委員長 | 佐野いくお君 |
副委員長 | 関野たかなり君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
理事 | 舟坂ちかお君 |
理事 | 斉藤やすひろ君 |
理事 | あかねがくぼかよ子君 |
西野 正人君 | |
原田あきら君 | |
細谷しょうこ君 | |
西沢けいた君 | |
のがみ純子君 | |
西郷あゆ美君 | |
村松 一希君 | |
三宅 正彦君 |
欠席委員 なし
出席説明員環境局 | 局長 | 栗岡 祥一君 |
次長 | 笹沼 正一君 | |
総務部長 | 松永 竜太君 | |
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 上田 貴之君 | |
政策調整担当部長 | 和田 慎一君 | |
地球環境エネルギー部長 | 小川 謙司君 | |
次世代エネルギー推進担当部長 | 山田 利朗君 | |
環境改善部長 | 筧 直君 | |
環境改善技術担当部長 | 志村 公久君 | |
自然環境部長 | 近藤 豊君 | |
資源循環推進部長 | 宮澤 浩司君 | |
調整担当部長 | 風祭 英人君 | |
資源循環計画担当部長 | 宗野 喜志君 |
本日の会議に付した事件
環境局関係
事務事業について(質疑)
○佐野委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより環境局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松永総務部長 去る十月二十二日の当委員会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
表紙をおめくり願います。目次にありますとおり十五項目ございます。
まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移でございます。
平成二十年度から三十年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量でございます。
表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載してございます。
二ページをお開き願います。2、東京の温室効果ガスの年間排出量の推移でございます。
平成二十年度から三十年度までの各年度における温室効果ガスの年間排出量でございます。
表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の温室効果ガス削減目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
三ページをお開き願います。3、都内のエネルギー消費量の部門別推移でございます。
平成二十年度から三十年度までの各年度における産業、家庭、業務及び運輸の各部門のエネルギー消費量でございます。
表の上段には、京都議定書の基準年である平成二年度の数値及び都の省エネルギー目標の基準年である平成十二年度の数値を記載しております。
四ページをお開き願います。4、風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電、太陽光発電の普及状況(過去五年分)でございます。
平成二十六年度から三十年度までの各年度における発電方式ごとの設備容量を記載しております。
五ページをお開き願います。5、再生可能エネルギーによる都内電力利用割合(過去五年分)でございます。
平成二十六年度から三十年度までの各年度における再生可能エネルギー電力利用割合等を記載しております。
六ページをお開き願います。6、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
(1)、二酸化窒素濃度につきまして、平成二十六年度から三十年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
七ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質濃度につきまして、同様に記載しております。
八ページをお開き願います。7、令和元年度微小粒子状物質(PM二・五)濃度の測定結果でございます。
微小粒子状物質(PM二・五)の濃度につきまして、(1)、一般環境大気測定局における測定局ごとの年平均値を記載しております。
九ページをお開き願います。(2)、自動車排出ガス測定局につきまして、同様に記載しております。
一〇ページをお開き願います。8、保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額でございます。
平成二十三年度から令和二年度までの各年度における保全地域に係る指定面積、公有化面積、公有化予算額及び公有化決算額を記載しております。
一一ページをお開き願います。9、保全地域における希少種の状況でございます。
調査対象の保全地域におきまして確認された植物、鳥類等の希少種数及び主な希少種名を一五ページにかけて記載しております。
一六ページをお開き願います。10、緑被率、みどり率の推移でございます。
区部及び多摩地域それぞれにつきまして、(1)では平成三年及び七年の緑被率を、(2)では平成十年から三十年まで、五年ごとのみどり率を記載しております。
一七ページをお開き願います。11、都内自動車走行量の推移(過去十年分)でございます。
平成二十年度から二十九年度までの各年度における旅客及び貨物の各部門の自動車走行量を記載しております。
一八ページをお開き願います。12、都内の新車販売台数及び自動車走行距離に占めるZEVの割合(乗用車)でございます。
平成三十年度における乗用車の新車販売台数及び走行距離に占めるZEVの割合を記載しております。
一九ページをお開き願います。13、建設汚泥の発生量(過去五年分)でございます。
平成二十五年度から二十九年度までの各年度における建設汚泥の発生量を記載しております。
二〇ページをお開き願います。14、日本からの廃プラスチック輸出量の推移(国・地域)でございます。
貿易統計に基づき、平成二十七年から令和元年までの国、地域別の輸出量の推移を記載しております。
二一ページをお開き願います。15、区市町村で回収している容器包装プラスチック量とリサイクル量とその合計(平成三十年度、区市町村別)でございます。
平成三十年度における区市町村別の容器包装プラスチック量とリサイクル量を二二ページにかけて記載してございます。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○佐野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○あかねがくぼ委員 よろしくお願いいたします。まず、再生可能エネルギーの普及拡大について伺います。
都は、都内の再生可能エネルギー電力の利用割合を二〇三〇年までに三〇%にするという目標を掲げています。再生可能エネルギーの供給量は、各事業者の取り組みにより年々増加していると認識をしています。
東京は電力の最大消費地でありますが、直近の都内の電力消費量と再エネの利用量や、その利用割合はどのようになっていますでしょうか。先ほどの要求資料にも出ておりましたけれども、二〇三〇年度の目標達成に向け、利用割合がどのように推移をしているのか、あわせて伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 平成三十年度の都内における再生可能エネルギーにより発電された電力の利用量は約百二十一億キロワットアワーでございまして、これに対し、都内の電力消費量は約七百八十八億キロワットアワーでありましたことから、都内の再生可能エネルギーによる電力の利用割合は約一五・三%となっております。
また、固定価格買い取り制度が開始されました平成二十四年度の利用割合は約六%であり、この間、毎年度約一から二ポイントずつ増加しております。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。二〇三〇年に三〇%という目標達成に向けて、再エネの利用割合は着実に増加をしているということはわかりました。今後、その伸びがとまることのないように進めていただきたいと思います。
再エネの利用割合を高めるためには、都民の皆さんに再エネ電力を利用していただくということが重要です。都は昨年度から、家庭の再エネ電力利用を促す、みんなで一緒に自然の電気のキャンペーンを実施しています。
この事業は、昨年十二月の第一回キャンペーンで約四千三百世帯からの参加登録があり、約九百四十世帯が再エネ電力に切りかえ、年間約八千円の電気代の節約につながったと聞いています。
ことし七月にも第二回のキャンペーンを実施していますけれども、第一回の結果を踏まえ、どのような工夫を行ったのか、また今後の展開について伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 ことし七月に実施いたしました第二回キャンペーンでは、第一回キャンペーンの参加者からの要望を受け、再エネ三〇%以上メニューに加えまして、一〇〇%メニューを用意いたしました。
また、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市の近隣自治体と連携したキャンペーンを展開するなど、新たな試みを実施いたしました。
こうした取り組みの結果、近隣自治体の家庭等を含む約四千八百世帯からの参加登録があったところでございます。
今後、第三回キャンペーンの実施に向け、近隣自治体への参加をさらに働きかけながら、家庭などにおける再エネ電力の利用を促してまいります。
○あかねがくぼ委員 私も実はこれ、参加をさせていただきまして、本当にもっと多くのご家庭が参加できる、大変よい取り組みだと思います。今年度までの事業ということなのですが、二〇三〇年、三〇%目標ということで、達成のためにも必要な事業であると思いますので、ぜひ継続をしていただきたいと思います。
こうした取り組みに加えまして、再エネの利用を高めていくためには、各家庭などに電気を供給する電気事業者の都内への再エネ供給量や供給率を高めていくことも重要であります。
そのためには、より多くの再エネ電力を調達し、都内へ供給させられるように、各電気事業者の取り組みを後押しする、そのような仕組みも必要と思いますけれども、都の見解をお伺いします。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、都内へ電気を供給する電気事業者に対し、CO2排出係数、再エネ電気利用割合等に関する計画書及び報告書の提出、公表を義務づけるエネルギー環境計画書制度を実施しております。
本制度により報告されるCO2排出係数や再エネの利用割合などにつきましては、都は毎年度、電気事業者名とともに一覧にいたしまして、都のホームページやリーフレットにより公表しております。
各電気事業者の電気の環境性の向上や、再エネの導入を促進するためには、事業者の取り組みを評価していくことも有効と認識しております。このため今後、事業者の取り組みを評価する仕組みを検討いたしますとともに、電気の環境性をより高い水準に誘導するための方策につきましても検討してまいります。
○あかねがくぼ委員 ぜひ電気事業者の取り組み、後押しをしていただくように、評価方法などもあわせて導入を検討いただきたいと思います。
今後の再エネ大量導入時代を見据えますと、電力の送配電網に大きな負担をかけない再エネの地産地消と再エネを無駄なく活用するエネルギーのシェアリングの推進も重要であると考えます。
そこで、今年度、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 再エネの地産地消とエネルギーシェアリングの推進のためには、再エネ設備を最大限導入していくとともに、電力の最適な需給調整などを行うバーチャル・パワー・プラント、VPPの実現が重要であると認識しております。
そこで都は、今年度、都内の地域やエネルギー需給等の特性を踏まえ、大規模な事業所、商業施設、大学等の複数の施設における太陽光発電や蓄電池、EVなどのリソースを活用したVPPの実現可能性について調査を行っております。こうした取り組みを進めながら、将来的な地域RE一〇〇の実現に向け、引き続き検討してまいります。
○あかねがくぼ委員 再エネの地産地消とエネルギーシェアリングの推進のためには、電力の最適な需給調整などを行うバーチャル・パワー・プラント、VPPが重要であるということがわかりました。このVPPの実現可能性調査をしていただいているということは非常によい取り組みであると思います。その調査の結果も踏まえて、地域単位で再エネ一〇〇%の実現に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。
また、これらは災害等に対する地域のレジリエンス、回復力の向上という点からも肝要と考えますので、ぜひ推進をお願いします。
ゼロエミッション東京戦略で、再エネは脱炭素社会の重要な鍵であり、基幹エネルギー化を目指すとしています。着実に再エネの普及拡大を図っていただきますように改めてお願いして、次の質問に行きます。
アスベスト対策について伺います。
アスベストの繊維は人体に吸収されやすく、肺がんなど重大な健康被害をもたらすものであります。独立行政法人環境再生保全機構の統計によりますと、平成二十九年度までの十二年間で、アスベストの暴露認定を受けた九千八十名のうち五千二百四十九名が職業性の暴露、つまり仕事中にアスベストを吸入してしまった方々でありました。
大気環境の保全はもとより、人の健康にも直結する労働環境の安全確保に向け、アスベストの飛散防止対策は重要な取り組みであります。
東京都内では、アスベストが関与する職場の例として建物の解体、改修工事の現場が挙げられます。解体現場では過去に使用された建材中のアスベストが飛散するおそれがあるため、都や区市では実際に職員の方々が現場を回り、解体業者等に適切な作業の実施を指導しているということであります。
今回質問はいたしませんが、引き続き現場での監視業務をしっかりと行っていただいて、作業員の方々や周辺住民の健康、暮らしを守る取り組みを進めていただくことを要望しておきます。
さて、アスベストによる健康被害を未然に防いでいく上で、災害時における対応も忘れてはなりません。昨年、大型の台風十五号と十九号が相次いで首都圏に接近をし、伊豆諸島や多摩川流域で建物の倒壊、浸水被害をもたらし、大量の被災建物や災害廃棄物が発生をいたしました。幸いにも廃棄物や倒壊家屋等からアスベストが飛散し健康被害が発生したといった事例はなかったようです。
しかし、過去には阪神・淡路大震災の復興作業において、アスベストによる健康被害が発生したとの報道もあり、災害時におけるアスベスト対策に万全を期す必要があります。
都は本年九月に、災害時におけるアスベスト対策について、業界団体との協定を提携したとのことですが、改めてその概要について伺います。
○筧環境改善部長 災害発生時には倒壊建物や災害廃棄物からアスベストが飛散するおそれがあるため、被災建物や避難所の周辺等でアスベストの飛散状況を把握することは地域住民の安心・安全を確保する上で重要な取り組みでございます。
そこで都は、災害時にアスベストをモニタリングする体制を整備するため、本年九月に東京都環境計量協議会と協定を締結いたしました。具体的には、協議会があらかじめ地域ごとにアスベストの測定ができる会員事業者を選定しておき、災害発生時には都の要請に基づき、迅速かつ確実にモニタリングを開始できるようにいたしました。
今後、都と協議会で災害発生を想定した定期的な訓練を行うなど、協定を取り交わした双方の担当業務を円滑に遂行できるよう、災害の備えを進めてまいります。
○あかねがくぼ委員 被災現場において住民や復興作業に携わる方々の健康を守るということは、被災建物や災害廃棄物からのアスベストの飛散状況を把握することが重要であり、今回の都の取り組みは高く評価したいと思います。
一方で、例えば倒壊した建物や災害廃棄物の中からアスベストの有無を確認し、必要に応じて応急の飛散防止措置などを行うなどの取り組みが必要ですが、その実施体制が十分整っていないと聞いています。
そこで都は、災害発生時のアスベスト対策の充実に向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
○筧環境改善部長 災害現場におけるアスベスト対策を進めていくためには、アスベストの飛散状況を把握するとともに、現場における応急の飛散防止措置を講じるなどの取り組みが必要でございます。
都では今後、こうしたアスベストの処理等にノウハウを有する業界団体等と連携し、災害時のアスベスト処理体制の構築に向けて検討を行ってまいります。あわせて、区市町村とも災害時のアスベスト対策について意見交換を行い、官民でアスベスト対策を進めるための連携のあり方について検討してまいります。
○あかねがくぼ委員 大規模災害時においては数多くの建物被害が想定されますし、アスベストは微細な繊維で吸収性が高く、その取り扱いには高い専門性が求められるために、都だけで対応することは困難であります。ぜひ業界団体や区市町村との意見交換を進めて、新たな連携方法についても検討をしていただきたいと思います。
避難所周辺でもしっかりとしたアスベスト飛散対策を講じることが都民の安全・安心につながりますので、災害時のアスベスト対策、しっかりと取り組みをお願いして、次の質問に移ります。
光化学スモッグ対策について伺います。
我が会派では、環境に優しい未来都市の実現に向け、その達成目標の一つとして、光化学スモッグ注意報の発令日をゼロにすることを挙げています。
高度経済成長期には、東京への人口、産業の集中が加速した結果、工場からもくもくと黒煙が吐き出され、夏の暑い日には目がちかちかする、喉が痛い、胸が苦しいといった光化学スモッグによる健康被害が頻発していました。近年は深刻な健康被害が発生したとの事例は聞きませんが、光化学スモッグは過去から残されている公害問題の一つと位置づけることができます。
そこでまず、光化学スモッグ注意報の概要や、ことしの発令状況について伺います。
○筧環境改善部長 光化学スモッグは、自動車や工場から排出された窒素酸化物と、揮発性有機化合物いわゆるVOCが太陽光線を受けて反応し、オゾンなどの光化学オキシダントが大気中に発生する現象で、その濃度が上昇すると健康被害のリスクが高まるといわれております。
そのため、都内を八地域に分けて、一時間当たりの光化学オキシダント濃度が環境基準の二倍に相当する〇・一二ppmを超えた場合、都民への注意喚起を目的に、光化学スモッグ注意報を発令することとなっており、ことしの発令日数は六日でございました。
○あかねがくぼ委員 残念ながら、ことしの夏も光化学スモッグ注意報は東京都内全体では六回、そのうち杉並区などの都の西部で五回発令をされたということでありました。
答弁では光化学オキシダントの濃度が環境基準の二倍以上になったときに注意報を発令するとのことですが、国の環境基準は一時間当たり〇・〇六ppm以下でございます。つまり一年のうち一時間でも〇・〇六ppmを超えたら、その時点でその年の環境基準が未達成となる厳しい基準でありまして、全国でもほとんど基準を達成できていないと聞いております。
環境基準の達成を目指すということは大前提ではありますけれども、まず都民の健康被害を未然に防止するという観点から光化学スモッグ対策を進めていただく必要があります。
そこで、光化学スモッグ注意報の発令時に健康被害の原因物質である光化学オキシダントが高濃度となる条件や近年の傾向について伺います。
○筧環境改善部長 光化学スモッグ注意報は、高い気温や日射量のほか、風が弱く光化学オキシダントが滞留しやすい条件がそろった状況下で発令されております。
今年度、大気中のオキシダント濃度が注意報の発令条件である〇・一二ppmを超えた延べ時間は百二十九時間でしたが、過去二十年間の推移を見ますと、二〇〇二年度の千四百二十時間をピークとして、オキシダントが高濃度となる時間は減少傾向にございます。
○あかねがくぼ委員 最近は大気中の光化学オキシダントが高濃度で存在する時間も減少しているということで、ひとまず安心をいたしました。
確かに二十年前と比べると東京の空気は随分よくなっているということは、ふだんの生活の中でも実感できますし、高濃度の光化学オキシダントが生成する機会は減っていると思います。
しかし、二〇一三年には、都内の高校のグラウンドで生徒が喉の痛み、息苦しさを訴えるといった被害も発生しておりますし、真夏の猛暑日には光化学オキシダント濃度が再び高まっていく可能性が考えられます。
そこで都は、光化学スモッグ対策について今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○筧環境改善部長 光化学スモッグ注意報の発令日数をゼロにするためには、その原因物質である窒素酸化物やVOCの排出削減を進めることが重要でございます。
都はこれまで、ディーゼル車規制や工場、事業場における排出削減などに取り組んだ結果、二〇〇〇年度から二〇一五年度までに窒素酸化物は五四%、VOCは五六%削減されました。
今後ともこうした対策に着実に取り組むとともに、ゼロエミッションビークルの普及やVOC等の排出削減に向けた自主行動を促すClear Skyサポーター制度の推進など、さらなる排出量の削減に向けた取り組みも進めてまいります。
また、光化学オキシダントやその原因物質について、都内外で移動する可能性もあることから、九都県市と連携した広域的な取り組みについても検討してまいります。
○あかねがくぼ委員 まだまだ不明な点が多い光化学スモッグではありますけれども、引き続き近隣県と連携をした有効な対策をお願いしたいと思います。
次に移ります。
廃プラスチックの国内有効利用に対する取り組みについて伺います。
廃プラの処理、リサイクルは地球規模の重要課題になっています。二〇一七年以降の中国による廃プラの輸入規制の強化に伴い、東南アジアを中心とした国々へ日本を含む先進国の廃プラが多く輸出されるようになりました。
こうした東南アジア地域を中心に、リサイクルの名目で先進国から輸入された廃プラが自然環境や地元住民の健康に深刻な影響を与える事例が報告されています。
一方、昨年、有害廃棄物の国際的な貿易を規制しますバーゼル条約が改正され、汚れた廃プラスチックが輸出規制の対象として加わったことから、国内での有効利用が課題となっています。
都はこうした状況を踏まえ、今年度から廃プラスチックの国内での有効利用の拡大を図るための実証実験を開始したと聞いていますが、本事業に取り組む意義と狙いについて伺います。
○宮澤資源循環推進部長 これまで海外に輸出されてきた廃プラスチックを見ますと、有害物質を含む金属類や一般ごみなど、リサイクルが困難な異物が含まれた状態でこん包されるケースが多く、今後輸出が困難になることが見込まれることから、こうした廃プラスチックの品質を高め、国内での有効利用拡大を図る必要がございます。
また、国内において廃プラスチックの有効利用が可能なセメント工場などの施設は、東京都外の遠隔地に立地していることが多く、廃棄物処理業者の個社の対応では輸送効率が悪いことから、共同輸送の仕組みを構築し、CO2の削減を図りながら効率的な輸送の実現を目指しております。
今後、廃プラスチックのセメント工場等での受け入れをさらに拡大できるよう、本実証事業を通じた課題の検証を行うとともに、その成果について業界団体等と共有を図り、新たな資源循環ルートの構築につなげてまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
廃プラスチックの処理、リサイクル市場では近年、処理コストの高どまりや在庫増加というのが生じています。海外への輸出量はバーゼル条約改正の影響もあり、今後も減少することが見込まれます。国内での廃プラスチックの有効利用に向けた実証実験を進めることは意義のあるものであると評価をいたします。
直近では、新型コロナウイルスにより経済活動が制約を受けた結果、事業所からの廃棄物は一時的とはいえ減少しているということでありますが、廃プラスチックの国内資源循環のシステムをつくることが喫緊の課題でありますので、着実に進めていただきたいと思います。
今後、国内での廃プラスチックの有効利用のさらなる拡大に向けて、より多くの事業者の参加を得て、中間処理や共同輸送などの規模拡大と効率化について検討を進めることが重要と考えますが、都の取り組みについて伺います。
○宮澤資源循環推進部長 来年一月の改正バーゼル条約の発効を見据え、都が業界団体と連携し、本年九月に実施したアンケート調査によりますと、回答した事業者のうち約半数が、今後新たな受け入れ先の確保に向けて、必要な処理工程の見直しや設備改修を検討していることがわかりました。
都は引き続き、国内における廃プラスチック処理、リサイクル市場の需給状況や、改正バーゼル条約の施行後における輸出入の動向、外国政府における輸入規制の最新情報等の調査を行い、廃棄物処理業者への幅広い情報提供を行ってまいります。
あわせて、今回の実証事業において、今後もより多くの参加事業者を募りながら、廃プラスチックの選別、破砕、圧縮こん包などの各工程における効果的な処理方法や効率的な積みかえ保管、輸送方法等の検証を進めることで廃プラスチックの国内有効利用の拡大を促してまいります。
○あかねがくぼ委員 バーゼル条約の改正を契機としまして、廃プラの国内リサイクルが画期的に前進をするという可能性も高いと思います。そのためには新たな視点と技術革新により廃プラの処理やリサイクルのコストを下げるということが重要だと考えます。
我が国のリサイクル率は八割を超えておりまして、その内訳は、サーマルリサイクルが六割弱、マテリアルのリサイクルが二割程度、ケミカルリサイクルは五%以下となっています。
一般の人にとってリサイクルといえば、廃プラが新たな製品に生まれ変わるなど、物から物へのリサイクル、つまりマテリアルリサイクルのことを想像するのではないかと思います。しかし、実際にはマテリアルリサイクルは二割程度であります。さらに、海外に輸出する分を除いた国内でのマテリアルリサイクルは全体の一割以下になっています。
行き場をなくした廃プラスチックがリサイクルされず、ごみとして国内にあふれるようなことがないように、都の責務として廃プラの有効利用について引き続き知恵を絞っていただきますように要望して、最後の質問に移ります。
二十三区の家庭ごみなどを埋め立てている処分場の延命化について伺います。
ライフスタイルの変革や環境意識の高まりから、家庭ごみなどの排出量は昔に比べて減ってきていると思います。一日に排出される二十三区の都民一人当たりのごみの量は、平成十年度では千三百七十七グラムであったのに対し、平成三十年度には八百七十五グラムと、二十年間で四割ほど減少をしています。
ごみの排出量が減っているということは歓迎すべきことですが、現時点においてまだリサイクルができずに最終的に埋立処分されるものは存在していることも事実です。
コロナ禍の影響で家庭の巣ごもりなどの増加に伴って、家庭のごみ排出量が例年よりも一割程度ふえていると、東京二十三区清掃一部事務組合の調査でわかってきております。
引き続きごみ減量に向けた取り組みを行うとともに、最終処分量を削減する取り組みを行っていくことが重要であるということはいうまでもありません。
そこでまず、二十三区の埋立処分場におけるこれまでの埋立処分量の変遷と現状について伺います。
○風祭調整担当部長 埋立処分量は、全量焼却が達成されるまでは可燃ごみもそのまま埋め立てられていたこともありまして、経済成長に伴ってごみ量が増加し、昭和四十七年にはピークとなる年間三百五十万トンを超える量が埋め立てられておりました。
その後、バブル経済崩壊による景気後退や、リサイクルの取り組みが進んできたこと、平成九年には二十三区内の清掃工場の整備が進んだことによりまして、可燃ごみの全量焼却が可能になりました。
さらに、平成二十年度から廃プラスチックのサーマルリサイクルを本格実施したことなどによりまして、現在の埋立処分量はピーク時の七分の一程度までに減少しております。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
二十三区の一般廃棄物の埋立処分場は現在、中央防波堤外側処分場と新海面処分場があり、ごみの最終処分等に使用されています。この処分場は二十三区最後の処分場であり、都民の貴重な財産であります。
現在の埋立処分量は、廃プラのサーマルリサイクル等によりピーク時の七分の一程度まで減少したとご答弁ありましたけれども、二十三区の最後の処分場として、延命化に向けた取り組みを、一般廃棄物の処理責任を負う二十三区や処分場の管理運営を行っている都が連携をして行うべきと考えますが、具体的な取り組み状況について伺います。
○風祭調整担当部長 二十三区の最終処分場である中央防波堤外側処分場及び新海面処分場は限りある埋立空間であり、都や二十三区などが連携して、できる限り長期にわたり利用していく必要がございます。
このため、東京二十三区清掃一部事務組合では、最終処分量の削減に向けまして、清掃工場から発生する焼却灰について、平成二十五年度からセメントの原料などとして資源化する事業を実施しております。都としましても資源化の増量を要請しており、計画量を上回るペースで資源化量が拡大しております。
また、都が事務局を務める区市町村と都との共同検討会での議論を踏まえまして、二十三区内における蛍光管などの水銀含有ごみの分別回収が徹底できたため、不燃ごみに水銀混入のおそれがなくなりました。このことにより、清掃工場への水銀含有ごみの搬入の心配がなくなったことから、これまで埋め立てられていた不燃ごみを破砕、選別した後の可燃分につきましても、本年度から焼却処理を開始しております。
今後も二十三区や東京二十三区清掃一部事務組合と連携しながら、こうした取り組みを進め、処分場の延命化をより一層推進してまいります。
○あかねがくぼ委員 平成三十年度の国の調査によりますと、東京二十三区の最終処分場の残余年数は五十年以上ということでありますけれども、限りある埋立空間ということですので、持続可能な成熟都市を支えるごみ処理の仕組みというものを一層高度化していただくようお願いをいたします。
焼却灰をセメントなどの原料にして資源化をする事業など、東京二十三区清掃一部事務組合の取り組み事例を挙げていただきましたけれども、それらに加えて、特にリサイクルや中間処理についてはより一層の取り組みが必要であると考えます。そのため、二十三区や東京二十三区清掃一部事務組合と連携をとりつつ、規模の経済や技術革新が促されるように、産学官連携の仕組みも検討いただきますように要望して、私の質問を終わります。
○三宅委員 私からも、まず初めに、再生可能エネルギーの普及拡大について伺いたいと思います。
菅総理が所信表明演説において、二〇五〇年までに我が国の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言しました。総理が表明しているとおり、積極的に地球温暖化対策を行うことが産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながっていくとの認識に立ち、エネルギー施策を推進していく必要があります。
温室効果ガスの排出を削減し、ゼロにしていくためには、エネルギーの使用量を減らしていく省エネの推進と、エネルギー自体の脱炭素化を進める、すなわち化石燃料から再エネへの転換、両面からの取り組みが求められます。
都でも二〇三〇年までに温室効果ガスの排出量を二〇〇〇年比で三〇%削減することに加え、再エネ電力の利用割合を三〇%に引き上げるとの目標を掲げています。
そこでまず、質疑に当たって、都の現状を確認しておきたいと思います。温室効果ガス排出量及び再エネ電力利用割合の現状についてお伺いいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 平成三十年度速報値での都内温室効果ガス排出量は六千三百九十三万トンCO2であり、基準年となる平成十二年度比で二・八%増加しております。
なお、温室効果ガス排出量は電力のCO2排出係数の上昇によって増加するため、エネルギー消費量で見ますと、平成十二年度から二四%の減少となっております。
また、平成三十年度の都内再生可能エネルギー電力の利用割合は一五・三%となっており、前年度の利用割合から一・二ポイント増加しております。
○三宅委員 温室効果ガス排出量は電力のCO2排出係数上昇の影響を受け、増加してしまっているとのことです。電力の脱炭素化を進めていくことの重要性がよくわかります。その中で再エネ電力の利用割合はふえているといっても、毎年一ポイント程度しか増加しておりません。
現状の推移で二〇三〇年までに再エネ電力利用割合三〇%を達成することは本当に可能なのでしょうか。再エネ電力の利用拡大に向けて、都はどのような取り組みを行っているのか伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、昨年十二月に策定いたしましたゼロエミッション東京戦略におきまして、再エネの基幹エネルギー化を主要な政策に位置づけ、再エネ設備の設置と再エネ電力の利用の両面から、さまざまな取り組みを行っております。
再エネ設備の設置につきましては、家庭や事業者向けに太陽光発電設備等への導入補助を行っております。
また、再エネ電力の利用拡大に向け、今年度からキャップ・アンド・トレード制度におきまして、再エネ電力の利用をさらに促す仕組みを導入するなどいたしましたほか、家庭等において電力契約の切りかえだけで簡単、お得に再エネ電力を利用できるグループ購入の事業などを行っております。
加えまして、とちょう電力プランなどによりまして、都みずからが率先して利用を進めておりますほか、昨年、RE一〇〇アクションミーティングを開催し、RE一〇〇を目指す企業等の取り組みを後押ししております。
○三宅委員 都が再エネ電力の利用拡大に向けて、設置と利用、その両面からさまざまな取り組みを進めていることは理解できましたが、一部の補助事業において、都民や事業者の認知度が低く、申請件数が伸びていないのではないかとの指摘もあります。二〇三〇年の目標年次まであと十年です。このままのペースでは目標達成は難しいのではないでしょうか。
ゼロエミッション東京の実現にはさらなる利用拡大が求められる中で、改善すべき点は改善を行い、新たなアイデア等も駆使しながら、しっかり取り組んでいただくよう、これは要望しておきたいと思います。
次に、島しょ地域における再エネの導入拡大について伺います。
私はこれまでも、島しょ地域は太陽光や風力、地熱発電等、自然を生かした再エネの導入に非常に大きな可能性があることを発言してきたところです。
一方、導入に当たっては、電力系統への接続制限や、島ごとに地形や気候が異なっていること、自然公園の指定地域も多いことなど、さまざまな制約があることも事実であります。こうした制約下で島しょ地域への再エネを導入していくためには、都の役割は非常に重要であると考えています。
そこでまず、都は島しょ地域における再エネの導入拡大に向け、どのように取り組んできたのかお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 島しょ地域は多様な再エネのポテンシャルを有しており、また災害発生時の電力確保といった観点からも、再エネの導入拡大が重要であると認識しております。
そこで都は、各島における再エネの導入可能性調査などを行ってきたほか、八丈町における地熱発電事業への技術的支援を実施するとともに、小笠原村の母島において、一年のうち半年程度を太陽光発電のみで電力供給を行う実証事業に参画しております。
○三宅委員 島しょ地域における再エネの導入拡大に向けた取り組みは、引き続き各地域、各島の意見等も踏まえながら、着実に進めていただきたいと思います。
ことし七月、私は再び母島に行ってまいりましたが、母島での取り組み、地元の人も理解している方と理解していない方、両方いると思いますし、また理解している方もさまざまな面でいろいろと心配を抱えているようですので、ぜひその辺もちゃんと説明して進めていただきたいと思っております。
ところで、ことしの予算特別委員会において、私は島しょ地域における洋上風力発電の導入の可能性について質疑を行いました。その後、環境省において浮体式洋上風力発電による地域の脱炭素化ビジネスへの補助事業が公募されるなど、浮体式洋上風力発電の早期普及に向けた動きが加速しました。
こうした動きを踏まえ、島しょ地域への洋上風力発電の導入に対する都の見解を改めて伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 都はこれまで、都内の島しょ地域における洋上風力発電の導入可能性について、事業者と意見交換、情報収集を行ってまいりました。委員お話しのとおり、本年七月から国が補助事業の公募を行い、民間事業者による洋上風力発電の事業化に向けた調査や理解醸成を図る取り組みが進み始めております。
今後ともこうした動きを注視するとともに、地元自治体の声を聞きながら、島しょ地域の再エネ拡大に向けて検討を進めてまいります。
○三宅委員 洋上風力発電の導入に当たっては、本当に課題が多いことは承知しております。ただ、地元自治体の意向が反映されるよう、都としてもできる限りの後押し、支援をお願いしたいと思います。
私は、将来的に島しょ地域が再エネの拠点として、余剰電力を大消費地に送る、そういった役割を担っていくものだと考えています。島しょ地域の将来を見据え、中長期的な視点からさまざまな検討をお願いしたいと思いますし、またこれは新たな技術を用いるわけですから、都も含め、国全体でさまざまな技術革新、産業振興につながると思いますので、ぜひ東京が積極的に取り組んでいただきたい、そういうふうに思っております。
次に、水素エネルギーの利用拡大について伺います。
水素は、燃料電池自動車、家庭や事業所における電気や熱エネルギーとしての利用など、将来的な脱炭素化に欠かせない、多様な役割を担う重要なキープレーヤーです。
また、天候により発電量が変化する再エネの導入を今後さらに図っていくためには、余った再エネ電気を使って水素として利用することで、電力の安定運用のために役立てていくことなども重要となります。
そこで都は、水素エネルギーの利用拡大に向けてどう取り組んでいるのか伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素エネルギーの利用拡大のためには、将来を見据え、水素の製造、輸送、貯蔵に至る安定的なサプライチェーンの構築に向けた初期需要の創出やインフラ整備などが必要でございます。
このため、都は、家庭用燃料電池及び業務、産業用燃料電池や燃料電池自動車、バスの導入支援等を行い、水素エネルギーの初期需要の拡大を図るとともに、水素ステーションの整備拡大等に努めております。
また、大規模、長期間のエネルギー貯蔵が可能な水素の機能に着目いたしまして、東京都環境科学研究所内に新たに設置した水素蓄電実験システムも活用しながら、一般的なリチウムイオン蓄電池と水素蓄電の最適な組み合わせにより、電力系統の安定運用に資する手法についても検討を行っております。
都は、このような取り組みにより、将来の脱炭素社会に資する水素利用の拡大を図ってまいります。
○三宅委員 水素は、電力系統での再エネの受け入れ余地が少ない島しょ地域では、風力発電などの導入が進んだ際の電力の需給調整としての役割も期待されていますし、また電力が余れば、例えば水素にして船の燃料として活用することなども考えられます。
実際、五島列島の方ではそういった船を実験的に走らせていますので、ぜひその辺もご考慮いただければと思います。
ことし七月にはEUにおいて水素エネルギー戦略が策定され、水素を大規模かつ積極的に活用していくことが示されたほか、二〇二二年の北京冬季オリンピックでは、開催地である張家口市でオリンピック開催までに導入される燃料電池自動車の台数が一万台に達するともいわれているなど、世界的に水素利用の動きが加速しています。
世界に先駆けて水素エネルギーの利用促進を図ってきた日本がおくれをとらないよう、都は国とも連携して力強い施策展開を図っていただくよう要望しまして、質問を終わります。
○斉藤委員 私の方からは、ゼロエミッション東京戦略についてを軸に、各論として廃プラ対策、そして自然環境部に関しましては生物多様性について、簡単にきょうは質問をしたいと思います。
まず、ゼロエミッション東京戦略についてでございますけれども、今、委員からもお話ありましたように、先般、菅首相が、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言されました。
私ども公明党は、かねてよりこの脱炭素社会の実現を提言しておりまして、山口那津男代表ほか、全国の公明党議員もこれに呼吸を合わせて、連立政権の新たなスタートとして大変に歓迎をしているところでございます。
一方、都においてはこれに先立ちまして、昨年の五月に知事が二〇五〇年にゼロエミッション東京を目指すことをまず表明いたしまして、そして十二月の末でございますが、ゼロエミッション東京戦略を策定しております。
同時に、東京都は気候危機行動宣言、単なる認識だけでなく、行動を行うことの宣言をいち早く行っておりまして、この戦略に基づく具体的な行動を開始するとしております。この戦略は、都が中期的にどのように脱炭素社会の実現に向かっていくのか、今後の環境施策の大きな軸、幹となるものと考えるわけであります。
そこで、東京都が国に先駆けて戦略を策定いたしまして、気候危機行動宣言を行った背景と意義について最初に伺っておきたいと思います。
○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 激甚化する集中豪雨や台風、危険な暑さなど、地球温暖化による自然災害の脅威は既に私たちの身近な生活に及んでおりまして、世界全体が危機的な状況にあるといえます。
こうした状況を踏まえまして、都は、世界の大都市の責務といたしまして、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を目指すこととし、昨年十二月末にゼロエミッション東京戦略を策定いたしました。
また、気候変動の問題に立ち向かうためには、危機感を表明し訴えるだけではなく、行動を起こすことが重要との認識から、戦略の策定とともに、気候非常事態という表現を超えて、気候危機に立ち向かう行動を強く表明する気候危機行動宣言を行いました。
東京が脱炭素化に向けた明確なビジョンを持ち、具体的行動に踏み出していくことで、都民や事業者の皆様の共感と協働を得て大きな効果を生み出し、全体を牽引していく力になるものと考えております。
○斉藤委員 東京はいうまでもなく、エネルギーや資源の大消費地でありまして、野心的な目標を掲げて国や他の自治体をリードしていくことは大変意義のあることと思います。
国におきましても気候危機を認識いたしまして、脱炭素社会実現に向けて、国を挙げて実践していく気候非常事態宣言を行う動き、これは超党派の動きでございます。
気候非常事態宣言を行うだけという表現、これはネットワークが重要でもございますので、世界のネットワークにつながる意味でも、この気候非常事態宣言そのものについて否定するものではございませんが、さらにそれに加えて、具体的な行動を着実に進めていくことを東京都が宣言したならば、東京がむしろ世界のリーダーシップをとって、行動のネットワークというものも世界に発信していくべきであると考えます。
今後も国とよく連携しながら取り組みを進めていただきたいと要望しておきます。
ゼロエミッション東京の実現という野心的な目標は、都の力だけで当然達成できるものではなく、都民の皆様、そして各企業、事業者、団体などさまざまな主体と力を合わせて、ともに気候危機に立ち向かっていかなくてはならないわけでございます。
特に、地域に密着して、東京都にはない地域団体とのつながり等も有している、現場に直結している区市町村との連携は、ゼロエミッション東京を実現していくために必要不可欠であると考えています。
そこで、区市町村との連携強化のため、どのような取り組みを進めているのかを伺いたいと思います。
○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ゼロエミッション東京実現のためには、地域の実情に精通し、基礎的自治体として地域ネットワークを有する区市町村との連携が重要であることから、区市町村のニーズを酌み取りながら、支援、連携を強化しております。
具体的には、今年度から地域環境力活性化事業の補助メニューにリチウムイオン電池やフロン対策への支援を追加したほか、プラスチック製容器包装の分別収集に向けた区市町村の取り組み支援などを進めております。
また、本年三月に作成しました、都が目指す姿や主要目標、区市町村向けの主な連携支援メニューなどをわかりやすく紹介した冊子を活用いたしまして、区市町村へのPRを行っております。
今後も区市町村と連携しながら、ともにゼロエミッション東京の実現に向け取り組んでまいります。
○斉藤委員 区市町村は多種多様な環境施策を既に展開しておりまして、例えば私の地元目黒区では、先ほどもお話がございました地域環境力活性化事業を活用いたしまして、区立公園における苗木の植樹や池のかい掘りといった生物多様性保全の取り組みを進めているわけであります。
日曜日も区立駒場野公園でかい掘りが行われまして、在来種であるクロメダカですとかさまざまな生物、こういったものを子供たちも交えまして体感したところでございます。
今後も区市町村のニーズを酌み取りながら、ゼロエミッション東京の実現に向けた取り組みのみならず、幅広い分野で連携を深めていってほしいと要望しておきます。
また、地球温暖化は国境のないグローバルな課題でもあります。当然ながら東京一都市のみの取り組みで対処できるものではございません。東京都は世界の諸都市とも協力して気候危機に取り組む必要があります。
COP26は来年の十一月に延期されましたけれども、中国を初め世界の国や地域では、競うように温室効果ガス排出削減に向けた目標や取り組みを発表するなど、地球温暖化への国際的関心はより一層高まっているようにも感じます。
アメリカの大統領選挙の一大関心事も、こうした取り組みにアメリカ合衆国がどのようにつながっていくのかという点もあわせて関心が高くなっているわけでございます。
東京都は環境先進都市として、世界の中でもリーダーシップをしっかりと発揮していく都市、ゼロエミッション実現に向けて積極的な発言や都市間の連携を強化していくべきだと考えますが、これまで既にやっていると思いますが、その取り組みと、そして今後に向けた展開を伺いたいと思います。
○和田政策調整担当部長 地球温暖化対策におきましては、世界の人口の多くが居住する都市が連携して行動することが重要でありまして、都は、C40や持続可能な都市と地域を目指す自治体協議会でありますイクレイなどのグローバルネットワークを活用しながら、これまでも国際会議やワークショップなどの場におきまして、都の先進的な取り組みを発信しております。
また、アジア諸都市などとの国際連携の枠組みも活用いたしまして、都が先進的に取り組んでまいりました対策や知見、技術を積極的に提供するなど、各都市の脱炭素化に向けた取り組みを支援しております。
新型コロナウイルスの感染拡大以降は、オンラインを活用した会議が増加しておりまして、都は、このようなオンライン化によるメリットも生かして国際的な場への参加をふやすなど、今後も世界への発信と連携を強化していきます。
都は、世界の大都市の責務として国際的なリーダーシップを発揮し、世界諸都市と連携しながら気候危機に立ち向かう行動を推進し、国内外のゼロエミッション化に貢献してまいります。
○斉藤委員 新型コロナウイルスからの経済復興という観点からも、国際的に環境への配慮は欠かせない要素となっていると思います。オンライン化によるメリットもあるということですので、引き続き、東京都の施策をしっかり世界に示しながら、海外の諸都市との連携強化に取り組んでいただきたい。
区市町村から入って都市の話になりましたけれども、全てのステークホルダーといいますか、主体としっかり連携をとっていくことが重要だと思います。特に国との連携をしっかりととることもがっちりやっていただきまして、世界の模範となる都市としての存在感を示す取り組みに邁進していただきたいと思います。
続きまして、廃プラスチック対策について伺いたいと思います。
プラスチックは、その原料のほとんどを化石資源に依存していることから、CO2実質ゼロの持続可能な社会の実現に向けて、プラスチックの循環的な利用のあり方について改めて問い直す必要があると思います。
東京都が昨年策定いたしましたプラスチック削減プログラムでは、ペットボトルのボトル・ツー・ボトルなど、使用済みのプラスチックをもとの素材と同等の品質に戻す水平リサイクルの取り組みが重要であるということが示されておりまして、同じ資源を何度も資源循環させることで新たな化石資源の利用を抑制して、そしてCO2の削減につながるものと認識しています。その割合は小さいかもしれませんが、ここをとにかく拡大していくことが重要だと思うわけでございます。
家庭からの廃ペットボトルは、各自治体での分別回収やスーパーマーケットなどの店頭において既に分別回収が広く行われている一方で、まち中に設置されている自動販売機横にリサイクルボックスがある自動販売機がございますけれども、分別が十分でなくて、ボトル・ツー・ボトル推進に向けた取り組みの底上げが必要になっていると考えます。いろんなものがまざって入っちゃうんですね。
現在、大手清涼飲料メーカーを中心に、一〇〇%再生ボトルの販売など、ボトル・ツー・ボトルを目指す動きが広がりつつございます。東京都はこうした動きを踏まえまして、今年度、清涼飲料メーカーなどとの連携によりまして、ボトルtoボトル東京プロジェクトキックオフ会議を開催いたしました。その推進を図るコンソーシアムを立ち上げているところでございます。
そこで、ボトル・ツー・ボトルを推進していく上で、現在具体的にどのような課題があるのか、都の認識を伺いたいと思います。
○宮澤資源循環推進部長 ボトル・ツー・ボトルを推進するためには、高度なリサイクル技術が必要なだけではなく、ペットボトルのキャップやラベルを外すなど、消費者の協力によって廃ペットボトルの品質を高め、透明なボトルのみを回収する仕組みづくりが必要でございます。
主に家庭から排出されるペットボトルについては、自治体や店頭での分別回収が進んでいるものの、まち中に設置される自動販売機横などのリサイクルボックスにおいては、ペットボトルや缶以外の一般ごみが異物として混入しており、リサイクルを阻害する要因となっております。
全国清涼飲料連合会が本年九月に実施したリサイクルボックスに関する消費者意識調査二〇二〇によりますと、回答した四割強の方が、自動販売機横のボックスはごみ箱ではなく、飲料容器専用のリサイクルボックスであることを知らなかったと回答しております。
今後、ボトル・ツー・ボトルの推進に向けた消費者の意識を一層高め、具体的な実践行動につなげていただく必要があると認識しております。
○斉藤委員 確かに、まち中の自販機の横のリサイクルボックスを見ますと、コンビニで販売されているアイスコーヒーとか、最近ではちょっと下火になった感がありますタピオカのドリンクの容器など、こういったもの、ペットボトルや缶以外の一般ごみが数多く捨てられている様子がございます。
消費者の一人一人の排出段階での心がけが資源リサイクルの推進にとって大変重要である。つながっているわけですね。これを改めて認識する、そして都民、区民にも認識していただく必要があると考えております。
東京都は今後、清涼飲料メーカー等と連携したモデル事業を実施すると聞いていますけれども、このボトル・ツー・ボトルの推進に向けて、どのような取り組みを進めていくのか伺いたいと思います。
○宮澤資源循環推進部長 都は昨年度、全国清涼飲料連合会及び国との連携により、複数の事業者が参加する廃ペットボトルを効率的に共同回収するモデル事業を実施いたしました。
本年八月には、同連合会等と連携し、ペットボトルの一〇〇%有効利用を促進するボトルtoボトル東京プロジェクトのキックオフを行い、課題解決に向けた具体的な取り組みを検討してまいりました。
今月中に共同事業として、まち中に設置されている複数の自動販売機横のリサイクルボックスを対象に、飲み終えた飲料容器のみを入れてもらえるよう工夫を施した上で、一般ごみの混入防止に関する効果検証を行うモデル事業に取り組んでまいります。
引き続き、清涼飲料メーカー等と連携したコンソーシアムにおいて、さらなるモデル事業や普及啓発の取り組みを検討し、ボトル・ツー・ボトルを推進する事業スキームの構築と、消費者に向けた機運の醸成を図ってまいります。
○斉藤委員 CO2実質ゼロを目指したプラスチック循環利用の実現に向けては、ボトル・ツー・ボトルなど、水平リサイクルの普及拡大が不可欠であると考えます。加えまして、ペットボトル以外のプラスチック樹脂につきましても、水平リサイクル技術の確立と社会への実装を進めていくことが重要であると思います。
私はかねてより、マテリアルリサイクルを推進すべく一生懸命取り組んでまいりましたが、プラスチックという化学製品は大変に人類の生活の中で便利であって、非常にコストも安く、大きな貢献をしてきたものであって、プラスチックが悪いわけじゃない。プラスチックとうまくつき合っていくことが重要でありまして、これから質問します自然との共生の中で、人間がつくり上げたものをどうやってうまくコントロールし、循環させていくかということ。全体でCO2実質ゼロという数字だけを追いかけるんじゃなくて、多くの方にそのつながりを理解していただくことが重要であるというふうに考えますので、ボトル・ツー・ボトルは先駆けのわかりやすい取り組みですので、ぜひ推進をお願いしておきたいと思います。
最後のテーマでございますが、生物多様性地域戦略について何点か伺いたいと思います。
私は、また都議会公明党は、生物多様性に富んだ環境先進都市東京を目指すべきと、かねてから主張してまいりました。東京都は、平成二十四年の五月に、現行の生物多様性地域戦略であります緑施策の新展開を策定いたしまして、取り組みを進めておりますけれども、自然環境の保全や回復を進めることはもちろんのこと、社会課題の解決に資するよう、これからの時代にふさわしい、新たな東京の地域戦略を策定すべきと、本年の三月の予算特別委員会で私も質疑を行ったところでございます。
東京都からは、令和三年度に国が国家戦略を改定するのに合わせまして地域戦略を改定し、さまざまな主体と連携をして、これからの時代にふさわしい、新しい東京地域戦略を取りまとめると、力強い答弁があったところであります。
そこでまず、生物多様性地域戦略改定について、これまでの検討経過を伺いたいと思います。
○近藤自然環境部長 都の地域戦略につきましては、国際目標の見直しを踏まえて国家戦略が改定されることから、これに合わせて改定していくこととしております。当初、国際目標の見直しが本年秋に予定されていたことを踏まえ、昨年十二月、生物多様性地域戦略の改定につきまして自然環境保全審議会に諮問いたしました。
検討に当たりましては、審議会計画部会の中に生物多様性に関する専門的な知見を持つ外部の有識者を加えた生物多様性地域戦略改定検討会を設置し、昨年度は三回開催いたしました。
○斉藤委員 昨年の十二月に自然環境保全審議会へ諮問をして以降三回の改定検討会で議論されたことが今のご答弁でございました。
それでは、その三回の検討会におきまして、具体的にどのような議論がなされたのかを伺いたいと思います。
○近藤自然環境部長 これまでの検討会では、地域戦略改定のポイントや今後の検討課題など、議論のたたき台となる資料を提示し、地域戦略の改定方針として、生物多様性の危機や、東京にも豊かな自然環境が残っていることを都民に知らせるべきなどのご意見をいただきました。
また、現行の緑施策の新展開における主な取り組み成果や、東京の自然の将来像に関する検討のポイント等について提示し、生物多様性の現状や課題を整理する必要性など、今後の検討方針等についてご意見をいただきました。
さらに、地形や地質を含めた東京の自然について提示し、中間のまとめにおいて、都民に知ってもらいたい東京の自然の特徴に関するご意見をいただきました。
○斉藤委員 私は現行の緑施策の新展開が発表されるその前からずっと、COP10が開催されるのに伴って誕生した都議会議員として、東京が生物多様性に配慮した都市としてどのような発信をしていくのかというのをずっと追いかけてきたわけでございますが、今回の改定検討会では、現行の緑施策の新展開における取り組みの成果について議論されたようですけれども、緑という点で特徴を持った東京の戦略でございましたが、緑の量だけでなくて、その質にも注目するべきであるということを私もかねてから訴えてまいりましたが、在来種の植栽など、緑の質を重視した施策の方向性を東京都の緑施策の新展開、また新たな検討会でも打ち出されているところであります。
民間施設でも緑の質に配慮した緑地が徐々にふえてきています。ノーネットロスの考え方のもと、これ以上、緑を減らさないという強い決意が必要だと思いますけれども、その取り組みの一つとして、私の地元の目黒区で、首都高速道路株式会社が建設した大橋ジャンクションに大橋換気所という施設がございますけれども、この屋上におおはし里の杜という緑地を公園としてつくってもらいました。
ここは、昔は水車などがあったようなところです。染物もしていたようなんですけれども、この目黒川周辺の原風景をモデルに、在来の植物を選ぶなど、良質な自然地回復を目的に整備されたと聞いております。近くの菅刈小学校の子供たちも田植えなんかしたり、換気所の、ジャンクションの上で田植えをするという、収穫もするというすばらしい公園でございます。
東京都においては、民間の開発事業者が生態系に配慮した緑地に取り組めるよう、生態系評価ツールを公開しておりまして、私も過去の予算特別委員会で二度ほど質疑を深めさせていただきました。
そこで、生態系評価ツールが開発により、新たに創出される都市部の身近な緑づくりにどのように生かされているかを伺いたいと思います。
○近藤自然環境部長 生態系に配慮した緑化評価ツールは、東京の地域特性に合致した樹種の植栽や周辺緑地との連続性、生き物を呼び寄せる工夫など、民間事業者が策定した緑化計画が生態系にどの程度配慮しているか、みずから評価できるツールとして、平成二十八年度に公表し、事業者による生態系に配慮した緑化に生かされてきました。
その過程で得られた生態系に配慮した樹種の選定や生き物の生息、生育空間づくりなどの知見を活用し、江戸のみどり登録緑地制度を平成二十九年度から開始いたしました。本制度は、積極的に在来種を植栽し、生物多様性の保全に取り組んでいる民間事業者の緑地を都が登録、公表することで事業者の意欲を引き出す仕組みであり、本年十月末時点で、理事からもお話のございましたおおはし里の杜を含め、十二件の実績がございます。
○斉藤委員 私は目黒の区民として、おおはし里の杜の公園ですとか、あるいは、かつてはJR、国鉄の管理下にあった土地でございますが、菅刈公園という区立の、NPOの皆さんによる公園管理もございまして、すばらしい里山的な公園もございますけれども、そうした緑を、武蔵野の森をほうふつさせるような、そうした実生の森が目黒の一等地の中に存在していることの価値、これはもうお金で評価することはできない、すばらしい都市の価値であると私は思いますが、こうしたものを都民や一般の方にどう見える化していくか、評価を示していくかという物差しですね。わからないものはずっとわからないで見過ごされてしまうんですが、わかる形に示していくことが重要だ。
特に経済を担っているさまざまな、例えばディベロッパーの皆様などが開発するときに、周りの方々に説明するときに、それがいかに価値あるものであるかということを共有する物差しが必要であることを訴えてきたわけでありますが、東京独自の生物評価ツールだけでなく、民間事業者も開発しておりますので、そうしたことをうまく活用して、ぜひとも量だけでなく質にも配慮した緑の創出等をお願いしたいと思います。
特にネットワークが重要でございますので、エコロジカルネットワークの一つの拠点としてのこういった公園もございますが、ぜひそういったことにも配慮して、都市の生物多様性をぜひ推進していただきたいと思います。
今答弁がありました、生態系の評価ツールの知見を活用した江戸のみどり登録緑地制度が開始されて、生態系に配慮した緑化が進んでいることがわかりましたし、またそれに先駆けた復活事業、こういったものをきっかけにして、目黒の菅刈公園なども今、水の確保なんかも一生懸命やりまして、緑が枯れないように努力をしているところでございます。
東京は世界有数の大都市でありまして、世界中の生物資源を大量に消費する都市でもございます。大都市東京としては、都内の生物多様性保全を進めることは当然でありますけれども、世界の生物多様性保全にも貢献していく必要があると思います。
生物多様性保全はSDGsにも目標として掲げられております、目標の十四、十五、こうしたSDGsについて、検討会ではどのような意見があったかを伺っておきたいと思います。
○近藤自然環境部長 平成二十七年の国連総会で採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGsは、人間活動が原因で生じる問題に対し、国際社会が取り組むべき十七の目標が設定され、そのうち生物多様性については、海の豊かさを守ろう、陸の豊かさも守ろうなどの目標が主に関係しております。
SDGsについて、検討会委員からは、生物多様性保全に企業の参画を促すためには、SDGsの視点を加え、国際的な貢献につなげることが重要である、大消費地である東京の責任として、SDGsのさまざまな課題につなげていくべきなどの意見が出されております。
都としては、こうしたSDGsに関する意見を含め、様々な意見を反映させながら、生物多様性地域戦略改定に向けた検討を進めてまいります。
○斉藤委員 SDGs、国連というと、遠い国との関係とか、日本国外、国の機関でいくと外務省が窓口みたいなイメージが強いんですけれども、私は、そういったことも大事なんですけれども、やっぱり身近な地域を愛していくというか、東京のまちまちにある、そういった生物の多様性を育むようなまちづくりというものが、これから東京、大都市部は必要であるというふうに強く思って主張しております。
特に子供たちには学びの場の中で、コロナの関係でことしの新学期は大変に残念なスタートでございましたが、学習指導要領に、この持続可能な社会づくりの担い手としての学びが教育の場でも展開されてきております。
こうした身近な地域を見たときに、子供たちと大人が、世界につながっていく自然、あるいは生物多様性都市として、とても大事な行動というものがあるよねということが日常的に会話の中で出てくるような都市づくり、そういうものを目指していきたいというふうに強く念願しておるところでございます。
検討会の中でもこうしたSDGsに関する意見が出ているということでございますので、ぜひこうした取り組み、視点を盛り込んだ改定地域戦略になることを期待したいと思います。
結びになりますけれども、生物多様性地域戦略改定に向けた今後の予定を伺っておきたいと思います。
○近藤自然環境部長 本年十月に開催が予定されていた生物多様性条約第十五回締約国会議、いわゆるCOP15は、新型コロナウイルス感染症の影響により二〇二一年に延期されております。また、国においては、令和三年秋までに国家戦略を改定する予定でありましたが、COP15の延期に伴い、改定時期がおくれる可能性があると聞いております。
都は、新たな国際目標や国家戦略改定に合わせ、地域戦略の改定を目指していることから、引き続き、国や国際的な動向をにらみながら検討を進めてまいります。
なお、コロナ禍の影響により、延期していた改定検討会については、現在、開催に向け準備を進めております。
○斉藤委員 新型コロナウイルス感染症の影響によって、COP15の開催や国家戦略の改定がおくれているということでございます。COP15は、開催地は昆明、中国でございますね。中国も国を挙げて、世界の環境施策のリーダーシップを本当にすごい勢いでとりにいっております。
日本がその後塵を拝することがないように、私はしっかりとこれを応援し、そしてともに進めていきたいと思っておりますが、やはり国と都市との連携がこういった場面でも重要になってくると思います。
そして、SDGsは二〇三〇年からのバックキャスティングの目標を掲げていますけれども、ゼロエミッション東京戦略などは、二〇五〇年というか、もっと長い先からのバックキャスティングで排出実質ゼロを目指すなど、野心的な目標を掲げております。
私どもの世代だけでなく、次の子供たちの世代がその次の世代に対して、先輩たちが本当にこういうことをやってきたおかげで私たちの今の環境があるということを胸を張って、先輩たちに感謝していただけるような、そういった立ち位置に私たちがいると思いますと、まさしく行動の重要性というものを痛感するわけでございます。
きょうは質問は以上でございますけれども、これからもしっかりと東京の掲げる新たな地域戦略が世界の都市を牽引する。特にパリが東京に対して物すごい意識を持っている都市だと思いますけれども、諸都市に負けないように、しっかりと応援していきたいと思いますので、ぜひ推進の方、お願いしたいと思います。
以上でございます。
○里吉委員 私からも、ゼロエミ東京、政策の第一に掲げてあります再生可能エネルギーの基幹エネルギー化に関連して伺っていきたいと思います。
昨年、二〇一九年十二月に、都は、ゼロエミッション東京戦略を策定しました。二〇五〇年にCO2排出ゼロに貢献すると掲げて、都内からのCO2排出量の実質ゼロを目指すとともに、都外でのCO2排出削減にも貢献するとして、省エネ、再エネの活用によるCO2排出量の最小化が必要だということ、さらに、二〇五〇年に向け、今後、二〇三〇年までの十年間の取り組みが極めて重要、このように書かれてあります。
しかし、実際の政策を見てみますと、二〇三〇年までの数値目標が曖昧だったり、具体的なメニューについて個々の目標が示されていないものが多いなど、あと十年、九年ちょっと、どうやってこれを実現していくのか、都の役割はどこにあるのか、これがよくわからない、疑問に思うことが多々ございます。
そこで、改めて再生可能エネルギーに関連して幾つか質疑をしていきたいと思います。
まず、二〇三〇年に向けた主要目的では、都有施設の使用電力の再エネ一〇〇%化が掲げられております。これまでの具体化と実績について伺います。あわせて、都有施設の太陽光発電の設置はどれぐらいなのか伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 再生可能エネルギー電力一〇〇%化となる知事部局等の都有施設の電力使用量は、本年十二月から供給が開始される施設を含めまして、年間約六千四百万キロワットアワーを見込んでおりまして、知事部局等の都有施設の年間電力使用量でございます約九億キロワットアワーに対しまして、約七%に当たります。
また、知事部局等の都有施設における太陽光発電設備の設置量は、二〇一八年度末時点で約六千四百キロワットとなっております。
○里吉委員 都庁版RE一〇〇ということで取り組み始めたことは大変重要だと思いますが、本当に早急に全都有施設へと広げていくことが必要だと思います。目標は二〇三〇年までとなっていますが、これをどのように取り組んでいくのか、私はさらに前倒しで進めるべきと考えますが、あわせて伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、昨年度から都庁舎版RE一〇〇やとちょう電力プランを実施し、再エネ一〇〇%電力の供給を受ける施設を拡大しております。
今後とも、二〇三〇年の目標達成に向けまして、再エネの設置と利用の両面から都有施設の再エネ電力一〇〇%化に取り組んでまいります。
○里吉委員 すごい簡単にお答えになりましたけど、とちょう電力プランというのは卒FITを使って、この十二月から特別支援学校などに一〇〇%の再生可能エネルギーを使っていくということで、そういう拡大も順次考えていると、やっているということだと思うんですけれども、先ほどのご答弁にもあったように、それを足してもまだ七%ということです。
今お話しいただいたように、節電、省エネに努めるということと、それから再エネの利用をふやしていく、設置もしていく。大きい方向ではそのとおりだと思うんですけれども、新しい施設をつくるときには省エネ仕様にしていくとか、いろいろやっていらっしゃると思うんですけれども、本当にこれであと八億数千万キロワットアワー、どうやって再エネ一〇〇%にしていくのかということについては、今の答弁ではちょっと心もとないと思います。
基本的に都庁版RE一〇〇でもそうでしたけれども、今、都有施設で使っている電力を順次再エネ一〇〇%に切りかえていくということが必要だと思うんです。
都庁舎の再エネ一〇〇%は、ことし八月、二回目の入札がありましたけれども、昨年に比べて入札金額が下がっているんですね。ですから、再エネだから高いということではなくて、まとまって再エネを使うということであれば、今、再生可能エネルギーはそんなに高くないと、逆に下がっているということもあって、こういうことをせっかくやっているわけですから、都有施設の単体のものから順次再エネ一〇〇%に契約を切りかえていく。複合施設の場合もありますから、基本的にはその建物全体が再エネ一〇〇%仕様となるように東京都が積極的に働きかけるなど、どんどん年次を区切って進めていくべきだと思うんですね。
年度末には環境局としての考え方をまとめるなどして各局に伝えていく。もう皆さん考えていらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども、ご答弁いただけなかったので、そういう取り組みをしていっていただかないと、それぞれ持っている施設の再エネ一〇〇%への切りかえ計画は進んでいかないと思います。ですから、ここは環境局がしっかりとイニシアチブを発揮して取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
それから、世田谷区でも、せたがや版RE一〇〇の実現に向けて取り組みが進んでいるんですが、世田谷では公共施設への再生可能エネルギー電力の導入率、二〇一八年度一一・一%を、二〇三〇年までに五〇%を目指して今取り組んでいます。こういう自治体も生まれていますので、ほかの自治体に対しても、東京都がこうやって自治体版RE一〇〇を進めていこうという呼びかけなんかもぜひしていただきたいというふうに思います。
次は企業です。
東京は国内でも最も企業が集中している都市でありますから、企業での取り組みが重要です。
先ほどもお話ありましたけれども、都内RE一〇〇宣言企業の拡大支援について、東京都はこれまでどのように取り組んできたのか、また今後どのように取り組みを進めようとしているのか伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 再エネ電力一〇〇%の普及、活用に率先的に取り組むRE一〇〇宣言企業や再エネ電力を販売する電力事業者とともに、再エネ電力の利用や供給をさらに拡大する大きなムーブメントを起こしていくため、昨年、RE一〇〇アクションミーティングを開催したところでございます。その後、都庁舎版RE一〇〇やとちょう電力プランの実施など、都みずからも再エネ一〇〇%電力の率先的な利用を進めております。
今後とも、都有施設における再エネ一〇〇%電力の率先利用や、再エネ電力販売事業者と都内事業者とのマッチングの実施等を通しまして、民間企業のRE一〇〇の取り組みを後押ししてまいります。
○里吉委員 ここも、例えば都内でRE一〇〇宣言を行う企業を幾つまでふやすとか、それから、RE一〇〇宣言といっても、二〇五〇年までに一〇〇%再生可能エネルギーということなので、これを例えば二〇三〇年までに再エネ一〇〇%達成企業をどれぐらいにするとか、五〇%達成企業をどれぐらいにするとか、いろんな目標も持って積極的に取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれども、特にそういうことではなくて、民間の企業を応援していくと、後押ししていくということで今やっているということなんですね。
多分、毎年RE一〇〇宣言を行っている企業はふえていると思うんですが、現在どれぐらいまでふえているのか、それから国内の事業者とのマッチング、コロナ感染拡大の影響で延期になっているということでしたけれども、具体的に今後どのようなやり方で進めていく予定なのか伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 十月末現在、RE一〇〇に加盟している国内の企業は約四十社となってございます。再エネ電力販売事業者と都内事業者とのマッチングにつきましては、昨年度、キャップ・アンド・トレード制度等の対象事業者向けのセミナーにおきまして、再エネ電力販売事業者のプレゼンテーションや、電力事業者と制度対象事業者との個別相談を実施することを予定しておりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から実施を見送ったところでございます。
今年度につきましては、感染防止を踏まえた適切な実施方法について検討を進めているところでございます。
○里吉委員 せっかくいろいろ考えていたということですから、オンラインなども使って、ぜひマッチングが、一つでも、二つでも、早く進むように取り組んでいただきたいと思います。
それから、次ですけれども、二〇一〇年度から大規模事業所に対するCO2排出総量削減を義務づけるキャップ・アンド・トレード制度、それから中小企業に対しては地球温暖化対策報告書制度を導入して、CO2排出状況の把握と省エネ対策などを実施してきました。
しかし、この制度だけの責任ではもちろんありませんけれども、先ほど資料もいただきましたけれども、二ページにもあるように、CO2、東京の温室効果ガスの年間排出量、実際は基準年よりもふえているという状況ですよね。この制度の対応についてはまた考えなければいけませんけれども、先ほどご答弁にあったように、この二つの制度を使って、再生可能エネルギーの利用拡大を進める取り組みを進めていると。これも先ほどご答弁がありましたけれども、これもやっぱり目標も持って、ぜひ取り組んでいただきたいと思うんですけれども、目標も特にご答弁がありませんでした。
ですので、これは割愛しますけれども、こういう制度をせっかく持っているのですから、そこに再生可能エネルギーの利用拡大についてもきちんと指標を持って、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、家庭部門での取り組みについて伺います。
これも先ほど質疑がありました。再生可能エネルギーグループ購入促進モデル事業、みんなで一緒に自然の電気、これは私も新しい取り組みとして注目していました。
この内容と実績については先ほど質疑がありましたので、繰り返し伺いませんけれども、この事業は国内初のモデル事業、みんなで一緒に再生可能エネルギーを購入できるということで、どうやって切りかえたらいいかわからないとか、経済的な負担は困るという方にとっては、実際に電気代も安くなるし、再生可能エネルギーが使えるということで、大変魅力的な事業だと思います。
一点気になるのが契約者数、一回目で参加登録者数四千三百世帯のうち切りかえたのが二割強だったということなんですが、このことについてどう認識しているのか伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 再エネ電力への切りかえに当たりましては、参加登録をいただいた方にキャンペーン事務局からメールで、個々の電気使用量がどの程度安くなるか見積もりを通知するなど、切りかえを促す取り組みを行ったところでございます。
なお、こうした取り組みが先行して行われている欧州でのグループ購入においても、電力切りかえ割合は二割から四割程度というふうに聞いております。
○里吉委員 実際に先行している欧州でも、切りかえ割合は二割から四割程度ということで、申し込んだ方が全員登録するわけではないと、二割程度ということが特に少な過ぎるわけではないということがわかりました。
ただ、ここに登録した方が、ここで再生可能エネルギーを買っていなくても、ほかで買っていただいているといいんですけれども、そういうことについてもできたら調べていっていただけたらなというふうに思います。
先ほどもございましたけれども、一回目は再エネ率三〇%以上の電気が対象でしたが、二回目は一〇〇%も対象に加えたと。首都圏五都県に拡大したということで、この取り組みはぜひ進めていただきたいと思いますが、見解を伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 今後、第三回のキャンペーンの実施に向けまして、近隣自治体への参加をさらに働きかけながら、家庭などにおけます再エネ電力の利用を促してまいります。
○里吉委員 この事業は二〇二一年三月末までに最低三回の事業を行うことというふうにありましたので、あと一回行うことは決まっていると思うんですね。三回目については、さらに再エネ一〇〇%の電気の割合をふやすなど、ステップアップしていただきたいと思います。
先ほども少しお話ししましたけれども、家庭部門での再エネ電気への切りかえを進めるために、多少高くなるのではないかとか、どこに切りかえていいかわからないという不安に応えることはすごく大切なことだと思います。
東京都が行っている事業ということであれば、安心して再エネ電気に切りかえようという方もまだいらっしゃるのではないかと思います。再エネ電気の普及のために、引き続き、私からもこういった取り組みを進めていただきたいということを要望しておきます。
次に行きます。
再生可能エネルギーを大量導入していく際に、避けて通れない課題の一つが送電線の利用の問題です。
電力系統利用ルールによって、送電線に実際にはあきがあっても、今はとまっている原子力発電など、既存の電源の分をとっておくということで、再生可能エネルギーが使えないということが起こっております。先に電力を使っていたところが使う、先着優先というルール、これは変えることが不可欠だと思います。
ことし三月の質疑で、我が党の原田あきら委員の質問に対して、地球環境エネルギー部長は、昨年から千葉方面で送配電網の容量制限から再エネ電力の送電ができない状況が既に生まれていると答弁されました。都としても既存施設の最大限の活用などを要求しているというご答弁でありました。その後、国は改善を進めているのか、状況について伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 都は国に対しまして、再エネの利用拡大に向けた電力系統の運用改善、強化、整備について提案要求しております。
国におきましては、既存系統の活用が進められてきているほか、再エネ導入を加速化するような基幹送電線の利用ルールにつきまして、検討が開始されているところでございます。
○里吉委員 やっと国の方でも夏ぐらいから議論が始まったということですけれども、基幹送電線の利用ルールの検討、見直しを始めたということです。都内で地産地消で再エネをつくっていくことも大変重要ですけれども、やはり都内での再生可能エネルギーの供給、そうはいっても全体を網羅するには全く足りません。
再生可能エネルギーを基幹エネルギーとしていくためには、やはり都外からの再エネ電気がなければ、飛躍的にこれを高めることはできませんので、引き続き、東京都としても国にしっかり要求して、改善させていただきたいと思います。
最後に、エネルギー環境計画書制度について伺います。
エネルギー供給事業者対策として、都内へ電気を供給する小売電気事業者に対して、CO2排出係数や再生可能エネルギー利用量等の目標とか実績を記載した計画書、報告書の提出、それからそれを公表する、それを義務づけるこの制度が導入されて、今運用されています。
これまでのスタートさせてからの効果はどのようなものがあったのか、そして、それに対する都としての評価をあわせて伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 エネルギー環境計画書制度は、都内へ電気を供給する電気事業者を対象といたしまして、二〇〇五年度から施行しております。対象事業者数は当初九社でございましたが、電力小売自由化の進展に伴いまして、昨年度には二百二十五社まで増加しております。
CO2排出係数や再エネ利用割合に関する計画書及び報告書の提出を義務づけておりまして、その内容を都が公表することで、電気事業者によるCO2排出係数の低減、再エネの供給拡大が促進されているものと認識しております。
○里吉委員 この内容を公表することで電気事業者のCO2排出係数を低減させる、再エネの供給拡大が促進されるというふうに認識しているということなんですけれども、なかなか一般都民にわかりにくいという問題点があります。
電力小売の自由化に伴って本当にふえてきましたよね、二百二十五社。消費者が環境に配慮した電力を選択しやすくするためには、この情報をもうちょっとわかりやすく都民に提供する工夫をしていただきたいと考えますが、見解を伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、エネルギー環境計画書制度により報告されるCO2排出係数や再エネの利用割合などにつきまして、毎年度、電気事業者名とともに一覧にいたしまして、都のホームページ、それからリーフレットにより公表しております。
都民の利便性を高めるために、ホームページに掲載しております一覧表につきましては、再エネ利用割合等によって並びかえができるようにするなどの工夫を行ってきております。
○里吉委員 一点確認したいんですけれども、先ほど電気事業者を評価する仕組みを用意しているというお話がありました。これは、ここに掲載されている二百二十五社のことなのか、それとは違うのか、一点確認したいんですけれども、いかがでしょうか。
○小川地球環境エネルギー部長 そのリーフレットに掲載されております電気事業者さんについては、その年度に提出された事業者さんになります。今検討している事業者につきましては、当該年度に提出された事業者さんを評価していくものと考えております。
○里吉委員 そうすると、小売の電気業者は毎年ふえていますので、電力自由化で、これよりもたくさんの小売の電気事業者が出てくるわけですけれども、それがどういうふうに再エネに対して取り組んでいるのかということがわかりやすいものが多分出てくるんだと思いますので、そこについては注目していきたいと思います。
これは私も何回も、毎年見させていただいているんですけれども、あとホームページも少しずつよくなっていると、並べかえができるなど、工夫をされているということは確認をいたしました。
これは、環境問題に関心の高い市民の方とか、学生の方々がレポートをつくるとか、そういうときには大変使いやすくなっていると思うんですけれども、広く都民の皆さんが、東京都に供給されている電気の中で再生可能エネルギーがどれぐらいなのかとか、FITだけしか再エネを使っていない会社もあるとか、扱いの電気がほぼ一〇〇%再生可能エネルギーの会社があるんだとか、そういったことについてももっとわかりやすく、このパンフレットも含めて工夫していただきたいと思います。
最後になりますが、改めて、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化は政策の柱の一つです。まずは率先して、都有施設の利用電力の再エネ一〇〇%化に向けて、東京都が目に見える形で取り組みを前に進めていただくこと、そしてほかの自治体も巻き込んでいただくことで、一般の企業や住宅への再エネ一〇〇%を進める取り組みも進んでいくと思いますので、ぜひ環境局には、東京都の再エネ一〇〇%電気を全体で使っていく、その先頭に立って計画を進めていただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。
○西沢委員 まず最初に、私から建設現場におけるアスベストの対策についてお伺いをしていきたいというように思います。
平成十七年に、大手機械メーカーであるクボタの工場周辺でアスベストによる健康被害が報道されました。大きな社会問題となり、この問題では、従業員だけでなく周辺住民からも中皮腫などの健康被害が多発し、大きな衝撃を与えたことから、いわゆるクボタショックとも呼ばれているそうであります。
その後、国は法令等を改正しまして、アスベストの使用は禁止されましたけれども、都内の建物の解体現場では、今までも建設当時に使用されたアスベストを含む建材が数多く確認されております。
解体業者の中には、現場でのアスベストを確認しておきながら、適切な対策を講じず、安い工事費で受注している業者もいると聞いています。真面目にアスベスト対策を実施している業者がばかを見る状況であってはなりませんし、クボタショックのように周囲にアスベストを飛散させることは絶対に避けなければなりません。
実際に私も地元で聞いた話ですけれども、解体の見積もりの幅が四倍もあるという話なんかも聞きまして、安過ぎる業者というのは、ちゃんと安くやってもらえているところは普通にいいことなんですけれども、やっぱり正直者がばかを見るような状況というのが実際にあるんじゃないかというふうにいぶかしく思う、それはわかるわけであります。
こうした状況を踏まえまして、今年度から東京都の専門職員、いわゆるアスベストGメンによる現場指導の強化に取り組んでいると聞いております。
そこで、これまでのアスベストGメンの取り組み実績と今後の取り組みの方向性についてお伺いをいたします。
○筧環境改善部長 都はこれまで、建物の解体現場におけるアスベストの飛散防止に向け、専門職員を区市に派遣して、現場の監視業務を担う区市職員への技術支援を行ってまいりました。今年度からは専門職員を二名から八名に増員し、いわゆるアスベストGメンとして、解体現場におけるパトロールを強化する取り組みを開始しております。
本年十月末現在のパトロール件数は百七十四件であり、掲示板の非設置に対する指導を初め、解体作業において届け出内容から逸脱した作業が確認された場合、地元自治体と連携して改善指導を行うなど、一定の成果が得られております。
今後とも、区市との連携のもと、現場における指導を実施し、アスベストの飛散防止対策の徹底を図ってまいります。
○西沢委員 約半年間のパトロール件数が百七十四件ということで、ちゃんと実績を上げていますよという話でございました。ことしはコロナがやっぱりありましたので、感染症の影響でGメンが現場に行くこともなかなかできなかったという話も聞いているところでございます。
今後、都内において建物の建てかえ需要の増加が予想されているという中で、アスベストGメンの現場パトロールは効果的であります。専門職員の不足する区市にとっても大変ありがたいことだというように思います。
アスベストGメンによる区市への支援や現場での監視指導の徹底をお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。
先ほどアスベストで災害の話なんかもありましたけれども、近年、豪雨や暑さ、台風による被害が地球温暖化に伴う影響ということで深刻さを増しています。先ほど来、話がありましたゼロエミッション東京戦略について、具体的な行動を開始していくということでございます。
ここについて私もお伺いをしていきたいというように思っております。
二〇五〇年にCO2実質ゼロに向けて、この計画を策定して温暖化を防止するための強い姿勢を示しているというように考えるわけでありますが、一方で、東京都は二〇一六年に東京都環境基本計画というものを策定しているということですね。二〇一六年、その前には二〇〇八年にも策定をしているわけであります。
二〇一六年に環境基本計画を策定したときには、二〇三〇年までにCO2排出量を二〇〇〇年比で三〇%削減するというような目標も掲げているわけでありますね。この計画がそもそも二〇一六年にあるわけでありますけれども、新たに今回戦略をつくられたということであります。
更新をされたというのか、それとも二〇一六年の環境基本計画との整合性がどうなのかというところをちょっと確認したいと思いますが、改めて戦略と環境基本計画の関係はどうなっているのかお伺いをいたします。
○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ゼロエミッション東京戦略は、深刻さを増す気候変動の危機を踏まえ、世界の平均気温上昇をよりリスクの低い一・五度に抑えることを追求し、二〇五〇年にCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を目指すため、そのビジョンと具体的な取り組み、ロードマップを明らかにしたものでございます。
東京都環境基本計画は、気候変動分野、大気環境分野、自然環境分野など、環境施策全般における総合的な計画でございまして、ゼロエミッション東京戦略は、環境基本計画で示した気候変動分野の二〇三〇年目標をベースにしつつ、この目標を上回る施策展開をプラスアクションとして示しております。
○西沢委員 今の二〇一六年につくった環境基本計画というものを、過去のものではなくて、これは引き続きの目標に定めているというようなことですよね。上回る施策展開を目指すというご答弁でございました。なので、二〇一六年に掲げたものは昔のものだよということではなく、それは目指しつつ、さらにプラスアクションとしてこのゼロエミ戦略をつくったということを確認させていただきました。
これを聞いた理由は、二〇〇八年にも環境基本計画をつくっているわけでありますけれども、その際には二〇二〇年までの目標として、再エネの目標や歳出削減がうたわれていますけれども、本年において、二〇二〇年、これは目標は残念ながら達成されていないわけですね。なので、二〇〇八年のものでは達成されなかったけれども、二〇一六年につくったもの、この環境基本計画においてやっていくと。さらにそれをプラスしてやっていくということだというような認識をさせていただきました。
これはしっかり進めてもらいたいというように思いますし、つまり二〇一六年の基本計画は過去のものだよということではないということですから、しっかりとこれを進めていくと。この目標は高い目標だと思いますけれども、しっかり進めてもらいたいというようなことでございます。
この戦略にはCO2実質ゼロというふうにうたっているわけでありますし、きょうもCO2ゼロという話は何度も出てきているわけでありますが、温室効果ゼロというようなものを昔というか、よくいっていたと思うんですね。温室効果ガスを削減することが大事だと。実際、二〇〇八年の基本計画でもCO2ゼロという表現ではなくて、温室効果ガス削減だというようなことをうたっていたんですね。なので、ちょっとここで、CO2実質ゼロとうたっているわけでありますが、改めて確認ですけれども、地球温暖化を防止するためには、温室効果ガスを削減することが必要だというように考えます。
CO2以外の温室効果ガス削減、この考え方についてお伺いをいたします。
○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員ご指摘のとおり、地球温暖化の原因となるのは温室効果ガスでございます。都内で排出される温室効果ガスは、電気やガスなどのエネルギーを消費した際に排出されるエネルギー起源CO2が約九割を占めておりますが、フロンや廃棄物由来のメタンなど、その他の温室効果ガスについても、CO2換算で約一割となっております。
戦略では、これらを合わせてCO2実質ゼロを目指していくこととし、省エネルギーや再生可能エネルギー対策のほか、フロン対策やプラスチック対策などを進めてまいります。
○西沢委員 要するに換算しているということですよね。CO2ゼロといわなくて、ちゃんとCO2実質ゼロというふうにいっていますから、もちろんちゃんと聞けばわかることではあるんですが、ただCO2ゼロ、CO2ゼロというと、今答弁もありましたけれども、では、メタンとかフロンはやらなくていいのというようなことに聞こえがちなんですが、そうじゃないよということを確認させていただきました。
フロンは、私なんかが小さいころは、オゾン層を破壊するというふうにすごく教えられたんですね、小学校ぐらいのときって。ただ、このゼロエミ戦略にも書いていますけれども、もちろんオゾン層を破壊するということでありますけれども、オゾン層を破壊しない代替フロンが開発されて、その利用が急速に広まりまして、この代替フロンの温室効果はCO2の数十倍から一万倍以上と非常に大きいというふうにいわれています。CO2換算で約一割ということですから、フロンなどの対策もぜひ進めていただきたいということを申し上げたいと思います。
次に、とちょう電力プランについてお伺いをいたします。
東京都は、このゼロエミッション東京の実現に向けて、二〇三〇年に知事部局などの都有施設で使用する電力の再エネ一〇〇%化を目標に掲げており、この目標達成に向けて、今年度、とちょう電力プランにより卒FIT電力を含む再エネ一〇〇%電力の供給を受けることとしています。
本年八月二十八日からは、出光グリーンパワー株式会社がこの卒FIT家庭からの再エネ電力の買い取り募集を始めていますが、これがなぜ決まったのかということです。
この事業者を都はどのように選定したのかお伺いをいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、とちょう電力プランにおきまして、今年度、都内のご家庭の太陽光発電で発電された、いわゆる卒FIT電力を含みます再生可能エネルギー一〇〇%の電力を、特別支援学校や廃棄物埋立管理事務所などの都有施設で活用することとしております。
このプランにおける電力の供給事業者につきましては、供給を予定しております再エネ電力の価格と卒FIT電力の調達計画などを総合的に判断いたします総合評価方式により決定したところでございます。
現在、供給事業者として決定いたしました出光グリーンパワー株式会社が卒FIT家庭の募集を行っており、家庭の卒FIT電力を含む再エネ一〇〇%電力を十二月から供給する予定でございます。
○西沢委員 単に価格だけで決めているわけではないですよということでございました。
東京都は二〇三〇年に向けて、都内の再エネ電力の利用割合を三〇%に高めていく目標を掲げており、やっぱりまずは都の率先的な取り組みが肝要です。今後もしっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、水素エネルギーについてお伺いをいたします。
東京都は、ゼロエミッション東京戦略における二〇五〇年の目指すべき姿として、再生可能エネルギーの基幹電源化を図り、再エネ由来の水素を脱炭素社会実現の柱とすることを掲げています。
そこでまず、再エネの導入拡大における水素エネルギーがどのような役割を果たすのか、改めて伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素は、大規模、長期間のエネルギー貯蔵が可能であり、例えば、夏に再エネ電力を水素にして貯蔵し、冬に電力に戻して利用することが可能でございます。
このため、再エネ電力の導入が今後さらに拡大した場合において、水素は安定的な電力系統の運用に不可欠となる電力の需給調整機能を担うことが期待されております。
○西沢委員 この戦略でもやっぱり水素は大事だというようなことですね。今も答弁がありましたとおり、水素の果たす役割は大きいというようなことです。水素というと、イメージ的には舛添さんのときがすごく水素だ、水素だといっていたイメージがあるんですね。なので、知事がかわってから水素は余り出ないのかというふうに思ったけれども、そうじゃないよということで、これは本当に大事なことでもありますから、引き続き、この果たす役割を進めてもらいたいと思います。
水素は利用時には水しか排出しない環境性能を有し、運輸部門や家庭、業務部門などさまざまな分野での活用が期待をされています。
都は、二〇三〇年の目標としては、燃料電池自動車を含めたゼロエミッションビークル、ZEVの乗用車の都内新車販売台数に占める割合を五〇%にするとしています。
そこで、現在、都内におけるZEV及び燃料電池自動車の販売状況とZEVの普及拡大に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 昨年度の乗用車の都内新車販売台数におけるZEVの割合は二・一%であり、このうち燃料電池自動車の割合は一割程度でございます。
都は、燃料電池自動車を含むZEVの普及拡大に向けて、これまでの導入費補助のほか、ZEVの利用料金を手ごろな価格に設定することで利用機会を創出するため、レンタカーやカーシェアリング事業者と連携した事業を昨年度から開始しております。
○西沢委員 昨年でいうと二・一%ということですね。これはまだまだ、五〇%というと、新車販売の半分がZEVだというようなことを目標にするわけですから、かなり高いですね。私は中古車しか買ったことがないんで、わからないんですけれども、新車でさらにZEVを買うというようなことというのはやっぱりハードルがあるなという実感を持ちますから、この高い目標、スタートラインに立ったところだなというような印象を受けるわけであります。
都内の運輸部門のCO2排出量は全体の二割弱を占め、そのうち八割が自動車です。引き続き燃料電池自動車を含めたZEVの普及促進を積極的に進めていただきたいというように思います。
次に、家庭、業務部門の水素活用についてですけれども、都は二〇三〇年に向けて、家庭用燃料電池は百万台、業務、産業用燃料電池は三万キロワットをそれぞれの普及目標としています。
これらの都内での導入状況と目標達成に向けた取り組みをお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 家庭、業務部門においては、昨年度末時点で家庭用燃料電池が六万台以上、業務、産業用燃料電池が二千キロワット以上、都内において導入されております。
二〇三〇年の目標達成のため、家庭用燃料電池については機器費の五分の一、業務、産業用燃料電池については設備費、工事費等の三分の二をそれぞれ補助し、導入を支援しております。
○西沢委員 燃料電池についても二〇三〇年目標に向けては、かなりの頑張りが必要な状況だというように受けとめました。都は、目標と現状の乖離を直視し、水素エネルギーの普及拡大に全力を挙げて取り組んでいただきたいというように思います。
これまでの質疑で、実質ゼロに向けての取り組みというのはまだまだこれからやらなきゃいけないこともたくさんあると思いますが、目標について、この部分について最後にお伺いしたいと思いますね。
先ほどもちょっと申し上げましたけれども、二〇〇八年の、平成二十年の東京都の環境基本計画では、二〇二〇年までに東京の温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比で二五%削減するとか、それから再生可能エネルギーの目標も二〇二〇年までに割合を二〇%程度に高めるということを目指すということが今から十二年前の環境基本計画には書いてありますが、これはいずれも達成していないわけですね。
高い目標を立てるということは、ある意味大事なことだと思うんです。それに向けてしっかりと施策を進めていかなければいけないと思いますけれども、現実的に難しいものに関して、目標の立て方というものは随時見直していかなければいけないんではないかというように思っています。
この戦略について、最後のページの方で目標や施策のバージョンアップを検討していくということが書いていますが、施策の進捗状況や社会情勢の変化に合わせて随時見直していくことが必要と考えます。今後の見直しについてお伺いをいたします。
○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ゼロエミッション東京戦略策定後、新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会経済状況は大きく変化をしております。一方で、気候変動の危機を鑑みますと、感染症からの復興とともに、強靱で持続可能な回復を図るサステーナブルリカバリーが不可欠でございます。
都は、戦略に基づき一つ一つの政策を着実かつスピード感を持って実行しているところでございますが、今後、進捗状況を多角的に分析、検証し、サステーナブルリカバリーの視点で継続的な見直しを図りまして、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現を目指してまいります。
○西沢委員 サステーナブルリカバリーの視点と、横文字は余り好きじゃないんですけれども、継続的に見直しを図っていくとの答弁がありました。ぜひ時期を逸することなく、戦略をバージョンアップしながら、新型コロナウイルスからの社会経済の回復、発展とともに、地球温暖化という待ったなしの問題を解決する取り組みを進めていただくように要望をさせていただきたいと思います。
目標設定について、私は途中で変えることは全然いいと思いますよ。目標がこれは難しいとなれば、現実的な目標に変える。もちろん広く、多くの方とか、議会でたたかれることもあると思いますけれども、実現不可能な目標に進んでいくというよりは、現実的に施策をやはり進めていくということが大事ですから、目標を変えるに当たっては、そういった理由があれば、それを説明した上で変えることは必要なことだと思います。
下げるということもそうですし、逆に達成がすぐできそうだと、先ほどの新車販売でZEVについて五〇%、ひょっとしたら何かがあって、新車で販売するものは今ほとんどZEVなんだという時代になるかもしれないですよね。そうなった場合は五〇%ではなく、さらにそれを六〇とか七〇にするということも必要だと思います。
今答弁がありましたように、ぜひ適宜見直しを図った上で進めていただきたいというように改めてお願いを申し上げます。
次に、廃プラスチック対策についてお伺いをいたします。
ことし二〇二〇年は、地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定がスタートする重要な年です。地球の平均気温上昇を二度未満に抑えようとするパリ協定の目標を、さらに一・五度未満に抑えるべきとのIPCCの報告に促され、脱炭素社会の実現が世界的な潮流となっています。
化石資源を大量に消費し、膨大な量のCO2を排出する大量消費型のライフスタイルを改め、持続可能な社会を実現することが求められています。プラスチックは食品容器や包装材等として安全性や衛生面を保持するとともに、軽くて丈夫であることからさまざまな製品に使用されるなど、私たちの生活に広く定着した素材であります。
一方で、プラスチックの世界生産量は年間四億トンにまで達しており、その原料のほとんどは化石資源に依存していることを踏まえると、持続可能な社会の実現に向け、プラスチック利用のあり方について改めて見直していくことは重要であります。
都が、先ほど来お話ししております戦略を策定しておりますけれども、より詳細な取り組み内容を記したプラスチック削減プログラムを公表しました。
そこで、まず最初に、CO2実質ゼロを目指すゼロエミッション東京の実現に向けて、プラスチック対策はどのように位置づけられているのかお伺いをいたします。
○宮澤資源循環推進部長 都内の消費生活や事業活動では、大量の資源が利用されており、プラスチックについても、製造、プラスチック製品や容器包装の生産、流通、消費、使用済み廃プラスチックの処理の各段階においてCO2が排出されております。
都はこれまでも、循環型社会の実現に向けて、東京都資源循環・廃棄物処理計画に基づき3R施策を推進しており、気候変動の影響が危機的状況になる中、今後は資源の持続可能な利用や資源利用に伴うCO2の削減を推進していく必要がございます。
このため、ゼロエミッション東京戦略では、プラスチック対策を含む資源循環分野を気候変動対策として本格的に位置づけ、社会全体を脱炭素化に転換し、二〇五〇年のCO2排出実質ゼロに貢献することを目指しております。
加えて、プラスチック削減プログラムでは、二〇三〇年の目標として、家庭や大規模オフィスビルなどから排出される廃プラスチックの焼却量四〇%削減を掲げ、持続可能なプラスチック利用の実現を目指した具体的な施策の方向性を示しております。
○西沢委員 きょうも何度も議論していますけれども、プラスチック対策がCO2実質ゼロに貢献するのはいうまでもありません。重要な取り組みであります。
プラスチックは、樹脂の製造やリサイクルする際においてもエネルギーを使用しますし、焼却処分すれば、そこからも多くのCO2を排出いたします。資源の大量消費を前提にした社会のままでは、エネルギーを含めた資源の消費量は増加する一方です。
とりわけ一度限りの使用を目的とした使い捨てプラスチックの削減は、今すぐにでも取り組むことができる対策です。本年七月からは、使い捨ての象徴ともいえるレジ袋について、全国統一で有料化が開始され、大手コンビニなどではレジ袋の辞退率は七五%を超えたという報道が見られました。
一方で、プラスチック全体で見ると、レジ袋は重量比で二%ほどとわずかな割合であります。人によってこれが少ないという人もいれば多いという人もいますけれども、少なくともレジ袋について意識が変わってきているというのは重要ではないかなというように思います。
使い捨てプラスチックは、レジ袋以外にも小売店の弁当や総菜容器、飲料カップ、ストローやマドラーなど、家庭や事業活動の中で依然として大量に消費されているかと思います。
そこで、レジ袋有料化後の都民、事業者の動きを踏まえ、都は今後、使い捨てプラスチック削減に向けてどのような取り組みを行っていくのかお伺いをいたします。
○宮澤資源循環推進部長 レジ袋有料化の義務化を契機といたしまして、受け取り辞退やマイバッグの利用が一層広がる中で、消費者や事業者に対して、レジ袋以外の使い捨てプラスチックのリデュースや、資源を繰り返し利用するリユースのさらなる取り組みにつなげていくことが重要でございます。
都はこれまで、都内の大学、オフィスビル等と連携した使い捨てプラスチック削減キャンペーンなどに取り組んでまいりました。
今年度は、新型コロナウイルス感染症によりイベント等の開催が困難になる中においても、環境分野を専門とするメディア等との連携により、都民向けオンラインイベントを開催するなど、消費者への幅広い広報活動を行っております。
あわせて、九都県市と連携し、容器包装のほか、使い捨てプラスチック製品等を削減対象に加えた新たな事業として、チャレンジ省資源宣言に取り組み、事業者の協力を得ながら、広域的な普及啓発を進めております。
今後とも、都民や企業、メディアなど多様な主体との連携を深め、着実に普及啓発を進めることで、使い捨てプラスチック削減に向けた具体的な行動変容を促してまいります。
○西沢委員 私もマイバッグを、自宅と都庁と事務所と車とに置くようになりました。何かしらの機会でレジ袋をとらなきゃいけないときは、何ていうんですかね、物すごい罪悪感というのを感じるように、私自身も意識が変わったのかなというように思っています。このレジ袋の有料化ということは、一つは先ほども申し上げました意識改革につながったものだというように思います。
そうしたレジ袋有料化においてですけれども、有料化の対象とならないバイオマスプラスチックや紙袋についても、そもそも不要なものは受け取らない、断るというリフューズの取り組みを促していくということも重要であります。ぜひ環境局には、こうした観点での普及啓発にも取り組んでいただくことを要望しておきます。
続いて、主に家庭から排出されるプラスチック製容器包装の分別、リサイクルの取り組みについてお伺いをいたします。
使い捨てプラスチックの削減を着実に進める一方で、やむを得ず使用するプラスチックはしっかりとリサイクルをすることが重要です。
さまざまな用途で使用されているプラスチックのうち、パンやお菓子の包装などの容器包装プラスチックについては、容器包装リサイクル法によりリサイクルルートが確立されており、自治体が分別収集を行えばリサイクルすることが可能です。
環境省によれば、平成三十年度実績で全国の区市町村の約六六%が容器包装プラスチックの分別収集を実施しています。
都においては、島しょを除く五十三区市町村のうち三十六自治体が実施しており、実施率は六八%と全国平均をやや上回りますが、区部と多摩部で分けると、区部は五二%、多摩部は八〇%と大きな差が生じています。
東京都はゼロエミッション東京の実現に向けて、容器包装プラスチックの分別収集を実施していない区部の自治体に対して分別収集実施を強く働きかけていくべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
○宮澤資源循環推進部長 区市町村におけるプラスチック製容器包装の分別リサイクルの推進に向けて、都は今年度から、プラ製容器包装・再資源化支援事業を開始いたしました。
本事業では、新たにプラスチック製容器包装の分別収集を開始する自治体に対して、準備に要する経費の二分の一を上限五百万円まで支援するとともに、実施に要する経費については、その一部を最大三年間支援することとしております。
これまで、今年度から分別収集を実施している一自治体に対して補助金の交付を決定しております。また、一自治体が分別収集の実施に向けた調査検討を行っており、補助金申請の準備を進めていると聞いております。
今後も、分別収集未実施の自治体に対して、事業期間である令和六年度までに分別収集を開始するよう、本制度の活用を強く促してまいります。
○西沢委員 区市町村のプラスチックの分別収集ですけれども、先ほど区部が五二%といいましたけど、二十三区のうち十二区がやっていて、十一区は要するにやっていないということなんですよね。
私、これ、結構意外で、私の住んでいる中野区はやっているんですけれども、やっていないところも結構あるということで、引っ越したときとか、話を聞くんですよね。引っ越してきた人がこんな細かく分けるのというような感覚になっている方もいらっしゃいますし、ちょっとあれですけれども、江戸川区なんかは裏が銀色になっているとプラとしては受けないというようなことのルールなんかもあって、やっぱり自治体によってかなり分け方が分かれているというのはすごくわかりづらいですね。
そうした意味から、もちろん区市町村の事務だということでありますけれども、東京都が音頭をとって進めるということは非常に重要であるというように思いますので、この分別収集の拡大について引き続き強く求めていくということを要望しておきたいというふうに思います。
次に、主に事業者から排出される産業廃棄物となる廃プラスチックのリサイクルについてお伺いをいたします。
これまで事業者から排出される廃プラスチックは、海外での処理、リサイクルに多くを依存していましたが、近年、中国などの輸入規制により、廃プラスチックの輸出量は減少しています。
また、有害廃棄物の国境を越える移動などを規制するバーゼル条約が改正され、来年一月以降、汚れた廃プラスチックを輸出する際には相手国の同意が必要となることから、海外への輸出は一層難しくなると聞いています。
そこで、廃プラスチックの海外輸出の直近の動向と、バーゼル条約の改正により、具体的にどのような廃プラスチックが、今後輸出規制の対象になるのかお伺いをいたします。
○宮澤資源循環推進部長 国の貿易統計によりますと、日本から海外への廃プラスチックの輸出量は、二〇一六年に約百五十三万トンでございましたが、二〇一七年に中国における輸入規制が開始されて以降減少しており、二〇一九年実績は約九十万トンと、三年間で約四割の減少となっております。
なお、直近の二〇二〇年一月から九月までの輸出量は、前年比一五%程度の減少となっております。
また、国は本年十月、改正バーゼル条約の発効に向けて、廃プラスチックの輸出規制の対象に関する具体的な判断基準を提示し、来年一月一日以降の輸出に適用することを公表いたしました。
この判断基準によりますと、輸出が可能な廃プラスチックは原則として単一の素材に選別されており、再生樹脂の原料として利用できるよう加工が施されているものなど、汚れていない品質の高い廃プラスチックに限定されておりまして、来年以降の輸出量はさらに減少することが見込まれております。
○西沢委員 廃プラスチックの輸出が一層困難になる中、国内での受け入れ先が確保できないということになると、不法投棄がふえるわけであります。不法投棄の発生が起こらないよう、業界団体からも情報を収集しながら、改正バーゼル条約の輸出への影響を注視していくことを要望しておきます。
新型コロナウイルスの影響により、事業者における生産活動が一時的に制約を受けていると聞いています。短期的に廃プラスチックの排出量は減少するかもしれませんが、コロナ後の経済復興や改正バーゼル条約の影響を踏まえると、国内において廃プラスチックの有効活用の拡大を図る方策を検討することが重要と考えます。都の取り組みについてお伺いをいたします。
○宮澤資源循環推進部長 都はこれまで、廃プラスチック緊急対策として、廃プラの輸出動向や国内リサイクルに関する実態調査を行うとともに、セミナーやホームページを通じた排出事業者及び産廃処理事業者向けの情報発信に取り組んでまいりました。
こうした取り組みに加えまして、本年五月からは、国内での新たな資源循環ルートの構築を図るため、業界団体等と連携し、国内有効利用に向けた実証事業を実施しております。
具体的には、産業廃棄物となる廃プラスチックを集約し、船舶等による共同輸送を行い、北海道と大分県のセメント工場におきまして、産業用原燃料として使用している石炭を廃プラスチックに切りかえることで有効利用を促しております。
これまで都内の産業廃棄物処理業者七者が参加しており、引き続き本事業を着実に実施し、新たな国内資源循環ルートの確立に向けた取り組みを進めてまいります。
○西沢委員 新たな国内での資源循環ルートの構築に向けて、本事業を着実に進めるとともに、実証で得られたデータなどを業界団体にも適切に情報共有を図っていくということが重要です。要望したいと思います。
ここまで伺ってきた施策は、昨年十二月に策定されたプラスチック削減プログラムに基づく取り組み内容であるというように理解をしています。
本プログラムの策定後、新型コロナウイルスが発生いたしました。策定されたときはコロナ前の策定ですね。ウイズコロナにおけるテレワークの普及や外出自粛などの影響を受けて、家庭から排出されるごみの量の増加や、小売店におけるテークアウトの容器包装、総菜での包装材などで使い捨てプラスチックの利用がふえているというように思います。状況は大分変わったんだというように思います。
今後は、こうした新しい日常における資源利用の状況変化を踏まえたプラスチック対策の展開、これが必要であると考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
○宮澤資源循環推進部長 新型コロナウイルス感染症の影響により、プラスチックの排出実態が変化する中で、増大する使い捨て製品や容器包装のリデュース、リユースなど3Rの取り組みは一層重要になっております。都は今年度、プラスチック資源循環に先駆的に取り組む事業者と連携し、これまでとは異なる流通、販売の新たなビジネスモデルの構築を支援しております。
具体的には、オフィス街等でリターナブル容器により弁当等を販売し、脱使い捨てを促進する取り組みや、これまで再生利用できなかった洗剤用の詰めかえ用パウチのリサイクルの取り組みなどを支援しております。
今後、ウエブ等でのわかりやすい情報発信にも取り組みながら、多様な主体と連携し、脱使い捨ての生活様式への転換を図っていくことで、新しい日常における持続可能なプラスチック利用を実現してまいります。
○西沢委員 いろいろとやっぱりコロナによって変わってきていると思うんですね。今答弁がありました洗剤の詰めかえパウチは、パウチそのものが詰めかえ用で省エネだというようなことだと思っていたら、そのもの自体をもリサイクルする取り組みというのも始まっているというように聞いています。
この状況によって、コロナによって気候変動問題の取り組みというものが逆に後回しにされるということを危惧されていますが、ぜひ持続可能な社会の創出に向けた新たな取り組み、プラスチックを初めとした資源循環の分野においても積極的に展開していただくよう要望をいたします。
続いて、ディーゼル車の規制についてお伺いをいたします。
都は、東京の大気汚染の改善に向けて、平成十五年からディーゼル車の走行規制を開始しました。当時、石原慎太郎知事が黒いすすの入ったペットボトルを振って、ディーゼル車から排出されるガスの深刻な状況をアピールしていた姿を、結構私は覚えているんですけど、最近覚えていない方も多くなってきていますが、もうあれから二十年近くが経過をして、当時は深刻な状況にあった粒子状物質による大気汚染、これは今は東京都は大きく改善し、東京の空は大変きれいになったと。
これも事業者の方々の多大な協力があったことはもちろんですが、東京都としても取り締まりを徹底してきたことなどが現在の成果につながったものと考えています。
そこで改めて、環境確保条例ではディーゼル車についてどのような規制を行っているのかお伺いをいたします。
○筧環境改善部長 都は、環境確保条例に基づき平成十五年から粒子状物質、いわゆるPMの排出基準を満たさないディーゼル車の都内走行を禁止しております。
条例に基づく排出基準に適合しない車両については、規制に適合した車両への更新または都が指定するPM減少装置の装着が必要となります。違反者に対しては運行禁止命令を行い、命令に従わない場合は違反者の公表、五十万円以下の罰金の適用がございます。
○西沢委員 罰則を設けているということは大きなことだったわけですね。これをより実効性のあるものにするために違反車両を確実に見つけて取り締まるということが必要であるというように考えます。
そこで、都では違反車両の取り締まりについて、これまでどのような体制のもと取り組みを行ってきたのか、また現在、どのような取り締まりを行っているのかお伺いをいたします。
○筧環境改善部長 平成十五年の規制開始以降、都では、事業所への立ち入りや路上及び物流拠点等での車両検査、高速道路や主要幹線道路におけるビデオカメラによる走行車両の撮影などにより、ディーゼル車の取り締まりを実施してまいりました。
また、黒煙ストップ一一〇番を設置し、違反車両などについて都民からの通報を受け付ける取り組みも行ってまいりました。
こうした取り締まりの実効性を担保するため、規制開始時には東京都自動車公害監察員、いわゆる自動車Gメンを約七十名配置し、違反車両の使用者に指導等を行ってまいりました。
現在も路上等における車両検査や移動監視カメラによる撮影などを実施しており、令和元年度は路上等の取り締まりが年間七十六カ所、移動監視カメラの設置が延べ百七十八カ所となっております。
○西沢委員 いろいろやってきたことがわかりますし、現在も自動車Gメンによる着実な取り締まりが行われているというようなことがわかりました。
それでは、現在、取り締まりの結果、違反車両の状況はどのようになっているのかお伺いをいたします。
○筧環境改善部長 令和元年度の取り締まりの状況について、路上等における車両検査では、取り締まり車両約三千四百台のうち違反車両は十九台であり、また移動監視カメラでは、十二月までの実績として、取り締まり車両約五十五万台のうち違反車両は千百台となっております。
そのうち路上等の車両検査につきましては、規制開始当初からこれまで累計約五万台の検査を実施してきましたが、車両の更新とPM減少装置の装着が進んだため、違反車両は年々低下し、現在一%未満となっております。
なお、平成二十六年度以降は運行禁止命令の発令に至った事業者はなく、これまでの対策により一定の効果があったものと考えております。
○西沢委員 今は、平成二十六年度以降は運行禁止命令の発令に至った事業者はないということでございます。違反車両も年々低下して、現在一%未満ですね。この発令に至ったのは、ピークでは年間百台ぐらい禁止した時期もあったりとか、違反車両自体は一%未満というお話がありましたが、昔は四%ぐらいあったという状況から考えると、劇的にその状況は変わって、この取り締まりというものが功を奏してきたというようなことがわかりました。
しかし、車は都県境を越えて移動していくということから、東京都だけの努力では取り締まりが困難なこともあると聞いています。
近隣三県では、程度の違いはあるにしても、東京都と同様の規制を行っているわけでありますが、その他の地域については排ガス性能の悪いディーゼル車であっても規制がないために、それらの地域から流入してくる違反者はいまだに見られる状況のようです。
近隣自治体との連携や他地域からの流入車両への対策について、どのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。
○筧環境改善部長 ディーゼル車規制を実効性のあるものとするためには、近隣自治体との連携や、規制対象外地域からの流入車両対策が不可欠でございます。
そのため、主要幹線道路等における取り締まりに加え、毎年十月のディーゼル車対策強化月間には、九都県市や山梨県、静岡県とも連携し、高速道路の主要なサービスエリアにおいて、普及啓発や一斉取り締まりを実施しております。
また、全国のトラック協会やバス協会に対して、都のディーゼル車規制に適合する車両を利用するなどの協力を依頼しております。
引き続き、こうした取り組みを推進し、ディーゼル車規制の実効性の確保に努めてまいります。
○西沢委員 近隣自治体との協力を構築して、ディーゼル車対策に取り組んでいるということを確認させていただきました。
引き続き、気を緩めることなく取り組んでいただきたいというように思います。
ゼロエミッション東京戦略についても聞いてきたわけでありますが、ディーゼル車が走行すれば、その効果を薄めてしまいますから、このディーゼル車規制というものは地道な取り組み、しっかりと大気環境をよくしていただくために取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
近い将来には、ZEVの目標、先ほどもありましたけれども、ディーゼルのときにはいろいろやったという話もありますから、都庁舎への搬入だとかというのも違法ディーゼル車は受け付けないとかというようなことまでやった時期があったと思うんですが、目標達成のため、ゼロエミッションビークルじゃなければそういったことができないようにするとか、もしくは、究極は東京を通るときにはZEVしか通れないと、ゼロエミッションビークルしか通れないというようなことも近い将来には進めていくぐらいの取り組みが必要なのかなということを申し上げておきたいと思います。
最後のテーマで、羽田空港の新飛行ルートにおける騒音についてお伺いをいたします。
いわゆる新ルートの運用は本年三月末から始まったわけでありますけれども、私の地元中野区においても、日常生活に大きな影響を与える航空騒音の音を心配する都民の皆様の声は数多く寄せられています。
かねてから私はこの問題を本委員会で取り上げまして、新ルートの運用に合わせて騒音の測定ポイントをふやして、その実態を都民にわかりやすく公表すべきであると主張してきました。
今回、新ルートの運用に合わせて環境局は新たに騒音モニタリングを開始したということでありますので、そこで、騒音モニタリングの概要とその測定結果についてお伺いをいたします。
○筧環境改善部長 都は本年三月二十九日から、都内七カ所で航空機騒音のモニタリングを開始しており、そのうち五カ所は新飛行経路の運用による騒音の発生状況を把握するため、新たに飛行経路のほぼ直下に設定しました。
モニタリングの項目として、一日ごとの最大騒音レベルや国の騒音基準の評価指標に用いる時間帯補正等価騒音レベル、いわゆるLdenなどを測定しており、その結果はおおむね三日後にホームページで公表しております。
本年十月三十一日時点で、一日ごとの最大騒音レベルの平均値は、北風時で六十二デシベルから七十二デシベル、南風時で六十デシベルから七十七デシベル、一日のLdenは、北風時で二十四デシベルから四十六デシベル、南風時で二十九デシベルから五十四デシベルでございました。
○西沢委員 ちょっと確認したいんですけれども、国の騒音基準の評価指標に用いるLdenですが、Ldenの基準は四十とか四十五とあったと思うんですが、四十五が基準だったと思うんです。それを今話していないと思うんですが、そういう認識でいいのかどうか、ちょっと確認したいんですが、いいですか。Ldenの国の基準を教えていただいてもいいですか。
○筧環境改善部長 国の航空機騒音の環境基準は地域類型ごとに定められておりまして、地域類型Ⅰ、つまり主に住居の用に供する地域については五十七デシベル以下、その他の地域につきましては六十二デシベル以下と定められております。
○西沢委員 新ルートでは、これまで航空機が飛行していなかった地域、中野や渋谷、練馬などの上空を通過することになりまして、この測定ポイント自体を置いて測定してきたということは評価したいというように思います。
この結果については、おおむね三日後には都のホームページで公表されているということで、ホームページを見ると、先月、今月も何日かありましたが、北風の日が多くて、都心部から着陸する南風運用の日は一割程度だったというようなことでありますが、年間を通じたルートの運用実態はまだ見えていないところもあると思うんですが、この結果を見ると、今お話があったところは結構超えているところがあるように見られるんですね。
今回の騒音モニタリングでは最大騒音レベルや騒音の評価指標である一日のLden値などを公表していますが、都はこの結果をどのように評価しているのかお伺いをいたします。
○筧環境改善部長 国は、環境基本法に基づき環境基準を定めておりまして、航空機騒音につきましても、この環境基準の達成状況をもって評価することになります。
騒音モニタリングの結果では、参考値として一日のLdenを公表しておりますが、航空機騒音に係る環境基準は一年間のLdenであるため、現在、年間値の算出に向け、騒音データの収集を行っているところでございます。
今後、モニタリングの結果を踏まえ、環境基準の適合性などを評価、検証してまいります。
○西沢委員 もう終わります。
新ルートにおける航空機の騒音の運用というのは、今七カ月の運用をしてきたということで、今後、評価、検証を行っていくということでございました。
騒音についていろいろと意見があり、環境局にルートそのもののことをいってもいけないのかもしれないんで、ここでは騒音のことだけ申し上げておきますけれども、やっぱり騒音の話というものは地元で非常に大きな関心事になっております。基準について明確になっていますし、それが、運用について一年間を通してという答弁がありましたから、その際にやっぱり超えているということになれば、これは大きな問題だと、話が違うじゃないかということになろうかと思います。しっかりと注視していただくよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○佐野委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時四十二分休憩
午後四時開議
○佐野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○細谷委員 初めに、自然環境の保全について伺います。
私の地元東久留米市や清瀬市は、武蔵野台地に位置し、昔の面影を残す雑木林など、良好な自然地が残されています。雑木林を初めとする自然地は、人々の心に安らぎと潤いをもたらすとともに、貴重な動植物も見受けられ、生物多様性の保全に重要な役割を果たしています。しかしながら、近年の市街地化に伴い、こうした雑木林などの自然地は減少傾向にあります。
東京都は昨年十二月に、未来の東京戦略ビジョンを発表し、その中で、丘陵地等の良好な自然地を二〇五〇年度までに新たに百ヘクタール程度、保全地域として指定、公有化するとの方針を示しました。
そこで、今後、目標の達成に向けてどのような方向性で進めていくのか伺います。
○近藤自然環境部長 都は、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するため、二〇五〇年度までに丘陵地等の良好な自然地を新たに百ヘクタール程度、保全地域として指定し、公有化していくことといたしました。
都はこれまで、五十カ所、約七百五十八ヘクタールの保全地域を指定してきましたが、これまでよりも積極的に保全地域の指定を進めていくためには、多様な動植物が生息、生育するなど、良好な自然地が形成されている土地を選定し、指定する必要がございます。
現在、良好な自然地として保全すべき土地を選定するため、丘陵地の谷戸など、都内に残された重要な緑地における生物多様性の情報等の調査を実施しております。
今後、この調査の結果に基づき、動植物の専門家等の意見を聞いた上で、保全地域の指定候補地を選定し、保全地域の指定を加速させてまいります。
○細谷委員 ご答弁ありがとうございます。多摩の豊かな自然も、近年の開発により急速に失われていると実感を持っておりますが、時代の流れをとめることはできません。
コロナ感染症の影響もありまして、水と緑に伸び伸び楽しめる場所、親しめる場所を都民の皆さんは求めていらっしゃると思います。貴重な自然地の喪失に歯どめをかけるために、しっかりとした調査検討を行うようにお願いいたしたいと思います。
保全地域の指定が広がっていくことも重要ですけれども、また指定後の管理もきちんと行っていかなければなりません。
かつては武蔵野に広がる雑木林も、薪や炭を得るために定期的に伐採されており、萌芽更新によって比較的若い樹木が生育しておりました。また、田畑の肥料として使うために、下草刈りや落ち葉かきを行うことで、雑木林の林の中は比較的に明るく、生物多様性も豊かでした。
しかし、木材や肥料としての需要が減少してくると、こうした管理が行き届かなくなり、生物多様性も失われることになります。また、高木化し、樹冠も広がった樹木が、特に住宅地や道路などに近接した場所にあると、台風などにより、枝葉や幹が折れた場合に大きな被害につながるおそれがあります。
私の地域も野火止用水歴史環境保全地域などの雑木林がありまして、こうしたことを心配しております。
保全地域の管理について、東京都は現在どのように行っているのか、また今後、その魅力向上のため、どのような方針で運用していくのかについてお伺いいたします。
○近藤自然環境部長 指定した保全地域の価値を維持向上させるには、間伐や下刈りなど、適切な管理を将来にわたって実施することが必要でございます。
現在、ボランティア団体や都民、大学、企業等、多様な主体と連携して、適切な管理に努めているほか、今年度から野火止用水歴史環境保全地域を初めとして、建造物や道路、鉄道と接する都有地や無償貸借地につきまして、境界から五メートル程度の樹木の伐採を行うことで、倒木による被害の減少と生物多様性の保全を図る林縁部の保全事業を進めております。
保全活動の担い手が高齢化していることから、今後、新たな担い手として、ボランティア団体をサポートする人材の創出などを行っていくとともに、保全地域の総合的なプランを策定していくことで、その価値や魅力を向上する施策を計画的に実施し、より多くの都民に親しまれる保全地域を実現してまいります。
○細谷委員 ありがとうございます。保全地域などの一部を調査し、伐採していただいております現場も見ております。近隣の方々からは枝葉が落ちて困るなどとの要望も伺っておりましたので、対応していただけますこと、感謝をしております。
しかし、あわせて、保全地域の内部の下草刈りなども行っていただけないのかなと、課題としていただけないかと思っております。
また、ご答弁の中にありました野火止用水でございますが、東久留米市、清瀬市を初めとして、東京都では六市、そして埼玉県では三市のちょうど市境を流れております。清流復活事業の中、流域住民の憩いの場が保たれておるところでございます。
野火止用水は、生活用水に困窮した住民のために、かつて、川越藩主である松平伊豆守信綱が玉川上水から分水を行ったという大変歴史のある用水です。用水沿いには多くの樹木があります。以前は国のものでありましたけれども、平成の時代に国から移管されまして、赤道、青道とともに、野火止用水は市が管理することになりました。各市とも財政状況もあり、その野火止用水も管理が行き届いているとはいえません。今後は、当用水の環境が改善できるよう、都にもお知恵をいただきたいと思っております。
さて、都内に残る重要な自然地を残すために、保全地域制度は非常に有効な制度でございますけれども、土地の購入や維持管理に多額の費用がかかることも事実です。都民の貴重な財産である保全地域を、近隣の住民の方々からも親しみを持って受け入れられる、魅力あるものに取り組んでいただきますことを期待して、質問を終わります。
失礼いたしました。続きまして、ゼロエミッション東京戦略の取り組みについて、身近なところから伺いたいと思います。
東京都は、昨年十二月に公表いたしましたゼロエミッション東京戦略で、いち早く二〇五〇年脱炭素化を掲げ、施策を進めているところでございますけれども、家庭部門のエネルギー消費量のみは、二〇一八年速報値で二〇〇〇年よりも増加しております。
さらに、新しい日常の定着に伴い在宅時間がふえるなど、家庭でのエネルギー利用にも変化があることから、都民のご協力を得ながら家庭の省エネを進めていくことが喫緊の課題です。
東京都が昨年度から実施している家庭のゼロエミッション行動推進事業は、省エネ性能の高い家電等への買いかえを東京都が支援するものですが、都民の皆様の参加をいただきながら進めていく点で意義が大きい取り組みです。
そこで、現在、この事業にどのくらいの都民の参加が得られているのか、また今後、より多くの都民の参加を促進していくためには、どのように取り組みを進めていくのかを伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 家庭のゼロエミッション行動推進事業における本年十月末までの申請台数につきましては、エアコン、冷蔵庫及び給湯器の合計で約十六万台でございます。
今後もより多くの都民にこの事業にご参加いただけるよう、インターネット広告等による事業周知の取り組みや、家電等の販売店との連携を進めていきますとともに、より多くの都民の省エネ行動を促す方策を検討いたしまして、省エネ家電等の一層の導入につなげてまいります。
○細谷委員 ご答弁ありがとうございます。ただいまの答弁にありましたとおり、より多くの都民の省エネ行動を促していただくという視点は大変重要だと思っております。この事業にご参加いただく方がふえたということもあると思いますし、事業期間については、小池知事から延長を考えているとのご発言もありました。
既に十六万台の申請をいただいたということで、都民の方々からはご好評をいただく一方、申請手続の簡素化や柔軟な対応へのご意見もいただいているところです。
今後も多くの都民の方がこの事業に気持ちよくご参加いただけますよう、取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、水素エネルギーの利用拡大について伺います。
東京都が掲げるゼロエミッション社会の実現に向けては、こうした家庭での省エネの徹底や再生可能エネルギーの大幅導入に加え、利用時にCO2を排出せず、省エネで製造することで、将来的な脱炭素化の柱となることが期待される水素エネルギーの利用拡大が不可欠です。
水素エネルギーの普及のためには、まずは身近な利用手段である燃料電池自動車や燃料電池バス等の車両の導入拡大を積極的に図るとともに、これらに燃料を供給するための水素ステーションの整備拡大が重要となります。都内では、臨海部を初めとして、区部には徐々に水素ステーションの整備が進んでおりますけれども、多摩地域ではほとんど見られないように思います。
そこで、多摩地域の水素ステーションの整備状況と整備拡大に向けた都の取り組みについて伺います。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 本年三月に多摩市内で新たに水素ステーションが開設され、現在、多摩地域では二カ所の水素ステーションが開設、運営されております。
また、今年度中に多摩地域で三カ所目となる水素ステーションが東久留米市内で開設される予定でございます。
都は、地元自治体やインフラ事業者等と連携いたしまして、新たな整備用地の検討を行うなど、多摩地域でも水素ステーションの整備が広がるよう努めております。
○細谷委員 ご答弁ありがとうございます。多摩地域に水素ステーション設置の動きが少しずつ見られるようになってきたことは何よりでございます。
先日、ステーションの予定地も見てまいりました。今までは東久留米で利用される方は杉並区のステーションまで出かけていたそうでございますので、地元の方、利用者の方は大変喜んでおります。
また、東久留米にステーションを設置される事業者も、全国的な規模でステーション設置に力を注いでいる、予定をしているというふうに伺っております。このように水素ステーションがふえることにより、燃料電池自動車はもとより、燃料電池バスなどの普及も期待されるところです。
こうした需要拡大との相乗効果によりまして、水素エネルギーが価格も含め、利用者にとって使いやすいものになっていってもらいたいと思います。
引き続き、水素エネルギーの利用拡大に取り組んでいただくことを要望しまして、次の質問をいたします。
最後の質問です。
フロンについての対応について伺います。
フロンは、古くから冷凍冷蔵空調機器の冷媒として使用されてきましたが、オゾン層を破壊することが問題となり、製造や輸入が禁止されました。現在、その代替として開発された代替フロンが広く使われておりますが、オゾン層を破壊しないものの、温室効果が非常に高いため、適切に管理されないと大気中に放出され、気候変動に大きな影響を及ぼします。
ことしの第一回定例会環境・建設委員会では、我が会派の滝田議員の質問に対して、フロンを使った業務用冷凍冷蔵機器が東京都には二百二十万台もあり、また平成三十年には、そのうち約四万台は修繕等に伴いフロンを充填したとのことです。
また、四月には改正フロン排出抑制法が施行され、管理者の責務を明確化し、罰則も強化されました。東京都では、この法改正に合わせて専門職員を増員し、フロンGメンとして立入検査による指導を強化したと聞きました。
しかしながら、都内には膨大な数の機器があることから、指導や取り締まりに加えた機器管理者などの事業者に自覚を促していくことも重要であると思います。
そこで、機器管理者等に改正法の趣旨やその意義について広く知ってもらうとともに、フロンの適正管理に関する意識を変えていくことが重要と考えますが、東京都の取り組みについて伺います。
○筧環境改善部長 フロンの排出を抑制するためには、機器の管理者などの事業者が改正フロン排出抑制法の規制を理解し遵守していくことが重要でございます。
都ではこれまで、都に登録のある充填回収業者を中心に、法の周知や漏えい防止対策等について、年四回のフロン講習会を実施し、令和元年には八百二十六人が受講していただいております。
今年度は、改正法の施行に伴い、充填回収業者に加え、機器の管理者やフロンの廃棄にかかわる解体事業者、廃棄物処理業者、リサイクル業者など、業界二十二団体にまで対象を広げ、説明会を実施する予定でございます。
また、この説明会は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインにより実施し、申し込みがあれば、誰でも、いつでも、無料で受講できる予定であり、受講者の大幅な増加を見込んでおります。
今後ともさまざまな機会を捉え、事業者に対して改正法の周知や意識啓発に努めてまいります。
○細谷委員 ご答弁ありがとうございます。目に見えないものでございますから、フロンというものを身近に感じている都民の方はなかなか少ないと思います。
しかし、例えばルームエアコンや冷凍冷蔵庫など、日常の生活の中で欠かせない機器にフロンが使用されているということで、改めて安全な管理の重要さを感じております。あわせて、専門家の方や管理者、事業者の方にもしっかりとした取り組みをしていただきたいと、指導していただきたいと思います。
東京都は、指導や取り締まりの強化に加え、多くの事業者に向けてオンラインによる説明会を実施するとのことです。新型コロナウイルス感染禍の中、新しい日常を踏まえた取り組みだと思います。
東京都では、ゼロエミッション東京戦略の目標達成に向け、フロン排出量削減に向けて努力をしておられます。その上においても、地球温暖化を防止するためにも、事業をさらに推進していかれますことを要望してまいります。
何点か質問させていただきましたが、いずれも都民の方々のご理解のもと、こうした事業に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○舟坂委員 まず、区市町村における脱炭素化の取り組みについてお伺いをいたします。
都内では現在、葛飾区、世田谷区、多摩市の三自治体が二〇五〇年までのCO2排出実質ゼロを表明しており、私の地元葛飾でも本年二月にゼロエミッションかつしかを宣言し、脱炭素社会の構築を目指しています。
また、八月の区長会総会では、葛飾区の青木区長が二十三区全体で二〇五〇年までのCO2排出実質ゼロを目指すゼロカーボンシティー特別区を提案し、賛同を得たと聞いております。
都は昨年十二月に、ゼロエミッション東京戦略を公表しましたが、二〇五〇年までのCO2排出ゼロを達成するためには、こうした脱炭素化に向けた取り組みを都内の自治体に広めていく必要があります。
そこで、区市町村の脱炭素化に向けた取り組みを、都としてどのような働きかけを行っているのかをお伺いいたします。
○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ゼロエミッション東京を実現していくためには、住民に最も身近な区市町村との連携、協働が不可欠でございます。
このため、都は、ゼロエミッション東京戦略の策定に当たり、区長会、市長会、町村長会に対しまして、戦略策定の背景や、その具体的取り組み等について説明を行い、認識の共有を図っております。
また、区市町村との連携強化を本戦略の政策の柱として掲げていることを踏まえまして、地域環境力活性化事業等の補助事業の活用により区市町村の取り組みを支援するなど、都と区市町村が一体となった気候変動対策を展開しております。
今後とも、区市町村の脱炭素化に向けた取り組みをしっかりと後押ししてまいります。
○舟坂委員 都内の自治体では、脱炭素化に向けた主体的な取り組みが始まっていますが、脱炭素化社会の実現は一つの自治体の取り組みだけではなし得ません。都の取り組みとの相乗効果を図っていくためにも、今後の区市町村との積極的な連携協力をしてほしいと思います。
私は過去二回、本会議で花の都プロジェクトについて質問をさせていただき、提案もさせていただきました。そこで、もう一度、花の都プロジェクトについてお伺いをいたします。
昨年、大いに盛り上がったラグビーワールドカップに引き続き、ことしは東京二〇二〇大会が開催される予定でした。都では、こうしたイベントで世界中から訪れる多くの観光客や大会関係者の方々へ花による緑化のおもてなしをする取り組みの一つとして、平成二十九年度から花の都プロジェクトを実施してきました。
私の地元葛飾では、都立農産高校と地元企業などがフラワーメリーゴーランドという自動給水が可能な立体花壇を考案し、区役所や駅前などに設置して、訪れる方々の目を楽しませております。フラワーメリーゴーランドは他の自治体にも広がりを見せ、調布市においては、ラグビーワールドカップの会場近くの駅前に設置され、今でも駅前の風景をさまざまな色彩で飾っております。
残念ながら、新型コロナウイルス感染症の影響により東京二〇二〇大会が延期となりました。しかし、花の美しさは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛などの影響で人々の沈んだ心を癒やしてくれます。
そこで、花の都プロジェクトのこれまでの成果についてお伺いをいたします。
○近藤自然環境部長 花の都プロジェクトは、東京二〇二〇大会に向け、地域と連携して花と緑を創出する取り組みを行う区市町村を都が支援することで、東京を訪れる方々を美しい花でおもてなしをするというものであり、これまで、理事お話しの葛飾区を初め、台東区、江東区、江戸川区、調布市が参画いたしました。
昨年度は葛飾区で、区内の都立高校や地元企業などが共同で開発した自動給水機能を有する立体花壇を区役所や駅前に設置するとともに、補植用の花苗を区民の個人宅で育成管理する里親制度を実施いたしました。
調布市では、ラグビーワールドカップ二〇一九で多くの方々が訪れた飛田給駅や調布駅前などに立体花壇や大型花壇を設置するとともに、イベント終了後も取り組みの継続を図るため、維持管理を行う市民ボランティアの養成と活動支援を行いました。
江戸川区では、カヌースラロームの会場となる江戸川区の葛西臨海公園駅前において、地元小中高生が応募した絵画コンクールの入賞作品をプレートに印刷してプランターに張りつけるとともに、受賞者や地元小学生が植えつけを行うことで、地域と一体となったおもてなしを演出いたしました。
○舟坂委員 花の都プロジェクトにおいて区や市が行った取り組みは、いずれも花でまちを彩るとともに、地域の方々と連携して花の維持管理を行うものです。こうした取り組みは東京二〇二〇大会終了後もレガシーとして、引き続いて行われていくべきものと考えます。
そこで、今回このプロジェクトに取り組んだ区市町村の取り組みを他の自治体へも広げていくため、都はどのように考えているのかをお伺いいたします。
○近藤自然環境部長 花の都プロジェクトにおいて各区市が取り組んだ結果として得られた成果を他の自治体へも広げるため、各区市のすぐれた取り組みをホームページやマニュアルなどを通じて発信、共有いたします。
また、区市町村との連携による地域環境力活性化事業の補助メニューの活用を促し、区市町村の取り組みを支援してまいります。
こうした取り組みにより、東京二〇二〇大会終了後においても、花と緑あふれる都市東京を実現してまいります。
○舟坂委員 美しい花で満たされたまち並みは、大会の会場を訪れる皆様へのおもてなしと同時に、ポストコロナ社会を生きる人々の心の支えとなります。こうした取り組みが今後も続いていくことを期待して、次の質問に移ります。
都は、東京二〇二〇大会に関連するCO2排出量を都内事業者の協力によりオフセットする取り組みを進めており、先月、その報告が公表されました。
確認の意味も込めて、改めてその取り組み内容を伺うとともに、取り組みの結果について、あわせてお伺いをいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、大会のホストシティーとして、東京二〇二〇大会の開閉会式の計四日間分の都内全てのCO2排出量、そして東京二〇二〇大会に由来して排出されるCO2の二つを実質ゼロにするため、都キャップ・アンド・トレード制度の対象事業者に、平成三十年七月二十四日から令和二年九月七日まで、保有するCO2削減クレジットの提供を働きかけてまいりました。
この間、百五十三の事業者の皆様から目標としていた三百六十五万トンを大きく上回る約四百十八万トンものクレジットのご寄附をいただきました。都内の事業者の皆様の長年にわたる省エネ活動により生み出されたCO2削減クレジットをご提供いただいたことにつきまして、大変ありがたいことと認識しております。
事業者のお名前とクレジットの量は都のホームページで公表しております。ご提供いただいたクレジットは、都が取り組む東京ゼロカーボンフォーデーズイン二〇二〇の分として七十二万トンを充て、これ以外の三百四十六万トンを後日、組織委員会にお引き渡しする予定でございます。
○舟坂委員 ただいまの答弁のとおり、東京二〇二〇大会に関連するCO2を、都のキャップ・アンド・トレード制度の対象事業者が大変な省エネ活動をして消滅したCO2で相殺するものです。
そこで、次に、こうしたクレジットを活用したカーボンオフセットの取り組みは過去に開催された大会でも行われてきたのかをお伺いいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に由来するCO2排出量のオフセットを大会の運営に関する計画に盛り込んだのは、二〇一二年のロンドン大会からであります。以降、関係企業からの資金支出、アスリートや観客からの寄附金を活用して、国際的に取引されている排出権を購入してオフセットされてまいりました。
今回のような開催都市の地元企業の省エネ活動により削減したCO2排出量を使って、大会に関連する排出量を直接オフセットした例はないと組織委員会から聞いております。
○舟坂委員 これまで例はないということで、こうした世界初となる取り組みが実現したのは、制度対象の大規模事業者の方々の努力のおかげであります。このことを改めて強く認識していただき、こうした事業者の努力をより多くの人に伝えていくことを要望して、次の質問に移ります。
お堀など、東京の水辺の水質改善についてお伺いをいたします。
東京の重要な観光名所であり、歴史的財産である皇居外苑のお堀、いわゆる内堀には、夏場にアオコが大量発生し、品格ある景観が損なわれていることが以前から問題となっていました。
我が党は、下水の流入していることを問題と認識し、亡くなられた古賀俊昭議員が熱心に取り組み、平成二十一年から質問をしてまいりました。
平成二十七年度には、内堀に放流されていた汚水まじりの雨水を集める下水道管の放流先を隅田川へ切りかえる工事が終了し、内堀に下水の流入はなくなりました。
一方、周辺に多くの企業や学校が立地し、都民の憩いの水辺である外堀は、重要な都市空間でありますが、やはり夏場にアオコが大量発生し、景観を害していることは残念でなりません。
都では、しゅんせつや下水道の改善を行っていることに加え、関係局が外堀の水質改善に向けた検討に取り組んでいるとのことですが、その進捗を伺うとともに、管理上関係する国、地元自治体との連携状況についてお伺いいたします。
○近藤自然環境部長 外堀の効果的な水質改善方策について検討するため、平成三十年九月に、都市整備局を中心とした関係五局による検討会が設置されました。検討会では、室内実験により水質改善処理剤を選定するとともに、外堀での対策を実施、検証し、一定の効果を確認いたしました。
また、外堀の効果的な水質改善に向けた河川水等の導水について幅広く調査検討するための準備を進めております。
さらに、関係する国や地元区と情報共有や解決策の検討を進めるため、連絡会議を令和二年一月に設置し、庁内関係局での検討状況などを報告するとともに、意見交換などを進めております。
引き続き、外堀の水質改善方策について検討するとともに、関係者間の連携強化を図ってまいります。
○舟坂委員 外堀の水質改善に向け検討を進めているとのこと、確認をいたしました。
外堀から流れ出た水は神田川と日本橋川へ流れ込みます。かつて高度成長期には工場排水や生活排水で東京の河川の水質は悪化しました。水質規制や下水道の普及、水再生センターの施設改善とともに、事業者の水質改善の努力により、近年では水質は改善されております。
私の地元葛飾を流れる綾瀬川もきれいな川に変貌しております。綾瀬川など、都内の主要河川の水質改善の状況と、これまでの取り組みについてお伺いをいたします。
○近藤自然環境部長 都は、水質汚濁防止法に基づく事業場排出規制のほか、下水道施設の改善、汚泥のしゅんせつ等により、河川の水質改善を推進してまいりました。
河川の水質汚濁を示す代表的な指標である生物化学的酸素要求量、いわゆるBODは、隅田川の両国橋で、昭和四十六年度には平均で一リットル当たり十三ミリグラムでしたが、令和元年度には一リットル当たり二・七ミリグラムに改善されました。
同じく多摩川の田園調布堰で、昭和四十六年度には平均で一リットル当たり八ミリグラムでしたが、令和元年度には一リットル当たり一・三ミリグラムとなっております。
理事ご指摘の綾瀬川は、環境基準点である内匠橋で、昭和四十六年度は平均で一リットル当たり八十五ミリグラムでしたが、令和元年度は一リットル当たり一・九ミリグラムとなり、大きく改善しております。
令和元年度の水質測定結果では、都内河川のBODは五十九水域全てで環境基準を達成いたしました。都は今後とも、事業場排水規制などの取り組みを進めることによって、都内の河川等の公共用水域の水質改善に努めてまいります。
○舟坂委員 都内の河川の水質が改善されてきたことはわかりました。特に、現在の綾瀬川はハゼも釣れるほどきれいな川となりました。
東京には大小さまざまな河川が流れており、そのほとんどが最終的に東京湾に流入します。お堀や河川と同様に、東京湾は東京の貴重な水辺空間を構成しております。
そこで、お堀から河川へ、そして東京湾へと、東京湾におけるこれまでの水質改善の取り組みと状況についてお伺いをいたします。
○近藤自然環境部長 東京湾は、流域からの負荷が滞留しやすい閉鎖性水域であることから、都は、水質汚濁防止法に基づき、昭和五十四年度から八次にわたる五カ年ごとの総量削減計画を進めた結果、東京湾に流入する汚濁負荷量を大幅に削減してきました。
海域の水質汚濁をあらわす代表的指標である化学的酸素要求量、いわゆるCODは、調査開始以降で、東京湾の水質が最も悪化していた昭和四十八年度に内湾平均一リットル当たり五・四ミリグラムが、令和元年度には一リットル当たり四・二ミリグラムと、二割強改善しております。
東京湾は、夏場を中心に赤潮の発生が慢性化している状況であり、近年は横ばい傾向が続いております。環境基準で見ると、沖合の海域では、環境基準値一リットル当たり三ミリグラムを超えておりますが、中央防波堤を中心とした陸に近い海域では、環境基準値一リットル当たり八ミリグラムを達成する水準で推移しております。
東京湾の水質は、東京以外の都市の活動の影響を受けることから、国や九都県市を初め、近隣自治体とも連携協力し、下水処理施設の機能改善など、汚濁負荷の一層の低減や住民意識の向上を図るなど、東京湾の水質改善に取り組んでおります。
○舟坂委員 東京湾の水質は昔と比べて改善されたものの、海域によっては環境基準を超えるところもあることが残念ながら確認されました。CO2排出実質ゼロを進めると同時に、水質改善問題も大きな課題です。本日は状況の説明を求めましたが、一層の具体策を要望いたします。
また、東京以外の都市の活動の影響を受けるようですので、引き続き、庁内関係局と連携強化するとともに、国や近隣自治体等のさまざまな関係者と連携協力して水質改善に取り組んでいただくことをお願いして、私の質問を終わります。
○のがみ委員 まず初めに、とちょう電力プランについてお伺いいたします。
昨年十一月から、十年間の国の買い取り制度が終了する、いわゆる卒FITを迎える家庭が生じております。我が党は、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの利用拡大に向け、こうした卒FIT家庭は制度開始時の買い取り価格がキロワットアワー当たり四十八円と非常に高かったこともあり、価格の低下により発電をやめてしまわないようにする仕組みが必要であると主張してきました。
これに対し都は、家庭の卒FIT電力を含む再エネ一〇〇%電力を特別支学校等の都有施設で活用する、いわゆるとちょう電力プランを今年度から開始するということでございます。
そこでまず、都内の卒FIT買い取り価格ととちょう電力プランにおける買い取り価格についてお伺いいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 住宅用太陽光発電の買い取り制度が開始されました二〇〇九年十一月から十年が経過し、順次、いわゆる卒FIT家庭が生じております。とちょう電力プランは、これらのご家庭の太陽光で発電される電力のうち、自家消費されずに余剰電力として売電される都内産卒FIT電力を含む再生可能エネルギー一〇〇%電力を都有施設で有効活用することで、発電の継続を促していこうとするものでございます。
現在、都内の卒FIT家庭のうち、買い取り事業者の切りかえを行っていない場合はキロワットアワー当たり八・五円で買い取られているものと認識しております。
とちょう電力プランでは、入札により決定した買い取り事業者でもある出光グリーンパワー株式会社が、通常の買い取り価格であるキロワットアワー当たり九・五円に都のインセンティブである一・五円を上乗せした十一円で買い取ることとしております。
○のがみ委員 今後も卒FITを迎える家庭が順次ふえてまいります。都が上乗せをすることによって、金額面のインセンティブだけではなく、家庭で生み出した電気を都有施設で活用することにより、自分の家の電気が都の役に立っているといった社会貢献的インセンティブにより、卒FIT家庭がパネルを撤去せずに使い続ける動機づけになると思っております。
このとちょう電力プランにおける卒FIT電力の買い取り募集は本年八月二十八日から開始され、その契約電力が五千キロワットに達し次第終了とのことでございます。
現在の卒FIT電力の申し込み状況についてお伺いいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 本年八月二十八日から出光グリーンパワー株式会社が卒FIT電力の買い取り募集を開始しておりまして、十月末までの二カ月間で三百八十四件の方から一千三百四十六キロワットのお申し込みをいただいております。
都は募集開始以降「広報東京都」への掲載や卒FIT家庭へのチラシの送付などの広報を行いまして、卒FIT家庭の申し込みを促しております。
○のがみ委員 五千キロワットの買い取り量に対して千三百四十六キロワット、約四分の一の申し込みということでございます。今年度は将来世代が学ぶ特別支援学校が卒FIT電力を活用する対象となっておりまして、意義ある取り組みだと思います。こうした点も都民の方々にしっかりとPRしながら、卒FIT家庭の参加を促していただきたいと思います。
次に、都は、ゼロエミッション東京戦略において、二〇三〇年までに知事部局の都有施設で使用する電力を再エネ一〇〇%化する目標を掲げております。
現在、再エネ電力一〇〇%化されている施設と目標に対する達成度についてお伺いいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 再エネ電力一〇〇%化となる施設は、昨年八月から都庁舎版RE一〇〇により供給されております都庁第一本庁舎のほか、本年十二月からとちょう電力プランにより供給が開始されます都立特別支援学校五十八校と、環境局の廃棄物埋立管理事務所や大気測定局の合計約百二十施設でございます。
これらの施設の電力使用量は、合計で年間約六千四百万キロワットアワーを見込んでおりまして、知事部局等の都有施設の年間電力使用量である約九億キロワットアワーに対して、約七%に当たります。
○のがみ委員 都有施設の再エネ電力一〇〇%化に向けて、とちょう電力プランでの供給が開始されれば約七%ということで、一〇〇%に向けてはまだまだ緒についたばかりでございます。
現在、多くの再エネ電力は都外から供給されておりますけれども、今後の再エネ大量導入時代を見据えると、系統接続制約等の課題もありまして、地球の大切な卒FIT電力の有効活用、災害時等のレジリエンス強化という観点でも、再エネの地産地消は大変有意義な取り組みであると思います。
二〇三〇年の一〇〇%化に向けて、多くの都民の協力を仰ぎながら、防災性にも考慮した取り組みを進めていくべきと考えております。都の見解についてお伺いいたします。
○小川地球環境エネルギー部長 都は、ゼロエミッション東京の実現に向け、隗より始めよの意識のもと、とちょう電力プランなどを通じて、二〇三〇年までに都有施設で使用する電力の再エネ一〇〇%化に率先的に取り組んでおります。
都内産卒FIT電力は今後も加速度的にふえていくことから、電力が子供たちのために使われていると都民に訴求できる特別支援学校のような身近な都有施設から再エネ電力一〇〇%化を進めてまいります。
あわせて、防災性の観点や地域の特性を踏まえながら、再エネの設置と利用の両面からさまざまな方策を検討し、都民の協力を得ながら目標の達成に努めてまいります。
○のがみ委員 来年度以降もこの取り組みを加速させていただくとともに、新たな施策を検討し、都有施設再エネ電力一〇〇%化を実現していただくことを要望します。
大きな目標としては、二〇五〇年までに脱炭素社会を目指す方針を、この前、菅総理も表明しました。日本は今まで明確な目標設置は出していなかったんですけれども、初めて数値目標を明らかにしたことは画期的なことだと思っております。
それから、アメリカのバイデン大統領も、どっちかというと環境政策には熱心な方です。既に欧州連合、EUなどが二〇五〇年実質ゼロへの取り組みも進めております。もう既に百二十以上の国と地域が目標を持って進んでいるわけでございます。排出量が世界で最も多い中国でも、これは二〇五〇年ではなく、二〇六〇年までに排出実質ゼロを目指しております。
しかし、実際には大変厳しい道のりだと思っております。日本全体の排出量の中で約一割、CO2排出をする鉄産業でも新たな取り組みが始まっております。二酸化炭素削減のセメント業界でも、二酸化炭素を原料にコンクリートをつくるゼロカーボンスチールなども開発されております。
今までのままでは二〇五〇年には達成するのが難しい中期目標として、二〇三〇年までに二〇一三年度比四五%削減をしなければ、二〇五〇年にゼロにはならないということです。カーブが急にかくっとなっちゃうんですね。そういう意味で、二〇一三年度比四五%削減というのは大きな目標です。
神奈川県の小田原市で実験しているのは、エリアの太陽光発電パネルを取りつけて蓄電をし、いろんな家につけてもらって、そしてEV、要するに電気自動車に使っております。それから水素をためて燃料化する取り組みも進めております。
水素航空機も、二〇三五年にはヨーロッパでエアバスの開発も進むということでございます。
ということで、水素は大変大事な再生可能エネルギーでございまして、次に、水素社会の実現について伺います。
将来的な脱炭素化に向けて、省エネと並んで進めていかなければならないのは水素社会の実現です。私も率先して水素利用に取り組みたいという強い思いから、燃料電池自動車、ミライを購入し、乗っておりました。ミライの購入費は助成金があるんです。国から二百二万、都から百一万、合計三百三万出ます。ただし、縛りがあって、四年間は乗ってくださいよと、途中で売っちゃいけませんよという。
これに水素を入れに行ったときに、水素ステーションにレッカー車でミライが運ばれてくるときに私は愕然としました。満タンで五百キロ走るわけですね。行って帰って五百キロなんですけれども、折り返しの距離をいつも考えておかなければ、水素ステーションが近くにない場合には水素が切れてしまい、レッカー車移動になってしまいます。そうした意味で、いつも水素ステーションの場所を考えながら運転する必要がありました。
その際感じたのは、まだまだ水素ステーションが少ないな、足りないなということでした。また、水素ステーションの営業の曜日と時間がすごく限られていましたので、必ず入れに行くときは電話で、今やっていますか、人はいますかということを確認してから水素を入れに行っておりました。
そこでまず、都内水素ステーションの整備目標とこれまでの整備実績をお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 二〇三〇年に向けた都内水素ステーションの整備目標は百五十カ所でございます。昨年度は三カ所、今年度に入り四カ所が開設され、現時点での都内の水素ステーションは二十一カ所となっております。
○のがみ委員 二十一カ所整備したのは本当にすばらしいと思っております。目標数字と比べるとまだまだ低いようですけれども、やはりコストが過大になっているんだと思っております。水素ステーション一件当たりの整備費及び都の支援策についてお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 これまでの実績によりますと、水素ステーションの整備費といたしましては、一般車両用が平均して四・五億円程度、バス対応用が九億円程度を要しております。
都は、大企業に対しましては、上限額の範囲内で国と合わせて整備費の五分の四を、中小企業及びバス対応用に対しましては、同じく上限額の範囲内で国と合わせて整備費の全額を補助するとともに、ステーションの規模等に応じて設備、運営費の補助を行うなど、整備拡大を図っております。
○のがみ委員 物すごく手厚い支援が用意されておりまして、特に中小企業に対しては負担を最小限にするよう配慮がなされているようですが、水素ステーションの箇所数が伸びない理由の一つとしては、やはり水素ステーションを利用する車両の数が少なく、大きな販売量が期待できないことがあるのではないかと思います。卵が先か鶏が先かという話です。
そうした観点から、一台当たりの水素充填量が大きく、充填頻度が高い路線バスへの燃料電池バスの導入拡大が重要となります。都内における燃料電池バスの導入状況及びバスに対する水素ステーションの整備状況についてお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 都内における燃料電池バスは、今年度に入りまして、都営バスを含む五社で四十一台が新たに導入され、累計では八社で八十四台が導入されております。
都内二十一カ所の水素ステーションのうち、バスに対応する大型のものが五カ所、一般車両向けではありますが、バス等の大型車両の受け入れも可能なものが四カ所の計九カ所であり、そのうち七カ所は最近二年間で整備されたものでございます。
○のがみ委員 燃料電池バスの台数がことしに入って大きく伸びていることを心強く感じます。こうした大型車両は水素利用量の拡大にも大きく貢献するもので、取り組みをさらに拡大していく必要があります。
バス以外の業務用車両としては、燃料電池トラックの実証も進んでいると聞きます。
都は昨年度から、燃料電池ごみ収集車の開発、運用に向けた取り組みを実施していますが、その取り組み状況についてお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 都は昨年度から、早稲田大学と協働で、都内における運用形態に適した燃料電池ごみ収集車の開発と試験運用に向けた取り組みを行っております。走行距離が長く、動力としても多くのエネルギーを必要とするごみ収集車での水素利用は、運輸部門の脱炭素化に有効であると考えております。
昨年度は、ごみ収集ルートなどの調査や車両シミュレーターの開発等を実施いたしました。現在、来年度に予定している都内での試験運用を目指し、都内の運用に適した車両への改造を行っております。こうした取り組みを通じて、乗用車以外の業務用車両での水素活用についても後押しをしてまいります。
○のがみ委員 新しいエネルギーである水素の普及拡大は簡単なことではないと思いますけれども、供給側への支援を着実に行いながら、まだ手がついていない業務用車両の水素化を図っていくことは、今後の水素利用量の拡大のためにも一層重要になって、地球温暖化の原因になっている二酸化炭素の排出量を減らし、脱炭素社会を実現するための切り札が水素だと思っております。
国土交通省がことし四月に公表した数値によれば、二〇一八年度時点で日本全体の二酸化炭素の排出量の約二〇%が運輸部門で、このうち自動車からの排出量が八五%を超えているため、水素エネルギーを源とする燃料電池で動く燃料電池自動車、FCVが普及すれば、運輸部門の二酸化炭素排出量を削減できるわけでございます。
政府としてはFCVを四万台にふやす目標を掲げておりますけれども、ことしの八月末の時点では何台でしょうか。答えは三千八百台です。まだまだなんです。東京都のように、バス、それからごみ収集車、いずれトラックも開発されてくると思いますけれども、取り組んでいこうという姿勢はすばらしいと思っております。
次に、土壌汚染について伺います。
私の地元の葛飾区では、メッキや金属製品製造などの町工場が古くから集積し、東京の経済を支えていますが、近年、後継者不足などからやむなく事業の継続を断念する方、廃業もふえております。こうした場合、工場等の廃止に伴う土壌汚染の調査が必要となり、その調査で土壌汚染が見つかったときには対策を求められるため、土地の売買や建てかえができないなど、跡地利用がうまく進まないという話を聞きます。
これは法令で求められている土壌汚染対策が正しく理解されておらず、工場等の所有者はもとより、その土地を仲介する不動産業者や跡地を利用する事業者なども、全ての汚染土壌を除去するといった過剰な対策が必要だと誤解していることも大きな原因であると考えます。
都は平成二十二年に、土壌汚染対策を実施しようとする中小事業者に向けてガイドラインを作成いたしました。これですね、このガイドラインを私も見せていただきましたが、どのようなときに土壌汚染対策が必要となるのかを図で示すとともに、対策の選定の流れ、対策の費用の比較など、安価でも十分な対策を進めていく具体的な手順がわかりやすく示されております。
今後、跡地利用を円滑に進めていく観点からも、このガイドラインが役立つよう内容を充実していくべきだと考えます。都の見解をお伺いいたします。
○志村環境改善技術担当部長 中小事業者のための土壌汚染対策ガイドラインは、これまでに法令改正等に対応するため、平成二十六年、令和元年に順次改定を行ってまいりました。
委員ご指摘のとおり、今後は跡地利用も考慮した、より合理的な土壌汚染対策の普及啓発を図るために内容の充実が必要と考えており、現在、ガイドラインの改定を進めております。
具体的には、土壌汚染対策の方法として、地下水のモニタリングや地下水揚水による汚染の拡大防止という、跡地利用をしながら実施しやすい対策を追加いたします。
また、対策の事例として、跡地利用に合わせた掘削場所の工夫により土壌の搬出量を減らした事例や、土地を利用しながら地下水の対策を実施した事例、操業中から計画的に地下水の測定や浄化対策を実施した事例といった、より合理的な対策事例を追加し、年内に公表する予定でございます。
○のがみ委員 跡地利用を考慮した、中小事業者が取り組みやすい事例を加えて改定を予定していることで、年内に公表していただくことを期待しております。ガイドラインで示された方法を実践できれば、必要な対策にかかる負担が軽減されると思います。
しかし、土地を売却しようとしている中小事業者にとっては、安価でも十分な対策を実践したくても、跡地利用する事業者から了解を得られず、過剰な対策を実施せざるを得ない状況があると聞いております。
そのため、中小事業者はもとより、その土地を仲介する不動産業者や跡地を利用する事業者などにも、ガイドラインを使ってこうした対策を広く周知することが必要だと考えますが、見解を求めます。
○志村環境改善技術担当部長 売却を検討している土地においても、より合理的な土壌汚染対策を促進していくためには、委員ご指摘のとおり、不動産業者等の土地利用に携わる関係者にも、ガイドラインを活用して合理的な対策について理解していただくことが有効であると考えております。
都では、ガイドラインを作成した平成二十二年から、窓口や団体を通じて土壌汚染対策を行う事業者に対しましてガイドラインを配布してまいりました。
また、毎年五回程度開催しているセミナーや講習会等で内容の説明等を行うとともに、ホームページでの公開等により周知を図っております。
今後は、関係団体等を通じて、跡地利用に関係する中小の不動産業者や建設業者なども対象に、ガイドラインを広く周知することを検討してまいります。
○のがみ委員 対策を行う中小事業者はもちろんのこと、跡地利用に関係する不動産業者などにも幅広くガイドラインの内容を周知することで、跡地が円滑に利用されることが期待されます。
経済面だけでなく、環境面、社会面にも配慮した持続可能な土壌汚染対策を普及させていくことは、SDGsの観点からも重要なことだと思います。SDGs、我が党の斉藤さんがずっと訴えてきたことでございます。
今後、合理的な土壌汚染対策が社会に広く認知されるよう、積極的に幅広い関係者への周知に取り組むことを改めて求めておきます。
次に、フロンについてお伺いいたします。
フロンは冷暖房空調機器、冷凍冷蔵庫の冷媒として広く利用され、今の私たちの生活になくてはならないものとなっております。しかし、このフロンは二酸化炭素の数十倍から一万倍以上の温室効果があり、気候変動に与える影響が非常に大きく、一度大気中に放出されると回収することはできません。
現在、地球温暖化は世界規模の課題となっております。フロンの排出について、モントリオール議定書の改正が行われ、フロンの段階的な削減に向けた国際的な取り組みが始まっております。
我が国においても、フロンの管理者、事業者への規制を強化した改正フロン排出抑制法がこの四月から施行されました。法改正によって自治体の立ち入り権限が強化された機を捉え、都では専門職員であるフロンGメンを増員して総合的な対策を行っていくことを、ことしの第一回定例会一般質問において我が会派の小磯善彦議員の質疑で明らかにしました。
フロン排出削減のためには、建物解体などに伴い機器を廃棄するときが回収の最後の機会となるため、確実な回収の確認と指導の徹底が重要と考えます。都の見解を求めます。
○筧環境改善部長 フロン排出量の抑制のためには、事業者による機器廃棄時にフロンが確実に回収されることが重要でございます。
フロン排出抑制法の改正により自治体の立ち入り権限が強化されたことから、都では今年度から、建物解体現場を中心に調査及び立入検査を積極的に実施しており、十月末現在の実績は延べ三千四百二十二件でございました。
立入検査では、法律で定められた証明書を発行せず機器の廃棄を行った例や、建物解体の際に違法にフロンを放出した例などがあり、指導を行っております。
今後も引き続き、建物解体現場への立ち入り指導を実施するとともに、フロン使用機器を取り扱う廃棄物処理業者やフロンの充填回収を行う事業者などにも対象を広げ、機器廃棄時のフロン漏えい防止の徹底を図ってまいります。
○のがみ委員 機器廃棄時の排出抑制対策に積極的に取り組んでいることについてはよくわかりました。しかし、フロンの漏えいは機器廃棄時だけでなく、機器の使用時にも、老朽化や点検不足、機器の不適切な管理によって生ずると聞いております。
そのため、多くの冷凍冷蔵空調機器を使用する事業者への指導や、機器の点検まで手が回らない中小企業や個人事業主への対策が必要と考えます。都の見解を求めます。
○筧環境改善部長 機器使用時のフロン排出抑制対策として、今年度、フロン使用機器を管理する約一万三千の事業者に対してアンケート調査を実施し、機器の管理の状況等について実態把握を行うとともに、その対策について検討を進めてまいります。
また、国に報告義務のあるフロン漏えい量が二酸化炭素換算で千トン以上の事業者に対しても、書面による実態把握や、必要に応じてフロンGメンによる立入検査を実施し、機器の点検整備についての指導を行います。
中小企業や個人事業主に対しては、地域商工団体と連携し、簡易点検についての説明動画やリーフレットの配布により法の周知を図るとともに、希望者に対しては、フロンアドバイザーの派遣により指導を実施してまいります。
○のがみ委員 フロンGメンを初めとして、総合的な規制、指導を行っていることはよくわかりました。事業者への規制、指導も非常に大事であると思いますが、フロンの排出量を削減していくためには、同時に、冷媒にフロンを使っていない機器への転換を促進していく必要があると思います。
先ほどもちょっと出ましたけれども、都ではノンフロン機器の導入支援を行っているとのことでございます。
ことしはコロナウイルスの感染症拡大の影響で、テークアウトのためのショーケースを導入する飲食店等がふえてきていると聞いておりますけれども、本事業の内容とこれまでの実績について説明を求めます。
○筧環境改善部長 都では令和元年度から、中小企業等を対象に、冷媒にフロンを使用しないノンフロン冷蔵冷凍ショーケースの導入に対して補助を実施しております。また、ノンフロン機器が製品化されていない空調設備についても、地球温暖化への影響を極力減らすため、今年度から地球温暖化係数の低いフロンを冷媒とするビル用マルチエアコンにも補助対象を広げました。
本事業の令和二年度の補助実績は、ショーケース、ビル用マルチエアコンを合わせて、十月末現在で八十五台となっており、昨年度一年間の実績である三十八台より大幅に増加しております。
○のがみ委員 ノンフロン機器の補助実績も着実に伸びてきているようです。今後もノンフロン機器の開発動向に合わせて、補助事業を継続していくことを要望します。
ことしは新型コロナウイルスの感染症拡大の影響により苦労されたこともあったかと思います。フロン排出抑制のための調査や指導を着実に実施していたことがわかりました。法施行後の本格的な立ち入り指導は始まったばかりですが、引き続きしっかりと立ち入り指導を行い、フロン回収の徹底と排出抑制を図っていただきたいと思います。
都では昨年十二月に、ゼロエミッション東京戦略を策定し、フロン排出量を二〇五〇年までにゼロにすることを目指しています。環境先進都市東京の実現に向け、フロン排出抑制をさらに推進していただきますよう要望いたします。
次に、PCB廃棄物の対策について伺います。
ポリ塩化ビフェニル、英語の略語でPCBは、電気絶縁性が高いなどの性質があることから、主に変圧器やコンデンサー、照明用安定器などの電気機器の絶縁油として使用されてきました。
しかし、カネミ油症事件をきっかけにPCBには毒性があることがわかり、昭和四十七年に製造が禁止され、現在、国が一〇〇%出資するJESCO、中間貯蔵・環境安全事業株式会社で高濃度PCB廃棄物が処理されております。
高濃度PCB廃棄物の処理期間は、変圧器、コンデンサーについては令和三年度末、照明用安定器については令和四年度末と期限が迫っており、多くの高濃度PCBの廃棄物を保管している民間事業者の処理を推進するため、都が模範となって率先して処理を進めていくことが重要です。
平成二十九年度各会計決算特別委員会の全局質疑において私は、主な局の高濃度PCB廃棄物の処理状況について、一個一個の局を確認し、都は環境局の指導のもと、各局が計画的に処理を進めていくと答えております。
そこでまず、都有施設における高濃度PCB廃棄物のその後の処理状況の進捗状況についてお伺いいたします。
○風祭調整担当部長 環境局はこれまで、年度当初に庁内連絡会議を開催し、各局に対し、高濃度PCB廃棄物の調査漏れがないよう、自家用電気工作物の最終的な掘り起こし調査や照明用安定器の全数調査を依頼し、期限内処理を周知徹底してきております。
都有施設の主な高濃度PCB廃棄物の保有状況として、平成二十九年度末時点と最新の届け出データを比較すると、高圧変圧器は十一台であったものが残り一台、高圧コンデンサーは五十台であったものが残り十八台、照明用安定器は四万一千七百三十五個であったものが残り一万五千四百五十八個となっております。
環境局は、各局が高濃度PCB廃棄物を期限内に確実に処理するよう、引き続き指導してまいります。
○のがみ委員 都有施設のPCB廃棄物については計画的に処理が進んでいることを確認できました。環境局は引き続き各局の進捗管理をしていただきたいと思います。
次に、都内の保有事業者への取り組みについてお伺いいたします。
高濃度PCB廃棄物のうち、特に変圧器、コンデンサー類については、高濃度PCBの廃棄物の処理施設であるJESCO東京事業所への処分依頼を令和三年度末までに行う必要があります。残り一年半を切った、待ったなしの状況です。
こうした中、JESCO北九州エリアにおいて、高濃度PCBを含む変圧器やコンデンサー類が処理期限以降に新たに見つかる事案が本年七月末時点で約百六十件発生しているとの報道がございました。
このことから、東京エリアにおいて、高濃度PCB含有電気工作物の発見及び処理に向けた取り組みを強化し、期限内処理を徹底していくことが重要だと考えておりますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○風祭調整担当部長 環境局はこれまで、期限の迫っている変圧器、コンデンサー類の保有事業者に対し、法に基づく毎年の届け出の機会に加え、随時、電話や立ち入り指導により、高濃度PCB処理業者であるJESCOとの処分契約など、早期処理を促してきております。
JESCO東京事業所における都内の高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況は、昨年度末現在で所在が判明している機器のうち、変圧器類が約九七%、コンデンサー類が約九六%となっております。今後新たに掘り起こされるものを考慮しても、九割以上は処分が進んでいると考えております。
本年度はさらなる取り組みとして、首都圏一都三県十二市において、九月をPCB廃棄物処理促進月間として定め、建物管理や電気工事、保守点検に係る業界団体など三十六団体と連携し、高濃度PCB廃棄物の適正処理について、その会員等への啓発活動を実施いたしました。
また、高濃度PCB廃棄物を保管中の事業者への指導や、高濃度PCB含有電気工作物を使用中の事業者に対する指導権限を持つ国との合同立ち入りを実施いたしました。
今後も引き続き、保有事業者へのきめ細やかな周知や指導を徹底することにより、着実に期限内処理を図ってまいります。
○のがみ委員 東京エリアの処理が進み、都の取り組みも強化されていることが確認できましたが、引き続き、期限までPCB廃棄物の保有事業者へのフォローアップをしっかりと行っていただくことをお願いいたします。
それから、この問題の最後に、照明用安定器の処理に向けた取り組みについてお伺いいたします。
現在、都では、都内の事業用建物を所有する事業者に対し、昭和五十二年三月以前に建築された建物十五万件を対象とし、PCBを含有した照明用安定器の掘り起こし調査を実施していると聞いております。この掘り起こし調査では、一般の事業者が照明用安定器のPCB有無の調査をする必要がありますが、感電等の危険が伴います。
また、確認が十分でないと、PCBを含んでいない安定器まで高濃度PCB廃棄物として処理することにより、高額な処理費を負担することになるため、専門業者による調査が望ましいと考えております。
そこで、都が実施している照明用安定器の掘り起こし状況と取り組みについてお伺いいたします。
○風祭調整担当部長 照明用安定器につきましては、国の掘り起こし調査マニュアルに基づきまして、昨年度より都内の事業者に対しアンケート調査を開始し、昨年度、今年度と二回に分けて実施しております。
昨年度は、約八万六千件分の建物に対する調査票を発送し、回答があったのは約三万四千件で、そのうちPCBありと回答された建物は約一千百件となっております。
今年度は、昨年度の未回答分を含めた約十万件分の建物の所有者に対しアンケート調査を十月より開始しております。
都は、一般事業者の調査が円滑に行われるよう、電気工事業者やPCB廃棄物調査専門業者の団体に協力依頼をしております。
また、中小企業などへの支援事業として、PCB有無の調査に係る費用などへの助成制度を昨年度より実施しており、一般事業者向けに支援事業の説明会を開催し、周知徹底を図っております。
今後も引き続き、期限内処理に向けて処理促進を図ってまいります。
○のがみ委員 PCB廃棄物の処理が進んできているとはいえ、都内にはまだまだ処理しなければいけないPCB廃棄物がたくさんあります。引き続き、保有事業者へのきめ細かな取り組みを実施し、高濃度PCB廃棄物の早期処理を実現することを要望します。
次に、最後の質問になります。
食品ロスについてお伺いいたします。
食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食べ物のことです。生産、製造、販売、消費の各段階においても大量に発生しております。
我が党公明党の提案により、国においては、事業者、消費者等の多様な主体が食品ロスの削減を推進するよう定めた食品ロスの削減の推進に関する法律、いわゆる食品ロス削減推進法が二〇一九年の十月一日に施行されて一年になります。
先月は、法に基づく食品ロス削減月間ということで、テレビや新聞などで、家庭でできる食品ロス削減の取り組みなどが取り上げられておりました。
全国の食品ロス発生量は年間六百十二万ということで、これは都民が一年間に食べる量に匹敵する膨大なものです。都議会公明党でこの食品ロスについて取り上げてきたころ、二〇一六年ごろなんですけれども、全国で六百四十二万トンといわれておりましたので、そのころから比べると三十万トン削減されてきたということがわかります。
そうした中、昨年、二〇一九年十二月、都は、二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すゼロエミッション東京戦略を策定しました。その中で食品ロスを資源循環分野の主要な取り組みとして位置づけたわけであります。二〇三〇年までに食品ロス半減、さらに二〇五〇年までに食品ロス発生量実質ゼロを達成するといった極めて意欲的な目標を掲げたところであり、都として具体的な取り組みが求められております。
二〇二〇年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が食の生産とか製造、販売、消費、それぞれの段階にもさまざまな影響をもたらしております。
そこでまず、都内の食品ロスの発生状況とこれに対する都の認識についてお伺いいたします。
○宗野資源循環計画担当部長 都の調査では、二〇一七年度の都内全体の食品ロス発生量は約五十一万トンと推計しております。事業系が約三十八万トン、家庭系が約十三万トンでありまして、事業系の内訳は、外食産業が約二十八万トン、食品小売業が約八万トン、製造業と食品卸売業がそれぞれ一万トンとなっております。
事業系の食品ロスは、消費者と直接かかわる外食産業と小売業で多く発生しておりまして、これは食品等の需給バランスのミスマッチや、消費者がより賞味期限の長い商品を選ぶことなどが関係しています。こうしたことから、消費者の購入見込み数の把握や、食品の賞味期限、保存方法等の改善などについて、サプライチェーンの各主体が連携した取り組みや、今後取り組むべき対策の情報の共有化が必要と考えております。
また、家庭系については、食品ロスの問題について消費者一人一人が身近な問題として捉え、食品ロス削減に向けた行動が特別なことではなく、当たり前のこととして認識していただけるよう、正しい知識と実際の行動に結びつくための効果的な普及啓発が必要と考えております。
○のがみ委員 先ほども申し述べたように、都内の食品ロスは生産から消費に至るあらゆる段階で発生をしております。食品ロスの削減には、その発生の要因に応じた取り組みを進めていく必要があります。
食品ロス削減に当たっては、各主体による発生量の削減が基本となりますが、例えば食品の鮮度なども重要な要素となります。消費者がより鮮度がよく、賞味期限の長い商品を求めることなどから、そうした要望に応える商品を提供していくことも食品のロスを減らすことにつながっていくと考えます。
私たちの運動の中に、スーパーに行って、牛乳など、消費期限の迫っているものから購入しようというのがありました。それはすぐに消費するものなので、後ろの方から消費期限の長いものをとるのではなく、前の方にある、もうちょっとで切れちゃうよというものを先に買って、消費して、購入しようという運動でございました。
また、多岐にわたる食品ロスを確実に削減していくためには、食に係る各段階の事業者、消費者が問題意識を共有して、力を合わせて取り組むことが何より重要です。
そのため、都は二〇一七年九月、平成二十九年ですね、関係団体から消費者団体などで構成する食品ロス削減パートナーシップ会議を設置し、議論を深めてきました。そして、同会議が取りまとめた提言をいただきまして、きのう一生懸命読みました。
そこで、この提言の内容と今後の対応について、都の認識を伺います。
○宗野資源循環計画担当部長 都は、食品ロス削減パートナーシップ会議から、きめ細やかな食品ロス対策を推進するため、事業者、消費者、行政、NPO等の各主体の食品ロス削減に向けた取り組みの方向性について提言を受けました。
具体的には、事業者に対しては、ICT等を用いた需要予測や高度な包装、冷凍技術などの先進技術の活用や、納品期限の緩和など、商習慣の見直しに努めることなどが示されました。
また、消費者、行政等に対しては、新しい生活様式の中でも、買い過ぎない、つくり過ぎないなど、削減行動の一層の習慣化や、イベント内容の工夫やオンラインの活用などによる食品ロス問題に関する消費者への普及啓発の促進などが示されました。
今後、都は、こうした提言を踏まえまして、食品ロス削減推進法に基づく都としての食品ロス削減推進計画を策定してまいります。
二〇三〇年食品ロス削減を目指し、食に係るあらゆる主体が先進技術等を活用しながら、着実に取り組みが進められるよう、食のサプライチェーンにかかわる各事業者等と連携しつつ、実効性ある取り組みを進めてまいります。
○のがみ委員 この提言の中で、生産、製造、販売、消費、それぞれの立場で展開があって、大変参考になりました。
例えば事業者でいえば、つくり過ぎない、需要に見合った数の生産と販売ですね。学校給食がストップした影響が大きくて、野菜や生乳などを大量に廃棄せざるを得なくなったり、飲食店の休業により多くの食材が行き場を失うことになったりしました。テレビ等でも深刻なつくり手の様子が映し出されておりました。
例えばキュウリなども、どうせ細かく切って使うんだから、曲がったキュウリも市場に出せればいいんでしょうけれども、購入者の意識がそろったものを購入する傾向があると。
私も消費者の立場でいえば、新型コロナウイルスの感染拡大のため、おうちご飯ですかね、外出自粛、買い物が制限され、短時間に買い物を済ませるために、購入するものを紙に書いて、迷わないように短時間で選ぶと。メニューを決めておかずをつくるというよりも、例えば大根が一本あれば、この大根を使って、おでんとか、ふろふき大根、ブリ大根とか、ホタテと大根のサラダなど、家にある食材から献立を組み立てる、そういうことがこれからは大事なんじゃないかなと思います。
事業者との連携はもとより、消費者などあらゆる主体が食品ロス削減の意義を理解し、食品ロス削減の取り組みが進められるよう、削減推進計画の策定をしっかりとお願いしたいと思います。
以上で終わります。
○西郷委員 私からは、建築物に対する地球温暖化対策について伺います。
都は昨年末に、二〇五〇年CO2排出実質ゼロの実現に向けて、ゼロエミッション東京戦略を公表し、具体的な取り組みをスタートさせましたが、都のデータによると、都内のCO2排出量の約七割が建築物由来となっております。このため、環境性能の高いビルをふやしていくことは大変重要だと思います。
私は以前、大阪のあべのハルカスを視察したことがありますが、省エネや緑化、太陽光発電など、地球に配慮したビルで感動いたしました。
私の地元中央区では、八重洲や日本橋エリアなどで再開発が進んでおり、大規模なビルが多く建設されています。こうしたビルは一度建てられれば数十年にわたり使用されます。そのため、ビルを建てる際に、設計段階から着実に環境配慮を進めていくことがCO2排出を抑制していくために重要です。
都は、一定規模以上の建築物を新築、増築する建築主に建築物環境計画書を作成させる制度を実施しています。都は、この制度の対象を拡大する改正を行い、ことしの四月から運用を開始したとのことです。
そこで、制度の概要と主な改正点及び改正後の計画書の提出件数、そのうち中央区内の件数はどのくらいあるのかについて伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 建築物環境計画書制度は、省エネルギーや緑化、再生可能エネルギー等の環境配慮の取り組みについて記載した計画書の作成と、都への提出を義務づけるものでございます。ゼロエミッション東京の実現に向けて、より多くの建築物について環境配慮を促すため、都は、計画書の提出を求める建築物の対象を延べ面積が五千平方メートル超から二千平方メートル以上に範囲を拡大いたしました。
あわせて、従来の省エネ性能を大きく上回るZEB、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディングを環境配慮に関する評価基準において最高ランクに位置づけるとともに、その旨を公表することといたしました。
改正後の計画書の提出件数は、九月末現在で、オフィスや商業施設などが入る大規模複合施設等、二百三十四件でございます。その内訳は、五千平方メートル超が八十件、五千平方メートル以下が百五十四件でございます。
また、中央区に係るものは十三件で、その内訳は、五千平方メートル超が六件、五千平方メートル以下が七件でございます。
○西郷委員 建築物環境計画書の提出が本年四月から二百件以上あり、そのうち制度改正で対象となったものが百五十四件あるとのことです。今後、この制度を着実に運用し、建築物の環境配慮の取り組みをしっかりと促していくことを要望しておきます。
次に、建築物を建てた後の運営段階で、特にCO2排出が大きくなる大規模事業所への取り組みについて伺います。
都では二〇一〇年から、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度を導入し、その中で省エネ対策の取り組みが特にすぐれている事業所をトップレベル事業所として認定する仕組みがありますが、改めてこの仕組みの概要について伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 キャップ・アンド・トレード制度では、地球温暖化対策の推進体制の整備、高効率設備の導入、運用管理の面で特にすぐれた取り組みを行っている事業所をトップレベル事業所として認定しております。認定された事業所は削減義務率が軽減されるとともに、制度対象事業所全体の省エネ対策を引き上げる牽引役になることも期待しております。また、トップレベル事業所の認定基準は、設計や大規模改修の段階において、高効率設備の導入など、省エネ対策の目安として活用されております。
今年度からスタートした第三計画期間においては、省エネ技術の進展に伴い、照明や空調設備などの認定基準を見直すとともに、再エネ設備の導入を加点項目として新たに追加し、事業所の再エネ拡大の取り組みを評価することといたしました。
このように、トップレベル事業所認定の仕組みを通して、省エネ、再エネの両面から大規模事業所の対策を促進しております。
○西郷委員 キャップ・アンド・トレード制度において、環境性能にすぐれたビルを誘導していく仕組みがあることについてわかりましたが、このトップレベル事業所の仕組みでは、現在どのくらいの事業所が認定を受けているのか、またその中で中央区内の事業所はどのくらいあるのか伺います。
○小川地球環境エネルギー部長 都内全体では、オフィスビルから工場まで幅広い用途で六十九の事業所が認定を受けております。中央区内では、日本橋エリアを中心に、オフィスや商業施設などが入る大規模複合施設を初め、八事業所が認定されております。
これらの事業所の中には、AIを活用して最適な室内環境になるよう、温度や送風量を自動で調整する機能を有する空調設備が導入されるなど、先進的な省エネ対策が実施されております。
○西郷委員 開発の進む中央区において、さらにトップレベル事業所がふえることを期待しています。
日本橋を初め、都内ではさまざまな大規模再開発が進んでいます。都は、ビルを新築する際には建築物環境計画書制度で、またビルが建った後、大規模なものはキャップ・アンド・トレード制度で省エネを初めとする温暖化対策を促していることがわかりました。
都は、ゼロエミッション東京戦略の中で掲げているゼロエミッションビルの拡大に向けて、こうした取り組みを含め、施策のバージョンアップを図っていくことを要望し、私の質問を終わりにいたします。
○西野委員 私からは、初めに、気候変動対策における自動車のZEV化関係についてお伺いをさせていただきます。
都は昨年十二月に、二〇五〇年CO2排出実質ゼロに向けて具体的な取り組みをまとめたゼロエミッション東京戦略を公表しました。毎年のように日本では甚大な豪雨災害が発生しており、CO2削減対策は重要です。
都内のCO2排出量は、業務部門と家庭部門からの排出が約四分の三を占めていますが、二割弱を占める運輸部門からのCO2排出量も無視することはできません。運輸部門のCO2排出量の大半は自動車からの排出であり、対策が求められます。
都は、自動車からのCO2排出量を削減するため、自動車のZEV化に取り組んでいますが、EV、PHVには充電器が必須であることはいうまでもありません。このEV、PHV用充電器について、私は特に住宅で使用する充電器の充実が重要と考えております。個人所有の車が一番長く停車しているのは住宅であり、一番の充電の機会はやはり住宅です。住宅において、集合住宅は区分所有建物も多いなど、戸建て住宅に比べ、より手厚い充電器設置支援が必要です。
そこで、集合住宅における充電器設置促進に向けた都の認識及び取り組みについてお伺いいたします。
○山田次世代エネルギー推進担当部長 EV、PHV普及に向けては、都民の過半が住む集合住宅への充電器設置が重要であると認識しており、都は、事務所、工場、商業施設等に先駆けて、平成三十年度より集合住宅への充電器設置に係る機器の購入費及び工事費の補助を行っております。
また、集合住宅のうち区分所有建物は、充電器設置に当たり管理組合の合意が必要など、ハードルが高いため、都では、集合住宅に対して維持管理や改修に必要なノウハウを持つ者をアドバイザーとして派遣して、充電器の設置を促しております。
これらの取り組みを着実に実施することで、集合住宅への充電器設置を促進してまいります。
○西野委員 都が集合住宅への充電器普及が重要と認識していること、また集合住宅への充電器普及に取り組んでいることがわかりました。
しかしながら、補助制度やアドバイザー派遣制度について、私の地元日野市のアパートオーナーなど不動産関係事業者の皆様の中には、まだまだ知らない方もいると思います。大手ディベロッパーなどは情報収集能力もあり、都の補助施策を知っていると思いますが、アパート経営オーナーを初め、事業者にもしっかりと周知をお願いしまして、次の質問に移ります。
次に、アスベスト対策についてお伺いさせていただきます。
高度経済成長の時代、旺盛な建設需要を背景に、アスベストを含有する建築材料は全国で大量に使用されてきました。当時、アスベストは安価で不燃性、耐熱性、耐腐食性にすぐれた魔法の鉱物といわれており、防火材、防音材、断熱材などの材料として大変重宝されておりました。
その後、アスベストの吸入による健康障害が明らかになり、現在はアスベストの輸入や製造、使用などは全面的に禁止されましたが、都内の築年数の古い建物などにはまだ多くのアスベストが残っています。東京が持続可能な都市として発展していくためには、建築物やインフラを再整備し、都市機能の更新を着実に進めると同時に、こうした古い建物の解体時において、負の遺産であるアスベストを適正に除去する必要があります。
アスベストに関しては、大気汚染防止法を根拠として、建物解体前の調査やアスベスト除去時の作業基準など、さまざまな規制がありますが、今般、現場作業ルールである作業基準に変更があったと聞いています。まず、今回の変更内容についてお伺いをさせていただきます。
○筧環境改善部長 大気汚染防止法では、建物の解体、改修時におけるアスベストの飛散防止に向け、アスベストを含む建材の種類ごとに作業基準を定め、解体業者等に対し適正な除去作業の実施を求めております。
例えば、除去作業時の飛散リスクが高い吹きつけアスベストの場合、作業場をシート等で隔離し、室内を減圧することでアスベストを屋外に飛散させない措置が義務づけられております。
本年十月に省令の一部が改正され、これまで規制対象外であったアスベストを含む成形板の作業基準が新設されたほか、逆に飛散リスクの低い塗装材では基準が一部緩和されるなど、昨今の作業実態に応じた基準改正がなされており、その施行日は令和三年四月一日でございます。
○西野委員 省令改正でアスベスト建材の種類に応じて、その撤去作業に関する規制の強化や緩和がなされたと理解いたしました。
業界の方々のお話によりますと、戸建て住宅の解体工事費が二百万円程度の場合、アスベスト対策としての隔離養生などに要する追加費用は約二百五十万円かかってしまうというところです。これは発注者、つまり消費者にとって大きな負担となっており、安く引き受けた業者がそれなりの工事で建物を解体してしまい、結果としてアスベストが周囲に飛散してしまうことが懸念されます。
こうした不適切な事案を発生させないためにも、都や区市による工事現場での監視指導を通じて、解体事業者に改正後の作業基準を周知し、その遵守の徹底を図る必要があります。
そこで都は、今後、新たな作業基準の遵守に向け、どのように取り組んでいくのかをお聞きさせていただきます。
○筧環境改善部長 建物の解体工事等においてアスベストの飛散防止を徹底するためには、現場における指導が有効でございます。
都はこれまで、建築物の解体等に係るアスベスト飛散防止マニュアルを策定し、現場の監視業務を担う行政職員向け研修会や事業者向け講習会に活用してまいりました。
今回の省令改正を受け、区市と連携し、最新の作業基準を反映させたマニュアルの改定に向けた検討に着手いたします。
今後、改定したマニュアルを活用し、研修会や講習会等を通じて、行政職員の指導スキルの向上や事業者への技術的支援を一層推進し、アスベストの飛散防止対策の徹底を図ってまいります。
○西野委員 ぜひとも区市や業界との連携を深めながら、現場での監視指導を進めていただきたいと思います。
解体業者には零細企業も多く、アスベスト対策の負担が大きいとの声もあります。こうした声にも対応するため、まずは行政から事業者に法規制等の情報を正確に伝えるとともに、適正な指導、支援のもと、安全・安心な工事を進めることが大切です。そのためにも区市としっかりと連携をしてアスベスト対策に取り組むことをお願いして、次の質問に移ります。
一般廃棄物処理についてお伺いさせていただきます。
資源制約、環境制約を克服し、持続可能な発展を継続していくためには、3R、リデュース、リユース、リサイクルを推進する必要があり、都内全域で水準を上げていくことが重要であると思います。
都内におけるごみの減量、リデュース、リサイクルの実績を見てみると、多摩地域と比べて区部が見劣りする現状がございます。
平成三十年度において、全国の人口十万人以上五十万人未満の市町村において、一人一日当たりのごみ排出量が少ないトップテンのうち、多摩地域が八市を占めており、私の地元日野市では、当時の市長を初め市職員、またごみ問題に取り組んでいた市民が主導で市民に丁寧に説明し、ごみ袋の有料化をした結果、全国二位となっております。また、リサイクル率でもトップテンのうち六市も占めるなど、多摩地域の自治体は全国でも有数の水準にあります。
また、容器包装プラスチックの分別収集をしている自治体は、多摩地域において三十市町村のうち二十市町であるのに対し、区部では約半数にとどまっており、一人当たりの年間処理量でも三倍程度の大きな差が生じています。
こうした状況において、都がリーダーシップを発揮して各自治体に強く働きかけ、区部においても多摩地域と同様に分別収集、リサイクルするようになれば、二酸化炭素の大幅な削減につながると思います。
都は、今年度から新たにプラ製容器包装・再資源化支援事業を立ち上げ、プラスチックの分別収集に取り組む自治体を支援することとしておりますが、本事業の概要と取り組みについてお伺いをさせていただきます。
○宮澤資源循環推進部長 都は、二〇三〇年までに家庭や大規模オフィスビルから排出される廃プラスチックの焼却量を二〇一七年比で四〇%削減する目標の達成に向けて、今年度からプラ製容器包装・再資源化支援事業を立ち上げました。
本制度は、これまで収集品目を白色トレーなどに限定してきた市区町村が全てのプラスチック製容器包装を収集対象とする場合の準備経費や分別収集経費、既に分別収集を実施している自治体が分別実績の向上やリサイクルの高度化に取り組む場合の経費について、一部を支援することとしております。
これまで、今年度から分別収集を開始している一自治体に対し補助金の交付を決定したほか、一自治体が今年度中の準備経費補助の活用に向けて準備を進めております。
先日、各市区町村を対象に実施したアンケートでは、区部の分別収集未実施の自治体全てが令和四年度までの制度活用を目指して、事前調査の実施等を検討しているとの意向でございました。また、既に分別収集を実施している自治体の多くでも、分別アプリの開発や選別ラインの増強等での活用を検討していると伺っております。
今後も各自治体と連携を図りながら、廃プラスチックのリサイクル促進に取り組んでまいります。
○西野委員 さまざまな状況下において、過去の経緯、課題など多くのことがあると思いますが、ぜひ、分別収集を実施していない自治体に対して実施を強く働きかけていただきたいと思います。
私の地元日野市は、今答弁があった都の補助事業を活用し、今年度からプラスチックの分別収集を本格実施しています。
現在、国では、従来から分別収集している容器包装プラスチックに加えて、製品プラスチックを新たに一括回収する議論が進んでいますが、日野市ではこれを既に先取りして一括回収を行っております。先般、プラスチックの資源循環施策を議論している国の審議会の小委員会でも、その取り組みについて報告をしたところであります。
一方、一括回収については、中間処理の手間やコスト、リサイクル事業者の選定など、実際に行ってみなければわからない困難さがさまざまあります。国において、日野市の経験をもとに、自治体に過度な負担とならない制度構築がされるよう、都としても国に積極的に働きかけていただきたいと思います。
さて、プラスチックの分別と並んで都の主導的な役割を期待したいのが、ここ数年、廃棄物処理の現場における大きな課題となっているリチウムイオン電池に起因する発火等の事故防止です。
リチウムイオン電池は、モバイルバッテリーや加熱式たばこなどさまざまな機器に使用され、私たちの暮らしの利便性を向上させています。これらの製品は使用後に、電池メーカーなどが設立した団体等が自治体や家電量販店等と連携し自主回収していますが、清掃、リサイクルシステムの維持が脅かされています。
リチウムイオン電池による事故防止には一自治体の取り組みだけでは限界もあり、都が主導して現場を守るための対策を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○宮澤資源循環推進部長 清掃、リサイクルの現場において、リチウムイオン電池等に起因する発火事故は年を追うごとに増加しており、早急に対策を講ずることが必要でございます。
都はこれまで、都民や事業者に対し、分別の留意点等について周知を図ってまいりました。また、昨年度、都と市区町村との共同検討会でリチウムイオン電池等を原因とする発火事故等に関する現状や先進自治体の取り組みを共有したところでございます。
今年度は、廃棄物処理の各課程における事故件数や発火メカニズム、各種製品の混入状況や発火危険性等について調査を実施いたします。
今後、調査結果をもとに検討会での議論を深めるとともに、電池の製造から廃棄された電池の処理に至るまでのさまざまな事業者、業界団体等と連携し、リチウムイオン電池等による事故の発生防止に取り組んでまいります。
○西野委員 今回の質疑で取り上げたプラスチック製容器包装の分別収集やリチウムイオン電池の混入に加え、ことしは新型コロナウイルスの影響下でのごみの収集やリサイクルなど、廃棄物処理の現場で日々新たな課題が生じております。都には今後とも強いリーダーシップを発揮していただくことを期待して、次の質問に移ります。
食品ロス対策についてお伺いいたします。
ことしのノーベル平和賞は、飢餓に苦しむ人々に食料援助を行う国連世界食糧計画、WFPに決まりました。WFPの世界への食料援助量は年間約四百二十万トンであるのに対し、日本全国の食品ロス発生量はその一・五倍の年間六百十二万トンという膨大な量です。
また、これを金額に換算すると、四人家族の一世帯当たり年間六万円相当の食品を捨てていることになり、まだ食べられるにもかかわらず、日常的に捨てられてしまう食品ロスの問題は、家計の負担を軽減する面からも喫緊に取り組む問題と考えます。
そうした中、先日、都は、消費者団体や関係団体で組織する食品ロス削減パートナーシップ会議から、消費者や事業者が取り組むべき方向性について提言を受けました。家庭における食品ロス削減をより進めていくためには、ふだんから食品ロスを意識した行動が根づいていくことが何より重要と考えます。
そこでまず、家庭系の食品ロス削減について、最近の取り組み状況と提言の内容を踏まえた都の見解をお伺いさせていただきます。
○宗野資源循環計画担当部長 家庭における食品ロスの削減は、誰もが取り組める身近な課題であり、一人一人が削減の必要性について理解を深め、具体的な行動に移すことが重要でございます。
そのため都は、先月の食品ロス削減月間に、食べ残しゼロに取り組む食べ切り協力店や、家庭の未利用食品を集め福祉施設等に寄附するフードドライブの取り組み状況をウエブサイトで発信するなど、普及啓発を実施いたしました。あわせて、食品ロス削減に対する理解促進のため、オンラインセミナーや動画を活用するとともに、都のホームページで継続的に発信するなど、感染防止にも配慮しながら取り組んでまいります。
また、いただいた提言では、消費者に対して、冷蔵庫の在庫チェックや食材の使い切りなど、食品ロス削減行動の習慣化や、アプリ等の割引情報の活用など、売れ残り、食べ残しを防ぐ賢い消費選択等について効果的に普及啓発すべきと示されております。
今後、都は、本提言を踏まえまして、都民一人一人の理解と行動を促進するよう、市区町村を初め、さまざまな主体と連携を図りながら、家庭における食品ロス削減の取り組みを着実に進めてまいります。
○西野委員 家庭系の食品ロス削減については、機運を醸成し、具体的な取り組みを定着させていくよう、行政による普及啓発が欠かせません。市区町村とも連携しながら、ぜひ実効性のある取り組みを進めていくようお願いいたします。
一方で、事業系の食品ロスについても待ったなしの状況で同じであり、その解決に寄与する先進的な技術も出てきていることから、活用を広げていくことが必要です。
サプライチェーンの各段階では余剰の在庫を抱えて取引をしていますが、経験と勘に頼る従来の方法では結果的に食材が期限切れとなり、大量に廃棄されることも多いのが実態です。こうした状態をICT等の先進技術を活用して改善していくことは大変有意義な取り組みであり、ぜひサプライチェーン全体に活用を広げていくべきです。
そうした中、都は本年度、ICT等を活用した先進的な食品ロス削減に向けたモデル事業を開始しましたが、その取り組み状況と今後の展開について、都の見解をお伺いいたします。
○宗野資源循環計画担当部長 フードサプライチェーンでは、各段階で余剰在庫を抱えていることが多く、ICT等の活用による情報の共有を進め、食品事業者等の在庫量の適正化を図っていくことは重要でございます。
そのため、本年度、都は、生産から消費に至るサプライチェーンで発生している食品ロス削減のため、ICT等を活用した先駆的な取り組みを行う事業者を公募し、選定した二者とそれぞれ協働で事業を開始しております。
一つ目の事業は、気象や衛星データをもとに作物の収穫予測を行い、小売店の仕入れの最適化を目指すものでありまして、二つ目の事業は、天候や商品販売のビッグデータを活用し、AIにより適正な量を自動発注することで、小売のみならず、サプライチェーン全体で余剰在庫の削減を目指すものでございます。
今後は、都内の小売店舗などで実証事業を実施し、その効果を検証するとともに、得られた成果を事業者や関係団体等と共有し、食品ロス削減に向けた取り組みを推進してまいります。
○西野委員 今回の民間事業者による新しいビジネスモデルの取り組みがフードサプライチェーン全体に広がっていくよう、食にかかわるあらゆる主体と連携しながら、食品ロス削減の取り組みを進めていくことをお願い申し上げておきます。
最後に、災害廃棄物対策についてお伺いをさせていただきます。
昨年、相次いで日本に上陸した台風十五号と十九号は、都内でも大きな被害をもたらしました。大島、新島などの島しょ部では、猛烈な暴風雨による家屋の倒壊等が発生したほか、多摩川の流域では、記録的な大雨による床上、床下浸水により大量の災害廃棄物が発生いたしました。
ことしに入っても、熊本県を中心に九州や中部地方で集中豪雨による災害が発生するなど、災害廃棄物の処理を考える上で、気候変動の影響とも考えられる風水害による被害の甚大化は無視できないものとなっております。
災害によっていっときに大量に発生した廃棄物を可能な限り速やかに処理し、生活環境の保全と早期の復興につなげるためには、各自治体の発災に備えた事前準備が必要です。都内では、災害時に活用のできるオープンスペースに限りがあり、あらかじめ仮設置き場の候補地や搬入、搬出など処理の手順を決めておく必要があります。
そこで、まず初めに、具体的な被害想定や処理手順を定める災害廃棄物処理計画を都内の市区町村がどの程度策定しているのかお伺いさせていただきます。
○宮澤資源循環推進部長 都は、平成二十九年六月に、都みずからの東京都災害廃棄物処理計画を策定するとともに、市区町村における災害廃棄物処理計画の策定を支援してまいりました。
昨年度は、新たに九自治体が災害廃棄物処理計画を策定し、令和元年度末時点で八区十四市二町村の合計二十四自治体が策定済みとなっております。
なお、市区町村からのヒアリングによりますと、今年度策定済み、もしくは策定に向けた作業を実施している自治体が十二自治体ございまして、今年度末には策定済みは合計三十六自治体となり、策定率は約六割となる見込みでございます。
○西野委員 計画を策定する自治体は徐々にふえているとのことですが、今年度末時点でも都内自治体の策定率は約六割にとどまっており、さらなる策定率向上に向けた取り組みが必要です。
発災後に仮置き場の設置がおくれ、被災家屋からの片づけごみが道路脇にあふれて交通の障害になった事例等を私も被災地で見ております。また、ごみが分別されず排出されると、その後の処理先の確保が困難になり、さらなる処理のおくれにつながります。円滑な処理に向けた住民への周知や処理手続の明確化など、あらかじめ準備は不可欠です。
昨今、自然災害が頻発していることから、各自治体の計画策定に向けた意識が高まることを期待しますが、都としてもしっかりとしたリーダーシップをとり、各自治体の取り組みを強く後押ししていくことが重要であると考えます。
そこで都は、市区町村の災害廃棄物処理計画策定に向けて、どのような支援を行っているのかお伺いをさせていただきます。
○宮澤資源循環推進部長 都は、区市町村との連携による地域環境力活性化事業において、災害廃棄物処理計画の策定に要する経費に対し財政支援を実施しております。また、市区町村の職員を対象に、処理計画策定に向けた技術支援と災害対応力の強化を目的としたセミナーやワークショップを毎年度実施しております。
今年度は、環境省とも連携し、災害廃棄物処理についての有識者や経験者による講義を行うほか、実際に策定された処理計画をもとに、発災後の対応をタイムラインに応じて検討する図上訓練を初めて実施いたします。訓練では、区部、多摩地域それぞれの地域特性を想定し、発災後の経過日数に応じ、仮置き場の設置や運営、住民への周知などで具体的にどのような対応が必要になるかをチームごとに検討、討議を行うものでございます。
こうした発災時を想定した実践的な知識、ノウハウの提供に努めるとともに、今後とも計画策定に向けた働きかけを強化してまいります。
○西野委員 都が財政面、ノウハウ等の技術面の両方から支援を実施していることがわかりました。
災害廃棄物処理計画の策定は、一義的には市区町村の責任で行うものと理解していますが、引き続き、都が積極的な支援を実施していくことを要望しておきます。
さて、昨年の台風十九号は、都内や関東地方のみならず、東北や中部地方の広い範囲で大きな被害をもたらしました。また、首都直下地震や南海トラフ地震などの巨大地震が発生すれば、その被害は一地域にとどまらず、広域にわたることが想定されます。こうした大規模災害が発生した際の廃棄物処理においては、都道府県の区域を越えた自治体が連携協力して行う広域処理が重要となります。
都は、昨年の台風十九号での大量の災害廃棄物が発生した宮城県大崎市の災害廃棄物を都内で受け入れる広域処理を実施いたしました。困ったときはお互いさまではありませんが、東日本大震災のときと同様に、首都東京が、災害廃棄物の広域処理に率先して取り組んだことは高く評価をさせていただきます。
そこで、今回の広域処理に、都はどのように取り組んだのか、またそこで得られた成果と今後の課題について、お伺いをさせていただきます。
○宮澤資源循環推進部長 今回の広域処理は、環境省を通じて宮城県から要請を受けたものでございまして、具体的には、宮城県大崎市で発生した災害廃棄物である稲わら約五千八百トンを鉄道輸送用コンテナで都内に搬入いたしました。
処理に当たっては、特別区長会、東京都市長会、東京都町村会のご協力をいただき、都内計二十一カ所の清掃工場でことし二月から十月まで焼却処理を実施し、当初の予定より二カ月早く処理を完了することができました。
この取り組みにより、被災地の早期の復興に貢献するとともに、都内清掃工場における共同処理体制の構築や連携の強化を図ることができたと認識しております。
一方、災害廃棄物の広域処理では、輸送用コンテナの確保が課題となります。今回の処理では、川崎市が保有する鉄道輸送用コンテナを借用することができましたが、今後の大規模な災害の発生に備え、発災時に輸送用コンテナを確実に確保できる仕組みが必要でございます。現在、国や川崎市と実務レベルでの意見交換を行っております。
引き続き、国や都内外の自治体等との連携をさらに深め、災害廃棄物処理における対応力強化に努めてまいります。
○西野委員 今後とも発生が懸念される大規模災害では、一自治体毎の対応では限界があります。都内における自治体間の連携はもとより、国や他県との共同が不可欠になります。
都は、これまでの東日本大震災や昨年の台風被害などで培ってきた経験とノウハウを生かして、自治体のリーダーとして、より実効性のある災害廃棄物処理対策を先導して進めていくことを要望して、質問を終わらせていただきます。
○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時十五分散会
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