環境・建設委員会速記録第十一号

令和三年十月八日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長曽根はじめ君
副委員長須山たかし君
副委員長里吉 ゆみ君
理事田村 利光君
理事関野たかなり君
理事加藤 雅之君
北口つよし君
漢人あきこ君
鈴木  純君
星  大輔君
原  純子君
たきぐち学君
こいそ 明君
伊藤 ゆう君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長宮澤 浩司君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務上田 貴之君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
次世代エネルギー推進担当部長榎園  弘君
環境改善部長筧   直君
自然環境部長和田 慎一君
資源循環推進部長上林山 隆君
資源循環計画担当部長宗野 喜志君
建設局局長中島 高志君
次長須藤  栄君
道路監奥山 宏二君
総務部長小林 忠雄君
道路管理部長前田  豊君
河川部長齊藤 俊之君
道路保全担当部長無電柱化推進担当部長兼務村上 清徳君

本日の会議に付した事件
意見書について
建設局関係
契約議案の調査
・第百八十九号議案 中川護岸耐震補強工事(その五十)請負契約
・第百九十号議案 新中川護岸耐震補強工事(その十二)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百七十号議案 都道における移動等円滑化の基準に関する条例の一部を改正する条例
環境局関係
報告事項(質疑)
・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例等(低公害・低燃費車の導入義務)の改正の方向性について
・東京都資源循環・廃棄物処理計画の策定について

○曽根委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を
提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○曽根委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和三年十月六日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
環境・建設委員長 曽根はじめ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百八十九号議案 中川護岸耐震補強工事(その五十)請負契約
 第百九十号議案 新中川護岸耐震補強工事(その十二)請負契約
2 提出期限 令和三年十月八日(金)

○曽根委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の付託議案の審査及び契約議案の調査並びに環境局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百八十九号議案及び第百九十号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○北口委員 私、葛飾区選出の北口つよしと申します。今回初めての質疑となります。何とぞよろしくお願いいたします。
 東部低地帯の水害対策については、高い関心を持って注視をしております。地域住民の皆様も同様に、水害に対して大変心配をされております。既に議論が尽くされているとは思いますが、地域を代表しまして、改めて質問をさせていただきます。
 都では、平成二十三年の東日本大震災後に計画を立て、耐震対策が進められたと聞いております。
 そこでまず、今回の東部低地帯の耐震対策について、想定している地震の規模と計画の概要について都の見解をお伺いいたします。

○齊藤河川部長 平成二十四年四月に東京都防災会議が想定される最大級の地震として示したマグニチュード八・二の海溝型地震等が発生した場合におきましても、施設の機能を保持し、津波等による浸水を防止することを目的といたしまして、平成二十四年度に東部低地帯の河川施設整備計画を策定いたしました。
 この計画に基づきまして、令和三年度までの十か年を事業期間といたしまして、堤防約八十六キロメートルや水門等二十二施設の耐震対策を実施しております。

○北口委員 現在進められている耐震対策で想定している地震の規模と計画の概要について確認ができました。
 私の地元葛飾区を流れる中川の耐震対策も、この計画に基づき進められていると聞いております。
 そこで、中川における堤防の耐震補強工事の進捗状況についてお伺いをいたします。

○齊藤河川部長 中川につきましては、計画延長七・六キロメートルのうち約九割を事業化しております。
 令和三年度におきましては、このうち本契約案件を含めて約三百メートルで新たに工事を実施いたします。残る区間につきましても着実に事業化を図り、耐震補強の早期完了を目指しまして取り組んでまいります。

○北口委員 中川の護岸工事が九割以上進捗している状況について確認をさせていただきました。ありがとうございます。
 今回の案件は、私の地元葛飾区内の工事ということで、本契約案件の現場を確認に行ってまいりました。
 そこで、本契約案件は環状七号線青砥橋の直下を含めた工事であることを確認しましたが、具体的にどのような工事を行うのか、お伺いをいたします。

○齊藤河川部長 本契約案件は、中川右岸の青砥橋直下を含む約八十メートルにおきまして、地震時の液状化に伴う堤防の沈下等を防ぐため、既設堤防の河川側に長さ三十五メートル以上の鋼管矢板を設置いたしますとともに、河床から二十五メートル程度の深さまで地盤改良を実施するものでございます。
 青砥橋直下の区間におきましては、長さ五メートル程度の鋼管矢板を現場で複数回溶接して設置するなど、高さの制限がある中で施工可能な工法にて実施いたします。
 青砥橋以外の区間におきましては、鋼管矢板を高さ二十メートル程度のクレーンで設置いたします。
 地盤改良につきましては、高さ四十メートルの柱を有した重機を用いて実施いたします。

○北口委員 本件、ただいまの答弁で、高さを有する重機や資材を用いて工事を実施することが分かりました。
 約二年前には、対岸の中川左岸工事において、本契約案件で用いられるのと同様の重機が環七の青砥橋に転倒するという重大な事故が発生いたしました。このような事故は二度と起こしてはいけません。
 そこで、過年度に発生した青砥橋重機転倒事故の概要と、事故を踏まえた中川護岸工事の安全対策についてお伺いをいたします。

○齊藤河川部長 令和元年十月に中川において発生した事故は、地盤改良機の柱を鉛直に維持するための支柱を操作するレバーが折れたことに起因して、柱がバランスを崩し、青砥橋に転倒したことによりまして、車両通行止めが発生したものでございます。
 この事故を受けまして、現在、中川で工事を実施している受注者に対し、再発防止対策として、操作レバーなどの機械点検の徹底に加えまして、監視体制の強化を指示いたしますとともに、安全パトロール等におきまして、その実施状況を確認しております。
 引き続き、再発防止に向け、本契約案件に加え、今後発注する工事におきましても同様の取組を徹底いたします。

○北口委員 青砥橋事故を踏まえて再発防止対策をしっかりと実施していると伺って安心をいたしました。
 また、青砥橋から中川下流を眺めますと、複数の耐震補強工事を実施しているのが分かりますことから、地元の人も大変頼もしく思っております。
 一方で、七曲がりと呼ばれるほど河川が蛇行している状況で、頻繁に船舶も航行していることから、施工には細心の注意が必要だと思いました。
 蛇行した河川における工事の実施に当たっての安全対策をどのように行っているのか、お伺いをいたします。

○齊藤河川部長 本契約案件につきましては、河川が蛇行している七曲がりの上流部に位置し、土砂が堆積しやすく、見通しの悪い航路を多くの船舶が航行する箇所における工事でございます。
 このため、あらかじめしゅんせつにより適切な航路を確保いたしますとともに、船舶事業者などと運航情報を共有することで、航行の安全を確保してまいります。
 今後とも、工事の事故防止や航行の安全に十分配慮いたしまして、耐震補強工事を進めてまいります。

○北口委員 頻繁に船舶が航行する蛇行した河川においての工事を実施するための安全対策について、よく理解をいたしました。
 昨晩も大きな地震がございました。引き続き、耐震補強工事や航行船舶等の安全対策に十分に取り組み、中川耐震補強工事の無事故と早期完成をお願いして質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 江戸川区選出の原純子です。よろしくお願いいたします。
 中川、新中川護岸耐震補強工事の請負契約についてお尋ねいたします。
 東部低地帯の河川施設整備計画は、二〇一二年に始まり、予定では二〇二二年までに完了の予定とされていました。予定どおり進んできたのでしょうか。
 地震、津波に伴う水害に耐え得るという耐震補強ということですが、どういう規模の地震、津波に対応できるのでしょうか。

○齊藤河川部長 令和三年度末には、堤防計画延長の約八割と水門等十六施設の整備を完了する予定でございます。
 また、本計画による耐震対策は、平成二十四年四月に東京都防災会議が想定される最大級の地震として示したマグニチュード八・二の海溝型地震等が発生した場合におきましても、施設の機能を保持し、津波等による浸水を防止することを目的としております。

○原委員 ありがとうございます。護岸の耐震化は住民の強い要望でもあります。大地震はいつ来るか分からない、早く確実にやってほしいという声に応えるためにも、安全に工事が行われることが大前提です。
 東部低地帯の河川において、工事中の事故が昨年と一昨年、二年続けて発生しました。本契約案件と同種の工事を実施していた中川の事故の原因究明と、再発防止策及び地域住民へどのように説明したかについて伺います。

○齊藤河川部長 令和元年十月に中川において発生した事故は、地盤改良機の柱を鉛直に維持するための支柱を操作するレバーが折れたことに起因して、柱がバランスを崩したことにより発生したものでございます。
 この事故を受けまして、現在、中川で工事を実施している受注者に対し、再発防止対策として、操作レバーなどの機械点検の徹底に加えまして、監視体制の強化を指示いたしますとともに、安全パトロール等におきまして、その実施状況を確認しております。
 地域住民への説明につきましては、再発防止策を記載した文書を町会を通じまして配布することにより実施いたしました。

○原委員 ご説明いただきましたのは、一昨年の中川の事故のことでした。地盤改良機の支柱が青砥橋の道路に倒れ込んだということです。その衝撃の影響で、近くにいたバイクを運転中の方がけがをされたとの報告です。一つ間違えば重大事故になっていました。
 そして、もう一件起きた事故は、昨年の妙見島、旧江戸川での防潮堤耐震補強工事中のことでした。クレーン車が転倒し、クレーン車の操作員が亡くなるという痛ましい事故が起きています。原因がいまだ不明のままです。
 私、護岸の耐震工事は大事な工事であるとともに、本当に難工事だという認識を今回新たにしました。今回の請負契約案件とは異なりますので質問にはいたしませんが、事故を起こさないためには、徹底した原因究明と再発防止策を行うことと、安全策について請負業者と現場職員全体でしっかり共有することが重要だと思います。
 人身事故などはあってはならないことですが、たとえ負傷者がいなかったとしても、事故が起きれば数か月以上工事が止まることからも、徹底した安全対策をお願いしたいといっておきます。
 私の質問は以上です。

○須山委員 私から、一問ご質問させていただきたいと思います。
 事業概要、また安全対策等は、今、各委員の質問でよく分かりました。
 一点だけ、私から、本契約案件工事を実施する際、平日は工事の方、またいろいろ安全対策をされていると思うんですけれども、休日等に、例えばお子さんが工事現場内に立ち入らないような、そういった安全管理をどのようになさっているのかをお聞かせいただきたいと思います。

○齊藤河川部長 中川の工事現場と河川沿いの通路との間にはコンクリート堤防及び転落防止柵がございまして、その高さは合わせて二メートルを超えるものでございます。
 また、工事現場の出入口には施錠を行うことで、工事関係者以外が立ち入れないよう、閉鎖管理を行っております。

○須山委員 ご答弁ありがとうございました。今のご答弁で、休日にもしっかり対策をされているということがよく分かりました。
 そこで、中川では対岸などで既に水辺に近づけるようなテラス整備がされております。また、本工事が完成した後もテラス整備の実施を予定していると伺っております。
 そこで、テラス利用者が工事完成後に、また対岸等でもそうですけれども、川へ転落しないための安全対策をどのように取っているのかを教えていただきたいと思います。

○齊藤河川部長 テラスの整備に当たっては、利用者が川へ転落することのないよう、河川構造物設計基準等に基づきまして転落防止柵を設置しております。
 本工事箇所では、今後、本契約案件に引き続くテラスの整備工事におきましても、基準に準拠した転落防止柵を設置する予定でございます。

○須山委員 ご答弁ありがとうございました。皆さんご承知のとおり、昨日大きな地震もありました。私、当該自治体選出ではございませんけれども、当該自治体の仲間からも、この工事、非常に早く進めていただいて、そして地元の皆さんの安心・安全の確保を進めていただきたいという声をいただいております。
 そういった中で、先ほどのご答弁にあったとおり、しっかりと工事の安全・安心の対策もされていると伺いました。
 引き続き、テラス利用も含めて、しっかりと安心・安全の工事を進めていただいて、そのテラスがまた都民の憩いの場となるように、そういった工事をしっかりと進めていただきたいと、整備を進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○曽根委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百七十号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 都議会自由民主党の鈴木純でございます。今回、二点質問させていただきます。確認も含めて、よろしくお願いいたします。
 初めに、都道における移動等円滑化の基準に関する条例の改正について伺わせていただきます。
 今回の条例改正は、バスタ新宿のような施設を旅客特定車両停留施設として整備する場合に、バリアフリー化を確実に進めていくために実施するものと理解しております。
 東京都は、二〇二〇大会を開催した都市として、高齢者や障害者を含めた全ての人が安全で円滑に移動できる環境を確保するため、バリアフリー化を積極的に推進し、共生社会を実現していかなければならないと思います。
 そのような基本的な認識の下、今回の条例改正について二点確認させていただきます。
 まず、今回の条例改正を行う目的を改めてお示しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村上道路保全担当部長無電柱化推進担当部長兼務 国におきましては、令和二年五月に道路法が改正されまして、事業者専用の停留施設である特定車両停留施設が道路附属物として位置づけられました。同時に、バリアフリー法が改正され、特定車両停留施設のうち、バスやタクシーが利用する旅客特定車両停留施設が、バリアフリーの基準適合義務の対象となりました。
 これを踏まえまして、国道における具体的な基準が令和三年三月の省令改正により定められました。
 国道以外のバリアフリー基準につきましては、それぞれの道路管理者である自治体が国の省令を参酌して条例で定めるとバリアフリー法で規定されております。
 このため、都道に旅客特定車両停留施設を整備する際のバリアフリー基準を追加することを目的といたしまして、条例の改正を行うものでございます。

○鈴木委員 ご答弁ありがとうございます。今回の条例改正が、道路法、バリアフリー法の改正により、道路附属物に位置づけられた旅客特定車両停留施設を整備する際のバリアフリー基準を新たに定めることが目的であるということが分かりました。
 旅客特定車両停留施設がバスタ新宿のような施設だとしますと、長距離バスなどの乗降拠点となるものであり、建物内で乗換えの移動や乗車を待つ間の休憩なども想定されると思います。このような利用形態を考慮して対応していくことが必要になると考えられます。
 今回の条例改正では、旅客特定車両停留施設において具体的にどのような箇所を対象にバリアフリー基準を定めるのか、伺わせていただきます。

○村上道路保全担当部長無電柱化推進担当部長兼務 今回の条例改正では、国の省令の改正内容を踏まえまして、旅客特定車両停留施設におけるバリアフリーに関する構造の基準を新たに規定しております。
 具体的には、乗客の移動経路となる通路及びエレベーター、バスやタクシーの乗降場や休憩場所となる待合所などを対象としております。

○鈴木委員 ご答弁ありがとうございます。本条例の改正を踏まえ、こうした施設を含めた道路のバリアフリー化を着実に進めることを強く要望させていただきまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○里吉委員 それでは、私からも、都道における移動等円滑化の基準に関する条例の一部を改正する条例について伺います。
 道路法が改正され、バス、タクシー、トラック等の事業者用の停留施設、特定車両停留施設を新たに道路附属物として位置づけるということが決まりました。
 今回の条例改正は、先ほどご説明もありましたが、都道に特定車両停留施設が設置された場合、この施設のうち、通路や乗降場、待合所、ここのバリアフリーの基準を定める、そのための条例改正です。
 まず伺いますが、特定車両停留施設のうち、旅客のための道路施設である旅客特定車両停留施設のイメージとしてバスタ新宿が挙がっていますが、現在、バスタ新宿は、この旅客特定車両停留施設には位置づけられていないと伺っております。
 何年か前にこれは整備されたと思いますが、当時、バスタ新宿はどのような法律に基づいて整備されたのか伺います。

○村上道路保全担当部長無電柱化推進担当部長兼務 バスタ新宿につきましては、旅客特定車両停留施設が法律に位置づけられるよりも前に、道路法に基づき、自動車駐車場として国により整備されております。
 施設のバリアフリー化につきましては、バリアフリー法に基づく省令として定められたバスターミナルのバリアフリー基準を参考に実施されたと国より聞いております。

○里吉委員 今ご答弁いただきましたように、バスタ新宿は自動車駐車場として整備されたということなんですね。しかも、これ、調べますと、国費を七百億円投じて、十九か所あった各社のバス停留所を集約したということでした。
 昨年の道路法の改正では、こうした施設を道路法上の道路附属物と位置づけました。道路の附属物ですから、国道であれば、所有者は道路管理者である国になります。都道であれば、東京都になるということだと思うんですね。
 これは、これまで民間事業者が自己負担で整備してきたバスターミナルを、今回のバスタでいえば、国などが国民の税金を使って、肩代わりして、特定の民間事業者を優遇するものであると。
 国会では、この道路法については、日本共産党は改正に反対いたしました。しかし、道路法は改正されたので、今回はこれに基づいて東京都の対応が求められるということで、この条例に対する質疑を続けますが、今回の条例改正、旅客特定車両停留施設などを都の条例に位置づけるというものですが、これを都道において整備する場合、また、位置づけた場合とこれを位置づけない場合、違いはどこにあるのか伺いたいと思います。

○村上道路保全担当部長無電柱化推進担当部長兼務 旅客特定車両停留施設と位置づけた場合には、バリアフリー法に基づき、今回提出しております都道における移動等円滑化の基準に関する条例に定められた基準に適合する施設として整備する必要がございます。
 位置づけない場合には、バリアフリー法に基づく省令や、東京都福祉のまちづくり条例のバスターミナルの項目などを参考に整備することとなります。

○里吉委員 やはり、きちんと条例として位置づけないと、バリアフリー法に基づく省令やほかの条例の項目を参考にはできますけれども、きちんとした位置づけがなければ、バリアフリーはできないのではないかということを確認させていただきました。
 バスタ新宿はあまりにも大きな施設ですので、都道でこのような大きなものができるというのは想像しにくいんですけれども、現在都道で計画があるのかどうか伺いたいと思います。

○村上道路保全担当部長無電柱化推進担当部長兼務 現在のところ、都道として旅客特定車両停留施設を整備する計画はございません。

○里吉委員 今のところ都道では計画がないということでした。
 本来、バスターミナルなど、特定車両停留施設と位置づけることなく、従来どおり民間が整備するべきだと私どもは考えますが、今回の条例につきましては、道路法が改正された下で、都道に旅客特定車両停留施設が設置されたときには、施設の通路や乗降場、待合所などについて、バリアフリーに関する構造の基準を新たに規定するための条例改正は今回必要であり、この条例案には賛成を表明し、質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。

○曽根委員長 これより環境局関係に入ります。
 報告事項、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例等(低公害・低燃費車の導入義務)の改正の方向性について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ委員 こいそ明でございます。久々の委員会での質疑でありまして、よろしくひとつお願いしたいと思います。
 資源循環、いわゆる廃棄物処理計画ですね。資源循環・廃棄物処理計画について伺いたいと思います。
 今般のコロナ禍において、私たちは、廃棄物処理が都民の暮らしに欠くことのできない最重要の社会インフラであることを再認識いたしました。
 こうした中で、都がこのたび策定した東京都資源循環・廃棄物処理計画は、今後の廃棄物処理の進むべき道筋を示し、極めて重要な羅針盤ともいえます。
 都はこれまで、3Rをはじめ、我が国の循環型社会づくりに先導的な役割を果たしてきたと思います。こうした取組をさらに推進をするとともに、今日的な課題であるCO2の実質ゼロや、コロナ禍を乗り越えた先の持続可能な都市の実現に向けた取組を、資源循環分野においても加速をさせていく必要性があると思います。
 そこで、まず初めに、新たな資源循環・廃棄物処理計画の位置づけについて伺いたいと思います。

○上林山資源循環推進部長 廃棄物処理計画は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく法定計画であると同時に、環境基本計画に掲げる個別分野の計画でございます。
 今般策定いたしました計画では、計画期間を二〇二一年度から二〇二五年度までの五年間とし、併せて二〇三〇年度のあるべき姿を示しております。
 このあるべき姿の実現に向けて、持続可能な資源利用の実現、廃棄物処理システムのレベルアップ、社会的課題への果敢なチャレンジを三本の柱として掲げてございます。
 今後、本計画に基づきまして、市区町村や業界団体とも連携しながら施策の具体化を図り、持続可能な社会づくりに取り組むとともに、ゼロエミッション東京の実現にも貢献してまいります。

○こいそ委員 現在、国を挙げて、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた取組が進められておりますが、資源循環分野においても積極的に貢献をしていくことが重要だと思います。
 現在、多くの廃プラスチックが焼却処分をされています。CO2が排出されているわけでありますけれども、リサイクルをすることで新たな資源採取やCO2の削減にも当然つながっていくわけであります。
 折しも、本年六月にはプラスチック資源循環促進法が成立をしました。来年の四月の施行に向けて、今まさに制度の詳細が検討されているところであります。
 都は今後、国の検討状況も注視をしながら、プラスチックのリサイクルにより一層積極的に取り組むべきと考えます。見解を伺いたいと思います。

○上林山資源循環推進部長 今回の東京都資源循環・廃棄物処理計画の改定では、二〇一九年に都が策定したプラスチック削減プログラムや、国のプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に基づくプラスチックの3R施策の方向性を示し、消費者や事業者等と連携した取組を一層進めることといたしております。
 都は、昨年度からプラスチックの分別収集、リサイクルを行う自治体を支援するプラ製容器包装再資源化支援事業を開始し、これまでに十自治体に対し支援を実施しております。
 また、今年度、廃プラスチックを再生樹脂の原料に戻す、いわゆる水平リサイクル等の社会実装を推進するプロジェクトの公募を行いました。
 今後、大手小売チェーンやアパレル業界など多様な事業者の参加を得て、廃プラスチックのリサイクルチェーン構築に連携して取り組むなど、新たなリサイクル技術の普及を目指す事業者等の動きを積極的に後押ししてまいります。

○こいそ委員 プラスチック資源循環促進法により、様々なプラスチックを一括回収して、リサイクルができるようになるわけでありますけれども、新たな仕組みにより、リサイクルの実効性を高めるためには、まさに徹底した普及啓発とともに、分別が必要だと思うんですね。
 現行、焼却、いわゆるサーマルでほとんど処理されていますけれども、やはり混在する。汚れが非常に付着、腐食をしている。汚れている。本来、これをきれいに、うまく分別して出されていくならば、リサイクル、とりわけ、いわゆる水素にもやはり当然、製造過程の中でつくれていくわけですよね。
 ですから、そういう意味合いからも、このような現状というものをやはりしっかりと調査をして、現状認識をしっかり持っていただく中で、実効ある取組をぜひしていただきたいなと思います。
 一括回収に当たって大きな懸念の一つが、リチウムイオン電池による発火事故であります。これまでも収集、運搬、中間処理、リサイクルなどの様々な過程で事故が発生をしてきておるわけでありますけれども、一括回収が始まることにより事故が増えていくんじゃないかと、こんなような危惧されること、そのような声も聞かれます。
 事故の防止に向けて、都民や事業者に対して、リチウムイオン電池の危険性や含まれる製品、適切な排出方法をしっかりと周知していくことが、当然でありますけれども、重要であります。都の見解を伺いたいと思います。

○上林山資源循環推進部長 都内の廃棄物処理におきまして、リチウムイオン電池を原因とする発火事故が発生しており、その対策は急務でございます。
 都はこれまで、リチウムイオン電池が収集、運搬等の過程で発火事故を引き起こしている現状や適切な廃棄方法を、広く都民や事業者等に分かりやすく周知するとともに、都と区市町村の検討会でもテーマに取り上げ、効果的な分別収集や処理の方法を検討してきております。
 今年度は、東京消防庁や日本容器包装リサイクル協会と連名で、発火の危険性や適切な分別を訴えるポスターやリーフレットを新たに作成するとともに、都民向けの分かりやすい動画も作成することといたしております。こうしたツールを活用し、市区町村と連携して周知を図ることで、リチウムイオン電池の適切な排出を促してまいります。

○こいそ委員 まさに一たびこのような事故が発生すれば、それに携わる廃棄物処理事業者、関係者はもとより、多大な被害を被るわけでありますね。より一層の普及と啓発、しっかりとした対策に努めていただきたいなと要望いたします。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて、都が事業所や家庭向けに再エネ設備の導入を支援してまいりました。都内でも太陽光パネルの設置が進んでいるわけでありますけれども、一方で、こうして設置をされた太陽光パネルも、使用可能期限はおおむね二十五年程度とされております。
 いずれはそのように寿命を迎えるわけでありますけれども、長期的な視点に立って、将来廃棄される際のことを今からしっかりと検討する必要性が当然あるわけですね。多量に出てくるわけでありますから。
 都は、太陽光パネルのリユース、リサイクルルール確立に向けて今後どのように取り組んでいくのか、お願いします。

○宗野資源循環計画担当部長 再エネの普及拡大とともに増え続ける太陽光パネルにつきましては、将来の大量廃棄を見据え、確実に3R及び適正処理ができる体制を事前に整えていくことが重要でございます。
 そのため、都は、二〇一八年に太陽光パネルの専門家で構成する検討会を設置いたしまして、設備に含まれる銀、銅などの有用金属やガラスのリサイクル手法、鉛などの有害物質の適切な管理のほか、パネルのリユースを促進する方策等について検討を重ねてまいりました。
 また、二〇一九年度から本年度までの三年間にわたり、大学、リサイクル事業者等と連携し、実際の現場で効率的なパネルの取り外しから回収、運搬、使用済みパネルの性能に応じた適切なリユース、リサイクルの方法などについて検討を進めております。
 今後は、こうした実証事業等の成果を踏まえながら、各事業者が有機的に連携したリサイクルルートの構築に向け、さらに議論を進め、持続可能なリサイクルを推進してまいります。

○こいそ委員 太陽光パネルが、まさに大量に廃棄をされていくということ。しかし、これはただ捨てられる、いわゆる廃棄されるだけ、ごみになるだけじゃ、大変もったいない。貴重な資源化をしていかなきゃなりませんね。そういう中で、どうぞこの点についてもしっかりと官民ともに当然取り組んでいかなきゃいけない課題だと思いますけれども、局においてもしっかりと取り組んでいただきますことを要望させていただきたいと思います。
 廃棄物の適正処理、リサイクルを推進するに当たり、静脈産業の発展を図ることは不可欠じゃないかと思います。廃棄物処理、リサイクルは、現状では人手に頼る作業が非常に多いですね。今後を見据え、いわゆる生産年齢人口が減少傾向になると思いますけれども、これに対して対処していかなければならないと思います。
 社会基盤である静脈システムの維持、さらなる運営に支障を、これはこのような状況で対応していかないと、いわゆる支障を来しかねません。
 このため、ICT、AIなどの新たな技術を廃棄物処理、リサイクル分野でも積極的に導入して、収集、運搬、中間処理、処分等々、様々な場面で業務の効率化、そして高度化を進め、社会システムとしての強化を図っていくことが大変重要と考えるわけであります。
 しかし、新たな技術の導入には、いうまでもありませんけれども、多くのコストがかかります。不確定要素やリスクもあることから、取組をちゅうちょするという事業者がやはり少なくないのも現状です。
 そこで、静脈産業の事業者が新たにこれら取組にチャレンジをしていくという中で、そのような環境を、やはり都としても、局としても、この環境整備というのは大変必要じゃないかと思うんですね。ですから、これに関しまして見解を伺いたいと思います。

○宗野資源循環計画担当部長 都民生活に直結した社会基盤である静脈産業の機能強化に向けましては、事業者の創意工夫を生かした積極的な提案を引き出しながら、新たな技術の活用を進めていくことが有効でございます。
 そのため、都は今年度、ICTやAI等の先進技術を活用いたしまして、廃棄物処理システム全体の高度化や効率化を目指す事業者と共同で実施するモデル事業を開始しております。
 具体的には、現在、作業員の手選別に頼っております建設混合廃棄物の選別作業につきまして、AIを活用した画像認識技術やロボットアームによる選別を行うほか、電子タグ等の活用により、排出段階から処分、リサイクルまでの情報をデジタル管理により見える化し、収集、運搬に係る業務の適正化、効率化を図る方法等について実証を行ってまいります。
 今後も、こうした取組を通じまして事業者の取組を後押しするとともに、技術的な課題や得られた成果等を関係業界と共有しながら、強靱で持続性の高い廃棄物処理システムの構築を図ってまいります。

○こいそ委員 ご答弁いただきましたように、得られた成果はぜひ広く公表していただいて、後に続く事業者、関係者が検討しやすい環境をつくれるように、これはまたお願いしたいと思います。
 今後、担い手不足が懸念される中で、廃棄物処理、リサイクル分野を発展させるためには、個々の人材の能力を引き上げていくことも必要だと思います。こうした中で、特に私は、現場、いわゆる廃棄物行政、環境の現場最前線で活躍をしておられる市区町村職員の、さらなる専門性向上が大切ではないかと思うんですね。
 しかしながら、特に多摩地域でありますけれども、職員数や財政面の制約が現実にあります。環境人材育成に時間やコストをかけることがあまりできない。また、人事異動も頻繁に行われているようでありますけれども、その中で、やはり十分な専門的知識を身につけられないままこのような業務に当たっていることは、なかなか厳しいですよね。
 ですから、ぜひこうした現状を踏まえて、都としても、広域行政体の東京都の役割というのはこの辺りにもあると私は思うんですね。市区町村職員の環境人材育成にやはりしっかりと力を入れて、いろんなメニューを出していただいて、取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○上林山資源循環推進部長 プラスチック資源循環促進法の成立や二〇五〇年カーボンニュートラルの実現など、廃棄物、リサイクル行政を取り巻く環境は大きく変化してきております。
 都はこれまで、市区町村の部長会や課長会など様々な場を通じて、国や都の最新の動きを情報提供するとともに、共同の検討会において、新たな課題の解決に向け積極的な意見交換等を行ってまいりました。
 また、廃棄物、リサイクル部門に新たに異動してきた市区町村職員等を対象に、廃棄物処理法の運用やプラスチックのリサイクル等について説明する廃棄物行政講習会を開催し、能力向上を促しております。
 こうしたことにより、廃棄物、リサイクルを担当する職員の育成を支援することで、市区町村による一般廃棄物行政のさらなるレベルアップを促してまいります。

○こいそ委員 今、コロナ禍ですから、一堂に会した会議、それぞれ多摩地区だけだって二十六市三町一村あります。そういう中で、なかなか難しいでしょうけれども、オンラインという形もありますし、それとともに、やはり適宜的確な情報、これは当然必要ですよね。それとともに、一定の主任クラスか、係長クラスか、課長クラスか、そういうそれぞれの職階に合わせたような専門的な講座というか研修というか、こういうものを工夫しながら導入していただきたいんですよね。
 これをやれるのは、やっぱりはっきりいって東京都環境局だと思うんですよ。ぜひ環境人材の育成、今の新しい法律制定で施行されていく、様々な状況変化がどんどんどんどん資源循環社会構築の中で求められていますよね。ですから、そういう意味合いの中でも、ぜひこういう職員の専門性を高める、意識を高めることもそうかもしれません。意識の高い人は多いわけでありますけれども、ぜひぜひそういう面で、このようなことも、今後、環境局としては法を施行するに当たっても、新しい新法の中でも、プランでありますけれども、ぜひよろしくお願い、要望をさせていただきたいと思います。
 さて、エッセンシャルワーカー、いうまでもないですね、コロナ禍で、本年八月、台東区では、清掃作業に従事する職員が新型コロナウイルスに感染し、二週間にわたって不燃ごみの収集が、やむを得ず中止せざるを得なかった。
 清掃やリサイクルに従事する職員数が、まさにこのような状況が起きてはなりませんけれども、やはりどうしても、在宅だってかなり多いじゃないですか。陽性者の方々がね、どうしてもやむなく在宅で、自宅でと。
 コロナ禍において、やはり日々日々、廃棄物の処理、重大な、様々影響が生じることを、特にコロナの感染状況でありますけれども、いろいろ聞いておるわけですね。
 そういう中で、またまた多摩地域ということばかりいっていけませんけれども、三多摩、多摩地域では、ごみの収集が、通常的な家庭一廃、それから不燃ごみ等々、資源ごみ等々、これを事業者に委託している自治体がかなりなんですね。また、複数の事業者がまさに地区ごと、エリアごとに分かれて作業に当たっているわけですね。
 そのために、仮にその事業者で先ほどのようなクラスターが発生した場合、その事業者の担当するエリアでは、これはもういうまでもないけれども、作業を中止せざるを得ないんですね。そういうおそれが出てくる。
 こうした事態に備えて、私はやっぱりお互いさま、連携をそれぞれ取っていく、それぞれ行政体によっても違うかもしれませんけれども、業者、関係者間で連携する。さらにこの仕組みを整備する必要性は当然あると思うんですね。この辺り、局としてはどうでしょうかね。

○上林山資源循環推進部長 都民の暮らしを支える重要なインフラである廃棄物処理、リサイクルシステムは、感染症の流行期や災害発生時においても継続していくことが重要でございます。
 新たな資源循環・廃棄物処理計画では、一昨年から続くコロナ禍を受けまして、こうした状況下においても事業継続を図るための取組として、廃棄物処理業者が同業者と連携する仕組みの構築や、市区町村や排出事業者による廃棄物処理委託先の代替の検討などを示しております。
 都は今後、市区町村に対して委託事業者間の相互支援体制を構築するなどにより、感染症等が発生しても廃棄物処理が滞らない体制を整備するよう働きかけてまいります。

○こいそ委員 相互支援体制をしっかり構築していただくとともに、まさにこれ、市区町村、行政間の連携もそうかと思いますけれども、先ほど申し上げた関係者の連携もそうなんですけれども、ぜひぜひ連携強化、これを一層取り組んでいただきたいなと。これは強く要望とお願いをさせていただきます。
 それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、低公害、低燃費車の導入義務についてであります。
 かつて東京都は、石原知事の時代に、自動車排出ガスによる大気汚染問題に対処するため、全国に先駆けてディーゼル車規制を開始されました。環境確保条例を制定いたしました。
 また、同時期に、自動車を多く使用する事業者に、一定割合以上の低公害車の導入を義務づける本制度が創設されて、スタートしたわけであります。
 以来二十年にわたって両制度は東京都の自動車環境対策の要になっているということですね。
 低公害、低燃費車導入義務制度は、二百台以上、自動車を所有している、また使用している事業者を対象としております。自動車環境対策は、二百台以上の事業者だけが取り組めば当然いいというものじゃありませんね。自動車を使用する多くの事業者の方々の意識と行動変化がやはりこれも必要だと思います。
 そこでまず、都では、二百台未満の事業者に対してどのような取組をしておられるのか、この現状についてもお知らせをいただきたいと思います。

○筧環境改善部長 自動車からの環境負荷を低減するためには、走行距離が長い業務用の車両への対策が不可欠であり、二百台未満の事業者も含め、取組を促進させることが重要と認識しております。
 都では、自動車等を使用する全ての者に対し、低公害、低燃費車を使用するよう努力義務を定めております。また、三十台以上の自動車を使用している事業者に対しても、二百台以上の事業者と同等の努力義務を課しており、それらの事業者においても同程度、低公害、低燃費車の導入が進んでおります。
 今後とも環境確保条例に基づき、環境性能の高い自動車への更新を促し、さらなるCO2排出量の削減を図ってまいります。

○こいそ委員 使用台数の比較的少ない事業者に対しても、取組をしっかりとされている、求めているということが分かりました。
 先日の報告では、今年度末までに、ほぼ全ての事業者が現行の義務率を達成する見込みであると、こういうふうにいわれていますね。これは大変すばらしいことだと思いますね。これも対象事業者のご努力、関係者の皆様方のご協力等々のまさに成果だというふうに思います。
 今回、導入義務率の見直しを検討するに当たって、制度改正の影響を受ける事業者の要望などをよくよく聞いた上で当然進めておられると思いますけれども、事業者からはどのような意見が出されているのか、お願いします。

○筧環境改善部長 本制度を円滑に運用するためには、事業者の理解と協力が不可欠であることから、導入義務率見直しの検討に当たっては、トラック、タクシー、バス等の業界団体に対してヒアリングを実施しております。
 その結果、環境負荷低減のために導入率を見直すことの必要性は理解するが、車両更新に当たって財政的、技術的な支援をお願いしたいという意見が多くございました。また、これまで計画的に車両更新を行ってきたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、車両更新時期の見直しを検討しているという声もありました。
 今後も事業者の理解が得られ、よりよい制度となるよう、事業者や業界団体の意見、要望を伺うとともに、丁寧な説明を行ってまいります。

○こいそ委員 確かにコロナ禍で様々な影響を被っておられるということも分かります。地球温暖化対策のために、環境性能の高い自動車の導入を進めていくことは当然必要で、これはいうまでもないですね。それにつけても、やはり事業者の皆さんのご努力、ご協力等々、一定の事業所、事業者ありますけれども、限界点もあると思うんですね。低公害、低燃費車の導入を進めていくためにも、都として事業者に対するお願い、お願いベースだけじゃなくて、支援をやっぱり当然行っていくべきじゃないかと思うんですね。これについて見解を伺います。

○筧環境改善部長 都はこれまでも、中小事業者に対して、低公害、低燃費車の買換え時の融資あっせんをはじめ、ハイブリッドトラック、バスやユニバーサルデザインタクシーの導入補助のほか、最近では電気自動車などZEVの導入補助を大幅に増額するなど、経済的支援を行っております。
 また、自動車環境管理計画書制度を活用し、自動車Gメンによる指導助言を行うなど、事業者の実情に合わせた技術的な支援も行っております。
 今後も低公害、低燃費車の導入が進むよう、各種事業者支援を実施してまいります。

○こいそ委員 低公害、そして低燃費車導入義務制度は、都と事業者が車のまさに両輪となって進めていく事業であります。その実施に当たって、双方の協力はいうまでもありません。今のご答弁いただいておりますけれども、不可欠です。
 低公害、低燃費車の導入義務率の見直しは必要なことではありますけれども、また、その検討に当たっては、やはり厳しい経済環境状況が現存としてありますね。ですから、ぜひぜひ事業者の声にもしっかりと耳を傾けていただいて、必要とされるというか、できる限りの配慮、対応をぜひお願いしたいと思います。
 以上です。

○たきぐち委員 それでは、私からも報告事項二件について伺ってまいりたいと思います。
 まず、環境確保条例等の改正について伺います。
 この条例は、平成十三年四月に施行され、自動車による環境負荷を低減するため、対象事業者に対して、自動車環境管理計画書の提出と低公害、低燃費車の導入を義務づけてきたものであります。
 条例施行後五年ごとに見直しを行って、第二期からはCO2排出削減の視点を導入し、第三期からは対象車両を低公害車から低公害、低燃費車に変更するとともに、ZEVの換算率を設定、第四期では低公害、低燃費車の導入義務率を五%から一五%にすると同時に、対象車両の基準を強化した、こうした経緯があると認識をしております。
 昨年、新型コロナの感染拡大を受けまして、第四期の達成期限を一年延長して、本委員会でも質疑が行われたことを確認しています。
 今回見直しを実施するに当たりまして、その考え方や事業者の取組状況について何点か伺いたいと思います。
 初めに、現在の導入義務率の一五%は、第四期開始時の平成二十八年度から始まっているわけでありますが、そこから現在までの低公害、低燃費車及び非ガソリン車の導入状況について伺いたいと思います。

○筧環境改善部長 対象事業者における特定低公害、低燃費車の導入状況は、平成二十八年度には約一万七千台であったものが、五年目である令和二年度には約三万三千台となっており、順調に増加しております。
 また、非ガソリン車の導入状況は、平成二十八年度には約九千台だったものが、令和二年度には約一万八千台と、同様に増加しております。

○たきぐち委員 義務対象事業者は、五年という期間の中で、計画的に導入を進めているところかと思います。
 コロナ禍が長期化しまして、業界を取り巻く経営環境は依然と厳しい状況にある中で、一年の延長はあったものの、各事業者が着実に目標達成に向けて取組を進めているということが分かりました。
 また、非ガソリン車の台数は、特定低公害、低燃費車の内数としてカウントされていると確認をしました。全体として台数が増加していると同時に、より効果の高い非ガソリン車へのシフトも進みつつあるという状況も、数字から読み取ることができるんではないかと思います。
 対象事業者は約百八十者ということで、これはおおむねこれぐらいの数で推移しているということを聞いておりますけれども、都内の全事業者の数を考えると限定的であります。
 しかし、対象事業者には、バス、タクシー、運送会社や、銀行、大手メーカー、大手流通企業、さらには役所関係など、名立たる事業者が連なっておりまして、各事業者の車両の使用台数が多いことから、事業者数の割合と比して、この制度によるCO2削減効果は大きいのではないかと推測をするところです。
 そこで、対象事業者が使用している自動車の台数は、都内全体の自動車のどれくらいを占めているのか。また、こうした自動車からのCO2排出量は、都内全体の自動車からの排出量のどれくらいを占めているのか伺います。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車の義務対象事業者が使用する車両台数は、令和二年度末現在で約十二万六千台であり、都内の自動車保有台数の約三%に当たります。
 また、事業者の使用する車両は一般に使用頻度が高く、走行距離が長いため、一台当たりのCO2排出量が多くなっており、それらの自動車からのCO2排出量は、都内全体の自動車からの排出量の約一割を占めていると推計しております。

○たきぐち委員 保有台数が約三%で、CO2排出量については全体の約一割を占めると推計されているというご答弁でありました。
 対象事業者の自動車は、バス、タクシー、トラック、あるいは営業車など、業務で頻繁に使用されるわけでありまして、走行距離も長いことから、こうした事業者が環境性能の高い自動車を導入することが、運輸部門におけるCO2削減に有効的である、重要であるということを認識いたしました。
 首都圏では、埼玉県や千葉県も同様の制度を実施しておりまして、ともに導入義務率を四〇%ということで設定をしているわけでありますけれども、埼玉県は低燃費性能、千葉県は低公害性能だけの基準ということで、両者の基準を設けているのは一都三県の中では東京都のみということを確認しております。引き続き、実効性の高い制度として、他の自治体を牽引すべく、取り組んでいただきたいと思います。
 都は、ゼロエミッション東京戦略で、CO2排出量を二〇五〇年までに実質ゼロにすることを計画しています。また、今年三月にアップデートされたゼロエミッション東京戦略では、行動をさらに加速させることとしています。
 今回、低公害、低燃費車を、現行一五%の導入義務率を、二〇%から三〇%程度に引き上げることを検討しているということでありますが、この導入率の設定は、ゼロエミッション東京戦略に掲げた二〇三〇年のCO2削減目標を見据えたものになっているのか伺います。

○筧環境改善部長 都では、二〇一六年に策定した環境基本計画により、二〇三〇年までに運輸部門におけるCO2排出量を二〇〇〇年比で六〇%削減することを目標としております。
 また、新たにゼロエミッション東京に向け、二〇三〇年カーボンハーフを実現していくこととしており、CO2削減の取組を加速させていく必要があります。
 そのため、低公害、低燃費車導入義務制度の見直しに当たっては、義務対象事業者によるCO2削減行動を促進するよう、義務率の引上げや、乗用車における非ガソリン車の導入義務の新設など、二〇三〇年のCO2削減目標を見据えた検討を行っております。

○たきぐち委員 検討会の資料を見ますと、目標達成のためには、二〇三〇年時点で特定低公害、低燃費車の平均導入率七〇%程度以上が必要になるとシミュレーションされておりまして、非ガソリン車の導入義務も含めて、今回の見直しは、そこを見据えたものであるということを理解いたしました。
 ゼロエミッション東京戦略では、都内におけるZEVの新車販売の割合を五〇%にすることを目標としてきましたけれども、昨年、小池知事は、二〇三〇年までに脱ガソリン車一〇〇%を目指すと表明しました。今回の見直しで、非ガソリン車に導入義務率を新たに設定したことは、さらなる前進と考えます。
 一方、既に五〇%以上導入している事業者も多く、低公害、低燃費車と同様に、導入率の低い事業者へのアプローチを強めるべきと考えますが、見解を伺います。

○筧環境改善部長 事業者ごとの非ガソリン車の導入状況を見ると、導入率が高い事業者と低い事業者で二極化しており、導入が進んでいない事業者の底上げを図っていくことが重要でございます。
 都では、自動車環境管理計画書制度に基づき、毎年度提出される実績報告により、各事業者の導入状況を把握した上で、きめ細かな指導助言を行うとともに、融資あっせんや車両の導入補助等を行っております。
 今後は、非ガソリン車の導入が進むよう、導入率の低い事業者に対する指導助言を強化することなどにより、ゼロエミッション東京の実現に向けた取組を進めてまいります。

○たきぐち委員 脱炭素社会への転換を図るためには、低公害、低燃費車や非ガソリン車の導入を促進することは重要であります。
 同時に、ZEVなどの環境性能の高い車両の導入を進めるだけではなくて、エコドライブやICTを活用した車両利用の効率化などが一定のCO2削減割合を占めているということも分析をされておりますので、運用面での改善も重要であり、さらなる取組も併せて求めておきたいと思います。
 今回の低公害、低燃費車の導入義務制度の見直しが、二〇三〇年のカーボンハーフを加速化するものになるように期待をいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 資源循環・廃棄物処理計画について伺いたいと思います。
 都は、現在、コロナ禍を乗り越えた先に、持続可能な都市の構築を加速させるサステーナブルリカバリーの視点で、多面的な施策を展開しているさなかであります。
 今般、都が策定した計画では、新型コロナの感染拡大によって浮き彫りになった課題や新しい日常への対応、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、様々な施策が掲げられております。
 持続可能な社会づくりに向けて、再生可能エネルギーの導入拡大と並んで必要となるのが、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆる3Rの推進であります。
 区市町村の3Rの取組やプラスチックごみの資源ごみ化、可燃ごみ化などを背景に、一般廃棄物の排出量はこの二十年間では減少傾向にあります。
 一方で、都内の人口は二〇二五年まで、世帯数は二〇三五年まで増加すると予測されておりまして、対策を講じない場合には、ごみの量は増加するとの試算もあります。
 こうしたことから、これまでの計画でも目標としていた一般廃棄物の再生利用率に加えて、一般廃棄物の排出量を新たな目標としたことは、リデュース、リユースを推進するためにも重要であると考えます。
 一般廃棄物は、家庭やオフィスなどから排出されるごみでありまして、その削減に向けては、都民や事業者の協力が不可欠であると同時に、一般廃棄物の処理責任を負っている区市町村との連携が欠かせません。
 そこで、目標達成に向けて都はどのように取り組むのか伺います。

○上林山資源循環推進部長 地球規模での資源制約や環境制約が厳しくなる中で、持続可能な資源利用を達成するためには、廃棄物の発生抑制に努めることが重要でございます。
 都はこれまで、都民、事業者に向けた使い捨てプラスチック及び食品ロス削減に関する普及啓発動画の作成やセミナーの開催等により、リデュース、リユースをはじめとした3R推進を働きかけてまいりました。
 また、昨年度から試行している3Rアドバイザー制度では、区市町村と連携して、事業者を直接訪問し、使い捨てワークスタイルの見直しや分別ルールの徹底などに関する従業員への周知方法を助言することで、事業系廃棄物の3R促進を図っております。
 加えて、民間事業者と連携し、リユース等の促進に向けた新たなビジネスモデルの構築支援に取り組んでおります。その成果として、本年八月には、繰り返し使えるリユース容器を活用し、日用品や食品類を宅配便で販売するショッピングプラットフォームのサービスが開始されており、引き続きこうした先進的な企業の取組を後押ししてまいります。
 今後とも、ウェブや動画など様々なツールを活用した普及啓発により、都民、事業者の行動変容を促すとともに、意欲的な取組にチャレンジする事業者を支援することで、資源循環に向けた新たなビジネススタイル、消費行動の定着を促し、目標の達成を目指してまいります。

○たきぐち委員 3R推進に向けて様々取り組まれているということが分かりました。
 ごみの減量には、大量生産、大量消費を前提とした資源利用の在り方を変革していくことや、都民、事業者の行動変容を促進していくことが重要であることはいうまでもありません。
 3Rに加えて、4R、5Rといわれることもあるかと思います。リフューズ、つまり、ごみとなるものを受け取らないと。これは買物の際のエコバッグなどが象徴的でありますけれども、私もお弁当などを購入するときに、割り箸をできる限り受け取らないということを実践しているわけでありますけれども、こうした取組の積み重ね、都民の行動変容を促すべく、先進的な企業の取組を支援していくことと併せて、引き続き区市町村とも連携しながら、目標達成に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染拡大という厳しい状況の中で、私たちの生活は、日々、ごみの収集や分別作業に携わる、いわゆるエッセンシャルワーカーと称される方々に支えられているということを改めて痛感をしたところであります。
 まさに社会インフラである廃棄物処理システムの重要性を再認識したところでありますが、廃棄物処理を取り巻く環境は、コロナ禍のみならず、超高齢化や人口減少などによる社会構造の変化の中にあって、現場作業での非接触化や合理化の必要性が高まっていると考えます。
 先ほどこいそ委員からも同様の質疑がありましたけれども、社会基盤としての廃棄物リサイクルシステムをしっかり維持確保していくためには、こうしたリサイクル事業者や廃棄物処理業者を含めた静脈産業の事業継続性の強化が重要と考えますが、見解を伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 廃棄物の処理や再資源化につきましては、都民生活を維持する上で不可欠な機能でございまして、新型コロナウイルス感染拡大などの緊急時においても安定して事業継続することが必要でございます。
 そのため、都は今年度、静脈産業の処理システムの強化を図るため、AI等の先進技術を活用したリサイクルや事務処理の効率化、高度化を目指す事業者を公募の上、事業者と共同で実施するモデル事業を開始しております。
 具体的には、現在手作業に頼っている廃棄物の選別作業について、AIを活用したロボットアームによる選別を行うほか、収集、運搬を効率的に行う方法についても実証を進めてまいります。
 こうした取組は、今後の人口減少に伴うリサイクル等の担い手不足への対応にもつながるものでございますので、持続性の高い廃棄物処理システムの構築に向け、事業者の取組を着実に後押ししてまいります。

○たきぐち委員 AIなどを活用したモデル事業を実施するということであります。
 私の地元の荒川区は、歴史的に静脈産業が盛んな地域でありまして、紙、布、プラスチックなど、様々なリサイクル事業者や産業廃棄物処理事業者が存在しておりまして、手作業で分別、選別作業を行っている光景が日常的でもあります。
 コロナ禍で浮き彫りになった課題や社会構造の変化にも対応するべく、こうした企業の事業継続性が確保されるよう、都として引き続き施策を講じていただきたいと思います。
 次に、今回の計画では新たに、区市町村の災害廃棄物処理計画の策定率を一〇〇%とする目標を掲げました。災害ごみ、いわゆる災害廃棄物は、阪神・淡路大震災で約一千五百万トン、東日本大震災で約三千百万トン、西日本豪雨では約百九十万トンの災害廃棄物が発生したとも推計されているところです。
 東日本大震災の後、私も何度も被災地に足を運びましたので、その光景は目に焼きついているところでありますし、また西日本豪雨の際にも、岡山県倉敷市の真備町で現場の状況を確認いたしました。
 倉敷市では、西日本豪雨の際に、想定を超える早さで排出された災害廃棄物が公園などにあふれ返って、また、道路に出された廃棄物の延長が最長二キロにも及んだということで、渋滞が発生し、救急車両や復旧車両の通行の遅れにもつながったという実態も報道されているところです。
 復旧への影響や公衆衛生上の問題など、あらかじめ災害廃棄物をどのように処理するかを定めておくことは極めて重要であると考えます。
 一方、災害ごみの処分は、法律上、一般の家庭ごみと同様の扱いで、計画の策定は区市町村が主体となって行うものであり、人材面や財政面などの課題によって、なかなか策定に着手できない自治体もあると聞いております。
 都は、未策定の自治体に対するアプローチを強めるとともに、必要に応じて支援を行うことによって、確実な目標達成を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○上林山資源循環推進部長 平成二十九年六月に策定した東京都災害廃棄物処理計画において、都は、区市町村における災害廃棄物処理計画の策定を支援することといたしております。
 これまで都全域の災害対応力向上演習など、様々な場を活用して計画策定を働きかけてまいりました。また、区市町村との連携による地域環境力活性化事業により、財政面での後押しも行っております。
 今年度は、国とも連携し、多摩地域四市町と中間処理、最終処分を行う一部事務組合による合同の検討会を設置し、計画策定を支援してございます。
 今後、これらの取組を推進するとともに、計画未策定の自治体への働きかけを強めながら、目標の早期達成を目指してまいります。

○たきぐち委員 先ほどからも話が出ていますけれども、昨晩、都内で震度五強を観測する地震が発生をいたしました。また、一昨年の令和元年台風十五号、十九号をはじめ、近年の激甚化、頻発化する風水害の対策が喫緊の課題でありまして、一日でも早い計画策定が求められているかと思います。早期の目標達成に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 首都直下型地震をはじめとして、大規模な災害が発生した場合、一自治体単独では到底処理できない膨大な量の災害廃棄物が発生したり、廃棄物処理施設が機能不全に陥るということも予想されるところです。
 こうした場合は、まず、近隣の区市町村と協力して処理に当たることになりますが、災害時には、近隣自治体も同様に被災している可能性が高いわけでありまして、災害の規模によっては、他県の市町村にお願いせざるを得ないケースも出てくるかと思います。
 実際、東日本大震災の際には、都も、岩手県と宮城県の災害廃棄物を引き受け、処理をいたしました。
 区市町村が他県の自治体と災害協定を結んでいるケースもありますが、被害の状況によっては、スムーズに話が進まないことも当然想定されるところであります。
 このため、都は、大規模災害の発生に備え、都内はもとより、関東地方など広域的な連携体制の構築に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○上林山資源循環推進部長 災害発生時には各自治体が連携して、広域的に災害廃棄物処理に取り組み、迅速かつ適正に処理していくことが求められます。
 都では、環境省を通じた要請に基づき、東日本大震災の際に、岩手県と宮城県の災害廃棄物、令和元年の台風十九号の際には、宮城県の災害廃棄物をそれぞれ引き受け、都内自治体等の協力を得て処理をいたしました。
 都は、首都圏の自治体等が参画するブロック協議会において、都内で発生した災害廃棄物の他県での受入れや、他県で発生した災害廃棄物の都内での受入れに向け、より迅速に広域連携体制を構築できるよう、共通の課題などについて継続的に情報共有を図りながら、他県市との関係強化を図っております。
 こうした取組により、相互に支え合いながら緊密な連携を図り、災害時にも適切な対応ができる体制の構築に努めてまいります。

○たきぐち委員 都内に初めて大雨特別警報が発令された令和元年台風十九号は、十月十二日でありまして、間もなく丸二年ということになります。
 先ほどの災害廃棄物処理計画を未策定の自治体には、水害リスクの高い地域であったり、多摩地域なども多く含まれているところであります。
 改めて、自治体策定への支援と、都としての広域的な連携体制の構築に鋭意取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○北口委員 低公害、低燃費車の導入義務についてお伺いをさせていただきます。
 地球温暖化や気候変動が深刻化する中、世界的な潮流として、CO2排出量の削減のため、自動車のゼロエミッションビークル、ZEVへの転換が進んできております。
 都においてもゼロエミッション東京戦略を策定し、二〇三〇年までにZEVや非ガソリン車の普及について目標を掲げました。この低公害、低燃費車導入義務制度は、事業者における環境性能の高い自動車の普及拡大を目的としていると理解をしておりますが、こうした時代の潮流を踏まえ、ゼロエミッション東京戦略と整合を図り、その取組を後押ししていく必要があります。
 そこで、現在検討を行っている本制度の見直しに当たっては、低公害、低燃費車の導入促進に加え、ZEV等の非ガソリン車の普及が進むような制度にすべきと考えますが、ご見解を伺わせていただきます。

○筧環境改善部長 ゼロエミッション東京の実現に向け、都では、二〇三〇年までに都内乗用車新車販売に占める非ガソリン車の割合を一〇〇%、ZEVの割合を五〇%とする目標を掲げております。
 その達成のためには、自動車を多く使用する事業者においても、低公害、低燃費車だけでなく、より環境性能の高い非ガソリン車の普及拡大が重要であると認識しております。
 そのため、今回の制度見直しに当たっては、事業者が使用している乗用車について、非ガソリン車の導入義務率を新設するとともに、その算定に当たってZEV一台を二台に換算することで、非ガソリン車、特にZEVの導入促進を図ることとしております。

○北口委員 非ガソリン車とZEVの導入促進に向けて、それを後押しする制度を目指していることは分かりました。
 今回の見直し案では、非ガソリン車の導入義務率を一〇%から二〇%程度としています。しかし、最近、まち中で非ガソリン車であるハイブリッド車をよく見かけるようになりました。私が調べたところ、都内の乗用車におけるハイブリッド車の比率は既に二〇%を超えているようです。それに比べて、導入義務率の一〇%から二〇%という数値は低いように思われます。
 そこで、義務対象者が使用する乗用車のうち、非ガソリン車の割合はどのくらいか、また、今回の見直し案の乗用車における、非ガソリン車の導入義務率はどのような考え方で設定をされたのか、説明を求めます。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車の導入義務対象事業者が使用する乗用車のうち、非ガソリン車の占める割合は、令和元年度で約三〇%となっております。
 この割合は、義務対象事業者全体のものであり、個々の事業者で見ると、導入義務率五〇%以上の事業者が約百八十者のうち約五十者ある一方で、導入が二〇%に満たない事業者が約七十者ございます。
 本制度の義務率は全ての対象事業者に課せられるものであり、導入が進んでいない事業者の底上げを図るために、一〇%から二〇%程度に設定したものでございます。

○北口委員 今回の見直し案は、事業者の底上げを目的にしているという答弁がありました。それであれば、当面の義務としては、一〇%から二〇%は妥当ではないかと考えます。
 非ガソリン車の導入義務を課すのであれば、事業者に対する導入支援が重要です。例えばハイブリッドについては、都の補助制度により、ユニバーサルデザインタクシーの導入が急速に進んでいると聞いております。
 そこで、これまでのユニバーサルデザインタクシーの補助実績について説明を求めます。
 また、ZEVの補助についても導入支援策の充実が必要と考えますが、併せて都の見解を伺います。

○筧環境改善部長 今回の制度の見直しにおいて、非ガソリン車の導入義務を新設するに当たっては、事業者が非ガソリン車を円滑に導入できるよう、各種支援が必要であると認識しております。
 ユニバーサルデザインタクシーについては、平成二十八年度から補助を開始しており、これまでの補助実績は一万三千台以上で、都内法人タクシーの四割を超えております。
 ZEVに対する補助については、令和三年度から補助金額を増額したほか、国の補助を併用可能とするなど拡充を図ってまいりました。
 今後もこうした支援策などにより、ZEV等非ガソリン車の導入を促進してまいります。

○北口委員 ユニバーサルデザインタクシーについて、補助制度もあり、ハイブリッド車の導入が促進をされていることが分かりました。
 ZEVについては、国や都の補助金があるとのことですが、現状、事業者にとって、FCV、水素自動車はまだまだ高価であり、かつインフラ整備も不十分であります。また、EVは航続距離、充電設備、充電時間の問題など課題もたくさんあります。
 いずれにしましても、ガソリン車からZEVへの転換は世界の潮流となっています。本制度についても、今回の見直しを契機として、これからの時代にふさわしいものになることを期待します。そのために、二〇三〇年カーボンハーフに向けて、より環境性能の高い自動車の導入が促進される制度としていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○里吉委員 私からも、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例、低公害、低燃費車の導入義務の方向性について伺ってまいります。
 東京都は、自動車使用による環境負荷の低減を目的に、自動車を多く使用している事業者に対して、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例及び同施行規則により、一定割合の低公害、低燃費車を導入することを義務づけています。
 低公害も低燃費も、どちらもさらなる改善が必要ですが、今回は、特にゼロエミ東京戦略で目標に掲げた、二〇三〇年までCO2排出五〇%削減の目標を、この分野からどう実現していくのかという角度から質疑を行っていきたいと思います。
 まず、今回の義務制度の対象は、都内で二百台以上の自動車を使用する百八十の事業者となっていますが、初めに、具体的にどのような会社があるのか伺います。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車の導入義務の対象は、都内で二百台以上の自動車を使用している事業者であり、令和二年度末現在、約百八十者ございます。
 業種で見ると、道路貨物運送業、道路旅客運送業、製造業、卸売小売業、物品賃貸業など幅広い分野が対象となっております。
 具体的には、運送会社やタクシー会社のほか、リース会社や自動車販売会社、銀行、保険会社などの事業者がございます。

○里吉委員 大きなトラックを持つ運送会社から、営業などで普通自動車をたくさん使う銀行、保険会社などまで、対象が幅広いということが分かりました。
 こうした全体に対して、環境負荷の低減を目的に一定の義務を課しているこの制度、大変重要な制度だと思います。
 この制度は、先ほどの質疑でもありましたけれども、開始当初は、どちらかというと大気汚染対策が中心であったと思います。そして、五年ごとに改定を行ってきたわけですが、この間の五年ごとの改定について、どのように変遷してきたのか、その都度どのような議論があったのかについて伺います。

○筧環境改善部長 本制度は平成十三年度に開始しており、開始当初はディーゼル車等からの粒子状物質の低減を主な目的としていました。
 平成二十三年度から始まる第三期では、地球温暖化対策のためCO2削減の視点を取り入れ、対象車両を低公害車から低公害、低燃費車に改めるとともに、ZEVの普及を促進するため、電気自動車や燃料電池車等について換算率を設けました。
 さらに、平成二十八年度から始まる第四期では、取組の強化に向けて、対象車両をより環境性能の高い特定低公害、低燃費車に変更するとともに、導入義務率を五%から一五%に引き上げました。

○里吉委員 二〇一一年度から始まった第三期からは、本格的に地球温暖化対策のため、CO2削減の視点を入れ、それを強化してきたことが分かりました。
 そして、さらに今回は、新設で乗用車における非ガソリン車の導入義務率を設定しましたが、改めて、この目的と、なぜ一〇%から二〇%としたのか伺いたいと思います。

○筧環境改善部長 都では、ゼロエミッション東京戦略に基づき、二〇三〇年までに乗用車の新車販売における非ガソリン車の割合を一〇〇%とすることを目標にしております。
 今回の低公害、低燃費車の導入義務の見直しに当たっては、そうした都の目標を踏まえ、乗用車における非ガソリン車の導入義務を新設いたしました。
 義務率の設定に当たっては、対象事業者の現在の非ガソリン車の導入状況や今後の導入見込み等を踏まえ、一〇%から二〇%程度としております。

○里吉委員 都のゼロエミ東京戦略の新たな目標には、二〇三〇年までに都内の乗用車新車販売台数一〇〇%非ガソリン化ということが掲げられましたが、同時に、都内を走る自動車全体のどれくらいが非ガソリン車となるかということも重要で、そういう意味では、大規模な事業所の目標を決めることは重要だと思います。
 本当にこの計画、二〇二七年までの計画になりますから、ぜひ一気に進めるため、最大限の目標に引き上げていただきたいということを求めておきます。
 そして、先ほどご説明にもありましたけれども、これは最低限を決めるもので、義務率を大幅に上回っているところもたくさんあると。
 一方で、義務率達成が難しい事業者があって、この底上げをするということが大事だというお話でしたけれども、具体的には、この義務率達成が難しい事業者、どのような課題があるのか伺います。

○筧環境改善部長 低公害、低燃費車の導入率は、道路貨物運送業や物品賃貸業などで低くなっております。
 道路貨物運送業では、軽貨物、小型貨物車などで特定低公害、低燃費車が少ないこと、物品賃貸業では、レンタカー、工事用車両のリースなどで、顧客のニーズや業務用途に合った特定低公害、低燃費車が少ないことが原因となっております。

○里吉委員 まだまだ軽貨物、小型貨物車などで特定低公害、低燃費車が少ないということが理由として挙げられました。
 メーカーが先か規制が先かという話になってきますけれども、ぜひ東京都として率先してCO2削減を進めようと思えば、メーカーにも働きかけていただいて、特定低公害、低燃費車の製造を進めていただくよう、業界とも協力して、この取組を進めていくことも必要ではないかと考えます。
 そしてさらに、目標達成のためには、資金調達、補助制度、様々な相談の支援が重要ですけれども、現在どのようなものがあるか、また、今回目標を引き上げるということでは、今後さらに検討しているものもあるのかどうか伺いたいと思います。

○筧環境改善部長 都はこれまでも、中小事業者に対して、低公害、低燃費車の買換え時の融資あっせんをはじめ、ハイブリッドトラック、バスやUDタクシーの導入補助のほか、最近では電気自動車などZEVの導入補助を大幅に増額するなど、経済的支援を行っております。
 また、自動車環境管理計画書制度を活用し、自動車Gメンによる指導助言を行うなど、事業者の実情に合わせた技術的な支援も行っております。
 今後も低公害、低燃費車の導入が進むよう、各種事業者支援を実施してまいります。

○里吉委員 今後とも低公害、低燃費車の導入が進むよう各種事業者支援を実施していくということでしたけれども、特に新しい制度ですとか制度の拡充についてはご答弁はありませんでした。
 UDタクシーの導入補助などは、国の補助もありましたけれども、かなり手厚い補助ということで、まちを歩いていますと分かりますように、UDタクシーの普及は本当に一気に進んだというふうに思います。
 小規模の事業者も含めて、この二百台以上の会社だけじゃなくて、都内全域で、軽貨物、小型貨物車なども含めて、特定低公害、低燃費車への買換えが進むような支援、相談や融資、助成制度など、今回の見直しと併せて、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 特に助成制度の拡充などについては、ぜひ取り組むべきと強く要望しておきます。
 そして、今回の見直しの方向性については、専門家による検討会で議論したというふうに伺っていますが、具体的にはどのような議論があったのか伺います。

○筧環境改善部長 都はこれまで、本年七月五日と八月三十日の二回、学識経験者による検討会を開催し、見直し案の検討を行ってまいりました。
 検討会では、東京の大気環境は改善されてきているが、PM二・五や光化学オキシダントなどについてさらなる対策が必要であることや、最近のZEVの動向を踏まえる必要があることなどの意見が出されました。
 最終的には、今回の見直し案の方向性については妥当であるとされたところでございます。

○里吉委員 方向性については妥当ということですけれども、今回、特定低公害、低燃費車の導入義務率については一五%から、見直し案が二〇%から三〇%程度ということ、非ガソリン車の導入義務も、一〇%から二〇%程度ということで、方向性は妥当ですけれども、数字はまだ決まっていないというわけですので、ぜひこれはゼロエミ東京戦略を実現するにふさわしい目標にしていただきたいと思います。
 改めて今回の改正では、このゼロエミ東京戦略に掲げた二〇三〇年までのCO2排出五〇%削減、運輸部門でどこまで進めるかという目標と併せて検討する必要があると思いますが、見解を伺います。

○筧環境改善部長 ゼロエミッション東京に向け、二〇三〇年カーボンハーフを実現していくためには、低公害、低燃費車導入義務制度においても、環境基本計画やゼロエミッション東京戦略と整合を図る必要がございます。
 そのため、制度の見直しに当たっては、義務対象事業者によるCO2削減行動を加速化するよう、義務率の引上げや乗用車における非ガソリン車の義務率の新設を検討しております。

○里吉委員 今回の見直しに、初めて乗用車における非ガソリン車の導入義務率が設定されたということは、現行制度に比べて、CO2削減を大幅に進めようという方向性だというふうに私は理解しております。
 ただ、この非ガソリン車の中にハイブリッド車も入っているんですけれども、EUでは、今、二〇三五年までにガソリン車などの新車販売禁止方針というのがありますが、これはハイブリッド車を含むガソリン車やディーゼル車の販売を事実上禁止する方針というふうに報道されております。
 東京都の補助制度を見ますと、電気自動車とハイブリッド車の補助金で差がついているんですよね。EVだと最高二十万円、PHVだと十万円。これはやはり、どちらかといえば電気自動車に移行してもらいたいという位置づけなのかなと私は思うんですけれども、ぜひ、より環境性能の高い方に誘導していただきたいというふうに思います。
 最後に、先ほども申し上げましたけれども、今回改正後の達成期限は二〇二七年であり、二〇三〇年までにCO2五〇%削減という目標達成にふさわしい取組になるかどうかが問われております。
 今、ちょうど環境基本計画の議論が行われていますが、この議論も併せて、ぜひゼロエミ東京戦略の目標にふさわしい今回の目標となるように求めて、私の質問を終わります。

○須山委員 マスク着用だったら、ここで質問していいということだったので、自席から質問させていただきます。
 まず、低公害、低燃費車の導入義務について伺います。
 現在の制度では、窒素酸化物などの排出ガス基準と燃費基準を満たした車両を一五%以上導入することが義務づけられており、自動車を多く使用する事業者に一定の環境負荷の低減を求めるもので、地球環境保護の意識が高まっている昨今、非常に大切な制度であると考えております。
 一言で自動車といっても、乗用車やトラック、タクシー、バスなど様々な種類がありますけれども、まず、義務対象事業者が使用する車両総数のうち、低公害、低燃費車はどのぐらいあるのか、また、車種によって導入状況に差があるのかを教えてください。

○筧環境改善部長 詳細なデータがある令和元年度末の、低公害、低燃費車導入義務対象事業者において使用している車両の合計は約十三万七千台であり、そのうち低公害、低燃費車は約三万四千台で、導入率は約二五%となっております。
 車種ごとの低公害、低燃費車の導入率を見ると、乗用車の導入率が約三一%と高い一方で、貨物車等は約一八%と比較的低く、車種によって差がございます。これは、車種によって車両の更新サイクルが異なることや、低公害、低燃費車の市販車が少ない車種があることなどによるものでございます。

○須山委員 ありがとうございます。車種によって低公害、低燃費車の導入率に差があることが分かりました。二百台以上の自動車を使用する事業者が義務対象ということですけれども、そのような事業者は貨物運送業やタクシー業などの業種を思い浮かべますが、そのほかにも銀行や不動産業など幅広い分野の事業者が含まれているということでした。
 そこで、業種が違うと使用する車種も異なることから、義務達成の難しさも変わってくるかと考えられます。業種によっても低公害、低燃費車の導入率に差があるのか教えていただきたいと思います。

○筧環境改善部長 令和元年度末現在の低公害、低燃費車の導入率を業種別に見ると、製造業やタクシー業の導入率が五〇%を超えている一方、道路貨物運送業や物品賃貸業は一〇%から二〇%程度にとどまっております。
 導入率が低いのは、一部の貨物車には低公害、低燃費車の車両が少ないことや、リースなどで顧客のニーズに合わせて車両を選択せざるを得ないなどの事情によるものと考えております。

○須山委員 業種によっては低公害、低燃費車の導入が困難なようですが、導入義務ということで達成が求められます。
 これまでは未達成の事業者がなかったということで、適用された例はなかったと伺っておりますが、この制度には公表等のペナルティーがあると伺っております。
 そこで、令和二年度末現在で対象事業者の約八割が既に義務率を達成しているということですけれども、約二割の事業者はまだ達成ができておりません。こうした事業者に対して、都としてどのような指導や支援を行っているのか教えてください。

○筧環境改善部長 各事業者が低公害、低燃費車の導入を図っていくためには、計画的な車両更新が重要であると認識しております。
 そのため、都は、自動車環境管理計画書制度に基づき、各事業者から提出のあった実績報告書を基に事業者ごとの実態を詳細に把握し、きめ細かな指導や支援を行っております。
 具体的には、事業者ごとに事業者カルテを作成し、同業他社との比較を示すとともに、使用している車両のリストを基に車両更新のアドバイスなどを実施しております。
 また、融資あっせんや車両導入補助など、都や国の制度について紹介するなどして、低公害、低燃費車の導入が着実に進むよう支援をしております。

○須山委員 冒頭でも申しましたけれども、この計画は、環境保護などに取り組んでいくためにも、とても大切なものだと考えております。
 そうした中で、事業者の皆さんにご協力をいただき、共に進めていくことが非常に大切だと考えます。
 やはり事業者の皆さんの声をしっかりと聞いていただいて、そして現状をしっかりと把握をしていただく。そしてまた、必要な支援をする中で、目的の達成を進めていっていただきたいと思います。
 続きまして、資源循環・廃棄物処理計画について伺わせていただきます。
 今回の計画を見ると、資源循環や廃棄物処理を取り巻く状況から、具体的な施策まで広範に記されておりますけれども、中でも、計画目標として数値目標を掲げている点が非常に重要だと考えます。
 このうち、一般廃棄物排出量と市区町村災害廃棄物処理計画策定率については、今回の計画で初めて定めた目標ということでしたけれども、その狙いについてお聞かせいただきたいと思います。

○上林山資源循環推進部長 新たな資源循環・廃棄物処理計画では、二〇二五年度までの目標として、一般廃棄物排出量を四百四十万トンとすること、市区町村による災害廃棄物処理計画策定率を一〇〇%とすることを目標といたしました。
 一般廃棄物については、これまで再生利用率を目標としてまいりましたが、環境負荷のさらなる低減に向けて3Rの基本であるリデュースをより一層進めるためには、具体的な数値を掲げることが効果的であることから、新たに目標として設定いたしました。
 また、近年、風水害等の災害が増える中、迅速に災害廃棄物を処理するためには、災害廃棄物処理計画により事前に処理手続を定めておくことが重要であり、市区町村に計画策定をこれまでよりも強く求めるため、目標として設定をいたしました。
 今後、市区町村と目標を共有するとともに、密接に連携を図りながら、目標達成に取り組んでまいります。

○須山委員 目標を掲げた以上、確実に達成することが重要です。いずれの目標についても、市区町村の取組が非常に重要ですので、しっかりと連携しながら進めていただきたいと思います。
 先ほど目標を伺った一般廃棄物の内訳を見ると、排出量の約八割は可燃ごみであり、その中で一番多いのは紙ごみということです。そして、これらは家庭のみならず、都内に集積した大小様々なオフィス等の事業所から排出をされております。
 こうした事業所では、瓶や缶などのリサイクルは進んでいる一方で、紙ごみや廃プラスチックといった大量に排出される資源の循環利用は進んでいないというふうに伺っております。
 オフィスビル等で飲食店等も含め様々なテナントが入居しており、排出される廃棄物の分別が徹底されにくい、廃棄物の保管スペースも限られていることなどから、ごみの分別、リサイクルが進んでいないというふうに伺っております。
 そこで、紙ごみを含む様々な資源の循環利用に向け、事業所に対して直接、適切な分別やリサイクルを丁寧に働きかけていくことが重要だと考えますけれども、都の見解を教えていただきたいと思います。

○宗野資源循環計画担当部長 オフィスビル等から排出される廃棄物は、テナントによって委託する収集運搬業者が異なっていたり、ビルオーナー等の協力がなければビル単位での分別の徹底が難しいなどの課題がございます。
 また、紙ごみは市区町村が所管する一般廃棄物、プラスチックごみは都が所管する産業廃棄物であるなど、各事業所にとって分かりにくく、分別、リサイクルが進まない要因となっております。
 こうした状況を踏まえまして、各事業所における3Rの取組を進めていくためには、事業所から大量に排出される紙ごみ、廃プラスチック等について、都と区市町村が連携してトータルに助言していく体制が重要でございます。
 そのため、都は昨年度から、オフィスビルや商業施設等から排出される事業系廃棄物の3R促進に向け、廃棄物全般の知見を有するアドバイザーが区市町村と連携して、各事業所を直接伺い助言する3Rアドバイザー制度を試行的に開始しておりまして、分別ルールの設定や従業員への周知方法など、具体的な、実践的なリデュース、リユース、リサイクルの方法を助言しております。
 今後も市区町村と連携しながら、各オフィスビル等、業態や管理実態に応じた一般廃棄物、産業廃棄物、分け隔てない助言を実施することで、各事業所の取組レベルを引き上げ、貴重な資源の3Rを推進してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。様々な廃棄物が排出される事業所に、一般廃棄物、産業廃棄物の区分をしっかり踏まえた分別、リサイクルを定着させていくことは簡単ではありません。各オフィスビル等での取組のレベルアップにつながるよう、引き続き都と市区町村の連携をしっかりと緊密にしていただいて、事業を実施していただくよう要望したいと思います。
 計画では、三本の柱の一つとして、廃棄物処理システムのレベルアップが挙げられております。私たちの暮らしを支える社会基盤である廃棄物、リサイクルシステムを維持するだけでなく、さらに強靱化、高度化を目指していくことは非常に重要な視点であると考えます。
 昨今のデジタル技術の進展は著しく、新たな技術を活用して効率化を進めることで、今後の人口減少社会においても、廃棄物処理システムの発展に寄与することが期待できます。
 こうした新たな技術の活用は、排出する側と処理事業者双方の利便性向上につながるものであり、導入に際しては、事業者の技術導入がスムーズに進むよう、都がリードしていくことが必要であると考えます。
 そこで、都はこれまでどのようにそういったことに取り組んできたのか、また、今後どのように取組を進めていくのかを教えていただきたいと思います。

○宗野資源循環計画担当部長 新たな技術を活用した廃棄物処理システムのレベルアップに向けましては、個々のリサイクル事業者や廃棄物処理業者が有する知見、技術力、発想力などを生かした新たなビジネスモデルを構築していくことが重要でございます。
 都はこれまで、ITを活用して、効率的に廃棄物を収集する方法をシミュレーションするほか、収集運搬業者等十九社参画の下、ウェブを活用した排出事業者が利用しやすいワンストップ型の事業ごみ受付センターをモデル事業として実施するなど、社会実装に向けた取組を支援してまいりました。
 また、本年度は、IT等、先進技術を活用したリサイクルや事務処理プロセスの効率化、高度化を目指す事業者の公募の上、事業者と共同で実施するモデル事業を開始しております。
 今後も、こうしたレベルアップにつながる有効な取組を掘り起こし、積極的にリサイクルや廃棄物処理を進める事業者と連携しながら、新たな技術の社会実装を支援してまいります。

○須山委員 ありがとうございます。社会全体のデジタル化が進む中で、都民生活や産業活動を支える廃棄物処理システムも、こうした流れを踏まえ、高度化を図っていくことが大切です。
 先日、私の地元の八王子市も報道されておりましたけれども、コロナの巣ごもり需要で段ボールごみが増え、また、逆には、事業系ごみが減少していったと、そういった報道がされておりました。
 こうした社会状況の把握、そしてまた、現状をしっかりと認識をしていく、そういったことに俊敏に対応していくこと、そういったことは、ICTを活用していく中で非常に有効に使えると考えております。
 そういった意味でも、今後もしっかりと事業者の新たなチャレンジを後押ししながら、廃棄物処理システム全体の活性化を図っていくことを期待したいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時二十一分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○漢人委員 グリーンな東京の漢人あきこです。都民の健康と安全を確保する環境に関する条例等の改正による低公害、低燃費車の導入義務制度の見直しの方向性の報告について質問いたします。委員会での質問は初めてでありまして、ご指導やアドバイスをいただきました職員をはじめとした皆さんに感謝を申し上げます。
 まず、質問に先立って一つ、今後に向けてのお願いがあります。今回の改正に向けて、専門家による検討委員会が設置され、七月五日、八月三十日の二回の会議が開催されていますが、その会議資料と議事要旨がホームページに公開されたのは九月二十七日でした。
 議事要旨の作成には一定時間がかかるとしても、会議資料は速やかにアップすることができるはずです。貴重な資料を有効に活用するために、今後の改善を求めます。よろしくお願いします。
 それでは、質問に入ります。
 まず、東京都の気候危機対策が先進的、意欲的に取り組まれてきたことに深く感謝し、敬意を表します。しかし、今はそれでも追いつかないほどに深刻化している気候危機への対応が迫られている現状だと認識しています。
 今回の規制対象となっている自動車については、その約八割を占める運輸部門のCO2排出量は、二〇〇〇年比率ではほぼ半減しています。保有台数や走行量が微減していることに加え、燃費の改善が進んだことによるものと報告されています。政策的な誘導と、メーカーや事業者の皆さんの努力による成果です。
 今回の見直しは、その意味では、優等生にもっと頑張れということではありますが、でも一方で、これでゼロエミッション東京戦略の目標が達成できるのだろうかと、とても心配です。
 質問の一つ目は、低公害、低燃費車の導入義務率二、三〇%への引上げについてです。CO2の大幅削減の観点からは、導入義務率の引上げは高い方が望ましいと思われます。二、三〇%の間で検討するとのことですが、その論点は何ですか。また、三〇%引上げの課題やハードルとなるものは何でしょうか。答弁を求めます。

○筧環境改善部長 本制度の導入義務率は、全ての対象事業者に課すものであることから、低公害、低燃費車の導入状況や今後の導入見込みを踏まえ、事業者の努力により達成可能な水準に設定することが重要と考えております。
 詳細なデータがある令和元年度のデータにより個々の事業者の導入率を見ると、導入率五〇%以上の事業者が約百九十者のうち約四十者ある一方、二〇%に満たない事業者が約八十者あり、二極化している状況でございます。
 今回の見直しでは、新しい義務率を二〇%から三〇%程度に設定する方向で検討しており、最終的な義務率は、導入が進んでいない事業者の実情や都のCO2削減目標などを総合的に勘案して設定する予定でございます。

○漢人委員 導入率の二極化が著しく、導入率の低い約八十者の事業者が実現可能な数値にしたいということだと思います。
 検討委員会の資料によりますと、二極化の導入率の低いグループは、貨物、乗り合いの保有割合が高く、更新年数が長い、対象車種のラインナップが少ないなどの課題があるようです。
 どう引き上げるかが課題だというのは分かります。しかし、メーカーへの働きかけ、また、更新や買換えの時期を捉えた働きかけなど、またさらに、事業者への導入支援の見直し、さらなる補助金のアップなども検討する必要があるのではないでしょうか。それらと併せて、ぜひ三〇%となるように強く要請します。
 次に、非ガソリン車の導入義務率について伺います。
 今回、非ガソリン車の導入義務率を新設するわけですが、非ガソリン車とはZEV、ゼロエミッション車である電気自動車、EV、燃料電池車、FCV、そしてプラグインハイブリッド車、PHVのほかに、新たにハイブリッド車を追加したものです。
 つまり、今後、ゼロエミッション車の導入を積極的に推進しなければならないにもかかわらず、むしろハイブリッド車でもいいよとレベルダウンを推奨することになっているのではないでしょうかと私は感じますが、見解を伺います。

○筧環境改善部長 都では、ゼロエミッション東京戦略に基づき、二〇三〇年までに乗用車の新車販売台数に占める非ガソリン車の割合を一〇〇%、ZEVの割合を五〇%にすることを目標としており、今回の低公害、低燃費車の導入義務の見直しに当たっても、こうした都の目標を踏まえ、新たに非ガソリン車の導入義務率を設定することといたしました。
 導入率の算定に当たっては、ZEV一台を二台に換算することとして、ZEVの普及を促進させる仕組みを取り入れております。

○漢人委員 ゼロエミッション東京戦略のアップデート版の政策4のゼロエミッションビークルの普及促進の、直ちに加速、強化する取組で示されているのは、ZEV化の強力な推進の具体的な取組です。
 二〇五〇年にはZEV一〇〇%が求められているのに、二〇二一年、つまり今年三月末のZEVの導入率はたったの〇・九%と極めて低く、検討委員会の資料では、導入拡大は、二〇二六年以降と想定されています。これではZEV化への取組が遅過ぎはしませんでしょうか。
 そもそも、ゼロエミッション東京戦略アップデート版で非ガソリン車というカテゴリーがつくられ、新たにハイブリッド車の拡大が優先され、ZEVが先送りされたことに、私は納得ができません。
 EUは、二〇三五年に、ハイブリッド車だけではなくプラグインハイブリッド車も含めた販売禁止を目指しています。
 現状でも、ハイブリッド車のCO2排出量はゼロエミッション車の一・三倍、また、二〇三〇年目標である再エネ五〇%が達成できた中での電気自動車であれば二倍になると伺っています。
 今回、ハイブリッド車の導入を進めれば、そのZEVへの再更新、買換えにはさらに年数がかかることになります。二〇五〇年ZEV一〇〇%の支障になるのではないでしょうか。
 また、ZEV一台を二台に換算することにしたとのことですけれども、現計画では、燃料電池車と電気自動車は一台を三台に、そして、プラグインハイブリッド車は二台に換算していたということからすれば、これは後退しているということにはならないでしょうか。
 検討委員会の資料では、二〇三〇年時点でゼロエミッション車の導入を一五%未満とするシミュレーションが示されていますが、それでは不十分です。大幅修正が求められると思います。
 ZEVの導入推奨に向けて、メーカーへの働きかけ、事業者への更新時期を捉えた働きかけ、また導入支援の見直しなどに加え、事業者の安定利用のために、急速充電設備をはじめとした社会インフラの整備などの取組強化が必須だと考えます。
 環境局担当の皆さんの一層の先進的、意欲的な取組を期待して、質問を終わります。

○星委員 私からも、資源循環・廃棄物処理計画について伺わせていただきます。
 二〇一九年十二月に策定したゼロエミッション東京戦略において、都は、資源循環分野においてもゼロエミッション東京の実現に貢献していくことを示しました。
 地球温暖化は、今までに経験したことのない自然現象や、生命を脅かす災害を世界中でももたらし、我が国においても、大型で勢力の強い台風が接近する頻度が増加しており、様々な分野でゼロエミッションを目指す取組を推進していくことが重要となっております。
 今回策定された新たな資源循環・廃棄物処理計画では、三本の柱の一つ、社会的課題への果敢なチャレンジにおいて、CO2実質ゼロに貢献していくことが示されております。
 そこで、まず初めに、資源循環分野において、都は、今後どのようにゼロエミッションへ貢献していくのか伺わせていただきます。

○上林山資源循環推進部長 都は、大消費地としての責務を果たすため、資源循環分野においても脱炭素を追求し、CO2実質ゼロのゼロエミッションに貢献できるよう施策を展開する必要がございます。
 このたび策定した資源循環・廃棄物処理計画では、市区町村と連携した分別、リサイクルの促進や、先進的な企業と連携したイノベーションの創出により、プラスチックの3Rを促進するとともに、先進技術を活用した発生抑制や、優れた事業者等のノウハウ共有による食品ロスの削減等により、CO2削減へ貢献することといたしております。
 また、廃棄物の収集運搬車両のZEV化や、清掃工場や廃棄物処理施設等において、処理の過程で使用される機器や空調設備等の省エネ化などの取組を掲げてございます。

○星委員 今、ご答弁のありました施策はどれも重要なものばかりだと思っております。実施に向けては課題も多くあると思いますが、着実に進めていただきますよう、よろしくお願いをいたします。
 一方で、気候変動の影響によると見られる豪雨災害等は、毎年のように発生をしております。令和元年台風十五号、十九号では、島しょ部や多摩地域でも大きな被害をもたらしてしまいました。
 災害により発生した災害廃棄物は、一般廃棄物として市町村が処理責任を負っており、日々発生する生活ごみと災害廃棄物を並行して処理をしていく必要があります。また、災害廃棄物の量が膨大になった場合には、近隣の自治体などと連携をして処理に当たることも必要となってきます。
 そのために、災害が発生したときに、こうした処理を円滑に実施し、一日も早く日常を取り戻していくためには、あらかじめ災害廃棄物処理計画を定めて、処理の道筋を明確にしていくことが必要だと考えます。
 都が、今回の計画において、市町村による災害廃棄物処理計画の策定率を二〇二五年度までに一〇〇%、すなわち全ての市町村が災害廃棄物処理計画を策定した状態にすると目標を示したことは、非常に意義があると考えます。
 そこで、現在の災害廃棄物処理計画の策定状況と、今後どのような目標達成に向けて取り組むのか見解を伺います。

○上林山資源循環推進部長 災害廃棄物を迅速かつ適正に処理するためには、全ての市区町村において災害廃棄物処理計画を策定することが重要であることから、今般の計画において、市区町村による災害廃棄物処理計画の策定率を一〇〇%とする目標を新たに掲げております。
 二〇二一年三月末時点で、都内六十二自治体のうち三十五自治体が災害廃棄物処理計画を策定しており、策定率は五六・五%となってございます。
 都は、市区町村による災害廃棄物処理計画の策定を促すため、市区町村との連携による地域環境力活性化事業によりまして、計画策定に向けた調査費などの二分の一を補助しております。
 今後は、計画を策定していない自治体に対しまして、個別に本制度についての説明や他自治体の計画に係る情報提供を行うなど、計画策定の働きかけを強化し、目標達成を目指してまいります。

○星委員 ありがとうございます。私の地元町田市では、今、ご答弁のあった補助制度を活用して、平成三十年度に災害廃棄物処理計画を策定しております。一刻も早く全ての自治体が策定できるよう、都としても働きかけを行っていただくよう、よろしくお願いをいたします。
 さて、災害廃棄物処理計画を策定することで一定の備えはできると思いますが、肝腎なのは、実際に災害が発生したときに、職員が的確に行動できるかであると思います。そうした点から、次のステップとして、災害を想定した研修や訓練をしっかりと積んでいくことが必要であると考えます。
 しかしながら、市区町村では、日々の廃棄物処理も先ほど申し上げたように行っており、また、人員も限られることから、そこまでも手が回っていないのが現状であります。
 そこで、都が主導して市区町村職員を対象に実践的な研修を行うことで、的確に災害廃棄物を処理できる体制を整備していくことが重要だと考えておりますが、見解をお伺いいたします。

○上林山資源循環推進部長 災害発生時に迅速かつ的確に災害廃棄物を処理するためには、現場で業務に当たる職員の災害対応力向上は不可欠でございます。
 このため都は、市区町村や一部事務組合の職員を対象に、有識者や被災自治体の職員を講師に招いて情報交換会を行うとともに、実際の災害発生を想定した図上演習を実施しており、今年度は多摩地域と区部でそれぞれ一回開催をいたします。
 演習では、市区町村で策定した災害廃棄物処理計画等を使用し、想定した被害を基に、被災時の具体的な対応とその手順について参加者がグループごとに検討した上で、外部の専門講師が指導を行っております。
 こうした取組により職員のレベルアップを図りまして、実際の災害時にも的確に対応できる体制の構築に努めてまいります。

○星委員 ありがとうございます。こうした取組は非常に重要だと思います。特に演習は繰り返し行ってこそ身につき、実際の行動につながると思います。
 都には、引き続き市区町村の災害対応力向上に取り組むことを要望いたしまして、質問を終わります。

○原委員 世界で深刻化する気候危機に対し、温暖化ストップ、脱炭素社会への真剣な努力が課せられています。そうした角度から、私は、東京都資源循環・廃棄物処理計画について質問させていただきます。
 二〇五〇年までにCO2排出ゼロを目標に定めたゼロエミッション東京戦略の実現に向けて、東京都資源循環・廃棄物処理計画の中での位置づけについて、まず伺います。

○上林山資源循環推進部長 今回の資源循環・廃棄物処理計画では、二〇三〇年のあるべき姿を示しつつ、持続可能な資源利用の実現、廃棄物処理システムのレベルアップ、社会的課題への果敢なチャレンジを三本の柱として掲げてございます。
 このうちゼロエミッションへの貢献は、社会的課題への果敢なチャレンジの中に位置づけてございます。
 具体的には、プラスチックや食品ロス削減等の3R推進、収集運搬車両のZEV化、清掃工場や廃棄物処理施設等において、処理の過程で使用される機器の省エネ化などを通じて、CO2削減に貢献していくこととしております。

○原委員 プラスチックや食品ロス削減等の3R推進などが取組の課題となっていますね。リデュース、リユース、リサイクルの3Rはとても大事ですし、CO2排出ゼロのゼロエミッションを実現するには、とりわけプラスチック対策が重要と考えます。
 プラスチック七十万トンを焼却し、百四十五万トンのCO2が排出されている現状だと、この東京戦略には書かれております。まず、二〇三〇年までの目標である廃プラスチックの焼却量、二〇一七年度比四〇%削減を何としても達成させる取組が必要です。
 先般、国では、プラスチック資源循環促進法が成立したところですが、この新たな法律で強調された取組と、東京都資源循環・廃棄物処理計画との関連について伺います。

○上林山資源循環推進部長 本年六月に成立しましたプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律では、使い捨てプラスチックの使用の合理化を図るとともに、効率的な回収、リサイクルを促進するため、包括的に資源循環体制を強化することとしております。
 今回の資源循環・廃棄物処理計画の改定では、二〇一九年に都が策定したプラスチック削減プログラムや、国のプラスチック資源循環促進法に基づき、消費者や事業者、区市町村等と連携した取組を一層進めることといたしております。
 具体的には、使い捨てプラスチック製品の使用削減のほか、プラスチック製品のリユースなど廃棄物にしない取組を進めるため、新たなビジネスモデルの構築支援や、幅広い普及啓発に取り組むとともに、家庭や事業所から発生する使用済みプラスチックの分別、リサイクルの促進を図ってまいります。

○原委員 使い捨てプラスチック製品の使用を減らすことや、リユース促進、分別、リサイクルなどが強調されています。一大消費都市東京都の姿勢が問われています。
 コロナ禍で自宅滞在が多くなったことにより、家庭ごみが増えていると報告されています。テークアウトのお店も増え、使い捨てのプラ容器、いわゆるワンウエープラスチックが大量にごみとして捨てられています。
 家庭から出たごみの六割は包装容器に使われたもの、その包装容器の約八割はプラスチックと、環境局のホームページの資料にも載っていました。
 ペットボトルの分別回収は、全ての自治体で実施されています。あと、食品トレーの店舗回収も多くのスーパーで実施されていますが、自治体でのプラスチック分別回収については課題があります。
 プラスチックの分別回収は、多摩地域では二十六市中二十三市で実施しており、区部では二十三区中十二区実施となっています。特に区部での未実施が多く、プラスチックも可燃ごみとして一括回収し、一緒に焼却しているわけです。
 プラスチック分別回収未実施自治体での分別を行うための支援は、現在どのような状況でしょうか。

○上林山資源循環推進部長 都は、昨年度から、プラスチックの分別収集を行う自治体を支援するプラ製容器包装・再資源化支援事業を実施しております。
 昨年度は、分別収集を実施していない区部の自治体を全て訪問し、支援事業の活用について働きかけを行うなどし、収集運搬業務委託に係る経費や作業員の増強に係る経費等について支援してまいりました。
 今年度も、まだ実施していない自治体を中心に直接訪問し、支援事業を紹介し、活用を促すとともに、プラスチックの分別収集について意見交換等を行うなど、引き続き自治体に対し積極的な取組を働きかけてまいります。

○原委員 この事業が昨年立ち上がったことは大変重要です。
 プラスチック分別回収を自治体に働きかける際に財政支援が必要だと、我が党は何度も求めてきましたが、昨年、補助金を伴って事業化されたことで、自治体が動き始めています。
 この事業のスタートアップ支援制度を使って、日野市がプラ分別回収を実施し、ほかにも準備を始めている自治体があると聞いています。また、既にプラスチック分別回収を実施している自治体向けのレベルアップ支援制度も四自治体が利用することなど、都の後押しが行われており、重要です。
 私の住んでいる江戸川区では、プラ分別回収を実施しております。江戸川区の環境部にお尋ねしたところ、リサイクルはやればやるほど経費がかかると、その苦労を語っておられました。また、回収したプラスチックから汚れや不純物があるものを取り除く中間処理を行う業者が極めて少ないことなどが、プラスチック分別に踏み出せない自治体の背景にあるのではないかというふうにもいわれておりました。
 回収方法の変更は簡単ではないと思いますが、何としても焼却量を減らすこと、CO2を出さない方向へ進める必要がありますので、自治体からの相談にも丁寧に乗り、実施まで応援していただけるようお願いいたします。
 プラ分別回収実施には、住民の分別回収への理解と協力が欠かせないわけですが、この点でも、都としての支援をお願いしておきたいです。
 生産者責任におけるプラ回収や再商品化も、この間、進んでいるのかなと思います。
 例えば、使用済みペットボトルをリサイクルして、新たなペットボトルをつくるボトル・ツー・ボトルが実施されているそうですね。これは国内ではいつ頃から開始されて、直近ではどのくらいの割合がボトル・ツー・ボトルへリサイクルされているのかを伺います。

○上林山資源循環推進部長 使用済みペットボトルを元の素材と同等の品質に戻し、ペットボトルとして循環利用するボトル・ツー・ボトルは、二〇一一年に国内で初めて飲料ボトルへの供給が開始されました。
 また、二〇一九年度において、資源有効利用法に定める指定ペットボトル販売量は五十九万三千トンであり、そのうちボトル・ツー・ボトルへのリサイクル量は七万四千二百トンであることから、ボトル・ツー・ボトルへのリサイクル割合は一二・五%となっております。
 なお、都と連携してボトル・ツー・ボトルを推進している一般社団法人全国清涼飲料連合会では、本年四月に、二〇三〇年ボトル・ツー・ボトル比率五〇%宣言を公表し、世界のトップランナーを目指すとしております。

○原委員 いろいろなリサイクルの技術革新の中で、水平リサイクルといわれるこのような取組も、資源循環の一つの方法だといえると思います。
 同時に、今は環境への負荷という視点から、ペットボトルをはじめとしたプラスチックの生産量の総量を抑えることを考える段階に来ているのではないかと思います。形を変えたとしても、最後は、焼却時にCO2が排出されるわけです。この点で、東京都にも何ができるかを考えてほしいと思います。
 最後に、プラスチックの海ごみ問題についてお尋ねします。
 プラスチックやごみの不法投棄による海洋汚染が深刻です。海ごみや海洋プラスチックの削減に向けた取組はどうなっているのか、全庁的な対策の仕組みはあるのかを伺います。

○上林山資源循環推進部長 都は、プラスチックごみの流出防止に向け、海ごみ問題を都民に広く啓発し、清掃活動への参加につなげるTOKYO海ごみゼロアクションを実施しております。
 具体的には、専用のウェブサイトを開設し、海ごみ問題を分かりやすく解説する動画や環境学習資料の掲載等を行うほか、まち中や河川等での清掃活動の紹介等の情報を発信しております。
 また、河川におけるプラスチックを含むごみの清掃は、河川管理者である建設局が、東京港における清掃は、港湾管理者である港湾局が行っているほか、伊豆・小笠原諸島の海岸に漂着したごみについては、海岸管理者である建設局、港湾局及び支庁が実施しております。

○原委員 清掃活動などにご尽力されている団体もあり、大変頭が下がります。
 海洋汚染や生態系の破壊につながる海ごみやマイクロプラスチック問題に対し、東京都として、二〇一四年には海洋プラスチック実態調査を行っていると思います。七年たっていますので、改めて海洋プラスチックの実態調査を行うなど、関係庁を挙げての海洋汚染対策に取り組む必要があると考えます。
 持続可能な社会へ、環境局がゼロエミッション東京戦略を牽引する役割を果たされるよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○田村委員 私からは、資源循環・廃棄物処理計画について伺います。
 私たちは今、気候変動と感染症という二つの危機に立ち向かっている真っ最中です。この闘いの中にあって、資源循環、廃棄物処理分野は重要な位置づけにあると考えています。
 気候変動については、コロナ禍において、飲食店がテークアウトを行う際に、安価で衛生的なプラスチック容器が重宝されている一方で、プラスチックを焼却する際にCO2が発生するという課題を抱えています。
 また、清掃、リサイクル事業は人手に頼る部分が非常に多く、感染のリスクと隣り合わせの中での作業を余儀なくされています。
 これらの課題については、一朝一夕に解決するものではなく、長期的な視点に立って取り組むことが重要と考えています。
 都がこのたび策定した資源循環・廃棄物処理計画では、二〇二五年までを計画期間としつつ、二〇三〇年のあるべき姿を視野に入れるとしていますが、こうした点についてどのように捉えているのか伺います。

○上林山資源循環推進部長 新たな資源循環・廃棄物処理計画では、二〇三〇年のあるべき姿として、持続可能な形で資源を利用する社会の構築を目指すとともに、社会的なコストや環境を踏まえた上で、社会基盤としての廃棄物、リサイクルシステムの強化を目指すとしております。
 この実現に向けて掲げた三本の柱の一つ、社会的課題への果敢なチャレンジでは、コロナ禍や災害時においても廃棄物処理体制を維持するための方策を講じること、廃棄物分野においてもCO2排出実質ゼロに貢献することを示しております。
 今後、本計画やプラスチック削減プログラム、食品ロス削減推進計画に掲げた施策を着実に実施し、CO2削減を目指すとともに、自動選別など廃棄物処理に係るプロセスの自動化、高度化や、業務の電子化等による感染症対策を図りながら、資源循環、廃棄物処理システムの発展に取り組んでまいります。

○田村委員 プラスチックについては、レジ袋や使い捨て容器など、いわゆるワンウエープラスチックの使用は可能な限り減らしつつ、衛生面の確保を目的とした利用を避けられないものについては、しっかりとリサイクルしていく必要があります。
 今回の資源循環・廃棄物処理計画では、事業者における廃棄物循環利用のさらなる促進に向けた施策の方向性が示されました。
 事業系の廃プラスチックについては、有害廃棄物の国際的な貿易を規制するバーゼル条約が改正され、本年一月から、汚れた廃プラスチックが輸出規制の対象として加わったことから、国内での有効利用が課題となっています。
 これまで海外に輸出されてきた廃プラスチックを見ると、金属類や一般ごみなど、リサイクルが困難な異物が含まれた状態で梱包されているケースが多かったと聞いていますが、こうした廃プラスチックの処理品質を高め、国内において有効利用を拡大していくことが重要です。
 直近では、新型コロナウイルス感染症により経済活動が制約を受けた結果、事業所からの廃棄物の発生量は減少しているとのことですが、コロナ後の経済復興を見据え、プラスチック資源循環に向けた取組を着実に進めていくべきと考えますが、都の取組を伺います。

○上林山資源循環推進部長 理事ご指摘のとおり、廃プラスチックのリサイクルにつきましては、改正バーゼル条約の影響を注視するとともに、来年四月に施行されますプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の制度設計を見据えながら、国内でのリサイクル拡大を促していく必要がございます。
 都はこれまで、廃プラスチック緊急対策として、廃プラの輸出動向及び国内リサイクルの実態調査を行い、排出事業者や産業廃棄物処理業者に向けたセミナー等による情報発信を行ってまいりました。
 また、業界団体及びセメント工場等と連携し、産業廃棄物処理業者八社のご参加を得まして、廃プラの国内有効利用に向けた実証事業に取り組み、処理品質の向上等を促しております。
 今後、効果的な処理や広域的な輸送方法等に関する課題を検証し、業界団体と情報共有を図るとともに、先進的な技術の導入による処理プロセスの高度化を目指す事業者の取組についても後押しすることで、プラスチック資源循環を促進してまいります。

○田村委員 アフターコロナにおける廃プラスチックの処理、リサイクル市場の見通しについても、関連する事業者とも意見交換を図り、国内でのプラスチック資源循環の実現につなげていただくよう要望します。
 続いて、感染症対策として、電子マニフェストの導入について伺います。
 今般のコロナ禍において、廃棄物処理業は継続すべき社会インフラ事業として位置づけられ、都における経済活動や資源循環の取組を支えてきました。
 廃棄物処理等に携わる事業者は、マスクや消毒など現場作業での感染対策の徹底を図りながら事業継続に努め、都も、こうした事業者に対してマスク等保護具の給付を行うなど、支援をしてきたと認識しています。
 一方、廃棄物の適正処理に当たっては、現場作業だけではなく、事務作業も発生します。中でも、排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際には、委託内容どおりに産業廃棄物が処理されたことを確認するため、産業廃棄物管理票、マニフェストの交付が義務づけられており、排出事業者及び処理業者における事務的な負担は大きいと聞いています。
 都は、今般の計画の中で、電子マニフェストの導入を推進していくとのことですが、在宅勤務が進み、事務の効率化も求められる中、非接触で感染対策にも資する電子マニフェストの導入を積極的に進めていくべきと考えますが、都の考えや取組について伺います。

○上林山資源循環推進部長 マニフェストにつきましては、現在、紙と電子が併用されておりますが、電子マニフェストは、紙による保存や行政への報告が不要になるため、事務の効率化が期待できるとともに、改ざんの防止など不適正処理の抑制にも寄与することから、導入を推進していくことは重要でございます。
 そのため、都はこれまで、排出事業者や処理業者向けの講習会の中で、電子マニフェスト導入のメリットを周知してまいりました。加えて、今年度からは、業界団体の協力を得て、電子マニフェストに未加入の排出事業者等に対しまして、その利用方法やメリット等を直接お伝えする普及アドバイザーを派遣し、普及の強化を図っております。
 また、二〇二一年度版の東京都グリーン購入ガイドにおいて、都が発注する産業廃棄物処理委託契約の受託者要件として、電子マニフェスト導入業者が望ましいことを新たに加えまして、契約制度においても電子マニフェストの普及を後押ししているところでございます。
 今後、これらの取組を継続し、電子マニフェストの普及啓発に取り組んでまいります。

○田村委員 電子マニフェストの普及には、事務の効率化、感染症対策など、様々な意義があります。
 都においても、業界団体ともしっかりとコミュニケーションを取り、積極的に進めるよう要望して、私の質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二分散会

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