環境・建設委員会速記録第十六号

令和三年十二月十日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長須山たかし君
副委員長里吉 ゆみ君
理事田村 利光君
理事関野たかなり君
理事加藤 雅之君
北口つよし君
漢人あきこ君
鈴木  純君
西山  賢君
星  大輔君
原  純子君
たきぐち学君
伊藤 ゆう君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長宮澤 浩司君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務上田 貴之君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
事業調整担当部長三浦 大助君
環境改善部長筧   直君
自然環境部長和田 慎一君
資源循環推進部長上林山 隆君
建設局局長中島 高志君
次長須藤  栄君
道路監奥山 宏二君
総務部長小林 忠雄君
道路建設部長花井 徹夫君
道路計画担当部長原島 孝至君

本日の会議に付した事件
意見書について
建設局関係
契約議案の調査(質疑)
・第二百十六号議案 志茂立体(仮称)(三)擁壁築造工事請負契約
環境局関係
付託議案の審査
・第二百四号議案 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百二十六号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)中、歳出 環境局所管分(説明・質疑)

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽根委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和三年十二月八日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 曽根はじめ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第二百十六号議案 志茂立体(仮称)(三)擁壁築造工事請負契約
2 提出期限 令和三年十二月十日(金)

○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の契約議案の調査並びに環境局関係の付託議案の審査を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 契約議案の調査を行います。
 第二百十六号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田村委員 志茂立体(仮称)(三)擁壁築造工事について伺います。
 西多摩地域の東西方向や南北方向の移動においては、鉄道や河川を横断するため、鉄道との立体交差や河川を渡る橋梁を含めた道路整備に取り組む必要があります。中でも、道路と鉄道が交差する踏切は、渋滞の発生、踏切内事故の危険性など、様々な問題があります。
 しかし、西多摩地域は、鉄道が地表を走っている区間が大部分であり、踏切が多く残されています。私の地元福生市志茂地内の都道瑞穂あきる野八王子線とJR青梅線とが交差する志茂踏切は、市内の西側やあきる野市方面から国道一六号へのアクセスに利用されており、車の通過交通量が多いため渋滞が発生しています。
 そこで、都道瑞穂あきる野八王子線とJR青梅線との立体交差事業について、事業の目的を伺います。

○花井道路建設部長 都道瑞穂あきる野八王子線は、瑞穂町と八王子市を結ぶ延長約十四キロメートルの地域幹線道路でございます。
 本事業は、JR青梅線と交差する約五百三十メートル区間におきまして、道路を拡幅整備するとともに、鉄道部を地下式で立体交差化するものでございます。
 これにより、踏切遮断による朝夕の渋滞を解消し、交通の円滑化を図りますとともに、鉄道との立体交差部には両側に歩道を設置し、歩行者の安全な通行を確保いたします。

○田村委員 事業目的は分かりました。
 市内の東西方向を結ぶ道路であり、地元の関心も高い工事です。事業区間のうち平面部では工事の進展が図られていますが、鉄道との立体交差部は仮囲いが設置されている状況です。
 そこで、鉄道との立体交差部における工事の進捗状況について伺います。

○花井道路建設部長 本事業は、平成十八年度に事業着手いたしまして、用地は既に一〇〇%取得済みでございます。
 鉄道との立体交差部におきましては、鉄道直下の工事を東日本旅客鉄道株式会社に委託しております。平成二十四年度に工事着工しておりまして、約四十メートルのトンネルが昨年度に完成いたしました。

○田村委員 鉄道直下のトンネル工事が完了し、いよいよ掘り割り部の擁壁築造工事に入っていく段階ですが、計画幅員二十七メートルのうち、幅員約十七メートルの掘り割り部を造る際に、現状の交通機能を確保しながら工事を進める必要があります。
 そこで、今後の進め方について伺います。

○花井道路建設部長 掘り割り部の擁壁築造工事は、土留めの設置や擁壁本体の築造など施工の各段階におきまして、現道内で工事ヤードを確保しながら進めていくこととなります。
 このため、交通管理者と連携を図りまして、工事の進捗に応じた道路の切替えにより交通機能を確保いたしますとともに、交通誘導員を適切に配置するなど、安全性の確保にも努めることとしております。
 今後とも、住民への丁寧な説明に努めるなど、関係住民の理解と協力を得ながら着実に事業を進めてまいります。

○田村委員 地元の方々の利便性が損なわれないよう、道路の切替えには配慮をいただきたいと思います。
 地元の期待が極めて高いため、早期の事業完了を要望して、私の質問を終わります。

○関野委員 それでは、私からも志茂立体擁壁築造工事についてお伺いをいたします。私の方は、歩道のバリアフリーと安全な通行についてという観点から質問させていただきます。
 西多摩地域は多摩地域で最も高齢化率が多く、今後も上昇する見込みであります。またさらに、我が党の地元議員からも、事業区間の沿線には助産院が立地しているというようなお話も聞いております。
 歩道の整備に当たっては、高齢者や妊産婦等を含めた全ての人が安全で円滑に移動できる環境の確保が必要と考えているところでありますが、本事業で進めている鉄道と立体交差する区間の構造とバリアフリー対策についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 鉄道との立体交差となる区間は、鉄道直下のトンネルとその前後の擁壁で構成され、トンネル区間が約四十メートル、西側の掘り割り区間が約百十メートル、東側の掘り割り区間が約八十メートルでありまして、その合計延長は約二百三十メートルでございます。
 立体交差する区間の断面構成は、二車線の車道とその両側に設置する歩道となっております。
 歩道につきましては、東京都福祉のまちづくり条例等の基準に基づき、段差のないスロープ構造とし、車椅子のすれ違いが可能な有効幅員二メートルを確保しております。
 また、スロープの縦断勾配につきましては、JR青梅線の西側は五%としており、東側は地形的な制約から、特例値以下で可能な限り緩やかな勾配であります約六%を採用しております。

○関野委員 鉄道との立体交差部の構造と歩道のバリアフリー対策については分かりました。
 現在、コロナ禍によって三密の回避が求められる中、新しい生活様式において、自転車利用が増えているという状況です。そのため、鉄道と立体交差する区間において、高齢者や妊産婦等の歩行者と自転車との接触事故が発生すること、この点を懸念しているところですが、立体交差区間における歩道の安全対策、これについてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 立体交差区間の歩道は、東京都福祉のまちづくり条例等の基準に基づき、幅員や縦断勾配を定めております。
 この区間におきましては、歩道を歩行者と自転車が安全にご利用いただくため、交通管理者との連携を図り、自転車利用者への注意喚起の看板設置など、歩道の安全対策について検討してまいります。

○関野委員 工事完了後、立体交差とすることで踏切の待ち時間がなくなることと、交通が転換されて自転車や歩行者の利用が増える可能性も見込まれる状況でございます。
 誰もが歩道を安全に利用するため、自転車利用に対するマナーの周知も重要でありますが、開通後の利用状況、こういったのを確認しながら、状況に応じて安全対策の実施、この点を要望して、私の質疑を終わらせていただきます。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○曽根委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第二百四号議案及び第二百二十六号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)中、歳出、環境局所管分を一括して議題といたします。
 本案のうち、追加提出されました第二百二十六号議案、令和三年度東京都一般会計補正予算(第十七号)中、歳出、環境局所管分について、理事者の説明を求めます。

○栗岡環境局長 令和三年第四回定例会に提出いたしました環境局関係の案件につきまして概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和三年第四回都議会定例会提出案件の概要をご覧ください。
 表紙を一枚おめくりいただき、一ページをご覧ください。予算案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、令和三年度一般会計補正予算(環境局所管分)についてでございます。
 原油価格高騰を脱炭素化の契機と捉え、事業者、家庭の両面から省エネ、再エネ化の促進を図るため、必要な経費を計上するものでございます。
 (1)、一般会計補正予算計上額でございますが、歳出予算につきまして五十七億一千九百十四万八千円を増額計上してございます。
 (2)、補正事項でございますが、歳出予算につきまして、地球環境エネルギー費について五十七億六百六十七万七千円、環境改善費について千二百四十七万一千円をそれぞれ増額補正しております。
 以上、令和三年度の一般会計補正予算案についてご説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○宮澤総務部長 それでは、令和三年第四回定例会に提出いたしました議案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料2をご覧ください。令和三年度一般会計補正予算説明書についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。1、歳出予算総括表でございます。
 歳出予算を補正する款は環境費でございまして、五十七億一千九百十四万八千円を増額計上するものでございます。
 令和三年度の歳出予算額は、既定予算額五百三十八億一千二百万円と合わせまして、合計五百九十五億三千百十四万八千円となっております。
 次に、歳出予算の補正の内容につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入ります、二ページをお開き願います。項は環境保全費でございまして、目は地球環境エネルギー費及び環境改善費でございます。
 内容につきましては、右側の説明欄にございますとおり、地球環境エネルギー費については、中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業、東京ゼロエミ住宅導入促進事業、家庭における熱の有効利用促進事業、次世代タクシー導入促進事業、充電設備導入促進事業及び地産地消型再エネ増強プロジェクトのための経費といたしまして、五十七億六百六十七万七千円、環境改善費につきましては、低公害、低燃費車の普及促進のための経費といたしまして、一千二百四十七万一千円を増額計上するものでございます。
 以上でご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 なお、その他の議案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○西山委員 それでは、太陽光パネル設置拡大の観点から、補正予算案について質問をいたします。
 本定例会の一般質問でも述べましたが、我が国では二〇三〇年までに太陽光発電設備を現在の五十六ギガワットから、ほぼ倍増となる百四から百十八ギガワットまで増やす必要がございます。
 そのためには、二〇三〇年までに六十ギガワットほど追加する必要がございますが、この六十ギガワットを例えるならば、全国規模で東京ドームのグラウンド面積四万六千か所分の太陽光パネルを敷き詰める必要がございます。
 エネルギーの大消費地でもあります東京には、太陽光発電設備の設置を率先して加速していく責務があると考えております。
 東京都は、二〇三〇年までに都内の太陽光発電設備容量を百三十万キロワットにする目標を掲げておりますけれども、今回提案されました補正予算案も含め、今後都内での導入拡大に向け、どのような考えに基づき取組を進めていくのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都市機能が集積し、大規模な太陽光発電設備の設置が可能な用地が少ない都内におきましては、住宅や事業所の屋根等に太陽光発電設備を導入し、地産地消を進めることが有効でございます。
 都は、建築物環境計画書制度等の条例制度を通じて大規模建築物や事業所への再エネ設備の導入を促すとともに、太陽光発電に適している建物が一目で分かるソーラーポテンシャルマップの公開や、住宅、事業所への導入支援などを通じ、都民、事業者による太陽光発電設備導入を後押ししてまいりました。
 今般、原油価格の高騰により再エネの自家消費の重要性が高まっていることを踏まえまして、補正予算案を通じ、さらなる導入拡大に向けて、東京ゼロエミ住宅導入促進事業、それから地産地消型再エネ増強プロジェクトの支援策を拡充いたします。
 また、現在、環境審議会におきまして、住宅等の一定の中小建築物に太陽光発電設備の設置を義務づける新たな制度の導入や支援策強化、都民への普及啓発、関連する民間ビジネスとの連携などについて検討を進めておりまして、今後、多面的に取組強化を図りながら、太陽光発電設備の導入を加速してまいります。

○西山委員 条例制度による誘導策や補助金等の支援策など、多面的に取組を強化していくとご答弁いただきました。義務化の検討については、東京の地域特性等の課題を踏まえて、専門家や関係団体の意見をよく聞きながら、慎重に進めていただくことを要望しておきますが、住宅への太陽光パネル設置につきましては、国においても二〇三〇年に新築戸建て住宅の六割に設置を目指すとしており、取組の強化が不可欠であります。
 今回の東京ゼロエミ住宅導入促進事業の補正予算案では、今年度分の太陽光発電設備の補助件数を倍増するようですが、それでもゼロエミ住宅事業全体の補助戸数ベースで見ますと四割程度とのことでございます。
 新築住宅への太陽光発電設備設置の標準化を目指していくのであれば、東京ゼロエミ住宅におきましても、今後、太陽光発電設備のさらなる導入を促進する必要があると思いますが、都の見解をお伺いします。

○小川地球環境エネルギー部長 住宅等への太陽光発電設備の設置につきましては、年々費用が低下しており、こうした状況も背景といたしまして、本事業における太陽光発電設備申請件数及び容量は増加傾向にございます。
 補正予算案では、令和三年度前半の申請状況を踏まえまして、今後の太陽光発電設備の申請件数等を推計し、約一千四百件から約二千九百件に支援対象件数を拡充しております。
 来年度に向けましては、省エネ性能等の基準の多段階化の検討を行っており、より高いレベルの東京ゼロエミ住宅の実現に有効な太陽光発電設備の設置を促進してまいります。

○西山委員 ゼロエミ住宅におきましても、太陽光パネルを設置する住宅が増加をしているということです。
 来年度に向けて、より一層、太陽光発電設備の設置が進む事業としていただくことを要望して、質問を終わります。

○たきぐち委員 それでは、初めに、低公害、低燃費車導入義務制度見直しに伴う環境確保条例改正について伺いたいと思います。
 この制度は、自動車による環境負荷の低減を図るため、義務対象事業者に対して一定割合以上の低公害、低燃費車の導入を義務づけているものであります。
 第三回定例会では、今回の見直しの中間報告として、低公害、低燃費車の導入義務率を、現行の一五%を二〇%から三〇%程度に引き上げ、さらに乗用車の非ガソリン車の導入義務を新設し、その義務率を一〇%から二〇%程度に設定するとしていました。
 今回条例改正案として、それぞれ三〇%と二〇%という高い方の数値が示されたことを評価したいと思います。
 そこで改めて、非ガソリン車の導入義務率を新設した理由と、どのような考えで二〇%と定めたのか伺います。

○筧環境改善部長 ゼロエミッション東京の実現に向けて、自動車からのCO2排出量のさらなる削減が求められており、自動車を多く使用する事業者が非ガソリン車の導入を促進させることは重要でございます。
 そのため、今回の低公害、低燃費車導入義務制度の見直しにおきまして、乗用車における非ガソリン車の導入義務率を新たに設定することといたしました。
 新たな導入義務率の二〇%は、対象事業者における今後の乗用車の更新見込みや、現在の新車販売における非ガソリン車のシェアなどを踏まえて、二〇二六年度における事業者の導入状況を試算した上で設定したものでございます。

○たきぐち委員 市場動向や対象事業者の五年後の導入状況を試算して決定したということであります。
 世界の状況を見ましても、自動車は電動車への転換が急激に進んでおり、小池知事も二〇三〇年までの脱ガソリン車一〇〇%を目指すと表明していることから、今回、非ガソリン車の導入義務率を設定したことは、時宜にかなったものといえると思います。
 さて、都では、二〇五〇年ゼロエミッション、二〇三〇年カーボンハーフを目指していますが、現行の環境基本計画では、運輸部門のCO2排出量を、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で六〇%削減することを目標にしています。
 そこで、低公害、低燃費車導入義務率三〇%が達成された場合、CO2は二〇〇〇年に比べてどのくらい削減されるのか、また、非ガソリン車二〇%の導入義務率が達成された場合、義務対象事業者の非ガソリン車の保有割合はどれくらいになるのか伺います。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車の導入義務率三〇%を全ての対象事業者が達成した場合、二〇二六年度時点のCO2排出量は、義務対象事業者全体で二〇〇〇年比六〇%以上の削減になると試算しております。
 また、乗用車における非ガソリン車の導入義務率二〇%が達成された場合、全義務対象事業者における非ガソリン車の保有割合は、二〇二〇年度の二八%から二〇二六年度に六五%以上になると試算しております。

○たきぐち委員 CO2の削減効果は二〇二六年度で六〇%以上になり、非ガソリン車の保有割合は六五%を超えるということであります。
 国内メーカーが相次いでEV車への重点的投資を発表しておりまして、今回、ZEV導入促進のための換算率を設定したように、非ガソリン車の中でもZEVへの誘導策は重要であると考えます。
 同時に、現在の自動車市場、すなわち市場に出回っているZEVの乗用車は二・三%、バスが七・四%。トラックが〇・四%と、こういった市場動向を踏まえると、ZEVの市場投入をただ待つのではなくて、今すぐにできることとして、ハイブリッド車を含む非ガソリン車の普及を促進させるための行動が必要であり、今回提案された条例見直し案は妥当なものと考えております。
 前回の委員会質疑でも指摘したとおり、低公害、低燃費車及び非ガソリン車の導入状況は、業種によって導入率が二極化しています。聞くところによりますと、現状で既に低公害、低燃費車の導入率三〇%をクリアしている事業者は四割を超えているそうであります。
 また、乗用車の非ガソリン車については、導入率五〇%を超えている事業者が三割に達しており、ハイブリッド車など非ガソリン車の普及も一般に比べて大きく進んでいるという状況であります。
 一方で、導入が遅れている事業者も依然として多く、導入率が低い理由としては、該当する車種のラインナップが少ないことが挙げられています。導入義務率を確実に達成してもらうためには、導入率の低い業種、事業者に対するアプローチが課題であります。
 そこで、低公害、低燃費車及び非ガソリン車について、導入率が低い業種や事業者に対しての支援、誘導策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車の導入が進んでいない事業者の導入率の引上げを図るためには、補助などの経済的支援に加えて、きめ細かな指導助言などの技術的支援も重要でございます。
 都では、事業者の低公害、低燃費車の導入が進むよう、中小事業者に対して買換え時の融資あっせんをはじめ、ハイブリッドトラックやハイブリッドバス導入補助などの支援を行っております。
 また、乗用車の非ガソリン車につきましては、ユニバーサルデザインタクシーの導入補助のほか、EVやFCVなどZEVの導入や充電設備に対する補助を拡充してきております。さらに、自動車環境管理計画書制度により事業者カルテを作成し、それぞれの実情に応じたアドバイスなどの技術的支援も行っております。
 今後も、低公害、低燃費車及び非ガソリン車の導入が進むよう、事業者支援を継続してまいります。

○たきぐち委員 脱炭素社会への転換を図るためには、低公害、低燃費車はもちろんのこと、ZEV等の非ガソリン車の導入を促進することが重要であります。経済的な支援だけではなくて、個々の状況に応じた技術的な支援を行うことで、非ガソリン車の導入につなげていただきたいと思います。
 一方、さきの環境審議会で示された部門別CO2削減目標素案では、運輸部門の目標を、環境基本計画から五%上乗せした二〇〇〇年比約六五%程度と発表されました。
 検討会での資料を見ますと、義務率達成によるCO2削減の推定グラフは、二〇三〇年には六五%をクリアする傾向を示しておりますが、目標達成を確実なものにするためには、メーカーの技術、商品開発が日々進歩する中で、市場動向の変化に機敏に対応しながら、より環境性能に優れた車へのシフト、つまりZEV化の推進に向けた施策展開も必要だと考えております。
 そのためには、車両の導入補助だけではなく、充電設備等の補助など、インフラ整備に向けたきめ細かな支援も不可欠であります。
 今回の低公害、低燃費車の導入義務制度の見直しを契機として、二〇三〇年カーボンハーフに向けた取組が加速化することを期待して、次の質問に移ります。
 補正予算について伺ってまいりたいと思います。
 まず、次世代タクシー導入促進事業、低公害、低燃費車の普及促進事業についてであります。
 今回、補正予算の対象となっているタクシーやバスは都民の足として、そしてまた、トラックは物流を担い、私たちの生活や経済活動を支える重要なインフラであります。
 これらの業種は、長引くコロナ禍に加えて原油高に直面をしておりまして、経営環境は極めて厳しい状況にあり、私も運送会社の関係者から直接、厳しい現状についての声を聞いているところであります。
 自動車を多く使用する全事業者が原油高による影響を受ける中、今回の補正予算案において、タクシー、トラック、バスを補助の対象とした理由、考え方について伺います。

○筧環境改善部長 タクシー、トラック、バスは一般の車両と比べて走行距離が長く、ハイブリッド車等へ更新することで高い環境負荷低減効果が見込まれることから、従来から導入補助を行ってまいりました。
 また、これらの車両を使用する業界は、新型コロナウイルス感染症拡大や最近の燃料価格高騰の影響を強く受け、中でも厳しい経営環境にあります。
 こうしたことから、今回の補正予算案では次世代タクシー、ハイブリッドトラック、ハイブリッドバスを対象に、特に中小規模事業者に対する補助率を引き上げ、環境性能の高い車両への転換を促進させることといたしました。

○たきぐち委員 今回の補正が、コロナや原油高の影響を強く受けると同時に、環境負荷低減効果が高い業種を対象にしたということは分かりました。
 気候変動対策が待ったなしの状況の中、厳しい経営環境下においても、補助率引上げによって、ハイブリッド車への転換の歩みが止まることのないよう、事業者とのコミュニケーションを継続しながら取り組んでいただきたいと思います。
 今回の補正予算では、使用する車両が二百台未満の中小規模事業者に対する補助率の引上げでありますが、こうした事業者では、現在どのくらいの割合でハイブリッド車が導入されているのか伺います。

○筧環境改善部長 都では、自動車環境管理計画書制度により、自動車を三十台以上使用する事業者について、毎年度提出される実績報告書を基に、事業者の車両導入状況を把握しております。
 令和二年度の実績報告書を集計した結果、使用台数二百台未満の事業者について見ますと、業種ごとのハイブリッド車の導入率は、タクシーが三三%、トラックが二%、バスが一%となっております。

○たきぐち委員 保有台数三十台以上二百台未満の中小事業者においても、ユニバーサルデザインタクシーの導入が進んでいるタクシー業界は、導入率が三割を超えているということであります。
 一方、トラック、バスのハイブリッド車はほとんど普及が進んでいないのが実態でありまして、支援策を講じることで、まだ十分に導入の余地があるといえます。
 ちなみに、全体で見ますと、環境確保条例の対象事業者は百八十社、保有台数合計約十三万台であるのに対して、三十台以上二百台未満の事業者は約一千四百社、約十万台と聞いております。
 こうした数値を見ますと、保有台数の合計が一定のボリュームを持つ中小規模事業者に対する支援の強化は重要であると同時に、今回の補正予算だけでなく、今後も継続して支援を行うことで、環境性能の高い車両の導入を促進し、脱炭素化に向けた取組を一層推進していただくことを求めておきたいと思います。
 次に、EV、PHVの充電設備導入促進事業について伺います。
 さきの事務事業質疑において都内の公共用急速充電器数を確認したところ、本年三月末時点で三百二十六基ということでありました。ゼロエミッション東京アップデート版で掲げた、二〇三〇年に都内の公共用急速充電器を一千基に増やす目標の実現に向けては、設置を加速させていく必要があり、そのためには現状分析を踏まえ、設置ポテンシャルの高いところに積極的に導入を図っていく必要があります。
 そこで、現在の公共用急速充電器三百二十六基の主な設置場所と、それを踏まえ、今後の普及拡大に有効な設置ポテンシャルをどのように捉えているのか見解を伺います。

○三浦事業調整担当部長 都内の公共用急速充電器三百二十六基のうち、主なものは、自動車ディーラーが半数の百六十三基、次いで、コンビニエンスストアやショッピングモールなどの商業施設が六十九基、コインパーキングなどの駐車場が二十八基となっております。
 自動車ディーラーにおきましては、これまでEVを販売している自動車メーカーの系列店で導入が進んでおりますが、他のメーカーでも今後、新たにEVの開発、販売が進むと見込まれることから、設置ポテンシャルは高いと考えております。
 商業施設などにおきましては、施設の利用客が一時的な駐車の際に利用できるよう導入が進んでおり、今後のEV普及を見据え、顧客の利便性向上の観点からさらに導入が進むと見込まれるため、設置ポテンシャルは高いと考えております。

○たきぐち委員 自動車ディーラーの設置が半数を占め、商業施設が続くという状況であるということでありました。私の地元のスーパーでも、駐車場内で充電されている光景を時折目にするところでもあります。
 今回の補正予算案で急速充電器の導入支援について、その規模を当初予算の百三十五基から二百三十五基へと増やしていますが、規模を拡大した理由、そして、実際にどのように導入を進めていくのか伺います。

○三浦事業調整担当部長 自動車メーカーにおきましては、新たにEVを開発、販売する動きが活発になっており、これに合わせて、ディーラーに急速充電器を設置するための導入支援のニーズが高まっております。
 都はこの機会を捉え、導入支援の規模を大幅に拡大し、集中的に急速充電器の普及を進めることといたしました。
 都は既に、急速充電器導入の課題となります維持管理費や受変電設備改修費への支援も実施しており、今後、こうしたメニューも十分に活用しながら、自動車ディーラーに加え、商業施設など設置ポテンシャルの高い施設へも急速充電器の導入を積極的に働きかけてまいります。

○たきぐち委員 先ほど申し上げましたが、国内メーカーはEV投資を拡大する戦略を相次いで発表しております。
 トヨタが初の世界戦略EVとなるSUV、中型スポーツ用多目的車のbZ4Xの販売を予定しているほか、日産は同じくSUVのアリアに加えて、三菱自動車と新型軽ワゴンを共同開発して売り出す予定でありまして、スバルもトヨタのbZ4Xの兄弟車であるソルテラの販売を予定しているなど、来年度のEV市場は大きく変わることが予想されております。
 こうした動きに伴って、自動車ディーラーの急速充電器設置が大きく進むと見込まれることから、この機を逃さず支援の活用を働きかけ、普及を促進していただきたいと思います。
 一方、充電器は、それが自動車ユーザーにしっかりと利用され、さらなるEVの普及、そして、新たな充電器の設置につながるという好循環を築かなければ、普及の加速は望めません。そのためには、設置された充電器がどこにあるのかをユーザーが認識できるよう、積極的に情報提供を行う必要があります。
 また、現在、こうした情報提供を行う複数の民間サイトもあり、こうした取組を後押しするべきと考えますが、見解を伺います。

○三浦事業調整担当部長 都は、昨年度把握した都内の充電器の設置状況を地図上で見える化し、ホームページ上で公表しております。加えて、この設置状況につきまして、ZEVの購入補助と併せてユーザーへ案内してもらうようリーフレットを作成し、自動車ディーラーへ提供しております。
 お話の民間サイトにつきましては、今年度、九都県市共同で情報の迅速な掲載等に係る調査を行っており、今後、調査結果も踏まえ、充電器の効果的な情報提供につきまして検討を進めてまいります。

○たきぐち委員 九都県市共同での調査結果を踏まえて、効果的な情報提供の検討を進めるということでありまして、広域での移動を促すためにも、意義のある取組だと考えます。
 一方、先日の委員会で我が会派の伊藤委員から、オランダの首都アムステルダムの充電設備の数と比して、都の現況と目標数は少ないのではないかという指摘がありました。
 海外の先進都市と比べた充電器の不足については、私も経済雑誌などで時々そうした指摘されるような記事を見るところでもあります。海外都市の実態については調査しているということでありますが、電欠リスクへの不安解消のためには、どれくらいの充電設備が必要なのか、海外事例を参考に、目標値の検証と戦略的な働きかけが必要だと考えます。
 現在、都内のガソリンスタンドが約一千か所ある、そういった状況に鑑みれば、一千拠点程度あれば一定の安心感を得られるのかもしれませんが、ガソリンは五分程度で給油ができるのに対して、急速充電器では二十分から三十分を要するという、そういった課題もあります。一拠点に複数の充電器を設置するとなると、単純に計算しても、やはり数千規模の充電器が必要ではないかと、そういった推計も成り立つわけであります。
 環境審議会で新築建築物へのZEV充電設備の設置標準化の仕組みが検討されているなど、今後、戸建てやマンションなど基礎充電としての普通充電器の設置に向けた施策展開を加速させていくと同時に、目的地充電としての急速充電器の普及がEV車普及の大きな鍵を握っていることはいうまでもありません。様々な施策を総動員して取組を進めていただきたいと思います。
 次に、東京ゼロエミ住宅導入促進事業について伺います。
 ゼロエミッション東京の実現に向けては、数十年にわたり使用され続ける住宅等建物の脱炭素化が重要であります。
 しかしながら、現在、日本は世界と比べて省エネ住宅の比率は低く、また東京においても、都内の新築着工棟数における、国が定めるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEHの割合は約一%程度にとどまっており、早急に省エネ住宅を拡充すべきと考えます。
 都は、省エネ性能の高い住宅を普及するため、都独自の東京ゼロエミ住宅基準を定め、こうした新築住宅の建築に補助を行う東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しています。
 そこで、まず改めて、本事業の目的と概要、また東京ゼロエミ住宅はどれくらいの省エネ性能があるのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、住宅の断熱性や省エネルギー性能の高い住宅を普及するため、住宅用地が狭小など、東京の地域特性を踏まえた都独自の東京ゼロエミ住宅基準を定めているところでございます。
 東京ゼロエミ住宅導入促進事業は、この東京ゼロエミ住宅の基準を満たす都内の新築住宅の建築主に対しまして、基準を満たすために必要となる費用と通常の住宅建築費用との差額相当分を一定額助成するものとして令和元年度から実施してございます。
 東京ゼロエミ住宅は、国が定めるZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスよりも省エネ水準が高く、建築物省エネ法で定める基準より三割省エネとなってございます。

○たきぐち委員 国が取り組むZEHを上回る消費エネルギーの削減を基準としているということであります。
 住宅メーカーの関係者とも話をしましたが、国においても、環境省、国交省、経済産業省が連携してZEHの拡充に向けた関連補助事業を実施しておりまして、制度の概要等に違いはありますが、都内における省エネ住宅の普及を一歩でも前に進めるために、国の動向も捉まえながら取組を進めていただきたいと思います。
 さて、東京ゼロエミ住宅は、事前申請ベースで都内の住宅新築着工件数約四・三万件の一割程度あり、令和元年度の事業開始以来、予算枠を超過する申請によって抽せんを行い、残念ながら補助を受けることができない都民が多数いることは、本会議や委員会を通じて明らかになっております。
 今回こうした状況を踏まえ、補正予算を計上するものと考えますが、補正予算における戸建て住宅、集合住宅等の支援の拡充の考え方について伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、令和元年度の制度開始以降、非常に多くの都民の方に関心を持っていただいており、予算枠を超える申請により抽せんを行っている状況でございます。
 都は、こうした状況を踏まえるとともに、原油価格の高騰による都民の省エネ意識の高まりをさらに後押しし、東京ゼロエミ住宅の一層の導入促進を図るため、補正予算案により支援対象戸数を拡充いたします。
 具体的には、令和三年度前半の申請状況を踏まえまして今後の申請件数を推計し、可能な限り抽せんとならないよう、戸建て住宅で一千七百八十戸、集合住宅で七百五十戸など、支援の規模を拡充いたします。

○たきぐち委員 今後の申請件数を推計して対象戸数を拡充したということでありましたので、申請者が確実に支援を受けられることを期待いたします。
 また、こうした省エネ住宅を拡充する施策は、希望者が支援を受けられるよう継続していくべきであり、来年度は三十九億円の予算要求をされていますが、今後の方向性について都の見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 住宅と建物の脱炭素化を進めるためには、省エネ性能の高い住宅の普及に向けた取組を強化していくことが重要であると認識してございます。
 現在、東京ゼロエミ住宅においては、より高いレベルの高断熱や省エネ、再エネ設備の設置を促す基準の多段階化の検討を行っております。
 今後、関係団体等様々な立場の方々からの意見を踏まえながら、より環境性能の高い住宅の普及につながるよう、支援の在り方も含め検討を進めてまいります。

○たきぐち委員 さらに高いレベルを目指す基準の多段階化に向けた検討を継続し、省エネ住宅の拡大につなげていくとともに、東京ゼロエミ住宅などの省エネ住宅の建築を希望する方が確実に支援を受けられる施策の構築を強く要望しておきます。
 最後に、住宅の省エネ改修に助成を行う、家庭における熱の有効利用促進事業について伺います。
 住宅が断熱化されていると室温が一定に保たれ、省エネで快適に生活ができるため、補正予算案での補助率引上げは重要な取組だと考えています。
 この事業については、申請のあった住戸のうち九割超が集合住宅の住戸であると聞いておりますが、その理由と併せて事業の進捗状況について伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 この事業は、既存住宅を対象に、窓やドアを高断熱なものに改修する際の支援を行うものでございまして、申請者は住宅所有者や分譲マンションの管理組合等でございます。
 集合住宅は住宅ストックに占める割合も約七割と高く、管理組合が複数戸分をまとめて申請することも可能でございますことから、戸数ベースでは集合住宅が多くなっているものと認識してございます。
 また、事業を開始した令和二年七月以降、窓とドアを合わせて一万一千六百六戸の申請を受け付けており、金額ベースで六割超の進捗となってございます。

○たきぐち委員 分譲マンションでは、管理組合がまとめて申請できるという点で戸建て住宅とは異なることに加えて、戸数が多く窓の規格が同じであるということなど、事業者としてもアプローチしやすいことなども、申請が多くなっている理由として推測ができるところでもあります。
 今後、戸建て住宅においても広くこの事業をご利用いただくためには、地元の区市町村を通じた広報、周知が重要であります。特にコロナ禍でリフォーム需要は高まっておりまして、民間調査機関によりますと、今年上半期、一月から六月の住宅リフォーム市場は、前年同期比二〇%近く増加したとの調査も発表されております。外出自粛やテレワークで在宅時間が増加したことによって住宅への関心が高まり、住空間の改善への支出が増えたことが背景にあると見られます。
 こうした機会を捉え、リフォーム関連の事業者、地域の工務店を通じて都民にPRをするべきだと思います。区市町村や事業者などとの連携を強化することで断熱改修を推進すべきと考えますが、見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 区市町村に対しましては、会議等で随時事業の取組について情報提供を行ってございます。
 今後も、情報や認識の共有を図るとともに、広報の連携など住宅の省エネ改修の周知を協力して推進してまいります。
 また、必要なタイミングで事業の情報をしっかりと届けられるよう、庁内での連携も図りながら、住宅メーカー、リフォーム関連団体、関連事業者等との連携強化に向けた方策の検討を推進してまいります。

○たきぐち委員 連携強化に向けた方策を検討するということでありますので、住宅政策本部との庁内連携をしっかりと図り、関連団体、関連事業者も含めた仕組みづくりを進めていただくことを求めておきたいと思います。
 日本家屋のよさ、優れている点がある一方、日本の住宅は寒いというのがこれまでの常識でありました。近年は、高齢化の進展によってヒートショックで亡くなる方が年間一万九千人に及ぶとの推計もあります。省エネ、断熱は環境問題であると同時に、健康問題であるといわれることもあります。
 私ごとで恐縮なんですが、もう三十年近く前に、北欧の部材を使ったスウェーデン住宅で生活をしたことがありまして、冬は家の中を温めると熱が外に逃げない、夏は一度冷やされるとその温度が長時間保たれる、そんな経験をいたしました。特に冬の朝は、それまではなかなか布団から出られずに起きられないという状況だったんですが、すっと起きられるようになりまして、カルチャーショックのような感動を覚えたことを思い出します。
 なので、今回の助成の支援強化は個人的にも関心を持っているところでありまして、年末にかけて家族会議をしたいというふうに思っているところであります。
 区市等でもこういった断熱改修に対して独自に補助を実施しているというところもありますので、こうした地元自治体や事業者、そして、地域工務店などしっかりと連携をして、今回の補正予算が有効に活用されるよう取り組んでいただくことを求め、私の質疑を終わります。

○北口委員 私の方からも補正予算について質問をさせていただきます。一部、今のたきぐち委員の質問とかぶりますが、改めて確認をさせていただきます。
 まずは今回、補正予算として計上された、ハイブリッドトラック、バスの導入支援についてお伺いをさせていただきます。
 現在、世界規模で大きな問題となっている原油の高騰は、車両を多く抱えている貨物運送事業者やバス事業者の経営にも大きな影響を与えております。
 都は、ゼロエミッション東京の実現に向けて取り組んでいますが、こうした状況を踏まえ、脱炭素化に向けた好機と捉え、事業者の使用する車両を燃料消費の少ないものに代替していくことが重要だと思います。
 トラックやバスについては今のところ、ゼロエミッションビークル、いわゆるZEVのラインナップが少なく、ハイブリッド車の普及が現実的な選択肢となります。
 都は現在、環境性能の高いトラックやバスの普及促進のため、事業者に対して導入補助を行っていると聞いていますが、現行の補助制度の概要と直近五年間の補助実績について説明を求めます。

○筧環境改善部長 都では、物流の中心的役割を果たすトラックの低公害、低燃費化を促進するため、中小の貨物事業者等がハイブリッドトラックを導入する際に補助を行っております。また、公共交通機関であるバスの低公害、低燃費化を図るため、バス事業者が行うハイブリッドバスの導入に対しても同様に補助を行っております。
 補助率はともに、同種車両との価格差から国補助等を除いた額の二分の一でありまして、一定の補助限度額を設けております。
 補助実績は、平成二十八年度から令和二年度までの五年間で、ハイブリッドトラックが二百八十台、ハイブリッドバスが七十七台でございました。

○北口委員 都では、これまでも環境性能の高いハイブリッドのトラックやバスについて導入補助を行ってきており、車種が少ない割には利用されているのかなという印象を持ちます。
 しかし、トラックやバスなどの大型車両のハイブリッド車はまだまだ高価で、現在の補助制度では価格差の全額が補助されないということから、その導入に二の足を踏む事業者も多いと聞きます。特に資金力の乏しい中小企業ではなおさらであります。
 コロナ禍で厳しい経営状況にある中小の事業者を支援するため、補助内容の拡充を図られましたが、来年度以降も補助を継続すべきと考えますが、見解を求めます。

○筧環境改善部長 環境性能の高いハイブリッドトラックやバスの導入を促進するため、厳しい経営環境にある事業者への支援を強化しながら、燃料価格の高騰を契機として脱炭素化を進めていくことは重要でございます。
 そのため、今回の補正予算案におきましては、中小規模事業者等が導入する場合は、同種の車両との価格差から国補助等を除いた額の全額を補助することといたしました。
 具体的には、ハイブリッドトラックの都単独補助の場合、一台当たりの補助額を四トン未満は現行の十六万四千円から四十一万七千円に、四トン以上は現行の五十七万一千円から百四十五万二千円に拡充し、ハイブリッドバスの増額分を含めた合計で約一千二百万円を計上しております。
 来年度以降につきましても、事業者の経営状況等を注視しながら補助の継続を検討してまいります。

○北口委員 今回の補正予算案では、中小企業事業者に配慮して手厚い支援がなされていることが分かりました。こうした取組を今後も継続して、ハイブリッドのトラックやバスなどの普及に努めていただきたいと思います。
 中長期的なビジョンに立てば、ガソリン車からZEVへの転換は世界の潮流であり、事業用のトラック、バスについては、水素を燃料とする燃料電池車への置き換えが望ましいと考えております。しかしながら、インフラを含め、その実用化にはまだまだ時間がかかります。当面はこうした補助制度を継続して、環境性能の高いトラックやバスの普及を推進されることを要望いたします。
 次に、充電設備導入促進事業について質問をいたします。
 都は、ゼロエミッション東京の実現に向けてEV普及拡大を後押しするため、車両本体にも購入補助を出すなど政策を実施しておりますが、EVの普及に当たり大事なのが、急速充電器の設置拡大でございます。
 EVの電池容量は日進月歩で向上する中、いわゆる急速充電器でなければ、もはや実用に耐えなくなってくることは明白であります。EV車両本体の普及、急速充電器の普及、そして再生可能エネルギーでの発電、この三点はどれかが一つ欠けても成功しないと考えます。
 そこでまず、現在の東京都内におけるEV車両の登録台数、急速充電器の設置台数、そして都内全電力における再生可能エネルギーの発電割合についてお伺いをいたします。

○三浦事業調整担当部長 令和二年度末時点の都内におけるEV車両の登録台数は一万七百四十四台、公共用急速充電器の設置基数は三百二十六基となっております。
 また、令和元年度の都内における再生可能エネルギー電力の利用割合は一七・三%となっております。

○北口委員 現在の都内のEV登録台数は約一万台ということで、全体の登録台数が三百九十三万台ですから、割合にして〇・二五%強、本格的な普及には至っておりません。
 二〇五〇年に都内を走行する自動車を全てZEV化し、ゼロエミッションを実現するには、今後飛躍的にEVの台数や再生可能エネルギーの電力の利用割合を伸ばしていくことが必要だと考えます。
 その鍵となるのが冒頭でも述べた急速充電器であり、これについてさらに質問をさせていただきます。
 都は、今回、補正予算案で、急速充電器導入支援について、支援規模を百三十五基から二百三十五基へと大幅に増やしております。高出力の急速充電器は、導入の際に施設の受変電能力を超えてしまう場合があり、その場合は施設側の設備を増強しなければならず、費用負担が数百万円にも上ると聞いております。
 このため都は、急速充電器導入に伴って受変電設備の増強が必要となる場合の費用について、原則全額補助する事業を今年度より開始しておりますが、これは急速充電器導入に当たってのハードルを下げる大変重要な事業であると考えております。
 そこで、本事業のこれまでの申請状況とその内訳についてお伺いをいたします。

○三浦事業調整担当部長 急速充電器導入に伴う受変電設備増強への補助事業につきましては、これまで四件の申請がなされており、その内訳を業種別に見ますと、自動車ディーラーから二件、商業施設、集合住宅からそれぞれ一件となっております。
 なお、補助申請とは別に、申請に向けた事前相談がこれまで七件あり、その内訳は、商業施設三件、集合住宅二件、事務所一件、公共施設一件となっております。

○北口委員 充電器の補助申請は年度末に集中すると聞いておりますが、既に三業種からの申請があり、今後も多様な業種からの申請が期待できるとのことであります。
 今後、各自動車メーカーからEVの発売予定があり、ディーラーに急速充電器の設置が進むことを見据えると、この補助のニーズがさらに高まると思われます。今後この事業をさらに拡充するとともに、多くの方々に活用いただけるよう積極的に周知していくことで、ディーラーに加え様々な業種に急速充電器の設置を進めることを要望して、次の質問に移ります。
 次に、東京ゼロエミ住宅導入促進事業について質問させていただきます。
 都は、住宅用地が狭小など、東京の地域特性を踏まえた都独自の東京ゼロエミ住宅基準を定め、こうした住宅を新築する建築主に対し費用の一定額を助成する東京ゼロエミ住宅促進事業を令和元年度から実施しております。
 本事業は今年度、戸当たりの助成額を変更し募集件数を増やすなど、適時見直しを図ってきましたが、予算枠を超過する申請により、抽せんに外れて補助を受けることができない都民が多数いることから、先日の事務事業質疑において我が党の加藤理事から、多くの都民の要望に応えられるように取組の継続を強く要望いたしました。それを踏まえて都は、支援対象戸数を拡充する補正予算を計上いたしました。
 そこでまず、補正予算計上の背景や考え方等について都の見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、令和二年度まで当選倍率が約二倍になるなど、非常に多くの都民の方に関心を持っていただいております。
 令和三年度におきましても、予算を増額するとともに、申請回数ごとの倍率の平準化を図るため、年間の募集回数を八回に増やすなどの工夫を行い、これまで五回の募集において当せん倍率は平均で一・七倍となってございます。
 都はこうした状況を踏まえるとともに、原油価格の高騰による都民の省エネ意識の高まりをさらに後押しし、東京ゼロエミ住宅の一層の導入促進を図るため、支援対象戸数を約四千六百戸から約七千二百戸に拡充いたしまして、予算総額を約十九億円増額させていただくものでございます。
 今後、補正予算案が可決された以降の申請回から予算枠を拡大し、可能な限り抽せんとならないよう実施してまいります。
 こうした取組により、東京ゼロエミ住宅を建てることを検討されている都民の皆さんの後押しをし、住宅の脱炭素化を加速してまいります。

○北口委員 我が党の強い要望を受け、抽せんにならないくらいの予算拡充を図っていただけたものと理解をし、その取組を評価したいと思います。
 昨今の原油価格高騰により電気代等も高くなっており、住宅の省エネ性能に関心を持っていただいている方が増えてくると思います。大手住宅メーカーに加え、多くの中小工務店にも、これから建てられる住宅を東京ゼロエミ住宅に誘導していくことが求められます。
 我が党は、先日の本会議代表質問でも質問させていただきましたが、改めて本事業を進めていく上で課題の認識を、そして、今後の方向性について見解を求めます。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、令和二年度までの申請実績から、中小工務店への普及が課題であると認識してございます。
 これまで、令和元年度の制度導入当初より、省エネ性能に関する計算を不要とし、カタログ等から一定の性能を有する建材や設備を選ぶことで省エネ住宅を建築できるよう、東京ゼロエミ住宅の基準を仕様で定め、普及を促してまいりました。
 また今年度は、中小工務店向けに事例等を紹介する動画の作成を進めてございまして、こうしたツールを活用しながら、東京ゼロエミ住宅のさらなる普及を促してまいります。

○北口委員 課題等を踏まえた対応について理解をいたしました。
 本事業は、これから家の購入を検討している多くの都民が関心を持っていると思われます。今回補正予算で枠を拡充していただきましたが、ぜひ来年度以降も多くの都民の要望に応えられるよう、またさらなる住宅の断熱、省エネ性能の向上につながるように、施策の構築継続を要望して、次の質問に移ります。
 次に、家庭における熱の有効利用促進事業についてお伺いをいたします。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて、都内のCO2排出量を削減していくためには、新築住宅だけではなく、既存住宅におけるエネルギー消費量の削減も重要でございます。
 日本の住宅は、気候の違いがありますけれども、欧米と比べると断熱性能が劣るといわれております。イギリスでは、十八度を下回る家には改善命令が出されるということもあるようです。日本では、冬場になれば、廊下やトイレなどは普通に十八度を下回ってしまいます。家全体が暖まらないということは、トイレやお風呂のたびに温度差によるヒートショックを受けるということになります。
 最近の研究では、冬場の家庭内の平均温度が、脳や血管、自律神経など様々な健康リスクに関連してくるとの報告もあります。先ほどもほかの委員からご説明ありましたけれども、ヒートショックが原因で亡くなる方、一説には年間一万人以上、一万九千人ともいわれております。交通事故で亡くなる方が、現在、年間四千人弱でございますので、この交通事故の二倍以上の数にも上ります。
 こうした現実を見ますと、既存住宅の断熱性能の向上は、単に省エネやCO2削減だけにとどまらず、都民の健康と安全にも資するものと考えます。
 都が先日公表した補正予算案では、この事業について補助率を引き上げるとされておりますが、その経緯と狙いについてお伺いをいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 都内CO2排出量の七割以上が建物由来であることや、排出量全体の約三割を家庭部門が占めることから、新築住宅はもとより、既存住宅についても、住宅自体の省エネ性能を高めていくことが重要でございます。
 このため、都はこれまで、省エネに加え、ヒートショックの予防や結露防止など、健康や生活の快適性にも資する住宅の高断熱な窓やドアへの改修支援を実施してまいりました。
 今般、原油価格が高騰する中で、光熱費の削減にもつながる既存住宅の断熱化をより一層進めていくため、補助率を六分の一から三分の一に、上限額を、高断熱窓については一戸当たり百万円に、高断熱ドアについては一戸当たり十六万円に引き上げる補正予算案を提出いたしました。
 今後、省エネ改修のさらなる促進に向けた方策を検討するなど、既存住宅の断熱化をより強力に後押ししてまいります。

○北口委員 今ご答弁にもありましたが、住宅の断熱化は、CO2削減と併せて、健康で快適な暮らしにもつながる大事な取組でございます。
 原油価格高騰の中で、各ご家庭での負担軽減にも配慮しながら、次年度以降も継続して、都民の健康と快適な暮らしのために、そして、脱炭素の取組を強力に推進していただくことを要望して、質問を終わります。

○原委員 第四回定例会補正予算案が、脱炭素化への取組として五十七億円の規模で出されました。そして、東京ゼロエミ住宅導入促進事業の補正予算が組まれました。
 私は、十一月の事務事業質疑でこの事業の予算拡充を求めましたが、補正で拡充がされたことは大変重要です。東京ゼロエミ住宅事業で補正予算を計上する意義について、まず伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、原油価格の高騰により、都民の省エネ意識の高まりをさらに後押しし、東京ゼロエミ住宅の一層の導入促進を図るため、支援対象件数を拡充する予算措置を行ってまいります
○原委員 ありがとうございます。続けて、今回の補正予算について、その考え方、内容をお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業につきましては、各回の申請が予算枠を超えるなど、非常に多くの都民の方に関心を持っていただいてございます。
 こうした都民の皆様を後押しするため、これまでの申請状況を踏まえ、支援対象戸数を約四千六百戸から約七千二百戸に拡充いたしまして、予算総額を約十九億円増額いたすものでございます。

○原委員 対象戸数を増やしたことは重要です。事業の規模を、戸建てで一・六倍、集合住宅で一・四倍の件数に増やすわけですよね。
 申請者数は、二〇一九年度は三千三百七十五件、二〇二〇年度は四千四百八十三件、今年度は半年分の申請が終わったところで三千二百二十八件と、年ごとに千件以上ずつ増えております。家を建てるなら断熱性能の高い省エネ住宅をという考え方が広く周知されている、そのような証明だと思います。
 今年度は、年度末まであと三回の募集ということですね。私は先日の事務事業質疑において、申請の二人に一人が落ちる仕組み、先ほどは一・七倍といわれましたけれども、そういう抽せんそのものをやめることを求めましたが、今回の補正予算により、東京ゼロエミ住宅への助成を希望した方が全て受けることができる、そういう見通しとなるのでしょうか、お伺いします。

○小川地球環境エネルギー部長 今後、補正予算案が可決されて以降の申請回から予算枠を拡大し、可能な限り抽せんとならないよう実施してまいります。

○原委員 ありがとうございます。ゼロエミッション東京戦略の中で新築住宅でのゼロエミ仕様の標準化をうたっている以上、申請者全てが支給されるようにしてほしいです。そして、来年度に向けては当然この流れで予算を組むべきです。要望をしておきます。
 地域の中小工務店の方から、東京ゼロエミ住宅基準を満たすための設計などが難しいといった声を伺ったことがあります。こうした工務店への支援などはどのようにされていますか。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業ではこれまで、令和元年度の制度導入当初より、省エネ性能に関する計算を不要として、カタログ等から一定の性能を有する建材、それから設備を選ぶことで省エネ住宅を建築できるよう、東京ゼロエミ住宅の基準を仕様で定めて普及してきているところでございます。
 また、今年度は、中小工務店向けに事例等を紹介する動画の作成を進めております。こうしたツールを活用しながら、東京ゼロエミ住宅のさらなる普及を促してまいります。

○原委員 使いやすく、建築主に紹介しやすい制度にしてほしいと思います。
 また、申請について書類が難しく、手続が煩雑であるとの声を伺ったことがあります。こうした声に対する対策はいかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 都はこれまでも、助成金の申請に当たりましては、申請者に申請方法や提出書類を分かりやすくお伝えするため、申請等に係るQ&A、それから助成金申請の手引等を作成し、ホームページ等で公表するとともに、申請者等からの意見を踏まえまして、手引等の改善も行ってきたところでございます。
 また、令和三年度より電子申請での受付を開始するなど、利便性の向上に資する取組を行っているところでございます。
 こうした取組により、助成金の適切な交付に努めてまいります。

○原委員 工務店さんの声もよく聞き、さらに申請しやすい方法を探ってほしいと思います。
 都内では、年間四万件の新築が建てられていると聞いております。東京ゼロエミ住宅の補助金申請を考えると、その約一〇%強に当たると思います。まだまだ少ないです。家は一回建てれば三十年、四十年と住むわけですから、まさにゼロエミッション社会に向けて、もっと標準化の努力が求められると思います。
 現場の方にお話をお聞きしましたが、今もウッドショックの影響が続いていて、資材が入手しにくく、価格高騰で大変苦労をされております。来年度予算に向けての要望となりますが、補助金額について、差額のみならず、全体の資材価格上昇の面も加味して、補助金の金額増額も検討していただくことを改めて要望しておきます。
 次に、家庭における熱の有効利用促進事業についてです。
 この事業でも補正予算が組まれました。昨年七月よりスタートしたこの事業の内容と効果について改めて伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 この事業は、既存住宅を対象に高断熱な窓、それからドアに改修する際の支援を行うことで、住宅自体の省エネ性能の向上を図るとともに、住宅内の温度変化が少なくなることから、ヒートショックの予防や結露の防止など、健康や暮らしの快適性向上にも資するものでございます。

○原委員 この点について、これまでのほかの委員さんも質問をされていて、なるほどというふうに思いました。テレワークが増えたことで、自宅での暮らし方について考える方も増えてきたんではないかと思います。
 結露のない生活、快適、また電気代の削減につながる省エネ、そして、ヒートショックの対策をできる健康な生活への改善の後押しは大変いいことだと思います。
 今回の補正予算で補助率を上げたことは、どのような考え方に基づくものなんでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 補正予算案では、今般の原油価格高騰による都民の省エネへの関心の高まりを踏まえまして、既存住宅への省エネ改修をさらに後押ししていくため、補助率を六分の一から三分の一、それから上限額を、高断熱窓につきましては一戸当たり百万円、高断熱ドアについては一戸当たり十六万円に引き上げるものでございます。

○原委員 国の補助金制度もあるので、それを併用すれば、補助額が二分の一から三分の二に上がるということです。かなり費用の負担感が軽くなると思います。この機会に改修しようという方も増えるのではないでしょうか。光熱費の削減にもつながる重要な取組だと思います。
 今後どのように周知をしていくのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都はこれまでも、業界団体やメーカー等を通じて事業者に情報提供を行いますとともに、「広報東京都」への掲載、チラシやリーフレットの配布、区市町村等とも連携した広報等を実施してまいりました。
 あわせて、インターネット広告やSNSを活用したPRも行っており、今後もこうした取組によりましてさらに周知し、事業を推進してまいります。

○原委員 ありがとうございます。知らなかった、申請をし損ねたということのないように、また、利用しやすい事業への努力を引き続きお願いしたいと思います。
 次に、今年度実施を始めた中小規模事業所の高効率な換気設備と空調設備の導入支援について、この意義と内容を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 コロナ禍を踏まえて、事業所等におきましては、感染症対策としてより多くの換気が求められており、空調に必要なエネルギー消費量の増加が見込まれております。
 一方、気候変動への対応を進めていくためには、中小企業を含む全ての事業者が省エネ対策の徹底によりCO2排出量を抑えていくことが必要でございます。
 本事業は、換気によって見込まれるエネルギー消費量とCO2排出量の増加を抑制するために、中小企業が都内に設置する中小規模事業所に省エネ性能の高い換気設備、それから空調設備を導入する際の経費を一部助成するものでございます。

○原委員 ありがとうございます。確かに今、飲食店など店舗や事業所は密にならないことを求められ、換気など感染対策が必須で、本当に大変な状況だと思います。
 換気設備や空調の交換を考える事業所に対して、より省エネ性能の高いものを、初期負担を少なく導入できるよう支援することは、ぜひ進めていただきたいです。今回の補正の中身を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 今回の補正予算案では、原油価格高騰を踏まえて、中小企業の省エネに向けた取組を加速するため、補助率について、これまでの二分の一から三分の二への引上げを行ってまいります。
 これによりまして当初の負担額を軽減し、中小企業が省エネに向けた設備投資に取り組みやすくしてまいります。

○原委員 ありがとうございます。これも補助率の引上げということで、初期負担を少なくできるようにということです。
 本事業を多くの事業所に知ってもらうための周知の取組について伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業につきましては、これまでに引き続きまして、日頃から中小企業と多くの接点を有する地域金融機関、それから商工団体等を通じた周知を徹底してまいります。

○原委員 ありがとうございます。飲食店の経営は、業態転換なども含め、今、様々な経営努力の相談に乗ることが求められております。それと併せて、経営の見通しが持てるように援助していくこと、そして、こうした機会に行う設備改修などで補助を使えることをしっかりと伝え、事業者としても省エネ、脱炭素社会への貢献となることを理解していただけるようなお知らせの仕方、局としての努力をぜひお願いいたします。
 ますますカーボンハーフへの取組を加速していくことを求めまして、私の質問を終わります。

○須山委員 よろしくお願いします。私から、ほかの委員の皆さんも大分ご質問されたので、端的に一問質問させていただきたいと思います。
 家庭における熱の有効利用促進事業に関してお聞かせください。
 この件はもう、ほかの委員の皆さん、大分質問されているので、引上げの補正ということで、その理由もよく分かってまいりました。原油価格が高騰していく中で、やはり再エネとか省エネの意識を高めていく、そのための引上げだというふうに認識をしております。
 この事業に関しては、脱炭素化にも、また光熱費削減にもつながる事業として、非常に重要な事業だと考えております。
 しかし、この事業期間中で補助率の引上げということで、今年度末まで事業期間が続くことも鑑みると、適切な情報を分かりやすく伝えていく必要があると考えます。
 そこで、都はどのように周知の徹底を図っていくのか、その方法を教えていただきたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 これまでこの事業につきましては、「広報東京都」への掲載や区市町村等とも連携した広報のほか、リーフレット、インターネット広告、SNS等の媒体も活用し情報提供を行ってまいりました。
 今回の補助率引上げにつきましても、広く周知を図るため、この事業に関心をお持ちの方に対して、補正予算案の審議状況に応じた情報を随時お伝えすることとしており、都やクール・ネット東京のホームページにおいて情報提供を始めているところでございます。
 あわせて、業界団体やメーカーを通じて事業者等への情報提供を行うなど、さらに周知を進めてまいります。

○須山委員 ありがとうございます。事業期間中で、また年度途中ということで、既に補助を受けた方もいらっしゃると思います。そうした方は、何だ、ちょっと待ってりゃよかったなと思う方も出てくるかなというふうにはちょっと心配もしてしまいました。
 しかし一方で、やはりこの原油価格の高騰の折、省エネ意識をしっかりと向上させていく、そのためにも本当に重要な事業だと考えております。だからこそ、しっかりとした、そして丁寧な周知が必要だと考えております。
 この件に関しては、補正予算の案の発表後間もなく、環境局やクール・ネット東京のホームページにも、もう既にお知らせが載っておりました。迅速な対応に関して非常に評価をさせていただきたいと思っております。
 この取組は、先ほどから申し上げているとおり、本当に都民の省エネ意識の向上、また、住環境の改善等、非常にメリットが大きいと考えております。だからこそ、しっかりと丁寧に説明をしていっていただきたいと思いますので、そこを強く要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

○漢人委員 それでは、補正予算と環境確保条例の一部改正について質問します。
 まず、原油価格高騰を脱炭素化の契機と捉えての省エネ、再エネ予算の提案というのは、これはとても理にかなった適切な提案だと思います。
 充電設備導入促進事業について伺います。
 急速充電設備を百三十五基から二百三十五基へと百基増やす提案です。電気自動車の導入を促進するためには必須の急速充電設備をほぼ倍増する提案は評価し、新年度予算でのさらに積極的な増設を求めます。
 ただ、都は、日本における電気自動車の普及、販売が進まない要因は、ガソリン車と比べて購入価格が高く、また充電、充填インフラの整備も十分ではないこととしていますが、本当にそうなんだろうかということをここで確認しておきたいと思います。
 そこで、まず質問ですが、自動車産業が柱であるドイツと日本で、それぞれの公共用充電器及びそのうちの急速充電器の規模、また電気自動車購入の補助額、乗用車新車販売台数及び乗用車新車販売に占める電気自動車の割合についてお伺いします。お願いします。

○三浦事業調整担当部長 公共用充電器につきまして、ドイツでは、日本貿易振興機構、ジェトロの発表資料によれば、二〇二一年五月時点で四万二千九百九十三か所に、うち急速充電器は六千九十九か所に設置されており、日本では、公式に発表された数値はないと認識しております。
 電気自動車の購入補助額につきましては、ドイツでは、先ほどのジェトロの資料によりますと、最大九千ユーロとなっており、日本では最大四十二万円となっております。
 乗用車につきまして、二〇二〇年にドイツでは、先ほどのジェトロの資料によりますと、約二百九十二万台が新規登録されており、日本では約三百八十一万台が新車販売されております。
 乗用車の新車販売に占める電気自動車の割合につきましては、ドイツでは六・七%となっており、日本では〇・四%となっております。

○漢人委員 ありがとうございます。最後のご答弁から確認しますが、ドイツと日本の乗用車の新車販売に占める電気自動車の割合は六・七%と〇・四%、つまり十六倍もの差があるということです。
 この原因は、都の見解である、電気自動車はガソリン車と比べて購入価格が高く、また充電、充填インフラの整備も十分ではないことなのでしょうか。今のご答弁から確認したいと思います。
 ドイツの急速充電器の設置数は約六千基とのことでした。日本の設置数は公式発表はないとのことですが、これはちょっと驚きです。電気自動車普及拡大には欠かせない、今必須の公共充電器や急速充電器のデータが日本には正式なものがないんですか。
 それも信じられませんが、少なくとも東京都としては、全国的な充電器の状況を把握していない。その中でこれらの政策が提案されているということになります。これは大変本当に驚きました。現状認識ができないということ自体が大きな問題だといわざるを得ません。
 しかし、ちょっと軽く検索したところ、東京消防庁が出している資料がありました。全出力五十キロワットを超える急速充電設備の火災予防対策に関する調査報告書というものです。そこでは、CHAdeMO協議会という民間機関のデータを用いておりまして、そのCHAdeMO協議会によりますと、二〇二〇年五月時点での国内の急速充電器の設置数は七千七百基とのことです。
 日本の七千七百基に対して、ドイツは六千基です。人口や面積、いろいろ比較はできるんですけれども、換算できるんですが、先ほどご答弁いただきました新車販売台数で比較をしたいと思います。というか、ならして考えたいと思うんですが、日本は三百八十一万台に対してドイツは二百九十二万台ですから、日本に対してドイツは七七%です。
 つまり、新車販売台数で換算すると、日本の急速充電器七千七百基は、ドイツなら五千九百二十九基ということになります。ドイツは六千基ですから、これはほぼ同じ設置数ということになるわけです。
 次は、購入補助額についてです。
 ドイツは九千ユーロとのことでした。つまりこれ、約百十六万円です。東京なら、先ほどご答弁にあった国の四十二万円に、都の最大で六十万円という補助がつきますから百二万円です。つまり、百十六万円と百二万円、購入補助額もほぼ同じということになります。また、国の補助額は補正予算の成立で、今、最大八十万円になりましたから、ドイツを上回る額になるわけです。
 つまり、日本とドイツの電気自動車導入率に十六倍もの差がある、違いがあることの要因は、ガソリン車と比べて購入価格が高く、また充電、充填インフラの整備も十分ではないことではないということになりませんか。都のこれまでの見解は間違っているのではないでしょうか。
 ドイツと日本の大きな違いは、ではどこにあるかといえば、ガソリン車に対する規制です。EUでは、二〇三五年にはハイブリッド車も含むガソリン車の新車販売が禁止となります。しかし、日本では、二〇三五年以降もハイブリッド車を容認していますから、消費者も、それ以上にメーカーも、電気自動車への移行を急ぐ必要がないのではないかということになるわけです。これは次の、条例への質問につながります。
 急速充電器に戻りますと、現状については、日本とドイツは同じレベルということになりました。大きな違いがあるのは、やはり今後の方針です。この急速充電器についても、大きな違いがあるのは今後の方針です。
 ドイツでは、ご答弁いただいた五月時点での四万二千九百九十三基だった公共充電施設、これを今年末までに、もう十二月、今月中ですが、約七万二千か所とする目標を掲げて取り組まれています。そして、二〇三〇年までの設置目標が、日本は十五万基なのに対してドイツは百万基です。これは当然、東京都の取組だけでは追いつかないレベルです。当然、国の方針が問われるというふうに思います。
 では、次の質問に移ります。
 今回の環境確保条例改正の目的は、大気環境のさらなる改善と温室効果ガス排出量削減であり、改正理由として、二〇三〇年までに乗用車新車販売に占める非ガソリン車の割合を一〇〇%とする目標を掲げており、非ガソリン車の普及拡大が不可欠であるとしています。
 条例第三十五条及び施行規則第十七条において、非ガソリン車の導入義務率を追加新設するものであり、非ガソリン車とは、ゼロエミッションビークル−−燃料電池車、電気自動車、プラグインハイブリッド車、これにハイブリッド車を加えたものです。
 しかし、ハイブリッド車はその七割はガソリンを使用するため、CO2排出削減効果は過渡的なものであり、新車販売台数及び保有台数の増加を積極的に促すべきではありません。ゼロエミッションビークル、特に電気自動車の導入拡大に集中するべきです。
 二〇三〇年必須なのは、ゼロエミッションビークル五〇%であって、非ガソリン車一〇〇%でごまかすべきではありません。むしろ、非ガソリン車一〇〇%は、ゼロエミッションビークル五〇%の阻害要因となるのではないでしょうか。
 二〇一六年環境基本計画では、二〇二〇年新車販売二〇%のゼロエミッションビークル化目標でしたが、結果は二・三%です。このままでは二〇三〇年五〇%目標の達成は相当に困難です。
 都は、ゼロエミッションビークル拡大失敗の要因は、先ほどから繰り返していますが、ガソリン車と比べて購入価格が高いこと、充填、充電インフラ整備が不十分なこととしていますが、そうではないということを先ほど述べました。
 自動車メーカーの二〇三〇年新車販売に占めるゼロエミッションビークル比率も、僅か一〇から二〇%の想定となっています。これは、東京都の二〇三〇年五〇%目標が実現できないことは明らかですね。メーカーがそもそも造らないといっているんですから。売らないといっているんですから。
 ところが、一方で自動車メーカーは、EUや中国やアメリカなどでの新車販売台数の電気自動車の比率を四〇%以上としています。求める国ではたくさん売ろうとしているんです。
 繰り返しますが、日本とEUなどとの違いは、ガソリン車に対する規制の強さです。二〇三五年にはハイブリッド車も含むガソリン車の新車販売を禁止するEUやアメリカでは、メーカーも電気自動車の導入を進めるのに対して、二〇三〇年以降もハイブリッド車を容認している日本では、メーカーはゼロエミッションビークルへの移行を急ぐ必要がないわけです。
 そこでお伺いします。二〇五〇カーボンゼロ、二〇三〇カーボンハーフ実現のためには、ガソリン車規制の前倒し強化が必要不可欠です。都の、ハイブリッド車を非ガソリン車として奨励する方針を改めるべきではないでしょうか。いかがですか。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車導入義務制度は、自動車を多く使用する事業者に、環境性能の高い車両の導入を促進することを目的としております。ハイブリッド車を含む非ガソリン車は、ガソリン車等に比べて環境性能が高いため、今回の見直しにおきまして、乗用車における非ガソリン車の導入義務を新設したものでございます。
 さらに、ZEVの導入を促進するために、非ガソリン車の導入率の算定に当たって、ZEV一台を二台に換算することといたしております。

○漢人委員 ご答弁は、本条例改正の範囲、これまでご説明いただいたことの範囲のことです。環境改善部長がこの条例の中でご答弁いただけるのは、この範囲ということなのだと受け止めざるを得ないかと思います。
 しかし、都の、ハイブリッド車を非ガソリン車として奨励する方針そのものへの言及がいただけなかったのは残念ですが、この条例の範囲を超えるものと思いますので、ここは指摘をして、次の質問を伺います。
 政府に対して再生可能エネルギーの拡大を要請したように、東京都はハイブリッド車を含むガソリン車の規制の前倒しを要請するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車導入義務制度は、事業者に対し環境性能の高い車両の導入を促すものでございます。
 こうした取組により、ZEVを含む非ガソリン車など環境性能の高い車両の需要が喚起され、メーカーの開発、製造や、社会全体への普及拡大につながると考えております。

○漢人委員 こちらの答弁も、私が求めた、政府に対しての要請をするべきということにはお答えいただけませんでした。これもこの条例の答弁の範囲ということになるのでしょうか。
 繰り返しになりますけれども、ハイブリッド車は、過渡的には、純粋なガソリン車よりは、よりましな選択ではあります。しかし、二〇三〇年以降も容認するべきではありません。
 気候の危機的な状況を受けて、各国、各自動車メーカーの動向は刻々と変化しています。ご担当の皆さんには、それらの状況を的確に、そして先取りして把握をし、政策提案を進めていただくことを求めて、質問を終わります。
 以上です。

○田村委員 私からは、環境確保条例の改正を行う低公害、低燃費車の導入義務制度の見直しについて伺います。
 コロナ禍で厳しい状況にあっても、中長期的な観点から、ゼロエミッション東京の実現に向けて環境性能の高い車両の普及を進めていくことは重要です。その取組の一つである低公害、低燃費車導入義務制度については、第三回定例会の当委員会において、現行一五%の導入義務率を二〇%から三〇%程度に引き上げる方向で検討しているとの報告があり、今回、上限値三〇%にするという最終案が示されました。
 そこで、今回どのような経緯や考え方で義務率を三〇%としたのか伺います。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車導入義務制度の見直しに当たりましては、自動車業界の動向や事業者を取り巻く環境を踏まえることが重要であることから、有識者による検討会を設置し、専門家の意見を聞きながら検討を行ってまいりました。
 新たな導入義務率の検討に当たっては、約百八十社の義務対象事業者おのおのについて、これまでの導入実績等を踏まえ、次の義務達成期限である二〇二六年度末における事業者ごとの導入見込みを推計いたしました。
 その結果、導入率が三〇%に満たない事業者が約二割ありましたが、より一層の努力によって全ての事業者が達成可能な義務率の水準として三〇%を設定したものでございます。

○田村委員 義務率を三〇%に設定した経緯、考え方は理解しました。今回の義務率見直しは、民間企業の経営に直結するものである以上、設定すればいいというものではなく、都内経済の実態を踏まえ、できる限り達成可能な水準にすることで、東京の環境対策を前に進めていくことが重要です。その意味で、今回の義務率三〇%の設定は適切なものであると考えます。
 そして、さきの第三回定例会の本委員会において、我が党のこいそ議員が指摘したとおり、低公害、低燃費車の導入義務率見直しは必要ではありますが、コロナ禍が長引く中、各企業大変厳しい経営環境にあるのも事実であり、そうした事業者の声にもしっかりと耳を傾けていただきたいと要望させていただきました。
 そこで、今回の制度見直しに当たっては、都民や事業者の意見を聞くために、パブリックコメントや業界団体からヒアリングを実施したとのことですが、導入義務率の見直しについて、どのような意見があったか伺います。

○筧環境改善部長 今回の導入義務制度の見直しに当たりましては、本年九月二十八日から十月二十七日にかけてパブリックコメントを実施し、合計十四通、二十七件のご意見をいただきました。
 意見の内容は様々でありましたが、現行の義務率を引き上げることについてはおおむね全ての意見で賛同いただき、義務率の水準に言及した意見の中では三〇%が適当とするものが最も多くございました。
 また、同時期にタクシーやトラック、バス等の業界団体に対するヒアリングを実施し、そこでは、導入率を見直すことは同意するが、財政的、技術的な支援をお願いしたいという意見が多くございました。

○田村委員 事業者等の意見も踏まえて義務率を設定したことを理解しました。今回の環境確保条例の改正や導入義務の見直しは妥当な内容だと考えます。
 ただ、業種によって使用する車両も異なることもあり、低公害、低燃費車導入のハードルは事業者によって異なります。
 また、この低公害、低燃費車の導入義務制度は、事業者の理解と協力があってのものです。達成が困難な事業者に対しては、適宜適切にその事業者に見合った助言をするとともに、手厚い支援を継続していくことを要望します。
 次に、今回、補正予算案として計上されたユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーの導入支援について伺います。
 コロナ禍に加え、最近の原油高により、タクシー業界が置かれている状況は大変厳しいものとなっています。そうした中でもタクシー事業者には、車両更新のタイミングで積極的に環境性能の高いUDタクシーを導入してもらうことがゼロエミッション東京の実現にも大きく貢献することと考えます。
 UDタクシー補助は、我が党の要望により始まりましたが、最近はかなり普及が進み、都民の足として親しまれています。残念ながら、補助制度は今年度末で終了が予定されていますが、せっかくここまで普及が進んだことから、これからも継続し、さらに拡充させていく必要があると考えます。
 そこでまず、このUDタクシー補助制度について、これまでの経緯と現在の導入状況について伺います。

○筧環境改善部長 都は、人に優しく環境性能の高いユニバーサルデザインタクシーの普及を促進するため、東京二〇二〇大会までに一万台の導入を目標に、平成二十八年度に補助制度を開始いたしました。
 また、導入が順調に進み、令和元年度に前倒しして目標を達成したため、令和二年度に六千台分を上乗せして補助を継続してまいりました。
 その結果、本年十月末現在のユニバーサルデザインタクシーへの補助実績は約一万三千台となっており、都内法人タクシーの約四割を占めるに至っております。

○田村委員 UDタクシーは、東京の顔としてすっかり定着しており、東京二〇二〇大会のレガシーの一つとして挙げられています。
 しかし、タクシー業界は今、コロナ禍や原油高などにより、経営的にも大変厳しい状況に置かれ、計画していた車両更新も進んでいない事業者が多いと聞いています。今後、経済活動が回復する中で、UDタクシーの導入がさらに進むことを期待したいと思います。
 そこで、今回の補正予算では、タクシー事業者、とりわけ中小規模の事業者に対して手厚い支援を行うと聞いていますが、その補助の内容や規模について伺います。

○筧環境改善部長 ゼロエミッション東京の実現に向けてCO2排出量のさらなる削減が求められる中、走行距離の長いタクシー車両について、環境性能の高いユニバーサルデザインタクシーの導入を促進することは重要でございます。
 今回の補正予算案では、コロナ禍や原油価格の高騰などで厳しい経営環境にあるタクシー事業者の現状を踏まえ、中小規模事業者に対しては、都単独補助の場合、補助額を現行の六十万円から百万円に引き上げました。これにより、同種車両との価格差がなくなり、ユニバーサルデザインタクシーの導入が進むことを期待しております。
 補正予算の規模につきましては、四百九十五台分の補助額上乗せを見込み、一億九千八百万円を計上しております。

○田村委員 タクシー業界の多くは中小規模の事業者であり、厳しい経営環境の中、UDタクシーの導入をやむなく先送りしている事業者も多いのではないかと思います。
 そして、現在も原油価格の高騰が続いている中、UDタクシーの導入を進めていくには、今後もUDタクシーの補助を継続、拡大していくべきであると考えます。そうすることで、現在の厳しい状況を、タクシー車両のハイブリッド化を促進するチャンスに変えることができるのではないでしょうか。
 都内の各事業者の実態を直視し、実態に即した実現可能で効率的な施策を展開していくことで、脱炭素社会に向けた取組を推進していただくことを要望して、私の質問を終わります。

○里吉委員 私からも、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例、特定低公害、低燃費車の導入義務制度について伺います。
 二〇三〇年までにCO2排出を五〇%削減するという目標に照らして、運輸部門からどう取り組んでいくのかという点で、今回の条例改正、そして目標数値の改正は大きな意義を持っていると考えます。
 低公害、低燃費車の義務制度の対象となる、都内で二百台以上の自動車を使用する事業者が使用する自動車の台数は全体で何台か、また、都内全体の自動車に占める割合はどれくらいか。そしてCO2排出量について、都内全体の自動車からの排出量に占める割合はどれくらいか併せて伺います。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車の義務対象事業者が使用する車両台数は、令和二年度末時点で約十二万六千台であり、都内の自動車保有台数の約三%に当たります。
 また、事業者の使用する車両は、一般に使用頻度が高く、走行距離が長いため、一台当たりのCO2排出量が多くなっており、それらの自動車からのCO2排出量は、都内全体の自動車からの排出量の約一割を占めていると推計しております。

○里吉委員 台数でいっても都内の三%ということですが、さらに走行距離が長いために、CO2排出量で見ると約一割に当たるということでした。ここの低燃費化をするということは大きな影響があるというふうに思います。この事業者が、さらに特定低公害、低燃費車の割合を増やす意義は大きいと考えます。
 前回の改定のときには、特定低公害、低燃費車の基準の改定も行いましたが、どのような改定だったのか。そして今回、割合は変えますけれども、基準の改定は行いません。その理由について改めて伺います。

○筧環境改善部長 平成二十八年度に行った前回の見直しでは、例えば乗用車につきましては、燃費性能を従前の平成二十七年度燃費基準達成から平成三十二年度燃費基準二〇%向上以上達成に変更いたしました。これは、市販車の燃費改善が進んだことで、多くが旧基準に合致する状況に至ったことなどから見直しを行ったものでございます。
 また、排出ガス性能につきましては、平成三十年度に、最新の規制に合わせて平成三十年度基準排出ガス七五%以上低減を追加するなど、適切な見直しを行ってまいりました。
 今回の見直しでは、現在の特定低公害、低燃費車の燃費、排ガス基準はともに現時点で十分に環境性能の高い水準にあることから、引き続きその基準を維持することといたしました。

○里吉委員 排出ガス性能についての基準は、今回の五年ごとの見直しだけでなく、国の規制が変われば、その都度見直しているということが分かりました。既に三年前、二〇一八年に見直しが行われているということが確認できました。
 自動車メーカーが特定低公害、低燃費車の基準、特に低公害の基準を満足する車両ラインナップを自ら増加させるために必要なことは何か。メーカーが技術革新や価格低減に取り組むようにするにはどうすればいいかということが大きな課題だと思います。この点についての都の見解を伺います。

○筧環境改善部長 現在の特定低公害、低燃費車の基準を満たす市販車は、特に環境性能の高い自動車でございます。
 低公害、低燃費車導入義務制度によって、義務対象事業者が特定低公害、低燃費車の導入を積極的に進めることにより、需要が喚起され、メーカーによる環境性能の高い自動車の開発、製造につながるものと考えております。

○里吉委員 現在、既に販売されている、特定低公害、低燃費車の基準を満たす市販車はたくさんあるということで、これを買って使用してもらうために、導入義務制度によって多くの事業者に購入してもらうということが大事だというお話だったと思います。
 前回の議論の際にも、目標達成のためには様々な支援が重要だと、今後の検討についても私も伺いましたけれども、その際も、中小事業者に対して、低公害、低燃費車の買換え時の融資あっせんをはじめ、ハイブリッドトラック、バス、またUDタクシーの導入補助、電気自動車などZEVの導入補助を大幅に増額するなど、経済的支援を行っているという答弁がございました。
 今回は補正予算で、中小企業で、かつ使用台数二百台未満の事業者、つまり今回の義務制度の対象ではないところですけれども、そこに対して次世代タクシー導入や、低公害、低燃費ハイブリッドトラック、バスの導入支援の補助が引き上がったことは重要です。
 引き続き、義務対象事業者はもちろんですけれども、それ以外も含めた支援の拡充を強く要望しておきます。
 さて、二〇二二年三月末までに、特定低公害、低燃費車を一五%導入することが目標ですが、ほぼ全ての義務対象事業者が達成できる見込みと伺いました。
 一方で、既に導入率が今回の目標として示される三〇%を超えている事業者も多いと聞いております。現在、導入率三〇%を超えている事業者はどれくらいあるのか改めて確認いたします。

○筧環境改善部長 令和二年度末現在、特定低公害、低燃費車を三〇%以上導入している義務対象事業者は、全百八十社中八十社でございます。

○里吉委員 百八十社中八十社、四割を超える事業者が既に三〇%を達成しているということです。
 特定低公害、低燃費車の導入義務率見直しに当たっては、対象車両の導入が一番困難なところを引き上げることに注目して、義務率を設定していると伺っています。
 しかし、その一方で、既に達成している義務対象事業者に、さらに高い水準を求めるような考えはないんでしょうか。目標を達成している八十社にも何か目標となるような数値を示し、さらに割合を高めてもらうことが必要ではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車導入義務制度は、全ての対象事業者に課せられるものであり、達成しなければならない最低限の基準でございます。
 既に義務率を達成した事業者につきましては、さらに導入が進むよう、自動車環境管理計画書制度によって事業者の実情に合わせた取組を行っております。
 また、都では、毎年度提出される実績報告により、各事業者の導入状況を把握した上で、きめ細かな指導助言を行っております。

○里吉委員 新たな義務率を示すことはないけれども、毎年、自動車管理計画書制度で実績を報告してもらうというお答えでした。
 同業者、例えば同じ医薬品メーカーとか、引っ越し業者とか、そういうところで、他社はどれくらい低公害、低燃費車を導入しているかを提示することも含め、各事業者への指導助言も行っているというお話も伺いました。ぜひ、既に義務率を達成している事業者に対しても、さらに導入率を引き上げるための指導をお願いしたいと思います。
 そして、私たち消費者側も、例えば引っ越し業者や宅配業者を選ぶときに、利用するときに、より環境に優しい車を多く使っている業者が選択できるように、身近な分野では、こうした情報がもっと広く公開されることも必要ではないかと思います。
 また、そもそも車の台数を減らし、公共交通を使うとか自転車に切り替えるなどという努力もこれから必要になってくると思います。
 今回、自動車における非ガソリン車の導入義務を設置するための規定を追加する条例改正ですので、そのことについて一言申し上げます。
 非ガソリン車にはハイブリッド車も含まれていることについて、前回も今回も議論がありました。非ガソリン車の中でも、燃料電池自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車は一台を二台に換算するということに決めるということで、ハイブリッド車との差を出しているということだと思いますけれども、今後、制度更新のときには、自動車における、乗用車における非ガソリン車については、ハイブリッド車を除く方向が望ましいということを強く要望して、私の質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時一分散会

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