環境・建設委員会速記録第十号

令和四年九月三十日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長曽根はじめ君
副委員長須山たかし君
副委員長里吉 ゆみ君
理事加藤 雅之君
理事関野たかなり君
理事田村 利光君
北口つよし君
漢人あきこ君
鈴木  純君
星  大輔君
原  純子君
清水やすこ君
伊藤 ゆう君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
理事宮澤 浩司君
総務部長節電行動連携担当部長兼務小川 謙司君
環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務上田 貴之君
企画担当部長三浦亜希子君
気候変動対策部長荒田 有紀君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
制度調整担当部長関   威君
環境改善部長鈴木 研二君
環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務宗野 喜志君
自然環境部長和田 慎一君
生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務小林 洋行君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環計画担当部長村上  章君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長副島  建君
道路監花井 徹夫君
総務部長浅野 直樹君
用地部長澤井 晴美君
道路管理部長荒井 芳則君
公園緑地部長小谷  健君
企画担当部長建設DX推進・危機管理強化担当部長兼務松島  進君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
意見書について
建設局関係
契約議案の調査
・第百九十号議案 東京都瑞江葬儀所(四)改築工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百七十三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為 建設局所管分
・第百九十四号議案 土地の買入れについて
・第百九十五号議案 首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意について
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為 環境局所管分
・第百八十八号議案 東京都自然公園条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都環境基本計画の策定について
・カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針の策定について
・東京都生物多様性地域戦略の改定について(中間のまとめ)
・保全地域の保全・活用プランの策定について(中間のまとめ)
陳情の審査
(1)四第二六号 新築戸建て住宅への太陽光パネルの設置義務化の見直しに関する陳情

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽根委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年九月二十九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 曽根はじめ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百九十号議案 東京都瑞江葬儀所(四)改築工事請負契約
2 提出期限 令和四年十月四日(火)

○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の付託議案の審査、建設局関係の契約議案の調査並びに環境局関係の報告事項に対する質疑及び陳情の審査を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百九十号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○加藤委員 それでは、瑞江葬儀所の契約案件に関する質疑を行わせていただきます。
 私は、この瑞江葬儀所を含めまして、火葬場について何回か質疑を行ってきました。例えば、三十年度の各会計決算特別委員会、そして元年度の各会計決算特別委員会、そして昨年の予算特別委員会では、この瑞江葬儀所の改築計画の検討状況について質問をさせていただきました。
 当時、局長から、一つは、最新の火葬炉を備えた施設で環境負荷の軽減や火葬作業環境の改善を図る、また、利用者のプライバシーに、より配慮した構造で利便性の向上を図る、そして、三点目に、二階建てで水害時に垂直避難が可能な施設にすると、このように答弁がありました。
 そこで、二番目にお話がありました利用者のプライバシーに配慮した構造で利便性の向上を図るというふうにいわれましたが、これは具体的にどういった内容になるのか、まず伺います。

○根来公園計画担当部長 新たな瑞江葬儀所では、利用者のプライバシーに配慮するため、個々の火葬炉に対応する個室を設けておりまして、利用者はこの個室で火葬前のお別れと火葬後の収骨を行うことができるようになります。

○加藤委員 今は火葬しかできないんですけれども、今後はそこの場で、故人との最後のお別れと、そして火葬後の収骨もできて、遺族や参列する方の利便性が高まるということが想定されます。
 次に、コロナの関係で全国的に火葬件数は増加していると感じております。昨年の事務事業質疑でも、コロナが問題となり出しました令和二年四月から、瑞江葬儀所ではコロナの優先枠を設けたと、そして、二年度は四百二十五体を受け入れたと、このように伺いました。
 そこで、三年度の年間の受入れ数と今年度の現在までの受入れ数、これを確認したいと思います。

○小谷公園緑地部長 瑞江葬儀所では、新型コロナウイルス感染症により亡くなられたご遺体については、優先枠を設け、積極的に受け入れてまいりました。
 受入れ数は、令和三年度は七百三十体、四年度は八月末現在で三百十一体であります。

○加藤委員 数を多く入れていただいているということでございます。
 区内は、公営火葬場よりも圧倒的に民間の火葬場が多くを占めているんですけれども、聞くところによりますと、民間のコロナの受入れ数は非常に少ないと、このようにお聞きをしております。そうした意味では、公営火葬場としての役割をしっかりと果たしていただいているということで評価をしたいというふうに思います。
 東日本大震災のときも臨時の対応を行っていただきましたけれども、ますます公営火葬場の役割の大きさ、これを実感しております。
 三年度の指定管理者運営状況評価というのもありますけれども、ここも総合評価でS評価、これも今お話しいただいたコロナのご遺体を多く受け入れたということでございます。それだけでなくて、通常の火葬への影響を最小限にとどめるため、情報収集や他の火葬場との連携により、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方の火葬優先枠を状況に応じ増減するなど、柔軟な対応を行って、公営火葬場としての責務を十分果たしたことは大変評価できると、このように書かれておりまして、まさにそのとおりだなというふうに思っております。
 さらに、前年度作成したBCP、これを業務や段階ごとに応じた内容にバージョンアップした、このようにも書かれておりまして、非常にすばらしいことだなというふうに思っております。
 次に、元年度の決算審議では、年間七千六百三十件の受入れをされたとお聞きしました。これ、計算しますと、単純計算ですけれども、友引を除きますと一日当たり約二十五件という数字が出てくるんですけれども、全体としては、民間の年間受入れ数と比較すると、残念ながらちょっと少ないなと。それは旧式の火葬炉ということもあると思うんですけれども、こうしたことから一日の火葬件数が二十五件と制約されているということも聞いておりまして、地元住民の受入れも場合によっては断ることもあるということも聞いております。
 また、建て替え後、先ほど答弁がありましたように、火葬した後、収骨まで可能になると。お別れ、火葬、収骨というふうに考えますと、今までよりも時間がかかるということが想定されます。
 そうしますと、同じ時間割でやると、さらに件数が減るということが想定されます。そうした意味では、最新の火葬炉を備えた施設では、環境負荷の軽減や作業環境の改善を図るという答弁をいただいていますので、そうしたことからすると、新設となった際には地域住民の理解を得た上で、可能な限り火葬件数を増やしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○小谷公園緑地部長 新施設では、最新の火葬炉を備え、環境負荷の軽減等が図られますことから、火葬能力を十分に生かせるよう、火葬件数について、地元の理解を得ながら検討してまいります。

○加藤委員 次に、火葬料金のことについてお聞きしたいんですけれども、区内で多くの火葬場を運営する民間事業者が、今までは公営と同等の火葬料金を長年維持してきたんですけれども、昨年一月から大幅に値上げをしまして、今年六月からは燃料高騰対策として燃料サーチャージ制というのを導入しまして、価格転嫁を行いました。
 また、燃料サーチャージ制ですから、燃料が上がれば自動的に上げていくということで、今後、光熱費のアップに伴い、さらなる値上げが行われるということでございます。
 過去の決算質疑でも確認しましたけれども、瑞江葬儀所の火葬料というのは、土地使用料、建物使用料、設備使用料、光熱水費等維持管理に要する経費など、火葬に要する原価相当額を基に設定していると。そして、受益者負担の適正化を図るため、二年置きに原価相当額の算定を行って見直しをしていると、このように確認をしているところでございます。
 現在、物価高騰が様々な都民の生活を圧迫していますけれども、新施設の完成に当たっては、急激な物価高騰に配慮した火葬料金を設定すべきと考えますが、見解を伺います。

○小谷公園緑地部長 瑞江葬儀所の火葬料は、受益者負担の適正化を図る観点から、施設整備に要した費用や維持管理に要する費用など、原価相当額を基に設定しております。
 新施設の火葬料につきましても、同様に設定することとしておりまして、急激な原価の変動にも配慮しつつ、適切に対応いたします。

○加藤委員 急激な原価の変動にも配慮しつつ、適切な対応ということで、そういう状況であることは理解をいたしました。これは算定方式っていうんですかね、それがありますので、そうした中で物価変動ということはしっかりと見ていただくということでございます。
 ただ、抜本的には、いわゆる墓埋法によりまして、火葬は区市町村業務ということでありますので、区市町村が運営する火葬場においては、いわゆる原価相当額というよりも、そこに様々な税金を投入して安くしているという実態がありますので、ここは今後どうしていくかっていうことは、やはり議論をしていくときも出てくるんではないかと、そのように私は思っているところでございます。
 次に、建物の耐震化、こうしたことについては、前回、そして水害対応、確認をさせていただきましたけれども、このコロナ禍においてでは、火葬件数や火葬待ち、これが増加しているわけでございます。
 今後、災害時や新たな感染症の発生等によりまして、火葬待ちが起きる状況においても、新施設となった暁には適切な対応ができるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○小谷公園緑地部長 新施設では、火葬するまでの間、ご遺体を安置するひつぎ保管庫を増設するとともに、災害時など、火葬件数が増える場合にも適切に対応してまいります。
 新たな葬儀所におきましても、公営葬儀所としての役割を的確に果たしてまいります。

○加藤委員 一時期、これは福祉保健局の管轄で、民間にお願いをして、この保管場所というんですか、そうしたところを臨時で設けたということもありました。第八波とか、今後どういうような形で爆発が起きるかどうかということ、これは本当に分からない状況でございますので、いずれにしましても、先ほどいろいろコロナ対応していただいたということでございますので、公営火葬場としての役割を今後もしっかりと果たすことをお願いしたいということをお願いしまして、質疑を終わります。

○原委員 都立瑞江葬儀所の建て替え工事について質問をいたします。重なるところもあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 昭和五十年から稼働してきた火葬炉の老朽化から、建物を建て替えることとなり、今回の契約は建物部分の工事請負ということです。
 今、駐車スペースとなっている場所に新火葬施設を建て、稼働後、現在の火葬場を閉鎖、解体するとのことで、切れ目なく事業を継続できる建て替え計画です。
 私、第一回の定例会、委員会でも取り上げさせていただきましたが、工事中の安全確保、これを重ねて強調しておきたいと思います。工事中に、真向かいで毎日葬儀が執り行われるわけですから、来所される人々が、安全に滞りなく故人を見送れるように、別々の動線の確保や工事音対策など、お願いしたいと思います。
 契約の後には、工事の工程、車両の出入りなどがどのようになるのかなど、地域住民への説明会をきっちりと行い、問合せなどの対応も随時できるようにお願いしておきます。
 今回、建て替えで最新の技術を備えた火葬炉など、効率のいい施設が造られることは歓迎ですが、新築、リニューアル後に利用料金が引き上がるのではないかとの不安が既に近隣住民から出されております。
 改めて、火葬料について伺います。火葬料はどのように設定されるのでしょうか。

○小谷公園緑地部長 瑞江葬儀所の火葬料は、土地使用料、建物使用料、設備使用料、光熱水費等維持管理に要する経費など、火葬に要する原価相当額を基に設定しております。
 新施設の火葬料につきましても、受益者負担の考え方に基づき適切に設定してまいります。

○原委員 火葬に要する原価相当額に、建物使用料や設備使用料が含まれているのが心配なわけです。石原都政で受益者負担の考え方が導入されて以来、二〇〇四年には一万八百円だった火葬料が改定ごとに引き上げられ、現在、五万九千六百円となっています。
 二十三区以外では、同じ東京都でも八王子市や日野市、立川市、昭島市、国立市などは、市の運営で負担がゼロという状況です。他県でも多くは一万円以下、数千円というところです。
 瑞江葬儀所は、ほかの自治体と比べ大変な高額になっているのに、それでまた建て替えによって値上がるようなことがあっては困ります。
 三月の委員会質疑で、二十三区内の民間運営の火葬場が七万五千円でとても高いという話を私はしたわけですが、その事業者が、この間、さらに追加の火葬料金を設定しているのを知りました。
 六月から燃料費特別付加火葬料を追加設定するようになり、この十月からは、それが一万二百円という追加がされます。一般的な斎場等というところ、七万五千円と合わせて、火葬料が八万五千二百円となる予定です。ツイッターでも高くて驚いたと大変話題になっています。
 葬儀場の施設の中で、例えばお墓とかは近傍類似の料金を参考にして価格を決めているわけですけれども、火葬料については、近傍類似施設の使用料が上がったら瑞江の火葬料も上がるということはないと思いますが、確認のため伺います。

○小谷公園緑地部長 瑞江葬儀所の火葬料は、受益者負担の適正化を図る観点から、原価相当額を基に設定しておりまして、新施設の火葬料についても同様であり、適切に対応いたします。

○原委員 近傍類似施設の影響は受けないということは確認できました。もっとも、瑞江の、今、約六万円というこの火葬料自身が高過ぎるし、二十三区の住民の七割は民間の火葬場を利用していることを考えれば、民間への価格規制がなくていいのかと思わざるを得ません。
 コロナ禍、長引く不況により生活困窮の世帯が拡大しています。亡き家族を見送るときに、葬儀代の支払いに苦労しなければならない現状を何とかしていきたいです。受益者負担の考え方はなじまないのではないでしょうか。公共性を持つこの火葬料への根本的な検討が必要だと考えます。
 救済措置なども含め、福祉の分野の議論になると思われますので、担当局間の連携もする必要があり、今後の検討課題とされるよう強く要望をしておきます。
 最後に、唯一の都立火葬場としての役割について触れます。
 瑞江葬儀所は、通常から身元不明の故人を多く受け入れています。コロナ禍では、一日最大二十五体の火葬のうち、コロナ死亡の遺体を最大十体受け入れてきているそうです。それは、やはり都立としての役割を果たされているなと思います。
 職員は防護服での業務となり、緊張状態も続き、疲労は通常業務の何倍にもなると伺っております。必要な人材をしっかり配置していただきたいです。
 以上、安全な工事の実施、火葬料の根本的な検討、そして十分な人員の配置を要望し、質問と意見とさせていただきます。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○曽根委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百七十三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為、建設局所管分、第百九十四号議案及び第百九十五号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浅野総務部長 去る九月十四日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会要求資料の表紙をおめくりいただきますと、目次に二件の資料の件名が記載してございます。
 一ページをお開きください。練馬城趾公園の土地買入れに係る国庫補助金の予算額(令和四年度)でございます。
 この表は、練馬城址公園の土地買入れに係る令和四年度の国庫補助金予算額を表したものでございます。
 二ページをご覧ください。都立公園の整備に係る国庫補助金決算額の推移(用地費を除く)(平成二十三年度〜令和二年度)でございます。
 この表は、都立公園の整備に係る国庫補助金につきまして、平成二十三年度から令和二年度までの用地費を除く決算額を表したものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○北口委員 初めに、債務負担行為についてお伺いをいたします。
 昨今、車で都内を走行しておりますと、道路工事や車線規制が至るところで行われており、九月以降、道路工事の量が増えたように感じております。
 年度ごとに契約する現状の方法では、事業執行のタイミングがどうしても偏ってしまうのは前々からの懸念であり、建設業界の方々からも工事の平準化は常にご要望をいただいているところであります。
 今定例会において、防災対策などの重要施策のスピードアップとして、債務負担行為の活用による工事等の前倒し発注が提案されておりますが、改めて、この債務負担行為を設定する目的と、その効果についてお伺いをいたします。

○松島企画担当部長建設DX推進・危機管理強化担当部長兼務 経済社会情勢が激変する中、これまで以上に政策の効果を早期に都民に還元することが求められております。
 そのため、都では、本年四月より、事業執行の迅速化に向けた手法の検討を進めており、七月に公表されたシン・トセイ加速化方針二〇二二において、事業開始時期の前年度への前倒しや、年度の切れ目のない事業実施が可能となる債務負担行為の活用が迅速化メニューの一つとして提示されております。
 今回、債務負担行為の活用により、事業着手を前倒しして、政策の効果を素早く都民に届けることが可能となる五事業について、補正予算を編成するものでございます。
 債務負担行為の活用は、発注時期の平準化にも資するものであり、今後も迅速化メニューに継続して取り組んでまいります。

○北口委員 債務負担行為の活用は、事業執行が迅速化され、また、事業効果の早期発現や事業執行の平準化にも資するものであるとの答弁をいただきました。都民にとっては、非常に有益な取組であると考えますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、債務負担行為以外にも事業の迅速化、平準化に対しては、シン・トセイ加速化方針二〇二二には多くのメニューが示されております。様々な施策を駆使しながら、建設局が都庁の先陣を切っていただくことをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 それでは、続きまして、第百九十五号議案の首都高速道路株式会社が行う高速道路事業の変更に対する同意についてお伺いいたします。いわゆる障害者の割引についてお伺いをさせていただきます。
 首都高速道路の料金を変更する場合には、国の事業許可を受けることになっており、その要件には各地方公共団体の道路管理者が、その料金変更に同意している必要があり、その同意には議会の議決を要する仕組みとなっていると理解をしております。
 今回の議案は、障害者割引の対象を拡充する変更と、特定更新等工事などによる通行止め等に対して、高速道路の代替路を利用しても料金が高くならないよう調整できるようにする、主にこの二点の事業変更について同意を求める内容ということでありまして、障害者割引の対象を拡充する変更につきましては、全国の有料道路事業者が一斉に変更する予定だというふうに聞いております。
 この障害者割引の対象を拡充する変更につきましては、これまで全国脊髄損傷者連合会や、日本身体障害者団体連合会の皆様から強い要望を受けておりました。
 このため、我が党は、令和二年七月に全国脊髄損傷者連合会の皆さんと一緒に、国土交通省に対して割引対象を拡充するよう要望活動を行いまして、その年の十二月、当時の国交大臣と両連合会の方々などの懇談会の中で、高速道路における障害者の割引対象について、車両から人にシフトするということが強調され、関係者の協議の結果、令和四年度中の運用開始を目指すと約束をいただいたものであります。今回の手続を経て、ようやく結実することになるものであります。
 現在の制度は、電車やバスなどの公共交通機関を使用する際に運賃の割引が受けられるものと同様、障害を持つ方が積極的に外に出る機会を創出できるよう設けられたもので、障害者の方一人につき、事前に登録された車両一台のみに割引料金が適用されるものであります。
 そこで、現行の割引率と首都高速道路株式会社における利用実績、これをお伺いしたいと思います。

○荒井道路管理部長 現行の障害者割引率は五〇%でございます。
 なお、首都高速道路株式会社における障害者割引の実績でございますが、令和三年度は一日当たり約八千台の利用があったと聞いているところでございます。

○北口委員 通行料金は半額、利用実績は、令和三年度で一日当たり約八千台ということでございました。車を利用する障害者の方にとっては、外出時の負担が大きく軽減される、なくてはならない制度であります。
 しかし、現行の一人一台のみの適用ですと、まだまだ不便なことも多くあるとのことです。例えば、車検のときなどに代車を使用する場合やレンタカーを借りる場合には、割引を受けることができないわけであります。
 今回の変更により、こうした状況が解消されるわけですから、これまで利用してきた方はもとより、車両を保有していなかった方も対象になるなど、障害のある方にとって、さらに心強い制度となり、早期の実施が求められます。
 そこで、今回の変更によって具体的な利用方法はどうなるのか、また、実施時期はいつになるのか伺います。

○荒井道路管理部長 今回、割引対象の拡充に伴いまして、事前登録されていない車両を使って割引制度をご利用いただく際には、有人レーンまたはサポートレーンで障害者ご本人と身体障害者手帳等を確認させていただく予定となっております。
 また、実施時期でございますが、全国の有料道路におきまして、同時に適用する予定であり、各地方公共団体の議会の議決や道路管理者としての同意、国の事業許可等を踏まえ、令和四年度中の確実な開始を目指し、調整していると聞いております。

○北口委員 障害者割引の対象が拡充される時期は、令和四年度中の確実な開始を目指し、調整されていることが分かりました。
 なお、今後の課題ではありますが、有人レーンまたはサポートレーンの誘導については、利便性の観点から、ETCの活用に向け、不断の見直しを行っていただきたいと要望をしておきたいと思います。
 そして、もう一つ、特定更新等工事などによる通行止め等に伴う料金調整についても質問をさせていただきます。
 現在、各高速道路では、建設から相当な期間が経過し、構造物の老朽化が進んでいる箇所もあることから、大規模リニューアル工事として構造物自体の取替えや大規模な修繕等が実施されております。
 首都高速道路においても、一号羽田線東品川桟橋・鮫洲埋立部や高速大師橋などでこの特定更新等工事が行われており、今後、更新事業を進める中で、新たな通行止めや車線規制の発生が予想されるとのことです。
 一方、現在の料金制度にも、通行止めによって首都高速道路から強制的に出されて、一般道路を使って再び首都高速道路に入った場合に、二回の流入とせず、一回の通行とみなして料金調整を行うことができるようになっているとのことですから、なぜ今回、新たな料金調整の規定の追加が必要になってくるのか、もう少し具体的に説明がないと、利用者の方々には分かりにくいのかなというふうに思います。
 そこで、今回、新たに料金調整の規定を追加する理由を改めてお伺いするとともに、具体的に導入する区間や時期についてお伺いをいたします。

○荒井道路管理部長 特定更新等工事による通行止め等で、多くの車が一般道路に流入しますと、周辺の道路が渋滞するなど、一般道路に相当な負荷がかかるため、対策を講じる必要がございます。
 その方法といたしましては、首都高速道路内で迂回する代替路を設定し、本来の目的地に近い別の出入口へ誘導することといたします。
 これによりまして、移動距離が長くなっても、本来の目的地を利用した料金より高くならないよう料金調整するものでございまして、既存の規定に今回の規定を新たに追加するものでございます。
 なお、現時点で料金調整が必要となる特定更新等工事の計画はなく、具体的な計画が生じた段階で適宜検討し、適用できるように、あらかじめ規定を整備しておくものと聞いているところでございます。

○北口委員 本件については、今後実施されるわけでございますが、通行止めや車線規制が発生すると困るのは利用者でございます。
 そこで、実施に当たりまして、首都高速道路株式会社には、利用者に対して代替路への誘導や料金が調整されることなど、スピーディーで分かりやすく、かつ丁寧に周知していただきますよう要望をしておきます。
 以上で第百九十五号議案については同意すべきであるということを申し上げて、私の質問を終わります。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。質疑を行わせていただきます。
 まず初めに、資料をご用意いただきありがとうございます。私からは、百九十四号議案、練馬城址公園の土地の買入れについて何点か質問してまいります。
 この土地は、皆さんご存じのとおり、としまえんのあった場所です。二〇二〇年八月、としまえんは九十四年の歴史を閉じました。当初、ここは全体が防災公園、練馬城趾公園として整備される予定でした。しかし、突然、スタジオツアー施設が公園区画の約四割に建設され、少なくとも三十年間は防災公園としては使えないということになりました。
 としまえんに愛着を持っていた多くの方々が、防災公園になるならと納得をしていた、防災公園として活用も検討しておりました。ところが、スタジオツアー施設ができることで、一番有効に活用できると期待されていた場所が、少なくとも三十年は使えないことになってしまいました。
 今回は、それ以外の部分の土地の買入れですから反対するものではありませんが、練馬城址公園全体の整備を三十年遅らせてしまったことは、住民の皆さんにとっては、なかなか受け入れられないことだったということは指摘をしておきたいと思います。
 それでは、具体的な土地買入れに関連して質問してまいります。
 まず、この練馬城址公園全体の土地の価格についてですが、当初示されていた予算と数百億円の乖離があります。これはなぜなのか伺います。

○澤井用地部長 令和四年度当初予算では、周辺の相続税路線価を参考に土地の価格を想定したもので、今回買い入れる土地の予定価格は、不動産鑑定士による鑑定を踏まえ、東京都財産価格審議会での評定を経て、決定した価格でございます。

○里吉委員 事前にもいろいろ伺いましたけれども、要するに、当初は路線価格を参考に土地の面積で価格を想定したと。実際に売買するとなると、広大な土地ですから、例えば、住宅を建てようと思えば道路を整備したり、傾斜があるところは盛土、切土などの整地も必要だということで、費用がかかる分、実際の土地の価格は低くなったということでよろしいでしょうか。−−はい。
 つまり、当初の想定どおりの金額で買ってもらえると相手方も考えてはいなかったということだと思います。当初の予算と数百億円も乖離があったので、このことについては確認をさせていただきました。
 なお、資料では、この中に国庫補助が約三分の一弱、三十億円含まれていることも確認させていただきました。
 また、今回、公園整備に係る国庫補助金については入っていないというご説明でしたが、この活用も、この間、何年かされているということも確認をさせていただきました。
 次に、購入予定地にある建物の扱いについてです。
 練馬城址公園の用地取得に伴い、物件移転補償が発生すると伺っていますが、その対象は具体的にどんなものか、物件の面積や金額について伺います。

○澤井用地部長 今回取得する土地にある床面積約三千平方メートルの建物などを補償対象としております。
 令和四年度当初予算では、物件移転補償費を約四億円計上しております。

○里吉委員 四億円の予算がついているということなんですが、実際に移転する物件は、どのような建物で、何に使っていたものか、費用の根拠も併せて伺います。

○澤井用地部長 物件移転補償において、移転を想定している建物は、敷地北側に位置する鉄骨造の倉庫でございます。
 補償に当たりましては、東京都の事業の施行に伴う損失補償基準に基づき算定しております。

○里吉委員 また、今回の土地購入の対象になっている、入り口付近にある券売所も多分対象となっていると思うんですが、としまえんの思い出として残してほしいという要望が出されておりました。これ、残すことは検討されたのかどうか伺います。

○根来公園計画担当部長 都は、練馬城址公園整備に当たり、オープンハウスの開催やパブリックコメントの実施などにより寄せられた都民の意見も踏まえ、当初開園区域の設計を取りまとめております。
 券売所は撤去されますが、としまえんのベンチや案内板を再利用した広場を整備いたします。

○里吉委員 ベンチの再利用はするということですが、券売所については撤去だということです。撤去ということは、通常なら解体されてしまうと思うんですが、寄せられた都民の意見を踏まえるということであれば、引き取ってくれるところがないかとか、これ、西武にいうことかもしれませんけれども、最後まで残す道を探っていただきたいということは要望しておきたいと思います。
 次に、同じく今回購入する土地に建っている古城の塔については、としまえんの開園時から残る歴史的建造物であるということで、この文化的価値を認め、偉人の功績や地域の歴史、空襲を伝承するシンボルとして保全、活用してほしいという要望がございます。
 現在、耐震などの調査を行っていると伺っていますが、具体的にはどこが行っているのか、どのような調査を行っているのか。また、その内容と、それからいつまで行われるのか、その結果は住民に明らかにされるのか伺います。

○根来公園計画担当部長 現在、都は、今年度中を目途にコンクリートの劣化状況や建物の耐震性能等の調査を行っておりまして、その結果の取扱いについては、適切に対応してまいります。

○里吉委員 今、調査中で、それはコンクリートの中性化や耐震性能だということで、今年度中というご答弁がありました。
 これは、都が委託しているんでしょうか。それとも、まだ土地を持っている西武が委託しているんでしょうか。それから、結果を住民に明らかにするんでしょうか。そのことについては答弁がありませんでしたので、もう一度伺います。

○根来公園計画担当部長 現在、都が調査を行っておりまして、その結果の取扱いについては、適切に対応してまいります。

○里吉委員 都が調査していて、適切に対応するということなんですけれども、住民の皆さんの意見も受けて、せっかく調査をしているわけですから、結果は住民に何らかの形で明らかにするのは当然だと思います。
 その公表の仕方はいろいろ検討されたらいいと思いますが、建物の耐震診断の結果は、公表は何らかの形ではされるはずだと私は思うんですが、それはどうでしょうか。もう一度確認します。

○根来公園計画担当部長 繰り返しとなりますが、調査の結果の取扱いについては、適切に対応してまいります。

○里吉委員 そんな隠すようなことではないと思うんですけれども、残すにしても、残せないにしても、皆さんの要望を受けて調査をされているわけですから、ぜひきちんと皆さんにその結果は公表していただきたいということは強く要望しておきます。
 都立公園として整備する今回買う土地の中に入っている建物ですから、そういうものとしてちゃんと扱っていただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、スタジオツアー施設との関係で伺います。
 今回、公園の入り口であるエントランス広場と川に沿った歩道、奥の広場の整備に向けて土地の買入れを行うわけですが、この入り口は西武線や大江戸線の駅からスタジオツアー施設に行くときにも使えるものと考えてよいでしょうか。
 開園予定は来年度中と伺っていますが、スタジオツアー施設と合わせての開園ということでよろしいか伺います。

○根来公園計画担当部長 お話の箇所は練馬城址公園の一部であり、誰もが自由に利用できるものでございます。
 また、練馬城趾公園は、令和五年度に一部開園を予定しており、スタジオツアー施設も令和五年にオープンされると聞いております。

○里吉委員 つまり、全く同じかどうかは分かりませんが、駅で降りてスタジオツアーに行くときにも使えるものだと。同時期に開園するということは確認いたしました。
 次に、としまえんは避難場所に指定されておりまして、練馬城趾公園は防災公園となる計画です。
 今回、土地を購入し整備するに当たっては、工事中も含めて避難場所として使えるようにすると伺いましたが、具体的な対応について伺います。

○根来公園計画担当部長 公園整備に当たりましては、周辺からの避難を受け入れる出入口や園路を確保するとともに、防災トイレなど、必要となる防災施設等の整備を行い、防災拠点としての機能を確保してまいります。
 工事中におきましても、地元区や関係事業者と連携し、災害時の避難空間や周辺からの出入口を確保いたしますとともに、避難者を受け入れる体制が取られております。

○里吉委員 最初にも申し上げましたけれども、もともとは、としまえん全体が防災公園として整備される計画だったわけです。
 約四割の場所が使えないわけですが、防災拠点としてどれだけ有効に活用できるのか心配な部分もありますが、今、るるご答弁いただきました。周辺住民の皆さんともよく話し合い、心配のないよう具体化することを求めて、質問を終わります。

○須山委員 建設局所管庁舎への蓄電池設置について質問させていただきます。
 補正で蓄電池設置として九千万円が計上されておりました。二〇三〇年までのカーボンハーフ、二〇五〇年のゼロエミッションのために、また、昨今、電力逼迫も非常に叫ばれている中で、都の率先行動ということで、都有施設への取組を進めていくことは一定の評価をいたします。
 ただ、率先行動をするにも長期的な視野も必要ではないかなと考えます。五年、十年、二十年と先を見据えた設備導入をしていくことも必要だなと考えております。
 そこで、今回の補正予算で要望している建設局所管庁舎への蓄電池設置について、なぜ今回の補正で設置をするのか、また、どのような蓄電池を設置するのかをお聞かせいただきたいと思います。

○松島企画担当部長建設DX推進・危機管理強化担当部長兼務 都はこれまでも、電力の安定確保に向け、都の率先行動として、庁舎における節電等の徹底に加え、都民や事業者への節電行動の呼びかけなどを行ってまいりましたが、この冬の電力需給も予断を許さない状況です。
 このため、今冬の電力逼迫に対応するために補正予算を要望し、建設局所管庁舎である工区など四十二か所に蓄電池を導入することといたしました。
 今回、蓄電池を導入する工区等は、小規模で職員数も限られていることから、工事が不要で早期の調達が可能な家庭用小型蓄電池を基本としつつ、受電方法などを確認しながら、配置する蓄電池のタイプなどについて検討しているところでございます。

○須山委員 ありがとうございます。まさにこの冬の電力逼迫も予想されるということの備えをするためにということで、今回の補正予算で出されたということはよく分かりました。
 また、家庭用が基本ということなんですけれども、家庭用の蓄電池でいいのかなというのは、ちょっと素朴な疑問として抱きました。
 それで、今回の蓄電池導入に関しての効果等も含めて、ちょっとそこら辺、お聞かせいただきたいと思います。

○松島企画担当部長建設DX推進・危機管理強化担当部長兼務 今回導入する蓄電池は、規模や職員数などを踏まえ、家庭用小型蓄電池を選定しております。
 蓄電池の導入は、電力使用のピーク時に蓄電池から給電することで、商用電力の使用を削減するとともに、計画停電のような比較的短時間の停電時に、現場の最前線で道路、河川の維持管理を担当する工区の業務継続が可能になるなど、防災力の向上にも資するものであり、今冬以降も停電時には効果を発揮すると考えております。
 まずは、都として率先して行動を起こし、都民、事業者の共感を得ながら、HTT、減らす、つくる、ためるの取組として進めてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。今のご答弁で大体というか分かりました。蓄電池導入の効果等も分かりましたし、また、私が気になっていた家庭用ということでも、規模や人数からも事足りるということなのだろうということで理解をいたしました。ただ、やはり家庭用と事業用だと保証や耐久性なども変わってくるのかなというふうにも考えます。
 九千万円という額は、東京都としては少ないかもしれません。しかし、私は基礎自治体の議員もやっておりましたので、そうした感覚からすると非常に大きな額です。そうした巨額の公金を充てるということであれば、それに見合った効果はもちろん、メンテナンスや耐用年数なども考慮したものを導入していっていただいて、長期的に無駄のない機種の選定をしていっていただきたいと思います。
 冒頭に申したとおり、都の率先行動は評価させていただいております。今申したようなことも踏まえていただいて、そして長期的な視点に立って継続をしていくこと、これが必要だと考えます。
 効果の検証などを行いながら、未来を見据えて施策を進めていっていただきたいと要望して、質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。

○曽根委員長 これより環境局関係に入ります。
 付託議案の審査、報告事項に対する質疑及び陳情の審査を行います。
 第百七十三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為、環境局所管分及び第百八十八号議案、報告事項、東京都環境基本計画の策定について外三件並びに陳情四第二六号を一括して議題といたします。
 初めに、陳情四第二六号について理事者の説明を求めます。

○木村建築物担当部長 それでは、お手元の資料1、陳情審査説明表の表紙をおめくりください。右側の一ページをご覧ください。
 整理番号1、陳情番号四第二六号、新築戸建て住宅への太陽光パネルの設置義務化の見直しに関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 陳情者は、練馬区の今井美樹さんでございます。
 陳情の要旨は、太陽光パネルの経済性、災害や火災時等のリスク、廃棄に関する懸念、人権問題の観点から、都において新築戸建て住宅への太陽光パネルの設置義務化を見直していただきたいというものでございます。
 現在の状況、1、太陽光パネルの経済性についてでございます。
 二〇二一年の総務省の家計調査に基づく試算では、二人以上世帯の毎月の電気代は約一万一千六百円程度でございます。
 太陽光発電設備を四キロワット設置した場合、自家消費や売電収入により、月々の実質的な電気代負担は約三千八百円になり、約七千八百円の削減につながります。年間では約九万四千円の削減になります。
 一方、太陽光発電設備の設置費用は、民間の調査結果では約九十八万円であることから、固定価格買取りの期間である十年程度で初期投資費用が回収できる見込みでございます。
 現在、都が実施している四キロワットで四十万円の支援制度を利用した場合、初期投資費用の回収期間が約六年に短縮されます。
 このほか、リース等を利用して初期費用をゼロにする方法もございます。
 続きまして、2、災害や火災時等のリスクについてでございます。
 大雪や地震等の災害時における太陽光発電設備の破損や破片の飛散、有害物質の流出等については、建築基準法令に基づき、構造上の安全性を確保し、JIS規格に基づく想定荷重等の強度を満たす施工を行うことでリスクが軽減されます。
 また、太陽光発電設備が設置されている住宅等において火災が発生した場合、水による消火は可能であり、消火活動において直接水をかける場合は、活動隊員の安全確保の観点から、噴霧状の放水や放水距離を確保するほか、必要に応じて絶縁性の高い防護衣等を着用しております。
 さらに、鎮火後、必要に応じて太陽光発電モジュールを消防活動用の遮光シートで覆うことで再出火防止を図ってございます。
 続きまして、3、廃棄に関する懸念についてでございます。
 太陽光パネルの廃棄には、リサイクルと埋立処分がございます。リサイクルについては、現在、首都圏全体で少なくとも七つの施設が稼働しており、太陽光パネルの処理は既に行われております。
 また、リサイクルされずに埋立処分する場合には、法令上、地下水汚染対策がされている管理型最終処分場に埋め立てることとされております。
 なお、廃棄費用については、太陽光パネルの所有者が負担することになってございます。
 最後に、4、人権問題についてでございます。
 都は、ヒアリング等を通じ、国内太陽光パネルメーカー等の状況把握に努めております。住宅用の太陽光パネルのシェアが多い国内メーカーのヒアリングによれば、当該地区の製品を取り扱っている事実はないとの回答を得ております。
 また、業界団体である太陽光発電協会では、持続可能な社会の実現に向けた行動指針を掲げ、会員企業、太陽光発電産業に係る事業者に人権の尊重を遵守した事業活動を行うこと等を推進しております。
 都は、こうした関係団体との連携を図りながら、人権問題がグローバルなサプライチェーンでの課題であることに鑑み、国が策定した責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドラインも踏まえまして、SDGsを尊重した事業活動を推進してまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 次に、付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、これより付託議案、報告事項及び陳情に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○星委員 私からは、太陽光発電の設置義務化についてお伺いをさせていただきます。
 新築の戸建て住宅などへの太陽光パネルの設置等を大手ハウスメーカーに義務づける新制度につきましては、今般の本会議におきましても活発な議論が交わされているところであります。我が会派の代表質問、また、昨日の一般質問でも申し上げましたが、まだまだ都民に十分に理解をされているとはいい難い状況であります。
 そして、今回は太陽光パネルの設置、管理や新制度、そして支援策の内容について、ポイントを絞ってお伺いをさせていただきたいと思います。
 今月、連続して台風が東京に接近したところであり、台風で太陽光パネルが破損したり、吹き飛ばされたりしないのか、不安の声が多く寄せられております。
 そこで、台風によって、こういった被害が及ぶリスクについて、都の見解をお伺いさせていただきます。
 また、台風などの自然災害でパネルが破損してしまった場合、住宅の火災保険による補償対象となるのか、併せてお伺いをさせていただきます。

○木村建築物担当部長 まず、台風によるパネル破損等のリスクについてでございますが、太陽光パネルの耐風圧はJIS規格で定められておりまして、風速に換算すると毎秒六十二メートルに耐え得る設計となっております。
 また、取付け強度もJIS規格に基づき荷重を計算し、風などの荷重に耐えるよう設計されております。そのため、適切な施工や定期的な点検を行っていれば、大きな被害等は発生しないと考えております。
 また、自然災害における破損等についてでございますが、新築住宅の屋根に設置した太陽光パネルは、一般的に火災保険の補償対象として含まれます。
 なお、火災保険の契約後に取り付けた場合は、建物の評価額の変動により契約の見直しが必要となる場合がございます。

○星委員 JISにより安全な規格が定められていることや、自然災害によるパネルの破損も火災保険の補償に含まれること、理解をさせていただきました。
 各住宅における適切な施工や保険加入が重要でありますので、こういった太陽光パネル設置の管理に関する都民への丁寧な情報提供を要望させていただきます。
 次に、制度の仕組みについてお伺いをさせていただきます。
 都は、二〇一四年に都内の建物ごとの太陽光発電等への適性が一目で分かる東京ソーラー屋根台帳を全国で初めて公開をいたしました。東京ソーラー屋根台帳は、インターネットのホームページ上に表示される地図上の建物をクリックするだけで、設置可能であったり、また、発電容量、これが予測される発電電力量が分かるシステムであります。これまでの太陽光発電の導入につきましては、促進に貢献をしてきたのではないかと思っているところでもあります。
 今般の新制度におきましては、このソーラー屋根台帳のデータを踏まえて、太陽光パネルの設置に関する基準を三〇%、また七〇%、八五%と設定したと聞いておりますけれども、地域ごとに差異を設けた理由についてお伺いをさせていただきます。

○木村建築物担当部長 新制度では、東京ソーラー屋根台帳等に基づき、日照条件等の影響を考慮し、都内一律の算定基準率のほか、区域ごとの値も適用可能としております。
 具体的には、都心部や山間部は三〇%、その他は区部を中心に七〇%、多摩を中心に八五%と設定しております。
 なお、系統電力の独立性が高い島しょ部については、電源安定性の観点から制度の対象外としております。
 このように、日照条件の差異など、都内の地域性を考慮した仕組みとすることで、都民、事業者の理解を得ながら、適切な制度運用を図ってまいります。

○星委員 ありがとうございます。都市の再開発や更新によって、東京のまちの姿は刻々と変化をしており、日照条件も変わってくると思います。今後、ソーラー屋根台帳が更新された際には、必要に応じて算定基準率の見直しを検討するなど、実情に即して制度を運用していただくことを要望させていただきたいと思います。
 次に、初期費用のゼロスキーム制度構築についてお伺いをさせていただきます。
 都の基本方針によりますと、太陽光パネル設置による経済的メリットが試算されておりますが、標準的な四キロワットの設備の導入時におきましては、初期費用が約百万円、補助金を活用しても約六十万円の多額な費用が発生することとなりまして、設置を希望する都民にとりましては、大きなネックになると思っております。
 こうした点を踏まえて、都は、令和元年度から三年度まで、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業を実施しておりましたけれども、今年度は単体で初期費用をゼロにする制度は終了をしていると思います。
 太陽光パネル導入促進を考えるのであれば、従来の初期費用ゼロ支援に加えて、事業者の動向に応じた新たなゼロ手法にも対応した制度を構築する必要があると考えますが、都の見解をお伺いさせていただきます。

○荒田気候変動対策部長 太陽光パネルの設置促進に向けましては、住宅所有者の意向に応じた設置、設備導入の選択肢を提供することが重要です。
 都はこれまで、設備の購入支援のほか、設備導入時の負担を軽減するため、リース、電力販売、屋根借り等によって、住宅所有者が初期費用ゼロで設置可能な事業を実施し、サービス利用料の低減等を図ってまいりました。
 今後は、さらなる設置促進に向け、従来の第三者所有による初期費用ゼロスキームに加え、施主や購入者が発電設備を所有する自己所有モデルなど、ビジネス手法の拡大に応じた支援を早急に検討いたします。
 こうした取組を進めることで、都内住宅の太陽光パネルの導入を加速化してまいります。

○星委員 太陽光パネル設置に関わる負担軽減については、大変に課題であると思いますので、ぜひ実効性のある支援策を打ち出していただきたいと思います。
 最後に、都有施設への太陽光パネル設置について伺います。
 二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向けては、事業者、都民等のあらゆる主体の行動変革を施していくために、都自らが再生可能エネルギー導入等に積極的に取り組むことが重要であると考えます。
 都におきましては、新築、改築時のほか、既存の都有施設への太陽光パネル設置も加速し、可能な限り、都自らが再生可能エネルギー利用割合を高める取組が必要と考えますが、見解をお伺いさせていただきます。

○中村率先行動担当部長 二〇三〇年の東京全体のカーボンハーフに向け、多くのエネルギーを消費する都自身が、隗より始めよの意識の下、再生可能エネルギー導入等の率先行動を一層強化していくことが重要でございます。
 都有施設における太陽光パネルの設置を加速化するため、設置目標を大幅に引き上げるとともに、推進を担う組織体制を大幅に強化をいたしました。
 二〇三〇年度までに設置可能な都有施設への一〇〇%導入を目指し、新築、改築時だけでなく、既存施設への太陽光パネルの設置についても、新体制の下、工事契約を前倒しするなど、強力に推進しているところでございます。
 また、発電した電力に余剰が生じる都有施設には、太陽光パネルと併せて蓄電池を設置し、自家消費を最大化してまいります。
 このように、都自らの率先的な取組を事業者、都民等に示し、都内の再生可能エネルギー導入拡大を力強く牽引してまいります。

○星委員 太陽光パネル設置目標の大幅な引上げ、組織体制の強化など、都自身の積極的な姿勢と対応は評価をさせていただきたいと思います。
 しかし、冒頭にも申し上げたとおり、まだ都民に十分に理解をしていただいているとはいい難い状況であると思います。
 今後もしっかり都民の意見を聞いて、また説明もしっかりとしていただくことを求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、私の方からも太陽光パネルの義務化に伴う課題、また、都民の懸念点について質問させていただきたいと思いますが、前提として、さきの委員会でも申し上げましたが、今のこの地球温暖化対策のために、太陽光パネルの義務化は前向きに捉えていくべき取組だというふうに思っておりますので、その点につきましてはもう改めて申し上げません。
 ただ、既にこの太陽光パネルについては、新築住宅のみならず、既設の住宅に対する補助制度があろうかと思います。私、実はこの際、自宅に太陽光パネルをつけてみようと思って、事業者さん、幾つか来ていただいて見積りを取ったりしましたので、随分、具体的に課題が見えてきたところがありますけど、実はこの太陽光パネルの義務化の話題が出てから、既設の建物に対する太陽光パネルの設置工事が結構殺到しているということでございました。そういう意味では、もう現実に世の中の皆さんの意識は変わってきていると思います。
 どんなに早くても半年後にしかつきませんというのが結構ほとんどの事業者さんで、遅いところだと一年近くかかるということも一つ、ある意味、課題としてはありました。と同時に、事業者さんも、そしてまた利用者も少し心配している向きがありますので、その点について質問させていただきたいと思います。
 これが実質、十二月の議会にかかるのか、とにかく条例が成立をしていきますと、新築住宅に対する補助が新たに創設をされて、そこに予算が行くので、既設住宅に対する今の補助が大幅に減るんじゃないかと。だから、今のうちにやっておかなきゃ駄目だと、駆け込み需要だというようなことも、どうもあるようです。
 そういう意味で、確認なんですけれども、新たな新築住宅に対する義務化ができ、それに伴う補助が伴ったとしても、既設住宅に対する太陽光パネル設置補助は変わらないのか、まずこの点について伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 都は、二〇三〇年カーボンハーフ達成に向けて、省エネ性能が高い住宅の普及拡大を図るため、今年度、高断熱窓、ドアへの改修や蓄電池設置等の補助を拡充するとともに、太陽光発電設備を併せて設置する場合にも補助を行っております。
 今後、新築住宅等への太陽光発電設備の導入義務化を踏まえ、その支援策について幅広に検討を進めてまいります。
 既存住宅についても、その検討と歩調を合わせ、断熱、省エネ性能に優れた既存住宅の促進に向けた補助制度の拡充に向け検討してまいります。

○伊藤委員 結論的には、今後も既存住宅について補助が減ることは基本的にないと。むしろ補助制度の拡充について検討するという理解でいいですか。−−いいですね。はい、分かりました。
 その上で、新たに確認をしたいと思うんですけれども、前の委員会のときにも少し触れましたが、今回の太陽光パネルの義務化に伴って、メーカーに対しても補助が入るという可能性があるということが、この間の答弁でも分かりました。
 そのときに、メーカーにも補助が入り、かつ新設をする方の個人に対しても併せて補助が入るのかどうかということも以前聞きましたが、その点についてはまだ検討中という回答があったところです。
 数か月たちましたので、改めて伺いますが、この点について、個人に対する新設の工事に対する補助というのはあるんでしょうか。

○関制度調整担当部長 現在、新築住宅向けに太陽光発電設備の機器設置費用を補助する事業として、高断熱など、都独自の基準を満たす東京ゼロエミ住宅の建築主である法人や個人に対する補助などを行っております。
 制度施行に向けた住宅供給事業者等への補助制度については、現在詳細を検討中でございますが、現行の補助事業との重複支給は不可とするなど、他の補助制度との整合に留意し、検討を進めてまいります。

○伊藤委員 分かりました。今、答弁は答弁として分かったんですが、メーカーに対する補助については、既存の補助事業と重複しないようにしながら検討しているということでしょう、まずは。合っていますか。−−その上で、新設の個人に対する補助があるかどうかということについては、もうちょっと何か端的に答えられますか。あるかどうか、あるいは検討中なのか。

○関制度調整担当部長 引き続き、新設の個人に対する補助につきましても拡充を図ってまいります。

○伊藤委員 基本的にメーカーと、そしてまた個人とそれぞれ拡充を含めた補助を考えているということで分かりました。
 ここからちょっとややこしい話になるんですけど、現在の、例えば我が家のように既に建っている建物に対する既設の太陽光パネルの設置補助というのは、お恥ずかしながら、私もやってみるまで承知していなかったんですけど、太陽光パネル単体だと補助が出なくて、蓄電池とセットにすると非常に大きな金額で補助が出るということでした。
 見積りを取ると、どうしても太陽光パネルだけなら結構安いんですけど、そもそも蓄電池がかなり高いんですよね。ただ、蓄電池を入れることによって、何というのかな、CO2対策にももちろんなるし、また電気の無駄がなくなるということは当然なんですけど、そこで、今度、太陽光パネルの新築の義務化が発生したときには、こっちの方は太陽光パネル単体、蓄電池は必ずしも導入しなくてもいいですよ、太陽光パネルだけで補助を出しますよという仕組みになるやに伺っているんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
 つまり、既設の住宅に対しては、蓄電池をセットにしてもらわなきゃいかぬけれども、新築の義務化対象になるような住宅については、太陽光パネル単体に対して補助を行う、こういう形になるというふうに理解してよろしいんですか。

○荒田気候変動対策部長 既存施設への補助についてご説明いたします。
 太陽光発電設備の設置義務化に向け、費用負担を軽減したいというニーズを踏まえ、太陽光発電設備等の機器設置費用に対する補助制度を充実する方向で検討を行っております。
 新築住宅向け、既存住宅向けともに、より活用しやすい補助制度となるよう、今後、詳細について幅広に検討を進めてまいります。

○伊藤委員 つまり、私の認識が合っていますよね。太陽光パネルは、今、既設の住宅に対しては、太陽光パネルと蓄電池をセットにしてもらって初めて補助が出ると。ですよね。−−で、今度は新築住宅に対する太陽光パネルの設置義務ですから、それ単体に対して補助が出ると、こういう理解でいいのかと思います。
 それについては、どうしていくかというのは検討するということなんですが、既設と新設をお話ししているので、ちょっとややこしくて申し訳ないんですけれども、実は私もいろいろやってみて、検討してみて、蓄電池との併設というのは、やっぱりエネルギー効率が非常にいいとすごく感じました。
 さっきもいったように、導入する側としてはできるだけ安くしたいので、思わず太陽光だけにしたくなるんですけれども、確かに蓄電池があることによって、いうまでもない様々な優位性というのが出てきます。
 ですので、何がいいたいかというと、新築における太陽光パネルの設置義務が課されて、単体に対する補助が出るということはいいことだと思いますし、また、あわせて、既設に対しても、もう単体でも補助を出していくという流れになるのかもしれません。それも決して悪いことではないと思います。そこの調子を合わせていくということも重要だと思うんですが、やっぱり補助率ということに関していうと、蓄電池と組み合わせたときの方が、より補助率が高いと。既設に関しても、あるいは新設に関してもそうかもしれませんけれども、まして、今の既設に関しては補助率が高いという状態の方が政策誘導しやすいし、実際にそれがCO2対策にもなろうかと思うんです。
 この辺の併設、つまり蓄電池との併設はエネルギー効率が非常によいことから、併設の補助率に優位性を与えた方が私は、今後もいいんじゃないかなと。今後もというか、今後は与えた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、この点についての見解を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 太陽光発電と蓄電池を同時に運用することは、電力の自家消費が高まり、エネルギーの効率的な利用やレジリエンスの向上につながります。
 今年度より、太陽光発電設備を蓄電池と一緒に運用する場合、その設置費用に対し補助を行っております。
 今後、太陽光発電設備の設置義務化も鑑み、さらに蓄電池導入が促進されるよう、支援の拡充を検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひそれをお願いしたいと思います。
 それと、だから今は既設ですよね。既設の方は蓄電池を併用してくださいということが太陽光パネルに対する補助の条件になっているんですけれども、一方で新設の方は太陽光パネルだけでも補助しますよというふうに伝わってきています。
 これだと、どうしても今、私が申し上げたような形で、既設の方にとってみると太陽光パネル単体だけで、既設の場合は補助が出ないじゃないかと、一方でそういう不公平感というものが生じやすいというふうに思いますので、この点についての東京都としてのご見解を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 現在、災害にも強く健康にも資する既存住宅の推進に向け、断熱改修や蓄電池導入を条件に太陽光発電設備に対する補助を実施しております。
 新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化を踏まえ、新築住宅向け、既存住宅向けともに、より活用しやすい補助制度となるよう、今後、詳細について幅広に検討を進めてまいります。

○伊藤委員 私としての結論的なことを申し上げれば、既設にしても、新設にしても、太陽光のパネル設置義務化の条例制定、あるいは施行に伴って、ぜひ、太陽光パネル単体でも、新設であろうが、既設であろうが、どちらでも、単体でも補助を出すし、そしてまた、蓄電池をセットにしてくれたら、よりその補助率が上がりますよというふうにしていただくことが望ましいと思います。
 もちろん、ちょっとこれ、計算式とかいろんな意味で、今回の場合、メーカーさんにも補助を出したりとかするので、ややこしくはなりますけれども、しかし、できるだけ政策誘導をしっかりそこは図っていただくことが、とりわけて電気代が高くなっていくことを考えれば、先ほど計算式というのかな、算定で大体これぐらいでペイするんですというお話がありましたけれども、今のお話よりも電気代が多分、昨日、総理も言及していましたけれども、二割、三割、当たり前みたいな形で上がっていくと思います。私は、来年二倍になってもおかしくないと思っていますので、そういう意味では、ペイしやすいという経済効率もあろうかと思いますので、お願いしたいと思います。
 それで、これも大事な点なので、ぜひお願いをしようと思って、今日、質問するんですが、太陽光パネルって当たり前ですけど、屋根につけるわけじゃないですか。新築のときは組み上げながらできますからいいんですけど、既設の場合で見積りを取ると、何が結構高いかって、足場代が結構高いんです。うちみたいに小さい家でも二、三十万ぐらい、やっぱりそれでかかっちゃって、これはもちろん補助の対象外だと思いますけど、別に補助を出してほしいって話じゃなくて、既に屋根の断熱塗装だとかって、例えばうちの目黒区なんかでも補助が出るというような工事ってあったりするわけです。ちょうど屋根を直そうかなとか、クラックが入っているので塗装しようかなとか、そういうときに、足場をかけるときにちょうど太陽光パネルを張ってもらえれば、足場代は少なくても共有できるので、都合がいいわけです。
 ですので、これって、ぜひ、例えば区の補助申請をするときに、例えば塗装でやりますとか、これ、既設住宅の話ですけど、実はそういうときこそ太陽光パネルを張ってみませんかって併せて、これ、区の問題かもしれませんけれども、周知していくというのは、都と区の連携の中でできるんじゃないかと思うんですけれども、この点についてのご見解があれば、ぜひ聞かせてください。

○荒田気候変動対策部長 都では、暑さ対策の推進の観点から、区市町村が実施する取組の支援の一つとして、個人では対応しにくい集合住宅の遮熱性塗装に係る経費の一部補助を実施しております。
 区市町村には、この補助制度の活用を促していくとともに、屋根の遮熱に係る改修の際に、太陽光発電設備も設置することが経済性の観点からも効率的であることを遮熱性塗装補助に係る区市町村の窓口や広報媒体等で周知していただけるよう要請してまいります。
 あわせて、住宅関係団体も参加する都の省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを活用して、遮熱塗装の施工を担う工務店等にも経済的メリットを周知してまいります。

○伊藤委員 今まではそこの辺の窓口で必ずしも太陽光パネル、まあ塗装に来た窓口で太陽光パネルどうぞという話は、あんまり今までなかったと思いますけど、ぜひこの際にお願いをしたいと思います。
 そのときに、これは通告もしていないので質問しませんけど、やっぱり塗装屋さんに聞くと、塗装屋さんも今人手が足りなくて、そこそこ時間かかるんですけど、それは人手の問題なので、工務店の問題ですが、さっき申し上げたように、補助の申請をして、やっぱり少なくても、あれ、結構時間かかるんですよね。補助申請して、工事日程組んで、また見積りをもう一回申請し直して何とかかんとか、半年になっちゃうと、そもそも今人手不足だったりとか、注文殺到しているときなので、それこそ塗装との組合せなんていうのは、日程的に物すごく難しくなってきます。
 ですので、ぜひちょっとこの辺は、駆け込み需要みたいなものもやっぱり出てきますので、既設に対しては特に。ですから、補助金の申請窓口に人手をやっぱりもうちょっと厚く取って、そして、できるだけ待たせないという努力をお願いしたいと思います。これは要望にしておきます。
 最後に、私、昨日の一般質問でもちょっと触れさせていただきましたし、また、六月の代表質問と六月のこの委員会においても提案をさせていただきました。ZEVの普及のために、パーキングエリアに急速充電器を併設したらどうだということを提案させていただいたところでございます。
 すぐに都の方で、これは国交省さんの方に申請をしていただいて、そして公道でこれの実証実験を行うということを先般公表されたことは高く評価を申し上げたいと思います。
 現実には、もう既に産業労働局に所管が移ったというふうに承知はしていますけれども、ここで提案をさせていただいた内容なので、改めて環境局の取組について、ここで伺っておきたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 ZEV普及のためには、移動先でも自宅でも充電できる環境の整備が重要です。
 都は、今月十六日に、利用者にとって利便性の高いパーキングメーターのある都道など、三か所程度に充電器を設置し、試験的な運用を行うことを公表いたしました。
 また、自宅での充電設備については、設置が進みにくい既存のマンションへの普及を促進するため、充電事業者やEV販売事業者などで構成する協議会を今月十二日に設立し、キックオフ会議を開催いたしました。
 今後も関係企業、機関等及び庁内関係局で連携を図りながら、住宅向け及び移動先の充電設備の普及を促進してまいります。

○伊藤委員 ありがとうございます。まずは三か所程度ということですけれども、以前にもいいましたが、アムステルダムなんか、市内に九千五百基、充電器があるということですし、ドイツは、前からいっていますけれども、街路灯に併設していくとかいろんなことをやっているので、ぜひこれ、試験的な運用が始まったことを高く評価しますが、来年度においては三か所といわず、数十か所とか、できれば百か所ぐらい、このパーキングエリアを利用した実証実験というよりも実装を図っていただきたいというふうに思いますので、その辺は産業労働局の皆さんと連携をして、ぜひ環境の所管局、環境局ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、以上で結構です。ありがとうございました。

○北口委員 私からは、初めに都有施設におけるバーチャル・パワー・プラント、VPPの構築事業についてお伺いをいたします。
 二〇三〇年のカーボンハーフ、そしてまた、二〇五〇年の脱炭素社会の実現に向けて、都は、HTTを掲げ、様々な施策でエネルギーの有効活用等に取り組んでおりまして、その姿勢を高く評価しております。特に私は、このVPPという技術を活用した取組の将来性に注目をしております。
 再生可能エネルギーの大量導入時代を見据え、環境局は令和三年度より、南大沢地区において送配電網への負荷軽減などを図る観点から、地域における再エネシェアリング推進事業を実施してきました。
 組織改正に伴い、現在は産業労働局が所管しておりますけれども、再エネシェアリング事業について、これまでの成果を伺いたいと思います。
 あわせて、今回、補正予算に計上されている都有施設におけるVPPの構築事業について、この調査目的をお伺いいたします。

○荒田気候変動対策部長 地域における再エネシェアリング推進事業では、昨年度、実施事業者を公募、選定いたしまして、六施設において太陽光発電設備や再エネ由来水素設備、EVなどの設備設置を完了したところです。
 現在は、来年度から実施する電力の需給調整の最適化等を見据えたシミュレーションに向け、設置した設備の再エネ発電量や稼働状況などの基礎データの取得を進めております。
 今回の補正予算案で計上している調査につきましては、一部の都有施設で率先行動として導入を進めている再エネ設備等の最適運用などを図りながら、系統負荷軽減等に資する取組を具体的に検討するために実施するものでございます。
 今後も、こうした取組を通じて、再エネの基幹エネルギー化に向けた取組を加速し、ゼロエミッション東京の実現につなげてまいります。

○北口委員 事業者としても、多大なエネルギーを消費する都自身が、このVPPという技術の活用に取り組み、将来的には都内にある太陽光パネル、蓄電池、EV、水素生成プラントなどを効率よく組み合わせて、東京都全体で最適運用につながる取組を目指していただきたいというふうに思います。
 二〇五〇年のゼロエミッションに向けて、まずは小さな一歩かもしれませんが、南大沢での取組と今回の調査を着実に進めていただきたいというふうに思います。
 続きまして、このほどまとめられましたカーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針より、新制度の太陽光パネルの設置の義務化について、私からもお伺いをさせていただきます。
 本制度におきましては、多くの都民の皆様からご心配の声をいただいております。大事な政策であり、カーボンハーフ、脱炭素社会の実現に向けて、太陽光パネルの設置の重要性を理解しておりますが、都民の皆様の誤解や不安は払拭する必要があります。
 我が党は、都民の皆様に選択の余地を残す柔軟な制度にすべきと一貫をして訴えてまいりました。都民の皆様は、義務化という言葉からマイナスのイメージを受け取っておりまして、その払拭をすべきと先日の代表質問でもお訴えをさせていただいたところでございます。
 さて、今回の義務化については、実際に義務を課されるのは、年間二万平米以上の住宅を建築する事業者とのことですが、資料によりますと、対象は五十社程度、都内の年間着工棟数の約五三%とのことであります。
 これらの対象事業者には、設置可能棟数、算定基準率、一棟当たりの設置基準量から算出される太陽光パネルの総発電容量が設置義務量として事業者に課されるとのことでございます。
 まずは、この条件となっている設置可能棟数、そして算定基準率、一棟当たりの設置基準量の考え方についてお伺いをいたします。

○木村建築物担当部長 今般創設する新制度は、事業者単位で太陽光パネルの設置量を義務づける仕組みとしてございます。設置可能棟数に算定基準率及び一棟当たり基準量をそれぞれ乗じて設置量を算定いたします。
 まず、設置可能棟数は、一年間に供給した住宅を棟数といたします。そのうち、屋根面積が二十平方メートル未満の住宅等、太陽光パネルの設置が物理的に困難として、事業者から申出のあったものを除くことができます。
 また、算定基準率は、都内一律八五%のほか、日照条件等を考慮し、地域に応じて三〇%、七〇%、八五%を適用することも可能としております。
 さらに、太陽光パネルの設置実績や災害時の炊飯やスマートフォンによる情報収集等、最小限の生活が可能な容量を考慮し、一棟当たりの基準量は二キロワットとしております。

○北口委員 設置可能棟数については、二十平米未満の家は除外できる、また、算定基準率についても、地域ごとに日照条件を考慮して三〇%、七〇%、八五%と設定されているということでございました。
 さらに、一棟当たりの基準量も四キロワットから六キロワットが平均的な設置容量に対して、災害時の活用も考慮しつつ、二キロワットというふうに設定しているとのことでありました。事業者に対しまして、過度な義務量とならない十分な配慮がなされているというふうに確認をできたというふうに思います。
 それでは、これらの条件を考慮したときに、各事業者が設置義務量を達成するためには、どの程度の太陽光パネルを設置すればよいのか、具体的な事例を交えて教えていただきたいというふうに思います。

○木村建築物担当部長 太陽光パネルの設置基準に適合するケースは、事業者による住宅の供給状況によって様々でございます。
 例えば、都内で供給する住宅が五百棟の事業者の場合、設置基準量は設置可能棟数五百棟に算定基準率八五%、一棟当たり基準量二キロワットをそれぞれ乗じて、合計八百五十キロワットになります。
 事業者が二キロワットを二百五十棟に、四キロワットを百棟に設置する場合、合計の設置容量は九百キロワットとなり、基準に適合します。また、五キロワットを二百棟に設置することでも適合いたします。
 このように、本制度は事業者が供給する住宅全体で、日照などの立地条件や個々の住宅の形状等を考慮しながら、設置基準を達成することが可能な仕組みとしてございます。

○北口委員 各事業者が義務を果たすために必要な設置棟数の割合は、先ほどのご答弁の例でいえば、前者の場合だと全体の七割、後者の場合だと四割となり、様々なケースがあることを確認いたしました。
 また、逆にいえば、前者の場合ですと三割、後者の場合だと六割については、日照条件等によってパネルを設置できなくても義務化をクリアできるということになります。
 もちろん環境性能の高い住宅の供給に向けて、義務量を超えて設置できる事業者は取組をさらに進め、業界全体を牽引していただきたいと思いますけれども、全ての事業者がそういうわけでもありません。こうした仕組みとなっていれば、事業者にとっても柔軟な取組ができ、また、都民にとっても選択の幅が広がり、安心できる制度となると考えます。
 一昨日、我が会派の代表質問に対し、知事は、現役世代の責任ある行動が未来を形づくるという認識の下、子供たちに誇れる東京を残していくという力強い決意を述べられました。私も子供を持つ親として、次世代にしっかりと持続可能な世界を残していきたいというふうに決意をしております。
 今後は、脱炭素社会の実現に向け、丁寧な制度設計を進めるとともに、令和七年度の制度施行までに、これらの仕組みを分かりやすく都民、そしてまた、事業者の皆様に周知徹底をして、都民の皆様の理解を得ながら、都内の太陽光パネル設置を推進していただきたいというふうに思います。
 次に、生物多様性地域戦略についてお伺いします。
 本年十二月に開催される生物多様性条約第十五回締約国会議、COP15では、新たな国際目標が採択される予定であります。
 その行動目標にサーティー・バイ・サーティーがあります。二〇三〇年までに、世界の陸域、海域の三〇%を効果的に保全しようとする目標で、令和三年のG7サミットでは、日本を含む七か国が合意をいたしました。
 国が検討を進めている国家戦略では、国際目標に合わせ、国土の三〇%を保護地域とする目標が盛り込まれる予定とされています。この保護地域については、国は、自然公園法に基づき指定する国立公園などを当該区域とする予定であり、都内の自然公園面積は、東京全体の約三六%となっているというふうに聞いております。
 そこで、まず、サーティー・バイ・サーティーの実現に向けた都の今後の取組についてお伺いをいたします。

○和田自然環境部長 地域戦略(中間のまとめ)では、生き物の生息、生育空間や生態系サービスの維持向上を図るエリアを生物多様性バージョンアップエリア一万プラスとして行動目標を定めております。
 このうち、行政として自然地の保全管理、緑の新たな確保などにより一万ヘクタールを目指すとし、民間などの取組をプラスで表現し、様々な主体と共に目指すことのできる目標としております。
 今後は、荒廃した人工林の間伐により針広混交林化を目指す取組や自然保護条例に基づく保全地域の新規指定などを進めることで、国や国際目標の達成に貢献してまいります。

○北口委員 サーティー・バイ・サーティーは、国や国際的な目標であることから、ぜひとも積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 しかし、こうした保全地域を将来にわたり保全していくためには、都民一人一人が生物多様性の意義や重要性を理解して、行政と共に保全に関わっていくことが重要です。
 都内の各地域では、区市町村による住民と連携した取組も少しずつ進んできており、住民と共に実施する生き物の調査や、自然の少ない区部において、住民と連携して都心から離れた多摩地域の森林保全に取り組む例もあります。
 そこで、都は、現在検討中の生物多様性地域戦略の改定を機に、こうした地域住民と連携して生物多様性の保全に取り組む区市町村を後押ししながら、より一層、都民の保全活動を進めていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長 都民による保全活動への参加を促すためには、地域の自然環境の状況を把握する区市町村との連携が重要であります。
 都はこれまで、区市町村が実施する樹林地の間伐や下草刈りなどの保全活動に住民が参加する事業を財政面や技術面で支援してきました。
 中間のまとめにおいては、都内野生動植物の生息、生育環境の保全等の取組を一層進めていくことや、行政、民間団体など、各主体が保有する情報の収集、活用を進めていくことが必要であるなどとしております。
 都は、今後、都民が地域で行っている自然観察記録を区市町村と連携して都が集約し、広域的に発信することなどにより、生物多様性に関する都民の理解の深化へつなげるなど、保全活動の一層の促進を図ってまいります。

○北口委員 区市町村と連携した保全活動に、より一層都民参加が進むよう、引き続き具体的な取組について検討を進めていただきたいと思います。
 私が、さらに課題と考えているのは、生物多様性は食料や水など、私たちの生活に欠かせない恵みを与えてくれているにもかかわらず、都民が広くその重要性を理解し、日常生活の中で生物多様性を意識するまでには至っていないということであります。
 都は、生物多様性地域戦略の改定を機に、もっと都民に対して広くその重要性を周知し、具体的な活動として、行動変容を促していく必要があると思いますが、都の見解と今後の取組についてお伺いをいたします。

○和田自然環境部長 生物多様性による恵みを享受し、将来にわたり利用していくためには、都民一人一人が生物多様性の価値や重要性を理解し、主体的に行動していくことが重要であります。
 中間のまとめでは、生物多様性都民行動一〇〇%を行動目標に掲げ、都民の保全活動や消費行動に焦点を当て、生物多様性に配慮、貢献する行動を促す取組を推進することとしております。
 今後、都は、ホームページやSNSなどを活用して、都民に分かりやすい生物多様性の価値や重要性の情報発信を行ってまいります。
 また、都や区市町村、NPOなどが実施するセミナーや自然体験プログラムの充実による人材育成を進めるとともに、生物多様性に配慮した商品の積極的な普及啓発などを通じて、全ての都民が主体的に生物多様性に配慮した行動を取れるよう、取組を進めてまいります。

○北口委員 生物多様性というと、都民の皆様にはどうしてもなじみが薄く、難しいイメージがあるかもしれませんが、生物多様性の保全は、SDGsの中でも最も基本的な取組に位置づけられており、気候変動や飢餓、健康など、ほかの多くの分野に影響を与えるといわれております。
 人類が抱える地球規模の諸課題に対する解決策のヒントが、この生物多様性の保全活動にちりばめられているというふうに思います。
 また、人間と動物と自然は一体であると考えるワンヘルスの考え方に強く共感をするものです。こうした考え方や取組は、次の世代の子供たちへ持続可能な地球を残していく上で、極めて重要なことだと考えております。
 都のこれからの取組に期待をし、私自身もこれからも取組を続けていくことをお誓い申し上げて、質問を終わります。

○原委員 原純子です。温暖化ストップ、脱炭素社会実現へ向け、東京都は二〇三〇年カーボンハーフで電力消費量を半減させることと、再エネ電力割合を五〇%に引き上げることを目標に掲げています。
 現在、日本の再エネ電力割合は一八%、東京都でも一九・二%で、ドイツ三五%、イギリス三四%、イタリア四〇%など、欧州主要国と大きな差があります。
 輸入に頼ってきた石炭、石油、天然ガス、火力など、化石燃料エネルギー依存から脱却し、エネルギー自給率を高めるためにも、この国で再生可能エネルギーを普及させ、再エネ率引上げに強力に取り組む必要があります。
 都は、二〇三〇年目標として、都内太陽光設備導入量、二百万キロワット以上を示しました。建築物環境報告書制度を新たに設け、二千平米未満の新築建物について、断熱、省エネ性能と太陽光パネルの標準設置を進める方針ですが、改めてその意義と居住者のメリットについて伺います。

○木村建築物担当部長 二〇五〇年脱炭素社会の実現に向けては、住宅やビルなど、建物が集積する東京の特性を踏まえた対策が重要でございます。
 新制度では、年間着工棟数の約九八%を占める中小規模新築建物への断熱、省エネ性能の確保や太陽光パネルなど再エネ設備の設置など、大手ハウスメーカー等に義務づけるものでございます。
 本制度により、家庭部門のエネルギー消費量の削減を進めるとともに、住まい手は電気代削減による経済性、良好な温熱環境を維持することによる快適性、停電時に電気を使用できる防災性を備えた住宅を取得することが可能となります。

○原委員 自宅の部屋で発電した電気を自家消費する住まい方は、災害時にも役に立ち、断熱と併せて取り組むことで、エネルギー消費量を大きく減らそうという取組です。
 そして、今回の制度は再エネ設置を大手住宅メーカーに義務化する報告制度であり、施主、住宅購入者は十分な説明を受けた上で、パネルをつけるかどうかを選択することができるという制度であることの周知がもっと必要だというふうに思います。
 太陽光パネル設置をめぐり、様々な疑問が出されていて、環境局もQ&Aをホームページに出したり、答える努力をされております。大変お疲れさまです。
 やはり私の周りでは、初期費用の問題がよく聞かれるところとなっています。都は、本年九月に策定したカーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針において、太陽光発電設備導入の支援策の方向性として、初期費用ゼロスキームの補助の新設を示していますが、都がこれまで実施してきた住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業について伺います。

○荒田気候変動対策部長 本事業は、住宅所有者の初期費用の負担なしに、事業者が住宅所有者のニーズに合わせて、リース、電力販売など、太陽光発電設備を設置できるサービスを提供することで、都から一キロワット当たり十万円の助成を受けるものでございます。
 都からの助成金は、サービス利用料の低減等を通じて住宅所有者に全額還元することで都民の負担を軽減し、家庭における太陽光発電の普及を図ることを目的としておりました。

○原委員 初期費用ゼロで始められるなら、負担感が軽くて、新築でも既存でも設置を決めやすくなるというふうに思います。住宅所有者は、助成金分の恩恵も受けられるというふうになっております。
 また、リースを使うのではなく、最初から太陽光パネルつきの住宅を購入するケースもあります。六年から十年で元が取れると示していますが、途中で破損するなど、想定していない費用への心配が聞かれます。
 設置後、途中で破損し、修理が必要となったときに、通常どのくらいの保証が利くのでしょうか。火災保険などの対象になりますか。

○木村建築物担当部長 一般的に、太陽光パネルメーカーは、太陽光パネルなどを対象に十年以上のメーカー保証を実施しております。そのため、保証期間中の故障等につきましては、メーカー保証により修理等が可能となります。
 また、火災や自然災害につきましては、住宅所有者が通常加入している住宅用火災保険等により備えることができます。

○原委員 十年以上のメーカー保証や火災保険の対象とのことです。これ、必ずセットでお願いしたいというふうに思います。説明もお願いします。
 大量廃棄で環境汚染になるのではとの心配も多く聞かれます。前の定例会でも、私、お聞きしましたが、リサイクル業者などの受皿や回収システム、有害物質を含んだパネルの処理について、現状はいかがでしょうか。

○村上資源循環計画担当部長 近年、将来の大量廃棄を見込み、首都圏においても七つの太陽光パネルのリサイクル施設が稼働しております。
 また、パネルの廃棄に当たっては、廃棄物処理施設において、ガラス、アルミ、太陽電池セルなどの素材ごとに分離しリサイクルされるほか、管理型最終処分場での埋立処分など、法令に基づき適正に処理されております。
 現在、事業用パネルを中心に、既にリサイクルを実施している処理施設で、住宅用パネルも誘導できるよう、住宅用のリサイクルルートの構築を進めております。

○原委員 ここ数年でリサイクル施設が増えているようです。そして、回収ルートも事業用パネルのようにルートを同じようにつくろうとしている努力が見られます。可能な限り、ごみにしないでリサイクルする仕組みが本当に必要だと思います。
 大手住宅メーカーのみならず、注文住宅などを受ける中小工務店にとっても、義務でなくても再エネ設備設置標準化に即して取り組むことになるというふうに思います。
 中小工務店は少ない人数で回しているので、その中で再エネ機能についてのあらゆる説明や申請書類の提出など、様々なことが課せられて、本当に大変との声が出されています。こうした声にどう応え、支援をされていくのでしょうか。

○木村建築物担当部長 新制度では、業界全体の取組を促進するため、中小事業者が住まい手への環境性能の説明に努めるとともに、断熱、省エネや再エネ設備設置等の実績報告書を任意で提出できる仕組みを検討しております。
 基本方針でもお示ししたとおり、円滑な制度導入に向けては、国の制度に準じた手続の簡素化や業界団体と連携したセミナーの実施等により、事業者の負担の軽減を図ってまいります。

○原委員 ありがとうございます。事業者負担の軽減のために手続の簡素化、これ、とてもよく出されていた声でした。また、セミナーの実施など、お願いしたいと思います。
 既存住宅などにおいては、技術面でのサポートも現場から要望が出されていました。パネル荷重への対策などです。こうしたサポートも、ぜひよろしくお願いいたします。
 省エネ、再エネの仕事が地域経済活性化につながることが重要です。中小事業者が、都の政策や補助制度などを熟知できるようにするための支援はありますでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 都は、省エネ、再エネ住宅の普及促進に向け、地域の中小工務店を会員とした団体を含めた幅広い住宅関係団体などとの情報共有の場として、今年六月に東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを設置いたしました。
 このプラットフォームを通じて、省エネ、再エネ住宅に関する都の政策や補助制度などをタイムリーに提供しております。

○原委員 ありがとうございます。住宅推進プラットフォームの設置、大変ありがたいと思います。分かりやすい情報提供、情報の更新をお願いしたいと思います。
 マンションの管理組合の役員をしている知人から、太陽光パネル設置を考えていきたいとの相談が私のところに来ております。既存マンションでの省エネ、再エネ導入の事例や、管理組合などで合意のつくり方などのモデルがあるといいなと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 都は、既存マンションでの省エネ対策や再エネ導入を後押しするため、自治会や管理組合などから要望があった際に、省エネアドバイザーを派遣するとともに、太陽光発電の設置を検討している方向けに、実際の取組事例などを紹介するセミナーを実施しております。

○原委員 省エネアドバイザー派遣やセミナーがあるんですね。大いに宣伝をさせていただきます。
 もう一つ、お尋ねしていきます。今回、補正予算に組まれたデマンドレスポンスの補助金制度についてです。
 電力の逼迫のおそれがあるときに、電力消費の多い事業者へ電力使用量制御をしてもらう仕組みは、効果がとても大きいというふうに思います。そして、デマンドレスポンス家庭部門の事業は今年の七月から始まっていて、今回の補正で増額されています。
 この家庭の節電マネジメント事業の仕組みについて伺います。

○荒田気候変動対策部長 デマンドレスポンスは、まず最初に、家庭が契約している電気事業者に登録いたしますと、電力逼迫のおそれがあるときに、事業者から節電のお願いメールなどが届き、節電に応じると電子マネー等に交換できる節電ポイントがもらえる仕組みでございます。
 都は、夏季及び冬季に実施する節電マネジメント、すなわちデマンドレスポンス事業を活用いただくと、五日以上節電協力した家庭には、電気事業者を通じて都の支援による節電ポイントが上乗せ付与されるものでございます。

○原委員 登録して、五日以上、節電に協力すると、節電ポイントが付与されるという制度ですね。
 家庭の節電マネジメント事業の補助内容を教えてください。

○荒田気候変動対策部長 都は、電気事業者に対し、節電の協力依頼等を行うためのシステム構築及び家庭への上乗せポイント付与等の経費を補助しております。
 なお、今夏の補助は、一家庭当たりの上乗せポイントは五百円相当を基本としておりますが、今回の補正予算案により、今冬以降の上乗せポイントを千円に引き上げる予定でございます。

○原委員 仕組みをつくる事業者への補助と協力した居住者への千円のポイントでの補助ということで、それぞれあるということが分かりました。
 この夏の家庭の節電マネジメント事業について、九月末時点での申請事業者数及び家庭の参加見込み数はどれぐらいですか。

○荒田気候変動対策部長 九月末時点における申請事業者は六社でございます。
 家庭の参加者数は、事業者の事前申請に基づくと合計で約二百四十万世帯ですが、実際の参加者数は、夏季の節電マネジメント実施期間終了後に確定する予定でございます。

○原委員 六社がこの仕組みを持っていて、その電力会社と契約しているのが二百四十万世帯ということですね。
 登録して五日以上協力して初めてポイントが付与されるという仕組みです。二度の補正予算で二百二十六億円と結構な予算がついているので注目しておりますが、しっかりと効果が得られる取組にしていきたいです。
 多くの世帯がちょっとずつ節電の協力をすることで、電力消費のピークを回避して、需給バランスを調整していこうということで、電気を大切に使おうという意識改革にもなると思います。
 市民電力発電所など、地域の今ある資源とも十分連携していくことや、再エネ地域を拡大するために区市町村の役割は欠かせません。区市町村からの要望にも丁寧に応えていきながら、省エネ、再エネを進めていくことを強く要望し、私からの質問を終わります。

○須山委員 ありがとうございます。私からも太陽光パネルの設置義務化に関して質問させていただきたいと思います。
 この間、報道やネットでも様々意見も出ておりまして、陳情も出ております。そうした中で、しかし、気候変動というのは、やはり人間活動が原因であり、温暖化に関しては人間システムの影響であるということは、もはや疑いのないことといえると考えております。
 我が会派としても、おとといの代表質問で質疑させていただきまして、脱炭素社会づくりに向けた太陽光パネルの設置については、公平感を持った制度にすることの意義や出口戦略でもあるリサイクルシステムの構築に向けた取組、また、対象事業者以外の工務店などへの制度波及などを行うべきと議論をさせていただきました。
 私も前回の委員会でも質疑をさせていただきまして、都民、事業者に、現在、都が検討している制度や太陽光発電設備について正しい情報が伝わるよう、分かりやすい丁寧な情報発信を行っていただくことを強く要望させていただきました。
 この間、いろいろとあったと思いますので、改めて、まずは太陽光パネルの設置義務化を含む新制度に関して、これまでどのような広報や周知を行ってきたのかをお聞かせいただきたいと思います。

○関制度調整担当部長 これまで都では、特設ホームページである太陽光ポータルサイトを本年五月に開設するほか、太陽光パネル設置に関するQ&Aや新制度を解説したリーフレットを作成するなど、都民や事業者にとって分かりやすい情報を発信してまいりました。
 今後もSNSも含め、多様な媒体を活用し、きめ細かな情報発信を行うことで、新制度に対する都民、事業者の理解と共感を得てまいります。

○須山委員 ありがとうございます。いろいろと取組はされているということを伺いました。しかし、冒頭に申したとおり、やはりまだまだ認知不足なのかなということは否めないと思います。
 そこで、今、最初にお答えがありましたので、太陽光ポータルサイトを通じた情報発信、この当該サイトのアクセス数とか、また、その反響等を教えていただきたいと思います。

○関制度調整担当部長 サイトの開設から現在に至るまで、継続的に掲載情報の更新、充実を図っておりまして、開設当初からの累計アクセス数は五万件を超えてございます。
 特に基本方針関連の情報を掲載いたしました八月一日及び九月九日の直後は、アクセス数の増加が顕著でありまして、その中でもQ&Aへのアクセス数が多い傾向にあり、サイトの内容を引用されているケースも見られます。
 こうした状況も踏まえまして、引き続きコンテンツの充実を図り、新制度に関する分かりやすい情報発信を行ってまいります。

○須山委員 ありがとうございます。やはりいろいろな情報が新しく載ったりすると、それだけアクセス数もまた増えるということもよく分かりますし、本当に正しい情報をきちんと伝えていっていただくためにも、努力を惜しまないようにしていただきたいと思います。
 エネルギーの大規模消費地である東京都から、まずはしっかりと動いていくということを非常に評価したいと思っております。確かに、新制度は義務化といえるのかどうかというようなご意見もありましたけれども、一方で気候変動に立ち向かっていくためには、やはりそうしたインパクトということも大切だと思います。だからこそ、義務化という言葉というのは、私は支持をさせていただいております。
 そうした中で、これから住宅を購入する方にはもちろんですけれども、やはり既存の住宅にお住まいの方たちへの公平性であったりとか、また、リサイクルであったりとか、対象事業者以外の工務店への制度波及など、先日、うちの会派が、立憲民主党の会派が申し上げていることっていうのは、やはりそうしたことが非常に重要になってくると考えますので、ぜひいろいろと議論させていただければと思います。
 また、今後、GX、グリーントランスフォーメーションを進めていく中で、以前、一般質問でも取り上げさせていただきましたけれども、公正な移行ということが非常に大事になってくると思います。そうしたことも含めて、しっかりと考えていただいて、ぜひ東京都民が理解し、納得し、一丸となって気候変動に取り組んでいけること、そして、ゼロエミッションの未来をつくっていけるようにご要望を申し上げさせていただきたいと思います。
 続きまして、ユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーの補正予算に関して質問させていただきたいと思います。
 お子様連れであったりとか車椅子の方、高齢者や障害者の方も利用しやすいというUDタクシーは、最近、非常にまち中で目にするようになりました。ただ、区部と私が住んでいる多摩だと、やはり普及状況は大きな差があるように感じております。
 都心のターミナル駅のタクシー乗り場では、乗客を待っているタクシーの中に、多くUDタクシーがあるのに対して、私の地元でいうと、八王子なんかはあんまりUDタクシーを見ることがありません。特に、私の地元から車でこの都庁に向かってくると、だんだんとUDタクシーが増えてくるなという感じになってきます。まだまだ正直、差があるなということは感じております。
 UDタクシーの補助額に関しては、令和四年一月から中小規模事業者に対して、都単独補助の場合、補助額を引き上げ、事業者から大変好評だったというふうにも伺っております。
 今回の補正予算においても同様の補助額となっておりますけれども、実際にこの補助金が今まで区部だけでなく多摩地域でも利用されているのか、増額した補助金の実績も含めて、補助実績について、まずお伺いをさせていただきます。

○鈴木環境改善部長 UDタクシーは、誰もが移動しやすく、環境性能が高いことから、都は、平成二十八年度から補助を行っております。
 令和三年第四回定例会の補正予算におきまして、コロナ禍や原油価格の高騰などで厳しい経営環境にあるタクシー事業者の現状を踏まえまして、中小規模事業者に対しては、都単独補助の場合、UDタクシーへの補助額を六十万円から百万円に引上げをいたしました。
 補助金の実績は、令和四年一月から八月までにおきまして、区部で千二百五十五台、多摩地域で百八十九台でございます。
 このうち、増額した補助金の実績は、区部で八百八十六台、多摩地域で百二十九台でございます。

○須山委員 今の実績のとおりで、やはり多摩地域では区部と比べて補助金を利用している件数が非常に少ないなという印象を持ちました。
 病院に通院する高齢者には、足腰が弱いのでという理由で、列の後ろにいるUDタクシーをわざわざ選んで乗るという方もいるというふうなお話も聞いております。そうした中で、区部より高齢化率の高い多摩地域においても、UDタクシーの一層の普及拡大が必要だと感じております。
 このため、多摩地域で補助金の活用が進んでいない背景と、今後どのように今回の補正予算案における補助金の利用拡大を図っていくのかを伺います。

○鈴木環境改善部長 区部に比べて、多摩地域はタクシーの台数が少ないことに加えまして、走行距離が短く、車両の更新期間が長いことなどから、補助金の利用状況に差があるというふうに考えております。
 今後、業界団体等と連携しまして、タクシー事業者に補助制度について、きめ細やかに周知を行いまして、補助金の一層の活用を促してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。UDタクシー、本当に天井が高かったりとかして、普通に我々も、やっぱり車内の快適さもありますし、UDタクシーがどんどん普及していっていただきたいなと思います。
 また、環境問題に関しても、やはり環境性能のいい車にだんだん変わっていかなくてはいけない中で、UDタクシーがもっと普及をしていくことが非常に重要だと考えております。
 そうした意味においても、一層、UDタクシーが普及拡大をしていくことは必要だと思いますし、そのためには、ぜひ業界団体の皆さんが使いやすいような補助をまたさらに進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げさせていただきまして、私の質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十一分休憩

   午後三時四十一分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○漢人委員 それでは、質問させていただきます。大きく四つに分けた形での質問になります。よろしくお願いします。
 環境基本計画では、深刻化する地球環境の危機ということで、今、我々の生存基盤である地球は、その存続が危ぶまれる状況に直面している、その深刻な状況を引き起こしている大きな要因は、気候変動と生物多様性の損失であるとしています。そのとおりだと思います。
 しかし、残念ながら、この現状認識と危機感が共有されていないという現状があるのではないかと思っています。そういう認識の上で、まず、気候変動に関して環境基本計画及び環境確保条例の改正の方向性について質問をいたします。
 二〇三〇年のCO2削減の数値目標についてです。
 二〇三〇年までに世界の温室効果ガスを半減させなければならない、これはもう共通理解だと思います。しかし、途上国も含めて、全ての国が一律に半減を求められるということであれば、これは不公正となります。
 環境基本計画でも、消費ベースの視点を踏まえた対策の重要性ということもうたっています。消費ベース温室効果ガス排出量は、生産ベースの二・六倍ということです。これは環境基本計画に記載されています。都は、世界的な大都市、エネルギーや資源の大消費地として、消費ベースの視点を踏まえる必要があると、これも記載されています。
 ちなみに、環境NGOなどは、こういった視点に立って、日本には六〇%以上の削減を求めております。
 東京都は、二〇三〇年目標を五〇%としていますが、これ以上に、さらに削減目標を引き上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 二〇一八年のIPCC一・五度特別報告書では、世界の平均気温の上昇を一・五度に抑えるためには、世界のCO2排出量を二〇五〇年頃に実質ゼロ、二〇三〇年までに約半減させることが必要とされております。
 都は、世界有数の大都市の責任として、世界共通の目標である一・五度目標と、二〇五〇年実質ゼロに貢献するため、都内からのCO2排出実質ゼロとともに、都外でのCO2排出削減にも貢献する二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現と、二〇三〇年カーボンハーフを掲げ、気候変動危機に立ち向かう取組を加速させてまいりました。
 ゼロエミッション東京の実現には、二〇三〇年までの行動が極めて重要であるとの認識の下、今般策定した環境基本計画に基づき、あらゆる分野で脱炭素行動を加速化していくことで、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。

○漢人委員 世界有数の大都市の責務ということはおっしゃられました。しかし、その自覚があるのであれば、削減目標は引き上げるべきではないでしょうか。その意欲をぜひ示していただきたかったなと思います。
 ただ、現実には、私も二〇三〇年五〇%削減も危ういのではないかと正直思っています。本当にあらゆる努力をするべきで、太陽光発電設置義務化について、これも当然実現しなければならないと考えています。
 今回の陳情をはじめ、義務化反対の理由への反論や説明はもう十分に都によってなされていると私は考えています。気候変動、気候危機への認識が十分ではないということを踏まえながら、今後の課題としては、パネルのリユース、リサイクルの確立、それから生産過程での人権問題の解決は必須であるということも改めて確認をさせていただきたいと思います。
 気候変動によっても、様々な人権侵害が生じておりますし、その拡大も予想されます。全ての人権侵害に対して同じ重さで向き合わなければならないのだと思っています。
 また、今回、この反対などの声も受けまして、国の責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン、これを踏まえた東京都の活動を推進していくという方針が示されました。これについては、逆に大いに歓迎したいと思います。
 これは、この気候問題、この太陽光パネルだけに限らず、全庁的な取組として、しっかり人権に配慮したことを、改めてこれを契機に取り組んでいくということにもしていただければと思っております。
 それで、太陽光発電の設置義務化についてなんですが、そういうことで当然というふうに思っているんですけれども、その立場からいいますと、今回の二年間の準備、周知期間は長過ぎるのではないか、施行時期を二〇二五年四月よりも、もっと前倒しをするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○小林生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務 太陽光発電設備に係る新制度の導入に当たりましては、住宅供給事業者が住まい手と共に、建物の環境性能の向上を推進することが重要でございます。
 そのため、都はこれまで、大手ハウスメーカー等との意見交換やパブリックコメント等を通じて、事業者、都民の現状や意見の把握に努めてまいりました。
 都は、その成果も踏まえ、環境性能の高い住宅の供給に向け、準備を行う事業者や先行的に取り組む事業者を支援するほか、さらなる普及啓発等を実施してまいります。
 二〇二五年四月までの約二年間は、住まい手が経済性、快適性、防災性を備えた住宅を取得できる土壌を整える準備、周知期間として設定するものでございまして、この間に各主体の行動の加速化を図り、制度の円滑な施行につなげてまいります。

○漢人委員 この施行までの二年間は、単なる周知啓発期間ではなくて、実質的な先行取組期間であるというふうに受け止めたいと思います。ぜひそのように、二年たったときには、すぐに相当な成果が得られるということを期待しておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、新築住宅戸数について伺いますが、野村総研は人口減少社会を踏まえて、二〇三〇年には二割減、二〇四〇年には四割減と予測をしています。
 過去十年間の平均着工棟数を基に算出している東京都の新築住宅の太陽光発電設置設備量については、下方修正が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 都内新築住宅の着工棟数は、過去十年間、横ばいとなっており、今回の想定では過去の平均着工棟数の平均値を採用しております。
 委員お話しの新築住宅戸数の将来予測は、日本全体を対象としているものでございますが、世帯数の将来予測を見ると、日本全体では二〇二三年をピークに減少する一方、都内では二〇三五年まで増加が継続すると見込まれております。
 二〇三〇年の都内太陽光発電設備導入量、二百万キロワット以上の目標の達成に向けては、社会情勢や技術開発等の状況も踏まえながら、新築住宅をはじめ、既存建物や公共施設への導入拡大等を通じて、総合的に進めてまいります。

○漢人委員 東京については、まだ増加の方向であるということなんですけれども、これは一方で、東京都にあらゆるものの一極集中の問題をどう考えるかということもあります。
 また、新築住宅よりも既存住宅の改修での長期使用の方がCO2の排出量は少ないということは、この間も示してきました。これは逆に、政策的に新築よりも既存の住宅改修による省エネ住宅化を促すということも検討すべきではないかということを申し上げておきたいと思います。
 次の質問ですが、二〇三〇年に太陽光発電設備導入量の目標二百万キロワットが達成されたとしても、都内電力消費量に占める割合は四%程度です。
 再エネ五〇%目標の残り四六%をどう確保していくのか、見通しを伺います。

○荒田気候変動対策部長 二〇二〇年度の都内再エネ電力利用割合は一九・二%であり、さらに拡大していくためには、都内の再エネ設備設置の拡大はもとより、都外からの再エネ電力や系統から供給される電力の再エネ割合を拡大することが不可欠でございます。
 都は、都外PPAの促進、再エネ電力のグループ購入等を通じた再エネ電力の利用促進、エネルギー環境計画書制度の制度強化を通じた電気供給事業者による再エネ電力供給の拡大などにより、再エネ電力の利用拡大を促進してまいります。

○漢人委員 その系統電力の七割を占めるのが東京電力であり、今回の改正に入っておりますエネルギー環境計画書制度の強化ということ、そしてその実効性というのが大いに問われるということになるわけです。
 次の質問は、このエネルギー環境計画書制度、電力供給事業者への再エネ目標の設置についてお伺いいたします。
 先ほども答弁にありましたが、東京都の再エネ利用割合は、現在は一九・二%、目標は二〇二六年に三〇%、二〇三〇年に五〇%となっています。
 この八月に提出された、毎年八月に発表されるんですが、二〇二二年度のエネルギー環境計画書によりますと、東京電力の都内供給電力に占める再エネ電力割合は一四・七%、二〇三〇年目標は極力活用であって、数値目標がないんです。
 一方、電気事業連合会のホームページによりますと、東京電力の二〇三〇年代前半の再エネ開発目標が二百から三百万キロワットと示されています。しかし、電力の調達も含む再エネ電力の供給に関する目標は、数値は示されていません。
 東京電力には、都内の再エネ電力利用割合五〇%程度の達成に向けて、再エネ供給拡大の取組を求める必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 都内再エネ電力利用割合五〇%程度の達成に向け、電気供給事業者による再エネ由来電気の供給拡大の推進が不可決でございます。
 その実現のため、各電気供給事業者に対し、都が定める二〇三〇年の再エネ電力割合の水準を踏まえた目標設定や計画の策定等を義務づけるなど、エネルギー環境計画書制度の強化を図ってまいります。
 こうした制度強化を通じて、二〇三〇年に向けた電気供給事業者による再エネ電力の供給拡大を促してまいります。

○漢人委員 私は、この目標設定、実績の公表を義務化する、それだけで本当に効果があるのかなというのは、大いに疑問が残るところです。私の読み間違いであることを望みますけれども、それにしても、この制度の施行も二〇二四年四月となっていて、それでは遅いのではないかと思います。
 東京都の再エネ利用割合の二〇二六年の目標は三〇%ですけれども、これは可能なんでしょうか。二〇二六年三〇%を東京都が達成しなければならないその際に、必要な東京電力の再エネ割合を得るには、二〇二四年から二年しかないですよ。二〇二四年四月の制度施行では間に合わないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 制度施行は二〇二四年四月であるものの、二〇二六年の目標達成に向け、早期の条例改正や施行前の再エネ電力割合水準の設定など、事業者の再エネ由来電気の供給拡大の準備を促してまいります。
 また、都内の住宅事業所や公共施設等への再エネ発電設備の設置、都外への再エネ電源の導入促進、さらには再エネ電力のグループ購入など、あらゆる施策を総動員し、再エネ電力の利用拡大を加速してまいります。

○漢人委員 あらゆる施策を総動員して頑張っていただきたいんですが、でも、とにかく私は、東京電力がどれだけやれるのかっていうのが本当に大きく左右するというふうに思っています。それは事実だと思うんです。
 それで、毎年八月に公表されているこの計画書なんですけれども、来年の二〇二三年八月の段階では、例えば今年みたいに、まだ、二〇三〇年目標、極力拡大とか、そういう表現でも許されるんですよね。だけど、次の二〇二四年八月は、既に四月に施行になっているわけですから、都が示した再エネ電力割合水準を反映した計画書が提出され、公開されるということになるんだと期待をしたいと思います。
 それで、公開方法なんですけれども、今、このエネルギー環境計画書、探すの大変なんですよね。本当に見つからない。また、これ、今だと全部で二百八十社あるので、その七割を実際には占めている東電を見つけるのも、あいうえお順でずうっと見て、ずうっと見ていってもなかなか見つからないという状況なんです。
 これは、やはり東電にしっかりやっていただく、それを大々的に宣伝する、注目を集める。これ、注目されなかったら意味がないんですよね。公表することで事業者の取組意欲を起こすんだと。日本の事業者は、公表することで、何だろう、そういうことにちゃんと従っていこうという文化があるんだということがこれまでの東京都の説明ですから、そうしたら、本当に、これ、ちゃんと宣伝して、東京電力だけじゃないけど、特に七割を占めている東京電力はこんな状況なんですよと。再エネ割合、現状このぐらい、二〇三〇年目標、東京都の水準を示しているけど、それに対してどの程度なんだっていうことを本当に明らかにしていかないと意味がないと思うので、これは大いに工夫をしていただきたいというふうに要求、要求というのかな、お願いをしておきたいと思います。
 次の質問ですが、次は、エネルギー貧困についてということです。
 これも、これまでも指摘してきましたけれども、各部局の連携と統合の視点が重要だということは、環境基本計画などでも指摘をされているところですが、環境と福祉の統合というのも当然必要です。エネルギー貧困対策というのは、今、本当に世界的に求められていることです。最近の化石燃料の高騰、そして電気代やガス代の高騰、低所得者層の負担が本当に大きくなっているという現状があります。
 この事例と同様に、CO2削減に必要な炭素税など、カーボンプライシングは、これも導入すべきなんだけれども、低所得者への負担が大きいということも明らかですから、本当にこの低所得者への対応、エネルギー貧困への対応ということが同時に行われなければならないということになります。
 このエネルギー貧困への対策について、残念ながら環境基本計画には全く記述がないというふうに思います。福祉との連携ということについて、必要不可欠だと思いますが、いかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 都は、今般改定した環境基本計画において、環境問題に立ち向かうため、一人一人が暮らし方や行動の在り方を変容させていく方針を掲げております。
 また、深刻化する気候危機と昨今のエネルギー危機を踏まえ、脱炭素化社会の実現と光熱費削減に資する家庭の省エネ対策を強化しております。
 具体的には、今年度、省エネ家電への買換えを促進する補助事業において、幅広い世帯が利用しやすくなるよう、手頃な価格帯のエアコン製品も対象とするなど、支援策を拡充しております。
 加えて、これらの取組について、全庁共通のHTTポータルサイトに支援策を掲示するとともに、関係部局と連携し、高齢福祉関連施設等でチラシ配布をするなど、様々な手段で広く都民に周知しております。
 こうした取組を通じて、引き続きあらゆる家庭に向けて、使用エネルギーを減らす行動を促進してまいります。

○漢人委員 新築住宅への太陽光の義務化ということでいうと、新築住宅を持てる人、戸建ての住宅を持てる人というのは、本当にある意味限られていて、そういう層だけへの支援になるじゃないかというところがあるので、それに対してだったら今の幅広い世帯を対象にするっていうようなことは意味があるんですけど、私は貧困世帯、エネルギー貧困にどう対応するかというふうに質問しているわけです。
 幅広い世帯を対象に、広く都民に、それはそれでいいんです。だけど、質問はエネルギー貧困対策なんです。手頃な価格帯のエアコンの購入といいますが、それもままならない低所得世帯に確実に届くような対策の必要性を問うていますので、そういった視点での取組というのをぜひ進めていただきたいと思います。
 所得に占めるエネルギー割合の調査みたいな、まず実態調査から、これは環境局から発して福祉関係と連携するということもあると思いますけれども、環境局としてのエネルギー政策を進めていくに当たっては、やはり誰一人取り残さないという、そういう視点に立てば、エネルギー割合の調査などを行うということで、まず実態把握をしていくということなどを進めるべきだと思います。これも強く求めておきたいと思います。
 次の質問ですが、市区町村との連携についてです。
 意見交換をするということを計画には書かれているんですけれども、実際にはどの程度行っているんでしょうか。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 ゼロエミッション東京の実現のためには、地域の実情に精通した市区町村との連携を強化することが重要でございます。
 このため、定期的に開催されます区長会、市長会及び町村長会議や環境所管課長会等に出席をいたしまして、情報共有や意見交換を行ってございます。
 また、市区町村を個別に訪問するなどしておりまして、今年度は現時点で十二の自治体と意見交換を実施してございます。

○漢人委員 続けて伺いますが、市区町村の二〇〇〇年比二〇三〇年の削減目標というものは把握をしていらっしゃるでしょうか。
 そして、それは東京都の削減目標である五〇%と整合的であると見ているかどうかお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 都は、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現を目指し、二〇三〇年カーボンハーフを表明いたしまして、気候危機への行動を加速してございます。
 市区町村におきましても、ゼロカーボンシティ宣言など、二〇五〇年の脱炭素化に向けた取組が加速をしておりまして、都は、そうした市区町村の計画や戦略等の策定に対する支援を行ってございます。
 なお、温室効果ガスの削減目標につきましては、各自治体が地域の実情等を踏まえて策定するものでございまして、個別の情報共有や意見交換など、様々な機会を通じて情報を得てございます。
 今後とも、市区町村と連携して脱炭素化に取り組んでまいります。

○漢人委員 取組が加速している市区町村だけではなくて、実際には地域計画をつくっていない、まだ未策定の自治体もあれば、CO2削減目標の低い自治体もあります。そういったところへの支援こそ重要だというふうに思っています。市区町村としっかり連携した脱炭素化への取組に大いに期待いたします。
 次の大きな二つ目の質問に行きます。
 環境基本計画の第2部の戦略2、生物多様性の恵みを受け続けられる、自然と共生する豊かな社会の実現及び生物多様性地域戦略の改定について(中間のまとめ(案))に対する質問となります。
 まず、全般的なんですけれども、地域戦略の第1章、生物多様性とはについて、五点まとめて見解を述べますので、答弁をお願いしたいと思います。
 まず、種の多様性及び遺伝子の多様性ということですが、これはもっと具体例を挙げて、種類が多い方が生態系は壊れにくいっていうこと、あるいは、遺伝子が多様であることによって病原菌や環境ストレスに強くなるなど、種の種類が多く、個性がいろいろあることがよい理由をもっとちゃんと記述するべきではないでしょうか。
 次に、生態系サービスという表現なんですけれども、IPBES、これは生物多様性における世界的な専門家が参加する政府間の組織ですけれども、そちらでは生態系サービスという言葉に替わって、NCP、ネーチャー・コントリビューション・ツー・ピープル、自然が人にもたらすものが提案されています。生物多様性条約でも、こちらのNCPという概念にシフトされております。
 人にとって都合のよいものだけを評価する生態系サービスという考え方の見直しがされているわけです。生態系サービスも含めたNCPという表現に変更するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次は、四つの危機ということです。四つの危機のうちの第3の危機について、これが環境基本計画と地域戦略と、あと保全プラン、それぞれに二つの表現が混在している現状にあります。
 外来種などの持込みによる生態系の攪乱という表現が、地域戦略と保全プランでは用いられているんですけれども、これは問題の多くが外来種であるっていうイメージを強くすることになりますけれども、人により持ち込まれたものによる危機、あるいは外来生物や化学物質の持込みによる危機などとして、殺虫剤、除草剤など、環境汚染と外来種が並列する問題であることが分かるタイトルにするべきではないでしょうか。
 環境基本計画は、人により持ち込まれたものによる危機になっているんです。こちらに統一をしていくというのが望ましいと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 次は、生物多様性に関する最近の動向ということなんですけれども、二〇一〇年のCOP10で採択された二十の目標、いわゆる愛知ターゲット、これが達成がゼロであったことの反省として、次のポスト二〇二〇は実践的なもの、実装重視とすること、また、モニタリングなどを通して検証チェックをしていくことなどが重要であるというふうに思います。これにしっかりと触れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 もう一つ、ポストコロナ社会と生物多様性という項があります。ここでは、ワンヘルスアプローチという表現をとても特筆しているんですが、これですと感染症対策に特化し過ぎではないかということです。
 生物多様性条約では、免疫力の低下などが都市の生物多様性の損失との関係で議論されています。都市に自然を取り戻すということは、人の健康にとって極めて重要であり、もはや自然は趣味や嗜好の問題ではなく、人にとって必需品であるという、そういったことを強調すべきではないでしょうか。
 東京都にとっては、これは公園とか校庭とか園庭とか、そういった在り方、生物多様性の視点からも見直すという重要なテーマになると思います。これらについて、いかがでしょうか。お尋ねいたします。

○和田自然環境部長 地域戦略(中間のまとめ)は、学識経験者や企業、NPO、区市町村などから様々なご意見をお聞きし、自然環境保全審議会での検討を経て、取りまとめを行ったものであります。
 公表に合わせ、パブリックコメントも実施いたしまして、幅広く都民からも意見を伺っております。引き続き、審議会において検討を進めてまいります。
 ただいま委員からいただきましたご意見は、今後の参考とさせていただきます。

○漢人委員 しっかり審議会の方にもお伝えいただいて、参考にしていただきたいと思います。最新の情報に基づいた表現、内容にするということが重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次は、第2章、東京の生物多様性の現状と課題について、こちらも五点まとめて見解を述べて答弁を求めたいと思います。
 法令などで指定された重要な地域という項があります。保護区に指定されたからといって守られているわけではないということも言及するべきではないでしょうか。
 例えば、高尾山のトンネル、あるいは多摩丘陵の住宅開発など、自然保護区に指定されていても、開発から免れているわけではありません。どのような管理がされ、保護されているのかのチェックがされなければなりません。
 次に、遺伝資源ということですが、遺伝子組換えやゲノム編集のような遺伝資源の利用の在り方が国際的に、特に生物多様性条約でも大きな問題となっていることも記載するべきではないでしょうか。
 次、災害の緩和ということで、Eco-DRRっていうことなんですが、こちらは環境局の枠を超えた例示紹介が必要だと思います。海岸線とか河川のコンクリート護岸の見直しも重視をされているんですが、また、土中環境の改善を通じた土砂崩れの回避なども重要なんですけれども、残念ながら、ここでの記載が雨水浸透など、こういった限られた表現になっているので、少し広い視点での記載が必要だというふうに思います。
 次に、グリーンインフラです。こちらも日本学術会議では、グリーンインフラという表現は適切ではない、生態系インフラに変更すべきと提案をしています。グリーンというのは好きですけど、でも曖昧です。生態系の回復とその活用が最も重要ということで、生態系インフラに変更するべきではないかと思いますので、お願いいたします。
 そして、もう一つ、ナラ枯れなんですが、これは本当に身近なところでも大きな問題になっています。この環境基本計画の中では、雑木林の皆伐更新というのを進めているんですけれども、これは最悪の手法だという専門家も多数いるようです。慎重になるべきではないでしょうか。
 カシナガが入っても枯れない木もあります。ナラ枯れは、主因であるカシノナガキクイムシ、また、誘因である木の健康状態、そして周辺の環境などが組み合わさって起きているものであって、薪炭林で切っていたから昔はなかったという、そういう意見をうのみにした記述とするべきではないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 中間のまとめは、学識経験者や企業、NPO、区市町村などから様々なご意見をお聞きし、自然環境保全審議会での検討を経て、取りまとめを行ったものであります。
 公表に合わせ、パブリックコメントも実施いたしまして、幅広く都民からも意見を伺っております。引き続き、審議会において検討を進めてまいります。
 ただいま委員からいただきましたご意見は、今後の参考とさせていただきます。

○漢人委員 次、第4章、将来像の実現に向けた目標と基本戦略について、こちらでは七点まとめて質問いたします。
 一つ目は、エコロジカルネットワークの形成ということなんですが、都民、事業者、民間団体、教育、研究機関のそれぞれの取組が、いずれもエコロジカルネットワークの形成に貢献しますという結びになっています。これはちょっと残念です。新たな創出や再生の取組の具体案が必要ではないかと思います。よろしくお願いします。
 次ですが、開発時における生物多様性への配慮及び新たな緑の創出の項目において、開発に伴う生物多様性への影響を適切に回避、低減するほか、開発時に生物多様性に配慮した緑地や水辺を積極的に創出し、地域の生き物の調査や保全活動により、継続的に生物多様性の質の向上を図ることが必要ですとあるんですけれども、開発行為そのものの中止も含むべきではないかと思います。ぜひそのようにしていただきたい、お願いいたします。
 そして、自然環境情報の収集、保管、発信の項目ですけれども、教育機関や専門家との連携のために、その拠点として東京都内に自然博物館、あるいは生物多様性センターをつくるべきではないかと思います。データの蓄積や同定やモニタリング、外来種対策、環境教育の拠点として必要だと思いますので、ぜひこれもお願いいたします。
 次は、農地の保全と生物多様性に配慮した農業の推進の項目ですが、林業者や農業者や漁業者に対する補償制度について、生物多様性に悪い補助金制度は廃止をする、一方で、よい取組に対する補助金制度を推進するという、そういった視点が必要ではないかと思います。ぜひお願いいたします。
 次は、学校給食や大学食堂等での東京産食材提供というのが書かれているんですけれども、それだけではなくて、学校給食の完全無農薬化こそ掲げるべきではないかと思います。お願いいたします。
 そして、グリーンインフラの推進です。護岸コンクリートのり面など、大型のグレーインフラの変更に着手すべきではないでしょうか。先ほども申し上げましたが、雨水浸透とか屋上緑化とか、そういった限られたものではなく、もっと大きな視点での取組に着手するべきだというふうに思います。そこまでぜひ言及してください。
 そして、地域の自然資源を生かした健康面、教育面などの効用促進とあります。これは本当にいいことなんですけれども、一方でオーバーユース、人が立ち入り過ぎて、自然環境が、自然資源が破壊されてしまう、損なわれてしまうということが起きています。こういったことに対しての規制も必要ではないかと思いますので、ぜひご検討ください。いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 中間のまとめは、学識経験者や企業、NPO、区市町村などから様々なご意見をお聞きし、自然環境保全審議会での検討を経て、取りまとめを行ったものであります。
 公表に合わせ、パブリックコメントも実施いたしまして、幅広く都民からも意見を伺っております。引き続き、審議会において検討を進めてまいります。
 ただいま委員からいただきましたご意見は、今後の参考とさせていただきます。

○漢人委員 同じ答弁を繰り返されるのも大変かと思いますが、開発時の対応について、ぜひ生物多様性への危機感を持って言及していただきたいなというふうに強く求めておきたいと思います。
 次は、第4章について、もう一点追加で伺います。
 保護地域以外で生物多様性保全に資する地域、OECMというのが書かれているんですけれども、これの選定に東京都はどのように関与するのかお伺いいたします。

○和田自然環境部長 保護地域以外で生物多様性保全に資する地域、OECMに関する制度構築は、現在、国において対象地の選定や認定の手続など、検討が進められていると聞いております。
 OECMは国が認定する仕組みであり、今後とも国の検討状況を注視してまいります。

○漢人委員 次は、第5章についてですが、推進体制です。
 国連生物多様性の十年日本委員会のようなマルチステークホルダー会議を設置するべきではないかと思います。
 この推進体制がどんなものであるかということが、この計画が実際に有効になるかというのに大変大きな意味がありますので、ぜひご答弁ください。

○和田自然環境部長 中間のまとめは、学識経験者や企業、NPO、区市町村などから様々なご意見をお聞きし、自然環境保全審議会での検討を経て、取りまとめを行ったものであります。
 公表に合わせ、パブリックコメントも実施いたしまして、幅広く都民からも意見を伺っております。引き続き、審議会において検討を進めてまいります。
 ただいま委員からいただきましたご意見は、今後の参考とさせていただきます。

○漢人委員 この地域戦略、とてもよくできているなと、とても勉強になるなと思って読みました。だけど、これが本当に絵に描いた餅ではなくて、実際に有効なものとして影響力を持っていくのかということについては、この推進体制が本当に大きく関わります。
 今日、残念ながらご答弁は、都の立場からの直接的なご答弁はなく、全てこれから審議会で検討しますという棚上げというのか何というか、そういった答弁で大変残念でした。やっぱり東京都が、もちろん審議会、いろんな方の意見を聞いてつくっていくわけだから、例えば今日答弁したことがそのままにならなくても、都の見解ぐらいは、やはり答弁があるべきだったと思います。全体にそこが大変不安に思わざるを得ない。これが絵に描いた餅になるのか、本当に実効性があるものになるのかというのが問われるなと思いながら答弁を伺ってきた次第です。
 次、大きな三番目の質問に移ります。
 地域戦略と保全地域の保全・活用プランに関してということで、崖線についてお伺いいたします。
 崖線は、地域戦略では東京の緑の骨格、エコロジカルネットワークの軸と重要視されています。
 また、保全地域の保全・活用プランでは、崖線や湧水を有する地域や、丘陵地の谷戸を含む保全地域は、地形や微気象によって変化する多様な樹林と草地、水辺環境などが連続してあり、極めて生物多様性のポテンシャルが高い場所となっていますと記載をされております。
 国分寺崖線を軸に形成されている自然空間、小金井市部分では、都立武蔵野公園、また、旧別荘などの買上げをした公園など、東京都、小金井市市民が連携し、生物多様性が維持保全をされてきました。
 このエリアや関連する大学、企業などは、先ほど申し上げたOECMを含む生物多様性バージョンアップエリア一万プラスの対象であると理解してよいでしょうか。

○和田自然環境部長 地域戦略(中間のまとめ)では、生き物の生息、生育空間や生態系サービスの維持向上を図るエリアを生物多様性バージョンアップエリア一万プラスとして行動目標を定めております。
 このうち、行政として自然地の保全管理、緑の新たな確保などにより一万ヘクタールを目指すとし、民間などの取組をプラスで表現し、様々な主体と共に目指すことのできる目標としております。
 民間等の具体的な取組については、今後検討してまいります。

○漢人委員 大きくは対象だけど、具体的にはこれから検討だよということかと思います。ぜひこの対象に入れて保全を進めていただきたいと求めておきたいと思います。
 次の質問ですが、地域戦略の冒頭で、人間活動による地球の生態系への影響を最小限にすることが必要とうたっています。
 また、開発行為などにより、生物多様性の拠点となる崖線に残された緑地のさらなる分断化が進んでいますという表現もあります。この開発行為の主要なものの一つが道路事業です。
 さらに、別の箇所では、行政が実施する公共工事や施設改修等においては、生態系への影響を回避、低減するほか、積極的に生態系に配慮した緑地や水辺の創出に努めますとの記述もあります。
 二〇三〇年までに崖線の分断化と生態系の劣化にブレーキをかけ、生態系を回復軌道に乗せることが目標であることから、東京都自らがさらなる生態系の劣化をもたらす道路事業など、公共事業の回避を図ることを最優先の保全策として、率先して取り組まなければならないのではないでしょうか。
 回避とは、事業化前の公共事業については中止も含む見直しを行うということでよろしいでしょうか。

○和田自然環境部長 中間のまとめでは、開発時における生物多様性への配慮に関する取組の方向性として、行政が実施する公共工事や施設改修等においては、生態系への影響を回避、低減するほか、積極的に生態系に配慮した緑地や水辺の創出に努めるとしております。
 今後とも、開発時における生物多様性への配慮に取り組んでまいります。

○漢人委員 小金井市には、国分寺崖線が東西に走っていて、既に二本の都市計画道路が南北に貫いています。
 都が第四次優先整備路線に選定した二路線が事業化されれば、さらなる分断化、生態系の劣化は加速します。地域戦略と逆行する事態が東京都によって行われようとしているわけです。地域戦略にとって、二路線の事業化の中止、見直しを行うことができるかどうかというのは、これは重大な試金石だといえます。
 二路線によって、国分寺崖線、野川周辺の貴重な自然環境、生物多様性、景観がダメージを受けることについては認識をしていますか。

○和田自然環境部長 各局の事業については、平成二十四年度に策定した緑施策の新展開や、今後策定を予定している地域戦略との整合が図られていくものと考えております。

○漢人委員 地域戦略以外の都の計画は、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関して、本戦略との整合を図るという表現があります。この整合とは、どんなことをいうのでしょうか。

○和田自然環境部長 中間のまとめでは、地域戦略以外の都の計画は、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関して、整合を図るものとしております。
 地域戦略以外の都の計画については、地域戦略の趣旨を踏まえて策定されるものと考えております。

○漢人委員 第四次優先整備路線は、二〇一六年に策定をされました。二〇一二年策定の緑施策の新展開に基づいて、優先整備路線の選定前に整合は図られたということでしょうか。

○和田自然環境部長 これまでの各局事業については、緑施策の新展開の趣旨を踏まえ、行政施策の展開を図っていると考えております。

○漢人委員 それでは、今後、優先整備路線の選定に当たって、これ以上の崖線の分断化にならないように、どのように整合を図るのでしょうか。

○和田自然環境部長 中間のまとめでは、地域戦略以外の都の計画は、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関して、整合を図るものとしております。
 地域戦略以外の都の計画については、地域戦略の趣旨を踏まえて策定されるものと考えております。

○漢人委員 今、続けて五問ほど伺ったんですけれども、いずれも各局の事業は、地域戦略など、それから緑施策の新展開などとの整合が図られているものと考えていますと。主体的じゃないんですよ。
 やっぱりさっきいったように、この地域戦略が実効性のあるものとなっていくのか、本当に生物多様性を守る役割を果たすのかということにおいては、お任せして、ものと考えているではなくて、もっとしっかりと環境局自然環境部としての積極的な関与をしていくということが必要なんではないでしょうか。
 そこが変わらなければ、これまでと同じように生物多様性は失われ続けていくというふうになるのではないかと、今の答弁を伺って大変心配だと感じました。
 次ですけれども、法令などで指定された重要な地域という項目があります。そこに八項目めとして、自然再生推進法に基づく再生地域を追加するべきではないでしょうか。生物多様性の保全と回復を目的とした自然再生推進法に基づいて、再生協議会が全国で二十七か所に設置をされ、都道府県、自治体、市民団体の協働によって、保全と回復の事業が取り組まれています。
 そして、東京都ではただ一つ、野川第一、第二調節池地区が指定をされ、国分寺崖線も含む一帯が対象となっております。ぜひ、ここ追加をするべきだと思いますが、いかがですか。

○和田自然環境部長 中間のまとめは、学識経験者や企業、NPO、区市町村などから様々なご意見をお聞きし、自然環境保全審議会での検討を経て、取りまとめを行ったものであります。
 公表に合わせ、パブリックコメントも実施いたしまして、幅広く都民からも意見を伺っております。引き続き、審議会において検討を進めてまいります。
 ただいま委員からいただきましたご意見は、今後の参考とさせていただきます。

○漢人委員 また同じ答弁をいただきましたけれども、この自然再生推進法については、ある意味、東京都の側、事務局から提示する情報として不足していたんではないですか。
 二〇〇三年の施行の自然再生推進法は、第三次生物多様性国家戦略にも詳細に記載をされています。
 そして、この野川第一・第二調節池地区自然再生協議会の設立というのは二〇〇五年なんですけど、これは小池知事が環境大臣をされていたときです。ここの地域に限らずですけれども、必須だというふうに思います。
 どこかにこの自然再生推進法については、この地域戦略の中で触れるべきだと思いますので、それは事務局である都の側から、例えば審議会なりいろんなところに提示をして、それでも必要ないというふうにいわれたとしたら、それはどういう理由で必要ないということなのかもしっかりとチェックしたいと思いますけれども、示していただきたいとお願いをいたします。
 次ですが、崖線の保全地域はどのような考え方で選定されてきたのでしょうか。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、一定程度まとまった丘陵地における里山や、市街地における樹林地などの良好な自然地を都民の大切な財産として末永く残していくため、地域特性に応じて五つの種別に分類し、保全地域に指定しております。
 崖線については、市街地近郊の樹林地や水辺地等を対象とする緑地保全地域に分類されております。

○漢人委員 その崖線全体なんですけれども、これまでの保全について、この十年間の分断化の進行、保全の達成度などについて、都は、どのように評価をしているんでしょうか。
 保全地域に指定されている立川崖線の五か所、国分寺崖線の七か所というのは、崖線全体のほんの僅かな地域です。崖線全体を保全する方向性というのはあるのでしょうか。
 また、今後の保全地域、百ヘクタール拡大の追加指定の対象とはなっていますか。指定以外の地域の保全に向けて、先ほども挙げました生物多様性バージョンアップエリア、あるいはOECMなどの視点を視野に入れて取り組むべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 保全・活用プランの中間まとめでは、台地部の樹林地や草地に限らず、水辺などの多様な生物の生息、生育環境を有する緑地などを保全地域に選定する考え方を示しており、今後こうした考え方の下、保全について検討を進めてまいります。
 地域戦略の中間のまとめでは、生き物の生息、生育空間や生態系サービスの維持向上を図るエリアを生物多様性バージョンアップエリア一万プラスとして行動目標を定めております。
 このうち、行政として自然地の保全管理、緑の新たな確保などにより一万ヘクタールを目指すとし、民間等の取組をプラスで表現し、様々な主体と共に目指すことのできる目標としております。
 民間等の具体的な取組については今後検討してまいります。

○漢人委員 これも大きくは対象だけど、具体的にはこれから検討ということかと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 保全地域の指定なんですけれども、谷戸等の調査というのが書かれています。この調査結果の概要についてお伺いします。
 都内の貴重な緑地が十分保全されていないとして谷戸が取り上げられているんですけれども、谷戸よりも都市部に近いために、開発の危機がより深刻である崖線についても特筆するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 令和二年度に、丘陵地の谷戸や台地部の崖線など、都内に残された重要な緑地における生物多様性の情報等の調査を実施いたしました。
 その結果、多摩地域の丘陵地等には、法律等による規制がかかっていない自然地で、様々な種類の希少種が生息、生育したり、樹林地、水辺地等、多様な自然環境が存在している土地などが残されていることが分かっております。
 今後、この調査や専門家等の意見を踏まえながら、保全について検討してまいります。

○漢人委員 ぜひ崖線についても積極的に取り上げながら検討していただきたいと思います。
 国分寺崖線を軸に形成されている小金井市部分の自然空間なんですが、都立武蔵野公園、旧別荘などの買上げ公園など、先ほど申し上げたように、保存されているエリアがあります。
 また、国分寺崖線からの湧水を集めて流れる野川の第一、第二調節池地区、その周辺も含めて自然再生協議会が活動している地域となっています。先ほど申し上げたとおりです。
 この二つのエリアについて、保全地域とすることはできないでしょうか。

○和田自然環境部長 都民の利用を前提とする都立公園や、洪水調整機能を保ちながら敷地を利用する調整池は、都内に残された貴重な自然の保護と回復を目的としている保全地域とは制度趣旨が異なっております。
 また、小金井市が管理する滄浪泉園については、緑を将来に継承していくためのものとして、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区に既に指定されております。
 都は、法律等による規制がかかっていない自然地で、様々な種類の希少種が生息、生育したり、樹林地、水辺地等、多様な自然環境が存在している土地について、今後、専門家の意見等を踏まえながら、保全することを検討してまいります。

○漢人委員 この国分寺崖線に限らず、開発行為によって生物多様性が失われてきたこと、現在も、そして今後も引き続きその脅威にさらされているということに対して、この生物多様性の地域戦略がどのような力になっていくかということなんです。
 保全地域というのは、やはりこれはしっかりと指定されると、開発行為も含めて厳しい制限がかかるものとして非常に重要だと思います。そこにならなくても、それに準ずるような形も含めて、制度趣旨はいろいろあるかもしれないけれども、保全できるのかどうかということをぜひ積極的に検討いただきたいというふうに思います。
 大きな最後の質問ですが、玉川上水について、同じく地域戦略と保全プランに関してお伺いいたします。
 保全地域の歴史環境保全地域として、野火止用水と玉川上水が指定をされているわけです。だけど、地域戦略にも、また、保全・活用プランについても、この上水、用水について全くというほど触れられていないのが大変残念です。
 用水、上水は歴史的、文化的遺産であると同時に、今日では生物多様性においても貴重であって、水辺空間としての復元なども進められています。
 玉川上水においては、国分寺崖線と同様に、都心部と多摩地域をつなぐ緑の回廊としての役割も果たしています。地域住民にとっては散歩や癒やしの場であり、復活と保全の市民による活動も活発になってきています。
 地域戦略や保全・活用プランの両方で用水、上水について生物多様性の特徴、保全状況、解決すべき課題、また、二〇三〇年までの目標なども明記するべきではないでしょうか。

○和田自然環境部長 地域戦略の中間のまとめでは、二〇三〇年目標の実現に向けて、生物多様性の保全と回復のための取組の方向性を示しております。
 玉川上水や野火止用水については、自然保護条例に基づく保全地域に指定されており、保全地域については生物多様性上、重要な地域として適切に保全を進めるとしております。
 一方、保全・活用プランの中間のまとめでは、玉川上水や野火止用水を含む保全地域全般について、二〇三〇年度の目指すべき姿や保全地域の抱える課題、今後取り組むべき施策の方向性等を示しております。

○漢人委員 全体の方向性はそうなんですけど、もう少し特筆して、きっちりと明記をしていくべきではないかということを求めております。
 それで、玉川上水の保全地域に指定されたエリアにおいてのこれまでの具体的な保全策はどのように取り組まれてきたでしょうか。

○和田自然環境部長 玉川上水及び野火止用水の各歴史環境保全地域においては、水路や緑地等の管理主体が庁内各局や各地元自治体となっており、役割分担の下、保全事業を実施しております。
 具体的な保全事業としては、水路内の樹木の剪定、水草の除去、緑地内の下草刈りなどであります。

○漢人委員 今の内容は、具体的な作業方針であって、保全策ではないのではないかというふうに思います。
 最後の質問ですが、玉川上水についての生物多様性に関する調査というのはしていないと聞いています。まずは、全域の調査と分析評価が必要ではないでしょうか。
 また、市民団体の調査によれば、地域によって生物多様性のレベルや課題は異なり、今後の保全策についても、それぞれの状況に合った方策が求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 玉川上水歴史環境保全地域における水路や緑道等の管理については、庁内各局や各地元自治体が連携して取り組んでおります。
 各管理主体は、地域のボランティア団体と、きめ細かく現地の状況を把握しながら、役割分担の下、保全事業を実施しております。
 今後とも、各管理主体と情報共有を図りながら保全事業を進めてまいります。

○漢人委員 先ほどのような作業に限定をしないで、生物多様性を重視した維持管理の在り方というものを、住民や専門家が参加をする中で取り組むということが求められているというふうに思います。
 これも各局それぞれというのはありますし、各自治体というのもありますけれども、やはり環境局、そして自然環境部がしっかりとそこに加わる形で、東京都の方針に位置づくような形で取り組んでいくということを求めたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○鈴木委員 今回、生物多様性地域戦略の改定について、ここに絞って伺わせていただきたいと思います。
 先般公表された生物多様性地域戦略の改定の中間のまとめによりますと、生物多様性とは、様々な自然があり、そこに特有の個性を持つ生き物がいて、それぞれの命がつながり合っていることであり、人間活動による影響が主な要因で、地球上の生物種の絶滅速度は自然状態を大きく逸脱し、このままでは我々の生活基盤となる生物多様性の恵みを受けられなくなる危機的状況にあると記載されております。
 一方、気候変動対策の重要性は一般にも浸透してきていると考えられますが、生物多様性については、言葉自体の分かりづらさもありまして、その重要性や危機感がまだまだ都民には浸透していないと感じております。
 生物多様性が維持できれば、人間の生活に欠かせない飲料、水などの供給、気候の調整や、大雨被害の軽減など恩恵を与えてくれる、いわゆるこの中間のまとめの中で使われている生態系サービス、これが最新のいい方なのかはちょっと別として、こういった恩恵を与えてくれる生物多様性の保全にもしっかりと取り組んでいくべきと考えています。
 そこで、生物多様性の重要性と取組などについて、どのように多くの都民の理解を進めていくのか伺わせていただきます。

○和田自然環境部長 生物多様性の保全と回復を進め、その恵みを持続的に利用するためには、都民や事業者、民間団体などの各主体が生物多様性の価値を正しく認識し、理解と関心を深めていくことが重要であります。
 中間のまとめでは、生物多様性の価値を認識し、生物多様性を自分事として捉えることにより、都内の課題だけでなく日本全体、さらには地球規模の課題にも対応した行動に変えていくことを基本戦略の柱の一つとしております。
 今後は、関連施設等を活用した普及啓発、都内で自然体験等ができる情報の提供、地球環境に配慮した商品の購入促進などを行うことにより、都民等における生物多様性の理解促進を進めてまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。根本的に、ちょっといい回しが非常に難しい部分があるのが、恩恵を受けるから生物多様性を保全しようというわけではなく、生物多様性というのを人間が壊してきた、それで、やっぱり保全をしっかりしないとねと、その上で恩恵を受けられるというのが私の考えであります。
 今、答弁いただきました、都内の課題だけでなく日本全体、さらには地球規模の課題にも対応した行動に変えていくことを基本戦略の一つという、ここは本当に私は力強い前向きな答弁なのかなと思っております。引き続き、生物多様性の理解促進に向け、具体的な施策の検討を進めていただきたいと思います。
 このように、生物多様性の価値や重要性について、都民の理解を深めることは大変意義のあることでありますが、その中でも先日の一般質問で、我が会派の田村議員が言及された絶滅危惧種など、都内の希少な野生動植物の保全は非常に重要であり、会派としても取り組むべきであると考えております。
 こうした希少野生動植物に関する都民の理解を深めるためには、希少種に関する情報をきちんと都民に発信する必要があると考えております。都の見解を伺わせていただきます。

○和田自然環境部長 絶滅の危惧がある動植物の種類の増加は、人間による活動の影響が大きいため、絶滅危惧種など、希少な動植物の生息、生育状況や増加要因などの情報を広く都民に伝え、関心を高めていくことが重要であります。
 都は、希少な野生動植物種の一覧であるレッドリストや、レッドリストに掲載した動植物の生態や分布状況などを分かりやすく解説したレッドデータブックをおおむね十年ごとに改定し、都民への普及啓発を進めてきており、今年度は本土部のレッドデータブックを改定いたします。
 引き続き、希少種の危機的な状況について、都民に分かりやすく情報提供を行うことにより、希少な野生動植物種に関する都民の理解を深めてまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。今回の中間のまとめの中身を拝見させていただいて、本当に私も勉強になりまして、今の段階でも非常にいいものができているなとは思います。
 その中でも、人口が増えるに当たって絶滅種も増えていっているというデータもあり、やはり人間が与えている影響というのは大きいのかなと思います。
 ただ、一方で絶滅危惧種といわれる、保護をしているのもまた一部の人間なのかなと思っておりますので、これから本当に一人一人の行動が大事だなと思っております。引き続き、希少種の保全につきましては、都民の理解が進むように具体的な取組を進めていただきたいと思います。
 また、希少な野生動植物の保全は、希少種そのものを保護することも必要でありますが、地域固有の在来種の捕食や生息、生育場所を奪われるなど、生態系へも被害を及ぼす外来種の対策を進めることが重要だと思います。
 そこで、今回の地域戦略の策定を機に、外来種対策にどのように取り組むのか伺わせていただきます。

○和田自然環境部長 東京では、外来種による在来種の捕食や農作物への食害などの様々な問題が生じており、都内全域で対策を推進していくことが必要であります。
 都はこれまで、アライグマや、桜などの樹木を枯死させるクビアカツヤカミキリなどの防除を実施する区市町村を支援し、外来種対策に取り組んでまいりました。
 今年度からは、都内における外来種全般の分布状況や着実に成果が得られる方策について、有識者の意見等を聞くなど検討に着手し、優先的に対応すべき種を選定するなど、取組を強化してまいります。
 今後は、区市町村やNPOなどと連携して、都内におけるより実効性のある外来種対策を着実に推進してまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。今後は都内における外来種全般について、区市町村等と連携して取り組んでいくとのことでありますが、ぜひ実効性のある外来種対策につながるよう、引き続き検討いただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございます。

○清水委員 私からは、二問よろしくお願いいたします。また、先日は皆様のご協力があって、自宅の方から質問することができました。御礼申し上げます。
 私は、税理士でもあり、所有者不明土地と森林にずっと取り組んでおります。そこで、生物多様性地域戦略の改定について、森林環境保全の視点からもお伺いします。
 東京は、奥多摩町の山地から島しょまで、実に様々な自然環境を有しており、地元西多摩地域で多くの面積を占める森林には、ツキノワグマや大型の猛禽類などが生息し、豊かな生態系が残されています。
 しかし、森林の管理不足などに伴い、山の保水機能や浸透機能が低下し、土砂災害や洪水のリスクが高まるなど、自然による多面的な機能が減少しています。中でも、私は所有者不明の森林の荒廃が問題と考えており、こうした所有者不明の森林にもきちんと手を入れて、適切に管理すべきと考えています。
 そこで、所有者不明の森林の保全についてどのように考えているのか、都の見解をお伺いいたします。

○和田自然環境部長 都はこれまで、森林所有者が明確で、林業経営が困難な荒廃した人工林を間伐して、針広混交林化を目指す森林再生事業などにより、都内の生物多様性保全の基盤となる森林環境の確保を行ってきております。
 一方で、国が実施した平成二十九年度地籍調査における土地所有者等に関する調査結果によると、土地登記簿上の所有者不明土地の割合は、全国の森林で約三割となっております。
 こうしたことから、国は、森林経営管理法に基づき、適切な管理がなされず、所有者不明の森林において、市町村が所有者に代わり、間伐等の森林整備を実施することが可能になるなどの制度構築を行いました。
 今後、森林担当部局と連携しながら、市町村に働きかけ、所有者不明森林における森林の保全を進めてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。私も行政書士でありますので、岐阜の方に視察に行ったりしていますので、どうか皆様も、ほかの県、特に森林で得意な県の話を聞くなどしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、森林保全に関する都民連携について伺います。
 多摩地域の森林は、約五万ヘクタールととても広大で、その約六割が人工林となっています。私が東京都議会議員になってから、不動産メーカーや飲料メーカー、鉄道会社などにお伺いして、涵養事業についてお伺いしてきました。また、なぜ撤退しちゃったんですかなんて話を伺いながら考えています。
 そこで、今、自治体や企業などと連携して、森林の循環や保全に取り組む動きが進んできてはいますが、取組としてはまだ少ないと感じています。
 地元でも中央区や港区の森林などがあって話は聞きますが、そこで、今後、企業などに対して森林保全に協力してもらえるよう、都として積極的に周知すべきと考えていますが、都の見解をお伺いいたします。

○和田自然環境部長 森林における生物多様性の保全と回復を進め、その恵みを持続的に利用するためには、森林所有者のみならず、企業、民間団体など、多様な主体と連携した取組が重要であります。
 都はこれまで、森林担当部局において、企業等と連携して森林の整備、保全に取り組む企業の森を進めてきており、現在、約五十件の実績があります。
 中間のまとめでは、生物多様性の保全について、行政のみならず、企業などとの連携協力を促進していくことを取組の方向性として掲げております。
 今後、こうした取組の方向性に従い、森林担当部局と連携し、森林保全への協力のメリットを分かりやすく企業等に伝えるなど、効果的な周知方策について検討してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。連携に向けた取組の方向性については理解できました。とはいえ、民間の力がないと、今回進むものではないと痛感しております。
 先ほどの企業さんたちに伺いますと、ロットとしては五ヘクタールから十ヘクタール単位だとも伺っておりますので、引き続き具体的な施策の検討を進めていただくことを要望して、私からの質問を終わります。ありがとうございます。

○加藤委員 私から、EVの充電設備の導入について伺います。
 昨日の我が党の小磯議員の一般質問でもお尋ねしましたが、改めて当委員会でも詳しく伺いたいと思います。
 EVの普及には、自宅での充電設備の設置が必要です。今回の基本方針では、新築住宅等への設置に向け制度化が図られることが明らかにされました。
 まず、この制度の概要について、改めてお聞きします。

○木村建築物担当部長 建物は、一旦建築すると数十年にわたり使用され続けるため、ZEVの普及に備え、新築時に充電設備を整備しておくことは、建物価値の向上の面からも重要でございます。
 このため、新築戸建て住宅等を対象とした新たな制度では、駐車場付戸建て住宅一棟ごとに、充電設備用配管等の整備を求めることを検討しております。
 また、大規模新築建物を対象とした制度では、駐車場が一定台数以上になる場合は、駐車場台数に応じた充電設備の実装などを求める基準の新設を検討しております。
 こうした制度により、将来的にZEVが普及した社会を見据えた充電設備の整備を促進してまいります。

○加藤委員 今後の自宅での充電設備の普及拡大に向け、新築時に将来的な充電設備の導入準備を進めておくことで、特に戸建て住宅で駐車場があれば、簡単に充電設備を設置できるということであります。
 ちなみに、自宅がEVがまだまだ少ない時代に建ちましたので、充電設備用の配管等は当然用意されていませんでした。充電設備工事も行っておりませんので、現在、自宅から充電ケーブルを駐車場まで何メートルもはわせて車に充電していると、こういう状況なんです。当然見た目も悪いですし、防犯上の懸念もあるのかなと。そうしたことで、今お話しの取組はぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 また、我が党が大きく推進しましたV2Hの補助なんですけれども、これ、条件によって十分の十の補助拡大ということで、実は大変な人気が出ておりまして、聞くところによりますと、半導体不足の影響もありまして、例えば今申し込んでも来年の二月とか三月になってしまうという状況のようであります。
 この申請期限が来年の三月三十一日までということで、間に合わないんじゃないかと。そうしたことで、多くの都民が利用できますよう延長するよう要望をしておきます。
 一方、マンションなどにおきましては、駐車場の規模によって新築時に整備するべき目安となる一定の水準を示していくことは、充電設備の普及に向け、意義あることと考えます。引き続き、内容を詰めていくとともに、充電設備を設置しているマンションであることが購入者等に伝わるようしっかりと検討していくことを要望します。
 今、新築マンションでは充電設備が設置済みであることが、いわゆる新たな付加価値として伝えられるようになってきました。ぜひアピールできるようにお願いをします。
 一方、既存の分譲マンションです。設置費用や導入後の管理運用面での負担が大きいことから、管理組合の合意形成が容易ではなく、なかなか導入が進んでいないというふうに聞いております。
 都は、充電設備設置の補助など支援策を講じてきましたが、今回、マンションへの充電器設置拡大に向けまして、普及促進のための補正が組まれました。この補正予算説明書には、一千九百七十二万九千円となっておりますけれども、普及に向けた今後の取組につきましてお伺いをします。

○荒田気候変動対策部長 ZEV普及のためには、都内の総世帯数の約四分の一が居住している分譲マンションへの充電設備の導入が重要です。
 設置が進みにくい既存の分譲マンションでも、管理組合の負担軽減に資する多様なビジネスモデルが出てきており、これを後押しするため、充電事業者やEV販売事業者などで構成する協議会を今月設立しました。
 今後、協議会の参加企業、団体と連携して、普及啓発のツールを作成するとともに、マンション管理組合向けのアンケート調査を実施し、導入ニーズを踏まえたマッチング会などを実施いたします。
 こうした取組を通じて、協議会に参加する事業者と一層の連携協力を強化し、既存のマンションへの充電設備の設置数を確実に拡大してまいります。

○加藤委員 既存の分譲マンションでの充電設備の設置拡大は、EV普及にとって不可欠であります。
 まずは、今月立ち上げた協議会を活用し、設置の希望のあるマンションと、マンションでの設置にノウハウのある事業者とのマッチングを確実に進めていただきたいと思います。
 加えて、今後これまでの充電設備設置の補助事業を着実に進めるとともに、マンション管理組合が設置に向けた検討を後押しする支援策等を拡充するなど、しっかりと設置の促進を図っていくことを要望しまして、質問を終わります。

○里吉委員 日本共産党、里吉ゆみです。
 それでは、生物多様性の改定(中間のまとめ)について、まず質問をしていきます。
 まず初めに、東京都生物多様性地域戦略の目的について、簡潔にお伺いいたします。

○和田自然環境部長 生物多様性地域戦略は、生物多様性基本法に基づき、地方公共団体が策定する生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画であります。
 地域戦略は、地域によって異なる生物多様性を保全するとともに、持続可能な利用を総合的かつ計画的に進めることを目的として策定するものであります。

○里吉委員 実は、東京都では平成二十四年、二〇一二年、緑施策の新展開−生物多様性の保全に向けた基本戦略というものが策定されています。
 今回の生物多様性地域戦略との関係と改定の経緯について伺います。

○和田自然環境部長 平成二十四年度に、都で初めての生物多様性地域戦略に当たる緑施策の新展開を策定し、取組を進めてまいりました。
 国においては、新たな国際目標を踏まえて国家戦略の改定が検討されており、東京での生物多様性に対する課題も踏まえながら、都の地域戦略を改定することといたしました。
 令和元年十二月、東京都自然環境保全審議会に諮問し、審議会の中に生物多様性に関する専門的知見を持つ企業や、NPOなどの有識者を加えた生物多様性地域戦略改定検討会を設置し検討を進めてきており、本年七月に中間のまとめを公表いたしました。

○里吉委員 国で生物多様性基本法が制定されたのは平成二十年、二〇〇八年です。それを受けて、最初の基本戦略が策定されたと。今回はそれに次ぐものだということです。
 それでは、この前の計画である緑施策の新展開について伺いたいと思います。
 ここでは、二〇二〇年までの目標が示されていましたが、その総括について、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長 緑施策の新展開では、緑の量と質の確保、新たな緑の創出、利用を通じた普及啓発を目標に掲げました。
 例えば、新たな緑の創出については、グリーンロードネットワークの充実、学校の総合的な緑化の推進などについて、一定の成果が得られました。
 一方で、課題としては、都内において自然環境の維持保全をするための担い手が不足していること、希少動植物の生息、生育環境が減少していることなどがございます。

○里吉委員 今、簡単に述べていただいたんですけれども、この計画、緑施策の新展開ですね、読ませていただきますと、なかなか緑の環境の問題って、目標を立てるのが、数字で示すのが難しいんですけれども、二〇一六年までの十年間で千ヘクタールの新たな緑が創出されるとともに、二〇二〇年までに新たな都市公園、四百三十三ヘクタールの整備が進むなど、緑あふれる都市東京が実現している。数字が明確に書いてあるのは、この部分ぐらいしか私は見つけられなかったんですけれども、こういう目標がありましたので、一応この結果はどうだったのかお伺いしたいと思います。

○和田自然環境部長 緑施策の新展開では、千ヘクタールの新たな緑を創出、都市公園等を四百三十三ヘクタール整備する目標を掲げております。
 学校の総合的な緑化、海の森の整備など、新たに創出した緑は約七百五十二ヘクタールであります。
 また、都市公園等については約四百三十一ヘクタール整備しております。

○里吉委員 都市公園は、東京都が計画的に進めれば一定程度目標に近づけたのではないかと思いますけれども、この新たな緑の創出というところでは、何をもって新たな緑とするのかということや、どうやってこれを創出しようとしたのかなど、ぜひこれは総括をしておいていただきたいというふうに思いました。
 そして、私が注目したのは、課題として、希少動植物の生息、生育環境が減少しているということが挙げられているわけです。ここを本当に保全、回復させようとしたときに、希少動植物の生息や生育環境を守ろうと思ったときに、やはりいわゆる自然地の環境保全が大事だと思うんですね。
 そう考えると、例えば前回の委員会で陳情審査が行われました檜原村の産廃焼却場建設などは、貴重な自然環境、希少動植物の生息の場を守るという観点からも、本来検討されるべきではないかと考えます。
 そこで伺いますが、檜原村の産廃焼却施設計画は、施設面積で法アセスの対象にはならなかったということで、動植物などの調査はされていません。こういった問題が出てきたときに、都として対策を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しており、行為地の面積が一ヘクタール以上の場合、または行為地に希少動植物が生息、生育する場合、自然環境調査を実施した上で、自然環境保全計画書の策定を義務づけております。

○里吉委員 自然地で一定規模の土地変形行為に対しては開発許可を求める制度の運用をするということですが、ここは以前、特別養護老人ホームが建っていた場所で、特に形質変更行為は行わないものだと思いますし、そもそも予定地は更地ですから、そこそのものに希少動植物があるわけじゃないんですね。
 ただ、この産廃焼却場の予定地の周辺には本当に豊かな自然がありまして、この環境を守るために、ここに本当に産廃焼却場ができていいのかと、生物多様性の観点から、これを考えることが必要ではないかと感じました。そこで、そのことについてもぜひ検討していただきたいと思います。
 そして、この中間まとめの基本戦略の中では、基本戦略Ⅰとして、生物多様性の保全と回復を進め、東京の豊かな自然を後世につなぐの中で、地域の特徴的な生態系や多様な生き物の生息、生育環境を保全していくためには、緑の量の確保だけでなく、生物多様性に配慮した緑の質の向上を図ることが必要とありますが、この緑の質の向上とは何を指すのか伺います。

○和田自然環境部長 緑には、食料、燃料、水など、人間の生存に必要な物資の供給、森林、樹林など、生き物の生存基盤、ヒートアイランド現象の緩和、火災の延焼防止などの防災機能、潤いや安らぎをもたらす機能など、様々な機能が存在しております。
 これらを総称し緑の質と呼び、生物多様性の保全に当たっては、こうした緑の多面的機能を一層発揮させていくことが重要と認識しております。

○里吉委員 緑の多面的機能を発揮させていくということですが、同時に、今、本当に豊かな自然環境がどんどん失われているということで、生物多様性に配慮した緑の質の向上というのであれば、生物多様性を保全するために、空気とか大気、土壌、地下水、水源地の水質、そういった環境全体の保全をすることで、そこに存在している植物や動物、虫などを守っていく、こういう考え方がすごく大事だと思っているんですね。
 そうすると、今、度々いろんなところで議論になっています八王子スポーツパーク計画ですとか、今申し上げました檜原村の産廃焼却場建設の問題ですとか、こういった具体的な問題で、自然を守る実効性のある対策が必要だと考えます。
 検討会では、こうしたことは議論されたのか、検討されたのか伺います。

○和田自然環境部長 今般取りまとめた中間のまとめでは、基本戦略Ⅰとして、生物多様性の保全と回復を図るために、公園、緑地、崖線、農地、河川、用水など、生き物の生息、生育環境の確保を進めていくとしております。

○里吉委員 先ほど来議論があるんですけれども、それが本当に今失われつつある大事な東京の自然を守ることができるのかということで、そこが問われていると思うんですね。
 これまでも法アセスがあったり、いろいろな規制があったりして守る努力をしてきたと思うんです。しかし、それでも減ってきている。その中で、カーボンハーフの問題と一緒で、脱炭素の問題と一緒で、もう待ったなしの状況に今あるわけですよね。それをどうするのかということです。
 例えば、檜原村の産廃焼却場の建設は、この場所が都市計画区域外であったということもあって、自然公園法に抵触しないぎりぎりの規模で計画されていると。生物多様性への配慮という点から規制ができないのかと。今回、すぐにこれに当てはめることはできないと思いますけれども、そういった検討が必要ではないかということで、これは改めて求めておきたいと思います。
 次に、市街地の緑施策について伺います。
 緑施策の新たな方向性の例として、開発行為が生態系に与える影響を定量的に評価する手法を作成し、将来的には開発行為が生態系に与える影響を緩和する新たな仕組みを検討とありますが、どのような検討をされたのか伺います。

○和田自然環境部長 緑施策の新展開では、開発による緑の減少をより一層抑制し、開発行為が生態系に与える影響を緩和する新たな開発規制の在り方について、将来的に検討していくとしております。
 検討に当たっては、海外の先進的な取組事例について、平成二十三年度にオーストラリア、アメリカなど世界で活用されている主な生態系評価手法について調査を実施し、それぞれの手法の概要、メリット、デメリットなどについて整理いたしました。
 その後、市街地の緑化に際して、緑の質を定量的に評価する生態系評価手法の検討を進め、平成二十九年三月に事業者が策定した緑化計画を自ら評価できる生態系に配慮した緑化評価ツールを作成し、公表しております。

○里吉委員 具体的に緑化計画を評価できる生態系に配慮した緑化評価ツールを作成したということなんですが、これに基づいた具体化はされているのかどうか伺います。

○和田自然環境部長 生態系に配慮した緑化評価ツールは、東京の地域特性に合致した樹種の植栽や周辺緑地との連続性、生き物を呼び寄せる工夫など、民間事業者が策定した緑化計画が生態系にどの程度配慮しているか自ら評価できるツールとして、事業者による生態系に配慮した緑化に生かされてきました。
 その過程で得られた生態系に配慮した樹種の選定や生き物の生息、生育空間づくりなどの知見を活用し、江戸のみどり登録緑地制度を平成二十九年度から開始いたしました。
 本制度は、積極的に在来種を植栽し、生物多様性の保全に取り組んでいる民間事業者の緑地を都が登録、公表することで、事業者の意欲を引き出す仕組みであり、引き続き適切に運用してまいります。

○里吉委員 東京都として、開発されたときの緑化について具体的に取組を進めているということでした。
 この中間まとめの一四三ページには、コラムとして、ほかにもいろいろな都市の緑や生物多様性への配慮を扱う環境認証制度が紹介されていますし、いろいろな取組があるということで、先ほど来いろいろ議論がありますけれども、それが本当に生物多様性に有効性があるのかどうか、そのことについても検証しながら、必要なものを取り組んでいただきたいと思います。
 そして、前回、何かの質疑でもお話ししたんですけれども、市街地での緑政策といったときに、住宅地、市街地にある樹木をいかに保存していくかということが多くの都民の皆さんの関心事でありまして、神宮外苑もそうですが、都心で貴重な樹木を守ってほしいという運動があちこちにあります。
 樹木を保存するための具体的な対策もぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しております。
 本制度においては、一定規模以上の既存樹木等に関し必要な調査を行い、行為地内にそのまま残すか、または行為地内において移植することについて、適正な検討をすることを求めております。

○里吉委員 今の制度の説明は、市街地で一定規模以上の樹木を守るための制度です。そういう内容です。私が求めているのは、いわゆる市街地で樹木を守るために、東京都として何らかの対策が必要ではないかという質問なんですね。
 これ、以前にも紹介したと思うんですが、世田谷区にはみどりの基本条例というのがありまして、それに基づいて樹木の伐採届という制度があります。一定の高さ、太さ以上の樹木の伐採について届出が必要となります。
 届出を出す方に対して、既存樹木の保全のお願いということがされるんですね。これはまず、樹木を保全してください、可能な限り既存の位置で樹木を残してくださいというお願い。次に、それが駄目なら移植してください、検討してください。そして、代替植栽してください。この三つのお願いとともに、樹木の移植をする際には助成制度もありますよという案内もしております。強制力はありませんけれども、既存樹木を保全する力、誘導というか、それにはなるんじゃないかと思うんです。
 そして、例えば東京都の中でも、東京都が所有する都立公園内での樹木や都道の街路樹の伐採についても、住民の皆さんから度々やめてほしいという声が上がっているんですね。
 これも以前紹介しましたが、最近では西部公園緑地事務所の建て替えに伴って、多くの樹木の伐採が計画され、住民の見直しを求める声が広がる中で、建設局が当初の計画を変更し、一部樹木伐採を取りやめるということもありました。
 ここはまだ解決はしていませんが、ここにはいわゆる希少植物などもあるといわれており、生物多様性の保全という観点からも、住民の皆さんの声によって貴重な環境が一部守られた結果となっているのではないかというふうに思います。
 こうしたことから、環境局として市街地の樹木の保全をするための対策、伐採抑制をする対策を検討すべきだと考えますが、再度伺います。検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しております。
 本制度においては、一定規模以上の既存樹木等に関し必要な調査を行い、行為地内にそのまま残すか、または行為地内において移植することについて、適正な検討をすることを求めております。

○里吉委員 これ、また別の機会にやりたいと思いますが、少なくとも、例えば今いった東京都の所管する樹木というのでしょうか、都立公園の中ですとか、それから都道の街路樹ですとか、こういったところで極力保全するためのガイドラインなどをつくるべきではないかと思うので、これはぜひ検討していただきたいということを強く申し上げておきます。
 樹木の存在は、特に市街地にとって木陰をつくるということでも大きな役割を果たしています。夏の暑い中だと、木陰に入っただけで体感温度が二、三度は下がるというのを皆さんも体感していると思います。ぜひここは、どうしたら守れるかという立場で取り組んでいただくことを強く要望しておきます。
 そして、次に緑の量について、都の指標であるみどり率について伺いたいと思います。
 緑被率とみどり率の違いとは何か、東京都では、いつからみどり率しか示さなくなったのか、時期とその理由について伺います。

○和田自然環境部長 緑被率は緑が地表を覆う部分が地域全体に占める割合をいい、みどり率は緑被部分の面積に公園内の緑で覆われていない区域と、水面を加えた面積が地域全体に占める割合をいいます。
 都は、平成十年度からみどり率の把握を開始しており、その後、五年ごとに調査を行っております。
 緑には生物の生存基盤、潤いや安らぎ、防災、都市環境の改善という多面的な機能があります。こうした多面的な機能は、樹林や草地などの緑に覆われた地表だけではなく、緑に覆われていない部分も含めた公園全体や河川等の水面においても発揮されております。
 このため、都では、公園内の緑に覆われていない部分や河川などの水面の面積を加えた指標であるみどり率を採用しております。

○里吉委員 緑の持つ多面的な機能に注目するとして、その機能を引き出すという位置づけの公園施設や河川の面積に、いわば視点をずらすということで、緑そのものが減っていることを見落とすなら本末転倒だと思うんですね。
 実際に、みどり率とともに、葛飾区では緑被率と併せて示しています。東京都としても、みどり率とともに、少なくとも緑被率も併せて公表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○和田自然環境部長 ただいまご答弁いたしましたとおり、都は、緑の多面的機能である緑の質をはかることのできるみどり率を引き続き公表してまいります。

○里吉委員 これ、ずっと、みどり率しか東京都は公表していないんですが、二〇〇〇年、平成十二年の委員会質疑で我が党の清水ひで子委員がこの問題を取り上げておりまして、その際、みどり率という指標は、国の計画では用いられていないと自然環境部長が答弁しています。つまり、東京都独自の考えということなんです。
 これ、変わっているなら後で教えていただきたいんですが、東京都独自のみどり率を採用しているとしても、東京都は昔からずっと緑で覆われている部分は、じゃあ、どれぐらいなのか。緑被率とみどり率を比べたら、絶対に緑被率の方が少ないですよね。河川とか緑じゃない公園の中のグラウンドとかを足しているわけですから。その二つをせめて、それぞれを公表するべきだということなんですけれども、ちょっと確認しますけれども、みどり率を公表するようになってから、東京では緑被率は調査していないということなんですか。お伺いします。

○和田自然環境部長 ご答弁いたします。みどり率を採用して以降、緑被率については調査をしていないという状況でございます。

○里吉委員 私、いろいろ探していたら、令和四年三月葛飾区という葛飾区緑被率・みどり率調査という報告書が出てきたんですけれども、当たり前ですけれども、川と公園の中のグラウンド部分がありますから、緑被率は約一八%、みどり率は二八%、一〇ポイントぐらいの差があるということが分かるんです。
 それぞれの丁目ごとに葛飾区では調べているんですが、本当に緑について、量的な部分もどう実態を把握するのかという点では、少なくとも緑被率調査をして公表ぐらいはしていただきたいということを指摘しておきます。
 そして、自然地である森林とか、それから大事な農地も緑の一部として守らなければなりません。そのためには、東京都でも産業労働局との連携が必要です。開発に規制を加えるためには、ここについて議論するためには、都市整備局との連携も必要です。
 全局横断的な取組を進めて、これらの課題に立ち向かっていかなければならないと思いますが、これまでどのように他局と都庁全局で横断的に取り組んできたのか、また、これからはどのように全局との連携に取り組んでいくのか伺います。

○和田自然環境部長 地域戦略の改定に当たっては、自然環境保全審議会への諮問後、関係各局の企画担当などで構成する生物多様性地域戦略の改定に向けた庁内検討会を設置し、全庁的に検討を進めてまいりました。
 今後とも、引き続き関係各局と連携した取組を進めてまいります。

○里吉委員 ここでも関係各局と連携して取り組んできたし、これからも取り組んでいくというご答弁なんですが、具体的にそれがどう生物多様性を守るために、保全するために、または回復するために生かされるのかという実際のところが大事なんですよね。
 もう質問はしませんけれども、具体的には、例えばこの委員会で趣旨採択された、建設局の方で、委員会で議論があったんですけれども、野川流域河川整備計画の最上部分の区画、未着手なので、ここは国分寺崖線のはけなので、ここの自然を再生させてほしいという陳情が趣旨採択されているんです。
 こういった自然環境に関わる部分というのは、何も環境局だけが所管しているわけではもちろんありませんから、だから全局、全庁的に検討もされていると思いますし、これから実現していくためにも、中間まとめも一七九ページに(仮称)生物多様性地域戦略庁内推進会議というのが位置づいておりましたけれども、こういうところで具体的にこういうことを早期に進めることなども検討するきっかけになるような会議にしていただきたいと思います。
 環境局の皆さんが旗振りをしたことで、私は、例えば都が所管している既存施設への太陽光パネルの設置など、なかなか私たち、学校ですとかほかの場所でも既存の施設につけてほしいという話をいろんな委員会でしてきましたけれども、これ、一気に進んだっていうのは本当に大きな成果だなというふうに思っているんです。
 ですから、自然環境部の積極的なイニシアチブで、生物多様性についても気候危機対策と同じように重要な柱ですから、より有効的な推進会議としていただいて、連携を進めていただきたいということを要望して、次の質問に行きます。
 次は、何点か東京都環境基本計画について伺います。
 環境基本計画が改定されましたが、前々計画では、温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減するという目標でしたが、三・七%の削減にとどまりました。
 今回、二〇〇〇年比五〇%削減という目標は大事な目標なんですが、これまで目標を達成できなかった総括とともに、今回どのようにこれを達成していくのか、具体的なロードマップを描いているのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 二〇二〇年度速報値での都内温室効果ガス排出量は五千九百九十万トンCO2と基準年である二〇〇〇年度比で三・七%の減少となる一方、エネルギー消費量は二七・三%減と着実に減少しております。
 これは、東日本大震災以降、都内電力の二酸化炭素排出係数、すなわち使用する電気一キロワットアワー当たりのCO2排出量が増加したことによるものでございます。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、さらなる省エネの深掘りと再生可能エネルギーの利用拡大が不可欠です。
 都は、今般改定した環境基本計画に基づき、条例制度の新設、強化や支援策の拡充などのあらゆる施策を総動員しながら、太陽光発電設備設置拡大等の再エネ利用の拡大、建物の断熱性向上、高効率設備の導入などによる建築物対策などを戦略的かつ計画的に推進してまいります。

○里吉委員 どこまでこのロードマップが具体的になるかっていうことは、これからだと思いますけれども、前回、二五%削減という目標に対して、係数が悪くなっていなければ達成できたっていうことでもないと思うんですよね。
 今回は、確かにおっしゃるように具体的な手だてを今までになく多分野で打っておりますので、ぜひこれを一つ一つ確実に実行していっていただきたいと思いますし、課題があれば私たちも指摘し、進めていく立場で、私も取り組みたいと思っています。
 その点で、これまで何度も私たち繰り返し指摘していることなんですが、現在、東京都内では高さ三百五十メートルの超高層ビルなど、建設計画が次々進んでいます。こうしたビルは、キャップ・アンド・トレードの対象にはなりますけれども、やはりあまりにも次々こうした超高層ビルが建設されれば、CO2排出量が一気に増えることを抑制することはできないのではないかと考えます。
 この建設ラッシュ、抑制が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 東京が持続的な発展を続けていくためには、環境負荷が少なく、投資や企業を引きつける都市であり続けることが重要です。
 そのため、都は、大規模な新築建物を対象とした建築物環境計画書制度、大規模な既存建物を対象としたキャップ・アンド・トレード制度等の先進的な施策を展開し、建物からのCO2削減に取り組んでまいりました。
 こうした取組により、都内では経済成長を維持しつつ、エネルギーの消費を減らしていくデカップリング、切り離し傾向が続いております。
 今回策定した東京都環境基本計画に基づき、建物のさらなる省エネや再エネ利用など、これらの制度の強化拡充を進めるとともに、先進的企業等、様々な主体との連携を図りながら、ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。

○里吉委員 東京のカーボンハーフ、ゼロエミッションを実現していくためには、国の特区制度などがもたらす本当に無秩序な超高層ビル建設を放置することはできないというふうに考えますが、キャップ・アンド・トレード制度には、これを抑制することは今のところ期待できないということだと思うんです。
 同時に、建てた以上は総量規制の対象になりますから、ハイレベルな環境性能を持つ事業所は、削減目標達成に向かって、最後まで全体を引き上げる役割を果たすことが期待されるというふうに思います。
 そこで伺いますが、今、検討中のこの制度なんですが、トップレベル認定事業所、仮称カーボンハーフビルを前倒しで実現した場合、削減義務率をゼロ%とするなどとあります。同時に、カーボンハーフは通過点にすぎない、インセンティブ策の検討に当たっては、さらなる高みを目指す必要があるとも述べています。
 ここでも懸念が示されているように、事実上トップレベル企業に対して、総量規制制度から抜け出すことを許すことになってはならないと思うんですが、このことについて総量規制制度から抜け出すことを許すことになるのではないかと考えますが、見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 トップレベル事業所認定制度を含めたキャップ・アンド・トレード制度の改正については、今後も引き続き専門家の意見を聞きながら、より効果的な施策となるよう検討してまいります。
 新たな環境基本計画に基づき、建物のさらなる省エネや再エネ利用を促進しながら、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現を目指し、取組を推進してまいります。

○里吉委員 そして、数も問題なんですけれども、そのビルの一つ一つの新築する建材は都内ではつくられていないため、都内のCO2換算には含まれていないと思います。
 今回、ゼロエミッションビルディングの拡大という方針の中で、施策の方向性の中に低炭素資材の活用を促進するということが書かれておりまして、これ、大変注目したんですけれども、具体的にはどのようなことを検討しているのか伺います。

○木村建築物担当部長 ゼロエミッションビルディングの拡大には、稼働時だけではなく、建物の建設に係る環境負荷の低減に取り組むことも重要でございます。
 例えば、製造、加工時に要するエネルギーが少なく、二酸化炭素の排出抑制と炭素貯蔵効果がある木材などの低炭素資材の活用を促進していくことが効果的でございます。
 そのため、大規模新築建物の制度改正に当たり、低炭素資材利用への転換等を促す取組を積極的に評価することを検討してございます。

○里吉委員 もう一つ、生物多様性への配慮という言葉もここに入っております。先ほど質疑しましたけれども、開発行為が生態系に与える影響を定量的に評価する手法として、生態系に配慮した緑化評価ツールというのがあって、例えば東京都では、在来種の植栽を促すための江戸のみどり登録緑地制度などがあるということが先ほど示されましたが、今回示されている生物多様性への配慮というのは、どんな緑を入れるのかというときに、こういった方向性に沿って求めるという中身でよろしいのか伺います。

○木村建築物担当部長 気候変動と生物多様性には、相互に密接な連関があり、二つの課題を同時に解決していくことは重要でございます。
 このため、建築物環境計画書制度において、建物敷地内における現行の緑化項目を在来種による植栽など、生物多様性に配慮したものに再構成していくことを検討しております。

○里吉委員 次に、再生可能エネルギーの導入、利用の活用について伺いたいと思います。
 東京の中に、また、近くで市民電力の皆さんが再生可能エネルギーを生産する活動に取り組まれています。こういう方々のノウハウを生かして、こういう方々の力を活用して再生可能エネルギーを増やしていくという取組が重要だと思いますが、いかがでしょうか。見解を伺います。

○荒田気候変動対策部長 都は、区市町村に対し、例えば地域新電力等による再エネ電気の利用拡大に向けた地域内の電気の供給先と供給元の調整や、再エネ電気を地域で活用するための検討調査等、再エネに関する取組に対し、補助を実施しております。
 今後とも、再エネ電気を導入、利用する取組を促進し、都内での再エネの利用拡大を推進してまいります。

○里吉委員 区市町村に対して補助を実施しているということでしたけれども、これまでどの程度活用されたのか、その実績について伺います。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 お話の補助につきましては、地域環境力活性化事業におきまして、令和元年度より実施してございます。
 令和三年度までに二つの自治体が活用をしてございます。

○里吉委員 再生可能エネルギーの全体の量を増やしていくためには、本当に再エネの地産地消を進めていくことが大事だと思います。ですから、この補助制度、すごく大事な制度だと思います。
 地域経済の活性化という点でも、そして自治体こそぜひ取り組んでいただきたいという点でも、ここはなぜ二自治体なのかと、もっと増える可能性はないのかということについて、ぜひ検証していただきたいし、必要であれば制度の改善もどんどん進めていただきたいというふうに思います。
 最後に、エネルギー供給事業者への新たな対策が示されていますが、再エネ電力割合の高い電力供給事業者の拡大、誘導と書かれていますが、これは具体的にどう進めていくのか伺います。

○荒田気候変動対策部長 電気供給事業者による再エネ電気の供給拡大を促すため、都内に電気を供給する電気供給事業者を対象とするエネルギー環境計画書制度を強化してまいります。
 具体的には、都として再エネ電力割合の二〇三〇年度目標水準を設定、提示するとともに、電気供給事業者に対し、本水準を踏まえた目標の設定や計画の策定を求めてまいります。
 また、電気供給事業者から報告された計画、メニュー等の情報を都が分かりやすく表示、発信することで、意欲的に取り組む事業者が需要家から選択されることを促してまいります。
 こうした制度強化により、再エネ電力割合の高い電気供給事業者の拡大を誘導してまいります。

○里吉委員 何回もこれ説明を受けたんですけれども、これだけですと、これで本当に再エネ電力が増えるのかというのは、ちょっと心もとないんです。ただ、さっきご説明いただいた地域環境力活性化事業で補助金も出ているということで、NPOですとか、地域で再生可能エネルギーを増やして、それで地域で地産地消するっていう枠組みができれば、そこにきちんとこの電気供給事業者が入っていければ、回っていくのかなというふうにも考えました。
 脱炭素社会の実現に向けて、海外からの輸入に頼る火力発電から、国産で安全な再エネへシフトしていくということは待ったなしの課題ですから、これを地域の産業としても、また、市民電力など市民の皆さんとも一緒になって再エネをつくるという方向に、増やすということに向けていけるようぜひ進めていただきたい、制度についてもいろいろと検討していただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

○田村委員 私からは、まず、太陽光発電の設置義務化について伺います。
 太陽光発電設備の設置義務化を含む新制度の実施に向けた支援策について、都は、九月九日にカーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針を公表し、その中で新制度の実施に向けた支援策の方向性が示されました。これは、制度構築に当たっては事業者等への支援と併せて検討していくべきであるという都議会自民党の主張に沿うものであります。
 新制度を進めていく上では、現在、都が検討している住宅供給事業者への支援は欠かせないものと考えます。
 そこで、改めて、先般都が公表した支援策の考え方について伺います。

○関制度調整担当部長 制度の円滑な施行に向けては、住宅供給事業者や住宅の購入者等の状況に応じた取組を支援することが重要でございます。
 そのため、都は、これから準備を行う事業者に対して、太陽光パネル設置に向けた施工技術の向上等の支援を行うとともに、制度施行前に先行的に取り組む事業者の積極的な取組を後押ししてまいります。
 また、施主や購入者等に対し、太陽光発電設備の設置時からアフターフォローまでの支援を実施してまいります。
 加えて、総合相談窓口の設置や情報発信などにより制度への理解を促進してまいります。
 こうした支援策を通じて、円滑な制度施行につながる機運を醸成し、脱炭素化に向けた取組を推進してまいります。

○田村委員 各主体に対する支援策を講じ、円滑な制度施行につなげていただくとの考え方については理解をいたしました。引き続き、事業者、都民に寄り添った支援策を検討していただくことを要望いたします。
 次に、制度の仕組みについて伺います。
 先日の代表質問において、事業者への対応に関する我が会派からの質問に対し、大手ハウスメーカー以外の事業者も利用可能となる仕組みとし、業界全体の取組促進につなげていくとの答弁がありました。
 こうした取組は、新築建物全体の環境性能の向上に大きく寄与すると考えられ、しっかり取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○木村建築物担当部長 建物の脱炭素化を進めるためには、断熱、省エネ性能の向上、太陽光発電設備等、再エネ設備の設置を標準化していくことが重要でございます。
 新制度では、大手ハウスメーカー以外の事業者からも、断熱、省エネや再エネ設備設置等の実績報告を任意で受け、その結果を公表することで、積極的な事業者の取組を促す仕組みとしてございます。
 都は、こうした事業者の取組をさらに後押しするため、補助制度の拡充などにより、事業者が活用しやすい支援策を検討してまいります。
 今後、こうした取組を通じ、業界全体の取組促進につなげていくとともに、環境性能の高い建物の標準化を目指してまいります。

○田村委員 制度が実現した場合、業界全体で環境性能の高い建物の標準化が進むよう、しっかりと制度設計を進めていただきたいと思います。
 次に、保全地域について伺います。
 本年七月に、保全地域の価値、魅力を一層高めるため、保全地域の保全・活用プラン(中間のまとめ)が公表されました。二〇三〇年度の目指す姿に向けた今後の取り組むべき施策が掲げられ、今般改定予定の生物多様性地域戦略の施策の一つにも位置づけられており、今後、その着実な取組が求められます。
 プランでは、目指す姿に向けた今後の取り組むべき施策として、二〇五〇年度までに約百ヘクタールを指定、公有化する目標を掲げており、こうした目標設定は大変意義のあるものと考えます。
 そこでまず、目標達成に向け、保全地域を指定することにより、どのような意義があるのかについて、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、一定程度まとまった丘陵地における里山や、市街地に残る樹林地などの良好な自然地を都民の大切な財産として末永く残していくため、保全地域に指定しております。
 保全地域には、雑木林、農地、湧水等が一体となった谷戸地形などを対象とする里山保全地域や、市街地近郊の樹林地、水辺地等を対象とする緑地保全地域などがあります。
 こうした保全地域は、貴重な自然地が将来にわたって開発等から守られるため、多様な生き物の生息、生育地として、生物多様性保全上、重要な役割を果たしております。

○田村委員 保全地域は、生き物の供給や気候の調整など、私たちが享受する生態系サービスの基盤につながるものです。しっかり取組を進めていただきたいと思います。
 一方で、この指定に向けた目標である約百ヘクタールが指定、公有化されるのは二〇五〇年度までとしています。今から約三十年先であり、その間、貴重な緑地は減少し続けることになります。プランが二〇三〇年度までのあるべき姿を示しているのであれば、併せて指定、公有化の目標も掲げるべきです。
 そこで、保全地域の二〇三〇年度までの指定、公有化の取組の強化が重要と考えますが、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長 都はこれまで、五十か所、約七百六十ヘクタールの自然地を保全地域として指定してまいりました。
 中間のまとめでは、生物多様性保全の観点から、重要な自然地を二〇五〇年度までに百ヘクタール程度、保全地域として指定、公有化する目標を掲げております。
 今後、二〇五〇年度の目標を確実に達成するためには、到達すべきより短期的な目標設定が重要であります。
 このため、プランに掲げる保全地域の二〇三〇年度の目指す姿に合わせ、指定、公有化を図るべき目標の検討を進めてまいります。

○田村委員 二〇三〇年度までの指定、公有化の目標をしっかり設定して、都内に今も残る貴重な緑地を着実に保全していただきたいと思います。
 次に、プランは生物多様性地域戦略の施策の一つであることから、生物多様性保全の視点からも伺います。
 保全地域に指定されたものの、十分な管理ができなかったために、植生の変化、湿地の乾燥化など、自然環境が荒廃し、生物多様性が低下している地域が生じるなどの問題も顕在化してきています。
 プランでは、今後、保全地域が東京の生物多様性保全の拠点の一つとなることが示されていますが、その役割を果たすためには、保全活動に取り組むボランティア団体などの各主体と緊密な調整が欠かせません。
 そこで、保全地域に携わる様々な主体と連携しながら、生物多様性に配慮した保全活動を推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長 保全地域の生物多様性保全に配慮した管理運営を行うためには、保全地域を支える多様な主体が保全活動の共通の目標に向けて、連携しながら取り組むことが重要であります。
 そのため、都は、本年度から保全地域の保全活動に携わる各主体の全体調整を行うコーディネート事業を実施することといたしました。
 現在、湧水や湿地と雑木林とが一体となった矢川緑地保全地域などにおいて、希少種等の自然環境調査や専門家などからのヒアリングを実施しております。
 こうした調査結果や地域の特徴を考慮し、保全活動の作業プランを新たに作成した上で、ボランティア団体や地元自治体などと共有し、各主体の役割をきめ細かく調整しながら、保全活動を着実に実施していく体制の構築に取り組んでおります。
 今後も保全活動に携わる多様な主体と連携しながら、生物多様性に配慮した保全活動に取り組んでまいります。

○田村委員 保全地域を将来にわたり保全できるよう、地元自治体やボランティア団体等と丁寧に連携を進め、保全活動の取組を進めていただくよう要望し、私の質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、付託議案、報告事項及び陳情に対する質疑は終了いたしました。
 これより陳情の採決を行います。
 陳情四第二六号をお諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認めます。よって、陳情四第二六号は不採択と決定いたしました。
 陳情の審査を終わります。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時散会

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