環境・建設委員会速記録第七号

令和四年六月十日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長須山たかし君
副委員長里吉 ゆみ君
理事田村 利光君
理事関野たかなり君
理事加藤 雅之君
北口つよし君
漢人あきこ君
鈴木  純君
西山  賢君
星  大輔君
原  純子君
たきぐち学君
伊藤 ゆう君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長節電行動連携担当部長兼務小川 謙司君
環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務上田 貴之君
地球環境エネルギー部長荒田 有紀君
次世代エネルギー推進担当部長榎園  弘君
事業調整担当部長三浦 大助君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長木村 真弘君
環境改善部長鈴木 研二君
環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務宗野 喜志君
自然環境部長和田 慎一君
生物多様性担当部長節電行動連携担当部長兼務関   威君
資源循環推進部長志村 公久君
資源循環計画担当部長村上  章君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長副島  建君
道路監花井 徹夫君
総務部長浅野 直樹君
用地部長澤井 晴美君
河川部長齊藤 俊之君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
意見書について
建設局関係
契約議案の調査
・第百六十一号議案 呑川防潮堤耐震補強工事(その二百八)請負契約
・第百六十二号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百十一)その二請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百六十五号議案 土地の買入れについて
環境局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十四号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為 環境局所管分
・第百五十二号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都環境基本計画の改定及び環境確保条例の改正による制度強化について(中間のまとめ)

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽根委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年六月八日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 曽根はじめ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百六十一号議案 呑川防潮堤耐震補強工事(その二百八)請負契約
 第百六十二号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百十一)その二請負契約
2 提出期限 令和四年六月十日(金)

○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び環境局関係の付託議案の審査、建設局関係の契約議案の調査並びに環境局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百六十一号議案及び第百六十二号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○北口委員 私からは、綾瀬川の耐震対策について質問をいたします。
 東京の東部低地帯では、地盤が海水面より低いゼロメートル地帯が広く分布しており、過去にも洪水や高潮などによる甚大な被害を受けたという歴史があります。また、地震によって堤防が壊れてしまった場合、津波等により広範囲で浸水してしまうおそれがあります。
 そのため、都は、東日本大震災後の平成二十四年度に、東部低地帯の河川施設整備計画を策定し、河川施設の耐震対策を進めてまいりました。
 私の地元葛飾区を流れる綾瀬川でも、都が大変力を入れて、着々と耐震工事を進めていただいておりまして、地震に対する安全性が高まっていることを実感しておりまして、感謝をしております。
 そこで、綾瀬川における護岸の耐震対策の進捗状況と今後の取組についてお伺いをいたします。

○齊藤河川部長 都は、整備計画に基づきまして耐震補強工事を実施してきており、綾瀬川におきましては、令和三年度までに、対策延長約十一キロメートルのうち約九割を事業化いたしました。
 残る区間につきましては、令和四年度からスタートしております第二期の整備計画に位置づけております。
 今年度は、本契約案件を含め、対策延長約一キロメートル全てにおきまして工事に着手する予定でございます。

○北口委員 綾瀬川における護岸の耐震対策については、今年度中に全ての区間で事業化され、確実に地震に対する安全性が向上してきている状況を確認させていただきました。
 この綾瀬川は、葛飾区内の西側を流れて中川と合流し、その下流には上平井水門があります。この水門は、堤防とともに高潮や津波の脅威から地域を守る重要な施設であり、堤防と同様に耐震対策が進められております。
 そこで、上平井水門の耐震対策の内容と進捗状況についてお伺いをいたします。

○齊藤河川部長 都では、上平井水門におきまして、最大級の地震が発生した際にも確実に水門が閉鎖できるよう、平成二十七年度から耐震補強工事を実施しております。
 水門の耐震対策といたしまして、水門の門柱を含めたコンクリート躯体の補強や門扉の交換等が令和三年度に完了いたしました。
 引き続き、令和五年度までの事業完了を目指し、水門と接続する中川の堤防の耐震補強工事等を着実に進めてまいります。

○北口委員 綾瀬川の耐震対策と併せて、上平井水門の耐震対策も確実に進捗していることが確認できました。
 一方、首都直下地震が発生した場合には、震源が近いことから、津波の到達が速く、水門が閉鎖する前に津波が到達する可能性が懸念をされます。
 そこで、首都直下地震の津波の高さと、上平井水門より上流側の綾瀬川、中川の護岸の高さの関係についてお伺いをいたします。

○齊藤河川部長 東京都防災会議によりますと、首都直下地震における最大の津波高さは約A.P.プラス三・〇メートルとされています。上平井水門より上流側の綾瀬川及び中川の護岸は、計画高A.P.プラス五・〇メートルで整備が完了しており、最大の津波高さに対しまして約二メートル高くなってございます。

○北口委員 水門上流側の綾瀬川、中川の護岸の高さが首都直下地震の津波に対しても十分な高さがあることが確認できました。
 今回工事が行われている綾瀬川が流れる区内西側は、ゼロメートル地帯が広がる葛飾区内でも最も海抜が低い地域となります。万が一の首都直下地震などの際、堤防の決壊による水害や津波などの二次被害から地域住民を守らなければなりません。一日も早い工事の完成に向けて、着実に進めていただきたいと思います。
 また、私もこうした取組が地域住民の安心につながるよう、しっかりと地域の皆様へ伝えていきたいと思います。
 本耐震化工事の早期完成を改めてお願い申し上げまして、質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○曽根委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百六十五号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○星委員 私からは、大戸緑地の土地の買入れに関連しまして質問をさせていただきます。
 私の地元である町田市の大戸緑地は、高尾山、神奈川県の津久井湖なども程近く、ハイキングルートとして多くの都民の方々に楽しまれていただいているところです。
 また、公園の計画地内においては、町田市の大地沢青少年センターがありまして、境川の源流域となるなど、環境教育のフィールドや自然環境の保全の点からも、非常に大切なエリアだと考えております。
 そこでまず、大戸緑地における環境整備についてお伺いをさせていただきます。

○根来公園計画担当部長 大戸緑地は、町田市西端の都県境に位置する約百十七ヘクタールの都市計画緑地でございまして、委員お話しの町田市の大地沢青少年センターを除いた、計画区域の約五割となる約四十三ヘクタールの用地を取得してまいりました。
 取得した用地について、これまで樹林地の間伐や、谷戸における水辺の復元など、里山景観の再生に取り組みますとともに、展望地や駐車場、トイレなどを整備しまして、約二十九ヘクタールを開園しました。
 令和四年度は、開園区域と隣接する約一ヘクタールの樹林地において、間伐や園路などの整備を進めてまいります。

○星委員 ありがとうございます。百ヘクタールを超える計画となる非常に大規模な都立公園であります。着実に事業が進んでいるという答弁でありました。
 あと、計画区域内全体は、整備までは時間がかかると思いますけれども、拡張に向けた整備に対しまして、順次取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、大戸緑地における整備の考え方をお伺いさせていただきたいのと、あと、今回取得する用地、どのように活用していくのか所見をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 平成二十二年に策定した整備計画では、丘陵地の豊かな自然を保全し、自然体験を通じて、都民と共に育む公園づくりを基本理念としておりまして、計画区域を樹林地保全ゾーンやレクリエーションゾーンなど五つのゾーンに区分し、自然環境の保全と利用とのバランスを図ることとしております。
 このたびの用地取得箇所はレクリエーションゾーンに位置づけておりまして、町田街道からのアクセスのよさや、平たん地などの広がりを生かして、都民がキャンプを楽しめる施設等を配置することとしております。
 令和四年度は、現在実施中の自然環境調査の結果等も踏まえて基本設計を行い、豊かな自然環境を生かした公園づくりを進めてまいります。

○星委員 自然環境を生かしたレクリエーションの拠点ということでありました。野外で大人から子供までが自然と触れ合いながら楽しめるエリアができるということでありますので、期待をしております。
 また、地元の方々も非常に期待をしているところでありますので、早期整備に取り組んでいただくよう要望させていただいて、私の質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。

○曽根委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、環境局長から幹部職員の紹介があります。

○栗岡環境局長 去る六月一日付の人事異動によりまして、兼務発令のございました幹部職員をご紹介させていただきます。
 総務部長で節電行動連携担当部長兼務の小川謙司でございます。環境政策担当部長で節電行動連携担当部長、政策企画局カーボンハーフ担当部長、子供政策連携室子供政策調整担当部長兼務の上田貴之でございます。環境改善技術担当部長で節電行動推進担当部長兼務の宗野喜志でございます。生物多様性担当部長で節電行動連携担当部長兼務の関威でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○曽根委員長 紹介は終わりました。

○曽根委員長 次に、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百十四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為、環境局所管分、第百五十二号議案及び報告事項、東京都環境基本計画の改定及び環境確保条例の改正による制度強化について(中間のまとめ)を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○田村委員 私からは、太陽光パネル設置義務に対する補助制度についてお聞きします。
 六月八日の第二回定例会一般質問の松田りゅうすけ議員からの太陽光パネル設置義務に係る初期投資に対する質問に対し、電気代削減や売電収入により十年程度で回収できる試算であり、補助金を入れると六年程度になる試算であり、さらにその先の売電収入により廃棄コスト等も賄える見込みという答弁がありました。
 現在、都は、東京ゼロエミ住宅の太陽光パネル設置に対する補助制度を設けていますが、この答弁の中の補助とは、これとは別に、今後新設される太陽光パネル設置義務に対する補助制度なのかお聞きします。

○木村建築物担当部長 都は、ゼロエミッション東京の実現に向け、一定規模の新築住宅等を供給する事業者に太陽光発電設備の設置を義務づける新たな制度を検討しております。
 環境審議会の中間のまとめでは、新たな制度を高く評価するとともに、都民、事業者が感じる不安をできる限り払拭するための方策についても多面的に検討していくべきとの意見をいただいてございます。
 先日の一般質問における、補助金を入れると六年程度で投資回収が可能との試算は、初期投資の不安に対し、現在実施しているゼロエミ住宅に対する補助を仮に適用した場合の試算を示したものでございます。
 都は今後、より実効性ある制度とするため、専門家の意見を伺いながら、都民や事業者の理解と共感を得られる制度と支援策を検討してまいります。

○田村委員 太陽光パネル設置義務に対する補助制度は、今後検討されることが分かりました。我が会派の太陽光パネル設置義務に関する代表質問に対し、今後、都民や事業者から出ているような課題にも一つずつ丁寧に応えるとともに、理解と共感を得られる制度と支援策を検討すると答弁したとおり、万が一、太陽光パネル設置が義務化される場合には、都民や事業者の負担を踏まえ、しっかりと寄り添った補助制度が策定されていることが前提であることを強く主張して、質問を終わります。

○伊藤委員 それでは、私の方からは、今、質問者の方からもありましたが、このたび東京都で検討が進んでおります太陽光パネル設置義務条例に向けて質疑をさせていただきたいと思います。
 基本的なスタンス、立場は、先般の代表質問でも、私ども都民ファーストの会として表明をいたしているところでございます。すなわち、大きなこの気候変動危機を前にして、東京都としてできることの大きな取組の一つが、この太陽光パネルの設置拡大でございます。
 そういう意味では、大局的に見て、これから増やしていける再生可能エネルギー、どこにあるのかといえば、やっぱりそれは太陽光に、現時点においては尽きるだろうというふうに考えております。
 そうした中で、まず幾つか確認をさせていただきたいと思いますし、またこの間、この太陽光パネルの設置義務化という言葉がいささか独り歩きをいたしまして、かなり、初期の報道において誤解を都民、国民の皆さんに与えているように思っております。
 とりわけて、全ての住宅が対象になる、あるいはまた個人が義務の対象になる、あるいは十分な支援がないなど、現在東京都の方で検討がされていることとは大きく異なるような誤解というものを都民の皆さんは受け止めて、誤解を持ってございます。
 そういう意味では、この質疑を通じまして、一つ一つについて答弁を得ながら、理解を得られるように努めてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、今申し上げました幾つかの誤解がありますが、今回東京都が検討している義務化の仕組みについて、ここで改めて概要をご説明願いたいと思います。

○木村建築物担当部長 都が現在検討している制度では、個人ではなく、都内に年間延べ床面積で二万平方メートル以上の新築住宅を供給する大手ハウスメーカーなど五十社程度が対象となる見込みでございます。
 日照条件に応じた地域ごとの設置率を定め、建物一律ではなく、事業者が敷地特性や個人の意向などを配慮できる仕組みを検討してございます。
 日照条件が同じであっても、住宅購入者の意向によって多く設置したり、設置しないことができる仕組みとしてございます。

○伊藤委員 この後少し具体的に確認をしていきますが、簡単にいえば、一つには、今回検討している制度は個人が対象ではなくて、いわゆるハウスメーカー、事業者さんに対してその義務を課していくと。そして、全てのハウスメーカーということじゃなしに、年間に二万平米以上の新築住宅を提供する大手ハウスメーカーさん、大体五十社程度が対象になる、こういう理解で間違っていないかと思います。
 また、日照条件等も含めて、これまでに東京都の方で空撮をしたり、様々な調査を重ねて、東京都内の住宅の屋根においてどれぐらいの面積が、あるいはどのエリアのどういった建物が太陽光パネルでエネルギー供給可能かどうか、生産可能かどうかということを、十分に都としてはまず承知をもう既にされていて、その上で配分を決めていくとか、こういう理解でよろしいですか。いや、いいです。そこでうなずいていただければ。いいですか。合っていますか。--はい。
 それで、今お話にあったのは、住宅購入者の意向によっては設置しないことも可能という答弁でございました。これは、これからまた検討が進む中で、購入者の選択の余地の幅というのが当然議論されていくんだろうと思いますが、義務化という条例のニュースが出るとともに、選択の余地があるよということが併せて出ますと、理解が非常に難しくなる側面も一方であります。
 これは選択の余地が一定程度あるということをしっかり担保するということで、個人の消費者の方々に対して安心感を与えるという狙いだろうと思いますが、そこは丁寧な説明が改めて必要だと思いますので、ここで購入者の選択の余地というのはどれぐらいあるのか、ご答弁をいただきたいと思います。

○木村建築物担当部長 現在、都が検討している制度におきましては、制度対象者は建築主に断熱、省エネ、再エネなどの建物性能、義務制度、負担、メリットなどを丁寧に説明することも求めてございます。
 本制度における義務の履行は事業者単位で判断するため、住宅購入者の意向で多く設置したり、設置しないことができる柔軟な仕組みとなってございます。
 制度対象事業者が説明を行った上で、建築主が太陽光発電設備の設置を希望しない場合には、設置をしていない住宅を購入することが可能となってございます。

○伊藤委員 今、恐らく答弁できるところはこれが精いっぱいなのかなと思いますが、多分この答弁だけを聞いても、なかなか一般の方はどれだけの選択の余地があるかは分かりにくいというふうに思いますので、この辺の、設置していない住宅を購入することも可能であるとする幅、どういう幅で、どういうときにそういうことがあり得るのかということについては、これからしっかり検討していただいて、分かりやすい解説で周知をお願いしたいというふうに思います。
 それから、大手メーカーに対する義務ということになるわけですけれども、地域には小さな工務店さんが家を建てるというような例もたくさんあるわけですが、そうした工務店さんなど、対象外のハウスメーカーさんに施主さんが発注をした場合には、義務の対象外になるのか改めて確認しておきたいと思います。

○木村建築物担当部長 本制度の義務対象となる事業者以外の工務店などが供給する住宅につきましては、設置義務の対象となることはございません。

○伊藤委員 大手さん以外のところ、五十社程度以外のところについては対象にならないということでした。
 当面その方が、小さな工務店さんなんかではなかなか対応し切れない部分もあろうかと思いますので、いいと思うんですが、ただ、その場合には、例えば設置義務を避けようということで、むしろ工務店さんへ住宅発注が相次ぐというようなことが想定できたり、あるいはまた、大手メーカーさんには取り次ぐ工務店さんというのもたくさんあるわけですよね、窓口は工務店さんがやるけど、実際には大手メーカーさんが造るというようなケースもあろうかと思います。
 そうしてくると、不公平感とか公正性というものの担保が非常に難しくなってくると思うので、この辺は非常に検討が難しいところだと思いますが、公平性の担保のために、今後検討するべき点というのがあらかじめ分かっていれば、ここでご答弁いただきたいと思います。

○木村建築物担当部長 現在検討している制度では、大手メーカーを中心に五十社程度、年間の新築棟数の約五割と想定してございます。これは、国の二〇三〇年までに新築住宅へ太陽光発電設備の設置を六割にするという目標に資するとともに、二〇五〇年に向け、太陽光発電の設置が一般的になるよう、住宅業界全体への波及効果を期待しているためでございます。
 制度開始後、ご指摘のような状況が発生した場合には、公平、公正の観点から制度の見直しを検討しております。中小工務店等に対しても、制度に係る情報提供を積極的に行ってまいります。

○伊藤委員 制度を見直していくことも検討していますですよね。(木村建築物担当部長「検討しています」と呼ぶ)検討していますね、はい。ということで、これは走りながら検討していただくことが必要だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 それから次に、やっぱり消費者、発注者として気になるところは、仮にも大手メーカーさんに義務が課せられたとしても、その太陽光代の価格というのが、結果、最終的な住宅価格に転嫁されるということが当然起こり得るわけでございます。
 結局は個人の負担になるとの懸念があることから、条例化に合わせて補助金の創設など、行政支援が求められるわけでありますし、都民ファーストの会としても、そうした行政支援をしっかり求めてまいりたいと考えております。
 この行政支援についての現在の検討状況について伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 これまで都民に対しては、東京ゼロエミ住宅等におきまして、太陽光発電設備の補助を拡充してまいりました。
 今後、より実効性ある制度とするため、専門家の意見を伺いながら丁寧に検討し、必要な支援につなげてまいります。

○伊藤委員 別に太陽光パネルに限りませんけれども、特にヨーロッパなんかでは、先進的な行政の取組をするに当たっては、最初は補助金をどんと出すと。しかし、段階的に補助金を減らしていくと。
 ソーシャルファーム条例を東京都で前つくりましたけれども、先進的な例えばイタリアなどでは、数年間はそこにインセンティブをどんと与えるけれども、あとは逆に社会全体がそういう循環になっていく、もちろんコストが落ちていくとかいろんなことがありますけれども。
 ですので、未来永劫、補助金を一回決めたら変えないということじゃなしに、状況に応じて増やす、あるいは、なくすということがあっていいと思いますので、その辺は弾力的に、ぜひ今後検討していただきたいと思います。
 この行政支援なんですけれども、これは義務化される事業者、いわゆるハウスメーカーに対して支援が行われるのか、それとも購入する個人の消費者の方に対して支援が行われるのか、その辺について検討状況が明らかになっていれば教えていただきたいと思います。

○木村建築物担当部長 都はこれまで、太陽光発電設備の設置に対する個人への負担を軽減する支援を行ってまいりました。こうした実績を踏まえまして、今後、専門家の意見を伺いながら、必要な手法について検討を行ってまいります。

○伊藤委員 検討を行っていくということなので、まだ判然としないんですけれども、これは意見として申し上げておきたいと思いますが、仮に支援が入る、税金を入れて補助していくといったときに、住宅メーカーさんに補助をするというパターンもあり得るんだとは思うんですが、しかし、その場合、支援した金額が実際どれぐらい価格の引下げにつながったのかという点において、なかなか消費者に伝わりにくいと思いますし、価格転嫁がどれぐらい図られ、それがどれだけ修正されたのかというのが分かりづらいと思うんです。
 ですから、私は、やっぱり支援をするにおいては購入者、さっき余地があると、設置するしないの余地もあるということであればなおのこと、太陽光パネルのついた屋根の家を買う人に対して補助するということがあってしかるべきではないかと思いますので、この補助の在り方は非常に重要な点なので、丁寧に議論をして、そして、解決策を出していただければと思います。
 とりわけて今後、いいことだと思っていますが、大手メーカーさんとかとの協議の場というものを当然持たれるというふうに思います。どうしても事業者さんとのそういう協議の場があればあるほど、消費者さんたちの声ってなかなか届きにくいですね、そういう協議の場において。我々が代弁しますけれども、今お話し申し上げたような観点で、ぜひ制度設計を考えていただきたいと思います。
 それから、もう一つの誤解として、先ほどもちょっと触れましたけれども、義務化される太陽光パネルについては、全ての都内の屋根に対して設置が義務化されるんではないかとの誤解があり、一部のテレビのコメンテーターさんなんかは、例えば、うちもそうなんですけれども、狭隘住宅で北側傾斜が多い東京都内で、そんな義務化なんかしても意味がない、こういうことを公然とおっしゃられています。
 それはそのとおりなんですけれども、しかし、私の理解では全ての屋根につけるわけじゃないということですから、多分このコメンテーターの方は誤解して発信されているわけです。ですから、その誤解をしっかり解いていただくために、対象となる屋根は限定されていると思いますけれども、その解説をまずここでお願いしたいと思います。

○木村建築物担当部長 現在検討中の制度では、一定の供給量を有する住宅メーカーに対する義務とするため、今後、毎年新築される住宅の約五割、最大二万棟程度が対象となると見込まれてございます。
 制度の検討に当たりましては、敷地や地域ごとの日照条件の差異や、都内の太陽光発電設備の実態等に配慮することが重要であると考えております。このため、都のソーラーポテンシャルマップ等に基づき、日照条件に応じた地域ごとの設置率を定めることを検討してまいります。
 これにより、日照条件の悪い住宅については、事業者に設置を求める義務量の算定から除外される仕組みとなってございます。

○伊藤委員 まさに誤解であるということが今の答弁からもはっきりと分かりましたが、ソーラーポテンシャルマップって多分、なかなか私もよく分からないですけど、都民の皆さんも、ぱっと、そういうものかというふうになかなか分からないと思うんですけど、もし簡単に解説ができれば、ぜひお願いします。ソーラーポテンシャルマップって何ですか。

○木村建築物担当部長 ソーラーポテンシャルマップでございますが、都内の日照条件からして、どの程度、太陽光発電による発電が可能かといったものを示したものでございまして、東京都の環境局ホームページにおいて、そちらの方を表示してございます。

○伊藤委員 そういう意味では、例えば自分の家が設置可能だというふうに評価されているかどうかというのは、ホームページを見れば、このソーラーポテンシャルマップから分かる。そういうことですよね。
 ですから、誤解をされていらっしゃる方、あるいは不安に思っていらっしゃる方は、ぜひそうしたマップもまずご覧をいただいた上で、対象となるところに対して、まさに今お話ありましたけれども、新築される住宅でいえば五割程度になるということでありますので、その点については、改めて皆さんの方からも発信をしていただきたいというふうに思います。
 そして、対象となる屋根が今判明しましたが、仮に、屋根全てに太陽光パネルが設置されたときの発電量及び二酸化炭素削減量というのは、都が掲げる目標に対してどれくらいのものになるのか伺いたいと思います。

○荒田地球環境エネルギー部長 対象事業者に設置を求めていく具体的な義務量につきましては、今後、専門家等のご意見をいただきながら検討を進めてまいります。
 都が策定いたしました二〇三〇年までに再エネ電力割合を五〇%に高める目標の達成をより確実なものにするためのロードマップにおきましては、都内設置の太陽光発電設備による再エネ電力が占める割合は数%と見込んでおります。
 一方、二〇五〇年に、今後新築される住宅がストックの過半を占める見通しでございまして、ゼロエミッション東京の実現には、新築住宅等への太陽光発電設備の設置が標準的なものとなっていくことが不可欠と認識しております。

○伊藤委員 都が策定したプランですけれども、ロードマップでは二〇三〇年までに再エネ電力割合を五〇%程度に高める、こういう目標を達成していかなければならないというふうに、今、都は掲げているわけであります。
 都内設置の太陽光発電設備による再エネ利用率は数%、つまりその目標を達成していくために数%だそうですね。今現時点では何%なんでしょう。分かりますか。

○小川総務部長節電行動連携担当部長兼務 現在の都内で設置されている太陽光パネルで発電されている発電量につきましては、一%に満たないというような状況でございます。

○伊藤委員 これ、結構深刻だと思うんです。もちろん都内というのは当たり前ですけれども、うちもそうです、狭隘ですし、全部が日照がいいわけではありません。この間、私、ここの質疑で小中学校の全てにしっかり太陽光パネルを貼れば、せいぜい百キロワットぐらいの太陽光パネルを貼れるんじゃないですかということを申し上げたし、お願いをしました。
 その後、様々、予算については検討していただいたわけですけれども、今の現状でいうと、太陽光発電による再エネ利用率は僅か一%から一%に満たない状況だということなんです。これを何とか、将来少なくても、将来といったってこの十年間ぐらいで三%とか四%とかにしていかなかったら、それでさえ、二〇三〇年までに再エネ電力割合五〇%にしていくというのは非常に難しいんじゃないかというふうに思います。
 ですので、私は、今回の件で課題があるから、いや、これはまだ決められないとか、課題があるから義務化するのはおかしいという議論以前に、今東京の置かれている状況と、そしてまた掲げている状況とのギャップがどれほどあるかということをしっかり認識して、この議論に臨んでいかなければならないというふうに思います。この点については、ヨーロッパの事例をこの後、少し質疑させていただきたいと思います。
 諸外国です、諸外国では既に、例えば、この間もここの質疑でいいましたけれども、カリフォルニア州では新築住宅に太陽光パネルなんかが義務化されていたりしますし、またEUでもいろいろな取組が進んでいます。
 まず、諸外国のこの義務化、太陽光パネルの義務化の状況、取組状況について伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 二〇一九年には米国ニューヨーク市で、二〇二〇年にはカリフォルニア州で、全ての新築住宅に太陽光パネル等の義務化を開始してございます。
 また、EUでは先月、エネルギー転換計画リパワーEUを公表いたしまして、二〇三〇年の再エネ目標を四五%に引き上げることとしております。
 このEUの計画では、二〇二六年までに二百五十平方メートル以上の全ての新築公共、商業ビルを、二〇二七年までに二百五十平方メートル以上の全ての既存公共、商業ビルを、そして二〇二九年までに全ての新築住宅に太陽光パネルの設置を義務づける制度としてございます。
 このほか、ドイツ・ベルリン市におきましても、来年、二〇二三年から住宅への太陽光発電の設置義務化が開始予定でございます。

○伊藤委員 先般、カリフォルニア州を私が取り上げたときに申し上げたのは、カリフォルニア州って、それはもういうまでもありませんけど、多分日本列島ぐらいあるんじゃないですかね。それで、あれだけ大きいおうちがばあっとありますから、全部を全部東京に持ってくるというのはなかなか仕組み上難しいので、カリフォルニア州に職員さんを派遣して、そして様々な、同じようにできることと、それからまた東京バージョンでつくり直さなきゃいけないことの整理を、コロナ禍でも職員を派遣して行うべきだということを申し上げました。
 これについてはぜひ今後、早速にでもカリフォルニア州に人を送って、あのときも出すという話でしたから、カリフォルニア州のみならず、今お話のあった、例えばニューヨークなんかは、割に狭隘住宅はいっぱいあるわけですよね。ですからニューヨーク、あるいは、ドイツのベルリンでも二〇二三年から設置義務が開始されるということですから、こうした諸外国にぜひ職員さんを派遣して、どういう支援の在り方をしているのかとかも含めて、ぜひ研究していただきたいというふうに思いますし、それを条例のときにも参考にしながら、改めて議論したいと思います。
 (パネルを示す)これはちょっと、委員の皆さんも本当にお詳しい方々が多いので、改めてになりますけれども、ちょっと年が入っていない、一、二年前なんですけれども、一、二年前のヨーロッパや欧米諸外国とのエネルギー、何というんですかね、これ、エネルギーの比率を一覧にしたものです。ちょっと見にくいかもしれないですけど、大体色で分かると。
 ホームページにどこでも張ってありますから、分かると思うんですが、簡単にいえば、今さっきヨーロッパは二〇三〇年までに、ここですよね、このラインが引いてある、いわゆる再生エネルギー、水力も含めてですけど、青いところと緑のところを足し合わせて、全体で四五%にしていくと、そういう取決めをしたということですよね、EUは。
 今そのEUの中核をなす、例えばドイツとかイギリスとかスペインというのは三八%とか三五%までこの再生エネルギーが来ているわけですが、一方で、フランスなんかは、ご承知のとおり原子力依存のエネルギー構成にしていますから、まだ一九%とか、ヨーロッパの中でもかなり凸凹があるんですが、でも大方、ヨーロッパの多くの国は三〇%以上を既に達成しているわけです。これをあと十年以内ぐらいに四五%に引き上げるという中でも、もう既に義務化をするといっているんです、ヨーロッパ、ドイツなんかは。
 ところが、日本はというと、現時点において、特に今、原子力は様々な経緯がありましたけれども、しかし、いずれにせよ、水力が七・七で、再生エネルギーは一〇・三ですから、合わせても一八%。最近この一、二年間でまた二%ぐらい上がって二〇%になっているそうですけれども、二〇%だということで、さっき都内の消費電力の話をされていましたけれども、五〇%程度を再エネにしていくと。
 いずれにせよ、日本の国が掲げている再生エネルギー割合に比べたって、うんと低いわけです。この状況の中で、ドイツはここまでもう達成してきているけれども、さらに義務化をやるんだと、もう決めています。
 この一八%の日本の中で、とりわけて首都東京がここで新たな策をしっかり打ち出さなければ、それはいつまでたったって、再生エネルギー、自然エネルギーが伸びるわけがないわけでありまして、こう見ていきますと、正直いって、原子力は少なくとも二酸化炭素を出しません。ほとんど、まあほぼゼロですね。それから、石炭、天然ガスというのは、やっぱりどうやったってCO2を物すごい勢いで出すわけです。そうすると、欧米を見ると、圧倒的にアメリカと日本が今最大のCO2排出国になっているわけです。
 今なかなか、そういう意味では原子力の再稼働、それは国の方の議論ですけれども、進むとも思いません。思いませんが、ここはやっぱり、石炭、それから天然ガスの比率をぐんと減らしていく努力を惜しみなくしなきゃいけないと思います。
 私は、再生エネルギーが万能だとは思いません。いろんな意味で課題があるのも承知していますし、そして、都内中で太陽光パネルを全部貼ったとしても、これがいきなり三〇%、四〇%になるもんじゃないというふうに思いますけど、思いますが、やっぱり積み重ねなので、できることをやっていくということから始まるというふうに思います。
 それと、もう一つの懸念がパネルの廃棄物についてだと思います。
 この間も様々報道されていますけれども、太陽光パネルは設置するところまではいいけれど、いってみれば、あれも耐用年数が五年とか十年、大体十年ぐらいで耐用年数が来ますので、その後のリサイクルの在り方などについて、十分な技術が確立していないんじゃないか、不法廃棄物が大変多くなるんじゃないか、こういうご指摘をいただいていますので、その点についての、今ある処理費用や適切な処理の仕組みについて伺いたいと思います。

○村上資源循環計画担当部長 事業用太陽光発電設備は、一度に大量に効率的に回収できるため、現時点においてもリユース、リサイクルのルートがございます。
 一方、住宅用は一度に排出される量が少なく、排出される場所や時期が一定でないため、リユース、リサイクルルートが確立しづらく、処理費が高くなるなどの課題がございます。
 都は今後、既存の事業用ルートの一部を活用しながら、住宅用太陽光発電設備のリサイクルルートの確立に取り組んでまいります。

○伊藤委員 この間、太陽光パネルの廃棄物の事業者さんと少しゆっくりお話しする機会があったので、いろいろ聞いてきましたところ、何で太陽光パネルの廃棄技術というものが上がっていかないのかということを伺ったら、設置するところまでは本当にいいんだけれども、例えば屋根につけたもので耐用年数が過ぎたもの、これは生ものじゃないので、わざわざ撤去しないんだと。そのままほったらかしにされちゃうから、ある意味処分されないから、リサイクルの技術も併せて上がっていかないんですというお話を伺って、なるほどなと思いました。ちょっと空き家の問題に近いかもしれませんが、撤去と廃棄というのをしっかり求めていくと。
 そうなってくると、これ、ひょっとすると環境局の仕事じゃないかもしれませんよね。だけど、これは都市整備局なのか、建設局なのか、ちょっと庁内を横断しますけれど、やはりもう既に発生している問題でもあるので、この放置太陽光パネルっていうんですかね、放置太陽光パネル問題をどうするのかというのは、やっぱり環境局の方から都市整備局なりに、それこそ撤去もある程度のルールをつくって、そして設置者に促していくとかいうことが必要なんじゃないかと思うんですけれども、その辺の認識、見解について伺いたいと思います。

○村上資源循環計画担当部長 太陽光発電設備は、二〇一二年の固定価格買取り制度等を契機に急速に設置が進展しており、一般的に寿命が二十年から三十年とされていることから、現時点ではまだ排出量が少ない状況です。
 しかし、もっと早くから太陽光発電設備を導入された住民もおり、こうした方の一部では、故障した太陽光発電設備を修理せず、屋根に放置している事例があることを報道等で認識してございます。
 一方で、事業用では既に複数のリサイクル施設が稼働しており、様々な技術が一部で実用化されております。今後は、住宅用もこうした設備で処理できるように、関係事業者と連携して取り組んでまいります。

○伊藤委員 だからそうなんです。多分、今答弁にもあったように、故障した太陽光設備をそのまま屋根に放置している例というのが本当にあるんですよ。
 私のうちは今検討中なんです。つけてみようと思っているんですが、ただ、つけることのコストはすぐに考えるんですけれども、取り外すときのコストまでは、今、質疑やっていますから考え始めましたが、最初考えませんでした。考えれば、またもっと設置する人が少なくなっちゃうかも分かりませんけど。
 ただ、いずれ撤去しなきゃいけなくなるわけで、例えば車なんかは下取り価格があって、買い取ってくれて、また新しいのが必要になれば、それを入れ替えられるというような仕組みがあります。あれもある種、買換えを促す仕組みなんだと思うんです。
 ですから、これから長い目で見ていかなきゃいけないんでしょうけど、買ってから二十年先のことだとしても、買取り制度とか、まさにリサイクルの制度というものを、それこそハウスメーカーさんなどと一緒になって考えていく必要があるんじゃないかと。
 ある意味では、その撤去費用というのも、ひょっとしたら積み立てておかなきゃいけないのかもしれないので、そういうものを例えばあらかじめ、買っていただくときに売り込んでおく。そして、先般、知事も表明されていましたけれども、何年か使っていけばペイされていく、それからまた補助金も入るということですから、ある意味、撤去費用まで含めても、ちゃんと何年でペイするんですという一つのひな形をつくっていく必要があるんじゃないかと私は思います。
 そういう意味で、先ほど率直に報道で認識っていう話があって、非常に率直な、素直な答弁だと思いますが、これ、ぜひ、全部じゃなくていいんですけど、局で調査して、つまり、設置した方々でどれぐらい、どういう形でうまいこと撤去しているのかとか、どれぐらいお金がかかっているのかとか、これから義務化するということであれば、局で正確に少し調査して、検証してみるのも一つの方法だと思いますから、お願いしておきます。
 そして、今、調査、検証をお願いしましたが、やはり何といっても、この太陽光パネルの適切な廃棄物処理に関しては、業界の皆様と力を合わせるほかございません。そういう意味では、廃棄物処理に関する検討会を有識者、業界関係者を集めてしっかり行っていくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○村上資源循環計画担当部長 都は、住宅用太陽光発電設備の廃棄に関する課題に対応するため、二〇一八年度に検討会を立ち上げまして、取り外しからリサイクル処理等に至る一連の工程について、各段階における課題を洗い出した上で、関係者間の連携スキーム構築等の取組方針が示されました。
 都は今年度、検討会で示された取組方針に基づき、太陽光発電設備のリユース、リサイクルに向け、解体業者、収集運搬業者、リサイクル業者等で構成する協議会を立ち上げます。
 協議会では、既存の事業用太陽光発電設備のリサイクルルートを活用し、住宅用発電設備のリサイクルの実証を行ってまいります。
 また、事業者に対しては、取り外し作業に関する安全対策マニュアルの作成、普及、さらに都民に対しては、リサイクルの目的、意義や費用などの情報を発信してまいります。

○伊藤委員 ぜひ業界の皆さんから様々なお知恵をいただくといいんじゃないかと思いますが、現状、まだ、すごいニーズがいっぱいあるというマーケットじゃないと聞いています。
 これからマーケットの価値が大きくなると、鍋蓋的に広がるとは思いますが、そうするとある意味、技術革新をしていくためには、企業としては当然、相当な設備投資が必要になるわけです。
 まさに補助というのは、さっきいった消費者に対する補助もあるんですけど、こういうリサイクルをするための技術革新のための補助、産業労働局に一億円とか八千万円とか、よく革新的技術開発補助ってありますけど、ああいうのなんかとですね、やっぱり、要するに産業労働局さんなんかともよく協議いただいて、どういうお金の出し方をしてあげたら、そういうまさに将来課題、気候変動という世界的な危機に立ち向かってくれる企業の助けになるかというのをぜひ検討してもらって、そして、これはひょっとしたら東京都だけの問題じゃない。ひょっとしたらというか、絶対東京都だけの問題じゃないので、環境局の枠を超えますけど、経済産業省なんかともぜひ議論してもらって、国でもそういう技術革新をする。この分野に限ってですよ、この分野に限り、技術革新をする事業体に対し、大きな補助金をどんと出すような予算が、私はあってしかるべきだと思います。あるのかもしれませんから、ぜひその辺は皆さんの方でよく把握していただいて、経済産業省さんなんかともよく話をしていただきたいということを併せて申し上げておきます。
 それから今、適切な廃棄物処理に関する協議会を行うんだという答弁をいただきましたが、ここにハウスメーカーさん、当然、設置しているのはハウスメーカーなので、取り外すときのことも含めてハウスメーカーさんにも入ってもらって、議論を透明化する必要があると思うんですが、答弁をいただきたいと思います。

○村上資源循環計画担当部長 協議会には、ハウスメーカーも構成員となることを予定してございます。太陽光発電設備の廃棄を進めていくためには、都民の理解と協力が必要なことから、議論の過程を公開するなど、透明化を図ってまいります。

○伊藤委員 今のは廃棄物に関する協議会ということで、ハウスメーカーも入っていただくということなんですけど、それとは別にもう一個、ハウスメーカーさんとの協議体をつくってもらいたいなと思います。
 というのも、やっぱりこれ、義務化されたら、ハウスメーカーさんの中でも温度差は出てくると思いますし、また理解の程度というのもばらつきが出てきてしまうと思います。
 先ほどの答弁の中でも、対象事業者はせいぜい五十社程度ということですので、この義務化などについて、全ての対象事業者が参加できるハウスメーカーとの議論の場を私は設けて、理解促進を図るべきではないかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 都は今後、具体的な義務量や対象となる建物の基準など、具体的検討を進めていくため、新たに技術検討会を立ち上げてまいります。
 この技術検討会におきましては、事業者からの意見表明の機会を設けるなど、丁寧に意見を伺っていく予定でございます。
 さらに、住宅関係団体との情報共有の場として、都が設立する新たなプラットフォームの活用や、対象事業者とのヒアリングなどにより、事業者の理解促進を図ってまいります。

○伊藤委員 この技術検討会については、今回の質疑を通じまして、初めて設置するということを表明していただきました。そのことは評価したいと思いますし、こうした場を通じて理解促進を図っていただきたいと思います。
 ただ、ちょっとくどいようですけれども、いわゆる業界団体の、ハウスメーカーの代表格的な企業さんに、その業界を代表して何社か入ってもらって有識者と話していただく、こういうのも必要だと思います。今の答弁は多分そういうことを想定されているんだと思いますが、それと併せて、五十社程度だから、全部の事業者さんの参画を募って、来たくないという方は別ですけれども、全部の事業者さんに対して、一堂に顔を合わせて東京都の方から説明をし、またご意見があればご意見をいただくという機会を私はつくっていくべきだと思いますので、このことはご検討いただきますように要望をしたいと思います。
 それから、もう一つの懸念点は、太陽光パネルの生産地が一部地域、具体的には中国に偏っており、実はあまり日本産というものが少ないんではないかとの指摘もあります。実態について、まず伺いたいと思います。

○荒田地球環境エネルギー部長 国内に供給される太陽光パネルのうち、国内メーカーが供給する割合は、業界団体の調査によると、二〇二一年度時点で、全体では約四三%、住宅用では約七一%となっております。
 また、国内に供給される太陽光パネルのうち、国内で生産されている割合は、同じく業界団体の調査によると、二〇二一年度時点で、全体で約一二%となっております。

○伊藤委員 これはそうなんです。国内メーカーが供給する割合は住宅用で七一%なんですけど、メーカーというのは別に産地じゃないので、例えば、あまり企業名を出すとあれですけど、大手の日本の会社名がついていても、産地がどこかが問題であります。
 先ほどお話があったように、国内で生産されているという、まさに産地が日本であるものが約一二%ですから、海外産の太陽光パネルが八八%程度というふうに理解できますけれども、それでよろしいでしょうか。

○荒田地球環境エネルギー部長 委員ご指摘のとおり、国内に供給される太陽光パネルのうち、海外で生産されている割合は約八八%でございます。

○伊藤委員 そのうち、いわゆる中国で生産されているパーセントは、現時点で分かるんでしょうか。

○荒田地球環境エネルギー部長 現在、中国で生産されている量については、業界団体の資料からは判明しておりません。

○伊藤委員 さっきの答弁にもあったように、業界団体の調査ということですので、この業界団体に確認をしても、八八%の内訳は出てこないということでございます。
 アメリカでは、既にバイデン政権が去年の段階で、まあ、ここで外交問題についてあまりくどくど申し上げませんけれども、いわゆるウイグルの問題に触れて、米企業はポリシリコンの代替的な調達先を見つける必要に迫られるほど、もう輸入禁止だという措置を明確に表明されています。現にホワイトハウスは、もうその意思を示しておりますので、代替する製品開発に、今まさにアメリカは国を挙げて努めています。
 この辺の話は、基本やっぱり国全体の問題なので、国会でどれぐらい議論してくれているのか分かりませんけれども、国会でこの中国産パネルに対する取扱い議論がされなければいけないことだというふうに思います。
 というのも、やはり人権侵害、特に中国によるウイグルに対する人権侵害というのは、もう看過できる問題ではありませんし、看過していたら日本人の人権意識というものが国を挙げて疑われます。
 そういう意味で、当然、多くの日本企業も今この問題については非常にセンシティブになり、デリケートに対応がなされているところではありますので、やはり太陽光パネルをどんどん普及させていくということと、今申し上げた問題というのは切り離せないので、これも環境局の範囲を少し超えるかもしれませんが、一体この八八%のうちどれぐらいが中国であり、かつ中国のウイグルに関わる地域なのかとか、あるいは、むしろ代替する製品開発というものができないのか、こういうこともぜひ、業界の方々とも検討していただきたい、意見交換してほしいというふうに思います。
 また、先ほど申し上げたように、そういうところに開発の設備補助を入れるというのが、まさに人類の存続に資する行政支援ではないかなと思いますので、お願いしたいと思います。
 改めて申し上げますが、中国産パネルに対する取扱いの検討状況について伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 住宅でのシェアの多い国内メーカーに問い合わせたところ、当該地区での生産品の使用、製品の輸入を行っている事実はないとの回答を得てございます。
 今後とも、太陽光パネルに関わる様々な状況について情報収集を行ってまいります。

○伊藤委員 今、メーカーの方に聞いていただいたところ、そういった回答だったということで、いささか安心しましたが、しかし、メーカーが本当に、いや、今のメーカーを疑っているというわけじゃなしに、仕組み論として、メーカーの申告ベースだけで今後いいのかということもあろうと思います。
 これもどういう形で欧米の諸外国では産地の特定、そしてまた輸入の禁止措置、あるいはメーカーに対する働きかけを行っているのかというのも、ぜひ研究すべきテーマではないかと思うんです。
 例えば、誓約書を太陽光パネルメーカーから出してもらうとか、様々のやりようがあると思うんですが、この辺の検討というものがあってしかるべきではないかと思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 事業者団体である太陽光発電協会では、人権の尊重、持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、中立、公平を遵守した事業活動を行うとした持続可能な社会の実現に向けた行動指針を作成してございます。
 また、本件、国際通商に関わることでございますので、都としては政府の動向を注視しながら、ご指摘の点も踏まえ、適切に対応してまいります。

○伊藤委員 私が初当選したのは大体二十年近く前になりますけど、石原元知事がこの間ご逝去されて、そして昨日、お別れの会がありました。
 石原元知事が当時から盛んにお話しになっていた中国論というのがあったと思います。中国に対する警戒心、あるいは中国共産党に対する警戒心というのが何度も本会議場でも表明をされていて、私たちも、ああ、なるほどと思うことが多々あったところでございます。政党も違いましたし、立場も違いますけれども。
 そういう意味で、今申し上げた人権問題について、やはり都としても、これは本当に実際のところ何が起きているのか、そこは政府の方が事情に明るいでしょうから、政府によく聞いていただいて、当然、答弁のように政府の動向を注視しながら適切に対応ということで結構です。
 なぜかといったら、これはもう国際的な通商の問題になりますので、国際的な通商問題について一自治体がルールを決めるものでもなかろうと思うんですが、先ほど申し上げたように、この太陽光パネルについてはそういった偏りがありますので、何を要求するかはちょっと皆さんでご検討いただきたいと思いますが、政府に対して政策要求をちゃんとやって、この問題にどういうふうに取り組むのか。
 アメリカは、もう既にこれだけ表明しています。ヨーロッパの各国も今、表明し始めています。必ずしも太陽光パネルだけの問題じゃなくて、綿の問題もありますけれども、今回、特にこの義務化に合わせて、政府に対して、この問題にどう取り組むのか、私はぜひ政策要求してほしいと思います。その点はむしろ、今度は政策企画局と連携していただきながら議論をいただきたいことを申し上げておきたいと思います。
 あと二問です。
 太陽光発電設備が設置されている住宅での火災について懸念される方もいらっしゃいます。そういう意味で、この太陽光発電設備が、ほとんど火災は実際には起きていないというふうに承知していますけれども、火災時においてはどのような消防活動が行われるのか伺いたいと思います。

○木村建築物担当部長 東京消防庁によりますと、太陽光発電システムが設置されている住宅等で火災が発生した場合でも、水による消火は可能であり、感電リスクの回避や再出火防止のため、様々な対策を実施しております。
 例えば、感電等を防止するため、絶縁性の高い防護衣や手袋、長靴等の装備を着用し、また、水が分散してかかるよう、放水の距離やホースの筒先の調整などによる対応を行ってございます。
 さらに、鎮火後、太陽光発電モジュールを遮光シートで覆うなど、再出火防止の対策を実施しております。

○伊藤委員 ありがとうございます。今みたいなことも含めて発信していただくと、安心・安全につながるんではなかろうかと思います。
 最後に、今回、私ども一回、会派に皆さん来ていただいて、意見交換させていただきました。そのときにも申し上げましたけれども、やはり義務化条例を出すといったときに当然予想される世論、あるいは都民の反応というものはあります。ありますので、ここは政策企画局の戦略広報部、新たに設置されたわけですから、ここと本当に連携して、対応を戦略的に練っていくと。
 そして、想定されることについては、むしろあらかじめ、例えばQAを用意しておくとか、最近ホームページにQAが出ていましたけれども、もうちょっと分かりやすいQAとか、今日出てきた質疑においても、例えばそこに反映できるものもあるかもしれません。
 こういうのも、報道されて、わあっと、ある意味議論が沸騰してから二、三日後にようやく上げても、もう見られないんです。見られていないです。やっぱりその瞬間にないと駄目で、ですから、あらかじめ用意をしておくと。そして、あらかじめ発信しておくというようにしていただくと、随分違うんじゃないかと思います。
 この辺の戦略的広報についての見解を伺いたいと思います。

○小川総務部長節電行動連携担当部長兼務 現在、戦略広報部とも連携し、メール等で寄せられているご意見、それからSNS等で投稿されている分析等を進めるとともに、こうした内容を踏まえまして、簡潔で分かりやすい解説、それから、よくある質問等を作成し、環境局ホームページやSNSを活用し、情報発信を開始しているところでございます。
 また、制度の解説資料を作成し、メディア等への情報提供なども進めているところでございます。
 今後、都民の多様な疑問、不安、関心等に応えていくため、委員お話しの有識者等との対談、それから様々な伝達手段等を検討いたしまして、幅広い都民等に情報が届くような広報を進めてまいりたいと思います。
 こうした取組を重ねながら、より都民に伝わる広報を展開し、理解と共感を深めながら、新たな制度の検討を進めてまいります。

○伊藤委員 そういう意味では、これまでも、例えば大きな政策テーマについては、アイコン的なといういい方がいいのか分かりませんが、著名人の方などにご登場いただいて、そして一つのキャンペーンについて強く発信していただくというようなこともあったと思います。
 ですから、今回の太陽光パネルについての発信、知事だけに依存することなく、様々なチャンネルをやっぱり用意する必要があると思いますので、そういった語っていただける専門家の方、著名な方というものの選定というのも、ぜひ皆さんの方で進めていただきたいと思います。
 最後に意見だけ申し上げます。
 (パネルを示す)やっぱりこれは本当に深刻だと。これは。今の日本の現状は。今回、確かに太陽光パネルの設置義務については、恐らく日本だけじゃなくて、多分ドイツでも、アメリカでも、ヨーロッパでも、それは相当いろんな議論があったと思います。反対もあったと思いますし、課題があるといって様々なご批判もあったと思いますが、これは前にもいいましたけれども、事は人類の存続が本当にかかっているんです。
 かつて、これも石原さんの言葉で恐縮ですが、ポイント・オブ・ノーリターンという言葉をよく使われていましたよね。ポイント・オブ・ノーリターンというのは、その先まで行ってしまうと、もう後戻りしようと思ってもできなくなる。これはパイロットの言葉ですけれども、石油が残っていないから、ガソリンが残っていないから、ある一定のところまで行っちゃったら、もう航空母艦にも基地にも帰ってこられなくなる場所がある、そこを超えちゃ駄目なんだということをよくおっしゃっていました。
 私は、もう今そのポイント・オブ・ノーリターンに限りなく近づいているか、もうひょっとしたら超えているのかもしれません。超えているのかもしれませんが、あした人類が滅びるとしても、最後までリンゴの木を植えるでしたっけ、有名な言葉がありますけど、やっぱり首都東京が真剣にこの問題に向き合っていかなかったら、日本全国動きませんよ。
 ですから、いや、それは課題だ、まだ議論の時間が必要だというお話があるのは、議会ですから、それは結構なことだと思いますし、丁寧な熟議の民主主義というのはいいと思うんですが、あんまりそればっかりいっていると、南極の氷、全部溶けちゃいます、そんなことをいっている間に。
 それは皆さん多少の負担は強いられるかもしれないし、コストはかかるかもしれないけれども、人権もそういう意味で、コストが多少かかっても、やっぱり守っていかなきゃいけないものは守っていかなきゃいけないし、多少コストがかかったって、人類が絶滅したら何の意味もないじゃないですかね。
 ですから、当然、激変緩和になるような仕組みは、行政だし、議会だから考えなきゃいけないんですけど、本当に大きな大目標を見失って、自分たちの首を自分で絞めてどうするんだろうかという危機意識を持って、何定の議論になるか分かりませんが、この条例の制定のときには、また議論をさせていただきたいというふうに思います。
 私たちのこういう問題、義務化条例も含めてですが、こういうのをしっかり逃げないでといったら失礼ですけど、逃げないで、やっぱり真正面から議論して、そして決断して、結論を出すというのは僕らの仕事だと思うので、ちょっと大変僣越ないい方になりましたけれども、そのことだけ申し上げて、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○加藤委員 東京都環境基本計画の中間まとめに関連して伺います。
 中でも、再エネの普及拡大等に資するものとして、さらなる利用促進が示された水素エネルギーについて伺います。
 二〇三〇年カーボンハーフに向けて、エネルギー削減、CO2排出量とエネルギー消費量ともに大きく削減しなければいけないのが運輸部門です。そして、その運輸分野を脱炭素化するためには、この分野のCO2排出の約八割を占める自動車のゼロエミッション化を実現することが重要です。
 都は、電気自動車とともに燃料電池自動車の普及を促進しており、FCVに不可欠な水素ステーションについては、二〇三〇年に百五十か所の整備目標を掲げています。
 一方、現時点での都内の水素ステーションは二十三か所でありまして、目標達成には一層のスピードアップが必要です。六倍以上増やさないといけないと。
 その水素ステーションの整備には広い土地が必要ですが、土地があっても、事業採算性の確保が見込めないと事業者が参入をしないと聞いております。
 そこで、燃料電池自動車が普及の過渡期にある中で、事業者が水素ステーション整備を積極的に検討できるよう、様々な方法で支援をすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 燃料電池自動車の普及には、充填インフラである水素ステーションの整備拡大が重要でございます。
 都はこれまで、水素ステーションの整備費だけでなく、運営費への補助を行ってきたほか、水素ステーション運営に関わる講習会を開催するなど、事業者の参入を促してまいりました。
 今年度は、整備費への補助上限額や土地賃借料への補助率を引き上げるなど、支援を強化してまいります。
 さらに、事業者が参入を検討するに当たっては、その地域において将来的にどの程度の水素需要が見込まれるかも重要な要素となることから、都は、燃料電池バスに加えて、トラックやごみ収集車など、様々な大型車両での水素活用の実装化を促進してまいります。
 こうした取組を総合的に進め、事業者の水素ステーション参入を支援してまいります。

○加藤委員 私の地元の墨田区でも、広い土地があるにもかかわらず、参入する水素ステーション事業者が見つからないという例があります。
 二〇三〇年の百五十か所目標の達成に向けて、地元自治体とも連携して、水素ステーション整備を加速するよう要望して、次の質問に移ります。
 ZEVの普及促進についてであります。
 さきの一般質問において、我が党の北口議員からの質問に対し、都からは、EVの購入に当たって、太陽光発電が導入されている場合、従来の補助額を増額することで、EVの普及をさらに加速していくという趣旨の答弁がありました。
 このたびの補助の増額はEVの普及に有効である一方、この夏の電力逼迫への対応が課題とされる中、EVの普及は電力消費を増やすという側面もあります。
 そこで、今回の取組が電力確保という視点でどのような意義を有するのか、見解を伺います。

○三浦事業調整担当部長 都は今年度、EVの購入費補助におきまして、個人が再エネ一〇〇%電力メニューを契約した場合、通常の補助額四十五万円を六十万円に増額しておりますが、今回の補正予算案におきましては、太陽光発電が導入されている場合、これを七十五万円に増額することを予定しております。
 太陽光発電の導入を条件とすることで電力の地産地消を進め、EVの消費を上回る電力を確保するとともに、再生可能エネルギー電力の普及を加速してまいります。
 また、EVは、電力をためる機能を有する、いわば走る蓄電池としての活用が可能であり、こうした点にも着目して、今回、EVの支援策を強化することとしております。

○加藤委員 系統電力に頼るばかりでなくて、今回のこのEV普及に向けた新たな取組が電力確保にも資するということが分かります。
 都の補助と国の補助の併用が可能ということでありますから、合わせて百万円以上となるというふうに思います。そうしたことで、走る蓄電池の拡大が加速すると大変期待をしております。
 次に、今答弁のありました走る蓄電池としてEVを活用するためには、V2Hの普及を併せて進めることが必要です。都は、今年度の当初予算においては、V2Hについて、戸建住宅にEVと太陽光発電がセットで新たに導入される場合に、導入費用の二分の一を補助することとしていました。
 これに対して、本年の第一回定例会の環境・建設委員会において私は、既にEVを保有している人が太陽光発電とV2Hを導入するケースなど、導入の仕方には様々なケースがあることを踏まえ、弾力的に対応できるよう要望をいたしました。
 今回の補正は、まさにこの要望にしっかりと応えるもので、今後しっかりと対応していただくべき機会だというふうに思いますけれども、都は具体的にどう取り組んでいくのか、取組の開始時期と併せて見解を伺います。

○三浦事業調整担当部長 EVの蓄電池としての機能を活用するには、V2Hが必要であり、この夏の電力危機に対応するため、V2Hの普及を強力に推進し、家庭の電力確保を進めることが有効でございます。
 そこで、既にEVを保有し、新たにV2Hのみを導入する場合などにつきましても、今回新たに補助の対象とし、五十万円を上限として、導入費用の二分の一を補助することを予定しております。
 さらに、V2Hの新たな導入により、EVと太陽光発電の三点がそろう場合には、百万円を上限として、導入費用の全額を補助することを予定しております。
 都は、この補助事業につきまして、七月の受付開始に向け準備を進め、V2Hのさらなる普及を促進してまいります。

○加藤委員 V2Hの普及は、電力確保に加え、CO2削減、防災などに寄与する有意義な取組であり、V2H補助の条件の緩和や補助率の引上げなど、さらなる普及促進に取り組んでいることを高く評価いたします。
 補正予算の成立後、補助申請の受付を早期に開始するとともに、制度の周知をしっかり行って、普及を大いに進めていただくことを要望しまして、質問を終わります。

○原委員 東京都環境基本計画の改定及び環境確保条例の改正による制度強化についての中間まとめに関わって質問をさせていただきます。
 私が電気について考えを持ったのは、二〇一一年春の福島の原発事故のときです。福島でつくった電気を消費していたのは東京で暮らす私たちでしたが、そんなことも私は知りませんでした。
 福島原発爆発事故により、当時の私の家の近くの小学校に、南相馬から九人の大家族が避難してきましたが、新しく家を建てたばかりなのにと落ち込む姿に愕然としました。電気をつくるためだけに、こんな危険な原子力発電所を増やしてきた国のエネルギー政策は間違っており、事故が起きなくても、何十万年も大地を汚染する高濃度の放射性物質、使用済み核燃料をつくり続ける原発は、人間の安全と相入れないことを改めて共有すべきです。
 今、電力逼迫問題が起こる中、一部で原発を動かせばいいという議論が再燃していますが、それは後世への責任という意味でも、絶対にやめなければなりません。
 二〇三〇年までにCO2排出半減の目標を都は決めていますが、その中で、とりわけCO2排出の多い石炭火力発電の廃止期限を決め、撤廃に取り組むことを国に求めることが重要です。
 ウクライナ危機に直面する中で、化石燃料の輸入依存を脱却し、エネルギー自給率を高め、再エネ利用を全速力で拡大しなければならないとの認識は、小池知事も所信表明で強調されていたところです。
 そこで、知事自らが提案した新築住宅等への太陽光パネル設置義務化についてお聞きします。
 小池知事が打ち上げた新築住宅への太陽光パネルの設置義務化提案の内容は、今回の環境確保条例の改正、中間まとめにも記載をされております。この義務化に対しては理解を示す声あり、その一方で、先ほど委員からもご指摘ありましたように、反発の声も多く、物議を醸しています。
 義務を課すのは建築主ではなく、大手の住宅供給事業者だというふうに説明されても、これから家を建てよう、または購入しようと思っている人にとっては、強制されている気になるのも無理はないと思います。
 設置費用を払うのは私でしょう、それを義務にするのですかというふうなことだと思いますが、パネル設置費用は当然、購入者負担と受け止めますが、購入者負担ではないケースは考えられますか。お答えください。

○木村建築物担当部長 設置費用は、最終的には建築主の負担となりますが、現在、都が検討している制度では、購入者の初期費用の負担はなく、事業者の負担で太陽光発電設備を設置できるビジネスモデルについても、義務履行の手法として対象とすることを検討してございます。

○原委員 新築の建物の屋根に設置するパネルを必ず建築主が購入しなければならないわけではなく、ハウスメーカーや別の事業者がパネルの所有者となるビジネスモデルを選択できる制度にするというふうなことでした。
 パネル設置が建築主の義務ではないということは、設置可能な形状の屋根であっても、うちはつけませんと、事業者に対しいうことはできますよね。確認のためお願いします。

○木村建築物担当部長 現在検討中の制度におきましては、義務の履行は事業者単位で判断するため、例えば日照条件が同じであっても、住宅購入者の意向で多く設置したり、設置しないことができる柔軟な仕組みとしてございます。

○原委員 ありがとうございます。つけるつけないの選択もできるし、つける場合でも、イコール建築主の購入ではない選択も可能だということです。設置義務を課せられるのが建築主ではないということの中身を分かりやすく発信してほしいというふうに思います。
 地域住民などから様々な疑問が届けられています。一つずつお答えを願います。
 まず初めの疑問は、電気代が安くなるというが、元が取れる保証はあるのですかという質問です。お願いします。

○木村建築物担当部長 太陽光発電の設置により、電気代の経済性は向上いたします。都の試算では、電気代削減や売電収入が得られ、十年程度で初期費用が回収でき、さらにその先の売電収入により、廃棄コスト等も賄えると見込んでおります。

○原委員 売電収入などは変動するので、見込むことはかなり難しいのかなというふうに思いますが、初期費用は電気代の削減分でおおむね十年で回収できるとのことでした。
 要望なんですが、実際にパネルをつけた人のケースを検証した情報などを提供していただきたいというふうに思います。ご検討ください。
 続けて、太陽光パネルの災害時の心配です。少し重なるところもあると思いますが、もう一度お答えをお願いします。
 太陽光パネルは、火災が起きたら消えにくいと聞くが本当ですか。また、ひょうが降ったときにパネル損傷の危険はないのか、台風のとき、パネルの重さで家が押し潰される危険はどうか、それぞれお願いいたします。

○木村建築物担当部長 東京消防庁によれば、太陽光発電システムが設置されている住宅等での火災が発生した場合でも、水による消火が可能でございます。
 なお、消火に当たっては、感電リスクの回避や再出火防止など、様々な対策を行うとのことでございます。
 また、メーカー団体によれば、ひょうへの対策として、太陽光モジュールの表面はJIS規格に適合した強化ガラスを使用しており、また、屋根への設置に際しても同様の規格に基づき、風、台風などの荷重に耐えるよう取付け強度を設計されてございます。

○原委員 ありがとうございます。火がついたら消えにくいというのは事実ではないとのことでした。絶対はないというふうには思いますが、災害時でも耐える基準をクリアしているという回答でした。ありがとうございます。
 さらに、太陽光パネルについて、生産をめぐる疑問です。
 資材を生産する国の人権侵害の問題があると聞き、心配です。この声、お願いいたします。

○木村建築物担当部長 都は、太陽光パネルに関する様々な状況につきまして、今後とも情報収集を行ってまいります。

○原委員 なかなか住民の心配に直接応え得るような回答ではなかったというふうに思いますが、この点では、先ほどほかの委員からもご指摘がありましたので、簡単にしたいと思います。
 消費者もこうした情報を知り、選択する主体者なので、都としても人権擁護の立場に立ち、情報収集や情報発信をお願いしたいと思います。
 出されている疑問の最後で、太陽光パネルが寿命を迎えた後についての疑問です。
 パネルのリユースやリサイクルの見通しは立っているのですか。お答えください。

○村上資源循環計画担当部長 太陽光発電設備の廃棄は二〇三〇年代半ばから本格化することが見込まれております。
 都はこれまで、二〇一八年度に検討会を立ち上げ、住宅用太陽光発電設備の実態把握や、リサイクルなどの高度循環利用の検討をしてきました。この中で、事業用太陽光発電設備は一度に大量に効率的な回収ができるため、リユースやリサイクルのルートが既に存在していることが明らかになりました。
 一方、都内で約七割を占める住宅用の設備は、一度に排出される量が少なく、排出される場所や時期が散発的なため、事業用と比較して、リサイクルなどのルートが確立しづらいという課題がございます。
 都は今後、これまでの検討内容を踏まえ、リサイクル業者等で構成する協議会を本年度立ち上げ、近年、首都圏で増加しているリサイクル施設を活用し、住宅用太陽光発電設備のリユース、リサイクルルートの確立に取り組んでまいります。

○原委員 事業用での回収、再活用ルートは既にあるということですね。住宅に設置するパネルの回収は、今後リサイクル業者でのルートを確立するということ。住宅用のパネルこそ、これから相当な数が出てくるわけで、適切なリユース、リサイクルが実施できる仕組みづくりをお願いいたします。
 そして、小規模の工務店からも声を伺っております。
 大手住宅メーカーではない自分たちには義務を課せられていないとはいえ、建築主から太陽光パネルをつけなきゃいけないんですかと聞かれたら、どのように答えるのか。太陽光パネル設置のメリットや補助制度を熟知しなければならないし、申請の際には書類を書く手間も要る。工務店任せでは困る。そんな意見をいわれていました。
 都として、中小の工務店へはどんな対応を要請するのでしょうか。

○木村建築物担当部長 現在、都が検討している制度では、大手ハウスメーカー等を義務の対象としております。
 一方、対象とならない事業者に対しましても、再エネ設備の設置など、環境性能の高い新築建物の建築が進むことは望ましいと考えております。
 都は、こうした意欲ある地域工務店などを後押しするため、必要な情報発信を行ってまいります。

○原委員 地域の工務店が様々な負担を強いられることのないように、また大手住宅メーカーに情報が偏らないように、丁寧な後押しをお願いしたいです。
 大手住宅メーカーに対し、八五%という達成すべき義務量が提示されていますが、義務を課せられた事業者が義務量を達成できなかったらどうなりますか。

○木村建築物担当部長 制度の対象事業者において、断熱、省エネ、再エネ設備の整備が不十分であったという場合には、都は、指導、助言、指示、勧告、氏名公表などを通じて、適正履行を促していくことを検討しております。

○原委員 義務を課す以上、クリアしなかった場合の氏名公表なども行うということになるわけですね。
 今回の太陽光パネル設置義務化は、住宅供給事業者の果たす役割がとても大きいなと感じています。もちろん、ビジネスチャンスともいえると思います。
 本来、この太陽光発電を地域に広めるということは、CO2を出さない電力への置き換えを進め、地球温暖化防止に貢献し、災害時にも役立つといった、地球のためにも、住民のためにもなるキャンペーンなわけです。住宅供給事業者がよりよい暮らし方の提案をすることで、事業者のイメージも上がり、エコな機器の開発や、安価で購入できる流れをつくれるとよいわけです。
 義務量を達成できない事業者への勧告と同時に、実績や新しいアイデアの発信や、広報活動などに積極的な事業者を評価する取組が喜ばれるのかなというふうに思いました。
 ちょっと話が戻るんですが、小池知事の義務化提案に対し、かなり反発が起きているのはなぜなのか。どのように考えますでしょうか。

○木村建築物担当部長 一部の報道やSNSなどを拝見すると、都が検討している制度への誤解や疑問が生じているケースが見られます。都民、事業者の皆様に制度の仕組みをご理解いただくためには、丁寧かつ分かりやすい情報発信を行うことが重要でございます。
 このため、環境局ホームページに専用サイトを開設し、制度の趣旨や概要など様々な情報発信を開始いたしました。
 今後もこうした情報を随時更新していくとともに、分かりやすい広報活動を展開してまいります。

○原委員 ありがとうございます。都民の反発は、小池知事のパネル義務化提案が上から一方的に押しつけられたように感じたからなのではないかと私は思います。やはり説明が足りなさ過ぎです。先ほど聞かせていただいた都民からの疑問への答えを聞いても、誤解が多分にあることが分かりました。
 近年、脱炭素社会の必要性が世界的に話題になっているけれども、我が事として、毎日の生活の中で省エネへの生活改善、再エネ電力へのシフトなどを考えるきっかけは、まだ不十分です。
 未来のために自分のまちでどういう取組ができるのかの考えや、その取組は、本来強制されるものではなく、みんなで意見を出し合い、政策をつくっていくべきものだと思います。その手続を無視し、都民に直接負担が伴う提案をするやり方は、当然反発を引き起こすこととなり、改善しなければならないのではないでしょうか。
 この太陽光パネル設置義務化については、六月二十四日まで行われているパブリックコメントで出される意見など、多方面からの意見を十分に踏まえ、検討を進めていただけるようお願いしておきます。
 新築、既存住宅ともに、省エネ改修や再エネへの移行を手の届くものにしていくために、都の役割は重要です。補正予算案にも関連して、災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業、また東京ゼロエミ住宅導入促進事業など、都の補助制度についてお聞きします。
 太陽光パネル設置費用は、やはり高額です。現在の補助制度だと、新築住宅で一キロワット当たり十二万円、既存住宅で一キロワット当たり十五万円の補助です。実費の約三分の一ぐらいに当たるんでしょうか。
 パネル設置の補助費を引き上げ、初期費用の負担を軽くすることが設置を広げる要素になるはずです。補助金額をさらに引き上げる検討が必要ではありませんか。

○荒田地球環境エネルギー部長 住宅のゼロエミッション化に向けては、太陽光発電設備の導入とともに、断熱化など、住宅全体の性能を高めていくことが重要でございます。
 このため都は、新築住宅には東京ゼロエミ住宅導入促進事業を、既存住宅等には災害にも強く健康に資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業にて支援をしております。
 さらに、今回の補正予算にて、これらの補助事業における太陽光発電整備の発電規模上限の引上げを提案しているところでございます。

○原委員 補助事業の上限の引上げなどを実施することは大変重要です。補助金額の引上げもぜひ検討されるよう求めておきます。
 太陽光パネル単体での設置補助制度が見当たらないのですが、ありますか。またはつくる予定がありますか。

○荒田地球環境エネルギー部長 住宅の太陽光発電設備の導入補助は、新築住宅への東京ゼロエミ住宅導入促進事業、既存住宅等への災害にも強く、健康に資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業があり、いずれも断熱化など住宅全体の性能向上と併せて、太陽光発電設備の導入を補助することといたしております。

○原委員 新築住宅を購入の際、太陽光パネルを単体でつける建築主がどの程度いるのか、今、私のところでは分からないのですが、設置において補助制度から漏れる人が出ないように、制度の仕組みを整備されるように求めておきます。
 電力関係の専門家の話を伺うと、再エネもいいが、省エネになる住宅の断熱改修をもっと強力に進めるべきと皆さんいわれます。今どんな規模で取り組まれているのですか。

○荒田地球環境エネルギー部長 既存住宅への窓、ドアの断熱改修の補助対象件数は、今年度六万件へ拡大することとしております。

○原委員 昨年度と一昨年度を合わせた補助実績が一万八千件ということなので、予算枠は大きく伸びていますが、もしも年度途中で予算額を消化したときには、補正を組むくらいの大きな規模とテンポでの取組を要望しておきます。
 そして、これらの省エネ、再エネの補助制度について、ホームページでのお知らせを分かりやすくしてほしいです。検索したときに、制度紹介のリーフレットや動画などにたどり着きやすいように改善をお願いします。
 都が掲げたゼロエミッション東京の目標達成や、持続可能なエネルギーの地産地消社会の実現は、エネルギーの大きな転換につながる取組だと思います。それは、都民と広く議論し、住まい方を描き、都民と共に進むことが必須です。
 世界が直面する気候危機に関係ない人はいません。共産党都議団が提案した気候市民会議が、都民参加の持続可能な脱炭素社会への道をダイナミックに進める役割を果たすことを確信します。ぜひ、本気で検討していただくことを求め、質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十三分休憩

   午後三時十分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○須山委員 では、何点か質問させていただきます。
 まず、今定例会で、再生エネルギーの活用とか省エネルギー対策等を進めるという取組等で、環境局では約二百三十七億円もの大規模な補正予算案を計上しております。
 一方で、令和四年度の当初予算では、三月二十五日に議決をされまして、この四月から当初予算は始まったばっかりで、このタイミングでこの補正の額というのはすごく大きいなというふうに感想を持っています。
 そこでまず、なぜこのタイミングで、しかもこれだけの額の補正が必要になったのか、当初予算に入れなかった理由についてお聞かせいただきたいと思います。

○小川総務部長節電行動連携担当部長兼務 ウクライナ危機を発端といたしまして、原油や原材料価格が高騰してございます。また、三月下旬には、東京電力管内に電力需給逼迫警報が出されたことに加えまして、その後も、この夏、それから冬の電力需給について、国から厳しい見通しが示されるなど、また長期化の懸念もされております。
 こうした当初予算の編成時とは異なる状況変化を踏まえまして、深刻化するエネルギー情勢から都民生活や経済活動を守る対策が急務となってございます。
 このため、電力を減らす、つくる、ためる、HTTの観点から、さらなる省エネ、再エネに向けた取組などの必要な対策を速やかに講じられるよう、補正予算案を計上したものでございます。

○須山委員 ありがとうございます。予算編成するとき、初めから考えたら、かなり時間もかかると思いますし、議決されたタイミングとまた状況も変わっているということもよく分かりますけれども、やはり当初予算というのは、その年間を通して、その局の方針等を決める大事なものだと思いますので、そうした中で、より長期的なことも踏まえた上での展望も見据えた中での予算編成をお願いしていっていただきたいと思います。
 補正予算に関して何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、今ご答弁にもありましたHTTです。一般質問でもHTTを取り上げていた議員の方もいらっしゃいましたので、改めてちょっとお聞きしたいと思います。
 今までも東京都は、いろいろキャッチコピーを使ってきましたけれども、このHTTというのは、聞いただけではイメージが湧かないかなというふうに思います。唐突でもあったし、あとは、今までのコピーとちょっとセンスも違うかなというふうに思っているのが感想なんですけれども、まずそこで、HTTという言葉はいつから、どうして使われるようになったのかをお聞かせいただきたいと思います。

○曽根委員長 答弁の際、もう少し大きな声でお願いします。

○荒田地球環境エネルギー部長 今夏、今冬の電力逼迫等を乗り切り、エネルギーが安定的に確保できる脱炭素社会を実現していくために、省エネにより使用電力を減らし、太陽光発電等で再生可能エネルギーをつくり、さらに、蓄電池やEV等に余剰電力をためて有効に活用する取組を加速していく必要がございます。
 都は、本年四月に対策を開始するに当たり、この三つの視点を簡潔に表すキーワードとして、減らす、つくる、ためるの頭文字を取ったHTTを掲げ、都民、事業者に行動を幅広く呼びかけていくことといたしました。
 現在、SNSや広報紙等を通じまして、HTTの発信と併せ、エアコン、冷蔵庫等の家電の使い方や買換えによる効果など、具体的な省エネ、節電方法やそのメリットを分かりやすく伝えることで、都民、事業者の行動を促してまいります。
 また、全庁共通のHTTポータルサイトを開設し、関連する支援策や取組を発信するとともに、掲載したポスターやチラシのデータを事業者による店頭やホームページ等での節電協力の呼びかけにご使用いただくなど、HTTの取組の輪を広げていくこととしております。

○須山委員 ありがとうございます。四月からということで、減らす、つくる、ためるということですけれども、ちょっと分かりやすいのかどうか分かりかねますけれども、やっぱり減らす、つくる、ためるというそのこと自体は、非常に大切なことだというふうに私も考えます。
 知事の所信でも、Tokyo Cool Home & Bizとして、ムーブメントを起こしていくとおっしゃっておりました。やはり一人一人の都民の方がしっかりと減らすこととかつくること、ためていくこととか様々なことを意識して行動していただくことが何よりも大切だと考えていますし、そのための旗振りとしてのキャッチコピーだとは考えます。
 東京都としては、しっかりと都民の皆さんが意識をした行動の変化を起こせるようにしていっていただきたいなというふうに考えております。
 ということで、続きまして、補正予算に計上されている、使用電力を減らす、つくる、ためる取組の中身についてお聞きをしたいと思います。
 まず、太陽光パネルの蓄電池の設置などの電気をつくる、ためるの取組とともに、差し迫る電力危機への対応には、やはり誰もが取り組める即効性のある節電行動、すなわち先ほどのHですね、減らす取組をしっかりと促していくことが重要だと考えます。
 そこで、今回の補正予算において、HTTの減らす、Hの施策としてはどのような取組があるのかをお聞かせいただきたいと思います。

○荒田地球環境エネルギー部長 電気を減らす取組として、省エネ家電への買換えを促進する家庭のゼロエミッション行動推進事業におきまして、対象を拡充いたします。
 具体的には、エアコンにつきましては、省エネラベルで二つ星以上に対象を拡大するほか、蛍光灯などから交換することで省エネ効果の高いLED照明を新たに対象といたします。
 また、ピーク時の電力使用を抑え、電力の安定供給を図るための事業を新たに開始いたします。
 具体的には、電気事業者が、ピーク時の節電要請や、それに応じた家庭等へのポイント付与、プッシュ型でのHTT情報の発信を行う場合に、その取組に対し費用の一部を支援するものでございます。
 これらの取組などを通じて、使用電力を減らす行動を広く促進してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。今のご答弁で、家庭のゼロエミッション行動推進事業であったりとか、あと家庭の節電マネジメント事業かな、大体六十億ぐらいなのかなと思います。
 その中でしっかりと、まずは一人一人の都民が節電ということについて意識を持っていく取組、かつ、やはり取り組みやすい状況をつくっていっていただきたいというふうに思いますし、そうした事業展開をされているかなというふうに感じました。
 特にエアコンに関して、省エネラベル二つ星以上ということで、これでかなり使い勝手もよくなるかなと思いますし、そうした一つ一つのこと、またそういった事業の拡充に当たっては、すごく使い勝手がさらによくなっていくことによって、都民がまた省エネに関して、減らすことに関しての意識を持っていっていただきたいなというふうに考えております。
 そうしたゼロエミポイントのエアコンとかの対象が増えたり、またLED照明器具を対象に追加しているということで、事業の拡充に当たっては、これまでの活用状況や買換えがどの程度省エネに結びつくかなど、事業効果について確認が必要と考えます。
 そこで、この事業の昨年の申請実績と、今回の補正予算で対象機器を拡充した理由及び節電効果を教えていただきたいと思います。

○荒田地球環境エネルギー部長 家庭のゼロエミッション行動推進事業は、家庭の省エネ行動を促すことを目的として、令和元年十月から実施しており、令和三年度における年間のエアコン、冷蔵庫、給湯器の申請件数は約十九万台となっております。
 今回は、先ほども申し上げたとおり、この夏、この冬の電力逼迫への備えとして、さらなる家庭の節電を加速するため、東京ゼロエミポイントの対象に省エネラベルで二つ星以上のエアコンや、節電効果の高いLED照明器具を新たに追加したところでございます。
 なお、一般家庭で標準的に使われているエアコンを最も省エネ性能の高い製品に買い換えた場合の節電効果は、一世帯当たりの平均消費電力の約四%であり、リビングの蛍光灯シーリングライトをLED製に交換した場合は約二%になります。

○須山委員 ありがとうございます。こうした施策、本当に減らすに非常に効果的だなというふうに改めて感じましたし、知事の所信で二〇二六年を中間年としてロードマップを示していくというご発言もあったと思うんですけれども、二〇三〇年まで、また二〇五〇年のゼロエミッション東京を目指していく中では、やっぱりこういった事業は本当に有効だな、効果的だなと思うので、だったらもっと早く当初予算にも入れてもよかったんじゃないかなということは、ちょっと改めて感じるところではありました。
 そこで、エネルギー使用を減らす取組というのは、やっぱり多くの都民の皆さんにご協力をいただくことで、より大きな効果は生まれるとは考えます。大きなムーブメント、先ほど、ムーブメントを起こしていくという知事の所信でもあったと思うので、身近な節電行動と併せて、こうした支援策はしっかりと周知を徹底していただきたいということは、改めて要望させていただきたいと思います。
 さて、ちょっとまた話を変えまして、太陽光発電の設置義務化について、一点お聞かせいただきたいと思います。
 この件、たくさんの議員の方とか、あと様々な報道、またSNSで、私のところにもツイッターで義務化に反対してくれというようなこともいわれております。
 そうしたことを目にする中で、この義務化ということが、言葉自体が独り歩きをして、都が考えている制度とは異なることが都民の皆さんに伝わってしまっているんじゃないかなということは改めて感じざるを得ません。そうした誤解とか不正確な情報を利用して、悪用して、例えば高齢者の方を狙った詐欺事件等が起きてしまったりしないかとか、そういったことまでちょっと私は懸念をしてしまっております。
 こうした懸念を防ぐために、都はやはり都民とか事業者に、より正確な情報をしっかりと伝えていくことが必要であると考えますけれども、そのご見解をお聞かせいただきたいと思います。

○木村建築物担当部長 都民、事業者の皆様に制度の仕組みを正確にご理解いただくためには、丁寧かつ分かりやすい情報発信を行うことが重要でございます。
 そこで都は、環境局ホームページに専用サイトを開設し、制度の検討状況や設備の維持管理、火災時の対応、様々な情報発信を行っているほか、Q&Aを作成し、一問一答による分かりやすい説明を行っており、適宜更新を図ってまいります。
 また、今後の制度の具体化に当たっては、太陽光発電協会などの関係団体と連携し、不審な電話アンケートや設置勧誘などを防止する普及啓発の取組についても検討を行ってまいります。
 こうした取組により、制度の仕組みや太陽光発電設備に対する都民、事業者の皆様の理解を深め、安全・安心な設置や利用につなげてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。まず、行政の発信とかってやっぱりすごく難しいなというふうに改めて考えております。SNSとかホームページとかで様々発信をしていただいているということではあるんですけれども、それを見に行く人っていうのは限られておりますし、一度義務化という言葉が頭にインプットされてしまったら、なかなかそれを払拭していくのはすごく難しいなということは、皆さんもご承知のとおりだと思います。
 だから、そういったことによって、やはり見てもらう、聞いてもらうことっていうのは非常に大事だと思いますし、あとは、自分たちで発信するだけじゃなくて、マスメディアを使ったりとか、識者の方にご協力いただいたりして、しっかりと正確な情報が、そして適切なところにちゃんと届くようにしていっていただきたいなということは改めて要望させていただきます。
 また、今のご答弁で、関係団体との連携をしっかりとしていくということもありました。そうした中で、やはり新築物件を買う人たち、実際の関係をしてくる都民の方が正確な情報を得られるように、事業者の皆さんとも併せて正確な、そして適切な情報発信に努めていっていただきたいと思います。そこを最後要望させていただきまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。
 環境基本計画に関連して、循環型社会の実現に向けた取組についてお聞かせをいただきたいと思います。
 多くの資源を輸入に頼る我が国において、循環型社会を実現するためには、やはりリサイクルやリユースの取組を一層推進し、資源効率性を高めていくことは非常に重要であると考えます。
 一方、過去の不法投棄事件を教訓に、産業廃棄物を適正に処理する体制を整備していくことも非常に大きな課題だなというふうに考えております。
 新たな環境基本計画の中間まとめでは、より良質な都市環境の実現に向けて、廃棄物処理体制の強化を掲げ、社会構造の変化など、新たな課題にも対処しながら適正処理を一層推進することとしております。
 体制の強化に当たっては、一般廃棄物の場合は区市町村による施設整備が基本となりますけれども、産業廃棄物の場合は民間整備が基本となります。しかし、そうした施設を建設しようとすると、なかなか、地元の住民の方から生活環境が脅かされるのではないかとの不安の声が上がってきたりとか、様々困難もあると聞いております。
 産業廃棄物処理施設を設置する際には、都道府県知事の許可を受けることが必要でありますけれども、許可の手続において、生活環境を保全するために具体的にどのような規定が設けられているのかお聞かせいただきたいと思います。

○志村資源循環推進部長 産業廃棄物処理施設の設置許可手続についてでございますが、廃棄物処理法では、施設の設置により、周辺地域の生活環境に支障が生じることがないよう、許可基準の一つとして、生活環境の保全等について適正な配慮がなされたものであることが規定されております。
 そのため、設置許可の手続におきましては、事業者の申請書や生活環境影響調査書を告示、縦覧するとともに、生活環境保全上の意見について地元自治体から聴取することや、利害関係者は意見書を提出できることが定められております。
 また、審査に当たりましては、こうした意見を踏まえ、生活環境保全に関する専門家から意見を聴取しなければならないこととされております。

○須山委員 今のご答弁で、その手続に関しては非常によく分かりました。ありがとうございます。
 そうした中で、東京都がしっかりと、やっぱり地元の皆さんの声というものは、そこで生活する方の声というのは非常に大切なものであるということは改めて申し伝えさせていただきますので、そうした声をしっかりと聞いて、そして生活環境の保全に十分配慮されるように、丁寧に審査を進めていただくことを要望させていただきます。
 そして、適正処理も重要ですけれども、持続可能な資源利用を一層推進するために、先進的な技術を活用して、高度な処理やリサイクルを加速させていくことも重要だと考えます。
 中間のまとめでも、AI、ICT技術などを活用した資源の有効利用の仕組みづくりがうたわれているように、民間事業者のアイデアや意欲を引き出すことで、処理等の高度化を図ることが可能と考えます。
 東京都は、廃棄物処理やリサイクルシステムの高度化にどのように取り組むのかお聞かせいただきたいと思います。

○志村資源循環推進部長 持続可能な形で資源を利用する社会を実現するためには、社会基盤である廃棄物処理、リサイクルシステムのさらなる強化を図る必要がございます。
 都はこれまで、ICTを活用したワンストップ型の事業ごみ受付センターのモデル実施や、効率的な収集方法のシミュレーション、AIによる建設混合廃棄物の自動選別の実証支援など、受付、収集運搬、中間処理の各段階において、意欲ある事業者の取組を支援してまいりました。
 今年度も、先導的な事業者の取組を後押しし、技術面、財政面で支援をすることで、廃棄物処理やリサイクルシステムの高度化を目指してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。世界的な潮流としてサーキュラーエコノミーというものが重視されてきて、そうした中で、静脈産業と呼ばれる廃棄物処理やリサイクル事業が果たす役割というものはますます重要となると考えます。
 都としても静脈産業をしっかりと後押ししていくというふうにも聞いておりますし、そうした静脈産業というものが成り立つようにしっかりと支援をしていっていただきたいなというふうにも改めて要望しますし、また、技術革新とか、そうした中で事業として成り立っていくこと、また、リサイクル含めて、そうした廃棄物処理がしっかりと事業として成り立っていき、リサイクルシステムがさらなる強化をしていくことを要望させていただきまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございます。

○漢人委員 それでは、環境基本計画のあり方と環境確保条例改正についての中間まとめについて質問をさせていただきます。
 既に質問が重なる部分もありますけれども、ご答弁をお願いいたします。
 大きく四点ほど質問いたします。
 まず、太陽光発電設備の3R方針についてということです。
 新築住宅への太陽光発電の設置義務を課していくに当たって、大きな課題の一つが、使用済み発電設備太陽光パネルの廃棄の問題です。
 二〇一八年に東京都使用済太陽光発電設備リサイクル検討会が設置され、使用済み太陽光パネルを産業廃棄物にしないための方策が検討されてきました。先日提出された検討会の報告書について質問いたします。
 まず一問目は、もうずばり、太陽光パネルは技術的にはリサイクルは可能と考えてよいですか。
 以上です。

○村上資源循環計画担当部長 太陽光発電設備は今後、使用後の大量廃棄が見込まれることから、リサイクル等の環境負荷の少ない効率的な資源循環の仕組みを構築することが重要です。
 太陽光発電設備は、メーカーごとに違いはありますが、一般的に発電機能を担う太陽電池セル、カバーガラス、アルミフレーム、バックシートなどで構成されております。
 太陽電池セル、バックシート等は、金属精錬工場などへ持ち込み、有用金属の取り出しが可能であり、また、カバーガラスは、セラミックタイルや路盤材などの建築土木資材として利用できます。さらに、アルミフレームは、現状でも有価物としての価値が高く、新たなアルミ製品の材料として再利用が可能でございます。
 近年、将来の大量廃棄を見込み、首都圏においても様々なリサイクル施設が稼働し、事業用太陽光発電設備の処理が既に行われております。

○漢人委員 ありがとうございます。太陽光発電を進めると、大量の廃棄を発生させることになるっていう心配が一番あるんです。だけど、技術的にはもうほぼリサイクルは可能であると。ただ、実際に全てできているかというところは微妙ですが、技術としては可能で、これから開発するのではなくて、現時点で既に技術があって実用されているということだと思います。
 ただ、どのぐらいそのルートに乗っているのかというのは大変気になるところですので、今後、事業用太陽光パネル、既にそのルートがあるはずなんですが、どのぐらいのリサイクル率になっているのかということは、今後ぜひご確認いただきたいというふうに思います。
 次なんですけれども、東京都の太陽光パネルは住宅が七割で、リサイクルルートが未整備などの課題がこの報告書でも示されています。東京都が今後、この太陽光発電の設置義務を課していくという中で、最大の課題として考えているのは何でしょうか。また、その対策は何なのかお伺いいたします。

○村上資源循環計画担当部長 都内では、住宅用太陽光発電設備が約七割を占め、一度に排出される量が少なく、排出される場所や時期が一定でないため、事業用と比較して、リユース、リサイクルルートなどが確立しづらいという課題がございます。
 今回取りまとめられた報告書では、こうした住宅用の発電設備に関する課題に対して、取り外しから収集運搬、リサイクル処理等に至る各工程における対策が示されておりまして、各事業者の役割を明確にした上で、それぞれの役割を適切に果たすことができるように連携スキームを構築するべきとの取組方針が提示されております。

○漢人委員 ありがとうございます。リユース、リサイクル等の連携スキームということで提示されているわけですけれども、この協議会の設置について、その概要と設置のスケジュールについてお伺いいたします。

○村上資源循環計画担当部長 都は今後、検討会の報告書で示された取組方針に基づき、解体業者、収集運搬業者、リサイクル業者等で構成する協議会を本年度立ち上げていきます。
 協議会では、事業用太陽光発電設備のリサイクル等に関するノウハウを持つ関係者と連携をし、既存の事業用ルートを活用することで、住宅用太陽光発電設備のリサイクルルートの確立に取り組んでまいります。

○漢人委員 ありがとうございます。そういうことだと思うんですが、ただ、実際これまでもやり取りがあったかと思いますけれども、太陽光パネルの寿命が今二、三十年といわれているけれども、いや、四十年ぐらい大丈夫なんじゃないかとか、さらに伸びるともいわれている中で、じゃ、その頃にはこの技術がどうなっているのかということもまだ分からない。きっと今よりはよくなっているんだろうと思うんですけれども、そういったことも含めると、本当に刻々と進化する状況にいかに柔軟に有効に対応できる連携スキームであるかということが求められるかと思います。
 また、東京都や事業者が頑張るだけではなくて、やっぱり国による規制というのが必要だと思うんです。建築リサイクル法の対象にするなどの法規制も東京都としても求めて、当然国としても、これは全国的な課題ですので、法規制も進める中で、都としての着実な取組を進めていくということを求めたいというふうに思います。
 大きな二問目です。既存住宅の脱炭素化の強化について伺います。
 日本の住宅寿命は短くて、短期間での建て替えが行われていますけれども、住宅も環境的にはメンテナンスをしながら長く使用することが求められます。
 農地などの緑地をどんどん宅地化していくことは脱炭素社会には逆行します。既存住宅の省エネ改修を促して、長く住み続けることが必要です。
 また、気候エネルギー格差の拡大というのを抑制するためにも、賃貸住宅の脱炭素化も必須だというふうに考えます。対策を急ぐべきです。
 この点についての基本的な考え方と方針、課題をお伺いします。

○荒田地球環境エネルギー部長 既存住宅の省エネ化は、断熱性能の向上が重要です。住宅の断熱改修は、持家、賃貸住宅を問わず、健康や生活の快適性にも資する効果がございます。
 このため、既存住宅の断熱化のさらなる推進に向け、都は今年度、予算規模を大幅に拡大するとともに、賃貸住宅関係を含め、これまで以上に幅広く住宅関係団体に補助制度を周知してまいります。

○漢人委員 今年度予算で対象を拡大しているということはありますが、まだまだ賃貸住宅に関しては弱いというふうに思っています。今、賃貸住宅関係も含めて、これまで以上に幅広く住宅関係団体に補助制度を周知していくということですけれども、さらに賃貸住宅に特化した対策や制度というのをつくっていくことも必要だというふうに考えます。
 ご答弁いただいたように、住宅の断熱改修というのは、持家も賃貸も問わず、とにかく健康や生活の快適性に資する効果があるというわけです。だからやりましょうと、費用がかかっても効果がありますよっていうんですけれども、賃貸住宅の場合は、改修工事の初期投資と維持管理経費などは、大家さん、所有者が負担をする、その決断をしなければできないわけです。
 住人や入居者がその健康や生活の快適性とか、光熱水費が負担軽減になるなということを思っても、自ら享受するためには、とにかく大家さんが判断してくれなければいけない。賃貸住宅の入居者の所得は低い傾向もありますから、こういった改修工事や維持管理の経費を家賃に上乗せするということに単純になってしまっても、これも困ったことになります。
 この辺が気候エネルギー格差を拡大しないという、そういう観点での、賃貸住宅に特化した視点での制度や対策というのが大変重要だと思いますので、ここについてはぜひ早急な対応を求めていきたいというふうに思います。
 次に、三問目ですが、エネルギー供給事業者対策について伺います。
 電力供給事業者、すなわち東京でいえば東京電力の再エネ割合の確実なアップというのがとにかく必須なわけです。今回提案されている条例改正によりますエネルギー環境計画書制度の強化拡充には期待をしますけれども、期待はしますけれども、効果への疑問もあります。
 今回の東電への株主提案、先日、一般質問でも取り上げましたけれども、化石燃料の代替となる洋上風力等再生可能エネルギー電源創出の最大化ということも求めているわけで、この最大限の取組が求められるし、再生可能エネルギーの利用最大化に向けた電力系統に関する最大限の取組も求めているわけですけれども、これは今年限りの提案なのか、私は来年以降も続けるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○荒田地球環境エネルギー部長 今夏、今冬における電力需給について厳しい見通しが国から示され、加えて国際情勢等、エネルギーを取り巻く状況も厳しさを増しております。
 首都圏における電力需給の問題は、都民、事業者の生活、経営に直結することから、脱炭素化の視点を踏まえつつ、電力の安定供給を確保していく必要がございます。
 こうしたことから、東京電力に対し、電力の安定供給や再エネ電源の最大化等について株主提案を実施いたしました。
 今後とも都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、様々な取組を加速させてまいります。

○漢人委員 この間いわれている、今夏、今冬における電力需給についての厳しい見通しとか、首都圏における電力需給の問題は、都民、事業者の生活、経営に直結するということなんですけど、気候危機対策の緊急性ってもっと深刻なんじゃないでしょうか。先ほどほかの議員からも繰り返されています。本当に今取り組まなければならないことです。
 そして、今回、太陽光発電の義務化のようなこともありますけれども、残念ながらこれを達成しても、再エネ率というのはそう大して上がらないんです。やはり東京電力の再エネ割合の確実なアップがなければ、二〇三〇カーボンハーフの実現はあり得ないと。これはもう明らかなわけですから、様々な取組について加速していくということであれば、東電への株主提案というのも、これは欠くことができないのは当然だと思いますので、ぜひとも今後とも、来年も、来年以降も、東電がこれをしっかり取り組むまで、株主提案という形でも取り組んでいくことを求めたいというふうに思います。
 次、最後の質問ですけれども、条例施行までのスケジュールと規則に定められる具体的基準値について伺います。
 今回示された六つの内容については、今後パブコメを経て、今年度の第四回の定例会、もしくは来年の二〇二三年の第一回定例会で条例改正の提案がされて、可決をすれば、一定の周知期間を経て施行になるのではないかと私は思っているんですけれども、いろいろありますが、これはできるだけ早く条例の可決、そして施行へと進めるべきだというふうに思っています。
 条例案の中間まとめの中には、専門家等による技術的見地からの意見も踏まえて設定された具体的な基準値という表現が度々出ております。これは、施行の際にはこの基準値を定めた規則も制定されるということになるわけです。この具体的な基準値というのが実際のこの制度、六つの制度についても大きな意味を持つことになります。条例改正の効果を左右することにもなるわけです。
 この具体的な基準値の基本的な数値というのは、施行規則が確定する前に、議会、具体的にはこの環境・建設委員会に示すべきだと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 一般的に、制度の施行に当たりましては、条例による規定に加えまして、具体的な基準値等を定める規則等を定める必要がございます。
 環境審議会の中間のまとめにおきまして、各制度の具体的な基準値等の詳細については、専門家等の意見を踏まえた検討を行った上で決定すべきであるとの提言をいただいてございます。
 都は今後、実務面に精通した有識者等から構成される検討会を設置いたしまして、各制度の詳細を検討していく予定でございます。
 なお、一般的に、条例改正案につきましては、都議会にお諮りいたしまして、ご審議をいただいた上で決定するとともに、施行規則の改正等についても都議会にご報告し、ご質疑をいただく予定でございます。

○漢人委員 そういう手順だということが確認できました。
 じゃあ、条例の可決から施行までの期間はどのぐらいかということなんですけれども、周知期間ということにもなるわけですが、大体おおむね一年から一年半程度かなと予測をするんですけれども、そういうことで、そのぐらいの期間と考えておいてよろしいでしょうか。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 一般的に、条例可決から条例規則等の施行までの周知、準備期間につきましては、個々の制度の改正の内容や、社会経済活動への影響等に照らしまして判断する必要があると認識してございます。
 制度の施行に当たっては、対象事業者が円滑に準備ができるよう、制度の詳細の決定を行いますとともに、丁寧な説明と十分な周知期間の確保を図るなど、適切に対応してまいります。

○漢人委員 答弁としては、ここで一年とか二年とか、そういった具体的な数字はおっしゃることができないのだと思いますが、これまでの例として、周知期間の長い前例としては、今回の改正にも含まれているキャップ・アンド・トレード制度は、導入時が、条例可決から施行日までが一年九か月、実質的な規制の開始まではさらに一年かけていたという例があるようですので、参考にしておきたいというふうに思います。
 あと幾つか意見を述べておきたいと思います。
 今回の太陽光パネルの新築住宅への義務化について大きな議論になっているんですが、これはある意味、議論になって問題意識が喚起されるような側面もあるのかなというふうにも思います。
 ただ、こういったことになったことを踏まえて、改めて私は気候市民会議というのを設置するべきだというふうに思うんです。やっぱり専門家が議論して決めることではなくて、本当に幅広い無作為抽出で選ばれた様々な市民が率直にどう思うかという話をしながら理解をして進めていくという過程があれば、こういった今回のような誤った情報で誤解を招くようなことは避けられたのではないかということを思います。
 また、これまで指摘してきました非ガソリン車という定義によるハイブリッド車の奨励や、水素の偏重などについては改善されていないことについては大変残念です。
 そして、戦略2で生物多様性戦略について書かれているんですけれども、これは先日の一般質問でも指摘をしましたが、生物多様保全ということでの取組が行われているその一方で、従来からの、それを損なうような事業も続行するなど、同じ東京都の中での事業でも、まだ生物多様性ということの理解が進んでいないなといわざるを得ません。あるいは、もしかしたら軽視をされている傾向さえあるのかと思います。
 こちらについては、年度内には生物多様性地域戦略がつくられると思いますので、しっかりと力のある戦略となることを期待いたします。
 そしてもう一点は、戦略3で廃棄物問題についての記述もあります。こちらについても、産業廃棄物について検討などしていく必要があるという表現はありまして、先ほどの質疑などでもありましたが、でも、若干問題の先送りかなというふうに感じざるを得ないところがあります。
 こちらについても、さらにしっかりと東京都としての、事業者任せではない取組をしていくことを求めておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○鈴木委員 よろしくお願いします。
 新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化について、まず伺わせていただきます。
 この関連の質問は、もう既に各委員からも出ておりまして、また答弁もかぶる部分はあるかと思いますが、ご理解いただければと思います。
 現在、都は環境審議会において、新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化の検討を進めています。しかし、最近、一部の報道やSNS等において、非常に多くの反対の声も寄せられており、こうした声の中には、既存住宅も含め、都内の全ての住宅に太陽光発電設備を設置しなければならないなどといった誤った認識もあり、制度が正しく理解されていないケースも見受けられます。
 太陽光発電設備の設置義務化に対しては様々意見があると思いますが、まずは現在検討している制度を都民、事業者に正しく理解していただくことが必要であると感じます。
 そこでまず、都が現在検討している制度について改めて伺います。

○木村建築物担当部長 今後新築される建物は、二〇五〇年時点に過半数を占める見込みでございまして、今後の新築対策が将来の東京の姿を規定します。
 世界では、二〇一九年のニューヨーク市、翌年、カリフォルニア州での新築住宅への太陽光パネルの設置義務化を開始しており、二〇二三年、来年にはドイツ・ベルリンでも開始される予定でございます。さらに、先月には、EUが二〇二九年までに全ての新築住宅に設置を義務づけることを表明いたしました。
 現在、都が検討している制度では、義務対象者は個人ではなく、都内に年間延べ床面積で二万平方メートル以上の新築住宅を供給する大手ハウスメーカーなど五十社程度が対象となる見込みでございます。
 また、東京ソーラー屋根台帳を活用して、区域ごとに設置可能率を示し、日照条件により、太陽光発電の設置が適さない住宅を義務対象外とするような仕組みも検討してございます。
 事業者による義務履行に当たっては、全ての新築住宅に一律に義務をかけるのでなく、事業者単位で判断いたします。
 例えば、日照条件が同じであっても、住宅購入者の意向によって多く設置したり、設置しないことができるなど、事業者の弾力的な対応が可能となる仕組みを検討しております。

○鈴木委員 ありがとうございます。こうした説明を受けますと、日照条件を考慮した設置率や、事業者の弾力的な対応を可能とする仕組みなど、様々な点で配慮されていることが分かります。
 しかし、先ほど述べましたとおり、全ての都民、事業者にまで制度の仕組み等が正しく伝わっていない事実があります。
 今後の制度構築に向けては、都民、事業者の理解が必要であり、そのためには、都は分かりやすい丁寧な情報発信を行っていく必要があると考えます。今後の取組について見解を伺います。

○木村建築物担当部長 都民、事業者の皆様に制度の仕組みを正確にご理解いただくには、丁寧かつ分かりやすい情報発信を行うことが重要でございます。
 そこで都は、環境局ホームページに専用サイトを開設し、制度の趣旨や概要に加え、太陽光発電の仕組み、導入効果、維持管理など様々な情報提供を開始してございます。
 また、都民、事業者様から寄せられた、よくある質問につきましても、Q&Aを作成し、一問一答の形で説明を行ってございます。
 今後もこうした情報を随時更新していくとともに、SNSやリーフレットなど様々な媒体を活用して、分かりやすい広報活動を行ってまいります。

○鈴木委員 制度の導入には、都民、事業者の理解は不可欠であります。都民、事業者が正確な情報に基づき判断できるよう、丁寧かつ分かりやすい情報発信を行っていただくことを強く要望いたします。
 次に、新築住宅への太陽光発電設備のリサイクルについて伺います。
 戸建ての太陽光パネルは通常、屋根の上に設置されるため、撤去は高所で狭い場所での作業となると思いますが、こうした場所で転落や感電等に注意しつつ、安全にパネルを取り外すのは、事業用に比べて、より慎重で丁寧な作業が求められると思います。
 都内では、住宅用パネルが約七割を占めており、今後、太陽光パネルが普及し、リサイクルを進める上では、安全で効率的な作業方法などを構築して、広く周知を図っていくことが必要不可欠であると感じています。
 住宅用のパネルが増えるに従い、家の解体や屋根の修理を行う中小の様々な事業者もこうした作業に携わるなど、太陽光パネルのリサイクルに関わる事業者の裾野も広がり、作業に不慣れな方が実施するようになることも考えられると思います。
 そこで都は、使用済み太陽光パネルの安全かつ適切な撤去や運搬ができるように、どのように取り組んでいくのか伺わせていただきます。

○村上資源循環計画担当部長 太陽光発電設備のリユース、リサイクルを進めるためには、安全かつ適切な手法で取り外しや運搬等ができる環境を整備していくことが必要でございます。
 現在、取り外し作業などは、一般的には解体業者や電気工事業者等が実施しており、住宅用太陽光発電設備の排出量が増加するにつれ、取り外し作業等に不慣れな事業者が携わることが想定されるため、安全かつ適切な手法で実施されるよう、技術的な支援が必要でございます。
 そこで、都は本年度、現場作業に精通した専門家等のアドバイスを受けながら、使用済み住宅用太陽光発電設備に関する取扱いマニュアルを作成し、関係業界や事業者等へ周知を図る予定です。本マニュアルでは、作業員の感電や破損等によるけが防止として、厚手のゴム手袋、ゴム長靴、保護眼鏡といった安全保護具の着用などを促してまいります。
 都は、実際に作業する事業者がたやすく理解でき、活用しやすいマニュアルを作成することで、使用済み太陽光発電設備の安全かつ適切な廃棄ができる体制を構築してまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。太陽光パネルが適切にリサイクルされるということは、いうまでもなく重要でありますが、それ以外に、その業務に携わる方の命を守るということも非常に大切な視点であると考えております。
 今の答弁でもあったとおり、太陽光パネルの取り外しに当たっては、作業員の方に感電や転落などの危険があり、こうした事故が起きると重大事故となり、最悪の場合には死に至ることもあると思います。
 こうした不幸が起きないように、マニュアルをつくることを今ご答弁いただきましたので、今後、まだ様々なことで検討を進めていくと思いますが、引き続き、いろいろな声を聞いて、この制度をつくり上げていっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○たきぐち委員 環境基本計画のあり方、中間のまとめについて伺いたいと思います。
 小池知事が就任して最初の予算であります二〇一七年度を改めて見ますと、スマートエネルギー都市の実現に向けた予算は百七十七億円でありました。その後、ゼロエミッション東京の実現に向けた施策を進めるとともに、さらなる省エネ、再エネ等に向けた取組の、今般の二定の補正を含めた今年度予算の総額は一千四百六億円であります。この六年間で約八倍となりまして、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年CO2ゼロを目指すための強い決意が表れた予算と認識しております。
 都内CO2排出量の約七割が建物由来であるという現状を踏まえ、二〇三〇年カーボンハーフに向けた制度強化の基本的な考え方として、建物のゼロエミッション化に向けた取組を強化することが示されておりまして、ハウスメーカーの関係者とも話をしましたけれども、従来の日本の建築の在り方の大きな転換点になるというふうに考えます。
 小池知事がHTT、電力を減らす、つくる、ためるというキャッチフレーズを打ち出しましたけれども、減らす、すなわち省エネといいますと、節電家電、省エネ家電への切替えでしたり、あるいは、例えば夏場にエアコンを二十八度に設定して冷やし過ぎない、冬場には二十度設定にして暖め過ぎないと、こうした節約するとか、我慢するというような、そんなイメージがありますけれども、建物の構造を変えることで省エネを実現するという意味での断熱に向けた取組を強く打ち出した意義は大きいかと思っております。
 建物のゼロエミッション化に向けましては、家屋やビルの壁の断熱を強化する外断熱や内断熱といった工法がありますけれども、こうした取組とともに、窓やドアなどの開口部の断熱性能を高めていくことが重要だと考えますが、環境基本計画の中間のまとめにおける住宅の断熱化の考え方、位置づけについて伺いたいと思います。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 都は、深刻化する気候危機とウクライナ情勢等を契機としましたエネルギー危機という二つの危機に直面してございまして、これらを乗り越えるため、脱炭素化とエネルギー安全保障の確保を一体的に実現することが求められております。
 こうしたことを踏まえまして、環境基本計画の中間のまとめにおきまして、建物のゼロエミッション化に向けては、再エネ等の導入拡大による使用するエネルギーの脱炭素化とともに、建物のエネルギー使用を可能な限り効率化することが重要であるとしてございます。
 住宅の断熱化は、住宅内の快適な温熱環境を維持することで、使用するエネルギー自体を減らす有効な取組でございます。
 また、断熱性能向上は、省エネだけでなく、外気温との変化を緩和することによるヒートショックの予防や結露の防止など、健康や生活の快適性にも資するものでございます。
 こうした観点から、断熱化をはじめとする住宅のゼロエミッション化を図っていくべきとしてございます。

○たきぐち委員 折しも今国会で、建築物省エネ法改正案が提出されておりまして、法案成立後は、全ての新築住宅等に断熱、省エネ基準の適合が義務づけられる見込みであります。
 先日の知事の所信表明では、国基準以上の断熱、省エネ性能を確保していくと述べられておりますけれども、新築住宅の断熱、省エネ性能の向上に向けて、環境審議会ではどのような議論が行われたのか、また中間まとめにおいて示された今後の施策の方向性について伺います。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 環境審議会では、断熱などの建物の省エネ性能について、国が今後実施を予定している省エネ基準の適合義務化をより早期に東京から推し進めるとともに、国が求めるよりもさらに上の水準を狙うべきとのご意見をいただいたところでございます。
 こうした議論を踏まえまして、環境審議会の中間のまとめでは、一定の新築住宅に対して、これまでの支援策を中心とした施策に加え、新たに断熱、省エネ性能の義務基準を国が求める水準以上に設定強化すべきとの提言がなされたところでございます。
 加えて、東京ゼロエミ住宅やZEH等の供給に積極的に取り組む事業者を後押しするため、より高いレベルでの断熱、省エネ性能等を評価できる誘導基準も併せて導入し、対象建物の環境性能の底上げを図るべきとの提言を受けてございます。

○たきぐち委員 国ではこれまで、議論が重ねられながらも、改正案の提出が見送られ続け、今般の国会でも先送りになりそうな状況もある中で、ようやく国会提出が決まったと、新聞報道でもこうした経緯が報道されておりますが、国の動きが遅いからこそ、より早期に推し進めるという都の姿勢は評価できるものだと思います。
 同時に、なぜ国が求める水準以上に強化する必要があるのかということも理解を得ることも重要であると思います。
 現在の品確法に基づく断熱基準が先進国の中でも最低水準にあるという現状であったり、北海道などと比べると断熱住宅の普及率が低い東京の方がヒートショックなど、冬場の死亡率が高いというデータがあることなど、当然、断熱性を高めるということは住宅の価格にも関わってくることでもありますので、都民に分かりやすい説明が必要だと思います。
 今後、パブリックコメントの結果を踏まえて、最終答申に向けた議論をさらに深めると聞いております。引き続き、国の法改正の動向も見据えながら、条例改正に向けて、住宅の断熱、省エネ性能の向上に取り組んでいただくことを求めておきたいと思います。
 脱炭素社会の実現に向けては、建物の断熱、省エネ以外にも、再エネも含め、あらゆる取組を総動員する必要があります。同時に、建物のゼロエミッション化に向けて、新築と既存住宅、それぞれ異なるアプローチをかけるべきと考えますが、今後、都は具体的にどのような取組を推進していくのか、まず新築住宅について伺います。

○木村建築物担当部長 住宅のゼロエミッション化に向け、新築時には設計段階から目標を定め、住宅全体の性能を高めていくことが重要でございます。
 そこで都は、新築時に目指すべき水準として東京ゼロエミ住宅基準を定め、高断熱化や太陽光発電設備の設置を支援してまいりました。
 さらに、新築住宅のゼロエミ化が標準的になるよう、現在、環境審議会において、大手住宅供給事業者等に断熱、省エネ性能や太陽光発電設備の設置を義務づける新たな制度の検討を行っております。

○たきぐち委員 新築住宅では設計段階からの取組が重要であり、新たな制度も検討し、取り組んでいくという答弁でありました。
 既に従前の断熱等級に新たな等級が創設されているという動きは承知をしておりますけれども、現在の住宅ストックは二百万棟でありまして、年間四・三万棟が新たに着工されていることから、今、取組を開始すれば、二〇三〇年までに約四十万棟、二〇五〇年には約百三十万棟が新築に置き換わるという試算が中間まとめでも示されているところであります。
 予定どおり推移したとしても、三分の一の約七十万棟は残存するということでありますし、この間の三十年弱という期間を考えますと、既存住宅へのアプローチも当然重要になってくるわけであります。
 そこで、既存住宅の取組について伺います。

○荒田地球環境エネルギー部長 既存住宅の断熱改修は、省エネだけではなく、健康や生活の快適性にも資する効果がありますが、改修できる範囲が限られるため、効果の高い部分に的を絞って対策を講じることが効率的でございます。
 このため都は、冷暖房時の熱の出入りが大きい窓等の断熱改修への補助事業を行ってきております。
 断熱改修をさらに促進するため、今年度、予算規模を大幅に拡大するとともに、太陽光発電設備を併せて設置する場合も支援対象とし、CO2削減を推進してまいります。

○たきぐち委員 戸建て住宅では、室内と屋外の熱の出入りの六割から七割が窓経由ともいわれておりまして、専門家の言葉を借りれば、今の戸建て住宅は、エネルギーがだだ漏れしているということでもあります。
 つまり、幾ら太陽光など自然再生エネルギーに転換したとしても、建物の構造を変えなければ、トータルとしての効果は得られないということでありまして、効果の高い部分に的を絞ったアプローチが必要であるということは理解をいたしました。
 そして、この断熱改修ですけれども、まさに知事が最初に就任をした二〇一七年度予算に、新規事業として既存住宅における高断熱窓導入促進事業が示されたところであります。
 このときの予算が二十五億円でありまして、三年間で三万三千件の高断熱窓の導入によって、約三百八十六億円の経済波及効果と約二千人の雇用創出が図られると、毎年配布される緑の予算案の概要の中で試算されているところであります。
 新規事業として示された二〇一七年度、これ以降の高断熱改修事業の執行状況と効果について伺います。

○荒田地球環境エネルギー部長 都は、平成二十九年度から断熱効果の高い窓に改修する際の補助を実施し、令和二年度からは対象範囲を広げ、窓と併せたドアの改修に対する補助も追加いたしました。
 制度開始から昨年度までの五か年で、おおむね年間約一万戸の申請を受け付けており、この間のCO2削減効果は約八千四百トンと見積もっております。

○たきぐち委員 経済効果の検証はなかなか難しいようでありますけれど、最初の事業スキームとして、経済波及効果を同時に打ち出すことで、断熱改修事業の有効性というのか有用性が示されたということが分かります。
 結果として、約八千四百トンのCO2削減効果があったということでありますが、経済と環境の好循環を生み出す施策を展開するというのは、以前、委員会でも栗岡局長からも答弁がありましたけれども、当該事業においても経済と環境の両立を図るための施策展開が重要であるということを改めて確認をしておきたいと思います。
 昨年度の第四回定例会の補正予算において、省エネ改修としての高断熱窓、ドアへの改修促進事業の補助率が六分の一から三分の一に引き上げられ、それまで月平均が七百戸程度だった申請戸数が、二月末までの二か月間で五千戸超の申請があったと聞いております。
 申請戸数について、集合住宅と戸建て住宅の割合について伺います。

○荒田地球環境エネルギー部長 昨年、補助率の引上げ時には、リフォーム関連会社等に周知を図り、それらの事業者がマンション管理組合に改修を働きかけた結果、九割を超える戸数が集合住宅からの申請でございました。

○たきぐち委員 九割が集合住宅ということで、件数ベースでは集合住宅と戸建て住宅が六対四という状況も聞いているところでありますけれども、いずれにせよ集合住宅の申請が多い状況かというふうに思います。
 今年度も既存住宅の断熱化などをさらに進めるため、二百六十五億円の予算が確保され、さらにこの二定でも約七十二億円の補正予算が示されております。
 もともと鉄筋コンクリートの集合住宅の方が木造住宅よりも気密性が高く、逆にいえば、木造の戸建て住宅の方が断熱化による省エネであったり、健康への効果も高くなる傾向にあるんではないかと認識をしております。
 今年度の当初予算や補正予算に基づいて、既存住宅の断熱化が着実に実行されるためには、この事業が集合住宅だけではなくて、より多くの戸建て住宅の断熱改修につなげていくことが必要だと考えております。
 そのためには、都民はもとより、地域経済の活性化に寄与する断熱改修を手がける事業者への周知方法を強化することが重要と考えますが、見解を伺います。

○荒田地球環境エネルギー部長 これまで都は、リフォーム関連団体等、改修を直接手がける事業者への周知を強化し、申請件数を増加させてまいりました。今後は、さらに工務店関係も含めた幅広い住宅関係団体との情報共有の場として、都が設立する新たなプラットフォームを活用し、既存住宅の省エネ化をさらに推し進めてまいります。
 加えて、これらの情報を動画などで分かりやすく、SNSなど様々な媒体を活用することで、都民への周知を強化してまいります。

○たきぐち委員 予算概要では、断熱改修のモデルケースとして、総額四十五万円の改修工事で、都と国が三分の一ずつ補助して、自己負担が三分の一、十五万円を負担するという例が示されておりますが、それだけの支出をして、本当に効果が現れるのかが分からないと、なかなか踏み切れないというのが心情ではないかというふうに思います。
 昨年の委員会でも申し上げましたけれども、コロナ禍で在宅勤務が増えて、居住環境を向上するための支出が増えておりまして、民間調査機関の調査では、リフォーム市場が伸びているという結果も出ております。
 これを好機として、今ご答弁がありましたけれども、住宅政策本部が主導するプラットフォームやSNSの活用を図るということでありますので、新築及び既存住宅ともに様々な工夫をして、普及啓発に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますが、建物の省エネ化を進める上で、一般住宅だけではなく、公共施設における断熱化にも取り組むことが重要であります。
 今後、都有施設においても、断熱化を含め省エネルギー化を一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○中村率先行動担当部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、大量のエネルギーを消費する都自身が、隗より始めよの意識の下、温室効果ガス削減等の取組を強化していくことが重要でございます。
 このため都は、昨年三月に策定いたしましたゼロエミッション都庁行動計画に、省エネ、再エネ設備等の率先導入を掲げておりまして、都有施設の新築、改築や大規模改修時には、外壁、屋根の高断熱化などにより、建物の熱負荷を低減することとしております。
 また、既存施設につきましては、高効率機器への更新手法と効果等を定めた省エネ更新基準を新たに策定いたします。
 これらの取組により、都有施設におけるエネルギー消費量のより一層の削減を進めてまいります。

○たきぐち委員 今年度、都営住宅であったり警察、消防署、都立学校、その他都立の事業所などで太陽光発電設備の設置に着手する予算が示されました。太陽光発電の設置と断熱改修とでは施工の内容も異なりますし、また住宅と業務施設とでも断熱の測り方というんですか、断熱基準は異なるというふうに聞いておりますので、都有施設全てを一律の考え方では捉えられないかというふうには思いますけれども、民間団体と協働で公共施設の断熱化に取り組むような事例の報道もちらほらと目にするところでもあります。
 今ご答弁いただきましたとおり、都庁の行動計画、そして既存施設への、新たに策定する省エネ更新基準に基づいた取組を求めると同時に、今後、区市町村も含めた学校や空き家対策、リノベーションという観点での支援策の強化など、庁内での横展開を図りながら、さらには、壁、床、天井、屋根などの断熱改修についても、施工技術の進歩と合わせて、こうした断熱、省エネの施策を展開していただくことを期待いたしまして、質問を終わります。

○北口委員 水素エネルギーの普及拡大についてお伺いをいたします。
 東京都環境基本計画の中間まとめでは、水素利用のさらなる促進が示されております。ゼロエミッション東京の実現に向けては、将来の基幹エネルギーとなる水素を今から利用拡大していくことが重要であり、都が今年度、燃料電池バス導入を含め、総額二百五十億円を超える予算を組んだことは評価をしております。
 二〇五〇年の水素社会への入り口として、まずは運輸関連事業者への水素エネルギーの普及を進める方向性は正しいと考えております。
 そこでまず、現在の都内における燃料電池バスの導入状況についてお伺いをいたします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 水素は、気候危機への対応とエネルギーの安定供給の両面で切り札となるものであり、特に水素需要の拡大にも資する燃料電池バスの普及拡大は重要でございます。
 現在、都内では九十三台の燃料電池バスが導入されており、交通局で七十一台、民間バス事業者は七社で二十二台でございます。昨年度は、都営バス一台と民間バス七台となってございます。民間バス事業者での導入が広がりつつございます。

○北口委員 民間バス事業者にも徐々に普及していることが分かりましたが、都内には多くのバス事業者があり、多くの都民に燃料電池バスを利用してもらうためにも、さらに幅広く導入が進むことが重要でございます。
 事業者が燃料電池バスを導入するには、水素ステーションの整備が進んでいることに加え、導入時の初期費用や導入後の燃料コストなどへの継続的な支援が必要です。コロナの影響により経営状況が悪化する事業者も多い中で、水素価格の大幅な低減も見通せない状況においては、継続的な支援なしに、安心して大規模な設備導入の判断に至らないものであります。
 都は運輸関連事業者に対する長期的かつ継続的な支援を行うべきと考えておりますが、見解を伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 コロナの影響による厳しい経営状況下においても、脱炭素化のために、バス事業者が燃料電池バスを選択できるよう支援することが重要でございます。
 都はこれまで、水素ステーション整備や車両への充実した支援を実施し、燃料電池バスの導入拡大を促進してまいりました。今年度新たに、燃料電池バス導入時のさらなる上乗せ補助や、燃料費差補助の拡充を開始いたします。
 その際、事業期間を四年間に設定するなど、事業者が将来を見通せるような制度といたします。
 こうした施策を通じて、事業者が積極的に燃料電池バス導入の判断ができるよう取組を推進してまいります。

○北口委員 ぜひとも事業者が前向きに検討できるようにしてほしいと思います。例えば、車両のリース期間内は燃料費の差額支援を継続するなど、事業者が安心して燃料電池バスを導入できるよう、ぜひご検討いただくことを要望しておきます。
 水素社会の実現という全く新しいエネルギーとそのインフラの整備、そしてその需要の創出は本当に大変な作業である、また時間もかかることだと思いますが、適時適切に、着実に前進をさせていただくことを要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。
 それでは、質問させていただきます。
 環境確保条例に定める関係規定の改正について、審議会から中間のまとめが出されましたが、様々な論点がありますけれども、私は、その中にある建築物のゼロエミッション化について、特にそれを全体として進めるためにも、公共施設のZEB化、ゼロエミッション化を進めていただきたいという立場から、何点か質問をしていきたいと思います。
 カーボンハーフに向けた制度強化の基本的考え方の建物のゼロエミッション化に向けた取組強化の中で、新築についても、既存についても、どちらもゼロエミッション化へ向けて取組を強化していく必要性が述べられております。
 そして、これまでも質疑がありましたように、一般の住宅については、新築についても、既存についても、省エネや断熱化の補助制度があり、民間住宅での再エネ、省エネの取組は確実に進み出したというふうに思います。
 また、公共施設については、太陽光パネルの設置について、我が党は繰り返し、既存施設へも設置を求めてきたところですけれども、これも新築に加え、既存施設へも設置が進み出しました。
 その一方で、省エネ、断熱などについての取組は、これからの課題ではないかというのが私の認識です。
 脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会というのが行われておりましたけれども、ここで省エネ改修についての議論がされておりました。その中で、幾つかの委員の方が公共施設について触れられておりました。
 ある委員の方は、新築はともかく、既にある住宅の省エネ改修は、お金もかかるし難しい、国民をリードする自治体とか公共の建物がそうなっていないのに、自分がたくさんお金をかけてそれをやらなきゃいけないというのは、どうも腑に落ちない、心に入らないと思いますので、公共施設がきちんと進めて、そして、いらっしゃる方々がそれを見て、自分もそういうふうにしようかなと感じていただくことが大事ではないか、このような発言をされておりました。
 また、別の委員からは、既に建っている既築の公共建築物に関しても、ゼロを目指して断熱改修していくべき、こんな意見も出ておりました。
 東京都は、公文書館など、最高水準の省エネ性能基準での施設も造って、さらに今後、新規建設についてはZEB化を目指すべきだというふうにされております。今後の新規建設について、ZEB化をどう目指していくのかお伺いします。
 また、既存の施設についても省エネ改修を進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○中村率先行動担当部長 都有施設の新築、改築時等には、省エネ・再エネ東京仕様を適用して、省エネ技術や再エネ設備を最大限導入しており、また既存施設につきましても、太陽光発電設備の設置目標を大幅に引き上げております。
 さらに、再エネ電力の利用を拡大し、都有施設のゼロエミッション化を加速しているところでございます。

○里吉委員 新築の公共施設については、省エネ・再エネ東京仕様によって、そのときの最高水準の省エネ技術とか再エネ設備を最大限設置しているということなんですけれども、一方で、今、お話にも出しました公文書館、これは、ZEB化実証建築ということでモデル事業だったと思うんですけれども、建築されてエネルギーの八割削減を実現したということが報告されております。
 一方、他の公共施設は、ここまでのゼロエミッション化、ZEB化というところまでは到達はしていないと思いますが、いかがでしょうか。確認します。

○中村率先行動担当部長 繰り返しになりますが、東京都公文書館以外においても、都有施設の新築、改築時等には省エネ・再エネ東京仕様を適用しており、省エネ技術や再エネ設備等を最大限導入することとしておりまして、引き続き、都有施設のゼロエミッション化を進めてまいります。

○里吉委員 私もこれまで何回か、財務局、財務の方から省エネ・再エネ東京仕様についてご説明をいただきました。その都度、見直しのたびに最高水準のものを入れているということも理解しております。
 あとは、やはり建物を建てる場所とか建物の向きとか、いろいろ検討しないと、これ以上進まないという部分もあると思うんです。はっきりいって、全部が全部、公文書館のようにできるかどうかというのは、建物の性質もありますし、いろいろあると思うんです。
 ただ、多分これから皆さんそうなさると思うんですけれども、一部、建物を建てるときに、すごくデザイン性を、見た目を考えて、これはエネルギーと、何ていうのかな、環境性能上どうなんだろうかという建物が、残念ながら、東京の建物、あると私は思っています。
 これから建てるものについては、例えば断熱だとか、窓の性能だとか、それだけではなくて、やっぱりそういう全体を考えて造っていくことが必要で、全体としてZEB化を進める、ゼロエミッションの建物にしていくということで、ぜひさらに検討を進めていただきたいということを要望しておきます。
 それから、既存施設については、今年度から太陽光パネルの設置が進んでおりますけれども、省エネという点では、まだこれからだというふうに思いました。
 先ほど省エネ更新基準というお話が出ましたけれども、既存施設の省エネ対策としてはどういった取組をこれから行っていくおつもりなのか、見解をお伺いします。

○中村率先行動担当部長 機器の更新時には、省エネ等の観点を踏まえて、東京都環境物品等調達方針(公共工事)に基づいて、高効率な機器に更新することとしております。

○里吉委員 省エネの基本として、例えば無駄な電気を使わないとか、買換えのときには高効率の製品に替える、こういう努力も非常に大事だと思います。
 同時に、既存施設について、必要な省エネ改修、断熱改修などもぜひ今後、検討していただきたいということを、検討すべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。
 そして、日経新聞が行った自治体調査で、都道府県や区市に対して、温暖化ガス排出量削減で重点を置く取組は何ですかというのがあったんです。これは昨年の七月三十日から九月八日に行われたものなんですけれども、複数回答で、例えば再生可能エネルギーの利用、導入促進やインフラ整備ということについての回答は、都道府県が九七・七%、区市も七九・八%と、そんなに大きな違いはありませんでした。
 一方で、公共施設のZEB化ということになりますと、都道府県では六七・四%ですが、区市になると、これが三六・一%というふうな大きな差が出ているわけです。公共施設のZEB化といったときに、区市町村の公共施設もぜひ進めていかなければならないと思っています。
 そして、東京都の補助事業の中で、区市町村の公共施設への太陽光パネルの設置については、補助率が二分の一から、新しい制度に変わったことで、今三分の二まで引き上げられました。都としての支援を充実したと、拡充したということで、これは大事なことだったと思っています。
 同時に、公共施設のZEB化、省エネ化については、情報提供なども含めて、都として何らかの支援が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○中村率先行動担当部長 都で公表するオープンデータとして、省エネ・再エネ東京仕様などの省エネ化や再エネ利用に関する情報を広く発信しているところでございます。

○里吉委員 都として取り組んでいる省エネ・再エネ東京仕様をオープンデータとして発信しているというご答弁でした。これ、私の地元世田谷区の担当者にお話を聞きましたら、知っているということでした。見ているということでした。
 ところが、一方で、これ、東京都は最高性能のものをきちんと載せているんです。これが、高性能の様々な仕様が示されているが、区として、限られた財源の中でどこまで環境性能の引上げ、できることができるか、これを今検討しなければならないということをおっしゃっていました。こうした自治体の状況もぜひリサーチしていただきたいと思います。
 これは一つの例なんですけれども、民間には窓、ドア断熱への補助がありますけれども、公共施設にはないわけですよね。こういった対策がもしあって、もちろん一般の住宅やほかのものとつくりが違いますから、これは効果があるかどうかはもちろん検証しなければなりませんけれども、ある担当者の方は、これはドアだけでも、窓だけでも、そういう補助があって、一定の水準のものをつけてくださいと、補助金を出しますよといっていただければ、公共施設の断熱改修も進むのではないかといっていらっしゃる方もおりましたので、ぜひこういったことも、よく自治体の状況もつかみながら、対応を考えていただきたいということを要望しておきます。
 次に、公共施設のZEB化については、ゼロエミッション化を推進する上で、延べ床面積が二千平米以上であると、東京都の建築物環境計画書制度の対象にもなるわけです。この活用について伺いたいと思います。
 この建築物環境計画書制度は今、その改善も検討されているところですけれども、その性能について公表されていると。評価内容を東京都が公表する仕組みで、環境に配慮した建物が評価される市場の形成を促進しているという説明がありますが、これは例えばどのように活用されているのか伺います。

○木村建築物担当部長 建築物環境計画書のホームページでは、対象となる建物ごとに環境配慮の取組を詳細に公表しております。
 世界的な脱炭素化の流れの中で、建物の環境性能が重視されておりまして、投資格付機関がグリーンビルを評価する際に、当制度の公表情報を活用していると聞いてございます。

○里吉委員 民間の投資格付機関などがマンションや複合施設などの環境性能をチェックするときに活用されているということでした。
 一方で、これ、公共施設も公開されているわけですよね。それはどういう意味を持つのかということなんですけれども、せっかく公共施設も公開するのですから、これは、そこに住む都民、住民や、それを活用している都民がその中身を知るということがすごく大事ではないかなというふうに思います。
 ですので、私もこの間見させていただいているんですけれども、ちょっと難しいんです。素人が見てすぐに分かるかというと、ちょっと難しいと思いましたので、ぜひ分かりやすくしていただきたいなと思います。ホームページでたどり着くのも、ちょっと私は苦労しました。
 ですので、ぜひこれは一般都民が見ても分かりやすいように、そして住宅の環境性能についてよく考えられる、そういうきっかけにもなるように改善していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○木村建築物担当部長 本制度の公表ページでは、地域や建物用途など、都民が知りたい情報に絞って検索できる仕組みとしております。検索後は、建物ごとの環境性能が比較できるようになってございます。
 また、集合住宅につきましては、一般都民の皆様が環境性能の優劣を星の数で一目で判別できるマンション環境性能表示を行ってございます。
 ホームページにおきましても、星の数で比較できるよう工夫をしております。
 今後とも、システム改修の機会などを捉え、より分かりやすい公表に努めてまいります。

○里吉委員 このホームページは私も何回か見させていただいたんですけれども、正しい情報、それからたくさんの情報をきちんと載せようと思うと、すごく難しくなってしまって、一目で分かるようにすると情報が少なくなってしまうということもあって、なかなか痛しかゆしといいますか、難しいと思うんですけれども、ここに公共施設が載っているということで、私も世田谷区にある学校ですとか、それから公共施設を見させていただいたんですけれども、住民が自分の地域の学校とか市民センターなど公共施設の、それなりに大きいところですけれども、環境性能について、客観的にほかの建築物とも比較して知ることができるように、ぜひ改善をしていただきたいと要望しておきます。
 そのことを通じて、やっぱり公共施設の断熱性を高めるですとか、環境性能を高めることについて、市民の理解、都民の理解も広がっていくのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、再エネ電力を増やすために必要な改善点として、送配電網の問題について伺います。
 再エネ電力を増やすために、都外での再エネを積極的に取り入れることも必要だと思うんです。市民電力の方からは、例えば都外に太陽光パネルの設置ができるところがあっても、送配電網を使えるかどうか、電力会社との協議が大変だというお話を伺いました。
 ノンファーム型接続というやり方で、再エネも今使えるようにはなっているんですけれども、それでも場所によってはまだ電力会社が認めていないところもある。つまり再エネを送ることができないというところもあるというふうに伺いました。
 これもこの場所で何回か議論しているんですけれども、送配電網について改善が必要だというふうに思いますけれども、都の認識と、それから改善に向けての取組について伺います。

○荒田地球環境エネルギー部長 再エネの導入拡大に向け、太陽光発電などの再エネ電力が制限されることなく送配電網に供給され、利用されることは重要でございます。
 そのため都は、送配電網の容量制限など、再エネ接続の制約の解消に向けて、国に対し、既存送配電網の最大限の活用、広域的な電力融通の実現、送配電網設備の整備について提案要求しております。
 今後とも、国に対して電力系統の運用改善等に向けた提案を重ねてまいります。

○里吉委員 これ、ずっと東京都は要望していると思うんですけれども、今、これまでるる議論あったように、一生懸命、今東京都は再エネ電力を増やそうとしていますけれども、やっぱり東京都内だけでは難しいわけで、それを補うためには、都外でつくった再エネを東京に持ってきていただくということで、せっかく再エネ電力をつくっても、送配電網の容量制限で東京に送れないということでは困るわけです。一刻も早く運用改善がなされるように、国に対して引き続き求めていただきたいと改めて要望しておきます。
 それから、電気の地産地消を進めようということで今、取組が進んでおりますけれども、私がお話を伺いました電力をつくる側、市民電力の方々などは、なかなか取っかかりがなくて進められないというお話を伺いました。身近な中小業者など、電気を使う側とのマッチングが求められているということなんです。
 それから、再エネ電力をつくる、そういうつくる主体を増やすためには、例えばビニールハウスの上や駐車場など、今いろいろな工夫がされていますけれども、そういうところに小さな太陽光電気施設を設置しても、少ない電力量でもまとめて、例えば自治体が長期契約で購入してくれるよ、そんな仕組みがあれば、再エネ電気をつくる、そういう発電所がたくさんできるのではないか、こういうお話も伺いました。
 こういった再エネをつくる側を応援する、支援する制度も今求められているのではないかなと思いますので、これは質問いたしませんけれども、ぜひ東京都として検討していただきたいと思います。
 そして、最後に、もう質問いたしませんけれども、現在、原油価格の高騰やロシアのウクライナ侵略など、エネルギーを海外に依存している日本のエネルギー政策の危うさが改めて浮き彫りになったと思います。日本のエネルギー自給率は一〇%程度です。OECD加盟国の中でも最低クラス、三十六か国中三十五位となっています。
 脱炭素社会の実現に向けて省エネを徹底すること、再エネ電力の割合を早急に引き上げていくことが求められています。電力逼迫への対応として、原発の再稼働が必要ではないかという議論が一部ありますが、こうした意見は看過できません。
 福島原発事故から十一年たちましたが、事故処理もまだできず、根本問題である使用済み核燃料をどうするのかという問題があるのに、どうして原発の再稼働なのかと思います。福島で原発事故の恐ろしさを経験した日本でやるべきことは、全ての原発を廃止することです。
 そして、日本は、環境省の調査でも、再エネの潜在量は現在の電力使用量の五倍から七倍とされています。その気になれば、もっともっと再エネを増やすことはできるわけです。
 今回の補正予算には、再エネの地産地消をはじめ、再エネ電力を増やす対策が様々含まれていますので、引き続き、都として再エネ電力を増やす対策を進めることを求めて、質問を終わります。

○西山委員 報告事項の中間まとめから質疑をいたします。
 環境基本計画の改定について記載がありますが、三つの項目について、少し具体的な表現を確認したいと思います。
 この項目の三番目に、消費と生産の在り方を持続可能なものへと変革していくとあります。脱炭素社会の実現に向けた消費と生産の在り方について、都は世界有数の大都市ではありますが、未知なるウイルスの脅威や、国際情勢が不安定化になるなど、改めて外国や都外からの物や食料などの大量の資源に頼っていることを実感いたします。
 脱炭素社会の早期実現のためには、都内における省エネ対策や再エネ導入等の最大化について、あらゆる角度から取組強化を図っていくことも重要であると思います。
 今後は、外国や都外で生産されてから都内に運搬され消費される資源による環境負荷の削減についても重視して取組を進めることが必要ではないでしょうか。
 そこで、環境基本計画の中間まとめにおきまして、消費と生産の在り方をどのように捉えているのかお聞かせいただきたいと思います。

○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 環境基本計画の中間のまとめにおきまして、都は多量の資源や自然資本を国内外に依存しており、エネルギーや資源等の大量消費を前提とした生活や事業活動を持続可能なものへ変革し、都内のみならず、都外の活動により生じる環境負荷の削減に貢献することが求められるとしてございます。
 持続可能な資源利用は気候変動対策にも資するため、資源の製造から流通や使用、廃棄、リサイクル等というサプライチェーンのあらゆる段階を視野に入れた資源循環施策を展開するべきとしてございます。
 施策の展開に当たっては、天然資源消費量の削減や再生可能資源の利用拡大の両面から、技術革新等の時間軸も踏まえながら、資源利用の効率化や素材の転換、行動変化等を図っていくべきとしてございます。

○西山委員 都外で生産されてから都内に運搬され、消費される資源量は一億トン前後になるとも伺っております。都は、都民や事業者等のあらゆる主体と連携をして、持続可能な資源利用を図っていただきたいと思います。
 続きまして、太陽光パネル導入義務化について確認いたします。
 限られた資源を大切に使うためには、消費される資源量を減らしていくために、リサイクルという考え方は欠かせません。現在、一般住宅への太陽光パネル導入義務化の検討が進められており、都民は、太陽光パネルのリサイクルに非常に関心を持っており、最近ではマスコミでも度々取り上げられております。
 太陽光パネルの寿命は、一般的に二十年から三十年といわれておりますので、二〇三〇年代半ば以降には排出が本格化することが見込まれております。一部の報道では、今後、太陽光パネルが大量に廃棄された場合、リサイクル施設が不足する可能性が指摘されております。
 都はこれまで、太陽光パネルの専門家で構成される使用済太陽光発電設備リサイクル検討会を立ち上げ、住宅用の太陽光パネルの実態把握やリユース、リサイクル等の高度循環利用について検討をしてまいりました。このような検討会によって、既に太陽光パネルのリサイクル施設の実態を把握していると思われます。
 そこで、現在及び今後のリサイクル施設の状況や、今後の都の取組の方針についてお伺いしたいと思います。

○村上資源循環計画担当部長 都は、ゼロエミッション東京を実現するため、太陽光発電設備などの導入拡大に取り組んでおり、将来の大量廃棄に備え、リユース、リサイクルの仕組みを確立していく必要がございます。
 現在、首都圏全体では七つのリサイクル施設が稼働しておりまして、このうち三施設はここ二年の間に新たに整備されたものでございます。
 こうした施設は、現在、主に使用済みとなった事業用太陽光発電設備を処理しておりますが、今後は排出量の増加が見込まれる住宅用太陽光発電設備についても活用していくことが重要でございます。
 都は、関係事業者と今年度立ち上げる協議会におきまして、こうした排出量や施設に関する動向等の情報を共有して、リサイクルルートを確立するとともに、事業者と連携してリサイクルを推進してまいります。

○西山委員 近年、リサイクル施設も増えたということで、事業用の太陽光発電設備が処理されていることや、今後、都は協議会を立ち上げ、住宅用太陽光発電設備のリサイクルルートを確立していく方針などを確認させていただきました。
 先ほど来の他の委員への答弁でも、パネルの設置は二〇三〇年までに都内二万棟の新築建築物を対象としているとありましたが、従来からの設置分も含め、二〇三〇年代半ば以降には、廃棄される太陽光パネルは、単年度ということではなく複数年度、つまり設置を義務づけするだけ、ほぼ永続的に使用済み太陽光パネルが排出され続けることに対して、協議会でぜひ今から議論していただきたいと思います。
 また、太陽光パネルは、資源としてガラスや金属、またセラミック等が含まれておりますが、容易に分けることができず、将来、住宅用太陽光パネルを取り外した事業者が処分に困り、悪意を持って不法投棄するようでは、何のために始める制度か分かりません。
 だからこそ、例えば家電製品のように、家電リサイクル券のような制度等を検討し、義務化を進める都として責任を持って、最後の後始末まで考えることが必要ではないでしょうか。
 いずれにしても、大量のガラス、金属、セラミック等が、この制度を続ける限り、廃棄材料として世の中に出続けるわけですから、需要と供給のバランスを考え、この行き先となる供給先の仕組みづくりを忘れずに議論していただくことを強く求めます。
 次に、同じく中間まとめのうち、質の高い都市環境についてお伺いしたいと思います。
 電力逼迫が懸念される中、エネルギー政策は極めて重要ですが、都民の生活環境に関する問題として、大気環境の改善や化学物質対策など、重要な課題であります。
 今日はこのうち、ふだん私たちが呼吸をしている身近な空気に関することである大気環境の改善に関連して、何点か質問いたします。
 都はこれまで、事業者の協力の下、ディーゼル車規制などの取組を進め、大気環境改善に大きな成果を上げてまいりました。
 先日、私の地元八王子から都庁に向かう際、中央高速道八王子インターを利用した直後に感じたことですが、一昔前でしたら、地元八王子から都心部を見ますと、空気はよどみ、汚れた大気が鬱蒼と見えておりましたけれども、今は見違えてきれいに見えるようになり、東京の大気環境が大きく改善されたことを実感しております。
 こうした中、大気環境のさらなる向上に向け、中間まとめでは、都の目指すべき方向性としてどのようなことが提言されているのか、確認のためお伺いいたします。

○鈴木環境改善部長 都はこれまで、ディーゼル車規制など様々な施策を推進してきました結果、二酸化窒素や浮遊粒子状物質など多くの大気汚染物質につきまして、都内全ての大気測定局での測定結果が継続的に環境基準を満たすようになりました。
 一方で、微小粒子状物質、PM二・五につきましては、令和元年度に初めて全測定局にて環境基準を達成いたしましたものの、ニューヨークなど世界の大都市と比較しますと、濃度が高い状況にございます。
 また、光化学スモッグの原因となります光化学オキシダントにつきましては、これまで全測定局にて環境基準未達成の状況が続いております。
 こうした状況を踏まえまして、中間のまとめでは、全ての都民が安心して質の高い生活環境を享受し、実感できるようにするには、さらなる取組の実施が必要であるとの提言をいただいており、都といたしましても取組を強化していく必要があると考えております。

○西山委員 ディーゼル車規制をはじめとする様々な取組により、随分改善したことは確かですが、世界ではニューヨークなど、さらに先を行く都市もあるということです。
 大気環境のさらなる向上に向け、都として取組をさらに強化していく必要があるとのことですけれども、特に注力していく分野について、どのように認識しているのかお伺いしたいと思います。

○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 光化学オキシダントにつきましては、環境基準が未達成な状況が継続しており、光化学スモッグ注意報は依然として毎年発令されております。
 光化学オキシダントは、主に工場や自動車などから発生する窒素酸化物及び揮発性有機化合物、VOCが大気中で紫外線を受けて、化学変化により生成するものでございます。
 また、光化学オキシダントは気候変動にも影響を与えることもあり、都は、この原因物質の一つであるVOC対策が重要な課題の一つであると認識をしておりまして、その生成過程や挙動を明らかにすべく調査を行うとともに、発生源を解析して、効果的、効率的な対策を検討、実施しているところでございます。

○西山委員 大気環境のさらなる向上に向け、光化学スモッグの原因となります特に注力していく分野の一つとして、揮発性有機化合物、VOCの対策が挙げられました。
 VOCは、ペンキ、またドライクリーニングの溶剤のほか、ガソリンの給油口から漏れる蒸気、一般の塗料や接着剤といった民生品など様々なものから発生をしていると聞いております。
 そこで都は、このようなVOC対策にどのように取り組んでいるのかお聞かせいただきたいと思います。

○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 VOCの発生源は多様でございまして、それぞれの排出特性に応じた取組が重要でございます。
 都はこれまでも、事業者の自主的なVOC排出削減の取組を促進するため、VOC対策ガイドの作成やアドバイザーの派遣など、区市や業界団体等と連携して、中小企業者への支援を実施してきております。
 また、都内のVOC排出量の二割を占めているガソリンの給油時に発生するガソリン蒸気、ベーパーにつきまして、このベーパーを回収し、再度ガソリンに戻す給油設備の導入に対して支援を行い、業界と連携して普及を促進してまいりました。
 さらに、塗料や接着剤などの民生品については、ホームセンターや小売店で需要が伸びているということを踏まえまして、これまでの各種広報媒体を活用した取組に加えて、今年度からは、小売店などと連携した低VOC製品の普及にも取り組んでまいります。

○西山委員 幅広い分野で発生しているVOC対策について、様々な取組が進められていることが分かりました。そうした中、さらにVOC対策を進めるよう、補正予算五億円が計上されております。
 この省エネ型VOC排出削減設備導入促進事業について伺いますが、原油高騰の影響は日常生活への影響のみならず、石油系溶剤を用いる業界にも及んでおり、例えばクリーニング業では、コロナ禍のテレワークで需要が落ち込む中、石油系溶剤の高騰に直面し、厳しい状況となっております。
 また、こうした事業所で使用している石油系溶剤は揮発性が高い特性を持つため、大気環境や作業環境を改善する観点から、溶剤の使用量を削減していくことも重要であります。
 今回補正予算で計上した本事業の狙いと支援の内容についてお伺いをいたします。

○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 石油系の溶剤は、VOCとなって光化学スモッグの原因物質となりますことから、その使用量の削減が必要でございます。
 また、石油系溶剤の価格高騰は事業者の方々に大きな負担となっており、溶剤使用量を削減する省エネの取組を進めまして、コスト削減を図ることが重要でございます。
 そのため、今回の補正予算では、大気環境の改善に寄与するとともに、事業者のコスト削減を狙いといたしまして、溶剤を使用するクリーニング業、印刷業、屋内塗装業を対象に、省エネ等につながる設備の導入について支援を行ってまいります。
 具体的には、こうした事業所におきまして、揮発する溶剤を回収して再利用する設備や、活性炭に吸着させる排ガス処理装置などの導入を支援するものでは、必要な経費の三分の二、二千万円を上限として補助をすることとしております。

○西山委員 石油系溶剤の使用量削減はコスト削減に直結するものであり、溶剤を回収、再利用する設備等の導入支援について、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 一方、こうした設備は、補助額を見ても比較的費用が高いことが分かりますが、この制度によって導入できる事業者は限られることから、溶剤を使用する事業者に幅広く取り組んでもらえるメニューも必要と考えます。
 今回の補正予算では、より多くの事業者でVOC対策と省エネの取組が進むよう支援するということですけれども、その具体的な支援内容についてお伺いをいたします。

○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 石油系溶剤を扱う事業者の方々にとって、溶剤は揮発性が高いことから、換気設備や空調設備は欠かせないものとなってございます。こうした設備について、揮発した溶剤の除去性能を有し、高い省エネ性能も備えた設備へ転換していくことは、大気環境や作業環境の改善だけでなく、コストの削減にもつながる取組でございます。
 そのため、今回の補正予算では、比較的安価に導入が可能なVOC除去フィルターのついた省エネ型の換気扇や空調機への転換につきましても支援してまいります。
 都は、こうした取組を通じまして、原料高に直面する事業者の方々が幅広く取り組み、大気環境の改善とコスト削減を同時に達成していくよう、適切に後押しをしてまいります。

○西山委員 幅広い分野から発生するVOCについて対策が総合的に進められ、また補正予算を計上した事業が中小零細事業者にも活用しやすい制度となっていることが分かりました。
 あとは、この情報を知らなかったという事業者を一社でも減らすことが必要です。本事業が多くの方に利用いただけるよう、事業周知をしっかりと行っていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る