環境・建設委員会速記録第二号

令和五年二月二十七日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長須山たかし君
副委員長曽根はじめ君
理事柴崎 幹男君
理事成清梨沙子君
理事小磯 善彦君
漢人あきこ君
山田ひろし君
原  純子君
渋谷のぶゆき君
伊藤こういち君
こいそ 明君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
理事宮澤 浩司君
総務部長節電行動連携担当部長兼務小川 謙司君
環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務上田 貴之君
政策調整担当部長藤本  誠君
気候変動対策部長荒田 有紀君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長鈴木 研二君
環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務宗野 喜志君
自然環境部長和田 慎一君
生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務小林 洋行君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環計画担当部長村上  章君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長副島  建君
道路監花井 徹夫君
総務部長浅野 直樹君
道路建設部長湯川 雅史君
河川部長齊藤 俊之君
無電柱化推進担当部長福永 太平君

本日の会議に付した事件
建設局関係
契約議案の調査
・第八十七号議案 谷沢川分水路放流施設工事請負契約
・第八十八号議案 箱根ケ崎陸橋(四)鋼けた製作・架設工事その二請負契約
・第八十九号議案 稲城多摩トンネル(仮称)(四)擁壁築造工事請負契約
・第九十号議案 古川整備工事(その二十四)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第六十八号議案 東京都無電柱化推進基金条例を廃止する条例
・第九十七号議案 令和四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係市の負担の変更について
・第百三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出 建設局所管分
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第六十三号議案 東京都新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金条例
・第百三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出、繰越明許費
環境局所管分
付託議案の審査(決定)
・第六十三号議案 東京都新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金条例
・第六十八号議案 東京都無電柱化推進基金条例を廃止する条例
・第九十七号議案 令和四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係市の負担の変更について
・第百三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出、繰越明許費 環境・建設委員会所管分

○里吉委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和五年二月二十四日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 里吉 ゆみ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第八十七号議案 谷沢川分水路放流施設工事請負契約
 第八十八号議案 箱根ケ崎陸橋(四)鋼けた製作・架設工事その二請負契約
 第八十九号議案 稲城多摩トンネル(仮称)(四)擁壁築造工事請負契約
 第九十号議案 古川整備工事(その二十四)請負契約
2 提出期限 令和五年二月二十七日(月)

○里吉委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の中途議決に係る付託議案の審査並びに建設局関係の契約議案の調査を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第八十七号議案から第九十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ(明)委員 それでは、契約案件でございます稲城多摩トンネル(仮称)(四)擁壁築造工事について伺いたいと思います。
 これまで繰り返して、本委員会でも南多摩尾根幹線の重要性について取上げをさせていただきました。南多摩尾根幹線は、多摩ニュータウン地域を横断するとともに、神奈川県境を経て国道一六号、そして、圏央道に至り、また、調布保谷線を経由すると埼玉県にもつながる、いわゆる広域幹線道路であります。
 また、本路線の沿線は、多摩ニュータウンの再生に向けた検討が現在進められており、業務商業用地の土地利用転換による、にぎわいまちづくりも検討がされているところであります。本路線は、まちづくりに寄与するまさに重要な路線であるわけであります。
 これまで四車線化未整備の全区間で事業認可を取得し、整備が開始をされておりますが、着実に工事を進めるとともに、さらなるスピードアップなどの工夫が必要であるとも思います。
 そこで、南多摩尾根幹線の現在までの取組について伺いますとともに、本路線に対する建設局としての位置づけですね、そして、このいわゆる整備に向けての体制について、この際、お聞かせをいただきたいと思います。

○湯川道路建設部長 南多摩尾根幹線でございますけれども、調布市多摩川三丁目から稲城市、多摩市、八王子市を経由いたしまして、町田市小山町に至る延長約十六・五キロメートルの都市計画道路でございまして、今、委員のおっしゃられたとおり、調布保谷線とつながることで、埼玉から東京を経て神奈川までを結ぶ非常に重要な広域幹線道路と認識をしてございます。
 現在、四車線化未整備の約九・五キロメートルの区間で事業を進めているところでございます。
 これまで本線整備のための準備工事や、仮称稲城多摩トンネル東側の本線と側道が接続する付近で擁壁工事を進めてきたほか、仮称南野陸橋の下部工事なども進めてきてございます。また、仮称南野陸橋の上部工事につきましては、令和四年第三回定例会で補正予算を編成し、先日、契約となったところでございます。
 さらに、体制でございますけれども、令和四年に事業を担当する事務所に担当課長を設置したほか、来年度も担当者を増員するなど、拡充に取り組んでいるところでございます。

○こいそ(明)委員 体制が着実に、体制強化といいますか、進められてきていることをよく私も理解をさせていただきます。
 それとともに、本路線は、今、部長からご答弁ありましたように、これはもう東京西南地域だけじゃない。もう少し広げて見ても、首都圏全体の中においても極めて重要な路線だと。こういう位置づけだというふうにも認識をしております。
 そういう中で、ただいまのお話、ご答弁の中でも、擁壁や陸橋などの構造物の整備が進んでいることは理解いたしました。今後とも一層整備を促進していただきたいと要望するところでありますが、ところで、先ほど、本線整備のための準備工事とのご答弁もあったかと思います。具体的にどのようなことをやられてこられているのか、この点をお願いします。

○湯川道路建設部長 準備工事でございますけれども、道路の中央部の土出しを行うものでございまして、令和元年から開始し、令和三年度までに多摩市南野地区、諏訪地区で実施をいたしました。
 また、現在、多摩市鶴牧地区において準備工事を行っているほか、先日、諏訪、永山地区における準備工事についても契約となったところでございます。
 さらに来月には、多摩市聖ヶ丘地区における準備工事についても契約予定でございます。
 なお、準備工事が終わった箇所につきましては、随時道路工事にかかれるよう、鋭意取り組んでまいります。

○こいそ(明)委員 準備工事、すなわち土出しですよね。本線の中央部分に、かなり盛土が営々と連なっているわけでありますけれども、随時その土を取っていただいています。
 そういう中でも、これは何回もお話をさせていただいておりますけれども、その土出しをしていただくとともに、当然にして、用地買収は力を入れなくていいわけですから、繰り返して申し訳ありませんが、土出しをさらに進めていただくとともに、その土出ししたところは、ご答弁もありましたけれども、やはり私は、ぜひ街路整備をできるところから着工していただきたいと思います。
 現知事、前の知事、その前の知事に視察をしていただく中で、先ほどのご答弁の中にありましたように、これは極めて重要な路線だと。これはしっかり進めなきゃいけないという、本会議でもあらゆる場で表明されておりますけれども、そういう中でも、ぜひこの整備、どうしてこういうことを何回もいわせていただくかと申しますと、非常に渋滞が顕著にというか常態化しているんですね。
 ですから、そういう意味合いからもぜひ、これはもう当然、これだけの大がかりな道路整備を進めるということは、時間は当然かかる。それなりにしっかりしっかりと進めていっていただかなきゃなりません。それはよく理解しているところなんですけれども、可能なところ、土を取って、いわゆる全体的な計画の中でも、これは着工できる、整備できる、そういうところはぜひ着工していただきたい、整備していただきたい、これを強く要望させていただきたいと思います。
 また、先ほど、これもご答弁でございました、仮称稲城多摩トンネル東側では、既に本線と側道が接続する付近で擁壁工事が進められてきております。今回、この擁壁とトンネルの間の擁壁築造工事として、稲城多摩トンネル、仮称でありますけれども、その四、擁壁築造工事が議案としてこのように提案をされているわけでありますけれども、今回のこの工事の概要をもう一度ご説明いただきたいと思います。

○湯川道路建設部長 本工事では、仮称稲城多摩トンネル東側坑口手前の掘り割り部で、これまで進めてきました将来四車線の両側の擁壁に連続して、延長約六十メートル、高さ約三メートルから八メートルの新たな擁壁を設けるものでございます。
 擁壁は、長さ十三メートルから十六・五メートルの鋼管矢板を百二十四本圧入後、鋼管矢板の間の幅約二十五メートルを掘削しまして、底盤コンクリートを打設し、築造するものでございます。
 工事期間は令和六年十二月までを予定してございます。

○こいそ(明)委員 本工事の概要は分かりました。
 この擁壁は、地域の主要な道路でもある現道に接近し、工事期間が長期間に及ぶことから、現道を利用する地域住民への影響が少なくないと思われます。
 そこで、今回の工事に際して、どのような工夫がなされていくのか、その辺りを含めてお願いします。なされているのか。

○湯川道路建設部長 ご指摘のとおり、擁壁は現道に近接して施工するため、現道の交通機能を確保することが重要でございます。
 整備に当たりましては、擁壁本体である鋼管矢板を土留めとしても利用することで、掘削幅を狭められるとともに、掘削による現道への影響も抑えられる工夫をしてございます。このことによりまして、現道の交通に影響を与えることなく工事を進めることができます。
 引き続き、地域の皆様の理解と協力を得ながら工事を進めてまいります。

○こいそ(明)委員 本工事の影響を抑える工夫をした施工方法、構造を採用していることは今のご答弁で分かりました。
 現道を規制しない状態で工事を進めることは、沿道からの理解を得る上で望ましいと思います。工事に際しては、地元の周知、丁重な対応を心がけるとともに、安全には十分なる配慮をしながら進めていっていただきたいと思います。
 改めてとなりますが、今回提出議案のほか、工事着手している仮称南野陸橋などは、工事に時間がかかる構造であるために、先行して進めていく必要性は理解します。一方で、先ほどの答弁にもあった、道路中央部の、これは何回もいって申し訳ないですけれども、道路中央部の土出し工事を終えた区間では、速やかに街築工事を進めていただくことを改めて強く要望させていただきたいと思います。
 引き続き、建設局として総力を挙げて南多摩尾根幹線の整備に取り組んでいっていただきますようにお願いいたします。
 終わります。

○曽根委員 私からは、第八十七号議案、谷沢川分水路放流施設工事請負契約について意見を申し上げたいと思います。
 この谷沢川分水路放流施設工事請負契約は、私ども推進の立場から意見、そして要望を述べておきたいと思います。
 本分水路工事は、時間七十五ミリ降雨に対応するために、谷沢川上流部で本川及び雨水幹線の雨水を約三・二キロメートルの分水路で地下に逃がし、多摩川への合流時の最下流部で、今回ふかし上げ構造で合流させる放水施設を整備するものです。
 この区間には、谷沢川の中流で等々力渓谷の上流及び下流に水害の危険箇所があり、集中豪雨の際には、上流の雨水幹線の流入も含めて溢水の危険があることから、今回の分水路は、例えば二〇一九年の台風十九号による多摩川の氾濫や支流への逆流による水害を踏まえて、早期の整備が待たれていた事業です。
 本計画では、口径五・五メートルの分水路を地下約三・二キロにわたって整備し、毎秒五十トンの水流を取り込み、本川の流れを毎秒五トン程度に抑えるというもので、これによって最大で三万八千トン程度の水流を分水路に取り込み、私の試算では、大体毎時十五キロメートルぐらいの速力で十数分かけて多摩川本流に合流していくと。
 この間のタイムギャップや、それから、四万トン近い水流を地下に取り込むことができることから、谷沢川からの溢水も防ぐことが可能になる点で適切な工法だと考えます。
 ただ、近年、二〇一九年の台風十九号をはじめ、都内でも時間百ミリ前後の豪雨も観測されていることから、この事業で全ての豪雨水害の防止に対応できるかどうかは、十分な検証が必要だと思います。
 引き続き、一九年の台風被害をはじめ、都内各地の水害事故の被害実態などを教訓として、多摩川水系の豪雨被害を防止するための対策の強化を強く求めておきます。
 以上です。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○里吉委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第六十八号議案、第九十七号議案及び第百三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出、建設局所管分を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○柴崎委員 私の方は、無電柱化推進基金条例の廃止ということにつきまして質疑をさせていただきたいと思います。
 これまで、都議会自民党は繰り返し、無電柱化の重要性については議会ではもちろん、様々な場面で訴えてきたところであります。こうした中で、改めて、東京都無電柱化推進基金を創設した時期と目的についてお伺いしたいと思います。

○浅野総務部長 都は、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保及び良好な都市景観の創出に向けて無電柱化を推進するため、平成二十八年度最終補正予算において、東京都無電柱化推進基金を創設いたしました。

○柴崎委員 無電柱化事業の推進に向けて、この基金の設置目的ということで、今ご答弁いただきました。
 そこで、この基金が設置された平成二十八年度以降、都道における無電柱化の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

○福永無電柱化推進担当部長 これまで都は、計画に基づき無電柱化に取り組みまして、令和元年度末には、センター・コア・エリア内の整備をおおむね完了させました。
 また、計画幅員で完成した歩道幅員二・五メートル以上の都道における令和三年度末までの整備済み延長は、都内全体で千四十三キロメートル、地中化率は約四五%でございます。
 引き続き、都道の無電柱化に積極的に取り組んでまいります。

○柴崎委員 今ご答弁いただきまして、無電柱化が都道におきまして着実に推進されているということがよく分かりました。
 しかしながら、都道の無電柱化につきましても、まだ、今、四五%という数字も出てまいりましたけれども、これからというところでございますし、区市町村道に至りましては、まだまだ進捗していない状況にあろうかと思っております。したがいまして、これから加速度をつけて取り組んでいただきたいこの無電柱化事業でございます。
 こうした中におきまして、今回、基金を廃止するということなので、その理由について伺いたいと思います。

○浅野総務部長 自然災害等の危機から都民の生命と暮らしを守り、強靱で持続可能な都市を実現するため、令和四年度最終補正予算において防災に係る基金が再編され、東京強靱(じん)化推進基金が新たに創設されることとなりました。この基金の創設に伴い、東京都無電柱化推進基金を廃止いたします。

○柴崎委員 東京強靱(じん)化推進基金が新たに創設されてその中でということで今答弁ありましたが、廃止というふうに聞きますと、我が会派としても、この事業が、まさか後退してしまうんじゃないかとか、そんなふうに大変心配をしたところであります。
 今答弁いただきましたので、安心はいたしましたが、やはりこの無電柱化につきましては、都民の安全・安心を守るということで非常に重要な事業であるというふうに我々も認識をしております。そして、この基金が廃止された後も、やはり積極的に無電柱化を推進するということで今も答弁をいただきました。
 都議会自民党といたしましても、無電柱化事業はしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますので、ぜひ建設局の総力を挙げて頑張っていただきたい、このことを強く申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。

○里吉委員長 これより環境局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第六十三号議案及び第百三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出、繰越明許費、環境局所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○柴崎委員 私からは、新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金、これが一千五百億円積まれたわけでございますが、このことにつきまして質疑をさせていただきたいと思います。
 昨年、第四回定例会におきましては、提案されました太陽光パネルの設置義務化を内容とした条例改正案には、都民の理解が深まっていないということから、都議会自民党といたしましては反対を表明したところでございました。
 こうした中で、パネル設置を義務化するということにつきまして、依然として疑問の声が我々のところに届いているのも事実でございます。
 都は、義務化することの妥当性、合理性、これを都民に継続的かつ粘り強く説明すべきであると考えております。
 この改正条例可決後、十二月二十二日以降、どのように取り組んできたのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。

○関制度調整担当部長 都民の理解促進に向け、住宅購入層を中心に、年代別などターゲットに応じた戦略的な広報を実施しております。
 具体的には、まず、制度の概要や太陽光発電の一般相談などを受け付けるワンストップ相談窓口を一月四日に開設をいたしまして、これまでに約六百件の相談を受けるなど、丁寧に対応しております。
 次に、「広報東京都」の特別号の発行、トレインチャンネルやSNSでの動画配信、住宅情報ウェブサイトでの情報発信など、多くの媒体を活用することにより、新制度の意義や効果等について幅広く周知を行っております。
 さらに、大規模商業施設においてイベントやセミナーを開催いたしまして、太陽光発電について身近に感じていただく取組や、維持管理などの専門的な内容を紹介するなど、多様な情報を発信しております。
 そのほか、地域団体や消費者団体等、各種団体等を通じ、太陽光発電のメリットや補助制度などについて分かりやすく説明をしております。
 今後とも継続的かつ丁寧な説明を行うことにより、都民の理解促進を図ってまいります。

○柴崎委員 今ご答弁いただきましたので、東京都としては、様々な媒体を通じて、活用して、いろいろな場面で情報発信すると。同時に、各種団体を通じてメリットですとか、あるいは補助制度の説明に努めているということは理解をできました。
 また、太陽光発電の促進につきましては、CO2の削減に向けた取組の一つとして大変有効な手段であるということで、引き続き情報発信と理解促進に取り組んでいただくように要望をしておきたいと思います。
 こうした中で、肝腎なのは、昨年の当委員会でもお話をさせていただきました。これは、やはりこうした活動を通じて、そして皆さんが感じている手応えなんですよね。つまり、このパネルを設置する方の意思に任せるのではなくて、都が義務を課すということですね。このことに関する疑問が解消されているのか、そして、義務を課してもパネル設置を進めるべきであるという機運が盛り上がっているのかということなんです。
 昨年のこの委員会におきましてもお尋ねをさせていただきました。現在の状況を都民の皆様はどのように受け止めているのか、この点についてお答えいただきたいと思いますが、いかがですか。

○関制度調整担当部長 これまで、先ほどご答弁申し上げましたような様々な周知活動、広報活動を行ったことによりまして、一定の理解が進んでいるものというふうに認識をしております。

○柴崎委員 理解を得るための活動というのは本当に大事だと思います。ですから、情報発信をいろんな媒体を使ってやられているということは、これはこれで積極的にやっていただきたいと思いますが、これは目的ではないんですね。あくまでもこれは手段ですよ。こうした活動を通じまして、皆様方が体感する、都民の思いを施策に反映する、このことが我々としてはやはり重要だというふうに認識しているんです。
 ですから、引き続き都民の声、そして事業者の声、ぜひ、耳を傾けていただきまして、義務化することに行政施策としての妥当性、そして合理性があるのか、今後も検討を重ねていただくことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次の質問につきましては、先ほど申し上げました一千五百億円のこの基金についてなんですが、今回、一千五百億円の基金を創設するという条例案が提案をされました。
 しかしながら、この基金を創設して事業を実施していくことはいつ決めたのか。まず、この点についてお伺いしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 昨年九月にカーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針を公表し、新制度の実効性を高めるための具体的な取組と併せて、安定的な財源の確保に向けた検討を進めてまいりました。
 十二月中旬に発出された最終補正予算の編成指示を受けて、局から要求を上げ、年明けの知事査定を経て、基金創設を条例案として提案することを決定したものでございます。

○柴崎委員 今ご説明をいただきました。それでは、もう一つお聞きしたいと思います。
 この基金の総額、一千五百億というふうにしたわけですよね。この一千五百億円としたのはどういう理由からなのか、これについてお答えいただきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 本基金は、令和五年度予算案における新築建築物に係る再エネ設備等の設置を推進するための関連事業を基に、現時点での推計を行い、積立額を計上しております。
 具体的には、令和五年度予算案の本基金からの充当額約二百二億円に対し、二〇三〇年までの一定の単価軽減等を考慮し算定しております。

○柴崎委員 今ご答弁いただきました。もう一つお聞かせください。
 この一千五百億円の基金を創設したわけでございますが、創設を補正予算としたのは何ででしょうか。これをちょっとお伺いしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 都の全庁的な取組として、最終補正予算案の編成において、都税収入の伸び、歳出の精査などにより生まれた財源を基金へ積み立てることで、持続可能な財政基盤を構築するとしております。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向け、早急な対策が必要な新築建築物への再エネ設備設置等の推進に充てる安定的な財源を確保し、継続的に支援を行っていく必要があることから、本基金についてもこの中で最終補正予算案として設置の提案を行っております。

○柴崎委員 今ご答弁をいただいたわけでありますが、これは補正予算ということになったわけでございますので、今日の環境・建設委員会、審議をする時間というのは今日一日なんですね。--ですよね。当然、予算特別委員会の中で議論されるということではないということなんですね。
 そのことも踏まえて、どうしても急がなくちゃいけないというような今ご答弁があったわけでありますが、いずれにしても、続いてちょっと質問させてもらいたいと思います。
 この基金ですね、この一千五百億円を運用して実施する事業の全体像はどのようになっているのか、またこの事業につきましては、いつまで実施するという計画になっているのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 本基金は、二〇三〇年までの目標である新築住宅への太陽光パネル新規設置七十万キロワットの達成に向け、新築建築物への再エネ機器設置や、再エネの有効利用に資する蓄電池導入を支援する事業に対して充当するとともに、こうした機器の設置に係る相談窓口や普及啓発事業等のほか、リサイクルに対する支援策にも活用してまいります。
 対象ごとの内訳としては、太陽光パネル等の再エネ設備設置に関連する支援として一千億円程度を見込むほか、蓄電池導入への支援として四百六十億円程度を、また、総合的な相談窓口やリサイクルへの支援などに四十億円程度を見込んでおります。
 こうした支援を安定的かつ継続的に推進することで、二〇三〇年目標を達成してまいります。

○柴崎委員 今ご答弁いただきました。一千五百億円の本基金は、令和十三年、二〇三〇年、目標達成に向けたものというふうなご説明でございました。
 そして、内訳でございますが、再エネ設備設置についての支援が一千億円程度、そして蓄電池導入支援が四百億円程度、それから、相談窓口ですとか、あるいはリサイクル支援などで四十億円程度というふうに今ご答弁をいただいたところでございます。
 そこで、二〇三〇年が事業実施の当面の目標期間ということは、令和七年の二〇二五年に開始をされて、六年後の令和十三年、二〇三〇年に終了するということなのでしょうかね。その点についてお伺いしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 本基金につきましては、終了年度は特段定まってございませんが、本基金の目的といたしましては、二〇三〇年までの目標である新築住宅への太陽光パネル新規七十万キロワットの達成ほか、先ほど申し上げた目標を達成するものでございます。

○柴崎委員 今ご答弁いただきました。あくまでも二〇三〇年の目標に向けてということなんですが、やはりこれだけの事業でありますと、通常であれば、事業の始期、そして終期、この設定があるわけなんですよね。あるというふうに我々は認識しているんですよ。
 ですから、その点については、こういった、本来であれば、終期の設定というのがあるべきではないかな、このように考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、このパネル設置義務化事業の終期が明示されていない以上は、老朽化に伴う住宅の建て替え需要を考えますと、一体いつまで継続していくのかということになるんですよね。パネルに関する技術革新ですとか、あるいは価格動向、これも様々な要因が考えられます。
 しかしながら、このパネル設置への行政支援をどこまで継続していくべきかという観点からも、やはり継続的に検討していただくように要望しておきたいと思います。
 次に、先日、第一回定例会の代表質問におきまして、知事が、家庭部門削減量の三%、三十万トンのCO2の削減効果があるというふうにご答弁いただいたところでございます。このご答弁について伺いたいと思います。
 家庭部門の削減量を算定した経済効果については、発電コスト削減約一千三百億円、そして工事費の直接投資効果が約七百億円で、計二千億円以上との答弁がありました。こうした経済効果はどのように算定されたのか、この点について伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 発電コストの低減についての算定は、基金を活用し、二〇三〇年までの目標である新築住宅への太陽光パネル新規設置七十万キロワットを達成し、これにより年間約七億キロワットアワーの再エネ電力が発電されることを想定し、実施しております。
 この年間約七億キロワットアワーが、石炭火力発電から住宅用太陽光発電に置き換わった場合を想定し、経済産業省が見込む二〇三〇年時点の電源別発電コストを比較すると、太陽光パネルの寿命とされる三十年間で約千三百億円分の発電コスト低減効果が期待できます。
 次に、太陽光発電設備や蓄電池の設置拡大による都内経済への波及効果については、現行の支援制度における補助率から逆算すると、基金を活用し太陽光発電設備と蓄電池の設置が行われた場合、この投資額は約三千百億円と推計されます。
 この投資は、都内外で直接的、間接的な経済波及効果を生みますが、工事費が都内で投資されるものと想定すると、直接投資額だけでも約七百億円分の経済効果が期待できます。
 これらを合わせ、少なくとも二千億円以上の経済的メリットが期待できると考えてございます。

○柴崎委員 今ご答弁いただきました。経済産業省が見込む、令和十三年、二〇三〇年時点、これの電源別発電コストを比較すると、太陽光パネルの発電コストは約一千三百億円ということでありました。
 本来であれば、二〇三〇年時点で、太陽光パネルの額が総額に対してどのくらいの割合なのかというのを確認したいところなんですが、その前に伺っていきたいと思います。
 太陽光パネルの削減効果でありますが、三十年間で約一千三百億円という今ご答弁をいただいたわけであります。したがって、これを割り算しますと、おおよそ年間では約四十三億円程度というふうに、単純に割り算するとそういう計算になるんですが、これでよろしいんでしょうか、確認したいと思います。

○荒田気候変動対策部長 理事ご指摘のとおり、三十年間で割れば、一年当たりの発電コスト低減効果は約四十三億円となります。

○柴崎委員 分かりました。年間では四十三億円程度ということですね。
 もう一つ、ちょっと確認させてください。令和五年の二〇二三年から令和十三年、二〇三〇年、これは八年間になるわけでありますけれども、この八年間ということで見ますと、三百四十四億円の削減効果になるという理解でよろしいんでしょうか。これも単純に、今、年間約四十三億円ということですから、八年間ということで、掛ける八をしたわけなんですけど、これでいいのかどうか確認したいと思います。

○荒田気候変動対策部長 理事ご指摘のとおり、八年間を掛ければ、約三百四十四億円となります。

○柴崎委員 ありがとうございます。
 続いてお伺いしたいのは、令和五年、二〇二三年から令和十三年、二〇三〇年まで、ですから八年間ですね、先ほど申し上げましたように。これで一千五百億円の基金、この内訳といたしまして、再エネ設備設置に係る経費が一千億円程度。この一千億円の基金の効果というのは約三百四十四億円というふうな理解でよろしいのでしょうか。これについてもお伺いしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 私どもはライフサイクルで算定してございますが、理事ご指摘の八年間でいえば、発電コストの削減効果はお話のとおりでございます。

○柴崎委員 ありがとうございます。
 続いてお伺いしたいのは、この都内経済への波及効果についてなんですね。この基金を活用した太陽光発電設備と蓄電池の設置が行われた場合に、投資額は約三千百億円推計されるということですよね。
 この答弁をいただいたわけですから、この基金のうち、太陽光発電設置分が一千億円、そして、蓄電池の設置分が約四百六十億円ということになりますので、令和五年の二〇二三年から令和十三年、二〇三〇年までの八年間で一千四百六十億円、この基金を活用すると八年間で三千百億円。したがって、これも割り算になるんですけれども、一年間で見ますと約三百八十八億円の投資を生むというふうな理解でいいのかどうか、これも確認させてください。

○荒田気候変動対策部長 理事ご指摘のとおり、投資額三千百億円を八年間で割れば、一年当たりの額は約三百八十八億円となります。

○柴崎委員 この工事費が都内で投資されると、直接投資額でも約七百億円の経済効果が期待できるとのことであります。
 しかしながら、この金額も八年分、つまり年間でいえば約八十八億円ということでの理解でよろしいんでしょうか。それも併せて確認させてください。

○荒田気候変動対策部長 理事ご指摘のとおり、直接投資額約七百億円を八年間で割れば、一年当たり約八十八億円の投資となります。

○柴崎委員 もう一つ確認させてください。やはり知事が答弁をされました二千億円の経済効果についてなんですが、令和五年の二〇二三年から令和十三年、二〇三〇年の八年間で見ますと、コスト削減効果については四十三億円、そして投資効果が約八十八億円、したがって、年間で見ますと約百三十一億円の効果があるというふうに計算すると出てくるんですが、この理解でよろしいでしょうか。それも確認させてください。

○荒田気候変動対策部長 年間での発電コスト削減効果及び都内への直接投資効果は、理事のお話のとおりでございます。

○柴崎委員 いろいろ、今、数字について確認をさせていただきました。やはり分かりやすくこの数字を表していただくということが、我々としても一番だと思っております。したがって、今ご答弁いただきましたこと、誠にありがとうございます。
 それで、この一千五百億円の基金を活用した事業の位置づけなんですけれども、東京都は現行条例の下で、この基金を活用して事業を進めていくというふうに我々は理解をしておりますが、それでよろしいのでしょうか。確認させてください。

○関制度調整担当部長 令和四年第四回定例会において可決されました改正環境確保条例は、令和四年十二月二十二日に公布をされております。令和七年四月一日の新制度の円滑な施行に向けて、新たな基金を活用し、再エネ機器等の設置拡大を図ってまいります。
 なお、施行までの間は現行条例が適用されております。

○柴崎委員 今ご答弁をいただきました。この改正条例は、現時点でまだ効力を発揮していないわけですね。効力が発生していない条例の下でということになるわけでありますが、ここで、今ご答弁いただきましたように、この改正条例が効力を現時点では発揮はしていない。そして、令和七年までは現行条例が適用されるということであります。
 したがって、その結果、補正予算で提案されている基金につきましては、現行条例の下で適用されていくというふうに理解をすることができました。
 いずれにいたしましても、やはり先ほど冒頭で申し上げましたように、都民の理解が不可欠でございます。この制度の執行に向けまして、やはり都民の納得を十分に得た上でこの事業を進めていくことが不可欠である、このことを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

○たきぐち委員 それでは、私からも、東京都新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金について伺いたいと思います。
 都は、二〇五〇年のゼロエミッション東京、そして二〇三〇年のカーボンハーフ実現を目指し、取組を加速しているところです。
 とりわけ都内CO2排出量の七割を占める建物への対策が急務であり、年間約四万棟着工されている新築住宅への太陽光パネル設置に関しては、昨年八月の環境審議会答申を踏まえて、九月に基本方針が策定され、第三回定例会の本委員会での議論を経て、第四回定例会に環境確保条例の改正案が提出され、我が会派からは山田委員がその内容、意義、そして今後の課題も含めて質疑を行い、都議会として可決をしたというのが一連の経緯と現状であるというふうに認識をしております。
 先ほど、その後の取組ということで、都民の理解を深めるために、さらなる情報発信、そして普及啓発に努めているというご説明もありました。
 二〇五〇年ゼロエミッション、そして二〇三〇年カーボンハーフの目標達成に向けて、今回新たに新築建築物への再エネ設備設置等を推進するために一千五百億円の基金を新設するとしています。
 そこでまず、基金設置の意義について伺います。

○荒田気候変動対策部長 二〇五〇年ゼロエミッション東京、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、脱炭素社会の基盤を早期に確立することが不可欠であり、二〇五〇年の東京の姿を形づくる新築建築物への対策が極めて重要でございます。
 昨年第四回定例会で環境確保条例を改正し、令和七年四月からの新築中小建築物への太陽光発電設備の設置義務化を控え、速やかに準備を進めるため、新たな基金を設置するものでございます。
 本基金を活用しながら、新築住宅への太陽光発電設備設置等の支援を安定的かつ継続的に推進することで、二〇三〇年目標である新築住宅への新規設置七十万キロワットを達成してまいります。

○たきぐち委員 知事が就任して最初に編成した予算である平成二十九年度の予算では、スマートエネルギー都市の実現として百七十七億円が計上されていました。これが毎年増額されまして、令和五年度、新年度予算において、ゼロエミッション東京の実現として一千八百二十二億円が示されたところであります。
 このうち住宅向けには、災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業として、四百九十六億円などを計上しております。
 こうして一般財源の中で太陽光発電設備の設置促進に向けた施策が講じられていると考えますが、どのようなケースで基金の活用が想定されているのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 本基金は、令和五年度以降、基金の目的に合致する事業の歳出予算を計上する際に、財源として活用することができます。
 具体的には、お話の災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業などにおける新築建築物への太陽光発電設備等の再エネ機器や蓄電池の設置支援のほか、こうした機器の設置に係る相談窓口の設置や普及啓発事業、リサイクルに対する支援事業等にも活用可能であり、二〇三〇年に向け、これらの事業を予算化する際に財源として充当してまいります。

○たきぐち委員 基金とは、いうまでもなく、家計でいう貯金でありまして、都はこれまでも、景気の上昇局面における積立てや、事業評価などによって生み出された財源の積立てなどによって基金残高を確保し、財政対応力を強化してきたと認識しております。
 一方で、基金における執行管理の困難さも指摘されることもありまして、基金の創設や既存基金の積み増しに当たっては、財政規律の観点からも、執行状況を明確にしながら活用していくということが重要だというふうに考えます。
 先ほどの答弁で、基金を活用しながら継続的に支援策等を展開し、二〇三〇年目標を達成していくということでありました。
 また、柴崎理事の答弁の中でも、都税収入の伸び、そして歳出の精査などを踏まえて、今回補正予算で提案したということでありまして、理解をするものであります。
 条例が改正され、二年後の新制度施行を見据えて、このタイミングで二〇三〇年の目標達成に向けた安定的な財源を確保するということは、気候変動という世界規模での危機に対して、都が先頭に立って取り組んでいくんだというメッセージにもなり、意義のあることだと考えます。着実に進めていただきたいというふうに思います。
 最後に、もう一点伺います。既存の基金との関係についてでありますが、環境局には、二〇一九年度末に設置したゼロエミッション東京推進基金がありますが、今回設置する基金とはどのような役割分担になるのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 ゼロエミッション東京推進基金は、より幅広くゼロエミッション東京の実現に資する取組を対象としており、水素エネルギーの普及促進事業やZEV充電設備普及促進事業など、主にインフラや社会基盤整備等に充当してございます。
 新基金は、特に脱炭素型の新築建築物の標準化に向け、新築建築物への太陽光発電設備や蓄電池等の設置への支援とともに、これらに係る普及啓発事業や相談事業などにも充当してまいります。
 両基金を目的に応じて有効に活用しながら、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向け、継続的かつ強力に施策を展開してまいります。

○たきぐち委員 ゼロエミッション東京の実現に資するインフラや社会基盤整備等に活用可能なのがゼロエミッション東京推進基金であり、脱炭素型の新築建築物の標準化に向け、再エネ設備設置等に活用可能なのが今回の基金という役割分担とのご答弁でありました。
 いずれも二〇三〇年カーボンハーフ、そして、その先の二〇五〇年ゼロエミッション東京を描く際に不可欠な要素でありまして、その取組には一定の期間を要するということは言をまちません。
 今ご説明のありました水素エネルギーに関する事業や、商用部門におけるZEV充電設備の事業は、昨年、産業労働局に移管しておりますけれども、ゼロエミ東京推進基金を活用できるということは確認をしておりまして、また、この基金については、令和五年度予算において、残高二百九十六億円のうち二百七十四億円を取り崩して活用するということが示されているところであります。
 今後、両基金を最大限有効活用するとともに、施策の進展状況を見極めながら、基金の規模や在り方など、より施策が効果的に推進されるよう、不断の見直しを行いながら、脱炭素社会のあるべき姿をここ東京において体現していくことを要望し、質疑を終わります。

○小磯(善)委員 東京都新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金について質問いたします。
 まず、中身の議論に入る前に、この基金という単語でありますけれども、東京都環境公社にも環境局の補助事業の原資となります基金があります。混乱があるといけませんので、条例により新たに設置する今回の基金と、環境公社にある各種補助金のための基金の関係について、また、今回造成する基金がどのように執行されていくことになるのか、確認をしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 本定例会で設置を提案している新たな基金は、地方自治法に基づき、将来の財政需要への備えとして、特定の目的のために都として資金を積み立てるものでございます。
 都は、来年度以降、当該目的に合致する事業の歳出予算を計上する際に、本基金を財源として活用することができます。
 都は、歳出予算に基づき、環境公社を通じて本基金の目的に合致する各補助事業を実施する際には、それぞれの助成金の原資を環境公社に拠出いたします。
 環境公社は、この原資を管理するために事業ごとに基金を設置した上で、この基金を取り崩しながら、年度をまたいだ柔軟な助成事業の執行を行います。

○小磯(善)委員 時系列でご答弁をいただいたわけでございますが、答弁にありましたとおり、今回提案されている基金は、来年度以降、都が具体的な事業の予算を措置する際に活用できる財源として積み立てられているものでございます。
 本題でございますけれども、まず、新たな基金の設置目的について確認をします。
 今このタイミングで、新築建築物の再エネ設備等を対象に、来年度以降の事業実施に必要な財源をあらかじめ確保するための新たな基金を設置する意図についてお伺いをいたします。

○荒田気候変動対策部長 昨年第四回定例会での条例改正により、新築中小建物への太陽光発電設備の設置等を大手住宅供給事業者などに義務づける新たな制度が令和七年四月に開始されます。
 本基金の設置は、条例改正を機に速やかに、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、新築建築物に係る再生可能エネルギー設備設置等の推進に充てる安定的な財源を確保し、継続的に支援を実施していくことを目的としております。
 来年度以降の支援に活用可能な財源を確保することで、住宅供給事業者には、太陽光発電設備等を設置した住宅の開発や販売の拡大に、また都民には、その購入の検討に安心して取り組んでいただけるものと考えております。

○小磯(善)委員 新制度の開始に向けた準備が始まるこのタイミングで基金を設置し財源を確保することで、供給事業者、都民が安心して太陽光パネルの設置に取り組める環境を整えることは、確かに意義のあることであります。
 次に、この基金を具体的に何に使っていくのか、対象となる機器や事業についてお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 本基金は、新築建築物や太陽光発電設備、太陽熱利用設備、地中熱利用設備等の再エネ機器や、再エネの有効利用に資する蓄電池の設置を支援する事業に対して充当してまいります。
 あわせて、こうした機器の設置に係る相談窓口の設置や普及啓発事業等のほか、リサイクルに対する支援策にも活用してまいります。

○小磯(善)委員 太陽光発電設備だけでなく、太陽熱や地中熱、蓄電池など幅広い再エネ関連機器が対象となるということでございます。
 地中熱につきましては、大変事業の予算がかかるということで、なかなかこれまで執行が少なかったんですけれども、ぜひ、創意工夫をしていただいて、この地中熱も普及できるように、取組をお願いしたいというふうに思います。
 また、都民や事業者の不安や疑問に応える相談窓口も大変大事であります。そういった事業にも活用できるということで、こうした取組をしっかり継続していこうという都の姿勢の表れということで、評価をしたいと思います。
 先ほど、一千五百億円の基金の積立額についての考え方は答弁がありましたので、割愛をさせていただきます。
 令和五年度の具体的な事業につきましては、別途、予算特別委員会、また本委員会で審議を行いますけれども、令和五年度に必要な財源を基に、カーボンハーフの目標時点である二〇三〇年までの八年間に必要な財源を算定したものということでございます。二〇三〇年までの必要額を正確に見通すことは難しいと思いますので、少なくとも現段階において必要と想定される金額が措置されているものと評価するところでございます。
 一方、再エネ技術は年々進化をしてまいります。今後の開発動向や価格変動、事業の実績等を踏まえながら、対象機器や事業の内容について適宜バージョンアップを図りながら取組を進めることを要望いたしまして、質問を終わります。

○原委員 東京都新築建築物再生可能エネルギー設備設置等推進基金条例について伺います。
 海外では、気候危機対策として太陽光パネル義務化の政策が進んでいます。ドイツ・ベルリンでは、今年一月より、住宅への太陽光パネルの設置義務化がスタートしています。アメリカのカリフォルニア州やニューヨーク市では、新築住宅への義務化は既に実施されています。
 我が国の政策でも、二〇三〇年までに新築住宅の六割に再エネ設備設置を目標設定していることから、東京都の今回の太陽光パネル設置義務化が他県にもたらす影響も大きいと思います。
 二〇二五年度施行に向けて、大手住宅メーカーなどでの準備が急がれています。住宅へのパネル設置の耐震性確保などを含め、改めての建物設計、材料調達方法、施工、販売、メンテナンスなど、様々な側面での制度構築が住宅メーカーに課されており、事業者の取組への後押しの補助メニューも予算化されたところです。
 お聞きします。新築住宅等への太陽光パネル設置について、二〇三〇年までの目標値と達成テンポをお示しください。

○荒田気候変動対策部長 都は、二〇三〇年までに、新築住宅への太陽光パネル新規設置七十万キロワットを目標としてございます。
 本基金を活用しながら安定的かつ継続的に支援を実施していくことで、二〇三〇年目標を達成してまいります。

○原委員 七十万キロワットです。一年で建てられる新築住宅がおよそ四万三千棟、一軒三から四キロワットとして、義務化設置対象は約半分の住宅とすると、年間八千キロワット規模です。今から八年間で七十万キロワットの目標達成は、本当に取組の飛躍が必要だと思います。
 そういう意味では、中規模の住宅メーカーも支援の対象に広がりましたが、全体として太陽光パネル設置を強力にサポートすることが必要です。
 今回一千五百億円を基金にすることでのメリット、効果を教えてください。

○荒田気候変動対策部長 本基金により来年度以降の支援に活用可能な財源を確保することで、供給事業者、都民が安心して太陽光パネルの設置に取り組んでいただけるものと考えてございます。

○原委員 補助金を見越して準備に取り組んでいたのに、来年度は予算が計上されるかどうか分からないというようなことにはならないので、ご安心くださいということですね。
 基金が足りなくなったときは、予算を補足するのですか。

○荒田気候変動対策部長 本基金は、令和五年度予算案における関連事業を基に、二〇三〇年までの必要額を推計し積立額を計上してございます。本基金を活用しながら安定的かつ継続的に支援を実施していくことで、二〇三〇年目標を達成してまいります。

○原委員 必要であれば積み増しもすべきと思います。脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの拡大が至上命題であり、新築住宅は太陽光パネル設置が標準装備となることが必要です。この基金がリサイクル体制づくりにも活用されることも確認しました。そうした予算を確保するための基金であることから、賛成をいたします。
 この後、意見ですが、二つあります。
 一つ目は、太陽光パネル設置義務化事業について、都民の理解を得る普及啓発の取組を引き続き丁寧に進めてほしいということです。
 二点目は、この推進事業は、申請から給付までの事務が膨大になることが予想されます。窓口が滞ったり、そのために給付が遅れることのないように、体制をしっかりつくっていただきたいということです。必要な人員数を配置できているかをチェックし、途中からでも人を増やすなど、事務量に見合った人の配置を求めておきます。
 以上です。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○里吉委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第六十三号議案、第六十八号議案、第九十七号議案及び第百三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出、繰越明許費、環境・建設委員会所管分を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 第六十三号議案、第六十八号議案、第九十七号議案及び第百三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出、繰越明許費、環境・建設委員会所管分を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認めます。よって、第六十三号議案、第六十八号議案、第九十七号議案及び第百三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第七号)中、歳出、繰越明許費、環境・建設委員会所管分は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十八分散会

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