環境・建設委員会速記録第十号

令和二年十月二日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長細谷しょうこ君
副委員長米川大二郎君
副委員長里吉 ゆみ君
理事舟坂ちかお君
理事小磯 善彦君
理事滝田やすひこ君
もり  愛君
西野 正人君
藤井とものり君
原田あきら君
保坂まさひろ君
神林  茂君
桐山ひとみ君
高倉 良生君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長松永 竜太君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務上田 貴之君
環境改善部長筧   直君
環境改善技術担当部長志村 公久君
自然環境部長近藤  豊君
建設局局長中島 高志君
次長総務部長事務取扱今村 保雄君
道路監奥山 宏二君
道路建設部長花井 徹夫君
河川部長小林 一浩君

本日の会議に付した事件
建設局関係
契約議案の調査
・第百七十七号議案 環二築地虎ノ門トンネル(二)遠隔制御設備工事請負契約
・第百七十八号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十八)請負契約
・第百七十九号議案 小名木川護岸耐震補強工事(その六)請負契約
・第百八十号議案 中川護岸耐震補強工事(その二百五)請負契約
環境局関係
報告事項(質疑)
・東京における自然の保護と回復に関する条例施行規則の改正等について(中間のまとめ)
・自動車環境管理計画書制度の計画期間等の延長について
・化学物質適正管理指針の改定について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○細谷委員長 ただいまから環境・建設委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和二年九月三十日
東京都議会議長 石川 良一
環境・建設委員長 細谷しょうこ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百七十七号議案 環二築地虎ノ門トンネル(二)遠隔制御設備工事請負契約
 第百七十八号議案 綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十八)請負契約
 第百七十九号議案 小名木川護岸耐震補強工事(その六)請負契約
 第百八十号議案 中川護岸耐震補強工事(その二百五)請負契約
2 提出期限 令和二年十月五日(月)

○細谷委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の契約議案の調査、環境局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 契約議案の調査を行います。
 第百七十七号議案から第百八十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村次長 去る九月十六日の当委員会において契約議案に関して要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会要求資料の表紙をおめくりいただきますと、目次に四件の資料の件名が記載してございます。
 各資料では、今回提出しております工事請負契約における件名、落札者、落札金額、開札日、入札経過をあらわしております。
 一ページをお開きください。環二築地虎ノ門トンネル(二)遠隔制御設備工事請負契約における入札経過でございます。
 二ページをごらんください。綾瀬川護岸耐震補強工事(その二百五十八)請負契約における入札経過でございます。
 三ページをごらんください。小名木川護岸耐震補強工事(その六)請負契約における入札経過でございます。
 四ページをごらんください。中川護岸耐震補強工事(その二百五)請負契約における入札経過でございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○細谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○保坂委員 私からは、第百七十七号議案の契約案件、環状第二号線の築地虎ノ門トンネル(二)遠隔制御設備工事請負契約について幾つか伺います。
 都市計画道路、環状第二号線虎ノ門から晴海区間約三キロメートルのうち、今回の工事対象区間であります築地虎ノ門トンネル約一・八四キロメートルの中で、新橋から虎ノ門の区間は、平成二十六年三月に既に開通をしております。残りの港区新橋の第一京浜を境に、新橋から築地の区間が現在整備中となっております。
 そこでまず、本工事の施工箇所について伺います。
 今回の契約で、平成二十六年に既に開通している新橋-虎ノ門区間においても、何か工事を行うのでしょうか。行う場合は、その内容についてお聞かせください。

○花井道路建設部長 本工事は、トンネル内を監視するカメラや、利用者に音声で情報を伝える拡声放送設備などの遠隔制御設備を設置するものでございます。
 施工箇所は、築地虎ノ門トンネルのうち、現在整備中の築地から新橋区間に加えまして、既に開通している新橋から虎ノ門区間でございます。
 既に開通している区間におきましては、カメラに関する基準の改定に伴い、整備中の区間と機器を統一し、一体的な管理を行うため、既に設置しておりますCCTVカメラを解像度の高いフルHD規格のものへ更新いたします。

○保坂委員 既に開通している区間で使用されていますCCTVカメラも今回の築地虎ノ門工事で導入される新型のCCTVカメラに全て統一するということですので、ぜひトンネル全体の監視体制の強化を進めていただきたいと思います。
 さらに、本工事で設置する設備類は、既に開通している区間と同様の遠隔制御設備でもあるとも聞いております。
 そこで、既に供用されている区間において、それらの設備に関する問題は、実際に生じていないのか伺います。

○花井道路建設部長 新橋から虎ノ門区間におきましては、平成二十六年三月に開通して以来、遠隔制御設備によりまして、二十四時間体制でトンネル内の監視等を行っております。
 CCTVカメラによる事故、落下物の検知や、拡声放送による利用者への注意喚起など、安全確保のため、適切に運用しているところでございます。

○保坂委員 今回の工事で整備する遠隔制御設備と同様の設備により、既に適切な道路管理がなされているということが今わかりました。すなわち、今回の工事内容が過不足なく必要であることが確認されたと判断をいたします。
 ところで、オリンピック・パラリンピック東京大会が一年間延期されました。来年度開催予定でもありますが、改めて本工事の施工に影響はないのか伺います。

○花井道路建設部長 東京二〇二〇大会期間中の施工につきましては、オリンピック・パラリンピック準備局が定めます東京二〇二〇大会開催時における都庁発注工事の調整に関する取組方針に従いまして、受注者及び関係者と協議し、工事車両の出入り調整などにつきまして、適切に対応をしてまいります。

○保坂委員 環状第二号線は、二〇二二年度の開通を公表しているところであり、工事を着実に進めることが重要であります。
 一方で、そのような開通目標がある中でも、工期に追われるなどして、現場で働く方々にしわ寄せが生じるようなことがあってはなりません。
 そこで、本工事の実施に当たっては、休日の確保、新型コロナウイルス感染症対策など、安全衛生対策に一層取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。

○花井道路建設部長 現在実施中のトンネル築造工事におきましては、受注者との協議により、四週間に六日の休日を確保するとともに、作業にかかわる方々への検温の実施等、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策にも取り組んでいるところでございます。また、熱中症対策につきましても、給水機器の設置など安全衛生対策に努めております。
 本工事につきましても、受注者との協議の上、関係法令や国のガイドライン等に基づきまして、適切に対応してまいります。

○保坂委員 現場で働く方々は、東京のインフラ整備と管理の重要な担い手であることはいうまでもありません。
 都としても受注者にしっかり指導していただきまして、現場の安全衛生に配慮しながら、本工事を着実に進めていただきますよう強く要望して、質問を終わります。

○神林委員 私の方からは、百七十八号議案、綾瀬川護岸耐震補強工事と、第百八十号議案、中川護岸耐震補強工事について、若干、関連も含めてお聞きしたいと思っております。
 もう皆さんもご存じのとおりでございますが、東部低地帯では、地盤の高さが満潮面より低い地域が多く、一たび大地震が発生すると、津波による浸水により大災害となるおそれがございます。
 地震はいつ起きてくるのかがわかりません。地震による大水害を防ぐためには、堤防の耐震化を急ぐ必要が当然ございます。東部低地帯を流れる本契約案件の中の中川や綾瀬川の耐震補強工事は、平成二十三年の東日本大震災を契機に整備が進められているということでございます。
 そこで、まず基本的で最も大切な重要事項について確認をさせていただきたいと思っております。
 現在の東部低地帯における耐震対策において、整備計画に基づきどのように実施されており、また、それにより堤防が耐震化されるとどの程度の強さになるのか、都民にもできるだけわかりやすく、お伺いをしておきます。

○小林河川部長 都は、平成二十四年度から令和三年度までを事業期間とする東部低地帯の河川施設整備計画に基づきまして、堤防等の耐震対策を進めております。
 この耐震対策では、都の震災に関する被害想定におきまして、最大震度七の地域が出るとともに、震度六強の地域が広範囲に発生するとされている大地震の際にも、施設の機能を保持し、津波等による浸水を防止するよう堤防を強化いたします。

○神林委員 一般的にいえば、今、被害想定によく使われております首都圏直下型地震に対しても、十分浸水が防げるレベルまで堤防が強化されているということと理解してよろしいですよね。
 次に、気になるのは、工期が順調に進んでいるかということだと思っております。現時点での進捗状況や見通しについてお伺いをいたします。

○小林河川部長 現在、計画延長約八十六キロメートルのうち約八割を事業化しております。
 令和二年度におきましては、このうち、本契約案件を含めて約七・四キロメートルで新たに工事に着手いたします。
 引き続き、関係機関との綿密な調整や施工方法の工夫などによりまして、東部低地帯における堤防の耐震対策を推進してまいります。

○神林委員 今、ご報告聞いていまして、順調に進んでいるということだと思いますけれども、契約案件の中川や綾瀬川など、東部低地帯の耐震補強工事は非常に重要でございます。より一層推進していただかなければなりません。
 遅くとも目標年次である令和三年度までに間違いなく完了するように、ここで要望させていただきます。
 一方、こうした耐震補強工事に加え、河川の水害対策全体を見ていますと、台風シーズンを迎え、豪雨により川が溢水し、市街地が浸水しないよう、豪雨対策を行っていくことも非常に重要でございます。
 これまで、長い時間をかけハード対策として河川施設の整備を着実に進めてきたところでございますが、完成するまでの期間も都民の命を守っていくソフト対策をあわせて行っていく必要がございます。
 そこで、建設局として、集中豪雨、洪水対策について、緊急性と必要性を踏まえ、どのように認識されているのか、お伺いをいたします。

○小林河川部長 全国的に激甚化、頻発している豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池整備などのハード対策に加え、住民の避難等につながるソフト対策を進めることが重要でございます。
 そのため、ハード対策といたしまして、洪水を安全に流下させる護岸整備や、喫緊の課題である豪雨対策に大きな効果を発揮する調節池整備を加速するなど、河川施設の整備を推進しております。
 また、ソフト対策といたしましては、区市町村が作成する洪水ハザードマップのもととなる浸水予想区域図の改定を実施しております。

○神林委員 昨今、これから厳しい予算編成になるわけでございますけれども、そうした中でもしっかりその必要性、緊急性というものを大事にして、これからも要望していただきたいと思っております。
 集中豪雨、洪水対策のハード対策として、護岸や調節池の整備を進めることはもちろんですが、観測史上最多というような猛烈な雨が降る昨今の豪雨被害を見ると、命を守る重要な行動は避難でございます。
 避難所の鉄則は、安全で高いところ、各市区町村は、そのことを正しく理解して、避難所などの計画を進めなければなりません。そのベースとなるのは、洪水ハザードマップでございます。
 先ほど洪水ハザードマップのもととなる浸水予想区域図の改定を実施との答弁がありましたけれども、そこで、本契約案件の流域を含め、その進捗状況について伺います。

○小林河川部長 現在想定し得る最大規模の降雨を用いて改定作業を進めておりまして、小名木川を含む江東内部河川流域などの十二の区域で新たな浸水予想区域図を公表済みでございます。
 今年度中の全区域の改定完了を目指しまして、残る中川、綾瀬川圏域など、二つの区域の改定を進めてまいります。

○神林委員 水害時に住民が速やかに避難できるよう、引き続き改定作業を進めてほしいと思います。
 契約案件でもございますので、もうこれ以上は質問いたしませんけれども、最後に、大事なことを意見として表明させていただきます。
 国交省のハザードマップの三次元版の作成がこのたび発表されました。これは、川の氾濫や津波、地震などの災害ごとに予想される浸水の高さ、土砂災害エリアを、地図上に色分けされたものでございます。国と連携を図り、こうした資料も参考にして取り組むことを進めていただきたいと思っております。
 最後に、大切なことでございますが、今後の浸水対策として取り組むべき重要な課題は、それぞれの世帯に対していち早く正確な情報を伝達し、事前に適切な準備や避難活動が円滑に進むよう対策を行うことを改めて申し上げておきます。
 以上で終了いたします。

○舟坂委員 それでは、護岸耐震補強工事の中で、中川及び綾瀬川の耐震補強工事についてお尋ねをいたします。
 東部低地帯では、中川や隅田川、旧江戸川など多くの河川が流れており、私の地元葛飾区内でも七河川が流れております。
 明治の末期から昭和四十年代にかけて進行した地盤沈下の影響で、地盤が低いゼロメートル地帯が広く分布しており、過去に幾度も水害に見舞われてきました。
 一方、首都直下地震が三十年以内に七〇%の確率で起こる可能性があるとの見解もあり、地震により万が一ですが、堤防や水門が損傷して一たび水害が発生すると広範囲での浸水被害が想定されます。
 過日、自民党の環境・建設委員会の三名で中川などの現場を視察してまいりました。力強く工事が進んでいて地域の安全性が高まってくるさまを目の当たりにいたしました。東部低地帯に住む都民の命と暮らしを守るためには、堤防や水門などの耐震対策を進めることが重要であると改めて認識をいたしました。
 そこでまず、本契約案件の中川や綾瀬川における堤防の耐震対策にいつごろから取り組んでいるのかお伺いいたします。

○小林河川部長 都は、平成七年の阪神・淡路大震災を契機に、高潮や津波の影響を直接受ける中川など三河川において耐震性能照査を行いまして、背後地盤高が満潮位AP二・一メートル以下の地域を対象に緊急耐震対策を実施することといたしました。
 これにより、中川につきましては、平成九年度から上平井水門より下流の区間の対策を実施いたしました。
 その後、耐震対策事業の対象範囲を順次広げまして、平成十九年度から中川の上平井水門より上流の区間、また、平成二十一年度から綾瀬川で対策を開始いたしました。

○舟坂委員 二十五年前の阪神・淡路大震災を契機に、中川などの耐震対策が始まったことがわかりました。現在も工事は継続されており、長期にわたって対策に取り組んでおります。
 そこで、現在の耐震対策はどのような計画で実施しているのかをお伺いいたします。

○小林河川部長 平成二十三年の東日本大震災を受けまして、想定される最大級の地震が発生した場合においても、施設の機能を保持し、津波等による浸水を防止するため、平成二十四年度から令和三年度までを事業期間とする東部低地帯の河川施設整備計画を策定いたしました。
 現在、この計画に基づきまして、中川や綾瀬川などの堤防約八十六キロメートル、上平井水門などの二十二施設を対象に耐震、耐水対策を実施しております。

○舟坂委員 現在も中川や綾瀬川では、本契約案件と同様な工事が数多く実施されていることと思います。
 そこで、改めて中川、綾瀬川の耐震補強工事はどのような対策を実施しているのかお伺いいたします。

○小林河川部長 中川や綾瀬川では、地震時の液状化に伴う堤防の沈下等を防ぐため、既設堤防の河川側に鋼管矢板を設置するとともに、河床の地盤改良を行っております。
 あわせまして、堤防本体を強化するため、必要に応じて鉄筋の増設や補強コンクリートの打設などの耐震対策を実施しております。

○舟坂委員 堤防の対策についてはわかりました。
 ところで、先ほど答弁にあった上平井水門は、中川と綾瀬川の合流部にあり、上流の地域住民を高潮や津波から守るために重要な施設です。
 そこで、上平井水門ではどのような対策を実施しているのかをお伺いいたします。

○小林河川部長 現在、耐震補強工事を実施しておりまして、具体的には、最大級の地震が発生した際にも確実に水門を閉じられるよう、門柱などのコンクリート躯体を補強しております。
 また、門扉の交換や巻き上げ機の更新によりまして、地震や津波に対する強度を高めるとともに、門扉を開閉する時間の短縮を図っております。
 さらに、万が一浸水が発生した場合でも、施設の機能を保持するため、電気、機械設備を高潮の計画高さ以上の位置へ移設しております。

○舟坂委員 特に葛飾区は区内の半分以上が満潮面より低く、大地震により堤防が損傷してしまうこと、大規模な浸水被害が発生するおそれがあります。
 このような水害を防止するため、私の地元の中川では、施工機械が林立し、集中的に耐震補強の工事をやっていただいております。
 そこで、中川と綾瀬川における堤防の耐震対策の進捗状況についてお伺いいたします。

○小林河川部長 中川の耐震対策につきましては、これまで計画延長七・六キロメートルの約九割を事業化しており、令和二年度におきましては、このうち本契約案件を含めて約八百メートルで新たに工事に着手いたします。
 また、綾瀬川につきましても、計画延長十一・二キロメートルの約九割を事業化しており、同じく本契約案件を含めて約九百メートルで工事に着手いたします。

○舟坂委員 進捗状況、かなり進んでいることがわかりました。今後、着実に進めるためには、安全対策や地元への配慮が重要であると考えます。
 そこで、本契約案件における現場条件の特徴と安全対策についてお伺いをいたします。

○小林河川部長 中川の案件につきましては、河川が蛇行している七曲がりの上流部に位置し、土砂が堆積しやすく、見通しの悪い航路を多くの船舶が航行する箇所における工事でございます。
 このため、あらかじめしゅんせつにより適切な航路を確保するとともに、船舶事業者などと船舶の運航情報を共有することで航行の安全を確保してまいります。
 綾瀬川の案件につきましては、長さ十メートルを超える長い鋼管矢板をつり上げて打設するため、堤防上空を覆っている首都高速道路の桁に十分注意して慎重に施工してまいります。
 こうした安全対策の徹底とともに、騒音、振動にも配慮しながら、都民の安全・安心の確保に向けまして、中川や綾瀬川など、東部低地帯の耐震対策を一層推進してまいります。

○舟坂委員 多くの時間を使いながら、施工機械が林立をしております。中川や綾瀬川の震災対策が日に日に進んでいくことは実感をいたしております。
 地元に暮らす人々は、中川や綾瀬川の耐震対策が一日も早く完成することを望んでおります。引き続き、耐震対策を着実に進めていただきますよう要望して、質問を終わります。

○細谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細谷委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細谷委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○細谷委員長 これより環境局関係に入ります。
 報告事項、東京における自然の保護と回復に関する条例施行規則の改正等について(中間のまとめ)外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永総務部長 去る九月十六日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の環境・建設委員会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。自動車環境管理計画書における低公害・低燃費車の導入実績(平成三十年度(第四期三年目)末現在)でございます。
 自動車環境管理計画書の対象となる事業者及びそのうち導入義務の対象となる事業者につきまして、それぞれの事業者数及び低公害、低燃費車の導入実績を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○細谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○滝田委員 私からは、東京における自然の保護と回復に関する条例施行規則の改正、中間まとめについてお伺いをしたいというふうに思います。
 私の地元八王子市におきまして、三年前、平成二十九年に、土砂崩落事故が発生をいたしました。その原因は、建設残土の盛り土におきまして、事業者の安全対策が不十分であったことによるというふうに聞いております。
 さらには、事業者が不在となりまして、責任を果たせない状況の中で、最終的には、都が代執行により、道路の復旧や安全対策の処理をしたというふうに理解をしております。
 不適切な事業者により、都民の安全が危険にさらされて、道路が不通となっただけではなく、都税によって後処理をしなければならない、このような事態は今後避けなければなりません。
 まず初めに、東京における自然の保護と回復に関する条例、いわゆる自然保護条例につきまして、条例を定めている意義及びその対象についてお伺いをいたします。

○近藤自然環境部長 東京における自然の保護と回復に関する条例、通称自然保護条例は、昭和三十年代後半からの高度経済成長による急速な都市化と開発によって自然破壊が問題となった大都市東京において、失われた自然を回復し、保護していくために、昭和四十七年に制定され、翌四十八年から施行されたものであります。
 自然保護条例の主な内容といたしましては、都内に残された貴重な自然地の保護と回復を図るために、地域を指定して行為制限を行う保全地域制度や、今回の規則改正の対象としている一定規模以上の自然地を含む土地の形質を変更する開発行為に対し、知事の許可を求めることで自然の保護と回復を図る開発許可制度でございます。
 平成十三年度からは、ヒートアイランド現象の緩和などのために、建築物の屋上緑化などの緑化計画書の届け出を義務づける緑化計画書制度を規定するとともに、開発許可の対象に土砂等の埋め立て、盛り土事業が追加されております。

○滝田委員 そもそも自然を保護する観点から、既に高度成長期の昭和四十年代から、都で条例を定めて取り組んできた、このことは評価されるべき事柄であるというふうに思います。
 また今後、東京においても人口減少の時代を迎えますけれども、都内に残っている貴重な緑や自然を適切に保全していくべきであります。そうした観点からも一層重要な条例であるというふうに認識をしております。
 先ほど答弁にもありましたけれども、土砂埋立事業も自然保護条例の開発許可の対象となっているにもかかわらず、なぜ平成二十九年十月の台風二十一号の影響で、残土処分場からの土砂崩落事故が八王子市で発生してしまったのか。また、自然保護条例以外の他法令の適用を受けなかったのかについてお伺いいたします。

○近藤自然環境部長 八王子市で発生した土砂崩落事故のあった残土処分場は、建築物の建築等を目的としないため、都市計画法の開発許可の対象となりません。
 また、開発面積や開発地域の関係で、森林法の林地開発許可や宅地造成等規制法の工事の許可の対象外であり、市の土砂埋立事業等に対する規制条例の対象ともならず、自然保護条例のみが対象となっておりました。
 一方、自然保護条例の開発許可の基準につきましては、これまでは自然の保護と回復の視点が中心であるため、都市計画法の開発許可等の基準に比べると土砂災害未然防止等の点で不十分でありました。
 こうしたことから、近年増大化する台風の影響等による土砂崩落を未然に防ぐことができなかったものと考えられます。

○滝田委員 今答弁ありましたけれども、少し細かいので、質疑はいたしませんが、私の理解としましては、自然地で、かつ宅地造成工事規制区域とされていない一ヘクタール未満の敷地において、例えば残土処分や資材置き場など、建築物を建てるわけではない目的の場合において、他法令ではカバーし切れていないというふうに理解をしております。
 そうした場合において、敷地面積千平米以上が対象ではありますけれども、自然保護条例の開発許可だけが事業者に適切な事業を促すとりでとなっているというふうに理解をしております。
 こうした場所が都内全域で必ずしも多いわけではないというふうに思いますけれども、まさに私の地元の八王子市、あるいは西多摩の地域におきましては、市街地と郊外部の際になるようなエリアということで、こういった場所というのが重要な話というふうになっておりまして、場合によっては、不適切な事業者が法令等の抜け穴をついてきかねないという話であるというふうに思います。
 平成二十九年に八王子市で発生をしました土砂崩落事故の案件においては、まさに〇・七ヘクタールの規模、ちょうど宅地造成工事規制区域を外れている地域ということでありまして、都市計画法などの他法令の適用を受けないケース、かつ先ほど答弁がありましたけれども、自然保護条例の基準も土砂災害防止の観点からは、都市計画法に比べて不十分であったということであります。
 今回の改正では、自然保護条例の安全面の基準をどのように改正しようとしているのかについて、八王子市の件も引き合いにお伺いをいたします。

○近藤自然環境部長 自然環境保全審議会の中間のまとめでは、条例の開発許可の基準を都市計画法等の開発許可の基準と同様なものになるように改正すべきであるとされております。
 具体的には、盛り土等を行う地盤の改良や盛り土の安定のための措置、地下水の処理や崖面の保護、擁壁や堰堤、排水施設の構造といった安全のための施設等の基準について、これまでより詳細に規定すべきとされております。
 特に八王子市で発生した土砂崩落事故のあった残土処分場のように、盛り土ののり高が十八メートルを超える場合等には、事業者は専門家等、知事が指定する複数の者の意見を聞いた上で計画を策定し、その計画が土砂崩落等による被害等が生じるおそれのないものであると知事が認める場合に許可するように設定すべきであるとされております。
 こうしたことを踏まえ、基準の改正を行う予定であります。

○滝田委員 私も現地を見ておりますけれども、八王子市の事例においては、のり高は十八メートルを優に超えていたかというふうに思います。
 今回の改正におきまして、都市計画法と同水準の基準となれば、高さを下げなければならなくなりまして、それ以外にも安全性確保のための工法や、施設等の基準が適用されるようになるということでありました。審議会の答申をもとに自然保護条例の強化を迅速にお願いしたいというふうに思います。
 さて、条例の開発許可の基準を都市計画法等の開発許可の基準と同様なものとなるように改正する方針とのことでありますけれども、八王子市で発生した土砂崩落事故の例を教訓としまして、開発許可後も事業者が責任を持って対応しなければ十分ではないというふうに考えます。
 こうした事業者の信用という観点で今後どのように対応していくのか、お伺いをいたします。

○近藤自然環境部長 中間のまとめでは、申請者の資力、信用や工事施工者の能力といった事業者の能力についても、開発許可の基準として規定すべきとされております。
 また、事業前の事前審査だけでなく、既に事業に着手しているものも含めて、事業を計画どおり執行させるため、定期的に切り土、盛り土の出来高、施工状況の報告を行うことを許可条件に追加したり、適切な監視指導を行うための新たな指針を策定することが望ましいとされております。
 現在、中間のまとめについて都民の意見を募集しているところでありますが、今後、審議会の答申を踏まえて規則改正等を行い、事業を行う前も、事業の実施中も適切に行政が関与していくことで、自然地における土砂災害の未然防止策に取り組んでまいります。

○滝田委員 近年、豪雨災害等が増大しております。昨年の台風十九号でも、地元の八王子市内で、この平成二十九年の崩落箇所に近い場所も含めまして複数の土砂崩落などが発生をしております。
 自然保護の観点に加えまして、都民の安全を守る観点でも、今回のような事故が起こらないように条例の迅速な改正と、特に今後の残土処分などの事業におきまして、不適切な事業者による不適切な事業が行われることのないように、適切な対応を強く求めておきます。
 以上で質問を終わります。

○神林委員 私の方からも、東京における自然の保護と回復に関する条例施行規則の改正等について(中間のまとめ)について、何点か質問をさせていただきます。
 本年の九月七日、九州全土を暴風域に巻き込んだ台風十号は、その北上に伴い、各地に土砂崩れによる被害をもたらしました。中でも宮崎県で発生した土砂崩れは、建設会社事務所と、その社長さんの自宅が裏山からの土砂に埋まるという大変痛ましいものとなりました。
 この宮崎県の例では、テレビの映像を見る限り、裏山は森林となっていたようでしたが、これが、もし建設残土がきちんとした対策をとらずに無造作に大量に置かれた状況であったならば、さらに広範囲にわたって被害が拡大したものと推察されております。
 近年の気候変動の影響により、これからの台風は関東地方を直撃することが多くなるともいわれております。東京でも台風に伴う豪雨で土砂崩れが発生して、都民の生命や財産が奪われることがないよう、未然に防ぐことが必要でございます。
 今回、平成二十九年十月の開発許可現場からの土砂流出を契機に、自然保護条例施行規則を改正するとのことでございます。何点か今も質問があったところでございますが、幾つか確認をさせていただきたいと思っております。
 まず、自然保護条例に基づく開発許可制度では、一定規模以上の自然地を含む土地の形質を変更する開発行為を対象とするとありますが、具体的にどのような事例のものが対象案件となり、その許可基準はどのようなものかについて、まず伺わせていただきます。

○近藤自然環境部長 市街化調整区域の場合、一千平方メートル以上の、また、市街化区域等の場合、三千平方メートル以上の面積の土地で、その面積の三分の一以上の自然地、または一団で、一千平方メートル以上の自然地を含む場合に開発許可の対象となります。
 許可対象事業は、建築物その他の工作物の新築等や道路、墓地の建設事業、鉱物の掘採や土石の採取事業などであります。平成十三年度からは、駐車場や資材置き場などの建設事業と土砂等の埋め立て、盛り土事業が追加されました。
 許可基準といたしましては、自然の保護と回復に十分配慮されているか、動植物の生息、生育に適正な配慮がなされているか、緑地基準以上の面積の緑化がなされているか、切り盛り土等が適正に行われ、土砂等の崩落被害発生のおそれがないかなどでございます。

○神林委員 今答弁がありましたとおり、平成十三年度に土砂埋立事業が自然保護条例の対象に追加されたとのことでございます。
 その背景はどんなものがあったのか、また、仮にこうした規制がなく、このまま放置すると豪雨などでどのような被害を引き起こす可能性があるのかについて、改めてお伺いをさせていただきます。

○近藤自然環境部長 多摩の丘陵地などにおいて、建設残土の埋め立てにより谷戸などの自然破壊が問題となり、樹木の伐採等によって、動植物の生息、生育環境の消滅や災害発生のおそれなどが生じたため、平成十三年度以降、土砂等による埋め立て及び盛り土を対象とすることといたしました。
 仮にこうした規制がなければ、多摩の丘陵地などで残土処分場等が設置される場合において、豪雨等による土砂崩落により、事業地内及びその周辺の自然地が破壊されるおそれや、事業地近傍に住居や道路などがあるときには、人の生命、身体の安全性も脅かされる可能性があったと考えられます。

○神林委員 自然保護条例による規制がなければ、豪雨などによる土砂崩落による自然地の破壊などのおそれがあったとの答弁でございますが、近年増大化する台風などの影響によって、土砂災害が発生する危険性がこれまでより高まっております。
 実際に、先ほどもございましたが、平成二十九年には、八王子市において土砂崩落事故が発生をいたしました。
 そこで改めてでございますが、制度見直しの契機となったこの残土処分場での土砂崩落事故では、事故前まではどのような指導が行われていたのか。また、土砂崩落事故の主な原因と被害状況がどのようなものであったのか、お伺いをいたします。

○近藤自然環境部長 事業者は平成十七年三月三十日に許可を取得した後、翌四月から土砂搬入を開始いたしました。
 都は、現地調査による工事の進捗確認などを実施し、盛り土の一部流出や擁壁の排水管付近の亀裂などが確認された際は、事業者に改善指導を行いましたが、平成二十年九月以降は事業者と連絡がとれなくなりました。
 その後も、都は、現地で泥水の流出を確認するなどして危険性の有無の確認に努めておりましたが、平成二十九年十月の台風二十一号に伴う大雨の影響により、同月二十三日未明に土砂が崩落し、都道六一号線に土砂が流出いたしました。
 現地調査の結果、盛り土内の排水管が機能不全に陥っていたことから、土砂崩落の原因といたしましては、盛り土内にたまった雨水が土砂を押し出したためであると推定されます。

○神林委員 今、答弁でも説明されていましたように、原因がわかって、それを対策しなきゃいけないということになると、それを是正するためにしっかりした対策をこれから打っていくということになろうかと思います。
 土砂の崩落事故の原因は、今お話がありましたとおり、排水機能に問題があったためとの説明がございました。
 現行の開発許可制度の基準と、これからの都市計画などの開発許可制度の基準との具体的な違いはどのようなものなのか、また、土砂災害を効果的に防止するためには、どのような点を改正する必要があるのか、お伺いをいたします。

○近藤自然環境部長 排水施設につきましては、都市計画法の基準によりますと、全体として堅固で耐久性を有する構造であり、管渠の勾配及び断面積は一定の基準で算定した計画雨水量等を有効に排出できるようにすることなど、具体的に規定されている一方、現行の自然保護条例の基準では、こうした具体的な規定は設けておりません。
 そのため、土砂災害を未然に防止するためには、中間のまとめに示されたとおり、自然保護条例の基準を都市計画法等の基準と同様なものとなるように改正する必要がございます。

○神林委員 今どういう対策をするかみたいな部分が大分出てきたわけでございますが、もう一つ確認をしっかりさせていただきたいことがございます。
 自然保護条例の基準を都市計画法などの基準と同様なものになるようにするとの今答弁があったわけでございますが、中間のまとめによりますと、その基準の一つとして、切り土、盛り土ののり高が規定値を超える場合、専門家など都が指定する複数名の意見を聞いた上で計画策定するように改正するとのことでございます。
 それでは、具体的にどのような許可基準を設定するのか、また、計画されたとおり事業が実施されているのかについて、どのように担保するのかということについて伺います。

○近藤自然環境部長 許可基準につきましては、切り土の場合には、のり高が三十メートル、盛り土の場合には、のり高が十八メートルを超える場合には、事業者が公的機関や学識経験者、専門家等の知事が指定する複数の者の意見を聞いた上で計画を策定し、その計画が土砂崩落等による被害及び自然地の破壊が生じるおそれのないものであると知事が認める場合に許可するように設定する予定でございます。
 また、許可を受けた事業計画どおり実施されているかにつきましては、定期的に事業地を監視するとともに、違反がある場合には適時適切に行政指導や行政処分を行うことで実効性を担保してまいります。

○神林委員 最後の答弁で、実効性を担保するというお話がありましたけれども、やはり、これが一番大事なことでございますので、大きな被害が起きないように、しっかりと実効性を担保していただきたいと思っております。
 開発行為を実施する場所は、地域事情によって大きく異なっております。特に隣接地に人が生活する宅地や施設、主要交通路線などがある場合、大きな災害を引き起こす要因ともなります。
 このような箇所の開発行為に当たっては、特にきめ細かい指導や規制が必要だと考えますが、具体的な方策やお考えについてお聞かせください。

○近藤自然環境部長 委員ご指摘のとおり、特に事業地の隣接地に人が生活する宅地や施設、主要交通路線などがある場合、大きな災害を引き起こす要因となります。
 そのため、のり高が三十メートルを超える切り土、または十八メートルを超える盛り土が生じる場合で、事業地の近傍に住居、道路等があるときは、生命、身体の安全への一層の配慮から、配置計画の見直しや防護工の実施など、安全対策を求めたり、ドローン、リモートセンシング等の新技術の導入や傾斜計、観測井等による工事中の監視を求めることを想定しております。

○神林委員 残土処分場に盛り土がなされる場合には、特にしっかりと安全面の監視をすることを求めておきます。
 また、残土処分場に持ち込まれた土とは限りませんが、異臭がするなど、不法投棄が疑われるような話を耳にしたこともございます。残土に紛れて廃棄物が混入されることのないよう、安全面はもとより、そういった面にも目を光らせていただきたいと思います。
 自然保護条例の本来の目的は、自然の保護と回復にあり、中でも生態系の維持保全は表裏一体のものでございます。
 今回、盛り土の安全性を中心として、自然環境保全審議会で議論をされていることは承知していますが、こうした生態系の維持や保全については、どのような議論があったのかについて伺います。

○近藤自然環境部長 切り土や盛り土の安定性を確保するため、そののり面や小段の緑化が必要ですが、審議会においては、外来種等による侵入を防ぐことも重要であるとされました。
 具体的には、中間のまとめにおきまして、土砂崩落等が生じるおそれがない場合には、切り土、盛り土の小段には、在来種の樹木による緑化を、また、切り土、盛り土ののり面には、在来種の種子を吹きつけるか、事業地またはその周辺で採取した在来種の種子を含む表層部分の土を活用する緑化をすることを事業者に求めることが望ましいとしております。

○神林委員 生物の多様性を保全する上において、在来種による緑化ですとか、外来種による侵入を防止することは大変重要なことでございます。開発許可の事業地においても、こうした点について配慮がなされるということは大変すばらしいことでございます。
 特に二〇一〇年、世界遺産に登録された東京都の小笠原諸島では、外来種の侵入防止や絶滅危惧種の保護、育成が重要でございます。
 世界遺産登録から間もなく十年を迎える小笠原諸島において、開発行為をする際はもちろんのこと、日ごろから地域内に入る場合、例えば、服装に外来種が付着していないかなどの点検を初め、現地での管理、監視体制の強化などの小笠原独自のルールの徹底を要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小磯委員 私からも、東京における自然の保護と回復に関する条例施行規則の改正の中間まとめについて何点か質問いたします。
 今回、規則改正を行う契機となりました平成二十九年十月の開発許可現場からの土砂流出事故では、都による行政代執行が行われておりますが、その経緯についてお伺いします。

○近藤自然環境部長 事業者は、八王子市上川町の私有地約七千平方メートルに約二万七千立方メートルの土砂を搬入する開発計画を都に申請し、自然保護条例で定める許可基準に適合していたことから、都は、平成十七年三月三十日に許可処分を行いました。
 その後、平成二十九年の台風二十一号の影響により、同年十月二十三日に土砂崩落事故が発生したことから、都は、自然保護条例に基づき、事業者に対し、現場における危険防止及び事故防止等の措置を命令しました。
 しかしながら、事業者は、当該措置を履行せず、他の手段によっては履行の確保が困難であり、不履行を放置すると著しく公益に反すると認められたため、都は、行政代執行法に基づく手続を経て、平成三十年十一月二十七日から行政代執行に着手いたしました。
 行政代執行に係る工事は、危険及び事故防止のため、搬入された土砂を全量撤去するまで行い、令和二年三月十九日に完了し、同月三十日に代執行を終了いたしました。
 行政代執行法により行った代執行に係る費用は約四億円であり、令和二年八月四日付で事業者に対して請求したところであります。事業者からの支払いはなされておらず、令和二年九月十六日、督促手続を行ったところであります。

○小磯委員 今、自然環境部長の方から、環境局がその場に搬入された土砂をその開発現場から全量撤去する、その工事を代執行したということでございます。
 その金額が四億円ということなんですけど、一方で建設局が、この環境・建設委員会じゃ、環境と建設、両方質疑するもんですから、私もあの当時、建設関係で質問したのは、この土砂災害で、土砂搬出で、都道がいわゆる通行どめになっちゃったんですね。それで、都道の復興のために建設局が工事をした。また、この都道が通行どめになっている間、八王子西インターからあきる野まで圏央道を無料開放したと。これが当時の平成二十九年十一月九日から十二月十九日だということで、建設局にこの工事の費用、どれぐらいかかったのと聞いたら、工事自体は二億三千六百万と。高速道路の無料開放は幾らか、ちょっとそこまでは聞きませんでしたけど、この代執行の四億円と、この建設局の二億三千六百万円というのはまた別ですよね。

○近藤自然環境部長 ただいまご指摘のございました建設局分とは別でございます。

○小磯委員 そういうことで、ですから、これは四億円プラス、またこの二億三千六百万というのはやっぱり建設局も請求はしていますけど、なかなか支払いが困難であるという状況なようでございます。ですから、やっぱりかなりの事故だったんだなというふうに思います。
 それで、今回の事故が発生するまで、都は事故現場の監視指導をどのように行っていたのか伺います。

○近藤自然環境部長 事業者は、平成十七年三月三十日に許可を取得した後、翌四月から土砂搬入を開始いたしました。
 都は、現地調査による工事の進捗確認などを実施し、盛り土の一部流出や擁壁の排水管付近の亀裂などが確認された際は、事業者に改善指導を行いましたが、平成二十年九月以降は事業者と連絡がとれなくなりました。
 その後も、都は、現地で泥水の流出を確認するなどして危険性の有無の確認に努めておりましたが、平成二十九年十月の台風二十一号に伴う大雨の影響により、同月二十三日未明に土砂が崩落し、都道六一号線に土砂が流出いたしました。

○小磯委員 都は、監視指導を行っていたにもかかわらず、途中で事業者がいなくなってしまったということでございます。
 しかし、ほかの法令の規制の対象にもなっていれば、行政による指導ももっといろいろな部署から頻繁に行われたのではないかと思います。
 残土処分場については、都市計画法が適用されないとのことですが、それはなぜなのか、また、残土処分場に対しては、都市計画法以外でどのような規制があるのか伺います。

○近藤自然環境部長 都市計画法の開発許可の対象は、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で土地の区画形質を変更する場合であり、残土処分場のように建築物の建築等を目的としない場合には対象となりません。
 都市計画法以外では、地域森林計画の対象となる民有林を一ヘクタールを超えて開発する場合には、森林法の林地開発許可の対象となり、宅地造成工事規制区域において土地の形質変更に関する工事を行う場合には、宅地造成等規制法の許可の対象となります。
 また、八王子市、町田市、青梅市、あきる野市、奥多摩町、日の出町は、条例により土砂埋立事業等に対する規制を行っております。
 なお、八王子市上川町の案件では、これらの法令のいずれも対象外となっており、自然保護条例の開発許可のみが対象となっていたものであります。

○小磯委員 今、答弁ございましたように、残土処分場に対しては、ほかにも法の規制がありますが、今回の事故現場では、この自然保護条例の網しかなかったというわけでございます。
 また、法のすき間のようなところを狙って事故が発生したというわけでございますが、今後もこうした事態が生じるかもしれません。自然保護条例しか適用を受けない場合にも土砂崩落を防止できるようにすることは非常に重要であります。
 そこで、次に、自然保護条例の基準をどのように改正するのか伺いたいと思います。
 まず、今回の事故のような盛り土工事を行う場合、その安定のための基準はどのようなものとするか、予定を伺います。

○近藤自然環境部長 中間のまとめでは、盛り土を行おうとする地盤の沈下等を防止するため、土の置きかえ等の措置が講ぜられていることを規定すべきとされております。
 また、雨水等による盛り土の崩壊が生じないよう、おおむね厚さ三十センチメートルごとにローラー等で締め固めることや、著しく傾斜している土地では、地盤の段切り等が講ぜられていること。さらに、地下水により土砂等の流出が生じるおそれがあるときは、集水地域の面積を用いて算定した計画地下水排水量を有効かつ適切に排出できる排水施設が設置されていることなどを規定すべきとされております。
 今後、こうしたことを踏まえ、基準の見直しを行う予定であります。

○小磯委員 次に、今回の事故現場のように大規模な盛り土を行う場合の基準について伺います。
 今回の事故現場では、盛り土の高さが四十メートルにも及ぶ許可申請があったようでございます。このような大規模な盛り土の場合に対しては、より安全な基準が必要でありますが、どのような基準とする予定か伺います。

○近藤自然環境部長 中間のまとめでは、盛り土の場合には、のり高十八メートル以下を原則とするが、土砂崩落等による被害または自然地の破壊が生じるおそれのないものであると知事が認める場合には、例外的に認める旨規定すべきとされております。
 そして、知事が認める場合とは、具体的には事業者が公的機関、学識経験者、専門家等、知事が指定する複数の者の意見を聞いた上で計画を策定し、その計画が土砂崩落等による被害及び自然地の破壊が生じるおそれのないものであると知事が認める場合とすべきとされております。
 事業者の計画をこれまでより安全なものとするため、こうした基準を設定する予定であります。

○小磯委員 先ほど、平成二十年九月以降は事業者と連絡がとれなくなったという答弁がございました。九年間とれなかったという話になるわけでございます。今回の事業者のように、事業の途中で事業を継続できなくなると、残土が放置される結果になりかねません。
 今の現行の条例でも、中止命令とか報告とか検査とかが定められているわけでございます。ですから、こういう条例とか施行規則に定めることも大事なんですけれども、やっぱり実態を都がしっかりと調査をする、検査をする、監視するという、そういう、書類でない行動というのが大変大事になってくるんだというふうに思います。
 事前審査や事後の監視が重要であります。また、人員もやっぱり環境局の自然保護の部門ですから、こういう土砂の搬入とか、こういうことについては、何かちょっと違うような仕事といっちゃ変だけれども、自然保護なんだみたいな感じになっちゃうんで、人員もやっぱりしっかり、きちっと手当てすべきだと、こういうふうに思います。
 事前審査や事後の監視が重要と考えますが、今回の改正ではどのような措置が検討されているか伺います。

○近藤自然環境部長 中間のまとめでは、申請者に開発行為を行うために必要な資力及び信用があることや、工事施工者に開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があることを規定すべきとされております。
 また、切り土、盛り土の出来高や施工状況を定期的に報告することを許可条件として付すことや、事業地を定期的に監視するとともに、許可条件等に違反した場合には適時適切に行政指導等を行うことが望ましいとされております。
 特に現場監視は、適正な事業執行にとって非常に重要であることから、都では、今年度から現場監視体制を拡充するため、これまでの監視員一名に加え、新たに二名を追加いたしました。
 このように、許可申請時と工事施工中とで、それぞれ都が適切に関与を行うことで、事業者が事業を継続できなくなる前に、土砂崩落未然防止策を求めることができると考えております。

○小磯委員 今の答弁、大変大事だというふうに思っております。監視員一名に加え、新たに二名を追加ということで、それで部長、もう一つ、事業地を定期的に監視をすると。この定期的というのはどれぐらいの頻度なのか、よろしくお願いします。

○近藤自然環境部長 今考えておりますのは、一月に一遍程度の巡視を考えております。

○小磯委員 人を増員して一カ月に一回監視をされるということで、こうした土砂崩落事故を未然に防ぐということをしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 土砂崩落事故が起こったことは遺憾でありますが、それをきっかけに制度を見直して、都民の安全性を守っていこうという姿勢は大事だと思います。
 また、現場をしっかりと監視することで、事業の安全性は一層確保されると思います。今回の見直しの結果、こうした事故が繰り返されないことを期待いたしたいと思います。
 次に、自動車環境管理計画書制度の計画期間等の延長についてお伺いいたします。
 自動車環境管理計画書制度は、自動車排出ガス対策として、ディーゼル車規制と同時期に開始した制度であります。
 ディーゼル車規制は、排出ガスが基準に適合しないディーゼル車の都内走行を禁止する一方、計画書制度では、事業者に低公害、低燃費車の導入を促進させるものであり、二つの制度がまさに車の両輪のように、都の自動車環境対策を推進してまいりました。
 特に平成十五年に始まったディーゼル車規制は、全国に先駆けた画期的な施策であり、当時、私も、指導をするために、DPF装備済みステッカー、トラックの後ろによく張ってあるのが目立ちますけれども、九都県市粒子状物質減少装置装着適合車というふうにそういうステッカーが張ってあります。これを提案させていただいたことなどを記憶しております。
 そこでまず、現在の都内におけるディーゼル車規制の遵守状況と自動車環境管理計画書制度対象事業者の違反ディーゼル車保有状況について説明を求めます。

○筧環境改善部長 都では、平成十五年から、環境確保条例に基づき粒子状物質の排出基準を満たさないディーゼル車の走行に対して、自動車公害監察員、いわゆる自動車Gメンや監視カメラによる取り締まりを行っております。
 近年、排出基準を満たさない規制対象車両が大幅に減少したことなどにより、ここ数年は違反行為により行政処分を行った例はございません。
 また、自動車環境管理計画書制度の対象事業者においても、現在、ディーゼル車規制の排出基準を満たさない車両の保有はございません。

○小磯委員 ディーゼル車規制については、これまでの取り組みによって規制対象車両が減り、おおむね所期の目的を達成しつつあるようでございます。
 一方、低公害、低燃費車の導入義務については、現在も各事業者において、その達成に向け、車両の買いかえなどの努力が続けられております。
 現在、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、車両の買いかえなどに余裕がない中小事業者も多いと聞いております。
 こうしたことから、都では、計画期間や履行期限の延長を考えているようでございますが、まずは事業者の実情、また、要望をしっかり把握することが必要と考えます。見解を求めます。

○筧環境改善部長 都では、自動車環境管理計画書制度における新型コロナウイルス感染症拡大の影響を把握するため、本年五月に、運送業、バス、タクシーなど主な業界団体に対してヒアリングを行い、事業者の経営状況や車両更新の見込み等について調査を行いました。
 また、本年六月には、直近の実績報告書における計画達成状況を踏まえ、六十事業者に対して、経営状況や導入義務率達成の見込み等についてヒアリングを行うなど、状況の把握に努めてまいりました。

○小磯委員 都としても、しっかりと幅広く事業者の状況を把握していただいているということがわかりました。
 コロナ禍の影響度合いは業界によって異なると思いますが、その状況について都が把握したものについて説明を求めます。

○筧環境改善部長 業界団体及び事業者へのヒアリング結果によりますと、ほぼ全ての業界におきまして、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が生じていると回答していますが、中でもタクシー業界やバス業界などは、導入義務率達成が困難と回答した事業者が多く、深刻な状況であると考えられます。
 また、導入義務率の達成が困難な理由といたしましては、売り上げの減少や事業再編による車両更新計画への影響のほか、自動車メーカーからの納車のおくれなどが挙げられております。

○小磯委員 外出の自粛、また、観光客の減少、そして経済の停滞に伴う物流への影響などによりまして、各事業者の事業活動が大変厳しい状況であると聞いておりました。
 実際に都が行ったヒアリングの結果でも、本当に、タクシー、また、バス業界がそういう大変な状況であるということ、改めてそうした事実が裏づけられたところでございます。
 事業者に環境負荷の少ない車両の導入を義務づける際には、行政としても事業者に対する支援がしっかりと必要だと考えます。見解を求めます。

○筧環境改善部長 都では、低公害、低燃費車の導入促進のため、事業者がハイブリッドのトラックやバス、ユニバーサルデザインタクシーなどを購入する際に補助を行っております。
 また、ゼロエミッションビークル、いわゆるZEV導入促進のため、事業者や個人を対象として、電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車について補助制度を設けております。
 さらに、中小事業者が低公害、低燃費車へ買いかえる際には、融資あっせん等の支援も実施しております。
 今後もこうした制度を活用しながら、低公害、低燃費車の導入義務率の達成を支援してまいります。

○小磯委員 新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長引いておりまして、終息しても当分の間は事業者にとって大変厳しい状況が続くことが予想されております。現在の状況を鑑みますと、今回報告のありました計画期間や達成期限の延長は適切な対応だと考えます。
 大気環境の改善やCO2削減は重要であり、我が会派としても推進するものでありますが、そうした取り組みも都民や事業者の協力なしには進みません。
 環境施策の実施に当たっては、今後も業界団体や事業者の意見に耳を傾け、コロナ禍の影響も踏まえ、新たな支援を含め、手厚い支援を要望して、私の質問を終わります。

○里吉委員 それでは、私からは、化学物質適正管理指針の改定について伺ってまいりたいと思います。
 今回の改定は、化学物質取扱事業者が水害等に必要な対応を行えるよう指針を改定するものです。
 まず初めに、対象となる化学物質について伺います。
 指針では、その対象として五十九種の化学物質が選定されていますが、どのような理由から選定されているのか伺います。

○志村環境改善技術担当部長 環境確保条例では、人の健康または生活環境に支障を及ぼす化学物質として、大気への排出を規制する有害ガス四十二物質、公共用水域等への排出を規制する有害物質二十七物質について規制基準を定めておりまして、有害ガスと有害物質に重複して規定された物質を除きますと五十九物質になります。
 これらの化学物質を適正管理化学物質に規定し、化学物質を取り扱う事業者に対して、規制基準の遵守と環境への排出の低減等を求めております。

○里吉委員 今、五十九物質がどのような理由から選ばれているのか、ご説明いただきました。
 この五十九、全部一覧でいただいたんですけれども、改めてよく見ますと、消防法や毒物及び劇物取締法の対象と重ねているものが結構あるわけですね。
 この重ねて指定しているものがある理由についてもあわせて伺います。

○志村環境改善技術担当部長 化学物質に関しては、消防法、毒物及び劇物取締法など、目的の異なる複数の法律により、それぞれ必要な規制が行われております。
 都は、化学物質を取り扱う事業者による化学物質の管理の適正化、環境への排出の抑制、事故の防止等を図るため、環境確保条例に基づき、化学物質適正管理指針を定め、公表しております。
 消防法は、火災の予防や火災、地震等の災害による被害を軽減することなど、また、毒物劇物取締法は、毒物及び劇物の急性毒性による被害の防止などの保健衛生上の見地から必要な取り締まりを行うとしており、環境確保条例とは目的が異なるものでございます。

○里吉委員 つまり消防法や毒物及び劇物取締法で、そこでもさまざまな管理上の取り決めがあると思うんですけれども、それとは別に環境への排出の抑制など、環境確保のために独自に必要な対策を定める必要があるということで、その五十九種を指定してあるということで理解をいたしました。
 今回、この五十九種、あらかじめこれは設定されていて、いろいろな対策があったわけですけれども、この委員会でも質疑がありましたように、水害のときの対応が不十分だったということで、こうした質疑も受けて、具体的な対策、水害対策マニュアルなども作成するということにもなって、改定も行われるということになっているわけです。
 私も前回、前々回の質疑を聞いておりまして、改めて水害対策マニュアルを独自に作成するということが本当に大事だというふうに思いました。
 そこで、進捗状況について伺っておきたいと思います。
 それから、いろいろ勉強させていただきましたら、以前策定した化学物質を取り扱う事業所のための震災対策マニュアルというものが以前からできていて、今はこれに基づいていろいろ管理運営しているということがわかりました。
 この以前作成した地震の方のマニュアルの作成はどのように行って、どのように活用しているのか、また、現在もこれも活用されているのか、あわせて伺いたいと思います。

○志村環境改善技術担当部長 水害対策マニュアルの作成に当たっては、これまで化学物質を取り扱う事業者の業界団体や学識経験者等へのヒアリングを実施し、浸水による化学物質の流出事故や流出防止対策手法を調査するとともに、危険物や毒劇物に関する指導を所管する消防や関係局等にも意見を聞きながら、記載内容の検討を行っております。
 引き続き、化学物質取扱事業者を直接指導する区市等とも意見交換を行いながら、マニュアルの作成を進めてまいります。
 平成二十五年に公表した化学物質を取り扱う事業者のための震災対策マニュアルについては、化学物質を取り扱う工場等の地震による被災事例や、震災時の化学物質による被害防止手法の調査等を実施し、それらの結果などをもとに作成いたしました。
 このマニュアルは、化学物質取扱事業者が化学物質適正管理指針に基づき対策を検討し、化学物質を適正に管理するための化学物質適正管理方法書を作成する際の参考として活用されております。
 また、環境局ホームページに掲載し、事業者に震災対策の実施を促すために活用しております。

○里吉委員 いろいろなマニュアルを私も見てきましたけれども、この地震の災害対策のマニュアル、すごく細かく丁寧に書いてあって、工場とか業者の社長さんが余り詳しくなくても、こういうことを見ればきちんと対策をとれるというふうになっているなというふうに私も思いました。
 ですから、水害対策のマニュアルも専門家の方とつくっていらっしゃるということなので、ぜひ本当に誰が見てもわかりやすいものに、ご努力されていると思いますが、そういうものを私も期待したいと思います。
 それから、報告資料を見ますと、指針改定については区市との調整中ということでありますけれども、どのようなことで調整をされているのか伺いたいと思います。

○志村環境改善技術担当部長 区市の区域における化学物質適正管理方法書の受理等の事務は区市が行っていることから、指針を改定する際には、改定内容や施行日等について、区市との協議が必要となります。
 そのため、改定内容や施行日等の案を区市に示し、区市の承諾を得る手続を進めております。

○里吉委員 方法書は一回提出すれば、特に変更がなければ出さなくていいというふうに伺いました。前回、震災対策で方法書を提出されてから、七、八年ぶりに全対象事業所が方法書を作成したり、区市に提出するということになるんだと思います。
 そのために、いつから方法書を受け付けてもらうかというようなことについては、区市と合意がなければなりません。あわせて、その内容についても、区市の担当者にもよく理解をしてもらう必要があるということだと思います。
 前回の質疑でも、そのためにマニュアルの活用や、担当者への専門家による技術セミナーの開催も検討しているとの答弁も他会派の方の質疑でございました。実効性ある水害対策となるように、専門家の技術セミナーなどは、ぜひ実現していただきたいと私からも要望しておきます。
 最後に、具体的な水害対策について伺います。
 改正案には、被害想定に応じて、事業所内への浸水防止や化学物質の流出防止について必要な対策を実施するとともに、浸水、土砂流入、強風等に耐える設備等の整備に努めるとあります。
 設備等の整備というのは、具体的にはどのようなことか伺いたいと思います。小規模零細事業所にとっては、財政的には厳しいのではないかと、ここは財政的な支援についても検討すべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○志村環境改善技術担当部長 今回改定する指針では、事業所内への浸水防止や化学物質の流出防止に必要な対策としては、化学物質取扱事業者に土のうの設置や薬品槽のシートがけ等を求めております。
 また、浸水、土砂流入、強風等に耐える設備等の整備としては、止水板の設置、薬品槽のかさ上げや化学物質を取り扱う設備の補強などを想定しております。
 都内では、全ての区市において浸水に関するハザードマップが作成、公表されているため、既に対応を行っている事業所もありますが、未実施の化学物質取扱事業者に対しては、個々の工場等の実情に応じて、有効な対策の実施を求めてまいります。

○里吉委員 配っていただいた資料にも、土のうですとか、水のうですとか、いろいろ対策、余りお金をかけなくてもできる対策についても細かく提案がされているのを私も拝見させていただきましたが、やはり必要な対策をもっとやらなければいけない場所も出てくると思うんですね。
 この対象となる事業所、メッキ工場、塗装業、印刷関係、クリーニング業など、比較的小規模零細事業所が多いのではないかと思います。ハザードマップで甚大な被害予想が出ている場所などで、対策の必要性はわかっていても、財政的になかなか難しいという事業所もあると思います。
 これについても、他会派の方からも要望が出ておりましたけれども、ここについても私も改めて何らかの財政的支援を重ねて求めて、質問を終わります。

○藤井委員 自動車環境管理計画書制度の計画期間の延長についてお伺いいたします。
 都では、平成十三年度から当制度を開始し、事業者の自動車使用による環境負荷を低減するための取り組みを進めてこられました。
 対象の事業者においては、この制度のもと、五カ年の計画を策定し、環境配慮の取り組みを継続されており、こうした取り組みは、都内の大気環境の改善やCO2の削減に大きく貢献しているものと考えます。近年、東京の大気環境が大きく改善してきたのも個々の事業者の地道な取り組みの成果といえます。
 そこでまず、この自動車環境管理計画書制度における事業者が行っている具体的な取り組み内容についてお伺いいたします。

○筧環境改善部長 自動車環境管理計画書制度では、自動車使用による環境負荷の低減を図るため、対象事業者が五カ年の計画を策定して、大気汚染物質やCO2の削減目標を定め、目標達成に向けた取り組みを実施しております。
 具体的な取り組みとしては、低公害、低燃費車の導入のほか、ドライバーへのエコドライブ教育の実施や、燃費の記録管理、車両の維持管理に向けた点検、荷さばき物流拠点の整備などがございます。
 また、こうした取り組みを着実かつ効果的に推進するため、事業者は、自動車環境管理者を選任し、組織的な推進体制を構築することとなっております。

○藤井委員 各事業者様が低公害、低燃費車の導入促進だけでなく、運用面でもさまざまな取り組みをされていることがわかりました。
 ただ、こうした取り組みを事業者任せにするのではなく、都としても側面からサポートをしていただきたいと思います。
 そこで、都は、事業者様に対してどのような支援をされているのか、次にお伺いをいたしたいと思います。

○筧環境改善部長 都では、自動車環境管理計画書制度における事業者の取り組みを推進するため、事業者からの実績報告書をもとに、燃料使用量に基づくCO2等の排出状況や特定低公害、低燃費車の導入状況等を数値化した事業者カルテを作成、提供し、取り組みの見える化を図るとともに、さらなる取り組みの改善を促しております。
 また、事業者から相談があった場合には、自動車公害監察員、いわゆる自動車Gメン等が事業者の車両運行の実情を踏まえた適切な車両更新案の助言を行うなど、目標達成に向けた支援を実施しております。

○藤井委員 この制度は、事業者と都の連携関係の中で自動車による環境負荷を低減していくものであり、都としても、さらに計画の履行に向けて支援をしていただきたいと思います。
 今回、新型コロナウイルス感染症の拡大で、計画の履行や導入義務率の達成が困難な事業者が出ているとも仄聞しております。また、そうした影響がなくても、事業者の中にはさまざまな事情から義務の達成が困難になる事業者もいると思われます。
 そこで、仮に低公害、低燃費車の導入義務が達成できない場合においては、罰則などがあるのかお伺いをしたいと思います。

○筧環境改善部長 環境確保条例では、正当な理由なく、低公害、低燃費車の導入を怠った場合、都は必要な措置をとるよう勧告し、それに従わなかった場合はその旨を公表することになっております。
 都では、毎年度提出される実績報告書に基づき、低公害、低燃費車の導入に向けて必要な指導助言等を行うとともに、車両更新のための各種補助や融資制度等を紹介するなど、事業者の実態を踏まえて適切に対応しております。

○藤井委員 導入義務を怠った場合はペナルティー等があるということでありますが、それに至る前に、都として指導助言を行われ、適切に対応されているというふうに理解をいたしました。
 当制度においては、事業者みずから工夫して、自動車からの環境負荷の低減に取り組むすぐれた制度であります。引き続き推進していただきたいと思います。
 制度の運用に当たっては、事業者様の実情に十分配慮をされることを求めたいと思います。また、今回の新型コロナウイルスの感染症拡大による事業者様への影響を踏まえますと、提案された計画期間や義務達成期限の延長は、妥当なものだと考えます。
 今後とも、大気汚染物質やCO2の削減に向けて、事業者様の取り組みが着実に進むよう、実情に合わせたきめ細かな支援を要望し、私からの質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○細谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十分休憩

   午後二時五十九分開議

○細谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○もり委員 自動車環境管理計画書制度の期間延長について伺います。
 現在、気候変動などの地球環境問題が深刻化する中、東京都では、昨年、ゼロエミッション東京戦略を策定し、二〇五〇年CO2排出ゼロを掲げ、脱炭素社会の実現に取り組んでおります。都内のCO2排出量の約二割は運輸部門からといわれており、その大部分を占める自動車からのCO2排出量を削減していくことは大変重要です。
 自動車環境管理計画書制度は、自動車排出ガスによる大気汚染の改善を目的としていますが、同時にCO2の削減に資するものと考えます。
 そこでまず、この制度において、CO2の削減や電気自動車などゼロエミッションビークル、いわゆるZEB普及がどのように位置づけられているのかをお伺いいたします。

○筧環境改善部長 都は、自動車からの環境負荷の低減を図るため、平成十三年度より一期五年を計画期間とする自動車環境管理計画書制度を実施しており、現在、第四期の最終年度に当たります。
 制度開始当初は、ディーゼル車等からの粒子状物質の低減を主な目的としておりましたが、平成十八年度からの第二期より、地球温暖化対策のため、CO2削減の視点も取り入れました。
 平成二十三年度からの第三期では、対象車両を低公害車から低公害、低燃費車に改めるなど、CO2削減に重点を移してまいりました。同時に、第三期からZEBの普及を促進するため、電気自動車や燃料電池車等については、導入率の算定に当たってインセンティブを設けております。
 さらに平成二十八年度からの第四期では、取り組みの強化に向けて対象車両をより環境性能の高い特定低公害、低燃費車に変更するとともに、導入義務率を五%から一五%に引き上げました。

○もり委員 国に先駆けてディーゼル規制を行い、大気汚染対策に取り組んできた東京都ですが、加えて、地球温暖化対策の強化に向けた取り組みを進めていただいております。
 先月、環境・建設委員会の会派メンバーにおきまして、東京都環境科学研究所を視察させていただきました。
 東京都の自動車環境対策における研究、検証の現場を見せていただき、実際に市販され市場に走っている車がどれぐらい排出ガスを出しているのか、どのくらいの汚染ガスを出しているのか算出が行われており、自動車メーカーに対して環境の視点から計測できる研究機関としては唯一とのことで、このような専門的な研究機関における科学的知見と検証により東京都の環境行政、大気汚染対策に加えて、地球温暖化対策の強化に向けた取り組みを進めてきたことがわかりました。
 平成二十三年に始まった第三期目からCO2の削減対策に向けて本格的にシフトしたとのことですが、この制度において低公害、低燃費車やZEBの導入実績についてお伺いをいたします。

○筧環境改善部長 平成三十年度末現在、自動車環境管理計画書制度の対象となる三十台以上の車両を使用する事業者について見ますと、全車両約二十三万台のうち、低公害、低燃費車は約五万台となっております。
 また、低公害、低燃費車の導入義務が係る二百台以上の車両を使用する事業者について見ますと、全車両約十三万台のうちの約三万台であり、既に低公害、低燃費車の導入義務率一五%以上に達している事業者は約五六%でございます。
 なお、乗用車、軽乗用車に占めるZEBの導入割合は、計画書の対象事業者全体で約〇・八%、低公害、低燃費車の導入義務が係る事業者では約一・一%となっております。それらはいずれも都内全体のZEB普及割合である約〇・六%を上回っております。

○もり委員 これまでの取り組みによりZEBの普及も着実に進んでいるようです。
 それでは、こうした取り組みにより、第三計画期間以降、これまでにCO2の削減効果はどのぐらいあったのか、お伺いをいたします。

○筧環境改善部長 平成二十三年度から平成二十七年度までの第三計画期間におきまして、CO2排出削減量は累計で百四十三万トンと推計しております。
 また、第四期の削減量は、平成二十八年度から平成三十年度までの三年間の累計で約六十五万トンと推計され、第三期、第四期合わせて約二百八万トンとなります。これは一般家庭約百四十二万世帯の一年間の電力使用分に相当いたします。

○もり委員 ありがとうございます。この制度が大変大きなCO2の削減に役立っているということをお聞かせいただきました。
 事業者と協力して取り組む自動車環境管理計画書制度は、快適な大気環境を実現するだけではなく、地球温暖化対策にも資する大変重要な取り組みです。また、事業者にとっては、環境面だけではなく燃料費の削減につながり、経営面でもメリットがあると考えます。
 しかし、現在の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、未曽有の経済危機に見舞われる中、自動車の稼働率も減少し、経営状況の悪化等によって車両の更新予定に影響が出ている事業者もあると聞いています。そうしたコロナ禍の都内企業の状況を鑑みて、第四期の一年の達成期限の延長を行ったことはやむを得なかったと理解をいたします。
 一方、先日の本会議の代表質問でも取り上げましたが、サステーナブルリカバリーの観点から、社会の変化を踏まえ、ゼロエミッション東京の実現に向けた取り組みを進めていく必要があります。東京都として、達成に向けたさらなる支援、指導が必要だと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○筧環境改善部長 都では、自動車環境管理計画書制度の対象事業者が導入義務率の達成に向けて、ZEB等の車両導入が円滑に進むよう、さまざまな支援を行っております。
 事業者がZEBやハイブリッドのトラック、バスなどを購入する際に、その経費の一部を補助しているほか、中小企業を対象に低公害、低燃費車への買いかえの際に融資あっせんを行っております。
 また、事業者からの実績報告書をもとに、ZEB等の導入に向けて実情に合わせたきめ細かな助言を行うとともに、事業所を訪問して改善指導を行うなど、事業者の計画の達成を支援しております。
 今後もZEBを初めとした低公害、低燃費車の普及に向け、このような取り組みをさらに推進してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。大変きめ細やかに支援も行っていただけると伺いました。
 現在、欧米や中国でガソリン車などの販売を規制する動きが広まっており、アメリカ・カリフォルニア州のニューサム知事は先月、二〇三五年までに州内で販売される全ての新車を排ガスを出さないゼロエミッション車にするよう義務づけ、ガソリン車の新規販売を禁止すると発表し、ZEBへの転換は世界の潮流となっております。
 東京都では、二〇三〇年までに乗用車新車販売に占めるZEBの割合を五〇%にする目標を掲げており、現在、約二%となっています。
 自然災害の激甚化、感染症の拡大と気候変動への危機感が高まっている中、環境への影響の大きい運輸部門の自動車環境規制による温暖化対策を進める上で、脱炭素社会への鍵を握るといわれているZEBの普及は、都としても全力で推進していく必要があり、次の第五次計画期間は、事業者におけるZEBの転換をさらに加速化させ、ゼロエミッション東京の実現に大きく貢献する制度となるよう検討することが求められます。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会活動の変化を踏まえ、より一層、各業界団体の意見や事業者の状況等を勘案しながら、ZEB化の推進に向けて効果的な施策の展開を図るよう要望いたします。
 また、昨年末、気候危機行動宣言を行った東京都としても、その気候変動への危機感を都民、都内事業者と共有しながら、具体的な行動に移していくことが求められると考えます。
 ZEBの推進とともに、これまで東京都が進めてきたアイドリングストップ、エコドライブの推進等、環境に配慮した自動車の利用促進に向けて、都民、都内事業者の行動変容を促す意識啓発、取り組みの一層の推進を要望し、質問を終わります。

○舟坂委員 化学物質適正管理指針の改定についてお伺いをいたします。
 近年、全国各地で記録的な豪雨が頻発し、昨年の台風十九号では、他県において河川の氾濫によりメッキ工場からシアン化合物が流出する事故が発生いたしました。また、都内においても多摩川の氾濫による浸水などの被害が発生したことから、私は、化学物質を取り扱う事業者の水害対策の重要性を指摘してきました。
 ことしに入っても、七月には九州地方を中心とした記録的な豪雨により球磨川など多くの河川が氾濫し、各地で甚大な浸水被害が発生するなど、都内でもいつ水害が起きてもおかしくない状況であります。
 私の地元、葛飾区を含む江東五区でも、荒川と江戸川の氾濫により、ほぼ全域の浸水が想定されることなどから、工場等における化学物質の流出防止対策は急務となっております。
 都は、化学物質適正管理指針を改定し、水害対策の視点を盛り込むなど対策に取り組んでいますが、対策を進めるためには、化学物質を取り扱う事業者が対策の重要性を認識し、具体的な準備を行うことが必要であります。
 第二回定例会の本委員会で私は、すぐに実施可能な対策を取りまとめ、速やかに周知すべきと指摘をいたしましたが、都からは、六月にリーフレットを公表したとの報告がありました。
 そこでまず、水害対策の具体的な周知方法についてお伺いをいたします。

○志村環境改善技術担当部長 今期の台風や豪雨に伴う浸水等に備え、化学物質取扱事業者に化学物質の流出防止策の速やかな実施を促すため、六月にリーフレットを二千五百部作成し、化学物質を取り扱うメッキ業、印刷業、塗装業などの業界団体や区市を通じて事業者に配布いたしました。
 また、環境局のホームページに化学物質取扱事業者の災害対策ページを新設し、リーフレットの内容を掲載するとともに、危険物施設における風水害対策や区市等の洪水ハザードマップなど、水害対策の関連情報へのリンクを取りまとめ、関係事業者に広く周知いたしました。
 さらに、今後、新型コロナウイルス感染症対策を考慮しつつ、指針の改定や水害対策マニュアルに関する事業者向け説明会を開催し、事業者への水害対策の周知を図ってまいります。

○舟坂委員 ホームページに化学物質取扱事業者の災害対策ページを新設し、周知を行い、今後、説明会を開催するとのことですが、都内の中小零細事業者には高齢である事業者も多く、ホームページでの情報収集や、コロナ禍における説明会への参加は容易ではありません。インターネットのみならず、対象となる事業者に直接周知する方法についても検討すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○志村環境改善技術担当部長 化学物質取扱事業者に水害対策の周知を徹底するためには、ホームページや説明会のみならず、多様な手段を活用することが必要であります。
 新型コロナウイルスへの感染のリスクを回避しつつ、対象となる事業者に直接周知する方法として、業界団体の広報紙の活用等が考えられます。
 今後、さらに、水害対策マニュアル等を郵送で直接配布する方法などについても検討してまいります。

○舟坂委員 ぜひともさまざまな手段を活用して、化学物質取扱事業者への水害対策の周知を徹底していただきたいと思います。
 また、事業者に指針で示した水害対策の実施を促すために、実際に届け出の指導を担う区市から助言等が重要であると考えますが、区市とどのように連携を図っていくのかお伺いいたします。

○志村環境改善技術担当部長 理事ご指摘のとおり、指針を改定し、化学物質取扱事業者が水害対策を円滑に実施するためには、区市からの適切な指導や助言が重要であります。
 そのため、六月に指針の改定について区市との意見交換を行い、そこでの提案を受けて、化学物質の名称や有害性について容器等に表示する旨の規定を追加するなど、指針の充実を行っております。
 また、指針の改定に伴い発生する化学物質を適正に管理するための方法書の変更届の受理などの事務について説明をいたしました。
 さらに、水害対策マニュアルの作成に当たっては、タイムラインの作成例や具体的な対策方法に加え、方法書の記載例等を盛り込むこととしており、区市の水害対策に関する知識の向上に資するよう、区市にも配布して説明会を開催するなど、区市と連携し化学物質取扱事業者の水害対策の促進に取り組んでまいります。

○舟坂委員 ここ数年、毎年のように日本各地を襲っている大型台風や豪雨に備え、水害対策にしっかり取り組むことが重要です。化学物質取扱事業者が水害対策を着実に実施できるよう、区市と連携強化をお願いいたします。
 また、第二回定例会の本委員会でも申し上げましたが、中小企業において水害を防ぐための設備改修等が可能であるよう、技術的、財政的な支援を充実させていただくことを改めて要望して質問を終わります。

○原田委員 東京における自然の保護と回復に関する条例施行規則の改正の中間まとめについて伺います。
 今回、自然保護条例施行規則の改定の発端となった二〇一七年の八王子市戸沢峠の残土処分場における土砂崩落事故について、若干振り返りたいと思います。
 当該残土処分場は二〇〇五年、自然保護条例に基づいて開発許可申請があり、その後、許可されています。ところが、事業者はさんざんに土砂を盛り土したあげくの二〇〇八年には所在不明となり、工事が中断し、ろくな安全対策もとられずに放置、二〇一七年の台風二十一号で崩落事故を起こし、二・七万立米、二・七万立方メートルの埋め立てのうち一万立方メートルが都道六一号線を塞ぎ、五十七日間にわたって通行どめにしてしまいました。
 都は事業者の所在を突きとめましたが、既に原状の回復を図る能力を有しておらず、仕方なく都は、残土処分場の対応をせざるを得なくなったと。建設局は崩落した土砂を撤去し、環境局は残りのずさんな盛り土を撤去し、もとの地山に戻したということです。両局にはしっかりと対応していただいてありがたいと思うと同時に、いってみれば、税金をかけて対応したという結果にじくじたる思いも湧いてきます。
 八王子市内には、許可がされながら工事が終了していない処分場が現在九カ所あり、二〇一八年十月の質疑のときにお聞きしましたら、そのうち六カ所が中断している工事とのことでした。この上、さらに、八王子市川町の仮称スポーツパーク計画では、戸沢峠の二・七万立方メートルの埋め立てをはるかに上回る五十五万立方メートルの埋立計画となっており、重大な懸念が広がっています。
 今、残土処分問題への法的対応は待ったなしといわざるを得ません。今回の規則改正は、自然保護条例の規定が建設残土の埋め立てによる土砂災害の未然防止にとって不十分な規定となっていた点を改善するものです。都市計画法や森林法の規定を参考に見直しが検討されている理由について改めてお聞かせください。

○近藤自然環境部長 自然保護条例の開発許可の基準は、これまでは自然の保護と回復の視点が中心であったため、都市計画法の開発許可等の基準に比べますと、盛り土の安定等の具体的な基準についての詳細な定めがなく、土砂災害未然防止等の点で不十分でありました。
 こうしたことから、具体的に基準を規定している都市計画法等の他法令を参考に、条例の開発許可制度の見直しを検討しております。

○原田委員 自然保護と安全対策をしっかりととらせるために、都市計画法の規定とともに森林法や自然保護条例独自の規定も活用した積極的な内容で、都として審議会に諮問していることは重要と感じています。
 自然環境保全審議会規制部会の速記録を見ますと、もっと新技術を取り入れて監視できないかなど、委員からさまざまな知見による意見が交わされていました。中間まとめに至る各部会の議論も含めた、この審議会の議論に対する環境局としての受けとめについて伺います。

○近藤自然環境部長 令和元年十月、自然環境保全審議会に自然保護条例施行規則の改正について諮問して以降、計画部会及び規制部会をそれぞれ二回ずつ開催してまいりました。両部会及び令和二年九月の審議会におきましては、土砂災害未然防止等の視点からの開発許可制度の見直しにつきまして、地盤工学等の学識経験者による専門的な見地から活発なご議論をいただいたと認識しております。

○原田委員 この間、八王子戸沢峠の土砂崩落事故や八王子スポーツパークの問題などを通して、建設残土の埋立問題に対する住民の声や専門家の議論が高まっていたと感じています。
 このたびの検討は、平成二十九年の八王子市での土砂崩落事故が契機となっているとのことですが、環境局としては、安全性に関するこうした意見をどのように受けとめていたか、お聞かせください。

○近藤自然環境部長 平成二十九年十月の土砂崩落事故以降、都議会本会議や当委員会での質疑におきまして、開発許可の基準の見直しや事業者に対する監視指導のあり方の再検討など、再発防止に向けたさまざまなご意見をいただきました。
 環境局といたしましては、こうしたご意見を真摯に受けとめ、開発許可制度の見直しに向け、令和元年十月に東京都自然環境保全審議会に自然保護条例施行規則の改正について諮問し、ご議論いただいているものであります。これまでにいただいたご意見を可能な限り制度の見直しに反映させ、再発防止に取り組んでまいります。

○原田委員 申請者の資力、信用をはかるとありますが、これは具体的にどのようにはかるのか。続けてお聞きしますけれども、工事施工者に開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があることは、どのようにして判断することができるものなのか、続けて教えてください。

○近藤自然環境部長 申請者の資力、信用はかるという点でございますが、同様の項目が都市計画法の審査基準にあるため、今後、同法の運用を参考に具体的方法を検討してまいります。
 同様に、工事施工者に開発行為に関する工事を完成するために必要な能力があるかどうかということでございますが、これも同様に都市計画法の審査基準にあるため、今後、同法の運用を参考に具体的方法を検討してまいります。

○原田委員 八王子スポーツパーク計画では、残土埋め立て後にできるスポーツパークが最初から赤字経営となっていて、黒字になるとする過程が不明な点、そこから考えても、自然環境の保全の資金計画が見当たらない問題、無理な営業日数に対して余りに少ない人員体制など、ずさんな事業計画が問題視されています。
 十億円の収入ともいわれる残土処分だけが行われ、スポーツパークは本当にでき上がるのかと疑問視する住民の声があります。開発許可を出す際に厳しくその資力や工事能力が問われねばなりません。
 施行規則の改正に当たっては、自然保護、近隣住民の生命と財産を守る上で実効性のある改定を求めるものです。
 許可条件の見直しにおいて行政処分の透明性を高めることとありますが、行政処分とは具体的に何を指しているのか、また透明性を高めるとはどういう意味か、お答えください。

○近藤自然環境部長 自然保護条例に基づく開発許可を受けた者が許可時に付された許可条件に違反した場合には、中止命令や原状回復命令等の行政処分を課すことがあり得ます。
 これまで許可を受ける者に対して許可条件を個別に示しておりましたが、今後は、標準的な許可条件を開発許可の手引き等に記載し、事業実施の際にどのような行為が求められるかを申請段階において明らかにするという意味でございます。

○原田委員 行政処分自体は厳しくなるわけではありませんが、許可条件が厳しくなるため、残土処理における行政処分も現実味を増すことになってまいります。
 事業者にとって透明性を高めるというのは、ずさんな仕事をすると行政処分が飛びますよと申請段階から明らかにすることであり、これはいわば不当な残土処理の抑止力にもなるものと考えます。
 監視指導指針の策定についてお聞きしますが、違反行為に対し適時適切に行政処分や行政指導を行う必要性を盛り込んだのは重要と考えますが、他県では基礎自治体のパトロールとも力を合わせて不審な現場や造成中の現場を巡回するなどしていますが、都としてはどのような監視指導の方針を考えているのか。

○近藤自然環境部長 都はこれまでも、地元自治体からの情報提供があった場合等に現地を確認するなど、開発許可の事業地の安全管理に努めてまいりました。
 昨年度からは専従の監視員による巡視を行っており、さらに監視体制を拡充するため、今年度から新たに二名の監視員を追加しております。
 監視指導指針については、このように拡充した監視体制や地元自治体から危険性、違反等につきまして速やかに情報提供を受ける仕組みの今後の検討結果を踏まえ、事業者に対する適時適切な行政処分や行政指導を行うという観点から、今後、具体的に内容を検討してまいります。

○原田委員 監視体制の強化は極めて重要です。これまでも監視体制はありましたが、何かあったときに見に行くというもので、どちらかといえば受動的な監視体制だったかもしれません。
 しかし、今回は定期的な巡回も視野に入れて検討とのことですから、能動的、積極的な監視体制に発展するものと期待しています。まずは八王子市の九つの残土処理現場や、そのうちの幾つかは戸沢峠のように中断したままの残土埋立地もあると聞いていますし、地元住民から問題が指摘されている箇所など監視対象を拡大し、定期巡回に努めていただきたいと思います。
 不当な残土処分は許さないぞと、強い都の姿勢を示すためにも重要な役割を担うと思いますので、頑張っていただきたいと激励申し上げまして、この質疑を終わります。
 次に、自動車環境管理計画書制度の計画期間等の延長について、意見だけを述べておきたいと思います。
 今回は自動車環境管理計画書制度について、コロナの影響を受けて第四期の計画期間を延長するという報告です。
 制度が創設された二〇〇一年以来、自動車による環境負荷低減に一定の効果を発揮してきましたが、今回はコロナの影響により、導入義務を課された事業者百九十一社のうち四四%に当たる八十四社が目標を達成していないということで、使用台数の一五%以上を低公害、低燃費車にしなければならないという目標が達成できなかった事業者は、東京都の名において社名の公表となることから、影響は大きなものがありますが、半数近い事業者が達成していない状況は制度としての重大事態と考えます。
 対象事業者がコロナ禍の折、今も努力を続けているとするならば、期間の一年延長はやむを得ない面があります。
 しかしながら、東京都は昨年、ゼロエミッション東京戦略を公表したばかりで、その目標は、二〇三〇年までに新車台数の五〇%がZEB、ゼロエミッションビークルになっているとするものです。新車台数に占めるZEBの割合は現在二・一%であり、あと十年でどうやったら五〇%に達するのかと、国際社会から東京都は問われています。
 IPCC一・五度特別報告書は、二〇三〇年までの目標に対する行動がおろそかにされれば、地球の自然環境に取り返しのつかない結果をもたらすと警鐘を鳴らしています。
 自動車環境管理計画書制度は、これまで環境施策に与えた影響は評価できます。
 しかし、あくまでも低公害、低燃費車を扱うという制度で、車両をふやすという制度であり、ZEBを求めているわけでもなく、さらには使用車両の一五%という国際社会からすれば低い目標にもかかわらず、一年延長を余儀なくされている事態はやはり深刻と考えます。
 事業者の努力はもちろんですが、中小業者などには都や国の抜本的な支援が必要ですし、他国では国策として電気自動車への置きかえを進めている国があるなど、国と都が本気で構える必要があります。
 今定例会では、知事の所信表明から一切ゼロエミッション東京戦略の言葉が消えてしまいましたが、毎回の所信表明で進捗状況を報告するくらいの構えがなければ、ゼロエミッション東京戦略の実現はないということを厳しく指摘するものであります。
 環境局としては、知事に対して、二〇三〇年目標を達成するに足る本気の施策を求めるとともに、知事から国に対しても、自動車の環境施策においてまさにパラダイムシフトを求めることが必要であると提言していただきたいと申し上げて、意見とします。

○細谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細谷委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○細谷委員長 請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細谷委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○細谷委員長 この際、所管二局を代表いたしまして、中島建設局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○中島建設局長 発言のお許しをいただき、両局を代表いたしまして、一言お礼のご挨拶を申し上げます。
 細谷委員長を初め委員の皆様には、熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 また、一年間を通じてさまざまなご指導、ご鞭撻を賜り、ありがとうございました。
 委員会審議を通じまして皆様から頂戴いたしました貴重なご意見、ご指摘などにつきましては、今後の事業執行に反映させてまいりたいと存じております。
 今後とも、一層のご指導を賜りますようお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、お礼のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○細谷委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ご挨拶を申し上げます。
 この一年間、環境・建設委員長を務めさせていただきました。この間、里吉副委員長、米川副委員長を初めとした理事の皆様、委員会の皆様、環境局、建設局の皆様、そして議会局の皆様にも多大なるご支援とご協力をいただきました。そして、円滑な審議を行うことができました。改めまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
 本委員会、今期は、関東を直撃した台風による災害への対応、そして新型コロナウイルス感染症による影響の対応など、例年にない課題にも質疑が交わされました。今後もさまざまな課題に対応が求められるものであります。
 都民の安全・安心な環境を守るため、皆様方のさらなるご活躍を祈念いたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。一年間ありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三十七分散会

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