環境・建設委員会速記録第三号

令和四年三月十四日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長曽根はじめ君
副委員長須山たかし君
副委員長里吉 ゆみ君
理事田村 利光君
理事関野たかなり君
理事加藤 雅之君
北口つよし君
漢人あきこ君
鈴木  純君
星  大輔君
原  純子君
伊藤 ゆう君

欠席委員 二名

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長宮澤 浩司君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務上田 貴之君
政策調整担当部長木村 真弘君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
次世代エネルギー推進担当部長榎園  弘君
事業調整担当部長三浦 大助君
環境改善部長筧   直君
環境改善技術担当部長志村 公久君
自然環境部長和田 慎一君
資源循環計画担当部長宗野 喜志君

本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第八十一号議案 高圧ガス保安法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十二号議案 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十三号議案 電気工事士法関係手数料条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・廃棄物等の埋立処分計画の改定について
・第十三次東京都鳥獣保護管理事業計画の策定について
・第二種特定鳥獣管理計画(第六期東京都第二種シカ管理計画)の策定について

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽根委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和四年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 曽根はじめ殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時

(別紙1)
環境・建設委員会
 第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 環境・建設委員会所管分

(別紙2省略)

○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第八十一号議案から第八十三号議案まで及び報告事項、廃棄物等の埋立処分計画の改定について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宮澤総務部長 去る二月十四日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。全てで十九項目ございます。
 まず、一ページをご覧ください。1、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移でございます。
 平成二十一年度から令和元年度までの温室効果ガスの年間排出量を記載しております。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しており、二ページ及び三ページにつきましても同様に記載しております。
 二ページをご覧ください。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成二十一年度から令和元年度までの産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量を記載しております。
 三ページをご覧ください。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成二十一年度から令和元年度までの産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量を記載しております。
 四ページをご覧ください。4、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去五年分)でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの都内の再生可能エネルギー電力利用割合等を記載しております。
 恐れ入ります、五ページをご覧ください。5、各再生可能エネルギーに関わる設置補助制度と実績額の推移(過去五年分)でございます。
 各再生可能エネルギーに関わる設置補助制度について、その概要及び平成二十八年度から令和二年度までの実績額を七ページにかけて記載しております。
 恐れ入ります、飛びまして八ページをご覧ください。6、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素濃度につきまして、平成二十七年度から令和元年度までの全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 九ページをご覧ください。浮遊粒子状物質濃度につきまして、同様に記載しております。
 一〇ページをご覧ください。7、令和二年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
 微小粒子状物質、PM二・五の濃度について、(1)、一般環境大気測定局における測定局ごとの年平均値を記載しております。
 一一ページをご覧ください。自動車排出ガス測定局について、同様に記載しております。
 一二ページをご覧ください。8、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額(過去十年分)でございます。
 平成二十五年度から令和四年度までの指定面積などを記載しております。
 一三ページをご覧ください。9、保全地域における希少種の状況でございます。
 調査対象の保全地域において確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一七ページにかけて記載しております。
 恐れ入ります、一八ページをご覧ください。10、緑被率、みどり率の推移でございます。
 区部及び多摩地域それぞれについて、(1)では平成三年及び七年の緑被率を、(2)では平成十年から三十年まで五年ごとのみどり率を記載しております。
 一九ページをご覧ください。11、都内自動車走行量の推移(過去十年分)でございます。
 平成二十二年度から令和元年度までの自動車走行量を記載しております。
 二〇ページをご覧ください。12、建設汚泥の発生量(過去五年分)でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの建設汚泥の発生量を記載しております。
 二一ページをご覧ください。13、日本からの廃プラスチック輸出量の推移(国・地域)でございます。
 平成二十九年から令和三年までの国、地域別の輸出量の推移を記載しております。
 二二ページをご覧ください。14、区市町村で回収している容器包装プラスチック量とリサイクル量とその合計(令和二年度、区市町村別)でございます。
 令和二年度の区市町村別の容器包装プラスチック量とリサイクル量を二三ページにかけて記載しております。
 二四ページをご覧ください。15、都内水素ステーションの整備実績でございます。
 平成二十六年度から令和三年度までの水素ステーション整備箇所数を記載しております。
 二五ページをご覧ください。16、東京ゼロエミ住宅導入促進事業の実績でございます。
 戸建て住宅及び集合住宅それぞれについて、令和元年度から令和三年度までの補助件数及び金額を記載しております。
 二六ページをご覧ください。17、集合住宅と戸建住宅のCO2排出量の比較でございます。
 集合住宅及び戸建て住宅の令和二年度のCO2排出量を記載しております。
 二七ページをご覧ください。18、既存住宅の断熱補助の実績でございます。
 高断熱窓及び高断熱ドアそれぞれについて、平成二十九年度から令和三年度までの補助件数及び金額を記載しております。
 二八ページをご覧ください。19、東京都区市町村との連携による地域環境力活性化事業における再生可能エネルギーの導入拡大に係る事業の補助実績でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの事業ごとの自治体数及び金額を記載しております。
 以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○星委員 私からは、ゼロエミッションビークル、ZEVの普及促進についてお伺いをさせていただきます。
 都は、新車乗用車を二〇三〇年までに五〇%ZEV化する目標達成に向けて、本年度は環境省の補助事業と連携し、再生可能エネルギー電力一〇〇%利用等を条件とした国庫補助の受給者に対しては、補助額を通常の四十五万円から六十万円に引き上げるなど、ZEVの導入支援を強化しています。
 その結果、今年度の補助件数はどの程度伸びているのか、まずお伺いをさせていただきます。

○三浦事業調整担当部長 今年度のZEVの補助実績は、年度前半が半導体不足による自動車全体の販売停滞の影響で低調であったものの、年度後半から申請件数が伸び、直近のデータで、一月は対前年同月比二倍以上となっております。
 特に、環境省補助と連携した新たな補助メニューがこの伸びに大きく寄与しており、直近の一月は、この補助の申請件数が全体の半数以上を占めております。

○星委員 今年度、ZEV補助の申請件数が大幅に増えているということでありました。
 昨年の事務事業質疑で、ZEVのメリットの積極的なPRを提案させていただいた私の質問に対しまして、九都県市が連携してPRできるよう調整を進めていると答弁をいただいておりましたが、実際に年明けから九都県市のポスターによる普及啓発がなされており、その効果もあったのではないかと推察をしているところであります。
 こうした取組の結果、都内乗用車新車販売のZEV率は、一月までに四・七%と前年度の二・三%と比較をして大幅に伸びていると聞いております。
 しかしながら、二〇三〇年までに新車乗用車販売を五〇%ZEV化するという目標とは大きな乖離がまだまだあります。
 先日の予算特別委員会における我が会派の林議員の一般質問に対しまして、都からは、メーカーに開発インセンティブを与えるような新たな補助制度の構築を検討している、現在メーカーとZEVの開発動向や販売見込みについて情報共有、意見交換を行っていると答弁がありました。
 そこで、メーカーとの意見交換等の具体的な状況と、それを新たな補助制度の構築に向けてどのように役立てていくのか、都の見解を伺います。

○三浦事業調整担当部長 都は、ZEVの新たな補助制度の検討に当たり、国内の乗用車メーカー全八社及び海外の乗用車メーカー正規輸入事業者七社と個別に意見交換等を行っております。
 新たな補助制度の構築に向けましては、二〇三〇年ZEV化五〇%目標達成への寄与という視点を重視しておりますが、各メーカーからは、新たな車種の開発には一定年数必要という事情も考慮してほしい、現在のZEV化率だけでなく、後発メーカーの開発意欲を喚起する工夫も検討してほしいなどの意見をいただいております。
 都は、こうした意見も踏まえ、各メーカーのZEV化への取組姿勢を適切に評価できるよう検討を進め、引き続き各メーカーと丁寧に意見交換等を行いながら、制度を具体化してまいります。

○星委員 ありがとうございました。二〇三〇年の目標達成に向けた新たな補助制度の検討をしているということが分かりました。ZEV普及の実効性のある制度構築に向け、しっかりと検討をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○伊藤委員 私からは、来年度予算において、特に重点的に予算配分をしていただいておりますZEV、特に電気自動車の急速充電器について伺いたいというふうに、まず思います。
 先般の、去年の事務事業質疑においても、この委員会で随分と急速充電器、あるいはまた充電器について質疑をさせていただきました。充電器があって初めて自動車を電気自動車化して買おうということになるということも申し上げましたし、そういう意味では、鶏と卵の例えでいえば、鶏が先だということも申し上げました。すなわち充電器が先に整備されていてこそ初めて電気自動車の販売促進というものが図られていくと、このように申し上げたところでもございます。
 これら、私どもの都民ファーストの会の要望、あるいはまた質疑を受けまして、来年度以降、積極的にこの急速充電器の普及に向けて予算をつけていただいているということについては高く評価をいたしたいと、まず思います。
 まず一問目は、この具体的な設置予算額と、そして今後の具体的な設置方針をお聞かせいただきたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 都は来年度、急速充電器の導入支援のため、二十一億九千六百万円の予算を計上し、件数として急速充電二百三十五基、超急速充電百基を見込んでおります。
 来年度は、従来補助対象としていた商業施設や事務所等の建物併設の駐車場に加え、建物併設ではないコインパーキング等の駐車場も新たに補助対象とし、普及を拡大してまいります。

○伊藤委員 来年以降の予算について今お話をいただきました。急速充電器が二百三十五基、超急速充電器が百基ということでございます。これからはどういう形で展開をしていくかということが問われていくかと思います。
 ガソリンスタンドなんかとの比較でまず考えたいと思います。少なくても都内を走っていますと、かなりの頻度でガソリンスタンドを見かけますし、また、そんなに不便を感じない程度に都内では広く整備をされているというふうに思います。
 まず、都内のガソリンスタンドの数というのは現状どの程度になっているのか伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 都内のガソリンスタンド数は、平成二十三年度末時点で千三百八十五か所ございましたが、令和二年度末時点では九百六十七か所となっております。

○伊藤委員 ありがとうございます。ほぼ現時点では約千か所というふうに承知をいたしました。
 ガソリンスタンド並みに、少なくても箇所でいったときに、場所でいったときに、ある程度近郊に都内で配置をされていると多くの方々が困らないで済むと、この急速充電器については思いますが、一方で、ガソリンスタンドと違って、ガソリンスタンドは一か所で何台も給油ができるというもので、この箇所数と基数とちょっと分けて考えた方がいいのかもしれませんが、いずれにせよ一千か所、一千場所ぐらいで、そういう形で都内で充電ができるということが望ましい姿であろうというふうに思います。
 ただ、今現在でいうと、先般の事務事業質疑では、都内では三百二十六基という急速充電器の設置場所数というんですか、箇所数だというふうに聞いております。三百二十六基ですね。ですから、箇所数でいうともっと少ないのかもしれませんね。ですから、これを少なくてもガソリンスタンド以上の箇所数に上げていく必要があると思います。
 今、設置台数のこと、箇所数のことを申し上げましたが、偏在せずに、やっぱりこれから都内各地に均等配置させていくことが、ガソリンスタンド同様に重要だというふうに考えます。その所見を伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 ZEVの普及を拡大していくには、ユーザーが安心して利用できるよう、一定時間走行すれば急速充電が活用できる環境を整備することが重要と考えております。
 都内の急速充電器は、お話のとおり令和二年度末で三百二十六基、島しょ地域を除く自治体の九割以上で設置されておりまして、自治体ごとの設置数や面積から勘案いたしますと、地域差はございますが、おおむね十分程度走行すれば急速充電が活用できる状況となっております。
 都は今後、ユーザーがより一層安心してZEVを利用できるよう、都内各地の急速充電器をさらに充実させるため、取組を強化する支援策を活用しながら設置を促進してまいります。

○伊藤委員 今までのステージは、できるところからやるというステージだったかとは思いますが、これからのステージは、まさに利用者の方々が不便を感じないように設置をしていくというステージに変わってきているというふうに思いますので、ぜひ今お話し申し上げた偏在しない形で、都内各地にこの急速充電器を配置していただきたいと思います。
 既に今、都有施設には三百基ほど急速充電器が、あるいは公共用充電器が設置をされているというふうに聞いています。
 一方で、この都有施設というのも、必ずしもみんなが毎日使う場所というわけではありませんので、どちらかといえば、例えば博物館に行ったとか、あるいは公園に行ったというようなことで都有施設というふうに書いていただいているんだというふうに思います。ですので、よりですね、日常的に行くところにたまたま駐車をし、そしてそこで非常に利便性高く充電できるというのが望まれております。
 ヨーロッパ、とりわけてドイツでは、この間も少しお話ししたかもしれませんが、街路灯にこの充電器を併設させていくということの取組が非常に進んでいて、今、ベンチャー企業が多く名のりを上げているそうです。先払いをして、そして一か月分、もうあとはコネクターを車の中に入れておいて、そこで差し込めば、要するに、一か月自由に好きなだけ充電できるという仕組みであるというふうに聞いております。
 こういう街路灯に設置できれば、車を路上に止めながら充電できるので、利便性の高いところに設置していくということは、非常にユーザーにとっては便利になりますので、検討すべきことではないかと思うんですが、都の考えをお聞かせいただきたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 都は、今月策定いたします都有施設における公共用充電器の整備方針におきまして、駐車台数に応じて一定規模の充電器を原則設置することとしております。
 都有施設には、都立公園やスポーツ施設など、多くの都民が利用する利便性の高い施設を含んでおり、ゼロエミッション都庁行動計画に基づき、二〇二四年度までに公共用充電器三百基以上の目標達成に向けまして、着実に設置を進めてまいります。
 お話の街路灯への設置につきましては、海外の先進事例も参考に、今後の活用可能性について検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひ、都有施設も数に限りがあると思いますので、ここから先は都有施設以外のところにどんどんつけていくということが求められていますので、今お話しの、ご答弁にあった街路灯につきましては、今後の活用可能性について検討をされるということですので、期待をしたいと思います。
 一方で、自分の生活圏でいうと、そろそろガソリンスタンドで給油して車にガスを入れなきゃなと思うと、大体あそこにあるなということが想像できるわけですが、多分、最初に私なんかが、例えば電気自動車を買って、どこで急速充電できるのかというのはなかなかぱっと思い浮かばないわけですね。
 皆さんどうしているのかなと思ったら、やっぱりスマホでそういう、何というんですかね、検索アプリみたいのがあって、そこで、ここだったらここだというのを一々検索されていたりされるようですけれども、やっぱりできることなら、あそこに行けば充電ができるなといういうことが、事業者との連携の中で一目瞭然になっているというのが非常に望ましい形ではないかと思います。
 例えばですけれども、最近、宅急便でも配送所を一々調べる必要はなくて、コンビニに行けば宅急便が出せるというように、あそこに行けば充電器があるというふうに分かるような、そういう分かりやすい事業者さんとの連携というのを検討するべきではないかと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 ZEVの普及を拡大していくには、充電器を利便性の高い民間施設にも広げていくことが重要と考えております。
 都内には、これまで自動車ディーラーやコンビニエンスストアなど、多くの都民が利用する施設で充電器の設置が進んでおり、ZEVのユーザーは、お話のとおり設置場所等が掲載されている民間の情報サイトを参照しながら充電器を活用しております。
 都は、今後、ガソリンスタンドや郵便局など、多くの都民が利用する他の施設へも充電器の設置を働きかけ、ユーザーの利便性のさらなる向上を図り、ZEVの普及を加速してまいります。

○伊藤委員 今の答弁にあったように、ガソリンスタンドもいいと思うんですよね。車を運転している人は、ガソリンスタンドがどこにあるか大体、今現在においては分かっていますので、これが二十年たち、三十年たてば、今度、逆にガソリンスタンドがまたなくなっていくということもあるかもしれませんけれども、当面ガソリンスタンド、あるいはまた郵便局も、自分の出している郵便局は大体ご承知だと思いますので、よかろうと思いますが、ガソリンスタンドも郵便局も、大きいところは別ですけれども、やっぱり都内の本当に二十三区の中心部なんかだと、どうしてもそれぞれがちっちゃいので、必ずしもじゃあ一台分、二台分の充電器が置けるかというと、置けないところもまた出てくるというところがあろうかと思います。
 ですから、加えて、今答弁にあったように、やっぱりコンビニ。コンビニも目黒なんかでも駐車場がついているところも中にはありますので、やっぱりできる限り大手コンビニの事業者さんとは連携を深めていただいて、駐車場のあるコンビニに行けば必ず充電できる、こういうぐらいの整備をぜひ推進していただきたいというふうに思います。
 加えて、さっき街路灯のお話をいたしましたが、もう既にスペースがあってかつ電気が来ている、そういった公共空間は一体どこなんだろうかということを考えますと、これは警視庁さんの所管かと思いますが、パーキングメーターが、これ、もううってつけじゃないかと思うんですね。そもそも駐車スペースになっているわけですから、道路上に車を置くこともできます。
 ちょうど大体一時間ぐらいですかね、三百円ぐらいで皆さん駐車していると思いますが、一時間ぐらい駐車しながらプラスアルファ、百円、二百円、また、ちょうど徴収機があるわけですから、そこでお金を払って、そこで充電できるというのが非常に利便性が高いんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 図らずも、ちょうど今パーキングメーターは、今は百円玉しか入りませんけれども、キャッシュレス化をここから進めていくということで、いわゆるスマート化をするということでもございました。ですから、ちょうどいいタイミングなので、そういった工事のときに合わせて電気の引込みというか、引き出しというのか分かりませんけれども、充電器を併設して電気自動車の急速充電器の設置場所にしていくべきではないかと、これを検討するべきではないかと思うんですけれども、環境局さんの所見を伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 ZEVの普及を拡大していくには、充電器の設置可能なスペースをこれまで以上に活用していくことも重要と考えております。
 そこで、都は、神奈川県の実証実験も参考に検討を進めることとしております道路上の充電器設置と併せ、お話のパーキングメーターについて、関係機関と連携し、課題の整理等を行ってまいります。

○伊藤委員 これは申し上げたように警視庁さんとも、あるいはまた場合によっては都市整備局さんなどとも連携をしていただきながら、まさしく課題の整理を行っていただく必要があろうかと思いますが、本当にこれ、図らずもある意味、東京都の所管でやっているパーキングメーター事業ですので、非常に連携しやすいと思うんですね。
 ですから、ぜひここは環境局さんが音頭を取っていただいて、各局、あるいは警視庁さんなどに働きかけを行っていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 最後に、二問、質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、都有施設、あるいはまた区市町村施設での再エネの整備でございます。
 都有施設、区市町村有施設での再エネ整備というのも、またこの充電器とともに重要であります。
 前回の定例会の我が会派の代表質問において、都内の官公庁施設、あるいは教育施設における太陽光発電設備の設置率がいまだ五%前後にとどまっているということが分かりました。
 都の率先行動を私どもは求めるとともに、具体的に都営住宅などと都立学校や区市町村立学校における取組を求め、対応する旨の答弁がございました。
 それを受けて、今般、来年度予算案に都有施設等への太陽光発電設備設置事業として、環境局、教育庁、住宅政策本部、警視庁、消防庁の連携で、前年度二億円から大幅に増額されまして、九十五億円の予算が編成されたと承知しております。このことにつきましては、高く評価をさせていただきたいと思います。
 その他の局においても様々な都有施設があり、また、直近で新設や更新を控えた施設もある中で、今後の取組を確かなものとし、全庁を挙げて計画的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、区市町村の所有する官公庁施設、教育施設において設置を促進するために、基礎自治体の取組をさらに後押ししていくべきと考えますが、併せて見解を伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けましては、都自身の再エネ整備の一層の強化に加えまして、住民に身近な区市町村の取組を都が支えていくことが重要でございます。
 このため、都は、都有施設における二〇二四年度までの太陽光発電設備の設置目標を一・二万キロから二万キロワットへ大幅に引き上げまして、ゼロエミッション都庁推進会議において、各局と進捗を確認しつつ、設置を加速してまいります。
 また、区市町村に対しましては、来年度、自家消費を前提とした補助事業を活用いたしまして、補助率を引き上げるなど支援策を充実するとともに、区市町村長の会合の場等を通じまして、事業周知を図り、再エネ設置に向けた取組を後押ししてまいります。

○伊藤委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと余談ですけれども、この間ちょっと調べさせていただいて、例えば今、都立高校についてはこの間も申し上げましたが、大体一つの高校が二十キロワットとか三十キロワットぐらいですかね。非常に大型に本格的に導入されている八王子西特別支援学校なんかは百三十キロワット。これはかなり全面的にだあっと太陽光パネルを設置していただいています。
 恐らく学校施設、区立の小中学校なんかもそうですけれども、頑張れば校舎の屋上だけで恐らく六十キロワットから百キロワットぐらいまでは多分設置できるんだろうというふうに思います。ただ、私の目黒にも確認をいたしましたら、ほとんどの学校で設置されていない。ほとんどの学校で区立の小中学校は設置されていなかったですね。
 仮にもですね、小中学校で太陽光パネルを設置しようと思ったときには、設置者は区ですから、区が負担をするということになるんですけれども、その区の負担が幾らぐらいになるのか、ちょっといろいろ局の皆さんにもご協力いただいて調べさせてもらったら、まず二分の一は国からのそういった太陽光パネルを公共につけるときには補助が出るということですから、まず二分の一、補助が出ます。
 それから、都は、そのさらに半分を補助するということですので、四分の一補助をするということで、結果的には、例えば目黒区が設置する場合には、目黒区の持ち出しというのは二五%で済むわけですね、イニシャルコスト。
 多分、これちゃんと計算していませんから分かりませんが、校舎の屋上一面に全部つけると、億はしないと思うんですね。数千万円かと思います。ですから、例えば、それがじゃあ二千万だとしたときに五百万ぐらいの、そういう意味じゃ持ち出しで、あと一千五百万は東京都と国が費用負担してくれるわけですよね。
 こういう補助の在り方があるにもかかわらず、何で使われていないのかと思って、この間、役所にもいろいろ聞いてみたら、あまりよく知らないですね、まず、この補助の仕組みを。
 何で知らないのかと思ったら、局の皆様は当然、区市町村の環境局というのかな、区市町村は環境部かもしれませんが、にはお知らせしていただいているんですけれども、学校の設置者ってまた部が違うじゃないですか。そうすると、教育委員会の学校施設管理課長とかは、この情報が入ってきていないんですよ。
 ですから、例えば今、目黒区なんかでも、あるいは都内のほとんどの学校がちょうど改修時期だったりとか、建て替え時期に入っていますけど、この計算が頭に入っていないので、設置しようという、まず設計になっていないです。
 そうするとイニシャルコスト、物すごいかかると思っているので、今全部で大体、区役所にとっても一番大きな負担になっているのが学校の建て替え工事費なので、そこがやっぱり脇に置かれちゃう。
 ですが、申し上げたように、二五%のイニシャルコストで考えて、そして、しかもそれ売電もできるわけですよね。あるいは、学校で使われている電力がほとんどそれで賄えるというようなことになったときに、これ全部、いってみれば、こういうの税外収入というのかな、区役所の売上げというか、収入になるわけですよ。ですから、恐らく多分一年とか二年で、イニシャルコスト二五%ならですよ、回収しますよね、普通に考えて。
 ということは、つけないわけないんです。つけないわけないのに、つけていないというのは、この仕組みを知らないということなので、ここはぜひ東京都の環境局の皆さんに頑張っていただいて、やっぱり区市町村の学校の施設管理者にこの情報を正確によくお伝えいただいて、何でつけないんですかというぐらい迫っていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。
 最後に、公共交通における水素利用について伺いたいと思います。
 東京二〇二〇大会では、水素の活用も重要なテーマでございました。選手村輸送に水素を活用するとともに、聖火リレーでは福島県で製造された再エネ由来水素を活用するなど、世界に先駆けた取組を実施されてきました。
 二〇五〇年のCO2実質排出ゼロのゼロエミッション東京の実現に向けましては、今後、再生可能エネルギー由来の水素は、エネルギーの貯蔵、輸送や需給の最適化の面で重要な役割を担います。
 水素の利用拡大に向けて、水素ステーションの整備がインフラとして重要ですが、安定した需要創出とセットでなければなりません。
 そこで、燃料電池自動車の導入拡大や、あるいは公共交通機関であるバスの燃料電池車両化、いわゆるFCバスなどと組み合わせて推進していくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 モビリティーによる水素利用の拡大には、インフラ整備と燃料電池車両導入を同時に進めることが重要でございます。
 都は、都民に身近な乗用車や公共交通機関であるバスの水素利用を進めるため、導入補助等による支援に積極的に取り組み、水素需要量が多い燃料電池バスが八事業者に九十三台導入されるなど、全国を牽引してございます。
 来年度からは、バス事業者等への導入インセンティブとしまして、五年で五台以上の燃料電池バス導入計画を提出する場合、自己負担分をおおむねゼロにする補助を開始いたします。
 あわせて、空白地域への水素ステーション整備のため、土地賃借料補助を大幅に拡充するなど、需給両面からの水素利用拡大のため、二百六十九億円の予算を計上し、モビリティーによる水素利用を一気呵成に後押ししてまいります。

○伊藤委員 ありがとうございました。ぜひ今答弁のとおり、再エネ設置に向けた取組を後押ししていただきたいと思います。
 最後の最後に、意見を申し上げておきたいと思います。
 ちょっと話を戻しますが、急速充電器しかり、今の再エネしかりですけれども、今ウクライナの危機があって、やっぱりこう、何というんですかね、何がこれから起きていくか、こういうことの想像を非常に悪い意味でかき立てられますけれども、人類が仮に絶滅することがあるとすれば、それは隕石が降ってくれば別ですけれども、それ以外のことでいうと、核戦争に突入していって絶滅するか、あるいは核戦争はなかったけれども、地球が温暖化して住めない星になってしまって絶滅するか、この二つに一つじゃないかなと思います。
 そういう意味でいうと、前者の方は、いささか他力本願的なところがあって、東京都ではいかんともし難いところはありますけれども、しかし、後者については、やっぱり世界一の都市の一つですよ、東京都は。ですから、温暖化というのは最大の都市化の問題ですから、超都市である東京都がやはり先駆けて、人類が消滅しないように、生命が生き続けられるように、取組を積極果敢にやはり進めていくべきだというふうに思います。
 で、本当に大きな予算をつけていただいたのは大変高く評価していますが、申し上げたように、今現在、三百二十六基の都内の急速充電器の数に対して、例えばオランダのアムステルダム市はもう既に、これ、急速だけではないかもしれませんが、一般の充電器も含めてかもしれませんけれども、九千五百基設置されていて、アムステルダム市だけですね。二〇二五年には三万基を超える、二〇三〇年には八万基を超える計画を持っているということです。
 ですから、東京よりもはるかに、そういう意味では先行していると思います。やっぱりアムステルダム市よりもはるかに人口密度も人口も高い東京ですから、ぜひ危機感というものをより一層強く持っていただいて、世界一の温暖化対策の進んでいる都市の実現を皆さんの手で図っていただきたいということを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

○北口委員 まず、私からは、初めにプラスチックのリサイクルについてお伺いをさせていただきます。
 都は、ゼロエミッション東京戦略において、二〇三〇年までに家庭と大規模オフィスビルからの廃プラスチックの焼却量を二〇一七年比で四〇%削減する目標を掲げております。この目標の達成に向けて、今まで燃やしていたプラスチックをリサイクルしていくことは重要でございます。
 自治体の取組状況を見ますと、容器包装プラスチックの分別収集を実施しているのは、ほぼ全ての市において実施している多摩地区に比べまして、区部ではおよそ半分の十二区にとどまっております。
 都は、昨年度からプラスチックの分別収集経費等について、区市町村を支援するプラ製容器包装等・再資源化支援事業を開始しました。
 まずは、これまでどのような支援をしてきたのか、その実績をお伺いさせていただきます。

○宗野資源循環計画担当部長 プラスチックのリサイクルを進めることは、持続可能な資源利用の実現を図るとともに、二〇三〇年カーボンハーフにも貢献する重要な取組でございます。
 都は、昨年度からプラスチックの分別収集経費等について、区市町村を支援する事業を開始するとともに、分別収集未実施の自治体を直接訪問いたしまして、制度の活用を働きかけてまいりました。
 こうしたことにより、令和四年二月末現在、新たに分別収集を開始する自治体向けのスタートアップ支援といたしまして、コストの試算や住民アンケート等の調査費等について三区に、収集運搬業務委託等に係る経費について一市を対象に支援を行いました。
 また、既に分別収集を行っている自治体向けのレベルアップ支援といたしまして、選別設備や作業員の増強、分別方法に関するスマートフォンアプリやチャットボットの開発等に係る経費について、一区三市を支援いたしました。

○北口委員 まだ容器包装プラスチックの分別収集を行っていない自治体に加えて、既に実施している自治体に対してもレベルアップの支援を行っているということを確認できました。
 来月施行されるプラスチック資源循環促進法により、従来の容器包装に加えて、いよいよ製品プラスチックの分別収集も始まります。プラスチックの分別収集に取り組む意欲はあるものの、コロナ禍による厳しい財政状況を挙げ、都によるさらなる支援を求める声も届いております。
 予算案では、プラ製容器包装等・再資源化支援事業が拡充されておりますが、その内容を伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 本年四月のプラスチック資源循環促進法の施行を踏まえまして、新たに製品プラスチックの分別収集を対象に追加して、スタートアップを支援強化いたします。
 具体的には、収集運搬、中間処理経費等への補助単価について、現在の容器包装プラスチックの八百円に加えまして、製品プラスチックを新たに始める場合には五百円、容器包装と製品プラスチックの分別収集を同時に開始する場合には千三百円の単価をそれぞれ新設いたします。
 さらに、コロナ禍による準備の遅れも考慮いたしまして、事業期間を令和六年度から八年度まで二年間延長いたします。

○北口委員 拡充の内容は分かりました。
 私の地元葛飾区は、既に容器包装プラスチックの分別収集を実施しております。葛飾区の人口は、およそ四十六万人ですが、既に容器包装プラスチックのリサイクルを行っている人口五十万人程度の自治体が新たに製品プラスチックの分別収集を始めた場合に、現行制度ではどのような支援を受けられ、来年度の拡充後はどのようになるのか伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 既に容器包装プラスチックのリサイクルを行っている人口五十万人の自治体を想定して試算をいたしますと、現行の支援事業では、二年間で最大二千万円となります。
 来年度から支援内容を拡充する新制度では、調査や周知経費支援として、一年目に五百万円、収集運搬、中間処理経費等への支援といたしまして、二年目からの三年間で計二億七千百万円の支援となり、その額の合計は四年間でおよそ二億七千六百万円となります。

○北口委員 拡充前に比べ、新制度では十倍以上となり、自治体によるプラスチックのリサイクルへの支援が大きく拡充されることがただいまの答弁で分かりました。自治体にとって大きな後押しになるものと高く評価をいたします。
 容器包装プラスチックのリサイクルが進んでいる多摩地域を含め、製品プラスチックと容器包装プラスチックのリサイクルを東京全体でより一層進めていくことが重要であります。
 これまでも都は、自治体を直接訪問し、支援制度の活用を促し、区市町村の取組をリードしてまいりましたが、今後はさらに一歩踏み込んで、例えば資源としてのプラスチックの持つ可能性を有効に引き出し活用していく新たな技術開発や、大規模プラスチックリサイクル拠点の整備など、プラスチックリサイクルの問題に都が一層リーダーシップを発揮し推進していくことを期待します。
 さらに、もう一つ付け加えさせていただきますと、プラスチックに加えて、今後、太陽光発電パネルやEVの高電圧バッテリーなど大量処分される時代を迎えてまいります。
 脱炭素化の流れの中で生み出されたこうした新製品が、かえって環境負荷になってしまうことのないように、都が率先をしてリユース、リサイクルに取り組んでいただけるよう要望いたしまして、そしてまた、都の役割に期待をいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、将来の基幹エネルギーである水素と電気の需要のバランスについてお伺いをいたします。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて、将来の基幹エネルギーを何にするのかは重要です。昨今、有望視されているクリーンエネルギーとして水素がございます。
 水素は、新しいエネルギー源として、生成、運搬、活用の全てのフェーズで、インフラの整備はこれからの技術でございますが、保存や運搬などが電気よりもエネルギーロスが少なく、今後の活用が期待され、現在活用しているエネルギー源の一部は水素に置き換わっていくものと予想されます。
 今後、電気も水素も再生可能エネルギーを使用して生成していくことを前提の上で、電気と水素の需要バランスについて、どうあるべきと考えているのか、環境局としての見解をお伺いします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向けては、エネルギーの消費効率の最大化と脱炭素エネルギーへの転換が不可欠でございます。
 都内エネルギー消費の五割弱を占める電気につきましては、再生可能エネルギーを基幹電源とすることを目指してございます。
 水素は、再生可能エネルギーの大量導入時代における電力需給の調整力として期待されるとともに、電化が困難な熱エネルギーやニーズが多様な運輸部門の脱炭素化などに役割を果たすと考えてございます。
 そのため、都は、燃料電池車両の導入や水素ステーションの整備を支援し、水素関連技術の普及と水素需要の拡大を今から後押ししております。
 都は、今後とも電気と水素の特徴や役割を踏まえ、それぞれの特性を生かした導入を進め、エネルギーの脱炭素化につなげてまいります。

○北口委員 水素エネルギーと電気エネルギーは、互いの短所を補いながら共存できるエネルギーです。適材適所にエネルギーを配置することで、より効果的に都市の脱炭素化に寄与すると思います。水素はまだまだ経済的に採算が取れない部分もありますので、市場経済が成熟するまで粘り強く支援をお願いいたします。
 次に、燃料電池バスの導入支援についてお伺いをいたします。
 都は、燃料電池バスについては、来年度予算でその支援を大きく拡充し、水素ステーションの設置、水素バスの導入、燃料費、水素代の補助など、ほぼバス事業者の持ち出しがないような制度を構築し、強力に後押しをしております。ランニングコストまで含めたこうした十分な支援を高く評価いたします。
 この積極的な予算を生かし、実際に水素バスの大幅導入につなげることが重要です。取組の実効性の確保について、都の見解をお伺いいたします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 燃料電池バスの導入につきましては、これまで業界団体やバス事業者からの聞き取りで、水素と軽油との価格差が大きいことや、水素充填のためのバックアップステーションが不足することなどが課題として挙げられておりました。
 このため、都は、来年度新たにバス事業者が軽油並みの価格で水素を充填できるよう、水素ステーション事業者に補助するほか、バス事業者がステーションの空白地域の営業所等に水素ステーションを整備、誘致する場合に、燃料電池バス導入経費の自己負担分をおおむねゼロにする補助を立ち上げるなど、幅広く支援してまいります。
 これら支援策の実効性を高めるため、業界団体やバス事業者等にきめ細やかな周知を行うとともに、調査やヒアリング等を通じて、各社の導入意向を的確に把握しながら、燃料電池バスの大幅な導入拡大につなげてまいります。

○北口委員 水素バスの導入に向けて、実効性を確保するために工夫し、取り組まれていること、確認いたしました。
 一方で、事業者の立場に立ってみますと、ランニングコストについては水素と軽油の燃料費差がなくなるまで継続的に支援されることが望まれます。支援策の継続的な運用についても要望して、次の質問に移ります。
 次に、EVバイクの普及について伺います。
 都は、二輪車のゼロエミッション化を進めるため、二〇三五年に新車販売一〇〇%非ガソリン化を達成する目標を掲げました。
 EVバイクは、CO2を削減できるだけでなく、走っているときの音も静かです。一方、コスト面に加え、一回の充電で走行できる距離が短い、充電時間がかかるなど、普及に当たっての様々な課題もございます。
 こうした課題解決に向けて、これまで都は、車両に対する補助を行っており、今年度はさらにバッテリーシェア事業にも取り組んでいるとのことですが、まずはこの事業の具体的な取組状況についてお伺いをいたします。

○三浦事業調整担当部長 都は今年度、個人と事業者に合計四十台のEVバイクを貸し出し、十五か所の交換スポットで充電済みバッテリーを利用者自ら交換してもらうバッテリーシェア事業を実施しております。
 交換スポットは、バイク利用者の多い板橋区を中心に、区役所やコンビニエンスストア、ガソリンスタンドの協力を得て設置してございます。
 利用モニターを公募したところ、四百七十八名の応募があり、その中から選定した宅配や在宅医療などの事業者十者、個人モニター三十名に参加いただいております。
 事業は、昨年十二月から昨日を期限として実施しており、今後、利用者アンケートや移動距離データなどの効果検証を行い、来年度以降の取組につなげてまいります。

○北口委員 都がEVバイク普及に向けて、新たな取組を積極的に実施し、成果を上げていることを評価いたします。
 二〇三五年の目標達成に向けては、さらに取組を進化させていくことが必要と考えますが、来年度の都の取組についてお伺いをいたします。

○三浦事業調整担当部長 EVバイクのさらなる普及には、ユーザーやメーカーなど、多様な主体が参画し、EVバイクが社会に定着する利用環境を整備していくことが必要でございます。
 来年度は、バッテリー交換機につきまして、システム化され、省スペースで設置可能な製品がメーカーより市販され、利便性が向上すると聞いております。
 都は来年度、こうした動向も踏まえ、EVバイクの利活用を促進する先駆的取組を民間事業者から公募し、将来的にビジネスとして継続できるEVバイクを活用した新たな取組を選定の上、共同で事業を実施することとしております。
 こうした取組を積極的に展開し、車両購入補助等との相乗効果により、需給両面から二〇三五年の二輪車の非ガソリン化を着実に達成してまいります。

○北口委員 EVバイクの普及に向け、都が積極的に取り組んでおられることがよく分かりました。
 EVバイクにつきましては、まずはバイクを利用する事業者向けにバッテリーシェアの形で運用されることが一番効率的と考えますが、事業として成立するような後押しが必要です。
 次年度においても、実証実験を充実させ、車両補助の継続及び交換スポットの設置支援など、都の取組に期待をいたします。
 最終的には、バイクを利用する様々な事業者や個人の脱炭素化、業務の効率性や利便性の向上にもつながるよう、将来のあるべき姿を見据え、政策に反映することを望みます。
 次に、断熱太陽光住宅の普及についてお伺いをいたします。
 来年度予算で、既存住宅への断熱改修や太陽光発電設備、蓄電池、V2H等の設置に対し、都が新たに始める助成事業である、災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業については、断熱改修補助の想定規模が窓とドアそれぞれ五万戸と大幅に引き上げられたことなどをはじめ、支援の拡充が図られており、高く評価をいたします。
 この事業は、断熱改修等に対する補助を受ける際に、太陽光発電設備への支援も新規に実施するというものであります。とりわけ、これまでと異なる新しい支援につきましては、その内容を正確に事業者や都民に伝えていく必要があります。
 また、既存住宅の再エネ対策には断熱改修が有用なこと自体も、さらに広く浸透させていく必要があります。
 さらに、昨年の環境・建設委員会で補正予算案に関する質疑を行った際にも指摘をさせていただきましたが、日本の住宅は欧米と比べて断熱性能が低いといわれております。
 冬場の家庭内の室温が血管や気管支等の疾病に関連するとのデータもあるとおり、温熱環境は人の健康に影響を与える重要な事項ですので、こうしたことも踏まえて今後の普及啓発を行うことが大変重要だと考えておりますが、都の見解をお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 既存住宅のCO2削減には、冷暖房時の熱の出入りが大きい窓やドアの断熱化が有効であることから、この対策は、お話しのとおり省エネ対策として重要であるとともに、ヒートショックの予防やアレルギー疾患の改善、結露防止など、健康や生活の快適性にも資するものでございます。
 また、太陽光発電設備の設置も併せて行うと、さらなるCO2削減につながるほか、災害時にも継続して電気が使用できるなどメリットは大きいものでございます。
 昨年十二月におけます補正予算編成による補助率の引上げ後、リフォーム関連団体等に幅広く周知を行ったことなどにより、本年一月以降の申請数が約二か月間で五千戸超と急増いたしまして、先般、申請が予算額に達したところでございます。
 次年度の新規事業の実施に当たりましても、断熱改修に複数のメリットがあることも含め、事業の内容や効果がしっかりと都民に伝わるよう、世帯構成等を踏まえた広報の在り方等を工夫するとともに、住宅リフォーム、太陽光発電設備等の関連団体や事業者との連携を庁内一丸となってさらに強化するなどして、効果的に事業周知を図ってまいります。

○北口委員 本年度の事業の補助率引上げについては、事業者と連携した事業周知が功を奏し、予算が売り切れるほどの多くの申込みがあったとのことでございます。原油価格高騰を踏まえた補正予算が、有効に活用されたことは大変意義のあることだと考えます。
 こうした各種の支援メニューがあれば、既存住宅の脱炭素化に取り組もうとするご家庭もさらに増えてくるのではないかというふうに期待をしております。
 次年度においても、事業者連携をさらに強化するなど、普及啓発の在り方を工夫していくとのことですので、都の取組に大いに期待して、次の質問に移ります。
 次に、揮発性有機化合物、いわゆるVOCの対策について質問をさせていただきます。
 私は、昨年の事務事業質疑において、大気環境について取り上げました。それに対して、東京都の大気環境は全体的に改善傾向にあるが、新たな政策目標に掲げたPM二・五や環境基準を達成していない光化学オキシダントについては、環境中の濃度のさらなる低減が課題であると認識しているとの答弁がありました。
 光化学オキシダントは、VOCが大気中で反応して発生すること、また、VOCはPM二・五の原因物質でもあるため、大気環境のさらなる改善のためには、VOCの削減を進めることが重要です。
 VOCは塗装や印刷などの工場や事業所で発生するもののほか、私たちが日頃利用するガソリンスタンドでガソリンを給油する際にも発生しています。
 都では、このVOCを削減するため、これまで様々な対策を進めていますが、その取組状況と成果について説明を求めます。

○志村環境改善技術担当部長 東京の大気環境のさらなる改善に向け、光化学オキシダントやPM二・五を低減するためには、その原因物質であるVOCについて、発生源に応じた効果的な削減対策を進めることが重要でございます。
 都はこれまで、発生源となる工場等に対する法や条例による規制とともに、事業者の自主的な取組を促進するため、VOC対策のアドバイザー派遣やセミナーの開催など、業界団体等と連携して中小事業者への技術支援を実施してまいりました。
 VOCの排出量は、環境確保条例に基づく化学物質の排出量調査によりますと、二〇一九年度には二〇〇二年度と比較いたしまして、約七〇%以上減少しております。

○北口委員 都のこれまでの取組などにより、十七年間で約七割ものVOC排出量が削減されたとのことであり、これは様々なVOC対策を複合的に講じ、事業者が積極的に取り組んできた成果だと思います。
 しかしながら、依然として光化学オキシダントの環境基準は達成されていないことから、さらなるVOC削減が求められており、工場等に限らず、VOCの種類や発生源の特性に応じて効果的な対策を強力に進めていくことが必要です。
 特にガソリンを給油する際に、自動車の給油口から排出されるガソリンの蒸気は、光化学オキシダントの生成能が高いVOCの集まりと聞いており、それを回収する機能がついた給油機に切り替えることによって、効率的に排出を削減できることから、早急に普及を進める必要があると考えております。
 そこで、ガソリンスタンド向けのVOC対策事業について、事業の概要とこれまでの実績について説明を求めます。

○志村環境改善技術担当部長 ガソリンの給油時に発生するガソリン蒸気は、都内のVOC排出量の約二割を占め、この中には光化学オキシダント生成寄与度の高い成分が多く含まれていることから、対策を強化する必要がございます。
 そのため、都内に比較的多く設置されている懸垂式給油機について、これまで製品化されていなかったガソリン蒸気の回収が可能な機種の開発を促すとともに、その製品を先駆的に導入する事業者への補助事業を実施し、機器の設置や操作性等に係る課題の整備、導入促進策の検討等を行うこととしております。
 本事業の実施に当たり、都は、事業者の要望等をメーカーに伝えるとともに、業界団体の協力を得ながら事業の周知を図り、その結果、今年度、二か所のガソリンスタンドに合計五台が設置されました。
 令和四年度は、規模を拡充し二十台に補助を行う予定であり、今後、導入事例を踏まえ、ガソリン蒸気回収機能のついた給油機の導入促進に向けた施策の検討を行ってまいります。

○北口委員 回収機能のついた給油機の導入はまだ広がっておりません。ぜひ普及啓発に努めていただきまして、しっかりと進めていただきたいと思います。応援をしております。
 また、ガソリンスタンド事業者は中小規模のところが多く、新たな設備投資が難しいことから、導入促進策の検討に当たっては、中小事業者の実情に十分配慮していただきますよう要望をいたします。
 最後に、フロン対策について質問をさせていただきます。
 フロンは、冷凍冷蔵空調機器の冷媒として広く利用されておりますが、CO2の数十倍から一万倍以上の温室効果があり、また、都内の温室効果ガス排出量の一割程度を占めております。
 フロンについては、国際的な枠組みであるモントリオール議定書に基づき、段階的に生産や販売の規制が進んでいます。我が国においても、フロン排出抑制法が改正され、二〇二〇年四月からフロン回収が確実に行われるよう、義務や罰則が強化されました。
 都では、ゼロエミッション東京戦略において、二〇五〇年までにフロン排出量をゼロにする目標を掲げております。
 フロンの漏えいは、主に機器の使用時と廃棄時に起きますが、都はこれまで、それぞれどのように対策を行ってきたのか、説明を伺います。

○筧環境改善部長 機器使用時の対策としては、二〇一八年度から商工団体を通じて中小事業者や個人事業主にアドバイザーを派遣し、法の周知及び点検等へのアドバイスを実施してまいりました。
 二〇二一年度からは、大量排出事業者などへアドバイザーを派遣し、削減対策の提案、効果検証を行う事業を開始しております。
 また、業界団体と連携して動画配信により危機管理の徹底や、フロン排出抑制法の改正内容の周知を図っております。
 機器廃棄時の対策といたしましては、フロンGメン等により建物解体現場の全件調査や現場への立入り指導を実施しており、二〇二〇年度からこれまで約九千件の調査を行っております。
 調査により不適切な作業を確認した事業者に対して、三十二件の勧告を行うとともに、特に悪質であった事業者に対しては警視庁と連携し対応することにより、全国で初めてとなる書類送致に至りました。

○北口委員 フロン排出量の削減に向けて、機器の使用時、廃棄時ともに様々な取組を行っているということが分かりました。引き続き、ここは着実に進めていただきたいというふうに思います。
 現在主流の代替フロンは、無色、無臭、無害であるため、機器使用時に漏えいしてもすぐに気づくことができません。また、オゾン層の破壊はないものの、温室効果が大きいとされております。
 そのため、これまでの取組に加えて、機器使用時に早期に漏えいを発見できるようにすることや、そもそもフロンを使わない機器の普及も重要と考えます。都の見解を求めます。

○筧環境改善部長 機器使用時のフロンの漏えいを早期に発見するためには、先進技術の活用など、新たな取組が重要であると認識しております。
 そのため、来年度からIoT技術を用いた遠隔監視システムや早期発見のためのフロン漏えい探知システムなど、最新技術を実機で検証し、導入促進を図る事業を実施いたします。
 また、ノンフロン機器の普及に向けて二〇一九年度から中小事業者に対し、省エネ型ノンフロン冷凍冷蔵ショーケースを導入する際の補助事業を実施しており、補助実績は二〇一九年度三十八台、二〇二〇年度百四十一台、今年度は二月末までで百九十五台と着実に増えております。
 今後とも、新技術やノンフロン機器の開発動向を注視し、効果の見込まれるものについて、その普及に積極的に取り組んでまいります。

○北口委員 ノンフロン機器への補助実績は着実に増えているようであります。コロナ禍で飲食店では、テークアウトやデリバリーに対応するため、小型の冷凍冷蔵ショーケースの需要が増えているというふうにも聞いております。引き続き補助を続けていただければというふうに思います。
 あわせて、ノンフロンは人体に有害であったり、可燃性であったりする場合が多く、適切な管理体制は、むしろますます重要と考えます。
 都は、二〇五〇年までにフロン排出量をゼロにする野心的な目標を掲げております。目標の達成は容易ではないと思いますが、あらゆる手段を用いて積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 羽田新飛行ルート本格運用が二〇二〇年三月に始まって以来、今月で丸二年がたとうとしています。
 私の地元江戸川区では、これまでの南風悪天候時着陸ルートに加え、荒川新ルートを離陸便が頻繁に飛行するようになり、住民はさらなる負担を強いられています。
 荒川新ルートの本格運用前後で騒音発生回数はどのくらい増え、何倍になったのかを伺います。

○筧環境改善部長 航空機騒音の環境基準は、時間帯補正等価騒音レベル、いわゆるLdenを評価手法としており、時間帯ごとの騒音の大きさや発生回数から得られた騒音エネルギーの総和を基に算出されます。
 羽田空港の新飛行経路の本格運用に合わせ、都は、運用開始日の令和二年三月二十九日から江戸川区内で騒音の大きさや発生回数等のモニタリングを開始しているため、本格運用前の騒音データ等は持ち合わせておりません。
 なお、江戸川区独自の騒音調査によりますと、年間騒音発生回数は、令和元年度が八千四百五十一回、本格運用後の令和二年度が二万二千三百三十一回と約二・六倍となっており、おのおのの年間Lden値は四十八・二デシベル、四十七・二デシベルであり、一デシベル減少しております。

○原委員 江戸川区が公表した数値は、今示されたとおり、令和二年度が騒音回数二万二千三百三十一回と運用前の二・六倍になっています。飛行回数も二・七倍とほぼ同じ割合です。
 地元住民からは、朝七時から飛行機の騒音に起こされる、休みの日も寝ていられない、精神的に参る、テレビの音が聞こえず飛び去るまで思考が中断されてしまう、木造だから音が気になって駄目と、様々な訴えが寄せられ、日常の穏やかな生活が脅かされています。
 東京都は、二〇二〇年、新飛行ルートの本格運用に伴い、羽田空港の環境基準適用の指定地域見直しを検討することを定めましたが、検討状況を伺います。

○筧環境改善部長 羽田空港周辺で航空機騒音の環境基準を適用させる指定地域は、環境基本法に基づき知事が指定することになっておりますが、今般の新飛行経路の本格運用に伴い、都は、指定地域の見直し検討が必要となりました。
 このため、都は、専門家から成る検討会を令和三年一月に立ち上げ、騒音の広がり等を改めて科学的に検証し、指定地域の見直しの可否の検討や、見直す場合の基礎資料の収集等を行うこととし、これまでの検討で今後の騒音測定方法等をおおむね確定することができました。
 しかし、コロナ禍による航空便数の減少、航空各社による大型機から中小型機への機材変更、さらには国の固定化回避検討を通じて、その実施が想定される新たな騒音対策などにより、今後、空港周辺の騒音発生状況がさらに変化する可能性が判明いたしました。
 このため、当面の間、指定地域の見直し検討に係る騒音調査の実施時期を後ろ倒しすることとし、国の検討状況に係る情報収集やモニタリングによる騒音発生状況の把握を継続していくことといたしました。

○原委員 新飛行経路の本格運用に伴い、指定地域の見直しが必要と判断し、検討会を設置しているにもかかわらず、運用開始後、二年放置しているのは問題ではないですか。
 今の説明によると、減便中は通常の状況と違うから、便数が回復してから見直しに関わる騒音調査を行い、国の固定化回避の方向性も鑑みながら指定地域の見直しを検討するということで、一体何年後になるのか見通しが示されておりません。その間も騒音被害に住民は苦しまなくてはならないのでしょうか。
 そもそも、騒音調査をしなければ指定範囲が決められないといった決まりがあるんでしょうか。

○筧環境改善部長 航空機騒音の環境基準を適用させる地域の指定については、騒音調査の実施は求められておりませんが、当然のことながら、この地域の指定には航空機騒音の実際の大きさや広がりなどの実態把握が必要であることから、都はこれまでも、指定地域の見直し等において、騒音調査を実施してまいりました。

○原委員 騒音調査の実施をやらなければならないという決まりはないということでした。
 そして、基準適用地域は知事が指定をできます。それなら、知事が決断すればできるということですよね。新ルートを飛んでいるのに、見直しの先延ばしは許されません。
 現在、コロナ禍による減便は、どのくらいの規模かをお聞きします。

○筧環境改善部長 国土交通省の空港管理状況調書によりますと、国際線と国内線を合わせた羽田空港の着陸回数は、令和元年度が二十二万五千六百九十七回であったのに対し、新型コロナウイルス感染症の拡大期を含む令和二年度は十一万二千九百九十一回と、ほぼ五〇%減少しております。

○原委員 新ルートは増便のためとされてきましたが、二〇二〇年三月には新型コロナの感染急拡大により、既に国内は移動規制、海も空も出入国について規制が始まっていました。
 そうした状況下で本格運用する必要性はない、旧ルートで十分可能だと住民が新ルート運用中止を求めたのは、もっともなことでした。しかし、多くの住民の反対の声を聞かず、国は新ルートを強行したわけです。
 現在、江戸川区、渋谷区、練馬区など、新飛行ルートの騒音モニタリング調査を都が実施しているわけですが、そこで得られた数値を資料として参考にする上で、環境基準適用の指定対象にすることは当然のことだと思います。
 測定をして、その数値が環境基準に対して高いのか、基準内なのかを見定めるのではないのですか。測定をしている地域は、航空機が日常的に飛んでいるわけですから、これらの区を環境基準適用対象にすることは必須だと思いますが、いかがでしょうか。

○筧環境改善部長 都は、新飛行経路における航空機騒音の実態を把握するため、運用開始日から飛行経路直下の五か所を追加した七か所で騒音モニタリングを開始し、その結果をホームページで公表しており、令和二年度の測定結果では、全ての測定地点で環境基準値を下回っております。
 さらに、令和三年一月からは、空港周辺の生活環境を保全する観点から、先ほど答弁申し上げたとおり、環境基準の遵守が求められる指定地域の見直し検討に向けた調査に着手しております。
 この検討に当たりましては、航空機騒音の実際の大きさや広がりなどの科学的知見を基に判断していくことが重要でございます。
 今後とも、航空機需要の回復状況等を見据えつつ、航空機騒音に関する科学的知見を十分に蓄積しながら、指定地域の見直し検討を進めてまいります。

○原委員 逆なんです。今お答えになったのが、騒音モニタリングでは全ての測定地点で環境基準以下だったとおっしゃっています。既に環境基準に照らして見ているんですよ。だから、当然、基準適用をすべきなんじゃないでしょうか。
 飛行機音がひどく電話が聞き取れなくなる、コロナ禍なのに換気のための窓も開けられない、新ルート下の住民の訴えです。また、横断歩道を渡っている最中に飛行機音が始まると、周りの音がかき消されて一歩も動けなくなってしまう、視覚障害者の方の声です。
 今、減便中だから便数が回復してからとおっしゃいますが、地元住民は、新ルートをこれ以上飛行機が飛ぶことを望んでいません。環境基準適用範囲にもせずに、騒音被害の今以上の負担増をまず受け入れろというのでしょうか。
 東京大学総長が日本航空機操縦士協会長に向けて、二月末に実施する大学入試の外国語試験中の静穏保持を十一月に要望いたしました。リスニング試験中に航空機等の飛行騒音により支障が生じることのないよう配慮を求めたものです。
 先月、我が党の笠井亮衆議院議員が予算委員会分科会でこの問題取り上げ、質問いたしましたが、国交省の副大臣は、個別の要望への配慮は困難と答弁しました。騒音被害によって大事な試験が公正に行えなくなる可能性があり、若者の人生を左右することなのに、配慮もしないという姿勢、あんまりではないでしょうか。
 都は、都民の安全を守る立場に立って、しっかりと国に騒音対策を求めるべきです。そして、まず、今飛んでいる地域は環境基準の適用地域に指定することを知事に対し強く求めるものです。
 飛行経路直下の住民は、航空機騒音のみならず、落下物の危険、CO2排出による大気汚染などの不安が常に付きまとっています。航空機からのCO2大量排出が世界的課題となっていることはご存じのとおりです。
 昨年の秋、国交省から区民に配布された羽田新ルートに関する情報紙、これですけれども、(資料を示す)これに航空機の新技術導入でCO2排出削減を検討しているとの記述がありました。住民の不安が大きいことを国も認識しているのではないでしょうか。
 運輸部門におけるCO2削減対策として、航空機対策も必要ではないでしょうか。環境局として、航空機によるCO2排出についてどのように考えているのか、見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 航空機の運航に係るCO2排出につきましては、国際的な航空機関や国により対策の検討が行われており、都におきましては、都内航行分を排出量として算定してございます。
 現在、ゼロエミッション化に向けた水素航空機の開発やバイオ燃料の使用などが進められていると認識しており、昨年十一月の環境審議会におきましては、運輸機関における脱炭素化に向けた動きを参考として提示したところでございます。

○原委員 都内航行分というのは、つまり調布飛行場と伊豆大島や新島を行き来する便や、羽田−八丈島区間の便のことですね。都内で離着陸が完結するこうした航空便は、運輸部門のCO2排出量に算定されていますが、それ以外は東京都としては算定にも入っていないというわけですね。
 これまでの海上ルートから住宅地上空を通過するルートに変わり、空から都民の生活の場にまき散らされるCO2がどのくらいの量なのか、やはり具体的につかみ、その影響についても検証するすべが必要ではないでしょうか。
 全庁を挙げて取り組んでいるカーボンニュートラルの取組に、局間での連携も強め、航空機対策もしっかり位置づけることを要望します。
 新ルートは増便のためという理由で実施されましたが、減便が続いている今、新ルートは、飛ばなければならない理由はなくなっています。
 我が党は、これまで代表質問でも住宅地の上空を飛ぶ危険な羽田新ルートの廃止を繰り返し提言してきました。新ルートがもたらす騒音や大気汚染から都民の命と健康を守るために、環境局が国に対し毅然とした態度で臨まれることを強く求め、次の質問に移ります。
 東京ゼロエミ住宅の予算が百八億円つきました。事業スタートの二〇一九年度は十七億円、二〇二〇年度は二十一億円、二〇二一年度は二十四億円プラス補正予算で十九億円、ここから百八億円ですから、大きく伸びたと思います。
 位置づけが高まったと思いますが、関係者の反応や新事業の概要について伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、新築住宅の環境性能の向上を図るため、東京ゼロエミ住宅基準を定めまして支援を実施し、多くの回で申請が予算枠を超えるなど、多くの都民の皆様に関心を持っていただいてまいりました。
 来年度は、新築住宅のゼロエミ化をさらに促進するため、より高い断熱性能や国内最高レベルの省エネ性能等を備えた水準を追加するなど、東京ゼロエミ住宅基準を三段階にし、それぞれの段階に応じた支援を講じるとともに、助成対象件数を大幅に拡充いたします。
 加えて、太陽光発電設備等に対しましても助成単価を増額するなど、積極的な設置を促進していくこととしてございます。

○原委員 本年度までは、募集のたびに抽せんになって一・八倍から二倍でした。省エネ推進に協力しようという申請者全員が助成される制度にと、私も昨年から繰り返し求めてきましたが、今回の大幅予算増は本当に現場の皆さん、特に工務店の皆さんに喜ばれています。都度募集にしても、もし予算が足りなくなったら補正を組んででも全員に支給されるように進めていただけるよう、要望をしておきます。
 次に、新事業である災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業の目的と概要を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 住宅において、熱の出入りが大きい窓、それからドアの断熱化は、省エネに加えてヒートショックの予防など健康にも資するものでございます。また、太陽光発電設備の設置により、災害時にも電気の継続使用が可能となります。
 この事業は、こうした省エネ性に優れ、災害にも強く健康にも資する住宅の普及拡大に向けまして、窓やドアの断熱改修等に対し補助を行うとともに、これらと併せて太陽光発電設備を設置する場合に、追加して補助を行うものでございます。

○原委員 今回、太陽光発電と蓄電池やエコキュートなどを併せて補助事業で行うことにより、エネルギーの地産地消という方向性を大きく打ち出すもので、重要だと考えます。
 また、停電にも備える、災害時機能が広がることはとても大事です。既存住宅の窓、ドアの断熱改修について、今年一月の三分の一補助実施は、それ以前の六分の一補助から引き上げられ、とても喜ばれています。
 ですが、まだこの事業、多くの都民の皆さんに知らされておりません。新規事業では周知を工夫して行っていただきたいと思いますが、いかがですか。

○小川地球環境エネルギー部長 昨年十二月の補正予算成立後、幅広く関連団体に情報提供を行ったところ、都民への事業周知が進みまして、本年一月以降の申請数が約二か月で五千戸超と急増したところでございます。
 新規事業の実施に当たりましても、事業の内容や効果が都民に伝わるよう、広報の在り方の工夫や関連団体等とのさらなる連携強化等によりまして事業周知を図ってまいります。

○原委員 国の三分の一補助事業と合わせれば自己負担は三分の一、さらに市区町村で補助するところも今増えているそうです。圧倒的多数が既存住宅ですので、断熱によるエネルギー消費量の半減達成に向け、引き続きの取組をお願いいたします。
 都営住宅における太陽光発電設備設置事業では、設置棟数百棟分の予算を組んだことは重要です。事業の意義と計画概要を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けまして、大量のエネルギーを消費する都自身が隗より始めよの意識の下、再生可能エネルギーの導入等の取組を一層強化していくことが重要でございます。
 都営住宅において、住宅政策本部と連携しながら、令和四年度から建物への荷重、それから設置高さを抑えられる工夫を採用し、住棟の状況に応じた太陽光パネルの設置を進めていくこととしてございます。

○原委員 都営住宅は五千九百棟あるので、百棟でも少ないくらいです。建物の高さ制限などもそれぞれで、一棟ずつ制約をクリアし設置していかなければならないこともお聞きしました。頑張ってほしいと思います。
 再エネのモデル事例を示し、二〇三〇年、CO2削減目標に向けて加速をしていっていただきたいと思います。予算の拡大でさらに進めることを求めます。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

○須山委員 何点か私からも質問させていただきたいと思います。
 まず、二二年度の一般会計予算は、環境局千百八十四億円、そのうちの九百三十一億円という膨大な額が二酸化炭素排出量ゼロ社会、ゼロエミッションに向けた取組でございます。ゼロエミッションに向けて本格的に動き始めたといえると考えます。
 そうした中で、まずは二〇三〇年カーボンハーフという目標の実現に向けて進んでいかなくてはいけないと考えております。
 そこで、まず初めに、東京都自身の施策ということで、都有施設への太陽光発電について質問させていただきたいと思います。
 東京はエネルギーの大消費地であり、脱炭素社会実現に向けて、都は、二〇三〇年までに再生可能エネルギーによる電力利用割合を五〇%程度まで高めることを掲げております。
 一方で、東京都が自ら所有する施設も数多くあり、これらの施設についても再生可能エネルギーの活用が急務だと考えます。
 東京都では、二二年度の都有施設等への太陽光発電設備設置事業において、東京都の都有事業所五十か所を計上しておりますけれども、まず、その意義と内容についてお聞かせください。

○小川地球環境エネルギー部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けましては、大量にエネルギーを消費する都自身が隗より始めよの意識の下、温室効果ガス削減等、取組を強化していくことが重要でございます。
 このため、都は、太陽光発電設備につきまして、知事部局等の都有施設における二〇二四年度の設置目標を一万二千キロワットから二万キロワットへ大幅に引き上げ、設置を加速させていくこととしてございます。
 都有施設等への太陽光発電設備設置事業におけます都有事業所五十か所については、来年度、太陽光発電設備の設置に向けまして調査や設計を行い、設置工事を進めていくものでございます。

○須山委員 太陽光発電設備の二〇二四年度の設置目標の大幅な引上げなど、東京都自身の積極的な姿勢は高く評価をいたします。
 東京全体のカーボンハーフ実現に向けて、都庁自らが脱炭素行動を加速させ、都民や民間事業者等の取組を牽引していくことは非常に重要だと考えております。都有施設への再生可能エネルギー拡大に向けて、今後もしっかりと取組を進めていっていただきたいと考えております。
 また、都民の生活に非常に身近となる都営住宅についても、再生可能エネルギーの導入を推進していくべきだと考えております。
 そこで、都有施設等への太陽光発電設備設置事業における都営住宅への太陽光発電設置について事業の概要を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都営住宅への太陽光発電設備の設置拡大に向けまして、住宅政策本部と連携しながら、来年度、建物への荷重や高さを抑えられる工法を採用しながら、約百棟の住棟への設置を進めていくものでございます。
 こうした太陽光発電設備の率先的な設置によりまして、都内での再エネ導入拡大を牽引してまいります。

○須山委員 様々工夫をしていっていただいて、そして都営住宅にも設置を進めていくということでございました。
 しかし、この都営住宅に関してですけれども、住民の方への電気代への還元等はないというふうにも聞いております。隗より始めよで東京都の施設にパネルを設置していくこと、これは先ほど申したとおり評価をしております。
 その一方で、ただ設置をすることが目的になっていないかということが懸念をされます。何のために太陽光パネルをつけるのか、そしてそのことにどんな意味を持たせるのか、ただやっている感だけではいけないと考えております。
 今回、環境局の質疑なので、環境局マターということで、今二件の質問をさせていただきました。しかし、都有施設に関して設置をするということで、局をまたいで様々施策が展開されていると伺っております。
 そうした中で、その目的であったりとか効果であったりの検証は、やはり環境局が率先して進めていくべきだと考えます。これだけ巨額の予算がついているのであるからには、そのグリップをしっかりと環境局が握っていただいて進めていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 そして、あわせて、先日の一般質問でも取り上げさせていただきました公正な移行に関しても、様々課題とか議論があると考えます。ゼロエミッションに向けて、やはり環境局としても考えていかなければならないと考えます。こちらも局を横断してぜひ取り組んでいっていただいて、ゼロエミッションを進めていっていただきたいと要望して、次の質問に入ります。
 急速な気候変動の進行に伴い、国内でも集中豪雨等の被害が生じる頻度が高まっております。最近では、令和元年九月に房総半島で七万棟を超える住宅が台風被害を受けるとともに、大規模な停電が長期間続き、多くの住民の方に影響を与えました。
 私の師匠も千葉の鴨川に住んでおりまして、当時すぐに物資を届けに行ったんですけれども、その中で、倒れてきた木で電線が切れてしまったりと、かなり復旧に時間を要する、その中で、全国から電力会社の皆さんが応援に駆けつけていただいて復旧に取り組んでいたことを目の当たりにしまして、非常に大変だなと思う反面、なかなか時間がかかっていたことが、本当に住民の皆さんへの被害が大きいものだったということを改めて感じました。
 そして、もはや今、電気がない生活というのはもう考えられません。災害時、停電時の電源確保は急を要する課題であると考えます。
 そんな中で、最近では、ZEVから電気を取り出して電化製品等に活用できる外部給電器も見られるようになりましたけれども、大量のエネルギーを長期間ためておける水素を活用する燃料電池自動車は、長期間の停電の際にも最適な役割を担うと考えます。
 そこで、こうした自然災害時の電源確保等を目的とした燃料電池自動車の活用に関する都の見解をお聞かせください。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 燃料電池自動車は、発電機能を有しているため、自然災害時等におけるレジリエンス確保に寄与いたします。
 都は、都民や事業者、区市町村が燃料電池自動車を活用し、停電時に電化製品等への給電を行うことができるよう、外部給電器の購入費用の一部を補助し、導入を進めております。
 燃料電池自動車は、EVに比べ長時間の給電が可能であるという特性があり、とりわけ大型の燃料電池バスは、避難所の四・五日分の電力を給電できる能力を有しております。
 そこで、昨年九月には、関係局や水素ステーションと連携し、都営バスの燃料電池バスと外部給電器を活用し、停電時に避難所等の給電支援を可能とする運用を開始してございます。
 引き続き、こうした取組を区市町村や事業者等に広く周知してまいります。

○須山委員 ゼロエミッションに向けては、様々な技術を結集しなくてはいけないと考えております。そして、水素もその技術の大切な一つであると考えます。
 答弁にあったように、災害時においても燃料自動車が大きな力を発揮することがよく分かりました。なかなか水素普及につながっていませんけれども、技術の革新により、例えばコンテナ型で移動できる水素ステーションなどの開発もされております。こうした技術を活用していくことで、平常時のみならず、緊急時においても都民に電気の供給をしていくことができる、そういった状況をつくっていっていただきたいと考えております。
 二二年度予算でも水素ステーションの設置などの施策がありますけれども、まだまだ高いものだという感が拭えません。そうした中で、水素の多様な特性や役割を十二分に生かせるよう、技術開発等への支援も含めて取り組んでいっていただきたいと考えます。
 次に、プラスチックの3Rについて伺います。
 プラスチック、私たちの暮らしの中では本当に便利な素材でありますけれども、一方で、焼却時にCO2が発生するために、気候変動の要因の一つとなることや、生態系の影響が危惧される海洋プラスチック問題も指摘をされており、早急にリデュース、リユース、リサイクルの3Rを進めていくことが重要だと考えます。
 来月には、プラスチック資源循環促進法が施行され、国を挙げてプラスチック問題に対処していくことになります。
 また、先週、大手コンビニエンスストアがプラスチック製のフォークの配布を止める方針で実証実験を行うという発表もありました。その中で、様々具体的な動きは出てきております。
 来年度の東京都の予算案でもプラスチック対策として約五億円が計上されており、市区町村への支援の拡充や事業者への支援、都民への普及啓発等が盛り込まれておりますけれども、今後、具体的に都はどのようなプラスチックの3Rの取組を行っていくのか伺わせていただきます。

○宗野資源循環計画担当部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、プラスチックの3Rを進めることは重要でございます。
 都は、プラスチックのリデュース、リユースにつながるビジネスや水平リサイクル技術など、革新的な取組を推進する事業者を支援しております。
 来年度は、従来の調査研究やモデル事業の実施に加えまして、こうした取組の社会実装化を目指す事業者への支援を新たに実施してまいります。
 また、令和二年度から実施しておりますプラ製容器包装等・再資源化支援事業につきましては、バケツなど製品プラスチックを分別収集、リサイクルの対象とするプラスチック資源循環促進法の施行を踏まえまして、自治体への支援を拡充してまいります。
 さらに、情報発信、連携の拠点としてサーキュラーエコノミー推進センターを立ち上げまして、都民、事業者等への行動変容を促進してまいります。
 こうした取組により、物の売り方、買い方、使い方の変革を図り、持続可能なプラスチックの利用を目指してまいります。

○須山委員 東京都が事業者や市区町村と連携を図るとともに、都民への普及啓発を行っていくということが分かりました。新法が施行される来年度は、プラスチックの3Rを加速するために重要な年だと考えます。
 二二年度は、プラ製容器包装等・再資源化支援事業ということで、プラスチック分別収集の未実施自治体へのスタートアップ支援を実施するということですけれども、各自治体では、分別収集をスタートしても、それを続けていけるかどうかという財政的な不安もあるやに伺っております。
 だからこそ、東京都としてもそうしたところを支えていくことが大切だと考えますし、さらにいうと、まずはリデュースをしっかりと進めることで事業費の削減につないでいっていただきたいと、そういった支援をしていただきたいと要望して、次の質問に移ります。
 高尾山におけるニホンジカ対策について伺います。
 私の地元の八王子市に位置する高尾山は、日本遺産にも指定され、多くの登山客でにぎわっております。また、高尾山は身近な場所でありながら、貴重で豊かな植生が保全され、天然記念物に指定されているヤマネ、その他ムササビやハヤブサなど様々な生き物が生息する豊かな生態系を有した森でもあります。
 しかし、近年、高尾山一帯での鹿の目撃が増えていると伺っております。鹿が増えると様々な植物を食べ尽くして、植生に影響を与えるという認識をしております。高尾山の豊かな自然を保全するためには、鹿の対策が必要と考えます。
 東京都は、現在、第六期東京都第二種シカ管理計画の改定作業を進めております。多くの登山客がいる中での対策には様々困難があると推察しますけれども、次期シカ管理計画において、高尾山ではどのような取組を行うのか、都の見解を伺います。

○和田自然環境部長 かつて高尾山一帯では、ニホンジカはほとんど見られませんでしたが、近年、鹿の確認頻度は顕著に増加しております。
 鹿が定着して高密度化すると、生態系への深刻な影響が懸念されます。また、観光客やハイカーなど多くの利用者に配慮しながら鹿を捕獲することは極めて困難となることから、早期の対策が求められます。
 これまで本格的な捕獲に取り組んだことがない高尾山一帯では、利用者動線や鹿の痕跡、過去の確認情報を基に、時期や場所を変えながら試行錯誤を繰り返して、わなを設置するなど、鹿の捕獲には高度な知見と技術が求められます。
 このため、新たに来年度から民間の専門事業者による捕獲事業を導入し、都が鹿捕獲を開始することで、高尾山の貴重で豊かな自然を保全してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。来年度から新たな捕獲事業を開始するということでした。増加してきている鹿の適正な管理を進めること、それによって生態系を適正化していくことで、人間と鹿の共生も図られていくと考えます。
 一点要望ですけれども、捕獲した鹿のほとんどは埋められると伺っております。生態系の維持のためとはいえ、大切な命を奪っていくのであるのですから、ぜひ、例えばジビエに回していったりとか、様々方法も考えられると思います。
 専門事業者による新たな捕獲事業を進めるのであれば、そういった最終処理のところも考えていただきたいと要望させていただきます。
 次期シカ管理計画に基づいて、鹿の増加を抑えて高尾の自然を保全するよう強く要望して、質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

   午後三時九分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○漢人委員 それでは、環境局に関する質問をいたします。
 二〇二二年度の東京都一般会計予算は、環境局の予算額が二・二倍、そして、気候危機対策であるゼロエミッション東京戦略の関連予算が、環境局の枠を超えた総額で四倍へと大幅に拡大されました。
 この大きな方向性については高く評価し、歓迎いたします。しかし、残念ながら、その内容には大きな問題があります。そのような視点で、気候危機対策予算について質問します。
 まず、大前提となる気候危機の切迫性について確認したいと思います。
 昨年八月に公表された気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第六次評価報告書の第一部会は、気候変動が人間の活動によることは疑う余地がない、また、このままでは南極の氷が解けることによって二三〇〇年には十五メートルもの海面上昇の可能性も排除できないなどと指摘をしています。
 そして、二週間前の二月二十八日には、IPCCの第二部会の報告が公表されました。今後、四月には第三部会報告、そして九月には第六次評価報告書の統合報告書が公表される予定となっています。
 二〇二二年度予算発表後に公表されたものではありますが、この二月二十八日の第二部会報告書をどのように捉え、そして二〇三〇年方針に反映しようとしているのか、お伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 IPCC第六次評価報告書第二作業部会報告書では、人為起源の気候変動により、自然の気候変動の範囲を超えて自然や人間に対して広範囲にわたる悪影響と、それに関連した損失と損害を引き起こしていると明記されております。
 都は、気候危機が一層深刻化する中、規制等も含めた施策の抜本的強化によりまして、緩和、適応両面からの取組を加速することとしており、本年二月には、都のカーボンハーフに向けた道筋を具体化し、各部門で直ちに加速強化する取組を示しているところでございます。

○漢人委員 第二部会報告書の観測された影響及び予測されるリスクという項目の冒頭の部分をご答弁いただきました。これだけでは、特に新しい内容ではないかのような印象を持たれないでしょうか。問題は、その確信度、信頼性が高まっているということです。
 報告書では、次のような指摘もされています。世界で約三十三から三十六億人の人々が、異常気象、海面上昇、食料と水不足などの気候リスクに対して非常に脆弱な状況下で生活している。
 また、このような記述もあります。一時的に一・五度Cを超えるオーバーシュートによって、多くの人間と自然のシステムが深刻なリスクに追加的に直面し不可逆的となる。つまり、手遅れになりかねないということです。
 さらに、このような記載もあります。一部の生態系は対応が困難な状態に達していて、損失と損害が増加し、さらに多くの人間と自然のシステムが適応の限界に達する。このような指摘です。
 答弁をいただきました、二月に具体化された道筋というのは、二〇三〇年カーボンハーフに向けた取組の加速、Fast forward to Carbon Halfで策定されたのは二月四日だと思います。
 残念ながら、その後さらに危機が迫っているという報告書が示されたわけですから、さらなる加速、強化をお願いしなければならないということを、まず確認したいと思います。
 次に、炭素予算、カーボンバジェットについて伺います。
 一・五度C目標を実現するために残された世界のCO2排出許容量、つまりカーボンバジェット、炭素予算はIPCC第六次報告書では、四千億トンとされています。年間では約四百億トンの排出ですから、十年分しか残されていないということになります。
 イギリスでは、気候変動法で定めて、五年ごとの炭素予算を設定しています。また、ドイツでは、フライデーズ・フォー・フューチャーが政府に対して炭素予算に基づかない気候対策を裁判で訴えて、勝訴しています。
 炭素予算という認識はとても重要だと思いますが、日本の炭素予算は何年分と認識しているかお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 昨年八月に公表されましたIPCC第六次報告書第一作業部会報告書では、残余カーボンバジェットの推定量は二〇一八年の一・五度C特別報告書と比較して同程度であるとされてございます。
 このIPCC一・五度C特別報告書では、世界の平均気温の上昇を一・五度Cに抑えるためには、世界のCO2排出量を二〇五〇年頃に実質ゼロ、二〇三〇年までに約半減させることが必要としており、国別のカーボンバジェットについての記載はございません。
 このため、都は、二〇一九年に世界共通の目標である一・五度C目標と、二〇五〇年実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を、また、二〇二一年に、二〇三〇年カーボンハーフを掲げ、気候変動危機に立ち向かう取組を加速させております。

○漢人委員 先ほどもコメントしましたが、この間のIPCCの報告については、時間がたつに従って、より確信度、信頼性が高まっていると。同じような数値がいわれていても、その意味が異なってきているんだという認識が必要だと思います。
 そして炭素予算の認識、残念ながら不足しているといわざるを得ないとても残念な答弁でした。残されたCO2排出許容量を、世界人口の一人当たりに平等に割り振ると、日本には四年分弱しかありません。
 この限られた炭素予算をいかに節約しつつ、つまり、CO2排出量を着実に減らしながら、二〇三〇年、そして二〇五〇年を迎えるかということになるわけです。間違っても、排出し続けて、微減しかできない中で、最後にどかんと減らせば何とかなる、そんなものではないということ、ここをしっかりと押さえていただきたいというふうに思います。
 以上のような切迫感を持って、最悪の事態を想定した予防原則に立って、気候危機対策を進めていく必要があるということを確認いたしまして、二〇二二年度予算の問題点について質問いたします。
 一つ目は、さらなる拡充が必要だということです。
 最初に述べたように、気候危機対策である東京ゼロエミ予算が二百四十九億円から七百二十二億円増の九百七十一億円へと拡充したことは大いに歓迎します。しかし、国連を含めた多くの機関が、気候危機対策にはGDPの二%の投資が必要と指摘をしています。
 東京都に即せば、二〇二二年度の気候対策費は、支出総額約七・八兆円の二%、つまり少なくとも約一千五百億円への拡充が求められることになります。来年度以降、さらなる増額が必要だと思いますが、そのような想定をしていらっしゃいますか。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、二〇五〇年ゼロエミッション東京、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けまして、令和四年度予算案において、前年度比七百二十二億円増の九百七十一億円を計上いたしまして、省エネ、再エネを強力に後押しする支援策や、都の率先的取組の拡充を図るとともに、条例による制度の新設、強化等の検討、サステーナブルファイナンスの推進など、あらゆる取組を抜本的に強化することで、民間投資への波及、それから行動の加速につなげていくこととしてございます。本予算案成立後は、その着実な執行に取り組んでまいります。

○漢人委員 民間による投資への波及につなげるというのは、これは必要なことだと思います。また、今審議している、この予算を着実に執行するということも、これも当然のことです。
 でも、この予算のままで、このペースで二〇五〇年のゼロエミ、二〇三〇年カーボンハーフが実現できるのかということなんです。二〇二〇年度予算は環境局からの要求額を大きく超えて、他局も含む総額で前年度比四倍の予算額となったわけです。
 来年度も補正予算の機会や、そして二〇二三年度予算に向けた検討の中では、気候危機対策予算は支出額の二%、二〇二〇度予算額からすれば、さらに一・五倍の予算をかけて取り組む、そのような優先課題なんだという認識を持って臨んでいただきたいと思います。
 リスクはどんどん拡大していきます。打つ手があるうちに対策してください。対策が遅れれば遅れるほど経費はかかります。そして、対策をすることもできなくなってしまうんです。
 ぜひ、そのような認識での、予算の拡大も含めてご検討いただきたい、対応いただきたいというふうに思います。
 そして、もう一つ、二〇二二年度予算の問題点の二つ目。これは、支出内容が二〇三〇年までの削減に重点が置かれていない、水素戦略など二〇五〇年ゼロを重視した比率が高いということです。
 一・五度Cを超えると適応が困難になると指摘をされている、その一・五度C目標を達成するためには、二〇三〇年までの削減が緊急の課題です。そのためには、二〇三〇年五〇%以上、さらには六〇%への削減目標への引上げが必要だと考えますが、そのための対策の強化を検討していますか、伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 先ほどご答弁いたしましたけれども、IPCC一・五度C特別報告書ですけれども、世界の平均気温の上昇を一・五度Cに抑えるためには、世界のCO2排出量を二〇五〇年頃に実質ゼロ、二〇三〇年までに約半減させることが必要とされてございます。
 都は、ゼロエミッション東京の実現には、二〇三〇年までの行動が極めて重要であるとの認識の下、条例による制度の新設、強化等の検討、省エネ、再エネのさらなる推進や、将来のグリーン水素普及を見据えた基盤づくり等への支援策、さらには、都のあらゆる事業や国、市町村等との連携、協働など、二〇五〇年の東京のあるべき姿を見据えた対策を強化拡充いたしまして、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。

○漢人委員 新年度は環境審議会の答申を受けた条例や制度の新設や強化など、大いに期待をしています。そして、十一月にはCOP27が開催されます。小池知事とも関係の深いエジプトでの開催ですが、各国の二〇三〇年削減目標の引上げが求められています。
 日本政府は、現在の削減目標四六%について、さらに五〇%の高みに向け挑戦を続けていくとしていますから、当然引上げを表明することになると、大いに期待をしているところです。
 先進国の大都市東京の責任は重大です。都としても積極的な意欲的な数値目標の検討をされるよう求めます。国を下回るようなことがないように、ぜひとも前向きな検討を求めたいと思います。
 それでは、次はゼロエミ政策の五つのテーマについて順番に質問いたします。
 まず一つ目は、水素エネルギーの普及拡大についてです。
 二〇二二年度のゼロエミ関連予算は、七百二十二億円増のうちの約二百六十億円、三六%以上が水素関連予算です。しかし、十一月九日の本委員会の答弁では、再エネ由来のグリーン水素につきましては推計がないとのことでした。二〇三〇年までにグリーン水素の十分な確保が保障されないならば、二〇三〇年までのCO2削減につながらないということは明らかです。
 二〇三〇年までのCO2削減に効果のある政策に重点を置くべきではないでしょうか、お伺いいたします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 都は、二〇三〇年カーボンハーフと、その先の二〇五〇年脱炭素社会の実現を見据えて施策を進めています。
 水素エネルギーについては、足元では家庭用燃料電池や燃料電池自動車の普及により、家庭や運輸のCO2の削減に寄与しております。
 また、水素は技術革新の余地が大きく、社会実装が進みながら新たな研究開発も同時に進行してございまして、将来は再エネの調整力や、電化が困難な熱需要や輸送手段の脱炭素化に寄与することが期待されております。
 再エネ由来の、いわゆるグリーン水素につきましては、国内で大規模な製造設備が整備されております。都ではゼロエミッション東京戦略において、グリーン水素の積極導入を二〇三〇年目標に位置づけ、グリーン水素活用設備への補助事業などにより導入を後押ししております。
 今後もこうしたグリーン水素の活用を促進するとともに、水素全体の需要を喚起することでグリーン水素への投資を呼び込み、将来の本格活用に向けて着実に取組を進めてまいります。

○漢人委員 次の質問に参りますけれども、燃料電池自動車の普及は進んでいません。国内のグリーン水素製造状況についても、これはあまり見通しがない微々たるものではないでしょうか。
 二〇三〇年カーボンハーフへの貢献は、ほとんど期待できないというのが現状です。将来的な見込みについては否定するものではありません。今回の予算のバランスの問題として、そこにこれだけの、三六%もの予算を振り向けることが適切なのかということです。見通しがない水素偏重の予算は、二〇三〇年軽視といわざるを得ません。
 そして、その次ですけれども、燃料電池車についてお伺いします。
 政府の燃料電池車の累計販売台数の目標は二〇二〇年に四万台でしたが、約四千台にとどまっています。十分の一ですね。価格が高く、水素ステーションが少ないことなどが要因と思われます。
 一方で、トヨタを含めた自動車会社は、電気自動車の新車販売を加速させようとしていますから、電気自動車促進の条件は整いつつあります。コストが低く二〇三〇年までのCO2削減に確実に結びつく、電気自動車促進に重点を移すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 都内における燃料電池乗用車の導入台数は、水素ステーションの整備に伴い近年増加傾向にございます。ZEV化を進めるには、都民や事業者の自動車利用に対する多様なニーズに応じて選択できるようにすることが重要です。
 燃料電池自動車は走行距離が長く充填時間が短いという利点がございます。また、燃料電池は、大型で長距離を走行する車両に特に適してございます。こうした燃料電池技術は、既に多様な用途に活用されつつあり、将来的にさらに活用の幅が広がると考えております。
 都としては、二〇三〇年のカーボンハーフと、その先の二〇五〇年の脱炭素社会の実現を見据えて、燃料電池自動車についても導入拡大を図っていきます。

○漢人委員 バスやトラックなど、長距離、そういったものについての燃料電池車については、効果があるということは私も認めています。しかし、今、乗用車の導入拡大の意味が理解できないんです。
 燃料電池車は七百から八百万円、電気自動車の約二倍という高価格です。水素ステーションの設置費用も一基四億円以上、急速充電器は一千万円前後ですから、水素ステーション一基分で急速充電器が四十基ほど設置できます。
 繰り返しますが、再エネ由来のグリーン水素については見通しはないんです。また、先ほどの急速充電器について、二〇三〇年一千基の目標をはるかに前倒しで実現する予定にもなっています。
 二〇三〇年までの確実なCO2削減に結びつくのは、どう考えても電気自動車の促進、こちらに重点を移すべきだということを重ねて申し上げておきます。
 大きな二つ目のテーマは、ゼロエミッションビークル、ZEVの普及促進についてお伺いいたします。
 ZEV促進のためには、補助だけでなく、規制の仕組みが必要です。二〇二一年、電気自動車新車販売台数は、日本が約二・四万台ですが、ドイツでは三十五万台と急激に増加をしています。これは、二〇三五年にハイブリッドも含めたガソリン車の販売禁止という規制とセットだからです。
 政府は、二〇三五年でもハイブリッド車の販売を認めるという甘い規制しか検討していません。東京都として何らかの新たな規制を設ける必要があると思いますが、検討はされているでしょうか。

○三浦事業調整担当部長 都は、自動車を多く使用する事業者に一定割合以上の低公害、低燃費車の導入を義務づける制度を運用しており、来年度からは乗用車への一定割合の非ガソリン車の導入も義務づけることとしております。
 また、都は、二〇三〇年に都内で新車販売される乗用車を一〇〇%非ガソリン化する目標の実現に向け、来年度、ZEVの車両購入補助件数を大幅に拡充するとともに、充電インフラの導入支援メニューを新設するなど、取組を強化しております。
 さらに、自動車メーカーのZEV開発意欲を高めるため、メーカーに開発インセンティブを与えるような補助制度の構築を検討しており、引き続きメーカーと情報共有、意見交換を行いながら、制度の具体化を進めていくこととしております。
 これらの取組により、二〇三〇年の目標を着実に達成してまいります。

○漢人委員 私は、都が、非ガソリン車というカテゴリーを設けて、ハイブリッド車奨励の制度をつくったことは、これは世界的な動きにも逆行するものとして反対をしました。残念ながら都としては、ハイブリッド車を含むガソリン車の規制を設けるという考えは、現時点ではないということのようです。
 規制なくして二〇三〇ゼロエミッションビークル五〇%の目標に向けて、どう普及促進をさせるのか、私には到底理解ができません。頑張ってほしいと思いますが、とても難しいと思います。いわざるを得ません。
 三つ目です。省エネルギー対策の推進ということで、ゼロエミ住宅、既存住宅の断熱対策についてお伺いいたします。
 東京都における新築住宅は、年間四・三万棟とされています。ゼロエミ住宅支援規模は大幅に拡大されたとはいえ、約一万棟の想定ですから、五分の四の新築住宅は十分な省エネ基準に達していないことになります。今後さらなる補助の拡充を検討していますでしょうか、お伺いします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、建築物省エネ法で定めます基準より三割省エネとなるなど、都独自の東京ゼロエミ住宅基準を定めまして、より環境性能の高い新築戸建て住宅及び集合住宅双方への支援を行ってまいりました。
 来年度は、新築住宅のゼロエミ化をさらに促進するため、東京ゼロエミ住宅基準を三段階にいたしまして、それぞれの段階に応じた支援を講じるとともに、助成対象件数を大幅に拡充いたします。
 こうした取組を着実に進めまして、環境性能の高い新築住宅の普及につなげてまいります。

○漢人委員 さらなる補助を拡充していくという答弁はありませんでした。確実な二〇三〇カーボンハーフに向けての検討を求めてまいります。
 また、都は、ゼロエミ住宅基準を三段階に設定をしていますけれども、鳥取県は、より高い断熱性能を定めて最大百五十万円助成するという制度を導入しています。これはカーボンハーフあり方検討会の補足資料としても示されているものです。
 東京都も、より高い環境性能と助成の拡充、ぜひご検討いただきたい、お願いをいたします。
 次の質問です。
 政府は、新築住宅の断熱や再エネ導入、脱炭素効果の高い木材の利用など、二〇二五年度から義務化する建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律、いわゆる建築物省エネ法の今国会での成立を先送りしようとしています。
 しかし、確実な一刻も早い規制の強化、そして義務化が必要ではないでしょうか。東京都として先行して、何らかの規制、義務化を検討していますか、お伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は昨年十月、住宅等の一定の中小建築物を対象とする新たな制度の創設や、大規模建築物を対象とした建築物環境計画書制度等の強化に向けまして、環境確保条例の改正の諮問を環境審議会に行ったところでございます。
 現在、審議会におきまして、事業者等からの意見も受けながら検討を進めており、引き続き具体的な制度の在り方等について議論を深めていくこととしてございます。

○漢人委員 ありがとうございます。この点については大いに評価をしたいと思います。規制制度の新設や強化を環境審議会に諮問しているということです。ぜひ、厳しい内容での早期の実現となることを求めます。事業者の理解を得ることや、激変緩和対策なども必要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 また、この適合義務を盛り込んだ建築物省エネ法の今国会での提案と早期の成立というのは、これは東京都としても強く望むところではないでしょうか。ぜひ、私は都議会から政府に対して意見書を提出したいと思って提案をしております。ぜひ、この場をお借りいたしまして各会派の皆さんにはご賛同をお願いしたいと思います。
 東京都の政策にも沿っている、東京都がよりしっかりとこの住宅断熱政策を進めていくためには、国との連携が必要だというふうに思っております。
 次は、新築住宅のライフサイクルアセスメントについてお伺いします。
 ゼロエミ住宅は新築対策です。都は、住宅ストック約二百万棟のうち約二%、四・三万棟の新築を想定して計画をしています。新築住宅は、ライフサイクルアセスメントを考慮するとCO2排出量の増加を招くことが危惧されますけれども、新築住宅のライフサイクルアセスメント、調査検討しておられますでしょうか、お伺いします。

○小川地球環境エネルギー部長 建物は数十年にわたり使用され続けますことから、今後の新築建築物が二〇五〇年の東京の姿を規定いたします。
 現在、都は、環境審議会におきまして二〇三〇年のカーボンハーフに向けた新築建物に関する取組につきまして、施策の強化や新たな制度構築等について検討を進めているところでございます。
 その中で、今後の新築建物の目指す方向性として、高断熱化や高効率設備、再エネ設備等の設置に加えまして、低炭素資材の利用等によるライフサイクルCO2の削減を示しております。新築建物の脱炭素化に向け、引き続きこうした議論を継続してまいります。

○漢人委員 新築建物の脱炭素化に向けた、ライフサイクルCO2削減を提示し議論されているとのことです。これは、ぜひ継続して施策に生かしていただきたい。よろしくお願いいたします。
 次の質問ですが、そもそも日本の住宅政策は新築戸建て重視で、スクラップ・アンド・ビルドが激しく、住宅の耐用年数は欧米と比較して著しく短いという問題があります。既存住宅を省エネ、再エネ化して長期間使用する政策へと転換すべきではないでしょうか。
 新年度予算では、既存住宅への補助事業を拡充していますが、再エネ重視で、省エネ改修は断熱ドアと窓だけです。ドアと窓の断熱でどの程度の省エネ効果があるのか、また、外周改修なども含めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 既存住宅のCO2削減には、冷暖房時の熱の出入りが大きい窓やドアの断熱化が有効でございます。
 一般的なマンションでは、全ての部屋を高断熱な窓にした場合は、エネルギー消費量を約八%削減できるという試算がございます。
 比較的安価に、住み替えることなく工事が可能で、より多くの方が取り組みやすいことから、都は、平成二十九年度から高断熱な窓に改修する際の補助を実施するとともに、令和二年度からは高断熱なドアに改修する際の補助も追加し、既存住宅におけるCO2削減に取り組んできております。
 次年度におきましては、支援規模を窓とドア、それぞれ五万戸と、大幅に拡大するとともに、これらの支援を受ける際に太陽光発電設備への補助も追加するなどし、取組をさらに強化してまいります。

○漢人委員 有効でより多くの方が取り組みやすい窓とドアの断熱改修補助を行うということで、この取組強化の方向性については評価をいたします。
 しかし、都内の住宅は約七百六十万戸ですから、年五万戸では全ての改修に百五十年も必要となってしまいます。相当に大幅な拡大が必要だということになります。
 次は、戸建てよりも集合住宅を重視するべきではないかという質問です。
 提出していただいた資料、17によりますと、戸建て住宅のCO2排出量は集合住宅の一・八倍です。集合住宅へと誘導する政策が必要ではないでしょうか、見解と方針をお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 住宅につきましては、家族構成や立地など、住まい手の様々なご意向等により選択されるものと認識してございます。
 都は、二〇三〇年のカーボンハーフの実現に向け、戸建て、集合、いずれの住宅におきましてもゼロエミ仕様の標準化としていくことを目指しております。

○漢人委員 もちろん住宅は住まい手の意向で選択される、それは当然のことです。でも、その選択の際に、より環境負荷が低く、CO2排出量が少なくて、さらに都からの補助とか何かあるのならば集合住宅にしようかな、そういう基準が加わることはよいことではないでしょうか。ぜひご検討いただきたいとお願いをさせていただきます。
 次、四つ目のテーマです。再生可能エネルギーの導入拡大についてお伺いします。
 都内の再エネ利用割合は、二〇一九年度で一七・三%です。二〇三〇年五〇%にするために必要な再エネ電力をどのように想定をしていますか。また、二〇三〇年、電力消費量の想定をお伺いします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、二〇三〇年カーボンハーフに向けて、エネルギー消費量二〇〇〇年比五〇%削減するとともに、都内への再エネ設備の設置と、再エネ電力の利用を進めることによりまして、再エネ電力利用割合を五〇%程度に高めていくこととしてございます。

○漢人委員 エネルギー消費量五〇%削減、再エネ割合を五〇%というパーセンテージだけを示されました。その内訳の電力消費量を想定しないというのは、これは私は納得できません。
 太陽光発電の二〇三〇年目標は百三十万キロワットですが、これだけでは足りないことは明らかです。どの程度足りないのか、それをどうやって補うのか、この方針を示すべきではないでしょうか。
 次の質問です。
 それでは、不足する再エネの相当量はどうするかといえば、これは都外からの供給に依存することになります。都外からの電力調達契約、都外PPAによる再エネ確保の見通しをお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、既に環境審議会におきまして、建築物環境計画書制度等による、敷地外の再エネ設備からの電力調達も含めた再エネ利用の促進の仕組みを検討してございます。
 また、今年度から、都外に再エネ設備を新設し、再エネ電力の大量導入を進める事業者向けの支援を実施するとともに、家庭等で再エネ電力の購入を促す、みんなで一緒に自然の電気の取組を九都県市と連携して進めております。
 これらの取組によりまして、PPAによる都外の再エネ設備の設置も含めまして、再エネ電力の利用を促進していくこととしてございます。

○漢人委員 こちらについても、まだ見通しを示す以前の段階だというふうに思います。環境審議会からの答申と事業化に大いに期待をしたいと思います。
 次に、市区町村での再エネ導入についてお伺いします。
 資料、19として、区市町村との連携による地域環境力活性化事業における再生可能エネルギーの導入拡大に係る事業の補助実績というのを出していただきましたけれども、これによりますと、補助実績があまり伸びていません。予算額と想定する補助内訳、自治体数や金額、また、実績が少ない理由、今後の見込みなどをお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域環境力活性化事業では、食品ロス対策などの広域的な環境課題に対する取組や、再生可能エネルギーの普及や貴重な生態系保全など魅力ある地域環境の創出を促進する取組、水素エネルギーの普及など先駆的な取組において合計三十二の補助メニューをお示しし、市区町村の自発的な取組を幅広く支援しております。
 これまで市区町村からのご要望やご意見を踏まえたメニューの新設等を行っておりまして、地域環境力活性化事業全体で事業を開始した平成二十六年度から昨年度までに、都内自治体の大半に当たる五十七の市区町村で活用され、交付額は約二十四億二千万円となってございます。
 今後も、市区町村のニーズや課題を的確に把握しながら、その取組を支援し、活用を促してまいります。

○漢人委員 この地域環境力活性化事業全体では、五十七市区町村に対して約二十四億円交付をしているとのことですが、質問しました、再生可能エネルギーの導入拡大に係る事業については、資料にもあるように、この五年間で、計二億三千七百万円、活用した自治体も複数年度にわたるものを一つに数えると十一自治体と少ないです。一層の市区町村のニーズや課題の把握と取組の支援を求めたいと思います。
 このテーマでは最後の質問です。
 太陽光発電を増やしても限界があり、そして都外PPAもまだ先行きが見えず、市区町村の取組も順調に増えているとはいえないという状況です。
 しかし、そもそも東京都の電力供給の約七〇%は東京電力なんですから、この東京電力の再エネ比率を大幅に引き上げることが、決定的に必要だということになります。東京電力の再エネ比率の現状と、二〇三〇年目標は何%でしょうか。また、東京電力の再エネ比率引上げに向けて都はどのような対策を検討していますか。さらに、東京電力による再エネ比率大幅引上げを株主提案するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 エネルギー環境計画書制度により報告していただいております電気事業者さんの東京電力エナジーパートナー株式会社の再エネ利用率は、二〇一九年度実績で一三・八二%、二〇三〇年度の目標は極力活用となってございます。
 都は、既に環境審議会におきまして、都内に電力を供給する電力供給事業者に対しまして、都が示す再エネ電力割合の目標水準を踏まえた二〇三〇年度目標の報告、公表を義務化するなど、再エネ電力割合の拡大を誘導する仕組みについて検討を進めているところでございます。

○漢人委員 東京電力の再エネ利用率は二〇一九年度一三・八二%、二〇三〇年目標は極力活用とのことです。数値目標がないというわけですね。
 エネルギー環境計画書制度としては、東京電力は二〇三〇年の再エネ数値目標を持っていない、気候対策に無責任な企業だということを公表するという、そういう効果はあるわけですけれども、都内電力供給の七〇%を占める東京電力が、他の二百以上の事業所と同列というのは到底納得できません。
 電力供給事業者の再エネ割合の拡大を誘導する仕組みを環境審議会で検討中とのことです。ぜひこれ、大いに期待したいと思います。環境審議会は四月には中間まとめ、そして事業者のパブコメなどの手続があるかと思いますけれども、ぜひ、新年度の早い時期に実効性のある仕組みを導入するよう強く求めたいと思います。
 また、東京電力の最大株主としての再エネ比率大幅引上げを株主提案するべきとの提案には答弁がありませんでした。ぜひ、こちらについても、ぜひぜひご検討いただきたい、要望したいと思います。
 それでは、最後に、五つ目のテーマです。気候市民会議とエネルギー貧困について質問いたします。
 気候危機対策には、市民の支持と参加が不可欠ですが、市民の多くは気候危機に対する認識が依然として不十分です。札幌気候市民会議の事例を見ても、市民が気候危機の現状を正確に認識することで、気候危機対策の必要性が共有されるということが明らかになっています。フランスなどヨーロッパで設置されて大きな効果も上げています。東京都も、この気候市民会議を設置しませんか。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 気候変動対策の推進には、都民一人一人の行動が不可欠であり、都はこれまでも、自治体や環境団体等が実施する市民参加型のシンポジウムや勉強会等に参加することで、都民の生の声を聞きながら、都の取組についても発信し、共感と協働を呼びかけてきたところでございます。
 環境審議会におきましても、未来を担う若者等からのヒアリングなども実施しておりまして、引き続き様々な場で、多くの主体の参画を得まして、カーボンハーフを実現してまいります。

○漢人委員 気候市民会議のポイントは、無作為抽出の市民による熟議です。今答弁された現在実施しているイベントなどの啓蒙や啓発事業とも、また審議会などの従来型の市民参加とも異なります。札幌市、川崎市に続いて、今年は都内武蔵野市が設置予算を組みました。ぜひ注目をして、東京都でも設置の方向でのご検討をお願いしたいと思います。
 最後の質問です。
 世論調査では、気候対策は生活の質の低下を招くという人が多数で、これはEU諸国などと比較しても極めて高い数値が示されています。電気代やガソリン代が上がるので、快適さが低下すると想定していると思われます。とりわけ、低所得、貧困世帯の危惧は大きいです。
 EUでは、二〇一二年に、エネルギー戦略二〇二〇の中に、エネルギー貧困世帯への省エネ対策の優先実施が盛り込まれ、既にドイツやフランスなどのEU諸国、あるいはイギリスなどで実施をされています。
 東京都としても、エネルギー貧困世帯に対する調査研究、そしてエネルギー貧困世帯に対する支援策を検討しているでしょうか、お伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 気候変動対策は、全ての都民と共に進めていく必要がございます。そのための支援策についても多様なニーズに対応していくことが重要でございます。
 このため、都は、既に今年度から、使用年数の浅いリユースの省エネ家電への買換え支援、それから集合住宅におきまして比較的簡便に暑さを緩和できる遮熱性塗装への費用助成、こうしたものをより身近できめ細やかな対応が可能な区市町村と連携して実施しているところでございます。

○漢人委員 エネルギー貧困世帯に関する調査研究はされていない。しかし、支援策は今年度から行っているものもあるというご答弁でした。この支援策について、積極的な拡充を求めておきたいと思います。
 また、このような調査研究については、国の役割という側面もあります。しかし、一国並みの予算規模を持つ都としては、独自に行うという選択もあると思いますので、ぜひこちらもご検討ください。最初に質問したIPCCの報告書でも、常に貧困層への共同支援が必要なことを指摘しています。
 最後に、今年というか新年度は、環境審議会からの答申があり、新たな制度、条例などの制定が続くことになるようです。いずれも積極的、効果的なものとなるよう求めます。
 また、最初に述べたように、気候危機対策予算は、東京都のレベルでは現在の一・五倍程度必要というのが国連の指標です。二〇三〇カーボンハーフの確実な実現のためには、補正予算や二〇二三年度予算編成など、意欲的、積極的に必要な予算措置も視野に入れた事業の前倒しでの展開を進めていただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

○鈴木委員 既に示されておりますが、令和四年度の環境局としての歳出予算計上額は一千百八十四億二千六百万円、歳入予算計上額二百七十二億四千三百三十八万円、差引一般財源充当額が九百十一億八千二百六十一万円と、歳出予算は令和三年度当初予算と比べ六百四十六億一千四百万円の増、その中でも水素エネルギーの普及拡大において二百六十九億円の予算が計上され、令和三年度に比べ大幅な増となっており、東京都も本格的に水素の普及拡大に向けて動き出すというメッセージをいただいたように感じました。本日は、その水素利用の拡大について伺わせていただきます。
 水素は、利用時に水しか出さないクリーンエネルギーとして、将来の脱炭素社会の実現に不可欠となるものであると認識しております。我が会派は、これまで一貫して水素エネルギーの利用拡大の重要性を訴え、都の取組を後押ししてまいりました。
 二〇一四年に初めて量産型の燃料電池乗用車が日本に導入されてから七年が経過し、既に都内には一千五百台を超える燃料電池乗用車が導入されました。当初の予想からすると、伸び悩み感があるようにも思えます。また、EV乗用車の普及のスピードも増しています。
 一方で、燃料電池バスについては、これまで路線バス等に九十三台が導入されるなど、全国をリードする実績を上げています。都は、燃料電池モビリティーの導入拡大に力を入れ、来年度予算においても積極的な姿勢を示していると認識しております。
 そこでまず、燃料電池モビリティー導入拡大の意義と課題について伺わせていただきます。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 燃料電池自動車は、EVよりも走行距離が長く、充填時間も短いという利点があり、都民や事業者がニーズに応じて選択できるよう、車種や用途の拡大を図りながら導入を進めることが重要でございます。
 また、燃料電池技術は、我が国の最先端の技術を生かせる競争力のある分野であり、モビリティーの利用拡大を通じて、様々な分野での燃料電池の活用に向け、技術革新やコストダウンを促すことができます。
 モビリティー分野での主な課題としましては、水素ステーションの数が十分でないことや、燃料電池バスへの水素充填コストの負担が軽油に比べて大きいといったことが挙げられております。

○鈴木委員 乗用車で蓄積した燃料電池等の技術が幅広い分野の脱炭素化のために生かされていくことは、重要だと感じております。
 このように、燃料電池モビリティー導入の意義は大きいものの、その普及に関しては、何を先に取り組むかという、そもそも論的な課題もあります。
 先ほどの答弁で、充填インフラや燃料コストに対する課題が挙げられましたが、これらの課題を解消するための都の取組について伺わせていただきます。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 都はこれまで、水素ステーション整備や運営に関わる経費に対する支援を行うとともに、インフラ事業者や既存ガソリンスタンド事業者等に対し、都の支援内容や水素ステーションの整備運営に関するノウハウを提供するなどして、水素ステーションの整備を促してまいりました。
 来年度は、さらに水素ステーション整備に関する予算を大幅に増額するとともに、土地賃借料補助率を引き上げるなど、支援メニューを拡充し、取組を加速させてまいります。
 また、燃料電池バスに充填する水素価格は、ディーゼルバスの燃料である軽油に比べ二倍程度高いため、来年度から新たに価格差相当分を水素ステーション事業者に補助いたします。
 燃料電池バス導入による経常コストの増加に対するバス事業者の不安を取り除き、新たな導入を強力に後押ししてまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。水素ステーションを通じた水素供給等に関する課題を踏まえた積極的な対策が考えられていることが分かりました。
 ここで気になりますのが、水素ステーションで供給されている水素がどのように製造されているのかです。現在はほとんどがCO2フリーではないと聞いております。
 そこで、水素ステーションにおける水素の主な製造方法と、今後のCO2フリー水素化に向けた都の認識について伺わせていただきます。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 都内の水素ステーションで供給されている水素の製造方法としては、主に苛性ソーダを製造する過程で発生する、いわゆる副生水素や、ガスや廃プラスチックを改質するものがあり、委員ご指摘のとおり、現状では製造される過程で何らかの形でCO2を排出しております。
 現在、複数のインフラ事業者において、将来のCO2フリー水素の調達に向けた海外とのサプライチェーン構築のための検討や調査が始まってございます。
 都としても、再生可能エネルギー設備や水電解装置などの導入を補助し、CO2フリー水素の製造に向けた取組を後押しするとともに、様々な分野での水素需要を喚起することでグリーン水素への投資を呼び込み、水素ステーションなどでの将来の本格活用につなげてまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。大事なことは、将来的な脱炭素化を見据えながら、時点時点において、現実的かつ合理的な形で水素のCO2フリー化を進めていくことだと思います。ぜひそうしたスタンスで、しっかりとこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 次に、我が会派が今定例会の代表質問で指摘したように、水素ステーションなどのサプライチェーンの構築のためにも、水素需要量の大きい燃料電池トラックなどの商用燃料電池モビリティーの早期の社会実装化が重要となりますが、これに向けた都の取組についても伺わせていただきます。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 燃料電池は、バッテリーと比べて軽量、省スペース化が図れるため、輸送量を確保しやすいことから、大型で長距離を走行する車両に特に適してございます。
 また、燃料電池トラックは、三トン積みの比較的小型のものであっても、一台当たりの水素需要量が燃料電池乗用車の約三十台分に相当するなど、水素需要の創出効果も大きいものでございます。
 このため、これまでは自動車メーカーによる数台規模での走行実証に限られていた燃料電池トラックにつきまして、実装化のスピードを加速するため、来年度から新たに運送事業者への車両導入経費の補助を開始いたします。
 こうした取組により、商用モビリティーの普及による水素需要の拡大を今後の水素社会実現の呼び水としてまいります。

○鈴木委員 都が積極的に燃料電池モビリティーの導入や水素利用を進めようとしていることは、私も評価しております。燃料電池や水素関連技術は、開発や導入に時間のかかるものであり、まさに今から腰を据えて取組を進めることが重要であると私も認識しております。
 事業者ともしっかりと連携を図りながら、実効性ある取組をこれからも進めていただきたいと思います。質問を終わります。

○加藤委員 初めに、食品ロス対策について伺います。
 国連食糧農業機関、FAOが昨年公表した世界の食料事情に関する報告書によりますと、世界人口の十人に一人に当たる八億人以上が栄養不足の状態にあると指摘しております。
 一方、我が国では、食料の多くを海外からの輸入に依存し、食料自給率が三七%にとどまっているにもかかわらず、大量の食品ロスが発生しており、食品ロス対策は喫緊に取り組むべき課題であります。
 そうした中、国においては、公明党も大きく尽力して、議員立法として食品ロス削減推進法を取りまとめ、二〇一九年に成立。これを受け、都は、昨年三月に食品ロス削減推進計画を策定し、二〇三〇年に食品ロス半減の目標とともに、施策の柱として先進技術の活用を掲げています。
 都内で大量に発生する食品ロスの七割は、小売や外食といった事業系のものであり、これを大きく削減していくには、様々な発生の状況に応じた先進技術の活用が大変重要と考えます。
 そこでまず、都が食品ロス削減の計画を策定してから一年がたちますが、先進技術の活用についてどう取り組んできたのか伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 食品は、傷みが早いものが多く、生産から消費に至る様々な段階で期限が切れて廃棄されることも多いことから、保存期間を長くするロングライフ化の技術の活用は欠かせません。
 そのため、都は今年度、特殊な急速冷凍技術を活用した二つの新たなビジネスモデルの創出に事業者と共に取り組んでまいりました。
 一つ目は、中小のベーカリー約五十店舗から集めた総菜パンや菓子パンを冷凍販売するものでございまして、一日だった消費期限を九十日間に延長したことが消費者に好評でございまして、一〇%以上あった食品ロスの発生を約三%まで大幅に削減いたしました。
 二つ目は、外食のすし店で余った食材で作ったおむすびやブリ大根など、駅改札近くに設置した自動販売機で冷凍販売するものでございまして、便利でおいしいと評判がよく、完売して、余った食材は使い切っております。
 今後、都は、こうした事業の成果や効果について、食品ロス削減パートナーシップ会議のメンバーである関係団体等を通じて、広く事業者へ共有を図ってまいります。

○加藤委員 サプライチェーンの下流側にある小売や外食では食品ロスが発生しやすく、保存期限を延ばす冷凍技術の活用は、食品ロス削減に大変有効であります。都にはぜひ、こうした取組が業界全体に広がっていくよう、しっかり情報共有していただきたいと思います。
 また、食に関する先進技術といえば、最近、フードテックという言葉を耳にするようになりました。これは食とテクノロジーを融合した造語で、最新技術を駆使して新しい食品を開発することなどを意味しており、様々な環境配慮の取組が今まさに進められています。
 そこで、食品ロスの問題についても、こうしたフードテックと呼ばれる先進技術を活用して、さらなる削減を図っていくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 店頭に並べられた食品は、多めに用意されることが多く、最終的に売れ残りや期限切れとなって廃棄されてしまうことがございます。
 そうした中、従来やむを得ず廃棄していた食品を、付加価値を高めて新たな食品に再生するアップサイクルの技術は、食品ロス削減に有効でございます。
 そのため、都は来年度、スーパーやコンビニ、外食等で発生する売れ残りの青果やパン等の食材を新たな価値を持つビールなどの飲料や食品へ再生させるビジネスモデルの創出と社会実装に向け、事業者と共に取り組んでまいります。
 都は、今後とも食品ロス削減に有効で先進的な技術について、民間事業者が有する知見、技術力などを生かしながら、食品ロス削減に向けた取組を着実に推進してまいります。

○加藤委員 AIなどを活用すれば、必ずしもベテランでなくても、新米さんのアルバイト店員であっても売上げが上がるという事例も聞いております。
 本日伺ったいずれの先進技術とも、都が掲げた二〇三〇年食品ロス半減に向けて大きな役割を果たしていく大変重要なものだと思います。ぜひ今後とも関係団体等と連携しながら、さらなる食品ロス削減に向け、しっかりと取組を進めていくよう要望いたします。
 次に、自転車シェアリングについて伺います。
 自転車シェアリングは、CO2を排出しない環境に優しい交通手段であるとともに、コロナ禍においては、三密を回避できる移動手段として人気が高まっています。
 二〇一〇年に自転車シェアリングの起源ともなる、日本初のコミュニティサイクルが富山市に本格導入されて、私も会派で二〇一五年に視察に訪れました。海外では二〇〇〇年代の前半から導入されているようですので、日本は後発組であります。
 富山市で驚いたのは、市がポート用地の提供は行っていましたけれども、補助金なしで、民間の事業者がポートの設置や自転車の調達、運営を行っていることでした。
 事業者は利用者からの利用料に加え、ポートとなるステーションに情報パネルと自転車の車体に広告を付加し、また、ポートがない歩道の公共空間にも市政情報を提供するパネルを設置して、広告収入源を得ながら運営をしていました。都内でも事業が軌道に乗れば、持続可能性のあるビジネスモデルの構築を期待するところであります。
 私はふだん、電動アシスト自転車を利用しておりますけれども、これはシェアリングにも用いられておりまして、快適で長距離移動にも適しています。しかし、広域的に利用しようとすると、問題になるのが事業エリアの壁です。
 都内では、主にドコモ・バイクシェアとハローサイクリングを運営するオープンストリートという二つの事業者が別々に事業を行っているため、すぐ近くにもかかわらず、区境を越えて移動できない場所が多くあります。
 私の地元墨田区は、ハローサイクリングのエリアとなっていますけれども、区内の両国駅や押上駅付近にドコモのサイクルポートが設置され、違うエリアから移動する人には便利になったとの声を聞いています。
 しかし、そのような例はごく一部にとどまっておりまして、利用者の利便性を考えると、本来は行政区域や事業者のエリアに関係なく、自由にどこへでも移動できることが理想です。そのためには、事業者間の連携が不可欠であると考えます。
 こうした問題に対処するため、都は広域化に向け、事業者間の連携促進を図るとしていますが、現在の取組状況について説明を求めます。

○筧環境改善部長 現在、都内では複数の事業者が自転車シェアリング事業を行っているため、事業エリアを越えた利用ができず、利便性の観点から課題となっております。
 そのため、都では、昨年五月に策定した自転車活用推進計画におきまして、利用エリアの広域化に向けた事業者間の連携の推進を掲げ、広域利用の促進を図ることといたしております。
 その一環として、自転車シェアリング事業者、地元まちづくり団体と共に、自転車シェアリング広域利用等推進協議会を設置し、昨年十一月には、西新宿地域においてポート用地共同利用検証事業を開始いたしました。
 本検証事業には、ドコモ・バイクシェアOpenStreet、Luupの三社が参加し、都庁第二本庁舎前、京王プラザホテル、小田急サザンタワーの三か所に設置した共同利用ポートを実際に運用しております。
 都は、利用実態を把握するとともに、今後、管理上のルールや課題を検証してまいります。

○加藤委員 昨年からポートの共同利用検証事業を始めたということでありますけれども、広域利用に向けた事業者間連携の第一歩として、その効果を期待したいと思います。
 本来、共有ポートは、シェアリング事業者が自ら設置すべきものでありますが、運用ルールが定まるまでの間は、都が設置主体者となって事業を進めることも必要と考えます。
 この検証事業は来年度も実施するとのことです。せっかく実施するのであれば、利用実態の把握や管理上のルールづくりだけでなく、さらなる利便性の向上に向けて、利用者の声をしっかりと聞き、今後の施策に反映していくことが重要です。
 また、西新宿地域だけでなく、必要に応じて他の地域にも広げていくべきと考えますが、見解を求めます。

○筧環境改善部長 自転車シェアリングの利便性の向上に向けまして、本検証事業をより効果的なものとしていくためには、利用実態を把握するとともに、利用者の声を聞き、そのニーズを施策に反映させることが重要でございます。
 そのため、令和四年度は、本検証事業においてアンケートを実施し、利用者の声を収集、分析するとともに、得られた移動情報等のデータと併せて、今後の施策の検討に活用してまいります。
 共同利用ポートは、各事業者の事業エリアの境界付近にある交通結節点など、潜在的な需要が見込まれ、広域利用の事業効果が期待できる場所に設置するものでございます。
 そのため、西新宿地域に加え、そうした場所について、地元自治体や自転車シェアリング事業者と調整を行っているところでございまして、早期の実施に向けて着実に準備を進めてまいります。
 今後、こうした取組により、利便性の向上とさらなる普及に向け、自転車シェアリングの広域利用の促進を図ってまいります。

○加藤委員 ポートの共同利用と事業者の連携は、自転車シェアリングの普及拡大、利便性の向上に不可欠であります。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、最近、マンション敷地内やマンションに併設されているコンビニのサイクルポートに対して、固定資産税を課すとの見直しがあり、土地所有者やコンビニ事業者からポートの撤去要請があったとお聞きをしました。
 ポートがなくなって、ふだん利用している利用者から、大変残念だと、不便になったと、また設置されるんですかという問合せとか、あと、移動手段の一つが減ったなどなど、利便性が損なわれたことに対して残念という声を多く聞いております。
 継続的な事業運営や利便性の低下が懸念されている事態が生じております。環境局としても、関係局と連携しながら、こうした懸念の解消を図っていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 ビークル・ツー・ホーム、V2Hの普及促進について伺います。
 V2Hがあれば、日中に太陽光発電設備で発電した電力をEVのバッテリーに蓄え、夜間に放電することで、再生可能エネルギー電力の効率的な自家消費が可能となり、さらには、EVを災害時の非常用電源として活用することもできます。
 昨年の事務事業質疑において、我が会派の北口議員からの質問に対し、都からV2Hの導入について、太陽光発電設備の導入も含め、負担軽減の在り方について検討していくと答弁がありました。
 太陽光発電も含めたV2Hの負担軽減について、都の今後の取組を伺います。

○三浦事業調整担当部長 ZEVの車両購入補助につきまして、都は今年度、環境省の補助事業と連携し、再生可能エネルギー電力一〇〇%利用などを条件とした国補助の受給者に対しまして、補助額を通常の四十五万円から六十万円と引き上げ、普及を進めております。
 環境省の補助事業は今年度限りとなっており、都は来年度、単独で再生可能エネルギー電力一〇〇%利用を条件とした補助額の引上げを行います。
 再生可能エネルギー電力一〇〇%利用の条件といたしましては、電力契約の切替えとともに、再エネ設備の導入等も認めることとしており、特に戸建て住宅でZEVと太陽光発電、V2Hがそろって導入される場合には、通常補助対象とならないV2Hの導入も支援してまいります。

○加藤委員 戸建て住宅でZEVと太陽光発電、V2Hがそろって導入される場合にV2Hへ特段に補助することは、CO2削減、防災の双方に寄与する住宅の普及につながる有意義な取組と評価をいたします。
 しかしながら、ZEVと太陽光発電、V2Hを新規で導入する場合、初期負担は相当大きくなると思います。そこで、今回の新たな補助スキームでは、その軽減効果はどうなるのか、また、V2Hへの補助は工事費の取扱いも含め、具体的にどうなるのか併せて伺います。

○三浦事業調整担当部長 都は来年度、戸建て住宅でZEVと太陽光発電、V2Hがそろって導入される場合、V2Hにつきましては、工事費も含め五十万円を上限として、導入費用の半額を補助いたします。
 ZEVと太陽光発電、V2Hを新規で導入する場合、標準的な初期負担額をZEVの同等ガソリン車との差額百七十万円、太陽光発電三キロワット百二十万円、V2H百万円と仮定しますと、負担の合計は三百九十万円となります。
 一方、来年度の補助による導入時の負担軽減は、ZEVが国補助と合わせ百四十五万円、太陽光発電四十五万円、V2H五十万円で、合計二百四十万円となります。
 また、これらを十年程度保有する場合、維持管理に伴う負担軽減は、ZEVが減税や燃費差により七十五万円、太陽光発電は電気代節減により八十万円で、合計百五十五万円となります。
 以上の導入及び維持管理に伴う負担軽減を合わせますと、初期負担はほぼ相殺され、実質負担なく導入することが可能となります。
 都は今後、こうした軽減効果を積極的にPRしながら、補助の活用を促進してまいります。

○加藤委員 来年度の新たな補助スキームにより、ZEV、太陽光発電、V2Hを併せて導入することで、実質負担がなくなるというのは大きなインセンティブだと思います。評価をいたしたいと思います。
 ただ、ちょっと残念なのは、この取組が今後のZEV等の新規導入を促進する強力なツールとしてはすばらしいと高く評価できるんですが、一方、既にZEVを保有している人が太陽光発電とV2Hを導入するケース、ZEVと太陽光発電を保有していて、V2Hだけを導入するケースも想定されます。
 今回の補助が、基本的に新規導入の促進により普及を拡大することを目的とするという考え方は理解をいたしますが、導入の仕方には様々なケースもあるということを踏まえ、弾力的に対応できるよう要望をいたします。
 次に、水素ステーションの整備拡大について伺います。
 運輸分野の脱炭素化のため、自動車の非ガソリン化、ZEV化は重要です。世界的にEV乗用車の開発、販売が拡大していますが、燃料電池自動車は走行距離も長く、充填時間も短いという利点に加え、我が国が先行する技術を生かし、大きく成長できる優位性があるものです。
 これまでの燃料電池乗用車に加え、最近では燃料電池バスの導入も進み、都内で九十三台のバスが運行と。
 この燃料電池自動車のさらなる導入拡大のために不可欠なのは、やはり水素ステーションの整備であります。臨海部を中心に水素ステーションの整備が進んでいますが、区部でもまだまだ空白地が多いのが現状です。
 そこで、空白地解消のため、都は積極的に対策を講じる必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 燃料電池自動車の一層の導入拡大を図るためには、水素ステーションを都内にむらなく整備し、安心して水素を充填できる環境を整備することが重要でございます。
 都はこれまでも、水素ステーション整備費や運営費に対する補助を行い、既に都内で二十二か所のステーションが整備されるなど、一定の成果を上げてまいりました。
 近年、水素ステーション事業への参入を検討する事業者からは、土地利用コストが高額であるとか、適地の確保が困難であるといった声が上げられておりました。
 このため、都は来年度、水素ステーション整備のスピードを上げるため、現在四分の一の補助率の土地賃借料と二分の一の土地造成費用の補助を、いずれも中小企業については全額、その他の事業者については五分の四に引き上げるなど、支援策を大幅に拡充いたします。
 また、比較的小規模な敷地でも設置が可能な小型水素ステーション設備を補助対象に加えるなど、水素ステーション整備の選択肢を広げてまいります。
 これら支援策を最大限に活用し、事業者の意欲を高め、水素ステーション空白地の解消に向け取り組んでまいります。

○加藤委員 水素ステーション空白地の解消に向けて予算も大幅に拡充し、積極的に取り組んでいることは評価をいたします。
 私は、水素ステーションは公的なインフラといっても過言ではないと思っております。そこで、水素ステーションの整備用地としては、民有地のほかに都有地等の有効活用の可能性もあるのではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 水素ステーション整備のための適地が限られる都内においては、事業者が都有地等を活用できることも重要でございます。
 このため、都は、活用可能な都有地情報等を常にアップデートし、業界団体を通じて事業者に提示し、活用を促しております。これまでに下水道局の水再生センターの敷地の一部や東京都環境公社が所有する用地を活用し、水素ステーションが整備されてございます。
 今後も土地を所管する財務局や各局、事業者等と密に情報共有しながら、都有地等における水素ステーション整備の事例を積み上げてまいります。

○加藤委員 都有地の有効活用によって、事業者による選択肢が広がり、整備が加速することを期待しております。
 私の地元墨田区も、まだこの水素ステーションの空白地なんですね。都有地もかなりありますので、引き続き関係局と連携して整備をお願いしたいと思います。
 最後に、ゼロエミッションビルについて質問します。
 都は、ゼロエミッション東京の実現に向け、東京ゼロエミ住宅の普及や再生可能エネルギーの導入を促進する事業を拡充するための予算を計上しています。
 一方、都内には、事務所などの業務用ビルが約八万棟もあると聞いています。こうしたビルでは多くの人々が働いており、東京の経済活動を支える場となっています。ビルの省エネルギー性能を高め、脱炭素化に取り組んでいくことで、事業活動そのものの脱炭素化にもつながります。
 加えて、一度建てられると長期間にわたり使用されるビルは新築段階から性能を高めておくことが重要です。
 こうしたビルの膨大なストックを省エネルギー性能が高い脱炭素型のビルへと置き換えを進めていくことは、首都東京の国際競争力を高め、企業が拠点を置く都市としての魅力の向上にもつながります。
 そこで、ゼロエミッションビルを実現させていくため、新築されるビルには高い省エネルギー性能を求めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 高度に成熟した都市東京が持続的に発展していくためには、経済成長とエネルギー消費量、また、CO2排出量の削減を両立していくことが重要でございます。
 都は、一定規模以上の新築建物等の建築主に対しまして、計画段階から建物の断熱性や省エネ性能の向上、再エネ利用等を促す建築物環境計画書の提出を義務づけ、取組を誘導してまいりました。
 現在、環境審議会におきまして、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、新築建物の高断熱化、それから高効率設備の設置、また、都外での新規再エネ電源も含めたさらなる再エネ設備の設置など、より高い水準に誘導する制度等の強化について検討を進めているところでございます。
 今後とも、こうした取組によりまして、都内に新築される建物のゼロエミッション化を着実に進めてまいります。

○加藤委員 私、都計審の委員もしているんですけれども、毎回ある会派が、超高層ビルの建設によりCO2の排出量が増加するので中止すべきだという主張を行っていて、一面性しか見ていないんではないかと辟易をしております。
 土地の狭い東京で容積率を高めて高層化し、最新の技術で省エネルギー化に取り組むことが、結果的には都内全体のCO2削減につながり、都市間競争にも勝っていくと思うんですね。ぜひ、局としても専門家の力を借りて、効果を測る数値モデルをつくってほしいというふうに思います。
 ビルの省エネルギー化を進めるためには、新築されるビルそのものの性能も重要ですけれども、社会資本のストック全体として、エネルギー性能の高いビルへ事業活動の場を移していくといった視点から捉えることも必要です。実際に、二〇〇〇年に比べ、業務部門のエネルギー消費量は減少しています。
 新築する建物に対する制度を強化していくとの答弁をいただきました。引き続き新築されるビルの性能をしっかりと高めていくとともに、既存のビルについても、改修に当たって省エネ設備に取り組んでいくための施策を進めていくことを要望して、質問を終わります。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。
 それでは、私から、環境局部門の質疑を行わせていただきます。
 まず初めに、気候危機対策について伺います。
 これまで様々議論がされてきました。あと十年足らずで温暖化ガスを半減できるかどうかに人類の未来がかかっています。今、環境審議会で議論されている様々な施策が、二〇三〇年カーボンハーフに間に合うかどうか、実現できるかどうか、ここに東京の未来も日本の未来もかかっている、地球の未来もかかっているというふうに私は捉えています。
 そこでまず、二〇三〇年カーボンハーフに向けた道筋について、何点か伺ってまいります。
 現在、環境審議会の企画部門に、二〇三〇年エネルギー起源CO2排出量とエネルギー消費量の部門別削減目標素案が出て、議論がされております。
 そこでまず伺いますが、部門別削減目標について、二〇三〇年まで温室効果ガス排出量の推計に当たって、マクロフレーム、このほかに都内の就業者数の見込み、床面積、世帯数の増加見込みなどを基に計算していると。その結果、この表を見ますと、二〇一九年は六千二百十一万トンだったものが、何もしないと四・七%増加、六千五百二万トンになるという予測になっています。
 部門別で見ますと、業務部門、ここは二〇一九年比で一・二%の増というふうになっています。これは単純に床面積の増を反映しているのかどうか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 環境審議会に提示いたしました部門別削減目標(素案)におきましては、二〇三〇年の都内就業者見込み等を踏まえた床面積の伸びを基に、業務部門の排出量の二〇三〇年BAUを算定しております。

○里吉委員 二〇三〇年までの都内就業者数の見込み等を踏まえた床面積の伸びを基に算出したということ、今確認いたしました。
 環境審議会の企画部門では、断熱省エネ性能の基準の強化とか再エネ設置の義務づけなど、いろいろ議論されています。大規模建設物に対する現行制度の強化についても検討されています。
 しかし、今このままだと、二〇一九年比で床面積の伸びでは一・二%増える計画になっているということかと思います。
 これから個々のビルの環境性能を高めていくことはもちろん必要です。しかし、それだけでいいのか。経済成長を前提としつつも、業務部門でCO2排出の減に明確にかじを切っていく、こういう取組が求められているのではないかと思います。
 そう考えますと、私たちは今後、本当に東京で高さ百五十メートル、二百メートルといった超高層のビル建設がこれ以上必要か、総量規制といいますかね、そういうことも必要ではないか、より突っ込んだ検討が求められているのではないかというふうに思います。
 先ほど数値も出して検討するべきだという話もありました。私からも、本当にここから超高層ビル、どんどん建てていっていいのか、ぜひ環境局として、私からも検討していただきたいということを問題提起、指摘しておきたいと思います。
 次に、これも各会派から議論がありましたけれども、水素について伺います。
 今回の予算では、水素エネルギーの普及拡大が二百六十九億円と、昨年の三十億円と比べて九倍近く増えています。
 ここでお伺いしますが、水素エネルギーを増やすことによって、具体的には温室効果ガスの削減にどのような効果があるのか、二〇三〇年までにどういった効果があるのか伺いたいと思います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 都は、二〇三〇年カーボンハーフと、その先の二〇五〇年脱炭素社会の実現を見据えて施策を進めております。
 水素エネルギーについては、足元では家庭用燃料電池や燃料電池自動車の普及により、家庭や運輸のCO2削減に寄与してございます。また、将来は、再エネの調整力や電化が困難な熱需要や輸送手段の脱炭素化に寄与することが期待されてございます。
 水素は技術革新の余地が大きく、社会実装が進みながら、新たな研究開発も同時に進行しており、水電解で使用する電力の再エネ化に加えて、光触媒などの革新技術の研究開発の進行により、一層のCO2削減が期待されます。
 今後も水素全体の需要を喚起し、水素エネルギーの普及拡大に向けて着実に取り組んでまいります。

○里吉委員 ほかの議員からも質疑がありましたけれども、今、二〇三〇年までにカーボンハーフ、本当に実現できるのかどうか、この議論が本当に大事だと思っています。
 この二〇三〇年エネルギー起源CO2排出量とエネルギー消費量の部門別削減目標を策定するに当たって、いろいろと資料を読ませていただきましたけれども、水素については特に記載が見当たらなかったので、この水素エネルギーの拡大によって、具体的に温室効果ガスの削減にどのように効果があるのかと聞いたわけですけれども、将来の話は大分されましたけれども、家庭用燃料電池や燃料電池自動車の普及で、どれだけCO2削減に寄与するのかは、ちょっと分からなかったんですね。
 そこで、何か反論というか、あれば後で答えていただきたいと思いますが、私からはこれ以上質問しません。
 来年度予算で環境局の予算が大幅に増えて、中でも省エネ、再エネなどの気候危機対策への予算が大幅に増えていることは本当に重要です。しかし、裏を返せば、それだけのことを東京都がやらなければ、地球規模での環境危機には対応できない、国内で最大のエネルギー消費地である東京都としての責任が果たせないということだと思います。
 しかも、残された時間は限られています。これだけの予算で足りるのか、大分増やしたけれども、これで間に合うのかといえば、私はまだまだ足りないと考えます。
 二〇三〇年までのカーボンハーフで終わりではない、その先の二〇五〇年に向けて考えることが必要だと、だから水素なんだということを繰り返しご説明を受けますけれども、それであれば、水素は中小企業などの技術開発や研究への補助などを行えばよいことで、技術を持っている一部の大企業のために、水素自動車やバスなどの大型車の導入にここまで税金で支援する必要はないと考えます。
 埼玉県、千葉県、神奈川県の予算なども見てみました。直接担当者にもお話を伺ったりしましたけれども、その上で、改めて東京都だけが本当に桁違いに水素に大きな予算をつけていることがよく分かりました。都として、ここまで水素事業に税金投入する必要はないということを改めて私からも指摘をしておきたいと思います。
 そして、その予算、さらに増やさなければいけないという議論もありましたけれども、今何が求められているか。私は、都が住宅のゼロエミ化を推進していること、これも先ほど我が党の原委員からも質問させていただきましたけれども、これ本当に進めていただきたいと思います。
 同時に、我が党の代表質問で触れましたけれども、都営住宅の断熱性能は従来水準のままである、このことについて、代表質問で、ぜひ都営住宅も東京都のゼロエミ住宅の水準へ断熱性能を引き上げてほしいと求めましたけれども、住宅政策本部の答弁は、国の公営住宅等整備基準に基づいて、いわゆる住宅の品確法の断熱等性能等級において、今最上位なんだと、こういう基準で整備しているんだというものだったんですね。ですから、それ以上の断熱性能にはなかなかできないと、しにくいというご答弁でした。
 しかし、都内では毎年多くの都営住宅の建て替えが行われています。今建て替えれば、確実に二〇五〇年にその都営住宅は存在しているわけですから、東京都として、この環境性能、断熱性能を引き上げる必要があるのではないか。ぜひ環境局としての見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 都営住宅の断熱性能につきましては、国の公営住宅等整備基準に基づき、いわゆる住宅の品確法の断熱等性能等級におきまして、現行最上位の等級四の基準を満たす仕様で整備していると聞いてございます。

○里吉委員 今の答弁は、住宅政策本部が答えた以上のことは環境局で答弁できないということだと思います。
 だから私たち共産党は、知事をトップとした局横断的な組織、気候危機対策の組織が必要なんじゃないかというふうにこれまで議論してきたわけです。でも、それは環境局が頑張るんだということだったので、それであれば、もちろん局いろいろ違って、それぞれの政策がありますから、難しいと思いますよ。だから、横断組織が、私はあった方がいいんじゃないかなと思ったわけですけれども、環境局が先頭に立って取り組んでいただけるということであれば、これはぜひ環境局として進めていただきたいと思うんです。
 東京ゼロエミ住宅では、民間に省エネ住宅をどんどん進めてくださいということで、これだけ予算を増やしている。一方で、都営住宅は目の前でどんどん新しい都営住宅の建て替えが進んでいる下で、都として国の基準が変わるのをただ待っているだけでいいのかというふうに思うわけです。
 それから、もう一点、都営住宅の居住者は、多くが低所得層です。住宅の断熱性能が上がれば、光熱費を抑えることにもつながります。気候危機の問題で一番影響を受ける弱い立場の人への支援を行うことが必要だ、気候正義の話がいろんなところでありますが、これは何も海外で、温暖化で沈んでしまう島の話ではなくて、都内でもこういう気候変動によって影響を受ける人たちがいる、そこへきちんと対応しなければいけないという話だと思うんですね。ですから、そういう意味でも、ぜひ考えていただきたい。
 都営住宅、公社住宅など、公的住宅を建て替える際に、東京ゼロエミ住宅のような太陽光パネルは、本当に一歩前進で頑張っていただいたと思いますが、建物の断熱性のところについても、断熱性能の高い住宅にできるように、今こそ議論を進めるべきだと。ぜひ環境局としてご検討いただきたいということを求めておきます。
 次に、再エネ電力について伺います。
 東京都都営住宅はじめ既存の都有施設への太陽光発電二百八十一施設、こういう計画が進んでおりまして、同時に、地産地消型再エネ増強プロジェクトでも、今年度の四億円から三倍の十二億円、民間事業者に加えて区市町村も対象に加えたということで、金額も対象も増やしました。
 金額を大幅に増やしたことと、区市町村を対象に加えた目的について改めて伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、民間事業者等の再エネ発電設備の導入などへの支援により、再生可能エネルギーの自家消費等を促すことを目的としておりまして、支援を開始いたしました令和二年度及び令和三年度ともに、年度途中で当初予算額に達するなど、事業者等のニーズは高まりを見せているものと考えてございます。
 また、区市町村につきましては、防災拠点等としての機能も有しておりまして、公共施設への再エネ設備等の率先導入を支援することは、都内での再エネ導入等のさらなる促進につながるものと認識してございます。
 こうした観点から、来年度、本事業において、規模、対象ともに支援の拡充を図ることとしてございます。

○里吉委員 以前、この委員会で、各自治体の公共施設での太陽光パネルの設置がどれくらい進んでいるかという資料を出していただいたことがありましたけれども、それを見ましても、まだまだこれからという状況だったんですね。
 そして、さきの決算委員会でも、我が党の清水とし子委員が、区市町村の太陽光発電設備の設置について、地域環境力活性化事業で二分の一補助しているけれども、実績が毎年数件程度ということで、なかなか進まないと、市の担当者は費用が高いと、都として財政支援を拡充してほしいといっているということで、こういった要望もさせていただきました。
 二分の一補助だったものが、本事業、補助率三分の二と拡充されたことは大変重要だと考えております。
 同時に、区市町村への公共施設への太陽光発電施設の設置ですね、都有施設でもいろいろご苦労されていると聞いております。荷重に耐えられるかとか、いろいろな技術的なことも今、取り組みながら進めていると聞いておりますので、都有施設とともにスピード感を持って進められるように、技術的な情報提供なども含めて、ぜひ一緒に進められるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、再生可能エネルギーの利用拡大について伺います。
 二〇三〇年に向けて再生可能エネルギーの利用拡大を進めるためには、多くの都民や事業者に再エネ電力を利用してもらうことが必要です。そのためにも、再エネ電力割合の高い電力を供給できる供給事業者を増やすことが求められます。
 そのために都の支援や新たな制度が必要だと思いますけれども、都は現在、どのような検討を行っているのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、既に環境審議会におきまして、都内に電力を供給する電力供給事業者に対して、都が示す再エネ電力割合の目標水準を踏まえた二〇三〇年度目標の報告、公表の義務化や、電力メニューごとの再エネ電力割合の各年度の実績の報告、公表の義務化など、再エネ電力割合の拡大を誘導する仕組みについて検討を進めてございます。

○里吉委員 私もカーボンハーフ実現に向けた条例改正のあり方検討会、第二回目の速記録、読ませていただきました。今、簡単にご説明いただいたんですけれども、私、これを読んで、本当にすごい検討が始まっているんだなというふうに思いました。
 電力供給者向けの目標指針として、再エネ電力割合の二〇三〇年度目標水準を東京都が提示すると。それから、電力供給事業者には、この目標水準を踏まえた二〇三〇年度目標を設定して、各年度の計画の策定、報告、そして公表の義務化も検討されていると。各電気供給事業者に対して都内供給電力の再エネ電力割合、電源構成について、各年度ごと実績報告と、その公表の義務づけも検討されていると。
 追加性や持続可能性のある電源からの調達、供給に努めるよう供給事業者に求めるとともに、調達、供給の計画及び各年度の実績報告、これも公表を義務づけると。
 こういう議論がされているということで、私はこれまで、委員会でも何回か質問してきましたけれども、この電力供給事業者の情報を東京都のホームページで見ても、再エネを供給しているところが本当に少ない。それから、再エネを供給しているところも本当にそのパーセンテージが少ないということもあって、これでどうやって再エネ電力の利用割合を増やしていけるのかと思っていたんですが、東京都としてここまで具体化していると。
 再エネ電力割合の目標、水準提示、それから事業者に対して目標、計画、取組の実績の報告、公表の義務づけということが議論されているということは、大事な一歩前進だと思います。
 ちょっとそこで、私、気になっていることが一点あるんですけど、既にこれ事業者からお話を聞いているんですよね。ちょっとホームページを見たら、十四社からの意見表明が行われていて、ここには東京電力エナジーパートナー株式会社からも意見が出されているんですけれども、再エネ率目標設定義務は、目標設定している場合の公表義務にしてほしい、既にこういう議論がされているんだなというふうに思いました。
 いろいろ東京都が考えていることと事業者が考えていることと、いろいろ議論がもちろんあるんだろうなと思いますが、私は、ここはしっかり議論していただいて、実効性ある再エネ利用率目標の義務化、ぜひ進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 そして、この問題の最後に、再エネの調達方法について伺います。
 再エネ電力の調達については、太陽光のメガソーラーの問題など、調達方法も問題になっていますよね。都内でもメガソーラーとまではいかないんですけれども、急斜面の山肌を削って大量のソーラーパネルを設置して、問題になっているところなどもあります。
 都庁舎の電力を再エネに変更した際には、入札の際に調達方法も考慮して調達をしていました。東京都として、再エネ電力割合を高める上で、調達方法の検討について改めて伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、環境審議会におきまして、都内への電力供給事業者に対し、新たに設置された再エネ電源であることや、燃料の持続可能性などの観点を踏まえた再エネ電力の調達、供給に努めることを求めていくとともに、こうした情報を分かりやすく表示、発信することで、電力の需要家が意欲的に取り組む事業者を選択することを促すこと、こうしたことを検討してございます。

○里吉委員 企画部会の中でも、日本全体で再生可能エネルギー一〇〇%の未来を目指していきたいと強く思うが、それでもなお、持続可能性をそこの犠牲にしてはならない、そのクオリティーの担保というところは、仕組み上、確保をぜひお願いしますという発言や、どこの再エネを調達してくるかという視点がすごく重要という発言など、様々な委員からこういう発言が部会の中でありました。
 東京都として、再エネ電力の利用割合を高めていく際に、ここはしっかり示してほしい、このことを私からも改めて求めておきたいと思います。
 この検討部会、本当にすごい何回も頻繁に開かれていて、今すごい急ピッチで具体化が進められていることをホームページを見ると本当によく分かります。担当されている職員の皆さん、本当にご苦労されていると思います。
 私たち、我が党共産党はこれまで、この目標の具体化を早く進めてほしいと訴えてまいりました。もっと早く始めてほしかったというのが率直な思いですけれども、現在、こういった具体化がどんどん進んでいることは本当に重要だと思いますので、ぜひ実行力ある、そして本当にみんなで取り組めるものにしていっていただけるように求めて、次の質問に行きたいと思います。
 次は、簡単に幾つか確認しながら求めていきたいんですけれども、保全地域の公有化についてです。
 現在、保全地域の公有化については、目標を定めて取り組み出しています。これ本当に重要なことだと思います。金額、予算は今、目標を定める前の二倍近くに増えて取り組んでいるわけですけれども、今まで以上に積極的に保全地域の公有化を進めていただきたいと思っておりますけれども、課題について都の認識を伺いたいと思います。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、都内に残された貴重な自然地を五十か所、約七百六十ヘクタール、保全地域として指定してまいりました。「未来の東京」戦略において、生物多様性保全の観点から、重要な自然地を二〇五〇年度までに百ヘクタール程度を保全地域として新たに指定し、公有化する目標を掲げております。
 保全地域に指定された土地は、建物その他工作物の建築等が制限されるなど、地権者の行為が著しい制限を受けることから、事前に地権者の同意を必要とするという課題がございます。

○里吉委員 保全地域に指定された土地は、建物の建築が制限されるという制限があるので、それが一つの課題だということでした。
 ただ、ここに今日も資料で、保全地域における希少種の状況、毎回資料でつけていただいていますけれども、これ、やっぱり保全地域として指定して守っているからこそ守られている、東京の本当に大事な財産だと思います。
 東京都の税金で購入して、都民みんなで守る、この自然環境を都民共有の財産として、改めて広くその魅力を発信していく中で、今、これから公有地化したいなと思っているところの所有者の方も、ぜひ協力しようと思っていただけるようにしていくことが重要ではないかと思います。
 これまでも東京都は、保全地域の魅力発信のために様々努力を行っていると思いますけれども、改めてその内容についてお伺いします。

○和田自然環境部長 保全地域は、希少種をはじめ多様な動植物が生息、生育する地域であり、生物多様性の重要性を学ぶことのできる場となっております。
 都は現在、保全地域体験プログラムなどの自然体験活動において、自然の持つすばらしさを体験してもらうとともに、ウェブサイト「里山へGO!」において、体験活動のレポートや各保全地域の特色などを発信して、保全地域の魅力を伝えております。

○里吉委員 様々なプログラムで、今、保全地域の魅力を発信しているということでした。なかなかコロナで、もしかしたらできなかったプログラムもあるかもしれませんけれども、ウェブサイトなどは本当に魅力的な保全地域が知れるし、大事な活動だと思います。ぜひ、目標をせっかく決めていただいたわけですから、積極的に保全地域の公有化を進めていっていただきたいというふうに思います。
 同時に、次の質問なんですが、都内では、保全地域とは別に、私たちが住んでいる近隣にある樹木、これが大変貴重な緑です。東京都に既存樹木の伐採を抑制するような仕組みがあるのかどうか伺いたいと思います。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しております。
 本制度においては、一定規模以上の既存樹木等に関し必要な調査を行い、行為地内にそのまま残すか、または行為地内において移植することについて適正な検討をすることを求めております。

○里吉委員 今定例会で我が党は、神宮外苑の千本近い樹木の伐採や、また、篠崎公園でも約八百本の樹木の伐採があるなど、多くの貴重な樹木が大量に伐採されていることについて質疑をしてまいりました。
 これは直接、環境局の所管ではありませんけれども、都内の貴重な樹木が伐採されていくことについて、今、改めて何らかの歯止めをかける必要があるのではないかと私は強く思うわけです。
 今紹介した二つ以外にも、私たちのところには樹木伐採に関しての相談が多く寄せられています。その一つが井の頭公園の西側、武蔵野市御殿山に建つ、東京都の西部公園緑地事務所の改築に伴う樹木の伐採なんです。これ、住民の皆さんが来たときには、八十六本の伐採の計画があるということで、今いろいろ交渉して少し伐採の本数は減っているんですけれども、こういう話が来たんですね。
 井の頭公園というのは、近隣住民だけでなく、私は世田谷区在住ですが、私もよく訪れる、大好きな緑を楽しむ貴重な場所です。近隣住民の皆さんが、公園内だけでなく、この事務所の敷地内の樹木も含めてこの樹木を守ろうと、武蔵野の自然を生きる会、こういうのを立ち上げて署名活動も行っています。
 会のメンバーの方は、伐採される樹木帯は、ほかの井の頭公園のエリアには存在しない植物が生息している貴重な場所なんだ、高い木を切ることで日差しが差し込んで、植物学的にもそれらが生息できなくなる、こういう指摘をされています。
 野鳥や昆虫や植物も含めて、生物環境バランスが崩れてしまう、何としても自然を救いたい、環境調査をしてほしい、こういうふうに訴えられました。
 なかなかこれ、所管も違いますし、違う話だと思うんですけれども、先ほど自然保護条例の中で樹木伐採について、一応制度があるということをお伺いしましたけれども、伺いたいんですけれども、自然地での一定規模以上の土地の形質変更行為に対しては、あらかじめ開発許可を求める制度の運用というお答えだったので、今回はこれに当たらないんじゃないかなと思いますが、先ほどご紹介いただきました制度は、具体的にはどのような条件でこの対象となるのか伺いたいと思います。

○和田自然環境部長 市街化区域などでは三千平方メートル以上の、市街化調整区域などでは千平方メートル以上であって行為地面積の三分の一以上が自然地である土地または一団で千平方メートル以上の自然地を含む土地において形質変更行為をする場合に、開発許可の対象となります。
 また、個々の検討が必要な既存樹木等とは、法律または区市町村の条例等の指定基準を満たすものや、天然記念物に指定されている樹木または樹林であります。

○里吉委員 ありがとうございました。一定の基準はあるとはいえ、そういう樹木を守る制度は一応あると。ただ、三分の一が自然地とか、いろいろそういう条件があるということでお話を伺いました。
 実は、世田谷区には樹木の伐採届という制度がありまして、みどりの基本条例とか風景づくり条例に基づく伐採届、そして東京都風致地区条例に基づく許可申請というのがあるんですけれども、世田谷区の場合は、みどりの基本条例に基づく伐採届は、世田谷区内で地上一・五メートルの高さにおける幹周りが八十センチ以上の樹木もしくは高さ十メートル以上の樹木を伐採しようとする所有者は、届出をしなければいけないということで、担当はみどり政策課というところなんですね。
 これは当然、都有地も例外ではありませんが、伐採届の提出のときに、みどり政策課の方はコミュニケーションを取って、なるべく伐採を減らす努力をしてもらえるように働きかけるんだという、こういうお話でした。
 例えばこうした制度を参考に、私は、都としてもっと樹木伐採を抑制できる仕組みをつくることはできないかと考えるわけです。
 神宮外苑では、樹木の大量伐採に多くの都民から批判の声が上がっていますが、ここは風致地区で、自然環境を守ることになっているはずです。しかし、今回伐採されようとしている樹木のうち七百六十三本は風致地区内というふうに聞いています。
 現在の東京都の条例では、都心の樹木が守れないのが現状です。知事は所信表明で、東京の緑を守る、里山の美しい原風景、それがもたらす生物多様性の恵みなど、東京に残された豊かな自然環境を身近に感じることで、自然を守る共感を育てることも重要と述べました。
 最新技術を駆使して発信するデジタルミュージアム構想を述べていましたけれども、私は、自然を守る共感を育てるというのであれば、もっと私たちの身近にある緑、今日お話しした井の頭公園の樹木もそうですけれども、身近な貴重な自然を、何十年もかけてその地で育った樹木をどう守るかということに、その仕組みをつくることに、ぜひ環境局として取り組んでいただきたい、このことを要望し、私の質問を終わります。

○田村委員 私からもシカ管理計画についてお聞きしようと思いましたけれども、他会派とも重なりますので、質問はいたしません。
 鹿の生息数を適正に抑えて、動物と植物と人間が調和して暮らせる環境づくりに力を尽くしていただくようお願いして、終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四分散会

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