環境・建設委員会速記録第十七号

令和四年十二月十二日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長須山たかし君
副委員長曽根はじめ君
理事柴崎 幹男君
理事成清梨沙子君
理事小磯 善彦君
漢人あきこ君
山田ひろし君
原  純子君
渋谷のぶゆき君
伊藤こういち君
こいそ 明君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
理事宮澤 浩司君
総務部長節電行動連携担当部長兼務小川 謙司君
環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長藤本  誠君
気候変動対策部長荒田 有紀君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長鈴木 研二君
環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務宗野 喜志君
自然環境部長和田 慎一君
生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務小林 洋行君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環計画担当部長村上  章君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長副島  建君
道路監花井 徹夫君
総務部長浅野 直樹君
道路建設部長湯川 雅史君
公園緑地部長小谷  健君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
建設局関係
契約議案の調査
・第二百二十九号議案 街路築造工事のうち擁壁築造工事(四西−青梅三・四・四裏宿町)請負契約
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案の調査
・第二百三十号議案 葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結について
付託議案の審査(質疑)
・第二百五十八号議案 東京都立猿江恩賜公園外六公園の指定管理者の指定について
・第二百五十九号議案 東京都立日比谷公園外五公園の指定管理者の指定について
・第二百六十号議案 東京都立戸山公園外七公園の指定管理者の指定について
・第二百六十一号議案 東京都立武蔵野公園外六公園の指定管理者の指定について
・第二百六十二号議案 東京都立陵南公園外三公園の指定管理者の指定について
・第二百六十三号議案 東京都立狭山・境緑道外五公園の指定管理者の指定について
・第二百六十四号議案 東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
・第二百六十五号議案 東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
・第二百六十六号議案 東京都立大神山公園の指定管理者の指定について
・第二百六十七号議案 日比谷公園大音楽堂の指定管理者の指定について
・第二百六十八号議案 葛西臨海水族園の指定管理者の指定について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百六号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、歳出 環境局所管分
・第二百二十一号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・第二百五十三号議案 東京都立小峰公園の指定管理者の指定について
・第二百五十四号議案 東京都高尾ビジターセンターの指定管理者の指定について
・第二百五十五号議案 東京都御岳ビジターセンターの指定管理者の指定について
・第二百五十六号議案 東京都御岳インフォメーションセンターの指定管理者の指定について
・第二百五十七号議案 東京都小笠原ビジターセンターの指定管理者の指定について
請願陳情の審査
(1)四第一〇号 新築物件への太陽光パネル等の設置義務化の中止・撤回に関する請願
(2)四第七四号 新築物件への太陽光パネル等の設置義務化の中止・撤回に関する請願の採択に関する陳情
(3)四第七六号 太陽光発電設備の設置義務化の推進に関する陳情

○里吉委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案及び民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案について申し上げます。
 本案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年十二月八日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 里吉 ゆみ殿
   議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 (1) 契約議案
  第二百二十九号議案 街路築造工事のうち擁壁築造工事(四西−青梅三・四・四裏宿町)請負契約
 (2) 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案
  第二百三十号議案 葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結について
2 提出期限 令和四年十二月十二日(月)

○里吉委員長 次に、委員外議員の発言の申出について申し上げます。
 上田令子議員から、第二百二十一号議案について、会議規則第六十三条の規定により、本日の委員会に出席して発言したい旨の申出がありました。
 この際、本件に対し発言の申出がありますので、これを許します。

○曽根委員 我が党は、議会制民主主義の立場から、少数会派の議員に公平、公正に発言の場を保障すべきとの観点から、予特、決特はじめ、特別委員会などでの意見表明について賛成しております。
 常任委員会については、特定の案件について特別の知識を持つことが明らかな場合に限るべきとの立場です。よって、本件については賛成しかねます。
 以上です。

○漢人委員 私は、委員外議員の発言を認めるべきだという立場で賛成をいたします。
 百二十七人の都議会議員はそれぞれに名前を書いて当選をしてきていて、都民からの、有権者からの負託を受けています。それぞれの立場の見識を生かして、議案の審査に対しては、そういった意見も聞きながら、委員会としての審査を深めるというのが、これは都民利益にもかなったことになるはずです。
 ぜひ、私は上田令子議員の発言をいただきながら審査をしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○里吉委員長 発言は終わりました。
 本件は、起立により採決いたします。
 上田令子議員の発言を許可することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、上田令子議員の発言は認めないことに決定しました。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の付託議案の審査、建設局関係の契約議案の調査及び民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案の調査並びに環境局関係の請願陳情の審査を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百二十九号議案を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○漢人委員 契約案、街路築造工事のうち擁壁築造工事について質問いたします。
 まず、この工事が行われる都市計画道路青梅三・四・四号線一・三キロメートル全体の用地取得と事業進捗の状況をお伺いします。

○湯川道路建設部長 青梅三・四・四号線は、多摩東西主要四路線の一つである新青梅街道線の一部でございまして、現在、青梅市滝ノ上町付近から同市日向和田一丁目付近までの約一・三キロメートルで事業を進めているところでございます。
 令和四年十一月末時点の用地取得率は約九六%でございまして、現在、配水管や電線共同溝の設置工事等を実施しているところでございます。

○漢人委員 この青梅三・四・四号線については、二〇〇九年、平成二十一年に、都市計画道路青梅三・四・四号線の事業の見直しに関する陳情が提出され、環境・建設委員会で審査し、不採択となっています。
 この週末に、陳情を提出された青梅市議の方に現地を案内していただきました。陳情からも十三年たっているわけですが、当時よりも交通量は減り、この道路整備の必要性は一層低下している、ただ、反対していた地権者も高齢化し、亡くなられる方もいて、現在の状況になっているとのことでした。
 この陳情の審査において、次のような答弁が当時ありました。
 都はこれまでも、道路整備による樹林地等の自然地を一定規模以上改変する場合は、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づき環境局へ協議を行い、自然の保護と回復に努めてまいりました。本区間の整備につきましては、道路整備による改変面積が三千平方メートルを超えるため、この条例に基づいた協議が必要でございます。現在、この協議に必要となる調査対象や実施方法などについて、環境局と事前調整を行っております。また、今後、希少動植物が確認された場合には、環境局と協議した上で、保全移植計画等を作成し適切に対応してまいります。
 答弁は以上です。
 この環境局との協議の結果とその後の対応についてお伺いします。

○湯川道路建設部長 今回、道路整備による改変面積が三千平方メートルを超えることから、平成二十七年に環境局と条例に基づく協議を行っております。
 協議では、事前調査で確認された保全対策を要するカリガネソウを近隣の公園に移植することを含む自然環境保全計画書を提出し、環境局からは適正である旨の回答を得てございます。
 なお、移植につきましては、工事の進捗に伴い、本年三月に実施したところでございます。

○漢人委員 そのカリガネソウは、東京都レッドリスト二〇二〇年版によりますと、区部と北多摩では既に野生絶滅、つまり当該地域において過去に生息していたことが確認されており、飼育、栽培下では存続しているが、野生では既に絶滅したと考えられるものでありまして、南多摩と西多摩でも絶滅危惧ⅠA類ということで、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いものというものに指定をされています。
 この移植したカリガネソウの維持管理、モニターなどは、建設局、あるいは環境局、青梅市など、どちらの責任で今後を担当していかれるのかお伺いいたします。

○湯川道路建設部長 移植後のモニタリング等につきましては、街路事業の実施主体である建設局が実施しておりまして、条例に基づく環境局との協議では、事業完了後には完了届を提出することとなってございます。
 なお、移植後に実施した活着状況調査では、新葉の展葉等が認められ、移植個体は活着し、成長していることが確認されてございます。

○漢人委員 ありがとうございます。
 今回の擁壁築造工事によって崖線の大きな自然環境が失われることになります。その免罪符にはなりませんけれども、この発見された絶滅危惧種であるカリガネソウの保存をぜひよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本件に対して意見のある方は発言を願います。

○漢人委員 本契約議案により工事が行われる都市計画道路青梅三・四・四号線については、既に九六%の用地が取得されておりまして、部分的な整備が行われています。
 しかし、現在の交通状況からも道路整備の必要性は低く、また、急斜面の崖線の自然を大規模に破壊し、膨大な築造経費を要することになり、これは認めることはできません。
 なお、道路整備による改変面積が三千平米を超えることから、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づく環境局との協議が行われ、事前調査で確認された東京都レッドリストの絶滅危惧種に指定されているカリガネソウを近隣の公園に移植したということです。
 環境局に提出した自然環境保全計画書に基づいて、確実な保全に取り組むことを求めておきます。よろしくお願いします。

○里吉委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○里吉委員長 次に、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案の調査を行います。
 第二百三十号議案を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浅野総務部長 去る十一月二十八日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会要求資料の表紙をおめくりいただきますと、目次に三件の資料の件名が記載してございます。
 一ページをお開きください。葛西臨海水族園(仮称)整備等事業の内容についてでございます。
 この資料は、本事業につきまして、事業概要、施設に関する事項、展示計画に関する事項、レストラン、カフェ運営に関する事項を表したものでございます。
 二ページをお開きください。葛西臨海水族園(仮称)整備等事業に係る落札者の決定に関する資料でございます。
 二ページから六ページまでの資料は、令和四年八月二十六日に公表している本事業に係る落札者の決定に関する資料でございます。
 七ページをお開きください。葛西臨海水族園(仮称)整備等事業技術審査委員会個別講評に関する資料でございます。
 七ページから一三ページまでの資料は、令和四年九月三十日に公表している本事業に係る事業者選定経過及び審査講評に関する資料より、技術審査委員会個別講評に関する事項を抜粋したものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○成清委員 葛西臨海水族園は、一八八二年に上野の動物園内に設置された日本初の水族館、うをのぞきを起源として、今年百四十周年になります。今後の五十年先を見据えた再整備をしていかなければなりません。これまでに新たな水族園像や運営手法など様々な検討が重ねられてきたと承知しております。
 まず、様々な運営形態が考えられる中で、PFI手法を採用した理由、さらに、PFI手法と指定管理者制度を併用した理由を改めて伺います。

○根来公園計画担当部長 新たな葛西臨海水族園につきましては、民間の自由な発想や最新技術等を活用するとともに、施設の建設と管理を一括して発注することで工期の短縮やコスト縮減が期待できることから、PFI手法を採用いたしました。その結果、約三%の費用削減効果が得られる見込みでございます。
 一方、高い専門的技術を要する飼育展示や、長年培ったノウハウを生かすべき教育普及については、指定管理者制度とし、両制度を併用することといたしました。

○成清委員 効果、効率性、また、質の担保などを考えて、施設の建設と管理、レストラン業務はPFI、飼育展示や売店については指定管理者をそれぞれ導入するということです。
 都民にとって有料施設を利用する上での一番の関心の一つは入園料であります。運営は民間の力も活用するということですが、入園料は今後誰がどのように決めていくのか伺います。

○根来公園計画担当部長 新たな水族園の入園料につきましては、維持管理費や利用者数等から成る原価を基本としつつ、類似施設の入園料を勘案し、都が設定いたします。

○成清委員 原価をベースとしながら、類似施設の入園料を勘案して設定するとのことです。
 公的な施設なので、原価を全て入園料で回収する必要はもちろんないと思いますが、施設ごとの原価を把握していくことは経営管理上必要であると考えます。施設ごとの原価については、都の負担、また、指定管理者である東京動物園協会とそれぞれ考えていく必要があります。
 聞くところによりますと、都の負担としては、主として支払う指定管理料になるかと思いますが、これが上野動物園、多摩動物園、井の頭自然公園と葛西臨海水族園の一括の指定管理契約になっているため、都としての施設ごとの負担は分からない状況になっているということです。
 入園料の算定のためにも施設ごとの負担は明らかにしておく必要があると考えますので、検討をお願いいたします。
 そして、指定管理者である東京動物園協会についての収支の把握も重要です。水族園の指定管理者の収支状況について、都はどのように確認しているのか伺います。

○根来公園計画担当部長 指定管理業務に関する収支状況につきましては、指定管理者が作成する事業報告書の内容を都が確認の上、毎年度公表しております。
 葛西臨海水族園を含む都立動物園等四施設につきましても、都からの指定管理料及び指定管理事業の施設別支出額を明記し、毎年度公表しております。

○成清委員 動物園協会が事業報告書を公表しておりまして、それに基づいて団体の収支を把握しているということです。
 この事業報告書を拝見したところ、都から支払っている指定管理料は年間およそ六十五億円でございました。この六十五億円が施設ごとに幾らなのかということが分からないということです。適切な入園料の算定に役立てるよう、都の方でも施設別の負担額は明らかにしていくべきと要望しておきます。
 収支の把握だけではなく、運営の中身も大変重要です。今回の契約は、二十一年間で約四百三十一億円となっております。契約期間が長期にわたることから、新施設に求められる維持管理の要求水準を満たし続けるよう、東京都は今後どのように関与していくのか確認します。

○根来公園計画担当部長 新施設の開園後、適切な維持管理が行われているかを確認するため、都において専門家の助言を得て、モニタリングを実施いたします。
 これによりまして、サービスの質を維持し、施設設備の不具合等の事態が発生することを未然に防ぐことが可能となります。

○成清委員 要求した水準がしっかりと確保されるようモニタリングをよろしくお願いいたします。
 これまでにも葛西臨海水族園といえば、やはり子供連れがとても多く、私自身も子供と共に遊びに行っております。新しい施設では、より一層、ハード面、ソフト面ともに子供フレンドリーな施設にしてほしいと考えますが、見解を伺います。

○根来公園計画担当部長 新施設におきましては、子供たちが生き物に触れて学習できるウエットラボや、幼児が伸び伸びと遊べるキッズスペースなどを新たに整備いたします。
 また、子供向けの学習体験プログラムを充実させていくことで、子供たちの好奇心を育み、多くのことを自発的に学び、体験する機会を提供してまいります。

○成清委員 新しい取組にとても期待するとともに、利用者の皆様の声を聞きながら磨き上げていっていただきたいと思います。
 次で最後の質問です。
 葛西臨海水族園は、海に面したとても広大な敷地の中に位置しており、近隣にはカヌースラローム会場など、立地を生かした施設もあります。都民から愛されるエリアとしていくべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。

○根来公園計画担当部長 葛西臨海水族園が設置されている葛西臨海公園一帯は、ラムサール条約湿地に登録された葛西海浜公園を含め、自然環境の面で大きなポテンシャルを持っております。公園を訪れる多くの方々が海や生き物の多様性を感じながら楽しめるよう、この豊かな自然環境を生かしていくことが重要でございます。
 新たな水族園につきましては、この周辺環境との調和に配慮いたしますとともに、既存施設をはじめとした公園施設との機能連携を図りまして、葛西臨海公園の周辺環境全体のさらなる魅力向上を目指してまいります。

○小磯(善)委員 知事の所信表明演説では、都心部と臨海部を舞台に、未来に向けた新たなまちづくりが始動したという発言がございました。
 その臨海部に位置する葛西臨海水族園も新たな施設に生まれ変わるべく、かねてより検討が進められてきたわけでありますが、今年八月に事業を担うPFI事業者が決定したわけであります。このPFI手法により事業を実施することで、民間の資金、創意工夫、ノウハウを活用し、効率的、効果的な事業推進を図ることが可能となりますが、葛西臨海水族園整備事業においても、その効果が大いに発現されることを期待しているものでございます。
 まず、PFI手法を活用することによる効果でありますが、財政縮減効果を論じるに当たっては、建設費だけでなく維持管理費も重要な視点であります。本事業における維持管理費の削減効果はどのように考えるかお伺いしたいと思います。

○根来公園計画担当部長 PFI手法により、施設の建設と管理を一括して発注することで、施設建設段階から維持管理を視野に入れた整備が可能となることから、開業後の維持管理の効率化が図られ、費用の縮減が見込まれます。

○小磯(善)委員 改めて、契約の相手方であります株式会社東京シアトリエとはどのような団体になるのか、また、この団体が事業を担うことでどのような効果を期待しているのかお伺いしたいと思います。

○根来公園計画担当部長 株式会社東京シアトリエは、本事業の落札者であるINOCHIグループの構成員八社が出資し設立いたしました、本事業の実施のみを目的とした特別目的会社でございます。
 構成員の多くは、国内外の水族館の設計や整備等の実績を多数有する企業でございまして、これらの企業が出資した特別目的会社が事業を実施することで、最先端の技術や民間のノウハウを最大限に活用した、日本を代表する水族園となることが期待できます。

○小磯(善)委員 せんだって、都議会公明党として水族園の方を視察に行ってまいりました。そこでメンバーから出た言葉は、やっぱりバリアフリーの対応というのが今後大変大事になってくるだろうと。
 現状の葛西水族園は、時代背景もありますけれども、エレベーターなんかも、いわゆる業務用のエレベーターと一緒になっているということもありまして、そういった意味で、世代や障害の有無、また、国籍なども問わず、あらゆる人々が楽しめる施設にするためには、ハード、ソフト両面からバリアフリー対応を欠かすことはできない、このように思っております。
 新しい施設ではこのバリアフリー、どのように対応していくのかお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 新施設整備に当たりましては、あらゆる世代、障害の有無、国籍の人々が快適に利用できる施設となるよう、高いレベルのバリアフリー対策を講じます。
 例えば、車椅子利用の方でも自由に観覧ルートを選べる動線や、文字の大きさや色彩などを工夫した表示サイン、デジタルサイネージ等を活用した多言語対応の解説板など、ハード、ソフト両面からバリアフリー化に取り組んでまいります。

○小磯(善)委員 PFI手法の活用により、ぜひ民間事業者の有する最先端の技術とかノウハウを最大限に活用して、魅力ある水族館を、バリアフリーの行き届いた水族館をつくっていただきたいというふうに思います。
 次に、現行の水族園についてお伺いいたします。
 改めて視察に行ったときに、現行の水族園が、入り口にあるガラスドームの外観とか、また、噴水池などが特にすばらしくて、ぜひ残してもらいたいという思いがあったわけでございますが、今後どのように活用していく予定なのかお伺いします。

○根来公園計画担当部長 既存施設の利活用につきましては、昨年九月に、既存施設利活用の基本的考え方を取りまとめまして、自然に親しみながら環境教育を行う場とするなど、新たな水族園とも有機的に連携しながら利活用するというコンセプトに基づき検討を進めております。
 ラムサール条約登録湿地でございます葛西海浜公園の干潟や、百種類以上の野鳥が観察できる鳥類園など、既存施設が立地する葛西臨海公園一帯には、貴重な自然環境が保全、創出されております。
 この環境を生かしつつ、既存施設につきまして、新たな水族園や公園と連携した利活用を検討してまいります。

○小磯(善)委員 東京の成長に向けました、この臨海部開発のプロジェクトが進む中、葛西エリアにおいても、世界から人々が集まる、緑と海に囲まれた憩いの場、未来を担う子供たちが自然との共生、そういったものを学ぶ場としても、そういったものをつくっていくということが大変重要な役割であるというふうに考えております。
 そのような場をつくる上において、環境に配慮しながら施設整備を進める視点が重要であります。新たな水族園を整備するに当たって、公園の緑をどのように保全していくのかお伺いしたいと思います。

○根来公園計画担当部長 事業者募集に際しましては、公園内の樹木への影響を極力減らすよう配慮した施工計画を求めますとともに、樹木が支障となる場合は、原則として不健全木もしくは大径木等で移植困難なものを除き、移植を前提に検討することとしております。
 落札者の提案によれば、既存樹木にも配慮しながら、計画敷地全体に新たな緑を創出するものとなっております。

○小磯(善)委員 ぜひ、事業者の提案でそういったことになっておりますので、それは都としてもしっかりと管理、監視していただきたいというふうに思います。
 新たな水族園は、ぜひ世界に誇れる水族園と、すばらしい施設にしてほしいというふうに思っておりますけれども、どのような特徴を備えた葛西臨海水族園を整備するのか、改めてお伺いしたいと思います。

○根来公園計画担当部長 新施設におきましては、生き物の多様さ、豊かさにとどまらず、持続可能な社会の実現への貢献を重視した取組を展開することとしております。
 具体的には、地球温暖化などの環境問題や、人間と海との持続可能な関係性を効果的に来園者に伝えられるよう、音響、映像、ICTなど最先端技術を活用いたしまして、クロマグロの産卵や回遊に適し、大海原を再現した水量三千トンの大水槽など、海を体感できる展示、空間演出を行います。
 さらに、緑に溶け込む丘のような外観、高効率な省エネルギー設備等による徹底した環境負荷低減への取組など、積極的に自然との共生というメッセージを発信してまいります。

○小磯(善)委員 今ありましたように、緑に溶け込む丘のような外観とか、また、環境負荷低減への配慮とか、大変大事な視点で、積極的に自然との共生というですね、そういったメッセージを発するということで、こういったことを本当にしっかりできるように、都としても進めていってほしいということを申し上げて、質問を終わります。

○原委員 よろしくお願いします。先日、現地を視察させていただきました。その節はありがとうございました。そこで感じたことなど含めて質問させていただきます。
 新施設の概要を拝見させていただきました。提案内容の詳細を資料要求いたしましたが、既にホームページで公表されている落札事業者の決定報告と審査講評のみになっています。提案内容の詳細ではありません。
 鳥瞰図と施設概要、イメージ図、この要求資料の六ページの部分を見ての質問となります。樹木はどのくらい伐採される計画ですか。鳥瞰図から見るだけでも千本以上伐採することになりませんでしょうか。まずお願いします。

○根来公園計画担当部長 建物配置を含む新施設の整備内容の詳細につきましては、今後、事業者が実施する基本設計及び実施設計において定められていくこととなります。
 落札者の提案によれば、既存樹木にも配慮しながら、計画敷地全体に新たな緑を創出するものとなっております。

○原委員 とても大事なことなんですけれども、今の答弁は、伐採はするけれども、新たな緑も創出するという説明だったと思います。
 葛西臨海水族園整備等実施方針、第4の3、新水族園の計画要件等に関する事項、項目(5)、緑の保全のところでは、樹木への影響が少なくなるよう配慮し、支障となる場合でも、移植等を検討するなど、最大限、緑の保全に努めることとあります。
 どういった提案になっているのか、もう一度お伺いしたいんですけれども、伐採予定何本、移植予定何本というふうに明確に答えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 新施設の整備内容の詳細につきましては、今後、事業者が実施する基本設計及び実施設計において定められていくこととなります。

○原委員 まだ決まっていないということでしょうか。
 木は添え物ではありません。生き物です。公園の主役でもあり、鳥や虫の住まいです。軽く扱うことは許されません。本数が示せないなら伐採はしないでいただきたい。このことをまず申し上げます。
 淡水水族館は、池沼、渓流の自然をゆったりと楽しむことのできるすばらしい展示です。見事な自然との融合は十年、二十年かけてつくられたものですが、今回なくしてしまうという報告を伺いました。壊すのはあまりにももったいないとの声が周辺住民から聞かれます。
 淡水生物館についての是非は正面から議論したことがありません。残すことを検討、または改めて意見聴取をする必要がありませんか。

○根来公園計画担当部長 新たな葛西臨海水族園の整備に当たりましては、都民等からの意見を広く聞いた上で、基本構想や事業計画を策定しております。これを踏まえまして、事業提案の募集を行い、落札者を決定いたしました。
 なお、落札者の提案によれば、新水族園本館内において淡水生物に関する展示を行うこととしております。

○原委員 老朽化でどうにかしなければいけないと迫られているわけでもないのに、長年かけてつくり上げた展示を壊してもいいと要求水準書に記した東京都の問題も大変大きいと思いますよ。改めて都民の意見を聞く機会を求めたいと思います。
 新水族園建設工事によるコウノトリエリアや鳥類園エリアへの影響が心配です。どのように考えていますでしょうか。

○根来公園計画担当部長 事業者募集時に示した要求水準書において、整備に当たって、周辺環境への配慮を求めております。
 新施設の整備内容の詳細につきましては、今後、事業者が実施する基本設計及び実施設計において定められていくこととなります。

○原委員 長期間の工事の影響をどの程度と予想し、影響を極力少なくするためにどう対策するのか、本当に現場とよく話していただきたいです。
 さらに、鳥瞰図に半透明に描かれた建物が機械置場という説明でした。なぜ半透明なのか不明です。コウノトリエリアや鳥類園エリアに隣り合わせで配置されているのも心配です。機械置場がどのような大きさの建物なのか伺います。

○根来公園計画担当部長 新施設の整備内容の詳細につきましては、今後、事業者が実施する基本設計及び実施設計において定められていくこととなります。

○原委員 分からないというお答えでした。高さも敷地面積も分からないんでしょうか、または分かっているけれども、公表できないということでしょうか。
 水交換などの機械音が二十四時間鳴ると、野鳥の生息に影響が出てくることが推測されます。大変心配です。
 現水族園のエントランス、ガラスドームから東京湾を見渡せる広々とした眺望、水平線との一体を描く設計はすばらしいものです。先ほど引用した実施方針には、3の項目、(2)、意匠、眺望のところで、東京湾、葛西臨海公園、葛西海浜公園等の景観や既存施設を含む公園施設との調和を考慮した施設計画とすることとあります。既存施設の活用について、都としてどう検討を進めるお考えでしょうか。

○根来公園計画担当部長 事業者募集時に示した要求水準書において、既存施設と新施設との往来を想定した配置等を求めております。
 新施設の整備内容の詳細につきましては、今後、事業者が実施する基本設計及び実施設計において定められていくことになります。

○原委員 公表資料の図からはその往来は見えません。海辺に建てるのに、海を眺めたり感じたりすることのできない新施設の動線は本当に問題ありです。新水族園との連携を後回しにすることは許されず、これは事業者というより東京都の問題ではないかというふうに思います。
 落札業者の提案内容について資料を要求しましたが、企業の秘匿事項だからこれが精いっぱいということで、ホームページで見られる範囲が公表されました。そういう説明だったんですね。提案の詳細が分からないまま契約を了承してくださいと私たち環境・建設委員に了承を求められても困ります。
 また、九億円安い提案をされた落選業者の提案内容が全く分からないままです。委員としても判断できないですし、都民の知る権利と矛盾しませんか。

○根来公園計画担当部長 事業提案内容に係る入札時提出書類につきましては、著作権が入札参加者に帰属し、公表の同意を得ておりません。

○原委員 では、今非公表となっている新水族園の詳細資料は、どの段階で都民に対して公表されますか。

○根来公園計画担当部長 繰り返しとなりますけれども、事業提案内容に係る入札時提出書類につきましては、著作権が入札参加者に帰属しておりまして、公表の同意を得ておりません。

○原委員 いつ公表されるかも分からない、こういう状態なんですよ。PFI事業者任せに計画が進められてしまう可能性があることは、既に事業検討会などで委員から指摘されていたことですが、本当にここまでとは驚きです。闇の中で事業が進んでいくような印象を受けます。
 基本構想が都民に知らされないまま設計に入り、建設工事がされていくんでしょうか。これがPFIの正体ではないですか。
 今後、新水族園の設計に入るに当たり、住民の声を反映させる機会、具体的には、パブリックコメントをする必要があると思いますが、いかがですか。

○根来公園計画担当部長 新たな葛西臨海水族園の整備に当たりましては、都民等からの意見を広く聞いた上で、基本構想や事業計画を策定しております。これを踏まえて事業提案の募集を行い、落札者を決定いたしました。

○原委員 私の話、聞いていましたでしょうか。今出されている資料を見ても大変心配なんですよ。都民がこれまで寄せてきたパブコメに込めてきた意見が反映されていない部分も多々あります。それなのに、このまま設計に入るんでしょうか。許されないことだと思います。
 現水族園の設計に携わったスタッフにお話を伺いましたが、当時の鈴木都知事は、自ら何度も設計者と会って意見交換をしたということです。世界に誇れる水族園にしたいと。それで世界で初めてマグロの飼育に挑戦したんです。そのときゼロから設計をやり直したそうです。
 その頃は、水族館といえば、イルカのショーやラッコを前面にPRをするような集客に主眼を置いた行楽施設だったと。でも、それでいいのかと、何度も話し合って、今の水族園ができたんです。設計の案は一般公表され、新聞などでも紹介されて、意見が寄せられた経過もあったそうです。
 今から設計をするということですが、そこで都民の声を聞く気がない、意見交換の場が保障されていない、こういう状態。現在決まっている提案内容さえ見せてもらえない。これで現水族園を超える質の高い水族園がつくれるのでしょうか。みんなの思いが込められた、みんなでつくった水族園になるのでしょうか。本当に深刻な事態です。
 三十年間の大事な財産をどう引き継ぐのかをもっともっと考え、練り込まないといけないと思います。現水族園との融合、連携も同時に考え抜いて設計しないといけないのではないでしょうか。それがパブリックコメントで出された都民の意見です。
 これだけ情報が公表されない、秘密事項が多いのはPFI手法だからです。PFI事業とは、民間事業者が公共施設の設計、建設、改修、更新、維持管理、運営を一括で行う手法です。なぜPFIで行うんでしょうか。PFIのメリットとデメリットを改めて伺います。

○根来公園計画担当部長 新たな葛西臨海水族園につきましては、民間の自由な発想や最新技術等を活用するとともに、施設の建設と管理を一括して発注することで、工期の短縮やコスト縮減が期待できることから、PFI手法を採用いたしました。
 なお、PFI事業手法の検討の段階におきまして、コスト削減が重視されるあまり、魅力的なデザイン等が確保できない可能性があるなどの懸念が専門家より示されましたが、公募に際し、適切な要求水準を示すことなどにより対応しております。

○原委員 PFIのメリットは、工期の短縮とコスト縮減ということでしたが、コスト縮減といいながら、九億円高い事業グループを選定した理由は何ですか。

○根来公園計画担当部長 落札者の決定方法は、総合評価一般競争入札としておりまして、公募の際に公表した落札者決定基準に基づき、技術審査委員会において、提案内容に基づく加点審査点と、入札価格に基づく価格審査点の総合得点により決定しました。

○原委員 加点の部分ですが、審査講評や技術審査会の議事録から読み取れるのは、機械置場を別棟にしたことで大型水槽用のろ過施設の交換がしやすくなること、自由な閲覧、動線や体験型、参加型のコンテンツが評価されているとの記載くらいです。
 ですが、ろ過施設の別棟の建物の大きさも分からなくて、威圧感とか、鳥類への影響とかの心配やデメリット、先ほど私が質問しました、こうした議論が必要だと思いますし、自由な閲覧の中身が分からないままでは困ります。
 本事業者の提案を、落選事業者よりよかったことを信じてくださいと、そういったことでしょうか。PFI手法だと、利益を上げるために資材を安いものを選んだり、安く下請業者を使って工事を進める可能性が考えられますが、こうしたことを防ぐ方法についての都の考えをお聞きします。

○根来公園計画担当部長 都は、工事期間中、事業者の法令遵守を含む要求水準を確保するため、専門家の助言を得てモニタリングを行います。

○原委員 通常、設計と工事は一体として発注できないのが原則だそうです。それはなぜか専門家に聞きましたところ、施工しやすい設計にしたり、安くつくれるようにと、そこに余計な要求が挟まる可能性があるからだそうです。
 先ほど、PFIのデメリットについて答弁されたように、コスト削減が重視されるあまり、魅力的なデザイン等が確保できない可能性があるなどの懸念が専門家より示されていたわけです。民間事業であれば、当然利益を上げることを考えますから、それは予想されることでしょう。
 PFI、BTO方式は、竣工時に財産の所管が都に移転する方式とのことです。事業者が所有していると固定資産税を払わなければならないから、都に戻せばその負担分が浮くということでした。
 それなら最初から都の所有のまま、設計事業者を選定、依頼し、また、工事事業者は入札をする、完成後の運営は、また別途考えるという普通の発注をすればよいことではないでしょうか。

○根来公園計画担当部長 民間の自由な発想や最新技術等を活用するとともに、施設の建設と管理を一括して発注することで、工期の短縮やコスト縮減が期待できることから、PFI手法を採用いたしました。

○原委員 PFIにしなくても、民間のノウハウを生かす方法は幾らでもあります。コスト縮減をいいながら、九億円高い事業者に落札した理由が不明です。
 都が実施するよりコストを縮減できるとし、抑えられた予算からさらに受注業者は利益を生み出すために経営努力をします。資材の費用を抑える、下請事業者への発注費用を抑える、人件費の削減でワーキングプアを生み出すことにつながるでしょう。これは既に里吉ゆみ都議が一昨年、PFI手法採用の議論の時点で指摘をしてきたところです。
 PFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ法は、一九九九年に制定されて以降、自治体民営化の手法として、公共施設、公立病院、図書館などに導入されてきましたが、労働者が非正規雇用に置き換えられたり、サービスの質の低下、事故など様々な問題が浮き彫りになってきました。
 PFIに詳しい尾林芳匡弁護士が、雑誌「経済」に自治体民営化についての論文を載せております。
 それによりますと、日本はイギリスのPFIを手本にして始まったわけですが、当のイギリスは、公共事業の民営化について批判が相次ぎ、二〇一八年に、国会下院と会計検査院において、PFIは経費節約の効果なしと結論づけた報告書が出されたそうです。
 水道事業が再公営化されるなど、民営化路線の転換の流れが起きている地方自治体も多数あるそうです。
 二〇一九年、尾林弁護士が参加したアムステルダムでの国際シンポジウム、フューチャー・イズ・パブリック、未来は公共にありでは、世界中で民営化により、公共サービスの低下、コストの上昇、労働者の処遇の劣化、環境保護はじめ様々な施策の後退といった問題が十数年にわたり指摘され続けているという報告があったそうです。
 PFIをやめる動きは日本でも出てきています。二〇二一年五月に会計検査院より、国のPFI事業に関する報告書が出されており、法務省が刑務所を民間委託した事例では、契約どおりのサービスが提供されず、問題が多いとの指摘がされていて、これは我が党の塩川鉄也衆議院議員が内閣委員会で先日取り上げているんですけれども、実際、過去に四か所あったPFI刑務所のうち二か所は、既にPFIの手法をやめているということです。
 岡田内閣府特命担当相は、事業目的によっては、必ずしもPFI手法を活用しない場合があると答弁し、事実上PFIの破綻を認めています。
 都としてしっかりこうした動きを分析し、PFIのデメリットにしっかり向き合うこと。今回の葛西臨海水族園でも、本当にいろいろなアイデアが豊かに議論され、結実されるような過程がなければ、ただのどこにでもある水族館になってしまいます。集客数にも影響するでしょう。コスト縮減の効果についても疑わしいものです。
 唯一の都立である葛西臨海水族園は、いうまでもなく都民の財産です。海沿いにある公園の立地を生かした新水族園の構想について、都民にその構想が公表され、今からでも議論し、ブラッシュアップすることなしに、都民の納得のいくすばらしい水族園はできないと考えます。
 提案内容さえ公表しない秘密の進め方など、PFI手法には問題があり過ぎること、文化的遺産としての本水族園との融合、連携が欠落したまま新施設建設を行おうとする進め方について反対する立場から、日本共産党都議団として、本整備等事業は契約を行わず、計画を根本的に見直すことを強く求めるものです。
 以上で私の質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○原委員 日本共産党都議団としての意見を表明いたします。
 PFI法は、一九九九年制定以来、自治体事業の民営化の一手法として導入されてきましたが、労働者の非正規化、市民サービスの低下など様々な問題が浮き彫りになってきました。
 日本のPFI制度のお手本とされたイギリスでは、民営化路線に批判が相次ぎ、二〇一八年にはPFIが経費節約の効果なしとの報告書も出され、水道事業など、再公営化も始まっています。日本でも、法務省が刑務所におけるPFIの導入について半数で中止するなど、見直しが始まっています。
 都が今回、葛西臨海水族園の再整備に当たって、こうした事例をきちんと検証することなくPFIを導入した場合、現に内外で高い評価を得ている現在の水族園の到達点を台なしにしかねない上に、新設の水族園施設についても、PFI制度を理由に、具体的な設計原案や新たな施設のビジョンについて、都議会に対しても非公開とされていることも、制度の重大な弱点です。
 都民の財産として都民や専門家に親しまれてきた葛西水族園の貴重な役割を損なう危険が高いことから、本整備事業は契約を行わず、計画を根本的に見直すことを求めることです。
 以上です。

○漢人委員 葛西臨海水族園の整備については、ガラスドームと水盤を通して世界の海へとつながる本館、また、親しまれてきた淡水生物館などの既存施設について保全、利活用すること及び既存樹木の伐採を極力避ける整備が求められてきました。
 しかし、事業者から今回その重要な方向性が示されておりません。よって、この議案については賛成することができません。

○里吉委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく議案の調査を終わります。

○里吉委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百五十八号議案から第二百六十八号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ(明)委員 都立公園の指定管理者選定についてであります。都立公園の指定管理者選定について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 都立公園は、都民の安らぎやレクリエーションの場となり、生物の生息保全や、さらには防災空間の確保など、都民にとってはなくてはならないものとなっております。この貴重な都市インフラを一年三百六十五日、適切に管理することは極めて重要であると思います。
 今回、指定管理者制度が導入されて以来、四回目の大規模な選定となりました。都では、公募対象の四十六施設を複数のグループに編成して公募を行っております。
 そこで、どのような考えの下、グループ編成を行ったのかについて、まずお伺いしたいと思います。

○小谷公園緑地部長 効率的、効果的な都立公園の管理を実現するため、スケールメリットの確保、公園の特性、地理的条件及び適正な事業規模の観点から、複数の公園をグループ化し、公募選定を実施いたしました。
 具体的には、区部の公園を東部、南部、北部の三グループに、多摩の公園を武蔵野の公園、多摩部の公園、狭山丘陵、多摩丘陵の四グループに編成しております。

○こいそ(明)委員 効果的に、効率的に管理を行うという観点からグループの編成を行ってきているということ。今回の選定状況を見ると、応募が一者のみのグループもあり、競争性が発揮されていないようにも見えるところもございます。その点をどう考えるのか教えていただきたい。

○小谷公園緑地部長 応募者が一者であっても、複数の応募者が競合する場合と同様に、定められた選定基準に基づき、外部の専門家を含む選定委員会の審査を経て決定しております。
 今回の応募者の提案内容は、委員から高い評価を得ておりまして、優れた指定管理者を選定できたものと考えております。

○こいそ(明)委員 外部の専門家を含む選定委員会の審査を経て決定されたということですよね。そして、その中で、今ご答弁ございましたけれども、委員から今回の応募者の提案内容は高い評価を得ているということがいわれたわけでありますけれども、特に提案内容が高い評価を得たということは極めていいことだと思うんですけれども、どのような内容で高い評価を得たのかなということを、せっかくですから聞かせていただきたいと思います。

○小谷公園緑地部長 具体的にはというところでございますが、多摩の丘陵の公園を参考に具体例として申し上げますと、多摩の丘陵の魅力をさらにアピールする新たな取組としまして、ボランティアや広く都民が参加するつながる里山サミット二〇二五や、里山環境ならではの公園資源を活用したマイクロツーリズムの企画などが提案されたりというようなところです。
 以上です。

○こいそ(明)委員 特に今回、四回目ということの中で、やっぱり選定の基準がそれぞれあると思うんです。その選定の基準の下でさらによりよい管理、今答弁もありましたけれども、新しいユニークなというか、斬新的なというか、いろんな提案が当然あったように思うんですよね。
 ですから、せっかくのこのような公園をしっかり日常的な管理をしていただくとともに、やっぱり都民共有のそこにおける、憩い、集って、様々なレクリエーションもそうでしょう。展開されるわけですよね。
 そういう位置づけもあるわけであって、外部の審査委員の先生が高い評価を与えたということでありますから、それはそれなりの評価に値された方々が選考されたということは一定理解いたします。
 また、私の地元でもございます都立桜ヶ丘公園。ドッグランや宇宙桜など、多くの人に親しまれている、俗にいう多摩丘陵の桜の、いろんなあらゆる、宇宙桜もそうなんですけれども、様々な種類の桜が本当にこの季節では咲き乱れるといいますか、そういう景勝地でもあるんですけれども、この丘陵の尾根と谷戸から成る、特に起伏に富んだ地形でもあります。
 多摩丘陵グループに当然含まれているわけでありますけれども、そこで、多摩丘陵グループの指定管理の選定についてお願いします。

○小谷公園緑地部長 多摩丘陵グループは、東京の南西部に広がる多摩丘陵に位置する、お話のありました桜ヶ丘公園や長沼公園など五つの都立公園で構成されておりまして、雑木林など貴重な緑や里山景観を有しております。
 今回の公募選定の結果、現在、指定管理者であります東京都公園協会が引き続き指定管理者として選定されました。

○こいそ(明)委員 東京都公園協会は、長く指定管理者として多摩丘陵グループの管理を担って、丘陵地公園の管理に極めて実績を積み重ねてこられた。これは理解しております。
 その中で、長年培ってきたノウハウも生かした着実な公園管理に加えて、多摩丘陵という地形的なところ、やっぱりそれなりの魅力度もある。これを都民にいかにして伝えていくか、新たなるこの取組も、今までしっかりやってこられたというのは認識しておりますけれども、これは極めて重要ではないかと。
 そこで、東京都公園協会から、具体的に、先ほどもちょっと特色あるということでご答弁いただきましたけれども、特に丘陵ですよ。丘陵系のグループ、この地形を生かしたこれらの丘陵系について何か提案があったかどうかというのを、先ほどもちょっとありましたけれども、お願いします。

○小谷公園緑地部長 先ほど具体的に申し上げましたつながる里山サミット二〇二五などがございますが、これのベースといたしましては、この多摩丘陵の公園というのは、それぞれの公園が誇る里山パークビューというものがございまして、こちらを計画的な草刈り、樹木剪定等を適切に行うことで、眺望等の風景、歴史ある里山景観、池などの水辺環境を守り、こういったものを、丘陵地の特性を踏まえまして、魅力ある風景として次世代へ継承していきたいと思っております。

○こいそ(明)委員 丘陵系、特に今、私がお尋ねしているのは、多摩丘陵の中においての桜ヶ丘公園を中心とした公園について、その魅力をさらに高めていただきたい、また、アピールをさらに大いにしていっていただきたいということで、これは大いに期待をさせていただいているところでございますけれども、都は、指定管理者を適切に、また、これ一面、やはり指導監督をしっかりしていく立場だと思うんですね。
 今回提案のあった新たな取組を着実に実施させることで、都立公園のそれぞれのやっぱり特色を生かした、誰もが、誰もがですね、訪れたくなるような、さらなる魅力的な公園づくりにより一層取り組んでいただきたいと要望して、終わります。ありがとうございました。

○成清委員 建設局では、平成十八年度に本格的に指定管理者制度を導入して以降、平成二十二年度と二十七年度に大規模な指定管理者の選定を行っており、今回は四度目の選定となります。
 そもそも指定管理者制度を導入した狙いと、それが現在達成できているのか、認識をお伺いします。

○小谷公園緑地部長 指定管理者制度は、創意工夫ある企画や効率的な運営などにより、利用者の多様なニーズに応え、質の高いサービスの提供を図り、効果的、効率的な管理運営を行うために導入いたしました。
 指定管理者の管理運営状況につきましては、S、A、B、Cの四段階で評価しておりまして、令和三年度はSが十一施設、Aが四十五施設、Bが三十八施設と、全体的に高い評価となっております。

○成清委員 運営状況については、S、A、B、Cの四段階で、このうちCとされるのが要改善施設となります。そういった施設はこの都立公園の指定管理者についてはないということで、平成二十七年からの管理期間においては、指定管理者制度の導入目的が達成されている、管理状況はおおむね良好であるということが確認できました。
 今回の指定管理者の選定結果を見てみますと、全て現在の指定管理者が選定されておりますが、そのことをどのように認識しているのかお伺いします。

○小谷公園緑地部長 今回の公募選定では、現在も指定管理業務を担い、都立公園の役割や課題等を熟知している事業者から応募がありまして、その提案は、これまでの実績を踏まえるとともに、新たに意欲的な取組が盛り込まれるなど、充実した内容でありました。

○成清委員 恐らくこの都立公園を効果的、効率的に管理できる事業者というのがそんなには多くない中で、実質的には三者程度しかない中で、実績のある指定管理者が選定されたということが分かりました。
 この少数の指定管理能力のある事業者がいかに都民の声に応えていくかが重要です。特にこのコロナ禍において、都立公園が果たす役割や価値が見直されている面もあります。
 そこで、コロナ禍において、都会のオアシスである都立公園に対して、新たに都民からどのようなニーズが寄せられていたのか伺います。

○小谷公園緑地部長 コロナ禍を契機としまして、分散化イベントの充実など、密集、密接を回避する工夫や、テレワークの場としての活用等を求める声が寄せられておりまして、公園利用においてニーズの変化が見られました。

○成清委員 都民から寄せられる声の中で、公園利用についてのニーズの変化が見られたということです。そういったニーズに対して的確に対応していただく必要があります。
 そのような状況の変化にスピーディーに対応するため、指定管理者の選定の考え方を今回どのようにブラッシュアップしたのか伺います。

○小谷公園緑地部長 公園を取り巻く社会状況の変化を踏まえ、新たな公園管理運営の方針として、本年三月に、公園別マネジメントプラン改定の視点と取組イメージを策定しまして、民間や地域との連携強化やDXの推進等、五つの視点を明らかにいたしました。
 今回の指定管理者の公募選定におきましては、こうした視点を共通仕様書や提案課題に反映させることにより、事業者から意欲的な提案を引き出しました。

○成清委員 都は、新たなニーズに対応した指定管理が行われるように工夫したことが分かりました。
 このような新たな提案が公園利用者のサービスの向上につながるよう、都としてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 また、サービス向上に当たっては、利用者と双方向でのやり取りが重要です。平成二十八年度の東京都の包括外部監査、これが直近での建設局に対する包括外部監査ですが、そこでは、指定管理者は公共サービスの向上も重要な目的の一つであることから、利用者の意見に注意深く耳を傾け、重要なものに対応すること、つまり利用者ニーズへの的確な対応が重要であると述べられています。
 しかしながら、包括外部監査人が現場を視察したところ、指定管理者が完全なる民間事業者である場合と比べて、政策連携団体である場合は、利用者ニーズに十分に応えられていない可能性というのが指摘をされておりました。
 引き続き指定管理者に選定された公園協会のホームページにはお問合せフォームがございます。今後、都民満足度を上げるため、都民から都立公園について寄せられた声や、その対応状況を公開するなど、オープンに双方向のやり取りをしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○小谷公園緑地部長 東京都公園協会では、利用者等から寄せられた問合せ、ご意見などにつきましては、これまでも個別に回答を行うなど、丁寧に対応いたしております。
 また、今後のホームページのリニューアルに合わせまして、利用者の声を受けての改善事例などを掲載することとなっております。
 利用者の満足度向上に向け、新たに選定された指定管理者に対して適切に指導してまいります。

○成清委員 建設局のホームページには、都民の声について、どのようなものが何件寄せられ、どう対応したのか、サマリーが毎月載せられております。
 改善事例を掲載することも大切ですが、それに加えて、対応の難しいものについても、指定管理者は説明責任を果たしていく必要もあると考えます。
 しっかりと都民の声に耳を傾けて、多くの都民から愛される都立公園となるような管理を求め、質問を終わります。

○小磯(善)委員 平成十六年度に、私の地元でございます町田の小山内裏公園に都立公園で初めて指定管理者制度が導入されました。その後、建設局では、都立公園などへの指定管理者制度の導入を拡大し、約十九年が経過をして、現在ではほとんどの施設で指定管理者による管理が行われているところでございます。
 今回は四回目となる大規模な選定でありまして、局が所管する都立公園などの約半数に当たる四十六施設について、公募による選定が実施され、その結果、現在の指定管理者が引き続き次期指定管理を担うということになったようであります。
 このような結果を見ますと、都立公園の管理運営のマンネリ化を招くのではないかといった懸念もあろうかと思います。
 そこで、このたび選定された事業者が次期指定管理者としてふさわしいか確認をしていきたいと思います。
 そこでまず、現在の指定管理者の取組状況を具体例と併せてお伺いしたいと思います。

○小谷公園緑地部長 現在の指定管理者は、長年にわたり都立公園を管理してきた実績を基に、これまで培ってきたノウハウを活用して、適切に公園管理を実施しております。
 近年のコロナ禍においても、密集、密接を避けるための様々な工夫を凝らすなど、都立公園が身近な憩いの場として、安全で快適な空間となるように努めてきました。
 具体的には、公園に足を運ばなくても園内の豊かな自然を楽しめるオンラインコンテンツの充実や、入園料のキャッシュレス決済導入など、コロナ禍においても利用者が安心して楽しめる工夫などを行いました。

○小磯(善)委員 本来この制度は、都立公園のような公の施設の管理運営に民間企業のノウハウを活用できるよう、優れた事業者を選定することが目的であるというふうに理解をしております。
 現在の指定管理者が適切に管理運営を行ってきたことはもう確認をできたわけでございますけれども、今回の公募選定で応募してきた事業者は少なかったわけであります。以前の選定時と比べ、今回の応募者数の総数がどうだったのかお伺いいたします。

○小谷公園緑地部長 現在の七つのグループ編成と比較可能な平成二十二年度と比べますと、応募者総数は延べ二十八団体であり、それに対し、今回の応募者総数は延べ十三団体であります。

○小磯(善)委員 今の数字からいきますと、以前と比べて競争性が下がっているということで、不十分な指定管理者が選ばれてしまう心配があるわけでありますが、都の見解をお伺いいたします。

○小谷公園緑地部長 都立公園の指定管理者には、公園施設の維持及び管理業務についての相当の知識及び経験を有することや、公園の効用を最大限に発揮させる効率的な管理運営ができることが求められ、このような高い要求水準を満たす事業者を選定する必要があります。
 選定委員会では、応募者が要求水準を満たしているか厳正に審査を行っておりまして、水準を満たす応募者がいない場合は、再度公募を行うこととなります。

○小磯(善)委員 よりよい指定管理者を選定するためには、優れた多くの応募者がある方が望ましいと私は考えます。今回の公募選定では指定管理者としてふさわしい事業者を選定できたということでございます。
 今後、応募者数を増やす取組も必要ではないかと考えますので、都の取組を求めて、次の質問に移らせていただきます。
 私の地元にあります小山田緑地という里山景観、そして開放的な草地広場、また、トンボ等が生息する水辺等があるなど、本当に豊かな自然が特徴の公園がございます。町田市民、また、地域の方々からは、市民が集い、家族が楽しめるような公園としてほしいという声がございます。
 そこで、今回選定された指定管理者からは、この小山田緑地につきまして、どのような提案があったのかお伺いいたします。

○小谷公園緑地部長 小山田緑地のにぎわいを創出する新たな取組として、パラスポーツなどの体験会や親子サッカー教室など、誰もが気楽に楽しめるスポーツプログラムを実施することとなっております。
 また、地域住民やボランティアが交流し、里山の恵みを肌で感じる収穫祭など、地域住民や家族が一緒に楽しめるイベントの実施などの提案もございました。

○小磯(善)委員 実は町田市では、いろんな公園を冒険遊び場という指定をする制度がありまして、公園の一部を利用して、自分の責任で自由に遊ぶということで、冒険、挑戦、体験を全身で体感できる子供の遊び場であります。
 木登りや穴を掘っての泥遊び、基地づくりなど、その場の環境を生かして、自由に遊びを考え、楽しむことができるわけであります。
 常駐するプレーリーダーが子供のやってみたいを後押しして、また、大きな危険が及ばないように見守っている、そういうところでありますけれども、そういう常設型の冒険遊び場、定期開催型の冒険遊び場という二種類があるようであります。
 町田市では、こういった冒険遊び場活動を行う団体に対して、その活動に必要な経費を補助しておりますけれども、こうした冒険遊び場の指定などという利用もぜひ、こういった小山田緑地などにも取り入れていただきたいと要望いたしたいと思います。
 今後、より一層質の高いサービスを利用者に提供していくために、都は、指定管理者制度をどのように運用していくのかお伺いしたいと思います。

○小谷公園緑地部長 指定管理者制度は、利用者の多様なニーズに応え、質の高いサービスの提供を図り、効果的、効率的な管理運営を行うことを目的としたものであります。
 近年、コロナ禍などを経て、居心地のよい身近な屋外空間に対するニーズの高まりなど、都立公園を取り巻く社会状況は大きく変化しており、民間や地域との連携強化など、指定管理者に期待される役割はますます大きくなっております。
 引き続き、日常の履行管理や管理運営状況評価などを通じまして、指定管理者をきめ細かく指導するなど、制度を効果的に運用し、都立公園に対する様々なニーズにしっかりと対応してまいります。

○小磯(善)委員 導入以来、約十九年が経過して、都立公園に指定管理者制度が根づいたわけでありますが、引き続きしっかりと運用していくことが重要であります。
 都は、利用者の期待に応えられるよう、指定管理者を適切に指導していただきたいと思います。
 さらには、現在、都立公園におきまして、パークPFIの取組が進んでおりますけれども、民間を活用した新たな魅力やにぎわいの創出などもこれからの都立公園に求められるというふうに思っております。
 引き続き、指定管理者制度を適切に運用しながら、より効果的、効率的に都立公園を管理していただきたいことを申し上げて、質問を終わります。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時二十六分休憩

   午後二時四十六分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより環境局関係に入ります。
 付託議案の審査及び請願陳情の審査を行います。
 第二百六号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、歳出、環境局所管分、第二百二十一号議案及び第二百五十三号議案から第二百五十七号議案まで並びに請願四第一〇号、陳情四第七四号及び陳情四第七六号を一括して議題といたします。
 付託議案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小川総務部長節電行動連携担当部長兼務 去る十一月二十八日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、環境・建設委員会資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、一ページをお開き願います。都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の一部を改正する条例に関して都民から寄せられた意見及びその特徴でございます。
 (1)、東京都環境審議会「環境確保条例の改正について(中間のまとめ)」に関する意見公募の結果を記載しております。
 〔1〕、意見募集期間、〔2〕、意見募集結果、〔3〕、建築物環境報告書制度に関する意見の傾向を記載しております。
 二ページから三ページにかけまして、〔4〕、主な意見(環境確保条例の一部を改正する条例に関わるもの)を、各制度ごとに記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 次に、請願陳情について理事者の説明を求めます。

○木村建築物担当部長 それでは、お手元の資料2、請願・陳情審査説明表の表紙をおめくりください。
 右側の一ページをご覧ください。整理番号1、請願番号四第一〇号、新築物件への太陽光パネル等の設置義務化の中止・撤回に関する請願につきましてご説明申し上げます。
 請願者は、世田谷区の杉山大志さんでございます。
 請願の要旨は、都において、新築物件への太陽光パネル等の設置義務化を直ちに中止、撤回していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、1、人権問題についてでございます。
 国においては、今年九月に国際スタンダードを踏まえた企業による人権尊重の取組をさらに促進するため、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを策定いたしました。
 業界団体である太陽光発電協会は、持続可能な社会の実現に向けた行動指針に基づき、太陽光発電産業に係る事業者が人権の尊重を遵守した事業活動を行うこと等を推進するとともに、十月には、太陽光発電産業の人権問題に係る取組宣言を行っております。
 都は、国のガイドラインや同協会の行動指針、取組宣言を踏まえ、太陽光パネルメーカーに対して、継続してヒアリングや意見交換を行っております。引き続き、各国や国の状況を注視するとともに、業界団体と連携し、SDGsを尊重した事業活動を促進してまいります。
 2、太陽光パネルの経済性についてでございます。
 国は、再生可能エネルギーの導入を支える仕組みとして、再エネで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを約束する固定価格買取り制度を導入しており、電力会社が買い取る費用の一部は、電力利用者からの再生可能エネルギー発電促進賦課金により賄われております。
 今年五月からの再エネ賦課金の単価は一キロワットアワー当たり三・四五円となっております。
 太陽光発電協会によると、今後、太陽光発電の買取り価格総額が二〇三〇年代半ばに減少局面に入ることから、将来的に再エネ賦課金の単価が減少することが見込まれております。
 二ページをお開きください。3、災害時等のリスクについてでございます。
 太陽光発電協会によると、台風や大雨、局所豪雨の影響による大規模災害により太陽光発電システムが水没、浸水した場合には太陽光発電システムや電気設備に十分な知見を持つ専門家へ依頼することが必要とのことでございます。
 なお、同協会からは、太陽光発電システムが水没、浸水した場合の感電による事故等、事例はないと聞いております。
 右側の三ページをご覧ください。整理番号2、陳情番号四第七四号、新築物件への太陽光パネル等の設置義務化の中止・撤回に関する請願の採択に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 陳情者は、小金井市の自由を守る会幹事長渡辺大三さん外四十一名でございます。
 陳情の要旨は、都議会において、請願四第一〇号、新築物件への太陽光パネル等の設置義務化の中止・撤回に関する請願を速やかに採択していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、請願四第一〇号、新築物件への太陽光パネル等の設置義務化の中止・撤回に関する請願につきましては、令和四年第四回定例都議会において、環境・建設委員会に付託の上、審議中でございます。
 四ページをお開きください。整理番号3、陳情番号四第七六号、太陽光発電設備の設置義務化の推進に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 陳情者は、港区、吉永瑞能さん外二十八名でございます。
 陳情の要旨は、都において、太陽光発電設備の設置義務化により、再生可能エネルギー発電が一層普及するよう取り組んでいただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、今年八月に環境審議会において、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例、環境確保条例の改正について答申が示されました。これを受け、都は、カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針を九月に策定いたしました。
 令和四年第三回定例都議会における同方針に対する審議を経て、現在、第四回定例都議会に環境確保条例改正案を提出してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 この際、紹介議員の発言の申出について申し上げます。
 請願四第一〇号につきまして、上田令子議員から、会議規則第八十八条の規定により、本委員会に出席して説明したい旨の申出がありました。
 この際、本件に対し発言の申出がありますので、これを許します。

○曽根委員 本件については、少数会派の議員の発言の場をできるだけ保障するという立場から、我が党は、今回の請願陳情について、意見表明の場を与えるべきだと考えております。
 また、本件については、改めて都民の広い議論が求められていると私たちは考えておりますので、その立場からも、発言の場を与えるべきだと考えます。
 以上です。

○漢人委員 請願紹介議員の発言については、あまりにも当然といいますか、紹介議員としてはむしろ積極的に出席をしていただいて、質問に答えるぐらいの責任もあるという側面から、ぜひ発言をしていただいて、より深い請願審査ができるようにするのが、私は委員会としての、また議員としての臨むべき態度だと思っておりますので、ぜひ上田議員の紹介議員としての発言をお願いしたいと思っております。

○里吉委員長 発言は終わりました。
 本件は、起立により採決いたします。
 上田令子議員の申出を承認することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○里吉委員長 起立少数と認めます。よって、上田令子議員の申出は承認しないことに決定いたしました。
 要求資料を含め、これより付託議案及び請願陳情に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○柴崎委員 まず初めに、先般の事務事業質疑で、私の方から提案いたしました件が補正予算の中でどのようになっているかを確認させていただきたいと思います。
 先般の事務事業質疑におきまして、集合住宅の大きなポテンシャルを最大限に生かすための方策につきまして質疑を行ったところでございます。
 この中で、集合住宅ではせっかく発電をした電気を共用部にしか利用できない。このために小規模な太陽光発電設備しか導入されないとの課題が明らかになったところであります。
 そこで、共用部だけでなくて、各世帯の専有部でも利用できるようにするための対策を講じるべき、このように提案をさせていただきました。今回の補正予算案ではどのように反映されているのか伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 集合住宅において、太陽光発電設備の設置は、脱炭素と防災力の向上に加えて、居住者の光熱費の削減にもつながることから、推進する必要がございます。
 このため、都は、今回の補正予算案で、再エネ一〇〇%電力の導入を条件に、集合住宅の太陽光発電設備によって発電された電気を建物全体で利用できるよう、高圧一括受電のための設備導入等に係る費用を支援することとし、併せて導入した太陽光発電設備の費用についても補助を行います。
 こうした取組により、集合住宅において、共用部のみならず、専有部を加えた建物全体で太陽光発電電力が活用できるよう、その設備の設置を後押ししてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきました集合住宅の各世帯、この専有部を加えた建物全体で太陽光発電電力が活用できるようにということで対策を講じたことは評価したいと思います。
 しかしながら、やはり、いずれにいたしましても、管理組合の合意形成が必要になってくるわけでありますので、その点につきましては、しっかり住民の皆さんに分かりやすく説明をし、理解が進むように取り組んでいただきたいと思いますので、付け加えておきたいと思います。
 それでは、これから環境確保条例の改正に関しまして質疑をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、今年の五月、小池都知事が記者会見で唐突に、太陽光パネルの義務化を発表されたわけでございますが、この義務化の内容を正確に理解していない方もあったようですが、総じて、なぜ税金を投入してそこまでやらなければならないのか、こうした異論が噴出したのはご案内のとおりであります。
 こうした都民の疑問は解消されたと考えているのか、この点についてまず伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 都が本年五月に実施したパブリックコメントでは、条例改正への賛成意見が五六%、反対意見が四一%であり、二十代以下では賛成が約八割を占めるなど、若い世代ほど賛成意見が多い傾向にございました。
 都は、さらなる理解の促進に向け、都民目線のQ&Aやリーフレットの作成、新制度に関する電話窓口の臨時設置を行うとともに、関係部署と連携し、世代や対象に応じた戦略的な広報を実施しております。
 また、都民の疑問にワンストップで対応する窓口を補正予算で設置するほか、事業者支援を通じ、住まい手等に対する環境性能の説明スキル向上を図ってまいります。
 引き続き、あらゆる手段を活用し、都民理解の促進を図ってまいります。

○柴崎委員 今、都がホームページ上でQ&A、あるいはリーフレットを掲載しているということなどは承知はしております。取組をしているというような今のご答弁なんですけれども、まさにそれはやっていることはそのとおりだと思います。
 肝腎なのは、皆さんが感じている、いわばこの手応えなんですよ。つまり、そうか太陽パネル、これはいいことだ。でも、それだけでは足りない。我々都民に義務を課してでも進めるべきなんだ。こういう手応えがあったかどうか、この点についてお伺いをしているわけでありまして、もう一度確認します。これで都民の疑問というのは本当に解消されたとお考えですか。この点についてお答えいただきたいと思います。

○木村建築物担当部長 五月に実施したパブリックコメント時点で賛成意見が五六%であるということでございます。その後も都としては、さらなる理解促進に向けて、戦略的な広報を実施しております。
 今後とも、ワンストップ窓口等を設置することによって、引き続き理解促進を図ってまいります。

○柴崎委員 今、今後ともというようなことでいっていますけど、これからやることはこれからやることでいいんですけれども、要するに今ですよ、今。これまでに、先ほど質問したのは、都民の疑問が解消されたのかということなんですね。
 つまり、そういう手応えがあったのかということを先ほど申し上げましたが、手応えというか、要するに機運が盛り上がってきているかどうか。
 しかしながら、私は、この機運が盛り上がっているとは全く思えないんです。これだけPRをしました、これから理解促進を図っていくんですがということなんですけれども、私どもに寄せられているご意見からは、義務化への理解そのものが不十分な状況であるというふうにいわざるを得ない状況であると申し上げておきたいと思います。
 続きまして、次の質疑に入らせていただきます。
 今回の義務化に関しまして、条例改正に関する疑問の第一点、これはですね、既に東京都は様々な補助制度を実施しているわけですね。パネル設置を希望する方がパネル設置を進めていくための条件整備は一定程度進んでいるというふうに理解をしております。
 この補助制度による事業の推移を見定めた上で、義務化の必要性を判断すべきでないかということなんです。したがって、この見解を伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度は、大手ハウスメーカー等に太陽光パネルの設置等の義務を課すことで、環境性能の高い住宅の普及を推進するものでございます。
 今回の補正予算に盛り込んだ支援策は、特定供給事業者を対象としたハウスメーカーへの支援など、義務化を前提としたものでございまして、制度の施行に向けて、きめ細かな支援を行うことで、住宅の環境性能の向上につなげてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきましたが、建築物環境報告書制度によって普及を促進し、住宅メーカーを支援することで性能を向上させる。それで義務化に向けた準備を進めていくとの答弁があったわけです。
 つまり、まだそうした準備ができていないということなんですね。したがって、このように現状を把握されているのだと理解をしているわけですが、我々も全く同じです。同様の理解なんです。まだそうした準備ができていない。そうした中で、この義務化を決めてしまっていいのかどうか。それを判断できるだけの準備がまだできていないので、これから準備を進めていくということなんですね。
 したがって、そうした状況にあるのを承知の上で、令和七年四月から義務化することを今決めてしまって、これから二年間かけて準備を進めていくというのは、まさに本末転倒であると申し上げておきたいと思います。
 再度お伺いしたいと思います。この今既にある補助制度をしっかりと進めていきながら、この事業の推移を見定めた上で、義務化が本当に必要なのかどうか、その判断をすべきだと思います。これについて今お伺いしているんですけど、この点についてご答弁いただきたいと思いますが。

○関制度調整担当部長 改めてでございますが、今回の補正予算に盛り込みました支援策は、特定供給事業者を対象としたハウスメーカーへの支援など義務化を前提としたものでございまして、制度の施行に向けて、きめ細かな支援を行うことで、住宅の環境性能の向上につなげてまいります。

○柴崎委員 いやいやいやいや、お聞きしているのは、義務化の必要性、これを判断すべきではないかということをお聞きしているんですよ。ですから、今、本当に質疑がちょっとかみ合っていないと思いますけれども、いずれにいたしましても、都は現在、太陽光パネル設置の補助事業を進めているわけですよね。進めていますよね。
 この補助事業を推進するには事業者の協力というのは当然不可欠なんですね。その意味では、今回の補正予算による支援体制、この充実というのは必要な取組だということは理解はしています。それはね。
 だけれども、太陽光発電の推進と、そして義務化開始を混同することなく、補助事業の有効性と義務化の必要性は明確に区別をして議論を深めていく、この必要があると思うんです。
 その点を指摘したいと思いますが、今の答弁、もう一度確認したいと思いますが、補助事業は一定程度進んでいるということは、先ほども私、申し上げているとおりでございます。この補助制度によって事業の推移を見た上で、この義務化が必要なのかどうか判断すべきじゃないのかということを聞いているんですが、答弁いただけますか。

○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度は、大手ハウスメーカー等に太陽光パネルの設置等の義務を課すことで、環境性能の高い住宅の普及を推進するものでございまして、今回、条例案を提出させていただいております。
 あわせて、今回、補正予算案を提出させていただいておりますが、この補正予算案に盛り込んだ支援策は、特定供給事業者を対象としたハウスメーカーへの支援など、義務化を前提としたものであり、制度の施行に向けて、きめ細かな支援を行うことで、住宅の環境性能の向上につなげてまいります。

○柴崎委員 これ以上お聞きしても同じ答弁になってしまうんでしょう。私としては、この補助制度が今既にあるわけですから、この事業の推移を見た上で義務化が必要なのかどうかを判断すべきじゃないかという質疑なんです。同じ答弁しかないので、次に進めさせていただきます。
 今このように申し上げて、質疑をさせていただいておりますけれども、第二点目、二点目についてはですね、義務化まで二年以上期間があるんですね。
 当然その間、太陽光パネルの技術革新もあるでしょう。あるいは、リサイクル体制の進捗もあるでしょう。あるいは、都内の不動産業界の動きも今とは変わってくるかもしれません。そして、人権問題をめぐる状況の変化もあると思います。様々な変動要因が想定をされるわけであります。
 それらの動きを見定めてから、義務化を含めて事業をどのように進めていくべきかを判断すればいいのではないでしょうか。このように考えるわけであります。
 二年先の事業開始を今定例会で決めてしまおうとする理由、これが私どもとしてはやはりどうしても理解できないところでございます。ぜひ、二年先の事業開始を今定例会で決めてしまおう、この理由をお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○木村建築物担当部長 カーボンハーフの実現に向けましては、都内CO2排出量の七割超を占める建物の脱炭素化が急務でございます。今般、大手住宅供給事業者等に対し、太陽光パネル設置等を義務づける新制度を導入するものでございます。
 円滑な制度の施行に当たりましては、都民が新制度への理解を深め、事業者が取組の準備を行う期間が必要であり、都は、約二年間の準備、周知期間を設定し、この間に重点的な取組を行ってまいります。
 都民向けには、太陽光パネル設置の意義や効果、メリット等につきまして、きめ細かな広報を行うほか、補助制度の新設、拡充や太陽光パネルのライフサイクルに応じた支援を行い、住まい手が安心して設置できる環境を整備してまいります。
 事業者向けには、準備の状況が様々である中にあっても、多くの事業者が太陽光パネル設置の標準化を進め、魅力ある商品ラインアップの拡充を加速化できるよう、支援策を講じてまいります。
 施行開始までの間の社会経済状況、技術革新の動向等を把握しながら、本制度の円滑な施行に向け、着実な準備を進めてまいります。

○柴崎委員 先ほども指摘をさせていただきました。要は十分な準備ができていない、いわゆる見切り発車をしてしまって、先のことはこれから考える、こうした説明にしか聞こえてこないんですね。
 また、答弁の中で、設置等を義務づける新制度を導入、この発言があったわけでありますけれども、今回の条例改正は一年先の令和六年、そして二年先の令和七年が施行日とされているわけなんですね。仮に今定例会でこの条例改正が可決されたとしても、その後も少なくとも一年間は現行の条例のままなんですよ。
 ですから、今質問させていただきましたように、二年先の事業開始を今定例会で決めてしまおうというこの理由が聞きたいんですよ。なぜ二年先の事業開始を今定例会で決めてしまおうとしているのか。それをちょっとお伺いしたいと思います。

○木村建築物担当部長 カーボンハーフの実現に向けましては、都内CO2排出量の七割超を占める建物の脱炭素化が急務でございます。そのため、今般、大手住宅供給事業者等に対し、太陽光パネル設置等を義務づける新制度を導入するものでございます。

○柴崎委員 何度聞いても同じ答弁のようですね。これ本当に私の質問に全くかみ合っていないんですよ。だって、二年先の事業を何で今定例会で決めようとしているのかと聞いているわけですよ。それに対して答弁がないんですけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、この条例改正については一年先の令和六年、あるいは二年先の令和七年が施行日になっているわけですよね。ですから、一年は現行の条例のままでいくわけですよ。
 ですので、この補正予算によって事業化されるものというのは、この現行条例の下での制度であって、まだ施行されていない改正条例に基づく新制度ではない、こういうふうに理解をしているわけであります。そうですよね。何度も申し上げておりますけれども、この補正予算で事業化されるものは、現行条例の下での制度ということなんですね。
 ですから、そこの点について、私どもとしてはこのように理解をしておりますし、そのようなことであるというふうに認識をしているところであります。
 先ほど来、何度も同じ答弁になってしまうので、次に進ませていただきますけれども、続いて、少し具体例を挙げながら、ちょっとお伺いしていきたいと思います。
 この太陽光パネルを設置した住宅、全てではないにしても、かなり雨漏りが発覚されるケースというのがあるように聞いているところであります。特に屋根に穴を空けて設置するタイプのパネルですと、屋根事業者からは、雨漏りの危険性がかなり高いというようなことをよくお聞きしております。
 雨漏りが生じない設置工法も時間をかけてやはり確立していく、これでも遅くはないのではないかと思うわけでありますが、都の見解を聞かせてください。

○木村建築物担当部長 太陽光発電設備の設置に当たりましては、メーカーごとの施工IDを取得し、屋根施工や防水処理の技能を持つ事業者が施工を行っております。
 そこで、都は、今般の補正予算におきまして、地域工務店等を対象とした設計、施工技術の向上に対する支援策を計上し、施工技術を持つ事業者の拡大を後押ししてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきました地域の工務店等を通じてということなんですが、今メーカー側が設置をする、そういうケースが多いようなので、やはりメーカー側への対応もしっかり進めてもらいたいと思います。
 また、この太陽光パネルは、一キロワット当たり大体重量にして五十キロから六十キログラムというふうにいわれております。当然住宅に太陽光パネルを載せる際には、住宅の耐久性、耐震性に対する不安の声もあることも事実であります。
 新築住宅の場合も、あるいは既存の場合でも、このパネルの設置に向けましては、特に屋根の強度については十分な対策が必要とのことであります。都は、この点についてどのような取組を進めているのかお伺いしたいと思います。

○木村建築物担当部長 住宅等への太陽光パネルの設置につきましては、設置事業者等は国が定める耐荷重等を勘案した上で設置を行っております。
 新築住宅につきましては、建築士等が建築基準法令に基づき、その荷重や位置などを考慮して設計を行うこと等で構造上の安全性を確保しております。
 既存住宅につきましては、新耐震基準等による建物の強度を満たす必要があり、設置業者はこれを十分に考慮して設置可否を判断しております。
 引き続き、都は、参考となる情報として、建築構造に関する国の取組等について、太陽光ポータルサイトを通じて情報発信をしてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきました、特に既存住宅の場合、やはり事業者全てが判断できるような情報をきちっと伝える、このことが大変重要だと思いますので、その点についてはしっかりと対応していただきたいと思います。
 次に、もう一つ、既存住宅にパネルを設置する場合ですが、パネルの寿命というのが大体三十年程度あるというふうにお伺いをしているところであります。こうした中で、パネルが稼働期間中、屋根のふき替えだとかが必要になるという場合も出てくると思うんですね。
 こうした場合に、当然パネルを外したりの作業、こういったことが必要になるわけでありますが、都は、こうした場合の対策をどのように考えているかお伺いしたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 既存住宅に太陽光発電設備を設置する場合については、屋根の塗装やふき替えなど、メンテナンスが必要な時期を考慮することが望ましいと存じます。
 都は、住宅供給事業者や地域工務店等に対して、屋根等、住宅のメンテナンスの時期を考慮して太陽光発電設備の設置の提案を行うよう働きかけてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきましたけど、屋根のふき替えだとかというのもやっぱり三十年ぐらいでやらなくちゃいけないということを屋根の事業者さんはいっているわけですよ。
 したがって、これしっかり伝えていかないと、本当に設置しちゃってから屋根のふき替えなんてことになると大変なことになると思うんですね。ですから、それはきちっと家主である施主にも理解をいただくように取り組まないと、これは本当に、パネルは設置したものの、その間に屋根のふき替えだなんてことになったらまた大変なことになると思いますので、ぜひその点もしっかり伝えてもらいたいと思います。
 それでは、またこの条例改正に関しまして質疑していきたいと思いますけれども、条例案では、通常は、普通の場合、具体の内容というのは規則によって委ねることになっておりますよね。つまり条例で方針を定めて、それに基づいて具体的な内容を検討し、そして規則を定めていく、これが一般的な流れであるというふうに理解をしております。
 今回の条例改正の場合には、十一月に発表されたカーボンハーフ実現に向けた条例制度改正についての中で、条例改正案とそれに伴う支援策の概要に関する資料は示されております。
 しかしながら、本委員会での審議においても、この事業全体を見据えた総経費ですとか、あるいは費用対効果、そしてこの事業の実施期間が具体的に示されていないんですね。
 この事業の重要性を考えますと、来年の第一回定例会で、予算面も含めて、本会議、そして予算特別委員会、この中で義務化の条例の必要性、そして事業規模の妥当性、合理性を丁寧に議論すべきであるというふうに考えます。この点についての見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○木村建築物担当部長 太陽光パネルの設置義務化をはじめとする新制度の必要性等につきましては、環境確保条例の改正に向けて、本年五月の環境審議会中間のまとめに基づきまして、第二回定例会において議論をいただきました。
 また、都は、八月の同審議会の答申を踏まえ、九月にカーボンハーフの実現に向けた条例制度改正の基本方針を策定いたしました。本基本方針では、円滑な制度施行に向けた支援策を講ずること等もお示しし、第三回定例会において議論をいただきました。
 こうした丁寧な手順を踏んだ上で、今定例会では環境確保条例の改正案と条例改正と併せて、迅速な対応が必要となる事業について補正予算案を提案し、議論をいただいているところでございます。

○柴崎委員 今答弁いただきましたけど、私の質問にはしっかりお答えになっていないんですね。先ほども申し上げましたけれども、議論が尽くされていないといいますか、議論すべき事業全体像が全く示されていないんですね。
 ですから、考え方とか、あるいは目指す目標も重要ですが、それを実現する手だてについて、その妥当性、そして合理性、必要性を具体的に議論する、このことがまさに議会で議論すべき内容だと考えております。
 その意味では、この議論の素材となるべき事業の全体像は不明なままというのが今現状なんですね。
 ですから、先ほども質問しましたように、この事業は非常に重要な事業だと思いますよ。したがいまして、来年の第一回定例会で予算面も含め、そして予算特別委員会の中で義務化条例の必要性、そして事業規模の妥当性、合理性を丁寧に議論する必要があるというふうに考えるわけですが、この点について再度この見解を求めたいと思います。
 今、答弁の中では、第二回定例会で議論をいただきました、そして、第三回定例会でも議論をいただいたので、丁寧な議論がなされているというふうにいうんですが、私としては、先ほど申し上げましたように、この全体像が見えていない中で、先ほどいったように総経費、あるいは費用対効果、これらが具体的に全く示されていないわけですよ。
 したがって、この点、やはり予算特別委員会の中で、先ほど申し上げましたが、義務化条例の必要性、そして事業規模の妥当性、合理性というのを丁寧に議論するべきであると考えますけれども、もう一度確認したいと思います。

○木村建築物担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、本太陽光パネル設置義務化に対する制度の必要性については、五月の環境審議会に基づく議論をいただいてございます。
 また、カーボンハーフの実現に向けた条例制度改正の基本方針につきましても、第三回定例会において議論をいただいているというところでございます。
 したがいまして、今定例会におきまして、確保条例の改正案と迅速対応が必要な補正予算案を提案し、議論をいただいているところでございます。

○柴崎委員 同じ答弁ですね。全くこちらの質問には答えていないんですが、さらに、迅速な対応が必要であるというふうに今いっておりますけれども、先ほども申し上げましたけれども、二年以上の準備期間があるんです。この条例施行も、改正されても二年先としているわけなんですよね。
 ですから、この義務化だけは可決して、そして既成事実化をしてしまいたいというふうに考えているのかなというふうに思わざるを得ないんですね。
 それから、この内容を詰めていけば、こうした姿勢には大変大きな問題があるというふうにいわざるを得ません。先ほども何度も申し上げておりますが、やはり丁寧な議論をすることが極めて重要だと思いますので、第二回定例会、そして第三回定例会で議論をいただきましたということは、全くその丁寧な議論にはならないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、この点についても指摘をして、次に進みたいと思います。
 そして、今の件に関連して申し上げますと、かつて、皆さん覚えていると思います。あの築地市場、この跡地を市場会計から一般会計に移しましたよね。これは皆さん当然覚えていらっしゃると思います。
 このときの予算が五千四百二十三億円ですね。これを市場会計から一般会計に移すということで、これも補正予算として急遽提案されたんですよね。皆さん覚えていると思いますけれども。
 補正予算として急遽提案されたわけですから、当然、先ほど申し上げましたように、予算特別委員会では質疑することはないんですね、ないんです。予算特別委員会では質疑はなかったです。で、決定されてしまった。そのことをやはり思い出すんです。皆さんも多分そのことはよく覚えていらっしゃると思います。
 ですから、こういったことを我々としても、つい、補正予算で組まれたということに対しまして、このことを思い出しました。これはやはり小池都知事が今回の条例案についても同様の対応をしているというふうに我々としては見えてしまうんです。
 この事業の本格実施まで二年以上あるわけですよね。二年以上ある。したがって、前回のときのように、前回のときというのは先ほど申し上げました築地市場の跡地を市場会計から一般会計に移したときですね、これと同様に予算特別委員会での審議を避けることなく、事業概要を具体的に明らかにして、条例の必要性をしっかりと議論すべきというふうに考えます。
 もう一度申し上げますと、この実施まで二年以上あるわけですから、当然、予算特別委員会での審議をやはりやって、事業概要を具体的に明らかにする。このことがやはり、条例の必要性をしっかり議論すべきと考えるわけであります。この点について改めて見解を伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 令和七年四月の制度開始に向けまして、条例改正後から速やかに動き出す事業者や、住宅の建築や購入を検討している都民に対して、時宜を逸することなく、着実に支援が行き届くことが必要でございます。
 このため、今定例会において、条例改正案と併せて、支援策を盛り込んだ補正予算案も提出をさせていただきました。

○柴崎委員 先ほども申し上げましたが、考え方ですとか、目標とか、いわば長期計画のようなものを議論しているわけではないんですね。義務を課すという個別具体の事業について、その必要性、妥当性、合理性をやはり具体に議論すべきだと考えるわけであります。
 したがって、そのためには、この事業の全体像、つまり、全体でどれぐらいの経費がかかるのか、そしていつまでこの事業を実施するのか、義務化でどれだけのCO2の削減効果が見込まれるのか、費用対効果、この詳細を都民に示して、議会と議論をすべきであるというふうに申し上げているところであります。
 したがって、今、やはりこの議論がなかなかうまくかみ合わないんですけれども、本格実施まで二年以上ある。これも何度も申し上げていますように、これについてはそういった時間があるわけですから、予算特別委員会での審議を避けることなく、この事業概要を具体的に明らかにする、そして、この条例の必要性をしっかりと議論する、このことを我々としては考えているわけでありまして、都の見解を伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 今回の支援策は、義務化が開始をする令和七年四月までに速やかに準備に着手する事業者等を支援するとともに、都民等の制度への理解促進を図るものでございます。
 必要な支援を迅速に講じるため、条例改正案と併せて、支援策を盛り込んだ補正予算案も提出をいたしました。

○柴崎委員 答弁いただいているのが何度も同じことなんですね。条例の改正と補正予算、補正予算というのは現在の条例の下での補正予算なんですね。この条例改正は二年後なんですよ。ですから、そこのところが一体というふうな形で今答弁いただいているんですけれども、そこの考え方ですよ。考え方というか、そこが全く我々としては理解できないところなんですね。その点は申し上げておきます。
 次に進ませていただきますけれども、補正予算に関連してちょっと伺っていきたいと思います。
 知事は、所信表明の中で、あらゆる可能性に視野を広げ、そして来年度予算を待つことなく、本定例会に提案をしている補正予算案にも必要な経費を盛り込んだというふうに発言をしているわけであります。
 しかしながら、都民の方々の理解の進み具合ですとか、あるいは事業者の対応など、本事業を取り巻く現状を勘案すれば、そこまでの緊急性があるとはどうしても思えないんですね。どうですか、皆さん。緊急性があると思いますか。委員の皆様もその点については本当に緊急性があるとは多分思っていないんだと思います。このことは本会議でも我が党から指摘をさせていただきました。
 補正予算とすることで、何度も申し上げておりますように、議会審議がこの委員会、今日一日だけなんですよ、一日だけ。この一日だけになってしまうわけであります。補正予算ではなく、来年度の予算案とすることになれば、丁寧に議論をすることができるわけであります。
 この義務化の本格実施、先ほども何度もいっています、答弁でもいただいていますよね。令和七年ですよ。まだ二年以上あるんですよ。この補正予算を慌てて計上することなく、来年三月の予算審議を何で待つことができないのか。これがどうも理解できないんです。
 何度も申し上げておりますけれども、二年以上ありますね。二年数か月あるわけですが、これが本格実施の時期なんですよ。ですから、補正予算を慌てて計上するということは今必要だとは思わないです。皆さんだってそういうふうに思っていると思いますよ。
 ぜひ委員の皆さんも、どういうふうにお考えか、その点についてもそれぞれあると思いますが、やはり急ぐ必要性というのがどうも理解できない。
 したがって、この三月の予算審議を待つということが何でできないのかが理解できないんです。したがって、この点について、東京都の見解を伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 今回の支援策は、義務化が開始する令和七年四月までに速やかに準備に着手する事業者等を支援するとともに、都民等の制度への理解促進を図るものでございます。
 必要な支援を迅速に講じるため、条例改正案と併せて、支援策を盛り込んだ補正予算案も提出をいたしました。

○柴崎委員 もう全くかみ合わないですね、質問に対しての答弁が。先ほどからもう何度も同じことになってしまいますけれども、この補正予算はあくまでも、この補正予算はですよ、現行の条例の下での事業なんですね。ですよね。現行の条例の下での事業でしょう。だって、まだ条例改正して、二年後ですよ。そこの点はどうなんですか。お答えください。

○関制度調整担当部長 補正予算に盛り込まれている支援策につきましては、条例改正により、令和七年四月からの制度開始に向けて準備を行う事業者等を支援するものでございます。
 様々な支援を迅速に展開することで、都民と事業者、そして都が一体となって、制度施行に向けた取組を推進してまいります。

○柴崎委員 もう何度も同じことになってしまうのですが、だって、この補正予算は令和七年からの条例改正に基づくものじゃないんですよ。今の条例の中での補正予算なんですよ。
 そういうふうなことじゃないんですか。もう一回確認したいと思いますが、どうですか。

○関制度調整担当部長 条例が可決、成立し、条例が公布をされますと、この制度の内容が確定をいたします。
 その公布をされる内容に基づいて、その制度開始に向けて準備を行う事業者等を支援するものでございます。

○柴崎委員 条例が確定されますといったって、条例が確定されたところで、改正され、これが可決されたとしても、令和七年からなんですよ。だから、今回の補正予算というのは現行の条例の下での補正予算なんですよ。
 皆さんもそう思うと思いますよ、委員の皆さんも。もう一回、どうですか、確認したいと思いますが。

○関制度調整担当部長 繰り返しのご答弁になりますが、補正予算案に盛り込まれている支援策につきましては、条例改正により、令和七年四月からの制度開始に向けて準備を行う事業者等を支援するものでございます。

○柴崎委員 もう同じ答弁の繰り返しでございまして、全くかみ合わない。
 仮に可決されて、一年、そして二年の間は、この条例というのは改正されても施行されないわけでありまして、したがって、条例に記載されている義務化に関する条項を根拠にした事業ではないということなんですよ。
 いいですか。そのことは申し上げておきますけれども、やはりこの間、一年、二年の間は施行されないわけですから、先ほど申し上げましたように、義務化に関する条項を根拠にした事業ではないということなんです。これは明らかだと思いますよ。
 つまり、この条例改正に合わせて予算措置、補正予算組むわけですけれども、この必然性は全くないというふうに考えております。
 この補正予算の内容につきましては、現行の条例の下で現在も行われている補助事業に事業者支援の観点も加味して充実していくものであり、太陽光パネル設置を推進していく上で有効な手だてであるというふうに考えております。これは我々もそういうふうに考えているんです。
 しかしながら、指摘をしたいところは、今の答弁にありましたけれども、条例改正後速やかに動き出すわけでして、こうした設営についてなんです。
 つまり、繰り返しますけれども、条例がこれで改正をされても現行条例は全く変更されないんですよ。全く変更されない。来年度もこの条例の下で事業が進められていくわけですよね。そうですよね。その点、確認させてください。

○関制度調整担当部長 義務化の開始は、令和七年四月ということで条例案を提出させていただいております。
 この令和七年四月までに準備を行う事業者を支援するための支援策を計上させていただいております。

○柴崎委員 いや、かみ合っていない。今聞いているのは、今回条例が改正をされて可決されたとしても、現行条例は令和七年まで全く変更されないんですよ。ですから、来年度もこの条例の下で事業が進められていくわけですね。その確認なんですよ。どうですか。

○関制度調整担当部長 改正条例の施行は令和七年四月を予定しております。
 そのため、施行はあくまで令和七年四月でございますが、その新制度に向けて準備をする事業者を支援する内容の補正予算を計上させていただいております。

○柴崎委員 いや、聞いているのは、来年も現行条例ですねというふうに聞いているわけ。来年度も現行条例の下での事業の推進ですね。それでいいんですよね。確認させてください。

○関制度調整担当部長 令和七年四月までは現行条例の範疇でございます。

○柴崎委員 もう何度も聞いても答えてくれないんですね。なぜ答えないのか分かりませんけど、来年度は現行の条例でしょう。そうじゃないんですか。今聞いているのは、それしか聞いていませんよ。

○関制度調整担当部長 改正条例の施行は令和七年四月を予定しておりますので、それまでは現行条例の下での事業ということになりますが、あくまで新たな制度に向けて準備をする事業者を支援する内容を計上させていただいております。

○柴崎委員 よっぽど何かあるのかなと思いますけど、ようやく今、来年度は現行条例の下だというふうにご答弁がありました。
 繰り返しますけれども、何度も繰り返してしまって申し訳ないんですが、条例が改正されても現行条例は全く変更されないんですよ。そのことを私は何度も確認をしているわけです。今、現行条例だということで答弁がありました。ですから、来年度もこの条例の下で事業が進められるわけなんです。
 この条例改正で、あたかも何か新制度が始まったような、そんな事業に着手をするかのような発言ですよ。したがって、それは都の取組というものを誤解されてしまう可能性はありますよ。やはりこれは誤解されないようにした方がいいと思うんですよ。
 補正予算で取り組もうとしている事業につきましては、改正条例とセットで提案する必要はないですね。ない。ですから、三か月後の予算特別委員会で審議すべきであったのではないか。このことを指摘したいと思います。
 続きまして質疑をさせていただきますが、今回の条例案と補正予算が不可分なものであって、今定例会で同時に決定する、こういった説明を今ずっとされているんですね。
 仮に提案されている補正予算案がパネル義務化の関連予算であるとしますと、義務化事業の全体予算といいますか、全体の事業規模、あるいは費用対効果が分からない状態なんですね。分からないままなんです。それで補正予算を先行して予算化するということになってしまうわけであります。
 したがって、この義務化の全体像が見えない中での見切り発車のようなもので、予算措置の在り方として、大変に問題があるんではないかというふうに我々考えるところであります。したがって、その点についての見解を伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 今回の支援策は、義務化が開始する令和七年四月までに速やかに準備に着手する事業者等を支援するとともに、都民等の制度への理解促進を図るものでございます。
 必要な支援を迅速に講じるため、条例改正案と併せて、支援策を盛り込んだ補正予算案も提出をさせていただきました。

○柴崎委員 もう何度も何度も申し上げております。この事業規模、費用対効果が分からないままに補正予算を先行してしまって予算化することになってしまうわけでありますよね。
 したがって、予算措置の在り方として問題があるのではないかと思うんです。この点についての見解を伺っているんですが、いかがですか。

○関制度調整担当部長 必要な支援を迅速に講じるため、条例改正案と併せて、支援策を盛り込んだ補正予算案を提出させていただきました。

○柴崎委員 ちょっとかみ合わないんだよね、さっきからずっとなんだけど。何で聞いたことを答えていただけないのかがちょっとよく理解できないんですが。
 次にちょっと進みますけれども、東京都の補正予算に関する説明資料では、確かに環境確保条例の改正に伴う支援策というふうに記載はされていますよね。それは私どももよく存じています。
 しかし、この条例が、先ほどから何度もいっているように可決をされても、義務化の施行は令和七年なんですよ。エリアマネジメントに関する条例も施行は令和六年なんですよ。つまり、仮にこの条例改正が可決をされたとしても改正条例は施行されるわけじゃないんですよ。
 先ほども答弁いただきました。来年度は現行の条例の下での事業だということですよね。ですから、この補正予算はあくまでも現行条例の下での予算措置であるわけですよね。見解を伺いたいと思いますけど、どうぞ、お願いします。

○関制度調整担当部長 今回の支援策は、義務化が開始する令和七年四月までに準備を行う事業者等を支援するとともに、都民等の制度への理解促進を図るものでございます。
 制度の円滑な施行に向け、都民や事業者の共感と協働を得ながら、各主体の行動の加速化を後押ししてまいります。

○柴崎委員 もう何度も同じことになってしまうんですけど、この補正予算はあくまでも現行条例の下での予算なんでしょう。ですよね。
 先ほども申し上げましたように、この補正予算は、確かに支援策ということは記載されているのも承知していますよ。しかしながら、現行条例下での予算措置だということだと考えますけど、その点についてご答弁願います。

○関制度調整担当部長 条例改正によりまして、制度の義務化が確定をし、公布するのは十二月二十二日を予定しております。
 新制度に向けて、事業者が準備を始めることが重要でございまして、それを支援してまいります。

○柴崎委員 いやいやいやいや、事業者が準備するのは重要だというのはいいんですよ、そこのところは。そうじゃなくて、今、現行の条例の下での事業ですよねということを確認しているんですよ。どうですか。

○関制度調整担当部長 ご質問のとおり、まだ改正条例が施行されていない段階でございますので、現行条例下での事業ということになりますが、新制度に向けた準備を後押しする補正予算案を計上させていただいております。

○柴崎委員 全く同じ答弁を繰り返してくるわけですけれども、もう何度も同じことばかりいっているわけですけれども、あくまでもこれは現行の条例の下での補正予算ですよね。準備はするのかもしれないけれども、これはあくまでも現行条例の下での準備でしょう。ということですよね。だって、既にもう事業をやっているわけだから。ということですよね。もう一回確認させてください。

○関制度調整担当部長 条例の施行は令和七年四月ですので、それまでは現行条例ということになりますが、新制度に向けて準備をする事業者を支援するものとして補正予算案に計上させていただいております。

○柴崎委員 全くかみ合わない、そういう質疑がずっと繰り返されてしまうんですけれども、非常に残念です。
 続いて、別の角度からちょっとお伺いしていきますけれども、東京都が計画している太陽光パネルですけれども、知事が記者会見されましたのが、五月二十七日ですか、小池知事が会見で発言されていますね。
 例えば、標準的な戸建ての住宅に四キロワットを設置した家の場合を例に取ってみますと、月々の電気代がそれによって七千七百円減る。年間では九万二千四百円お得になるという計算になります。四キロワットだと大体設置費用が約九十二万円。そういうことは、年間九万二千四百円のお得ということですと、十年間で、これが十年で賄うことができるという計算になります。
 こんな記者会見の発言の一部抜粋で今お話をさせていただきました。
 何で今この点を挙げたかというと、記者会見では再三再四、四キロワットのパネルを設置すればというお話をされていたんですね。ところが、条例案を提案する際の資料では二キロワットになっているんです。つまり半分になっているわけですよ。ですから、この都の考え方が、いつ、なぜ変わったのか、この点について伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 太陽光発電設備の設置による電気代の経済性の試算において四キロワットを用いているのは、太陽光パネルが導入されている一般家庭での平均が四キロワット程度のためでございます。
 この場合は、四キロワットの太陽光パネルを設置すると、自家消費による電気代削減や余剰電力の売電により収入を得ることで、実質的な電気代負担が削減されることを示したものでございます。
 一方、新制度の再エネ設置基準では、棟当たり基準量は二キロワットとしております。これは、停電時における自立運転モードの上限が太陽光パネルの最大出力に関係なく一・五キロワットまでであることや、また、東京ゼロエミ住宅では設置実績全体の九八%が二キロワットを超えていることを踏まえて設定したところでございます。
 いずれも本年八月に公表した基本方針案でお示ししているところでございます。

○柴崎委員 今答弁いただいたわけですが、先ほどの知事の記者会見での言葉を借りますと、四キロワットで十年間で元が取れるというふうにいっていたわけですが、二キロワットだと倍の二十年かかることになるわけですね。
 したがって、三十年程度でこのパネルを取り替えるとすると、設置期間の三分の二以上経過しないと初期投資は回収できないということなんですよね。
 したがって、こちらとして申し上げたいのは、現在の都の説明と、知事の都民への情報発信と、大きく異なるものになっているわけであります。したがいまして、都の事業への信頼という意味でも、きちんと説明すべきであるというふうに申し上げておきます。
 そして、次の質疑に入りますけれども、今、一棟当たり二キロワットのパネルを義務化した場合ということなんですが、そうした場合にはどの程度の電力削減効果があるのか説明をいただきたいと思います。これは、年間とカーボンハーフである二〇三〇年までの累計について伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 新制度による太陽光パネルの導入量は、年四万キロワット程度と見込んでございまして、制度施行の二〇二五年から六年間で二十四万キロワット程度と見込まれております。

○柴崎委員 今、年間の導入量が四万キロワットとのことであります。都内では、パネル設置の目標設置率が異なっていて、最大八五%、七〇%、三〇%というふうに、地域によって差があるというふうに聞いております。
 今の導入量四万キロワットはどのように算出されているのか伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 義務対象となる大手住宅メーカーは約五十社で、その供給棟数は、都内年間着工四・六万件の半数程度と見込んでおります。これに棟当たりの基準量二キロワットと地域差を反映した八五%、七〇%、三〇%の算定基準率をそれぞれ掛け合わせております

○柴崎委員 今答弁いただきました。
 それでは、もう一歩進めまして、二〇三〇年の都内太陽光発電設備の導入量全体の目標値と義務化分、その他新築分など、新築住宅全体に関わる導入の内訳を教えていただきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 都は、二〇三〇年度には現在の三倍超となる二百万キロワット以上の太陽光発電設備の導入を目標としております。
 二〇一九年の都内の太陽光発電設備導入量は約六十万キロワットでございまして、この目標達成には、さらに百四十万キロワット程度の導入増加が必要でございます。
 その内訳として、新築住宅、事業所で七十五万キロワット程度、既存住宅、事業所で五十五万キロワット程度、公共施設で十万キロワット程度と想定してございます。

○柴崎委員 続きまして、今答弁いただきました新築住宅の導入量が七十五万キロワットというふうにしますと、義務化分が二十四万キロワットですから、新築住宅の三二%程度というふうになるわけですよね。そうしますと、残りの五十一万キロワットというのはどのように賄うのか、所見を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 制度の導入により、義務化に伴う直接的な導入に加え、実際には基準量の二キロワットを上回って設置する住宅が多く存在することや、新築住宅への太陽光パネル設置の標準化が進むこと、また、大規模新築建物や住宅以外の事業所に対する設置義務化による導入拡大を想定しております。

○柴崎委員 今答弁いただきましたが、そうしますと、新築住宅等への導入量については、義務化本体による効果よりも波及効果の方が大きいということなんですね。したがって、義務化の二倍以上というお話なんです。そうした数字というのはきちっと都民に説明する必要があると思います。この点も指摘しておきたいと思います。
 続いて、先ほど主な内訳ということでありました新築住宅で七十五万キロワット、それから既存建物で五十五万キロワット、公共施設で十万キロワットというふうに想定をされているということなんですが、先ほど五十一万キロワットについては義務化の二倍以上というお話をいただきました。
 続いて、その中から住宅に関わる分だけを抜き出すとどうなっているのか伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 新築住宅と既存住宅を合わせて、二〇三〇年までに新たに百万キロワット程度の導入を想定してございます。

○柴崎委員 今答弁いただいた百万キロワットという数字があります。この数字の新築の住宅と既存の住宅での内訳を伺いたいと思いますが。

○荒田気候変動対策部長 百万キロワットの内訳でございますが、新築住宅等で約七十万キロワット、既存の住宅では約三十万キロワットを想定してございます。

○柴崎委員 ありがとうございます。
 今答弁いただきましたように、住宅分だけ抜き出すと百万キロワットということがよく分かりました。
 それで、視点を変えまして、この百万キロワットをCO2の削減量という観点で見た場合、どのような効果があるというふうに見込んでいるのかお伺いしたいと思います。あわせて、二〇三〇年、つまり令和十二年までのCO2削減の全体の目標値も伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 二〇三〇年までに導入拡大を見込む百万キロワットによるCO2削減量は年間約四十三万トンでございまして、二〇三〇年カーボンハーフの実現に必要な削減量は二千六百三十九万トン、このうち家庭部門での削減量九百四十二万トンの約五%に貢献いたします。

○柴崎委員 今答弁がありましたが、全体でいうと二千六百三十九万トンなわけですから、今、家庭部門で云々ということで五%というふうに答弁がありました。しかしながら、全体で見ますと二千六百三十九万トンですから、二%もないんですね。計算すると一・六%程度なんです。そのことがよく分かりました。
 それでは、次の質疑に入りたいと思いますけれども、その四十三万トンの削減量のうち、今回の義務化による削減効果はどの程度になるのか伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 二〇三〇年までの新制度による太陽光パネルの導入量二十四万キロワット程度によるCO2削減効果は年約十万トンでございます。

○柴崎委員 今答弁いただきましたように、削減効果は年約十万トンということであります。このCO2の削減効果が十万トン程度だということなので、先ほどの答弁でいきますと、家庭部門の削減目標の五%に貢献するということなんですね。家庭部門に限定すればそのとおりかもしれません。
 しかしながら、二〇三〇年、令和十二年のCO2全体の削減目標は、先ほども答弁にありましたように二千六百三十九万トンなんですね。したがいまして、この義務化で想定される削減効果は全体目標の〇・四%になるんですね。〇・四%ということなんですね。
 これまでの質疑で、太陽光パネル設置を義務化することによりまして、発電設備導入量は新築住宅分全体の三二%程度で、大規模建築物への設置や設置義務化に伴う、いわゆる導入効果が六八%で、先ほども申し上げましたように、義務化分の二倍以上を見込んでいるんですね。ということになりますよね。
 したがって、CO2の削減効果につきましては、義務化の削減効果は、家庭部門に限定すると五%かもしれませんが、都の目標値に対しましては全体の〇・四%なんですね。〇・四%なんですよ。これが都の想定する事業効果ということで今答弁いただいて分かりましたけれども、この数字をどのように捉えるかなんです。考え方はいろいろあると思います。正直、この義務化の効果としては目覚ましい効果とはいい難いのではないかとも我々感じるわけであります。
 いずれにいたしましても、都としては、太陽光パネル設置事業におきまして義務化を進めていくというのであれば、義務化によって生み出される、都が想定している効果の内容について、やはり都民に正確に伝えていく義務がある、このことを指摘していきたいと思います。
 本日は、様々な観点から質疑をさせていただきました。なかなか質疑がかみ合わない部分も多々ございました。ご答弁をいただいた内容は、条例案が定めるパネル設置義務化について、その是非を判断するということは難しい状況であると考えております。
 さらに、この事業内容に関する理解が都民に十分に浸透しているとはいえないと思います。また、人権問題への疑問や不安も拭えていないと考えております。
 もちろん太陽光発電の活用ということは脱炭素化を進める一つの有効な手だてであるということは我々も承知をしているわけであります。しかしながら、新築住宅へのパネル設置推進策として、補助制度の活用ではなくて、義務化という手法を使うことの必要性、妥当性、そして合理性について、都民理解は不十分である。そして、具体的な議論がまだ深まっていないというふうに考えております。
 二年の準備期間が必要というのがそのことの裏返しになるのではないでしょうか。つまり、二年の準備期間を設けるのであれば、二年間の準備期間を設ける、再三ご答弁いただいています、であれば、様々な議論を尽くして、義務化やむなしという理解と納得が都民の皆様の間にやはり浸透するということが大切なことだと思っております。
 しっかりと見極めてから事業をすべきだと思います。今定例会で条例を改正して、二年先の実施を決めてしまう必要性は乏しいのではないか、このことを改めて指摘をさせていただきたいと思います。
 太陽光発電推進に向けましては、補助事業と義務化とでは事業の性格が全く異なっているわけであります。太陽光パネル導入促進と義務化とを明確に区別をして、義務化する必要性、義務化による事業の効果、そして具体的に検証して議論を深めていく必要があるというふうに我々は考えております。このことを申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。

○山田委員 それでは、私から、環境確保条例の改正とその支援策全般について伺っていきたいと思います。
 建築物環境報告書制度は、住宅等の新築、中小建物への太陽光発電設備等の設置と、高い断熱、省エネ性能の確保等を義務づける全国初の制度となります。
 東京都が日本の先頭に立って、脱炭素化への行動を牽引し、二〇三〇年のカーボンハーフを確かなものとしていく、これは極めて重要でございます。
 住宅等の屋根に太陽光発電設備を設置して、建物の総エネルギー性能を最大限発揮するとともに、さらなる高断熱化や、高効率な設備性能を確保し、エネルギー消費性能を高めることは、ゼロエミッションに寄与するだけではなくて、住宅のエネルギー自給率を向上させ、災害時のレジリエンス向上にもつながるものです。
 そこでまず、太陽光発電設備の設置義務化について、東京が国やほかの自治体に先駆けて実施する意義について、改めて見解を伺います。

○木村建築物担当部長 都は、日本の首都として、また、エネルギーの大消費地の責務として、最大限の省エネと再エネ導入に取り組まなければなりません。
 東京において、地産地消のエネルギー源である再エネを最大限導入するには、大都市ならではの強みである屋根を活用することが不可欠でございます。
 国は、地域による発電効率の違いなどを理由に太陽光パネルの設置義務化を見送りましたが、東京は年間を通して日射量が安定し、太陽光発電に適した地域である一方、設置率は四%程度にとどまっており、大きなポテンシャルがあります。
 こうした東京の地域特性を踏まえた新制度の創設により、国が掲げる二〇三〇年新築住宅の六割に太陽光発電設備を設置する目標の達成に貢献するとともに、他の自治体とも連携した取組を推進してまいります。

○山田委員 今、ロシアによるウクライナ侵攻等の影響もあって、エネルギー価格は上昇を続けております。
 東京電力のデータによれば、この一年間で標準家庭の電気料金は約二割上昇しています。さらに、夏に引き続き、この冬においても政府から節電要請が行われているなど、今、日本全体でエネルギー安全保障、その在り方が問われております。
 今の答弁の中で、エネルギーの地産地消というお話ありましたけれども、太陽光発電は自宅の屋根で発電し、それを自家消費するという地産地消のエネルギー源そのものでありまして、エネルギー安全保障の観点からも極めて有意義な取組と考えられます。
 太陽光パネル設置義務化の詳細については、後で質疑いたしますけれども、総論として次に断熱、省エネ性能の義務化について伺います。
 新制度については、太陽光パネルの設置義務化以外にも重要な論点がありまして、その一つが断熱、省エネ性能の確保です。
 国は、建築物省エネ法を改正し、令和七年四月から新築住宅の断熱、省エネ性能の適合義務化を開始する予定です。都の新制度は国と同時期に施行されることになりますが、改めて、断熱、省エネ性能を義務化する意義について伺います。

○木村建築物担当部長 住宅の高断熱化は、室内の温熱環境の維持による快適性や、起床時の血圧が低下傾向となるなど、健康性の向上に寄与いたします。
 また、省エネ性能の向上により、エネルギー消費量は削減でき、光熱費の削減につながるほか、CO2削減にも貢献いたします。
 都の新制度における義務対象事業者は、国の住宅トップランナー制度とおおむね一致する大手住宅供給事業者等であり、断熱、省エネの水準を国が求める水準と整合を図ることで、制度の円滑な施行につなげてまいります。
 こうした取組により、省エネ性能に優れ、健康で快適な魅力ある住宅の普及を加速させてまいります。

○山田委員 国においては、断熱、省エネ基準の義務化が度々先送りされる中、先般の国会でようやく成立したものと認識しております。今回の都の制度には、国と同様の方向性での義務化が盛り込まれているということが分かりました。
 私自身、昨年、都市整備委員会で住宅政策本部に対する質疑において、断熱性が高く暖かい省エネ住宅は住まい手の健康づくりにつながって、大変大きいという旨も指摘させていただいております。
 また、当委員会においても、欧米と比べて断熱の考え方が遅れている日本においては、ヒートショックで亡くなる方が年間一万九千人ともいわれていたり、断熱住宅の普及率が北海道などと比べて低い東京の方が冬場の死亡率が高いといったデータがあるなど、そういった点も指摘させていただいております。
 ぜひ、そうした健康面も含めたメリットについて、都民の理解を広げていただくよう要望いたします。
 次に、今回の改正案の検討経緯について確認していきます。
 今回の環境確保条例の改正に向けて、都は、本年八月の環境審議会答申を踏まえ、九月に基本方針を策定しました。
 基本方針では、第四回定例会において条例改正案を提出すること、制度の施行については二年間の準備、周知期間を設け、令和七年四月の施行を目指すこと、制度の円滑な施行に向け支援策を講ずること等を示し、第三回定例会において、様々な観点から審議が行われました。
 こうした経緯を経て、本定例会では、環境確保条例の改正案と併せて補正予算案が提案されております。
 我が会派はかねてより、規制と併せた支援策を求めてきましたけれども、この補正予算案には新制度の円滑な実施に向けた支援策が盛り込まれておりまして、大変意義深いものと評価しております。
 そこで、条例改正のタイミングとセットで補正予算案を提案した狙いと考え方について見解を伺います。

○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度は、大手ハウスメーカー等に太陽光パネルの設置等の義務を課すことで、住宅等の環境性能の向上を強力に推進するものでございます。
 都は、都民や事業者と一体となり、制度施行に向けた様々な取組を直ちに進めていくことが必要でございます。
 今回の補正予算には、条例改正後から速やかに新制度への準備に着手する事業者への支援や、都民等の理解促進に向けた取組など、義務化を前提に迅速な対応が必要となる取組への支援策を盛り込んでおります。
 新制度の内容と併せて、支援策もセットで示していくことにより、都民や事業者の共感と協働を得ながら、各主体の行動を加速化し、制度の円滑な施行につなげてまいります。

○山田委員 新制度の内容と円滑な施行に向けた支援策が一体的に示されることで、都民や事業者の方々もしっかりと対応を進めることができると思いますので、都として万全な後押しをお願いいたします。
 次に、制度の施行までに実施する取組について伺います。
 都は、制度の施行までの約二年間を準備、周知期間として設けており、円滑な制度施行に向けて大変重要な期間であると考えております。
 この期間を有効に活用し、より魅力ある住宅の取得が可能となる環境をつくり出せるよう、新制度の意義等を確実に理解してもらうとともに、事業者の取組を最大限促進すべきと考えますけれども、都の見解を伺います。

○木村建築物担当部長 制度開始までの二年余りの間は、都民、事業者が新制度の意義や目的などに関する正確な理解を深め、準備していただく期間として極めて重要でございます。
 この間に、住まい手が太陽光パネルを安心して設置できるよう、初期費用に対する補助制度の新設、拡充や、設置から処分までの各段階に応じた支援を行うほか、特設ポータルサイトや総合相談窓口など多様な媒体を活用したきめ細かな情報発信を行ってまいります。
 また、準備を行う事業者に対しては、制度に対応した住宅の開発等への補助や、太陽光パネル設置に向けた施工技術の向上等への支援を行うとともに、先行して取り組む事業者に対しても積極的に後押ししてまいります。
 このように、事業者の取組状況が様々である中にあっても、多くの事業者が計画的に商品ラインナップの開発、拡充を進められるよう、切れ目ない支援策を講じてまいります。
 都は、このようなきめ細かな取組により、住まい手や事業者と共に、太陽光パネルの設置ムーブメントを醸成してまいります。

○山田委員 先ほど申し上げました国の改正建築物省エネ法では、制度の施行まで三年弱の期間を設け、国民や事業者に十分な周知を進めていると伺っております。
 都の新制度にとっても、この条例が施行されるまでの約二年間、都民や事業者、そして東京都が一体となって、建物の環境性能の向上を推進していく大変重要な期間となります。
 制度の円滑なスタートに向けて、社会全体の機運醸成を図りながら、都がしっかりと都民、事業者の後押しを行っていただきたいと思います。
 では、太陽光パネル設置義務化の個別の論点について伺ってまいります。
 さきの第三回都議会定例会の代表質問において、我が会派は、制度対象となる住宅供給事業者等の置かれる実情は様々であり、制度の対象となっていない事業者の取組も含めて、それぞれの状況に寄り添った支援を行うべきであると求めてきました。
 今回の補正予算では、義務対象となる大手ハウスメーカー等への支援と併せて、積極的に取り組む地域の工務店に対する支援メニューも盛り込まれたことを評価しております。
 そこで、これらの事業者に対する支援の内容と狙いについて伺います。

○関制度調整担当部長 都はこれまで、太陽光パネルの搭載実績がない事業者に対しては、制度に対応した住宅の開発等に要する費用の一部を、また、既に制度基準に適合した住宅を供給する先行的な事業者に対しては、新たな付加価値を備えた住宅の商品ラインナップ拡充等に要する費用の一部をそれぞれ補助してまいります。
 この取組を通じて、環境性能の高い住宅の多様化を図り、都民のニーズに応じた、より災害に強く、健康で快適な住宅の購入等を促進してまいります。
 加えて、義務の対象とならない地域工務店等に対しても、制度に対応した高い環境性能住宅の設計や施工など、技術向上に向けた取組に対して、その費用の一部を補助してまいります。
 こうした取組を通じて、制度を支える太陽光パネル設置の担い手等を増やしていくことで、事業者全体の底上げによる環境性能が高い住宅の供給の増加につなげてまいります。

○山田委員 脱炭素社会の実現に向けては、地域の工務店も含めて、都内に供給される建物全体の環境性能の向上につなげていくことが重要です。
 円滑な制度の施行に向けては、今回示されている制度の詳細について、義務対象となる大手ハウスメーカー以外の事業者にも十分に伝えていくことが必要です。
 引き続き、答弁にありました支援策など、事業者全体に広がっていきますよう、多様な取組を求めておきます。
 次に、都民理解の促進について伺います。
 環境確保条例の改正により、太陽光パネル等の設置義務化の対象となるのは大手ハウスメーカー等ですが、最終的に住宅を購入するのは都民であり、都民理解の促進は必須です。
 冒頭でも少し触れましたけれども、今般のエネルギー価格の高騰による家計への影響は極めて深刻です。この一年間で標準家庭の電気料金は約二割上昇、直近の二年間で見ると約四割上昇している。都民の家計を直撃している状況であります。電気料金の高騰に伴う家計負担の軽減は極めて緊急性が高い課題といえます。
 国は、電力会社への補助等によって家庭の電気料金の負担を一定期間軽減する予定でありますけれども、今後の状況は極めて不透明であります。
 こういった状況の中で、政治、行政に求められているのは、対症療法を超えた構造的な課題の解決を進めていかなければなりません。
 その観点からも、経済的にもメリットのある太陽光パネルの導入について都民の理解を促進するとともに、導入しやすい支援策を講じることは、都民生活を守る上で極めて緊急性が高い政策課題であると考えます。
 そこでまず、太陽光パネルの導入のメリットについて、都民への理解促進が重要だと考えますけれども、見解を伺います。

○小林生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務 太陽光発電は、電気代削減や売電収入が得られ、長期的に見て経済的であり、エネルギー価格の高騰が続く状況下では、さらなるメリットが期待できます。また、自立電源として、停電時の生命線となる電力の確保が可能でございます。
 都は、脱炭素化への貢献に加えまして、こうしたメリット等について専用ポータルサイトで紹介するほか、SNS等を活用するなど、情報の届け方を意識した広報活動を実施しております。
 また、都内各地でのセミナー開催経費等を補正予算案に計上するとともに、事業者の環境性能の説明スキル向上を後押しするなど、都民のさらなる理解促進を図ってまいります。

○山田委員 太陽光パネルの導入は、家計負担の軽減の観点からもメリットが大きいという点を都民にしっかりと伝えていくことが重要です。もう一段ギアを上げて、都民の理解促進に取り組むことを改めて要望いたします。
 次に、太陽光発電設備等の設置に関する初期費用の負担軽減について伺います。
 太陽光発電設備等を導入した場合の経済的なコストについて、都の試算では、長期的に見れば十分に経済的な合理性があるということですけれども、やはり住宅の購入者にとって、初期投資の負担感は大きな課題です。
 太陽光発電の義務化を進めるに当たり、都は、初期投資の負担軽減のための支援策として、十二月補正予算案に住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業を計上していますが、支援拡充の考え方について伺います。

○荒田気候変動対策部長 本事業は、これまで都が実施していたリース、電力販売等により初期費用ゼロで太陽光発電設備を設置する事業者への補助を一部見直し、改めて開始するものでございます。
 具体的には、太陽光発電設備は、新築に比べて既築への設置工事費等が割高になることや、狭小住宅が多い都内においては、現在、事業者による提供が少ない三キロワット以下の低容量の商品プランの促進が必要なことなどを踏まえ、一律でした補助単価を見直し、それぞれに応じた増額設定を行います。
 また、太陽光発電設備により発電した再生可能エネルギーを最大限活用した自家消費を促すため、蓄電池も補助対象に加えます。
 こうした事業者への補助は、引き続き、住宅所有者に全額還元することを要件とすることで、初期経費の負担感に配慮してまいります。

○山田委員 今の答弁に続けてになりますけれども、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の今の増強事業について、費用の助成が事業者向けとなっていますけれども、その助成によって都民負担が軽減されていることをどのように確保していくのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 本事業では、事業者に初期ゼロプランを事前申請していただき、都が承認した場合に補助対象として登録、公表する予定でございます。
 プランの承認に当たっては、事業者の申請内容を精査し、都からの助成金が、住宅所有者が支払うサービス利用料等から全額控除されることを確認してまいります。
 また、事業者に助成金を支払う際は、住宅所有者との間で登録したプランと合致している内容で契約締結されていることを確認いたします。
 事業者が提供する初期ゼロプランについて、住宅所有者への提供前と提供後の二段階で審査することにより、都の助成金が住宅所有者に全額還元されることを担保してまいります。

○山田委員 再エネ設備を設置する都民の方にとって、初期費用の負担を回避できる初期ゼロスキームが確保されていることは、太陽光発電等の普及拡大を図る上で重要でありますので、ぜひ積極的に展開するよう要望いたします。
 今の初期費用の次には、ライフサイクル全般での都民負担について伺います。
 太陽光パネルは、二十五年から三十年程度の長期間にわたって稼働するため、設置後に発生するコストも考慮して負担軽減を図っていくことが重要です。
 先ほどの初期投資に対する支援に加えて、メンテナンスやパワーコンディショナーの交換、廃棄、リサイクルコストなど、ライフサイクルコスト全般での負担について、どのように都民負担を軽減していくのか伺います。

○関制度調整担当部長 四キロワットの太陽光パネルを設置した場合における三十年間の支出と収入を比較いたしますと、現行の補助制度を活用すれば、百五十九万円程度のメリットを得られる計算となります。
 このため、業界団体が推奨する四年に一回程度の点検費用や、約三十万円のリサイクル費用を考慮しても、経済性が確保されると考えております。
 加えて、今般の補正予算案において、継続的な太陽光パネルの利用を促すため、十五年程度で一度交換が必要となる附属機器のパワーコンディショナーの更新に対する補助制度を新たに設けてまいります。
 こうした取組を通じて、初期費用だけでなく、設置後の費用負担の軽減を図り、太陽光パネルのさらなる設置を後押ししてまいります。

○山田委員 新たにパワーコンディショナーの交換に対する補助制度を設けるとのことであり、ライフサイクル全般を視野に入れた支援を講じている。これは極めて重要と考えております。
 次に、蓄電池の導入支援について伺ってまいります。
 自宅の太陽光発電設備で発生した電気の自家消費率を高めるためには、蓄電池の導入は欠かすことができませんけれども、その費用の都民負担は重いものがありまして、先日の我が会派の事務事業質疑でも、支援の充実、拡充を要望いたしました。
 そこで、蓄電池の導入について、具体的にどのように支援していくのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 再生可能エネルギー由来の電力を効率的に利用し、さらに停電時の電力確保の観点から、自宅の太陽光発電設備による電力を自家消費することは、脱炭素でレジリエントな住宅の促進に重要でございます。
 より自家消費率を高めるには、昼間に発電し、消費できなかった電力を夜間で利用できるよう、蓄電池を導入することが有効な手段でございます。
 こうした設備導入を促進するため、蓄電池導入の補助率について、機器の耐用年数も考慮し、二分の一から四分の三に引き上げるとともに、費用負担の高かった五キロワットアワー未満の低容量な蓄電池に対しては、一キロワットアワー当たり四万円を追加支援する補正予算を提出いたしました。
 このような取組を通じて、今後も家庭の太陽光発電を最大限に活用した、災害にも強く、ゼロエミッションな住宅の拡大を推進してまいります。

○山田委員 我が会派の事務事業質疑でも申し上げましたけれども、仮に四キロワットの太陽光パネルの設置と併せて八キロワットアワーの蓄電池を導入する場合、一キロワットアワー当たり約二十万円とすると、百六十万円程度の費用がかかると想定されることから、今のご答弁にあったような補助率の引上げによって都民負担が軽減されることを評価したいと考えております。
 さて、これまでの質疑で、初期投資、パワーコンディショナーの交換を含めたライフサイクル全般、そして蓄電池への支援の拡充など、様々な観点から都民負担の軽減策が講じられているということが分かりました。ぜひ、この施策を都民、そして事業者に活用いただけるように、積極的に周知に努めていただくということを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 さて、今回の条例の主な対象は戸建ての住宅となりますけれども、都内で多い集合住宅、マンションへの太陽光発電設備等の導入支援も欠かすことはできません。
 先般の我が会派の事務事業質疑でも、支援の拡充について要望しました。そして、今回の都議会本会議での我が会派のあかねがくぼ議員による一般質問において、集合住宅特有の課題に即した支援策の強化について答弁が得られました。この支援策がより多くの集合住宅に利用されるようにして、再エネ導入につなげていくことが重要です。
 そのためには、集合住宅の身近な存在である計画修繕や省エネ、再エネ設備の施工等を手がける事業者へしっかりと周知していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 集合住宅への太陽光発電の設置を進める上で、集合住宅の導入をサポートする住宅関係の事業者への広報の取組は重要でございます。
 そこで、集合住宅の計画修繕や管理等を行う事業者の団体など、住宅関係団体が参加する省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを活用して、省エネ、再エネ住宅に関する都の施策や補助制度などの情報を提供してございます。
 今後もプラットフォームを通じて支援の拡充の情報等をタイムリーに提供し、補助制度の活用を働きかけてまいります。

○山田委員 都は、様々な支援策を用意して実施していますけれども、それを都民に理解して使ってもらうためには、ぜひタイムリーかつ分かりやすい情報提供をお願いいたします。
 マンション、そして集合住宅への導入は、共用部分の取組が主となりますので、管理組合における議論、意思決定を欠かすことはできません。住宅政策本部と連携を図り、管理組合における検討、導入を後押しするということを改めて要望いたします。
 また、太陽光パネルに関心が出てきたけれども、マンション住まいであり、自分の意向だけではなかなか導入を進めることができない都民もいらっしゃるのではないでしょうか。
 太陽光パネルは家に設置するものだけではなくて、今、持ち運びができるポータブルの太陽光パネルであったりバッテリーといったものも存在しておりまして、災害時の備えとしても極めて重要でありますので、その導入の支援、購入の補助等についても積極的に検討するよう求めておきます。
 次に、太陽光発電設備の設置時における環境配慮について伺います。
 実際の太陽光発電設備の設置に当たっては、例えば、パワーコンディショナーからのモスキート音であったり、また、太陽光パネルの反射光などによって近隣住民に影響が及ばないように、十分に配慮することが求められます。
 そこで、都は、新築建物への太陽光発電設備の設置義務化等の条例改正や、再エネ設備導入に対する支援策などにより、省エネ、再エネ住宅の普及拡大を進める立場として、設備が適切に設置されるよう、建物の施主や設備設置事業者に配慮すべき事柄を周知するとともに、補助の要件として配慮を求めることを検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 太陽光発電設備などの再エネ機器の設置に対し、近隣住民に環境影響が生じないよう、業界団体等はガイドラインを策定しており、設置事業者はこれに準拠すべきと認識してございます。
 そこで、東京ゼロエミ住宅事業や、災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業など、再エネ機器設置に係る補助事業の案内のホームページに、機器設置に関連するガイドラインを掲示し、準拠を求めることといたしました。
 今後、ガイドライン準拠を補助要件とするなど、周辺住居への環境に配慮を求め、再エネ機器の導入を促進してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 次に、太陽光パネルに関する災害のリスクについて伺います。
 太陽光パネルが設置義務化され普及すると、水害時、感電による事故が増大するのではないかといった話が繰り返し流布されております。その中には、都民に誤解を与えかねない情報も含まれております。
 そこで、太陽光パネルが水没した際に、都民はどのような対応が必要なのか、また、都民への情報発信をどのように行っているのか、都の取組について伺います。

○木村建築物担当部長 太陽光発電協会によると、大規模災害により太陽光発電システムが水没、浸水した場合には、近接、接触すると感電するおそれもあることから、電気設備に十分な知見を持つ専門家へ依頼することが必要でございます。
 なお、同協会からは、このような場合でも、日射がある状況で近接、接触したことによる感電事故は今まで一件も発生していないと聞いております。
 都は、こうした情報をはじめ、台風やひょう、落雷など自然災害時のリスク等について、太陽光ポータルサイトや太陽光パネル設置に関するQ&A等を通じ周知を行うとともに、安全喚起を行っております。
 引き続き、ホームページやSNS、普及イベント等様々な手段を活用し、都民、事業者に向け、正確な情報発信を行ってまいります。

○山田委員 東京都として、都民が正確な情報に基づいて正しく対処できるように、正確な情報発信を継続的に行っていくということを改めて求めておきます。
 次に、人権尊重に関連する取組について伺います。
 太陽光パネルの主な生産地は中国であり、新疆ウイグル自治区における人権問題が懸念されております。新制度の実施に当たっては、サプライチェーンにおける人権配慮の取組が重要と考えます。
 これまで、都の働きかけにより、業界団体である太陽光発電協会とその会員企業は、サプライチェーンにおける人権問題の防止、軽減に最大限努める旨の宣言を行っております。
 また、先日、都と同協会との間で太陽光発電に関する連携協定を締結したとも聞いております。
 これらの取組は、東京都が主体的に関与してきたということで推し進めているとありまして、人権配慮に関する取組の、これは大きな一歩だというふうに考えております。
 そこで、改めて、先日締結した連携協定の具体的な内容を伺うとともに、今後の取組についても併せて伺います。

○木村建築物担当部長 先般、都は、脱炭素社会の実現に向け、太陽光発電の一層の普及拡大を図るため、パネルメーカーや設備関連企業など百二十一社、団体が会員となっている太陽光発電協会との間で連携協定を締結いたしました。
 都と同協会は、本協定に基づき、太陽光発電に係る基礎的な知識の普及啓発はもとより、最新技術の開発促進、持続的なサプライチェーンの構築や人権尊重をはじめとしたSDGsに配慮した事業活動等について、相互に連携して取組を推進してまいります。
 今後、年明け後には、事業者説明会において、新たに人権尊重に関する研修を開催するほか、引き続き、同協会と共に、太陽光パネルメーカー等との継続的な意見交換などを通じて、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。

○山田委員 この課題は、アパレルであったり、また、綿製品であったり、また、トマトなどに加えて、携帯電話や電子機器等にも共通する可能性があるともいわれております。
 今後、重要な第一歩であるこの宣言や協定の内容が実効性を伴うものとなりますよう、具体的な検討を進め、この分野で日本をリードする取組となるということを改めて要望しておきます。
 サプライチェーンにおける人権尊重に向けた取組強化を確かなものにしていくためには、海外からの輸入に頼るのではなく、国内のパネルメーカーによる住宅用太陽光パネルの国内シェアが、より一層拡大していくことが望ましいと考えます。
 そのためにも、制度施行に向けて、都内の住宅用太陽光パネルの需要拡大が見込まれるこの機に、技術革新に取り組む国内メーカーに対してインセンティブを高めるなどの工夫も必要と考えますが、見解を伺います。

○関制度調整担当部長 新制度の施行に向けては、国内メーカーが強みを持つ付加価値の創造など、住宅用太陽光パネルの技術革新を誘導していく取組も重要でございます。
 このため、比較的狭小な屋根が多く、隣地との間隔も狭いなど、建物が集積する東京の地域特性を踏まえ、複雑な屋根形状に設置可能な小型パネルや、光のまぶしさを防ぐ防眩性能に優れたパネルなどの普及を後押ししてまいります。
 また、シリコンを用いない国産技術であるペロブスカイト太陽電池について、国内企業との共同研究や、都有施設への率先導入を通じて、実装に向けた取組を促すことで、国内メーカーの技術開発を後押ししてまいります。

○山田委員 住宅用の太陽光パネルの国内メーカーのシェアは約七割に上ると聞いております。ぜひ、条例改正のこの機を逸することなく、メーカーの技術革新につながる取組を講じていただきたいと思います。
 次に、支援制度への理解促進について伺います。
 建築物におけるゼロエミの三つの柱は、断熱、省エネ、太陽光パネルの設置でありまして、今回の補正予算でこれらの支援制度が拡充されることを評価しております。
 一方で、これらの支援制度には多くのメニューがあるため、それぞれの制度の内容を分かりやすく伝える取組が必要と考えますが、見解を伺います。

○関制度調整担当部長 今回の補正予算では、条例改正に合わせ、新制度や各種補助制度等についての情報をワンストップで提供する総合相談窓口の設置に係る経費を計上しております。
 この相談窓口では、新制度の仕組みや太陽光発電に関する一般的な問合せに加え、東京ゼロエミ住宅導入促進事業をはじめとする都の支援制度のほか、国や区市町村の情報も含め、住宅の断熱、省エネや再エネ設備に係る様々な相談を受け付けてまいります。
 今後、相談窓口を通じて、支援制度に関する分かりやすい情報提供に努めることで、環境性能の高い住宅の普及につなげてまいります。

○山田委員 これまで太陽光パネルの設置の義務化について、個別の論点について伺ってまいりました。ただ、これからは、太陽光パネル設置義務化以外の取組の強化についても伺っていきたいと思います。
 環境確保条例の改正によって、東京都は、太陽光発電の義務化の推進に加えて、この条例に基づく制度を強化していくという中で、まず、エネルギー環境計画書制度の強化について伺います。
 都は、都内に電気を供給する電気供給事業者を対象とするエネルギー環境計画書制度についても、制度を強化する条例の改正を提案しております。
 都内のエネルギー起源のCO2排出量の約七割は電力に由来しておりまして、電気の脱炭素化の加速は非常に重要です。
 都は、二〇三〇年までに再エネ電力の利用割合を五〇%程度まで高める目標を掲げていますけれども、その目標を達成するためには、都内に再エネ発電設備を設置し、自家消費を拡大するだけではなくて、系統を通じて供給される電力の再エネ化が必要です。
 そこでまず、都内で供給されている再エネ電力の状況について伺います。

○荒田気候変動対策部長 都内で消費される電力のほとんどは系統を通じて供給されており、その再エネ割合の引上げは重要でございます。
 電気供給事業者による系統を通じた都内への再エネ電力の供給量は年々増加する一方、再エネ利用率が五〇%を超える事業者は、全二百八十社中二十社でございまして、全体の約七%となっております。

○山田委員 今のご答弁にありましたような再エネ利用率五〇%を超える事業者は全体の約七%だと。
 そういった現状を踏まえますと、二〇三〇年に向けて再エネ電力の利用を高めるためには、電気供給事業者による再エネ電力供給の拡大をさらに加速させていくことが必要です。
 今回の制度の強化により、どのように再エネ電力の供給を拡大していくのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 都内への再エネ電力の供給を拡大するためには、再エネ電力割合の高い電気供給事業者を広げるとともに、再エネ電力を選択する需要家を増やしていくことが重要でございます。
 そのため、都として、事業者に達成を求める再エネ電力割合の二〇三〇年度目標水準を設定、提示するとともに、電気供給事業者に対し、本水準を踏まえた目標の設定や計画の策定を義務づけいたします。
 加えて、電気供給事業者から報告された計画メニュー等の情報を都が分かりやすく表示、発信することで、需要家の再エネ電力への切替えを促進するとともに、意欲的に取り組む事業者が選択されることを促進してまいります。
 これらの制度強化により、系統を通じた電力のさらなる再エネ化を実現してまいります。

○山田委員 今のご答弁で今回の制度強化の概要について理解することができました。その制度の詳細については、今後さらに検討を進めていくものと思いますけれども、これは令和六年四月の制度の施行に向けて、対象事業者にしっかりと準備を進めてもらえるように、さらに詳しい内容を制度実施前に示すべきと考えますけれども、見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 円滑に改正後の制度を運用していくためには、対象事業者が新たな制度に対応できるよう、事前に準備を進めていただくことが重要でございます。
 改正後の制度の施行に向け、おおよそ一年程度の準備期間が確保されるよう、本制度の細則を定める東京都エネルギー環境計画指針の改正等により、再エネ電力割合の二〇三〇年度目標水準や報告すべき電源情報の具体的内容など、制度の詳細を示してまいります。

○山田委員 都が掲げる都内の再エネ電力の利用割合を五〇%程度まで高めるという高い目標を達成するためには、まずは、都内に電気を供給する小売電気事業者の取組は不可欠となってきます。
 円滑に制度が施行されるよう、丁寧な仕組みづくりや周知とともに、事業者の取組を後押しする方策を要望しておきます。
 次に、地域におけるエネルギー有効利用計画制度の強化についても伺います。
 都は、都市機能の更新において行われる大規模な開発について、高密度なエネルギー需要が生じていることなどを踏まえ、地域におけるエネルギー有効利用計画制度を実施しております。
 まずはこの制度の具体的な内容と実績について伺います。

○荒田気候変動対策部長 本制度は、開発事業者に対し、延べ床面積の合計が五万平米を超える新築等を行う開発区域における建物の省エネ性能目標の設定や、太陽光発電の設置、さらには地域冷暖房などの導入検討を促し、その検討を都に提出するものでございます。
 制度を開始した二〇一〇年以降、これまで二百件を超す計画を受理しており、その計画は、いわゆるタワーマンションと呼ばれる高層マンションが建つ場合や、公共機能と商業、事務所機能を有した建物が複数建つ場合など、多岐にわたってございます。

○山田委員 ありがとうございます。
 東京都内で、例えば駅前であったり、また、老朽化した建物が密集した地域において大規模開発が行われると、そのときに、そこで暮らしている都民の方であったり、働く方にとっては利便性等が増していくという面もあります。
 けれども、同時に、そういった場面だからこそ、こうした開発の機会だからこそ、脱炭素化に資する取組を積極的に促していくことが重要であります。
 この条例の改正によって、地域におけるエネルギー有効利用計画制度をどのように強化していくのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 条例改正案では、再エネ設備の活用や、エネルギーマネジメントの高度化などについて、これまで区域内でとどまっていた取組を、DXを用いた自動制御なども活用しながら区域外へも広げるなど、エネルギーのより効率的な利用を促す仕組みといたします。
 あわせて、エネルギー利用等の側面のみならず、建設時におけるCO2排出量が少ない低炭素資材の使用や、動植物の生息、生育にも配慮した緑化など、資源、生物多様性等の新たな視点からの検討も誘導してまいります。
 来年度、これら検討事項に関するガイドラインを策定、公表することで、開発事業者による積極的な検討を後押しし、こうした脱炭素化対策を標準装備したゼロエミッション地区の形成につなげてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 本制度は、都が大規模開発の機会を生かして、様々な観点から開発事業者に積極的に脱炭素化に取り組んでもらうと、そのためのものというふうな趣旨でした。
 今後の都市開発は、これからの東京という都市の姿を規定するものでありますので、本制度を通じて、今後の開発事業を長期的な視点に立って脱炭素化に誘導していく都の取組は、極めて重要であります。
 大規模開発といっても、その内容は多岐にわたっておりますので、都が今後策定するガイドラインは丁寧に作成し、開発事業者への理解促進を図っていくよう、改めて要望いたします。
 さて、質問はここまででありますけれども、最後に改めて述べさせていただきます。
 これまで、環境確保条例の改正案とその支援策について質疑させていただきました。環境政策、また、気候変動の対策、その影響を長期的に見ていく必要があることであったり、また、対策とその結果、そのタイムラグが大きいため、ほかの政策以上に、自分の子供だったり孫だったりと、そういった世代にどのような環境を残していきたいかと、そういった発想が重要であるというふうに考えております。
 この改正案に実施されたパブリックコメント、そこには、特に東京の未来を担っていく二十代、三十代における賛成の意見が多かったというふうに聞いております。このような東京の未来を担っていく世代のためにも、この環境確保条例の改正は迅速かつ着実に進めていかなければなりません。
 そして、先ほど言及したとおり、この一年間で家庭の電気料金は約二割上昇、直近の二年間で見ると約四割上昇していると。エネルギー安全保障の確保や電気料金の高騰に伴う家計負担の軽減は極めて緊急性が高い課題であることに疑問の余地はありません。
 政治、行政には、迅速かつ構造的な課題解決が求められておりまして、この改正案はその意味でも極めて重要であります。
 本日の質疑を通じて、条例改正による制度の創設に向け、様々な取組をなされていることが分かりました。こうした取組について、都民、事業者の理解、共感を得ながら、しっかりと取り組んでいくことを改めて強く求め、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○里吉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十分休憩

   午後五時二十四分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊藤委員 環境確保条例の改正に関して、先日、十一月十五日でありましたけれども、都議会公明党が知事へ緊急要望した支援策について、具体的に質問してまいりたいと思います。
 新築中小建物への新たな制度である建築物環境報告書制度では、都内で一定規模の住宅供給を行う大手のハウスメーカー等が対象となっておりますけれども、制度の対象ではない地域の工務店等も含めて、環境性能の高い住宅の供給に向けて取り組む事業者を都が後押しをすることで、建物の脱炭素化につながるものと考えます。
 新制度の施行までの期間に、意欲ある住宅供給事業者の制度への参画を促すとともに、円滑に準備を進めることができるよう、迅速に支援を行うべきと考えますけれども、具体的な支援策の内容について伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 本制度では、義務対象事業者に加え、自ら申請を行い対象となる事業者も特定供給事業者とし、補正予算では、これらの事業者に対して制度に対応した住宅規格の開発、改良などに向けた取組を支援することといたしました。
 また、現場の施工を担う地域工務店等に対しても、太陽光パネルの設置に向けた資格取得や講習参加など、設計、施工技術の向上に向けた取組を支援してまいります。
 さらに、意欲ある地域工務店等が一定規模のグループを組むことで、特定供給事業者として本制度に参加でき、補助制度も特定供給事業者向けのメニューの利用が可能な仕組みとしてまいります。
 こうした取組を速やかに講じることで、規模の大小を問わず、意欲的な事業者をさらに後押しし、環境性能の高い建築物の普及を通じて、脱炭素化に向けた取組を推進してまいります。

○伊藤委員 義務対象となるハウスメーカーのみならず、地域の住宅供給を支える中小の工務店の方々に対しても、きめ細かな支援に取り組んでいくということでございました。
 太陽光パネルを設置する際には、パネルメーカーごとの施工IDが必要となるということを私、随分前に職業能力開発校の視察に行ったときに、そのことを伺いました。
 電気工事士の資格を取りながら、太陽光のパネル設置も一緒に勉強するんだと。また、資格も取れるんだけれども、メーカーごとにIDが違うんだということで、これを全メーカーのものを取っていくのは非常に大変なんだという話を伺ったことがありますけれども、地域の工務店にこうした取組を進めることで、様々な費用が負担がかかるものというふうに思います。
 迅速に事業を開始していただき、事業者の取組を積極的に後押しすることで、新制度の円滑な施行につなげていくよう要望しておきたいと思います。
 次に、住宅用太陽光発電設備初期費用ゼロ促進の増強事業について伺いたいと思います。
 先日の代表質問におきまして、都議会公明党からの質問に対し、都からは、初期費用ゼロ促進の増強事業では、事業者が新築建物に低容量の太陽光発電設備を設置する場合、一キロワット当たり十五万円に割増しし補助するとの答弁がありました。
 本日は、この事業者への補助について、もう少し深掘りをして伺いたいと思います。
 事業者に初期費用ゼロプランの提供をさらに促すためには、低容量の太陽光発電設備への割増しに加えて、新築と既存住宅では設置に要する経費が異なることを踏まえて支援をしていくべきと考えます。都の具体的な取組について伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 本事業は、過去に実施していた初期費用ゼロプランを提供する事業者への補助を一部見直しし、改めて開始するものでございます。
 太陽光発電設備設置に係る商品プランについては、新築の場合、一キロワット当たり十万円、既存住宅の場合は足場設置経費等がかかることを考慮し、一キロワット当たり十二万円を補助いたします。
 これらのうち三キロワット以下の低容量プランは、パワーコンディショナーなど他の容量体と同等の経費負担が伴う設備があることや、狭小住宅が多い都内において提供の促進が必要なことなどから、補助単価を割増しし、新築の場合は一キロワット当たり十五万円、既築の場合は十八万円補助いたします。

○伊藤委員 低容量の設備を設置する事業者を支援することで、住まい手の負担を軽減するということにつながっていくというふうに思います。
 初期費用ゼロプランへの支援策をきめ細かくリニューアルして支援することは、都民、事業者にとってより利便性が向上するものと考えます。過去に実施していた初期費用ゼロを提供する事業者への補助は、年々申請実績が増えていったと聞いております。リニューアルした本事業の開始によって申請実績がさらに増えるよう、都には積極的に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、新制度に係るワンストップ相談窓口について伺いたいと思います。
 新築中小建物への新たな制度である建築物環境報告書制度や、今回の補正予算で示される支援策、また、都が実施しているその他の住宅の環境性能の向上に向けた支援策については、誰が制度の対象となるのか、また、どのような場合に支援を受けられるのかなど、いろいろな疑問の声が私たちの下にも届いております。
 このような疑問に対応するため、都議会公明党は緊急要望の中で、新制度や支援策等の様々な情報をワンストップで提供する総合相談窓口を新設することを求めてまいりました。
 今回新たに設置される相談窓口については、都民も事業者も利用できるのか確認するとともに、開設時期はいつ頃を予定しているのか、なるべく早期に実施すべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度及びこれに関連する支援策等については、現在も都民、事業者の方々から様々な問合せが寄せられております。
 このため、新たに設置する総合相談窓口では、都民、事業者を問わず、幅広い方々から相談を受け付け、新制度の仕組みや太陽光パネルのメリット、断熱、省エネや再エネ設備に係る支援策に関する問合せに対応してまいります。
 また、住宅の断熱、省エネや再エネ設備に係る様々な疑問について、相談者の状況に応じてきめ細かく対応することで、利便性の向上を図ってまいります。
 現在、相談対応マニュアル作成等に取り組んでおりまして、令和五年一月の窓口開設に向け準備を進めているところでございます。

○伊藤委員 お正月明けの一月に相談窓口の開設という答弁をいただきました。ぜひ、ワンストップ相談窓口を早期に開設していただき、順調に円滑に開設をしていただきまして、都民、事業者の皆様の利便性の向上を図るとともに、新制度や支援策への理解が深まるように対応をお願いしたいと思います。
 次に、東京ゼロエミ住宅導入促進事業について伺ってまいりたいと思います。
 都は、東京の地域特性を踏まえた環境性能の高い戸建て住宅及び集合住宅の普及を図るため、都独自の基準を定めて、その建築費用の一定額を助成する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しております。
 先日の代表質問において、都議会公明党から、東京ゼロエミ住宅の普及に向けて、さらなる支援策を行うべきとの質問に対し、都は、補正予算において支援を拡充予定であるとの答弁がありました。この取組は我が党の意向に沿うものであり、評価しております。
 そこで、東京ゼロエミ住宅の普及に向けて、今回の補正予算案における太陽光発電設備及び蓄電池設置に関する支援の拡充内容について、その詳細を伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 都は、今般の補正予算案において、集合住宅特有の負担を軽減するため、太陽光発電設備設置時の架台費用として、一キロワット当たり二十万円の補助を実施することといたしました。
 加えて、いまだ高額である蓄電池の設置に対する補助として、機器の耐用年数を考慮し、従前の二分の一の補助率を四分の三に引き上げており、例えば八キロワットアワー百六十万円の蓄電池の場合、百二十万円の補助といたしました。
 さらに、工事費用が割高である五キロワットアワー未満の蓄電池を設置する場合において、一キロワットアワー当たり四万円の上乗せ補助を実施してまいります。
 従前の支援に加え、これらの取組を通じて、東京ゼロエミ住宅のさらなる普及拡大を図ってまいります。

○伊藤委員 ご答弁いただいた蓄電池の補助率の引上げにつきましては、都議会公明党が緊急要望で取り上げた内容でもございます。引き続き、都民負担の軽減につながる支援を進めるなど、環境性能の高い住宅の普及に向けた都の積極的な取組を要望したいと思います。
 ここからは、今回の条例改正による建築物環境報告書制度の内容について伺ってまいりたいと思います。
 第三回定例会で都議会公明党の代表質問において、知事からは、住宅供給事業者と住まい手である都民の理解と共感を得ながら、建物の環境性能の向上を図ることが重要であるとの答弁がありました。
 今回の新制度では、年間の都内供給延べ床面積が合計二万平米以上のハウスメーカー等の事業者、または申請を行って知事から承認を受けた事業者が制度の対象となるわけでありますけれども、住宅を取得する都民の行動も重要となってまいります。
 そこで、改めて確認させていただきますが、今回の条例改正案におけるそれぞれの主体の責務について伺いたいと思います。

○小林生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務 新制度におきましては、大手住宅供給事業者に対し、断熱、省エネ性能の確保、再エネ設備の設置及びZEV充電設備の整備を義務づけ、都への報告を求めてまいります。
 また、住まい手等が住宅の性能について正しく理解し、購入等の判断を行えるようにするため、断熱、省エネ、再エネ等の環境性能に関する説明を義務づけてまいります。
 一方、住まい手等である注文住宅の施主等は、再エネ導入について必要な措置を講じることで環境への負荷低減に努め、また、建て売り分譲住宅の購入者等は、環境性能等の理解を深めることで、環境への負荷低減に努めることが求められます。
 さらに、都は、住まい手等の判断を支援するため、施主等向けに配慮指針を作成、公表するとともに、購入者等向けに必要な情報を提供してまいります。

○伊藤委員 答弁いただいたとおり、つまり建物を建てる大手住宅供給事業者に対しての義務であって、そしてまた、住まい手である都民には、環境への負荷低減に努めていただくということであるわけであります。
 都民に環境負荷の低減に努めることを求める以上、再エネ設備の設置義務や、環境性能の説明義務等を負っている事業者、必要な情報を提供する東京都がそれぞれの責務をしっかりと果たすことが、新制度の円滑な運用に当たって非常に重要であると思います。引き続き、制度の内容、理解促進に向けて取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 次に、太陽光パネルの設置対象から除外となる住宅について伺いたいと思います。
 義務化という言葉が先行して、全ての住宅等に設置を課せられるのではないかという不安の声があることも事実であります。
 都議会公明党は、六月の第二回の定例会で、地域事情による設置可否などに十分配慮して、最終的に都民に選択の余地を残すべきと主張をさせていただきました。そして、知事は、個人が設置の有無を選択できる弾力的な仕組みを前提に、さらに具体的な検討を丁寧に行っていくという答弁を得たところでございます。
 そしてまた、第三回定例会でも繰り返しこのことを求め、都議会公明党の代表質問において、都からは、屋根面積が二十平米未満の住宅などは除外が可能、また、日照条件などを考慮するとの答弁がありましたけれども、太陽光パネルの設置に適さない住宅に対する制度上の仕組みについて、具体的な説明をお願いしたいと思います。

○木村建築物担当部長 新制度における太陽光パネルの設置基準は、全ての新築建物に義務を課すものではなく、日照条件や屋根の大きさなど個々の住宅の形状等を踏まえながら、義務の達成が可能な仕組みとしております。
 具体的には、日照条件の差異など、都内の地域性を考慮した算定基準率として、都心部や山間部は三〇%、その他は、区部を中心に七〇%、多摩を中心に八五%と設定しております。
 また、屋根の面積が二十平方メートル未満の住宅などは除外可能とし、物理的に設置が困難な場合を考慮するほか、その屋根面積の算定に当たり北面を除くことで、発電量や反射光が近隣に与える影響を考慮しております。
 このような仕組みにより、実情を踏まえた制度運用を図ってまいります。

○伊藤委員 実情を踏まえた制度設計がなされているということでございました。東京の地域特性上、日当たりの悪い住宅や屋根が狭小な住宅などは一定数存在するわけであります。制度を適切、柔軟に運用し、実情に応じた太陽光パネルの設置を進めていただくようお願いをしたいと思います。
 次に、太陽光パネル設置後のアフターフォローについて伺いたいと思います。
 太陽光パネルの設置の重要性については理解できるものの、いざ実際に設置するとなると、その後の維持管理やメンテナンスに不安を感じるという声も届いております。
 通常は、何か困ったことがあれば設置時の販売店や太陽光パネルを取り扱うメーカーに相談するものと考えますけれども、都民が安心して太陽光パネルを設置することができるよう、都としても、設置後のアフターフォローへの支援を講じていくことが重要であると考えます。
 そこで、今回の補正予算案と併せて、今後の具体的な都の取組について伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 今回の補正予算では、業界団体やパネルメーカー等と連携した都民向けのセミナーの開催などを通じて、維持管理手法など太陽光パネルに関する基礎知識をはじめ、新制度の概要や都の助成事業などについての情報提供を行ってまいります。
 また、来年度に向けては、太陽光パネルの設置や、維持管理に関する専門相談への対応や地域団体等からの要請に基づき、専門的知識を有する講師派遣などを行う方向で検討しております。
 こうした取組を継続していくことで、住まい手が積極的に太陽光パネルを設置し、長期的かつ安定的に利用できる環境整備を推進してまいります。

○伊藤委員 太陽光パネルの寿命は一般的に二十五年から三十年ということでありますので、都民が不安なく設置できるよう、適切な情報提供などを行っていただきたいと思います。
 私からは、支援策などを中心に制度全般について質問をしてまいりました。今後の制度施行に向けては、都民や事業者が、本制度への理解がさらに進むよう、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、太陽光パネルの設置等に向けて安心して取り組むことができるように、設置時のイニシャルコストの負担軽減と併せて、適切な維持管理手法の普及などアフターフォローも後押しするなど、今後とも総合的な支援を講じていただき、制度の円滑な施行に向けて取り組むことを要望いたします。
 最後に、家庭における省エネへの支援策について伺います。
 都が推進している省エネ性能の高い家電製品への買換え支援事業は、取り組みやすく、家庭の省エネを進めることができる施策であり、都議会公明党としても、これまで繰り返しその促進を支持してまいりました。
 私は、さきの事務事業質疑の中でもこの事業の継続を要望してまいりましたけれども、改めて、同事業の現状と今後の取組を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 都内のエネルギー消費の約三割を占める家庭部門の省エネ化は喫緊の課題であり、省エネ性能の高い家電への買換えは、現在の快適な暮らしを維持しながら、比較的容易に家庭の省エネを進める手段として有効でございます。
 そこで、都は、今年七月に、さらなる補助利用の拡大を目指し、エアコンについて省エネラベルで二つ星以上に加え、リビング照明を蛍光灯から省エネ効果の高いLED照明への交換も新たに対象といたしました。その結果、十一月末現在で約十六万台の申請と、昨年度の同時期に比べ約三割増となってございます。
 今般の補正予算案において、家庭における買換えをさらに後押しするため、令和五年度実施分も含め事業費の積み増しをいたしました。

○伊藤委員 我が党の要望で実現をしたLED照明器具への取替えを対象とするなど、拡充策も有効に都民に活用されていることが確認をすることができました。また、家庭でできる具体的な省エネ対策の拡充とともに、来年度も支援していくことも確認できたところでございます。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現には、家庭部門の省エネ対策を強化し加速していくことが必要であります。都には、ゼロエミポイントの引上げ等、これまで以上に都民がこの事業に参画できる対策を要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○原委員 東京都は、二〇三〇年までのカーボンハーフ目標達成に向け、取り組んでおります。あらゆる部門での取組が必要ですが、住宅の部門でも、断熱改修、省エネとともに、太陽光パネル設置の促進は大変重要との受け止めから、私は、ほぼ毎定例会で住宅の省エネ、再エネ施策について質問をしてきました。
 今日出された環境確保条例改正は、その大きな歩みを進める改正との認識を持っております。環境確保条例改正部分と支援策について、まず伺います。
 二千平方メートル未満の中小建物の新築をする際、太陽光パネルの設置など、再エネ、省エネの整備を求める建築物環境報告書制度の新設が、今回の環境確保条例の改正の柱だと認識をしております。
 太陽光パネルの設置義務が課される特定供給事業者は、年間供給二万平方メートル以上の大手住宅メーカーとしてきたことに加えて、今回、年間供給五千平方メートル以上の希望する事業者も任意参加できるようになりました。五千平方メートル未満の事業者複数でグループをつくっての参加も可能とのことです。
 年間供給五千平方メートル以上、二万平方メートル未満の住宅供給メーカーも任意で参加できる制度にした経緯について伺います。小規模企業者のグループによる利用も可能としましたが、そうした要望があったのでしょうか。

○木村建築物担当部長 本制度では、制度の効果を高めるため、大手ハウスメーカー等に加え、意欲ある中小ハウスメーカーや地域工務店がグループを組むことで、任意参加者として制度に参加できる仕組みを設けております。
 なお、業界団体からは、技術検討会において、制度の対象外でもカーボンハーフ実現に向け意欲的に取り組んだ事業者が、新制度において公表などにより適正に評価される仕組みが必要との意見をいただいております。

○原委員 大手住宅メーカーで対象になるのは約五十社で、七〇%、八五%などの地域区分による算定基準率達成が課せられ、都内の年間新築棟数の半数程度の規模のパネル設置が想定されています。
 加えて、今回、任意参加者として加えられた事業者の規模は九十五社と記され、建築物環境報告書制度推進事業の表に提示をされております。規模が増えることで、二〇三〇年までに新築の六割設置という目安により近づくとの説明でした。
 さらに、制度推進事業では、報告書の任意提出者を募り、PV施工等の設計、技術向上に資する研修などの取組に三分の二の補助、上限百万円を予算化しています。
 特定供給事業者ではないが、報告書を提出することで、この制度に任意参加でき、公表制度に参画できる仕組みをつくったことは、中小業者も含めて再エネを推進する取組として評価できます。
 中小規模の建物への太陽光パネル設置について、これまで専門家や建設関連団体などの意見聴取を受けて、制度や支援内容に反映させ、改善した点などありますか。その内容を伺います。

○木村建築物担当部長 新制度では、屋根の北面や二十平方メートル未満の狭小屋根については、設置基準の算定から除外可能としております。また、今回の補正予算では、集合住宅に太陽光パネルを設置する場合の架台への上乗せ補助を計上しております。
 これらは、専門家による技術検討会での議論や、業界団体、住宅供給事業者等へのヒアリングを通じ、検討を加えてきたものでございます。

○原委員 都内の建設労働者でつくっている東京土建へ先日伺いまして、以前、東京都に要望してきたことなどをお聞きしましたが、まさに狭小住宅はパネルの設置が難しいこと、また、パネルを取り付けるときに架台や防水シートなどが必要で、それらの補助もつけてほしいなどが出されたということで、これが実って、狭小住宅は義務対象の数から除外されたこと、パネル周りへの支援が補正予算で組まれたことは重要です。
 令和七年施行ということで、二年間の間にパネルを標準装備する住宅への移行を準備しなければならない中、地域工務店などでは、これまで既に再エネ住宅を建ててこられた事業者もあるわけですから、どんどん支援を行っていくべきだと思います。
 太陽光パネルの技術は日進月歩なので、そうした技術や制度の情報は大手、中小を超えて、住宅供給事業者に広く共有されることがとりわけ大事だと思いますが、地域工務店への情報共有や技術支援制度についてご説明願います。

○関制度調整担当部長 今回の補正予算では、地域工務店に対する補助として、環境性能の高い住宅の設計、施工などの技術向上に向けた取組に対して新たに支援してまいります。
 規模の大小にかかわらず、制度に意欲的に参画する事業者を後押しし、環境性能の高い住宅の普及を図ってまいります。
 新たな支援につきましては、省エネ・再エネ住宅推進プラットフォーム等において情報共有を行ってまいります。

○原委員 省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームは、第三回定例会の委員会でも質問したところですが、リフォーム団体などが参加し、六月に既にスタートしているそうです。ぜひ、広く利用できるように、周知もお願いします。
 これまでの委員会で、新築の戸建て住宅については大分聞いてきたのですが、既存の住宅、特に集合住宅へのパネル設置について要望も出されており、伺っていきます。
 都内居住者の七割を占めている集合住宅に住む方々や、管理組合などの関心も高いようです。住民が太陽光パネル設置について相談する仕組みはありますか。支援策の中で、太陽光発電設備アドバイザリー支援事業というのを見つけたんですが、例えば町会や管理組合などでもこれは利用できるのかを伺います。

○関制度調整担当部長 太陽光発電設備アドバイザリー支援事業は、業界団体等と連携したセミナーの開催などにより、パネル設置後の維持管理やメンテナンス手法に関する情報提供などを行うものでございます。
 今回の補正予算では、都民向けセミナーの開催等を予定しており、より幅広い主体が活用できるよう、来年度以降の取組内容を検討してまいります。

○原委員 都民向けセミナーの開催は、ぜひ進めていただきたいと思います。地域団体で太陽光発電に関する講師派遣にも支援をするとのことで、マンションごとや地域ごとでのパネル全般や設置に関する理解を深める取組を支援することは大事と思います。
 大規模マンションへの再エネ導入について、ちょっと太陽光パネルの域を超える話になるんですけれども、集合住宅への支援策について触れます。
 太陽光発電設備を置いても、その電力は主に共用部に利用されることが多いと思います。集合住宅においてはさらに、設置パネルの太陽光電力だけでなく、居住者の専有部分も含めて、全戸で再エネ電力に切り替えていく方法も追求すべき課題だというふうに思います。
 今回の補正予算で、集合住宅再エネ電気導入先行実装事業を提案されたと伺いましたが、具体的な内容を教えてください。

○荒田気候変動対策部長 一般的に集合住宅では、世帯ごとに電力会社から電気の供給を受けているため、太陽光発電電力の利用は共用部に限られることが多くなっております。
 しかし、高圧一括受電を導入し、建物全体で再エネ電力を利用するケースが出てきております。
 そこで、都は、今回の補正予算案で、集合住宅の建物全体に再エネ電力の導入を促進するため、再エネ一〇〇%電力の導入を条件に、高圧一括受電のための設備導入等に係る費用を支援することといたしました。さらに、太陽光発電設備を設置する場合には、太陽光発電設備の設置費用についても補助を行います。
 こうした取組により、集合住宅の再生エネルギー導入を推進してまいります。

○原委員 集合住宅は個人の判断では設置できないので、説明してくれる方がいることや、再エネの提案などがあれば居住者で相談、検討することができると思います。大規模マンションなどが全戸まとめて再エネになったら、これはとても大きいと思うので、ぜひ支援制度の周知をお願いいたします。
 今回、太陽光パネル設置義務化については、推進と反対の両方の陳情が出されています。ニュースでは、進めるべきとの声とともに、様々な懸念の声も紹介されております。
 今年五月から六月にかけて環境局が行った環境確保条例の改正についての中間まとめへの意見公募をした結果を見てみますと、中小新築建物への太陽光パネル設置と制度は、賛成が五六%、反対が四一%でしたが、三十代で賛成は六一%、二十代では七七%と、若い人たちほど賛成が多くなっていることが分かりました。
 この間、COP27が開かれましたが、若者の関心が高く、やはり未来に生きる世代が、世界各地で起こる大災害やその要因となっている地球温暖化への危機感を強く持っていると思われます。もちろん全ての世代の問題になるわけですが、これから住宅を購入する世代の理解が高いのは、おおむねこの流れを受け止められているといってよいのではないでしょうか。
 ですが、まだまだ誤解や誤情報が流されているという面もあります。都は、これまでも発信してきましたが、パネル設置のメリットや疑問に答える活動など、都民への理解促進の取組はどうだったでしょうか。お願いします。

○関制度調整担当部長 これまで都は、太陽光ポータルサイトや太陽光パネル設置に関するQ&Aの作成など、様々な手法により情報発信を行ってまいりました。また、先日、大型商業施設で、幅広い都民を対象に、太陽光発電の理解促進イベントを開催いたしました。
 今後、新制度の仕組みや太陽光パネルのメリット、断熱、省エネや再エネ設備に係る支援策等、様々な情報をワンストップで提供する総合相談窓口を新設いたします。
 こうした取組を継続することで、都民の理解促進を図ってまいります。

○原委員 今お話しいただいた大型商業施設での太陽光発電理解促進イベントは、たくさんの来場者があったそうで、知事も来られたということでお聞きしました。やはり経済的なメリットや気になる疑問に丁寧に答える取組は大事だと分かります。
 東京都は、経済性、防災性、快適性で説明をされてきていますが、実際のケースで示すことが必要ではないでしょうか。例えば、我が家の電気代は月々幾ら今かかっていて、パネル設置でどのくらい節約できるのか。さらに、蓄電池をつけたときの効果など、シミュレーションを使った具体的な指標が分かるとよいです。ぜひ普及してください。
 初期費用ゼロスキームも設置を促す力になると思います。そして、何より、気候危機の深刻な実態と打開の緊急性、太陽光パネルによる自家発電、自家消費は、CO2排出削減に貢献する大変有効な取組だということを共通認識にすることが大事だと思います。
 四キロワットのパネル設置で一年間でのCO2削減効果は杉林百本分といわれていますが、自分がCO2排出を減らす取組に参加できるという意識づくりは大事だと思います。それはパネルの設置の有無にとどまらない、省エネ促進や環境保護へ視野を広げ、理解を広げることになると確信します。
 次に、需要が急拡大する太陽光パネルの生産についてです。
 中国産など海外メーカーに依存することなく、国内生産を進めていくべきと思いますが、都がどのように支援していくのでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 パネル開発については、国内メーカーを中心に、建物が集積する東京の特性を踏まえた商品の開発が進んでおり、都は、普及に向けた後押しをしてまいります。
 また、都は、国内で生まれた技術開発を促進するため、ペロブスカイト太陽電池の共同研究を国内企業と開始する予定でございます。

○原委員 軽くて良質なパネルの開発が今進んでいて、シリコンを用いないパネルも発表されてきています。屋根だけでなく、窓全体をパネルにするなど、いろいろな形状が出てきています。安価に入手できるように普及が急がれます。
 日本はもともと再エネ先進国だったわけですから、今、世界中で太陽光発電を重要なエネルギー電源として取り組んでいる中で、東京も、技術革新の後押しをする必要があります。頑張っていただきたいと思います。
 省エネ、再エネへの区市町村の取組支援についてお聞きします。
 住宅への太陽光の設置を進めていくためには、区市町村の取組が欠かせません。私ども共産党都議団が、このたび議会局調査で気候危機対策都内自治体アンケート調査を行い、先日結果を発表しました。
 これによりますと、温室効果ガスの排出削減目標については設定している自治体が多数となっているものの、都の二〇三〇年までに二〇〇〇年比で五〇%削減の目標から見ても、後れを取っている実態が見られます。また、エネルギー消費量の削減目標や再生可能エネルギー導入目標が設定されている自治体は多くありません。都はどう考えていますか。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、住民に最も身近な区市町村との連携を高めていくことが重要でございます。
 区市町村におきましては、ゼロカーボンシティ宣言をはじめ、二〇五〇年の脱炭素化に向けた取組を強化しておりまして、各自治体が地域の実情等を踏まえて目標策定や施策展開を推し進めてございます。
 都は、地域環境力活性化事業におきまして、二〇五〇年CO2排出実質ゼロに向けた計画策定を対象に加えるなど、地域の環境課題に取り組む区市町村のニーズや課題を踏まえた支援を実施してございます。
 今後もこうした取組を通じまして、区市町村と連携いたしまして、脱炭素化を加速させてまいります。

○原委員 区市町村の計画策定への支援を追加したとのことですが、どれだけ活用されているのでしょうか。何自治体か教えていただければと思います。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 お話の計画策定への支援につきましては、区市町村の脱炭素化に向けた取組を後押しするため、令和三年度より対象に加えてございます。
 初年度でございます令和三年度におきましては、八つの自治体が活用してございます。

○原委員 八自治体とのことです。都の目標ですと、二〇三〇年までに温室効果ガスを半減する目標を実現させるためには、エネルギー消費を五割削減し五割を再エネ導入するとの計画です。こうした目標に見合う目標と計画を、地方自治体でも立てられるように支援強化を求めていきます。
 請願陳情についての態度を表明するに当たって述べてまいります。
 請願第一〇号の請願者が指摘されるような水没時の感電の危険は、事故事例がないとはいえ、軽視してはならないと思います。パネルをめぐる事故の心配や発電トラブルなど想定される課題には、不断にその克服に取り組むことを都やメーカーに求めるものです。
 また、中国における人権侵害、抑圧については、メーカーや太陽光発電協会の取組と同時に、大本の日本政府の姿勢が厳しく問われます。
 新疆ウイグル自治区での少数民族への抑圧、強制収容をはじめとした中国政府による人権侵害、抑圧は、世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言など国際的な人権保障の取組に反するものであり、これに対して、日本政府から中国政府に対して、国際法に基づく人権侵害、抑圧の是正を求めるという率直な外交批判が、より踏み込んでなされるべきです。都として政府に要請すべきです。
 なお、関連して、自然地を乱開発したメガソーラーについては、私たちは、安全性の確保が担保されない、そして住民合意のないメガソーラーは規制を設けるべきと考えています。
 一方で、切迫した温暖化対策にこれ以上重大な遅れを生じさせることはできません。都は、原発や化石燃料への依存からきっぱり脱却し、気候危機対策を着実に進める必要があります。太陽光パネル設置の促進は必要不可欠な政策です。
 都は、国産パネルの技術開発をメーカーにも働きかけて促進し、国内生産を飛躍的に増加させることが必要です。輸入に頼らざるを得ない現状の打開に大きくつながり、再生可能エネルギーの地産地消という求められる方向とも合致することになるものと考えます。
 再エネ普及を求める陳情七六号の陳情書でも紹介されているとおり、二〇二一年に開かれたCOP26では、温室効果ガス排出削減目標を二〇二二年末までに強化することを求める合意文書が採択されています。まさに東京都の責務が問われます。
 二〇三〇カーボンハーフの実現に向けて、残された猶予はないとの陳情者の強い思いを受け止めることが重要です。
 ちなみに、この七六号の陳情は、全国組織や地域などで活動する二十九の環境関係団体が共同提出団体となったとの報告を受けております。この真剣な皆さんの姿勢に応え、東京都においては、引き続き広く都民の意見を聞きながら、区市町村とも連携して、制度の活用と改善を進めることが重要です。
 以上を踏まえ、太陽光パネル設置義務化に反対の請願第一〇号と陳情第七四号については不採択、太陽光パネルの設置義務化による再生可能エネルギー推進を求める陳情第七六号については採択すべきものと考えます。
 都民が省エネ、再エネの取組に進んで参加したくなるよう、都の支援策をきめ細かく、また、補助率引上げなど充実した内容に拡充する、さらなる取組が必要です。都の本気度が問われます。
 二〇三〇年カーボンハーフ達成の責務を果たすべく取組を加速することを強く求め、私の質問を終わります。

○須山委員 よろしくお願いいたします。
 今定例会で提案されました環境確保条例の改正案、断熱、省エネ等様々あります。この中で、何といってもやはり、各委員の皆さんからもたくさん質疑がありましたけれども、都民の皆さんからも非常に関心を寄せられております太陽光パネルの設置義務化、また、補正予算のうちでも約三百億円がこの太陽光パネル設置義務化への準備ということで、本当にたくさんの都民の皆さんから関心を寄せられていて、私のところにもメールであったりとか、DMであったりとかで、いろいろと賛否のご意見をいただいております。
 太陽光パネル設置義務化に関しては、これまでこの委員会でも質疑をさせていただいてまいりましたし、あとは本会議で代表質問で会派として様々議論をさせていただいてまいりました。
 私としては、以前から申し上げているとおり、人類の活動で引き起こしてきたこの気候変動にどう立ち向かい、未来を担う子供たちにどう地球というバトンを渡していくのか、今まさに私たちの行動が問われていると考えております。そうした観点から何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回補正で、対象事業者さんが二万平米以上だけでなく、それ以下の事業者も対象となるということでした。事業者が義務対象となることで受けられる支援と、また、五千平米以下の事業者が太陽光パネルの設置をするときに受けられる支援に関して、改めてお聞かせください。

○関制度調整担当部長 今回の補正予算では、義務対象となるハウスメーカー等が、制度に対応した環境性能の高い住宅モデルの整備や拡充を行う際に必要となる経費に対して、新たに支援を行ってまいります。
 また、義務対象外の事業者でも、数社でグループを組んで申請を行い承認を受けた場合には、先ほどの義務対象事業者向けの補助事業を利用することが可能な制度としております。
 加えて、現場の施工を担う地域工務店等に対しても、設計、施工技術の向上に向けた取組を支援してまいります。
 こうした仕組みにより、本制度の対象となる事業者の裾野を拡大することで、環境性能の高い住宅の供給の増加につなげてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 私たち都議会立憲民主党も、第三回定例会での代表質問で、公平性の観点から、対象事業者以外の工務店などへの制度波及で裾野を広げていくことを訴えさせていただきました。まさに、今回のこの改正というか補正に関しては、その事業者の裾野の拡大となることを非常に評価させていただきたいと思います。
 新制度は、義務対象外、つまり五千平米以下の事業者さんは、グループを組んでの参加も可能ということでありますけれども、具体的にどのような事業者を想定しているのかを伺いたいと思います。また、実際に利用されることを見込んでいるのか、併せて伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 新制度では、意欲ある事業者が一定規模のグループを組むことで、特定供給事業者として制度に参加できる仕組みとしてまいります。
 具体的には、複数の中小ハウスメーカーや地域工務店等が都内年間供給延べ床面積の合計で五千平方メートルを超えるグループを組むことを想定しております。
 今後、事業者説明会や省エネ・再エネ住宅推進プラットフォーム等を通じて本取組の内容等をつぶさに情報発信することで、意欲ある事業者の参加を促してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 実際にグループを組んで今後進めていけるのかどうかってちょっとまだ見えてこない部分もあるとは思うんですけれども、やはりそうした制度で進めていくということをしっかりと事業者さんにもご理解をいただいて、そして、参加の事業者さんを増やしていけるように、可能性を広げていくように、しっかりと情報共有をしていっていただきたいなというふうに思います。
 そして、もう一つ、再エネ設置基準を満たす手段の一つである代替措置として、新築だけでなく、既存住宅への新規設置というものが今回掲げられております。これは例えば建築後何年以内などといった具体的な基準というのはあるのか、そこを教えていただきたいと思います。

○木村建築物担当部長 新制度の義務履行に当たっては、過去に自社が供給した都内既存住宅等に太陽光パネルを設置した場合において、設置基準の二割を上限に代替措置として基準達成に利用可能な仕組みとしてまいります。
 代替措置の対象となる既存住宅等については、築年数等の特段の制約は設けておりませんが、太陽光パネルの設置に当たっては、新耐震基準等による建物の強度を満たす必要があり、設置業者はこれを十分に考慮して設置可否を判断しております。
 引き続き、都は、参考となる情報として、建築構造に関する国の取組等について、太陽光ポータルサイトを通じて情報発信してまいります。

○須山委員 何ていうのかな、この代替措置というのは、逆に別につくらなくてもよかったんじゃないかなというふうにちょっと思ってしまう部分もあります。
 というのは、やはりこの太陽光パネルの普及を進めていくことに関しては、その普及につながる代替措置になるとも思うんですけれども、一方で、義務化をせっかくしていくのであれば、代替措置というのをあえてつくらなくてもよかったのかなと思います。ちょっとそれは意見としていわせていただきました。
 しかし、この代替措置をつくったのであれば、しっかりと運用をしながら、また、事業者さんの声もよく聞いていただいて、その上で太陽光パネルの設置を進めていっていただきたいと思います。
 続きまして、一番問合せがあるんですけれども、住宅に太陽光パネルを設置した場合、住宅価格はどの程度上昇すると試算をしているか伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 新築住宅に四キロワットの太陽光パネルを設置した場合、初期費用は九十八万円程度かかることが見込まれております。
 都は、この負担を軽減するため、設置に係る補助を行っております。この支援の活用と併せ、自家消費による電気代削減や売電収入等により初期費用を六年から十年程度で回収することが可能と試算しております。
 なお、今般の補正予算案において、リースなど初期費用ゼロで設置できる仕組みに対する支援等も実施してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 環境局の太陽光発電設置解体新書vol.2の答える編という中で、条例改正による住宅購入者への影響についても示されておりますけれども、昨今、物価高の影響とか、あと、今回の太陽光発電設備の設置義務化により、住宅購入費用が増えると考えられております。それは本当によく都民の方から、家の価格が上がっちゃうんだねということはいわれます。
 その中で、先ほどの質疑で答弁いただいて、初期費用で九十八万円という額とか、負担軽減策を様々ご答弁をいただきました。ありがとうございます。
 私の理解としては、都の支援があって、事業者にその支援が行くと。そこで、住宅購入費にもそれが何かしら転嫁されて、住宅購入費も抑えられるのかなというふうに捉えられるというふうに理解しているんですけれども、それで間違いがあれば、後でご指摘いただければと思います。
 そうであるならば、新制度がもたらす住宅価格への影響とか、そしてまた、中小工務店などへの影響など、関連する状況についてやはり調査をしっかりと行い、今後、制度を運用していく中で課題が出てきた場合には、制度や支援策の改善について検討することも必要だと考えますけれども、それに関してのご見解をお聞かせいただきたいと思います。

○木村建築物担当部長 都はこれまで、制度対象となることが見込まれる大手ハウスメーカー約五十社や太陽光パネルメーカー、初期費用ゼロ事業者、住宅生産等に関わる団体に対して複数回にわたるヒアリングを実施し、価格動向や資材供給の動向等についても意見交換を重ねてまいりました。
 今後も引き続き、関連団体、事業者等と密接に連携し、制度の円滑な施行につなげてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 本当にこれは、やはり時代にというか、その時々に合わせてしっかりと制度の状況を見ていっていただいて、その都度その都度、改正をしていっていただきたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、もう一個、リサイクルということも非常に都民の方からいわれております。太陽光パネルのリサイクルルートは協議会で議論をされておりますけれども、太陽光パネルは、例えば枠であったりとか配線材料など、そういったところをリサイクルするだけでエネルギー収支がプラスになるといわれております。
 現状及び今後のパネルのリサイクルについての見解を伺いたいと思います。

○村上資源循環計画担当部長 太陽光発電設備は、二〇一二年の固定価格買取り制度等を契機に急速に設置が進展しております。
 太陽光パネルは一般的に寿命が二十年から三十年とされており、二〇三〇年代半ばから廃棄が本格化していくことが見込まれるものの、現時点で都内で七割を占める住宅用パネルはほとんど排出されておりません。
 一方で、既に複数のリサイクル施設が稼働しており、事業用パネルのリサイクル処理はされております。
 今後は、関係業者と連携して、住宅用パネルについても効率的なリサイクルルートを構築してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 設置義務化で今後三十年後に、例えば太陽光パネルの廃棄がどんどんどんどん増えてきて、パンクしないように、やはりそうした今の段階からしっかりと事業者の方々と連携を取っていただいてほしいなというふうに思いますし、それは、先ほども申した上げたとおり、協議会で議論されているということはもうこの委員会でも伺っておりますので、そこの協議会の議論を見守っていきたいと考えますので、よろしくお願いいたします。
 制度施行が二〇二五年四月ということで、二年間の準備、周知期間が設けられております。以前から私もいわせていただいているんですけれども、二〇三〇年のカーボンハーフを目指す東京都として、すぐにでも始める覚悟で進めていくべきではないかなというふうに思っております。
 正直、二〇二五年から始めて、カーボンハーフ、本当にできるのかなとちょっと不安になってしまうぐらいの状況にあるのかなというふうに思っております。そうしたこともありますので、ぜひ、このスケジュールの前倒し等も考えているのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。

○小林生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務 本制度の導入に当たりましては、住宅供給事業者が住まい手と共に、建物の環境性能の向上を推進することが重要でございます。
 そのため、都はこれまで、大手ハウスメーカー等との意見交換やパブリックコメント等を通じて、事業者、都民の現状や意見の把握に努めてまいりました。
 都は、その成果も踏まえまして、環境性能の高い住宅の供給に向け準備を行う事業者や、先行的に取り組む事業者を支援するほか、さらなる普及啓発等を実施してまいります。
 二〇二五年四月までの約二年間は、住まい手が経済性、快適性、防災性を備えた住宅を取得できる土壌を整える期間として設定するものでありまして、この間に各主体の行動の加速化を図り、制度の円滑な施行につなげてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 単純にそんな、何ていうのかな、前倒しは簡単なものじゃないとは思いますし、ただ、やはり都民の理解というのは、各会派の皆さんからの今までの質疑でもありますけれども、本当にまだまだ進んでいないところがあるかなと思います。
 そして、事業者さんにも理解をしていっていただくことが本当に大切なことでありまして、そして東京都全体としてやはりこのカーボンハーフに向けた動きをつくっていくために、ぜひ迅速にここはやっていっていただきたいなと思いますので、二〇二五年四月からということなんですけれども、それまでにしっかりと準備をしていっていただきたいというふうに改めて要望させていただきます。
 最後、質問なんですけれども、光の害と書いて光害というものがあると、私も最近ちょっと伺いまして、光害、いろんな害がまた出てくるかもしれないと。こういった義務化によって、普及が進むことによって、いろいろな不都合というかが出てくるということは、可能性はあるかなというふうに思います。
 そこで、この光害、光の害に関して、新制度導入に当たり、都は、この問題をどのように考えているか、関知しているか教えていただきたいと思います。

○木村建築物担当部長 太陽光パネルの反射光については、反射光はそのまま上空に向かうことから、近隣への影響は生じませんが、屋根の北面に設置した場合など、方角等によっては近接する建物に一時的に反射光が差す可能性があることから、十分に留意した設計や施工が行われております。
 このため、新制度では、屋根の北面は設置可能棟数の算定から除外できることとしております。
 引き続き、関係団体等とも連携し、適切な設計、施工に関する留意点や進め方など、コンテンツの充実を図りながら、正しい情報の発信と理解促進に努めてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。
 光害、私もさっきいったように最近知ったので、ああ、こういうこともあるんだなというふうに思いました。今回の東京都の制度で、北側の方はつけないということなので、なかなかそういった害も少ないかなというふうに思いました。
 一方で、やはりそうした様々な不都合というものが、今後また出てくる可能性があります。そうしたところには、適宜対応していっていただきたいということを改めて要望させていただきます。
 こうした日照に関しては、パネル設置後に日照を遮られる可能性について、例えば国内では、健康的な生活を営む上で必要な日照権というものが確立されてまいりました。一方で、日照による経済的なメリット、経済的利益は受光利益といいます。裁判判例でもあります。
 都市における日照、経済的利益の保護に関して、国内では太陽光発電設備が建築物に設置されることを想定した法整備とはなっていないとも伺っております。
 新制度の推進のため、こうした法整備の検討などもしっかりと東京都から国に働きかけをしていっていただいて、そして、設置義務化を進めていき、二〇三〇年のカーボンハーフに向けては、先ほども申し上げましたけれども、東京都全体で取り組んでいっていただきたいと要望させていただきまして、私の質問を終わります。

○漢人委員 もう、気候危機対策は待ったなしと。二〇五〇年カーボンゼロ、二〇三〇年のカーボンハーフに向けて、太陽光発電の設置義務化については必須だというふうに思っています。それだけでは足りないんだと、そういう立場で質問をさせていただきます。
 まず、環境確保条例の改正ですけれども、九月の条例改正の基本方針で示された内容と今回の改正案の違いについてお知らせください。

○小林生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務 基本方針を示した九月以降の検討を踏まえまして、今般提出した条例改正案の新制度では、意欲ある事業者の制度への参画を促すため、年間延べ二万平方メートル以上の建物を建築する事業者に加え、自ら申請を行い、知事から承認を受けた五千平方メートル以上の事業者も同様に対象としております。
 また、都内既存住宅への太陽光パネルを新たに設置した場合は、再エネ設置基準の二割を上限として、代替措置として設置基準の達成に利用することを可能といたしました。

○漢人委員 五千平米以上の意欲ある地域の中小事業者の取組を促進する仕組みを増やしたこと、また、新築に限定しないで、既存住宅の太陽光パネル設置も含める制度としたことについては、これは、特に、私もこの間求めてきたことでもありますので、大いに評価をしたいと思います。
 今回、この補正予算の方で計上されました建築物環境報告書制度推進事業、百六十三億円の算出根拠について伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 建築物環境報告書制度推進事業は、報告書の提出に向けて準備するハウスメーカー等に対して、制度に対応した環境性能の高い住宅モデルを整備するための費用などを補助するものでございます。
 二万平米以上の事業者五十社、五千平米以上の事業者九十五社、その他事業者二百五十社を見込んで、二年間分を予算計上しております。

○漢人委員 つまり、各事業者は、条例の可決から施行までの二年間に二回補助を受けることができるということだと思います。
 私は、この条例可決から施行までの周知、準備期間が、二年は長過ぎるということをずっと主張してきました。ただ、この間、答弁などで、施行するのは二年後だけれども、その間も実質的な前倒しとなるような、そういった取組をしていくということもいわれておりまして、そのようになるように、この制度もそういったことに寄与するものだと思っていますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次の質問ですけれども、今回注目されている太陽光発電の義務化なんですが、これは本当に多くの都民とか事業者が当事者ということになって、気候危機対策、気候危機の現状というものに向き合って考えなくてはならなくなる。そういった意味で、私はとても重要だというふうに思っています。
 でも、一方で、先ほどもありましたが、CO2の削減効果としてはあまり大きくはないんですよね。その意味で、私は、環境確保条例の今回の改正の中では、エネルギー環境計画書制度の強化、こちらが本当に重要だと思っています。電力供給事業者の再エネ割合をアップするということで、そちらをしっかりと取り組んでほしいと思っています。
 そして、二〇二四年四月、こちらも一年先の施行になるわけですけれども、二〇二三年の準備、周知期間というのがありますが、その間、今回の条例改正の重要ポイントとなる再エネ電力割合の二〇三〇年度目標水準というものを東京都は示すことになるわけですが、そのスケジュールはどのように想定していますか。いつ頃、示されることになるでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 改正後の制度を円滑に運用していくためには、対象事業者が新たな制度に対応できるよう、事前に準備を進めていただくことが重要でございます。
 おおよそ一年程度の準備期間が確保できるよう、再エネ電力割合の目標水準を設定し、お示ししてまいります。

○漢人委員 施行が二〇二四年の四月で、条例改正に基づいて最初の計画書の提出が七月ですから、その一年前ということは、来年の春、遅くとも夏までには、再エネ電力割合の目標水準が示されるということになるんだと思います。ぜひ意欲的な数値を示していただくように期待をしておきます。
 次は、事務事業質疑でもお伺いしたんですけれども、やはり今回は、条例改正、制度強化という条例改正に当たりますので、ちょっと繰り返しになりますが同じ内容の質問、求めたいと思います。
 今回のエネルギー環境計画書制度強化のポイントは、もう、東京電力がいかに再エネ電力割合を増やすことを促すことができるのかにかかっているというふうに思っています。
 そして、東京電力が導入を予定しているのは洋上風力発電です。設置場所は銚子や秋田沖になりますが、都が促して都民が使う電気をつくる洋上風力発電ですから、そこから発生する低周波による健康被害について、都としてしっかり情報収集し、都としての見解を持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 風力発電の騒音等の評価手法に関する国の検討会では、風力発電からの騒音については、通常可聴周波数の範囲の騒音として取り扱うことが適当であるとされております。
 また、同検討会では、風力発電施設から発生する超低周波音、低周波音と健康影響については、明らかな関連を示す知見は確認できないとされております。
 稼働音等については、関係法令、設置場所の自治体が定める条例等の遵守が不可欠であり、また、再エネ特措法に基づくガイドラインでは、地域に影響を与えないよう適切な措置を講ずるように努めることが求められております。

○漢人委員 この間、質問したばかりですから同じ答弁でした。変わらないとは思っておりましたが。
 今のご答弁にあった、環境省の検討会が報告書、風力発電施設から発生する騒音等への対応についてというのを発表したのは二〇一六年ですが、それ以前、消費者庁は二〇〇九年には、低周波音について勧告を出しているんですね。
 また、各国の研究では、低周波音や超低周波音による人体への影響として、血圧、心拍数などの変化、また、集中力の欠如、目まい、捲怠感、睡眠障害、鼓膜の圧迫感、振動感などが報告されているようです。
 そして、風車の導入が最も進んでいるヨーロッパでは、二〇二〇年までに十二か国で百十六の洋上風力発電、五千四百二基の風車が設置をされていますけれども、これらの平均離岸距離、岸からの距離ですね、これは三十から六十キロメートルです。
 そして、この一方、今、東電が既に事業化し、これから計画しようとしている銚子や秋田沖については、一キロから三キロメートルしか離れていないんですね。そんなに日本人が低周波に強いのかということではないと思うんです。
 前回にも申し上げましたが、ヨーロッパの場合には本当に遠浅の海があるということでこれが実現できて、日本の場合にはすぐに深くなってしまうので、着床式だとこういった距離でしかつくれない。だから、これは浮体式というものをぜひ進めていかなければならないと思っています。
 都民が使う電気をつくる洋上風力発電所を、都の条例で促してどんどんつくらせようと、そういう条例を今回強化をしようということで取り組むわけですから、そこから発生する低周波による健康被害について、これは国の判断に任せるのではなくて、東京都独自に情報収集し、都としての見解を持つべきだと改めて申し上げておきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 化石燃料を再エネに置き換える。東電にも風力発電を促すとか、そういったことを進めていくことが重要なんですけれども、一方で、重要なのは、エネルギー使用量を減らしていく、小さくしていく、そのための省エネをどれだけ進めるかということだというふうに思っています。
 今回、補正予算、家庭のゼロエミッション行動推進事業、五十一億円というのが計上されております。これについてお伺いいたします。
 まず、電気器具の買換えによる省エネ効果は、二〇一一年と二〇二一年、十年間で比較すると、エアコンは約一〇%、冷蔵庫は約四〇%、照明器具は、シーリングライトで約五〇%、電球だと約八〇%というほどに効果が上がってきているということだと思いますが、よろしいでしょうか。
 また、家庭の電気消費の最大は、照明が一八%ですね。省エネ効果も大きい照明への買換えをより推進すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 エアコンや冷蔵庫について、二〇一一年の製品を二〇二一年の省エネ効果の最も高い製品に買い換えた場合の消費電力の削減効果は、機種によりばらつきはございますが、業界団体のデータによれば、エアコンは約一〇%、冷蔵庫は約三九%から約四六%とされております。
 また、照明器具については、シーリングライトを蛍光灯からLEDに換えた場合は約五〇%、白熱電球からLED電球に交換した場合は約八六%、消費電力を削減できるとされております。
 このように、照明器具のLEDへの交換は省エネ効果が高く、国の統計調査により、リビングの照明器具の約四割がいまだ蛍光灯などのままであったことから、今年七月、省エネ効果の高いLED照明への交換を家庭のゼロエミッション行動推進事業の対象として加え、買換えを推進することといたしました。
 なお、十年以上経過したエアコンや冷蔵庫を所有する家庭はいまだ四割程度あり、家庭の省エネ推進に向けては、これらの機器の買換えも引き続き促していく必要がございます。

○漢人委員 照明器具のLEDへの交換は省エネ効果が高いから、対象に追加したということで、さらに一層の推進もご検討いただければと思います。
 エアコンについては、買換え時に十年以上前のものから買い換えたのかどうかということのチェックができるとよりよいんですけれども、現状では、残念ながら制度的に難しいようです。
 ただ、より効果的にCO2削減を進めるためには、十年以上前のエアコンの買換えには付与するポイントを増やすことができるように、そういった製造年をチェックする方法はないのか、可能性の検討をお願いしておきたいと思います。
 続いて、省エネエアコンのポイント給付について伺います。
 エアコンの省エネ効果は、先ほど確認しましたように、二〇一一年と二〇二一年の比較で約一〇%です。あまり向上していません。今後も向上する可能性は低いというふうにも聞いておりますが、今後の見通しをどのように見ていますか。また、補助期間はいつまで延長する方針でしょうか。

○荒田気候変動対策部長 エアコン効率の向上は、近年緩やかとなっておりますが、国は、今年五月、機器製造事業者に対し、より高効率な製品の開発を促すなどを目的に、新たなエアコンの省エネ基準を策定いたしました。これにより、今後、エアコンの効率向上の改善が期待できます。
 また、現状においても、エアコンは家庭における電気使用量の約一三%を占め、機器別としても三番目に大きい製品であることから、買換えによる省エネ効果は高いと考えております。
 具体的には、おおむね十畳用とされている冷房能力二・八キロワットのエアコンを省エネ効果の最も高い製品に買い換えた場合、年間百四十六キロワットアワーの電力量の削減、電気料金にして約四千七百円を節約することができます。
 省エネ性能の高い家電への買換えは、健康で快適な暮らしを維持しながら、手軽に家庭の省エネを進める有効な手段であり、さらに後押しするため、今般の補正予算案において、令和五年度実施分も含め事業の積み増しをいたしました。

○漢人委員 国がエアコンのより高効率な製品の開発を促す新たな省エネ基準を示したということで、これは期待をするとともに、省エネ改善効果の行く末について、さらに注視をしていきたいというふうに思います。
 それでは、質問としては最後なんですが、エネルギー貧困対策としても照明器具への支援の効果が大きいのではないかということで、提案をしたいと思います。
 念のため、エネルギー貧困とは、人々が生活する上で必要な家庭内エネルギーサービスを十分に享受できない状態です。家庭内エネルギーサービスというのは、冷暖房、給湯、調理などのサービスを指しまして、自家用自動車利用のような移動に関わるサービスは含みません。
 エネルギー価格の高騰や、コロナによる在宅期間が増加をしているとか、また、低所得世帯の増加などから、このエネルギー貧困問題は確実にどんどん深刻化していきます。気候危機対策と併せて対策していくということは必須だというふうにいわせていただきます。
 そして、関東のエネルギー貧困率というのは、六・八%というデータがあります。これは筑波大学の奥島真一郎准教授によって示されています。これを約七%としますと、東京を七百二十万世帯として当てはめれば、約五十万世帯がエネルギー貧困世帯ということになるわけです。東京の約五十万世帯がエネルギー貧困世帯です。
 LEDシーリングライトの交換経費は一万数千円程度だというふうに思いますので、仮に一万五千円として計算をすると、エネルギー貧困の五十万世帯への給付というのは、単純掛け算で七十五億円で可能なんですね。
 ただ、このエネルギー貧困世帯の抽出というのは難しいでしょうから、非課税世帯というふうに考えますと百七十万世帯になりますが、これを対象にすると、これも掛け算で二百五十億円で可能ということになります。
 今回の補正予算で、低所得者層へのおこめクーポン事業、二百九十六億円が提案されています。それよりもちょっと少ない二百五十億円の照明器具への支援で、省エネ効果による電力逼迫対策と、貧困世帯への支援の両方に貢献することができるわけです。
 これはぜひ、私は環境局から提案をして、福祉と連携して取り組むべきことではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 家庭のゼロエミッション行動推進事業は、家庭の省エネ行動を促すため、省エネ性能の高い家電等の買換えに対し、CO2削減効果に相当するポイントを付与する事業でございます。
 例えば八畳程度のリビングのシーリングライトを蛍光灯からLEDに取り替えた場合、消費電力は六十八ワットから三十四ワットに削減でき、年間二千二百円程度の電気料金の低減を図ることができます。
 一方、LEDシーリングライトの製品価格は、機能や販売店によりばらつきはございますが、三十四ワットの場合、一万円台の製品も多く、製品寿命を十年とすると、電気料金の削減額にて製品購入額を回収できることになります。
 このことから、本事業は、あらゆる世帯に対し省エネかつ家計にも優しい取組であり、所得に応じた支援を行うことは想定してございません。

○漢人委員 この質問、CO2削減のための省エネ性の高い家電等への買換え促進という点で、家庭のゼロエミッション行動推進事業の予算に関連して質問しましたが、ポイント付与という方式では対応できないということは承知をしています。
 また、今ご答弁の中に、あらゆる世帯を対象とした事業というふうにおっしゃいましたけれども、そこはエネルギー貧困への理解不足といわせていただきます。現実問題として、低所得者層、特に厳しい貧困状態にあるほど、制度を調べて自ら申告して利用するということ、あるいは、五、六年で回収できるからということで、一万数千円の初期投資をするという、そんなことがいろんな理由でできない、そういう世帯があるわけです。だから、貧困の状態が続いているということもあるわけですね。
 ですから、そういうことこそ福祉的な視点との連携が必要だというふうにいわせていただきます。
 環境局の立場でいえば、この制度をもし導入すれば、確実にCO2削減を達成できるわけですよ。
 そして、福祉の側からいえば、例えば、今、非課税世帯全てにLEDシーリングライトへの交換をするとしたら、二百五十億円でできるというふうに申し上げましたけれども、それは、その後、先ほどご答弁にあったように、一世帯当たり年二千二百円の電気代削減が実現できるということであれば、そして、製品寿命が十年だということであれば二万二千円、そして非課税世帯百七十万世帯とすると、これは三百七十四億円の給付効果。
 これも単純な掛け算ですけれども、一世帯に年に二千二百円で、十年間で二万二千円、非課税世帯百七十万世帯なら三百七十四億円の給付効果を得ることができるというわけですから、ぜひ、これは福祉と連携をして、エネルギー貧困に取り組んでいただきたいというふうに思います。環境、福祉というところでの垣根を超えた検討を強く要請したいというふうに思います。
 最後に、気候危機対策は本当に急務、待ったなしだというふうに思います。既に現在でも、洪水ですとか、大干ばつとか、また、記録的熱波、そしてそれに伴う大規模な山火事などによって、多くの命が失われつつあります。
 そして、化石燃料の採掘などによっても人権侵害が起きていたり、また、環境破壊なども発生をしています。
 そして、さらなる気候災害の苛酷化、気候暴走を抑制するためにということで、今、世界の平均気温上昇を一・五度C以内に抑えようということで取組がされているわけです。
 そして、そのためには、今、二〇三〇年CO2半減ということが必須です。ところが、その見通しは、私は相当に厳しい状況にあるのではないかと思っています。
 太陽光発電の義務化については、これによって危惧をされる様々な問題があります。人権問題であるとか、リスク回避しなければならないことはありますけれども、これらについても全力で取り組みながら、進めていくしかないというふうに考えています。
 ぜひ、今回の太陽光発電の義務化を含む環境確保条例、しっかりと成立をさせ、そして、まあ、施行が二年も先じゃないかというふうに私も思うんですけど、それは、ぜひそれを実質的に前倒して実現をしていく。とにかくCO2削減を一刻も早く進めていくということで取組をしていただきたい。そのように期待をして、お願いをして、質問を終わりたいと思います。

○こいそ(明)委員 それでは、様々な角度から各先生方からもお話がございました。なるたけ重複を避けたいと思うんでありますけれども、一つの質問の流れもありますので、若干のご容赦をいただきたいというふうに思います。
 それでは、太陽光パネルの設置義務化する新制度について、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。
 地球規模での気候危機に加えて、長期化するロシア、ウクライナ情勢により、顕在化したエネルギー危機への対応として、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けた対策に一刻の猶予もないという都の危機感については、理解をいたすものであります。
 しかし、その対策として、太陽光パネルの設置を義務化することが、果たして都の政策として適切なのかと疑念を持つところもございます。
 個人の居住空間について、都が義務を課すという非常に強い制度を導入するのであれば、その必要性や意義を明確に示して、都民の納得をやはり得なければならないのではないかと思います。
 私は、先日の事務事業質疑において、新制度によりどれだけの効果が見込まれるのか、都民、事業者に対してしっかり伝えていかなければならない。でなければ、新制度の理解は得られないと申し上げました。残念ながら、現状においては、十分といえる段階にまではまだ至っていないのではないかという懸念がございます。
 そこで、改めて、新制度導入による政策効果についてお願いいたしたいと思います。まずは、新制度により義務化される量、また、これにより二〇三〇年までに新たに設置をされる太陽光設備の導入量について、恐縮でございますが、もう一回確認の意味でお願いしたいと思います。

○木村建築物担当部長 本制度は、一定の中小規模の新築建物を供給する事業者を対象として、事業者単位で再エネ設置基準の達成を求める制度でございます。
 義務対象となる大手住宅メーカーは約五十社で、その供給棟数は、都内年間着工四・六万件の半数程度と見込んでおります。
 また、太陽光発電設備の設置実績や現状を踏まえ、棟当たり基準量を二キロワットとするとともに、区域ごとに八五%から三〇%まで三段階の算定基準率を設定しております。
 これらを掛け合わせますと、新制度による太陽光パネルの導入量は年四万キロワット程度となり、制度施行の二〇二五年から六年間で二十四万キロワット程度と見込まれております。

○こいそ(明)委員 二〇三〇年までに導入される直接的な効果は、二十四万キロワットとのことであります。事務事業質疑で確認をしたとおり、都の二〇三〇年の太陽光発電設備の導入量の目標は二百万キロワット以上とされており、都内の電力消費量の四%の再生エネルギー発電量に当たるわけであります。
 これはまた決して少ない数字だとは思っておりませんけれども、しかし、問題は、どのように目標を達成していくのかと。都は、脱炭素社会の実現に向けた実効性ある取組の強化を図るため、新築住宅等への設置義務化を図るとしておりますけれども、目標と義務化による効果の間には、まだ大きな差があるように感じます。
 そこで、どのように目標達成していくのか、都の見解を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 二〇一九年の都内の太陽光発電設備導入量は約六十万キロワットであり、二〇三〇年度の目標達成には、さらに百四十万キロワット程度の導入増加が必要となります。
 新制度の導入により、先ほどご答弁した義務化に伴う直接的な導入に加え、実際には基準量の二キロワットを上回って設置する住宅が多く存在することや、新築住宅への太陽光パネル設置の標準化が進むことなどにより、新築住宅全体で七十万キロワット程度の増加を想定しております。
 加えて、既存の住宅についても、条例改正に伴う設置への関心の高まりや、今回の補正予算をはじめとする支援策の拡充等により、新たに三十万キロワット程度の導入を想定し、住宅全体で新たに百万キロワット程度の導入が進むことを想定しております。
 このほか、住宅以外の事業所に対する設置義務化や、各条例制度でのインセンティブ等を通じた設置拡大、都施設への率先行動強化等による増加を加え、二〇三〇年度に二百万キロワット以上という目標を達成してまいります。

○こいそ(明)委員 ただいま答弁をいただきましたが、二〇三〇年の太陽光パネル設置目標の達成に向けた道筋の大半は、制度の波及効果等を通じた間接的な効果を見込んだものだと思います。これらを実現するために、実際には十分な支援策等の裏づけが、これも当然必要だと考えます。
 実際、都は、条例改正後、環境性能の高い住宅の普及を支援するとされておりますけれども、支援策を大幅に強化、拡大していくとする中で、そこで、今回の補正予算での住宅への太陽光パネル設置に関わる支援の内容をまた伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 条例改正後、新制度の円滑な導入を進めていくため、施行までの二年余りの期間を最大限有効に活用し、環境性能の高い住宅の普及を強力に支援していく必要がございます。
 このため、都は、この間に新制度への準備に着手する住宅供給事業者への支援策に加え、住宅への太陽光発電設備設置を強力に後押しするための支援策を拡充してまいります。
 具体的には、住まい手による初期投資の負担軽減のための支援策として、リース、電力販売等により初期費用ゼロで太陽光発電設備等を設置する事業への補助を、内容を拡充した上で再開してまいります。
 また、太陽光発電設備等を導入する都民を募り、グループで購入することで、スケールメリットを生かして、通常より安い価格での導入を可能とする仕組みを新たに構築してまいります。
 さらに、多くの都民が居住する集合住宅への太陽光発電設備設置を加速するため、集合住宅への設置に特に必要となる架台設置や、防水シート交換等の工事費についても新たに補助対象としてまいります。
 こうした取組を通じ、条例改正を機に、住宅への太陽光発電設備導入を加速し、早期の社会定着を図りながら、二〇三〇年目標を達成してまいります。

○こいそ(明)委員 今回の補正予算だけでは、これらの支援策を通じてどれだけのパネル設置が進むのか、その全体像や、そのために必要なコストは明らかになっておりません。その全体像を明確にして、都民により丁重に説明することは極めて大切だと思います。
 次に、人権尊重に関する取組についてお話といいますか、取り上げさせていただきたいと思います。
 中国の新疆ウイグル自治区で、太陽光パネルの主要な原材料、ポリシリコンの採掘等において、少数民族の人権弾圧と強制労働が行われている懸念が伝えられております。
 都が検討している新制度の施行に当たっては、さらに非常に課題、問題があり、慎重に取り扱うべき問題だと、先般、私だけじゃありませんけれども、様々な先生方からもこの問題が取り上げられております。
 過日、十二月五日、中国の国外に逃れた亡命ウイグル人でつくる民族国際団体、世界ウイグル会議がありますけれども、ここの総裁であるドルクン・エイサ総裁は、都内で記者会見をしたわけでありますけれども、その中で、都の新築戸建て住宅などへの太陽光パネル設置義務化に対して、慎重な対応を改めて求められました。
 新疆ウイグル自治区の強制労働による製造が疑われる中国産のパネルが、今後さらに東京の義務化が進行する中で量産をされていく、その懸念は当然出てくると。これはジェノサイドに加担することになると訴えられました。
 今年の八月も、バチェレ国連人権高等弁務官が報告書を提出いたしました。これは、人権に対する罪を構成する可能性があると指弾をそこにされておるわけでありますけれども、これがやはりその後の国連の人権委員会、国連総会第三委員会においても、いわゆるウイグルの人権状況に関する有志国による共同ステートメントが発出されるなど、極めてこの人権問題が国際的にも、国連の場でも取り上げられてきております。
 こういうような状況下の中で、アメリカでは、この間もお話がありましたけれども、新法がつくられたということで、強制労働、人権弾圧に関わる中での製品がもしアメリカに輸入される。そのときは、断固としてそれはもう入れない。入国というか貿易の対象外としていくということも表明されております。
 今申し上げたドルクン・エイサ総裁もこういっているんですね。中国以外の国で製造されたパネルは使うべきだと。そのようなお話もされておりますけれども、いずれにいたしましても、いわゆる国際社会から極めて今、人権問題、ウイグルにおいては約百万人のウイグル人が長期間拘束されていると。職業能力教育訓練センターの名の下で、極めて厳しい劣悪な人権弾圧状況が続いているということ。このことの中で、いわゆる強制労働が行われている。
 ポリシリコンの大多数がここから採取されて、そして、さらに製品化されて、我が国にも現状でも入ってきている、こういうことです。
 これ以上は申し上げませんけれども、いずれにいたしましても、やはり東京都は、このことに対して義務化をするんだという強い、これは制度をつくっていく、条例化していくわけですね。そういう中においては、やっぱりこれにしっかり向き合っていかなきゃいけない。やっぱりこれは事業者だけに任せる話じゃないと思うんですよね。
 そういう中で、ここでは、この件についてはコメントはあえて求めませんけれども、ぜひこの辺りの認識を強く持っていただきたいと思います。これについて、もしご意見等々あればお願いいたしたいと思います。なければ結構ですけどね。

○木村建築物担当部長 先般、都は、太陽光パネルメーカーや設備関連企業、販売、施工企業など百二十一社、団体が会員となっている太陽光発電協会との間で連携協定を締結いたしました。
 本協定は、脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化に寄与するとともに、多様なメリットを有する太陽光発電の一層の普及拡大を目指して締結したものでございます。
 今後は、本協定に基づき太陽光発電に関する基礎的な知識の普及啓発や最新技術の情報収集、開発促進、人権配慮に関する取組、施工技術の向上、維持管理、リサイクル等に関して同協会と協働して取り組んでまいります。
 とりわけ人権配慮につきましては、同協会と会員企業により人権に関する取組宣言がなされており、この宣言等を踏まえまして、同協会と共に企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。
 加えて、持続可能なサプライチェーンの構築に向けた取組を推進するとともに、事業者向け研修を行うなど、人権尊重をはじめとしたSDGsに配慮した企業の事業活動に関する取組を行ってまいります。

○こいそ(明)委員 今申し上げましたけれども、これはそんなに軽々、簡単な話じゃないと思います。やはり世界の中における東京であると。やっぱりこの東京の動きというのは、かなりの発信力というか影響力があると。これは申すまでもありません。
 そういう中における今回の動きだということの中で、これは、やはりしっかりと東京都が主体的に人権問題に取り組んでいくというか、向かい合っていくというか、これが極めて大切ではないかと思いますね。
 そういう中で、一方では、今月改定予定の新たな消費生活基本計画の柱の一つに、強制労働や児童労働により生産された製品を消費しない、エシカル、倫理的消費の推進を掲げておりますけれども、太陽光を義務化するという流れの中で、自治体の責任としてより主体的に、これらのことも東京都でしっかりと取り組んでいくわけですね。
 ですから、そういう意味合いも含めた中で、ぜひ、人権問題については、先ほど申し上げましたけれども、より主体的に取り組んでいただきたい、これはもう重ね重ね要望させていただきたいというふうに思います。
 それともう一点は、先ほどから様々出ておりますけれども、では代替的な、いわゆる海外から、あまり依存しない、国内で何とか対応できないのかというお話も先ほどありましたけれども、ペロブスカイト、これは太陽光の主要な原料の要素は、世界産出量の約三割が日本の国内産だと。また、将来に製造コストが低減できる可能性もあるんだということのようであります。
 国内からの安定供給が期待できると聞いている中で、やはり実用化には時間がかかるんだということはありますが、でも、いろんな総合的な情報を精査しなきゃなりませんけれども、二年ぐらいかかる。二年で実用化していけるんじゃないかと。これは希望もあるかもしれませんけれども、こんな話も伝わってきております。
 このような中で、日本でこのような国産化の太陽光の開発促進をぜひ強力に進めていく、このこともやっぱり現実的に重要じゃないのかなと思います。
 そして、人権問題については、今お話をさせていただきました。まだまだいろいろあるわけでありますけれども、それとともに、これも事務事業で触れさせていただきましたが、リサイクルですね、リサイクル関係。
 これは東京都、いわゆる区部と三多摩、島しょをちょっと除きますけれども、約三分の二の面積だということもいわせていただきました。人口も少し減少傾向がありますけれども、約四百二十万。これは三多摩地域ですね。日照等の立地条件や個々の住宅の形状等も比較的恵まれていると。今後、太陽光パネルの設置の増加が見込まれる。これはそうだと思いますよ。本当に率直にいって。
 要するに、二年間あるのだから、二年間のうちに考えながら取り組んでいくんだと、これも一つの現実かもしれないけれども、しかし、少なくとも、やはり現時点というか、もうこれは協議会をつくったり取り組んでいるわけですよね。
 ですから、そういう中で、少なくとも一定方向のパネルの太陽光に対する処理、リサイクルはやはりもう少し示していただいてもいいのかな。具体的なルートも含めた、具体的って、さらに細部についてはこれからだということは理解します。
 しかし、さりとて、協議会を立ち上げて検討を行っているということでありますけれども、この辺り、実際、現状ではどうなのか、これは事務事業からそんなに時間はありませんけれども、その後の取組についてちょっと聞かせてください。

○村上資源循環計画担当部長 先生お話がありました協議会では、住宅用パネルの取り外し作業マニュアルを作成するとともに、実際にリサイクルを行った上で、課題の整理やノウハウの蓄積を行っていくため、都内で住宅用パネルを撤去する案件について、協議会構成員に限らず、広く業界団体等に照会をかけております。
 また、現在、住宅用に限らず、太陽光パネルが持ち込まれている可能性がある都内の建設系廃棄物を処理する中間処理業者約百社を対象に、アンケート調査等を実施してございます。

○こいそ(明)委員 中間処理事業者を対象として約百社、アンケート調査をされたと。これは結構なことだと思いますよ。やはりいろんな意向調査を聞くということは大変重要なことで。
 それから、もう一点は、やはり収運。東京都の許可業者は約三千社あると思うんですね。前後しているかな。大体おおよそ、そういうふうに聞いています。
 こういう中で、やはりそれぞれの、例えばいわゆる家庭、家屋から、解体されるか、何らかの故障等々、様々な状況下で取り外さなきゃいけない、あると思うんですね。現状でもいろいろ事例というのは、今、少ないですけれども、いろんな対応をされていますよね。
 そういう中で、例えば積替え保管がありますよね。それから、さらには、中間処理施設がある。そして、リサイクル施設は残念ながら東京に一か所、いわゆる東京圏外に六か所ですよね。この辺りも、私は固定的に考えるんじゃなくて、もう少しやはり地域的なことも踏まえてね。だって、太陽光パネルだって大きく分けると三区分しているわけでしょう。区部とそれぞれ、三区分というのかな、何ていうのかな、やっていますよね。
 ですから、そんなことも一つのリサイクルに向けた中でのエリア的なもの、それがもうがっちりそのエリアだよということになるかどうか分からないけれども、しかし、少なくとも、もう少し都内で、例えば業者の方においても、許可業者、やっぱりこれは東京都内業者が多いと思うんですよ。許可というのは一つの県単位、東京都だと都単位ですからね。ですから、そんなこともあって、ぜひきめ細かい、このいわゆる体制を取るべきだと。
 これをどうして取るかというと、これもいろいろいわれているのは、回収をそれぞれ今現実、各全国的に市なり、政令市なり、県なりやっているその事例を見ると、一番いわゆる現実的なことは、リサイクル費用がすごくかかるんですよね。それは要するに、その関係業者もそうだし、出す方もそうだし、様々関係者のリサイクル費用が非常にかかる。
 最終的にどうするかというと、今、現状では、埋立てしちゃうんですね。管理型最終処分地も含めて。それじゃ困っちゃうので、ですから、そのルートはなぜ必要なのか、どこにどう集積させるのか、プラント的なものというのはどうなのか、こんなことを、地域全体を、地域というのは、すなわち東京都、区部、多摩地域もひとつ見ていただいて、その中でどうやったらリサイクル率が上がるか、それがリサイクルとしてしっかりと対応できていけるのか、そんなことをぜひ、考えていると思うけれども、具体的にお示しをいただければなというふうに思います。
 いずれにいたしましても、まだまだ聞きたいこともあるんですけれども、私が特にここで強調させていただきたかったのは、やっぱり人権問題です。これは我が党でも、せんだって代表質問でも取り上げさせていただいて、この問題については、やはり断固として、これはもう取り組んでこれからもいきましょうということでありますし、そしてまた、これはもう、東京だって、日本国、それから世界だって、人権問題というのは、今日、明日の話じゃないと思います。
 ですけど、やっぱりそういう中でしっかりと向き合って取り組んでいくということ。そこのところに、ぜひ都が主体として、当事者なんだという意識をやっぱりこれからは持っていただきたいと思う。これからはということであります。
 ということで、ぜひリサイクルのことも、まだまだ今いろいろ走りながら、それぞれ考えながら、いろいろ対応をしようということであると思いますけど、ぜひひとつ、せっかくこの機に、環境局所管なんだから、それが反対の方で、埋立てにそれが回っちゃっていたんじゃ、これはうまくないので、やっぱりせっかくの機会で、リサイクルも今かなり高度なリサイクル技術も出てきていることであるし、そういうことで、それが循環してまた使用ができるというリサイクルになればもっといいわけであって、そんなことで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。これで終わります。

○曽根委員 私からは、環境確保条例の改正関連も質問しますが、その前に、付託議案であります自然公園のビジターセンターの指定管理者について、簡潔に質疑をしたいと思います。
 具体的事例として、高尾ビジターセンターについて幾つか質問いたします。
 ビジターセンターの基本的な仕事はどのように位置づけられているでしょうか。

○和田自然環境部長 ビジターセンターとは、自然公園を利用される方に周辺の自然や人文を分かりやすく展示、解説するとともに、情報提供を行うための施設であります。

○曽根委員 主に公園来訪者を対象とした自然との触れ合いなどを紹介する限定的な業務ということになります。
 高尾ビジターセンターの現指定管理者であります自然教育研究センターは株式会社でありますけれども、現在、現地の常駐職員の人数、また、この会社の指定管理の年数、その前の委託事業者としての年数はどれぐらいでしょうか。

○和田自然環境部長 今回の選定に当たり、指定管理者候補者である株式会社自然教育研究センターから提出された事業計画書では、職員の出勤者数は一日当たり四名となっております。
 高尾ビジターセンターは、平成三十年四月一日から指定管理者制度を導入しており、令和五年三月末までの五年間、当該事業者が指定管理者であります。
 当該事業者は、指定管理者制度導入以前、都が発注する高尾ビジターセンターの開設業務を二十年間受託しております。

○曽根委員 この会社は、ビジターセンターを二十年間、事業委託された上で、その実績を評価されて、二〇一八年度より指定管理者となって五年間やってきたと。
 選定委員会の評価を見ますと、地域独自の情報を蓄積して関係者と信頼関係を築いているとされています。この点では、私たちも、その実績や、また、長年の努力の評価に賛成する立場から、指定管理者の延長についても賛成したいと思っています。
 同時に、高尾の自然保護については、先日、私自身が事務事業質疑で取り上げたように、二〇一九年には高尾山駅の展望台の前のブナの大きな枝を剪定した一件など、今後どうやって人為的な原因も含めての自然破壊を防いでいくのかという課題は提起されております。
 ビジターセンターにも非常勤の都の職員が配置されていると聞いておりますけれども、世界的にも貴重な高尾の生物多様性などの保護の課題は、やはり基本的には多摩環境事務所が高尾に都の職員を常駐させ、しかも、今後、深刻になると思われます水がれ問題などを含めた調査研究の権限も持った組織的な強化が必要だと思いますので、このことは要望しておきたいと思います。
 そして、次に、環境確保条例の改正に関わって、私からは、大型ビル建設に伴う温暖化問題について幾つか質問いたします。
 今回の条例改正は、建物によって排出されるCO2など温暖化ガスをいかに減らしていくかの課題で、例えばキャップ・アンド・トレード制度などの強化が図られております。
 この問題については、先日、私が質問をいたしましたように、大型ビル建設中に発生する炭酸ガスと、竣工後二年間の排出分については、キャップ・アンド・トレード制度の対象とならない空白期間でありまして、この約四年から六年ぐらいの期間に、ビルの着工から最終的な取壊しまでのトータルな期間のおよそ一四、五%の炭酸ガスを出すという、これは建築業界の出してきたデータに基づいて、この時期の環境負荷をいかに抑えるかについては質問させていただきました。
 環境審議会で、今、このビル建設中の炭酸ガスの抑制、規制ということについて検討中だということですので、対策の早期具体化を要望させていただきます。
 もう一つ、忘れてならないのは、東京と首都圏のエリアの温暖化問題として、ヒートアイランドによる気温上昇という現象が、温暖化ガスによる地球規模の温暖化と重なって起きていることを改めて我々は押さえておく必要があると思います。
 都立大学の客員教授であります三上岳彦氏らが長年調査研究しております世界の気温上昇と、そして日本、また、東京地方の夏場、七、八月の気温上昇を調べると、世界の気温上昇は本来、一・五度に抑えたいところが、現実にはもう二度近くまで百年間で上昇してしまっていると。しかし、東京では百年間で四度Cも上昇しているというデータが出ております。
 CO2濃度は地球的に平均化されていきますけれども、あとの二度C分は、やはり東京の場合、海からの風の道が遮断されたことなどで、都市により発生した熱がヒートアイランド現象となって、これが地球温暖化と同じぐらいの規模で東京地方では温度を押し上げている。このことが今後重大な問題になっていく可能性があります。
 世界の温暖化問題に対して、温暖化ガスの削減の都が果たすべき責任とともに、まさに都民に対して都が対策を打たなければ、例えば熱中症や光化学スモッグなどの健康被害を倍加させてしまう問題として、さらには生物多様性への大きなリスクをもたらす問題として、今後重視していく必要があると思います。
 東京の場合、温暖化ガス由来の気温上昇と同程度のヒートアイランド現象が現に起きているわけですから、先日も紹介しましたが、現在、計画もしくは建設中の例えば百メートル以上の百三十六棟の超高層ビルをはじめとして、都心の高層ビルについて、やはり都全体として規制をかけていく必要があるだろうと思っております。
 そこで、都心や湾岸部などの大規模開発や大型ビルの建設に当たって、温暖化ガス排出抑制などの対策とともに、ヒートアイランド現象の深刻化に対して何らかの都としての対策が必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○木村建築物担当部長 都はこれまで、建築物環境計画書制度におきまして、建物からの排熱抑制や人工被覆の改善などの取組を評価することで、新築する建物のヒートアイランド対策を誘導してまいりました。
 特に、夏季における海方向からの風の影響を直接受ける建物の面を小さくするよう、夏の街区の風通しにも配慮した取組についても評価しております。
 今回の制度改正に当たりましては、ヒートアイランド対策に関する評価分野を再整理いたしますが、良好な風通しの確保などの対策については、引き続き、開発事業者の取組を促進してまいります。

○曽根委員 この点は、ビル開発や、例えば再開発事業などを担当しております都市整備局でも同じように、建設事業者に対して様々な誘導策は提案をしております。
 例として、私、先日、決算委員会でも取り上げましたが、泉岳寺駅地区市街地再開発事業、これは都の公共開発ですけれども、隣接するJRを中心とした巨大な再開発事業と併せて品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインというものを策定して、そこでは、海風の確保等による環境配慮型都市開発の誘導基本方針というガイドラインを出して、その中で、東京湾から吹き込む風の流れを後背地まで送り込み、また、運河沿いの風を取り込むことができるよう、建築物の低層化や建物配置、形状の工夫、高層建築物における一定の隣棟間隔を確保すること等により、本地域の夏の主な風向である南南東の風の道を確保するというようなことをガイドラインとしても示しています。
 しかし、実際に泉岳寺開発の中でこれから建てられてくる開発ビルは、一部は確かに、低層というほどではないんですけど、五十メートルまでに抑えているんですけれども、どうしても再開発の事業の採算を確保するために、五十メートルは一部だけで、残りは百四十メートルまでやっぱり建物を建ててしまう計画なんですね。
 このように、やはり再開発事業など財政的な採算性が問われる事業では、まだまだ環境に対する配慮は中途半端に終わっているというのが現状です。
 この点を指摘し、私たちは改めて、この東京の独自の温暖化問題として、やはり平均気温の二度に加えて、さらに同じぐらいの温度上昇をもたらしているヒートアイランド、都市の発熱問題については、さらに環境局としても取り組むよう強く求めておきたいと思います。
 それから、最後に、電力供給事業者に対して、先ほどもありましたが、再エネによる電力供給割合を東京都全体の目標達成に見合ったレベルに合わせるよう、目標を都が提起する内容が盛り込まれて、実施段階は二四年ですが、目標と各事業者の到達点を公表することを通じて、現在二百八十ほどあるという事業者の再エネを集めて、需要家に供給する努力を求めていくというエネルギー環境計画書制度が提起されています。
 これも、電力供給の再エネ割合を高めていく上で大変重要な施策であると思います。これまで、とりわけ大手の電力企業が再エネ供給に本気で取り組んでこなかった経過もありますから、早期に再エネ電力の収集と供給に転換するよう、行政側も促進策を打つよう求めておきたいと思います。
 その上で、私どもとして三つほど提起をしておきます。
 第一に、東電など大手電力会社に対しては、電力市場を独占しないことと同時に、再エネの新たな開発に力を入れるよう、制度の運用状況を見ながらですが、大手に対する提案目標については、再エネ割合を高めることも検討できるようにすべきではないか、これが一点目です。
 あわせて、私、やはり今、そこで検討されている洋上風力発電などについては、人体や漁業などへの影響のない工法とするように指導することも求めたいと思います。
 第二に、エネルギーの地産地消と、都民が再エネ電力を身近に理解できるよう、都内の各区市町村で都民の身近な場所に電力供給事業者が育っていくよう、地域ごとの事業者の展開を奨励すること。
 第三に、二〇三〇年目標の達成とともに、二〇五〇年目標に向けて、文字どおり、実質一〇〇%の再エネ電力普及を目指すだけの急速な再エネ発電の量的拡大を推進すること。
 以上を要望しておきたいと思います。
 これまで、先ほどの原委員の質疑も併せまして、我が党として、環境確保条例改正案についての質疑を行ってまいりましたが、ここでまとめて意見として述べておきたいと思います。
 まず、前提として、東京都は、温暖化ストップに向けて、二〇三〇年までの二〇〇〇年比カーボンハーフ目標をやり遂げなければなりません。しかし、九月に改定された東京都環境基本計画によれば、エネルギー起源のCO2排出量は、二〇一九年時点で二〇〇〇年比八%減にとどまっていることが現状でありまして、引き続き現状から五割近い削減が求められているということです。
 そうした下で、家庭と事務所からのCO2排出が全体の七割を占め、また、再エネ発電の場所を確保するのが困難という東京の特性を踏まえると、住宅への太陽光パネル設置は大変有効な政策であり、最大限取り組む必要があります。
 また、太陽光パネルの国内での生産の拡大と地域での設置拡大、住宅の断熱改修の促進などは、雇用を増やし、経済活性化にもつながる可能性があります。
 同時に、我が党都議団が代表質問で意見表明したように、気候危機打開の主人公は都民であり、誰もが納得して取り組めるようにすることが大事です。
 今回の条例改正の肝であります太陽光パネル義務化についても、都民が主人公の基本に立ち、都民や地域の住宅関連事業者、小売電力事業者などの意見をよく聞きながら、制度の活用と改善を進めることが重要です。
 また、今回の条例改定では、九月の基本計画の改定と相まって、キャップ・アンド・トレード制度、中小事業者対象の報告書制度、地域エネルギー供給計画、都内への電力供給事業者の再エネ導入促進の取組などの制度改定が提起され、我が党もこの間、質疑を行ってきました。
 キャップ・アンド・トレード制度については、まだ一部、先ほど指摘したような懸念する点もありますが、全体として、東京における省エネ、再エネ促進の取組を強化する内容になっていると考えます。
 以上を踏まえて、気候危機打開の重要な政策として、今回の環境確保条例の一部を改正する条例について採択すべきものと表明をいたします。
 同時に、冒頭申し上げましたとおり、二〇三〇年カーボンハーフの目標達成は、現状から見て大変険しい道のりです。都が打開の先頭に立つと同時に、全面的に都民の知恵と協力を得ることが必要不可欠です。
 本委員会として、改めて機会を設けて、専門家を招いての参考人質疑を行うことを私どもは提案するものです。また、広く都民の参加を得て、都民が主人公となって気候危機打開を進めるために、都が気候市民会議を設置することを改めて求めるものです。
 以上で私の質問と意見表明を終わります。

○渋谷委員 それでは、質問をいたします。
 都の方針によれば、新制度による太陽光パネル導入量は、年四万キロワット程度と見込んでおり、二〇三〇年度に向けては、七十五万キロワットの導入、全体で太陽光発電設備二百万キロワットという目標です。これは都内電力消費量の四%です。
 この条例案については、大変大きな議論が行われていますが、太陽光発電に偏り過ぎており、非常にバランスが悪く感じます。太陽光ばかりではなく、もっとほかのエネルギー利用にも力を入れていくべきではないでしょうか。水素はもちろんですが、小水力発電も自然を大きく改変せずに発電を行うもので、都民への意識啓発効果も期待できます。
 現状は細かな議論に入り過ぎています。そうではなく、我が会派の代表質問でも指摘したように、七年度以降の全体規模、事業総額、事業期間、事業効果など全体像が不明なままです、これについてまず議論を行い、都民に示すべきではないでしょうか、伺います。

○木村建築物担当部長 太陽光パネル設置義務化をはじめとする新制度の必要性等については、環境確保条例の改正に向けて、本年五月の環境審議会中間のまとめに基づいて、第二回定例会において議論をいただきました。
 また、都は、八月の同審議会の答申を踏まえ、九月にカーボンハーフの実現に向けた条例制度改正の基本方針を策定いたしました。この中で、制度対象となる事業者数や建物棟数の考え方とともに、太陽光パネルの導入効果などを示しております。
 また、本基本方針では、円滑な制度施行に向けた支援策を講ずることなども示し、第三回定例会において議論いただきました。
 こうした手順を踏んだ上、今定例会におきまして環境確保条例改正と併せて、迅速な対応が必要となる事業について補正予算案を提案し、議論をいただいております。

○渋谷委員 太陽光に偏ってはいないかということにも、全体規模、事業総額など不明なままではないかということにも答えていただけませんでした。非常に残念です。都が説明を果たさずに改正を急ぐことに疑問を感じざるを得ないと指摘いたしまして、次の質問に参ります。
 東京都は、太陽光発電協会と連携協定を締結し、連携内容三では、太陽光発電の持続的なサプライチェーン構築や人権尊重などSDGsに配慮した事業活動に関することとなっています。
 人権問題に配慮する以上、問題となっている太陽光電池の主要原料であるポリシリコンやその原料である石英の調達先も今後十分調査し、対策を考えていく必要があります。調達の問題は非常に重要であり、曖昧にしたまま、シリコン型太陽光を推進することは問題です。
 都は、当初は、当該地区の製品を扱っている事実はないとしていましたが、原材料調達の問題が指摘されると、業界団体と連携し、継続してヒアリングや意見交換を行い、各メーカーの適切な取組と情報公開を促していきますと見解を変えています。
 しかし、これでは今後どうするのか分からず、また、業界団体とメーカーの取組に委ねた印象であり、都としてどう取り組むのかはっきりしません。この問題をどうするか、見解を伺います。

○木村建築物担当部長 先般、都は、脱炭素社会の実現に向け、太陽光発電の一層の普及拡大を図るため、パネルメーカーや設備関連企業など百二十一社、団体が会員となっている太陽光発電協会との間で連携協定を締結いたしました。
 都と同協会は、本協定に基づき、太陽光発電に係る基礎的な知識の普及啓発、最新技術の開発等を促進してまいります。
 また、持続可能なサプライチェーンの構築や、人権尊重をはじめとしたSDGsに配慮した事業活動について、相互に連携して取組を推進してまいります。

○渋谷委員 業界団体である太陽光発電協会には、中国系企業が加入しているとのことですが、これは事実でしょうか。加入しているならば、何社でしょうか。

○木村建築物担当部長 太陽光発電協会によれば、セルモジュールメーカーのうち、本社が中国に所在する企業は五社が該当すると聞いております。

○渋谷委員 ただいま中国系の企業は五社あるということでしたが、この人権問題についてはどのような見解なのでしょうか。東京都はきちんと把握しているのかを伺います。

○木村建築物担当部長 本年十月十五日、太陽光発電協会とその会員企業は、太陽光発電産業の人権問題に関する取組を宣言いたしました。
 この宣言には、国内にパネルを供給している海外メーカーも賛同してございます。

○渋谷委員 この人権問題とは、ここで問題になっているウイグルの問題であります。
 また、この五社の中には、太陽光発電協会の幹事会社もあります。団体を通してではなくて、会社と、部品、原材料調達における人権尊重について伝えて、話合いをしているのか伺います。

○木村建築物担当部長 都はこれまで、太陽光発電協会と協議を重ね、太陽光パネルメーカーの取組状況を把握するとともに、人権配慮に関するさらなる対応を求めてまいりました。
 こうした働きかけにより、協会とその会員団体は、太陽光発電産業の人権問題に関する取組を宣言いたしました。加えて、先般、都は、太陽光発電協会との間で連携協定を締結したところでございます。

○渋谷委員 この太陽光発電産業の人権問題に関する取組とは、内容としては、企業の社会的責任を果たすとともに、人権の尊重、持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、国連のビジネスと人権に関する指導原則及び政府のガイドラインを尊重し、サプライチェーンにおける人権問題の防止、軽減に努めると宣言したもので、いわば企業として人権尊重の当然な宣言をしたものであり、これを根拠に、我々が問題視してきた人権問題についても取り組んでいるというのは、無理のある答弁ではないでしょうか。
 各企業、中国系も五社あると聞きました。また、現地に工場を持っている会社もあるでしょう。そうした会社が人権尊重の面で問題ある資源を使わないよう指導し、確認しなければなりません。
 都は、太陽光発電協会と連携協定を結んだのですから、協会に任せていますという答弁では許されません。東京都として、各企業をどう責任を持って指導、確認していくのか、都の見解を再度伺います。

○木村建築物担当部長 今後は、協定を基に、持続的なサプライチェーンの構築に関する取組や、人権尊重等のSDGsに配慮した事業活動の促進に関する取組などを実施してまいります。
 年明け後には、事業者説明会において新たに人権尊重に関する研修を開催するほか、引き続き、協会と共に太陽光パネルメーカー等との継続的な意見交換等を通じて、企業の適正な取組と情報公開を促してまいります。

○渋谷委員 人権尊重をするというのは当然な話です。伺っているのは、国際的な問題になっているウイグルの人権問題について、どういう姿勢なのかということです。
 この件については、何回伺っても、普遍的価値の人権問題にすり替えており、非常に残念といわざるを得ません。こうした答弁では、都の姿勢は、この問題について後ろ向きであるというメッセージを発信するおそれもあります。そのことを指摘いたしまして、次の質問に参ります。
 太陽光発電で現在主流のシリコン型太陽電池は、費用の面、大きさの面、また、ただいま質問いたしましたように、原材料調達の問題など、様々な課題があります。
 一方、先ほどからも質問で出ておりますペロブスカイト太陽電池は、日本で開発された技術であり、また、コスト面でも有利であり、シリコン太陽電池に比べ約五分の一から三分の一のコストで設置可能といわれております。国内各企業が開発を進めており、量産まであと一歩の状況といわれております。
 貴重な都の予算を使う以上、コストの高いシリコン太陽電池一辺倒ではなく、ペロブスカイト太陽電池を普及することが必要と考えます。
 そして、ペロブスカイトが導入されますと、太陽光発電は、シリコン太陽電池からペロブスカイト太陽電池に大きく移行していく可能性があり、今後の計画も見直す必要が生じます。
 ペロブスカイトのような国産新技術が有望と考えるのであれば、拙速に進めず、活用に向けて今後の状況を見極めるべきと考えますが、見解を伺います。

○木村建築物担当部長 ペロブスカイト太陽電池は国内で生まれた技術であり、製造にはシリコンを用いず、実用化されれば、建物の壁面や構造の比較的弱い建造物にも設置可能となることが期待されております。
 国は、二〇三〇年を目途に普及段階への移行を図るとしており、開発に取り組む国内企業は、おおむね二〇二五年の実証開始を目指し、研究開発に取り組んでございます。
 都は、都施設を活用し、国内企業とペロブスカイト太陽電池の共同研究を来年春頃までに開始し、研究開発を後押ししてまいります。

○渋谷委員 ただいまの答弁でも分かったように、都は、ペロブスカイトの価値を認めています。有望だと分かっているのであれば、この技術を活用するつもりがあるならば、今、拙速に進めていくのではなくて、もう少し技術革新を見極めるべきと思います。なぜ急ぐのか、その点について答弁がないことについては大変残念です。
 次に、義務化について伺います。
 都が実施したパブリックコメントでは、条例改正の賛成が五六%、反対が四一%に上り、賛成が上回ったものの、反対が根強いことが明らかになりました。
 また、直接の義務対象者である住宅メーカーに対するアンケートとして、NGO団体が行ったアンケートがあります。これによると、回答は十一社で、賛成一、条件付賛成五、反対四、賛否不表明一となっています。
 この反対意見では、住宅の価格上昇を招くほか、点検、メンテナンス義務が発生し、都民の負担になる、環境改善の方法は多様であるべき、太陽光の設置自体は推奨しているが、義務化の対象について疑問符、太陽光パネル設置を標準として建築していないので、義務化になると事業計画にのっていない経費や人件費の負担が生じるなど、多様な反対意見が出ています。
 パブリックコメントで多くの都民が反対している上、義務化の対象となるハウスメーカー側が、義務化に必ずしも納得していないことは大変問題です。反対意見が強い中、今必要なのは、条例改正の強行ではなく、反対意見に耳を傾け、丁寧に説明を尽くしていくことではないでしょうか。見解を伺います。

○木村建築物担当部長 今回の条例改正に当たりましては、専門家による技術検討会において事業者から意見聴取を行い、住宅供給事業者団体からは、おおむね制度に賛同する旨の意見をいただいております。
 また、制度の検討に際しては、義務対象と見込まれる約五十社の事業者等を複数回にわたり個別に訪問し、意見交換を重ね、制度内容の理解促進と信頼関係の構築に努めてまいりました。
 引き続き、関係団体等とも連携し、制度の円滑な施行につなげてまいります。

○渋谷委員 反対意見に対して丁寧に耳を傾け、説明を尽くしてほしいという当然の質問に対して回答がなく、都はしっかり取り組んでいますという話ばかりでした。
 都は、本当に都民に、そして事業者に十分ご理解をいただいて脱炭素化を進めようとしているのか、残念ながら疑問を感じざるを得ません。
 結論ありきのやり方ではなく、様々な声に耳を傾け、対話を重ねていくことが脱炭素化への道ではないのか、東京都はその点をしっかり考えるべきですと指摘いたしまして、私の質問を終わります。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、付託議案及び請願陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時五十八分散会

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