環境・建設委員会速記録第十六号

令和四年十一月二十八日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長須山たかし君
副委員長曽根はじめ君
理事柴崎 幹男君
理事成清梨沙子君
理事小磯 善彦君
漢人あきこ君
山田ひろし君
原  純子君
渋谷のぶゆき君
伊藤こういち君
こいそ 明君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
理事宮澤 浩司君
総務部長節電行動連携担当部長兼務小川 謙司君
環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長藤本  誠君
気候変動対策部長荒田 有紀君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長鈴木 研二君
環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務宗野 喜志君
自然環境部長和田 慎一君
生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務小林 洋行君
資源循環推進部長志村 公久君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長副島  建君
道路監花井 徹夫君
総務部長浅野 直樹君
道路建設部長湯川 雅史君
公園緑地部長小谷  健君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
建設局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・街路築造工事のうち擁壁築造工事(四西−青梅三・四・四裏宿町)請負契約
・葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結について
・東京都立猿江恩賜公園外六公園の指定管理者の指定について
・東京都立日比谷公園外五公園の指定管理者の指定について
・東京都立戸山公園外七公園の指定管理者の指定について
・東京都立武蔵野公園外六公園の指定管理者の指定について
・東京都立陵南公園外三公園の指定管理者の指定について
・東京都立狭山・境緑道外五公園の指定管理者の指定について
・東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定について
・東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定について
・東京都立大神山公園の指定管理者の指定について
・日比谷公園大音楽堂の指定管理者の指定について
・葛西臨海水族園の指定管理者の指定について
環境局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、歳出 環境局所管分
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
・東京都立小峰公園の指定管理者の指定について
・東京都高尾ビジターセンターの指定管理者の指定について
・東京都御岳ビジターセンターの指定管理者の指定について
・東京都御岳インフォメーションセンターの指定管理者の指定について
・東京都小笠原ビジターセンターの指定管理者の指定について
陳情の審査
(1)四第七五号 神宮外苑のいちょう並木の確実な保全に関する陳情

○里吉委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに環境局関係の陳情の審査を行います。
 なお、本日は、提出予定案件につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより建設局関係に入ります。
 第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中島東京都技監 第四回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をご覧いただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、契約案が街路築造工事のうち擁壁築造工事(四西−青梅三・四・四裏宿町)一件、事件案が葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結についてなど十二件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明申し上げます。

○浅野総務部長 令和四年第四回定例会提出予定案件の内容につきましてご説明申し上げます。
 最初に、資料1をご覧ください。契約案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております契約案一件の件名は、目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開きください。街路築造工事のうち擁壁築造工事(四西−青梅三・四・四裏宿町)でございます。
 本工事は、青梅街道の渋滞緩和、地域の防災性の向上、安全で快適な歩行空間の形成を目的として、延長百七十五・五メートルにおいて擁壁築造を行うものでございます。
 工事場所は青梅市天ヶ瀬町地内から同市裏宿町地内まで、契約の相手方は若築・興栄建設共同企業体、契約金額は十三億七千七百二十八万八千円、工期は令和六年十一月五日までとする工事請負契約を一般競争入札により締結しようとするものでございます。
 二ページをご覧ください。本件工事の案内図でございます。丸で囲んでおりますのが施工箇所でございます。
 三ページをご覧ください。構造物の形状は、平面図及び断面図のとおりでございます。
 次に、資料2をご覧ください。事件案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております事件案十二件の件名は、目次に記載のとおりでございます。
 一ページをお開きください。整理番号1、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業契約の締結についてでございます。
 江戸川区臨海町六丁目地内におきまして、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業を施行するための契約を締結しようとするものでございます。
 本議案の提出は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律第十二条の規定に基づくものでございます。
 契約方法は一般競争入札、契約金額は四百三十一億四千四百三十八万六千七百六十二円、契約の相手方は株式会社東京シアトリエ、契約期間は事業契約締結の日の翌日から令和三十年三月三十一日までとするものでございます。
 二ページをご覧ください。本件事業の案内図でございます。
 上段の図の四角で囲んでいる部分が事業場所、下段の図の斜線網かけの部分が計画敷地でございます。
 三ページをご覧ください。指定管理者の指定に係る事件案十一件の概要をまとめたものでございます。
 まず、整理番号2の東京都立猿江恩賜公園外六公園の指定管理者の指定についてでございます。
 指定管理者による管理を行う施設は、公の施設の名称欄にございますように、猿江恩賜公園外六公園で、指定管理者の名称はアメニス東部地区グループ、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年でございます。
 次に、整理番号3の東京都立日比谷公園外五公園の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は日比谷公園外五公園、指定管理者の名称は公益財団法人東京都公園協会、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年でございます。
 次に、整理番号4の東京都立戸山公園外七公園の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は戸山公園外七公園、指定管理者の名称は公益財団法人東京都公園協会、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年、練馬城址公園については令和五年五月一日から令和十年三月三十一日までの四年十一か月でございます。
 次に、整理番号5の東京都立武蔵野公園外六公園の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は武蔵野公園外六公園、指定管理者の名称は武蔵野の公園パートナーズ、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年でございます。
 次に、整理番号6の東京都立陵南公園外三公園の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は陵南公園外三公園、指定管理者の名称は多摩部の公園パートナーズ、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年でございます。
 次に、整理番号7の東京都立狭山・境緑道外五公園の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は狭山・境緑道外五公園、指定管理者の名称は狭山丘陵パートナーズ、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年でございます。
 次に、整理番号8の東京都立長沼公園外四公園の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は長沼公園外四公園、指定管理者の名称は公益財団法人東京都公園協会、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年でございます。
 次に、整理番号9の東京都立夢の島公園外一施設の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は夢の島公園及び夢の島熱帯植物館、指定管理者の名称はアメニス夢の島グループ、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年でございます。
 次に、整理番号10の東京都立大神山公園の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は大神山公園、指定管理者の名称は公益財団法人東京都公園協会、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日までの五年でございます。
 次に、整理番号11の日比谷公園大音楽堂の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は日比谷公園大音楽堂、指定管理者の名称は東京南部パークスグループ、指定の期間は令和五年四月一日から令和六年九月三十日までの一年六か月でございます。
 次に、整理番号12の葛西臨海水族園の指定管理者の指定についてでございます。
 対象となる公の施設は葛西臨海水族園、指定管理者の名称は公益財団法人東京動物園協会、指定の期間は令和五年四月一日から令和八年三月三十一日までの三年でございます。
 指定管理者の指定に係る議案の提出は、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づくものでございます。
 四ページ以降に議案を添付してございます。後ほどご覧いただきたいと存じます。
 以上で令和四年第四回定例会提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○原委員 一点、資料要求を行わせていただきます。
 葛西臨海水族園整備等事業の提案内容の詳細についてお願いをいたします。
 以上です。

○里吉委員長 ほか、いかがでしょうか。ないですか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 ただいま原委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
 以上で建設局関係を終わります。

○里吉委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○栗岡環境局長 令和四年第四回定例会に提出を予定しております環境局関係の案件について、概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和四年第四回都議会定例会提出予定案件の概要をご覧ください。
 今回提出を予定しております案件は、予算案一件、条例案一件及び事件案五件でございます。
 表紙を一枚おめくりいただき、一ページをご覧ください。まず、予算案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、令和四年度一般会計補正予算(環境局所管分)についてでございます。
 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の改正後から、新制度への準備に着手する事業者への支援や都民等の理解促進に向けた取組を推進するとともに、将来も見据え、脱炭素化に向けた対策を加速化するための経費を計上するものでございます。
 歳出予算補正でございますが、地球環境エネルギー費につきまして三百五十一億六千九十二万二千円の計上を行うものでございます。
 続きまして、条例案の概要についてご説明申し上げます。
 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例についてでございます。
 脱炭素社会の実現に向けた実効性ある取組の強化を図るため、住宅等の一定の中小新築建物に係る環境性能の確保を求める制度を創設するほか、所要の改正を行う必要があるためでございます。
 続きまして、事件案の概要につきましてご説明申し上げます。
 東京都立小峰公園の指定管理者の指定についてなど、指定管理者の指定に係る事件案五件でございます。
 以上、今定例会に提出を予定しております案件の概要につきましてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小川総務部長節電行動連携担当部長兼務 それでは、令和四年第四回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 初めに、お手元の資料2をご覧ください。令和四年度一般会計補正予算説明書についてでございます。
 表紙を一枚おめくりいただき、一ページをご覧ください。1、歳出予算総括表でございます。
 歳出予算を補正する款は環境費でございまして、三百五十一億六千九十二万二千円を増額計上するものでございます。
 令和四年度の歳出予算額は、既定予算額一千二百五十三億八千百十七万円と合わせまして、合計一千六百五億四千二百九万二千円となっております。
 次に、歳出予算の補正の内容についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。項は環境保全費でございまして、目は地球環境エネルギー費でございます。
 内容につきましては、右側の説明欄にございますとおり、建築物環境報告書制度等に係る総合相談窓口の設置・運営外九件のための経費といたしまして、三百五十一億六千九十二万二千円を増額計上するものでございます。
 続きまして、資料3をご覧ください。都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例についてでございます。
 表紙をめくって一ページをお開き願います。
 一、改正理由でございますが、脱炭素社会の実現に向けた実効性ある取組の強化を図るため、住宅等の一定の中小新築建物に係る環境性能の確保を求める制度を創設するほか、所要の改正を行う必要があるためでございます。
 二、改正の内容でございますが、(一)、新たに、建築物環境報告書制度を設け、自ら定める規格に基づく、規則で定める規模未満の住宅等の中小規模新築建物の年間都内供給延べ面積の合計が規則で定める値以上である建物供給事業者等を対象として、当該中小規模新築建物への省エネルギー性能基準、再生可能エネルギー利用設備設置基準及び電気自動車充電設備整備基準の遵守の義務を課すため規定を整備するものでございます。
 (二)、建築物環境計画書制度について、規則で定める規模以上の大規模建物の新築等を行う建築主を対象として、新たに再生可能エネルギー利用設備設置基準及び電気自動車充電設備整備基準の遵守の義務を課すため規定を整備するものでございます。
 (三)、地域におけるエネルギー有効利用に関する計画制度について、大量かつ高密度なエネルギー需要を発生させるものとして規則で定める規模の開発事業を行う事業者等を対象として、都が定める指針を踏まえ、特定開発区域等脱炭素化方針の作成及び公表の義務等を課すため規定を整備するものでございます。
 (四)、エネルギー環境計画書制度について、規則で定める特定エネルギー供給事業者を対象として、都が定める指針を踏まえ、再生可能特定エネルギーの供給の量の割合の拡大に係る措置及び目標の設定、実績の報告並びにこれらの公表を義務づけるため規定を整備するものでございます。
 三、条例の施行日でございますが、(一)及び(二)の規定については令和七年四月一日ほか、(三)及び(四)の規定については令和六年四月一日としております。
 三ページから二四ページまでは本条例、二五ページから五九ページまでは新旧対照表でございます。
 続きまして、資料4をご覧ください。東京都立小峰公園の指定管理者の指定について外事件案四件についてでございます。
 一ページをお開き願います。概要を表にまとめてございます。整理番号1から順次ご説明申し上げます。
 整理番号1、東京都立小峰公園の指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都立小峰公園、指定管理者の名称は公益財団法人東京都公園協会、指定の期間は令和五年四月一日から令和十年三月三十一日まででございます。
 なお、整理番号2から5につきましても、指定の期間は同じでございます。
 整理番号2、東京都高尾ビジターセンターの指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都高尾ビジターセンター、指定管理者の名称は株式会社自然教育研究センターでございます。
 整理番号3、東京都御岳ビジターセンターの指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都御岳ビジターセンター、指定管理者の名称は株式会社自然教育研究センターでございます。
 整理番号4、東京都御岳インフォメーションセンターの指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都御岳インフォメーションセンター、指定管理者の名称は一般社団法人青梅市観光協会でございます。
 整理番号5、東京都小笠原ビジターセンターの指定管理者の指定についてでございます。
 公の施設の名称は東京都小笠原ビジターセンター、指定管理者の名称は公益財団法人東京都公園協会でございます。
 なお、これらの事件案は、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づき提出するものでございます。
 二ページ以降は、それぞれの議案でございます。
 以上でご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○曽根委員 一点だけ資料をお願いいたします。
 環境確保条例の改正について、この間、都民から寄せられた意見、要望とその特徴についての資料をお願いいたします。

○里吉委員長 ほか、よろしいでしょうか。−−それでは、ただいま曽根副委員長から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○里吉委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情四第七五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○藤本政策調整担当部長 それでは、お手元の資料5、陳情審査説明表の表紙をおめくりください。
 右側の一ページをご覧ください。整理番号1、陳情番号四第七五号、神宮外苑のいちょう並木の確実な保全に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 陳情者は、渋谷区の角井典子さんでございます。
 陳情の要旨は、イチョウ並木の保全措置を担保するため、事業者が厳重な調査、検証の上、実効性のある保全策を講ずるよう、継続的に関与していただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、1、事業者が示した保全策についてでございます。
 令和四年八月十六日に開催された東京都環境影響評価審議会(部会)において、イチョウ並木の保全策が事業者から示されました。
 続きまして、2、保全策の内容についてでございます。
 イチョウの根を保全するため、具体的な基礎構造や施工方法の案が提示されるとともに、根の詳細調査の結果を踏まえ、基礎構造の工夫などを行うほか、重要な根が複数確認される場合は、根の切断を避けるため、野球場棟の壁面後退など設計を工夫するとしております。
 続きまして、3、東京都環境影響評価審議会の審議結果についてでございます。
 審議会では事業者が示した調査、予測及び評価は、おおむね技術指針に従って行われたと認められるとともに、次の指摘が答申に盛り込まれました。
 続きまして、4、答申の内容についてでございます。
 答申では、野球場棟の実施設計前に専門家によるイチョウ並木の根系調査を行うこと。
 また、その結果を説明するとともに、調査結果を踏まえ、建築計画及び施工計画における環境保全のための措置を具体的に示し、確実に実施すること。特に、イチョウの健全な生育へ影響を与えるような根が複数確認された場合は、根を避けるため野球場棟の該当箇所の壁面後退など施設計画の工夫を行うこと。
 さらに、工事の施行中及び完了後の一定期間にわたり、イチョウ並木のモニタリングを実施し、状況に応じた環境保全のための措置を継続することで、将来にわたりイチョウ並木を健全に育成することとなっております。
 最後に、5、環境保全措置への継続的な関与についてでございます。
 答申では、これらに加えて、審議会としても今後の事業者の環境保全措置に継続的に関与することが盛り込まれております。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○成清委員 神宮外苑地区の再整備は、三井不動産など四事業者が実施するものですが、まちづくりを所管する都市整備局や環境アセスメントを所管する環境局が、それぞれの役割を果たすことが求められます。
 環境アセスにおいては事業者の取組が十分でなかったことから、当初予定していたスケジュールよりも遅れ、本年八月の環境影響評価審議会で、環境影響評価書案についての答申が示されました。
 しかし、本事業は十五年にも及ぶ長期のプロジェクトであることから、現時点で詳細な予測を確実に行うことは困難といわざるを得ません。
 こうした中で、この答申に、審議会が今後の事業者の環境保全措置に継続的に関与するとの一文が盛り込まれたことは評価できます。
 今後、事業者の取り組む環境保全措置について、審議会はどのようにフォローアップを行っていくのか、都の見解を伺います。

○藤本政策調整担当部長 審議会が継続的に関与していくことについては、答申で示された環境保全措置の着実な履行のため、条例に基づき審議会の決定により設けられたものでございます。必要に応じて事業者が審議会に出席し、進捗状況を説明することになると認識しています。
 本事業においては、環境影響評価書や事後調査報告書などが都に提出される際に、審議会が関与することになると考えております。

○成清委員 答申で示された環境保全措置を事業者が着実に履行することを今後確認していくことは、百年先の未来につなげるまちづくりを進めるに当たり極めて重要なことです。
 環境アセスの手続では答申の次の段階に移行しており、現在、事業者は答申で示した指摘事項を踏まえて環境影響評価書を作成しているところになると考えますが、評価書について審議会の関与はどのようになるのか、都の見解を伺います。

○藤本政策調整担当部長 通常の環境アセスの手続では、評価書が事業者から都に提出された後、公示、縦覧を行うとともに、都が審議会に報告書を受理したとの報告を行っています。
 一方、本事業では、評価書が提出される前に、事業者が審議会に出席して評価書の素案について説明を行います。審議会委員は、答申で示された環境保全措置の評価書の素案への反映を確認して、事業者に必要な助言を行うことができるものと考えております。

○成清委員 アセス条例によると、評価書は公示するまでは事業の実施ができないという重要なものです。
 今回、答申の評価書への反映のされ方を審議会で確認するというのは、イチョウ並木の保全をはじめ事業者の環境保全措置を着実に進めていくためにも大変意義があると考えます。
 新国立競技場建設に当たっては、既に千五百四十五本の樹木が伐採され、うち二百十九本が移植されましたが、強剪定が行われたため樹形が維持されず、活力度も既に低下しており、健全な樹林地の形成が難しい状況であるということも一部から聞いております。
 神宮外苑再開発事業においても、二百十本の樹木の移植を行うこととしておりますが、移植は生育環境が変化することから、樹木に負担をかけることなどとなるため、慎重に進めることが重要です。
 都としてこの移植に関してどのように認識しているのか、見解を伺います。

○藤本政策調整担当部長 事業者は、移植に関して樹木医の立会いや指導の下、丁寧に進めていくことを審議会で説明しています。
 都としても、審議会答申を踏まえ、事業者に送付した審査意見書では、移植の時期、方法、植栽基盤確保の考え方など、移植の確実性を高めるための措置を、計画の深度化に応じ具体的に示すことなどを指摘しております。

○成清委員 移植を着実に進めるためにも、先ほど質疑しました審議会で継続的に関与していくスキームを活用していくことが有効と考えます。
 移植の状況に合わせて、節目節目で事業者の環境保全措置や取組状況を審議会で積極的に確認していくことを要望して、私の質問を終わります。

○伊藤委員 それでは、私からも本陳情に関連して何点か確認をしておきたいというふうに思います。
 今から百年前の大正十五年に創建された神宮外苑は、大正から昭和、平成、令和と激動の時代の歴史の中で、二回にわたるオリンピック・パラリンピックの記憶などとともに、緑とスポーツの拠点として、都民はじめ多くの方々に愛され続けてきました。
 一方で、今回の開発によって、先人から継承された環境を失うのではないかと懸念する声も上がっているのも事実であります。
 こうした中、事業者は、事業が環境に与える影響を調査、予測及び評価した環境影響評価書案を昨年七月に公表し、その後、評価書案に対する審議が環境影響評価審議会で行われてきました。通常よりも数多くの審議を重ねて、本年八月に環境影響評価書案に対する答申が決定をされました。
 そこで伺いたいと思いますけれども、事業者はどのような環境保全策を提示したのか確認したいと思います。答弁を求めます。

○藤本政策調整担当部長 本件においては、事業者から、既存樹木の保全やイチョウ並木の保全に加え、樹林地の再生、景観の保全などについて、昨年七月に提出された環境影響評価書案に加え、新たな資料も提出され、審議会で審議がなされました。
 これにより、本事業の調査、予測及び評価は、おおむね環境影響評価技術指針に従って行われたものと認められ、審議会の指摘事項が答申としてまとめられました。

○伊藤委員 事業者からは、既存樹木やイチョウ並木の保全などについて、保全策が具体的に示されたということでありました。
 それでは、まず、既存樹木の保全についてはどのような保全策が示されたのか、確認をしたいと思います。答弁を求めます。

○藤本政策調整担当部長 事業者は、既存樹木の保全として、毎木調査や詳細調査等に基づき、建国記念文庫などの樹木の一部を移植に切り替えること、また、秩父宮ラグビー場に向かうイチョウ並木も移植を検討することとしました。
 さらに、事業期間内に立ち枯れ等により危険となった枯損木について、道路の安全確保のため除去する可能性があることから、過去の実績を参考に一定の割合を伐採樹木に計上していましたが、枯損木の除去措置は開発による伐採とは異なるものであることから、改めて本数の精査を行いました。
 こうしたことにより、伐採本数を当初の九百七十一本から五百五十六本と約四割見直す計画が示されました。
 加えて、今後、施設の設計段階で、文化交流施設棟における隅切りなどの建物形状の変更など、さらなる樹木の保全を図ることとしております。

○伊藤委員 ただいまの答弁から、事業者は、約四割に相当する伐採樹木を削減して、今後、施設の設計を進める段階で、さらに樹木の保全に努めるということでございました。
 保存する樹木の一本一本を大切にし、最大限の樹木の保全に努めていただくよう、強く求めておきたいと思います。
 続いて、本陳情でも取り上げられておりますけれども、都民、国民の関心が非常に高いイチョウ並木について伺いたいと思います。
 事業者は、このイチョウ並木についてはどのような保全策を示し、具体的にどのような対応をする予定なのか、確認をしたいと思います。答弁を求めます。

○藤本政策調整担当部長 事業者は、新野球場棟地下の基礎部分の形や大きさの調整、地下ピット部分を一部縮小するなど構造上の対応により、イチョウ周辺の掘削範囲の低減や地下部への影響を最小限に抑えるよう配慮することとしています。
 また、イチョウの生育に影響を与えるような重要な根が複数確認される場合は、根の切断を避けるため、新野球場の壁面を後退させるなどの設計の工夫をすることや、日影の影響を考慮し、今後、安全性も考慮した上で、防球ネットの透過性などの詳細を検討することとしています。
 さらに、施工においては、樹木の育成に必要な根系範囲を設定し、この範囲内の掘削を人力施工等により行うこととし、工事中においても適宜、樹木医の立会い指導を受けることとしています。
 このような具体的な対策により、調査段階から設計者、樹木医、事業者が一体となり、イチョウの保全に努めることとしております。

○伊藤委員 本事業につきましては、今年の五月に、知事名で都から事業者に、イチョウ並木の保全に万全を期すよう要請をしておりまして、これに対して八月には、事業者からは、保全への配慮を確実に遂行していくとの回答がなされております。
 しかし、神宮外苑地区におけるまちづくりは、都民の関心が高いプロジェクトでありますので、事業者任せにしないことが重要であると思います。都も、審議会も必要に応じて関与し、事業者の環境保全措置が確実に行われ、イチョウ並木を守ること、このことを切に望み、質問を終わります。

○原委員 原純子です。よろしくお願いします。
 神宮外苑のイチョウ並木は、都民のみならず、国民の財産であることに思いを寄せ、陳情者はイチョウ並木の確実な保全策を都と事業者に求めています。
 神宮外苑地区市街地再開発計画における三井不動産などの事業主体に課せられている課題でもあると思いますが、東京都の姿勢も問われると考えます。
 神宮外苑のイチョウ並木の価値について、環境局はどのように捉えていますか。

○藤本政策調整担当部長 本年五月に都から事業者に対して、イチョウ並木の保全について万全を期すよう要請をしております。
 審議会の答申を踏まえた審査意見書では、工事の施行及び完了後の一定期間にわたりイチョウ並木のモニタリングを実施し、状況に応じた環境保全のための措置を継続することで、将来にわたりイチョウ並木を健全に育成することなどと指摘をしております。

○原委員 イチョウ並木の保全について万全を期すよう要請をしているということです。ありがとうございます。
 環境影響評価審議会は、本年二月十八日より八月十六日まで六回の部会が行われました。都は、その間の五月二十六日、小池都知事名において、既存樹木については複数の樹木医の意見を聞きながら、樹木の状態などを詳細に調査、公表し、設計の工夫などにより極力保存または移植するなど、一本一本を大切に扱い、神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めることとの要請を事業者に対し行いました。
 そして、八月十八日に審議会総会が開催され、その答申を受け、環境影響評価書案審査意見書が知事名で出されました。
 この審査意見書の1、総括的事項の中には、豊かな自然環境やイチョウ並木のビスタ景などを有する神宮外苑の重要性が記され、本事業については、都民から、樹木伐採への反対意見をはじめ、先人から継承された環境を失うことへの懸念や事業計画の十分な周知、公開を求める意見など、多くの懸念が表明されている。さらに、審議会においても、評価書案に記載された内容に対する根拠の不明瞭さや、都民と事業者との相互不信への懸念が指摘されたとの記載があります。
 そして、それに続く文ですが、審議会としても今後の事業者の環境保全措置に継続的に関与することで寄与していくと記されております。
 こうした今後の関与についての一文が、審議会総会後の知事意見に盛り込まれたのは異例のことでしょうか。

○藤本政策調整担当部長 答申にご指摘の文言が盛り込まれたのは、過去において例がないことでありますが、条例に基づくものであると認識をしております。

○原委員 異例のことなんですね。知事意見では、その後の具体的な配慮事項のページに、既存樹木の健全度や移植の可能性に関する詳細調査結果をデータと併せて説明し、その結果を反映して、既存樹木への影響を回避、最小化するための考えを示し、残置、移植、伐採等変化の程度について予測、評価を見直すというふうにあります。
 本来提出されるべき樹木の詳細データが出されていないので、出して説明をするように、また、その結果を反映させて予測や評価を見直すようにとのことです。要するに、審議するときに最低必要なデータが出ていないままですよと。これから出してくださいねと。そういう指摘ですね。
 イチョウ並木に直接触れている指摘部分もあります。イチョウ並木の根系調査を行うこと。調査結果を踏まえ、特に、イチョウの健全な生育へ影響を与えるような根が複数確認された場合は、根を避けるため野球場棟の該当箇所の壁面後退等施設計画の工夫を行うこと。将来にわたりイチョウ並木を健全に育成することとあります。
 詳細調査データを提出することと、その調査結果によっては計画の変更も避けられないとの指摘です。これは大変重要なことだと思います。
 そして、環境アセスで出されていない樹木調査、毎木調査のデータの提示について、しびれを切らした日本イコモスが十月三日、事業者に要請したのに対し、十月二十八日、ようやく事業者が最新のデータとして、毎木調査の結果を公表いたしました。
 日本イコモスは、世界文化遺産の保護、保存、そして、価値の高揚のための重要な役割を果たす権威ある国際機関イコモスの国内委員会です。樹木ごとの個別データについて、審議委員や日本イコモスに問題を指摘され、八月の審議会答申の後、二か月たってようやく公開したわけです。
 こうした事業者の姿勢には問題があると思いませんか。

○藤本政策調整担当部長 審議会において、評価書案に記載された内容に対する根拠の不明瞭さなどが指摘をされておりました。こうしたこともあり、事業者は、二〇二二年四月から五月に詳細調査を実施し、伐採から移植可に見直した本数について、八月の審議会で事業者は説明をしております。
 詳細調査の樹木ごとの個別データが提出されなかったため、審査意見書で指摘をしたところでございます。

○原委員 そうなんです。個別データを出さないで、最初、伐採本数について、評価書案では九百七十一本としていたのを見直して、五百五十六本に減らしましたといわれても、個別データがないのに信用してくれという方が無理筋ですよね。
 今日は、陳情者が求めている四列のイチョウ並木の部分についてのみ言及します。
 十月二十八日に事業者が公表した毎木調査結果では、四列イチョウ並木について、活力度A、B、C、Dの評価を出しています。その内訳を伺います。

○藤本政策調整担当部長 四列イチョウ並木については、百二十八本のうち、活力度Aが百二十四本、活力度Bが四本となっております。

○原委員 今の説明は、途中から秩父宮ラグビー場へ向かう、いわゆる兄弟木十八本は除いて、百二十八本という本数かと思います。うち百二十四本がA評価、残りの四本がB評価、事業者の調査では、四列のイチョウはほぼ健全との結果です。
 ところが、十一月十日、日本イコモスの石川幹子中央大学研究開発機構教授が、独自に行った調査結果を公表しました。これは、本年十月二十九日から十一月六日にかけて、イチョウ並木百四十六本の一本一本を目視により、幹や大きな枝の欠損状況、また腐朽状況、また、緑量、葉の色、葉の大きさ、葉の密度、先端部の状況、課題などについて調査をしたものだそうです。
 調査結果から、百四十六本中六本に枯損の兆候があることをつかみました。うち一本は先端が枯れ、評価でいうとD評価です。
 石川教授が枯損を指摘した六本について、事業者はどうだったかというと、全てA評価にしていたそうです。そして、事業者のデータは、四年前の二〇一八年十二月から二〇一九年の調査データだったことが明らかになりました。
 イチョウ並木の将来にわたる保全は、都も事業者も表明していますが、現在の樹木状態を事業者は正確につかめていないわけです。枯れかかっているイチョウが六本というのは衝撃です。
 樹木の現状を正確につかまなければ、今後の再開発工事で膨大な土が掘り返され、巨大建物が建てられる。物すごい負荷がかかり、本当に枯れてしまう可能性だってあるわけで、それを回避するための検討がどうしても現段階で必要であるのに、その基になるイチョウの木の現状の正確なデータが事業者から示されていないことは重大ではありませんか。認識についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

○藤本政策調整担当部長 本年五月に都から事業者に対して、イチョウ並木の保全について万全を期すよう要請しておりまして、本年八月には、事業者から保全をするとの回答を得ております。
 再開発事業を実施する事業者が適切に対応すべきことと認識をしております。

○原委員 イチョウ並木をはじめとした本計画区域の樹木の現状調査を都として行うこと、再開発計画により想定されるイチョウ並木への影響についての厳重な調査、検証が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○藤本政策調整担当部長 環境局の所管する環境アセスメントとは、条例に基づく制度でありまして、事業者が大規模な開発等を実施する際に、あらかじめ事業者が環境に与える影響を事業者自らが予測及び評価し、専門家が審議会でその内容を審議することなどにより、環境への影響をできるだけ少なくするための制度でございます。

○原委員 環境アセスというのは事業者がやることであって、都がやるべきことではないというふうな説明だったというふうに思います。
 先ほど確認したとおり、都は異例にも、審議会の答申を受けた知事の意見書に、審議会としても今後の事業者の環境保全措置に継続的に関与することで寄与していくと明記をしたわけです。
 そして、第三回定例会で我が党の代表質問でも明らかにしたとおり、今後、審議会は、事業者の提出する評価書に改めて厳しい目を向ける機会を持つことになります。事業者は当然、この評価書に、今回新たに明らかになった六本のイチョウの枯損の兆候についても、正しい現状認識と対策をきちんと盛り込む必要があります。
 事業者に意見を示した東京都として、少なくともこの点について、改めて事業者に誠実な対応を求めるべきではないでしょうか。この点についてもお伺いをいたします。

○藤本政策調整担当部長 先ほども答弁申し上げましたが、再開発事業を実施する事業者が適切に対応すべきことと認識をしております。

○原委員 八月十八日の審議会総会の議事録を見ますと、審議会答申、知事意見を受けて事業者が今後行う事後調査の資料、報告内容について審議検討が可能かについて議論をされています。
 柳会長は、条例上九十条の報告の聴取等から、知事は、この条例に定めるもののほか、この条例の施行に必要な限度において、事業者に必要な事項の報告または資料の提出を求めることができるという条文を引用し、アセスの手続の中でも活用できることを確認しています。
 あまり例がないけれども、評価書が出る前に、その内容について審議会で確認することができるということです。それが、今後の継続的な関与という答申にまとめられています。
 新たな調査結果によっては、野球場棟の該当箇所の壁面後退等、施設計画の変更の可能性もあるわけですから、再度審議会を開催することを強く求めておきます。
 陳情者も述べていますが、イチョウ並木は国民共有の財産です。このイチョウ並木は、日本の近代造園の師、折下吉延氏により、九メートル間隔での遠近法の手法を用いて育成が始まり、一九二三年に完成、来年で百年、今のような、いわゆるビスタ景と呼ばれる壮観なイチョウ並木の景観は、百年前に計算の上、植えられ、専門家や多くの人々の手で大切に育てられた結晶なのです。
 寿命は三百年はあるそうです。イチョウ並木を将来へ受け渡すための保全、継承は、私たちの代の使命です。
 日本イコモスが十月三日に出した提言では、名勝の指定についての記述がありました。名勝とは、文化財保護法第二条第一項第四号に規定された記念物、遺跡、名勝地、動物、植物、地質鉱物のうち、第百九条第一項の規定に基づき指定される文化財であり、芸術上または鑑賞上価値が高いものとされています。
 二〇一二年六月、文化庁が行った全国調査、近代の庭園・公園等に関する調査研究報告書では、名勝指定または登録記念物の候補となり得る重要事例に、神宮外苑のイチョウ並木が、今後、特に保護措置を充実させる必要性が高いと認められるものとして挙げられています。
 さらなる価値評価及び保護に向けた調査の実施を積極的に行い、そのような調査の結果に基づき、国または地方公共団体による指定、登録の作業を速やかに進めることが必要であるとされていることは、極めて重要と考えますが、このことを環境局はご存じでしょうか。併せて環境局としての受け止めをお聞きいたします。

○藤本政策調整担当部長 ご指摘の調査内容については認識をしております。
 環境アセスでは、既に指定されている史跡や文化財の調査を行っており、文化財への新たな指定につきましては、環境アセスメント制度とは切り離して検討すべきものと認識をしております。

○原委員 要するに、アセス時点で既に文化財指定されているものは、文化財保護法に基づいて対処すると。それとは別に、文化庁の調査は承知しているが、今後の新たな指定に関しては、アセスとは切り離して検討されるべきとの答弁だったと思います。
 所管局ではないかもしれませんが、文化庁の報告書で、今後、特に保護措置を充実させる必要が高い名勝指定候補として、神宮外苑のイチョウ並木が挙げられていることや、地方自治体は指定登録に向けて調査の実施を積極的に行うことが必要と書かれたことについて、東京都環境局としてどう受け止めるのか、もう少しお聞きしたかったなと思います。
 都として、東京都の魅力を高めるためにも、名勝指定について積極的に取り組むことが必要です。環境局からも、所管局に積極的な後押しをお願いするものです。
 都は、イチョウ並木を将来にわたり保全していくために、どのように尽くされるのか、最後に一問お伺いいたします。

○藤本政策調整担当部長 審議会の答申を踏まえた審査意見書では、工事の施行中及び完了後の一定期間にわたり、イチョウ並木のモニタリングを実施し、状況に応じた環境保全のための措置を継続することで、将来にわたりイチョウ並木を健全に育成することと指摘しています。
 事業者は、審査意見書を踏まえて適切に対応することと認識しています。今後は、必要に応じて事業者が審議会に出席し、進捗状況を説明することになると認識をしています。

○原委員 ありがとうございます。
 東京都が名勝指定の取組を本気で取り組むことで、事業者に保全策を求めるだけではなく、イチョウ並木を守る主体的な活動ができるというふうに思います。ぜひ検討していただけるよう求めておきます。
 陳情者が求めているように、都は、事業者に対し、厳重な調査、検証の上、実効性のある保全策を講じるよう、継続して関与していくべきだと。この姿勢は、本当に東京都に問われていると思います。
 イチョウ並木の保全の確実な担保のために力を尽くすこと。都は、事業者に対し、実効性のある保全策を講じるよう関与することを求める陳情の趣旨に全面的に賛同し、採択すべきものと意見を表明し、質問を終わります。ありがとうございました。

○漢人委員 それでは、神宮外苑のいちょう並木の確実な保全に関する陳情について、私は採択すべきという立場から質問いたします。
 まず、今月、十一月十日にイチョウ並木の一部が枯死、枯損し始めているという調査結果が日本イコモス国内委員会によって公表されました。理事である石川幹子中央大学研究開発機構教授らが十月二十九日から十一月六日に行った調査によって、百四十六本のイチョウ並木の樹木のうち六本で枝の一部が枯れるなど、生育状況に問題があることが確認をされました。
 私自身も十一月八日に現地視察いたしまして、このイチョウ並木のすばらしさを本当に再認識しましたけれども、併せて、この指摘をされている木の上部が枯れている状態というのも確認をしてきました。
 再開発でイチョウ並木の西側に新しい神宮球場が接近するため、生育への懸念が指摘されてきましたけれども、今回の調査では、既に現在の状態でも影響が出ているということが明らかになったわけです。
 文化的資産でもあるイチョウ並木の未来永劫にわたる保全は、東京都を含む全ての当事者の合意事項になっていると思います。東京都及び事業者は、この十一月十日に発表されたイコモスの調査結果をどのように受け止めているのかをお伺いいたします。

○藤本政策調整担当部長 イチョウ並木につきましては、本年五月二十六日に、都から事業者に対し、保全については万全を期すよう要請し、事業者からは八月十八日に、イチョウ並木を保全するとの回答を得ています。事業者においては、この方向で対応を進めているものと認識をしております。
 事業者には、改めて保全を期すよう要請はしております。

○漢人委員 八月十八日に審議会の答申があり、知事としては、これを受けての審査意見書を提出しているわけですけれども、その後に出た今回の調査結果です。これをしっかり都としても受け止め、それを事業者に対しても、改めて保全を期すように要請をしたということで、八月の答申、意見書提出後のことなんですけれども、再確認いたします。これについても、東京都としてもしっかりと受け止め、事業者に保全を促すように改めて要請したということで確認してよろしいですか。

○藤本政策調整担当部長 事業者には、五月二十六日、都から事業者に対し保全について万全を期すよう要請し、そのことについて改めて要請をしているということでございます。

○漢人委員 すみません、だから、五月の話ではなくて、今は十一月十日の調査結果について、この新しい事態について、改めて要請したということでいいんですか。その新しい十一月の結果については、要請していないんですか。

○藤本政策調整担当部長 事業者には、改めて保全するよう要請をしております。

○漢人委員 この十一月の新しい調査結果について要請しているというふうに今のは受け止めたいと思います。
 そして、現状においてもこのように枯死、枯損が始まっているということです。
 再開発後には新球場がイチョウ並木から僅か八メートルの位置に計画をされているわけです。根の分断や栄養、水分の不足によって、まさしく存亡の危機に陥ることが危惧されるということになります。
 今回、イコモスの調査で共同で取り組まれた、樹木学の第一人者である東京農大の濱野周泰客員教授は、再開発について、新たな建築物の影響をかなり吟味する必要があると指摘をしています。根系、水系、土壌の調査を事業者にきちんと実行させることは不可欠だと思いますが、都は、調査実施の見通しをどのように認識をしているでしょうか。

○藤本政策調整担当部長 都から事業者に送付している審査意見書では、イチョウ並木の根系調査の実施を求めるとともに、土壌の質や土壌水分量等の土壌環境を含めた樹林地の保全及び再生の考え方を示すよう指摘しております。
 事業者は、審査意見書を踏まえ、それらの調査を実施するなど適切に対応するものと認識をしております。

○漢人委員 事業者の適切な対応を求めたいと思います。それをしっかりチェックしていただきたいと思います。
 次ですが、ちょっと順番を変えまして、風害の方から伺います。
 再開発では、イチョウ並木に隣接して六十メートルとなる野球場、そしてさらに八十メートル、百五十メートル、百九十メートルの三棟の超高層ビルが計画をされています。
 この超高層ビル群によるビル風の被害も懸念されているわけですが、都は、このビル風被害について、どのような想定をし、具体的な対策を考えているのかお伺いいたします。

○藤本政策調整担当部長 審査意見書におきまして、風環境の予測結果では、事務所棟南側をはじめ、現況からの変化が一定程度生じる地点が多く見られることから、環境保全のための措置を徹底するとともに、事後調査において調査地点を適切に選定した上で、その効果の確認を行い、必要に応じて対策を講じることを指摘しております。

○漢人委員 次はですね、イチョウ並木は様々な生物が息づくグリーンベルト的な役割を果たしています。
 東京都は、イチョウ並木の生物多様性を守るという役割について調査をしているでしょうか。
 また、今回の再開発による生態系全体への影響についてはどのように認識をしているのかお伺いいたします。

○藤本政策調整担当部長 審査意見書では、生物生態系について、新宿御苑から赤坂御用地、青山霊園へ連続する緑のネットワークにおける生態系のつながりや、そこで拠点となる緑地の範囲を具体的に図示することなどを指摘しております。

○漢人委員 まさに来週十二月七日からは、カナダのモントリオールで国連生物多様性条約の第十五回締約国会議COP15が開催されようとしております。
 また、東京都は、現在、生物多様性地域戦略の改定作業の最終段階にあるということです。この地域戦略の中では、エコロジカルネットワークの形成ということで、生物多様性の連続性を担保することが重要であるということも記載をされているところです。
 まさに、今つくっているこの地域戦略に合致した計画となるようにチェックし、関与していくということを強く求めたいというふうに思います。
 次の質問ですが、事業者は、審議会の結果を受けて、伐採樹木を四割削減したとの報道がされています。そのように受け止めている方も多いかと思います。
 しかし、この根拠の一つとして、伐採予定だったイチョウ並木十九本及び八十五本を移植対象として、伐採本数を減らしたように見せかけているということがあるわけです。
 しかし、多くの専門家から、移植は不可能との指摘がされています。移植については、審査意見書でも具体的な対応が求められていますので、この件について二点お伺いしたいと思います。
 まず、審査意見書には、既存樹木の健全度や移植の可能性に関する詳細調査結果をデータと併せて説明し、その結果を反映して、既存樹木への影響を回避、最小化するための考え方を示し、残置、移植、伐採等変化の程度について予測、評価を見直すとともに、移植木を活用した樹林地の再生計画を作成することとあります。
 この再生計画は、評価書において示されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○藤本政策調整担当部長 評価書を作成するに当たりましては、条例や技術指針にのっとり、審査意見書等に基づき十分な検討を加え、評価書案の修正の経緯及びその内容を記載することになります。

○漢人委員 質問は、評価書に再生計画は示されるのか、記載されるのかということを伺っているんですが、今のご答弁は、記載されるということで受け止めてよろしいですか。

○藤本政策調整担当部長 ただいま答弁申し上げましたとおり、評価書を作成するに当たっては、条例や技術指針にのっとり、審査意見書等に基づき十分な検討を加え、評価書案の修正の経緯及びその内容を記載することになります。

○漢人委員 残念ながら繰り返しなんですけれども、知事が事業者に対して提出した意見書では、今いいましたような移植木を活用した樹林地の再生計画を作成することというふうに書いてあるわけですから、当然この審査意見書等に基づいて十分な検討を加えて、評価書案の修正の経緯及びその内容を記載するということであれば、再生計画について、困難であると、記載できないということでは記載できないということになるでしょうし、それが作成されれば作成されたということで、何らかの言及がもちろんされるということになろうかと思いますので、ぜひそのような点をチェックいただきたいと、確認をいただきたいというふうに思います。
 次に、この件で二つ目ですが、審査意見書にはこのような記載もあります。移植の限界性を踏まえ、移植時期、方法、植栽基盤確保の考え方並びに仮移植期間における養生計画、養生期間中のモニタリング結果を反映した本移植計画等、移植の確実性を高めるための措置を計画の深度化に応じ、具体的に示すこと、このように記載をされています。
 移植の確実性を高めるための措置というのを具体的に示す時期というのは、事業化のプロセスのどの段階を想定しているのかお伺いいたします。

○藤本政策調整担当部長 事業者が行う設計などの計画を立てる段階において、計画の深度化が図られた時期と認識をしております。

○漢人委員 これは評価書提出の時期ではなくて、事業が進む中でということかと思いますけれども、しっかりとこれについても各段階段階でのチェックが必要だというふうに指摘をしておきたいと思います。
 最後の質問ですけれども、今回、東京都は、事業者から提出された環境影響評価書の確認に当たって、審査意見書の指摘事項への対応が十分であるかを検証、評価するために、審議会の意見を聞くべきだというふうに思います。
 そして、これはこれまでもほかの委員の方からも繰り返し確認されていますが、審査意見書では、審議会としても、今後の事業者の環境保全措置に継続的に関与するという、まさに異例の一文が付されているわけです。
 この継続的な関与が行われるためには、環境影響評価書の確認に先立って、審議会を開催する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○藤本政策調整担当部長 評価書が提出される前に審議会を開催し、事業者が審議会で評価書に記載する内容を説明し、審議会委員は助言を行うことができるものと考えております。

○漢人委員 今、行うことができるということは、するかどうかじゃなく、できるということだけなんですね。
 私はするべきではないか。今回のこの異例の一文がつけられて、継続的な関与をするということになったんですから、評価書が提出される前に、それが確認される前に、審議会を開催するんですよね。することができるけど、しないかもしれないんですか。これは開催すると、そこで審議会の意見を聞くということを明言していただきたいんですが、いかがでしょう。

○藤本政策調整担当部長 先ほども答弁させていただきましたが、評価書が提出される前に事業者が審議会に出席して、評価書案の素案について説明を行います。

○漢人委員 すみません、語尾が大事なんですけれども、ちょっと聞き取れなかったので、最初の答弁では、助言を行うことができるという、何か、可能だといういい方だというふうに聞いたんですね。
 だから、やるんですねと。できるけれども、やらないかもしれないんじゃなくて、それは審議会を開催し、そして、事業者からの意見を聞き、審議会委員が助言を行うということをすると。審議会を開催するという確認をしたいんですけれども、そこだけはっきり確認させていただけませんか。

○藤本政策調整担当部長 先ほどもご答弁させていただきましたが、本事業では、審議会を開催し、評価書が提出される前に事業者が審議会に出席して、評価書の素案について説明を行います。

○漢人委員 ありがとうございます。
 行いますというふうに明確に答弁をいただきました。
 このイチョウ並木の保全については、本当に皆さんが一致して望んでいることでありますので、しかし、結果としてできなかったとか、大丈夫かと思ったけど、何年もたったらやっぱり枯れちゃったわとか、そんなことにならないように、本当にしっかりと審査をしていただき、関与していく中で、この事業が進められる、あるいは大きく見直されるということを求めておきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○里吉委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認めます。よって、陳情四第七五号は趣旨採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上で環境局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました陳情につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十四分散会