でございます。
 (2)の令和四年第四回都議会定例会における東京都環境確保条例改正でございますが、令和四年十二月、条例改正により、エネルギー環境計画指針において電気供給事業者が行う再生可能エネルギーの供給割合拡大等に関する措置等について定めることを明文化したものでございます。
 (3)のエネルギー環境計画指針改正の方向性といたしまして、三点ございます。
 一点目が、アの二〇三〇年度目標水準の提示でございます。
 都は、電気供給事業者が設定する目標の指針として、都内供給電力に占める再エネの電力割合の二〇三〇年度目標水準五〇%程度を提示する予定でございます。
 二点目が、イの電気供給事業者における二〇三〇年度目標の設定等でございます。
 都が示す目標水準を踏まえた二〇三〇年度目標を設定、公表すること、目標の具体化に向けた各年度の計画及び実績を報告、公表することを求めるものでございます。
 三点目が、ウの多様な再エネ電力メニューから選択できる環境の整備でございます。
 電気供給事業者は、多様な再エネ電力メニューの提供に努めること、需要家が電力商品に関する情報を得られるよう実際に提供するメニューに関する情報を報告、公表することを求めるものでございます。
 (4)のスケジュールでございますが、令和五年七月にエネルギー環境計画指針を改正し、令和六年四月に制度改正が施行される予定でございます。
 四ページから五〇ページの別紙1から5は、各制度改正の詳細を記載しております。後ほどご覧いただきたいと存じます。
 以上、カーボンハーフ実現に向けた既存建物等に係る制度の見直しの方向性についてご説明させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 本年四月、東京都生物多様性地域戦略を改定、公表いたしましたので、ご説明いたします。
 お手元の資料5をご覧いただきたいと思います。
 1、背景等でございます。
 策定の経過でございますが、令和元年十二月に生物多様性地域戦略の改定について、東京都自然環境保全審議会に諮問し、令和四年七月から八月の中間まとめの公表、パブリックコメントを経まして、同年十二月に答申をいただいております。
 地域戦略の位置づけでございます。生物多様性基本法に基づく生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画で、計画期間を令和十二年度までとしております。
 2、二〇五〇年東京の将来像でございます。
 地球規模の持続可能性に配慮し、将来にわたって生物多様性の恵みを受け続けることのできる、自然と共生する豊かな社会を目指すことを基本理念に掲げております。
 3、将来像の実現に向けた二〇三〇年の目標と基本戦略でございます。
 二〇三〇年の目標につきましては、あらゆる主体が連携して生物多様性の保全と持続可能な利用を進めることにより、生物多様性を回復軌道に乗せるとし、ネーチャーポジティブの実現を設定しております。
 二〇三〇年目標の実現に向けましては、三つの基本戦略を掲げております。基本戦略Ⅰが生物多様性の保全と回復、基本戦略Ⅱが生物多様性の恵みの持続的な利用、基本戦略Ⅲが都内だけでなく地球規模の課題にも対応した行動変容としております。
 次のページをお開きください。4、基本戦略ごとの行動目標と都の主な取組でございます。
 基本戦略Ⅰの行動目標は二つ設定しております。一つは、生物多様性バージョンアップエリア一万プラスでございます。生き物の生息、生育空間や、生態系サービスの維持向上を図るエリアの確保を行政として一万ヘクタール目指すとともに、民間の取組をプラスで表現し、共に取り組める目標としております。
 二つ目は、新たな野生絶滅ゼロアクションでございます。新たな野生絶滅となる種がゼロとなるよう、野生生物の保全、回復を図るための取組を様々な主体と共に実施する目標としております。
 都の主な取組といたしましては、保全地域の指定、公有化、野生生物種の戦略的保全方針の策定等としております。
 次の基本戦略Ⅱの行動目標は、Tokyo-NbSアクションの推進でございます。
 自然を活用した解決策であるNbS、ネーチャーベースドソリューションズとなる取組を行政、事業者、民間団体など、各主体と共に推進する目標としております。
 都の主な取組といたしましては、Tokyo-NbSアクション推進事業、東京の多様な自然を知る参加型プログラムなどとしております。
 次の基本戦略Ⅲの行動目標は、生物多様性都民行動一〇〇%でございます。
 保全活動への参加や消費行動など、全ての都民が生物多様性に配慮、貢献する取組を推進する目標としております。
 都の主な取組といたしましては、DXを活用した都民参加型生きもの情報収集蓄積プロジェクト、自然環境デジタルミュージアム構想等としております。
 最後に、5、戦略の推進に向けてでございます。
 本戦略に基づく都の取組を生物多様性地域戦略アクションプランとして取りまとめております。今後、全庁的な推進体制の下、取組を推進してまいります。
 詳細につきましては、資料6をご覧ください。
 以上、簡単ではございますが、東京都生物多様性地域戦略改定の内容をご説明させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○志村資源循環推進部長 昨年十二月に東京都廃棄物審議会に諮問いたしました東京都災害廃棄物処理計画の改定につきまして、中間のまとめが示されましたので、ご説明いたします。
 お手元の資料7をご覧ください。1、概要でございます。
 現行の東京都災害廃棄物処理計画は、二〇一七年の策定から五年が経過しております。この間、首都直下地震の被害想定が見直され、また、近年、国内において風水害が増加していることから、災害廃棄物対策の強化が必要な状況となっております。
 2、主な改定の方向性でございます。
 災害廃棄物処理計画のさらなる実効性向上、風水害等への対応強化に向け、最新の知見や先進自治体の取組を取り込んでおります。また、災害廃棄物の処理主体である区市町村の取組強化に向け、具体的な方向性を示すとともに、都としても広域的な連携等を後押しすることとしています。
 (1)、災害廃棄物処理の実効性向上として、仮置場の運営方法について、初動期から速やかに災害廃棄物の搬出、処理を開始する方法を示すとともに、処理困難物等の処理の留意点を提示しております。
 (2)、各主体との役割分担の整理及び連携強化として、平時から区市町村と一部事務組合が合同処理本部を設置し、災害時の指揮命令系統の検討や、合同処理マニュアルの整備を進めることなどを提案しております。
 (3)、風水害等への対策強化として、発災時に区市町村が速やかに災害廃棄物の発生量を推計できるよう、都独自の原単位と水害専用の推計式を整備しております。また、新たに発災直後の具体的な取組事項を提示しております。
 (4)、住民等への啓発、広報の充実として、災害廃棄物の円滑な処理に向けて、平時や発災時に、区市町村が住民等へ配布するチラシのポイント等を示しております。
 最後に、3、今後のスケジュールでございます。
 パブリックコメント、区市町村の意見聴取などを経て、九月下旬に新計画を策定する予定でございます。
 詳細につきましては、廃棄物審議会から示されました資料8をご覧ください。
 以上、簡単ではございますが、東京都廃棄物審議会で示された中間まとめの内容をご説明させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○里吉委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。——なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○里吉委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 請願五第一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○長谷川政策調整担当部長 お手元の資料9、請願・陳情審査説明表の表紙をおめくりください。右側の一ページをご覧ください。
 整理番号1、請願番号五第一号、神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願につきましてご説明申し上げます。
 請願者は、渋谷区の神宮外苑の森を守る会代表楠本淳子さん外八名でございます。
 請願の要旨は、都において、神宮外苑地区の再開発計画に関して、次のことを実現していただきたい。
 1、東京都環境影響評価審議会において結審された神宮外苑地区の再開発計画の審議を今後も継続し、請願四第一三号の一及び二の審議が終わるまで、公示による事業の実施の制限を解除しないこと。
 2、イチョウ並木を含む神宮外苑地区の全ての樹木の根系、水系、土壌及び樹木の総合的な健康状態を日本イコモス国内委員会と共同で調査し、調査結果は審議会に報告し、工事の着工前に入念に審議すること。
 3、今回の再開発計画に反対する総勢十五万人の民意を尊重し、都民、国民感情を度外視した環境影響評価書の修正案及び事業者の着工を認めないことというものでございます。
 現在の状況でございますが、1、令和三年七月に環境影響評価書案が事業者から提出されて以降、環境影響評価審議会における質疑及び審議を重ね、都民及び事業段階関係区長の意見等を勘案して、令和四年八月十八日に審議会答申がまとめられました。
 2、令和四年八月十八日の審議会総会では、事業者が示した調査、予測及び評価はおおむね技術指針に従って行われたと認められるとともに、審議会の答申では、既存樹木の健全度や移植の可能性に関する詳細調査結果をデータと合わせて説明することが指摘されました。
 3、令和四年十二月二十六日の審議会総会では、毎木調査と詳細調査の結果、土壌や地下水等の調査結果を盛り込んだ環境影響評価書素案が事業者から提出され、審議会では、答申で指摘された内容がどのように評価書素案に盛り込まれているかの確認が行われました。
 二ページをお開き願います。4、その後、環境影響評価書が都に提出され、令和五年一月二十日に環境影響評価書の公示を行いました。これまで条例にのっとり厳正に手続を行っており、評価書の公示、縦覧により事業段階環境影響評価手続が終了し、条例に定める対象事業の実施の制限が解除されております。
 5、事業者から着工届が提出され、令和五年一月三十日に公示を行いました。
 最後に、6、事後調査計画書では、工事の施工中及び完了後の一定期間にわたり、既存樹木や四列イチョウ並木の活力度調査など、継続的なモニタリングを実施し、状況に応じた保育管理を行うことで、将来にわたり健全に育成していくとしております。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。

○漢人委員 ただいま議題となっております神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願に関して、事業者と日本イコモス国内委員会の参考人招致を求める動議を提出いたします。
 神宮外苑地区市街地再開発事業は、今年二月の施行認可、三月の着工と手続は進められていますが、国内外からの関心は一層高まっています。
 一月二十日に公示された環境影響評価書に対して、日本イコモス国内委員会からは、環境アセス評価書における虚偽という文書が提出されました。
 環境影響評価審議会では、四月二十七日及び五月十八日の二回にわたり、事業者によるこの文書への反証が行われました。事業者は、イコモスの五十八項目の指摘に対して、全てを退ける説明を行いましたが、自らの説明を裏づける具体的なデータの提示はありませんでした。にもかかわらず、審議会はそれを受けて、環境影響評価書に虚偽や偽りはなしと判断をいたしました。
 一方、日本イコモスは、五月十八日の審議会を受けて、調査が不十分との記者会見を行っています。日本イコモスはこれまでも、審議会での説明や事業者との共同調査を求めてきましたが、全く受け入れられることはありませんでした。
 審議会で行われなかった両者の議論を都議会として実施し、都民をはじめとした広く関心を持っている皆さんに対して明らかにすること、そして、広範な理解と正当な審議を実現することが、今、都議会には求められていると考えます。
 今回、請願者をはじめとした多くの個人、団体からも参考人招致の要請が各委員にも届いていることも踏まえて、神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願の審査に関して、事業者と日本イコモス国内委員会の参考人招致を求める動議を提出するものです。よろしくお願いいたします。

○里吉委員長 ただいま漢人委員から、神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願に関して、事業者と日本イコモス国内委員会の参考人招致を求める動議が提出されました。
 この際、ただいまの動議に対し、発言の申出がありますので、これを許します。

○曽根委員 ただいま提出されました動議について、賛成の立場から意見を申し上げます。
 本請願の審議を前に、請願者をはじめ、都議会での参考人招致を求める要請が、本日、先ほども含めて、二桁に及ぶ団体、個人から私たちにも寄せられております。
 それは、環境影響評価審議会でのイコモスの指摘に対する事業者の反証では疑問は解消されなかったこと。しかも、イコモスだけではなく多くの都民が納得できないと声を上げていること。それを反映して、我々のところにも参考人招致を求める要請が多数寄せられているというふうに受け止めております。
 こうした声に応えて、神宮外苑開発の問題について、可能な限り十分な議論の場を保障するのは、都議会としてごく当然のことだと考えます。
 本委員会の各会派の皆さんにも、改めてこうした議会の役割を果たすことを心から呼びかけたいと思います。
 以上です。

○須山委員 東京都議会立憲民主党としても、参考人招致の動議に対して賛成の意見を述べさせていただきます。
 まず、私たち東京都議会立憲民主党は、再開発を行う際には、最大限木を切らない方法を取るように訴えてまいりました。
 こうした請願が出されたことからも、また、私たちにも様々な参考人招致の要望をいただいていることからも明らかなように、この間、本当に再開発事業に対しては、地域住民をはじめとして、多くの方々から、樹木の伐採により歴史あるイチョウ並木などの緑地帯がどう保全されていくのか、再開発の結果として枯れてしまわないか、そうしたことで大きく注目を集めてまいりました。
 また、坂本龍一さん、亡くなったことにより、さらに多くの方々の関心が注がれることにもなりました。
 事業が既に着工している現在でも、このように大きな話題になっているのはなぜか。それは、都民の理解や共感が得られていないからだと考えます。確かに東京都としても、環境審議会などで異例ともいえる対応をしてきたことは評価をいたします。
 一方で、先日の東京新聞の記事では、事業者からの一方的な情報開示となっていて、都民の理解、共感が得られていないとの指摘をされております。
 双方の主張を伺う場をきちんと設けて都民の理解を得ていくことは、都民の代表である都議会としての責任であると考えます。その職責を果たすために、今回の動議に賛成をさせていただきます。

○里吉委員長 発言は終わりました。
 ただいまの動議は、起立により採決いたします。
 動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、動議は否決されました。
 それでは、請願五第一号の審査に戻ります。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 私からは、本日の請願審議をめぐる急速な世論の動きの中で、今年の一月に提出された本請願が、本日審議に付されるまでの経過について、少し述べておきたいと思います。
 本請願の趣旨は、環境影響評価審議会の外苑開発の審議を継続し、また、イチョウ並木をはじめ、外苑の全ての樹木の調査を日本イコモスと共同で事業者が調査し、入念にやってほしいと、再開発計画への反対の都民世論を尊重して、事業者の着工を認めないでほしいという内容のものです。
 請願者は、昨年十二月二十六日の環境影響評価審議会で、神宮外苑再開発の工事着工に必要な主な手続は事実上終了したとの報道を受けて、危機感を募らせ、一月になってこの請願を出されています。
 しかし、請願者が危惧したとおり、事業施行認可の申請が出され、二月十七日には知事の認可が下り、三月からは一部工事も始まっております。
 一月に出された請願は、予算議会の三月に上程され、委員会に付託されて、次の第二回定例会前の本日の審議にようやくかかってまいりました。しかし、その前に審議会が異例の要求をしていた日本イコモス委員会の意見に対する事業者の反証も四月二十七日、五月十八日の二度にわたって、事業者が文書と口頭で説明し、審議会もこれを了承いたしました。
 これによって、審議会の審査も事実上終了し、この切迫した状況を踏まえて、請願者本人と神宮外苑開発に反対する多くの市民や団体から、審議会でも議論が尽くされなかったこと、事業者と日本イコモスが一堂に会して、双方の意見を述べる場を参考人質疑という形で設け、十分で公正な議論の場を求めるという緊急の要請が次々と寄せられているものと受け止めております。
 これを受けて、先ほどの本委員会の理事会も含め、我が党も含めて三つの会派から、請願者や都民の要請に応えての請願審議の中で、この問題の公正な議論を尽くす必要があるという観点から、参考人招致を、準備期間も含めて実現させるよう主張いたしましたが、残念ながら合意が得られませんでした。
 したがって、本日の審議は通常の議員による担当局への質疑という形になりますけれども、しかし、神宮外苑再開発の現計画で外苑の樹木と環境が健全に維持できるのかという点では専門家の議論も尽くされておらず、このまま開発が進めば外苑の保全に大きな禍根を残し、都政と都議会に大きな禍根を残すことになると考えます。
 したがって、我が党は、これからもあらゆる機会に、参考人招致をはじめ徹底した公正な、十分な議論の場を求め続けていく決意をまず申し上げておきます。
 そこで、本日私からは、この開発について避けて通れない根本的な疑問、なぜ神宮外苑で本開発が、野球場とラグビー場という大規模競技場の入替えという、住民、都民の憩いの場を失わせる大量の森と樹木の伐採を避けられない道に進んできたのか。それによって外苑の森はどう変貌するのかについて、何点か質問させていただきます。
 最初に、神宮外苑の再開発計画については、昨年四月に日本イコモスが野球場とラグビー場の現地再整備を基本にすれば、樹木などの伐採はほとんど行わずに開発が可能との見解を示したことがあり、今もラグビーや野球の愛好者から、両競技場ともに今の場所で再整備を求める署名運動も取り組まれているところです。
 神宮球場と秩父宮ラグビー場の現地再整備が選択されなかった理由はどういうものなのでしょうか。お答えください。

○長谷川政策調整担当部長 環境影響評価手続は、事業者が条例に基づき提出した環境影響評価図書を審査するものでございます。
 お話の内容につきましては、事業者において答えるべきことであると考えてございます。

○曽根委員 ということは、この委員会において、環境局としては、もう誰もが感じているこの開発の根本問題ですが、この問題についてのお答えはできないということでよろしいでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 繰り返しの答弁になりますが、お話の内容につきましては、事業者において答えるべき内容であると考えてございます。

○曽根委員 ただいまの答弁を聞いても、都民誰もが抱く基本的な疑問にすら、この場では、都からは答えられないんですから、本請願審議に必要な関係当事者の見解をちゃんと得るには、神宮外苑の現開発計画の意義を語るべき事業者と外苑で守られてきたイチョウをはじめ森と樹木を保護することを重んじる専門家の代表の双方を参考人招致して、その見解と主張を双方から聞かなければ、都民の根本的な疑問に十分答える審議ができないということは明らかだと思います。
 そもそも開発事業者は、この開発の目的のためには、樹齢百年を超える樹木やその歴史的景観を犠牲にしても構わない、つまり伐採した後の移植さえ検討しないという立場が、この間しばしば見られてきたわけですから、開発と自然、どちらの意義を尊重すべきか、都民を代表する都議会こそ、両者の公平、公正な議論の場を保障することが可能であるし、ますます多くの都民がそれを求めていると私は確信するものです。
 そしてもう一つ、外苑についての世論の広がりとの関わりで質問させていただきます。
 著名な音楽家の坂本龍一氏が亡くなる直前に小池知事宛てに送った手紙は、百年の歴史を持つ神宮外苑の森を再開発で失うことのないよう、強く求めるものでありました。これを受けて、外苑開発から神宮の森を守れとの知事への署名が二十万人に及んでいると思います。都は、このことにどのように対応しているでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 先ほどもご答弁しましたが、環境影響評価手続は事業者が条例に基づき提出した環境影響評価図書を審査するものでございます。
 なお、事業者には事業実施の意義等について丁寧な情報発信をするよう伝えてございます。

○曽根委員 もう少し具体的にお聞きしたいんですが、都市整備局長名で、事業者に対し、外苑再開発について十分な都民の理解を得られていないという指摘があり、事業者に説明責任を求める要請文が送られている、このことを環境局としても把握しておられるでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 はい、把握してございます。

○曽根委員 この文書は、都としては、神宮外苑の現計画は大変意義のあるものだということを認めつつも、その意義が都民に十分理解されていないんだとして、事業者に開発の意義をもっと伝える努力をしなさいと求めております。
 しかし、開発に疑問を持つ多くの都民世論というのは、坂本龍一氏と同様に、この手紙の中で書かれているように、開発で利益を得るのは一握りの富裕層だけだが、それで百年かけて築いた外苑の自然を破壊してよいのかという、このことに疑問を持っております。
 こういう疑問には、審議会の中でも、東京都も開発者も環境影響評価審議会などで、まだ答えていないんじゃないかと私は思います。
 もう一つ、外苑のイチョウをはじめとした樹木とその生育環境を守る立場で批判してきたイコモスへの事業者の反証はどうだったのかについてお聞きします。
 環境影響評価審議会へのイコモスの多岐に及ぶ意見に対して、事業者による反証や審議委員の質問、意見への回答はどのように行われたのでしょうか。お聞きします。

○長谷川政策調整担当部長 指摘事項といたしまして、環境影響評価書における生物、生態系の項目につきまして、現況調査における科学的調査手法に関するもの、予測に関するもの、イチョウ並木に関するもの、環境に及ぼす影響の評価の結論に関するもの、事業者が提示している緑の割合とオープンスペースの割合に関するものの五つが示され、項目数は約六十でございます。
 事業者は、四月及び五月の審議会におきまして、指摘事項一つ一つに対する回答を説明するとともに、あらかじめ審議会委員から聴取した当該回答に対する意見への回答についても説明を行いました。
 審議会におきましては、評価書に虚偽や誤りはなく、環境影響評価書の予測評価に影響を与えるものはないと判断され、事業者による説明は終了するとの結論になってございます。

○曽根委員 今お答えにあった了承を与えたというこの審議会で、事業者の反証を全て終えた後のまとめの中で、宮越第二部会長は、日本イコモスの指摘と事業者の回答には、多くの委員が指摘したように、大きな隔たりがあると。事業者には、イコモスを含めた団体や住民からの意見や問合せに丁寧かつ真摯に対応することを強くお願いしたいと発言しています。これは、実はまだ議論が熟していないことへの部会長としてのぎりぎりの意見と要望ではないでしょうか。改めて、議論のバトンは都議会にこそ託されていると私は痛感をいたします。
 そこで、本日この中で議論された幾つかの主な争点について、私から質問します。
 まず、外苑を象徴する四列のイチョウ並木から、実はラグビー場に向かう二列のイチョウ並木がありまして、十九本全て伐採という計画から、移植の可能性について事業者が検討すると変更されたようですが、事業者はそれについてどのように説明しているんでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 秩父宮ラグビー場東側の港区道沿いのイチョウ十九本につきましては、地元区との調整や審議会での意見などを踏まえ、新野球場北側への移植を検討することとし、今後、詳細な調査により、移植可否の検討を行うと説明してございます。

○曽根委員 これについて、ほとんどの専門家は、既に巨木に育ったイチョウを十九本も移植することは困難と指摘しておりますが、これは実際は事業者の単なる時間稼ぎだという厳しい指摘は、私、もっともではないかと思いますが、いかがですか。

○長谷川政策調整担当部長 繰り返しの答弁になりますが、評価書では秩父宮ラグビー場東側の港区道沿いのイチョウ十九本全てを移植検討の対象とし、今後、詳細な調査により、移植可否の検討を行うこととなってございます。

○曽根委員 全く同じ答えなんですけど、既に巨木に育ったイチョウを二十本近くも移植に成功したという経験は、私の記憶でも過去にはちょっと考えられません。莫大な手間と費用と専門性が必要となります。十九本のイチョウ並木が完全に伐採されるのか、それとも移植が可能となり得るのか、結局は事業者の善意と努力に委ねられたままということになります。
 これでは検討の結果、無理でしたという答えが出ても、その答えの公表さえ事業者任せということになりかねません。しかも、昨年イコモスの指摘で、事業者が未来永劫保存するとしていた四列のイチョウ並木、これが、いわばテレビなどでもよく紹介されるイチョウ並木の縦軸になっているものですが、この並木の中にも枯損状態や枯死状態、いわゆる枯れている状態の判定が出されたイチョウが複数見つかっているわけですが、評価書案には報告されていなかったという、事業者の自然保護への意識の低さを露呈する事実もありました。
 今回も移植の可能性を、場所としては野球場北側という日の当たらない場所に検討していくとされていること自体が、事業者のきめ細かい対応を疑わせるものであります。
 もう一つ、大きな争点となった建国文庫の森の扱いについて質問します。
 建国文庫の森は、現存する半分以上の樹木を伐採もしくは移植するとして、規模はかなり縮小されてしまう計画でありますが、イコモスが、現在の常落混交林としての維持は困難であり森林の破壊になると指摘しているのは、私は極めて正しい指摘ではないかと思いますが、事業者はどう答えているでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、神宮外苑広場、建国記念文庫等の緑地が一部改変されるが、北側は保全エリアとして既存樹木を残し、生態系に配慮した維持管理を行い、また、定期的なモニタリング状況に応じた管理を継続し、将来にわたって緑地環境の保全を図る計画であると説明してございます。
 また、今後整備される文化交流施設棟周辺及び中央広場周りにおいて、神宮外苑広場、建国記念文庫等から約百十二本の樹木を移植し、新たに新植樹木も配置することで、神宮外苑広場、建国記念文庫の樹林及び生態系を復元する計画であると説明してございます。

○曽根委員 建国文庫の森というのは、神宮外苑の中でも唯一まとまった森と呼べる樹林です。これについては、今の答弁のように一部改変どころか、面積では三分の二ぐらいラグビー場によって失われることになります。しかも、すぐ南側のラグビー場はドームになりますので、五十メートルの壁ができるわけです。
 そのすぐ北側のケヤキの大木をはじめ、残される樹林地も、イコモスによれば、日照、風害等の劣悪な環境となり、一部改変というレベルではなく、生態系の基本的構造が破壊されるとイコモスは指摘しております。
 事業者は、ラグビー場で失われる樹木については、文化交流施設棟周辺や中央広場周りに移植をするといっておりますが、文庫の森は、事業者がいうような一つの群落ではなく、五つのエリアがあって、それぞれ百年かけて、植生がだんだん変遷をしてきていると。特定の樹種だけでずっと百年来たわけではないと。それが自然の法則の中で変遷してきて、今の森が守られている。それを継承していけるかどうか、イコモスの側は詳細に調べたそうです。異なる環境で百年生き続けた樹木が、開発の都合で寄せ集められ、樹形を変えられ、群落生態の遷移、つまり移り変わっていくことですね。遷移とは無縁の秩序なき混乱林になっていくということを指摘していますが、これに対して、残念ながら四月と五月の反証の中で、事業者は全く回答していないということであります。
 神宮外苑で森と呼べる貴重な樹林地をこのような形で失う危険性について、何の説明もないということは重大な問題です。
 ほかにも重要な論点を議論していく上で、やはりイコモスの代表者と事業者が一堂に会して、双方の意見、見解を述べ合うことが私は不可欠だと考えますが、東京都の見解としてはいかがでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、四月及び五月の審議会におきまして、評価書への指摘事項に一つ一つ回答を説明するとともに、審議会委員からの意見についても回答しており、審議会で十分に議論がなされたものでございます。

○曽根委員 審議会で時間をかけたから、そして二回に分けて行って十分に議論されたとはいえないということですね。大事な議論がまだ尽くされていないんだと。議論を尽くしてほしいというのは、請願者の参考人招致の要請にもあるように、審議会自身の要望としても出ているわけです。
 先ほど紹介しましたが、部会長自身がイコモスと事業者の意見の食い違いがあまりにも大きいとしまして、事業者がイコモスや都民の意見を聞いて、丁寧かつ真摯に対応するよう異例の意見を発言しているわけです。
 それは、環境影響評価審議会では、競技場の大規模な入替えという開発コンセプトを当然の前提にして、それ自体の意義や是非については、基本的な議論の枠に入らなかったことは、私の質疑で先ほど紹介したとおりです。
 しかも、イコモスは審議会に参加できておりません。事業者のみが外部からの意見に回答するという変則的な形で審議会が行われてまいりました。その結果、イコモスの指摘する事業者の反証なるものでは疑問は解消されなかったこと。しかも、これはイコモスだけのことではなく多くの都民が、やはりこの審議会の了承を納得できないと声を上げていること。また、それを反映して、我々のところにも参考人招致を求める都議会への要請が多数寄せられているということだと思います。
 こうした声に応えて、神宮外苑開発の問題について、可能な限り十分な議論の場を保障するのは、都議会として極めて当然のことだと考えますし、本委員会の各会派の皆様にも、改めてこうした議会の役割を果たすことを呼びかけたいと思います。
 私は、この開発が樹木をはじめ、自然環境にどういう影響をもたらすかは時間がたつうちにはっきり現れてくると思うんです。その段階で自然保護に失敗したと明確になっても、失われた多くの自然は取り戻すことができなくなります。
 今こそ徹底した議論を行い、大事な都心の森と緑を失いかねない場合は、あえて中止を求める都議会としての見識が必要だと考えます。都議会として、その第一歩である議会への参考人招致は避けて通れない課題だと重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

○須山委員 私からは、質疑はなく意見だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほども申し上げたとおり、私たち都議会立憲民主党としては、再開発を行う際には、最大限樹木を切らない方法を取るように訴えてまいりました。
 そうしたこともあり、先ほどの参考人招致の動議に関しては賛成をいたしましたが、残念ながら否決をされてしまいました。
 この再開発事業においては、特に都民の理解を得て進めていくことが何よりも大切だということを改めて強く考えております。
 ただ、今回の請願に関しては、請願者の方の思いというものもよく分かります。しかし、公示や着工しないでほしいという願意は、どれも既に行われてしまっていることであり、残念ながらちょっと難しいものでもあるなということは改めて感じております。
 だからこそ、引き続き都民の理解を得られるように、東京都も事業者も、また説明を深くしていただきたいとお願いをするとともに、私たち東京都議会としても引き続きこの事業に関して議論をしていくべきだと考えております。
 最大限樹木を切らない方法を取っていただくように要望させていただきまして、私からの意見とさせていただきます。

○漢人委員 では、神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願について質問いたします。
 環境影響評価審議会委員は、第二十一期の委員が去る五月十八日で、その任期を終了いたしました。そして、既に第二十二期の委員が選任をされているわけですが、五人の委員が交代となっています。その理由は何でしょうか。
 また、今後の審議会開催の予定についてお伺いいたします。

○長谷川政策調整担当部長 前期第二十一期委員の任期は、令和三年五月二十日から令和五年五月十九日までの二年間でございまして、任期終了に伴って、今期第二十二期委員の選任を要綱にのっとり行ったものでございます。
 今後の審議会開催の予定は調整中でございますが、通常は総会と部会をそれぞれ月に一回開催する計画としてございまして、事業者からの図書の提出状況や審議会委員の出席状況などを勘案して開催の判断をし、開催する場合は一週間程度前に開催のプレス発表を行ってございます。

○漢人委員 今回、新任の委員が五人いらっしゃるんですが、任期満了に伴ってということでしたけれども、そのうちの四人の方は今回で更新が三回され任期八年になったということで、そういった意味での任期満了ということもあって交代をされたというふうに伺っております。はい、まあ、それは確認です。
 次の質問ですが、五月十八日は第二十一期の委員の方々の任期中、最後の審議会でした。この神宮外苑地区市街地再開発事業環境影響評価書に関わる審議について、慎重意見もある中で審議会としての結論を出す形になったわけですけれども、任期をまたいで継続とするということは、これは可能ではあったんでしょうか。お伺いいたします。

○長谷川政策調整担当部長 本件環境影響評価書は、審議会が専門的立場から十分に議論、検討した答申や助言を踏まえて事業者が作成し、本年一月十日に提出されたものでございまして、条例にのっとって一月二十日に公示を終えたところでございます。
 その後、一月三十日の審議会におきまして、審議会の求めに応じ、事業者が外部からの評価書への指摘に対する説明を審議会で行うこととなりました。
 評価書への指摘事項は約六十項目ございまして、内容も専門的であることから、事業者が丁寧に説明できるよう、二回の審議会に分けて説明の場を設けることといたしました。
 事業者からは、三月三十日に説明資料の提出があり、審議会の日程を考慮して、四月と五月の審議会で事業者からの説明を実施したものでございます。

○漢人委員 ご答弁いただいたんですが、今の内容は今回の環境影響評価に関わる審議の経過についてのご説明でした。質問したのは、任期をまたいだ議案の継続は可能かということなんですね。
 もう一回伺います。
 今回のことに限らずですが、一般的に任期をまたいだ議案の継続というのは可能ということでよいですか。

○長谷川政策調整担当部長 審議会は、委員の任期にかかわらず、事業者からの図書の提出状況等に応じて開催するものでございます。
 神宮外苑地区市街地再開発事業につきましては、既に事後調査手続に入ってございますが、今後は第二十二期委員の下、手続を進めることとなります。

○漢人委員 今回の事業者の反論ということについて、これについても、委員会の判断があれば継続することはできたということだというふうに受け止めておきます。
 次の質問ですが、環境影響評価条例の第七十四条の二では、審議会は、第六十九条の規定による調査審議を行うため必要があるときは、事業者その他関係者の出席を求め、説明を聞き、または事業者その他関係者から資料の提出を求めることができると定めています。
 環境影響評価審議会が四月二十七日及び五月十八日の神宮外苑再開発の環境影響評価書に関わる審議について、この条例規定に基づいて、日本イコモス国内委員会の出席を求めるべきだったと私は思いますけれども、それをしなかったのはなぜでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 条例第七十四条の二の規定につきましては、本規定が設けられる以前は、都が審議会において、環境影響評価図書に係る事業内容等の説明を行っておりました。
 これを、事業者が事業内容等についての説明責任を果たす観点から、平成三十年十月の環境影響評価制度見直しに係る審議会答申を踏まえ、事業者等が審議会に出席して事業内容等の説明ができるようにするため、令和元年施行の条例改正によって設けた規定でございます。
 本規定に基づく出席者は、事業者や環境影響評価図書の作成に関わったコンサルタントを想定してございます。

○漢人委員 従来、東京都が全て説明を行っていたものを事業者が出席をして説明できるようにしたという、その条例改正については大変よいことだと思います。
 しかし、つまり条例第七十四条の二の規定では、日本イコモス国内委員会の出席は想定していなかったという答弁だと思うんですね。だけど、条例上、イコモスの出席はできないとか、イコモスの出席は条例違反になるという答弁ではありませんでした。
 確かに、条例改正の際にはこのような展開は想定していなかったかもしれません。ですが、大体、今回の神宮外苑の再開発の環境影響評価書の審査というのは、異例のとか、初めての対応とか、つまり想定外の対応をもう既にさんざんしてきているわけですね。
 そういった中で、今回のケースでの日本イコモス国内委員会の出席というのは、これは条例上十分に可能と解釈できるし、出席要請をするべきだったというふうに思いますので、述べておきます。
 次の質問ですが、五月十八日の審議会では、植生図に記載された植物の群落数というものについて、事業者は神宮外苑の植物の群落数を五としていることに対して、日本イコモスは二十二であると指摘している点について議論になったというふうに聞いております。
 造園学の専門家である委員からは、植生図が違うとなると、その他の調査もゆがめられるんじゃないかという疑問さえ出てきてしまう、きちんとした調査をすれば起こり得ない差だ、二十二群落がどう五群落に集約されているのかの説明がなければ都民に納得いただけないなど、強い懸念が表明をされていました。
 しかし、現存植生図の提出はなかったということですけれども、それでよろしいですか。事実でしょうか。なぜ植生図の提出を求めなかったのでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 現存植生図につきましては、事業者は四月と五月の審議会におきまして、評価書に掲載されている緑地の分布状況が現存植生図に該当すると説明してございます。

○漢人委員 日本イコモスも審議会の専門家の委員も不十分だとしているのに、事業者は評価書に載っているんだから、それでいいんだと反論しているわけですね。これでは納得できるわけがありません。
 次ですが、秩父宮ラグビー場東側のイチョウ十九本について、これは移植を検討することにはなりました。でも、その検討結果が事後調査報告書で報告されるのは、ラグビー場を解体する二〇二七年頃までとされています。
 つまり、現時点では何本が移植対象となるのか、また、移植が成功するのかどうかも不明ということだと思いますが、それでよろしいですか。

○長谷川政策調整担当部長 評価書では、秩父宮ラグビー場東側の港区道沿いのイチョウ十九本全てを移植検討の対象として、今後詳細な調査により、移植可否の検討を行うこととなってございます。

○漢人委員 十九本全て移植検討の対象としているというのは、もう繰り返していることで分かっていることですね。ただ、その移植の可否がどうなのかということ、これはまだ不明だということだと思います。それ以上、答弁ができないということで、現在の段階では十九本、移植の検討対象とはしているが、実際それができるのかどうか、それは全く分からないという状況だということを確認したいと思います。
 次の質問ですが、事後調査報告書は審議会に報告され、審議会によるフォローアップは今後も継続されるということでよいでしょうか。また、今後予定されている事後調査報告書の内容と時期についてお伺いします。

○長谷川政策調整担当部長 事業者が提出している事後調査計画書では、今年から工事予定期間終了の翌年の二〇三六年まで、毎年、事後調査報告書を提出することとなってございます。事後調査計画書では、今年度は六月にイチョウの根系調査結果等が、また、十月に樹木の活力度調査結果等が提出される予定となってございます。

○漢人委員 事後調査報告書は、二〇三六年までの十三年間、毎年一回程度は提出されるんですね。そして今年は、今月にはイチョウの根系調査結果等、そして十月には樹木の活力度調査結果等が提出され、審議会で審査をされるということです。これからもこういった実際に伐採、移植という以前の段階での審査がされるということですので、確認をしておきます。
 次、質問としては最後ですが、審議会委員の市民参加に関してです。
 市民参加をするべきではないかと求める要望が委員から行われたのに対して、事業者からは、都民への説明会を対象を選んで開くつもりというような、対象を限定した開催の意向が表明されたと受け取れるような回答があったと聞いていますが、それは事実でしょうか。そういうことでよろしいんでしょうか。

○長谷川政策調整担当部長 事業者は、五月の審議会におきまして、環境影響評価条例上の手続とは別に、自主的に実施するものとして、住民への説明会を開催する方向で考えており、対象の範囲や説明内容、公表方法などを含め、現在検討していると説明してございます。

○漢人委員 あらかじめ対象を選んだ閉鎖的なものだということではなく、現在検討しているという状況だということです。これは、地元の港区の皆さんからの求めがあるんですが、居住区域を区切らない、そして対話型の説明会というものが求められています。事業者への対応をぜひ求めたいと思いますし、都からの促しもお願いします。
 また、参加者が納得しなくても説明会さえ開けばいいんだと、そういった対応がよくありますけれども、決してそのようなことがないように、これも事業者に対する指導をお願いしたいというふうに思います。
 質問は以上なんですが、今後の審議会において、先ほどいいました条例第七十四条の二に基づいて日本イコモスの出席を求めるということ、これはぜひ審議会として行うということを都としてもそのように指導をしていただきたい、促していただきたいと思います。先ほども確認しました条例違反ということではないはずですので、ぜひそれは実施をしていただきたいというふうに思います。
 また、委員の皆さん、先ほど建設局の方の審査の中で、葛西臨海水族園での樹木の問題がありました。千四百本の樹木の伐採が、伐採ではなく移植が検討されるという話があったんですが、その中で東京都が事業者に出している要求水準書には何て書いてあるのかということを思い出していただきたいんですが、樹木が支障となる場合は、原則として不健全木もしくは大径木等で移植困難なものを除き移植を前提に検討すること、東京都はこのように出しているんですね。大径木等というのは移植が困難だということは東京都は認識していて、葛西臨海公園の場合には、そのように事業者の方に出しているんですよ。
 これだけ問題になっている十九本のイチョウ並木、実際にご覧になったことがない方はあまりいらっしゃらないんじゃないかと思うんですけれども、相当な大径木ですよね。あのイチョウ並木十九本が移植対象になるんであったら、葛西臨海公園で、大径木であれ以上の大径木ってありますかね。(「ない」と呼ぶ者あり)と、詳しい原委員から、ないという声がありました。私は詳しくはないんですが、多分そうです。あれだけ立派なイチョウの木が移植対象となるんであれば、葛西臨海水族園の方では、移植困難な大径木はないということになるぐらい、そのような樹木なんです。
 それを安易に十九本も移植対象としますからと、そしてこれから調査をしますからという、こういった事業者の態度というのは、私は大変認められない。都民に対して、あるいは私たち議会に対しても、本当にこれは失礼な対応であるというふうに思っています。
 百年の森をいかに守るかというところで、もう象徴的なこのイチョウ並木についてこういった状況ですから、ほかも、もう推して知るべしという状況ではないかというふうにいわざるを得ません。
 ぜひ今回のこの請願については採択をしていただいて、事業者に慎重な対応、本当の意味で百年の森、自然を守っていくということが実現できるように求めていくということを都議会として判断していただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○原委員 本請願に賛成する立場を表明し、私からも意見を申し上げます。
 明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会からお手紙をいただきました。タイトルは、明治神宮外苑再開発に対する対話型説明会と事業者と日本イコモスの議論の場を求める要請文、皆さんのところにも届いていると思います。
 近隣住民であり、この緑豊かな神宮の森を慈しみながら子育てをしている主に港区の保護者の方々です。お話も伺いました。
 地元住民であり、スポーツ施設を多く利用しているのに、住民へのきちんとした説明がいまだにされていないというんですね。港区や東京都を通じて、事業者に対し、参加者を制限しない対話型の説明会を再三求めているのに実現をしていなくて、事業者に要請文を手渡そうとしたら、受け取ってくれないそうです。こんな失礼なことがあり得るんでしょうか。
 神宮外苑の近くで子育てをする保護者は、今、不安と危機感でいっぱいです。
 有志の会の皆さんは、五月にはマスコミの取材に応じ、また、新宿区の保護者、子どもたちの笑顔つくる神宮外苑を考える会の皆さんと共に、スポーツ振興の法人であるJSC、独立行政法人日本スポーツ振興センターへの要請も行っています。
 子供たちがスポーツをする場が奪われた、既に始まっている工事が、これから十三年間続き、緑あふれる環境と憩いの場を奪われてしまうとの訴えを発信しています。こんな一方的なことが許されていいのでしょうか。
 青山地区で三人の息子さんを育てている保護者は、子供たちは軟式野球場やテニスコートでスポーツをしてきました。それがある日突然、何の説明もないまま閉鎖といわれ、戸惑っています。再開発が行われるからだと後で聞きましたと話されています。
 保護者が懸念しているのは、軟式野球場やフットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる施設が軒並みなくなってしまい、子供のスポーツする場がなくなってしまうこと。そして、毎日の通学や通勤、生活領域にある外苑の樹木が伐採され、子育てにとって大事な緑豊かな生活環境が奪われることです。
 子供たちが従来どおり自由にスポーツを楽しむことができる場所や機会が守られるようにしてほしい、明治神宮外苑創建の目的とたがうことなく、広く国民にとっての癒やしの場として集える場であるよう求めています。当たり前の願いではないでしょうか。都の環境基本計画の理念そのものではないですか。
 大規模な工事への対策について、子供の通学と生活領域の安全確保のために、地域住民は知る権利があります。対話型の住民説明会の開催について、都からしっかり指導をしてください。
 そして、都が主体になり、事業者と日本イコモス国内委員会との両者から見解を聞くことのできる場がどうしても必要との多数の団体、個人の要請を正面から受け止め、将来に禍根を残さないように、一旦、外苑再開発計画をストップして議論をすべきです。
 百年、大事に育った木を切るのはほんの一瞬だと石川幹子先生がおっしゃっていました。本当に樹木と再開発とどちらが必要なことなのかを考えていくために、今、都議会が議論のテーブルを用意する必要が、責任があるのではないでしょうか。二十万人からの皆さんが今、危機感を募らせています。
 本日、お昼には都庁前でスタンディングをされた市民の思いを都は受け止める必要があると思います。本当にこんなたくさんの声がある中で施行の認可をした都の責任は重大です。市民が強く望んでいる事業者と日本イコモス国内委員会、両者の参考人招致、必ず実現することを強く求め、私からの意見表明といたします。

○曽根委員 私からは、ただいま議題となっております神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願について、継続審査を求める動議を提出いたします。
 本開発に対する都民と日本イコモスなどの疑問は全く解消されておらず、参考人招致を含めて、都議会でのさらなる審議が不可欠と考えます。よって、本請願の継続審査を提案するものです。
 以上です。

○里吉委員長 ただいま曽根副委員長から、神宮外苑地区の再開発計画の審議に関する請願に関して、継続審査を求める動議が提出されました。
 ただいまの動議は、起立により採決いたします。
 動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、動議は否決されました。
 それでは請願五第一号について、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、請願五第一号は不採択と決定いたしました。

○里吉委員長 次に、陳情五第七号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○木村建築物担当部長 それでは、お手元の資料9、請願・陳情審査説明表の三ページをご覧ください。
 整理番号2、陳情番号五第七号、太陽光パネルの設置及びメンテナンスに関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 陳情者は、大田区の山田貴久さんでございます。
 陳情の要旨は、1、住宅の屋根に限らず、カーポートや庭に太陽光パネルを設置した場合も補助の対象とすること。
 2、太陽光パネルのメンテナンスに係る費用の四分の三を補助すること。
 3、漏電対策に関するメンテナンス事項を整備し、漏電災害ゼロ要領書を作成することという三点の実現を求めるものでございます。
 現在の状況でございますが、1、補助の対象についてでございます。
 都は、新制度の円滑な施行に向け、今年度から、住宅等への太陽光発電設備等の設置に対する各種補助事業において、屋根上の設置のほか、ソーラーカーポートなどへの敷地内設置についても補助対象としてございます。
 なお、令和七年四月から施行する建築物環境報告書制度における太陽光発電設備など再エネ設備の設置基準では、設置場所は原則敷地内とし、屋根上のほか、ソーラーカーポートなどへの敷地内設置も可能としております。
 2、太陽光パネルのメンテナンスについてでございます。
 太陽光発電設備の設置後は、ごみやほこり等は風雨で洗い流されるため、一般的な住宅地では、定期的に屋根に上って掃除をする必要はほとんどございません。日常的に発電量を確認し、発電量の低下が確認された場合には、専門業者に問い合わせていただくことになります。各パネルメーカーにおいては、万が一の故障に備え、十年程度の機器保証、二十年程度の出力補償を無償または有償で行っております。
 また、都は現在、太陽光パネルの附属機器であるパワーコンディショナーの更新経費に対して、機器費、工事費の二分の一、一台当たりの上限十万円の補助を行っております。
 3、漏電対策についてでございます。
 太陽光発電協会等の業界団体では、太陽光発電システム保守点検ガイドラインを策定しており、住宅用太陽光発電設備の所有者による日常点検及び専門技術者による定期点検に関する具体的な点検項目及び要領等を示した技術基準を公表しております。
 四ページをお開き願います。また、都は本年五月、都民に向けて、住宅用太陽光発電設備を長く大切に使っていただくため、定期的な点検や維持管理等に関する普及啓発資料を作成し、都のホームページに掲載するとともに、業界団体等を通じた周知を実施しております。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○原委員 脱炭素社会の達成に向けては、再生可能エネルギーを抜本的に強化することが求められています。化石燃料や原発との決別をきっぱり決め、省エネ、再エネ促進を地域経済活性化との両輪で取り組むことが重要です。
 この陳情は、こうした都民にとって手が届く再エネ設備になり、利用が広がることを望む積極的な意見と受け止めます。賛成の立場から若干意見を述べます。
 今年度から、都内の住宅またはその敷地内に新規に設置された太陽光発電設備について、補助対象とされました。カーポートや敷地内に置かれた倉庫、家庭菜園の敷地などが考えられます。今後は窓の形状であるとか、筒型とか、様々な太陽光パネルが開発されていくので、そうした進展も考慮した補助制度にしていく必要があると思います。
 メンテナンス費用は、パワーコンディショナーの更新に対し、機器費用、工事費用の二分の一、上限十万円ですが、更新やメンテナンスなど、維持費用への不安感が強い方々が多くいらっしゃいます。こうした現状から、もっと補助率を引き上げることを求めます。
 漏電などの事故への備えとしては、まずは、定期点検がしっかりされること、そして機器保証、出力補償が重要です。太陽光パネルが安全に使われるには、電気の技術をしっかり備えた事業者が工事を行うことであり、例えば、安さを売りにして安かろう悪かろうの工事になると、架台が壊れたりすることも起こると東京土建の方から伺ったことがあります。
 事業者選びというのも大事になってくると思われますが、購入者がここなら大丈夫と安心して事業者を選べるよう、都としても支援をしていく必要があるかと思います。
 太陽光パネルの設置には屋根の補強が必要と突然訪問して屋根補強をしたかのように装い、お金をかすめ取る悪質業者の報告も今、増えています。注意喚起が必要です。ぜひ、こうした実態も踏まえて、再エネ設備を検討されるご家庭の全ての方が安心して設置できるような取組をお願いします。
 補助金申請手続が簡略化され、二段階申請から工事完了後の一回になったことも前進だと思います。設置者と共に書類をそろえる工務店などの負担が軽くなることは大事です。引き続きの申請簡略化と補助金支給まで何か月も待たされる現状を解決することを併せて求めておきます。
 再エネ相談会や情報提供イベントなども、ぜひ広く取り組んでいただくことを申し述べて、意見表明といたします。

○漢人委員 私からも、この太陽光パネル設置及びメンテナンスに関する陳情に関して、二点ほど発言をしておきたいと思います。
 太陽光パネル設置の促進のためには、市区町村各自治体との連携が大変重要だと思っております。東京都としても、今回の陳情に即していえば、各自治体の補助制度などについて十分に把握し有機的な連携による充実を図ることを求めたいと思います。
 そしてもう一点ですが、先日、情報提供として、一般社団法人太陽光発電協会による太陽光発電事業のサプライチェーン等における人権尊重に関わる取組ガイダンス実践の手引の策定についてということで、この資料が各委員に配布をされました。各事業者にこの人権方針の策定などを促し、そして策定状況を把握し公表することなどもぜひ行っていただきたいと思いますので、求めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、陳情五第七号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時五十四分散会

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