環境・建設委員会速記録第十五号

令和四年十一月十日(木曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十一名
委員長里吉 ゆみ君
副委員長曽根はじめ君
理事柴崎 幹男君
理事小磯 善彦君
漢人あきこ君
山田ひろし君
原  純子君
渋谷のぶゆき君
伊藤こういち君
こいそ 明君
たきぐち学君

欠席委員 二名

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
理事宮澤 浩司君
総務部長節電行動連携担当部長兼務小川 謙司君
環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務上田 貴之君
政策調整担当部長藤本  誠君
気候変動対策部長荒田 有紀君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長鈴木 研二君
環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務宗野 喜志君
自然環境部長和田 慎一君
生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務小林 洋行君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環技術担当部長風祭 英人君
資源循環計画担当部長村上  章君

本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)

○里吉委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小川総務部長節電行動連携担当部長兼務 去る十月十八日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をご覧ください。
 表紙をおめくり願います。目次にありますとおり十三項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移(過去五年分)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度(速報値)までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量を記載しております。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しており、二ページ及び三ページについても同様に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移(過去五年分)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度(速報値)までの各年度における温室効果ガスの年間排出量を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移(過去五年分)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度(速報値)までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況(過去五年分)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの各年度における発電方式ごとの設備容量を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去五年分)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの各年度における再生可能エネルギー電力利用割合等を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額(過去五年分)でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載しております。
 七ページをお開き願います。7、都内自動車走行量の推移(過去十年分)でございます。
 平成二十二年度から令和元年度までの各年度における旅客及び貨物の各部門の自動車走行量を記載しております。
 八ページをお開き願います。8、都内の新車販売台数及び自動車走行距離に占めるEV・PHV・FCVの割合(乗用車)でございます。
 令和二年度における乗用車の新車販売台数及び走行距離に占めるEV、PHV及びFCVの割合を記載しております。
 九ページをお開き願います。9、建設汚泥の発生量(過去五年分)でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの各年度における建設汚泥の発生量を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。10、区市町村で回収している容器包装プラスチック量とリサイクル量とその合計(令和二年度、区市町村別)でございます。
 令和二年度における区市町村別の容器包装プラスチック量とリサイクル量を一一ページにかけて記載しております。
 一二ページをお開き願います。11、都有施設の太陽光発電システムの設置ポテンシャル及び設置状況の推移(施設分類別・過去五年分)並びに区市町村有施設における設置状況の推移(区市町村別・過去五年分)でございます。
 (1)、都有施設につきまして、平成二十八年度から令和二年度までの各年度における施設分類ごとの設備容量及び平成三十年度に実施した調査における設置ポテンシャルを記載しております。
 一三ページをお開き願います。(2)、区市町村有施設につきまして、平成二十八年度から令和二年度までの各年度における区市町村ごとの設備容量を一五ページにかけて記載しております。
 一六ページをお開き願います。12、省エネ、再エネのための補助金利用実績(予算額・決算額・交付申請件数・支払件数)(過去五年分)でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの各年度における事業ごとの予算額、決算額、交付申請件数及び支払い件数を二二ページにかけて記載しております。
 二三ページをお開き願います。13、PFOS、PFOA等の測定状況と測定値でございます。
 令和三年度に測定した地下水中のPFOS及びPFOA及びPFHxSの濃度を測定地点ごとに記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○里吉委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ(明)委員 それでは、よろしくお願いします。
 まず最初に、エネルギー施策に関する環境局と産業労働局の役割分担について伺いたいと思います。
 昨年七月の組織改正によって、これまで環境局が担ってきたZEV普及やエネルギーインフラに関する政策、施策等が、事業者向けの事業は産業労働局に移管したわけです。
 環境局は、家庭対策を強化するんだと、こういうことをいわれているわけでありますけれども、環境局は、そもそもディーゼル車対策など、これまで大気環境、大気汚染の対応だとか改善、脱炭素社会の実現に向けて、積極的な施策を展開してきたと。これはもうしっかりと承知しているところでありますけれども、ZEVの普及拡大や水素社会の実現に向けた取組なども、こうした一貫的、また目的の下、実施されてきたというふうに認識しています。
 今回の組織改正によって、そこが揺らぐことがあっては当然ないわけでありますけれども、また、ZEVの普及を進めながら地域のエネルギー供給拠点として必要不可欠な社会インフラ、災害時には燃料供給の最後の役割を果たすといわれるガソリンスタンドですね、このガソリンスタンドの機能をいかに維持していくのか、これも極めて重要な課題ではないかというふうに思うんです。
 最近、既存のガソリンスタンド、いわゆるネットワークインフラ、生活インフラ、産業的な観点からも重要なインフラでありますけれども、このインフラをそのまま活用できないかということですね。今の潮流でいくと、ガソリンノーということで、関係者もこれからどうするのかなといろいろいわれますけれども、そういう中で、このインフラをどうするか。
 その中で、可能な水素由来の液体合成燃料、すなわち夢の原油といわれるEフュエルの導入が、ここに来てさらに促進をされてきたような感がいたすんです。これは官民協議の下、いわゆる協議会も発足したそうでありますけれども、そういう中で常に、これは最新だと思いますけれども、このような動向もしっかり把握する中、多様な脱炭素エネルギーを推進していく、課題を乗り越えていく、こういうことが必要であろうかというふうに思っております。
 事業移管の考え方と、今後、環境局としてどのようにEVなどの施策に関与されていくのか、この辺りの見解を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 脱炭素化等のエネルギー対策をより実効性のあるものにするためには、これまでの環境政策に加え、世界的な脱炭素の動向を踏まえた企業経営の革新といった産業政策が必要でございます。
 こうした観点から、脱炭素化など、エネルギー構造の変化に対応した企業の体質改善や技術開発等に関する施策を本年七月に産業労働局に移管いたしました。
 一方、都内CO2排出量の約二割を運輸部門が占め、その八割が自動車に起因するなど、ZEV普及等が気候変動対策にとって不可欠な施策であることに変わりはございません。
 このため、環境局が新たに策定した環境基本計画においても、引き続き、ゼロエミッションモビリティーの推進を柱に据えており、産業労働局と緊密に連携を図りながら、ゼロエミッション東京の実現に向けたZEV等の普及促進策を強力に展開してまいります。

○こいそ(明)委員 引き続いて、ZEV施策全体を環境基本計画の柱に据えて、産業労働局とは密接に連携していくというご答弁だったかと思うんです。環境局として、今後もしっかりと責任を持って、まあ、今までもしっかりと担ってきたわけでありますから、連携を取りながらもしっかり取り組んでいただくことを要望させていただきたいと思います。
 次に、建築物環境報告書制度について伺います。
 先般、カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針が公表されました。先日の第三回定例都議会においても議論が進み、新制度の全体像が明らかになってきたところでもあります。
 カーボンハーフの実現に向けて取組をさらに進めていくことは当然に、これはもう否定なんてする次元じゃありませんけれども、今回の新制度の必要性については、都民や事業者に対して、十分な説明が尽くされているのか否か。
 そこで伺いますけれども、東京都環境局、都は、なぜ今、太陽光パネルの設置にここまでこだわるのか。その手段として、なぜ義務化という強い手段を用いるのか。そして、この新制度により、どれだけの効果が見込めるのか、都の見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、都内CO2排出量の七割超を占める建築物におけるエネルギーの脱炭素化は急務でございます。
 現状、都内の住宅屋根への太陽光パネルの設置率は四%にとどまっており、大きなポテンシャルが存在しております。
 こうしたことから、大都市ならではの強みである屋根を最大限活用し、新築住宅等への太陽光パネルの設置などを大手住宅供給事業者等に義務づけ、取組を加速することといたしました。
 新制度による太陽光パネルの導入量は、年四万キロワット程度を見込んでございます。これに既存建物や公共施設への導入増加等も加えますと、二〇三〇年度には現在の三倍超となる二百万キロワット以上となり、その電力量は都内電力消費量の四%と見込んでございます。

○こいそ(明)委員 いわゆるポテンシャルがあると、東京の状況下の中でね。それは、そのことはそうなのかなということでありますけれども、しかし、非常に疑問が広く寄せられているのは、今申し上げたけれども、なぜ義務化、半ば強制までしてこれをやらなきゃいけないのかという、これが理解、なかなか厳しいんですよね、はっきりいって。趣旨は分からないことはない。だけれども、じゃあ、なぜということがいつもついてくるんです。
 二〇三〇年度の都内の発電設備の導入量については、二百万キロ以上を見込んでおり、今ご答弁ありましたけれども、都内電力消費量の四%の政策効果があるというお話であります。確かに現在の一%と比べると四%ですから、これは小さくはありません。効果があるということだというふうに思います。
 しかし、数字を見てもこれで十分なのかと思わざるを得ません。再エネ電力利用五〇%という目標の実現に向けては、他の施策も含めたさらなる取組が当然必要であると思うんですね、これ。
 都民、事業者に対して、新制度導入の意義やその効果について、やはりもう一段、理解を深める。先ほど申し上げましたけれども、強制力という半ば義務化までしてやるんですから、この辺りをしっかり伝えなければ理解を得ません。
 もちろん、この新制度を導入していくというようなお話の中でありますけれども、今のことを踏まえて、今後どのように浸透させていくか、お願いします。−−では、続けます。ということが一点。
 それから、次に、今回、シリコンを内蔵させていきますよね、いわゆる太陽光パネルの中で。これはもう常々いろんな方々からもいわれておりますけれども、ここはかなりの部分が、いわゆるウイグル自治区であるということですね。ここは、報道等々でもいわれておりますけれども、人権の抑圧がされていると。強制労働に、何というんですかね、大きな問題がそこにあるということをいわれております。
 この中国新疆ウイグル自治区で、綿やアパレル製品、トマトや加工品といった農産物に加えて、今申し上げる、これから東京都がさらにやっていこうとする太陽光パネルの主要な原材料であるシリコンの採取等で、少数民族の強制労働、いわゆる人権弾圧が現状として行われているという懸念が様々に伝わってくるわけです。
 その中で、厳しい監視下から命がけで亡命をしてきたウイグルの方々の証言によると、欧米諸国でいわれていること、証言だとか報道でも度々現地の状況というのは伝わってきておりますけれども、ジェノサイドではないかといわれるんですね。
 このように、欧米だけではないかもしれませんけれども、ウイグルの現下の人権状況は、今申し上げましたように、そのような指摘がされている、認識をされている。その中で多くのウイグル人、すなわち約百万人のウイグル人が厳しい管理、監督下に置かれているという状況が報道からもされています。
 まさに自由が保障されない、強制的、これ、訓練所といわれておりますけれども、カメラが入りましたけれども、それから亡命者の話でいくと、強制的収容施設ではないのかと。二十四時間の監視体制の中で、いわゆる強制労働、十数時間の強制労働をした中で、後でいわゆるまた学習と称する政治学習が行われると。
 そして、収容所も大変狭隘な、これは施設によっても違うかもしれませんけれども、いわゆる証言の中での話ですけどね、非常に狭隘で、飲食をするところは一つの施設施設の部屋があると。その方は、女性の方が証言されていますので、特に女性の立場でいわれているんですけれども、そこの中に、収容人員を大幅に超えるぐらい入れられる、丸坊主にされて入れられている。バケツに用を足すんだけれども、とてもとても非衛生的である。少し何かあると食事が与えられないと。それから、何かコーランでもちょっとイスラムのあれを少しいうと、これはもう大変な拷問が待っていると。そういう様々な監視、厳しい状況下を証言されているんです。
 特にショッキングなのは、ちなみに人権人権というから、具体的にいわないとということで、あえて触れますけれども、女性に、この方もそうであったそうですけれども注射を打たれると、薬を飲まされると、何かもうめちゃくちゃ吐き気がするし、動悸、吐き気、これはよくよくいろんなことを調べると、強制避妊だそうなんです。ということもある。レイプも日常的に発生している。もうこういうことは証言としてでありますけれども、出されているんです。
 まだまだ、これ、一部でありますけれども、この一部、私も申し上げさせていただきましたが、欧米諸国でこうした生々しい証言が出てくる中で、特に米国では、こうした人権弾圧が強く問題視されて、本年六月には同自治区が関与する製品の輸入を全面的に禁止するという法律が施行されました。
 ヨーロッパ諸国においても、世界的にも、やっぱり人権問題、これは非常な強い関心事であることはいうまでもないです。日本でもそうです。
 こういう中で欧米諸国、その中で日本の首都東京として、その新制度をこれから導入するということは、さらに輸入していかなきゃいけないということだと思うんです。
 その中で、企業が、企業が、企業に聞いているよと、企業を指導しているよというだけでなくて、当事者としては新制度までつくるといっているんだから、当事者の東京都としてどうなんだということは当然問われるんですよね。その中で、世界の目は、メガシティすなわち日本の首都東京に注がれますよ、これ、はっきりいって。じゃ、東京はどうするかということなんですよ。どうするんだということは、明解に人権問題に対してはやっぱりコメントすべきだと思います。
 こういう意味で、人権尊重に関する取組を進めるべきだと、今、全体的な話があるわけでありますけれども、それについて都の見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 持続可能な社会の実現に向けましては、サプライチェーンにおける企業の責任ある人権尊重の継続的な取組を促進することが重要でございます。
 都はこれまで、業界団体である太陽光発電協会と連携し、ヒアリング等を通じまして、国内太陽光パネルメーカーの取組状況等の把握に努めてまいりました。
 そして、同協会とその会員企業は、先月十五日、国のガイドライン等を尊重し、サプライチェーンにおける人権問題の防止、軽減に最大限努めることを宣言いたしました。
 今後も太陽光パネルメーカー等と継続して意見交換を実施し、国のガイドラインや同宣言等を踏まえ、企業に適正な取組と情報公開を促していくとともに、業界団体と連携し、SDGsを尊重した事業活動を促進してまいります。

○こいそ(明)委員 企業に対して、企業にもよくいったんだよと、聞き取りをしてありますよと、よくいわれるんだけれども、これ、何回もいって大変恐縮ですけれども、新制度をやるのは企業じゃないので、これ、東京都じゃないですか。その中で、いろんな懸念が生じてきている中において、主体的にしっかり受け止めて対応していくのは、これ、東京都じゃないですか。
 その意味からも、私は全国初の制度を導入する都として、この人権問題も含めたしっかりとした受け止め、取組ですね、これを強く要望させていただきたいと思います。
 次に、住宅用太陽光パネルの供給に関して伺いたいと思います。
 かつて太陽光パネルの生産は、二〇〇〇年頃までは日本が生産量、導入量ともに、当時は世界一を誇っていたときもありました。ここ十年で太陽光パネルの生産の中心は、日米欧から中国に移行しました。現在においては、中国産のシェアが世界の八割を占めるまでにもなっております。
 このような背景もあって、現在、日本国内に設置されている産業用太陽光パネル、いわゆるメガソーラーの多くが海外から輸入され、特に生産量の多い中国からの輸入が大勢を占めていると聞いております。
 現在、都で検討を進めている新制度の導入により、都内で住宅用太陽光パネルの需要がますます増加することが見込まれますね。これ、現状を今いいました。
 そして、今後、この太陽光パネルの国内における、商品開発の状況ということ、これも極めて重要になってくるのかなと思うんですね、いうだけではなくて。
 それでは、それに対する対応をしている事業者への支援策について、都の見解を伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 近年、国内メーカーを中心に、反射光を防ぐ防眩性能に優れたパネルや複雑な屋根形状に設置可能なパネルなど、建物が集積する東京の特性を踏まえた商品の開発が進んでおります。
 今後、都は、このような都市部の実情を踏まえた商品ラインナップの普及等を後押ししてまいります。
 加えて、業界団体と連携したセミナー等を実施するなど、設計、施工技術の向上等の取組についても支援を行ってまいります。
 こうした支援等によりまして、太陽光発電設備等を備えた住宅の標準化に向けて、事業者の積極的な取組を促進してまいります。

○こいそ(明)委員 やはり日本発の技術を活用した次世代太陽電池の開発も進んできているようでありますけれども、実用化にはまだまだ時間がかかるといわれております。
 今後はですね、やはり、るる私申し上げましたけれども、できるならば純国産のパネルの開発、そして様々な諸問題の、何ていうかな、やっぱりこう複層的に関係してくるわけだから、ぜひそういう観点からも国産化を後押しするということ。これこそ支援、協力していったっていいと思いますよということで期待をさせていただきたいと思います。
 次に、負担軽減についての取組について伺います。
 基本方針においては、新制度の実施に向けた補助制度の充実など、支援策の考え方が示されました。各事業者の取組状況に応じ、現場の実態に合った事業者への支援を検討しているというふうに伺っております。
 この補助金相当額が着実に都民負担の軽減につながっていくのかどうなのか、この点について見解を伺います。

○関制度調整担当部長 これまで、大手ハウスメーカー等と意見交換を重ねた中で、初期費用に対する懸念について、強い要望が寄せられております。
 このため、都では、リースなど初期費用なしで太陽光発電設備を設置するサービスを提供する事業者への支援を新たに実施し、都からの助成金は、リース料等の軽減を通じて住宅所有者に還元される仕組みとすることを検討しております。
 また、事業者に対して、機器購入費用を補助する場合についても、同様に還元される仕組みとしてまいります。
 引き続き、設置時の費用負担を支援する補助制度の充実に向け、検討を進めてまいります。

○こいそ(明)委員 現下のロシア、ウクライナ情勢、大変緊迫しておりますけれども、この情勢、そして円安による原価、原材料の価格の高騰が長期化しています。また、深刻化しています。都民の暮らしは大きな影響を受けています。
 このような中で、都民への負担の懸念解消というのは、これはもう当然にしてしっかり対応していかなきゃなりませんけれども、このように様々な諸条件、現下の状況、情勢ということなんですけれども、この中でしっかりと対応をしていっていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、都有施設での太陽光発電設置に係る取組について伺います。
 都の取組に対して、先ほども申しておりますけれども、皆さん、ご努力されていて大変恐縮なんですけれども、十分な都民理解を得るためにも、まずは都自らが都有施設で率先して太陽光設備を導入する、その効果を見せることも当然必要だと思います。
 二〇三〇年度までに設置可能な公共施設の約五〇%に太陽光発電施設を導入することを目指していると聞いておりますけれども、都においては、具体的な取組が現下、求められております。
 さらに、都は、数多くの公共施設を運用して多くのエネルギーを消費している大規模事業者であるという側面を持つことから、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、都自身も再生可能エネルギーの利用拡大にさらに取り組むべきだと考えます。これは、はっきりいって太陽光だけじゃないと思いますけど。
 そこで、都有施設における太陽光発電等の設置について、これまでと今後の取組を伺います。

○中村率先行動担当部長 二〇三〇年の東京全体のカーボンハーフに向け、多くのエネルギーを消費する都自身が、隗より始めよの意識の下、再生可能エネルギー導入等の率先行動を一層強化していくことが重要でございます。
 これまで都は、都有施設における太陽光発電設備設置について、新築、改築時の原則設置など導入を進めてきておりまして、令和三年度末時点で、知事部局等の都有施設において、合計で九千百キロワット設置しております。
 さらに、既存施設への太陽光発電設備の設置も加速化するため、二〇二四年度の設置目標を一万二千キロワットから二万キロワットに大幅に引き上げるとともに、推進を担う専任の組織体制も強化いたしました。
 新体制の下、日照条件や構造等、詳細調査を行い、設置可能性を判断しつつ、今年度は約五十施設の既存施設への設置に取り組んでおり、全庁的に取組を加速させ、二〇三〇年度までに設置可能な都有施設への一〇〇%導入を目指してまいります。
 このように、都自らの率先的な取組を事業者、都民等にお示しし、都内の再生可能エネルギー導入拡大を力強く牽引してまいります。

○こいそ(明)委員 しっかりと取り組んで進んでいただきたいと思います。
 次に、太陽光パネルのリサイクルについて伺います。
 設置済みの太陽光パネルは、二〇三〇年半ば以降に大量に廃棄を迎えると見込まれているわけでありますけれども、いわゆる準備というか、計画対応といいますか、その中で、現在、リサイクル施設は首都圏に七か所と。東京に僅か一か所、六か所が他県であるということですね。
 例えば、島を除いた東京都面積の三分の二を占める面積の多摩地域、約四百二十万の人口がある多摩、これ、どこにどう持っていったらいいんですかね、多摩地域。
 そして、なおかつ、要するに、これ、環境局はリサイクルのまさにど真ん中所管じゃないですか。さらに自区内処理の原則論だってあるんですよ、これ、本来は。ほかの産業廃棄物だって、かなり他県に依存している。何とか東京都内でできないかということをさんざんいわれる中で、この制度がスタートする時点で、もはや都内は一か所、県外に依存する六か所、そして多摩地域四百二十万、これに対する対応も、いまだ示されていない。これ、どういうことですか。

○村上資源循環計画担当部長 委員ご指摘のとおり、太陽光パネルのリサイクル施設は首都圏に七か所ございますが、都内には臨海部に一か所のみで、多摩地域にはございません。
 太陽光パネルのリサイクルに向けまして、その体制を整えていく必要があると認識してございます。

○こいそ(明)委員 そのとおりなんだと思いますけど、でも実際、大量に予測されるわけでしょう、多摩地域だって。予測数値だってあるわけだ。その中で、最初から、何回もいって申し訳ない、これだけにしますけれども、他県依存が一対六ということはどういうことですか、これ、はっきりいって。
 それから、なおかつリサイクルをしっかりしっかりやるという中でも、新しい技術が必要ですよ、これ、はっきりいって。こういうところこそ官民一体となって、いかにしてリサイクル率を上げていくか。もう日進月歩で技術が進んでいるわけであるからして、そういう観点からも、施設が七か所できたらいいじゃないかとはいわないけれども、これで万全ですよとはいわないでしょうけれども、私は何か欠落しているんじゃないかと思います。
 というのは、現在だって数は少ないけれども、故障した、あるいは不具合で破棄されている太陽光、現実にないわけじゃないでしょう。そういうことを見ながらも、処理形態をどうしていくか。これが、制度が発足してから用意ドンであるというふうにいわれるけれども、私はそうじゃないと思います。
 制度をこれからやっていくんだという前段の中で、リサイクルはこれだけしっかりやるんだと、処理をしっかりやるんだと、東京都でしっかりやる決意と覚悟を持ってやるんだということぐらいは示していただかなければ、環境局はリサイクル所管局として、はっきりいってどうなのかなと私は思います。こんなことを含めて、局長、どうでしょう。

○栗岡環境局長 太陽光パネルは、二〇三〇年代半ば以降に大量廃棄を迎えますことから、環境負荷の少ない循環型社会の形成に向けて、効率的にリサイクルできる体制を整えていくことが重要だと考えてございます。
 都は、都内で七割を占める住宅用パネルのリサイクルに向けまして、本年九月に関係事業者−−これは解体事業者ですとか収集運搬事業者、あとリサイクル関連の事業者も入ってまいりますけれども−−で構成する協議会を立ち上げました。
 今年度は、実際にパネルの収集運搬を行いまして、課題やノウハウを蓄積してまいります。
 こうした知見等を踏まえまして、今後、多摩地域を含む都全体において、パネル集積施設も組み合わせた効率的なリサイクル体制等を検討するなど、都が主体となって高度循環利用が行える仕組みを構築してまいります。

○こいそ(明)委員 ご答弁、今、局長からいただいて、そのとおりだというふうに思います。協議会ができましたよね。協議会で様々な審議をした。協議会からこういうような事実上の答申的なものもいただいたと。これは、このプロセスとしては、その歩みはそうでしょう。でも、主体として、事務局はやっぱり局だ、それで、なおかつそれを回していく全体的なコーディネートから含めた全て、これを進めていくのは協議会じゃないですよね、当然。
 であるからして、局が責任を持って、いわゆる大量廃棄、リサイクル対応をしていかなきゃいけない、このところをしっかり対応していただくという、今ご答弁いただきましたから結構なんですけれども、それをぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
 それでは、続きまして、資源循環社会に向けた取組の一つでありますけれども、今年四月にプラスチック資源循環法が、ご案内のとおり施行され、私も多摩に住んでおりますので、どうしても多摩地域となっちゃうんですけれども、多摩地域の多くの自治体で分別収集している容器包装リサイクルと、文房具や、バケツといったって、いろんなバケツがあると思うんですけれども、いわゆる製品プラスチックを一緒に回収してリサイクルすることが、広まっていくと見込めるわけですね、この法施行後の現場として。
 循環型社会の形成を強く、それぞれ皆さんも訴えてこられたわけでありますけれども、このいわゆるプラスチック資源循環法の実際的な運用と対応は非常に極めて重要だというふうに認識しておりますから、私も期待するところであります。
 一方では、法にのっとってリサイクルを推進していく上で、例えばプラスチックのリサイクルを実施する、製品プラがどのように分別収集の対象になっているのかといった情報が、一部でありますけれども、市区町村で十分に浸透していないのではないかというような声も聞きます。
 こういう中での課題が様々ある中で、都は今年度から、市区町村がプラスチックのリサイクルに取り組む際の支援策を拡充するんだと、製品プラスチックのリサイクルの開始も支援策の対象にしたと。こうしたことをすることは極めて大切だと思いますが、重要なのは、自治体が実際に、この法の趣旨に基づく本来的なプラスチック及び循環型社会形成を図っていくという捉え方、認識が極めて大切であり、その後の実践が必要になってくるんではないかと思います。
 現状、多摩地域で製品プラスチックの分別回収を行っているのは八市にとどまっていると聞いておりますけれども、都は、全市区町村における製品プラスチックのリサイクル実施に向けて、確かに基礎自治体がしっかりやっていかなきゃいけない、これはそのとおりだと思います。
 しかし、このプラスチックというのは、地域にとっても非常に極めて環境、そしてまた、循環型社会形成を図る意味からも大切でありますけれども、これはグローバルな観点から見ても当然大切ですよね。小川から中小河川に流れ込んだり、海に流れ込む、いろいろなことがありますよね。その中における、世界は回っていますよね。このプラスチックの問題も、様々な現象が。ですから、地域と世界がやはり何らかの形で結びついちゃっているわけです。
 そういう意味合いからも、私は、首都東京、環境局が、地元がやれ、地元がやれというのはそのとおりなんだけれども、それだけじゃなくて、主体的にこれを実行、進める、これ、やっぱり環境局がやるべきだと、一緒になってやるべきだと思うんです。
 加えて、さらにもう一点、リチウムイオン電池、様々な団体からも提起されていますね。施設が火災になっちゃっていると。火災が起きてしまって、大変だったというお話もある。その起きる可能性は全くないわけじゃない、いろんな皆さんの、いわゆる防火というか、施設者も対応されているんだけれども、しかし、残念ながら発生するところもある、リチウムイオン電池ですよ。
 それは、清掃車もそうです。以前は、都内全体で百件を超える収運のときの火災事故が発生して、一番新しくもないけど、ちょっと古くなりましたけれども、渋谷駅で、あれは何時台のニュースですかね、ばあんと出た。ショッキング。あれからみんな意識が強まった。ばあんと火を噴いた。大変な人のところで火を噴いちゃった。それをカメラがしっかり捉えていて、報道として流しました。これは大変だということになった。
 それにも、いろいろと当時のあれですから、ライターだとか、いろんなことの原因関係もあるんでしょうけれども、現在はどうもイオン電池が原因ではないかと。
 そして、さらに、結構な話なんだけれども、製品プラスチックの、都の、都のですね、一括回収がさらに始まれば、そのリスクはどうなるのかなという懸念もあります。
 こうした事故を防止するため、都民や事業者に対してリチウムイオン電池の危険性や電池が含まれる製品、適切な排出方法をしっかりと周知していくことが、私は求められていると思うんです。ですから、これは都の見解を伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 リチウムイオン電池は、プラスチックと交ざって排出されると火災の原因となる一方、リチウムやコバルトといった希少な鉱物を含んでおり、安全に回収、リサイクルができるよう、発火事故の発生防止に取り組むことは急務でございます。
 そこで、都は、廃棄物の収集運搬や処理時に発火事故を引き起している現状や、リチウムイオン電池の適切な廃棄方法等について、東京消防庁等と連携して作成したポスターやリーフレット、都民向けの動画などにより、広く都民や事業者などに分かりやすく周知をしております。
 今後、市区町村に都の支援策の活用を促し、さらなる周知を図ることなどにより、リチウムイオン電池の適切な排出を進めてまいります。

○こいそ(明)委員 様々な要因で発生するけれども、やっぱり割合としては、どうもそういうリチウムイオン電池関係が多いようであります。
 こうした事故を防ぐために、ぜひ、今お話がありましたけれども、普及啓発に加えて、実際に市区町村で、いわゆる担当のセクション、行政に関わる担当職員と東京都との連携が、私はもう一段必要じゃないかと思うんです。それは、やはり連携を図ること、知識共有というのかな、様々な共有することも必要だと思いますし、それによって底上げを図っていくということが大切ではないかと思うんです。
 市区町村の職員は、現場レベルの視点に加えて、プラスチック資源循環法の施行など、循環型社会の実現に向けた世の中の動きに合わせて、最新の情報及び知識のアップデートを図ることや、リサイクルに関する専門知識を習得することが重要なんですけれども、現実問題とすると、日々日々の、特に三多摩、多摩地域ばかりいって申し訳ないんだけれども、職員数が少ないんですよね。
 そして、日々日々住民からの、まあこれはもう全てじゃありません、全てじゃありませんけれども、一つとしては住民からの問合せに追われており、なかなか自己研さんに取り組む時間が少ないというか、取り組めないということもあるようであります。
 資源に乏しい我が国は、循環型社会を形成していくため、様々な客体というか、様々な関係者との連携が必要、これを結ぶのは環境局ではないですか。これは基礎自治体だよって投げるのも結構、ポスターを貼ったりチラシを配るのも結構、でも、でも、でもということがあるんじゃないですかね、もう一段。
 ですから、そういう意味合いからも、循環型社会を形成していく、これは当たり前であるといったら大変恐縮ですけれども、ますます重要になっていく中で、改めていいます。広域自治体である東京都も、ぜひ、この廃棄物、リサイクルを担当する市区町村職員の育成といったらちょっとどうなのかなという話もありましたけれども、私、育成策という観点も必要ではないかと思います。共に、共にね、共に支援していくという考えをしていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 廃棄物、リサイクル行政を取り巻く環境は、プラスチック資源循環法が四月に施行されるなど、大きく変化しております。こうした状況を踏まえまして、都が市区町村職員の人材育成に取り組むことは重要でございます。
 そこで、都は、廃棄物、リサイクル行政を実際に担当する市区町村職員等を対象に、廃棄物行政講習会を毎年開催し、能力向上を促しております。
 この講習会では、廃棄物処理法の運用等の基礎知識に関する講習に加え、今年度は環境省による二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた廃棄物、資源循環分野の取組や、ソウル市による食品廃棄物削減に向けた取組など、より専門性の高いテーマについて充実を図っております。
 今後も資源循環行政が抱える課題や、市区町村のニーズを把握し、時宜を得たテーマの講義等を通じまして、廃棄物、リサイクルを担当する職員の育成を支援してまいります。

○こいそ(明)委員 実際そのような研修をしていますよと。講習会もしているんだと。適時適切なテーマに基づいてしていますよと、まあ、現実やっていただいているということは承知しております。
 私は、もっといろんな、重層的といったらあれだけれども、年に一回か二回ぐらいやって、やりましたよじゃないんじゃないかなと、これ。
 そして、清掃局というのは東京市からの連綿とした歴史、過程がある。要するに、多摩地域が清掃行政を担ってきた過程、経過、歴史とやっぱり違うんですよね。比較的二十三区と都、前は清掃局がありましたけれども、現在では環境局、割とそういう歴史、過程、ベースがあるから、土壌的なものがあるから。でも、三多摩は違うでしょう、これ。三多摩、少ないじゃないの、やっているのが、セミナーだって何だって。
 それと、先ほどからいっている話をしっかりしっかり落とし込むといういい方があるか、実践行動で表してもらうということもそうかもしれませんけど、それには申し訳ないけど、ちょっと緩いような気がするな。大変申し訳ないけど。もう少しある意味、ある意味の戦略的なことを考えていただいて、やっぱり効果的なことはどうやったら効果が上がるのか。やっていますよだけじゃないんだよね、効果というのがあるんじゃないの、これ。
 だから、公社があるでしょう。環境公社だって。あらゆるそういう客体というか、団体というか、そういうものを使って十分にやってくださいよ。やっていますよ、やっていますよなんて、前から知っていますよ、そういうことは。やられていることはありがたいことだなと思うけれども。でも、効果はあまり上がっていないじゃないの。大変失礼だけれども、私、これ何回もいっていますよ、はっきりいって、この委員会でも。
 だから、知恵があるんだから、皆さん、大変優秀だと私は思っています。その中で、どうやって実際的な効果的なものが動いていくのか、達成していくのか、ちょっと少しお願いしたいと思います。これは要望です。
 それでは、次に、もう時間もあれですけれども、自然環境の保全について伺いたいと思います。
 まずもって、これ、約十四年間ですか、グリーン・キャンパス・プログラム、グリーン・アクション・プログラム、様々なメニューを出していただいて、このグリーン・キャンパス・プログラムは、この十四年強やってきたわけです、まあ現在もやっていますけど。
 私もその十四年間は、学生と一緒に野外活動というか、グリーン・キャンパスをやらせていただきました。様々に、それは延べ何千人の数になる。その中で感想文というか、それぞれ聞くと、やっぱりやってみる前の感覚意識と実際体験、体感してやった意識とは大分違うなと。やっぱり五感感性豊かですから、非常に効果というか、効能というか、学びというか、感じるというか、こういうものが物すごい大きいんだなと感じました。そういう中で、ある意味の広い意味でも環境人材を育成するという観点、これ、大切だと思います。
 しかし、これからは、私は大学生にとどまらず、高校生だとか中学生、場合によれば小学生、その年代に合ったメニューというのはやっぱりあってもよろしいんじゃないかなと。そうやって自然に親しむ、身近な自然の里山に一緒に行ってみる、何か散策してみる。キノコがあったよと。希少種がありましたと。そういうのは実際上、図鑑だとかパワーポイントで見るだけじゃなくて、例えば毒キノコを触っちゃいけないけれども、やっぱりそれは指導していかなきゃいけない。
 触るだとか見るだとか、こういうことは大切じゃないかと思うんですが、その辺りどうでしょうか。

○和田自然環境部長 保全地域を適切に保全していくためには、委員ご指摘のとおり、保全活動に携わる多様な機会を設け、幅広い世代の新たな担い手を掘り起こし、育成していくことが重要であります。
 そのため、都は今年度、より若い世代への保全活動参画への取組促進のため、夏休みを利用して、参加対象を初めて高校生に特化し、自然観察、竹林の伐採などを取り入れた自然体験プログラムを新たに開始いたしました。
 参加した高校生のアンケート結果では、全員が次回も保全活動への参加意向があり、高校生たちの自然環境保全への高い関心がうかがえました。
 こうしたことから、引き続き幅広い世代を対象とした保全地域の担い手育成の取組の充実に努めてまいります。

○こいそ(明)委員 ぜひご検討をいただきたいというふうに思います。
 それとともに、希少種の保全ですね。これ、保全区域にかかわらずの話なんですが、東京の希少種、様々ありますよね。水辺の中で生息するオタマジャクシ、ありますね。歌にもなっているオタマジャクシ。ゲンゴロウというのがありますね。これは、我々とっては本当に身近な、何ていうかな、本当に親しみを持つというか、持てていた一つの昆虫なんですね。
 それで、さらには、希少種、存在しているわけでありますけれども、これがもう絶滅しちゃったと。特にゲンゴロウですね。なかなかひょうきんな感じもするんだけれども、これはもう絶滅。
 そして、様々なレッドデータリストかな、これにおいても、植物も俗にいうところのキンラン、ギンラン、そしてタマノカンアオイ、群生していますよね。保全区域の中でさえ、減少しちゃっているんですね、圧倒的に。
 私は以前、残念だけれども、人為的な行為によってというのは、これ、盗掘ですよ。残念ながら、開発も一つそうだ。それから、盗掘もそうだ。いろんな気象状況、条件もそうだ。それから、食べられてしまうというか、様々にある。
 その中でも、いわゆる希少種、本当に滅びてしまうんじゃないか。絶滅危惧種ですね。私は、ここのところの前にカメラを設置したらどうだといったら、みんなに笑われたんですよ。何で自然のところにカメラなんか置いておくんだと。そんなことないじゃないか、盗掘だって絶滅危惧種に対する一つの要因、要素だよと。そんな話をやり取りさせていただいたことがありますけれども、そうしたらフィルムが入っていないものを置きましょうということで、試験的に一か所だけカメラを置いてもらいましたけれども、今はそれはおかしくないです。その後、ちょっと聞いたら、いや、今はフィルム入れてやっていますよというので、ああ、時代が時代になってきたなと思いますよね。
 それは置いておきまして、いずれにいたしましても、この希少種の保全、それからもう一点、やはり外来種、これ、反対に非常に増えてきた。この対策を併せてお聞きしたいと思います。

○和田自然環境部長 二〇二〇年度に改定した都内の希少な野生生物種等の一覧である東京都レッドリストでは、本土部での絶滅種はゲンゴロウなど二百七種であり、前回のレッドリストから十年間で新たに絶滅した種は、植物、昆虫、貝類の計八十種となっております。
 都はこれまで、野生生物の減少要因の一つである外来種対策を進めてきておりまして、例えば、希少種のトウキョウサンショウウオを捕食するアライグマの防除では、市区町村への財政的、技術的支援などを行っております。
 現在、都内の八割以上の自治体で対策が行われ、捕獲数も令和三年度は千百二十五頭であり、防除事業を開始した平成二十五年度と比較して約六倍と大きく増加をしております。
 また、桜等の樹木を枯死させるクビアカツヤカミキリなど、都内で初めて確認された外来種については、緊急調査を実施いたしました。その結果を市区町村等へ情報提供するとともに、技術的な支援を行うことなどにより、確認された全ての自治体で対策が行われております。
 今年度からは、既存文献や現地調査などにより、都内における外来種の分布や拡散、生態系被害の状況などを詳細に調べることで、今後の外来種対策に向けた新たな方策を検討し、実効性のある取組を推進してまいります。

○こいそ(明)委員 すごいですね。アライグマの捕獲は六倍、千百二十五頭ですか。びっくりしましたけれども、いずれにしても頭数が大変増えてきている。そして、ハクビシンも相当増えてきているんじゃないですかね。
 これらの外来種、まだまだまだあるわけですけれども、これは多摩地域においての野菜、果物、農作物の被害がやっぱり比例して高いんですよ。ですから、そんなことの中で、固有種はどんどん減少して絶滅していってしまう。種が滅びてしまう。
 一方では、外来種は物すごい増えているんだなと。この両方を、これから一つ、ぜひ野生生物を保全していく非常に重要なこと、それから、減少傾向にある希少種、固有種、それから外来種対策も併せて、大変だと思いますけれども、ぜひ現状として深刻ですから、関係機関との連携を取っていただいて対応していただきたいと思います。
 着実に外来種対策を進めていただいて、なかなか今と矛盾したようないい方になってしまいますけれども、東京の生物多様性の保全を一層推進もしていっていただきたいとお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○たきぐち委員 それでは、環境局の事務事業について伺ってまいりたいと思います。
 まず、家庭における省エネ、再エネの推進について伺いたいと思います。
 二〇三〇年カーボンハーフを目指すためには、都内エネルギー消費量の三割を占める家庭部門での対策が重要であります。そのためには、日常生活の基礎となる住宅の省エネ化、再エネ化が求められるところです。
 都は今年度、災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業として、住宅の高断熱化や太陽光発電設備の設置を促進していますが、改めて本事業の目的と、これまでの取組状況について伺います。

○荒田気候変動対策部長 住宅において、熱の出入りが大きい窓やドアの断熱化は、省エネに加えて、ヒートショックの予防など、健康にも資するものです。
 また、太陽光発電設備の設置により、災害時にも電気の継続使用が可能となります。
 そこで、都は、従前から実施してきた窓、ドアの改修の予算規模を大幅に拡大させるとともに、あわせて、太陽光発電設備を設置する場合に追加して補助を実施する災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業を今年六月より開始いたしました。
 また、既に高断熱化された住宅への再エネ導入を促進するため、今年九月からは、こうした住宅に太陽光発電設備を設置する場合も新たに補助対象といたしました。
 九月末現在の補助申請は、断熱窓解消については五千三百三戸、ドアは二千九百七十三戸、太陽光発電設備は本事業全体で三千二百十五件の申請となっております。

○たきぐち委員 高断熱化につきましては、私自身も、こういった住宅で生活した体験とか経験等々からも、その効果とか、その重要性について、これまでの委員会質疑を通じても述べてまいったところであります。
 これまでの戸建て住宅というのが、たとえ太陽光など、自然エネルギーに転換したとしても、今ご説明がありましたけれども、窓などからエネルギーが漏れてしまう、だだ漏れしているという表現をする専門家もいるんですけれども、こうしたことを防ぐためにも、高断熱化をすることによって、建物の構造を変えることによって、トータルとしての効果を得ていくということが必要なんだというふうに思います。
 逆に断熱されている戸建てに太陽光を設置すれば、よりCO2削減に貢献する高い効果が得られるということにもなりますので、両者をセットにした、こうした事業を着実に推進していただくとともに、今後、窓やドアに限定せず、さらに住宅の断熱化に資する取組を強化していただくことを求めておきたいというふうに思います。
 次に、家庭における太陽光発電設備の活用として、家庭における再エネの自家消費について伺いたいと思います。
 現在、検討を進めている新築住宅への太陽光発電設備の設置義務化等を盛り込んだ新制度は、既存住宅も含め、家庭における太陽光発電の設置を促すものであります。
 また、太陽光発電の固定価格買取り制度、いわゆるFIT価格は年々固定化しており、逆に電力会社の電気代は高騰する状況となっています。
 自宅で発電した電力を自分で消費し、電力会社から購入する電力を減らすことは、家庭の光熱費の軽減にもつながってまいります。
 そこで、太陽光発電を導入する際、昼間に生じる太陽光発電の余剰電力を蓄電池や昼間に湯沸かしをするおひさまエコキュートでため、それを夜間に使うなど、無駄なく家庭での自家消費を促進する取組を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 再生可能エネルギー由来の電力を効率的に利用し、さらに、停電時の電力確保の観点から、自宅の太陽光発電設備による電力を自家消費することは、脱炭素でレジリエントな住宅の促進に重要でございます。
 そこで、都は、今年度から開始した災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業において、太陽光発電設備の補助条件の一つとして、蓄電池やエコキュート等を併設する場合も対象といたしました。
 このような取組を通じて、今後も家庭の太陽光発電を最大限に活用した、災害にも強く、ゼロエミッションな住宅の拡大を推進してまいります。

○たきぐち委員 都はこれまで、再エネの自家消費の促進に向けて、そのときの社会情勢を踏まえ、拡充を進めてきたことを確認いたしました。しかしながら、この蓄電池については、これを導入するに当たって、例えば四キロワットの太陽光パネルを設置する際に、八キロワットの蓄電池を設置するとなると、百六十万円程度のコストがかかるということも伺いました。
 これに対する補助率が二分の一ということでありますので、都民の負担はまだまだ重いということで、導入をちゅうちょする都民が多いということも伺っているところでございます。
 また、エコキュートの導入に対しては、東京ゼロエミポイント事業の付与対象となっていますけれども、蓄熱機能を有しない他の高効率の給湯器と同じポイント数となっているということであります。
 脱炭素社会の実現に向けて、より再エネを有効活用し、さらに、災害にも強い住宅を推進していくためには、太陽光発電の余剰電力を用いてエネルギーをためることができ、自家消費を高める機器導入への支援のさらなる充実を求めておきたいというふうに思います。
 次に、既存マンションへの太陽光発電設備導入について伺います。
 都は、住宅への太陽光発電設備の導入を推進していますが、マンションへの導入が進んでいないということを聞いております。
 そこでまず、既存マンションへの導入状況について伺います。

○荒田気候変動対策部長 令和元年度の都内太陽光発電設備現況調査によりますと、太陽光発電設備の設置率は、マンションで三・六七%となっており、戸建て住宅での設置率四・九五%と比べ、相対的にマンションへの導入が進んでいない状況でございます。

○たきぐち委員 マンションへの設置率の方が低いという状況を説明いただきました。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、戸建て住宅だけでなく、マンションについても太陽光発電設備の導入を進めていく必要があります。
 新規の住宅については、条例改正によって導入を義務づける、ルール化していく方針を示されているところでありますが、既存住宅に対しては、引き続き、支援策を柱とした導入を進めていくものと考えられます。
 そこで、既存のマンション向けの補助事業の状況について伺います。

○荒田気候変動対策部長 既存マンションへの太陽光発電設備導入に対しては、先ほどお答えいたしました災害にも強く健康に資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業において、戸建て住宅向けと同様に支援を行っております。
 今年度六月の事業開始以降、九月末時点の既存マンションへの太陽光発電設備に係る申請件数は、先ほど答弁いたしました三千二百十五件のうち、数件程度でございます。

○たきぐち委員 全体の数字に新築が含まれていることや、マンションには一棟に多くの世帯が入居していることから、単純に比較することはできませんが、既存マンションについては、まだまだ活用の余地があるかというふうに思います。
 なぜその導入が進まないのか、その課題認識について伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 事業者へのヒアリング調査によると、低層の傾斜屋根に太陽光パネルを設置する戸建て住宅と異なり、多くのマンションでは平らな形状で防水加工が施された、いわゆる陸屋根に太陽光パネルを設置する必要がございます。
 このため、パネルに傾斜をつける架台と防水の補修工事に加えて、高所での強風にも耐えられる構造が必要になるなど、設置費用が増すケースが多くなっております。
 こうしたマンション特有の状況について、適切に対応する必要があると認識しており、マンションへの導入を促すための方策について検討を進めております。

○たきぐち委員 マンション特有の状況に適切に対応した支援を行うことで、マンションへの導入が促進されるよう、取組を強化していただくことを求めておきたいと思います。
 次に、太陽光パネルのリサイクルについて伺います。
 太陽光発電の設置義務化が環境施策として評価されるためには、パネルの廃棄、リサイクルなど、ライフサイクル全体を含めた環境への好影響を確立させていかなければなりません。
 特に近い将来、太陽光パネルは大量廃棄が見込まれており、そのリサイクル体制の構築を先手先手で進めていかなければなりません。
 さきの第二回定例会の当委員会における我が会派の太陽光パネル廃棄に関する質疑の中で、今年度、使用済太陽光発電設備リサイクル検討会で示された取組方針に基づいて、協議会を立ち上げるという答弁がありました。
 そこで、現在の状況及び今後の取組について見解を伺います。

○村上資源循環計画担当部長 太陽光発電設備の廃棄は、今後さらなる設置拡大に伴う増加が見込まれることなどから、環境負荷に配慮した高度循環利用の仕組みを今から構築していくことが必要でございます。
 現在、首都圏全体では七つのリサイクル施設が稼働し、既に使用済みとなった事業用パネルを処理しております。今後は、住宅用パネルにつきましても、こうした施設を活用していくことが重要でございます。
 住宅用パネルは、一度の排出量が少なく、排出される場所や時期が一定でないため、処理コストが高くなります。
 そこで、都は、ハウスメーカー、建物解体、リサイクル等の関係事業者で構成する協議会を九月に立ち上げました。
 協議会では、実際にリサイクルを実施し、取り外しからリサイクルまでに要するコストの検証などを実施してまいります。

○たきぐち委員 九月に協議会を立ち上げて、検証等を始められたということであります。
 太陽光パネルは、二〇一二年の固定価格買取り制度等を契機に急速に設置が進み、一般的に寿命が二十年から三十年とされていることから、二〇三〇年代半ばから廃棄が本格化されることが見込まれているところであります。
 先ほど、こいそ委員の質疑の中で局長からも答弁がありましたけれども、住宅用太陽光パネルのリサイクルルートの確立は、太陽光パネルの普及拡大に向けて、まさに肝となる大きな課題だと認識をしているところでございます。
 今後、しっかりと関係事業者と連携をしながら取り組んでいただくことを強く求めておきたいと思います。
 次に、リチウムイオン電池対策について伺います。
 これも先ほど、こいそ委員から質疑がありました。ゼロエミッション東京の実現に向けて、着実に歩みを進める上で、再生可能エネルギーの導入拡大と並ぶ重要な取組として、プラスチック対策が挙げられるかと思います。
 今年四月、プラスチック資源循環法が施行され、プラスチックの循環利用に向けた動きが本格化しております。
 一方、こうした動きに水を差しかねない課題として、リチウムイオン電池に起因する火災があります。都内に限らず、全国の廃棄物処理施設等において、リチウムイオン電池がプラスチックごみなどに混入して排出され、その後、破砕などの過程で火災が発生しているという事例が多発しているということを聞いております。
 東京消防庁のデータによりますと、リチウムイオン電池関連の火災件数は、五年前に五十件強だったのが、現在は百件強と約二倍に増加しているというデータもありますし、また、私の下にも被害に遭った産業廃棄物処理業者から、発火事故対策の取組強化を求める切実な声も届いているところでございます。
 混入による火災の原因の一つとして、都民や事業者がどのような製品にリチウムイオン電池が使用されているのかが分からないことなどがあると聞いております。
 こうした状況を踏まえ、区市町村や国、関係団体等と連携し、リチウムイオン電池による事故防止に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 持続可能なプラスチック利用に向けて、リチウムイオン電池を原因とする発火事故の防止を図ることは重要でございます。
 都は、区市町村と連携し、リチウムイオン電池による発火事故防止に向けた優良事例の共有や、都民、事業者への普及啓発に取り組んでまいりました。
 また、排出事業者に対しては、区市と連携して、紙やプラスチックの適切な廃棄方法等の助言を目的に、オフィスビル等に派遣している3Rアドバイザーを活用し、リチウムイオン電池による事故の危険性や適切な分別方法等を周知しております。
 加えて、リチウムイオン電池が使用されている製品が一目で分かるよう、製品の外側にその旨を表示することをメーカーに義務づけることなどを国に要望しております。
 今後も区市町村や国、業界団体とも連携し、リチウムイオン電池による火災防止に取り組んでまいります。

○たきぐち委員 先ほど、こいそ委員の方から、渋谷での大きな火災についての言及がありました。数日前のネットニュースで、リチウムイオン電池による火災がニューヨークでも急増しているという記事を目にいたしました。
 今年に入って二百件近く発生しているということで、数日前にも三十七階建てのビルで三十人以上が負傷した火災があって、これは電動スクーターなどのマイクロモビリティーに利用されるリチウムイオン電池が火災の原因と特定され、修理をしている最中にバッテリーが発火したのではないかということでありました。
 最近、スマホやモバイルバッテリー、タブレット、LEDライト、あるいは玩具、おもちゃですね、様々な製品に、こういったリチウムイオン電池が使用されておりまして、先ほど、都民がどういった製品にリチウムイオン電池が使用されているか分からないということを申し上げましたけれども、国や区市町村、業界団体としっかりと連携をして、都民への普及啓発も含めて、火災防止に向けた取組を強化していただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
 次に、フロン対策について伺います。
 フロンは、オフィスなどの空調設備やスーパーのショーケースなど、冷凍空調機器の冷媒として幅広く使用されてきましたが、CO2の数十倍から一万倍以上の温室効果があり、機器を適切に管理しないと大気中に放出され、気候変動に大きな影響を及ぼします。
 業務用の冷凍空調機器は、短いもので十年、長いものでは三十年以上と長期間使用され、都内には約二百二十万台もあります。フロンの漏えい量の約七割は機器の使用時に発生しており、漏えい防止対策は重要な課題であります。
 そこでまず、使用時の対策に向けた令和四年度の取組について伺います。

○鈴木環境改善部長 機器使用時のフロン排出量を削減するためには、機器の管理者が適正管理の重要性を認識し、定期的な漏えい点検などに着実に取り組むことが重要でございます。
 都では、令和三年度に多店舗展開の飲食店やスーパーなど、フロン使用機器を多く保有する十一事業所にアドバイザーを派遣し、機器の管理体制の見直しなどの提案を行いました。今年度は、その効果検証を行い、今後、都内事業者への普及展開につなげてまいります。
 また、業界団体と連携して、機器の管理者をはじめ、フロンの充填回収事業者も対象に含めて、法の周知や機器の定期点検の重要性等について講習会を実施しており、今年度は十二月に四回開催する予定でございます。
 今後とも、様々な機会を捉えまして、機器の管理者に対して、フロンの排出削減に向けた指導や啓発等を行ってまいります。

○たきぐち委員 使用時の漏えい防止対策に向けて、効果的な削減対策の検討や、事業者に対して啓発等を実施しているということでありました。
 しかし、近年、温室効果ガスが減少している中で、フロンの排出量は年々増加しており、気候変動対策を推進する上でも、フロン排出抑制の重要性が高まっているかと思います。
 都では、本年九月に環境基本計画を改定し、二〇三〇年のフロンの排出削減目標を二〇一四年度比三五%削減から六五%削減に引き上げました。新たな削減目標の達成には、機器の使用時における漏えい防止対策をさらに強化するとともに、フロンを使わないノンフロン機器への転換を促進していくことも重要と考えます。
 そこで、今後どのように対策を強化していくのか伺います。

○鈴木環境改善部長 フロンの新たな削減目標を達成するためには、使用時における管理者の適正な管理に加えまして、フロンの漏えいを早期に発見することが重要であると認識しております。
 そのため、フロンの漏えいや機器の故障等を早期に発見できる先進技術の普及に向け、公募実証事業を実施しておりまして、今後、そこで得られた効果等を都内事業者に対して展開してまいります。
 また、ノンフロン機器の普及に向けて、令和元年度から中小企業に対して省エネ型ノンフロン冷凍冷蔵ショーケースの導入補助事業を実施しておりまして、先般の第三回定例会で可決された補正予算により、約四億円に事業費を増額し、補助率の拡大や補助対象機器の拡充等を図ってまいります。
 今後とも、ノンフロン機器の開発動向に合わせ、普及促進に向けて施策を展開してまいります。

○たきぐち委員 フロンの新たな削減目標の達成に向けた強化策として、先進技術を活用した漏えい防止策やノンフロン化の転換を促すなど、様々な取組を行っているということは理解をいたしました。引き続き、事業者への取組に対して、積極的な支援などをお願いしておきたいと思います。
 機器使用時の漏えいを防止するためには、先進技術を活用するのも有益な取組だと思いますが、日頃のメンテナンスの大切さを機器の管理者が認識することも重要であります。
 業界団体とも連携して、講習会を活用した啓発や様々な取組によって、管理者の自発的な行動を促すことも要望しておきたいというふうに思います。
 次に、自然環境分野について質問をいたします。
 ナラ枯れへの認識と対応について伺います。
 平成九年に初めてその被害が認識され、その後、西日本を中心に広範に広がったブナ科樹木萎凋病、いわゆるナラ枯れが、近年、関東周辺に広がりを見せており、都内でも様々な地域で、パッチ状に枯れた森林の姿が確認されています。
 ナラ枯れは、カシノナガキクイムシという昆虫の穿孔による樹液の閉塞や、それに伴う病原菌の蔓延が原因とされており、既に都内でも広範に被害が広がっている状況であります。枯れた樹木については倒木の危険があり、住民等の安全を脅かしています。
 まず初めに、都内の被害状況等について伺います。

○和田自然環境部長 樹木の害虫であるカシノナガキクイムシが媒介するナラ菌により、樹木の通水機能が阻害されることにより生じるナラ枯れは、三宅島、御蔵島などにおいて、平成二十二年に都内で初めて確認されております。
 近年、本土部でも、コナラ、クヌギなどに被害が発生しており、都は、森林法に定める区域を有する市町村に対して、ナラ枯れ被害の調査を実施し、その結果、令和三年度被害本数は、十一市町村で約三千本となっております。
 このほかにも、都や区市町村の公園、民間の緑地などにおいても、ナラ枯れが発生していると聞いております。

○たきぐち委員 ナラ枯れについては、夏場に青々と茂った広葉樹林の中で、林間を占める広葉樹の高木がモザイク状に枯れているという違和感のある光景が目に留まるということであります。
 昔は薪炭材として伐採されてきた里山の樹木は、現代では年を重ねて病虫害に弱くなった樹木が残り、被害が広がる要因になっているのではないかとも思われます。
 広範囲に点在し、虫の飛翔による被害の拡大を食い止めるのは極めて困難であり、また、被害を受けた樹木を全て見つけ出して、それら全てに対応していくのは、実際のところ不可能であるということを踏まえれば、例えば地域で大切にしている樹木の保全のための薬剤注入や、住宅の近くで枯損した樹木の撤去等に必要な支援を行うべきと考えます。
 カシノナガキクイムシによる被害を受けた樹木への対応や、それに必要な支援について、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長 ナラ枯れ等の害虫による森林や樹林地の荒廃は、生態系の低下につながることから、蔓延防止に向け、被害区域のある地元自治体と連携しながら取り組むことが必要であります。
 都はこれまで、島しょ地域で発生しているナラ枯れについて、樹木への薬剤注入等の森林病害虫防除事業に取り組む町村を支援してきました。
 また、本土部について、区市町村との連携による地域環境力活性化事業を活用し、令和三年度は、小平市や東村山市などにおいて、枯れた樹木の伐採、撤去など、自然地の生態系を回復、保全する取組を支援しております。
 今後、ナラ枯れに有効な対策等について、より一層、情報共有を行うなど、区市町村と連携を図りながら、多様な動植物が生息、生育する貴重な自然環境の保全に努めてまいります。

○たきぐち委員 都が区市町村と連携してナラ枯れ対策に取り組んでいるということでありますので、引き続き、具体的な支援策の展開を求めて、次の質問に移りたいと思います。
 最後のテーマとなりますけれども、ZEVの充電器について伺いたいと思います。
 ZEV、このうちEV、PHVの充電整備ということで伺ってまいりたいと思います。
 都内のCO2排出量の二割を占める運輸部門のうち、約八割が自動車であり、ゼロエミッションビークル、ZEVへの移行が運輸部門のゼロエミッション化のためには必須であります。
 都は、都内を走る全ての自動車がZEV化されていることを二〇五〇年の目指すべき姿として、二〇三〇年までに乗用車新車販売の一〇〇%を非ガソリン化、乗用車の新車販売台数に占めるZEVの割合を五〇%、急速充電器を一千基などの目標値を設定しています。
 ZEVの普及のためには、自動車本体の購入費の支援はもとより、安心して運行できるような充電拠点の整備が重要であるということは、いうまでもありません。
 都が実施した世論調査も、これ、四年前になりますけれども、ZEVを利用する際に、充電、燃料補給場所のインフラが整っていないことを心配する声が最も多く、また、実際には充電しなくても、近くに充電設備があるという安心感によって、ZEVの走行範囲は拡大をしていくんだということもいわれておりまして、面的なインフラ整備が不可欠であります。
 しかし、国内のEV車の先駆けともいえる日産リーフ、あるいは三菱のアイミーブなどが市場に投入された後、二〇一四年頃から充電インフラの整備が始まったということであるようですが、二〇二〇年に初めて、これが減少に転じたというふうにされています。
 民間会社の調査で、二〇二〇年度末時点での国内のEV充電器が約二万九千基ということで、前年から一千基程度減少したということがいわれました。
 つまり、設置はされたものの採算が合わず、耐用年数が大体八年から十年ということで、耐用年数を迎えた充電器が更新されずに撤去されるケースが一時的に増加したというふうに見られます。
 公共充電サービスが持続的な事業になっていくためには、車自体の普及が必要でありまして、一方で、安心して車を購入するためには、充電体制の整備が必要だということで、ここで車が先なのか充電器が先なのかということになりますけれども、こうした状況等々も背景に、昨年の事務事業質疑、あるいは今年度の予算質疑において、我が会派として充電設備、とりわけ急速充電器を拡充するために、都内に約一千か所あるガソリンスタンドへの支援、あるいは商業施設や自動車ディーラーなど、設置ポテンシャルの高い場所への導入、あるいはパーキングメーターを活用した設置などを提案し、議論してきたところであります。
 今回も、その状況について伺いたいというふうに思ったんですが、先ほどこいそ委員からも冒頭質疑がありましたとおり、こういったZEV推進のための様々な事業、特に民間施設への公共用充電設備の設置支援など、こうした事業が七月から産業労働局に移管をされたということでありました。
 そこで、産労の担当者にもいろいろと状況については伺いまして、例えばパーキングメーターについては、国交省の社会実験に位置づけられて、日本で初めて、今年度中に都道三か所に設置をされるということが発表されるなど、着実に取組を進めていただいているというふうに認識をしているところでございます。
 産労に移管されたとはいえ、環境局においても引き続き、環境基本計画の柱としてZEVの普及促進を位置づけているところでございます。
 ZEV普及に不可欠な充電環境の整備について、環境局として担う役割について伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 企業経営を後押しする産業政策の観点から、ZEVの充電設備の整備のうち、商業施設や宿泊施設、事業所等については、七月から産業労働局に移管し、環境局は住宅における充電設備の整備を図っております。
 ZEV普及の目標である二〇三〇年新車販売台数に占めるZEV割合五〇%の達成に向けて、戸建て、集合住宅ともに、新築住宅にはZEV充電設備を標準化するとともに、既存住宅では、居住者がZEVを購入する際に必要な充電環境が自宅に整備できるよう取り組んでおります。
 こうした考えの下、条例制度や支援策等を通じ、既存及び新築の住宅に対して、戸建てと集合住宅別に、それぞれの特性を踏まえた施策を展開しております。

○たきぐち委員 この充電の考え方というのが、自宅などで充電をする基礎充電、高速道路であったり道の駅など、三十分程度の比較的短時間で充電する経路充電、宿泊施設や商業施設などでの目的地充電に分けられるというふうにいわれておりますが、このうち基礎充電を環境局が担っていくというふうに理解をいたしました。
 そこで、都内における住宅の基礎充電の整備状況に関する認識と、海外ではどのような状況にあるのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 都内における住宅の基礎充電の状況について、公的な調査は行われておりませんが、都が平成三十年度から行っている住宅向けの補助事業の申請実績では、既存住宅で戸建てと集合、合わせて五百二十五基となっております。
 また、海外の状況については、既存住宅の整備状況は把握できておりませんが、新築住宅について、ZEV充電関係設備の設置義務化が、米国のカリフォルニア州やドイツで先行して実施されているほか、本年六月からはイギリスでも導入されるなど、普及に向けた取組が進められております。

○たきぐち委員 都内における住宅の基礎充電については、公的な調査は行われていないということでありますが、海外では、特に欧米において、新築時に設置義務化が行われているということであります。
 また、EVグローバルアウトルック二〇二一年というレポートを見ますと、世界各国における充電の九割は基礎充電、つまり自宅や職場での充電ともいわれておりまして、こうした海外の動向を鑑みますと、公共用充電はもちろんのこと、都内において基礎充電を普及させていくということが非常に重要だというふうに考えます。
 都においても、環境基本計画が公表され、条例改正に向けた取組が進んでいるところでありますが、新築の戸建て及び集合住宅について、どのようにアプローチしていくのか見解を伺います。

○木村建築物担当部長 第四回定例会で提出を予定しております環境確保条例案では、将来のZEV普及社会を見据え、大手住宅供給事業者等に対し、戸建てや集合住宅の新築時に備えるべきZEV充電設備の設置を義務づける制度を検討しております。
 具体的には、戸建て住宅には将来の充電設備の実装に備えた配管等の整備を求めてまいります。
 一定台数以上の駐車場を有する中小規模の集合住宅には、充電設備の実装と配管等の整備を求めてまいります。
 大規模集合住宅には、駐車場の規模に応じて充電設備の実装と配管等の整備を求めてまいります。
 新築の機会を捉えて充電設備の整備を促進することにより、ZEVの普及を積極的に後押ししてまいります。

○たきぐち委員 今回の条例改正案では、世界の先進事例と同様に、将来のZEVの普及を見据え、新築段階から充電設備の整備を推進する制度設計になっているということを確認いたしました。
 東京においては、二〇五〇年に住宅の約七割が、今後新築される建物に置き換わると見込まれていることから、ZEVの普及に向けても、新築時の対策が極めて重要でありますので、しっかりと取組を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、既存住宅について伺います。
 まず、戸建て住宅に対してはどのように取り組んでいるのか、実績も含めて伺います。

○荒田気候変動対策部長 都はこれまで、既存の集合住宅へのZEV充電器設置に対し、支援を行ってまいりました。
 今年度からは、戸建て住宅に対しても太陽光発電システムを設置、または再生可能エネルギー一〇〇%の電力契約を行っていることを条件に、経費の一部として一基当たり二万五千円を助成しております。
 七月の事業開始以降、九月末の時点で四十三基を受け付けております。
 庁内各局とも連携し、住宅関係団体などを通じ情報提供するとともに、区市町村とも連携し、補助事業の周知に努めてまいります。

○たきぐち委員 既存の戸建て住宅については、今年度から補助事業が開始されたということで、七月から事業を開始されたということではありますけれども、当初予算で四千八百基を見込んでいるのに対して、現状は四十三基にとどまっているということだと思います。
 既存の戸建てに導入する場合には、車の購入をした際に、セットで工事をされることが多いというふうに伺いましたけれども、設置費用が五万円程度ということなので、大規模な工事でないということもあるのかもしれないんですが、業界団体や区市町村にしっかりと周知をしていただいて、こうした制度が活用してもらえるように取り組んでいただきたいということを求めておきたいと思います。
 また、一方、集合住宅における対策も重要であります。既存の集合住宅に対しては、平成三十年度から補助事業が開始されているところでありますが、先ほどの答弁から計算いたしますと、合計五百二十五基の実績のうち、戸建て住宅は四十三基ということでありますので、集合住宅は四百八十二基の申請があったということになります。これまでの五か年の実績としては、まだ導入の余地が大きいというふうに考えます。
 経産省のデータ、これも四、五年前のデータになるんですけれども、EV車を購入した人の九割が戸建て、集合住宅に住む人は僅か一割というデータがありますし、また、次世代自動車振興センターの調査では、EVまたはPHVの所有者の七七%が戸建て住宅に住んでいるということも公表されております。
 つまり、充電環境が整っていないと、車の購入もなかなか集合住宅では進まないという実態が現れているんではないかというふうに思います。
 そこで、既存の集合住宅に対してはどのような課題があり、どのように取り組んでいくのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 既存の集合住宅は、充電器の設置費用や導入後の管理、運用面での負担を懸念し、管理組合の合意形成が容易ではないといった課題がございます。
 現在、設置が進みにくい既存の集合住宅でも、管理組合の負担軽減に資する多様なビジネスモデルが出てきており、これを後押しするため、都は、充電事業者やEV販売事業者などで構成する協議会を九月に設置いたしました。
 今後、普及啓発のツールを作成するとともに、管理組合向けのアンケート調査を実施し、導入ニーズを踏まえたマッチング会を実施するなど、協議会に参加する事業者と連携し、既存の集合住宅への導入を加速化してまいります。

○たきぐち委員 集合住宅の住人が、必ずしも自家用車を所有しているわけではありませんので、費用や課金方法など、管理組合での決議がネックになっているということも伺うところであります。
 九月に集合住宅での充電設備の普及促進に向けた協議会がキックオフしたということでありますので、ぜひ、ご答弁がありましたとおり、加速度的に進めていただきたいというふうに思います。
 都内の乗用車の登録車両台数は三百万台強というふうにいわれています。また、年間の乗用車販売台数が二十万台弱ということで、二〇五〇年のあるべき姿としては、この三百万台が全てZEVに置き換わっていると。そして、二〇三〇年までには、この二十万台の約半分、十万台がZEVになるという目標値を掲げられているわけであります。
 先ほどのいただいた資料でも、現在、新車販売台数に占める割合というのは二・三%ということなので、まだまだこれは遠い数字ではありますけれども、様々な施策を講じることで目標値に向けて取り組んでいくことが必要でありますし、また、その実現のためには面的なインフラ整備を具体の目標値やイメージを持って推進していくということが重要だというふうに考えております。
 そこで、環境局としてZEV普及拡大に向けた局長のお考えを伺いたいと思います。

○栗岡環境局長 ZEVは、走行時にCO2を排出しないことに加えまして、大気汚染対策としても有効で、走行時の静音性にも優れてございます。
 さらに、大容量バッテリーを搭載した走る蓄電池として、災害時や電力逼迫時にも活用できますとともに、家庭用の太陽光発電設備で発電される再エネ電力の需給調整にも役立つものでございます。
 このため、都は、二〇五〇年の目指すべき姿として、都内を走る自動車を全てZEV化することを掲げますとともに、二〇三〇年の政策目標等を設定し、その普及拡大を強力に推進してございます。
 先ほど所管部長が答弁申し上げました充電インフラ整備の加速化に加えまして、家庭へのZEV導入支援策として、太陽光発電設備やV2H、あるいは再エネ一〇〇%電力契約と組み合わせて導入する場合の補助を増額するなど、取組を強化してまいりました。
 また、都自らの率先行動として、二〇二四年度までの庁有の乗用車一〇〇%非ガソリン化や、都有施設への充電設備三百基以上の設置に向けた取組を進めてございます。
 今後とも、事業者向けの施策を所管する産業労働局と緊密に連携し、ZEVの普及拡大を強力に推進することで、そのメリットを最大限に生かしながら、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッション東京を実現してまいります。

○たきぐち委員 ご答弁ありがとうございました。
 国が昨年発表した二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略において、充電設備の不足はEV車普及の妨げになるとして、二〇三〇年までに公共用の急速充電器三万基を含む充電インフラ十五万基設置という目標を打ち出し、遅くとも二〇三〇年までに、ガソリン車並みの利便性を実現するように強力に整備を進めるとしております。
 この数値にも基礎充電は含まれていないということでありまして、なかなか家庭での導入を数値として把握していくことは難しいのかもしれないんですが、先ほど二〇五〇年までに住宅の約七割が新築に置き換わるということを申し上げたんですが、環境基本計画では、二〇三〇年までに約四十万棟が新築になると試算をされているわけであります。
 ここからすると、基礎充電として約四十万基が整備されるということになります。ぜひ環境局として取り組むべき家庭への支援策を引き続き強化していただきながら、産労としっかりと連携をして、都内のまちの姿が大きく変わるように、ZEVの推進に取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、私からは、まずSDGsの目標十四の海の豊かさを守ろうに関連して、幾つか質問したいというふうに思います。
 都は、都内でのごみのポイ捨てなどが海洋環境汚染を引き起こすことを防ぐために、TOKYO海ごみゼロアクションと題した普及啓発等を進めております。
 その一環としてホームページを開設しており、その中で、毎年八百万トン以上のプラスチックごみが流出しており、このままなら二〇二五年には−−三年後です−−海の魚三トンに対してプラスチックごみが一トンに、二〇五〇年には魚よりもプラスチックごみが上回るという二〇一六年のダボス会議の衝撃的なレポートなどが紹介をされております。
 その原因として、ポイ捨てや屋外で放置されたごみが散乱をして、風雨によって水路や川に流れて、川から海に流れ出ることが、分かりやすくイラストとともに解説してありまして、私たちにできることとして、一つ、使い捨てを見直そう、二つ、ごみに関する基本ルールを守ろう、三つ、清掃活動に参加しようなど、具体的な取組を促しておりました。
 海に流出したプラスチックごみは、ご案内のとおりマイクロプラスチックとなることで、マイクロプラスチック、皆さんも、よく分かっておると思いますけれども、海に流れ出て、海水と強い太陽の光と波によって細かく粉砕をされて、五ミリ以下のプラスチック、ビーズ状のようになったものでありますけれども、こうしたマイクロプラスチックとなることで、生態系に影響を与えることが危惧をされております。
 日本列島の近海のマイクロプラスチックの量は、何と世界の海の平均の二十七倍だということですから、恐ろしい数字だと思います。海ごみの発生を抑制するためには、都民にこうした実態を広く知ってもらうことが重要なことであります。
 そこで、都の海ごみに対する普及啓発の実施状況と今後の取組について伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 都は、プラスチックごみの河川や海洋への流出を防ぐため、海ごみ問題を都民に広く啓発するTOKYO海ごみゼロアクションを昨年度から実施しております。
 具体的には、東京都環境公社と連携して専用のウェブサイトを開設し、海ごみ問題を分かりやすく解説する動画や環境学習資料を掲載するとともに、民間の海洋環境保全活動の紹介等を行っております。
 このほか、子供向けの環境情報紙と連携して環境イベントに出展し、海ごみについて解説した動画の上映等を行っております。
 今後も、こうした取組により、海ごみ問題の普及啓発に努めることで、海洋環境汚染の防止を図ってまいります。

○伊藤委員 答弁いただいたとおり、動画や学習資料や情報紙など、もう様々に発信をしていただいているということでございました。私もちょっとプリントアウトをしてまいりましたけれども、海ごみを減らすために私たちにできることということで、非常に分かりやすく解説をされているものが発信されておりました。昨年から始まったTOKYO海ごみゼロアクションの取組に、大いに私は期待をしたいというふうに思います。
 答弁のあったホームページを見てみますと、海ごみを減らすために私たちが出来ること - by Kids from Tokyo & NYという動画が掲載をされております。
 この動画は、東京とニューヨークの子供たちが自らごみを拾うことを通じて、太平洋の海ごみについて考えを深めていこうという内容でありまして、大変に意義深いものでありまして、私は、これまでの都議会の本会議や予算特別委員会で、この動画のことを度々取り上げてまいりました。大変にすばらしい内容でございます。こうした動画をどのように活用しているのか伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 環境教育に活用できる資料等は、TOKYO海ごみゼロアクションのホームページ等に掲載しております。
 ご指摘の動画につきましては、環境教育において活用するため、都内の小学校等にDVDを配布しております。
 また、教員等、指導者向けに動画を活用した指導用ガイドを作成し、都のホームページからダウンロードできるようにしております。
 さらに、都内外で開催された環境関連のイベントにおいて、動画を上映するなどの活用も行っております。

○伊藤委員 動画はホームページに掲載しているだけではなくて、環境教育でも使われているということでありました。
 先ほども申し上げたとおり、非常に分かりやすい、わはは、わはは笑うような面白い動画じゃ決してありませんけれども、これ、コロナ以前ですから、オンラインを使って東京の子供とニューヨークの子供が、お互いに海辺で、あるいは川辺でごみ拾いをして、川に落ちているものと海に落ちているものはやっぱり違うということだとか、いろんなことを気づくわけですね。
 途中に通訳の方が入っていただいていることだろうと思いますけれども、海外の子供と、こうしたお互いに環境のことについて学べるということは、すばらしいことだと思いますので、ぜひ委員の先生方も、また、職員の皆さんはもう当然知っていることだろうと思いますけれども、見ていただければなと、このように思います。
 こうした取組と併せて、未来を担う子供たちが河川や海岸の清掃にも参加することで、動画などで学んだことを実体験し、子供たちが自ら環境問題を考えていくことは大変重要だと思います。
 都は、以前、河川敷でのごみ拾いが体験できるイベントを開催していたものの、新型コロナの感染拡大防止の観点から中止となっているというふうに聞いております。感染状況を見据えて、感染防止対策を徹底することを前提に、子供政策連携室と連携を取って、子供たちを対象に、実際に河川敷や海岸でのごみ拾い体験を実施してはどうかと提案をしたいと思います。
 まずは身近な地域で実施をして、将来的には、例えば東京の沿岸地域の子供たちと、奥多摩方面の水源や、あるいはまた、河川がある地域の子供たちが、オンラインでお互いに情報交換をしたりとか、あるいは東京の子供たちと東日本大震災の被災地の河川や海岸でごみ拾い活動を行う子供たちとの交流、さらには、ニューヨークのほかにも、世界中の様々な国の子供たちと東京の子供たちがオンラインで交流すること等によって、東京の子供たちが自ら環境問題について考えていくきっかけをつくっていただきたいというふうに思いますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○志村資源循環推進部長 都は、海ごみの原因となる河川敷のごみを拾う体験活動を平成二十八年度から実施してまいりました。令和二年度以降も実施を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、体験活動は中止することにいたしました。
 今年度は、感染状況を注視しつつ、開催が可能な状況であれば、感染防止対策を図った上で、河川敷でのごみ拾い体験活動が開催できないかと現在検討をしております。
 将来的には、子供政策連携室とも連携し、都外の沿岸部等の子供たちとのオンラインでの交流も含め、実施地域の拡大を検討してまいります。

○伊藤委員 検討していくということでございました。ぜひ実現をしていただきたいと要望させていただきます。
 ただし、落ちているごみには、コロナウイルスなどの感染のおそれがあるものが付着しているかもしれないことから、子供たちへの感染を十分に防ぎつつ、実施に向けた検討をお願いしたいと思います。
 河川や海岸で実際に捨てられているごみには、どのようなものがあるのか、また、こうしたごみをこのままにしておくと、海に流れ出て、最終的には海の生き物にどのような影響を与えるのか、こうしたことを子供たちが自分の頭で考えて、自分たちにできることに取り組めるように導いていく、こうしたことは私たち大人の責任だと思います。
 本日のこの質疑を通じて、一歩でもSDGs、十四番目の目標の実現に向けて前進していくことを期待して、次の質問に移ります。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 電力の供給の予備率が、前日の段階で五%を下回る予測となるときに発令をされる電力需給逼迫注意報が、今年は六月二十七日に発令されて、三十日までこの逼迫状態が継続をしました。東京都全体が、まさに電力、エネルギー危機の真っただ中に置かれ、多くの都民もそれを肌で感じた夏となったわけであります。
 一方、ロシア、ウクライナ情勢は膠着をしており、エネルギー供給に対する不安は長期化することが想定をされます。
 また、家庭の電気料金が、この二年弱で約一・五倍に上昇するなど、エネルギー価格の高騰による都民、事業者への負担は、これまでになく高まっております。
 国も、公明党の強い要請を受けて、電気代やガス代の負担軽減に向けた支援策を検討しておりますけれども、このエネルギー危機への対応は、国民を挙げて取り組むべき重要な問題であると思います。
 都は、エネルギーを減らす、つくる、ためるのHTTを官民一体で進めていると思いますけれども、都自身が多くのエネルギーを消費する大規模事業者であり、自らが電力需給の逼迫時の節電や、エネルギーの脱炭素化等に向けた取組を進めていく姿を示し、強力にHTTを推進することが重要であります。
 まずは、都が先頭に立って取組を実施していくことで、都民や事業者などの様々な主体への共感を得つつ、HTTを社会全体で力強く牽引していくべきと考えます。
 そこで、都は、都有施設について、具体的にどう取り組んでいるのか伺いたいと思います。

○中村率先行動担当部長 都は、電力の大口需要家でもありまして、都自身がエネルギーを減らす、つくる、ためるの観点から対策を講じて、都民や事業者のHTTの取組を牽引していくことは重要でございます。
 都有施設におけるH、減らすとしまして、今夏は通常の対策に加え、廊下の二分の一の消灯や、都庁節電見回り隊による節電管理など、節電対策を強化いたしました。
 今年六月の電力逼迫時には、事業所ごとに作成した計画に基づきまして、エレベーターを間引き運転するなど、追加の節電対策を円滑に実施いたしました。
 今冬に向けましては、各事業所の計画のベストプラクティス等を共有して、都有施設における節電対策を充実してまいります。
 TTのつくる、ためるとしましては、二〇三〇年までに太陽光発電設備の設置可能な都有施設一〇〇%設置に向けて、今年度は環境科学研究所、立川合同庁舎等、都の事業所五十か所への太陽光発電設備の設置などを進めるとともに、発電した電力に余剰が生じる施設には蓄電池も設置し、都の率先的な取組を強化してまいります。
 さらに、将来的に都有施設で生み出した再エネを施設間で需給調整し、最大限に有効活用する都有施設へのバーチャルプラントの構築に向けた検討も進めまして、減らす、つくる、ためるの取組を加速させてまいります。

○伊藤委員 都有施設としても率先してHTTへの取組を進めているということでございました。
 都民や事業者の取組を牽引するためにも、まずは都からHTTへの取組をしっかりと行っていただきたいと思います。
 都の取組に続けて、都民及び事業者へのHTT普及啓発について伺いたいと思います。
 社会全体でHTTを推進していくためには、都の率先行動に加えて、都民及び事業者の協力が不可欠であります。
 今年の夏は、都がポータルサイトの開設やSNS等を活用した情報発信を通じて、HTTへの協力を呼びかけ、都民や事業者がこれを実践したことによって、大規模停電などの事態は回避できたと思います。
 今年の冬は、安定供給に最低限必要な電力は確保される見込みであるものの、老朽化した火力発電施設の計画外停止など、不測の事態への備えが必要な状況にあります。
 例年、冬の電力需要量は二月にピークを迎える傾向にありまして、今のうちから都民や事業者にHTTへの協力を広く呼びかけていくべきだと考えますが、都は、現在どのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 冬の電力需給逼迫に備えた協力を促すためには、HTT、減らす、つくる、ためるの重要性や、節電等につながる行動などについて、夏に浸透を図ったHTTのキーワードを積極的に活用しながら、都民や事業者の理解と共感を得ることが重要でございます。
 このため、都は、東京都環境公社と連携して、冬のHTTをテーマとした動画やポスターなどを制作し、今年十月からテレビのCMでの放映やSNSなどによる配信、都庁舎や駅などで掲示を開始いたしました。
 あわせて、イベント等においてHTTのロゴ入りグッズを配布するなど、都民や事業者に直接HTTを周知する取組も積極的に実施しております。
 今後も様々なツールを活用し、丁寧なPRを実施することにより、冬のHTTムーブメントを醸成してまいります。

○伊藤委員 今日も、私もスーツにHTTのバッジをつけてまいりましたけれども、ある企業にお伺いしたときに、それ何と社長に聞かれまして、説明をしてまいりました。まだまだ都民にHTTの意味が伝わっていない部分はあると思います。
 都は、夏と同様、都民が事業者に対してHTTへの理解と協力を広く呼びかけているということでありましたけれども、大きな効果を生み出すためには、多くの方々の賛同が不可欠であり、また、理解も必要であります。
 都は、今後も積極的にHTTの普及啓発に取り組むよう、強く要望しておきたいと思います。
 次に、家庭における省エネの支援策について伺いたいと思います。
 家庭での省エネを推進していくためには、先ほど確認したHTTの理解と協力への賛同に加えて、実際の行動に結びつけていくことが何より重要であります。
 都は、家庭の省エネ対策を進めるため、省エネ性能の高い家電への買換えに対し、日常生活で利用できる商品券等に交換可能なポイントを付与する東京ゼロエミポイント事業を実施してまいりました。
 都議会公明党としても、当該事業の重要性を捉え、より多くの都民がこの事業を利用できるよう、対象の拡充を要望し、第二回定例会で予算化されたところでございます。
 家庭における電力需要は、冷房需要の高い夏場よりも、暖房や照明の利用が増える冬場が最も高くなる傾向であることからも、東京ゼロエミポイント事業の拡充について、どのような効果があったのか伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 現在の快適な暮らしを維持しながら、家庭で省エネを推進するには、日頃利用する家電製品を省エネ効果の高い製品に交換することが効果的でございます。
 そこで、都は、今年七月には、この夏、この冬の電力逼迫回避の備え等として、エアコンについて、省エネラベルで二つ星以上に対象を広げたところ、これまで月平均約三千台の申請が、拡充後は約九千台と約三倍の申請となりました。
 また、リビング照明の蛍光灯から省エネ効果の高いLED照明への交換も新たに対象とすることに加え、天井の照明器具の取替え作業もポイント付与の対象としたところ、この申請の六割以上が六十歳以上と、取替えに不安を持つ都民の方々を支援することができたと考えております。
 引き続き、こうした取組を支援し、幅広い都民の節電行動を促してまいります。

○伊藤委員 都は、我が党の要望にも応えつつ、支援策を拡充して、家庭でできる具体的な省エネ対策をきめ細かに支援をし、また、効果が上がっているということでございました。
 家庭での対策は、小さな取組の積み重ねが大きな効果につながるものであり、継続的に実施していくことが重要であります。都には、今後も都民の家計にも優しい取組を継続していただくよう要望しておきたいと思います。
 家庭での取組に続いて、東京ゼロエミ住宅導入促進事業について伺いたいと思います。
 都は、東京の地域特性を踏まえた環境性能の高い住宅の普及を図るため、都独自の東京ゼロエミ住宅基準を定めて、新築住宅を対象に、その建築費用の一定額を助成する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を令和元年度から実施しております。
 これまで都議会公明党は、本事業の継続や、さらなる断熱、省エネ性能の向上につながる施策の検討を求めてまいりました。
 これを踏まえて、都は、本年度から東京ゼロエミ住宅の基準の多段階化を実施しておりますけれども、改めてその考え方や、あるいは支援の仕組みについて伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 東京ゼロエミ住宅をより環境性能の高い住宅としていくため、従来の環境性能に相当する水準一に加えまして、断熱、省エネ性能を高めた水準二及び水準三を新たに設けてございます。
 最も高い水準三は、北海道相当の断熱性能に加えまして、国の省エネ基準比で四〇%の低減を実現する基準となっております。
 また、助成につきましては、各水準に応じた額を支援しているほか、太陽光発電設備や蓄電池を設置した場合には上乗せで助成を行っております。
 例えば、水準三の戸建て住宅に太陽光発電四キロワット、蓄電池八キロワットアワーを設置した場合、最大で三百三十万円の助成となります。

○伊藤委員 都は、環境性能の水準に応じた支援を実施しており、太陽光発電設備等を設置した場合には、さらに多くの助成が受けられるということでございました。環境性能の高い住宅を普及させていくためには、本事業を活用してもらうことが重要であると思います。
 この事業の開始の頃、いっときは予算が足りなくて、抽せんに外れて補助を受けられないという都民から、都議会公明党にも多く声が集まりました。都議会公明党は、予算の拡充を求め、予算増額をしていただいた結果、抽せんは今は行われていないということで安心をいたしました。
 そこで、次に、本年度の申請状況について伺いたいと思います。さらに、その申請件数のうち、太陽光発電設備の助成申請の割合についても併せて伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 助成金の申請受付を開始いたしました六月下旬から九月末までで、二千四百四十一件の申請を受け付けております。
 また、東京ゼロエミ住宅の設計確認を受けた住宅の内訳につきましては、水準一が全体の四三%、水準二が二九%、水準三が二八%でございます。
 なお、太陽光発電設備の助成申請件数は千八百二十二件であり、全体の約七五%でございます。

○伊藤委員 本年度の実績について、今、答弁をいただきましたけれども、都として、この実績をどのように評価しているのか、また、さらに本制度の普及促進を図っていくために、今後どのような取組を行っていくのか、併せて伺いたいと思います。

○関制度調整担当部長 最も高い水準三の認証件数が約三割であり、太陽光発電設備の助成申請件数も七割強に上るなど、高い省エネ性能等を備えた住宅への理解が浸透しつつあると認識をしております。
 今後、さらに環境性能の高い住宅を増やしていくため、断熱及び省エネ性能に優れた住宅の施工事例等を紹介するなど、普及につながる有益な情報を発信してまいります。

○伊藤委員 昨今のエネルギー価格の高騰によって、電気代等も高くなっており、住宅の省エネ性能に関心を持っている方が増えていると思います。
 先ほど、最も高い水準三が全体の三割に上るという答弁でありましたけれども、これはその関心の高さの表れであるというふうに思います。
 ゼロエミッション東京の実現を目指す上で、水準三は東京の地域特性を踏まえた目指すべき高水準の住宅であると思います。
 都は、新築住宅等に太陽光発電設備の設置等を義務づける新制度の導入を現在検討しておりますけれども、このような環境性能の高い住宅が普及するよう、引き続き、都による積極的な取組や都民の負担軽減につながる支援を進めていただくよう強く要望したいと思います。
 先ほど申し上げたとおり、エネルギー供給に対する不安は長期化することが想定されることから、将来を見据えた中長期の対策も不可欠になります。
 都は、九月に環境基本計画を改定し、深刻化する気候危機やエネルギー危機などを克服し、サステーナブルリカバリーにより持続可能な都市を創造するとしています。
 最後に、気候危機やエネルギー危機に向けて取り組む栗岡局長のリーダーシップの決意を伺いたいと思います。

○栗岡環境局長 大都市東京の存立基盤を脅かすエネルギーの安定供給の危機を回避し、エネルギー安全保障の観点からも不可欠な脱炭素化施策を抜本的に強化、徹底することは重要でございます。
 そこで、都は、本年九月に改定いたしました環境基本計画におきまして、危機を契機とした脱炭素化とエネルギー安全保障の一体的実現を図ることを位置づけ、この取組を加速してございます。
 とりわけ、直面するエネルギー危機への対応として、HTTをキーワードに、多様な主体や区市町村等と連携し、都民、事業者等の行動変容を促してまいります。
 また、省エネ対策や再エネ導入拡大などの脱炭素化施策を大幅に深化徹底し、化石燃料への依存を低減してまいります。
 都は、エネルギーの大消費地としての責務を踏まえ、こうした取組を都庁一丸となって総合的、重層的に進めることで、カーボンハーフの実現を目指してまいります。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 環境基本計画において、HTTの取組がエネルギー安全保障の観点や、将来的な脱炭素化に向けてしっかりと位置づけられているということでございました。
 局長の答弁にあったように、エネルギーの大消費地としての東京の責任は重く大きいと思います。
 都は、都民の暮らしや事業者を支えながら、二〇三〇、そして二〇五〇年へと決めた目標に向かって、今後もしっかりと環境対策の取組を進めていただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○里吉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十八分休憩

   午後三時三十五分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 よろしくお願いします。新築並びに既存住宅の省エネ、再エネ推進支援事業の現状について伺います。
 まず、今年度の東京ゼロエミ住宅導入促進事業の直近までの補助件数を伺います。

○関制度調整担当部長 助成金の申請受付を開始いたしました六月下旬から九月末までで二千四百四十一件の申請を受け付けております。

○原委員 周知も大分広がりまして、申請件数は順調に伸びているということですね。今年度の当初予算は百八億円で、前年度の四倍の予算が東京ゼロエミ住宅については組まれました。
 そして六月には補正予算も組まれております。昨年は抽せんをしていて、補助金をもらえない人も出ていたのですが、今年は申請して基準をクリアしていれば、補助金が受け取れるということで、工務店さんも安心して補助制度を案内できるといっておりました。ありがとうございます。
 新築時の太陽光パネル設置についても、標準装備化の流れを本格化させることが大事だと思います。義務化という名前がどうなのかというふうなことがいわれておりますが、私は標準装備という方が正確ではないかなというふうに思っております。
 断熱の段階も、よりレベルの高いものが選ばれていくように、ぜひその効果も検証してほしいと思います。
 次に、本年度の災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光普及拡大事業における断熱窓、ドア改修及び太陽光発電設備の設置について、予算上の想定数と直近までの補助申請件数を伺います。

○荒田気候変動対策部長 本事業における断熱窓、ドアへの改修に係る予算上の想定数は、それぞれ六万戸、五万戸、太陽光発電設備は一万一千八百五十三件でございます。
 申請受付を開始した六月下旬から九月末までの申請数は、窓改修が五千三百三戸、ドア改修が二千九百七十三戸であり、太陽光発電設備は三千二百十五件でございます。

○原委員 前年度実績は窓断熱が六百十五件、ドアが五十九件となっています。これ件数なので、単純比較はできないのですが、実際かなりの伸びだと思います。
 制度の開始当初は、窓、ドア改修と太陽光パネル設置をセットで行って初めて補助対象となっていまして、既に二重窓になっているお宅から、太陽光パネル単独での補助をとの要望があり、お伝えいたしました。間もなく、窓改修済みのお宅へは、単独補助の制度の利用が可能となりました。素早い対応に感謝をいたします。
 窓の断熱改修は、今、問合せが殺到し、電話がつながらないこともあるとお聞きをしております。ぜひ体制も増やして、予算を使い切って補正を組むぐらいの勢いで進めていただきたいというふうに思います。引き続きお願いをいたします。
 続きまして、日の出町谷戸地区のソーラーパネル開発について伺っていきます。
 まず、都内の自然地で太陽光発電を実施する目的で、開発許可の事前相談と許可について、ここ五年間の件数を年度ごとに教えてください。

○和田自然環境部長 太陽光発電に関連する事前相談件数は、平成二十九年度から令和三年度までの五年間で、平成二十九年度に四件、令和二年度に一件となっております。
 このうち開発許可された案件は、一件であります。

○原委員 ありがとうございます。
 都内の自然地での太陽光発電は、全体としては縮小傾向にあるようにも思います。それは、やはり実際に自然地に、特に大規模な太陽光発電施設を造ろうとしたときに、いろいろと課題が多いということを示しているのではないでしょうか。
 今日取り上げる日の出町谷戸地区の大規模太陽光発電施設は、今答弁のあった五年間の一年前に許可されたもので、日の出町役場向かいの道路に沿った高台の自然地にソーラーパネルが設置され、今稼働中ですが、やはり住民や町から様々な課題が指摘されています。
 温暖化ストップ、脱炭素社会に向けて、再生可能エネルギーの拡大は欠かせない課題ですが、事業者による規模の大きい太陽光パネルについては、地元住民の理解や、災害時の安全や景観保全など、設置において欠かせない課題があると思っております。
 都が自然保護条例に基づき開発許可をし、二〇一九年一月より稼働した日の出町谷戸地区の太陽光発電施設について、敷地面積を伺います。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しております。
 許可申請された当該地の面積は、約九千四百平方メートルであります。

○原委員 ありがとうございます。
 開発許可の際、開発行為の目的が太陽光発電施設であることは認識していましたか。発電施設の設備容量は、許可申請の際に事業者から報告する必須の項目ですか。お願いします。

○和田自然環境部長 自然保護条例に基づく開発許可制度においては、行為の目的を明らかにして申請することとしており、当該開発行為の目的は、太陽光発電施設の建設となっております。
 開発許可制度は、自然の保護と回復を図ることを目的としており、発電施設の設備容量については報告を求めておりません。

○原委員 都の自然保護条例は、敷地面積と使う目的以外には、どんな規模の設備になるのか詳細の報告義務がなく、どのくらいの斜面に設置するのかもつかんでいないとのことでした。
 現地からいただいた資料によると、茨城県の会社が谷戸地区の高台に二千五百四十四枚のソーラーパネルを設置し、発電量は〇・八メガワットだそうです。
 日の出町には、この事業者以前にも太陽光発電事業が展開されていますが、大きく違うのは、平たん地でなく、高台の急斜面になめるようにパネルが張られており、斜面の直下は、道路が通っていることです。
 こちらが谷戸地区ソーラーパネルです。ご覧いただければと思います。日の出町役場のすぐそばとあって、車の通りも多く、この真下が道路になっております。そして、すぐそばに役場があります。
 この下のところが三差路になっていまして、そのすぐ上方に、この上の方に発電施設がそびえ立つように見えて、パネルが縦に下から見えるくらいの急斜面です。
 二〇一七年にこの計画を知った地元の自治会は大反対したそうですが、都の許可が下り、稼働されてしまったとのことです。
 稼働後も、住民の不安は消えません。日の出町議会でも議員から、あの場所は誰が見ても自然を破壊しているとしかいいようがなく、何かあると災害が発生する危険をはらんでいる、東京都の条例も甘いのではとの声が上がっていました。
 耕作地は、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーン、また、土砂災害警戒区域、イエローゾーンには該当しませんでしたでしょうか、お答えをお願いします。

○和田自然環境部長 当該地の一部は、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域に該当しておりますが、その多くは残留緑地となっております。

○原委員 該当しているとのことです。その多くは残留緑地とのことですが、つまり開発行為を行った箇所も一部レッドゾーン、イエローゾーンに含まれているということです。
 切土、盛土、工作物の基礎排水設備などについて、どのような指導を行ったのでしょうか。

○和田自然環境部長 開発許可申請に当たっては、切土等が適正に行われ、土砂の崩落、汚濁水の発生等による被害が生じるおそれのないよう指導をしております。

○原委員 一定の指導はしているとのことでした。ここでは盛土は行っていない、よそから土は持ち込んでいないというふうにお聞きをしております。
 都は、既に今から三十年以上前、一九八九年に地球規模の環境変化と人類の生存との関係が大きく指摘されており、自然に対する関心やその保全の必要性に対する認識は一層高まりを見せていますとして、丘陵地の自然環境の保全と活用を図るとともに、自然環境との調和を図った秩序ある開発が行われるようにするためと、みどりのフィンガープランを策定しています。
 そして、このみどりのフィンガープランの対象地域となる丘陵地での開発行為について、丘陵地における適正開発のための指導指針を定めております。
 今回の開発行為地は、長淵丘陵に含まれると思いますが、いわゆるみどりのフィンガープランの対象地域ですか。その場合、丘陵地における適正開発のための指導指針に基づいて、どのような指導を行ったかを教えてください。

○和田自然環境部長 当該地は、丘陵地における適正開発のための指導指針の対象地域となっております。
 この指導指針に基づき、改変する部分について、在来の植生に合わせた樹木の植栽により、自然環境が早期に回復できるような措置を講じることなどを指導しております。

○原委員 この指導方針の対象地だということで指導もされたとのことでした。指導指針には三つの原則が定められており、今のご答弁で、在来の植生に合わせた樹木の植栽により、自然環境が早期に回復できるような措置を講じることなどを指導したというのは、二番目の原則に当たる指導内容だと思います。
 では、一番目の原則には何と書かれているか。第一原則、丘陵地の特質である斜面地及び尾根部分の保全に最大限の配慮をすることとあります。
 いま一度、写真パネルを見ていただければと思います。尾根急斜面部分がパネルで覆い尽くされているのが分かります。太陽光パネルですから、できるだけ日射条件のよいところに設置しようとすれば、勢いこのようにならざるを得ないというふうに思います。
 指導方針では、ほかにも尾根部分、急斜面は残留緑地として可能な限り確保することと書かれていますが、どうでしょうか。とてもそのようには見えません。
 都の自然保護条例は、開発行為地に何をつくるかは問題にしないということは、実際には自分たちが定めた貴重な丘陵地の保全のための計画や指針を守れないという事態を招いているというふうに思います。
 さらにお聞きしますが、開発許可申請に当たり、周辺の住民や地元自治体に対し、事業者がきちんと説明することを規定する項目が条例にはありますか。

○和田自然環境部長 周辺住民や地元自治体への説明が必要と考えられる開発案件については、事業内容を説明するよう事業者に指導を行っております。
 なお、当該開発案件についても、周辺住民や地元自治体への説明を行うよう指導しております。

○原委員 ありがとうございます。
 自然保護条例にそうした項目があるかどうかについての答弁は避けられていたと思います。この自然保護条例には、住民合意の項目は存在しないのです。この点も、都の自然保護条例の大きな弱点だというふうに思います。
 条例に項目がなくても必要と判断し、住民や地元自治体への説明を指導することは重要ですが、事業者が、例えば計画概要のチラシをポストインして、説明したといえば説明したことになります。義務ではないので、今回、計画段階でも周辺住民はほとんど知らされず、この施設ができてびっくりということでした。
 幾つかの角度からお聞きしましたが、結局のところ、都は、自然地を切り開いての太陽光発電施設の開発行為に対して、どのような権限を持っているのでしょうか。いま一度お伺いします。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しております。
 本制度において、開発行為の対象地に一定規模以上の緑地面積の確保などを求めております。

○原委員 結局、ご答弁のような自然保護条例の一般的な中身では、自然地での大規模太陽光パネル設置がもたらす弊害を防ぐことはできないということだと思います。
 現在の自然保護条例は、傾斜地であろうと、土砂災害警戒区域であろうと、自然地を一定残せば、何をつくっても構わないということでは、開発許可が住民の命と暮らしを守れないのではないでしょうか。また、開発計画の段階での住民の合意という大切なことが欠落していると思います。
 日の出町の町議会では、もともとは再エネ施設を推進してきたわけですが、この傾斜地への太陽光パネル設置規制が東京都にないという現実を知り、町として独自に規制が必要と、町議会で日の出町太陽光発電事業の適正実施に関するガイドラインを作成し、この九月に執行しています。
 その第一条、目的では、太陽光発電事業において、住民への周知、災害の防止、良好な景観の形成、自然環境及び生活環境の保全並びに発電施設の適正管理、発電設備の撤去等に係る配慮事項を示し、地域の環境及び住民意識と調和した適正な事業の実施を誘導することを目的とするとしています。
 そのために、一、近隣住民への説明、届出等、住民から出された意見、要望に誠意を持って対応する。二、急傾斜地、イエローゾーン、レッドゾーン、鳥獣保護区など、設置を避けるべき区域を設けた。三、土地所有者の責務、災害防止、自然景観、史跡及び文化財等景観、非常時の対応など、配慮すべき事項を記載しています。
 他県を見ても、こうした太陽光発電事業の実施におけるガイドラインや条例を独自に作成、実施している自治体は多数あります。
 岡山県では二〇一九年十月、太陽光発電施設の安全な導入を促進する条例を施行し、山梨県でも二〇二一年十月に、太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例を施行したところです。
 太陽光発電の普及が広がる中で、山林の斜面に設置されたパネルの崩落が他県で発生し、森林伐採による土砂災害への住民の不安が増大したことによるものです。
 岡山県の条例では、土砂災害の発生のおそれが高い区域、砂防指定地やレッドゾーンを太陽光発電施設の設置禁止としました。
 また、地域住民との適切なコミュニケーション、適切な土地の選定、稼働音、電磁波、反射光に対する住民への配慮、破損の際の措置、防災、安全、環境保全、景観保全、FIT制度期間終了後の事業継続、事業終了後の施設撤退など、太陽光発電施設に固有の課題について定めがされています。
 山梨県は、二〇一五年に一度ガイドラインをつくっていますが、より実効性のある事業者指導ができるようにと条例を制定しました。
 山梨県は八割が森林とのことから、地球温暖化の防止、山地災害の防止、生物多様性の保全のために、森林法に規定する地域森林計画の対象の民有林及び国有林を太陽光発電施設の設置規制区域に指定しています。
 一般に地域森林計画では、森林の保護に関する事項や、森林の土地の保全に関する事項を定めるわけですが、ここでお聞きしたいのですが、この日の出町の行為地は、多摩森林計画区に含まれていますでしょうか。

○和田自然環境部長 行為地は、森林法に基づく多摩森林計画区に含まれております。

○原委員 つまり、これがもし山梨県だったら、この行為地に太陽光パネルを設置することは、相当の規制を受けるということです。
 そのほかにも、兵庫県の条例や基準では、独立峰の稜線の部分に設置することを避ける景観保全の項目や、地盤の勾配は三十度以下であること、太陽光パネルの脱落や基礎の転倒の防止など、様々な規定があります。
 やはり今後、自然地での太陽光発電施設の整備について規制する条例が東京都でも必要ではありませんか。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しております。

○原委員 正面からお答えいただけませんでした。
 今、私たちは、再生可能エネルギーを強力に推進しなければ、ゼロエミッションの目標は達成できません。かといって、大規模な太陽光発電施設の設置が環境を壊し、生活を脅かすものとなっては本末転倒です。
 今、新築住宅への太陽光パネル義務化に賛否が起きていますが、否定的な意見の中に、こうした山の斜面に張りつくような太陽光パネルが景観を損ない、危険をもたらすものとの印象を持つことからの思いの人も多いのではないかと思います。
 都は今、詳細な説明資料まで準備して、太陽光パネルへの誤解や心配を解消する努力をしているわけですが、その一方で、こうした自然地への大規模太陽光発電施設の設置に対して、なすすべもないということでは、せっかくの努力が水の泡になりかねません。
 全体として、再エネ推進の鍵は住民合意であり、安全な場所への設置を進めることだと思います。
 都も他県の例に学び、また、地元自治体に任せるのではなく、太陽光発電施設が安全を確保しながら広がるよう、必要な規制を設けることを検討するよう求めるものです。
 次のテーマ、最後のテーマに移ります。
 西多摩の人口二千人の小さな村、檜原村に多摩地域最大の産業廃棄物焼却施設を造る計画の申請が比留間運送という事業者から出され、審査中です。
 一日九十六トンの廃棄物が持ち込まれ、焼却は二十四時間稼働、四十五メートルの煙突からばい煙が出続け、出入りの大型トラックなどは往復七十台に上ります。檜原村に焼却場は要らないと、村民の七割が反対をしています。
 審査の方は、専門家会議での審査第一回目が七月二十七日に開かれてから三か月半がたっています。東京都廃棄物処理施設の審査に係る専門家会議で宿題になっていることと、その進捗状況を伺います。

○志村資源循環推進部長 第一回の専門家会議では、水の確保など、複数の事項について、より詳細なデータを求める意見等が出されたことから、都は、事業者に対して、専門家から指摘された意見への回答や、水の確保に関する具体的な根拠資料の提出等を求めております。
 事業者からは、現地での地下水調査を含め、必要な資料の提出及び回答に向けて準備を進めていると聞いております。

○原委員 専門家会議では、地下水の根拠資料のほか、排気物質による沢の環境や水質汚染、交通事情、騒音などの疑問点が各専門家委員から出され、村から出された意見への回答も具体的でないと指摘をされ、次回は、事業者の出席を要請されたわけです。
 また、利害関係者からの意見二百七件、意見数は千十四への回答は、未提出の状態です。
 施設建設計画に対し、村民の七割が反対している状況についての受け止めをお願いします。

○志村資源循環推進部長 檜原村で計画されている産業廃棄物の焼却施設について、地元住民等からの反対意見があることは認識しております。
 都は、利害関係者から提出された意見も踏まえ、専門家会議を通じて、周辺地域の生活環境の保全に適正な配慮がなされたものであるかについて、公正かつ厳正に審査を進めてまいります。

○原委員 反対の意見を認識しているとの答弁でしたが、そこに住む人々の意見を軽く扱ってはならないと思います。署名数四万八千百十三筆、うち村民は千百十五筆で、村民の七一・五五%が署名をしております。インターネット署名も、今日の段階で一万六百十筆になっています。二千人の村民で四万八千の署名が集まっている、多くの人々に愛される村なんだというふうに実感をいたします。
 年間二十万人の人が檜原の自然を楽しみに訪れます。第二定例会で、計画の不許可や慎重審議を求める十二本の陳情が出されたことからも、注目している人の多さが分かります。
 さて、専門家会議では、水の確保が最大の焦点になっていました。一時間に十三トン、一日三百十二トンの焼却炉冷却水が必要だが、村民の生活に支障を来さないため、上水、水道水は使わないと事業者は示しています。
 事業者の想定では、雨水三〇から一〇〇%、井水、井戸水ですね、〇から八〇%、湧水二〇%弱、上水は原則〇%の割合です。
 給水について、村は、給水契約を拒否する可能性を踏まえた計画とすることとの厳しい意見書を上げていますが、事業者が村と事前相談をする必要はなかったのでしょうか。都への許可申請の段階で裏づけのない計画書になっていたということが、この間の事業者側の説明からも分かりますが、そうした認識は都にありますか。

○志村資源循環推進部長 行政手続法では、行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならないとしております。
 水の確保に関する資料については、廃棄物処理法において申請時に必要な書類として定められてはおりません。
 本件では事業者からの申請受付後、檜原村の意見書により、浄水場の能力の観点から、水道水の利用が困難であることや、専門家からの指摘により、地下水を確保できる根拠が必要であることなど、内容審査の過程において問題が明確になったことから、審査に必要な書類として、事業者に提出を求めておるところでございます。

○原委員 この間の上水使用拒否の意見書は、村と事業者が事前相談をしていないこと、事業者が、そこを甘く考え、地下水の調査もせずに申請をしたことが明らかになっています。
 専門家会議の委員の皆さんも驚いたかと思います。計画の前提となるようなところから質問や審査をしなければならないのは大変失礼な話かと思います。
 なぜ、水の確保が申請時に必要な書類として定められていないのか。私は局の方にお聞きしました。局も即答できず、これまで問題にならなかったとのことでした。これまでは臨海地域や工業区域に造られ、水道水と雨水を併用して使い、問題が起きていないとのことです。そもそも山林の上水が制限されるような場所での建設の経験がなかったわけです。
 申請する事業者も、申請を受理した都も大変甘く考えていた、または考えすらしていなかったといわざるを得ません。
 では、地下水が出ればよいのか。地下水を使うということにおいても、村にとっては重大問題です。地下水を取ることで、川の水量への影響があるかもしれないからです。
 水は死活問題です。村は、地下水について、勝手にどんどん掘られてはかなわないと、今年九月、村議会では、檜原村地下水保全条例をつくりました。
 現在、事業者は、地下水の試験掘削をしています。都は許可していますか。檜原村議会で制定された地下水保全条例との関係はどうなりますか。

○和田自然環境部長 環境確保条例では、地下水を利用する目的で、動力を用いて揚水する施設を設置するときに、工場を設置しようとする者は、工場設置認可を受けなければならないとしております。
 当該事業者は、井戸を試掘中であり、地下水を利用する目的で、動力を用いて揚水する施設を設置していないため、現在、工場設置認可手続をする段階にありません。
 環境確保条例は、檜原村地下水保全条例と異なる目的で制定された条例であります。一般的には、異なる目的で制定された条例では、それぞれの条例の手続が必要であります。

○原委員 動力を用いて地下水を取り込む段階で、工場設置認可が必要とのことです。
 なお、調査目的のための試験掘削は揚水、井戸として認識しない、これが都の公式見解であり、通常こうした理解となっていることが分かりました。
 村の地下水保全条例との関係はないということですが、試掘はあくまで試験であり、勝手に事業運用することは許されない立場は同様と解釈すべきと考えます。
 地下水の試掘調査結果について、檜原村議会特別委員会の場で、事業者は、九月末から十月に報告をすると回答していましたが、どうなっていますでしょうか。

○志村資源循環推進部長 事業者からは、現地での地下水調査を含め、必要な資料の提出及び回答に向けて準備を進めていると聞いております。

○原委員 聞いているというのは、多摩環境事務所が直接の担当部署だから、そうしたいい方になるのだと思いますが、ちょっと傍観者的だなというふうに思ってしまいます。
 九月に共産党の都議団で現地調査に行ったときには、試掘調査が一か所掘られていました。先週現地に行った地元の方から、試掘が三か所で掘られていたとのことです。どういう状況でしょうか。
 ここは川の水が飲み水として使われるくらいですから、井戸を掘るケースはあまりないのです。雨水で足りない分を地下水から取るという想定について、その根拠を問われ、調査を始めた事業者ですが、村議会で約束した十月を過ぎても調査結果が届いていません。まさかですが、地下水が出るまで掘るのでしょうか。
 九月七日に事業者出席の下、檜原村議会産廃施設特別委員会が開かれておりまして、そこである議員さんがこう質問しています。雨が降らない日が続き、水槽の水量が不足し、地下水が十分確保できない場合どうするのですかと。すると、事業者は、その場合は焼却をいたしません。水がたまるまでは焼却いたしませんと答えたんですね。
 議員の方から、稼働したり停止したりすると、ダイオキシンの発生が予定より多くなるのではないかとの再質問に対しては、出ないとはいわないが、極力出ないような形で行う予定ですとの答えでした。
 煙突から出されるダイオキシンが川や沢に降り注ぐ状況をチェックする下流側の川の水質検査については、年一回行うとのことで、年一回は少ないとの意見にも、今後検討しますとの返答でした。秋川漁協との協議は行っていないとのことでした。
 こんなやり取りが続き、努力目標はいわれるけれども確証がない、私はそんな印象を事業者に対して持ちました。
 村議会でのこうした議論をご存じでしょうか。局として当然ご存じとは思いますが、確認のため、返答をいただければと思いますが、いかがですか。

○志村資源循環推進部長 檜原村村議会の議事録については、確認をしております。

○原委員 ありがとうございます。
 今後、事業者は専門家会議にも出席する運びになろうかと思いますが、具体的な話合いができるのか大変疑問です。
 特別委員会では、このほかにも、大気汚染、土砂災害、山火事の危険なども懸念事項として出されていました。当然だと思います。
 お隣のあきる野市の市議会でも、この問題が取り上げられ、議論されています。南秋川浄水場の水を利用している市としても大変な問題だということです。市長さんは、焼却施設建設について、個人的にはない方がよいが、注視をするというふうに答えています。多摩川、秋川の源流を汚す可能性が否定できない計画は許されないです。
 調べてきて私がとても不思議なのは、CO2の排出量のことが都のミニアセスメントでも、どこでも出てこないことです。
 CO2排出削減は、全都、全国の至上命題として今取り組まれている、その中で、檜原村も村を挙げて努力し、二〇一三年には一万四千三百五十二トンだった排出量を二〇一八年には一万二千五百五十一トンまで減らしたそうなんです。
 ところが、産廃施設ができると、毎年二万五千六十トンを排出することになるそうです。そして、これには一日七十台規模のトラックなど、車の排ガスは含まれていません。加えたら三倍以上の排出量になってしまうでしょう。
 村のCO2排出量削減の努力に対し、逆行するCO2排出量増大を生み出してしまうことについて、都はどう認識していますか。

○志村資源循環推進部長 廃棄物処理法では、CO2排出量は、廃棄物処理施設の設置の許可要件になっておりません。
 都は、専門家の意見も踏まえ、法令で定める許可要件に適合するかについて、公正かつ厳正に審査をしております。
 なお、東京都は、カーボンハーフの実現に向け、様々な法令制度により、CO2削減に向けた取組を進めております。

○原委員 許可要件になっていないといいますが、多摩の自然を保全する計画は、都にあるわけですよね。緑豊かな土地で、これだけのCO2を振りまいたらどういうことになるかということなんです。
 特別委員会で、ある議員さんは、檜原村は九三%が山林です、この山林が日々酸素をつくり出し、都心に酸素を供給しているのですといわれました。幾ら近代的で公害の出ない焼却場であったとしても、それは檜原村に死の宣告をされているようなものですと訴えられました。
 そうした訴えに対し、事業者は、山林での焼却施設との共存は、実際非常に困難であるとしながら、焼却炉がこのような自然豊かな場所でも稼働可能であることを知っていただくよい機会だと思いますと答えたんですね。
 こんなチャレンジしますみたいな話で、それを檜原に持ち込む、環境が汚染されたら取り返しがつかないではないですか。この森には、希少動物が生息しています。クマタカ、ヒガシヒダサンショウウオの調査を長年されている方もいらっしゃいます。
 今年六月、真っ赤なくちばし、大きな黒い瞳、オレンジ色の翼のアカショウビンが観測されました。檜原の人里では、三十年ぶりの観測だそうで、幻の赤い鳥といわれるそうです。
 絶滅危惧種など希少動植物が生息する、この檜原の森を守ることは、都民全体の使命だと思います。環境が損なわれてしまうことは、都民にとって大損失となります。ぜひ現地を見に行かれてください。
 多摩川、秋川の水源を、豊かな自然をどう守っていくのか。地元の皆さんが農業、林業、観光業を継続できるように何をすべきか。担当部署のみならず、環境局全体で考え、責任を持って取り組んでほしいというふうに私から訴えまして、質問と意見とさせていただきます。ありがとうございました。

○漢人委員 それでは、質問いたします。まず、スマートエネルギー都市の実現についてということです。
 今まさに、国連の気候変動枠組条約の会議が開催されていますCOP27ですね。昨日は、温暖化対策に後ろ向きな国に毎回贈られています化石賞の第一号に日本が選ばれたということが報道されています。
 環境NGOの国際ネットワークが選んだものですが、化石燃料への公的資金の投資額が世界最多となったこと、また、岸田首相が訪れていない、参加していないことなどが理由だということです。
 一方、こちらの小池知事は参加しているわけですね。報道されていますが、グリーン水素の供給網構築をアピールされています。これは二〇五〇年までの計画ということです。
 私は、この間ずっと、水素について否定はしないけれども、二〇三〇年のカーボンハーフには間に合わないじゃないかと。水素の取組は否定しないけれども、もっと二〇三〇年に向けて力を入れるべきだということを訴えてまいりました。
 まずは、この気候変動対策における現状認識ということでお伺いいたします。
 事業概要がありますが、その四九ページに、このように書いてあります。二〇二〇年の温室効果ガス排出量は、CO2換算で約五千九百九十万トンとなり、省略しまして、エネルギー消費量の削減及び電力のCO2排出係数の改善効果により、二〇一九年度に引き続き減少になった、このように書いてあるわけです。この評価についてお伺いしたいと思います。
 CO2排出量は、二〇二〇年は、コロナ禍によって世界的に減少しています。世界的には五・八%、日本では五・一%の減少です。
 東京都も減少になったということですけれども、これはコロナ禍の要因も含まれると考えますけれども、そう考えてよろしいでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 二〇二〇年度、都内温室効果ガス排出量の速報につきまして、部門別CO2排出量の対前年度比を見ますと、産業部門が前年度比五・五%減、業務部門が九・〇%減、運輸部門が六・五%減となる一方、家庭部門は五・九%の増となっております。
 コロナ禍による経済活動への影響やテレワークの増加が業務部門等の減少要因となる一方、家庭部門での増加は、在宅時間が増加したことなどが影響したものと考えております。

○漢人委員 つまり、総合的にはコロナ禍による減少という認識だというふうに今のは受け取ってよいかと思います。
 先ほどの事業概要ですと、エネルギー消費量の削減及び電力のCO2排出係数の改善効果により、二〇一九年度に引き続き減少とあるわけですけれども、エネルギー消費量の削減というのは、これはゼロエミ対策の効果がないとはいわないですけれども、コロナ禍が主たる要因であるという、こういった認識は重要だと思います。
 東京都の施策が功をなしたから減ったんだというよりは、むしろコロナ禍によって減ったんだという認識を持っておくことが必要だというふうに思います。
 そしてもう一つですが、昨年の二〇二一年、これは世界的には残念ながら大きなぶり返しが起こっていて、過去最高の排出量になっています。
 日本の速報値はこれから十二月に発表になりますし、東京都についても、でも多分同じような傾向になることが予想されるのではないかと思います。
 そのような大きくぶり返すという、過去最高値になるのではないかという、そういった危惧を持っているかどうかお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 国際エネルギー機関の報告によれば、二〇二一年の世界エネルギー関連CO2排出量は、コロナ危機からの世界経済回復と、中国やインドなどによる石炭の使用増加等に伴い、二〇一九年度レベルを超過いたしました。
 二〇二一年度、都内温室効果ガス排出量の速報値については、エネルギー供給事業者に対するアンケート調査や、今年度末までに入手可能な国、都の二〇二一年度各種統計数値を分析した上で算出するため、現時点での予測は行っておりません。

○漢人委員 その速報値が東京都について出るのは来年の六月から七月頃になるというふうに伺っています。大分時間がかかるものだなと思いますけれども、でも、だからといって現時点での予測を行わないということにはならないんではないでしょうか。
 十二月の日本の速報値を受けて、大きな動向は把握できると思います。東京だけが特殊な状況にあるわけではないんですね、まあ、特徴はあると思いますけれども。それに基づいて、私はもう来年度予算についても、しっかりとそれに対応するような形で反映をしていくということが必要だと思いますので、ぜひこれは強く求めておきたいと思います。
 次ですが、再生可能エネルギーの導入拡大ということで、何点かお伺いいたします。
 再エネ設備の新規導入につながる電力調達構築事業というのがありますけれども、これが産業労働局へ移管となっています。幾つかこれまでのほかの方の質問でもありましたけれども、環境局からいろいろとほかに移管になったものがあります。
 この事業については、どのような理由で移管になったのか、ご答弁をお願いいたします。

○荒田気候変動対策部長 脱炭素化等のエネルギー対策をより実効性のあるものにするためには、これまでの環境政策に加え、世界的な脱炭素の動向を踏まえた企業経営の革新といった産業政策が必要でございます。
 こうした観点から、七月一日付で組織改正を行い、企業向けエネルギー施策である本事業も産業労働局に移管いたしました。

○漢人委員 脱炭素に向けた産業政策の必要性というものは当然必要だと思いますので、認めるところです。
 ただ、この事業に関しては、補助対象の条件として、再エネ発電設備設置地域への環境配慮というのがあります。こういった点については、今後も引き続き環境局としても、しっかり連携をして、さらにここを強化していくべきだと考えますけれども、そのような連携はされていくということでよろしいでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 脱炭素化のエネルギー対策をより実効性のあるものにするためには、これまでの環境政策に加え、企業経営の革新といった産業政策が必要でございますが、今後も引き続き、環境局、産業労働局と共に連携して、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッション東京に向けて、推進してまいりたいと思っております。

○漢人委員 産業労働局に移管になっても、環境配慮の視点、ぜひ環境局としての連携をしっかり行っていただきたいというふうに思います。
 次に、その再エネの一つですが、風力発電についてお伺いしたいと思います。
 東京都において、風力発電についての環境配慮の指針のようなものはあるでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 再エネ設備の導入に伴う環境配慮については、関係法令、設置場所の自治体が定める条例等を遵守することが不可欠でございます。
 このうち、風力発電を含む再エネ設備のFIT認定に関しては、再エネ特措法に基づきガイドラインが定められており、遵守事項に違反した場合は、認定基準に適合しないとみなされ、国から指導助言、改善命令、認定の取消しの措置が講じられることがあります。
 風力発電設備に関するガイドラインでは、設計、施工、運用、管理等の段階で順守すべき事項が定められており、例えば稼働音等については、地域住民や周辺環境に影響を与えないよう適切な措置を講ずるよう努めることが求められております。

○漢人委員 引き続き風力発電なんですが、東京都の場合には、都内であまり陸上の風力発電というのは、大規模化されていくというふうには想定はできないと、されないと思っています。
 一方、エネルギー供給事業者対策ということになるかと思いますが、東京電力は、再エネ方針として、洋上風力発電を中心として掲げています。
 洋上風力発電には、これはコスト面とか、漁業者との調整とか、また生物多様性への配慮、様々な問題があるわけですけれども、加えて、低周波被害への指針が必要ではないかというふうに私は考えております。そのような指摘がされています。
 特に、東電の方針では、当面は、沿岸部に設置される着床式洋上風力導入となっています。
 東京都の指針として、低周波被害を回避する距離を示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木環境改善部長 風力発電の騒音等の評価手法に関する国の検討会では、風力発電からの騒音につきましては、通常可聴周波数範囲の騒音として取り扱うことが適当であるというふうにされております。
 都におきましては、何人も隣地との敷地境界線で、規制基準を超える騒音を発生させてはならない等の環境確保条例の規定を基に、騒音規制事務を担っている自治体が事業者等に対して指導を行っております。

○漢人委員 私は、東電の行おうとしている、既に行っている着床式洋上風力発電、これについて質問をしているんです。
 既に銚子沖、それから最近ですが、秋田沖での事業化も含めて、この着床式洋上風力の導入が進められているということについて、これは東京都としては把握をしているんでしょうか。
 そして、私の質問に対して、東電への対策として距離を一定持つべきだという、そう指針を持つべきではないかと質問したんですけれども、それに対して環境確保条例で対応しますというご答弁でした。
 東京都の環境確保条例というのは、千葉県銚子沖や秋田県沖まで対応ができるものだったでしょうか、お伺いしたいと思います。

○鈴木環境改善部長 まず、東京電力が銚子沖等で風力発電を推進していることについてでございますが、そのことにつきましては、東京電力のホームページにも掲載されているところでございまして、私どもも承知はしておりますが、これらは東京都の区域外でございますので、環境確保条例の対象とはなりません。
 なお、環境確保条例におけます騒音規制というのは、東京都内に存する音源につきまして、敷地と隣地との境界線において音量を測定し、規制基準の適合状況を確認するというふうにしているものでございます。

○漢人委員 今の東京都の環境確保条例では、当然この東電の千葉県や秋田県で実施をするものについては、何も指導ができないということが確認できました。けれども、今エネルギー環境計画書制度を今度の第四回定例会で条例でも強化をして、とにかく東京の七割の電気を供給しているのが東電なわけですから、その再エネ利用の拡大を求めていくと。この制度によって、東京都としてはしっかり東電に再エネ拡大をさせていこうとしているわけです。
 東電が考えているのは、銚子沖、そして秋田沖、まあ、秋田沖はまだ先のようですけれども、既に銚子沖の方は商業利用もされているようで、こちらを拡大していくというのが東電の方針なわけです。東京都が促して、東電に造らせる洋上風力発電によって、その周辺の人たちが被害に遭うようなことを東京都が誘導するのかということになってしまうわけです。私は、しっかり東京都としての考え方も持っていく必要があると思います。
 また、先ほどの答弁、最初に、風力発電の低周波被害に対しての指針がそもそもないのかというふうに伺いましたら、国の基準があると。ちょっと言葉が分かりにくかった。つまり、音と同じように聞こえるような程度のものについて、低周波ということですと、聞こえないけど感じる振動であったりとか、人によって感じ方が大分違う中での、でも、それが睡眠障害になったりとか、健康被害を及ぼすような、そういう低周波の問題があるわけですけれども、国はどうも、以前は低周波の健康被害ということも認めるような考え方を環境省も消費者庁も出していたんだけれども、二〇一七年ですかね、今のご答弁にあった国の検討会による指針というのは、通常可聴周波、聞こえる範囲のものだけを対象にしますというふうに変わったということなんですね。
 それはどうも、やっぱりこの風力発電を推進していこうということとセットで進められたんではないかというふうに思われます。
 しかし、私はとにかく今、気候危機対策、いかに再エネを進めていくのか、風力発電も東電にしっかりやってもらわなきゃいけないと思っていますが、しかし、それによって、被害を受ける人たちを増やすわけにはいきません。
 この風力発電について、具体的に銚子沖ですと、沖合三・一キロです。そして、秋田県の秋田県沖ですと、何と沖合一・一キロという、本当に近いところに設置をされるということで計画が出ています。もう既に建設もされています。
 しかし、この風力発電、特に洋上風力発電も大量に稼働しているヨーロッパですと、これは陸地から十数キロは離すということで、そのぐらい離さなければ、低周波被害があるということで進められているんです。
 例えば、デンマークでも最近、健康被害のために十五キロメートル離すということが決まったとか、ドイツでも二十キロから六十キロぐらい離して建てるというようなことになっているようです。
 ただ、それができるのは、ヨーロッパの場合には、それだけ離しても水深が深くならない遠浅の海が広がっているからで、日本の場合にこれだけ離すと、全然着床式なんかできなくなっちゃうということになります。
 東電も二〇三〇年頃の予定としては、着床式、海底につながっているものではなくて、浮体式という、浮いている形のものを設置するという方針も導入し検討していく、検討し導入するかな、ということも方針化しているんですけれども、これは、低周波被害などを考えれば、かなり価格的、技術的には厳しいということもあるようですが、そちらの方を進めていくということを求めなければならないだろうというふうに私は思っています。
 もう既に低周波被害について、たくさんの洋上風力発電、洋上だけじゃない風力発電を設置しているヨーロッパでは、それだけの健康被害がある、設置場所と人が住むところというのは、それだけ十何キロも離さなければならないということを実績として持っているわけですから、それに続いて行っていこうという、これからこれを導入していこうという東電、そしてそれを促そうとしている東京都としては、そのぐらいの見識を持って、しっかり東電にも働きかけをしていくことが必要だと思います。
 東京に供給する電力をつくるために稼働していた福島の原発事故があって、本当に多大な被害を及ぼしました。同じように東京に供給する電力をつくるために、銚子や秋田沖の風力発電によって、さらに健康被害を招くようなことというのは避けるべきだと思いますので、ぜひその点はご検討いただきたいというふうに思います。
 それで、この再エネのところで、一点ちょっと追加で質問したいんですけれども、ちょっとさっきびっくりしまして、私、第三回定例会の文書質問で、これ十月五日ですよね、提出したの。責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインについてということでの質問をしています。
 この答弁がいまだに、もう一か月以上たつんですけれども、全く答弁の調整をいただいていないんですね、まだ待ってくれという話で。ですが、先ほどこいそ委員へのご答弁に、何かこれに匹敵するようなご答弁があったように思いまして、もしまだ途中でしたら現段階での考え方でもいいので、ぜひこの場でご答弁いただけたらと思います。
 都が進める太陽光発電設置義務化について、太陽光パネルが中国における人権侵害が指摘される新疆ウイグル自治区製が多いと指摘をされています。
 都は、これに対して国内メーカー等の状況把握に努めるとともに、人権問題がグローバルなサプライチェーンでの課題であることを鑑み、国が策定した責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを踏まえた事業活動を推進していくという姿勢を示しています。
 太陽光パネルの製造過程に関して、人権尊重ガイドラインを踏まえた事業活動の推進として、都はどのようなことを行うのですかという質問なんですが、これ、今の段階でお答えいただけることがありましたら、お答えいただけないでしょうか。文書質問で出していますから、きっと丁寧な、充実した答弁がまたあるかと思いますけれども、現時点のご答弁をいただければと思います。

○木村建築物担当部長 都は、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン、国が策定したものですけれども、これを踏まえまして、太陽光パネルメーカーに対して、業界団体と連携して、継続的にヒアリングや意見交換を行いまして、各メーカーの適正な取組と情報公開を促してまいります。

○漢人委員 また文書質問の方でさらに丁寧なご答弁がいただけるというふうに期待をしています。
 ただ、十月五日に出した文書質問の答弁がないままに事務事業の質疑を迎えるというのは、まだ一年目ですから、私は初めてのことではありますけれども、そうなのかなと疑問に思っていたところ、先ほどのこいそ委員の答弁がありましたので、あれとちょっと思ったところです。ぜひ、さらに充実した答弁を期待したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、大きな質問項目に移りますが、生物多様性地域戦略の改定についてお伺いします。
 実は、先週の建設局の質疑の中で、この生物多様性に関しての建設局としての認識や取組について質問したんです。
 これは、具体的にやっぱり地域戦略、生物多様性の問題に取り組むに当たっては、建設局が実際に現場で何をしていくのかというのは本当に大きな役割を持つと思いますので、そういった観点で質問したんですが、結果として、とても大変不安に思ったという感じです。本当にこの理念がちゃんと伝わっているのだろうかというふうに思いました。
 地域戦略が絵に描いた餅になるのではないかという危惧も持っておりますので、そういう観点から、こちらでもちょっと伺っておきたいと思います。
 現在、既に緑施策の新展開ということで、生物多様性に関しての計画はあるわけです。この緑施策の新展開と今回の地域戦略、この最大の相違点は何でしょうか。

○和田自然環境部長 平成二十四年度、都で初めての生物多様性地域戦略に当たる緑施策の新展開を策定し、取組を進めてまいりました。
 緑施策の新展開は、緑の量や質の確保に関する緑施策を中心としておりました。先般公表した生物多様性地域戦略の改定についての中間のまとめは、これまでの取組に加え、生き物の種の保全を前面に出した戦略としております。

○漢人委員 生き物の種の保全を前面に出した戦略ということですね。そうなんです。建設局との質疑の中では、主にやっぱり緑の量に皆さん頭が行っているなとすごく思いました。
 生き物の種の保全というところまで、そこまではみたいな感じがあったりとか、また、まだ中間まとめの段階で、これは環境局の何ていうんですかね、領分ですからみたいな、何か縦割りの感じで、まだあまりいえませんみたいなことをすごくいわれたんです。だけど、これって策定段階からいかに連携してつくるかということで実効性があるものになると思うんです。
 具体的に、この地域戦略は、今、生物多様性地域戦略改定庁内検討会というのをつくって、関係する各局の担当者がみんな集まる中で会議をしてきているというふうに、中間まとめにも記載をされていました。
 この庁内検討会の委員構成、それからどんな開催状況、どんな議題について議論をされてきたのか教えていただけますでしょうか。

○和田自然環境部長 生物多様性地域戦略の改定に当たっては、自然環境保全審議会への諮問後、生物多様性地域戦略の改定に向けた庁内検討会を令和二年に設置いたしました。
 この検討会は、環境局のほか、産業労働局や建設局など、生物多様性に関係する各局の企画担当を中心に構成しており、これまでに五回開催しております。
 検討会では、地域戦略改定に向けた検討の方向性、昨年八月に公表したゼロドラフト、中間のまとめの内容を主な議題とし、全庁的に検討を進めてきております。

○漢人委員 伺えばそういうことになるわけで、今のお話の中でも、やっぱり産業労働局や建設局など、その辺が大きな役割を持つということで、例に挙げられたのかなと思うんです。その大きな役割を持つところについても、なかなか局内の方では浸透していないという現状があろうかと思いますというか、私はそのように感じました。
 全て、担当で出てきている方が局内にこれを伝えるというのも難しいことかと思います。そこで、今回、年度内に地域戦略が改定されると思うんですが、それを受けまして、最初にいわれたような改定趣旨、これまでの緑施策の新展開とはこういうふうに大きく違うんだということなど、また、今回の地域戦略によって、各局でどんな展開が期待されるのかといったことなどについて、しっかり庁内に伝わるような、そういった研修会のようなことを開催する必要があるんではないかと思います。
 そういった理解をまず求めなければ、具体的な事業、施策、取組にはつながらないと思いますが、そういった場を設けるということについてはいかがでしょうか。

○和田自然環境部長 地域戦略の改定に当たっては、関係各局で構成する庁内検討会を設置し、全庁的な検討を進めてきております。
 引き続き、関係各局と連携した取組を進めてまいります。

○漢人委員 連携した取組を進めていくためには、しっかりとした研修、趣旨を理解していただくことが重要だと思いますので、ぜひ、そういった場を設けるということをご検討いただきたいと強く要請をして、この質問については終わりたいと思います。
 最後ですけれども、檜原村産業廃棄物焼却場の建設申請についてお伺いします。
 先ほどの原委員と重なるところもありますけれども、ごく絞った形でお伺いしたいと思います。
 この建設申請については、九月十四日の委員会で十二件の陳情について審査をいたしましたので、その経過も踏まえて質問いたします。
 この焼却場の設置許可申請の提出、これはもう三月一日、八か月前に提出がされています。そして意見書の提出期限は六月一日でしたから、もう五か月たちます。
 そして、この産業廃棄物処理施設の審査に関わる専門家会議、この第一回の会議が七月二十七日に開催されました。それからも既に三か月半です。前回の委員会、九月十四日の審査からももう二か月たっているんです。あっという間に時間が過ぎているわけですけれども、なかなか進展が見えておりません。
 私は、今回の一番大きな問題は、これまでも繰り返していますが、給水計画がないということです。これは、なぜそれが問題になったかといえば、意見提出のときに、檜原の村長から出された意見書にこのようにあったからです。
 まず、給水事情として、建設予定地を給水区域とする南秋川浄水場は、計画最大給水量が一日五百八十トンで、平均給水量は四百八十トンと余裕がない状況である。本当に余裕がないですよね。施設が大量の水道水を必要とする場合は、深刻な水不足が懸念され、村民生活が脅かされるおそれがある。よって、給水契約を拒否する可能性を踏まえた計画とすることということです。
 これが出てきて、普通だと水はつながっているわけですから、どんどん使えばいいやということで、どこの焼却場でも、これはその地域の給水が受けられるということで計画が立っていて、ここもそうなるだろうと思っていたわけですよね、比留間さんも、事業者も。ところが、村長からこういった現状の意見が出たということです。
 そして、それに対して、また事業者の説明がとても曖昧な、井水、湧水、雨水で水を確保すると。給水してくれなくても、井水と湧水と雨水で確保するから大丈夫よと、そういう回答だったんだけど、これじゃ、専門家会議の皆さんの方からも認められないと。
 特に、地下水の専門家の方のご意見が、これがまた重要です。この地域は固結した岩盤の深度が浅く、帯水層といわれるような地下水の採取に有望な地層が広がってはいない、地下水を大量かつ継続的にくむことは難しいという見解を述べられたわけです。
 これを受けて、東京都としては、ここポイントですけど、東京都としては、これを受けて、業者に対して給水計画を出すように求めたということですね。専門家会議からの要請もあったけど、東京都がこれを求めたんだというふうに思います。
 この給水計画の提出というのがされたかどうか、先ほど原委員の答弁がありましたが、繰り返しになりますけれども、まだなら今後の見通しについてどうなっているのかお伺いしたいと思います。

○志村資源循環推進部長 水の確保について、資料の提出はなされておりません。事業者からは、現地での地下水調査を含め、必要な資料の提出及び回答に向けて準備を進めると聞いております。

○漢人委員 やっぱり何度聞いても人ごとのような答弁だなというふうにいわざるを得ません。(「漢人さん、時間だよ」と呼ぶ者あり)いや、あと三分ぐらいあると思いますけれども。(「いやいや、そんなことないよ。十七分ぐらいに始まったから」と呼ぶ者あり)

○里吉委員長 そろそろです。

○漢人委員 そろそろですか。じゃ、あと一問だけで終わりますので、すみません。
 東京都は、水の確保は施設の安定稼働の観点からも重要な問題ということを前回の陳情質疑のときに答弁をしています。そういった見解を示しています。
 都としては、施設の安定稼働のために必要な水の確保について、適切かつ現実的な計画が示されることは、廃棄物処理施設の技術的な基準を満たしているかどうかを判断する際の必須要件と認識していると理解してよいでしょうか、お伺いします。

○風祭資源循環技術担当部長 水の確保につきましては、焼却施設の安定稼働に不可欠なものであることから、技術上の基準に適合するかを都が判断する上で、申請内容に応じて適切な計画を提出させることは必要だと認識しております。
   〔「委員長、時間どうなのよ、時間」と呼び、その他発言する者あり〕

○漢人委員 今のは大変重要な答弁だと思いますので、最後に確認をさせていただきます。(「いやいや、一問といったんだから、いったとおりやってよ」と呼び、その他発言する者あり)すみません。

○里吉委員長 終わりました。

○柴崎委員 太陽光パネル義務化に関する条例改正、補正予算が第四回定例会に提案されます。私からは、それに先立ちまして、太陽光パネルの義務化を東京都の事業とすることにつきまして、その必要性、妥当性について何点か伺いたいと思います。
 冒頭、COP27への知事の参加についてお伺いいたします。
 十月十九日に海外出張を発表した際には、サステーナブルリカバリーをはじめ、関係施設の取組など発表し、都のプレゼンス向上を図るとだけ記載をされておりました。
 その後、十一月五日の出発前日の四日の記者会見で、東京都の場合について、水素の活用や太陽光発電など、これら取組、制度について発信をしてまいりたいと具体的な内容を明らかにされました。
 この内容につきましてマスコミ等で報じられたわけでありますが、環境局は、知事が海外に向けて都の太陽光発電について発言するということを事前に承知していたのでしょうか。条例提案、そして予算措置など、これから都議会と議論が始まる案件であります。もし承知をしていたのであれば、こうした動きにつきまして、事前に都議会に連絡しなかった理由も併せてお聞かせいただきたいと思います。

○藤本政策調整担当部長 太陽光発電利用に関しまして、カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針を九月九日に公表しておりまして、この中で、第四回都議会定例会における条例改正案の提出を記載しております。
 また、九月十四日に開催された環境・建設委員会におかれましても、条例改正案を第四回定例会に提出し、審議を賜る予定と説明させていただいております。
 ご指摘の点につきましては、既に広く周知されているものと認識をしております。

○柴崎委員 周知をされているということでの今答弁なんですけれども、私の質問とはちょっと違うんですが、次もありますので、いずれにいたしましても、この太陽光発電につきましては、都内の新築住宅への太陽光パネル設置の義務化、これが東京都民にとりましては、都内事業者にとって大きな関心事であります。
 ご案内のとおり、今年の五月二十七日に、小池知事が突如、記者会見におきまして、都内の新築住宅につきまして、太陽光発電の設置の取組を推進していく。この制度の対象者は、延べ床面積、年間二万平方メートル以上の住宅やビルを建築する事業者で、大体五十社程度が見込まれるということで、新築住宅の約五〇%が義務化の対象になる計算であると発表されたわけであります。
 そして、この記者会見の後、都民から多くの反対の声があったことはご承知のとおりだと思います。
 その後、環境局はホームページ上で太陽光ポータルサイトを立ち上げまして、パネルの安全性、設置した場合の経済性、リサイクル問題、人権問題などなどについて都民への情報発信を行い、最終的には、すぐには実施しないで二年間の準備、周知期間を設けるなどして、実施は令和七年度になると発表されました。
 また、この間、関係事業者への説明、都内区市町村への説明に回られたとお伺いしております。
 このように今年五月の知事の突如の発表が混乱を招き、環境局が説明に追われる。ようやく第四回定例会に条例案と予算措置を議会に提案する段階までこぎ着けられたわけであります。
 これから本格的な議論が始まるというときに、知事がCOP27参加のために訪れたエジプトのカイロ大学で、こちらでも都が新築住宅に太陽光発電設備の設置を義務化する制度を始めるとの発言をされております。
 条例改正案や補正予算案を都議会に提案し、説明する前ですよね。当然議決もされていない段階で、カイロ大学におきましては、知事は一体何を根拠に、都の取組をどのように紹介されたのかお伺いしたいと思います。

○藤本政策調整担当部長 気候変動対策は、日本をはじめ世界各国が直面する喫緊の課題であり、世界人口の半数以上が集中するといわれております都市の役割が重視をされております。
 都はこれまで、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度の導入など先駆的な取組を数多く実施してきました。
 こうしたことから、気候変動対策の最前線に立つ都市として、東京の二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すなどの取組を紹介しております。

○柴崎委員 太陽光パネル義務化は非常に重いテーマだと思います。環境対策としての必要性と都事業としての妥当性、合理性、これを都民、事業者の方々の意見を伺いながら慎重に判断していく必要があると思います。その意味で、この間の小池知事の対応には大きな疑問があることを指摘しておきます。
 続きまして、太陽光パネル義務化の内容について伺いたいと思います。
 東京都では、家庭部門の電力が伸びております。都内には大きな工場よりも住宅が多く、住宅へのパネル設置は有効である、こうした分析を伺っているところであります。
 しかし、そのことが直ちに、都税を投入して太陽光パネル義務化をすることにはつながらない、様々な対策を検討する余地もあるのではないかというふうに考えております。
 そして、太陽光パネル設置に関しましては、設置に関わる経費、設置する住宅の耐震性の確保、リサイクル体制の構築、そして人権問題など様々な問題があることは、局としてもご存じのとおりだと思います。
 そして国の脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会は、二〇三〇年の住宅、建築物の姿として、新築戸建て住宅の六割において太陽光発電設備が導入されることを目指すべきとしながらも、検討会の中では、必要性についての共通認識はあるが、設置義務化に対する課題の指摘もあったことを明確にしております。
 こうした国の動きがある中で、東京都は令和七年、二〇二五年には義務化を開始しようとしているわけですが、その理由について伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、都内CO2排出量の七割超を占める建物におけるエネルギーの脱炭素化が急務でございます。
 現状、都内の住宅屋根への太陽光パネルの設置率は四%程度にとどまっており、大きなポテンシャルが存在しております。
 こうしたことから、大都市ならではの強みである屋根を最大限活用し、新築住宅等への太陽光パネルの設置などを大手住宅供給事業者等に義務づけ、取組を加速することといたしました。

○柴崎委員 次に、太陽光パネル設置事業を都内全域で展開する場合は、かなりの予算措置が必要になる大事業になるかと思いますが、何年計画で、経費総額はどのような規模感になるのでしょうか。この事業によって、都の再エネ利用割合をどの程度高められると見込んでいるのでしょうか。そして、こうした事業の全体像を踏まえた上で、本事業の費用対効果をどのように考えているのか、以上三点、併せてお伺いしたいと思います。

○木村建築物担当部長 都は、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向け、二〇三〇年までの行動は極めて重要との認識の下、温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフに向け、取組を進めております。
 本制度の対象は、都内における年間の新築着工約四万六千件のうち、半数程度が想定され、都は、こうした都民、事業者の行動を後押しする支援策を検討しております。
 また、新制度の導入に合わせ、既存建物や公共施設への設置の加速等により、二〇三〇年には、都内全体で二百万キロワットの導入を目指しており、都内電力消費量の四%程度に相当すると見込んでおります。
 こうした取組は、電気代削減による経済性に加え、停電時に電気を使用できる防災性など、多様なメリットをもたらす環境性能の高い住宅の標準化につながり、気候危機への適応やエネルギーの安定供給に大きな効果をもたらすものと考えております。

○柴崎委員 今、私の三点の質問、特に予算については、まだいえないのかもしれませんが、推測するところには、やはりこれ相当な規模の予算が必要じゃないかな、そういうふうに思うんです。ですから、そういった質問をさせていただきました。そのことはご認識いただきたいと思います。
 続いて、太陽光パネル設置におけるCO2の削減効果について伺いたいと思います。
 設置するパネルのキロワットによって異なるのかと思いますが、通常、通常であれば、一基当たりどの程度の削減効果があるというふうに見込んでいるのでしょうか。また、事業全体としてどの程度の削減を見込んでいるのか伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 住宅屋根に四キロワットのパネルを設置したとき、CO2削減効果は、現在の電力のCO2排出係数を基に換算すると、一軒当たり年間約千七百キログラムで、杉林約二千平米分の吸収量に相当します。
 二〇三〇年度の導入目標である二百万キロワットは、年間約九十万トンのCO2削減効果になります。

○柴崎委員 効果がそれだけあるということで、今ご答弁をいただいたところでございます。CO2については、よく分かりました。
 続いて、先ほども我が会派、こいそ委員からも質疑がございましたが、人権問題について確認したいと思います。
 人権問題も大きな課題であります。環境対策も重要ですが、人権問題をおろそかにはできないと考えております。中国からの輸入につきましては、世界各国もノーという意思表示をしているわけでありまして、日本の首都東京がこの問題を避けて通ることはできないと考えております。
 都からも、こういった発言が以前あったように記憶をしているんですが、可能な限り生産地を確認して、新疆ウイグル自治区産のものは利用しないように努める。と同時に、流通経路が複雑であり、そして確認には限度がある、このことも併せてご発言があったように記憶をしているところでございます。
 こうした中で、中国産パネルを使用しないで事業を進めるためには、少し時間はかかるかもしれませんが、国内における国産パネル製造の動きを見据えながら事業化を進める、このことも必要じゃないかと考えているところであります。したがいまして、都の見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 人権問題につきましては、グローバルなサプライチェーンでの課題であるとの認識の下、引き続き各国や国の状況を注視するとともに、都としても業界団体と連携し普及啓発を行うなど、SDGsを尊重した事業活動を促進してまいります。
 また、パネル開発の動向につきましては、国内メーカーを中心に、建物が集積する東京の特性を踏まえた商品の開発が進んでいると認識しております。
 国は、薄く、設置場所を選ばない次世代型の太陽電池の実用化に向け、企業の支援を行っており、都は、このような太陽光パネルの開発動向を引き続き注視するとともに、都市部の実情を踏まえた商品ラインナップの普及等を後押ししてまいります。

○柴崎委員 少しやはり時間をかけていくことも必要じゃないかな、こんなふうに思うところであります。
 次にお伺いしたいのは、自宅の屋上にこのパネルを設置した方は、自宅で使う電力の多くを太陽光発電で賄うことができるわけであります。つまり、電気代がかからない、こういったメリットがあるわけです。
 その反面、パネルを設置しておらず、通常の電気を使っている方は、その電気代金に再エネ賦課金が加算されるわけであります。太陽光パネル発電が増えれば、この賦課金が増える仕組みだと思います。
 現在、太陽光発電による売電価格が下落傾向にあるのは承知しておりますが、太陽光発電の増加が再エネ賦課金の増額要素であることは事実だと思います。
 再エネ、そしてCO2削減という観点で、全都民に関係する事業ではありますが、直接的に経済的利益を有する都民がいる一方で、逆に経済的負担が増える都民もいるということも踏まえ、都の政策として全体のバランスは取れているのでしょうか。こうした点につきまして、やはり都民の理解と納得、これが得られることが必要だと思います。都の見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 固定価格買取り制度は、電気利用者の負担で再エネの導入を支える仕組みとして国が設けたものでございまして、再エネ賦課金は、再エネ電力の買取り総額から電力の市場価格に連動する回避可能費用等を控除して算出されるものでございます。
 再エネ電力の買取り価格は、再エネのコスト低減により年々下がっており、仮に近年上昇傾向にある回避可能費用等が現行水準で推移した場合、今後、賦課金負担が減少する可能性がございます。
 加えて、買取り総額の大勢を占めるメガソーラー等の買取りが終了する二〇三〇年代半ば頃には、賦課金負担は大幅に減少すると見込まれております。
 都は、こうした情報をQ&Aや専用サイトである太陽光ポータル等を通じて発信しており、今後も都民の理解促進につながるよう、分かりやすい情報発信に努めてまいります。

○柴崎委員 この事業を進めるに当たって、当然差がつくということは、先ほど私が申し上げたとおりだと思うんです。この差を縮めるとか、そういうことを私は申し上げているんじゃなくて、そういうことがあるということをきちっと都民に理解をしてもらい、納得していただくことが必要だ、このことをいいたいんです。つけ加えていわせていただきました。
 ですから、そこの理解をやはりしっかりと都民の皆様に持っていただく、納得していただく、それで事業がスタートするというふうに私は考えておりますので、こうした質疑をさせていただきました。
 次に、パネルを設置する住宅についてお伺いしたいと思います。
 都は、パネル設置と同時に断熱、省エネ向上のために、例えば二重サッシ、こういったことも推進をしております。当然、建築費用は高くなっていくわけであります。
 こうした中でウッドショックによる木材が高騰している、あるいはロシアによるウクライナ侵攻に伴う物価高騰などによって、不動産価格も値上がりをしているというふうに聞いております。
 太陽光パネル設置事業は、こうした不動産売買の状況を勘案しながら進めていくことも必要かと考えます。都の見解をお伺いしたいと思います。

○関制度調整担当部長 都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、残された猶予がないとの認識に立ち、脱炭素化とエネルギーの安全保障を一体的に実現するために、行動を加速化すべく、建築物の環境性能を確保する条例制度改正を検討しております。
 断熱、省エネ性能が高く、太陽光発電設備を備えた環境性能の高い住宅は、電気代の削減による経済性に加え、防災性や快適性など、多様なメリットを有しており、都はこれまで、都民が住宅を取得する際の支援策を講じてまいりました。
 昨今の不動産市場におきましては、環境性能の高い住宅が住宅ローンの金利優遇対象となるなど、資産価値が注目をされております。
 今後とも、都民がこうした住宅をより取得しやすくなるよう、制度改正と併せ、補助制度の充実を検討してまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきましたが、また、この住宅屋根にパネルを設置する以上は、このパネルは二十五年から三十年の寿命というふうにお伺いしているんですが、やはりその間に屋根のふきかえも必要になってくるというふうにも聞いているんです。
 当然、パネルを設置するわけですから、屋根も通常よりも、やはり強度の強いというんでしょうか、そういった屋根が必要になってくるわけです。当然、屋根と住宅に関わる負担への対応も欠かせないと思います。
 その結果、パネル設置に伴いまして、住宅の価格が高くなっていくという一面もあります。パネル設置経費だけの話ではないというのが実態だと思います。
 都は、本事業を進めるに当たりまして、このような住宅販売事業全体への影響、どのように検討しているのか、お伺いしたいと思います。

○関制度調整担当部長 これまで、住宅購入者等である都民に対しましては、東京ゼロエミ住宅導入促進事業において、断熱、省エネ性能の水準に応じた補助に加え、太陽光発電設備を設置する場合には上乗せ補助を行うなど、様々な支援策により、環境性能の高い住宅の取得を促進してまいりました。
 断熱、省エネ性能が高く、太陽光発電設備を備えた環境性能の高い住宅は、電気代の削減による経済性に加え、防災性や快適性など多様なメリットを有しております。
 都民がこうした住宅をより取得しやすくなるよう、補助制度の充実を検討しております。

○柴崎委員 今答弁いただきましたが、次にお伺いしたいのは、先ほども屋根の話をさせていただきましたが、この屋根に設置されたパネル、先ほど申し上げましたように、このパネルは寿命が二十五年から三十年ということのようです。
 そういう中で、発電に必要なパワコン、パワーコンディショナーはやっぱり十年ぐらいで交換が必要だというふうにお聞きをしているんです。
 また一方では、通勤や通学に便利な地域での子育て中の生活スタイル、子供が独り立ちした後の生活など、ライフスタイルの変化に応じまして住まいを変える方もいらっしゃいます。したがって、一か所に長くお住まいになる方ばかりではないような現状だと思います。
 都民がライフスタイルの変化に応じて住居を移動する実態を踏まえて、事業の実施期間を考えることも必要だと思います。
 住居というまさに生活の場に関わる事業です。生活実態に即した事業展開が必要と考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 太陽光パネルは、二十五年から三十年程度の長期にわたる稼働が可能でございますので、居住者が代わっても適切に維持管理を行うことが必要でございます。
 このため、都はこれまで、ホームページやリーフレットにおいて、日常的な発電量の確認など、適切な維持管理手法について広く周知を行ってまいりました。
 今後、セミナー等を通じて、メンテナンス方法の普及を促進していくとともに、総合相談窓口を設置して、問合せや相談等に幅広く対応してまいります。
 こうした取組を通じまして、環境性能の高い良質な建物ストックの維持につなげてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきました。いずれにしても、こういったライフスタイルというのは、以前とは少し変わってきているというのもありますので、そういったこともやはり考えながらこういった事業を進めていただきたいということであります。
 次に、先ほどの太陽光パネルに関しまして、パワーコンディショナーが発生するモスキート音があるようなんですね。あるいは電波障害、そして屋上パネルの反射光の問題もあるかと思います。
 先ほど反射光の話はどなたかがされておりましたけれども、こういった都内全域で屋上パネルを設置していく事業である以上、こうした音の問題ですとか、あるいは電波障害、そして反射光の発生規模、これは当然年々拡大していくことになるわけです。一軒一軒の課題として対応していくんじゃなくて、やはり総合的な対策が必要になるんではないかと考えます。
 したがって、当然、事前にこういった対策をお考えだと思うんですが、現段階での都のご見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 まず、附帯設備のモーター音につきましては、住宅が近接する場合等におきましては、居住空間から離れた場所への設置や、専用防音ボックス等の使用が有効でございます。
 また、電波障害につきましては、パワーコンディショナーのメーカーは、電磁波の影響が基準内であることを確認する放射妨害波試験により第三者認証を受けております。
 太陽光パネルの反射光につきましては、反射光がそのまま通常は上空に向かうことから、近隣への影響は生じませんが、パネルを設置する方角等によっては、近接する建物に一時的に反射光が差す可能性があることから、十分配慮した設計や施工が行われております。
 都はこれまで、特設ホームページである太陽光ポータルサイトや総合相談窓口による普及啓発活動を行っており、引き続き関係団体とも連携し、適切な設計、施工に関する留意点や進め方など、コンテンツの充実を図りながら、正しい情報の発信と理解促進に努めてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただいたんですが、個々の問題じゃなくて、やっぱり総合的にね、令和七年以降、一気にパネルをつけていきたいわけですよね。ですから、そういった意味では、やはり総合的な対策というものを、ぜひ、今の段階でも考えなくちゃいけないんじゃないかということで質問させていただきました。
 次にお聞きしたいのは、災害対策についてです。
 太陽光パネルの特徴、これは自ら発電するということですよね。電気器具やガス器具はブレーカーを落としたり、元栓を締めればいいわけなんですが、パネルは太陽光が当たっている以上は、発電をしてしまうわけです。
 災害時や火災発生時には、まず消火活動が必要なわけでありますが、電気器具や電気施設、EV自動車なども含め、感電の危険性のある消火活動への対応については、既に一定の知見に基づく活動要領が定まっていて、太陽光パネルの火災にもしっかりと対応できるというふうに伺っております。
 問題は、消火活動が終了した後なんですね。時間が経過して、太陽光を浴びると再び発電が始まってしまうわけです。焼け焦げた家の屋根から下ろして、光が当たらないところに保管するですとか、あるいは、遮光性のあるカバーなどをかける、こうした対応が多分必要なんだと思います。
 災害時、火災発生時の安全なパネルの保管場所、この確保などについては、都はどのように考えているのか伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 太陽光パネルが設置されている住宅等の火災においても、東京消防庁は、活動隊員の安全策を講じた上で、放水による消火活動を行っております。さらに、火災の鎮火後におきましては、必要に応じて太陽光パネルを消防活動用遮光シートで覆うことで、再出火防止を図っております。
 また、災害等が発生した際には、感電防止の処置として、太陽光パネルや電気設備に十分な知見を持つ事業者へ依頼することが必要でございます。
 こうした情報につきましては、事前に都民の理解促進を図ることが重要でございまして、都は、太陽光ポータルサイトなど、多様な媒体を活用しながら、引き続き分かりやすい情報発信に取り組んでまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきましたが、やはり災害が発生した際にはというんじゃなくて、やはり事前に、こうしたポータルサイトを使ってもいいですし、いずれにしても、分かりやすい情報発信、これ、ぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、事業者への意見聴取について伺っていきたいと思います。
 本制度については、注文住宅メーカーですとか、あるいは建て売り分譲住宅メーカー、太陽光パネルメーカーなど様々な事業者が関わるわけであります。
 事業者ごとに置かれた立場は様々であります。こうした事業者の現況を理解した上で、制度検討を行っていくべきだというふうに考えております。
 都は、こうした事業者の実態を把握するために、これまでどのような機会を設けて意見を聴取してきたのか、この点について伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 都はこれまで、制度検討に当たっては、環境審議会や新築建築物制度改正等に係る技術検討会において、事業者、団体からの意見表明の機会を設け、各事業者の実態や意向等について聴取を行ってまいりました。
 また、制度対象となることが見込まれる大手ハウスメーカー約五十社や太陽光パネルメーカーに対して、複数回にわたるヒアリングを実施してまいりました。
 今後も引き続き、関連事業者からの意見聴取や情報発信を行ってまいります。

○柴崎委員 事業をスムーズに進めていくということであれば、さらに意見交換というのが必要だと思いますので、ぜひその点は検討してもらいたい。
 そして、次に、環境審議会等様々な機会を設けて事業者の実態把握に努めているということが今、答弁にあったわけなんですが、意見表明やヒアリングを通じて、現在の住宅供給事業者等がどのような状況にあると理解しているのか、その点について都の見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 事業者によって取組状況は様々でございますが、全体的な傾向としましては、建物面積が大きい注文住宅を中心として、太陽光パネルを標準設置した環境性能の高い住宅が開発、提供されております。
 一方で、建て売り分譲住宅など、比較的狭小な住宅においては、太陽光パネルの設置事例が少ない傾向にございます。
 そのため、主に太陽光パネルの設置事例が少ない事業者等からは、環境性能の高い住宅を商品として開発するには、施工技術の向上や住まい手等への適切な説明を行うための体制整備など、様々な準備が必要とのご意見をいただいております。

○柴崎委員 今答弁いただきましたように、事業者は様々あるわけです。設置をしたことないという、そういう事業者もかなりいるんだと思います。
 したがって、やはりこの準備期間は相当必要だと思います。その点をまた改めて申し上げておきます。
 太陽光パネルを標準設置している事業者がいる一方では、今答弁にありましたように設置事例がほとんどない、こういった事業者もあるということが分かったわけでありますが、こうした事業者も供給規模によっては、本制度の対象にもなるわけであります。
 したがって、太陽光パネルの設置義務が課せられるわけでありまして、都は、こうした事業者の置かれた実態を把握して、事業者の状況に寄り添った取組を行うべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 円滑な制度施行に向けて、環境性能の高い住宅の商品ラインナップの充実、多様化を図ることが重要と考えております。
 そのため、新制度の施行時期を令和七年四月として二年程度の準備期間を設けたものでございます。
 加えて、制度施行までの準備期間中、これから準備を行う事業者による商品開発や、先行する事業者による商品ラインナップの充実、多様化を後押しする支援策を講じてまいります。
 こうした取組を通じて、都民の多様なニーズに対応した環境性能の高い住宅の普及を促進し、制度の円滑な施行につなげてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただきました二年程度の準備期間を設定しているということなんですが、このことは理解しておりますが、この二年で本当に準備ができるのかどうかですね、この点についても、やはりしっかり検討しなくちゃいけないところだと思います。その点を付け加えておきます。
 また次に、もう一つ、連携が必要だというのは、やはり区市町村との連携だと思います。したがって、区市町村等への情報提供について伺っていきたいと思います。
 都内の区市町村では、再エネ設備の設置支援など、独自に環境施策等を行っている自治体も見られるわけでありますが、現在、都が検討を進めている制度、これがこうした自治体の施策と連携をし、再エネ設備の設置等に大きく貢献することが期待されているわけであります。
 そのため、制度の検討状況等の周知に当たりましては、都民、事業者に身近な基礎自治体である区市町村にもしっかり情報提供を行うべきというふうに考えます。都の見解を伺いたいと思います。

○小林生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務 制度の検討に当たりましては、都民や事業者に加え、脱炭素化に向けた施策を進める区市町村に情報提供を行うことが重要でございます。
 これまで都は、区長会、市長会、町村長会、また、環境施策を所管する課長会等の場を活用いたしまして、制度検討の背景や意義、条例制度改正の基本方針等の説明を行ってまいりました。
 また、今月中旬には、環境施策を担当する区市町村職員を対象とした制度検討状況に係る勉強会を実施する予定でございます。
 こうした情報提供を通じまして、都と区市町村が一体となった脱炭素化の取組を進めてまいります。

○柴崎委員 今答弁いただいたわけですが、やはり脱炭素社会の実現は都だけでできるものではなくて、区市町村との連携、これは極めて重要だと考えております。
 引き続き様々な機会を通じて、区市町村との意見交換、これは一回だとか二回じゃなくて何回でも徹底的にやるべきではないかと思っております。
 ここまでは、義務化の対象となる新築住宅について質問をしてまいりましたが、次に、既存住宅、特に既存の集合住宅への太陽光発電設備の設置について伺いたいと思います。
 多くの都民が集合住宅に住んでおりまして、東京の特徴としては集合住宅の数が多いというところであります。しかしながら、集合住宅には、太陽光発電の設置が進んでいないように思われます。
 集合住宅は多くの太陽光発電パネルが設置できるために、大きなポテンシャルはあるわけであります。このポテンシャルを最大限に生かすべきというふうに考えますが、都の認識と今後の取組の方向性について伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 一般的に集合住宅では、各戸ごとに電力会社から電気の供給を受けているため、太陽光発電の電力は、共用部で消費され、共益費等の削減につながります。
 集合住宅の共用部では、昼間は照明等の利用が少ないため、太陽光発電設備が発電した電力を使用し切れないこともございます。
 集合住宅で発電した電力を共用部はもちろん、各戸でもさらに有効に自家消費するための方策について検討を進めており、早急に対策を講じてまいります。

○柴崎委員 今答弁をいただきました。こうした中で、最後の質問は新築住宅じゃないんですが、おおよそ私の質疑としては、新築住宅への太陽光パネルの設置の義務化に向けた条例提案と予算措置が第四回定例会に提案されるのに先立ちまして、各種課題についてお話を伺ったところであります。
 エジプトで開催されておりますCOP27、こちらでは事務総長が、地球の気温は上昇を続け、後戻りできないところに近づいている、こんな発言もされているようであります。
 非常に厳しい状況に直面している地球温暖化対策への取組の一つとして、太陽光発電があるわけであります。
 住宅が密集している東京においては、住宅への太陽光パネル設置が有効な手段の一つであるとのご説明は理解はしておりますが、しかし、この事業は、大変重要な事業であります。
 したがって、やはり都民一人一人が、住まいに関わるものでありますので、都民、そして都内事業者、こういった方々がしっかりと理解をしていただき、そして協力いただけなければ、この事業というのは成立しないものだと思っております。
 したがいまして、こうした観点、いろいろな角度から質疑をさせていただいたわけであります。
 ぜひ環境対策の重要性はもちろんでありますが、この事業の必要性、そして事業内容の妥当性については、やはり丁寧な説明が必要だと思っております。必要な支援は当然しっかりと行っていく、このことも強く求めておきたいと思います。
 以上で私の質疑を終わらせていただきます。

○里吉委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時三十三分休憩

   午後五時五十分開議

○里吉委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小磯(善)委員 先ほどこいそ明委員、たきぐち委員も質問されましたが、リチウムイオン電池の安全な処理についてお伺いいたします。
 このリチウムイオン電池、実は、今年、町田市で新たになりました、今年本格稼働した清掃施設、ごみ焼却施設、バイオエネルギーセンター、ここでこのリチウムイオン電池が原因と思われる火災が発生をいたしました。
 新しい施設ができたばっかりで、稼働したばっかりで、そういう中、かなりの臭気を伴う煙が周辺地域に広がったということ、そしてまた、焼却施設のいろんな施設が火災で使えなくなった期間が出たということで、我々都議会公明党第二回の定例会の代表質問で、このリチウムイオン電池について取り上げさせていただきました。
 本当にスマートフォン等、様々な製品で使用されるなど、私たちの生活に広く普及をしているわけでございますが、一方で、強い衝撃を与えると、発火事故を引き起こすおそれがあるため、廃棄する場合、安全に配慮した処理をしていくことが重要であります。
 そこでまず、廃棄物処理の現場におけるリチウムイオン電池が原因と思われる火災等の発生状況についてお伺いいたします。

○志村資源循環推進部長 都は、リチウムイオン電池が原因と思われるごみ収集車両や廃棄物処理施設における火災等の発生状況を把握するため、市区町村に対してアンケート調査を実施いたしました。
 これによりますと、令和三年度の発火事故は、火花が出るといった消防を呼ぶような火災に至らないものも含めて千七百四十三件となっております。このうち、消防による消火活動が行われたのは二十四件でございました。

○小磯(善)委員 消火活動が行われたのは二十四件ですけれども、とにかく発火事故が一年間で千七百四十三件、大変多いわけであります。
 この数字も、実はこの質問をきっかけに都がアンケート調査をしていただいて、掌握したわけでございますけれども、これはぜひ令和三年度だけじゃなく、しばらくこの発生件数を都として掌握をしていただきたいというふうに思っております。やはり、かなり件数としては多いと、このように感じております。
 こうした事故の原因となり得るリチウムイオン電池の回収状況の現状についてお伺いいたします。

○志村資源循環推進部長 家庭から出る使用済みのリチウムイオン電池のうち、製品から取り外し、ビニールテープで絶縁したものについては、電池メーカー等で構成する業界団体であるJBRCにより、家電量販店等を通じて回収、リサイクルされております。
 製品に内蔵されていて取り外せない電池や、JBRC会員企業以外が製造した電池等のJBRCが回収対象としていない電池については、自治体により処理されることになります。
 具体的には、自治体がごみ集積場で有害危険ごみ等として回収する方法、行政施設等に設置された小型家電製品の回収ボックスで回収する方法、不燃ごみ等として回収する方法等により処理しております。

○小磯(善)委員 このJBRCというのが電池メーカーで構成する組合なんですけれども、製品から取り外しができる電池は回収するんですけれども、なかなか製品から取り外しが難しいリチウムイオン電池っていっぱいあるんですね。
 それからまた、家電量販店で回収、リサイクルするというんですけれども、JBRCの会員以外の、例えばネットで買ったようなリチウムイオン電池については、このJBRCは回収しないというようなことで、やはり自治体の負担が今大きいというのが実情だというふうに思っております。
 都議会公明党は、さきの第二回定例会の代表質問において、全国各地の清掃リサイクル施設や、ごみ収集車両における火災の要因となっているリチウムイオン電池について、安全かつ効率的に回収できる仕組みを都が主導して、都が主導してというのが大事だと思います。都が主導して構築すべきであると提案しました。
 これに対して知事からは、市区町村と連携し、収集時等の安全性も確保できるルートを確立するという答弁がありまして、清掃リサイクル現場の課題解決に向けて、一歩前進するものと期待をしております。
 先ほど答弁のありました火災の発生を防ぐためには、有害ごみ、危険ごみなどとして、ほかのごみと分けることが効果的であります。
 一方で、分別回収にすると、手間やコストがかかることから、回収した電池の処理先が分からないことなどにより取組が進んでいない自治体も多いわけであります。
 都は、こうした市区町村に対して、分別収集の実施を促し、リチウムイオン電池の安全な回収を行う仕組みを広げていくべきと考えますが、見解を求めます。

○志村資源循環推進部長 都は、リチウムイオン電池の分別回収や危険性の周知などの新たな対策を実施する自治体に対して財政支援を行っております。
 また、第二回定例会での議論を踏まえ、都が自治体を直接訪問し、集積所等での電池内蔵製品の回収を行っている事例の情報提供を行うなどの技術支援を実施しております。
 今後も市区町村への働きかけを行い、安全な回収ルートの構築を進めてまいります。

○小磯(善)委員 都の職員の方が、課長とかが自治体を直接訪問して情報提供したり、また技術支援を行っているというのは大変なご努力だというふうに思っておりますので、本当に大事な取組だと思っております。どうかよろしくお願いします。
 リチウムイオン電池の内蔵されている製品を、自治体のセンターなどにボックスを置いて、そこで回収するという方法は、実は皆さんが、市民の方々がそこまでわざわざ持っていくという行動がなかなか難しいと思います。
 やはり、先ほど答弁にありましたように、たしか府中かどっかだと思いますけれども、ごみの集積所に取り出したリチウムイオン電池もしかり、また、なかなか取り出せない小型家電もそこに出すという方法が現実的だというふうに思います。こういう仕組みを強力に進めていただきたいと思います。
 引き続き、安全性を確保できるルートの構築に向けて、市区町村への支援を行っていくようお願いしたいと思います。
 また、同じく、さきの第二回定例会で答弁のありましたレアメタル緊急回収プロジェクトでは、事業者に対して、データの消去費用を補助することで、パラジウムをはじめとした希少金属を含むパソコンの回収を促すと聞いております。
 支援策は、事業者が対象となりますが、こうした機を捉えて広く都民へもしっかりとリサイクルなどの重要性を周知することで、資源の循環利用を定着させていくべきと考えます。見解を伺います。

○志村資源循環推進部長 昨今の世界情勢を受けて、パラジウムをはじめとするレアメタル等の供給不足が懸念されております。
 パソコン等の家電製品には、こうしたレアメタル等が含まれており、これらを循環利用していくことは重要でございます。
 このため、都は、レアメタル緊急回収プロジェクトを実施し、市区町村や業界団体と連携しながら、都民、事業者に対して、宅配便により、パソコン等を無料で回収し、リサイクルするルート等の普及啓発を行っております。
 また、ご指摘の事業者を対象とするデータ消去費用の支援につきましては、昨日十一月九日から受付を開始いたしました。
 今後、デジタルサイネージ等を活用した効果的なPRを行うとともに、回収イベント等を開催して、家庭や事業所で退蔵されているパソコンの回収、リサイクルの拡大を進めることで、レアメタル等の一層の循環利用を図ってまいります。

○小磯(善)委員 家庭や事業所には使われていないパソコン等が多く眠っていると聞いております。
 本事業を機に、都民、事業者の意識改革が進み、持続可能な資源利用が進むことを期待しております。
 次に、保全地域の管理についてお伺いいたします。
 私の地元町田市では、多くの緑や農地など豊かな自然環境が残されております。こうした豊かな自然は、美しい都市環境の景観を形成するだけでなく、多くの生き物の生息基盤となり、生物多様性の観点からもぜひとも守り、後世に引き継ぐ大切な財産といえます。
 こうした大切な財産が将来にわたって引き継がれていくためには、行政がきちんと手を入れながら保全していくことが必要と考えます。
 現在、都は、都内に残る貴重な自然地を保全地域に指定し、希少な動植物の生息、生育地を守っているということでございます。
 そこでまず、保全地域の状況、すなわち、どのような保全地域がどのような地域にあるのかをお伺いいたします。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、都内に残る貴重な自然地を保全地域に指定しております。
 保全地域は五種類あります。まず、大部分が天然林から成る森林及び貴重な動植物の生育地等で構成される自然環境保全地域、水源を涵養し、または多様な動植物が生息、生育できる樹林で構成される森林環境保全地域、丘陵地における雑木林、田んぼ、湧水等が一体となった谷戸地形等で構成される里山保全地域、歴史的遺産と一体となった自然で構成される歴史環境保全地域、台地部における住宅などと隣接した樹林地、水辺地等で構成される緑地保全地域です。
 昭和四十九年から指定の取組を進め、これまでに五十か所、約七百六十ヘクタールの自然地を保全地域に指定しております。

○小磯(善)委員 都内の地形の特徴、また、歴史文化遺産などを踏まえて、様々な自然地を保全地域にしているということが分かりました。
 保全地域には様々な特性がありますが、住宅地と近接している保全地域などでは、その場所で活動しているボランティア団体の方々、また、その住宅地の方々から樹木が高木化して台風などのときに倒木しないか心配しているという声もあります。
 実際、町田市の代官屋敷ですかね、ここでは近所の方から、ぜひこの木の安全性、まあ、伐採をお願いしたいという、そういうお願いもありました。
 そこで、住宅地と隣接している保全地域では特に安全に配慮した管理が重要と考えますが、その取組についてお伺いします。

○和田自然環境部長 保全地域内の樹林の林縁部は日照条件がよく、樹木の間伐をすることで、多様な動植物が生息、生育できる環境を有しております。
 住宅地等と隣接する保全地域では、高木化した樹木が台風などで倒れ、近隣の人家等に被害をもたらすおそれがあります。
 そのため、保全地域と住宅等との境界沿いの樹林を計画的に一定の範囲で伐採し、明るい林床の確保と、倒木被害の減少を図る林縁部の保全事業に取り組んでおります。
 令和二年度から事業を開始し、これまでに小平市の野火止用水歴史環境保全地域や、西東京市の保谷北町緑地保全地域などで実施しております。
 今後も林縁部の保全事業を通じ、保全地域における生物多様性の確保と、近隣の安全確保に取り組んでまいります。

○小磯(善)委員 保全地域の生物多様性に配慮するとともに、倒木による被害の減少に取り組んでいることが分かりました。
 私の地元の町田市にある保全地域は、多摩部の丘陵地に位置をしております。保全地域の中には倒木による危険な場所だけでなく、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等に指定されている急傾斜地を含む保全地域もあるわけでございます。
 図師小野路歴史環境保全地域とか、あと七国山とか、そういったところがそういうことになるかと思いますけれども、近隣住民の安全を確保するために、保全地域内のこうした傾斜地への対策が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長 丘陵地等の自然豊かな保全地域の中には、土砂災害特別警戒区域に指定されている箇所もあり、近隣に家屋等がある場合には、計画的に土砂の崩落防止対策工事を行っております。
 工事では、地形の改変や樹林の伐採をできる限り伴わない工法を採用し、自然環境にも配慮しております。
 平成二十七年度から対策を進め、これまでに町田市の図師小野路歴史環境保全地域や青梅市の勝沼城跡歴史環境保全地域などで対策工事を実施しております。
 対策工事を進めるに当たっては、都有地である必要があり、現在、民有地となっている箇所については、地権者の理解を得ながら公有化の手続を進めていく必要があります。
 今後、こうした課題を踏まえ、危険箇所の対策工事を着実に実施し、保全地域周辺の都民の安心・安全を適切に確保してまいります。

○小磯(善)委員 本日は、保全地域の管理に関わることを質問いたしました。保全地域の管理に当たっては、都民の安心・安全に関わることもあることから、ボランティア団体だけに任せることはせず、都としてしっかり対策に取り組んでいただくよう要望しておきたいと思います。
 次に、フロン対策について質問いたします。
 これはたきぐち委員も先ほど質問されておりましたけれども、フロンは人体に無害であり、熱を効率よく運ぶ物質のため、業務用冷凍空調機器の冷媒として広く使用されております。しかし、フロンは強力な温室効果ガスであり、その排出抑制は世界規模で喫緊の課題であります。
 フロン排出抑制法により、フロンの生産や使用、回収など、ライフサイクル全般にわたる抑制対策に取り組んでおり、令和二年四月に施行された改正フロン法では、機器の廃棄時のフロン回収の義務や罰則が強化されたところであります。
 東京都でも、ゼロエミッション東京戦略において、フロンの排出量を二〇五〇年にはゼロにする目標を掲げました。こうしたことから、私は、令和二年の第一回定例会の一般質問においてフロン対策を取り上げ、取組の強化を訴えたわけであります。
 そこで、令和二年四月から強化された機器廃棄時の対策について、都の取組についてお伺いいたします。

○鈴木環境改善部長 機器廃棄時におけるフロンの排出を抑制するためには、建物解体現場等で廃棄される冷凍空調機器のフロンを法令等に基づき適切に処理することが重要でございます。
 都では、改正フロン排出抑制法の施行に合わせて、令和二年度から三年間の緊急対策事業として、業務用冷凍空調機器を使用していた建物解体現場の全件調査を行うとともに、フロンGメンを三名から九名に増員して立入指導を強化いたしました。
 本年十月までに、約一万三千件の調査や立入検査を実施し、法の遵守状況や、工事開始後一週間以内にフロン機器が撤去されるなどの解体現場の実態を把握することができました。
 また、立入調査等により、フロンのみだり放出などの不適切な処理を確認した事業者に対しては厳正な対処を行い、本年十月までに三十八件の勧告を実施いたしました。
 今後とも、立入調査等を通じてフロンの回収を徹底するとともに、悪質な事業者に対しては、警視庁とも連携して対応することにより、不適正事案の撲滅を図ってまいります。

○小磯(善)委員 事業者への勧告数が三十八件と、不適切な処理を行っている事業所もまだまだ多いと思います。
 また、つい昨日ですか、このフロン類のガスが充満された状態の業務用エアコンを違法に解体して、大気中にガスを排出したなどとして、警視庁がフロン排出抑制法違反の疑いで逮捕したという報道もございます。
 とにかく今、改正フロン排出抑制法が施行されて二年半が経過して、これまでの間に機器廃棄時の対策に向けて、建物解体現場の実態把握の上、不適正な処理を行った事業者に対しては厳正な対処をするなど、取組を強化しているということが確認できたところでございます。
 引き続き、関係機関と連携して厳正な取締りを行っていただきたいと思います。
 フロンGメンを増員して機器廃棄時の対策を強化したことは分かりましたが、フロンの廃棄時回収率の推移を見ると、ここ数年は四割弱に低迷をしております。
 都は、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現には、二〇三〇年までの行動が極めて重要であるとの認識から、二〇三〇年のフロンの排出削減目標を二〇一四年度比三五%削減から六五%削減へ引き上げたところであります。
 回収率の向上に向けて、さらなる取組を進めていくことが必要と考えます。都の見解を求めます。

○鈴木環境改善部長 機器廃棄時のフロンの回収率を向上させるためには、立入調査等により、機器の適正な処理を徹底させていくとともに、回収に際しまして、フロンの全量回収を進めていくことが重要でございます。
 そこで、立入調査におきましては、緊急対策事業で得た知見を活用し、適切な時期を捉えた調査等を実施するなど、より効果的な事業展開を進めてまいります。
 また、昨年度にかけて、国が実施した調査では、電源の喪失や、外気温の影響等がフロンの回収を妨げる要因とされていることから、今後、立入調査の実施において、こうした知見も踏まえた助言指導を行ってまいります。
 今後とも、フロンの排出削減目標の達成に向け、機器廃棄時におけるフロン排出対策を着実に進めてまいります。

○小磯(善)委員 機器廃棄時の回収率はまだまだ低迷していると思いますが、今後どのような取組を進めていくのかが分かったところでございます。
 回収量を向上させるには、建物解体現場とか、また、フロン回収業者の実態を詳細に把握する必要があると考えます。
 フロン排出削減に取り組むには、この廃棄時の回収、それから先ほどもありましたように、フロンの使用時の漏えいも必要でございます。しっかり取り組むことを要望いたします。
 次に、アスベスト対策についてお伺いいたします。
 アスベストは、安価で耐火性や断熱性等が優れ、高度経済成長期には、建物の建材に多用されてきましたけれども、吸引による肺がん等の健康被害が明らかになり、現在、その使用が禁止をされているところであります。
 しかし、都内にはアスベストが使用されている建物が数多く残っており、建物の解体のピークが二〇五〇年頃まで続く見込みであります。解体工事等の際に、現場の作業員や周辺環境にアスベストが飛散しないようにするには適切な対策が必要であります。
 国は、大気汚染防止法を改正し、解体工事等で不適切な事前調査によるアスベスト含有建材の見落としを防ぐため、今年の四月から事前調査の結果を行政に報告する制度を開始したところであります。都や区市に報告される件数は、年間約二十五万五千件を見込んでいると聞いております。
 こうしたことから、都や区市がアスベストの飛散防止を徹底させるには、報告に基づく指導を効率的に行うことが必要と考えます。
 私は、新たなアスベスト規制への対応について、令和三年の予算特別委員会で質問をさせていただきました。その質問以降、その後の取組状況についてお伺いいたします。

○鈴木環境改善部長 アスベストの飛散防止の徹底に向けて、新たな規制に対応するためには、規制事務を担っている区市を支援し、連携強化を図ることが重要でございます。
 このため、都は、区市と共に、令和三年度に作成した解体現場等への立入検査マニュアルを活用し、立入検査先での実施内容など、監視指導のノウハウを共有しまして、区市の指導スキルの向上を図りました。
 また、現場でアスベストを迅速に測定できる分析機について、区市に対しまして、購入費の全額を補助するなどにより、全ての区市で活用できる体制を整備いたします。
 加えて、区市職員の現場指導に有用な知識の修得を支援するため、建築物石綿含有建材調査者等の国家資格の取得経費を全額補助し、これまで延べ約五十名の区市職員が資格を取得しております。
 こうした取組によりまして、区市が行う監視指導の効率的かつ効果的な実施を後押ししてまいります。

○小磯(善)委員 都は、区市の監視指導を支援するために、立入検査マニュアルの作成や分析機の導入支援など、様々な取組を進めていることを理解したところでございます。
 引き続いて区市と連携して、解体工事現場等でアスベストの飛散がないよう、工事事業者を適切に指導していただきたいと思います。
 私は、予算特別委員会で、こういう解体工事などだけでなく、災害時における対策も大変必要だということを訴えたわけであります。
 東京都は、今年、首都直下型地震の被害想定を改定いたしましたが、都内で最大規模の被害が想定される都心南部直下地震では、建物被害が約十九万棟にも及ぶということでございます。
 こうした災害が発生すれば、大量の被災建物や災害廃棄物が発生し、建材中のアスベストが飛散するおそれがあるため、災害時においても、アスベスト対策に万全を期す必要があります。
 都は、令和二年に東京都環境計量協議会と協定を締結し、災害発生時に迅速にアスベストのモニタリングを行う体制を整えるなど、災害時の対策についても様々な取組を進めているところでありますが、質問以降、この取組状況をお伺いしたいと思います。

○鈴木環境改善部長 災害時に被災建物や災害廃棄物からのアスベストの飛散防止を徹底することもアスベスト対策を進める上で重要な取組でございます。
 都は、被災建物周辺等の飛散状況のモニタリングを行う団体と協定を締結したことに加えまして、昨年十二月には、石綿含有建材調査者約千名が加盟する建築物石綿含有建材調査者協会と協定を締結しまして、災害時にアスベストの露出状況の調査から、その飛散状況のモニタリングまでの対応を可能といたしました。
 また、昨年度、区市と共に災害時の対策マニュアルを策定しまして、都内自治体、建物所有者、業界団体など、様々な主体が連携して対応できるよう、平常時の準備や応急対応等を体系的に整理しました。
 加えて、今年度、災害時を想定したアスベスト調査の実務等の訓練を区市や協定締結団体と共に実施しており、今後こうした訓練を重ね、被災現場のアスベスト対策の実効性を高めてまいります。

○小磯(善)委員 飛散状況のモニタリングの対応、また、災害時の対策マニュアルの策定、また、実務等の訓練もやっていくというようなことで、提案したいろいろな対策が実行に移されているということが理解できました。
 備えあれば憂いなしというように、災害時に備えて訓練を重ねていただいて、より実効性のある体制を整えていただきたいと思います。
 都は、災害時のアスベスト対策について、被災現場で作業に携わる方々の健康を守る取組として、専用マスクの備蓄、これも予算特別委員会で訴えさせていただいたんですが、その後の取組状況を伺います。

○鈴木環境改善部長 被災現場において、アスベストの飛散による人への健康被害を防止するためには、専用マスクや応急の飛散防止措置の確保が不可欠でございます。
 そこで、都は、被災現場で作業する行政職員等が着用する専用マスクのほか、アスベスト飛散防止剤や、周囲と隔離する養生シートなど、応急の飛散防止措置に使用する資機材も備蓄しております。
 また、今年度から、区市町村が災害時のアスベスト対策に自律的に取り組むことができるよう、区市町村に対しまして、専用マスクや飛散防止剤等の資機材の購入費を補助する事業を開始いたしました。
 今後とも、平常時のみならず、災害時も含めて、アスベスト飛散防止の徹底に向けた総合的な対策の推進を図ってまいります。

○小磯(善)委員 首都直下型地震など、大規模災害時には相当な規模の建物被害が生じることから、都だけで対応することは、本当に困難だと思います。
 そういった意味で、ぜひとも業界団体、また、区市などとの連携をより深めていただきたいと思います。
 都民の安全・安心につながるよう、災害発生時も含めて、アスベスト対策にしっかり取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○曽根委員 それでは、私からは、まず生物多様性地域戦略の改定について幾つか質問をさせていただきます。
 七月に出されました中間まとめを私も読みましたが、東京の生物多様性を守っていく上で、非常に多岐にわたる課題があると実感いたします。その中にはもちろん、環境局の直接所管でない、いろんな仕事があるということは、先ほど別の方からも質問がありました。
 今日は、その中のほんの一部ではありますけれども、東京における生物多様性の宝庫ともいうべき地域の問題を幾つか取り上げて質問したいと思います。
 初めに、とりわけ多様な植物種が生息する明治の森高尾国定公園、高尾山の自然保護の課題についてお聞きしたいと思います。
 高尾山に生息する植物の種類とその多様性について、その特徴はどういうことでしょうか。

○和田自然環境部長 高尾山は、気候帯から見て、暖温帯と冷温帯の境界に位置しており、暖地性の植物と寒地性の植物が共に生息していることが特徴であります。
 暖地性植物の主なものといたしましては、スダジイ、アカガシ、アオキなどが挙げられます。
 一方、寒地性植物の主なものとしましては、ブナ、ミズナラ、ホオノキなどが挙げられます。

○曽根委員 中間まとめを見ますと、東京の島しょを除く、いわゆる本土部といわれる多摩と区部について、植物で東京には三千四百二十一種の本土部の生息が確認されているということが書いてありますが、その約半分の千五百から千六百種が高尾山で確認されているということで、その中には、高尾山でしか見られない固有種も多数あるということでした。
 そして、寒地性植物の中でも、一般には雪深い寒冷地の、例えば白神山地などでなければ群生しないといわれるブナの群生が南関東の高尾山で見られるという、いわば高尾山特有の貴重な気候と風土に恵まれています。
 しかし、今そのブナの木に、温暖化などにより絶滅の危険が迫っているということで、かつて百本近く発見されたブナが、現時点では、高尾山全体で七十本ほどしか残っておらず、例えば三年前の台風十九号の豪雨と強風の中でも、ブナの倒木が発見されたと聞いております。
 さらに、最近、人為的にブナの大木を枯れさせかねないほどの枝打ちが行われた事実がありました。
 この点でお聞きしたいんですが、二〇一九年の二月に、高尾山ケーブルの高尾山駅前のブナが、展望台からの見晴らしを確保するという理由で、かなり太い枝の根元から剪定され、切り口から腐り始めているということが判明し、高尾山の自然をまもる市民の会という市民団体と、当時、我が党の清水ひで子都議会議員が環境局を通じて国に要請し、切り口の防腐剤処理と幹全体に布を巻いた治療によって、その後の立ち枯れを免れたという経過がありましたが、このことは東京都の環境局を通じて行われました。このことについてはご存じでしょうか。

○和田自然環境部長 林野庁が実施した高尾山のブナの剪定につきまして、都民から意見が寄せられたことがございます。

○曽根委員 このときは、今の和田部長は担当ではなかったかもしれませんが、二〇二〇年の三月十三日に、この自然をまもる会の方々と清水ひで子都議が環境局を訪ねて、ブナの立ち枯れ寸前ということで要請をしましたが、環境局の方は、都民の要請に対して、局で対応するのみならず、林野庁の森林管理署、これは平塚にあるそうですが、ここの所長と技術指導官を都庁に呼んでいただいたわけです。
 市民の訴えに対して、伐採を行った林野庁の技術指導官が陳謝をして、すぐにこのブナの傷口と幹全体を守る処置が取られたことで、貴重なブナが何とか立ち枯れの危機を免れつつあると。実は先日、私も現地でそのことを確認してまいりました。
 上の方が枝が落とされた直後のブナの写真です。下の方は、そのブナの枝の切られた部分は、もう朽ち果てつつあるんですが、その根元から新しい若い枝が伸びてきている様子を、先日、私が現地に行って撮影したものです。
 当時、幹全体がかなり白くなってきていたんですが、現在では、切られた部分は薬剤が塗られ、しかも、幹の下の方はよく分かりにくいんですが、白い包帯のような布が巻かれていて、治療の痕が分かるものでした。
 今後も、高尾山のこのような貴重な生物多様性の宝庫の存在を、個々の生物種を一つ一つ大事にしながら全体を守っていくためには、樹木一つ一つに愛情と観察の目を向けて頑張っている市民団体と東京都は、連携と協力は欠かせないと思うのですが、この点について都の取組と見解を伺います。

○和田自然環境部長 都は、平成二十九年十一月、高尾山の自然の保護及び利用の推進を図ることを目的として、地元自治体や商店会のほか、野鳥や植物などの自然観察の愛好家団体が参加する協議会を設置いたしました。
 平成三十年には、自然公園の管理運営の方針や、保護と利用を適正に誘導していくための地域ルールを作成しております。
 今後とも、協議会と連携し、豊かな自然環境を保全するとともに、自然公園の利用の取組を進めてまいります。

○曽根委員 地域ルールをつくったということで、その内容が分かるものをお願いしたら、こういう自然公園利用ルールガイドというものを作って、これは市民団体の協力も得て、高尾山をはじめ、自然公園に来られるいろんな都民への様々な自然との触れ合いの中での守るべきエチケットやルールを載せたパンフレットを発行していることをお聞きしました。
 これはこれでいろいろ工夫されていて、自然と触れ合う際の環境に配慮した行動を呼びかけている。これはなかなかの成果だと思います。
 ところが、このパンフレットを作ることをやってきた二〇一八年ですね、平成三十年。この直後に枝打ちが行われているんです。二〇一九年二月ですから。
 もちろんこれは一般の都民がやれることじゃありませんで、地元のどなたかが林野庁まで動かして、林野庁の国の職員が枝打ちをしたということなんですね。それだけの発言力を持った人がいたわけです。このような事態が起きないようにしなければ、実際に自然を守ることはなかなかできません。
 ブナの枝先が展望台から見えるというのは、ここだけだそうです、七十数本あるそうですけど。というのは、展望台は高い位置にあって、ちょうどブナがその下から生えてきて、展望台からちょうど枝先が見えるんですね。そこには何か希少種のチョウが飛来したり、それからブナが生育していく秘密は枝と葉っぱが守られていることですから、これを大きく取られて、この木は多分、枝と葉の半分ぐらいを失ったんじゃないでしょうかね。そうすると、もう水をためたり、光合成をやることがほとんどできなくなってしまうので、木は自然に枯れていってしまうと。
 これを食い止めることができたのは不幸中の幸いだったんですが、このように、自然保護というのは、やはり市民団体などと協力しながら、日常的に自然が壊されていないかということをよくつかんで、そして具体的な取組にしていくということが大事だと思います。
 その点で、私もう一つ、高尾山全体に関わる水がれの危険が迫っている問題についても、ちょっとお聞きしておきたいんです。
 圏央道の高尾山トンネルの工事の後、環境アセスに基づく水環境の調査を環境局が行ったと思いますが、どういう内容で行い、いつまで調査をしていたのかお聞きします。

○藤本政策調整担当部長 環境アセスでは、神奈川県境から一般国道二〇号との間の工事につきましては、平成十三年度から工事完了後の平成二十六年度までの間で、また、一般国道二〇号から埼玉県境との工事につきましては、平成八年度から工事完了後の平成二十六年度までの間でそれぞれ調査を行っており、それぞれの工事の影響が考えられる複数の地点で地下水位の調査を行いまして、いずれの地点におきましても、地下水位の大きな変動は見られなかったと事業者から報告をされております。

○曽根委員 この高尾山トンネルの圏央道の工事が完了したのは、トンネルが出来上がったのは二〇一一年です。その前後に、我が党の「しんぶん赤旗」の主張欄で、この圏央道のトンネルで物すごい水がれが起きそうだということを、やはりこの自然保護団体の方から知らされて、記事を載せております。
 この高尾山のトンネル付近、もしくは、これは八王子城跡があります城山八王子トンネルというのがそばにあるんですが、その周辺に大きな湧水や滝が三か所あって、稲荷祠の湧水と妙音谷の沢と、それからちょうど高尾山の薬王院の道場として知られる琵琶滝というのがあって、この三か所が大きいんですが、外から見て、滝の水の流れ、それから湧水の量、これが直接、地下水の調査のために井戸を抜かなくても見えるわけですね。ここを自然保護団体の方々が、つい最近まで毎月調査に行っていたということです。
 その中で、やはり二〇一一年に開通してから一年後に供用開始になり、さらにその一年後、二〇一三年に環境アセスを終了していると。水位があまり変わらないということなんですけれども、その前に、既に工事中に地下水位が二十メートルも下がっているんです。
 これがなかなか回復しないけれども、下がったままで変わらないからということで、環境アセスの調査をやめているんですけれども、しかし、これにはちょっとからくりがあって、私も当時、現地まで行って調べた記憶があるんですが、NEXCOと国ですね、ここも高速道路ですから。
 事業者は、当時、地下水があまりに下がったので、水がれ対策を工事中からやっていたんです。私も見ましたけど、本当に植物園に行くと、よく黒いパイプが走っていますよね。そこから少しずつ水が出るんですけど、それを山肌にもうびっしりと張り巡らせて、少しずつ水を供給すると。そういうことをやりながら工事を進めていたわけです。
 しかし、工事が完了して、翌年には開通したということで、そういうことはやらなくなりました。同じときにアセスも終わっているんですね。それからもう十年近くになります。ですから、この後の水がれが起きたというのは、自然保護団体の方々が毎月調査をしなければ、誰も調査もしていないし、公的にはつかまれていない事実です。
 私は、こういう中で心配なのは、こうした心ある市民の方が多くは高齢で、毎月の調査もなかなか困難になっているという現状と、そしてこのまま放っておけば、やはり本格的な対策をしない限り、具体的な影響としては、ブナや、それからそのほかの豊かな高尾の植物種全体が水がれによる乾燥や、また温暖化などで衰退の道を歩みかねないというふうに懸念しておりますので、このことについては、環境局ができることは私はあると思うので、ぜひ、本格的な水関係の調査と、それから対策を具体的に打つことを要望しておきたいと思います。
 次に、臨海部の干潟などに飛来する野鳥に関する課題について。これも残念ながら、環境局ではなく、直接の所管が港湾局だということなので、質問ではなく、中間まとめの四九ページにラムサール条約湿地の葛西海浜公園と五四ページには、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップに参加している東京港野鳥公園のことが載っていますが、これに関連して意見だけ申し上げたいと思います。
 葛西海浜公園というのは、スズガモやカンムリカイツブリなど、ここに紹介されていますが、水辺の渡り鳥が世界的な生息数の、たしか四%以上だと思うんですが、飛来しているということなどが、国際的にも重要であるとして、湿地の保全と生態系に配慮した持続可能な利用を目的としたラムサール条約湿地に都内で初めて登録されたと、ここに紹介されています。
 しかし、ここで私、強調したいのは、スズガモやカンムリカイツブリは、葛西海浜公園にだけ生息しているわけではなく、近隣の、例えば東京港野鳥公園や、千葉県側の三番瀬の干潟なども、餌場やねぐらにしておりまして、日本野鳥の会の方にお話を聞いたところ、餌場としては、葛西よりも三番瀬の方が干潟の餌も豊富ではないかということでした。
 葛西海浜公園の人が立入りしないように守られている東なぎさ、これと三番瀬干潟の野鳥のすみ分けの実態を調べようと野鳥の会の方が相談して、港湾局が今度ドローンによる野鳥の数の計測調査を進めようとしているということもお話をお聞きしました。定期的に懇談を行っているそうです。
 そこで一番心配されるのは、私、第二湾岸道路の計画なんです。ちょっとパネルを作ってきましたが、上は千葉県側の三番瀬の干潟です。下には、略図ですが、第二湾岸道路の、まだ計画線は正式には決まっていませんが、有力といわれている三番瀬の中央部分を東西に抜ける計画、これが有力だということでした。
 もし、この第二湾岸道路が具体化されますと、現在こちらの若洲のところで、臨海道路が北上していきます。しかし、それが北上しないでそのまま東の方に進んで、三番瀬を越えて、千葉県側に進むと。これが第二湾岸道路の計画になるんですが、したがって、千葉県の三番瀬の中心部を横切る。
 これが具体化すると、ただ道路ができるだけではなく、三番瀬の干潟の東西、まあ恐らく全体の半分ぐらいの面積は、この沿道に倉庫や集積場など、物流施設が集中することになり、三番瀬は開発により致命的な打撃を受けることになることを私は本当に心配しています。
 臨海道路の延長線にありますので、港湾局が事業の推進役になる可能性が強いと。ですから、海浜公園の野鳥保護の課題は、かなり後景に追いやられるんじゃないか。ましてや、千葉県の方にありますから、三番瀬の、今千葉県が取り組もうとしているラムサール条約登録は、この開発が進んでしまうと、夢物語になってしまいかねません。それは都内の葛西臨海公園はじめ、海辺の野鳥の生息にも大きな影を落とすことになる。このことも指摘しておきたいと思います。
 私は、都内の干潟と干潟の野鳥を守るためにも、三番瀬についても、東京湾で最も豊富な餌場として、この存在を開発などで失わないために、東京都も三番瀬のラムサール条約登録に何らかの連携協力が必要ではないかと考えます。これは港湾局ではなかなかできないことで、東京都全体の方針が必要ですので、このこともぜひ要望をしておきたいと思います。
 それでは、最後に、温暖化ガス抑制のための大型建物に義務づけられるキャップ・アンド・トレード制度についてお聞きしたいと思います。
 ちょっと話、大分変わりますが、今、都心中心に多数の市街地再開発事業が行われ、開発ビルとして超高層ビルが新築されるケースが非常に増えています。
 その中の一例として、昨年スタートしました仮称内神田一丁目計画に対する地球温暖化対策に基づくキャップ・アンド・トレード制度の適用について質問いたします。
 この内神田一丁目計画、仮称ですが、この開発は、二〇二〇年度に都市計画決定され、昨年、二一年二月に第一種市街地再開発として事業認可され、同年四月、昨年四月に既存建物の解体に着手しております。今もう工事の真っ最中です。
 この段階から、予定では二〇二五年に開発ビルが竣工する予定となっておりますが、この工事期間の約四年間について、キャップ・アンド・トレード制度は適用されるんでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 キャップ・アンド・トレード制度は、年間のエネルギー使用量が原油換算千五百キロリットル以上の大規模既存建物を対象とした制度であり、新築の事業所の工事期間は、制度の対象外でございます。

○曽根委員 それで、ここに、この四年間の工事期間に規制がかからないというのは、例えば新しいビルを建設したり、再開発事業で大規模に建物を建て替える、こういうことに対する環境施策がなかなか届かないという一つの大きな原因ではないかと私は考えます。
 また、新築直後のビルについてはどうかについてもお聞きします。
 ビル事業者には、ビルが竣工してすぐには温暖化ガス削減が義務づけられるわけではないと聞きますが、竣工後、どういう期間にどういうことが課せられるんでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 事業所の年間のエネルギー使用量が原油換算千五百キロリットル以上となった場合、その翌年度から地球温暖化対策計画書の提出や、温室効果ガスの排出量の報告などが義務づけられております。
 その後、三か年度連続して、年間のエネルギー使用量が原油換算千五百キロリットル以上となった場合、総量削減義務が課せられます。

○曽根委員 この当該ビル、内神田一丁目計画の開発ビルの場合、キャップ・アンド・トレード制度による温暖化ガスの削減義務が課せられるのは、そうすると、早ければ二〇二八年度からということになりますが、そのときの目標は、何年までの目標で、どんな目標値が課せられるんでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 現行のキャップ・アンド・トレード制度では、新たに総量削減義務の対象となった事業所の削減義務量は、過去の排出量実績、または排出原単位から算定された基準排出量に、削減義務率を乗じて決定されます。
 本制度の削減義務期間は五年ごとに設定しておりまして、二〇二五年度から二〇二九年度が次期計画期間となります。
 二〇二八年度に総量削減義務の対象となった場合、当該計画期間の削減義務量は、二〇二九年度まで課せられます。
 二〇三〇年度以降については、新たな削減義務率に応じて削減義務量が設定されることになります。

○曽根委員 ちょっとやり取りだけでは分かりにくいと思って、かなり大ざっぱな図になりますが、私の方で一定のちょっと試算をしながら、その間のCO2排出量の推計をしてみました。(パネルを示す)二〇二〇年度までは、前の建物が建っているという前提です。これは私、都市整備委員会で二年ほど前に質問したんですが、七階建てと十一階建ての二つのビルがそれまで既存のものとしてありましたので、当時の一般的なビルのビル床面積当たりの排出量を計算すると、大体年間二千トンぐらいのCO2を出すと。
 この状態から二〇二一年度に工事に入りまして、ビルの解体と新築ビルの建設が行われ、四年間、四年間以上かかるかもしれませんということでしたので、これをオレンジにちょっと塗ってみました。
 この間の排出CO2については、これはまだ具体的な規制はかかっていないんですが、データとしては、今年一月に、日本建築業連合会環境委員会温暖化対策部会というところが二〇二〇年度の、おととしのCO2排出量調査報告書というのを出していまして、この中にいろんな計算があるんですけれども、非常に興味深いのは、ビル一棟のライフサイクルの中で、ビルを建設する工事と、それから最後にビルの運用が終わって、取壊しをする工事と、その両方についてどれだけの工事費用、工事のトラックの出入りや、様々な解体処分の作業も含めたCO2排出がどれぐらいになるか。
 それからビルの運用を、この場合、四十年を仮定して、四十年間運用している間にそのビルがどれぐらいの炭酸ガスを出すかということを計算したものを出しているんですけれども、大体、運用期間に出す炭酸ガスは、そのビル全体のライフサイクルの中で七〇%だと。残り三〇%のうち一四%が造る際に出す工事に関わるCO2の排出量。それから一六%は、取り壊す際に出るであろうCO2という試算を出しています。
 それを非常に大ざっぱなんですけど、当てはめて考えると、工事期間四年ぐらいの間に、ビルの寿命が四十年とすると、それの二割ですね。八年分のCO2がこの期間に出るということになります。したがって、このビルができてからのCO2排出よりも高い値のCO2をこの期間に出している。
 それから、新築してからの三年間は排出規制はかかりませんので、このとき事業者から計画で出された年間四千四百トンというCO2排出量が三年間丸々かかって出てきます。したがって、この七年間の間に相当な量のCO2が規制がかからないまま出てくると。排出されると。
 規制がかかるのは、二〇二八年度から、まあ早ければですね、段階的に下げていくという東京都のキャップ・アンド・トレードが、規制がかかってくるということになり、この間に排出されるCO2の量はばかにならないというふうに思うわけです。
 今後は、こうした開発行為について、工事期間に排出するCO2も抑制努力を事業者に求めていく必要があるんじゃないかということを考えるわけですけれども、いかがでしょうか。

○木村建築物担当部長 大規模新築建物を対象とした制度につきましては、本年八月、環境審議会から、建物稼働時だけではなく、建設に係る環境負荷低減に取り組むべきとの答申が出されました。
 本答申を踏まえまして、都は、本年九月に策定した環境基本計画や、カーボンハーフの実現に向けた条例制度改正の基本方針において、建設時に係るCO2排出量の把握や低炭素資材の利用促進などの方向性を示しております。

○曽根委員 ちょっと私にいわせると、遅きに失した感もあると思うんです。まだ努力規制ぐらいですから、これを一日も早く、努力を求めるだけではなく、義務化を早期に実現する必要が私はあると思います。
 ここの間に規制がかかっていないということは、かなり言葉は悪いんですが、開発はやりたい放題になっちゃうんですね。ここから下げればいいわけですから、もともとこれだけしか出していないCO2排出が、新しいビルができると、少なくともそれの倍近くにはなるというのがほとんどの開発の場合、当てはまります。
 ビルの性能はよくなっているんですよ。半分ぐらいしか出さないんだというのが今一般的です。十年前に比べれば半分以下までCO2排出を落としています。しかし、ビルそのものがでっかくなっちゃうんですね。
 これを規制する上で考えなきゃならないのは、今年の予算特別委員会に私たちが要求して出していただいた、都内の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況というのがありまして、これによると、これは十年間分をいただいたんですが、平成二十六年度、二〇一四年度から、最終は令和五年度ですから、来年二〇二三年度まで十年間分の百メートル以上の大規模ビルの建設計画が東京都に出されますので、それをリストアップしていただいたものです。
 この中には、内神田一丁目のビルが入っておりません。その前に計画が出ていますから。ですから、これからどんどん工事が始まって、建ち上がっていくビルの計画、十年分、これが全部で百三十六棟あります。
 私、ちょっと手計算で何なんですけど、全部床面積を足し合わせてみますと、千四百二十三万平方メートルぐらいあります。これ例えば内神田一丁目のビルに単純に換算して考えると、それだけで、七年間、工事期間と規制がかからない期間で八百十八万トンのCO2を出してしまうということになると。
 この量というのは、今、本委員会に出された資料では、東京全体の年間の温暖化ガスの排出量が、令和二年度で五九・九、つまり六千万トンですね。六千万トンぐらいですから、それの一三%か一四%ぐらいになるんです。
 これが十年間分のビルですから、十で割っても、東京から排出されるCO2の一・三から一・四%ぐらいを、この超高層ビルによる規制がかかっていない期間にCO2が排出されていて、これに早く手を打たないと、全体の百分の一から二ぐらいの範囲で、CO2が、いわば規制がかかっていないということで、かなり大きな課題になってくると思います。
 これについては、義務化の猶予期間を含めて、この規制の空白期間に発生する炭酸ガスの総量を、例えば事業者に推測させて、これをその後の削減義務に上乗せするとか、もしくはそのほかの対策で、事業者が温暖化防止に負担を負わなければならないような、ちょっと厳しい措置が求められるんじゃないかということを今日は指摘しておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○渋谷委員 それでは、まず、自然環境分野について質問をいたします。
 都内に残る貴重な湧水や緑は、都民の財産であり、市民の皆さんの尽力もあり維持されており、こうした貴重な自然環境をぜひ守っていってほしいと思います。
 都内の貴重な緑は減少しつつあり、今後の自然環境保全を考えると、都の保全地域の指定の取組は重要です。
 今後の保全地域を増やす取組はどうなっているか伺います。

○和田自然環境部長 都は現在、保全地域の目指す姿を示す保全地域の保全・活用プランの中間のまとめを公表しております。
 当該プランでは、今後、丘陵地の里山など、良好な自然地を二〇五〇年度までに百ヘクタール程度保全地域として指定、公有化する目標を掲げております。
 令和二年度に実施した自然環境調査では、都内の台地部や丘陵地等には、多くの希少な動植物が生息、生育したり、樹林地、湧水等の多様な自然環境が存在している土地などが残されていることが分かっております。
 今後、この調査や専門家等の意見を踏まえながら、都内に残された貴重な自然環境の保全について検討してまいります。

○渋谷委員 調査結果を踏まえ、ぜひ指定に向けて取り組んでいってほしいと思います。
 私の地元には、ほかにも保全地域があり、その一つである野火止用水歴史環境保全地域は、整備されてから歳月を経て、再整備が必要な箇所の発生や、草木が伸びて樹木の剪定や草刈りの要望が出ていますが、各市の事情によって対応が異なっている状況です。
 都は、各市が一体的に適切な管理ができるよう、どのように取り組んでいるかを伺います。

○和田自然環境部長 都は、保全地域の指定に際し、目標植生図や管理方針等を示す保全計画書を策定し、当該地の自然の保護と回復を図っております。
 野火止用水歴史環境保全地域は、東久留米市、東村山市など関係六市に及び、市有地である用水敷とその樹林地、都有地等である隣接する樹林地とで構成しております。
 各市は、保全計画書に基づいた維持管理を実施するとともに、都は、区市町村との連携による地域環境力活性化事業を活用し、令和三年度は、東村山市などにおいて、用水敷のり面の草刈り等の植生保全の取組を支援しております。
 用水敷と、その樹林地の保全の促進を図ることを目的とした関係六市で構成する野火止用水対策協議会とも連携を図りながら、管理に取り組んでまいります。

○渋谷委員 保全計画書に基づき、管理に取り組む市区町村の取組を後押ししていることが分かりました。
 現在、都は、保全地域の保全・活用プラン中間のまとめを公表しています。プランでは、将来、保全地域が目指す姿として、生物多様性の拠点となることが示されています。
 各市が担う野火止用水歴史環境保全地域の維持管理にも、生物多様性保全に配慮した工夫などが必要だと考えますが、今後、都はどのように進めていくか伺います。

○和田自然環境部長 野火止用水歴史環境保全地域を適切に管理していくためには、多様な生き物の生息、生育に配慮した保全の取組が重要であります。
 都は今年度、管理の現場を担う市区町村向けに、生き物の生息、生育に配慮した取組を現場で実践してもらうため、樹林、草地、水辺等のタイプごとに保全の取組を示した手引を新たに作成いたしました。
 例えば、水辺等においては、その場に生息する生き物の実態に応じて行う水際の草刈りや、一部在来の植物と交雑したりするおそれのある外来種の根ごとの除去などの取組について、イラスト等を用いて分かりやすく紹介しております。
 今後、野火止用水対策協議会を通じて、手引を活用した保全の取組を促すことで、生物多様性に配慮した維持管理を行ってまいります。

○渋谷委員 今後は、都の作成した手引を活用して、より一層、野火止用水歴史環境保全地域の生物多様性に配慮した保全を目指していってほしいと考えます。
 この保全地域は、保全地域の指定第一号でもありますので、関係する六市ともしっかり連携を図りながら、適切な管理を行っていただくよう要望いたします。
 次に、ムクドリの被害について質問いたします。
 私の地元清瀬市、東久留米市をはじめ、多摩地域の駅前広場の樹木に大量のムクドリが飛来し、鳴き声やふん害が発生するなど、地域住民にとっては深刻な生活環境被害となっています。
 住宅地にムクドリが移動し、生息環境が変わってきているのではないでしょうか。こうした生活環境被害を踏まえ、ムクドリの対策についてどうなっているか見解を伺います。

○和田自然環境部長 ムクドリは、一年を通じて全国で見られる鳥類であり、農耕地、公園、果樹園などに生息し、近年では、住宅地の街路樹などに大集団でねぐらを作り、生息しております。
 都はこれまで、ムクドリによる農耕地や果樹園での農作物被害に対し、捕獲を許可してまいりました。
 ムクドリによる鳴き声やふん害などの生活環境被害の実態を受け、本年三月に改定した第十三次東京都鳥獣保護管理事業計画において、生活環境被害の場合でも捕獲できるよう見直したところでございます。
 都は、被害に遭っている地元自治体や捕獲事業者などからの申請に対し、捕獲を許可するとともに、他県の対策事例などの情報を収集し、各自治体へ情報提供してまいります。

○渋谷委員 それでは、水素パイプラインについて、最後に伺います。
 新聞報道によりますと、水素パイプライン構想、小池知事表明となっておりまして、海外から神奈川県の川崎港に運んできた水素を臨海副都心までパイプラインを敷設して、都内に供給するという構想で、都は、まず二〇二三年度予算に、計画の調査費を盛り込むことを検討となっておりますが、この件というのは、議会に報告はないですけれども、いつ決まったのか、川崎市はこの件を了承しているのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 水素施策につきましては、環境施策の観点だけではなく、産業政策の観点から推し進めるため、本年七月より産業労働局が所管しており、当局では承知してございません。

○渋谷委員 水素エネルギーというのは、環境局の重要な柱の一つではないでしょうか。見解がその程度というのはおかしいんじゃないかと思います。
 ちょっと角度を変えて聞きますけれども、環境局はこの件をいつ知ったのか、あるいは何も知らなかったのか、その件について伺います。

○荒田気候変動対策部長 環境局といたしましては、気候変動対策につきまして、産業労働局と連携して取り組んでまいりますが、本件については所管をしておらず、承知しておりませんでした。

○渋谷委員 このような重大なことを議会に相談なく発表があったことは問題であって、議会軽視といわれてもやむを得ないことであるということを指摘して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○里吉委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○里吉委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時十分散会

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