環境・建設委員会速記録第十三号

令和三年十一月九日(火曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長須山たかし君
副委員長里吉 ゆみ君
理事田村 利光君
理事関野たかなり君
理事加藤 雅之君
北口つよし君
漢人あきこ君
鈴木  純君
星  大輔君
原  純子君
たきぐち学君
こいそ 明君
伊藤 ゆう君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長宮澤 浩司君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務上田 貴之君
政策調整担当部長木村 真弘君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
次世代エネルギー推進担当部長榎園  弘君
事業調整担当部長三浦 大助君
環境改善部長筧   直君
環境改善技術担当部長志村 公久君
自然環境部長和田 慎一君
資源循環推進部長上林山 隆君
資源循環計画担当部長宗野 喜志君

本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宮澤総務部長 去る九月二十四日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をご覧ください。
 表紙をおめくり願います。目次にありますとおり十七項目でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成二十一年度から令和元年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量を記載しております。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。以下、二ページ及び三ページにつきましても同様に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移でございます。
 平成二十一年度から令和元年度までの各年度における温室効果ガスの年間排出量を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成二十一年度から令和元年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況(過去五年分)でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの各年度における発電方式ごとの設備容量を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去五年分)でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの各年度における再生可能エネルギー電力利用割合等を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素濃度につきまして、平成二十七年度から令和元年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 七ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質濃度につきまして、同様に記載しております。
 八ページをお開き願います。7、令和二年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
 微小粒子状物質(PM二・五)の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における測定局ごとの年平均値を記載しております。
 九ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして、同様に記載しております。
 一〇ページをお開き願います。8、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載しております。
 一一ページをお開き願います。9、緑被率、みどり率の推移でございます。
 区部及び多摩地域それぞれについて、(1)では平成三年及び七年の緑被率を、(2)では平成十年から三十年まで五年ごとのみどり率を記載しております。
 一二ページをお開き願います。10、保全地域における希少種の状況でございます。
 調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一六ページにかけて記載しております。
 飛びまして、一七ページをお開き願います。11、都内自動車走行量の推移(過去十年分)でございます。
 平成二十一年度から三十年度までの各年度における旅客及び貨物の各部門の自動車走行量を記載しております。
 一八ページをお開き願います。12、都内の新車販売台数及び自動車走行距離に占めるEV・PHV・FCVの割合(乗用車)でございます。
 乗用車の新車販売台数及び走行距離に占めるEV、PHV及びFCVの割合を記載しております。
 一九ページをお開き願います。13、建設汚泥の発生量(過去五年分)でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの各年度における建設汚泥の発生量を記載しております。
 二〇ページをお開き願います。14、日本からの廃プラスチックの輸出量の推移(国・地域)でございます。
 貿易統計に基づき、平成二十八年から令和二年までの国、地域別の輸出量の推移を記載しております。
 二一ページをお開き願います。15、区市町村で回収している容器包装プラスチック量とリサイクル量とその合計(令和元年度、区市町村別)でございます。
 令和元年度における区市町村別の容器包装プラスチック量とリサイクル量を二二ページにかけて記載しております。
 二三ページをお開き願います。16、都有施設の太陽光発電システムの設置ポテンシャル及び設置状況の推移(施設分類別・過去五年分)並びに区市町村有施設における設置状況の推移(区市町村別・過去五年分)でございます。
 (1)、都有施設につきまして、平成二十七年度から令和元年度までの各年度における施設分類ごとの設備容量及び平成三十年度に実施した調査における設置ポテンシャルを記載しております。
 二四ページをお開き願います。(2)、区市町村有施設につきまして、平成二十七年度から令和元年度までの各年度における区市町村ごとの設備容量を二六ページにかけて記載しております。
 二七ページをお開き願います。17、省エネ、再エネのための補助金利用実績(予算額・決算額・交付申請件数・支払件数)(過去五年分)でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの各年度における事業ごとの予算額、決算額、交付申請件数及び支払い件数を三一ページにかけて記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ委員 初めに、自然環境の保全について伺います。
 都は、里山など、貴重な自然地を後世に継続するため、保全地を指定してきました。私は、保全地域における保全活動や希少種の保護について特に関心を持っておりまして、私自身も大学生と共に、一緒に保全活動をやってまいりました。これまでも当委員会で、質問も度々させていただいてきたわけでございますけれども、本日は改めて、この保全地域について質問をさせていただきたいと思います。
 保全地域は、人の手が加えられることで良好な状況を維持することができます。私は以前から、環境課題の解決の鍵は、まず人であると、まさにそのように考えている一人でもあります。
 保全地域の管理は行政だけで行えるものではなく、地元のボランティア活動を行っている方々など、様々なご協力によって成り立っているといえます。しかしながら、近年、ボランティア活動を行う担い手が、どこを見ておりましても高齢化してきているんではないかなと、高齢化傾向が出てきているのではないかと、そのように感じますし、また、人材が少し不足をし始めているんではないかなというふうにも思います。
 こうした保全地域の担い手不足を解消するため、都は、グリーンシップ・アクション、またはグリーン・キャンパス・プログラムなどの都民参加による自然体験活動を政策的に推進をしてこられました。
 そこでまず、保全地域における活動を行うための新たな人材の育成に向けた、これまでの都の取組、または実績、成果についても伺いたいと思います。

○和田自然環境部長 保全地域の貴重な自然環境を適切に保全していくためには、行政やボランティア団体のみならず、多様な人材の参画が重要であります。
 都は、企業の社員等による保全活動の取組を進めるため、企業、NPO法人及び都が連携した東京グリーンシップ・アクションを平成十五年度から開始し、令和二年度末までに六百二十一回開催いたしました。
 また、大学生による保全活動の取組を進めるため、大学、ボランティア団体及び都が連携した東京グリーン・キャンパス・プログラムを平成二十年度から開始し、令和二年度末までに桜美林大学を皮切りに、六つの大学が百八回開催をいたしました。
 さらに、地元市やボランティア団体の協力を得ながら、未経験者でも参加しやすい保全活動を提供するため、保全地域体験プログラムを平成二十七年度から開始し、令和二年度末までに百四十六回開催いたしました。
 これら三つのプログラムの合計で延べ約二万五千人近くの参加があり、保全活動を支える新たな人材を輩出する基盤となっております。

○こいそ委員 ただいまご答弁をいただきました、特にグリーン・キャンパス・プログラム、保全地域において下草を刈ったり、間伐をしたり、様々な活動をするわけでありまして、また、さらには田畑の作業も体験するということ。
 私も毎回参加をさせていただいております。私が感じたところでありますけれども、やはり最初は非常に慣れませんから、戸惑いがちな感じもいたしましたけれども、だんだん活動を行っていくうちに、まさに体験事業が終わる頃に、顔つきといいますか、表情が非常に明るく一変してくると。晴れ晴れとした表情というんですかね、そんな感じを受けるんですけれども、自然の中で活動することのやはりいろんな面でのすばらしさを感じる。そして、とりわけ五感ですね。若い人でありますから、五感、感性、非常に豊かなんですけれども、感じ取った瞬間なのかなと。これこそが自然体験活動の大きな意義の一つではないかなという感じもいたしております。
 こうした自然体験活動も十年以上が経過をいたしました。課題も当然あると思いますけれども、そうした諸課題を踏まえ、今後の展開について、都としてどのようにこれから考えて進めようとしているのか、その辺りを伺いたいと思います。

○和田自然環境部長 これまで、先ほど答弁申し上げました三つの自然体験活動プログラムによりまして、保全活動に対する未経験者や経験の浅い方々にも緑地保全活動のすばらしさや自然の魅力を体感してもらい、新たなボランティア人材の掘り起こしと定着を図る取組を行ってきたところでございます。
 しかしながら、保全体験活動への参加者数は一定数確保されるものの、ボランティア団体に所属して定期的に活動する方は依然として少ないことが課題となっております。
 そのため、三つの自然体験活動プログラムや、地域のボランティア活動などに複数回参加された方を保全地域サポーターとして認定する制度を今年度創設する予定でございます。
 本制度により、ボランティア団体の活動をサポートするとともに、将来、ボランティア団体に所属してもらえるような人材を創出してまいります。

○こいそ委員 ご答弁ありました、またグリーン・キャンパス・プログラムの関係でありますけれども、先ほどもご答弁もいただきましたけれども、先ほども私、質問の中で、十年以上のいわゆる経過がなされてきた、十年以上たったわけでありますけれども、やはりこういういい施策であっても、もう一度、様々に点検もする必要性があるし、当然、評価もしっかりしていくということ、これも大切だと思います。この辺りはちょっと質問しようと思ったんですけれども、これはぜひ、これからのことを踏まえて検証していただくことを要望します。
 そして、次に、保全地域における希少種の保全について伺いたいと思いますが、保全地域はまさに、生物多様性の宝庫ともいえる地域ではないかと思います。様々な生物種が確認されるとともに、多摩丘陵でありますけれども、ここの固有種であるタマノカンアオイ、そしてまたキンラン、ギンランなど、都のレッドデータリストに掲載されるような希少種も数多く存在をしております。
 保全地域は、開発による様々な影響から、これをしっかり守っていかなきゃいけない。そして、人によって踏み荒らされたり、人為的行為の、特に盗掘などによる希少種の減少も、まさにこれ、実感として我々も見聞きしております。
 私は以前から、希少な植物種の持ち去り対策としての監視カメラの設置を特に要望いたしましたけれども、当時はなかなか理解が得られなくて、何でそんな保全地域にカメラを設置するんだと、こういう声が圧倒的でありましたけれども、しかし、こうしたことも踏まえて、都の保全地域における種の保存のためのあらゆる施策が、その後、対応してもらってきたと思うんですね、このカメラを含めて。具体的にどのように取り組んできたのか伺いたいと思います。

○和田自然環境部長 都がこれまで実施いたしました自然環境調査によりますと、保全地域には約三百種以上の希少な動植物の生息、生育が確認されております。
 都は、こうした希少種を保全するため、平成二十六年度から令和二年度末までに三十の保全地域において、監視カメラや保護柵を設置してまいりました。
 多摩市と稲城市にまたがる連光寺・若葉台里山保全地域においては、野生動植物保護地区に指定している湿地に外来種であるアメリカザリガニが確認されていないことが、キバサナギガイやミズコハクガイなどの希少な貝類が生息している一つの要因と考えられておりまして、平成二十七年度に湿地の周囲に希少種保護柵を設置し、アメリカザリガニの人為的な持込みを防止しております。
 また、八王子長房緑地保全地域においては、盗掘被害に遭っていた希少な植物であるランヨウアオイに対し、平成二十八年度に監視カメラと希少種保護柵を設置したことにより盗掘被害から守ることができ、安定的な生育環境を確保することができました。
 今後、令和六年度末までに、都内に五十か所ある全ての保全地域におきまして、監視カメラや保護柵を設置してまいります。

○こいそ委員 監視カメラの設置が実際行われたということの中での、希少種の保護に有効であるというご答弁を今いただきました。今後、そこらじゅうにつけるというのもいかがなものかという感じもしますけれども、やはり可能なところでは、特に保全地域内にさらに設置する方向で進めていってもらいたいなと要望します。
 一方、保全地域における希少種については、人の手による被害だけではなくて、外来生物による被害も確認されているというふうに聞いております。
 都の保全地域における希少種保全策としての外来生物対策について、どのように具体的に取り組んでおられるのか伺いたいと思います。

○和田自然環境部長 保全地域の希少動植物は、人による踏み荒らしや盗掘被害のほか、外来生物による被害の危険にもさらされております。
 あきる野市にある横沢入里山保全地域において、アライグマによるトウキョウサンショウウオやヤマアカガエルなどの被害が確認されましたが、平成二十二年度から、アライグマの駆除を行うことにより、トウキョウサンショウウオの卵のう数の回復が実証されました。
 そのため、令和二年度から、連光寺・若葉台里山保全地域など、アライグマと希少な両生類の両方の生息が確認されている他の保全地域においても、アライグマの駆除など、外来種対策も行っております。
 また、立川市にある矢川緑地保全地域においては、川の中に生える希少植物種であるカワヂシャを保全するために、平成二十七年度から外来種であるオオカワヂシャの駆除を行っております。
 こうした取組により、保全地域における都内に残された希少な動植物種を保全してまいります。

○こいそ委員 保全地域は、今ご答弁もございましたけれども、都が公有化することによって、まさに成果が出てきているというふうに受け止めさせていただいておりますけれども、強い保全策をこれからも取れる地域であるわけであります。
 そのような地域ですら、なかなか近頃では希少種が減少してきてしまっているということ。このような中で、やはり保全地域だけじゃ当然ありませんけれども、保全地域の中でも、さらに希少種をしっかりと保全する、こういうこともまたご努力をいただきたいなと思います。今後、希少種の保護、増殖など、さらなる積極的な保全策を検討し、取り組んでいただくことを強く要望させていただきたいと思います。
 次に、資源環境施策について伺います。
 本年六月、プラスチック資源循環促進法が成立し、来年四月の施行に向けて、国において制度の詳細が検討されています。この新法の下で、現在、多摩地域の多くの自治体で分別収集している、例えばシャンプーのボトル等の容器包装プラスチックと、文房具や玩具といった、いわゆる製品プラスチックを一緒に回収し、リサイクルすることが現在見込まれているところでもあります。
 リサイクルの肝は、排出時における、都民の皆さんが分別をしながら排出をしていただくと。しかしながら、現在の市区町村の分別ルールを見ると、マヨネーズや納豆の容器を洗って出すようにするなど、実際上、これが実行されているかというと、極端に少ないんではないかというふうに思うんですね。
 こうした状況で、さらに大きな材質など、また様々な製品プラスチックなどを一括で、いわゆる回収するといっても、なかなかこれ、スムーズにいくかどうかという懸念も出るわけですね。
 都は今後、新たな制度が着実にスタートできるよう、国の検討状況も注視しながら、製品プラスチックをどのように分別するか、積極的に市区町村を支援していくべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○上林山資源循環推進部長 本年六月、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が成立し、来年四月の施行に向けて、現在、国の審議会において具体的な検討が進んでおります。
 都もこの審議会に委員として加わり、市区町村の意見等をヒアリングした上で、制度へ反映するよう要望してきたほか、本年九月には市区町村の担当者に対しまして、国の検討状況等に係る説明会を開催いたしました。
 今後、国において、製品プラスチックの分別回収について具体的に解説する自治体向けの手引の作成を予定しているとのことであり、都は引き続き、こうした国の動きについて市区町村と情報共有してまいります。
 加えて、平成二十六年度に設置いたしました市区町村と都の共同検討会を活用し、製品プラスチックを含めた実際の分別回収を実施していく際に想定される、例えば国が定める基準に合致しない異物の混入といった課題につきまして、先進事例を紹介しながら、効果的、効率的な除去方法等の具体的な検討を進めております。
 先ほど申し上げました市区町村を対象とした説明会や、想定される課題について自治体とともに検討するといった取組を通じまして、スムーズな分別回収の実施に向けて市区町村を支援してまいります。

○こいそ委員 プラスチック製品のうち、何がリサイクル対象となるのかといった基準は、現在、国において検討中であるということでありますけれども、今後、自治体向けの手引も発行されるということでありますが、新たな仕組みによるリサイクルの実効性を高めるためには、先ほどもいいましたけれども、住民による自主的な分別が当然、必要であります。
 そのためには、まず、基礎自治体であるところの担当職員が、新法の趣旨や制度の内容をしっかりと理解することが重要ではないかと。手引を幾ら出したって、しっかりそれを理解してもらわなければ、実行行動に移れないわけでありますから、都は、市町村が適切な対応を取れるよう、例えば区部と多摩地域でそれぞれの説明会を開催するなど、丁重に支援していく、これは必要だと思うんですね。
 年に一回だけやって、多摩と合同で、いわゆる区部で合同でやりましたよと、確かにやったことは間違いないでしょうけれども、しかし、そういうものじゃないですよね。ですから、そういう意味合いで、もっときめ細かいというか、しっかりとした研修体制だとか話合いでありますとか、ぜひ行ってほしいなと思います。
 今後、さらに廃棄物処理、リサイクル分野を発展させるためには、これまた環境人材の育成が、私は重要なテーマだというふうに思います。
 中でも、新型コロナウイルスのような感染症や、大規模災害などの未曽有の危機にも的確に対応して、家庭から排出される廃棄物を休むことなく処理することが求められている関係者、そして市区町村職員の育成は喫緊の課題です。
 しかしながら、特に多摩地域の清掃現場においては、職員数が少ないというふうにいわれております。日々日々、住民からの問合せ等々、追われておるというような状況の中で、新たな政策課題にチャレンジしようにも、なかなか厳しい。また、自己研さんにしっかり取り組みたいといっても、なかなかそういう環境ではないような状況であるようであります。
 資源に乏しい日本において、資源循環社会を形成していくことは、いうまでもありませんが、ますます求められていく中で、広域行政を担う東京都として、廃棄物、リサイクルを担当する市区町村職員の様々な育成支援を行っていくべきではないかと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○上林山資源循環推進部長 プラスチック資源循環促進法の成立など、廃棄物、リサイクル行政を取り巻く環境が大きく変化している中、都が市区町村職員の人材育成に取り組むことは重要でございます。
 そこで都は、廃棄物、リサイクル行政を実際に担当する市区町村職員等を対象に、廃棄物行政講習会を毎年開催し、能力向上を促しております。
 この講習会では、廃棄物リサイクル担当課に新たに配属となった職員等を対象に、廃棄物処理法の運用等の基礎知識に係る講習を行うほか、上級編として、災害廃棄物対策やプラスチックのリサイクルなどの専門的な講義も行っております。
 今後も資源循環行政が抱える課題や市区町村のニーズをしっかりと把握いたしまして、廃棄物リサイクルを担当する職員の育成を支援してまいります。

○こいそ委員 住民と接触する機会が日常的に比較的多い市区町村の職員が、やはり専門的知識を身につけて、廃棄物、リサイクル行政に従事していくことは重要だと思います。循環型社会の形成には、まさに不可欠なところがあるんではないかなと思いますし、都としても、より積極的にこれらの支援策に取り組んでいただきたいというふうに、これは要望します。
 市区町村のいわゆる人材育成でありますけれども、支援について伺ってまいりましたが、こうしたことを含めて、市区町村の廃棄物、リサイクル行政全体を支援していくことは、広域行政体としての東京都の大きな役割ではないかと思うんですね。
 とりわけ、財政支援も含めて重要であることは改めて申し上げるまでもありません。市町村、特に財政基盤の弱い多摩地域の自治体に対して、廃棄物、リサイクル分野において、また新法もできるわけですから、実際行っていかなきゃなりませんから、支援をどのように今後行っていくのか教えていただきたいと思います。

○上林山資源循環推進部長 市区町村による廃棄物リサイクルの取組をさらに強化するため、都は、地域の特性に応じた取組等を支援する、区市町村との連携による地域環境力活性化事業を実施しております。
 具体的には、在宅医療廃棄物の適正処理のための処分費用や、食品ロス削減のための食べきり協力店登録制度の普及啓発に要する経費等について支援しております。
 加えて、CO2実質ゼロのゼロエミッションの視点からも、プラスチックごみのリサイクルを強力に推進していくことが重要であることから、昨年度、プラスチックの分別収集を行う自治体を支援する、プラ製容器包装・再資源化支援事業を開始いたしまして、七自治体に対し、実施に向けた調査経費や収集運搬業務委託に係る経費等について支援しております。
 また、今般のコロナ禍では、市区町村が委託する廃棄物業者等に対しまして、マスク等の保護具を配布したほか、ペットボトル等の飲料容器の排出方法を都として定め、市区町村に示すとともに、都民への周知を実施いたしました。
 加えて、マスクやティッシュ等の適切な捨て方について、市区町村に通知するとともに、都のホームページ等を活用して周知を図っております。
 今後も、資源循環をめぐる国の動向や市区町村のニーズを踏まえ、一般廃棄物の処理やリサイクルを担う市区町村の取組をしっかりと支援してまいります。

○こいそ委員 今までそういう、今ご答弁あったような対応をなされてきたということでありますけれども、やっぱりしっかりと、まさに検証して、その支援策が効果的であったのかどうなのか、こういうことを含めて今後につなげていってもらいたいと思うんですね。
 市区町村、とりわけ多摩地域においては、先ほど来、申し上げておりますように、職員数、特に全体的な職員数も少ない、財政面といった厳しい制約が現実あります。一般廃棄物の処理や循環型社会形成のため、市区町村がその役割を十分に果たしていくためには、広域行政体としての都は、度々いって申し訳ないんですけれども、口は出す、金は出す、金は出す、口は出すということで、そういう姿勢をさらにもっと示していただきたいんですよね。これは重要だと思いますし、要望したいと思いますけれども、今後とも市区町村と様々な連携をして、また財政面を含めた、度々で申し訳ありませんけれども、ぜひさらに支援をしていただきますよう要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次は、気候変動問題について伺いたいと思います。
 現在、イギリスのグラスゴーでCOP26、国連気候変動枠組条約第二十六回締約国会議が開催されています。地球温暖化対策について議論されているわけでありますけれども、今年もカナダで五十度に近い気温が記録されるなど、北アメリカの熱波や洪水により、多くの方々が亡くなった。ヨーロッパの豪雨災害もそうであります。また、世界各地で異常気象により被害が発生をしている現状であります。
 私は以前から、こうした異常気象は地球温暖化、すなわち気候変動がもたらしている、これはもう当然、定説になってきておりますけれども、今年、気候変動に関する政府間パネル、IPCCが出した報告書でも、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させていることは、まさに疑う余地はないと。人間の影響が複合的な極端現象の発生確率を高めていると科学的な見地から述べられております。
 国では、今年五月、地球温暖化対策推進法が改正されて、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現が基本理念として法に明確に位置づけをされました。脱炭素の取組は極めて重要です。いうまでもありません。一刻の猶予もない気候変動問題に対して、一層の取組が求められているわけでありますが、特に東京都には、まさに世界有数のといいますか、メガシティとして、いわゆる東京は世界の都市でありますけれども、このエネルギーの政策の先頭を、やはりこれからも走り抜いていく責務があるというふうに思います。
 都は、気候危機の状況をどのように認識して、取組をどのように展開されておられるのか、または、さらなる強化をどのように図っているのか改めて伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 気候変動の危機は一層深刻化しており、エネルギーの大消費地である東京が率先して対策に取り組む必要がございます。気候危機に立ち向かい、二〇五〇年のCO2排出実質ゼロを実現するためには、二〇三〇年までの十年間の行動がとりわけ重要であることから、都は今年三月に、ゼロエミッション東京戦略をアップデートいたしまして、温室効果ガスの二〇〇〇年度比五〇%削減など、新たな二〇三〇年目標を掲げております。
 都はこれまでも、キャップ・アンド・トレード制度等を通じた省エネ対策や、太陽光発電設備の導入支援等を通じた再生可能エネルギーの利用拡大、燃料電池自動車や家庭用燃料電池への支援等を通じた水素エネルギーの普及拡大などに積極的に取り組んでまいりました。
 現在、環境基本計画の改定について環境審議会で審議しており、建物や自動車のゼロエミッション化、再生可能エネルギーの基幹電源化、さらには再エネ大量時代を見据えたCO2フリー水素の活用などに向け、あらゆる主体を巻き込んだ抜本的な取組強化策について検討を進め、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、気候変動対策を加速してまいります。

○こいそ委員 ゼロエミッション東京の実現に向けて、東京都が取組を加速させていることは分かりました。このゼロエミッションに向けて、先ほども答弁がありましたが、省エネや再エネ、建築物での取組など、あらゆる分野で取組をさらに強化しなければならないと思います。
 都内CO2排出量の二割が運輸部門から排出されているという現状でありますけれども、そのうち八割が自動車であることからも、自動車の脱炭素化も極めて重要です。自動車の非ガソリン化、ZEV化は避けて通れない取組でありますけれども、EVについては、中国、欧州を中心に社会的実装が進む中で、遅ればせながら、国内メーカーも車種を拡大する局面になっているというふうに聞いております。
 それ自体はよいことだと思いますけれども、一方で、燃料電池自動車は走行距離も長く、充填時間も短いという利点がある上、まだまだ技術革新の余地があります。我が国の最先端の技術を生かせる競争力のある分野でありますし、国家として戦略的に伸ばしていくべきものと考えます。
 また、最近では、燃料使用量も大きい燃料電池バスが増えてきております。私の地元でも、多摩市でありますけれども、民間バス事業者による路線が、二台でありますけれども運行されています。
 そこで、現在の燃料電池自動車及び燃料電池バスの導入状況と、さらに導入を拡大するための取組について伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 まず、燃料電池自動車の本年九月末時点での都内導入台数は、補助金の交付決定ベースで千二百二十八台となってございます。燃料電池自動車につきましては、今年度から購入補助額を増額するとともに、再エネ電力の導入とセットで燃料電池自動車を導入する場合には、補助額をさらに上乗せする取組を開始してございます。
 次に、燃料電池バスにつきましては、都営バスの七十台に加え、民間事業者においても七社で十五台が導入され、合計で八十五台となるなど、導入が拡大してございます。バス事業者からは、水素充填価格が従来の軽油に比較して二倍と高いことが導入拡大の大きな課題になっているとのご意見がございます。
 こうした声を踏まえ、都は今年度から、これまでの車両購入費補助に加え、新規に燃料電池バスを導入する場合には、水素と軽油の燃料費差の二分の一を補助する制度を立ち上げ、さらなる導入拡大に向け事業者を後押ししてまいります。

○こいそ委員 都の支援の動きが進展していることは評価いたします。ただ、ここで動きを止めることなく、さらに進めていっていただきたいと思います。
 私は、かねて業務用車両での水素活用の重要性を主張させていただいてまいりました。走行距離が長く、動力としても多くのエネルギーを必要とする業務用車両での水素利用は、運輸部門の脱炭素化と水素利用の拡大のために非常に重要であると思います。
 都は、港区内で燃料電池ごみ収集車の運用事業を現在行っておりますけれども、運用方法がやはり異なるといいますか、地形的にもそうでありますし、他の地域、例えば多摩地域でもこれらの燃料電池ごみ収集車の試験的運用を実施すべきではないかと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 走行だけでなく、ごみ収集装置の動力も必要とするごみ収集車両は、大量のエネルギーをためられる水素及び燃料電池の特性を生かせる分野でございます。また、燃料電池ごみ収集車は、走行時にCO2を排出しないだけでなく、静音性などにより、ごみ収集作業時の環境改善にも貢献するものでございます。
 都は、令和元年度より、大学研究者による事業提案制度に基づき、早稲田大学及び港区と連携して、都市の特性に適した燃料電池ごみ収集車の開発及び試験運用に向け取り組んでまいりました。今年度は、燃料電池ごみ収集車を実際の収集ルートで走行、回収を行う試験運用を行い、走行データ等の収集、分析を行っております。
 今後、都は燃料電池ごみ収集車の将来的な普及に向け、導入に向けた課題や効果の検証を行うほか、お話のとおり、区部と多摩では運用方法や地形など地域特性が異なるため、こうした他の地域での試験運用も検討してまいります。

○こいそ委員 業務用車両での水素活用、その中でも日常的に運用されているというか、日々日々、作業しているごみ収集車両の、いわゆる燃料電池化は非常に重要ではないのかな、必要ではないのかなと。そういう観点から、平成二十七年にも私、これ、何回となく質問させていただいて、既にもう六年経過しました。山口県の周南市で燃料電池ごみ収集車の事業開発、実証が開始されたのも、その二十七年でありました。それから、まだまだ実証段階であるということ。
 私は、大変申し訳ないんですけれども、これ、非常にスピード感が、大変失礼なんだけれども、欠けているんではないのかなと。今後は、その取組をもっとやっぱり加速させなきゃいけない。そういう中でも事業の成果を、やっぱりメーカーですよ、メーカーと共有して、着実に実装化につなげていくということが必要だと思うんですね。
 また、今後はさらに、燃料電池トラックなどの商用燃料電池車両をできるだけ早期に実装化する中で、水素需要の拡大を図っていく、これはもう必要です。現在、自動車メーカーが数台の小型の燃料電池トラックを、これも試験的に開発して、コンビニの運送用に使っていると聞いております。まさにこうした取組を東京都が主体的に動いて、都内で拡大していくべきだと考えます。
 そこで、燃料電池トラックの実装化に向けた都の見解を伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 水素需要の拡大のためには、これまでの燃料電池自動車やバス等に加え、走行距離が長く、燃料使用量の大きいトラック等の商用燃料電池車両の導入は重要でございます。
 小型燃料電池トラックにつきましては、現在、自動車メーカーによるプロトタイプ車両による実証が行われ、業務用車両として実用化される一歩前の重要な時期でございます。
 都としても機を逸することなく、自動車メーカー等を後押しし、都内での燃料電池トラックの早期の実装化に向け、積極的に取り組んでまいります。

○こいそ委員 私、しっかりとこの辺りは進めていっていただきたいなと思います。
 また、それに伴ってやはりインフラ整備は当然必要ですね。こうした燃料電池車が安心して運行できるように、さらに台数を拡大していく。または水素を供給するステーションを着実に増やしていくこと、これは極めて重要であることはいうまでもありません。
 都内のステーションを新たに整備するといっても、なかなか一定の面積が必要でありますから、そう簡単にはできない。また、現在、体力のある大手事業者が中心となって、地場で意欲のある中小企業者の整備はなかなか進んでいません。今後さらにステーションの数を増やしていく、これは当然、車両台数を増やす、ステーション数も増やしていく、これを連動しながらやっていかなきゃならないわけでありますけれども、既存のガソリンスタンド、特に地場の中小のガソリンスタンド事業者や、さらには異業種からの参入も可能となるよう、取組を進めていくことが大事だと思います。
 現在の整備コストや水素需要の中で、ステーションを経営するのは極めて大変であると。中小事業者であればなおさらです。運営費の一部に、つくるに当たっても五億以上、これも一旦、当然、全額補助金が出るわけない。そして、さらに一括でその支払いを事業者はしなきゃいけない。様々なところで東京都のメニューがあったとしても、国が認めなければ東京都は支出できない、こういう現状もありますね。
 そういう中で、とりわけ、いわゆる運用する中でも、運営費の一部に対して補助が国や都から出るといっても、実際には、十二か月ある中で十か月だけしか出ない、それも満額で出るわけじゃない。それも総括的に一括しての支払い、つなぎ資金が必要。例えば補助金を分割して支払う、この工夫も当然必要であります。
 そこで、中小企業者による、中小事業者が意欲的にここに参画していくぞ、そこを促していくということが、極めて東京都として、私はやるべきだと思うんですね。そういう意味合いからも、水素ステーションの整備、運営支援に対する都の見解を伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 今後、さらに水素ステーションの整備拡大を図る上でも、既存のガソリンスタンドの機能とノウハウを生かしつつ、水素ステーションを整備していく視点は重要でございます。
 そのため都は、水素ステーション整備に関し、安全性の確保を前提に、ガソリンスタンド並みの規制緩和を国に求めるとともに、水素ステーションの整備費及び運営費を国と併せて補助してまいりました。特に中小事業者に対しては、都が国の補助額に上乗せする形で整備費及び運営費の全額を上限の範囲で補助するなど、支援を充実させております。
 さらに、今年度からは、ガソリンスタンド事業者からの要望も踏まえ、既存ガソリンスタンドが水素ステーション整備工事のために営業を休止する場合の損失支援や、屋根上に水素供給設備を設置できる次世代型キャノピー整備などへの支援など、都独自の支援策を拡充いたしました。
 お話の運営費支援の期間が限られる点の改善や、補助金を分割して支払うなどについては、並行補助を行う国の補助制度の見直しが前提となりますが、中小事業者の実態に即した支援につながるため、国に対しては今後も粘り強く改善を要求してまいります。

○こいそ委員 中小事業者の経営の現状はお分かりだと思いますけれども、より寄り添った支援を考えていくことが、やはりそれぞれの地域地域に意欲的な、新しい時代である、エネルギーの一つである水素の普及、発展につながってくると思うんですね。そういう面から、ぜひ力を入れて支援をさらに進めていっていただきたいと思います。
 また、ZEV化や燃料電池車両の導入拡大を図っていくことは、当然大切なことでありますけれども、ZEVの導入が進むと、ガソリン需要はさらに減少することになります。ガソリンスタンドは、災害時にも燃料の供給拠点となる貴重な地域のエネルギーのインフラであることは間違いありません。
 既存ガソリンスタンドの減少が進む中、どのようにして必要なインフラを維持していくのか。国策として検討していかなきゃならないと思いますけれども、東京都としても自動車の脱炭素化を図りながら、これはもう進めていかなきゃいけないと思いますよ。
 しかし、一方では、ガソリンは悪い、悪いんだ、悪いんだと、もうこれは三〇年ハーフ、五〇年にはカーボンマイナス、なくしちゃうんだと。今、このインフラを担っているガソリンスタンドはどうなるんですか、はっきりいって。そういう方向も、やっぱり一面考えていかなければならないのではないかというふうに思うんですよ。
 ガソリンはいけないんだ、確かに時代の中での脱炭素を図る中では分からないこともない。しかし、現実問題があるわけであって、そういう中における一方の、やはり一方的だけじゃなくて、東京都こそは中小企業政策をしっかり進めてきたわけであるからして、さらには、エネルギーインフラというものを、やはりこれは寸断することはできないでしょう、はっきりいって。
 そういう意味合いからも、私は、東京都に、この辺りの点も踏まえながら、両輪、両方、なかなか難しい点もあるかもしれない。しかし、一面ではやっぱりそういうことも考えてほしいなと思います。国にも要請をしっかりしていただきたいなと思います。
 これらのことを踏まえて要望いたしますけれども、また、運輸部門での水素活用について質問してまいりましたけれども、脱炭素に向けては、それ以外の様々な分野での水素活用の拡大も極めて重要です。
 例えば発電部門において、水素、そして水素と窒素でつくったアンモニアの活用に注目が集まっており、国内では、今年度から発電所での大規模な、アンモニアが混在したというのかな、目指した実証事業が開始されたと聞いています。都においてもこうした新しい技術について、業界や国の動向をしっかり把握することが必要だというふうに思いますので、この辺りは要望させていただきます。
 水素社会の実現には、日本の技術の総力を挙げて取り組む必要性があります。先般、閣議決定された国の第六次エネルギー基本計画においても、水素はカーボンニュートラルに必要不可欠なエネルギーとされております。こうした重要な位置づけを持つ水素の普及拡大に向けて、首都である東京が率先して、決意とその覚悟を持って取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、環境局長の考えを伺いたいと思います。

○栗岡環境局長 気候変動の状況は一層深刻化し、我々の日常に差し迫る大きな危機となってございます。二〇五〇年のゼロエミッションを実現するためには、再生可能エネルギーの基幹電源化に加えまして、様々な分野の脱炭素化に貢献する水素エネルギーの普及拡大が不可欠でございます。
 水素は、利用時にCO2を排出しないだけでなく、再エネの調整力や、熱の脱炭素化にも資するものでございます。また、様々な資源からつくることができ、エネルギーセキュリティの向上にも役立ちます。
 加えて、水素関連技術においては、日本は複数の分野で技術的に先行してございまして、経済波及効果も大いに期待できます。
 こうした様々な優れた特徴を持つ水素エネルギーの利用を拡大させるため、燃料電池自動車の一層の普及、水素ステーションの整備促進等を進めるとともに、今後は業務用車両での水素活用の実装化に向けて、積極的に取り組んでまいります。
 あわせて、業務、産業分野への水素利用促進や、再エネ由来水素の導入支援、官民連携による機運醸成など、様々な施策を展開いたします。こうした取組を含め、様々な水素の利活用の推進に向けた中期的な施策の方向性について検討してまいります。
 都は、国や関連事業としっかり連携を図りながら、水素社会の実現に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。

○こいそ委員 ありがとうございました。エネルギーは、やはり様々なエネルギーの存在があって、私たちの日常生活、産業、様々な分野でこれからも安定供給されることが大切だと思うんですね。その中でも、先ほどからるる申し上げております水素、アンモニアもありましたけれども、水素関連技術には、我が国は強みがあると。主要な諸外国も、この分野に強力に参入及び取組が始まってきておるようであります。
 この分野の優位性を何としても守り、水素社会の実現を我が国がまさに主導していける、そして、東京都としても、まさに戦略的かつ集中的に水素施策を進めていただきたいと思います。
 そして、将来の水素社会のあるべき姿、都民や事業者が期待を持って描けるように取組をさらに加速していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○たきぐち委員 それでは、私からも環境局の事務事業への質疑を行ってまいりたいと思います。
 近年の各国での大規模な森林火災、ハリケーン、洪水、記録的な熱波、また、日本においても大型台風や、想定を超える集中豪雨が頻発化するなど、世界は気候変動による地球規模の危機に直面をしています。
 二〇一六年十一月に発効したパリ協定では、気候危機に立ち向かうための世界共通目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を二度未満に保つこと、一・五度に抑える努力を追求することが示されたところであります。
 国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCが今年八月に公表した報告書では、地球温暖化が人間活動の影響によることは疑う余地がないと断定をしました。人類がより豊かに、より便利になるための行動が、結果として温暖化を招き、気象災害という形で自らの生命を脅かすことになっている事実に対して、強い危機感を共有すべきと考えます。
 先月、温暖化メカニズムの解明の基礎を構築したプリンストン大学の真鍋淑郎氏がノーベル物理学賞を受賞したことは、象徴的なニュースだったと感じています。
 こうした中で、世界は新型コロナの脅威に直面をしましたが、コロナ禍からの経済復興において、環境に配慮しながら復興を目指すグリーンリカバリーが進められています。現在、コロナ感染の波が落ち着きを取り戻しつつある中で、東京においても経済と環境の両立を図り、脱炭素化に向けた取組を加速させる転機とすべきと考えます。
 そこで、冒頭、脱炭素社会の実現に向けた思い、決意を環境局長に伺います。

○栗岡環境局長 今年も世界各地で異常気象が数多く発生しており、気候危機への対処は一刻の猶予も許されないものと認識してございます。
 都は、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現を目指し、二〇三〇年までに温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフを表明し、気候危機への行動を加速させております。
 特に、都内CO2排出の七割以上は建物に由来いたします。建物は数十年にわたり使用され続けるため、今後建てられる建物の環境性能が二〇五〇年の都市の姿を左右いたします。
 そこで、環境審議会の下に専門家等による分科会を設置いたしまして、住宅等の一定の中小新築建築物への太陽光発電設備の設置を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始いたしました。住宅等への太陽光発電設備の設置は、停電時に電気を使用でき、電気代削減や売電収入も期待できるものでございます。
 あわせて、これまで成果を上げてきましたキャップ・アンド・トレード制度をはじめとする現行条例制度につきましても、さらなる強化、拡充を検討いたします。
 世界では、RE一〇〇など、グローバルな観点を踏まえた脱炭素対策を重視する企業が増加しており、都の制度におきましても、環境性能の高い建築物がファイナンス上でも評価される仕組みについて検討を進めてまいります。
 世界から選ばれる持続可能な都市をつくり、明るい未来を切り開いていくためには、経済と環境の両立が不可欠でございます。今後とも、経済と環境の好循環を生み出す施策を展開し、コロナ禍からのサステーナブルリカバリーを成し遂げ、ゼロエミッション東京を実現してまいります。

○たきぐち委員 今、まさにCOP26が開催されているところでありまして、パリ協定の目標達成に道筋をつけるべく、協議が行われております。各国の思惑が交錯する中で、日本も二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、戦略的な取組が必要であります。
 局長から強い決意と今後の施策展開について答弁をいただきましたけれども、経済と環境の両立した持続可能な社会の実現に向けて、様々な施策を総動員して進めていただきたいと思います。
 さて、こうしたグローバルレベルでの取組を進めていくと同時に、着実に脱炭素を進めていくには、住民をはじめ様々な主体を動かすための、いわばローカルレベルでの取組も欠かすことができません。都が、二〇五〇年CO2排出量実質ゼロを宣言し、その動きは都内の区市町村にも広がっています。
 この九月末時点では、都内十五の自治体がゼロカーボンシティ宣言を行っておりまして、今後、さらに他の自治体に拡大していくことが期待をされます。私の地元荒川区も、今年六月にゼロカーボンシティ宣言を行い、区民や事業者などとの協働を進めているところであります。
 区市町村での取組の広がりが、都の二〇三〇年のカーボンハーフ、そして二〇五〇年のCO2排出実質ゼロを実現するためには不可欠であり、都は、取組を進める区市町村を積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二〇五〇年の温室効果ガス実質ゼロに向けて、地域の実情に精通した区市町村との連携を強化することは重要でございます。
 このため、ゼロエミッション東京戦略におきましても、区市町村との連携強化を政策の柱の一つとして位置づけており、地域環境力活性化事業を通じまして、脱炭素化に取り組む区市町村に対する財政支援を行うとともに、個別の意見交換や情報提供など、きめ細かい支援を実施してございます。
 お話のゼロカーボンシティ宣言を行う自治体に対しましては、その達成のための計画や戦略等の策定及び普及啓発に係る費用を補助するメニューを今年度から新たに盛り込むとともに、取組事例を区市町村に周知するなど情報共有を図ってまいります。
 こうした取組を通じまして、ゼロエミッション東京の実現に向けた区市町村との連携を一層強化するとともに、都民や企業、団体等の共感を得て、東京全体で行動を加速してまいります。

○たきぐち委員 ゼロエミッション東京のアップデート版が策定された今年三月の時点で宣言を行っていたのが四区三市ということでありましたが、現在、十区五市まで広がっています。
 ゼロカーボンシティ宣言の実現を支援するメニューの新設や、その横展開に向けた取組など、施策の広がりも視野に入れた支援が区市町村の取組に結びついているものと考えます。
 今後、取組事例の共有を図りながら、都内全ての自治体がゼロカーボンシティ宣言が行えるよう、都と区市町村との連携を通じたゼロエミッション東京の実現に向けた取組を加速させていただきたいと思います。
 次に、各論に入りたいと思いますが、まず、区市町村における低公害、低燃費車などの導入状況について伺いたいと思います。
 先日の第三回定例会で、環境確保条例の改正に向けた質疑を行いましたが、都では、低公害、低燃費車の導入義務制度を実施しています。
 義務対象となるのは、二百台以上使用している事業者でありまして、その中には大手企業のほか、規模の大きい幾つかの自治体も含まれています。一方、義務が課されていない自治体も、自動車の使用台数の報告や環境配慮行動を求める、自動車環境管理計画書制度の対象にはなっているようであります。
 区市町村は、業務で多くの自動車を使用しており、その業務も地域に密着したものが多く、環境性能の高い自動車を使用することは、住民への意識啓発にもつながります。行政の責務として、全ての区市町村が率先して非ガソリン車やZEVを導入するべく、都として誘導策を講じるべきと考えます。
 そこで、改めて低公害、低燃費車の導入について、区市町村の保有する自動車にはどのような義務が課されているのか、また、併せて都内区市町村における低公害、低燃費車、非ガソリン車、ZEVの導入状況について伺います。

○筧環境改善部長 都では、環境確保条例により、二百台以上の自動車を使用する事業者に対して一五%以上の特定低公害、低燃費車を導入することを義務づけており、地方自治体としては、世田谷区、八王子市など四区二市も義務対象となっております。
 また、島しょを除く全ての区市町村は三十台以上の自動車を使用しており、自動車環境管理計画書制度の対象となっていることから、同等の努力義務が課されております。
 都内区市町村における低公害、低燃費車の導入率は、令和二年度末現在三二%であり、自動車環境管理計画書制度対象の全事業者平均の二九%に比べて導入が進んでおります。
 また、乗用車における非ガソリン車等の導入率は、令和二年度末現在で、非ガソリン車が三四%、ZEVが一四%となっており、都内全体の普及割合である非ガソリン車二二%、ZEV〇・八%を大幅に上回っております。
 今後も、自動車環境管理計画書制度を活用して働きかけを行うとともに、各自治体と連携を強めることにより、低公害、低燃費車やZEV等の非ガソリン車の導入促進を図ってまいります。

○たきぐち委員 各区市町村の取組状況は分かりました。私の地元の荒川区は、庁有車五十九台のうち、低公害、低燃費車が二十五台で、うちEVを七台導入しているということも確認をしました。
 自動車環境管理計画書制度の対象事業者は約千六百事業者で、保有台数の合計は約二十三万台、区市町村が保有するのは約六千台ということを聞いております。
 区市町村の取組が民間に先行している数字について今、示されたところでありますが、引き続き、区市町村における環境性能の高い自動車の導入、特にZEV化の促進に向けた効果的な施策の展開を図っていただきたいと思います。同時に、圧倒的に保有台数の多い民間事業者への対応のさらなる強化を求めておきたいと思います。
 ゼロエミッションビークル、いわゆるZEVの普及促進に関しまして、都は二〇三〇年までに、都内の乗用車新車販売について、非ガソリン化一〇〇%、ZEV化五〇%を達成するという高い目標を掲げ、取組を進めています。EV及びPHV、プラグインハイブリッド車ですが、この販売台数はここ二、三年減少傾向でありましたが、購入時の補助金やメーカーのラインナップの拡充などを背景に、今年に入って復調傾向にあると報じられているところです。
 ZEVの普及促進には、車両の購入に係る負担軽減などが必要なことはもちろんでありますけれども、充電インフラの整備も不可欠であります。しかし、全国の充電器設置数は、民間の調査によりますと、今年三月時点で約二万九千基、前年から一千基減少したとされています。
 急速充電器は僅かに増えたということでありますが、効率性やZEVの普及台数という課題から利用者が伸び悩み、採算性の観点から、耐用年数を迎えた充電器を更新せずに撤去されるケースが増加しているということであります。車が先か、充電器が先かという命題に対して、短時間で充電が完了する急速充電器の普及が重要であると考えます。
 そこで、都内の急速充電器について、現状の規模と二〇三〇年までの目標値について伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 多くの都民が利用する商業施設等や区市町村施設に設置される公共用急速充電器は、本年三月末時点で都内に三百二十六基設置されています。
 一方、都が行った世論調査によりますと、ZEVに関する心配事として、充電、充填場所が少ないを挙げる人が四五%で最多となっております。
 このため、都は、社会インフラとして必要十分な充電器を設置することで、都民のZEVに対する不安を払拭し、EV、PHVの普及を後押しするため、公共用急速充電器を二〇三〇年までに一千基に増やす目標を設定しております。

○たきぐち委員 二〇三〇年の新車販売の目標に対して、急速充電器がどの程度必要なのか、逆にどの程度あれば十分かというのは、なかなか難しいところがあるようでありますが、現状の三倍程度まで高めるという目標について今ご答弁がありました。
 設置に向けた支援策につきましては、三月の予算質疑で我が会派の関野議員が言及いたしましたけれども、導入に伴う受変電設備の増強が必要となった場合の補助や、基本料金増加相当分の補助など、導入と維持管理の両面から、支援策を今年度から開始していると承知をしております。
 こうした支援策を講じる中で、都内で約一千か所あるガソリンスタンドに充電器の設置を進めることも有効であると考えます。都の補助を活用したガソリンスタンドへの充電器の設置状況について伺います。

○三浦事業調整担当部長 都は昨年度、ガソリンスタンドへ一件、急速充電器の導入費を補助しており、導入後の保守費も補助してまいります。
 なお、本件のガソリンスタンドでは、導入した急速充電器を活用し、EVのカーシェアリング事業が展開されております。
 また、今年度は、既に六件のガソリンスタンドから急速充電器の導入補助申請に向けた事前相談がなされております。

○たきぐち委員 ガソリンスタンドの数は、全国的に減少傾向にありまして、都内においても、ここ二十年で半減しております。
 昨年度一件の補助に対して、今年は六件の相談があるということで、少しずつ前進している状況は理解をいたしました。一方、こうした補助金などを活用したとしても、ガソリン販売のような回転が難しく、充電ビジネスとして成立させるには課題があるとの指摘もありまして、それがなかなか進まない要因ではないかと推察をいたします。
 昨年度補助したガソリンスタンドにおいて、EVのカーシェアを事業化していると今ご答弁がありました。今年第一回定例会の我が会派の増子幹事長の代表質問に対して、カーシェアリングなどへのZEV導入を促進するための支援を強化するとの答弁もありましたが、こうした取組がビジネスの多角化を後押しすることにもつながると考えます。
 都は、ZEVのカーシェアなどを推進するためにどのような取組を行っているのか、その実績と併せて伺います。

○三浦事業調整担当部長 都は、近年ライフスタイルの変化に伴い普及してきたカーシェア、レンタカーへZEVの導入を推進するため、今年度より車両購入に係る補助を実施しております。
 カーシェア等は、車両の使用年数が通常の事業活動より短く、また、自家用車からの転換の促進につながるという観点から、補助額は通常の事業者向け補助より増額し、EV、PHVは六十万円、FCVは二百万円としてございます。
 今年度は、補助申請をFCVについて一件受け付けており、また、補助申請に向けた事前相談を十件受け付けております。

○たきぐち委員 ZEVのカーシェア利用など、先進的な取組への後押しを積極的に進めることで、二〇三〇年、二〇五〇年目標のゼロエミッション化と併せて、ガソリンスタンドなどが新たなビジネス展開で活路を見いだすことにつながるような支援策を講じていただきたいと思います。
 次に、自転車シェアリングについて伺いたいと思います。
 今年五月に、都は、自転車活用推進計画を策定しました。コロナ禍の新しい生活様式の一つとしても、自転車の利用が増加しています。
 自転車シェアリングは、CO2を排出しない環境に優しい交通手段として、大手企業の参入によって都内でも普及が進んでいます。主に区市町村が事業を実施しておりますが、一つの自治体で実施するだけでは利用可能エリアは限られ、利便性の向上や利用の拡大にはつながりません。
 先月、十月七日に発生した、二十三区で東日本大震災以来の震度五強を観測した千葉県北西部を震源とする地震の際には、公共交通に代わる帰宅手段として活用されるなど、災害時における有用性も明らかになりました。
 広域的利用を促進する観点から、都はこれまでどのような取組を行ってきたのか、これまでの取組内容と実績について伺います。

○筧環境改善部長 都は、環境に優しい移動手段である自転車シェアリングの普及を図るため、実施主体である区市町村に自転車やサイクルポートの整備等の初期費用を補助するなど、自治体に対する支援を行っております。
 また、行政区域を越えた広域相互利用を図るため、都と関係自治体との間で相互協力に関する基本協定を締結し、平成二十八年二月から、行政区域を越えた自転車シェアリングの相互利用を開始いたしました。
 当初、都心部の四区から開始した相互利用は、都が自治体に対して働きかけや調整等を行うことで参加自治体は順調に増加し、現在十一区にまで拡大しております。これら十一区の事業規模は、本年八月現在、サイクルポート約九百か所、保有自転車約九千台に達し、利用回数も月百万回を超えるなど、都民の交通手段の一つとして認知されるようになっております。

○たきぐち委員 昨日の新聞記事で、先日の地震発生から翌朝まで、ドコモ・バイクシェアの利用回数が、前日比六五%増となって、企業が集中する千代田、中央、港区のポートが空になると同時に、住宅地である大田区や江東区で返却されたという状況が報じられていました。
 今回の地震のみならず、今、利用回数についてのご答弁もありましたけれども、都として、自治体の枠を超えた広域化への取組が一定の成果を上げてきたと承知をしております。
 一方で、ソフトバンク系のハローサイクリングが事業展開を開始したことによって、都内では主に大手二社が個別に運営を行っており、現在、ドコモシェアが十一区、ハローサイクリングが八区七市と連携して相互利用サービスを提供していることから、結果的に広域的な利用の妨げにもなっております。
 私は、さきの第一回定例会の一般質問でこの問題を取り上げ、事業者間の連携強化を求めたところ、今年度、複数の事業者によるサイクルポートの共同利用など、広域利用の推進に向けての施策を検討すると局長から答弁がありました。
 その後、検討状況はどのように進んでいるのか、取組状況について伺います。

○筧環境改善部長 現在、都内では複数の事業者が自転車シェアリングの運営を行っており、相互に連携する仕組みがないことから、事業者の運営エリアを越える利用ができないなど、利便性の観点から課題があると認識しております。
 そのため、本年四月、都と運営事業者、地元のまちづくり団体等から成る自転車シェアリング広域利用等推進協議会を設置し、サイクルポートの共同利用など、広域利用のさらなる促進に向けた方策を検討してまいりました。
 サイクルポートの共同利用検証事業については、運営事業者や関係区等と連携しながら準備を進めており、今月中に西新宿エリアにおいて最初の検証事業を開始し、今後、他のエリアにおいても順次実施していく予定でございます。
 本事業では、共同利用における効果的、効率的な運用手法を検証するとともに、移動データの分析やアンケートの実施により利用実態の把握に努め、さらなる広域利用の促進に取り組んでまいります。

○たきぐち委員 今月中に西新宿で最初のサイクルポートの共同利用の検証事業を始めるとのことであります。協議会による検討が着実に進んでいるということが分かりました。
 事業者によって、料金設定や決済方法、自転車の再配置の運用方法など、ビジネスモデルが異なる中での共同化には、乗り越えるべく課題も多いかと思いますが、自転車シェアリングのサービス向上のためには、事業者間の競争だけではなく、連携を促していくことが重要であります。複数の事業者が一堂に会する初めての枠組みである本協議会において、今後も都が調整役となって、事業者間の連携を図っていくことに期待をいたします。
 あわせて、事業展開拡大の鍵となるサイクルポートについて、ポート用地に関わる固定資産税の取扱いについての課題もあると承知をしており、主税局と連携を図りながら、事業の公共性、公益性に鑑みた対応を要望しておきたいと思います。
 最後に、食品ロス対策について伺います。
 都内の食品ロス発生量は、二〇一七年度約五十一万トンでありまして、都は、二〇三〇年に向けて、食品ロス発生量を二〇〇〇年度比半減にする目標を掲げています。
 一昨日にNHKスペシャルがありまして、グレートリセットという、つまり、持続可能な社会実現のために経済社会を根本から変えるというテーマで放映された番組を私も見ましたけれども、この中で、二十二か国七十人の研究者が、八十種類の対策についてCO2削減効果を徹底検証した本が紹介されておりましたが、食料廃棄の削減がCO2排出削減ランキングの第三位ということで、太陽光発電や風力発電、電気自動車などよりも削減効果が高い対策として取り上げられておりまして、興味深く見させていただきました。
 先日も、食品メーカーが新たな技術による真空パックを行うことで消費期限を延長する取組がテレビで紹介されていましたが、都は、こうした冷凍、包装の新技術を活用した食品のロングライフ化の支援などを開始していると承知をしております。
 一方、買い過ぎや作り過ぎなど、私たちの日々の生活の中で発生しているものに限らず、各自治体の防災備蓄食品の有効活用の取組も始まっています。これまで、私自身も都の備蓄倉庫を何度か視察いたしまして、運用面での改善や備蓄品の有効活用を環境局と連携を図りながら進めるべきと求めてきたところであります。
 環境局としては、長引くコロナ禍の影響などで増加する生活困窮者や子供食堂などへ余った食品を提供するフードバンク活動と、各自治体が保有する防災備蓄食品をマッチングさせ、食を通じた支援と食品の有効活用の両立を図っていくシステムを昨年度構築し、運用を開始していますが、その取組内容について伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 賞味期限の迫った防災備蓄食品につきましては、通常、各地域の防災訓練などで配布されておるところでございますが、備蓄量が多いことから活用し切れず廃棄されることもあるため、生活に困窮されている方や子供食堂等へ届けられるよう、フードバンクを通じて有効活用を図ることが重要でございます。
 そのため、都は、実際にシステムを活用していただく市区町村とフードバンクにヒアリングをしながら、食品の登録から受け取りに至るまで、双方のニーズを踏まえた使いやすいシステムを昨年度構築しております。
 具体的には、各自治体が登録した防災備蓄食品の種類、量、賞味期限等の情報について、各フードバンクがウェブ上でいつでも簡単に確認し、発注依頼できるだけでなく、新たに食品が登録された際には情報を見逃すことがないよう、その都度配信をしてお知らせするシステムとしております。
 また、今回のシステムの運用開始に当たっては、事前に市区町村とフードバンクに対しまして、それぞれ二回、利用方法等の説明を実施しておりまして、分かりやすい操作マニュアルにつきましても作成をしております。今後も幅広く活用してもらうよう、働きかけを行ってまいります。

○たきぐち委員 都の備蓄品を見ましても、アレルギー対応のものであったり、従前と比べて食べやすくなるなど、かつての防災備蓄品のイメージからは大きく改善が図られています。私の地元の荒川区では、町会や学校の防災訓練時用に配布するほか、社会福祉協議会がアルファ化米や水、乾パン、ビスケット、粉ミルクなど、毎月、区から提供を受けて、フードパントリー事業で活用されています。
 今回、運用開始したシステムによって、各自治体でこれまで期限切れで捨てられていたものが、フードバンクを通じて結びつくことは意義のあることだと思いますが、こうしたシステムも使用されなければ当然意味がありません。
 そこで、マッチングシステムが今年二月に稼働して以降、これまでの実績と課題について伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 現在、本システムには、食品の提供側に二十三の自治体、受け取り側には十のフードバンクと二つの福祉協議会が参加しておりまして、これまでに様々な自治体とフードバンクとの間でマッチングが毎月成立しております。
 マッチングされた具体的な品目は、主食となるアルファ化米、白がゆ、おかずとなるひじきの缶詰のほか、小さな子供でも食べやすいビスケットやクラッカーなどでございまして、これまでに約二万八千食分が有効に活用されております。
 また、区市町村の中には、フードバンクへ寄附をしたいものの、万一の事故を考えるとちゅうちょするところもあることから、寄附時の責任の所在等を明確にする合意書の取り交わし方につきまして具体的に示すなど、安心して寄附のできる環境づくりについても併せて進めております。
 なお、これまでにシステム運用してきた中で見えてきた課題といたしましては、各自治体が大量に食品を登録した際などには、期限の関係もありまして、フードバンク側で活用し切れず余ってしまう場合もあるということですとか、フードバンク側でニーズの高いおかずになるような品目が少ないというようなことなどが挙げられます。

○たきぐち委員 参加する自治体とフードバンクが増え、マッチングの実績が上がっているということで、今後もシステムの活用拡大を進めていただきたいと思います。
 一方で、フードバンク側で活用し切れない、ニーズの高い品目が少ないといった課題もあるというご答弁でありました。私も地元の子供食堂の立ち上げに関わったり、フードパントリーの活動にも時々参加をしておりますけれども、フードバンクへのお米や野菜など、企業や篤志家などからの食材の寄附が増加傾向にある中で、防災備蓄品という性質上、十分にニーズに合致しにくい面もあろうかというふうに思います。
 こうした中で、例えば、コロナ禍でアルバイトがなくなってしまった大学の学生などへの支援活動として活用することなども有効と考えますが、都の見解を伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 システムに登録される防災備蓄食品は、各自治体が期限の近くなった段階で登録をする形となっておりまして、一時期に大量に登録された場合などには、フードバンクで受け取り切れず、余ってしまうことがございます。
 都は、こうした場合に対応するため、自治体が登録した食品をできるだけ無駄にしないよう、都内大学の生活に困窮している学生への食料配布イベント等において、白がゆやアルファ化米、水等の有効活用を図る試行的な取組を実施しております。
 ある大学のイベントでは、ボランティアの学生たちが事前に食料の袋詰めを五百セット用意するほか、当日は炊き出し用のアルファ化米で作ったおにぎりを振る舞うなど、防災備蓄食品の有効活用は好評を得たと聞いており、今後も積極的な活用を大学側に働きかけ、活用ルートの拡大を図ってまいります。

○たきぐち委員 大学生や生活困窮者など、調理をせずにすぐに食べることができる食材へのニーズも根強くあると現場からも聞いておりますので、量が多い防災備蓄食品をこうした大学の支援イベントと連携し、ぜひ積極的な活用を進めていただきたいと思います。
 また、例えば、個包装になっているものは、コロナ後の避難所の在り方にも合致をし、また同時に、より活用もしやすいということなど、マッチングシステムを通じてニーズの把握や課題の抽出を図り、福祉保健局とも連携、共有しながら、食品ロス全体の削減に向けて取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○加藤委員 初めに、地元墨田区の環境対策について質問をします。
 特に皮革、油脂等用水関係事業者の環境対策についてです。
 工業用水道の廃止が決定をし、上水への切替えが順次行われています。そもそも用水関係事業者は水を多く使用することから、古くから地下水を利用してきた経緯があります。
 しかし、地盤沈下の影響があり、都として地下水の利用を規制して、工業用水道の設置がなされたと承知をしております。それが時代の変化とともに不採算事業となって廃止の議論がなされ、再び、都として設置した工業用水道を廃止するということに至りました。
 全国では、地方公共団体だけでも百五十四団体が工業用水を運営していますが、廃止するのは都が初めてであります。事業者からは、一定の支援措置があるものの、都の都合に振り回されており、理不尽だとの声も聞いております。かつてのように再び地下水を利用したいとの要望が出るのもやむを得ないことと思います。
 工業用水道廃止議論の際、公営企業委員会・財政委員会連合審査会に私も出席をしておりまして、地盤沈下の状況について確認を求めたと理解しておりますが、その後の地盤沈下の状況について伺います。

○和田自然環境部長 工業用水法、ビル用水法及び東京都の条例による揚水規制などの結果、昭和五十年代以降、地盤沈下は鎮静化傾向にあります。
 令和二年度の建設局の地盤沈下調査報告書によれば、過去直近五年間で二センチ以上沈下した地域はなく、全体として安定した状況にあるとしております。
 しかしながら、都と大学などとの共同研究において、低地部の地層の水圧を解析したところ、令和二年度に軟弱な粘土層から水が絞り出される余地が残っていることが判明し、地下水位の低下で地盤沈下が再発する可能性があるとの知見を得られております。

○加藤委員 地盤沈下は鎮静化した状態にあるものの、沈下する可能性がまだ残っており、限られた水資源を有効に活用することが重要だということは理解ができます。
 その上で、工水廃止に当たって万全の支援をやっていくことが必要不可欠であり、全庁挙げての支援策の検討を同連合審査会で求めました。
 そして、その支援策等を検討するため、水道局が座長となって庁内検討会議が設置されたと認識しておりますけれども、この庁内検討会議はどういった趣旨でできたか、また環境局はどのような立場で参加しているのか改めて伺います。

○和田自然環境部長 平成三十年十一月に水道局と財務局が共同で座長となり、関係六局による工業用水道事業の廃止に伴う利用者等に関する検討会を設置いたしました。
 検討会設置要綱によると、工業用水道事業の廃止に伴い、上水道への切替えや支援について利用者に丁寧に対応し、着実かつ円滑に進めていくことを設置目的としており、環境局は、地下水揚水規制を所管する立場として参加しております。

○加藤委員 工業用水道事業の廃止に伴う利用者への支援等については、関係局が連携して取り組む体制ができているということであります。
 革の本場であるヨーロッパでは、水汚染に対する環境規制が強いのか、この節水型など、環境に優しい技術を使った皮革事業を行っていると聞いております。そのような先進的な技術や設備を取り入れるなどして、限りある水資源を有効に活用し、節水できれば、事業者の経営改善にもつながります。
 また、排水規制基準を大きくクリアしたきれいな水を排水できるようになれば、よりよい水環境の実現につながると考えます。
 河川などの公共用水域への排水規制により水環境を守る立場として、事業者が自主的に環境に配慮した取組を積極的に進めていくことについての見解を伺います。

○和田自然環境部長 都は、水質汚濁防止法及び下水道法に基づき、河川等の公共用水域等の水質の汚濁を防止するため、事業場排水規制等を実施しております。
 事業場排水規制は、事業者が最低限守らなければならない基準であり、規制基準を上回る形で、よりよい水環境の実現に向けて、自主的に、積極的な改善の取組を進めていくことは意義のあることだと考えます。

○加藤委員 意義のあることということで、高度成長期と違って、成熟した社会にあっては大切な取組だということだと思います。逆境をチャンスに変えていくということが大事かなと。
 かつて地元墨田区では、油脂事業の臭気対策として、都が主体的に工場の集積化支援を図り、環境対策を行ったと聞いております。私は、工業用水道を廃止した都において、例えば都が工場の集積を誘導して、環境対策設備の導入を支援するなどにより、皮革関係事業者が節水対策や水質改善に加え、臭気対策、油の処理などについて環境に優しい技術を取り入れ、環境に配慮した皮革産業へと転換することができれば、将来的に産業競争力強化にもつながっていくと考えています。
 この皮革関係事業者に対する支援策については、産業振興を所管する部署が主体となって取組を進めていくべき施策ではありますが、事業者が自主的に環境に配慮した取組を進めていくことの重要性の価値観を関係各局で共有し、連携して、環境に優しく、競争力のある産業へと転換していくことを促すように、事業者への支援策などを積極的に実施していくことを要望します。SDGsの推進にもつながりますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、食品ロスの削減や食品リサイクルという資源循環の観点から伺いますが、皮革、油脂事業では、食肉として処理された牛や豚などの副産物を最大限有効活用しており、とても環境対策につながっています。かばん、財布、靴、服、油、洗剤等々、たくさん活用されております。
 限りある資源は、大切に最後までしっかり使い切る。いい換えれば、廃棄物を出さない発生抑制の取組が重要です。
 生産から消費に至る食のサプライチェーンでは、各段階でいまだに大量の食品ロスが発生しているようですが、こうした食品ロス削減に向けては、発生抑制の取組が重要です。都は今後、どう取り組んでいくのか伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 食品ロスの削減に向けては、まず発生させない、発生抑制を最優先に取り組んでいくことが重要でございます。
 そのため、今年三月に策定した食品ロス削減推進計画では、フードサプライチェーンにおける取組の推進や高度な先進技術を活用した対策などの柱を掲げ、取組を進めているところでございます。
 フードサプライチェーンにおける取組については、事業者の独自ルールである厳しい納品期限を緩和することにより、食品の廃棄削減に取り組む優れた事業者の事例等につきまして、消費者にも情報発信するなど、業界の取組を後押ししております。
 加えて、先進技術の活用では、過剰在庫を最適化する、ICT、AI等を活用した需要予測や、傷みやすい食品のロングライフ化等に取り組んでおり、先進的な技術を各段階に幅広く社会実装させていくことで、大幅な発生抑制を図ってまいります。
 今後もこうした対策を通じて、サプライチェーン全体の食品ロスのさらなる削減を図り、真の循環型社会の構築に向けた取組を推進してまいります。

○加藤委員 食品ロスの削減を着実に進めていくためには、限りある資源は使い切る、廃棄物を出さない発生抑制の取組が何より大切であります。
 食品ロスの問題は、生産から消費に至るサプライチェーン、すなわち全ての家庭、事業者が関わるものであるため、今後もしっかりと取組を進めていただきたいと思います。
 次に、土壌汚染対策について質問します。
 地元の墨田区では、地場産業である皮革、油脂事業のほかに、メッキや金属加工、ガラス加工などの町工場が古くから集積し、日本経済を牽引してきました。
 先般、地元のメッキ事業者の方から、将来、土壌汚染の調査や対策が必要となったときに備えて計画的に資金面の準備をしているという話とともに、こうした取組にインセンティブを与える仕組みができないかとの要望をいただきました。
 土壌汚染対策の制度では、工場等を廃止する際に調査や対策の義務が生じるということですが、操業中から準備をしているということに感心をさせられました。
 一般的には、操業中に土壌汚染対策を意識することは少なく、工場等を廃止する時点で調査や対策の手法が分からず、費用の準備もできていないために跡地の活用が進まないといった状況も生じているようです。こうした事業者も操業中から準備を行えば、計画的に調査、対策を進めることができると考えます。
 都においては、中小事業者を支援するために、土壌汚染対策アドバイザー派遣制度を設けておりまして、操業中の事業者に対する技術支援では、土壌の調査もできるようになったと聞いております。
 そこでまず、このアドバイザー派遣制度の拡充の経緯と派遣の実績について説明を求めます。

○志村環境改善技術担当部長 中小事業者による土壌汚染対策を円滑に進めるためには、土壌調査や対策について、専門的な知見を有する者から適切な助言を受けられるようにすることが重要であると認識しております。
 このため、都は、平成二十三年度に、中小事業者に対して技術的な観点から適切なアドバイスを行う専門家を無料で派遣する土壌汚染対策アドバイザー派遣制度を開始いたしました。
 また、操業中から計画的に土壌汚染対策に対応することにより、対策に要する期間や費用の面で有利となる場合があることから、平成二十四年度に、操業中の事業者も利用できるように対象者を拡大いたしました。
 さらに、平成二十九年度からアドバイザー派遣時における簡易調査の実施を制度化し、今年度からは、必要な対策を進めることを条件として、法令で定められた方法による調査も実施できるように充実させております。
 派遣の実績については、制度開始時から令和二年度末までの累計で、工場等の廃止時が延べ三百十八件、操業中が延べ五十一件、そのうち簡易調査を実施したのは十三件、法令で定められた方法による調査の実施件数は、本年十月末までで二件でございました。

○加藤委員 工場等の廃止時のアドバイザーの派遣実績は三百件を超えており、事業者の活用は進んでいるようです。また、操業中のアドバイザー派遣制度を充実させ、調査も実施できるようにしていることは高く評価できます。
 しかし、この操業中のアドバイザーの派遣や調査の実施は、廃止時と比べて少なく、活用があまり進んでいないように思われます。現に私の地元の事業者も、アドバイザー派遣制度による支援は操業中にも受けられるということを知らなかった方もおります。
 都は、操業中アドバイザー派遣制度のさらなる周知徹底を図り、操業中からの調査、対策を促進することが必要と考えます。見解を求めます。

○志村環境改善技術担当部長 事業者に操業中からの土壌調査や対策の実施を促すためには、その利点等を土壌汚染対策アドバイザー派遣制度と併せて周知することが有効であると考えております。
 そのため、操業中の土壌調査により、早期に土壌汚染が発見できれば対策の選択肢が増えること、対策完了後に浸透防止対策を講じれば、廃止時の調査が免除されること等の利点を記載した土壌汚染対策アドバイザーのリーフレットを本年五月に作成し、メッキ事業者等の有害物質を取り扱う事業者の団体や区市の窓口に配布するとともに、都のホームページに掲載するなど周知を行ってまいりました。
 今後は、操業中に調査、対策を実施した事業者の事例等を含め、本制度の概要について都が主催するフォーラムやセミナー、業界団体の開催する講習会など、様々な機会を捉えて周知を行い、操業中からの調査、対策を促してまいります。

○加藤委員 土壌汚染対策は、中小事業者にとっては切実な問題です。都は、操業中アドバイザー制度の活用を促進していくとともに、今後とも技術支援等の拡充を継続していただくことを要望しておきます。
 次に、気候変動対策について質問いたします。
 COP26も開かれており、各国のCO2排出量削減の取組に注目が集まっております。現状、都内のCO2排出量の内訳を見ると、七割以上が建物由来であり、とりわけ排出量全体の三割を占める家庭部門の対策が必要です。
 住宅等の建物は、一度建てられたら数十年にわたり使用され続けることから、高断熱で省エネルギー性能の高い建物を建てることが重要です。
 都は、国が定めるZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスよりも省エネ水準が高く、建築物省エネ法で定める基準より三割省エネとなる都独自の東京ゼロエミ住宅基準を定め、こうした住宅を新築する建築主に対し、費用の一定額を助成するものとして、東京ゼロエミ住宅導入促進事業を令和元年度から実施しています。
 本事業については、予算枠に対して約二倍の申請があり、残念ながら抽せんに外れて補助を受けることができない都民が多数いたと聞いております。
 そこで、昨年度までの状況を踏まえ、令和三年度の事業概要及び実績について伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業では、令和二年度までに約二千五百件の交付申請がございまして、工事が完了した東京ゼロエミ住宅に対し、合計八・二億円の助成を行ったところでございます。昨年度までの申請状況から、多くの都民の方に東京ゼロエミ住宅に高い関心を持っていただいていると認識してございます。
 令和三年度は、令和二年度の約二十一億円から約二十四億円に予算を増額するとともに、申請回数ごとの倍率の平準化を図るため、昨年度の年間五回の募集回数から年間八回に増やしたところでございます。
 また、東京ゼロエミ住宅基準を満たすために必要となる資材等の価格が低減されたため、助成額を戸建て住宅一戸当たり五十万円、集合住宅一戸当たり二十万円に変更したこともございまして、これまでと比較し、多くの都民の方が本事業をご利用いただけるようになったところでございます。
 これまで四回の募集を行い、事前申請件数が三千二百二十八件ございまして、当選倍率は平均で一・八倍となってございます。

○加藤委員 予算枠の拡大とともに、募集回数の増加や補助金額の変更により、若干の倍率の低下が見られますが、それでもまだ多くの都民が補助を受けられていない状況です。平均一・八倍の当選倍率ということでありますので、せっかく住宅の省エネ性能に関心を持ち、東京ゼロエミ住宅を建てることを検討していただいているので、その都民の皆様の思いに応えていくことが大事です。
 また、この東京ゼロエミ住宅について、基準の多段階化が検討されていると聞いております。こうした取組が進めば、都内の新築住宅は、より断熱性に優れ、快適で健康にもよい住宅になっていくと思われます。
 そこで、現在の検討状況について伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 東京ゼロエミ住宅基準の多段階化では、現在の基準よりも高いレベルの高断熱住宅や、省エネ、再エネ設備の設置を一層促進していくものとして検討を進めております。
 現在、環境審議会等におきまして、そのための施策の在り方の検討を進めてございまして、今後も専門家等による審議を重ねていくとともに、関係団体等、様々な立場の方々からの意見を聞きながら、より環境性能の高い住宅の普及につながるよう議論を深めてまいります。

○加藤委員 この事業は今年度までの事業となりますけれども、二〇三〇年のカーボンハーフに向け、住宅の省エネ性能に関心を持ち、東京ゼロエミ住宅の検討を行っていただいている多くの都民の要望に応えられるように取組を継続し、東京ゼロエミ住宅の普及を通じて、さらなる住宅の断熱、省エネ性能の向上につながる施策の構築を強く要望しておきます。
 次に、使用済み紙おむつのリサイクルについて伺います。
 高齢化の進展に伴い、紙おむつの消費量は年々増加しており、高齢者施設や家庭から排出される使用済み紙おむつも増加してきています。
 紙おむつには、パルプなどリサイクル可能な素材も多く含まれていますが、し尿等を含んだ使用済み紙おむつは、衛生面から、他の可燃ごみとともに焼却処理されているのが現状です。
 こうした状況を踏まえ、我が党は、これまでも使用済み紙おむつを貴重な資源として捉え、単に焼却、廃棄するのではなく、リサイクルに転換していくことを強く求めてきたところです。
 循環型社会の形成に向けては、今後も増え続ける使用済み紙おむつのリサイクルは避けて通ることのできない課題です。資源としてどのように循環利用を進めていくのか、都として具体的な取組が求められています。
 そこでまず、使用済み紙おむつは現状どのようなところから排出され、どのように処理されているのか、また、今後の排出の見通しについて伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 使用済み紙おむつにつきましては、高齢者や子供のいる家庭から排出されるものと、高齢者施設や保育所等から排出されるものに大別され、家庭系と事業系では排出される場所や量が大きく異なることから、その排出形態に応じて対策を講じていくことが必要でございます。
 家庭系、事業系とも、使用済み紙おむつにつきましては一般廃棄物に当たり、各自治体等の清掃工場で焼却処分されており、水分を多量に含んだ使用済み紙おむつは燃えにくく、炉への負担が大きいだけでなく、燃やした後、埋立てが必要となる焼却灰が増加する等の課題がございます。
 また、国の調査によると、使用済み紙おむつの排出量は、二〇一五年の二百八万トンから、二〇三〇年には二百四十五万トンへ約一八%増加し、一般廃棄物に占める割合も四%から七%に増加すると推計されております。

○加藤委員 超高齢化社会が進展する中、今後も使用済み紙おむつの排出は増えていくということであります。
 紙おむつには、リサイクル可能な素材も多く含まれていることから、これまでのように単に焼却するのではなく、こうした素材を再生利用し、可能な限り資源を有効活用していくことが大変重要です。
 国が策定した使用済み紙おむつ再生利用ガイドラインにも示されているとおり、使用済みの紙おむつを再び紙おむつの素材とする手法や固形燃料化する手法など、企業が中心となってリサイクルの技術開発が進んできています。
 私も幾つかの施設を視察しましたけれども、リサイクルの技術は着実に進んでいることを実感しております。
 そこで都は、先駆的な取組を進める事業者と連携しながら、使用済み紙おむつのリサイクルを推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 使用済み紙おむつのリサイクルに向けた主な課題としては、効率的に回収を行うリサイクルルートの確保や、回収した紙おむつを適切にリサイクルする処理技術の検証という二つの課題があり、実証事業等を通じて対策を講じていく必要がございます。
 そのため、都は昨年度、まず高齢者施設や保育所等の施設から生じる使用済み紙おむつを対象として、二つの課題について事業者と共同で実証事業を実施しております。
 具体的には、効率的な回収については、東大和市内の高齢者施設等から排出される使用済み紙おむつを回収し、分別がどの程度できるのか確認するほか、効率的な回収のシミュレーション等を実施しております。
 また、リサイクル施設の設置、運用につきましては、荏原病院の敷地内に装置を設置し、病院から排出される使用済み紙おむつを破砕、乾燥、滅菌処理の上、固形燃料を生成しております。
 さらに、今年度は、家庭から排出される紙おむつを対象といたしまして、効率的な回収方法等について、事業者と共同で実証事業を行っております。
 具体的には、可燃ごみを回収する車両と紙おむつを別途回収する車両が、携帯するタブレット端末を通じて、排出場所や量について情報を共有しながら最短ルートで効率的な回収を目指すものであり、八王子市と町田市内で実証事業を開始しております。
 今後は、二か年にわたる実証の成果を検証するとともに、関係事業者のみならず、実際に使用済み紙おむつの対応をしている各自治体と広く情報共有を図りながら、リサイクル推進に向けた取組を進めてまいります。

○加藤委員 一般廃棄物の減量につながる使用済み紙おむつのリサイクルについては、市区町村も関心が高い分野だと思いますので、ぜひ丁寧に進めていただきたいと思います。
 ただ、この使用済み紙おむつをリサイクルしていくには、可燃ごみとは別に回収する必要性や、回収したもののリサイクル先の確保など、様々な課題もあり、市区町村をはじめ、様々な関係事業者の声を聞きながら、しっかり協力関係を築いて進めていくことが大切です。
 そこで、今後の使用済み紙おむつのリサイクルに向けては、これまでの様々な実証事業の成果を活用し、市区町村や排出事業者、リサイクル事業者と緊密に連携しながら、実効性のあるリサイクルルートを構築していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 高齢化が進展する中、使用済み紙おむつの問題は、各自治体に共通する課題であり、排出からリサイクルに至る関係事業者とともに連携した取組が重要でございます。
 そのため、まず九月に開催した市区町村との共同検討会におきまして、二か年にわたって取組を進めている実証事業の成果や取組状況について、リサイクル事業者も交えた情報共有を図っております。共同検討会には、十三区、多摩地域の十八市のほか、二十三区清掃一部事務組合が参加し、関心の高さがうかがえたところでございまして、情報交換の継続や、計画的な分別やリサイクルへの移行など、積極的な意見も寄せられております。
 また、都内約千三百の高齢者施設、保育所等に行ったアンケートでは、半数以上がリサイクルに関心を示しており、八割以上が、業務負担がなければ環境負荷低減のためリサイクルに取り組みたいという結果もあり、さらに排出現場の実態把握、課題の抽出、分析を行っていく必要がございます。
 今後も都は、こうした情報共有、意見交換を図りながら、各自治体が主体となって、着実にリサイクルルートを確立していけるよう後押しをしてまいります。

○加藤委員 関係する自治体や関係事業者の関心の高いことが改めて分かりました。都には、ぜひ強いリーダーシップを発揮して、リサイクルルートの構築に向け、多くの関係者と連携しながら、着実に取組を進めていただきたいと思います。
 次に、先ほども食品ロスについては若干触れましたが、もったいないや資源循環の観点だけでなく、地球温暖化対策の観点からも、食品ロス対策について再び伺います。
 国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第六次評価報告書によると、私たちの手元に食品が届くまでの過程で生じるCO2排出量は、世界全体の二一から三七%に上ります。
 また、先ほどお話がありましたが、この温暖化対策を検討する上で一冊の本、先ほどあった二十二か国七十人の研究者が結集し、八十種類もの温暖化対策、今後三十年間でCO2の削減効果を検証してランキングさせたと。
 一位がエアコンや冷蔵庫に使われる冷媒、フロンを温暖化を引き起こさないものに転換する、いわゆる代替フロンですね、八百九十七億トンと。二位が風力発電で八百四十六億トン。そして、食料廃棄の削減が三位、七百五億トンということでございます。
 この脱炭素の取組は、石炭や石油エネルギーから、太陽光や風力などへのエネルギーの転換が強調されてきましたが、それだけでなく、私たちの身近な対策が大事だということが分かります。
 国内外で脱炭素に向けた動きが加速する中で、食品ロスは食品自体がもったいないだけでなく、CO2削減の観点からも、喫緊に対策を講じるべき課題です。
 そうした中、都は二〇三〇年の食品ロス半減に向け、多岐にわたる対策を食品ロス削減推進計画として取りまとめ、今年度から五か年の計画期間がスタートしています。
 計画でも触れているとおり、都内の食品ロスは七割が事業系が占めていることを踏まえると、先駆的な技術の活用など、食のサプライチェーンの各段階で削減効果を発揮する取組が不可欠です。
 そこで、都は計画策定を機に、二〇三〇年の食品ロス半減に向け、先進技術の積極的な活用により削減を加速していくべきと考えます。先ほど答弁がありましたけれども、もう少し詳しく具体的な取組について伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 食品ロスの主な発生原因は、サプライチェーンの各段階において、欠品を避けるために多めに抱えた在庫が期限切れとなることや、食品自体が全般的に傷みが早く、期限切れとなることであり、こうした原因に有効な対策を講じていくことが重要でございます。
 そのため、都はこれまで、多めの在庫が期限切れとなる問題に対応するため、進化するICT等を活用して、高精度な需要予測について事業者と共同して実証事業を行っております。
 具体的には、中堅スーパー三店舗の総菜類につきまして、時間ごとの販売実績、来客者数等のビッグデータをAI解析し、在庫の最適化を図るもので、売上げや利益を増やしながら食品ロスを四割以上削減しております。
 また、今年度は、食品自体が傷みが早く期限切れとなる問題に対応するため、食品ロス削減に効果のあるロングライフ化技術を活用したモデル事業を公募し、二事業を選定しております。
 一つは、期限が短く廃棄率の高い総菜パンや菓子パンを中小のベーカリーから仕入れ、特殊な冷凍機で急速冷凍することで、風味をそのままに保存期限を延長し、食品ロスを削減するものでございます。
 もう一つは、飲食店で調理した料理やデパート等の小売で余ったフルーツ等を急速冷凍し、これを自動販売機で販売する取組でございます。
 今後は、実証事業による効果を検証するとともに、得られた成果については関係事業者と広く共有するほか、消費者へも普及啓発することで食品ロス削減に向けた取組を推進してまいります。

○加藤委員 より高度な先進技術を活用した食品ロスの削減に向けては、民間事業者の知見、技術力、発想力などを生かした新たなビジネスモデルの構築が重要です。都は今後も、食品ロス削減に有効で先駆的な事業を掘り起こし、積極的に取組を進める事業者と連携しながら、先進技術を活用した食品ロス対策の社会実装を支援していくよう強く要望しておきます。
 また、私も以前、都と食品ロスに取り組むスーパーを視察いたしました。事業者だけでなく、家庭などにおける都民の食品ロス対策の協力が不可欠ですので、行動様式の変化といった点も併せて対策に取り組んでいただくようお願いをいたします。
 次に、プラスチック対策について伺います。
 二〇一九年十二月、都は、ゼロエミッション東京戦略と同じタイミングでプラスチック削減プログラムを策定し、二〇三〇年までに家庭と大規模オフィスビルから排出される廃プラスチックの焼却量を四〇%削減することを目標として取組を進めています。
 この目標を達成するためには、一度使っただけで廃棄される、いわゆるワンウエープラスチックの使用を見直し、リユースを基調とした社会へと移行していくことが重要です。
 ワンウエープラスチックは、私たち消費者が食品や製品等を購入する際に利用されるものがほとんどですので、リユース容器の使用や量り売りなど、企業による物の販売方法が変化し、私たちの暮らしに定着させていくことが求められます。
 このため、都は、消費行動やビジネススタイルの変革に向けて意欲的に取り組む企業に対して支援していくことが必要と考えますが、都の取組について伺います。

○上林山資源循環推進部長 都は、プラスチックの持続可能な利用に向けて、革新的技術・ビジネスモデル推進プロジェクトによりまして、リユース等による使い捨てプラスチックの削減や水平リサイクル等の高度なリサイクル技術の実装化に取り組む事業者を支援しております。
 一昨年度に支援したリターナブル容器による商品提供システムを運営する事業者では社会実装が進んでおり、本年より都内の大手小売事業者において、洗剤やシャンプー等の日用品を販売する際に使用されるなど、実装が進んでおります。
 今年度は、大手コーヒーチェーンのドリンク用テークアウト容器をリユース可能な容器とし、シェアリングに取り組む事業者を採択しており、間もなく事業を開始するところでございます。
 こうした取組により、リユース容器の活用等、新たなビジネスモデルの構築に取り組む事業者を支援しまして、CO2実質ゼロのプラスチック利用を目指してまいります。

○加藤委員 プラスチック対策や食品ロス対策について質問してきましたが、私たちが日々の暮らしの中で消費している食品や製品について改めて考えてみると、その製造から廃棄までの様々な過程で大量のCO2を排出していることを痛感します。
 こうしたことから、人々が大量生産、大量消費、大量廃棄のライフスタイルを見直し、リデュース、リユース、リサイクルに取り組むことにより、サステーナブルな循環型社会へと変革を図ることは避けて通れません。
 とりわけ都は、他県はもとより、国外で生産された製品等に依存していることから、率先してゼロエミッションに取り組むことは大消費地としての責務といえます。今後の資源循環分野におけるゼロエミッションに向けた取組について、最後に局長の決意を伺います。

○栗岡環境局長 都内における消費生活や事業活動では、多くの資源が利用されており、それらの資源が採掘され、輸送、消費、廃棄に至る様々な過程において大量のCO2が排出されております。
 都は、資源循環分野においても、CO2実質ゼロのゼロエミッション東京の実現に貢献することが重要と認識しており、ゼロエミッション東京戦略や資源循環・廃棄物処理計画におきまして、先進的な事業者や区市町村等様々な主体との連携、都民の行動変容を促す普及啓発等により、3Rの推進、プラスチック対策、食品ロス対策を進めることとしております。
 具体的には、革新的技術・ビジネスモデル推進プロジェクトによるプラスチック削減や、ICT、AI等、先進技術を活用した食品ロス削減など、先進的な企業と連携したイノベーションの創出により、リデュースを基調とした社会への転換を図ってまいります。
 また、区市町村と連携し、プラスチックの分別収集、リサイクルの推進、3Rアドバイザーの派遣による3R推進、防災備蓄食品の活用などにも取り組んでまいります。
 さらに、食品ロスや使い捨てプラスチック削減に取り組む際に参考となる事例等を紹介した特設ホームページの開設や、SNSを活用したキャンペーンの実施、ナショナルジオグラフィック等、メディアと連携した普及啓発等により、都民の行動変容を促す取組を進めております。
 こうした取組によりまして、持続可能な形で資源を利用する社会の構築に努めることで、資源循環分野においてもゼロエミッション東京の実現に貢献し、大消費地としての責務を積極的に果たしてまいります。

○加藤委員 資源循環分野がカーボンハーフやゼロエミッションに向けて果たす役割は非常に大きいと思います。事業者や区市町村、国としっかりと連携して取り組むことを求めます。
 そして、何よりも私たちの行動変容が最も大切なんだという意識を都民一人一人に持ってもらえるよう、局としてしっかりと取り組んでいただくよう要望をしまして、質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時三十分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○里吉委員 私からも気候危機対策について質問を行います。
 二〇三〇年までに都内温室効果ガス二〇〇〇年比で五〇%削減するという、この目標に向けての取組について伺います。
 イギリスのグラスゴーで開催中の国連気候変動枠組条約会議、COP26、開催中ですけれども、これに呼応して五日には、若者とパブリック・エンパワーメントデーが開催され、気候危機打開に向けて行動する若者の団体、未来のための金曜日、FFFが市内のデモ行進を主催しました。ここには約二万五千人が集まりました。
 日本でもFFFジャパンが日本政府や企業に脱炭素を求めて、各地で気候危機アクションに取り組みました。新宿では、南口バスタ前で、COP26開催地や国内各地とオンラインで結び、スピーチが行われました。
 気候危機の影響を最も受けるのは若者であり、子供たちです。だからこそ今、若者が立ち上がっています。若者たちの、私たちの未来を奪うな、大人は責任を果たせとの訴えに、私たち大人は今度こそ真剣に向き合わなければならないと改めて私自身も大人の一人として、責任を痛感しています。
 しかし、日本政府は、この気候危機に正面から取り組もうとしているとは到底思えません。今年の三月に国際研究機関、クライメート・アクション・トラッカーは、パリ協定の目標達成に向けては、日本には二〇一三年比で六二%の削減が必要とし、これまで長期間にわたってCO2を排出し続けてきた先進国の責任を強く求めました。
 さらに、日本の四六%削減という目標については、これでは最高三度上昇を招いてしまうという批判もしております。
 COP26では、岸田首相が世界の流れに反して石炭火力の使用継続の考えを示したことで、温暖化対策に後ろ向きの国に贈られる不名誉な化石賞を受賞しました。今、気候危機非常事態という科学的見地に正面から向き合うことが求められています。
 IPCC第六次報告書は、人間の影響が温暖化させてきたことは、もはや疑う余地はないと明記しました。現状は、このままでは今世紀には後戻りできない破局になりかねない。しかし、同時に、二〇五〇年CO2排出量実質ゼロ実現に向けて、二〇三〇年までにしっかり削減に取り組めば、被害をかなり抑えられる。こういうところに来ているわけです。
 そういう意味で、ゼロエミ東京戦略が示されていますが、東京からの行動を本当にさせていくときだと私も思います。本日は、環境基本計画について、そして幾つかのその具体的な課題について質問していきたいと思います。
 まず、環境基本計画についてです。
 都は、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で都内温室効果ガスを五〇%削減するという目標を掲げて、エネルギー消費量を二〇〇〇年比で五〇%削減、再生可能エネルギーの電力利用割合を五〇%程度に高めることとしています。
 資料をいただきましたけれども、この資料にもありますように、都の温室効果ガスの年間排出量は、一九年の速報値では若干減ったものの、このペースでは、とても目標達成はできないと思われます。今までの延長線上ではない取組が必要だと思いますが、改めて都の現状認識を伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けまして、今後十年間の取組が極めて重要との認識の下、二〇三〇年カーボンハーフを表明いたしました。
 現在、環境基本計画の改定に着手しており、多様な観点からの変革のビジョン、取組強化策を検討し、全ての主体を巻き込みながら、実効性ある行動を加速させてまいります。

○里吉委員 今のままのペース、延長線ではない取組が必要だということについては、加速的な対応が必要だということでしたけれども、ちょっと正面から答えていただけなかったように感じるんですが、多様な観点からの変革のビジョン、取組の強化策を検討するということでした。
 環境基本計画の改定が今行われていますが、具体的には環境審議会の企画政策部会に、カーボンハーフ実現に向けた条例改正のあり方検討会が十月二十二日に設置されました。
 ここで取組の強化策を検討することになると思うんですが、環境審議会の議論があり、企画政策部会もあり、それとは別にあり方検討会を設置ということで、この目的は何なのか、また、それぞれどのように役割分担しているのか伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けた行動を早期に強力に進めていくため、お話のございました本年十月、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の改正について環境審議会に諮問いたしまして、企画政策部会の下に新たに検討会を設置いたしました。
 本検討会では、専門家等を追加した上で、実効性ある制度の在り方について重点的な検討を行ってまいります。

○里吉委員 設置の目的は、カーボンハーフ実現に向けた行動を早期に強力に進めていくためだというご答弁がありました。また、そのために専門家も追加して、あり方検討会を設置したということでした。
 環境審議会での環境基本計画についての論議を進めながら、条例改正が必要になるようなものについては、同時並行で、あり方検討会で専門家もプラスして重点的に議論する形を取ったということだと思うんですね。
 しかし、早期といいながら、環境基本計画も、あり方検討会も、中間のまとめ案が来年、二〇二二年の四月以降となっていると。環境基本計画の策定、条例改正の手続は、その後、中間のまとめ、そしてパブリックコメントを行って、意見をもらって、最終答申という流れだと伺っています。
 最初のゼロエミ東京戦略が出たのが二〇一九年十二月末だったことを考えると、もう少し早くこういった議論を始められなかったのかとは思うんですが、今、大切なことは、この取組を都民や事業者など全体を巻き込んで行動を加速させることだと思います。
 そのためにも、計画策定や条例改正については、多くの都民や関係者と意見交換しながら取り組むべきだと思うんですね。それぞれ都民や関係者などの意見を聞くことについて、どのような具体化がされているのか伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまで審議会では、未来を担う若者や専門家等からのヒアリングも実施してございまして、今後も関係団体等、多様な立場の方々からご意見等を伺いながら、多くの主体の参画を得まして、カーボンハーフを実現してまいります。

○里吉委員 ほかの委員からも取り上げられていますが、私も先日NHKスペシャルを見ました。市民参加という点でも、大変興味深い場面がありました。フランスが市民参加という点で大変画期的な取組を行っていることが紹介されていました。
 気候市民会議というふうに紹介されていましたけれども、これは十六歳から八十歳の市民百五十人が月に一回集まって、九か月間議論して、CO2を抜本的に削減するために様々なアイデアを出し合い、百四十九のリセットメニューが出されたということでした。
 そして、ここで議論されたものの一つが実現したものとして話題にもなりましたけれども、最もCO2を排出する航空機、飛行機ですね。五つの近距離路線をやめて、代わりに夜行列車を復活させたということだということが番組では紹介されていました。
 少し調べたんですけれども、十年ぐらい市民の声を吸い上げるということで、この問題、フランスでは、ずっと取組が続いていたということなんです。
 今、日本でも、先ほど紹介したように、若者たちが未来のために今行動しなければいけないということで立ち上がっています。
 COP26が開催され、全体に気候危機への関心が、市民の関心も高まっていますから、ぜひ幅広い、いろんな立場の方々に参加をしてもらう場、そして、意見やアイデアを出してもらう場をつくっていただきたい。新たにこの位置づけを抜本的に高めて、市民が本当に自治体や企業と一緒になって、気候危機打開の主役になるような場を東京としてはぜひつくって、一緒に立ち向かっていく、こういうことをぜひ要望しておきたいと思います。
 そして、そのためにも、東京のこれからの気候危機対策について具体的な議論が行われる企画政策部会、それからあり方検討会、今まで以上に注目されると思います。この議論は公開されていると思いますけれども、確認します。それから、議事録ができるまでどうしても時間がかかってしまうので、都議会のこの委員会のように中継する、それから録画配信する、こういうこともぜひ行っていただいて、広く都民の皆さんに見ていただく、そういうふうにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 環境審議会は、企画政策部会や分科会も含め公開をしてございます。
 分科会でありますカーボンハーフ実現に向けた条例改正のあり方検討会につきましても公開を予定してございます。

○里吉委員 多分平日の日中の会議になるんではないかと思うんですね。その場合、なかなか傍聴するのが難しい方も多いと思いますので、オンラインでの傍聴も有効だと思いますし、録画配信なども行うよう改めて要望しておきます。
 そして、カーボンハーフ実現に向けた条例改正のあり方検討会の資料にもありましたけれども、二〇三〇年に向けて、全ての部門で、全ての主体が今からそれぞれ半減に取り組んでいくことが不可欠と書かれていました。本当にそのとおりだと思うんですね。
 だからこそ環境基本計画では、それぞれの施策の排出削減量を積み上げると二〇三〇年までに目標達成する。そういう具体的な計画にする必要があると思いますが、見解を伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、環境基本計画改定に向けまして、業務、家庭等、各部門のCO2削減策の在り方等につきまして、審議会で議論を進めてございます。
 今後、部門別の具体的施策の方向性を明示し、あらゆる主体の抜本的な取組強化策を結集し、ゼロエミッション東京を実現してまいります。

○里吉委員 今ご答弁いただきましたけれども、部門別の具体施策の方向性を示して、抜本的な取組強化を結集するということで、そのためにも毎年進捗状況を分かりやすく広く都民や事業者、取り組んでいる人たちに知らせることが重要だと思いますが、この点について伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都はこれまで、環境基本計画に掲げる目標や施策の進捗状況等を多角的に分析、検証し、継続的な見直しを図るとともに、その内容を公開、周知してございます。
 これまでの取組や成果を踏まえまして、環境基本計画の改定に着手したところでございまして、今後もPDCAサイクルの持続的な取組により、実効性の高い施策を展開してまいります。

○里吉委員 要望ですが、進捗状況をどう示すか、その示し方もぜひ多くの市民の意見も聞いて、多くの人が見て分かる資料も工夫を重ねていただきたいと思います。
 それから、そのCO2排出なんですけれども、日本では、発電事業でのCO2排出を電力消費者に分配するという間接排出統計というものに対応しているため、直接排出では最大排出源である発電所のCO2が分からない、家庭や事業部門に振り分けられるということで、その結果、発電業務の排出量が少なく、業務や家庭等が多いように示されているという課題があると私は考えているんですね。
 本来は、発電所でどれぐらいCO2を出しているのかということも示すべきだと思うし、キャップ・アンド・トレードの対象にもすべきだということで、これは要望しておきたいと思います。
 そして都内では、幾つもの再開発で高さ百五十メートルとか二百メートルといった超高層マンションがどんどん計画されていて、この間、我が党が示してきたように、そこで幾ら最新の環境性能のものであっても、造るとCO2排出量は元の建物より増えるというゼロエミ東京戦略に逆行する事態が起きています。
 エネルギー消費量を減らそうというときに逆に増やしてしまう。キャップ・アンド・トレードの対象とはなっていますけれども、以前の建物より巨大なものが建設されて、CO2排出量が増えて、その増えたところをスタートラインにしているため、削減するという方向では、この制度は使えないんですね。
 ここに、やはり今回の見直しでメスを入れる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 都内エネルギー消費量は、業務、家庭、いずれの部門におきましても近年減少傾向にございます。
 建築物は建築後長期間使用されることから、都はキャップ・アンド・トレード制度の対象とはならないマンションも含めまして、一定規模以上の建築物の新築等を行う建築主に対して、建築物環境計画書の作成と提出を義務づけてまいりました。
 この制度により、新築建築物の計画段階から、建物の断熱性や省エネ、再エネ利用等の取組を誘導しますとともに、制度の対象拡大や省エネ性能の基準を高めるなど、新築建築物の省エネ性能等の向上に努めてきております。
 現在、環境審議会におきまして、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けまして、新築建築物の高断熱化や高効率設備の設置、また、再エネ設備の設置拡大等に向けた制度等の強化について検討しているところでございます。

○里吉委員 これから条例改正の議論の中にキャップ・アンド・トレードも入っていると思うので、そこにうまく入らないこの課題についても取り上げてほしいということで今申し上げました。
 答弁は変わらないと思いますので、要望にしておきますけれども、改めて我が党の第三回定例会の代表質問でも取り上げましたけれども、本当に環境負荷の少ない省エネの建築物を建てても、例えば十月末に開催された都市計画審議会に付議された計画だけで、CO2排出量は、元の建物から十万トン増える。こういう逆行があるわけです。
 ここへの対策をやはり今、環境局としてもぜひ検討する必要があるということは改めて強く求めておきたいと思います。
 次に行きます。
 次は、公共施設で使う電力について伺います。
 省エネをしっかり進めながらCO2排出量を半減させるためには、思い切った再生可能エネルギーの活用が必要です。
 しかし、現在都内の再エネ電力の利用割合は、資料でも示していただきましたが、一七・三%ということでとどまっているということです。増えてはいますけれども、五ページの資料にありますけれども。そこで、東京都としては、都有施設、知事部局の使用電力の再エネ化については、二〇三〇年までに一〇〇%という目標を立てました。しかし、今二〇二〇年度末では七%にとどまっているという状況なんですね。
 ほかへの影響も考えれば、二〇三〇年までに一〇〇%再エネ化という目標だけれども、ぜひ前倒しして実施すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 都は現在、都庁舎版RE一〇〇により、都庁第一本庁舎の再エネ電力一〇〇%ほか、とちょう電力プランによりまして、都立特別支援学校全てと環境局の埋立管理事務所等の合計約百二十施設で再エネ一〇〇%化されております。
 これによりまして、知事部局等の都有施設における年間電力使用量の約七%が再エネ一〇〇%となってございます。
 なお、本年度も引き続きとちょう電力プランを進めておりまして、二〇二四年度における都有施設の再エネ電力利用割合五〇%を目指し、取り組んでまいります。

○里吉委員 二〇二四年までに五〇%、そして二〇三〇年までに一〇〇%という計画で、計画どおり進んでいるんだというご答弁だと思うんですね。七%で進んでいないんじゃないかといわれるかもしれないけれども、ちゃんと計画どおり進んでいるんだというご答弁だというふうに思います。
 そして東京全体では、再エネ電力利用割合が二〇三〇年で五〇%程度という目標ですから、その倍の目標に向かって、東京都としては取り組んでいる。二倍高い目標だ、こういうことだと思うんですけれども、その高い目標ですけれども、今、目の前で気候危機との闘いということで、東京都が本当に率先して取り組むという姿勢を示すという意味では、これを前倒しすることはできないのかと。なぜできないのかということが聞きたかったんですけれども、ちょっとお答えがよく分からなかったんですが、少しでも早く再エネ化一〇〇%、前倒しで実現していただくよう要望しておきます。
 そして、その点で、今回、都有施設への太陽光発電システム設置のポテンシャルについて明らかにしてもらいましたが、これ大事だと思うんですね。
 資料の二三ページに示していただきました。都有施設の太陽光発電システム設置について、設備容量と設置ポテンシャルについて示していただきましたけども、二〇二〇年度の都有施設の設備容量は二万四千九百キロワット、一方、設置ポテンシャルは十二万九千七百キロワットということですかね。
 これは今よりも約五倍の太陽光発電システムの設置が可能ということでいいのか伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 知事部局等の都有施設における設置ポテンシャルは、屋根面積から機械的に算出したものでございまして、太陽光発電設備の設置が可能な値ではございません。

○里吉委員 単純に全部設置できるわけではないということでしたけれども、とはいえ、その可能性があることが明らかになったことは重要だと思います。
 現在、都営住宅とか学校とか見ていますと、大規模改修や改築のときには一定の太陽光パネルを設置していますけれども、工夫すればさらに設置できるように見えるところが多々あります。また、既存建築物にも改築時を待たずに設置を進めてほしいと思います。
 都営住宅や交通局、上下水道なども含めて、広く取組を進めていくべきと考えますが、環境局としての取組があれば伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、都の率先的取組が重要でありまして、今後、知事部局等の所有施設において既存施設への設置も加速していくため、設置する施設の選定や設置方法等に関する指針を新たに作成し、取組を進めてまいります。

○里吉委員 今までは、改築などのときのみの設置でしたが、今後は建て替えや大規模改修を待たずに既存施設への設置も加速していくために新たな指針を策定するということで、ここは大いに期待したいと思います。
 都営住宅などは、単純に他の都有施設と同じようにはいかないというお話だったんですが、都営住宅全体に可能な限り、太陽光パネルを設置できたら相当な数になるのではないかと思いますので、ぜひ連携を取って積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 そして次のページから、資料では、区市町村施設の自治体別太陽光パネル設置について示していただきました。
 面積や人口や条件様々ですから一概には比べられませんが、自治体によって温度差があるというふうに感じました。庁舎などへの再エネ設備の導入については、都の補助も行っていますが、申請のあった自治体は二つだったというふうに伺いました。
 資料をいただいた五年間では、都の補助制度はどれぐらい使われたのか伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、地域環境力活性化事業を通じまして、公共施設に太陽光発電設備を導入する区市町村に対し導入経費の二分の一を補助しており、平成二十七年度から令和元年度までの五年間におきまして、七自治体に、合わせて一億八百万円の財政支援を実施してございます。

○里吉委員 ちょっと金額も少ないんじゃないかなと思うんですが、自治体財政力の問題も進まない要因の大きな一つになっているというふうに思います。都内の公共施設に二〇三〇年までに一気に太陽光パネルを設置するような思い切った財政支援の拡充も含めて求めておきたいと思います。
 次に、送電線について伺います。
 自家消費型再エネ設備、蓄電池の導入支援など、再エネは地産地消を進めることが重要です。それでも、都内で再生可能エネルギーの大半は、系統から供給されるということで、送電線が重要になってくるわけですね。
 再エネを今後大量導入していく上で避けて通れない送電線の利用問題。これまで日本では、送電網への接続は、原発や石炭火力を優先するとともに、送電線のない地域での再エネ発電事業は、事業者に送電設備の費用の負担を求めるということになっていました。
 それから数年前にも、千葉方面で実際に送配電網の容量制限から、もうオーバーしてしまって、再エネ電力を送電できないという状況もありました。
 これではとても、今、国がいっている再エネを主要電力にするということはいえないと、その流れに逆行している状況ではないかと考えます。
 東京都は、国に対してこうした送電線の問題、改善を求めていますが、現在改善は進んでいるのか、状況はどうなっているのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都はこれまで、再生可能エネルギーの利用拡大に向け、国に対しまして、既存送配電網の最大限の活用、広域的な電力融通の実現、送配電網設備の整備について提案要求してございます。
 国は、既存送配電網を最大限活用するための接続ルールの見直しを段階的に進めてきておりまして、第六次エネルギー基本計画では、今後は再エネが優先的に基幹系統を利用できるように系統利用ルールの見直しを進めることとしてございます。

○里吉委員 これからルールの見直しを検討するということで、まだどこまで進むか分からないわけです。
 EUなどでは、再生可能エネルギー電力の優先接続が義務化されています。日本でも条件つきということではなくて、再エネ優先利用原則を確立すべきだと考えます。
 また、送電線などのインフラ整備も、小規模な再エネ事業所に負担とならないように、国に対しても引き続き要望していっていただきたいと思います。
 次に、ゼロエミッションビークルの普及促進について伺います。
 新車販売台数を二〇三〇年までに一〇〇%非ガソリン車にする目標があります。これ伺いましたけれども、昨年度の都内乗用車新車販売に占める割合は、EV〇・九%、PHV一・一%、FCV〇・三%、HV三七・九%ということで、二〇三〇年まであと九年で、これを全部合わせて一〇〇%にするということですから、目標まで大分距離があると思います。
 具体的には、企業の協力も欠かせないし、もしくは法改正なども検討する必要があるんじゃないかと考えます。都として、どのように目標達成を目指すのか伺います。

○三浦事業調整担当部長 都は、二〇三〇年の目標達成には、自動車メーカー等との連携が必要と認識しております。
 また、目標達成に向け、車両購入の負担軽減や、充電インフラの導入支援等に取り組んでおります。

○里吉委員 自動車メーカー等との連携、そして負担軽減や充電インフラの導入支援などに取り組むということ、どれも欠かせないことだと思いますが、それだけで実現できるのか、さらなる検討が必要ではないかと思います。
 やっぱり自動車を買う、一般市民が新しく買うなら環境を考えて車を購入しようというふうになるために、気候危機打開の取組を我が事として捉えてもらうような様々な角度からの情報発信も必要だと思います。
 そして先ほど答弁にあった充電インフラの導入支援ですが、自動車は都内だけを走っているわけではありませんから、ディーゼル規制のときのように、周りの県も巻き込んで、急速充電器の設置を広げるなどの取組も必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○三浦事業調整担当部長 急速充電器のさらなる普及促進に向けましては、既に九都県市共同で現状把握や課題抽出のための調査検討を開始しております。

○里吉委員 調査検討を始めたところだということでした。EVとPHVで現在新車販売台数全体の二%、あと、ハイブリッドもありますから、これをあと九年で一気に増やしていくということで、そのためにどういう取組が必要か。これは九都県市共同での取組に注視していきたいと思います。
 次に、バスや貨物のZEV化について伺いたいと思います。
 ゼロエミ東京戦略には、大型バスや貨物車のZEV化に向けた調査検討や、コミュニティバスの導入支援の継続実施ということが書かれておりますが、具体的にはどのような取組を行っているのか、また、今後の検討課題は何か伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 大型バスや貨物車につきましては、運用コストや開発動向等が課題であり、運営事業者や自動車メーカー等と情報共有、意見交換を継続的に実施しております。
 コミュニティバスにつきましては、補助金も活用しながら、ZEV化に向け、事業を運営する自治体への支援に取り組んでおります。

○里吉委員 大型バスについては、都バスは現在、電気バスはなくて、全て水素を使った燃料電池バスになっています。
 一方、電気バスについては、昨年度から、都としてもEVバス導入促進事業が始まっているという状況です。
 さきの公営企業決算委員会で、交通局が都バスへの電気バスの導入についても調査検討を始めたということが明らかになりました。
 電気バスは大型は難しいといわれてきましたが、意見交換でぜひ大型の電気バスについても情報交換していただきたいと思います。
 今年に入って、千葉市内の路線バスに大型の電気バスが二台導入されたという報道もありました。都でもEVバス導入促進事業を広く知らせるとともに、大型バスについてもEVバスの導入を進めることを要望しておきたいと思います。
 なぜこういう要望するかというと、水素が今グリーン水素じゃないという課題があるというふうに思うからなんですね。
 改めていいますと、水素を使って走るFCV車について、確かに水素の燃焼ではCO2は出ませんけれども、水素の供給源が天然ガスや石油などの化石燃料を原料としていれば製造過程でCO2が発生するという問題があります。
 いわゆるグリーン水素といわれる再生可能エネルギー由来の電力を利用して水素を作るのであれば、製造過程でCO2は出ませんけれども、それならば、その再エネで走るEVでいいのではないかと私は思うわけです。
 改めて伺いますけれども、現在都内を走っているFCV車、グリーン水素を使っている割合はどれくらいあるのか伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 再生可能エネルギーを直接用いて製造した水素を常態として供給している都内の水素ステーションはないと聞いております。

○里吉委員 ないですよね。それで、ゼロエミッション東京戦略の本に、水素には色があると説明がありまして、水素がどのように生成されたかによって、最も環境に優しいものから、グリーン、ターコイズ、ブルー、グレーと分類しています。
 現在のFCV車は、どのような水素を使っているのか伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 現状では、いわゆるグレー水素が大半を占めると認識しております。

○里吉委員 そうなんですよね。今、グレー水素、天然ガスや石油などの化石燃料を原料としているということで、そこでCO2を出すわけです。
 利用段階で一切CO2を出さなくても、結局天然ガスなどを原料にして水素を製造する過程でCO2を排出してしまう。再エネ電力で水素を作ってFCVを走らせるにしても、再エネのまま使った方がロスが少なくて済むと思います。
 水素は再生可能エネルギー大量導入時代の調整力としては有望だ、以前この委員会でも答弁がありました。再生可能エネルギーが大量にある、そして、だからこそ価格も低い欧州ではFCV車、だからそれは私も分かるんです。しかし、日本では、まだ再生可能エネルギーが全く足りない状況で、しかも、あと九年でCO2排出五〇%削減というときに、研究開発として企業が行うというのは分かるんですが、都の施策としては、あまりに水素に重点が偏ってしまっているのではないかと私は思うわけですが、見解を伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 水素エネルギーは、利用の段階でCO2を排出せず、エネルギー供給の多様化、非常時対応など、多くの優れた特徴を有してございます。
 二〇五〇年のゼロエミッションを実現するためには、再生可能エネルギーの基幹電源化に加えて、様々な分野での脱炭素化に貢献する水素エネルギーの普及拡大が不可欠であり、都は、再エネ普及施策とともに、水素エネルギー普及施策を推進してまいります。

○里吉委員 二〇五〇年のゼロエミッション、CO2排出実質ゼロに向けて、これが絶対必要なんだというご答弁だったと思うんですけれども、その前に、二〇三〇年までにCO2半分という目標に向けてどうするかというときに、日本では本当に再生可能エネルギーが遅れているという現状があります。それから省エネでも、住宅の断熱、本当にまだまだこれからという状況です。
 るる水素の必要性について説明がありましたけれども、今、私が議論したいのは、水素が必要かどうかということよりも、二〇三〇年までにCO2排出削減、五〇%削減するために、今どこから手をつけて、何からやらなきゃいけないのかという意味で、そういう意味では、今、再生可能エネルギーを思い切って増やす。そのために太陽光パネルの設置も、東京都としても新たな施策に取り組もうとしておりますけれども、それから省エネでも、住宅の断熱にこれからさらに踏み込もうとしていますけれども、そこにもっともっと力を集中させる必要があると。そこに思い切って予算も増やして取り組むことが本当に必要だということを求めまして、質問は終わりたいと思います。

○須山委員 何点か私からも事務事業に関して質問させていただきたいと思います。
 まず、地下水の水質測定についてお聞きさせていただきます。
 令和元年かな、多摩地域において水道水の水源となっている井戸から比較的高い濃度のPFOS及びPFOAが検出され、井戸からのくみ上げを一時停止したといった報道がありました。
 都は、水源をほかの井戸や川の水に切り替えて対応したために、水道水の水質に問題はないということでしたけれども、報道により不安を感じた都民、市民も多くいらっしゃいました。
 有機フッ素化合物であるPFOSやPFOAは、現在では製造等が禁止されておりますけれども、半導体製造や撥水加工の原料など様々な用途で幅広く使用されてまいりました。
 また、環境局の地下水調査においても、複数の地点で暫定目標値の一リットル当たり五十ナノグラムを超過しているということでした。
 そこで、改めてこれまで実施してきた地下水中のPFOS及びPFOAの調査結果について、まずお聞かせください。

○志村環境改善技術担当部長 地下水中のPFOS及びPFOAについては、東京都環境科学研究所が国に先駆け、平成二十二年度から二十五年度にかけて、島しょを除く都内二百三十七地点で測定を実施しております。
 その結果、全ての区市で検出されており、測定方法が異なるため現在の暫定目標値と単純な比較はできませんが、PFOSとPFOAの合算値で一リットル当たり五十ナノグラムを超過したのは二十八地点でございました。この測定で比較的濃度が高かった地点については、継続的に測定を実施しております。
 新たな測定方法では、数値が高めに出る傾向がございますことから、令和二年度には、過去の測定で一リットル当たり四十ナノグラム以上であった地点に対象を広げまして、全国調査を行う国とともに測定を実施いたしました。
 その結果、令和元年度に暫定目標値を下回った地点を除きまして、採水可能であった二十四地点のうち、十九地点で暫定目標値を超過しておりました。

○須山委員 ありがとうございます。この質問させていただいたのは、私前職が府中の市議会議員だったこともあって、当時府中で非常に高い数値が出たということで、市民の方から非常に心配されて、また、不安の声を多数寄せられたということがありました。
 都民の皆さんの不安を払拭するためには、PFOS及びPFOAの調査を充実させていく必要があると考えておりますけれども、今後どのような対応をしていくのか見解をお聞かせいただきたいと思います。

○志村環境改善技術担当部長 地下水中のPFOS及びPFOAは、令和二年五月に、現時点では直ちに環境基準健康項目とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきと判断される要監視項目に位置づけられました。
 また、都内の全ての区市で検出され、暫定目標値を超過した地点が複数存在することから、都内全域の実態把握を行うことが重要であると認識しております。
 このため、今年度から都の地下水の水質測定計画にPFOS及びPFOAの測定を追加し、島しょを除く都内全域を対象として、新たな地点での測定を実施することといたしておりまして、今年度は六十二地点を予定しております。
 測定結果につきましては、都のホームページを通じて公表するとともに、井戸所有者や関係市町村に情報提供を行ってまいります。

○須山委員 ありがとうございます。PFOS及びPFOAについては、要監視項目に位置づけられたことを踏まえて、地下水調査を計画的に実施している、まさに今、今年度も実施をしているということを伺いました。
 都内の地下水の状況、なかなか分かりづらいとは思うんですけども、しっかりと調査をしていっていただきたいと、そして把握をしていただきたいと思います。
 また、都民の皆さん、やはり不安を抱えるということもありますので、ぜひ不安解消のためにも、調査結果が出次第、速やかに公表していっていただいて、そして、しかも分かりやすい情報発信に努めていっていただきたいと思います。これは要望させていただきたいと思います。この件に関しては終わります。
 そして、続きまして、森林再生事業について伺いたいと思います。
 森林は、再生産可能な木材、資源を供給するだけでなく、土砂災害の防止や、水源涵養、また、動植物のすみかを提供するなど、本当に様々な、そして重要な機能があると考えております。
 東京の多摩地域、私の地元である八王子でもそうですし、また、奥多摩とかいろいろなところに森林がありますけれども、戦後、精力的に植林をされた約三万ヘクタールの杉やヒノキの人工林が広がっております。
 いろいろ林業は難しいところもあって、木材価格の低迷とかもあると伺っておりまして、多くの人工林が今、放置をされている状況にあるとも伺っております。
 そして、そういった森林が放置をされてしまうと、地面に日が当たらずに下層植生の生えない、裸地化した森林となってしまいまして、非常に不健康な森になってしまうと。そのような状況にある中で、やはり人間が手を入れていかなくてはいけないと、そのように考えております。
 そこで、東京都はこれまで、手入れの遅れた人工林において、間伐を行って森林の再生を目指す事業を実施しているということなんですけれども、これまでの実績と今後の課題についてお聞かせいただきたいと思います。

○和田自然環境部長 都では、土砂の流出防止や水源涵養等の公益的機能を回復させることを目的に、平成十四年度から手入れの遅れている人工林を対象に、多摩の森林再生を目指す事業を実施しております。
 森林所有者と二十五年間の協定を締結し、協定期間に二回の間伐を実施いたします。このことで空間ができ、光が入ることによって、ブナやナラなどの広葉樹が自然に自生し、将来的に杉やヒノキなどの針葉樹と適度に交じった、より自然に近い森林になることを目指しております。
 事業開始から令和二年度までの新規間伐の実績は約七千八百ヘクタールであり、平成二十六年度から開始した二回目間伐は、令和二年度末までに約三千ヘクタールに上っております。
 一方、森林所有者が高齢化して代替わりすることで、協定対象地の所有形態が共有であるケースなどが増えており、従来より手続が複雑化しているという課題があります。
 今後も、十分な調査と丁寧な説明を行うことで、森林所有者の方々の理解を得ながら森林再生事業を推進していくことで、環境保全、土砂災害の防止に優れた森林環境をつくってまいります。

○須山委員 ありがとうございます。冒頭にも申し上げましたけれども、森林再生事業、非常に大切な事業だと思います。自然豊かで、災害にも強い森林にするために、東京都の取組というのは非常に評価できると思います。
 林業に関係する私の友人にも話を聞きましたけれども、東京都は本当に非常によくやっていただいているということを申しておりました。
 この事業をやっていく中で、健康な森林をつくっていくことが、冒頭に申したとおり、災害を防止すること、また、生物多様性にもつながってまいります。
 特に昨今、本当に異常気象で、水害などの災害の被害が非常に多く見られてまいりました。そういった中で、この事業を進めていく上で、やはり森林の所有者の皆さんだけでなく、地域の自治体、また時に局をまたいでの連携も必要となってくるとも考えられます。
 この森林というのは、非常に様々な機能があるということは先ほど申し上げたとおりなんですけれども、そうした森林を残して、そして健康で、さらに環境に寄与していくためにも、ぜひ東京都環境局の皆さんにはご尽力いただきたいと思いますので、改めてお願いをさせていただきたいと思います。
 続きまして、国際協力事業に関してお聞きしたいと思います。
 英国では、現在COP26が開催されております。世界中がその交渉の行方に大いに注目をしております。COPに先立って、本年八月には、国連のIPCCで発表した第六次報告書では、人間活動による地球温暖化は疑う余地がないとして、その関連を初めて断定したものとして大きな反響を呼びました。
 この二年弱の間、世界は新型コロナウイルスと闘ってまいりましたけれども、同時に異常気象による自然災害が各地で頻繁に発生し、気候危機の状況もさらに深刻化しているといわざるを得ません。地球温暖化対策は世界共通の課題であって、世界が一体となって進めていかなくてはなりません。
 都は、世界の環境先進都市として、コロナ禍においても国際環境協力や、国際的な発信を積極的に行っていくべきだと考えますけれども、都のこれまでの取組と今後に向けた方針をお聞かせいただきたいと思います。

○木村政策調整担当部長 気候危機は地球規模で対応すべき問題であり、その解決に向けては、世界諸都市との連携協力が重要でございます。
 都は、C40やイクレイなど、気候変動に関する国際的な都市間ネットワークを活用し、都の先進的な施策を積極的に発信するとともに、知見の共有を進めてまいりました。
 また、アジア諸都市等への施策構築の支援や技術交流なども行っており、コロナ禍におきましても、オンライン会議システム等を利用し、継続して支援を実施しております。
 さらに、本年二月からは、脱炭素化に向けた実効性ある行動を加速させるため、東京発の気候危機行動ムーブメント、タイム・ツー・アクトを展開しております。
 先月には、海外都市やビジネス、NGOなど各界を代表する方々を招いて国際会議を開催いたしまして、二〇三〇年カーボンハーフに向けた取組について議論したところでございます。
 都は、今後もタイム・ツー・アクトをスローガンとした国際発信をはじめ、世界有数の大都市の責務として、国際的なリーダーシップを発揮し、世界の脱炭素化に貢献してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。気候変動、気候危機、また温暖化対策等、非常に本当に待ったなしの状況であるということはもう皆さん、周知の事実だと思います。カーボンハーフに向けてしっかりと取り組んでいっていただくとともに、やはり国際的な都市間での協力というのは非常に大切だと思います。
 そういった意味で、東京都がこうやってタイム・ツー・アクト、また、様々な施策を打っていただくのは非常に大切なことだと思いますし、環境先進都市として、しっかりと牽引をしていっていただきたいと思います。
 一方で、例えばそのタイム・ツー・アクトなんですけれども、ツイッターのアカウントを見ると、今そのアカウント自体は、もう環境局のアカウントに一緒になっているのかな、そういったことになっていると思います。
 環境局のアカウントは二万三千人ぐらいフォロワーがいるんですけれども、一方で、英語のアカウントが全然フォロワーがいなくて、もちろんツイッターが全てだとは私も思いませんし、様々な媒体で発信をしていっていただきたいと思うんですけれども、せっかくタイム・ツー・アクトという英語で世界に発信をする、そういったスローガンを掲げているので、ぜひ各国からも注目をされるような、そういった仕組みもつくっていっていただきたいなと思います。これは本当に要望させていただきます。東京都がしっかりと牽引をしていただきたいと思うので、強く要望させていただきます。
 例えば学問であったり、芸術であったりとか文化であるということは、先人から受け継いできたものをより発展させて、未来につないでいくんですけれども、環境というものもやはり、先人から受け継いできたものをしっかりと未来、自分たちの子供たちにも託していく、そういった考えで、今、環境問題に取り組んでいかなくてはいけないということを改めて感じております。
 ぜひその意識を持っていただいて、様々地域の課題ももちろんそうですし、国際的な協力も進めていっていただく中で、環境先進都市として、東京都がしっかりと温暖化対策を含めて牽引していただきたいと要望させていただきまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○漢人委員 もうこれまでにほかの委員の方からも述べられていますけれども、今まさにイギリス、グラスゴーで国連の気候変動枠組条約締結国会議、COP26が開催をされています。
 残念ながら現在までの状況ですと、削減目標一・五度C目標にはちょっと程遠いような状況ではないかと思われます。また、途上国への気候資金援助についても、これも目標に程遠い状況など、大変厳しい今の会議の状況ではないかと思っています。
 そしてまた、そのような中で、日本は第一号の化石賞を今回も受賞したということ、そして先日発表されましたNGOによる採点だと、日本は百点中二十点という低い評価を受けています。
 そのような状況の中で、私は、東京都は日本という国を勝るような取組をこれまでもしてきたし、これからもぜひ続けてほしいということで、質問したいと思っております。
 また、このCOP26に合わせて、世界の若者たちの大きな動きも行われています。このCOPに向けまして、気候アクションを求める緊急アピールというのをスウェーデンのグレタ・トゥンベリさんをはじめとした若い方たちが今ネット上で集めていますけれども、昨日の時点で百八十万人が署名をしています。本当に今、世界のリーダーたちへ求めるという切実な声が上げられているわけです。
 また、先日の六日には、日本でも世界の気候アクションに応じる形でアクションが行われました。都議会議員何名かの方と一緒に私も参加をしたんですけれども、そこでは、日本の各地で行われている取組の中からスピーチが行われたんですね。
 そのうちの一人の方の発言が私はとても重く響いております。若い人たちが今取り組んでいる、この声を上げているのは、自分たちの未来が本当に脅かされているからなんだと、これは確かにそうなんですけれども、その彼女の発言というのは、こういったものでした。
 気候変動で、私たち若者の未来が危ない、そうじゃないんです。いつか私たちの未来に起こるかもしれないことではなく、既に起こっていることです。未来ではなく、今まさにこの瞬間が壊されている人々が世界にはたくさんいます。気候変動を引き起こすシステム、そして労働、貧困、差別、あらゆる人権侵害と闘い続けます。今後も力強い気候正義運動をつくっていきましょうというメッセージでした。
 そうなんです。未来が危ないというだけではなく、今現在、例えばもう水没しようとしているツバルという国があったり、バングラデシュなどでは、日本による石炭火力発電所の輸出によって、その住まいを奪われていく。今、世界中で大災害が起きていますけれども、それによって例えば多くの難民も発生しているなど、様々な今現在起こっている状況もあるということ。そこも含めて、この環境の担当の皆さんの真摯な取組を求めたいと思います。
 東京都は、おととし二〇一九年十二月にゼロエミッション東京戦略を策定、公表しています。パリ協定が定める気候上昇を一・五度Cに抑えるということを追求し、二〇五〇年までにはCO2排出実質ゼロに貢献するということを宣言されたわけです。
 そしてその後、その当時からすれば思いもかけない形でのコロナ禍という状況がありました。そして今年三月、ゼロエミッション東京戦略二〇二〇 Update&Reportということで、コロナ禍を乗り越えて未来に向けて今行動を加速するとしての、そういった策定姿勢を示した計画が発表されました。
 この真摯な姿勢、そして意欲的な目標なども掲げられていて、私は高く評価したいと思います。しかし、内容について見ていきますと、具体的なところではちょっと疑問を感じるようなところも多々あります。
 二〇三〇年カーボンハーフ、そして二〇五〇年ゼロカーボンを実現するためということで、今日は、その中から省エネルギー、再生可能エネルギー、そして水素エネルギーと、ゼロエミッションビークルと非ガソリン車ということで、四つのテーマについて質問したいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、省エネについてです。
 ゼロエミッション東京戦略アップデート版の二〇三〇年のエネルギー消費量は、二〇〇〇年比で五〇%削減です。しかし、事業概要の五〇ページの東京都におけるエネルギー消費の推移によりますと、二〇〇〇年、平成十二年から二〇一九年、令和元年の十九年間のエネルギー消費は約二五%削減で、この傾向のままの推移であれば、二〇三〇年の消費量は、二〇〇〇年比約四〇%削減にしかなりません。目標の五〇%には足りません。
 特に二〇一五年、平成二十七年から二〇一九年、令和元年では六百二十六ペタジュールから五百九十八ペタジュールと微減の、ほぼ横ばいの状況であるにもかかわらず、この事業概要の中では、こう書いてあるんですね。
 平成二十四年度以降も都民、事業者による賢い節電、省エネ対策が継続されており、電力需要が下方に、下方にですよ、下方にシフトするという構造変化が定着していると、このように記載をされているんです。
 これは私はちょっと認識が甘いのではないかといわざるを得ません。このままではゼロエミッション東京戦略アップデート版の目標に大きく及ばない現状だと思っています。特にこの数年間の省エネはほとんど進んでいないのではないかと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 都内のエネルギー消費量は、直近の二〇一九年度速報値で五百九十八ペタジュールとなっており、基準年である二〇〇〇年度の八百二ペタジュールから二五・四%削減してございます。
 この間の推移を見ると、特に大きく削減が進んだのは、東日本大震災による電力需給の逼迫を受けまして大規模な節電対策が求められた二〇一一年度で、前年度から約六%減少しましたが、その後も事業者の削減努力、それから都民の省エネ行動等によりまして、エネルギー消費量はリバウンドすることなく着実に削減が進んでおり、二〇一九年度までにさらに一一%の削減が実現しております。
 現在、環境審議会において環境基本計画の改定に向け、様々な施策の強化に向けた検討を実施しており、これらの議論も踏まえながら、引き続き省エネ対策に取り組んでまいります。

○漢人委員 震災後にリバウンドしなかったということは、これは大いに評価できると思います。しかし、その後八年かけて一一%削減というのは、これは胸を張れる数字ではないのではないでしょうか。
 ということで、再質問したいと思いますけれども、私の質問で、二〇〇〇年から二〇一九年までに約二〇%削減、今ご答弁もありましたけれども、これはいいんですよね。この同じペースで推移したのでは、二〇三〇年での削減率は二〇〇〇年比四〇%であり、目標の五〇%には届かない厳しい現状ではないかということを伺っていますが、この認識はおありでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 最新の値でございます二〇一九年度の前の年、二〇一八年度と比べてもエネルギー消費量は一・五%の削減となってございます。
 それから二〇三〇年に向けましては、現在、環境審議会におきまして環境基本計画の改定に向け、様々な施策強化に向けた検討を実施してございます。
 これらの議論も踏まえながら、引き続き省エネ対策に取り組んでまいります。

○漢人委員 またお答えいただけなかったんですけれども、だから二〇〇〇年から二〇一九年度までの削減の状況、このままの推移でいったら二〇三〇年に五〇%削減は難しいんじゃないですか。単純に計算したら、これ四〇%にしかならないんですよ。
 これはもう計算の問題ですから、その認識をお持ちなのかと。減らしていますよ、減らしていますよというだけじゃ、それは減っていますよ。だけど不十分じゃないですかという質問をしているんです。
 ぜひそこは、もう一回は聞きませんけれども、一〇%足りないんですよ、もう客観的に、このままでは。そのことをしっかり踏まえて取組をしていただきたいと思います。
 この認識があるかないかによって、今後の政策についても大分変わってきますよね。大丈夫かな、このままやっていけばと思うのか、いや、あと一〇%足りないんだと思ってやるのかじゃ全然違いますから、そこの認識、ぜひ皆さんしっかり持っていただきたいと思います。
 それから環境審議会からの議論を踏まえて、引き続き省エネに取り組むということなんですけれども、もちろん環境審議会からの抜本的、意欲的な提案を期待するところです。
 その審議会なんですが、この間、開催されていて最新の会議が先日、十一月一日に開催されているかと思うんですけれども、これが前の委員会のときに、私、先日は自動車の関係の審議会でしたけれども、議事録がまだないじゃないかと。せめて資料ぐらいはすぐに出してほしいというふうにお願いしました。
 この環境審議会については、資料はもうその十一月一日のものまで全部ホームページにアップされているんですが、この会議録が七月までしかアップされていないんですね。その後も八月も九月も開催しているのに、その会議録がいまだにアップされていない。
 これについては、会議録を作るのは多少時間がかかるとはいえですよ、八月も九月もまだ公開されていないというのはちょっとどうかなと私は思います。
 これについては、会議録の公開というのはどのようなペースで今後行われていくんでしょうか。これから、例えば今日の委員会にしたって、この審議会でどんなことが議論されているのかということも踏まえて行いたいと思うし、これからの十二月、第四回定例会に向けても同じことになってくるわけですが、この点、会議録の公開の時期というのはどのようになっていくでしょうか。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今お話しの環境審議会につきましては、先ほどご答弁をさせていただいているところでございますけれども、公開をさせていただいております。
 審議会の議事録につきましては、今、委員のお話にもございましたけれども、内容等の精査等もございますので、その辺の確認を行って速やかに掲載をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○漢人委員 速やかにというのが、八月二十日の会議が九、十、十一、速やかとこれはいえないと思うんですね。そんなすぐにとはいいません。議会のように速やかには難しいと思いますけれども、もうちょっと早いペースでぜひお願いをしたいと思います。
 そして、この審議会ですけれども、資料が公開されていますので、拝見しますと、これまでの質疑の答弁でもありましたが、今、企画政策部会というのが開催されていて、今日質問しようと思っている再生可能エネルギーについては、既に七月に審議されているんですね。
 これから幾つかの審議をして、来年の四月以降に、企画政策部会の中間まとめ、そして総会の中間まとめがあり、パブリックコメントが行われて、来年の夏頃に総会があって答申する。そして、市区町村の意見聴取も行った上で、東京都環境基本計画は改定されるということが示されています。
 先ほど答弁いただいた、現在環境審議会において審議をしていて、そこで様々な施策の強化に向けた検討も実施しているから、これを踏まえて引き続き対策に取り組むというご答弁をいただいたんですけれども、この審議会においての検討というのは、もうこの省エネに関して今伺ったようなことについては審議が終わっているということでしょうか。既に幾つかの強化に向けた提案などはされているんでしょうか。
 もしくはこれから来年の夏に答申が出て、計画としてはその後つくられていくんですけれども、具体的に今この問題について、いかにエネルギー消費量を削減していくかということについての施策というのは、どのように今後その審議会から反映されていくのかということをちょっと確認したいんですけれども。
 来年の夏頃に答申があってというところまで待っていると、来年の夏に答申が出て、東京都としたらそれを具体的な政策や、そのさらに次の年の予算に反映していく中で、実現をしていくのか、まあ、補正予算という形もありますけれども、ということになりますと、もし二〇二三年からということになると、二〇三〇年の目標までもう残された時間、また七年になってくるんですよ。今はあと九年といっているけれども、来年はあと八年になって、再来年から政策を実施する、予算化するなんていっていったら、残る時間は七年、もうあっという間ですよ。
 政策を実施するというのは、それから効果が出るまでの一定の期間を考えると、何かとても、先ほどいったまだ一〇%、大きく削減しなければならない状況の中で、こういう進め方で大丈夫なんでしょうかというのも非常に心配なんですが、この審議会の議論を反映していくというのは、答申を待ってからということになるのか、その都度様々反映がされていくのかという辺りはどうなんでしょうか。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都環境基本計画は、気候変動分野、大気環境分野、自然環境分野など環境政策全般における総合的な計画でございます。
 現在、年内までにゼロエミッション関係の議論を集中して実施してございまして、その後、先ほど申し上げた大気環境分野、自然環境分野等のご議論もいただきながら、令和四年四月以降、中間の取りまとめを環境審議会において行いまして、その後、パブリックコメントでのご意見を踏まえまして、最終答申をいただく予定となってございます。
 都としては、本答申に基づきまして、環境基本計画の改定及び条例に定める関係規定の改正手続を進めてまいります。

○漢人委員 ということは、議論としては、これは行われていくんだけれども、それもパブリックコメントを経ることも大事ですし、もう一回庁内で検討することも大事だと思うんですけれども、来年の夏以降に答申が出てから、さらに環境基本計画として確定してから、東京都の事業に反映をされていくということになってしまうのかなと。
 そういう手続が必要なものもあると思いますが、やはりこの審議会を経て、都としてこれは進めるべきと思ったことはどんどん実現に向けて政策化して予算化もしていかないと、もう間に合わない事態ではないかと思いますので、もうちょっと迅速な対応を求めておきたいというふうに思います。
 次の質問に行きますが、事業概要やゼロエミッション東京戦略において、私はどうも省エネルギーということの位置づけが弱いと感じてしまうんですね。もっと施策の強化をする、それから都民にアピールするということをしていく、もっと省エネが大事なんだという、そういう意識喚起をしていくことが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 省エネ対策は、気候変動対策における重要な柱であることから、従来の計画から二〇三〇年目標に位置づけており、本年三月に策定いたしましたゼロエミッション東京戦略Update&Reportにおきましては、その目標値を三八%削減から五〇%削減に引き上げることを掲げております。
 目標の実現に向け、条例に基づく制度や様々な支援策に加え、区市町村や九都県市等とも連携した普及啓発などを展開することにより、引き続き都民、事業者の省エネ対策を促進してまいります。

○漢人委員 削減目標を三八%から五〇%に引き上げて頑張ろうとしているんだということですし、この間伺った中でも、まず省エネが一番のベースだから、環境局のというか、この気候変動に関する事業の多くは省エネのところなんだというようなことも伺いました。
 だけど、印象なんですよ、印象。逆に当然だと思ってやっていらっしゃるから、当然ちゃんとやっていらっしゃるんでしょうけど、都民の側からのメッセージとして伝わってくるものとして、いまいち省エネという、もっとそこを、まずエネルギー消費を減らさなきゃいけないんだというところが伝わりにくいなというふうに私は感じます。
 例えばゼロエミッション東京戦略二〇二〇 Update&Reportを見ても、項目としては、再エネとか、水素エネルギーとか、ゼロエミッションビークルとかとあるんだけど、省エネという項目はないんですよ。
 だから、それがもうベースにあるんだということなのかもしれないけれども、もうちょっとそこのところを私はしっかりとアピールをした方が効果が高まるというふうに思いますので、ぜひそのような視点からもご検討いただければと思います。
 次は、再生可能エネルギーについて伺います。
 ゼロエミッション東京戦略アップデート版では、二〇三〇年のエネルギー消費量を二〇〇〇年比で五〇%削減というのを目標としていますが、これはエネルギー消費量なんですね。そのうちの電力消費量の削減目標をお伺いします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、二〇三〇年のエネルギー消費量を電力を含めた様々なエネルギー全体で二〇〇〇年比五〇%削減することを目標としておりまして、エネルギー種別ごとの目標は定めてございません。

○漢人委員 削減目標がないというのは、私はとても驚きです。その次の質問でもありますけど、再生可能エネルギーをどれだけ増やしていくのか、電力供給をどれだけ増やすのかということを取り組もうとしているのに、その目標値がないというのは、物事というのはやっぱり目標があるから、それに向かってどれだけ達成したかということを測っていくし、施策も積み上げていくものなので、なぜ電力消費量についての削減目標はないんでしょうか。
 これは積極的に必要ないということで、ないのか、それとも立てていない−−だから何でないのかという素朴な質問、疑問なんですけれども、ないということは分かりましたが、なぜないんでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 繰り返しになりますけれども、二〇三〇年のエネルギー消費量を、電力を含めました様々なエネルギー全体で二〇〇〇年比五〇%削減するという目標を定めてございまして、エネルギー種別ごとの目標は定めてございません。
   〔「大きい声で。聞こえない」と呼ぶ者あり〕

○漢人委員 何か聞こえないという声があったけど、いいですかね。次からもうちょっと大きな声でお願いできればと。
 同じことを繰り返されまして、だから何でないのか説明もできないということですかね。私はやはりとてもこれは疑問です。
 いや、こういう理由だからないんですよといわれればあれなんですけど、そのない理由が伺えなくて、目標がなくて削減しようとしているのかという、大変疑問だと繰り返しておきます。
 それでは、次の質問ですが、二〇三〇年の都内に設置される再生可能エネルギー設備による供給量の目標を伺います。これはありますよね。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、都内に設置される設備による再生可能エネルギーの供給に関しまして、都内の太陽光発電設備の導入量を二〇三〇年に百三十万キロワットとすることを目標としてございます。

○漢人委員 私は再生可能エネルギー設備による供給量の目標を伺ったんですけれども、今のご答弁は、都内の太陽光発電設備の導入量が二〇三〇年に百三十万キロワットだということでした。
 つまり、これは東京都としては、都内で実現可能な再生可能エネルギーの設備というのは、これはもう太陽光発電にほぼ限定しているんだということでよろしいでしょうか。
 今日提出された資料を見ても、実際に風力も水力も地熱もほとんど厳しい状況なのでそういうことだと思うんですが、東京都としては、やはり都内での再生可能エネルギーは太陽光発電中心で、中心というか、もうほぼこれでいくんだということでよろしいですね。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、都内の太陽光発電設備の導入量を二〇三〇年に百三十万キロワットとすることを目標としてございます。

○漢人委員 何かやっぱりちょっとかみ合わないんですけど、まあ、そういうことなのでしょう。
 次の質問ですが、都内で発電に適する全ての住宅の屋根に太陽光パネルを設置した場合の発電量は約八百万キロワットです。これはゼロエミッションのアップデート版にも記載をされています。八百万キロワットですね。
 ゼロエミッション東京戦略アップデート版では、二〇三〇年の都内太陽光発電設備導入の目標が百三十万キロワットのまま据え置かれています。全ての屋根に設置すれば八百万キロワットなんだけど、目標については百三十万キロワットのままなんですね。
 これはなぜか。発電に適する全ての屋根に太陽光パネルを乗せることは、それはできないんだと思いますけれども、しかし、大幅に目標をアップするべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 都は現在、環境審議会におきまして、太陽光発電設備等の再エネ設備の設置拡大に向けた制度、支援、仕組み等の取組強化を検討してございます。

○漢人委員 これも、それはいいんです。ぜひやっていただきたいことなんですけれども、目標自体をアップしないのか。これは目標をアップするということと併せての取組強化を検討するということでよろしいでしょうか。目標は据置きのままなんですか、それとも目標は上げないと、もうこれが限界だと。そこを実現することしか考えていないのか、目標もアップするし、さらに支援策も、そういった取組についても強化をするのか。質問は目標をアップするのかどうか、大幅アップするのかどうかという質問なんです。

○小川地球環境エネルギー部長 ただいまご答弁いたしましたけれども、環境審議会におきまして、太陽光発電設備等の再エネ設備の設置拡大に向けた制度、支援、仕組み等の取組強化を検討してございます。

○漢人委員 何で質問に答えていただけないのか大変疑問なんですけど、そういうものなんですかね。そういうものだというふうに受け止めざるを得ないのかしら。
 次ですけれども、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業の実績は、年間で三百から四百件とされています。
 二〇一九年は二百七十八件で、補助総額は約一千八百万円、設備容量は約百八十キロワットです。この事業をさらに促進する必要があると思いますけれども、これは検討されていますか。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、事業者が住宅所有者のニーズに合わせて、リース、電力販売など、住宅所有者の初期費用負担なしに太陽光発電設備を設置できるサービスを提供するものでございます。
 都は現在、環境審議会におきまして、初期費用ゼロでの太陽光パネル設置スキームの認知度向上など、民間ビジネスの支援等について検討しているところでございます。

○漢人委員 これは環境審議会においてということではありますが、この事業についてはさらに促進する方向だというご答弁なんだろうと解釈をさせていただきます。
 それで、そういう事業を幾つかやっているわけですけれども、なかなかこれでは追いつかないなというふうに私は感じております。
 それで、次の質問なんですけれども、例えば先日の、前回の委員会で議題になって、今度の第四回定例会で条例の改正が提案されると思うんですが、運輸事業者については、二百台以上所有する大規模事業者に対して、低燃費車の義務づけをしているわけですね、義務づけ。
 このように、電気に関しても、再エネに関しても、一定以上の大規模な電力供給事業者に対しては、供給量の再生可能エネルギー比率を義務づける、そういった制度を取り入れるべきではないでしょうか。そういった検討をしませんかという質問です。

○小川地球環境エネルギー部長 都は現在、環境審議会におきまして、再エネ利用率の高い電力供給事業者の拡大を誘導する仕組みなどにつきまして、検討を進めてございます。

○漢人委員 これについては、公開されている七月の議事録の中でもそのような発言をされている方がいらっしゃったかと思います。その方向をぜひ実現をしてほしいと思うんです。
 具体的にいえば、その環境審議会に出されている資料によっても、電力供給事業者、再エネ利用率五〇%を超える事業者の一覧という資料が出されておりまして、二百三十九社のうち十五社、約六%が再エネ利用率五〇%を超えているんですね。
 そこに参考ということでちゃんと、これは偉いなと思うんですけど、載っているんですが、一番下に、欄外に(参考)東京電力エナジーパートナー株式会社、これが利用量がもう全然桁が違いますよね。ちょっと数字は、私、間違えるので、飛ばしますが、再エネの利用率一四%なんですよ。東京電力エナジーパートナー株式会社、東電のあの大きなところが、東京においての最大の当然大規模事業者なわけですけれども、ここは再エネがたった一四%なんですね。ここが、東電が再エネ率を大幅に引き上げれば、かなり東京の再エネの目標は達成できるということになりませんか。
 ぜひここは、もう東電狙いで私はいいと思っているんですけど、しっかり大事業者としての責任を果たして、この東京都、そして東京は世界に、もう本当に先ほど皆さんがおっしゃっているとおり、大きな役割を果たしている東京都ですから、そこが再エネの比率五〇%、二〇三〇年五〇%をしっかり達成するためには、東電にしっかり頑張ってもらわなきゃいけない、そのための仕組みをつくらなきゃいけないと思っています。
 ぜひ再エネ利用率の高い電力供給事業者の拡大を誘導する仕組みを実現していただきたい、ここは強く求めて、再エネについては質問を終わりたいと思います。大きな期待を持って終わりたいと思います。
 次は、水素エネルギーについてです。
 この水素についても、ほかの委員の方からもいろいろ質問がありました。事業概要では、水素社会の実現に向けた取組、そしてゼロエミッション東京戦略二〇二〇アップデート版では、二番目の項目として、水素エネルギーの普及拡大と掲げています。
 やっぱり項目が何番目に来るかというのは大きいと思うんですけど、一番目は、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化なんですね、ゼロエミッション東京戦略。二番目が水素エネルギーの普及拡大ということで、大きく取り上げているわけです。
 水素エネルギーの将来的な可能性や必要性については、私も否定はしません。必要だと思います。ただ、今求められている二〇三〇年目標においては、この水素はほとんど貢献しないんだということを今日ここでちゃんと確認しておきたいと思います。
 現在、日本における水素の供給量と、再生可能エネルギー由来の水素の供給量をお伺いいたします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 国の水素・燃料電池戦略協議会の資料によれば、現在国内では、工場内で生産過程に用いられる水素や副生水素等が年間約百九十三・二万トン供給されていると推計されております。
 また、現在の国内における再生可能エネルギー由来水素の供給量推計量に関する国の公表資料については承知しておりませんが、活用されている水素の多くは化石燃料由来であると認識してございます。

○漢人委員 つまり現状では、CO2を排出しない再エネ水素はほぼ存在しないということでよろしいかと思います。そもそも推計されているとか、その公表資料については承知していないとかということで、大体、よく分からないけれども使っていないみたいだよという今答弁だったと思います。
 現状では、CO2を排出しない再エネ水素はほぼ存在しないんだということをここで確認しておきたいと思います。
 次ですが、では、日本において、二〇三〇年までに再生可能エネルギー由来の水素はどのぐらい供給されると想定をしていますか。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 国の二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略では、二〇三〇年の水素導入量は、アンモニアを含む水素キャリアの直接利用も含め、最大三百万トンを目指すとしており、このうちクリーン水素、すなわちCCUSを行った化石燃料や再生可能エネルギー等から製造された水素の供給量は約四十二万トン以上を目指すとされてございます。

○漢人委員 今クリーン水素という単語が出てきたんですけれども、先ほど里吉委員からもありましたけど、このゼロエミッション計画では、水素には色があるということで、グリーン水素、再エネ由来の電力を利用して水を電気分解して生成される水素、これが理想的な水素ね。ターコイズ水素、メタンの熱分解によって生成される水素、同時に生成される炭素はCO2としてではなく、固体として生成。ブルー水素、化石燃料を原料とするが、CCSですね、製造過程で発生するCO2を回収、貯留することで大気中にCO2を放出しない水素。そしてグレー水素、天然ガスや石油などの化石燃料を原料として製造される水素ということで、四分類で示しています。
 このクリーン水素というのは、ゼロエミッション計画でいえば一体何に当たるのでしょうか。また、グリーン水素を目指しているわけですよね。その割合というのは分からない、割合というか、どのぐらいなのかということは分からないのでしょうか。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 クリーン水素につきましては、国のカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略に記載されているものでございまして、すなわちCCUSを行った化石燃料や再生可能エネルギー等から製造された水素とされてございます。(「もうちょっと大きい声でしゃべってよ」と呼ぶ者あり)はい。
 クリーン水素につきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略に記載がされておりまして、すなわちCCUSを行った化石燃料や再生可能エネルギー等から製造された水素とされてございます。
 グリーン水素につきましては、先ほど推計がないということでご答弁させていただいたところでございます。

○漢人委員 クリーン水素については繰り返されましたが、つまり、一応東京都の話なので、東京都のゼロエミッション東京戦略の四分類でいえば、グリーン水素と、CCSということで、ブルー水素の二つを合わせたものがクリーン水素ということになるのではないかと思いますと申し上げておきます。
 そして、グリーン水素については、先ほどの答弁は現在について伺ったんですね。じゃ、今問題なのは現在は厳しいんですよ、だけど、二〇三〇年に向けての今計画をいろいろ取組をしているわけだから、二〇三〇年にはどのぐらいになるのかということを伺ったけど、それは合わせての、二〇三〇年はというか、グリーン水素とブルー水素を合わせて約四十二万トン以上を目指すとされているということで、その内訳は分からないということでよろしいですか。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 クリーン水素の内訳につきましては、公表されてございません。

○漢人委員 残念ながら公表されていない。公表されていないし、つまり東京都として分からない。二〇三〇年に、やっぱりグリーン水素でなければCO2ゼロには、まだ二〇三〇年はゼロではないけど、削減にはならないんですよね。それが今のところはめどが立たないということだと確認をせざるを得ないと思います。
 二〇三〇年まででは、水素エネルギーの活用はCO2削減には結びつかないという、今までのご答弁からすると、そういうことになるかと思いますが、よろしいでしょうか。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 水素エネルギーは、利用の段階でCO2を排出せず、CO2の削減に資するものでございます。
 例えば、国のNEDOプロジェクトにより、民間調査会社が二〇二〇年に調査、公表した資料によれば、燃料の製造段階まで考慮した温室効果ガス排出量におきまして、多くの水素製造方法で、燃料電池自動車はガソリン自動車より優れております。
 また、家庭用燃料電池は、電気と熱を両方利用することで、家庭の省エネに資するものでございます。
 将来的には、水素そのものの脱炭素化が必要であり、水素需要を創出することで技術革新を促進するとともに、水素コストの低減やサプライチェーンの構築を図ってまいります。

○漢人委員 燃料電池車はガソリン車よりは優れていると、比較でいえばちょっと優れているということでは優れていると思いますけど、これは残念ながら水素の製造過程についてCO2を排出している限りは、ほんのちょっと優れているだけだとしか、多分、私が見ている程度の資料だとそのようになります。
 もし、いや、このぐらい大幅に優れているということを示していただけるのなら示していただければと思いますが、そういわざるを得ません。もしあればご答弁いただいて、ないかなと思って、次の質問に行きますが、私は将来的にはもう水素の活用は不可欠だと思っています。だから、そのための準備、研究や開発についても否定はしません。大変だと思いますが、ぜひ進めていただきたいとは思います。
 また、水素については、どこで使うかが問題だと思うんですね。今みたいになかなかまだ開発し切れていない、十分に供給もできないという中では、じゃ、どこに使うのかということで、絞っていく必要があると思っています。
 ということで、どのような用途で不可欠だと都としては考えているのかお伺いしたいと思います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 水素関連技術は、運輸、家庭、業務、産業など様々な分野での省エネに寄与いたします。
 さらに、天候の影響を受けやすい再エネ由来電力が大量導入された際の調整力や、電化が困難な熱の脱炭素化の面でも不可欠なエネルギーでございます。

○漢人委員 これはそのまま受け止めて次の質問に行きたいと思いますが、国連に気候チャンピオンというのがあるんですね。最初聞いたときに何のことかと思いましたが、これは二〇一六年から二〇二〇年までの間、COPの議長によって二名ずつ任命されて、政府や様々な非政府主体による気候変動対策のためのイニシアチブの強化、立ち上げを促進するための様々な活動を行うものを指すということで、二人いらっしゃいます。
 フランスのチュビアナ大使とエルハイテ大臣−−モロッコの方ですね−−が務めていらっしゃるんですが、この気候チャンピオンが気候対策と整合的な水素指針というのを発表しています。
 ここには、水素は他の手段がない場合に焦点を当てるべきであり、利害関係者はそれを証明する明確な評価を提供する必要があると指摘をしているんです。この指摘を踏まえれば、私は、燃料電池車には電気自動車という他の手段があり、かつ補助金が電気自動車の二倍にもなるという高コスト体質である燃料電池車への補助を廃止して、電気自動車補助に一本化するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 燃料電池車は、長距離とか大型とか、特定な必要なものはありますよ。だけど、今の補助体系としては乗用車ということで、そういった燃料電池車については推進するべきではないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 燃料電池自動車と電気自動車は、それぞれメリット、デメリットがあり、燃料電池自動車には充填時間が短く、航続距離が長いなどのメリットがございます。
 ゼロエミッションに向けた自動車のZEV化に当たりましては、燃料電池自動車と電気自動車のいずれも技術革新を促していく必要があり、また、消費者がニーズに応じて購入できるよう、補助事業を継続し、導入を支援してまいります。

○漢人委員 だから燃料電池車を、別に全ては否定していないんですけれども、必要なところ、他の代替手段がない、本当に長距離、あるいは大量輸送するということですとか、また、家庭の蓄電だとか、将来的には再エネだとしてもやっぱり蓄電というのがなければいけないということで、そういったところで、必要なところに水素は使うべきであって、今行われているような一般の乗用車についても、燃料電池車で行うんだということについては見直すべきだというふうに私は考えます。
 とにかく、逆に、だから再エネ水素というのは、まだほとんどないんですよね。これからも見通しが立っていないんでしょう、先ほどの答弁でいうと。どれだけ供給できるか見通しも立っていない、すごく貴重なんですよ、再エネ水素。だからこそ、それは本当に限定的に必要なところに使うということが必要だと思います。
 ただ、そのために技術開発とか、そのための環境整備とかということについては、今から準備しておかなければ、ある日突然、再エネ水素ができましたからといっても使えないから、対策については必要なんですけれども、ちょっとこの位置づけが、何か水素で解決するかのような勘違いが生まれていないかという心配がとてもありますので、今日は、私は二〇三〇年までは、水素については、水素エネルギーはCO2削減には寄与しないと、その先のために今から準備をするものなんだということを明確に確認をしておきたいと思います。
 次に、ゼロエミッションビークルと非ガソリン車についてということでお伺いいたします。
 これは前回の環境・建設委員会でも質疑したんですが、その後もどうも納得できないなと思って、考えてきたことを今日改めて伺いたいと思います。
 東京都の低公害・低燃費車導入義務制度の対象であるガソリン車とハイブリッド車とプラグインハイブリッド車、この三つについての燃費の違い、代表的な車種についての比較になるかと思いますが、ガソリン車のCO2排出量を百とした場合のハイブリッド車とプラグインハイブリッド車の削減割合の二つについてお伺いいたします。

○筧環境改善部長 自動車メーカーの公表資料によりますと、燃料一リットル当たりの走行距離は日産ノートの場合、ガソリン車は二十六・二キロメートル、ハイブリッド車は三十七・二キロメートル、トヨタプリウスのプラグインハイブリッド車の場合、ハイブリッドモードで三十七・二キロメートルでございます。
 これら車両のCO2排出量を国の公表する排出係数等を基に試算すると、日産ノートのガソリン車を一〇〇とした場合、同ハイブリッド車は七〇、トヨタプリウスのプラグインハイブリッド車は、ハイブリッドモードの場合は七〇、EVモードの場合は四八の割合となります。

○漢人委員 一〇〇対七〇、あるいはEVモードについては四八というのは、これはあまり大幅な削減ではないというか、確実に、逆にCO2を排出し続けるものなんだということに、現状排出しているものだということの確認です。私は、これはガソリン車として考えるべきではないかと思うんですね。
 それで、次の質問なんですけど、電気自動車と同じく低公害・低燃費車導入義務制度の対象である、そこに絞りますが、そのハイブリッド車のCO2排出量について、今度は具体的にCO2排出量の比較なんですが、現時点と二〇三〇年にゼロエミ戦略に基づいて再生可能エネルギーが五〇%ということを実現した時点での比較を伺います。

○筧環境改善部長 電気自動車及びハイブリッド車の代表的な車種について、CO2排出量を試算すると、二〇一九年度時点の再エネ電力利用割合で比較した場合、ハイブリッド車は電気自動車の約一・三倍となります。
 また、二〇三〇年の再エネ電力利用割合の目標である五〇%で試算した場合、ハイブリッド車は電気自動車の約二・二倍でございます。

○漢人委員 現状では、まだ電気自動車についても、残念ながら電気のもとが再エネにはなっていないので、一・三倍というぐらい、そんなに大きくは違わない。だけど、二〇三〇年にちゃんとこの都の目標のとおり、再エネの電力割合が五〇%になったら、ハイブリッド車と電気自動車はCO2の排出量が二・二倍の違いがあるんですよ。倍以上違うと。
 そういうものを、今、東京都は非ガソリン車というところに含めて、実質的な奨励をしているということになります。
 ここはその確認をして次に行きますが、そのゼロエミッション戦略アップデート版の三〇ページにゼロエミッションビークルをめぐる動向ということで、世界のガソリン車禁止の方針というのが掲載されています。
 そこでは、フランス・パリ市は二〇三〇年、カナダ・ケベック州は二〇三五年、中国、海南省は二〇三〇年などと記載されているんですけれども、各国のプラグインハイブリッド車を含むハイブリッド車の販売禁止の動きについてお伺いしたいと思います。
 ここではガソリン車ということで書いてあるんですけど、私が見つけたEVsmartブログというサイトがあるんですね。そこでは、各国のガソリン車禁止、ディーゼル車販売禁止の状況というのを掲載していまして、このサイトによれば、ほとんどの国でハイブリッド車はガソリン車に含まれて考えられているようです。
 そして二〇二一年、今年の九月十日時点の集計による販売禁止の時期については、コスタリカでは既に今年から、二〇二五年にはノルウェー、二〇三〇年にはドイツをはじめ、スウェーデン、オランダ、アイルランド、アイスランド、イスラエル、アメリカのワシントン州、そして二〇三五年には香港、そしてアメリカのカリフォルニア、マサチューセッツ、ニューヨーク、ニュージャージー、コロラド、コネチカット、デラウェア、メイン、メリーランド、オレゴン、ペンシルバニア、ロードアイランド、バーモント州、そしてフランスやスペインも二〇四〇年にはその方針というふうに掲載をされています。
 これは、このブログの記事なので、全てこれが正しいということではないかもしれないんですけれども、世界的な動向というのは、ハイブリッド車はガソリン車と同時に販売禁止になる、そういった方向性ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○三浦事業調整担当部長 自動車をめぐる海外諸都市等の政策は、近年目まぐるしく変わってきており、ハイブリッド車を規制対象とする動きがあることは報道等で認識しておりますが、詳細については把握してございません。
 なお、ご指摘のブログにつきましては、海外の状況について、大半は報道情報やツイッター等が引用されているものと認識しております。

○漢人委員 そうなんです。近年目まぐるしく変わっているという状況なんです。その目まぐるしい変化の中で、さらに規制強化が加速するのではないでしょうか。
 先ほど示したEVsmartブログというのが、正確などこそこでこういう法律ができたとかというものではなくて、大臣がこういったとか、こういう報道があったとかという、ある意味不確かだけれども、でも、そういう傾向にあるというものを示しているものとして、注目するべきものだと思うんですね。
 もう具体的に、例えば直近でいったって、ほかの方もおっしゃっていたとおり、IPCCの第六次報告書が公開されて、気候変動について、人類の活動が温暖化を引き起こしているのは疑う余地がないということも初めて明記をされたわけですよ。
 今COP26も開かれていますし、その中では、今の状況ではとても一・五度Cを達成できそうもないなんてことにもなってきていて、刻々と状況は変化している。そういう状況の中ですので、このハイブリッド車の動向というのは、どう考えてもこれ以上緩くなるというよりは厳しくなっていく方向だというのは、もう世界的に明らかだと思います。そういう認識をぜひ持っていただきたいです。
 次の質問ですけれども、ゼロエミッションビークルについてなんですが、二〇二〇年度の都内における乗用車の新車販売台数に占める割合と、ゼロエミッション東京戦略アップデート版の目標である二〇三〇年五〇%実現の見通しと課題を伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 二〇二〇年度における都内乗用車新車販売に占めるZEVの割合は二・三%であります。
 ZEVは、ガソリン車と比べて購入価格が高く、また、充電、充填インフラの整備も十分ではないことなどが普及に当たっての課題です。
 都は、ZEVの普及に向けて必要となる車両購入の負担軽減や充電インフラの整備促進に取り組んでおります。

○漢人委員 これもお伺いしたのは、二〇三〇年五〇%実現の見通しはということでお伺いしているんですが、見通しはありますか。
 EVの普及に向けた車両購入の負担軽減や充電インフラの整備促進に取組中というのは、これは現在取り組んでいるということなのか、さらに取組を強化していくということを示しているのかも併せてお伺いしたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、都は、既にZEVの車両や充電インフラ等の普及策を強化しております。
 今後とも普及の状況も踏まえ、目標実現に向けた取組を進めてまいります。(「よく聞こえなかったんですけれども」と呼ぶ者あり)今後とも普及の状況も踏まえまして、目標実現に向けた取組を進めてまいります。

○漢人委員 実現の見通しについてはお伺いできなかったかと思います。頑張りますという答弁かと思うんですね。また、施策については、現状もやっているし、さらに強化をするということは伺えたかと思います。本当にこれ、頑張っていただかなきゃいけないと思うんです。
 それで、質問としては最後なんですけれども、ハイブリッド車もプラグインハイブリッド車もCO2削減にはほとんど寄与しないことが明らかです。今まで質問で答弁いただいたとおりです。
 ハイブリッド車を含む非ガソリン車というカテゴリーを新設して、実質的に奨励するべきではないと私は思います。また、ゼロエミビークルにプラグインハイブリッド車を含むことも見直すべきではないでしょうか。また、ここでは質問しませんけど、先ほどの水素のところで質問しましたが、燃料電池車についても、私はゼロエミビークルに入れるべきではなく、もうシンプルに電気自動車を推進するべきだと思うんですね。
 二〇三〇年までに購入されたハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は、その後もCO2を排出し続けるわけです。二〇五〇年ゼロエミッションの大きな阻害要因になりませんか。
 ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車にかける予算もエネルギーも、全て電気自動車の普及拡大に集中するべきではないでしょうか、見解をお伺いします。

○三浦事業調整担当部長 都は、二〇五〇年に都内で走る自動車を全てZEV化することを目指し、昨年の第四回定例会において、都内で新車販売される乗用車を二〇三〇年までに一〇〇%非ガソリン化する目標を新たに打ち出しております。
 先ほど申し上げましたとおり、都は既に、ZEVの車両や充電インフラ等の普及策を大幅に強化しており、今後とも普及の状況も踏まえ、目標実現に向けた取組を進めてまいります。

○漢人委員 今の、さらなる普及拡大に資する新たな補助制度を検討されているというのは、これはEV車、電気自動車についてということでいいでしょうか。それとも、これはZEVということで、プラグインハイブリッド車と燃料電池車も含めたZEVについてのさらなる普及拡大ということでしょうか。

○三浦事業調整担当部長 ZEV全体のさらなる普及拡大に向けまして、取組を進めてまいります。

○漢人委員 私は、もう電気自動車一本に絞っていくべきだというふうに考えます。都内のハイブリッド車の買換えまでの期間というのは、大体十年ぐらいかなと思われます。
 二〇三〇年にZEV、ゼロエミッションビークル五〇%というのを据え置いたままで、非ガソリン車一〇〇%を新設したということは、そして、そのゼロエミションビークルの中にはプラグインハイブリッドも含むわけですけれども、残りの五〇%はハイブリッド車にするということを目標に掲げていると。ハイブリッド車をそこまで新車販売としては、していっていいんだよということを奨励しているということになるわけです。
 これは決して二〇五〇年ゼロエミッション、そしてCO2ゼロ目標に対してプラスにはならないということを改めて申し上げたいと思います。
 また、環境審議会でいろいろ審議をされているわけですけれども、やはりこの規制強化というのが必要ではないかという議論もされています。EV車について、電気自動車について義務化をするべきとか、炭素税を導入するべきとか様々そういった議論もされているように見受けましたというか、読めました。
 それで、この環境審議会への諮問なんですけれども、諮問第三十一号ということで、東京都環境基本計画の改定の諮問趣旨についてというのが資料にございますが、ここで、別紙として社会変革の加速、進展を促す論点という中には、最後のところですけど、公共調達や税制の活用、制度、規制上のインセンティブやディスインセンティブによる誘導などということが書かれています。
 本当に一番最後の括弧書きで書かれているんですけれど、これはとても重要で、今まさに、あめとむちということでの取組ですね、必要だというふうに私は思います。
 グリーン購入、グリーン調達、それから炭素税の導入、そして制度、規制上のあめとむちと、インセンティブやディスインセンティブということでの。そういった積極的なことを含めないと、今この目標について実現することは大変困難ではないかと指摘をさせていただきます。
 そして、このゼロエミ戦略、東京都が大きく位置づけて取り組んでいくことを期待します。ある意味、人類の危機を回避できるかどうかという大変重要な問題なんですね。だけど、残念ながら財政的にも、いろんな政策的にも、今日いらっしゃる環境局の皆さんがというか、環境局が東京都の都政全体の中で高い位置にあるとはいえないのかなと思っています。
 私は、その意味では、本当にもう人類の命に関わる、先に関わるということでいえば、ここは皆さんにいうというよりも、知事に申し上げることですけれども、もっと重要な位置づけをして、様々な取組が最優先で行われるように希望していきたい、そのようにこれからも進めていきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 以上です。

○星委員 都は、ゼロエミッション東京実現に向け、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化の実現を目指し、二〇三〇年に都内の再生エネルギー電力の利用割合を五〇%程度まで向上させることとしております。
 この目標達成に向け、都が様々な取組を進めていることは承知をしておりますが、私は、年々豪雨等の自然災害が増加している状況を捉え、災害時等においても活用できるという視点も加えた再エネ設備導入への支援が不可欠だと考えております。
 こうした観点から、都は、再生エネルギーの導入拡大を図るとともにレジリエンス向上にも資する施策として、地産地消型再エネ増強プロジェクトを実施していると認識をしておりますが、この事業内容について改めてお伺いをさせていただきます。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、事業者が地産地消を図るとともに、災害時の自立電源の確保という観点からも、太陽光など再生可能エネルギー発電や、地中熱、太陽熱などの再生可能エネルギー熱利用設備を導入し、または蓄電池を同時設置する場合に、その経費の一部を助成する地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業を平成二十八年度から実施したところでございます。
 令和二年度からは、再生可能エネルギー発電設備から離れた施設で自家消費する場合を助成対象に加えるなどいたしまして、この地産地消型再エネ増強プロジェクトとして、事業者への支援を進めているところでございます。

○星委員 都がこれまでの防災性の向上の観点からも、再エネ導入を進めてきたことを確認させていただきました。
 年々事業者の再エネ調達の拡大のニーズや、災害対策への意識は高まっており、この事業はまさに時宜にかなった施策であると思っております。
 では、この事業がどの程度活用していただいているのか、これまでの実績をお伺いさせていただきます。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業におけます申請受付実績ですけれども、令和二年度、太陽光発電設備が五十件、地中熱利用設備が一件の五十一件、令和三年度は、太陽光発電設備が五十五件、太陽熱利用設備が一件の計五十六件でございました。
 申請の大半は、太陽光発電設備の導入に係る申請でございまして、設備容量の合計は約四千三百キロワットでございます。
 また、本事業において、太陽光発電設備の導入時に蓄電池を設置した事業者は、申請者の約三割に当たる三十一件でございまして、蓄電池の設備容量は合計で約四百六十キロワットアワーとなってございます。

○星委員 ありがとうございます。本事業が着実に活用されていることを確認させていただきました。
 この事業は、都内における再エネの地産地消とレジリエンス向上を図ることで災害時等においても一定の事業継続に資する不可欠な取組であると思います。
 都には、この事業の意義を踏まえて、今後も予算を積極的に確保していただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 ZEVについて私もお伺いをさせていただきますが、普及促進についてであります。
 都は、二〇三〇年までに都内の乗用車新車販売について、非ガソリン化一〇〇%、また、ZEV化五〇%を達成するという高い目標を掲げております。
 ZEVの普及促進には、車両の購入に関わる負担軽減等が必要です。このためには、都は本年度、環境省の補助事業と連携をし、再生可能エネルギー電力一〇〇%利用などを条件とした国補助の受給者に対しては、補助額を従来の最大二倍に引き上げております。
 この補助額二倍は相当インパクトのあることだと思われますけれども、改めて再エネ電力を条件として補助額を特段引き上げている意義と、これがどの程度車両購入の負担軽減につながっているのか、見解をお伺いさせていただきます。

○三浦事業調整担当部長 ZEVは走行時にCO2を排出しないものでございますが、再生可能エネルギー電力を活用することで、走行に使用する電力の脱炭素化も可能となります。
 都は、再エネ電力の活用を促進しながら、ZEVの普及を進めていくことが重要との観点から、本事業の補助額を特段に引き上げております。
 また、この補助額の最大二倍への引上げや都税の減税措置の延長などにより、車両を十年間保有する前提で試算した場合、購入及び維持に係る総コストの差を考慮すると、車両価格四百二十万円のEVでは実質負担は二百五万円となり、車両価格二百五十万円の同等ガソリン車より四十五万円安くすることが可能となります。

○星委員 再エネ電力を条件とした補助額の引上げ等により、十年保有する場合の総コストについて、EVに関わる実質負担を同等のガソリン車より軽減ができる。強力なインセンティブになるということでありました。
 しかしながら、単年度の取組では、ZEV普及への効果は限定的であると考えます。次年度以降も増加させた補助額を維持することを要望させていただいておきます。
 一方で、補助制度は、その仕組みをつくっただけでは意味がありません。実際に補助が活用されるということでZEVの普及を拡大していく必要があると思います。そのためには、補助制度の周知とともに、ZEVのメリットの積極的なPRが必要ではないかと考えておりますが、見解をお伺いさせていただきます。

○三浦事業調整担当部長 都は、補助制度につきまして、先ほど答弁いたしました、EVとガソリン車の総コスト差などを分かりすく説明したリーフレットを作成しております。
 補助の活用促進に向けましては、ユーザーと直接接する自動車ディーラーとの連携が重要との観点から、ZEVを販売する主要なディーラーと協力関係をつくり、来店者へリーフレットを提示し、併せて再エネの有効性を伝えてもらうなど、都民に対する補助制度の積極的な周知を図っております。
 また、ZEVのさらなる普及促進に向けて、ガソリン車より維持費が安い、静音性に優れているなどのメリットを九都県市が連携してPRできるよう調整を進めております。

○星委員 ありがとうございました。都が都民の自動車購入の窓口となるディーラーとも連携をしながら、補助金の活用促進を図るとともに、ZEVの多様な魅力について、東京だけでなく広域的な観点でPRを行い、ZEVのさらなる普及促進につなげているということでありました。
 これからの周知活動を含めて、引き続き都がZEVの普及拡大を積極的に取り組んでいくことを要望させていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時三十四分休憩

   午後六時四分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊藤委員 それでは、私の方から事務事業質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 主に二点、今日はお尋ねしたいと思います。
 一つは、先ほど来、質疑に出てきておりますEV車をはじめとした環境負荷の少ない自動車に対する支援の在り方、そして、もう一つは、太陽光パネルについて、この整備支援を伺ってまいりたいというふうに思っております。
 最初にまずEV、あるいはまたPHV、FCVについて伺いたいと思います。
 先ほどZEVの中でも、とりわけPHVについては、これを環境負荷の低い車というふうにみなさない方がいいんではないかというようなご提案がありました。これはそれぞれどういう算出方法を取るかによって、例えばPHVについてもCO2を排出しているのか、あるいはまた、実は環境負荷が低いのかは変わってくると思いますので、私自身の把握している中で、まず指摘をしておきたいというふうに思います。
 これは私が申し上げていることではなしに、国際エネルギー機関、ちょっと私、これ、今日、さっきの質疑を聞いていて、自分でメモしてご披露させていただくデータですので、誤りがあったら、また後ほど訂正をさせていただきますが、二〇二〇年の国際エネルギー機関のデータによりますと、走行時に加えて、燃料や車両の製造過程の全体を含めた、一台当たりのCO2の排出量は、最大のガソリン車が三十四トン、対してEV車が二十八トン。実は最小のCO2排出量は、外部からの充電可能なPHVが二十四・五トンなんです。ですから、必ずしもEVが最適だということはいい切れないことをまず申し上げておきたいと思います。
 先ほどの話の中で、今、発電されている電力が例えば五〇%以上、あるいは一〇〇%に近い形で、まさにグリーンエネルギーというんですかね、自然エネルギーになった場合においては、またこれは当然計算が変わってきますけれども、現段階においていえばそういうことであります。
 なぜこのことをあえて指摘をさせていただいたかというと、今、トヨタ、はっきり申し上げますが、トヨタを取り巻く環境というのは非常に厳しくなってきています。どういうことかといえば、この二十年間の中で、少なくてもPHV、まさにこのプラグインハイブリッドという、最もハイテクな技術というものをトヨタはプリウスをはじめとした自動車に詰め込んできました。
 これは物すごい大きな開発コストをかけながらも、何ゆえに、まずこのPHVを推進してきたかといえば、最も現実的に、まず第一歩を踏み出すためにはガソリンとの併用であるということがありますし、同時に充電器との兼ね合いの中で、やっぱり私はこのZEVが進んでいく背景として一番大きなポイントは、鶏が先か卵が先かという議論が必ずありますけれども、私はもう必ず鶏が先だと思っている。鶏というのは何かといえば、やっぱり充電器であったり、あるいはスタンドです。
 そういう意味では、今、現実的には十分な充電器がない状態の中で、かついえば、先ほど申し上げたように製造過程、あるいは燃料、様々なものを加味していけば、最も最小なCO2排出量の車というのはPHVであるということを、トヨタじゃなしに、これは国際エネルギー機関が発表しているということであります。
 今、ヨーロッパではどういう動きになっているかといえば、ある意味では、トヨタ排除運動だというふうに私は思っています。二十年間かけて、ある意味では先進してきたこのPHV、なかなかこれ、ヨーロッパの技術、正直いって追いついていないですよ。ですから、もう一足飛びにEVで市場をある意味ではつくっていきたい。ですから、今、ヨーロッパの中では、PHVに対して、物すごい規制強化を始めているわけです。
 これにあまり議論に乗ってしまうと、先ほどいったようなデータでいえば、本当のところの環境負荷を最も減らせるものに対して、ある意味で締め出してしまうということになりかねないので、ましてや、我々日本において、国内メーカーであるトヨタの開発をしてきたPHVについては正しい知識をしっかり持った上で、その上で、様々な計算式が変わっていくことも追いかけていって計算をし、何が一番妥当なのかということをやはり追求していくのが我々都議会の使命ではないかというふうに申し上げておきたいと思います。
 その上で、第一問はこのEV、PHV、FCVの導入目標を伺おうと思いましたが、先ほど来、もう答弁いただいていますので、二〇三〇年までに五〇%ZEV化していくと。そして、二〇五〇年には全自動車を全てZEV化していくということはもう既にご答弁のあったところでございます。
 この後に、今日は私は表層的な議論よりももうちょっと踏み込んだ、ちょっと深掘りした議論をぜひ皆さんとさせていただきたいと思っております。
 このZEVといっても、まさに今、申し上げた電気自動車、あるいはプラグインハイブリッド、あるいは水素燃料などの燃料電池車、大きく分ければ、こういう三つのカテゴリーがある中で、都は五〇%、一〇〇%という目標を立てていますけれども、それぞれ、いってみれば、スタンドに当たるもの、あるいは充電器に当たるものが違うわけですよね。ですから、私はせっかく目標を立てるんであれば、それぞれ何%にしていこうかということをやっぱり念頭に置いた上でインフラ整備をしていく必要があるんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、このEV、PHV、FCV、それぞれに対する目標パーセンテージというのを都として定めていらっしゃるのかどうか、その点について伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 ZEV化の進展は自動車メーカーの開発動向にも影響されるものであり、EV、PHV、FCVそれぞれについての目標は設定しておりません。
 EV、PHV、FCVそれぞれの特性を踏まえ、普及のための取組を具体化し、全体としてZEV化の目標を達成してまいります。

○伊藤委員 それで、先ほど申し上げたように今、都の答弁としては、それぞれの、いってみれば、分けた形での目標パーセンテージは設定されていないということでした。これまで当然、先ほども答弁があったように市場を取り巻く環境、あるいはメーカーの置かれている環境というのはもう様々変わっていきますので、水素だけやるとか、都としてEVだけやる、こういうことではないんだろうと思います。
 ただ申し上げたように、それぞれ充電器が違いますから、都として、日本における、東京におけるZEVを進めていくに当たって、これはやっぱり国内メーカーなんかともよく足並みをそろえながら、何に何%ずつ整備していくことが、まさに目標と掲げている五〇%、一〇〇%達成に近づくのかということをよく議論していく必要があるんじゃないかと思うんです。
 そういう意味では、先ほど申し上げたように卵と鶏の議論でいえば、やっぱり東京都がやるべき仕事はエンジン開発じゃありませんので、何といっても鶏に当たる充電器なのか、あるいはスタンドをどれぐらい設置していくかということだというふうに考えています。
 まず、そういう意味では、都内の公共充電施設、設置数というのがどの程度あるのか伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 多くの都民が利用する商業施設や区市町村施設に設置される公共用急速充電器は、本年三月末時点で、都内に三百二十六基設置されております。

○伊藤委員 今、都内に三百二十六基ということが分かりました。これ、ぱっと聞いただけでも、三百二十六基って、都内ですから少ないなという印象を持ちます。
 ただ、それだけだと印象論になるので、ここでちょっと改めて確認をしておきたいんですけれども、今、特にヨーロッパなどでは、先ほどの質疑でもあったようにEV、EVといって推進されています。特に欧州、そして、その中でもオランダなんかでは急速に、急速充電器が整備、推進されているんですけれども、都内の数と、それからやっぱりヨーロッパの数などをしっかり比較した上で、どれだけ今、都内の数が少ないのかということを把握する必要があろうと思いますけれども、例えば欧州でも先進しているといわれている、先ほど申し上げたオランダとの比較などを行ったときに、都内の設置数は十分あるといえるのかどうか伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 日本貿易振興機構の報道資料によりますと、欧州全体では二〇一九年末時点の充電スタンドは約二十万基で、前年から四割増加したと欧州自動車工業会から報告されております。
 また、同報告ではオランダの設置基数が最も多く、約五万基に上るとのことでございますが、詳細は把握できておりませんので、今後、広く情報収集に努めてまいります。

○伊藤委員 今、詳細は、今後広く情報収集に努めていくというふうにお話がありました。
 本来であれば、これ、国の政策にひもづいて、東京都としてキャッチアップしていくということですので、国の方から様々な情報提供をいただきたいと思うところですが、といっても首都東京の環境局の皆さんでありますので、やっぱり各都市、特に都市型モデルでもありますので、この充電器の数が各先進都市でどれぐらいあるのかというのは、ぜひ正確に把握をしていただきたいということをお願いしておきます。
 というのも、私もこれ、日経ビジネスさんの記事でしかありませんので、正確な、いわゆる公共セクターからの資料提供ではありませんけれども、オランダ、今ちょっとお話にありましたけれども、五万基ということでありましたが、オランダの首都はアムステルダムですね。アムステルダムの一つの都市で見ても、現時点で既に公共と民間合わせて九千六百基の充電設備があると。都内はさっきいったように三百二十数基です。
 今後、オランダ、アムステルダムにおいては、アムステルダムだけで、二〇二五年には三万七千基、二〇三〇年には八万二千基に増やす計画だということですので、オランダに住んでいる方にとってみれば、ある意味、ガソリンスタンド以上に急速充電器が様々なところに既に設置されているかもしれませんし、今後、様々なところにさらに設置されていく見込みですので、当然販売台数は増えていくわけであります。
 そう思ったときに、先ほどの三百二十六基というのはあまりにも少ない数ではないかということを、これ、環境局の皆さんにも認識をしていただきたいし、そしてまた都民の皆さんにも、国民の皆さんにも認識をしていただくことによって、都内の景色が変わっていくと思いますので、そこは改めて情報収集に努めていただく。
 場合によっては、こういうことを局だけでやるのは大変だと思いますんで、シンクタンクに投げてもいいと思うんです。ですから、何とか総研とかというところにもう仕事で出して、欧州の比較というのをしっかりやっていただくということが重要ではないかというふうに思います。
 ただ、こうした一方で、先ほど申し上げたように、ZEVといっても仮にも三類型あるとして、それぞれのパターン、どの類型のZEV、環境負荷の少ない車を整備、促進していくのか。これだけということはないと思いますけれども、そこはやっぱり国内メーカーさん、あるいはもちろん海外のメーカーさんともよくよく協議をして、そして、どこをどのメーカーが目指しているのかということを、そしてまた日本人の多くの方々のマーケット、その意識というものも十分に正確に把握した上で、それをクロスさせて、どれだけの設備を施していくかということを立案するのが東京都環境局のお仕事ではなかろうかと、このように思います。
 そういった意味では、私が聞くところ、審議会などはあるように伺っていますけれども、そうした世界の動向をやっぱり専門家の皆さんから逐一聞いて立案していくというセクターがないように感じているんで、これはやっぱり専門家を集めて、そういう会議体をつくって、そして世界の動向はどうなっているんだと、国内のマーケットと照らしたらどうするべきなのかということの一つの解を導くような会議体を私はつくっていくべきだと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 ZEVの普及に向けましては、自動車メーカーとの緊密な連携が必要であり、都はZEVの販売動向や開発状況等、幅広く情報共有を図ってまいります。
 また、今後、環境審議会等の専門家の意見を聴取し、必要に応じて、ご指摘のような場の設定についても検討してまいります。

○伊藤委員 まさに日本を牽引する、あるいは他の国内の諸都市を牽引するという意味でも、今ご答弁いただいたように検討会をつくっていただいて、そこでぜひ積極的に発信していただきたいということをお願い申し上げておきます。
 あわせて、駐車場の整備と充電器の設置促進というのは、私は実は対だというふうに思っています。この数年の間、私自身、非常に力を入れて取り組ませていただいたものの一つが駐車場の附置義務条例の改正ということでありました。これは所管が都市整備局さんになりますけれども、もともとこれ、附置義務条例というのは昭和三十二年、あるいは三十三年にできた法律に基づく条例ということで、非常に古い法律に基づく条例です。
 当時は、車の数がまさに右肩上がりの高度成長期でありますので、当然、建物を造るときには駐車場を造りましょうということを義務化することによって、駐車場整備が都内全域で進んでいったわけですけれども、実はこのところ、ずっと見ていくと、車の台数というのは減ってもないですけれども、増えてもいないということで、ほぼ横ばい状態がこの五年、十年続いています。
 一方で、駐車場はコインパーキングが昭和三十三年、あまりなかったことを考えれば、これだけ整備をされてきている中で、駐車場の附置義務条例自体がかなり時代に追いついていないというか、もう既に時代錯誤なものになってしまっているんではないでしょうかということをいい続けて、改正が既にもう始まっていて、来年の三月、四月頃には恐らく改正案が出てくるんだろうというふうに承知をしています。
 実はこの駐車場の附置義務条例の数十年ぶりの本格的な改正という中にあって、駐車場はどうあるべきかということがまさに今、検討会の中で専門家の皆さんで議論していただいているわけですよね。そのときに、今は駐車場、どういうところに必要なのか、いや、もう附置義務が要るのか、要らないのかという議論をしていただいていますけれども、あわせて、むしろ附置しなきゃいけないものも議論していただきたいなというふうに思っているのが急速充電器だと思ってございます。
 そういう意味では、申し上げた駐車場の改正条例の議論の中で、この急速充電器はどのように位置づけられているのか、今の検討状況を、ちょっと局をまたぐかもしれませんけれども、伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 都市整備局では有識者による駐車場条例検討委員会を設置し、駐車場附置に係る地域ルール制度の見直しについて検討が進められており、先般その考え方の案が公表されました。
 その中で、附置義務台数の低減によりメリットを受ける建築主等が地域貢献として、駐車に係る地域の課題解決に取り組む仕組みを構築するとの方向性が示され、地域貢献策の一つとして、ZEV用充電器の設置が例示されております。

○伊藤委員 今、おっしゃっていただいたようにZEV用の充電器の設置が例示されているということであって、必ずしも新たな義務化ということにはなっていないようであります。かなり慎重な議論がされているというふうに承知していますが、今後、私はこの駐車場の附置義務条例の中でしっかり、どういうエリアのどういうぐらいのスペースにおいては急速充電器を必ずつけていただかなければいけないとか、あるいは促すとか、そうした記載というものがあってしかるべきだと思っていますので、そこはぜひ都市整備局任せではなしに、環境局さんと都市整備局さんとでよく協議していただいて、今後の見直しの一つの項目に上げておいていただきたいというふうに思います。
 あわせて、今、大規模な都市開発などで、充電設備の設置が重要だなというふうに認識しています。私の地元でも、目黒ですから、今、そんなに大きな再開発があるわけじゃありませんけれども、一部再開発されたところなどについては急速充電器が設置をされていますが、都市開発の諸制度において、この充電設備の設置の取組実績について、どれぐらいの規模、どれぐらいあるのかということを伺っておきたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 令和元年十二月に策定いたしましたZEV普及プログラムを踏まえ、都市開発の機会を捉えて充電器の設置を促進するため、令和二年十二月に都市開発諸制度活用方針が改定され、制度を適用する建築物について、充電器の設置が義務づけられました。
 制度改定後、これまで五地区で十四基の充電器の設置が計画されております。

○伊藤委員 これはですから、さっき申し上げた駐車場の附置義務条例が対象としているような中小の開発ではなくて、恐らく六本木ヒルズさんとか、そういった大規模な再開発における取組を今ご紹介いただいたんだと思います。そこは設置が義務づけられているということですけれども、ただ、ここもちょっと心もとないのは、五地区で十四基ということなんで、一地区当たり、いってみれば三基ぐらいということなんですよね。それって、本当に足りているのかなと。あるいは、将来見通しをしたときにそれでいいのかなというふうに思います。
 ですから、ちょっと義務化の詳細設計までは承知していませんけれども、やっぱり大きな再開発のときにおいて、一地区三つ程度の義務化というのが果たして妥当なのかどうかも、これ、よくヨーロッパの事例なんかも引き合いに検討していただきたいということをお願いしておきます。
 ちなみに、うちの地元の目黒区のドン・キホーテ、実はドン・キホーテは本社が目黒区にあるんですが、そんなに大きな建物ではありませんが、駐車スペースの中に一台分か二台分、充電器が設置されています。聞いたら、どうもそれは義務化されているという対象にはなっていないんですけれども、補助金が今、十分の十出るということを聞いていますので、いってみれば、事業者としての負担はほぼゼロで設置することができると。
 ですから、義務化対象の建物であろうがなかろうが、例えばスーパーとか量販店さんとか大規模施設において、うち一個ぐらいはつけよう、二個ぐらいはつけようといったときには、補助金で全部賄えるんですよということが分かっていれば、最初に建て替えるときとかに、じゃ、造ろうということになろうかと思います。
 ただ、ほかのスーパーなんかを見ていても、ドンキさんと同じぐらいのスーパーでも全然充電器がないところはいっぱいあるんですよね。そう思うと、担当者レベルというのが、設計する方々がそういう補助金の仕組みを知らないということもかなりあるんじゃないかと思いますので、環境局とやっぱり都市整備局との連携において、この整備促進を図るべきだと思いますので、ここはぜひ連携強化をお願いしたいと思います。
 ヨーロッパではこうした駐車場に附置するだけではなくて、今、様々な試行的な取組が進んでいるようです。先ほども申し上げたように、アムステルダムでもあれぐらいの規模の設置推進をする中で、これはロンドンですけれども、ロンドンでは街路灯に充電器をつけていくということを今、試行しているということであります。
 既にロンドンでは三千基、街路灯に充電器を附帯するというんですか、つける。恐らくは電気が来ているので、そこで非常に工事しやすいということがあろうかと思います。こういうヨーロッパの様々な先進的な取組なども都の方でどれぐらい可能性として検討されているのかということについて伺っておきたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 街路灯の電力を活用して充電を行うことができれば、充電器の設置ポテンシャルの拡大につながると考えられ、ご指摘のとおり、欧州では街路灯にEV充電器を設置する取組が行われていると聞いております。
 一方、東京における街路灯を利用した充電器につきましては、車両が道路を占有するなどにより、交通に支障が出るなど、課題があると認識しておりますが、海外の先進事例も参考に今後の活用可能性について検討してまいります。

○伊藤委員 通行に支障があるということもあるのかもしれませんが、例えば原宿とか銀座とか六本木なんかでも、三百円入れると六十分ぐらい止められるコインパーキングというか、公共的なコインパーキングが路上にあろうかと思います。ああいうところに、例えば何か所かに一個ぐらいそういう公共の充電器があれば、既に車が止まっていることが前提になっている道路なので、交通に支障もなかろうかと思います。今、検討していくということでしたので、どういうことが東京なら可能なのかということをぜひ考えていただきたいと思います。
 そして、これも海外との比較。これはヨーロッパだけじゃなくて、中国やアメリカなどでも盛んに行われているZEV保有者に対するインセンティブについて伺いたいと思います。日本の場合は自動車税が五年間免除されるということなんですけれども、欧州、ヨーロッパでいいです。ヨーロッパにおいて、ZEV保有者に対してのインセンティブはどうなっているのか伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 日本ではZEVの自動車税種別割につきまして、初回新規登録の翌年度のみ、おおむね七五%の軽減が行われております。
 都はZEVの自動車税種別割の軽減につきまして独自に上乗せを行い、初回新規登録時の月割り分及び翌年度からの五年度分を課税免除しております。
 一方、欧州にはZEVに対して、自動車諸税の減免や高速道路料金の減免等の優遇措置を設けている国があると認識しております。

○伊藤委員 ありがとうございます。今、答弁のあったほかに私が承知しているのは、例えばZEV専用レーンとか、ZEVについては、渋滞しているときでもこのレーンを使っていいと。今、よく目黒通りなんかでもバスレーンがありますけど、今、バスレーンを提供したりすると、これまたバスを運営されている事業者にとって大きな支障になったりとか、様々問題もあろうかと思いますので、一足飛びにはいきませんけれども、それぐらい様々な国で試行的にというのか、導入が進むようにインセンティブをいろいろ付与しているんだと思います。
 今、お話の中にも、高速道路料金の減免をやっているという国がありますよというふうにお話しいただきました。私は日本における、今、例えばエコカー補助金であったりとか、ZEV車に対する車両補助の金額は、正直いってそこそこ、あまり細かいことはいいませんけれども、いい金額が出ているかなというふうに思っていますが、一方で、どちらかというと、車を買うときに税金が安くなりますよとかいわれても、あるいは車両代が多少出ますよといわれても、そもそもの基本となる車両の価格が高いのでどうしようかなと思ったときに、やっぱり最後の一押しにあまりなっていないような気がしています。本当の意味での最後の一押しは、私はやっぱり高速道路料金って非常に分かりやすいので、これを無料化していくとか、圧倒的な軽減を図っていくというのは物すごい後押しになるというふうに思っていて、税よりも料金の無料化というのが非常に分かりやすくて、マーケットをつかむんじゃないかと思っています。
 そういう意味で、例えばですけど、東京都においては首都高があります。首都高などを無料化して保有インセンティブを飛躍的に高めるべきだというふうに考えますが、所見を伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 首都高速道路などの高速道路は、国が重点的にEV充電器の設置を進めており、ZEV普及において重要と認識しております。
 都はZEVへのシフトが経済的にもメリットをもたらすよう、道路利用料金の割引などの優遇措置を講じることを国に提案要求しております。

○伊藤委員 今、答弁にあったように、国に提案要求をされているということで、私は非常にこれは期待をして見守らせていただきたいと思うんですが、正直いって、見守っているだけでは、多分そう簡単にはいかないんではなかろうかと思います。
 首都高も、東京都の方も首都高の役員として入っていらっしゃったりもしますけれども、何といってもやっぱり国交省さんとしっかり話を詰めていかないと、東京都だけで首都高の料金を上げたり下げたりできるものでもありませんので、これは相当強く要求していったりとか協議していかないと、私は実現しないと実は思っています。
 今、東京都からの国要望にはなっているということが分かりましたが、これは東京都だけじゃなしに、全国知事会からの要望にしていかないと動かないんじゃなかろうかと思うんですが、そういう意味では、ぜひ全国知事会の要望にこれを強化していくというか、要望に昇華していくべきだというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 全国知事会ではZEVの普及に向けまして、研究開発の推進、需要拡大、規制緩和、既設充電設備の更新を含むインフラ整備などにつきまして、総合的な支援策を講ずるよう、国への提案要求を行っております。
 しかしながら、これまで道路利用料金の割引などのZEVの優遇措置は国への提案要求がされておりません。今後、都は広域的な観点からの国への提案要求につきまして検討してまいります。

○伊藤委員 要求していただけるということなので、ぜひほかの自治体も巻き込んで、国へ力強く要求をしていただきたいと思いますし、我々もぜひそれは後押しをさせていただきたいと思っております。
 次に、先ほど二つ目に申し上げた太陽光パネルなど、電力の地産地消について伺いたいと思います。
 究極、再生エネルギーをつくっていく、自然エネルギーを生み出していくことがCO2の排出抑制に最も効果的だということはいうまでもなかろうと思いますが、それを推進していくために一番重要なことは一体何なのかということですが、やはり自分たちでつくったものを自分たちで消費するからこそ、電気に対する関心が湧いたり、あるいは大事に使うということにつながるんではなかろうかと思います。
 再三、ほかの自治体でももう再生エネルギー、電力の地産地消について様々な取組がなされていますが、都において、今、どのような取組がこの地産地消という観点でなされているかについて伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 再エネ電力の地産地消は、今後、再エネ大量導入時代におきまして、電力の送配電網に大きな負荷をかけないとともに、災害時に自立電源を確保し、地域の防災力を高めていく上でも重要でございます。(「もうちょっと大きい声で」と呼ぶ者あり)はい。
 このため、都は事業所等における地産地消型の再エネ発電設備や蓄電池の導入に対する補助、住宅所有者の初期費用ゼロで太陽光発電を設置する事業への補助、住宅への蓄電池導入補助などを実施しております。
 また、現在、住宅等の一定の中小建築物への太陽光発電設置を義務づける都独自の制度導入に向けた検討を開始したところでございます。

○伊藤委員 地産地消に向けて、様々な取組をしていただいていることが分かりました。特に先般の所信表明の中でも知事から、住宅における太陽光発電機の設置の義務づけ、検討が表明されたところでもあります。
 ただ、今、ご答弁の中でも様々ありましたが、学校施設というのがなかなか出てこないところでもあります。私は、もちろん太陽光パネルを設置できるのは様々な建物がありますけれども、しかし、何といっても、教育効果もある、あるいは日当たり、日照もかなり優れている、面積も十分にあるという意味では、学校施設にも徹底的に太陽光パネルを設置していくということは非常に効果的ではなかろうかと思います。
 そういう意味で、学校施設における太陽光パネル設置の有効性について、認識を伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 大規模な太陽光発電設備を設置できれば、電気料金やCO2排出量の削減はもとより、災害時に避難所として利用された際には非常用電源として活用できるなど、地域のレジリエンス向上にも期待できるところでございます。

○伊藤委員 今、お話しのとおり、災害時の避難所としても活用されていますので、学校における太陽光パネルがつけば、例えば東京電力からの送電がなくても、短期間的には日中、特に例えばそこで携帯の充電ができたりもしますし、先ほど来申し上げているように、学校教育現場でまさに地産地消をすると。学校の畑で作った大根を、子供たちみんなで一生懸命作って食べようということになったときに、なかなかこれを残さないですし、大事に食べますしね。嫌いだったものまで、これ、食べてみようということで、地産地消をする、自分たちで作ったものを自分たちで使うということの教育効果は非常に高いというふうに思っています。
 ちょっと今日できれば時間を割愛したいので、次の質問はもう要望にすることにしましたが、そういう意味で地産地消を進めていくためにも、学校教育現場において、ぜひこういう教育効果があるんだよということを区市町村教育委員会などに環境局の方から働きかけてほしい。
 これは例えばですけれども、私も小学校、中学校のときに水道局の方がいらっしゃって、上下水道と、それから山と林とダムとの関係、この循環については、現場の東京都水道局の職員の皆さんからよく教わりましたし、今でもよく覚えてます。それは多分、今でも出張でやっているんだと思うんです。
 ただ、例えばですけれども、電力の地産地消も同じだと思うんですよね、ぐるっと回るという意味では。この辺についての、例えば環境局の職員が学校に来てくれて、こういう授業をやってくれたという記憶は、もちろん私の時代にはなかったですし、今もそこまでのことをやられているというふうには承知していません。
 区市町村教育委員会も今、忙しいので、あれやれ、これやれといって、パンフレットだけ渡してもなかなか難しかろうと思うので、総合学習の時間もありますから、そこはぜひ皆さんの方でプログラムをつくるとか、東京都教育委員会とも協議しながら、どうしたら小学校の中でこうした取組を理解いただけるのかということを検討してもらいたいと思います。
 今、十歳の子たちが二十歳、三十歳になって、オピニオンリーダーになっていくわけですから、今、何を吸収するかというのは非常に重要だと思います。ぜひお願いしておきます。
 そういう意味では隗より始めよで、まず学校に設置されていないと、そもそも地産地消の地産にならないわけですけれども、私が聞くところ、区市町村が小中学校の建て替えをする場合に、この太陽光パネルを設置したいんだけれどもというふうにご相談があれば、それに対して補助制度があるというふうに聞いております。この補助制度の小中学校における活用実績、どれだけ東京都の補助制度が使われているのかについて、ご説明をお願いしたいと思います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は平成二十六年度より、東京の広域的な環境課題の解決に資する取組や、地域特性、地域資源を活用した環境面の取組を行う区市町村に対しまして、地域環境力活性化事業を通じ、経費の二分の一を補助しており、お話の区市町村の小中学校への太陽光パネル設置につきましてもその対象としてございます。
 平成二十六年度の事業開始から昨年度までの間に八自治体が本事業を活用して、庁舎や清掃施設等に太陽光パネルを設置しており、合わせて約一億二千四百万円の財政支援を行ってございますけれども、小中学校につきましては活用実績はございません。

○伊藤委員 活用実績がないというのが非常に残念でした。せっかくつくっていただいている東京都の補助制度でありながら、かつ区市町村も多分今、小中学校の屋上の上に太陽光パネルを設置することについてはそんなに後ろ向きだとも思えないので、こういう助成制度があるということが分かっていれば、様々な機会を捉えて検討に入るんじゃないかと思うんですよね。
 ただ、私も区の方にこういう仕組みがあるのを知っていましたかという話をしましたら、その担当者レベルでいえば、承知されていないケースが多いと。なぜかというと、多分環境局の皆さんは各区市町村の環境課のセクターの方々にこういう補助制度ができましたというご説明をされていると思うんですけれども、そこから今度は区の中で教育委員会まで、あるいは教育委員会の施設管理者まで、こういう助成制度ができたらしいよということが下りていないんじゃないかと思うんですね。
 それは区市町村の中の問題だといえば、中の問題なんですけれども、これ、区市町村の縦割りな部分があるのはもう皆さんご承知のとおりなので、それを見越した上で、むしろもうダイレクトに学校設置管理者の皆様方のところに、こういう制度をつくったんで、ぜひ使ってくださいよということをぜひ働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域環境力活性化事業につきましては、区市町村に対する事業説明会や課長会等での説明、パンフレットの作成、個別の意見交換等を通じまして積極的な活用を促してございます。
 今後は、こうした取組に加えまして教育庁と連携し、区市町村の学校施設整備事務担当者に対しまして本事業を紹介するとともに、国の補助制度と組み合わせた活用を働きかけることで、設備の設置をより一層後押ししてまいります。

○伊藤委員 ぜひお願いします。
 参考にしっかり聞いておきたいと思うんですけれども、今、目黒区のみならず、都内の区市町村の一つの大きな悩みは、学校の建て替えに莫大な費用がかかる。一方で、実は建て替え費用については、あまり国庫補助割合も高くなくて、あるいは東京都の補助割合も高くないので、ほとんど単費というのか、区の負担が物すごく大きいので、どうしても予算が追いつかないという状況が今、ずっとあります。
 今お話しいただいた東京都の太陽光パネルを造るときの補助割合に加えて、国の方からも、実はこうした太陽光パネルをつけるときには補助する制度があるというふうに聞いています。これ、組み合わせると、例えばですけれども、目黒区が区立の小学校に太陽光パネルを来年度つけようと思ったときに何割負担していただけるのか、解説をお願いしたいと思います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公立学校が太陽光パネルを設置する際、国、文部科学省でございますけれども、文部科学省の太陽光発電等導入事業を通じまして、経費の二分の一の補助を受けることができると聞いてございます。残る二分の一の経費につきまして、地域環境力活性化事業の活用によりまして、さらに二分の一の補助を受けることができるため、結果的に区市町村に対する財政支援の割合は四分の三になると見込まれてございます。

○伊藤委員 つまり区が導入したいと思えば、国と東京都の制度を組み合わせて使えば、負担は四分の一ですよね。売電もできるわけです。例えば夏休みなんかは別に学校がやっているわけではないので、売電できれば、その売電分、別に東京都が吸収するわけじゃないし、国もその分納めろといってくるわけでもないので、そういう意味でいったら、四分の一の投資経費というのは、割と早い段階で回収できるんだと思うんです。
 あるいは、様々学校設備の中で当然使われますので、その分で十分ペイするということを考えれば、この仕組みが分かっていれば、多くの学校施設管理者の下で改修工事なり、設置工事が進むんじゃないかと思うんですね。
 よくあるのは躯体が弱いからなかなかつけられないという話を聞きますけれども、私、よく聞いてくると、体育館は躯体が弱いときがあるんですけど、校舎で太陽光パネルをつけられないぐらい躯体の弱い校舎というのは普通考えられないので、そこはぜひ四分の一負担でできちゃうんですよということは、皆さんの方から改めて区市町村教育委員会等に働きかけをお願いしたいというふうに思います。
 参考までに、小中学校の補助の仕組みは今のとおりですが、都立学校。この間、教育庁の方にお願いをして、どれぐらい都立学校において、太陽光パネルの設置が進んでいるのかということを調べていただいたわけでございます。その都立学校の取組状況。これ、環境局がというよりは教育庁がまとめたものになろうかと思いますけれども、環境局の方からご説明をいただきたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 都立学校については、令和二年五月の時点でございますけれども、二百四十八校のうち百一校で、合計二千六百キロワットを超える太陽光発電設備が整備され、一校当たりでは二十五キロワット規模の割合が多く、近年は八王子西特別支援学校など、百キロワットを超える太陽光発電設備の整備も行われておりまして、今後の新築、改築時には敷地条件等に応じて、最大規模の整備が進められるということでございます。
 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けましては、大量のエネルギーを消費する都自身が隗より始めよの意識の下、再生可能エネルギーの導入等の取組を一層強化していくことが重要でございます。
 都有施設、都立学校以外ですけれども、都立学校も含めまして都有施設につきましては三千を超える施設がございます。様々な用途や役割を持つため、太陽光発電設備の設置に当たりましては、築年数、施設の構造や電気設備に関わる障害が生じるおそれがないかなど、様々な課題に留意した上で進めていく必要がございます。
 そのため、既存施設への設置も加速するよう、設置する施設の選定や設置方法等に関する指針を新たに作成いたしまして、全庁横断的な会議において、各局と認識を共有しながら連携して取組を推進してまいります。

○伊藤委員 分かりました。ありがとうございます。
 まとめると、令和二年五月時点では、都立高校二百四十八校のうち、設置されているのは結局百一校ということで、半分以下でしかありませんし、一校当たり、大体多くが二十五キロワット。私、見ましたけれども、十キロワットから大体二十五、三十ぐらいまでの幅の太陽光パネルがほとんどなんですね。九割ぐらい。これ、二十五キロワットといわれても、イメージはつかないかもしれませんけれども、正直いって、物すごく小っちゃいんですよね。都立高校の屋上、あるいは体育館の屋根などを考えれば、二十五キロワットということは絶対ないんだろうと思います。
 先ほど少し触れていただいたように、この間の代表質問でもあえて答弁をいただきましたが、八王子西特別支援学校はつい最近ですよね。これ、太陽光発電、かなり積極的に設置していただきました。これは百キロワットを超えているんです。百キロワット。ですから、例えば航空写真で見て、あっ、太陽光パネルついているなというぐらい認識できるような設置状況です。
 ですから、何がいいたいかというと、設置してくださいねといって、これぐらいやっておきましたということじゃなしに、環境局の立場でいえば、やれる範囲目いっぱいやってもらいたいと。特に住宅はもうなかなか、今、日当たりが悪いところもたくさんあると思いますけれども、申し上げたように学校は日当たりに関しては、少なくても都内において非常に優位性があると思います。ですので、少しやっておきましたではなくて、もう最大限やってもらいたい。
 それは環境局としても教育庁さんに、あるいは様々なほかの局に対して遠慮があるかもしれませんけれども、環境行政に関していえば、やっぱり環境局が全庁に対しての、私は官房機能だと思います。一環境局じゃなくて、全ての局が持っている施設に対しての官房機能ですよ。ですから、政策企画局と同じような立ち位置で、ここ、ちゃんとやってくださいよということをやっぱり環境局からしっかりお伝えをいただかないと、いささかいい方は悪いですけれども、アリバイ的な太陽光パネルの設置になりかねないので、そこは非常によく見ていただきたいというふうに思っております。
 私、伺ったところ、これから住宅の方にもどんどん太陽光パネルの設置が進むと思いますし、知事の方からも義務化に向けた検討を進めていくという表明がありました。太陽光パネルが設置できそうなところ、しっかりそこに太陽光パネルをつけていただいた場合には、聞くところ、都内の電力消費量の大体一三%程度が賄えると。みんながつけてくれればということだと思いますけれども、これはやっぱり非常に潜在力のある自然エネルギーだと思いますので、今後もこの条例の検討経過はよく注視をさせていただきたいと思っています。
 その中で、私がいろいろちょっと勉強させていただいた範囲でいえば、住宅太陽光パネルの義務化の先進事例のイの一番に出てくるのはやっぱりカリフォルニア州ではなかろうかと思っております。カリフォルニア州では前に停電が多発したとかいうこともあって、太陽光パネルの設置の義務化がもう既にされているということですが、先進事例として、都はこのアメリカのカリフォルニア州の諸制度をしっかり調査して、カリフォルニアではできるけれども、東京ではできないこともあると思います。逆もあると思いますので、この辺の調査検討を行うべきだと思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 住宅等の一定の中小規模新築建築物への太陽光発電設備の設置義務化の検討に当たりましては、専門家等による審議や関係団体等への意見聴取に加えまして、他都市の先進事例を調査し、制度検討に生かしていくことも重要でございます。
 都はこれまで、委員お話しのアメリカ・カリフォルニア州の太陽光発電設備設置義務制度につきまして、文献や公的機関の調査資料、それから関係団体ホームページ等によりまして制度導入の経緯、それから制度の概要、太陽光発電設備の設置状況等について情報収集を行ってまいりました。こうした調査により、カリフォルニア州の制度では地域区分があること、また、設置できない場合の措置があることなどが確認できております。引き続きアメリカ・カリフォルニア州の制度について調査を行いまして、都独自の制度導入に向けた検討に生かしてまいります。

○伊藤委員 今、いろんな文献からとか、様々な諸制度をご調査いただくという答弁がありましたが、やっぱりこういうコロナで、あるいは様々、前の知事の問題等々があって、海外に今、職員さんたちがなかなか行きづらい状況があろうかとは思いますけれども、やっぱりこのカリフォルニアの例なんかは現場を見に行って、どれぐらいの敷地面積に対して、どれぐらい住宅に太陽光パネルが貼られているのかとか、あるいはカリフォルニア州政府の職員の方々からダイレクトに様々なお話を聞かせていただくなど、現地に行った上での丁寧なヒアリングが私は不可欠じゃないかなと思いますし、むしろ大分コロナも落ち着いてきましたとはいえ、向こうでの滞在期間が義務化される可能性もあります。ですので、しっかり時間を取って、職員を派遣して、そして現地調査をやっぱりこういうものについてはやっていくべきだと思うんですけれども、都として、カリフォルニア州に職員を派遣し、太陽光発電の義務化に向けた検討を進めるべきだと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○小川地球環境エネルギー部長 都では都庁組織の一層の国際競争力を強化していくことを目的として、平成三十一年度から国際競争力強化プロジェクトを開始しております。環境局では本制度を活用し、令和二年一月にアメリカ・カリフォルニア州を訪れ、州政府エネルギー委員会を訪問した中で、再エネ導入施策や太陽光発電設備の設置義務制度について現地調査や意見交換を実施してまいりました。
 ご提案を踏まえまして、太陽光発電設備の設置義務制度の先進事例として、州政府へのヒアリング等の実施やさらなる必要に応じた職員の派遣について検討してまいります。

○伊藤委員 質問は以上です。
 今、答弁いただいたように、ぜひ先進事例であるカリフォルニア州については職員を派遣して、一層の検討を進めていただきたいと思います。
 私のところの目黒区は一部大邸宅はありますけれども、大方、我が家もそうですけれども、狭小住宅というんですか、小さな建坪で何とかかんとか家が建っているというような状況です。そうすると、北側斜線なんですよね、北側斜線。多分ほとんどのうちの周辺の住宅なんかは北側斜線ですから、南側に屋根があるというのは、ある意味、物すごくぜいたくな造りだと目黒の中では思っているんですね。
 つまり北側斜線ということは北側に屋根があるわけですから、太陽光パネルを貼っても無駄ではありませんけれども、南側に比べれば、それはもう太陽吸収効率は非常に悪くなるわけで、つまりカリフォルニア州はどう考えても、目黒区なんかに比べれば、はるかに一戸一戸のおうちが大きいので、そこに対する発電効率と、それからまた目黒など、都内の発電効率とでは違う部分があろうかと思います。一方で、一軒一軒の距離が非常に近いですから、送電ロスなんていうのは、逆にいうと少ないのかもしれませんけれども、強み、弱みは様々、都市によって違ってくると思いますので、そこは十分に検討をいただきたいと思います。
 最後にはやっぱりお願いなんですが、このZEVについては私たちも責任があって、かつて石原慎太郎さんがいらっしゃったときに、ポイント・オブ・ノーリターンということを盛んにいわれていました。あの当時でもツバルの話を出しながらおっしゃって、つまるところ、ある一定のところまで行ってしまったら、もう引き返すことができなくなる。もう既にひょっとしたらそのポイントを超えているんじゃなかろうかという危機感も物すごくありますけれども、ぎりぎり私たちの世代というか、私たちのあと十年、二十年ぐらいが、人類が本当にこの地球で生きていけるかどうかのまさに岐路だと思います。
 その中でも特に、今、日本は石炭に頼っていますよね。ですから、CO2排出量が人口当たりに対して物すごく大きいし、先進国であり、世界から注目をされているオリンピックを終えたばかりの都市です。そういう意味では、私たちがどう取り組むのかというのは物すごく、将来の日本人だけじゃなくて、人類に対して大きな責任を負っていると私は思います。
 そういう意味では、環境局の皆さんが究極、東京都における、まさに環境行政の責任者ですし、私たちも委員ですから物すごく大きな責任を負っているので、もうありとあらゆる先進事例をとにかく世界中から集めてきて、どれがいいかは判断だと思いますけれども、検証して、未来の子供たちから、あのとき、よく決断してくれたと思われるような取組をしないと、私、もう先々の人類から一番恨まれるのは私たちの世代だというふうに危機感を持っていますので、ぜひ職員の皆さん、そしてまた議会の皆さんと力を合わせて、CO2排出の削減に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

○北口委員 私からは、先ほど来ご議論がございますが、ZEVに関連して、幾つか有効活用という観点で質問をさせていただきます。
 地球温暖化対策、また温室効果ガスの削減というのは、今や国際的な取組として、先ほど来、議論になっていますが、世界中でいわれております。当然、先進国日本の、また首都東京として、世界をリードする取組を積極的に展開をしていただきたいというふうに考えております。
 都は、二〇五〇年までのCO2の排出量の実質ゼロを目指すゼロエミッション東京を掲げておられますが、その一つの方策として、二〇三〇年までに電動車の新車販売一〇〇%を目指されております。
 当然、都内のCO2排出量の約二割を占めるこの運輸部門の電動化は、必要不可欠であるというふうに思っております。
 そこでまず、最新の都内の乗用車の登録台数、そして、そのうち電気自動車、燃料電池車、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車の占める割合を教えていただきたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 令和元年度の都内乗用車登録台数は二百六十二万台となってございます。そのうち、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車の占める割合はそれぞれ、電気自動車が〇・三%、プラグインハイブリッド自動車が〇・五%、燃料電池自動車が〇・〇四%、ハイブリッド自動車が二一・三%となっております。

○北口委員 今ご答弁いただいたとおり、その数字から計算してみますと、現状は約五十八万台の電動車が都内を走っていることになります。これは同時に、これだけの数の高電圧バッテリーが都内を走っているということになります。
 今後、二〇三〇年に向けて、さらにEVやFCVの需要の拡大が見込まれ、同時に、大量の高電圧バッテリー、蓄電池やスタックと呼ばれる燃料電池の廃棄物の処理が課題になるのかなというふうに思います。
 電動車を政策として推し進めるとともに、車の製造から廃棄まで、ライフサイクルを含めて環境課題に取り組む必要があります。高性能な自動車用の高電圧バッテリーを無駄にしないことが重要です。リサイクルの取組はもちろんですが、家庭用蓄電池へのリユースなど、循環型社会構築に向けて、都が積極的に関わるべきだと考えております。
 自動車用の高電圧バッテリーのリユースに向けた都の現状の取組についてお伺いをいたします。

○三浦事業調整担当部長 都は、集合住宅へEV充電器と同時に設置する太陽光発電システムについて導入補助を行っており、その一部となる蓄電池につきまして、製品の保証書の発行等、一定の条件を満たせば、中古EVバッテリーをリユースした製品でも新品とみなして補助対象としております。
 また、地産地消型の再生可能エネルギー発電等設備について導入補助を行っており、その一部となる蓄電池につきましても、製品の保証書の発行等、一定の条件を満たせば、中古EVバッテリーをリユースした製品でも新品とみなして補助対象としております。

○北口委員 集合住宅向けや地産地消型の再生可能エネルギー発電等設備については、リユース製品の補助を行っているということでございました。中古EVバッテリーのリユースについての取組を評価いたします。
 今後は、ぜひ一般家庭向けのリユース製品が出た場合には、これも補助の対象に加えていただきたいと強く要望をしておきます。加えて、各バッテリーメーカー、自動車メーカーにバッテリーのリユースについて働きかけを行っていただくことも、ぜひ要望をさせていただきます。
 今後、電気自動車につきましては、災害時の非常用電源としての活用も期待をされます。EVを各ご家庭で非常用電源として活用できるようにするためには、各家庭にV2H機器と呼ばれる装置の設置が必要であります。
 EV購入家庭において、このV2H機器の設置を推進すべきと思いますが、都のこれまでの取組を教えてください。

○三浦事業調整担当部長 都は現在、集合住宅や事務所、商業施設等に充電設備を導入する費用を補助しており、V2Hもこの中に含まれております。
 さらに、太陽光発電設備の設置を条件に、戸建て住宅へV2Hを導入する費用を補助しております。

○北口委員 今ご答弁いただきましたように、一般家庭におけるこれまでのV2Hの設置助成の条件は、太陽光発電設備の設置が条件となっております。
 太陽光発電は、一般家庭におきましては、家によっては効率よく発電できず、設置ができない家庭もあることから、この条件を外して、EV購入者であればV2H機器を助成の対象にする方がEV普及の追い風になると思いますが、都の見解を伺います。

○三浦事業調整担当部長 太陽光発電システムとともにV2Hが設置された家庭では、EV走行時にCO2を排出しないだけでなく、走行に使用する電力の脱炭素化も可能となります。
 都は、再生可能エネルギー電力の活用を促進しながらEVの普及を進めていくことが重要との観点に立ち、本助成事業を実施しております。
 今後、太陽光発電設備の導入も含め、負担軽減の在り方について検討してまいります。

○北口委員 CO2排出量の削減を徹底するには、EVの普及に当たっても再生可能エネルギー電力の利用を拡大していくことの都の考え方の重要性は理解をいたしました。
 一方で、災害時に各家庭で非常用電源としてEVを活用していただくためには、V2Hは不可欠な設備であります。東日本大震災のとき、おおむね約八割のご家庭で、三日間で電力が復旧をいたしました。現在のEVは、満充電であれば、三日分くらいの家庭用電力を賄うことができます。ぜひ、このV2H単体の設置についても補助ができますように、ここは今後の展開に期待をしたいというふうに思います。
 V2Hについて、もう一つ、設置のための工事費についてお伺いをいたします。
 V2Hの設置には、どうしても工事を伴うため、工事費用がかかり、それも導入の垣根を高くしているとの声をいただいております。国では、個人のV2H導入について、令和二年度までは本体と工事費ともに補助の対象となっておりましたが、今年度は工事費が対象外となりました。
 都のV2H補助は、戸建て住宅向けは工事費がもともと対象外となっておりますが、集合住宅などでは工事費も含めて補助としており、この辺、整合が必要と考えられます。住民から、工事費も補助対象にしてもらいたいとの要望をいただいております。
 そこで、国に先んじて、二〇三〇年までに新車販売を一〇〇%非ガソリン化することを目指す都としては、今後、独自に工事費の補助も対象に加えることを検討するべきと考えますが、見解を伺います。

○三浦事業調整担当部長 現在、戸建て住宅へのV2H導入につきましては、太陽光発電設備の設置を条件として補助しておりますが、V2Hの設置工事には一定の費用を要しますため、今後、負担軽減の在り方について検討してまいります。

○北口委員 V2Hは、非常時にEVを蓄電池として活用できる、レジリエンスに寄与するものであるとともに、太陽光発電と組み合わせることで、自動車の脱炭素化の徹底に寄与する重要な役割を担えることも理解をいたしました。
 一方、EVやV2Hに加え、さらに太陽光発電設備の導入に要する費用負担は、家庭にとって相当大きなものになります。今後の助成の在り方については、例えばEV、V2H、太陽光発電設備など、それぞれの設備導入に助成をし、さらにこれらをセットで設置するご家庭には追加のインセンティブを与えるなど、様々な工夫ができると思います。
 こうした先進的な取組を行う都民には、もっと積極的に負担軽減のための支援を行うように強く要望して、次の質問に移らさせていただきます。
 次に、先ほど来こちらも議論になっております水素についてであります。
 この水素エネルギーの活用につきましては、過去、我が党からも委員会をはじめ、様々な場で折に触れて質問をさせていただいておりますが、改めて質問させていただきます。
 近年、環境問題の側面からも、経済の側面からも、今までになく、次世代のエネルギー源として水素の活用に向けて機運が高まっております。
 川崎重工は二〇三〇年の商用化を目指して、世界初の液体水素運搬船を就航させました。国内外でも水素の製造、輸送などについて、今様々な研究がなされております。
 こうした状況を見ますと、水素エネルギーの実用化について、少しずつではありますが、道筋が見えてきた印象であります。まだまだ課題も多く、広く普及するためには、より一層の努力が必要だと考えます。
 そこでまず、現状の水素エネルギーの普及状況、利用状況、都の取組についてお伺いをいたします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 水素エネルギーは、利用段階で水しか排出せず、エネルギー供給の多様化や非常時の有用性など、大きな可能性を持つエネルギーでございます。
 現在は、主に燃料電池による、水素から化学反応により電気を取り出す方法で利用されており、先行して普及が進みつつあるのがモビリティー分野と家庭分野でございます。
 モビリティー分野では、都内において、燃料電池自動車が九月末時点の補助金交付決定ベースで千二百二十八台、燃料電池バスが八十五台普及しているほか、水素ステーションが二十二か所整備されてございます。
 家庭分野では、都内において、家庭用燃料電池、エネファームですが、二〇一九年度末時点で約六・二万台普及してございます。
 都は、これらの水素関連技術について補助により導入を促進しているほか、官民連携のPRイベントなどにより、情報発信を行っていきます。

○北口委員 現状では、水素は家庭用燃料電池や自動車の一部などで使われていますが、様々な分野への普及、活用はこれからということが確認をできました。その上で、まずは現状取組が進んでいる運輸、自動車分野での普及をより一層推進してほしいというふうに思います。
 走行時にCO2を排出しない環境負荷ゼロの車両は、現状、EV車と燃料電池車しかありません。互いの特徴を生かしながら推進をすべきです。
 EV車は、電気という既に日本中に整備されているインフラを活用できるというメリットがあります。一方で、航続距離が短い、充電に時間がかかるなどのデメリットはあります。
 また、燃料電池車につきましては、充填時間がガソリン自動車とほぼ変わらない、航続距離も長いなどの優位点がございますが、インフラが整っていないというデメリットがあります。
 そこで、燃料電池車のこうしたメリット、デメリットを踏まえて、導入、推進を図るべきと思いますが、都の見解を伺います。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 燃料電池自動車は、電気自動車と比べ航続距離が長く、充填時間が短いというメリットがございます。
 都は、昨年度までの二年間、カーシェアやレンタカー事業を通じて、ZEVの利用機会を創出する事業を実施しましたが、航続距離や充填時間にメリットのある燃料電池自動車が四十台導入されてございます。
 また、水素需要創出等の観点から、大型で毎日運行する路線バスへの燃料電池バスの導入を補助し、都営バスのほか、民間バス事業者でも導入が進んできております。
 供給インフラが限られているという点につきましては、水素ステーションの整備拡大に向け、今年度から新たに都独自で水素ステーションの未整備地域における土地造成費用の補助を開始したほか、バス事業者への燃料電池バス導入の働きかけと並行して、インフラ事業者への水素ステーション整備の働きかけを行うなど、積極的に調整を図ってございます。
 今後とも、水素や燃料電池の特性を踏まえるとともに、需要と供給の両面から水素利用の拡大に向け取り組んでまいります。

○北口委員 最終的には消費者が選択することとは思いますが、今後もこうした燃料電池自動車のメリットを生かした効果的な施策を展開していただくことを期待しておきます。
 次に、この燃料電池車の燃料である水素について伺います。
 水素は、利用段階でCO2を排出しませんが、現状は、水素の多くは製造段階でCO2を排出します。一方、再生可能エネルギーで製造したCO2フリー水素は、製造段階でもCO2を排出しませんし、発電量が変動する再エネの調整力としても期待できます。
 水素エネルギーの利用は始まったばかりであり、CO2フリー水素を活用するには、まだエネルギー効率の面、そしてコスト面、供給インフラ面等で課題が多いことは承知をしておりますが、将来的にはこのCO2フリー水素を本格活用していくことが重要です。
 都は、このCO2フリー水素の活用拡大に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 脱炭素社会においては、CO2フリー水素の普及が重要であり、再エネ大量導入時代を見据え、今から取組を進めることが必要でございます。
 現在、国内外では、CO2フリー水素の大規模製造や国際水素サプライチェーン構築に向けた複数のプロジェクトが検討されているところでございます。
 都は、CO2フリー水素の活用拡大に向けて、設備導入を行う事業者等に対して補助事業を行っているほか、南大沢地区で実施している再エネシェアリングのモデル事業におきまして再エネ由来水素を活用するなど、都内での導入を後押ししてまいります。
 今後も国内外の動きも注視しながら、水素が将来の脱炭素社会を支える柱となるよう、CO2フリー水素の普及に向けて取り組んでまいります。

○北口委員 脱炭素社会の実現に向けて、水素エネルギーは大きな可能性を秘めております。そのためには、CO2フリー水素の普及は不可欠であります。
 今後とも、世界情勢を見極め、国とも連携しながら、ぜひ積極的に取組を進めていただきたいというふうに思います。
 以上で水素関連の質問を終わります。
 次に、河川の水質改善についてお伺いします。
 河川は人々に安らぎを与え、自然と接する身近な存在です。私の地元葛飾区を流れる大場川では、昔の水郷の面影を残し、水と緑と生き物たちの豊かな自然環境である中州、約一万二千二百平方メートルを葛飾区が自然保護区域に指定し、自然環境の保護と回復に努めています。
 かつて高度成長期には、工場排水や生活排水で東京の河川の水質は悪化しましたが、近年では、河川の水質は改善されていると聞きます。
 そこで、大場川含めまして、都内の主要河川の水質改善の状況についてお伺いをいたします。

○和田自然環境部長 河川の水質汚濁を示す代表的な指標である生物化学的酸素要求量、いわゆるBODは、多摩川の田園調布堰で、昭和四十六年度には平均で一リットル当たり八ミリグラムでしたが、令和二年度には一・四ミリグラムに改善いたしました。
 委員ご指摘の大場川は、環境基準点である葛三橋で、昭和五十年度は平均で一リットル当たり五・六ミリグラムでしたが、令和二年度は三・七ミリグラムとなり、改善いたしました。
 都内の河川の水質測定結果は、平成十八年度以降、環境基準の達成率は九〇%以上を維持し、令和二年度では、都内河川のBODは、五十九水域中五十八水域で達成しております。

○北口委員 大場川をはじめ、都内の河川の水質は改善され、維持されていることが確認できました。
 私は、人と生物が共存できる河川であることが望ましいと考えております。人と生物が共存する水環境の推進に向けて、都は関係局が連携をして取組を進めるとともに、国や区市町村とも連携をして取り組んでいくことが必要です。
 どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○和田自然環境部長 人と生物が共存する水環境を推進していくためには、河川の水質改善とともに、地域の人々の水環境への関心を高めることが重要であります。
 都は、河川の水質改善を進めていくために、昭和四十六年度から水質の常時監視、水質汚濁防止法に基づく事業場排水規制を実施しており、そのほか、下水道施設の改善、汚泥のしゅんせつ等を関係局が連携して実施しております。
 また、国は、水環境の保全の普及啓発を目的に、昭和五十九年度から全国水生生物調査を実施しており、都は、その調査のための野外実習等を年二回、都内河川で区市町村職員や教員向けに実施することで、環境教育や学習につなげております。
 こうした取組を通じ、今後とも、人と生物が共に共存できる水環境の保全を国や区市町村と連携して積極的に推進してまいります。

○北口委員 私は、このきれいな水環境を次世代に引き継いでいくことは大変重要であるというふうに考えております。ぜひ生物多様性の観点からも、水質改善とともに水辺の環境保全、生態系の維持などにも積極的に取り組んでいただき、多くの地域で自然豊かな水辺の創出がなされることを期待して、水質関連の質問を終わります。
 次に、大気環境について質問をいたします。
 先ほどの水環境に続きまして、やはり次の世代に向けて、きれいな空気をどのように残していくかということも大変重要だと考えております。
 東京都は、国に先駆けて行ったディーゼル車規制や工場等からの排ガス規制などにより、大気環境を大幅に改善させてまいりました。近年の東京の空を見ていると、昔に比べて本当にきれいになったと実感をします。
 都議会公明党は、昨年の第四回定例会の代表質問で、東京の大気環境における微小粒子状物質、PM二・五について取り上げました。それに対して知事からは、二〇一九年度に初めて全ての大気測定局で環境基準を達成し、今後はさらにその上の目標を掲げ、取組を加速、深化させていくとの答弁がありました。
 都では、大気環境の状況を把握するために、PM二・五や窒素酸化物など、様々な大気汚染物質のモニタリングをしています。
 そこでまず、昨年度の大気環境の状況について説明をお願いいたします。

○筧環境改善部長 都は、大気汚染防止法に基づき、都内八十二か所の測定局で大気汚染状況の常時監視を行っており、令和二年度の結果は本年九月に公表いたしました。
 PM二・五につきましては、令和元年度に引き続き、全ての測定局で環境基準を達成しました。また、未来の東京戦略では、政策目標として、二〇三〇年度までに全ての測定局の平均値を十マイクログラム以下としておりますが、令和二年度は十・一マイクログラムでございました。
 二酸化窒素及び浮遊粒子状物質は過去三年連続で、二酸化硫黄及び一酸化炭素は昭和六十三年以降全ての測定局で環境基準を達成しております。一方、光化学オキシダントにつきましては、全ての測定局で環境基準を達成しておらず、環境基準の二倍の濃度が継続するときに発令される光化学スモッグ注意報の発令日数は六日でございました。
 東京の大気環境は、全体的に改善傾向にありますが、新たな政策目標を掲げたPM二・五及び環境基準を達成していない光化学オキシダントにつきましては、環境基準の濃度のさらなる低減が必要であり、今後の課題であると認識しております。

○北口委員 都の大気環境は、おおむね改善傾向にあるとのことですが、これは都民、事業者、そして行政のご尽力のたまものであり、高く評価をしたいと思います。
 一方、PM二・五と光化学オキシダントの低減が残された課題であることが分かりました。PM二・五については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で世界的に改善されたという報道を目にしましたが、コロナ後のリバウンドが心配です。また、光化学オキシダントについては、パラリンピック期間中に光化学スモッグ注意報が発令されていたことが思い出されます。
 空に境目はなく、PM二・五や光化学オキシダントなどの大気汚染物質は、国境や県境を越えて東京に到達いたします。東京の大気環境をさらに改善するためには、これまでの規制に加えて、広域的な取組や、事業者、都民の行動変容を促すような取組も必要であると考えますが、都の見解を求めます。

○筧環境改善部長 PM二・五及び光化学オキシダントを低減させ、東京の大気環境をさらに改善するためには、これまでの規制を継続するとともに、広域連携や、事業者及び都民の自主的取組を促すことも重要でございます。
 そのため都は、九都県市に働きかけ、令和元年度に光化学オキシダント及びPM二・五対策を検討する会議を新たに設置し、大気汚染物質等の移動状況の広域的な把握や発生源の特定に取り組み、対策を検討しております。
 さらに、大気汚染物質の排出削減に自主的に取り組んでいる事業者を登録し、その活動を後押しする、Clear Skyサポーター制度を令和元年度に開始いたしました。加えて、今年度からはインスタグラムのアカウントを開設し、都民の機運の醸成や行動変容を促しており、今後はこうしたSNSを活用した取組をさらに充実させてまいります。
 今後とも、未来の東京戦略で掲げた目標の達成に向けて、広域連携、普及啓発、自主的取組の促進など、様々な施策を展開、実施してまいります。

○北口委員 実は、私も先日、Clear Skyのインスタグラムをフォローしました。Clear Skyサポーターには、現在二百五十三社が登録していると聞いております。これらの事業者には、ロゴの使用を認めたり、都のホームページでその取組を広く紹介したりするなど、よい制度であるというふうに思います。
 東京の良好な大気環境は、水環境と並び、都民の宝であります。今後さらに改善を図り、次世代に引き継いでいくことが重要です。未来の東京戦略で掲げた目標実現のために、答弁にあった様々な取組を着実に実施していただきたいと思います。
 さらに、温暖化対策のCO2削減の取組と同様に、環境汚染物質の削減もより積極的に取り組んでいただくことを要望して、大気汚染関連の質問を終わります。
 最後に、アスベスト対策についてお伺いをいたします。
 アスベストは、建物の耐火性能や断熱性能等を高めるために、多くの建築材料で使用されてまいりました。とりわけ、高度経済成長期には大量のアスベスト建材が使用されましたが、アスベストを吸引することで肺がんなどの重篤な病気を発症することが判明して、二〇〇六年にはその使用は全面禁止となりました。
 しかし、都内にはアスベスト建材が使われた古い建物が数多く残っており、こうした建物の解体、建て替え工事の際にアスベストが飛散しないよう十分な対策が必要です。
 特に解体現場でアスベスト建材が見落とされてしまうと、作業者が知らない間に解体作業中にアスベストを吸引してしまうなど、健康被害のリスクが一層高まります。
 国は昨年、解体現場でのアスベストの取扱いを規制する大気汚染防止法を改正し、アスベスト建材の見落としを防ぐための規制強化を行ったとのことですが、まずはその改正内容についてお伺いをいたします。

○筧環境改善部長 大気汚染防止法では、建物の解体、改修工事に先立ち、アスベスト含有建材の有無を把握するため、解体業者等に対して調査を義務づけ、その調査結果を基にアスベスト含有建材の適正処理を進めることとしております。
 この制度運用の中で、近年、アスベストの見落としが問題となったため、国は昨年六月に法改正を行い、解体業者等に対し、アスベスト調査の実施に加え、その調査結果を行政に報告することを義務化し、調査の信頼性を確保することとしております。
 来年四月一日から改正法が施行されることを受け、都は現在、調査結果の報告を受ける区市と連携して新規事務の準備を進めるとともに、解体業者等に法改正の内容を周知しているところでございます。

○北口委員 建物の解体現場では、工事前にアスベスト建材の有無を調査してから作業に着手するルールがあり、今後、この調査結果を行政がチェックすることで、アスベストの見落としを防止することを理解しました。
 しかし、建設現場には元請業者や下請業者、一人親方など、様々な関係者がおります。ご答弁にもありましたが、法改正の内容、いい換えれば、新しい現場のルールを工事関係者にしっかりと周知して、関係者のご理解とご協力をいただきながらアスベスト対策を進めていくことが重要であります。
 そこで、都はこれまで、解体業者に対しどのような周知活動を行ってきたのかお伺いをいたします。

○筧環境改善部長 アスベスト含有建材の適正処理を現場で徹底させるためには、解体業者等に改正法に基づく新たな規制内容を周知することが重要でございます。
 このため、都は今年度、建設業界の団体をはじめ個々の建設会社、都内自治体の営繕部署などに職員を派遣して講習を行ったほか、コロナ禍で会合等を開催できない団体等にはウェブ会議方式で講習を行い、合わせて三十四回、延べ一千百四十二名に対して改正法の内容を説明いたしました。
 また、都のアスベスト専門職員、いわゆるアスベストGメンによる解体現場での監視指導の際に、現場作業員にも改正法の周知を図っているところでございます。

○北口委員 新型コロナウイルス感染拡大防止を図るため、多くの企業、団体が会合を避ける中、従来の講習会による広報ができないなど厳しい面もあったかと存じます。職員の方のご苦労に敬意を表したいというふうに思います。
 しかし、残念ながら、私の地元葛飾区におきましても、解体業者の皆様から、新しいアスベストの規制ルールで何を求められているのか分かりにくいといった声が寄せられております。
 都が法改正について周知を進めているのは十分理解しておりますが、改正法の施行まで半年を切る中、現場でのアスベスト対策を徹底させるためには、これまで以上に現場で作業される方々への広報活動が重要と考えます。
 都の今後の取組についてお伺いをいたします。

○筧環境改善部長 コロナ禍において、建設業界等に対して改正法の内容の周知を進めるには、建設関係者が利用しやすい広報媒体を利用するなど、様々な工夫が必要でございます。
 都は現在、大気汚染防止法の改正内容を紹介する動画を作成しており、来月中にユーチューブ等に公開する予定でございます。
 また、法改正の内容を分かりやすく紹介するチラシやポスターを作成するほか、建設現場で働く外国人の従事者にも説明できるよう、英語、中国語など、五か国語に翻訳したチラシを作成し、周知活動に活用してまいります。
 さらに、全国紙や建設業界紙に広告を掲載し、現在準備中の動画の掲載サイトを紹介するなど、新たな規制内容の周知を図り、現場におけるアスベストの適正処理を一層推し進めてまいります。

○北口委員 ユーチューブ等の動画コンテンツは、忙しい事業者の方々が時間にとらわれることなく、必要なときに情報を得られることから、広報効果は大きいと考えております。
 また、多言語化したチラシは、現場で働く外国人の皆様に、直接アスベストのリスクを説明する上で効果的であると思います。
 改めまして、大気汚染防止法の新しい現場のルールをしっかりと周知するよう要望をしておきます。
 アスベストは、都市の発展を支えてきた反面、健康上の弊害も大きいため、東京に残る負のレガシーとなっています。この負のレガシーを次世代に引き継ぐことのないように万全の対策を進めていくことをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 深刻化する気候危機に対し、二〇五〇年までの脱炭素化、CO2排出ゼロに向けて、建物の省エネ、再エネ化を加速させる課題は、大都市東京の責務です。
 エネルギー消費量全体の三割を占めている家庭部門での省エネについてお尋ねします。
 二〇三〇カーボンハーフスタイルとして、新築住宅でのゼロエミ仕様の標準化と既存住宅での高い断熱性能確保がうたわれています。
 まず、東京ゼロエミ住宅についてですが、東京ゼロエミッション住宅導入促進事業の目的と概要、年度ごとの予算と交付申請件数を教えてください。

○小川地球環境エネルギー部長 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向け、一度建てられると数十年にわたり使用され続ける住宅の断熱性や省エネルギー性能を高めるため、都は、国が定めるZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスよりも省エネ水準が高い都独自の東京ゼロエミ住宅基準を策定しております。
 東京ゼロエミ住宅導入促進事業は、東京ゼロエミ住宅の基準を満たす都内の新築住宅の建築主に対し、基準を満たすために必要となる費用と通常の住宅建築費用との差額相当分を一定額助成するものとして、令和元年度から実施しております。
 予算額につきましては、令和元年度は約十七億円、令和二年度は約二十一億円、令和三年度は約二十四億円となっております。
 交付申請件数につきましては、令和元年度は六百六十四件、令和二年度は千八百二十四件、令和三年度は九月末時点で八百四十件となってございます。

○原委員 ありがとうございます。各回の交付申請において、予算を超える申請があった場合には抽せんを行いますとこの要綱にはありますけれども、各年度の事前申請件数と平均倍率を教えてください。
 また、都内での戸建ての新築件数と、その中に占める東京ゼロエミ住宅基準の件数を教えてください。

○小川地球環境エネルギー部長 令和元年度の事前申請件数は三千三百七十五件、抽せん倍率は約二倍、令和二年度の事前申請件数は四千四百八十三件、抽せん倍率は約二・一倍でございます。
 また、令和三年度は、第四回募集の終了時点で事前申請件数三千二百二十八件、抽せん倍率は約一・八倍でございます。
 また、令和元年度の実績では、都内の新築戸建て件数は約三万六千件、うち東京ゼロエミ住宅基準をご検討いただいている件数は約三千件となってございます。

○原委員 東京ゼロエミ基準で建てるのは、全体の一〇%弱ぐらいなわけですね。家は一度建てたら数十年住むと先ほども説明がありました。そのとおりです。今こそ本気の取組が求められているというふうに思います。
 そんな中、この事業の助成決定が抽せんで、申請しても二件に一件が助成を受けられない実態になっているということは驚きです。
 私、江戸川区の選出なんですけれども、江戸川区内の工務店の方にお話をお伺いしました。東京ゼロエミ住宅を紹介したところ、お客さんが申し込んではみたものの、二回連続で落選した、そういうお客さんがいたというふうにおっしゃっていたんですね。
 東京ゼロエミ住宅は、LEDの照明もつけなきゃいけない、エアコンも給湯器も浴槽もと、全ての設備を基準以上のもので整えなければならないので、その説明を丁寧にして、せっかく決断されたお客さんが落選をするというのは残念過ぎるということでした。
 工務店側も申請書類の一部を作成しなければならないのですが、計測なども必要で、負担がかなりあるそうです。ゼロエミ住宅を普及しようという事業なのに、落選があるのはよくないといっておられました。
 二〇三〇カーボンハーフスタイルで、新築住宅でのゼロエミ仕様の標準化をうたい、東京ゼロエミ住宅普及を目指すなら、抽せんにしている場合ではないと思います。
 お聞きします。抽せんをやめて、基準を満たした全ての申請者に交付する仕組みにすることを求めますが、いかがでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 令和三年度は、申請件数の想定規模を拡大いたしますとともに、申請回数ごとの倍率の平準化を図るため、昨年度の年間五回の募集の回数から年間八回に増やしたところでございます。
 こうした取組により、予算の範囲内で事業を執行してまいります。

○原委員 抽せんをやめるということは検討しないという答弁でしたでしょうか。
 応募件数が三千件、四千件、そして今年度は半年で三千件と、周知も効いて増えているわけです。今年度はあと四回あるわけですから、六千件くらいに至ることも見込まれるのではないでしょうか。それに対して倍率が二倍前後で推移しているということは、予算増が追いついていないということがはっきり分かります。
 事前申請数を基に基準を満たす全員を助成対象にするという考えに立てば、二倍、三倍の予算が必要だったと思います。予算の範囲内でという消極的な姿勢で、東京ゼロエミ住宅は広がるのでしょうか。
 私が参考に調べた長野も鳥取も、抽せん制度は取っていません。申請数が多ければ、補正予算も組んで全申請に助成すると鳥取の方式はなっているそうです。
 長野県のエコ住宅助成事業は先着順で実施しており、年度末近くに予算が達したところで申込みが終了する制度ですけれども、次年度にも申し込めるようになっていまして、クレームは特にないそうです。ここは着工後でも申請できる仕組みになっているため、申請期間に幅があることも背景にあります。
 いずれにしても、二回抽せんに落ちる人はいないということで、こうした方は起こり得ないということでした。
 改めてお伺いします。抽せんをやめて、基準を満たす申請者全員への助成制度へ改善を検討してくださいませんか。

○小川地球環境エネルギー部長 先ほどご答弁いたしましたとおり、令和三年度は申請件数の想定規模を拡大いたしますとともに、申請回数ごとの倍率の平準化のため、昨年度の年間五回から八回に増やしたところでございます。
 こうした取組によりまして、予算の範囲内で事業を執行してまいります。

○原委員 答弁の中身がほとんど変わらなかったので残念です。検討を要望しているので、検討くらいは約束してほしいなと思います。
 ここで環境局の本気度が問われます。二〇五〇年ゼロエミッション東京の達成には欠かせない住宅のゼロエミ化の目的をやり遂げるために、補正予算を組むことも含めて、基準を満たした全ての申請に交付を実施する制度に改善することを強く要望しておきます。
 次に、助成額です。
 戸建て住宅の助成額が七十万円だったのが、今年度から五十万円に下がったのはなぜですか。

○小川地球環境エネルギー部長 先ほどご答弁いたしましたとおり、東京ゼロエミ住宅への助成は、東京ゼロエミ住宅基準を満たすために必要となる費用と通常の住宅建築費用との差額相当分を一定額助成するものでございます。
 東京ゼロエミ住宅基準を満たすための資材等の価格が低減されたため、助成額を変更したところでございます。

○原委員 ゼロエミ住宅と通常の住宅の建築費用を比較し、差額を割り出したとの説明でした。ただ、たった三か年の事業の間に二十万円も突然下がってしまったという印象は拭えません。
 そして、初期費用の差額イコール五十万円ではないわけです。ゼロエミ住宅に住み続ける中で、光熱費が抑えられる差額分も含まれているとして、十年ぐらいで元が取れたとしても、建築主としては、やはり初期費用がどのくらい負担増になるかが判断基準となるわけです。工務店の方は、百万円近い差額費用がかかっているだろうというふうにおっしゃっていました。もちろん、規模によっても違います。
 また、資材の価格が低減されたためという説明がありましたけれども、現場の状況は逆です。この一年、コロナの影響でウッドショックといわれる木材の入手困難により、建材価格が上がったといわれています。そして、最近、窓ガラスの値段も上がったということで、事業は苦労の連続だといわれていました。事業者など現場の声を聞く努力をしていただきたいと思います。
 そして、せっかく住宅を新築するというときに、建築主が初期費用の負担感からゼロエミ住宅を諦めることのないよう、助成額の引上げを求めるものです。せめて七十万円に戻すべきだと思います。これはご検討をしていただけるよう要望しておきます。
 次の課題ですが、段階的な断熱性能についての加算についてです。
 十一月四日、国土交通省より、戸建て住宅の断熱性能について上位等級を設けるという方針が示されました。ZEH基準の等級五に加え、等級六、七を新設し、多段階にし、住宅ローン減税の上乗せや、住宅金融支援機構の長期固定金利の住宅ローンの金利優遇などが受けられるようにするとのことです。
 東京都も、高い省エネ基準に伴い段階的に助成額を決める、または加算する制度拡充を検討されているのでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 ゼロエミッション東京戦略二〇二〇 Update&Reportにおきまして、東京ゼロエミ住宅基準の多段階化を掲げ、既に環境審議会等において住宅の高断熱化、高効率設備、再エネ設備を一層促進するための検討を進めているところでございます。

○原委員 ありがとうございます。鳥取の健康省エネ住宅は、省エネ率の引上げごとに加算する制度設計になっています。冷暖房費削減率三〇%削減、五〇%削減、七〇%削減の設定などで、最大五十万円の加算です。
 東京ゼロエミ住宅基準を広く進めていく上でも、省エネ率がさらに高い住宅を建てようと意欲を持つ人に対して、上乗せの助成をすることは好ましいことではないかと思います。今後の制度改善を注視していきます。
 東京ゼロエミ住宅導入推進事業は、本年度までの三か年事業となっていますが、二〇二二年度以降の継続と制度の拡充を求めておきます。東京ゼロエミ住宅の抽せんが約二倍の倍率だったことからも、やはりこの分野の予算を少なくとも二倍以上にする必要があるというふうに考えます。ご検討をお願いいたします。
 あともう一つ質問をします。既存住宅における省エネについてです。
 既存住宅における断熱改修や省エネ家電への買換えも引き続き重要です。都は、家庭における熱の有効利用促進事業において、高断熱な窓、ドアに改修する際の補助を行うとともに、省エネ家電等への買換えに対し東京ゼロエミポイントを付与する家庭のゼロエミッション行動推進事業を実施しています。
 こうした事業をより多くの都民に利用してもらうために必要な取組をどのように考えていますか。

○小川地球環境エネルギー部長 これらの事業につきましては、業界団体やメーカー等を通じまして事業者に情報提供を行うとともに、「広報東京都」への掲載、チラシやリーフレットの配布、区市町村や店舗等とも連携した広報等を実施しております。
 あわせて、インターネット広告やSNSを活用したPRを行うなど、様々な手法も活用してございます。

○原委員 ありがとうございます。二重サッシのある住宅普及率は、東京で二二・四%で、全国が二九・九%ですから、東京は遅れております。この助成制度を使い、窓やドア改修がどんどん進むように周知を強めていってほしいです。
 工務店の方が、ここ数年、二重サッシなどの改修工事の受注の割合が増え、助成制度はとても役立つといっていました。その方が、制度が広く周知されること、事業設計がシンプルで作成書類が煩雑でないこと、即支給されること、この三つが大事だというふうにおっしゃっていました。お伝えをしておきます。今後、さらに設計士や工務店さんの声、建築主や都民の要望を聞きながら、制度の改善を進めてほしいと思います。
 家庭部門において、二〇三〇年までに省エネ五割削減を、三〇年までにといっても、いち早く達成できるように計画を持って意欲的に取り組んでいただくようお願いしたいです。
 都として、省エネ、再エネの予算を抜本的に増やし、どの分野でも本気の取組となるよう強く求め、私の質問を終わります。

○鈴木委員 都議会自由民主党の鈴木純でございます。今回は、具体的に現在行われている事業について伺わせていただきます。
 初めに、企業の再生可能エネルギーの拡大について伺います。
 世界気象機関によれば、昨年のCO2の世界平均濃度は、コロナ禍による社会経済活動の停滞があったにもかかわらず、四百十三・二ppmと前年から二・五ポイント高まっており、過去十年の平均を上回る上昇幅となりました。
 気候危機への対応は、まさに一刻の猶予もない状況ですが、二〇三〇年に温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で五〇%削減することを掲げている東京の最新の数値は、二〇一九年度速報値で、二〇〇〇年度比〇・二%の削減にとどまっています。
 本委員会の冒頭でも局から説明がありましたが、業務ビルが集積する東京では、CO2排出量の約五割を業務、産業部門が占めており、温室効果ガス排出量の半減に向けては、事業所への取組が重要だと考えます。
 近年、大企業を中心に脱炭素対策を重視する事業者が増加するとともに、サプライチェーンの観点から、取引先に脱炭素化に向けた取組を求める動きも出てきております。
 都には、こうした状況を踏まえ、事業者の再エネ導入や省エネ対策を積極的に後押しし、支援していくことが求められております。
 再生可能エネルギーの拡大に関して、本年の予算特別委員会での我が会派からの質問に対し、都は、今年度から都外で新たに再エネ設備を設置する取組に対して支援していく旨の答弁がありました。
 都は、この施策として、再エネ設備の新規導入につながる電力調達構築事業を立ち上げ、本年八月から申請受付を開始されておりますが、この事業の目的、経緯など、内容について伺わせていただきます。よろしくお願いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 RE一〇〇宣言企業の増加など、民間事業者において再エネ電力の大量調達のニーズは拡大している一方で、東京は土地が狭小など、大規模な再エネ設備の設置が困難などの地域特性がございます。
 このため都は、本年八月より、都外に新たに設置する再エネ設備から電力を調達する手法に取り組む都内需要家を支援するため、再エネ設備の新規導入につながる電力調達構築事業を開始したところでございます。
 本事業では、都外での再エネ発電設備の導入に係る取組について、再エネ発電設備設置地域への環境配慮及び関係構築などを図ることを要件に、二億円を上限に経費の二分の一を助成することとしてございます。

○鈴木委員 ありがとうございます。都外への再エネ設備設置にも支援を行うとする都の姿勢は理解できました。
 その一方で、私が区議会議員時代にも感じたことがあります。都は、様々な事業を展開しております。その各事業を開始したことが事業者にとって伝わりにくい側面もあるのではないかという点です。本事業を開始して約二か月が経過した現段階で、申請実績はないと聞いております。
 都は、事業者からの認知度についてどのように捉えているのか伺わせていただきます。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、都内の電力需要家が都外で新規再エネ発電設備設置を行う際に整備費等を支援するものでございます。このため、事業者は、電力事業者や土地所有者などと事前に調整等を進めることが必要でございます。
 また、補助要件といたしまして、設置する地域への環境配慮等を行うことを求めております。
 都は、こうした事業の特徴等を関係団体等に対して説明するなど、本年度当初から本事業の理解促進を図ることで、これまで中小企業を含む幅広い業種の事業者から計五十件弱の問合せをいただいているところでございます。現在も具体的な事業スキームなどについて問合せが続いておりますので、本事業への認知度は向上していると考えてございます。

○鈴木委員 幅広い業種で五十件の問合せは多いかというと、ちょっとどうなのかその辺は分からないんですが、本事業を活用して導入される再エネ設備は、メガソーラーなどの大規模な設備が想定されると思いますので、事業者には再エネ設備を設置する地域への環境配慮や関係構築などを求めていくことも重要だなと思います。
 こうした点について、都からは本事業の助成要件としているとの答弁がありましたが、具体的にどのような要件設定をされているのか伺わせていただきます。

○小川地球環境エネルギー部長 委員お話しのとおり、本事業を活用して都外に再エネ発電設備を導入する際は、事業者が再エネ設備の設置地域の環境に十分配慮するとともに、当該地域との連携を図ることが不可欠でございます。
 このため、都は事業者に対し、環境配慮につきましては、国のガイドラインに準拠することを要件といたしておりまして、地域やその住民に危険が及んだり、生活環境を損なうおそれがないよう、必要な措置を講じることを求めております。
 あわせて、事業者と地域の自治体等との間で協定を締結していただき、災害時には本事業により設置した再エネ設備で発電した再エネ電気を地域住民が使用可能とするなど、地域のレジリエンス向上に資する取組も求めてございます。
 これらに加えまして、地域への経済的効果がもたらされるよう、地域の金融機関等から融資を受けることや、地域の事業者に施工を請け負ってもらうことなどの要件からいずれかを満たすよう求めてございます。

○鈴木委員 ありがとうございます。本事業は、都外のポテンシャルに着目したこれまでにない視点を取り入れており、今後、都内再生可能エネルギーの利用拡大を強く牽引する一つの施策として期待しております。
 年々、再エネ設備の導入費用は低減しているとはいえ、都外への再エネ設備導入は事業者にとってまだまだ大きな経費負担を伴いますので、都には今後本事業の予算規模の拡充を図って取り組んでいくことを要望し、次の質問に移らせていただきます。
 次に、中小企業の省エネ対策について伺わせていただきます。
 都内の産業、業務部門のCO2排出量の約六割が中小規模事業所によるものですが、脱炭素社会の実現のためには、これらの事業所による省エネの取組も引き続き重要であると考えます。
 しかし、このコロナ禍による厳しい経営環境が続いてきた中、中小企業は資金繰りや業績の回復等、多くの課題を抱えており、省エネ対策を行う意思があっても資金的な余力が乏しい現実もあります。
 さらに、事業を継続するためには、感染症対策として、事業所での換気の確保が必須になるなど、新たな対応が必要になってきています。
 都は今年度、中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業の募集を開始されております。この事業の目的、そして中身について伺わせていただきます。

○小川地球環境エネルギー部長 脱炭素社会の実現のためには、全ての事業者が省エネ対策を徹底し、CO2排出量を抑えていくことが必要でございます。
 一方、新型コロナウイルス感染症対策として、事業所等ではより多くの換気が求められ、これまで以上に室外の空気を取り入れることにより、空調に必要なエネルギー消費量の増加が見込まれます。
 本事業は、こうしたことを踏まえて、中小企業が必要な換気を確保しながら、それによって見込まれるエネルギー消費量とCO2排出量の増加を抑制するために行う設備投資を支援するものでございます。
 具体的には、都内に設置する中小規模事業所に省エネ性能の高い換気設備や空調設備を導入する際に、一千万円を上限に経費の二分の一を助成するものでございまして、本年七月から募集を開始いたしております。

○鈴木委員 ありがとうございます。中小企業の省エネ対策についても積極的に支援しようとする都の姿勢は理解をできました。
 この本事業を開始して約四か月が経過しましたが、本制度の認知度を上げるため、今までの取組と中小企業などの声や反応について伺わせていただきます。よろしくお願いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、本事業開始当初より、日頃から経営相談等を通じて中小企業と多くの接点を有する地域金融機関、それから商工団体を訪問いたしまして、事業概要の説明を行うことで、本事業に対する中小企業の認知拡大を図ってまいりました。
 これらの団体からは、様々な業種でニーズのある事業との評価をいただいておりまして、メールマガジンや広報紙等による事業周知の協力を得ているところもございます。
 こうした取組の成果といたしまして、十月末時点で、飲食業から製造業に至るまでの幅広い業種の中小企業や設備事業者などから、申請書の作成に関する問合せが百五十件以上、こうした相談も含めまして、八百件以上の問合せをいただいているところでございます。
 なお、申請に当たっては、設備の選定や工事計画等の準備が必要であり、十月末時点での申請受付は二十八件となってございます。
 今後も業界団体等、各種団体への事業説明を行い、本事業の認知度のさらなる向上を図ってまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。金融機関や商工団体等を通じて事業の周知を行うということは、中小企業の認知の拡大のために、私も有効だと思います。そういった努力もあって、この結果、数字に出ているものなのだろうと思っております。
 本事業に対する事業者の支援ニーズが表れておりますが、しかし、いまだ申請受付が少ないようにも感じます。具体的な問合せも多いようですので、引き続き丁寧な事業周知に努め、利用に結びつけてほしいと思います。
 環境局さんの事業ではないんですけど、実際に提出期限を決めて、それでさらに予算がかなり余っているということで、延長、延長になっている事業もあるとも伺っておりますので、実際にニーズがあって、そして利用していただかないとなかなか難しい。実際に予算を取っていただいて、ニーズを求めている方たちのためにはなっていない部分も、環境局さんではないんですけれども、そういったところも見受けられる点があるので、引き続き努力していただきたいと思います。
 コロナ禍で多くの中小企業の経営が回復しているとはいえない中、企業に対するこうした支援は重要です。また、コロナの脅威は完全になくなったとはいえない中、このような支援を今後もぜひ継続して取り組んでいただくことを要望し、次の質問に入ります。
 最後に、気候変動の適応について伺わせていただきます。
 現在、気候変動緩和策への取組が重要であると同時に、気候変動の影響による被害を回避、軽減するための適応策に取り組むことも今重要だと考えられております。
 この八月には、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの新たな報告書によって温暖化の加速が指摘されており、同じく八月の西日本を中心とした記録的な大雨による災害は記憶に新しいところです。
 また、おととしの台風十九号では、都内でも浸水や土砂崩れなどの被害をもたらすなど、異常気象による自然災害の危険性は高まっています。自然災害への対策にも様々あり、都の各局がそれぞれの行政分野で適応策に取り組んでいただいておりますが、都が一体となっていくことが必要であると考えます。
 東京都は、今年三月に東京都気候変動適応計画を作成したことを承知しておりますが、適応策の重要性をどのように認識し、そして、その推進のためにどのように取り組んでいるのか伺わせていただきます。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 CO2排出を削減する緩和策に加えまして、気候変動の影響を回避、軽減する適応策に取り組むことは、都民の生命、財産を守り、人々や企業から選ばれ続ける都市を実現する上で重要であると認識しております。
 そこで、都は、今年三月に東京都気候変動適応計画を策定し、自然災害、健康、農林水産業、水資源・水環境、自然環境の五つの分野にわたって、都内における気候変動の影響を踏まえた施策を展開することとしたところでございます。
 具体的には、例えば自然災害分野では、河川の護岸や地下調節池、海岸保全施設の整備等のハード施策、ドローンを活用した災害時情報収集といったソフト施策など、デジタルトランスフォーメーションの視点も取り入れて、幅広い施策を盛り込んでございます。
 計画の実施に当たりましては、事業を所管する関係各局との連携が必要であることから、庁内横断会議を通じた全庁的な推進体制の下、PDCAサイクルによる管理を徹底いたしまして、適応策の推進に向けて着実に取組を進めてまいります。

○鈴木委員 答弁ありがとうございます。気候変動の影響に直面する都民の生命、財産を守る上で、全庁を挙げて適応策に取り組んでいただきたいと思います。
 適応策の推進はまさに喫緊の課題であり、しっかりとPDCAサイクルを回しながら計画を進めていただきたいと要望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後八時十二分休憩

   午後八時二十九分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○関野委員 それでは、環境局に関する事務事業質疑を行います。ここまで来ると大分、質疑がかぶっている形ではありますが、端的に質疑をさせていただきます。
 まずは、都は、二〇三〇年までに販売する車の五〇%をZEV化、残りの五〇%をハイブリッドというふうにしておりますが、世界的な自動車などの脱炭素化が加速する状況の中、令和二年の第四回定例会では、私たちの代表質問において、新たに都は、都内で新車販売される乗用車を二〇三〇年までに、二輪車を二〇三五年までに、一〇〇%非ガソリン化すると答弁をしました。
 令和三年第一回定例会の代表質問では、二〇二一年度を非ガソリン化元年と位置づけ、ZEVの普及を一気呵成に拡大すると答弁もありました。正直なところ、二〇三〇年までに五〇%をZEV化、五〇%をハイブリッドというのは、世界的な潮流からガソリンを使用する車両という部分で疑問を持っておりました。
 令和二年の第四回や令和三年の第一回において、非ガソリン化を目指すという言葉には安堵しましたが、しかし、非ガソリン化のくくりの中にはハイブリッドが入っていると。今回もいろんな方々から質問が出ているところですが、そういう意味合いもあることから、先ほど話したように世界的な流れとしても、また、環境の後進国となってしまった日本として、京都議定書策定時の気持ちや勢い、そして世界の中でも、今後、環境立国を目指す気持ちを持ち、ガソリンの使用をなくす形での本当の脱炭素化を目指すべきだというふうにも考えております。
 都としての考え方、そして、今お話しさせていただいた世界の流れについて、実際、都はどのような認識を持っているのか、この点についてお伺いをいたします。

○三浦事業調整担当部長 昨年秋以降、世界の各国や大都市で自動車のゼロエミッション化に向けた二〇三〇年代の新たな目標が相次いで発表されました。
 この流れを踏まえ、都は、昨年の第四回定例会において、都内で新車販売される乗用車を、二〇三〇年までに一〇〇%非ガソリン化する目標を新たに打ち出しております。
 この目標実現に向けて都は、今年度、ZEVの車両や充電インフラの普及策を大幅に強化するとともに、さらなる普及拡大に資する新たな補助制度を検討することとしております。
 都は今後、普及の状況も踏まえ、ZEV化の推進に向けた様々な施策を強力に進めてまいります。

○関野委員 すぐさま方向性を変えるということはなかなか難しいところなのかなというふうにも考えておりますが、そこの答弁は別として、続いて、都として、車両導入促進や充電設備などのインフラ整備など、今日も多くの委員が質問を行っておりますが、と同時に、環境省と連携した補助の活用など、こういったものの現状を分析して、今以上に必要な対策が必要だというふうに考えますが、どういうふうに考えているのか、これについてお伺いをいたします。

○三浦事業調整担当部長 都は、ZEVの車両購入に係る負担の軽減に向けまして、本年度、環境省の補助事業と連携し、再生可能エネルギー電力一〇〇%利用などを条件とした国補助の受給者に対し、補助額を従来の二倍に引き上げております。
 一方、充電インフラの普及に向けましては、これまでの整備費等に対する補助に加え、本年度、急速充電器の導入に伴い受変電設備の増強が必要となる場合の補助や、電力契約の変更に伴い基本料金が増加する場合の補助を新たに開始しております。
 ZEVのさらなる普及に向けましては、コストやインフラに加え、ユーザーの選択の幅を広げるためのラインナップの拡充が必要と認識しており、都は今後、メーカーに開発インセンティブを与えるような新たな補助制度の構築に向け、検討を行ってまいります。

○関野委員 ありがとうございます。先ほど来のZEVの話、そして充電設備等の話をさせていただきました。
 ただ、今まで都が率先して行ってきた水素、こういった技術や、今後の容量を増やさなければいけない充電技術などについて今度はお伺いをいたしますが、充電技術や水素の乗用車への導入など、技術は道半ばであり、たしか夏ぐらいだったか、トヨタの社長がテレビで、国など行政が率先して対策を行い、自動車産業と国の連携やバックアップ、こういった行政のバックアップがなければ、日本の自動車業界は衰退するというような発言もありました。
 同時に、やはりこのままだとなかなか雇用も難しいというようなことで、海外に出なきゃいけないみたいなことの発言もあって、私は正直ちょっとびっくりした部分があるんですが、やはりこういった日本の産業でもある自動車産業について、都が行うべきこと、そして国に提言、意見として行っていかなきゃいけないこと、こういった部分に対してどのように考えているか、まずはお伺いします。

○三浦事業調整担当部長 自動車メーカーは、技術開発に日々取り組んでおり、その成果は、自動車のゼロエミッション化に向けたスピードを加速させるとともに、新たなマーケットの開拓など、経済の好循環にもつながっていくと認識しております。
 このため都は、今後検討を行います、メーカーに開発インセンティブを与えるような新たな補助制度の構築など、自動車のゼロエミッション化に向けた取組の具体化を自動車メーカーと連携しながら進めてまいります。
 さらに、国に対しては、ZEVに関する技術開発や価格低減を進めるため、国からメーカーに手厚い支援が行われるよう提案要求を実施しております。

○関野委員 ありがとうございます。今の技術で、電気自動車等では、やはりトラックなど大型車のようなパワー、こういったものには足りないという意味で技術面の課題があるというふうにも私も認識しています。そういう意味では、ガソリンに代わるパワーを持つのは水素ではないかと。どう水素を活用するかということが大切なのかなというふうに思います。
 しかし、都は現在、今までいろいろといわれながらも水素の利用を進めてきました。その進めたことをしっかりと実にするためには、やはりガソリンなどを使用する体制ではなく、CO2排出抑制をするための体制づくり、こういったものも必要になってくると思っております。
 先ほども答弁にありましたが、ぜひメーカーとの連携、そして国に対する提案要求など、都として出すのも一つですが、全国知事会などと一緒に声を上げていただくよう強く求めて、この部分の質問は終わります。
 次に、太陽光パネルの廃棄についてお伺いをいたします。
 ゼロエミッション東京の実現に向け、都はこれまで、事業所や住宅向けに再エネ設備の導入の支援をしてきております。太陽光パネルの設置も進んでおります。設置されたパネルは、おおむね二十年から三十年で寿命を迎えるといわれており、二〇三〇年代半ばから廃棄される設備が急激に増加していくと予想がされます。
 現段階では、まだパネルの多くは廃棄に至っていないようではありますが、中には故障や風水害等の被害により廃棄されるものもあるようです。
 そこでまず、こうした太陽光パネルは現在どのような形で廃棄されているのか、この点についてお伺いをいたします。

○宗野資源循環計画担当部長 太陽光パネルは、長期間の使用に耐えられるよう製造されておりまして、理事がご指摘のとおり、寿命は二十年から三十年に及ぶとされております。
 国の調査によると、現時点で廃棄されているパネルは災害や故障によるものが多く占めておりまして、大きな自然災害で災害廃棄物となったものは自治体が、故障によるものはメーカー等がそれぞれ引き取り、中間処理施設で破砕した後、適切に埋立処分されているということでございます。
 一方、近年、首都圏近郊では民間事業者によるパネルのリサイクル施設が稼働し始めておりまして、こうした事業者の動向にも注視しながら、貴重な資源であるパネルについて、リサイクルに切り替えていくことが重要でございます。

○関野委員 民間のリサイクルも始まっているということですが、現時点ではパネルの多くが埋立処分されているということが分かりました。何の利用もされないまま埋め立てられる太陽光パネルは再利用可能な素材も多く含まれていることから、太陽光パネルの大量廃棄が始まる前にリユース、リサイクルのルートを確立し、資源の有効活用を図ることが重要です。
 そこで、都は、必ずやってくる大量廃棄の時期を見据え、関係する団体や企業と連携しながら太陽光パネルのリユース、リサイクルルートの確立に取り組んでいくべきと考えますが、この見解についてお伺いをいたします。

○宗野資源循環計画担当部長 太陽光パネルは、ガラスやアルミをはじめ、銀や銅といった有用金属で構成された貴重な資源でございまして、確実にリユース、リサイクルルートに乗せていくことが重要でございます。
 そのため都は、二〇一八年に太陽光パネルの専門家で構成する検討会を設置いたしまして、取り外しからリサイクルに至る一連の工程について、効率的にリユース、リサイクルを図るルートの確立に向け検討を進めております。具体的には、各工程の実態をよく知る関係団体や企業へのヒアリングにより、処理の実態把握とともに、課題の整理を進めております。
 まず、優先して取り組むべきリユースにつきましては、その引取り状況を関係事業者に伺い、使用済みパネルの活用先やリユースの可否を判断するスムーズな性能判断の必要性など、取り組むべき課題を明確にしております。
 また、リサイクルにつきましては、都内に住宅用パネルが多いことから、住宅解体を行う業界団体にはパネルの撤去、処分の具体的な方法ですとか費用を伺っておりまして、大手のハウスメーカーには、施工現場での実際の分別方法や回収拠点での一時保管等の工夫を伺っておりまして、こうした実例を踏まえ、効率的な収集運搬のために必要となる仮置場について検討をしております。
 今後も実態の把握から浮き彫りになった課題等への対応について議論を深め、太陽光パネルのリサイクルルート構築に向けた取組を進めてまいります。

○関野委員 ありがとうございます。なぜこれをいうかといいますと、ちょうど今回の資料の中にあったプラスチックの輸出量みたいなものを書いてありますが、ほとんどがある意味、中国に流れていたというような状況もあって、かつアジア圏にも流れて、雨ざらしな状態で置かれているというものをちょっと私はメディアの方で確認をさせていただきました。
 そういう意味では、日本国内にないから大丈夫だということではなく、やはり世界的に物事を考えていかなきゃいけないのかなということで、今回こういった質問をさせていただいております。
 再エネ普及拡大とともに設置が進んだ太陽光パネルが適正に廃棄処分されること、こういったことはもとより、適切なリユース、リサイクルが進むよう事業者と連携しながら、今からでもしっかり対策を進めていくよう要望しておきます。
 ところで、第三回都議会定例会代表質問において、我が会派から住宅等の一定の新築建築物の太陽光発電設備導入義務化の検討について見解を伺ったところ、知事から環境審議会における専門家による審議や関係団体等への意見聴取により、義務の対象や内容、支援の在り方について議論をし、深めていくというような答弁がありました。
 私は、太陽光発電設備の設置義務化による再エネ利用の最大と併せ、省エネや断熱といった、先ほども各委員からもありましたが、そういった建物の性能の向上も重要であるとも考えております。
 今後、環境審議会などにおいて検討を進めていくということですので、ぜひ省エネや断熱性の向上の高いものを含めた制度等の強化についてもしっかり議論を進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、プラや容器包装の削減についてです。
 先月あたりですか、ローソンで、おでんの販売に対してコンビニ容器を使った購入ではなく、お客様が鍋やタッパーなどを持参し、おでんの器として購入するということに対する割引サービスというものが行われました。ある意味、ご存じの方もいると思いますが、これは昔に戻った状況なのかなというふうにも考えます。
 昔の暮らしでいえば、例えば近所に豆腐を買いに行くときにボウルや鍋を持参し、包装などしないで鍋やボウルで購入するなど、こういったことに似ています。ある意味、こうした古きよき時代を見習い、部分を生かしつつ、使用済みプラスチックを元の素材と同時の品質に戻す水平リサイクルなど、新しい技術をしっかりと利用することが地球環境を守るためには不可欠であるというふうにも考えております。
 そこで、都は、現状、リユースやリサイクルなどプラスチックの削減に先導的に取り組む企業などの動きをどのように把握しているのか、また、都として、このような機運をうまく取り入れ、企業の動きを後押しすることで大きな流れをつくっていくべきと考えますが、これに対する見解をお伺いいたします。

○上林山資源循環推進部長 二〇三〇年カーボンハーフを実現するためには、焼却時にCO2を排出するプラスチックのリデュース、リユース、リサイクルの3Rを推進していくことが重要でございます。
 都は、小売や飲食などの業界団体や個々の事業者と日頃から情報交換を図り、リユース容器の活用等に取り組む事業者の動向把握に努めております。
 また、令和元年度からは、リユース、リサイクルなど、使い捨てプラスチックの削減に向けた新たなビジネスモデルの構築に先導的に取り組む事業者と連携した取組を進めております。
 今年度は、東大和市等の自治体と日用品メーカー等が連携し、公共施設に設置した専用ボックスでシャンプーボトル等を回収後に、再度ボトルを成形する水平リサイクル技術の検証を行う事業など五件につきまして、実施等に係る経費の二分の一を支援しております。
 こうした取組により、先進的な企業と連携したイノベーションの創出を図ることで、リユース容器の活用など、新たなビジネススタイルの主流化や水平リサイクル技術の実装を推進し、CO2実質ゼロの持続可能なプラスチック利用を目指してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。来年にはプラスチック資源循環促進法が施行され、プラスチック対策をめぐる機運が高まることが期待をされております。都としても、こうした機会をしっかり捉え、取組を加速し、持続可能なプラスチック利用を実現することを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 今は企業に対することをちょっと述べさせていただきましたが、今度は都民一人一人の意識改革についてです。
 意識改革についてですが、この意識改革を行うにはCO2排出量についての見える化というものが必要になってくるのではないかと考えます。実際にどの程度のCO2の排出量で製品がつくられているかなど、こういったものを見える化することでCO2削減の意識改革につながると考えております。
 そこで、都は現在、工場や会社に対して、CO2排出量の報告、公表を求める制度、こういったものを実施しておりますが、これらの制度によってどの程度削減できたのか、この点についてお伺いをいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、二〇一〇年度から年間原油換算エネルギー使用量が一千五百キロリットル未満の中小規模事業所が簡単にCO2排出量を把握し、省エネ対策等に取り組むことができる地球温暖化対策報告書制度を実施しております。
 この制度では、特に都内に中小規模事業所を複数設置し、年間原油換算エネルギー使用量の合計が三千キロリットル以上となる事業者に対しては、CO2排出量や対策の実施状況等について報告と公表を義務づけております。
 これらの事業者が、報告書制度開始から十一年連続で提出している事業所の二〇一九年度のCO2排出量の合計は、二〇〇九年度の実績に比べて一五・六%削減されております。
 都のホームページでは、事業者や事業所ごとのCO2排出量や、その対策の実施状況等のほか、取組についての評価、公表も行ってございます。

○関野委員 ありがとうございます。今、あえて法人の状況を確認させていただきました。都の制度対象事業所で着実にCO2排出量の削減が進んでいるということが分かりました。やはりそういったこと、CO2の排出量や対策の実施状況を見える化することで事業所の意識が高まり、対策を促す効果があったのではないかというふうにも考えております。
 今回出てきた環境局の資料の中にも、二酸化炭素排出量だったり、またエネルギー量だったりという資料がありますが、産業だったり運輸というところは、そういった企業は案外減っているということですが、やはり家庭だったりというところが増えている状況にもあります。
 正直、このコロナ禍で、出前というような形で多くのいろいろな廃プラだったりそういったものも増えてきて、どんどんとCO2、そういったものが増えている状況にもある中ではありますが、やはりそれを、先ほどは企業の見える化をしたことで削減されたというところに考えると、一般の購入者、実際の脱炭素化の社会の実現に向けた動きを加速させるために、製品ごとのライフサイクルで発生するCO2の量、こういったものが見える化されると消費者が環境負荷の少ない製品を選択し、そして環境をつくることも有効ではないかというような形になると思います。
 消費者が購入する商品に製造や運搬などのCO2排出量を表記すれば、消費者もそのことを考えながら商品購入する流れとなり、そして企業もその努力が進むと考えられます。もちろん海外からの輸入品もあったりというようなことがありますから、様々な素材や製品、食料などの生産から廃棄に至るまで排出されるCO2を個々に算定することは非常に困難ではあると思いますけれども、長期的な検討課題として、これについてはしっかりとやっていただきたいということを指摘すると同時に要望をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○田村委員 私からは、まず、東京都環境基本計画について伺います。
 都は、二〇一六年に環境基本計画を策定しました。その後、気候変動の危機的状況は深刻さを増し、人類の生存基盤を脅かす世界全体の大きな課題として取組の重大性が高まっています。
 その間、都は、二〇一九年に、二〇五〇年ゼロエミッションの実現を掲げ、ゼロエミッション東京戦略を策定しています。さらに、本年三月には戦略をアップデートし、二〇三〇年に温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で五〇%削減するとする目標と施策強化の方向性を示しています。
 都の環境施策のマスタープランとなるのは環境基本計画でありますが、現在の計画では、気候変動についてはスマートエネルギー都市の実現という項目の一つに位置づけられております。しかしながら、気候変動への対策としては、資源循環分野での取組も重要であり、さらには自然環境の保全や大気環境などにも影響を及ぼすものであります。
 都は、環境基本計画の改定に着手しておりますが、こうした状況も踏まえ、新たな環境基本計画においては、各分野の取組と気候変動への取組を連携する考え方で施策を構築していくべきであると考えます。見解を伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都環境基本計画は、気候変動分野のほか、資源循環、自然環境、大気環境など、環境施策全般を総合的かつ計画的に推進するための計画でございます。
 現在、この改定に向けまして、環境審議会で審議を重ねているところでございますが、多くの委員から生物多様性や大気環境等、気候変動対策と他分野との連携、連関が重要とのご意見をいただいておりまして、八月には生物多様性と気候変動の連関について専門家からのヒアリングを行ってございます。
 二〇一九年に策定いたしましたゼロエミッション東京戦略におきましても、プラスチックや食品ロス対策などの資源循環分野を気候変動対策として本格的に位置づけ、社会全体を脱炭素化に転換し、二〇五〇年のCO2排出実質ゼロに貢献することを目指してございます。
 今後もこうした観点を踏まえ、ゼロエミッション東京を実現し、自然との共生や質の高い大気環境など、豊かさにあふれる持続可能な都市をつくり上げる新たな環境基本計画の策定に向けた検討を進めてまいります。

○田村委員 専門家の委員も同様の認識であるということで、こうした視点の重要性を改めて感じています。
 現在、まさに検討中とのことですが、今や世界全体で最大の脅威ともいえる気候危機を回避するために、あらゆる分野が連携した取組が進むよう、大胆な環境施策を展開していっていただきたいと思います。
 次に、今、関野理事からも質問がありました使用済み太陽光パネルのリサイクル推進について伺います。
 私からは、今後の大量排出に備え、太陽光パネルのより高度な資源循環の仕組みを構築するために、大学や企業が持つ先進的な技術や知見をどのように活用していくのか伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 太陽光パネルの高度な資源循環の仕組みを構築していくためには、現場の実態に精通したリサイクル事業者や専門の知見を有する大学等と連携しながら、先進技術等を活用し、パネルを構成する貴重な資源を無駄にせず、最大限有効活用を図っていくことが重要でございます。
 そのため都は、二〇一九年度から本年度までの三か年にわたり、大学研究者からの事業提案制度を活用いたしまして、大学、リサイクル事業者等と連携しながら、太陽光パネルの高度循環利用に向けた様々な実証事業を実施しております。
 主な取組といたしましては、まず優先して取り組むべきリユースにつきまして、使用済みのパネルのリユースの可否、発電性能をスムーズに診断する方法等の実証を行っております。
 また、リサイクルについては、都内には住宅用のパネルが多いことを踏まえまして、仮置場を用いた効率的な収集運搬をシミュレーションするほか、パネルの約七割を占めるガラスの利用用途拡大に向けたグラスウールの開発や、セラミック素材の活用の検討など、幅広い実証事業を進めております。
 今後は、こうした実証事業の成果を効果検証するとともに、広く情報共有を図り、業界団体や事業者等とも連携しながら、太陽光パネルの高度な資源循環の仕組みを構築してまいります。

○田村委員 大学や企業がそれぞれの知見を生かし、様々な課題の解決に向けて技術開発などに取り組んでいることがよく分かりました。ぜひこうした先進的な取組が社会実装していくよう、今後も都は後押しをしていくようお願いしたいと思います。
 次に、太陽光発電設備設置の長期的な取組について伺います。
 住宅やビルに設置した太陽光発電設備は、二十年から二十五年程度発電効率が保証されていますが、その後は改めて新しい設備を設置していかなければ、再生可能エネルギーの利用拡大、さらにはCO2排出実質ゼロに向けた取組は滞ってしまいます。もちろん、二十年後ともなれば、新たな技術革新もあり、今と同じような設備とは異なっていることも考えられます。
 そこで、都は、太陽光発電設備の継続的な設置についてどのように考えているのか、見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 ただいまの理事お話しの太陽光発電設備の継続的な設置についてでございますが、今後、保証年数を経過し、発電効率等の低下や破損により更新が必要となる太陽光発電設備が増加する一方、技術革新により発電効率等が向上し、また小型軽量化した製品が登場することが推察されます。
 こうした観点等を踏まえまして、太陽光発電設備を設置する住宅やビルの建築主に対して、改めて電気代削減や災害時の活用など太陽光発電のメリットとともに、最新の技術情報などを適切に伝えるなど、継続的な利用が図られるよう普及啓発の取組を進めてまいります。
 また、住宅供給事業者や太陽光発電メーカー等に対しまして、屋根等、住宅のメンテナンスの時期に合わせ適切な設備更新の提案を行うよう、都といたしましても積極的に働きかけてまいります。これらの取組により、太陽光発電設備の継続的な設置につなげてまいります。

○田村委員 二〇五〇年CO2排出実質ゼロの実現という大きな目標に向かっていくためには継続性が必要です。まだ少し先の話かもしれませんが、都は、住宅やビルの太陽光発電設備が継続的に設置されるよう、普及啓発や設備更新の負担を低減する具体的な取組を今から進めていくことを強く要望いたします。
 次に、保全地域の新規指定について伺います。
 都は、未来の東京戦略において、広く多摩地域全域において、生物多様性保全の観点から重要な自然地を調査検討の上、選定し、保全地域として新たに指定拡大、公有化するとの方針を示しています。
 保全地域とは、自然保護条例に基づいて、都内に残された貴重な自然地の保護と回復を図るために指定している地域です。指定した場合には、土地の公有化により強力に自然地の保全を図ることができます。
 都内の自然地は、都市開発により相当程度失われてきていますが、いまだ多様な動植物が存在する自然地が残されています。こうした自然地を都が目標を設定して保全地域として残そうとすることは非常に意義のあることだと考えます。
 そこで、今後、この目標の達成に向けてどのような方向性で進めていくのか、都の考えを伺います。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、都内に残された貴重な自然地を五十か所、約七百六十ヘクタール、保全地域として指定してまいりました。
 未来の東京戦略において、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するため、生物多様性保全の観点から重要な自然地を、二〇五〇年度までに百ヘクタール程度保全地域として新たに指定し、公有化する目標を掲げております。この目標を達成するため、昨年度、丘陵地の谷戸など、都内に残された重要な緑地における生物多様性の情報等の調査を実施いたしました。
 その結果、多摩地域の丘陵地等には、開発されておらず、法律等による規制がかかっていない自然地で、様々な種類の希少種が生息、生育したり、樹林地、水辺地、草地等、多様な自然環境が存在していたりする土地などがまだ数多く残されていることが分かりました。
 今後、この調査の結果に基づき、動植物の専門家等の意見を聞いた上で、保全地域の指定候補地を選定し、自然環境調査や地権者との調整等を進め、保全地域の指定を加速させてまいります。

○田村委員 ただいまのご答弁では、今後、保全地域を拡大していくとの話ですが、せっかく指定を拡大したとしても、人の手を加えて自然地を適切に管理していかなければ、植生の変化により生物の多様性が喪失し、保全地域の価値や魅力が失われてしまいます。
 保全地域を量的に拡大するだけではなく、その質の面においても向上させていかなければなりません。未来の東京戦略の中に、保全地域の拡大や管理活用に係る総合的な保全活用プランを策定し取組を推進するという施策があり、現在検討中であると聞いています。
 この保全地域に係る総合的なプランについて、現在どのような検討状況にあるのか伺います。

○和田自然環境部長 里山を構成する樹林地や田畑などは、人が手を加えることにより、多様な動植物が生息、生育できる良好な自然環境が保たれてきました。保全地域として指定した自然地においても、生物多様性保全に向けた適切な管理を行っていくことが重要であります。
 このため都は、未来の東京戦略において、保全地域の管理活用等に係る総合的な計画である保全活用プランを策定することを発表しております。
 現在、動植物の専門家や保全地域でボランティア活動を行っている有識者の意見を聞きながら、多様な動植物の生息、生育環境を創出するための管理の仕組みなどについて検討を行っております。
 今後、自然環境保全審議会においてご審議いただき、保全活用プランを策定してまいります。

○田村委員 先ほどご答弁いただいたように、保全地域を今後百ヘクタール拡大していくとのことですが、土中環境の整備などにより水と緑を一層豊かにし、生物多様性の保全に努めていただくことを要望いたします。
 次に、自然保護条例に基づく開発許可制度の見直しについて伺います。
 自然保護条例には、自然の保護と回復のために、事業者の開発行為に対して一定の制限を課す開発許可制度もあります。この開発許可制度は、自然地における盛土についても規制しています。
 本年七月三日に静岡県熱海市で盛土の崩落事故が発生し、二十六名の方が亡くなり、いまだ行方不明の方が一名いらっしゃるという痛ましい事故がありました。この事故を受けて、国は、各地方公共団体に対して盛土の安全点検の実施を求め、都は、関係各局が連携して、現在調査を行っていると聞いています。調査の結果、災害をもたらすおそれがある盛土があった場合には、関係法令に基づき適切に対応策を講じなければなりません。
 都は、今から約四年前の平成二十九年十月に八王子市内で起きた盛土の崩落事故を受け、再発防止を図るべく、自然保護条例の開発許可制度の見直しを行っています。この開発許可制度は、自然の保護と回復を目的としているとはいえ、開発行為が都民の安全性を脅かすおそれがあるならば、それを未然に防止するのは当然です。
 まず、この開発許可制度の見直しの経緯とその概要について伺います。

○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う盛土等による土地の形質変更に対し、あらかじめ開発許可等を求める制度を運用しております。
 平成二十九年十月に八王子市内の自然保護条例の開発許可の行為地内で発生した盛土の崩落事故を受け、都は、自然環境保全審議会に付議し、その答申を踏まえて、自然の保護と回復のみならず安全にも配慮するため、施行規則や審査基準を改正し、本年十月から施行しております。
 改正した施行規則等において、都市計画法の開発許可の基準に倣って盛土の安定性に係る基準を具体的かつ明確に定めることで、自然地で新たに盛土等を行う案件の許可申請について、より厳格に審査を行うことといたしました。
 また、許可後の監視指導の強化を図るため、新たに監視指導指針を策定し、のり高が九メートルを超える盛土については、専従の現場監視員が計画的に現場を監視するなど、違反事案の早期把握を行い、違反があった場合には適時適切に指導を行うことで、違反事案の早期是正に努めてまいります。

○田村委員 ご答弁により、十月以降に新たに開発許可を申請する案件については、厳しい盛土の基準により対応していくことが分かりました。しかし、今年の七月には熱海市での事故以外にも、既に自然保護条例の開発許可を受けて事業を行っている現場で、大雨の影響で盛土の一部が崩落した事故があり、住民の方も心配されています。
 こうした事故を踏まえると、盛土については、より一層の安全対策が必要であるといえます。盛土の安全性を図るには、盛土を締め固めたり、盛土を急勾配としないことや、盛土内の排水処理を適切に行うことが重要です。
 開発許可制度では、工事が完了した際完了検査が行われますが、全て完了してから検査しても、盛土内の状況までは確認できないことがあるため、工事の途中でも確認が必要だと思います。
 こうした点などを踏まえ、盛土の安全に向けてさらに取組を強化すべきと考えますが、都の考えを伺います。

○和田自然環境部長 盛土における現場の事例を踏まえ、都は、開発許可制度において、より正確かつ迅速に違反状況を把握した上で、事業者に対する改善指導を強化することといたしました。
 理事ご指摘のとおり、工事が完了した後では確認できない事項があるため、盛土等を行う場合には、工事着手時に主要な工種の施工予定時期を明記した工事工程表を提出し、その工種ごとの施工状況が確認できる写真等を報告させることで、事業計画と異なる工事が行われていないか確認いたします。
 また、盛土が事業計画と異なるか否かを目視で確認することは困難であることが多いため、申請時や立入検査時に盛土の形状をドローンで測量することで、事業計画との相違を正確かつ迅速に把握いたします。
 これらの取組なども行うことで、自然地における盛土の安全対策を強化してまいります。

○田村委員 盛土による災害防止のための関係府省連絡会議の資料によると、国はこうした危険な盛土を防止するために、土地利用規制など、安全性を確保するために必要な対応策を検討するとしています。
 都においては、こうした国の検討状況を踏まえつつ、盛土の安全に向けて、より一層有効な対応策を検討することを要望し、私の質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時十一分散会

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