環境・建設委員会速記録第十五号

令和三年十一月二十五日(木曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長須山たかし君
副委員長里吉 ゆみ君
理事田村 利光君
理事関野たかなり君
理事加藤 雅之君
北口つよし君
漢人あきこ君
鈴木  純君
西山  賢君
星  大輔君
原  純子君
たきぐち学君
伊藤 ゆう君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長宮澤 浩司君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務上田 貴之君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
環境改善部長筧   直君
自然環境部長和田 慎一君
資源循環推進部長上林山 隆君
建設局局長中島 高志君
次長須藤  栄君
道路監奥山 宏二君
総務部長小林 忠雄君
用地部長山本  明君
道路建設部長花井 徹夫君
公園緑地部長植村 敦子君
道路計画担当部長原島 孝至君
公園計画担当部長根来 千秋君

本日の会議に付した事件
環境局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案について
建設局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・志茂立体(仮称)(三)擁壁築造工事請負契約
請願陳情の審査
(1)三第一二号 東京湾の自然環境再生への取組に関する請願
(2)三第四五号 都市計画道路補助第一二八号線街路拡張工事に反対することに関する陳情
(3)三第四六号 大島小松川公園におけるスケートボードの利用方針に関する陳情
(4)三第六〇号 練馬城址公園整備計画の見直しに関する陳情
(5)三第六四号 西武新宿線(井荻駅から西武柳沢駅間)連続立体交差事業構造形式の再検討に関する陳情
(6)三第六六号 沿線住民の合意と協力で進める井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業に関する陳情
(7)三第七一号 富士見橋の建設工事に関する陳情
(8)三第七三号 住民追い出し・まち壊しの特定整備路線の中止を求めることに関する陳情
(9)三第七五号 葛西臨海水族園(仮称)整備等事業及び現施設の利活用・環境保全整備に関する陳情

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る十一月二十四日付をもって、こいそ明議員が当委員会から公営企業委員会に変更になり、新たに、西山賢議員が公営企業委員会から当委員会に所属変更になった旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員をご紹介いたします。
 西山賢委員です。

○西山委員 西山です。どうぞよろしくお願いします。

○曽根委員長 紹介は終わりました。
 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思います。ご了承願います。

○曽根委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局及び建設局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、環境局関係の報告事項の聴取並びに建設局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、本日は、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑を終了まで行い、提出予定案件につきましては、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○栗岡環境局長 令和三年第四回定例会に提出を予定しております環境局関係の案件は、条例案二件でございます。
 このうち、環境・建設委員会に付託される予定の案件は、条例案一件でございます。
 それでは、付託予定案件の概要につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和三年第四回都議会定例会提出予定案件の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。第1、条例案の概要につきましてご説明申し上げます。
 1、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例についてでございます。
 大気環境のさらなる改善及び温室効果ガス排出量の削減に向け、自動車に起因する環境への負荷低減の観点から、環境性能の高い自動車の普及を加速するため、低公害、低燃費車の導入義務に係る規定を改めるものでございます。
 以上、付託予定案件の概要につきまして説明申し上げました。
 詳細につきましては、引き続き総務部長から説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○宮澤総務部長 それでは、令和三年第四回定例会提出予定案件の詳細につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料2をご覧ください。都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例についてでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをご覧ください。
 一、改正理由でございますが、大気環境のさらなる改善及び温室効果ガス排出量の削減に向け、自動車に起因する環境への負荷低減の観点から、環境性能の高い自動車の普及を加速するため、低公害、低燃費車の導入義務に係る規定を改める必要があるためでございます。
 二、改正の内容でございますが、新たに特定低公害、低燃費車のうち、知事が別に定める乗用車について、事業の用に供する乗用車の車両数の一定割合以上の導入を義務づけるものでございます。
 三、施行日でございますが、令和四年四月一日としております。
 二ページから三ページは本条例、四ページは新旧対照表でございます。
 以上でご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。--なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○曽根委員長 次に、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。

○宮澤総務部長 今定例会に提出を予定しております案件のうち、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料3をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、一ページをご覧ください。
 一、改正理由でございますが、排水基準を定める省令等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行による排水基準を定める省令等の一部を改正する省令の改正に伴い、東京都における公共用水域に排出する汚水の規制基準に係る暫定基準を改める必要があるためでございます。
 二、改正案の内容でございますが、ア、附則第二項に定める亜鉛含有量の暫定基準の適用期限につきまして、平成三十三年十二月十日から令和六年十二月十日に改めるものでございます。
 イ、附則別表に定める亜鉛の暫定基準につきまして、(ア)に記載の金属鉱業及び下水道業の暫定基準を廃止して、一律基準を適用するものでございます。
 (イ)に記載の電気メッキ業の暫定基準につきましては、基準値を五から四に強化するものでございます。
 恐れ入ります、二ページをご覧ください。
 施行日でございますが、令和三年十二月十一日としております。
 三ページから四ページは本条例案、五ページから六ページは新旧対照表でございます。
 以上、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例案につきましてご報告申し上げました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○曽根委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○曽根委員長 これより建設局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○中島建設局長 第四回定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の環境・建設委員会資料(建設局所管分)をご覧いただきたいと存じます。
 今定例会でご審議いただきますのは、契約案となりますが、志茂立体(仮称)(三)擁壁築造工事一件でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
 詳細につきましては、総務部長よりご説明いたします。

○小林総務部長 令和三年第四回定例会提出予定案件の内容につきましてご説明申し上げます。
 資料1をご覧ください。契約案につきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。今回提出を予定しております契約案一件の件名は、志茂立体(仮称)(三)擁壁築造工事でございます。
 本工事は、志茂踏切の渋滞解消、歩行者の安全確保を目的といたしまして、延長二百二十九・四メートルにおいて擁壁築造等を行うものでございます。
 一ページをお開き願います。工事場所は福生市志茂地内、契約の相手方は戸田・リアル建設共同企業体、契約金額は十四億四千八百八十一万円、工期は令和七年一月十日までとする工事請負契約を一般競争入札により締結しようとするものでございます。
 二ページをお開き願います。本件工事の案内図でございます。丸で囲んでおりますのが施工箇所でございます。
 三ページをご覧ください。構造物の形状は、平面図及び標準断面図のとおりでございます。
 以上で令和三年第四回定例会提出予定案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。--なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○曽根委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、請願三第一二号及び陳情三第七五号については、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○根来公園計画担当部長 お手元配布の資料2、請願・陳情審査説明表の一ページ目にございます整理番号1、請願三第一二号をご覧いただきたいと存じます。
 本件は、東京湾の自然環境再生への取組に関する請願で、江戸川区の特定非営利活動法人ふるさと東京を考える実行委員会理事長関口雄三さんから提出されたものでございます。
 本請願の要旨は、都において、現在計画中の葛西臨海水族園(仮称)または公園施設となる現在の葛西臨海水族園の整備に際して、展示や研究施設等を確保するなど、東京湾の自然環境の再生を推進する取組を行っていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都は、新たな水族園事業につきまして、令和二年十月に公表した葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画におきまして、持続可能性を重視した収集や調達、海への理解を深めるプログラム等、海の持続可能性を守るための取組や活動を基本にすることとしており、東京湾の海洋汚染や回復の歴史を伝える展示や干潟でのフィールド活動等の取組を想定しております。
 既存施設につきましては、令和三年九月に公表した葛西臨海水族園既存施設利活用の基本的考え方におきまして、今後の検討の視点と方向性の一つに持続可能な社会への貢献を掲げ、グリーンリカバリーの象徴として、葛西沖の自然再生の歴史等を表現、発信する場とすることを検討するとしております。
 このような方針の下、引き続き新施設整備への取組を進めますとともに、並行して既存施設の利活用について検討を行ってまいります。
 次に、一一ページ目をお開きください。こちらにございます整理番号9、陳情三第七五号をご覧いただきたいと存じます。
 本件は、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業及び現施設の利活用・環境保全整備に関する陳情で、渋谷区の葛西臨海水族園の長寿命化を考える会代表横河健さんから提出されたものでございます。
 本陳情の要旨は、都における葛西臨海水族園(仮称)整備等事業及び葛西臨海水族園既存施設利活用の基本的考え方について、未来の東京戦略に示された将来像の、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を踏まえ、グリーンリカバリー、サステーナブルリカバリーを推進するために、次の七点を実現していただきたいというものでございます。
 一点目は、葛西臨海水族園を未来の人々のために、グリーンリカバリー、サステーナブルリカバリーを推進する拠点として、葛西臨海水族園の新施設と現施設を一体として東京の自然環境、世界の海洋環境、海洋生物の研究教育機関に発展させ、葛西臨海公園、葛西海浜公園及び葛西臨海水族園を統合する東京サステーナブルリカバリーセンターという一つの機関とすること。
 二点目は、新施設は、その機関の一部の施設として水族館機能を分担し、ガラスドームと水盤を通して世界の海へとつながる既存本館は、一部展示も含みながら研究教育体験施設として保全、利活用し、加えて既存の淡水生物館についても保全、利活用すること。
 三点目は、一点目及び二点目のとおり、新施設と現施設の一体的な利活用を計画するためには、葛西臨海水族園既存施設利活用の基本的考え方にある新施設へ水族園機能を移転した後、施設の状態について調査を行い、利活用の方針を決定していくを見直し、現施設の利活用の計画を新施設の計画と同時に行うこと。
 四点目は、現施設の利活用の方針として、採算性を優先するための民間委託は行わず、これまで行われた二回のパブリックコメントによる都民の意見、日本建築学会、日本建築家協会、民間の有志の意見を尊重し、都民の貴重な建築文化遺産として今後とも永続的に利活用するために、都が自ら運営する研究教育展示施設などとすること。
 五点目は、四点目の方針策定の条件として、建築学に関する有識者をメンバーに入れた検討委員会を開催すること。
 六点目は、新施設の計画において、その配置計画は、最大限現在の景観を尊重するために、現在の芝生広場の位置を主として、緑地を最大限確保した計画とすると同時に、開園から三十二年を経て成長した樹木や、葛西臨海水族園の職員が手塩にかけて育てた環境、特に淡水生物館や流れの周辺の水辺を囲む緑地を最大限残し、保全すること。
 七点目は、同じく新施設の計画において、ガラスドームが象徴的な葛西臨海水族園、クリスタルビュー、水上バス待合所の三つの建築と、葛西臨海公園、葛西海浜公園の自然豊かなランドスケープが調和する総体としての景観を保全すると同時に、葛西臨海公園駅のホーム、中央園路、水の広場、ゲート広場へ至るアプローチの各地点からガラスドームへの眺望を確保する計画とすることでございます。
 現在の状況でございますが、都は、令和二年十月に公表した葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画におきまして、新たな水族園の実現に向けては、既存施設とは別に建築する建物に水族園機能を移すこととしております。
 また、既存施設については、新施設整備の取組と並行して、利活用の可能性とその採算性等について検討を行い、水族園機能を移設した後、施設の状態等を調査の上、その在り方について決定していくこととしております。
 この計画を踏まえまして、令和三年九月には、新施設整備に関する葛西臨海水族園(仮称)整備等事業実施方針及び要求水準書(案)及び既存施設の利活用検討に関する葛西臨海水族園既存施設利活用の基本的考え方を取りまとめておりまして、新施設と既存施設を統合してサステーナブルリカバリーを推進する機関とすることは予定しておりません。
 なお、新施設整備に関する実施方針及び要求水準書(案)におきまして、緑の保全や景観及び他の公園施設との調和を考慮した施設計画とすることを示しております。
 また、既存施設の利活用検討に関しましては、今後の検討の視点と方向性の一つとして、事業性及び採算性を考慮することとしております。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田村委員 葛西臨海水族園は、クロマグロの群泳などが有名で、開園時は国内でも最大規模を誇る水族園として国内外から多くの方々を迎え、環境教育や希少種の保護、繁殖にも寄与してきましたが、施設の老朽化が進んでいます。
 そこで、現在、新たな水族園の整備をPFI事業により進めているようですが、進捗状況を伺います。

○根来公園計画担当部長 本年九月、PFI法に従い、事業目的やスケジュール、入札参加要件などの基本的な事項を定めた実施方針を決定し、施設整備の機能及び性能などを示した要求水準書(案)を公表いたしました。
 年内を目途に、PFI手法による事業効果を明らかにし、来年早期に入札公告を行う予定でございます。

○田村委員 新たな水族園の整備に向けた取組も進んできており、来年には事業者の公募を行うということで、展示等についても具体的に想定してきたところかと思います。
 請願三第一二号では、新たな水族園または公園施設となる現在の水族園で、東京湾の自然環境の再生を推進する取組を実施することを求めています。水族園が立地する葛西臨海公園は、東京湾に面し、環境の再生が進んできた歴史があります。
 現在の水族園にも東京湾の生態に関する展示があり、これまでも環境学習の取組を実施してきたと思いますが、新たな水族園の展示において、請願者が主張する東京湾の自然環境の再生の推進に関してどのように取り組むのか伺います。

○根来公園計画担当部長 新たな水族園では、生き物の多様さ、豊かさにとどまらず、持続可能な社会の実現に貢献することを理念といたしまして、長期的、継続的に取り組むこととしております。
 具体的には、地球温暖化や海洋汚染などの環境問題につきまして、最新デジタル技術等も活用し、体験学習などができることを目指しております。
 また、葛西沖が埋立てや海洋汚染などにより生き物が減少した姿とともに、その後、自然環境を回復させてきた再生の歴史を伝える展示を行います。
 さらに、干潟のフィールド活動や、新設するウェットラボにおける、水を使い、生き物と触れ合う講座などに取り組むことを想定しております。

○田村委員 新たな水族園は、PFI事業で進めることから、具体的な施設計画は民間事業者の提案によりますが、葛西の歴史を分かりやすく伝える展示や、環境教育活動の充実が可能な施設をさらに目指していくことを要望いたします。
 都議会自民党は、世界一環境に優しい東京を実現する立場から、新たな水族園の整備に当たって、持続可能な社会の実現に貢献する取組の一層の充実を求めるものであり、請願三第一二号については、趣旨採択とすべきと考えます。
 以上で質問を終わります。

○関野委員 葛西臨海水族園に関する請願及び陳情に対して意見を申し上げます。
 葛西臨海水族園は、平成元年の開園から三十年以上経過し、施設や設備の老朽化の対策が必要であり、東京都ではこれまで、この葛西臨海水族園の更新に関して在り方検討会を設置し、数年にわたり審議を重ねてきたものと理解をしております。
 令和二年十月に策定した葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画においての新たな理念には、海と接する機会を創出し、海と人とのつながりを通して海への理解を深める水族園とあり、学習、体験をはじめ、展示や調査研究など、請願者の願意に沿う取組が含まれていると考えております。
 また、海の持続可能性を守るための取組や活動を基本にすることが挙げられ、自然環境の再生や保全を重視しているというふうにも見受けられます。
 また、調査研究は、水族園において生態系を解明するために重要な機能として考えます。所管が異なりますが、なぎさ橋を挟んで隣接する葛西海浜公園にビジターセンターの建設が予定もされております。展示と目的や内容が重ならないよう、関係局で連携されることを要望いたします。
 一方、水族園機能を新施設に移設した後の現在の葛西臨海水族園において、新施設整備の取組と並行して、利活用の可能性とその採算性などについて検討を行い、水族園機能を移設した後、施設の状況等を調査の上、その在り方について決定していくと定め、利活用の検討を進めているとの認識もしておるところです。
 令和三年九月十六日に公表した葛西臨海水族園既存施設利活用の基本的考え方において、これまでの水族園として活用されてきた経緯や建築物の特徴から有識者からの様々な利活用のご意見をいただいており、十分に参考とし、今後の利活用の仕方を検討されることをお願いします。
 私たちは、既存の水族園の利活用については、建築物のデザイン等から維持管理費も高額であるものと認識しており、採算性を重視した活用を工夫すべきであるというふうにも考えております。
 また、その際には、バリアフリーの観点から現状の課題を鑑み、必要なリフォームなどを実施することで、都民の使いやすい施設になることを要望いたします。
 以上、新施設において趣旨が一致することから、請願三第一二号においては趣旨採択とし、陳情三第七五号においては不採択とすることを求め、意見とさせていただきます。

○原委員 葛西臨海水族園整備事業に関連して、三の第七五号陳情、一二号請願について質疑をいたします。
 水と緑と、魚や鳥などの生き物たちの命の宝庫、葛西臨海公園は、東京都と都民が大事にしてきたすばらしい公園です。その公園に浮かぶガラスドーム、葛西臨海水族園は、日本の代表的な建築家、谷口吉生氏によるもので、その後、九〇年代以降に開園した各地の水族館建築の先駆けとなったことを知ってからは、さらにこういう都立施設があることをすばらしいなと思ってきました。毎年百四十万人以上の来場者で人気の施設です。
 私は、障害を持った子供たちの療育の仕事に長く従事してきましたが、そうした子供たちと親御さんとともに、毎年、遠足に葛西臨海水族園を訪れていました。子供たちは魚が大好きです。何度行っても飽きないすてきな場所でした。ある意味、言葉ではない交流や、セラピーとしての効用もある水族園の役割はとても大事です。都立でこうした施設が江戸川区にあることをうれしく、誇りに思います。
 一昨年末から一月にかけて実施された事業計画素案へのパブリックコメントを読ませていただきましたが、現建物の文化的価値、エントランスから水盤の先に東京湾の光景が広がる息をのむような美しさ、構造上の工夫のすばらしさについて書かれており、既存施設を残してほしいという声が実に多いことを知りました。
 世界的な建築文化遺産として末永く利活用を求める日本建築学会の見解には、この水族園は唯一無二の価値があると表現されています。今回の陳情者らの要望は、専門家や多くの都民の声を代弁しているといえます。
 既存施設について、建築物として重要だという認識をお持ちでしょうか。残す方向で検討しているという理解でよろしいかお尋ねをいたします。

○根来公園計画担当部長 既存施設は、多くの方が来園するとともに、ランドマークとなるなど、都民に親しまれております。
 既存施設利活用の基本的考え方のコンセプトにおきまして、既存施設につきましては、新たな水族園とも有機的に連携しながら利活用することにより、葛西臨海公園周辺一帯の魅力を向上させるとしております。

○原委員 今後、利活用を検討するということについては確認をしているわけですね。
 パブリックコメントの数も多いです。二〇一八年の葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想素案に対しては七十九通百六十六の意見、二〇一九年末に公表した事業計画素案に対しては、一月で二百六十八通五百二十二の意見が寄せられたことは、多くの人に愛されている施設であることが分かります。
 事業計画パブコメの中に、建築を専攻する学校で、設計の授業にこの水族館を課題にしているというコメントも出てきます。建築士の後継者教育という面でも大事な施設なんですね。
 歴史的、文化的な価値ある建築物を長く大切に使うという考え方が、この国にもっと必要ではないかと思います。既存施設は残すとはっきり決めて、それを前提に計画をつくることが望ましいです。
 お尋ねします。既存施設についての検討において、有識者ヒアリングを行ったといわれましたが、これまでどういう方々の話を聞いてきたのでしょうか。

○根来公園計画担当部長 公園計画、建築、環境教育、観光レジャー、経営企画、地域連携、環境保護、デジタル技術の有識者の方々から意見を聞きました。

○原委員 ありがとうございます。いろいろな方にお知恵を借りるのは、大変大事だと思います。
 陳情者は4のところで、採算性を優先するための民間委託は行わないでほしいと述べています。また、都が自ら運営する研究教育展示施設などとすることとあります。
 葛西沖の海や干潟を再生してきたグリーンリカバリーの象徴としての視点とともに、子供たちをはじめ、都民の学びの場などの検討をするときに、都の直営ということが大事な鍵となるというふうに思います。
 今後の検討の進め方として、民間事業者へのヒアリングなどが検討されていますが、都立の施設として既存施設の利活用を検討するのだから、都立にふさわしい施設としてどうあるべきかという視点で検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 既存施設利活用の基本的考え方の中で、検討の視点といたしまして、持続可能な社会への貢献、公園全体の魅力向上、周辺施設との機能分担や相乗効果の創出、地域及び産学官民との連携、最新技術等の活用、事業性及び採算性の六つを示しております。

○原委員 持続可能な社会への貢献などの視点が話されました。環境教育、文化、観光、福祉などがその中に入っていて、周辺施設のデザインの統一、一体的な景観が確保できるよう努めること、SDGsや地域連携、バリアフリーなど、その視点の中に書かれていることは大変大事で、抜かしてはならない点だというふうに思っております。
 それだけに、都立直営施設として、末永く都民に親しまれるランドマークとして守っていくべきではないでしょうか。都立にふさわしい施設としてどうあるべきかという質問には答えていただけませんでしたが、そうした観点を持って、これから具体化することが重要だと思います。
 既存施設の利活用計画をよりよいものにするために、専門家や都民から意見を集めることなど、今後の取組について伺います。

○根来公園計画担当部長 既存施設の利活用につきまして、様々な分野の有識者へのヒアリングや都政モニターアンケートを既に実施しておりまして、いただいたご意見等も踏まえ、既存施設利活用の基本的考え方を取りまとめました。
 今後は、既存施設の利活用における事業性や採算性を探るため、民間事業者へのヒアリング等を実施していく予定でございます。

○原委員 利活用に公的施設という観点が必要だと強調したその答弁で、事業性、採算性を探るという言葉が出てくるから私は心配をしているんですね。
 建物の魅力とともに、公園全体の魅力につながる既存施設の利活用の中身を、専門家を交え議論を深めるべきではないでしょうか。建築文化財として、水族館建築の真骨頂であるという捉え方が弱過ぎるというふうに思います。ぜひ、陳情者の要望にもある有識者の検討会を行い、建築学の専門家を入れることを私からも要望いたします。
 もう一つの施設である淡水生物館利活用についての考え方について伺います。

○根来公園計画担当部長 淡水生物館は、新水族園の計画敷地内に位置することから、PFI事業者の公募に当たりまして、新水族園の一部として継続利用する提案ができることとしております。

○原委員 今の建物のまま生かすか、また、新水族館に吸収するかまだ決めていないということですね。いずれにしても、緑豊かな公園の中で樹木伐採を最小限にするなど、環境への負荷をできる限り少なくした事業を行うことが大事だというふうに思います。
 新しい施設への水族園機能の移転を具体化する際に、既存施設も含めて一体の水族園計画として検討すれば、新施設の規模を小さくすることもでき、環境にも優しいのではないかと思うのですが、水族園整備事業を新旧の施設一体に検討することを提案いたしますが、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 昨年十月に公表した葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画におきまして、既存施設を大規模改修する場合、長期休園を余儀なくされることや、複数回の移動により、生き物への負担が大きいことなどから、新たな水族園の実現に向けては、既存施設とは別に建築する建物に水族園機能を移すこととしました。
 この計画を踏まえまして、本年九月には、新施設整備に関する実施方針及び要求水準書(案)を公表しておりまして、来年早期に入札公告を行う予定でございます。

○原委員 新水族園に全て水族園機能を移して、既存施設から水槽をなくすと決めてしまう必要はないと思います。今現在も水族園としての機能を立派に果たしているんですから。
 去年十月、日本建築家協会の陳情が本会議で趣旨採択されました。事業計画に既存施設の保存及び活用を組み込む、その方向となった以上、新旧の役割分担、入園者の動線など、一体に検討することは必須なのではないでしょうか。私は、この公園全体の調和について思いを寄せています。
 汚染物質の不法投棄により葛西沖が深刻な汚染状況であったところから、自然再生への都と住民の一方ならぬ努力によって土と緑の再生がされ、干潟を広げる取組で渡り鳥が渡ってきて羽を休めることのできるエリアになりました。水族園がその公園にしっかりと調和し、海の生き物を肌で感じながら楽しめるように設計をされたわけです。
 この事業が、一二号の請願者の求められている東京湾の自然環境の再生を推進する取組にすることも、とても大事な視点だというふうに思います。
 先日も、ネットのねとらぼという調査で、二十三区で散歩するのが楽しいまちランキングの一位に江戸川区が選ばれ、葛西臨海公園が紹介をされていました。多くの人に愛される葛西臨海公園、海浜公園と水族園だからこそ、後世に残す都立の施設として、目先の採算性に陥ることなく、教育的、福祉的、環境施策の拠点として、また都民の憩いの場としての側面を大事にした水族園整備事業となるよう求めるものです。
 三の第一二号、そして第七五号、ともに採択すべきものと考え、質問を終わります。

○漢人委員 請願三第一二号、東京湾の自然環境再生への取組に関する請願及び陳情三第七五号、葛西臨海水族園(仮称)整備等事業及び現施設の利活用・環境保全整備に関する陳情について質問いたします。
 葛西臨海公園には、私、昔、保育所で働いていた頃に子供たちと散歩で訪れたことがありました。今回、この請願陳情の視察も兼ねてということで、本当に久しぶりにソロ活水族館ということで楽しませていただきました。
 水族園の展示もたっぷりと時間をかけて鑑賞しましたけれども、海と空につながるガラスドームと水盤、そして淡水生物館や周辺の流れや緑なども、これはぜひ新施設との調和の中で生かしてほしいと強く思いました。
 この請願一二号及び陳情七五号の各項目について、私は賛成する立場です。しかし、残念ながら七五号については、昨年十月に公表されました葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画、また今年九月に公表された葛西臨海水族園既存施設利活用の基本的考え方及び葛西臨海水族園(仮称)整備等事業実施方針などでは実現が難しい内容も含まれているようです。
 そこで、今日は一点だけ確認をさせていただきます。
 既存施設の利活用の方針は示されてはいますが、ガラスドームと水盤、そして淡水生物館や周辺の流れや緑地などが、新施設とアンバランスな、ばらばらな状態にならないかとても心配です。
 葛西臨海水族園(仮称)整備等事業においては、既存施設と新施設を、機能、景観、緑地の保全、動線などを総合的に検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 昨年公表した葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画におきまして、水族園機能は新施設に移し、既存施設につきましては、新施設整備の取組と並行して利活用の検討を行っていくといたしました。
 新施設整備への取組といたしまして、本年九月に公表した実施方針及び要求水準書(案)におきまして、緑の保全や景観及び既存施設を含む公園施設との調和を考慮した施設計画とすることを示しております。

○漢人委員 ありがとうございます。葛西臨海公園及び水族園の整備が、請願者、陳情者が求める東京湾の自然環境の再生を推進し、そしてグリーンリカバリー、サステーナブルリカバリーの精神に沿った総合的な検討の中で進められ、既存施設と新施設がしっかりと調和したものになることを求めて質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 初めに、請願三第一二号をお諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認めます。よって、請願三第一二号は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、陳情三第七五号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○曽根委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三第七五号は不採択と決定いたしました。

○曽根委員長 次に、陳情三第四五号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○花井道路建設部長 それでは、お手元資料2、二ページにございます請願・陳情審査説明表の整理番号2、陳情三第四五号をお開き願います。
 本件は、都市計画道路補助第一二八号線街路拡張工事に反対することに関する陳情で、世田谷区の世田谷区宮坂一丁目補助第一二八号線街路拡張反対の会代表林節子さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、都市計画道路補助第一二八号線街路拡張工事計画における世田谷区宮坂一丁目の約二百メートル区間の道路拡張を見直していただきたいとのことでございます。
 現在の状況でございますが、補助第一二八号線は、環状第七号線と環状第八号線の間に位置し、世田谷区新町二丁目を起点とし、杉並区阿佐谷北五丁目を終点とする延長約九キロメートルの都市計画道路でございます。
 本路線は、交通の円滑化に寄与するとともに、延焼遮断帯や避難路としての役割を持つなど防災性の向上を図る上からも、極めて重要な道路でございます。
 陳情区間を含めた世田谷区弦巻五丁目から宮坂一丁目までの八百九十五メートル区間は、平成三年六月に事業に着手しており、地元世田谷区からは、平成八年より四回にわたり早期整備の要望を受けております。
 この事業区間におきましては、既に世田谷通り付近から桜木中学校下の桜木トンネルまでの約六百九十メートルを交通開放しております。残る陳情区間の約二百メートルにつきましては、通学路に指定されておりますが、幅員約十メートルの道路でございまして、現状では十分な歩道幅員が確保されておりません。
 このため、本事業により、二車線十一メートルの車道と、その両側に植樹帯のある無電柱化した四・五メートルの自転車歩行者道を設置し、車や人が安全かつ円滑に通行できる環境に配慮した道路として整備いたします。
 現在、約七〇%の用地を取得しており、引き続き地元の理解と協力を得ながら、早期完成を目指し、本路線の整備を推進してまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○里吉委員 都市計画道路補助第一二八号線街路拡張工事に反対することに関する陳情について一言申し上げます。
 私もこの地域ですので、道路をよく知っておりますけれども、確かに桜木中学校の下にトンネルまで出来上がっています。この陳情者の意見にもありますように、これでこの工事は終わりだというふうに地域では理解されているということでした。
 幅員が既に十一メートルで、既に十分に道路として機能している。地域住民にとっては、これ以上の拡幅は必要ないという陳情です。
 地域住民にとって何が安全なのか、広げた方が安全なのかどうなのか、それは違うところでもあるんですけれども、広げると車を呼び込み、そして車がスピードを上げ、かえって危なくなる、こういう意見も出てきております。
 何よりも、道路行政は地域住民の理解と納得、合意があってこそ進められるものですので、こういう陳情が出ているということは、この地域の住民の皆さんからは納得できていないということだというふうに思います。
 道路計画は、一度決めたら何が何でも進めるということではなく、見直すべきは見直すということが今、本当に求められていると思います。
 陳情四五号は採択を主張し、意見といたします。

○漢人委員 陳情三第四五号、都市計画道路補助第一二八号線街路拡張工事に反対することに関する陳情について意見表明をいたします。
 陳情者が主張されるように、都市計画決定がなされた七十年前と現在では、社会情勢も道路事情も生活環境、住環境も大きく変わっています。画一的な基準で広い道路を造るために、住民の意向を無視して膨大な税金を投入する道路行政は終わりにするべきです。
 陳情理由に賛同し、都市計画道路補助第一二八号線拡張工事における世田谷区宮坂一丁目の当該区間の道路拡張を見直すことに賛成いたします。
 以上です。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○曽根委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三第四五号は不採択と決定いたしました。

○曽根委員長 次に、陳情三第四六号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○植村公園緑地部長 お手元配布の資料2、請願・陳情審査説明表の三ページ目にございます整理番号3、陳情三第四六号をご覧いただきたいと存じます。
 本件は、大島小松川公園におけるスケートボードの利用方針に関する陳情で、江戸川区の大島小松川公園スケートボード愛好会代表種田智典さん外十人から提出されたものでございます。
 本陳情の要旨は、都において、スケートボードを通じての青少年育成や地元住民のコミュニケーションの場としての観点から、大島小松川公園におけるスケートボードの利用方針について検討するとともに、利用方針策定についての話合いの場を設けていただきたいというものでございます。
 現在の状況でございますが、都立公園は散策や運動、レクリエーションの場などとして、誰もが快適で安心して利用できることが重要です。公園でのスケートボード利用につきましては、ほかの公園利用者との接触の危険性、園路などの損傷、騒音やマナーを守らないことに対する苦情などの様々な課題がございます。
 大島小松川公園では、昨年、スケートボード利用について話合いの場を設け、愛好者からのご要望をお聞きしました。しかし、愛好者が要望している場所は園路であり、従来からスケートボード利用を禁止しているとともに、ベビーカーとスケートボードの接触事故も発生するなど、安全上課題が大きいという現状がございます。また、周辺には集合住宅が多く、近隣住民の方からスケートボードの騒音に対する苦情も寄せられております。
 こうしたことから、大島小松川公園におけるスケートボード利用につきましては、公園利用者との交錯が起こらない場所の確保、安全に利用できるルールやマナーの徹底、地域住民の理解を得るための合意形成といったことを一つ一つ積み重ねていくことが必要であり、今後、愛好者やほかの公園利用者、近隣住民の声などを丁寧に聞きながら対応してまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○関野委員 陳情三第四六号について意見を述べたいと思います。
 今年の夏に開催された東京二〇二〇大会で新たに競技種目に採用されたスケートボードにおいて、堀米選手、西矢選手、四十住選手が金メダルを取るなど、日本選手が大活躍をいたしました。
 私としても、先日の事務事業質疑において要望したとおり、都立公園においてスケートボードの利用を進めてほしいというのを以前からも要望しており、陳情が出された大島小松川公園においても、スケートボードを利用したいという声に耳を傾け、ぜひ話合いの場を設けてほしいというふうに思っております。
 日本においてのスケートボードは、サーファーの陸用として増えてきたこともあり、スケートブームとなり、ストリートから波及したことから駐車場、道路、公園などで行われるようになり、また、トリックをするため、周辺の段差などを使って遊ばれております。そのため、公園内のスケートボード利用には、接触事故はもとより、段差、手すり、花壇の縁石の破損といった課題があります。
 利用に向けては、散策などほかの目的で公園を訪れる人たちも安全で気持ちよく過ごせるよう、スケートボードエリアをフェンスで仕切るなどの安全対策や利用ルールの徹底を図っていくことが必要であるとも考えております。
 さらに、大島小松川公園の周辺にはマンションが建ち並び、スケートボードの騒音による苦情もあるというふうにも聞きました。
 こうしたことから、利用者のみならず、公園の近隣に住む地域の方々の意見も聞く場を設け、利用可能な場所や利用方法といったことも含め検討してほしいというふうにも考えております。
 以上、今回の陳情については趣旨採択とすることを求め、意見とさせていただきます。

○原委員 大島小松川公園におけるスケートボードの利用方針に関する陳情、三の第四六号について質疑をいたします。
 まず、質問します。江東区、江戸川区の都立公園で、スケートボードの練習ができる場所は何か所あるのでしょうか。

○植村公園緑地部長 江東区、江戸川区には九つの都立公園がございます。スケートボード利用を認めている公園はございません。
 なお、夢の島公園に江東区が設置している夢の島総合運動場におきまして、江東区がスケートボードの練習場を新設する予定でございます。

○原委員 都立公園では、近隣にはないということですね。そして、江東区では、オリンピックでスケートボードの競技場があったこともあって、こうした練習場の開設に踏み切ったというのは、いいニュースだというふうに思います。
 それでは、大島小松川公園でのスケートボードの練習について、これまでの話合いや対応はどうだったのか、話合いの場を設けてきたのか、経緯を伺います。

○植村公園緑地部長 スケートボード愛好者からの要望を受け、令和二年六月と八月に、指定管理者がスケートボード利用についての話合いの場を設けております。

○原委員 去年の六月と八月ということで、その後は止まっているわけですね。それで今回、陳情という形で利用方針について話合いの場を設けてほしいとの陳情が出されているわけです。
 スケートボード人口が増えていくことがこれからも見込まれる中、都立公園ではどのように対応していくんでしょうか、伺います。

○植村公園緑地部長 都立公園でのスケートボード利用を広げていくためには、ほかの公園利用者との交錯が起こらない場所の確保、安全に利用できるルールやマナーの徹底、騒音の影響などについて、利用ニーズを踏まえながら、公園ごとに検討していくことが必要でございます。

○原委員 確かに安全の確保は第一義的な課題だと思います。スケートボードをされる方も、ほかの公園利用者も安全に過ごせるということ、そのためのルールやマナーの確認、騒音のことなど地域との関係など、クリアが必要な課題も多々ありそうですよね。
 もともとスケートボードはストリートスポーツとして始まったんだと思います。ほかのスポーツみたいに、ここで練習しますというコートとかが前提ではなかったわけですよね。
 陳情の方も書かれているとおり、スケートボーダー人口が増えているのに練習場所がほとんどない中、この公園も含め、駐車場や歩道で練習してクレームばかりとはお気の毒です。スポーツを楽しむ権利は誰にでもあり、ぜひ環境整備を進めてほしいというふうに思います。
 都立公園は、原則スケートボードは禁止と書かれて、あちこちにそうした告知がされておりますけれども、いろいろ聞いていくと、駒沢公園にはストリートスポーツ広場があることが分かりました。フェンスもあるようです。
 また、光が丘公園の噴水広場の一角を練習に使ってよいと取決めをされているそうです。そこは、人や自転車の主な通り道から外れていることから、ルールを決めて認めているということです。
 大島小松川公園でも練習場所が確保できるよう、話合いが進むことを望みます。その場合、管理者と利用者の二者だけではなく、都立公園の利用ルールに除外規定や除外場所を設けるなどの話合いも含まれる可能性があるのなら、都の公園担当部局も入って、丁寧に相談に乗っていただきたいと思います。
 陳情は採択すべきと考え、質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認めます。よって、陳情三第四六号は趣旨採択と決定いたしました。

○曽根委員長 次に、陳情三第六〇号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○根来公園計画担当部長 お手元配布の資料2、請願・陳情審査説明表の四ページ目にございます整理番号4、陳情三第六〇号をご覧いただきたいと存じます。
 本件は、練馬城址公園整備計画の見直しに関する陳情で、練馬区の齊藤英雄さん外七百七人から提出されたものでございます。
 本陳情の要旨は、都において、練馬城址公園整備計画について次のことを実現していただきたいというものでございます。
 一点目は、ハリー・ポッターのスタジオツアー施設の整備、運営を認めた、都市計画練馬城址公園の整備にかかる覚書の締結に至る経緯とその内容を改めて検証すること。
 二点目は、避難場所をはじめとした広域防災拠点としての機能が公園整備の各段階で責任を持って確保されるようにすること。
 三点目は、緑やコミュニティ、プールをはじめとしたスポーツ振興など、旧としまえんが百年にわたって大切にしてきた意義や魅力を生かした都立公園とすること。特に要望が強いプールの存続に努力することでございます。
 現在の状況でございますが、一点目ですが、計画区域の大部分がとしまえん敷地である練馬城址公園の整備を推進するため、都は、令和二年六月に練馬区及び西武鉄道株式会社など関係事業者と、都市計画練馬城址公園の整備にかかる覚書を締結いたしまして、緑と水、広域防災拠点、にぎわいの三つの基本目標の実現に向けた公園整備を連携協力して進めることといたしました。
 二点目ですが、覚書では、練馬城址公園の整備におきまして、災害発生時の避難場所や災害時臨時離着陸場候補地となる広場や必要となる防災施設を確保し、さらに東西方向、南北方向から本公園に避難できる園路を確保するなど、広域防災拠点としての機能を備えるものとしております。
 民間事業者による施設整備におきましても、覚書に基づき、前述した基本目標の実現の一翼を担うことに配慮することとしておりまして、災害発生時の避難場所となる広場や、南北方向から当該施設に避難できる動線、災害時に備えた備蓄機能を確保するなど、広域防災拠点としての機能を踏まえた整備を進めることとなっております。
 また現在、民間事業者が施設整備工事を行っておりますが、発災時には周辺からの出入口や避難空間を確保しており、民間事業者と練馬区が連携して避難者を受け入れる体制が整えられております。
 今後とも、都は、関係者と連携いたしまして、避難場所の確保に努めながら、本公園の整備を推進してまいります。
 三点目ですが、練馬城址公園の整備計画の策定に当たりましては、審議を行った東京都公園審議会は公開し、審議資料をホームページに掲載いたしますとともに、オープンハウスの開催やパブリックコメントの実施により、広く都民の意見を聞いております。
 整備計画では、としまえんの閉園まで長年にわたりにぎわった土地の歴史、風土、緑豊かな自然を大切にすることとしておりまして、整備計画のコンセプトに、としまえんや練馬城址豊島園等、土地の歴史的背景を生かすこととしております。
 既存プールは撤去し、広場等を整備する計画としておりますが、パブリックコメントにおけるプール存続の意見も踏まえまして、子供が水遊びを満喫することができる流れや浅瀬等の水遊び場を計画しております。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○関野委員 それでは、練馬城址公園について質疑をさせていただきます。
 練馬城址公園について、計画地内のとしまえんが既に閉園をしており、早期に都民が利用できるよう公園整備を進めていただきたく、陳情審査に当たって質問をさせていただきます。
 都は、防災上の必要性から、平成二十三年に重点化を図るべき都市計画公園に位置づけ事業化を進めることとし、昨年、都の努力により関係者との覚書の締結に至り、いよいよ公園整備が進められることとなっております。
 今回の陳情は、としまえん跡地が公園として整備される過程で、計画地内の一部にスタジオツアー施設が運営されることに不安視する声からいただいたものと思っております。
 そこで、陳情三第六〇号に関連して幾つか質問を行います。
 陳情では、覚書についての検証を求めておりますが、関係者と締結した覚書の位置づけと、公園整備に向けた現在の取組状況についてお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 都が策定する整備計画に基づき、緑と水、広域防災拠点、にぎわいという三つの基本目標を実現する公園の整備と適切な利用を進めるため、地元区や土地を所有する西武鉄道など、事業者と相互に連携協力することを責務とする覚書を昨年六月、締結いたしました。
 都は、練馬城址公園を早期に整備していくため、本年七月、土地所有者と協定を締結いたしまして、現在、既存施設の解体や当初開園予定区域の公園整備の設計を進めております。

○関野委員 地元区のみならず、民間事業者も関わりながら、相互に連携協力して都立公園の整備を進めることが合意されたというものは、意義深いものと考えております。民間事業者にとっては、自らの所有地内で自由な事業活動が考えられる中、公園事業に連携協力する責務を負っており、その公共性や地元にも配慮したものというふうにもいえるのではないかと考えます。
 また、既に設計を進めている段階となっており、工事の実施も相互に協力しながら取り組んでいくことが分かりました。ぜひ、公園として早期に都民に開放できるように進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、防災拠点に関して確認をいたします。
 練馬城址公園が整備された際には防災拠点になると思います。現在、現地では民間事業者によるスタジオツアーの施設の工事が進んでいるところでありますが、今後は都による公園工事が着工されることになると思います。
 としまえん跡地は、現在も避難場所に指定されていることから、特に工事中は閉鎖状態となって重機なども稼働していることから、安全に避難できるのか近隣の方が不安に思っていると思っております。
 そこで、公園として開放される以前の工事中においても、避難場所としての機能を確保することが重要というふうには考えておりますが、都の所見をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 民間事業者によるスタジオツアー施設や練馬城址公園の工事中の段階におきましても、関係者間で連携いたしまして、敷地周囲の工事用仮囲いに周辺からの出入口を設置いたしますとともに、敷地内には安全な避難動線や避難空間を確保いたします。
 あわせて、日頃からの工事状況等の共有や出入口の管理等を行い、周辺からの避難者を安全に受け入れる体制を構築しております。

○関野委員 公園や民間施設の工事中においても、地元区と連携して避難所としての機能を維持していくということが分かりました。
 工事中は現場の状況がその都度変わっていくため、災害時の対応の主体となる地元区ともしっかりと調整をしていただきたいというふうに思いますし、避難時の出入口の位置や工事状況など、周辺住民がその都度都度、理解または周知ができるようにしていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、九十年以上にわたり地域のシンボルだったとしまえんは、地元だけでなく、都民に長い間愛着を持たれた遊園地として、惜しまれながら閉園しております。こうした都民に愛されてきたとしまえんの歴史や魅力について、公園整備に生かすことを望む多くの声が上がっているとも聞いております。
 そこで、今後、地元など都民の声を聞きながら公園整備を進めていくべきというふうに考えておりますが、都の所見をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 練馬城址公園の整備計画につきましては、中間のまとめの段階で実施いたしましたパブリックコメントや地元区の意見も踏まえて、本年五月に策定いたしました。
 現在行っている当初開園予定区域の設計についても、来月、パネルを展示したオープンハウスを開催いたしますとともに、ホームページにも掲載し、広く都民に周知してまいります。
 こうした取組により都民から寄せられたご意見は、パブリックコメントと同様に取りまとめて公表いたしますとともに、設計の参考としてまいります。
 今後も、周辺住民を対象といたしました工事説明会等の開催により、地域の方々への説明の機会を設けるなど、丁寧に対応してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。整備計画や現在進めている設計においても、オープンハウスの開催などを工夫しながら地元や都民の声を聞く取組を行うということが分かりました。引き続き、丁寧な対応をお願いいたします。
 また、先ほどの質疑から、民間とも連携して公園整備を進め、避難場所の確保、防災面にも配慮した取組が行われておりますが、やはりそのときそのとき、工事箇所が変わったりすることによって避難場所、こういったものが変わることもありますので、その都度その都度、しっかりと周知できるようにしていただきたいということを要望いたします。
 また、本陳情に関しましては、不採択にすべきと私の考えを述べ、私の質問を終わらせていただきます。

○里吉委員 それでは、私からも質疑を行いたいと思います。
 としまえんが昨年八月に九十四年の歴史を閉じました。三十一日には花火も上がり、多くの人々が別れを惜しみ、外にもあふれる、そういうにぎわいでした。
 一方、突如浮上したスタジオツアー施設計画は、としまえんが防災公園になるならと納得し、歓迎していた住民の皆さんの思いを裏切るものでした。それは、スタジオツアー施設が練馬城址公園区域の約四割、石神井川北側の大部分を占める巨大な建築物であるとともに、貴重な緑や樹木を伐採し、都の説明してきた防災公園としての整備は後景に追いやられ、住民の期待を大きく裏切ることになったからです。
 西武鉄道、ワーナー、伊藤忠、都と区の五者で締結された覚書でお茶を濁そうとしても、住民の方が納得いくわけがありません。
 何よりも、都はこの間、覚書締結に至る経過について、都民に納得のいく説明をしてきませんでした。その内容も、多くが現実との矛盾を抱えたものになっています。だからこそ、今回のような陳情を出すということに至ったのではないかと考えます。
 本日は、住民の皆さんから寄せられた陳情に沿って、覚書に至る経緯を振り返り、検証し、真の住民参加による練馬城址公園整備へとつなげていきたいという思いで質疑を行いたいと思います。
 まずお聞きしたいのが、練馬城址公園の優先整備区域選定の経緯についてです。
 練馬城址公園が優先整備区域に選定されたのは二〇一一年でした。都市計画公園・緑地の整備方針について、直近の改定の流れについて、まずお答えください。

○根来公園計画担当部長 平成二十三年に策定した都市計画公園・緑地の整備方針につきまして、平成三十年十二月から都と区市町合同で改定に向けた検討を行い、令和二年二月から実施したパブリックコメントの意見も踏まえ、同年七月に改定いたしました。

○里吉委員 そうなんです。パブコメは昨年の二月でした。つまり、としまえんの閉園が明らかになって、覚書が締結される五か月前です。
 このとき都は、都市計画公園・緑地の整備方針案で練馬城址公園は、現在避難場所に指定されており、今後もその機能を確保すべき練馬城址公園について事業化を図りますとわざわざ特記をしておりました。
 ところが、二〇一九年、つまり覚書締結の前年に、練馬区にスタジオツアー事業者が既に現場調査依頼書を提出し、受理されていました。
 昨年の決算質疑で、この事実を都として確認していたかどうかの質問に対して、承知していないという答弁がありましたが、では、二〇一九年九月に、事業者が東京都の建築主事にスタジオツアーの建築の説明をしたことについて承知しているかどうか確認します。

○根来公園計画担当部長 建設局では、当時、承知しておりませんでした。

○里吉委員 現場調査依頼書は、計画を明らかにして、開発上の問題の指摘や法令の指導を受けるもので、区は受理しています。この時期を前後して、としまえんの問題は地元練馬区でも話題になって、何度も練馬区議会でも議論になっていました。つまり、としまえんの行方は、多くの区民に注目されていたわけです。
 その後すぐに、事業者は東京都に相談に行っています。これは開示請求で、スタジオツアー施設の説明が丁寧に記載されていることを確認しております。
 しかし、二〇一八年八回、一九年五回にわたり、都と区は都市計画公園・緑地の整備方針改定に向けて協議をしているんですね。その協議の真っただ中に、並行してスタジオツアー計画も進んでいたということになるわけです。
 二〇一九年には、既に西武鉄道やスタジオツアー事業者は設計図も作成し、都と区に相談している。つまり、スタジオツアー部分は公園として整備することはできない、そのことが分かっていたわけです。
 なぜスタジオツアー区域を含む部分も練馬城址公園として優先整備区域としたのか伺います。

○根来公園計画担当部長 スタジオツアー施設は、段階的な公園整備のプロセスにおいて民間事業者が行う取組でございまして、覚書によりまして、練馬城址公園に求められる機能の実現の一翼を担うことに配慮することとなっております。
 スタジオツアー施設の運営終了後は、都立公園として整備してまいります。

○里吉委員 では、今回の公園整備に当たって、事業認可区域、そして面積についてお示しいただきたいと思います。

○根来公園計画担当部長 令和三年六月に告示された練馬城址公園の都市計画事業認可区域は、西武鉄道株式会社の所有地のうち、スタジオツアー施設の敷地を除いた約十三・四ヘクタールでございます。

○里吉委員 スタジオツアー区域を除いた区域の事業認可を取っているというご答弁でした。段階的な公園整備のプロセスといいますが、その期間は少なくとも三十年、もしかしたらそれ以上にわたるということです。
 覚書には、事業者の合意があれば、譲渡も賃貸も可能とするものです。それを裏づけるように、スタジオツアーを除いた区域の事業認可としているというふうに思うんですね。
 マグニチュード七以上の首都直下地震が起こる確率は、この三十年以内に七〇%というふうにいわれている中、事実上の防災機能強化の優先整備区域の放棄ということになるのではないかと思います。決してこれは容認できるものではありません。
 練馬城址公園を優先整備区域に選定した経過を振り返れば、昨年の決算委員会でも明らかになっていますが、通常のステップを踏み越えて優先整備区域としているわけです。通常は重点化を図るべき公園になって、優先整備区域の選定となるわけですよね。でも、この理由としては、東日本大震災を踏まえて防災を重視するからといわれておりました。
 避難場所の確保など、特に防災に資する公園であることが選定の理由だと、これは二〇年の決算委員会だったと思いますが、答弁されています。東京都が防災機能を持つ公園として優先整備区域に指定したことは、とても重要なことだと思います。
 さらに都は、西武鉄道の協力も得て、避難場所の確保もしてきたということだと思うんですね。一体、都の計画は何だったのかということで疑念が晴れないと、区民の皆さんからもそういう声が出ていると。
 東京都はこうした住民の疑問に、覚書で協力するからと、覚書で済まそうとしているように思うんですが、では、覚書とは何なのかということで、その内容について次は伺っていきたいと思います。
 まず、この覚書で何を約束されたのか確認したいと思います。

○根来公園計画担当部長 都は、練馬城址公園の整備を推進するため、緑と水、広域防災拠点、にぎわいの三つの基本目標の実現に向けた公園整備を連携協力して進めることについて、地元区及び西武鉄道など関係事業者と覚書を締結いたしました。

○里吉委員 緑と水、広域防災拠点、にぎわいという三つの基本目標の実現を約束したということです。
 では、その一つ、広域防災拠点について伺いたいと思います。
 防災公園、広域防災拠点というのは、実は、何ら行政上の定義や根拠はないんですね。調べましたけれども、国のガイドラインなどがあるくらいで、唯一、行政上の正式な用語としてあるのは、避難場所という言葉でした。
 練馬城址公園整備に当たり、明確な定義のない広域防災拠点という言葉を使うこと自体どうなのかなと、本気で取り組む姿勢があるのかなというふうに思ってしまうわけです。
 そこで、避難場所ということについて伺っていきたいと思います。
 優先整備区域の約四割がスタジオツアーになるということになりますが、避難場所としてこれまで同様使えるのか、使えるとしたらその理由を明らかにしていただきたいと思います。

○根来公園計画担当部長 東京都、地元区、関係事業者の間で協議をいたしまして、としまえん跡地全体で避難空間を確保いたしますとともに、スタジオツアー施設については、本公園の基本目標の一つである広域防災拠点の位置づけに配慮し、工事中においても、避難できる場所や周辺からの出入口を民間事業者が確保しております。
 あわせて、民間事業者と地元区が連携して避難者を受け入れる体制が取られております。

○里吉委員 広域防災拠点の実現に配慮する、民間事業者と地元区が連携して行うということですが、では、その話合い、今お答えになった話合いは、いつ誰が行ったのか確認したいと思います。

○根来公園計画担当部長 覚書の締結に向けまして、本公園の基本目標の一つである広域防災拠点の実現について、東京都、地元区、関係事業者の間で協議をしてまいりました。

○里吉委員 避難場所の指定は、多分、皆さんではなくて都市整備局になると思うんですね。運営は地元練馬区だということで、そこと関係事業者の間で協議をしたということだと思うんですが、避難場所指定を所管する都市整備局の担当者によれば、覚書を締結するまで、そのことについては何も知らないし、協議内容も把握していないということなんですけれども、これはどういうことなのか伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 としまえん跡地は、従来から避難場所に指定されておりまして、覚書においても、本公園の基本目標の一つである広域防災拠点の実現について、地元区及び西武鉄道など関係事業者と連携協力し、災害発生時に避難場所等となる広場と防災施設を確保することといたしました。

○里吉委員 最初、都と地元区と関係事業者ということでしたけれども、都市整備局は入っていないということで、地元区と関係事業者と連携して広場を確保という答弁なんですね。そういう答弁を確認しました。
 一番皆さん心配していること、先ほどの質疑にもありましたけれども、今、これから工事中が続くわけですが、その間の現場に安全な場所があるのか、危険な場所はどこなのか伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 民間事業者の取組であるスタジオツアー施設につきましては、覚書に基づき、本公園の基本目標の一つである広域防災拠点の実現に配慮しており、工事中においても、避難できる場所や周辺からの出入口を民間事業者が確保しております。
 あわせて、民間事業者と地元区が連携して避難者を受け入れる体制が取られております。

○里吉委員 工事中も避難できる場所を確保して、出入口は民間事業者が確保しているというお話でした。
 避難者を受け入れる体制を取るには、やはり地元区が段取りを検討する必要があると思うんですね。それは工事開始前にちゃんと終わっていなければいけないと思うんです。
 ここまでの質疑で、避難場所として使用するための協議は覚書締結に向けてということですから、昨年、覚書締結前に行われていたということだと思うんです。
 しかし、私たち共産党が練馬区から聞き取りをした際には、今年の六月でも、どこが安全でどこが危険なのかは特に聞いていないということだったんですね。
 さらに、都市整備局は、工事現場は事業者の判断とおっしゃっていました。避難場所の管理者も、避難場所の指定を管理する部局も何も分からない、知らされていません。誰と誰が協議をして、この工事中の安全を確認するのかということをちゃんと示していただきたいと思うんですね。
 覚書があったとしても、具体的には話合いをきちんとしていなければ意味がない、練馬区は聞いていないということだったので、ここで質問したわけですけれども、東京都は、東京都震災対策条例というものがあって、知事は、災害時に拡大する火災から都民を安全に保護するため、広域的な避難を確保する見地から、必要な避難場所をあらかじめ指定しなければならないと避難場所を位置づけて、拡大の方向を明らかにしております。しかし、今回のやり方、とてもその立場に立っているとは思えません。
 西武鉄道、ワーナー、伊藤忠、そして東京都と練馬区、この五者が、地震火災は本当に起きるという前提で考えているのか、六万人全員の避難など、あり得ないと考えているのではないかと疑わざるを得ないというふうに私は思います。
 広域防災避難拠点というのは東京都が決めたことで、としまえんのときからそうでしたから、そのままずっとあるということで、どれだけスタジオツアーの当事者の、事業者の皆さんがそれについて考えているのかというのは分からないと思います。
 ですから、地元の区民の皆さんから心配する声が寄せられている。住民の皆さんの不信を招いた責任は、私は本当に重たいと思います。
 それで、ちょっと確認というか、対策を取らなければならないということで、工事中、超過密な避難場所になってしまうわけですよね。都は、一人当たりの避難面積を一平方メートル確保するといっていますが、ちょっとこれ計算してみました。工事中どうなるか。
 現在、区域面積は二十二万八千百十六平方メートル、避難有効面積は九万七千六百六十八平方メートルで、避難計画人口は六万三千六百六十九人、一人当たり一・五三平方メートル。都の基準では、原則、工事現場は利用可能率はゼロ、建築物やプールも避難場所として利用可能率ゼロ%となっています。
 西側のエリアが準安全区域となっているのは、住宅街との境に樹木等がないから遮熱性の影響があるということで、南側が現在のままスタジオツアーの工事が進行してしまうと、避難有効面積は五万平方メートル程度で、今もう工事が進んでいますので、避難計画人口に変更なければ、一人当たり〇・七八平方メートルになってしまう。
 一人当たり、ちゃんと面積を確保しようとすれば三万人分不足するということになってしまう。これをちゃんとどうするのかということは、今後、今からでも、五者で協議をしていただきたいということは要望しておきたいと思います。
 そして、避難時の水の確保についても、ちょっと確認をしておきたいんですけれども、敷地内に四か所の井戸があります。これは、災害時の避難者の生活用水の水源として活用できるのかどうか確認したいと思います。

○根来公園計画担当部長 現在、練馬区が土地所有者である西武鉄道と協定を締結し、としまえん跡地の四か所の井戸のうち、一か所を防災井戸として使用しております。
 公園整備におきましては、既存の四か所の井戸を存置する予定でございまして、災害時の活用については練馬区と調整してまいります。

○里吉委員 四か所とも井戸は残るということですので、ぜひ活用する方向で調整していただきたいと思います。
 また、としまえんのプールについてですが、これは地下水を活用していたということで、プールの存続そのものも大変強い要望があるんですけれども、災害時の広域防災拠点として、このプールを使えるのではないか、水槽というか、使えるのではないかというご意見もいただいております。
 防火用水とかトイレ排水用としての機能も備えていたのではないかと、これは伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○根来公園計画担当部長 練馬区地域防災計画では、としまえん跡地のプールに関する記載はございません。

○里吉委員 プールについては、防災の用水として使うという計画は、特に練馬区の方ではないということでしたけれども、防災公園として整備するということであれば、水の確保についてもどうするのか検討していただきたいと思いますし、そういう防災の面からも、特に要望の強いプールについても、存続について改めて検討していただきたいということを求めておきます。
 そして、覚書の約束に戻ります。次、水と緑についてです。
 水と緑の遊園地といわれていたとしまえん。豊かな自然と都民の憩いの場、コミュニティの場でもあったと。閉園となっても、これらを残しながら、地元区民はじめ、都民とともに時間をかけて都市公園としての在り方を考えることはできたはずだと思うんですね。
 都市公園は、都市計画法に定める都市施設の一つですから、都市施設は都市で暮らす人たちにとって、健康で文化的な生活を送る上で欠かせないとの認識に立って、公的に整備することを求められています。
 緑や空間は、山に行けば浴びるほどあって、それを楽しんでいる人もいますけれども、その一方で、都市公園の緑や空間、水辺は、そこで暮らす人たちにとって、道路や川と同じく欠かせないものになっていると思います。都市公園を考えるときに、こうした認識が非常に大事だと思います。
 そこで、実際、都も事業者もこういう認識に立っているのか、まず、事業者は、この覚書でどのように水と緑に貢献するといっているのか伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 スタジオツアー施設につきましては、できるだけ多くの樹木を残すとともに、新たな植栽も行うことにより、豊かな緑を継承する計画と聞いております。

○里吉委員 としまえん内には石神井川も流れています。この川の北側がスタジオツアー施設。この川は一級河川ですからなくせないと。
 問題は緑なんですね。北側に多くの樹木があったんですけれども、先日聞きましたら、もうかなり伐採されたと。アジサイや低木もなくなりましたというお話でした。
 一体、もともとあった樹木は何本伐採したのか、北側にあったアジサイや桜、どれぐらい伐採したのか伺います。

○根来公園計画担当部長 民間事業者から、練馬区の条例に基づき提出した伐採届出書では、樹木二十六本、樹林地約一万九千四百九十五平方メートルが対象となっていると聞いております。
 やむを得ず伐採した樹木につきましては、新たに多くの樹木を植栽することにより、としまえんの閉園時と同規模となるよう計画しております。
 としまえん跡地北側のアジサイ植栽地の大部分は残し、石神井川沿いの桜は、樹勢不良等を除き移植すると聞いております。

○里吉委員 川沿いの桜並木、そのまま伐採しなければ、毎年多くの皆さんの目を楽しませてくれた木だったと思うんですね。わざわざ伐採して新しいものを植えるからいいのだということ自体が、今多くの都民の皆さんの理解を得られないと思います。
 シラカシも代替樹木として植える計画になっているようですが、これ、常緑の木で落ち葉もないし、なかなか横に大きくならないということで、管理は楽なんですけれども、四季折々の変化がないという意見も寄せられています。
 そして、この樹木と避難場所の関係についてもちょっと伺いたいんですが、樹木と避難場所を一体として捉えると、樹木の別の役割が浮かび上がってくるということも住民の皆さんから指摘されました。
 これは、としまえんの北、南、西地域は、避難場所安全性検証では想定火災区域となっていると。この地域状況の中で避難場所としての安全性を確保するためには、遮熱性効果、熱を遮断するということで、木が大きな役割を果たしているということなんですね。
 想定火災区域に囲まれながらも、としまえんの大部分が安全領域になっているのはなぜかというと、樹木があるからこそ避難場所だったと。としまえんは六万三千人を受入れ可能とされてきたと。樹木があるからこそ、安全領域が確保されてきたということなんです。
 ですから、樹木伐採計画は、そういう効果が期待できる高い木も切ってしまって、代替で木を植えるからいいじゃないかと、十年、二十年たてば大きくなるよと、そういうものではないということを指摘しておきたいと思います。
 スタジオツアー計画は、そうした避難場所の安全性を担保してきた木々も伐採してしまったと。したがって、水と緑に貢献するとはいえないのではないかというふうに思います。
 協定書と住民参加について伺います。
 東京都は今年七月、西武鉄道と二〇二二年度までの期間で、練馬城址公園事業に関する施行協定書等を取り交わしております。その主な内容は、西武鉄道が解体整備を行うというものです。
 公園整備に当たって、これまでこのような契約形態を取った事例があるのか。なぜ事業者選定に当たって、一般競争入札や特命随意契約などの方法ではなくて、協定書というやり方にしたのか伺いたいと思います。

○根来公園計画担当部長 都が、指定管理者等との協定により、公園施設の整備や改修を行う場合がございます。
 本公園では、遊園地等の特殊な施設や設備の撤去が必要なことや、公園整備と施設撤去がふくそうすることから、安全、円滑かつ早期の公園整備を推進するため、既存施設や現場の状況等に精通した土地所有者と協定を締結いたしました。

○里吉委員 こういうやり方がここだけではないということは伺いましたが、それにしても極めてイレギュラーなやり方だと思うんですね。
 事前に聞き取りを行いましたが、西武鉄道は、建築物の解体、撤去や公園整備に当たって工事事業者を選定すると。その際、入札にかけるようですけれども、その情報は都民には知らされない。議会のチェックも利かないわけです、西武がやるわけですから。
 通常の公園整備では、その土地に工作物があれば、地権者が撤去してから工事に入るわけです。協定を締結することによって、透明性、公平性が担保できるとはとても思えません。
 そこで、伺いますけれども、西武鉄道との協定における契約金額、その積算根拠、お示しください。

○根来公園計画担当部長 練馬城址公園の都市計画事業認可申請書において、協定期間である令和三年度から令和四年度までの築造費は、都の積算基準などを基に、約四十六億円を想定しております。

○里吉委員 四十六億円。この金額は、今年度約二十億円、来年度約二十六億円、これに物件補償約四億円、用地費として百億円、債務負担行為と併せて来年度、概算要求しているというふうにも伺いました。これだけの金額が動くことを考えれば、なおのこと都民に透明性を持ち、説明責任を果たすことを求めておきます。
 十二月三日から五日まで、としまえん正面付近に仮設会場を設けて、オープンハウスが開催されると伺っています。ここでは、陳情者や訪れる方々をはじめ、都民の声をできる限り公園整備に反映させることが信頼を取り戻すことにつながる、そのために誠意を持って住民の声を聞いていただきたいと思います。練馬城址公園計画案は三日に公表されますが、多くの都民が訪れ、意見を出すことが想定されます。その出された意見はどのように集約し、公開されるのか伺います。

○根来公園計画担当部長 オープンハウスにおいて提出された意見につきましては、パブリックコメントと同様に取りまとめて公表してまいります。

○里吉委員 パブコメと同様に取りまとめて公表するということでしたが、練馬城址公園に関心を持つ方々は、これまでと同様な意見集約は求めていないそうです。もっと住民自らが公園づくりに参加しているという実感が持てるような形を求めています。
 東京都は、住民の意向を酌んで、多様な主体とともに公園をつくっていくことを文言に入れました。文字どおり、住民参加での公園づくりを求めておきたいと思います。
 本日は、陳情の審査ということで、これまでの、としまえん閉園から今日に至る経緯を振り返って、住民の皆さんの願意に沿って質疑をさせていただきました。
 としまえんの閉園を惜しむ人々にとって、練馬城址公園が防災機能を備えた公園となることで納得した方々も多いんです。しかし、スタジオツアー計画が水面下で進められ、都民のための公園整備は三十年も先に追いやられました。これは、民有地であることを考えれば、西武鉄道がワーナーや伊藤忠などの事業者と計画したことであり、都や区は口出しはできないものかもしれません。しかし、二〇一七年、一八年当時には、少なくとも公園整備に向けて、職員は青写真を描いて、西武鉄道や練馬区とも話合いを重ねてきたと思うんですね。
 これまでの経緯や、スタジオツアー施設整備と練馬城址公園整備計画をめぐっての動きは、都民からの信頼を失うものとなってしまいました。今後は、その信頼を取り戻すために最大限の努力を惜しまずにしていただきたいと思います。
 覚書締結に至る経緯や、その内容を質疑させていただきましたが、陳情者の願意を酌んで採択を主張し、質問を終わります。

○漢人委員 陳情三第六〇号、練馬城址公園整備計画の見直しに関する陳情について質問をいたします。
 先日、隣接する高層マンションの屋上から現地を確認させていただきました。とてもいい天気の日で、本当にはるか遠くまで山並みも見えたんですけれども、一面の住宅街の中にありまして、敷地の周囲にも高木が数多くあるため地上ではなかなか見ることができないそうですけれども、そのマンションの屋上から一望しまして、このハリー・ポッター施設の巨大さというものを目の当たりにすることができました。
 縦、横がそれぞれ二百メートル近くの巨大なスタジオ施設に加えて、大きな立体駐車場が二つです。石神井川の北側、旧としまえんの中でも最も平たんで広々とした、公園としての利活用が大いに期待されたエリアに、巨大な建築物ができることの異様さというものを実感いたしました。
 なぜ、都立公園ができるはずであった場所にこれだけ巨大な施設が、しかも三十年にわたってできることになってしまったのか。この巨大施設の建設と三十年にわたる営業を了解した都市計画練馬城址公園の整備にかかる覚書、これはどういう経過で、何のために締結されたのか、陳情者の皆さんの疑問は、ある意味でここに尽きるといってもよいようです。
 まず、この覚書についてお伺いします。
 都の都市計画公園・緑地の整備方針は、昨年、二〇二〇年七月に改定されましたが、改定前の同方針では、旧としまえんはその全域が、二〇二〇年度までに事業化すべき優先整備区域に指定されていました。
 東京都は、練馬城址公園について、二〇二〇年度までの事業化を目指し、その期間が迫る中、二〇一六年度には基本計画の作成、そして二〇一七年度には整備計画資料の作成をそれぞれ業務委託し、成果物を取りまとめています。これらの二つの調査委託の趣旨と目的をまずお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 平成二十八年度の委託は、整備計画案を検討するために、基本計画案を取りまとめることを目的として実施いたしました。
 平成二十九年度委託は、平成二十九年五月の東京都公園審議会答申、都立公園の多面的な活用の推進方策についてを踏まえまして、民間活力の導入や防災機能の強化等について検証し、平成二十八年度委託を修正することを目的として実施いたしました。

○漢人委員 西暦で伺っているけど、答弁が元号なので分かりにくいですけど、そこは頭の中で切り替えて進めたいと思います。
 これらの業務委託の成果を踏まえて、都として公園整備計画を正式に取りまとめることになっていたということだと思います。
 では、伺いますが、この基本計画から整備計画資料の作成に至る検討に当たっては、優先整備区域の半分近くにおいて、三十年という長期にわたる開発行為が行われるということを想定していましたか、いませんでしたか。

○根来公園計画担当部長 想定しておりませんでした。

○漢人委員 練馬城址公園は、改定前の都市計画公園・緑地の整備方針では、二〇二〇年度までの事業化、そして事業着手することを目標としていました。その中で、都の所管局内では、基本計画の取りまとめまで進み、整備計画の資料作成まで終えていたわけです。
 そして、この段階までは、公園予定区域のほぼ四割、九ヘクタール以上にわたって三十年間も公園整備が棚上げにされるなんてことは想定していなかったということが今改めて分かりました。これはとても重要な答弁です。
 としまえん全域が優先整備区域に指定されていたのですから、その全域について、定められた期間での事業化を目指すのは、ある意味で当然のことです。ところが、この当然の流れは、都市計画練馬城址公園の整備にかかる覚書によって、事実上ほごにされたことになります。
 この覚書は、二〇二〇年一月、西武鉄道からの事業提案を受けたものではないかと思いますが、その際に示された事業提案の概要をお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 都は、練馬城址公園の事業化に向けて、優先整備区域内における土地所有者及び地元区と情報交換や意見交換を行ってまいりました。
 その過程で、令和二年一月に西武鉄道株式会社から、新たな事業展開を検討していきたいとの意向が伝えられました。

○漢人委員 要するに、都としては、旧としまえん全域を対象に優先整備の目標期間の中で公園としていくことを前提に基本計画などを取りまとめたのに、二〇二〇年の一月、西武鉄道の事業提案を受けて、方針の大転換をすることになりました。
 としまえんの半分近い土地が、優先整備区域であるにもかかわらず三十年もの長期にわたって公園整備の範囲から除外され、西武鉄道はその土地を借地として貸し出し、そこに営利事業であるハリー・ポッターのスタジオ施設ができることになったわけです。
 この覚書がなければ、西武鉄道もスタジオ施設の事業者も、いつ土地収用がかけられるかも分からないという状況に置かれていました。この覚書によって、西武鉄道もハリー・ポッターも、三十年にわたる安定的な事業継続の担保を得たことになるわけです。
 改めてお伺いしますけれども、都市計画公園・緑地の整備方針に基づく優先整備区域に指定された区域内で、都と地権者等との覚書などにより、三十年もの長期にわたる営業が認められた例というものはありますか。箇所や期間や内容などをお示しください。

○根来公園計画担当部長 都が、地元自治体や優先整備区域内の土地所有者等と、都市計画練馬城址公園の整備にかかる覚書と同様の覚書を締結したことはございません。

○漢人委員 同様の事例はないということです。いかにこの覚書が異例な方針転換であったかということが確認できたと思います。
 都市計画公園・緑地の整備方針は昨年七月に改定されましたが、新しい方針でも、旧としまえん全域が十年後、つまり二〇三〇年までに事業化すべき優先整備区域に引き続き指定されています。
 つまり、公園の事業計画としては、旧としまえん全域を練馬城址公園として整備する方針は変わることがなかったということです。それにもかかわらず、その期間をはるかに超える開発行為を都として了解した理由は何でしょうか。

○根来公園計画担当部長 スタジオツアー施設は、段階的な公園整備のプロセスにおいて民間事業者が行う取組でございまして、覚書により、練馬城址公園に求められる機能の実現の一翼を担うことに配慮することとなっております。スタジオツアー施設の運営終了後は、都立公園として整備してまいります。

○漢人委員 公園や道路など、都市計画事業の計画的な進行管理のために優先整備区域を指定していますが、地権者である住民または事業者と覚書を結ぶなどして、これだけ長期にわたって事業化を先送りしたケースはないとのことです。そして、都市計画事業の計画的な進行管理という点でも、極めて異例な覚書であったことになります。
 道路であれ、公園であれ、優先整備区域の具体的な選定の在り方については、その透明性や根拠をめぐって様々な議論があります。ただ、都市計画事業を計画的に進行管理していくために、優先整備区域という手法を採用し、そして、予算措置や事業を開始することとしたのは都自身です。
 練馬城址公園をめぐる唐突な方針転換は、都自ら事業の進行管理のルールを崩すものであり、都の都市計画事業の執行に及ぼす影響も少なくないということを指摘しておきます。
 しかも、その理由が西武鉄道の事業方針です。西武鉄道としては、それは長期にわたる地代収入が入ることや、関連する鉄道事業への効果なども念頭にあったのかもしれません。しかし、特定の事業者利益を特別扱いしたのだとしたら、これは大変遺憾なことだといわざるを得ません。
 この覚書で、公園整備計画は大きな軌道修正を迫られました。その経過の不透明性を問い、軌道修正がもたらした様々なゆがみを問うことが、この陳情の大きな趣旨であります。都議会としても大いに検証の努力を尽くすべきではないでしょうか。
 次に、広域防災拠点としての機能についてお伺いします。
 覚書によって、優先整備区域の四割近くが当面の公園整備区域から外れ、民間の開発行為に委ねられることになったために、練馬城址公園整備の最大の目的であった広域防災拠点としての機能の維持充実に大きな困難が生じているのではないでしょうか。
 旧としまえんは、全区域が避難場所に指定され、近隣の住民六万五千人が大規模火災のときなどに避難することになっていました。しかし、工事が始まり、さらに巨大なスタジオ施設と二つの立体駐車場が完成すれば、この避難場所としての機能はどうなるのか懸念が広がっています。
 この問題に関して、第三回定例会の文書質問で、覚書の締結に当たって、都として旧としまえん区域の避難場所としての取扱い並びに避難有効面積確保の見通しについての具体的な検討、確認は行われたのかと問うたところ、答弁では、地元区及び西武鉄道など関係事業者と連携協力し、避難場所等となる広場と防災施設を確保することとしています、このような答弁がありました。
 ここでいう広場というのは、どこに確保されているのでしょうか。また、防災施設として、何がどこに確保されているのかお伺いします。

○根来公園計画担当部長 本年五月に策定した整備計画では、コンセプトに、まとまった広場空間を確保し、防災機能を早期発現することを定めており、ゾーニング計画の五つある全てのゾーンにおいて、災害時の避難や活動場所となる機能を発現することとしております。
 また、周辺からの避難を円滑に受け入れる出入口や広場、防災照明、防災トイレなどの防災施設を整備してまいります。

○漢人委員 都が避難場所として指定するに当たっては、それぞれの場所ごとに詳細に避難有効面積を算出し、その上で避難可能人口を定める手続を取っています。旧としまえんについて、現時点での避難有効面積を示してください。
 また、人口六万人強の避難場所として指定されたままですが、現時点でこれだけの人数を受け入れる避難有効面積は確保されているのですか。今後、石神井川北側の民間開発エリアに加え、南側エリアの工事が本格化し、閉鎖管理になる中で、避難場所の面積と避難経路をどのように確保していくのか具体的に示してください。

○根来公園計画担当部長 東京都、地元区、関係事業者の間で協議をし、としまえん跡地全体で避難空間を確保いたしますとともに、スタジオツアー施設についても、本公園の基本目標の一つである防災拠点の実現に配慮し、工事中においても避難できる場所や、周辺からの出入口を民間事業者が確保しております。
 あわせて、民間事業者と地元区が連携して、避難者を受け入れる体制が取られております。

○漢人委員 お伺いしたのは、現時点での避難有効面積であり、そして、どれだけの人が受け入れられるのかという避難経路等を伺ったわけですけれども、一体どれだけの避難有効面積が確保できるのかということについてはお答えいただけませんでした。これはお答えいただけない、答えられないということなのでしょうか。
 練馬城址公園整備の最大の目的は防災です。広域防災拠点として整備することは、最優先の課題であったはずです。にもかかわらず、防災機能の基本中の基本である避難場所すら責任を持って確保できていないとしたら、本末転倒も甚だしいです。
 避難場所を適切に指定、整備することは、震災対策条例に基づく条例上の責務です。覚書が引き起こした異例な事態は、この条例上の責務を全うできないという深刻な事態を招いているのではないでしょうか。
 二〇二〇年度の第二回公園審議会で、所管の課長はとしまえんについてこう紹介しています。当公園のある石神井川沿いには、武蔵野の景勝を生かして、実業家の藤田好三郎により、練馬城址豊島園が大正十五年に開設されております。当時、東京市民のための体育の奨励と園芸趣味の普及を図ろうという思いで造られたものであり、営利目的の興行的な遊園地と一線を画すものであったといわれております。
 このように、課長自身が適切に表現しているように、旧としまえんは単なる都市型遊園地ではなく、むしろ地域のレクリエーションや交流、くつろぎの場所として大きな役割を果たしてきたし、だからこそ本当にたくさんの区民、都民がとしまえんを愛し、その閉園を惜しんだんです。
 それでも、防災のためなら、住民の命のためなら、それもやむを得ないことと納得してきたし、また、たとえ閉園になったとしても、としまえんの思い出をつなぐ施設や遊具を一つでも残してもらえればと願う声は、今でも本当に強いようです。
 ところが、そのとしまえんが閉園して代わりに姿を現したのは、先の見えないインバウンド需要に期待した巨大なアミューズメント施設であり、地域のコミュニティ機能や、大切に育まれてきた緑や、そして防災上の役割すら後回しにされてしまっているんです。
 東京都の公園整備、防災基盤の整備、そして透明で公正な事業執行の大原則を危うくする事態を招いたのが覚書であり、その検証と見直しを求める本陳情の趣旨に賛成をいたします。
 以上です。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○曽根委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三第六〇号は不採択と決定いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十九分開議

○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 陳情三第六四号及び陳情三第六六号については、内容に関連がありますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○花井道路建設部長 それでは、お手元の資料2、六ページにございます請願・陳情審査説明表の整理番号5、陳情三第六四号をお開き願います。
 本件は、西武新宿線(井荻駅から西武柳沢駅間)連続立体交差事業構造形式の再検討に関する陳情で、練馬区の新宿線沿線のまちづくりを考える会代表徳下眞敏さん外千六十人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、西武新宿線井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業について、地下方式での再検討を行い、地域とりわけ関係権利者の合意と理解を得られるよう、次のことを実現していただきたい。
 一点目は、高架方式または地下方式の選択に当たっては、連続立体交差事業が沿線のまちづくりにどのように寄与するかという視点から評価と検討を行うこと。
 二点目は、地下方式の工法として、用地買収面積を大幅に減らし、工期の短縮も期待できる複線シールド方式--上下線を一つのトンネルに格納する方式でございます--を採用すること。
 三点目は、住民に立ち退きを強いる上石神井車庫の東側への拡張、延伸を回避するとともに、車庫の整備や跡地開発が公共事業にふさわしいものとなるようにすることとのことでございます。
 現在の状況でございますが、本区間には、補助第二二九号線千川通りなどと交差する二十か所の踏切がございまして、そのうち十二か所が開かずの踏切であるため、慢性的な交通渋滞や地域の分断が生じております。
 また、地元区市からは、連続立体交差事業の早期事業化の要望を受けるとともに、各区市では、駅前広場等のまちづくりに取り組んでおります。
 こうした状況の下、都では、平成二十九年四月、国から着工準備採択を受けた後、構造形式について比較設計協議を行いまして、平成三十一年二月に高架方式による都市計画素案説明会を開催し、都市計画の手続を開始いたしました。令和二年十月に都市計画案及び環境影響評価書案説明会を開催いたしまして、令和三年十月の都市計画審議会において原案どおり議決されたところでございます。
 本区間の鉄道の構造形式につきましては、標準的な工法で検討しておりまして、高架方式につきましては、仮線または直上工法、また、地下方式につきましては、断面が小さく合理的な単線シールド工法としております。その上で、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却する踏切の数などの計画的条件、事業費などの事業的条件により、総合的に判断いたしまして、高架方式を選定しております。
 車庫を立体化する際の配線計画におきましては、安全運行に資する西武鉄道の現在の技術基準に適合した計画とすることや、上石神井駅の位置を大きく変えないこと、既に都市計画決定されている補助第一三二号線及び補助第二二九号線の都市計画の範囲との整合を図る必要がございまして、その結果、車両留置線の線路が現況の車庫の範囲に収まらず、一部民有地にかかる計画となってございます。
 引き続き、地域住民に丁寧な説明を行いますとともに、地元区市や鉄道事業者と連携いたしまして、本区間の連続立体交差事業の早期事業化に向けて取り組んでまいります。
 次に、八ページにございます請願・陳情審査説明表の整理番号6、陳情三第六六号をお開き願います。
 本件は、沿線住民の合意と協力で進める井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業に関する陳情で、練馬区のザ・パークハウス上石神井レジデンス管理組合理事長芦屋幸二郎さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、西武新宿線井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業について、沿線住民の合意と協力を得た関係権利者の満足度が高い解決策を実行するため、次のことを実現していただきたい。
 一点目は、沿線住民の要望を的確に把握し、権利についても十分配慮の上、退去件数及び土地買収面積の最小化を図ること。
 二点目は、連続立体交差事業の構造形式、工法を見直し、地下方式、複線シールド工法--これは上下線を一つのトンネルに格納する工法です--を採用することとのことでございます。
 現在の状況でございますが、本区間には、補助第二二九号線千川通りなどと交差する二十か所の踏切がございまして、そのうち十二か所が開かずの踏切であるため、慢性的な交通渋滞や地域の分断が生じております。
 また、地元区市からは、連続立体交差事業の早期事業化の要望を受けるとともに、各区市では、駅前広場等のまちづくりに取り組んでおります。
 こうした状況の下、都では、平成二十九年四月、国から着工準備採択を受けた後、構造形式について比較設計協議を行いまして、平成三十一年二月に高架方式による都市計画素案説明会を開催し、都市計画の手続を開始いたしました。令和二年十月に都市計画案及び環境影響評価書案説明会を開催いたしまして、令和三年十月に都市計画審議会において原案どおり議決されたところでございます。
 本区間の鉄道の構造形式につきましては、標準的な工法で検討しておりまして、高架方式につきましては、仮線または直上工法、また、地下方式につきましては、断面が小さく合理的な単線シールド工法としております。その上で、鉄道周辺の地形などの地形的条件、除却する踏切の数などの計画的条件、事業費などの事業的条件により、総合的に判断いたしまして、高架方式を選定しております。
 環境への影響につきましては、東京都環境影響評価条例に基づき、東京都環境影響評価技術指針により、騒音や振動、日影などの環境に及ぼす影響の予測、評価を行い、環境保全のための必要な対策につきまして、適切に対応してまいります。
 用地取得に伴う補償につきましては、都市計画事業認可取得後に開催する用地補償説明会において詳細を説明いたしますとともに、東京都の事業の施行に伴う損失補償基準に基づき、適正な補償を行ってまいります。
 引き続き、地域住民に丁寧な説明を行いますとともに、地元区市や鉄道事業者と連携いたしまして、本区間の連続立体交差事業の早期事業化に向けて取り組んでまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○田村委員 都内には、いまだ多くの踏切が残されており、慢性的な交通渋滞が発生するとともに、道路ネットワークの形成を進めていく上で大きな妨げとなっています。
 このような問題を解決するためには、数多くの踏切を一挙に除却する連続立体交差事業の推進が欠かせないと考えます。
 今回の西武新宿線については、杉並区、練馬区、西東京市内の十九か所の踏切を除却し、踏切による道路交通渋滞の解消及び沿線市街地の一体的なまちづくりの推進等を目的に連続立体交差化を行うこととし、先月二十六日の都市計画審議会において審議され、原案どおり、高架方式で議決となったとのことです。
 今回の陳情の趣旨については、構造形式の見直しを求めるものでありますが、何点か質問をさせていただきます。
 まず、今回の連続立体交差事業の都市計画手続に至る経緯について伺います。

○花井道路建設部長 本区間は、平成十六年六月に策定いたしました踏切対策基本方針におきまして、鉄道立体化の検討対象区間となっておりまして、関連する道路整備計画やまちづくりの取組の熟度等を踏まえ、平成二十年三月に事業候補区間として位置づけました。
 その後、都では、鉄道事業者と連携し、鉄道立体化の事業範囲や構造形式などの調査を実施いたしますとともに、外環ノ2やまちづくりについての地元説明会が開催されるなど具体的に動き始めたことから、平成二十九年四月に国から着工準備採択を受けました。
 採択後には、構造形式や施工方法の検討を着実に進め、平成三十一年二月には、高架方式による都市計画素案説明会を開催し、都市計画の手続を開始いたしました。

○田村委員 経緯については分かりました。大都市東京の活動を支える道路網構築を推進するためにも、連続立体交差事業による踏切除却などに取り組む必要があります。
 都市計画や環境影響評価の手続については、法令や条例に基づき適正に進められてきたと認識をしています。先ほども高架方式に選定した理由について説明がありましたが、今回の陳情は、地下方式として再検討してほしいということであります。
 そこで、連続立体交差事業の構造形式はどのように決定するのか、本区間における三条件の具体的な内容を伺います。

○花井道路建設部長 地形的条件につきましては、高架方式、地下方式の両案とも施工が可能であり、大きな差はございません。
 計画的条件につきましては、両案とも十九か所の踏切を除却できますが、地下方式では、東伏見駅西側の市道と交差するアンダーパスが掘り割り区間となりますため、通行ができなくなります。
 事業的条件につきましては、高架方式の事業費は約千七百十億円、事業期間は十五年、地下方式の事業費は約二千四百七十億円、事業期間は十六年となっております。
 これら三つの条件から総合的に判断し、高架方式を選定しております。

○田村委員 客観的な条件により、高架方式を選定したことは理解できました。また、踏切除却数は同じでも、地下方式では通行不可になるアンダーパスが一か所あることも分かりました。
 都内には数多くの踏切があり、それらの除却には新規に連続立体交差事業を行うことが非常に効果的です。今後も、限られた財源を有効に活用しながら、連続立体交差事業を進めていく必要があると考えます。
 中でも、地下方式は、高架方式に比べ事業費が約七百億円高くなっており、事業費の差は大きな要因になるのではないかと考えます。
 そこで、高架方式及び地下方式における事業費の内訳を伺います。

○花井道路建設部長 比較設計協議時点での事業費は、高架方式につきましては、総事業費約千七百十億円のうち、工事費が約千三百三十億円、用地費が約三百八十億円でございます。
 また、地下方式につきましては、総事業費約二千四百七十億円のうち、工事費が約二千二百億円、用地費が約二百七十億円でございます。

○田村委員 今、事業費の内訳について答弁がありましたが、地下方式でも用地費がかかるということは、新たな用地取得が必要となると理解をいたしました。
 冒頭に道路建設部長から説明がありましたが、今回の地下方式では、上下線を別々のトンネルに収容する単線シールド工法として検討しているとのことでした。
 陳情の願意の中では、地下方式、とりわけ上下線を同一のトンネルに収容する複線シールド工法を採用することにより、用地取得の面積が少なくなるのではないかと、そのようなご意見もありました。
 そこで、地下方式の検討に当たり、複線シールド工法ではなく単線シールド工法とした理由について、改めて伺います。

○花井道路建設部長 単線シールド工法は断面が小さく合理的でありますため、支障物との離隔の確保や縦断的に狭い空間を通過する場合に有利です。
 本区間では、石神井川や水道幹線などがございまして、離隔の確保や限られた空間での施工が必要でございます。
 このため、本区間のシールド工法は単線シールド工法で検討しております。

○田村委員 今回の区間については、確かに石神井川と交差する箇所もあり、単線シールド工法の方が有利であるとのことです。
 今までの質疑の中で、高架方式が妥当であることは十分に理解できました。一方で、連続立体交差事業を進めるに当たっては、地域住民、特に用地取得の対象となる方々への影響が大きいことから、引き続き地域住民に対しては丁寧な対応が必要と考えます。
 そこで、連続立体交差事業の今後のスケジュールと、地域住民へどのように説明、対応していくのか伺います。

○花井道路建設部長 近く予定されております都市計画決定後、用地測量等説明会を開催いたしまして、測量に着手いたします。
 その後、測量作業や詳細設計などを進め、令和四年度から令和五年度に都市計画事業認可を取得し、事業に着手する予定でございます。
 事業認可取得後には、用地の取得に向けまして用地補償説明会を開催し、個別に折衝を行います。
 その後も、工事説明会の開催や、電話及び窓口等におけるお問合せにつきましても個別に対応するなど、引き続き地権者をはじめ、地域の方々に対して分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。

○田村委員 引き続き東京都には、これからも地域の方々への丁寧な説明に努めていただき、一日も早い踏切解消に向けて全力で取り組んでいただきたいと思います。
 都市計画審議会でも審議の上、高架方式により議決されているため、本陳情は不採択と考えます。
 以上で質疑を終わります。

○関野委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 スムーズで安全な道路交通を実現していくには、開かずの踏切といった課題を抜本的に解決する連続立体交差事業の推進が重要と考えております。
 西武新宿線井荻駅-西武柳沢駅間についても、この区間に開かずの踏切が十二か所あるということですが、このたび、先月二十六日の都市計画審議会において審議がされ、この区間の連続立体交差化事業計画が議決となったところです。
 さて、連続立体交差事業は、関係する機関が多く、それぞれが何を行っているのか分かりにくいところがあるというふうにも考えております。
 そこで、連続立体交差事業における東京都、地元区市、鉄道事業者、それぞれの役割についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 連続立体交差事業の実施に当たりましては、東京都、地元区市、鉄道事業者が相互に連携いたしまして取組を進めております。
 地元のまちづくりに貢献する側道整備等は地元区市、鉄道工事は、営業線運行の安全確保の観点から鉄道事業者がそれぞれ施行しております。
 都は、事業主体といたしまして、円滑な事業の推進が図られるよう、事業の総括等を行っております。

○関野委員 それぞれの役割があり、相互に連携しながら進めているということでした。
 連続立体交差事業の効果をさらに高めるためには、駅前広場などのまちづくりも併せて取り組むことが重要であります。
 今回の陳情では、連続立体交差事業が沿線のまちづくりにどのように寄与しているのかという観点からの評価と検討を行うべきとの願意もありました。
 そこで、連続立体交差事業において、まちづくりはどのように関係するのか、この点についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 連続立体交差事業は、道路整備の一環として実施しており、数多くの踏切を同時に除却することで、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化や防災性の向上にも資する極めて効果の高い事業でございます。
 一方、沿線のまちづくりにつきましては、道路と鉄道との立体化を一つの契機といたしまして、地元区市において交通環境の改善と機能強化などを基本方針として計画を策定し、取り組んでいくものでございます。

○関野委員 連続立体交差事業は単に交通問題の解消を図るだけでなく、一体的で総合的なまちづくりの推進にも寄与する事業であります。
 また、沿線のまちづくりについては、地元区市が構想し定めているとのことですが、それでは、陳情者の地元でもあります練馬区のまちづくりの取組状況、この点についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 練馬区におきまして、上石神井駅周辺につきましては、地域住民から様々なご意見をいただきながら検討を進め、平成二十年三月に上石神井駅周辺地区まちづくり構想を策定しております。
 その後、平成二十六年十一月には、外環ノ2の都市計画変更に合わせて、交通広場の都市計画が決定され、平成三十年十二月に事業認可を取得しております。
 また、武蔵関駅周辺につきましては、平成二十六年五月に、武蔵関駅周辺地区まちづくり構想を策定し、駅前広場や自転車歩行者専用道の都市計画手続を進めるなど、まちづくりに取り組んでおります。

○関野委員 本線においてのまちづくりは、平成三十一年二月に連続立体交差化計画の都市計画手続に入る前から地元の練馬区が進めているということですね。
 駅前広場やそれに接続する道路などの計画を定め、上石神井駅の交通広場については既に事業化されているということも分かりました。
 また一方、練馬区の上石神井駅東側には車庫があり、今回の連続立体交差事業において、規模を縮小した上で立体化されると計画を聞きました。地域にお住まいの方も、現在の車庫の部分の将来がどのようになるのか気にしている意見もあるようでした。
 そこで、練馬区において、現在車庫として使われている部分の将来像についてどのように考えているのか、この点についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 練馬区において、平成二十年に策定されました上石神井駅周辺地区まちづくり構想は、令和三年六月に改定されておりまして、現在の車庫用地一帯は、鉄道施設・拠点機能創出ゾーンとなっております。
 具体的には、鉄道施設とともに、上石神井駅の拠点性、魅力の向上に寄与する新たな土地利用の誘導を促進していくこととされております。

○関野委員 今、答弁にあった鉄道施設・拠点機能創出ゾーンについては、鉄道施設だけではなく、駅周辺の商業開発となるなら、私としても致し方ないかなというふうにも思いますが、例えば分譲住宅などになるのでは、立ち退きする方としては、気持ちは納得いかないと、こういった話も伺っております。
 私も、駅周辺の商業施設開発なら先ほどいったように納得ができるんですが、住宅になるということであれば、ある意味、立ち退きに遭う方の移転地、こういったものに使うべきであるのかというふうにも考えております。
 そうならないようになってほしいですし、今後もどうなるか、今後の練馬区においてのまちづくり構想、こういったものに基づいて検討していくことだということだというふうには理解をいたしました。
 では、そのまちづくり構想の実現に向けて、練馬区はどのように現在取り組んでいるのか、この点についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 これまで練馬区は、地元町会や商店街振興組合のメンバーで構成されるまちづくり協議会の意見を踏まえましてまちづくり構想を策定し、その実現に取り組んでおります。
 現在、区では、協議会や関係町会等から広く意見を聞きながら、地区計画や用途地域変更など、まちづくりルールの検討を進めているところでございます。
 今後、区がこれらを都市計画として定める段階におきまして、説明会等の機会を捉えてご意見を伺っていくことになります。

○関野委員 ありがとうございます。その検討において、ぜひ練馬区には、地域にお住まいの方々の意見を酌み取って進めていただき、上石神井駅周辺地区が地元の方々の望むような地域拠点にふさわしいまちづくりとなることを期待しております。
 次に、用地取得には、戸建だけではなく、集合住宅も関係することから、今回のマンションの場合、全世帯の半分近くが用地取得の予定にかかっているとのことです。
 このようなマンションに対して、今後どのような対応を取るのか、この点についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 用地取得の範囲につきましては、近く予定されております都市計画の決定後、測量等の実施により、確定してまいります。
 また、用地の取得に伴う補償につきましては、都市計画事業認可取得後に開催いたします用地補償説明会におきまして、補償の内容等を説明いたします。
 用地の取得に当たりましては、東京都の事業の施行に伴う損失補償基準に基づきまして、適正な補償を行っていきます。
 引き続き、電話や窓口等におきましても、個別のご相談に対応するなど、地権者をはじめ、地域の方々に対して分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。

○関野委員 では、今までも用地取得に対して、区分所有のマンションなど集合住宅に対する対応も行ってきたところだというふうに思いますが、一般的に土地に関して、一筆で、全世帯がサインしないといけないというふうにも思われるんですが、こういった場合、どのような対応を取るのか、この点についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 区分所有法第十七条第一項によりますと、共有部分の変更は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決するとされております。
 お尋ねの、話合いによる事業用地の所有権移転におきましては、区分所有者の合意が必要でございます。
 今後とも、用地測量等説明会や用地補償説明会等を開催いたしまして、地権者をはじめ、地域の方々に対して分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。

○関野委員 これまで都市計画や環境影響評価の手続については、法令や条例に基づき適正に進められてきたというふうに認識をいたしました。
 また、都市計画審議会でも審議の上、高架方式により議決されているため、本陳情は不採択と考えております。
 ただ、陳情者としては、先ほどの鉄道施設・拠点機能創出ゾーンについても意見をいわせていただいたように、都が用地取得を行う際の補償についても不安に感じている声をいただいております。
 また、そのほか、先ほどの答弁では、東京都の事業の施行に伴う損失補償基準に基づきとの答弁もありましたので、この点の丁寧な説明を強く要望するとともに、東京都においては、引き続き地元区市や鉄道事業者と連携し、都が主体となり、一刻も早く踏切の解消を図ることで地域住民の声に応えていただきたい、このようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○北口委員 私からも、本件について幾つか質問をさせていただきます。一部重複しますが、改めて質問させていただきます。
 都内には、いまだに千を超える踏切が残されており、交通渋滞や事故の原因となるなど、経済活動や都民の暮らしの支障となるほか、災害時には救急活動の妨げになるおそれもあります。このため、連続立体交差事業を一層推進することが重要だと考えております。
 私の地元葛飾区におきましても、今まさに現在、京成押上線の四ツ木駅から青砥駅間での高架方式による連続立体交差事業が事業中であります。
 今回の西武新宿線におきましても、先月二十六日の都市計画審議会において審議され、高架方式による連続立体交差化計画が議決となったというふうに聞きました。
 今までの質疑の中で、高架方式が妥当であること、十分に理解をさせていただきましたが、さきの事務事業質疑でもお話をさせていただきましたとおり、このような公共工事は地元の方々への丁寧な説明とご理解なくしては進められません。地域住民の皆様に対しては、どこまでも誠意を尽くした対応を望みます。
 それでは、願意に沿って幾つか質問をさせていただきます。
 今回の陳情の中では、高架方式となった場合、お住まいのマンションが側道の敷設により大きな影響を受けるとあります。まずは、高架方式の場合に側道が必要となる理由についてお伺いをさせていただきます。

○花井道路建設部長 本連続立体交差化計画は、東京都環境影響評価条例に基づきまして、騒音、振動、日影など八項目で予測、評価を行っております。
 日影につきましては、東京都環境影響評価技術指針によりまして予測、評価を行っており、日影の影響を可能な限り回避するために側道を設ける必要がございます。
 また、側道は、沿線の良好な住環境の保全や地域交通の円滑化、安全性の向上などにも資する道路でございまして、本計画に合わせて一体的に整備いたします。

○北口委員 側道がない場合は、高架が近過ぎて日当たりの問題などで日常生活に大きく影響があるということが分かりました。また、地域の利便性の向上に寄与することも理解をいたしました。
 次に、上石神井駅付近についてですが、車庫を立体化するに当たり、配線計画の検討の結果、現況の車庫の範囲に収まらないという説明がありました。そもそも上石神井駅の位置を動かすことができれば、車庫の延伸による新たな用地取得がなくなるのではないかという意見もあります。
 そこで、上石神井駅の位置が大きく変えられない理由についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 上石神井駅周辺まちづくりにつきましては、練馬区が地域住民から様々な意見を聞きながら平成二十年三月に策定いたしました上石神井駅周辺地区まちづくり構想におきまして整備の方向性が示されております。
 また、平成二十六年十一月には、外環ノ2の都市計画変更に合わせまして、交通広場の都市計画が決定されました。
 これらを踏まえまして、本連続立体交差化計画におきましては、現在の上石神井駅の位置を大きく変えない計画としております。

○北口委員 確かに、上石神井駅周辺地区のまちづくりが今の駅の位置を前提にした構想であるので、駅位置を大きく変えることは難しいということは分かりました。
 続きまして、陳情の中では、工事中の騒音など環境への影響を懸念しているような意見もありましたが、本事業においては、環境影響評価条例に基づく手続についても併せて行っていると聞いております。
 そこで、工事中の環境保全対策についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 本計画は、東京都環境影響評価条例に基づき予測、評価を行っておりまして、全ての項目で環境基準等の評価の指標を満足しております。
 工事中の環境保全のための措置といたしまして、仮囲いを設置いたしますとともに、低騒音及び低振動の工法並びに建設機械を採用するなど、騒音、振動の低減に努めてまいります。
 また、工事の実施に伴う粉じんの発生につきましては、飛散防止のための清掃や散水、シートの覆い等の措置を行ってまいります。

○北口委員 工事の実施に当たっては、それらの対策を十分に行い、周辺環境に配慮しながら施工していただきたいと思います。
 先ほども側道の必要性については答弁をいただきましたが、一方で、その側道に用地がかかる方も多くいらっしゃいます。今回のマンションについても、用地取得の対象となるとのことであります。
 そこで、最後に、マンションを含めた用地取得の進め方についてお伺いをいたします。

○花井道路建設部長 用地の所得に伴う補償につきましては、都市計画事業認可取得後に開催いたします用地補償説明会におきまして、補償の内容等を説明いたします。
 説明会の開催後には、土地の取得価格や物件の補償額につきまして個別に説明を行った上で、契約のための協議を進めてまいります。
 なお、物件の補償等につきましては、東京都の事業の施行に伴う損失補償基準に基づきまして、適正な補償を行ってまいります。

○北口委員 補償については適正に行うということでございますが、今後も引き続き丁寧な説明や対応が必要と考えます。
 以上の質疑を通じまして、側道の必要性、環境への対応、そして用地取得の進め方等について確認をすることができました。
 高架事業については、事業区間の全体で最適な工法を判断されていると思いますので、一部区間の個別の状況に配慮するのはなかなか難しいことはよく分かります。しかしながら、今回、用地買収の対象となる地域住民の皆様は、今後の生活について大きな不安を感じておられます。
 東京都には、引き続き誠実に、丁寧に地域住民の皆様への説明を行っていただきたいと思います。そしてまた、しっかりとご理解をいただいた上で、本区間の踏切解消に向けて事業を進めてもらうことを望みます。
 以上で私の質問を終わります。

○里吉委員 それでは、私からも、陳情六四号、六六号について質疑を行いたいと思います。
 この陳情は、西武新宿線の連続立体交差事業において、高架方式を複線シールド方式の地下方式へ見直してほしいということを中心に、地域住民の方から出されているものです。
 これまでも様々、環境・建設委員会などでも議論されてきましたけれども、改めて陳情に沿って質疑を行いたいと思います。
 まず、高架方式か地下方式か、この検討に関連して伺いたいと思います。
 この西武新宿線の連続立体交差事業は、中野区の野方までは地下方式で行われていますが、しかし、この部分は高架方式とされました。井荻-柳沢間は約五キロメートル、踏切も十九か所。開かずの踏切を何とかしてほしいというのは、これは地域住民皆さん共通の願いです。
 しかし、東京都のやり方は、高架ありき、地下も含めてどちらが早期に踏切を除去し、誰もが快適なまちをつくるために最大限の努力を働いたとはとてもいえないという状況だと思います。
 その一つが、この比較検討だと思います。論点が幾つかありますけれども、まず最初に、中井駅-野方駅の施工形式の比較検討において、妙正寺川は丸となっていることについて、橋梁の下の部分の基礎工事が支障するが、対策が可能という理由を聞きました。
 一方、井荻駅から西武柳沢駅の石神井川については三角となっている、この理由について、RCボックスに支障はないが、接近するので影響を与える可能性があるということが、以前の議論でありました。
 どちらも支障や影響の可能性があると答えているんですね。ところが、一方は丸、一方は三角、これが昨年の決算でも議論されていましたけれども、明確な答えが出ていないと思います。改めて、なぜ一方が丸で一方が三角なのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。

○花井道路建設部長 西武新宿線井荻駅から西武柳沢駅間の構造形式の比較につきましては、仮線高架方式、直上高架方式、地下方式の三案で比較し、総合評価しております。
 既設構造物への影響につきましては、仮線高架方式では、主要な支障物はないとしていることに対しまして、地下方式では、石神井川のRCボックスに支障しないが、近接しているため影響を与える可能性があるとしております。

○里吉委員 一方は支障するけど対策可能、一方は支障があるから影響を与える可能性ということで、分からないということで質問させていただいたんですけれども、やっぱり分からないんですね。
 これ以上答えられないと思いますので、これ以上聞きませんけれども、本当に検討されているのかなというふうに疑問に思ってしまうわけです。
 これもいろんなところで議論されていますけれども、東京には幾らでも地下鉄が川の下を通っております。石神井川だけ例外ということはあり得ないんじゃないかというふうに思います。これは、そういう指摘だけにしておきたいと思います。
 次に伺いたいのが、地域の環境に影響する騒音や振動の問題についてです。
 工法の比較検討において、地下案と高架案で、騒音、振動は、高架案も地下案も同じ一重の丸という結果になっているんですね。こういう結果が業者から出ている、評価案が出ているんです。地下も地上も同じ一重丸、これはどうしてそうなっているのか理由について伺います。

○花井道路建設部長 比較設計協議時におけます環境性の評価につきましては、環境保全のための措置を適切に講じることで対応が可能かどうかで判断していることから、同一評価としております。
 なお、本連続立体交差事業の事業主体は東京都でございまして、施工形式等につきましては、西武鉄道と締結した協定の中で相互に協力しながら検討を進め、都が評価しております。

○里吉委員 説明が大変分かりにくいんですけれども、高架で線路が走っても、地下で走っても、騒音も振動も環境保全のための措置、つまり何らかの対策を取ることが可能か、対策を取れば基準の中に収まるかということで判断したと。
 そういう比較検討を行った西武鉄道の関係の業者かどこかがやったものを東京都が認めたと、東京都も一緒にそれでいいと認めたということだと思うんですね。
 これ本当に単純な話なんですけれども、同じといっても、やっぱり高架案と地下案では、騒音や振動については明白に差は出ると思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。

○花井道路建設部長 比較設計協議時におけます環境性の評価につきましては、環境保全のための措置を適切に講じることで対応が可能かどうかで判断していることから、同一評価としております。
 なお、本連続立体交差化計画の工事完了後におけます鉄道騒音、振動につきましては、東京都環境影響評価技術指針に基づきまして予測、評価を実施しており、ロングレールの採用や遮音壁の設置などの環境保全のための措置を講じることにより、評価の指標を満足しております。

○里吉委員 評価の基準がどうかということじゃなくて明白な差はあるのですかという単純な質問をしたんですけれども、それに対しての分かりやすい答弁はありませんでした。
 基準の中かどうかということではなくて、それは地下を走っている電車と上を走っている電車の騒音は違うんじゃないですかという単純な話だったんですよね。
 それで、これもこの場などで何回も出てきていると思いますけれども、横浜市の相模鉄道での比較評価は、騒音等について、横浜市は、高架方式は騒音等は生じるが、対応は可能である。一方、地下式は影響はほとんどないとして、騒音については、地下方式が有利というふうにしているんですね。これが至って普通の判断だというふうに思います。
 また、景観についてです。高架の場合と地下の場合、景観も大分違ってくると思います。私の住む世田谷区でも、今、小田急線、全部完了しましたけれども、途中までは高架化で、下北沢駅付近では地下化されています。景観は大分違うのはいうまでもありません。
 そこで景観についてですが、工事の完了時においても、主要な景観の構成要素はほとんど変化しない。また現在、地平を走行している鉄道は工事の完了後に高架化されるが、事業区間周辺の都市的景観要素として融合するものと考えられるというふうに述べられています。これはどういう意味なのか、そして、こういうふうに述べた理由についても伺います。

○花井道路建設部長 景観につきましては、東京都環境影響評価条例に基づきまして、東京都環境影響評価技術指針により適切に予測、評価を行っております。
 予測につきましては、技術指針により、現況の調査結果に計画工作物等を重ね合わせるフォトモンタージュの方法を用いました。
 評価の指標は、東京都景観計画、杉並区景観計画、練馬区景観計画及び西東京市の都市計画マスタープランの方針に基づきまして、事業地周辺の自然、歴史、文化、地域性等に配慮することとしております。
 高架橋及び駅舎の外壁につきましては、周辺環境や地域景観と調和するよう、デザイン、色彩等に配慮することから、評価の指標を満足いたします。

○里吉委員 これも最後のところで述べられましたけれども、何もないところに高架の鉄道ができても、地上を走っているものが上に行くということで、高架橋も駅舎の外壁も周辺環境と調和するからよいということだと思うんですね。
 これも地下になればこのような建造物はないわけで、その両方を比べて、どちらが景観に影響を与えないかということではないわけなんです。
 こうしたことを考えていきますと、例えば複数の計画の環境に与える影響を検討するということも重要ではないかと思います。環境影響評価の中でも、計画段階で複数の環境影響評価を行うとか、そういうことも求められるんじゃないかと思うんです。
 そこで伺いますけれども、環境影響評価について、環境配慮書を作成しない理由について伺います。

○花井道路建設部長 本連続立体交差化計画は、東京都環境影響評価条例に基づきまして予測、評価を実施しております。
 同条例の附則では、本条例による事業者が民間、国もしくは東京都以外の地方公共団体である場合またはこれらの者が複数連携している場合は、計画段階環境影響評価の手続は適用しないとされております。
 本連続立体交差事業は、東京都、地元区市、鉄道事業者が相互に連携して施行することから、本附則に基づきまして、計画段階環境影響評価の適用外となり、環境配慮書は作成しておりません。

○里吉委員 今回の西武新宿線連続立体交差事業は、東京都と西武鉄道の二者が行う事業であるということで、事業段階アセスからの手続となっていると。しかし、環境影響評価条例における計画段階アセスは、日本で初めて導入されたものです。事業者は、できる範囲で複数のアセスを検討し、住民に示すという重要な意義を持つものなんですね。しかも、条文では経過措置になっています。つまり本来は、住民には丁寧に対応するべきであり、二者以上の事業でもやるべきだというふうに思います。やるべきなものなんですよね。今、経過措置であるわけですから。
 さらにいえば、昨年、それから一昨年も住民から陳情も出されています。住民との対話の中で、その求めに応じて自主アセスを行うことも考えられたと思います。
 環境影響評価及び見解書に係る都民の意見を聴く会、ここでは六人の住民の皆さんから、アセスの各項目に対する厳しい意見が寄せられました。こうした状況の下では、より丁寧に対応するのは当然であり、事業段階アセスをやったからよいという安易な考えでは済まされないと思います。
 ぜひそこに住み続けてきた人たちの立場に立って、自主アセスぐらいやるべきだということを申し上げたいと思います。
 次に、車両基地についてです。
 この上石神井駅の車両基地について、これまでも議論がありましたけれども、車両基地が東に延伸するということで影響を受ける住居、何棟あるか伺います。

○花井道路建設部長 本連続立体交差化計画の車庫の位置につきましては、車庫を縮小することを前提といたしまして、既に決定されている補助第一三二号線、補助第二二九号線の都市計画の範囲と整合を図ることのほか、安全運行に資する現在の西武鉄道の技術基準に適合した計画としておりまして、一部、民有地にかかることとなります。
 事業に必要となる用地の範囲につきましては、近く予定されております都市計画決定後、測量等の実施により、確定してまいります。

○里吉委員 おおよそでもどれくらいの方が影響を受けるのか伺いたかったのですけれども、お答えはありませんでした。
 私たちは、この計画が明らかになった時点では、影響を受ける方は、その時点で十二世帯いらっしゃることを確認しております。
 こちらにお住まいの方たちは、西武鉄道が独自の基準を設けて、車両が基地に入る際の路線の角度を変更するということに伴って、基地は小さくなるんだけれども、影響を受ける、立ち退きの対象になるという方なんですね。
 しかし、西武鉄道はその基準を公表していない。どういう基準で、どの角度になると安全で、だからここまで必要なんだという納得いく説明がされていないんです。住民が納得するわけはないと思います。
 しかも、車両基地が延伸することで、敷地が一部空くということで先ほども議論になりました。改めて私からも、ここを何に使う予定なのか伺いたいと思います。

○花井道路建設部長 お尋ねの土地につきましては、練馬区におきまして平成二十年に策定されました上石神井駅周辺地区まちづくり構想は、令和三年六月に改定されておりまして、現在の車庫用地一帯は、鉄道施設・拠点機能創出ゾーンとなっております。
 具体的には、鉄道施設とともに、上石神井駅の拠点性、魅力の向上に寄与する新たな土地利用の誘導を促進していくこととされております。

○里吉委員 何かに使える土地が出てくるということで、余りにも虫のいい話ではないかというふうに思います。
 仮に高架にしたとしても、事業者が自分の土地を使って安全化を図れば、この地域の方たちは立ち退く必要はないわけです。
 ところが、今回は、人の土地を利用して基地の形状を変える、しかも税金投入で、そして空いた事業者の土地は、そこから利益を生み出す、スーパーが入るんじゃないかと地域ではいわれているようですが、そういうことになる可能性もあるということなんですね。
 だったら、駅を西に移動させることで、車両基地の延伸は必要なくなるんじゃないか、地下化にすることで、住民に影響なく、上部についても公共利用が可能となるのではないか、地域ではこのようにいわれております。改めてこの点について答弁を求めます。

○花井道路建設部長 上石神井駅周辺のまちづくりにつきましては、練馬区が地域住民から様々な意見を聞きながら、平成二十年三月に策定いたしました上石神井駅周辺地区まちづくり構想におきまして、整備の方向が示されております。
 また、平成二十六年十一月には、外環ノ2の都市計画変更に合わせまして、交通広場の都市計画が決定されました。
 これらを踏まえまして、本連続立体交差化計画におきましては、現在の上石神井駅の位置を大きく変えない計画としております。
 なお、本区間の構造形式につきましては、地形的条件、計画的条件、事業的条件、これらの三つの条件を総合的に判断し、高架方式を選定しております。

○里吉委員 答弁の中で、様々なご意見を受けてとありました。そうなんです、本当にいろんな意見があるんですね。
 はっきり申し上げておきますけれども、この上石神井まちづくり構想、中心は再開発と道路なんです。住民からは様々、それこそ異論がたくさん出ています。それは外環ノ2についても同じです。駅の位置を大きく変えないのは、東京都と事業者が自分勝手に決めたことではないかというふうに思います。
 さらに、今回の計画は、この陳情にも出ておりますけれども、沿線に住んでいる方々の日常生活、人々の暮らしに本当に深刻な影響を及ぼします。
 陳情が出ておりますザ・パークハウス上石神井レジデンスです。このマンション、ロの字型に建っております。高架化されることによる影響は甚大です。南側の一つと、それからロの字型の片方の、少しだけ切られるんですよね。そういう計画になっています。
 対象となる住宅の立ち退きだけの話では済まない、そういう様々な問題がこのマンションでは起きていると思いますが、東京都の認識を伺いたいと思います。

○花井道路建設部長 用地取得の範囲につきましては、近く予定されております都市計画の決定後、測量等の実施により、確定してまいります。
 また、用地の取得に伴う補償につきましては、都市計画事業認可取得後に開催いたします用地補償説明会におきまして、補償の内容等をご説明いたします。
 用地の取得に当たりましては、東京都の事業の施行に伴う損失補償基準に基づきまして、適正な補償を行ってまいります。
 引き続き、電話や窓口等におきましても、個別のご相談に対応するなど、地権者をはじめ、地域の方々に対して分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。

○里吉委員 丁寧な説明に努めるということなんですけれども、ここは分譲マンションですよね。ディベロッパーが土地を取得したのが二〇一三年、竣工は二〇一五年一月、二〇一五年の三月から一年かけて二〇一六年に完売というふうに伺っています。まだ五年です。本当に新築なんですよね。
 マンション住民の皆さんは、連続立体交差事業が高架化で進んだ場合、一体どの部分まで撤去の対象になるのか。それから残った住民で、今までと同じだけの共用部分の維持管理の負担ができるのか。これは高級マンションというか、最近多いと思うんですけれども、地下にすごくすてきな共有のホテルのラウンジみたいなものもございました。
 それから、三段式の地下に入っていく駐車場もあって、半分住民がいなくなったら、これを全部維持するのかとか、維持管理のお金も相当かかっている。中庭もございまして、ここもどうするのか。そういう一つ一つのことで本当に悩んでいらっしゃいました。
 西棟については、全部壊すのか、一部だけカットするのかなどなど分からないことだらけです。
 住民が直接説明を求めていますが、東京都からは出向いていただいていないという話を聞きました。直接、説明責任を果たしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○花井道路建設部長 本計画につきましては、これまでも都市計画素案説明会や、都市計画案及び環境影響評価書案説明会におきまして、スライドやパンフレット等を用いて説明を行い、地域の方々のご質問やご意見を伺いますとともに、説明会後も個別に対応を行ってまいりました。
 今後も、用地測量等説明会や用地補償説明会、工事説明会等を開催いたしまして、地権者をはじめ、地域の方々に分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。

○里吉委員 今後も様々な説明会の機会があるとのご説明でしたけれども、それとは別に車庫の延伸で影響を受けている地域の町会の皆さんは、様々な疑問に答えていただくような会を開いてもらったというふうにお伺いしました。
 このマンションの住民の皆さんも、みんなで話を聞きたいということがたくさんあるというふうにおっしゃっていました。もし直接質問したいことがあるんだということのご要望があれば、マンションの住民の皆さんにも答えていただけると思うんですけれども、確認したいと思います。いかがでしょうか。

○花井道路建設部長 引き続き、電話や窓口等におきましても、個別のご相談に対応するなど、地権者をはじめ、地域の方々に対して分かりやすく丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

○里吉委員 電話や窓口だけじゃなくて、残る方も、それから出ていく方はそれぞれ違うかもしれませんけれども、北棟に住んでいる方々は、残った場合の負担について一緒に考えを聞きたいというふうにおっしゃっているんですね。
 はっきりいって、私は、この計画は本当に十年、二十年動かないんじゃないかと心配しているんです。これだけ反対している方というか、どうしていいか分からない方々がいらっしゃるんですから。
 ですから、そういう意味では、少なくともそういう皆さんにご協力していただくということであれば、個別に電話でということではなくて、住民の皆さんがですよ、マンションにお住まいの皆さんが、皆さんでお話を聞きたいといわれたときには、やはり東京都としてその要望には応える、それぐらいのことはぜひしていただきたいと思います。
 これで最後にいたしますけれども、今回の陳情とは別の地域からも、住んでいる方々から私、要望を伺ってきました。
 武蔵関を考える会の皆さんからは、これから石神井川が拡幅されるんだそうです。二十メートルになると。そして川沿いに高架鉄道橋ができると。家と家の間が五十メートルぐらいの距離が開いて、そこに高架鉄道橋ができるということで、これまでの自分たちのまちが分断されてしまうと。やっぱり地下にしてほしいという要望を繰り返し述べられました。
 どこへ行ってもこういうことで、何とか、皆さん、開かずの踏切解消は本当に願っているんですよ。しかし、このやり方では納得できないという声がどこでも聞かれました。
 井荻-西武柳沢間の五キロメートルで影響を受ける住宅は二百三十棟です。この間、繰り返し指摘してまいりましたけれども、これでは早期の踏切除去は無理ではないか、計画期間内には完成しないのではないか、なぜこのような無謀な計画になるのか。
 それは、東京都が責任を持って、住民とともに考え、より早く、より環境に配慮された、誰もが納得のいく検討をしてこなかった。西武鉄道に協議書というか、協定書という形で丸投げしてきたからではないかと考えます。
 人の財産、暮らしを何だと思っているのか。住民の皆さんは、ライフサイクルに合わせて、人生設計をそれぞれ立てています。それを壊してまで、これは強引に進める計画なのでしょうか。それで本当に進めることができるんでしょうか。ぜひこれはやり直すべきだというふうに考えます。
 よって、陳情六四号、六六号は、ともに採択を主張し、質疑を終わります。

○漢人委員 陳情三第六四号の西武新宿線(井荻駅から西武柳沢駅間)連続立体交差事業構造形式の再検討に関する陳情、そして、陳情三第六六号、沿線住民の合意と協力で進める井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業に関する陳情についての質問をいたします。
 今回陳情が出されている路線など、都市部での鉄道の連続立体交差事業は、既にある市街地に新たに都市計画をかけるものです。その点で、半世紀以上も前に都市計画決定がなされ、その後に宅地開発等が進んできた道路事業とは大きく条件が異なります。
 新たに都市計画をかけるということは、憲法上の財産権を制約する大変重い行為であり、それが真に公共の福祉のために避けることができない正当なものであることを関係権利者等に説明し、理解をいただく大きな責任を決定権者は負っているということです。
 西武新宿線井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業は、都市計画審議会での審議が終わり、都知事による都市計画決定を間近に控えた段階に来ていますが、今なお多くの方々が、突然立ち退きや建て替え等を迫られる事態に当惑し、不安を募らせています。
 連立事業における都市計画決定の核心は、高架方式を取るのか、地下方式とするのかをはじめとした構造形式の選定です。今回の二つの陳情も、この構造形式の選定に立ち返り、地下方式の再検討を求めたいと思います。
 この連立事業の構造形式については、都は、地形的条件、計画的条件、事業的条件から総合的に高架方式と地下方式を比較検討した。その結果、主に事業的条件の違いから高架方式を選定したと主張しています。
 しかし、地下方式とはいっても、具体的な工法等によって、特に事業的条件が大きく異なってくるのではないでしょうか。
 陳情は、複線シールド工法での地下方式の検討を求めています。複線シールド工法を取れば、施工範囲の大半が鉄道の現在の区域内に収まると考えられ、駅の部分などを除けば、用地買収は事実上不要となることも期待されます。
 連立事業において、用地買収にかかるコストと時間が極めて大きいことは、経験的にも明らかです。この用地買収の範囲を縮小させることは、そのまま工期の大幅な短縮につながる可能性があります。
 地元の自治体、住民、議会の一致した願いは、連立事業の早期完成であり、この点でも工期の短縮は、事業的条件の比較検討に当たっての最重要の関心事でなければなりません。
 もともと都は、構造形式の比較検討に当たって、地下方式については単線シールド工法を前提にしています。なぜ複線シールド工法を採用しなかったのか。少なくとも単線シールド工法と併せ、複線シールド工法についても検討の俎上にのせるべきではなかったのか、陳情者のこうした疑問を私も共有するところです。
 まず、この点からお伺いしたいと思います。都は、構造形式の比較検討を行うに当たって、高架方式については直上方式と仮線方式の二つを取り上げて比較検討を行っているのに、地下方式では、あらかじめ単線方式に限定して検討しています。なぜ、高架方式の検討と同様に、地下方式でも単線シールド工法だけではなく、複線シールド工法も併せて検討の俎上にのせなかったのですか。お伺いします。

○花井道路建設部長 本区間における鉄道の構造形式につきましては、標準的な工法で比較検討し、総合的に判断して選定しております。
 地下方式における単線シールドは、断面が小さく合理的であるため、支障物との離隔の確保や縦断的に狭い空間を通過する場合に有利でございます。
 本区間では、石神井川や水道幹線などがございまして、離隔の確保や限られた空間での施工が必要であるため、単線シールド工法で検討を行っております。

○漢人委員 繰り返し重ねられている答弁なんですけれども、単線シールド方式が標準的な工法であるとの答弁です。
 標準的とはどういう意味でしょうか。また、単線シールド工法を標準的とみなした評価の根拠をお伺いいたします。

○花井道路建設部長 単線シールドは、上下二線を別々のトンネル内に設置するのに対しまして、複線シールドは、上下線を同一のトンネル内に設置するため、断面積が大きくなります。
 複線シールドは、一般的に単線シールドと比べましてトンネルの位置が深くなり、駅部の工事費が増加いたします。このため、地下方式の工法につきましては、単線シールド工法で検討しております。

○漢人委員 もちろん複線シールド工法には、それはそれとしての課題があるということは当然です。でも一方で、長所やメリットもあるわけです。だからこそ、都内でも都営三田線、大江戸線、東京メトロの有楽町線など、また、千代田線などでも古くから複線シールド工法を用いた鉄道建設が行われてきたわけです。
 事業の条件や評価の視点によって、単線か複線か、それぞれの長所、短所は異なってきます。単線シールドが標準的だからとして、初めから複線シールド工法を検討の対象から外したのは、明らかにこれは不適切な対応であったと指摘せざるを得ません。
 地域の皆さん、沿線の皆さんへの影響を少しでも抑えていく、あるいは用地買収費や事業期間を抑えていくというメリットが容易に予想されるわけですから、それにもかかわらず、複線シールド工法をそもそも比較検討の対象から外してしまったわけです。
 これは、構造形式の比較検討という点で公正さを欠くだけでなく、憲法上の財産権を制約する新たな都市計画決定を行うに当たっての適切な配慮と手続を著しく損なうものといわざるを得ません。
 高架方式を採用するのか、地下方式を採用するのかで決定的に条件が変わってくる権利者のお一人が、今回の陳情六六号の陳情者である上石神井レジデンス管理組合です。
 同管理組合では、一昨年、定款に基づいて地下化を求める総会決議を上げ、その後も、居住者内での意見交換や情報共有に大変なご苦労をされてきたと伺っています。
 先日、この当該のマンションをお尋ねいたしまして、管理組合内に設けられた検討委員会の方のお話も伺ってきました。マンション南側が、細い通路上の空地を挟んで新宿線と隣接しており、もし高架方式で事業が進められれば、線路の北側に側道を確保するために、マンションの建物の除却、つまり取壊し、撤去等が必要になると思われます。
 陳情者は、この陳情の中でいわれています南側の共有地売却の場合、任意の売買契約で区分所有者全員の賛成が必要で、合意は困難である、十年経過しても解決に至るか未知数である、このように述べております。これに対する都の認識をお伺いします。

○花井道路建設部長 連続立体交差事業は、道路整備の一環として実施しており、数多くの踏切を同時に除却することで、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化や防災性の向上に資する極めて効果の高い事業でございます。
 一方で、本連続立体交差化計画では用地取得が必要となりますことから、用地取得に伴う補償につきましては、都市計画事業認可取得後に開催いたします用地補償説明会で詳細を説明いたします。
 説明会の開催後には、土地の取得価格や物件の補償額につきまして個別にご説明を行った上で、契約のための協議を進めてまいります。
 引き続き、地域住民に丁寧な説明を行うとともに、地元区市や鉄道事業者と連携して、早期事業化に向けて取り組んでまいります。

○漢人委員 この事業の意義も、また、一般の用地補償に向けた事業の流れも十分に承知をしています。この事業に関しては、進めたいと、その重要性についてはみんな認めているわけです。
 しかし、その上で、どんなに小さな地権者であっても、その大切な財産を手放すのに当たってのご苦労というのは、大小つけ難いものであると思います。
 しかし、それでもなお、陳情者がお住まいのマンションの本事業における重要性、裏返していえば困難性というものは半端なものではないという認識を私は持っております。これは、多くの方が持っているのではないでしょうか。
 連立事業の中で、最初は仮線が設置され、最終的には側道の用地となる線路沿いに、空地状の敷地があります。この敷地は、マンション居住者全員の区分所有ということです。
 一般的に都が、区分所有マンションの空地である共有部分を取得する場合、区分所有者全員の合意並びに総会の議決が必要ということでよろしいでしょうか。

○花井道路建設部長 区分所有法第十七条第一項によりますと、共有部分の変更は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決するとされております。
 お尋ねの場合、話合いによる事業用地の所有権移転におきましては、区分所有者の合意が必要でございます。
 今後とも、用地測量等説明会や用地補償説明会等を開催いたしまして、地権者をはじめ、地域の方々に対して分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。

○漢人委員 区分所有者全員の合意と、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による総会の議決が必要だということを確認いたしました。この合意形成には、相当な困難が伴います。
 私自身も区分所有マンションに住んでおります。そういった苦労については、想像するにも本当に心が痛むほどのものだと思っております。
 管理組合としてのこの困難な合意形成に向けて、都として具体的にどのように対応していくのか、お伺いしたいと思います。

○花井道路建設部長 用地取得に伴う補償につきましては、都市計画事業認可取得後に開催いたします用地補償説明会において詳細をご説明いたします。
 説明会の開催後には、土地の取得価格や物件の補償額につきまして、個別にご説明を行った上で、契約のための協議を進めてまいります。
 引き続き、地域住民に丁寧な説明を行いますとともに、地元区市や鉄道事業者と連携して、早期事業化に向けて取り組んでまいります。

○漢人委員 これも何度も今日繰り返された答弁なんですけれども、都の対応というのは、これまでの確認でも、この都市計画事業認可取得後ではなくて、現時点も含む事業認可に至る以前においても、管理組合が直面する様々な疑問や困難に誠実に寄り添った対応を行う必要があると考えています。それも行うという答弁を繰り返されているんですけれども、しかし、なかなかこれが届かない。本当に皆さんに寄り添う形での取組ができるのかどうか、その辺のご決意を伺いたいと思います。

○花井道路建設部長 本計画につきましては、これまでも都市計画素案説明会や、都市計画案及び環境影響評価書案説明会におきまして、スライドやパンフレット等を用いて説明を行い、地域の方々のご質問やご意見をお伺いするとともに、説明会後も個別に対応を行ってまいりました。
 引き続き、電話や窓口等におきましても、個別のご相談に対応するほか、今後、用地測量等説明会を開催するなど、地権者をはじめ、地域の方々に対して分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。

○漢人委員 同じ答弁が繰り返されているわけです。管理組合の皆さんは、本当に突然に都市計画区域に組み入れられ、極めて困難な合意形成作業の負担と責任に直面しようとしています。そのような状況を受け止めて、本当にその心情に寄り添うような対応を強く希望します。
 なかなか言葉だけでは届かない、行動として示していただくことを強く求めたいというふうに思います。
 そして、この当該マンションは、実質的には六棟から構成されているものです。都市計画の具体的な範囲はどのようになるのか、どこに支障が出るのかということを見込まれているかお伺いしたいと思います。

○花井道路建設部長 事業に必要となる用地の範囲につきましては、近く予定されております都市計画決定後、測量等の実施により、確定してまいります。

○漢人委員 これも繰り返しですが、まだ分からないと。分からないといわれても、実際に都市計画図を見れば、少なくともマンション南側の棟に支障がある、ここが対象になるということは間違いないわけです。さらに、西側の棟についても一定かかるだろうということは、これは明らかです。
 そして、それだけではありません。共有部分だけではなく、建物部分の管理施設や管理経費など、全居住者が共有する権利は、多岐にわたるものとなっております。
 区分所有の土地などの所有権の移転には、四分の三以上の賛成による総会での議決と、関係する全ての所有者の合意が必要ということはもう何度も確認をしてきましたけれども、区分所有者の土地や建物、権利関係が複雑に絡み合っている分譲マンションでは、この合意形成が極めて困難であることは容易に想像できます。十年経過しても解決に至るか分からないというこの陳情者の思いは、これは決して誇張でも何でもありません。
 マンションで都市計画がかかってくるエリアは、最終的には側道となるエリアです。同時に、この部分の用地の取得は、本線の事業の前提条件でもあるわけです。
 この線路沿いの敷地の取得がなければ、仮線での運行は不可能であると理解してよいでしょうか。

○花井道路建設部長 事業に必要となる用地の範囲につきましては、近く予定されております都市計画決定後、測量等の実施により、確定してまいります。
 その後、仮線に必要な範囲、設計や施工など詳細について検討してまいります。

○漢人委員 これもまだ分からないという答弁です。分からないわけないと思うんですけれども、線路の北側、陳情者のマンション南側の用地買収は、将来の側道となるということ以上に、仮線の設置エリアを確保するためにも不可欠です。そして、この用地買収が進まなければ、事業全体が暗礁に乗り上げかねません。
 仮線が一か所でも目詰まりしてしまえば、新たな高架線の建設に入ることはできないのであり、線路北側の買収が遅れれば、それは直ちに工期の延長に直結します。
 もし、このマンションの土地等の補償の合意形成が十年かかっても終わらない事態になったら、連立事業のフレーム自体が抜本的に崩れてしまうことになります。
 構造形式の選定に当たって、都は、工期の見積りも示しています。それによると、高架方式が十五年に対し、地下方式は十六年と、高架方式の方がより早く事業が終了することになっています。もしこのとおりであるとすれば、事業費が少ない上に工期も短いということで、高架方式の優位性は大変大きなものとなります。
 しかし、この工期には大いに疑問があります。この工期の見通しを立てるに当たって、都は、用地買収にかかる期間を五年と見立てています。一方で、高架方式の場合は、取得すべき用地の面積は地下方式の四倍近くにもなるにもかかわらず、取得期間が地下方式より僅か一年長いだけというのは、何ともこれは想像し難い、信じ難い想定です。
 第三回定例会の文書質問において、この五年という用地買収期間の根拠についてお尋ねしたところ、このような答弁でした。実績を踏まえつつ、一定の想定の下、取得件数を基に試算したということなんですね。
 試算の際に前提とされた実績とは、具体的にどの事業のどの実績のことでしょうか。一定の想定とは何でしょうか。取得件数は何件と想定されているのかお伺いします。

○花井道路建設部長 本連続立体交差化計画の用地取得の期間につきましては、西武鉄道池袋線の連続立体交差事業の用地取得実績を参考にしつつ、用地取得に関わる人員等を想定し、試算してございます。
 また、取得件数は、連続立体交差事業調査時点で約二百四十件と試算しております。

○漢人委員 この比較対象とされた西武鉄道池袋線の連続立体事業、練馬高野台駅から大泉学園駅では六十八件、三千八百平米の用地取得に四、五年を要しています。単純計算で面積にして十倍です。そして件数で四倍近くになる本区間の用地取得をほぼ同期間で終えられるとはとても信じられません。
 構造形式の検討に当たっての工期の設定は、恣意的なものであるといわざるを得ません。加えて、上石神井レジデンスにおける土地取得の困難性を加味して考えれば、高架方式の工期が大幅に延びるおそれがあります。
 この点で、地下方式、とりわけ複線シールド工法による地下方式は、用地取得の負担を大幅に減らすという点で大きなメリットを持っていることを重ねて指摘しておきます。
 当該マンションの用地取得にかかる困難は大変大きいと繰り返し申し上げます。地下方式に転じ、このマンションや、さらには何百件という用地取得の時間を縮減することは、一刻も早い連立事業の実現のためにも、ぜひとも検討するべきことではないでしょうか。
 最後に、陳情六四号で対応が求められている上石神井車庫の拡張について見解を表明したいと思います。
 横浜市は、相鉄線での連立事業での構造形式の比較検討に当たって、まちづくりという評価項目を入れています。連立事業は、踏切解消という直接的な課題を解決するための道路事業として進められてきましたが、これからはまさに地域のまちづくり、環境や景観の改善などと一体となった事業として評価をされるべきです。
 鉄道本線が高架構造になった場合、車庫部も全体が高架となります。現在の車庫に比べて半分以下に縮小されるとはいえ、車庫部の面積は一ヘクタール近くになります。
 先日、やはり車庫東側にお住まいの陳情者のお宅の屋上に上がらせていただき、車庫から上石神井駅までを一望の下に確認をしてきました。
 連立事業の中で車庫全体の面積は縮小されるとはいえ、それでも高さ十二から十四メートル、幅が最大で五十メートルにもなる巨大な鉄とコンクリートの構造物が姿を現すことになるわけです。まさにその現場でそのような光景を想像し、異様さを実感いたしました。
 上石神井駅周辺には、本当に空地が少ないそうです。防災を考えても、また、緑やコミュニティの機能を考えても、もし駅至近のこの車庫が地下に入り、その地上が活用できるようになれば、どれほどまちづくりに大きく貢献するか、容易に想像することができます。
 また、車庫の東側の戸建て住宅の中には、最近建てられたばかりの若い世代のお宅も何軒もあります。突然、都市計画をかけられることになり、つまりは立ち退きを余儀なくされることになった皆さんの当惑と不安はどれほどのものかと思います。
 地下方式を採用することで、駅を西に移動し、鉄道敷地の東側への拡張を回避することが真剣に検討されなかったことは大変残念です。
 冒頭に述べましたけれども、新たに都市計画をかけるということは、憲法上の財産権を制約する大変重い行為です。それが真に公共の福祉のために避けることができない正当なものであり、かつ財産権の制約をできる限り少なくするための最大限の努力が払われることが欠かせません。
 まちづくりと住民合意を重視した見直しと、そして関係者の皆さんの心情に、実情に寄り添う誠実な対応を強く求めて、質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 初めに、陳情三第六四号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○曽根委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三第六四号は不採択と決定いたしました。
 次に、陳情三第六六号を採決いたします。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○曽根委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三第六六号は不採択と決定いたしました。

○曽根委員長 次に、陳情三第七一号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○花井道路建設部長 それでは、お手元の資料2、九ページにございます請願・陳情審査説明表の整理番号7、陳情三第七一号をお開き願います。
 本件は、富士見橋の建設工事に関する陳情で、大田区の東邦医大通りの環境を考える地域住民の会代表小松明治さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、東邦医大通り、補助第二七号線の富士見橋の建設工事を進めていただきたいとのことでございます。
 現在の状況でございますが、陳情箇所の富士見橋を含む補助第二七号線は、品川区東大井五丁目を起点とし、大田区蒲田四丁目を終点とする延長五・五キロメートルの都市計画道路でございます。
 本路線は、交通の円滑化に寄与するとともに、延焼遮断帯や避難路としての役割を持つなど、防災性の向上を図る上で極めて重要な道路でございます。
 富士見橋を含む大田区大森西二丁目から同区大森西四丁目までの四百四十メートル区間は平成二十年五月に事業着手しており、停車帯のある二車線十一メートルの車道と、その両側に植樹帯のある無電柱化した四・五メートルの自転車歩行者道を設置し、車や人が安全かつ円滑に通行できる景観に配慮した道路として整備するとともに、内川に架かる富士見橋の架け替えを行うものでございます。
 現在、約九六%の用地を取得しており、工事は、一部区間で排水管や電線共同溝などを整備いたしました。富士見橋の架け替えにつきましては、仮橋を設置し交通を切り回しておりますが、新設の橋台や桁製作、架設工事などが、入札不調により契約に至っておりません。
 引き続き、再発注に向け準備を進めるとともに、地元の協力を得ながら、早期完成を目指し本路線の整備を推進してまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○鈴木委員 それでは、よろしくお願いします。今回の陳情にある富士見橋の架け替えを含む補助第二七号線は、道路交通の円滑化に寄与するとともに、防災性の向上を図る上で極めて重要な都市計画道路であると認識しております。
 このうち環七通りから多摩堤通りまでの約一・八キロメートルの区間は、バス路線でもあり、現道幅員が八メートル程度と狭いことから、交通渋滞が頻繁に起きている。そして、歩道幅員は一メートル未満であったため、交通安全上からも整備が急がれていたと私も認識しております。
 こういったことから、かねてより我が会派も本路線の整備促進を強く求めてきておりまして、これまでに、今回の陳情区間を除く約一・四キロメートルは、拡幅整備は完了しているということも理解しております。
 今、説明もありましたが、今回の陳情区間については、用地取得は九六%、あと数件というところまで来ており、既に電線共同溝や排水管設置工事を行うなど、完成に向けて事業が進められてきていると思います。
 しかし、富士見橋の架け替えについては、令和元年度に仮橋の設置と既設の橋の撤去工事が完了し、現在の通行形態になっておりますが、その後は入札不調により工事が進められず、東京都の方も苦慮していると伺っております。
 ご苦労も多いと思いますが、工事の契約に向け引き続き努力していただくとともに、富士見橋の架け替え工事だけではなく、四百四十メートルの事業区間全体について、事業に関する広報や、そして工事中の歩行者、自転車通行の安全対策もしっかりと行っていただきながら、地元の皆様が安全で安心して利用できる道路の一日も早い完成を要望して、意見表明といたします。よろしくお願いいたします。

○原委員 富士見橋の建設工事に関する陳情三の第七一号について意見を述べさせていただきます。
 陳情代表者の小松さんにお話を伺いました。道路の拡幅工事に伴い、富士見橋の撤去が二〇一九年に行われたときには、順々に工事が進んで、間もなく新しい橋が架かると思っていたのが、それから二年たっても三年たっても橋が撤去されたまま、地域住民への説明もない、二十メートルほどの迂回道を通る状態が続いている、一体いつになったら橋ができて整備が完了するのか、このようなお訴えでした。
 説明ですと、地域住民への説明会、一体いつ開かれたのかと担当部署にお聞きしたところ、橋を撤去する前の二〇一八年八月ということでした。三年前に遡るわけです。
 小松さんは、工事の請負先が決まっていないことなど、進捗状況についてほとんど知る機会がありませんでした。工事が止まったまま放置されているように見えるようでした。
 橋の工事を含め、こうした工事は年数がかかるものと思いますけれども、地元住民にとっては、早く整備が終わってほしい、ましてや日常使っていた橋がなくなってしまったわけですから、早く戻してほしいと思っているわけです。ですから、工事の進捗状況を定期的にお知らせする機会や広報が必要だと思います。
 また、工事による騒音など、何かクレームなどの問合せ先を常に分かるように掲示しておくのも必要かと思います。工事中の安全確保も大事です。
 そして、地域の皆さんにとっての富士見橋の重要性を確認し、工事のめどをしっかり立てて完成に向け精力的に取り組むことを求め、この陳情を採択することを求めて、意見といたします。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認めます。よって、陳情三第七一号は採択と決定いたしました。

○曽根委員長 次に、陳情三第七三号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○原島道路計画担当部長 それでは、お手元の資料2、一〇ページにございます陳情・審査説明表の整理番号8、陳情三第七三号をお開き願います。
 本件は、住民追い出し・まち壊しの特定整備路線の中止を求めることに関する陳情で、品川区の東京都特定整備路線連絡会共同代表多田康弘さん外四百八十五人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において、住民追い出し、まち壊しの特定整備路線の建設を中止し、不要となる財源は、新型コロナウイルス感染症対策の抜本的拡充をはじめ、都民の暮らしと営業を守るために活用していただきたいとのことでございます。
 現在の状況でございますが、都は、今後三十年で七〇%の確率で発生すると予測される首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえまして、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域を燃え広がらない、燃えないまちとすることを目指し、平成二十四年一月に木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、防災上効果の高い特定整備路線の整備を進めております。
 特定整備路線は、震災時の大規模な市街地火災に対して、延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、都民の生命と財産を守る極めて重要な都市基盤であり、未来の東京戦略におきまして、災害の脅威から都民を守る強靱で美しい東京の実現のために必要な事業として位置づけております。
 また、防災都市づくり推進計画におきましては、震災時の被害拡大を防ぐため、特定整備路線の整備と市街地の不燃化を一体的に進めることで、より高い施策効果が発現されるものとしております。
 現在、計画した二十八区間、約二十五キロメートル全てで事業中であり、関係権利者に対して丁寧に説明するとともに、民間事業者を活用した相談窓口の設置などにより生活再建をきめ細やかに支援してきておりまして、これまでに約六割の用地を取得し、二十二区間で工事に着手するなど、着実に事業を推進しております。
 また、本年三月に一区間の延長約一・一キロメートルを交通開放いたしました。
 今後とも、関係権利者に丁寧に対応し、理解と協力を得るとともに、きめ細やかな生活再建支援を行いながら、安全・安心なまちづくりに資する特定整備路線の整備を進めてまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○鈴木委員 それでは、陳情三第七三号について意見を述べさせていただきます。
 十月七日、千葉県北西部を震源とする地震で、足立区におきましては震度五強の揺れを観測しました。夜遅くの突然の揺れに、誰もが一瞬あの十年前の東日本大震災の記憶が思い起こされたのではないでしょうか。
 その東日本大震災と同じ最大震度七が想定されています首都直下地震は、今後三十年で七〇%の確率で発生すると予測されるなど、差し迫った危機があると認識しております。
 そのような中、特定整備路線は、震災時の大規模な市街地火災に対して、延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、都民の生命と財産を守る極めて重要な都市基盤であると認識しております。
 これまでも、防災上整備効果の高い都市計画道路である特定整備路線について、事業推進の提言を我が会派でも行い、先日の各会計決算特別委員会全局質疑においても、ほっち都議から、特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域における防災対策は喫緊の課題であり、地域の防災性向上に大きな効果を発揮する特定整備路線を着実に整備していただくよう強く要望させていただいたところであります。
 現在、用地の進捗も既に約六割に達し、二十二区間で工事に着手するなど、着実に事業を推進していると認識しております。
 特定整備路線の整備は、まさに都民の生命に関わる事業であり、コロナ禍にあっても、いっときもやめることなく、着実に整備を進めていくことが何よりも重要だと認識しております。
 したがいまして、本陳情は不採択を主張させていただきますが、特定整備路線の事業への協力に伴い、移転等が必要となる関係権利者の中には、生活再建などに不安を感じている方もいらっしゃるのも事実だと思います。
 整備に当たっては、そうした関係権利者をはじめ、地域の方々の理解、協力が不可欠であり、引き続き住民の方々にきめ細やかな生活再建支援を行いながら整備をしていくことを要望させていただきます。
 実際に、この陳情名も住民追い出し・まち壊しの特定整備路線という形で件名が書かれておりますので、まだ理解が進んでいないのかなというところも認識されますので、ぜひ引き続き、ご理解を賜れるようによろしくお願いいたします。

○里吉委員 それでは、第七三号、住民追い出し・まち壊しの特定整備路線の中止を求めることに関する陳情に対しての質疑を行います。
 本陳情は、表題にあるように、道路予定地周辺にお住まいの住民の皆さんが、住民追い出し、まち壊しとなる特定整備路線を中止してほしい、そして、この道路に使う都民の税金を、コロナ対策や都民の苦難軽減に有効に使ってほしいと出されているものです。
 日本共産党都議団は、繰り返しこれらの道路が本当に地域の防災に役立つのか、地域のためになるのか、具体的に議会で何度も議論してまいりました。
 特定整備路線は、市街地の延焼を遮断するなど防災性向上の目的で、膨大な都市計画決定がされたまま動いていない道路の中から特別に選ばれました。その結果、二十八路線もの道路計画が一気に事業化され、その結果、多くの地域で住民からの反対運動が起きています。
 都は、整備を加速するために、特定整備路線の用地取得のために特別に人員を配置していると思いますが、どのような体制をつくってきたのか、ほかの道路の用地取得の人員と比べてどうか伺いたいと思います。

○山本用地部長 特定整備路線は防災上重要な路線であり、必要な人員を配置してございます。

○里吉委員 必要な人員を配置ということで、それがほかの道路と比べて多いか少ないかということについてはお答えがありませんでしたけれども、私の地元の世田谷区を担当している第二建設事務所では、用地課の一課、二課と分かれていまして、その一つが特定整備路線中心と。それ以外の道路もやっているということなので、特定整備路線だけにどれぐらいの人員かというのははっきりと分からないようでしたけれども、重要な路線であり、必要な人員を配置ということですから、そこに重きを置いて人員を配置しているのだというふうに思います。
 それだけでなく、生活再建のための特別な支援も行ったり、そういう意味では、強力に進めてきたというふうに思います。しかし実際には、なかなか整備は進んでいないのではないかと私は考えています。
 やはりこれは、本当に必要な道路という理解がされていない。私は必要のない道路もたくさん含まれていると考えていますが、都としては、なぜここまで進まないと考えているか、この進捗状況について、都の認識を伺いたいと思います。

○原島道路計画担当部長 木密地域におきましては、居住者の高齢化により建て替え意欲が低下していること、借地借家人が多く、権利関係がふくそうしていることなどの課題があるため、民間事業者を活用した相談窓口を設置するなど、きめ細やかに関係権利者の生活再建を支援してきております。
 現在、二十八区間、約二十五キロメートル全てで事業中でありまして、これまでに全体で約六割の用地を取得し、二十二の区間で工事に着手するなど、着実に事業を推進しているものと認識しております。

○里吉委員 六割の用地の取得ということですと、それが果たしてほかのところと比べて進んでいるのかどうかというのはちょっと分からないんですけれども、例えば、世田谷区の補助二六号線、これ皆さんの計画の中でも割と進んでいる方だと思うんですけれども、三宿二丁目から池尻四丁目、現在、用地取得九九%となっております。しかし、ここはずっと長い間、特定整備路線になる前から、道路に対して住民の皆さんの反対の声がずっとあった場所なんですね。
 緑道などが残る閑静な住宅街に、この計画ですと、高く長いコンクリートの壁と盛土の道路が出現するということで、三宿・池尻・代沢大型道路問題の会というところがニュースを出しておりました。
 どんどん用地買収が進んでいく中で、その住民の皆さん、引っ越していかれた方もたくさんいらっしゃいましたけれども、残った方々は、結局その盛土された道路でまちが分断されることに対して、横断ボックスを造ってもらおうだとか様々な住民交渉も行われました。
 しかし、それは決して道路に賛成したわけではなくて、出来上がったものについては、そこで生活していかなければならないわけですから、そういう交渉にも行ったということなんです。これから人口も減少するのに、本当にこの道路が必要なんですかという声は、その地域の皆さんから、緑道を惜しむ声はいまだに聞かれるところです。
 また、世田谷区内の補助五二号線でも(発言する者あり)聞いてください。本当にそういう声が出ていますから。道路計画に反対するステッカー、補助五二号線は特定整備路線だけじゃなくて、続いてその先が優先整備路線になっているんですけれども、その道路脇にステッカーがどんどん今貼り出されています。反対する運動が広がっているというふうに見てとれるところもございます。
 今も、都内各地で特定整備路線に反対する住民運動が続いていますね。幾つかは、事業認可の取消しを求める裁判などにもなっていますが、現在何件の裁判が行われているのか、確認したいと思います。

○原島道路計画担当部長 特定整備路線は、二十八区間で事業を進めており、このうち五件で係争中でございます。

○里吉委員 五件で裁判が行われているということです。裁判をやらないと決めて運動されている方もいらっしゃいますけれども、住民の方々が道路の問題で裁判を起こすというのは本当に大変なご決意だというふうに思います。道路計画を見直してほしいという思いからの裁判だというふうに思います。
 次に、この特定整備路線、そもそもが延焼遮断として有効だということで、この計画が始まっていました。しかし、本当に有効なのかという議論を我が党は繰り返し論戦してきました。
 都として唯一の検証である延焼シミュレーションでも、実際は不十分だということも繰り返し議会で論戦してまいりました。
 改めて、特定整備路線は、災害のときにどのような役割を果たすのか、どのような延焼シミュレーションを行ったのか伺います。

○原島道路計画担当部長 特定整備路線は、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域におきまして、大規模な市街地火災に対して延焼を遮断するなど、極めて高い防災効果を発揮いたします。
 加えまして、避難路や緊急車両等の通行路となり、避難、救援活動の円滑化に寄与し、地域の防災性向上に大きな役割を果たします。
 また、延焼シミュレーションは、東京消防庁の手法や総務局の被害想定に用いた条件を活用いたしまして、風向や風速、建物の状況などの条件を仮定し、特定整備路線のありなしによる焼け止まり効果や延焼面積を減らせることなどを確認したものでございます。

○里吉委員 これも本当に繰り返し議論されていることなんですけれども、都の延焼シミュレーションは、延焼遮断帯があることでどれだけの建物が延焼しないで済むのかを明らかにするものではなく、単に道路に向かって九十度で強い風が吹いた場合に、道路を越えるか越えないかだけを見ただけのものなんですね。これは既に二〇一五年に、我が党の米倉都議が明らかにしています。
 これは、全く効果がないといっているわけではないですけれども、それで本当にこの大型の道路を造る、そして住民追い出しをする、それだけの効果があるものかということが大問題だと思います。
 さらに、二〇一六年の糸魚川の大規模火災では、飛び火が注目されました。幾ら幅二十メートルの道路を造っても、飛び火ということが起きれば延焼遮断帯にはならないということも議論されましたけれども、この点についての都の見解を伺います。

○原島道路計画担当部長 特定整備路線を整備することで、延焼遮断の空間確保に加えまして、沿道建築物の不燃化も促進され、高い延焼遮断効果を発揮するものと考えております。
 今後とも、関係権利者に丁寧に対応し、理解と協力を得るとともに、きめ細やかな生活再建支援を行いながら、安全・安心なまちづくりに資する特定整備路線の整備を着実に進めてまいります。

○里吉委員 飛び火についてのご答弁はありませんでしたが、二〇一七年、日本共産党都議団は、糸魚川の現地調査にも行ってまいりました。大火災の現場ですね。
 飛び火は、火元から百メートル以上離れた地点にも届いて新たな火元となった。上から火が降ってきたり、瓦屋根であっても隙間などに火の粉が入って燃えていった。延焼遮断帯として幹線道路で住宅を囲んでも、強風の下では飛び火は防げないことが明らかになっています。
 やはり阪神・淡路大震災で一番犠牲を出したのは、建物の倒壊による圧死なんですね。今いつ大震災が来るか分からないといわれているわけですから、住宅の耐震化にこそ取り組むべきです。
 また、防災という点では、皆さんが進めている、さっきおっしゃった不燃化も大切だと思います。また、消火活動を進めるための整備や、住民のコミュニティを守ることも重要だと考えます。
 今回、陳情質疑をするに当たって、改めて陳情を出された代表の方々数名からお話を伺いました。
 例えば、北区赤羽の補助八六号線の地域の方は、地形を無視した計画で湧き水をからすのではないか、こんなところに本当に道路を造るのかと思っていたが、トンネルを造って道路を通す計画だと裁判を通じて分かったとおっしゃっていました。
 昨年のこの委員会で、我が党の原田あきら都議が質疑をいたしましたが、住環境も自然環境も壊し、一・二キロの道路計画に総工費二百十三億円と、どうしてもこれが必要な道路とは思えないとおっしゃっていました。
 また、住宅地の中に幅十五メートルとか二十メートルの道路ができると、新たな車を呼び込み、交通事故の危険が増える心配があると、これもたくさんの皆さんから寄せられている声です。
 狭い道路はそもそも自動車は敬遠する、ゆっくり走らざるを得ない。しかし、大型道路になれば、それなりのスピードで走るから危険だという声をたくさんの方からいただいています。
 一度決めたら、道路計画は何が何でも計画どおり進めるということではなく、見直すべきは見直し、税金の使い方を考え直す。コロナ禍を経験したからこそ、考え直すときに来ているのではないでしょうか。
 本陳情は採択を主張し、質疑を終わります。

○漢人委員 陳情三第七三号、住民追い出し・まち壊しの特定整備路線の中止を求めることに関する陳情への意見表明を行います。
 特定整備路線は、市街地の延焼を遮断し、避難や救援活動の空間ともなる防災上効果の高い都市計画道路を、木密地域不燃化十年プロジェクトとして、二〇一二年に選定された二十八路線です。
 二〇二〇年度までに整備するとして進められてきましたが、陳情書にもあるように、多くの反対の中で、当初期間内では一路線も開通できませんでした。用地取得もまだ二、三〇%という路線もあります。
 現在、五つの路線で係争中となっています。九月二十一日に、品川補助二九号線の第十一回の口頭弁論が開かれ、都市防災、都市計画専門家の中村八郎さんの証人尋問が行われています。
 品川補助二九号線は、戸越銀座商店街や住宅街を貫いて、品川区から大田区に延びる五・四キロの計画道路で、道路幅員は二十メートル、その両側にそれぞれ三十メートルの不燃化、耐震化延焼遮断帯を造るというものです。
 中村さんは、市街地火災における延焼遮断帯の効果に関する意見書を提出していて、この日も、都市防災は飛び火が起こるので、八十メートル、百メートルでは防火できない。両側に十メートル、二十メートルの不燃耐火の建築物を建てても、飛び火は五十から六十メートルの高さとなること、建物も多くの所有者の別々の建物なので、隙間もあって火の粉が入り込むことになると、八十メートルの延焼遮断帯は防火効果がないことを説明されました。
 特定整備路線は、住環境や商店街、そして地域コミュニティを破壊し、主たる目的の延焼遮断帯としての効果も十分ではない事業です。そして、既に当初の計画期間も超過しています。
 陳情書にもあるように、今、世界は自動車依存社会からの大転換が急激なスピードで求められていて、日本は、そして東京は特に大きく遅れを取っています。速やかに事業中止に向けた見直し作業に入るべきであり、本陳情に賛成します。
 以上です。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○曽根委員長 起立少数と認めます。よって、陳情三第七三号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十二分散会

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