環境・建設委員会速記録第四号

令和三年三月十五日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長西沢けいた君
副委員長関野たかなり君
副委員長里吉 ゆみ君
理事舟坂ちかお君
理事斉藤やすひろ君
理事あかねがくぼかよ子君
石毛しげる君
西野 正人君
原田あきら君
うすい浩一君
増田 一郎君
細谷しょうこ君
三宅 正彦君

欠席委員 一名

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長松永 竜太君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務上田 貴之君
政策調整担当部長和田 慎一君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
次世代エネルギー推進担当部長山田 利朗君
事業調整担当部長三浦 大助君
環境改善部長筧   直君
環境改善技術担当部長志村 公久君
自然環境部長近藤  豊君
資源循環推進部長宮澤 浩司君
資源循環計画担当部長宗野 喜志君

本日の会議に付した事件
意見書について
環境局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 環境局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十二号議案 東京都自然公園条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都気候変動適応計画(案)について
・東京都食品ロス削減推進計画(案)について
・大気汚染防止法(アスベスト規制関連)の改正に伴う環境確保条例施行規則等の一部改正について

○西沢委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○西沢委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和三年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和三年三月十二日
東京都議会議長 石川 良一
環境・建設委員長 西沢けいた殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十二日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十八日(木)午後五時

(別紙1)
環境・建設委員会
 第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中
        歳出
        繰越明許費
        債務負担行為 環境・建設委員会所管分

(別紙2省略)

○西沢委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、環境局所管分、第七十二号議案及び報告事項、東京都気候変動適応計画(案)について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永総務部長 去る二月十六日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。目次にありますとおり十九項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移でございます。
 平成二十年度から三十年度までの各年度における温室効果ガスの年間排出量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
 平成二十年度から三十年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
 表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、キャップ・アンド・トレード制度の対象となる事業所における年間CO2排出量上位五十事業所及び平方メートル当たり平均排出量の推移(過去五年分)でございます。
 (1)は、キャップ・アンド・トレード制度の対象となる事業所における年間CO2排出量上位五十事業所につきまして、平成二十六年度から三十年度までの各年度における事業所名を指定番号順に、七ページにかけて記載しております。
 八ページをお開き願います。(2)は、キャップ・アンド・トレード制度の対象となる事業所における平方メートル当たり平均排出量の推移につきまして、ア、第一計画期間である平成二十二年度から二十六年度までの各年度における平均排出量を記載しております。
 九ページをお開き願います。イ、第二計画期間である平成二十七年度から三十年度までの各年度における平均排出量を同様に記載しております。
 一〇ページをお開き願います。4、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
 平成二十年度から三十年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
 表の上段には京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
 一一ページをお開き願います。5、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況(過去五年分)でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの各年度における発電方式ごとの設備容量を記載しております。
 一二ページをお開き願います。6、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去五年分)でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの各年度における都内の再生可能エネルギー電力利用割合等を記載しております。
 一三ページをお開き願います。7、各再生可能エネルギーにかかわる設置補助制度と実績額の推移(過去五年分)でございます。
 各再生可能エネルギーにかかわる設置補助制度につきまして、その概要及び平成二十七年度から令和元年度までの各年度における実績額を一四ページにかけて記載しております。
 一五ページをお開き願います。8、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)は、二酸化窒素濃度につきまして、平成二十六年度から三十年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 一六ページをお開き願います。(2)は、浮遊粒子状物質濃度につきまして、同様に記載しております。
 一七ページをお開き願います。9、新築住宅を対象とした断熱基準の日本及び東京都と各国との比較でございます。
 (1)は、東京都を含む日本の断熱基準につきまして、ア、性能基準及びイ、仕様基準を一八ページにかけて記載しております。
 また、(2)は、諸外国の断熱基準につきまして、オランダやドイツなどの基準を一八ページから一九ページにかけて記載しております。
 二〇ページをお開き願います。10、令和元年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
 微小粒子状物質、PM二・五の濃度につきましては、(1)は、一般環境大気測定局における測定局ごとの年平均値を記載しております。
 二一ページをお開き願います。(2)は、自動車排出ガス測定局につきまして、同様に記載しております。
 二二ページをお開き願います。11、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額(過去十年分)でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの各年度における指定面積などを記載しております。
 二三ページをお開き願います。12、保全地域における希少種の状況でございます。
 調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を二七ページにかけて記載しております。
 二八ページをお開き願います。13、緑被率、みどり率の推移でございます。
 区部及び多摩地域それぞれにつきまして、(1)では平成三年及び七年の緑被率を、(2)では平成十年から三十年まで五年ごとのみどり率を記載しております。
 二九ページをお開き願います。14、都内自動車走行量の推移(過去十年分)でございます。
 平成二十一年度から三十年度までの各年度における自動車走行量を記載しております。
 三〇ページをお開き願います。15、都内の新車販売台数及び自動車走行距離に占めるZEVの割合(乗用車)の推移(過去五年分)でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの各年度における乗用車の新車販売台数及び走行距離に占めるZEVの割合を記載しております。
 三一ページをお開き願います。16、EV、PHV、FCV別のZEV導入にかかわる補助制度と実績額の推移(過去五年分)でございます。
 EV、PHV及びFCVの補助制度につきまして、その概要と平成二十七年度から令和元年度までの各年度における実績額を記載しております。
 三二ページをお開き願います。17、建設汚泥の発生量(過去五年分)でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの各年度における建設汚泥の発生量を記載しております。
 三三ページをお開き願います。18、日本からの廃プラスチック輸出量の推移(国・地域)でございます。
 貿易統計に基づき、平成二十八年から令和二年までの国、地域別の輸出量の推移を記載しております。
 三四ページをお開き願います。19、区市町村で回収している容器包装プラスチック量とリサイクル量とその合計(令和元年度、区市町村別)でございます。
 令和元年度における区市町村別の容器包装プラスチック量とリサイクル量を三五ページにかけて記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○西沢委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○あかねがくぼ委員 私の方からは、食品ロスについて質問させていただきます。
 食品ロスは、生産から消費に至るさまざまな段階で発生しております。食品自体がもったいないだけでなく、CO2の削減、そういった観点からも喫緊の対策が必要な課題でございます。前回から私も、大変重要なテーマとして質問させていただいております。
 都内の食品ロスは、事業系が七割を占めておりまして、外食の産業、小売業からの発生量が多いということが特徴であります。これらの業界は中小企業の方が多いというのが特徴でして、その食品ロスの対策という意味では、十分進んでいるとはいえない状況であります。
 それに対して、多くの事業者の食品ロス削減の取り組みをレベルアップしていく、そのためには、取り組みやすい、また、効果の高い事例を現場から抽出して横展開していく、共有していくということが重要であると考えます。
 そこで、都は、来年度事業で、アドバイザーを活用しながら食品ロス削減につながる優良な取り組み事例の共有を図っていくということであります。具体的な取り組み内容について伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 事業系の食品ロスの大部分を占める外食産業や小売業は、中小事業者が多いことから、人手や資金が限られている中で、負担感のないよう、現場の実態に即した食品ロス削減に有効な取り組みを定着させていくことが重要でございます。
 そのため、都は来年度、モデル事業所を選定の上、食品ロス削減に知見を有するアドバイザーが、現場で直接、具体的な取り組みを助言する事業を実施いたします。
 事業の内容といたしましては、中小スーパー等でのバックヤードの整理方法や、飲食店における食材を無駄にしない保管方法、最後まで使い切る工夫など、新たな設備投資をすることなく、現場の従業員の方が簡単に実践できる取り組みについて、アドバイザーが事業所で個別具体の助言を行い、着実に食品ロス削減を図ってまいります。
 また、各現場でアドバイザーが蓄積した効果的なノウハウや優良な取り組み事例につきましては、整理、取りまとめの上、関係団体等と連携し、セミナーなどを通じて共有を図ってまいります。

○あかねがくぼ委員 いろいろ知見のあるアドバイザーの方が現場に入って、具体的なやり方、上手に使い切る方法ですとか保管方法、こういったことをアドバイスされるような取り組みということで、大変有効ではないかと思います。
 できる限り直接そのアドバイスを受けるというのが一番いいとは思いますが、相当の数になりますので、それはかなわない。であるならば、やはりそういった事例共有というところで活用をどんどん進めていっていただきたいというふうに思います。
 アドバイザーの活用、優良事例の共有はソフトな対策であると思いますが、それとともに、昨年十二月からは当委員会で質疑をしておりますけれども、先端技術の活用、これも大変重要な視点であります。
 中でも食品ロス削減推進の計画案で示されております食品の保存期間を延ばす食品のロングライフ化、これは食品ロス削減に大きな効果を発揮するものであると記載されています。
 共働きの世帯がふえておりますので、週末まとめ買いをする、こういった買い物の仕方が非常に標準化されてきていると思います。ですので、小売や外食産業においても、また、急な需要の変化、そういったものに備える必要もありますので、より賞味期限の長い商品のニーズは高まっております。
 やはりフードロスの観点からいえば、賞味期限が差し迫っているものを買った方がいいわけなんですけれども、その日使うものであれば、それで買ってきますけれども、いつ使うかわからないとなりますと、やはり主婦の心理として、なるべく長い賞味期限のものをつい買ってしまう、そういう心理があろうかと思います。
 東京都は、来年度の事業においては、この食品のロングライフ化技術を活用した食品ロス削減にも取り組んでいくということでありますが、改めまして今後の都の取り組みについて伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 食品には、賞味期限や消費期限という期限がございまして、生産から消費に至るさまざまな段階で期限切れとなって廃棄されていることから、食品のロングライフ化に寄与する技術を掘り起こし、活用を広げていくことが重要でございます。
 そのため、都は来年度、先駆的な取り組みを進める事業者とともに、先進技術を活用して食品ロスの削減を目指す実証事業を実施いたします。
 具体的には、傷みの早い生鮮食品や調理済みの料理等につきまして、鮮度を保持し長もちさせる特殊なシートですとか、品質や食感を落とさない独自の冷凍技術など、高度な包装、冷凍技術を活用した食品ロス削減につながるビジネスモデルの創出と社会実装に向けた取り組みを支援してまいります。
 また、実証事業で得られた成果につきましては、関係事業者と広く共有を図るほか、消費者へも普及啓発を図ることで、食品ロス削減に向けた取り組みを推進してまいります。

○あかねがくぼ委員 食品ロスの削減に向けて、今伺いましたけれども、ロングライフ化のところと、あと、アドバイザーの活用という両面からしっかりとやっていただくということがわかりました。
 ロングライフ化につながる、先ほどおっしゃっていた鮮度を保持して長もちさせる、そういった特殊シートつきの容器というのは最近よく見かけるようになりましたし、冷凍のものというのは大分品質が上がってきておりまして、共働きがふえたということもあると思いますけれども、かなり活用がされてきていると思います。こういった技術革新によって食品ロスが減るということは大変望ましいことです。
 一方で、ワンウエーのプラスチック容器でもありますので、そちらの削減という観点も、リサイクルの視点というのも考慮しながら、ぜひ推進していただきたいと思います。
 長引くコロナ禍で、事業者の方々の中でも、特に外食産業にかかわっておられる方は大変厳しい状況におられます。食品ロスを減らしていくということが飲食店の経営者にとっても利益率の改善などにつながっていくように、当事者の立場に立って、ともに検討していっていただきたいと思います。
 また、消費者に向けては、普及啓発に努めていただいて、社会全体での食品ロス削減に向けた機運醸成を図っていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○舟坂委員 化学物質の流出防止対策についてお伺いをいたします。
 近年、気候変動の影響などにより、台風等による豪雨は発生頻度、規模ともに増大しつつあり、洪水、内水氾濫などのリスクが高まっております。
 一昨年の大型台風上陸の際には、他県において河川の氾濫で浸水した工場から、有害物質であるシアン化合物が流出した例があり、都内でも同様の事例が起こり得るおそれがあることから、私は化学物質を取り扱う事業者の水害対策の重要性を指摘してきました。
 また、都では、気候変動適応計画の策定を進めておりますが、台風などによる水害を回避、軽減するための環境を整備する上で、工場などからの有害物質の流出を防ぐ対策も重要です。
 私はこれまで、本委員会において、工場などの水害対策に関して、都の施策の進捗状況などを確認するとともに、中小事業者に対する支援の必要性を訴えてまいりました。
 都は、事業者による化学物質の適正管理や災害時の流出防止対策などを定めた化学物質適正管理指針を昨年十一月に改定し、水害対策の視点を盛り込むなど、対策を促進するためさまざまな施策を進めていますが、まず、都のこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○志村環境改善技術担当部長 都は昨年六月に、直近の台風等に備え、化学物質を取り扱う事業者に対して、化学物質の流出防止策の速やかな実施を促すため、図や写真等を用いて、水害防止策のポイントを解説したリーフレットを作成し、事業者に配布いたしました。
 また、十一月には、化学物質適正管理指針を改定し、水害対策を行う上で必要となるハザードマップの活用、被害想定に応じた対策の実施、タイムラインの整備等に係る規定を追加して、災害時の化学物質流出防止対策の充実を図りました。
 さらには、改定指針に基づく水害対策の実施やタイムラインの作成など、事業者が必要な対応をまとめた水害対策マニュアルの概要を示すリーフレットを十二月に作成し、約二千事業所を対象に、郵送により直接配布いたしました。
 加えて、事業者が個々の工場等の事情に応じてより効果的な対策を実施できるよう、さまざまな具体例等を盛り込んだ水害対策マニュアルを今年一月に作成し、区市を通じて事業者に配布いたしました。

○舟坂委員 都は、速やかに現行の指針を改定し、水害対策の視点を盛り込むとともに、事業者が水害対策を導入しやすいように、対策マニュアルの作成などを行ってきたことは評価いたします。
 一方、水害対策が必要となる事業者の多くは中小企業です。昨年の本委員会でも申し上げましたが、コロナ禍における厳しい経済状況の中、中小の事業者による水害対策の実効性をより一層高めるためには、設備改修などにかかわる財政支援とともに、技術的な助言ができる体制の整備も必要であると考えます。
 都は、来年度の予算案に化学物質流出等防止支援事業を盛り込んでおりますが、具体的にどのような支援を行うのかをお伺いいたします。

○志村環境改善技術担当部長 昨年改定を行った化学物質適正管理指針では、事業者による工場等での化学物質の流出防止策の実施とともに、浸水等に耐える設備改修の検討について規定しています。
 理事ご指摘のとおり、都内の事業者のうち九割以上が中小事業者であることから、指針に基づく水害対策を促進するためには、中小事業者への流出防止策や設備改修に係る財政的、技術的な支援が必要であると考えております。
 そのため、都は来年度、中小事業者に対して化学物質の流出を防止する設備費の助成事業や、水害対策に係るアドバイザー派遣事業を実施いたします。
 具体的には、事業者に止水板等の設置に係る経費の二分の一を助成するとともに、各事業所の実態を踏まえた資材やその導入方法などを助言するアドバイザーを派遣できる仕組みを構築いたします。
 こうしたハードとソフト両面の取り組みを組み合わせることにより、化学物質取扱事業者が着実かつ効果的に水害対策を実施できるよう支援してまいります。

○舟坂委員 ただいまご答弁をいただいたように、支援事業は非常に重要だと思います。さらに、事業者が都の支援事業を活用して水害対策を充実させるためには、事業者に広く周知、理解していただくことが不可欠だと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○志村環境改善技術担当部長 都が来年度実施する支援事業について、事業者が有効に活用できるようにするためには、しっかり理解していただくよう、事業内容を広くわかりやすく伝えていくことが必要だと考えております。
 そのため、都は、止水板等の設備費の助成や化学物質の水害対策アドバイザーの派遣について、ホームページやリーフレット配布による周知のほか、より多くの事業者に活用していただけるよう、事業者向け説明会などのさまざまな機会を通じて周知を行います。
 今後、業界団体や区市の協力も得ながら、化学物質取扱事業者への支援事業の積極的な活用を促し、水害対策のさらなる充実を図ってまいります。

○舟坂委員 地球温暖化の進行により、大型台風などによる水害は深刻化しております。今後発生する豪雨に際しても、工場などから化学物質が流出し、周辺環境に影響を及ぼさないよう、事業者が取り組む水害対策をしっかりと後押ししていただくよう要望いたします。
 次に、アスベスト対策についてお伺いをいたします。
 我が党はかねてより、建物の解体、改修現場において、その処理が問題となるアスベスト建材について本委員会で何度か取り上げてきました。
 都市機能の更新に必要不可欠な建物の解体に際し、発がん性のあるアスベストを安全かつ安心に処理することは、東京が持続可能な都市として発展するために避けて通れない課題であります。解体現場などでは、大気汚染防止法に基づき、事業者に対しさまざまな規制が設けられております。
 国は昨年、法改正を行い、規制対象を全てのアスベスト建材に拡大した結果、事業者は本年四月から、スレート材などアスベスト成形板の除去作業において新たな作業基準を遵守する必要があります。
 こうした規制強化が目前に迫る中、行政が解体業者などに助言指導を行い、適切な作業を施すことは、作業員の方々の健康を守ることはもとより、周辺地域へのアスベストの飛散を防止する上で大変重要な取り組みであります。
 国は本年度、法改正の内容を反映した指導方法などを検証するため、モデル事業を実施し、都もこれに参加したと聞いております。
 まず、都が参加したモデル事業の概要とその結果についてお伺いをいたします。

○筧環境改善部長 大気汚染防止法の改正に伴い、アスベストを含む成形板等の作業基準が本年四月から新設され、指導を行う自治体は現場での確認事項がふえることから、これまで以上に効率的、効果的な立入検査の実施が求められております。
 そこで国は、法改正後を想定した立入調査を通じて、その手法や効果等を実地検証するモデル事業を開始することとなり、都は、本事業に参加し、都内三カ所の解体現場で試行的に立入調査を行いました。
 その結果、現場で成形板の除去作業を確認した際に、事業者がアスベストの飛散を防止する具体的な手順を明確にしないまま作業を進めている事例を確認いたしました。
 また、他県では、解体業者の事前調査でその存在がなしと判断されたアスベスト建材が現場で発見された事例もあり、まずは事業者に対し、作業基準に基づく成形板等の適正な解体手順や、事前調査時の注意点などを周知する必要があることが判明いたしました。

○舟坂委員 改正法の施行前とはいえ、本年四月以降の新しいルールに関する解体業者への周知がまだ不十分であるとのことです。
 都はこれまで、法改正の内容の周知に向け、解体業者などに対しどのような取り組みを行ってきたのかをお伺いいたします。

○筧環境改善部長 法改正に伴い、詳細な規制内容を規定した政省令が公布された昨年十月以降、都は、事業者や業界に対し、法制度の改正内容の周知に取り組んでまいりました。
 具体的には、業界団体が主催する会議に職員を派遣し、法改正の内容を説明してまいりました。
 また、都内自治体や建設関連業者を対象としたアスベストに関する出前講座を、ウエブ会議も活用しながら、本年度は十七回開催し、三百人以上に新たな規制の詳細を説明してまいりました。
 さらに、都の専門職員、いわゆるアスベストGメンによる現場への立入検査の際にも、新たなアスベストの処理方法等の周知を図ってまいりました。

○舟坂委員 政省令の公布後、短い期間の中で、既存事業を活用してアスベストの新ルールの周知に取り組んできたことを理解はいたします。また、新型コロナウイルス感染症が拡大し、人との接触が難しい中、職員の皆さんが感染予防に配慮しながら現場に赴き、またはウエブ会議を活用し、説明してきたことを評価したいと思います。
 一方、アスベスト建材に関与する業界は、建設業、不動産業、解体業、リフォーム業など多種多様で、従事者の人数も大変多いと思います。アスベストに関する制度改正の内容をしっかりと周知しないと、事業者の方は知らないうちに違法な作業をしてしまいかねません。
 そこで、法改正の内容などの周知について、都は、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○筧環境改善部長 法改正後は、アスベスト建材ごとの作業基準の新設に加え、令和四年度から、工事前のアスベスト調査結果を行政に報告する制度が開始されるなど、事業者の遵守事項が増加するため、その内容をわかりやすく周知する必要がございます。
 このため、都は、現場作業を担う解体業や建設業を初め、工事発注者となる不動産業などの業界団体と連携して、新たに業界向け講習会を二十回程度開催し、制度改正やアスベストの最新技術情報等について、その理解を深める機会を設けてまいります。
 また、講習会では、区市や労働衛生関係部署とも連携し、条例や他法令に基づくアスベスト規制の情報も得られる場とし、事業者が参加しやすい仕組みといたします。
 今後、業界団体や関連機関等と協議し、早期の講習会の実施に向けて準備を進めてまいります。

○舟坂委員 国のホームページでは、既に大気汚染防止法の改正内容を紹介するページもあるようですが、内容が複雑であり、理解しにくい面も多々あります。講習会では参加者の視点に立ち、新しいルールをわかりやすく解説し、受講した方々が現場で実践できる講習内容とするよう要望しておきます。
 建設現場には、元請業者を筆頭に数多くの下請業者が関係しており、必ずしも業界団体に加入した事業者だけではありません。一人親方などの個人事業主も数多く携わっており、こうした事業者にアスベストの新ルールを周知するためには、講習会のほか、さまざまなメディアを介した広報が必要であると考えます。個人事業主など業界関係者に対し、都は今後、法改正の内容をどのように伝えていくのかをお伺いいたします。

○筧環境改善部長 建物の解体、改修現場等におけるアスベストの適正処理を徹底していくためには、個人事業主を含む建設工事関係者に対する幅広い広報が効果的でございます。
 そこで、都は来年度、アスベスト処理を解説したチラシを作成し、工事現場等で配布するほか、外国籍の方に説明することも想定し、厚生労働省の外国人雇用統計において、建設工事従事者が多い国籍を参考に、英語、中国語など五言語のチラシも用意して活用してまいります。
 また、建設業などの業界誌において、法改正を周知する講習会の開催情報や、アスベストに関する都のホームページを紹介するための広告掲載を行います。
 こうした広報を通じて、アスベストに関する規制情報を広く周知し、関係機関とも連携しながらアスベストの飛散防止に向けた取り組みを一層推進してまいります。

○舟坂委員 今回は、解体業など建設関係者への支援に重点を置いて質問をさせていただきました。解体現場でアスベストが確認されると、その対策費が加算されるため、解体業者からは、その経費を負担する工事発注者の理解を得るのが大変であるとの声も多く聞きます。
 経費が削減された結果、解体業者が十分なアスベスト対策をとれないまま工事が進められ、作業員の方の健康被害や周辺地域への飛散を招くといった事態は何としても避けねばなりません。
 本年度、都が新たに実施する事業者向けの講習会では、工事発注者となる不動産関係者も対象とするとの答弁をいただきました。建設工事に関与するさまざまな業種、業界関係者にアスベストの新ルールをしっかり周知し、安全・安心な解体、改修工事の実施に向け、都として取り組んでいただくことを要望しておきます。
 最後に、資源環境の観点から意見を申し上げます。
 建物の更新に伴い、今後、解体工事で排出されるアスベスト建材の廃棄量は増大します。一部の企業では、廃棄物のアスベストを高温で処理し、完全に無害化した上で、スラグなど土木建設資材として再利用する事例もあると聞いております。
 廃プラスチックと同様、過去に多用されたアスベスト建材についても資源環境事業に取り組んでいただくようお願いをし、私の質問を終わります。

○斉藤委員 私からは、まず最初に、気候危機行動宣言について質問をいたします。
 東京都は、去る二月の十七日に、気候危機行動ムーブメントのキックオフ会議といたしまして、サステーナブルリカバリー、タイム・ツー・アクト、コロナ禍を乗り越え、未来に向けて気候危機行動を加速するというタイトルで、オンラインのミーティングを開催いたしました。
 パリ市のイダルゴ市長やロサンゼルス市のガルセッティ市長、また、ジャカルタのバスウェダン知事といった、世界大都市の首長、市長を初め、スーザン・ロックフェラー氏やマイケル・ブルームバーグ氏など、国内外の著名な有識者が一堂に会しまして、それぞれが気候危機行動に対する決意を表明し、最後には共同メッセージを発信するという、これは東京都の小池知事のもとで主催した会議ですが、大変有意義な会議であったと思います。私も拝聴させていただきました。
 私はかねてより、地球温暖化の問題はグローバルな課題であり、東京都が率先して世界におけるリーダーシップを発揮していくべきであると申し上げてまいりました。今回の会議は、都の脱炭素化に向けた決意を世界に示すとともに、東京発で世界的な気候危機行動を呼びかけるものでありまして、今後の展開についても大いに期待するところであります。
 そこでまず、このアクションに取り組み始めた経緯についてお伺いしたいと思います。

○和田政策調整担当部長 都は、一昨年十二月、ゼロエミッション東京戦略を策定し、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロを目指すロードマップや具体的取り組みを発表しました。
 発表から一年余り、コロナ禍により人々の行動様式は大きく変化し、気候危機も一層深刻化しております。
 都は、二〇三〇年までの今後十年間が重要であり、今こそ気候危機行動を加速するべきであるとの認識のもと、C40などの国際的ネットワークや、企業、NGOなどとも連携し、気候変動に対する東京発の世界的ムーブメントを展開していくことといたしました。
 今回の会議は、そのキックオフとして、知事のリーダーシップのもと、気候変動対策に先進的に取り組む国内外の各界リーダーに呼びかけ、開催したものでございます。

○斉藤委員 気候変動の影響、気候危機といいますか、既に私たちの身近な生活にまで及んでおります。時にこれは災害という形で牙をむいてくるわけであります。待ったなしの状況といえるわけです。今こそ、この気候危機行動を、宣言にとどまらず、その一歩先、行動を加速すべきことはまさにそのとおりであると思うわけであります。
 ヨーロッパ、欧州では、コロナ禍からのグリーンリカバリーという新しい流れが生まれておりますし、また、アメリカでは、バイデン大統領が就任初日にパリ協定への復帰を表明し、国際連携のテーブルに戻ってまいりました。また、中国は、国を挙げて急速にこの脱炭素化に向けた動きを推進しているところでございます。
 このタイミングで世界の大都市である東京都がリーダーシップを発揮し、世界に向けて発信することは大変意義のあることだと思いますが、今回の会議の反響をお伺いしたいと思います。

○和田政策調整担当部長 会議の開催に当たりましては、より多くの方が気候変動の問題に関心を持ち、具体的な行動の重要性について認識していただくことが大事です。
 そのため、できるだけ多くの方に会議の存在を知っていただけるよう、開催前には、海外メディアを含むプレスのほか、都が参加する環境ネットワークや海外諸都市への周知、集中的なSNS発信等を実施いたしました。
 会議の模様は、日本語の同時通訳つきでオンラインによるライブ配信を行うとともに、会議終了後も動画を視聴できるようにいたしました。現在の動画再生回数は、日本語が千八百回以上、英語は五千四百回以上となっております。
 このことから、都が主催する本会議に国内外から高い関心が寄せられ、特に世界に向けたアピールができたものと考えております。
 また、趣旨に賛同して会議に参加いただいた登壇者の方々からも、世界の脱炭素化に向けた都のリーダーシップについて高い関心が寄せられております。

○斉藤委員 私も内容を拝見しまして、東京都に対して大変高い評価、表明を耳にいたしました。大変大事な取り組みだったと思います。
 また、動画の再生回数の数が出たんですが、どういう方々が見ているかということにも関心はありますけれども、英語版の方が回数が多い。日本国内に英語を駆使する方もおられますけれども、私は、若い方々、世代をここではかる、なかなか分析は難しいですが、高校生や大学生を初め、未来の地球に対して今の大人たちがどういう責任ある行動をとっているかということを本当に監視するというか、見ております。
 SDGsをまつまでもなく、そうした流れが主流化する中で東京都が発信をしたことは非常に重要であろうと思います。都が主催する会議で、これだけ世界的に著名な方々が参加する会議は珍しいのではないかと思います。
 会議の動画は引き続き視聴可能ということです。この機会を活用して、東京を世界にアピールするシティーセールスという観点からも、また、国際金融都市として名乗りを上げる東京でございますけれども、世界の投資動向を見ても、こういったことに東京都が率先してリーダーシップをとっていること自体が高い評価を得るものと確信するところでありますが、そうした観点から、この機会を活用して、ぜひシティーセールスという観点からも、今後、都が気候変動対策に積極的に取り組む姿勢について、戦略的に発信していただきたいと要望しておきます。
 最後に、このテーマの最後ですが、都は、こうした活動をより広く世界に向けて展開していくべきと考えますが、タイム・ツー・アクトの今後の展開について見解を伺います。

○和田政策調整担当部長 ことしは十一月にイギリスのグラスゴーで開かれるCOP26に向けて、気候変動への国際的関心がますます高まっていくことが見込まれます。都においても気候危機行動を加速するとともに、世界に向けて行動の重要性の発信を強化していく必要があります。
 都は、二〇三〇年までに温室効果ガスを五〇%削減すること、再エネ電力の利用割合を五〇%に高めていくことを目指し、今月中にゼロエミッション東京戦略をアップデートし、脱炭素行動を加速する取り組み強化の方向性を示してまいります。
 今後、タイム・ツー・アクトを合い言葉に、さまざまな主体が今から行動をチェンジするカーボンハーフスタイルを呼びかけるなど、世界的ムーブメントを展開し、世界の脱炭素化に向けた行動を加速させてまいります。

○斉藤委員 スコットランドのグラスゴーで開かれるCOP26に向けて、世界の各都市がみずからの都市はこうしているということを本当に強く世界の投資家に向けてもアピールする、そういった動きが毎日の報道でも拝見されます。各新聞を見ても、この脱炭素化に向けた記事を見ない日はないというときを迎えているわけであります。
 COP26に向けましては、アメリカが四月に気候変動サミットの開催を計画するなど、国レベルでの動きを活発化させていることが見られます。また、この気候変動対策においては、予想されるわけですけれども、最前線に立つ都市の役割が極めて重要であります。
 引き続き、海外諸都市等と連携しながら、新たな東京発タイム・ツー・アクトの取り組みを世界に向けてしっかりと発信していっていただきたいと、このように思います。
 このテーマはこれで終わりたいと思います。
 次に、自転車シェアリングについてお伺いしたいと思います。
 近年、環境に優しく、身近で便利な交通手段としての自転車シェアリングの利用が拡大しておりまして、まち中でもよく目にするようになりました。
 私の地元目黒区も、一昨年、自転車シェアリングのサービスを区民向け、あるいは都民向けに開始したところであります。また、最近では、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、三密を回避するという移動手段として、自転車シェアリングの新規登録者や利用者が大幅にふえているように見られます。
 しかしながら、現状の自転車シェアリングは、公共交通機関などとの接続を見ますと、まちづくり全体の中で計画的に整備されているとは必ずしもいえないというふうに見ております。
 例えばサイクルポートの設置も、必ずしもその場所が電車やバスなどと容易に乗り継ぎができるような、そういった結節点を考慮されているとはなかなか思えないのが実情であります。できるところにできるだけしているというような感じがあります。
 最近では、複数の交通機関が一体となってサービスを提供する、いわゆるMaaS、モビリティー・アズ・ア・サービスが注目されてきておりますけれども、この自転車シェアリングの整備に当たって、そうした観点を取り入れていくことも重要であると思います。
 自転車シェアリングは、公共交通機関を補完するものであり、都市の機能を高めていくためにも、総合的なまちづくりの観点から普及を図っていくべきと考えますけれども、見解を求めます。

○筧環境改善部長 自転車シェアリングの普及を図り、利便性を向上していくためには、鉄道、バスなどの公共交通機関との連続性など、まちづくりと一体となった利用環境の整備が重要でございます。
 都はこれまでも、自転車シェアリングと他の公共交通機関との連携を図るため、鉄道事業者等に駅周辺へのサイクルポート設置を働きかけるとともに、交通局とも連携し、都営地下鉄駅において自転車シェアリングの案内サイン設置にも取り組んでまいりました。
 先般、素案を公表し、意見募集を行った次期自転車活用推進計画におきましても、自転車シェアリングの普及や広域利用を促進する観点から、鉄道やバス等の公共交通との連携に向けた取り組みを推進することとしております。
 さらに、交通事業者等と連携し、MaaSを活用して複数の交通機関と自転車シェアリングなどをシームレスにつなぐ利用環境の構築を目指してまいります。
 あわせて、同計画で新たに設定する自転車活用推進重点地区におきましては、地元自治体等の意向を踏まえ、来訪者の利便性やまちの回遊性向上のため自転車シェアリングを活用するなど、まちづくりの観点からの取り組みを推進してまいります。

○斉藤委員 環境局にとどまらないまちづくりというと、本当に都市整備局や交通局、事業局との連携も重要になってくると思いますし、また、このMaaSなどは新しい技術などを活用するという面もありますので、そうした幅広にさまざまな部門とよく連携をとりながら、都民が利便性、本当にサービスがよくなったと思えるような、そういった取り組みを推進していっていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、この自転車シェアリングのポテンシャルを最大限に発揮いたしまして、まちの活性化、それぞれのまちの特徴がございます、そういったまちの特性活性化に向けた施策展開に期待をしたいと思います。
 今ご答弁のございました自転車活用推進計画におきましては、自転車シェアリングに関してさまざまな施策が盛り込まれておりまして、普及が促進されるようであります。まちづくりにおいても、自転車シェアリングの導入のメリットを都や地元自治体がしっかりと地域の住民や企業などに発信をいたしまして、その協力を求めて進めていっていただきたいと思うわけであります。
 一方で、都が行った利用者アンケートでは、自転車シェアリングに対しまして、利用可能エリアの拡大、一部だけじゃなくて、これが隣接地へどんどん拡大していっていますが、このエリアの拡大を望む声が最も多く、こうした声に応えていく必要がございます。
 自転車シェアリングの運営は民間事業者が行っておりますけれども、身近な移動手段として、公共交通機関の一端を担っておりまして、公共インフラの一つといっても過言ではないと、このように考えるわけであります。
 利用エリアの広域化を民間事業者だけで進めることには限界がございます。利用者のさらなる利便性向上のためにも、東京都といたしまして、利用エリアの拡大など、さらなる広域利用の推進に向けて事業者等を支援していくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○筧環境改善部長 都ではこれまで、事業の実施主体である十一区と相互利用に関する連絡会議を設置し、行政区域を越えた利用の促進に取り組んでまいりました。しかし、現在、都内では複数の事業者が自転車シェアリングの運営を行っており、相互に連携する仕組みがないことから、事業者の運営エリアを越える利用ができず、利便性の観点から課題になっております。
 そのため、都は来年度、複数の事業者や関係自治体等から成る仮称広域利用推進協議会を設け、サイクルポートの共同設置など、広域利用に向けた実証実験等について検討いたします。
 具体的には、デジタル技術を用いて移動データを収集し、利用者の利用実態を把握するとともに、サイクルポートの共同設置に当たっての運用手法や課題等についても検討を行うなど、さらなる広域利用に向けた取り組みを進めてまいります。

○斉藤委員 この広域利用については、やはり民間事業者は利益を上げなければいけませんから、ライバルでもあるわけですけれども、利用する方々、都民からすれば、どこの企業であっても、それが接続していって移動がしやすくなることが、いわゆるQOSということで、サービス向上につながるわけであります。
 今はポートの共同の運用の話もございましたけれども、例えば決済手段、支払いとかそういうものも、今やもう本当にデジタル化が進んでキャッシュレスの実装化を迎えていますので、もしかしたら場所の運用もそうですけれども、そうした支払いも共同にしていくような、どこがどういうふうに自分たちに利益が落ちるかというのは仕組みづくりですけれども、私はそういった民間企業を結びつけるさまざまな知恵というものがあるんだろうと思いますので、ぜひとも幅広にいろんな意見を集めて、進めていっていただきたいなと思います。
 そして、大切なことは、公共交通機関というと、例えばバス停一つ見ても、バスの公共性は非常に高いわけですけれども、バス停というのがありますよね、道に当たり前のようにありますけれども、このポートはなかなかつくりづらいわけですよ。ですから、やはり公共性を本当にきちんと位置づけている法律もできましたし、そうした流れの中で、私はこれを設置する意味では、公、いわゆる東京都の支援というのは非常に重要であろうと思いますし、また、区市町村もそういったところに呼吸を合わせて、利便性、活用に大いに活発な議論を促進していただきたいと思うわけであります。
 都としての広域利用の推進に向けた取り組みは理解をさせていただきました。事業の詳細はこれから事業者等と検討していくと思いますけれども、今申し上げましたように、利用者の利便性を向上させるためにも、実効性の高い施策展開をいただきたいと思います。
 自転車シェアリングの普及は、環境面からも効果が大きく、コロナ後の新しい日常に向けた社会的要請にかなう取り組みであります。
 また、先日、私の地元の目黒区を通る東急東横線で、風によって、建築現場のいろんな機材が電線をちょっと切断するようなことがありまして、一部区間で不通となって、多くの都民あるいは県民の足をとめてしまったわけですが、そのようなときにもこの自転車シェアリングは重要な代替の交通手段になるのではないかというふうに思いました。防災力の向上にも寄与するといえるというふうに思うわけであります。
 そのときに、例えば何とかして自分の目的地に行きたいんだという人のSNSの発信とかを見ますと、バスの利用の仕方がわからないとか、いつも日常的に使っている通勤手段が切断されると、本当にたちどころに、どう移動していいかわからないという状況の中で、足があるんだったら歩こうとか、やっぱり自分の体力の続く限り走っていこうとか、そういう意味では、自転車というのは広域に移動する非常に大事な移動手段であるというふうに、防災面からもいえるのではないかと思うわけでございます。
 このように、自転車シェアリングは、公共性が高くて、その普及と利便性向上のためには、繰り返し申し上げますが、都の強力な支援が不可欠であると思います。
 今後、都と地元自治体が一体となって、自転車シェアリングのさらなる普及に取り組んでいただくことを要望して、自転車シェアリングの質問は終わりたいと思います。
 最後のテーマ、食品ロス削減について質問をします。
 我が党はかねてから、食品ロス削減を重要なテーマとして取り上げてまいりました。これは二〇〇〇年ぐらいに循環型社会形成推進基本法という法律ができたり、さまざまな国の動きがありましたけれども、もう本当に二十五年来、四半世紀にわたって取り組んできているテーマの一つが食品ロスの削減であります。
 近くもさきの第四回定例会におきまして、コロナ禍における食を取り巻く状況の変化も見据えまして、着実に食品ロス削減の対策を推進すべきと指摘させていただいたところであります。
 コロナ禍は食品ロスにもさまざまな影響を及ぼしておりますけれども、その中でもったいないなと感じるのは、外食の自粛で、せっかく用意した料理の売れ残りが数多く発生してしまっていることでありました。
 そうした中、近年、スマホの普及もございまして、売れ残り品の情報を消費者につなぐ、いわゆるフードシェアリングアプリの活用が広まってきております。
 しかし、本年一月の国の食生活に関する調査によりますと、こうしたフードシェアリングサービスを利用したことがあるという人はまだ全体の三割ということでありまして、十分に活用されているとはいえない数字であります。
 これは先月ですか、都が公表した食品ロス削減推進計画案によりますと、賢い消費選択として、シェアリングアプリの活用を促進していくとしております。
 そこで、都は、こうした食品ロス削減に効果的なサービスを定着、拡大させていくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○宗野資源循環計画担当部長 アプリ等を活用して売れ残り品の割引情報を発信するフードシェアリングサービスは、供給側は商品を廃棄せずに販売できますし、消費者は低価格で購入できることから、双方にとってメリットのある有効な取り組みであり、消費者や事業者に活用を広げていくことが重要でございます。
 都はこれまで、モデル事業において、賞味期限の近い商品の購入者に対し、アプリでポイントを付与する事業者の取り組みを支援し、食品ロス三割削減という高い削減効果も確認しております。
 また、昨年末に公表した食品ロスの啓発動画の中におきましても、具体的に消費者一人一人が実践できる取り組みの一つとして、アプリの活用を紹介しておりまして、今後は区市町村と連携しながら、活用促進を効果的に普及啓発してまいります。
 なお、都は、シェアリングアプリなど、事業者の創意工夫に基づく先進的で優良な取り組みについて、消費者、事業者が共有できるよう、新たに食品ロス削減の対策事例集を作成しているところでございまして、食品ロス削減推進計画とともに年度末に公表してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。この食品ロス削減に有効な先進的な取り組みは、フードシェアリングだけでなく、多岐にわたると思います。
 そうした取り組みの共有が進むように、充実した対策事例集を作成中ということでございますが、ぜひその作成をお願いするとともに、定期的に最新の情報となるように、随時更新、アップ・ツー・デートを図っていただくことも要望しておきたいと思います。
 長引くコロナ禍で、経済情勢の悪化に伴いまして、生活困窮者が増加する中、この未利用の食品のニーズが高まっております。食を通じた助け合いが求められているというふうにいえると思います。
 我が党はこれまで、食品ロス削減を重要なテーマとして取り上げてきておりまして、その中でも大切な取り組みの一つが区市町村や都の防災備蓄食品の有効活用でありまして、その必要性を強く訴えてきたところであります。
 そうした中、都は、現在、区市町村や都が保有する期限が迫った防災備蓄食品をフードバンクとマッチングするシステム構築を進めていると仄聞をしております。
 そこでまず、今回構築したシステムの内容について伺いたいと思います。

○宗野資源循環計画担当部長 都は、現場の実態に応じた利用しやすいシステム構築に向け、区市町村とフードバンク等にヒアリングを実施しながら、効率的な輸送方法や受取方法等について検討を進め、需要側、供給側、双方のニーズに沿った仕組みとなるよう取り組んでまいりました。
 具体的には、自治体が保有する防災備蓄食品の種類、量、賞味期限等の情報を各フードバンクがウエブ上で随時簡単にできると同時に、在庫情報をメールで定期配信するなど、プッシュ型できめ細かな情報発信が可能なシステムとしております。
 四月からのシステム本格運用に向け、都は、本年一月には、区市町村やフードバンク等に対する利用方法等の説明会を実施いたしておりまして、システム登録のあった十七区市町とフードバンク等八団体と試行運用を開始しております。

○斉藤委員 目黒区を初め、利用者がいます区市町村やフードバンクの意見を聞いていただきまして、見えてきた課題に対応して、着実にシステムが形になってきていることがわかりました。
 コロナ禍の影響もありまして、フードバンクの活動はますます注目されておりまして、今回のシステム稼働への期待、四月からということでございますけれども、大変大きいものがございます。
 都が構築した、この防災備蓄食品のマッチングシステムの適切な運用により、食を通じた支援、困っている方もおられます。この支援と食品の有効利用の両立を図っていくことが重要と考えるわけであります。今後の都の取り組みについて伺いたいと思います。

○宗野資源循環計画担当部長 新たに構築したシステムにつきましては、本年二月からの試行運用の中で、既に一部の区市町村とフードバンクとのマッチングが成立いたしておりまして、アルファ化米やクラッカーなど、約二千六百食分の防災備蓄食品の有効活用を図っております。
 なお、区市町村の中には、食品の衛生管理等の問題などにより、フードバンクの活用をちゅうちょしているところもございますので、防災備蓄食品の活用が進むよう、寄附時における食品の受領、管理などに関し、責任の所在等を明確にした合意書の取り交わし方を参考に示すなど、安心して寄附できる環境づくりを進めてまいります。
 また、自治体だけでなく、民間企業におきましても、独自の未利用食品の有効活用が始まっていることから、今後、優良な取り組みの情報共有を図るなど、助け合いのモデルの定着、拡大を図ってまいります。

○斉藤委員 確かに区市町村の中には、食品衛生の管理の観点から、踏みとどまっている、ちゅうちょするところもあるようでございます。
 しかしながら、防災備蓄食品を逆に今度供給する側もそういったことはわかっておりまして、SDGsの観点から、それを逆に売りにして、本当に助け合いのシステムもあわせて提案するという企業も生まれてきております。日進月歩でありますので、ぜひそういった情報も皆さんで共有していったらいいんだろうと思うわけであります。
 今回構築したこのマッチングシステムは、フードバンクの活動と直結するものでありまして、大変有意義なものであります。目黒区を初め、区市町村やフードバンクにはぜひシステムの活用を強く働きかけていただきまして、利用方法等を丁寧に説明するなど、利用の定着、拡大に万全を尽くしていただくよう要望しておきたいと思います。
 質問は以上でございますが、最後に一言、生物多様性地域戦略について申し述べておきたいと思います。
 気候変動の危機と並びまして、人類にとって大変重要な問題が生物多様性の危機であると、これはもう本当に私が当選して間もなく、二〇一〇年でしたでしょうか、COP10がございましたけれども、ずっと訴えてまいりました。
 第二十六回気候変動枠組条約の締約国会議、いわゆるCOP26が開催予定なんですけれども、このCOP26開催を契機に、気候変動危機への関心や行動が世界的にも急激に高まっている一方で、生物多様性保全の動きが見えてこないことに危機感を覚えている一人であります。
 事務事業質疑でも申し上げましたけれども、都議会公明党は、COP10への取り組みを初め、この十年間一貫して、都は、生物多様性に配慮した都市づくりを推進するべきである、環境先進都市というのはしかるべきだということで提案もして訴えてまいりました。
 大都市であるからこそ、いわゆる自然資本の重要性を都民にも認識をぜひしていただくよう努力していくべきだというふうに訴えてまいりましたし、その努力をされていると思います。
 今月の初旬でございますが、国連環境計画、UNEPの事務局長のインガー・アンダーセン氏がCOP26に向けて、ちょっと開催がおくれたわけでございますけれども、今始めれば、自然との平和的な共存は可能だと、人類の行く末を見て発信をしているわけでございます。
 そうしたタイトルで、以下のメッセージを発信しています。一部抜粋ですけれども、三つの環境危機である気候変動、一つ目です。二つ目は、自然界の喪失と崩壊、そして三つ目、大気、土壌、水の汚染は、地球にとって緊急の課題であり、長期的に見れば、今はパンデミックで新型コロナウイルス感染症はもう世界的な課題でございますが、感染症の危機で大変なんですけれども、こうした感染症の危機よりももっと大きな困難を人類に引き起こすと警告をしています。その上で、私たちは二〇二一年を自然と共生する年にして、その後も平和的にこの自然との関係性を継続していかなければならないと話を結んでいるわけです。
 今後、国においても、次期生物多様性国家戦略を作成していくことになりますけれども、コロナの関係でこれがちょっとずれ込んでいる。現在、都が改定に向け検討を進めている東京都の生物多様性地域戦略におきましても、都内の自然環境の保全や回復を図ることはもとより、国内外の自然環境保全を意識した、これからの時代にふさわしい地域戦略としていくことを強く要望いたしまして、本日の質問を終わりたいと思います。

○里吉委員 それでは、私からはまず、東京都気候変動適応計画について伺いたいと思います。
 多分いろんな方が質問するのであろうなと思ったので、私は、今お話もありましたけれども、その中でも私が特に大事だと思っている自然環境に限って質問をいたします。
 生物多様性地域戦略の改定が今検討されています。今までも東京都にとって生物多様性を守ることは重要な施策でしたけれども、今回改めて、気候変動の脅威への対応を世界全体で強化するというパリ協定の水準で、この問題にも取り組むことが求められています。
 気候変動の影響による生物の分布の変化など、生物多様性への影響を最小限にすることとあわせて、レジリエンスを向上させるため、自然環境が持つ機能の活用や回復に関する取り組みの強化を図る、このように述べられております。
 そこでまず、今回の計画の中にも触れられておりますけれども、生物多様性地域戦略の改定の目的について伺います。

○近藤自然環境部長 生物多様性地域戦略は、生物多様性基本法に基づき、地方公共団体が策定いたします生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画でございます。
 都は、平成二十四年度に、初めての生物多様性地域戦略に当たります緑施策の新展開を策定いたしまして、生物多様性の保全に取り組んでまいりました。
 自然環境の劣化や人と自然の関係の希薄化、自然の価値、魅力の認識不足という課題を抱えていること、また、国際目標の見直しを踏まえて国家戦略が改定されますことから、こうした動きに合わせ、都の地域戦略も改定することといたしました。

○里吉委員 今話もありましたけれども、国の方でもこれから新しく基本戦略を考えるということで、それに合わせて審議会も今行われておりまして、ホームページで議事録なども読ませていただきましたけれども、大変熱心な議論がされておりました。
 そこで、私は、緑の創出のために、今東京都でも取り組んでおります自然公園や都立公園などの増設、そして農地の保全、また、里山保全など、保全地域の新規指定、公有化がなお一層、さらにバージョンアップして取り組むことが必要だと考えております。
 ここでは、二〇五〇年度までに約百ヘクタールの拡大という目標値が示されておりますが、この目的と、拡大規模百ヘクタールという目標を定めた理由について、改めて伺います。

○近藤自然環境部長 保全地域は、自然保護条例に基づき、都内に残された貴重な自然地の保護と回復を図るため、都が指定する区域であり、制度開始以来、五十カ所、約七百五十八ヘクタールの保全地域を指定してまいりました。
 都は、令和元年十二月に策定いたしました未来の東京戦略ビジョンにおきまして、二〇五〇年度までに丘陵地等の良好な自然地を新たに百ヘクタール程度保全地域として指定し、公有化していく目標を定め、今回の気候変動適応計画案にも政策目標として記載いたしました。
 水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京の実現を目指して、指定を拡大することとし、これまでよりも積極的に保全地域の指定を進めていく必要があるため、指定の目標を定めることといたしました。

○里吉委員 これは本当に大変すばらしいことだというふうに思います。きょうお出しいただきました資料の二二ページに、保全地域に係る指定面積、公有化面積、そしてその予算、公有化決算額、過去十年分出していただいているんですけれども、今まで目標がなかったと。なるたけ公有化するためにいろいろ働きかけてはいたと思うんですけれども、その結果、今見ますと、最高でも指定面積が平成二十四年度の三・八七ヘクタールですよ。公有化された面積が一番多いのは、令和元年の二・八ヘクタールということで、三十年間で百ヘクタールということですから、今までの実績からするとさらに、今ご答弁にもありましたけれども、なかなか頑張って、これまでよりも積極的に指定をして進めていこうという目標だというふうに理解いたしました。
 私たち日本共産党都議団も毎年の予算要望や予算の組み替え提案では、この公有化の予算をもっとふやすべきだということで具体的に提案もしてまいりました。これまで予算十四億円程度だったのが、令和二年度から二十億円へとふえています。
 そういう意味では、この目標をつくって実際にこれから進めていく、どうやって進めていくのか、本当にこの目標をしっかり達成していくことが求められていると思います。
 そこで、保全地域の指定の要件、そして手続、指定を行う場合どのような課題があるのかについて、あわせて伺います。

○近藤自然環境部長 保全地域の指定に当たっては、丘陵地等の希少動植物が存在する良好な自然地であること、地権者や地元自治体の協力が得られること、自然環境保全審議会の意見を聞く手続を踏むことが必要でございます。
 とりわけ、保全地域に指定された土地は、建物その他工作物の建築等が制限されるなど、地権者の行為が著しい制限を受けることから、事前に地権者の同意を必要とするという課題がございます。

○里吉委員 事前に地権者の同意をとる必要があるということで、さまざま困難はあると思うんですけれども、やはり私有地を指定して、そこを買い上げるというわけですから、多分そこにいろいろなご意見があって苦労されているのだろうと考えます。
 ただ、今、気候変動適応計画の中にこれも書き込まれて、そして新たにこの生物多様性の地域戦略も改定するという中で、やはり東京の残された豊かな自然をしっかりと守っていくという立場では、世論も後押しして、そして豊かな自然を、今は私有地ではあっても、やっぱり東京のみんなの共有の財産として管理させていただきたいということを、私たちも皆さんを応援しながら、一緒に取り組んでいきたいと思っております。
 そして、話をまた別のところに戻しますけれども、今回の東京都気候変動適応計画では、気候変動で皆さんの命や財産を守るために、さまざまな情報を集めて、それを発信していくという地域気候変動適応センターというものをつくるということになっております。
 東京都は、このセンターを東京都環境科学研究所に設置するということですけれども、改めて、東京都環境科学研究所というものはどのようなものか、また、最近どのような研究を行っているのか伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都環境科学研究所は、調査研究による専門的、技術的知見に基づきまして、都が推進する先導的な環境政策をバックアップしております。
 具体的な調査研究としては、PM二・五や光化学オキシダントの低減対策等、大気環境の改善に関する研究のほか、近年の気候変動や資源循環に係る取り組みの必要性の高まりを踏まえまして、水素や暑熱対策、食品ロスに関する研究などを行っております。
 また、環境技術支援として、都の民間委託分析などの精度管理、国際環境協力に関する技術支援、区市町村職員への研修等を行っております。

○里吉委員 今、一部具体的な中身も紹介していただきましたけれども、東京都の環境科学研究所は古くからの歴史がありまして、本当に地道な研究をずっと続けてこられて、特に公害対策などでは本当に大きな役割を果たしたというふうに認識しています。
 これからも気候変動のこういう時代だからこそ、東京都の環境科学研究所としてしっかりとその仕事をしていただきたいと思うわけですけれども、ここに適応センターを設置しますと、この研究所の内容や規模に何か変化があるのか、縮小されることがあるのではないか、こういう心配が出されておりますので、その点について、具体的にどう変わるのか、変わらないのか、ご答弁いただきたいと思います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 来年度中に当研究所に気候変動適応センターを設置する予定でございますが、今後もこうした新たな課題にも機動的に対応しながら、引き続き都の先導的施策の推進に資する調査研究を行ってまいります。

○里吉委員 機動的に新たな課題にも対応しながら、引き続き先導的施策に資する研究調査を行っていただくということで、内容が縮小されたりしないように、気候変動適応センターを設置することは重要なことですから、それと、総合的に、さらに今の時代に合った研究をぜひ続けていただきたいということを要望いたしまして、次の質問に参ります。
 次は、アスベスト対策についてでございます。
 先ほど質疑もありましたけれども、アスベストは天然の繊維状の鉱物で、かつては断熱材として広く利用されてきましたが、肺に蓄積されることで健康被害を起こすことが明らかになり、制限がされるようになりました。
 しかし、欧米では一九八〇年から九〇年代にかけて製造禁止へ進んだ一方、日本では全てのアスベストの使用と製造が禁止されたのが二〇〇六年ということで大変おくれてしまったというのが現状です。そのため中皮腫や肺がんなどの被害は今も報告されています。
 この状態を解決するためには、解体のときのきちんとした適切な対応が本当に求められているわけです。
 アスベストの潜伏期間は肺がんで二十年から三十年、中皮腫では二十年から四十年ともいわれております。ですから、そのときは何でもなくても、後からこういう病にかかって、記憶をたどって、いつどこで暴露したのかわからないという方も、よく災害認定の相談の中で出ております。
 この間、建設労働者の方々が各地で国と建材メーカーを訴えた裁判も行われてきました。原告の皆さんは、建設職人はみんなが被害者予備軍、原告は代表選手として裁判を闘うんだといって頑張ってこられました。長い裁判の間に亡くなった方々も多く、こうした運動が、解体工事の際のアスベストの扱いをさらに厳しくする国の動きにもつながっているのだと思います。
 今回の国の大気汚染防止法の改正に伴う環境確保条例施行規則の一部改正は、こうした建設労働者を初め、アスベストによって健康被害を受けることを、こういった被害を生まないための取り組みとして、事前調査の結果報告の義務づけなどの対策の強化がされています。確実に取り組むことが重要です。
 きょうは今後の取り組みの具体化について、幾つか確認していきたいと思います。
 まず、これまでも解体工事に当たっては、事業者による適切な届け出や飛散防止策が求められていました。今回の法改正、また、都の環境確保条例の施行規則の改正で変わる部分と、今までと同じ部分はどこなのか、また、最も重い罰則はどのようなものになるのか伺います。

○筧環境改善部長 昨年、大気汚染防止法が改正され、吹きつけアスベストや保温材など、いわゆるレベルワン及びレベルツー建材に加え、アスベスト含有成形板などレベルスリー建材を含む全てのアスベスト建材が規制対象となり、その適正処理が求められることとなりました。
 また、レベルワン及びレベルツー建材につきましては、解体等作業前の届け出が義務づけられておりますが、これに加え、元請業者等が工事前に実施したアスベスト調査結果を都道府県等に報告することや、アスベスト除去作業等に関する記録の作成と保存も新たに義務づけられました。
 さらに、都の環境確保条例では、独自にアスベスト飛散防止の届け出を義務づけておりますが、法改正により解体等作業前の届け出対象が一部変更されたため、条例施行規則を改正し、法との整合を図ることといたしました。
 なお、大気汚染防止法では、作業基準に違反する行為が確認された場合であって、その適合命令に違反した場合、六カ月以下の懲役または五十万円以下の罰金が科されておりますが、さらに、今回の法改正では、レベルワン及びレベルツー建材に係る重大な違反行為につきましては、適合命令を経ることなく直接罰則を適用できるようになります。

○里吉委員 一定の罰則の強化もされたと理解いたしました。重要なことは、元請業者が工事前に実施したアスベスト調査結果を都道府県に報告することや、アスベスト除去作業に関する記録の作成と保存も新たに義務づけられたことだと思います。
 逆に、今までは義務づけではなかったということで、開始時期はどうなるのかということと、その対象がどうなるのかということ、二点について確認します。

○筧環境改善部長 今回の法改正により、建築物の解体等を行う元請業者等は、令和四年四月一日以降、アスベストの事前調査結果をアスベストの有無にかかわらず、都道府県等への報告が義務づけられます。
 報告が必要な工事は、床面積八十平方メートル以上の建築物の解体工事、請負金額が百万円以上の建築物、工作物の改造、補修工事等でございます。

○里吉委員 法が正式に施行されるのは来年の四月からということですから、来年、あと一年だということですが、その際の対象は、床面積八十平米ですから、対象となる建築物は結構な数になると思います。
 この事前調査についてですが、どのような内容を調査するのか、どのような書類を提出するのか、また、アスベストの有無の調査といわれましたけれども、具体的には、誰がどのようなことを行うのか、費用はどこが負担するのか、まとめてお伺いいたします。

○筧環境改善部長 事前調査は元請業者等が行い、設計図書等により使用されている建築材料等を確認した後、現地でアスベスト建材の使用の有無を目視で確認いたします。
 また、必要に応じて試料を採取、分析し、最終的にアスベスト建材の使用の有無を判定することとなっております。
 都道府県等に報告する書類には、工事や建築物等の概要に加え、建築材料の種類ごとに、アスベストの有無や判断の根拠を記載することとなっております。
 なお、大気汚染防止法では、解体工事等の発注者が調査費用を適正に負担することとなっております。

○里吉委員 元請業者が設計図書とか目視で確認するということだったんですけれども、これはきちんと判断がされたとしても、解体工事をしている周りに住んでいる住民が、それが本当にアスベストがないと判断されて解体工事を普通にやっているのかどうかというのがなかなかわからないということがありまして、私も区議会議員だったときに、駅前の古いビルを解体しているけれども、あそこは建築年数からいってアスベストを使っていたんじゃないか、あんなふうに普通に解体して大丈夫なのか、調べてほしいと相談を受けたことがあります。
 そのときは区の職員に連絡をして確認してもらいましたけれども、このように、解体工事を行っているところが事前にアスベストの調査を行って、アスベストがなかったので、普通に解体している、こういうことを市民が知ることができるのか確認します。

○筧環境改善部長 現在の大気汚染防止法では、解体等工事を実施する場合、アスベストの有無にかかわらず、公衆の見やすい場所に元請業者の氏名、住所、事前調査の方法及び調査結果、調査終了日などを掲示板で掲示することが義務づけられております。
 改正法では、令和三年四月一日以降、より見やすい掲示となるよう、掲示板の大きさをA3サイズ以上にすることが義務づけられております。

○里吉委員 私のところに相談に来た方のように、もしかしたら掲示してあったのかもしれないけれども、気がつかないという方もたくさんいたのじゃないかと思うんですが、ことしの四月からは見えやすいように掲示板を大きくすることが義務づけられたということです。
 しかし、どうしてもやっぱり不安に思うのは、アスベストがあるかないか調査することもそうですけれども、実際に見つかったとき、除去にはそれなりの、かなりの費用がかかるため、事前調査報告を正しく記載しない場合なども考えられるのではないかということです。事前報告の内容をチェックする仕組みなどについて伺います。

○筧環境改善部長 改正法では、元請業者等が行う事前調査の信頼性を確保するため、都道府県等への調査結果の報告を義務づけ、報告を受けた都道府県等は、報告内容の形式審査や着工年と使用されたアスベスト建材の関係の整合性等を確認することとしております。
 また、事前調査結果の報告を受理した都や区市においては、必要に応じて現場への立入調査を行い、事業者による調査結果の確認等を行う予定でございます。
 さらに、令和五年十月一日以降、元請業者等は一般建築物石綿含有建材調査者など、必要な知識を有する者に事前調査を実施させることが義務づけられ、その調査の信頼性向上に向けた取り組みが一層進むことになります。

○里吉委員 ちょっと先ですけれども、令和五年の十月一日以降は、この事前調査について、専門の知識がある人がきちんと調査すると、信頼性向上に向けた取り組みがなされるということでした。
 そういう事前調査をして、アスベストが見つかりました、除去しました。その後の確認なんですけれども、アスベストの除去が正しく行われているかとか、取り残しがないかなどの確認も重要だと思いますが、これはどのように行われるのか伺います。

○筧環境改善部長 法改正により、令和三年四月一日以降、元請業者等によるアスベストの除去作業計画の策定や、下請業者等による除去作業中の記録の作成、保存が義務づけられます。
 元請業者は、この下請業者の作業記録をもとに、作業が計画に基づき適切に行われ、アスベストの取り残しがないかを確認する必要がございます。
 この取り残しの確認作業におきまして、元請業者等は、石綿作業主任者など、知識を有する者に目視で確認させることが義務づけられることとなっており、今回の法改正で専門的知見を有する者によるアスベストの適切な除去作業の確認が明確化されたところでございます。

○里吉委員 事前調査と同じように、最後のチェックも専門的知見を有する者による適切な除去作業の確認が明確化されたということです。ただ、どこでも悪質な業者がいるということも考えなければならず、それを見抜く行政の役割も重要になってくると思います。
 東京都のアスベスト総合対策事業の案を見ますと、区市町村向けの資格取得経費、受講料ですね、十分の十、東京都が負担するということとされていますが、石綿作業主任者、石綿含有建材調査員というものが書かれていますけれども、これは、現在、都の職員にはどれくらいいるのか、また、各自治体にもいらっしゃるのかどうか、わかればあわせて伺います。

○筧環境改善部長 令和五年十月一日以降、元請業者等は一般建築物石綿含有建材調査者など、必要な知識を有する者に事前調査を実施させることが義務づけられます。
 国は、こうした知識を有する者を今後三年間で三十万人から四十万人育成するとの見解を示しておりまして、都は本年度、国に対し、その着実な実施等について提案要求を行っております。
 なお、他の自治体における職員の資格取得状況は把握しておりませんが、都は、アスベストの専門職員、いわゆるアスベストGメン八名を配置し、延べ人数として資格取得者は、石綿作業主任者七名、石綿含有建材調査者三名、アスベスト診断士一名であり、全員が何らかの資格を取得しております。

○里吉委員 一年後ですけれども、床面積八十平米以上の建物の解体が対象になるということで、事前調査の受理件数は東京全体で二十数万件といわれております。
 今でもアスベストGメンが取り組んでいることだと思いますけれども、国としても専門家を三十万から四十万人育成するということで、都の職員はもちろん、区市町村の職員にも積極的にこうした資格を取って取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、今現に存在しているアスベストを確実に飛散防止しながら除去していくためには、都としてアスベストを使用している建物の存在がわかるようにしておくべきです。
 今回の法改正では、災害時に備え、建築物等に石綿が使用されているか確認していくことが重要とされていますが、都としての取り組みを具体的に伺います。

○筧環境改善部長 都では、建築関連部署が飛散性の高い吹きつけアスベストを使用した建物に係る台帳を作成しており、環境局はその情報提供を受けてまいりました。
 来年度は、アスベスト含有建材の使用が全面的に禁止された平成十八年以前の建築物の情報を消防関係部署とも連携して共有を図ることとしており、共有情報の有効活用に向け、各部署が連携し、その協議を進めてまいります。

○里吉委員 さまざまな行政がそれぞれの立場から入手している情報を共有して、有効活用できるよう協議を進めるということです。
 個人情報にかかわることなどもあれば、その扱いについては慎重さが求められますが、ぜひ協議をしていただいて、いつ来るかわからない震災のときに、どの地域にアスベストがあるかわかるような状態をつくれるよう努力していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

○関野委員 私からは、ZEVの普及と水素エネルギー、水素ステーションの設置に対して質疑を行わせていただきます。
 本定例会で、我が会派の代表質問に対して、知事から、二〇三〇年に一〇〇%非ガソリン化する目標の達成に向けては、実効性の高い施策の積み重ねが重要との答弁がありました。中でもZEV普及に不可欠な充電インフラの導入を加速することが今特に重要と考えております。
 そこでまず、急速充電設備の普及についてお伺いをいたします。
 近年、電気自動車については、自動車メーカーが電池の大容量化を進め、一回の充電で長距離を走行したいというユーザーのニーズに応える一方、充電時間が長くなるという課題が生じています。これに対応するため、充電器メーカーが高出力の急速充電設備の開発を進め、市場への投入が進んでいるところであります。
 しかしながら、高出力の急速充電設備を導入する際、施設の受変電設備の能力を超えてしまう場合があり、この対応に設備を増強するという場合は、費用負担が数百万円に上るということも聞いております。
 急速充電設備の普及は、自動車のZEV化を進めていく上で重要であり、都は、導入に係る負担軽減に積極的に取り組むべきというふうに考えておりますが、その見解をお伺いします。

○三浦事業調整担当部長 都はこれまで、充電設備の購入及び工事にかかる費用を支援する補助事業を実施してまいりました。一方、近年の急速充電設備の高出力化に伴い、設備本体への補助のみでは負担軽減が十分ではない場合がございます。
 このため、都は来年度、急速充電設備の導入に伴い受変電設備の増強が必要となる場合に、その費用を支援する新たな補助事業を開始いたします。

○関野委員 ありがとうございます。都が設備導入に係る負担軽減の取り組みを強化し、急速充電設備の普及をしっかり進めようとしていることが確認はできました。
 しかしながら、急速充電設備は、家庭用充電設備の十倍以上の出力を有するタイプもあります。そういったものもありながら、保守や電源、電力料金など、維持管理に係る負担が重くなるとも聞いております。
 急速充電設備のさらなる普及に向けて、導入の支援に加え、ランニングコストについても支援が必要と考えておりますが、見解をお伺いします。

○三浦事業調整担当部長 急速充電設備は、例えば出力五十キロワットタイプの場合、保守等の費用が月に三万円程度かかるほか、電力基本料金が月に五万円程度上がるなど、維持管理のための新たな費用負担が発生いたします。
 このため、都は本年度、公共施設や商業施設などに設置される公共用急速充電設備の保守等に係る費用を支援する補助事業を開始いたしました。
 来年度はさらに、再生可能エネルギー一〇〇%電力の利用を条件として、電力基本料金についても、急速充電設備導入に伴う増加相当分を補助することといたしました。
 都は、急速充電設備の導入及び維持管理の両面で支援策を強化し、さらなる普及を推進しながら、自動車のZEV化を加速してまいります。

○関野委員 急速充電設備の導入に係る負担軽減に取り組む都の姿勢はわかりました。強化した支援策が十分活用されるよう、その周知にも積極的に取り組んでいただき、充電インフラの普及を着実に進めていただきたいというふうに思っております。
 ただ、この急速充電器などの充電設備は機械です。ですから、寿命が来ます。そのとき買いかえを行うのか、それとも撤去を行うのかなどについては先の話となりますが、そうしたことも見据えながら整備を進めていくことも、一つの課題として頭にとどめていただくことを要望しておきます。
 次に、水素ステーションの整備拡大について伺います。
 二〇三〇年非ガソリン化一〇〇%に向けて、燃料電池自動車の普及も重要ではありますが、そのためには、水素供給インフラである水素ステーションの整備が不可欠です。都内では、臨海部を初めとして、区部には徐々に水素ステーションの整備が進んできたものの、特に多摩地域では、まだ二カ所にとどまるなど、その数は十分といえません。
 水素ステーションについては、整備に係るコスト負担が大きいことやスペースが限られることなどさまざまな課題がありますが、都は、こうした課題を踏まえ、来年度どのような対策を講じようとしているのか、これについてお伺いをいたします。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 都は、水素ステーションの整備に係る事業者の負担を軽減するため、来年度から新たに、ガソリンスタンドが水素ステーションに転換または併設する際の工事期間中の休業に伴う休業損失に対する支援を行います。
 また、ステーションの整備のために必要となりますガソリン給油機や洗車機といった既存設備の撤去、移設費を補助する事業者の対象を大企業にも拡大いたします。
 加えて、土地が限られる都内で水素ステーションの整備を進めるため、新たに屋根上に水素供給設備を設置できる次世代型キャノピーの整備に対しまして、一億円を上限に費用の五分の四の補助を導入いたします。

○関野委員 来年度予算ではかなり踏み込んだ支援策の拡充が予定されているようですが、これまで設置が進まなかった地域にステーションを整備していくためには、一層の工夫が必要だとも思っております。
 そこで、ステーションが未設置の地域への整備に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 都は、ステーションが未設置のエリアでの整備を促進するため、来年度から新たに、既存のステーションから距離が一定以上離れた場所におきまして、スペースがあっても、大きな段差があったり傾斜があることなどにより整備が進まない土地の造成を行う場合に、一億円を上限に費用の二分の一を補助いたします。
 また、水素消費量の大きい燃料電池バスが導入されることによる需要拡大を視野に入れまして、バス営業所の周辺を重点エリアに位置づけステーション候補地を調査するとともに、バス事業者に対しましても、燃料電池バスの導入を積極的に働きかけております。
 こうした取り組みによりまして、ステーションの位置や水素需要にも目を配りながら、整備を展開してまいります。

○関野委員 ありがとうございます。水素については、私は当選直後から質疑を行わせていただいております。私自身も、地域で水素エネルギーの周知やステーションの設置に向けた働きかけ等を行ってきましたが、しかし、導入するに当たって、運営側は広い土地が必要だったり、設置後の利用状況による売り上げの心配の声が多く、この点について担当局にも常々お伝えをしておりました。
 先ほどの答弁にあったように、設置基準の変更により、屋根上に水素供給施設を設置できるようになったり、水素ステーションに転換等の休業損失や、土地の造成への補助など、都が新しい支援策の導入を図ったことは評価できるものであります。このことにより、設置箇所がふえることを願うものであります。
 また、ふえたことによるデメリットについても、答弁にあったように、既存ステーションからの距離により支援策のめり張りをつけるのは、今後ステーションの数がふえてきた場合のステーション事業の競合を避ける意味でも有効だと思っております。
 でも、現時点では、一カ所でも多く水素ステーションの整備が必要になってきます。ぜひ、これまで以上のペースで整備を進めていただくとともに、先ほど質問した充電インフラの整備も含め、自動車のZEV化を進めるための施策を積極的に展開していただくようお願いをいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○西野委員 地域環境力活性化事業について伺います。
 都は、再生可能エネルギー等の普及拡大、資源循環の推進、自然環境や大気の保全などさまざまな環境施策に取り組んでいますが、都の取り組みを進める上で、地域に密着し、地域の実情に精通した市区町村との連携は不可欠です。市区町村への補助事業として、都は、地域環境力活性化事業を実施していますが、財源の確保はもとより、市区町村にとって活用しやすい事業とすることが重要です。
 そこでまず、本事業の仕組み、特徴とこれまでの活用実績についてお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域環境力活性化事業は、平成二十六年度から令和五年度までの十年間を事業期間といたしまして、東京の広域的な環境課題の解決に資する取り組みや、地域特性や地域資源を活用した環境面の取り組み等について、補助対象となるメニューを都から提示し、経費の二分の一を市区町村に対し補助するものでございます。
 本事業は、都から東京都環境公社に対し、十年分の補助金の原資五十億円を一括で出捐しているため、複数年で実施する取り組みについても財源が確保されていることが特徴となっております。
 事業開始以来これまで、都内自治体の大半に当たる五十七の市区町村で活用されており、平成二十六年度から令和元年度までの執行額と、今年度、令和二年度の交付決定額の合計は約二十四億五千万円となっております。

○西野委員 あらかじめ環境公社に事業期間分の補助金原資を出捐し、財源を確保しておくことで、市区町村が複数年にわたる事業にも計画的に活用できる補助金であることがわかりました。
 これまでに都内自治体の大半で本事業を活用した実績があるようですが、金額については出捐金の約半分が残っているとのことです。地域の環境課題に取り組む市区町村を都としてしっかりと後押しするためにも、出捐金を有効に生かして、さらに本事業の実績を上げていくことが重要だと思います。
 そこで、市区町村に本事業の活用を促すため、都はどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都はこれまでも、年度当初に開催する事業説明会や市区町村の課長会等を通じて本事業の活用を促してまいりましたが、これに加えまして、都が目指す姿や主要目標、主な連携支援メニューなどをわかりやすく紹介したパンフレットを昨年三月に作成し、市区町村との個別の意見交換の場等で本事業の説明を行うなど、積極的な働きかけに努めております。
 また、本事業の補助メニューについても、地域における再エネ電気の普及や外来種の防除などの既存の取り組みに加え、市区町村からのご要望やご意見もお聞きしながら、より一層活用しやすいものとなるよう適宜見直しを行っております。
 例えば、今年度から古紙の流通価格の下落を受けまして、古紙のリサイクルシステム維持に係る支援を開始したほか、令和三年度からはその対象を古繊維等の古紙以外の資源物にも拡大するなど、見直しを行っております。
 今後も、こうした取り組みを着実に進めまして、ニーズや課題を的確に把握しながら、市区町村を支援し、活用を促してまいります。

○西野委員 私の地元日野市でも、公共施設への太陽光発電設備の設置などを通じた地産地消型再生可能エネルギーの導入や、ハクビシンなどの市民生活に影響を及ぼす外来種防除の取り組みに本事業を積極的に活用しているところでございます。
 地域の置かれた事情はさまざまだと思いますが、都は、市区町村の声に耳を傾け、ニーズをしっかりと把握することで、今後も連携を深めていっていただきたいと思います。
 次に、大島におけるキョン対策についてお伺いします。
 先ほどハクビシン等の外来種防除に取り組んでいることに触れましたが、島しょ地域でもさまざまな外来種が地域の生態系に影響を及ぼしており、とりわけ大島では、キョンが問題となっているとのことです。
 キョンは、本来、中国や台湾に生息している鹿の仲間であり、大島で約五十年前に動物園から逃げ出した十数頭のキョンがふえて、キンランなどの希少植物やアシタバなどの特産物を食害するなど、生態系や農作物などの被害をもたらしております。
 都はこれまで、キョン対策に取り組んでいますが、キョンがふえた理由や、生息数、都の取り組みの状況についてお伺いいたします。

○近藤自然環境部長 キョンは草食動物であり、大島の豊かな植生や温暖な気候、天敵がいない環境により増加したと考えられます。
 キョンは、生態系や農林水産業等への被害を引き起こす海外起源の外来生物として、平成十七年、特定外来生物に指定されており、都は、キョンの生息数を低減させるため、キョン防除実施計画を策定し、平成十九年度から捕獲を開始いたしました。
 平成二十八年度からは、キョンの移動を妨げるための柵の設置や、島外からハンターを導入し、組織的な銃器捕獲等を進める緊急対策事業を展開し、捕獲を強化しております。
 こうした取り組みの結果、令和元年末の推定生息数は約一万九千六百頭となり、増加に歯どめがかかり、横ばいに転じた可能性が確認されました。

○西野委員 キョンの増加に歯どめがかかったとのことですが、それでもまだキョンは約一万九千六百頭もいるという推計であります。キョンは本来、大島に生息しない特定外来生物であるため、従来の生態系を守るために、時間はかかっても根絶を目指すべきと考えます。
 一方、キョンの生態はよくわかっていないため、捕獲手法の確立に時間を要することや、土地所有者の承諾が得られず、柵の設置に苦慮しているとのことも聞いたことがあります。
 こうした課題を一つ一つクリアして対策を進めていくべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○近藤自然環境部長 都は、キョンを効果的に捕獲するため、キョンの生息状況や環境条件等を踏まえて、わなや張り網、銃器を用いた捕獲を行っております。
 このうち、キョンが数多く生息する森林内については、順次、柵で細分化いたしまして、囲われた区画内のキョンを組織的な銃器捕獲により着実に減らしてまいります。
 特に、令和元年度からは、全国で初めて外来生物法を適用しまして、地権者が不明な土地等においても捕獲に必要な柵等の設置ができるようになりましたことから、今後、積極的にこの制度を活用いたしまして、区画をふやしてまいります。
 柵を設置できない場所では、これまで蓄積した捕獲データを分析して、捕獲場所や網、わな、単独銃器などの手法を工夫、改善いたしまして、効率的な捕獲を進めてまいります。
 こうした取り組みで捕獲をさらに強化し、対策を着実に進めてまいります。

○西野委員 キョンに限らず、外来生物対策には多大な時間と経費がかかります。今回も七億円がかかるということでございますけれども、しっかりと今後計画を立てて捕獲に取り組むことを要望いたしたいと思いますけれども、このことは、初めに逃げ出したときの初期対応が大変まずかったんではないか。
 キョンの立場でいわせていただければ、キョンが本当にかわいそうですよ。今後二度とこういうことが起こらないように、またしっかりいろんなところで取り組みをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○うすい委員 私から、東京都気候変動適応計画(案)についてお伺いしたいと思います。
 近年、これまでに経験したことのない豪雨や、台風の大型化など、気候変動の影響による脅威が私たちの身近な生活にも及んでおります。
 一昨年の台風十九号では、東日本を中心に記録的な大雨が観測されまして、私の地元足立区を含む東京の東部低地帯を流れる荒川では、北区の岩淵水門付近で氾濫危険水位まであと五十センチメートルというところまで水位が上昇しました。
 私たち公明党として、これまでも気候変動適応策を推進する重要性を指摘してきましたが、こうした自然の脅威が身近に迫っている中にあっては、本計画案に盛り込まれた取り組みを着実に推進していく必要がございます。
 そこで、本日は、災害対策など本計画案の内容について何点か質疑をしていきたいと思います。
 まず、本計画案の意義や目的についてお伺いをいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 近年の猛暑や豪雨など、気候変動による深刻な影響は私たちの身近な生活にも及んでおりまして、CO2排出を削減する緩和策に加え、影響を回避、軽減する適応策にも取り組むことが重要でございます。
 このため、昨年度公表いたしました気候変動適応方針で示した内容に加えまして、デジタルトランスフォーメーションの推進等の視点も取り入れながら、持続可能な回復を目指すサステーナブルリカバリーの考え方も踏まえ、本計画案を策定いたしました。
 あわせまして、気候変動の影響によるリスクの最小化という二〇五〇年の目指すべき姿を示すとともに、自然災害、健康、農林水産業など、都政の幅広い分野で二〇三〇年に向けた政策目標や今後三カ年の取り組み予定であるアクションプランを設定しております。

○うすい委員 本計画案には、幅広い分野で二〇三〇年に向けた政策目標や今後三年間の取り組み予定が示されていることがわかりました。中でも、近年の激甚化する気象変化を踏まえますと、特に自然災害分野での取り組みは重要であると考えます。
 そこで、自然災害分野には、どのような取り組みが盛り込まれているのかをお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本計画案では、都民生活や自然環境への影響、被害を可能な限り回避、軽減するため、自然災害、健康、農林水産業、水資源・水環境、自然環境の五つの分野で施策を展開しております。
 このうち、自然災害分野では、激甚化する豪雨や台風に伴う洪水、内水氾濫、高潮、土砂災害等の自然の脅威に対しまして、ハード、ソフト両面から、最先端技術の活用、都市施設の整備等を推進することとしております。
 具体的には、河川における護岸や調節池の整備、無電柱化の推進、地下鉄等における浸水対策、水防災情報の発信強化やホームページ等での多言語による災害情報の提供などの取り組みを盛り込んでおります。

○うすい委員 冒頭にも申し上げましたとおり、私の地元足立区は、東部低地帯に位置しておりまして、とりわけ水害対策には関心が高いことから、護岸整備や水防災情報の発信などの取り組みは非常に重要だと感じております。
 本計画案には、ハード、ソフト両面から自然災害分野の取り組みが盛り込まれているようでありますけれども、東部低地帯はもとより、台地部、丘陵地、山間部、島しょ部など、地域の特性に応じた施策を今後もしっかりと進めてほしいと思います。
 また、先ほども最先端技術の活用を推進していくという旨の答弁もありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、都政におけるデジタルトランスフォーメーションの推進が課題となっております。
 そこで、自然災害分野において、デジタルトランスフォーメーションの視点を本計画案ではどのように取り入れていくのかをお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 自然災害分野では、災害に関する情報発信や情報収集、分析などのソフト対策を中心に、デジタルトランスフォーメーションの視点を踏まえた施策を取り入れております。
 例えば、水位、台風進路、気圧などさまざまなビッグデータをAI等により分析し、水位の変動を正確に予測することで、水門等の操作の支援を行うシステムの構築や、災害時に道路や河川、海岸等の被害状況について、ドローンを活用して安全かつ速やかに把握する取り組みなどを盛り込んでおります。

○うすい委員 人の立ち入りが難しい危険な場所などで、被害状況の把握や物資の輸送にドローンを活用している様子を最近テレビ等で目にすることもありますが、技術や科学的知見の進展は日進月歩で更新されております。今後も最新技術の状況を踏まえ、適応策を推進していってほしいと思います。
 適応策は、環境局の取り組みだけでは完結せず、事業を所管する関係各局との連携が必要不可欠でございます。特に、調節池や護岸整備などのハード対策は、十年以上の長期にわたることも珍しくありません。
 先ほど、本計画案では、二〇三〇年までの政策目標を定めている旨の答弁もありましたが、こうした息の長い取り組みを進めていくためには、各施策の進捗状況をしっかりと把握していくことが重要であります。
 そこで、都を挙げて適応策を推進していくため、どのように各局と連携をし、取り組みの進捗を管理していくのかお伺いをいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 適応策は、自然災害、健康、農林水産業など、都政の幅広い分野に及んでおりますことから、委員ご指摘のとおり、事業を所管する関係各局との連携が必要不可欠でございます。
 このため、昨年度から、関係各局で構成する庁内会議を設置し、連携して適応策の検討を進めてまいりました。
 計画策定後も、こうした庁内連携の仕組みを活用した全庁的な推進体制のもと、アクションプラン等に掲げた施策の進捗につきまして、PDCAサイクルによる管理を徹底することで、政策目標の着実な達成につなげてまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。答弁にもありました、このPDCAサイクルをしっかりと回して、目標の着実な達成を目指していってほしいと思います。
 豪雨などの自然災害が頻発している昨今の状況を鑑みますと、気候変動への適応を進めていくことは、もはや待ったなしであります。
 気候変動による影響を低減させ、都民の生命と財産を守る強靱な都市を実現していくために、今後も環境局には、関係各局としっかりと連携をしていただき、都の適応策を牽引する役割を果たすことを大いに期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○増田委員 それでは、私の方からも、東京都気候変動適応計画(案)について質問させていただきます。
 既に複数会派さんから質疑がされておりますけれども、私の方からは、特に農業との関連、そして多摩地域の自然環境、そして国との連携という切り口から伺っていきたいと思います。
 まず、本件についての経緯ですけれども、令和元年十二月に、都は、ゼロエミッション東京戦略の策定とあわせ、気候変動適応方針を公表し、先日の委員会で、この方針で示された考え方も踏まえて策定されたこの気候変動適応計画(案)に関する報告があったわけであります。
 気候変動の影響につきましては、改めて申し上げるわけでもないんですけれども、昨年八月には、静岡県の浜松市で、歴代全国一位タイの最高気温四十一・一度を記録いたしましたり、また、百年に一度といわれるような風水害が毎年起こっていると、このような状況にあるわけであります。
 こういった気候変動の影響というのは、コロナ禍で大きなダメージを受けた都民生活や事業活動にも大きな影を落としているといえるのではないかと思います。
 そのような中、都は現在、サステーナブルリカバリーということを掲げまして、持続可能な回復を目指すとともに、環境と金融とを合わせたTokyo Green Finance Market、仮称でありますけれども、その創設を表明するなど、新しい民間資金を活用した環境施策を強力に後押しする取り組みも進めておりまして、それにつきましては、私自身にとっても大きなテーマとして取り組んできたところでもあります。
 さて、本計画案につきましては、気候変動をめぐるさまざまな状況の変化も踏まえながら策定されたと思いますけれども、都が二〇五〇年までのゼロエミッションを目指す上で、適応策に取り組む意義につきまして、ちょっと一部重複もいたしますけれども、改めて確認の意味でお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 近年、これまでに経験したことのない極端な気象現象が増加しておりまして、都民、事業者の活動への影響があらわれてきております。
 二〇五〇年に向けましては、CO2排出を削減する緩和策と、気候変動による影響を回避、軽減する適応策を両輪として進めていく必要がございます。
 そこで、ゼロエミッション東京戦略におきまして、戦略の一つである気候変動適応セクターの中に適応策の強化を政策の柱として位置づけまして、あらゆる分野で適応に関する施策を強力に推進するため、本計画案を策定したものでございます。

○増田委員 ゼロエミッション東京戦略の中で、この適応策の強化が重要な政策として位置づけられているということを確認させていただきました。
 今まさに顕在化している気候変動の影響を踏まえつつ、都民の生命、財産を守るため、今後も引き続き、今ご答弁にもありました緩和策、そして適応策を両輪として、総合的な展開を図っていただきたいと思います。
 さて、本計画案には、都政の幅広い分野での取り組みが盛り込まれており、風水害対策等の自然災害分野や暑さ対策等の健康分野だけでなく、農林水産業や自然環境の分野も含まれているものと承知しております。
 私の地元立川市でありますけれども、立川市には、都における農林業や食品産業の技術開発を担う公的試験研究機関である東京都農林総合研究センターもございます。
 そして、立川は、山菜の一つであるウドの生産量が都内ナンバーワンであるということでも知られているように、農業が盛んな地域でもございます。
 しかし、最近では、他の産地との競争でありましたり、後継者問題などによりまして、生産量が落ち込んでいるとも聞いております。そうした中にあって、気候変動による農業分野への影響も、農業関係者の方々にとっては大変大きな心配の種ではないかと思うところであります。
 そこで、農林水産業、とりわけ農業関係における気候変動適応の取り組みについてお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 農林水産業、特に農業関係では、高温等による作物の発育不良や果樹の着色不良などの障害、豪雨や台風等による農業生産基盤への被害などの影響が懸念されます。
 このため、本計画案では、気温上昇などに適合する品目、品種への転換に対する技術支援、普及対策、農業施設の整備などを推進することを盛り込んでおります。
 具体的には、猛暑や大型の台風等の気候変動下においても安定した農業生産を維持し、小規模でも高収益を実現する東京型スマート農業や、夏の暑さにも強い花苗の普及などに取り組んでまいります。
 こうした取り組みを関係局と連携して進めることにより、気候変動の影響にも強い農業、農林水産業を実現してまいります。

○増田委員 私の地元立川市を初め、多摩地域は当然、農業の盛んな地域でございますので、今のご答弁にありました東京型スマート農業、こういった取り組みは大いに期待するところであります。
 ぜひこうした取り組みを着実に進めていただきまして、気候変動の影響に強い、東京らしい農林水産業を実現してほしいと思います。
 次に、自然環境という視点でお伺いいたしますけれども、申すまでもなく、多摩地域は自然環境の豊かな地域で、立川も多摩川ですとか玉川上水などの水路、あるいは国営の昭和記念公園や五日市街道のケヤキ並木、そして立川崖線の樹林地、あるいはそこからの湧き水などがありまして、いわば水と緑の回廊ともいえるような、非常に美しい自然を形成しておりまして、そういった自然を守っていくことは、市民の願いでもあるわけです。
 こうした豊かな自然環境を気候変動の影響から守っていくための適応策の取り組みも、やはり大変重要であると考えます。
 そこで、自然環境分野における気候変動適応の取り組みについてお伺いいたします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 自然環境分野では、気温上昇によりまして、生物や森林の分布域の変化、外来種の侵入、定着率の変化、鹿などの野生鳥獣の生息域の拡大などの影響が懸念されます。
 このため、生物多様性への影響を最小限にするとともに、自然環境が持つ機能の活用や回復に関する取り組みを強化してまいります。
 具体的には、貴重な生物多様性を守る保全地域の拡大、荒廃が進む多摩の杉、ヒノキの人工林について、間伐、枝打ち等による森林の再生、鹿による農林業や生態系への被害防止を初めとした野生生物の適正管理などを進めてまいります。

○増田委員 ありがとうございます。ここまでの質問で、自然環境や農林水産業など、適応策の取り組みは都政の幅広い分野に及んでいることを確認させていただきましたが、いずれも多摩地域に住む都民にとっては非常に身近な問題であるわけです。その重要性というのは、改めてご認識をいただきたいと思うわけです。
 そして、これまでご答弁がありました各取り組みを進める上で、関係各局としっかり連携していくことは、先ほどの答弁にもありましたように、非常に重要なわけでありますけれども、気候変動の影響は、もちろん県境を越えて広域的に及ぶわけでありますので、都だけでの取り組みには限界があり、国や関係機関ともしっかり連携して取り組むことも非常に重要であると考えます。
 本計画案には、気候変動に関する情報収集等の拠点として、気候変動適応センターの設置が盛り込まれておりまして、役割につきましては、先ほどの答弁にもありましたけれども、その中に国や関係機関との連携も図ることとされています。
 そこで、適応センターは、具体的にどのように国や関係機関と連携していくのか、この点について最後に伺います。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 気候変動の影響は広域的に及ぶため、委員ご指摘のとおり、国や関係機関との連携が重要であると認識をしております。
 このため、令和三年度中に東京都環境科学研究所に設置する適応センターでは、環境省や気象庁などの国の機関と自治体等で構成する広域協議会や、国における適応策推進の中核を担う国立環境研究所と全国の適応センターで構成する会議体に参画いたしまして、情報共有等を図るなど、積極的に連携をしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、気候変動適応に関する最新の知見等を収集、分析し、適応に関する都民、事業者への普及啓発を進めてまいります。

○増田委員 ありがとうございました。国や関係機関等から収集した最新の情報を都の取り組みにも生かすとともに、都民に有意義な情報発信ができるように、適応センターの設置に向けた準備をしっかりと進めていただきたいと思います。そのことを要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

○西沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西沢委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十四分散会

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